JP2003524396A - 細胞、細胞集団ならびにそれらを作製する方法およびそれらを使用する方法。 - Google Patents

細胞、細胞集団ならびにそれらを作製する方法およびそれらを使用する方法。

Info

Publication number
JP2003524396A
JP2003524396A JP2000605724A JP2000605724A JP2003524396A JP 2003524396 A JP2003524396 A JP 2003524396A JP 2000605724 A JP2000605724 A JP 2000605724A JP 2000605724 A JP2000605724 A JP 2000605724A JP 2003524396 A JP2003524396 A JP 2003524396A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
cell
tntx
chtx
derived
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000605724A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003524396A5 (ja
Inventor
ユージーン オー. マジャー,
ジェフェリー エル. バーカー,
ドラガン マリック,
ハーベイ ラビン,
アビイ サンドラー,
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
US Department of Health and Human Services
Original Assignee
US Department of Health and Human Services
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by US Department of Health and Human Services filed Critical US Department of Health and Human Services
Publication of JP2003524396A publication Critical patent/JP2003524396A/ja
Publication of JP2003524396A5 publication Critical patent/JP2003524396A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0618Cells of the nervous system
    • C12N5/0623Stem cells
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/14Drugs for disorders of the nervous system for treating abnormal movements, e.g. chorea, dyskinesia
    • A61P25/16Anti-Parkinson drugs
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N7/00Viruses; Bacteriophages; Compositions thereof; Preparation or purification thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2510/00Genetically modified cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2510/00Genetically modified cells
    • C12N2510/04Immortalised cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2710/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA dsDNA viruses
    • C12N2710/00011Details
    • C12N2710/22011Polyomaviridae, e.g. polyoma, SV40, JC
    • C12N2710/22051Methods of production or purification of viral material

Abstract

(57)【要約】 本発明は、一般的に、前駆細胞および前駆体細胞を含む幹細胞(これは、好ましくは不死化され、そして中枢神経系(CNS)から誘導される);開示される細胞および遺伝的に改変された形態の開示された細胞を宿主に移植することによって、宿主を処置する方法、ならびにこれらを作製する方法に関する。詳細には、本発明の細胞株および方法は、中枢神経系における神経変性(例えば、パーキンソン症候群)によって引き起こされる障害の処置に使用され得る。さらに、本発明は、本発明の不死化された多能性細胞を作製する方法ならびにそれらを同定する方法を提供する。本発明の細胞、細胞株および細胞型は、好ましくは、少なくとも部分的に単離されるか、単離されるか、そして/または精製される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本願は、米国仮特許出願第60/124,889(2000年3月18日出願
)の権利を主張し、その全ての内容は、本明細書中によって参考として援用され
る。
【0002】 本明細書中に記載される本発明は、米国政府機関によってなされたか、または
米国政府機関との契約下でなされた。米国政府機関の名前および政府契約番号は
、NIH−CRADA番号94−003−NSである。
【0003】 (発明の背景) 本発明は一般的に、前駆(progenitor)細胞および前駆体(pre
cursor)細胞を含む幹細胞(これらは好ましくは、不死化されそしてヒト
胎児中枢神経系(CNS)に由来する);開示の細胞および一般的に改変された
形態の開示の細胞を宿主に移植することによって、宿主を処理する方法に関する
。より詳細には、本発明は、胎児CNS由来細胞(例えば、ヒト胎児CNS由来
細胞株)のようなCNS由来細胞株、およびこれらの不死化されたCNS由来細
胞を宿主に移植することによって宿主を処置する方法を提供する。治療適用にお
いて有用な不死化されたCNS由来細胞を単離する方法がまた、開始される。
【0004】 細胞移植治療は、特に神経性疾患の処置に対して魅力的である。固体組織移植
は、いくつかの理由のために神経性疾患に対して特に不適切である。固体組織移
植に必要とされるような脳の開放外科的曝露は、神経系経路に修復不可能な損傷
を引き起こし得、臨床的な神経性欠損を生じる。さらに、神経性機能は、しばし
ば、外科的に確立され得ない複合細胞間結合に依存する。さらに、中枢神経系の
細胞は、無酸素症および栄養素剥奪に対して非常に感受性である。固体組織移植
片の内部における細胞がしばしば生存力の維持に対する十分な灌流を欠くので、
固体組織移植片の迅速な血管新生が重要である。Steneviら、Brain
Res.,114:1−20(1976)。
【0005】 1つの通常の神経性症候群であるパーキンソン症候群は、細胞移植治療におけ
る試みの目的である。Bjorklundら、Brain Res.,177:
555−560(1979);Lindvallら、Science,247:
574−577(1990);Freed,Restor.Neurol.Ne
urosci.,3:109−134(1991)。パーキンソン症候群は、脳
幹神経節の黒質におけるド−パミン産生ニューロンの損失によって起こる。Bu
rnsら、N.Engl.J.Med.,312:1418−1421(198
5);Wolffら、Neurobiology,86:9011−9014(
1989)。パーキンソン症候群の臨床発現によって特徴付けられる病因が未知
の疾患であるパーキンソン病は、これらのドーパミン産生ニューロンの特発性破
壊によって生じる。パーキンソン症候群は、種々の薬物(例えば、抗精神病薬ま
たは化学薬剤(例えば、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒ
ドロピリジン))によって引き起こされ得る。Burnsら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA、80:4546−4550(1983)および
Bankiewiczら、Life Sci.,39:7−16(1986)。
【0006】 ドーパミン作用性細胞を冒された動物の線条に移植することによって、実験的
に誘導されたパーキンソン症候群の臨床発現を逆転させる試みがなされた。遺伝
的に改変された線維芽細胞(チロシンヒドロキシラーゼをコードするDNAを用
いてトランスフェクトされた)が、ドーパミン作用性経路の病巣を有する動物に
首尾良く移植された。動物の運動性機能および行動は、ドーパミン産生線維芽細
胞の移植の後に改善された。Wolffら、Proc.Natl.Acad.S
ci.USA、86:9011−9014(1989);Fisherら、Ne
uron、6:371−380(1991)。誕生の後に得られた細胞と比較し
て、胎児組織の移植によって移植片の生存が増強され、それゆえ、臨床の改善が
延長され得た。GageおよびFisher,Neuron,6:1−12(1
991)。黒質線状体ドーパミン系に対する化学損傷の後に、新鮮な胎児ドーパ
ミン作用性ニューロンが、サルの尾状核に移植された。移植に続いて、損傷誘導
された行動欠損が改善された。Bankiewiczら、J.Neurosur
g.,72:231−244(1990)およびTaylorら、Prog.B
rain Res.,82:543−559(1990)。
【0007】 パーキンソン症候群に冒されているヒトが、ドーパミン作用性ヒト胎児ニュー
ロンの線条体移植によって処置された。Lindvallら、Arch.Neu
rol.,46:615−631(1989);Widnerら、New En
gl.J.Med.、327:1556−1563(1992)。移植された細
胞は、流産から得た。流産の前に、女性は、いくつかの疾患を生じるウイルスに
対する抗体に対してスクリーニングした。手術の後に、処置された患者は、神経
性機能の改善を示した。しかし、この患者は、免疫抑制治療の維持を必要とした
【0008】 近年の研究により、中枢神経系の支持細胞(例えば、神経膠星状細胞および稀
突起神経膠細胞)から放出される栄養因子が、細胞培養におけるニューロンの生
存に重要であることが示された。O’Malleyら、Exp.Neurol.
,112:40−48(1991)。神経成長因子を発現するように遺伝的に改
変された移植線維芽細胞が、采脳弓(fimbria−fornix)に対する
損傷(これは、アルツハイマー病に見られるような前脳基底部(basal f
orebrain)におけるアセチルコリンニューロンの消滅を引き起こす)の
後に、前脳基底部のコリン作用性ニューロンの生存を増強することが示された。
Rosenbergら、Science、242:1575−1577(198
8)。
【0009】 神経性障害に関する細胞移植治療における以前の試みにより、奨励される結果
が提供されたが、いくつかの有意な問題が残っている。細胞移植に対する胎児組
織の供給は、非常に制限される。最大の生存性を確実にするために、胎児細胞は
、移植の前に新鮮に回収されなければならない。これは、移植手順と人工妊娠中
絶との調整が必要である。それでも、胎児組織は、米国において広く利用可能で
ある。また、細胞が得られる胎児の妊娠期間は、移植片の生存に影響を与える。
GageおよびFisher、前述。特定の妊娠期間のみの胎児組織を得ること
は、移植のための胎児組織の利用性に対してさらなる制限を加える。さらに、新
鮮な胎児組織が移植される場合、倫理的な考慮により、ある潜在的な移植レシピ
エントはその手順を行うことを渋るようになる。
【0010】 胎児組織は新鮮な流産児から得られるので、感染汚染に関する有意な危険性が
存在する。胎児組織を供給する流産している女性は種々の感染に対してスクリー
ニングされるが、いくつかの感染(例えば、HIV)は、臨床的に検出可能でな
く、従って、スクリーニング工程の間に同定され得ない。従って、広範に実施す
る場合、新鮮な胎児細胞の移植は、多くの感染続発症を引き起こすようである。
【0011】 不死化された細胞株の使用は、多くのこれらの有効性の問題および感染を克服
し得る。不死化する遺伝子を含む不死化されたヒト胎児神経由来の細胞株は、M
ajorら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:1257
−1262(1985)および米国特許第4,707,448号に報告されてい
る。
【0012】 近年、中枢神経系由来のヒト胎児由来の細胞の集団をSV40ウイルスの起点
欠失変異体を用いてトランスフェクトすることによって産生された細胞株(SV
G細胞として呼ばれる)が、神経性移植治療の処置において見込みを示したこと
が見出された。米国特許第5,753,491号;同第5,869,463号お
よび同第5,690,927号を参照のこと。SVG細胞は、胎児グリア細胞の
永久に確立された株の例として記載された。Majoyら、Proc Nat
Acad Sci USA、82:1257−61(1985)を参照のこと(
これは、ヒト中枢神経系の強力に不死化された細胞を産生するための不死化する
遺伝子の使用に関する最初の報告である)。SVG細胞のこの集団はまた、グリ
アまたは神経グリアとして特徴付けられた。Fitoussiら、Neuros
cience,85:405−13(1998);Majorら、Proc N
at Acad Sci USA,82:1257−61(1985);Tor
natoreら、Cell Transplant,5:145−63(199
6)および発行された、特許第4,707,448号;第5,690,927号
;第5,753,491号;第5,869,463号。SVG細胞は、EMEM
(Eagle’s Minimum Essential Medium+10
%胎仔ウシ血清(FBS)+2mM l−グルタミン)を含む「標準的な培地」
中で、増殖させた。SVG細胞株は、標準的な方法によって容易にトランスフェ
クトされ得、そして異種DNAを発現する。Tornatoreら、Cell
Transplant,5:145−63(1996)および米国特許第5,7
53,491号(これらは、神経性障害の処置に有用な生物学的活性分子を含み
得る)。
【0013】 より最近において、造血系のように、CNSが、より形態学的に規定された細
胞へ成長し得る細胞を含むことが理解される。すなわち、CNSが前駆細胞また
は幹細胞を含むことが、今やより容易に理解され、この前駆細胞または幹細胞は
、精製されている場合維持そして貯蔵され、複数の使用のために、翻訳の前また
は後のいずれかで複数の細胞型に成長し得る移植可能な産物に成長する可能性を
含み得る。従って、これらの細胞は、多分化能であり、そして複数の細胞型の産
生および維持に対する要求物を減少し得る。さらに、そのような多能性細胞を移
植することは、患者によって必要とされる細胞型の置換および再増殖を可能にし
得、これは、細胞を、失われた組織型または損傷を受けた細胞型を置換するため
に成長させることが可能であり得る場合、外部のエフェクターを必要としない。
【0014】 したがって、当該分野で緊急に必要とされることは、不死化されたヒト胎児C
NS由来の幹細胞または多能性細胞、およびこの使用に適した細胞株を治療的に
移植する方法である。理想的には、この方法は、移植の後に、腫瘍形成を引き起
こさず、激しい炎症も誘発しない。望ましくは、この方法は、感染汚染の危険性
および規定された細胞有効性が最小化されるような細胞株から誘導される細胞を
使用し得る。非常に驚くべきことに、本発明は、これらの要求および他の関連す
る要求を満たす。
【0015】 (発明の要旨) 本発明は、宿主を処置するための方法を提供し、この方法は、不死化されたヒ
ト神経由来の細胞株(好ましくは胎児細胞株)の多能性細胞を宿主に移植する工
程を包含する。移植のための細胞ならびにそれらの同定および精製の方法がまた
提供される。一般的に、この細胞株およびそれらの細胞株内の細胞型は、ヒト胎
児CNS細胞のようなCNS細胞(例えば、SVG細胞株)から由来する。この
細胞は、神経細胞型またはグリア細胞型のいずれかへの特異的なさらなる分化を
伴わずに、宿主の中枢神経系に移植され得る。あるいは、本発明の多能性細胞は
、本発明の処置方法における使用の前にさらに分化され得る。これらの細胞は、
宿主の抗体に対して不浸透性である膜によってカプセル化され得る。
【0016】 本発明のいくつかの実施形態において、多能性細胞は、ペプチドをコードする
核酸配列、アミノ酸配列またはタンパク質を用いてトランスフェクトされ得る。
ペプチド、アミノ酸配列またはタンパク質は、一般的に、チロシンヒドロキシラ
ーゼのような酵素または神経成長因子のような成長因子あるいはそれらの部分で
あり、これらとしては、グルコシル化されたペプチドおよびタンパク質ならびに
グリコシル化されていないペプチドおよびタンパク質が挙げられる。本明細書以
後に通常ペプチド、アミノ酸配列およびタンパク質の用語のいずれか1つによっ
て言及される、ペプチド、アミノ酸配列およびタンパク質はまた、疾患関連抗原
であり得る。この細胞は、処置または予防の目的に対して移植され得る。いくつ
かの例において、この細胞は、移植の後に除去され得る。
【0017】 さらなる実施形態において、本発明は、異種核酸配列を含む不死化された多能
性ヒト胎児CNS由来の細胞株およびそれらの細胞株から誘導された特定の細胞
型を提供し、ここで、この細胞株は、異種核酸配列を発現することができる。
【0018】 特に好ましい細胞株および細胞型は、チロシンヒドロキシラーゼ、セロトニン
または芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼをコードする核酸を発現することがで
きる。
【0019】 関連する実施形態において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアと共に本
発明の少なくとも1つの多能性細胞型またはその誘導体を含む、移植可能な組成
物を提供する。
【0020】 従って、本発明は、多能性細胞を含む単離された胎児中枢神経系細胞株を提供
し、この多能性細胞は、制限なく分離する能力および神経細胞またはグリア細胞
に分化する潜在性を有する。本発明のこの細胞株は、好ましくは幹細胞、前駆細
胞または前駆体細胞を含む。胎児中枢神経系由来の細胞株は、ヒト胎児中枢神経
系から誘導される。
【0021】 本発明は、本発明の好ましくは単離および/または精製された細胞の塊(cl
uster)を提供し、好ましくは神経球(neurosphere)の形態で
ある。
【0022】 1つの実施形態において、本発明は、単離および/または精製された多能性細
胞を提供する。本発明の細胞は、本明細書中にさらに記載されそして定義される
ように、以下のマーカーの任意の組み合わせによって特徴付けられ得る:TnT
x−/ChTx−、TnTx+/ChTx+、TnTx+/ChTx−、TnT
x+/ChTx+、A2B5−/TnTx−、A2B5+/TnTx−、A2B
5−/TnTx+、A2B5−/ChTx−、A2B5+/ChTx+、A2B
5−/ChTx+、A2B5+/ChTx−、TnTx−/ChTx−/ネスチ
ン+、および/またはTnTx−/ChTx−/ネスチン−。
【0023】 本発明はさらに、単離および/または精製された、本発明の細胞株由来の細胞
および/または組織由来を提供する。本発明の細胞および/または組織は、生物
学的に活性なペプチドまたはタンパク質(これは、例えば、疾患関連ペプチドも
しくはタンパク質、酵素、栄養因子、および/またはサイトカインであり得る)
をコードする異種核酸配列をさらに含み得る。本発明の細胞および/または組織
の中でコードされる酵素は、例えば、チロシンヒドロキシラーゼ、GTPCH1
、AADCまたはVMAT2であり得る。コードされる栄養因子は、例えば、G
DNF、VEGF、BDNF、NGF、bFGF
【0024】
【化2】 、CNTF、PDGF、BMP、LIF、ノイロチュリン(Neurturin
)、ペルセフィン(Persephin)、ノイブラスチン(Neublast
in)、NT4/5、NT3またはミッドカイン(Midkine)であり得る
。サイトカインは、例えば、IL−10またはIL−6であり得る。異種核酸は
、転写プロモーター(これは、例えば、調節可能なプロモーターであり得る)に
作動可能に連結され得る。
【0025】 本発明は、本明細書中に細胞のNG1、NG2およびNG3集団として規定さ
れる細胞集団を提供する。
【0026】 本発明は、多能性細胞を同定する方法を提供し、この方法は、多能性細胞を含
むと考えられる細胞サンプル中、TnTxおよびChTxに対する結合パートナ
ーならびにA2B5抗体の存在または非存在を測定する工程を包含する。本発明
の方法は、胎児中枢神経系由来の細胞から誘導される多能性細胞を同定するため
に使用され得る。詳細には、これらの細胞を含むサンプルを、A2B5抗体結合
細胞結合パートナー、TnTxレセプターおよびChTxレセプターまたはそれ
らのフラグメントから選択される少なくとも1つの細胞特異的結合パートナーに
特異的に結合する少なくとも1つの因子と、この因子が細胞に結合する条件下で
混合し、続いてこの結合を多能性細胞の存在の指標として検出することによって
、これらの細胞が同定される方法を、本発明は提供する。本発明の方法において
使用される因子としては、A2B5抗体またはフラグメント、ChTxまたはそ
のフラグメントおよびTnTxまたはそのフラグメントが挙げられる。この文脈
において結合パートナーおよび因子が、抗体、抗体フラグメント、リガンド、リ
ガンドフラグメント、レセプターまたはレセプターフラグメントを含み得ること
を、当業者は理解する。
【0027】 本発明の方法はまた、細胞を、その細胞がヒトネスチン抗体に特異的に結合す
る能力によって同定する工程を包含し得る。
【0028】 さらに、本発明における検出に使用される結合パートナー、因子、リガンドお
よび抗体は、検出可能な標識(これは、例えば、検出系の蛍光成分、化学発光成
分、放射性成分、免疫学的に検出可能な成分および/または酵素学的に活性な成
分であり得る)を含み得るかまたはこれらを含有し得る。
【0029】 本発明に従う細胞を同定する方法は、特定の細胞集団を精製、富化および/ま
たは分離するためにもまた使用され得る蛍光活性化されたセルソーターを用いて
細胞を分析する工程を包含し得る。
【0030】 本発明はまた、細胞の集団に多能性胎児神経系由来の細胞を富化する方法を提
供し、この方法は、集団を血清の存在下で、好ましくはクライシスを介して培養
する工程、続いて血清を含まない培地でその集団を培養する工程を包含する。
【0031】 さらに、本発明は、神経性症候群または神経性疾患を有する哺乳動物を処置す
る方法を提供し、この方法は、本発明の少なくとも1つの細胞または細胞集団を
含む治療有効量の組成物をその哺乳動物に移植する工程を包含する。
【0032】 (詳細な説明) 本発明は一般的に、中枢神経系の細胞由来、好ましくは胎児中枢神経系(例え
ば、ヒト胎児中枢神経系)由来の不死化された多能性ヒト細胞株、およびそれら
の細胞株を中枢神経系の障害の処置に使用する方法に関する。詳細には、本発明
の細胞株および方法は、中枢神経系における神経変性(例えば、パーキンソン症
候群)によって引き起こされる障害の処置に使用され得る。
【0033】 さらに、本発明は、本発明の不死化された多能性細胞を作製する方法ならびに
それらを同定する方法を提供する。本発明の細胞、細胞株および細胞型は、好ま
しくは、少なくとも部分的に単離されるか、単離されるか、そして/または精製
される。
【0034】 1つの実施形態において、本発明は、中枢神経系障害に冒される宿主を処理す
るための方法、またはそのような障害の症状を、中枢神経系の細胞由来の不死化
ヒト胎児細胞を移植することによって軽減する方法を提供する。好ましくは、本
発明の細胞は、そのような細胞の中枢神経系への移植に続く、移植片拒絶、強力
な大脳内炎症または腫瘍形成を生成しない。さらに、さらなる分化後、細胞は、
ニューロン移動および軸索伸長を好ましく誘導し、これは、細胞が神経応答を刺
激する栄養因子を産生するように機能していることを示す。
【0035】 CNSの細胞由来の不死化された多能性ヒト胎児細胞(例えば、本発明によっ
て提供される)の移植は、多くの疾患を処置する方法を提供する。例えば、パー
キンソン病は、これらの細胞またはそれらから誘導されるさらに分化された細胞
を、冒された宿主の脳幹神経節へ移植することによって処理可能である。本発明
の移植細胞由来の分化細胞または本発明の移植由来細胞によって産生されるはず
である栄養因子は、ドパミン作用性のニューロン消滅を阻害し得るか、またはド
パミン作用性のニューロン再生を誘導して存在するニューロンからの軸索増殖の
増加を可能にしさえする。ドーパミン作用性ニューロンの増加した集団により、
パーキンソン症候群に冒された人の臨床的な改善を提供し得る。
【0036】 さらに、本発明の多能性細胞がグリア細胞に成長され得る場合、ミエリン化さ
れた稀突起膠細胞または多機能性星状細胞の再生を提供することが可能であり得
る。
【0037】 さらなる実施形態において、移植された細胞は、神経学的に関連するポリペプ
チドをコードする核酸を用いて、インビボまたはインビトロにおいてトランスフ
ェクトされ得る。用語「神経学的に関連するペプチド」は、通常、中枢神経系組
織内の反応を触媒するペプチドまたはタンパク質をいう。そのようなペプチドは
、天然に存在する神経ペプチド、タンパク質もしくは酵素であり得、または中枢
神経系内で治療的活性を有するペプチドまたはタンパク質フラグメントであり得
る。例としては、神経成長因子、栄養因子およびサイトカイン、ならびに重要な
神経化学物質の生成を触媒することに使用される酵素、またはこれらの中間体が
挙げられる。特に好ましい局面において、この細胞は、例えば、TH(チロシン
ヒドロキシラーゼ)、GTPCH1(GTPシクロヒドロラーゼ1)、AADC
(芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ)、VMAT2(小胞性モノアミントラン
スポーター2)、GDNF(グリア由来の神経栄養因子)、VEGF(血管内皮
増殖因子)、BDNF(脳由来の神経栄養因子)、NGF(神経成長因子)bF
GF(FGFIIまたは基本の繊維芽細胞増殖因子としてもまた公知)、CNT
F(毛様体神経栄養因子)、PDGF(血小板由来の増殖因子)、BMP(これ
は骨形態形成タンパク質のファミリーとして公知)、LIF(白血病阻害因子)
、ノイロチュリン、ペルセフィン、ノイブラスチン、NT4/5(ニューロトロ
フィン4/5)、NT3(ニューロトロフィン3)、ミッドカイン、IL−10
(インターロイキン10)またはIl−6をコードする核酸を用いてトランスフ
ェクトされる。
【0038】 チロシンヒドロキシラーゼは、チロシンをL−DOPAに転換する酵素であり
、これはまた、ドーパミン産生における比率制限工程(rate−limiti
ng step)である。従って、移植された細胞によるチロシンヒドロキシラ
ーゼの発現は、これらの細胞がドーパミンを産生して分泌することを可能にする
。従って、ニューロン再生を促進することに加えて、移植された細胞は、黒質に
おけるドーパミン濃度を増加し得る、そしてドーパミン作用性のニューロン損失
の効果を制限または逆転し得る。発作の処置に適用した場合、このポリペプチド
は、損傷を受けた神経組織の再脈管新生を補助し得るか、または損傷を受けた神
経組織の生存および再生を増強し得る神経栄養因子の供給を補助し得る。
【0039】 本発明の方法はまた、ハンティングトン舞踏病、てんかん、発作、アルツハイ
マー病、外傷性脳損傷、脊髄損傷、てんかん、または多発性硬化症のような他の
神経性障害を処置するために使用され得る。本発明の不死化されたヒト胎児CN
S由来の細胞が、CNSと互換性であると予想される場合、他の障害の処置を効
果的にするために、これらの細胞を、CNS中の移植に対して生理学的に活性な
ペプチドをコードするDNA配列を用いてトランスフェクトすることは当然可能
である。例えば、ハンティングトン舞踏病および筋萎縮性側索硬化症において、
このペプチドは、グルタミン酸塩のような興奮性神経伝達物質をブロックし得る
。例えば、多発性硬化症の処置に適用された場合、このペプチドは、代表的に、
髄鞘形成の栄養性刺激物質(例えば、稀突起神経膠細胞消滅を阻害し得る血小板
由来の増殖因子または毛様体の神経栄養物質)である。これらの疾患は局所病巣
よりもより一般化されているため、代替の移植方法が望ましくあり得る。例えば
、この細胞は、脳脊髄液に曝露された表面上に移植され得る。発現および分泌に
続いて、このペプチドは、脳脊髄液の自然な循環によって脳の全表面に渡って洗
浄される。移植に適した部位としては、側脳室、腰椎の鞘内領域などが挙げられ
る。アルツハイマー病において、これらの細胞は、Rosenbergら(Sc
ience、242:1575−1578(1988)(これは、本明細書中に
参考として援用される)によって記載されるように、前脳基底部の支持ニューロ
ンに対して神経成長因子を産生するようにトランスフェクトされ得る。
【0040】 従って、本発明の細胞株および細胞型は、遺伝子ベクターとして役立ち得る。
【0041】 本発明の方法はまた、神経外部における細胞の移植によって宿主を処置するた
めに使用され得る。本発明のこの実施形態は、特に、宿主の予防処置に対して有
用である。不死化された多能性ヒト胎児神経由来の細胞は、疾患関連抗原(例え
ば、HIV gp120ポリペプチド(これは、例えば、米国特許第5,166
,050号に記載されるようにHIVの主要な中和ドメインを含む))をコード
するDNAを用いてトランスフェクトされ得る。次いでこの細胞は、トランスフ
ェクトされたDNAによってコードされる抗原を発現し、そして分泌し得る。こ
の抗原は、移植された細胞によって連続的に分泌され得、そして強い免疫応答を
誘導し得る。宿主を完全に免疫するための適切な時間の後、これらの細胞は除去
され得る。
【0042】 本明細書中に使用される場合、「宿主を処理する」とは、疾患プロセスにおけ
る予防介入、待期介入および治癒的介入を含む。従って、用語「処置」は、本明
細書中に使用される場合、代表的に、治療が求められている特定の障害の症状を
減少または除去するための治療的方法をいう。用語「宿主」は、本明細書中に使
用される場合、一般的に、任意の温血動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、げっ
歯類など)をいい、宿主は特定の処置のレシピエントである。代表的に、用語「
宿主」および「患者」は、ヒト被験体をいうために本明細書中において交換可能
に使用される。
【0043】 広範な種々の疾患および症候群が、本発明の方法によって処置され得る。一般
的に、疾患は、以下を含むがこれらに限定されない神経性疾患である:パーキン
ソン症候群(パーキンソン病を含む)、アルツハイマー病、てんかん、ハンティ
ングトン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ゴシェ病、テイ−サック
ス病、ニューロパシー、脳腫瘍、発作。本発明の方法はまた、非神経性疾患の処
置に使用され得る。例えば、本発明の方法は、感染疾患(例えば、上記に記載さ
れるようなウイルス、細菌、原生動物亜界など)に対して宿主を免疫するために
使用され得る。本発明の不死化された多能性ヒト胎児神経由来の細胞は、生理学
的に活性なペプチドまたは免疫原性エピトープを含むペプチドをコードするDN
Aによってトランスフェクトされ得る。本発明の方法は、宿主に、ペプチド産生
細胞を移植するため、そして他の型のペプチド(例えば、成長ホルモン)の連続
したインビボ送達を提供するために使用され得る。
【0044】 上記の処置方法を実行するために、本発明はまた、宿主または患者への移植に
適した細胞株を提供する。
【0045】 一般的に、本発明の方法によって移植される細胞は、不死化された多能性ヒト
胎児CNS由来の細胞である。「神経由来の」または「CNS由来の」とは、不
死化の前に、細胞をCNSから回収すること、そして/または細胞が神経性細胞
表現型(ニューロンまたはグリア)を有することを意味する。神経性細胞型とし
ては、ニューロン、神経膠星状細胞、稀突起神経膠細胞、脈絡叢上皮細胞などが
挙げられる。
【0046】 CNSの細胞は、幹細胞からニューロン細胞および神経膠細胞へと発達すると
して、カテゴリー化されてきた。McKey、Science、276:66−
71(1997)。幹細胞から、ニューロン細胞または神経膠細胞のいずれかへ
の経路に沿って、CNSにおける幹細胞は、神経芽細胞(未熟ニューロン)また
は神経膠芽細胞(未熟神経膠)となり、その後、さらに成熟ニューロン細胞(ニ
ューロン)および神経膠細胞(星状細胞および稀突起神経膠細胞)へと分化する
能力を有する。多能性CNS由来の幹細胞は、培養物中で増殖するために、マイ
トジェン因子(例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)および/または
上皮増殖因子(EGF))を必要とすることが、一般に考えられている。Fla
xら、Nat Biotechnol、16:1033−9(1998);Ga
geら、Annu Rev Neurosci、18:159−92(1995
);Kitchensら、J Neurobiol、25:797−807(1
994);Kuhnら、J Neurosci、17:5820−9(1997
);Morsheadら、Neuron、13:1071−82(1994);
Palmerら、Mol Cell Neurosci、8:389−404(
1997);Reynoldsら、J Neurosci、12:4565−7
4(1992);Sahら、Nat Biotechnol、15:574−8
0(1997);Shihabuddinら、Exp Neurol、148:
577−86(1997);Weissら、J Neurosci、16:75
99−609(1996);ZhouおよびChiang、Wound Rep
air Regen、6:337−48(1998)。実際には、幹細胞は、無
血清培地培養において継代される(Fisher、Neurobiol Dis
、4:1−22(1997);Flaxら、Nat Biotechnol、1
6:1033−9(1998);Gageら、Annu Rev Neuros
ci、18:159−92(1995);Kitchensら、J Neuro
biol、25:797−807(1994);Kuhnら、J Neuros
ci、17:5820−9(1997);Mokryら、Sb Ved Pr
Lek Fak Karlovy Univerzity Hradci Kr
alove、38:167−74(1995);Morsheadら、Neur
on、13:1071−82(1994);Palmerら、Mol Cell
Neurosci、8:389−404(1997);Sahら、Nat B
iotechnol、15:574−80(1997);Shihabuddi
nら、Exp Neurol、148:577−86(1997);Weiss
ら、J Neurosci、16:7599−609(1996);Zhouお
よびChiang、Wound Repair Regen、6:337−48
(1998))。なぜなら、血清の添加およびマイトジェン因子の除去は、幹細
胞の、ニューロン細胞型または神経膠細胞型のいずれかへの分化を生じることが
、見出されているからである(Reynolds、1992;Stemple、
1992;Anderson 92;Flax、1998)。
【0047】 CNS由来幹細胞は、ニューロン、星状細胞または稀突起神経膠細胞へと分化
し得、そして脳を占有するに十分に自己再生し得る細胞として、定義される。M
cKay、Science、276:66−71(1997)。前駆細胞は、幹
細胞より制限された、潜在的な細胞多様性を有するが、依然としてニューロンま
たは神経膠を形成し得る。前駆体細胞は、さらにより制限された表現型(例えば
、神経芽細胞であり、これは、ニューロンになり得るのみである)を有する。し
かし、当業者は、多能性細胞型からの分化した細胞型への細胞の発達が、多数の
組織学的マーカーの出現および消失により規定され得ることを理解し、これらの
うちのいくつかは、本明細書中に記載される。用語幹細胞、前駆細胞および前駆
体細胞は、本明細書中において使用されるが、これらの用語は、本明細書中に記
載される多能性の不死化細胞の特徴付けを限定するべきではなく、そして分化を
完了するための経路に沿った最終工程を記載することを意味しない。すなわち、
例えば、前駆細胞が、環境条件(例えば、培養培地)に依存して、幹細胞の特徴
を示す能力を有し得ることは、可能である。これらは、潜在的な細胞表現型のさ
らなる制限に導く、各分化工程の特殊化の相対尺度に対する、相対的な記載であ
る。
【0048】 従って、多能性細胞とは、本明細書中において参照される場合に、複数の表現
型を発現する可能性を有する細胞であり、そして幹細胞、前駆細胞、および前駆
体細胞を含む。
【0049】 CNSにおける幹細胞の同定は、中間フィラメントタンパク質であるネスチン
(nestin)に対する抗体を使用して、慣用的に実施されてきた。Lend
ahlら、Cell、60:585−95(1990);Reynoldsら、
J Neurosci、12:4565−74(1992)。ネスチンは、CN
S幹/前駆細胞の増殖の際に発現される。FrederiksenおよびMcK
ay、J Neurosci、8:1144−51(1988);Reynol
dsら、J Neurosci、12:4565−74(1992);Stem
pleおよびAnderson、Cell、71:973−85(1992);
Vescoviら、Neuron、11:951−66(1993)。神経性前
駆細胞を同定するために使用されてきた別のマーカーは、中間フィラメントタン
パク質である、ビメンチンである。Flaxら、Nat Biotechnol
、16:1033−9(1998);KilpatrickおよびBartle
tt、Neuron.10:255−265(1993)。
【0050】 CNS由来の幹細胞を使用して分化した造血細胞を形成し得るという最近の実
証により実証されるように、幹細胞の大きな成形性が存在するという、発達中の
認識が存在する。Bjornsonら、Science、283:534−7(
1999)。同様に、間質骨髄幹細胞を使用して、脳の細胞(ニューロンおよび
星状細胞を含む)を作製し得た。Aziziら、Proc Natl Acad
Sci U S A、95:3908−13(1998);Pereiraら
、Proc Natl Acad Sci U S A、95:1142−7(
1998);Prockop、J Cell Biochem Suppl、3
1:284−5(1998);Prockop、Science、276:71
−4(1997);Sanchez−Ramos J.、Movement D
isorders、13:122(p2.149)(1998)。従って、ニュ
ーロンおよび神経膠よりも、CNS由来の幹細胞(本明細書中に開示されるよう
な)から、より広い多様性の細胞型を作製することが、可能であり得る。実際に
、ネスチン発現もまた、筋芽細胞(これは、筋前駆体細胞であり、ネスチンを発
現する細胞の成形性を強調する)において見出されている。Kachinsky
ら、Dev Biol、165:216−28(1994)。
【0051】 本発明が多能性の不死化細胞を提供するので、造血細胞置換に関するかまたは
これを必要とする疾患を処置すること(例えば、化学療法または放射線療法の一
部)もまた、可能であり得ることが、理解される。現在提供される多能性不死化
細胞が、骨髄細胞を再生し、そしてインビボで分化するか、またはインビボもし
くはインビトロで分化して、造血細胞を産生することが、可能であり得る。
【0052】 一旦、幹細胞または多能性細胞を移植治療(本明細書中に記載されるように)
のために使用する可能性が適用されると、制限されたこれらの細胞の供給が存在
し、そしてこれらの天然供給源からの同定、単離、および発現が困難であるとい
う、実際上の困難が残る。幹細胞に導入される不死化遺伝子の報告が存在するが
、現在まで、CNS由来の真に不死の幹細胞または多能性細胞の報告は、存在し
ない。不死化細胞株は、現在、クライシス後(老化後)親集団から得られ得る細
胞の、無制限の供給源として認識される。細胞株の不死化は、通常、不死化遺伝
子を通常含む細胞に、老化の期間を経過させることを必要とする。ヒトCNS幹
/前駆細胞は、以前にv−mycタンパク質をコードする不死化遺伝子を含むよ
うトランスフェクトされた(Flaxら、Nat Biotechnol、16
:1033−9(1998);Sahら、Nat Biotechnol、15
:574−80(1997))が、これらのトランスフェクトされたCNS前駆
細胞が、培養物中で無制限に(すなわち、75%より大、好ましくは85%より
大、より好ましくは100%より大)増殖され得ること、またはこれらがクライ
シスを経て不死化されたことは、示されていない。
【0053】 不死の多能性胎児細胞株の調製は、一般に、以下の手順に従って実施され得る
。胎児細胞を、人工妊娠中絶に続いて収集し得る。中絶に続いて胎児を供与する
婦人は、代表的に、種々の感染症(ヒト免疫欠損ウイルス、B型肝炎ウイルス、
C型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、ならびにヘルペスウイルス1型およ
び2型を含む)に関して血清学的にスクリーニングされる。
【0054】 胎児脳を、同定および収集する。細胞を、以下のように調製し得る:脳組織を
19ゲージのニードルを通して吸引し、そしてイーグル最小必須培地(EMEM
、Gibco、New York、N.Y.)で2回洗浄する。細胞を、ポリ−
D−リジンで処理(0.1mg/mlで5分間)した培養皿上にプレート化する
。細胞を、20%ウシ胎仔血清、75g/mlストレプトマイシン、75単位/
mlペニシリン、1%ブドウ糖および2g/mlファンギゾンを補充したEME
M(Gibco)で増殖させる。不死化の前に、細胞を37℃で5% CO2
加湿環境内でインキュベートする。細胞を調製するための他の方法もまた使用さ
れ得ることを、当業者は理解する。例えば、これらの細胞の集団を得るための組
織供給源は、非胎児であり得る(Takahashi,J.、Palmer,T
.D.、Gage,F.H.「Retinoic acid and neur
otrophins collaborate to regulate ne
urogenesis in adult−derived neural s
tem cell cultures」J.Neurobiol 38:65−
81、1999)。
【0055】 本発明の方法により移植されるべき細胞は、種々の技術により不死化され得る
。代表的に、細胞は、不死化遺伝子の導入、および引き続く、細胞のクライシス
の経過により、不死化される。この細胞集団を、本明細書中において、細胞のN
G1集団と呼ぶ。不死化遺伝子を含むがクライシスを経過していない、最初の細
胞培養物は、多能性の幹細胞および/または前駆細胞、ニューロン細胞ならびに
神経芽細胞を含有し、そして産生することが、予測される。本明細書中に記載の
方法を用いて、不死化の前に、またはもしかすると不死化遺伝子の導入の前にさ
え、これらの前駆細胞または多能性細胞を、この最初の細胞培養物から精製する
ことが可能である。しかし、好ましい方法、および本明細書中に例示される方法
は、不死化遺伝子を導入する工程、クライシスを通して、不死化遺伝子を含む、
CNS由来の胎児細胞の集団を培養し、これによって多能性の、不死のCNS由
来の幹細胞または前駆細胞の高度に富化された集団を得る工程を包含する。
【0056】 不死化遺伝子の導入の前に、CNS由来の胎児細胞は、規則的に栄養補充しな
がら数ヶ月間生存するが、細胞増殖をほとんど示さない。CNS由来の胎児細胞
は、好ましくは、複製不能なSV40欠失変異体(例えば、Major(米国特
許第4,707,448号)に記載されるような)でトランスフェクトされる。
しかし、短縮型SV40を、不死化遺伝子として使用し得る。Truckenm
illerら、Cell Tissue Res、291:175−89(19
98)。
【0057】 本発明の細胞を作製する、現在例示される方法は、SV40遺伝子の導入を包
含するが、これらの細胞は、代替的に、当該分野において周知の他の技術により
、不死化され得る。例えば、エプスタイン−バーウイルスによる不死化が、米国
特許第4,464,465号(本明細書中に参考として援用される)に記載され
るように、使用され得る。複製のOriPおよびOriLyt起源を欠くエプス
タイン−バーウイルス変異体は、特に有用である。不死化の別の有用な方法は、
Bartlettら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:
3255−3259(1988)(本明細書中に参考として援用される)により
記載されるように、c−mycのような、増殖制御のための細胞遺伝子の過剰発
現である。
【0058】 一般に、本発明によるさらなる不死化手順に適した細胞は、足場依存性であり
、軟質寒天においては増殖せず、そして病巣形成を示さない。これらの細胞はま
た、培養物中の正常ヒト細胞と等しい生殖時間を有し、そして増殖を接触阻止さ
れる。
【0059】 1つの実施形態において、本発明は、不死の多能性CNS由来の胎児細胞の集
団を提供し、これらは本明細書中で一般に、NG1集団と呼ばれる。米国特許第
4,707,448号(本明細書中に参考として援用される)に記載される、A
merican Type Culture Collection、Mana
ssas、VA(A.T.C.C.CRL 8621)に寄託されたSVG細胞
株は、本発明のNG1細胞集団を作製するための出発物質として、特に有用であ
る。本明細書中以下で、「SVG細胞」または「SVG細胞株」によって、細胞
株A.T.C.C.CRL 8621由来の細胞または細胞株を意味する。誘導
体によって、細胞株A.T.C.C.CRL 8621のサブクローン、複製物
、または遺伝的に変更された変異体を意味する。
【0060】 異種のクライシス前のヒト細胞株を、特許4,707,448およびMajo
rら、Proc Natl Acad Sci U S A、82:1257−
61(1985)に提供される方法により、複製不可能なGluzman、Ce
ll、23:175−82(1981)(SV40ウイルスの起源欠損変異体(
origin−defective−mutant)(ori-))を使用して
樹立し、ヒト胎児多能性細胞においてSV40不死化遺伝子を発現させた。これ
らの細胞(これらをSVGと指定した)は、ヒト大グリア細胞を含む、迅速に増
殖する培養物を提供し、これは、濃縮物中での感染またはトランスフェクション
に続いて、そして初代ヒト胎児神経芽細胞と同じ速度で、感染性JCウイルスを
繁殖させ得る。
【0061】 本発明の好ましい実施形態において、SVG細胞は、標準培地中で増殖され、
そして不死化されるためにクライシス期を経過する。異種親SVG細胞の小さな
画分のみが、SV40不死化のために代表的であるクライシスを生存した。Br
yanおよびReddel、Crit Rev Oncog、5:331−57
(1994)。クライシスから生じるSVG細胞は、これらが増殖不死化される
点で、親SVGとは異り、従って、本明細書中においてNG1と呼ばれる、別の
細胞集団であると考えられる。クライシスの発生は、SVG細胞のおおよそ33
〜38継代において開始することが見出された。クライシスの間、非常に少量の
細胞増殖が存在し、そして細胞は、非常に大きく顆粒性に見える。SVG細胞が
クライシスにあった場合に、細胞を顕微鏡で観察すると観察可能な細胞死が存在
した。細胞がクライシスにあり、そして周2回栄養補充され、そして1.5×1
06/T75フラスコ以上の細胞密度に維持する場合に、細胞の稀なコロニーが
、時々、クライシスから生じ、そして増殖し始める。クライシス後SV40不死
化ヒトCNS由来細胞株の発生および細胞株自体(ならびにそこに含まれる細胞
型)は、独自であり、そして本明細書中に記載されるように、治療剤のため、お
よび治療剤の開発のために、潜在的に有用である。
【0062】 この実施形態によれば、SVG細胞は、イーグル最小必須培地(EMEM;B
ioWhittaker Cat#12−125F)+10%FBS(BioW
hittaker Cat#14−501F)+2mM 1−グルタミン(Qu
ality Biological、Gaithersburg、MD)を含む
「標準培地」において増殖された。これらの細胞の継代を、培地の除去により達
成し、そしてハンクスバランス塩溶液(HBSS:BioWhittaker、
Walkersville、MD)で2回洗浄し、0.25%トリプシン−ED
TA溶液(BioWhittaker)とともに3分間インキュベートして、細
胞を解離した。懸濁した細胞を新鮮な標準培地に添加し、そして室温で5分間、
100×gで遠心分離した。次いで、細胞ペレットを新鮮な標準倍地中で培養し
、そして新たな75cm2フラスコ内でプレート化した。
【0063】 フラスコがコンフルエントであった場合には、クライシス前SVG細胞を、3
〜4日ごとに継代培養したが、クライシスの間、これらの細胞は、遅い増殖およ
び細胞死に起因して、8〜10日ごとに継代培養する必要があったのみである。
クライシスにおいては、SVG細胞は頻繁に継代培養される必要がなかったが、
75cm2フラスコあたり1.5×106で播種し続けた。SVG細胞は、約2
ヶ月間、クライシスに維持され得、その後、1以上の細胞のコロニーが生じ、そ
してフラスコ内で増殖し始めた。これらのコロニー(各継代でともに混合した)
は、フラスコ内で他の細胞より早く成長し、そしてクライシス後の細胞株を構築
した。有用なクライシス後細胞型は、おおよそ38継代後に得られ得るが、有用
なクライシス後多能性細胞もまた、例えば、38〜50継代後、例えば、44、
45、47または49継代後に得られ得る。NG1クライシス後細胞株を、SV
G細胞を指定したフラスコに播種し、そしてこれがクライシスを経過してクライ
シスから生じる際に、これを別個の細胞株として処理することにより、生成した
。NG1細胞株は、クローンではないと考えられる。なぜならこれは、フラスコ
内のクライシスから生じる全てのコロニーのプールを表すからである。
【0064】 本発明のさらなる実施形態は、不死化遺伝子を含む胎児CNS由来細胞(例え
ば、SVG細胞集団に含まれるもの)が種々の細胞マーカーを発現するという、
予期しない発見に基づく。ニューロンまたは神経膠細胞のための表現型マーカー
の相対的な発現、ならびに本発明のNG1集団内ならびに最初のクライシス前の
(例えば、SVG)集団内の多能性CNS由来細胞の分化が、培地組成の変化に
より、意図的に調節され得ることが、ここで見出された。従って、本発明は、C
NS由来胎児細胞の混合集団を異なる細胞型に関して富化する方法を提供する。
具体的には、培養条件から血清を除去することが、ニューロン系列に分化するこ
とが予測される細胞として同定される細胞をより多く有する細胞の集団を富化す
ることが、予期せず見出された。この効果は、クライシス後、NG1細胞集団に
ついては実証されたが、これはクライシス前の最初の細胞(例えば、SVG集団
)についても等しく適用可能であることもまた、予測される。SVG集団から産
生された富化された細胞集団は、本明細書中でNG2集団と呼ばれ、そしてクラ
イシス後のNG1集団から産生された富化された集団は、本明細書中でNG3集
団と呼ばれる。これらの集団に含まれる細胞型の代表的な同定は、以下に記載さ
れるが、当業者は、これらの集団の例示は限定ではないことを理解する。
【0065】 親のクライシス前(およびクライシス後)SVG細胞の分化に対する薬剤の可
能な効果は、最初に、12−ミリステート(myrstate)13アセテート
(PMA)の標準培地への添加の際に、軸索様プロセスの伸長により観察された
。この能力は、ホルスコリン(これは、cAMPを上昇させる)の添加が、神経
芽線維原酸性タンパク質(GFAP;分化した神経膠マーカー)および神経フィ
ラメント(NF;分化したニューロンマーカー)のギャップジャンクション連結
および発現を増加させ得るという最近の報告によりさらに確かめられた。Dow
ling−WarrinerおよびTrosko、FASEB J.Abstr
.、4382(1998)ならびにDowling−WarrinerおよびT
rosko、Neuroscience 95:859−868(2000)。
分化を制御するこの能力および区別可能な細胞表現型は、新たな細胞集団を作製
する可能性および/または細胞集団内で細胞型の割合を変更する可能性を示唆し
た。集団内で細胞の型を変更する能力、ならびに特に、より多数の多能性細胞お
よびニューロン前駆体細胞を血清内で継代した胎児CNS由来細胞の集団から富
化する能力は、特に予測不可能である。外因性マイトジェンの非存在下および血
清の存在下で、ニューロンおよび星状細胞は、すでに分化されたと予測されたこ
とが、一般に考えられる。Palmerら、Mol Cell Neurosc
i、8:389−404(1997);Sahら、Nat Biotechno
l、15:574−80(1997)。
【0066】 別の実施形態において、本発明は、本明細書中に記載の多能性胎児CNS由来
細胞、および特定の細胞型の、同定および精製の方法を提供する。
【0067】 CNSの発達を研究する場合に遭遇する主要な困難の1つは、独自に特異的な
細胞マーカーがないことに部分的に起因して、特定の細胞系列を、増殖および分
化の異なる段階において容易には同定し得ないことであった。現在、CNS細胞
において特定の細胞表面エピトープ、細胞質エピトープまたは核エピトープを検
出するために使用され得る市販のポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体
の数が、急速に増加している。しかし、これらのエピトープの多くは、そのいく
つかの発達段階において、ニューロン細胞型と神経膠細胞型との間で共有される
。従って、調査中の特定の細胞集団のより正確な同定を得るために、蛍光プロー
ブを使用する、二重および三重の免疫標識手順を使用することの必要性が、増加
している。蛍光を検出するために、二重または三重の発光フィルタセットを備え
るフローサイトメーターは、特定のCNS集団のこの複雑さおよび多様性を非常
に迅速かつ正確な様式で評価するために、理想的には適する。本発明の好ましい
方法は、フローサイトメーターの使用を包含するが、パニングおよび磁気ビーズ
を含む、細胞を同定および選別する他の方法が、使用され得る。
【0068】 本発明において、3つの細胞マーカーが、本発明の特定の細胞型を特徴付ける
ために使用された。これらの細胞マーカーは、破傷風毒素フラグメントC(Tn
Tx)、コレラ毒素(ChTx)およびA2B5と指定されるモノクローナル抗
体を含む。破傷風毒素フラグメントC(TnTx)レセプターは、破傷風毒素レ
セプターを発現する、熱的に有糸分裂後発達するニューロン(thermall
y post−mitotic developing neuron)(Ko
ulakoffら、Dev Biol、100:350−7(1983))のマ
ーカーである。A2B5と指定される多数の抗体が存在する。これらの抗体は、
特定の細胞集団の細胞表面上のシアル酸残基の混合物を認識する。A2B5抗体
が結合するシアル酸残基の異種性に起因して、A2B5陽性(A2B5+)細胞
に対する指定は、A2B5抗体と結合する細胞を示した。
【0069】 A2B5抗体は、ニューロン前駆細胞マーカーおよび神経膠前駆細胞マーカー
として、使用される。Abneyら、Dev Biol、100:166−71
(1983);Fredmanら、Arch Biochem Biophys
、233:661−6(1984);RaoおよびMayer−Prosche
l、Dev Biol、188:48−63(1997)。コレラ毒素(Cho
lera toxin−FITC、Sigma、St.Louis、MO)は、
分化していないニューロン(ShindlerおよびRoth、Brin Re
s Dev Brain Res、92:199−210(1996))または
前駆細胞を標識するために使用される。
【0070】 神経幹/前駆細胞は、中間フィラメントタンパク質であるネスチンの発現によ
り、同定された。Lendahlら、Cell、60:585−95(1990
)。CNS由来の幹細胞の同定は、中間フィラメントタンパク質であるネスチン
に対する抗体を使用して、慣用的に実施されてきた。Lendahlら、Cel
l、60:585−95(1990);Reynoldsら、J Neuros
ci、12:4565−74(1992)。ネスチンはまた、増殖中の神経幹/
前駆細胞において発現されることが、見出された。Frederiksenおよ
びMcKay、J Neurosci、8:1144−51(1988);Re
ynoldsら、J Neurosci、12:4565−74(1992);
StempleおよびAnderson、Cell、71:973−85(19
92);Vescoviら、Neuron、11:951−66(1993)。
【0071】 本実験において使用されるネスチンに対する抗体は、ネスチン−331Bと指
定されるウサギポリクローナル免疫グロブリンであり、ヒトネスチンを同定する
(Messamら、Exp Neurol.、161:585−596(200
0))。ヒトネスチンに対する抗体は、ニューロンまたは神経膠になる可能性を
有するCNS幹/前駆細胞のマーカーであると特徴付けられた(Messamら
、Exp Neurol 161:585−596、2000)。
【0072】 ネスチンに対する抗体は、Boehringer Mannheim Bio
chemicals、Indianapolis、IN(ラットネスチンに対す
る抗体)から入手可能であるか、またはヒトネスチンを認識する抗体は、R.M
cKay(NIH、Bethesda、MD)から要請し得る。ヒトネスチン遺
伝子配列は、クローニングされた(Dahlstrandら、J Cell S
ci、103:589−97(1992))。そして公共に利用可能なデータベ
ースにより入手可能であり、その結果、ヒトネスチンに対する抗体は、当該分野
において公知の手段により作製し得る。例えば、公知のネスチン配列を用いて、
エピトープマッピングプログラムアルゴリズムを使用して高度に抗原性のペプチ
ドフラグメントを得ることは、簡単である。従って、6から50を超えるまでの
アミノ酸長のペプチドが、市販者(Peptides Internation
al、Louisville、KY)により合成され得、そしてKLHまたは別
のキャリア分子に結合体化されて、このペプチドの免疫原性を増強する。適切な
量(>1mg/接種)が、ウサギに皮下的に投与され得、そして3ブースター量
の接種が、代表的に4、8、12〜16週目に提供され得る。ポリクローナル抗
体またはモノクローナル抗体の効率的な産生に関して以前に記載された方法が、
本願において使用され得る。JennesおよびStumpf、Neuroen
docrine Peptide Methodology、42:665(1
989);YoungbloodおよびKizer、Neuroendocri
ne Peptide Methodology、38:605(1989)。
【0073】 本発明の細胞型の分化系統のさらなる表示は、JCウイルスの、任意の所定の
細胞型に感染する能力によって提供される。より具体的には、JCウイルスが、
ニューロン細胞とは対照的に、グリア細胞に優先的に感染することを当業者は理
解する。JCウイルスは、星状細胞とは対照的に、稀突起膠細胞により優先的に
感染する。Majorら、Clin Microbiol Rev,5:49−
73(1992)。
【0074】 神経先祖細胞を同定するために使用され、かつ本発明の細胞型のさらなる特徴
付けに使用され得る別のマーカーは、中間細糸タンパク質、ビメンチンである。
Flaxら、Nat Biotechnol,16:1033−9(1998:
Kilpatrick&Bartlett,Neuron,10:255−26
5(1993))。NG1細胞の多能性と一致して、これらの細胞はまた、ビメ
ンチンを発現する。Tornatoreら、Cell Transplant,
5:145−63(1996)。
【0075】 本発明の方法の、多能性細胞型のために細胞の集団を富化させる能力、ならび
に例示的な細胞集団のキャラクタリゼーションを、図1〜3から要約したデータ
と共に表1に示す。
【0076】
【表1】 NG1またはNG3の細胞集団から生じ得る上記のマーカーのその発現に関し
て、本発明の14の特定の細胞型(括弧内に型番号を示す)は以下のように規定
される。
【0077】 TnTx−/ChTx−(1) TnTx−/ChTx+(2) TnTx+/ChTx−(3) TnTx+/ChTx+(4) A2B5−/TnTx−(5) A2B5+/TnTx+(6) A2B5+/TnTx−(7) A2B5−/TnTx+(8) A2B5−/ChTx−(9) A2B5+/ChTx+(10) A2B5−/ChTx+(11) A2B5+/ChTx−(12) 上記の1型細胞は、さらにネスチン(nestin)+(型13)およびネス
チン−(型14)細胞に誘導され得、これらはまたTnTx−/ChTx−であ
る。
【0078】 これらのうち、型(1、5および9)は、最も未成熟であると予想される。な
ぜなら、これらは表現型マーカーに対して陰性だからである。Neurobas
al培地+N2補充におけるTnTx−/ChTx−型1細胞は、総集団におい
て約1%のA2B5+細胞を有する(図3)。これらの1型細胞がゲートから出
る場合、残りの細胞の95%はネスチン+である。このネスチン+/TnTx−
/ChTx−細胞表現型は、おそらく、グリアまたはニューロンの経路のいずれ
かに入らない幹/先祖細胞を表す。これらの細胞は、幹/先祖細胞と一致した特
性を有し、これは、ニューロン型またはグリア細胞の異なる型(すなわち、星状
細胞または稀突起膠細胞)に分化する可能性を有し得る。
【0079】 本発明の他の細胞型は、マーカーの組合わせを用いて同定される。以下は、表
現型の意義についての説明であり、これは細胞の最終のニューロンまたはグリア
表現型を限定するようには意図されない。
【0080】 ChTx+/TnTx−(細胞型2またはおそらく11)細胞表現型は、一般
にプレニューロンマーカーとみなされる。一方、ChTx+/TnTx+(4型
細胞)は、細胞を縮瞳後ニューロンと同定する。これらの4型細胞は、主にニュ
ーロンの経路に沿って進み、特にニューロン増殖を増強する因子の存在下で指示
される場合がそうである。
【0081】 A2B5陽性細胞は、ニューロンまたはグリア細胞のいずれかであり得る。C
hTx+および/またはTnTx+(細胞型2〜4)は、細胞をおそらくニュー
ロンであるように同定する。A2B5+/ChTx−またはA2B5+/TnT
x−細胞(細胞型7または12)は、ニューロンになるように指示されない限り
、おそらくグリア系統である。A2B5+/ChTx+細胞(細胞型10)は、
グリアまたはニューロン経路のいずれかに分化し得る。A2B5−/TnTx+
(細胞型8)は、細胞をおそらくニューロンであるように同定する。
【0082】 EMEM10%上に保持されるNG1細胞は、表現型的にニューロンまたはグ
リアである細胞を維持するが、ニューロン環境(すなわち、Neurobasa
l+N2補充)に置かれる場合、優先的にニューロンに発達する。ネスチン+で
あるTnTx−/ChTx−1型細胞もまた存在した。この集団は、Neuro
basal+N2補充条件において増大された。これらの培養物における表現型
の変化は、代謝性条件または培地における因子によって指示される場合、培養物
中のNG1細胞が、特定の合図によって、より成熟したグリアまたはニューロン
経路のいずれかに分化し得る前駆体特性を有する細胞の異質な集団として維持さ
れることを示す。
【0083】 本発明は、本明細書中に記載の集団の細胞が単一表現型ではなく、そして集団
の環境または培養物の意図的な変化(「指示」)によって複数の表現型が生じ得
るという発見に部分的に基づく。
【0084】 本発明の方法は、本発明の細胞の好ましい表現型を規定するために、少なくと
も3つのマーカー(好ましくは組合わせで)を有するこれらの集団の細胞の表現
型の分析を含む(図2)。
【0085】 上記の特定の細胞型の提供を超えて、本発明は、これらの細胞型の1つ以上を
含む組成物(好ましくは、薬学的に受容可能な賦形剤中に)を提供する。
【0086】 これらのマーカーはまた、細胞集団の富化の方法の実証において有用であり、
これは本発明のさらなる実施形態である。具体的には、実施例においてさらに詳
述されるように、細胞のNG1集団は、培養条件の関数として表2に示されるよ
うに特徴付けられる。
【0087】 これらの結果は、本発明の方法によって、すでに存在するものの富化ならびに
/または多数の多能性かつ未成熟な神経細胞型の形成を実証する。
【0088】 本発明の細胞(細胞集団または富化細胞型のいずれか)は、この細胞を細胞培
養培地(例えば、イーグル最小必須培地)またはリン酸緩衝生理食塩水のような
生理学的に適合性のキャリア中に懸濁させることによって、移植のために調製さ
れ得る。細胞密度は、一般に約104〜107細胞/mlであり得る。この細胞懸
濁液は、移植の前に穏やかに振盪される。移植される細胞懸濁液の容量は、移植
の部位、処置の目的、および溶液における細胞の密度に大きく依存する。代表的
に、患者または宿主に移植される細胞の量は、「治療的有効量」である。本明細
書中で使用される場合、治療的有効量とは、処置が求められる特定の疾患の有効
な処置に必要とされる、移植される細胞の数をいう。例えば、振せん麻痺のため
の処置の場合、治療的有効量の細胞の移植は、代表的にその疾患(例えば、硬直
、運動不能症および歩行障害)に関連する症状の量および/または重症度におけ
る減少を生じる。振せん麻痺の処置において、各注射において投与される細胞の
量は、この有効量に到達するのに十分な量である。各宿主において、いくつかの
注射が使用され得る。当業者は、適切な細胞投与量の決定方法を理解する。
【0089】 上記のように、細胞型の移植または本発明の細胞集団を直接富化することは可
能であり得るか、あるいは移植のさらに前の細胞型または集団のさらなる分化は
好ましくあり得る。
【0090】 本発明の代替の好ましい実施形態において、移植に有用な細胞は、神経性関連
ペプチドをコードする異種核酸配列と共にトランスフェクトされ得、そしてこの
異種核酸配列を発現し得る。本明細書中で核酸の記載のために使用される場合、
用語「異種」とは、一般に、この配列と共にトランスフェクトされる細胞株内に
は概して天然には存在しない配列をいう。従って、異種配列は、この細胞株にと
って専ら外来性のセグメントを含み得るか、あるいは、非自然な様式で細胞株内
に取り込まれる未変性のセグメント(例えば、非自然なプロモーター/エンハン
サー配列に連結して、代表的にはこのセグメントには関連しない未変性のプロモ
ーターに連結して、あるいはこの細胞株が普通は1つのコピーを提供するかまた
はコピーを提供しない場合に、複数のコピーにおいて提供される)を含み得る。
【0091】 一般に、核酸配列は、転写性プロモーターおよび転写性ターミネーターに作動
可能に連結される。別のDNAセグメントと機能的関係に配置される場合、DN
Aセグメントは作動可能に連結される。例えば、プロモーターまたはエンハンサ
ーが配列の転写を刺激する場合、プロモーターまたはエンハンサーはコード配列
に作動可能に連結され;シグナル配列についてのDNAは、ポリペプチドの分泌
において関与する前タンパク質として発現される場合、ポリペプチドをコードす
るDNAに作動可能に連結される。一般に、作動可能に連結されたDNA配列は
近接しており、そしてシグナル配列の場合、近接およびリーディングフェイズの
両方である。しかし、エンハンサーは、これが転写を制御するコード配列に近接
しなくてもよい。連結は、好都合な制限部位で、あるいはその代わりに挿入され
るアダプターまたはリンカーでのライゲーションによって達成される。DNA配
列はまた、転写エンハンサーにも連結され得る。移植された細胞におけるこのD
NAの発現は、構成的または誘導性であり得る。これらの特徴を有する種々の発
現ベクターは、細胞のトランスフェクションのためのDNA(例えば、Samb
rookら、Molecular Cloning,A Laboratory
Manual,Cold Spring Harbor Press,198
8に記載される、プラスミドベクターpTK2、pHygおよびpRSVneo
、シミアンウイルス40ベクター、ウシパピローマウイルスベクターまたはエプ
スタイン−バーウイルスベクター)を保有し得る。これらのベクターはまた、ベ
クターpcDNA3.1およびEF−1を含み得、これらは市販(Invitr
ogen,Carlsbad,CA)されているか、または以前に本明細書中に
参考として援用される。このベクターは、標準的方法、例えばエレクトロポレー
ション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、ポリブレントランスフェ
クション、カチオン性脂質によって、細胞内に導入され得る。Sambrook
ら、Molecular Cloning,A Laboratory Man
ual,Cold Spring Harbor Press,1988に記載
される、Felgner&Gadek,Proc Natl Acad Sci
USA,84:7413(1987)など。
【0092】 さらに、本発明は、化合物の外来性の添加によって調節され得るプロモーター
系の使用を意図する。これらの調節可能なプロモーター系は、コードされたペプ
チド/タンパク質の用量のいくつかの制御を可能とする。現在では4つの別々の
主要な技術が存在し、そしてインビトロおよびインビボの標的遺伝子の発現を調
節するために開発されてきた。これらは、(1)テトラサイクリンベースの遺伝
子スイッチ、(2)RU486ベースの遺伝子スイッチ、(3)エクジソンベー
スの遺伝子スイッチおよび(4)FK1012(ラパマイシン)ベースの遺伝子
スイッチを含む。
【0093】 核酸によってコードされるペプチドは、ハンティングトン舞踏病の処置におけ
る移動インヒビターのように、一般には直接治療的化合物であり得る。あるいは
、核酸によってコードされるこのペプチドは、宿主の外来性組織によるペプチド
の欠乏性の産生を補充または置換するために選択され得、この欠乏は特定の障害
の症状の原因である。この場合、細胞または細胞集団は、ペプチドの人工的供給
源として作用する。あるいは、このペプチドは、治療的、または神経学的に関連
する化合物の産生を触媒する酵素であり得る。かさねて、このような化合物は宿
主系に対して外来性であり得るか、または合成経路がその他の障害性である外来
性化合物であり得る。後者の場合、宿主のCNS内でのペプチドの産生は、この
化合物の生成のための追加の経路を提供する。例えば、好ましい実施形態におい
て、不死化ヒト胎児神経誘導細胞株は、チロシンヒドロキシラーゼ酵素をコード
する核酸と共にトランスフェクトされる。チロシンヒドロキシラーゼは、チロシ
ンからのL−dopaの合成を触媒する。ドパミンは、振せん麻痺の処置におい
て効果的であることが実証されてきた。
【0094】 この核酸はまた、神経成長因子、抑制性成長因子、またはサイトカインのよう
な、脳腫瘍の処置において有用な栄養因子をコードし得る。その神経再生の増強
およびL−dopaを産生および分泌する能力に起因して、本発明の細胞および
細胞集団は、宿主のCNSにおいてドパミン作用性細胞の損失に関連する中枢神
経系障害(例えば、振せん麻痺)の処置において特に有用である。
【0095】 代表的に、本発明の細胞または細胞集団は、脳の実質組織内の、脳脊髄液を含
む空間(例えば、クモ膜下空間または心室、あるいは神経外的(extrane
urally))に移植され得る。本明細書中で使用される場合、用語「神経外
的」は、中枢神経系または末梢神経系組織外の宿主の領域(例えば、腹腔神経節
または坐骨神経)を示すように意図される。「神経外(extraneural
)」領域は、末梢神経を含み得る。「中枢神経系」は、硬膜内のすべての構造を
含むように意味される。
【0096】 本発明の細胞または細胞集団が脳に移植される場合、LeksellおよびJ
ernberg、Acta Neurochir.、52:1−7(1980)
ならびにLeksellら、J.Neurosurg.66:626−629(
1987)(この両方は、本明細書中に参考として援用される)に記載されるよ
うな、定位的な方法が一般に使用される。標的領域の局在化は、Leksell
ら、J.Neurol.Neurosurg.Phychiatry、48:1
4−18(1985)(本明細書中に参考として援用される)に記載されるよう
な、移植前MRIを一般に含む。標的の座標は移植前MRIから決定される。
【0097】 移植の前に、Brundinら、Brain Res.、331:251−2
59(1985)(本明細書中に参考として援用される)によって記載されるよ
うな、種々の細胞が評価され得る。手短に言えば、細胞懸濁液のサンプルアリコ
ートが、0.9%生理食塩水中の、各成分の所定の比のアクリジンオレンジおよ
びエチジウムブロミドの混合物;Sigma、と共にスライドガラス上で混合さ
れる。この懸濁液は、血球計測器に移され、そして生存可能および生存不可能な
細胞が、計算チャンバグリッドを可視化するための白色光トランス照射と組合わ
せて、390nmの落射証明下で蛍光顕微鏡を使用して、視覚的に計測される。
アクリジンオレンジ標識は、核を緑色で示し、一方エチジウムブロミドは死滅細
胞に入り、オレンジ−赤色の蛍光を生じる。細胞懸濁液は、一般に約50%、好
ましくは75%、より好ましくは85%、あるいは95%より多くの生存可能細
胞を含むべきである。
【0098】 注射は、一般に、23〜27ゲージ針を有する殺菌した10mlのHamil
tonシリンジで行われる。細胞を充填したシリンジは、定位フレームの頭部に
直接装着される。注射針は、頭蓋の小さなバーホールを通して所定の座標よりも
低下され、40〜50mlの懸濁液を約1〜2ml/分の速度で沈着させ、そし
て針のゆっくりとした退縮前に、さらに2〜5分拡散させた。頻繁に、同じ針の
侵入に沿って1〜3mm離れて、少なくとも2つの別々の沈着がなされ、そして
標的面積にわたって散乱した5つまでの沈着が、同じ手術において容易になされ
得る。この注射は、手動または注入ポンプによって行われ得る。針の退縮の後の
手術の完了時に、宿主はこのフレームから除去され、そして創傷は縫合される。
予防的抗生物質または免疫抑制治療が、必要に応じて施行される。
【0099】 より全身的な神経性障害の処置のために、細胞は治療的化合物を発現するため
にトランスフェクトされ得、そして心室または腰膜に移植される。治療的化合物
が細胞によって分泌される場合、脳脊髄液の神経性循環は、中枢神経系全体にわ
たって治療的化合物を洗浄し、全身的処置の手段を提供する。心室への移植は、
開放性手順(例えば、Madrazoら、New Engl.J.Med.、3
16:831−834(1987)またはPennら、Neurosurger
y、22:999−1004(1988)(これらの両方は、本明細書中に参考
として援用される))によって達成され得る。細胞の腰膜への移植は、X線撮影
の造影剤または抗腫瘍医薬の、腰への穿刺を介した滴下注入と同様の標準的手順
によって最も好都合に達成される。
【0100】 いくつかの場合、本発明に従う細胞を神経外的に移植することが望ましくあり
得る。この細胞は、針または内視鏡を介して、あるいは開放的手順によって、経
皮的に移植され得る。当業者は、特定の適用のために細胞を移植する最も適切な
方法を容易に理解する。 この細胞または細胞集団は、移植の前に、膜によってカプセル化され得る。この
カプセル化は、宿主の免疫系に対する障壁を提供し、そして移植反応および炎症
を阻害する。細胞カプセル化のいくつかの方法が使用され得る。いくつかの場合
、細胞は別々にカプセル化される。別の場合、多くの細胞は同じ膜内にカプセル
化される。移植後に細胞が除去される場合、単一膜内に多くの細胞をカプセル化
する比較的大きなサイズの構造が、移植された細胞の回収のための好都合な手段
を提供する。細胞カプセル化のいくつかの方法は当該分野で周知であり、例えば
欧州特許公開番号第301,777号または米国特許第4,353,888号、
同第4,744,933号、同第4,749,620号、同第4,814,27
4号、同第5,084,350号、同第5,089,272号に記載され、これ
らの各々は本明細書中に参考として援用される。
【0101】 細胞カプセル化の1つの方法は以下の通りである。細胞はアルギン酸ナトリウ
ム(ポリアニオン性の海藻抽出物)と混合され、そして二価カチオン(例えば、
塩化カルシウム)の溶液に押し出され、これがアルギニン酸ナトリウムと複合体
化してゲルを形成し、この細胞を含むゲル状のビーズまたは液滴の形成を生じる
。このゲルビーズは、高分子量(MW 60〜500×103)濃度(0.03
〜0.1%w/v)のポリアミノ酸(例えば、ポリ−L−リジン)と共に短期間
(3〜20分)インキュベートされて膜を形成する。形成されたカプセルの内部
は、クエン酸ナトリウムでの処理によって化石化(reliquify)される
。細胞の周りの単一膜は、高度に透過性である(MW カットオフ 200〜4
00×103)。細胞を含む単一膜カプセルは、生理食塩水溶液中で1〜3時間
インキュベートされ、アルギニン酸ナトリウムを包括し、カプセル外に拡散させ
、そして平衡状態までカプセルを膨張させる。得られたアルギニン不足カプセル
は、 ポリ−L−リジン(PLL)またはキトサン(脱アセチル化キチン;MW240
×103)のような低分子量アミノ酸(MW 10〜30×103)と反応して、
相互作用した、透過性の低い膜(MW カットオフ 40〜80×103)を生
成する。次いで、二重膜カプセル化細胞は、上記のようにE−MEM中で2〜3
週間培養される。
【0102】 アルギニン酸ナトリウムビーズが特に参照される間、任意の非毒性水溶性物質
は、配置される培地における条件の変化が用いられ得ることによって、ゲル化さ
れて形状維持塊を形成し得ることが、当業者によって理解される。このようなゲ
ル化物質は、一般に、逆に荷電したポリマーに曝露される場合に表面層が架橋し
て透過性膜を形成し得るために、容易にイオン化されてアニオン性またはカチオ
ン性基を形成するいくつかの化学的部分を含む。大部分の多糖体ガム(天然およ
び合成の両方)は、アミノ基のような正荷電反応性基を含むポリマーによって架
橋され得る。アルギニン酸ナトリウムガムと反応し得るこの架橋生体適合性ポリ
マーは、ポリリジンおよび他のポリアミノ酸を含む。形成された膜の透過性の程
度は、所望の分子量を有するポリアミノ酸の慎重な選択によって制御され得る。
ポリ−L−リジン(PLL)は、好ましいポリマー性材料であるが、他はキトサ
ンおよびポリアクリレートを含む。分子量は、代表的に約104〜約106で変化
する。
【0103】 本発明を、以下の実施例によりさらに説明する。これらの例は、本発明の局面
を説明するのみであり、本発明の制限として意図されるものではない。
【0104】 (実施例1) (異種胎児CNS由来親細胞の産生) SVG細胞は、American Type Culture Collec
tion(Manassas,VA)より入手され得る(受託番号ATCC C
RL 8621)。SVG細胞は、当該分野において公知の手段により培養され
た。米国特許第4,707,448号、およびMajorら、Proc Nat
l Acad Sci USA 82:1257−61(1985)を参照のこ
と。
【0105】 不死化されたSVG細胞を、本発明を例示するための出発材料として使用した
が、無制限に分裂する能力を有する細胞である不死化細胞は、ras,SV40
T−抗原、v−myc、c−mycのような癌遺伝子を発現するように細胞を遺
伝子改変することによる不死化および自発的に不死化された細胞、を含む多くの
手段により作製され得る。さらに、テロメラーゼを発現するように細胞を遺伝子
改変することによっても、細胞は不死化され得る(Zhu,Wangら(199
9)Proc Natl Acad Sci USA 96(7):3723−
8)。不死化細胞としては、少なくとも部分的にはそのテロメラーゼの高発現に
よって無制限の分裂能を有する幹細胞が挙げられる。不死化細胞は、変異が原因
と考えられる自発的なプロセスに由来し得る。それゆえ、本発明の出発材料は例
示のために本明細書中において示されたSVG細胞に限定されない。
【0106】 (実施例2) (クライシス後の不死化NG1細胞の産生) SV40誘導によるヒト細胞の不死化は、二段階のプロセスであった。第一段
階は、培地における寿命の延長であり、ここで細胞は、正常な細胞が老化を受け
る時点を越えて、制限された数の倍加を受けていた。寿命の延長後、細胞は、細
胞死によって細胞分裂が平衡化された状態である「クライシス(crisis)
」に入った。第二段階は、不死化細胞のコロニーの稀な出現を含み、これは、無
期限に継代培養された。Bryan&Reddel,Crit Rev Onc
og,5:331−57(1994)。SVG細胞をおよそ33〜38回継代ま
で培養した後、それらの細胞はクライシスに入り、その細胞の典型的なものはS
V40を発現する。ここでは、細胞増殖はほとんどなく、そして細胞は非常に大
きく、顆粒状に見えた。SVG細胞がクライシスにある場合、顕微鏡で細胞死が
観察可能であった。クライシスにある細胞に対して1週間に2回給餌し、細胞密
度をT75フラスコ当たり1.5×106以上に維持した場合、細胞の部分集団
は、時にクライシスから抜け出し、増殖を始める。このSVGのクライシス後亜
系統の細胞は増殖不死化細胞であり、従って、このように発生した細胞を、異な
る細胞集団(NG1)とみなす。
【0107】 SVG細胞を、イーグル最少必須培地(EMEM:BioWhittaker
Cat#12−125F)+10%FBS(BioWhittaker Ca
t#14−501F)+2mM 1−グルタミン(Quality Biolo
gical Cat#118−084−060)からなる標準培地において増殖
させた。細胞の継代は、培地を除去し、そしてハンクス平衡塩類溶液(HBSS
:BioWhittaker Cat#10−543F)で2回洗浄し、3分間
0.25%トリプシン(BioWhittaker Cat# 17−161E
)と共にインキュベーションして、細胞を解離させることによって行った。この
懸濁細胞を新しい標準培地に添加し、室温で100×gで5分間遠心分離した。
次いで、細胞ペレットは新しい標準培地に移され、新しい75cm2の組織培養
フラスコ中内に配置された。
【0108】 クライシス前SVG細胞は3〜4日毎に、フラスコがコンフルエントになった
場合に継代したが、クライシスの間は増殖の遅延や細胞死が理由で、8〜10日
毎に継代することのみ必要とされた。クライシスの間、SVG細胞は頻繁に継代
培養される必要はなかったが、75cm2フラスコあたり1.5×106で播種さ
れ続けた。SVG細胞は、1個以上の細胞のコロニーが出現し、フラスコ中で増
殖し始めるまでの約2ヶ月間、クライシスのまま維持された。これらのコロニー
は各継代と共に混合されたが、フラスコ中で他の細胞を増殖させ、クライシス後
細胞株を構成する。NG1型のクライシス後細胞株は、指定されたフラスコ中に
SVG細胞を播種し、そしてそれはクライシスを経て出現したので別個の細胞株
もしくは集団として処理することにより産生した。NG1型の細胞株は、フラス
コにおいてクライシスから抜け出したすべてのコロニーのプールを表すので、ク
ローンであるとは見なされない。
【0109】 (実施例3) (フローサイトメトリー分析のためのSVG細胞の調製) SVG細胞を、標準培地中で50回の継代を通じて増殖させ、次いで、0.2
5%トリプシンを用いてEDTA緩衝液中でトリプシン処理した。これらのNG
1型の細胞を組織培養グレードのプラスチックフラスコ中に、約1×104細胞
/cm2で配置した。これらの細胞を、16時間もしくは一晩インキュベートし
、次いで、標準培地もしくは血清を含まないNeurobasal(NB;Gi
bco,Gaithersburg,MD)+N2補充物(Gibco)のいず
れかにおいて再給餌した。Neurobasal培地(NB)の組成は、Lif
e Technologies(1−800−847−4226;Cat.No
.21103)より入手可能であり、そして以前にBrewerら(J Neu
rosci Res,35:567−576(1993))によって、以下を含
むことが記載されている:(括弧内のすべての量は、他に示されない限り、μM
とする)無機塩類(CaCl2(無水,1800),Fe(NO23.9H2O(
0.2),KCl(5360),MgCl2(無水,812),NaCl(51
300),NaHCO3(26000)およびNaH2PO4.H2O(900))
;他の成分(D−グルコース(25000),フェノールレッド(23),HE
PES(10000)およびピルビン酸ナトリウム(230)),アミノ酸(L
−アラニン(20),L−アルギニン.HCl(400),L−アスパラギン.
H2(5),L−システイン(10),L−グルタミン(500),グリシン(
400),L−ヒスチジン.HCl.H2O(200),L−イソロイシン(8
00),L−ロイシン(800),L−リシン.HCl(5),L−メチオニン
(200),L−フェニルアラニン(400),L−プロリン(67),L−セ
リン(400),L−スレオニン(800),L−トリプトファン(80),L
−チロシン(400),L−バリン(800)),ビタミン類(D−Ca パン
トテン酸(8),塩化コリン(28),葉酸(8),i−イノシトール(40)
,ナイアシンアミド(30),塩化ピリドキサール(20),リボフラビン(1
),塩化チアミン(10)およびビタミンB12(0.2))。また、100×
N2補充物は以下を含む;インスリン500μg/ml,ヒトトランスフェリン
10,00μg/ml,プロゲステロン0.63μg/ml,プトレシン0.1
6μg/ml,亜セレン酸塩0.52μg/ml。
【0110】 48〜72時間後、トリプシン処理によって細胞を収集し、0.1%BSA(
ウシ血清アルブミン)を含むPBS中に106細胞/mlで再懸濁した。そして
、Maricらにより以前に記載されたプロトコール(Neuromethod
s、33:387−318(1999))に従ってFACS分析のために処理を
行った。フローサイトメトリー用の適用のために単一細胞懸濁物を達成するため
、より良い結果が得られるようパパインの代わりにトリプシンを使用した。
【0111】 単離後、細胞を適切な試薬と反応させ、蛍光標示式細胞分取器(FACS)に
より分析を行った。各単一細胞について5つまでの異なるパラメーター(細胞の
サイズおよび複雑性、ならびに免疫細胞化学、膜電位、ならびにカルシウム蛍光
シグナルを含む)を1秒あたり数千細胞の速度で同時に測定した。いくつかの実
験においては、これらの異なる細胞パラメーターのいずれか1つもしくは組み合
わせに基づき、次いで、異なる細胞集団の正確な分類を行った。
【0112】
【表2】 FACS分析(図1および図2)のために使用される一次標識は、以下の混合
物を含んだ:1)マウスモノクローナルクラスIgG抗TnTxフラグメントC
抗体(Boehringer Mannheim,Indianapolis,
IN)と組み合わせたTnTxフラグメントC(Sigma,St Louis
,MO),2)マウスモノクローナルクラスIgM抗体A2B5(Boehri
nger Mannheim,Indianapolis,IN),3)FIT
C複合コレラ毒素(Sigma,St Louis,MO)および/もしくは4
)ウサギポリクローナル抗ネスチンウサギ抗体(Messam CA,Hou
J,Major EO:Exp Neurol 161:585−596,20
00「ヒト特異的抗ネスチン抗体により特徴付けられる発生中のヒトCNSにお
ける神経およびグリア細胞におけるネスチンの共発現」)。これらの一次標識は
、本発明の細胞表現型を特徴付けるために用いられた。
【0113】 フローサイトメトリーのために使用される二次標識は、以下を含んだ:1)ヤ
ギ抗マウスIgG1−PE−CY5(CALTAG Laboratories
,Burlingame,CA),2)ヤギ抗マウスIgM−PE(Jacks
on Immunoresearch Labs,West Grove,PA
)および3)ヤギ抗ウサギIg−PE(CALTAG Laboratorie
s, Burlingame,CA)。免疫蛍光特性はFACS(レーザー励起
488nm、ならびにFITC,PE,およびPE−CY5の検出には、それぞ
れ525±30,575±25,および670±20nmの蛍光フィルター設定
を用いた)によりランダムにサンプリングされた200,000個の細胞より得
た。
【0114】 全ての測定はFACSTARおよびフローサイトメーター(Becton D
ickinson Mountain View,CA)を用いて行った。細胞
を500mWで操作したアルゴンイオンレーザー(Spectra Physi
cs,Model 2016,Mountain View,CA)を用いて励
起し、そして波長を488nmにした。細胞サイズに関連する特性である前方角
光散乱(FALS)および各エレメントの異なる蛍光発光を、1,000〜2,
000事象/秒の速度でランダムに記録した。このデータ収集速度では5〜10
秒間に約10,000個の細胞のプロファイリングを可能にする。FALSデー
タは、波長488±10nmのバンドパスおよび中性密度フィルターの組み合わ
せを用いて線形様式で収集され、一方、蛍光発光を対数的に増幅し、そして適当
な波長で漏らした。多重標識実験では、蛍光発光を呈色クロスオーバーについて
、電気的な補償を用いて補正した。FALS特性および蛍光強度は、それぞれ1
024のチャンネルまで解像された。データを、FACStationのMac
intoshに基づいたコンピュータープラットフォームにおいて操作するCe
ll Quest Analysisソフトウェア(Becton Dicki
nson,Mountain View,CA)を用いて解析した。
【0115】 特定の好ましい試薬および手順においては、標準生理培地(NPM)の使用が
含まれ、この培地を、0.1% BSA、145mM NaCl、5mM KC
l、1.8mM CaCl2、0.8mM MgCl2、10mM Hepes、
10mM グルコース(18.02g/100ml 10ml)で調製し、こ
れはpH 7.3でありかつ290−300 mOsmの浸透圧モル濃度であり
、フィルター滅菌したものであった。破傷風毒素フラグメントC(Sigma)
および抗TnTx(Boehringer Mannheim)の溶液を、それ
らを1:1の割合で一緒に混合して調製し(例えば、1mg 抗TnTxあたり
1mg のTnTxを添加)、4℃で30分反応させた。細胞を、終密度100
0万個細胞/mlになるようにBSAを含むNPM溶液(NPM/BSA)中に
再懸濁した。100万個の細胞あたり1gのTnTx/抗TnTx混合物を使用
し、4℃、1時間インキュベートした.細胞を200×g、4℃で10分間遠心
後、培地上清を除き、残った細胞を10mlのNPM/BSA中に再懸濁した。
この洗浄操作をさらに2度繰り返し、その後終密度1000万個細胞/mlとな
るようにNPM/BSA中に再懸濁した。100万個の細胞あたり1gのPE/
CY5−結合体化ヤギ抗マウスIgG1(Caltag Laboratori
es)、および1gのFITC−ChTx複合体を加え、4℃で1時間インキュ
ベートした。次いで、NPM/BSA中で遠心、洗浄操作を3度繰り返し、続い
て、NPM/BSA中で細胞の終密度が1000万個細胞/mlになるように再
懸濁した。
【0116】 細胞を、前述のように抗A2B5抗体および抗TnTx抗体によって二重に免
疫標識され、FACS電子ゲートによって決定された蛍光サインに基づき4種の
集団(TnTx+/A2B5-、TnTx+/A2B5+、TnTx-/A2B5+
およびTnTx-/A2B5-)に分類した。これら4種の集団を、荷電した生理
食塩水液滴を用いて分別し、荷電プレートによって直接的に適切な各試験管へと
偏向した。次いで、分別した細胞を生理食塩水で2度洗浄し、分別の純度を調べ
るために再分析したが、全ての場合において96%より大きい純度であった。分
別後、細胞の生存力に変化はなく、トリパンブルーまたはPI陽性(死もしく瀕
死の)細胞はどの分別された亜集団についても5%以下であった. (実施例4) (培地条件における血清除去の効果) 24〜72時間の培養期間における培地組成の変化は、再現性のある相対的な
細胞表現型の変化を生じた。不均一なNG1細胞集団を標準培地中に維持した場
合、相対的に高い割合のA2B5+、CnTx+、およびTnTx-細胞が得られ
た。また、NG1細胞の培地を、Neurobasal+N2補充物に変えたと
ころ、A2B5+細胞は26%から5%まで減少した。これは培地の変化によっ
て有意な細胞の減少が見られないことに一致するものであった。細胞がNeur
obasal+N2補充物中にある場合に、ChTx+、TnTx+細胞の割合
が増加することにより同定される、より多くの神経細胞表現型へのシフトが存在
した。培地が標準培地からNeurobasal+N2補充物に変わると、この
ChTx+、TnTx+細胞の割合は、NG1細胞の2%から18%に変化した
(表3)。培地がNeurobasal+N2補充物に変わった場合に、培地誘
導によって代謝変化が起こり表現型がグリア細胞から神経細胞に変化し、これに
一致する形でJCウイルス感受性が完全に消失した.
【0117】
【表3】 (実施例5) (不均一集団より同定される幹細胞/前駆細胞の存在の実証) 最も未分化な状態にある多分化能を有する細胞は、グリア細胞もしくは神経細
胞系統特異的などのようなマーカーも発現することはない細胞であることが予測
される。これらのネガティブな細胞(ChTx−、TnTx−、A2B5−)を
、考えられる「幹/前駆体」状態について試験した。多分化能を有する幹/前駆
細胞は中間径フィラメントタンパクであるネスチンの発現によって同定され得る
。Lendahlら、Cell、60:585−95(1990)を参照のこと
。TnTx−/ChTx−細胞のおよそ95%がネスチン陽性と分類された(表
2および図3参照)。標準培地に比べてNeurobasal+N2補充物を用
いた場合、多分化能を有する細胞集団の存在と一致して、JCウイルス感受性の
劇的な消失がみられた(表2)。これは、存在するNG1細胞系統中に、幹/前
駆体細胞集団が存在していることを実証するものである。
【0118】 本発明に従うTnTx、ChTx、A2B5のマーカーとしての使用が好まし
いが、本発明に従う細胞集団は、これらのマーカーのみによって特徴付けされる
ことには限定されるものではない。特に、他の細胞表現型のマーカーや結合パー
トナー(例えば、細胞表面レセプター、神経伝達物質輸送体、イオンチャンネル
および/またはイオン交換ポンプの有無)は、本発明の細胞および/または細胞
集団の発生段階をさらに特徴付け得る。このようなさらなるマーカー当業者に公
知であり、そして例えば、以下において記載されている:Siegel 199
4;Palmer、Takahashiら、1997;Sah、Rayら199
7;Snyder、Yoonら、1997;Gage 1998;Gage、K
empermannら、1998;Ling、Porterら、1998;Wa
gner、Akerudら、1999;およびGage 2000。詳細には、
例えば、ニューロンは、N型カルシウムチャンネルの発現により同定され得る。
稀突起神経膠細胞は、細胞表面におけるガラクトセレブロシドC(GalC)の
存在により同定され得る。ニューロンの亜集団に対するなおより特異的なマーカ
ーとしては、知覚/痛みの経路に関わる細胞を得るためのμオピオイドレセプタ
ーのようなレセプターに対する抗体の使用が含まれ得る。FACSは同時に3種
類より多くの標識で実行し得、これは、発光スペクトルにおいて分解され得る多
くの標識に基づいて、細胞の選別を可能にする。
【0119】 (実施例6) (表現型のマーカー発現に対するフォルスコリンの効果の欠如) アデニル酸シクラーゼ活性化因子であるフォルスコリンのNG1細胞表現型に
対する効果について調べた。その結果、24時間フォルスコリン(5μM)処理
の時間では、EMEM+10%FBSまたはNeurobasal+N2補充物
中のいずれにおいてにもかかわらず、ChTx、TnTx、またはA2B5の得
られるNG3細胞表現型の発現に対する効果は見られなかった(図1)。
【0120】 (実施例7) (個別の細胞タイプの特徴付けおよび単離) NG1細胞を用いるA2B5および/またはTnTxおよび/またはChTx
および/またはネスチンの二重または三重の免疫標識反応の結果は、発現の定性
的、定量的な相異を示し、そしてこれらの表面エピトープの同時発現は、図1〜
2に示される。フローサイトメトリーにより観察された以下の個別の細胞タイプ
のリストを以下に示す: TnTx−/ChTx−(1) TnTx−/ChTx+(2) TnTx+ChTx−(3) TnTx+/ChTx+(4) A2B5−/TnTx−(5) A2B5+/TnTx+(6) A2B5+/TnTx−(7) A2B5−/TnTx+(8) A2B5−/ChTx−(9) A2B5+/ChTx+(10) A2B5−/ChTx+(11) A2B5+/ChTx−(12) 上記1型の細胞はさらにネスチン+(13型)細胞およびネスチン−(14型
)細胞に分けられ、これらもまたTnTx−/ChTx−である。
【0121】 上記のように同定された細胞は個別の細胞集団を表し、これは選別され得、そ
してさらなる使用のためにおそらく培養され得る。これらの細胞の2つ以上の細
胞集団の最適な混合物の利用もあり得る。標準的なCNSの細胞培養法は確立さ
れている。BankerおよびGoslin、Cellular and Mo
lecular Neuroscience、(1991);Brewerら、
J Neurosci Res、35:567−576(1993);Fres
hney Culture of Anima Cells、Wiley Li
ss、NY、 NY 第3版 1994、そして、本明細書中で引用される他の
参考文献中にもまた示されている。商業的に入手可能である多くの培地処方物が
存在し(Gibco,Gaithersburg、MD)、それらをCNSの細
胞の培養に用いた。培地処方物はまた、塩基性もしくは酸性の線維芽細胞成長因
子、グリア細胞株由来の神経栄養性因子、白血病抑制因子、市販のインターロイ
キン(Gibco,Gaithersburg,MD;R&D Systems
,Minneapolis,MN;Sigma,St.Louis,MO)を含
み、好ましくは、
【0122】
【化3】 インスリン、インスリン様成長因子、毛様神経栄養性因子、脳由来神経栄養性因
子、ニューロトロフィン4、ニューロトロフィン3、骨形成タンパク、神経成長
因子、上皮細胞生育因子、血小板由来成長因子、ソニックヘッジホッグタンパク
およびCNS中の細胞が生存、増殖するための補助となることが知られている市
販の任意の他のタンパク質を含む、成長因子およびサイトカインを含むように補
充され得る。
【0123】 (実施例8) (フローサイトメトリーを用いた個別の細胞集団の分別) CNSの特定の細胞集団に関するインビトロでの研究は、細胞の型を明確に同
定し、迅速に単離する能力に限界があるため困難である.これまでの研究者達は
ニューロン、星状細胞、稀突起神経膠細胞、および他の細胞型の単離のために共
通して選択的培地条件を用いた。しかし、これらの手法は通常、数日から数週間
の培養を要し、この時間の間に細胞の性質が変化し得、もはやインビボにおいて
発現される性質を反映しない。現在存在する特定の細胞集団の濃縮に用いる様々
なポジティブまたはネガティブな選択法は表面エピトープに基づくものである(
すなわちパニングおよび補体溶解)。しかし、多くの抗原性エピトープが、それ
ぞれ異なるタイプの細胞に、それらが発達する間共有されているという事実によ
って、これらの手法は複雑となってしまう。それゆえマーカーの組み合わせが特
定の細胞集団の同定および単離に必要となる。分別用に設定されたフローサイト
メトリーを用いると、複数の表現型または機能的な細胞マーカーの有無だけでな
くこれらのマーカーの相対強度にさえ基づいても、非常に純度の高い特異的な細
胞集団を単離することができる。
【0124】 細胞の分別は、表面エピトープの発現または欠失に基づく。細胞を、抗A2B
5および/またはコレラ毒素および/またはTnTxおよび/またはネスチン抗
体を前述のように二重または三重に免疫標識し、そしてFACS電子ゲートによ
って決定されたそれらの蛍光サインに基づいて14の集団に分類した。引用され
ている情報に基づき、上に示した14の細胞型およびその混合物を、荷電された
生理食塩水滴によって分別され得、これは、荷電プレートによって直接適当な試
験管に偏向させられ得る(Maricら、Neuromethods、33:2
87−318(1999)を参照のこと)。
【0125】 (実施例9) (標準培地もしくはNeurobasal+N2補充物中で培養されたSVG
細胞のJCウイルス感染) JCウイルスはヒト中枢神経系におけるグリア表現型細胞に対して向性を有す
る。JCVは培地中またはヒト脳においてインサイチュでのいずれかで神経細胞
表現型の細胞中では増殖しない。Atwoodら、J Neurovirol、
1:40−9(1995);Majorら、Clin Microbiol R
ev、5:49−73(1992)。
【0126】 50回継代したNG1細胞を半コンフルエントな単層からトリプシン処理した
後、複数の75cmフラスコに1フラスコあたり1×106個になるように、ま
たは35mmウェル中のガラス製カバーグラス上にプレーティングした。細胞を
、10%FBSを含むE−MEM培地中で一晩接着させた。次いで、フラスコま
たはカバーグラスの半数にはNeurobasal+N2補充物を再び供給し、
残りの半数には新たに調製した標準培地を再び供給した。なお、全ての培地には
抗生物質として25μg/mlのゲンタマイシンを加えた。
【0127】 48時間後、細胞を、細胞あたり0.1〜1.0感染粒子/細胞の感染多重度
となるよう90分間JC Virus mad−4株調製物で処理し、次いで、
EMEMまたはNeurobasal+N2補充物のいずれかを再び供給した。
【0128】 培養液を、37℃で7日間インキュベートし、その後細胞および上清を回収し
、そしてウイルスの増殖を測定するための赤血球凝集アッセイ(HA)のために
処理した。HAアッセイを、2倍に段階希釈したヒトO型赤血球を用い、すでに
公開されているプロトコールに従って行った[Neelら、 Proc Nat
l Acad Sci 93:2690−2695(1996)。
【0129】 カバーグラスをPBSで洗浄し、アセトン/メタノール混合溶液を用いて固定
化し、そしてJCウイルス抗原の免疫細胞化学分析に用いた。固定化された細胞
を、JCVキャプシド抗原に対してウサギポリクローナル抗血清を用いて37℃
、2時間処理し、洗浄し、そしてマウスフルオレセイン結合体化抗ウサギIgG
で処理した。この細胞を、UV光検査に適したフィルターおよびキセノンアーク
ランプを装備しているZeiss製 ICM405倒立顕微鏡を用いて検査した
【0130】 10% FBSを含むEMEM中で培養を行ったフラスコのみが、7日間感染
後に1mlあたり1:256のポジティブHAタイターを示し、また、抗JCV
キャプシド抗体を用いてキャプシド抗原の発現によって決定されるように、35
−40%の細胞が感染していることがまた、示された。JCVキャプシドポジテ
ィブ細胞のこの割合は同じように処理されたNG1細胞を用いたより初期の実験
データと一致する.HouおよびMajor、J Neurovirol、4:
451−456(1998)。Neurobasal+N2補充物中で培養され
た細胞は、HA力価だけでなく抗JCV抗体を用いた免疫蛍光もみられなかった
。従って、SVG細胞は、代謝的には、より神経細胞表現型にシフトし(TnT
x+の増加およびA2B5の減少)、これらはもはやJCウイルスの増殖を維持
できななった。
【0131】 (実施例10) (NG1およびNG3細胞は異なるレベルの栄養因子を分泌する) SVG由来細胞は神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)
、ニューロトロフィン−3(NT−3)、トランスフォーミング増殖因子1(T
GFβ1)、血管内皮成長因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)
および線維芽細胞成長因子2(FGF−2;aa basic FGFとしても
また知られる)を含む多くの栄養因子を分泌することができる。表4は、培地が
Neurobasal+N2補充物である場合に、EMEM+10%FBSと比
較して、SVG細胞分泌の栄養因子分泌量が変化することを示している。特に、
EMEM+10%FBSと比較して、Neurobasal+N2補充物におい
てはBDNFの分泌が減少する。FBSを含まないEMEMにおけるBDNFの
分泌は、EMEM/FBSにおける分泌とほぼ同じであった(34.1)。従っ
て、EMEM+10%FBSにおける高レベルのBDNFは、血清中のBDNF
の存在によるものではない。この栄養因子分泌データは、EMEM+10%FB
S細胞培養培地と比較して、Neurobasal+N2培地に基づくSVG由
来細胞の表現型のさらなる違いを提供する。
【0132】
【表4】 ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)はNG1細胞(EMEM+10%FBS
)またはNG3細胞(Neurobasal+N2)を用いて馴化された培地か
ら得る。細胞を、ウェルあたり0.9mlの培地が入っている6ウェルプレート
(ウェルの直径35mm)中で培養した。サイトカイン濃度はpg/105細胞
×48時間である.「0」は、このアッセイの検出限界以下の光学密度であるこ
とを表す。R&D Systems(Minneapolis,MN)のVEG
FおよびPDGF用ELISAキット、ならびにPromega(Madiso
n,WI)のBDNFおよびNGF用ELISAキットを用いて、製造業者によ
る使用説明書に従ってアッセイを行った。これらの製造業者は、NT−3用、T
GF1β用、およびFGF−2用のELISAキットも販売している。
【0133】 (実施例11) (NG1細胞およびNG3細胞は形態学的に区別し得る) NG1細胞(EMEM+10%FBS)の特性は平らな上皮様(epithe
loid)形態をとることである(図4A)。しかし、NG3細胞(Neuro
basal+N2=NB+N2)は、神経球(neurosphere)様の塊
を形成する(図3B)。正常ヒト神経前駆細胞(NHNP)(Clonetic
s,Frederick,MD)は多分化能を有する細胞であり、神経細胞また
はグリア細胞に分化し得る。これらのNHNP細胞(図3C)は、細胞の塊とし
てはNG3細胞と形態学的に同一のように思われる。このようにNG3細胞の形
態学的特徴は、以前に観察されたようにヒト多分化幹/前駆細胞と一致し、これ
が神経球と名付けられた(ReynoldsおよびWeiss、Science
、255:1707−1710(1992))。NG3細胞がこれらの神経球様
の塊形成するためにEGFまたはFGF−2といった分裂因子を必要しないこと
、およびNG3細胞が増殖性の状態を維持することは驚きであった。これらの神
経球様の塊はNB+N2中で30日より長い培養期間の後に形成された。
【0134】
【表5】 本明細書中で言及されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも
各刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個々に参考として本明細書中に援
用されることが示されるのと同程度に、本明細書中に参考として援用される。前
述の発明は、理解の明確さの目的のために図示または実施例としていくぶん詳細
に記載されたが、特定の変化および改変が添付の特許請求の範囲内で実施され得
ることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1:胎仔ウシ血清を含む培地または血清を含まない培地において培養された
SVG P50細胞の免疫同定を示し、ここで、比較は、コントロールとフォル
スコリン(forskolin)処理との間で提供される。この例において、分
析は、生細胞に対してゲートをかけた。生NG1細胞および生NG3細胞の三重
標識の特徴付けを示す。標識されたNG1細胞の蛍光発光の結果を、パネルA〜
Fに示し(パネルA〜Cはコントロールであり、パネルD〜Fはフォルスコリン
処理である)、そして標識されたNG3細胞は、パネルG〜Lに示す(パネルG
〜Iはコントロールであり、パネルJ〜Lはフォルスコリン処理である)。パネ
ルA、D、GおよびJは、A2B5−フィコエリトリン(PE)標識対TnTx
−Tc標識の結果を示し、そしてパネルB、E、HおよびKは、ChTx−FI
TC標識対TnTx−TC標識の結果を示し、そしてパネルC、F、IおよびL
は、ChTx−FITC標識対A2B2−PE標識の結果を示す。各パネルは4
つの区分または象限に分けられ、ここで各区分は、UL(上の左)、UR(上の
右)、LL(下の左)およびLR(下の右)と名づけられ、各区分に対する陽性
細胞の数は、パネルの右に示す。上の左(UL)は、X軸標識に対して陰性かつ
Y軸標識に対して陰性である細胞を示す。上の右(UR)は、X軸標識およびY
軸標識の両方に対して陽性である細胞を示す。下の左(LL)は、X軸標識およ
びY軸標識の両方に対して陰性である細胞を示す。下の右(LR)は、X軸標識
に対して陽性かつY軸標識に対して陰性である細胞を示す。図1は、Neuro
balsal+N2培地(NG3細胞)と比較した、細胞表面マーカーの発現に
対する血清培養培地(NG1細胞)の効果を示す。NG3細胞は、NG1細胞と
比較して、TnTx+細胞における増加(A対GにおけるUL)およびA2B5
+細胞における減少(A対GにおけるLR)を有する。特に、NG1細胞または
NG3細胞においてフォルスコリンに起因した大きな変化はなかった。詳細には
、TnTx+細胞において増加は存在せず(B対EおよびH対KにおけるUR)
、このことは、フォルスコリンに起因する神経系統細胞における増加が存在しな
かったことを示す。
【図2】 図2:抗ChTx−FITC、抗TnTx−PE/Cy5および抗ネスチンP
Eを用いた、血清を含まない培地で培養されたSVG P50細胞の免疫同定。
NG3細胞の3重標識の特徴付けは、ChTx、TnTxおよびネスチンに対す
る標識を用いて実施した。パネルA〜Cは、各マーカー(TnTx、ChTxま
たはネスチン)に対する個別の蛍光シグナルの相対強度を示す。従って、優性に
ChTx+細胞(A)、まれにネスチン+細胞(B)、そして通常のNG3細胞
の集団中に観察されるTnTx−細胞(C)が大部分で存在した。パネルD〜F
は、示されるマーカーを用いて標識された生細胞の結果を示し(すなわち、パネ
ルDは、TnTx−TC(フラグメントC)標識対ネスチン−PE標識を示し;
パネルEは、TnTx−TcおよびChTx−FITC標識を示し;そしてパネ
ルFは、ネスチン−PEおよびChTx−FITC標識を示す)、ここで、各象
限における細胞のパーセントは、図1に関して上記されるように、各パネルの左
に提供される。パネルG〜Kの試験により、ネスチン+細胞が富化されそしてパ
ネルGの右の部分に単離されたことが示された。ChTx−/TnTx−である
NG3細胞は、97.6%ネスチン+であると見出された。最も高い強度のネス
チン+細胞は、ChTx−/TnTx−であるNG3細胞の中に優先的に見出さ
れた。
【図3】 図3:例えば実施例11にさらに記載されるように、(A)10%FBS中の
SVG EMEM、(B)SVG NB+N2、および(c)NHNP NB
+N2のスキャンされた写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/15 G01N 33/50 Z 33/50 33/53 D 33/53 C12N 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU ,ZA,ZW (71)出願人 ザ ガバメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ アズ リプ レゼンテッド バイ ザ セクレタリー オブ ザ デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシズ アメリカ合衆国・メリーランド州 20852・ロックビル・エグゼクティブ ブ ールバード 6011・スィート 325・シー /オー ナショナル インスティテュート オフ ヘルス (72)発明者 マジャー, ユージーン オー. アメリカ合衆国 バージニア 22101, マクリーン, ハンプトン ヒル サーク ル 1452 (72)発明者 バーカー, ジェフェリー エル. アメリカ合衆国 メリーランド 20814, ベゼスダ, ブラッドリー ブールバー ド 5811 (72)発明者 マリック, ドラガン アメリカ合衆国 メリーランド 20878, ゲイザースバーグ, クインス オーチ ャード ブールバード 750 (72)発明者 ラビン, ハーベイ アメリカ合衆国 メリーランド 20852, ロックビル, ラルストン ロード 11021 (72)発明者 サンドラー, アビイ アメリカ合衆国 メリーランド 20904, シルバー スプリング, モーツァルト ドライブ 2901 Fターム(参考) 2G045 AA40 BB13 CB01 DA36 FB01 FB02 FB03 FB07 FB12 4B063 QA18 QQ08 QR48 QS02 QS33 QS36 4B065 AA93X AB01 AC20 BA06 BB19 BB21 BB25 BB34 CA44 4C087 AA01 AA02 BB45 BB63 CA04 MA67 NA14 ZA02 ZA15

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不死の多能性細胞を含む単離された中枢神経系細胞株であっ
    て、該多能性細胞が、神経細胞またはグリア細胞へ分化する能力を有する、細胞
    株。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の細胞株であって、ここで、前記中枢神経系
    由来の細胞株が、ヒト中枢神経系に由来する、細胞株。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の単離された多能性細胞。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の細胞であって、該細胞が、以下:TnTx
    −/ChTx−、TnTx+/ChTx+、TnTx+/ChTx−、TnTx
    +/ChTx+、A2B5−/TnTx−、A2B5+/TnTx−、A2B5
    −/TnTx+、A2B5−/ChTx−、A2B5+/ChTx+、A2B5
    −/ChTx+、A2B5+/ChTx−、TnTx−/ChTx−/ネスチン
    +、およびTnTx−/ChTx−/ネスチン−からなるからなる群より選択さ
    れるマーカーの組み合わせによって特徴付けられる、細胞。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の細胞株から誘導される、単離された細胞ま
    たは組織。
  6. 【請求項6】 生物学的に活性なペプチドまたはタンパク質をコードする異
    種核酸配列をさらに含む、請求項3に記載の細胞。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の細胞であって、ここで、前記生物学的に活
    性なペプチドまたはタンパク質が、疾患関連ペプチドまたはタンパク質である、
    細胞。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の細胞であって、ここで、前記生物学的に活
    性なペプチドまたはタンパク質が、酵素、栄養因子、サイトカインまたは疾患関
    連抗原である、細胞。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の細胞であって、ここで、前記酵素が、チロ
    シンヒドロキシラーゼ、GTPCH1、AADCおよびVMAT2からなる群よ
    り選択され;前記栄養因子が、GDNF、VEGF、BDNF、NGF、bFG
    F 【化1】 、CNTF、PDGF、BMP、LIF、ノイロチュリン、ペルセフィン、ノイ
    ブラスチン、NT4/5、NT3、ミッドカインからなる群より選択され;前記
    サイトカインがIL−10およびIL−6からなる群より選択される、細胞。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の細胞であって、ここで、前記核酸が、転
    写プロモーターに作動可能に連結される、細胞。
  11. 【請求項11】 請求項8に記載の細胞であって、ここで、前記核酸が、調
    節可能なプロモーター系に作動可能に連結される、細胞。
  12. 【請求項12】 請求項3に記載の細胞を含む、単離されたかまたは精製さ
    れた細胞集団。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の細胞集団であって、ここで、該細胞集
    団が、細胞のNG1、NG2、およびNG3集団からなる群より選択される、細
    胞集団。
  14. 【請求項14】 多能性細胞を同定する方法であって、該方法は、細胞サン
    プル中の、TnTxに対する細胞由来の結合パートナー、ChTxに対する細胞
    由来の結合パートナー、および必要に応じて、A2B5抗体に対する細胞由来の
    結合パートナーの存在または非存在について測定する工程を包含し、該細胞サン
    プルは、多能性細胞を含むと考えられている、方法。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の方法であって、ここで、前記多能性細
    胞が、胎児中枢神経系由来の細胞である、方法。
  16. 【請求項16】 請求項13に記載の方法であって、ここで、該方法が、少
    なくとも1つの因子が前記細胞に結合する条件下で、前記サンプルを、該少なく
    とも1つの因子と混合する工程であって、該因子は、TnTxに対する細胞由来
    の結合パートナー、ChTxに対する細胞由来の結合パートナーおよびA2B5
    抗体に対する細胞由来の結合パートナーの少なくとも1つに特異的に結合する、
    工程、ならびに該結合を検出する工程であって、ここで、該結合が、前記多能性
    細胞の存在を示す工程、を包含する、方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の方法であって、ここで、A2B5結合
    パートナーを結合する前記因子が、A2B5抗体またはそのフラグメントであり
    ;ChTxの結合パートナーを結合する該因子が、ChTx結合パートナー抗体
    もしくはそのフラグメントまたはChTxもしくはそのフラグメントであり;そ
    して、TnTxの結合パートナーを結合する該因子が、TnTx結合パートナー
    抗体もしくはそのフラグメントまたはTnTxもしくはそのフラグメントである
    、方法。
  18. 【請求項18】 請求項14に記載の方法であって、該方法が、前記サンプ
    ルをヒトネスチンに特異的に結合する因子と混合する工程、および該サンプル中
    で前記リガンドがネスチンに結合するか否かを検出する工程をさらに包含する、
    方法。
  19. 【請求項19】 請求項14に記載の方法であって、ここで、前記リガンド
    が、検出可能な標識を含み、そして、必要に応じて、前記混合する工程が、該リ
    ガンドに結合するさらなる検出可能な成分の添加をさらに含む、方法。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の方法であって、ここで、前記検出可能
    な標識が蛍光である、方法。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載の方法であって、ここで、前記検出が、
    前記細胞を蛍光活性化されたセルソーターを用いて分析する工程をさらに包含す
    る、方法。
  22. 【請求項22】 請求項14に従って同定された細胞を分離する工程を包含
    する、多能性細胞を精製する方法。
  23. 【請求項23】 細胞の集団を多能性の胎児神経系由来細胞を用いて富化す
    る方法であって、該方法が、該集団を血清の存在下で培養し、続いて該集団を血
    清を含まない培地中で培養する工程を包含する、方法。
  24. 【請求項24】 請求項23に記載の方法であって、ここで、前記集団が、
    クライシスを介して血清を含む培地中に継代される、方法。
  25. 【請求項25】 多能性の胎児神経系由来細胞を用いて該多能性細胞を含む
    細胞集団を富化する方法であって、該方法が、クライシスを介して血清を含む培
    地中に該集団を継代する工程であって、ここで、クライシスから出現する該集団
    が、該多能性細胞を用いて富化される工程、を包含する、方法。
  26. 【請求項26】 請求項23に記載の方法によって産生される、細胞集団。
  27. 【請求項27】 請求項24に記載の方法によって産生される、細胞集団。
  28. 【請求項28】 請求項25に記載の方法によって産生される、細胞集団。
  29. 【請求項29】 前記集団がSVG細胞株から誘導される、請求項23に記
    載の方法。
  30. 【請求項30】 前記集団がSVG細胞株から誘導される、請求項24に記
    載の方法。
  31. 【請求項31】 前記集団がSVG細胞株から誘導される、請求項25に記
    載の方法。
  32. 【請求項32】 神経性症候群または神経性疾患を有する哺乳動物を処置す
    る方法であって、該方法が、請求項4に記載の少なくとも1つの細胞を含む治療
    的有効量の組成物を該哺乳動物に移植する工程を包含する、方法。
  33. 【請求項33】 請求項3に記載の細胞を含む、単離された細胞の塊。
  34. 【請求項34】 神経球の形態である、請求項33に記載の塊。
JP2000605724A 1999-03-18 2000-03-17 細胞、細胞集団ならびにそれらを作製する方法およびそれらを使用する方法。 Pending JP2003524396A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US12488999P 1999-03-18 1999-03-18
US60/124,889 1999-03-18
PCT/US2000/006940 WO2000055306A1 (en) 1999-03-18 2000-03-17 Cells, cell populations, and methods of making and using same

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003524396A true JP2003524396A (ja) 2003-08-19
JP2003524396A5 JP2003524396A5 (ja) 2007-04-05

Family

ID=22417290

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000605724A Pending JP2003524396A (ja) 1999-03-18 2000-03-17 細胞、細胞集団ならびにそれらを作製する方法およびそれらを使用する方法。

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP1161523A4 (ja)
JP (1) JP2003524396A (ja)
AU (1) AU3751800A (ja)
WO (1) WO2000055306A1 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999011758A2 (en) * 1997-09-05 1999-03-11 Cytotherapeutics, Inc. Cultures of human cns neural stem cells

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5750376A (en) * 1991-07-08 1998-05-12 Neurospheres Holdings Ltd. In vitro growth and proliferation of genetically modified multipotent neural stem cells and their progeny
US5851832A (en) * 1991-07-08 1998-12-22 Neurospheres, Ltd. In vitro growth and proliferation of multipotent neural stem cells and their progeny
US5753491A (en) * 1993-04-13 1998-05-19 Us Health Use of neuro-derived fetal cell lines for transplantation therapy

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999011758A2 (en) * 1997-09-05 1999-03-11 Cytotherapeutics, Inc. Cultures of human cns neural stem cells

Also Published As

Publication number Publication date
EP1161523A4 (en) 2003-04-02
WO2000055306A1 (en) 2000-09-21
AU3751800A (en) 2000-10-04
EP1161523A1 (en) 2001-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7795021B2 (en) Lineage restricted glial precursors from the central nervous system
AU755657B2 (en) Lineage-restricted neuronal precursors
JP4848538B2 (ja) ヒトcns神経幹細胞の培養
AU678988B2 (en) Mammalian multipotent neural stem cells
AU764499B2 (en) Use of collagenase in the preparation of neural stem cell cultures
US20030223972A1 (en) Myelination of congenitally dysmyelinated forebrains using oligodendrocyte progenitor cells
US20130017179A1 (en) Lineage-Restricted Neuronal Precursors
JP2003525034A (ja) 末梢組織由来の多分化能神経幹細胞及びその利用
WO1997007200A9 (en) Adult oligodendrocyte precursor cell compositions and methods
WO1997007200A1 (en) Adult oligodendrocyte precursor cell compositions and methods
JP2002518043A (ja) 上衣神経幹細胞とその分離方法
JP2003524396A (ja) 細胞、細胞集団ならびにそれらを作製する方法およびそれらを使用する方法。
US20080118480A1 (en) Methods and Compositions for Directing Migration of Neural Progenitor Cells
JP2004528019A (ja) 神経下垂体からのo−2a前駆多能性細胞
MXPA00000225A (en) Lineage-restricted neuronal precursors

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070215

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100506

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101118