JP2003534383A - 免疫原性が減少した赤血球の病原体不活性化溶液の調製 - Google Patents

免疫原性が減少した赤血球の病原体不活性化溶液の調製

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Abstract

(57)【要約】 抗原性が有意に減少されており、存在しうる病原体汚染因子が実質的に不活性化されている赤血球組成物を調製するための化合物および方法が提供される。免疫反応についての潜在性が高い場合、例えば、同種異系免化血液のレシピエントまたは血液の不一致単位の輸注の可能性が高い外傷の状況における個体の中への導入のために、赤血球組成物は特に使用される。本発明の赤血球組成物は、輸注に関連する疾患の伝搬のリスクを非常に低しかつ輸注に関連する免疫反応のリスクを非常に低くする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 技術分野 本発明は、一般に、1つの個体から他への細胞組成物の輸注に関連するリスク
を減少させる、特にこのような輸注間の免疫応答による合併症のリスク減少させ
、ならびに輸注間に疾患を伝達するリスクを減少させる、組成物および方法に関
する。本発明は、主として免疫反応のリスクおよび赤血球組成物の輸注における
疾患の伝搬のリスクの減少に関する。
【0002】 背景 血液輸注(transfusion)は貧血症、外傷、外科的出血およびある種の遺伝性
疾患の治療に必須である。赤血球輸注を受ける患者に対するリスクは、溶血性輸
注反応、熱性、非溶血性輸注反応、輸注に関係する急性肺障害、同種異系免化、
移植片対宿主の疾患、および血液生成物の中に存在することがあるウイルスおよ
び細菌からの感染の可能性を包含する。
【0003】 溶血性輸注反応はレシピエントの抗体とドナー赤血球上の抗原との反応のため
であり、しばしば不一致の赤血球単位を輸注するときの人間のエラーから生ずる
ことがある。熱性、非溶血性輸注反応は、輸注反応の90%の割合を占め、ドナー
白血球上の抗原に対して反応するレシピエントの抗体から生ずる。輸注に関係す
る肺障害は、レシピエントの白血球を凝集させるドナーの赤血球中の白血球の抗
体により引き起こされると考えられる。
【0004】 同種異系免化は慢性赤血球輸注を必要とする患者に対して大きいリスクであり
、赤血球上の微量のグループ抗原に対して抗体を形成する患者から生じ、引き続
く輸注において(同種異系感作)反応を引き起こす。ドナーの白血球がレシピエ
ントに移植され、増殖し、次いで宿主の組織の抗原に対して反応するとき、移植
片対宿主の疾患は起こる。
【0005】 精巧な同定および試験のシステムは、正しく合致した赤血球が輸注されること
を保証するために適切である。しかしながら、ヒトの動作はこのようなシステム
における1因子であり、そして誤りが起こる。ニューヨーク州における輸注エラ
ーに関する報告は、3致死を生ずる33,000単位において1のABO不適合性輸注を示
す[Linden他、Transfusion 32:601(1992)]。同様なエラーの割合が英国に
おいて報告された[McClelland他、BMJ 308:1205(1994)]。
【0006】 血液のABO合致の必要性を排除する可能な実験的処理は、AまたはB型の赤血球
をO型に変換する末端の糖抗原を酵素的に除去することである[Lenny他、Transf
usion 34:209(1994)、Lenny他、Biotechnology of blood、編者、Goldstein
J.、pp. 75−100(1991)]。同種異系免疫化患者の中への赤血球の輸注に潜在
的に有効な、他の実験的アプローチは、長い、柔軟な親水性分子、例えば、ポリ
エチレングリコールを赤血球表面に取り付けて、本質的に非免疫原性の赤血球を
つくることによって、赤血球の抗原をマスクすることである[Scott他、Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 94:7566(1997)、PCT公開99/16318]。熱性、非溶血性
輸注反応、輸注に関係する肺障害、および移植片対宿主の疾患に対する前述のプ
ロセスの効果は未知である。しかしながら、これらの3つの反応のリスクは赤血
球生成物の白血球濾過により減少させることができる。
【0007】 ウイルス(例えば、HIV、肝炎)または細菌(例えば、エルシニア・エンテロ
コリチカ(Yersinia enterocolitica))汚染血液の輸注は主要な問題である。
細菌汚染は4 ℃において貯蔵された赤血球において稀に起こるが、寒冷増殖する
と思われる細菌(好冷細菌、例えば、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia
enterocolitica)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluore
scens)、およびセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)は、赤血球
輸注後の細菌セプシスに関連する、最も普通の汚染因子である[Gottlieb、Anae
sth. Intens. Care 21:20(1993)]。
【0008】 細菌が病的状態を引き起こすためには、相補性に基づく防御および食作用に基
づく防御の両方のメカニズムが患者の免疫系の中に存在するので、ある種の負荷
が注入生成物の中に存在することが必要である。これらのメカニズムは細菌の免
疫原性、レシピエントの体質、および血液生成物の特性(例えば、高いまたは低
い血漿レベル、白血球濾過、およびその他)に依存する。細菌セプシスは一部分
細菌からのエンドトキシンの放出のためである。好冷細菌の増殖は4 ℃において
遅延されるが、1〜3週の貯蔵は重度の輸注反応を引き起こすために十分な細菌ま
たはエンドトキシンを蓄積させることがある。
【0009】 血液生成物の病原体の不活性化は、血液輸注の安全性を改良する重要な方法で
ある。ウイルス、例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)お
よびヒト免疫不全ウイルス(HIV)について血液をスクリーニングすることは日
常的であるが、試験は感染した単位の100%を検出せず、そしてヒトのエラーに
よる感染単位の注入の可能性はABO不一致輸注の問題に類似する。さらに、試験
されなかった未知の病原体、例えば、同定および試験前にHIVとともに発生した
ものが血液供給物の中に導入されることがある。現在、血液中の他の病原体、例
えば、細菌または原生動物についての試験は存在しない。
【0010】 寄生生物、例えば、トリパノソマ・クルジ(Trypanosoma cruzi)、バベシア
・ミクロチ(Babesia microti)、およびレイスマニア・ドノバニ(Leishmania
donovani)は血液輸注により伝送される。トリパノソマ・クルジ(Trypanosoma
cruzi)は中央および南アメリカにおける風土病である。バベシア・ミクロチ(B
abesia microti)は米国にとって風土病であり、そして感染はそれを研究してい
る実験室付近の領域において特に同定される。これらについての試験は存在しな
いので、米国においてこのような原生動物に対する唯一の保護はドナーのスクリ
ーニングによる。
【0011】 赤血球の抗原をマスクする前述のペギル化(pegylation)プロセスは、ある種
の病原体の不活性化において有効であることがある。ポリエチレングリコールの
修飾によるウイルス粒子の不活性化はPCT公開99/00145において論じられている
。これらの抗原マスキング法が他の病原体、例えば、細菌または原生動物に対し
てどのような作用を有するかは知られていない。特に、赤血球の中に存在するこ
とがある細菌に対する抗原マスクプロセスは扱われてきていない。細菌表面上の
反応性基をまたポリエチレングリコールで修飾して、宿主免疫系により認知され
えない、免疫原性が低い細菌を生じさせることができるであろう。この細菌が分
裂することができるかどうかは未知である。
【0012】 事実、このような修飾された細菌が増殖することができた場合、子孫もまた免
疫原性が低く、十分な分裂がポリエチレングリコールの修飾の作用を希釈してし
まうまで、宿主免疫系により検出されないことを想像することができる。この時
まで、細菌が宿主免疫系によりコントロールできないレベルに到達するか、ある
いは細菌の分裂が敗血症性ショックを引き起こすために十分なエンドトキシンを
発生させることがある。このシナリオにおいて、非修飾細菌よりも大きいリスク
を発生させることがある「ステルス細菌」がつくられた。これが示唆するように
、このような系における病原体の不活性化の必要性は既に存在する必要性を超え
ている。
【0013】 赤血球中の病原体を不活性化するいくつかのアプローチが存在する。フタロシ
アニンまたはチアジン色素および可視光線の使用が証明された[米国特許第5,23
2,844号および米国特許第5,827,644号、それらの開示は引用することによって本
明細書の一部とされる]。核酸結合性リガンドと、核酸と反応性である基とを含
有する化合物の使用は、それぞれ米国特許第171,177B1号および米国特許第6,093
,725号に対応するPCT公開96/39818およびPCT公開98/30545に記載されており、そ
れらの開示は引用することによって本明細書の一部とされる。
【0014】 ポリアニオン選択的エチレンイミン化合物の使用は、PCT公開97/07674、およ
び米国特許第6,136,586号および米国特許第6,093,564号に論じられており、それ
らの開示は引用することによって本明細書の一部とされる。これらの方法は、細
胞膜および血漿成分との副反応を通してネオ抗原を形成する可能性が存在すると
いう、潜在的欠点を有する。このリスクは小さいが、このような病原体不活性化
生成物の反復使用は同種異系感作を生ずることがある。
【0015】 疾患伝搬のリスクが減少し、かつ非免疫原性である血液代替物についての探索
は進行している[Ketcham他、Annals of Emergency Medicine 33:3、pp. 326−
337(1999)]。前述の方法は血液生成物に悪影響を及ぼさないで赤血球組成物
を処理する種々の方法を証明しているが、感染のリスクが有意に減少しかつ免疫
原性が有意に減少した、完全に機能的な赤血球生成物を製造する単一の方法は、
大部分の血液代替物よりもすぐれた酸素輸送性質およびより長い生存時間を有す
るので、ほとんどの用途のための血液代替物に対して、有益であり、独特であり
、好ましい。このような赤血球生成物は、同種異系免疫化患者および血液を交差
合致させる時間が存在しない外傷の状況において、特に適合するであろう。
【0016】 発明の要約 本発明は、感染のリスクが有意に減少し、免疫原性が有意に減少し、そしてin
vivo使用に適する赤血球を含んでなる組成物に関する。本発明の好ましい態様
は、病原体を含有することが推測される赤血球を含んでなる赤血球組成物に関し
、赤血球組成物は病原体が実質的に不活性化されて感染のリスクが有意に減少す
るように処理されており、そして抗原不一致個体の中への処理された赤血球の輸
注が未処理赤血球組成物の輸注の免疫反応に比較して免疫反応を減少させるよう
に、赤血球の抗原は実質的にマスクされており、処理された赤血球組成物はin v
ivo使用に適する。さらに、本発明は、これらの赤血球組成物を製造する方法に
関し、ここで存在することがある汚染性病原体は実質的に不活性化されていて、
赤血球組成物は有意に減少した感染のリスクを有し、そしてこのような抗原に対
する免疫応答に関連する輸注を誘発するリスクを適当に減少するように、赤血球
の抗原は実質的にマスクされている。
【0017】 本発明は、さらに、前述の赤血球組成物を製造する方法に関する。好ましい態
様において、この方法は下記の工程を含んでなる:1)赤血球組成物の中に存在
することがある病原体を実質的に不活性化するように赤血球組成物を処理し、そ
して2)引き続いて赤血球組成物を処理して抗原を実質的にマスクし、生ずる処
理された赤血球組成物がその意図する用途、例えば、輸注のための機能を維持す
るように組成物中の赤血球の免疫原性を有意に減少させる。他の態様において、
このプロセスは、試料の追加の操作、すなわち、希釈、洗浄、緩衝剤の添加、お
よびその他を必要としないで、工程1〜工程2を実施することができる。他の態様
において、処理された赤血球組成物を追加的に洗浄または処理して、プロセスの
望ましくない試薬またはこれらの試薬の副生物、またはプロセスの望ましくない
副生物のレベルを減少させる。
【0018】 他の態様において、この方法は下記の工程を含んでなる:1)赤血球組成物を
処理して抗原を実質的にマスクして、組成物中の赤血球の免疫原性を有意に減少
、そして2)引き続いて赤血球組成物を処理し、生ずる処理された赤血球組成物
がその意図する用途、例えば、輸注のための機能を維持するように赤血球組成物
の中に存在することがある病原体を実質的に不活性化させる。他の態様において
、このプロセスは、試料の追加の操作、すなわち、希釈、洗浄、緩衝剤の添加、
およびその他を必要としないで、工程1〜工程2を実施することができる。他の態
様において、処理された赤血球組成物を追加的に洗浄または処理して、プロセス
の望ましくない試薬またはこれらの試薬の副生物、またはプロセスの望ましくな
い副生物のレベルを減少させる。
【0019】 他の態様において、この方法は同時に赤血球組成物を処理して抗原を実質的に
マスクして、組成物中の赤血球の免疫原性を有意に減少させ、かつ赤血球組成物
を処理し、処理された赤血球組成物がその意図する用途、例えば、輸注のための
機能を維持するように赤血球組成物の中に存在することがある病原体を実質的に
不活性化させることを含んでなる。他の態様において、処理された赤血球組成物
を追加的に洗浄または処理して、プロセスの望ましくない試薬またはこれらの試
薬の副生物、またはプロセスの望ましくない副生物のレベルを減少させる。
【0020】 他の態様において、本発明は、任意の順序で、病原体を実質的に不活性化させ
る条件下に、病原体を実質的に不活性化する化合物と、赤血球組成物を接触させ
、そして抗原不一致動物の中への赤血球組成物の輸注が未処理赤血球組成物の輸
注の免疫反応に比較して免疫反応を減少させる組成物を生ずる条件下に、赤血球
に結合し、赤血球を実質的にマスクする化合物と、赤血球組成物を接触させて、
赤血球の免疫原性を有意に減少させることを含んでなる、病原体を含有すること
が推測される赤血球組成物を処理するex vivo方法に関し、ここで生ずる赤血球
組成物はin vivo使用に適する。他の態様において、処理された赤血球組成物を
追加的に洗浄または処理して、プロセスの望ましくない試薬またはこれらの試薬
の副生物、またはプロセスの望ましくない副生物のレベルを減少させる。
【0021】 本発明を実施する最良の形態 本発明は、一般に、感染のリスクが有意に減少し、免疫原性が有意に減少し、
そしてin vivo使用、例えば、輸注に適する赤血球を含んでなる新規な組成物に
関する。本発明は、また、赤血球を含んでなる組成物を処理するin vitroまた
はex vivo方法、感染のリスクが有意に減少し、免疫原性が有意に減少し、機能
的に止まり、そしてin vivo使用に適する処理された赤血球を含んでなる組成物
を生ずる方法に関する。
【0022】 本発明によれば、核酸結合性リガンドと、核酸と反応性である基とを有する第
1化合物を選択的に使用して、核酸を含有する生物、例えば、病原性ウイルス、
細菌、および寄生生物による赤血球組成物の起こりうる汚染を処理するが、適当
な反応性カップリング基を有する非免疫原性基を含んでなる第2化合物を選択的
に使用して、赤血球表面に対する共有結合により赤血球の抗原をマスクして、免
疫原性が有意に減少した赤血球組成物を生じさせる。ある態様において、クエン
チャーを添加する。このクエンチャーは、過剰の本発明の化合物、すなわち、病
原体不活性化性化合物および反応性抗原マスキング化合物の両方、と効果的に反
応する。さらに、過剰の化合物、化合物とクエンチャーとの反応生成物、および
クエンチャーそれ自体を除去するプロセスが本発明に包含される。
【0023】 核酸を含有する病原体は、ヒト、他の哺乳動物、または遺伝物質として核酸を
含有する脊椎動物において疾患を引き起こすことができる任意の因子として定義
される。例は微生物、例えば、単細胞または多細胞の微生物を包含する。病原体
の例は、ヒト、他の哺乳動物、または脊椎動物において疾患を引き起こす細菌、
ウイルス、原生動物、真菌、酵母、糸状菌、およびマイコプラズマである。病原
体の遺伝物質はDNAおよび/またはRNAであることができ、そして遺伝物質は一本
鎖または二本鎖またはそれらの混合物であることができる。病原体の核酸は、溶
液の中に、細胞内に存在するか、あるいは細胞に結合することができる。
【0024】 病原体の不活性化は、病原体を増殖することができない物質とすることである
と定義される。不活性化は増殖することができる残留する病原体の分数の負対数
として表される。例えば、ある化合物がある濃度において病原体の90%を増殖不
可能な物質とする場合、病原体の10%または1/10(0.1) は増殖することができる
。0.1の負対数は1であり、そしてその化合物のその濃度は存在する病原体を1 対
数だけ不活性化させたと言うか、あるいはその化合物はその濃度において1 対数
の殺しを有すると言う。また、対数不活性化は処理された試料に対して対照試料
における病原体力価を比較して見ることができ、ここで対照の力価/不活性化後
に残留する力価の比は対数不活性化を表す。例えば、対照の力価が107そして処
理された試料の力価が102(すなわち、溶液の102希釈は病原体が検出されず、こ
こで101は検出を生ずる)と測定され、得られる不活性化レベルは5対数である。
【0025】 物質または化合物のin vivo使用は、物質または化合物を生きている個体にの
中に導入することであるとして定義される。例えば、輸注を必要とするの中への
血液生成物の導入は血液生成物のin vivo使用であると考えられる。個体は、本
発明において定義するとき、脊椎動物、好ましくは哺乳動物であり、家庭の動物
、スポーツの動物、および霊長類、例えば、ヒトを包含する。
【0026】 物質または化合物のin vivo使用は、生きている個体の外側における物質また
は化合物の使用として定義され、ここで典型的には物質または化合物は生きてい
る個体の中への導入を意図されない。化合物のex vivo使用は、生きている個体
の外側において生物学的物質を処理するための化合物の使用として定義され、こ
こで処理された生物学的物質は生きている個体の内部の使用に意図される。例え
ば、ヒトからの血液の取出し、およびその血液の中に化合物を導入して病原体を
不活性化することは、血液をそのヒトまたは他のヒトの中への再導入することを
意図する場合、ex vivo使用として定義される。化合物のex vivo使用と反対に、
そのヒトまたは他のヒトの中へのヒト血液の再導入は血液のin vivo使用である
。血液をヒトの中に再導入するとき、化合物が血液の中になお存在する場合、化
合物は、そのex vivo使用に加えて、またin vivoで導入される。
【0027】 本発明において考慮される組成物は、ある種のin vitroおよびin vivo性質が
本発明の方法により処理されない試料の試料の性質に類似する場合、機能的であ
ると考えられる。さらに、本発明の組成物が満足しなくてはならない、ある種の
血液バンキング標準が存在する。また、組成物は、in vivo使用に適するために
、例えば、遺伝子毒性、動物の研究およびエイムス突然変異誘発アッセイにより
測定して、低レベルの毒性を示さなくてはならない。
【0028】 本発明は、赤血球の抗原マスキングまたは免疫マスキングに関する。赤血球は
、免疫応答を引き起こすことがある、いくつかの抗原決定基をそれらの表面上に
有する。例えば、赤血球輸注のレシピエントの免疫系は輸注された赤血球上のあ
る種の抗原を外来因子として認識し、免疫応答を赤血球にマウントする。これら
の抗原のマスキングは、これらの抗原がもはやレシピエントの免疫系にアクセス
できないか、あるいは免疫系により認識されないように、抗原を修飾または覆い
隠すことを含む。
【0029】 ある種の化合物は赤血球表面に結合し、こうして赤血球表面上の抗原は化合物
により覆い隠されるか、あるいはマスクされる。さらに、赤血球表面に結合する
ことができる、これらの化合物は免疫系によりそれ自体認識されない構造を有す
る、すなわち、これらの化合物は非免疫原性または非抗原性である。この方法に
おいてマスクすることによって、輸注された赤血球はもはやレシピエントから免
疫応答を誘発することができない。処理された赤血球が、未処理赤血球の結合と
比較したとき、赤血球の特定の抗原に結合する抗体に対して有意に減少した反応
性を有するとき、赤血球の抗原は実質的にマスクされたと考える。この免疫原性
の減少は、in vitro抗体結合アッセイまたは赤血球の修飾量のin vitro測定によ
り、容易に測定することができる。
【0030】 さらに、赤血球が病原体、例えば、細菌または寄生生物を含有することが推測
されることを意図する。赤血球の抗原をマスクするプロセスにおいて、このよう
な細菌または寄生生物上の抗原をまたマスクすることができる。これらの抗原は
、個体の免疫系による、このような病原体の認識および排除において重要である
。これらの条件下に、赤血球の抗原をマスクするように処理され、個体の中に輸
注される赤血球組成物は、個体の免疫系により認識されない細菌または寄生生物
により、その個体の汚染を生ずることがある。
【0031】 細菌の場合において、個体は細菌に対して免疫応答を持たず、こうして細菌が
エンドトキシンを産生するか、あるいは引き続いて個体の血流中でその個体に有
意な健康のリスクを与えるレベルに分裂することがあり、ここで細菌からの感染
のリスクは赤血球組成物が抗原をマスクするように処理されなかった場合よりも
高い。寄生生物の場合において、寄生生物がどの生活環にあるかに依存して、抗
原のマスキングは個体の免疫系から寄生生物を覆い隠して、抗原をマスクするよ
うに処理されなかった寄生生物からよりも大きい健康のリスクを寄生生物から生
ずることがあるであろう。
【0032】 クエンチャーは、本明細書において使用するとき、本発明に包含される病原体
不活性化化合物および/または反応性免疫マスキング化合物と反応することがで
きる化合物を意味する。本発明の病原体不活性化化合物は病原体の核酸をターゲ
ットとする。この反応性が好まれるとき、他の望ましくない反応性がその上起こ
ることがある。クエンチャーの目的は病原体不活性化化合物について他の方法を
提供することである。この方法は、病原体不活性化化合物の大部分が意図する核
酸ターゲットまたはクエンチャーと反応するような、望ましくない副反応よりも
好ましい。他の態様において、化合物が意図するターゲットと十分に反応した後
、物質が病原体不活性化化合物または反応性免疫マスキング化合物であるかどう
かにかかわらず、クエンチャーは過剰の物質と反応する働きをする。
【0033】 化合物減少装置は、本明細書において使用するとき、望ましくない化合物、例
えば、未反応の病原体不活性化化合物または抗原マスキング化合物または病原体
不活性化および抗原マスキングプロセスの副生物、例えば、化合物とクエンチャ
ーまたは内因的物質との反応生成物を除去する装置である。このような減少装置
は適当なマトリックスの中に吸着物質を含んでなり、ここで吸着剤は、赤血球を
適切に機能するために必要であることがある必須化合物に結合しないで、望まし
くない化合物に優先的に結合するように選択される。
【0034】 アルキルは、本明細書において使用するとき、炭素および水素を含有する環状
、分枝鎖状、または直鎖状の化学基、例えば、メチル、ペンチル、およびアダマ
ンチルを意味する。アルキル基は置換されていないか、あるいは1または2以上の
置換基、例えば、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシル
、チオール、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、または他の官
能基で置換されることができる。アルキル基は、1つまたはいくつかの位置にお
いて飽和または不飽和であることができる(例えば、−C=C−または−C≡C−サ
ブユニット)。通常、特記しない限り、アルキル基は1〜12個の炭素原子、好ま
しくは1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜8個の炭素原子を含むであろう。
【0035】 ヘテロアルキルは、本明細書において使用するとき、鎖中に組込まれた1また
は2以上の異種原子を有するアルキル鎖である。異種原子はN、O、S、およびPを
包含する。異種原子は、また、異種原子N、S、およびPの酸化された形態を包含
する。ヘテロアルキル基の例は下記のものを包含するが、これらに限定されない
:メトキシ、エトキシ、および他のアルキルオキシ基;エーテルを含有する基;
アミドを含有する基、例えば、ポリペプチド鎖;環系、例えば、ピペリジニル、
ラクタムおよびラクトン;および炭素鎖の中に異種原子を組込んだ他の基。典型
的には、ヘテロアルキル基は、特記しない限り、1または2以上の異種原子に加え
て、アルキル基は1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、より好ま
しくは1〜8個の炭素原子を含むであろう。
【0036】 アリールまたはArは単一の環(例えば、フェニル)または多数の縮合環(例え
ば、ナフチルまたはアントリル)を有する不飽和芳香族炭素環式基を意味し、必
要に応じて置換されていないか、あるいはアミノ、ヒドロキシル、アルキル(例
えば、C1-8アルキル)、アルコキシ、ハロ、チオール、および他の置換基で置換
されることができる。
【0037】 ヘテロアリール基は単一の環(例えば、ピリジルまたはフリル)または多数の
縮合環(例えば、アクリジニル、インドリルまたはベンゾチエニル)を有する不
飽和芳香族炭素環式基を意味し、必要に応じて置換されていないか、あるいはア
ミノ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、ハロ、チオール、アシルオキシ、
カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、および他の置換基で置換さ
れることができる。
【0038】 I.組成物中の病原体を不活性化するための化合物 本発明は、約1%〜約65%またはより高いヘマトクリット範囲を有する赤血球
を含んでなる組成物を、この組成物の中に存在することがある病原体を不活性化
する化合物で処理することに関する。使用する化合物は、理想的には、化合物に
依存して数分〜数時間の周期にわたって赤血球中の病原体を不活性化するであろ
う。本発明において使用することを意図する化合物は、赤血球中の病原体の不活
性化の分野において既知でありかつ使用されているもの、例えば、フタロシアニ
ンまたはチアジン色素(例えば、メチレンブルーおよび関係する色素)、リボフ
ラビンおよび関係する化合物、およびエチレンイミンオリゴマーおよび関係する
化合物を包含する。
【0039】 好ましい化合物は、赤血球組成物の中に存在する他の因子、例えば、タンパク
質および細胞膜に関して核酸と優先的に反応するであろう。本発明のいくつかの
化合物は、核酸との反応に、追加の活性化エネルギー、例えば、適当な波長源を
使用する照射によるエネルギーを必要とすることがあることが考えられる(例え
ば、光活性化化合物、例えば、メチレンブルーおよびリボフラビン)。病原体の
不活性化は、病原体を増殖することができない物質にするとして定義される。
【0040】 完全な不活性化(すなわち、存在するすべての病原体が増殖することができな
い)ことは必須ではなく、残留する病原体の量が正常の個体において疾患を引き
起こすために不十分であるように、存在する病原体の実質的にすべてを不活性化
させればよい。正常の個体は、疾患または免疫抑制治療の結果、病理学的に免疫
抑制されていない個体である。病原体不活性化処理は好ましくは1対数の病原体
の不活性化、より好ましくは2対数の不活性化、なおより好ましくは3対数の不活
性化、多数の場合において4対数またはそれより高い、例えば、6対数の病原体の
不活性化を生ずる。
【0041】 本発明のいかなる特定のメカニズムに限定することを意図しないで、病原体を
不活性化する化合物は存在することがある他の因子に関して核酸と優先的に反応
する。一般に、好ましい化合物は2つの共通の特性を有する。第1に、化合物は、
例えば、核酸に非共有結合することによって、核酸に対して親和性を有する。第
2に、化合物は核酸と反応して、それを複製不可能とする。1つの態様において、
不活性化のための化合物は核酸に対して親和性である部分を有し、この部分は核
酸と反応する部分と区別することができない。
【0042】 他の態様において、化合物は核酸に対して親和性を有する部分と、核酸と反応
性である部分とを有することができる。このような化合物は、核酸に対する共有
結合を形成する能力を有するエフェクター部分(すなわち、エフェクター部分は
反応して核酸に共有結合する)に連鎖した核酸に対して親和性を有するアンカー
部分(すなわち、それは核酸に非共有結合する能力を有する)を有する。不活性
化のための化合物の他の態様において、非共有結合の核酸結合性アンカー部分は
、リンカーにより核酸反応性エフェクター部分に連鎖されている。このリンカー
を加水分解して、アンカー部分をエフェクター部分と連鎖しないようにすること
ができる。この後者の型のリンカーは「もろい」と命名される。
【0043】 アンカー−エフェクター基をもつ化合物 1. 非共有結合の核酸結合性アンカー基 核酸に結合する化合物は、「核酸結合性リガンド」を有する。核酸結合性リガ
ンドは、本明細書において、核酸に対して親和性を有し、核酸に非共有結合する
ことができる基として定義される。下記のモード、それらの組合わせ、または他
のモードのいずれかにより結合する化合物は、核酸結合性リガンドとして考慮し
、アンカー部分として使用することができる。本発明は下記の化合物に限定され
ないが、核酸結合性リガンドの例は次の通りである:
【0044】 a)インターカレーター、例えば、アクリジン、アクリドン、プロフラビン、
アクリフラビン、アクチノマイシン、アントラサイクリノン、ロードマイシン、
ダウナマイシン、チアキサンテノン、ミラシルD、アントラマイシン、ミトマイ
シン、エキノマイシン、キノマイシン、トリオスチン、ジアクリジン、エリプチ
セン(二量体、三量体およびアナローグを包含する)、ノルフィリンA、フルオ
レンおよびフルオレノン、フルオレノジアミン、キナクリン、ベンズアクリジン
、フェナジン、フェナントラジン、フェノチアジン、クロルプロマジン、フェノ
キサジン、ベンゾチアゾール、キサンテンおよびチオキサンテン、アントラキノ
ン、アントラピラゾール、ベンゾチオピラノインドール、3,4−ベンゾピレン、
ベンゾピレンジオールエポキシド、1−ピレニルオキシラン、ベンズアントラセ
ン、ベンゾジピロン、ベンゾリアゾール、キノリン(例えば、クロロキン、キニ
ン、フェニルキノリンカルボキシアミド)、フロクマリン(例えばプソラレンお
よびイソプソラレン)、エチジウム、プロピジウム、コラレン、エリプチシンの
カチオンおよび誘導体、多環式芳香族炭化水素およびそれらのオキシラン誘導体
【0045】 b)微量の溝結合剤、例えば、ジスタマイシン、ネトロプシン、他のレキシト
ロプシン、Hoechst 33258および他のHoechst色素、DAPI(4’,6’−ジアミジン
−2−フェニルインドール)、ベレニル、およびトリアリールメタン色素; c)主要な溝結合剤、例えば、アフラトキシン; d)静電により結合する分子(ホスフェート主鎖結合剤)、スペルミン、スペ
ルミジン、および他のポリアミン;
【0046】 e)核酸、または三重らせんの形成、D-ループの形成、および一本鎖ターゲッ
トへの直接的塩基対合のような配列特異的相互作用により結合するアナローグ。 また、これらの化合物の誘導体は非限定的例であり、ここで化合物の誘導体は
下記のものを包含するが、これらに限定されない:任意の位置に任意の型の1ま
たは2以上の置換基を有する化合物、化合物の酸化または還元生成物、およびそ
の他。
【0047】 2. 核酸反応性エフェクター基 核酸反応性エフェクター基は、核酸の共有結合的修飾を引き起こすように反応
する基である。核酸反応性エフェクター基の好ましい態様はマスタード基であり
、ここにおいてモノまたはビス−(ハロエチル)アミン基、およびモノハロエチ
ルサルファイド基を包含するとして定義される。考えられるエフェクター基のそ
れ以上の態様はマスタード等価体を包含し、これらはマスタードに類似するメカ
ニズムにより(すなわち、反応性中間体、例えば、アジリジニウムまたはアジリ
ジン錯体およびこれらは錯体の硫黄アナローグを形成することによって)反応す
る基として定義される。
【0048】 このようなマスタード等価体の例は、アジリジン誘導体、モノまたはビス−(
メシルエチル)アミン基、およびモノメシルエチルサルファイド基、モノまたは
ビストシルエチルアミン基、およびモノトシルエチルサルファイド基を包含する
。本発明は、マスタードおよびマスタード等価体に厳格に限定されない。エフェ
クターの追加の例は下記のものを包含するが、これらに限定されない:エポキシ
ド、アルデヒド、アルデヒドシントン、および他のアルキル化剤および架橋剤。
【0049】 アルデヒドシントンは、水溶液中で破壊してホルムアルデヒドになる任意の化
合物として定義される。病原体を不活性化するための化合物はいずれの特定のメ
カニズムにも限定されないが、エフェクター基は求電子性基、例えば、マスター
ド基であるか、あるいはそれを形成ことができる、核酸と反応し、核酸に対する
共有結合を形成すると考えられる。 核酸結合性アンカー基およびアルキル化エフェクター基を含有する化合物の1
態様はキナクリンマスタード(Aldrich Chemical)であり、その構造を下に示す
【0050】
【化1】
【0051】 B.もろい結合基をもつアンカー−エフェクター アンカーおよびエフェクター基を不安定な結合で結合させるために使用できる
リンカー(もろいリンカーと呼ぶ)の例は、下記のものを包含するが、これらに
限定されない:官能基、例えば、エステルまたはチオエステルを有する化合物(
ここでエステルまたはチオエステルはアンカーと、それぞれエステルまたはチオ
エステルのsp3酸素または硫黄との間に存在することができる(前方エステル)
か、あるいはエステルまたはチオエステルのsp3酸素はアンカーと、それぞれエ
ステルまたはチオエステルのカルボニル炭素との間に存在する(逆エステル)、
前方および逆チオノエステル、前方および逆ジチオン酸、サルフェート、前方お
よび逆スルホネート、ホスフェート、および前方および逆ホスホネート基。
【0052】 チオエステルは−C(=O)−S−基を表示し、チオノエステルは−C(=S)−O−基を
表示し、そしてジチオン酸は−C(S=)−S−基を表示する。また、もろいリンカ
ーはアミドを包含することができ、ここでアミドのカルボニル炭素はアンカーと
、アミドの窒素との間に存在する(前方アミド)か、あるいはアミドの窒素はア
ンカーと、アミドのカルボニル炭素との間に存在する(逆アミド)。前方と表示
する官能リンカー基は、加水分解後、生ずる酸性官能がアンカー部分に共有結合
し、そして生ずるアルコール、アミンか、あるいはチオール官能がエフェクター
部分に共有結合するように、配向されている。
【0053】 逆と表示する官能リンカー基は、加水分解後、生ずる酸性官能がエフェクター
部分に共有結合し、そして生ずるアルコール、アミンか、あるいはチオール官能
がアンカー部分に共有結合するように、配向されている。もろいリンカーは、ま
た、酵素的分解条件下に、赤血球組成物中の内因的酵素により、または材料に添
加した酵素により分解することができる。 もろい結合基を追加的に含有する好ましい態様は、下に示す構造により例示さ
れる。
【0054】
【化2】
【0055】
【化3】
【0056】
【化4】
【0057】
【化5】 もろいリンカーを含有する病原体を不活性化する化合物の追加の態様は、米国
特許第6,093,725号に対応するPCT公開98/30545に記載されている。
【0058】 II.赤血球の免疫原性をマスクする化合物 本発明は、さらに、約1%〜約65%またはより高いヘマトクリット範囲を有す
る赤血球を含んでなる組成物を、赤血球表面に共有結合させ、赤血球上に存在す
る抗原を実質的にマスクする化合物で処理することに関する。このような抗原マ
スキング化合物と赤血球を含んでなる組成物とを反応させる条件は、病原体の不
活性化の条件と適合性であることができる。他の態様において、このような化合
物と赤血球を含んでなる組成物とを反応させる条件は、赤血球に対する共有結合
の前または後に反応条件を調節すると、病原体の不活性化の条件と適合性である
ことができる。
【0059】 好ましい態様において、抗原マスキング化合物で処理する前に、赤血球組成物
を洗浄して血漿タンパク質のレベルを減少させて、赤血球の抗原のマスキングレ
ベルに影響を与えることがある競合的プロセスを減少させることができることが
考えられる。タンパク質の取出に加えて、適当なpHの緩衝液で赤血球を洗浄する
と、赤血球内のヘモグロビンの緩衝化能力は排除(クエンチ)される。赤血球の
洗浄は、ほぼ8〜9の生理学的値より高い最適値からほぼ7の生理学的値へのpHの
徐々の変更を防止する。このpHの低下または緩衝化は、活性化された抗原マスキ
ング化合物と赤血球表面との反応速度を減少させ、そして活性化された抗原マス
キング化合物が分解する前に達成される修飾量を減少させる。
【0060】 本発明の作用の特定のメカニズムに限定されることを意図しないが、抗原をマ
スクするために赤血球に共有結合させる化合物は非免疫原性基と、カップリング
基とを含んでなるであろう。1つの態様において、非免疫原性基をターゲット分
子に結合させると、カップリング基の一部分は残留する。他の態様において、カ
ップリング基は、非免疫原性基がターゲット分子に直接結合するように、カップ
リング基の一部分を残さない。
【0061】 1つの態様において、化合物の非免疫原性部分はポリエチレングリコール(PEG
)またはポリエチレングリコールの誘導体である。ポリエチレングリコール技術
の完全な論考はPCT公開95/06058の中に見出され、その開示は引用することによ
って本明細書の一部とされる。本発明に適当な追加の化合物は、赤血球表面に取
り付けられたとき、赤血球表面上の抗原の認識をブロックすることができる他の
非免疫原性基を含んでなる。このような非免疫原性基は下記のものを包含するが
、これらに限定されない:ポリアルキレングリコール(例えば、PEG、ポリプロ
ピレングリコール、混合ポリプロピレン−ポリエチレングリコール)、ポリアル
キレングリコール誘導体(例えば、メトキシポリエチレングリコール、MPEG)、
多糖類(例えば、デキストラン、セルロース系誘導体、Ficoll、およびアラビノ
ガラクタン)、および親水性、合成ポリマー、例えば、ポリウレタン。
【0062】 好ましい化合物は、適当なカップリング基に取り付けられたポリエチレングリ
コールおよびポリエチレングリコール誘導体を含んでなる。このようなポリエチ
レングリコール化合物は、また、活性化ポリエチレングリコール化合物を意味し
、一般式Cp−(O CH2 CH2)n−OHを有し、式中、nは3大きいか、あるいはそれに等
しく、Cpは赤血球表面上の末端のチオールまたはアミン基と反応して非免疫原性
基を赤血球に共有結合させるカップリング基を表す。分子量はほぼ200,000また
はそれ以上まで変化することができる。好ましい誘導体は150〜10,000、より好
ましくは500〜10,000、最も好ましくは2,000〜8,000の分子量範囲を有する。
【0063】 末端基が修飾されている誘導体は下記のものを包含するが、これらに限定され
ない:PEGエーテル(例えば、Cp−(O CH2 CH2)n−OR、例えば、Cp−(O CH2 CH2)n −OCH3(MPEG))、PEGエステル(例えば、Cp−(O CH2 CH2)n−OOCR、例えば、Cp−(
O CH2 CH2)n−OOC(CH2)14CH3)、PEGアミド(例えば、Cp−(O CH2 CH2)n−OOC(CH2 )7CONHR)、PEGアミン(例えば、Cp−(O CH2 CH2)n−ONH2)、PEG酸(例えば、Cp−(
O CH2 CH2)n−OCH2COOH)、PEGアルデヒド(例えば、H−(O CH2 CH2)n−OCH2CHO
)、および求電子性誘導体、例えば、ハロゲン化PEG(例えば、H−(O CH2 CH2)n −Br。本発明の好ましい誘導体はMPEGの誘導体である。
【0064】 本発明の他の態様は、PEGアームが結合して多アーム化分枝鎖状分子を形成す
る、分枝鎖状PEGおよび分枝鎖状PEG誘導体に関する。本発明の他の態様は、前述
の型の化合物の1または2以上の混合物に関する。それ以上の態様は、カップリン
グ基が赤血球表面上の異なる求核基にターゲッティングされる、これらの型の活
性化PEGおよびPEG誘導体の1または2以上の混合物に関する。例えば、好ましくは
アミン基と反応するカップリング基で1つのMPEGを活性化することができるが、
好ましくはチオール基と反応するカップリング基で他のMPEGを活性化することが
できる、活性化されたMPEGの混合物を使用することができる。
【0065】 1つの態様において、非免疫原性基を赤血球に結合させるカップリング基は、
赤血球表面上の末端のチオールまたはアミン基と反応する反応性基を含んでなる
。例は下記のものを包含するが、これらに限定されない:スルホネート、エステ
ル、置換トリアジン、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、無水物、置換フ
ェニルカルボネート、オキシカルボニルイミダゾール、マレイミド、アルデヒド
、グリオキサール、カルボキシレート、ビニルスルホン、エポキシド、マスター
ド、マスタード等価体、イソシアネート、ジサルファイド、アクリレート、アリ
ルエーテル、シラン、およびシアネートエステル。マスタードはここにおいてモ
ノまたはビス−(ハロエチル)アミン基、およびモノハロエチルサルファイド基を
包含するとして定義される。
【0066】 マスタード等価体はここにおいてマスタードに類似するメカニズムにより(す
なわち、反応性中間体、例えば、アジリジニウムまたはアジリジン錯体およびこ
れらは錯体の硫黄アナローグを形成することによって)反応する基として定義さ
れる。このようなマスタード等価体の例は、アジリジン誘導体、モノまたはビス
−(メシルエチル)アミン基、モノメシルエチルサルファイド基、モノまたはビ
ストシルエチルアミン基、およびモノトシルエチルサルファイド基を包含する。
【0067】 他の考えられるカップリング基は下記のものから選択される:2,2,2−トリフ
ルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、フルオロス
ルホネート2,4,5−トリフルオロベンゼンスルホネート、2,4−ジフルオロベンゼ
ンスルホネート、2−クロロ−4−フルオロベンゼンスルホネート、3−クロロ−4
−フルオロベンゼンスルホネート、4−アミノ−3−クロロベンゼンスルホネート
、4−アミノ−3−フルオロベンゼンスルホネートo−トリフルオロメチルベンゼ
ンスルホネート、m−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、2−トリフルオ
ロメトキシベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメトキシベンゼンスルホネ
ート、5−フルオロ−2−メチルベンゼンスルホネート、4,6−ジクロロトリアジ
ン、6−クロロトリアジン、N−ヒドロキシスクシニミジルスクシネート、
【0068】 N−ヒドロキシスクシニミジルグルタレート、N−ヒドロキシスクシニミジルス
クシンアミド、N−ヒドロキシスクシニミジルアルカンジオイカミド、カルボキ
シメチル化ポリマーのN−ヒドロキシスクシニミジル誘導体、アミノ酸のN−ヒド
ロキシスクシニミジルエステル、スクシニミジルカルボネート、スクシネート混
合無水物、無水コハク酸、2,4,5−トリクロロフェノール、トリクロロフェニル
カルボネート、ニトロフェニルカルボネート、4−ニトロフェノール、塩化シア
ヌル酸、マレイミド、N−置換マレイミド、アセトアルデヒド、プロピオンアル
デヒドおよび化学的等価体硫黄アナローグ、グリオキサール、フェニルグリオキ
サール、アクリレート、およびメタアクルレート。他の態様において、カップリ
ング基はハロゲン原子、好ましくはヨウ化物、臭化物または塩化物である。
【0069】 活性化非免疫原性化合物の好ましい態様は、2,2,2−トリフルオロエタンスル
ホニルモノメトキシポリエチレングリコール(Tresyl MPEG、TMPEG)である。活
性化非免疫原性化合物の他の好ましい態様は、MPEGのN−ヒドロキシスクシンイ
ミドプロピオン酸(SPA)およびN−ヒドロキシスクシンイミドブタン酸(SBA)
誘導体であり、それらの構造を下に記載し、ここでnは1より大きいか、あるいは
それに等しく、好ましくは3より大きいか、あるいはそれに等しい。
【0070】
【化6】
【0071】 III.望ましくない副反応をクエンチする化合物 本発明は、病原体不活性化化合物および免疫マスキング化合物の両方の望まし
くない副反応を減少させるクエンチャーに関する。それ以上の態様において、ク
エンチャー化合物の1つ、または組合わせを使用することができる。クエンチャ
ーまたはクエンチャーの組合わせは、病原体不活性化化合物または免疫マスキン
グ化合物の添加の前、それと同時に、またはその後に赤血球組成物に添加するこ
とができる。他の態様において、特定のクエンチャーを使用して病原体不活性化
化合物と反応させることができるが、他のクエンチャーを使用して免疫マスキン
グ化合物と反応させる。
【0072】 この場合において、不活性化化合物のためのクエンチャーは不活性化化合物の
添加の前、それと同時に、またはその後に添加することができるが、免疫マスキ
ング化合物のためのクエンチャーは免疫マスキング化合物の添加の前、それと同
時に、またはその後に添加することができる。他の態様において、不活性化化合
物を赤血球組成物に添加し、免疫マスキング化合物の添加前にクエンチする場合
、クエンチャーの量は免疫マスキング化合物の添加前に減少させることができる
。クエンチャーの減少は赤血球の洗浄によるか、あるいは望ましくない物質、例
えば、クエンチャーおよび不活性化プロセスの未反応または副生物を選択的に除
去する装置によることができる。
【0073】 同様に、免疫マスキング化合物を赤血球組成物に添加し、不活性化化合物の添
加前にクエンチする場合、クエンチャーの量は不活性化化合物の添加前に減少さ
せることができる。クエンチャーの減少は赤血球の洗浄によるか、あるいは望ま
しくない物質、例えば、クエンチャーおよび免疫マスキングプロセスの未反応ま
たは副生物を選択的に除去する装置によることができる。一方のプロセス後であ
るが、他方のプロセス前のクエンチャーの除去は、各プロセスのクエンチャーが
同一化合物である場合であってさえ、実施することができる。
【0074】 好ましいクエンチャーは、病原体不活性化化合物または免疫マスキング化合物
の求電子基と反応することができる求核基を包含するであろう。求核基の例は下
記のものを包含するが、これらに限定されない:チオール、チオ酸、ジチオ酸、
チオカルバメート、ジチオカルバメート、アミン、ホスフェート、およびチオホ
スフェート基。さらに、求核基はアミノ基、ポリアミノ基、またはチオおよびア
ミノ基の組合わせであることができ、これらは未反応の病原体不活性化化合物お
よび未反応の抗原マスキング化合物の両方でクエンチすることができる。クエン
チャーは、窒素の複素環、ピリジンであるか、あるいはそれを含有することがで
きる。
【0075】 クエンチャーはホスフェートを含有する化合物、例えば、グルコース−6−ホ
スフェートであることができる。また、クエンチャーはチオールを含有する化合
物であることができ、下記のものを包含するが、これらに限定されない:グルタ
チオン、システイン、N−アセチルシステイン、メルカプトエタノール、ジメル
カプロール、メルカプタン、メルカプトエタンスルホン酸およびそれらの塩(例
えば、MESNA)、ホモシステイン、アミノエタンチオール、ジメチルアミノエタン
チオール、ジチオスレイトール、および他のチオール含有化合物。クエンチャー
は、また、塩、例えば、ナトリウム塩または塩酸塩であることができる。
【0076】 他のチオール含有化合物は下記のものを包含するが、これらに限定されない:
メチルチオグリコレート、チオ乳酸、チオフェノール、2−メルカプトピリジン
、3−メルカプト−2−ブタノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオサリ
チル酸およびチオクト酸。芳香族チオール化合物の例は、2−メルカプトベンズ
イミダゾールスルホン酸、2−メルカプト−ニコチン酸、ナフタレンチオール、
キノリンチオール、4−ニトロ−チオフェノール、およびチオフェノールを包含
する。
【0077】 他のクエンチャーは下記のものを包含するが、これらに限定されない:ニトロ
ベンゼンピリジンおよび無機求核基、例えば、セレン化物塩または有機セレニド
、例えば、セレノシステイン、チオサルフェート、サルファイド、チオホスフェ
ート、ピロホスフェート、ヒドロサルファイド、およびジチオナイト。また、ク
エンチャーは求核基を含有するペプチドであることができる。例えば、クエンチ
ャーはシステインを含有する化合物、例えば、ジペプチド、例えば、GlyCys、ま
たはトリペプチド、例えば、グルタチオンまたはアミンを含有する化合物、例え
ば、ポリリシンであることができる。クエンチャーは、各々がクエンチ可能であ
る、異なる求核基、例えば、グルタチオンのアミンおよびチオール基を含有する
ことができる。
【0078】 IV.赤血球組成物から望ましくない化合物を減少させる装置 本発明は、さらに、赤血球組成物から望ましくない化合物を減少させる装置お
よび方法に関する。これらの化合物は、未反応の不活性化および抗原マスキング
化合物、これらは化合物の望ましくない副生物、これらは化合物とクエンチャー
との反応から生ずる副生物、過剰のクエンチャーおよびクエンチャー副生物、お
よびプロセスの望ましくない副生物を包含する。本発明において使用することを
意図する除去装置は適当なマトリックス中の吸着物質を含んでなり、このような
吸着物質は赤血球組成物のin vitroまたはin vivo性質に有意な影響を与えない
で望ましくない化合物の濃度を特別にかつ選択的に減少させる。
【0079】 本発明の化合物のいくつかに適用できる、化合物を減少させる装置および方法
の完全な説明はPCT公開WO 98/30327の中に見出すことができ、その開示は引用す
ることによって本明細書の一部とされる。すべての反応が完結した後、このよう
な化合物減少装置を組込むことは1態様であるが、本発明は1または2以上の減少
工程をプロセスの中に組込む場合に限定されない。
【0080】 また、本発明は、減少工程の数またはこれらの工程のために使用すべき化合物
減少装置の数に関して制限されない。本発明の1つの態様において、不活性化化
合物の化合物減少装置の構成は抗原マスキング化合物の化合物減少装置の構成と
異なる。不活性化化合物の添加後であるが、抗原マスキング化合物の添加前に化
合物減少工程を組込み、抗原マスキング化合物の反応後に必要に応じて減少工程
を適用することが考えられる。同様に、免疫マスキング化合物の添加後であるが
、不活性化化合物の添加前に化合物減少工程を組込み、不活性化化合物の反応後
に必要に応じて減少工程を適用することができる。
【0081】 V.感染性であるリスクが減少しかつ免疫原性が減少した赤血球組成物およびそ
れらの製造方法 本発明に包含される組成物は、存在することがある病原体を実質的に不活性化
するように処理され、かつ抗原を実質的にマスクして、レシピエントに輸注され
たとき、有意に減少した免疫原性を有するように処理された赤血球を提供するよ
うに処理された赤血球組成物を包含する。他の態様において、病原体を含有する
ことが推測される赤血球を含んでなり、ここで赤血球組成物は核酸に対する親和
性と、核酸に共有結合するように反応するエフェクター基とを有する化合物で処
理されて病原体は実質的に不活性化されており、そして赤血球組成物を抗原マス
キング化合物と反応させて赤血球の抗原を実質的にマスクして、抗原不一致動物
の中への処理された赤血球組成物の輸注が、未処理赤血球組成物の輸注の免疫反
応に比較して免疫反応を減少するようにされており、処理された赤血球組成物は
in vivo使用に適する。
【0082】 それ以上の態様は、赤血球組成物の機能が匹敵する未処理赤血球組成物のそれ
から有意に減少しないこと意図する。特に、in vivo機能が未処理組成物に関し
て有意に低下していないことにおいて、組成物はin vivo使用に適する。本発明
の追加の態様は病原体を含有することが推測される赤血球を含んでなる薬剤であ
り、ここで赤血球は病原体が実質的に不活性化されるように処理されており、そ
して赤血球の抗原を実質的にマスクして、抗原不一致動物の中への処理された赤
血球組成物の輸注が未処理赤血球組成物の輸注の免疫反応に比較して免疫反応を
減少するようにされている。
【0083】 適当なパラメーターはこの分野において知られており、そして赤血球機能を評
価するとき有効であるin vivo生存率およびある種のin vitroパラメーターを包
含するが、これらに限定されない。例えば、処理された赤血球組成物の機能は輸
注後に24時間循環させた後の赤血球のin vivo生存率は、ほぼ40%より大きく、
より好ましくは50%より大きく、より好ましくは75%より大きく、1つの態様に
おいて、処理された赤血球を輸注前に4 ℃において7日、14日、21日、35日、お
よび42日まで貯蔵し、これを輸注した後、ほぼ40%、より好ましくはほぼ50%、
より好ましくは70%のこの生存率は24時間維持されることが望ましい。
【0084】 さらに、処理された赤血球組成物の生活能力の評価において重要である、ある
種のin vitroパラメーターは下記のものを包含するが、これらに限定されない:
赤血球の酸素輸送活性(酸素親和性により測定した)、細胞内アデノシン5’−
トリホスフェート(ATP)レベル、細胞内2,3−ジホスホグリセレート(2,3−DPG
)レベル、細胞外カリウムレベル、赤血球の溶血または小胞形成、pH、ヘマトク
リット、遊離ヘモグロビンレベル、赤血球の浸透圧抵抗、エクタサイトメトリー
(ektacytometry)による赤血球の変形性、イオンホメオスタシス(Na+、K+およ
びSO4 -フラックス)、活性カチオン輸送(ウワバイン感受性Na+輸送、ベメタニ
ド感受性Na+、K+輸送)、グルコース消費およびラクテート産生を示す測定。
【0085】 ATP、2,3−DPG、グルコース、ヘモグロビン、溶血、およびカリウムを測定す
る方法はこの分野において入手可能である。例えば、下記の文献を参照のこと:
Davey他、Transfusion 32:525―528(1992)、その開示は引用することによっ
て本明細書の一部とされる。また、赤血球機能を測定する方法は下記の文献に記
載されている:Greenwalt他、Vox Sang、58:94−99(1990);Hogman他、Vox S
ang、65:271−278(1993);Beutler他、 Blood、Vol. 59(1982);およびBeu
tler他、Red blood cell Metabolism、第3版、Grune & Stratton、(1984)、そ
れらの開示は引用することによって本明細書の一部とされる。細胞外ナトリウム
およびカリウムは、Ciba Corning Model 614 K+/Na+ Analyser(Ciba Corning D
iagnostics Corp.、マサチューセッツ州メドフォード)を使用して測定される。
Ciba Corning Model 238 Blood Gas Analyzer(Ciba Corning Diagnostics Corp
.)を使用して、pHを測定する。
【0086】 これらの測定値を未処理対照赤血球組成物と比較して、処理された組成物の機
能が有意に減少されているかどうかを決定する。1つの態様において、感染性の
リスクが減少しかつ免疫原性が減少した赤血球組成物は、処理後1日に未処理対
照赤血球組成物において測定したレベルの3倍以下、より好ましくは2倍以下の細
胞外カリウムを有するであろう。他の態様において、処理された赤血球組成物の
溶血は、処理後および4 ℃において42日まで貯蔵後において5%より小さい。他
の態様において、4 ℃において貯蔵後の処理された赤血球組成物の溶血は28日後
3%より小さく、より好ましくは35日後2%より小さく、より好ましくは35日後、
より好ましくは42日後約0.8%より小さいか、あるいはそれに等しい。
【0087】 他の態様において、処理された赤血球組成物は、直接処理後、好ましくは4 ℃
において28日間貯蔵した後、より好ましくは4 ℃において42日間貯蔵した後、未
処理赤血球組成物のレベルの50%、より好ましくは25%、より好ましくは10%の
範囲内である細胞内ATPレベルを有するであろう。他の態様において、処理され
た赤血球組成物は、直接処理後、好ましくは4 ℃において7日間貯蔵した後、未
処理赤血球組成物のレベルの90%、より好ましくは50%、より好ましくは25%の
範囲内である細胞内2,3−DPGレベルを有するであろう。
【0088】 本発明の他の態様において、処理された赤血球組成物は、未処理赤血球または
病原体を不活性化するのみの処理をした赤血球に関して、有意に減少した免疫原
性(すなわち、減少した免疫反応)を有することが考えられる。この分野におい
て知られている、ある種のin vitroアッセイを実施して、未処理対照に関して処
理された赤血球の免疫原性を評価することができる。In vitroアッセイは下記の
ものを包含するが、これらに限定されない:ABO反応性凝集、組成物に添加した
抗体の関数として赤血球凝集の測定、微量抗原に対する反応性、抗体の直接的結
合を測定するELISAアッセイ、および免疫マスキング化合物による修飾レベルを
アッセイする結合した蛍光抗体の分析(例えば、実施例9)。
【0089】 ABO反応性評価の1例として、ターゲテッド赤血球を含有する組成物を、適当な
抗体を含有する血清と反応させ(例えば、処理されたA型赤血球を、抗A抗体を含
有する血清と反応させ)、赤血球の凝集を観測する。抗体を含有する血清の連続
希釈アリコートを使用して、凝集が観測されなくなるまで、反応を反復する。本
発明の1つの好ましい態様において、凝集の欠如を観測するために、未処理対照
赤血球組成物を必要とする希釈に関して抗血清の少なくとも23倍少ない希釈、好
ましくは少なくとも25倍少ない希釈、より好ましくは少なくとも27倍少ない希釈
を必要とする処理された赤血球組成物が考えられる。他の例は、アルカリ性ホス
ファターゼに複合化された抗ヒトIgGを使用して、赤血球の抗原に対する抗体の
結合を測定することである。
【0090】 本発明の他の態様において、Rh陽性である(すなわち、D抗原を有する)処理
された赤血球組成物を考慮し、ここでこのようなELISAアッセイにより測定して
、未処理Rh陽性赤血球対照に関する処理された赤血球に対する抗D抗体は、少な
くとも75%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ま
しくは99%より大きく減少される。微量抗原の免疫原性は、一般に同種異系免疫
化に関係づけられ、in vitro試験することもできる。確立されたシステムは反応
を0〜4+の目盛りで等級付け、0は反応なし、4+は凝集の最高レベルである[Walk
er他、AABB Technical Manual、第10版、pp. 528−537(1990)]。
【0091】 同種異系免疫化に関係づけられた微量抗原はJKa、E、K、Bg、Lua、P1、D、Sda 、Fya、M、Yka、A1、Lea、Kpa、C、e、およびIを包含する[Heddl他、Brit. J.
Hemat. 91:1000−5(1995)]。本発明の他の態様において、このアッセイにお
いてこの等級目盛り0〜4+に基づいて2+より小さいか、あるいはそれに等しい、
好ましくは1+より小さいか、あるいはそれに等しい、最も好ましくは0の抗D、抗
JKa、抗E、抗C、抗e、または抗Kに対するin vitro反応性を示す、処理された赤
血球を含有する組成物を意図する。
【0092】 本発明の1つの態様において、処理された赤血球は免疫原性が減少されており
、こうしてABO不一致レシピエントの中への注入(例えば、B型レシピエントの中
に注入された処理されたドナーA型赤血球)は急性溶血性反応を生させない。他
の態様において、同種異系感作された(すなわち、未処理ドナー赤血球上に存在
する微量抗原、または病原体の不活性化処理から生ずる抗原に対する抗体を発生
させた)レシピエントの中への処理されたドナー赤血球の注入は、同種異系抗原
に対する反応および赤血球の急速なクリアランスを生させないであろう。また、
ある種のin vivoアッセイにおいて、未処理対照に関して処理された赤血球の免
疫原性を評価することが可能である。
【0093】 例えば、マウスにおける処理されたヒツジ赤血球の生存率、または好ましくは
未処理赤血球が免疫応答を誘発する(すなわち、抗原不一致赤血球)輸注された
赤血球のモデル種、例えば、イヌにおけるin vivo生存率を評価することによっ
て、In vivo生存率アッセイを実施して免疫原性を評価することができる。本発
明の1つの態様において、処理されたイヌ赤血球のin vivo生存率は、レシピエン
トに対して抗原不一致であるドナーからの未処理イヌ赤血球のそれを実質的に超
える。一般に、生存率の実質的な増加は、未処理赤血球対照の生存率のほぼ2×
、より好ましくは5×、より好ましくは10×の免疫原性を減少するように処理さ
れた赤血球の生存率であろう。
【0094】 本発明は、また、前述の組成物および薬剤を使用する方法に関する。使用法の
1例は、赤血球輸注を必要とする個体の中への組成物または薬剤の送達を含んで
なる。他の態様において、前述した組成物または薬剤と、赤血球組成物の貯蔵に
適当な容器とを含んでなる赤血球プロセシングシステムに関し、ここで赤血球組
成物は個体への送達に適する。好ましい態様において、容器は血液バッグである
【0095】 本発明は、さらに、感染性のリスクが有意に減少し、かつ免疫原性が実質的に
減少した赤血球組成物を製造する方法に関する。1つの態様において、この方法
は下記の工程を含んでなる:1)赤血球組成物を処理して、赤血球組成物の中に
存在することがある病原体を実質的に不活性化し、そして2)引き続いて赤血球
組成物を処理して抗原を実質的にマスクし、こうして意図する使用、例えば、in
vivo使用に適当な機能を保持するように、赤血球組成物の免疫原性を減少させ
る。1つの態様において、このプロセスは、試料の追加の操作、例えば、希釈、
洗浄、緩衝剤の添加、反応のクエンチング、化合物の取出し、およびその他を必
要としないで、工程1)〜工程2)を実施ことができる。他の態様において、処理
された赤血球組成物を追加的に洗浄または処理して、プロセスの望ましくない試
薬または試薬の副生物、またはプロセスの望ましくない副生物のレベルを減少さ
せることができる。
【0096】 他の態様において、本発明は、赤血球組成物を処理するex vivo方法に関し、
この方法は、病原体が存在する場合、それを実質的に不活性化させる条件下に、
赤血球組成物の中に存在することがある病原体を実質的に不活性化させる化合物
と、赤血球組成物を接触させ;そして輸注する未処理赤血球組成物の免疫反応に
比較して抗原不一致動物の中に輸注する赤血球組成物が免疫反応を減少させるよ
うに、赤血球の免疫原性を有意に減少させる条件下に、赤血球に結合し、赤血球
の抗原をマスクする化合物と、赤血球組成物を接触させることを含んでなる。
【0097】 他の態様において、この方法は下記の工程を含んでなる:1)不活性化化合物
が赤血球組成物の中に存在することがある病原体と反応し、病原体を実質的に不
活性化させる条件下に、不活性化化合物を赤血球組成物に添加し、そして2)引
き続いて赤血球組成物中の赤血球の免疫原性を有意に減少させる条件下に、赤血
球組成物中の赤血球に共有結合する非免疫原性化合物を赤血球組成物に添加し、
これにより抗原をマスクし、生ずる処理された赤血球組成物が意図する使用、例
えば、輸注のための機能を保持するようにさせる。1つの態様において、このプ
ロセスは、試料の追加の操作、例えば、希釈、洗浄、緩衝剤の添加を必要としな
いで、工程1)〜工程2)を実施することができる。
【0098】 好ましい態様において、赤血球に共有結合する非免疫原性化合物の添加前に、
細胞外pHが非免疫原性化合物と赤血球との反応に最適であるように、赤血球を緩
衝液で洗浄する。好ましい緩衝液は細胞外pHをほぼ8〜9にし、かつそのpHにおい
て緩衝化を維持するものである。他の態様において、処理された赤血球組成物を
追加的に洗浄または処理して、未反応の不活性化化合物または抗原マスキング化
合物またはこれらの試薬の望ましくない副生物、またはプロセスの望ましくない
副生物のレベルを減少させることができる。不活性化化合物と病原体との反応は
、外部のエネルギー源により、例えば、適当な光源を使用する照射により促進す
ることができることが理解される。
【0099】 他の態様において、この方法は下記の工程を含んでなる:細菌を含有すること
が推測される赤血球組成物を準備し、ここで細菌は、存在する場合、抗原マスキ
ング化合物と反応し、抗原マスキング化合物と反応しなかった細菌よりも感染性
であり(すなわち、細菌は免疫原性がより低く、したがって個体に対していっそ
う有害であり)、病原体が存在する場合、それを実質的に不活性化させる条件下
に、赤血球組成物の中に存在することがある細菌を実質的に不活性化させる化合
物と、赤血球組成物を接触させ;そして輸注する未処理赤血球組成物の免疫反応
に比較して抗原不一致動物の中に輸注する赤血球組成物が免疫反応を減少させる
ように、赤血球の免疫原性を有意に減少させる条件下に、抗原マスキング化合物
が赤血球に結合し、かつ赤血球の抗原を実質的にマスクするように、十分な量の
抗原マスキング化合物と、赤血球組成物を接触させる。ここで赤血球はin vivo
使用に適する。
【0100】 他の態様において、この方法は下記の工程を含んでなる:核酸結合性リガンド
と、核酸反応性エフェクター基とを有する化合物を、抗原を含有することが推測
される赤血球組成物に添加して混合物を形成し、前記化合物は前記病原体の実質
的にすべてを不活性化させるために十分な最終濃度に到達し、そして前記病原体
の実質的にすべてが不活性化されるまで、前記混合物をインキュベートし、さら
にカップリング基に結合したポリエチレングリコール基を有する化合物を添加し
て他の混合物を形成し、そして赤血球の抗原が同種異系免疫系による認識から実
質的にマスクされるレベルに前記ポリエチレングリコール基が赤血球に共有結合
する条件下に、前記混合物をインキュベートしてインキュベートされた混合物を
形成し、全体のプロセスにおいて、感染性であるリスクが有意に減少し、免疫原
性が有意に減少し、機能的に止まり、そしてin vivo使用に適する赤血球組成物
が得られる。
【0101】 この方法の1つの態様において、カップリング基の一部分はポリエチレングリ
コール基と赤血球との間に止まるが、他の態様において、カップリング基は排除
され、ポリエチレングリコール基は赤血球に直接的に結合する。他の態様におい
て、ポリエチレングリコール基の添加は、試料をそれ以上操作しないで、すなわ
ち、希釈、洗浄、緩衝液の添加、およびその他を必要としないで、実施すること
ができる。他の態様において、処理された赤血球組成物を追加的に洗浄または処
理して、未反応の核酸結合性マスタードまたはポリエチレングリコール化合物ま
たはこれらの試薬の望ましくない副生物、またはプロセスの望ましくない副生物
のレベルを減少させる。
【0102】 他の態様において、この方法は下記の工程を含んでなる:1)赤血球組成物を
処理して抗原を実質的にマスクし、赤血球組成物の免疫原性を有意に減少させ、
そして2)引き続いて赤血球組成物を処理して赤血球組成物の中に存在すること
がある病原体を実質的に不活性化させ、こうして処理された赤血球組成物は機能
的に止まり、そしてin vivo使用に適する。他の態様において、このプロセスは
、試料の追加の操作、すなわち、希釈、洗浄、緩衝剤の添加、およびその他を必
要としないで、工程1)〜工程2)を実施ことができる。他の態様において、処理
された赤血球組成物を追加的に洗浄または処理して、プロセスの望ましくない試
薬またはこれらの試薬の副生物、またはプロセスの望ましくない副生物のレベル
を減少させることができる。
【0103】 他の態様において、この方法は下記の工程を含んでなる:1)赤血球組成物中
の赤血球の免疫原性を有意に減少させる条件下に、組成物中の赤血球に共有結合
する非免疫原性化合物を添加し、これにより抗原をマスクし、そして2)引き続
いて不活性化化合物が赤血球組成物の中に存在することがある病原体と反応し、
かつ病原体を実質的に不活性化させる条件下に、不活性化化合物を赤血球組成物
に添加し、こうして生ずる処理された赤血球組成物は機能的に止まり、そしてin
vivo使用に適する。他の態様において、このプロセスは、試料の追加の操作、
すなわち、希釈、洗浄、緩衝剤の添加、およびその他を必要としないで、工程1
)〜工程2)を実施ことができる。
【0104】 他の態様において、処理された赤血球組成物を追加的に洗浄または処理して、
未反応の不活性化化合物または抗原マスキング化合物またはこれらの試薬の望ま
しくない副生物、またはプロセスの望ましくない副生物のレベルを減少させるこ
とができる。好ましい態様において、赤血球に共有結合する非免疫原性化合物を
添加する前に、細胞外pHが非免疫原性化合物と赤血球との反応に最適であるよう
に、赤血球を緩衝液で洗浄する。好ましい緩衝液は細胞外pHをほぼ8〜9にし、か
つそのpHにおいて緩衝化を維持するものである。不活性化化合物と病原体との反
応は、外部のエネルギー源により、例えば、適当な光源を使用する照射により促
進することができることが理解される。
【0105】 他の態様において、この方法は下記の工程を含んでなる:カップリング基に結
合したポリエチレングリコール基を有する化合物を、抗原を含有することが推測
される赤血球組成物に添加して混合物を形成し、そして赤血球の抗原が同種異系
免疫系による認識から実質的にマスクされるレベルに前記ポリエチレングリコー
ル基が赤血球に共有結合する条件下に、前記混合物をインキュベートしてインキ
ュベートされた混合物を形成し、そしてさらに核酸結合性リガンドと核酸反応性
エフェクター基とを有する病原体不活性化化合物を添加して混合物を形成し、前
記化合物は前記病原体の実質的にすべてを不活性化させるために十分な最終濃度
に到達し、そして前記混合物をインキュベートして前記病原体の実質的にすべて
が不活性化されているインキュベートされた混合物を形成し、全体のプロセスに
おいて、感染性であるリスクが有意に減少し、免疫原性が有意に減少し、機能的
に止まり、そしてin vivo使用に適する赤血球組成物が得られる。
【0106】 この方法の1つの態様において、カップリング基の一部分はポリエチレングリ
コール基と赤血球との間に止まるが、他の態様において、カップリング基は排除
され、ポリエチレングリコール基は赤血球に直接的に結合する。他の態様におい
て、核酸反応性エフェクター基はマスタード基であり、核酸結合性マスタード化
合物の添加は、試料をそれ以上操作しないで、すなわち、希釈、洗浄、緩衝液の
添加、およびその他を必要としないで、実施することができる。他の態様におい
て、処理された赤血球組成物を追加的に洗浄または処理して、未反応の核酸結合
性マスタードまたはポリエチレングリコール化合物またはこれらの試薬の望まし
くない副生物、またはプロセスの望ましくない副生物のレベルを減少させる。
【0107】 他の態様において、この方法は下記の工程を含んでなる:抗原を実質的にマス
クする条件下に赤血球組成物を前述の試薬で同時に処理して、赤血球組成物の免
疫原性を有意に減少させかつ赤血球組成物の中に存在することがある病原体を実
質的に不活性させて、処理された赤血球組成物が機能的に止まりかつin vivo使
用に適するようにする。他の態様において、処理された赤血球組成物を追加的に
洗浄または処理して、プロセスの望ましくない試薬またはこれらの試薬の望まし
くない副生物、またはプロセスの望ましくない副生物のレベルを減少させる。
【0108】 他の態様において、この方法は下記の工程を含んでなる:赤血球組成物中の赤
血球の免疫原性を有意に減少させる条件下に、組成物中の赤血球に共有結合する
非免疫原性化合物を赤血球組成物に同時に添加し、そして不活性化化合物が赤血
球組成物の中に存在することがある病原体と反応し、かつ病原体を実質的に不活
性化させる条件下に、不活性化化合物を赤血球組成物に添加し、こうして生ずる
処理された赤血球組成物が意図する使用、例えば、輸注のために機能的に止まる
ようにする。
【0109】 処理された赤血球組成物を追加的に洗浄または処理して、未反応の不活性化化
合物または非免疫原性化合物またはこれらの試薬の望ましくない副生物、または
プロセスの望ましくない副生物のレベルを減少させる。不活性化化合物と病原体
との反応は、抗原をマスクする非免疫原性化合物の同時の反応を妨害しないで、
外部のエネルギー源により、例えば、適当な光源を使用する照射により促進する
ことができることが理解される。
【0110】 この方法の1つの態様において、カップリング基の一部分はポリエチレングリ
コール基と赤血球との間に止まるが、他の態様において、カップリング基は排除
され、ポリエチレングリコール基は赤血球に直接的に結合する。 病原体を不活性化させかつ抗原をマスクする1または2以上の工程をクエンチし
て、前述のすべての態様における反応の望ましくない副生物を減少させることが
でき、そしてクエンチングは単一の工程に限定されないことを認識すべきである
。1つの態様において、望ましくない副生物をクエンチする処理と組合わせて病
原体不活性化工程を実施し、ここで病原体を不活性化する処理の前に、それと同
時に、またはその後にクエンチャーを添加することができる。
【0111】 他の態様において、望ましくない副生物をクエンチする処理と組合わせて抗原
マスキング工程を実施し、ここで赤血球の免疫原性を減少させる処理の前に、そ
れと同時に、またはその後にクエンチャーを添加することができる。クエンチン
グ工程は病原体不活性化工程および抗原マスキング工程について同一であるか、
あるいは異なることができ、そしていずれかの工程または両方の工程に、または
プロセスを同時に実施する場合において必要とされることを認識すべきである。
また、本発明の態様において、クエンチング処理をこのプロセスにおいて任意の
時間に実施し、しかもプロセスの両方の工程、またはそれらを同時に実施する両
方のプロセスのクエンチングにおいて有効である。
【0112】 また、上の態様のすべてにおいて論じられた望ましくない試薬または副生物を
減少させる処理はプロセスのいかなる特定の工程に限定されず、また、単一の工
程に限定されないことが認識される。1つの態様において、病原体の不活性化お
よび抗原のマスキングの1または2以上の工程後に、化合物減少装置を使用して、
望ましくない化合物のレベルを減少させる。他の態様において、各工程後に化合
物減少装置を使用して望ましくない化合物のレベルを減少させ、さらに各工程後
に使用する化合物減少装置は異なる組成を有することができる。
【0113】 また、赤血球組成物は、例えば、洗浄により、赤血球の抗原をマスクする処理
する前に処理して、免疫マスキング化合物について赤血球と競合することがある
タンパク質および他の高分子を含有する1または2以上の過剰の流体を除去できる
ことが認識される。これは免疫原性が十分に減少した赤血球を再現可能に調製す
る免疫マスキング化合物と赤血球との反応を均一にするために必要である。
【0114】 IV.病原体の不活性化および非免疫原性赤血球の調製のための化合物および方法
の選択 化合物および方法を評価して本発明において有効であるかどうかを決定するた
めに、3つの重要な性質を考慮すべきである:病原体を不活性化する化合物およ
び方法の能力、赤血球の免疫原性に対する化合物および方法の効果、および意図
する使用のために赤血球組成物を機能化することに対する化合物および方法の効
果。これらのパラメーターを測定するスクリーニング技術はこの分野において知
られている。
【0115】 病原体を不活性化する能力について本発明の化合物を評価するために使用する
スクリーニング技術は、バクテリオファージのスクリーン:被験化合物の核酸結
合性に依存するアッセイである。この型のスクリーン、すなわち、R17スクリー
ンは、以下の実施例1に詳細に記載されている。R17バクテリオファージスクリー
ンは、HIV不活性化効能、ならびに多数の他のウイルスに対する化合物の効能を
予測させると考えられる。その上MS2バクテリオファージを使用して、同様なス
クリーニングアッセイを実施することができるであろう。本発明の化合物および
方法をさらに評価する追加の不活性化研究は実施例2〜3に記載されている。
【0116】 細胞の免疫原性についてスクリーニングする技術は、細胞表面の抗原を認識す
る抗体の利用を包含する。例えば、赤血球の免疫原性を減少させる能力について
本発明の化合物を評価するために使用するスクリーニング技術は、抗A、抗B、お
よび抗D抗体を使用して別々の凝集試験を実行ことである:赤血球の免疫原性を
測定するアッセイ。この型のスクリーンは、以下の実施例4に記載されている。
このアッセイを使用するA、B、およびD抗原の免疫原性の減少を最大するために
、本発明の特定の化合物および方法を最適化する。未処理対照赤血球試料につい
て必要である希釈に関して、凝集を発生させないために必要である抗Aまたは抗B
抗血清の希釈を少なくとも23倍減少させる化合物および方法、および抗D抗血清
について1+またはそれより小さいスコアを生ずる化合物および方法は、本発明の
赤血球組成物の調製のための合理的候補であることが期待される。
【0117】 追加のスクリーニング技術において、検出標識、例えば、放射性または蛍光性
標識化化合物を利用することができる。このようなアッセイにおいて、赤血球表
面上の適当に標識化されたPEGの量は、赤血球膜(ゴースト)の単離および分析
または赤血球を分配測定する他の方法により直接測定することができる。選択的
に、赤血球表面上の蛍光的に標識化されたPEGの量はフローサイトメーターを使
用して直接測定することができる。蛍光信号は使用した蛍光PEGの相対量に対し
て相関させ、例えば、既知量の蛍光標識化分子を含有するビーズを使用する標準
曲線と比較することができる。PEG修飾赤血球の修飾密度を測定する例は実施例1
1に記載されている。
【0118】 本発明の赤血球組成物および方法を評価するために使用するスクリーニング技
術は下記のものを包含するが、これらに限定されない:以下の実施例に記載され
ているような細胞内ATP、細胞内2,3−DPG、細胞外カリウム、溶血、浸透圧抵抗
および酸素輸送活性。未処理対照試料に関してアッセイし、対照試料から有意に
変化しない(すなわち、血液バンキング実施に従い許容される範囲内である)化
合物および方法は、本発明の赤血球組成物の調製のための合理的候補であること
が期待される。
【0119】実験 実施例1.本発明の化合物および方法によるR17不活性化の測定 この実施例において、本発明の化合物および方法によりバクテリオファージR1
7の不活性化を測定するアッセイを説明する。本発明の化合物を使用してプロセ
スの種々の工程における不活性化を評価することがアッセイの目的である。特に
、不活性化のための化合物および方法は、赤血球の免疫原性をマスクする化合物
および方法と別々にアッセイすべきである。感染性がより低く、免疫原性がより
低い赤血球組成物を調製する全体のプロセスをさらにアッセイする。赤血球の免
疫原性のマスクがまたR17の免疫原性をマスクする可能性の問題が存在するので
、これらの別々にアッセイすることが重要である。これがそれ自体R17を不活性
化させるかどうかは知られていず、それを決定することがこの実施例の目標であ
る。
【0120】 このアッセイにおいて、引き続いて細菌を感染し、それらの増殖を阻害するバ
クテリオファージの能力を測定する。ファージをHrf3000細菌中で増殖させる(R
17およびHrf3000はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American
Type Culture Collection)(ATCC)、ワシントンD.C.から入手することができ
る)。第1に、R17系統ウイルスをAdsol(R17-Adsol)中で1:20に希釈する(LB
ブロス中でほぼ10.9対数/mL)。次いで全血(Sacramento Blood Center、収集し
たCPDA-1)から赤血球を回転し、7.0 mlのR17-Adsolの中に3.5 mlの赤血球ペレ
ットを再懸濁させることによって、R17-Adsol混合物中の30%のヘマトクリット
赤血球濃厚物を調製する。ヘマトクリットをF800 Sysmex細胞カウンター(Toa M
edical Electronics、日本国神戸)で測定する。
【0121】 この混合物の1 mlのアリコートを使用して、化合物を不活性化について測定す
る。体積または赤血球ペレットまたはR17-Adsolを必要に応じて調節することが
できる。病原体不活性化化合物の試料をDMSOまたはAdsolの中に所望濃度に溶解
し、50 μLまたはそれより少ないアリコートで30%のヘマトクリット赤血球組成
物のアリコートに所望の最終濃度で添加する。さらに、適当な体積のDMSOまたは
Adsolを添加して全体積(化合物+添加したDMSOまたはAdsol)を50 μLにする。
陽性対照について、50 μLのDMSOまたはAdsolを赤血球組成物に添加する。これ
らは室温において少なくとも1時間放置する。
【0122】 外部エネルギー、例えば、照射を必要とする不活性化化合物の場合において、
1時間のインキュベーションの代わりに適当な活性化を実施する。次いで0.1 ml
のファージ溶液を0.4 mlのLBブロスに無菌希釈を実施することによって、試料を
R17により力価決定する。次いでそれらを0.5 mlのLBブロスで0.02 mlに希釈し(
1:25)、引き続いてLBブロスの中に連続希釈(1:25)する。各希釈した試料に
、一夜培養した0.05 mlのHrf3000細菌を30 mlの溶融したLB上部寒天と一緒に添
加する。この混合物をLBブロスプレート上の注ぎ、寒天が硬化した後、これらを
37 ℃のインキュベーターの中に入れた。一夜のインキュベーション後にプラー
クを計数し、残留するファージの力価を希釈倍数に基づいて計算する。
【0123】 赤血球の免疫原性をマスクする化合物の効果ならびに処理された赤血球組成物
を調製する全方法の効果を検査するために、前述したようにR17-Adsol溶液を適
当に処理し、引き続いてプレートした。不活性化化合物または抗原マスキング化
合物を使用しないで、適当な溶液の添加を置換して適当な対照実験を実施して、
不活性化の力価を評価する。また、このアッセイにおいてAdsolを他の適当な溶
液で置換することが可能である。
【0124】実施例2.本発明の化合物および方法によるHIV不活性化の測定 TC培地中の細胞関連HIV(Popovic他、Science 224:497(1984):H9-IIIb細
胞を組織培養培地の中に懸濁させて、プラーク形成単位/ mLとして測定した決定
した力価を有する懸濁液を形成する。15 mLの円錐形管中の20 mLのアリコートの
被験培地に、活性物質の所望濃度を達成するために十分な病原体不活性化化合物
を添加する。数回完全にピペッティングし、次いで短時間渦形成することによっ
て、懸濁液を直ちに混合する。試料を周囲温度において2〜4時間インキュベート
し、次いで遠心する(外部エネルギー、例えば、照射を必要とする不活性化化合
物の場合において、2〜4時間のインキュベーションの代わりに適当な活性化を実
施する)。ペレットを10 mLのプラークアッセイ希釈剤の中に再懸濁させ、次い
で−80 ℃において急速凍結し、マイクロプラークアッセイにより滴定する。(H
anson他、J. Clin. Microbiol. 28:2030(1990))。
【0125】 パックした赤血球(PRBC)中の細胞関連HIV; PRBC中で実施するアッセイのた
めに、測定したヘマトクリットの全血(Sacramento Blood Center、収集したCPD
A-1)を取り、3800 rpm(4097g)において6分間遠心することによって、パック
した細胞を調製する。上清血漿を取出し、取出した体積を測定する。Adsol溶液
を赤血球に添加して、60%のヘマトクリットを有するPRBCを形成する。この調製
物中で血漿濃度は15〜20%であろう。HIV9-IIIb細胞をAdsolに添加した後、遠心
した細胞を希釈する。十分な量の病原体不活性化化合物の溶液を含む、すべての
物質を完全にピペッティングすることによって、生ずる懸濁液を混合する。被験
化合物のインキュベーションまたは外部の活性化が完結すると、試料を5 mLのヘ
パリンを含有する30 mLの1:1血漿:DMEM溶液で希釈する。次いで感染した細胞
をフィコール−ハイパーク勾配で単離し、1 mLの希釈剤の中に再懸濁させ、後の
滴定のために凍結させる。
【0126】 PRBC中で無細胞HIV;プロトコルは前述のものに類似するが、ただし調製物後P
RBCに無細胞HIVを直接添加する。インキュベーション後、培地を遠心し、上清を
後の滴定のために凍結させる。 赤血球の免疫原性をマスクする化合物の効果ならびに処理された赤血球組成物
を調製する全方法の効果を検査するために、前述したようにHIV溶液を適当に処
理し、引き続いてプレートした。このシナリオにおいて、不活性化化合物または
抗原マスキング化合物を使用しないで、適当な溶液の添加を置換して適当な対照
実験を実施して、不活性化の力価を評価する。また、このアッセイにおいてAdso
lを他の適当な溶液で置換することが可能である。
【0127】実施例3.本発明の化合物および方法によるエルシニア・エンテロコリチカ(Yer sinia enterocolitica)の不活性化の測定 エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)(California De
partment of Health Services、Microbial Disease Laboratory、カリフォルニ
ア州バーケレイ)を、LBブロス中で一夜震蘯培養機上で37 ℃、180 rpmにおいて
培養する。力価を測定するために、Adsol中の1:100希釈物の光学密度を測定す
る(108細菌/mLにおいてOD610=0.2)。次いで細菌系統を1:100に生理食塩水ま
たはPRBC中に希釈して被験培地を形成し、このアリコート(1 mL)を2 mLの無菌
のOリング管の中に入れる。PRBCは実施例2において前述したように調製する。
【0128】 各管に、被験化合物の適当な濃度を生成するために十分な量の病原体不活性化
溶液を添加する。この混合物を数回完全にピペッティングすることによって、各
試料を急速に混合する。次いでそれを周囲温度において2時間インキュベートす
るか、あるいは外部活性化のために処理し、次いでLB寒天上にプレートし、100
μLの試料を使用して出発し、10-1希釈において出発し、10-8まで希釈を続ける
。プレートを37 ℃において一夜インキュベートし、コロニーを計数する。未処
理被験培地の力価と処理された試料の力価との間の差は、その濃度における化合
物についての対数殺しを提供する。検出限界は10細菌/ mLであるが、この限界は
10プレート/試料をアッセイすることによって1細菌/ mLに減少させることができ
る。
【0129】 赤血球の免疫原性のマスクに対する化合物の効果ならびに処理された赤血球組
成物の調製に対する全方法の効果を検査するために、前述したようにエルシニア
(Yersinia)の溶液を適当に処理し、引き続いてプレートする。このシナリオに
おいて、不活性化化合物または抗原マスキング化合物を使用しないで適当な溶液
を添加することによって、適当な対照実験を実施して、活性化力価をアッセイす
る。また、このアッセイにおいて、Adsolの代わりに他の添加剤を使用すること
が可能である。
【0130】実施例4.抗A抗血清、抗B抗血清、および抗D抗血清を使用する、本発明の赤血球 の凝集反応の測定 病原体を不活性化し、抗原をマスクするプロセスをCPDA−1について適当な条
件下に実施し、赤血球を収集する。ポリエチレングリコール誘導体はシェアーウ
ォーター・ポリマーズ(Shearwater Polymers)(アラバマ州ハンスヴィレ)か
ら購入することができる。下記の文献に記載されている標準的技術により、処理
された赤血球の凝集反応をアッセイする:Water他、AABB Technical Manual第10
版、pp. 528−537(1990)。
【0131】 凝集反応を連続希釈試料についてアッセイする。凝集がもはや観測されない希
釈レベルを処理された赤血球について記録し、未処理赤血球と比較する。A型赤
血球および抗A抗体またはB型赤血球および抗B抗体を使用して、このアッセイを
実施する。抗原マスキングに関する赤血球のプロセシングは、このアッセイに基
づいて最適化することができる。 Rh陽性赤血球および抗D抗血清を使用して、同様なアッセイを実施することが
できる。このアッセイにおいて、AABB Technical Manualに記載されているよう
に凝集にスコアをつける。処理された赤血球を未処理対照と比較して、D抗原を
マスクするこのプロセスの能力を評価する。
【0132】実施例5.赤血球のプロセシング後における赤血球機能のin vitro評価 本発明の化合物および方法を使用して反応性をプロセシングした後、細胞内ア
デノシン5’−トリホスフェート(ATP)、細胞内2,3−ジホスホグリシン酸(2,3
−DPG)、細胞外カリウムおよび溶血のレベルは容易に評価される。結果を未処
理対照試料と比較して、処理された赤血球が意図する用途、例えば、輸注に適す
るかどうかを評価する。
【0133】 それぞれシグマ(Sigma)ATP Kitまたは2,3−DPGキット(Sigma、ミゾリー州
セントルイス)を使用して、細胞内ATPおよび2,3−DPGを測定する。シグマ(Sig
ma)手法No. 336−UV(引用することによって本明細書の一部とされる)に従い
、ATPキットを使用した。チバ・コーニング(Ciba Corning)614 K+/Na+アナラ
イザー(Ciba Corning Diagnostics Corp.、マサチューセッツ州メリーフィール
ド)を使用して、細胞外カリウムのレベルを測定することができる。適当な赤血
球組成物はアナライザーにより直接サンプリングされる。
【0134】実施例6.プロセシングされた赤血球の酸素親和性の評価 本発明の化合物および方法を使用して赤血球をプロセシングした後、赤血球試
料の酸素親和性をヘモックス(Hemox)アナライザーで測定する。ヘモックス・
アナライザーを37 ℃において前もって平衡化させる。20 μLのウシ血清アルブ
ミン(TCS Scientific Corp.)および10 μLの消泡剤(TCS Scientific Corp.)
を含有する3.97 mLのヘモックス緩衝液(TCS Scientific Corp.、ペンシルベニ
ア州ニューホープ)と50 μLの赤血球試料とを混合した後、ヘモックス・アナラ
イザーのキュベットに移す。希釈した試料をキュベットの中に抜き出した後、こ
の混合物の温度を37 ℃において8分間攪拌しながら平衡化する。引き続いて、希
釈した試料を空気に対して8分間暴露することによって完全に酸素化する。
【0135】 計装を分圧の読みおよび各試料のヘモグロビン飽和度について目盛定めする。
560 nmにおける溶液吸収/570 nmにおける吸収の比をY軸上に記録するが、クラー
ク(Clark)電極から得られた酸素分圧(pO2)をX軸上に記録する。0およびその
日についての最大計算pO2を100%窒素および100%空気から得られた読みに割り
当てることによって、X軸を目盛定めする。0および1をそれぞれ窒素および酸素
下に平衡化したヘモグロビンから得られた読みに割り当てることによって、Y軸
を目盛定めする。液体試料より上の空間に窒素を導入してpO2を低下させ、ヘモ
グロビンの酸素飽和%を測定することによって、各試料から酸素親和性曲線を作
成する。コンピューターKaleidagraph 3.0.5(Synergy Software、ペンシルベニ
ア州リーディング)を使用することによって数値データを酸素親和性曲線に変換
し、そしてP50を曲線の1/2点から決定する。処理された試料について測定値を獲
得し、未処理対照試料の測定値と比較する。
【0136】実施例7.プロセシングされた赤血球の浸透圧抵抗の評価 本発明の化合物および方法でプロセシングされた赤血球について浸透圧抵抗を
測定し、未処理対照試料と比較する。試薬を0.1、0.2、0.3、0.35、0.4、0.45、
0.5、0.55、0.6、0.65、0.75、および0.9%のPBS(1.0%のPBSは水中1リットル
の最終体積にした9 gのNaCl、1.365 gのNa2HPO4、および0.186 gのNaH2PO4であ
る)で調製する。
【0137】 赤血球試料の10 μLのアリコートを1.0 mLのこれらの溶液の各々に添加し、お
だやかに混合し、室温において30分間インキュベートする。インキュベーション
後、試料をおだやかに混合し、2,000×gにおいて2分間遠心する。分光光度計を
水でゼロにし、試料の上清の吸収を540 nmにおいて測定する。下記式を使用して
溶解%を計算し、ここで0.9%のPBS試料をバックグラウンドの溶解として考慮し
、そして0.1%のPBS試料を100%の溶解として考慮する。 溶解%=(A540−0.9%A540)+(0.1%A540%−0.9%A540)×100 溶解%をPBS%の関数としてプロットし、そしてプロットを処理された赤血球
および未処理対照赤血球について比較する。
【0138】実施例8.もろいβ−アラニン,N−(アクリジン−9−イル),2−[ビス(2−
クロロエチル)アミノ]エチルエステルの合成 工程A:β−アラニン,N−(t−ブトキシカルボニル),2−[ビス(2−ヒドロ
キシエチル)アミノ]エチルエステル 乾燥THF(200 mL)中のN−(t−ブトキシカルボニル)−β−アラニン(20.3
g、107 mmol)および4−メチルモルホリン(13.0 mL、12.0 g、119 mmol)の攪
拌した溶液に−15 ℃においてN2下にイソブチルクロロホルメート(13.9 mL、14
.6 g、107 mmol)を添加し、白色沈殿(4−メチルモルホリン・HCl)が中間的に
形成した。
【0139】 反応混合物を−15 ℃において5分間攪拌し、次いで−15 ℃において乾燥THF(
150 mL)中のトリエタノールアミン(48.3 g、324 mmol)の攪拌した溶液を含有
するフラスコに反応混合物を移した。反応混合物23 ℃に放温し、さらに1.5時間
攪拌し、沈殿を真空濾過により除去した。次いでTHFを濾液から真空除去し、残
留する粘性黄色油状物を水(500 mL)とEtOAc(5×150 mL)との間に分配した。
一緒にした有機層をNa2SO4で乾燥した。溶媒を真空除去すると、25.8 g(75%)
の所望生成物、β−アラニン,N−(t−ブトキシカルボニル),2−[ビス(2−
ヒドロキシエチル)アミノ]エチルエステルが薄黄色油状物として得られた。
【0140】 1H NMR:d 5.32(br s、1H)、4.18(t、J=5.4 Hz、2H)、3.58(t、J=5.1
Hz、4H)、3.37−3.23(m、2H)、2.80(t、J=5.4 Hz、2H)、2.69(t、J=5.1
Hz、4H)、2.51(t、J=6.0 Hz、2H)、1.41(s、9H)。ヒドロキシルプロトン
は観測されなかった。13C NMR:d 173.0、156.4、79.8、63.3、60.2、57.3、54.
1、36.7、35.3、28.8。
【0141】 工程B:β−アラニン,N−(t−ブトキシカルボニル),2−[ビス(2−t−ブチ
ルジメチルシリルオキシエチル)アミノ]エチルエステル アセトニトリル(70 mL)中の工程Aからのβ−アラニン,N−(t−ブトキシカ
ルボニル),2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エチルエステル(22.7
g、70.9 mmol)およびイミダゾール(11.1 g、163 mmol)の攪拌した溶液をN2
下に0 ℃に冷却した。次いで塩化t−ブチルジメチルシリル(534 mg、3.54 mmol
)を添加し、反応混合物を0 ℃においてさらに5分間攪拌した。
【0142】 反応混合物を23 ℃に放温し、2時間攪拌し、次いで生ずる白色沈殿(イミダゾ
ール・HCl)を真空濾過により取出した。アセトニトリルを濾液から真空除去し
、残留する物質を飽和ブライン(600 mL)とEtOAc(3×200 mL)との間に分配し
た。一緒にした有機層をNa2SO4で乾燥した。溶媒を真空除去すると、35.2 g(90
%)の所望生成物、β−アラニン,N−(t−ブトキシカルボニル),2−[ビス
(2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル)アミノ]エチルエステルが黄色油
状物として得られた。
【0143】 1H NMR:d 5.29(br s、1H)、4.14(t、J=6.0 Hz、2H)、3.65(t、J=6.3
Hz、4H)、3.37(見掛けのq、2H)、2.85(t、J=6.0 Hz、2H)、2.71(t、J=6
.3 Hz、4H)、2.49(t、J=5.9 Hz、2H)、1.42(s、9H)、0.88(s、18H)、0.
03(s、12H);13C NMR:d 172.7、156.3、79.7、63.3、62.4、57.7、54.3、36.
7、35.3、28.9、26.4、18.7、約4.9。
【0144】 工程C:β−アラニン,2−[ビス(2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル)
アミノ]エチルエステル 工程Bからのβ−アラニン,N−(t−ブトキシカルボニル),2−[ビス(2−t
−ブチルジメチルシリルオキシエチル)アミノ]エチルエステル(3.01 g、5.48
mmol)を含有するフラスコに、純粋なトリフルオロ酢酸(5 mL)を添加し、CO2 ガスが発生した。反応混合物を5分間攪拌し、トリフルオロ酢酸を真空除去した
。残留する物質を飽和NaHCO3(100 mL)とEtOAc(3×30 mL)との間に分配した
。一緒にした有機層をNa2SO4で乾燥した。溶媒を真空除去すると、2.45 g(100
%)の所望生成物、β−アラニン,2−[ビス(2−t−ブチルジメチルシリルオ
キシエチル)アミノ]エチルエステルが薄黄色油状物として得られた。
【0145】 1H NMR:d 4.12(t、J=6.0 Hz、2H)、3.63(t、J=6.4 Hz、4H)、2.96(t
、J=6.2 Hz、2H)、2.84(t、J=6.0 Hz、2H)、2.69(t、J=6.4 Hz、4H)、2
.44(t、J=6.2 Hz、2H)、0.86(s、18H)、0.03(s、12H)。アミンのプロト
ンは観測されなかった。13C NMR(CDCl3):d 173.0、63.4、62.6、57.9、54.4
、38.4、38.1、26.4、18.7、約4.9。
【0146】 工程D:β−アラニン,N−(2−カルボメトキシアクリジン−9−イル),2−[
ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エチルエステル β−アラニン,2−[ビス(2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル)アミ
ノ]エチルエステル(736 mg、1.64 mmol)とメチル9−メトキシアクリジン−2
−カルボキシレート(669 mg、2.50 mmol)とを、温室において10 mLのCHCl3
で12.5時間攪拌することによって反応させた。次いで沈殿(アクリジン)を濾過
除去し、濾液を飽和NaHCO3(100 mL)とCHCl3(3×35 mL)との間に分配した。
一緒にした有機層をNa2SO4で乾燥し、真空濃縮すると、1.61 gの粘性褐色油状物
が得られた。
【0147】 N2下に粗製中間体を3.0 mLのTHF中に溶解し、0 ℃に冷却し、HF/ピリジン(1.
0 mL)で処理することによって、生ずる油状物を脱保護した。この溶液を1時間
攪拌しながら温室放温した。揮発性物質を真空除去し、残留物を飽和水性NaHCO3 (100 mL)とCHCl3(3×35 mL)との間に分配した。一緒にした有機層をNa2SO4
で乾燥し、真空濃縮すると、649 mgの褐色がかった黄色固体状物が得られた。調
製用TLC(C−18、CH3CN)により、20%の収率で所望の油状物、β−アラニン,N
−(2−カルボメトキシアクリジン−9−イル),2−[ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)アミノ]エチルエステル(HPLCにより>80%の純度)が得られた;
【0148】 1H NMR:d 8.82(s、1H)、8.21−7.94(m、2H)、7.94−7.72(m、2H)、7.5
9(見掛けのt、1H)、7.23(見掛けのt、1H)、4.30−4.18(m、2H)、4.18−4.
05(m、2H)、3.89(s、3H)、3.69−3.50(m、4H)、2.92−2.73(m、4H)、2.
73−2.55(m、4H)。アミンおよびヒドロキシのプロトンは観測されなかった。
【0149】 工程E:β−アラニン,N−(2−カルボメトキシアクリジン−9−イル),2−[
ビス(2−クロロエチル)アミノ]エチルエステル二塩酸塩 下記の文献に記載されている方法に類似する方法により、β−アラニン,N−
(2−カルボメトキシアクリジン−9−イル),2−[ビス(2−ヒドロキシエチル
)アミノ]エチルエステルをジクロロ化合物に変換した:Peck他、J. Am. Chem.
Soc. 1959、81:3984。純粋なSOCl2(6 mL)中の工程Dからの生成物(41 mg、0
.090 mmol)の黄色溶液を温室において20時間攪拌した。次いでSOCl2を真空除去
すると、黄色固体状物(二塩酸塩)が得られた。次いでこの物質を飽和NaHCO3
50 mL)とCH2Cl2(3×20 mL)との間に分配した。一緒にした有機層をNa2SO4
乾燥した。真空濃縮すると、35.4 mgのジクロロ化合物の遊離塩基がオレンジ色
ガムとして得られた。
【0150】 1H NMR:d 8.82(s、1H)、8.20−7.83(m、4H)、7.5(見掛けのt、1H)、7.
25(見掛けのt、1H)、4.36−4.15(m、4H)、3.93(s、3H)、3.48(t、J=6.9
Hz、4H)、3.06−2.77(m、4H)、2.86(t、J=6.9 Hz、4H)。アミンのプロト
ンは観測されなかった。13C NMR:d 172.3、166.6、155.2、146.5、144.6、133.
1、131.6、128.7、124.6、124.3、116.1、114.3、63.7、57.2、53.5、52.9、46.
3、42.5、35.2。他のカチオンは観測されなかった。エーテル中の1 MのHClの添
加により、HCl塩をCH2Cl2から沈殿させると、β−アラニン,N−(2−カルボメ
トキシアクリジン−9−イル),2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]エチル
エステル二塩酸塩(化合物IV)が黄色固体状物として得られた(HPLCにより81%
の純度)。
【0151】 β−アラニン,N−(アクリジン−9−イル),2−[ビス(2−クロロエチル)
アミノ]エチルエステル二塩酸塩(化合物V)を同様な方法において製造した。
こうして、工程Dにおいてメチル9−メトキシアクリジン−2−カルボキシレート
の代わりに9−メトキシアクリジンを使用すると、中間体ジオール(7.1%)が
黄色油状物として得られた(HPLCにより74%の純度)。1H NMR:d 8.14(d、J=
7.5 Hz、2H)、7.93(d、J=8.6 Hz、2H)、7.52(見掛けのt、2H)、7.23(見
掛けのt、2H)、4.36−4.08(m、4H)、3.76−3.5(m、4H)、3.08−2.60(m、8
H)。アミンおよびヒドロキシルのプロトンは観測されなかった。
【0152】 塩化チオニル(4.0 mL)中の中間体ジオール(37.3 mg、0.0793 mmol)の溶液
を230 ℃において7.5時間攪拌した。塩化チオニルを真空除去すると、黄色油状
物が得られた。この物質をエタノール(約4 mL)中に溶解し、溶媒を真空除去し
た。次いでこの物質をCH2Cl2(4 mL)中に溶解し、溶媒を真空除去した;この工
程を2回反復した。次いでこの物質をヘキサン(3×4 mL)で粉砕すると、40.0 m
g(HPLCにより42%の純度)の生成物が黄色のハイドロスコープのガラス状固体
の形態で得られた。この物質の一部分を分析の目的のために飽和NaHCO3とCH2Cl2 との間に分配し、次いで一緒にした有機層をNa2SO4で乾燥し、溶媒を真空除去す
ることによって、遊離アミンに変換した。
【0153】 1H NMR:d 8.21−8.00(m、4H)、7.66(見掛けのt、2H)、7.38(見掛けのt
、2H)、4.26−4.12(m、2H)、4.12−3.98(m、2H)、3.43(t、J=6.9 Hz、4H
)、2.96−2.68(m、8H)。アミンのプロトンは観測されなかった。
【0154】 上記手順に従うが、N−(t−ブトキシカルボニル)−4−アミノ酪酸の代わ
りにN−(t−ブトキシカルボニル)−β−アラニンを使用すると、4−アミノ酪
酸N−(2−カルボメトキシアクリジン−9−イル),2−[ビス(2−クロロエチ
ル)アミノ]エチルエステル二塩酸塩、化合物VI(HPLCにより8%の純度)が得
られた。1H NMR:d 8.89(s、1)、8.12(見掛けのt、2)、7.93−7.80(m、2)
、7.59(見掛けのq、1)、7.36−7.20(m、1)、4.16(t、2、J=5.7 Hz)、4.0
7−3.92(m、2)、3.97(s、3)、3.46(t、2、J=6.9 Hz)、2.93−2.80(m、6
)、2.60(t、2、J=6.5 Hz)、2.29−2.12(m、2)。アミンのプロトンは観測
されなかった。
【0155】実施例9.ポリエチレングリコール修飾のレベルを評価する赤血球のフローサイ
トメトリー分析 標準的血液バンキング法に従い、1単位のABO型全血(Sacramento Blood Cente
r、カリフォルニア州)を白血球濾過した。赤血球をリン酸緩衝生理食塩水(PBS
、150 mMのリン酸塩pH=9.2を含んでなる)で3〜4回洗浄して血漿タンパク質を
排除し、細胞外ドメインのpHを反応のために所望の値に調節した。懸濁液の体積
をPBSで40%のHCTに調節した。
【0156】 塩化シアヌル酸活性化MPEGの溶液をPBS(2.3 mL、4.3 mM)中で調製し、赤血
球懸濁液の1 mLのアリコートをこの溶液に添加した。この溶液を管インバーター
で1時間混合し、次いで室温において16〜24時間インキュベートした。この温室
のインキュベーション後、この溶液を血液バンク生理食塩水で3回洗浄して過剰
のMPEGおよび他の反応副生物を除去した。この洗浄後、154 mMのNaCl、2.0 mMの
アデニン、41.2 mMのマンニトール、および111.0 mMのデキシトロースを含んで
なるAdsolTM(Baxter Healthcare、イリノイ州)を40%の最終HCT値に添加した
。生ずる赤血球懸濁液を4 ℃において貯蔵した。
【0157】 FACScanTM(Becton, Dickinson and Co.、ニュージャージー州)を使用するフ
ローサイトメトリー法により、修飾された赤血球を蛍光標識に結合する能力につ
いて分析した。赤血球のアリコートを遠心し、上清を除去した。赤血球の50 μ
Lの部分(ほぼ1×106細胞)を室温において1時間50 μLの適当な系統の抗体溶液
(すなわち、血液型に依存して非MPEG修飾赤血球に結合する抗体、例えば、抗A
FITC複合体BRIC−145、抗B FITC複合体BGRL1、または抗D FITC複合体BRAD-3、In
ternational Blood Group Reference Laboratory、英国)とインキュベートした
【0158】 赤血球を引き続いて洗浄して過剰の抗体を除去し、フローサイトメトリーによ
り結合した蛍光抗体について分析した。結合した蛍光抗体のレベルを非MPEG修飾
赤血球(陽性の対照)またはFITC抗体とインキュベートしなかった赤血球(負の
対照)と比較した。最大の蛍光の集団(被験製品−負の対照)/(陽性の対照−
負の対照)の比に基づいて、ペギル化の相対的程度を推定した。これを第1図A2/
A1として表す。
【0159】実施例10.赤血球組成物とトレシルMPEGまたはSPA MPEGおよびβ−アラニン,N
−(アクリジン−9−イル),2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]エチルエ
ステルとの反応 適当な添加剤溶液、例えば、Erythrosol(0.782 g/100 mLのクエン酸ナトリウ
ム二水和物、0.073 g/100 mLのリン酸一ナトリウム二水和物、0.303 g/100 mL
のリン酸二ナトリウム二水和物、0.022 g/100 mLのアデニン、0.774 g/100 mL
のマンニトール)を含有する、白血球濾過し、パックされた適当な赤血球(PRBC
、60%のヘマトクリット)を、20 mLの30 mgのβ−アラニン,N−(アクリジン
−9−イル),2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]エチルエステルおよび184
mgのグルタチオンを含有する4.5%のデキシトロース一水和物の溶液と混合する
。生ずる溶液を反応容器に移し、19〜25 ℃において12〜20時間インキュベート
する。
【0160】 次いで溶液を強く80〜90%のヘマトクリットに回転し、pH=8 Hepes緩衝液(1
50 mMのHepes、50 mMのNaCl、75 mMのデキシトロース)で2回洗浄し、引き続い
てトレシルMPEGまたはSPA MPEGを適当な濃度で含有する。Hepes緩衝液の中に40
%のヘマトクリットに希釈する。この溶液を十分に混合し、次いで温室またはそ
れより低い温度においてインキュベートする。適当なインキュベーション期間後
、赤血球を回転し、ヘマトクリットを適当な添加剤溶液で60%に調節する。吸着
媒質を含有する血液バッグに、最終溶液を必要に応じて移して過剰の試薬および
副生物のレベルを減少させる。次いで、前の実施例に記載されているように、最
終溶液を赤血球の機能および赤血球の免疫原性に関して特性決定する。また、MP
EG修飾の量(MPEG/赤血球)を下記の実施例11の方法により測定することができ
る。
【0161】実施例11.ペギル化RBCについての修飾密度の測定 実施例10におけるようにペギル化のためにRBCを調製した。ペギル化工程にお
いて、活性化MPEGを活性化MPEG+同一種類のFITC標識化活性化MPEG(これは他の
末端に蛍光標識を有する)の混合物と置換した。選択的に、活性化MPEGを他の検
出可能な標識、例えば、放射性アイソトープで修飾することができるであろう。
50:50混合物をこの実験に使用した。反応を室温において2時間進行させ、引き
続いて赤血球を洗浄して反応副生物を除去した。引き続いて赤血球濃縮物(200
μL)を使用して、冷却した溶解緩衝液(1600 μL)(7.5 mMのリン酸ナトリウ
ム、1 mMのNaEDTA、pH 7.5)を使用するコントロールされた溶解により、ゴース
ト膜を作る。
【0162】 生ずるゴーストを遠心(14000×g、2分)により単離し、冷却した溶解緩衝液
で4回洗浄し、次いで250 μLの体積の同一緩衝液の中に取った。SDSを懸濁液に
添加して(最終[SDS]=1%)膜を完全に溶解した。生ずる溶液をさらに溶解緩
衝液中で5倍に希釈し、次いで蛍光について分析した(λexc=490 nm、λemm=5
25 nm)。同一培地の中に特定した量のFITC MPEGを添加することによって、ゴー
スト上のFITC MPEGの濃度(または他の適当な標識)およびゴーストの調製に使
用した赤血球の数に基づいて、MPEG/赤血球の量(膜修飾密度)を所定の実験に
ついて計算することができる。
【0163】 FACScan装置を使用するペギル化RBCのフローサイトメトリー分析により、RBC
ペギル化の測定にFPEGアプローチを使用する追加の方法は達成される。商用装置
により、RBCは蛍光強度について直接分析される。RBC表面に取り付けたPEG分子
の数は、活性PEG中の活性FPEGの百分率に比例する。上記方法によるか、あるい
はPEG上に既知量の蛍光分子を含有するビーズとの比較により実施されたペギル
化の標準曲線を通して、FACScan強度をPEG含量に接続する。FACScan装置におい
て使用するビーズは商業的に入手可能であり、そして通例の規格書(Bangs Labo
ratories)に従い調製することができる。
【0164】 PEG分子を定量する別法は、放射性標識化された活性化MPEG(共有結合した3H
14Cまたは他の適当な放射性原子で標識化された)を使用することである。赤
血球をペギル化手順後に洗浄し、次いで洗浄したRBCを溶解し、脱色し、放射性
含量を液体シンチレーションにより測定する。放射性標識化活性化MPEGの比活性
を使用して、ペギル化度を計算する。
【0165】実施例12.細菌のペギル化の生物学的効果 細菌に対するペギル化の効果を評価するために、エルシニア・エンテロコリチ
カ(Yersinia enterocolitica)の一夜培養物をLBブロス中で増殖させた。一夜
培養物の推定された力価は、0.15〜0.2の0.1×O.D.の読みに基づいてほぼ9対数c
fu/mlであった。細菌系統を3800 rpm(ほぼ4200×g)において60分間遠心するこ
とによってHEPES緩衝液(150 mMのHEPES + 50 mMのNaCl+75 mMのデキシトロー
スpH 8.0)で2回洗浄し、HEPES緩衝液でもとの体積に調節した。細菌溶液をHEPE
S緩衝液中の1:1000に希釈して6対数cfu/mLの細菌とした。SPA PEGを秤量し(33
0 mg)、激しく渦形成することによってHEPES緩衝液(2700 mL)中に完全に溶解
した。
【0166】 エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)(300 μLの6対
数cfu/mLの懸濁液)をPEG溶液に直ちに添加して5対数cfu/mLの細菌の最終計数と
した。エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)(300 μLの
6対数cfu/mLの懸濁液)をHEPES緩衝液(2700 mL)に添加することによって、対
照(無PEG)反応を別の管中で実施した。管を室温において2時間インキュベート
した。アリコート(0.5 mL)を各管から得た(t=0時間、t=2時間およびAdsol
洗浄後)。アリコートを希釈し、プレートし、次いで37 ℃において一夜インキ
ュベートした。インキュベーション後、プレートを細菌増殖について読んだ。SP
A PEGで処理した細菌は生存可能に止まるが、コロニー形成はより長いインキュ
ベーション期間を必要とし、コロニーサイズは未処理細菌よりも高い生活能力を
示した。SPA PEG処理したコロニーは未処理細菌と同一の形態学を有し、本質的
に同一の力価であった(細菌のAdsol洗浄後、処理について4.8/未処理について5
.4)。
【0167】 抗体を特定の細菌抗原に結合させる能力について細菌を評価することができる
(抗体は商業的に入手可能である、例えば、Research Diagnostics、ニュージャ
ージー州フランダース)。このようにして、輸注時に細菌が個々の免疫系による
認識から潜在的にマスクされることができるかどうかを決定することができる。
抗原の結合を細菌の増殖の関数として評価して、あるレベルの細胞分裂後にマス
クされた細菌に抗体が結合できるかどうかを評価することができる。蛍光または
放射性標識化PEGで細菌を同様に処理してPEGの量/細菌を細菌の増殖時間にわた
って評価して、細菌をマスクするためにどんなレベルのPEG修飾が必要であるか
を評価し、かつマスクされた細菌が個体の免疫応答に対して脱マスクされるよう
になるためにどんな増殖レベルが必要であるかを評価ことが可能であろう。蛍光
PEGで処理された細菌のFACScan分析は、PEGによる細菌の修飾を示した。
【0168】実施例13.pHおよび赤血球のペギル化の程度に対する緩衝液洗浄の効果 標準的血液バンキング法に従い、1単位のABO型全血(Sacramento Blood Cente
r、カリフォルニア州)を白血球濾過した。赤血球(RBC)を回転し(3800 rpm(
4097×g)、6分間)、血漿を除去した。次いで細胞のアリコートを3本の異なる
管入れた。
【0169】 細胞外pHおよびペギル化の量に対する洗浄の効果を、次のようにして研究した
。赤血球体積の14倍の体積の緩衝液で4回洗浄し、赤血球体積の1倍の体積で2回
洗浄するか、あるいは赤血球を緩衝液で洗浄しなかった。 第1処理において、赤血球(2 mL、ほぼ85%のHCT)を14×体積のpH=8.8 HEPE
S緩衝液(150 mMのHEPES、50 mMのHCl)で4回洗浄した。SPA PEG(221 mg)を秤
量し、激しく渦形成することによってHEPES緩衝液(1.3 mL)中に完全に溶解し
た。溶解したPEGを洗浄した赤血球に直ちに添加し、混合した。また、対照反応
(無PEG)を別の容器において実施した。
【0170】 第2処理において、赤血球(7.5 mL、ほぼ85%のHCT)をRBC体積に等しい体積
のHEPES緩衝液で2回洗浄した。溶解したPEGを洗浄した赤血球に直ちに添加し、
混合した。また、対照反応(無PEG)を別の容器において実施した。第3管におい
て、非洗浄赤血球(7.5 mL)を使用した。SPA PEG(825 mg)を秤量し、激しく
渦形成することによってHEPES緩衝液(7.5 mL)中に完全に溶解した。溶解したP
EGを洗浄した赤血球に直ちに添加し、混合した。また、対照反応(無PEG)を別
の容器において実施した。
【0171】 反応を各管中で室温において1時間進行させ、赤血球を引き続いて血液バンク
生理食塩水で洗浄して反応副生物を除去した。 各洗浄後、各管からアリコートを取出し、pHおよびペギル化の程度を測定した
。標準の目盛定めされたpHメーターをこれらの測定に使用した。対照実験は、PE
Gの存在が測定されたpH値に影響を与えないことを示した。 細胞外pH値を下記表に示す:
【0172】
【表1】
【0173】 14×緩衝液で4回および1×緩衝液で2回洗浄したとき、赤血球のpHはほぼpH 8
に一定に止まった。結果は、洗浄工程を使用しなかった試料におけるよりも、洗
浄工程を組込んだ試料においてPEG(またはPEGを含まない対照)とのインキュベ
ーション後に、より高いpHが維持されることを示す。また、PEGを使用する試料
は対照よりも低いpHを生じ、PEGプロセスのよりよいpHコントロールを必要とす
ることが理解される。これらの試料に対するペギル化の結果は、高いか、あるい
は低い洗浄体積を使用したとき、ペギル化が同様であることを定量的に示した。
しかしながら、赤血球を洗浄しないと、ペギル化の速度および程度が実質的に減
少した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、MPEG修飾赤血球についてのフローサイトメトリーによる集団最大蛍光
の典型的なプロットである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/04 A61P 31/04 31/12 31/12 41/00 41/00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EC,EE,ES,FI,GB, GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,I N,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC ,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD, MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG, US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 BA17 BC27 MA03 MA66 NA01 ZA51 ZA53 ZA55 ZB33 ZB35 4C087 AA01 AA02 BB36 CA21 DA06 DA07 DA08 MA02 MA66 NA01 NA06 ZA51 ZA53 ZA55 ZC80

Claims (65)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 病原体を含有することが推測された赤血球を含んでなる赤血
    球組成物であって、当該赤血球組成物は病原体が実質的に不活性化されるように
    処理されており、そして抗原不一致動物の中への処理された赤血球の輸注が未処
    理赤血球組成物の輸注の免疫反応に比較して免疫反応を減少させるように、赤血
    球の抗原は実質的にマスクされており、赤血球組成物はin vivo使用に適する、
    赤血球組成物。
  2. 【請求項2】 輸注後24時間の循環後における赤血球のin vivo生存率が75
    %より大きい、請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 75%より大きいin vivo生存率が4 ℃において14日間まで赤
    血球の貯蔵後に維持される、請求項2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 75%より大きいin vivo生存率が4 ℃において35日間まで赤
    血球の貯蔵後に維持される、請求項2に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 75%より大きいin vivo生存率が4 ℃において42日間まで赤
    血球の貯蔵後に維持される、請求項2に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 実質的にマスクされている赤血球の抗原が微量抗原である、
    請求項1に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 赤血球がRh陽性であるとき、処理された赤血球に対する抗D
    抗体のin vivo結合が未処理赤血球に比較して少なくとも90%だけ減少される、
    請求項1に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 赤血球がRh陽性であるとき、処理された赤血球に対する抗D
    抗体のin vivo結合が未処理赤血球に比較して少なくとも95%だけ減少される、
    請求項1に記載の組成物。
  9. 【請求項9】 赤血球がRh陽性であるとき、処理された赤血球に対する抗D
    抗体のin vivo結合が未処理赤血球に比較して少なくとも99%だけ減少される、
    請求項1に記載の組成物。
  10. 【請求項10】 病原体が存在するとき、前記病原体の少なくとも3 対数が
    不活性化されている、請求項1に記載の組成物。
  11. 【請求項11】 前記病原体が細菌である、請求項10に記載の組成物。
  12. 【請求項12】 病原体を含有することが推測された赤血球を含んでなる赤
    血球組成物であって、赤血球組成物は病原体が実質的に不活性化されるように、
    核酸に対して親和性と、前記核酸に共有結合するように反応するエフェクター基
    とを有する化合物で処理されており、そして赤血球組成物は抗原マスキング化合
    物と反応し、抗原不一致動物の中への処理された赤血球の輸注が未処理赤血球組
    成物の輸注の免疫反応に比較して免疫反応を減少させるように、赤血球の抗原は
    実質的にマスクされており、赤血球組成物はin vivo使用に適する、赤血球組成
    物。
  13. 【請求項13】 核酸に対して親和性を有する化合物が核酸結合性リガンド
    を含んでなる、請求項12に記載の組成物。
  14. 【請求項14】 エフェクター基がマスタード基およびマスタード基等価物
    から成る群から選択される、請求項13に記載の組成物。
  15. 【請求項15】 前記抗原マスキング化合物がポリエチレングリコールを含
    んでなる、請求項14に記載の組成物。
  16. 【請求項16】 前記抗原マスキング化合物がポリエチレングリコール誘導
    体を含んでなる、請求項14に記載の組成物。
  17. 【請求項17】 前記抗原マスキング化合物が活性化ポリエチレングリコー
    ルおよび活性化ポリエチレングリコール誘導体から成る群から選択される、請求
    項14に記載の組成物。
  18. 【請求項18】 前記核酸に対して親和性を有する化合物がキナクリンマス
    タードおよびβ−アラニン,N−(アクリジン−9−イル),2−[ビス(2−クロロエ
    チル)アミノ]エチルエステルから成る群から選択され、そして抗原マスキング化
    合物が2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルモノメトキシポリエチレングリコ
    ール、N−ヒドロキシスクシンイミドプロピオン酸モノメトキシポリエチレング
    リコール、およびN−ヒドロキシスクシンイミドブタン酸モノメトキシポリエチ
    レングリコールから成る群から選択される、請求項12に記載の組成物。
  19. 【請求項19】 前記核酸に対して親和性を有する化合物がキナクリンマス
    タードおよびβ−アラニン,N−(アクリジン−9−イル),2−[ビス(2−クロロエ
    チル)アミノ]エチルエステルから成る群から選択される、請求項19に記載の組成
    物。
  20. 【請求項20】 (a)病原体が存在する場合、それを実質的に不活性化さ
    せる条件下に、赤血球組成物の中に存在することがある病原体を実質的に不活性
    化する化合物と、赤血球組成物を接触させ、そして (b)抗原不一致動物の中への赤血球組成物の輸注が未処理赤血球組成物の輸
    注の免疫反応に比較して免疫反応を減少させるように、赤血球の免疫原性を実質
    的に減少させる条件下に、赤血球に結合しかつ赤血球を実質的にマスクする化合
    物と、赤血球組成物を接触させる、 ことを含んでなる、赤血球組成物を処理するex vivo方法。
  21. 【請求項21】 病原体を不活性化させる前記化合物が核酸に対する親和性
    を有する、請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 病原体を不活性化させる前記化合物が核酸に共有結合する
    ように反応するエフェクター基を含んでなる、請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 病原体を不活性化させる前記化合物が核酸結合性リガンド
    を含んでなる、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記エフェクター基がマスタード基およびマスタード基等
    価体から成る群から選択される、請求項24に記載の方法。
  25. 【請求項25】 赤血球に結合する前記化合物がポリエチレングリコールを
    含んでなる、請求項20に記載の方法。
  26. 【請求項26】 赤血球に結合する前記化合物がポリエチレングリコール誘
    導体を含んでなる、請求項20に記載の方法。
  27. 【請求項27】 赤血球に結合する前記化合物が活性化ポリエチレングリコ
    ールおよび活性化ポリエチレングリコール誘導体から成る群から選択される、請
    求項20に記載の方法。
  28. 【請求項28】 赤血球の輸注を必要とする個体の中に請求項1に記載の組
    成物を送達することを含んでなる前記組成物を使用する方法。
  29. 【請求項29】 赤血球の輸注を必要とする個体の中に請求項2に記載の組
    成物を送達することを含んでなる前記組成物を使用する方法。
  30. 【請求項30】 赤血球の輸注を必要とする個体の中に請求項7に記載の組
    成物を送達することを含んでなる前記組成物を使用する方法。
  31. 【請求項31】 赤血球の輸注を必要とする個体の中に請求項10に記載の組
    成物を送達することを含んでなる前記組成物を使用する方法。
  32. 【請求項32】 赤血球の輸注を必要とする個体の中に請求項11に記載の組
    成物を送達することを含んでなる前記組成物を使用する方法。
  33. 【請求項33】 赤血球の輸注を必要とする個体の中に請求項12に記載の組
    成物を送達することを含んでなる前記組成物を使用する方法。
  34. 【請求項34】 赤血球の輸注を必要とする個体の中に請求項14に記載の組
    成物を送達することを含んでなる前記組成物を使用する方法。
  35. 【請求項35】 赤血球の輸注を必要とする個体の中に請求項17に記載の組
    成物を送達することを含んでなる前記組成物を使用する方法。
  36. 【請求項36】 赤血球の輸注を必要とする個体の中に請求項18に記載の組
    成物を送達することを含んでなる前記組成物を使用する方法。
  37. 【請求項37】 赤血球の輸注を必要とする個体の中に請求項19に記載の組
    成物を送達することを含んでなる前記組成物を使用する方法。
  38. 【請求項38】 (a)細菌を含有することが推測される赤血球組成物を準
    備し、ここで前記細菌は、存在する場合、抗原マスキング化合物と反応しない細
    菌よりもいっそう感染性であるように、抗原マスキング化合物と反応し、 (b)病原体が存在する場合、それを実質的に不活性化させる条件下に、赤血
    球組成物の中に存在することがある病原体を実質的に不活性化する化合物と、赤
    血球組成物を接触させ、そして (c)抗原不一致動物の中への赤血球組成物の輸注が未処理赤血球組成物の輸
    注の免疫反応に比較して免疫反応を減少させるように、赤血球の免疫原性を実質
    的に減少させる条件下に、抗原マスキング化合物が赤血球に結合するために十分
    な量の抗原マスキング化合物と、赤血球組成物を接触させる、 ことを含んでなる、赤血球組成物を処理するex vivo方法。
  39. 【請求項39】 細菌を不活性化させる前記化合物が核酸に対する親和性を
    有する、請求項38に記載の方法。
  40. 【請求項40】 細菌を不活性化させる前記化合物が核酸に共有結合するよ
    うに反応するエフェクター基を含んでなる、請求項39に記載の方法。
  41. 【請求項41】 細菌を不活性化させる前記化合物が核酸結合性リガンドを
    含んでなる、請求項40に記載の方法。
  42. 【請求項42】 前記エフェクター基がマスタード基およびマスタード基等
    価体から成る群から選択される、請求項41に記載の方法。
  43. 【請求項43】 前記抗原マスキング化合物がポリエチレングリコールを含
    んでなる、請求項38に記載の方法。
  44. 【請求項44】 前記抗原マスキング化合物がポリエチレングリコール誘導
    体を含んでなる、請求項38に記載の方法。
  45. 【請求項45】 前記抗原マスキング化合物が活性化ポリエチレングリコー
    ルおよび活性化ポリエチレングリコール誘導体から成る群から選択される、請求
    項38に記載の方法。
  46. 【請求項46】 下記の構成成分: a)病原体を含有することが推測される赤血球を含んでなる赤血球組成物、こ
    こで赤血球組成物は病原体が実質的に不活性化されるように処理されており、そ
    して抗原不一致動物の中への処理された赤血球の輸注が未処理赤血球組成物の輸
    注の免疫反応に比較して免疫反応を減少させるように、赤血球の抗原は実質的に
    マスクされている、および b)赤血球組成物を含有する血液バッグ、ここで赤血球組成物は個体への送達
    に適する、 を含んで成る赤血球プロセシングシステム。
  47. 【請求項47】 輸注後24時間の循環後における赤血球のin vivo生存率が7
    5%より大きい、請求項46に記載のシステム。
  48. 【請求項48】 75%より大きいin vivo生存率が4 ℃において14日間まで
    赤血球の貯蔵後に維持される、請求項47に記載のシステム。
  49. 【請求項49】 75%より大きいin vivo生存率が4 ℃において35日間まで
    赤血球の貯蔵後に維持される、請求項47に記載のシステム。
  50. 【請求項50】 75%より大きいin vivo生存率が4 ℃において42日間まで
    赤血球の貯蔵後に維持される、請求項47に記載のシステム。
  51. 【請求項51】 赤血球がRh陽性であるとき、処理された赤血球に対する抗
    D抗体のin vivo結合が未処理赤血球に比較して少なくとも90%だけ減少される、
    請求項46に記載のシステム。
  52. 【請求項52】 赤血球がRh陽性であるとき、処理された赤血球に対する抗
    D抗体のin vivo結合が未処理赤血球に比較して少なくとも95%だけ減少される、
    請求項46に記載のシステム。
  53. 【請求項53】 赤血球がRh陽性であるとき、処理された赤血球に対する抗
    D抗体のin vivo結合が未処理赤血球に比較して少なくとも99%だけ減少される、
    請求項46に記載のシステム。
  54. 【請求項54】 病原体が存在するとき、前記病原体の少なくとも3 対数が
    不活性化されている、請求項46に記載のシステム。
  55. 【請求項55】 前記病原体が細菌である、請求項54に記載のシステム。
  56. 【請求項56】 病原体を含有することが推測された赤血球を含んでなる薬
    剤であって、ここで赤血球組成物は病原体が実質的に不活性化されるように処理
    されており、そして抗原不一致動物の中への処理された赤血球の輸注が未処理赤
    血球組成物の輸注の免疫反応に比較して免疫反応を減少させるように、赤血球の
    抗原は実質的にマスクされている、薬剤。
  57. 【請求項57】 輸注後24時間の循環後における赤血球のin vivo生存率が7
    5%より大きい、請求項56に記載の薬剤。
  58. 【請求項58】 75%より大きいin vivo生存率が4 ℃において14日間まで
    赤血球の貯蔵後に維持される、請求項57に記載の薬剤。
  59. 【請求項59】 75%より大きいin vivo生存率が4 ℃において35日間まで
    赤血球の貯蔵後に維持される、請求項57に記載の薬剤。
  60. 【請求項60】 75%より大きいin vivo生存率が4 ℃において42日間まで
    赤血球の貯蔵後に維持される、請求項57に記載の薬剤。
  61. 【請求項61】 赤血球がRh陽性であるとき、処理された赤血球に対する抗
    D抗体のin vivo結合が未処理赤血球に比較して少なくとも90%だけ減少される、
    請求項56に記載の薬剤。
  62. 【請求項62】 赤血球がRh陽性であるとき、処理された赤血球に対する抗
    D抗体のin vivo結合が未処理赤血球に比較して少なくとも95%だけ減少される、
    請求項56に記載の薬剤。
  63. 【請求項63】 赤血球がRh陽性であるとき、処理された赤血球に対する抗
    D抗体のin vivo結合が未処理赤血球に比較して少なくとも99%だけ減少される、
    請求項56に記載の薬剤。
  64. 【請求項64】 病原体が存在するとき、前記病原体の少なくとも3 対数が
    不活性化されている、請求項56に記載の薬剤。
  65. 【請求項65】 前記病原体が細菌である、請求項64に記載の薬剤。
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