JP2003523864A - 母線システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明による母線システムは、その有効性を、好ましくは接続されたスレーブ（２）内に含まれている抵抗回路網の助けをかりて監視される冗長性の母線システムを有するものとして構成される。検出器（９）により各抵抗回路網の、母線システムの有効性に関係する電位状態が評価される。特に有利なのは自動車内での応用である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 母線システム、特に自動車用の母線システムにおいて、各々エネルギとデータ
とを伝送する少なくとも２つの電気的に並列に接続された母線導線と、母線導線
に接続されたエネルギ供給源と、母線導線に接続され、データを注入するマスタ
と、母線導線に接続され、母線導線を経て受信したデータに関係して各々少なく
とも１つの負荷を駆動する複数個のスレーブとを持つ母線システムに関する。

【０００２】 米国特許第４０９９１５７号明細書から、自動車で単線導線をエネルギとデー
タの伝送に用い、自動車のシャーシを戻り導線として用いることは公知である。
単線導線は、ここで自動車の状態監視システムに用いている。このシステムは、
直流電圧源、特別な状態を監視するセンサ、センサ状態に反応する検出器、検出
器により駆動される負荷回路および監視した状態を報知する表示器を含む。

【０００３】 往きと戻りの導線のみを持つ母線システムは、確かに複数の負荷への供給のた
めに単一の導線しか必要としな利点を有するが、母線システムの故障時に全負荷
が動作不能になる。例えば自動車のような多くの用途では、高い動作可能性が要
求される。例えば事故による母線システムの故障時に、直接的に損傷していない
自動車内の負荷は、他の負荷と無関係に使用可能であるのが望ましい。

【０００４】 従って、本発明の課題は、高い動作可能性を保証し、かつ故障の際に相応の警
報を発する母線システムを提供することである。

【０００５】 この課題は、請求項１の特徴を有する母線システムにより解決される。この母
線システムは、その電位状態が母線導線の有効性と関係し、かつ母線導線と、電
位状態に関係して母線システムの有効性に関する報知信号を発する検出器とに接
続された抵抗回路網を有する。

【０００６】 母線導線の冗長的な設計により、母線導線の欠陥、例えば断線や短絡時に、母
線システムに接続された負荷が少なくとも１つの別の母線導線を経て作動するこ
とを保証できる。追加的な抵抗回路網は母線システムの監視を可能にし、また障
害が検出器により報知された後にその迅速な除去を可能にする。

【０００７】 本発明の有利な実施例は、請求項１ないし７に挙げてある。

【０００８】 母線システムを、部品の高い動作可能性を要する自動車に用いると特に好まし
い。それに応じ、母線システムは自動車内のエネルギ供給源に接続され、負荷は
自動車部品、例えばランプ、マスタインターロックのドライブ機構等である。

【０００９】 特に有利な実施例では、母線導線が単線母線導線として構成され、各戻り導線
としての役割を自動車のシャーシが果たす。

【００１０】 さらに、スレーブを異なる順序で母線導線に接続すると有利である。こうする
と、二重の断線の際にエネルギおよびデータ供給を、少なくとも１つの母線導線
を経て保証できる利点が生ずる。例えば自動車事故に伴う母線システムの部分障
害は、自動車内の母線導線の布設経路が少なくとも部分的に異なるなら、直接的
に該当しない負荷への供給には影響しない。

【００１１】 検出器を含む抵抗回路網をスレーブや付属の分岐路内に入れることで、好適な
方法で当該の分岐路の有効性に関する報知が行える。このことは、欠陥を除くた
めの、該当する障害個所の発見を容易にする。特に簡単な構成では、抵抗回路網
を実際上等しいインピーダンス値を持つオーム抵抗で構成する。

【００１２】 抵抗回路網を、各母線導線と共通の接続点の間に各々オーム抵抗が位置し、ま
た共通の接続点がオーム抵抗を介して戻り導線と接続される構成にするとよい。

【００１３】 以下、本発明の実施例を図面により一層詳細に説明する。

【００１４】 図１は、２つの並列接続した単線母線導線１を有する母線システムを示し、そ
れに２つのスレーブ２が接続されている。スレーブ２を介して負荷Ｖ１、Ｖ２が
駆動可能である。駆動は、母線導線１を経てスレーブ２に受信されるデータに関
係して行う。他方では、スレーブ２にスイッチおよびセンサも接続されており、
それらの状態が各スレーブ２からマスタＭに母線導線１を経て帰還報知される。
データ伝送と電気的エネルギ供給のため、両母線導線１を入力側でマスタＭおよ
びエネルギ供給Ｅに接続している。エネルギ供給Ｅは、ここでは母線電圧を与え
る電圧源である。しかし基本的には電流源も使用できる。ここに示す母線システ
ムは、戻り導線がシャーシにより与えられる自動車に応用するのに適する。

【００１５】 他の用途に対し、複数の二線導線を使用することが基本的に可能であり、一方
の導線は往き導線として、また他方の導線は戻り導線としての役割を果たす。

【００１６】 各スレーブ２は、２つの逆電圧保護ダイオード４を介して両母線導線１に接続
された集積回路３を含む。逆電圧保護ダイオード４は、スレーブ２の誤接続時、
誤った電流方向に基づきここには示さない部品が損傷するのを防ぐ。さらに各ス
レーブ２は、等しいオーム抵抗から構成した抵抗回路網を有し、この抵抗回路網
は一方では母線導線１と、他方では検出器５と接続される。抵抗回路網はここで
は３つの等しいオーム抵抗Ｒからなり、各抵抗Ｒは母線導線１と、検出器５が接
続された共通の接続点６の間に位置する。接続点６と接地点７の間に、第３のオ
ーム抵抗Ｒが位置する。検出器５で監視される共通の接続点６の電位状態は、各
スレーブ２にデータとエネルギを供給する母線システムの有効性の状態を表示す
る。両方の母線導線１が無障害なら、即ちそれらにエネルギ供給源Ｅから電圧が
供給されているなら、検出器５で検出する電圧は母線電圧の２／３である。両母
線導線１の断線時には、接続点６で半分の母線電圧が検出される。

【００１７】 しかし、断線個所の前方に位置する導線区間は該当しない。即ちこの区間に位
置するスレーブ２については、母線システムの有効性が不変に高い。

【００１８】 両母線導線１は、エネルギ供給源Ｅ付近のその始端で各々ヒューズ８により保
護されている。ヒューズ８は接地点７に向けての短絡時に断線するので、ヒュー
ズ８を経るデータとエネルギ伝送は完全に遮断される。２つの母線導線１を持つ
この母線システムでヒューズ８の１つが断線すると、検出器５により接続点６に
おいて、母線電圧の１／３の大きさに過ぎない電圧が検出される。各々の検出器
５が母線システムの有効性の各状態を表示する報知信号９を発する。

【００１９】 スレーブ２は負荷Ｖ１、Ｖ２、例えばセントラルロッキング機構のランプおよ
び駆動機構を駆動する。

【００２０】 図２は、自動車における簡単化した形態での本発明による母線システムの応用
例を示す。両母線導線１は、相異なる布設路を経てランプとして存在する負荷Ｖ
１、Ｖ２、Ｖ３およびＶ４と接続される。両母線導線１は自動車の正面部分でエ
ネルギ供給源ＥとマスタＭに接続されており、この例では、この接続は両負荷Ｖ
１とＶ２の間の接続個所で行われる。自動車の正面部分でも背面部分でも、両母
線導線１は並列に導かれており、他方、正面から背面への、又はその逆の接続は
相異なる経路で行われる。負荷Ｖ１〜Ｖ４が両方の母線導線１に接続された相異
なる順序およびそれらの少なくとも部分的に相異なる布設路は、自動車のコーナ
部分の損傷時に生じるような一連の欠陥の際に、損傷していない負荷に、少なく
ともなお部分的に利用可能な母線システムを経て給電することを可能にする。

【００２１】 図３は、コーナ範囲の障害に相応する、相異なる欠陥の組み合わせ時の、４つ
の負荷Ｖ１〜Ｖ４への供給を示す。欠陥Ｆ１〜Ｆ８として、図３中に示す個所で
の導線の断線を仮定する。

【００２２】 下記の表は、種々の欠陥組み合わせ時の有効性を示す。

【表１】

【００２３】 欠陥組み合わせＦ１／Ｆ２、Ｆ３／Ｆ４、Ｆ５／Ｆ６、Ｆ７／Ｆ８は、負荷Ｖ
１、Ｖ２、Ｖ３およびＶ４が位置するコーナ範囲の障害に相応する。マトリック
ス内の＋印は負荷への供給を示し、＋で母線導線１を経ての供給を、また二重の
＋＋で両方の母線導線を経ての供給を示す。* 印は当該の負荷の障害を示す。

【００２４】 マトリックスは、自動車における大きい事故障害の際でも、直接的に該当しな
い負荷への引き続いての給電が可能であることを示す。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による母線システムの構成を示す。

【図２】 自動車における本発明による母線システムを簡単化した形態で示す。

【図３】 相異なる順序で負荷を接続された２つの母線導線の原理的な回路を示す。

【符号の説明】

１ 母線導線 ２ スレーブ ３ 集積回路 ４ 逆電圧保護ダイオード ５ 検出器 ６ 接続点 ７ 戻り導線、シャーシ、接地点 ８ ヒューズ ９ 報知信号 Ｅ エネルギ供給源 Ｆ 欠陥 Ｍ マスタ Ｖ１〜Ｖ４ 負荷

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 母線システム、特に自動車用母線システムにおいて、各々エ
   ネルギとデータを伝送する少なくとも２つの電気的に並列に接続された母線導線
   （１）と、該導線（１）に接続されたエネルギ供給源（Ｅ）と、母線導線（１）
   に接続され、データを注入するマスタ（Ｍ）と、母線導線（１）に接続され、該
   導線（１）を経て受信したデータに関係して各々少なくとも１つの負荷（Ｖ１、
   Ｖ２）を駆動し、又はスイッチおよびセンサの入力状態又は帰還報知をマスタ（
   Ｍ）に与える複数個のスレーブ（２）とを有する母線システムにおいて、 電位状態が母線導線（１）の有効性と関係し、かつ母線導線（１）と、電位状
   態に応じて母線システムの有効性に関する報知信号（９）を発する検出器（５）
   とに接続された抵抗回路網（Ｒ）を持つことを特徴とする母線システム。
2. 【請求項２】 自動車内のエネルギ供給源（Ｅ）に接続されており、負荷（
   Ｖ１、Ｖ２、Ｖ３、Ｖ４）が自動車部品、例えばセントラルロッキング機構のラ
   ンプおよび駆動機構であることを特徴とする請求項１記載の母線システム。
3. 【請求項３】 母線導線が単線の母線導線として構成され、かつ自動車のシ
   ャーシが各戻り導線の役割を果たすことを特徴とする請求項１又は２記載の母線
   システム。
4. 【請求項４】 スレーブ（２）が異なる順序で母線導線（１）に接続された
   ことを特徴とする請求項１ないし３の１つに記載の母線システム。
5. 【請求項５】 自動車内の母線導線（１）の布設経路が少なくとも部分的に
   異なることを特徴とする請求項１ないし４の１つに記載の母線システム。
6. 【請求項６】 抵抗回路網が実際上等しいインピーダンス値を持つオーム抵
   抗（Ｒ）から構成されたことを特徴とする請求項１ないし５の１つに記載の母線
   システム。
7. 【請求項７】 各母線導線（１）と共通の接続点（６）との間に各々オーム
   抵抗（Ｒ）が位置し、かつ共通の接続点（６）がオーム抵抗（Ｒ）を介して戻り
   導線（７）と接続するように抵抗回路網が構成されたことを特徴とする請求項１
   ないし６の１つに記載の母線システム。