JP2003528930A - TGFβ阻害剤を発現する遺伝的に改変された細胞であって、肺癌細胞である細胞 - Google Patents

TGFβ阻害剤を発現する遺伝的に改変された細胞であって、肺癌細胞である細胞

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、TGFβの発現を抑制するのに有効なTGFβ阻害剤を発現する遺伝的構築物を含む遺伝的に改変された細胞を、治療上有効量含む組成物(ここで遺伝的に改変された細胞は、非小細胞肺癌(NSCLC)または小細胞肺癌(SCLC)である)、およびその関連方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [発明の背景] 発明の分野 本発明は、TGFβの発現を抑制するのに有効なTGFβ阻害剤を発現する遺
伝的構築物を含む遺伝的に改変された細胞を、治療上有効な量を含む組成物(こ
こで、遺伝的に改変された組成物は、非小細胞肺癌(NSCLC)または小細胞
肺癌(SCLC)細胞である)、およびその関連方法に関する。
【0002】 関連技術の説明 肺癌は、依然として西洋の世界で最も一般的な癌であり、癌に関連する死亡原
因の30%を占める(Ramanathan and Belani, 1997)。肺癌を伴う患者の現時点
での予後は低い。全体の治癒率は、13%程度と低いものと推定される。199
9年のアメリカ合衆国では、約180,000人の新たな肺癌患者が予測される
。これらの患者の大部分はその疾患により死亡し、1999年に全国的に肺癌に
よる死亡者は160,000人になると予測される。
【0003】 肺癌の2つの主要な細分、すなわち1)非小細胞肺癌(NSCLC)および2)
小細胞肺癌(SCLC)が存在する。これらの2つの疾患においては、治療アプ
ローチおよび自然史が異なる。アメリカ合衆国における肺癌の症例の大部分(8
0%)は、NSCLCである。NSCLCおよびSCLCの両方に関する重要な
臨床的および予後的な要素が、過去20年間で理解されてきたが、治療上の結果
においてはわずかな改善しかされてこなかった。NSCLCを伴う患者のための
唯一の治療的オプションは、腫瘍がまだ局在化している初期段階疾患(段階I&
II)を有する患者における局所治療(外科的切除または局所照射)である。し
かしながら、診断で、NSCLCを有する患者の大部分は、進行性疾患があり、
外科手術だけでは治癒することはできない。進行段階の疾患において、全身性化
学療法および/または照射は、目的とする応答および症状の一時的な緩和をもた
らすことができるが、それらによっては、生存期間および生存率の改善は限られ
ている。切除できない疾患を有する患者の生存中央値は、6〜12ヶ月である。
段階IIIBおよびIVのNSCLCに関する2年生存率は、それぞれ10.8
%および5.4%である。同様に、5年生存率は、3.9%および1.3%であ
る。近年、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテール)、ト
ポテカン、イリノテカン、ビノレルビン、およびゲムシタビンを含む幾つかの新
規薬剤が、NSCLCの治療のために利用可能となってきた。これらの薬剤は、
従来の化学療法剤(エトポシド、シスプラチンおよびカルボプラチン)の改良物
ではあるが、全体の治癒率は依然として低いままである。
【0004】 SCLCは、初期段階に、多くの場合に転移する非常に攻撃的な癌であり、そ
れは、診断からの生存中間値がたった2〜4ヶ月である。外科的切除または放射
線療法のような局部的な治療によっては、この癌の遠位の転移性のために、生存
期間が長期になるのはまれである。化学療法を用いることにより、療法を施され
ていない患者と比較して少なくとも4〜5倍の生存中間値に生存を延ばすことが
できるが、5年目の全体の生存率は、依然としてたった5〜10%である。
【0005】 現在の治療方法によっては、NSCLCまたはSCLC患者の段階にて、平均
余命が有意に延長できないため、これらの患者のための新規治療的アプローチを
探究することは当然である。
【0006】 [発明の概要] 種々の組織源の腫瘍を有する患者は、トランスフォーミング成長因子−β(T
GFβ)のレベルが上昇している。TGFβは、免疫抑制と関連した成長因子で
ある。患者の免疫系が抑制されると、まず、腫瘍を認識および破壊する能力がな
くなる。さらに、患者の免疫性の抑制により、患者は頻繁に感染しやすくなる。
TGFβの産生を阻止するように遺伝子的に操作した腫瘍細胞を注射すると、遺
伝子改変細胞が強力なワクチンとなり、それがその腫瘍に対する免疫系により認
識され、かつその免疫系を活性化することができる。続いて免疫系の活性化は、
宿主生体において変更されていない親腫瘍の認識および抑制を引き起こす。この
現象は、動物腫瘍モデルにて、およびヒトの臨床試験にて適用される。したがっ
て、本発明者等は、非小細胞肺癌段階および小細胞肺癌段階を有する患者におい
てこのアプローチを使用することを提案する。
【0007】 [好ましい実施形態の詳細な説明] 肺癌は、アメリカ合衆国において癌に起因するすべての死亡原因のうちの30
%を占める(Ramanathan and Belani, 1997)。肺癌の全体の治癒率は、13%で
あり、非小細胞肺癌(NSCLC)および小細胞肺癌(SCLC)を有する患者
の現時での予後は、依然として低いままである。
【0008】 進行性の腫瘍成長を伴う患者は免疫機能が弱まっているということが立証され
ている(Jakowlew et al. 1995, Ransohoff et al 1991; Holladay et al. 1992a
; Holladay et al. 1992b)。この機能障害は、一般的に顕著な免疫の応答性の低
下を特徴とし、それは腫瘍に特異的な免疫性だけでなく、むしろ免疫系全体にわ
たって観察されることが多い。この機能障害は、特に細胞性およびT細胞分画(
コンパートメント)にて明らかであり、T細胞リンパ球の減少、ならびに腫瘍特
異的刺激および非腫瘍特異的刺激の両方に対するT細胞の応答性が低下すること
を特徴とする(Ransohoff et al. 1991)。腫瘍が免疫監視機構を逃れ得る1つの
方法は、MHCクラスI分子およびクラスII分子の発現をより低レベルにする
ことによるものである。さらに腫瘍は、TGFβのような免疫抑制剤分子の発現
を増加することにより免疫監視機構を逃れ得る。これらの機構の組合せを利用す
る腫瘍は一般的に知られている。
【0009】 遺伝子治療は、近年かなりの注目を集めている。腫瘍抗原提示を増大させ、特
定の抗腫瘍免疫性を誘発するように設計した腫瘍細胞をワクチン接種をすること
は、期待されたにもかかわらず、限られた結果しかもたらさなかった(Holladay
et al. 1992)。癌生物学およびベクター技術における開発について本発明者等が
理解を進展させたことにより、腫瘍ワクチンアプローチが治療に用いられる可能
性を前進させている。特定の腫瘍抑制剤遺伝子、免疫モジュレーター、薬剤感受
性遺伝子およびアンチセンス遺伝子切片を発現するように、ワクチン接種用の腫
瘍細胞を遺伝的に改変することは今や可能である(Huber et al. 1991; Culver e
t al. 1992; Trojan et al. 1992; Dranoff et al. 1993; Ram et al. 1993; Tr
ojan et al. 1993; Swisher et al. 1999)。特に、前臨床および臨床研究は、肺
癌の治療における遺伝子治療アプローチの可能性を実証する。前臨床肺癌モデル
では、サイトカインGM−CSFおよび薬剤感受性遺伝子を発現するように遺伝
的に改変された同種異系肺癌系である、同系の骨髄由来の樹状細胞が混入する単
純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼを用いて、樹立腫瘍の後退および免疫原性
の増大が示された(Miller et al. 1998)。レトロウイルス遺伝子治療を用いた患
者における第I相臨床試験の予備的結果は、遺伝子治療が十分に耐容性であり、
毒性がないことを示す(Swisher et al. 1998)。
【0010】 トランスフォーミング成長因子β(TGFβ)は、多くの正常細胞型および腫
瘍性細胞型の成長ならびに機能を調節する多機能タンパク質の一科である(Sporn
et al. 1986; Massague 1987; Border and Rouslahti 1992; Jachimczak et al
. 1993)。TGFβは、様々な細胞型に対して広範な効果を発揮し、細胞成長を
刺激または抑制し、アポトーシスを誘導し、血管新生を増加させることがわかっ
ている(Merzak et al. 1994; Jennings et al. 1994; Ashley et al. 1998a; As
hley et al. 1998b; Jennings et al. 1998)。これらの効果は、シグナルの形質
導入段階で伝達される。TGFβシグナル伝達は、20種以上の遺伝子の発現に
影響を及ぼすことが見出されている(Baker and Harland 1997; Heldin et al. 1
997; Stiles 1997; Yingling et al. 1997)。
【0011】 TGFβは、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3として知られる3つの
イソ体で存在する。それらのアミノ酸配列は、70〜80%程度の相同性を示す
。ヒトTGFβタンパク質およびそれらをコードしている遺伝子は、当該技術分
野で既知である。具体的には、ヒト供給源由来のTGFβ1 mRNA(GenBan
k アクセッション番号第XM 008912号および第NM 000660号
)、TGFβ2 mRNA(GenBank アクセッション番号第XM 00175
4号および第NM 003238号)、およびTGFβ3 mRNA(GenBank
アクセッション番号第XM 007417号)が立証されている。
【0012】 TGFβ受容体タンパク質は、I型(55kDa)またはII型(70kDa
)であり得る。TGFβ受容体タンパク質およびそれらをコードしている遺伝子
もまた、当該技術分野で既知である。ヒトTGFβ受容体I型 mRNA(GenB
ank アクセッション番号第XM 005591号)およびヒトTGFβ受容体
II型 mRNA(GenBank アクセッション番号第XM 003094号)は、
当該技術分野で文献公知である。
【0013】 TGFβスーパーファミリーのサイトカインは、特定セリン/トレオニンキナ
ーゼ受容体に結合し、Smadタンパク質を通じて細胞内シグナルを伝達する。
リガンドを刺激すると、Smadは、核へと移動し、転写複合体の構成成分とし
て機能する。TGFβシグナル伝達は、様々な機構により正および負に調節され
る。正の調節は、生物活性に十分なレベルにシグナルを増幅する。負の調節は、
細胞外レベル、膜レベル、細胞質レベルおよび核レベルにて生じる。
【0014】 NSCLCおよびSCLCを含む多くの腫瘍は、活性TGFβの産生が高レベ
ルである(Constam et al. 1992; Eastham et al. 1995; Friedman et al. 1995;
Jakowlew et al. 1995; Kong et al. 1995; Yamada et al. 1995; Eder et al.
1996)。TGFβレベルの上昇はまた、免疫抑制と関連していた(Sporn et al.
1986; Massague 1987; Bodmer et al. 1989; Border and Rouslahti 1992; Chen
et al. 1997)。TGFβは、抗原刺激に応答してT細胞が活性化するのを抑制
する。さらに、TGFβは、ナチュラルキラー(NK)細胞、ならびにリンホカ
イン活性化キラー(LAK)細胞の誘発および増殖に対する拮抗的効果を有する
(Rook et al. 1986; Kasid et al. 1988; Tsunawaki et al. 1988; Hirte et al
. 1991; Ruffini et al. 1993; Naganuma et al. 1996)。これを支持して、TG
Fβレベルと生存間の相関関係が結腸癌にて実証された(Friedman et al. 1995)
。再発率は、腫瘍のTGFβの産生が低レベルである患者に比べて、腫瘍のTG
Fβの産生が高レベルである患者において18倍も高かった。この相関関係は、
原発性の腫瘍の結節状態および分化の度合いとは無関係であった。
【0015】 免疫抑制というTGFβの役割を考慮して、本発明者等は、NSCLC腫瘍ワ
クチン接種によるTGFβ抑制の効果を評価することを試みた。TGFβ阻害剤
アプローチを用いて、本発明者等は、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3
、ならびにそれらの混合物から選択されるTGFβアンチセンスで多数のNSC
LC細胞をトランスフェクトした。TGFβ2アンチセンスは、TGFβ1アン
チセンス、またはTGFβ1アンチセンスおよびTGFβ2アンチセンスの組合
せと比べて、TGFβ発現をダウンレギュレートする点で優れていることが実証
されていることから選択された。次にこれらの遺伝的に改変されたNSCLC細
胞は増殖を防止するために照射され、多数の異なる動物腫瘍被験体に注射された
。本発明者等は、ワクチンの構成成分としてこれまで無効だったNSCLC細胞
をかかる遺伝的改変により有効にさせることができることを見いだした。TGF
β発現の阻止は、これらの動物の免疫原性を増加させた。さらに、かかるワクチ
ン接種は、これまでに内植した腫瘍を根絶させ、腫瘍攻撃から動物を保護した。
【0016】 免疫抑制におけるTGFβの役割を考慮して、本発明者等は、SCLC腫瘍ワ
クチン接種によるTGFβ抑制の効果を評価することを企図する。TGFβ阻害
剤アプローチを用いて、本発明者等は、TGFβ1アンチセンス、TGFβ2ア
ンチセンスおよびTGFβ3アンチセンス、ならびにそれらの混合物から選択さ
れるTGFβアンチセンスで多数のSCLC細胞をトランスフェクトすることを
企図する。次にこれらの遺伝的に改変されたSCLC細胞は増殖を防止するため
に照射され、多数の異なる動物腫瘍被験体に注射された。本発明者等は、ワクチ
ンの構成成分としてこれまで無効だったSCLC細胞をかかる遺伝的改変により
有効にさせることができることを見いだすことを企図する。TGFβ発現の阻止
は、これらの動物の免疫原性を増加させるものと企図される。さらに、かかるワ
クチン接種は、これまでに内植した腫瘍を根絶させ、腫瘍攻撃から動物を保護す
るものと企図される。
【0017】 本発明者等は、NSCLC腫瘍モデルにおいてこのアプローチの有効性を示し
た。KLN−205 NSCLC腫瘍モデルにおいて、5×105個の照射TG
Fβ2アンチセンス遺伝子で改変された自己NSCLC細胞を、2回の注射で、
DB2マウスにワクチン接種した。これにより、接種後の106個の未改変KL
N−205 NSCLC細胞による腹腔内(i.p.)腫瘍攻撃に対して、動物
を保護することが可能であった。この肺癌腫瘍モデルにおける腫瘍根絶実験では
、1週齢の腫瘍を有する動物に、TGFβ2アンチセンス遺伝子改変細胞のワク
チンの接種をすると、顕著な腫瘍後退を生じ、ワクチンの接種をしなかった対照
群と比較して、腫瘍が発生することなく生存期間が延長した。
【0018】 Fakhrai et al. 1996は、ラットの神経膠腫瘍においてこのアプローチの有効
性を実証した。9L神経膠肉腫腫瘍モデルにおいて、Fisher-344ラットに、わず
か300個程度と少ない数の腫瘍細胞を頭蓋内移植したところ、6週後に99%
を超える致死率をもたらした。Fakhrai et al. 1996は、ラットの脳に5×103 個の腫瘍細胞を移植し、腫瘍ワクチン接種を施した。TGFβ2アンチセンス改
変9L細胞またはIL−2を分泌するように遺伝的に改変されたTGFβ2アン
チセンス改変9L細胞で免疫化された動物は、研究の継続期間、腫瘍が発生しな
い状態のままであった(24匹のうちの24匹、すなわち腫瘍が発生することな
く生存した率は100%)。対照的に、空のベクターを含む細胞で免疫化した対
照群の大部分(15匹のうちの2匹以外)は、腫瘍の発達が見られ、5週以内に
安楽死させなくてはならなかった(腫瘍が発生することなく生存した率は13%
、p<0.01)。
【0019】 Liau et al. 1998は、ラットC−6神経膠腫腫瘍モデルにおいてTGFβ2ア
ンチセンス遺伝子治療の同様の有効性を実証した。Dorigo et al. 1998は、マウ
ス卵巣奇形腫(MOT)腫瘍モデルにおいてこのアプローチの有効性を示した。
しかしながら、TGFβアンチセンスおよびIL−2遺伝子改変細胞を接種した
群のみが、続く腫瘍細胞攻撃から有意に保護され、したがって、このアプローチ
の経験論が確立された。他のグループにおいても、培養細胞および動物腫瘍モデ
ルにおいてTGFβ遺伝子治療の同様の抗腫瘍効果を実証した(Kim et al. 1997
)。
【0020】 遺伝子治療は、近年かなりの注目を集めている。腫瘍抗原提示を増大させ、特
定の抗腫瘍免疫性を誘発するように設計した腫瘍細胞のワクチンの接種は、期待
できるが、限られた結果しかもたらさなかった。癌生物学およびベクター技術開
発について本発明者等が理解を進展させたため、腫瘍ワクチンの治療的可能性を
前進させている。特定の腫瘍抑制剤遺伝子、免疫モジュレーター、薬剤感受性遺
伝子およびアンチセンス遺伝子断片を発現するように、ワクチン接種用の腫瘍細
胞を遺伝的に改変することは今や可能である(Huber et al. 1991; Culver et al
. 1992; Trojan et al. 1992; Dranoff et al. 1993; Ram et al. 1993; Trojan
et al. 1993)。
【0021】 多くの臨床研究においては、脳癌、皮膚癌、結腸癌および乳癌のための免疫療
法的治療の主要構成成分として、遺伝的に改変された同種異系細胞が評価されて
きた。ワクチン療法は、安全であり、体液性および細胞性抗ワクチン免疫応答を
発生させることがわかった。NSCLCを有する患者において遺伝子治療を用い
た幾つかの第I相臨床試験からの予備結果からも、このNSCLC患者集団(Dub
inett, 1998; Roth, 1998; Swisher et al. 1998)、ならびにSCLC患者集団
についての遺伝子治療アプローチの安全性が実証された。
【0022】 複数のグループが、多数の動物腫瘍モデルおよび臨床の両方で、遺伝子治療の
領域の経験則を実証した(例えば、Fakhrai et al. 1995; Sobol et al. 1999)
。FDA(連邦食品薬品管理局)は、癌を有する患者における遺伝子改変ワクチ
ン接種の研究について、申請された少なくとも4つの以下のINDをこれまでに
承認した: ・Sobol et al., BB-IND # 5812: 「インターロイキン−2(IL−2)を分泌
するように遺伝的に改変され、照射された自己腫瘍細胞および線維芽細胞を結腸
癌腫患者に注射すること。第I相研究(Injection of colon carcinoma patients
with autologous irradiated tumor cells and fibroblasts genetically modi
fied to secrete interleukin-2 (IL-2). A Phase I study)」 ・Sobol et al., BB-IND #4840: 「インターロイキン−2(IL−2)を分泌す
るように遺伝的に改変された腫瘍細胞または線維芽細胞を用いた神経膠芽細胞の
活性免疫療法(Active immunotherapy of glioblastoma with tumor cells or fi
broblasts genetically modified to secrete interleukin-2 (IL-2)」 ・Sobol et al., BB-IND #7483: 「結腸直腸癌腫を有する患者について、インタ
ーロイキン−2を分泌するように遺伝的に改変された同種異系線維芽細胞と混合
し、B7.1を発現するように遺伝的に改変された同種異系腫瘍細胞(CD80
)の第I相研究(A Phase I Study of Allogeneic Tumor Cell Genetically Modi
fied to Express B7.1 (CD80) Mixed with Allogeneic Fibroblasts Geneticall
y Modified to Secrete IL-2 in Patients with Colorectal Carcinoma)」 ・Fakhrai et al. BB-IND #6658: 「第I相臨床試験のための提案:照射された
TGFβ2アンチセンス遺伝子改変自己腫瘍細胞を悪性神経膠腫患者へ注射する
ことの安全性の第I相研究(Proposal for a Phase I Clinical Trial: A Phase
I Study of the Safety of Injecting Malignant Glioma Patients with Irradi
ated TGFβ2 Antisense Gene-Modified Autologous Tumor Cells)」
【0023】 BB-IND #6658では、FDAは、重度な神経膠腫を有する患者においてTGFβ
2アンチセンス遺伝子治療を評価する第I相INDを承認した。患者に、TGF
β2アンチセンスプラスミドで遺伝的に改変された自己神経膠腫腫瘍細胞をワク
チン接種して、TGFβ2の発現を阻止した。治療は、最初の4ヶ月は3週毎に
、それ以降は1〜2ヶ月毎に5×106、1×107または2×107個の細胞を
皮内注射することにより構成された。現在までに、5人の患者を治療してきた。
同じINDのもとで、FDAは、小児神経膠腫を有する患者において、同じTG
Fβ2アンチセンスベクターで遺伝子改変され、部分的にハプロタイプが適合し
た同種異系神経膠腫細胞系の使用を特別に承認した。
【0024】 治療全体は、十分に耐容性であり、きわめて低度の一過性の毒性だけが報告さ
れた。完全血球算定、血清化学に関して、および尿検査のモニタリング時におけ
る、免疫化部位における有意の副作用も、治療に関連した異常性も観察されなか
った。幾つかの場合では、TGFβ2アンチセンス遺伝子改変自己腫瘍細胞の第
2回目および第3回目の皮下注射後に、注射部位にて一過性の穏やかな紅斑が観
察された。
【0025】 増加したレベルのCD3+、CD4+、およびCD8+エフェクター細胞が、
注射部位で浸潤していることが、二次腫瘍生体組織検査にて観察された。注射部
位における生検材料、および続く作用で得られる腫瘍について免疫組織検査した
ところ、遺伝子治療の開始前に採取した生検材料と比べて、有意に多量の免疫が
浸潤していることを実証した。
【0026】 治療した5人の患者のうち、1人の患者が臨床的応答を示し、2人の患者が免
疫応答の増加を示し、1人の患者が腫瘍進行を示したが、5人目の患者はなお治
療を受けている。臨床的応答を示した患者においては、全腫瘍サイズの適度の変
化が見られる治療開始後の三ヶ月の間、約6週間隔で全体のMRIスキャンを実
施した。デカドロンにおける変化に関連して、腫瘍周囲の浮腫が一進一退してい
る様子を観察することができた。しかしながら、応答の3ヶ月後に、さらなる改
善をして、7ヶ月までには腫瘍後退していることが、MRIスキャンによって明
らかになった。
【0027】 したがって、第I相臨床試験により、5×106、1×107、または2×107 のTGFβ2アンチセンス遺伝子改変自己腫瘍細胞またはハプロタイプ適合腫
瘍細胞を患者に注射することは安全性のあることが実証された。さらに、このワ
クチン接種療法により見られる免疫原性の増加および予備臨床的応答の認識が進
んでいる。本発明者等は、NSCLCまたはSCLCを有する患者におけるこの
遺伝子治療アプローチの適用を企図する。
【0028】 本発明は、治療上有効な量の、TGFβの発現を低減するのに有効なTGFβ
阻害剤を発現する遺伝的構築物を含む遺伝的に改変された細胞を被験体に投与す
ることを含む、非小細胞肺癌(NSCLC)または小細胞肺癌(SCLC)を有
する被験体の生存を延ばすための方法および組成物を含み、ここで遺伝的に改変
される細胞は、NSCLCまたはSCLC細胞である。TGFβを無効にするか
、またはTGFβ遺伝子の発現(転写または翻訳)を抑制するいかなる方法をも
、被験体の生存を達成するのに使用することができる。かかるアプローチは、治
療用途のために、すなわちNSCLCまたはSCLCを治療するのに有用であり
得る。
【0029】 一実施形態では、生存治療様式は、例えば、TGFβ mRNA転写物の翻訳
を低減もしくは抑制するためのアンチセンスまたはリボザイムアプローチを用い
て、TGFβ遺伝子の転写を抑制する三重らせんアプローチを用いて、あるいは
TGFβ遺伝子もしくはその内因性プロモーターを不活性化または「ノックアウ
ト」するための標的相同組換えを用いて、内因性TGFβ遺伝子発現レベルを低
減するように設計され得る。
【0030】 アンチセンスアプローチには、TGFβ mRNAに相補的なオリゴヌクレオ
チド(DNAまたはRNA)の設計が含まれる。アンチセンスオリゴヌクレオチ
ドは、相補的TGFβ mRNA転写物に結合し、翻訳を防止するであろう。絶
対的な相補性が好ましいが、必須ではない。本明細書で称する場合、RNAの一
部に対する配列「相補性」とは、そのRNAとハイブリダイズすることが可能で
あるのに十分な相補性を有する配列であって、安定な二重鎖を形成することので
きる配列を意味する。したがって、二重鎖アンチセンス核酸の場合、二重鎖DN
Aの一本鎖が試験されてもよく、または三重鎖形成がアッセイされてもよい。ハ
イブリダイズする能力は、アンチセンス核酸の相補性および長さの両方に依存す
るであろう。一般に、ハイブリダイズする核酸が長いほど、RNAとの誤った塩
基対合を多く含有する可能性があるものの、安定な二重鎖(または場合によって
は三重鎖)を形成しうる。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融解温度を確
定するための標準的手法を用いて、塩基対合の誤りの許容度を確認することがで
きる。
【0031】 メッセージの5’末端、例えばAUG開始コドンまでを含んでいる5’非翻訳
配列に相補的なオリゴヌクレオチドは、翻訳を抑制する際に最も有効に作用すべ
きである。しかしながら、mRNAの3’非翻訳配列に相補的な配列も同様に、
mRNAの翻訳の抑制時に有効であることがわかっている。概して、Wagner, R.
, 1994, Nature 372:333-335を参照されたい。したがって、TGFβの5’また
は3’非翻訳の非コード領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、内因性TGFβ
mRNAの翻訳を抑制するために、アンチセンスアプローチにて使用すること
ができる。mRNAの5’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、AUG
開始コドンの相補体を含むべきである。mRNAコード領域に相補的なアンチセ
ンスオリゴヌクレオチド鎖はまた、本発明により使用することができる。TGF
β mRNAの5’−、3’−またはコード領域のいずれにハイブリダイズする
ように設計されていようと、アンチセンス核酸は、少なくとも6ヌクレオチド長
であるべきであり、好ましくは6〜約50ヌクレオチド長の範囲のオリゴヌクレ
オドである。特定の態様では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも17ヌクレオ
チド、少なくとも25ヌクレオチド、または少なくとも50ヌクレオチドである
【0032】 標的配列の選択に関係なく、アンチセンスオリゴヌクレオチドの、遺伝子発現
を抑制する能力を定量するために、まずインビトロでの研究がなされることが好
ましい。これらの研究は、オリゴヌクレオチドのアンチセンス遺伝子抑制と、非
特異的生物学的効果とを区別するための対照を利用することが好ましい。これら
の研究は、標的RNAまたはタンパク質のレベルを、内部対照RNAまたはタン
パク質のレベルと比較することもまた好ましい。さらに、アンチセンスアリゴヌ
クレオチドを用いて得られる結果は、対照オリゴヌクレオチドを用いて得られる
結果と比較することが企図される。対照オリゴヌクレオチドは、試験するオリゴ
ヌクレオチドとほぼ同じ長さであることが好ましく、その対照オリゴヌクレオチ
ドのヌクレオチド配列は、標的配列に対して特異的にハイブリダイズすることが
ない程度に、アンチセンス配列と異なることが好ましい。
【0033】 オリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖の、DNAまたはRNA、あるい
はそれらのキメラ混合物または誘導体または修飾体であり得る。オリゴヌクレオ
チドは、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション等を改善するために、
塩基部分、糖部分、またはリン酸バックボーンを修飾され得る。オリゴヌクレオ
チドは、ペプチドのような他の付属基(例えば、宿主細胞受容体を標的化するた
め)、または細胞膜を通過する輸送を容易にする作用物質を含んでもよい(例え
ば、Letsinger et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:6553-6556、
Lemaitre et al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. 84:648-652、PCT国際公開
第88/09810号(1998年12月15日に公開)を参照)。
【0034】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラ
シル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン
、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−
カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミ
ノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキュェオシン、イ
ノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノ
シン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、
3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニ
ン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウ
ラシル、β−D−マンノシルキュェオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウ
ラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニ
ン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、
キュェオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウ
ラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メ
チルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシ
ル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp
3)w、および2,6−ジアミノプリンを含むが、これらに限定されない群から
選択され、少なくとも1つの修飾塩基部分を含んでもよい。
【0035】 アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、アラビノース、2−フルオロアラビ
ノース、キシルロース、およびヘキソースを含むが、これらに限定されない群か
ら選択される、少なくとも1つの修飾糖部分を含んでもよい。
【0036】 さらなる別の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチ
オエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルアミデ
ート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステ
ル、およびホルムアセタール、またはそれらの類縁体からなる群から選択され、
少なくとも1つのリン酸バックボーンを含む。
【0037】 本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成機(例えば、Biosea
rch, Applied Biosystems等から市販されている)を用いて、当該技術分野で周
知の標準的な方法により合成され得る。例として、ホスホロチオエートオリゴヌ
クレオチドは、Stein等の方法により合成されてもよく(1988, Nucl. Acids Res.
16:3209)、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、制御孔グラスポリマー
支持体(Sarin et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:7448-7451)等
を用いて調製することができる。
【0038】 しかしながら、内因性mRNAの翻訳を抑制するのに十分なアンチセンスの細
胞内濃度を達成するのは多くの場合困難である。したがって、利便性のよいアプ
ローチとして、アンチセンス配列が強力なプロモーターの制御下に置かれている
組換えDNA構築物を利用する方法がある。標的細胞をトランスフェクトするた
めにかかる構築物を使用すると、内因性TGFβ転写物に相補的な塩基対を形成
し、それによりTGFβ mRNAの翻訳を阻害するであろう一本鎖RNAの転
写を十分に生じる結果となろう。例えば、細胞に取り込まれ、アンチセンスRN
Aの転写を誘導するようなベクターが導入され得る。かかるベクターは、所望の
アンチセンスRNAを産生するように転写され得る限り、エピゾームとしてとど
まるか、あるいは染色体に組み込まれ得る。かかるベクターは、当該技術分野で
標準的な組換えDNA技法により構築することができる。ベクターは、哺乳動物
細胞における複製および発現のために使用されるプラスミド、ウイルスまたは当
該技術分野で既知の他のものであり得る。アンチセンスRNAをコードする配列
を発現させるプロモーターは、哺乳動物、好ましくはヒト細胞において作用する
ことが当該技術分野で既知であるいかなるプロモーターによるものであり得る。
かかるプロモーターは、誘導性であっても構成的であってもよい。かかるプロモ
ーターとしては、SV40初期プロモーター領域(Bernoist and Chambon, 1981,
Nature 290: 304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3’長い末端反復配列(LTR
)に含入されるプロモーター(Yamamoto et al., 19k80, Cell 22:787-797)、ヘ
ルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., 1981, Proc. Natl. Acad
. Sci. U.S.A. 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster e
t al., 1982, Nature 296:39-42)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】 TGFβ mRNA転写物を触媒的に切断するように分子設計されたリボザイ
ムもまた、TGFβ mRNAの翻訳およびTGFβの発現を防止するのに使用
することができる(例えば、1990年10月4日に公開されたPCT国際公開
第90/11364号; Sarver et al., 1990, Science 247:1222-1225を参照)
。特異的認識配列の部位でmRNAを切断するリボザイムは、TGFβ mRN
Aを破壊するのに使用することができるが、ハンマーヘッドリボザイムを使用す
ることが好ましい。ハンマーヘッドリボザイムは、標的mRNAと相補的塩基対
を形成するフランキング領域により指示される位置にてmRNAを切断する。唯
一の要件は、標的mRNAが以下の2つの塩基配列、すなわち5’−UG−3’
を有することである。ハンマーヘッドリボザイムの構築および産生は、当該技術
分野で既知であり、Haseloff and Gerlach, 1988, Nature, 334:585-591により
完全に記載されている。TGFβ cDNAのヌクレオチド配列内には、数百も
の潜在的なハンマーヘッドリボザイムによって切断され得る部位が存在する。好
ましくは、リボザイムは、切断認識部位がTGFβ mRNAの5’末端付近に
位置するように、すなわち効率的に増加して、非機能性mRNA転写物の細胞内
蓄積を最低限に押さえるように操作される。
【0040】 本発明のリボザイムはまた、テトラヒメナ(Tetrahymena Thermophila)にて天
然に存在し(IVSまたはL−19 IVS RNAとして知られる)、Thomas
Cechおよび共同研究者により広範に記載される(Zaug, et al., 1984, Science,
224:574-578; Zaug and Cech, 1986, Science, 231:470-475; Zaug, et al., 1
986, Nature, 324:429-433; University Patentsによる国際特許出願国際公開第
88/04300号;Been and Cech, 1986, Cell, 47:207-216)もののようなR
NAエンドヌクレアーゼ(これ以降、「Cech型リボザイム」)を含む。Cech型リ
ボザイムは、標的RNA配列にハイブリダイズする8塩基対の活性部位を有し、
ハイブリダイズした後、標的RNAの切断が起こる。本発明は、TGFβに存在
する8塩基対の活性部位配列を標的とするCech型リボザイムを含む。
【0041】 アンチセンスアプローチにおける場合と同様に、リボザイムは、修飾されたオ
リゴヌクレオチドから構成され(例えば、安定性、ターゲティング等の改良のた
めに)、TGFβを発現する標的細胞に送達される必要があり得る。送達のため
の利便性の高い方法は、トランスフェクトされた細胞が内因性TGFβメッセー
ジを破壊し、翻訳を抑制するのに十分な量のリボザイムを産生するように、強力
なプロモーターの制御下にてリボザイムをコードするDNA構築物を用いること
を含む。アンチセンス分子と異なってリボザイムは触媒性であるので、効果を発
現する細胞内濃度はアンチセンス分子の場合より低濃度でよい。
【0042】 内因性TGFβ遺伝子発現はまた、標的化した相同的組換えすることにより、
TGFβ遺伝子またはそのプロモーターを不活性化あるいは「ノックアウト」す
ることにより低減され得る(例えば、Smithies et al, 1985, Nature 317:230-2
34; Thomas & Capecchi, 1987, Cell 51:503-512; Thompson et al., 1989 Cell
5:313-321を参照)。例えば、内因性TGFβ遺伝子(TGFβ遺伝子のコード
領域または調節領域のいずれか)に相同的であるDNAに隣接する(flank
ed)突然変異体の非機能性TGFβ(または完全に関連のないDNA配列)は
、選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカーとともに使用して、また
はそれらを用いることなく使用して、TGFβを発現する標的細胞をトランスフ
ェクトすることができる。標的化した相同的組換えによるDNA構築物の挿入は
、TGFβ遺伝子の不活性化を生じる。
【0043】 あるいは、内因性TGFβ遺伝子発現は、TGFβ遺伝子の調節領域(すなわ
ち、TGFβプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なデオキシリ
ボヌクレオチド配列をターゲティングして、標的細胞におけるTGFβ遺伝子の
転写を防止する三重らせん構造を形成することにより低減され得る(一般に、He
lene, C. 1991, Anticancer Drug Des., 6(6):569-84; Helene, C., et al., 19
92, Ann, N.Y. Accad. Sci., 660:27-36; およびMaher , L.J., 1992. Bioassay
s 14(12): 807-15を参照)。
【0044】 本発明のさらなる別の実施形態では、TGFβの活性を、「優性ネガティブ」
アプローチを用いて低減し、被験体の生存という目的を達成しうる。この目的の
ために、欠損TGFβをコードする遺伝的構築物を用いて、隣接細胞におけるT
GFβの活性を減少させることができる。例えば、ドメインが欠失しているTG
Fβ、またはドメインが突然変異しているTGFβの発現を誘導するヌクレオチ
ド配列を、標的細胞に導入することができる。あるいは、標的相同組換えを利用
して、標的細胞の内因性TGFβ遺伝子に、かかる欠失または突然変異をさせる
ことができる。操作した細胞は、非機能性サイトカイン(すなわち、その天然の
受容体に結合することは可能であるが、シグナル伝達は不可能なサイトカイン)
を発現するであろう。かかる細胞の操作をすることにより、隣接細胞において内
因性TGFβリガンドに対する応答性が減少し、よって被験体の生存をもたらす
はずである。
【0045】 代替的実施形態では、細胞内TGFβに結合し、それを「無効にする」可溶性
ペプチド、タンパク質、融合タンパク質または抗体をコードする遺伝的構築物を
投与することにより、被験体の生存を達成する。この目的のために、TGFβ受
容体のドメイン、TGFβ受容体の欠失突然変異体、あるいはこれらのTGFβ
受容体ドメインまたは突然変異体のいずれかに相当し、別のポリペプチド(例え
ば、IgFcポリペプチド)との融合ペプチドをコードする遺伝的構築物を利用
することができる。あるいは、TGFβ受容体を模倣し、TGFβを無効にする
抗イディオタイプ抗体または抗イディオタイプ抗体の抗原結合フラグメント(F
ab)をコードする遺伝的構築物を使用することができる。これらのTGFβ受
容体ペプチド、タンパク質、融合タンパク質、抗イディオタイプ抗体またはその
抗原結合フラグメント(Fab)をコードするかかる遺伝的構築物は、TGFβ
を無効にし、被験体の生存を達成するために投与される。
【0046】 1つまたはそれ以上のTGFβのエピトープ、またはTGFβの保存変異体の
エピトープ、あるいはTGFβのペプチド断片を特異的に認識する抗体をコード
する遺伝的構築物もまた本発明に含まれる。かかる抗体としては、ポリクローナ
ル抗体、モノクローナル抗体(mAbs)、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗
体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fab発現ライブラリーにより産生され
る断片、および上記のいずれかのエピトープ結合断片が挙げられるが、これらに
限定されない。かかる抗体をコードする遺伝的構築物は、TGFβ活性の抑制お
よび被験体の生存の達成のための方法として使用されてもよい。
【0047】 抗体の産生のために、様々な宿主動物が、TGFβ、TGFβペプチド、切断
型TGFβ、TGFβの機能的等価体またはTGFの突然変異体を注射すること
により免疫化され得る。かかる宿主動物としては、数種であるが例を挙げるとウ
サギ、マウスおよびラットが挙げられるが、これらに限定されない。ポリクロー
ナル抗体は、免疫化動物の血清から得られる抗体分子の異種集団である。
【0048】 モノクローナル抗体は、特定の抗原に対する抗体の同種集団であるが、それは
培養における連続細胞系による抗体分子を産生する任意の技法により得られ得る
。これらの方法としては、Kohler and Milsteinのハイブリドーマ技法(1975, Na
ture 256: 495-497, および米国特許第4,376,110号)、ヒトB細胞ハ
イブリドーマ技法(Kosbor et al., 1983, Immunology Today 4:72; Cole et al.
, 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030)、およびEBV−ハイブリ
ドーマ技法(Cole et al., 1985, Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,
Alan R. Liss, Inc., pp.77-96)が挙げられるが、これらに限定されない。かか
る抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDを含む任意の免疫グロブリ
ンクラスおよびそれらのサブクラスであってもよい。
【0049】 さらに、適切な生物活性を有するヒト抗体分子に由来する遺伝子とともに、適
切な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子をスプライシングすることにより
、「キメラ抗体」を産生するために開発された技法(Morrison et al., 1984, Pr
oc. Natl. Acad. Sci., 81:6851-6855; Neuberger et al., 1984, Nature, 312:
604-608; Takeda et al., 1985, Nature, 314:452-454)を使用することができる
。キメラ抗体は、マウスmAbから得られる可変領域およびヒト免疫グロブリン
定常領域を有するもののような、異なる動物種から得られる種々の部位からなる
分子である。
【0050】 あるいは、一本鎖抗体の産生に関して記載される技法(米国特許第4,946
,778号; Bird, 1988, Science 242: 423-426; Huston et al., 1988, Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; およびWard et al., 1989, Nature 334:
544-546)は、TGFβ遺伝子産物に対する一本鎖抗体を産生するのに用いられ
得る。一本鎖抗体は、アミノ酸架橋によりFv領域の重鎖断片および軽鎖断片を
連結することにより形成され、一本鎖ポリペプチドを生じる。
【0051】 特定のエピトープを認識する抗体断片は、既知の技法により生成され得る。例
えば、Fab発現ライブラリーは、所望の特異性を有するモノクローナルFab
断片を迅速かつ簡易に同定するために構築され得る(Huse et al., 1989, Scienc
e, 246:1275-1281)。
【0052】 さらに、TGFβの活性化を阻止するために、TGFβ前駆体を切断し、活性
イソ型に変化させる酵素を抑制してもよい。TGFβがその生物学的効果を示す
ためには活性化されなくてはならず、酵素は、前駆体タンパク質を切断する必要
がある。これらの酵素を、前駆体タンパク質との相互作用が妨げられるように遺
伝的に改変し、前駆体タンパク質が活性化された成熟形態へ切断されるのを防止
してもよい。これらの酵素の転写または翻訳が、当該技術分野で既知の手段によ
り阻止されてもよい。あるいはこれらの酵素が、当業者に既知の任意の手段によ
り抑制されてもよい。
【0053】 TGFβは、セリン/トレオニンキナーゼ受容体に結合し、Smadタンパク
質により細胞内シグナルを伝達する。TGFβにより開始されるシグナルを抑制
するために、シグナル伝達を妨害してもよい。シグナル伝達を崩壊することによ
り、TGFβの免疫抑制効果を防止することができる。このことは、当該技術分
野において既知の任意の手段であって、TGFβ受容体およびSmadタンパク
質相互作用を拮抗するか、または妨げる手段により達成され得る。その手段は、
TGFβ受容体およびSmadタンパク質間の相互作用を妨げるか、または拮抗
するタンパク質を発現するように遺伝的に改変された細胞を投与することを含む
。あるいは、シグナル伝達経路に沿ったシグナル伝達を防止するために、TGF
β受容体またはSmadタンパク質の転写あるいは翻訳が、当該技術分野で既知
の任意の手段により改変されてもよい。
【0054】 NSCLCまたはSCLCを有する患者に、免疫原としてTGFβを阻害する
種を発現するように遺伝的に操作された標的細胞が投与されると、それらは抗腫
瘍免疫応答を高めるように作用し、それにより腫瘍保有被験体の生存が延びるで
あろう。かかる細胞は、患者自身から得られてもよく(自己由来)、またはドナ
ーから得られてもよい(同種異系または異種)。NSCLCを有する患者に関し
ては、遺伝的に操作された細胞は、非小細胞肺癌(NSCLC)細胞により構成
され、それは、NSCLCから得た細胞であるか、またはNSCLCを模倣した
細胞である(すなわち、原発性のNSCLCと共有している共通腫瘍抗原または
エプトープを有する)。あるいは、SCLCを有する患者に関しては、遺伝的に
操作された細胞は、小細胞肺癌(SCLC)細胞により構成され、それはSCL
Cから得た細胞であるか、またはSCLCを模倣した細胞である(すなわち、原
発性SCLCと共有している共通腫瘍抗原またはエピトープを有する)。
【0055】 自己細胞とは、同一個体から得られる細胞である。同種異系細胞は、種は同一
であるが別の個体から得られる細胞であり、したがって細胞が種内遺伝的差異を
有する。異種細胞は、異なる種の個体から得られる細胞であり、したがって細胞
が種間の抗原差異を有する。
【0056】 一実施形態では、同種異系(または異種)NSCLCまたはSCLC腫瘍細胞
系が、免疫原として選択される。肺癌細胞系は、原発腫瘍と共有したエピトープ
を有することが示されている(Takenoyama et al. 1988)。これらの研究者等は、
ヒト肺腺癌細胞系に対して生成されたMHCクラスI制限CTLは、別の腫瘍細
胞系に対して明白な細胞障害作用を有することを示した。これらの実験における
交差反応性は、抗MHCクラスIおよび抗CD8モノクローナル抗体により阻止
され、共有される共通の腫瘍抗原が肺癌細胞間に存在することを示唆している。
【0057】 別の実施形態では、同種異系(または異種)細胞カクテルが、NSCLCまた
はSCLCを有する患者における免疫原として使用される。これは、腫瘍抗原提
示の総数を増加させるという意味よりはむしろ、2個、3個、4個またはそれ以
上の細胞系を使用することができるという意味である。
【0058】 さらに、標的細胞は、TGFβ2阻害剤をコードする遺伝的構築物によりトラ
ンスフェクトされることにより、TGFβ発現性が低下するであろう。腫瘍細胞
によりTGFβ発現が抑制されると、まずワクチン注射部位で免疫抑制作用の主
要原因が除去されるであろう。そして注射した腫瘍細胞に対して誘動される局所
免疫応答が、患者の自然腫瘍に対する全身性免疫応答を誘発するであろう。
【0059】 標的細胞は、例えばプラスミド、コスミド、YAC、エレクトロポレーション
、リポソーム等の使用を含むがこれらに限定されない形質導入(ウイルスベクタ
ーを用いた)またはトランスフェクション手法により、遺伝的構築物を細胞に導
入するために、組換えDNA技法を用いてインビトロで遺伝的に操作される。操
作された細胞は、例えば、血液循環にて、腹腔内にて、皮内にて、皮下に、肺葉
にて、患者に導入され得る。あるいは、細胞は、マトリックス内に組み込まれ、
組織移植片の一部として体内に移植され得る。
【0060】 別の実施形態では、標的細胞は、1つまたはそれ以上のサイトカインのコード
配列を発現するように操作される。1つの代替法では、1つまたはそれ以上のサ
イトカインを一重でコードする発現ベクターが標的細胞に導入される。別の代替
法では、1つまたはそれ以上のサイトカインおよびTGFβ阻害剤を二重でコー
ドする発現ベクターが標的細胞に導入される。さらなる別の代替法では、いくつ
かの標的細胞のうちの一部は、1つまたはそれ以上のサイトカインのコード配列
を発現するように操作され、その他の標的細胞は、TGFβ阻害剤を発現するよ
うに遺伝的に改変される。免疫抑制TGFβを阻害することに加えて、免疫促進
剤を同時投与することは、腫瘍細胞に対する被験体の免疫応答を改善し得る。本
発明の実施に有用なサイトカインの例としては、インターロイキン−1、インタ
ーロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイ
キン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−
8、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキン−11
、インターロイキン−12、インターロイキン−15、インターフェロン−α、
インターフェロン−γ、腫瘍壊死因子−α、トランスフォーミング成長因子−β
、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、および顆粒球コロニー刺激因子が挙
げられる。サイトカイン発現レベルは、抗腫瘍免疫性が被験体において有意な全
身毒性をもたらすことのない範囲で上昇することができるように調節されるべき
である。
【0061】 投与されるべき標的細胞が非自己細胞である場合、それらは、導入する細胞に
対して宿主免疫応答が発生するのを妨げる既知の技法を用いて投与され得る。例
えば、導入する細胞を被包化して導入してもよく、それによりすぐ隣接する細胞
外環境との構成成分の交換が可能になる一方で、導入細胞を宿主免疫系が認識す
るのを不可能にする。
【0062】 NSCLCまたはSCLC細胞の毒性および治療効率は、例えばLD50(集
団の50%に対する致死用量)およびED50(集団の50%における治療上有
効な用量)を決定するための、細胞培養液または実験動物における標準的な薬学
的手法により決定することができる。毒性と治療効果間の用量比は、治療指数で
あり、それはLD50/ED50の比として表すことができる。大きな治療指数
を示すNSCLCまたはSCLC細胞が好ましい。
【0063】 細胞培養液アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトに使用するた
めの投与量範囲を決定するのに使用され得る。ヒトに投与する量は、毒性が少な
いかまたは全くなしで、ED50に含まれる濃度であるのが好ましい。本発明に
おいて使用されるNSCLCまたはSCLC細胞の任意の用量に関して、治療上
有効な用量は、細胞培養液アッセイから初期に推定することができる。治療上有
効な用量が、細胞培養液で決定される場合のIC50(すなわち、症状の最大の
半分の抑制を達成する試験物質濃度)に含まれる濃度にするために、動物モデル
にて決定されうる。かかる情報を用いて、ヒトにおける有効な用量をより正確に
決定することができる。
【0064】 本発明に従って使用するための薬学的組成物は、1つまたはそれ以上の生理学
的に許容なキャリアまたは賦形剤を用いて、従来法にて決定され得る。QS−2
1、Detox−PC、MPL−SE、MoGM−CSF、TiterMax−
G、CRL−1005、GERBU、TERamide、PSC97B、Adj
umer、PG−026、GSK−1、GcMAF、B−アレチン、MPC−0
26、Adjuvax、CpG ODN、ベータフェクチン、ミョウバン、およ
びMF59を含む様々な抗原性補強剤(アジュバント)を使用して、免疫学的応
答を増加させ得る(Kim et al. Vaccine 2000, 18:597 およびその中の参照文献
を参照)。注射用配合物は、単位投薬形態で、例えばアンプル中または複数用量
容器にて提供され得る。
【0065】 本発明はさらに、TGFβ阻害剤を発現するように遺伝的に改変された細胞、
および治療上許容なキャリアを含む治療用組成物を提供する。本明細書で使用す
る場合、治療上許容なキャリアは、宿主に対して無毒性の水、分散媒、細胞培地
からの培養液、等張剤等を含む任意およびすべての溶媒を含む。適しているのは
、約7.0のpHを有する等張緩衝水溶液である。治療用組成物においてかかる
媒質または薬剤を使用するのは、当業者に既知である。治療用組成物におけるか
かる任意の従来型媒質または薬剤が本発明の遺伝的に改変された細胞に非相容性
である場合を除いて、治療用組成物におけるかかる従来型媒質または薬剤使用が
意図される。補足の有効成分もまた、組成物に組み込むことができる。
【0066】 本発明の治療用組成物は、それを必要とする動物に投与され得る。したがって
、本発明は、免疫応答の必要な動物において免疫応答を誘発する方法を提供し、
その方法は、遺伝的に改変されており、免疫学的に有効な量の細胞を動物に投与
することを含む。本発明はまた、動物において腫瘍を防止または治療する方法を
提供し、その方法は、遺伝的に改変されており、抗腫瘍に有効な量の細胞を動物
に投与することを含む。
【0067】 本明細書で使用する「動物」という用語は、ヒトを含むすべての哺乳動物を含
む。好ましくは、本発明の動物はヒト被験体である。
【0068】 遺伝的に改変された細胞を投与することによって、動物において誘発される免
疫応答は、腫瘍細胞を死滅させることが可能な細胞障害性T細胞により主に媒介
される細胞性免疫応答、ならびにB細胞を活性化することが可能であり、したが
って抗体の産生を引き起こすヘルパーT細胞により主に媒介される体液性免疫応
答を含んでもよい。遺伝的に改変された細胞により誘発される免疫応答型を分析
するために、様々な技法を使用してもよく、それらは、当該技術にて十分に記載
されている(例えばColigan et al. Current Protocols in Immunology, John W
iley & Sons Inc. (1994))。
【0069】 本明細書で使用する「腫瘍を防止する」という用語は、腫瘍の発生が防止され
るか、または腫瘍の発症が有意に遅延されることを意味する。本明細書で使用す
る「腫瘍を治療する」という用語は、腫瘍成長が有意に抑制されることを意味し
、それは例えば腫瘍体積により反映される。腫瘍体積は、様々な既知の手法、例
えば、ダイヤルキャリパーを用いて二次元的測定をすることにより決定され得る
【0070】 「免疫学的に有効な量」、「抗腫瘍に有効な量」または「腫瘍抑制に有効な量
」が示される場合、投与されるべき遺伝的に改変された細胞の正確な量は、患者
の年齢、体重、腫瘍の大きさ、感染の程度または転移の程度、および症状におけ
る個々の差異を考慮して、医師により決定され得る。通常、遺伝的に改変された
対象の細胞を含む治療組成物は、1回の用量につき少なくとも約1×103細胞
〜約5×109の細胞を含み、適した方法で投与されるといえる。
【0071】 対象の治療用組成物の投与は、エーロゾル吸入、注射、摂取、輸血、埋没また
は移植を含む任意の従来型様式で実行されてもよい。適当であれば、本発明の遺
伝的に改変された細胞は、皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)、動脈内(i
.a.)、静脈内(i.v.)注射により患者に投与される。治療上許容なキャ
リアは、当業者に既知の技法により殺菌されるべきである。
【0072】 本発明は、以下の具体例によりさらに説明されるが、それはいかなる場合にお
いても本発明の範囲を限定することを意図しない。本発明者等は、以下の実施例
において、TGFβ2をTGFβ1およびTGFβ3で置換することを企図する
。さらに、本発明者等は、以下の実施例において、NSCLC細胞をSCLC細
胞で置換することを企図する。
【0073】 実施例 臨床試験において、本発明者等は、組織培養研究所にてこれまでに樹立した4
つのヒト非小細胞肺癌細胞系を使用する。本発明者等は、これら腫瘍細胞を、そ
れらのTGFβ分泌が阻止されるように、研究所にて遺伝子改変する。次に本発
明者等は、非小肺癌を有する患者において、ワクチンとして遺伝子的に操作した
細胞を使用する。月1回の間隔で4回、TGFβアンチセンス遺伝子改変された
4種の非自己(同種異系)腫瘍細胞で構成される遺伝子改変ワクチンカクテルを
患者に注射する。他のヒトの腫瘍細胞を使用する本発明者等の理論的根拠は、異
なるヒトに属する肺腫瘍細胞系が非自己免疫系により認識されるという共通の特
性を共有することを示していることにある。治療した患者を、彼等が治療に入っ
た4ヶ月後に評価する。治療の効果がある患者には、彼等の治療効果が増幅され
得るかどうかを評価するために、さらに4回〜12回の注射を行う。
【0074】 患者は、3つの別個の群のうちの1つに無作為に割り当てる。ワクチンカクテ
ルは、等数の、4種の照射TGFβアンチセンス遺伝子改変NSCLC細胞系の
それぞれから構成される。3つの群において注射した細胞数は、それぞれ1.2
5×107、2.5×107、および5×107細胞である。
【0075】 応答、腫瘍進行までの時間、および腫瘍を持たない生存を、患者についてモニ
ターし、履歴的対照患者および他の形態の治療を受けた患者と比較する。応答な
し、安定な疾患、部分的応答、および完全な応答という分類で、標準的評価基準
に従って、患者をモニタリングおよび評価する。この研究の結果を用いて、TG
Fβアンチセンス遺伝子改変腫瘍細胞を単独で用いる、およびIL−2(または
他のサイトカイン)遺伝子改変腫瘍細胞との組み合わせを用いる治療の、さらな
る臨床試験の実現可能性を評価する。
【0076】 主要な目的 臨床試験の主要な目的は、遺伝子改変腫瘍細胞ワクチンの用量を増加させるこ
とによって、NSCLCを有する患者の腫瘍応答を誘発する能力を評価すること
である。
【0077】 研究設計 この研究は、NSCLCを有する患者において、同種異系腫瘍細胞ワクチンの
用量が増加することによる免疫化の効果の変化が評価できるように設計される。
患者は臨床的応答、免疫抗原性、安全性について観察される。
【0078】 適切な患者に、等数の、4種類の照射同種異系TGFβ2アンチセンス遺伝子
改変NSCLC細胞系から構成される細胞カクテルを、1月ごとに4回皮内注射
する。患者は3つの研究群の1つから任意に抽出する。患者には、それぞれ1.
25×107、2.5×107、または5×107遺伝子改変細胞を与える。
【0079】 入手可能である場合、臨床において指示された手術時に、研究対象の患者から
得られる腫瘍試料を使用して、各患者の細胞系を樹立する。次に患者の腫瘍細胞
を、遺伝子治療接種法に対する患者の免疫応答をモニタリングする前駆物質分析
または細胞障害性アッセイにて使用する。
【0080】 ワクチン投与 0、1、2、3および4ヶ月目に、腫瘍細胞ワクチンの皮内注射を患者に行う
。これらは、外来患者の設定で投与される。注射する部位は、上肢と下肢で交替
にする。ワクチン接種後2時間、患者を病院で観察する。この観察時間中、生命
徴候を30分毎に測定する。治療により副作用をほとんど受けない患者は、ワク
チン接種の2時間後に解放する。
【0081】 研究手法の概要 以下の表に概要したスケジュールに従って患者にワクチン接種する。他の抗癌
治療による介入を必要とするような、手におえないほどの毒性または臨床的に相
当な疾患進行が明らかにされない限りは、1ヶ月に1度、4ヶ月間、患者に初期
治療する。腫瘍の病期分類(staging)(総合CT/MRIスキャンによ
って)を、治療の前に、ならびに治療後8、16および28週目、その後は3ヶ
月毎に実施する。28週目までは4週毎に、その後は12週毎に、患者に対して
免疫応答(体液性応答およびT細胞応答)の連続モニタリングを行う。患者は、
研究の間、毒性に関して綿密にモニタリングされる。治療によって有益な効果が
みられる患者に、さらに、4〜8週間毎に12回のワクチン接種をする(全16
回のワクチン接種)。
【0082】 停止規則 ワクチン接種した後の腫瘍応答が初期の腫瘍進行期間に続く可能性がある場合
であって、8週目に非臨床的に相当な腫瘍進行があっても患者に研究を続けるこ
とが可能である。かかる患者は、16週目に、さらなる腫瘍進行を示してはなら
ない(8週目と比較して16週目にて最大25%増加)。16週目に依然として
進行性疾患を示す(8週目と比較して)患者は、研究から外される。
【0083】
【表1】
【0084】 手法の定義 電話連絡:研究看護士による電話により患者と連絡して、炎症、疼痛または局所
注射部位でのかゆみの度合いを評価する 各分画におけるCBC:WBC、HCT、HGB、血小板計数、好中球%、白血
球%、単球% 電解質パネル:ナトリウム、カリウム、塩化物、二酸化炭素、BUN、クレアチ
ニン、グルコース 代謝パネル:カルシウム、リン、AST、ALT、アルカリホスファターゼ、ビ
リルビン、尿酸、アルブミン、タンパク質 腫瘍病期分類:物理的検査、X線、適切な場合にはCT/MRI。すべての病期
分類は、基準にて使用された方法と同じ方法で腫瘍を評価するべきである 接種部位の生体組織検査:炎症性ワクチン接種部位の周辺にて、または炎症がな
い場合には、ワクチン接種部位を含めて行われるパンチ皮膚生体組織検査 体液性免疫:血清抗腫瘍力価 細胞性免疫:CD3、CD4、CD8、CD16、CD20、およびCD68を
含む末梢血B細胞およびT細胞サブセット(十分な細胞が入手可能である場合)
の免疫表現型タイピング 定量的(半定量的)なNK活性(非特異的殺傷)、LAK活性(アロ殺傷)に
よるPBCサイトカインプロフィールを測定
【0085】 臨床試験対象基準 ・インフォームドコンセントに署名したもの ・18歳以上 ・測定可能な疾患および推定体積125ccを有する治癒不可能なNSCLCを
組織学的に確認されたもの ・一般状態(ECOG) 2以下・絶対顆粒球数 1,500/mm3 ・血小板数 100,000/mm3 ・総ビリルビン 2mg/dL以下 ・ASTおよびALT 正常の上限の2倍以下 ・クレアチニン 1.5mg/dL以下
【0086】 臨床試験対象除外基準 ・同時全身ステロイド 1日当たりのプレドニゾンが20mgより多い ・事前脾摘出 ・手術、化学療法、放射線療法、ステロイド療法または免疫療法 研究に入る4
週間未満 ・治療して、2ヶ月間安定である場合を除いて、脳転移または髄膜リンパ腫症 ・既知のHIV陽性 ・研究者の考えによるとプロトコルの対象を傷つけるであろう重篤な非悪性疾患
(例えば、うっ血性心不全、または活性非制御細菌、ウイルスまたは真菌感染)
、あるいは他の症状 ・2年間以上寛解状態にある場合を除いて、事前悪性疾患(皮膚の非黒色腫癌腫
を除く) ・研究に入る前の30日以内に治験薬で治療 ・プロトコルを遵守することを妨害するであろう精神医学的障害の履歴 ・妊婦または育児をしている女性、あるいは生殖能力を有する場合、避妊を実施
することへの拒絶
【0087】 研究の遂行 本研究は、臨床試験実施に関する基準であるヘルシンキ宣言および米国21C
FRパート50・ヒト被験者の保護、およびパート56・施設内治験審査委員会
に従って遂行される。研究に関して書面による日付付きのインフォームドコンセ
ントを、プロトコルに明記した手法を実施する前に、すべての患者から得る。署
名後、患者のインフォームドコンセントのコピーを患者に付与する。患者をこの
研究に登録する前に、適切な施設内治験審査委員会からこの研究の承認を得る。
同意の書式は、患者予定者が完全に理解できる言語で行う。同意したことは、患
者自身の日付付き署名により、あるいは患者の同意を記録する個々の立会人の署
名により証明される。
【0088】 腫瘍応答 患者は、CT/MRIおよび物理的検査により評価される。臨床試験に関する
標準的な結果の基準(完全な応答(CR)、部分的応答(PR)、安定した疾患
(SD)および進行性疾患(PD))を用いて応答を記録する。治療に対して応
答(PRまたはCR)があった場合は、いかなる場合も、少なくとも4週間を隔
てて、2つの確証的病期分類をしなければならない。 完全な応答 ・少なくとも4週間、すべての測定可能な疾患の解消 ・少なくとも4週間、すべての評価可能な疾患の解消 ・新たな病巣なし(測定可能または評価可能) 部分的応答 ・少なくとも4週間、すべての測定可能な病巣の産物の総計のうち、少なくとも
50%が減少 ・少なくとも4週間、評価可能な疾患の自覚的改善 ・新たな病巣なし(測定可能または評価可能) 安定した疾患 ・すべての測定可能な病巣の産物の総計のうち、50%未満が減少、かつ25%
未満が増加 ・新たな病巣なし(測定可能または評価可能なもの) 進行性疾患 ・すべての測定可能な病巣の産物の総計のうち、25%超が増加、または新たな
病巣(測定可能または評価可能なもの)
【0089】 免疫応答の評価 体液性免疫応答の評価 体液性抗腫瘍免疫応答は、固相酵素免疫検定法(ELISA)を用いて、ワク
チン接種する細胞系に対する反応性に関して、治療前および治療後の血清の力価
を比較することにより評価される。簡潔に述べると、105個の標的細胞を、9
6ウェルインキュベーターチャンバー(V and P Enterprises, La Jolla, CA)の
濾紙ディスク上に固定化し、続いて試験血清とともに30分間インキュベートす
る。プレートを洗浄し、続いて酵素結合抗ヒト免疫グロブリン(Ig)とともに
インキュベートする。プレートを再び洗浄し、酵素基質を添加し、ELISA測
定器で各ウェルの吸光度を測定することにより、結合を定量化する。
【0090】 細胞性免疫応答の評価 免疫表現型タイピング 標準的な免疫蛍光フローサイトメトリーアッセイを行い、患者の治療前および
治療後の免役エフェクター細胞プロフィールを評価する。T細胞(CD3、CD
4、CD8)、ナチュラルキラー細胞(CD16)、およびB細胞(CD20)
に対するモノクローナル抗体と反応するエフェクター細胞の亜集団のパーセント
を、治療前および治療後の末梢血リンパ球群にて測定し、他の基準により測定し
た患者の応答と相関させる。簡潔に述べると、フィコール・ハイパークの精製単
核細胞を、一次抗体とともに室温にて1時間インキュベートし、洗浄し、続いて
蛍光色素結合二次抗体とともにインキュベートする。細胞を洗浄し、固定して、
陽性細胞のパーセントを、フローサイトメーターを用いて決定する。一次抗体の
代わりにイソ型とインキュベートした対照抗体との細胞のインキュベーションは
、陰性対照として役立つ。
【0091】 ナチュラルキラー(NK)活性 NK活性は、標的としてNK感受性細胞系K562を用いた標準的クロム遊離
試験を用いて分析される。簡潔に述べると、K562細胞を、51Crと37℃に
て45分間インキュベートすることにより標識する。標的細胞を広範囲に洗浄し
た後、エフェクター細胞:標的細胞の比を100:1〜3:1の範囲として、5
×103個のK562を、治療前および治療後PBMCとともに、37℃にて4
時間インキュベートする。次に、細胞を遠心分離し、γカウンターを用いて51
r遊離量を測定する。特定細胞溶解パーセントは、以下の式:(実験(expe
rimental)cpm−背景(background)cpm)/(全(t
otal)cpm−背景(background)cpm)×100を用いて決
定される。
【0092】 LAK活性 LAK活性は、標的としてLAK感受性細胞系DAUDIを用いて、上述のよ
うにクロム遊離アッセイにより決定される。
【0093】 治療前および治療後のリンパ球のサイトカインプロフィール 患者のPBMCのサイトカインプロフィールは、半定量的PCRアッセイによ
り確定される。患者の治療前および治療後の精製単核細胞からRNAを抽出し、
それを用いて、製造業者の推奨に従ってInvitrogen(サンディエゴ, カリフォル
ニア)のcDNAサイクルキットにより、第1鎖cDNAを合成する。次に、I
L−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−10、GM−CSF、γ−IN
F、TNF−α等の検出のために、種々のプライマーセットを用いたPCRアッ
セイにて、第1鎖cDNAを鋳型として使用する。定量化を達成するために、ポ
リメラーゼ連鎖反応は、15〜18サイクルに制限される。内部対照として、か
つ産物の定量化を促進するために、既知濃度の対照RNAをcDNA合成開始前
に各試料に添加する。次に、対照配列に関する特定のプライマーをポリメラーゼ
連鎖反応に添加する。患者試料のサイトカインプロフィールは、患者のPCR産
物を定量化し、それらを対照PCR産物と比較することにより確定される。
【0094】 免疫化部位の皮膚生体組織検査 標準的なヘマトキシリンおよびエオシン染色、ならびに造血細胞サブセットと
に対するモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的方法を用いて、免疫化部位
における皮膚生体組織検査にて観察される免疫浸潤物を解析する。T細胞(CD
3、CD4、CD8)、ナチュラルキラー細胞(CD16)およびB細胞(CD
20)に対するモノクローナル抗体をこれらの研究のために利用する。簡潔に述
べると、免疫組織化学的研究のために、凍結切片を冷アセトン中で固定した後、
一次抗体とともに室温にて一時間インキュベートする。切片を洗浄し、続いてホ
ースラディッシュペルオキシダーゼ結合二次抗体とともにインキュベートした後
に、適切な色素原基質で切片を染色し、光学顕微鏡法により検査する。一次抗体
の代わりにイソ型の対照抗体との切片のインキュベーションは、陰性対照として
役立つ。
【0095】 薬物情報 臨床的処方 ワクチンは、バイアル1本あたり少なくとも20×108細胞を含有する凍結
バイアルにて提供される。 薬剤師指示書 非希釈物質 バイアル容量: 1ml 外観: 濁り液 保管: −176℃(液体窒素) 危険: 凍結バイアルは、破壊されないのであれば危険とみなされ
ない。バイアルは、10%ジメチルスルホキシドおよび50%ウシ胎児血清を含
有する混合物中にて、凍結された細胞を含有する。 取り扱い: 凍結バイアルは、破壊されないのであれば安全性を害する
ものとみなされない。破壊されたバイアルは、細胞障害性薬剤に関するバイオハ
ザード処置に従って破棄されるべきである。 希釈物質 調製: 患者に注射する前に、凍結バイアルをバイオセーフティフ
ードにて解凍し、血清含有媒質で2回、乳酸加リンガー液で4回洗浄する。次に
細胞を計数し、250〜400μlの容量で、1回の注射当たりの適切な細胞数
に調節する。細胞懸濁液をキャップ付きの1mL注射器に用意する。 薬剤濃度: 250〜400μlの容量中に、1回の注射当たり1.25
×107、2.5×107、または5×107細胞 希釈液: 乳酸加リンガー液 投与経路: 皮内注射 保管 凍結した未開封のバイアル中で、−176℃(液体窒素)で保管する。
【0096】 データ評価 統計学および推定試料サイズ 27〜75人の総数の患者を登録する。この研究は2段階で成る。3つの治療
手段それぞれにまず9人の患者を収集する。最初の9人の患者に応答が見られな
い場合、その治療手段には、それ以上の患者を収集しない。最初の9人の患者の
中で少なくとも1人に応答が観察される場合、さらに16人の患者をその治療手
段に収集し、1つの治療手段当たり総計25人の患者とする。
【0097】 患者は、少なくとも2回のワクチン接種を受け、8週目に2回目の腫瘍病期分
類を受けた場合、腫瘍応答に関して評価対象であるとみなされる。
【0098】 患者は、少なくとも1回のワクチン接種を受け、4週目に免疫分析を受けた場
合、免疫応答に関して評価対象であるとみなされる。
【0099】 1回目のワクチン接種後に、患者が毒性に関して適格であることを確認する。
【0100】 結果の報告 応答の割合は、評価可能であると決定された患者における記述統計、ならびに
CR、PR、SDおよびPDの報告の割合を用いて報告される。初期治療後にお
ける腫瘍進行の時間は、CRまたはPRのいずれかを受けている患者に関して決
定される。
【0101】 二次的項目としては、免疫応答、応答の持続期間、および安全性が挙げられる
。これらの割合もまた、記述統計を用いて報告される。安全性は、所定の有害事
象を受けている患者のパーセントとして報告される。応答が観察される集団に関
しては、腫瘍進行の平均時間が、カプラン・メイアー統計学を用いて報告される
【0102】 非改変NSCLC細胞系 このワクチンの生産に使用される8個のNSCLC細胞系のうち7個は、Amer
ican Tissue Cell Culture (ATTC)から購入される樹立細胞系である。ヒト扁平
上皮NSCLC細胞系であるRh−2は、Lee et al., J. Immunology 152:3222
, 1994; Huang et al., Cancer Research 55:3847, 1995; Huang et al., J, Im
munology 157:5512, 1996; およびHuang et al., Cancer Research 58: 1208, 1
998に従って、1994年にUCLAにあるDr. Steven Dubinettの研究室にて外
科的切除検体から樹立されており、公的に入手可能である。
【0103】 pCHEK/HBA2:TGFβ2アンチセンスプラスミド プラスミドを含有するヒトTGFβ2アンチセンスを構築するために使用される
pCHEKベクターは、pCEP4ベクター(Invitrogen, サンディエゴ, カリ
フォルニア)から得た。それは、遺伝的サブクローニングを促進するためにわず
かに改変された。結果的に生じるキャリアベクターはpCHEKである。遺伝的
サブクローニングを用いて、TGFβ2アンチセンス遺伝子断片(HBA2)を
pCHEKに挿入した。一定分量のpCHEK/HBA2プラスミドを制限酵素
分析により検査して、1)TGFβ2アンチセンスがクローニングされたキャリ
アベクターの同定、および2)TGFβ2アンチセンスを挿入することは適切な
手段であることを確実にする。
【0104】 試験限界:14個のエンドヌクレアーゼ:ApaI、BamHI、BgIII
、ClaI、EcoRV、HindIII、HpaI、NotI、NruI、P
stI、SaII、SacII、ScaIおよびXbaIを用いた一連の制限消
化後のDNA断片と、予想DNA断片サイズとの完全な相同性
【0105】 結果:これらの制限消化物により得られるDNA断片を観察したところ、pC
HEK/HBA2プラスミドの予想断片サイズに相当した。結論として、サブク
ローニングに使用されるベクターは、適切であり、TGFβ2アンチセンス遺伝
子断片を挿入することは、適切な手段である。
【0106】 これらの制限消化物の予想断片は、以下の通りである: ApaI 4604bp 3309bp 1957bp 874bp 219bp BamHI 10963bp BgIII 10210bp 753bp ClaI 10963bp EcoRV 10963bp HindIII 7450bp 2787bp 636bp HpaI 10251bp 712bp NotI 10963bp NruI 5716bp 5247bp PstI 7573bp 1494bp 1277bp 619bp SaII 8738bp 2225bp SacII 5347bp 3340bp 2276bp ScaI 8021bp 1915bp 1027bp XbaI 9579bp 1384bp
【0107】 TGFβ2アンチセンス挿入物 TGFβ2アンチセンス断片の正確な配列および方向性をさらに確実にするた
めに、ABI−310遺伝子アナライザー(Perkin Elmer, Foster City,カリフ
ォルニア)を用いた配列分析により、挿入物を試験した。
【0108】 試験限界:プラスミド挿入物とTGFβ2アンチセンス間の完全な相同性
【0109】 結果:得られた配列決定の結果から、pCHEKベクターにおけるヒトTGF
β2断片の存在を確認した。これらの結果により、挿入物が適切であることも確
認した。pCHEK/HBA2ベクターの構築に使用されるヒトTGFβ2断片
の配列、およびベクター中のそのフランキング領域は以下のようである。小文字
は、ヒトTGFβ2断片に隣接する2つのベクター配列を表す。
【0110】 tgtctggatc cggccttgcc ggcctcga(配列番号
2)−−−挿入物に隣接するベクター配列−−− ヒトTGFβ2の塩基対5 (配列番号1)−−−ヒトTGFβ2の塩基対935−−−agcttgct
agcagctggt acccagct(配列番号3)−−−挿入物に隣接す
るベクター配列
【0111】 遺伝子改変NSCLC細胞系 トランスフェクトした後、各遺伝子改変細胞系のクローンを、PCRにより、
pCHEK/HBA2ベクターの存在に関して試験した。pCHEK/HBA2
に関して陽性の結果を示したクローンのみ、さらなる分析のために選ばれた。
【0112】 結果:試験した8個の細胞系のうち7個からのコロニーは、TGFβ2アンチ
センストランスフェクションに関して陽性であった。細胞系NCI−H−292
は陰性であった。
【0113】 TGFβ2のダウンレギュレーション トランスフェクトした後、各遺伝子改変細胞系のクローンを、固相酵素免疫検
定法(ELISA)によりTGFβ2のダウンレギュレーションに関して試験し
、改変されていない親細胞系と比較した。簡潔に述べると、TGFβ2アンチセ
ンス遺伝子改変細胞培養液の血清を含まない上清を24時間後に収集し、ELI
SAキット(Genzyme, Cambridge, MASS)を用いたTGFβ2分泌レベルに関して
、三重反復試験にてアッセイした。製造業者の推奨に従って、ヒトTGFβ2を
、抗ヒトTGFβ2モノクローナル抗体により捕獲し、ホースラディッシュペル
オキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトTGFβ2抗血清との反応により定量化した。色素
原基質との酵素反応を展開し、マイクロELISAプレート読取り器上で吸光度
を読取ることにより、定量化がなされた。既知濃度のTGFβ2を表す標準TG
Fβ2曲線は、TGFβ2アンチセンス遺伝子改変細胞が分泌するTGFβ2の
定量化を可能した。
【0114】 未改変腫瘍細胞に関する試験限界:TGFβ2の分泌量が24時間当たりの、
かつ106細胞当たり、少なくとも200pg
【0115】 ワクチン用遺伝子改変腫瘍細胞系に関する試験限界:未改変親細胞に対して、
TGFβ2産生を少なくとも35%低減。この試験限界は、Lee et al., J. Imm
unology 152:3222, 1994に従って、ワクチン接種療法によって腫瘍細胞の免疫原
性が高まることを実証する。
【0116】 治療開始の約3〜4日前に、一定分量の各遺伝子改変細胞系を、TGFβ2抑
制に関して再試験する。同じ試験限界が適用される。
【0117】
【表2】
【0118】 選択された4種の細胞系は、NCI−H−460、NCI−H−520、SK
−LU−1およびRh−2であった。本発明者等の手法では、TGFβ2アンチ
センス遺伝子改変は、腫瘍細胞における内因性のTGFβ2発現の37〜91%
を阻止した。これらの細胞におけるTGFβ2発現の抑制は、培養液にて6〜9
ケ月の間続いた。
【0119】 細胞密度 患者にワクチンを接種する前に、細胞密度を各細胞系に関して評価する。使用
される各細胞系の一定分量を、血球計算器を用いて計数して、細胞濃度を確認す
る。等数の各遺伝子改変細胞系を、この研究にて試験されるべき3つの用量にあ
わせて混合する(それぞれ1.25×106、2.5×106、および5×106
全細胞)
【0120】 細胞生存度 患者にワクチンを接種する前に、細胞生存もまた、各細胞系に関して評価する
。免疫化に用いられる細胞の生存度は、トリパンブルー排除法により評価される
。トリパンブルー色素は、形質(プラスマ)膜の完全性の尺度である。生存可能
な細胞は、形質膜の完全性を維持し、したがって色素を排除する。死滅細胞は、
膜の完全性を失っており、色素の取り込みが可能であり、したがって青く見える
。一定分量の各細胞系を試験し、血球計算器にて細胞を計数する。生存可能な「
青くない」細胞のパーセントが決定される。
【0121】 試験限界:治療に使用するTGFβ2アンチセンス遺伝子改変腫瘍細胞の生存
度は、50%よりも高くなくてはならない。
【0122】 クローン原性 安全性を確実にするために、患者ワクチン接種に使用されるべき遺伝子改変腫
瘍細胞系すべてが、注射前に照射されなくてはならない。これは、腫瘍細胞の成
長および複製を防止するためである。細胞は、10,000cGyの線量で、使
用前に照射される。この照射線量の選択は、Massachusetts General Hospitalに
あるRadiation Oncologyの長であるDr. Herman Suitとの論議に基づくものであ
る。これは、遺伝子改変腫瘍細胞の、増殖および腫瘍形成を不可能にするのに十
分であって最低の照射線量であった。トランスフェクトした細胞にとって考え得
る最低の照射線量を使用して、TGFβ2アンチセンス転写のレベルおよび持続
期間を最適化することが望ましい。さらに、本発明者等は、ヒトNSCLC、神
経膠腫、結腸癌、および膵臓癌腫細胞系を含む種々の組織源の培養腫瘍細胞に関
して、本発明者等の研究所にてこの照射線量について試験し、種々の組織源の培
養腫瘍細胞によるコロニー形成を完全に停止することが可能であることを実証し
た。
【0123】 未改変および遺伝子改変ヒトNSCLC細胞系の試料を、10,000cGy
で照射した。次に、照射細胞を、T−225フラスコにて培養し、コロニー形成
について観察した。コロニーとは、16個の成長細胞のクラスターと定義した。
以下の表に示すように、4〜6週の観察期間の間、照射細胞の培養液にてコロニ
ーは形成しなかった。対照的に、非照射細胞の対照培養液においてはすべてが、
10〜14後に集密状態になった。照射細胞の培養液において、観察開始の約2
週間後に、細胞死が起こった。
【0124】
【表3】
【0125】 ワクチン接種前に、一定分量の各遺伝子改変細胞系を解凍し、各ロットが患者
の注射用に安全であると考えられるまでの4〜6週間、培養液におけるコロニー
形成について試験する。
【0126】 試験限界:コロニー形成なし
【0127】 細胞系の無菌性 細胞の製造業者ATCCから購入した各未改変細胞系に関して、無菌性試験を
実施した。
【0128】 さらに、一定分量の各細胞系をMolecular Diagnostics Associatesに送付し、
以下のウイルス剤の存在に関してアッセイした: HIV1&2 HBV CMV HH−6 HCV HTLV EBV 外来ウイルス
【0129】 結果:8個の未改変マスター細胞系すべてが、細菌、真菌およびウイルスの存
在に関して陰性であることがわかった。
【0130】 インビトロ(in vitro)での成長および操作中、各細胞系は、細菌、
真菌およびマイコプラズマ感染に関してルーチンで試験した。他の細胞による汚
染を回避するために、研究室での操作中、培養液は、完全に個別に処理した。最
終的に、治療日に、接種試料をグラム染色により再試験する。すべての無菌性試
験を通過した細胞のみが治療に使用される。
【0131】 試験限界は、細菌、マイコプラズマまたは真菌感染なしである。
【0132】 臨床等級のpCHEK/HBA2プラスミド pCHEK/HBA2プラスミドの予備解析後、Qiagen Corporationにより最
適化された、Birnboim およびDolyのアルカリ溶解法(Birnboim and Doly, 1979)
により、細菌培養液からDNAストックを調製し、Qiagen EndoFree Gigaプレッ
プカラムにて精製した。すべての工程は、バイオセーフティフローフード中で、
ARTバリアチップを用いて、無菌条件下にて行った。一定分量のプラスミドD
NAを取り出して、無菌性に関して試験した。簡潔に述べると、プラスミドDN
A20μlを用いて、それぞれが抗生物質を含まないLB5mlを含有する、4
つの培養チューブに接種した。培養液を、37℃で5日間インキュベートした。
【0133】 試験限界:細菌成長なし
【0134】 結果:コロニーは観察されず、調製した臨床等級のDNAの無菌性を確認した
【0135】 製造およびパッケージング手法の簡単な概説 8種の樹立NSCLC細胞系を、American Tissue Cell Culture(ATCC)または
他から購入し、膨張させて、未改変マスター細胞バンク(unMCB)として凍
結した。各細胞系は、無菌性(細菌およびウイルス汚染)、クローン原性および
TGFβ2発現に関して試験をした。一定分量の各系を解凍し、標準的な技法を
用いて、TGFβ2アンチセンス導入遺伝子を含むベクターであるpCHEK/
HBA2でトランスフェクトした。遺伝子改変細胞系をハイグロマイシン選択の
もと培養液で膨張させ、治療用途および試験に十分な数に成長させた。次に膨張
した細胞系を、TGFβ2発現のダウンレギュレーションおよび無菌性に関して
アッセイした。TGFβ2発現に関して適切なダウンレギュレーションを示し、
かつ無菌性を示す4つのNSCLC細胞系:NCI−H−460、NCI−H−
520、SK−LU−1およびRh−2 について同定した。これらの細胞系を
、(1)遺伝子改変マスター細胞バンク(gmMCB)および(2)遺伝子改変
作業用細胞バンク(gmWCB)として、一定分量で凍結し、液体窒素中に保管
した。使用前に、一定分量のこれらの4つの細胞系を、gmWCBから解凍して
、10,000Gyで照射し、無菌性、クローン原性およびTGFβ2ダウンレ
ギュレーションに関して再試験した。すべての試験限界を通過した細胞ロットの
みが、ワクチン調製に使用することが可能である。次に、注射日に、使用可能の
gmWCBロットそれぞれから十分な細胞を解凍し、照射して、等数で混合する
。患者へのワクチン接種前に、接種試料を、細菌汚染に関して試験する。汚染が
検出されない場合、ワクチン接種に取りかかることができる。
【0136】 組織獲得 以下の8個の樹立NSCLC細胞系は、American Type Culture Collection(A
TCC)またはその他から得られ、培養液にて膨張させ、未改変マスター細胞バンク
(全8個のunMCB)として凍結した。10%のFBS、25mMのHepe
s、2mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、2.5μg/m
lのフンギゾン、50μg/mlの硫酸ゲンタマイシン、10-4Mのα−チオ−
グリセロールおよび非必須アミノ酸を補充したIMDMにて、細胞系を培養した
。各細胞系は、1バイアルにつき108細胞超であって、100バイアル分を含
む1つのロットとして凍結した。各細胞系は、無菌性およびTGFβ2発現に関
して試験した。以下の細胞系を使用した: ・NCI−H−292 ・NCI−H−460 ・NCI−H−520 ・NCI−H−596 ・NCI−H−661 ・SK−LU−1 ・SK−MES−1 ・Rh−2
【0137】 ヒトTGFβ2アンチセンス発現プラスミドの構築 pCHEK/HBA2プラスミドの説明 ヒトTGFβ2アンチセンス発現プラスミド(pCHEK/HBA2)を構築
するために使用されるpCHEKベクターは、pCEP4ベクター(Invitrogen,
サンディエゴ, カリフォルニア)から得られるので、癌細胞の遺伝子改変を容易
にし、安全性の懸念を排除した。pCHEKベクターは、以下を除くすべての領
域でpCEP4ベクターと同一である: ・アンピシリン耐性の代わりに、カナマイシン耐性が、pCHEKベクターには
組み込まれている。 ・pCHEKベクターでは、SV−40初期プロモーター、続くイントロンから
構成されるDNAカセットユニットが、ハイグロマイシン耐性遺伝子の発現を駆
動する。SV−40プロモーター/イントロンユニットの組込みは、ハイグロマ
イシン耐性遺伝子の発現を増加させて、培養液中の遺伝子改変細胞の選択を容易
にするためである。
【0138】 pCHEK/HBA2プラスミドは、CMVプロモーターを利用して、アンチ
センス方向性で、930塩基対ヒトTGFβ2断片の発現を駆動する。TGFβ
2アンチセンス断片は、CMVプロモーターに隣接してかつその制御下にて逆方
向性で連結されるヒトTGFβ2のcDNA分子の5’末端の塩基6〜935に
よって構成される。pCHEKベクターはまた、SV−40初期プロモーターに
より駆動されるハイグロマイシン耐性遺伝子、エプスタイン・バーウイルス複製
起点、およびエプスタイン・バーウイルス核関連タンパク質1(EBNA−1)
のための遺伝子を含む。さらに、このベクターは、DNA製造中のベクターを含
む細菌の選択のためのColE1起点およびカナマイシン耐性遺伝子を含む。
【0139】
【表4】
【0140】 TGFβ2アンチセンスのpCHEKベクターへのサブクローニング TGFβ2単離 pCHEK/HBA2プラスミドを構築するために、本発明者等はまず、pC
EP4/HBA2、シャトルベクターを構築した。簡潔に述べると、ヒトTGF
β2遺伝子を含有するプラスミドpPC21(Dr.Purchioから公的に入手可能)
を、EcoRIで完全に消化させた。EcoRI末端を、反応条件をそれぞれ2
50μMのdATP、dCTP、dGTP、およびdTTPに調節し、3ユニッ
トのクレノー酵素を添加して、反応を開始することにより平滑末端化した。反応
は、37℃にて30分間行った。次に、反応容量をTEで100μlに調節し、
フェノール/クロロホルムで抽出をした。DNAをイソプロパノール沈殿して、
70%エタノールですすいだ。930塩基対TGFβ2断片(HBA2)が、H
indIII消化によりベクターから放出された。1%アガロースゲルの電気泳
動後、930bpTGFβ2断片を含有するゲルスライスを切除し、ルーチンな
酸化シリカ(ガラス粉末)法によりDNA断片を抽出した。これにより、TGF
β2DNAをpCEP4ベクターに連結させる準備ができた。
【0141】 pCEP4/HBA2シャトルベクター構築 XhoI制限酵素で消化することにより、pCEP4ベクターを調製し、上述
のようにクレノー反応により平滑末端にした。フェノール/クロロホルム抽出お
よびエタノール沈殿後、ベクターをHindIIIで消化して、上述のようにア
ガロールゲル電気泳動/ガラス粉末法により精製した。
【0142】 930塩基対ヒトTGFβ2断片を、アンチセンス方向性となるようにpCE
P4ベクターにサブクローニングした。大腸菌の形質転換後、pCEP4/HB
A2のDNAを、数個のアンピシリン耐性形質転換細菌コロニーから調製した。
これらのコロニーからの単離されたDNAは、制限酵素解析を行い、pCEP4
/HBA2と命名した1つのクローンを選択し、臨床用プラスミドpCHEK/
HBA2の構築のために使用した。
【0143】 pCHEK/HBA2発現プラスミド構築 簡潔に述べると、pCEP4/HBA2のDNAを、制限酵素KpnIおよび
BamHIで消化して、930bpTGFアンチセンス挿入断片をアガロースゲ
ル電気泳動により精製した。次に、挿入物をKpnIおよびBamHIで消化し
たpCHEKベクターに連結し、細菌を形質転換するのに使用した。一晩の培養
のカナマイシン選択後、pCHEK/HBA2のDNAを数個のクローンから単
離して、制限酵素解析を行い、同定を行った。TGFβ2アンチセンス断片の正
確な配列および方向性をさらに確認するために、ABI−310遺伝子アナライ
ザー(Perkin Elmer, Foster City, CA)を用いた配列分析により、挿入物を試験
した。
【0144】 臨床等級のpCHEK/HBA2プラスミドの製造 予備解析をした後、pCHEK/HBA2プラスミドを含有する1つの細菌コ
ロニーを、100μg/mlカナマイシンを含有するLuria-Bertani培地(LB
培地)寒天プレート上で画線培養した。37℃でインキュベートした後、単一の
細菌コロニーを、100μg/mlのカナマイシンを含有するLBブロス5ml
に接種し、振盪細菌インキュベーター中で37℃にて一晩成長させた。この一晩
の培養液を、細菌を含むプラスミドの50ml培養液に接種した。50mlの細
菌培養液を一晩インキュベートし、100μg/mlのカナマイシンを加えたL
Bを2リッター含むフラスコに接種した。これを、37℃にて一晩成長させた。
【0145】 Qiagen Corporationにより最適化されるようなBirnboim and Dolyのアルカリ
溶解法により、細菌培養液からDNAを調製し(Birnboim and Doly, 1979)、Qia
gen EndoFree Gigaプレップカラムにて精製した。すべての工程は、バイオセー
フティフローフード中でARTバリアチップを用いて、無菌条件下で行った。
【0146】 一定分量のDNAを、制限分析およびDNA濃度の決定のために取り出した。
プラスミドDNA濃度を1mg/mlに調節し、一定分量に分割し、後の使用の
ために−70℃で保管した。一定分量のプラスミドDNAを取り出して、無菌性
に関して試験した。
【0147】 pCHEK/HBA2プラスミドを用いたNSCLC細胞系の遺伝的改変 4つの一定分量の各NSCLC細胞系を適切なunMCBから取りだし、培養
で成長させた。1週間に2度、新鮮な培地を細胞に供給した。遺伝子改変をする
日に、細胞に新鮮な培地を供給した。4時間後、細胞をトリプシン処理し、血清
を含む培地で、続いてPBSで洗浄した。PBS350μl容量にて、細胞密度
を1ml当たり1〜2×107細胞に調節し、15〜20分間氷上でインキュベ
ートした。pCHEK/HBA2プラスミド50μgを添加した。混合物をさら
に10〜15分間、氷上でインキュベートした。次に細胞懸濁液を予冷したキュ
ベットに移し、氷上でインキュベートした。5分後、キュベットを方形波エレク
トロポレーター(Genetronic, San Diego, CA)に入れて、各パルスが75μs持
続する3000v/cmの3つのエレクトロポレーションパルスに曝露した。5
0mMのHepesを含有する新鮮な冷培地1mlを添加して、混合物を室温に
て10分間インキュベートした。次に細胞を2回の分裂周期の間平板培養し、続
いて選択を行った(トランスフェクション後72時間)。ハイグロマイシン25
μg/lを含有する新鮮な培地を培養液に添加した。遺伝子改変細胞を培養液で
膨張させ、1つの細胞系につき総計4つの遺伝子改変マスター細胞バンク(gm
MCB)として凍結させた。遺伝子改変細胞におけるpCHEK/HBA2プラ
スミドの存在が、PCRにより確認された。さらに、各gmMCBからの5つの
バイアル(5%)を取り出し、好気性、嫌気性、マイコプラズマおよび真菌アッ
セイからなる無菌性試験のために使用した。
【0148】 患者へのワクチン接種用細胞系の調製および同定 遺伝的改変後、腫瘍細胞を培養液で膨張させて、治療用途および試験に十分な
細胞を成長させた。同一性、強度および安全性試験限界を通過した各細胞系から
のクローンを、遺伝子改変マスター細胞バンク(gmMCB)および遺伝子改変
作業用細胞バンク(gmWCB)の一定分量として、液体窒素中に冷凍保存した
。患者へのワクチン接種前に、各gmWCBロットからの一定分量を解凍し、本
発明者等がこれらのNSCLC細胞を含む種々の組織源の培養腫瘍細胞によるコ
ロニー形成を完全に停止させることが可能であることを実証した照射線量である
10,000cGyの線量で照射した。各ロットのからの一定分量に対して、安
全性、強度および同一性試験を行い、細胞操作および凍結中に改変または汚染が
起こっていないことを確実に保証した。ロットを、クローン原性、無菌性および
TGFβ2ダウンレギュレーションに関して試験する。
【0149】 患者へのワクチン接種の前の細胞の調製および試験 皮下免疫化の前に、4つの選択した細胞系の一定分量を短期間培養液に入れる
。遺伝子改変細胞を、培養皿から分離して、洗浄して、培地に再懸濁させ、10
,000cGyで照射し、洗浄して、乳酸加リンガー液に再懸濁させた。次にそ
れらを、無菌性および生存度に関して試験する。試験限界を通過した細胞のみを
、患者のワクチン接種に使用する。
【0150】
【表5】
【0151】 明瞭性および理解の目的で、やや詳細に本発明を説明してきたが、本発明の本
来の範囲を逸脱することなく形態および細部の様々な変更がなされ得ることを当
業者は理解するであろう。上述に参照したすべての図、表および付録、ならびに
特許、出願および刊行物は、参照により本明細書に援用される。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 11/00 A61P 11/00 35/00 35/00 37/02 37/02 37/04 37/04 43/00 111 43/00 111 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C084 AA02 AA13 BA44 CA18 CA25 CA27 CA53 DA01 DA12 DA13 DA14 DA15 DA16 DA17 DA18 DA27 MA02 NA14 ZA59 ZB02 ZB05 ZB09 ZB26 ZC41 4C085 AA14 BB17 CC07 CC08 CC21 CC29 DD62 EE01 EE03 4C086 AA01 AA02 EA16 MA01 MA02 MA04 NA14 ZA59 ZB02 ZB05 ZB09 ZB26 ZC41 4C087 AA01 AA02 BB33 BB65 CA04 CA05 CA12 CA16 NA14 ZA59 ZB02 ZB05 ZB09 ZB26 ZC41

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 治療上有効な量の、TGFβの発現を低減するのに有効なT
    GFβ阻害剤を発現する遺伝的構築物を含む遺伝的に改変された細胞を含む組成
    物であって、前記遺伝的に改変された細胞は、肺癌細胞である組成物。
  2. 【請求項2】 治療上有効な量の、TGFβの発現を低減するのに有効なT
    GFβ阻害剤を発現する遺伝的構築物を含む遺伝的に改変された細胞を含む組成
    物の使用であって、前記遺伝的に改変された細胞は、肺癌を有する被験体の生存
    を延ばすための薬剤の調製のための肺癌細胞である使用。
  3. 【請求項3】 治療上有効な量の、TGFβの発現を低減するのに有効なT
    GFβ阻害剤を発現する遺伝的構築物を含む遺伝的に改変された細胞を含む組成
    物を前記被験体に投与するステップを含む、肺癌を有する該被験体の生存を延ば
    す方法であって、前記遺伝的に改変された細胞は、肺癌細胞である方法。
  4. 【請求項4】 前記肺癌細胞は、非小細胞肺癌(NSCLC)細胞である、
    請求項1ないし3のいずれか一項に記載の組成物、使用または方法。
  5. 【請求項5】 前記肺癌細胞は、小細胞肺癌(SCLC)細胞である、請求
    項1〜3のいずれか一項に記載の組成物、使用または方法。
  6. 【請求項6】 前記TGFβは、TGFβ−1である、請求項1〜3のいず
    れか一項に記載の組成物、使用または方法。
  7. 【請求項7】 前記TGFβは、TGFβ−2である、請求項1〜3のいず
    れか一項に記載の組成物、使用または方法。
  8. 【請求項8】 前記TGFβは、TGFβ−3である、請求項1〜3のいず
    れか一項に記載の組成物、使用または方法。
  9. 【請求項9】 前記遺伝的に改変された細胞は、自己細胞である、請求項1
    〜3のいずれか一項に記載の組成物、使用または方法。
  10. 【請求項10】 前記遺伝的に改変された細胞は、同種異系細胞である、請
    求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物、使用または方法。
  11. 【請求項11】 前記遺伝的に改変された細胞は、自己細胞および同種異系
    細胞の混合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物、使用または
    方法。
  12. 【請求項12】 前記遺伝的に改変された細胞は、免疫賦活性効果を有する
    1つまたはそれ以上のサイトカインをさらに発現する、請求項1〜3のいずれか
    一項に記載の組成物、使用または方法。
  13. 【請求項13】 前記1つまたはそれ以上のサイトカインは、インターロイ
    キン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−
    4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、イ
    ンターロイキン−8、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インタ
    ーロイキン−11、インターロイキン−12、インターロイキン−15、インタ
    ーフェロン−α、インターフェロン−γ、腫瘍壊死因子−α、トランスフォーミ
    ング成長因子−β、および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子からなる群か
    ら選択される、請求項12に記載の組成物、使用または方法。
  14. 【請求項14】 前記TGFβ阻害剤は、アンチセンスである、請求項1〜
    3のいずれか一項に記載の組成物、使用または方法。
  15. 【請求項15】 前記TGFβ阻害剤は、配列番号1の配列を有するアンチ
    センスである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物、使用または方法。
  16. 【請求項16】 前記TGFβ阻害剤は、リボザイムである、請求項1〜3
    のいずれか一項に記載の組成物、使用または方法。
  17. 【請求項17】 前記TGFβ阻害剤は、優性ネガティブ突然変異体である
    、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物、使用または方法。
  18. 【請求項18】 前記TGFβ阻害剤は、抗体である、請求項1〜3のいず
    れか一項に記載の組成物、使用または方法。
  19. 【請求項19】 前記TGFβ阻害剤は、TGFβ受容体およびSmadタ
    ンパク質相互作用を妨げる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物、使用
    または方法。
  20. 【請求項20】 前記組成物は、単位投薬形態で提供される、請求項1〜3
    のいずれか一項に記載の組成物、使用または方法。
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