JP2003529320A - 除草作用部位としてのトリプトファンシンターゼ - Google Patents

除草作用部位としてのトリプトファンシンターゼ

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、除草剤として有用なトリプトファンシンターゼ(TS)の阻害剤を同定する方法、除草剤を含むTS、本発明の除草剤及び他の公知除草剤に対して抵抗性のあるTS酵素の変種体の設計方法、TS酵素変種体それ自体、これらTS酵素変種体をエンコードするポリヌクレオチド、このTS酵素変種体を発現する植物、並びに雑草の防除方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [本発明の技術分野] 本発明は、除草剤として有用なトリプトファンシンターゼ(TS)の阻害剤を
同定する方法、除草剤を阻害するTS、本発明の除草剤及び他の公知除草剤に対
して耐性のある変位型TS酵素を設計する方法、変位型TS酵素それ自体、この
変位型TS酵素をエンコードするポリヌクレオチド、変位型TS酵素を発現する
植物、及び雑草の防除方法に関する。
【0002】 [本発明の背景] 農業において、新しい作用機構を有する除草剤、新しい処理の標的とされる化
合物、経路、及び植物中の酵素に対する要求が増えている。個々の除草剤は、異
なる一群の雑草に害を与えることもある。各種農作物における雑草の範囲は、気
候及び土壌因子が変化し、そして生態学上の変化により土地が肥えた状態となる
雑草の明白な減少をもたらすように、絶えず変化している。後者は、農業生態系
からその他の方法でより競争的な種を取り除くのを継続したこと及び新しい農業
的な実施の両方による結果である。従って、新規な除草剤化合物は価値がある。
新しい除草剤標的は際立った価値さえある。なぜなら、雑草群の天然変種体が、
古くからの除草剤を長期に亘り使用してきた農場で豊富になる場合に、古くから
の除草剤の標的に損害を与えることができるからである。結果として、新たな作
用形式の新規な除草剤は、農業における以下の問題を扱う必要があるとされる:
即ち、雑草群の転位法を開発すること、抵抗性雑草の不注意に選択すること、及
び改善された環境性を有する特定の農業化学に対する必要性である。さらに、除
草剤抵抗性形質を有する遺伝形質転換農作物を大いに重要視して、新規な化学作
用ばかりでなく、新規な抵抗性除草剤の標的遺伝子に関与させる必要性がある。
【0003】 本願出願人は、TS、即ちトリプトファン生合成に含まれる酵素が除草剤の有
用な標的部位であることを驚くべきことに発見した。TSの相同遺伝子の不足及
び動物におけるトリプトファンの合成経路は有効である。なぜなら、本発明に従
い設計される除草剤が人間及び動物に対して毒性がないからである。
【0004】 トリプトファンシンターゼ(TS)は、トリプトファン生合成において最後の
2つの反応を触媒し且つ四種類のサブユニット、即ち二種類のαサブユニットと
二種類のβサブユニットから構成されている。TSαサブユニットは、インドー
ルグリセロール−3−ホスフェート(IGP)を開裂させて、インドールとD−
グリセルアルデヒド−3−ホスフェート(GAP)を得る逆反応を触媒する。T
Sαサブユニット反応より得られるインドールは、25オングストロームの溝を
介してβサブユニットの活性部位に運ばれる。このβサブユニットは、L−セリ
ンとインドールを縮合させて、トリプトファンを形成する反応を触媒する。図1
は、これらの反応を示している。この反応で合成されるトリプトファンは、必須
アミノ酸の1種である。トリプトファンは、植物ホルモンであるインドール酢酸
の前駆体であるという証拠がある。
【0005】 TSの阻害剤を同定する試みがなされてきた。例えば、基質類似体であるイン
ドール−3−プロパノールホスフェート(IPP)は、TSαサブユニットの阻
害剤として開示された(Kirschner et al., Eur. J. Biochem., 1975, 60:513)
。しかしながら、この実施例に示されるように、IPPによる酵素活性の阻害レ
ベルは控えめである。この化合物は、いかなる除草活性を有していない。
【0006】 Shuto等(Pesticide Sci., 1989, 14:69)は、特定のピリジン誘導体のTS阻
害能力に関して、TSβ反応の阻害用試験と考えられている古くからのアッセイ
おいて試験した。Shutoは、係る化合物数種類をイネ植物で試験し、そして2−
メルカプトベンズイミダゾール(MBI)1種類に関してのみ植物の成長が低減
するのを見出した。しかしながら、Shutoは、TSがMBIの直接の標的であっ
たかどうか示さなかった。作用機構、即ちトリプトファン生合成の阻害によって
成長が低減するかどうか(多くの酵素の非選択性阻害と対照させて)は、この論
文から明らかでない。化合物は、TS酵素複合体との特定の相互作用について示
されなかったし、或いは提供する外因性トリプトファンが阻害剤の有害な効果を
逆転させることができるかの調査ついて行われた実験でもなかった。この化合物
は、Shutoにより開示された最も活性な酵素阻害剤とはいえ、TSに対する活性
がIPPより遙かに低いものである。従って、Shutoによる論文公開後十年たっ
ても、除草活性を有するTSの直接の阻害剤に対する必要性が当該分野において
残っている。
【0007】 ここで、本発明者等は、除草剤転換法(herbiced-reversal method)及び結晶
学の研究を用いることによって、TSが本発明の阻害剤に対して直接的な標的で
あることを実験的に証明した。従って、本発明者等は、本発明の方法(例えば、
TS阻害剤用の高処理量スクリーニング、TS阻害剤の構造基礎設計、及び除草
剤抵抗性遺伝子の発生方法)及びこれの好適な除草剤の同定に使用する方法を驚
くべきことに見出した。
【0008】 [本発明の要約] 本発明は、TS阻害剤であり且つTSに結合し、そしてトリプトファン生合成
を阻害することにより作用する除草剤の同定方法、新規な除草剤、及びこの除草
剤を雑草の防除に使用する方法に関する。
【0009】 従って、本発明の一側面において、TSに結合し、そしてトリプトファン生合
成を阻害する特性を有するTSの阻害剤、並びにTSの単離された複合体及び本
発明の阻害剤を提供する。
【0010】 別の態様において、(i)構造に基づいたアプローチ及び/又は(ii)標的
とされる高処理量化合物のスクリーニングによって、新規なTS阻害剤の同定方
法を提供する。
【0011】 本発明の別の側面において、植物TSを植物組織から又は組み換え形成された
植物TSを含む微生物培養から精製する方法及び係る精製処理植物酵素をさらに
提供する。
【0012】 また他の側面において、本発明は、本発明の阻害剤によって阻害に対して抵抗
性のあるTS酵素の変種体、及び変異型TSを発現する遺伝形質転換栽培植物を
提供する。
【0013】 別の側面において、本発明は、本発明に従い同定される除草剤による雑草の防
除方法を提供する。
【0014】 [図面の簡単な説明] 図1は、TSαサブユニット及びTSβサブユニット反応を示すスキームであ
る。
【0015】 図2は、トリプトファン生合成に対するホスフェート阻害剤1〜5の化学構造
を図示している。
【0016】 図3A〜3Eは、αサブユニット活性部位:(A)阻害剤1、(B)阻害剤2
、(C)阻害剤3、(D)阻害剤4及び(E)阻害剤5での、水素結合の相互作
用及び5種類のホスフェート開始剤と触媒性残基間の相対距離を図式的な図であ
る。
【0017】 図4は、TSとインドール−プロパノール−3−ホスホン酸の複合体を示して
いる(ワイヤーメッシュダイヤグラムにより示される、コナリー表面(デルフィ
発生静電ポテンシャルにより着色される、1.4Å(0.14nm)のプローブ
半径)の概略を表す、αTSの活性部位ポケットにおけるモデルを充填する紫色
の空間)。注:インドールの 図5は、ポケットにおいて、TSと{4−[(2−アミノ5−メトキシ−フェ
ニル)チオ]ブチル}ホスホン酸との複合体を示している。ファンデルワールス
定数による類似点を増大させる、結合部位の改善された充填を注意する。
【0018】 図6はTSαのインドール環基に対する結合部位の図を表している。黄色面は
、TSα結合ポケットのコナリー表面を示している。青色の、ball-and-stickモ
デルはエックス線構造(2trs)において見出されたインドール環の位置を表
している。赤色のstickモデルは{4−[(2−アミノ−5−メトキシフェニル
)チオ]ブチル}ホスホン酸の位置を表している。LUDI調査から選択される断片
(フラグメント)の該当物を緑色で示す。{4−[(2−アミノ−5−メトキシ
フェニル)チオ]ブチル}ホスホン酸のメチル基等の嵩高い基の添加は空間に一
部を占めることを示している。実際、TSとの複合物におけるこの化合物のエッ
クス線構造は、メトキシ基をこのモデルに矛盾しない広範囲な回転に付すことを
示している。
【0019】 図7は、活性部位に結合される{4−[(2−アミノ−5−メトキシフェニル
)チオ]ブチル}ホスホン酸とのTSの構造に覆われるLudi Fragmentのヒット
#10を示している。このプログラムは、αAsp60との相互作用部位として
NH基の代わりのOHを含むフラグメントを見出した。阻害剤の結合を、NH をOHで置き換えることによって僅かに低減させる一方、フェノール性基によっ
て極めて良好な除草側面を、好ましくは摂取及び転移の向上の結果として増大す
る酸性度によってもたらす。
【0020】 図8は、TSに結合されるインドール−プロパノール−ホスフェート及び他の
αA129(空間を充填して表す、左側)とαIle153(空間を充填したモ
デル、右側:これらの部位は変異体に対して高い引きつける力のある標的である
)との間によって形成されたポケットに延在する4−[(2−アミノ−5−メト
キシフェニル)チオ]ブチル}ホスホン酸(中心を緑色の球体)の重ね合わせを
示している。
【0021】 [発明の詳細な説明] 全ての特許、特許出願及びここに引用された文献は、これらの全体を参照する
ことにより取り込まれる。矛盾する場合には、本発明の開示が支配する。
【0022】 本発明は、TS阻害剤で得ある除草剤、新規な除草剤、これらの除草剤に対し
て抵抗性がある遺伝子工学的な農作物及び該除草剤を雑草の防除に使用する方法
に関する。
【0023】 除草阻害剤: ここに特に列挙されたTSの除草阻害剤並びに以下に開示された方法によって
同定された阻害剤は、TSに結合し且つトリプトファン生合成を阻害する特性を
有している。生きている生物又は組織にトリプトファンを調和させて供給するこ
とにより予防される、又は実質上改善されるために、これら阻害剤の除草効果を
示すことができる。ここで使用される用語「除草阻害剤」は、(i)TSに結合
し且つトリプトファンの合成を阻害する性質(in vitro及び/又はin vivo)を
有し、及び(ii)除草剤として効果的である化合物を意味する。
【0024】 50%の酵素活性(I50)の除去に必要とされる濃度が、低いnM〜約20
μMの範囲内である場合に、化合物は「阻害剤として効果がある」とされる。一
態様において、このI50値は、最大で約10μM、好ましくは最大で約1μM
そして最も好ましくはこれ未満である。別の態様において、酵素活性のレベルは
500nM未満である。
【0025】 植物又は植物の組織が死ぬか、又はひどい損害を受けるか若しくは成長が妨げ
られ、これにより種子を結実するために生き残るか、又は化合物で処理した後に
農業生態学的に拮抗的であるともはや期待されない場合に、化合物は「除草剤と
して効果がある」とされる。効果的な除草剤であるとされる化合物の場合、損害
を受けた植物の平均を提供するべきである。必要とされる化合物の量は、因子の
数に応じて異なるであろうが、この因子に1つは、阻害剤を妥当な濃度で使用し
た場合に化合物が植物において重大な処理を妨げるものとなるであろう。この濃
度をin vitroで測定することができ、そして他の全ての因子が等しく且つin vit
roを最も抑制する化合物が除草剤として最も抑制とされるポテンシャルを有する
という理屈にかなっている。市販の生存能力のある除草剤は、20μM未満、好
ましくは1μM未満の濃度で標的酵素の活性の50%を阻害するであろう。
【0026】 ここで参照される「in vitro」は、植物の有機的組織体の外側を意味する。こ
の用語は、無細胞系と有細胞系(例えば、アッセイ)の両方を包含する。
【0027】 本発明の除草阻害剤は、酵素の活性部位、例えばα若しくはβサブユニットの
活性部位又はサブユニットを結合する疎水性の管路等に結合する。本発明の一態
様において、本発明による除草阻害剤はαサブユニットの活性部位に結合する化
合物である。
【0028】 本発明の好ましい態様において、除草TS阻害剤は、式I:
【0029】
【化4】 [但し、Yが水素又はハロゲンを表わし、 ZがNH又はORを表わし、 Rが水素、C〜Cアルキルカルボニル又はベンゾイルを表わし、 nが0、1又は2の整数を表わし、 Wが−(CH−、−CHCH=CHCH−又は−CHCHCH
=CH−を表わし、 R及びRがそれぞれ独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアル
キルカルボニルオキシメチレン又はアルカリ金属、アンモニウム若しくは有機ア
ンモニウムのカチオンを表す] で表される構造式を有するアリールチオアルキル−及びアリールチオアルケニル
ホスホン酸及び誘導体である。
【0030】 本発明による除草剤の好ましい式Iでは、 Yが水素、F又はBrを表わし、 ZがNH又はORを表わし、 Rが水素、C〜Cアルキルカルボニル又はベンゾイルを表わし、 nが0又は1を表わし、 Wが−(CH−又は−CHCHCH=CH−を表わし、 R及びRがそれぞれ独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアル
キルカルボニルオキシメチレン又はアルカリ金属、アンモニウム若しくは有機ア
ンモニウムのカチオンを表す。
【0031】 特に効果的な除草剤である、本発明によるアリールチオアルキル−及びアリー
ルチオアルケニルホスホン酸及び誘導体は、特に {4−[(o−ヒドロキシフェニル)チオ]ブチル}ホスホン酸; {4−[(o−アミノフェニル)チオ]ブチル}ホスホン酸ジエチル; {4−[(o−アミノフェニル)チオ]ブチル}ホスホン酸ジリチウム; {4−[(o−アミノフェニル)チオ]ブチル}ホスホン酸、シクロヘキシル
アミンを含む化合物(1:2); ビス(ヒドロキシルメチル){4−[(o−ヒドロキシフェニル)チオ]ブチ
ル}ホスホネートのジピバレートエステル; {4−[(o−ヒドロキシフェニル)スルフィニル]ブチル}ホスホン酸、シ
クロヘキシルアミンを含む化合物(1:2); {4−[(o−ヒドロキシフェニル)チオ]ブチル}ホスホン酸、N,N,N ,N−テトラメチルエチレンジアミンを含む化合物; {4−[(o−ヒドロキシフェニル)スルフィニル]ブチル}ホスホン酸; {4−[(o−ヒドロキシフェニル)チオ]ブテニル}ホスホン酸、アリール
ブチレートエステル;及び {4−[(o−ヒドロキシフェニル)チオ]−1−ブテニル}ホスホン酸、イ
ソプロピルアミンを含む化合物(1:2); である。
【0032】 上述のハロゲンの例は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素である。上述した式I
において、アルカリ金属はナトリウム、カリウム及びリチウムである。さらに、
用語「有機アンモニウム」は、1個〜4個のC〜C16アルキル基を形成する
ためにそれぞれ結合される1個又は2個のプラスに荷電された窒素原子から構成
される基として定義されるが、この基が2個のプラスに荷電された窒素原子を含
む場合、有機アンモニウムカチオンR及びRはそれぞれ同じ基に含まれる。本
発明による好ましい除草阻害剤は、米国特許番号第5635449号に開示され
ているように製造されるであろう。
【0033】 上述された除草阻害剤の他に、ここで開示されるか、又はここで開示される方
法により同定される除草阻害剤は、本発明の目的の範囲内にある。一態様におい
て、除草阻害剤はここに開示されるが、式Iで表される阻害剤ではない。
【0034】 αサブユニットの活性部位に結合する本発明による除草阻害剤は、天然のTS
α基質、インドール−3−グリセロール(IGP)及びその中間生成物(両方共
に図1に示される)の構造に類似するであろう。図1を参照して、IGP及びそ
の反応中間体は、インドール環、アルカリ鎖結合部(linker)及びホスフェート
を含んでいる。
【0035】 一態様において、除草阻害剤は最初の基質IGPと以下の特性の少なくとも1
つにおいて異なる:即ち、(i)インドール環のC2原子が6員環の結果として
取り除かれている;(ii)インドール−NH基を、TSαサブユニットのアミ
ノ酸αD60と相互作用する特性を有する水素結合供与体に置き換える(NH、
ヒドロキシル、又は類似の基を使用しても良い);(iii)架橋反応をさせて
好ましくは疎水性とする;(iv)結合部は1個以上のC=C二重結合を有して
いても良い;(v)結合部が4個の単結合炭素原子の直鎖長と同様の長さを有す
る(結合部はCに類似);(vi)ホスフェート基をホスホネート基に置
き換える。
【0036】 ハロゲン等の置換基を6員環に添加しても良く、これはpi電子雲の電子密度
に影響を与えることができ且つ芳香族スタッキング及び阻害剤の芳香族環の結合
に影響を及ぼす。この結合部は、メチレン基の鎖の他に、アミド、C=C二重結
合ばかりでなく、又はシクロヘキシルのような環基、若しくはフェニル基でさえ
含んでいても良い。本発明の一態様において、C3原子を硫黄(S)に置き換え
ても良い(例えば、図1)。
【0037】 ここでのアミノ基全ては、これらの一文字コード(one-letter code)及び酵
素での位置によって設計される。アミノ酸の位置番号は、サルモネラによるTS
酵素に関連している。識別コード「α」は、アミノ酸をTSαサブユニットに位
置させることを示している。識別コードβは、アミノ酸をTSβサブユニットに
位置させることを示している。
【0038】 本発明の除草阻害剤は、さらに変性され、そして本発明の方法によって試験さ
れても良い。例えば、さらに別の基を添加して、酵素結合部位を良好にふさぐか
、又は酵素結合部位を統一する他の基と相互作用させても良い。例えば、さらに
別の極性基を結合部か、又はインドールのC3か若しくは硫黄の位置の付近に添
加することができる。この極性基である、例えばNH又はヒドロキシル基等の架
橋部上のさらなる水素結合供与体は、TSααY175−OH又はαE49のア
ミノ酸と相互作用させて、さらに結合を改善することができる。別の変性は、芳
香族環基に新形態をとらせて、αD60と相互作用する水素結合供与体の位置を
最適化させることを含んでいても良い。
【0039】 さらに、阻害剤の除草活性を改善するために、変性しても良い。荷電された基
又は極性基(例えば、ホスフェート/ホスホネート、又はヒドロキル若しくはア
ミノ基)の化学的な変性は、施与後に化学又は酵素開裂によって取り除かれ得る
断片を添加することにより、計画されても良い。これらの変性は、代謝安定性、
摂取、及び/又は転位の改善のために計画されても良い。例えば、in vitro活性
阻害剤のエステル化又は塩形成によって、これの除草活性が大幅に向上する。同
様に、アニリノ基の塩基性を、これをフェノール−OH基で置き換え、その後そ
のヒドロキシ基をマスキングすることにより低減させて、TS用の一般に最も効
き目のある除草剤が得られる。同様に、スルホンアミド等の他の基を用いて、ア
ミノ基又はホスホネート基を遮蔽することができる。
【0040】 上述した式Iの結合阻害剤を含むTS酵素に関する結晶学の研究に基づいて(
これらの幾つかは実施例18に開示されている)、TS酵素とその阻害剤との相
互作用を認識した。これらの相互作用に基づいて(これの幾つかは以下に開示さ
れている)、さらに別の阻害剤を設計し且つ評価しても良い。
【0041】 TSタンパク質を有するホスホネート基の極性相互作用は、水素結合と静電的
相互作用のネットワークを含んでいる。ホスホネートの酸素原子の1つは、αG
213及びG184のアミド水素と直接的に相互粗作用する。別の(第2の)ホ
スホネートの酸素は、G234のバックボーンNHと、及びα232のカルボニ
ル基に対する水素結合をさらに形成する強固に結合された水分子と相互作用する
。この水の酸素原子は、αI214とαF212のアミド水素原子と相互作用す
る。この水原子は、α−へリックスαK243のαS235に対する(らせん)
軸を延長させて存在させる。このらせんは、Hyde 1988(Hyde et al., J. Biol. Chem . 263, 33 (1988) 17857)に従い設計されたヘリックスH8’であり、双極
子場を通じてホスフェート基の結合に貢献すると考えられている。さらに、ヘリ
ックスH8’−末端αS235の側鎖の官能性とそのカルボニル基は両方共に第
3のホスホネートの酸素原子と強く相互作用する。実施例18に示すように、α
S235/ホスホネートの相互作用は、極めて強固な水素結合によるものである
。本発明の調査、研究は、これら2つの基間の連続電子密度で(2シグマにて輪
郭を描かれた電子密度マップとして)示した。αS235のヒドロキシル基に密
接しているのは、結合水分子にあるとされる別の電子密度スポットである。別の
プラスに荷電された基、即ちαR179のグアニジニウム基は、水素結合による
相互作用に直接付されることなく、ホスホネートに密接している。タンパク質に
より形成される静電的相互作用面(フィニット エレメント ポイソン−ボルツ
マン(Finite Elemet Poisson-Bolzman)の計算法を用いて計算されている)の
分析は、ホスホネート基が結合される位置で強いプラスの電位を示している。こ
のプラスの電位は、ホスホネートの方を向いているNH基の作用及びR199の
存在により形成される。
【0042】 ホスホネート基を別の荷電された基で置き換えるのは、TS酵素によって良好
に許容されなかった。この理由としては、ホスフェートが、塩相互作用の少ない
方向性よりむしろバックボーンのアミノ酸基によって与えられる、水素結合の方
向性により特に結合されていることが同様に考えられる。しかしながら、除草剤
を作製する目的から、エステル及びスルホンアミド等のホスフェート又はホスホ
ネートを得るために代謝され得る基を植物の摂取用とするのが好ましい。
【0043】 さらに、ホスホネート結合部位に隣接した2個のさらなる明白な結合ポケット
が存在する。これらの部位は、結合の親和力及び選択性を向上させるための適当
な配位子によって満たされていても良い。これらの配位子は、断片に基づく調査
(fragment-based search)(例えば、以下に開示されたLUDIプログラムに
よって)を用いることによって設計されても良い。
【0044】 アリール基を含むホスホネートに連結する脂肪族鎖は、結合部領域である。こ
れは、相当な順応性を可能にするに十分な広さである酵素用の溝に結合されてい
る。TS酵素に結合されている{4−[2−アミノ−5−クロロフェニル)チオ
]ブチル}ホスホン酸の電子密度は、結合部鎖の二面角に対する回転自由度を示
唆している。列をなしているTS溝と結合部の接触面は、αF22とαI64の
側鎖によって部分的に疎水性である。しかしながら、αY175−OH及びバッ
クボーンアミド等の極性基により、部分的に分極された酵素面(基質のグリセリ
ル部分用として接触する直接水素結合を与える必要がない)がもたらされる。水
素結合供与体/受容体を例えばアミド基の形で結合部領域に導入することにより
、水素結合の形成がエントロピーの損失(理由としては、疎水性基を幾分疎水性
の酵素部位の内側に導入したことが考えられる)を補償することを示唆する、結
合の親和力が増大しなかった。一方、C=C二重結合による結合部領域の剛性が
増大させると、結合の自由エネルギーが増大する。
【0045】 結合部領域に変性を加える目的で行われたLUDI調査は、フェニル又はシク
ロヘキシル基導入用の十分な空間がある、即ち、アリール−S−シクロヘキシル
ホスホネート形態の分子は本発明の目的の範囲内でもあることを示唆している。
これらの変性は、化合物の結合親和力を大幅に改善するものと予測されないが、
除草剤の選択性の向上に、又は摂取及び転移の改善に取り扱う代謝の導入に適当
である。
【0046】 本発明による阻害剤のチオアリール基は、αD60に向いているo−アミノ基
を含むインドール結合ポケットに結合している。チオエステルの硫黄原子は、α
E49が酵素開裂の推定可能な部位から離れて折り畳み、そしてαY4及びαS
125に対する水仲介水素結合を形成する場合に、αF22、αI232、αL
100、αL127、及びαY175によって形成される疎水性ポケットに比較
的深い所にある。チオアリール基の結合は、インドール誘導体の上述した結合と
大幅に異なる:即ち、このチオアリール環をシフトさせ、そしてTSを含む複合
体のインドール誘導体の位置に対して傾かせる。阻害剤の芳香族部分は、αL1
00とαF212との間に差し込まれる。αF212のフェニル基の平面は、阻
害剤のアリール基の平面に対して直交している。αF212のT型スタッキング
及び阻害剤/基質のアリール基は、t型pi−pi相互作用を暗示している(Bu
rley, S. K. and Petsko, G. A., Science, 229, (1985) 23)。
【0047】 αF212のバックボーンは、立体配座ψ/Ψ=−75/155を採用し、即
ち、これは遊離アミノ酸についてエネルギー的に「禁制されている」と見なされ
、且つ電子密度により明白に調節される。これは、Rhee et al., J. Biol. Chem
., 273: 8553〜8555頁, 1998によって報告されたIGP/TS複合体の初期のエ
ックス線分析による結果と対照的である。ホスホン酸、{4−[(2−アミノ−
5−クロロフェニル)チオ]ブチル}−/TS複合体の電子密度は、αF212
のCZにて電子密度が増大していることをさらに示している。バックボーンの位
置における明らかな変化は、ここに報告されたエックス線の研究に基づいて発見
された、ホスホネート結合とアリール基の結合との間の強固な相互依存を示して
いる。
【0048】 αF212とチオアリール基相互の相対位置(これは当該分野に以前から知ら
れておらず且つIPP/TS複合体の研究から推類によって誘導され得なかった
)は、アリール基の個々の原子位置での電子密度が結合親和力に極めて重大であ
ることを示している。ピリジン類似物における親和力の損失、及びR=Br>C
l>OMe>H>CHで置換されているp−置換チオアリール類似物(置換基
は硫黄に対してパラであり、アミノ基に対してメタである)系列の結合親和力は
、αF212の水素原子がチオアリール基のπ電子雲に結合する、T型アリール
−アリールスタッキング相互作用によって明白に説明される。硫黄に対してパラ
位で電子の非局在化が増大することにより、結合に対して不可避となるのが予想
される。さらに、パラ−置換基が小さく、事実上、大きな置換基は許容されない
であろうし、且つこれを用いて、除草剤を得ることができるということは必要と
されない。なぜなら、これらの置換基は、種の中で僅かに強固に一定に保存され
ているタンパク質の領域にまで及んでいるからである。従って、O−R、S−R
型等の基は、改良された除草剤の候補となる。
【0049】 阻害剤のアミノ基は、αD60(さらに、αT183、αY102−OH、α
N68−NH2、及び水分子と相互作用する)のカルボキシレート官能性との塩
橋をまず第1に含んでいる、極性相互作用の網目構造に含まれる。第一級アミノ
基は、αD60と二座の水素結合を形成する方向にある。しかしながら、2.2
Åと3.0Åの対応するH−O距離は、むしろ長い。アミノ基は、αF22に対
して接近しており、且つこの芳香族系に対して分極効果を有することができる。
【0050】 アミノ基の代わりのヒドロキシ基は、除草特性に関して有効である。これは、
アミノの官能性に対して塩基性を低減させる特性があるとされる。従って、例え
ばスルホンアミド誘導体等のアミノ基を遮蔽する基は、除草の側面を改善するで
あろう。
【0051】 静電的な電位計算は、αG49が遊離酵素並びに阻害剤との複合体においてプ
ロトン化されることを示している。このことは、約10kJ/モルで酵素を不安
定にする。αG49と相互作用させるための別の塩基性基を導入は、結合親和力
を増大させた形態で、このエネルギーを放出すると予想される。そのため、例え
ばアミノ基を適当な位置に、即ち結合部領域の始めに添加するのは、有益である
と予測される。しかしながら、立体的配置に関する要件は、最適化させるために
必要とされるであろうが、相互作用のエネルギーで得られる大きなポテンシャル
は、ホスホネート様部分の代替を可能にするに十分になり得る。
【0052】 TS酵素(全体又は個々のサブユニットとして)と本発明の阻害剤との間に形
成される複合体は、本発明の目的の範囲内である。一態様において、この複合体
をその自然環境、即ちTSを含む生物又は細胞の中で形成する。従って、単離さ
れ、そして精製されるTS又はこのサブユニットを用いて、in vitroでこの複合
体を形成しても良い。この複合体を、「単離された」とする。
【0053】 TS又はそのサブユニットの「精製」は、これを最初の環境(例えば、その自
然環境)から取り除くことにより得られるタンパク質又はポリペプチドの派生物
である。ポリペプチドの精製方法は、当該分野で周知であり、限定を加えないと
、例えば分取ディスク−ゲル電気泳動、等電点電気泳動、HPLC、逆相HPL
C、ゲルろ過、イオン交換及び分配クロマトグラフィ、そして向流分配が挙げら
れる。幾つかの目的から、組み換え系においてポリペプチドを形成するのが好ま
しい。この系において、タンパク質は、例えば精製等を促進するが、ポリヒスチ
ジンの配列に限定されないさらに別の配列タグ(ラベル)を含んでいる。その後
、このポリペプチドは、適当な固相マトリックスでのクロマトグラフィによって
、宿主細胞の粗溶菌液から精製され得る。或いは、TSタンパク質のサブユニッ
トに対して形成される抗体又はこれらから誘導されるペプチドに対して形成され
る抗体を、精製試薬として使用することができる。他の精製法としては、実施例
に詳細に開示されている方法の数種類が可能である。精製されたポリヌクレオチ
ド又はポリペプチドは、約50%未満、好ましくは約75%未満、最も好ましく
は約90%未満の、それと最初に会合させる細胞成分を含んでいても良い。好ま
しい一態様において、TS又はそのサブユニットは、実質上純粋であり、これは
当該分野で公知の一般的な精製技術によって達成され得る純度が最も高いことを
示している。
【0054】 本発明による別の態様において、TS/阻害剤の複合体を、植物界において形
成する。また別の態様において、複合体(in vivo又はin vitro形成される)は
、式Iで表される阻害剤を含んでいない。除草剤を作製する目的から、この複合
体は、例えば、以下に開示される、薬剤のデザインアルゴリズムのアプリケーシ
ョン用コンピューターグラフィックワークステーションに表示するため設けられ
た座標のように形成されても良い。
【0055】 [除草阻害剤の同定方法] さらに本発明は、(i)高処理量化合物のスクリーニング、(ii)構造に基
づいたアプローチ及び/又は(iii)相同性によるアプローチを用いる、新規
なTS阻害剤の同定方法を提供する。
【0056】 A.高処理量スクリーニング(High Throughput Screening) 新規なTSの阻害剤を同定する高処理量スクリーニングは、当該分野で一般的
に知られているアプローチ(段取り)で用いられても良い。高処理量アッセイで
試験される化合物を合成し、そして無作為に試験しても良いし、或いは化合物を
上記に概略を述べた考察に基づいて選択しても良い。本明細書に開示されたTS
アッセイを使用して、これらの化合物の活性を試験しても良い。係るアッセイ(
E. coli(大腸菌)変異体を用いる相補性アッセイ)の例は、実施例6に開示さ
れている。しかしながら、当該技術者等に明らかなTS酵素の阻害を検出可能な
いかなるアッセイを使用しても良い。
【0057】 B.構造に基づくアプローチ(Structure-based Approach) TSの新規な阻害剤の回転/構造に基づく設計、公知阻害剤若しくはその断片
を用いる化学データベースの調査、阻害剤の所望の特性を最適化する方法(例え
ば、TS単独又は阻害剤との複合体の3D構造を用いる)は、本発明の目的の範
囲内にある。
【0058】 構造に基づく設計及びTS阻害剤の最適化を支持するために、以下の系を確立
し且つここに開示する:即ち、サルモネラ及びシロイヌナズナTSサブユニット
の形成、新規な微量定量プレートのTSβ−サブユニットアッセイを含むTSア
ッセイ、及びTSを結晶化して、TSαサブユニット(TSα)の3D構造の解
像度を改善するエックス線解析パターンを改良するためのプロトコル。さらに、
結晶化TSの、これに結合されている阻害剤を含む三次元構造を形成し、そして
植物界で設計された阻害剤の作用機構を確かめる方法を利用した。
【0059】 [TSタンパク質の形成及び結晶化] TSを含むか、或いはこれをコードする相同性遺伝子を含む生物から、本明細
書に開示された方法又は当該分野に知られているその他の方法を用いて、TSを
形成し、単離し、そして精製することができる。例示するために、サルモネラT
Sの質量形成及び精製について、以下に概略を述べる。
【0060】 ネズミチフス菌のtrpA及びtrpB遺伝子を有するプラスミド(核外遺伝
子)pSTB7で転換されたE. coli菌株CB149pSTB7の37℃での発
酵60リットルを使用して、トリプトファンシンターゼ過剰生産(形成)した細
胞320gの質量を形成した。洗浄された細胞を、50mMのトリス−クロリド
、5mMのEDTA、0.1mMのピリドオキサルホスフェート、10mMのメ
ルカプトエタノール(全てpH7.8に調整)、及び1mMのフェニルメチルス
ルホニルフロリドで、細胞1g当たり5mlにて再使用し、そして細胞溶菌用の
マントン−ガウリンラブラトリーホモゲナイザー(Manton-Gaulin laboratory h
mogenizer)(10000PSIG)に3回通過させることにより均質化した。
この溶菌液を、17500×Gで30分間遠心分離器にかけた。50mMのトリ
ス−Cl、5mMのEDTA、0.1mMのピリドオキサルホスフェート、10
mMのメルカプトエタノール(NaOHで、全てpH7.8に調整)、25nM
のスペルミン及び30%のPEG8000の溶液を溶菌液8部に対してそれぞれ
2部の割合で、撹拌しながら上澄み液に添加した。この溶液を直ぐに17500
×Gで10分間遠心分離器にかけ、そしてペレットを廃棄した。上澄み液を4℃
で16〜48時間、結晶が形成するまで培養した。結晶を17500×Gで20
分間遠心分離器にかけることにより集め、その後再懸濁させ、そして50mMの
トリス−クロリド、5mMのEDTA、0.1mMのピリドオキサルホスフェー
ト、10mMのメルカプトエタノール(全てpH7.8にて)、6%PEG80
00及び5mMのスペルミンで、さらに17500×Gで20分間遠心分離器に
かけて、洗浄した。結晶を50mMのビシン、1mMのEDTA、0.02mM
のピリドオキサルホスフェート、及び10mMのメルカプトエタノール(NaO
Hで、全てpH7.8に調節)に再懸濁し、そしてその溶液を37℃まで暖め、
結晶を溶解した。その後、タンパク質を50mMのビシン、1mMのEDTA、
0.02mMのピリドオキサルホスフェート、及び10mMのメルカプトエタノ
ール(NaOHで、全てpH7.8に調節)に対して4℃で一晩透析し、その後
17500×Gで25分間、その後27500×Gで15分間遠心分離器にかけ
た。上澄み液を0.1Mのリン酸カリウムのバッファー(pH7.8)、5mM
のEDTA、0.2mMのピリドオキサルホスフェート、10mMのメルカプト
エタノール(85g/Lの固体の硫酸アンモニウムを含有)に対して23時間透
析した。沈殿を回収し、そして10容量(10 volume)の同じ硫酸アンモニウム
バッファーに再懸濁させ、そしてこの懸濁液を−20℃で保存した。
【0061】 結晶分析用の大きな結晶を、開示したように調製しても良い。硫酸アンモニウ
ム懸濁液のサンプルを遠心分離器にかけ、そして沈殿をpH7.8のビシンバッ
ファー50mM、1mMのEDTA、1mMのDTT、及び0.1Mのピリドオ
キサルホスフェートに溶解し、その後同一のバッファーに対して透析し、MonoQ
カラムに詰め、そして0〜1MのNaCl変化度で溶出した。溶出した2つのタ
ンパク質のピークを組み合わせ、そして少量を同体積の適当な溶液(pH7.8
のビシンバッファー50mM、1mMのEDTA、1mMのDTT、12%PE
G8000、0.08%のナトリウムアジド、及び21%のスペルミン)と混合
し、くぼみに導入して、大きな結晶を成長させることが可能となった。大きな結
晶を、酵素の構造を測定するため、その後に小さく切っても良い。
【0062】 植物のTS酵素及び/又はそのサブユニットを、植物の組織(実施例4に開示
)か、或いは組み替えにより発現させたE. coliの植物TSサブユニット又は植
物タンパク質の過剰発現に適当な他の生物(実施例5に開示)から部分的に精製
しても良い。当該分野の技術者等及び/又はこれと同等の者に明らかな方法に変
性を加えるのは、本発明の目的の範囲内であると考えられている。
【0063】 本発明の一態様において、植物TSを、少なくとも約10倍、最も好ましくは
少なくとも約180倍に部分的に精製する。この部分精製法は、以下の工程(i
)〜(v)を包含する:即ち、(i)植物の組織を均質化する工程、(ii)植
物の均質物を遠心分離器にかける工程、(iii)工程(ii)で得られた上澄
み液を、約25〜約35%の飽和度の硫酸アンモニウムと混合し、その後これを
遠心分離器にかける工程、(iv)工程(iii)で遠心分離器にかけた後に得
られた上澄み液を集め、これを約45〜約60%の飽和度の硫酸アンモニウムと
混合し、そしてこれを遠心分離器にかける工程、及び(v)精製されたTSを含
む沈殿を集める工程。別の態様において、約80〜約90%の飽和度の硫酸アン
モニウムによる単一の沈殿工程を用いても良い。一態様において、さらにこの方
法は、工程(v)による溶解された沈殿をWaters SW300カラム又はこれと同価物
に用いる工程を含む。
【0064】 [タンパク質に基づく鉛の検出及び最適化] 本発明の別の側面において、TS酵素の公知構造によって新規な除草阻害剤を
同定する方法を提供する。この方法は、TS分子全体のエックス線構造又はタン
パク質モデルであるか、或いは活性部位のみのモデルに依存している。この方法
は、以下にさらに詳細に開示される。
【0065】 [分子のグラフィック、静電的計算、及び表面] タンパク質の阻害剤結合部位の有意義な作図を形成するために、分子表面の座
標の表示法及び原子又は表面における物理化学特性の描写法が開示されている。
この結合部位において、小型の分子を、例えばこの部位にて存在する分子の代わ
りに導入しても良く、これは、TSタンパク質で共結晶化(co-crystallized)
されるか、或いはこのTSタンパク質結合部位において予めモデル化されるか又
はドックされる分子上の部位に導入されるべき新しい分子を配列することにより
行われる。
【0066】 本発明の目的のために、TSで共結晶化されるか、或いはTS結合部位で設計
されるか又はドックさせる分子は、「鋳型阻害剤」である。「標的阻害剤」は、
鋳型阻害剤の代わりにこのTS結合部位に存在させるべき新しい分子である。こ
こに引用された全てのプログラムは、これらの代表的な文献によって開示されて
いる。特に述べない限り、パラメータは、売り主によって又は妥当な範囲内で提
供されるプログラム構成により与えられる値となるように選択される。設定する
パラメータに対して受容可能な範囲は、当該技術者等に公知である。
【0067】 鋳型阻害剤及び標的阻害剤の配置は、例えばAlignment、CatShape、APEX (Mol
ecular Simulations Inc. (MSI), 9685 Scranton Rd., San Diego, CA)等のコン
ピュータープログラム又は類似物か、或いは阻害剤、例えば(部分的に)荷電さ
れた基、水素結合供与体/受容体、疎水性部分、例えばアルキルさもしくは芳香
族基の類似の特徴をオーバーレイすることによって形成されても良い。
【0068】 その代わり又はさらに、分子を酵素活性部位に、相互作用モデリングのグラフ
ィックプログラム、又はコンピュータープログラムであるAffinity、LUDI若しく
はReceptor(MSI)によるドッキング等の当該分野に公知の方法を用いて、配置さ
せることができる。CatShape等のプログラムは、分子を配列させるばかりでなく
、手引き書(Catalyst 4.0, MSI)に開示されているように、結合部位に適した
新規な分子の調査にも使用され得る。形状調査による鋳型は、上述した方法の他
に、TS結合部位に種々の断片を配置させるためのLUDI等のプログラムを用
いることによって発生させることができる。結合部位に適した全断片のオーバー
レイを使用して、Receptor(MSI)等のプログラムによって受容体表面を発生さ
せても良い。この受容体モデルは、電子的なデータベースに報告されている分子
を結合部位に配列させる目的に有用である。係るデータベースの例としては、登
録商標を持つ化合物のデータベース、例えばCyanamid's CL-File、 the Availab
le Chemicals Directory(ACD)(MSIにより分配される)、及びCatalyst等の適当
なプログラムを用いたバーチャルケミカルライブラリーズ(virtula chemical l
ibraries)が挙げられる。
【0069】 分子を結合部位に組み込む最初の位置が一度見出されると、当該分野に周知の
方法、例えばエネルギー最小化、分子機構、分子動力学又はメトロポリス モン
テ カルロ(Metropolis Monte Carlo)法等に基づいた位置エネルギー関数を用
いて、結合部位における小型分子の位置を精確にすることが、好ましくはタンパ
ク質又はその一部のフレキシブルな再配列が可能になるにことよってできる。
【0070】 これにより得られたエネルギー的に最善の立体配座及び配向を、事前に同定さ
れた他の阻害剤の結合と比較しても良い。フォースファイル計算(force filed
calculation)による相互作用エネルギー値、結合部位及び水素結合を満足させ
るようなさらに別の特徴の全体的な適合並びに例えばプログラムLUDI及びD
OCKにおいて実行されるような双極子と電荷の相互作用を用いて、阻害剤の品
質を評価しても良い。良好なスコアー又は低い相互作用エネルギーの阻害剤は、
結合部位が改良されたと予測される阻害剤となる。
【0071】 例えば立体配座を厳密にするための要素等の別の変性を加えることにより、遊
離状態と結合状態のエントロピーの差を低減し、或いは同じ理由で、疎水性基の
除去を、上述したドッキング/改良法によって研究することができる。新規な阻
害剤に改良を加えるために、さらに別の基を阻害剤に添加することができる。こ
のことは、通常、改良法に基づいた上述の位置エネルギー関数に従う相互作用分
子グラフィックスプログラムを用いるか、或いは例えばプログラムLUDI(MS
I)において実施されるようなシステムに基づくルール又はスコアを用いること
により実施される。
【0072】 アプローチの1つとして、コア分子を選択し、そしてデータベースライブラリ
ーからの各種試験用断片を、分子内相互作用の数及び強さを改善するための目標
を有するコア分子に成形する。
【0073】 この方法は、以下の工程(i)〜(v)を含んでいる:(i)結晶構造のTS
(又はTSタンパク質若しくはTS活性部位の比較可能なモデル)を用いて、小
型の分子が結合してTS活性を阻害する位置(例えば、サブユニットの活性部位
、「溝(トンネル)」、又は基質の結合での再配列に知られているタンパク質の
一部に密接した位置にて)での調査の核心を明確にする;(ii)相互作用部位
(例えば、電子と水素結合受容体及び供与体、疎水性の表面、静電的電位)に関
してこの結合部位の分析を行う;(iii)以前から明確にされている相互作用
部位を完全に又は部分的に相補する化学的データベースにおいて小型分子の調査
;(iv)これらの「ヒットしたもの」を、結合部位に適合させ、そして結合強
さに関するスコア又はエネルギー値を評価する;及び(v)合成の候補になりそ
うなものを選択し、そして各種の基準、例えば化合物の有効性、それぞれの合成
、又は計算された物理化学特性(例えば、クロッグP)に従い試験する。
【0074】 [阻害剤に基づくリード最適化(Lead Optimization)] 本発明の別の態様において、公知阻害剤についての構造の情報に基づく阻害剤
の同定法を提供する。このアプローチは、TS−結合分子に基づいた示性設計と
して知られている。
【0075】 この方法は、(i)TS−阻害剤複合物の結晶構造における阻害剤の立体配座
を分析する工程及び(ii)阻害剤に類似する化合物を設計し、そして設計され
た化合物(「類似物」)の特性を改良する改善する工程を包含する。特に、この
方法は、公知阻害剤若しくはその一部、又はこれらの調査テンプレートしてのコ
ンピューター表示(即ち、薬学的伝達モデル(pharmacophore model)としての
分子の抽出)を含む電子的データベースを調査する工程を包含する。或いは、さ
もなければデータベース調査の他に、TSへの結合に必要な基の位置全てを保護
するが、基の他の原子を変性し、省略し、又は加えるように、阻害剤の変性を設
計しても良い。TSαへの結合に重要な基は、上述され且つ実施例18に開示さ
れている。
【0076】 C. ホモロジーのモデリング この方法において、サルモネラのTS酵素の結晶構造を、テンプレート(鋳型
)して使用して、より高い(背丈が高い)植物等の別の供給源からのTSのホモ
ロジー(相同性)モデルを発生させても良い(植物タンパク質のアミノ酸配列は
知られているという条件で)。他の公知TS酵素をテンプレートして用いても良
い。ホモロジーモデルは、阻害剤/タンパク質の設計を、阻害又は変性の標的と
されるタンパク質/遺伝子上で直接設計可能であるという点で有効である。例え
ば、このアプローチを用いて、シロイヌナズナTSにおける結合部位がサルモネ
ラTSのそれに相当することを示すことができる。
【0077】 タンパク質のホモロジーモデリング技術によるTS活性を有するタンパク質の
ホモロジーモデリング法を、1種以上の公知(結晶学的分析又はホモロジーモデ
リングにより)の、TSの3D構造又はこれの構造的なホモロジーを用いて行う
ことができる。同じ方法を用いて、阻害剤結合部位の形成に含まれるTS断片を
成形することができる(完全なTS分子の代わりに)。一般的なモデリングの方
法は、(i)1種以上の鋳型分子を選択し、(ii)鋳型タンパク質のアミノ酸
配列を、標的タンパク質のアミノ酸配列でアライメント(配列)させ、(iii
)タンパク質ホモロジーを用いて、標的タンパク質のコンピューターモデルを発
生させる、を包含する。任意に、工程(iii)で発生させたコンピューターモ
デルを、ポテンシャルエネルギー若しくは最小化を含むスコアリング関数、分子
動力学、又はモンテカルロ法を用いてさらに精製しても良い。
【0078】 コンピューターモデルは、作用形式(the mode-of-action)及びTSの阻害の
理解に有用である。この阻害剤を、これらホモロジーモデルに基づいて設計して
も良い。その後、この知識を、相互作用分子グラフィックス法、データベース調
査法、新たな設計法、又は当該分野において知られている類似のアプローチと共
に用いて、阻害剤の所望の特性(例えば、結合活性又は価格的な変性に対する好
ましい部位(除草効果を増大させる所望の物理化学的特性又は他の特性を導入可
能である))を改善することができる。
【0079】 構造的な相同物は、主として同じ折り畳み(三次元空間における相互に関連す
る別の構造要素、例えばβ−シート及び/又はαヘリックスの相対方向である)
を有するタンパク質又はタンパク質モデルである。TSαサブユニットの場合、
この折り畳みはβ−バレル構造として特徴付けられる。
【0080】 [TSアッセイ法] 本発明の方法に従い設計又は同定された阻害剤の特異性及び効果を試験するた
めに、in vitro酵素アッセイを用いても良い。これらのアッセイは、各種形態、
例えば除草剤の耐TS酵素変種等のTS酵素の特徴付け、並びに例えばTSを発
現するE. coli培養物、農作物及び雑草種等の各種供給源から単離されたTS酵
素の特徴付けに有用である。当該分野に公知の試験方法を用いても良い。例えば
、アッセイは、Smith OH and Yanofsky C 1962 Methods in Enzymology 第V巻 7
94〜806頁、又はさらに好ましくは801〜806頁(トリプトファンシンターゼ);C
reighton TE and Yanofsky C Methods in Enzymology 第XVIIA巻 365頁;Kirsch
ner et al. 1975 Eur. J. Biochemistry 60:513; J. Biol Chem. 240:725(1965
) Hardaman and Yanofsky; J. Biol. Chem. 241:980(1966); J. Biol. Chem
. 245:6016〜6025頁(1970); J. Biol. Chem. 246:1449(1971); J. Biol. Ch
em. 253:6266(1978); J. Biol. Chem. 262:10678に開示されている。
【0081】 実施例に開示されているアッセイを用いても良い。
【0082】 トリプトファンシンターゼのα又はβ反応の阻害は、ホロ酵素の活性を阻害す
る。TSの阻害を測定するために、TSα反応の活性又はTSβ反応の活性の低
減を測定することができる。しかしながら、TSα活性を定量化するには、純粋
な酵素を必要とする。これは、必須の基質、即ちIGPが、非特異性ホスホエス
テラーゼの存在下において特に不安定なホスフェート基を有しているからである
。結果として、拮抗酵素活性を含む不純な酵素製剤(enzyme preparation)は、
基質の見かけ上の濃度を低減させることにより、TSαの純粋な活性を曖昧にす
る。
【0083】 協同性として知られている現象のため、各サブユニット反応、TSα、又はT
Sβは、サブユニットをホロ酵素αβにおいて組み合わせる場合に、最も活
性であると知られている。このTSα活性は、過剰のセリン(TSβ反応に必要
とされる)の存在下、制限IGPを添加することにより無損傷ホロ酵素に対して
定量化される。グリセルアルデヒド−3−P(G3P)を、トリプトファンの代
わりに生成物として測定するが、製造されるG3Pに関して、等量のトリプトフ
ァンを製造しなければならなかった。G3Pを、市販のグリセルアルデヒド−3
−ホスフェート脱水素酵素、即ち別の高濃度酵素を介してNADHの製造に組み
合わされる反応において測定する。
【0084】 植物が比較的低いレベルの外因性TSを有しているので、植物TSを均一性に
精製するのが困難であると証明された。これは、植物からのTSα活性を信頼性
を高くしてアッセイすることができないことを意味する。なぜなら、このアッセ
イには、高度に精製された酵素を必要とし且つ粗植物酵素製剤は、多数の干渉酵
素(intrefering enzyme)を含んでいても良いからである。代わりに、植物にお
ける外因性TS活性をTSβ反応によって測定する。これにより、TS活性を最
も集中させている植物の部分及びTSが最も活性である場合の発育成長段階を決
定することが可能となる。このTSβ反応には純粋な酵素を必要としないが、正
確にするため、基質インドール及び生成トリプトファン、非常にオーバーラップ
する吸収スペクトルを注意して分離する必要がある。TSβ活性に関する好まし
いアッセイにおいて、インドールの消失を過剰のセリン(トリプトファンの製造
において発生する)の存在下にて測定する。このアッセイを、インドールの時間
従属の低減によって定量化する。このアッセイを実施例4において詳細に開示す
る。
【0085】 TSβ反応を試験するための新規な方法を提供する。この方法は、三層液層系
を利用する微量定量プレートアッセイを介して、インドールの単離及び定量化工
程を含む。この方法において、植物の組織からの粗ホモジェネート又はこの粗植
物ホモジェネートからの部分精製硫酸アンモニウム留分を、植物酵素の供給源と
して用いる。この方法は、(i)植物TS、インドール及びセリンの存在下でT
Sβ反応を行う工程;(ii)層含有インドールを分離し、これを微量定量プレ
ートに移して、実施例4に開示されているような三層液層系を形成する工程;及
び(iii)インドールの量を測定する工程;を含む。
【0086】 TSα反応用の改善されアッセイは、本発明の目的の範囲内である。このアッ
セイを微量定量プレートの形式(試薬を保存し、そして流動性酵素アッセイの同
時観察を可能にする)に適した。さらに、反応におけるIGP基質のレベル(水
準)は、IGP用酵素のKmの5X未満であり、好ましくは約1X〜約2Xの範
囲である。一態様において、弱い阻害剤をTSαアッセイにおいて試験する場合
、実質上拮抗基質を加える前に、阻害剤を酵素で予備培養する。
【0087】 [逆アッセイ(reversal assay)] 植物TSin vitroの阻害を、試験される植物をトリプトファンで補充して除草
の徴候の逆(反対)を実施することによって立証しても良い。用語「逆」は、概
念的で且つ実際には損害からの救出、損害に対する相補性及び損害の予防に相当
する用語である。トリプトファンで克服され得る効果の阻害剤のみが、本発明の
目的の範囲内である。この逆アッセイは、除草阻害剤の同定用アッセイに基づく
機構を表している。係るアッセイの例示としては、実施例に挙げられている。し
かしながら、当該分野の技術者等に知られている又は明白な変性を用いても良い
【0088】 [耐除草剤TSの同定法及び構築法] 商業的に重要な植物、例えばトウモロコシ、大豆、カノーラ、砂糖大根、サト
ウキビ、オオムギ、コムギ、イネ、及び他の栽培植物等における除草剤抵抗性T
Sの設計方法は、本発明の目的の範囲内である。この方法に従い構築されるTS
変位型タンパク質及びこの変位型TSタンパク質を発現する形質転換植物は、本
発明目的の範囲内である。
【0089】 本発明の除草阻害剤と標的タンパク質、即ちTSとの間の分子相互作用を用い
て、結合を阻害するためのタンパク質を交互に設計することができる。設計に基
づく構造を示して、耐除草剤遺伝子を設計するための効果的なアプローチである
とした(Ott et al. 1996, JMB 263:359及びKakefuda et al. の米国特許番号第
5853973号)。同じアプローチ、又は当該分野の技術者等に明白な他のア
プローチを用いて、本発明の除草阻害剤に抵抗性のある変異型TSタンパク質を
設計及び作製しても良い。手短に言えば、ホモロジーモデル、又は多くの場合、
TSの遺伝子又はタンパク質の配列を、ポテンシャル除草剤抵抗部位を誘導する
ために用いることができる。これには、阻害剤の結合に含まれる部位、又は阻害
剤の結合部位への輸送に含まれる部位、又は配列のサブユニットコミュニケーシ
ョン(結合)に含まれる部位のマッピング(mapping、地図作製)か、又は3D
構造(タンパク質のデカルト座標又は内部座標)の視覚若しくはコンピューター
分析によるマッピングを必要とする。その後、阻害剤の結合機構に含ませるため
に同定された部位を、当該分野に公知の分子生物学技術によって実験的に突然変
異させても良い。本発明の一態様において、少なくとも1種の以下のアミノ酸を
突然変異させた:即ち、サルモネラのα−サブユニットにおけるαL100、α
Y102、αA129、αI153、αL177、αF212、及びサルモネラ
のβ−サブユニットにおけるβI326及びβP318。他のアミノ酸において
これらの位置での各種突然変異を発生させて、そして非相同性の発現系における
これら突然変異タンパク質の発現及び阻害剤を含んでいても良いこれらの活性の
決定を用いて、所望の局面(特性)、例えば選択された除草剤による阻害に対す
る抵抗性を含む変異型TSタンパク質をさらに選択することができる。或いは、
抵抗性遺伝子を、植物における形質転換によりin vivo試験することができる。
種々の変異物の組み合わせを含む、突然変異の別の改善して、所望の酵素特性を
繰り返し改良することができる。
【0090】 一態様において、耐除草剤変種体の調査を、これの外因性TSβ(又はTSα
)サブユニットの発現をに乏しい変異型E. coli菌株を用いて行うことができる
。実施例6に開示されているようなシロイヌナズナのTSβ(又はTSα)−サ
ブユニットを発現するプラスミドでこの突然変異体を相補することができるのは
公知である。このE. coli菌株を、TS活性を阻害する化合物に対して抵抗性の
ある例えばシロイヌナズナのTSβ変異体等の植物をスクリーンするための本発
明の方法において用いても良い。この処理を、TS阻害剤に対して抵抗性のある
TSα変異体のスクリーニングに対して同様に行うことができる(E. R. Radwan
ski, J. Zhao, R. L. Last, Mol Gen Genet[1995]248:657〜667頁)。
【0091】 抵抗性TS変異体タンパク質及び上述の方法により同定される遺伝子をエンコ
ード(符号化)する該タンパク質は、本発明の目的の範囲内にある。除草剤を阻
害するTSに対する抵抗性を与える遺伝子を用いて、当該分野に周知の方法によ
って形質転換栽培植物を製造しても良い。
【0092】 [雑草の防除方法] さらに本発明は、本発明の除草阻害剤を施与して雑草を防除する方法を提供す
る。利用される阻害剤の施与方法及び量は、当該分野に知られている。例えば、
阻害剤を、多種多様な望ましくない植物種の事後法による防除に使用しても良く
、そして米国特許番号第5635449号に開示されているように、1ヘクター
ルあたり約0.5〜10kgの施与率で茎葉又は幹に対して施与しても良い。
【0093】 本発明を、以下の非限定実施例にさらに開示する。
【0094】
【実施例】
[実施例1] TSの阻害剤を同定する最初の試みが、この実施例において開示されている。
公知阻害剤であるインドール−3−プロパノールホスフェート(IPP)のホス
ホネートイソエステルを合成し、TS阻害活性及び除草有効性について試験した
【0095】 IPPは、15μMのKを有するTSαサブユニット反応の阻害剤である。
以下の実験で、IPPの活性を、スキーム1に従い調製された二種類のポテンシ
ャル阻害剤(ホスホネート7a及び7b)と比較した。
【0096】
【化5】
【0097】 スキーム1に関して、3−インドール−プロピオン酸2a、及び3−インドー
ル−酪酸2bを第一級アルコール3a及び3bを提供するLAHで還元した。こ
れらを、それぞれ2当量の水素化ナトリウム及び塩化トシルで処理することによ
り、二トシレート化(ditosylated)誘導体4a及び4bに転化した。第一級ヨ
ウ化物に転化した後、トリエチルホスフィトで処理して、所望のホスホネートエ
ステル6a及び6bを得た。保護基を除去して、所望のホスホネート7a及び7
bを得た。
【0098】 標的とされる化合物を、TSαサブユニット反応の阻害用in vitroと植物全体
での除草活性用in vivoの両方を試験した。実施例3(in vitroアッセイ)及び
実施例2(除草活性)に開示されているように試験した。これらの結果を表1に
示す。
【0099】
【表1】 高度に精製されたネズミチフス菌のホロ酵素のTSα反応を介して測定された
。I50は、阻害剤の非存在下で、酵素活性を50%阻害する場合に必要とされ
る濃度である。** 不活性=事後法(post emergence)の温室実験において4kg/haで活性
でない、弱い活性=任意の種で最大20〜30%の損害。
【0100】 表1におけるI50値は、酵素活性の程度であり、そして以下に開示されたア
ッセイの条件下、in vitro酵素活性を50%低減可能な阻害剤の濃度を示してい
る。これは、酵素に対する阻害効果を比較する場合の共通の手段である。
【0101】 表1に示したように、ホスホネート7bは、対応するホスホネートIPPのI50 より僅かに弱いI50を柚須得るTSの阻害剤であると見出された。より短
鎖のホスホネート類似物7aは、7bより弱い阻害剤であった。温室実験におい
て、化合物7bのみが活性を示した。この化合物は、事後法によって施与された
場合に、1種類の植物種の成長を僅かに抑制した。この効果は最小で且つ植物は
初期の症状から抜け出すことが可能となった。
【0102】 [実施例2] より強いTS阻害剤を形成する目的で、新規な一連の試験化合物を調製した。
【0103】 この実験において、TSαサブユニット反応の反応性中間体(以下に示される
化合物8)に類似の構造を有する化合物を調製した。TSα酵素反応において、
IGP基質のインドール環のC−3位は、C−3位でsp原子を含む反応性中
間体8の結果としてプロトン化された。この実験で試験された仮説は、この位置
でのC−3は酵素との相互作用に重要なこともあるということである。従って、
試験化合物は、反応中間体8のC−3位に類似するsp原子を有して構成され
た。さらに、IGP基質並びに公知阻害剤IPPにおいて見出されたインドール
環のC−2原子を取り除いた。これは合成を簡素化し、そして最初の基質より高
い立体配座的な柔軟性を有する化合物を得るために行われた。試験化合物は、一
般式9によって示されている。
【0104】 spの意味は当該分野で周知であり、他の原子方向の空間に延在し且つ正四
面体の各角に向かっている原子周囲の荷電された雲である、p−軌道とs−軌道
の組み合わせにより形成される原子と分子の軌道である。"Advanced Organic Ch
emistry", Jerry March, ed., John Wiley and Sons, Interscience Publicatio
nを参照されたい。
【0105】
【化6】
【0106】 調製且つ試験された式9で表される化合物の第1組は、カルボキシアミド又は
アミンを硫黄原子に対してオルトの位置で有するアリールアルキルホスホネート
スルフィド(sp=S)であった。これらの化合物の合成は、スキーム2に開
示されている。重要な反応は、ジエチル4−ブロモブチルホスホネートへのアリ
ールメルカプチドの付加、これに続くエステルのTMSBr開裂である。
【0107】
【化7】 スキーム2に示される4種類のホスホン酸(13,18,19,20)を、in
vitroTS酵素アッセイで試験した。化合物18〜20は不活性であったにもか
かわらず、オルト−アミノ化合物13は、表2に示されるようにin vitroアッセ
イにおいて、極めて良好な酵素活性(I50=400nM)を有していた。さら
に、この化合物及びこれに関連する塩及びエステルは、表2に示されるように温
室除草活性を示した。
【0108】 化合物の除草活性を、米国特許番号第5635449号明細書に開示されてい
るように試験した。特に、本発明による化合物の除草活性を以下の試験により示
した、即ち種々の双子葉植物及び単子葉植物を、水性のアセトン混合物に分散さ
せた試験化合物で処理した。この試験では、播種植物をジフィフラット(jiffy
flat)において約二週間成長させる。予め決められた時間、40psiに操作す
る噴霧ノズルを介して植物に施与する場合、試験化合物を、0.5%TWEEN(登
録商標)20、即ちAtlas Chemical Industries社のポリオキシエチレンソルビ
タンモノラウレート界面活性剤を含む50/50のアセトン/水混合物に、1ヘ
クタール(0.01km)あたり約1.0〜8.0kgの試験化合物の等価物
を提供するために十分な量で分散させた。噴霧後、植物を温室のベンチに載置し
、そして従来の温室実験と同程度の基準である一般的な方法で世話をした。処理
後2〜5週間して、播種植物を試験し、そして以下に設けた評価システムに従っ
て評価した。
【0109】
【表2】 アリールスルフィド13の良好な酵素活性及び除草活性の発見により、さらに
別の類似物の合成を促進した。スキーム3は、数種類のオルト−ヒドロキシフェ
ニルスルフィドの合成を示している。化合物28は、アルデヒド25をテトラエ
チルメチレンジホスホネート(Kosolapoff, G.J. Amer. Chem. Soc, 1953, 75,
1500)のアニオンで処理することにより作製された。このウィッティヒ反応は、
トランスオレフィンの選択性を与えた。スルホキシド及びスルホン誘導体は、ホ
スホン酸の酸化により調製された。この極めて極性の高い化合物の精製には、C
−18逆相クロマトグラフィを用いる必要がある。
【0110】
【化8】 表2は、試験されたアリールスルフィドホスホネートの生物学的活性データを
示している。数種類のオルト−ヒドロキシフェニルスルフィドの除草活性は、化
合物13と比較して、改善された。全ての化合物に関して、事後法による除草活
性のみが観察された。さらに、二重結合の形で結合鎖(linking chain)に厳密
に導入することにより、生物学的活性が改善された(化合物28)。
【0111】 表2 TSαのアリールスルフィドホスホネート阻害剤
【化9】
【表3】 凡例に関して表1の注脚を参照されたい;IA=不活性 **事後法による施与。除草剤の評価尺度+=1種類に対して30〜80%の
損傷を与える;++=1種類に対して80〜100%の損傷を与える;+++=
2種類に対して80〜100%の損傷を与える;++++=3種類以上に対して
80〜100%の損傷を与える。
【0112】 トリプトファンシンターゼの除草剤で処理された植物は、除草剤の一般的な徴
候を示し、その作用形態はアミノ酸生合成の阻害である。この除草活性を遅らせ
、成長を停止させて、クロロシス又は斑を、次いで数種類のネクローシスを発現
させた。所定の化合物に関する除草側面を表2に再掲載する。
【0113】 [実施例3] この実施例は、本発明による数種類の阻害剤によるサルモネラTSαの阻害を
示している。酵素活性を、純粋な酵素によって測定した。この用語「純粋」は、
従来で公知の精製法によって達成され得る最も高い純度を示している。或いは、
二種類の単一のタンパク質帯をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動及び全タ
ンパク質の濃度を増大させてシミが付くCoomasie Brilliant Blue R250によって
観察した場合に、TSは「純粋」である。この方法を使用し、そして材料を以下
のように調製した。
【0114】 [阻害剤アッセイ用サルモネラTSの小規模製造(調製)及び精製] サルモネラTSの小規模製造用の系を開発し、in vitroアッセイに十分な酵素
を用いた。E. coli(大腸菌)菌株CB149pSTB7(Kawasaki et al., J.
Biol. Chem. 262:10678, 1987に開示されている)は、Edith Milesから入手し
、National Institutes of Healthを用いて、サルモネラのトリプトファンシン
ターゼ(TS)を過剰に製造した。トリプトファンシンターゼのα及びβサブユ
ニットをエンコード(暗号化)する、trpA及びtrpB用ネズミチフス菌の
遺伝子を含む複製コピープラスミドpSTB7(上述したKawasaki et al.の文
献に開示されている)を用いた。
【0115】 30mg/Lのアンピシリンで補うL-broth(1%のトリプトン、0.5%の
酵母エキス、1%の塩化ナトリウム、0.1%のグルコース(pH7に調節された
))において37℃にて振動させながら成長させるE. coli細胞を、誘導媒体に
28℃又は37℃で24時間転移させた。この誘導媒体は、Minimal Medium(0
.8mMの硫酸マグネシウム×ヘプトアルデヒド、10mMのクエン酸×一水和
物、60mMの二塩基性のリン酸カリウム、10mMの一塩基性リン酸ナトリウ
ム、10mMのモノアンモニウムホスフェート(NaOHで全てpH6.6に調
節)、0.5%のグルコース、0.5%のカゼイン水解物、5mg/Lのトリプ
トファン、加えて30mg/Lのアンピシリン)を含んでいた。成長期間終了後
、細胞を、遠心分離器にかけ(10000×g)、15mL(2.5%の最初の
媒体体積)の0.85%塩化ナトリウムに再懸濁させ、そして再び遠心分離器に
かけることによって集めた。
【0116】 TSを抽出するために、細胞を4mLの、50mMのトリス−クロリド、5m
MのEDTA、0.1mMのピリドオキサルホスフェート、10mMのメルカプ
トエタノール(HClで全てpH7.8に調節された)、及び1mMのフェニル
メチルスルホニルフロリド(0.6mg/Lのリソジンに添加される)中に再懸
濁させ、そして細胞に超音波を当て(15秒間で3回バースト)分解した。残骸
を27000×gで20分間遠心分離器にかけることによって取り除き、そして
上澄み液を新しいチューブに移した。これに、穏やかに混合しながら、1mlの
、50mMのトリス−クロリド、5mMのEDTA、0.1mMのピリドオキサ
ルホスフェート、10mMのメルカプトエタノール(NaOHで全てpH7.8
に調節)、25mMのスペルミン及び30%のPEG8000を添加した。直後
に27000×gで5分間遠心分離器にかけ、上澄み液を集め、そして4℃で1
6から48時間、結晶が形成されるまで培養した。
【0117】 27000×gで15分間、4〜5℃にて遠心分離器にかけて結晶を集め、そ
の後50mMのトリス−クロリド、5mMのEDTA、0.1mMのピリドオキ
サルホスフェート、10mMのメルカプトエタノール(全てpH7.8にて)、
6%のPEG8000及び5mMのスペルミンで遠心分離器にかけながら洗浄し
た。結晶を再懸濁させ、そして1mLの、50mMのビシン、1mMのEDTA
、0.02mMのピリドオキサルホスフェート、及び10mMのメルカプトエタ
ノール(NaOHで全てpH7.8に調節)において37℃で10分間撹拌し、
その後、100mLの、同じpH7.8の50mMのビシン、1mMのEDTA
、0.02mMのピリドオキサルホスフェート、及び10mMのメルカプトエタ
ノール溶液に対して4℃で一晩透析した。タンパク質の透析物を、12000×
gで6分間ミクロ菌において遠心分離器にかけ、そしてペレットを廃棄した。次
いで、上澄み液を、0.1Mのリン酸カリウムバッファー(pH7.8)、5m
MのEDTA、0.2mMのピリドオキサルホスフェート、10mMのメルカプ
トエタノールに対して透析させ、85g/Lの固体の硫酸アンモニウムに追加し
て、TSを沈殿させた。この沈殿を遠心分離器にかけて集め、硫酸アンモニウム
−ホスフェートバッファーで一度洗浄し、再び遠心分離器にかけ、硫酸アンモニ
ウム−ホスフェートバッファーに再懸濁させ、そして−20℃で保存した。TS
の純度を、タンパク質の負荷を増大させるSDSゲル電気泳動によって証明した
。ゲル上で得られたものは、二種類のタンパク質成分のみを示し、これらはサブ
ユニットTSα及びTSβであった。
【0118】 [インドールグリセロールホスフェートの合成] IGP、先のTSα反応に対する基質、は市販されていなかったが、TSαの
逆反応(インドール+D−グリセルアルデヒド3−P→インドール−3−グリセ
ロール−ホスフェート)によって生合成された。この反応は、反応混合物からイ
ンドールを消失させることによってモニターされた。
【0119】 IGPの合成及びアッセイにおいて妨害するであろう基質からIGPを分離す
るのに適当な方法を用いることができた。(例えば、Smith OH and Yanofsky C
Methods in Enzymology 第VI巻 590〜597頁;又はBrzovic PS, Ngo KN, Dunn MF
1992 Biochemistry 31:3831〜3839頁)。
【0120】 DL−グリセルアルデヒド−3−ホスフェートをdistributor's法(Sigma Che
mical Co., St. Louis, MO)に従い、ジエチルアセチルのバリウム塩(NH
HでpH4に調節された最終溶液)から調製した。IGPを、TS(約0.2〜
0.3mg/ml)、5mMのEDTA、50mMのリン酸カリウムバッファー
(pH7.3)、6mMのインドール、及び約10〜13mMのグリセルアルデ
ヒド−3−ホスフェートを含む溶液中で、25〜37℃で16時間まで放置して
、調製した。インドールを用いることにより、25〜37℃で1時間放置後、5
.3〜7.3の範囲のpHによって影響されなかったが、16時間後の利用では
pH5.3にて約97%、pH6.3にて約94%、及びpH7.3にて約85
%影響受けた。インドールの消失を、12.8g/Lのジメチルアミノベンズア
ルデヒド、64ml/Lの濃塩酸(エタノール中)、及び体積換算で14%まで
の水性サンプルを用い、30〜60分反応させた後、540nmの波長(A54 )か、又は567nmの波長(A557)でモニターした。従来のイオン交換
クロマトグラフィ、HPLC(ウォーターズC18−ゾルバックススカラム(Wa
ters C18-Zorbax column)、Warters社製、Franklin MA、0〜80%のアセトニ
トリル、1ml/分)、又は好ましくはC18セップ−パックカートリッジ(C1
8 Sep-Pak cartridge)(Water社製、Franklin、MA)(IGPは水性の循環流れ
(aqueous flow-through)である)を用いて、IGPをインドールから分離し、
そしてHPLCによって評価した。上記に引用されたBrznovic et al., 1992の
方法によってIGPをG3Pから分離した。G3Pを、G3P脱水素酵素によっ
てモニターし、そして過ヨウ素酸塩法(100μLの試験溶液)によるIGP、
又はIGPを、33mMのメタ過ヨウ素酸ナトリウムを含む60μLの0.66
Mアセテートバッファー(pH5)と20分間混合し、その後塩基(80μL、
1NのNaOH)で処理し、そして1mlの酢酸エチルに分配し、吸光度は29
0nmにてモニターした。
【0121】 [TSα反応によるトリプトファンシンターゼの阻害試験用アッセイ] TSの阻害剤を、限定量のインドール−3−グリセロールホスフェート及び過
剰のセリンの存在下におけるネズミチフス菌ホロ酵素(αβ)のTSα反応
によるグリセルアルデヒド−3−Pの製造を阻害するための前記阻害剤の能力に
よって同定した。
【0122】 このアッセイを、Creighton(EurJBch 13:1-10, 1970)とCreighton and Yanofs
ky(JBC 241:980, 1966)に変更を加え組み合わせた方法に基づいた、新規な微量
定量プレート速動性酵素アッセイとして発生させた。グリセルアルデヒド生成物
の割合を、グリセルアルデヒド−3−ホスフェート脱水素酵素の存在下、組み合
わせた酵素アッセイにおけるNAD+の線形(一次)消耗(340nmでの分光
光度計による吸光度)として測定した。
【0123】 このアッセイ溶液は、試験阻害剤化合物、50mMのトリス−Cl(pH7.
8)、6mMのナトリウム、5μg/mlのピリドオキサルホスフェート、0.
5mMのDTT、0.18MのNaCl、60mMのセリン、1.6mMのNA
D+、8e.u./mlの酵母のグリセルアルデヒド−3−ホスフェート脱水素酵素
(Sigma, Catalog #G2647; Kirschner et al., Eur J Bch, 1975, 60:513)及び
約1.5e.u.のサルモネラTSを含んでいた。100μMのIGPを添加して、
反応を開始し、37℃にて微量定量プレート1アッセイ当たり300μL用いて
実施した。
【0124】 基質IGPを、1.5〜2倍のKm濃度で用い、基質結合部位にて結合する弱
い阻害剤の同定に対する見込みを高めた。酵素阻害剤を同定するためのこのアプ
ローチは新規である。なぜなら、過剰の基質全て(少なくとも5倍のKm値)を
、酵素活性の測定において従来から用いていたからである。
【0125】 ポテンシャル阻害剤を、100μMの阻害剤(基質IGPに対して等モル)又
はそれ未満を、100μM未満の希釈系1:1において、測定される阻害剤が1
5%みまんになるまで添加することにより評価した。Vmaxでの反応速度を、
阻害剤の存在下と非存在下で比較した。
【0126】 弱い阻害剤は、定量構造活性関連(QSAR)の評価の援助となるか、又は新
規な除草阻害剤の誘導を同定するためのものである。以前から公知の阻害剤IP
Pを、IPP用I50が1−2μM・・の全試験において標準として用いた。
【0127】 in vitroアッセイの結果を表3に示す。最初の2つの阻害剤化合物は、このI50 値が計算された一般的なデータを示す。
【0128】
【表4】 TS活性を、サルモネラホロ酵素によってTSα反応で測定した。このアッセ
イを、37℃で30分、一定なVmax速度A340にて定量化した。この反応
混合物は、(300μLあたり)15μLの1MのトリスCl、1.8μLの1
Mの砒酸ナトリウム、0.6μLの1mMのPLP、1.5μLの0.1MのD
DT、54μLの1MのNaCl、60μLの0.3Mのセリン、4.8μLの
0.1MのNAD+、純粋なサルモネラTS、グリセルアルデヒドホスフェート
脱水素酵素(酵母より)、及び100mMのIGPを含んでいた。阻害剤を、最
大濃度100μMにて試験した。** 発見された第1の活性化合物。
【0129】 [実施例4] この実施例は、外因性植物TSの部分精製及びTSβアッセイのアッセイにお
けるこれらの使用を開示する。
【0130】 [トリプトファンシンターゼの阻害試験用アッセイ(TSβ−反応)] TS活性を、TSβ活性をアッセイすることにより植物の抽出物中において測
定した。TSα活性を植物の抽出物中において測定することが不可能であった。
なぜなら、他の植物酵素がTSα反応の基質の評価を落とすからである。トリプ
トファンシンターゼを、(i)植物組織からの粗ホモジェネートにおいて、又は
(ii)植物のホモジェネートからの部分精製処理された硫酸アンモニウム留分
として、アッセイ(評価)した。
【0131】 このアッセイを、TSβ反応(インドール+L−セリン→L−トリプトファン
+HO)によりミクロ除虫管において行った。100μLの抽出物を、150
μLの、0.4mMのインドール、80mMのセリン、0.03mMのPLP、
0.1Mのトリス−Clバッファー(pH7.8で、飽和NaClを含有)と混
合した。この混合物を、10分から数時間に時間間隔を増大させ、21℃で保存
した。25μLの1NのNaOH、次いで1mLのトルエンを混合しながら添加
し、次いでミクロ除虫管で2分間10000×Gにて遠心分離器にかけ、残った
インドールをトルエン層に分配し、そして酵素から除去することにより反応を停
止させた。次いで、残ったインドールをインドール試薬層に分配し、そしてジメ
チルアミノベンズアルデヒドと反応させ:ミクロ除虫管からの500μLのトル
エン層1mlのインドール試薬と別の管で混合し、そして20分間分離し、その
後下側層をキュウベットにピペットで注意して移し、その吸光度を540nmで
測定した。このアッセイの一部を、当該分野に知られているように行った。
【0132】 上述した均一の微量定量プレートを開発して、分配工程及びデータ収集工程を
合理化した。最初に、TSβ反応を上述したようにミクロ除虫管において行った
。その後、保存し、そしてアッセイ溶液からのインドールを分離した後、150
μLの0トルエン層含有インドールをポリプロピレンの微量定量プレート(耐溶
剤微量定量プレートを用いても良い)に移し、100μLのジメチルアミノベン
ズアルデヒド試薬を添加した。このプレートを穏やかに撹拌した。鉱油を一滴添
加して、存在する二層の液層をオーバーレイした(これにより、くぼみ当たり三
層得られる)。このプレートを低速度にて遠心分離器にかけ、必要により中間層
の水平面を平らにした。下側の試薬層及び鉱油をトルエン層より分離した。この
プレートをマイラーシートで覆い(プレートリーダーを保護し、そして蒸発を回
避するため)、そして吸光度を535nmにてプレートリーダーでモニターした
。結果を表すために使用される単位は、新鮮な組織1g当たり、1時間当たりの
反応したインドールのnmolであるか、又はBio-Laboratories, Hercules, CA
製の市販試薬を用いて、Bradford(Bradford, M., Anal. Biochem. 72, 248(197
6))法によってアッセイされたタンパク質を含むタンパク質のnmol/hr/
mgである。
【0133】 [高い植物からのTSの部分精製] TSβアッセイにおいて使用するため、ホウレンソウからTSを部分的に精製
した。精製の最も良好な程度は、組織を均質化し、30〜50%の硫酸アンモニ
ウム留分を調製し、そしてこれを冷凍し、これを解凍し、そして溶解しない沈殿
をFPLCカラム(Waters SW300, Waters社製、Franklin, MA)に用いて、タン
パク質の容積からTS活性(TSβとして測定)を分離した。180倍に精製し
て、収率は34%であった。類似の方法をトウモロコシのTSに用いた。次いで
、NaClによる溶離を含むクロマトグラフィにより、純度が改善されたが、T
Sαサブユニットをホロ酵素から部分的に除去することによる収率の低減はもた
らされなかった。部分精製処理された植物TSのアッセイの低収率を理由に、外
因性酵素を粗抽出物においてか、又は1つ又は2つの精製工程を包含する酵素の
調製において測定した。後の実施例5に開示されたように、比較的純粋な植物T
Sの製造には、形質変換された生物を用いる必要があった。
【0134】 上述したTSβアッセイに使用される植物組織を、以下のように調製した。2
グラムの植物組織を、液体窒素においてモルタルと乳棒で均質化し、その後別の
モルタルに移し、そしてさらに0.1mMのPLP、5mMのEDTA、10m
Mのβ−メルカプトエタノール、1mMのPMSF、及び50mMのKCl(全
体積10ml)においてさらに均質化し、そして25000×Gで20分間遠心
分離器にかけた。これは、粗ホモジェネートであった。アンモニウム塩を上澄み
液に加えて約30%の飽和度とし、そして沈殿を遠心分離器にかけて取り除いた
。その後、残った上澄み液に硫酸アンモニウムを加えて約50%の飽和度とした
。遠心分離器にかけて別の沈殿を集め、上述したアッセイ溶液に溶解して、TS
βアッセイを開始した。或いは、沈殿を、後でさらに精製するため、凍らせた。
【0135】 或いは、80%の飽和度で硫酸アンモニウムによるたった1つの沈殿を用いて
、TSを沈殿させた。凍らされたペレットを最後の溶液で一度洗浄し、その後ア
ッセイ用の新しい質量の当初グラム当たり0.5mlの均質化バッファーに再懸
濁させた。ジヒドロトリプトファンを対照として使用した。TSβ活性は、ジヒ
ドロトリプトファンによって阻害されると知られている。
【0136】 [実施例5] この実施例は、E. coliにおけて過剰発現による活性組み換え植物TSαサブ
ユニットの製造を示している。この実験で用いられる方法及び材料は、以下に開
示される。
【0137】 [植物TSα発現ベクターの構造] 阻害剤及び変性TS遺伝子を解析するための、多量の活性精製化植物TSを得
るために、製造系に基づくE. coliを開発した。E. coliにおけるシロイヌナズナ
のTSα発現用プラスミド3種類を作製した。このプラスミドを遺伝子工学で作
り、以下の(i)〜(iii)を含む配列をコード化するTSαを発現させた:
即ち、(i)完全な転移配列(pAC757)、(ii)部分的な転移配列(p
AC758)及び(iii)成長したタンパク質配列のみ(即ち、転移配列を含
まない)(pAC759)。
【0138】 TSαを完全な転移配列(pAC757構造)でコードする遺伝子の断片を増
幅させるために用いられる5−プライムRCRプライマーは、5’−GGGTT
GGATCCATGGCGATTGCTT−3’を含んでいた。部分的な転移配
列()でTSαを構成するため、前記5−プライムプライマーは、5’−GAT
TCGGATCCATGGCTTCTCTCT−3’を含んでいた。それぞれの
増幅用3−プライムPCRプライマーは、5’−TATCGATTCGAACC
GGTACCGA−3’を含んでいた。各5−プライムプライマーは、Bam HI制
限部位を含むように設計され、そして3−プライムプライマーは、Eco RI部位を
含むように設計された。シロイヌナズナのTSα遺伝子を鋳型して用いた。各P
CR−発生断片を、最初にTAクローニングベクター(インビトロゲン社(Invi
trogen(Carlsbad, CA)の製品)にクローンを発生させ、その後組み立てたもの
(in-frame)をpGEX−2Tベクター(ファルマシア社(Pharmacia(Piscataw
ay, NJ)の製品)にサブクローニングする。完成した発現ベクターを、E. coli菌
株のDH5αに形質転換した。
【0139】 [E. coliの培養菌からの植物TSα精製] pAC753、pAC754又はpAC755で形質変換された、50mLの
一晩培養したE. coli(DH5α)を用いて、1LのLuria Broth(50μg/m
Lのアンピシリン及びa1:1000希釈度の無菌反定型Aを含む)を接種した
。この培養物を、4時間振り動かしながら37℃で培養した。IPTGを添加し
て1mM(0.238g/L)にすることによってタンパク質の発現を誘導し、
そして細胞をさらに2.5時間培養した。細胞を遠心分離器(Beckman JA-10ロ
ーターにおいて5000rpmにて10分間)にかけて集め、直後に冷凍し、そ
して−20℃で保存した。冷凍されたペレットを、10mLのMTPBS(15
0mMのNaCl、16mMのNaHPO、4mMのNaHPO、pH
7.3)に再懸濁させた。トリトンX−100(tritonX-100)を添加して最終
濃度1%とし、そしてリソチームを添加して最終濃度100μg/mLとした。
スラリーを30℃で15分間培養した。粘度を、程良く超音波を当てて低減させ
た。サンプルを、Beckman JA-20ローターにおいて4℃で10分間10000r
pmにて遠心分離器にかけた。
【0140】 細胞を溶菌し、そして遠心分離器にかけた後、上澄み液を2mLの膨張させた
グルタチオンアガロースビーズ(硫黄結合、Sigma Chemical., St. Louis, MO)
、1mLの膨張させた固体ビーズ、1mLのバッファー)と混合し、そして45
分間振り動かしながら培養した。このビーズを遠心分離器にかけ(1000rp
mのテーブルトップ(table-top)、5分間遠心分離器)、そしてこのビーズを
室温のMTPBSで洗浄した。この洗浄を2回繰り返した。洗浄したビーズを使
い捨てカラムに装填した。溶離液のA280がMTPBSのそれと調和するまで
、このカラムをさらにMTPBS洗浄した。遊離グルタチオン(50mMのトリ
ス−HCLのpH8.0で、5mMの低減されたグルタチオン[Sigma社製][
最終pH7.8、新たに調製]を含有する)での拮抗により、融合タンパク質を
溶出した。吸光度A280の全留分をプールした。融合タンパク質の予想される
分子量を示すSDS−PAGE解析を、各構成物から示される。トロンビン1m
g(トロンビン−ボビンプラズマトロンビン(thrombin-bovine plasma thrombi
n)、Sigma Catalog #T7513社製)をプールに添加し、そしてサンプルを50m
Mのクエン酸ナトリウム及び150mMのNaClにおいて室温で一晩透析した
。核融合タンパク質を示すSDS−PAGEを、GST及びTSαタンパク質に
開裂させた。
【0141】 しかしながら、タンパク質バンドの転移配列を含まないTSαの予め決められ
た分子量に対して、最も多量のTSαタンパク質を発生させるために表されたプ
ラスミドpAC758は、GSTタンパク質バンドによって不明瞭にされる場合
にもある。完全な転移配列を含む開裂されたTSαタンパク質に関して、ゲル上
でタンパク質は検出されなかったが、サンプルはTSα活性を有していた。最も
多くのタンパク質及び最大の活性を、pAC758から発生させる。
【0142】 [植物TSβ発現構造] 阻害剤及び変性TS遺伝子解析用活性の精製処理された植物TSを多量に得る
ために、製造系に基づくE. coliを開発した。E. coliにおいて配列をコード化す
るシロイヌナズナTSβのプラスミド発現を構築した。このプラスミドを遺伝子
工学で作り、以下の(i)〜(iii)を含むTSβを発現させた:即ち、(i
)完全な転移配列(pAC753)、(ii)部分的な転移配列(pAC754
)、又は(iii)転移配列を含まない、即ち予め決められた成長TSβタンパ
ク質(pAC755)のみ発現させる。3(5’−AACAGGGATCCGC
AGCCTCAGGCA−3’)プライマー及び4(5’−GTTTCTCGA
ATTCAAACATCAAGAT−3’)プライマーを用いるTSβ遺伝子の
断片並びにDr. G. R. Fink. MIT(M. B. Belyn, et. al., Proc. Natl. Acad. S
ci. 86: 4604〜4608頁, June 1989)による鋳型としてのシロイヌナズナのTS
β遺伝子のPCR増幅によって、pAC753の構築を開始した。部分的な転移
配列(pAC754)を含む配列をコード化するTSβを含有する断片を発生さ
せるために、プライマー2(5’−TCGTCTGGATCCAAGTCATC
ATCCT−3’)及びプライマー4を用いた。転移配列を含まない成熟TSβ
タンパク質をエンコードする断片を発生させるために、プライマー1(5’−A
CCCGGATCCTTCGGTCGGTTT−3’)及びプライマー4を用い
た。各5−プライムプライマーはBam HI制限部位を含むように設計され、そして
3−プライムプライマーはECO RI部位を含むように設計された。これらの制限部
位を、pGEX−2TE. coli発現ベクター(Pharmacia)でPCR断片クローン
として発生させるために使用して、グルタチオンの転移酵素/TSβ遺伝子の融
合タンパク質を発現させた。断片を増幅させた各PCRを最初にInvitrogen TA
クローニングベクターにおいてクローンとして発生させ、その後pGEX−2T
ベクターにサブクローン化させた。完全な構造物を、E. coli菌株のDHαに移
した。
【0143】 プラスミドを構築して5アミノ酸のトロンビン認識部位を包含させて、TSβ
タンパク質からグルタチオン転移酵素(GST)タンパク質の開裂を可能にした
。このタンパク質分解酵素により、2種類の抽出残留物、即ちGly-SerをTSβ
タンパク質のN−末端に得られた。上述した各ベクターは、予想された融合タン
パク質、並びに予想されたGST及びTSβタンパク質を、SDS−PAGEゲ
ル上で確認されるようにトロンビンを処理した後、発現させた。
【0144】 [E. coli培養菌からの植物TSβの精製] pAC753、pAC754又はpAC755で形質変換された、50mLの
一晩培養したE. coli(DH5α)を用いて、1LのLuria Broth(50μg/m
Lのアンピシリン及びa1:1000希釈度の無菌反定型Aを含む)を接種した
。この培養物を、4時間振り動かしながら37℃で培養した。IPTGを添加し
て1mM(0.238g/L)にすることによってタンパク質の発現を誘導し、
そして細胞をさらに2.5時間培養した。細胞を遠心分離器(Beckman JA-10ロ
ーターにおいて5000rpmにて10分間)にかけて集め、直後に冷凍し、そ
して−20℃で保存した。冷凍されたペレットを、10mLのMTPBS(15
0mMのNaCl、16mMのNaHPO、4mMのNaHPO、pH
7.3)に再懸濁させた。トリトンX−100を添加して最終濃度1%とし、そ
してリソチームを添加して最終濃度100μg/mLとした。スラリーを30℃
で15分間培養した。粘度を、程良く超音波を当てて低減させた。サンプルを、
Beckman JA-20ローターにおいて4℃で10分間10000rpmにて遠心分離
器にかけた。
【0145】 GST/TSβ融合タンパク質を精製するために、上澄み液を室温に暖め、そ
してMTPBSと平衡させたグルタチオンアガロース(硫黄結合、Sigma Chemic
al., St. Louisの製品, MO)、1mLの膨張させた固体ビーズ、1mLのバッフ
ァー)のスラリー(0.5mLの膨張固体ビーズ、0.5mLのバッファー)1
mLと混合した。このサンプルをゆっくりと混合し、そして10分間培養した。
1500にrpm(1分当たりの回転数)を上げることによってテーブルトップ
の遠心器において遠心分離し、そして直後に遠心器を止めることにより、ビーズ
をペレット化した。上澄み液を捨て、そしてビーズを5mLのMTPBSで洗浄
し、再びペレット化した。この洗浄工程を4回繰り返した。5mMの低減された
グルタチオン(Sigma)(最終pH7.8、新たに調製)を含有する50mMの
トリス−HCl(pH8.0)0.5mLを添加することにより融合タンパク質
を溶出した。低速度で遠心分離器にかけることによりこのビーズを再度ペレット
化し、そして上澄み液を集めた。溶出工程をさらに2回繰り返した。上澄み液を
ろ過して、グルタチオンアガロースビーズの残渣を除去した。0.5mgのトロ
ンビン配合物(トロンビン及びバッファー塩を含む、Sigma Cat# T7513)を添加
することにより、GST/TSβ融合タンパク質を開裂させた。その後、2Lの
、50mMのクエン酸塩、150mMのNaCl、pH6.5、一晩に対して、
サンプルを透析した。
【0146】 [E. coliにおいて発現させたTSα及びTSβを用いる植物TSアッセイ] 植物TSタンパク質を、精製を容易にするためのグルタチオン転移酵素(GS
T)を含む融合タンパク質として発現させた。精製後、植物TSアッセイを実施
する前に、GSTタンパク質を上述したトロンビンで開裂させた。トロンビンに
よる開裂後、TSα及びTSβサブユニットタンパク質の両方共に、TS配列の
他にN−末端タンパク質にGly-Ser残渣を有していた。TSα用アッセイに対し
て約5μgのタンパク質及びTSβ用アッセイに対して10μgのタンパク質を
用いた。
【0147】 TSα酵素アッセイを、サルモネラのTSαに関する実施例3に開示のように
行った。TSα酵素活性の結果を表4に示す。
【0148】
【表5】 TSαサンプル(開裂させた融合タンパク質)を、TSβサンプルの添加前に
、反応混合物に添加した。** これは、アッセイの限界にほぼ近かった。
【0149】 表4の結果は、E. coliにおいて発現させたTSαタンパク質が活性であるこ
とを示している。しかしながら、このTSαタンパク質は、TSβタンパク質の
存在下においてのみ十分に活性であった。
【0150】 TSβアッセイを、実施例4に開示にように行った。アッセイの結果を表5に
示す。
【0151】
【表6】 表5を参照して、2種類の構造物、即ちpAC753及びpAC754は、極
めて高いTSβ活性を示し、これは例えばホウレンソウ又はトウモロコシからの
外因性植物抽出物を用いて得ることができた場合より遙かに高いものであった。
リーダー配列を有していないTSβは不活性であった。しかしながら、転移配列
を有していないTSβタンパク質は、TSαサブユニット活性を活性化すること
が可能となった(表4、参照)。
【0152】 これらのデータは、トリプトファンシンターゼ活性の欠如するE. coli菌株を
用いた相補性に関する実験(実施例6に開示)から得られた結果と矛盾していな
い。実施例6を参照して、リーダー配列を含まないシロイヌナズナ菌株のTSβ
遺伝子は、E. coliの相補が不可能であった。しかしながら、完全な転移配列を
発現するTSβ遺伝子は菌株の相補が可能であった。
【0153】 [実施例6] 以下の実験では、植物TSβサブユニットの機能を、E. coli酵素と比較して
一定に保つことを証明している。E. coli菌株の突然変異による成長を相補する
ための植物酵素の能力は、試験されたように、トリプトファンの補助無しに成長
できない。
【0154】 使用される変異型E. coli菌株は、外因性酵素遺伝子に突然変異体を含んでい
る。この菌株EC972(metargtrpB202)及びNK7402(trpB83::tn1
0)を、ATCC保存センターから得た。菌株W3110trpA33及びW3
110tnA2trpB9578は、Carles Yanofsky, Stanford University(R
adwanski, E. R. et al., Mol. Gen. Genet. 248: 657〜667頁, 1995)からの贈
呈物であった。全ての相補性試験を、M9媒体で行った。この媒体を、EC97
2形質転換体の試験用メチオニンとアルギニンの両方に追加した。
【0155】 プラスミドpB1907、即ちDe. G. R. Fink MIT (M. B. Berlyn, R. L. La
st, G. R. Fink, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86: 4604〜4608頁, June 1989)
からの贈呈物は、2.1kbのEcoRI断片で、TSβサブユニットをエンコ
ードするシロイヌナズナのTRPB遺伝子を含んでいる。このEcoRI断片を
、ATG読み始めコドンを包囲するNcoI部位(CCATGG)を含むことに
より変更する。NcoI(遺伝子の5’端)及びHindIII(遺伝子の3’
端でのポリリンカー)で消化して、同一の、独立して単離されるプラスミドpA
C502及びpAC505を作製することによって、この断片をE. coli発現ベ
クターpKK233−2(Pharmacia, Piscataway, NJの製品)においてクロー
ンとして発生させる。発現ベクターpKK233−2は、tacプロモーターとrrn
Bリボソームターミネーターを含んでいる。
【0156】 pKK233−2プロモーター及びターミネーターにより側面に配置されるシ
ロイヌナズナのTRPB配列を、ベクターpACYC184(New England Biol
abs, Beverly, MA)においてサブクローンした。まず、pKK233−2及びp
ACYC184プラスミドの両方を、ScaI及びEcoRIで消化して、プロ
モーター−ターミネーター領域を、pACYC184においてサブクローンし、
そして同一の、独立して単離されるプラスミドpAC510及びpAC511を
作製した。シロイヌナズナのTRPB配列を含む断片を、これを完全にHind
IIIで及び部分的にNcoIで消化させることによってプラスミドpAC50
2から得た。これにより得られた断片を、pAC510でクローンとして発生さ
せ、pAC510をNcoIで完全に及びHindIIIで部分的に消化し、同
一の、独立して単離されるプラスミドpAC515及び「pAC516を作製し
た。
【0157】 2種類の独立して単離されるクローン、pAC502及びpAC504をE. c
oli菌株EC972に形質転換させた。この菌株には、外因性のTRPB遺伝子
での突然変異により、成長のためにトリプトファンの補助を必要とする。シロイ
ヌナズナTSβを発現する形質転換体の、以下の(i)又は(ii)で成長する
ための能力に関して試験した:即ち、(i)補助無しの最少培地又は(ii)イ
ンドールで補助される最少培地、即ちTSβサブユニットの基質。これらの試験
の結果を表6に示す。
【0158】
【表7】 ND=測定されない M9 EC972をargと接触させる理由からメチオニンとアルギニンで補助
された最少培地。
【0159】 シロイヌナズナ酵素を発現する. coli形質転換体は、最少培地及びインドール
で補助された最少培地の両方で成長可能であった(植物酵素はE. coliにおいて
機能的であることを示す)。
【0160】 この結果は、tacプロモーター、シロイヌナズナのTRPB遺伝子及びrnnBタ
ーミネーターを含む断片を、プラスミドpACYC184においてプラスミドp
KK233−2からサブクローンした場合に確認された。これにより得られたp
AC515及びpAC516プラスミドを、W3110tnA2trpB957
8(表現型trpB)とNK7402trpB83::tn10(表現型tr
pAtrpB)の両方で形質転換した。pAC515又はpAC516のい
ずれかを有する5種類の独立した形質転換体を、(i)最少培地、(ii)イン
ドールで補助された最少培地又は(iii)トリプトファンで補助された最少培
地で培養した。W3110trpA33(表現型trpA)及びW3110t
naA2trpB9578(表現型trpB)を、対照として斑点をつけた。
この相補性試験の結果を表7に示す。
【0161】
【表8】 W3110trpB=W3110tna2trpB9578。表現型はtrp
である。 NK7402trpB83::tn10。表現型はtrpAtrpBであ
る。 ND−測定されなかった。
【0162】 シロイヌナズナTSβサブユニットは、E. colitrpB遺伝子中に突然変異
体を有する菌株の成長を相補するのが可能となり、そして培地をインドールで補
助する場合にtrpA及びtrpBの両方において突然変異体を有するE. coli
菌株の成長を相補するのが可能となった。
【0163】 [高処理量の阻害剤スクリーニング法] 植物酵素の発現によって外因性TS活性の不十分なE. coli菌株の相補により
、高処理量法で植物TSの阻害剤をスクリーニングが可能となる。スクリーンを
、トリプトファンで補助されても良い最少培地の二重プレート(diplicate plat
es)において行うことができる。E. coli菌株の菌叢(lawn)をこのプレートに
取り込んでも良く、その後このプレートに、複製されたパターンにおいて試験さ
れるべき化合物を点在させた。トリプトファン無しに培地においてクリアニング
(clearing)の領域を形成するが、トリプトファンで補助された培地でクリアニ
ングのより小さな領域を有するか、若しくは有していない化合物は、トリプトフ
ァンの生合成経路の阻害剤を示している。この方法で同定される化合物を、酵素
アッセイ又はここに開示されている他の方法若しくは当該分野の技術者等に公知
の方法によってさらに分析しても良い。スクリーニングをバクテリアで行う利点
は、大多数の化合物を高処理量且つ自動化された方法でスクリーンしても良いこ
とにある。
【0164】 シロイヌナズナのTSα又はTSβ遺伝子で相補される同じE. coli菌株を、
高処理量法でTS阻害剤に対する抵抗性を与える突然変異体の同定に使用する。
係る変異型抵抗性遺伝子は、除草剤を阻害するTS用農作物に対して抵抗性を与
える場合に有用である。E. coli菌株に突然変異を起こさせ、そして除草剤を含
む最少M9培地で培養する。植物TS酵素の抵抗性変異体を含むプラスミドを有
する菌株を回収する。このTSβ遺伝子を順番に配列させ、突然変異体を同定す
る。これらの抵抗性遺伝子を農作物に形質転換させる。
【0165】 [実施例7] この実施例は、本発明の阻害剤で、シロイヌナズナのTS酵素(実施例4に開
示されたようにE. coliにおいて組み換え形成される)の良好な阻害を明らかに
している。特に、フェニルチオホスホン酸化合物を用いた。TSαアッセイ条件
を、組み換え植物タンパク質をサルモネラ酵素の代わりに使用したことを除いて
、実施例3のサルモネラTSαに関して開示した。結果を表8に示す。
【0166】
【表9】 E. colipAC758(1.5μg)開裂タンパク質を、E. colipAC755
(3μg)開裂タンパク質の添加前に反応混合物に添加した。** これは、アッセイの限界に近づいていた。
【0167】 これらの結果は、サルモネラ酵素を阻害するために設計される化合物が高い植
物からのTS酵素を阻害することを示している。従って、微生物のTS酵素を含
むアッセイを、植物TSの新規な阻害剤の同定及びアッセイ用の試験系として用
いても良い。
【0168】 [実施例8] この実施例は、サルモネラTSαを用いて同定される阻害剤が、TSβアッセ
イを用いるような植物TS酵素を阻害することを証明している。ホウレンソウか
らの酵素を実施例4にように精製した。
【0169】 サルモネラ酵素で活性であった(TSαアッセイで測定される)阻害化合物は
、ホウレンソウの酵素で活性でもあった(実施例4に従いTSβアッセイで測定
された)。これらの実験において、TSα活性を定量的に測定する一方、TSβ
活性を定性的に測定した。結果を表9に示す。
【0170】
【表10】 “+”の数の増加は、阻害の増加に相当する。
【0171】 [実施例9] 以下の結果は、本発明の阻害剤がin vivo条件下で阻害剤でもあることを証明
している。
【0172】 前の実施例は、本発明の化合物が微生物及び植物TS酵素in vitroの両方に対
して効力のある阻害剤であることを示している。しかしながら、これらの化合物
は、異なるin vivo作用機構を有していた。従って、化合物の除草作用が阻害ト
リプトファン生合成によるものであることを示すのは重要であった。以下に開示
される逆アッセイ(援助、予防又は相補としても知られている)は、作用の予想
される機構(即ち、トリプトファン生合成の阻害)が実際には植物において見出
されたことを示している。
【0173】 [シロイヌナズナにおけるTS阻害剤の除草活性の逆転] 代謝産物、生合成経路の生成物、又は他の化合物による除草徴候の逆転は、除
草化合物の作用機構を示すことができる。
【0174】 この実験において、0.7%のアガー(寒天培地)を含有するマラシゲ(Mara
shige)最少有機培地(Life Technologies, Grand Island, N. Y.の製品)成長
させるシロイヌナズナで、TS阻害剤を試験した。化合物を異なる濃度で試験し
て、その除草活性を評価した。トリプトファンを含むTSの除草活性の逆転を実
証する結果を表10に示す。
【0175】
【表11】
【表12】 評価:0−全く効果無し、9−全て枯らす、C−処理後4〜6日のクロロシス播
種。
【0176】 表10を参照して、TS阻害剤は、極めて広範囲の濃度で除草的であり、これ
により厳しい成長の阻害及びクロロシスの播種が引き起こされ、最終的に植物の
死(枯れる)をもたらした。これらの徴候は、L−トリプトファンを成長培地に
添加することによって完全に防げた。除草剤で処理された植物を死滅させる一方
、除草剤及びL−トリプトファンで処理された植物は健康的に見え、且つ未処理
植物と違わなかった。トリプトファンは、これらTS阻害剤の除草活性を完全に
逆転可能な唯一のアミノ酸であった。この結果は、TSin vitroを阻害する化合
物が除草的なin vivoであり、そして除草活性in vivoはトリプトファン生合成の
阻害に単に起因していることを示している。
【0177】 従って、TSを阻害する除草化合物を、トリプトファンを含む逆アッセイによ
って同定することができる。この方法を最初に高処理量スクリーニングアッセイ
としてか、又は特定の阻害剤の作用機構がトリプトファン生合成の阻害によるも
のであると同定し且つ確認するための別のアッセイとして用いることができる。
【0178】 [実施例10] この実施例の結果は、エステルが酸類似物を遊離するより効果的な阻害剤in v
ivoであることを実証している。
【0179】 幾つかの種類での特定化合物の脱エステル化が、他の種類の場合より極めて迅
速に起こることもあるのにもかかわらず、植物は、多くの生体異物からエステル
基を除去するエステラーゼ酵素を有している。さらに、基本的な分子構造の変化
は、個々の種類の脱エステル化の速度に影響を与えることもある。以下の結果は
、そしてなぜ数種類のエステルが、温室において、in vivoよりもin vitroの条
件下でTSに対する効果が低いのかを説明する。結果を表11に示す。
【0180】
【表13】 評価:0−全く効果無し、9−全て枯らす、C−クロロシス播種。
【0181】 従って、TSの除草阻害剤である化合物を、ジエステル及び特定の塩として機
械的に合成して、植物内での標的部位に対する化合物の放出を改善しても良い。
【0182】 [実施例11] この実施例は、Synechocystisでの逆アッセイについて開示している。
【0183】 [Synechocystisでの最終生成物の逆転] Synechocystisは、より高い植物葉緑体の光合成に極めて類似した光合成系の
、実際には光合成バクテリアである単細胞の緑色生物である。Synechocystisの
培養成長を、本発明の化合物によって阻害することができ、そして成長阻害をト
リプトファンの存在下で予防することができる。
【0184】 トリプトファンは、シアノバクテリアであるSynechocystis PCC 6803における
4−[(2−ヒドロキシフェニル)チオ]ブチル−ホスホン酸の安息香酸エステ
ルの成長阻害効果を完全に逆転させた。
【0185】
【表14】 このアッセイは、時間0(ゼロ)(培養物の希釈剤)で添加される阻害剤を用
い且つそれから4日後に測定された活性で、微量定量プレートで液体培地にて行
った。阻害剤又はトリプトファンの大きな濃度は禁止した。
【0186】 [実施例12] 多数の因子は、植物の特定の標的が良好な除草剤標的であるか測定した。これ
らの因子には、標的の重要性及びその健全な植物での機能、標的が含まれる経路
での代謝産物の流れ、標的の阻害により損害を受ける植物による機構、標的酵素
の局在化、及び標的種での標的の吸光度が含まれる。除草剤の標的としてTSを
評価するため、TSは除草剤を標的にし、農作物及び雑草種でのTS酵素を特徴
付けた。
【0187】 [初期の損害を上側苗条組織に対して引き起こすTS阻害剤] 本発明の除草化合物を、その除草効果について、事後法で処理された植物で徴
候を観察することにより試験した。損害の徴候は、若い苗条がこれらの除草剤に
対して最も敏感であったことを示唆していた。
【0188】 本発明の除草剤阻害TSにより引き起こされる初期の損害の徴候を表13に示
す。徴候及び種効果は、0.01m(1ヘクタール)当たり4〜8kgで施与
される{4−[(o−ヒドロキシフェニル)チオ]ブチル}−ホスホン酸の除草
活性によって示される。
【0189】
【表15】 徴候は、阻害剤を事後法による処理後6日間について記載されている。 種効果は、事後法による施与後13日間について開示されている。
【0190】 [実施例13] この実施例で示される結果は、TSを積極的に成長し、発育する植物組織に集中
させたことを明らかにしている。
【0191】 実施例4に従い調製される硫酸アンモニウムの沈殿から得るTSを、TSβ反
応によってアッセイし、そして結果を最新の質量(g)当たり、1時間当たりに
使用されたインドールのナノモル(n mol)としてか、又は組織タンパク質mg
当たり、1時間当たりのナノモルとして示した。ホウレンソウ、トウモロコシ、
及びトマトを用いた実験は、若く、成長又は発育する組織が最も多くのTS酵素
を含んでいることを実証している。これは、除草剤阻害TSで処理された多くの
植物種で見られる損害の徴候の種類に極めて相互に関連する。逆に、茎及び根の
組織は、測定可能な量の酵素を有していなかった。これは、TS用のより高い植
物遺伝子が葉緑体に対するタンパク質の標的とする唯一の配列含むという事実に
関連する。
【0192】 分化及び成長する組織がSpinacea oleraceaにおいて最も高いTS活性を含む
ことを実証する結果を表14に示す。成熟した葉を除く全ての組織は、分化及び
/又は成長組織であった。
【0193】
【表16】 トウモロコシ組織の培養物は外因性TSの別の供給源であった。開腹される活
性量は培養物の遺伝子型及び/又は状態に応じて異なっていた。部分精製により
、Waters SW300カラムでのホウレンソウのTSとして同様に溶出される酵素を形
成した。トウモロコシの培養物からのTS活性を、β反応によってアッセイした
【0194】 トウモロコシの分化細胞の培養(II型のカルス)が、ゆっくり成長する細胞
の懸濁培養(後期対数増殖期)より高いTS活性を有していたことを実証する結
果を表15に示す。
【0195】
【表17】 トマト(Lycopersicum esculentum)からのTSを用いて、組織の年数(age)
に対するTSレベルを比較した。以下の植物を用いた:即ち、多数の熟成トマト
を含む熟成植物;10枚の葉段階での開花植物;及び十九日経過した稚苗。活発
に発育する植物での若い生育組織は、最も良好な酵素活性と比活性を有していた
。この比活性を、Bradfordタンパク質アッセイによって測定した。高いTS活性
がLycopersicum esculentumにおけて活発な生育及び/又は分化である組織に相
互に関連することを実証する結果を表16に示す。
【0196】
【表18】 急告に生育する「シンク(sink;場所)」組織は、ゆっくり生育する又は生育
しない「ソース(source;源泉)」組織と比較して、非常に高いTSレベルを有
している。「シンク」組織は、特定の栄養素及び有機代謝産物の時間による正味
の増量分を示す一方、「ソース」組織はこれらの栄養素が低減される。5枚の葉
を有する非被子植物での若く、急速な膨張する葉(sink組織)は、7枚の葉の植
物(source組織)である開花の第1の花房の底部で葉より高いTS活性を有して
いた。トマトにおけるトマトの「sink」葉組織が「source」葉組織より良好なT
S活性を有していたこと実証する結果を表17に示す。
【0197】
【表19】 全年数の植物における茎頂は、最も高いTS活性を有していた。結実後のみ、
茎頂でのTS活性が衰えた。従って、TS阻害剤を植物の生育する茎頂に対して
施与するか、又は到達させると最も効果的になったであろう。
【0198】 全年数のトマト植物からの茎頂が、結実前に最も良好なTS活性を有すること
を実証する結果を表18に示す。
【0199】
【表20】 十分な葉は、少なくとも5枚の小葉が膨張された状態の葉であった。各茎頂の
最も大きい葉は、花軸に端から端まで約8cmであった。
【0200】 茎頂より下側の組織が僅かなTS活性を有することを実証する結果を表19に
示す。温室トマトの播種を植え付け後22日間して抽出した。茎頂より下側の根
組織及び茎組織は測定不可能なTS活性を有していた。
【0201】
【表21】 根端は、土壌を除去された場合に損害を受けた。
【0202】 異なる年数のトマト植物の頂部における小さな葉が、異なる年数のトマト植物
の頂部付近におけるより大きな葉よりも良好なTS活性を有していたことを実証
する結果を表20に示す。葉1枚当たり0.1〜0.6gの最新の質量にての最
大活性及び葉1枚又はそれ以上当たり4gにての10%未満の最大活性で、TS
活性は、葉の最新の質量に対して対数相関(0.74の回帰相関)であった。
【0203】
【表22】 13日、27日、40日及び81日前から植え付けられた植物から葉を取り除
き、そしてTSレベルをTSβ反応により測定した。
【0204】 [実施例14] この実施例において報告される結果は、数種類の雑草についてのTSレベルを
明らかにしている。
【0205】 TSは十分に豊富な酵素でなく、そして上述のトマトとホウレンソウの実施例
において、TSβ活性の最も高いレベルでさえ一般に植物組織の最新の質量に対
して200ミリモル/時間/g未満であった。ほとんどの幼植物のTS活性は、
トマト又はホウレンソウより低かった。このTSβ活性を実施例4のように測定
した。雑草種を、温室中の合成鉢植えで2週間(種からの一年生雑草)又は4週
間(多年生雑草種)植え付けた。植物を除草剤で処理しなかったが、実験用に用
いる雑草苗は除草剤の初期の事後法による施与に用いるものと同じ大きさであっ
た。
【0206】 数種類の重要な雑草に置いて極めて低いTS活性を明らかにする結果を表21
に示す。多くの雑草は測地するためにあまりにも低いTS活性であった。従って
、TSは、活性酵素の量がすでに低いという意味で良好な除草剤標的である。硫
酸アンモニウムの沈殿(25〜60%)(実施例4により調製)をTSβ活性に
関してアッセイし、Sinapis arensis及びElytrigaia repensのみが測定可能な活
性を有していた。
【0207】
【表23】 一年生雑草種(上側の苗条)を植え付け後2週間抽出し、多年生を植え付け後
4週間抽出した。
【0208】 [実施例15] この実施例は、TSが水栽培により生育されたトウモロコシの幼苗に含まれる
ことを明らかにする。
【0209】 若いトウモロコシの幼苗に分配されるTS活性を明らかにする結果を表22に
示す。
【0210】 トウモロコシを、水栽培により生育させた5日間経過した幼苗におけるTS活
性用に抽出して、根に付着する土壌粒子を取り除いた。水栽培条件は、水分ペー
パータオルで幼苗を発芽させ、その後2オンス(2oz)のガラスジャー(適当
な、希薄な、無機溶液を含む)にここの幼苗の根のみを配置することによって確
立された。組織サンプルを、TSβアッセイによって評価した。この評価を行う
前に、抽出物をDP 10大のカラムに通過させた。介在分裂組織は、低い輪生葉組
織を含み、且つ苗条の分裂組織を含んでいたというものであった。
【0211】
【表24】 表22を参照して、若い葉身のTS活性は、苗条の輪生組織又は根の最も低い
部分より高いものであった。
【0212】 [実施例16] この実施例は、トリプトファンシンターゼのβ−サブユニットを配置するため
の抗体の製造を開示する。
【0213】 トリプトファンシンターゼのβ−サブユニット(TSβ)に対する抗体を用い
て、標的組織における酵素の発現位置及び発現レベルを評価することができる。
非相同系のおけるタンパク質の発現に関する分析用試薬として用いることもでき
る。
【0214】 TSβサブユニットをpAC755から発現させ、精製し、そして実施例5に
開示されているようにトロンビンで消化した。
【0215】 トロンビン消化製剤(体積の11mL)に、体積の1/5の5X SDSサン
プルバッファー(50%のグリセロール、SDS、ブロモフェノールブルー)、
及び体積の1/10の1MのDTTを添加した。サンプルを沸騰水浴に3分間入
れ、そして40℃で保存した。12.5%のSDS PAGE調整用ゲル(Leam
lli、1.5mm幅)を調製し、そして2mLのSDS処理サンプルに装填した
。ゲルでの装填は、2レインのBIo-RAD予備着色処理標準であった。このゲルを
重ねゲルにより40mAmp及び分解ゲルにより60mAmpで電気泳動にかけ
た。一連の標準及びゲルのTSβ調整用部分を含むゲルの一部を取り除き、そし
てCoomasie Blueで染色した。残りのゲルを1MのKCl溶液に導入した。KC
l処理ゲルに沈殿するタンパク質を視覚化した。TSβタンパク質含有ゲルの一
部を切り取り、そして蒸留水で洗浄して、KClを取り除いた。ゲルのスライス
を−20℃で保存した。
【0216】 TSβタンパク質含有ゲルのスライスをコニカル管に導入し、そしてこの管を
ドライアイスで冷凍した。コニカル管によって穴を貫通させ、そしてゲルのスラ
イスを冷結乾燥させた。冷結乾燥サンプルを、ガラスロッドで磨砕することによ
り粉末状にした。冷結乾燥ゲルのサンプルを計量し、そして標準としてのBSA
の公知量で装填したSDS−PAGEゲルまで及ばせた。約5.0μgのTSβ
タンパク質をmg単位の冷結乾燥アクリルアミドゲルに含ませたことを評価した
。約10μgのTSβタンパク質を0.8mLのRIBI MPL+TDM補助剤に懸濁させ
た。0.2mLのサンプルを用いて、マウスに免疫性を与えた。免疫化後4時間
して、腹水を集めた。
【0217】 シロイヌナズナのTSに対して高められた抗血清を、E. Coliで発現させたT
Sβタンパク質を認識することが可能となった。シロイヌナズナに対する抗血清
をシロイヌナズナの粗抽出物に対しても試験した。TSタンパク質を植物中の極
めて低レベルで発現するという信号は全く検出されなかった。タンパク質が豊富
でないことは、除草剤の標的としてのTSの活用に有効であり得る。
【0218】 [実施例17] この実施例では、ホスホン酸の{4−[(2−アミノ−5−クロロフェニル)
チオ]ブチル}で合成されたサルモネラの高分解能結晶構造を得て、分枝モデリ
ング技術によって、本発明の阻害剤の結合についての詳細を研究する。この研究
は、基質及び阻害剤の結合(改善された阻害剤及び除草剤の別の設計に重要であ
る)の重要な特性を良好に理解する結果として得られる。
【0219】 トリプトファンシンターゼを上述したように調製し、そして{4−[(2−ア
ミノ−5−メトキシフェニル)チオ]ブチル}ホスホン酸で共結晶化(co-cryst
allized)させた。化合物をLangevine及びFinnに対する米国特許番号第5635
449号に開示されているように調製した。
【0220】 タンパク質−阻害剤の複合体を、{4−[(2−アミノ−5−メトキシフェニ
ル)チオ]ブチル}ホスホン酸、及びTSの混合により最終濃度約10mg/m
Lと5mg/mLに調製した。複合体の結晶を上述した条件下で成長させた。回
折データを1°毎に100Kで集めた。結晶は、空間群C2の対称を非対称単位
において一組のαβ対を含んで示した。細胞パラメータは、a=183.3Å(
18.83nm)、b=59.5Å、c=67.3Å、α=γ=90°、β=9
4.78であった。改善するために、二倍のシグマのカットオフ(cutoff)で、
47362均一反射を、分解範囲29Åと2Åの間で用い、これは合計96%の
完全及び最も高い分解で91%に相当する。相互作用改善のプロトコル(計画)
は、構造を改善するためのシミュレートされたアニリーリング手順を用い、そし
て160水分子を添加し、最終のR値を0.21とした。改善プロトコルは、以
下の実施例に開示したプロトコルと、全ての視覚化及び溶剤、補因子、及び阻害
剤分子の配置をプログラムQuanta(MSI)によって行う以外は酷似している。
【0221】 結合されたホスホン酸{4−[(2−アミノ−5−メトキシフェニル)チオ]
ブチル}を含むTSの最終モデルの電子密度は、明細書で議論されたホスホネー
トの結合の詳細を明らかにする。αPhe212が異常なバックボーン二面角を
有する、即ちα−炭素−水素結合がホスホネート基に対して向かっており、且つ
フェニル環基が阻害剤の環基上にあるので、阻害剤のアリール環に対するT型の
芳香族−芳香族相互作用を提供するいうことを最初に明らかにした。
【0222】 静電的電位計算には、プログラムDELPHI(MSI)で実行され、且つBashford and
Karplus, Biochemistrym 1990, 29, 10219に開示さえている二段階手順及びパラ
メータを有するFinite Element Poisson-Boltzman計算を用いた。このグリッド
の基づく数値計算において、タンパク質の電気泳動における溶媒効果を暗黙のう
ちに処理した。タンパク質の領域を誘導定数(ε)4で処理する一方、外側(
1.4Åのプローブ径を用い、Connolly面計算によって定義される)をε=7
8と帰属した。イオン径を2Åより大きいと仮定した。
【0223】 CVFF force field(MSI)から取り出される各原子で部分荷電するTSαサブユ
ニットの最初の計算において、100Åのエッジ長さ及び1Åの格子間隔である
立方格子(αE49で中心に付ける)を、0で格子面にてグリッド点を設定し、
計算した。興味の中心付近の高分解能グリッドを達成することは別に0.25Å
間隔の101の格子(グリッド)点を含むグリッドの焦点調整を、その後、最初
の計算からの値に設定されたもっとも外側面に対するグリッド点で計算した。タ
ンパク質(Pu)及びαE49を含むタンパク質(Pp)の静電的電位に対する
2種類の値、及び同じ位置及び立体配座であるが、残りのタンパク質がプロトン
付加形(Ap)及び非プロトン付加形(Au)を含んでいないアミノ酸に関する
対応する一組のエネルギー値を計算した。αE49(Pp−Pu)でプロトン付
加されたタンパク質と溶液中におけるαE49のプロトン付加(Ap−Au)と
の静電的自由エネルギーの差に基づいて、αE49のpKaの変化を計算して、
約8とした。これは、実験的に誘導される値7.5(Yutani et al., J. Biol.
Chem, 259:14076〜14081頁, 1984)及び8.5(Sawada et al., Eur. J. Bioch
em, 189:667〜673頁, 1990)に良好に一致する。同様の計算によって、Asp6
0がpKa約1によってより酸性であるということを明らかにした。αE49の
pKa値にについてより変わった値は、疎水性の周囲及びαD60の存在により
その位置の結果である。このアミノ酸αD60の負電荷は脱イオン付加αE49
のエネルギーを増大させる。なぜなら、これは、2種類の近接した、補償されな
い負電荷を有するタンパク質で疎水性の割れ目深さを形成するからである。αE
49のpKa値に関する変化は、酵素の折り返された立体配座を不安定にする。
従って、αE49と塩橋を形成することができる基を導入するのは、結合エネル
ギーの形態のポテンシャルエネルギーを自由にしたであろう。これは、本発明の
阻害剤のアミノ基とαD60との間のそれに対する類似の相互作用である。
【0224】 静電的ポテンシャルエネルギーグリッドを用いて、タンパク質と阻害剤の相互
作用面の視覚化することができるので、化学者がタンパク質−阻害剤相互作用の
詳細を視覚化することができる。かかる表示に関する例は、図4に示される。
【0225】 係る視覚化、特に立体的な表示を容易にして用いる場合、合成化学者にとって
、化学的変性に対する新しい考えを開発することは重要である。合成プログラム
に関して概念的な仕事のほとんどは、結晶学の情報による初期の試みに基づいて
いた。例えば、TSαに結合されるIPPPの立体配座に関する分析は、インド
ールの平面と結合部の角度がほぼ90°であることを示している(図4)。さら
に、この分析では、インドール部分が利用可能な活性部位ポケットを十分に満た
していることを示している。結合としての硫黄及びこの結合部の延長線の導入に
より、一連の阻害剤の性能が遙かに向上した(図5)。
【0226】 [実施例18] 以下の実施例では、本発明による一連のホスホネート阻害剤と複合させたサル
モネラのTSの結晶構造を開示する。
【0227】 TSα反応を阻害するために設計されるアリールチオアルキルホスホネート遷
移状態類似物1〜5(図2)での構造研究を開示する。これらの薬剤により阻害
の基礎となる分子を確立するために、対応する複合体の結晶構造を2.3Å又は
良好な分解能で測定した。これらの実験から得られる情報は、触媒の機構と密接
な関係を有し且つ類似物系における阻害の結合形式についての差を調査する。
【0228】 [化合物]以下のトリプトファンシンターゼ阻害剤をこの研究(調査)におい
て用いた:4−(2−ヒドロキシフェニルチオ)−1−ブテニルホスホン酸、イ
ソプロピルアミン(1)の1:2塩;4−(−ヒドロキシフェニルチオ)−ブチ
ルホスホン酸、ジイソプロピルアミン(2)の1:2塩;4−(2−アミノフェ
ニルチオ)−ブチルホスホン酸(3);4−(2−ヒドロキシ−5−フルオロフ
ェニルチオ)−ブチルホスホン酸、ジイソプロピルアミン(4)との1:1塩、
及び4−(2−ヒドロキシフェニルスルフィニル)ブチルホスホン酸(5)であ
る。この化合物を、Langevine及びFinnに対する米国特許番号第5635449
号に開示されているように調製した。これら阻害剤の化学構造を図2に示す。
【0229】 [結晶化及びエックス線データの収集] ネズミチフス菌によるトリプトファンシンターゼαβの発現及び精製を、
Miles et al., J. Biol. Chem. 264:6280〜6287頁, 1989に開示されているよう
に行った。タンパク質−阻害剤複合体を、ここの化合物を混合して、最終タンパ
ク質濃度が5〜10mg/mLとなり且つ最終阻害剤濃度が10mMとなるよう
にして調製した。複合体の結晶を、非リガンド化(unliganded)酵素を結晶化さ
せるための最初のプロトコルから変性される条件下(50mMのBicine、1mM
のEDTA、0.8〜1.5mMのスペルミン及び12%のPEG4000(N
aOHでpH7.8に調整))、成長させた。この結晶は、非対称単位にαβ対
を有して空間群C2の対称性を示した。
【0230】 回折データを低温(140K)でRaxis IIC画像化プレートで集め、このプレ
ートは、50kV及び100mAで運転するRigaku RU-200回転アノードから形
成され且つYale二重ミラー系を具備するCuKaエックス線を含んでいる。検出器距
離に対する結晶は100mmであり振動幅は1°であった。データを、DENZO(O
twinowski et al., Methods Enzymol. 276: 307〜325頁, 1997)及びCCP4(Dods
on, et al., Method Enzymol. 277: 620〜633頁 1997)結合プログラムで処理し
た。
【0231】 [改善(refinement)] 5種類全ての改善する場合の出発モデルは、補因子PLPを含まない、ネイテ
ィブなTRPS(PDB全体la5s)(Schneider et al., Biochemistry 37: 539
4〜5406頁, 1998)の改善処理モデルの座標セットであった。X-PLOR3.851(Brun
gr, A. T., "E-PLOR 3.851", Yale Univ. Press., New Haven, CT 1997)を全て
の計算に用いた。グラフィックプログラムO(Jones et al., Acta Crytallogr.
A47: 110〜119頁, 1991)を、電子密度マップ(2Fobs−Fcalc及びFobs −Fcalc、輪郭レベルを変化させての差合成)及び原子モデルの手動
復元の表示に用いた。Rfree因子(Brunger, A. T. Nature 355:472〜475頁
, 1994)を最初から満たし、そしてその値を改善の間のモデル改善の特徴として
用いた。剛性体の改善の最初の仕上げ後、モデルを4000Kで出発するシミュ
レートされたアニレート化プロトコルに付した。この点で、各複合体用のホスホ
ネート阻害剤及びInsightII(MSI)で形成され且つ立体的に最小化された共通の補
因子PLPの原子モデルを対応する電子密度に組み入れた。
【0232】 質量を変化させ、そして温度をから初めてプロトコルをゆっくり冷却する幾つ
かのラウンドに基づき、個々のB因子の改善、及び手動の再構築に従った。4σ
より高い高さを有し、そして水素結合の特徴を満たすFobs−Fcalc差マ
ップのピーク選択することにより、水分子を配置した。2種類のパラメータ多量
溶媒矯正(Jiang,et al., J. Mol. bio. 243: 100〜115頁,1994)を適用し、そ
してこれにより、低分解能(5〜30Å)反射をこの反射に用いることが可能と
なった。改善の第1段階において、原子モデルの座標及びB因子を共役グラディ
エント最小化アルゴニズムによって改善した。データ及び改善の統計値を表23
に示す。
【0233】 [結果] [酵素−阻害剤の相互作用] 2.3Å分解能又はそれ以上での般的且つシミュレート化アニール−省略電子
密度マップ(地図)は、強いプラスの特徴及びフェニル環、チオブチル又はチオ
ブテニル又はスルフィニルブチル部分、そして異なる阻害剤のホスホネート基の
明白な輪郭を示した。予想として、ホスホネート阻害剤はα−反応結合部位に結
合していた。ポテンシャル水素結合の相互作用及び異なる阻害剤の活性部位残渣
からの相対距離を、図3A〜Eに示す。相互作用の幾つかは全ての阻害剤のいて
共通である一方、他は均一であり且つ異なる阻害定数に寄与している。
【0234】 全ての阻害剤のフェニル環及び側鎖(チオブチル、チオブテニル、又はスルフ
ィニルブチル基)を多数の疎水性残基(Phe−22、Leu−100、Leu
−127、Phe−212、Leu−232含有)及びThr−183のメチル
基と接触させた。これはIPPのインドール及びプロピル部分のパッキングに酷
似していた。阻害剤のアルキルホスホネート部分は、フェニル環、そしてGly
−184、Gly−213、Gly−234及びSer−235の主鎖窒素、2
種類の水分子、及びSer−235のヒドロキシル基を含む水素結合からのホス
ホネート酸素原子とほぼ直角で延在していた。後者の相互作用(Ser−235
のヒドロキシル基)は、TRPSと阻害剤1、4及び5との複合体で特に強いと
される。フェニル環のオルト−置換は、推定される触媒残基Asp−60(X−
O距離範囲2.6〜2.8Å、X=O又はNにて)(Hodel et al., Acta Cryst
allogr. A48: 851〜858頁, 1992)(Hyde et al., J. Biol. Chem. 263: 17857
〜17871頁, 1988)のカルボキシレートと矛盾しない相互作用である。阻害剤3
のアミノ基は2種類の水素結合を、o−ヒドロキシ置換阻害剤に対する一方の水
素結合に対するAsp−60ウイルスのカルボキシレートと形成する。興味深い
ことに、阻害剤3にたいする2つの水素結合の存在があるにもかかわず、これは
o−ヒドロキシアリールアルキルスルフィド阻害剤(一方の水素結合のみ形成す
る)より酵素阻害に関して高いIC50値を有している。
【0235】 阻害剤1は、酵素阻害及び除草アッセイにおいて最も高い活性を有している。
この構造によって、その効能が拡げられる。二重結合によって導入される剛性は
、疎水性及びファンデルワールス相互作用のポテンシャルに摂動を起こさせ、さ
らにたぶんエントロピー効果によって結合の裏付けとなる(小数の自由度を、飽
和C−C結合の場合より結合表面上で失う)。さらに、立体配座において、ホス
ホネート酸素原子の1つを、強く、できるだけ低バリアーの水素結合を形成する
Ser−235のヒドロキシル基と極めて接近させる(O...O原子間相互距
離を2.4Åと改善した)(Cleland, W. W., Biocehmistry 31: 317〜319頁, 1
992;Cleland et al., Science 264: 1887〜1890頁, 1994;Gerlt et al., J. A
m. Chem. Soc. 115:11552〜11568頁, 1993;Gerlt et al., Biochemistry 32:11
943〜11952頁, 1993)。これらの結合は、通常の水素結合より約10倍である1
2〜24kcal/モルの解離エネルギーを有している。
【0236】 阻害剤2のo−ヒドロキシル基がAsp−60のカルボキシレートと強い相互
作用を形成する(O−O距離=2.8Å)一方、水素結合の距離はこの系におけ
る他の全ての阻害剤と比較して長くなる。阻害剤3のo−アミノ基は、2つの水
素結合を同じカルボキシレートと形成する(この位置にて、o−ヒドロキシル基
を有する、他の阻害剤全てに関する一方の阻害剤に対して)。しかしながら、水
素結合の存在により、他の阻害剤に関するTRPS用阻害剤の親和力を増大させ
る。この化合物の弱い酵素阻害活性の拡大を、自然基質IGPとのTRPS複合
体の構造との重ね合わせに基づいて形成することができる。
【0237】 阻害剤4及び5は、TRPSとの相互作用を保証するために設計された2種類
の独自の原子を有している。驚くべきことに、阻害剤4における環のp−フッ素
置換は、極性相互作用に関与しないが、Ile−153のCD1炭素に対しての
み極めて接近する(F−C距離=3.1Å)。阻害剤5のスルホキシド酸素は、
Tyr−175のヒドロキシル基と強い水素けつごうを形成するように思われる
(O−O距離=2.6Å)。阻害剤5のS−O距離が1.65Åであり、結晶状
のDMSOのおけるS−O結合距離より遙かに長いということを示すことに興味
がある(1.47Å)(Martin et al., "Dimethylsulfoxide", Wiley Inc., Ne
w York, NY 1975)。しかしながら、1.64ÅのS−O結合距離は、DMSO
とDMSO−還元酵素間の複合体において観察される距離に近い(McAlpine et
al., J. Mol. Biol. 275: 613〜623頁, 1998)。後者において、DMSOとモリ
ブデンの相互作用は、S=O二重結合を弱め、そして遷移金属に対してくくられ
るDMSOの小型分子研究と矛盾がない(Martin et al. 1975)。ここに示され
るデータは、S=O・・・H−O−Try−175相互作用が阻害剤5のS=O
二重結合特性を同様に弱めるのに十分な強さであることを示している。スルホキ
シドとフェニル環の共鳴により、この結合の長さ及び極性を増大させることもあ
る。
【0238】 TRPSと阻害剤1、4及び5との複合体において、ホスホネート基酸素の一
方とSer−235のヒドロキシル酸素との距離を、酵素−阻害剤複合体の安定
化において強く、極めて短い水素結合の関与を意味する2.5Å以下の値に改善
した。阻害剤のそれぞれに対する水素結合の特定距離は、以下の通りである:阻
害剤1は、2.4Å;阻害剤2は2.6Å;阻害剤3は2.7Å;阻害剤4は2
.5Å;及び阻害剤5は2.5Åである。係る阻害剤1、4及び5に関する短い
水素結合は、カルボキシペプチターゼA(Kim et al., Biochemistry 29: 554〜
65555頁, 1990;Kim et al., Biochemistry 30: 8171〜8180頁 1991)、サーモ
リシン(Holden et al., Biochemistry 26: 8542〜8553頁, 1987;Tronrud et a
l., Eur. J. Biochem. 157: 261〜268頁, 1986)、ペニシロペプシン(Fraser e
t al., Biochemistry 31: 5201〜5214頁, 1992)、HIV−1プロターゼ(Abde
l-Meguid et al., Biochemistry 32: 7972〜7980頁, 1993)及びエンドチアペプ
シン(Dealwis, C., Thesis, Birkbeck College, 1993)の複合体の多数の構造
において、ペプチド加水分解の遷移状態の類似物として作用する一連のホスホネ
ート及びホスフィネート阻害剤を含んで観察された。これら複合体の全てにおい
て、リン含有基の酸素の1つを、グルタル酸又はアスパラギン酸の残渣のカルボ
キシレート酸素の1つを相互作用させるために示した。水素結合距離(O−O距
離)は2.2と2.5Åの間であった。係る、非常に短く、低い障害の水素結合
(LBBB)が酵素触媒に対して十分関与することを提案した(Cleland 1992;
Frey et al., Science 264: 1927〜1930頁)。しかしながら、酵素活性部位のL
BHBの存在が、理論上争う余地が最近あった(分子機構及びab initio(量子
力学)計算(Scheiner et al., J. Am. Chem. Soc. 117: 6970〜6975頁; Washse
l et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:13665〜13670頁, 1996)及びNMR
分光法のデータ(Ash et al., Science 278: 1128〜1132頁, 1997))。
【0239】 しかしながら、この実施例において、極めて短い水素結合は触媒機構に含まれ
ていなかった。ここに示される構造で観察されるそれに対する化学類似性を有す
る酵素−リガンド複合体において、極めて短い水素結合の他の2種類の例がある
。TSA阻害剤を含むシチジンデアミナーゼの複合体において、相互作用が阻害
剤のアルコール性ヒドロキシルとグルタメートカルボキシレート酸素(2.4Å
の改善されたO−O原子間相互距離を有する)との間に起こる(Xiang et al.,
Biochemistry 34: 4516〜4523頁, 1995)。アスパラテートカルボキシレート基
と三糖類の糖部分のヒドロキシル基との極めて類似する結合は、リソチームの三
糖類複合体の構造において見出された(Strynadka et al., J. Mol. Biol. 220:
401〜424頁)。シチジンデアミナーゼの複合体において、ヒドロキシル基は、
シチジン基質の基底状態と遷移状態を区別するという優れた特性である。しかし
ながら、リソチームの場合、この特定水素結合を、糖類のグリコシド結合の開裂
を発生させる(部位DとEの接合)場所から遠い部位(部位B)で観察した。従
って、酵素に対するリガンドの高い親和力を単に与えても良い。
【0240】 本発明の酵素−阻害剤複合体の場合、これら水素結合の考察により、αサブユ
ニット活性部位に対する阻害剤1の強い結合を理解するための1つとなることが
できる。たぶん、ホスホニル基との結合におけるα−β二重結合の存在により、
その酸素原子での電子密度が増大し、且つこれの強い水素結合形成傾向を効果的
に向上させる。TRPSと阻害剤3との複合体の場合、即ち、生物学的な及び酵
素阻害アッセイにおいて最も弱い活性を有する化合物の場合、(P−)O・・・
H−O距離がこの系の複合体にについて最も長くなるということを示すのは重要
なことである。ホスホニル酸素とアルコール性ヒドロキシルの酸素との係る強い
水素結合は酵素−阻害剤複合体において観察されることは初めてのことである。
【0241】 [阻害剤と基質(IGP)結合の比較] ホスホネート基と本発明による阻害剤のフェニル環のオルト−置換の位置及び
相互作用は、TRPS−IGP複合体におけるIGPのそれぞれホスフェート基
とインドール窒素のそれに酷似している。しかしながら、フェニル環とアルキル
基の実際の位置及び方向は、IGPのインドール環とグリセリル鎖のそれらと大
きく異なっていた。興味深いことに、フェニル環のオルト−ヒドロキシ化合物に
おいて、インドール面に対して約30°傾いているように思われ、阻害剤含有オ
ルト−アミノは、その面に対してほぼ並行のフェニル環を有している。各環と対
応するアルキル鎖の角度は、化合物の両分類においてほぼ同じ(90°)であっ
たので、同じ方向鎖をホスホネートとIGPのそれぞれアルキルとグリセリル鎖
の間で観察した。これ以外のみ阻害剤3である。
【0242】 [触媒機構の関係] α−反応の遷移状態を推定して、炭素原子の四面体に関与させた。この研究に
おける全てのアリールチオアルキルホスホネート阻害剤のC−S−C角は、10
8°から110°の間で変化し、これは四面体座標原子に関して予想された値(
109°28’)に非常に近い。これは、硫黄原子が遷移状態において推定上の
四面体炭素原子に類似することを意味している。従って、阻害剤と酵素との相互
作用の分析は、触媒の機構を理解するのに有用であり得る。
【0243】 α−サブユニット活性部位での遷移状態は、3つの官能基によって形成される
:即ち、BH、B及びBである。Asp−60及びGlu−49は、B 及びBとして予め同定されたが、BHの同定は決定的でなく残ったままであ
った(Rhee et al., J. Biol. Chem. 273: 8553〜8555頁, 1998)。本発明の構
造は、インドール窒素(−NH−)から引き抜き、且つIGPのインドレニンの
互変異性化を容易にする塩基(B)としてAsp−60が触媒的に重要な役割
を担ういう考え方の助けとなる。全複合体において、フェニル環のo−置換基(
インドールの−NH−と同じ位置であり、且つ環上で同様の電子効果を働かせる
)は、特定のアスパラテート残渣のカルボキシレートと相互作用する。本発明の
阻害剤は、極性置換基(H−結合供与体)をアルキル基のC−4(IGPのイン
ドールのC3’と同じである)に有していない。係る基は、IGPのC3’−O
Hの相互作用に位置的に類似することができる。我々の阻害剤からこれを取り除
くと、塩基Bの性質に関してこれらの構造から引き出され得る結果を限定する
。しかしながら、天然基質IGP(Rhee et al. 1998)を含むTRPSのαD6
0N変異物の複合体の最新構造は、Glu−49のカルボキシレート酸素の1つ
とIGPのC3’−ヒドロキシル(IGPのC3’は本発明の阻害剤のアルキル
基におけるC−4に等しい)との強い水素結合を表す(触媒作用の間にC3’−
ヒドロキシルを脱プロトン化し、IGP開裂を容易にするであろう塩基として実
際に機能することができるこの基を意味する)。
【0244】
【表25】 完全性、Rm、及び<I/σ(I)>を、全てのデータ及び最も高い分解能のシ
ェルに関して記載した。Rm=Σ│I<I>│/Σ/。明瞭な電子密度を、原子
モデルにおいて以下の残渣について見出した:α1、α188〜193、α26
8、β1、β394〜397。他の原子は全ての場合にPLP及び各複合体にお
いて対応するホスホネート阻害剤を表す。平均熱的B因子を、主鎖(mc)及び
側鎖(sc)のタンパク質及び水分子に(wat)について記載した。<esd
>は SIGMAA法により評価された平均座標誤差である。
【0245】 [実施例19] 阻害剤結合若しくは除草活性を改善する新規な化合物又は化合物断片を見出す
ための化学データベースのコンピュータ検索により、新規な合成の考え方を得る
ことができる。以下に、この目的のためのルージプログラム(Ludi program(MS
I)を使用する実施例を示す。設計によるLUDIは、「考え方発生」ツールで
ある。当該技術者は、考え方の発生する断片のヒットを分析することが必要であ
る。このようなアプローチにより、合成化学者が、初期の手がかりの改良側面を
見出すことが可能となり、所望の化合物の概略を即座に改良することができる。
【0246】 TS、好ましくは公知の阻害剤を有するもの、の結晶構造は、テンプレートと
して使用される。しかしながら、阻害剤は、タンパク質の組み立てからそれが無
視され、そして表示目的の分離物質範囲内におけるコピーとしてそれが保持され
ることにより、ここで記載されるコンピュータアプローチの範囲内では無視され
る。(全体の手順は、対話式グラフィックス・パッケージ・インサイトII(inter
active graphics package Insight II (MSI))を用いて実施された。しかしな
がら、下記の列挙したセットアップは、独立型で使用してLUDIプログラムを
実行することができる。)。
【0247】 ビオシム・フラグメント・ライブラリー(Biosym Fragment Library; (MSI
)(1996版)を、表24に示されたパラメータで使用した。
【0248】
【表26】
【表27】 検索の中心は、阻害剤の環系、リンカーの中心又はほぼホスファート/ホスホ
ナート基の位置に近い位置に設定されるか、或いは検索して新規断片で満たされ
た他のサイトに近い位置に設定される。プログラムは、検索中心、例えば水素結
合サイト、ファン・デル・ワールズ表面等のいわゆる切断半径内の対話サイトを
計算する。その後、ライブラリーからの断片は、結合サイトのモデル内に置かれ
、位置の最適化後、相補的特徴を示すスコア(評点)を計算する。高いスコアの
断片は、後の対話分析のために保存される。実行の終了後、当該技術者は、プロ
グラム・インサイトII(MSI)で実行された対話式グラフィック能力を用いて
、そのヒットを分析することができる。断片は、通常阻害剤分子の一部を表すの
みである。なぜなら、データベースの断片は、高度に特定され、緊密に結合する
化合物それ自体を表すには小さすぎるからである。
【0249】 このような検索の第1の結果は、阻害剤に十分にアクセスできないサイトのよ
り精確な知識をもたらすことである。例えば、図6は、多くの断片が、IPP阻
害剤では満たされない基質結合サイトの一部に広がっていることを示している。
改良、例えばメトキシ基又は水素原子の、インドール(例、5−フルオロ−イン
ドール−プロパノール−3−ホスホン酸)残基のC5位置又は{4−アリール−
チオブチル}−ホスホン酸誘導体のC5位置への付加。
【0250】 見出された断片は、さらに合成可能性、即ち、より大きな阻害剤の断片を合成
する可能性、に関して評価される。例えば、インドール残基結合ポケットに適し
た断片が、チオ−リンカー(liker)に合成的に結合できる可能性について評価
する必要がある。
【0251】 他の第2の考慮すべきこともある。それは、コンピュータで提案された断片を
如何に使用するかの判断に影響を与えるであろう。多くの断片は、酵素との水素
結合を形成するリンカー領域のために見出されている。しかしながら、LUDI
プログラムの評点で実行された対話からのエンタルピーゲインが、溶液における
阻害剤の水和損失のため、及びエントロピー効果のために、阻害剤結合の自由エ
ネルギーの対応する実際の減少にほとんど反映されていないことを、当該技術者
なら理解する。しかしながら、このような変化は、他の目的のための合成変化を
行う際に考慮することができる。例えば、このアミド結合のリンカーの変化が研
究されており、それは、リンカー領域での水素結合相互作用を可能にし、同時に
「代謝ハンドル(metabolic handles)」を栽培植物の阻害剤の寿命を減少させる
ために導入するであろう。さらに、新規な合成戦略が実行することができる。例
えば、多くの断片は、インドールNH基はOH基と置き換わり得ることを示して
いる。実際、OH基を有する化合物は、最高の除草剤類の中にある。図7は、{
4−[2−アミノ−5−メトキシ−フェニル)チオ]ブチル}−ホスホンさんの
アミノ基間のオーバーレイを示す断片ヒット(Hit19)が示されている。
【0252】 [実施例20]相同モデリング 阻害剤の効果的なデザイン、分子レベルでの結合阻害剤についての理解、およ
び種々の農作物および雑草における阻害剤の結合特異性は、多少なりともTS酵
素作用部位の詳細な構造モデルに関する知識により得られるものである。
【0253】 相同モデリングの手法は、密接に関連するタンパク質構造についての情報が存
在する場合に、非常に正確な構造を得るための有効な方法である。
【0254】 本実施例により、トウモロコシαTSサブユニットのタンパク質モデルの形成
についての説明を行う。同様に、全酵素を得ることも、同様の工程により他の種
のモデルを得ることも可能である。
【0255】 公的データバンクよりトウモロコシαTSのアミノ酸配列を得た(認証:pir:
S56665)。Quantaプログラム(MSI)を用いて、種々の公知αTS構造(認証:pdb
:trs,pdb:tys)、TS/{4−[2−アミノ−5−メトキシフェニル)チオ]
ブチル}ホスホン酸複合体、およびTS/{4−[2−アミノ−5−クロロフェ
ニル)チオ]ブチル}ホスホン酸複合体のαTS配列決定のためのディフォルト
セッティングにより、トウモロコシ酵素のシークエンシングを行った。
【0256】 "Modeler"プログラム(MSI)を最精密モードで用い、トウモロコシ酵素の50
のモデルを形成し、評価した。次いで評価の最高だった5個のモデルをprocheck
プログラム(Laskowski等、J.Appl.Cryst.,26:283-291)による詳細な分析に付し
た。これにより、各モデル中において、低質な、更に精製の必要な領域を確認し
た。この場合、得られた構造は非常に高品質であり、更に精製の必要はなかった
。この阻害剤分子を、まず、鋳型構造における位置と似かよったタンパク質モデ
ル中の所定位置に配置することにより、モデル中に配置した。次いで阻害剤とこ
れを囲むアミノ酸の配位をポテンシャルエネルギー関数に基づく適した方法によ
り最適化した。トウモロコシ酵素の結合部位の分析により、αTSサブユニット
中の基質/阻害剤結合に寄与するアミノ酸の組み立てはほとんど変化しないこと
がわかった。進化論的に非常に遠い生物の間に強固に保存されている部分がある
ことは、新規除草剤に対する天然の耐性が低いと考えられる作物種のアミノ酸を
慎重に変異させれば、非常に有益であることが証明される可能性を示唆するもの
である。タンパク質の変異部位を選択するために、第一に、阻害剤との結合に直
接関与するアミノ酸を決定する。例えば、特に変異に適する部位は、(1)基質
に直接接触せず、結合部位の入り口位置に近い部位、および(2)基質に直接せ
ず、複数の阻害剤と密に接する部位(明細書中に記載)である。これらの残基は
除草耐性を得るための変異には非常に重要である。これらの部位は、例えばαA
la129またはαLeu153(図8参照)であると考えられる。以下の表に
、基質/酵素結合に直接関与する、サルモネラおよびトウモロコシ酵素について
のこの様な部位を示す。 表25:サルモネラおよびトウモロコシ由来のTSにおける相当部位
【0257】 表25 サルモネラ(S.th.)及びトウモロコシ(Z.Maize)からのTSにおけ
る対応する部位
【表28】
【表29】
【表30】 本発明の範囲は上記実施例に限定されるものではなく、この他、本明細書およ
び添付の図面から当業者により明白とされる種々の変形例を含むものである。こ
の様な変形例は、以下に記載する請求の範囲に含まれるものである。
【0258】 更に、サイズ、分子量および分子質量等の値は全て説明のために用いたもので
あり、およその値である。
【0259】 上述の特許、特許出願、操作、および文献の全ては、参考のために本明細書に
組み込んだものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/15 C12N 15/00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN ,YU,ZA,ZW (72)発明者 ロンギヴァイン,チャールズ アメリカ合衆国、ニューヨーク州、11225、 ブルックリン、フラットブッシュ、アヴェ ニュー−1エム、580 (72)発明者 サロキン,ローラ アメリカ合衆国、ニュージャージー州、 08558、スキルマン、シカモア レイン、 91 (72)発明者 カケフダ,ゲンイチ アメリカ合衆国、ニュージャージー州、 08550、プリンストン ジャンクション、 ヘリフォード ドライヴ、37 (72)発明者 フィン,ジョン アメリカ合衆国、マサチューセッツ州、 01775、ストウ、ヘリティッジ レイン、 16 Fターム(参考) 4B024 AA08 AA11 BA07 CA02 DA01 DA06 EA04 GA11 HA01 4B063 QA01 QA18 QQ04 QQ05 QQ13 QQ20 QQ38 QR18 QR23 QR25 QR41 QR67 QR75 QR80 QS38 QX01 4H006 AA05 4H011 AB01 BA01 BB17 BC05 BC06 DA16 DC05 DD03

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)トリプトファンシンターゼ(TS)又はそのサブユニ
    ット1種以上を含み、前記TS又はそのサブユニットの活性の検出に適したin v
    itroアッセイに、試験化合物を添加する工程、 (ii)前記試験化合物によりトリプトファンシンターゼが阻害されるかどう
    かを測定により求める工程、 を含むトリプトファン生合成を阻害する化合物の同定方法。
  2. 【請求項2】 前記方法を、TSαサブユニット活性部位に結合させること
    によりトリプトファン生合成を阻害する化合物を同定するために用いる、請求項
    1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記TS又はそのサブユニットが粗植物抽出物、部分的に精
    製処理されたTS又はそのサブユニット、組み換え形成されたTS又はそのサブ
    ユニット、或いはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記植物粗抽出物がホウレンソウ、トマト及びトウモロコシ
    から得られる、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記TSが組み換え形成された植物TSαサブユニット、T
    Sβサブユニット、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記TSがシロイヌナズナから得られる、請求項5に記載の
    方法。
  7. 【請求項7】 前記TSが微生物又は藻類からのTSαサブユニット、TS
    βサブユニット、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記アッセイが、(i)内因性TS活性が不足した生物と、
    (ii)この不足を相補可能なTSとを含む相補性アッセイである、請求項1に
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の方法により同定される除草阻害剤。
  10. 【請求項10】 式I: 【化1】 [但し、Yが水素又はハロゲンを表わし、 ZがNH又はORを表わし、 Rが水素、C〜Cアルキルカルボニル又はベンゾイルを表わし、 nが0、1又は2の整数を表わし、 Wが−(CH−、−CHCH=CHCH−又は−CHCHCH
    =CH−を表わし、 R及びRがそれぞれ独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアル
    キルカルボニルオキシメチレン又はアルカリ金属、アンモニウム若しくは有機ア
    ンモニウムカチオンを表す] で表される阻害剤の化学的変性の選択によりトリプトファンシンターゼ(TS)
    を阻害することが可能な化合物の同定方法であって、 前記方法が、 (i)TSを含む複合体として式Iで表される阻害剤の三次元モデルを形成す
    る工程、 (ii)TSと式Iで表される阻害剤との望ましい及び望ましくない相互作用
    をコンピューターモデリング技術によって決定する工程、 (iii)式Iで表される阻害剤の変性をコンピューターモデリング技術によ
    って設計して、前記阻害の結合能を最適化する工程、 を含むことを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 TSの阻害の検出に適したin vitroアッセイ、内因性又は
    非相同TS酵素を発現する生物を用いてTS阻害剤の検出に適したin vivoアッ
    セイ、除草活性の検出に適したin vivoアッセイ、トリプトファンの逆アッセイ
    、及びこれらの組み合わせから選択されるアッセイを用いて、工程(iii)に
    より決定される変性を含む化合物を試験する工程をさらに含む請求項10に記載
    の方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の方法により同定される除草阻害剤。
  13. 【請求項13】 (i)トリプトファンシンターゼ(TS)の結合部位構造
    を測定する工程、及び (ii)コンピューターモデリング技術により、化合物を前記結合部位に合わ
    せて作成する工程、 を含むトリプトファン生合成を阻害する化合物の同定方法。
  14. 【請求項14】 前記TSの結合部位構造が、エックス線結晶学、コンピュ
    ーターモデリング技術又はこれらの組み合わせにより測定される、請求項13に
    記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記工程(ii)を、コンピュータープログラムのAffini
    ty、LUDI又はReceptorを用いて行う、請求項13に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記工程(ii)が、コンピュータプログラムのAlignmen
    t、Cat Shepe又はAPEXにより、鋳型阻害剤と標的阻害剤との位置調整を行う工程
    を含む、請求項13に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記鋳型阻害剤が、式I: 【化2】 [但し、Yが水素又はハロゲンを表わし、 ZがNH又はORを表わし、 Rが水素、C〜Cアルキルカルボニル又はベンゾイルを表わし、 nが0、1又は2の整数を表わし、 Wが−(CH−、−CHCH=CHCH−又は−CHCHCH
    =CH−を表わし、 R及びRがそれぞれ独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアル
    キルカルボニルオキシメチレン又はアルカリ金属、アンモニウム若しくは有機ア
    ンモニウムのカチオンを表す] で表される、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記化合物の結合部位における位置を改善する工程をさら
    に含む、請求項13に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記改善工程を、エネルギー最小化、分子機構、分子動力
    学、及びメトロポリスモンテカルロから選択される方法を用いて行う、請求項1
    8に記載の方法。
  20. 【請求項20】 請求項13に記載の方法により同定される除草阻害剤。
  21. 【請求項21】 (i)TSに結合される場合に、公知阻害剤の立体配座を
    分析する工程、 (ii)前記阻害剤の構造に類似する化合物を設計する工程、 (iii)工程(ii)で設計された化合物の構造を改善する工程、 を含むトリプトファン(TS)の生合成を阻害する化合物の同定方法。
  22. 【請求項22】 前記工程(ii)を、鋳型として前記公知阻害剤を用い、
    電子的データベースを調査することにより行う、請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記公知阻害剤が、式I: 【化3】 [但し、Yが水素又はハロゲンを表わし、 ZがNH又はORを表わし、 Rが水素、C〜Cアルキルカルボニル又はベンゾイルを表わし、 nが0、1又は2の整数を表わし、 Wが−(CH−、−CHCH=CHCH−又は−CHCHCH
    =CH−を表わし、 R及びRがそれぞれ独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアル
    キルカルボニルオキシメチレン又はアルカリ金属、アンモニウム若しくは有機ア
    ンモニウムのカチオンを表す] で表される、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記工程(iii)が、TSへの結合に重要な原子及び基
    の位置を保護し、そして重要でない原子又は基を取り除き、変性し、又は加える
    ことにより行われる、請求項21に記載の方法。
  25. 【請求項25】 請求項21に記載の方法により同定される除草阻害剤。
  26. 【請求項26】 (i)公知TS構造に対する相同モデリングにより、植物
    TSの構造モデルを形成する工程、 (ii)前記形成された構造モデルの構造に適合する化合物を設計する工程、
    を含むトリプトファンシンターゼ(TS)を阻害する化合物の同定方法。
  27. 【請求項27】 前記工程(i)が、 (a)鋳型TS分子を選択する工程、 (b)鋳型TS分子のアミノ酸配列と、標的TS分子のアミノ酸配列との位置
    調整を行う工程、及び (c)タンパク質の相同モデリングを用いて、標的TS分子のコンピューター
    モデルを形成する工程、 を含む、請求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記公知TSがサルモネラから得られる、請求項27に記
    載の方法。
  29. 【請求項29】 ポテンシャル耐除草剤トリプトファンシンターゼ(TS)
    の変異型タンパク質の同定方法であって、 前記方法が、 (i)コンピューターモデリング技術により、除草剤をTSタンパク質の三次
    元構造に配置する工程、 (ii)突然変異用の標的として、前記TSタンパク質におけるアミノ酸の位
    置(この位置でアミノ酸を予測する)を(i)で得られた構造に基づいて選択し
    、TS活性に重要でないが除草剤結合に直接又は間接的に関与させる工程、 (iii)前記標的TSタンパク質をエンコードするDNAを突然変異させて
    、少なくとも1種のアミノ酸変異体を含む変異型TSタンパク質をエンコードす
    る突然変異化DNAを形成する工程、 (iv)前記アミノ酸変異体を含有する変異型TSを形成する条件下で、前記
    突然変異化DNAを細胞において発現させる工程、 (v)少なくとも1種の除草剤の非存在下又は存在下に、触媒活性に対する前
    記変異型TSタンパク質を評価する工程、及び (vi)最初の耐除草剤TSの変異型タンパク質が、以下の(1)又は(2)
    :即ち、 (1)除草剤の非存在下、 (A)発現される細胞の生存能力を維持するのに十分な触媒活性のみ、又は (B)発現される細胞の生存能力を維持するのに十分な前記最初のTS変異型タ
    ンパク質と同じ又は異なっていても良い、前記細胞内でさらに発現される耐除草
    剤TSの変異型タンパク質と組み合わせた触媒活性を有し、 前記細胞が生存能力維持のためにTS活性を必要とし、及び (2)少なくとも1種の除草剤に対して、野生型のTSより抵抗性のある触媒
    活性、 を有して同定されるまで工程(iii)〜(v)を繰り返す工程、 を含むことを特徴とする方法。
  30. 【請求項30】 工程(ii)における前記突然変異用の標的が、αY10
    2、αA129、αI153、αL177、αF212、βI326、βP31
    8及びこれらの組み合わせから選択されるアミノ酸である、請求項29に記載の
    方法。
  31. 【請求項31】 TS酵素のKmの10倍未満の濃度である、IGP基質を
    含むTSα反応を定量化するためのin vitroアッセイであって、前記アッセイが
    微量定量プレートで行われることを特徴とするin vitroアッセイ。
  32. 【請求項32】 前記IGP基質の濃度が、TS酵素のKmの約1倍〜約2
    倍である、請求項31に記載のアッセイ。
  33. 【請求項33】 三層液体分離工程を含むTSβ反応を定量化するin vitro
    アッセイであって、前記分離工程が微量定量プレートで行われることを特徴とす
    るin vitroアッセイ。
  34. 【請求項34】 (i)TSを含む複合体として、前記公知阻害剤の三次元
    モデルを形成する工程、 (ii)TSと前記公知阻害剤との望ましい及び望ましくない相互作用をコン
    ピューターモデリング技術によって決定する工程、及び (iii)前記公知阻害剤の変性をコンピューターモデリング技術によって設
    計して、前記阻害の結合能を最適化する工程、 を含む、公知阻害剤の化学変性を選択することによる、トリプトファンシンター
    ゼ(TS)を阻害可能な化合物の同定方法。
  35. 【請求項35】 TSの阻害の検出に適したin vitroアッセイ、内因性又は
    非相同TS酵素を発現する生物を用いてTS阻害剤の検出に適したin vivoアッ
    セイ、除草活性の検出に適したin vivoアッセイ、トリプトファンの逆アッセイ
    、及びこれらの組み合わせから選択されるアッセイを用いて、工程(iii)に
    より決定される変性を含む化合物を試験する工程をさらに含む請求項34に記載
    の方法。
  36. 【請求項36】 請求項34に記載の方法により同定される除草阻害剤。
  37. 【請求項37】 前記鋳型阻害剤が阻害剤の抽出であり、且つ該抽出が、鋳
    型阻害剤の一部又は全てを、適用されるコンピュータープログラムにおいて、元
    素群、芳香族基、荷電された若しくは部分的に荷電された基、水素結合供与体及
    び受容体、及び疎水性部を表すものとして用いられる記号で置き換えることによ
    り定義される請求項16に記載の方法。
  38. 【請求項38】 (i)試験化合物を、トリプトファンシンターゼ(TS)
    又はそのサブユニット1種以上を含む、トリプトファン生合成の検出に適したin
    vitroアッセイに添加する工程、 (ii)前記試験化合物によりトリプトファンの生合成が阻害されるかどうか
    を測定により求める工程、 を含むトリプトファン生合成を阻害する化合物の同定方法。
  39. 【請求項39】 ポテンシャル耐除草剤トリプトファンシンターゼ(TS)
    の変異型タンパク質を発現する生物の同定方法であって、 前記方法が、 内因性TS活性が不十分な生物を供給する工程、 前記不十分な内因性TS活性を相補する性質がある感除草剤性TSをエンコー
    ドする配列を含むポリヌクレオチドを供給する工程、 前記ポリヌクレオチドで変異体を発生させて、変位型TSタンパク質をエンコ
    ードする配列を含むポリヌクレオチドを得る工程、及び 内因性TS活性の不十分な生物で前記変位型TSタンパク質を発現させること
    により、少なくとも1種のTS阻害剤に曝しても生き残る生物を選別する工程、 を含むことを特徴とする方法。
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