JP2003527088A - PPARδが仲介するAPCと化学予防薬の結合 - Google Patents

PPARδが仲介するAPCと化学予防薬の結合

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Abstract

(57)【要約】 ヒト結腸直腸癌細胞の全体的な遺伝子発現プロファイルを解析して、APCを抑制する標的としてPPARδを同定した。PPARδの発現は原発性結腸直腸癌では上昇するが、結腸直腸癌細胞ではAPCにより著しく抑制される。この抑制は、PPARδプロモーター中の2コピーのTcf-4応答配列によって仲介される。PPARδ応答配列を含むレポーターは、APC変異をもつヒトおよび動物の結腸腫瘍の大きさを縮小し、かつ腫瘍の数を低下させることが可能な非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の一種であるスリンダクによって抑制される。その上、スリンダクは、PPARδがもつ、同種の認識配列との結合能力を特異的に破壊することができる。これらの知見から、通常はAPCにより制御される遺伝子の転写後修飾を介してNSAIDが腫瘍形成を阻害するというモデルを想定することができる。このようなNSAIDの新しい分子レベルの標的は、結腸腫瘍に対するより効果の大きい化学予防薬の開発に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、米国立衛生研究所(NIH)の助成金(CA57345およびCA62924)を用
いて案出された。したがって米国政府は、本発明における権利の一部を有する。
【0002】発明の技術分野 本発明は、癌および胃腸病の治療薬の領域に関する。特に本発明は、治療薬を
スクリーニングするアッセイ法の領域に関する。
【0003】発明の背景 結腸直腸癌は、1年間に推定150,000例の新規症例および55,000例の死亡者数を
計上しており、米国における癌による死亡の第2位である。米国民の過半数が、
その生涯に結腸腫瘍を発症し、約10%の症例でこの腫瘍が悪性化する。この疾患
の有病率が高いことと、国民の高齢化傾向により、有効な予防法が公衆衛生およ
び経済的な側面から強く求められている。
【0004】 正常な結腸上皮細胞は、数十年以上をかけて次第に悪性腫瘍となる。この期間
に新生物は、十分に認識されている一連の組織病理学的段階(顕微的病変→肉眼
視可能な良性腫瘍(腺腫)→広範囲に及ぶ播種性悪性腫瘍(癌))を経て進行す
る。分子遺伝学的研究により、通常このような進行の基礎となる一連の遺伝的変
化が同定されている(KinzlerおよびVogelstein、1996の総説を参照)。
【0005】 予防的側面においては、上記段階の初期に生じる変化が極めて重要である。AP
C腫瘍抑制経路の変化が、このような腫瘍で生じることが知られている極初期遺
伝的変化であり、初発現象となると考えられている。結腸直腸における癌および
腺腫の大部分には、APC遺伝子の不活性化変異が認められる。また同様に、APCの
遺伝性変異は、数百〜数千の結腸直腸腺腫の発生を特徴とするFAPの原因となる
(KinzlerおよびVogelstein、1996の総説を参照)。
【0006】 最近の研究から、APCの腫瘍抑制作用の機構に関する知見が得られつつある。A
PCは少なくとも12種類のタンパク質と結合することが明らかとなっているが、腫
瘍抑制因子の機能上、β-カテニンとの結合は特に重要であると思われる。β-カ
テニンタンパク質はE-カドヘリンと結合し、当初は細胞接着にかかわる点に注目
して同定された(Kemler、1993の総説を参照)。さらに最近ではβ-カテニンが
、Wg/WNT経路における情報伝達体として、細胞内において別の役割を果たすこと
が認められている。結腸においてβ-カテニンはTcf-4転写因子に結合し、調節領
域にTcf-4結合部位を含む遺伝子を活性化するドメインを提供する(Behrensら、
1996;Molenaarら、1996)。野生型APC遺伝子の産物は、β-カテニン/Tcf-4を介
した転写を阻害するが、疾患の原因となるAPC変異体ではこの阻害はみられない
(Korinekら、1997;Morinら、1997)。APCによるβ-カテニン/Tcf-4が関与する
転写の阻害には、β-カテニンとAPCとの結合が介する(Rubinfeldら、1993;Su
ら、1993)。この結合により、セリン/スレオニンキナーゼであるGSK3βによる
β-カテニンのリン酸化が促進され、最終的にユビキチン依存性のタンパク質分
解によりβ-カテニンは崩壊する(Aberleら、1997;Munemitsuら、1995;Orford
ら、1997;Rubinfeldら、1996)。
【0007】 結腸直腸の腫瘍形成においてこの経路が重要であることは、APC変異をもたな
いこのような結腸癌のかなりの部分においてβ-カテニンの発癌性変異が同定さ
れたことで裏づけられている(Morinら、1997;Ilyasら、1997;Iwaoら、1998;
Kitaevaら、1997;Sparksら、1998)。このような発癌型β-カテニンは、GSK3β
によるリン酸化を受けるドメイン内に変異があるために、無傷のAPCの存在下でT
cf-4/β-カテニンの転写活性を構成的に活性化する(Morinら、1997;Rubinfeld
ら、1997)。
【0008】 結腸直腸癌の大部分では、APCまたはβ-カテニンの変異により、この阻害が消
失して細胞増殖に不可欠な可能性の高い下流標的遺伝子の転写が、β-カテニン/
Tcfを介して上昇する。したがって、下流標的遺伝子を同定することは、APCが細
胞増殖を調節して腫瘍抑制因子として機能するメカニズムを理解する上で、また
癌の化学的な予防の有効な治療法を開発する上で極めて重要である。
【0009】発明の概要 本発明の目的は、癌の治療法をスクリーニングするツールおよび方法を提供す
ることである。本発明のこの目的と他の目的は、後述する一つまたは複数の態様
で提供される。
【0010】 本発明の一つの態様は、配列番号:1〜21および配列番号:21のヌクレオチド3
〜9番目(図3B)からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むPPARδ結合
配列、および配列番号:22〜42および配列番号:50のヌクレオチド3〜7番目(図
3A)からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むRXR結合配列を含む、単
離されたサブゲノムポリヌクレオチドである。
【0011】 本発明の別の態様は、配列番号:1〜21および配列番号:21のヌクレオチド3〜
9番目(図3B)からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも2コ
ピーのPPARδ結合配列を含む、単離されたサブゲノムポリヌクレオチドである。
【0012】 本発明のさらに別の態様は、配列番号:1〜21および配列番号:21のヌクレオ
チド3〜9番目からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1コ
ピーのPPARδ結合配列、最小プロモーター(minimal promoter)、およびレポー
ター遺伝子を含む核酸コンストラクトである。PPARδ結合配列は最小プロモータ
ーの上流に位置し、最小プロモーターはレポーター遺伝子の上流に位置する。最
小プロモーターはレポーター遺伝子の転写を調節する。
【0013】 本発明は、治療用薬剤をあらかじめスクリーニングする方法を提供する。PPAR
δタンパク質と、PPARδ結合配列を含むDNA分子との結合を、被験物質の存在下
または非存在下で測定する。被験物質の存在下におけるPPARδタンパク質の結合
量を、被験物質の非存在下におけるPPARδタンパク質の結合量と比較する。結合
量を低下させる被験物質は、癌治療用薬剤の候補となる。結合量を上昇させる被
験物質は、NSAIDによる負の副作用を改善する薬剤の候補となる。
【0014】 本発明は、治療用薬剤をあらかじめスクリーニングする別の方法を提供する。
導入細胞を被験物質に接触させる。導入細胞は、PPARδタンパク質、およびレポ
ーター遺伝子を含むレポーターコンストラクトを含む。レポーター遺伝子はアッ
セイ可能な産物をコードし、レポーター遺伝子の上流に位置してレポーター遺伝
子の転写を制御する最小プロモーター、また少なくとも1コピーのPPARδ結合配
列を最小プロモーターの上流にコードする。レポーター遺伝子の発現が、被験物
質により上昇するか低下するかを判定する。レポーター遺伝子の発現量を低下さ
せる被験物質は、癌治療用薬剤の候補となる。レポーター遺伝子の発現量を上昇
させる被験物質は、NSAIDによる負の副作用を改善する薬剤の候補となる。
【0015】 本発明は、治療用薬剤をあらかじめスクリーニングするさらに別の方法を提供
する。RNAポリメラーゼ、リボヌクレオチド、およびPPARδタンパク質をレポー
ターコンストラクトに加える。レポーターコンストラクトは、アッセイ可能な産
物をコードするレポーター遺伝子、および最小プロモーターの上流に位置する少
なくとも1コピーのPPARδ結合配列を含む。最小プロモーターは、レポーター遺
伝子の上流に位置してレポーター遺伝子の転写を制御する。添加する段階は、被
験物質の有無によって変わる。レポーター遺伝子の転写の低下または上昇を被験
物質の存在下で判定する。レポーター遺伝子の転写量を低下させる被験物質は、
癌治療用薬剤の候補となる。レポーター遺伝子の転写量を上昇させる被験物質は
、NSAIDによる負の副作用を改善する薬剤の候補となる。
【0016】 本発明のさらに別の態様は、FAP患者、APCまたはβ-カテニンの変異をもつ患
者、または癌発生リスクの高い患者に使用される薬剤の候補を同定する方法であ
る。非野生型のAPCまたは変異型のβ-カテニンを有する細胞に被験化合物を接触
させ、細胞内におけるTcf応答性レポーター遺伝子の転写を測定する。Tcf応答性
レポーター遺伝子は、CTTTGAT(TRE1)およびCTTTCAT(TRE2)からなる群より選
択されるTcf-4結合配列を含む。レポーター遺伝子の転写を低下させる被験化合
物は、癌治療用薬剤の候補となる。
【0017】 本発明のさらに別の態様は、FAP患者、APCまたはβ-カテニンの変異をもつ患
者、または癌発生リスクの低い患者に使用される薬剤の候補を同定する方法であ
る。Tcf応答性レポーター遺伝子を、レポーター遺伝子が被験化合物の非存在下
で転写される条件下において被験化合物に接触させる。Tcf応答性レポーター遺
伝子は、CTTTGAT(TRE1)およびCTTTCAT(TRE2)からなる群より選択されるTcf-
4結合配列を含む。Tcf応答性レポーター遺伝子の転写を測定する。Tcf応答性レ
ポーター遺伝子の転写を低下させる被験化合物は、癌治療用薬剤の候補となる。
【0018】 このように本発明は、癌治療、およびNSAIDによる負の副作用の改善に用いる
治療用薬剤を同定するツールおよび方法を提供する。
【0019】発明の詳細な説明 ヒト結腸直腸癌細胞における全体的な遺伝子発現プロファイルを解析するSAGE
法を用いて、APC経路の別の標的としてペルオキシソーム増殖剤応答性受容体δ
(PPARδ、別名PPARβ、NUC1、およびFAAR;Amriら、1995;JowおよびMukherjee
、1995;Schmidtら、1992)を同定した。PPARδは核受容体スーパーファミリー
の受容体である。このスーパーファミリーには、ステロイドホルモン、胸腺ホル
モン、レチノイド、およびPPARサブファミリー、ならびに数多くのオーファン受
容体が含まれる(Kastnerら、1995;Lembergerら、1996;Mangelsdorfら、1995
)。PPARサブファミリーは、脊椎動物種で見出される少なくとも3種の異なるサ
ブタイプ(PPARα(Dreyerら、1992)、PPARδ(Amriら、1995;JowおよびMukhe
rjee、1995;Schmidtら、1992)およびPPARγ(Tontonozら、1994))を含む。
核受容体ファミリーの受容体は、リガンド依存性の配列特異的な転写活性化因子
としてはたらく(Lembergerら、1996;Mangelsdorfら、1995)。PPARは当初、ペ
ルオキシソーム増殖剤、およびフィブレート系の抗高脂血症剤により活性化され
ることが報告され、後には天然の脂肪酸およびプロスタグランジンにより活性化
されることが明らかにされた(Formanら、1997;Formanら、1995;Kellerら、19
93;Kliewerら、1995;Kliewerら、1997;Xuら、1999;Yuら、1995)。
【0020】 PPARδの果たす機能的役割を調べる目的で、発明者らはインビトロDNA結合選
択法を用いてPPARδ活性化転写に特異的なレポーター分子を作製した。このレポ
ーターを用いてNSAIDであるスリンダクおよびインドメタシンが、PPARγではな
くPPARδの転写活性を下方制御することでAPCと類似の作用を示すことを明らか
にした。この抑制の基礎は、PPARδ/RXRヘテロ二量体が有するDNA結合能力を直
接的に無効にするためであると考えられる。上記相互作用の機能上の重要性と矛
盾することなく、スリンダクが誘導するアポトーシス、および結腸癌細胞の増殖
阻害は、PPARδを過剰に発現させることで部分的に救出された。このような観察
の結果、APC腫瘍抑制因子およびNSAIDが、共通の標的であるPPARδを阻害して、
腫瘍発生の基礎となる遺伝的変化と臨床的に立証された有効な癌の化学予防薬を
予想外に結びつけることが判明した。
【0021】 APC腫瘍の抑制メカニズムに関する知見の提供に加えて、この情報を用いて、
癌治療、または過形成や形成異常の状態といった細胞増殖を低下させることが望
ましい他の状態の治療用薬剤をあらかじめスクリーニングすることができる。特
にPPARδを特異的に標的とする薬剤が開発されれば、結腸直腸癌の有効かつ毒性
の低い化学的予防が可能となる。
【0022】 サブゲノムポリヌクレオチドおよび核酸コンストラクトを用いて、PPARδの転
写活性を下方制御する被験物質を同定することができる。本発明のサブゲノムポ
リヌクレオチドは全染色体の一部からなり、1本鎖または2本鎖のゲノムDNAでもc
DNAのいずれでもよい。好ましくは、このポリヌクレオチドは、膜構成成分、タ
ンパク質、および脂質などの他の細胞成分を含まない状態で単離する。ポリヌク
レオチドは、細胞を使用して作製することが可能であり、PCRなどの増幅法や自
動合成装置を用いて実験室で単離または合成することができる。DNAの精製法お
よび単離法はルーチン技術であり、当技術分野で周知である。
【0023】 単離されたサブゲノムポリヌクレオチドには、PPARδ結合配列およびRXR結合
配列が含まれる。PPARδ結合配列のヌクレオチド配列は例えば、図3Bに示す任意
のヌクレオチド配列(配列番号:1〜21)から選択することができる。これらの
配列には、コンセンサスヌクレオチド配列 が含まれる。PPARδタンパク質に結合する他のヌクレオチド配列を有するPPARδ
結合配列も本発明のサブゲノムポリヌクレオチドに使用することができる。この
ような結合配列は例えば、PPARδタンパク質-DNA結合を検出可能なアッセイ法(
DNAフットプリント法、電気泳動によるゲル易動度シフトアッセイ法、またはPPA
Rδに特異的な抗体を用いたPPARδ-DNA複合体を対象とした免疫沈降法)で同定
することが可能である。これらの方法は当技術分野で周知である。
【0024】 RXR結合配列のヌクレオチド配列は、図3Aに示すコンセンサス配列GGTCA(配列
番号:50のヌクレオチド3〜7番目)を含む任意のヌクレオチド配列(配列番号:
22〜50)から選択することができる。RXRに結合する他のRXR結合配列は、PPARδ
結合配列について既に説明した方法で同定することができる。
【0025】 PPARδ結合配列およびRXR結合配列は配列番号:78に示すように、サブゲノム
ポリヌクレオチド上で互いに隣接して位置してもよいし、PPARδ/RXRヘテロ二量
体が結合して機能を発揮できる範囲の任意数のヌクレオチド(1、2、5、10、20
、30、40、50、60、70、80、90、または100ヌクレオチド)を間にはさんでもよ
い。必要に応じて、単離したサブゲノムポリヌクレオチドには、1、2、3、4コピ
ーまたはそれ以上のコピー数のPPARδ結合配列を含めることができる。RXR結合
配列の複数のコピーを含めることも可能である。
【0026】 PPARδ結合配列を含む単離したサブゲノムポリヌクレオチドは、固相支持体に
結合させることが可能であり、PPARδに選択的に結合させて、他の細胞成分から
分離するために使用することができる。適切な固相支持体には、カラムクロマト
グラフィーに用いるマトリックスなどの不溶性重合体、ガラス製またはプラスチ
ック製のスライド、組織培養用プレート、マイクロタイターウェル、チューブ、
またはビーズ(ラテックス、ポリスチレン、またはガラス製のビーズなどを含む
がこれらに限定されない)などの粒子が含まれるがこれらに限定されない。当技
術分野で周知の任意の方法を用いて、サブゲノムポリヌクレオチドを固相支持体
に結合させることができる。これには、共有結合および非共有結合による連結、
受動的な吸着、またはサブゲノムポリヌクレオチドと固相支持体にそれぞれ結合
させた結合部分の対などが使用される。
【0027】 本発明のPPARδ結合配列は、標準的な組換えDNA技術を用いて調製可能なヌク
レオチドコンストラクト内に配置させることができる。核酸コンストラクトは直
線状分子でも環状分子のいずれでもよく、複製関連配列の有無は問わない。本発
明の核酸コンストラクトは少なくとも1、2、3、もしくは4コピーまたはそれ以上
のコピー数のPPARδ結合配列を含む。
【0028】 必要に応じて、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、β-グルクロニダーゼ
、緑色蛍光タンパク質(GFP)、自家蛍光タンパク質(青色蛍光タンパク質(BFP
)など)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、ルシフェラーゼ、西洋
ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、またはクロラムフェニコールアセチルトラン
スフェラーゼ(CAT)などのアッセイ可能な産物をコードするレポーター遺伝子
を核酸コンストラクトに含めることができる。これら多くのレポーター遺伝子は
当技術分野で周知である。これらのレポーター遺伝子は、PPARδの非存在下では
レポーター遺伝子が発現しないか、または低レベルでしか発現しないような最小
プロモーターの制御下に保持することができる。このようなレポーター遺伝子コ
ンストラクトは例えば、癌治療用薬剤をあらかじめスクリーニングする方法に使
用することができる(後述)。これらのレポーター遺伝子コンストラクトでは、
最小プロモーターがレポーター遺伝子の上流に位置し、少なくとも1コピーのPPA
Rδ結合配列が最小プロモーターの上流に位置する。任意選択で2、3、4コピーま
たはそれ以上のコピー数のPPARδ結合配列を配置させることができる。適切な最
小プロモーターには例えば、CMVの最小プロモーター(Boshartら、1985)、およ
びTK(Nordeen、1988)、IL-2、およびMMTVのプロモーターを含めることができ
る。必要に応じて、レポーターコンストラクトには1コピーまたは複数の結合配
列を最小プロモーターの上流に含めることができる。
【0029】 他のレポーターコンストラクトにおいて、レポーター遺伝子はTcf-4結合配列
の制御下にある。Tcf-4結合配列は、CTTTGAT(TRE1)でもCTTTCAT(TRE2)のい
ずれでもよい。Tcf-4応答性レポーターコンストラクトには、少なくとも1、2、3
もしくは4コピーまたはそれ以上のコピー数の一方のTcf-4結合配列または両方の
Tcf-4結合配列を含めることができるほか、PPARδのヌクレオチド-1543〜-759位
を含めることができる。
【0030】 本発明は、癌治療用薬剤をあらかじめスクリーニングする種々の方法を提供す
る。これらの方法は、PPARδタンパク質と結合配列との結合、または被験物質に
反応したPPARδ依存性の転写のいずれかを測定する。被験物質に応じたPPARδそ
のものの転写を測定することで癌治療用薬剤をスクリーニングすることも可能で
ある。スクリーニング対象となる被験物質は、当技術分野で周知の薬剤であって
も、任意の薬剤活性をもつことがこれまで知られていなかった化合物であっても
よい。被験物質は、天然化合物であっても実験室で設計されたものでもよい。こ
れらは、微生物、動物、または植物から単離することが可能であるほか、組換え
技術を用いて調製したり、当技術分野で周知の化学的な方法で合成するなどして
調製することができる。
【0031】 本発明の一つの態様においては、PPARδタンパク質と、PPARδ結合配列を含む
DNA分子との結合は、被験物質の有無を元に測定する。結合は、ヒトの組織を含
む哺乳類組織の粗核抽出物、またはヒトもしくは他の哺乳類の細胞株のいずれか
を対象に測定することができる。このような抽出物は、野生型のAPCを欠失する
か、または野生型APCが存在する条件でもPPARδの転写を可能とする変異型のβ-
カテニンを含むことが好ましい。したがって、ヒトを含む哺乳類から採取した結
腸直腸癌組織、または結腸直腸癌細胞株(HT29細胞、SW480細胞、HCT116細胞、
およびDLD1細胞など)から適切な抽出物を調製することができる。核抽出物を調
製する方法は当技術分野で周知であり、任意の方法を使用することができる。ま
たは、再構成したインビトロ系で結合を測定することも可能である。PPARδ結合
配列を含むDNA分子については上述の通りである。PPARδタンパク質は、化学的
に合成して、または組換え技術を用いて調製して、例えば配列番号:70および71
並びに配列番号:76および77に示すプライマー対を使用してヒトのPPARδコード
配列をインビトロ転写-翻訳共役系で増幅することで、組織または細胞株から精
製することができる(実施例1参照)。
【0032】 PPARδタンパク質とPPARδ結合配列との結合は、DNA-タンパク質結合を検出す
る当技術分野で周知の任意の方法(ゲル電気泳動易動度シフトアッセイ法(GEMS
A)、DNAフットプリント法、またはPPARδに特異的な抗体を用いた結合型および
非結合型のPPARδタンパク質を対象とした免疫沈降法)で測定することができる
。GEMSAまたはフットプリントアッセイ法に使用するPPARδに特異的なプローブ
は、検出可能な標識を含むことが好ましい。放射能標識、または化学発光標識、
蛍光標識、または酵素標識などの非同位体標識を使用することが可能である。任
意選択で、PPARδが調節する転写の既知の作動薬または拮抗薬の存在下で結合を
測定することが可能である。適切な拮抗薬には、スリンダク、インドメタシン、
および他のCOX阻害剤などのNSAIDが含まれる(全リストについては、「グッドマ
ン・ギルマン薬理療法の基礎(THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS)
」の第9版、McGraw Hill、およびCadaらによる「医薬品集(FACTS AND COMPARIS
ONS)」、J.B. Lippincott、1999(1999年7月の更新分を含む)を参照)。
【0033】 被験物質の存在下におけるPPARδタンパク質とPPARδ結合配列との結合量を、
被験物質の非存在下におけるPPARδタンパク質とPPARδ結合配列との結合量と比
較する。この比較は、例えば標準曲線を参照することで定量性が得られるほか、
定性性が得られる。PPARδタンパク質とPPARδ結合配列との結合量を低下させる
被験物質は、癌治療用薬剤の候補となる。結合は好ましくは少なくとも25%、50%
、75%、85%、90%、95%、97%、または98%低下する。
【0034】 癌治療用薬剤をあらかじめスクリーニングする別の方法では、Tcf応答性レポ
ーターコンストラクトおよびPPARδタンパク質を含む導入細胞に被験物質を接触
させる。このような細胞は安定して、または一過的にトランスフェクトさせるこ
とができる。レポーターコンストラクトは、培養法またはインビボで導入するこ
とができる。導入細胞は、野生型のAPCを欠失するか、または変異型のβ-カテニ
ンを含むことが好ましい。適当な細胞、例えば結腸直腸癌細胞は、インサイチュ
ーでは哺乳類の体内に、またはインビトロでは組織培養調製物中に存在する。結
腸直腸癌細胞を患者から単離して、組織培養液中に保持するか、または樹立した
結腸直腸癌細胞株(HT29、SW480、HCT116、およびDLD1など)に保持することが
できる。核酸コンストラクトを細胞にトランスフェクトする方法は周知であり、
裸の核酸または被包性の核酸によるトランスフェクション、細胞融合、プロトプ
ラスト融合、ウイルス感染、およびエレクトロポレーションなどの方法が含まれ
るがこれらに限定されない。PPARδタンパク質は、細胞に内因するPPARδタンパ
ク質でも、例えばPPARδタンパク質をコードする核酸コンストラクトを細胞にト
ランスフェクトすることで細胞に添加するPPARδタンパク質のいずれかであって
も、またはその両方でもよい。
【0035】 レポーター遺伝子の発現は、特定のレポーター遺伝子のアッセイ可能な産物の
検出に適した任意の方法(生化学的、免疫学的、または視覚的な検出法など)で
判定可能である。レポーター遺伝子の発現はまた、例えばノーザンブロット法も
しくはドットブロット法またはインサイチューハイブリダイゼーションでmRNAを
検出して判定することもできる。レポーター遺伝子の発現量を低下させる被験物
質は、癌治療用薬剤の候補となる。レポーター遺伝子の発現の低下は、例えば標
準曲線を参照することで定性的または定量的に決定することができる。被験物質
はレポーター遺伝子の発現を少なくとも25%、50%、75%、85%、90%、95%、97%、
または98%低下させることが好ましい。任意選択で、レポーター遺伝子の発現をP
PARδが調節する転写の作動薬または拮抗薬の存在下で測定することができる。
【0036】 別の方法では、癌治療に使用可能か否かを見極めるために、レポーター遺伝子
の転写をRNAポリメラーゼ、リボヌクレオチド、およびPPARδタンパク質の存在
下で測定することで薬剤をあらかじめスクリーニングする。既に説明した方法と
同様に、PPARδタンパク質を精製し、化学的に合成し、組換え技術を用いて産生
させ、またはインビトロ翻訳反応で合成することができる。RNAポリメラーゼお
よびリボヌクレオチドは市販品を容易に入手することができる。RNAポリメラー
ゼ、リボヌクレオチド、およびPPARδタンパク質のレポーターコンストラクトへ
の添加は、被験物質の存在下および非存在下で可能であり、レポーター遺伝子の
転写を決定することが可能である。既に説明した方法と同様に、例えばノーザン
ブロットおよびドットブロットを用いて、またはレポーター遺伝子のアッセイ可
能な産物を測定することで転写を判定することが可能である。レポーター遺伝子
の転写量を、好ましくは少なくとも25%、50%、75%、85%、90%、95%、97%、また
は98%低下させる被験物質は、癌治療用の候補となる。必要に応じて、レポータ
ー遺伝子の転写をPPARδが調節する転写の既知の作動薬または拮抗薬の存在下で
測定することができる。
【0037】 本発明はまた、FAP患者、APCまたはβ-カテニンの変異をもつ患者、または癌
発生リスクの高い患者に使用する候補薬剤を同定する方法を提供する。一つの態
様においては、野生型のAPCを有する細胞、または変異型のβ-カテニンを有する
細胞に被験物質を接触させ、細胞内におけるTcf応答性レポーター遺伝子の転写
を測定する。Tcf応答性レポーター遺伝子を含むコンストラクトを上述の方法で
細胞に導入し、細胞と被験物質を接触させることができる。または、Tcf応答性
レポーター遺伝子を、このレポーター遺伝子が被験物質の非存在下で転写される
条件下で、再構成したインビトロ系で被験物質と接触させることができる。イン
ビトロにおける転写を可能とする条件は当技術分野で周知である(実施例1参照
)。
【0038】 野生型のAPCをもたない細胞は、β-カテニンの結合または調節を欠失するAPC
タンパク質を産生するか、または検出が全く不可能なAPCタンパク質を産生する
。野生型のAPCをもたない細胞には、FAP患者または結腸直腸細胞がAPC変異をも
つ他の患者から単離される原発性結腸直腸細胞、ならびにHT29、SW480、またはD
LD1などの細胞株が含まれる。変異型のβ-カテニンをもつ細胞は、APCに対する
結合が過度に強いか、または欠損しているβ-カテニンタンパク質や、APCによる
調節に対して耐性を示すβ-カテニンタンパク質を産生する。変異型のβ-カテニ
ンをもつ細胞には、FAP患者または変異型のβ-カテニンを産生する結腸直腸細胞
を有する他の患者から単離される原発性結腸直腸細胞が含まれる。野生型のAPC
をもたない他の細胞、または変異型のβ-カテニンをもつ他の細胞は、標準的な
分子生物学的手法または免疫学的手法で、野生型のAPCもしくはβ-カテニンタン
パク質またはmRNAを産生する候補となる細胞をアッセイすることにより、APCま
たはβ-カテニンをコードする配列における変異を検出することにより、またはT
cf-4/β-カテニン依存性の転写をアッセイすることにより同定することができる
【0039】 Tcf応答性レポーター遺伝子の転写を被験化合物の存在下で測定し、被験化合
物の非存在下におけるTcf応答性レポーター遺伝子の転写と比較する。上述の方
法と同様に、レポーター遺伝子のmRNAまたはコードされたアッセイ可能な産物の
いずれかを測定することができる。レポーター遺伝子の転写を低下させる被験化
合物は、FAP患者、APCまたはβ-カテニンの変異をもつ患者、または癌発生リス
クの高い患者の治療用薬剤の候補となる。レポーター遺伝子の発現は少なくとも
25%、50%、75%、85%、90%、95%、97%、または98%低下することが好ましい。
【0040】 PPARδに依存する遺伝子が転写されると、細胞が増殖すると考えられているの
で、本発明はまた、細胞増殖を促進する際に、または、アルツハイマー病、エイ
ズ、筋ジストロフィー症、筋萎縮性側索硬化症、または他の筋肉消耗性疾患、自
己免疫疾患、心臓発作、脳卒中、虚血性心疾患、腎不全、敗血症性ショック、ま
たは病原体(ウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ、原虫など)が細胞に感染
する疾患などの疾患状態において早期に死滅する細胞のアポトーシスを妨ぐ際に
、胃もしくは腸の治癒を促進するために、またはNSAIDによる負の副作用(胃や
腸管の潰瘍など)を改善するために使用可能な被験化合物を同定する方法を提供
する。PPARδの拮抗薬を、NSAIDによる有害な作用を防ぐために使用することも
できる。PPARδのDNA結合活性およびPPARδ依存性転写は、癌治療に適した被験
化合物をスクリーニングする上述の方法で測定する。しかし、本発明のこの態様
においては、PPARδタンパク質の転写を上昇させる被験化合物、PPARδタンパク
質とPPARδ結合配列との結合、またはPPARδ結合配列の制御下にあるレポーター
遺伝子の発現は、細胞増殖を促進する際に使用する候補として同定する。
【0041】 上述の開示は一般に、本発明の内容を説明している。全体的な理解は、以下に
挙げる特定の実施例を参照することで得られる。特定の実施例は、本明細書にお
いて説明する目的でのみ提供されるものであって、本発明の範囲を制限すること
を意図しない。本明細書で引用したすべての資料は、参照として本明細書に組み
入れられる。
【0042】実施例1 以下に挙げる実施例に使用する方法化学物質、細胞培養、および培地 ヒト結腸直腸癌細胞HT29、HCT116、SW480、およびDLD1は、10%のウシ胎児血清
(HyClone、ユタ州)、100ユニット/mlのペニシリン、および100 μg/mlのスト
レプトマイシンを添加したマッコイ5A培地(Life Technologies、メリーランド
州)中に維持した。ヒト胎生期腎細胞293は、10%のウシ胎児血清、100ユニット/
mlのペニシリン、および100 μg/mlのストレプトマイシンを添加したDMEM(Life
Technologies)中に維持した。スリンダク誘導体およびインドメタシンはバイ
オモル(BIOMOL)から購入した。BRL 49653およびcPGIは、アメリカン・ラジオ
ラベルド・ケミカルズ(American Radiolabeled Chemicals)とケイマン・ケミ
カル社(Cayman Chemical Company)からそれぞれ購入した。特に明記した部分
を除いて、すべての化学物質はシグマ(Sigma)(セントルイス、ミズーリ州)
から購入した。
【0043】遺伝子発現連続解析法(SAGE) 過去に報告された通り(Heら、1998)、指数関数的に増殖しているHT29-APC細
胞およびHT29-β-Gal細胞から、亜鉛による誘導を行ってから9時間後に回収した
mRNAを対象にSAGEを行った。総数55,233個および59,752個のタグを、APC発現細
胞および対照細胞から回収した。内部リンカー対照を解析したところ、配列決定
時のエラー発生率は1タグあたり0.065回であり、1塩基あたり0.0067回の配列決
定エラーに相当することが判明した。これは、装置の仕様および酵母の全ゲノム
の解析(Velculescueら、1997)に基づくSAGEタグエラーの過去の推定値と比べ
て妥当な値である。これらのタグは14,346種の唯一の転写物を示しており、この
うち7,811種の転写物は少なくとも2回出現した。発現の差は、モンテカルロシミ
ュレーションで決定した場合にPfalse値が0.1未満の場合に有意であり、また少
なくとも4倍の規模であった。
【0044】インビトロにおけるPPARδおよびRXRに対するDNA結合部位の選択 ヒトPPARδおよびヒトRXRのN末端のDNA結合ドメインを含むGST融合タンパク質
を構築するために、PPARδの残基1〜249位の配列およびRXRの残基1〜224位の配
列をコードするcDNAをPCRで増幅し、増幅断片をpGEX-2TKベクターにクローニン
グした。対照として、ヒトのPPARαのDNA結合ドメイン(アミノ酸1〜249位)お
よびPPARγのDNA結合ドメイン(アミノ酸1〜248位)を含むGST融合タンパク質も
あわせて構築した。融合タンパク質の産生および精製は、製造業者のプロトコル
にしたがって行った。
【0045】 PPARδおよびRXRにより認識されると予想されるコンセンサスDNA配列モチーフ
を同定するために、既に説明したインビトロ部位選択法を用いた。手短に説明す
ると、PPARδおよびRXRタンパク質に対する結合を明らかにするために以下のオ
リゴヌクレオチドを合成した: (「N」は、各ヌクレオチドの等モル混合物を意味する)。このオリゴヌクレオ
チドをテンプレートとして、隣接配列とハイブリッドを形成するプライマーを用
いたPCRで増幅してランダム2本鎖プールを作製した。融合タンパク質をランダム
2本鎖プールと混合したものを対象にGEMSAを行った(下記参照)。
【0046】 DNA-タンパク質複合体を含むと予想されるゲルの広い領域(対照の結合実験に
由来するもの)を切り出した。ゲルの切片をホモジナイズし、65℃で30分インキ
ュベートし、Spin-Xカラム(Costar)に通した。溶出したDNAをフェノール-クロ
ロホルムで抽出してエタノールで沈澱させ、PCRにより再増幅して次回の結合を
行った。3回目の選択-増幅が完了した後にPCR産物をpZero 2.1(Invitrogen)に
クローニングした。1個のクローンに対応する60 bpのプローブを、32Pで標識し
た以下のプライマーを用いた直接コロニーPCR法でGEMSA用に作製した:
【0047】 1個のクローンに含まれるDNA配列を決定するために、M13のフォワードプライ
マーおよびリバースプライマーを用いたPCRで挿入配列を増幅し、PCR産物の配列
をアマシャム(Amersham)のサーモシークエンスキット(Thermosequenase kit
)およびSP6プライマーを用いて決定した。
【0048】ゲル電気泳動による移動度シフトアッセイ(GEMSA) DNA結合アッセイは、基本的に文献の方法にしたがって行った(Zawelら、1998
)。インビトロにおける部位選択に由来するPCR産物に対する結合については、1
.0〜1.5 μgのタンパク質と50 ngのDNAを使用した。オリゴヌクレオチドに対す
る結合については、0.3〜0.5 μgのタンパク質と0.5 ngのDNAを使用した。競合
物質として100倍過剰量の未標識プローブを使用した。GST融合タンパク質を対象
としたGEMSAでは、0.3〜0.5 μgの融合タンパク質と0.5 ngの32Pキナーゼ標識し
た(〜106 dpm)DNAを使用した。Tcf-4結合用プローブは文献に記載されている
(Korinekら、1997)。インビトロで翻訳したタンパク質を対象としたGEMSAでは
、0.1〜0.2 μlのプログラムされた溶解物および32Pで標識したプローブ(〜106 dpm)を使用した。DRE用のプローブは、 をアニーリングさせて作製した。ACO用のプローブは、 をアニーリングさせて作製した。
【0049】PPARδ応答性レポーターの構築 インビトロにおける部位選択法で同定した、PPARδおよびRXR認識モチーフを
含む以下のオリゴヌクレオチドを合成した: 対照として、アシル-CoAオキシダーゼのプロモーターに由来する、PPARαおよび
PPARγ応答配列を含む以下のオリゴヌクレオチドも合成した: オリゴヌクレオチドカセットを二量体化し、基礎活性が極めて低いルシフェラー
ゼレポータープラスミドであるpBV-Lucにクローニングした。すべてのコンスト
ラクトは、DNAの配列決定を行って確認した。
【0050】PPARδプロモーターレポーターの構築 ヒトPPARδのプロモーターのゲノム配列を同定するために、以下のPCRプライ
マーを用いてBACライブラリー(Research Genetics)のスクリーニングを行った
PPARδプロモーター配列を含む3種の独立したBACクローンを得た。サブクローニ
ングして配列を決定し、第1エクソンのすぐ上流に位置する3.1 kbのゲノム配列
を決定した(ゲンバンクアクセッション番号_______)。
【0051】 PPARδのプロモーターのレポーターを構築するために、対応する制限酵素切断
断片(図2Aに図示)をpBV-Lucにサブクローニングした。以下のプライマー対を
使用して、変異型NP断片をPCRにより増幅した: 以下のオリゴヌクレオチド対を二量体化に用いて、pBV-Luc中に対応するレポー
ターを構築した:
【0052】トランスフェクションおよびレポーターアッセイ 指数関数的に増殖する細胞を、12ウェルの組織培養用プレートに分配し、個々
のアッセイ法を3回実施した。レポータープラスミド、エフェクタープラスミド
、およびβ-gal対照プラスミドを、LipofectAmine(Life Technologies)を用い
て細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトから24時間後に細胞を溶解し
、ルシフェラーゼ活性アッセイ用に、プロメガ(Promega)社製のルシフェラー
ゼアッセイシステムを用いて回収した。
【0053】インビトロアッセイおよび翻訳アッセイ法 完全長のPPARδ、PPARγ、およびRXRαのタンパク質を、シングルチューブプ
ロテインシステム3(Single Tube Protein System 3)キット(Novagen)を用い
たインビトロ転写-翻訳法で作製した。手短に説明すると、以下のプライマー対
を用いて、PPARδ、PPARγ、およびRXRのコード配列を増幅した: 完全長タンパク質は、製造業者のプロトコルにしたがって作製した。
【0054】PPARδを発現する組換え型アデノウイルスの作製 以下のPCR用プライマー対を使用してヒトのPPARδのコード配列を増幅した: PCRの産物は、CMVプロモーターで駆動される二重HAタグを含むpCMV-HAHAにクロ
ーニングした。本来のPPARδコード配列は、DNA配列を決定して検証し、その発
現を、抗HA抗体を用いたウェスタンブロットで確認した。HAのタグを付けたPPAR
δの発現カセットをさらに、緑色蛍光タンパク質も発現するpAdTrackベクターに
サブクローニングした。次にAdPPARδ組換え型ウイルスを作製し、AdEasyシステ
ムを用いて文献(Heら、1998)に記載された手順で精製した。AdMYCを同様の手
順で作製した。
【0055】実施例2 APCはPPARδの発現を抑制する APCが遺伝子発現に及ぼす作用を、文献の方法にしたがってSAGE解析により探
索した(Heら、1998)。手短に説明すると、ヒト結腸直腸癌細胞株と誘導型の野
生型APC(HT29-APC)および誘導型lacZ遺伝子をもつ対照細胞株(HT29-β-Gal)
を誘導してから9時間後の遺伝子発現を調べた。APCを発現する細胞および対照細
胞にそれぞれ由来する55,233個および59,752個のタグを対象にSAGE解析を行い、
14,346種の異なる転写物を同定した。この大部分は異なって発現しなかった。生
化学的研究から、Tcf-4/β-カテニンを介した転写をAPCが直接抑制することがわ
かっていたので、抑制された転写物に注目した。極めて強く抑制されたタグの一
つは、PPARδに対応していた(HT29-β-Galにおける24個のタグに対し、HT29-AP
Cでは5個のタグ)。
【0056】 SAGEで得られたデータを確認するために、HT29-APC細胞およびHT29β-Gal細胞
に由来するRNAを対象に、PPARプローブを用いてノーザンブロット解析を行った
(図1A)。PPARδの発現が抑制されることは、APCを誘導してから早くも3時間後
に明らかとなったが、HT29β-Gal細胞では誘導の9時間後であっても変化は検出
されなかった。これとは対照的にPPARδの発現はAPCの発現の影響を受けず、ま
た、他の既知のPPARサブファミリーの受容体であるPPARαは、野生型のAPCの存
在下および非存在下において検出可能なレベルで発現は認められなかった(図1A
、データは示していない)。
【0057】 APCがPPARδの発現をインビトロで抑制可能であることから、PPARδの発現が
原発性結腸直腸癌で上昇して、APC経路がAPCまたはβ-カテニンのいずれかにお
ける変異によって不活性化することが示唆された。そこでこの仮説を検証するた
めに、原発性結腸直腸癌と同じ患者の正常な結腸直腸粘膜の対サンプルにおける
PPARの発現の評価を行った。ノーザンブロット解析の結果から、対象とした4つ
の癌のそれぞれにおいてPPARβの発現が著しく上昇することが判明した(図1B)
。これとは対照的に、これらの患者の癌ではPPARγの発現上昇は認められなかっ
た(図1B)。
【0058】実施例3 APCは、PPARδ遺伝子のTcf-4/β-カテニンを介した転写を阻害する APCがPPARδ発現を抑制する基礎を明らかにするために、PPARδの転写開始部
位(ゲンバンクアクセッション番号__)の上流領域を含む3.1 kbのゲノム断片
を単離してその配列を決定し、それを用いてAPCの応答性を解析した(図2)。最
小プロモーターの上流に位置する断片(BE)を含むルシフェラーゼレポーターコ
ンストラクトは、APCを発現させると顕著に抑制された(図2Aおよび2B)。一連
の入れ子状態の欠失体(nested deletions)およびプロモーター断片を対象とし
て同様の解析を行ったところ、2種のAPC応答性断片が明らかとなった(断片NHお
よび断片HD、図2Aおよび2B)。両断片の配列を調べたところ、2コピーの推定Tcf
-4結合配列が存在することが明らかとなった。その一つであるTRE1は断片NH中の
PPARδ転写開始部位の1,543 bp上流に位置し、もう一つのTRE2は断片HDの759 bp
上流に位置していた。
【0059】 これらの部位がAPCの応答性にかかわるか否かを判定するために、両部位にま
たがる断片が、無傷のTcf-4結合部位(断片NP)または推定Tcf-4結合部位(断片
mNP)を破壊すると予想される改変型のどちらを有するかについて検討した。断
片NPは、推定Tcf-4結合部位が破壊されると完全に消失する顕著なAPC抑制を示し
た(図2C)。さらに、推定Tcf-4結合部位のいずれかは、APCの応答性に対して配
列特異的に孤立して寄与することが可能であった(図2CのTRE1とmTRE1、およびT
RE2とmTRE2を比較)。
【0060】 上述した通り、APC応答性の極めて明らかな基礎は、β-カテニン/Tcf-4を介す
る転写の阻害にあると思われる。これと呼応して、APCがもつ、不活性化型APC遺
伝子を含む結腸直腸癌細胞株におけるPPARδプロモーターレポーターからの発現
抑制能力(図2Bおよび2C)と、発癌性β-カテニンがもつ、野生型APCの機能を有
する293細胞におけるこれらのレポーターの転写活性誘導能力(図2D)との間に
完全な一致が認められた。同様に、APCの応答性と、ドミナントネガティブTcf-4
(dnTcf-4)発現ベクターがもつ、結腸直腸癌細胞における転写活性を阻害する
能力の間には完全な一致が認められた(図2Bおよび2C)。APCの応答性と同様に
、β-カテニンのトランス活性化およびdnTcfの抑制は、推定Tcf-4結合配列に変
異があると失われた(図2Cおよび2D)。Tcf-4が、PPARδのTRE部位に直接結合す
る能力をもつことは、ゲル電気泳動による移動度シフトアッセイ(GEMSA)の結
果から明らかであった。いずれの推定結合部位とも顕著なTcf-4結合を示し、同
種の野生型結合配列によっては阻害されるが対応する変異型の配列では阻害され
なかった(図2E)。
【0061】 上記の結果は、APCがPPARδの発現をβ-カテニン/Tcf-4を介する転写に干渉す
ることで抑制すること、およびこの経路の変化が、結腸直腸癌におけるPPARδの
発現上昇につながると思われることを示唆している。この経路が一般的にみられ
るか否かをさらに検討する目的で、特定のAPC経路が変化した他のヒト結腸直腸
癌細胞株において、dnTcfがPPARδ発現の発現に干渉する能力があるか否かにつ
いて調べた。PPARδの発現が最初に同定されたHT29細胞(図1A)と同様に、SW48
0細胞およびDLD1細胞は、APCの不活性化変異を含む。HCT116細胞はb-カテニンの
活性化変異を有する。原発性腫瘍を対象とした試験(図1B)から予想されるよう
に、PPARδの発現は全株で容易に検出された(図1C)。またPPARδの発現は、dn
Tcf発現カセットを含むアデノウイルスを感染させた各株では阻害されたが、GFP
発現カセットを含む対照アデノウイルスでは阻害されなかった(図1C)。これと
は対照的にPPARγの発現はSW480細胞ではほとんど検出されなかったので、dnTcf
は検討対象の任意の株におけるPPARγ発現には影響を及ぼさなかった。
【0062】実施例4 PPARδ応答配列(DRE)の決定 PPARδ抑制の機能的意義をさらに調べるために、PPARδ機能を調べるためのレ
ポーターを開発することにした。生物学的機能ならびにPPARδの下流にある標的
は実質的に不明であったが、PPARファミリーの他の受容体の研究から、プロトタ
イプの応答配列が決定されていた。DNA結合および活性化については、個々のタ
ンパク質単独の場合では同種の認識配列におそらくホモ二量体の状態で結合した
が、PPARタンパク質とRXRのヘテロ二量体が形成することで最大となる(Gearing
ら、1993;Iseemannら、1993)。したがって、アシル-CoAオキシダーゼ遺伝子の
プロモーターに由来するプロトタイプのPPAR応答配列であるACOは、1塩基対を間
にはさむ2コピーのコア結合配列AGGTCAを含む(Juge-Aubryら、1997;Mangelsdo
rf、1995;Lembergerら、1996;Tugwoodら、1992)。PPARαおよびPPARγは、こ
のコンセンサスに効率よく結合するが、PPARδは結合しない(下記参照)。PPAR
δ応答配列を決定するために、PPARδとRXRを対象にインビトロ結合部位の選択
を行った。RXRのDNA結合ドメインを含むGST融合タンパク質で選択した28種の結
合部位の解析から、RXRのコアコンセンサスが(A/G)GGTCAがであることが判明し
た(図3A)。この配列は、既に報告されたRXR結合部位と一致する。同様の選択
を、PPARδの推定DNA結合ドメインを含むGST融合タンパク質を対象に行った。こ
の選択により同定した20か所の部位を解析したところ、過去に決定されたPPARα
/γコンセンサスとは異なる新しい結合コンセンサス(CGCTCAC)が存在すること
がわかった(図3B)。
【0063】 PPARδとRXRのコンセンサス配列を組み合わせることで、インビボにおいてPPA
Rδ/RXRヘテロ二量体に対して有効な応答配列が形成されることから、インビト
ロでPPARδ結合配列を作らることができるのではないかと考えた。この推測が妥
当か否かを検討するために、PPARδとRXRのコンセンサス結合部位を連結して、
推定PPARδ応答配列 を含むオリゴヌクレオチドを最初に作製した。DREを対象にGEMSA解析を行ったと
ころ、PPARδには強く結合するものの、PPARαまたはPPARγには結合しないこと
が判明した(図3C)。これとは対照的に、プロトタイプのPPAR応答配列であるAC
O はPPARαおよびPPARγには結合したが、PPARδには結合しなかった(図3C)。RX
Rは両応答配列に弱く結合することがわかった。
【0064】 細胞内における上記応答配列の特異性を調べるために、DRE配列またはACO配列
のいずれかを含むルシフェラーゼレポーターを構築した。予想した通り、PPARδ
を293細胞にトランスフェクトしたところ、DREレポーターは強く活性化されたが
ACOレポーターは活性化されなかった(図3D)。これとは対照的に、293細胞でPP
ARγを発現させるとACOレポーターは活性化されたが、DREレポーターは活性化さ
れなかった(図3D)。これらの結果は、DREがPPARδの機能の有効かつ特異的な
レポーターであることを示している。
【0065】実施例5 PPARδの機能は、APC/β-カテニン/Tcf-4経路により特異的に調節される 上述の知見から、PPARδ活性がAPC/β-カテニン/Tcf-4経路により転写レベル
で調節されることが示唆された。結腸直腸癌細胞におけるこの転写調節の作用の
帰結を調べるために、上述したPPARδに特異的なレポーターを使用した。野生型
のAPCを内因性変異体のAPCを含むヒト結腸直腸癌細胞株にトランスフェクトした
ところ、PPARδレポーターのDREは下方制御されたが、PPARα/γに反応するレポ
ーターのACOには影響は認められなかった(図4A)。PPARα/γには何ら影響がみ
られなかったことから、この阻害に特異性があることと、この阻害性作用が腫瘍
抑制遺伝子の発現に由来する非特異的な毒性による可能性が小さいことがわかっ
た。また、dnTcf-4発現ベクターをトランスフェクションしたところ、PPARδレ
ポーターは特異的に抑制されたが、PPARα/γレポーターは抑制されなかった。
【0066】 非特異的な毒性作用が起こる可能性をさらに除くために、β-カテニンにおけ
るPPARδ活性を正に調節する能力の有無を判定した。ヒト線維芽細胞で発癌性β
-カテニン変異体を発現させたところ、PPARδレポーターは活性化されたが、PPA
Rα/βレポーターは活性化されなかった(図4B)。
【0067】実施例6 NSAIDはPPARδ活性を抑制する NSAIDが結腸直腸腫瘍形成を有効に抑制することから、NSAIDが同臓器における
腫瘍形成を駆動する遺伝的変化に何らかの形でかかわるのではないかという疑問
が生じる。PPARδがAPC腫瘍抑制経路の標的であることが知られており、特異的
な関係が存在することが示唆された。エイコサノイドの代謝にかかわる前駆体お
よび産物のいずれもが、PPARのリガンドとなることが最近報告されている(Form
anら、1997;Formanら、1995;Kellerら、1993;Kliewerら、1995;Kliewerら、
1997;Xuら、1999;Yuら、1995)。NSAIDにエイコサノイドの代謝を撹乱する能
力があることは、PPARが腫瘍形成抑制におけるNSAIDの最終的な標的であること
を示唆しており(PrescottおよびWhite、1996)、また上述の知見は、PPARδが
特異的な標的である可能性を示唆している。
【0068】 この可能性を検討するために、NSAIDであるスリンダクがPPARδの機能に及ぼ
す作用を調べた。スリンダクは、ヒト(Giardielloら、1993;Labayleら、1991
;Nugentら、1993;Rigauら、1991;Thorsonら、1994;Waddellら、1989;Winde
ら、1993;Windeら、1995)およびマウス(Beazer-Barclayら、1996;Chiuら、1
997;Jacobyら、1996;Mahmoudら、1998)の両方で腸の腫瘍形成を効率的に抑制
し、この抑制がアポトーシスの誘導にかかわることが報告されている(Mahmoud
ら、1998;Pasrichaら、1995)。これと同様に、スリンダクの活性代謝物である
スリンダク硫化物がヒト結腸直腸癌細胞でアポトーシスを誘導することが報告さ
れている(Chanら、1998;Hanifら、1996;Piazzaら、1995;Shiffら、1995)。
スリンダク硫化物で処理することで、DREレポーターで評価すると、結腸直腸癌
細胞においてPPARδ活性の用量依存性の抑制がみられた(図4C)。PPARδの同様
の用量依存性の抑制は、別のNSAIDであるインドメタシンでも認められた(デー
タは提示せず)。低濃度のスリンダク硫化物では2倍を超える抑制が認められ、
これらの細胞で実質的なアポトーシスを生じるスリンダク硫化物濃度では10倍以
上の低下が認められた(図4Cおよび5D)。これとは対照的に、スリンダク硫化物
は、ACOレポーターで評価したところ、PPARα/γ活性に軽度の影響しか及ぼさな
かった(25%未満の抑制)(図4C)。
【0069】実施例7 PPARδを発現させるとスリンダク硫化物誘導性のアポトーシスが部分的に救出さ
れる 上述した通り、スリンダク硫化物は、インビトロおよびインビボで腫瘍細胞の
アポトーシスを誘導することがわかっている。PPARδ活性の抑制が、このような
アポトーシス活性に寄与すると仮定すれば、PPARδを過剰に発現させることでス
リンダク硫化物誘導性のアポトーシスを防ぐことができると思われる。この可能
性を検証するために、PPARδならびに緑色蛍光タンパク質(GFP)マーカーを発
現させるために、アデノウイルス(AdPPARδ)をAdEasy法で構築した(Heら、19
98)。AdPPARδがスリンダク硫化物誘導性のアポトーシスを抑制する能力を、GF
Pマーカー遺伝子のみを含むAdGFPによる同能力と比較した。
【0070】 AdPPARδを発現させたところ、100 μMまたは125 μMのスリンダク硫化物で処
理したHCT116細胞ではアポトーシスがほぼ5倍低下した(図5A〜5D)。同様の結
果がSW480細胞株で得られた(図5D)。ただし、アポトーシスの抑制は、高濃度
のスリンダク硫化物(150 μM、図5D)では無効となるようであった。
【0071】 この結果を、AdPPARδがスリンダク硫化物によるクローン細胞増殖の阻害を救
出する能力により、さらに確認して拡張した。細胞を100 μMまたは125 μMのス
リンダク硫化物で処理すると、コロニー数がおよそ5倍低下した(図5E)。この
低下は、AdPPARδを感染させることで完全に救出することが可能であり、実際に
はコロニー数が若干上昇(〜15%)した。これとは対照的に、APCの標的かつプロ
ト癌遺伝子であるc-MYCではクローン増殖阻害を救出することができなかった。
アポトーシスアッセイの結果と同様に、AdPPARδがもつ予防効果は、高濃度のス
リンダク硫化物では失われた。
【0072】実施例8 スリンダク硫化物は、PPARδ/RXRヘテロ二量体がもつDNA結合力を直接的に損な
う スリンダク硫化物によるPPARδ活性の阻害は、直接的または間接的のいずれか
であると考えられる。APCの場合、APCの抑制は間接的であり、これはAPCが、Tcf
-4/β-カテニンを介したPPARδプロモーターの転写活性化を阻害するためである
。スリンダクも転写レベルで作用するか否かを判定するために、スリンダク硫化
物を処理した後のPPARδの発現を最初に調べた。PPARδ活性およびアポトーシス
を著しく抑制するスリンダク硫化物濃度では、ノーザンブロット解析で評価した
ところ、PPARδの転写物のレベルに影響は認められなかった(図6A)。
【0073】 この結果は、APCが同転写物に及ぼす作用と著しく対照的であった(図1C)。P
PARがエイコサノイド経路の前駆体および産物に結合可能であることを考えれば
(Formanら、1997;Formanら、1995;Kellerら、1993;Kliewerら、1995; Klie
werら、1997;Xuら、1999;Yuら、1995)、NSAIDがPPARδに及ぼす作用は、それ
がエイコサノイド代謝を撹乱する能力に起因するものと考えられる。しかし複数
の研究で、NSAIDがもつ化学的な予防効果がプロスタグランジン合成を抑制する
能力に単純に関連するものではないことが示唆されている。したがって発明者ら
は、別の可能性、例えばNSAIDがPPARδ活性を直接的に阻害することで作用する
のではないかと考えた。
【0074】 上記の可能性を検証するために、スリンダクにおけるPPARδ/RXRヘテロ二量体
のDNA結合活性をインビトロで阻害する能力の有無について調べた。スリンダク
硫化物は、PPARδ/RXRヘテロ二量体とDRE配列との結合を阻害した(図6B)。DRE
に対する結合はまた、NSAIDのインドメタシンおよびスリンダク硫化物関連化合
物であるスリンダクスルホンでも阻害された(図6B)。DREへの結合を阻害する
ために必要なスリンダク硫化物、インドメタシン、およびスリンダクスルホンの
相対的な濃度は、結腸直腸癌細胞のアポトーシスを誘導するために必要な濃度と
ほぼ一致した。特にスリンダク硫化物は最も強力であり、スリンダクスルホンの
効果が最も弱かった(図5D、6B、およびデータは提示せず)。スリンダク硫化物
、インドメタシン、またはスリンダクスルホンのいずれも、ACO配列を対象に実
施した同等のアッセイでは、PPARγ/RXRヘテロ二量体の結合に何ら影響を及ぼさ
なかった(図6C)。スリンダクがPPARδ/RXRαヘテロ二量体のDNA結合活性に及
ぼす作用は、単にcPGIとの競合によるものではなかった。というのは、リガンド
刺激がない状況下でDNA結合の検出を可能とするGEMSA条件を用いたときにcPGIの
非存在下で同様の阻害反応が認められたからである。
【0075】実施例9 腸の腫瘍形成をAPCおよびNSAIDが抑制するモデル 上記の観察をふまえ、腸の腫瘍形成の抑制にAPCおよびNSAIDがかかわるモデル
を構築することができる(図7)。多くの癌では、APC腫瘍抑制経路に不活性変異
があると、β-カテニン/Tcf-4を介した転写のレベルが上昇する(Korinekら、19
97;Morinら、1997)。APC変異をもたないまれな結腸直腸癌では、APCを介した
分解に対する耐性を付与するβ-カテニンの変異により、β-カテニン/Tcf-4を介
した転写が亢進する(Morinら、1997)。いずれの場合でも、β-カテニン/Tcf-4
活性が上昇することで増殖促進性遺伝子群の転写が上昇する。したがって、APC
の機能が損なわれている結腸直腸癌細胞のAPC機能が回復すると増殖抑制および
アポトーシスが誘導される(Morinら、1996)。
【0076】 β-カテニン/Tcf-4活性の増殖促進作用にかかわると考えられている遺伝子群
には、c-MYC発癌遺伝子(Heら、1998)およびサイクリンD1遺伝子(Tetsuおよび
McCormick、1999)ほかの遺伝子群(WISP、c-jun、およびfra-1)をコードする
遺伝子(Mannら、1999;Pennicaら、1998)が含まれる。今回得られた結果は、P
PARδがβ-カテニン/Tcf-4の標的であり、化学的な予防上、特に重要であること
を示唆している。APCまたはβ-カテニンの変異がPPARδ活性の上昇を招くのに対
して、NSAIDはPPARδ活性を抑制してアポトーシスを促進することでこの欠損を
補償可能である。PPARδのこの抑制には、一部のNSAIDがもつ、PPARのDNA結合活
性を直接阻害する能力が部分的に介在する。さらに脂肪酸およびエイコサノイド
は、PPAR活性のリガンドおよび修飾因子として作用する場合があるので(Forman
ら、1997;Formanら、1995;Kellerら、1993;Kliewerら、1995;Kliewerら、19
97;PrescottおよびWhite、1996;Xuら、1999;Yuら、1995;および発明者らの
未発表の結果)、PPARδの活性は、NSAIDを介したエイコサノイド代謝上の変化
で抑制される可能性がある。このモデルでは、NSAIDが介在する化学的な予防の
いくつかの特徴を説明することができる。第1に、結腸直腸腺腫の予防に一部のN
SAIDが著しく有効であることは今日では、同腫瘍の初発変化の基礎をなす特異的
な遺伝的欠損に結びつけることができるほか、NSAIDがもつ、これらの遺伝的欠
損による作用の帰結の均衡を保つ能力に結びつけることができる。
【0077】 第2にNSAIDの機能はこれまで、COX活性に対する阻害と、その結果としてのプ
ロスタグランジンの合成阻害に結びつけられてきたが、NSAIDの化学的な予防お
よびアポトーシス誘導性の活性が、COXの阻害、またはプロスタグランジンレベ
ルの低下とは全く無関係であることが複数の研究で示唆されている。これらの結
果は、一部のNSAIDがもつ、PPARδを直接阻害する能力を元に説明できるかもし
れない。実際、スリンダク誘導体であるスリンダクスルホン(COX阻害活性がな
い)には、高濃度で使用した場合に、インビトロにおけるアポトーシス活性とイ
ンビボにおける化学的な予防活性がみられ、従来のNSAIDで認められる毒性をも
たない化学的な予防薬剤になると提案されている(Mahmoudら、1998;Piazzaら
、1997;Piazzaら、1995)。スリンダクスルホンは、スリンダク硫化物で必要と
される高濃度でもPPARδ活性を阻害したが、これは、その化学的な予防活性およ
びアポトーシス促進活性の低下と矛盾しない。
【0078】 第3に最近の研究では、PPARγの作動薬がMinマウスの腸の腫瘍形成を進行させ
る一方で、同作動薬がヒト結腸直腸癌細胞の増殖を阻害することが報告されてい
る(Brockmanら、1998;Lefebvreら、1998;Saezら、1998;Sarrafら、1998)。
これらの研究の結論は矛盾しているが、PPARリガンドに腸の腫瘍細胞の成長を変
化させる能力があることを明瞭に示している。
【0079】 PPARγ作動薬に対する反応の差が、ヒトとマウスの差に起因するのか否か、ま
た観察された作用が、PPARγに及ぼす作用、またはPPARγとPPARδの双方に及ぼ
す作用のいずれによるのかについては、さらに検討する必要がある。PPARが、腸
の腫瘍形成に重要な役割を果たすことは最近になって、突発性結腸直腸癌55例中
4例で1つの対立遺伝子上にPPARγの機能喪失変異が同定されたことからも示唆さ
れている(Sarrafら、1999)。
【0080】 第4に、COX2の発現がアポトーシスを変化させる能力(TsujiiおよびDubois、1
995)および腸の腫瘍形成を変化させる能力(Oshimaら、1996)は、COX2発現が
もつ、PPARδおよび他のPPARに対するリガンドのスペクトルを変える能力に部分
的に関連する可能性がある。この点については、PPARδのリガンドであるcGPIが
、COX-2欠損による不妊をある程度救出可能であることは注目に値する(Limら、
1999)。
【0081】 最後に、食用脂肪酸および分泌型ホスホリパーゼがもつ、PPARδのリガンドス
ペクトルを変化させてPPARδ活性を変化させる能力で、結腸直腸癌のリスクが影
響を受けることを説明できる可能性がある(Dietrichら、1993;MacPheeら、199
5;Vanden Heuvel、1999;Willettら、1990)。
【0082】参考文献
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒト結腸直腸癌細胞におけるPPARδの発現。図1A。ヒト結腸直腸
癌細胞におけるAPCの誘導によるPPARδ発現の低下。APC(HT29-APC)またはβ-
ガラクトシダーゼ(HT29-GAL)の発現を、110 μMのZnCl2により、改変型メタロ
チオネインプロモーターの制御下の各遺伝子を含むHT29結腸直腸癌細胞を対象に
指定の時間誘導した。全RNA(10 μg)を単離し、PPARδおよびPPARγに特異的
なプローブを用いたノーザンブロット解析を行って解析した。図1B。原発性のヒ
ト結腸直腸癌におけるPPARδの発現の上昇。PPARδおよびPPARγに特異的なプロ
ーブを用いたノーザンブロット解析を、4人の異なる患者から採取した対応する
原発性結腸直腸癌(C)および正常結腸上皮(N)から単離した全RNA(10 μg)
を対象に行った。図1C。ヒト結腸直腸癌におけるPPARδの発現はTcf-4を介する
転写に依存する。β-カテニン/Tcf-4を介する転写が、APCの変異(SW480、DLD1
)またはβ-カテニンの変異(HCT116)のいずれかにより上昇した結腸直腸癌細
胞に、GFPを発現するアデノウイルス(GFP)またはTcf-4ドミナントネガティブ
変異体(dnTcf)を擬似感染(Con)または感染させた。全RNA(10 μg)を単離
し、PPARδおよびPPARγに特異的なプローブを用いたノーザンブロット解析を行
って解析した。
【図2】 APCはβ-カテニン/Tcf-4を介する転写を介してPPARδ発現を調節
する。図2A。PPARδプロモーター。PPARδの第1エキソンの上流にある3.1 kbの
領域の制限酵素切断部位マップを示す。制限酵素切断断片BE、NE、HE、DE、BN、
NH、HD、およびNPを使用して、APCおよびβ-カテニンの応答性を測定するための
レポーターを構築した。黒四角は、Tcf-4が結合すると予想される部位を示し、
白四角は、Tcf-4結合を無効とする変異を含むように遺伝子操作した同部位を示
す。mNPは、両方のTcf-4結合部位を変異させた断片NPを示す。TRE1およびTRE2は
それぞれ2コピーのTcf-4結合部位の4回の反復を含む。mTRE1およびmTRE2は、TRE
1およびTRE2の変異型である。図2B。PPARδのプロモーターは、APCおよびドミナ
ントネガティブTcf-4で抑制される。SW480結腸直腸癌細胞に、指定のPPARδプロ
モータールシフェラーゼレポーター(0.4 μg)を、β-ガラクトシダーゼ発現ベ
クター(0.2 μg pCMVβ)、および1.0 μgの対照ベクター(ベクター)、APC発
現ベクター(APC)、またはドミナントネガティブTcf-4発現ベクター(dnTcf-4
)とともにトランスフェクトした。ルシフェラーゼ活性を、β-ガラクトシダー
ゼ活性に対してトランスフェクション効率を標準化した後に対照ベクターに対す
る相対値として記載する。バーは3回の独立した反復実験の平均を表し、エラー
バーは不偏標準偏差を表す。図2C。APCおよびdnTcfの応答性は、2コピーの推定T
cf-4結合部位を介する。無償のまたは変異型のTcf-4結合部位を有するPPARδプ
ロモーター断片を対象に、APCおよびdnTcf-4の応答性を図2Bに示す同様の方法で
検討した。バーは3回の独立した反復実験の平均を表し、エラーバーは不偏標準
偏差を表す。図2D。APCおよびdnTcfの応答性を介する同じプロモーター領域に対
するβ-カテニンのトランス活性化マップ。293ヒト細胞株を、指定のPPARδプロ
モータールシフェラーゼレポーター(0.4 μg)、β-ガラクトシダーゼ発現ベク
ター(0.2 μgのpCMVβ)、および1.0 μgの挿入なしの対照(ベクター)または
発癌性β-カテニン発現ベクター(β-カテニン)のいずれかでトランスフェクト
した。ルシフェラーゼ活性は図2Bと同様の方法で記載した。バーは3回の独立し
た反復実験の平均を表し、エラーバーは不偏標準偏差を表す。図2E。PPARδプロ
モーター中の推定Tcf-4結合部位はTcf-4に結合する。推定Tcf-4結合部位であるT
RE1またはTRE2のいずれかを含む32Pで標識したプローブを用いてGEMSAを行った
。GEMSAは、Tcf-4 DNA結合ドメインを含むGST融合タンパク質の存在下で表示の
通りに行った。Tcf-4結合部位に対応する野生型(wt)または変異型(mut)の競
合物質を表示の通りに使用した。
【図3】 PPARδに特異的なレポーターの開発。図3A。RXRコンセンサス結
合部位。RXRのDNA結合ドメインを含むGST融合タンパク質に結合したランダムな
オリゴヌクレオチドテンプレートのPCR産物を選択し、クローニングして配列を
決定した。28種のクローンの配列を示し、マニュアルで整列させて得たコンセン
サス結合配列を最下段に示す。図3B。PPARδコンセンサス結合部位。PPARδのDN
A結合ドメインを含むGST融合タンパク質に結合したランダムなオリゴヌクレオチ
ドテンプレートのPCR産物を選択し、クローニングして配列を決定した。20種の
クローンの配列を示し、マニュアルで整列させて得たコンセンサス結合配列を最
下段に示す。図3C。PPARα、PPARδ、およびPPARγの結合特異性。表示の結合配
列(DREまたはACO)を含むオリゴヌクレオチドを32Pで標識し、PPARα、PPARδ
、PPARγ、RXRのいずれかを含むGST融合タンパク質、またはDNA結合ドメインが
ないGST融合タンパク質(-)とともにインキュベートした。DNAとの結合をGEMSA
で評価した。図の中で「プローブ」は未結合状態のプローブを表し、「移動後」
は結合状態のプローブを表す。図3D。DREはPPARδの応答性に寄与する。293ヒト
細胞株に、DREまたはACOのルシフェラーゼレポーター(0.3 μg)とβ-ガラクト
シダーゼ発現ベクター(0.2 μgのpCMVβ)とともに、1.0 μgの対照ベクター(
ベクター)、PPARδ、またはPPARγ発現ベクターのいずれかをトランスフェクト
した。ルシフェラーゼ活性は図2Bに示した方法で計算した。バーは3回の独立し
た反復実験の平均を表し、エラーバーは不偏標準偏差を表す。図3E。PPARδ/RXR
αヘテロ二量体およびPPARγ/RXRαヘテロ二量体の結合特異性。表示の結合配列
(DREまたはACO)を含むオリゴヌクレオチドを32Pで標識し、インビトロで翻訳
したPPARδ、PPARγ、およびRXRαとともに表示した通りにインキュベートした
。この結合に、PPARδのリガンドであるcPGI(10 μM)およびPPARγのリガンド
であるBRL 49653 (10 μM)を表示した通りに追加した。DNAの結合をGEMSAで評
価した。図の中で「プローブ」は未結合状態のプローブを表し、「移動後」は結
合状態のプローブを表す。図3F。DREはPPARδの応答性には寄与するがPPARγの
応答性には寄与しない。293ヒト細胞株に、DREルシフェラーゼレポーター(0.3
μg)、β-ガラクトシダーゼ発現ベクター(0.2 μg pCMVβ)とともに、1.0 μ
gの空のベクター(対照)、PPARδ発現ベクター、またはPPARγ発現ベクターの
いずれかをトランスフェクトした。図に示すように、PPARδのリガンドであるcP
GI(20 μM)またはPPARγのリガンドであるBRL 49653(20 μM)で細胞を処理
した。ルシフェラーゼ活性は、β-ガラクトシダーゼ活性でトランスフェクショ
ン効率を補正した後の相対的なルシフェラーゼ活性で記載した。バーは3回の独
立した反復実験の平均を表し、エラーバーは不偏標準偏差を表す。図3G。ACOはP
PARγの応答性には寄与するがPPARδの応答性には寄与しない。293ヒト細胞株に
ACOルシフェラーゼレポーター(0.3 μg)とβ-ガラクトシダーゼ発現ベクター
(0.2 μgのpCMVβ)とともに、1.0 μgの空のベクター(対照)、PPAR6発現ベ
クター、またはPPARγ発現ベクターのいずれかをトランスフェクトした。図に示
すように、PPARδのリガンドであるcGPI(20 μM)、またはPPARγのリガンドで
あるBRL 49653 (20 μM)で細胞を処理した。ルシフェラーゼ活性は、β-ガラ
クトシダーゼ活性を用いてトランスフェクション効率を補正した後の相対的なル
シフェラーゼ活性で記載した。バーは3回の独立した反復実験の平均を表し、エ
ラーバーは不偏標準偏差を表す。
【図4】 PPARδの活性は、APC、β-カテニン、およびスリンダクによる調
節を受ける。図4A。APCおよびdnTcfはPPARδ活性を特異的に抑制する。PPARδお
よびPPARγ活性はそれぞれ、DREおよびACOルシフェラーゼレポーターで評価した
。SW480結腸直腸癌細胞に、表示したルシフェラーゼレポーター(0.4 μgのDRE
またはACO)とβ-ガラクトシダーゼ発現ベクター(0.2 μgのpCMVβ)とともに1
.0 μgの対照ベクター(ベクター)、APC、またはドミナントネガティブのTcf-4
発現ベクター(dnTcf)のいずれかをトランスフェクトした。ルシフェラーゼ活
性は図2Bに示した方法で計算した。バーは3回の独立した反復実験の平均を表し
、エラーバーは不偏標準偏差を表す。図4B。β-カテニンの発現はPPARδ活性を
上昇させる。293ヒト細胞株に、表示したルシフェラーゼレポーター(0.4 μgの
DREまたはACO)とβ-ガラクトシダーゼ発現ベクター(0.2 μgのpCMVβ)ととも
に、0.8 μgの挿入なし対照(ベクター)または発癌性β-カテニン発現ベクター
をトランスフェクトした。図4C。スリンダクはPPARδ活性を特異的に抑制する。
PPARδおよびPPARγの活性はそれぞれ、DREおよびACOのルシフェラーゼレポータ
ーの転写活性として評価した。HCT116およびSW480の結腸直腸癌細胞株に、表示
したルシフェラーゼレポーター(1.0 μgのDREまたはACO)およびβ-ガラクトシ
ダーゼ発現ベクター(0.2 μgのpCMVβ)をトランスフェクトした。トランスフ
ェクト後に20時間かけて細胞を再生した後に、表示濃度(μM)のスリンダク硫
化物で10時間処理した。ルシフェラーゼ活性は、トランスフェクション効率を標
準化した後に対照(0)に対する相対値で記載した。
【図5】 PPARδが結腸癌細胞のスリンダク誘導性アポトーシスをある程度
防ぐことを示す非感染のHCT116細胞(図5A)、AdGFPを感染させたHCT116細胞(
図5B)、またはAdPPARδを感染させたHCT116細胞(図5C)を、125 μMのスリン
ダク硫化物で処理を行った蛍光顕微鏡による観察。HCT116細胞およびSW480細胞
を擬似感染(非感染)したほか、GFPを発現するアデノウイルス(AdGFP)または
PPARδを発現するアデノウイルス(AdPPARδ)を感染させた。感染の20時間後に
、細胞をスリンダク硫化物で42時間処理した。アポトーシスは、ヘキスト(Hoec
hst) 33258による染色を行って、アポトーシスを起こしている核(凝縮および断
片化)の有無を元に評価した。図5D。バーは、表示したアデノウイルスおよびス
リンダク硫化物濃度(μM)による処理後にアポトーシスを起こしている核のフ
ラクションを示す。図5E。PPARδは、スリンダク硫化物によるクローン増殖阻害
を救出する。表示したアデノウイルスを細胞に感染させ、表示濃度のスリンダク
硫化物で処理してプレーティングした。クローン増殖を6日後の形成コロニー数
として評点化した。コロニーは、クリスタルバイオレット(上のパネル)で染色
して画像化して計数した(下のパネル)。
【図6】 NSAIDによるPPARδ抑制のメカニズム。図6A。NSAIDはPPARδの発
現に影響しない。HCT116細胞およびSW480細胞を表示濃度(μM)のスリンダク硫
化物で36時間処理してRNAを単離した。全RNA(10 μg)を対象に、PPARδに特異
的なプローブを用いてノーザンブロット解析を行った。図6B。NSAIDは、PPARδ
とDNAとの結合を抑制する。DRE結合配列を32Pで標識し、単独でインキュベート
した(プローブのみ)ほか、非プログラムのインビトロ翻訳溶解物(溶解物ブラ
ンク)またはインビトロ翻訳したPPARδ(δ)、RXR(RXR)、またはそれら両方
(δ+RXR)とともにインキュベートした。PPARδ+RXRは、表示したNSAIDで処理
した全溶解物を含む。DNAに対する結合をGEMSAでアッセイした。図の中で「プロ
ーブ」は未結合状態のプローブを表し、「移動後」は結合状態のプローブを表す
。図6C。NSAIDはPPARγとDNAとの結合を抑制しない。DNA結合活性を、ACO DNA結
合配列をプローブとして用いた以外は図6Bと同様に評価した。図6D。NSAIDはPPA
RδとDNAとの結合を抑制する。DRE結合配列を32Pで標識し、単独でインキュベー
トした(プローブのみ)ほか、インビトロで翻訳したPPARδ(δ)、RXRα(RXR
α)、または両方(δ+RXRα)とともにインキュベートした。PPARδ + RXRα +
cPGI(10 μM)は、表示したNSAIDと処理した全溶解物を含む。DNAに対する結
合をGEMSAで評価した。図の中で「プローブ」は未結合状態のプローブを表し、
また「移動後」は結合状態のプローブを表す。図6E。NSAIDはPPARγとDNAとの結
合を抑制しない。ACO結合配列を32Pで標識し、単独でインキュベートした(プロ
ーブのみ)ほか、インビトロで翻訳したPPARγ(γ)、RXRα(RXRα)、または
両方(γ + RXRα)とともにインキュベートした。PPARγ + RXRα + BRL 49653
(10 μM)には、表示したNSAIDで処理した全溶解物が含まれていた。DNA結合を
GEMSAで評価した。図の中で「プローブ」は未結合状態のプローブを表し、「移
動後」は結合状態のプローブを表す。
【図7】 APCおよびNSAIDを介する結腸直腸癌抑制の統合モデル。青色で示
す因子は腫瘍抑制作用を示し、赤色で示す因子は腫瘍形成を促進することを示す
。四角で囲まれた要素が及ぼす作用は、遺伝的変化により明らかにされている。
LOX=5'-リポキシゲナーゼ、sPLA2=分泌型ホスホリパーゼ2、およびCOX=シク
ロオキシゲナーゼ。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/447 G01N 33/50 Z 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 G01N 27/26 315Z (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ヘ トン−チュアン アメリカ合衆国 メリーランド州 トウソ ン ドニーブルック レーン アパートメ ント シー (72)発明者 キンズラー ケネス ダブリュ. アメリカ合衆国 メリーランド州 ベルエ アー ハルカーク ウェイ 1403 (72)発明者 ボーグルスタイン ベルト アメリカ合衆国 メリーランド州 ボルチ モア ブレトン ウェイ 3700 Fターム(参考) 2G045 AA26 AA35 BB01 CB01 DA13 FB01 4B024 AA01 AA11 BA63 BA80 CA04 CA07 DA02 DA05 DA11 EA02 EA04 FA02 GA11 HA01 4B063 QA01 QA08 QA18 QQ05 QQ20 QQ42 QQ52 QR08 QR33 QR42 QR60 QR62 QR74 QR80 QS16 QS36 QX02 4C084 AA17 NA14 ZA66 ZB26

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1〜21、および配列番号:21のヌクレオチド3〜9
    番目(図3B)からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むPPARδ結合配列
    、および配列番号:22〜50、および配列番号:50のヌクレオチド3〜7番目(図3A
    )からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むRXR結合配列を含む、単離
    されたサブゲノムポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 PPARδ結合配列がRXR結合配列の100ヌクレオチド以内に位置
    する、請求項1記載のポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 固相支持体に結合する、請求項1記載のポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 不溶性重合体に結合する、請求項1記載のポリヌクレオチド
  5. 【請求項5】 配列番号:1〜21、および配列番号:21のヌクレオチド3〜9
    番目(図3B)からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも2コ
    ピーのPPARδ結合配列を含む、単離されたサブゲノムポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 少なくとも4コピーのPPARδ結合配列を含む、請求項5記載の
    ポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 固相支持体に結合する、請求項5記載のポリヌクレオチド。
  8. 【請求項8】 不溶性重合体に結合する、請求項5記載のポリヌクレオチド
  9. 【請求項9】 配列番号:1〜21、および配列番号:21のヌクレオチド3〜9
    番目からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1コピーのPPA
    Rδ結合配列、最小プロモーター、およびレポーター遺伝子を含む核酸コンスト
    ラクトであって、PPARδ結合配列が最小プロモーターの上流にあり、最小プロモ
    ーターがレポーター遺伝子の上流にあり、最小プロモーターがレポーター遺伝子
    の転写を調節する核酸コンストラクト。
  10. 【請求項10】 少なくとも2コピーのPPARδ結合配列を含む、請求項9記載
    の核酸コンストラクト。
  11. 【請求項11】 少なくとも3コピーのPPARδ結合配列を含む、請求項9記載
    の核酸コンストラクト。
  12. 【請求項12】 少なくとも4コピーのPPARδ結合配列を含む、請求項9記載
    の核酸コンストラクト。
  13. 【請求項13】 レポーター遺伝子の上流に位置する配列番号:22〜50、お
    よび配列番号:50のヌクレオチド3〜7番目からなる群より選択されるヌクレオチ
    ド配列を含むRXR結合配列をさらに含む、請求項9記載の核酸コンストラクト。
  14. 【請求項14】 PPARδ結合配列がRXR結合配列の100ヌクレオチド以内に位
    置する、請求項13記載の核酸コンストラクト。
  15. 【請求項15】 以下の段階を含む、治療用薬剤をあらかじめスクリーニン
    グする方法: PPARδタンパク質と、PPARδ結合配列を含むDNA分子間の結合を、被験物質の存
    在下または非存在下で測定する段階;および 被験物質の存在下におけるPPARδタンパク質の結合量を、被験物質の非存在下に
    おけるPPARδタンパク質の結合量と比較する段階であって、結合量を低下させる
    被験物質が癌治療用薬剤の候補となり、結合量を上昇させる被験物質が、NSAID
    による負の副作用を改善する薬剤の候補となる段階。
  16. 【請求項16】 測定段階でゲル電気泳動によるDNA分子の移動度の移動を
    観察する、請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 DNA分子を放射標識する、請求項15記載の方法。
  18. 【請求項18】 結合をNSAIDの存在下で測定する、請求項15記載の方法。
  19. 【請求項19】 以下の段階を含む、治療用薬剤をあらかじめスクリーニン
    グする方法: 形質移入された細胞を被験物質に接触させる段階(移入細胞が、PPARδタンパク
    質、およびアッセイ可能な産物をコードするレポーター遺伝子、レポーター遺伝
    子の上流にあってレポーター遺伝子の転写を調節する最小プロモーター、および
    最小プロモーターの上流に少なくとも1コピーのPPARδ結合配列を含むレポータ
    ーコンストラクトを含む); および レポーター遺伝子の発現が、被験物質により低下または上昇するかを判定する段
    階(レポーター遺伝子の発現量を低下させる被験物質が癌治療用薬剤の候補とな
    り、またレポーター遺伝子の発現量を上昇させる被験物質がNSAIDによる負の副
    作用を改善する薬剤の候補となる)。
  20. 【請求項20】 レポーター遺伝子コンストラクトが、最小プロモーターの
    上流にRXR結合配列をさらに含む、請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 形質移入された細胞が培養液中にある、請求項19記載の方
    法。
  22. 【請求項22】 形質移入された細胞が哺乳類の体内にある、請求項19記載
    の方法。
  23. 【請求項23】 レポーター遺伝子の発現をNSAIDの存在下で判定する、請
    求項19記載の方法。
  24. 【請求項24】 以下の段階を含む、治療用薬剤をあらかじめスクリーニン
    グする方法: RNAポリメラーゼ、リボヌクレオチド、およびPPARδタンパク質を、アッセイ可
    能な産物をコードするレポーター遺伝子、最小プロモーターの上流にある少なく
    とも1コピーのPPARδ結合配列、およびレポーター遺伝子の上流にあってレポー
    ター遺伝子の転写を調節する最小プロモーターを含むレポーターコンストラクト
    に添加する段階であって、添加段階を被験物質の存在下および非存在下で行う段
    階;および 被験物質の存在下におけるレポーター遺伝子の転写の低下または上昇を判定する
    段階であって、レポーター遺伝子の転写量を低下させる被験物質が癌治療用薬剤
    の候補となり、かつレポーター遺伝子の転写量を上昇させる被験物質がNSAIDに
    よる負の副作用を改善する薬剤の候補となる段階。
  25. 【請求項25】 レポーター遺伝子の転写をNSAIDの存在下で判定する、請
    求項24記載の方法。
  26. 【請求項26】 以下の段階を含む、FAP患者、APCまたはβ-カテニンの変
    異をもつ患者、または癌発生リスクが高い患者に使用される薬剤の候補を同定す
    る方法: 非野生型APCをもつ細胞または変異型β-カテニンをもつ細胞と被験化合物を接触
    させる段階; Tcf応答性レポーター遺伝子を含む細胞内における転写を測定する段階であって
    、Tcf応答性レポーター遺伝子が、CTTTGAT(TRE1)およびCTTTCAT(TRE2)から
    なる群より選択されるTcf-4結合配列を含み、レポーター遺伝子の転写を低下さ
    せる被験化合物が癌治療用の薬剤の候補となる段階。
  27. 【請求項27】 Tcf応答性レポーター遺伝子がTRE1およびTRE2の両方を含
    む、請求項26記載の方法。
  28. 【請求項28】 Tcf応答性レポーター遺伝子がPPARδのヌクレオチド-1543
    〜-759位を含む、請求項26記載の方法。
  29. 【請求項29】 Tcf応答性レポーター遺伝子が少なくとも2コピーのTRE1ま
    たはTRE2を含む、請求項26記載の方法。
  30. 【請求項30】 Tcf応答性レポーター遺伝子が少なくとも4コピーのTRE1ま
    たはTRE2を含む、請求項26記載の方法。
  31. 【請求項31】 細胞が、β-カテニンの結合または調節に欠陥があるAPCタ
    ンパク質を産生する、請求項26記載の方法。
  32. 【請求項32】 細胞が、活性過剰のβ-カテニンタンパク質、またはAPC結
    合を欠失するか、またはAPCによる調節に耐性をもつβ-カテニンタンパク質を産
    生する、請求項26記載の方法。
  33. 【請求項33】 細胞が、検出可能なAPCタンパク質を産生しない、請求項2
    6記載の方法。
  34. 【請求項34】 以下の段階を含む、FAP患者、APCまたはβ-カテニンの変
    異をもつ患者、または癌発生リスクが低い患者に使用される薬剤の候補を同定す
    る方法: Tcf応答性レポーター遺伝子を、このレポーター遺伝子が被験化合物の非存在下
    で転写される条件下で被験化合物に接触させる段階であって、Tcf応答性レポー
    ター遺伝子が、CTTTGAT(TRE1)およびCTTTCAT(TRE2)からなる群より選択され
    るTcf-4結合配列を含む段階:および Tcf応答性レポーター遺伝子の転写を測定する段階であって、該転写を低下させ
    る被験化合物が癌治療用薬剤の候補となる段階。
  35. 【請求項35】 Tcf応答性レポーター遺伝子がTRE1およびTRE2の両方を含
    む、請求項34記載の方法。
  36. 【請求項36】 Tcf応答性レポーター遺伝子がPPARδの-1543〜-759位のヌ
    クレオチド含む、請求項34記載の方法。
  37. 【請求項37】 Tcf応答性レポーター遺伝子が少なくとも2コピーのTRE1ま
    たはTRE2を含む、請求項34記載の方法。
  38. 【請求項38】 Tcf応答性レポーター遺伝子が少なくとも4コピーのTRE1ま
    たはTRE2を含む、請求項34記載の方法。
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