JP2004000176A - 光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法 - Google Patents

光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微生物を用いてより高収率で経済的に、光学活性α−ヒドロキシケトンを製造する。
【解決手段】本発明の課題は微生物に酵母のピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子を組み込み、高発現させた微生物を培養して、ピルビン酸と式(1)
−CHO  ・・・(1)
(ここで、R は、水素、炭素数1から10のアルキル基、アリール基、アルケニル基を表す。)
で表されるアルデヒドを培養液中に添加することを特徴とする
式(2)
−CH(OH)−CO−CH  ・・・(2)
(ここで、R は、水素、炭素数1から10のアルキル基、アリール基、アルケニル基を表す。)
で表わされる光学活性α−ヒドロキシケトンを高効率に製造することによって解決される。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法に関する。光学活性α−ヒドロキシケトンは、各種医農薬、香料などの重要な合成原料であり、さらに安価に製造し得れば、種々の合成原料に使用され得る。
【0002】
【従来の技術】
光学活性α−ヒドロキシケトンに含まれる、L−フェニルアセチルカルビノールは、古くはベンズアルデヒドからパン酵母により生成するノイベルグ法や、ベンズアルデヒドとアセトアルデヒドまたはピルビン酸からサッカロマイセス属及びキャンディダ属などの酵母やザイモモナス属の細菌などにより、生成することが知られている。(WO9004631,Biocatalysis,1(4),321−31(1988)など)。
【0003】
ザイモモナス属のピルビン酸脱炭酸酵素の改変酵素を用いたアシロインの生成方法については、特表平11−505710号公報に開示されている。また、酵母Saccharomyces cerevisiaeのピルビン酸脱炭酸酵素の遺伝子(PDC遺伝子)を発現ベクターを用いて増強たという報告(Applied and Environmental Microbiology 1998 2133−40)があるが、これらの微生物を用いて光学活性α−ヒドロキシケトンを製造したという報告はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来法は収率、収量の点で満足いくものではなかった。本発明の課題は、酵母のピルビン酸脱炭酸酵素を発現ベクターを用いて増強することによって、得られた微生物によるα−ヒドロキシケトンの高効率な工業的製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するため、さらに生産性の高い光学活性α−ヒドロキシケトンの製法について鋭意研究した結果、微生物に酵母由来のピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子を組み込むことにより、α−ヒドロキシケトンの蓄積濃度、生成収率が著しく向上することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は酵母のピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子を導入した微生物と、ピルビン酸及び/又はピルビン酸塩、及び式(1)
−CHO  ・・・(1)
(ここで、R は、水素、炭素数1から10のアルキル基、アリール基、アルケニル基を表す。)
で表されるアルデヒドを用いることを特徴とする
式(2)
−CH(OH)−CO−CH  ・・・(2)
(ここで、R は、水素、炭素数1から10のアルキル基、アリール基、アルケニル基を表す。)
で表わされる光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
ピルビン酸とα−ケト酸からはピルビン酸脱炭酸酵素の縮合作用により、α−ヒドロキシケトンが生成する。
【0007】
本発明で用いられるピルビン酸及び/又はピルビン酸塩は、それらの純品乃至は混合物を添加しても良いし、本発明の製造方法過程で、他の成分から生成するものであっても良い。例えば、培養液中の栄養分を元に当該微生物乃至はその他の微生物の作用やその他の物理・化学的作用により誘導されるものであっても良い。又、ピルピン酸塩とは、特に限定されるものではないが、その陽イオンは、好ましくは金属元素(より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属、更に好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム)であるものである。
【0008】
又、本発明で用いられるアルデヒドとは、前記式(1)の構造を有し、R は、水素、炭素数1から10のアルキル基、アリール基、又はアルケニル基、或いはそれらが組み合わされたもので表されるアルデヒドならば特に限定されるものではなく、所望する光学活性α−ヒドロキシケトンに対応するものを用いる。例えば、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、プロピオンアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、ケイ皮アルデヒド、フラフールなどが挙げられる。
【0009】
本発明の製造方法により得られる光学活性α−ヒドロキシケトンとは、式(2)で表され、R は、水素、炭素数1から10のアルキル基、アリール基、又はアルケニル基、或いはそれらが組み合わされたもので表されるケトンならば特に限定されるものではない。
【0010】
なお、本発明で得られる光学活性α−ヒドロキシケトンの立体配置は、通常、R がフェニル基の場合のL−フェニルアセチルカルビノールと同じ立体配置であるL体(旋光度マイナス)である。
【0011】
本発明に使用する宿主微生物は、遺伝子導入が可能な微生物であるならば特に制限はない。好ましくは、酵母または細菌があげられる。
【0012】
酵母としては、特に、サッカロマイセス(Saccharomyces)属の酵母が好ましい。さらに好ましくは、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)であり、これ以外にもサッカロマイセス・エリプソイデウス(Saccharomyces ellipsoideus)またはサッカロマイセス・ディアスタティクス(Saccharomycesdiastaticus)である。
【0013】
細菌としては、特に、エシェリシア(Escherichia)属の細菌が好ましい。さらに好ましくは、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)である。これらの菌は、主ベクター系が確立されており、遺伝子の発現効率が高いなどの特徴がある。
【0014】
また、他に薬剤に対する耐性、栄養要求性などの性質があってもよく、遺伝子導入が可能な微生物はすべて本発明に含まれる。
【0015】
宿主に組み込むべきピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子は、宿主によって発現され、ピルビン酸脱炭酸酵素としての活性が保持されるならば特に制限はないが、酵母由来のピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子が好ましい。酵母のピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子としてはサッカロマイセス属が好ましく、特に好ましくは、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・エリプソイデウス(Saccharomyces ellipsoideus)、サッカロマイセス・ディアスタティクス(Saccharomyces diastaticus)などの遺伝子があげられる。
【0016】
ピルビン酸脱炭酸酵素の取得方法としては特に制限はなく、PCR法、ゲノムライブラリーやcDNAライブラリーからのスクリーニング法などが用いられる。
【0017】
取得した遺伝子は適当な発現ベクターに組み込み、宿主内に導入する。導入方法としては特に制限はないが、例えば酵母の場合はプロトプラスト法、塩化リチウム法、エレクトロポレーション法などが用いられる。また、大腸菌の場合は塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法などが用いられる。
【0018】
用いられる発現ベクターのタイプについては宿主細胞中で安定に維持されるものであれば特に制限はない。例えば酵母においては、酵母内在性の2μプラスミドの複製起点を持つYEp型ベクター、酵母染色体の複製起点を持つYRp型ベクター、酵母染色体の複製起点及びセントロメア配列を持つYCp型ベクター、酵母染色体の複製起点及びテロメア配列を持つYLp型ベクター、酵母中での複製起点を持たないYIp型ベクターなどが適宜用いられるが、発現ベクターを安定に保持するためにはYIp型ベクターを用いることが好ましい。また、大腸菌の場合はpBR322及びそれに派生するpUCベクターなどが挙げられる。
【0019】
ピルビン酸脱炭酸酵素を発現させるためのプロモーターについては、宿主細胞においてピルビン酸脱炭酸酵素が発現される限り特に制限はない。例えば酵母においてはアルコール脱水素酵素1(ADH1)遺伝子、抑制性酸性ホスファターゼ(PHO5)遺伝子等があげられる。構成的に発現するプロモーターを用いても良いし、誘導性プロモーターを用いることも可能である。また大腸菌においてはβ−ガラクトシダーゼ(lacZ)遺伝子、T7ファージのRNAポリメラーゼ(T7)遺伝子等があげられる。
【0020】
なお、組み込む遺伝子の由来菌株と、組み込まれる宿主菌株が同一であっても、α−ヒドロキシケトンの生産性は向上する。これは、遺伝子導入により、元から宿主菌体にあった遺伝子と合わせて、遺伝子数が増加するため、遺伝子により産出されるピルビン酸脱炭酸酵素の生産が増大するためであると推定される。
【0021】
本発明における培養方法について説明する。培地は、炭素源、窒素源、無機イオンおよび必要に応じてその他の有機微量成分を含有する通常の培地である。
【0022】
炭素源としては、グルコース、フラクトース、糖蜜などの糖類、フマール酸、クエン酸、コハク酸のごとき有機酸、メタノール、エタノール、グリセロールのごときアルコール類などを1〜15%、窒素源として、酢酸アンモニウムのごとき有機アンモニウム塩、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウムのごとき無機アンモニウム塩、アンモニアガス、アンモニア水、尿素等を0.1〜4.0%、有機微量成分としては、ビオチン等の被要求性物質が0.0000001%〜0.1%、また必要に応じて、コーンスティープリカー、ペプトン、酵母エキス等0〜5%をそれぞれ適当に含有する培地が用いられる。これらの他に、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸第1鉄、等が微量成分として添加される。さらに、必要に応じてチアミン、ナイアシン、ピリドキシン、ビオチンなどの要求ビタミン、またはこれらを含有する酵母エキス、コーンスチープリカー、その他の天然物を添加した培地を使用すればよい。好ましくは消泡剤なども添加し、培養条件の安定化をはかる。培養は通常、好気条件で行う。
【0023】
培養中は、pHの低下が起こるので炭酸カルシウム、苛性ソーダ、苛性カリなどのアルカリでpH3〜8.5に調節することが有効である。
【0024】
この培養液、培養液から得られた菌体、もしくはそれらの処理物に前記式(1)で表されるアルデヒドを、好ましくは0.5〜5重量%、さらに好ましくは1〜2重量%,及びピルビン酸を1〜5重量%、さらに好ましくは1〜2重量%を添加する。その後、好ましくは5〜72時間、さらに好ましくは5〜30時間反応する。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、各実施例では、形質転換の効果を確認するために遺伝子組み替え前の宿主の評価結果も付記した。
【0026】
実施例1
(1)ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子のクローニング
宿主細胞のピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子のクローニングを行った。
【0027】
公知となっているピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子の塩基配列はデータベース(GenBank)の配列を元に、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)用のPCRプライマーを設計した。PCRに用いたプライマーの配列は配列表1、配列表2に示した。
【0028】
これらのプライマーを用い、Saccharomyces cerevisiae IFO1136株のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、1671塩基対の増幅断片を得た。
【0029】
(2)発現ベクターの作製
前項(1)で増幅したDNA断片を酵母中で発現するADHプロモーターに連結し、市販の酵母用ベクターであるpAUR123(宝酒造社製)のSmaI切断部位に導入し、ピルビン酸脱炭酸酵素発現ベクターpEN501を作製した(図1)。挿入した増幅断片の塩基配列を確認した結果、この増幅断片が実際にSaccharomyces cerevisiaeのピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子をコードしていることを確認した。
【0030】
(3)宿主への発現ベクターの導入
前項(2)で作製した発現ベクターpEN501をSaccharomyces cerevisiae IFO1136株(ATCC26108)に酢酸リチウム法を用いて導入した。
【0031】
発現ベクターを導入後、組換え酵母の選択は抗生物質であるオーレオバシジン耐性を指標に行い、形質転換体を得た。この形質転換株をSaccharomyces cerevisiae EN501−17株と命名した。
【0032】
(4)形質転換株によるピルビン酸脱炭酸酵素の発現
Saccharomyces cerevisiae IFO1136株、およびこの形質転換株Saccharomyces cerevisiae EN501−17株を各々LB培地〔トリプトン 10g/l 酵母エキス 5g/l  NaCl 10g/l〕5mlに一白金耳植菌し、30℃で、24時間振とうして前培養した。予め115℃10分蒸気滅菌したGP培地〔組成:ブドウ糖 20g、酵母エキス 2g、硫酸マグネシウム 0.5g、ポリペプトン(カゼイン製ペプトン) 5g、リン酸二水素カリウム 1g、蒸留水 1L、pH5.6〜5.8〕
50mlを含む500ml容の三角フラスコ2本に植え継ぎ、180rpm、振幅30cmの条件下で24時間培養した。その後遠心分離を用いて菌体を回収し、以下の実験に用いた。
【0033】
上記の遠心分離した菌体の懸濁液を調整し、終濃度が以下の組成、p−ヒドロキシベンズアルデヒド100mM、ピルビン酸ナトリウム200mM、チアミンピロリン酸0.1mM、硫酸マグネシウム0.05mMであり、リン酸二水素カリウム緩衝液によりpH6.5に調製した100mlの酵素反応液を調整し、30℃で10時間反応させた。反応液中のp−ヒドロキシフェニルアセチルカルビノールの濃度をHPLCで分析した結果を表1に示す。
実施例2
p−ヒドロキシベンズアルデヒドのかわりにm−メトキシベンズアルデヒドを用いる以外は、実施例1と同様に実験し、生成しm−メトキシフェニルアセチルカルビノールの濃度をHPLCで分析した結果を表2に示す。
実施例3
p−ヒドロキシベンズアルデヒドのかわりにp−メチルベンズアルデヒドを用いる以外は、実施例1と同様に実験し、生成しp−メチルフェニルアセチルカルビノールの濃度をHPLCで分析した結果を表1示す。
【0034】
【表1】
Figure 2004000176
【0035】
(得られたα−ヒドロキシケトンはいずれもL体のみであった。)
実施例4
(1)ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子のクローニング
配列表3,4で表される配列を有するプライマーを使用して実施例1と同様にして増幅したDNA断片を得た。
【0036】
(2)発現ベクターの作製
前項(1)で増幅したDNA断片を酵母中で発現するT7プロモーターに連結し、市販の酵母用ベクターであるpET16−b(Novagen社製)のNdeI/BamHI切断部位に導入し、ピルビン酸脱炭酸酵素発現ベクターpEN509を作製した(図2)。
【0037】
(3)宿主への発現ベクターの導入
前項(2)で作製した発現ベクターpEN509をEscherichia coli BL21株(宝酒造株式会社)に塩化カルシウム法を用いて導入した。
【0038】
発現ベクターを導入後、組換え体の選択は抗生物質であるアンピシリン耐性を指標に行い、形質転換体を得た。この形質転換株をEscherichia coli EN509−30株と命名した。
【0039】
4)形質転換株によるピルビン酸脱炭酸酵素の発現
Escherichia coli BL21株、および形質転換株Escherichia coli EN509−30株を培養した。すなわち、これらの菌株をLB培地5mlに1白金耳植菌し、30℃で16時間振とうして前培養した。
【0040】
次に、LB培地50mlを含む500mlの三角フラスコに入れ、予め120℃、20分間蒸気滅菌した。この培地に前培養した上記菌株を植え継ぎ、振幅30cmで、180rpmの条件下で5時間培養後、遺伝子発現誘導物質IPTGを加10時間培養した。その後遠心分離を用いて菌体を回収し、以下の実験に用いた。
【0041】
遠心分離した菌体の懸濁液を調整し、終濃度が以下の組成、p−ヒドロキシベンズアルデヒド50mM、ピルビン酸ナトリウム100mM、チアミンピロリン酸0.1mM、硫酸マグネシウム0.05mMであり、リン酸二水素カリウム緩衝液によりpH6.5に調製した100mlの酵素反応液を調整し、30℃で6時間反応させた。反応液中のp−ヒドロキシフェニルアセチルカルビノールの濃度をHPLCで分析した結果を表2に示す。
実施例5
p−ヒドロキシベンズアルデヒドのかわりにm−メトキシベンズアルデヒドを用いる以外は、実施例4と同様に実験し、生成しm−メトキシフェニルアセチルカルビノールの濃度をHPLCで分析した結果を表2に示す。
実施例6
p−ヒドロキシベンズアルデヒドのかわりに2,6−ジクロロベンズアルデヒドを用いる以外は、実施例4と同様に実験し、生成し2,6−ジクロロフェニルアセチルカルビノールの濃度をHPLCで分析した結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
Figure 2004000176
【0043】
(得られたα−ヒドロキシケトンはいずれもL体のみであった。)
実施例7〜9
p−ヒドロキシベンズアルデヒドのかわり表3に示すベンズアルデヒド誘導体を各々用いる以外は、実施例1と同様に実験し、生成したフェニルアセチルカルビノール誘導体の濃度をHPLCで分析した結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
Figure 2004000176
【0045】
(得られたα−ヒドロキシケトンはいずれもL体のみであった。)
実施10〜12
p−ヒドロキシベンズアルデヒドのかわり表4に示すベンズアルデヒド誘導体を各々用いる以外は、実施例4と同様に実験し、生成したフェニルアセチルカルビノール誘導体の濃度をHPLCで分析した結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
Figure 2004000176
【0047】
(得られたα−ヒドロキシケトンはいずれもL体のみであった。)
【0048】
【発明の効果】
本発明の微生物を用い、α−ヒドロキシケトンを生産すると、既存の方法に比較してより経済的なα−ヒドロキシケトンの生産が可能となる。
【0049】
【配列表】
Figure 2004000176
Figure 2004000176

【図面の簡単な説明】
【図1】ピルビン酸脱炭酸酵素発現ベクターpEN501のフィジカルマップを示す図である。
【図2】ピルビン酸脱炭酸酵素発現ベクターpEN509のフィジカルマップを示す図である。

Claims (9)

  1. 酵母のピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子を導入した微生物と、ピルビン酸及び/又はピルビン酸塩、及び式(1)
    −CHO  ・・・(1)
    (ここで、R は、水素、炭素数1から10のアルキル基、アリール基、アルケニル基を表す。)
    で表されるアルデヒドを用いることを特徴とする
    式(2)
    −CH(OH)−CO−CH  ・・・(2)
    (ここで、R は、水素、炭素数1から10のアルキル基、アリール基、アルケニル基を表す。)
    で表わされる光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
  2. 請求項1記載の微生物において、その培養液もしくは得られた菌体、またはそれらの処理物を用いることにより前記式(2)で表わされる光学活性α−ヒドロキシケトンを採取することを特徴とする光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
  3. ピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子を導入した微生物がサッカロマイセス属に属する酵母である請求項1又は2に記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
  4. 該サッカロマイセス属に属する酵母がサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・エリプソイデウス(Saccharomyces ellipsoideus)またはサッカロマイセス・ディアスタティクス(Saccharomyces diastaticus)であるところの請求項3に記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
  5. ピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子を導入した微生物が細菌であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
  6. 該細菌がエシェリシア属に属する細菌であるところの請求項5に記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法
  7. 該エシェリシア属に属する細菌がエシェリシア・コリ(Escherichiacoli)であるところの請求項6に記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法
  8. 酵母のピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子がサッカロマイセス属由来であるところのピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子である請求項1から7のいずれか1項に記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
  9. ピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子がサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはサッカロマイセス・エリプソイデウス(Saccharomyces ellipsoideus)またはサッカロマイセス・ディアスタティクス(Saccharomyces diastaticus)由来であるところの請求項8に記載の光学活性α−ヒドロキシケトンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007077141A1 (de) * 2006-01-06 2007-07-12 Basf Aktiengesellschaft Verfahren zur herstellung substituierter phenylacetylcarbinole

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