JP2003528621A - タンパク質相互作用のスクリーニングのための細菌ツーハイブリッド系の改良、これに使用する新規菌株、およびその応用 - Google Patents

タンパク質相互作用のスクリーニングのための細菌ツーハイブリッド系の改良、これに使用する新規菌株、およびその応用

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JP2003528621A JP2001570823A JP2001570823A JP2003528621A JP 2003528621 A JP2003528621 A JP 2003528621A JP 2001570823 A JP2001570823 A JP 2001570823A JP 2001570823 A JP2001570823 A JP 2001570823A JP 2003528621 A JP2003528621 A JP 2003528621A
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ダニエル、ラダン
アニェ、ユルマン
リュック、セリッグ
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Abstract

(57)【要約】 内因性のアデニル酸シクラーゼ活性を欠損している2つの細菌株が提供される。これらの株は、BTH101およびDHM1と呼ばれ、PCT出願公開第99/28746号パンフレットに記載されている、酵素の第一の断片に相当する第一のキメラペプチドと、酵素の第二の断片または前記酵素を活性化しうる調節物質に相当する第二のキメラペプチドを含む少なくとも2つのキメラペプチドの細菌マルチハイブリッド系、より好ましくはツーハイブリッド系を含んでなるシグナル増幅系において有用である。このシグナル増幅系は、標的リガンドに結合しうる目的の分子の選択方法において有用であり、目的の分子と標的リガンドとの相互作用は、国際公開第99/28746号パンフレット号パンフレットに記載されているシグナル増幅系およびそのためのキットを用いて検出される。菌株はまた、国際公開第99/28746号パンフレット号パンフレットに記載されている、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激し、または阻害しうる物質のスクリーニング方法、およびそのためのキットにおいて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】
本発明は、分子を選択するための方法、そのためのキット、分子のスクリーニ
ング方法、そのためのキット、および細菌マルチハイブリッド系を含んでなるシ
グナル増幅系において有用な新菌株の構築に関する。より詳細には、本発明は、
1999年6月10日に発行されたPCT出願公開第99/28746号パンフ
レットに記載されたマルチハイブリッド系と呼ばれる技術の改良に関する。この
技術はまた、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1998, 95(10), 5752〜5756頁(Kari
moraら)に記載されている。
【0002】 2つのタンパク質間の機能的な相互作用の容易なin vivoスクリーニングおよ
び選択を可能とする新規な細菌ツーハイブリッド系が、最近報告されている。こ
の遺伝子工学的システムは、大腸菌(Escherichia coli)のアデニル酸シクラー
ゼ欠損株(cya)における人工的なcAMPシグナル伝達経路の再構築に基く
ものである。それは、2つの相補的な断片からなる百日咳菌(Bordetella pertu
ssis)アデニル酸シクラーゼの触媒ドメインのモジュラー構造における利点を利
用したものである(百日咳菌のアデニル酸シクラーゼ:多彩な作用を発揮する毒
素, Trends in Microbiol. 7, 172-176)。それらが大腸菌の中で別個に発現さ
れた場合、相互作用するポリペプチドが遺伝的にこれらの断片に融合しない限り
、それらは活性のある酵素に変換されない。
【0003】 細菌ツーハイブリッド系においては、2つのキメラタンパク質間の相互作用に
よって2つのアデニル酸シクラーゼ断片間に機能的な相補性が生じ、酵素活性が
回復する。生じたcAMPの合成により、いくつかの大腸菌の内在遺伝子の発現
が誘発され、従って、選択可能な表現型が生じる。
【0004】 デザインによって、この細菌ツーハイブリッド系は、大腸菌cya株、すなわ
ち、内因性のアデニル酸シクラーゼを欠いている株中に配置される。cya遺伝
子(アデニル酸シクラーゼ構造遺伝子)中に点突然変異、欠失、または挿入を有
する多くの大腸菌cya株が報告されている。改良されたホスホマイシンの選択
手順を使用することによって、DHP1株が単離された。この株は、DH1の天
然に生じたcya誘導体である(F-, glnV44(AS), recA1, endA1, gyrA96(Nalr)
, thil, hsdR17, spoT1, rfbD1)。ハイブリッドタンパク質間の機能的相補性は
、試験された他のcya株に比べ、DHP1株において非常に高い効率を示すよ
うであるが、これは、おそらくはキメラタンパク質の安定性が高いためである。
【0005】 しかしながら、DHP1株は、Cya表現型からCya表現型へと非常に
高い頻度(約10-6)で自然発生的な復帰突然変異を示すことが見いだされてい
る。このため、非常に多くの形質転換細胞を分析する必要のあるライブラリース
クリーニングのような大規模スクリーニングへの応用においては、DHP1の有
用性は、この特徴により制限される。
【0006】 当技術分野においては、PCT出願公開第99/28746号パンフレットに
記載された方法およびキットに使用することができる細菌株が必要とされている
。新規な菌株はCya表現型を示し、標準的なハイブリッドタンパク質間で機能
的な相補性を有効に生じさせ、そしてタンパク質−タンパク質相互作用の大規模
分析での使用に適したものでなければならない。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、当技術分野における上記の要求を満たすことを目的とする。より詳
細には、本発明の目的は、PCT出願公開第99/28746号パンフレットに
開示された細菌マルチハイブリッド系、方法、およびキットを使用するための新
たなツールを提供することにある。
【0008】 より詳細には、本発明はPCT出願公開第99/28746号パンフレットに
記載されたキットおよび方法の改良に関するものである。とりわけ、本発明によ
れば、上記の方法とキットにおいて使用するための改良された細菌株が提供され
る。この細菌株は、C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH10
1株およびC.N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株からなる
群より選択される。
【0009】 一つの実施態様によれば、本発明により、本発明によるBTH101株または
DHM1株を使用する、国際公開第99/28746号パンフレットに記載のシ
グナル増幅系が提供される。
【0010】 別の実施態様によれば、本発明により、国際公開第99/28746号パンフ
レットに記載の目的の分子の選択方法が提供される。この方法は、BTH101
株またはDHM1株を使用する、国際公開第99/28746号パンフレットに
記載のシグナル増幅系を利用するものである。
【0011】 他の実施態様によれば、本発明により、目的の分子を選択するためのキットが
提供される。このキットは、国際公開第99/28746号パンフレットに記載
のものであり、本発明によるBTH101株またはDHM1株を利用する。
【0012】 また、本発明によれば、国際公開第99/28746号パンフレットに記載の
、目的の分子と標的リガンドとの相互作用を刺激し、または阻害しうる物質をス
クリーニングする方法が提供される。この方法は、本発明によるBTH101株
またはDHM1株を利用するものである。
【0013】 さらに、本発明によれば、国際公開第99/28746号パンフレットに記載
の、目的の分子と標的リガンドとの相互作用を刺激し、または阻害しうる物質を
スクリーニングするためのキットが提供される。このキットは、国際公開第99
/28746号パンフレットに記載のものであり、本発明によるBTH101株
またはDHM1株を利用する。
【0014】 また、本発明によれば、C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBT
H101株が提供される。
【0015】 さらに、本発明によれば、C.N.C.M.受託番号I−2310を有するD
HM1株が提供される。
【0016】 さらに、本発明によれば、DHM1株およびBTH101株を使用する本発明
の方法によって同定された目的の分子が提供される。この目的の分子は、酵素ま
たはそれらの断片と結合された融合標的リガンドと相互作用する分子を発現させ
ることができるポリヌクレオチドに対応しうるものである。
【0017】 また、本発明によれば、BTH101株またはDHM1株を使用する、本発明
による細菌マルチハイブリッド系で形質転換されたベクターの集合体を含んでな
るDNAライブラリーが提供される。各プラスミドは、酵素の第一または第二断
片をコードするポリヌクレオチドに融合された、目的の分子をコードするポリヌ
クレオチドを含有することができる。目的の分子をコードするポリヌクレオチド
は、例えば、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)のゲノムDNA
の断片とすることができる。
【0018】 別の実施態様によれば、本発明により、C.N.C.M.受託番号I−236
7を有するピロリ菌(H. pylori)DNAライブラリー、HGXBHPが提供
される。
【0019】 概して、本発明は、DHM1およびBTH101として特徴付けられる新たな
菌株、ならびに大腸菌(E. coli)XL−1/pUT18、XL−1/pUT1
8C、XL1−1/pT25、およびXL−1/pKT25に含まれるプラスミ
ドに関する。
【0020】
【発明の具体的説明】
ほとんどの生物学的過程には、特異的なタンパク質−タンパク質相互作用が関
与する。相互作用するタンパク質を同定するため、またはこれらの相互作用を研
究するための一般的な方法論が、数多く開発されている。とりわけ、酵母のツー
ハイブリッド系は、現在のところ、所定の標的タンパク質に結合しうるポリペプ
チドをスクリーニングするための最も強力なin vivoの方法である。それはリポ
ーター遺伝子発現の直接的な活性化によってタンパク質−タンパク質相互作用を
検出するためのハイブリッド遺伝子を利用するものである。
【0021】 本質的には、2つの仮定のタンパク質パートナーが転写因子のDNA結合ドメ
インと転写活性化ドメインとに、各々遺伝子的に融合される。目的とする2つの
タンパク質間の生産的な相互作用によって、DNA結合ドメインの付近に転写活
性化ドメインがもたらされ、近接した、スクリーニング可能な表現型を与えるリ
ポーター遺伝子(通常は、lacZまたは栄養マーカー)の転写が直接的に誘発
される。転写は、転写因子の2つの機能的ドメイン、すなわち、DNAの特異的
部位を認識して結合するドメインおよび活性化に必要なドメイン、の使用によっ
て活性化され得ることが確かめられている。
【0022】 PCT出願公開第99/28746号パンフレットには、 (a)酵素の第一断片に相当する第一キメラポリペプチド; (b)酵素の第二断片または前記酵素を活性化しうる調節物質に相当する第二
キメラポリペプチド、 を含む、少なくとも2つのキメラポリペプチドの細菌マルチハイブリッド系を含
んでなり、前記第一断片は目的の分子に融合され、前記第二断片または前記調節
物質は標的リガンドに融合されており、前記酵素の活性が目的の前記分子と前記
標的リガンドとのin vivo相互作用により回復して、シグナル増幅が行なわれる
シグナル増幅系、が記載されている。
【0023】 このシグナル増幅系は、標的リガンドに結合しうる目的の分子の選択方法にお
いて有用であり、ここで、目的の分子と標的リガンドとの相互作用は、シグナル
増幅を生じさせ、転写活性化を誘発することによって、シグナル増幅系で検出さ
れる。
【0024】 PCT出願公開第99/28746号パンフレットにはまた、目的の分子を選
択するためのキットが記載されており、このキットは、 (a)シグナル増幅系; (b)内因性アデニル酸シクラーゼを欠損した大腸菌株もしくはいずれかの細
菌株または他のいずれかの真核細胞;および (c)相補性の検出を可能とする培地、を含んでいる。この培地は、ラクトー
スもしくはマルトースを唯一の炭素源として補充した最少培地のような指示培地
または選択培地、抗生物質を含む培地、蛍光を可視化するための培地、慣用的な
培地、およびファージ受容体の存在による選別を可能とする培地からなる群より
選択されるものである。
【0025】 国際公開第99/28746号パンフレットに記載された、目的の分子を選択
するためのキットはまた、 (a)目的の分子が既知の野生型分子に対する変異分子である、シグナル増幅
系、 (b)目的の分子が対照としての既知の野生型分子である、シグナル増幅系、 (c)内因性アデニル酸シクラーゼを欠損した大腸菌株もしくはいずれかの細
菌株または他のいずれかの真核細胞; (d)ラクトースもしくマルトースを唯一の炭素源として補充した最少培地の
ような指示培地または選択培地、抗生物質を含む培地、蛍光を可視化するための
培地、慣用的な培地、および各シグナル増幅系についてファージ受容体の存在に
よる選別を可能とする培地からなる群より選択される培地;および (e)変異分子でのシグナル増幅系が、野生型でのシグナル増幅系に対して、
増強されるかまたは阻害されるかを検出する手段、を含んでなる。
【0026】 さらに、PCT出願公開第99/28746号パンフレットには、標的リガン
ドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質をスクリーニングする
方法が記載されている。刺激活性または阻害活性は、増幅を生じさせて、各々転
写活性化を誘発するかまたは転写活性化を消失させることによって、シグナル増
幅系で検出される。シグナル増幅および誘発されたかまたは消失した転写活性化
は、いかなる物質も含まない同一のシグナル増幅系から得られたものと比較され
る。標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質をスク
リーニングする方法は、内因性アデニル酸シクラーゼを欠損している大腸菌株も
しくはいずれかの菌株または他のいずれかの真核細胞中で行うことができる。
【0027】 さらに、PCT出願公開第99/28746号パンフレットには、標的リガン
ドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質をスクリーニングする
ためのキットが記載されている。このキットは、 (a)標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質を含
むシグナル増幅系; (b)対照としていかなる物質も含まないシグナル増幅系; (c)内因性アデニル酸シクラーゼを欠損した大腸菌株もしくはいずれかの菌株
または他のいずれかの真核細胞; (d)唯一の炭素源としてラクトースもしくはマルトースを補充した最少培地の
ような指示プレートもしくは選択培地、抗生物質を含む培地、蛍光を可視化する
ための培地、慣用的な培地、およびファージ受容体の存在による選別を可能とす
る培地からなる群より選択される、相補性の検出を可能とする培地;および (e)上記の物質を含むシグナル増幅系が、いかなる物質をも含まないシグナル
増幅系に対して、増強されるかまたは阻害されるかを検出する手段、を含む。
【0028】 PCT出願公開第99/28746号パンフレットに記載された細菌ツーハイ
ブリッド系および他の方法ならびにキットで使用されていた、元の大腸菌cya
株、DHP1株は、ホスホマイシン耐性株として単離された自然発生のcya突
然変異体である。DHP1株中では、相補性は効率的に働くが、この株は高い頻
度でCya表現型に復帰突然変異する傾向があり、これが大規模スクリーニン
グでの使用の障害となっていた。
【0029】 新たなcya株が構築された。本発明によるこれらの新たな株は、(i)復帰
突然変異せず、(ii)効率的な相補性を示す。2つのこうした株、DHM1およ
びBTH101を選択し、以下に記載する。使用した細菌株およびプラスミドを
表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】 1. Uzan, M. and Danchin A., 1978. Correlation between the serine sensit
ivity and the derepressibility of the ilv genes in Escherichia coli relA
-mutants. Mol Gen Gent., 165:21-30. 2. Karimova, G., Pidoux, J., Ullmann, A. & Ladant, D., 1988. A bacteria
l two-hybrid system based on reconstituted signal transduction pathway.
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95:5752-5756. 3. Sancar, A., Rupp, W. D., 1979. Physical map of the recA gene. Proc.
Natl. Acad. Sci. U.S.A. 76:3144-3148.
【0032】 本発明による2つの菌株、DHM1およびBTH101は、PCT出願公開第
99/28746号パンフレットに記載の方法およびキットにおいて使用できる
。PCT出願公開第99/28746号パンフレットの全開示内容は信頼に足る
ものであり、参照することにより本明細書の開示の一部とされる。本明細書中で
使用する用語は、国際公開第99/28746号パンフレットで使用されたもの
と同じ定義を有する。
【0033】 従来の細菌株DHP1と、新たな菌株DHM1およびBTH101を、以下に
詳細に説明する。
【0034】 1.DHP1 PCT出願公開第99/28746号パンフレットに記載のDHP1株は、D
H1のアデニル酸シクラーゼ欠損(cya)誘導体(F-, glnV44(AS), recA1, e
ndA1, gyrA96(Nalr), thi1, hsdR17, spoT1, rfbD1)(25)であり、選択用抗生物
質としてホスホマイシンを使用して単離されたものである(Alper, M.D. & Ames
, B. N. (1978) J. Bacteriol. 133, 149-57)。使用した増殖培地は、含有成
分の多い培地であるLBまたは1%の炭素源を補充した合成培地M63(Miller
, J. H. (1972) Experiments in molecular genetics (Cold Spring Harbor Lab
oratory, Cold Spring harbor, N. Y.))であった。抗生物質の濃度は、アンピ
シリン100mg/mlおよびクロラムフェニコール30mg/mlであった。
糖醗酵能のスクリーニングは、1%のマルトースを含むマッコンキー寒天プレー
ト上、または40mg/mlのX-Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−イン
ドリル−β−D−ガラクトピラノシド)および0.5mMのIPTG(イソプロ
ピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を含むLBプレート上で行った。
【0035】 2.DHM1:F-, recA1, endA1, gyrA96(Nalr), thi1, hsdR17, spoT1, rfbD1
, glnV44(AS), cya-854 DHM1株は、P1形質導入(Miller, 1972)によって導入されたcya遺伝
子内の小さな欠失(cya‐854)を有するDHP1誘導体である。この目的
のために、P1virファージの溶解物を、ドナー株であるFB8 cya‐85
4 ilv‐691::Tn10(M. Perrote氏より分譲していただいた)で調製した。この
株は、cyaに近接した連鎖中にあるトランスポゾンTn10挿入体を有する(
Wanner, 1986)。この連鎖は、大腸菌のrecA遺伝子をコードするpBR322の誘導体
である、プラスミドpRecAを有し、Rec表現型に復帰突然変異する(G. Kari
mova, 未発表の結果)DHP1の中に、cya‐854変異を移動させるために
使用した。得られたTc(テトラサイクリン耐性)形質導入体を、cya遺伝
子中で200塩基対が欠失している、変異対立遺伝子cya‐854の存在につ
いて試験した(Glaser, P., Roy A, Danchin, A., 1989)。これは、テトラサイ
クリン(25μg/ml)を含むマッコンキー/マルトース指示プレート上に、
再度細胞を線状に塗布することにより行った。cya‐854変異を有する形質
導入体は復帰突然変異をしない(Cya細胞−赤色表現型−は、多数のコロニ
ーにおいて検出できなかった)のに対し、本来のDHP1のcya変異を有する
形質導入体は、多数のコロニー中の赤いCya細胞の出現によって示されたよ
うに、高い頻度で復帰していたため、cya‐854変異を有する形質導入体は
、DHP1から得られた本来のcya変異を有する細胞とは容易に区別すること
ができた。2つのマーカー、ilv::Tn10とcya‐854との同時形質導入の頻
度は、約30%であった。こうした形質導入体の1つが選択され、DHP11と
命名された。
【0036】 DHM1株は、pRecAを有するDHP11中に、大腸菌K12 FB8からの
ilv野生型対立遺伝子をP1形質導入することによって構築された。形質導入
体を、アミノ酸を添加していない最少培地上で選択した。得られた形質導入体を
再度単離した後に、cya‐857変異の存在とTn10(Tc−感受性)の
喪失とを、マッコンキー/マルトースとTc(25μg/ml)を含有するLB
上にプレーティングすることによって証明した。pRecAプラスミドをキュアリン
グするために、形質導入体DHM1(pRecA)をLブロス中で終夜増殖させ、そ
の後マッコンキー/マルトースプレート上に撒いた。pRecAを喪失したDHM1
細胞を同定するために、100個のシングルコロニーを2つのプレート:アンピ
シリン(Amp、100μg/ml)を含むLBプレート上および抗生物質を含
まないマッコンキー/マルトースプレート上に、再度線状に塗布した。プレート
を37℃で24時間保持した。いくつかのAmp−感受性クローンをマッコンキ
ー/マルトースプレートから拾い、再度線状に塗布した後に相補性についての試
験を行い、DHM1と命名された1つのクローンを選択した。
【0037】 DHM1細胞中のLacおよびMal復帰突然変異体の頻度を試験するた
めに、LB中でDHM1(10ml)を終夜培養した培養物を遠心分離によって
回収し、B63培地で3回洗浄し、唯一の炭素源としてマルトースまたはラクト
ースを補充したX-galを含む最少培地上にプレーティングした。Lacおよび
Malクローンの頻度は、各々、10−7および10−9であった。これらの
LacおよびMal復帰突然変異体はCya復帰突然変異体ではなかった
が、lacプロモーター中のcAMP/CAP非依存性突然変異またはcAMP
非依存性CAP突然変異(CRP)から生じることに留意すべきである。
【0038】 3.BTH101:F-, galE15, galK16, rpsL1(Strr), hsdR2, mcrA1, mcrB1,
cya-99 BTH101株は、接合およびP1形質導入技術(Miller, 1972)によって構
築されたMC1061の誘導体である。cya遺伝子内に正確な欠失を導入する
試みを行い、本発明者らは、Cya(実際は、LacまたはMal表現型
)に復帰突然変異する頻度が非常に低いため、最も確実にcya遺伝子内の欠失
を有すると思われる、MC1061、BTH99という自然発生のcya突然変
異体を単離した。この突然変異体は、以下のようにして得られた。第一に、pSKb
luescript IIベクター(Stratagene社)中−XhoI部位とXbaI部位との間−に、次
のDNA断片:cyaA遺伝子のすぐ上流にある大腸菌染色体DNAの1.5k
b断片、クロラムフェニコール耐性カセット、cyaA遺伝子のすぐ下流にある
大腸菌染色体DNAの1.5kb断片、およびカナマイシン耐性カセット(Kari
mova、未発表データ)を挿入して、プラスミド、pSKDKancyaを構築した。プラス
ミドpSKDKancyaをドナー株HfrKL800中に入れて形質転換し、得られた形質転換体
を受容株であるMC1061(ストレプトマイシン耐性)と、37℃で30分間
交配(mated)した。交配混合物(mating mixture)のアリコートを、Kan(
50μg/ml)およびStr(100μg/ml、供与菌細胞を逆選択するた
め)を補充したマッコンキー・マルトース指示プレート上にプレーティングした
。その後、受容菌KanおよびStr細胞を、cya誘導体を選択するため
に、ラムダvirファージのストックと混合し(大腸菌cya株はλに耐性である
)、再度マッコンキー・マルトース指示プレート上にプレーティングした。いく
つかのλ、cya誘導体を単離した。それらはいずれも、cyaの欠損を有し
ていなかったが、得られたクローンのいくつかは安定なcya表現型を示した(
すなわち、それらは非常に低い頻度でLacまたはMal表現型に復帰突然
変異した)。プラスミドを喪失しているクローンを同定するために、次いで、再
単離した組換体をLB−Kanおよびマッコンキー・マルトース指示プレート上
にプレーティングした。こうしたcyaの1つ、Kan−感受性クローンであ
るBTH99は、標準的な相補性プラスミド(pKT25-zip/pUT18-zip、図1およ
び図2を参照されたい)を用いる細菌ツーハイブリッド系において良好な相補能
を示したため、さらに研究を進めた。BTH99のcya‐99変異は、現在特徴
づけを行っている。
【0039】 BTH101は、2つの連続するP1形質導入によって作られたBTH99の
誘導体である。第一に、野生型のlacオペロンをFB8から形質導入し、形質導
入体を、1mMのcAMPの存在下で、ラクトースを補充した最少培地プレート
上で選択した。Lacクローン(BTH100)を再度単離し、cAMPを含
むかまたは含まないマッコンキー/ラクトース指示プレートを用いて、cya‐
99の存在について試験した。BTH101株は、(FB8からの)ilv野生
型対立遺伝子のBTH100へのPI形質導入によって作製した。得られたクロ
ーンを、アミノ酸を含まない最少培地上で選択した。こうしたクローンの1つで
あるBTH101を、さらなる特徴づけのために維持した。
【0040】 本発明の実施に有用なプラスミドおよび菌株は、以下のように、フランス国パ
リのCollection Nationale de Cultures de Microorganismesに寄託されている
【0041】プラスミド 寄託日 受託番号 XL-1/pUT18 1998年11月25日 I-2092 XL-1/pUT18C 1998年11月25日 I-2093 XL-1/pT25 1998年11月25日 I-2094 XL-1/pKT25 1998年11月25日 I-2095 DHM1 1999年9月10日 I-2310 BTH101 1999年9月10日 I-2309 ピロリ菌 1999年12月14日 I-2367 ライブラリー HGX BHP3
【0042】 プラスミドpKT25(3445−bp)は、T25断片をコードする低コピ
ーベクターpSU40(カナマイシン耐性選択マーカーを発現する)の誘導体で
ある。それは、以下のようにして作製された:1044−bpのHindIII−EcoRI
、pT25断片をまずHindIIIとEcoRIとで開環した(直鎖状にした)pSU40
中にサブクローニングし、pKT25Lを得た。pKT25Lから、236−b
pのNheI−HindIII断片を除いて、pKT25を得た。
【0043】 プラスミドpUT18(3023−bp)は、T18断片(CyaAのアミノ
酸225番〜399番目)をコードする高コピー数ベクターpUC19(アンピ
シリン耐性選択マーカーを発現し、pT25またはpKT25に適合する)の誘
導体である。第一段階では、本発明者らは、24−bpの二本鎖オリゴヌクレオ
チド(5’−ATTCATCGATATAACTAAGTAA−3’[配列番号
1]およびその相補配列)を、pUC19のHindIII−NheI部位の間に挿入して、
プラスミドpUC19Lを構築した。その後、T18のオープンリーディングフ
レームを有する534−bpの断片をPCR(適当なプライマーと標的DNAと
してpT18を用いる)により増幅し、EcoRIとClaI(適当な制限部位はPCR
プライマー中に含まれていた)で消化したpUC19L中にクローニングした。
得られたプラスミドpUT18では、T18のオープンリーディングフレームが
pUC19のマルチクローニング部位の下流に、読み枠が一致するように融合さ
れていた。このプラスミドを、T18のN末端に異種ポリペプチドが融合されて
いるキメラタンパク質を作り出すようにデザインした(マップを参照されたい)
【0044】 プラスミドpUT18C(3017−bp)は、T18断片をコードするpU
C19(アンピシリン耐性選択マーカーを発現し、pT25またはpKT25に
適合する)の誘導体である。それは、上記のT18のオープンリーディングフレ
ームを有する534−bpのPCR増幅断片をHindIIIとPstI(適当な制限部位
がPCRプライマー中に含まれている)とで開環させたpUC19L中にサブク
ローニングすることによって構築した。得られたプラスミドpUT18Cでは、
T18のオープンリーディングフレームは、pUC19Lのマルチクローニング
部位の上流に、読み枠が一致するように融合されていた。このプラスミドを、T
18のC末端に異種ポリペプチドが融合されているキメラタンパク質を作り出す
ようにデザインした(マップを参照されたい)。
【0045】 プラスミドpKT25‐zip(3556−bp)は、GCN4のロイシンジッパー領
域をコードするDNA断片(適当なプライマーを用いてPCR−増幅したもの)
を、上記のように、KpnIによって切断されたpKT25中に挿入することによっ
て構築された、pKT25の誘導体である。 プラスミドpUT18‐zip(3125−bp)は、GCN4のロイシンジッパー領
域をコードする114bpのDNA断片(適当なプライマーを用いてPCR−増
幅されたもの)を、上記のように、KpnIとEcoRIとによって開環し、直線化され
たpUT18中に挿入することによって構築された、pUT18の誘導体である
。 プラスミドpUT18C‐zip(3119−bp)は、GCN4のロイシンジッパー
領域をコードする114bpの同DNA断片を、上記のように、KpnIとEcoRIと
によって開環し、直線化されたpUT18中に挿入することによって構築された
、pUT18Cの誘導体である。
【0046】 以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。実施例1 BTH101細胞中のLacおよびMal復帰突然変異体の出現頻度を調
べるために、LB中で終夜培養したBTH101(10ml)を遠心分離して集
め、B63培地で3回洗浄し、唯一の炭素源としてマルトースまたはラクトース
を補充したX‐galを含有する最少培地上にプレーティングした。Lacおよび
Malクローンの出現頻度は、各々10−8および10−9であった。
【0047】実施例2 細菌ツーハイブリッド系中における相補性の効率を調べるために、異なる菌株
である、DHP1、DHM1およびBTH101を、図1および図2に示した多
くのプラスミドの組み合わせで同時形質転換した。各同時形質転換体によって発
現されたβ−ガラクトシダーゼ活性を、上述したような液体培養(Karimovaら、
1998)で測定した。図1および図2のデータは、全体的に独立した実験の2つの
異なるセットに対応するものである。
【0048】実施例3 ベクターの構築 pUT18CはColE1複製起点を含むため、高コピー数のプラスミドであ
る。このため、これはプレイ(prey)ベクターとして使用した。KpnI−PstI部位
中に長いオリゴヌクレオチドを連結することによって、新たなマルチクローニン
グ部位を作製した。上側および下側のオリゴヌクレオチドの配列は、各々以下の
とおりである:AGGCCGCAGGGGCCGCGGCCGCACTAGTG
GGGATCCTTAATTAACTGCAGGGGCCACTGGGGCCC
GGTAC[配列番号2]およびCGGGCCCCAGTGGCCCCTGCAG
TTAATTAAGGATCCCCACTAGTGCGGCCGCGGCCCC
TGCGGCCTTGCA[配列番号3]。双方のオリゴヌクレオチドをアニール
し、得られた二本鎖オリゴヌクレオチドを、あらかじめ消化しておいたpUT1
8Cベクターに連結した。pKT25NewSFIは、pKT25の誘導体であり、ベイト
(bait)ベクターとして使用した。それは、pUT18CNewSFIの1つに類似したマル
チクローニング部位を含み、上側のAGGGCCGCAGGGGCCGCGGC
CGCACTAGTGGGGATCCTTAATTAAGCTGCAGGGCC
ACTGGGGCCCGGTAC[配列番号4]および下側のCGGGCCCCA
GTGGCCCTGCAGCTTAATTAAGGATCCCCACTAGTG
CGGCCGCGGCCCCTGCGGCCCTTGCA[配列番号5]というオ
リゴヌクレオチドで構築された。これら2つのベクターのマップは、図3および
4に示されている。
【0049】 連結産物をエレクトロポレーションした後に、7.4×10個の独立したコ
ロニーを回収した。PCRスクリーニング実験によれば、ランダムに選択した1
92個のコロニーのうち85個(44%)が挿入物を含んでおり、これらについ
て引き続き配列を決定した。79個の配列が利用可能であった。41個(52%
)の挿入物を含むプラスミドはセンス方向で見いだされた。挿入物の開始位置の
計算からは、クローニングに明らかな偏りは観察されなかった。79個の挿入物
の大きさの平均は、決定しなかった。
【0050】実施例4 ライブラリーの構築 ピロリ菌からのゲノム断片をpUT18CNS中にクローニングするのに使用
した方法は、他の文献に記載されている(国際公開第99/28746号パンフ
レット)。要約すると、pUT18CNSをBamHI消化し、ベクターの自己連結
を防ぐためにグアノシンヌクレオチドで末端をフィルインした。霧状にした(ne
bulized)ピロリ菌からのゲノムDNAを、マングマメヌクレアーゼ、T4ポリ
メラーゼおよびクレノウ酵素の混合物を用いて平滑末端にした。さらに、挿入物
を、アダプターを用いて、直線化したpUT18CNSプラスミド中に連結した
。DH10B(Gibco BRL社)のエレクトロ−コンピテント細胞を連結産物によ
り形質転換し、LB+アンピシリン上にプレーティングした。192個のコロニ
ーをランダムに選択し、挿入物を有するプラスミドの実数を求め、クローニング
段階の間に起こるべき偏りを検出した。これらのコロニーは、720および72
1オリゴヌクレオチドを用いるPCR実験において、鋳型として使用した。PC
R産物はさらに同じオリゴヌクレオチドを用いて配列決定した。配列をBLAS
Tソフトウェアで処理した。残りのコロニーを集めてプールした。グリセロール
またはDMSOと一緒に20mlを、1mlのクリオチューブ(凍結保存用チュ
ーブ)に分注し、−80℃で保存した。残りのプール分を50mlのファルコン
チューブに分注し、遠心分離した。上清を除き、チューブを−80℃で保存した
。ライブラリ−DNAをキアジェン・マキシ−プレップキット(Quiagen Maxi-P
rep kit)で抽出した。
【0051】実施例5 ベイト構築 pKT25NSをBamHIとPstI制限酵素とで消化した。このベクターをウシの
小腸ホスファターゼを用いて、さらに脱リン酸化した。ウレアーゼの補助タンパ
ク質UreH(HP0067)は、酵母のスクリーニングにおけるピロリ菌のツーハイ
ブリッドの全ゲノムアプローチにおいて既に使用されている(国際公開第99/
28746号パンフレット)。全長コード配列に相当する挿入物を、pAS2ΔΔ‐
HP0067から、新たに調製したpKT25NewSFI中にBamHI-PstIサブクローニングした
【0052】実施例6 ライブラリースクリーニング DHM1をcya-宿主株として使用した。エレクトロ−コンピテントDHM
1細胞を、pKT25NewSFI-HP0067で形質転換し、LB+カナマイシン上にプレーテ
ィングした。ついで、pKT25NewSFI-HP0067細胞をエレクトロ−コンピテントとし
、1:1に希釈したピロリ菌のライブラリー(40ng)で形質転換した。形質
転換細胞を、1mlのSOC培地を加えた後に1時間37℃でインキュベーショ
ンし、さらに、1mlのM9培地で洗浄した。1/10,000に希釈し、二重
形質転換体を数えるために、細胞をLB+カナマイシン+アンピシリン上にプレ
ーティングした。残りの形質転換細胞は、未希釈のものを9枚のM63+マルト
ース+X‐Gal+IPTG+カナマイシン+アンピシリンプレート上にプレーティ
ングするか、1/10希釈のものを9枚の同じプレート上にプレーティングする
か、または1/100希釈のものを10枚の同じプレート上にプレーティングし
た。
【0053】 40ngのライブラリーDNAによるDHM1/pKT25NewSFI-HP0067の形質転換の
後に、5×10個の二重形質転換体が得られた。このため、各々1/10また
は1/100希釈を行わない場合には、約5×10、5×10および5×1
個の細菌をM63スクリーニングプレート上にプレーティングした。15日
間増殖させ、0倍希釈で3個、1/10希釈で11個、1/100希釈で4個の
18個の陽性クローンを選択した。
【0054】実施例7 プレイの分離および同定 30℃で増殖および青染色後、陽性クローンをM63+マルトース+X-Gal+
カナマイシン+アンピシリンのプレート上に線状に塗布し、バックグラウンドの
陰性コロニーから分離した。LB+カナマイシン中で終夜培養し、プラスミド・
ミニ−プレップ(Plasmid mini-preps、Qiagen社製)で、プレイ・プラスミドを
回収した。次いで、720および721プライマーを用いて、プレイの挿入断片
の配列を決定した。これらの配列上でBLASTホモロジーを行った。 全てのXX陽性クローンの配列を決定した。クローンの同定を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】 挿入物の最初のヌクレオチドの位置に従って選別し、表3の結果を得た。
【0057】
【表3】
【0058】 18個のクローンのうち5個は、別のウレアーゼ補助タンパク質ureF(HP
0069)と対応しており、これはPCT 国際公開第99/28746号パンフレ
ットの対応する酵母のツーハイブリッドスクリーニングでも見出された。これら
5個のクローンから、4つの独立した融合部(挿入断片の開始部位が異なる)が
見出された。これらの挿入体は全て、T18と読み枠が一致することが見出され
た。18個のクローンのうち5個は、HP1493に対応するが、これはピロリ
菌(Helicobacter pylori)の予想されるコード領域で、公表された遺伝子デー
タベースに納められている他の配列のいずれとも公知のホモロジーを有していな
かった。この5個のクローンには、少なくとも3個の独立融合部が見出され、う
ち2個はT18を有する枠の外に見出された。このプレイは、対応する酵母のツ
ーハイブリッドスクリーニング(国際公開第99/28746号パンフレット)
においては見出されなかった。これは、酵母のツーハイブリッド技術で単離する
ことができないureHの新規なタンパク質パートナーに相当するものであるの
かも知れない。
【0059】 本発明は国際公開第99/28746号パンフレットに記載した大腸菌中での
シグナル増幅系を利用しており、目的とするタンパク質は、百日咳菌のアデニル
酸シクラーゼの触媒ドメインにある2つの相補断片と遺伝的に融合されている。
百日咳菌はcyaA遺伝子によりコードされるカルモジュリン(CaM)依存性
アデニル酸シクラーゼ毒素を産生する。
【0060】 触媒ドメインは、この1706残基長のタンパク質の最初の400個のアミノ
酸内に位置している。
【0061】 触媒ドメインは、タンパク質分解により2つの相補断片、T25およびT18
に開裂しうるが、これらはCaM存在下では完全に活性のある三重複合体に会合
していた。CaM不存在下では、両断片の混合物は検出可能な活性を示さなかっ
たため、再度会合して基礎となるCaM非依存性活性を発揮できなかったことが
示唆された。
【0062】 活性な酵素の産生に必要であるこれら2つの相補性断片T25およびT18は
、CaM存在下に大腸菌中で別個のものとして発現させると互いを認識できず、
機能を有する酵素を再構築することができない。しかしながら、T25およびT
18を、相互作用が可能なペプチドあるいはタンパク質に融合させ、キメラペプ
チドのヘテロ二量体とすると、アデニル酸シクラーゼ断片間に機能的相補性が生
じる。
【0063】 アデニル酸シクラーゼ欠損大腸菌株(CaMあるいはCaM関連タンパク質を
欠く大腸菌)中で発現させると、相互作用すると推定されるタンパク質に融合さ
せたT25およびT18断片は再度会合してcAMP合成を開始する。
【0064】 標的リガンドと目的の分子との相互作用は、2つのアデニル酸シクラーゼ断片
間にcAMP合成に至る機能的相補性を生じさせ、これにより、今度はいくつか
の内在遺伝子の発現が誘発される。このアッセイを用いれば、単純な遺伝的スク
リーニングにより、所定の標的と相互作用するタンパク質を発現している特定の
クローンを選択することができる。
【0065】 本発明によれば、酵素の第一断片に相当する第一キメラポリペプチド、および
酵素の第二断片または前記酵素を活性化しうる調節物質に相当する第二キメラポ
リペプチドを含む、少なくとも2つのキメラポリペプチドの細菌マルチハイブリ
ッド系、より好ましくはツーハイブリッド系、を含んでなり、前記第一断片は目
的の分子に融合され、前記第二断片または前記調節物質は標的リガンドに融合さ
れており、前記酵素の活性が目的の前記分子と前記標的リガンドとのin vivo相
互作用により回復して、シグナル増幅が行なわれるシグナル増幅系であって、前
記シグナル増幅がC.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH101
株およびC.N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株からなる群
より選択される大腸菌(E. coli)株中で行われる、シグナル増幅系が提供され
る。
【0066】 本発明の一つの実施態様によれば、酵素はあらゆる起源からのアデニル酸シク
ラーゼおよびグアニル酸シクラーゼからなる群より選択することができる。様々
な起源とは、ボルデテラ(Bordetella)属またはこの型の酵素を産生するあらゆ
る生物をいう。一つの具体例においては、前記酵素は、国際公開第99/287
46号パンフレットに記載されているような、アデニル酸シクラーゼ酵素の最初
の400個のアミノ酸残基内に位置している、ボルデテラ属菌のアデニル酸シク
ラーゼ(CyaA)の触媒ドメインである。
【0067】 本発明はまた、第一断片および第二断片にも関するものであり、これらは前記
酵素の活性を回復させることによってin vitroで前記酵素の天然アクチベーター
と機能的に相互作用する、同酵素からの断片のいずれかの組み合わせである。
【0068】 本発明の一つの実施態様によれば、第一および第二断片は国際公開第99/2
8746号パンフレットに記載されている以下の群から選択される。 (a)CyaAの1番〜224番目のアミノ酸に相当する断片T25とCya
Aの225番〜399番目のアミノ酸に相当する断片T18; (b)CyaAの1番〜224番目のアミノ酸に相当する断片とCyaAの2
24番〜384番目のアミノ酸に相当する断片; (c)CyaAの1番〜137番目のアミノ酸に相当する断片とCyaAの1
38番〜400番目のアミノ酸に相当する断片; (d)CyaAの1番〜317番目のアミノ酸に相当する断片とCyaAの3
18番〜400番目のアミノ酸に相当する断片;および (e)Gタンパク質、フォルスコリン等の分子と会合する真核細胞のアデニル
酸シクラーゼからの2つの断片。
【0069】 第一および第二断片は、国際公開第99/28746号パンフレットに記載さ
れているように百日咳菌CyaAの1番〜224番目のアミノ酸に相当する断片
T25と、百日咳菌CyaAの225番〜399番目のアミノ酸に相当する断片
T18とすることができる。一つの実施態様によれば、第一断片はボルデテラの
アデニル酸シクラーゼ(CyaA)の触媒ドメインの変異断片である。
【0070】 調節物質は、この酵素の天然アクチベーターまたはその断片とすることができ
る。天然アクチベーターは、カルモジュリン(CaM)またはその断片でもよく
、第一断片は野生型酵素に対して変異していてもよい。カルモジュリンの断片は
約70アミノ酸長で、好ましくは、国際公開第99/28746号パンフレット
に記載されているような、哺乳類カルモジュリンの77番〜148番残基に相当
するものであってもよい。
【0071】 本発明はまた、目的の分子と標的リガンドとの相互作用が、本発明によるシグ
ナル増幅系を用い、シグナル増幅を生じさせて転写活性化または転写抑制を誘発
することによって検出される、標的リガンドに結合しうる目的の分子の選択方法
であって、C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH101株およ
びC.N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株からなる群より選
択される大腸菌(E. coli)株中で行われる、目的の分子の選択方法に関する。
【0072】 第一の実施態様によれば、本発明によるシグナル増幅系は、酵素の少なくとも
2つの異なる断片の細菌マルチハイブリッド系を含んでなるものであり、前記酵
素の活性が前記目的の分子と前記標的リガンドとの相互作用によって回復する。
【0073】 第二の実施態様によれば、本発明によるシグナル増幅系は、少なくとも酵素の
第一断片および調節物質の細菌マルチハイブリッド系を含んでなるものであり、
前記酵素の活性が前記目的の分子と前記標的リガンドとの相互作用によって回復
する。
【0074】 本発明によるシグナル増幅系は、国際公開第99/28746号パンフレット
に記載の細菌マルチハイブリッド系を含む。
【0075】 本発明による目的の分子の選択方法では、目的の分子と前記標的リガンドとの
相互作用は、転写活性化を誘発するシグナル増幅によって検出され、シグナリン
グ分子の合成またはリポーター遺伝子の発現を測定することによって定量される
【0076】 シグナル増幅は、シグナリング分子の産生に相当する。シグナリング分子は、
シグナリングカスケード反応をもたらしうるすべての分子である。一つの実施態
様によれば、シグナリング分子はcAMPの合成に相当し、別の実施態様では、
cGMPの合成に相当する。
【0077】 転写活性化は、リポーター遺伝子の発現をもたらす。このリポーター遺伝子は
、ラクトースやマルトースのような栄養マーカーをコードする遺伝子;アンピシ
リン、クロラムフェニコール、カナマイシンまたはテトラサイクリンのような抗
生物質に対する耐性を付与する遺伝子;毒素をコードする遺伝子;グリーン蛍光
タンパク質(GFP)型の蛍光マーカーのような色素マーカー;ファージλ受容
体、lamBのようなファージ受容体タンパク質またはその断片をコードする遺
伝子、および選択可能な表現型を与える他のいずれかの遺伝子からなる群より選
択される。
【0078】 一つの実施態様によれば、cAMPは、CAPと結合すると、異化オペロンの
転写を活性化することができ、細菌が、マルトースやラクトースといった炭水化
物を発酵すること、および細菌表面のマーカーとなるファージλ受容体、Lam
Bタンパク質を発現することを可能とする。BTH101またはDHM1を用い
る細菌マルチハイブリッド系を含むこのシグナル増幅系は、例えば、小ペプチド
(GCN4ロイシンジッパー)、細菌タンパク質(チロシルtRNAシンターゼ
)、または真核タンパク質(酵母Prp11/Prp21複合体)との相互作用
を明らかにすることができる。
【0079】 したがって、いずれかの目的遺伝子がcAMP/CAP依存性プロモーターと
融合している特定のリポーターカセットをデザインすることができる。このよう
にして、複合体ライブラリーのスクリーニングおよび選択を促進するために、抗
生物質耐性遺伝子を用いるこのような単純な選択系を構築することが可能となる
【0080】 リポーター遺伝子は、cAMP/CAP依存性プロモーターの制御下では、天
然には細菌中に存在しない毒素であってもよい。これは、標的リガンドと目的の
分子との所定の相互作用を失わせる化合物あるいは突然変異を探索する場合に、
特に有用となる。この構築物によれば、標的リガンドと目的の分子との会合が起
こると、cAMPが産生されて毒素遺伝子の発現スイッチが入り、細胞は死滅す
る。標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害できる物質および
相互作用を失わせる物質は、毒素遺伝子の発現を遮断し、細胞の増殖を可能にす
ることができるだろう。標的リガンドと目的の分子との相互作用を失わせる物質
の簡易な選別は、ファージλに対する耐性である。ファージ受容体であるLam
Bタンパク質は、lamB遺伝子から形成され、マルトース・レギュロンの一部
となっているため、その発現にはcAMPが必要である。標的リガンドと目的の
分子との相互作用を失わせる物質は、cAMP合成を阻害し、細菌はファージλ
に耐性となる。その結果、細胞は増殖する。
【0081】 所定の相互作用を失わせる化合物または突然変異を選択する他のスキームは、
cAMP/CAPにより抑制されるプロモーターの転写制御下に選択できるマー
カー(例えば、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、テトラサ
イクリンなどに対する耐性を付与する遺伝子)を保有する菌株を構築することに
より、デザインできる。このようなcAMP/CAP抑制性プロモーターは、プ
ロモーター領域内に合成のCAP結合部位を導入することにより作製することが
でき、それについてはMoritaらが既に報告している(Morita T、Shigesada K、K
imizuka F、Aiba H. (1988), 'Regulatory effect of a synthetic CRP recogni
tion sequence placed downstream of a promoter' Nucleic Acids Res. 16: 73
15 - 32)。
【0082】 各々グリーン蛍光タンパク質(GFP)として生物学的に活性な物質を検出す
る方法に関する、国際出願公開第96/23898号パンフレット(Thastrup O
.ら)および国際出願公開第97/11094号パンフレット(Thastrup O.ら)
、ならびにGFPの使用と新規な変異型GFPについて記載している国際出願公
開第97/07463号パンフレット(Chalfie O.ら)は、参照することにより
本明細書の開示の一部とされる。
【0083】 本発明における標的リガンドは、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、受容
体、リガンド、抗原、抗体、DNA結合タンパク質、糖タンパク質、リポタンパ
ク質、および組換えタンパク質からなる群より選択される。
【0084】 目的の分子の選択方法によれば、目的の分子は、標的リガンドと相互作用する
ことができ、可能であれば前記標的リガンドに結合できるものである。目的の分
子の選択方法の特定の実施態様によれば、目的の分子が既知の野生型分子に対す
る変異分子であり、前記目的の分子は、標的リガンドと相互作用する能力につい
て試験される。
【0085】 本発明は、本発明による目的の分子の選択方法によって同定された目的の分子
を含む。本発明はさらに、酵素またはその断片と結合した融合標的リガンドと相
互作用する分子を発現できるポリヌクレオチドに相当する目的の分子を含む。
【0086】 好適な実施態様によれば、本発明による目的の分子の選択は、DHM1株中で
行われる。別の好ましい実施態様によれば、本発明による目的の分子の選択は、
BTH101株中で行われる。
【0087】 本発明はまた、目的の分子を選択するためのキットであって、 (a)本発明によるシグナル増幅系; (b)C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH101株とC.
N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株とからなる群より選択さ
れる、内因性アデニル酸シクラーゼ欠損細菌株;および (c)唯一の炭素源としてラクトースもしくはマルトースを補充した最少培地
のような指示培地または選択培地、抗生物質を含む培地、蛍光、発光を可視化す
るための培地、X−GAL培地のような慣用的な培地、およびファージ受容体の
存在による選別を可能とする培地からなる群より選択される、相補性の検出を可
能とする培地、 を含んでなる、キットに関する。
【0088】 他の実施態様によれば、本発明は、目的の分子を選択するためのキットであっ
て、 (a)目的の分子が既知の野生型分子に対する変異分子である、本発明による
シグナル増幅系; (b)目的の分子が対照としての既知の野生型分子である、本発明によるシグ
ナル増幅系; (c)C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH101株とC.
N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株とからなる群より選択さ
れる、内因性アデニル酸シクラーゼ欠損細菌株; (d)唯一の炭素源としてラクトースもしくはマルトースを補充した最少培地
のような指示培地または選択培地、抗生物質を含む培地、蛍光、発光を可視化す
るための培地、X−GAL培地のような慣用的な培地、および各シグナル増幅系
についてファージ受容体の存在による選別を可能とする培地からなる群より選択
される、相補性の検出を可能とする培地;および (e)変異分子でのシグナル増幅系が、野生型でのシグナル増幅系に対して、
増強されるかまたは阻害されるかを検出する手段、 を含んでなる、キットに関する。
【0089】 本発明はまた、刺激活性または阻害活性が、それぞれ、本発明によるシグナル
増幅系を用いて、増幅を生じさせて、転写活性化を誘発するかまたは消失させる
ことによって検出され、前記シグナル増幅および誘発されたかまたは消失した転
写活性が、いずれの物質も含まない同一のシグナル増幅系から得られるものと比
較される、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質
のスクリーニング方法であって、スクリーニングが、C.N.C.M.受託番号
I−2309を有するBTH101株およびC.N.C.M.受託番号I−23
10を有するDHM1株からなる群より選択される大腸菌(E. coli)株中で行
われる、前記スクリーニング方法に関する。
【0090】 好適な実施態様によれば、本発明による、標的リガンドと目的の分子との相互
作用を刺激または阻害しうる物質のスクリーニング方法は、前記シグナル増幅系
が、酵素の少なくとも2つの異なる断片の細菌マルチハイブリッド系を含んでな
るものであり、前記酵素の活性が前記目的の分子と前記標的リガンドとの相互作
用によって回復することによって特徴付けられる。他の好適な実施態様によれば
、本発明による、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しう
る物質のスクリーニング方法は、前記シグナル増幅系が、少なくとも酵素の第一
断片および調節物質の細菌マルチハイブリッド系を含んでなるものであり、前記
酵素の活性が前記目的の分子と前記標的リガンドとの相互作用によって回復する
ことによって特徴付けられる。
【0091】 本発明による、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激しうる物質のス
クリーニング方法においては、シグナル増幅はシグナリング分子の生成に相当す
る。
【0092】 本発明による、標的リガンドと目的の分子との相互作用を阻害しうる物質のス
クリーニング方法では、シグナリング分子の生成に相当するシグナル増幅はブロ
ックされるかまたは部分的に失われる。
【0093】 本発明による、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激しうる物質のス
クリーニング方法では、転写活性化がリポーター遺伝子の発現をもたらす。
【0094】 本発明による、標的リガンドと目的の分子との相互作用を阻害しうる物質のス
クリーニング方法では、リポーター遺伝子の発現をもたらす前記転写活性化がブ
ロックされるかまたは部分的に失われる。
【0095】 本発明による、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しう
る質のスクリーニング方法では、前記標的リガンドは、受容体、リガンド、抗原
、抗体、DNA結合タンパク質、糖タンパク質、およびリポタンパク質からなる
群より選択され、前記物質は、刺激または阻害親和性を有する、タンパク質、糖
タンパク質、リポタンパク質、リガンド、および他のいずれかの薬物からなる群
より選択されるものである。
【0096】 本発明による、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しう
る物質のスクリーニング方法においては、シグナリング分子は、cAMPの合成
またはcGMPの合成に相当する。
【0097】 本発明によるスクリーニング方法においては、リポーター遺伝子は、ラクトー
ス、マルトースのような栄養マーカーをコードする遺伝子;アンピシリン、カナ
マイシンまたはテトラサイクリンのような抗生物質に対する耐性を付与する遺伝
子;毒素をコードする遺伝子;グリーン蛍光タンパク(GFP)型の蛍光マーカ
ーのような色素マーカー;ファージλ受容体、lamBのようなファージ受容体
タンパク質またはその断片をコードする遺伝子;および選択可能な表現型を与え
る他のいずれかの遺伝子からなる群より選択されるものである。
【0098】 好適な実施態様によれば、本発明によるスクリーニング方法では、目的の分子
は既知の野生型分子に対する変異分子であり、前記目的の分子は、前記標的リガ
ンドと相互作用する能力について試験される。
【0099】 好適な実施態様によれば、物質のスクリーニングはDHM1株中で行われる。
別の好ましい実施態様によれば、物質のスクリーニングはBTH101株中で行
われる。
【0100】 本発明はまた、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しう
る物質をスクリーニングするためのキットであって、 (a)標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質を
含む、本発明によるシグナル増幅系; (b)対照としていかなる物質も含まない、本発明によるシグナル増幅系; (c)C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH101株および
C.N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株からなる群より選択
される、内因性アデニル酸シクラーゼ欠損細菌株; (d)唯一の炭素源としてラクトースもしくはマルトースを補充した最少培地
のような指示プレートまたは選択培地、抗生物質を含む培地、蛍光を可視化する
ための培地、慣用的な培地、およびファージ受容体の存在による選別を可能とす
る培地からなる群より選択される、相補性の検出を可能とする培地;および (e)前記物質を含むシグナル増幅系が、いかなる物質をも含まないシグナル
増幅系に対して、増強されるかまたは阻害されるかを検出する手段、 を含んでなる、キットに関する。
【0101】 百日咳菌アデニル酸シクラーゼ活性の機能分析は、内因性アデニル酸シクラー
ゼ欠損大腸菌株中で容易にモニターすることができる。大腸菌中において、転写
活性化因子であるCAP(異化代謝産物アクチベータータンパク質)に結合する
cAMPは、ラクトースまたはマルトースなどの炭水化物の異化代謝に関与する
遺伝子を含む、種々の遺伝子の発現を多面発現作用的に調節する[Ullmann A. &
Danchin A. (1983) Advances in Cyclic Nucleotide Research (Raven Press,
New York) Vol. 15, pp.1-53]。したがって、cAMPを欠く大腸菌株は、ラク
トースまたはマルトースを発酵できない。CyaAの全触媒ドメイン(アミノ酸
1番〜399番目)をlacZ(プラスミドpDIA5240)の転写制御および翻訳制
御下に大腸菌cya中で発現させると、そのカルモジュリン非依存性の残存活性
が、アデニル酸シクラーゼ欠損株を相補するのに十分であり、ラクトースまたは
マルトースの発酵能が回復する(Ladant D., Glaser, P. & Ullmann A. (1992)
J. Biol. Chem. 267, 2244-2250)。これは標識プレート上(すなわち、LB-X-Ga
lまたはマルトース添加マッコンキー培地)または選択培地上(唯一の炭素源と
してラクトースまたはマルトースを補充した最少培地)でスコアにすることがで
きる。
【0102】 さらに本発明は、本発明の方法によって同定される目的の分子に関する。
【0103】 本発明はまた、本発明の方法によって同定される、目的の分子と標的リガンド
との相互作用を刺激または阻害しうる物質に関する。
【0104】 本発明はまた、前記細菌マルチハイブリッド系が、 (a)酵素の第一断片に相当する第一キメラポリペプチド; (b)酵素の第二断片または前記酵素を活性化しうる調節物質に相当する第二
キメラポリペプチド;および (c)標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質、
を含み、前記第一断片は目的の分子に融合され、前記第二断片または前記調節物
質は標的リガンドに融合されており、前記酵素の活性が目的の前記分子と前記標
的リガンドとの相互作用によって回復して、シグナル増幅が行なわれる、本発明
によるシグナル増幅系であって、C.N.C.M.受託番号I−2309を有す
るBTH101株およびC.N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM
1株からなる群より選択される内因性アデニル酸シクラーゼ欠損細菌株をさらに
含む、シグナル増幅系に関する。
【0105】 また本発明は、細菌マルチハイブリッド系で形質転換されたベクターの集合体
であって、各ベクターが酵素の第一または第二断片をコードするポリヌクレオチ
ドに融合した、目的の分子をコードするポリヌクレオチドを含有するものである
前記ベクターの集合体を含有する、DNAライブラリーに関し;前記ポリヌクレ
オチドは、cDNA、RNA、ゲノムDNA、およびミトコンドリアDNAから
なる群より選択されるものである。好適な実施態様によれば、本発明によるDN
Aライブラリーは、C.N.C.M.受託番号I−2367を有するピロリ菌(
H. pylori)DNAライブラリーである。
【0106】 本発明はさらに、C.N.C.M. 受託番号I−2309を有するBTH1
01株およびC.N.C.M. 受託番号I−2310を有するDHM1株に関
する。
【0107】 概して、本発明は、PCT出願公開第99/28746号パンフレットに記載
されたDHP1株の限界を克服する新たな大腸菌Cyaの2株の構築および選択
に関する。新規な株であるDHM1およびBTH101は、安定なCya-表現
型を示す。DHM1はcya遺伝子内に約200bpの内部欠失を有する。一方
、BTH101はcya遺伝子内に特徴づけされていない突然変異を持ち、この
変異は、本株からCya+復帰突然変異体が分離されないことから、欠失の可能
性が高い。
【0108】 BTH101中における標準的なハイブリッドタンパク質間の機能的相補性は
、DHP1中におけるそれと同程度の効率であると思われた。また、DHM1中
における同じ標準的なハイブリッドタンパク質間の機能的相補性は、DHP1中
よりは効率が劣るものの、試験した全ての大腸菌cya-株の中でより一層大き
い。
【0109】 これら2つの菌株をピロリ菌の断片または完全オープンリーディングフレーム
の全ゲノムライブラリースクリーニングを行うための受容細胞として使用し、規
定した‘ベイト’タンパク質と相互作用しうるポリペプチドを探索した。これら
の結果は、これらの新菌株を使用すれば、細菌ツーハイブリッドスクリーニング
がタンパク質−タンパク質相互作用の大規模分析に適応できることを示している
【0110】 明細書の教示から明らかなように、本発明は上述した1または数例の詳細な実
施態様の範囲内に限定されない;本発明はまた、本発明の主題または範囲から逸
脱することなしに、当業者によって実施されるすべての選択肢を包含している。
【0111】参考文献 下記の刊行物を引用した。各刊行物の開示全体は信用に足るものであり、本明
細書中に参考文献として包含されている。 1. Galser, P., Roy, A., A. Danchin, 1989, J. Bacteriol., 171:5176-5178.
Molecular charactersization of two cya mutations, cya-854 and
cyaR1. 2. Karimova, G., J. Pidoux, A. Ullmann and D. Ladant, 1998, Proc. Natl.
Acad. Sci. U.S.A. 95:5725-5756. A bacterial two-hybrid system based on
a reconstituted signal transduction pathway. 3. Miller, J. H., 1972, Experiments in Molecular Genetics. 4. Wanner, B.L., 1986, J. Mol. Biol., 191:39-58. Novel regulatory mutan
ts of the phosphate regulon in Escherichia coli K-12. 5. Sancar, A., Rupp, W.D., 1979. Physical map of recA gene. Proc. Natl.
Acad. Sci. U.S.A. 76:3144-3148.
【図面の簡単な説明】
【図1】 異なる大腸菌cya株におけるzip−zip相互作用の結果を示す図である
。β−ガラクトシダーゼ活性が3つの異なる株、DHM1、BHT101および
DHP1で見られた。
【図2】 異なる菌株における相互作用の結果を示す図である。β−ガラクトシダーゼ活
性は、菌株DHM1およびBTH101で見られた。
【図3】 プラスミドpUT18CNewSfiのマップである。
【図4】 プラスミドpKT25NewSfiのマップである。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12N 1/21 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US, UZ,VN,YU,ZA,ZW (71)出願人 ハイブリジェニックス・ソシエテ・アノニ ム HYBRIGENICS S.A. フランス国、75012パリ、アブニュー・ド メスニル、180 (72)発明者 グゼル、カリモバ フランス国パリ、リュ、デュパン、11 (72)発明者 ダニエル、ラダン フランス国カシャン、リュ、ド、ランス、 3 (72)発明者 アニェ、ユルマン フランス国パリ、リュ、ポール、デュピュ イ、3 (72)発明者 リュック、セリッグ フランス国シャラントン、ル、ポン、リ ュ、ド、パリ、160ビス (72)発明者 ピエール、ルグラン フランス国パリ、リュ、ミゾン、5 Fターム(参考) 4B024 AA11 CA01 CA03 CA04 CA07 CA11 DA06 EA04 FA10 GA11 HA11 4B063 QA01 QA05 QQ06 QQ13 QQ43 QQ79 QR33 QR66 QR68 QR69 QR75 QR80 QS24 QS36 QX01 4B065 AA01X AA01Y AA26X AB01 AC10 AC20 BA02 BA25 BB16 CA46

Claims (49)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)酵素の第一断片に相当する第一キメラポリペプチド; (b)酵素の第二断片または前記酵素を活性化しうる調節物質に相当する第二
    キメラポリペプチド、 を含む、少なくとも2つのキメラポリペプチドの細菌マルチハイブリッド系を含
    んでなり、前記第一断片は目的の分子に融合され、前記第二断片または前記調節
    物質は標的リガンドに融合されており、前記酵素の活性が目的の前記分子と前記
    標的リガンドとのin vivo相互作用により回復して、シグナル増幅が行なわれる
    シグナル増幅系であって、 前記シグナル増幅がC.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH1
    01株およびC.N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株からな
    る群より選択される大腸菌(E. coli)株中で行われる、シグナル増幅系。
  2. 【請求項2】 前記酵素が、あらゆる起源からのアデニル酸シクラーゼおよびグアニル酸シク
    ラーゼからなる群より選択される酵素である、請求項1に記載のシグナル増幅系
  3. 【請求項3】 前記酵素が、アデニル酸シクラーゼ酵素の最初の400アミノ酸残基内に位置
    する、ボルデテラ属(Bordetella)のアデニル酸シクラーゼ(CyaA)の触媒
    ドメインである、請求項2に記載のシグナル増幅系。
  4. 【請求項4】 前記第一および第二断片が、前記酵素の活性を回復させることによってin vit
    roで前記酵素の天然アクチベーターと機能的に相互作用する、同酵素からの断片
    のいずれかの組み合わせである、請求項3に記載のシグナル増幅系。
  5. 【請求項5】 前記第一および第二断片が、 (a)CyaAの1番〜224番目のアミノ酸に相当する断片T25とCya
    Aの225番〜399番目のアミノ酸に相当する断片T18; (b)CyaAの1番〜224番目のアミノ酸に相当する断片とCyaAの2
    24番〜384番目のアミノ酸に相当する断片; (c)CyaAの1番〜137番目のアミノ酸に相当する断片とCyaAの1
    38番〜400番目のアミノ酸に相当する断片; (d)CyaAの1番〜317番目のアミノ酸に相当する断片とCyaAの3
    18番〜400番目のアミノ酸に相当する断片;および (e)Gタンパク質、フォルスコリン等の分子と会合する真核細胞のアデニル
    酸シクラーゼからの2つの断片、 からなる群より選択されるものである、請求項4に記載のシグナル増幅系。
  6. 【請求項6】 前記第一および第二断片が、百日咳菌CyaAの1番〜224番目のアミノ酸
    に相当する断片T25と、百日咳菌CyaAの225番〜399番目のアミノ酸
    に相当する断片T18である、請求項4または5に記載のシグナル増幅系。
  7. 【請求項7】 前記調節物質が、前記酵素の天然アクチベーターまたはその断片である、請求
    項1〜3のいずれか一項に記載のシグナル増幅系。
  8. 【請求項8】 前記天然アクチベーターがカルモジュリン(CaM)またはその断片であり、
    前記第一断片が野生型酵素に対して変異しているものである、請求項7に記載の
    シグナル増幅系。
  9. 【請求項9】 前記第一断片が、ボルデテラ属のアデニル酸シクラーゼ(CyaA)の触媒ド
    メインの変異断片である、請求項8に記載のシグナル増幅系。
  10. 【請求項10】 細菌マルチハイブリッド系で形質転換されたベクターの集合体であって、各ベ
    クターが酵素の第一または第二断片をコードするポリヌクレオチドに融合した、
    目的の分子をコードするポリヌクレオチドを含有するものである前記ベクターの
    集合体を含有する、DNAライブラリー。
  11. 【請求項11】 前記ポリヌクレオチドが、cDNA、RNA、ゲノムDNA、およびミトコン
    ドリアDNAからなる群より選択されるものである、請求項10に記載のDNA
    ライブラリー。
  12. 【請求項12】 ピロリ菌(H. pylori)のDNAライブラリーが、C.N.C.M.受託番号
    I−2367を有するものである、請求項10または11に記載のDNAライブ
    ラリー。
  13. 【請求項13】 目的の分子と標的リガンドとの相互作用が、請求項1〜9のいずれか一項に記
    載のシグナル増幅系を用い、シグナル増幅を生じさせて転写活性化または転写抑
    制を誘発することによって検出される、標的リガンドに結合しうる目的の分子の
    選択方法であって、 C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH101株およびC.N
    .C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株からなる群より選択される
    大腸菌(E. coli)株中で行われる、目的の分子の選択方法。
  14. 【請求項14】 前記シグナル増幅がシグナリング分子の生成に相当する、請求項13に記載の
    目的の分子の選択方法。
  15. 【請求項15】 前記転写活性化がリポーター遺伝子の発現をもたらす、請求項13に記載の目
    的の分子の選択方法。
  16. 【請求項16】 前記シグナル増幅系が、酵素の少なくとも2つの異なる断片の細菌マルチハイ
    ブリッド系を含んでなるものであり、前記酵素の活性が前記目的の分子と前記標
    的リガンドとの相互作用によって回復する、請求項13〜15のいずれか一項に
    記載の目的の分子の選択方法。
  17. 【請求項17】 前記シグナル増幅系が、少なくとも酵素の第一断片および調節物質の細菌マル
    チハイブリッド系を含んでなるものであり、前記酵素の活性が前記目的の分子と
    前記標的リガンドとの相互作用によって回復する、請求項13〜15のいずれか
    一項に記載の目的の分子の選択方法。
  18. 【請求項18】 前記標的リガンドが、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、受容体、リガン
    ド、抗原、抗体、DNA結合タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質および
    組換えタンパク質からなる群より選択されるものである、請求項13〜17のい
    ずれか一項に記載の目的の分子の選択方法。
  19. 【請求項19】 前記目的の分子が、前記標的リガンドと相互作用することができ、可能であれ
    ば前記標的リガンドに結合できるものである、請求項13〜18のいずれか一項
    に記載の目的の分子の選択方法。
  20. 【請求項20】 前記目的の分子と前記標的リガンドとの相互作用が、転写活性化を誘発するシ
    グナル増幅によって検出され、シグナリング分子の合成またはリポーター遺伝子
    の発現を測定することによって定量される、請求項13〜19のいずれか一項に
    記載の目的の分子の選択方法。
  21. 【請求項21】 前記シグナリング分子がcAMPの合成に相当するものである、請求項13〜
    20のいずれか一項に記載の目的の分子の選択方法。
  22. 【請求項22】 前記シグナリング分子がcGMPの合成に相当するものである、請求項16に
    記載の目的の分子の選択方法。
  23. 【請求項23】 前記リポーター遺伝子が、ラクトース、マルトースのような栄養マーカーをコ
    ードする遺伝子;アンピシリン、カナマイシンまたはテトラサイクリンのような
    抗生物質に対する耐性を付与する遺伝子;毒素をコードする遺伝子;グリーン蛍
    光タンパク(GFP)型の蛍光マーカーのような色素マーカー;ファージλ受容
    体、lamBのようなファージ受容体タンパク質またはその断片をコードする遺
    伝子;および選択可能な表現型を与える他のいずれかの遺伝子からなる群より選
    択されるものである、請求項15に記載の目的の分子の選択方法。
  24. 【請求項24】 前記目的の分子が既知の野生型分子に対する変異分子であり、前記目的の分子
    が、前記標的リガンドと相互作用する能力について試験される、請求項13〜2
    3のいずれか一項に記載の目的の分子の選択方法。
  25. 【請求項25】 前記選択がDHM1株中で行われる、請求項13〜25のいずれか一項に記載
    の目的の分子の選択方法。
  26. 【請求項26】 前記選択がBTH101株中で行われる、請求項13〜25のいずれか一項に
    記載の目的の分子の選択方法。
  27. 【請求項27】 目的の分子を選択するためのキットであって、 (a)請求項1〜9のいずれか一項に記載のシグナル増幅系; (b)C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH101株とC.
    N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株とからなる群より選択さ
    れる、内因性アデニル酸シクラーゼ欠損細菌株;および (c)唯一の炭素源としてラクトースもしくはマルトースを補充した最少培地
    のような指示培地または選択培地、抗生物質を含む培地、蛍光、発光を可視化す
    るための培地、X−GAL培地のような慣用的な培地、およびファージ受容体の
    存在による選別を可能とする培地からなる群より選択される、相補性の検出を可
    能とする培地、 を含んでなる、キット。
  28. 【請求項28】 目的の分子を選択するためのキットであって、 (a)目的の分子が既知の野生型分子に対する変異分子である、請求項1〜9
    のいずれか一項に記載のシグナル増幅系; (b)目的の分子が対照としての既知の野生型分子である、請求項1〜9のい
    ずれか一項に記載のシグナル増幅系; (c)C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH101株とC.
    N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株とからなる群より選択さ
    れる、内因性アデニル酸シクラーゼ欠損細菌株; (d)唯一の炭素源としてラクトースもしくはマルトースを補充した最少培地
    のような指示培地または選択培地、抗生物質を含む培地、蛍光、発光を可視化す
    るための培地、X−GAL培地のような慣用的な培地、および各シグナル増幅系
    についてファージ受容体の存在による選別を可能とする培地からなる群より選択
    される、相補性の検出を可能とする培地;および (e)変異分子でのシグナル増幅系が、野生型でのシグナル増幅系に対して、
    増強されるかまたは阻害されるかを検出する手段、 を含んでなる、キット。
  29. 【請求項29】 刺激活性または阻害活性が、それぞれ、請求項1〜9のいずれか一項に記載の
    シグナル増幅系を用いて、増幅を生じさせて、転写活性化を誘発するかまたは消
    失させることによって検出され、前記シグナル増幅および誘発されたかまたは消
    失した転写活性が、いずれの物質も含まない同一のシグナル増幅系から得られる
    ものと比較される、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害し
    うる物質のスクリーニング方法であって、 スクリーニングが、C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH1
    01株およびC.N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株からな
    る群より選択される大腸菌(E. coli)株中で行われる、スクリーニング方法。
  30. 【請求項30】 前記シグナル増幅系が、酵素の少なくとも2つの異なる断片の細菌マルチハイ
    ブリッド系を含んでなるものであり、前記酵素の活性が前記目的の分子と前記標
    的リガンドとの相互作用によって回復する、請求項29に記載の、標的リガンド
    と目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質のスクリーニング方法。
  31. 【請求項31】 前記シグナル増幅系が、少なくとも酵素の第一断片および調節物質の細菌マル
    チハイブリッド系を含んでなるものであり、前記酵素の活性が前記目的の分子と
    前記標的リガンドとの相互作用によって回復する、請求項29に記載の、標的リ
    ガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質のスクリーニング
    方法。
  32. 【請求項32】 前記シグナル増幅がシグナリング分子の生成に相当する、請求項29〜31の
    いずれか一項に記載の、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻
    害しうる物質のスクリーニング方法。
  33. 【請求項33】 前記シグナリング分子の生成に相当する前記シグナル増幅がブロックされるか
    または部分的に失われる、請求項29〜31のいずれか一項に記載の、標的リガ
    ンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質のスクリーニング方
    法。
  34. 【請求項34】 前記転写活性化がリポーター遺伝子の発現をもたらす、請求項29〜32のい
    ずれか一項に記載の、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害
    しうる物質のスクリーニング方法。
  35. 【請求項35】 リポーター遺伝子の発現をもたらす前記転写活性化がブロックされるかまたは
    部分的に失われる、請求項29〜31および請求項33のいずれか一項に記載の
    、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質のスクリ
    ーニング方法。
  36. 【請求項36】 前記標的リガンドが、受容体、リガンド、抗原、抗体、DNA結合タンパク質
    、糖タンパク質およびリポタンパク質からなる群より選択されるものである、請
    求項29〜35のいずれか一項に記載の、標的リガンドと目的の分子との相互作
    用を刺激または阻害しうる物質のスクリーニング方法。
  37. 【請求項37】 前記物質が、刺激または阻害親和性を有する、タンパク質、糖タンパク質、リ
    ポタンパク質、リガンド、および他のいずれかの薬物からなる群より選択される
    ものである、請求項29〜36のいずれか一項に記載の、標的リガンドと目的の
    分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質のスクリーニング方法。
  38. 【請求項38】 前記シグナリング分子がcAMPの合成に相当するものである、請求項32ま
    たは33に記載の、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害し
    うる物質のスクリーニング方法。
  39. 【請求項39】 前記シグナリング分子がcGMPの合成に相当するものである、請求項32ま
    たは33に記載の、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害し
    うる物質のスクリーニング方法。
  40. 【請求項40】 前記リポーター遺伝子が、ラクトース、マルトースのような栄養マーカーをコ
    ードする遺伝子;アンピシリン、カナマイシンまたはテトラサイクリンのような
    抗生物質に対する耐性を付与する遺伝子;毒素をコードする遺伝子;グリーン蛍
    光タンパク(GFP)型の蛍光マーカーのような色素マーカー;ファージλ受容
    体、lamBのようなファージ受容体タンパク質またはその断片をコードする遺
    伝子;および選択可能な表現型を与える他のいずれかの遺伝子からなる群より選
    択されるものである、請求項34または35に記載の、標的リガンドと目的の分
    子との相互作用を刺激または阻害しうる物質のスクリーニング方法。
  41. 【請求項41】 前記目的の分子が既知の野生型分子に対する変異分子であり、前記目的の分子
    が、前記標的リガンドと相互作用する能力について試験される、請求項29〜4
    0のいずれか一項に記載の、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激また
    は阻害しうる物質のスクリーニング方法。
  42. 【請求項42】 前記スクリーニングがDHM1株中で行われる、請求項29〜40のいずれか
    一項に記載の、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる
    物質のスクリーニング方法。
  43. 【請求項43】 前記スクリーニングがBTH101株中で行われる、請求項29〜41のいず
    れか一項に記載の、標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害し
    うる物質のスクリーニング方法。
  44. 【請求項44】 標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質をスクリ
    ーニングするためのキットであって、 (a)標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質を
    含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシグナル増幅系; (b)対照としていかなる物質も含まない、請求項1〜9のいずれか一項に記
    載のシグナル増幅系; (c)C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH101株および
    C.N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株からなる群より選択
    される、内因性アデニル酸シクラーゼ欠損細菌株; (d)唯一の炭素源としてラクトースもしくはマルトースを補充した最少培地
    のような指示プレートまたは選択培地、抗生物質を含む培地、蛍光を可視化する
    ための培地、慣用的な培地、およびファージ受容体の存在による選別を可能とす
    る培地からなる群より選択される、相補性の検出を可能とする培地;および (e)前記物質を含むシグナル増幅系が、いかなる物質をも含まないシグナル
    増幅系に対して、増強されるかまたは阻害されるかを検出する手段、 を含んでなる、キット。
  45. 【請求項45】 請求項13〜25のいずれか一項に記載の方法によって同定される、目的の分
    子。
  46. 【請求項46】 請求項29〜43のいずれか一項に記載の方法によって同定される、標的リガ
    ンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質。
  47. 【請求項47】 前記細菌マルチハイブリッド系が、 (a)酵素の第一断片に相当する第一キメラポリペプチド; (b)酵素の第二断片または前記酵素を活性化しうる調節物質に相当する第二
    キメラポリペプチド;および (c)標的リガンドと目的の分子との相互作用を刺激または阻害しうる物質、
    を含み、前記第一断片は目的の分子に融合され、前記第二断片または前記調節物
    質は標的リガンドに融合されており、前記酵素の活性が目的の前記分子と前記標
    的リガンドとの相互作用によって回復して、シグナル増幅が行なわれる、請求項
    1〜9のいずれか一項に記載のシグナル増幅系であって、 C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH101株およびC.N
    .C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株からなる群より選択される
    内因性アデニル酸シクラーゼ欠損細菌株をさらに含む、シグナル増幅系。
  48. 【請求項48】 C.N.C.M.受託番号I−2309を有するBTH101株。
  49. 【請求項49】 C.N.C.M.受託番号I−2310を有するDHM1株。
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