JP2003529605A - 高分子検出 - Google Patents

高分子検出

Info

Publication number
JP2003529605A
JP2003529605A JP2001572531A JP2001572531A JP2003529605A JP 2003529605 A JP2003529605 A JP 2003529605A JP 2001572531 A JP2001572531 A JP 2001572531A JP 2001572531 A JP2001572531 A JP 2001572531A JP 2003529605 A JP2003529605 A JP 2003529605A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
labeling
peptide
agent
labeling agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001572531A
Other languages
English (en)
Inventor
ジェームズ ピーター
Original Assignee
プロテオム システムズ リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by プロテオム システムズ リミテッド filed Critical プロテオム システムズ リミテッド
Publication of JP2003529605A publication Critical patent/JP2003529605A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • G01N33/6803General methods of protein analysis not limited to specific proteins or families of proteins
    • G01N33/6848Methods of protein analysis involving mass spectrometry
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • G01N33/6803General methods of protein analysis not limited to specific proteins or families of proteins
    • G01N33/6818Sequencing of polypeptides
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • G01N33/6803General methods of protein analysis not limited to specific proteins or families of proteins
    • G01N33/6848Methods of protein analysis involving mass spectrometry
    • G01N33/6851Methods of protein analysis involving laser desorption ionisation mass spectrometry

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 タンパク質を標識する方法であって、(a)タンパク質のリジン残基に存在するε−アミノ酸基を阻害するために該タンパク質を保護剤で処理する工程と、(b)タンパク質を開裂してペプチド混合物にする工程と、(c)ペプチド混合物をペプチドのN末端アミノ酸に結合する標識剤で処理する工程とを備えた方法を提供する。本方法はタンパク質発現の差違を判定する発現差検出方法において使用され得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 −技術分野− 本発明は、タンパク質及びペプチド断片を定量化、同定、解析する方法に関す
る。
【0002】 −発明の背景− 2次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(2D-PAGE)により分離されたタン
パク質抽出物の濃度分析は、その限界にもかかわらず、タンパク質発現を定量的
に研究する方法としては最も確立され、かつ最も利用されている。しかし、この
方法は、染色強度のタンパク質個体差、染色手法の再生性の低さ、そしてタンパ
ク質が重複したりひと続きになったりする不具合により、常に信頼されている訳
ではない。放射性同位体を用いた安定なインビボ(in vivo)代謝標識法により
、この問題への解答が部分的には示されている(文献1,2)。
【0003】 タンパク質同定の問題は、タンパク質消化物からのペプチドの質量(文献3)
か、個々のペプチドの断片化スペクトル(文献4,5)のどちらかに基づく質量
スペクトルデータを用いて、データベースでタンパク質を同定する方法の導入に
より大変革を遂げた。新規タンパク質配列決定とその自動化は、ネイティブなペ
プチド断片化(MS/MS)が可能になって以来ずっと強く関心を持たれてきたこと
である(文献6,7)。同位体による標識化と断片化を導く帯電誘導体が、スペ
クトルの解析を簡素化する手段として研究されてきた(文献8−10)。しかし
、普遍的な解答はまだ現れておらず、未処理の MS/MS スペクトルをデータベー
ス検索に使用することにさえ限界がある。翻訳後修飾に対処する必要性及びゲノ
ムが配列決定されていない生物への有効性が、新しい方法の開発には必要とされ
る。
【0004】 −発明の概要− 本発明者は、1Dゲル分離及び2Dゲル分離において、その分離が部分的のみ
であってもタンパク質の相対的な定量化が可能で、MS/MS 断片化スペクトルの新
規配列決定や自動解析が容易なタンパク質標識方法を開発した。本方法には、ペ
プチド断片のN末端アミノ酸に結合する標識剤でタンパク質の開裂により得られ
たペプチド断片の混合物を標識することが含まれ、リジンに存在するε−アミノ
酸基を阻害するために、タンパク質を開裂の前に保護剤で処理することが含まれ
る。ε−アミノ酸基の阻害は、標識剤が内部のリジンを標識することを防止する
ために必要とされる。
【0005】 したがって、第1の態様において、本発明は、タンパク質を標識する方法を提
供するものであって、 (a)タンパク質のリジン残基に存在するε−アミノ酸基を阻害するために該タ
ンパク質を保護剤で処理する工程と、 (b)タンパク質を開裂してペプチド混合物にする工程と、 (c)ペプチド混合物をペプチドのN末端アミノ酸に結合する標識剤で処理する
工程 とを備えている。
【0006】 工程(a)は、タンパク質のスクシニル化であるのが好ましく、保護剤として
無水コハク酸を使用することが好ましい。
【0007】 工程(b)における開裂は、Asp/GluC(V8)プロテアーゼを用いたインキュベ
ーションによるものであることが好ましい。
【0008】 工程(c)は、1-(H4/D4 ニコチノイルオキシ)スクシンイミド(H4又はD4 Nic
-NHS)エステルで処理する工程であることが好ましい。
【0009】 第2の態様において、本発明は、タンパク質を同定及び/又は解析する方法を
提供するものであって、第1の態様に記載の方法によってタンパク質を標識する
工程と、該工程の後に続く (d)上記ペプチド上の標識量の検出又は測定を行う工程と を備えている。
【0010】 本方法は、更に (e)標識化されたペプチドのアミノ酸配列を同定する工程 を含んでいてもよい。
【0011】 工程(e)は、イオントラップ型質量分析計を用いた質量スペクトル分析によ
るものであるのが好ましい。
【0012】 タンパク質は、標識化の前に他のタンパク質から分離されているのが好ましい
。対象となるタンパク質は、例えば 1D PAGE ゲル又は 2D PAGE ゲルから切り出
され、分析されてもよい。
【0013】 第3の態様において、本発明は第1の細胞と第2の細胞におけるタンパク質発
現を比較又は決定する方法を提供するものであって、 (i) 第1の細胞と第2の細胞からタンパク質を得る工程と、 (ii) 第1の態様に記載の方法により上記第1の細胞と上記第2の細胞からの
タンパク質をそれぞれ標識する工程であって、第1の標識剤が上記第1の細胞か
らのタンパク質の識別に使用され、第2の標識剤が上記第2の細胞からのタンパ
ク質の識別に使用されると共に、上記第1の標識剤と第2の標識剤が識別可能と
なっている工程と、 (iii) ペプチド上の第1及び第2の標識剤の量を検出又は測定する工程と を備えている。
【0014】 第1の標識剤と第2の標識剤とは、質量を基準として識別可能であることが好
ましい。
【0015】 工程(iii)は、MALDI MS であることが好ましい。
【0016】 きわめて好適な実施形態においては、上記第1の標識剤と上記第2の標識材の
うち、何れか一方が軽い同位体を用いた標識を備え、残りの他方が重い同位体を
用いた標識を備える。上記第1の標識剤と上記第2の標識材のうち、何れか一方
が 1-(H4 ニコチノイルオキシ)スクシンイミド(H4 Nic-NHS)エステルであり、
残りの他方が 1-(D4 ニコチノイルオキシ)スクシンイミド(D4 Nic-NHS)エステ
ルであるのが望ましい。
【0017】 上述の方法は、更に (iv) 標識されたペプチドのアミノ酸配列を同定する工程 を備えていてもよい。
【0018】 工程(iv)は、イオントラップ型質量分析計を用いた質量スペクトル分析によ
るものであることが好ましい。
【0019】 第3の態様に特有の実施形態によれば、本発明は、異なる状況下での細胞のタ
ンパク質発現を決定する方法において成立し、 (a)第1の発現状態及び第2の発現状態からタンパク質を得る工程と、 (b)リジンに存在するε−アミノ酸基を阻害するために第1の発現状態及び第
2の発現状態から得られたタンパク質を保護剤で処理する工程と、 (c)第1の発現状態及び第2の発現状態から得られたタンパク質を開裂してペ
プチド混合物にする工程と、 (d)第1の発現状態から得られたペプチド混合物を、ペプチドのN末端アミノ
酸に結合する軽い同位体で標識する試薬で処理する工程と、 (e)第2の発現状態から得られたペプチド混合物を、ペプチドのN末端アミノ
酸に結合する重い同位体で標識する試薬で処理する工程と、 (f)処理済みの第1の発現状態及び第2の発現状態から得られたペプチド混合
物を混ぜ合わせる工程と、 (g)ペプチド上の軽い標識と重い標識の量を検出又は測定する工程と を備えている。
【0020】 第4の態様において、本発明では、ペプチド及び/又はタンパク質に対する標
識剤として、識別用に同位体で標識した2種類以上のスクシニル化剤を使用する
。スクシニル化剤は、1-(H4又はD4 ニコチノイルオキシ)スクシンイミド(H4/D4
Nic-NHS)エステルであることが好ましい。
【0021】 −発明の詳細− 本発明で用いる各方法において、タンパク質は、開裂剤で処理されてペプチド
混合物の状態となり、続いてペプチドのN末端アミノ酸を標識する標識剤で処理
される。標識剤は遊離アミノ基との反応によってN末端と反応するので、内部の
アミノ酸残基、特にリジンに存在するアミノ基への標識剤の結合を阻害するため
にタンパク質の前処理が必要である。リジンのε−アミノ基を阻害しないと、標
識剤はリジンの全ての遊離アミノ基とも結合してしまい、標識されたペプチドの
アミノ酸配列を解析するのが困難になってしまう。
【0022】 よって、保護剤としては、リジン残基のε−アミノ基の阻害に適する任意の保
護剤が用いられる。好適な保護剤の例としては、無水コハク酸等のスクシニル化
剤が挙げられる。
【0023】 タンパク質は、ひとたび保護剤で処理されると、開裂されて断片となる。この
処理は、酵素を用いた手段、もしくは化学的な手段により行われてもよい。酵素
による処理の好例としては、トリプシンを含むプロテアーゼや他のペプチド生成
に適したプロテアーゼを使用する方法がある。タンパク質を開裂して適当な断片
とする技術は、従来技術により公知である。
【0024】 次の工程では、ペプチド混合物を、ペプチドのN末端アミノ酸と結合する標識
剤で処理する。標識剤は、検出可能な標識を備えている。検出可能な標識は、質
量分析法等の質量決定方法により検出できるものであることが好ましい。
【0025】 具体的には、2つ以上の形態で作成可能な標識を使用することが好ましい。ま
た、標識剤や標識が結合するペプチドの異なる形態の質量による識別が可能で、
重要なポイントとして、質量分析法を施す際に、標識が結合するペプチドのイオ
ン化効率に影響を与えない標識を使用することが好ましい。
【0026】 検出可能な標識として特に好適なのは、例えば水素とそれより重い形態である
重水素や三重水素のような数種類の同位体の形で標識剤に混合することが可能な
原子である。他の同位体の例としては、炭素12とそれより重い炭素14がある
【0027】 標識剤としては、N末端アミノ基と反応する任意の液体が用いられる。好適な
実施形態では、標識剤は、1−ニコチノイルオキシスクシンイミドエステル(1-
nicotinoyloxy succinimide ester)、より好適には、1-(H4/D4-ニコチノイルオ
キシ)スクシンイミドエステル(1-(H4/D4-nicotinoyloxy) succinimide ester)
である。
【0028】 本発明におけるタンパク質標識方法は、次に続く検出工程のためにタンパク質
を標識するのに使用してもよい。一般に、検出工程は、検出可能な標識の存在を
定量的に検出する工程を備えている。好適な検出方法としては、MALDI 質量分析
法などがある。
【0029】 検出方法はさらに、標識されたペプチドのアミノ酸配列を同定する技術を備え
ていてもよい。適する技術としては、イオントラップ型分析計を用いた質量スペ
クトル分析などがある。
【0030】 異なる標識を持つ2種類以上の標識剤を使用することにより、2つ以上の異な
るサンプル中のタンパク質の相対的な量を決定できる。特に、本発明における標
識技術を、2つの異なる細胞内のタンパク質発現の比較に使用してもよい。2つ
の異なる細胞は、例えば同じ種類で異なる条件下にある(又は状態の異なる)細
胞でもよいし、違う種類(同条件下、又は異なる条件下)の細胞でもよい。よっ
て、例として、第1の細胞をある作用物質で処理して第2の細胞を未処理とし、
細胞ごとに1つ以上のタンパク質の発現を比較することが可能である。
【0031】 2つの異なる条件とは、休止中の細胞と、ある方法で誘導され又は処理された
細胞であることも可能である。異なる条件下での細胞における発現差により、細
胞内の活動に関する有益な情報が得られることが多い。
【0032】 本発明に従って、第1の細胞から得られた1つ以上のタンパク質を、第1の標
識剤を用いて本発明に記載の方法で標識する一方、第2の細胞から得られた1つ
以上のタンパク質を、第2の標識剤を用いて本発明に記載の方法で標識すること
により、比較が行われる。第1及び第2の標識剤は、各々が識別可能なように異
なる検出可能な標識を備えている。2種類の標識剤は、質量の違いにより識別さ
れるものであるのが好ましい。上述のように、ペプチドが質量分析法により検出
される時には、標識が結合するペプチドのイオン化特性に対して、異なる標識間
の差が殆ど影響を及ぼさないことが重要である。従って、標識が結合する任意の
ペプチドのイオン化生成物が、各標識の質量差に起因する質量差が一貫してある
点を除いてほぼ同一となるような標識を選ぶのが好ましい。適当な標識及び標識
剤の具体的な例としては、上述のように、水素や炭素等の特定の原子の数種類の
同位体を備えることによって互いに相違するものが挙げられる。つまり、好適な
標識剤とは、あるものは重い原子の標識(重い標識)を備え、またあるものは軽
い原子の標識(軽い標識)を備えた標識剤である。
【0033】 第1の細胞及び第2の細胞からの1つ以上のタンパク質は、一般にはクロマト
グラフィーやゲル電気泳動などの技術により他のタンパク質から分離され、本発
明に記載の方法により標識される。例えば、細胞可溶化物を、1次元電気泳動又
は2次元電気泳動、及び対応する切り出されたバンドによって分離してもよい。
【0034】 次に、タンパク質処理後の第1の細胞及び第2の細胞から得られた標識された
ペプチドの混合物を、分離して測定してもよいし、混合して一緒に測定してもよ
い。分離して測定する場合、結果の標定のために定量的な比較が可能な工程を加
えなければならない。
【0035】 第1の細胞と第2の細胞の両方から得られたタンパク質総量に等しい量を標識
して測定する場合、本発明を用いることにより、異なる条件下でのタンパク質発
現の量や種類に関する有益な情報が得られる。例えば、軽い溶剤と重い標識を使
用する場合、ペプチドへの重い標識に対する軽い標識の割合が等しければ、後者
の状態におけるタンパク質発現に変化はなかったことが推測できる。軽い標識に
対し重い標識の割合が増加した場合には、タンパク質発現が増加していたことに
なる。重い標識が検出されない場合には、タンパク質の発現が後者の状態では停
止したか、タンパク質に何か変化が起きてゲル上の別の位置に移動したかのどち
らかとなる。
【0036】 本発明における定量化と新規配列決定を行う方法はどんな場合にも適用可能で
、システインやリジン等のある種のアミノ酸を含むタンパク質を必要としない。
さらに、本方法はインビボ(in vivo)代謝標識法を必要としない。本方法は、
これらのタンパク質を 1D SDS-PAGE により部分的に分離することができ、単一
のバンドに存在する複数のタンパク質を標識化によって定量化することが可能な
ので、膜タンパク質発現の変化の分析に理想的に適する。本方法は自動化にも対
応し、データベース内において、相同性や翻訳後修飾による差違を考慮した柔軟
なシーケンスサーチを可能にする。
【0037】 本明細書全体を通じて、文脈が別の意味を必要としない限り、“備える”やそ
の変形である“備えている”や“備えた”等の表現は、示された要素、整数、工
程、要素の集合、複数の整数、複数の工程を含むことを意味し、他のどんな要素
、整数、工程、要素の集合、複数の整数、複数の工程も含まないことを意味して
はいないことを理解すべきである。
【0038】 本発明がより明確に理解され得るために、好適な形態を以下の例と図面を参考
に説明する。
【0039】 −発明を実施するための形態− 《実験手順》 ◆ 1-(H4/D4 ニコチノイルオキシ)スクシンイミド(H4/D4 Nic-NHS)エステルの
合成 ニコチン酸を無水テトラヒドロフランに溶解し、等量のジシクロヘキシルカル
ボジイミドを反応フラスコ内で2時間、室温で撹拌し続けて混合した。等量のN
−ヒドロキシスクシンイミドを溶液に加え、室温で一晩撹拌した。沈殿物を濾過
して取り出し、酢酸エチルで再結晶化して精製した。
【0040】 ◆タンパク質の化学的修飾 大腸菌 MC4100 を研究室所蔵物(文献16)より入手し、5mMグルコースも
しくは100mMグルコースを唯一の炭素源として加えた人工培地でバクテリア
を培養した。サンプルの準備と2Dゲル分析は、既に記述されているようにして
行った(文献17)。パーソナルレーザーデンシトメーター(Personal Laser D
ensitometer;Molecular Dynamics社製 アメリカ カリフォルニア州サニーベ
ール)でゲルを走査し、2DTMソフトウェア(PDQuest;ファルマシア社製 ス
ウェーデン ウプサラ)を用いてパワーマック(PowerMac)上で画像分析、スポ
ット照合、定量化を行った。分析用に選択したスポットの中心からスポット全体
、もしくは直径1mm2の円状ゲル片を切り取り、0.5%(v/v) トリメチルアミ
ンを含むエタノールで完全に汚れを除去した。スポットを水洗し、アセトニトリ
ルで脱水した。2M尿素と200mMリン酸ナトリウム緩衝液に100mM無水
コハク酸を新たに調合し、すぐに水酸化ナトリウムでpHを8.5に調整した。
試薬溶液100μlでスポットを再水和し、試薬の作りたての溶液を加える前の
2時間、スクシニル化が進行した。純水とアセトニトリルを交互に4回加え、ゲ
ルスポットを脱塩した。最後のアセトニトリル洗浄後、2M尿素の Asp/GluC(V
8)プロテアーゼ1μg含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.8)溶液
10μlでスポットを再水和し、37℃で6時間消化を行った。その後、新たに
調合された H4 Nic-NHSエステルもしくは D4 Nic-NHSエステルの50mMリン酸
ナトリウム緩衝液(pH8.5)溶液を加えてペプチド混合物のN末端を修飾し
た。さらなる一定分量を10分から20分後に加えた。2時間後、0.5Mヒド
ロキシアミンのリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.5)溶液を加え、溶液を一晩
放置した。ギ酸2μlを加えると反応は停止した。
【0041】 ◆ MALDI分析と定量化 加工していない消化物(0.5μl)を、ZiptipTM(ミリポア社製 アメリカ
マサチューセッツ州ベッドフォード)を用いて脱塩し、70%メタノール、1
%酢酸で溶出し、同量のマトリクス溶液(α−シアノ−4−ヒドロキシ−ケイ皮
酸の50%アセトニトリル溶液10mg/ml、1.25%TFA の水溶液)で1つ
に結晶化した。無水サンプルとマトリクス溶液の混合物を、氷冷1%TFA で3度
洗浄し、MALDI ターゲット上の混合物とした。Voyager Elite MALDI-TOF質量分
析計(Perseptive Biosystems社製,アメリカ マサチューセッツ州フラミンガ
ム)のディレイドエクストラクションリフレクター方式で、加速電圧20kV、
パルス遅延時間150ns、グリッド電圧60%、ガイドワイヤー電圧0.05
%の条件で質量スペクトルを記録した。スペクトルは、32レーザーショット間
蓄積される。得られた質量は、マスサーチ(MassSearch)プログラムとペプチド
サーチ(PeptideSeach)プログラム(文献18,19)を有する配列データベー
ス(Swissplot release 38 and nrdb 10 Jan 1999)の検索に使用された。D4
とH4で標識されたペプチドの割合を、相対的なピーク高さより計算し、同定さ
れたタンパク質に特有だとわかる全てのペプチドで平均した。
【0042】 ◆ MS/MS分析及び新規配列決定 Finnigan MAT LC-Qイオントラップ型質量分析計(アメリカ カリフォルニア
州サンホセ)で MS/MS 配列決定を行った。脱塩した消化物の70%メタノール
−1%酢酸溶液を内製のナノスプレーチップに戴置し、シリンジポンプを用いて
流量0.2μl/minで質量分析計内にエレクトロスプレーした。全ての同位体
分布を含むのに十分な幅の質量領域で、関心を引くピークを選択した。MH+
オンに対しては35ないし60単位の相対衝突エネルギーで、またMH2+イオン
に対しては20ないし35単位の相対衝突エネルギーで断片化を実施した。スペ
クトルを手動で解析し、推定した配列を(T)FASTA 相同検索に使用した(文献
20)。
【0043】 《結果及び考察》 ◆実験原理 1D PAGE 又は 2D PAGE で抽出されたタンパク質の同位体標識化により、2つ
の異なる生物状態の間に起こるタンパク質発現の変化の定量化が可能になる(図
1)。タンパク質は、消化前にリジンのε−アミノ基を阻害するため、先ずスク
シニル化される。次に、対応するペプチド生成物のN末端を軽い同位体標識又は
重い同位体標識で反応させて、各発現状態をそれぞれ同定する。消化物を混合す
ることにより定量化が行われ、各状態に存在するタンパク質の量の割合が軽い標
識と重い標識の割合から得られる。4つの質量単位に分離され、MALDI 質量スペ
クトルで得られたピークのピーク高さから、これらの割合を推定する。複数のタ
ンパク質がスポット内に存在しても、各タンパク質の個々の発現割合が得られる
。図1において、2つの状態中でタンパク質Aの発現は一定であるが、一方タン
パク質Bの発現は3倍に増えている。この同位体標識パターンは同時に、質量分
析法による新規ペプチド配列決定を容易にする。MS/MS 断片化中、N末端への正
電荷の定着はbイオン(N末端を含んでいる)の形成に非常に有利に働く。bイ
オンは、一重線として現れるyイオン(C末端から生じる)とは違い、4つの質
量単位に分離された二重線として現れるため、容易に同定可能である。よって、
断片化スペクトルからのペプチド配列の推定は非常に容易である。
【0044】 ◆新規ペプチド配列決定 N末端での選択ニコチニル化を定量的に行うことが可能なタンパク質は、まず
リジン側鎖上でスクシニル化される。この時観察される唯一の副反応は、チロシ
ンのスクシニル化もしくはニコチニル化で、ヒドロキシアミン処理により置換で
きる。大腸菌タンパク質からのペプチド(m/z 1+952/956)の MS/MS スペクトル
を図2Aに示す。bイオン系列は容易に同定され、yイオンの形成にとても有利
に働くC末端のアルギニンがあるにもかかわらず、検出率は完全であった。イオ
ントラップの MS/MS 質量範囲を限定すると(親イオンの質量の約2/3のイオ
ンしか効率よくトラップできない)、完全なイオン系列の蓄積の妨げとなる。今
回は、N末端に対し完全な配列検出率である MS3 実験において、支配的なb3
イオン(422/426)を容易に同定、単離、断片化できる(図2B)。完全な配列(
NMAGSLVR)が迅速に抽出可能である。この配列を、タンパク質を大腸菌
の50Sリボソ−ムサブユニットを持つタンパク質L17(50S ribosomal subu
nit protein L17)として同定する FASTA 相同性検索に使用した。20分間とい
う短い時間でのデータ蓄積で、入手可能な127個のうち47個の残基に対しペ
プチド配列が得られ、検出率は37%であった。
【0045】 全てのペプチドのN末端上におけるアルカリ性の高いニコチニル基の配置は、18 Oを用いたC末端の標識化に関し有利な点がいくつかある(文献12)。bイ
オンの収率が非常に増大し、その同位体パターン(4つの質量単位により分離さ
れたゴールポスト)により容易に同定される。本方法は、任意のタンパク質分解
による消化、もしくは化学的消化に適用でき、かなり廉価で、18Oで標識された
水の再利用がよりしやすくなる(文献13)。bイオン強度が増加してbイオン
を二重線として認識し易くなることで、イオントラップ中において m/z>1000
であるペプチドの配列全体での検出が可能となり、通常配列決定できる範囲を広
げることができる。最終的に、タンパク質のスクシニル化は、内部リジンによる
電荷局在化を抑制してbイオンの収率を増加させ、また低エネルギー MS/MS 断
片化方式におけるリジンとグルタミンの識別を可能にする。
【0046】 ◆2D電気泳動により分離されたタンパク質の同位体定量化 包括的なタンパク質発現の2Dゲル解析が始めて開発されて以来、大腸菌はこ
の技術のモデルシステムの役割を担ってきた(文献14)。ゲノム内の注釈が付
けられたタンパク質を生成する遺伝子が4228個あるにもかかわらず、これま
で2Dゲル上ではたった1600個のスポットしか観察されていない(文献15
)。主要な原因の1つは、数個のタンパク質が1つのスポットに一緒に移動する
ことがよくあるということである。この問題に対処するため、本発明者は、本発
明に係る同位体標識化の手法(図1)を採用し、1Dゲル及び2Dゲルからのバ
ンド/スポットで得られたタンパク質の定量化を可能にした。
【0047】 大腸菌のタンパク質発現プロファイルにおいて炭素源を限定した効果を、2D P
AGE で視覚化した(図3)。強度に強弱のあるスポット40個を切り出し、炭素
成長に限定のない方は軽い試薬で、炭素成長に限定のある方は重い試薬で、それ
ぞれスクシニル化して標識した。同位体の割合を全てのスポットに対して決定し
、ゲル走査で得られた総合的な光学密度比と比較した(表1)。同位体の割合は
、光学密度値と同じ変動性(約±0.05の標準偏差)、ほぼ同じ絶対値を示し
たが、利点が3つあった。1つめは、同位体の値が染色法で頻繁に発生する飽和
状態による影響(この場合スポット4,6,7,16,18,23,36,37)を受
けなかったことである。2つめは、2D分析ソフトウェアでは判定できないよう
な非常に弱い染色スポット(スポット28,31,32,39)に対しても割合が
得られたことである。そして、同位体による方法の最も重要な利点である3つめ
の利点は、1つのスポットに存在する複数のタンパク質を定量化できたことであ
る。スポット37(図3)は、両方のゲルで濃度が高すぎて光学密度では分析で
きなかったが、視覚では減少していることがはっきりと観察できた。標識された
消化物の MALDI MS 分析により、2つのタンパク質が存在し、1つは発現レベル
が変化しなかった recA で、もう1つは欠乏条件下で発現レベルが3倍増加した
malE である(図4)ことがはっきりと示された。2つのタンパク質の相対量は
、異なる配列を持つペプチドのイオン化効率に差があるため、判定不可能である
。状態1と状態2におけるタンパク質の相対量の判定は、ペプチドの配列が同一
で標識の水素/重水素置換のみが異なるので可能であり、少なくとも10個のペ
プチドがタンパク質発現の変化を計算するのに用いられている。スポットが完全
に新規誘導されている場合、迅速な配列決定を可能にするには D4H4 NicNHS の
50:50混合液で修飾すればよい。
【0048】 本発明における定量化と新規配列決定を行う方法は、どんな場合にも適用可能
であり、システインやリジン等のある種のアミノ酸を含むタンパク質を必要とし
ない。さらに、本方法はインビボ(in vivo)代謝標識法を必要としない。本方
法は、複数のタンパク質を1D SDS-PAGE により部分的に分離することができ、単
一のバンドにある複数のタンパク質を同位体標識化によって定量化することが可
能なので、膜タンパク質発現の変化の分析に理想的に適する。本方法は自動化に
も対応し、データベース内を検索し、相同性や翻訳後修飾による差違を考慮した
柔軟なシーケンスを可能にする。
【0049】 ◆表1 光学密度と同位体比によるタンパク質の定量化の比較を示す。図4で標識され
たタンパク質スポットをスクシニル化し、Asp/GluC プロテアーゼで消化し、図
1に概略を述べたように軽い試薬もしくは重い試薬で修飾した。MSスペクトルよ
り得られた D4/H4 比を、MALDI スペクトルでの相対ピーク高さから計算した。D
4/H4 比を、クマシー染色されたゲルをレーザ濃度計内で走査することにより得
られた光学濃度比と比較した。1つ以上のタンパク質を含むスポットに関しては
、タンパク質の変化する割合のみを測定している。飽和状態を示す強く染色して
いるスポットを*で、染色が弱すぎて2D分析ソフトウェアでは定量化不可能な
スポットを#で示している。
【0050】
【表1】
【0051】 当業者には、実施形態に示される発明に対し、概略して述べられている本発明
の精神や範疇から逸脱することなく、多数の変更及び/又は修正が可能であるこ
とが理解されよう。従って、本実施形態は例示されるあらゆる点において検討さ
れるべきであり、かつ限定されるものではない。
【0052】 −参考文献− 1. オダ,Y.,ファン,K.,クロス,F.R.,カウバーン,D.,シャ
イト,B.T.「タンパク質発現の精密測定と部位特定的なリン酸化反応」Proc
Natl Acad Sci USA 96,6591-6596(1999) (Oda,Y.,Huang,K.,Cross,F.R.,Cowbur
n,D.&Chait,B.T. Accurate quantitation of protein expression and site-spe
cific phosphorylation) 2. マッコンキー,E.H. 「ゲル電気泳動後の複合タンパク質混合物比較
用二重標識オートラジオグラフィー」Anal Biochem 96,39-44(1979) (McConkey,
E.H. Double-label autoradiography for comparison of complex protein mixt
ures after gel electrophoresis) 3. コットレル,J.S. 「ペプチドマスフィンガープリティングによるタ
ンパク質同定」Pept Res 7,115-124(1994) (Cottrell,J.S. Protein identifica
tion by peptide mass fingerprinting) 4. エング,J.K.,マコーマック,A.L.,イェーツ,J.R. 「ペ
プチドのタンデム質量スペクトルデータとタンパク質データベース内の配列との
相関」J Am Soc MassSpec 5, 976-989(1994) (Eng,J.K.,McCormack,A.L.&Yates,
J.R. Correlating tandem mass spectral data of peptides to sequences in a
protein database) 5. マン,M.,ウィルム,M. 「ペプチド配列標識による配列データベー
スでのペプチドの誤差許容可能な同定」Anal Chem 66,4390-4399(1994) (Mann,M
.&Wilm,M. Error-tolerant identification of peptides in sequence database
s by peptide sequence tags) 6. ハント,D.F.,イェーツ,J.R.d.,シャバノビッツ,J.,ウ
ィンストン,S.,ハウアー,C.R.「タンデム質量分析法によるタンパク質
配列決定」Proc Natl Acad Sci USA 83,6233-6237(1986) (Hunt,D.F., Yates,J.
R.d., Shabanowitz,J.,Winston,S.&Hauer,C.R. Protein sequencing by tandem
mass spectrometry) 7. ジョンソン,R.S.,ビーマン,K. 「ペプチドの高エネルギー衝突
タンデム質量スペクトル解析支援用コンピュータプログラム(SEQPEP)」
Biomed Environ Mass Spectrom 18, 945-957(1989) (Johnson,R.S.&Biemann,K.
Computer program (SEQPEP) to aid in the interpretation of high-energy co
llision tandem mass spectra of peptides) 8. ハント,D.F.,ブコ,A.M.,バラード,J.M.,シャバノビッ
ツ,J.,ジョルダーニ,A.B. 「三連四重極型質量分析計での衝突活性化
解離によるポリペプチドの配列分析」Biomed Mass Spectrom 8,397-408(1981) (
Hunt,D.F.,Buko,A.M.,Ballard,J.M.,Shabanowitz,J.&Giordani,A.B. Sequence a
nalysis of polypeptides by collision activated dissociation on a triple
quadrupole mass spectrometer) 9. シュペングラー,B.他 「ポストソース分解MALDI質量分析法によ
る帯電誘導体のペプチド配列決定」Int.J. Mass Spectrom. 169/170,127-140(19
97) (Spengler,B. et al. Peptide sequencing of charged derivatives by pos
t-source decay MALDI mass spectrometry) 10. シュツルツ,J.T.,レイ,J.,マックン,S.,ウェッツェル,
R. 「アミノ末端誘導化によるペプチドの高エネルギー衝突スペクトルの簡略
化」Anal Chem 65,1703-1708(1993) (Stults,J.T.,Lai,J.,McCune,S.&Wetzel,R.
Simplification of high-energy collision spectra of peptides by amino- t
erminal derivatization) 11. ギュギー,S.P.他 「同位体コードアフィニティータグを用いた複
合タンパク質混合物の定量分析」Nat Biotechnol 17,994-999(1999) (Gygi,S.P.
et al. Quantitative analysis of complex protein mixtures using isotope-
coded affinity tags) 12. タカオ,T.他 「カルボキシル末端が酸素18で標識されたペプチド
の配列イオンの容易な指定」Rapid Commun Mass Spectrom 5,312-315(1991) (Ta
kao,T. et al. Facile assignment of sequence ions of a peptide labelled w
ith 180 at the carboxyl terminus) 13. シュノルザー,M.,イェルゼイェフスキ,P.,レーマン,W.D.
「酸素18のペプチド断片へのプロテアーゼを触媒とした結合及びエレクトロ
スプレー並びにマトリックス支援レーザ脱離/イオン化質量分析法によるタンパ
ク質配列決定への適用」Electrophoresis 17,945-953(1996) (Schnolzer,M., Je
drzejewski,P. &Lehmann,W.D. Protease-catalyzed incorporation of 180 into
peptide fragments and its application for protein sequencing by electro
spray and matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry)
14. ペデルゾン,S.,ブロッホ,P.L.,レー,S.,ナイトハート,
F.C. 「大腸菌におけるタンパク質合成パターン:異なる成長速度での14
0個の単一タンパク質の量のカタログ」Cell 14,179-190(1978). (Pederson,S.,
Bloch,P.L., Reeh,S.&Neidhart,F.C. Patterns of protein synthesis in E. c
oli: a catalog of the amount of 140 individual proteins at different gro
wth rates) 15. ファンボーゲレン,R.A.,アブシア,K.Z.,モルドーバー,B
.,オルソン,E.R.,ナイトハルト,F.C. 「遺伝子−タンパク質デー
タベースを用いた大腸菌プロテオーム分析」Electrophoresis 18,1243-1251(199
7) (VanBogelen,R.A.,Abshire,K.Z.,Moldover,B.,Olson,E.R.&Neidhardt,F.C. E
scherichia coli proteome analysis using the gene-protein database) 16. ケルテス,M.A.,ライシンガー,T.,クック,A.M. 「大腸
菌、プチダ菌、黄色ブドウ球菌において硫酸化制限により誘起されたタンパク質
」J Bacteriol 175,1187-1190(1993) (Kertesz,M.A.,Leisinger,T.&Cook,A.M. P
roteins induced by sulfate limitation in Escherichia coli, Pseudomonas p
utida, or Staphylococcus aureus) 17. デイニーズ,P.他 「遺伝子ノックアウトと質量分析法によるプロテ
ノーム分析との組み合わせを用いたタンパク質機能の証明」Electrophoresis 18
,432-442(1997) (Dainese,P. et al. Probing protein function using a combi
nation of gene knockout and proteome analysis by mass spectrometry) 18. ジェイムス,P.,クワドローニ,M.,カラフォリ,E.,ゴネット
,G. 「質量分布を用いたフィンガープリンティングによるタンパク質同定化
」Biochem Biophys Res Commun 195,58-64(1993) (James,P., Quadroni,M., Car
afoli,E. &Gonnet,G. Protein identification by mass profile fingerprintin
g) 19. マン,M.,ホジュルップ,P.,レープシュトルフ,P. 「配列デ
ータベースでタンパク質を同定するための質量分析法による分子量情報の利用」
BiolMass Spectrom 22,338-345(1993) (Mann,M.,Hojrup,P.&Roepstorff,P. Use
of mass spectrometric molecular weight information to identify proteins
in sequence databases) 20. ピアソン,W.R. 「FASTP及びFASTAを用いる迅速で高感
度の配列比較」Methods Enzymol 183,63-98(1990) (Pearson,W.R. Rapid and se
nsitive sequence comparison with FASTP and FASTA)
【図面の簡単な説明】
【図1】 タンパク質の定量化と配列決定の手法を示す。異なる条件下で得られた細胞か
らの抽出物を、2次元 SDS-PAGE 電気泳動法で分離する。個々のスポットを選択
して切り出し、リジン残基を Asp/GluC プロテアーゼによる消化の前にスクシニ
ル化する。状態1で得られたペプチドのN末端を軽い試薬 H4NicNHS(1-(H4-ニ
コチノイルオキシ)スクシンイミド)により、状態2で得られたペプチドのN末
端を重い試薬 D4NicNHS により、それぞれ明確に標識する。消化物を混合し、個
々のペプチドの D4/H4 比からタンパク質の相対量を定量化するために、画分を
MALDI MS で分析する。次に、発現レベルの変化を示しているタンパク質からで
きたペプチドを、タンデム質量分析法で分析する。
【図2】 MS/MS によるペプチド配列決定を示す。大腸菌タンパク質をスクシニル化し、
V8 プロテアーゼとトリプシンの混合物で消化した。消化物を、H4/D4-ニコチノ
イル化し、その後C18ビーズを含むマイクロチップ上で脱塩し、イオントラッ
プ型質量分析計内でのナノエレクトロスプレーイオン化により分析した。1価の
親イオンの同位体クラスタ952/956は修飾(本図Aに示すズームスキャン)によ
る特徴的な同位体分布をはっきりと示している。ペプチドクラスタを単離し、CA
D MS/MS を施す(本図B)。全てのbイオンは4つの質量単位に分離された二重
線として現れるが、一方yイオンは単に一重線である。隣接する二重線間の質量
差より配列を迅速に読み出すことができる。MS/MS 条件下ではイオンをトラップ
する質量範囲が限られているため、部分的な配列しか読み出されなかった。全体
の配列はスペクトルの最小の二重線(422/426,b3)の MS/MS/MS 分析により得ら
れる。ペプチドの完全な配列(NMAGSLVR)を推定し、50Sリボソ−ムサ
ブユニットを持つタンパク質L17として検索する FASTA法によりタンパク質を
同定した。
【図3】 完全な培地(本図A)と炭素を制限した培地(本図B)で成長した大腸菌の2
次元SDS-PAGEによる分離を示す。2つのゲルから切り出したタンパク質の位置を
本図Aに示す。
【図4】 図3に示すスポット37における混合された消化物の MALDI質量スペクトルを
示す。スペクトルは2つの種が存在することを示しており、そのうちアスタリス
クで示すペプチドの第1の列は、MS/MS 配列決定により recA(DNA依存性A
TPアーゼ)として同定された発現レベルが変化していないタンパク質より発生
している。第2の列は、炭素が限定された条件下で3重に折れて増殖した malE
(ペリプラズム内でのマルトース結合タンパク質)として同定されたタンパク質
より発生している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/58 G01N 33/68 33/68 27/26 315Z 315H (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US, UZ,VN,YU,ZA,ZW

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質を標識する方法であって、 (a)タンパク質のリジン残基に存在するε−アミノ酸基を阻害するために該
    タンパク質を保護剤で処理する工程と、 (b)上記タンパク質を開裂してペプチド混合物にする工程と、 (c)上記ペプチド混合物を上記ペプチドのN末端アミノ酸に結合する標識剤
    で処理する工程と を備えている方法。
  2. 【請求項2】 上記工程(a)が上記タンパク質のスクシニル化である請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 上記保護剤が無水コハク酸である請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 上記工程(b)における開裂が Asp/GluC(V8)プロテアー
    ゼを用いたインキュベーションによるものである請求項1乃至3の何れか1つに
    記載の方法。
  5. 【請求項5】 上記工程(c)が 1-(H4/D4 ニコチノイルオキシ)スクシン
    イミド(H4又はD4 Nic-NHS)エステルで処理する工程である請求項1乃至4の何
    れか1つに記載の方法。
  6. 【請求項6】 タンパク質を同定及び/又は解析する方法であって、 請求項1乃至5の何れか1つに記載の方法によってタンパク質を標識する工程
    と、 該工程の後に続く (d)上記ペプチド上の標識量の検出又は測定を行う工程と を備えている方法。
  7. 【請求項7】 上記検出又は測定が質量分析法によって行われる請求項6記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 上記質量分析法が MALDI 質量分析法である請求項7記載の
    方法。
  9. 【請求項9】 (e)上記標識されたペプチドのアミノ酸配列を同定する工程 を備えている請求項6乃至8の何れか1つに記載の方法。
  10. 【請求項10】 上記工程(e)がイオントラップ型質量分析計を用いた質
    量スペクトル分析によるものである請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 上記タンパク質が標識化の前に他のタンパク質から分離さ
    れている請求項1乃至10の何れか1つに記載の方法。
  12. 【請求項12】 上記タンパク質が1D又は2Dポリアクリルアミドゲル電
    気泳動法(PAGE)により分離されている請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 第1の細胞と第2の細胞におけるタンパク質発現を比較又
    は決定する方法であって、 (i) 第1の細胞と第2の細胞からタンパク質を得る工程と、 (ii) 請求項1乃至5の何れか1つに記載の方法により上記第1の細胞と上
    記第2の細胞からのタンパク質をそれぞれ標識する工程であって、第1の標識剤
    が上記第1の細胞からのタンパク質の識別に使用され、第2の標識剤が上記第2
    の細胞からのタンパク質の識別に使用されると共に、上記第1の標識剤と第2の
    標識剤が識別可能となっている工程と、 (iii) ペプチド上の第1及び第2の標識剤の量をそれぞれ検出又は測定する
    工程と を備えている方法。
  14. 【請求項14】 上記第1の標識剤と第2の標識剤とが質量を基準として識
    別可能になっている請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 上記工程(iii)が MALDI MS である請求項14記載の方
    法。
  16. 【請求項16】 上記第1の標識剤と上記第2の標識材のうち、何れか一方
    が軽い同位体を用いた標識を備え、残りの他方が重い同位体を用いた標識を備え
    ている請求項14又は15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 上記第1の標識剤と上記第2の標識材のうち、何れか一方
    が 1-(H4 ニコチノイルオキシ)スクシンイミド(H4 Nic-NHS)エステルであり、
    残りの他方が 1-(D4 ニコチノイルオキシ)スクシンイミド(D4 Nic-NHS)エステ
    ルである請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】 (iv) 上記標識されたペプチドのアミノ酸配列を同定する工程 を備えている請求項13乃至17の何れか1つに記載の方法。
  19. 【請求項19】 上記工程(iv)がイオントラップ型質量分析計を用いた質
    量スペクトル分析によるものである請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 上記標識されたペプチド混合物を互いに混ぜ合わせてから
    上記工程(iii)を行う請求項13乃至19の何れか1つに記載の方法。
  21. 【請求項21】 ペプチド及び/又はタンパク質に対する標識剤としての、
    識別用に同位体で標識した2種類以上のスクシニル化剤の使用。
  22. 【請求項22】 上記スクシニル化剤が 1-(H4 ニコチノイルオキシ)スクシ
    ンイミドエステルと 1-(D4 ニコチノイルオキシ)スクシンイミドエステルである
    請求項21記載のスクシニル化剤の使用。
JP2001572531A 2000-04-03 2001-04-03 高分子検出 Pending JP2003529605A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
AU6643 1995-11-20
AUPQ6643A AUPQ664300A0 (en) 2000-04-03 2000-04-03 Macromolecule detection
PCT/AU2001/000366 WO2001074842A1 (en) 2000-04-03 2001-04-03 Macromolecule detection

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003529605A true JP2003529605A (ja) 2003-10-07

Family

ID=3820739

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001572531A Pending JP2003529605A (ja) 2000-04-03 2001-04-03 高分子検出

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20030175804A1 (ja)
EP (1) EP1268513A4 (ja)
JP (1) JP2003529605A (ja)
AU (1) AUPQ664300A0 (ja)
WO (1) WO2001074842A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008196965A (ja) * 2007-02-13 2008-08-28 Kyoto Univ 質量分析法を用いたペプチドのアミノ酸配列決定方法、該方法に使用されるペプチド誘導体化試薬、及び試薬キット

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NZ529985A (en) * 2001-06-07 2006-02-24 Xzillion Gmbh & Co Method for characterizing polypeptides
GB0123858D0 (en) * 2001-10-05 2001-11-28 James Peter Method for analysing protein/peptide expression
GB0130845D0 (en) * 2001-12-22 2002-02-06 James Peter Analysis
EP1475632B1 (en) * 2002-02-14 2013-05-22 Ajinomoto Co., Inc. Method of analyzing aminofunctional compound and analytical reagent
WO2004070352A2 (en) * 2003-01-30 2004-08-19 Applera Corporation Methods, mixtures, kits and compositions pertaining to analyte determination
GB0314209D0 (en) * 2003-06-19 2003-07-23 Amersham Biosciences Ab Novel MS reagents
WO2006055615A2 (en) * 2004-11-15 2006-05-26 University Of North Dakota A method for single oxygen atom incorporation into digested peptides using peptidases
US8580534B2 (en) * 2006-06-30 2013-11-12 The University Of North Dakota Method for incorporation of two oxygen atoms into digested peptides using peptidases
US11385238B2 (en) * 2017-06-30 2022-07-12 Amgen Inc. Methods of protein clips recovery
CN107974443A (zh) * 2017-12-28 2018-05-01 栗婧闻 一种用于制备脾肽的酰化蛋白酶组合物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008196965A (ja) * 2007-02-13 2008-08-28 Kyoto Univ 質量分析法を用いたペプチドのアミノ酸配列決定方法、該方法に使用されるペプチド誘導体化試薬、及び試薬キット

Also Published As

Publication number Publication date
WO2001074842A1 (en) 2001-10-11
EP1268513A1 (en) 2003-01-02
EP1268513A4 (en) 2004-04-07
US20030175804A1 (en) 2003-09-18
AUPQ664300A0 (en) 2000-05-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Yan et al. Mass spectrometry-based quantitative proteomic profiling
James Protein identification in the post-genome era: the rapid rise of proteomics
Guerrera et al. Application of mass spectrometry in proteomics
CA2465297C (en) Method of mass spectrometry
JP4672615B2 (ja) 迅速かつ定量的なプロテオーム解析および関連した方法
US20100137151A1 (en) Protein Expression Profile Database
WO2002083923A2 (en) Methods for quantification and de novo polypeptide sequencing by mass spectrometry
Goodlett et al. Proteomics without polyacrylamide: qualitative and quantitative uses of tandem mass spectrometry in proteome analysis
JP2003529605A (ja) 高分子検出
US7244411B2 (en) Method of selective peptide isolation for the identification and quantitative analysis of proteins in complex mixtures
US7371514B2 (en) Serial derivatization of peptides for de novo sequencing using tandem mass spectrometry
JP2010503852A (ja) C末端のペプチドの識別に基づいたタンパク質の試料を分析するための方法
GB2394545A (en) Mass spectrometry
Schweigert Characterisation of protein microheterogeneity and protein complexes using on-chip immunoaffinity purification-mass spectrometry
EP1469313A1 (en) Method of mass spectrometry
KR20110121842A (ko) 펩티드 아미노기 치환용 화합물 엔-메틸피페라진 아세트산의 동위 이성질체 및 질량 분석기를 이용한 펩티드 정량 방법
AU2001243949A1 (en) Macromolecule detection
Wise et al. Advanced Ion Trap Mass Spectrometry for the Rapid and Confident Identification of Biological Agents
CA2487821A1 (en) Method to identify constituent proteins by peptides profiling
GB2408574A (en) Method of mass spectrometry