JP2003531401A - 化学増幅型レジスト中の光生成触媒の拡散の測定方法 - Google Patents

化学増幅型レジスト中の光生成触媒の拡散の測定方法

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JP2003531401A
JP2003531401A JP2001576538A JP2001576538A JP2003531401A JP 2003531401 A JP2003531401 A JP 2003531401A JP 2001576538 A JP2001576538 A JP 2001576538A JP 2001576538 A JP2001576538 A JP 2001576538A JP 2003531401 A JP2003531401 A JP 2003531401A
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ギルバート・ディー・フィーク
ロバート・ディー・グローバー
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イェール・ユニヴァーシティ
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    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
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Abstract

(57)【要約】 化学増幅型フォト・レジスト中の酸を画像化する方法であって、(a)前記化学増幅型フォト・レジストを放射にさらして酸を生成し、前記化学増幅型フォト・レジストが、前記酸が存在すると蛍光を発する少なくとも1種のpH依存性蛍光体を含み、前記pH依存性蛍光体が、前記pH依存性蛍光体の個々の分子からの蛍光を個別に解像することを可能にする濃度で存在するステップと、(b)フォト・レジスト中の酸の画像を生成し、前記画像が、pH依存性蛍光体の個々の分子または分子群からの蛍光放出に対応する少なくとも1つまたは複数の別個の点を含むステップとを含む方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リソグラフィ分野に関し、より具体的には、半導体業界で用いる化
学増幅型フォト・レジスト中での光酸パターンのプロフィル測定に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学増幅型フォト・レジスト(CAR)の使用は、半導体業界にとって一般的
であり、ますます重要になっている。CARは、生産用リソグラフィのますます
厳しくなる要求に応じて開発が続けられている。種々の酸を触媒とする化学増幅
型レジスト組成物が使用されており、開発が続けられている。化学的に活性なレ
ジストの場合、ウェハに入射した放射パターンは、光生成された触媒(通常は強
ブレンステッド酸)によって記録される。この光生成触媒は、レジスト母材中に
配合された光酸発生剤(PAG)化合物の光解像によって生成される。光酸は、
露光後ベーク(PEB)によって活性化されて、レジスト母材中の複数の化学反
応を触媒することによって、溶解速度を変化させる。このプロセスは、化学増幅
と言われる。次にレジストは、最終的なパターンを規定する空間依存性の溶解速
度で現像される。
【0003】 リソグラフィ中にレジスト膜を放射パターンに曝露することで、エアリアル・
イメージ(aerial image)として知られるものが形成される。エアリアル・イメ
ージは、PAGの光解像によって、触媒像(すなわち酸濃度が変化しているパタ
ーン)として膜に転写される。次に触媒像は、PEBの間に、熱活性化された触
媒によって可溶性像へと転写される。触媒像または可溶性像の何れかを述べるた
めに、潜像という用語がしばしば用いられる。最後に可溶性像は、現像段階でパ
ターン化されたレジストへと転写される(すなわち、ネガ型の場合に未露光のレ
ジスト材料が除去され、またはポジ型の場合に、露光されたレジスト材料が除去
される)。パターン化されたレジストは、ウェハ処理するための位置的なマスク
として用いられる。
【0004】 半導体業界では、最新のリソグラフィにおいて、より高いエネルギーの露光源
を用いてエアリアル・イメージのより高い空間解像度を得ることが要求されてい
る。リソグラフィ・プロセスでは、露光時間は経済的に重要である。露光時間が
短いほど、ウェハ・スループットが高く、製造コストが下がる。CARのフォト
・スピード(photospeed)は、PEB中の増幅プロセスによって増大する。しか
しこのフォト・スピードの増大によって、PEB中に光酸が露光領域から未露光
領域へと拡散する能力が生じる。この結果、可溶性像がぼやけ、パターン化され
たレジストもぼけることになる。そこで光酸の位置および活性を、モニターかつ
コントロールする必要がある。
【0005】 CAR中の光生成された触媒の拡散を測定することは、マイクロ・エレクトロ
ニクス・デバイス(たとえば集積回路および半導体など)の製造で現在使用され
ている殆ど全てのリソグラフィ技術の像形成のプロセス制御にとって、非常に重
要である。酸の拡散率はD(拡散係数)と言われる量で測定される。拡散係数の
単位は(距離)2/時間である。酸の拡散長(L)は、2Dtの平方根で与えられ
る。ここでtは拡散の間に経過する時間である。通常の拡散長は、数10nmのオ
ーダーである。拡散によってリソグラフィの解像度が制限されるため、拡散はC
ARの性能において基本的な要因である。塩基性添加剤をレジストで用いること
で、酸を中和して拡散を制御することが良く行なわれる。リソグラフィ・フィー
チャの寸法が小さくなり続けるのにつれて、拡散長とフィーチャ・サイズとの比
が大きくなり続けている。その結果、拡散のモデリングおよび制御が、レジスト
の設計および処理条件の最適化において、一層重大な問題になりつつある。化学
増幅型レジスト中の光生成された触媒の拡散を測定することの必要性および重要
性が、十分に認められている。露光後ベーク中の酸の拡散は、半導体の重要な寸
法およびライン幅の変動に著しく影響を及ぼす可能性がある。フォト・レジスト
中の光生成された酸の評価は、半導体の製造において非常に重要であり、特にま
すます高まるマイクロ・エレクトロニクス・デバイスの回路の高密度化に対する
要求の点から見て重要である。本発明は、この評価の必要性に取り組むものであ
る。
【0006】 リソグラフィ・プロセス中の光酸の空間分布を正確に制御することは、リソグ
ラフィ解像度を最大にし、CD(critical dimension)の変動を最小にするため
に、最も重要である。この制御を行なう例は、エアリアル・イメージをウェハに
フォーカスすることである。他の例は、PEB中の露光領域から未露光領域への
酸の拡散が最小になるように、レジスト組成物を設計し、処理条件を最適化する
ことである。さらに他の例は、塩基性添加剤を用いて、未露光領域に残留する酸
を中和することである。これらの例のそれぞれにおいて、光酸濃度プロフィルの
シャープネスを最大にすることが目的である。リソグラフィ・フィーチャの寸法
が小さくなり続けているため、光酸の発生および拡散のモデリング、コントロー
ル、およびモニタリングは、レジスト組成物およびリソグラフィ・プロセスの設
計および最適化において、一層重大な問題になりつつある。
【0007】 光酸分布は通常、現像後のパターンから推測される。しかし現像後のパターン
は、各および全てのリソグラフィ・プロセスを巻き込んでいるため、各段階での
光酸分布を決定すること、したがってレジストの基本的な化学パラメータを明瞭
に抽出すること、または個々のプロセスを特徴付けることは、不可能である。更
に多くの場合において、個々のプロセスの結果を、次のステップに進む前に検査
することが好ましいと考えられる。この問題に対応するために、いくつかの潜像
検出方法が開発されている。これらの方法には、原子間力顕微鏡法、サーマル・
プローブ顕微鏡法、フォトン・トンネリング顕微鏡法、赤外線顕微鏡法、および
pH指示色素(pH indicator dye)がドープされたレジストの蛍光顕微鏡法など
がある。最初の4つの方法は、トポグラフィ、熱特性、屈折率、または高分子の
化学的性質の変化に起因するコントラスト・メカニズム(本質的に、PEB後に
得られる溶解速度の変化の結果である)に基づいている。蛍光技術は、その分光
学的な(すなわち化学的な)感度、従って、潜像検出をPEBの後だけでなく前
にも行なう能力を提供するためにユニークなものである。
【0008】 pH依存性色素(pH dependent dye)(放射にさらされたときに酸が存在する
と蛍光を発する)がドープされたフォト・レジストに対してこれまで報告されて
いる種々の濃度では、色素分子間の距離は、励起光のサンプリング領域のサイズ
よりもはるかに小さい。これらの濃度において、連続した酸検出が顕微鏡の視野
全体に渡ってもたらされる。しかし光学的な(近接場でさえある)顕微鏡の限界
のために、これらの技術では、CD(critical dimension)の制御に適切な長さ
スケール(すなわち20nm未満)での酸濃度の変化を検出するための十分な空間
解像度が得られない。本発明は、この必要性および従来技術の限界に取り組むも
のである。
【0009】 単一分子の蛍光検出は、急速に拡大している最新の研究分野である。分子を分
離して種々の環境中で調べている。たとえば高分子膜および、水性ゲル中に埋め
込まれたpH感受性(pH sensitive)単一分子を用いた酸濃度の測定などである
。分離された蛍光分子は本質的に光学的点光源であるため、その画像によって顕
微鏡の点広がり関数(point spread function)(PSF)が描かれる。この関
数は一般的に、ピークのある対称的な関数であり、その幅が顕微鏡の解像度とな
る。このタイプの信号の位置の測定誤差は、信号幅よりもはるかに小さい可能性
があり、実際には測定のSN(signal-to-noise-ratio)比のみによって制限さ
れることが明らかになっている。単一分子の位置測定は、遠隔場顕微鏡を用いる
だけで、数10nmの精度まで行なうことができる。
【0010】 半導体業界での要求および限界に関するこれまでの議論を考えると、化学増幅
型フォトレジスト中における触媒機能を有する光生成された酸の評価に対する要
求が存在することが分かる。したがって本発明の目的は、化学増幅型フォトレジ
スト中の光生成された酸のパターンの測定方法を提供することである。また本発
明の目的は、このような光生成された酸を、単一のpH感受性蛍光分子の位置測
定によって、ナノメーター・レベル、好ましくは10nm程度の精度で測定する方
法を提供することである。
【0011】 本発明のこれらおよびその他の目的ならびに利点、および本発明の均等物は、
特許請求の範囲に従い、図面および説明に記載され与えられている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、化学増幅型フォトレジスト中の光生成された酸のパターンの
測定方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明では、化学増幅型フォトレジスト中の光生成された酸触媒を画像化する
ための新規の分光蛍光法を開示する。本発明には、化学増幅型レジスト膜中の光
生成された酸の拡散またはプロフィルを測定するために酸濃度を単一分子でプロ
ービングすることに基づく方法が含まれる。本発明の方法では、pH依存性色素
または蛍光体から放出された蛍光を、分子レベルで測定する。pH依存性色素ま
たは蛍光体は、化学増幅型レジスト膜中に低レベル(すなわちppb範囲)でドー
プされ、レジスト母材中の光酸発生剤化合物の光解像によって生じる光生成酸触
媒に反応する。また本発明によって、低レベルのpH依存性蛍光体を含む化学増
幅型フォトレジスト組成物が提供される。本発明では、種々のレジスト配合物、
種々の光酸発生剤化合物、および種々のpH依存性蛍光体を用いることができる
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、その最も一般的な形態において、単一のpH感応性蛍光分子の位置
測定により化学増幅型レジスト中の光生成された酸のパターンのプロフィルを測
定するための分光蛍光法を開示する。
【0015】 この開示で用いるように、用語「蛍光体」とは蛍光色素のことである。pH依
存性蛍光体とは、蛍光を発する(すなわち、種々の波長において光を吸収・放出
する)蛍光色素であって、放出光の強度が個々の環境のpHに機能的に関係する
蛍光色素のことである。用語「レジスト」は、「フォト・レジスト」と同義的に
用いる。本発明のフォト・レジストは、化学増幅型レジストである。化学増幅型
レジストは、当該技術分野において良く知られており、通常は高分子樹脂または
バインダと光酸発生剤とを含む。代表的なCARSは、以下の文献に開示されて
いる。米国特許第5,882,844号、第5492,793号、第5,625,020号、第5,712,078号
、第5,252,435号、第5,258,257号、第5,352,564号、第4,491,628号、第4,946,75
9号、第4,946,760号、および第5,210,000号。これらの文献は全て、本明細書に
おいて参照により取り入れられている。
【0016】 本発明の化学増幅型レジストは、光酸発生剤を含んでいる。使用できるPAG
には、光エネルギーにさらされると同時に酸を発生できるものであれば、当該技
術分野で知られるどんな種類の化合物も含まれる。代表的なPAGとしては(こ
れらに限定されないが)、種々のニトロベンジル化合物、スルホン酸化合物、カ
ルボン酸化合物、金属、半金属、および非金属オニウム塩が挙げられる。PAG
は、米国特許第4,102,687号、第5,258,257号、および第4,371,605号に記載され
ている。これらの文献は、本明細書において参照により取り入れられている。当
該技術分野で知られるその他の光酸発生剤も、本発明を実施する際に有用である
。そのような光酸発生剤には(これらに限定されないが)、次のような化合物が
含まれる。トリフェニルスルホニウムトリフレート(TPSOTf)、ジ(1−
ナフチル)フェニルスルホニウムトリフレート(DNPSOTf)、ジ[(4−
t−ブチル)フェニル]イコドニウム(ikodonium)トリフレート(DTBPI
OTf)、およびN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)5−ノルボルネ
ン−2,3−ジカルボキシイミド(MDT)。多くのPAGが、製造業において
開発されており、また未来の製品に適するように開発され続けるであろうことが
理解される。これらの種々のCARも、本発明とともに用いることができる。
【0017】 本発明の化学増幅型レジストは、少なくとも1種のpH依存性蛍光体を、個々
の分子の分光蛍光検出を可能にするレジスト膜中の濃度で含む。膜厚は変化し得
るので、以後、膜厚によって、本発明の顕微鏡的検出手段によって観察されるあ
る体積を表わす。
【0018】 視野は通常、顕微鏡の視野全体(通常100×100μm)であると考えられ
る。解像度体積は、最小の解像可能体積(回折限界によって規定される)とは区
別される。本発明においては、重要なのは最小の解像可能体積である。さらに説
明するために、一般的に最小の解像可能体積は、横方向には横解像度(0.6λ
/NA)で規定される。ここでλは光学波長であり、NAは結像系の開口数であ
って収束ビームの半角の正弦に等しい。また最小の解像可能体積は、縦方向には
焦点深度λ/(NA)2として規定される。したがって結果として得られる体積は
、(0.6λ/NA)×(0.6λ/NA)×λ/(NA)2程度である。焦点深度
よりも薄い膜を扱う場合には、問題とする縦方向の長さスケールは、膜厚であり
、λ/(NA)2ではないことに注意されたい。膜に蛍光体をドーピングする目的
は、1つ以下の特定のタイプの蛍光体を、この最小の解像可能体積中に存在させ
ることである。本明細書においてクマロン6によって例示されるように、重量で
10ppb以下の、レジスト中への蛍光体のドーピング・レベルに等しいことが示
された。重量が既知で、ドーパントが特定され、体積が特定されるならば、ドー
ピング・レベルは(もし望むならば)、モル濃度で表わしうることが理解される
【0019】 たとえば、一般的な膜厚の400nmの場合、代表的な蛍光体を固体含有量で約
10ppbの濃度で有していても良い。典型的な400nm厚みの膜の場合、レジス
ト中への蛍光体クマロン6のドーピングは、重量で10ppb以下で有効であるこ
とが分かった。問題となるレジスト体積と選択された蛍光体とが分かれば、レジ
スト配合物へのドーピングに必要な色素濃度を求めることができる。pH依存性
で、pH化学(pH chemistry)によって膜と適切に調和していて、選択された膜
に対して、膜厚の知識によって適切な濃度で与えられるならば、どんな蛍光体も
、本発明を実施する際に用いて良く、その選択は当業者ならば行なうことができ
る。多くのpH依存性蛍光体が、当該技術分野において知られている。たとえば
(これらに限定されないが)、以下の文献に記載されているものが挙げられる。
米国特許第4,945,171号、第5,387,527号、第4774,339号、第5,302,731号、第5,2
27,487号、第5,442,045号、「Practical Flouorescence」(G. G. Guilbault著
)(1973)、およびHandbook of Fluorescent Probes and Resarch Chemicals,
Sixth Edition(1996)の第23章。これらの文献は全て、本明細書において参
照により取り入れられている。
【0020】 蛍光体の選択に関しては、色素のpKaは、放射線に曝露する前に、膜の酸含
有量に厳密に合っていなければならない。蛍光体のpKaは、化学増幅型フォト
・レジストの約1pH単位内、好ましくは0.5pH単位内またはそれ以下でなけ
ればならない。本発明の蛍光体濃度の必要条件が満足され、分子レベルでの検出
が可能であるという条件付きで、1種を上回るpH依存性蛍光体をレジストに取
り入れることで、種々のpHレベルで蛍光を発するか、または種々の放射波長に
反応するようにしても良い。CAR配合物は通常、基板表面(すなわちシリコン
・ウェハまたは当該技術分野で知られるその他の基板)に、スピニング、ディッ
ピング、またはその他の従来のコーティング技術によって、種々の厚さで塗布さ
れる。
【0021】 レジスト中における蛍光体の適切な濃度は、分子レベルでの検出感度を可能に
する本発明の重要な要素である。好ましくは、蛍光発光を顕微鏡によって検出す
るときに、1つ以下の特定のタイプの蛍光体が最小の解像可能体積中に存在する
。したがってドーパント濃度は、膜厚(ある体積を規定する)を考慮に入れなけ
ればならない。この体積は、本明細書で述べたようにして求めることができ、好
ましくは少なくとも1つの蛍光体分子をこの体積に与えるのに必要な蛍光体の量
を計算する。
【0022】 フォト・レジスト中の酸の画像の検出は、低レベルの蛍光を視覚化するための
当該技術分野で知られるどんな技術を用いて行なっても良い。このような技術と
しては(これらに限定されないが)、蛍光検出顕微鏡法、およびデジタル画像蛍
光顕微鏡法が挙げられる。レジスト放射装置は、画像生成装置と同じであっても
良いし、そうでなくても良い。
【0023】 本発明は、以下に述べる実施例によってさらに例証されるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0024】
【実施例】
実施例1 シミュレーション 図1Aに、1μm幅の酸濃度プロフィルを示す。このプロフィルは、レジスト
膜の左半面で光生成された酸濃度のステップ関数が、40nmのフィックの拡散長
を仮定した拡散を経た後のシミュレーションである。図1Bに、このレジスト膜
中にランダム分布する分離された蛍光体分子をシミュレートした1×1μmの画
像を示す。簡単にするために、顕微鏡の点広がり関数を、幅w=300nmのガウ
シアンであると仮定する。このようなガウシアン・ピークの位置の測定誤差は、
Oijienらによって計算されており(J. Opt. Soc. Am., A16,909)、Nをピーク
あたりの検出フォトンの総数として、ポアッソン統計が仮定されている(すなわ
ち、Nの平方根がSNR)。N=1000と仮定すると、x、y=10nmとなり
、これが図1Bのボックスのサイズである。
【0025】 ドーパント分子のスペクトル特性はpHに感受性である。0および1任意単位
の酸濃度を感知する分子のスペクトル特性を、データ・マーカーに隣接する表示
(0および+)によって、それぞれ示す。したがって、左半面の分子は「+」の
スペクトル特性を有し、右半面の分子は「0」スペクトル特性を有する。図1C
に、レジスト膜中にランダム分布する分離された分子の位置をシミュレートした
1×25μmのマップを示す。前と同じように、「+」分子は左半面であり、「
0」分子は右半面である。x=0付近の分子は、両方のスペクトル特性を共有し
ている。単一分子レベルでは、このようなスペクトル特性の共有は、「0」と「
+」状態の間での分子の時間平均された点滅として現れる。分子の挙動が厳密に
エルゴード的であるならば、スペクトル特性は滴定の理論によって説明され、し
たがってスペクトル特性は、分子の局所的な環境中での酸濃度を直接示す。非エ
ルゴード的な挙動であるならば、酸濃度測定に誤差が導入される。
【0026】 図1Dに、各分子の位置(xおよびy座標)と表示酸濃度(z座標)との3次
元散布図を示す。この散布図をx−z平面へ投影することによって、酸濃度プロ
フィルが描かれる。その結果、分子のx位置の測定精度(10nmが妥当な推定値
である)で制限された解像度で、酸濃度プロフィルを描くことができる。なお、
最初の酸濃度プロフィルとしてステップ関数を選んだのは、単に本技術の感度を
説明するためであり、実際には最初のプロフィルの幅は、露光波長の解像度およ
び開口数によって制限されることを述べておかなければならない。
【0027】 実施例2 化学増幅型フォト・レジスト中の酸の画像 クマロン6は、市販のレーザー色素であって、酸濃度測定に対するその有用性
は、フォト・レジストおよび関連する材料に関する種々の研究において証明され
ている。クマロン6を、193nmのプロトタイプのCAR配合物に、10ppb(
固体含有量に対する)の濃度でドープした。この配合物を、6インチのベア・シ
リコン・ウェハ上に、約0.4μmの厚み(193nmのリソグラフィの場合に標準
的な厚み)までスピン・コートし、塗布後のベークを120℃で60秒間行なっ
た。
【0028】 Zeiss社のAxioskop50顕微鏡(エピ・フルオレス(epi-fluoresce)モードで動
作)を用いて、蛍光体がドープされたレジスト膜を画像化した。75Wキセノン
・アーク・ランプからの光を、すりガラスの散光器および470±20nmの励起
フィルタを通して伝達して、497nmのロング・パス・ダイクロイック・ビーム
・スプリッタで反射させた後、乾燥系で、0.9開口数、100×、無限遠補正
の顕微鏡対物レンズを用いて、サンプル中へ投影する。集められた蛍光を、ダイ
クロイック・ビーム・スプリッタ、515±15nmフィルタ、および500nmロ
ング・パス・フィルタを通して伝達した後、液体窒素冷却された512×512
アレイ、24×24μm画素のCCDカメラ(16ビット解像度)上へ投影する
。投影の際、顕微鏡チューブ・レンズおよび発散レンズの組み合わせを用いて、
さらに拡大する(合計で492×)。
【0029】 図2Aに、レジスト膜の画像の一例を示す。視野は25×25μmである。蛍
光スポットは、単一分子であると考えられる。これらのスポットのうちの5つを
、2次元ガウシアン関数にフィットさせて分析した。フィットさせる5つの自由
パラメータは、振幅、ベース・ライン、幅、および位置(xおよびy座標)であ
った。図2Bに、各スポットについてのデータおよびフィット関数を示す。図2
Cに、y軸に沿ってのデータ・プロフィルを示す。図2Dに、分子位置の測定誤
差を示す。SNRは、5nmの精度が得られるほどに十分高い。これらのデータに
よって、単一分子検出のSNRによって制限される空間解像度を有する、酸濃度
プロフィルを測定するための実行可能な方法が証明される。
【0030】 要約すれば、化学増幅型フォトレジスト中の光生成された酸触媒の拡散を画像
化または測定するための、分光蛍光法に基づく方法が本明細書では開示されてい
る。本方法によって、化学増幅型フォトレジスト中の酸を画像化するための迅速
で高感度な方法が提供される。本発明の方法では、分子レベルでの蛍光検出を可
能にする低濃度のpH依存性蛍光体を用いている。種々のレジスト配合物、種々
の光酸発生剤化合物、および種々のpH依存性蛍光体を用いることができる。
【0031】 本発明は、本発明の趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく、例示した
形態以外の他の特定の形態で具体化しても良い。提示された実施形態は、あらゆ
る点で実例であるとみなされ、本発明の範囲を限定および制限するものとはみな
されないことを意図している。本発明は、特定の実施形態について詳細に説明し
ているが、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内である変形形態および変
更形態が存在することが理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 レジスト膜中の酸濃度プロフィルのグラフィック・シミュレーション(40nm
の拡散長のフィックの拡散後の酸濃度のステップ関数)を示す図である。
【図1B】 分離されたpH感応性蛍光分子を、レジスト膜中にランダム分布させたときの
画像シミュレーションを示す図である(「0」および「+」は、0および1任意
単位の酸濃度を示すスペクトル特性をそれぞれ表わす)。
【図1C】 ランダム分布する分離された分子の位置マップのシミュレーションを示す図で
ある。
【図1D】 分子の位置(xおよびy座標)と表示酸濃度(z座標)とを示す3次元散布図
である。x−z平面への投影によって、解像度が分子のx位置の測定精度によっ
て与えられる酸濃度プロフィルが描かれる。
【図2A】 10ppb(固体含有量に対する)のクマロン6がドーピングされた、0.4mm厚
み、193nmのCARの25×25画像を示す図である。
【図2B】 図2Aから選択された5つの分子の720×720nmの視野(「データ」)、
およびデータに対するガウシアン・フィット(「フィット」)を示す図である。
【図2C】 y軸に沿っての図2Bのデータおよびフィットのプロフィルを示す図である。
【図2D】 分子位置の測定誤差(約5nm)を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),AU,C A,JP Fターム(参考) 2H025 AA00 AB16 AC08 AD03 CC15 CC20 FA12 2H096 AA25 FA01 LA17 LA30

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学増幅型フォト・レジスト中の酸を画像化する方法であっ
    て、 化学増幅型フォト・レジストを放射線に曝露して酸を生成させ、この化学増幅
    型フォト・レジストは、酸が存在すると蛍光を発する少なくとも1種のpH依存
    性蛍光体を含み、このpH依存性蛍光体は、pH依存性蛍光体の個々の分子からの
    蛍光を個別に解像することを可能にする濃度で存在するステップと、 フォト・レジスト中の酸の画像を生成させ、この画像は、pH依存性蛍光体の
    個々の分子または分子群からの蛍光放出に対応する少なくとも1つまたは複数の
    別個の点を含むステップとを含む上記の方法。
  2. 【請求項2】 化学増幅型フォト・レジストが光酸発生剤を含む請求項1に
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 光酸を露光後ベークによって活性化させる請求項2に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 画像を生成することが、デジタル画像蛍光顕微鏡法を含む請
    求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 画像内の各分子の位置をその蛍光放出から決定するステップ
    と、 前記決定された位置に基づいて酸プロフィルを得るステップとをさらに含む請
    求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 画像内の各分子の位置をその蛍光放出から決定するステップ
    と、 決定された位置に基づいて、フォト・レジスト内での酸の拡散の表示を得るス
    テップとをさらに含む請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 蛍光体は100ppb未満の濃度で存在する請求項1に記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 蛍光体は10ppb以下の濃度で存在する請求項7に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 高分子樹脂と、光酸発生剤と、pH依存性蛍光体とを含む化
    学増幅型フォト・レジスト組成物。
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