JP2003527116A - ヒト免疫応答タンパク質 - Google Patents

ヒト免疫応答タンパク質

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JP2003527116A JP2001567786A JP2001567786A JP2003527116A JP 2003527116 A JP2003527116 A JP 2003527116A JP 2001567786 A JP2001567786 A JP 2001567786A JP 2001567786 A JP2001567786 A JP 2001567786A JP 2003527116 A JP2003527116 A JP 2003527116A
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タング、ワイ・トム
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト免疫応答タンパク質(HIRP)と、HIRPを同定及びコードするポリヌクレオチドとを提供する。本発明はまた、発現ベクター、宿主細胞、抗体、アゴニスト、及びアンタゴニストを提供する。更に、本発明は、HIRPの異常発現に関連する疾患の診断・治療・予防方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、ヒト免疫応答タンパク質の核酸配列およびアミノ酸配列に関する。
本発明はまた、免疫疾患及び細胞増殖異常の診断・治療・予防におけるこれらの
配列の利用に関する。本発明はさらに、ヒト免疫応答タンパク質の核酸配列及び
アミノ酸配列の発現における外来性化合物の影響についての評価にも関する。
【0002】 (発明の背景) 全ての脊椎動物は、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、及び寄生虫感染、並
びに癌から身を守るため、精巧かつ複雑な免疫系を発達させてきた。このような
免疫系には、体液性免疫、補体カスケード、及び炎症反応が含まれる(Paul, W.
E. (1993) Fundamental Immunology, Raven Press, Ltd., New York NY pp. 1-
20を参照)。
【0003】 免疫系は、抗体産生及び細胞性反応の主に2つの方法で微生物の侵入に応答す
る。病原体を認識して破壊する細胞には、異なったタイプの白血球、すなわち単
球、リンパ球、好中球、好酸球、及び好塩基球が含まれる。好中球及び単球は、
侵入した細菌、ウイルス、及びその他の病原体を攻撃し、食作用によりそれらを
破壊する。単球は組織に侵入して極端に食作用性の高いマクロファージに分化す
る。リンパ球及び形質細胞は、特定の外来分子及び生物を認識してそれらを不活
化させ、また侵入物を攻撃するように他の細胞にシグナル伝達する免疫系の一部
である。白血球は、骨髄における2つの幹細胞系譜から成る。骨髄幹細胞系は顆
粒球及び単球を産生し、免疫幹細胞はリンパ球を産生する。免疫細胞は胸腺、脾
臓、及びリンパ節を移動し、そこで成熟しリンパ球に分化する。リンパ球のクラ
スであるTリンパ球及びBリンパ球は、T細胞及びB細胞とも呼ばれる。リンパ球の
成熟は、インターロイキンを含む様々な因子による制御を受ける。
【0004】 細胞性免疫応答には、感染或いは形質転換(癌化)細胞の表面の外来抗原に作
用するT細胞を含む。T細胞には主に2つのタイプがあり、その1つである細胞障
害性T細胞は抗原保持細胞を破壊し、もう1つのヘルパーT細胞はインターロイキ
ンなどの化学信号により他の白血球細胞を活性化させる。ヘルパー細胞の1つの
クラスであるT1は、摂取した微生物を破壊するためにマクロファージを活性化
し、もう1つのT2は、B細胞による抗体の産生を刺激する。
【0005】 抗体は、Bリンパ球により産生される免疫グロブリンタンパク質であって、特
定の抗原に結合して、その他の細胞によるその抗原の不活性化や破壊を促す。プ
ロトタイプの抗体は、2つの同一の重ポリペプチド鎖(H鎖)及び2つの同一の
軽ポリペプチド鎖(L鎖)から成る四量体であり、これらはジスルフィド結合に
より相互連結されている。この構造により、抗体分子が特徴的なY字型になって
いる。抗体は、H鎖の組成に基づいて分類される。IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM
の5つの抗体のクラスは、H鎖のタイプ即ちα、δ、ε、γ、及びμにより決定
される。2つのタイプのL鎖、すなわちκ及びλがあり、これらのいずれか一方
が任意のH鎖と結合して対を形成し得る。血中に見られる抗体の最も一般的なク
ラスであるIgGは四量体であり、抗体の他のクラスは、通常、この基本構造の変
異体或いは多量体である。
【0006】 H鎖及びL鎖はそれぞれ、N末端可変領域及びC末端定常領域を有する。この定常
領域は、L鎖の約110のアミノ酸及びH鎖の約330或いは440のアミノ酸か
ら成る。定常領域のアミノ酸配列は、特定のクラスのH鎖またはL鎖においてほと
んど同一である。可変領域は、H鎖及びL鎖それぞれの約110のアミノ酸から成
る。しかしながら、可変領域のアミノ酸配列は、特定のクラスのH鎖またはL鎖に
おいて異なっている。H鎖やL鎖のそれぞれの可変領域内には、それぞれが約5か
ら10のアミノ酸から成る配列多様性が極めて高い3つの超可変領域が存在する
。抗体分子では、H鎖及びL鎖超可変領域が1つになって抗体認識部位を形成する
。(Alberts, B.ら (1994) Molecular Biology of the Cell, Garland Publishi
ng, New York, NY, pp. 1206-1213及び1216-1217を参照) H鎖及びL鎖はそれぞれ、反復した免疫グロブリンドメインを有する。例えば、
典型的なH鎖は4つのIgドメインを含み、その内の3つは定常領域内に存在し、
残りの1つは可変領域内に存在して、抗原認識部位の形成に関係する。同様に、
典型的なL鎖は2つのIgドメインを含む。その内の1つは定常領域内に存在し、
もう1つは可変領域内に存在する。更に、μなどのH鎖はB細胞の分化時に他のポ
リペプチドと会合することが分かっている。
【0007】 宿主防御は、補体系により更に補強されている。補体系は、エフェクター系と
して作用し、感染因子の認識に関与する。補体系はまた、独立した免疫ネットワ
ークとして作用したり、他の体液性免疫応答と共に作用し得る。補体系は多数の
血漿タンパク質及び膜タンパク質からなり、これらは反応シークエンスのカスケ
ードにおいて作用する。このカスケードにより、1つの成分が次の成分を活性化
させて、免疫応答或いは食作用の増大の何れかにより感染に対して迅速かつ増幅
した応答が生成される。このカスケードの第1の要素C1は、C1q、C1r、及びC1s
サブユニットから成る。C1qが欠乏したヒトが感染症に懸かり易く、かつ自己免
疫疾患を非常に発症しやすいことから、C1q誘導性細胞応答は、宿主防御及び自
己免疫に対する保護に関与すると考えられている(Nicholson-Weller, A.及びKl
ickstein, L. B. (1999) Curr. Opin. Immunol. 11:42-46)。
【0008】 典型的な経路には、抗体が感染因子抗原に結合することが必要である。抗体は
標的を決定し、補体系カスケードを開始させ、最終的に感染因子が破壊される。
この経路では、抗体がこのプロセスの開始を誘導するため、補体を体液性免疫系
のエフェクターアーム(effector arm)と見なすことができる。
【0009】 補体系の別の経路は、感染因子の破壊をターゲッティングするために先在する
抗体を必要としない。むしろ、この経路は、低レベルの補体の活性化により常に
刺激され、非免疫系宿主の監視を行い、感染因子のターゲッティング及び破壊を
可能にする。この場合、外来物質によりカスケードが開始され、食作用または溶
解が促される(Paul, W. (1993) Fundamental Immunology Raven Press Ltd., N
ew York NY pp.918-919)。
【0010】 任意の1種類の白血球の過剰な存在或いは不足を起こす疾患は、全免疫防御系
に関わってくる。最もよく知られている自己免疫疾患は、AIDS(後天性免疫不全
症候群)である。この疾患により、ヘルパーT細胞の数が減少し、患者が微生物
または寄生虫に感染し易くなる。免疫無防備状態の患者は、癌のリスクも高まる
【0011】 白血球減少症または無顆粒球症は、骨髄が白血球の産生を停止すると起こる。
このような疾患に罹ると患者の体は、皮膚、粘膜、及び消化管に通常寄生してい
る微生物を含む外来微生物から保護されなくなる。食作用の障害が、単球白血病
、全身狼瘡、及び肉芽腫性疾患を含む様々な疾患に生じる。
【0012】 白血病は、体内の代謝リソースの大部分が白血球の増殖に費やされ、他の組織
が飢餓状態になるレベルまで白血球を過剰に産生する疾患である。骨髄性白血病
では、癌化した若い骨髄性細胞が骨髄から他の器官、特に、脾臓、肝臓、リンパ
節、及びその他の高度に血管化した領域に拡散する。通常は、余分に放出される
白血病細胞は、未成熟であって機能できず、分化しない。白血病は、放射線また
は毒性化学物質などの環境因子に曝されることによって、或いは遺伝子の異常に
より発病し得る。
【0013】 移植による拒絶反応及びアレルギーは、免疫応答を低下させることが好ましい
例である。インターロイキン活性は、特定の免疫応答において重要な役割を果た
し得る。IL-17のアンタゴニストが、心組織移植片の生存を高めることが報告さ
れた(Antonysamy, M. A.ら (1999) Transplant. Proc. 31:93)。
【0014】 新規のヒト免疫応答タンパク質、およびそれらをコードするポリヌクレオチド
の発見により、新規の組成物を提供することで当分野の要望に応えることができ
る。この新規の組成物は、免疫疾患及び細胞増殖異常の診断・治療・予防におい
て有用であり、また、ヒト免疫応答タンパク質の核酸配列及びアミノ酸配列の発
現における外来性化合物の影響についての評価にも有用である。
【0015】 (発明の要約) 本発明は、総称して「HIRP」、個別にはそれぞれ「HIRP-1」、「HIRP-2」、「
HIRP-3」、および「HIRP-4」と呼ぶヒト免疫応答タンパク質である精製されたポ
リペプチドを提供する。本発明の一実施態様では、(a)SEQ ID NO:1−4からな
る一群から選択されたアミノ酸配列と、(b)SEQ ID NO:1−4からなる一群から
選択されたアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列
と、(c)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的
に活性な断片と、(d)SEQ ID NO:1−4とからなる一群から選択されたアミノ酸
配列の免疫原性断片とで構成される一群から選択されたアミノ酸配列を含む単離
されたポリペプチドを提供する。別法では、SEQ ID NO:1−4のアミノ酸配列を含
む単離されたポリペプチドを提供する。
【0016】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配
列と、(b)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%
以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−4からな
る一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID N
O:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成される
一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離されたポ
リヌクレオチドを提供する。別法では、このポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1
−4からなる一群から選択されたポリペプチドをコードする。別法では、このポ
リヌクレオチドは、SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択される。
【0017】 更に、本発明は、(a)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸
配列と、(b)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90
%以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−4から
なる一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID
NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成され
る一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドと機能的に結合されたプロモーター配列を含む組換えポリヌクレオチドを
提供する。別法では、本発明は、この組換えポリヌクレオチドで形質転換された
細胞を提供する。更なる別法では、本発明は、この組換えポリヌクレオチドを含
む遺伝子組換え生物を提供する。
【0018】 また、本発明は、(a)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸
配列と、(b)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90
%以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−4から
なる一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID
NO:1−4とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成さ
れる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの生産方法を提供する
。この方法は、(a)このポリペプチドの発現に好適な条件下で、このポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドと機能的に結合されたプロモーター配列を含
む組換えポリヌクレオチドで形質転換された細胞を培養するステップと、(b)
このように発現したポリペプチドを回収するステップとを含む。
【0019】 更に、本発明は、(a)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸
配列と、(b)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90
%以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−4から
なる一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID
NO:1−4とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成さ
れる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合する単
離された抗体を提供する。
【0020】 更に、本発明は、(a)SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択されたポリヌク
レオチド配列と、(b)SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択されたポリヌクレ
オチド配列と90%以上の配列同一性を有する天然のポリヌクレオチド配列と、
(c)前記(a)に相補的なポリヌクレオチド配列と、(d)前記(b)に相補
的なポリヌクレオチド配列と、(e)前記(a)乃至(d)のRNA等化物とで構
成される一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレ
オチドを提供する。別法では、このポリヌクレオチドは、少なくとも60個の連
続するヌクレオチドを含む。
【0021】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択されたポリヌクレ
オチド配列と、(b)SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択されたポリヌクレオ
チド配列と90%以上の配列同一性を有する天然のポリヌクレオチド配列と、(
c)前記(a)に相補的なポリヌクレオチド配列と、(d)前記(b)に相補的
なポリヌクレオチド配列と、(e)前記(a)乃至(d)のRNA等化物とで構成
される一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を
有する標的ポリヌクレオチドをサンプルにおいて検出する方法を提供する。この
方法は、(a)前記サンプル内の標的ポリヌクレオチドと相補的な配列を含む少
なくとも20個の連続するヌクレオチドを含むプローブと前記サンプルをハイブ
リダイズさせるステップであって、前記プローブと前記標的ポリヌクレオチドま
たはその断片とでハイブリダイゼーション複合体が形成される条件下で、前記プ
ローブが前記標的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする、該ステップ
と、(b)前記ハイブリダイゼーション複合体が存在するか否かを検出し、存在
する場合には必要に応じてその収量を測定するステップとを含む。別法では、前
記プローブは、少なくとも60個の連続するヌクレオチドを含む。
【0022】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択されたポリヌクレ
オチド配列と、(b)SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択されたポリヌクレオ
チド配列と90%以上の配列同一性を有する天然のポリヌクレオチド配列と、(
c)前記(a)に相補的なポリヌクレオチド配列と、(d)前記(b)に相補的
なポリヌクレオチド配列と、(e)前記(a)乃至(d)のRNA等化物とで構成
される一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を
有する標的ポリヌクレオチドをサンプルにおいて検出する方法を提供する。この
方法は、(a)ポリメラーゼ連鎖反応増幅法を用いて、前記標的ポリヌクレオチ
ドまたはその断片を増幅するステップと、(b)増幅された前記標的ポリヌクレ
オチドまたはその断片が存在するか否かを検出し、存在する場合には必要に応じ
てその収量を測定するステップとを含む。
【0023】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配
列と、(b)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%
以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−4からな
る一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID N
O:1−4とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成され
る一群から選択されたアミノ酸配列を含む効果的な量のポリペプチド及び好適な
医薬用賦形剤を含む組成物を提供する。一実施例では、SEQ ID NO:1−4からなる
一群から選択されたアミノ酸配列を含む組成物を提供する。更に、本発明は、患
者にこの組成物を投与することを含む、機能的なHIRPの発現の低下に関連した疾
患やその症状の治療方法を提供する。
【0024】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配
列と、(b)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%
以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−4からな
る一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID N
O:1−4とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成され
る一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドのアゴニストとして効果
的な化合物をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、(a)このポリ
ペプチドを含むサンプルを化合物に暴露するステップと、(b)このサンプルの
アゴニスト活性を検出するステップとを含む。別法では、本発明は、この方法に
よって同定されたアゴニスト化合物と好適な医薬用賦形剤とを含む組成物を提供
する。更なる別法では、本発明は、この組成物の患者への投与を含む、機能的な
HIRPの発現の低下に関連した疾患やその症状の治療方法を提供する。
【0025】 更に、本発明は、(a)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸
配列と、(b)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90
%以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−4から
なる一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID
NO:1−4とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成さ
れる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドのアンタゴニストとし
て効果的な化合物をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、(a)こ
のポリペプチドを含むサンプルを化合物に暴露するステップと、(b)このサン
プルのアンタゴニスト活性を検出するステップとを含む。別法では、本発明は、
この方法によって同定されたアンタゴニスト化合物と好適な医薬用賦形剤とを含
む組成物を提供する。更なる別法では、本発明は、この組成物の患者への投与を
含む、機能的なHIRPの過剰な発現に関連した疾患やその症状の治療方法を提供す
る。
【0026】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配
列と、(b)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%
以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−4からな
る一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID N
O:1−4とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成され
る一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合する化合
物をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、(a)このポリペプチド
を好適な条件下で少なくとも1つの化合物と結合させるステップと、(b)この
ポリペプチドとこの試験化合物との結合を検出して、このポリペプチドと特異的
に結合する化合物を同定するステップとを含む。
【0027】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配
列と、(b)SEQ ID NO:1−4からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%
以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−4からな
る一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID N
O:1−4とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成され
る一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの活性を調節する化合物
をスクリーニングする方法を提供する。このスクリーニング方法は、(a)この
ポリペプチドを、その活性が許容される条件下で少なくとも1つの化合物と結合
させるステップと、(b)この試験化合物の存在下でのこのポリペプチドの活性
を評価するステップと、(c)この試験化合物の存在下でのこのポリペプチドの
活性と、この試験化合物の非存在下でのこのポリペプチドの活性とを比較するス
テップとを含み、この試験化合物の存在下でのこのポリペプチドの活性の変化が
、このポリペプチドの活性を調節する化合物の存在を示唆するという特徴を有す
る。
【0028】 更に本発明は、SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択された配列を含む標的ポ
リヌクレオチドの発現を変化させるのに効果的な化合物をスクリーニングする方
法であって、(a)この標的ポリヌクレオチドを含むサンプルを化合物に暴露す
るステップと、(b)この標的ポリヌクレオチドの発現の変化を検出するステッ
プとを含む、該スクリーニング方法を提供する。
【0029】 本発明はさらに、試験化合物の毒性を評価する方法を提供する。この方法は、
(a)核酸を含む生体サンプルを前記試験化合物で処理するステップと、(b)
処理した前記生体サンプルの核酸をプローブとハイブリダイズするステップと、
(c)ハイブリダイゼーション複合体の収量を測定するステップと、(d)前記
処理した生体サンプルにおけるハイブリダイゼーション複合体の収量を、未処理
の生体サンプルにおけるハイブリダイゼーション複合体の収量とを比較するステ
ップとを含み、前記処理した生体サンプルにおけるハイブリダイゼーション複合
体の収量の差異が試験化合物の毒性を示唆する。この方法における前記プローブ
は、(1)SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択されたポリヌクレオチド配列と
、(2)SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択されたポリヌクレオチド配列と少
なくとも90%の配列同一性を有する天然のポリヌクレオチド配列と、(3)前
記(1)に相補的なポリヌクレオチド配列と、(4)前記(2)に相補的なポリ
ヌクレオチド配列と、(5)前記(1)乃至(4)のRNA等価物とで構成される
一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの連続する少
なくとも20個のヌクレオチドを含む。また、前記ハイブリダイゼーションは、
前記プローブと前記生体サンプルの標的ポリヌクレオチドとの間で特異的なハイ
ブリダイゼーション複合体が形成される条件下で行わる。また、前記標的ポリヌ
クレオチドが、(1)SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択されたポリヌクレオ
チド配列と、(2)SEQ ID NO:5−8からなる一群から選択されたポリヌクレオチ
ド配列と少なくとも90%の配列同一性を有する天然のポリヌクレオチド配列と
、(3)前記(1)に相補的なポリヌクレオチド配列と、(4)前記(2)に相
補的なポリヌクレオチド配列と、(5)前記(1)乃至(5)のRNA等価物とを
含む。代替的に前記標的ポリヌクレオチドは前記ポリヌクレオチド配列の断片で
ある。
【0030】 (本発明の記載について) 本発明のタンパク質及び核酸配列、方法について説明する前に、本発明は、こ
こに開示した特定の装置及び材料、方法に限定されず、その実施形態を変更でき
ることを理解されたい。また、ここで用いられる用語は、特定の実施例のみを説
明する目的で用いられたものであり、後述の請求の範囲によってのみ限定され、
本発明の範囲を限定することを意図したものではないということも理解されたい
【0031】 本明細書及び請求の範囲において単数形を表す「或る」、「その(この等)」
は、文脈で明確に示していない場合は複数形を含むことに注意されたい。従って
、例えば「或る宿主細胞」は複数の宿主細胞を含み、その「抗体」は複数の抗体
は含まれ、当業者には周知の等価物なども含まれる。
【0032】 本明細書で用いた全ての科学技術用語は、別の方法で定義されていない限り、
本発明の属する技術分野の一般的な技術者が普通に解釈する意味と同じである。
本明細書で記述したものと類似、或いは同等の全ての装置及び材料、方法は本発
明の実施及びテストに使用できるが、好適な装置及び材料、方法をここに記す。
本明細書に記載の全ての文献は、本発明に関連して使用する可能性のある文献に
記載された細胞系、プロトコル、試薬、ベクターを記述し開示するために引用し
た。従来の発明を引用したからと言って、本発明の新規性が損なわれると解釈さ
れるものではない。
【0033】 (定義) 用語「HIRP」は、天然、合成、半合成或いは組換え体など全ての種(特にウシ
、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマ及びヒトを含む哺乳動物)から得られる実質的に
精製されたHIRPのアミノ酸配列を指す。
【0034】 用語「アゴニスト」は、HIRPの生物学的活性を強める、或いは模倣する分子を
指す。このアゴニストは、HIRPに直接相互作用するか、或いはHIRPが関与する生
物学的経路の成分と作用して、HIRPの活性を調節するタンパク質、核酸、糖質、
小分子、任意の他の化合物や組成物を含み得る。
【0035】 用語「アレル変異配列」は、HIRPをコードする遺伝子の別の形を指す。アレル
変異配列は、核酸配列における少なくとも1つの変異によって生じ、変異mRNA若
しくは変異ポリペプチドになり、これらの構造や機能は変わる場合もあれば変わ
らない場合もある。ある遺伝子は、天然型のアレル変異配列が存在しないもの、
1つ或いは多数存在するものがある。一般にアレル変異配列を生じる変異は、ヌ
クレオチドの自然な欠失、付加、或いは置換による。これらの各変異は、単独或
いは他の変異と同時に起こり、所定の配列内で一回或いはそれ以上生じる。
【0036】 HIRPをコードする「変異」核酸配列は、様々なヌクレオチドの欠失、挿入、或
いは置換が起こっても、HIRPと同じポリペプチド或いはHIRPの機能特性の少なく
とも1つを備えるポリペプチドを指す。この定義には、HIRPをコードするポリヌ
クレオチド配列の正常な染色体の遺伝子座ではない位置でのアレル変異配列との
不適当或いは予期しないハイブリダイゼーション、並びにHIRPをコードするポリ
ヌクレオチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いて容易に検出可能な或
いは検出困難な多形性を含む。コードされたタンパク質も変異され得り、サイレ
ント変化を生じHIRPと機能的に等価となるアミノ酸残基の欠失、挿入、或いは置
換を含み得る。意図的なアミノ酸置換は、生物学的或いは免疫学的にHIRPの活性
が保持される範囲で、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/また
は両親媒性についての類似性に基づいて成され得る。例えば、負に荷電したアミ
ノ酸にはアスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ、正に荷電したアミノ酸には
リシン及びアルギニンが含まれ得る。類似の親水性の値をもち極性非荷電側鎖を
有するアミノ酸には、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニンが含まれ
得る。類似の親水性の値をもち非荷電側鎖を有するアミノ酸には、ロイシン、イ
ソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン及びチロシンが含
まれ得る。
【0037】 用語「アミノ酸」及び「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリ
ペプチド、タンパク質配列、或いはそれらの任意の断片を指し、天然の分子及び
合成分子を含む。「アミノ酸配列」が天然のタンパク質分子の配列を指す場合、
「アミノ酸配列」及び類似の用語は、アミノ酸配列を記載したタンパク質分子に
関連する完全で元のままのアミノ酸配列に限定するものではない。
【0038】 用語「増幅」は、核酸配列の複製物を作製することに関連する。一般に増幅は
、この技術分野で周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術によって行われる。
【0039】 用語「アンタゴニスト」は、HIRPの生物学的活性を阻害或いは減弱する分子で
ある。アンタゴニストは、HIRPに直接相互作用するか、或いはHIRPが関与する生
物学的経路の成分と作用して、HIRPの活性を調節する抗体、核酸、糖質、小分子
、任意の他の化合物や組成物などのタンパク質を含み得る。
【0040】 用語「抗体」は、抗原決定基と結合可能なFab及びF(ab')2、及びそれらの断片
、Fv断片などの無傷の分子を指す。HIRPポリペプチドと結合する抗体は、抗体を
免疫する小ペプチドを含む無傷の分子またはその断片を用いて作製可能である。
動物(例えば、マウス、ラット、若しくはウサギ)を免疫化するのに使用される
ポリペプチド或いはオリゴペプチドは、RNAの翻訳から、或いは化学的に合成可
能であり、必要に応じて担体タンパク質と結合させることも可能である。ペプチ
ドと化学的に結合した一般に用いられる担体は、ウシ血清アルブミン、チログロ
ブリン、及びキーホールリンペットヘモニアン(KLH)を含む。次ぎに、この結
合したペプチドを用いて動物を免疫化する。
【0041】 用語「抗原決定基」は、特定の抗体と接触する分子の領域(即ちエピトープ)
を指す。タンパク質或いはタンパク質の断片が、宿主動物を免疫化するのに用い
られるとき、このタンパク質の種々の領域は、抗原決定基(タンパク質上の特定
の領域或いは三次元構造体)に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得る。抗原
決定基は、抗体と結合するために無傷の抗原(即ち、免疫応答を引き出すために
用いられる免疫原)と競合し得る。
【0042】 本明細書において「アンチセンス」は、特定の核酸配列のセンス(コーディン
グ)鎖と塩基対を形成し得る任意の組成物を指す。アンチセンス成分には、DNA
と、RNAと、ペプチド核酸(PNA)と、ホスホロチオネートやメチルホスホネート
、ベンジルホスホネート(benzylphosphonate)などの修飾された骨格(backbon
e linkage)を有するオリゴヌクレオチドと、2'-メトキシエチル糖または2'-メ
トキシエトキシ糖などの修飾された糖を有するオリゴヌクレオチドと、5-メチル
シトシンまたは2'-deoxyuracil、7-deaza-2'-deoxyguanosineなどの修飾された
塩基を有するオリゴヌクレオチドを含み得る。アンチセンス分子は、化学合成や
転写を含む任意の方法で作り出すことができる。相補的アンチセンス分子は、一
度細胞に導入されると、細胞によって作られた天然の核酸配列と塩基対となって
二重鎖を形成し、転写や翻訳を阻害する。「負」または「マイナス」という表現
はアンチセンス鎖であり、「正」または「プラス」という表現はセンス鎖である
【0043】 用語「生物学的に活性」は、天然分子の構造的、調節的、或いは生化学的な機
能を有するタンパク質を指す。同様に、用語「免疫学的に活性」または「免疫原
性」は、天然或いは組換え体のHIRP、合成のHIRPまたはそれらの任意のオリゴペ
プチドが、適当な動物或いは細胞の特定の免疫応答を誘発して特定の抗体と結合
する能力を指す。
【0044】 用語「相補的」は、塩基対合によってアニールする2つの一本鎖核酸配列間の
関係を指す。例えば、配列「5'AGT3'」が相補的な配列「3'TCA5'」と
対をなす。
【0045】 「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」または「所定のアミノ酸配列を
含む組成物」は広い意味で、所定のヌクレオチド配列若しくはアミノ酸配列を含
む任意の組成物を指す。この組成物は、乾燥した製剤或いは水溶液を含み得る。
HIRP若しくはHIRPの断片をコードするポリヌクレオチド配列を含む組成物は、ハ
イブリダイゼーションプローブとして使用され得る。このプローブは、凍結乾燥
状態で保存可能であり、糖質などの安定化剤と結合させることが可能である。ハ
イブリダイゼーションにおいて、プローブは、塩(例えば、NaCl)及び界面活性
剤(例えば、SDS:ドデシル硫酸ナトリウム)、その他の物質(例えば、デンハ
ート液、乾燥ミルク、サケ精子DNAなど)を含む水溶液に展開され得る。
【0046】 「コンセンサス配列」は、不要な塩基を分離するためにDNA配列の解析を繰り
返し行い、XL-PCRキット(PE Biosystems,Foster City CA)を用いて5'及び/
または3'の方向に伸長され、再度シークエンシングされた核酸配列、またはGEL
VIEW 断片構築システム(GCG, Madison, WI)またはPhrap (University of Wash
ington, Seattle WA)等の断片構築用のコンピュータプログラムを用いて1つ或
いはそれ以上の重複するcDNAやEST、またはゲノムDNA断片から構築された核酸配
列を指す。伸長及び重複の両方によって構築されるコンセンサス配列もある。
【0047】 用語「保存的なアミノ酸置換」は、元のタンパク質の特性を殆ど変えない置換
を指す。即ち、置換によってそのタンパク質の構造や機能が大きくは変わらず、
そのタンパク質の構造、特にその機能が保存される。以下に、あるタンパク質の
元のアミノ酸が別のアミノ酸に置換される保存的なアミノ酸置換を示す。 元の残基 保存的な置換 Ala Gly, Set Arg His, Lys Asn Asp, Gln, His Asp Asn, Glu Cys Ala, Ser Gln Asn, Glu, His Glu Asp, Gln, His Gly Ala His Asn, Arg, Gln, Glu Ile Leu, Val Leu Ile, Val Lys Arg, Gln, Glu Met Leu, Ile Phe His, Met, Leu, Trp, Tyr Ser Cys, Thr Thr Ser, Val Trp Phe, Tyr Tyr His, Phe, Trp Val Ile. Leu, Thr 一般に、保存されたアミノ酸置換の場合は、a)置換された領域のポリペプチ
ドの骨格構造、例えば、βシートやαヘリックス高次構造、b)置換された部位
の分子の電荷または疎水性、及び/または、c)側鎖の大半が維持される。
【0048】 用語「欠失」は、1個以上のアミノ酸残基が欠如するアミノ酸配列の変化、或
いは1個以上のヌクレオチドが欠如する核酸配列の変化を指す。
【0049】 用語「誘導体」は、化学修飾されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指
す。ポリヌクレオチド配列の化学修飾には、例えば、アルキル基、アシル基、ヒ
ドロキシル基、或いはアミノ基による水素の置換がある。誘導体ポリヌクレオチ
ドは、自然分子(未修飾の分子)の生物学的或いは免疫学的機能の少なくとも1
つを維持するポリペプチドをコードする。誘導体ポリペプチドとは、もとのポリ
ペプチドの生物学的機能、或いは免疫学的機能の少なくとも1つを維持する、グ
リコシル化、ポリエチレングリコール化、或いは任意の同様のプロセスによって
修飾されたポリペプチドのことである。
【0050】 「検出可能な標識」は、測定可能な信号を生成し得る、ポリヌクレオチドやポ
リペプチドに共有結合或いは非共有結合するレポーター分子や酵素を指す。
【0051】 用語「断片」は、HIRPまたはHIRPをコードするポリヌクレオチドの固有の部分
であって、その親配列(parent sequence)と同一であるがその配列より長さが
短いものを指す。「断片」の最大の長さは、親配列から1つのヌクレオチド/ア
ミノ酸残基を差し引いた長さである。例えば、ある断片は、5〜1000個の連
続するヌクレオチド或いはアミノ酸残基を含む。プローブ、プライマー、抗原、
治療用分子、またはその他の目的に用いる断片は、少なくとも5、10、15、
16、20、25、30、40、50、60、75、100、150、250若
しくは500個の連続するヌクレオチド或いはアミノ酸残基の長さである。断片
は、優先的に分子の特定の領域から選択される場合もある。例えば、ポリペプチ
ド断片は、所定の配列に示された最初の250若しくは500のアミノ酸(或い
は、ポリペプチドの最初の25%または50%)から選択された連続するアミノ
酸の所定の長さを含み得る。これらの長さは一例であり、配列表及び表、図面を
含む明細書に記載の任意の長さが、本発明の実施例に含まれ得る。
【0052】 SEQ ID NO:5−8の断片は、例えば、この断片を得たゲノム内の他の配列とは異
なる、SEQ ID NO:5−8を明確に同定する固有のポリヌクレオチド配列の領域を含
む。SEQ ID NO:5−8のある断片は、例えば、ハイブリダイゼーションや増幅技術
、またはSEQ ID NO:5−8を関連ポリヌクレオチド配列から区別する類似の方法に
有用である。ある断片と一致するSEQ ID NO:5−8の正確な断片の長さや領域は、
その断片の目的に基づいて当分野で一般的な技術によって日常的に測定できる。
【0053】 SEQ ID NO:1−4のある断片は、SEQ ID NO:5−8のある断片によってコードされ
る。SEQ ID NO:1−4のある断片は、SEQ ID NO:1−4を特異的に同定する固有のア
ミノ酸配列の領域を含む。例えば、SEQ ID NO:1−4のある断片は、SEQ ID NO:1
−4を特異的に認識する抗体の開発における免疫原性ペプチドとして有用である
。ある断片と一致するSEQ ID NO:1−4の正確な断片の長さや領域は、その断片の
目的に基づいて当分野で一般的な技術によって日常的に決定できる。
【0054】 「完全長」ポリヌクレオチド配列とは、少なくとも1つの翻訳開始コドン(例
えばメチオニン)、それに続くオープンリーディングフレーム及び翻訳終止コド
ンを有する配列である。「完全長」ポリヌクレオチド配列は、「完全長」ポリペ
プチド配列をコードする。
【0055】 「相同性」は、2つ以上のポリヌクレオチド配列間または2つ以上のポリペプ
チド配列間の配列類似性である。この配列類似性は配列同一性と言い換えること
ができる。
【0056】 ポリヌクレオチド配列についての用語「パーセントの同一性」または「%の同
一性」とは、標準化されたアルゴリズムを用いてアラインメントされる、2つ以
上のポリヌクレオチド配列間の一致する残基の百分率のことである。このような
アルゴリズムは、標準化され再現できる方法で、2つの配列間のアラインメント
を最適化するべく、配列にギャップを挿入して、より意味をもつ2つの配列間の
比較を行うことができる。
【0057】 ポリヌクレオチド配列間の同一性のパーセントは、MEGALIGN version 3.12e配
列アラインメントプログラムに組込まれるCLUSTAL Vアルゴリズムのデフォルト
パラメータを用いて決定可能である。このプログラムはLASERGENEソフトウェア
パッケージの一部であり、分子生物学分析プログラム一式(DNASTAR, Madison W
I)である。このCLUSTAL Vは、Higgins, D.G. 及び P.M. Sharp (1989) CABIOS
5:151-153、Higgins, D.G. 他 (1992) CABIOS 8:189-191に記載されている。ポ
リヌクレオチド配列の対のアライメントの場合、デフォルトパラメータは、Ktup
le=2、gap penalty=5、window=4、「diagonals saved」=4と設定する。「重み付
けされた」残基重み付け表が、デフォルトとして選択された。同一性のパーセン
トは、アラインメントされたポリヌクレオチド配列間の「類似性のパーセント」
としてCLUSTAL Vによって報告される。
【0058】 別法では、National Center for Biotechnology Information (NCBI) Basic L
ocal Alignment Search Tool (BLAST) (Altschul, S.F. 他 (1990) J. Mol. Bio
l. 215:403-410)が提供する、広く用いられている無料の配列比較アルゴリズム
一式が、NCBI(Bethesda、MD)を含む幾つかのソース及びインターネット(http
://WWW.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)で入手可能である。このBLASTソフトウェア
一式には、既知のポリヌクレオチド配列と様々なデータベースの別のポリヌクレ
オチド配列とのアラインメントに用いられる「blastn」を含む、様々な配列分析
プログラムが含まれる。「BLAST 2 Sequences」と呼ばれるツールが入手可能で
あり、2つのヌクレオチド配列の対を直接比較するために用いられる。「BLAST
2 Sequences」は、http://WWW.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/b12.htmlにアクセスして
、対話形式で利用ができる。「BLAST 2 Sequences」ツールは、blastn 及び bla
stp(以下に記載)の両方に用いることができる。BLASTプログラムは、一般的に
は、デフォルトを設定するギャップ及び他のパラメータと共に用いられる。例え
ば、2つのヌクレオチド配列を比較する場合、ある者は、デフォルトパラメータ
に設定された「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.12 (April-21-2000)でb
lastnを使用するであろう。そのようなデフォルトパラメータは、例えば、以下
のようにする。
【0059】 Matrix: BLOSUM62 Reward for match: 1 Penalty for mismatch: -2 Open Gap: 5 及び Extension Gap: 2 penalties Gap x drop-off: 50 Expect: 10 Word Size: 11 Filter: on 同一性のパーセントは、例えば、特定の配列番号で決められた、所定の配列の
全長に対して測定してもよいし、それより短い長さに対して、例えば、ある大き
な所定の配列から得られた断片、例えば、連続する少なくとも、20または30
、40、50、70、100、200のヌクレオチドの断片の長さに対して測定
してもよい。このような長さは単なる例であり、配列表及び表、図面を含む明細
書に記載の配列の任意の長さの断片を用いて、同一性のパーセントが測定される
長さを示すことができる。
【0060】 高い同一性を示さない核酸配列でも、遺伝子コードの縮重によって類似のアミ
ノ酸配列をコードし得る。縮重を利用して核酸配列を変え、それぞれが実質的に
同じタンパク質をコードする様々な核酸配列を作製できることを理解されたい。
【0061】 ポリペプチド配列に用いられる用語「パーセントの同一性」または「%の同一
性」とは、標準化されたアルゴリズムを用いてアラインメントされる2つ以上の
ポリペプチド配列間の一致する残基の百分率のことである。ポリペプチド配列ア
ラインメントの方法は周知である。アラインメント方法の中には、保存的なアミ
ノ酸置換を考慮したものもある。詳細に上述したこのような保存的な置換は、一
般に、置換部位の電荷や疎水性が保存され、ポリペプチドの構造(従って機能も
)が保存される。
【0062】 ポリペプチド配列間の同一性のパーセントは、MEGALIGN バージョン3.12e配列
アラインメントプログラム(上記)に組込まれるCLUSTAL Vアルゴリズムのデフ
ォルトパラメータを用いて決定可能である。CLUSTAL Vを用いる対方式のポリぺ
プチド配列のアライメントの場合、デフォルトパラメータは、Ktuple=1、gap pe
nalty=3、window=5、及び「diagonals saved」=5と設定する。PAM250マトリクス
が、デフォルトの残基重み付け表として選択される。ポリヌクレオチドアライン
メントと同様に、アラインメントされたポリペプチド配列の対の同一性のパーセ
ントは、「類似性のパーセント」としてCLUSTAL Vによって報告される。
【0063】 別法では、NCBI BLASTソフトウェア一式が用いられる。例えば、2つのポリペ
プチド配列を対で比較をする場合、ある者は、デフォルトパラメータで設定され
た「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.12 (Apr-21-2000)でblastpを使用
するであろう。そのようなデフォルトパラメータは、例えば、以下のようにする
【0064】 Matrix: BLOSUM62 Open Gap: 11 及び Extension Gap: 1 penalties Gap x drop-off: 50 Expect: 10 Word Size: 3 Filter: on 同一性のパーセントは、例えば、特定の配列番号で決められた、所定のポリペ
プチド配列の全長に対して測定してもよいし、それより短い長さに対して、例え
ば、ある大きな所定のポリペプチド配列から得られた断片、例えば、連続する少
なくとも15、20または30、40、50、70、150の残基の断片の長さ
に対して測定してもよい。このような長さは単なる例であり、配列表及び表、図
面を含む明細書に記載の配列の任意の長さの断片を用いて、同一性のパーセント
が測定される長さを示すことができる。
【0065】 「ヒト人工染色体(HAC)」は、約6kb(キロベース)〜10MbのサイズのDNA
配列を含み得る、安定した有糸分裂染色体の分離及び維持に必要な全てのエレメ
ントを含む直鎖状の小染色体である。
【0066】 用語「ヒト化抗体」は、もとの結合能力を保持しつつよりヒトの抗体に似せる
ために、非抗原結合領域のアミノ酸配列が変えられた抗体分子を指す。
【0067】 「ハイブリダイゼーション」とは、所定のハイブリダイゼーション条件下で、
ある一本鎖ポリヌクレオチドがある相補的な一本鎖と塩基対を形成するアニーリ
ングのプロセスである。特異的なハイブリダイゼーションとは、2つの核酸配列
が高い相同性を有することを意味する。アニーリングが許容される条件下で、特
異的なハイブリダイゼーション複合体が形成され、洗浄過程の後もハイブリダイ
ズしたままである。洗浄過程は、ハイブリダイゼーションプロセスの厳密性即ち
ストリンジェンシー(stringency)の決定において特に重要であり、よりストリ
ンジェントな条件では、非特異的な結合、即ち完全には一致しない核酸鎖間の対
の結合が減少する。核酸配列間のアニーリングが許容される条件は、当業者によ
って日常的に決定され、ハイブリダイゼーションの間は一定であるが、洗浄過程
は、目的のストリンジェンシーにするためにその最中に条件の変更が可能であり
、ハイブリダイゼーション特異性が得られる。アニーリングが許容される条件は
、例えば、温度が68℃で、約6×SSC、約1%(w/v)のSDS、並びに約100
μg/mlのせん断して変性したサケ精子DNAが含まれる。
【0068】 一般に、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、洗浄過程を行う際
の温度によっても左右される。この洗浄温度は通常、所定のイオン強度とpHに
おける特定の配列の熱融点(Tm)より約5〜20℃低く選択される。このTmは、
(所定のイオン強度とpHの下)標的の配列の50%が完全に一致するプローブ
とハイブリダイズする温度である。Tmを計算する式及び核酸のハイブリダイゼー
ションの条件は、周知であり、Sambrook, J. 他による, 1989, Molecular Cloni ng: A Laboratory Manual , 第2版の1-3巻, Cold Spring Harbor Press, Plainvi
ew NY; 特に2巻の9章に記載されている。
【0069】 本発明のポリヌクレオチド間の高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーシ
ョンでは、約0.2x SSC及び約1%のSDSの存在の下、約68℃で1時間の洗浄
過程を含む。別法では、65℃、60℃、55℃、42℃の温度で行う。SSCの
濃度は、約0.1%のSDSが存在の下、約0.1〜2x SSCの範囲である。通常は
、ブロッキング試薬を用いて非特異的なハイブリダイゼーションを阻止する。こ
のようなブロッキング試薬には、例えば、約100〜200μg/mlの切断さ
れ変性したサケ精子DNAが含まれる。約35〜50%v/vの濃度のホルムアミドな
どの有機溶剤が、例えば、RNAとDNAのハイブリダイゼーションなどの特定の場合
に用いることができる。これらの洗浄条件の有用な改変は、当業者には周知であ
る。特に高いストリンジェントな条件でのハイブリダイゼーションは、ヌクレオ
チド間の進化における類似性を示唆し得る。このような類似性は、それらのヌク
レオチド及びコードされたポリペプチドが類似の役割を果たしていることを強く
示唆する。
【0070】 用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的な塩基間の水素結合によっ
て、形成された2つの核酸配列の複合体を指す。ハイブリダイゼーション複合体
は溶液中(例えば、CtまたはRt分析)で形成されるか、或いは溶液中の
1つの核酸配列と固体の支持物(例えば、紙、膜、フィルタ、チップ、ピン、或
いはスライドガラス、または細胞及びその核酸を固定する任意の適当な基板)に
固定されたもう一つの核酸配列とで形成され得る。
【0071】 用語「挿入」或いは「付加」は、1個以上のアミノ酸残基或いはヌクレオチド
がそれぞれ追加されるアミノ酸配列或いは核酸配列の変化を指す。
【0072】 「免疫応答」は、炎症性疾患及び外傷、免疫異常、感染症、遺伝病などに関連
する症状を指す。これらの症状は、細胞系及び全身防衛系に影響を及ぼすサイト
カイン及びケモカイン、別の情報伝達分子などの様々な因子の発現という特徴を
もつ。
【0073】 用語「免疫原性断片」は、例えば哺乳動物などの生きている動物に導入すると
、免疫反応を引き起こすHIRPのポリペプチド断片またはオリゴペプチド断片を指
す。用語「免疫原性断片」はまた、本明細書で開示するまたは当分野で周知のあ
らゆる抗体生産方法に有用なHIRPのポリペプチド断片またはオリゴペプチド断片
を含む。
【0074】 用語「マイクロアレイ」は、基質上の複数のポリヌクレオチド、ポリペプチド
またはその他の化合物の構成を指す。
【0075】 用語「エレメント」または「アレイエレメント」は、マイクロアレイ上に固有
の指定された位置を有する、ポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはその他の化
合物を指す。
【0076】 用語「調節」は、HIRPの活性の変化を指す。例えば、調節によって、HIRPのタ
ンパク質活性、或いは結合特性、またはその他の生物学的特性、機能的特性或い
は免疫学的特性の変化が起こる。
【0077】 用語「核酸」及び「核酸配列」は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリ
ヌクレオチド、或いはそれらの断片を指し、一本鎖若しくは二本鎖であって、セ
ンス鎖或いはアンチセンス鎖であるゲノム起源若しくは合成起源のDNA或いはRNA
、ペプチド核酸(PNA)、任意のDNA様物質、及びRNA様物質である。
【0078】 「機能的に結合した」は、第1の核酸配列と第2の核酸配列が機能的な関係に
ある状態を指す。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を
与える場合、そのプロモーターはそのコード配列に機能的に結合している。一般
に、機能的に結合したDNA配列は、同じ読み枠内で2つのタンパク質をコードす
る領域が結合する必要がある場合は、非常に近接或いは連続する。
【0079】 「ペプチド核酸(PNA)」は、末端がリシンで終わるアミノ酸残基のペプチド
骨格に結合した、少なくとも約5ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドを含
む、アンチセンス分子または抗遺伝子剤を指す。この末端のリシンにより、この
組成物が溶解性となる。PNAは、相補的な一本鎖DNAやRNAに優先的に結合して転
写物の伸長を止め、ポリエチレングリコール化して細胞における寿命を延ばし得
る。
【0080】 HIRPの「翻訳後修飾」には、脂質化、グリコシル化、リン酸化、アセチル化、
ラセミ化、蛋白分解性切断及びその他の当分野で既知の修飾を含まれ得る。これ
らのプロセスは、合成或いは生化学的に生じ得る。生化学的修飾は、HIRPの酵素
環境に依存し、細胞の種類によって異なり得る。
【0081】 「プローブ」とは、同一配列或いはアレル核酸配列、関連する核酸配列の検出
に用いる、HIRPやそれらの相補配列、またはそれらの断片をコードする核酸配列
のことである。プローブは、検出可能な標識またはレポーター分子が結合され単
離されたオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドである。典型的な標識には、放
射性アイソトープ及びリガンド、化学発光試薬、酵素がある。「プライマー」と
は、相補的な塩基対を形成して標的のポリヌクレオチドにアニーリング可能な、
通常はDNAオリゴヌクレオチドである短い核酸である。プライマーがポリヌクレ
オチドにアニーリングした後、あるDNAポリメラーゼ酵素によって、標的のDNA一
本鎖に沿って伸長される。プライマーの組は、例えば、PCR法における核酸配列
の増幅(及び同定)に用いることができる。
【0082】 本発明に用いられるプローブ及びプライマーは、既知の配列の少なくとも15
の連続するヌクレオチドを含む。特異性を高めるために、より長いプローブ及び
プライマーが用いることも可能である。例えば、開示した核酸配列の連続する少
なくとも20または25、30、40、50、60、70、80、90、100
、150のヌクレオチドを含む。プローブ及びプライマーは、上記した例より相
当長いものも用いることができ、本明細書の表及び図面、配列表に示された任意
の長さのヌクレオチドも用いることができることを理解されたい。
【0083】 プローブ及びプライマーの準備及び使用方法については、例えば、Sambrook,
J.他による、1989年、名称「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、第2
版の1-3巻(Cold Spring Harbor Press, Plainview NY)、またはAusubel, F.M.
他による、1987年、名称「Current Protocols in Molecular Biology」(Greene
Pubi. Assoc. & Wiley-Intersciences, New York NY)、並びに Innis他による、
1990年、名称「PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications」(Acade
mic Press, San Diego CA.)を参照されたい。PCR用のプライマーの組は、例えば
、Primer (Version 0.5, 1991, Whitehead Institute for Biomedical Research
, Cambridge MA)などのそのような目的のためのコンピュータプログラムを用い
て、ある既知の配列から引き出すことができる。
【0084】 プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドは、当分野で周知のプライマー選
択用のコンピュータプログラムで選択される。例えば、OLIGO 4.06ソフトウェア
は、それぞれが最大100ヌクレオチドまでのPCR用のプライマーの対の選択、
及び32,000塩基までの入力ポリヌクレオチド配列から最大5,000ヌク
レオチドまでの大きなポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドの分析に有用で
ある。類似のプライマー選択用プログラムには、能力を拡大する追加の機能が含
まれている。例えば、PrimOUプライマー選択プログラム(Genome Center at Uni
versity of Texas South West Medical Center, Dallas TXより入手可能)は、
メガベース配列から特定のプライマーを選択できるため、ゲノムワイドスコープ
(genome-wide scope)におけるプライマーの設計に有用である。Primer3プライ
マー選択プログラム(Whitehead Institute/MIT Center for Genome Research,
Cambridge MA1より入手可能)によって、ユーザーは、プライマー結合部位とし
て避けたい配列を指定できる「非プライミングライブラリ(mispriming libaray
)」を入力できる。また、Primer3は、特にマイクロアレイのオリゴヌクレオチ
ドの選択に有用である(後の方の2つのプライマー選択プログラムのソースコー
ドは、それぞれのソースから得ることができ、ユーザーのニーズを満たすように
変更することもできる)。PrimerGenプログラム(UK Human Genome Mapping Pro
ject Resource Centre, Cambridge UK より入手可能)は、多数の配列アライン
メントに基づいてプライマーを設計するため、アラインメントされた核酸配列の
最も保存された領域或いは最も保存されていない領域のどちらかとハイブリダイ
ズするプライマーを選択することができる。従って、このプログラムは、固有及
び保存されたオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドの断片の同定に有用である
。上記した任意の選択方法で同定されたオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチド
の断片は、例えば、PCR法やシークエンシングプライマー、マイクロアレイエレ
メント、或いはサンプルの核酸の完全或いは部分的に相補的なポリヌクレオチド
を同定する特定のプローブなどの、ハイブリダイゼーション技術に有用である。
オリゴヌクレオチドの選択方法は、上記した方法に制限されるものではない。
【0085】 本明細書における「組換え核酸」は天然の配列ではなく、2つ以上の配列の離
れたセグメントを人工的に組み合わせた配列である。この人工の組み合せは、化
学合成によって作られる場合も多いが、前出のSambrook に記載されたような遺
伝子工学の技術を用いて核酸の離れたセグメントを人工的に操作する方がより一
般的である。この「組換え核酸」には、単に核酸の一部の追加または置換、欠失
によって変更された核酸も含む。組換え核酸は、あるプロモーター配列に機能的
に結合した核酸配列を含む場合もある。このような組換え核酸は、例えば、ある
細胞を形質転換するのに用いられるベクターの一部であり得る。
【0086】 別法では、このような組換え核酸は、この組換え核酸を発現する哺乳動物のワ
クチン接種に用いると、その哺乳動物の防衛的な免疫応答を誘発する、ワクシニ
アウイルスに基づいたウイルスベクターの一部であり得る。
【0087】 「調節エレメント」は、通常は遺伝子の非翻訳領域に由来する核酸配列であり
、エンハンサー、プロモーター、イントロン及び5'及び3'の非翻訳領域(UTR
)を含む。調節エレメントは、転写や翻訳、またはRNAの安定性を調節する宿主
またはウイルスタンパク質と相互作用する。
【0088】 「レポーター分子」は、核酸、アミノ酸または抗体の標識に用いられる化学的
または生化学的な部分である。レポーター分子には、放射性核種、酵素、蛍光剤
、化学発光剤、発色剤、基質、補助因子、インヒビター、磁気粒子及びその他の
当分野で既知の成分が含まれる。
【0089】 本明細書において、DNA配列に対する「RNA等価物」とは、基準となるDNA配列
と同じ直鎖の核酸配列から構成されるが、窒素性塩基のチミンがウラシルに置換
され、糖鎖の背骨がデオキシリボースではなくリボースからなる。
【0090】 用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられている。HIRP、HIRPをコー
ドする核酸、またはその断片を含むと推定されるサンプルは、体液と、細胞から
の抽出物や細胞から単離された染色体や細胞内小器官、膜と、細胞と、溶液中に
存在するまたは基板に固定されたゲノムDNA、RNA、cDNAと、組織と、組織プリン
ト等を含み得る。
【0091】 用語「特異的結合」及び「特異的に結合する」は、タンパク質若しくはペプチ
ドと、アゴニスト、抗体、アンタゴニスト、小分子、若しくは任意の天然若しく
は合成の結合組成物との間の相互作用を指す。この相互作用は、結合する分子に
よって認識される、例えば、抗原決定基つまりエピトープなどのタンパク質の特
定の構造の存在によって左右される。例えば、抗体がエピトープ「A」に対して
特異的である場合、結合していない標識した「A」及び抗体を含む反応液に、エ
ピトープAを含むポリペプチド或いは結合していない無標識の「A」が存在する
と、抗体と結合する標識Aの量が減少する。
【0092】 用語「実質的に精製された」は、自然の環境から取り除かれてから、単離或い
は分離された核酸配列或いはアミノ酸配列であって、自然に結合している組成物
が少なくとも約60%除去されたものであり、好ましくは約75%以上の除去、
最も好ましいくは90%以上除去されたものを指す。
【0093】 「置換」とは、一つ以上のアミノ酸またはヌクレオチドをそれぞれ別のアミノ
酸またはヌクレオチドに置き換えることである。
【0094】 用語「基板」は、任意の好適な固体或いは半固体の支持物を指し、膜及びフィ
ルタ、チップ、スライド、ウエハ、ファイバー、磁気または非磁気ビード、ゲル
、チューブ、プレート、ポリマー、微小粒子、毛細管が含まれる。この基板には
、壁または塹壕、ピン、チャンネル、細孔などの様々な表面形態があり、そこに
ポリヌクレオチドやポリペプチドが結合する。
【0095】 「転写イメージ」は、所定条件下での所定時間における特定の細胞の種類また
は組織による集合的遺伝子発現のパターンを指す。
【0096】 「形質転換」とは、外来DNAが受容細胞に導入されるプロセスのことである。
形質転換は、当分野で周知の種々の方法により、自然或いは人工の条件下で起こ
り、原核宿主細胞若しくは真核宿主細胞の中に外来核酸配列を挿入する任意の周
知の方法によって行うことができる。この形質転換の方法は、形質転換される宿
主細胞のタイプによって選択される。この方法には、バクテリオファージまたは
ウイルス感染、電気穿孔法(エレクトロポレーション)、リポフェクション、及
び微粒子照射が含まれるが、これらに限定されるものではない。「形質転換され
た」細胞には、導入されたDNAが自律的に複製するプラスミドとして或いは宿主
染色体の一部として複製可能である安定的に形質転換された細胞が含まれる。さ
らに、限られた時間に一時的に導入DNA若しくは導入RNAを発現する細胞も含まれ
る。
【0097】 本明細書における「遺伝子組換え生物」とは、当分野で周知の遺伝子組換え技
術などを用いて、人間が生物の1つ以上の細胞に異種の核酸を導入した任意の生
物であり、動物及び植物を含むが、それらに限定されるものではない。微量注入
や組換えウイルスに感染させるなどの慎重な遺伝子操作によって、細胞の前駆体
に直接或いは間接的に異種核酸を細胞に導入する。「遺伝子操作」とは、典型的
な交雑育種やin vitroでの受精ではなく、組換えDNA分子を導入することである
。本発明に従った遺伝子組換え生物には、細菌及びラン藻類、菌類、植物、動物
が含まれる。本発明の単離されたDNAは、当分野で周知の、例えば、感染、形質
移入、形質転換、トランス接合(transconjugation)などの方法によって、宿主
に導入することができる。本発明のDNAをそのような生物に導入する技術は周知
であり、前出のSambrook他(1989)に記載されている。
【0098】 特定の核酸配列の「変異配列」とは、デフォルトパラメータ設定の「BLAST 2
Sequences」ツールVersion 2.0.9 (May-07-1999)を用いるblastnによって、ある
核酸配列のある長さに対する該特定の核酸配列の同一性が、少なくとも40%と
決定された核酸配列のことである。このような核酸の対は、ある長さにおいて、
例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、91%
、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、或いは
それ以上の同一性を示し得る。ある変異配列は、例えば、「アレル」変異配列(
上述)または「スプライス」変異配列、「種」変異配列、「多型」変異配列と表
すことができる。スプライス変異配列は基準分子と同一性が極めて高い可能性が
あるが、mRNAプロセッシング中のエキソンの択一的スプライシングによってポリ
ヌクレオチドの数が多くなったり、少なくなったりする。対応するポリペプチド
は、基準分子に存在する追加の機能ドメインを有したり、基準分子に存在するド
メインが欠落したりし得る。種変異配列は、種によって異なるポリヌクレオチド
配列である。得られるポリペプチドは、互いに高いアミノ酸同一性を有する。多
型変異配列は、所定の種と種における特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列が異
なる。多型変異配列はまた、ポリヌクレオチド配列の1つのヌクレオチドが異な
る「1ヌクレオチド多型」(SNP)も含み得る。SNPの存在は、例えば、或る集団
、病態、病態の性向を示唆し得る。
【0099】 特定のポリペプチド配列の「変異体」とは、デフォルトパラメータ設定の「BL
AST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.9 (May-07-1999)を用いるblastpによって
、あるポリペプチド配列のある長さに対する該特定のポリペプチド配列の同一性
が、少なくとも40%と決定されたポリペプチド配列のことである。このような
ポリペプチドの対は、ある長さにおいて、例えば、少なくとも50%、60%、
70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、
97%、98%、99%、或いはそれ以上の同一性を示し得る。
【0100】 (発明) 本発明は、新規のヒト免疫応答タンパク質(HIRP)及びHIRPをコードするポリ
ヌクレオチドの発見に基づき、これらの組成物を利用した免疫疾患及び細胞増殖
異常の診断、治療、及び予防に関する。
【0101】 表1は、本発明のポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列の識別番号を示
す。各ポリヌクレオチドおよびそれに対応するポリペプチドは、1つのインサイ
トプロジェクト識別番号(Incyte Project ID)に相関する。各ポリペプチド配
列は、記載されているようにポリペプチド配列識別番号(Polypeptide SEQ ID N
O:)およびインサイトポリペプチド配列番号(Incyte Polypeptide ID)の両方
によって示されている。各ポリヌクレオチド配列は、記載されているようにポリ
ヌクレオチド配列識別番号(Polynucleotide SEQ ID NO:)およびインサイトポ
リヌクレオチドコンセンサス配列番号(Incyte Polynucleotide ID)の両方によ
って示されている。
【0102】 表2は、GenBankタンパク質(genept)データベースにおいてBLAST解析により
同定された本発明のポリペプチドに相同性を有する配列を示す。列1および列2
はそれぞれ、本発明の各ポリペプチドに対するポリペプチド配列識別番号(Poly
peptide SEQ ID NO:)およびそれに対応するインサイトポリペプチド配列番号(
Incyte Polypeptide ID)を示す。列3は、GenBankの最も近い相同体のGenBank
の識別番号(Genbank ID NO:)を示す。列4は、各ポリペプチドとそのGenBank
相同体との間の一致を表す確率スコアを示す。列5は、GwnBank相同体のアノテ
ーションを示し、更に該当箇所には適当な引用文も示す。これらを引用すること
を以って本明細書の一部とする。
【0103】 表3は、本発明の各ポリペプチドの様々な構造的特徴を示す。列1および列2
はそれぞれ、本発明の各ポリペプチドのポリペプチド配列識別番号(SEQ ID NO:
)およびそれに対応するインサイトポリペプチド配列番号(Incyte Polypeptide
ID)を示す。列3は、各ポリペプチドのアミノ酸残基数を示す。列4および列
5はそれぞれ、GCG配列分析ソフトウェアパッケージのMOTIFSプログラム(Genet
ics Computer Group, Madison WI)によって決定された、潜在的なリン酸化部位
および潜在的なグリコシル化部位を示す。列6は、シグネチャ(signature)配
列、ドメイン、およびモチーフを含むアミノ酸残基を示す。列7は、タンパク質
の構造/機能の分析のための分析方法を示し、該当箇所にはさらに分析方法に利
用した検索可能なデータベースを示す。
【0104】 表2および表3は共に、本発明の各ポリペプチドの特性を一覧にしたものであ
って、これらの特性は請求したポリペプチドが免疫応答タンパク質であることを
立証するものである。例えば、SEQ ID NO:1は、そのW123残基からC241残基にお
いて、合成HIV-1抗原結合抗体L鎖(GenBank ID g583510)と95%の同一性を有
することがBasic Local Alignment Search Tool (BLAST)によって示された(表
2を参照)。BLASTの確率スコアは2.1e-117であり、これは探しているポリペプ
チド配列アラインメントが偶然の一致により得られる確率を示す。SEQ ID NO:1
はまた、BLASTによりそのS52残基からC241残基において、ヒト免疫グロブリンκ
L鎖(GenBank ID g2765423)と89%の同一性を有することが示され、その確率
スコアは1.7e-146である。SEQ ID NO:1はまた、免疫グロブリンドメインを含む
。これは、隠れマルコフモデル(HMM)を基にした保存されたタンパク質ファミ
リードメインのPFAMデータベースにおいて、統計的に有意な一致を検索して決定
された(表3を参照)。BLIMPS、MOTIFS、更にPROFILESCAN解析から得たデータ
によって、SEQ ID NO:1免疫グロブリンである確証が得られた。SEQ ID NO:2、SE
Q ID NO:3、及びSEQ ID NO:4は同様の方法で解析してアノテーションを付けた。
SEQ ID NO:1−4の解析のためのアルゴリズムおよびパラメータを表7に記載する
【0105】 表4に示されているように、本発明の完全長ポリヌクレオチド配列は、cDNA配
列、またはゲノムDNA由来のコード(エキソン)配列、或いはこれらの2種類の
配列のあらゆる組み合わせを用いて組み立てた。列1および列2はそれぞれ、本
発明の各ポリヌクレオチドのポリヌクレオチド配列識別番号(Polynucleotide S
EQ ID NO :)およびそれに対応するインサイトポリヌクレオチドコンセンサス配
列番号(Incyte Polynucleotide ID)を示す。列3は、塩基対における各ポリヌ
クレオチド配列の長さを示す。列4は、例えば、SEQ ID NO:5−8を同定するため
、或いはSEQ ID NO:5−8と関連するポリヌクレオチド配列とを区別するためのハ
イブリダイゼーションまたは増幅技術に有用なポリヌクレオチド配列の断片を示
す。列5は、cDNA配列、ゲノムDNAから推定されるコード配列(エキソン)、お
よび/またはcDNAおよびゲノムDNAの両方からなる配列群に対応する識別番号を
示す。これらの配列を用いて本発明の完全長ポリヌクレオチド配列を組み立てた
。表4の列6および列7はそれぞれ、列5の配列に対応するcDNA配列の開始ヌク
レオチド(5')位置および終了ヌクレオチド(3')位置を示す。
【0106】 表4の列5に示されている識別番号は、具体的には、例えばインサイトcDNAお
よびそれらに対応するcDNAライブラリの識別番号を示す。例えば、4242551T6は
インサイトcDNA配列の識別番号であり、SYNWDIT01はそれが由来するcDNAライブ
ラリである。cDNAライブラリが示されていないインサイトcDNAは、プールされて
いるcDNAライブラリ(例えば、SBPA04615D1)に由来する。または、列5の識別
番号は、ポリヌクレオチド配列の組み立てに用いたGenBankのcDNAすなわちESTの
識別番号の場合もある。または、列5の識別番号は、Genscan分析によって推定
されるゲノムDNAのコード領域の場合もある。このGenscan推定コード配列は、配
列を組み立てる前に編集する場合がある(実施例4を参照)。または、列5の識
別番号は、“exon-stitching”アルゴリズムによってcDNAおよびGenscan推定エ
キソンの両方からなる群の場合もある(実施例5を参照)。または、列5の識別
番号は“exon-stretching”アルゴリズムによってcDNAおよびGenscan推定エキソ
ンの両方からなる群の場合もある(実施例5を参照)。場合によっては、列5に
示されている配列の範囲と重複するインサイトcDNAの範囲が得られ、最終的なコ
ンセンサス配列が決定されるが、それに相当するインサイトcDNAの識別番号は示
されていない。
【0107】 表5は、インサイトcDNA配列を用いて組み立てられたこれらの完全長ポリヌク
レオチド配列が由来する代表的なcDNAライブラリを示す。代表的なcDNAライブラ
リとは、上記ポリヌクレオチド配列の組み立ておよび決定に用いられたインサイ
トcDNA配列を最も多く含むインサイトcDNAライブラリのことである。表5に示さ
れているcDNAライブラリを作製するために用いた組織およびベクターが表6に示
されている。
【0108】 本発明はまた、HIRPの変異体も含む。好適なHIRPの変異体は、HIRPの機能的或
いは構造的特徴の少なくともどちらか一方を有し、かつHIRPアミノ酸配列に対し
て少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約90%のアミ
ノ酸配列同一性、更には少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0109】 本発明はまた、HIRPをコードするポリヌクレオチドを提供する。特定の実施例
において、本発明は、HIRPをコードするSEQ ID NO:5−8からなる一群から選択さ
れた配列を含むポリヌクレオチド配列を提供する。配列表に示したSEQ ID NO:5
−8のポリヌクレオチド配列は、窒素系塩基のチミンがウラシルに置換され、糖
鎖の骨格がデオキシリボースではなくリボースからなる等価RNA配列を含む。
【0110】 本発明はまた、HIRPをコードするポリヌクレオチド配列の変異配列を含む。詳
細には、このようなポリヌクレオチド配列の変異配列は、HIRPをコードするポリ
ヌクレオチド配列と少なくとも70%のポリヌクレオチド配列同一性、或いは少
なくとも85%のポリヌクレオチド配列同一性、更には少なくとも95%ものポ
リヌクレオチド配列同一性を有する。本発明の特定の実施形態は、SEQ ID NO:5
−8からなる一群から選択された核酸配列と少なくとも70%のポリヌクレオチ
ド配列同一性、或いは少なくとも85%のポリヌクレオチド配列同一性、更には
少なくとも95%ものポリヌクレオチド配列同一性を有するSEQ ID NO:5−8から
なる一群から選択された配列を含むポリヌクレオチド配列の変異配列を提供する
。上記したポリヌクレオチド変異配列は何れも、HIRPの機能的或いは構造的特徴
の少なくとも1つを有するアミノ酸配列をコードする。
【0111】 遺伝暗号の縮重により作り出され得るHIRPをコードする種々のポリヌクレオチ
ド配列には、既知の自然発生する任意の遺伝子のポリヌクレオチド配列と最小の
類似性しか有しないものも含まれることを、当業者は理解するであろう。したが
って本発明には、可能なコドン選択に基づいた組み合わせの選択によって作り出
され得る可能なポリヌクレオチド配列の変異の全てが含まれ得る。これらの組み
合わせは、天然のHIRPのポリヌクレオチド配列に適用される標準的なトリプレッ
ト遺伝暗号を基に作られ、全ての変異が明確に開示されていると考慮する。
【0112】 HIRPをコードするヌクレオチド配列及びその変異配列は一般に、好適に選択さ
れたストリンジェントな条件下で、天然のHIRPのヌクレオチド配列とハイブリダ
イズ可能であるが、非天然のコドンを含めるなどの実質的に異なった使い方のコ
ドンを有するHIRP或いはその誘導体をコードするヌクレオチド配列を作ることは
有利となり得る。特定のコドンが宿主によって利用される頻度に基づいてコドン
を選択して、ペプチドの発現が特定の真核細胞または原核宿主に発生する割合を
高めることが可能である。コードされたアミノ酸配列を変えないで、HIRP及びそ
の誘導体をコードするヌクレオチド配列を実質的に変更する別の理由は、天然の
配列から作られる転写物より例えば長い半減期など好ましい特性を備えるRNA転
写物を作ることにある。
【0113】 本発明はまた、HIRP及びその誘導体をコードするDNA配列またはそれらの断片
を完全に合成化学によって作り出すことも含む。作製後にこの合成配列を、当分
野で良く知られた試薬を用いて、種々の入手可能な発現ベクター及び細胞系の何
れの中にも挿入可能である。更に、合成化学を用いて、HIRPまたはその任意の断
片をコードする配列の中に突然変異を導入することも可能である。
【0114】 更に本発明には、種々のストリンジェントな条件下で、請求項に記載されたポ
リヌクレオチド配列、特に、SEQ ID NO:5−8及びそれらの断片とハイブリダイズ
可能なポリヌクレオチド配列が含まれる(例えば、Wahl, G.M.及びS.L. Berger (
1987) Methods Enzymol. 152:399-407; and Kimmel. A.R. (1987) Methods Enzy
mol. 152:507-511.を参照)。アニーリング及び洗浄条件を含むハイブリダイゼー
ションの条件は、「定義」に記載されている。
【0115】 当分野で周知のDNAのシークエンシング方法を用いて、本発明の何れの実施例
も実行可能である。この方法には、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、SE
QUENASE(US Biochemical, Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Applied Biosys
tems)、熱安定性T7ポリメラーゼ(Amersham, Pharmacia Biotech Piscataway N
J)、或いはELONGASE増幅システム(Life Technologies, Gaithersburg MD)にみ
られるような校正エキソヌクレアーゼとポリメラーゼとの組み合わせなどの酵素
が用いられる。好ましくは、MICROLAB2200液体転移システム(Hamilton, Reno,
NV)、PTC200 Thermal Cycler200(MJ Research, Watertown MA)及びABI CATAL
YST 800 (PE Biosystems) などの装置を用いて配列の準備を自動化する。次に、
ABI 373或いは377 DNAシークエンシングシステム(PE Biosystems)、MEGABACE 10
00 DNAシークエンシングシステム(Molecular Dynamics. Sunnyvale CA)または当
分野で周知の他の方法を用いてシークエンシングを行う。得られた配列を当分野
で周知の様々なアルゴリズムを用いて分析する(例えば、Ausubel, F.M. (1997) Short Protocols in Molecular Biology , John Wiley & Sons, New York NY, un
it 7.7; Meyers, R.A. (1995) Molecular Biology and Biotechnology, Wiley V
CH, New York NY, pp. 856-853.を参照)。
【0116】 当分野で周知のPCR法をベースにした種々の方法で、部分的なヌクレオチド配
列を利用して、HIRPをコードする核酸配列を伸長し、プロモーターや調節エレメ
ントなどの上流にある配列を検出する。例えば制限部位PCR法を利用する1つの
方法では、一般的なプライマー及び入れ子プライマー(nested primer)を用い
てクローニングベクター内のゲノムDNAから未知の配列を増幅する(例えば、Sar
kar, G. (1993) PCR Methods Applic 2:318-322を参照)。逆PCR法を用いる別法
では、広範な方向に伸長して環状化した鋳型から未知の配列を増幅するプライマ
ーを用いる。この鋳型は、既知のゲノム遺伝子座及びその周辺の配列を含む制限
断片に由来する(例えば、Triglia, T.ら(1988)Nucleic Acids Res 16:8186を
参照)。キャプチャPCR法を用いる第3の方法は、ヒト及び酵母菌人工染色体DNA
の既知の配列に隣接するDNA断片のPCR増幅を含む(例えば、Lagerstrom, M.他(
1991)PCR Methods Applic 1:111-119を参照)。この方法では、多数の制限酵素
による消化及びライゲ−ションを用いて、PCRを行う前に未知の配列の領域の中
に組換え二本鎖配列を挿入することが可能である。また、当分野で周知の別の方
法を用いて未知の配列を得ることも可能である。(例えば、Parker, J.D. 他 (19
91)Nucleic Acids Res. 19:3055-3060を参照)。更に、PCR、ネスト化プライマー
、PROMOTERFINDERライブラリ(Clontech, Palo Alto CA)を用いれば、ゲノムDN
A内の歩行が可能である。この方法ではライブラリをスクリーニングする必要が
なく、イントロン/エキソン接合部を探すのに有用である。全てのPCR法をベー
スにした方法では、プライマーは、市販のOLIGO 4.06 Primer Analysis softwar
e(National Biosciences, Plymouth MN)或いは別の好適なプログラムなどを用
いて、長さが22〜30ヌクレオチド、GC含量が50%以上、約68℃〜72
℃の温度で鋳型に対してアニーリングするよう設計される。
【0117】 完全長のcDNAをスクリーニングする場合は、大きなcDNAを含むようにサイズが
選択されたライブラリを用いるのが好ましい。更に、オリゴd(T)ライブラリが完
全な長さのcDNAを産生できない場合は、遺伝子の5'領域を有する配列を含むも
のが多いランダムに初回抗原刺激を受けたライブラリが有用である。ゲノムライ
ブラリは、5'非転写調節領域への配列の伸長に有用であろう。
【0118】 市販のキャピラリー電気泳動システムを用いて、シークエンシングまたはPCR
産物のヌクレオチド配列のサイズの分析、または確認が可能である。詳しくは、
キャピラリーシークエンシングには、電気泳動による分離のための流動性ポリマ
ー、及び4つの異なったヌクレオチドに特異的なレーザーで活性化される蛍光色
素、放出された波長の検出に利用するCCDカメラを使用することが可能である。
出力/光強度は、適切なソフトウェア(例えば、GENOTYPER及びSEQUENCE NAVIGA
TOR、PE Biosystems)を用いて電気信号に変換され、サンプルのローディングか
らコンピュータ分析までのプロセス及び電子データ表示がコンピュータ制御可能
である。キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプルに少量しか存在しない場合
もあるDNAの小片のシークエンシングに特に適している。
【0119】 本発明の別の実施例では、HIRPをコードするポリヌクレオチド配列またはその
断片を組換えDNA分子にクローニングして、適切な宿主細胞内にHIRP、その断片
または機能的等価物を発現させることが可能である。遺伝暗号固有の縮重により
、実質的に同じ或いは機能的に等価のアミノ酸配列をコードする別のDNA配列が
作られ得り、これらの配列をHIRPのクローン化及び発現に利用可能である。
【0120】 種々の目的でHIRPをコードする配列を変えるために、当分野で一般的に知られ
ている方法を用いて、本発明のヌクレオチド配列を組換えることができる。この
目的には、遺伝子産物のクローン化、プロセッシング及び/または発現の調節が
含まれるが、これらに限定されるものではない。ランダムな断片によるDNAの混
合や遺伝子断片と合成オリゴヌクレオチドのPCR再組み立てを用いて、ヌクレオ
チド配列の組換えが可能である。例えば、オリゴヌクレオチド媒介性定方向突然
変異誘発を利用して、新しい制限部位を生成する突然変異の導入、グリコシル化
パターンの変更、コドン選択の変更、スプライスバリアントの作製等が可能であ
る。
【0121】 本発明のヌクレオチドを、MOLECULARBREEDING (Maxygen Inc., Santa Clara C
A; 米国特許第5,837,458号; Chang, C.-C. 他 (1999) Nat. Biotechnol. 17:793
-797; Christians, F.C. 他 (1999) Nat. Biotechnol. 17:259-264; Crameri, A
. 他 (1996) Nat. Biotechnol. 14:315-319)などのDNAシャフリング技術を用い
てシャフリングして、HIRPの生物学的または酵素的な活性、或いは他の分子や化
合物と結合する能力などのHIRPの生物学的特性を変更或いは改良することができ
る。DNAシャフリングは、PCR法による遺伝子断片の組換えで遺伝子変異体のライ
ブラリを作製するプロセスである。次に、このライブラリを、目的の特性を有す
る遺伝子変異体を同定するために選択或いはスクリーニングする。これらの好ま
しい変異体をプールし、DNAシャフリング及び選択/スクリーニングを繰り返す
。従って、人工的な育種及び急速な分子の進化によって多様な遺伝子が作られる
。例えば、ランダムな位置に変異がある1つの遺伝子の断片を、目的の特性が最
適化するまで、組換え及びスクリーニング、シャフリングを実施することもでき
る。別法では、所定の遺伝子の断片を、同じ或いは異なった種の同じ遺伝子ファ
ミリーの相同な遺伝子の断片で組換え、それによってプロトコルに従った調節可
能な方法で、多数の天然遺伝子の遺伝子多様性を最大にすることができる。
【0122】 別の実施例によれば、HIRPをコードする配列は、当分野で周知の化学的方法を
用いて、全体或いは一部が合成可能である(例えば、Caruthers. M.H.ら(1980
)Nucl. Acids Res. Symp. Ser 7:215-223; 及びHorn, T.他(1980)Nucl. Acid
s Res. Symp. Ser.225-232を参照)。別法として、化学的方法を用いてHIRP自体
またはその断片を合成することが可能である。例えば、ペプチド合成は種々の固
相技術を用いて実行可能である(例えば、Creighton, T. (1984) Proteins. Str uctures and Molecular Properties , WH Freeman, New York NY, pp. 55-60; Ro
berge, J.Y.ら(1995) Science 269:202-204を参照)。また、合成の自動化は例
えばABI 431Aペプチドシンセサイザー(PE Biosystems)を用いて達成し得る。
更にHIRPのアミノ酸配列または任意のその一部は、直接的な合成の際の変更、及
び/または化学的方法を用いた他のタンパク質または任意のその一部からの配列
との組み合わせにより、天然のポリペプチド配列を有するポリペプチドまたは変
異体ポリペプチドを作製することが可能である。
【0123】 このペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィー(例えば、Chiez, R.M.
及び F.Z. Regnier (1990)Methods Enzymol. 182:392-421を参照)を用いて実質
的に精製可能である。合成されたペプチドの組成は、アミノ酸分析或いはシーク
エンシングにより確認することができる(例えば、Creighton、前出、pp28-53を
参照)。
【0124】 生物学的に活性なHIRPを発現させるために、HIRPをコードするヌクレオチド配
列またはその誘導体を好適な発現ベクターに挿入する。この発現ベクターは、好
適な宿主に挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳の調節に必要なエレメン
トを含む。これらのエレメントには、ベクター及びHIRPをコードするポリヌクレ
オチド配列におけるエンハンサー、構成型及び発現誘導型のプロモーター、5'
及び3'の非翻訳領域などの調節配列が含まれる。このようなエレメントは、そ
の長さ及び特異性が様々である。特定の開始シグナルによって、HIRPをコードす
る配列のより効果的な翻訳を達成することが可能である。このようなシグナルに
は、ATG開始コドン及びコザック配列などの近傍の配列が含まれる。HIRPをコ
ードする配列及びその開始コドン、上流の調節配列が好適な発現ベクターに挿入
された場合は、更なる転写調節シグナルや翻訳調節シグナルは必要なくなるであ
ろう。しかしながら、コーディング配列或いはその断片のみが挿入された場合は
、インフレームのATG開始コドンを含む外来性の翻訳調節シグナルが発現ベク
ターに含まれなければならない。外来性の翻訳要素及び開始コドンは、自然及び
合成の様々なものから得ることが可能である。用いられる特定の宿主細胞系に好
適なエンハンサーを含めることで発現の効率を高めることが可能である。(例え
ば、Scharf, D. 他 (1994) Results Probl. Cell Differ. 201−18-162.を参照)
【0125】 当業者に周知の方法を用いて、HIRPをコードする配列、好適な転写及び翻訳調
節エレメントを含む発現ベクターを作製することが可能である。これらの方法に
は、in vitro組換えDNA技術、合成技術、及びin vivo遺伝子組換え技術が含まれ
る。(例えば、 Sambrook, J. 他. (1989) Molecular Cloning. A Laboratory Ma nual , Cold Spring Harbor Press, Plainview NY, 4章及び8章, 及び16-17章;
及び Ausubel, F.M. 他. (1995) Current Protocols in Molecular Biology, Jo
hn Wiley & Sons, New York NY, ch. 9章及び13章1−4章を参照)。
【0126】 種々の発現ベクター/宿主系を利用して、HIRPをコードする配列の保持及び発
現が可能である。これらには、限定するものではないが、組換えバクテリオファ
ージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌など
の微生物や、酵母菌発現ベクターで形質転換された酵母菌や、ウイルス発現ベク
ター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系や、ウイルス発現ベク
ター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス
、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で形質
転換された植物細胞系や、動物細胞系などが含まれる(例えば、前出のSambrook
、前出のAusubel、Van Heeke, G. および S.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem
. 264:5503-5509、Engelhard、E.K. 他 (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91
:3224-3227、Sandig, V. 他 (1996) Hum. Gene Ther. 7:1937-1945、Takamatsu,
N. (1987) EMBOJ. 6:307-311; The McGraw Hill Yearbook of Science and Tec hnology (1992) McGraw Hill, New York NY, pp. 191-196、Logan, J. and T. S
henk (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3655-3659、Harrington, J.J. 他
(1997) Nat. Genet. 15:345-355を参照)。レトロウイルス、アデノウイルス、
ヘルペスウイルスまたはワクシニアウイルス由来の発現ベクター、または種々の
細菌性プラスミド由来の発現ベクターを用いて、ヌクレオチド配列を標的器官、
組織または細胞集団へ輸送することができる(Di Nicola, M. 他 (1998) Cancer
Gen. Ther. 5(6):350-356、Yu, M. 他(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(
13):6340-6344、Buller, R.M. 他(1985) Nature 317(6040):813-815; McGregor,
D.P. 他(1994) Mol. Immunol. 31(3):219-226、Verma, I.M. and N. Somia (19
97) Nature 389:239-242等を参照)。本発明は使用される宿主細胞によって限定
されるものではない。
【0127】 細菌系では、多数のクローニングベクター及び発現ベクターが、HIRPをコード
するポリヌクレオチド配列の使用目的に応じて選択可能である。例えば、HIRPを
コードするポリヌクレオチド配列の日常的なクローニング、サブクローニング、
増殖には、PBLUESCRIPT(Stratagene, La Jolla CA)またはpSPORT1プラスミド(G
IBCO BRL)などの多機能の大腸菌ベクターを用いることができる。ベクターの多
数のクローニング部位にHIRPをコードする配列をライゲーションするとlacZ遺
伝子が破壊され、組換え分子を含む形質転換された細菌の同定のための比色スク
リーニング法が可能となる。更に、これらのベクターを用いて、クローニングさ
れた配列のin vitroでの転写、ジデオキシンスクリーニング、ヘルパーファージ
による一本鎖の救出、入れ子状態の欠失を作り出すことが可能である(例えば、V
an Heeke, G.及びS.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-5509.を参照
)。例えば、抗体の産生のためなどに多量のHIRPが必要な場合は、HIRPの発現を
ハイレベルで誘導するベクターが使用できる。例えば、強力に発現を誘発するSP
6またはT7バクテリオファージプロモーターを含むベクターを使用できる。
【0128】 HIRPの発現に酵母の発現系の使用が可能である。α因子やアルコールオキシダ
ーゼやPGHプロモーターなどの構成型或いは誘導型のプロモーターを含む多種の
ベクターが、酵母菌サッカロミセス−セレビジエまたはPichia pastorisに使用
可能である。更に、このようなベクターは、発現したタンパク質の分泌か細胞内
への保持のどちらかを誘導し、安定した増殖のために宿主ゲノムの中に外来配列
を組み込む。(例えば、Ausubel, 1995,前出、Bitter, G.A. ら (1987) Methods
Enzymol.153:516-544、及びScorer. C. A. ら (1994) Bio/Technology 121−181
-184.を参照)。
【0129】 植物系もHIRPの発現に使用可能である。HIRPをコードする配列の転写は、例え
ば、CaMV由来の35S及び19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターが単独で、
或いはTMV(例えば、Coruzzi, G. ら. (1984) EMBO J. 3 : 1671-1680 ; Brogli
e, R. ら (1984) Science 224 : 838-843 ; および Winter, J. ら (1991) Resu
lts Probl. Cell Differ. 17 : 85-105を参照)由来のオメガリーダー配列と組
み合わせて促進される。これらの作製物は、直接のDNA形質転換或いは病原体を
介したトランスフェクションによって、植物細胞の中に導入可能である。(例え
ば、The McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)McGraw Hil
l NY, pp.191-196を参照)。
【0130】 哺乳動物細胞では、多種のウイルスベースの発現系が利用され得る。アデノウ
イルスが発現ベクターとして用いられる場合、後発プロモーター及び3連リーダ
ー配列からなるアデノウイルス転写物/翻訳複合体にHIRPをコードする配列を結
合し得る。ウイルスのゲノムの非必須のE1またはE3領域への挿入により、感
染した宿主細胞にHIRPを発現する生ウイルスを得ることが可能である(Logan, J
.及びShenk, T.(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655-3659を参照)。さら
に、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの転写エンハンサーを用いて
、哺乳動物宿主細胞における発現を増大させることが可能である。タンパク質を
高レベルで発現させるために、SV40またはEBVを基にしたベクターを用いること
が可能である。
【0131】 ヒト人工染色体(HAC)を用いて、プラスミドで発現しそれに含まれているも
のより大きなDNAの断片を供給可能である。治療のために約6kb〜10MbのHACsを作
製し、従来の輸送方法(リポソーム、ポリカチオンアミノポリマー、またはベシ
クル)で供給する。(例えば、Harrington. J.J. 他 (1997) Nat Genet.15:345-3
55.を参照)。
【0132】 哺乳動物系の組換えタンパク質の長期にわたる産生のためには、株化細胞にお
けるHIRPの安定した発現が望ましい。例えば、発現ベクターを用いて、HIRPをコ
ードする配列を株化細胞に形質転換することが可能である。このような発現ベク
ターは、ウイルス起源の複製及び/または内在性の発現要素や、同じ或いは別の
ベクターの上の選択マーカー遺伝子を含む。ベクターの導入の後、細胞を選択培
地に移す前に、強化培地で約1〜2日の間増殖させる。選択マーカーの目的は選
択的な媒介物に対する抵抗性を与えるとともに、その存在により導入された配列
を確実に発現する細胞の増殖及び回収が可能となる。安定的に形質転換された細
胞の耐性クローンは、その細胞型に好適な組織培養技術を用いて増殖可能である
【0133】 任意の数の選択系を用いて、形質転換された細胞系を回収することが可能であ
る。選択系には、以下のものに限定はしないが、単純ヘルペスウイルスチミジン
キナーゼ遺伝子及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子が含まれ
、それぞれtkまたはapr細胞において使用される。(例えば、Wigler, M. 他
(1977) Cell 11:223-232; 及びLowy, I. 他(1980) Cell 22:817-823を参照)。ま
た代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択のベースとして用いるこ
とができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え、neoはアミノ
グリコシッドネオマイシン及びG-418に対する耐性を与え、als或いはpatはクロ
ルスルフロン(chlorsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラ
ーゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(例えば、Wi
gler, M. 他. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567-3570; Colbere-Garapin
, F. 他(1981) J. Mol. Biol. 150:1-14を参照)。さらに選択に利用できる遺伝
子、例えば、代謝のために細胞が必要なものを変えるtrpB及びhisDが文献に記載
されている(例えば、Hartman, S.C.及びR.C. Mulligan(1988)Proc. Natl. Ac
ad. Sci. 85:8047-51を参照)。アニトシアニン、緑色蛍光タンパク質(GFP;Cl
ontech)、βグルクロニダーゼ及びその基質GUS,ルシフェラーゼ及びその基質
ルシフェリンなどの可視マーカーが用いられる。緑色蛍光タンパク質(GFP)(Cl
ontech, Palo Alto, CA)も使用できる。これらのマーカーを用いて、トランスフ
ォーマントを特定するだけでなく、特定のベクター系に起因する一過性或いは安
定したタンパク質発現を定量することが可能である(例えば、Rhodes, C.A.他(
1995)Methods Mol. Biol. 55:121-131を参照)。
【0134】 マーカー遺伝子の発現の存在/不在によって目的の遺伝子の存在が示されても
、その遺伝子の存在及び発現の確認が必要な場合もある。例えば、HIRPをコード
する配列がマーカー遺伝子配列の中に挿入された場合、HIRPをコードする配列を
含む形質転換された細胞は、マーカー遺伝子機能の欠落により特定可能である。
または、1つのプロモーターの制御下でマーカー遺伝子がHIRPをコードする配列
と一列に配置することも可能である。誘導または選択に応答したマーカー遺伝子
の発現は、通常タンデム遺伝子の発現も示す。
【0135】 一般に、HIRPをコードする核酸配列を含み、HIRPを発現する宿主細胞は、当業
者に周知の種々の方法を用いて特定することが可能である。これらの方法には、
DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダイゼーションや、PCR法、核酸或いはタンパ
ク質の検出及び/または数量化のための膜系、溶液ベース、或いはチップベース
の技術を含むタンパク質生物学的試験法または免疫学的アッセイが含まれるが、
これらに限定されるものではない。
【0136】 特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらかを用いるHI
RPの発現の検出及び計測のための免疫学的な方法は、当分野で周知である。この
ような技法には、酵素標識免疫吸着法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)
、蛍光標示式細胞分取器(FACS)などがある。HIRP上の2つの非干渉エピトープ
に反応するモノクローナル抗体を用いた、2部位のモノクローナルベースイムノ
アッセイ(two-site, monoclonal-based immunoassay)が好ましいが、競合の結
合アッセイも用いることもできる。これらのアッセイ及びその他のアッセイは、
当分野では十分に知られている。(例えば、 Hampton. R. 他.(1990) Serologica l Methods, a Laboratory Manual. APS Press. St Paul. MN, Sect. IV; Coliga
n, J. E. 他Current Protocols in Immunology, Greene Pub. Associates and W
iley-Interscience, New York. NY; 及びPound, J.D. (1990) Immunochemical P rotocols , Humans Press, Totowa NJ)。
【0137】 種々の標識技術及び結合技術が当業者には周知であり、様々な核酸アッセイお
よびアミノ酸アッセイに用いられ得る。HIRPをコードするポリヌクレオチドに関
連する配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーションプローブ或い
はPCRプローブを生成する方法には、オリゴ標識化、ニックトランスレーション
、末端標識化、または標識されたヌクレオチドを用いるPCR増幅が含まれる。別
法として、HIRPをコードする配列、またはその任意の断片をmRNAプローブを生成
するためのベクターにクローニングすることも可能である。当分野では周知であ
り市販されているこのようなベクターを、T7,T3,またはSP6などの好適なRNAポ
リメラーゼ及び標識されたヌクレオチドの追加によって、in vitroでのRNAプロ
ーブの合成に用いることができる。これらの方法は、例えば、Amersham Pharmac
ia Biotech及びPromega(Madison WI)、U.S. Biochemical Corp(Cleveland OH
)が市販する種々のキットを用いて行うことができる。容易な検出のために用い
得る好適なレポーター分子或いは標識には、基質、コファクター、インヒビター
、磁気粒子、及び放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、色素産生剤などが含
まれる。
【0138】 HIRPをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培地で
のこのタンパク質の発現及び回収に好適な条件下で培養される。形質転換された
細胞から産生されたタンパク質が分泌されるか細胞内に留まるかは、使用される
その配列及び/またはそのベクターによる。HIRPをコードするポリヌクレオチド
を含む発現ベクターは、原核細胞膜及び真核細胞膜を透過するHIRPの分泌を誘導
するシグナル配列を含むように設計できることは、当業者には理解されよう。
【0139】 更に、挿入した配列の発現調節能力または発現したタンパク質を所望の形にプ
ロセシングする能力によって宿主細胞株が選択される。このようなポリペプチド
の修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(
lipidation)、及びアシル化が含まれるが、これらに限定されるものではない。
タンパク質の「プレプロ」または「プロ」形を切断する翻訳後のプロセシングを
利用して、標的タンパク質、折りたたみ及び/または活性を特定することが可能
である。翻訳後の活性のための特定の細胞装置及び特徴のある機構をもつ種種の
宿主細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、MEK293、WI38)がAmerican Type Culture
Collection(ATCC; Bethesda, MD)より入手可能であり、外来のタンパク質の
正しい修飾及びプロセシングを確実にするために選択される。
【0140】 本発明の別の実施例では、HIRPをコードする自然或いは変更された、または組
換えの核酸配列を上記した任意の宿主系の融合タンパク質の翻訳となる異種配列
に結合させる。例えば、市販の抗体によって認識できる異種部分を含むキメラHI
RPタンパク質が、HIRPの活性のインヒビターに対するペプチドライブラリのスク
リーニングを促進し得る。また、異種タンパク質部分及び異種ペプチド部分が、
市販の親和性基質を用いて融合タンパク質の精製を促進し得る。このような部分
には、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質
(MBP)、チオレドキシン(Trx)、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、6−Hi
s、FLAG、c−mc、赤血球凝集素(HA)が含まれるが、これらに限定されるもので
はない。GST及びMBP、Trx、CBP、6−Hisによって、固定されたグルタチオン、マ
ルトース、フェニルアルシン酸化物(phenylarsine oxide)、カルモジュリン、
金属キレート樹脂のそれぞれで同族の融合タンパク質の精製が可能となる。FLAG
、c−mc、及び赤血球凝集素(HA)によって、これらのエピトープ標識を特異的
に認識する市販のモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を用いた融合タン
パク質の免疫親和性の精製ができる。また、HIRPをコードする配列と異種タンパ
ク質配列との間にあるタンパク質分解切断部位を融合タンパク質が含むように遺
伝子操作すると、HIRPが精製の後に異種部分から切断され得る。融合タンパク質
の発現と精製の方法は、Ausubel. (1995、前出 ch 10).に記載されている。市販
されている様々なキットを用いて、融合タンパク質の発現及び精製を促進できる
【0141】 本発明の別の実施例では、TNTウサギ網状赤血球可溶化液またはコムギ胚芽抽
出系(Promega)を用いてin vitroで放射能標識したHIRPの合成が可能である。こ
れらの系は、T7またはT3、SP6プロモーターと機能的に結合したタンパク質をコ
ードする配列の転写と翻訳をつなげる。翻訳は、例えば、35Sメチオニンである
放射能標識されたアミノ酸前駆体の存在の下で起こる。
【0142】 本発明のHIRPまたはその断片を用いて、HIRPに特異結合する化合物をスクリー
ニングすることができる。少なくとも1つまたは複数の試験化合物を用いて、HI
RPへの特異的な結合をスクリーニングすることが可能である。試験化合物の例に
は、抗体、オリゴヌクレオチド、タンパク質(例えば受容体)または小分子が挙
げられる。
【0143】 一実施例では、このように同定された化合物は、例えばリガンドやその断片な
どのHIRPの天然のリガンド、または天然の基質、構造的または機能的な擬態性ま
たは自然結合パートナーに密接に関連している(Coligan, J.E. 他 (1991) Curr ent Protocols in Immunology 1(2)の5章等を参照)。同様に、化合物は、HIRP
が結合する天然受容体、或いは例えばリガンド結合部位などの少なくとも受容体
のある断片に密接に関連し得る。何れの場合も、既知の技術を用いてこの化合物
を合理的に設計することができる。一実施例では、このような化合物に対するス
クリーニングには、分泌タンパク質或いは細胞膜上のタンパク質の何れか一方と
してHIRPを発現する好適な細胞の作製が含まれる。好適な細胞には、哺乳動物、
酵母、大腸菌からの細胞が含まれる。HIRPを発現する細胞またはHIRPを含有する
細胞膜断片を試験化合物と接触させて、HIRPまたは化合物の何れかの結合、刺激
または阻害を分析する。
【0144】 あるアッセイは、単に試験化合物をポリペプチドに実験的に結合させ、結合を
、フルオロフォア、放射性同位体、酵素抱合体またはその他の検出可能な標識に
より検出することができる。例えば、このアッセイは、少なくとも1つの試験化
合物を、溶液中の或いは固体支持物に固定されたHIRPと結合させるステップと、
HIRPとこの化合物との結合を検出するステップを含み得る。別法では、標識され
た競合物の存在下での試験化合物の結合の検出及び測定を行うことができる。更
にこのアッセイでは、細胞遊離剤、化学ライブラリまたは天然の生成混合物を用
いて実施することができ、試験化合物は、溶液中で遊離させるか固体支持体に固
定させる。
【0145】 本発明のHIRPまたはその断片を用いて、HIRPの活性を調整する化合物をスクリ
ーニングすることが可能である。このような化合物には、アゴニスト、アンタゴ
ニスト、或るいは部分的または逆アゴニスト等が含まれる。一実施例では、HIRP
が少なくとも1つの試験化合物と結合する、HIRPの活性が許容される条件下でア
ッセイを実施し、試験化合物の存在下でのHIRPの活性が試験化合物不在下でのHI
RPの活性と比較する。試験化合物の存在下でのHIRPの活性の変化は、HIRPの活性
を調整する化合物の存在を示唆する。別法では、試験化合物をHIRPの活性に適し
た条件下でHIRPを含むin vitroまたは細胞遊離系と結合させてアッセイを実施す
る。これらアッセイの何れかにおいて、HIRPの活性を調整する試験化合物は間接
的に結合することが可能であり、試験化合物と直接接触する必要がない。少なく
とも1つから複数の試験化合物をスクリーニングすることができる。
【0146】 別の実施例では、胚性幹細胞(ES細胞)における相同組換えを用いて動物モデ
ル系内で、HIRPまたはその哺乳動物相同体をコードするポリヌクレオチドを「ノ
ックアウト」する。このような技術は当技術分野において周知であり、ヒト疾患
動物モデルの作製に有用である(米国特許第5,175,383号及び第5,767,337号等を
参照)。例えば129/SvJ細胞株等のマウスES細胞は初期のマウス胚に由来し、培
地で増殖させることができる。このES細胞は、ネオマイシンホスホトランスフェ
ラーゼ遺伝子(neo: Capecchi, M.R. (1989) Science 244:1288-1292)等のマー
カー遺伝子で破壊した目的の遺伝子を含むベクターで形質転換する。このベクタ
ーは、相同組換えにより宿主ゲノムの対応する領域に組み込まれる。別法では、
Cre-loxP系を用いて相同組換えを行い、組織特異的または発生段階特異的に目的
遺伝子をノックアウトする(Marth, J.D. (1996) Clin. Invest. 97:1999-2002;
Wagner, K.U. 他 (1997) Nucleic Acids Res. 25:4323-43 30)。形質転換した
ES細胞を同定し、例えばC57BL/6マウス系等から採取したマウス細胞胚盤胞に微
量注入する。胚盤胞を偽妊娠メスに外科的に導入し、得られるキメラ子孫の遺伝
形質を決め、これを交配させてヘテロ接合性系またはホモ接合性系を作製する。
このようにして作製した遺伝子組換え動物は、潜在的な治療薬や毒性薬剤で検査
することができる。
【0147】 HIRPをコードするポリヌクレオチドをin vitroでヒト胚盤胞由来のES細胞にお
いて操作することが可能である。ヒトES細胞は、内胚葉、中胚葉及び外胚葉の細
胞の種類を含む少なくとも8つの別々の細胞系統に分化する可能性を有する。こ
れらの細胞系統は、例えば神経細胞、造血系統及び心筋細胞に分化する(Thomso
n, J.A. 他 (1998) Science 282:1145-1 147)。
【0148】 HIRPをコードするポリヌクレオチドを用いて、ヒト疾患をモデルとした「ノッ
クイン」ヒト化動物(ブタ)または遺伝子組換え動物(マウスまたはラット)を
作製することが可能である。ノックイン技術を用いて、HIRPをコードするポリヌ
クレオチドの或る領域を動物ES細胞に注入し、注入した配列を動物細胞ゲノムに
組み込ませる。形質転換細胞を胞胚に注入し、胞胚を上記のように移植する。遺
伝子組換え子孫または近交系について研究し、可能性のある医薬品で処理し、ヒ
トの疾患の治療に関する情報を得る。別法では、例えばHIRPを乳汁内に分泌する
などHIRPを過剰に発現する哺乳動物近交系は、便利なタンパク質源となり得る(
Janne, J. 他 (1998) Biotechnol. Annu. Rev. 4:55-74)。
【0149】 (治療) HIRPのある領域とヒト免疫応答タンパク質のある領域との間に、例えば配列及
びモチーフの文脈における化学的及び構造的類似性が存在する。更に、HIRPの発
現は、造血組織および癌に密接に関連するため、HIRPは、免疫疾患及び細胞増殖
異常においてある役割を果たすと考えられる。HIRPの発現若しくは活性の増大に
関連する疾患の治療においては、HIRPの発現または活性を低下させることが望ま
しい。また、HIRPの発現または活性の低下に関連する疾患の治療においては、HI
RPの発現または活性を増大させることが望ましい。
【0150】 従って、一実施例において、HIRPの発現または活性の低下に関連した疾患の治
療または予防のために、患者にHIRPまたはその断片や誘導体を投与することが可
能である。限定するものではないが、このような疾患には免疫疾患及び細胞増殖
異常が含まれ、免疫疾患の中には、後天性免疫不全症候群(AIDS)、副腎機能不
全、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド症、貧血、喘
息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、自
己免疫性多腺性内分泌カンジダ性外胚葉ジストロフィー(APECED)、気管支炎、
胆嚢炎、接触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気
腫、リンパ球毒素性一時性リンパ球減少症、赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃炎
、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、
過好酸球増加症、過敏性大腸症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋または
心膜炎症、骨関節炎、骨粗しょう症、膵炎、多発性筋炎、乾癬、ライター症候群
、リウマチ様関節炎、強皮症、シェ−グレン症候群、全身性アナフィラキシー、
全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎、
ウェルナー症候群、癌合併症、血液透析、体外循環、ウイルス感染症、細菌感染
症、真菌感染症、寄生虫感染症、原虫感染症、蠕虫感染症、及び外傷が含まれ、
また、細胞増殖異常の中には日光性角化症及びアテローム性動脈硬化、滑液包炎
、硬変、肝炎、混合型結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間ヘモグロビ
ン尿症、真性多血症、乾癬、原発性血小板血症、並びに腺癌及び白血病、リンパ
腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、及び奇形癌、具体的には、副腎、膀胱、骨、骨髄、
脳、乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、
膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、子宮の癌な
どが含まれる。
【0151】 別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むHIRPの発現
または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、HIRPまたはその断
片や誘導体を発現し得るベクターを患者に投与することも可能である。
【0152】 更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むHIRPの
発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、実質的に精製
されたHIRPを含む組成物を好適な医薬用担体と共に患者に投与することも可能で
ある。
【0153】 更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むHIRPの
発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、HIRPの活性を
調節するアゴニストを患者に投与することも可能である。
【0154】 更なる実施例では、HIRPの発現または活性の増大に関連した疾患の治療または
予防のために、患者にHIRPのアンタゴニストを投与することが可能である。限定
するものではないが、このような疾患の例には、上記した免疫疾患及び細胞増殖
異常が含まれる。一実施態様では、HIRPと特異的に結合する抗体が直接アンタゴ
ニストとして、或いはHIRPを発現する細胞または組織に薬剤を運ぶターゲッティ
ング或いは運搬機構として間接的に用いられ得る。
【0155】 別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むHIRPの発現
または活性の増大に関連した疾患の治療または予防のために、HIRPをコードする
ポリヌクレオチドの相補配列を発現するベクターを患者に投与することも可能で
ある。
【0156】 別の実施例では、本発明の任意のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニ
スト、相補的な配列、ベクターを別の好適な治療薬と組み合わせて投与すること
もできる。当業者は、従来の医薬原理にしたがって併用療法で用いる好適な治療
薬を選択可能である。治療薬との組み合わせにより、上に列記した種々の疾患の
治療または予防に相乗効果をもたらし得る。この方法を用いて少ない量の各薬剤
で医薬効果をあげることが可能であり、広範囲な副作用の可能性を低減し得る。
【0157】 HIRPのアンタゴニストは、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可能
である。詳しくは、精製されたHIRPを用いて抗体を作ったり、治療薬のライブラ
リをスクリーニングしてHIRPと特異的に結合するものを同定が可能である。HIRP
の抗体も、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可能である。このよう
な抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖、
Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリによって作られたフラグメントが含ま
れる。但し、これらに限定されるものではない。治療用には、中和抗体(即ち、
二量体の形成を阻害するもの)が特に好ましい。
【0158】 抗体の産生のためには、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ヒト及びその他のも
のを含む種々の宿主が、HIRPまたは任意の断片、または免疫原性の特性を備える
そのオリゴペプチドの注入によって免疫化され得る。宿主の種に応じて、種々の
アジュバントを用いて免疫応答を高めることもできる。このようなアジュバント
にはフロイントアジュバント、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲルアジュバ
ント、リゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油性乳
剤、キーホールリンペットヘモシニアン、及びジニトロフェノールなどの界面活
性剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。ヒトに用いられるアジュ
バントの中では、BCG(bacilli Calmette-Guerin)及びCorynebacterium parvum が特に好ましい。
【0159】 HIRPに対する抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペプチド、ま
たは断片は、少なくとも約5個のアミノ酸からなり、一般的には約10個以上の
アミノ酸からなるものが好ましい。これらのオリゴペプチド或いはペプチド、ま
たはそれらの断片は、天然のタンパク質のアミノ酸配列の一部と同一であること
が望ましい。HIRPアミノ酸の短いストレッチは、KLHなどの別のタンパク質の配
列と融合し、キメラ分子に対する抗体が産生され得る。
【0160】 HIRPに対するモノクローナル抗体は、培地内の連続した細胞株によって、抗体
分子を産生する任意の技術を用いて作製することが可能である。これらの技術に
は、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びEBV−ハイブリ
ドーマ技術が含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Kohler,
G. ら. (1975) Nature 256:495-497; Kozbor, D. ら. (1985) .J. Immunol. Met
hods 81−8-42; Cote, R.J. ら. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-2030
; Cole, S.P. ら. (1984) Mol. Cell Biol. 62:109-120を参照)。
【0161】 更に、「キメラ抗体」作製のために発達したヒト抗体遺伝子にマウス抗体遺伝
子をスプライシングするなどの技術が、好適な抗原特異性及び生物学的活性を備
える分子を得るために用いられる(例えば、Morrison, S.L.他. (1984) Proc. N
atl. Acad. Sci. 81−4851−4855; Neuberger, M.S.他. (1984) Nature 312:604
-608; Takeda, S.ら. (1985) Nature 314:452,454を参照)。別法では、当分野
で周知の方法を用いて、一本鎖抗体の産生のための記載された技術を適用して、
HIRP特異性一本鎖抗体を生成する。関連する特異性を備えるが別のイディオタイ
プの組成の抗体は、ランダムな組み合わせの免疫グロブリンライブラリから鎖混
合によって生成することもできる(例えば、Burton D.R. (1991) Proc. Natl. A
cad. Sci. 88:11120-3を参照)。
【0162】 抗体は、リンパ球集団の中のin vivo産生を誘発することによって、または免
疫グロブリンライブラリのスクリーニングまたは文献に示されているような、高
度に特異的な結合試薬のパネルをスクリーニングすることによって、得ることも
できる(例えば、Orlandi, R. 他. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. 86: 3833-3
837; Winter, G. 他. (1991) Nature 349:293-299を参照)。
【0163】 HIRPに対する特異的な結合部位を含む抗体も得ることができる。例えば、この
ような断片には、抗体分子のペプシン消化によって生成されるF(ab')に断片と
、F(ab')に断片のジスルフィド架橋を減じることによって生成されるFab断片
が含まれるが、これらに限定されるものではない。別法では、Fab発現ライブラ
リを作製することによって、所望の特異性とモノクローナルFab断片の迅速且つ
容易な同定が可能となる(例えば、Huse, W.D. ら. (1989) Science 254:1275-1
281を参照)。
【0164】 種々のイムノアッセイを用いてスクリーニングし、所望の特異性を有する抗体
を同定する。隔離された特異性を有するポリクローナル抗体またはモノクローナ
ル抗体の何れかを用いる競合的な結合、または免疫放射線活性のための数々のプ
ロトコルが、当分野では周知である。通常このようなイムノアッセイには、HIRP
とその特異性抗体との間の複合体調整の計測が含まれる。二つの非干渉性HIRPエ
ピトープに対して反応性のモノクローナル抗体を用いる、2部位モノクローナル
ベースのイムノアッセイが一般に利用されるが、競合的結合アッセイも利用する
ことができる(Pound、前出)。
【0165】 ラジオイムノアッセイ技術と共にScatchard分析などの様々な方法を用いて、H
IRPに対する抗体の親和性を評価する。親和性を結合定数Kaで表すが、このKaは
、平衡状態の下でHIRP抗体複合体のモル濃度を遊離抗体と遊離抗原のモル濃度で
除して得られる値である。多数のHIRPエピトープに対して親和性が不均一なポリ
クローナル抗体医薬のKaは、HIRPに対する抗体の平均親和性または結合活性を
表す。特定のHIRPエピトープに単一特異的なモノクローナル抗体医薬のKaは、
親和性の真の測定値を表す。Ka値が10〜1012L/molの高親和性抗体医薬は、H
IRP抗体複合体が激しい操作に耐えなければならないイムノアッセイに用いるの
が好ましい。Ka値が10〜10L/molの低親和性抗体医薬は、HIRPが抗体から最
終的に活性化状態で解離する必要がある免疫精製(immunopurification)及び類
似の処理に用いるのが好ましい。(Catty, D. (1988) Antibodies, Volume I: A Practical Approach . IRL Press, Washington, DC; Liddell, J. E. and Cryer,
A. (1991) A Practical Guide to Monoclonal Antibodies, John Wiley & Sons
, New York NY)。
【0166】 ある下流での適用におけるこのような医薬品の品質及び適性を調べるために、
ポリクローナル抗体医薬の抗体価及び結合活性を更に評価する。例えば、少なく
とも1〜2mg/mlの特異的な抗体、好ましくは5〜10mg/mlの特異的な抗体を含むポ
リクローナル抗体医薬は一般に、HIRP抗体複合体を沈殿させなければならない処
理に用いられる。様々な適用例における抗体の特異性及び抗体価、結合活性、抗
体の品質や使用法の指針は一般に入手可能である。(例えば、Catty, 前出, 及び
Coligan 他、前出を参照)。
【0167】 本発明の別の実施例では、HIRPをコードするポリヌクレオチド、またはその任
意の断片や相補配列が、治療目的で使用することができる。ある実施態様では、
HIRPをコードする遺伝子のコーディング領域や調節領域に相補的な配列やアンチ
センス分子(DNA及びRNA、修飾オリゴヌクレオチド)を設計して遺伝子発現を変
更することができる。このような技術は当分野では周知であり、センスまたはア
ンチセンスオリゴヌクレオチドまたは大きな断片が、HIRPをコードする配列の制
御領域から、またはコード領域に沿ったさまざまな位置から設計可能である(例
えば、Agrawal, S., ed. (1996) Antisense Therapeutics, Humana Press Inc.,
Totawa NJを参照)。
【0168】 治療に用いる場合、アンチセンス配列を好適な標的細胞に導入するのに好適な
任意の遺伝子送達系を用いることができる。アンチセンス配列は、転写時に標的
タンパク質をコードする細胞配列の少なくとも一部に相補的な配列を発現する発
現プラスミドの形で細胞内に送達することができる(例えば、Slater, J.E. 他
(1998) J. Allergy Clin. Immunol. 102(3):469-475; and Scanlon, K.J. 他 (1
995)9(13):1288-1296.を参照 )。また、アンチセンス配列は、例えばレトロウ
イルスやアデノ関連ウイルスベクター等のウイルスベクターを用いて細胞内に導
入することもできる(例えば、Miller, A.D. (1990) Blood 76:271; Ausubel,
前出; Uckert, W. and W. Walther (1994) Pharmacol. Ther. 63(3):323-347を
参照)。その他の遺伝送達機構には、リポソーム系、人工的なウイルスエンベロ
ープ、及び当分野で周知のその他の系が含まれる(Rossi, J.J. (1995) Br. Med
. Bull. 51(1):217-225; Boado, R.J.他 (1998) J. Pharm. Sci. 87(11):1308-1
315; and Morris, M.C. 他 (1997) Nucleic Acids Res. 25(14):2730-2736.を参
照)。
【0169】 本発明の別の実施例では、HIRPをコードするポリヌクレオチドを、体細胞若し
くは生殖細胞の遺伝子治療に用いることが可能である。遺伝子治療は、(i)遺
伝子欠損症(例えば、X染色体連鎖遺伝(Cavazzana-Calvo, M. 他 (2000) Scie
nce 288:669-672)によって特徴づけられる重度の複合型免疫欠損(SCID)-X1)
、遺伝性アデノシン−デアミナーゼ(ADA)欠損症(Blaese, R.M. 他 (1995) Sci
ence 270:475-480; Bordignon, C. 他 (1995) Science 270:470-475)に関連する
重度の複合型免疫欠損、嚢胞性繊維症(Zabner, J. 他 (1993) Cell 75:207-216
: Crystal, R.G. 他 (1995) Hum. Gene Therapy 6:643-666; Crystal, R.G. 他
. (1995) Hum. Gene Therapy 6:667-703)、サラセミア(thalassamia)、家族
性高コレステロール血症、第VIII因子若しくは第IX因子欠損による血友病(Crys
tal, 35 R.G. (1995) Science 270:404-410; Verma, I.M. and Somia. N. (199
7) Nature 389:239-242)を治療したり、(ii)条件的致死性遺伝子産物(例え
ば、細胞増殖の制御不能による癌の場合)を発現させたり、及び(iii)細胞内
の寄生虫(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)(Baltimore, D. (1988) Natu
re 335:395-396; Poescbla, E. 他 (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93:11
395-11399)や、B型若しくはC型肝炎ウイルス(HBV、HCV)、Candida albicans
及びParacoccidioides brasiliensis等の真菌寄生虫、Plasmodium falciparum
Trypanosoma cruzi等の原虫寄生体)に対する防御機能を有するタンパク質を
発現させて行うことができる。HIRPの発現若しくは調節に必要な遺伝子の欠損が
疾患を引き起こす場合、導入した細胞の好適な集団からHIRPを発現させて、遺伝
子欠損によって起こる症状の発現を緩和することが可能である。
【0170】 本発明の更なる実施例では、HIRPの欠損による疾患や異常症は、HIRPをコード
する哺乳動物発現ベクターを作製して、これらのベクターを機械的手段によって
HIRP欠損細胞に導入することによって治療する。in vivo或いはex vitroの細胞
に用いる機械的な導入技術には、(i)個々の細胞内へのDNAのマイクロインジェ
クション、(ii)金粒子の打ち込み、(iii)リポソーム仲介性トランスフェク
ション、(iv)受容体仲介性遺伝子導入、及び(v)DNAトランスポソン(Morgan
, R.A. and W.F. Anderson (1993) Annu. Rev. Biochem. 62:191-217; Ivics, Z
. (1997) Cell 91:501-510; Boulay, J-L. and H. Recipon (1998) Curr. Opin
. Biotechnol. 9:445-450)の使用が含まれる。
【0171】 HIRPの発現に影響を及ぼし得る発現ベクターには、限定するものではないが、
PCDNA 3.1、EPITAG、PRCCMV2、PREP、PVAXベクター(Invitrogen, Carlsbad CA)
、PCMV-SCRIPT、PCMV-TAG、PEGSH/PERV (Stratagene, La Jolla CA)、PTET-OFF
、PTET-ON、PTRE2、PTRE2-LUC、PTK-HYG (Clontech, Palo Alto CA)が含まれる
。HIRPを発現させるために、(i)恒常的に活性なプロモーター(例えば、サイ
トメガロウイルス(CMV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、SV40ウイルス、チミジ
ンキナーゼ(TK)、若しくはβ−アクチン遺伝子等)、(ii)誘導性プロモーター
(例えば、市販されているT-REXプラスミド(Invitrogen)に含まれている、テ
トラサイクリン調節性プロモーター(Gossen, M. and H. Bujard (1992) Proc.
Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:5547-5551; Gossen, M. 他 (1995) Science 268:1
766-1769; Rossi, F.M.V. and H.M. Blau (1998) Curr. Opin. Biotechnol. 9:4
51-456))、エクジソン誘導性プロモーター(市販されているプラスミドPVGRXR
及びPINDに含まれている:Invitrogen)、FK506/ラパマイシン誘導性プロモー
ター、またはRU486/ミフェプリストーン誘導性プロモーター(Rossi, F.M.V. a
nd H.M. Blau, 前出)、または(iii)正常な個体に由来するHIRPをコードする
内在性遺伝子の天然のプロモーター若しくは組織特異的プロモーターを用いるこ
とが可能である。
【0172】 市販のリポソーム形質転換キット(例えば、Invitrogenが販売しているPERFEC
T LIPID及びTRANSFECTION KIT)を用いれば、当業者は経験にそれほど頼らない
でもポリヌクレオチドを培養中の標的細胞に導入することが可能である。別法で
は、リン酸カルシウム法(Graham. F.L. and A.J. Eb (1973) Virology 52:456-
467)若しくは電気穿孔法 (Neumann, B. 他 (1982) EMBO J. 1:841-845)を用い
て形質転換を行う。初代細胞にDNAを導入するためには、これらの標準的な哺乳
動物トランスフェクションプロトコルを変更する必要がある。
【0173】 本発明の別の実施例では、HIRPの発現に関連する遺伝子欠損によって起こる疾
患や異常症は、(i)レトロウイルス末端反復配列(LTR)プロモーター若しくは
独立したプロモーターのコントロール下でHIRPをコードするポリヌクレオチドと
、(ii)好適なRNAパッケージングシグナルと、(iii)追加のレトロウイルス・
シス作用性RNA配列及び効率的なベクターの増殖に必要なコーディング配列を伴
うRev応答性エレメント(RRE)とからなるレトロウイルスベクターを作製して治
療することができる。レトロウイルスベクター(例えば、PFB及びPFBNEO)はStr
atagene社から入手可能であり、公表データ(Riviere, I. 他. (1995) Proc. Na
tl. Acad. Sci. U.S.A. 92:6733-6737)に基づいている。上記データを引用する
ことをもって本明細書の一部とする。このベクターは、VSVg(Armentano, D. 他
(1987) J. Virol. 61:1647-1650; Bender, M.A. 他 (1987) J. Virol. 61:1639
-1646; Adam, M.A. and A.D. Miller (1988) J. Virol. 62:3802-3806; Dull, T
. 他 (1998) J. Virol. 72:8463-8471; Zufferey, R. 他 (1998) J. Virol. 72:
9873-9880)等の乱交雑エンベロープタンパク質若しくは標的細胞上の受容体に
対する親和性を有するエンベロープ遺伝子を発現する好適なベクター産生細胞系
(VPCL)において増殖される。RIGGに付与された米国特許第5,910,434号(「Met
hod for obtaining retrovirus packaging cell lines producing high transdu
cing efficiency retroviral supernatant」)において、レトロウイルスパッケ
ージング細胞系を得るための方法が開示されており、引用することをもって本明
細書の一部とする。レトロウイルスベクターの増殖、ある細胞集団(例えば、CD
4+T細胞)の形質導入、並びに形質導入した細胞を患者に戻す方法は、遺伝子治
療の分野では周知であり、多数の文献に記載されている(Ranga, U. 他. (1997)
J. Virol. 71:7020-7029; Bauer, G. 他 (1997) Blood 89:2259-2267; Bonyhad
i, M.L. (1997) J. Virol. 71:4707-4716; Ranga, U. 他 (1998) Proc. Natl. A
cad. Sci. U.S.A. 95:1201-1206: Su, L. (1997) Blood 89:2283-2290)。
【0174】 別法では、アデノウイルス系遺伝子治療の送達系を用いて、HIRPの発現に関連
する1或いは複数の遺伝子異常を有する細胞にHIRPをコードするポリヌクレオチ
ドを送達する。アデノウイルス系ベクターの作製及びパッケージングは当分野で
は周知である。複製欠損型アデノウイルスベクターは、免疫調節タンパク質をコ
ードする遺伝子を膵臓の無損傷の膵島の中に導入するために可変性であることが
証明された(Csete, M.E. 他. (1995) Transplantation 27:263-268)。使用で
きる可能性のあるアデノウイルスベクターが、米国特許第5,707,618号(「Adeno
virus vectors for gene therapy」)に記載されており、引用することをもって
本明細書の一部とする。アデノウイルスベクターについてはまた、Antinozzi, P
.A. 他 (1999) Annu. Rev. Nutr. 19:511-544; and Verma, I.M. and N. Somia
(1997) Nature 18:389:239-242を参照し、引用することをもって本明細書の一部
とする。
【0175】 別法では、ヘルペス系遺伝子治療の送達系を用いて、HIRPの発現に関連する1
或いは複数の遺伝子異常を有する標的細胞にHIRPをコードするポリヌクレオチド
を送達する。単純疱疹ウイルス(HSV)系のベクターは、HSV親和性の中枢神経細
胞にHIRPを導入する際に特に重要である。ヘルペス系ベクターの作製及びパッケ
ージングは当分野では周知である。複製適格性の単純疱疹ウイルス(HSV)I型系
のベクターは、霊長類の眼にレポーター遺伝子を送達するために用いられてきた
(Liu, X. 他 (1999) Exp. Eye Res.169:385-395)。HSV-1ウイルスベクターの
作製は、DeLucaに付与された米国特許第5,804,413号(Herpes simplex virus swa
ins for gene transfer)に記載されており、引用することをもって本明細書の一
部とする。米国特許第5,804,413号には、ヒト遺伝子治療を含む目的のために、
好適なプロモーターのコントロールの下で、細胞に導入される少なくとも1つの
内在性遺伝子を含むゲノムからなる組換えHSV d92についての記載がある。また
上記特許には、ICP4、ICP27及びICP22のために除去される組換えHSV株の作製及
び使用方法が開示されている。HSVベクターについては、Goins, W.F. 他 (1999)
J. Virol. 73:519-532 and Xu, H. 他 (1994) Dev. Biol. 163:152-161を参照
し、引用することをもって本明細書の一部とする。クローニングされたヘルペス
ウイルス配列の操作や、巨大ヘルペスウイルスのゲノムの異なった部分を含む多
数のプラスミドをトランスフェクトした後の組換えウイルスの継代、ヘルペスウ
イルスの成長及び増殖、並びにヘルペスウイルスの細胞への感染は当分野で周知
の技術である。
【0176】 別法では、αウイルス(ポジティブな一本鎖RNAウイルス)ベクターを用いてH
IRPをコードするポリヌクレオチドを標的細胞に送達する。プロトタイプのαウ
イルスであるセムリキ森林熱ウイルス(Semliki Forest Virus, SFV)の生物学
的な研究が広範に行われ、遺伝子伝達ベクター(gene transfer vector)がSFV
ゲノムに基づいていることが分かった(Garoff, H. and K.-J. Li (1998) Cun.
Opin. Biotech. 9:464-469)。αウイルスRNAの複製中に、通常はウイルスカプ
シドタンパク質をコードするサブゲノムRNAが作り出される。このサブゲノムRNA
が完全長のゲノムRNAより高いレベルで複製されるため、酵素活性(例えばプロ
テアーゼ及びポリメラーゼ)を有するウイルスタンパク質に対してカプシドタン
パク質が過剰に産生される。同様に、HIRPをコードする配列をαウイルスゲノム
のカプシドをコードする領域に導入することによって、ベクター導入細胞におい
て多数のHIRPをコードするRNAが産生され、高いレベルでHIRPが合成される。通
常はαウイルス感染は2〜3日以内の細胞溶解に関係するが、シンドビスウイル
ス(SIN)の変異体を有するハムスターの正常な腎細胞(BHK-21)の持続的な感
染を確立する能力は、αウイルスの溶解性の複製が遺伝子治療に適用できるよう
に好適に変更することが可能であることを示唆している(Dryga, S.A. 他. (199
7) Virology 228 :74-83)。様々な宿主にαウイルスを導入できることから、様
々なタイプの細胞にHIRPを導入することできる。ある集団における細胞のサブセ
ットの特定の形質導入には、形質導入する前に細胞のソーティングを必要とする
場合がある。αウイルスの感染性cDNAクローンの操作、αウイルスcDNA及びRNA
のトランスフェクション、並びにαウイルスの感染方法は当分野で周知である。
【0177】 例えば開始部位から約−10から約+10までの転写開始部位に由来するオリ
ゴヌクレオチドを用いて、遺伝子の発現を阻害することが可能である。同様に、
三重らせん塩基対合法を用いて阻害することができる。三重らせん構造は、二重
らせんがポリメラーゼ、転写因子、または調節分子の結合のために十分に広がる
のを阻止するため有用である。三重鎖DNAを用いる最近の治療の進歩は文献に記
載されている(例えば、Gee, J.E. ら. (1994) In: Huber, B.E. 及び B.I. Car
r, Molecular and Immunologic Approaches, Futura Publishing Co., Mt. Kisc
o, NYを参照)。相補的な配列またはアンチセンス分子もまた、転写物がリボソ
ームに結合するのを阻止することによってmRNAの翻訳を阻止するように設計でき
る。
【0178】 酵素性RNA分子であるリボザイムは、RNAの特異的切断を触媒するために用いる
ことができる。リボザイム作用の機構には、相補的な標的RNAへのリボザイム分
子の配列特異性ハイブリダイゼーションが含まれ、ヌクレオチド鎖切断が続く。
例えば、HIRPをコードする配列のヌクレオチド鎖切断を、特異的且つ効果的に触
媒する組換え型のハンマーヘッド型リボザイム分子が含まれる。
【0179】 任意の潜在的RNA標的内の特異的なリボザイム切断部位が、後続の配列GUA
、GUU、及びGUCを含むリボザイム切断部位に対して、標的分子をスキャニ
ングすることによって初めに同定される。一度同定されると、切断部位を含む標
的遺伝子の領域に対応する15個から20個のリボヌクレオチドの短いRNA配列
を、オリゴヌクレオチドの機能を不全にする二次的な構造の特徴について評価す
ることが可能である。候補標的の適合性も、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用
いて、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの容易性をテス
トすることによって評価することが可能である。
【0180】 本発明の相補的なリボ核酸分子及びリボザイムは、当分野で周知の方法を用い
て、核酸分子の合成のために作製することができる。これらの方法には、固相ホ
スホラミダイト化合物などのオリゴヌクレオチドを化学的に合成する方法が含ま
れる。別法では、RNA分子がin vitro及びin vivoでHIRPをコードするDNA配列の
転写によって生成され得る、このようなDNA配列はT7またはSP6等の好適なRNAポ
リメラーゼプロモータを用いて、種々のベクターの中に組み入れることが可能で
ある。別法では、相補的なRNAを構成的または誘導的に合成するこれらのcDNA作
製物は、細胞株、細胞、または組織の中に導入することができる。
【0181】 RNA分子を修飾することによって、細胞内の安定性を高め、半減期を長くする
ことができる。可能な修飾には、分子の5’及び/または3’端部でのフランキ
ング配列の追加、または分子のバックボーン内のホスホジエステル結合の代わり
にホスホロチオネートまたは2’Oメチルを用いる修飾が含まれるが、これらに
限定されるものではない。PNAの生成に固有のこの概念は、内在性のエンドヌク
レアーゼによって容易には認識されないアデニン、シチジン、グアニン、チミン
、及びウリジンのアセチル−、メチル−、チオ−、及び同様の修飾形態だけでな
く、イノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(wybutosine)な
どの従来のものでない塩基を含めることによって、これらの分子の全体に拡大す
ることができる。
【0182】 本発明の更なる実施例は、HIRPをコードするポリヌクレオチドの発現の変化に
有効な化合物をスクリーニングする方法を含む。特定のポリヌクレオチドの発現
の変化に有効な化合物には、限定するものではないが、特定のポリヌクレオチド
配列と相互作用可能な非高分子化学物質、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオ
リゴヌクレオチド、三重らせん形成オリゴヌクレオチド、転写因子やその他のポ
リペプチド転写調節因子が含まれる。有効な化合物は、ポリヌクレオチド発現の
インヒビター或いはエンハンサーとして作用し、ポリヌクレオチドの発現を変化
させ得る。従って、HIRPの発現または活性の増加に関連する疾患の治療において
は、HIRPをコードするポリヌクレオチドの発現を特異的に阻害する化合物が治療
上有用であり、HIRPの発現または活性の低下に関連する疾患の治療においては、
HIRPをコードするポリヌクレオチドの発現を特異的に促進する化合物が治療上有
用であり得る。
【0183】 特定のポリヌクレオチドの発現の変化の有効性を調べるために、少なくとも1
個から複数個の試験化合物をスクリーニングすることができる。試験化合物は、
有効な化合物の化学修飾を含む当分野で周知の任意の方法で得ることができる。
このような方法は、ポリヌクレオチドの発現を変化させる場合、一般に市販され
ている或いは専売の天然または非天然の化合物ライブラリから選択する場合、標
的ポリヌクレオチドの化学的及び/または構造的特性に基づいて化合物を合理的
にデザインする場合、更に組合せ的にまたは無作為に生成した化合物のライブラ
リから選択する場合に有効である。HIRPをコードするポリヌクレオチドを含むサ
ンプルは、少なくとも1つの試験化合物に暴露して得る。サンプルには、例えば
無傷細胞、透過化処理した細胞、in vitro細胞遊離系または再構成生化学系が含
まれ得る。HIRPをコードするポリヌクレオチドの発現における変化は、当分野で
周知の任意の方法でアッセイする。通常、HIRPをコードするポリヌクレオチドの
配列に相補的なヌクレオチド配列を有するプローブを用いたハイブリダイゼーシ
ョンにより、特定のヌクレオチドの発現を検出する。ハイブリダイゼーションの
収量を定量し、その値が1或いは複数の試験化合物に暴露される及び暴露されな
いポリヌクレオチドの発現の比較における基準となり得る。試験化合物に暴露さ
れるポリヌクレオチドの発現の変化が検出される場合は、ポリヌクレオチドの発
現の変化に試験化合物が有効であることを示している。特定のポリヌクレオチド
の発現の変化に有効な化合物を調べるために、例えばSchizosaccharomyces pomb e 遺伝子発現系(Atkins, D. 他 (1999) 米国特許第5,932,435号、Arndt, G.M.
他 (2000) Nucleic Acids Res. 28:E15)またはHeLa細胞等のヒト細胞株(Clark
e, M.L. 他 (2000) Biochem. Biophys. Res. Commun. 268:8-13)を用いてスク
リーニングする。本発明の特定の実施例は、特異的ポリヌクレオチド配列に対す
るアンチセンス活性を調べるための、各オリゴヌクレオチド(デオキシリボヌク
レオチド、リボヌクレオチド、ペプチド核酸、及び修飾オリゴヌクレオチド)の
組み合わせライブラリのスクリーニングを含む(Bruice, T.W. 他 (1997) 米国
特許第5,686,242号、Bruice, T.W. 他 (2000) 米国特許第6,022,691号)。
【0184】 ベクターを細胞または組織に導入する多数の方法が利用でき、in vivoin vi tro 、及びex vivoでの使用に等しく適している。ex vivoでの治療の場合、患者
から採取された肝細胞の中にベクターを導入して、自家移植で同じ患者に戻すた
めにクローニング増殖される。トランスフェクション、リボソーム注入またはポ
リカチオンアミノポリマーによる運搬は、当分野で周知の方法を用いて実行する
ことができる(例えば、Goldman, C.K. 他. (1997) Nature Biotechnology 15:4
62-66:を参照)。
【0185】 上記した全ての治療方法は、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ
及びサルなどの哺乳動物を含む、治療が必要な全ての被験者に適用できる。
【0186】 本発明の別の実施例は、通常は医薬的に許容される賦形剤で調製した活性成分
を含む組成物の投与に関連する。賦形剤には、例えば、糖、澱粉、セルロース、
ゴム、及びタンパク質などが含まれる。様々な製剤方法が知られているが、Remi
ngton's Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing, Easton PA)の最新版に
網羅されている。このような組成物は、HIRP、HIRPの抗体、擬態、アゴニスト、
アンタゴニスト、またはHIRPのインヒビターなどを含み得る。
【0187】 本発明に用いられる組成物は、様々な経路を用いて投与するが可能である。こ
の経路には、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、クモ膜下、心室内、経皮
、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下、または直腸が含まれるがこれらに
限定されるものではない。
【0188】 肺投与用の組成物は、液状または乾燥粉末状に調製することができる。このよ
うな組成物は通常、患者が吸入する直前にエアロゾル化する。小分子(例えば、
従来の低分子量有機薬剤)の場合には、速効製剤のエアロゾル輸送が当分野で周
知である。高分子(例えば、より大きなペプチドやタンパク質)の場合には、肺
の肺胞領域を介する肺輸送の技術が近年向上したため、インスリン等の薬剤を実
際に血中に輸送することが可能となった(Patton, J.S. 他, 米国特許第5,997,8
48号等を参照)。肺輸送は、針注射を用いないで投与できるという点で優れてお
り、潜在的に有毒な浸透エンハンサーが必要でなくなる。
【0189】 本発明に用いる好適な組成物には、目的を達成するため、効果的な量の活性処
方成分を含む組成物が含まれる。当業者は、十分に自身の能力で効果的な服用量
を決めることができる。
【0190】 HIRPまたはその断片を含む高分子を直接細胞内に輸送するべく、特殊な形態に
組成物が調製されるのが好ましい。例えば、細胞不透過性高分子を含むリポソー
ム製剤は、細胞融合及び高分子の細胞内輸送を促進し得る。別法では、HIRPまた
はその断片をHIV Tat-1タンパク質の陽イオンN末端部に結合することもできる。
このようにして作製された融合タンパク質は、マウスモデル系の脳を含む全ての
組織の細胞に形質導入されることが確認されている(Schwarze, S.R. 他 (1999)
Science 285:1569-1572)。
【0191】 どのような組成物であっても、治療に効果的な薬用量は、初めは、例えば腫瘍
細胞の腫瘍細胞アッセイで、或いは動物モデルのどちらかで推定することができ
る。通常、動物モデルには、マウス、ウサギ、イヌ、サル、またはブタなどが用
いられる。動物モデルはまた、好適な濃縮範囲及び投与の経路を決めるのに用い
ることができる。このような治療をもとに、ヒトへの有益な薬用量及び投与経路
を決定することができる。
【0192】 医学的に効果的な薬用量は、症状や容態を回復させる、たとえばHIRPまたはそ
の断片、HIRPの抗体、HIRPのアゴニストまたはアンタゴニスト、インヒビターな
どの活性処方成分の量に関連する。薬用有効度及び毒性は、たとえば、ED50
服用に対して集団の50%に医薬的効果がある用量)またはLD50(服用に対し
て集団の50%に致命的である用量)統計を計算するなど、細胞培養または動物
実験における標準的な薬剤手法によって決定することができる。毒性効果と治療
効果との薬用量比は治療指数であり、LD50/ED50と示すことができる。高い
治療指数を示す組成物が望ましい。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られた
データが、ヒトへの適用のために、薬用量の範囲を調剤するのに用いられる。こ
のような組成物が含まれる薬用量は、毒性を殆ど或いは全く含まず、ED50を含
む血中濃度の範囲であることが望ましい。薬用量は、用いられる投与形態及び患
者の感受性、投与の経路によって、この範囲内で様々である。
【0193】 正確な薬用量は、治療が必要な患者に関する要素を考慮して、実務者によって
決められるであろう。薬用量及び投与は、効果的なレベルの活性成分を与えるた
め或いは所望の効果を維持するために調節される。薬用量の要素として考慮され
るものには、疾患の重症度、患者の一般的な健康状態、年齢、体重、及び患者の
性別、投与の時間及び頻度、併用する薬剤、反応感受性、及び治療に対する応答
が含まれる。作用期間が長い組成物は、3日か4日に1度、1週間に1度、2週
間に1度、特定の製剤の半減期及びクリアランス率によって左右され、投与され
得る。
【0194】 通常の薬用量は投与の経路によって異なるが、約0.1〜100,000μgまでの最大
約1グラムまでである。特定の薬用量及び運搬の方法に関するガイダンスは文献
に記載されており、一般に当分野の実務者はそれを利用することができる。当業
者は、タンパク質またはインヒビターとは異なったヌクレオチドの製剤を利用す
るであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの運搬は、特定の細
胞、状態、位置などに対して特異的であろう。
【0195】 (診断) 別の実施例では、HIRPに特異的に結合する抗体が、HIRPの発現によって特徴付
けられる疾患の診断、またはHIRPやHIRPのアゴニストまたはアンタゴニスト、イ
ンヒビターで治療を受けている患者をモニターするためのアッセイに用いられる
。診断に有用な抗体は、治療のところで記載した方法と同じ方法で製剤される。
HIRPの診断アッセイには、抗体及び標識を用いてヒトの体液或いは細胞や組織か
ら採取されたものからHIRPを検出する方法が含まれる。これらの抗体は、修飾を
して或いはしないで使用され、レポーター分子の共有結合性或いは非共有結合性
の接着によって標識化され得る。当分野で周知の種々のレポーター分子が用いら
れるが、その内の幾つかは上記した。
【0196】 HIRPを測定するためのELISA,RIA,及びFACSを含む種々のプロトコルは、当分
野では周知であり、変わった或いは異常なレベルのHIRPの発現を診断する元とな
るものを提供する。正常或いは標準的なHIRPの発現の値は、複合体の形成に適し
た条件の下、正常な哺乳動物、例えばヒトなどの被験者から採取した体液または
細胞とHIRPに対する抗体とを結合させることによって決定する。標準的な複合体
形成の量は、測光法(photometric)などの種々の方法で定量され得る。被験者
のHIRPの発現の量、制御及び疾患、生検組織からのサンプルが基準値と比較され
る。基準値と被験者との間の偏差が、診断の指標となる。
【0197】 本発明の別の実施例によれば、HIRPをコードするポリヌクレオチドを診断のた
めに用いることもできる。用いられるポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチ
ド配列、相補的なRNA及びDNA分子、及びPNAが含まれる。このポリヌクレオチド
を用いて、疾患と相関し得るHIRPを発現する生検組織における遺伝子の発現を検
出し定量する。この診断アッセイを用いて、HIRPの存在の有無、更に過剰な発現
を調べ、治療中のHIRP値の調節を監視する。
【0198】 一実施形態では、HIRPまたは近縁の分子をコードする遺伝子配列を含むポリヌ
クレオチド配列を検出可能なPCRプローブを用いたハイブリダイゼーションによ
って、HIRPをコードする核酸配列を同定することが可能である。例えば5'調節
領域である高度に特異的な領域か、例えば保存されたモチーフであるやや特異性
の低い領域から作られているかのプローブの特異性と、ハイブリダイゼーション
或いは増幅のストリンジェントは、プローブがHIRPをコードする自然界の配列の
みを同定するかどうか、或いはアレルや関連配列コードする自然界の配列のみを
同定するかどうかによって決まるであろう。
【0199】 プローブはまた、関連する配列の検出に利用され、HIRPをコードする任意の配
列と少なくとも50%の配列同一性を有し得る。目的の本発明のハイブリダイゼ
ーションプローブには、DNAあるいはRNAが可能であり、SEQ ID NO:5−8の配列、
或いはHIRP遺伝子のプロモーター、エンハンサー、イントロンを含むゲノム配列
に由来し得る。
【0200】 HIRPをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプローブの作
製方法には、HIRP及びHIRP誘導体をコードするポリヌクレオチド配列をmRNAプロ
ーブの作製のためのベクターにクローニングする方法がある。このようなベクタ
ーは市販されており、当業者には周知であり、好適なRNAポリメラーゼ及び好適
な標識されたヌクレオチドを加えることによって、in vitroでRNAプローブを合
成するために用いられる。ハイブリダイゼーションプローブは、例えば32P或
いは35Sなどの放射性核種、或いはアビジン/ビオチン(biotin)結合系によ
ってプローブに結合されたアルカリホスファターゼなどの酵素標識等の種々のレ
ポーターの集団によって標識され得る。
【0201】 HIRPをコードするポリヌクレオチド配列を用いて、HIRPの発現に関連する疾患
を診断することが可能である。限定するものではないが、このような疾患には免
疫疾患及び細胞増殖異常が含まれ、免疫疾患の中には、後天性免疫不全症候群(
AIDS)、副腎機能不全、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミ
ロイド症、貧血、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己
免疫性甲状腺炎、自己免疫性多腺性内分泌カンジダ性外胚葉ジストロフィー(AP
ECED)、気管支炎、胆嚢炎、接触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚
筋炎、糖尿病、肺気腫、リンパ球毒素性一時性リンパ球減少症、赤芽球症、結節
性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス
病、橋本甲状腺炎、過好酸球増加症、過敏性大腸症候群、多発性硬化症、重症筋
無力症、心筋または心膜炎症、骨関節炎、骨粗しょう症、膵炎、多発性筋炎、乾
癬、ライター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、シェ−グレン症候群、全身性
アナフィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、血小板減少性紫斑
病、潰瘍性大腸炎、ウェルナー症候群、癌合併症、血液透析、体外循環、ウイル
ス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症、原虫感染症、蠕虫感染症、
及び外傷が含まれ、また、細胞増殖異常の中には日光性角化症及びアテローム性
動脈硬化、滑液包炎、硬変、肝炎、混合型結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、発
作性夜間ヘモグロビン尿症、真性多血症、乾癬、原発性血小板血症、並びに腺癌
及び白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、及び奇形癌、具体的には、副腎
、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓
、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣
、胸腺、子宮の癌などが含まれる。HIRPをコードするポリヌクレオチド配列は、
サザーン法やノーザン法、ドットブロット法、或いはその他の膜系の技術、PCR
法、ディップスティック(dipstick)、ピン(pin)、ELISA式アッセイ、及び変
異HIRPの発現を検出するために患者から採取した体液或いは組織を利用するマイ
クロアレイに使用することが可能である。このような質的或いは量的方法は、当
分野では周知である。
【0202】 ある実施態様では、HIRPをコードするヌクレオチド配列は、関連する疾患、特
に上記した疾患を検出するアッセイにおいて有用であろう。HIRPをコードするヌ
クレオチド配列は、標準的な方法で標識化され、ハイブリダイゼーション複合体
の形成に好適な条件の下、患者から採取した体液或いは組織のサンプルに加える
ことができるであろう。好適な培養期間の後、サンプルを洗浄し、シグナルを定
量して基準値と比較する。患者のサンプルのシグナルの量が、制御サンプルと較
べて著しく変わっている場合は、サンプル内のHIRPをコードするヌクレオチド配
列の変異レベルにより、関連する疾患の存在が明らかになる。このようなアッセ
イを用いて、動物実験、臨床試験、或いは個人の患者の治療を監視における、特
定の治療効果を推定することが可能である。
【0203】 HIRPの発現に関連する疾患の診断の基準となるものを提供するために、発現の
正常すなわち標準的なプロファイルが確立される。これは、ハイブリダイゼーシ
ョン或いは増幅に好適な条件の下、動物或いはヒトの何れかの正常な被験者から
抽出された体液或いは細胞と、HIRPをコードする配列或いはその断片とを結合さ
せることにより達成され得る。標準的なハイブリダイゼーションは、正常な被験
者から得た値と周知の量の実質的に精製されたポリヌクレオチドが用いられる実
験からの値とを比較することによって定量可能である。正常なサンプルから得た
標準的な値を、疾患の症状を示す被験者から得た値と比較可能である。基準値と
被験者の値との偏差を用いて罹患しているかどうを決定する。
【0204】 疾患の存在が確定され、治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーシ
ョンアッセイを通常ベースで繰り返して、被験者における発現のレベルが正常な
患者に示される値に近づき始めたかどうかを推定することが可能である。繰り返
し行ったアッセイの結果を、数日から数ヶ月の期間の治療の効果を見るのに用い
ることができる。
【0205】 癌では、個体からの生体組織における異常な量の転写物が、疾患の発生の素因
を示し、また実際に臨床的症状が出る前に疾患を検出する方法を提供することが
可能である。この種のより明確な診断により、医療の専門家が予防方法或いは積
極的な治療法を早くから利用して、癌の発生または進行を防ぐことが可能となる
【0206】 HIRPをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドのさらなる診断への
利用には、PCRの利用が含まれ得る。このようなオリゴマーは、化学的な合成、
酵素を用いた生成、或いはin vitroで生成され得る。オリゴマーは、好ましくは
HIRPをコードするポリヌクレオチドの断片、或いはHIRPをコードするポリヌクレ
オチドと相補的なポリヌクレオチドの断片を含み、最適な条件の下、特定の遺伝
子や条件を識別するために利用される。また、オリゴマーは、やや緩いストリン
ジェントな条件の下、近縁のDNA或いはRNA配列の検出及び/または定量のため用
いることが可能である。
【0207】 或る実施態様において、HIRPをコードするポリヌクレオチド配列由来のオリゴ
ヌクレオチドプライマーを用いて、一塩基多型(SNP)を検出し得る。SNPは、ヒ
トの先天性または後天性遺伝病の原因となる場合が多いヌクレオチドの置換、挿
入及び欠失である。限定するものではないが、SNPの検出方法には、一本鎖立体
構造多型(SSCP)及び蛍光SSCP(fSSCP)法が含まれる。SSCPでは、HIRPをコー
ドするポリヌクレオチド配列由来のオリゴヌクレオチドプライマーを用いたポリ
メラーゼ連鎖反応(PCR)でDNAを増幅する。このDNAは、例えば病変或いは正常
な組織、生検サンプル、体液等に由来し得る。このDNA内のSNPは、一本鎖形状の
PCR産物の2次及び3次構造に差異を生じさせる。この差異は非変性ゲル中での
ゲル電気泳動法を用いて検出可能である。fSCCPでは、オリゴヌクレオチドプラ
イマーを蛍光標識することによって、DNAシークエンシング装置などのハイスル
ープット機器でアンプリマー(amplimer)の検出をすることが可能になる。更に
、インシリコSNP(in silico SNP:isSNP)と呼ばれる配列データベース分析法
は、共通のコンセンサス配列の構築に用いられる個々の重複するDNA断片の配列
を比較することによって、多型を同定することができる。これらのコンピュータ
ベースの方法は、DNA配列クロマトグラムの自動分析及び統計モデルを用いたシ
ークエンシングエラーや研究室でのDNAの調整に起因する配列のばらつきを排除
する。別法では、例えばハイスループットのMASSARRAYシステム(Sequenom, Inc
., San Diego CA)を用いた質量分析によりSNPを検出し、特徴付ける。
【0208】 HIRPの発現を定量するために用いられ得る方法には、ヌクレオチドの放射標識
或いはビオチン標識、調節核酸の相互増幅(coamplification)、及び標準的な
曲線に結果が加えられたものが含まれる(例えば、Melby, P.C.ら(1993) J. Imm
unol. Methods, 159:235-44;Duplaa, C.ら(1993) Anal. Biochem. 229-236を参
照)。多数のサンプルの定量速度は、ハイスループット型のアッセイを用いるこ
とで速くなるであろう。このアッセイでは、目的のオリゴマーやポリヌクレオチ
ドが様々な希釈液中に含まれ、分光光度法或いは非色応答によって定量が迅速で
ある。
【0209】 更に別の実施例では、本明細書で記載した任意のポリヌクレオチド配列に由来
するオリゴヌクレオチドまたはより長い断片を、マイクロアレイにおける標的と
して用いることができる。マイクロアレイを、上記したように多数の遺伝子の相
対的な発現レベルを同時にモニタリングする転写イメージング技術に用いること
ができる。マイクロアレイはまた、遺伝子変異、突然変異及び多型の同定に用い
ることができる。この情報を用いて、遺伝子機能を決定し、疾患の遺伝的根拠を
解明し、疾患を診断し、遺伝子発現に関連する疾病の進行/後退をモニタリング
し、疾患の治療における治療薬の開発や活性のモニタリングを行うことができる
。特に、患者にとって最適かつ有効な治療法を選択するために、この情報を用い
て患者の薬理ゲノムプロフィールを作成することができる。例えば、患者の薬理
ゲノムプロフィールに基づいて、患者に対して極めて効果的でありながら副作用
を殆ど示さない治療薬を選択することができる。
【0210】 別の実施例では、HIRP、HIRPの断片、HIRPに特異的な抗体をマイクロアレイ上
のエレメントとして用いることができる。マイクロアレイを用いて、上記のよう
にタンパク質間相互作用、薬剤−標的相互作用及び遺伝子発現プロファイルをモ
ニタリング及び測定することが可能である。
【0211】 特定の実施例は、或る組織または細胞型の転写イメージを生成する本発明のポ
リヌクレオチドの使用に関連する。転写イメージは、特定の組織または細胞型に
より遺伝子発現の包括的パターンを表す。包括的遺伝子発現パターンは、所定の
条件下で所定の時間に発現した遺伝子の数及び相対存在量を定量することにより
分析される(Seilliamer 他、米国特許第5,840,484号の"Comparative Gene Tran
script Analysis" を参照。この特許に言及することを以って本明細書の一部と
する)。従って、特定の組織または細胞型の転写物または逆転写物の全てに本発
明のポリヌクレオチドまたはその相補配列をハイブリダイズすることにより、転
写イメージが生成され得る。或る実施例では、本発明のポリヌクレオチドまたは
その相補配列がマイクロアレイ上に複数のエレメントのサブセットを構成するハ
イスループット型でハイブリダイゼーションさせる。結果として得られる転写イ
メージは、遺伝子活性のプロファイルとなり得る。
【0212】 転写イメージは、組織、細胞株、生検サンプル、またはその他の生体サンプル
から単離した転写物を用いて生成し得る。従って、転写イメージは、組織または
生検サンプルの場合にはin vivo、または細胞株の場合にはin vitroにおける遺
伝子発現を反映する。
【0213】 本発明のポリヌクレオチドの発現プロファイルを示す転写イメージはまた、合
成化合物または天然化合物の毒性試験のみならず、in vitroモデル系及び薬剤の
前臨床評価に関連して使用され得る。全ての化合物は、作用及び毒性の機構を示
唆する、頻繁に分子フィンガープリント若しくは毒性シグネチャ(signature)
と称されるような特徴的な遺伝子発現パターンを引き起こす(Nuwaysir, E.F.
他 (1999) Mol. Carcinog. 24:15 3-159、Steiner, S. and N.L. Anderson (200
0) Toxicol. Lett. 112-113:467-471、また言及することを以って本明細書の一
部とする)。試験化合物が、毒性を有する既知の化合物のシグネチャと同一のシ
グネチャを有する場合には、毒性特性を共有している可能性が高い。フィンガー
プリンまたはシグネチャが、より多くの遺伝子及び遺伝子ファミリーからの発現
情報を含んでいれば、より有用かつ正確になる。理想としては、発現のゲノム全
域にわたって測定し、最高品質のシグネチャを提供することである。任意の試験
化合物によっても発現が変化しない遺伝子も同様に重要である。それは、これら
の遺伝子の発現レベルを用いて残りの発現データを標準化することができるため
である。標準化処理は、異なる化合物で処理した後の発現データの比較に有用で
ある。毒性シグネチャのエレメントへの遺伝子機能を割り当てることは毒性機構
の解明に役立つが、毒性の予測につながるシグネチャの統計的な一致には遺伝子
機能の知識は必要ではない(例えば2000年2月29日にNational Institute
of Environmental Health Sciencesより発行されたPress Release 00-02を参照
されたい。これについてはhttp://www.niehs.nih.gov/oc/news/toxchip.htmで入
手可能である)。従って、毒性シグネチャを用いる毒性スクリーニングにおいて
、全ての発現した遺伝子配列を含めることは重要でありまた望ましいことである
【0214】 一実施例では、試験化合物の毒性は、核酸を含有する生体サンプルをその試験
化合物で処理して評価する。処理した生体サンプル中で発現した核酸は、本発明
のポリヌクレオチドに特異的な1若しくは複数のプローブでハイブリダイズさせ
、それによって本発明のポリヌクレオチドに対応する転写レベルを定量すること
ができる。処理した生体サンプル中の転写レベルを、非処理生体サンプル中のレ
ベルと比較する。両サンプルの転写レベルの差が、処理されたサンプル中で試験
化合物が引き起こす毒性反応を示唆する。
【0215】 別の実施例は、本発明のポリペプチド配列を用いて組織または細胞型のプロテ
オームを分析することに関連する。「プロテオーム」という用語は、或る特定の
組織または細胞型におけるタンパク質発現の包括的パターンを指す。プロテオー
ムを構成する各タンパク質は、個々に更なる分析をすることができる。プロテオ
ーム発現パターン即ちプロファイルは、所定の条件下で所定の時間に発現したタ
ンパク質の数及びそれらの相対的な存在量を定量することにより分析する。従っ
て、ある細胞のプロテオームのプロファイルは、特定の組織または細胞型のポリ
ペプチドを分離及び分析することにより作成し得る。或る実施例では、このよう
な分離は2次元ゲル電気泳動によって行う。この2次元ゲル電気泳動法では、ま
ず、1次元の等電点電気泳動によりサンプルからタンパク質を分離し、次に、2
次元のドデシル硫酸ナトリウムスラブゲル電気泳動により分子量に従って分離す
る(前出のSteiner and Anderson)。これらのタンパク質は、通常クーマシーブ
ルーまたはシルバーまたは蛍光染色などの染色剤を用いてゲルを染色して、分散
した個別の位置にあるスポットとしてゲル中で可視化される。各タンパク質スポ
ットの光学密度は、通常サンプル中のタンパク質レベルに比例する。異なるサン
プル、例えば試験化合物または治療薬で処理済みまたは未処理のいずれかの生体
サンプルから得られる等位置にあるタンパク質スポットの光学密度を比較し、処
理に関連するタンパク質スポット密度の変化を調べる。スポット内のタンパク質
は、例えば化学的または酵素的に切断した後、質量分析する標準的な方法を用い
て部分的にシークエンシングする。スポット内のタンパク質の同一性は、好適に
は少なくとも5個の連続するアミノ酸残基であるその部分的な配列を、本発明の
ポリペプチド配列と比較することにより決定し得る。場合によっては、決定的な
タンパク質同定のための更なる配列が得られる。
【0216】 プロテオームのプロファイルは、HIRPに特異的な抗体を用いてHIRP発現レベル
を定量することによっても作成可能である。或る実施例では、マイクロアレイ上
のエレメントとして抗体を用い、マイクロアレイをサンプルに暴露して各アレイ
エレメントへのタンパク質結合レベルを検出することによりタンパク質発現レベ
ルを定量する(Lueking, A. ら. (1999) Anal. Biochern. 270:103-111、Mendoz
e, L.G. ら. (1999) Biotechniques 27:778-788)。検出は当分野で既知の様々
な方法で行うことができ、例えば、チオール反応性またはアミノ反応性蛍光化合
物を用いてサンプル中のタンパク質を反応させ、各アレイエレメントにおける蛍
光結合の量を検出し得る。
【0217】 プロテオームレベルでの毒性シグネチャも中毒学的スクリーニングに有用であ
り、転写レベルでの毒性シグネチャと並行して分析するべきである。或る組織に
おける或るタンパク質では、転写物の存在量とタンパク質の存在量との相関性が
低いことがあるため(Anderson, N.L. and J. Seilhamer (1997) Electrophores
is 18:533-537)、プロテオーム毒性シグネチャは、転写イメージにはそれ程影
響しないがプロテオームのプロファイルを変化させる化合物の分析において有用
たり得る。更に、体液中での転写の分析は、mRNAが急速に分解するため困難であ
る。しがたがって、このような場合にはプロテオームのプロファイル作成はより
信頼でき、情報価値がある。
【0218】 別の実施例では、試験化合物の毒性は、タンパク質を含む生体サンプルをその
試験化合物で処理して評価する。処理された生体サンプル中で発現したタンパク
質を分離して、各タンパク質の量が定量できるようにする。各タンパク質の量を
、未処理生体サンプル中の対応するタンパク質の量と比較する。両サンプル中の
タンパク質の量の差は、処理されたサンプル中の試験化合物に対する毒性反応を
示唆する。個々のタンパク質は、それらのアミノ酸残基をシークエンシングし、
これらの部分配列を本発明のポリペプチドと比較することで同定する。
【0219】 別の実施例では、試験化合物の毒性は、タンパク質を含む生体サンプルをその
試験化合物で処理することにより評価する。生体サンプルから得たタンパク質を
、本発明のポリペプチドに特異的な抗体と共にインキュベートする。その抗体に
より認識されたタンパク質の量を定量する。処理された生体サンプル中のタンパ
ク質の量を、未処理生体サンプル中のタンパク質の量と比較する。両サンプルの
タンパク質量の差が、処理サンプル中の試験化合物に対する毒性反応を示唆する
【0220】 当分野で周知の方法でマイクロアレイを準備して使用し、分析する。(例えば
、Brennan, T.M. 他 (1995) 米国特許第5,474,796号;Schena, M. 他 (1996) Pro
c. Natl. Acad. Sci. 93:10614-10619; Baldeschweiler 他(1995) PCT出願番号W
O95/251116; Shalon, D.他 (1995) PCT出願番号WO95/35505; Heller, R.A. 他(1
997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94:2150-2155; 及び Heller, M.J. 他 (1997) 米
国特許第5,605,662号を参照)。様々なタイプのマイクロアレイが周知であり、詳
細については、DNA Microarrays: A Practical Approach, M. Schena, ed. (199
9) Oxford University Press, Londonに記載されている。また、この文献を引用
することを以って本明細書の一部とする。
【0221】 本発明の別の実施例ではまた、HIRPをコードする核酸配列を用いて、天然のゲ
ノム配列をマッピングするのに有用なハイブリダイゼーションプローブを作製す
ることが可能である。コーディング配列または非コーディング配列の何れかを用
いることができるが、或る例では、コーディング配列より非コード配列が好まし
い。例えば、多重遺伝子ファミリーのメンバー間にコーディング配列が保存され
ていることにより、染色体マッピング時に望ましくない交差ハイブリダイゼーシ
ョンが生じる可能性がある。この配列は、特定の染色体、染色体の特定領域また
は人工の染色体、例えば、ヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細
菌人工染色体(BAC)、細菌P1産物、或いは単一染色体cDNAライブラリに対して
マッピングされる(Harrington, J.J. ら (1997) Nat Genet. 15:345-355、Pric
e, C.M. (1993) Blood Rev. 7:127-134、Trask, B.J. (1991) Trends Genet. 7:
149-154等を参照)。一度マッピングすると、本発明の核酸配列を用いて、例え
ば病状の遺伝と特定の染色体領域やまたは制限断片長多型(RFLP)の遺伝とが相
関するような遺伝子連鎖地図を作成可能である(Lander, E.S. and D. Botstein
(1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:7353-7357を参照)。
【0222】 in sit蛍光ハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的及び遺伝子地図デ
ータと相関し得る(例えば、Heinz-Ulrich, 他による(1995) in Meyers, 前出,
pp. 965-968を参照)。遺伝子地図データの例は、種々の科学誌あるいはOnline
Mendelian Inheritance in Man(OMIM)のワールドワイドウェブのサイトで見付
けることができる。物理的な染色体地図上のHIRPをコードする遺伝子の位置と特
定の疾患との相関性、或いは特定の疾患に対する素因が、このような疾患と関連
するDNA領域の決定に役立つため、更なる位置を決定するクローニングが行われ
る。
【0223】 染色体標本のin sitハイブリダイゼーション、及び確定した染色体マーカーを
用いた結合分析などの物理的マッピング技術を用いて、遺伝子地図を拡張するこ
ともできる。マウスなどの別の哺乳動物の染色体上に遺伝子を配置させることに
より、たとえ正確なヒト染色体の位置が分かっていなくても、関連するマーカー
が明らかになる場合が多い。この情報は、位置クローニング或いは別の遺伝子発
見技術を用いて遺伝的疾患の研究をしている研究者にとって価値がある。疾患や
症候群に関与する1つ或いは複数の遺伝子の位置が、例えば血管拡張性失調症の
11q22-23などの特定の遺伝子領域に遺伝子結合によって大まかに決定されると、
その領域に対するどの配列マッピングも、さらなる調査のための関連する遺伝子
或いは調節遺伝子を表す(例えば、Gatti, R.A.他による(1988)Nature 336:57
7-580を参照)。また、目的の本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者、保
有者、即ち感染者の間の、転位置、反転などによる染色体位置の違いを検出する
こともある。
【0224】 本発明の別の実施例では、HIRP、その触媒作用断片或いは免疫原断片またはそ
のオリゴペプチドを、種々の任意の薬剤スクリーニング技術における化合物のラ
イブラリのスクリーニングに用いることができる。このようなスクリーニングに
用いる断片は、溶液に遊離、固体支持物に固定、細胞の表面上に保持、或いは細
胞内に存在する。HIRPと検査する薬剤との結合による複合体の形成を測定しても
よい。
【0225】 薬剤スクリーニングに用いる別の方法は、目的のタンパク質に対して、好適な
結合親和性を有する化合物のスクリーニング処理能力を高めるために用いられる
(例えば、Geysen,他による(1984) PCT出願番号 WO84/03564を参照)。この方法
では、相当な数の異なる小さな試験用化合物が、プラスチックピン或いは他の基
板の上に合成される。試験用化合物は、HIRP、或いはその断片と反応してから洗
浄される。次ぎに、結合されたHIRPが、当分野で周知の方法で検出される。精製
されたHIRPはまた、前記した薬剤をスクリーニングする技術に用いられるプレー
ト上で直接被覆することもできる。別法では、非中和抗体を用いて、ペプチドを
捕らえ、固体支持物に固定することもできる。
【0226】 別の実施例では、HIRPと結合可能な中和抗体がHIRPと結合するため試験用化合
物と特に競合する、競合的薬剤スクリーニングアッセイを用いることができる。
この方法では、抗体が、HIRPと1つ以上の抗原決定因子を共有するどのペプチド
の存在も検出する。
【0227】 別の実施例では、発展途上の分子生物学技術にHIRPをコードするヌクレオチド
配列を用いて、限定はされないが、現在知られているトリプレット暗号及び特異
的な塩基対相互作用などのヌクレオチド配列の特性に依存する新しい技術を提供
することができる。
【0228】 当分野の技術者であれば、更なる説明がなくても前述の説明だけで最大限に本
発明を利用できるであろう。したがって、以下に記載する特定の好適な実施例は
、例示目的であって本発明を限定するものではない。
【0229】 前述した及び以下に記載する全ての特許出願、特許、刊行物、特に米国特許出
願第60/189,417号に言及することをもって本明細書の一部とする。
【0230】 (実施例) 1 cDNAライブラリの作製 インサイトcDNAはLIFESEQ GOLD データベース (Incyte Genomics, Palo Alto
CA)に含まれているcDNAライブラリに由来し、表4の列5に示されている。ある
組織をグアニジニウムイソチオシアネート溶液においてホモジナイズして溶解す
る一方、別の組織を、フェノールにおいて、或いはグアニジニウムイソチオシア
ネート及びフェノールの単相溶液であるTRIZOL (Life Technologies)などの変性
剤の好適な混合液においてホモジナイズして溶解した。この溶解物を塩化セシウ
ムにおいて遠心分離によって、或いはクロロホルムで抽出した。RNAは、イソプ
ロパノール或いは酢酸ナトリウムとエタノールのどちらか、或いは別の一般的な
方法でこの溶解物から沈殿させた。
【0231】 RNAの純度を高めるためにRNAのフェノールによる抽出及び沈殿を必要な回数繰
り返した。場合によっては、DNA分解酵素でRNAを処理する。殆どのライブラリで
は、オリゴd(T)連結常磁性粒子(Promega)またはOLIGOTEXラテックス粒子(QIAGEN
. Valencia CA)、OLIGOTEX mRNA精製キット(QIAGEN)を用いてポリ(A+)RNAを
単離した。別法では、POLY(A)PURE mRNA精製キット(Ambion, Austin TX)などの
別のRNA単離キットを用いて組織溶解物から直接単離した。
【0232】 ある場合には、Stratagene社にRNAを提供し、Stratagene社が対応するcDNAラ
イブラリを作製した。そうでない場合は、UNIZAPベクターシステム(Stratagene)
またはSUPERSCRIPT プラスミドシステム(Life Technologies)を用いて当分野で
周知の推奨方法または類似の方法でcDNAを合成してcDNAライブラリを作製した。
(例えば、Ausubel, 1997,前出,ユニット5.1-6.6を参照)。逆転写は、オリゴd(T)
またはランダムプライマーを用いて開始させた。合成オリゴヌクレオチドアダプ
ターを二本鎖cDNAに結合させてから、好適な1或いは複数の制限酵素でcDNAを消
化した。殆どのライブラリでは、SEPHACRYL S1000、SEPHAROSE CL2B、SEPHAROSE
CL4Bカラムクロマトグラフィー(Amersham Pharmacia Biotech)、またはアガロ
ースゲル電気泳動法によってcDNAの大きさ(300〜1000bp)を選択した。PBLUESC
RIPTプラスミド(Stratagene)、pSPORT1プラスミド(Life Technologies)、pcDNA2
.1プラスミド(Invitrogen Carlsbad CA)、PBK-CMVプラスミド(Stratagene)、pIN
CYプラスミド(Incyte Pharmaceuticals, Palo Alto CA)、またはそれらの誘導体
などの好適なプラスミドのポリリンカーの適合性制限酵素部位にcDNAを結合させ
た。この組換えプラスミドを、Stratagene社のXL1-Blue, XL1-BIueMRF、SOLR、
またはLife Technologies社のDH5αまたはDH10B、ELECTROMAX DH10Bを含むコン
ピテント大腸菌細胞に導入し形質転換した。
【0233】 2 cDNAクローンの単離 上記実施例1に記載したように得たプラスミドは、UNIZAPベクターシステム(S
tratagene)或いは細胞溶解を利用したin vivo切除によって宿主細胞から回収し
た。プラスミドの精製には、MagicまたはWIZARD Minipreps DNA精製システム(Pr
omega)、AGTC Miniprep精製キット(Edge Biosystems, Gaithersburg MD)、QIAGE
N社のQIAWELL 8 Plus、QIAWELL 8 Plus Plasmid、またはQIAWELL 8 Ultra Plasm
id 精製システム、またはREAL Prep 96プラスミドキットの内の少なくとも1つ
を用いた。沈殿させた後、0.1 mlの蒸留水に再懸濁して、凍結乾燥して或いは凍
結乾燥しないで4℃で保管した。
【0234】 別法では、ハイスループットの直接結合PCR法によって宿主細胞溶解物からプ
ラスミドDNAを増幅した。(Rao, V.B. (1994) Anal. Biochem. 216:1-14)。宿主
細胞の溶解及び熱サイクリングステップは、1つの反応混合液で行った。サンプ
ルを処理してから384−ウェルプレートに移して保管し、増幅したプラスミド
DNAの濃度を、PICOGREEN色素(Molecular Probes, Eugene OR)及びFluoroskan II
蛍光スキャナ(Labsystems Oy, Helsinki, Finland)を用いて蛍光定量的に測定し
た。
【0235】 3 シークエンシング及び分析 実施例2に記載したようにプラスミドから回収したインサイトcDNAを、以下に
示すようにシークエンシングした。cDNAのシークエンシング反応は標準的な方法
で行うか、またはHYDRAマイクロディスペンサー(Robbins Scientific)或いはMIC
ROLAB 2200 (Hamilton) 液体移送装置と共にABI CATALYST 800 (PE Biosystems)
サーマルサイクラー或いはPTC-200 thermal cycler (MJ Research)などのハイ
スループット装置を用いて行った。cDNAのシークエンシング反応は、Amersham P
harmacia Biotech社の試薬、またはABI PRISM BIGDYE Terminator cycle sequen
cing ready reactionキット(PE Biosystems)などのABIシークエンシングキット
に含まれる試薬を用いて行った。cDNAシークエンシングの反応物の電気泳動的に
よる分離及び標識したポリヌクレオチドの検出は、MEGABACE 1000 DNAシークエ
ンシングシステム(Molecular Dynamics)、標準ABIプロトコル及び塩基対呼び出
しソフトウェアを用いるABI PRISM 373または377シークエンシングシステム(PE
Biosystems)、または当分野で周知のその他の配列解析システムを用いて行った
。cDNA配列内の読み枠は、標準的な方法(Ausubel, 1997, 前出, unit 7.7)を用
いて決定した。cDNA配列の幾つかを選択して、実施例8に記載した方法で配列を
伸長した。
【0236】 インサイトcDNAに由来する本ポリヌクレオチド配列の確認は、BLAST、動的プ
ログラミング、およびジヌクレオチドの分布による解析(dinucleotide nearest
neighbor analysis)に基づいたプログラム及びアルゴリズムを用いて、ベクタ
ー、リンカー、およびポリA配列を取り除き、更にあいまいな塩基対をマスクす
ることで行った。次に、インサイトcDNA配列およびそれらの翻訳を、公共のデー
タベースであるGenBankの霊長類、げっ歯類、哺乳類、脊椎動物、および真核生
物のデータベース、およびBLOCKS、PRINTS、DOMO、PRODOM、およびPFAMなどの隠
れマルコフモデル(HMM)を基にしたタンパク質ファミリーのデータベースから
選択した配列に対して問合せた(HMMは、遺伝子ファミリーのコンセンサス主構
造を分析する確率的手法である。例えば、Eddy, S. R. (1996) Curr. Opin. Str
uct. Biol. 6 : 361-365を参照)。このような問合せは、BLAST、FASTA、BLIMPS
、およびHMMRに基づいたプログラムを用いて行った。インサイトcDNA配列を組み
立てて、完全長ポリヌクレオチド配列を作製した。或いは、GenBank cDNAs、Gen
Bank EST、ステッチ配列(stitched sequence)、ストレッチ配列(stretched s
equences)、またはGenscan-推定コード配列(実施例4および5を参照)を用い
て、インサイトcDNA群を完全長の配列に伸長した。配列の組み立ては、Phred、P
hrap、およびConsedに基づいたプログラムを用いて行い、GeneMark、BLAST、お
よびFASTAに基づいたプログラムを用いて、オープンリーディングフレームを決
定するべくcDAN群をスクリーニングした。完全長のポリヌクレオチド配列を翻訳
して対応する完全長ポリペプチド配列を得た。別法では、本発明のポリヌクレオ
チドは、完全長翻訳ポリヌクレオチドの任意のメチオニン残基から始まり得る。
次に、完全長ポリペプチド配列をGenBankタンパク質データベース(genpept)、
SwissProt、BLOCKS、PRINTS、DOMO、PRODOM、Prosite、およびPFAMなどの隠れマ
ルコフモデル(HMM)に基づいたタンパク質ファミリーデータベースに対して問
合せて分析した。こられの完全長ポリヌクレオチド配列はまた、MACDNASIS PRO
ソフトウェア(Hitachi Software Engineering, South San Francisco CA)およ
びLASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いて分析した。ポリヌクレオチド配列
およびポリペプチド配列のアラインメントを、アライメントした配列間のパーセ
ント同一性も計算するMEGALIGNマルチシークエンスアラインメントプログラム(
DNASTAR)に組み込まれたCLUSTALアルゴリズムによって指定されたデフォルトパ
ラメータを用いて作成した。
【0237】 表7は、インサイトcDNAおよび完全長配列の組み立て、および組み立てた配列
の分析に利用したツール、プログラム、およびアルゴリズム、並びにそれらの説
明、引用文献、閾値パラメータを簡単に示す。表7の列1は用いたツール、プロ
グラム、およびアルゴリズム、列2はそれらの簡単な説明、列3は引用すること
で本明細書の一部とした引用文献、列4の記載されている部分は2つの配列の一
致の程度を評価するために用いたスコア、確率値、およびその他のパラメータを
示す(スコアが高くなれば高くなるほど即ち確率値が低ければ低いほど、配列間
の相同性が高くなる)。
【0238】 完全長のポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列の組み立て及び分析に
用いる上記のプログラムは、SEQ ID NO:5−8のポリヌクレオチド配列断片の同定
にも利用できる。ハイブリダイゼーション及び増幅技術に有用である約20〜約
4000ヌクレオチドの断片を表4の列4に示した。
【0239】 4 ゲノムDNAからのコード配列の同定および編集 推定上のヒト免疫応答タンパク質は、公共のゲノム配列データベース(例えば
、gbpriやgbhtg)においてGenscan遺伝子同定プログラムを実行して初めに同定
された。Genscanは、様々な生物に由来するゲノムDNA配列を分析するための汎用
遺伝子同定プログラムである(Burge, C. および S. Karlin (1997) J. Mol. Bi
ol. 268 : 78-94、Burge, C. および S. Karlin (1998) Curr. Opin. Struct. B
iol. 8 : 346-354を参照)。このプログラムは推定エキソンを連結して、メチオ
ニンから停止コドンまで伸長した組み立てcDNA配列を構築する。Genscanにより
得られる配列は、FASTAデータベースのポリヌクレオチド配列およびポリペプチ
ド配列になる。Genscanによって一回で解析できる配列の最大長さは30kbに設
定されている。これらのGenscan推定cDNA配列の内、どの配列がヒト免疫応答タ
ンパク質をコードするかを決定するために、コードされたポリペプチドをPFAMモ
デルにおいてヒト免疫応答タンパク質について問合せて分析した。潜在的なヒト
免疫応答タンパク質が、ヒト免疫応答タンパク質としてアノテーションが付けら
れたインサイトcDNA配列に対する相同性を基に同定された。次に、これらの選択
されたGenscan推定配列を、BLAST解析を用いてgeneptおよびgbpri公共データベ
ースの配列と比較した。必要に応じて、Genscan推定cDNA配列を、geneptにおい
てBLASTで最もヒットした配列と比較して、Genscan推定配列における余分なエキ
ソンや省いてしまったエキソンなどのエラーを修正し、編集した。BLAST解析を
用いてGenscan推定cDNA配列を含むインサイトcDNAまたは公共のcDNAを見つけ出
すことにより、転写の証拠が得られる。インサイトcDNAがGenscan推定cDNA配列
を含む場合、この情報を用いてGenscan推定配列を修正或いは確認できる。完全
長ポリヌクレオチド配列は、実施例3に説明した組み立て方法でGenscan推定コ
ード配列とインサイトcDNAおよび/または公共のcDNA配列を組み立てて作製した
。別法では、完全長ポリヌクレオチド配列は、その全てが編集した或いは未編集
のGenscan推定コード配列から作製した。
【0240】 5 cDNA配列データを用いたゲノム配列データの組み立て ステッチ配列(Stiched Sequence) 部分的なcDNA配列を、実施例4に記載したGenscan遺伝子同定プログラムによ
って推定されたエキソンで伸長した。実施例3に記載されたように組み立てられ
た部分的なcDNAをゲノムDNAにマッピングし、1或いは複数のゲノム配列から推
定されるGenscanエキソンおよび関連cDNAを含む複数のクラスターに分けた。各
クラスターを、グラフ理論および動的計画法に基づいたアルゴリズムを用いて、
cDNAおよびゲノム情報を統合して分析し、可能性のあるスプライスバリアントを
生成して、続いて確認、編集、または伸長して完全長の配列を作製した。区間の
全長が或るクラスターの2つ以上の配列に存在する配列区間を同定し、このよう
に同定した区間は移行によるもので同等と考える。例えば、或る区間がcDNAおよ
び2つのゲノム配列のそれぞれに存在する場合、これら3つ全ての区間を同等と
考える。この方法によって、関連性がないが連続するゲノム配列をcDNA配列によ
って繋ぎ合わせる。このようにして同定された区間を、親配列(parent sequenc
e)に沿って現われるようにステッチアルゴリズムを用いて順に縫い合わせ、可
能な最長の配列および変異配列を作製する。或るタイプの親配列(cDNAとcDNA、
またはゲノム配列とゲノム配列)に沿って連結される区間と区間との繋ぎ合わせ
は、親配列のタイプが異なる(cDNAとゲノム配列)連結より好ましい。得られた
ステッチ配列を翻訳し、BLAST解析でgenpeptおよびgbpri公共データベースにお
ける配列と比較した。Genscanによって推定された不適当なエキソンを、genept
においてBLASTで最もヒットした配列と比較して修正する。このような配列を更
なるcNDA配列で伸長し、必要に応じてゲノムDNAで検査した。
【0241】 ストレッチ配列(Stretched Sequence) 部分的なDNA配列をBLAST解析に基づいたアルゴリズムで完全長に伸長した。ま
ず、実施例3に記載したように組み立てた部分的なcDNAを、BLASTプログラムを
用いてGenBankの霊長類、げっ歯類、哺乳類、脊椎動物、および真核生物のデー
タベースなどの公共のデータベースに対して問い合わせた。次に、GenBankの相
同性の最も高いタンパク質を、実施例4に記載したインサイトcDNA配列或いはGe
nScanエキソン推定配列の何れかとBLAST分析により比較した。得られた複数の高
スコアのセグメント対(HSP)を用いてキメラタンパク質を作製し、GenBnakの相
同タンパク質上に翻訳した配列をマッピングした。元のGenBnakタンパク質相同
体に対して、キメラタンパク質に挿入や欠失が起こり得る。公共のヒトゲノムデ
ータベースから相同ゲノム配列を探し出すために、GenBnakタンパク質相同体、
キメラタンパク質、またはそれらの両方をプローブとして用いた。このようにし
て、部分的なDNA配列を相同ゲノム配列の付加によりストレッチすなわち伸長し
た。完全な遺伝子を含んでいるか否かを判定するために得られたストレッチ配列
を検査した。
【0242】 6 HIRPをコードするポリヌクレオチドの染色体マッピング SEQ ID NO:5−8を組み立てるために用いた配列を、BLAST及びSmith-Waterman
アルゴリズムを用いて、インサイトLIFESEQデータベース及び公共のドメインデ
ータベースの配列と比較した。SEQ ID NO:5−8と一致するこれらのデータベース
の配列を、Phrap(表7)などの構築アルゴリズムを使用して、連続及び重複し
た配列のクラスターに組み入れた。Stanford Human Genonse Center (SHGC)、Wh
itehead Institute for Genome Research (WIGR)及びGenethonなどの公共の情報
源から入手できる放射線ハイブリッド(radiation hybrid)及び遺伝子マッピン
グのデータを用いて、クラスター化した配列がすでにマッピングされているかを
調べる。クラスターにマッピングされた配列が含まれている場合は、そのクラス
ターの全ての配列(特定のSEQ ID NOを含む)をそのマッピング位置に割り当て
た。
【0243】 遺伝子地図の位置は、範囲、区間、またはヒト染色体によって表される。セン
チモルガンで示したマッピング位置の範囲は、染色体の短腕(p)の末端から測
定した(センチモルガン(cM)は、同一染色体上の遺伝子間の乗換え率に基づい
た距離を表す単位である。平均すると、1cMはヒトの染色体の1メガベースに概
ね等しいいが、組換え率の高い部分と低い部分があるため、大きく変化し得る)
。距離cMは、配列がそれぞれのクラスターに含まれている放射線ハイブリッドマ
ーカーの境界を検出できるGenethonによってマッピングされた遺伝子マーカーに
基づいている。NCBI「GeneMap99」(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genemap)な
どの公衆が入手可能なヒト遺伝子マップおよびその他の情報源を用いて、上記し
た区間が既に同定されている疾患遺伝子マップ内若しくは近傍に位置するかを決
定できる。
【0244】 このようにして、SEQ ID NO:5が、第1染色体の57.2から57.5センチモルガン
の範囲内にマッピングされた。SEQ ID NO:6は、第22染色体の0.0から19.5セン
チモルガンの範囲内にマッピングされた。SEQ ID NO:7は、第18染色体の61.2
から64.8センチモルガンの範囲内にマッピングされた。
【0245】 7 ポリヌクレオチド発現の分析 ノーザン分析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験用技
術であり、特定の細胞種或いは組織からのRNAが結合されている膜への標識され
たヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを伴う(例えば、Sambrook,前出,
7章; 及び Ausubel. F.M. 他、前出, 4章及び16章を参照)。
【0246】 BLASTに用いる類似のコンピュータ技術を用いて、GenBank或いはLIFESEQ(Inc
yte Pharmaceuticals)のようなcDNAデータベース内の同一或いは関連する分子
を検索する。この分析は多くの膜系ハイブリダイゼーションより非常に速度が速
い。さらにコンピュータ検索の感度を変更して、任意の特定の一致が、厳密な一
致或いは相同的一致の何れかとして分類されるかを確定することができる。検索
の基準は、
【0247】
【数1】 として定義される積スコアである。積スコアは、0〜100の標準化された値で
あり、以下のように求める。BLASTスコアにヌクレオチド配列の一致率を乗じ、
その積を2つの配列の短い方の長さの5倍で除する。高スコアのセグメントの対
(HSP)において一致する各塩基に+5のスコアを割り当て、各不適性塩基対に
−4を割り当てることにより、BLASTスコアを計算する。2つの配列は、2以上
のHSPを共有し得る(ギャップにより離隔される)。2以上のHSPがある場合には
、最高BLASTスコアの塩基対を用いて積スコアを計算する。積スコアは、BLASTア
ラインメントの断片的重複と質とのバランスを表す。例えば積スコア100は、
比較した2つの配列の短い方の長さ全体にわたって100%一致する場合にのみ
得られる。積スコア70は、100%の同一性で重畳が70%であるか、或いは
88%の同一性で重畳が100%であるかの何れかの場合である。積スコア50
は、100%の同一性で重畳が50%であるか、或いは79%の同一性で重畳が
100%であるかの何れかの場合である。
【0248】 或いは、HIRPをコードするポリヌクレオチド配列は、由来する組織に対して分
析する。例えば、ある完全長の配列は、少なくとも部分的にインサイトcDNA配列
をオーバーラップさせて組み立てられる(実施例3を参照)。各cDNA配列は、ヒ
ト組織から作製されたcDNAライブラリに由来する。各ヒト組織は、心血管系、結
合組織、消化系、胚構造、内分泌系、外分泌腺、女性生殖器、男性生殖器、生殖
細胞、血液および免疫系、肺、筋骨格系、神経系、膵臓、呼吸器系、感覚器官、
皮膚、顎口腔系、分類不能/混合、または尿管などの1つの生物/組織のカテゴ
リーに分類される。各カテゴリーにおけるライブラリの数をカウントし、その合
計数を全カテゴリーのライブラリ数で除す。同様に、各ヒト組織は、癌、細胞系
、発生、炎症、神経、外傷、心血管、プールされたもの(pooled)などの1つの
疾患/症状のカテゴリーに分類され、各カテゴリーにおけるライブラリの数をカ
ウントし、その合計数を全カテゴリーのライブラリ数で除す。得られるパーセン
テージは、HIRPをコードするcDNAの疾患特異的な発現を反映する。cDNA配列およ
びcDNAライブラリ/組織の情報は、LIFESEQ GOLD データベース(Incyte Genomi
cs, Palo Alto CA)から得ることができる。
【0249】 8 HIRPをコードするポリヌクレオチドの伸長 完全長のポリヌクレオチド配列は、完全長分子の好適な断片から設計したオリ
ゴヌクレオチドプライマーを用いてその完全長分子の好適な断片を伸長して作製
した。一方のプライマーは既知の断片の5'の伸長を開始するために合成し、他
方のプライマーは既知の断片の3'の伸長を開始するために合成した。開始プラ
イマーは、OLIGO 4.06ソフトウェア(National Biosciences)或いは他の適切な
プログラムを用いて、約22個から約30個のヌクレオチドの長さで約50%以
上のGC含量を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニールするよう
に設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体が生じないように
ヌクレオチドを伸長した。
【0250】 選択されたヒトcDNAライブラリを用いてこの配列を伸長した。2段階以上の伸
長が必要な場合、若しくは望ましい場合は、追加或いはネスト化プライマーの組
を設計する。
【0251】 当分野で既知の方法を利用したPCR法で高い忠実度で増幅した。PCRはPTC-200
thermal cycler (MJ Research, Inc.)用いて96ウェルブロックプレートで行った
。反応混合液は、鋳型DNA及び200 nmolの各プライマー、Mg2+と(NH4)2SO4と2−
メルカプトエタノールを含むバッファー、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharm
acia Biotech)、ELONGASE酵素(Life Technologies)、Pfu DNAポリメラーゼ(Stra
tagene)を含む。プライマーの組、PCI AとPCI Bに対して以下のパラメータで増
幅を行った。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 60℃で1分間 ステップ4 68℃で2分間 ステップ5 ステップ2、3、及び4を20回繰り返す ステップ6 68℃で5分間 ステップ7 4℃で保管 別法では、プライマーの組、T7とSK+に対して以下のパラメータで増幅を行った
。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 57℃で1分間 ステップ4 68℃で2分間 ステップ5 ステップ2、3、及び4を20回繰り返す ステップ6 68℃で5分間 ステップ7 4℃で保管。
【0252】 各ウェルのDNA濃度は、1×TEに溶解した100μlのPICOGREEN定量試薬(0.25% (v
/v) PICOGREEN; Molecular Probes, Eugene OR) 及び0.5μlの希釈していないPC
R産物を不透明な蛍光光度計プレート(Corning Costar, Acton MA)の各ウェルに
分注してDNAが試薬と結合できるようにして測定する。このプレートをFluoroska
n II (Labsystems Oy, Helsinki, Finland)でスキャンして、サンプルの蛍光を
計測してDNAの濃度を定量する。反応混合物の5〜10μlのアリコットを1%のア
ガロースゲル上での電気泳動によって解析し、何れの反応物が配列を伸長するこ
とに成功したかを決定する。
【0253】 伸長したヌクレオチドを脱塩及び濃縮してから384ウェルプレートに移し、Cvi
JIコレラウィルスエンドヌクレアーゼ(Molecular Biology Research, Madison W
I)で消化し、pUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結する前に超
音波処理即ちせん断を行った。ショットガンシークエンシングのために、消化し
たヌクレオチドを低濃度(0.6〜0.8%)のアガロースゲル上に分離して断
片を切断し、寒天をAgar ACE (Promega)で消化した。T4リガーゼ(New England B
iolabs, Beverly MA)を用いて伸長したクローンをpUC 18ベクター(Amersham Pha
rmacia Biotech)に再連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)で制限部位のオ
ーバーハングを処理してコンピテント大腸菌細胞に形質移入した。形質転換細胞
を選択して抗生物質を含む培地に移し、それぞれのコロニーを切りとってLB/2X
カルベニシリン培養液の384ウェルプレートにおいて37℃で一晩培養した。
【0254】 細胞を溶解して、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)及びPfu
DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて以下の手順でDNAをPCR増幅した。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 60℃で1分間 ステップ4 72℃で2分間 ステップ5 ステップ2、3、及び4を29回繰り返す ステップ6 72℃で5分間 ステップ7 4℃で保管。 上記したようにPICOGREEN試薬(Molecular Probes)でDNAを定量化した。DNA回収
率の悪いサンプルは、上記した条件で再び増幅した。サンプルを20%のジメチル
サルホサイド(dimethysulphoxide)(1:2, v/v)で希釈し、DYENAMIC DIRECTキッ
ト(Amersham Pharmacia Biotech)またはABI PRISM BIGDYE Terminator cycle se
quencing ready reactionキット(Applied Biosystems)を用いてシークエンシン
グした。
【0255】 同様に上述の手順で、完全長のポリヌクレオチド配列を検査したり、或いは完
全長のポリヌクレオチド配列を利用して、この伸長のために設計したオリゴヌク
レオチドと好適なゲノムライブラリを用いて5′調節配列を得た。
【0256】 9 個々のハイブリダイゼーションプローブの標識化及び使用法 SEQ ID NO:5−8から導き出されたハイブリダイゼーションプローブを用いて、
cDNA、mRNA、またはゲノムDNAをスクリーニングする。約20塩基対からなるオ
リゴヌクレオチドの標識について特に記すが、より大きなcDNAフラグメントの場
合でも基本的に同じ手順を用いる。オリゴヌクレオチドを、OLIGO4.06ソフトウ
ェア(National Bioscience)のような最新式のソフトウェアを用いてデザイン
し、50pmolの各オリゴマーと、250μCiの[γ‐32P]アデノシン三リン酸(Ame
rsham, Chicago, IL)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN、Boston
MA)とを組み合わせて用いることにより標識する。標識されたオリゴヌクレオ
チドを、SEPHADEX G-25超精細排除デキストランビードカラム(Amersham Pharma
cia Biotech)を用いて実質的に精製する。毎分10カウントの標識されたプ
ローブを含むアリコットを、次のエンドヌクレアーゼ、Ase I、Bgl II、Eco RI
、Pst I、Xba1或いはPvu II(DuPont NEN)の1つを用いて切断したヒトゲノムD
NAの典型的な膜ベースのハイブリダイゼーション解析において用いる。
【0257】 各切断物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画して、ナイロン製メンブ
ラン(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)に転写する。ハイブリ
ダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取り除くた
め、例えば、最大0.1×クエン酸ナトリウム食塩水及び0.5%ドデシル硫酸
ナトリウムの条件の下、ブロットを順次室温にて洗浄する。ハイブリダイゼーシ
ョンパターンをオートラジオグラフィー或いは別のイメージ化手段で視覚化して
比較する。
【0258】 10 マイクロアレイ マイクロアレイ上のアレイエレメントの連結または合成は、フォトリソグラフ
ィ、ピエゾプリント(インクジェット印刷、前出のBaldeschweiler等を参照)、
機械的マイクロスポッティング技術及びこれらから派生したものを用いて達成す
ることが可能である。上記各技術において基板は、均一な非多孔性の固体とする
べきである(Schena (1999).前出)。推奨する基板には、シリコン、シリカ、ス
ライドガラス、ガラスチップ及びシリコンウエハがある。別法では、ドットブロ
ット法またはスロットブロット法に類似のアレイを利用して、熱や紫外線、また
は化学的或いは機械的な結合手段で基板の表面にエレメントを配置して結合させ
ることができる。通常のアレイは利用可能な方法や機械を用いて作製でき、任意
の適正な数のエレメントを含めることができる(Schena, M. 他 (1995) Science
270:467-470、Shalon. D. 他 (1996) Genome Res. 6:639-645、Marshall, A. a
nd J. Hodgson (1998) Nat. Biotechnol. 16:27-31.を参照)。
【0259】 完全長cDNA、発現遺伝子配列断片(EST)、或いはそれらの断片やオリゴマー
が、マイクロアレイのエレメントとなり得る。ハイブリダイゼーションに好適な
断片やオリゴマーを、LASERGENEソフトウェア(DNASTAR)などの当分野で周知の
ソフトウェアを用いて選択することが可能である。このアレイエレメントを、生
体サンプル中のポリヌクレオチドとハイブリダイズさせる。生体サンプル中のポ
リヌクレオチドは、検出を容易にするために蛍光標識またはその他の分子タグに
結合する。ハイブリダイゼーションの後、生体サンプルからハイブリダイズしな
かったヌクレオチドを除去し、蛍光スキャナを用いて各アレイエレメントにおけ
るハイブリダイゼーションを検出する。別法では、レーザー脱離及び質量スペク
トロメトリーを用いてもハイブリダイゼーションを検出し得る。マイクロアレイ
上のエレメントにハイブリダイズする各ポリヌクレオチドの相補性の程度及び相
対的存在量は、算定することができる。一実施例におけるマイクロアレイの調整
及び使用について、以下に詳述する。
【0260】 組織または細胞サンプルの調製 グアニジウムチオシアネート法を用いて組織サンプルから全RNAを単離し、オ
リゴ(dT)セルロース法を用いてポリ(A)+RNAを精製する。各ポリ(A)+RNAサンプル
は、MMLV逆転写酵素、0.05 pg/μlのオリゴ(dT)プライマー(21mer)、1×
第1鎖バッファー、0.03単位/μlのRNアーゼインヒビター、500μM dATP
、500μM dGTP、500μM dTTP、40μM dCTP、40μM dCTP-Cy3(BDS)
またはdCTP-Cy5(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて逆転写する。この逆転
写反応は、GEMBRIGHTキット(Incyte)を用いて、200 ngのポリ(A)+RNAを含む25
ml容量で行う。特異的なコントロールポリ(A)+RNAは、in vitro転写により非コ
ーディング酵母ゲノムDNAから合成する。370℃で2時間インキュベートした
後、各反応サンプル(一方はCy3標識、他方はCy5標識)は、2.5mlの0.5M 水
酸化ナトリウムで処理し、850℃で20分間インキュベートし、反応を停止さ
せてRNAを変性する。サンプルは、2つの連続するCHROMA SPIN 30ゲル濾過スピ
ンカラム(CLONTECH Laboratories, Inc. (CLONTECH), Palo Alto CA)を用いて
精製する。結合後、2つの反応サンプルを、1mlのグリコーゲン(1mg/ml)、
60mlの酢酸ナトリウム及び300mlの100%エタノールを用いてエタノール
沈殿させる。サンプルは次に、SpeedVAC(Savant Instruments Inc., Holbrook
NY)を用いて乾燥して仕上げ、14μl 5×SSC/0.2% SDS中で再懸濁する。
【0261】 マイクロアレイの準備 本発明の配列を用いて、アレイエレメントを作製する。各アレイエレメントは
、クローン化cDNA挿入断片を含むベクターを含有する細菌性細胞から増幅する。
PCR増幅は、cDNA挿入断片に隣接するベクター配列に相補的なプライマーを用い
る。30サイクルのPCRによって、1〜2ngの初期量から5μgを超える最終量ま
でアレイエレメントを増幅する。増幅されたアレイエレメントは、SEPHACRYL-40
0(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて精製する。
【0262】 精製したアレイエレメントを、ポリマーコートされたスライドガラス上に固定
する。顕微鏡スライドガラス(Corning)は、処理中及び処理後に大量の蒸留水
での洗浄と、0.1%のSDS及びアセトン中で超音波による洗浄を行う。スライド
ガラスは、4%フッ化水素酸(VWR Scientific Products Corporation (VWR), W
est Chester PA)中でエッチングし、蒸留水中で広範囲にわたって洗浄し、95
%エタノール中の0.05%アミノプロピルシラン(Sigma)でコーティングする
。コーティングしたスライドガラスは、110℃の天火で硬化させる。
【0263】 米国特許第5,807,522号に記載されている方法を用いて、コーティングしたガ
ラス基板にアレイエレメントを付加する。この特許に引用することを以って本明
細書の一部とする。平均濃度が100ng/μlのアレイエレメントDNA1μlを高速
機械装置により開放型キャピラリープリンティングエレメント(open capillary
printing element)に充填する。次にこの装置が、スライド毎に約5nlのアレ
イエレメントサンプルを分注する。
【0264】 マイクロアレイには、STRATALINKER UVクロスリンカー(Stratagene)を用い
てUV架橋する。マイクロアレイは、室温において0.2%SDSで1回洗浄し、蒸留
水で3回洗浄する。非特異的な結合部位は、リン酸緩衝生理食塩水 (PBS)(Trop
ix, Inc., Bedford MA)における0.2%カゼイン中で60℃で30分間マイク
ロアレイをインキュベートし、その後上述したように0.2%SDS及び蒸留水で洗
浄することによってブロックする。
【0265】 ハイブリダイゼーション ハイブリダイゼーション反応液は、Cy3及びCy5標識したcDNA合成産物を各0.
2μg含む5×SSC、0.2%SDSハイブリダイゼーションバッファーからなるサン
プル混合液9μlを含む。このサンプル混合液を、65℃で5分間加熱し、アレ
イ表面上に一定量分注してから1.8cm2 のカバーガラスで覆う。このアレイを
、顕微鏡スライドより僅かに大きいキャビティを有する防水チャンバーに移す。
チャンバーの角に140μlの5×SSCを加えて、チャンバー内を湿度100%に保持
する。このアレイを含むチャンバーを、60℃で約6.5時間インキュベートす
る。アレイは、第1洗浄緩バッファー(1×SSC,0.1%SDS)において45℃で
10分間、第2洗浄バッファー(0.1×SSC)において45℃で10分間それぞ
れ3回洗浄し、その後乾燥させる。
【0266】 検出 レポーター標識されたハイブリダイゼーション複合体は、Cy3を励起するため
の488nm、及びCy3を励起するための632nmのスペクトル線を生成し得るInn
ova 70混合ガス10 Wレーザー(Coherent, Inc., Santa Clara CA)を備えた顕微
鏡で検出する。20倍の顕微鏡対物レンズ(Nikon, Inc., Melville NY)を用い
て、アレイ上に励起レーザー光を集中させる。このアレイを含むスライドを顕微
鏡のコンピュータ制御X-Yステージに置き、対物レンズを通してラスタスキャン
する。本実施例で用いた1.8cm×1.8cmのアレイは、20μmの解像度でスキ
ャンする。
【0267】 2つの異なるスキャンにおいて、混合ガスマルチラインレーザーは2つの蛍光
体を連続的に励起する。放射された光は、波長に基づいて2つの蛍光体に対応す
る2つの光電子増倍管検出器(PMT R1477, Hamamatsu Photonics Systems, Brid
gewater NJ)に分割される。アレイと光電子増倍管との間に配設された好適なフ
ィルタを用いて信号をフィルタリングする。用いる蛍光体の最大発光は、Cy3で
は565nm、Cy5では650nmである。装置は両方の蛍光体からのスペクトルを
同時に記録できるが、レーザー源に好適なフィルタを用いて、蛍光体1つにつき
1回スキャンし、各アレイを通常2回スキャンする。
【0268】 スキャンの感度は通常、既知濃度のサンプル混合液に添加されるcDNAコントロ
ール種により生成されるシグナル強度を用いて較正する。アレイ上の特定の位置
には相補的DNA配列を含め、その位置におけるシグナルの強度がハイブリダイズ
する種の重量比1:100,000に相関するようにする。異なる試料(例えば検査細胞
及びコントロール細胞を代表する)からの2つのサンプルを、各々異なる蛍光体
で標識し、他と異なって発現する遺伝子を同定するために単一のアレイにハイブ
リダイズさせる場合には、較正は2つの蛍光体を有する較正するcDNAのサンプル
を標識して、ハイブリダイゼーション混合液に各々等量を加えて行う。
【0269】 光電子増倍管の出力は、IBMコンパチブルPCコンピュータにインストールされ
た12ビットRTI-835Hアナログ−ディジタル(AID)変換ボード(Analog Device
s, Inc., Norwood MA)を用いてディジタル化される。ディジタル化されたデー
タは、リニア20色変換を用いてシグナル強度が青色(低シグナル)から赤色(
高シグナル)までの擬似カラー範囲にマッピングされるイメージとして表示され
る。データはまた、定量的に分析される。2つの異なる蛍光体を同時に励起して
測定する場合には、各蛍光体の発光スペクトルを用いて、先ずデータは蛍光体間
の光学的漏話(重複発光スペクトルに起因する)に対して補正される。
【0270】 グリッドを蛍光シグナルイメージ上に重畳して、各スポットからのシグナルが
グリッドの各エレメントに中央に位置するようにする。各エレメント内の蛍光シ
グナルを統合し、シグナルの平均強度に対応する数値を得る。シグナル分析に用
いるソフトウェアは、GEMTOOLS遺伝子発現分析プログラム(Incyte)である。
【0271】 11 相補的ポリヌクレオチド HIRPをコードする配列或いはその任意の一部に対して相補的な配列は、天然の
HIRPの発現を低下させるため即ち阻害するために用いられる。約15〜約30個
の塩基対を含むオリゴヌクレオチドの使用について記すが、より小さな或いはよ
り大きな配列の断片の場合でも本質的に同じ方法を用いることができる。Oligo4
.06ソフトウェア(National Biosciences)及びHIRPのコーディング配列を用い
て、適切なオリゴヌクレオチドを設計する。転写を阻害するためには、最も独特
な5′配列から相補的なオリゴヌクレオチドを設計し、これを用いてプロモータ
ーがコーディング配列に結合するのを阻害する。翻訳を阻害するためには、相補
的なオリゴヌクレオチドを設計して、リボソームがHIRPをコードする転写物に結
合するのを阻害する。
【0272】 12 HIRPの発現 HIRPの発現及び精製は、細菌若しくはウイルスを基にした発現系を用いて行う
ことができる。細菌でHIRPが発現するために、抗生物質耐性及びcDNAの転写レベ
ルを高める誘導性のプロモーターを含む好適なベクターにcDNAをサブクローニン
グする。このようなプロモーターには、lacオペレーター調節エレメントに関連
するT5またはT7バクテリオファージプロモーター及びtrp-lac(tac)ハイブリッド
プロモーターが含まれるが、これらに限定されるものではない。組換えベクター
を、BL21(DE3)などの好適な細菌宿主に形質転換する。抗生物質耐性をもつ細菌
が、イソプロピルβ−Dチオガラクトピラノシド(IPTG)で誘発されるとHIRPを発
現する。真核細胞でのHIRPの発現は、昆虫細胞株または哺乳動物細胞株に一般に
バキュロウイスルスとして知られているAutographica californica核多面性ウイ
ルス(AcMNPV)を感染させて行う。バキュロウイルスの非必須ポリヘドリン遺伝子
を、相同組換え或いは転移プラスミドの媒介を伴う細菌の媒介による遺伝子転移
のどちらかによって、HIRPをコードするcDNAと置換する。ウイルスの感染力は維
持され、強いポリヘドリンプロモータによって高いレベルのcDNAの転写が行われ
る。組換えバキュロウイルスは、多くの場合はSpodoptera frugiperda (Sf9)昆
虫細胞に感染に用いられるが、ヒト肝細胞の感染にも用いられることもある。後
者の感染の場合は、バキュロウイルスの更なる遺伝的変更が必要になる。(例え
ば、Engelhard. E. K.他 (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3224-3227; S
andig, V. 他 (1996) Hum. Gene Ther. 7:1937-1945.を参照)。
【0273】 殆どの発現系では、HIRPが、例えばグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)
、またはFLAGや6-Hisなどのペプチドエピトープ標識で合成された融合タンパク
質となるため、未精製の細胞溶解物からの組換え融合タンパク質の親和性ベース
の精製が素早く1回で行うことができる。Schistosoma japonicumからの26キ
ロダルトンの酵素GSTによって、タンパク質の活性及び抗原性を維持した状態で
固定されたグルタチオンで融合タンパク質の精製が可能となる(Amersham Pharma
cia Biotech)。精製の後、GST部分を特定の操作部位でHIRPからタンパク分解的
に切断できる。アミノ酸8個のペプチドであるFLAGで、市販のモノクローナル及
びポリクローナル抗FLAG抗体(Eastman Kodak)を用いた免疫親和性の精製が可能
となる。6個の連続するヒスチジン残基のストレッチである6-Hisによって、金
属キレート樹脂(QIAGEN)で精製が可能となる。タンパク質の発現及び精製の方法
は、Ausubel (1995,前出, ch 10, 16)に記載されている。これらの方法で精製し
たHIRPを直接用いて以下の実施例16及び17のアッセイを行うことができる。
【0274】 13 機能のアッセイ HIRPの機能は、哺乳動物細胞培養系において生理学的に高められたレベルでの
HIRPをコードする配列の発現によって評価する。cDNAを、cDNAを高いレベルで発
現する強いプロモーターを含む哺乳動物発現ベクターにサブクローニングする。
このようなベクターには、pCMV SPORTTM (Life Technologies.)及びpCR 3.1 (In
vitrogen, Carlsbad, CA)が含まれ、どちらもサイトメガロウイルスプロモータ
ーを含んでいる。5〜10μgの組換えベクターを、例えば内皮由来か造血由来
のヒト細胞株にリポソーム製剤或いは電気穿孔法によって一時的に形質移入する
。更に、標識タンパク質をコードする配列を含む1〜2μgのプラスミドを同時
に形質移入する。標識タンパク質の発現により、形質移入された細胞と形質移入
されていない細胞とを区別できる。また、標識タンパク質の発現によって、cDNA
の組換えベクターからの発現を正確に予想できる。このような標識タンパク質に
は、緑色蛍光タンパク質(GFP;Clontech)、及びCD64またはCD64-GFP融合タンパ
ク質が含まれる。レーザー光学に基づいた技術を利用した自動流動細胞計測法(F
CM)を用いて、GFPまたはCD64-GFPを発現する形質移入された細胞を同定し、その
細胞のアポトーシス状態や他の細胞特性を評価する。また、FCMで、先行した或
いは同時の細胞死の現象を診断する蛍光分子の取り込みを検出して計量する。こ
れらの現象には、プロピジウムヨウ化物でのDNAの染色によって計測される核DNA
内容物の変化と、ブロモデオキシウリジンの取り込み量の低下によって計測され
るDNA合成の下方調節と、特異的な抗体との反応性によって計測される細胞表面
及び細胞内のタンパンク質の発現の変化と、蛍光複合アネキシンVタンパク質の
細胞表面への結合によって計測される原形質膜組成の変化とが含まれる。流動細
胞計測法は、Ormerod, M. G.による (1994) Flow Cytometry Oxford, New York,
NY.に記載されている。
【0275】 遺伝子発現におけるHIRPの影響は、HIRPをコードする配列とCD64またはCD64-G
FPのどちらかが形質移入された高度に精製された細胞集団を用いて評価すること
ができる。CD64またはCD64-GFPは形質転換された細胞表面で発現し、ヒト免疫グ
ロブリンG(IgG)の保存された領域と結合する。形質転換された細胞と形質転換さ
れない細胞とは、ヒトIgGかCD64に対する抗体のどちらかで被覆された磁気ビー
ドを用いて分離することができる(DYNAL. Lake Success. NY)。mRNAは、当分野
で周知の方法で細胞から精製することができる。HIRP及び目的の他の遺伝子をコ
ードするmRNAの発現は、ノーザン分析やマイクロアレイ技術で分析することがで
きる。
【0276】 14 HIRPに特異的な抗体の作製 ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE;例えば、Harrington, M.G. (1990)
Methods Enzymol. 1816−3088-495を参照)または他の精製技術で実質的に精製
されたHIRPを用いて、標準的なプロトコルでウサギを免疫化して抗体を作り出す
【0277】 別法では、HIRPアミノ酸配列をLASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いて解
析して免疫原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチドを合成してこれを
用いて当業者に周知の方法で抗体を生産する。C末端付近の、或いは隣接する親
水性領域内のエピトープなどの適切なエピトープの選択については、当分野で周
知である(例えば、前出のAusubel, 1995,11章を参照)。
【0278】 通常、約15残基の長さのオリゴペプチドを、Applied BiosystemsのABI 431A
ペプチドシンセサイザー(PE Biosystems)を用いてfmoc法のケミストリにより
合成し、N−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MB
S)を用いた反応によりKLH(Sigma-Aldrich, St. Louis MO)に結合させて、免
疫原性を高める(例えば、前出のAusubel, 1995を参照)。フロイントの完全アジ
ュバントにおいてオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサギを免疫化する。得
られた抗血清の抗ペプチド活性及び抗HIRP活性を検査するには、ペプチドまたは
HIRPを基板に結合し、1%BSAを用いてブロッキング処理し、ウサギ抗血清と反
応させて洗浄し、さらに放射性ヨウ素標識されたヤギ抗ウサギIgGと反応させる
【0279】 15 特異的抗体を用いる天然HIRPの精製 天然HIRP或いは組換えHIRPを、HIRPに特異的な抗体を用いるイムノアフィニテ
ィークロマトグラフィにより実質的に精製する。イムノアフィニティーカラムは
、CNBr-活性化SEPHAROSE(Amersham Pharmacia Biotech)のような活性化クロマ
トグラフィー用レジンと抗HIRP抗体とを共有結合させることにより形成する。結
合の後、そのレジンを製造者の使用説明書に従ってブロッキング処理し洗浄する
【0280】 HIRPを含む培地をイムノアフィニティーカラムに通し、HIRPを優先的に吸着で
きる条件で(例えば、界面活性剤の存在下において高イオン強度のバッファーで
)そのカラムを洗浄する。そのカラムを、抗体とHIRPとの結合を切るような条件
で(例えば、pH2〜3のバッファー、或いは高濃度の尿素またはチオシアン酸
塩イオンのようなカオトロピックイオンで)溶出させ、HIRPを回収する。
【0281】 16 HIRPと相互作用する分子の同定 HIRPまたは生物学的に活性なその断片を、125I Bolton-Hunter試薬(例え
ば、Bolton A.E.及びW.M. Hunter (1973) Biochem. J. 133:529を参照)で標識
する。マルチウェルプレートに予め配列しておいた候補の分子を、標識したHIRP
と共にインキュベートし、洗浄して、標識したHIRP複合体を有する全てのウェル
をアッセイする。様々なHIRP濃度で得られたデータを用いて、候補分子と結合し
たHIRPの数量及び親和性、会合についての値を計算する。
【0282】 別法では、HIRPと相互作用する分子を、Fields, S.及びO. Song(1989, Nature
340:245-246)に記載の酵母2−ハイブリッドシステム(yeast two-hybrid syst
em)やMATCHMAKERシステム(Clontech)などの2−ハイブリッドシステムに基づい
た市販のキットを用いて分析する。
【0283】 HIRPはまた、ハイスループット型の酵母2ハイブリッドシステムを使用するPA
THCALLINGプロセス(CuraGen Corp., New Haven CT)に用いて、遺伝子の2つの
大きなライブラリによってコードされるタンパク質間の全ての相互作用を決定す
ることができる(Nandabalan, K. 他 (2000) 米国特許第6,057,101号)。
【0284】 17 HIRP活性の実証 HIRP活性は、抗原を認識して血清から沈殿させる免疫グロブリンにより実証す
る。量的沈殿反応によりこの活性を測定する(Golub, E. S. ら (1987) Immunol ogy: A Synthesis , Sinauer Associates, Sunderland, MA, p113-115)。HIRPを
当分野で周知の方法でアイソトープ標識する。様々な濃度の血清を一定量の標識
HIRPに添加する。HIRP-抗原複合体を溶液から沈殿させ、遠心分離により回収す
る。沈殿可能なHIRP-抗原複合体の量が、沈殿物において検出されるラジオアイ
ソトープの量に比例する。沈殿可能なHIRP-抗原複合体の量を、血清濃度に対し
てプロットする。様々な血清濃度において、特徴的な沈殿曲線が得られる。この
沈殿曲線では、沈殿可能なHIRP-抗原複合体の量が始めは血清濃度の上昇に比例
して上昇し、等量点でピークを迎え、更なる血清濃度の上昇に比例して低下する
。従って、沈殿可能なHIRP-抗原複合体の量がHIRP活性の測定値であり、限界量
の抗体及び過剰な量の抗体の双方に対する感度により特徴付けられる。
【0285】 当業者であれば、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の記載し
た方法及びシステムの種々の改変を行うことができるであろう。特定の好適な実
施例に基づいて本発明を説明したが、本発明の範囲が、そのような特定の実施例
に不当に制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学或い
は関連する分野の専門家には明らかな、本明細書に記載の本発明の実施例の様々
な改変は、特許請求の範囲に含まれる。
【0286】 (表の簡単な説明) 表1は、本発明の完全長ポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列に対する
系統的な名称を示す。
【0287】 表2は、本発明のポリペプチドに最も近いGenBankの相同体のGenBankの識別番
号およびアノテーションを示す。ポリペプチドとそのGenBankの相同体との間の
一致を表す確率値スコアも示す。
【0288】 表3は、推定上のモチーフおよびドメインを含むポリペプチド配列の構造的な
特徴、並びにポリペプチドの分析に用いた方法、アルゴリズム、および検索可能
なデータベースを示す。
【0289】 表4は、ポリヌクレオチド配列の組み立てに用いたcDNA断片のリスト、並びに
ポリヌクレオチド配列の選択された断片のリストを示す。
【0290】 表5は、本発明のポリヌクレオチドの代表的なcDNAライブラリを示す。
【0291】 表6は、表5に示すcDNAライブラリの作製に用いた組織およびベクターを示す
付録である。
【0292】 表7は、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの分析に用いたツール、
プログラム、及びアルゴリズム、並びにその説明、引用文献、閾値パラメータを
示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 C07K 14/47 4C084 C07K 14/47 16/18 4H045 16/18 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12Q 1/02 C12P 21/02 1/68 A C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 M 33/50 33/566 33/53 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ボーグン、マライア・アール アメリカ合衆国カリフォルニア州94577・ サンレアンドロ・サンティアゴロード 14244 (72)発明者 ユエ、ヘンリー アメリカ合衆国カリフォルニア州94087・ サニーベイル・ルイスアベニュー 826 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA40 BA13 BB03 BB20 CB01 CB21 DA12 DA13 DA14 DA36 DA77 FB02 FB03 FB04 FB07 4B024 AA01 AA11 BA80 CA03 CA04 CA07 CA09 CA12 CA20 DA02 DA06 EA02 EA04 FA02 GA11 HA04 HA11 HA13 HA14 4B063 QA01 QA05 QA13 QA17 QQ21 QQ41 QQ43 QQ53 QQ61 QQ79 QQ89 QR08 QR32 QR35 QR40 QR56 QR62 QR77 QR84 QS16 QS25 QS34 QS36 QX01 QX02 4B064 AG01 CA02 CA10 CA19 CC01 CC24 CE12 DA01 DA13 4B065 AA26X AA58X AA72X AA90X AA93Y AB01 AC14 BA02 BD14 CA24 CA44 CA46 4C084 AA16 MA13 MA17 MA43 MA52 MA55 MA56 MA57 MA59 MA60 MA63 MA66 NA14 ZB012 ZB212 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA40 DA75 EA20 EA50 FA71 FA74 GA26

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離されたポリペプチドであって、 (a)SEQ ID NO:1乃至SEQ ID NO:4(SEQ ID NO:1−4)からなる群から選択さ
    れたアミノ酸配列と、 (b)SEQ ID NO:1−4からなる群から選択されたアミノ酸配列と少なくとも9
    0%の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、 (c)SEQ ID NO:1−4からなる群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活
    性な断片と、 (d)SEQ ID NO:1−4からなる群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片
    とで構成される群から選択されたアミノ酸配列を含むことを特徴とする単離され
    たポリペプチド。
  2. 【請求項2】 SEQ ID NO:1−4からなる群から選択された請求項1の単離
    されたポリペプチド。
  3. 【請求項3】 請求項1のポリペプチドをコードする単離されたポリヌク
    レオチド。
  4. 【請求項4】 請求項2のポリペプチドをコードする単離されたポリヌク
    レオチド。
  5. 【請求項5】 SEQ ID NO:5−8からなる群から選択された請求項4の単離
    されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3のポリヌクレオチドに機能的に結合されたプロモ
    ーター配列を含む組換えポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 請求項6の組換えポリヌクレオチドで形質転換された細胞
  8. 【請求項8】 請求項6の組換えポリヌクレオチドを含む遺伝子組換え生
    物。
  9. 【請求項9】 請求項1のポリペプチドを生産する方法であって、 (a)前記ポリペプチドの発現に好適な条件下で、請求項1のポリペプチドを
    コードするポリヌクレオチドに機能的に結合されたプロモーター配列を含む組換
    えポリヌクレオチドで形質転換された細胞を培養するステップと、 (b)そのように発現したポリペプチドを回収するステップとを含むことを特
    徴とする請求項1のポリペプチドの生産方法。
  10. 【請求項10】 請求項1のポリペプチドに特異的に結合する単離された
    抗体。
  11. 【請求項11】 単離されたポリヌクレオチドであって、 (a)SEQ ID NO:5−8からなる群から選択されたポリヌクレオチド配列と、 (b)SEQ ID NO:5−8からなる群から選択されたポリヌクレオチド配列と少な
    くとも90%の配列同一性を有する天然のポリヌクレオチド配列と、 (c)前記(a)に相補的なポリヌクレオチド配列と、 (d)前記(b)に相補的なポリヌクレオチド配列と、 (e)前記(a)乃至(d)のRNA等価物とで構成される群から選択されたポ
    リヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
  12. 【請求項12】 請求項11のポリヌクレオチドの少なくとも60個の連
    続するヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 サンプルにおいて、請求項11に記載のポリヌクレオチ
    ド配列を有する標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって、 (a)前記サンプルをプローブでハイブリダイズするステップであって、前記
    プローブが、前記サンプル内の前記標的ポリヌクレオチドと相補的な配列を含む
    少なくとも20個の連続するヌクレオチドを含み、前記プローブと前記標的ポリ
    ヌクレオチドまたはその断片との間でハイブリダイゼーション複合体が形成され
    る条件下で、前記プローブが前記標的ポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイ
    ズする、該ステップと、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体が存在するか否かを検出し、存在す
    る場合には必要に応じてその収量を測定するステップとを含むことを特徴とする
    標的ポリヌクレオチドの検出方法。
  14. 【請求項14】 前記プローブが少なくとも60個の連続するヌクレオチ
    ドを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 サンプルにおいて、請求項11のポリヌクレオチド配列
    を有する標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって、 (a)ポリメラーゼ連鎖反応増幅を用いて、前記標的ポリヌクレオチドまたは
    その断片を増幅するステップと、 (b)増幅された前記標的ポリヌクレオチドまたはその断片が存在するか否か
    を検出し、存在する場合には必要に応じてその収量を測定するステップとを含む
    ことを特徴とする標的ポリヌクレオチドの検出方法。
  16. 【請求項16】 有効量の請求項1のポリペプチド及び医薬的に容認でき
    る賦形剤を含む組成物。
  17. 【請求項17】 前記ポリペプチドが、SEQ ID NO:1−4からなる群から選
    択されたアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項16の組成物。
  18. 【請求項18】 機能的なHIRP(新規のヒト免疫応答タンパク質)の発現
    の低下に関連する疾患や病態の治療方法であって、そのような治療が必要な患者
    に請求項16の組成物を投与することを含むことを特徴とする治療方法。
  19. 【請求項19】 請求項1のポリペプチドのアゴニストとして効果的な化
    合物をスクリーニングする方法であって、 (a)請求項1のポリペプチドを含むサンプルを化合物に暴露するステップと
    、 (b)前記サンプルにおいてアゴニスト活性を検出するステップとを含むこと
    を特徴とするスクリーニング方法。
  20. 【請求項20】 請求項19のスクリーニング方法によって同定されたア
    ゴニスト化合物及び医薬的に容認できる賦形剤を含む組成物。
  21. 【請求項21】 機能的なHIRPの発現の低下に関連する疾患や病態の治療
    方法であって、そのような治療が必要な患者に請求項20の組成物を投与するこ
    とを含むことを特徴とする治療方法。
  22. 【請求項22】 請求項1のポリペプチドのアンタゴニストとして効果的
    な化合物をスクリーニングする方法であって、 (a)請求項1のポリペプチドを含むサンプルを化合物に暴露するステップと
    、 (b)前記サンプルにおいてアンタゴニスト活性を検出するステップとを含む
    ことを特徴とするスクリーニング方法。
  23. 【請求項23】 請求項22のスクリーニング方法によって同定されたア
    ンタゴニスト化合物及び医薬的に容認できる賦形剤を含む組成物。
  24. 【請求項24】 機能的なHIRPの過剰な発現に関連する疾患や病態の治療
    方法であって、そのような治療が必要な患者に請求項23の組成物を投与するこ
    とを含むことを特徴とする治療方法。
  25. 【請求項25】 請求項1のポリペプチドに特異的に結合する化合物をス
    クリーニングする方法であって、 (a)請求項1のポリペプチドを好適な条件下で少なくとも1つの試験化合物
    と結合させるステップと、 (b)請求項1のポリペプチドと前記試験化合物との結合を検出して、請求項
    1のポリペプチドと特異的に結合する化合物を同定するステップとを含むことを
    特徴とするスクリーニング方法。
  26. 【請求項26】 請求項1のポリペプチドの活性を変化させる化合物をス
    クリーニングする方法であって、 (a)請求項1のポリペプチドを、その活性が許容される条件下で少なくとも
    1つの試験化合物と結合させるステップと、 (b)前記試験化合物の存在下での請求項1のポリペプチドの活性を評価する
    ステップと、 (c)前記試験化合物の存在下での請求項1のポリペプチドの活性と、前記試
    験化合物の不在下での請求項1のポリペプチドの活性とを比較するステップとを
    含み、 前記試験化合物の存在下での請求項1のポリペプチドの活性の変化が、請求項
    1のポリペプチドの活性を変化させる化合物の存在を示唆すること特徴とするス
    クリーニング方法。
  27. 【請求項27】 請求項5の配列を含む標的ポリヌクレオチドの発現を変
    化させるのに効果的な化合物をスクリーニングする方法であって、 (a)前記標的ポリヌクレオチドの発現に好適な条件下で、前記標的ポリヌク
    レオチドを含むサンプルを化合物に暴露するステップと、 (b)前記標的ポリヌクレオチドの発現の変化を検出するステップと、 (c)様々な量の前記化合物の存在下での前記標的ポリヌクレオチドの発現と
    、前記化合物の不在下での前記標的ポリヌクレオチドの発現とを比較するステッ
    プとを含むことを特徴とするスクリーニング方法。
  28. 【請求項28】 試験化合物の毒性を評価する方法であって、 (a)核酸を含む生体サンプルを前記試験化合物で処理するステップと、 (b)処理した前記生体サンプルの核酸と、請求項11のポリヌクレオチドの
    少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むプローブをハイブリダイズさせる
    ステップであって、このハイブリダイゼーションゼーションが、前記プローブと
    前記生体サンプルの標的ポリヌクレオチドとの間で特異的なハイブリダイゼーシ
    ョン複合体が形成される条件下で行われ、前記標的ポリヌクレオチドが、請求項
    11のポリヌクレオチドのポリヌクレオチド配列またはその断片を含むポリヌク
    レオチドである、前記ステップと、 (c)ハイブリダイゼーション複合体の収量を定量するステップと、 (d)前記処理した生体サンプルにおけるハイブリダイゼーション複合体の収
    量を、未処理の生体サンプルにおけるハイブリダイゼーション複合体の収量と比
    較するステップとを含み、 前記処理した生体サンプルにおけるハイブリダイゼーション複合体の収量の差
    が試験化合物の毒性を示唆することを特徴とする試験化合物の毒性評価方法。
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