JP2003521881A - ローソニア由来の遺伝子及び関連OmpHポリペプチド、ぺプチド及びタンパク質並びにそれらの使用 - Google Patents

ローソニア由来の遺伝子及び関連OmpHポリペプチド、ぺプチド及びタンパク質並びにそれらの使用

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JP2003521881A
JP2003521881A JP2000618321A JP2000618321A JP2003521881A JP 2003521881 A JP2003521881 A JP 2003521881A JP 2000618321 A JP2000618321 A JP 2000618321A JP 2000618321 A JP2000618321 A JP 2000618321A JP 2003521881 A JP2003521881 A JP 2003521881A
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パナッキオ,マイケル
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オーストラリアン ポーク リミティッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は一般にローソニア・イントラセルラリス又は類似の若しくは他の類縁微生物により惹起され若しくは再燃された動物及び鳥の腸疾患状態の治療及び/又は予防のための治療用組成物に関する。特に、本発明は、動物宿主におけるローソニア・イントラセルラリス及び関連する病原体に対する体液性免疫を付与するためのワクチン調製における抗原としてとりわけ有用な免疫原性OmpHぺプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードするローソニア・イントラセルラリス由来の新規な遺伝子を提供する。本発明はこのような腸疾患状態の治療法及び/又は予防法にも関し、そしてローソニア・イントラセルラリス又は類似の若しくは他の類縁微生物を検出するための診断薬及び診断方法にも関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は、一般的に、ローソニア・イントラセルラリス若しくは同類の微生物
若しくは他の類縁の微生物により動物及び鳥類で惹起され又は悪化させられる腸
の病状を治療する及び/又は予防する治療用組成物に関する。具体的には、本発
明は、ローソニア・イントラセルラリスに由来し且つ免疫原のペプチド、ポリペ
プチド又はタンパク質をコードする新規な遺伝子を提供する。本明細書に記載さ
れOmpHと名付けられたポリペプチド、又はそのペプチドの同族体、類似体、
若しくは誘導体は、動物宿主中のローソニア・イントラセルラリス及び類縁の病
原菌に対する体液免疫を付与するためのワクチン調製において抗原として特に有
用である。本発明は、このような腸の疾病状態の治療方法及び/又は予防方法、
並びにローソニア・イントラセルラリス又は同類の微生物又は他の類縁の微生物
を検出するための診断薬及び診断方法にも関する。
【0002】 一般 本明細書中、数字で言及される刊行物の書誌的詳細は、本明細書の最後に集め
られている。本明細書で引用される全ての特許、特許出願、及び刊行物は参照に
よりその全体がインコーポレートされる
【0003】 以下の本明細書で「ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellul
aris)」又はその略語の「L.イントラセルラリス(L. intracellularis)」に
ついての言及は、スティルス(1991)又はジョーンズら(1997)又はローソンら
(1993)又はマックオリストら(1995)により記載されたように、この微生物に
同類の又は他の類縁の微生物全てを包含する。
【0004】 本明細書で用いるとき、用語「ompH」又は「ompH遺伝子」は、本発明
のOmpHポリペプチドをコードする遺伝子を指すものと解すべきである。
【0005】 本明細書で用いられるとき、「に由来する」という用語は、明記される生産物
、とりわけペプチド、ポリペプチド、タンパク質、遺伝子若しくは核酸分子など
の高分子、抗体分子、Ig画分、又は他の高分子、又は該高分子を含む生物試料
が、特定の起源、生物、組織、器官又は細胞から得られうるが、必ずしも直接的
にこの起源、生物、組織、器官又は細胞から得られるわけではないことを示して
いると解釈されるべきである。
【0006】 本明細書を通して、文脈が他の意味を要求しない限り、「含む(comprise)」と
いう単語、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変形
は、明記した工程若しくは要素若しくは整数又は工程若しくは要素若しくは整数
の群の包含を意味するが、任意の他の工程若しくは要素若しくは整数又は要素若
しくは整数の群の排除を意味するわけではないと理解されるべきである。
【0007】 当業者は、本明細書に記載された本発明が具体的に記載されたもの以外の変形
及び修飾を受け入れる余地があることを理解するであろう。本発明はこのような
あらゆる変形及び修飾を包含することが理解されるべきである。本発明は、この
明細書中で言及した又は示した工程、特性、組成物及び化合物の全てをも個別に
又は集合的に包含し、そして該工程、特性、組成物及び化合物の任意の又は任意
の二つ以上の組合わせ及びあらゆる組合わせをも包含する。
【0008】 本発明は、単に説明を意図して本明細書に記載される具体的な実施態様によっ
て範囲が限定されるべきではない。本明細書に記載されるような機能的に等価な
産物、組成物及び方法は、明らかに本発明の範囲内にはいる。
【0009】 発明の背景 農産業の食肉製造分野は家畜類の健康に依存するものであり、人の消費用に無
病の家畜類を維持する必要性がある。この産業は、潜在的に人間に伝染しうる病
気を含む、家畜類に悪影響を及ぼす疾病状態並びにそれに起因する食肉製品の品
質に反応して急速な経済的下落を被る。従って、家畜動物及び人における感染又
は潜在的な感染を処置するために利用できる十分に確立された治療法及び予防法
及び診断法を持つことが重要である。
【0010】 ブタ及び鳥類の種に由来する食肉産物は農産業の重要な商品である。特に、ブ
タは食肉産業の主要部門を形成する。しかしながら、ブタはブタ増殖性腸症(P
PE)とひとまとめに呼ばれる広範囲スペクトルの腸の病気に罹りやすい。これ
らの病気は、腸腺腫複合症(intestinal adenomatosis complex、バーカーとフ
ァン・ドルメール、1985)、ブタ腸腺腫症(PIA)、壊死性腸炎(necrotic e
nteritis、ローランドとローソン、1976)、増殖出血性腸症(proliferative ha
emorrhagic enteropathy、ラブとラブ、1977)、局所性回腸炎(regional ileit
is、ジョンソンとマーティンソン、1976)、出血性腸症候群(haemorrhagic bow
el syndrome、オニール、1970)、ブタ増殖性腸炎(porcine proliferative ent
eritis)及びカンピロバクター・スピーシーズ誘導性腸炎(Campylobacter spp-
induced enteritis、ストロー、1990)として以前から知られている。
【0011】 PPEには二つの主要な型がある。一つは成長遅延及び軽症の下痢を度々惹起
する腸腺腫症に代表される非出血型であり、もう一つは遠位の小腸腔が血液でう
っ積する増殖出血性腸症(PHE)に代表され、しばしば死に至る出血型である
。PPEは、鳥類(メイソンら、1998)、並びにブタ(マックオリストら、1993
)、ハムスター(スティルス、1991)、白イタチ(フォックスら、1989)、モル
モット(エルウェルら、1981)、ウサギ(シュオデブとフォックス、1990)を含
む幾つかの動物種で報告されてきた。
【0012】 PPEの原因となる生物は、本明細書で「ローソニア・イントラセルラリス」
と呼ばれるカンピロバクター様の生物である(マックオリストら、1995)。この
生物は以前は回腸共生性イントラセルラリス(ileal symbiont intracellularis
)とも呼ばれてきた(スティルス、1991)。ブタのPPEに似た病気はカンピロ
バクターの多様な種など他の病原菌によっても惹起されうる(ゲブハートら、19
83)。
【0013】 ローソニア・イントラセルラリスは細胞内細菌であり、おそらく絶対的細胞内
細菌である。これはインビトロでは組織培養細胞と共にのみ培養できる(ジョー
ンズら,1997、ローソンら,1993、マックオリストら,1995、国際特許出願PC
T/US96/09576)。L.イントラセルラリスは感染した動物の絨毛細
胞及び腸陰窩細胞の細胞質に局在する。PPEに罹っているブタは上皮細胞の形
成異常を伴う該絨毛細胞及び腸陰窩構造の異常により特徴付けられる。この場合
、該絨毛及び腸陰窩が分岐状になり炎症細胞で満ちるにつれ陰窩膿瘍が形成され
る。
【0014】 PPEは、とりわけ頭数の損失、医療費、ブタの成長速度の低下及び飼料費の
増加の点で、養豚産業と関連する重要な損害要素である。PPEは、例えば抗生
物質残留物の混入を処理する際の上乗せされる労働費及び環境費用において、並
びに該生物が他の動物又は人に伝えられる又は運ばれるのを防止するための管理
手段などにおいて、下流部門の間接費用をも増大させる。
【0015】 現在のPPEについての制御戦略は抗生物質の使用に頼っている。しかしなが
ら、このような戦略は、とりわけ政府の規制圧力が抗生物質の予防的使用を伴う
畜産の実施を諦めさせる傾向にあるため、短期的から中期的なものであるに過ぎ
ないと考えられる。従って、抗生物質の使用に替わる、効果的で、安全で且つ低
コストの代替法を開発する必要があり、特に、ローソニア・イントラセルラリス
の感染に対する防御的免疫を家畜動物に付与できるワクチン調製物を開発する必
要がある。
【0016】 最も効果的なワクチン調製物は、一般的に、該ワクチンが標的とする病原生物
に由来するペプチド、ポリペプチド、タンパク質又は他の高分子などの抗原性が
高い成分から構成されている。該抗原性成分は、感染しやすい宿主動物に投与さ
れた際にほとんど又は全く禁忌を生じず、そして該宿主動物の腸管又は他の組織
の正常な微生物叢の一部である非病原性生物などの望ましい生物と抗原交差反応
性をほとんどか又は全く生じない。要約すると、効果的なワクチン調製物は、免
疫原性があり、特異的であり且つ安全なものでなければならない。
【0017】 従って、ローソニア・イントラセルラリス細菌により生産される免疫原性の高
い抗原を同定する必要がある。
【0018】 国際特許出願PCT/AU96/00767は、幾つかのL.イントラセルラ
リスの部分遺伝配列、及びそれによりコードされる部分ポリペプチドを記載して
いる。しかしながら、改良されたワクチン組成物を使用するために、属又は種に
特異的な免疫原を含む、L.イントラセルラリス細菌により生産されるポリペプ
チド免疫原及びそれに由来する免疫原性ペプチドを更に同定する必要がある。こ
こに記載される発明はこのような免疫原を提供する。
【0019】 発明の概要 本発明の一つの側面は、ローソニア・スピーシーズに由来するOmpHポリペ
プチドのB細胞エピトープ若しくはT細胞エピトープを含み、これらを模倣し若
しくはこれらと交差反応する、単離され若しくは組換えられた免疫原性ポリペプ
チドである。この単離された若しくは組換えられた免疫原性ポリペプチドは、下
記のもの、即ち (i) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列に全体として少なくとも約60%
の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド、オリゴペプチド若しくはポ
リペプチド、 (ii) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列の少なくとも約5つの連続したア
ミノ酸を含むペプチド、オリゴペプチド若しくはポリペプチド、又は (iii) ローソニア・スピーシーズのB細胞エピトープ若しくはT細胞エピト
ープを模倣する(i)又は(ii)の同族体、類似体若しくは誘導体、 から成る群より選択されることが好ましい。
【0020】 好ましい実施態様において、このポリペプチドは配列番号:1のアミノ酸配列
を含み又は本質的に該配列から成る。
【0021】 本発明の更なる側面は、L.イントラセルラリス若しくは同類の微生物若しく
は他の類縁の微生物によるブタ若しくは鳥などの動物の感染を予防し又は治療す
るためのワクチン組成物を提供する。このワクチン組成物は、配列番号:1に記
載のアミノ酸配列に全体として少なくとも約60%の配列同一性を有する又は配
列番号:1に由来する少なくとも五つの連続したアミノ酸を含む単離され若しく
は組換えられたポリペプチド、又はL.イントラセルラリスと免疫学的に交差反
応する免疫原性のそれらの同族体、類似体、若しくは誘導体を含む免疫原性成分
の免疫学的有効量を含み、且つ獣医学的若しくは医学的使用に適する一つ以上の
担体、希釈剤及び/若しくはアジュバントを含む。
【0022】 好ましい実施態様において、該ワクチン組成物のポリペプチドは、配列番号:
1のアミノ酸配列を含み又は該配列から本質的に成るものである。
【0023】 本発明の更なる側面は、本発明の免疫原性ポリペプチドに結合できる抗体又は
抗体断片などの免疫学的に相互作用する分子に及ぶ。
【0024】 本発明の更なる側面は、ローソニア・イントラセルラリス若しくは類縁の微生
物による動物の感染を診断する方法を提供する。この方法は、該動物から得られ
る生体試料を、抗原−抗体複合体などの複合体が形成するのに十分な時間及び条
件の下で本発明の免疫学的に相互作用する分子と接触させる工程、及び次いで該
複合体の形成を検出する工程を含む。
【0025】 本発明の更なる側面は、動物が、ローソニア・イントラセルラリス若しくは類
縁の微生物により過去に感染したか又は現在感染しているかどうかを決定する方
法を意図する。この方法は、該動物由来の組織又は血液若しくは血清などの流体
試料を、抗原−抗体複合体などの複合体が形成するのに十分な時間及び条件の下
で本発明の免疫原性ポリペプチドと接触させる工程、及び次いで該複合体形成を
検出する工程を含む。
【0026】 本発明の更なる側面は、下記のもの、即ち (i) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列に全体として少なくとも約60%の
配列同一性を有するアミノ酸配列を含むぺプチド、オリゴぺプチド若しくはポリ
ペプチド、 (ii)配列番号:1に由来する少なくとも約五つの連続したアミノ酸を含むペ
プチド、オリゴペプチド若しくはポリペプチド、又は (iii) ローソニア・スピーシーズのB細胞エピトープ若しくはT細胞エピト
ープを模倣する(i)又は (ii) の同族体、類似体若しくは誘導体、 から選択されるぺプチド、オリゴぺプチド若しくはポリペプチドをコードするヌ
クレオチド配列又はコードする核酸分子に相補的な配列を含む単離された核酸分
子を提供する。
【0027】 好ましい実施態様において、単離された該核酸分子は、配列番号:2に記載の
ヌクレオチド配列又はそれらの縮重変異体を含み、又はその全て又は一部に対し
て少なくとも約60%の配列同一性を有する。
【0028】 本発明の更なる側面は、動物被験体から得た生体試料中のローソニア・イント
ラセルラリス又は類縁の微生物を検出する診断方法を提供する。この方法は、配
列番号:2に記載されたヌクレオチド配列又はそれに相補的なヌクレオチド配列
又はそれらの同族体、類似体若しくは誘導体に由来するポリヌクレオチド又はオ
リゴヌクレオチドのプローブ又はプライマーの一つ以上を該試料とハイブリダイ
ズさせる工程、及び次いで検出手段を用いて該ハイブリダイゼーションを検出す
る工程を含む。本発明のこの側面の検出手段は任意の核酸に基づくハイブリダイ
ゼーション又は増幅反応である。
【0029】 本発明の更なる側面は、配列番号:2又はそれに相補的なヌクレオチド配列に
由来する単離されたプローブ又はプライマーを提供する。
【0030】 発明の詳細な説明 本発明に至る研究において、本発明者らは、ブタ及び鳥類を含む動物における
PPEの予防用及び治療用のワクチンで使用するためのローソニア・イントラセ
ルラリスの免疫原性タンパク質を特定しようと努めた。
【0031】 従って、本発明の一つの側面は、ローソニア・スピーシーズに由来するOmp
HポリペプチドのB細胞エピトープ若しくはT細胞エピトープを含み、これらを
模倣し若しくはこれらと交差反応する、単離され若しくは組換えられた免疫原性
ポリペプチドに向けられている。
【0032】 ローソニア・スピーシーズのエピトープは、B細胞エピトープ又はT細胞エピ
トープでありうる。抗体結合部位(B細胞エピトープ)が高次構造エピトープで
あるだけでなく直鎖状エピトープをも含むことはよく知られている(ファン・レ
ジェンモルテル、1992)。B細胞エピトープは大部分が高次構造性である。対照
的に、T細胞は大部分がMHCクラスII分子と結合した直鎖状エピトープの配
列を認識する。
【0033】 ローソニア・スピーシーズのエピトープの正確な特定及び慎重な選択により、
ローソニア感染の効果的な治療又は予防のための診断試薬及びワクチン組成物の
開発が促進される。エピトープの特定及び特性決定(即ち、ローソニア・スピー
シーズのエピトープの分子量、アミノ酸配列、及び構造の決定)は、技術認知さ
れた技法を用いて実施されうる。高次構造性エピトープの検出のためには、該エ
ピトープの二次構造が著しく変化する場合、抗原抗体反応は減少するので、三次
元構造を保存するために該エピトープ分子の分解及び変性を回避しなければなら
ない。実際、直鎖状で非高次構造性のエピトープの特性決定及び単離はより容易
である。何故ならその免疫反応性領域はある範囲の条件下で精製できる単一のペ
プチド断片又は単一のアミノ酸配列の中に含まれるからである。
【0034】 非高次構造性エピトープ及び高次構造性エピトープは両方共、ローソニア・ス
ピーシーズ及び特にL.イントラセルラリス又はこれらに由来する単離されたポ
リペプチドに対し免疫化した又はこれらで感染させた動物の血清から得られる検
出可能な量の抗体(IgM又はIgGなど)への結合能力、または該血清に由来
する精製されたIg画分における検出可能な量の抗体への結合能力により同定さ
れうる。該抗体は、ポリクローナル血清のプールから得られ若しくは該プール内
に含まれうる、又はモノクローナル抗体でありうる。ファージディスプレーライ
ブラリー内などのバクテリオファージ又はウイルス粒子の表面上に発現するもの
等の抗体断片又は組換え抗体も使用しうる。
【0035】 T細胞エピトープの決定は、末梢血リンパ球又はT細胞クローンの増殖を誘導
する該エピトープペプチドの能力を分析することにより実施される。T細胞エピ
トープの同定は、全長及び断片の天然又は組換えの抗原タンパク質の使用並びに
より一般的に用いられる「重複ペプチド」法を含む、当分野で知られる種々の方
法を用いて遂行される。後者の方法では、ローソニア・スピーシーズに由来する
ポリペプチドの全配列にわたる重複ペプチド類が合成され、インビトロでのT細
胞障害性応答又は増殖性応答を刺激するそれらの能力について試験される。
【0036】 非直鎖状で高次構造性のエピトープ及び非高次構造性で直鎖状のエピトープの
両方の構造決定は、核磁気共鳴分光法(NMR)及びX線結晶分析により実施さ
れうる。X線技術を用いるエピトープの決定は結晶化されたタンパク質−抗体複
合体を必要とし、一方、NMRは液体状の該複合体を分析できる。NMRはアミ
ノ酸量及び異なるアミノ酸残基の近傍のプロトン量を測定するだけでなくアミノ
酸の量をも測定する。この方法では、この炭素骨格に沿った二つのプロトンの交
互の効果が特定のエピトープの特徴となる。
【0037】 非高次構造性で直鎖状のエピトープを認識するための巧い方法は免疫ブロット
、とりわけウェスタンブロットである。ペプチドは、トリプシン又はキモトリプ
シンなどの部位特異的プロテアーゼでの消化により完全長のローソニア・スピー
シーズのポリペプチドから作製されうる。これにより作製されたペプチドは標準
的な電気泳動法又はクロマトグラフィー法を用いて分離できる。例えば、SDS
/PAGE(SDS/ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を用いて分子量に従っ
て電気泳動させた後、及び/又はIEF(等電点電気泳動)を用いて等電点に従
って電気泳動させた後、または代わりに二次元電気泳動による電気泳動後、該ペ
プチドはナイロン膜又はニトロセルロース膜に転移して固定し完全体の該ポリペ
プチドに対して作成した血清とインキュベートできる。免疫原性領域を含むペプ
チド(即ちB細胞エピトープ又はT細胞エピトープ)は血清中の抗体と結合し、
この結合した抗体は放射能又は酵素で標識された、抗IgG抗体などの二次抗体
を用いて検出されうる。次いで、該エピトープは、とりわけ、サイズ排除クロマ
トグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフ
ィー又はELISAなどの技術を一つ以上用いて、そのサイズ、電荷、又は完全
なポリペプチドに対する抗体に特異的に結合する能力に基づいて精製することに
より特性決定されうる。該エピトープを精製した後、唯一つのバンド又は点がゲ
ル電気泳動で検出できるはずである。該ペプチドのN末端配列決定又は全配列決
定により、データベースの既知タンパク質と該ペプチドとを比較することが可能
となる。
【0038】 現在、タンパク質のT細胞エピトープについて調べるため、幾つかのコンピュ
ータ駆動アルゴリズムが考案されている(マルガリートら,1987、ヴァジャとシ
イ・デリシ,1990、アルツヴィアら,1995、パーカーら,1994、デグローツら,
1995、ガブリエルら,1995、マイスターら,1995)。これらのアルゴリズムは、
免疫原性ペプチドに共通すると考えられる特性について所与のタンパク質のアミ
ノ酸配列を調べ、インビトロで細胞の免疫応答を誘導しそうな領域を位置決定す
る。コンピュータ駆動アルゴリズムは、エピトープを含み且つ異なる単離体の中
でもほとんど変化しないローソニア・スピーシーズのポリペプチドの領域を同定
できる。または、コンピュータ駆動アルゴリズムは多価ワクチンに含まれる各単
離体のより変化しうるタンパク質の領域を迅速に同定できる。
【0039】 T細胞エピトープの周期性に基づいたAMPHIアルゴリズム(マルガリート
ら、1987)は、配列情報のみからT細胞抗原部位を予測するために広く使用され
てきた。本質的に、MHC結合モチーフ(即ち、特定のMHC分子に結合するペ
プチドの大部分に共通しているようにみえるアミノ酸のパターン)がアルファら
せんと同じ周期性を示すようであるので、AMPHIはMHC結合モチーフの共
通の構造パターンを描く。アミノ酸配列中のMHC結合モチーフの位置決定によ
るT細胞エピトープの同定は、診断検定において免疫原性エピトープを同定する
効果的な手段を提供する。
【0040】 EpiMerアルゴリズム(マイスターら,1995、ガブリエルら,1995、デグ
ローツら,1995)は、種々のMHC分子に結合する能力(種々雑多の又は多決定
基の結合基)及びこれらの種々のMHC文脈においても同様に免疫応答を誘発す
る能力(種々雑多の又は多決定基のエピトープ)を有しうるペプチドとMHC結
合モチーフの密な領域との間の相関関係に基づいて、タンパク質のアミノ酸配列
におけるクラスターとなったMHC結合モチーフの位置決定をする。このEpi
Merアルゴリズムは、多様な遺伝的背景をもつ患者に免疫応答を誘導する潜在
能力を有するタンパク質内の抗原部位を予測するために、多重のクラスI及びク
ラスIIのHLA対立遺伝子についてMHC結合モチーフのライブラリーを使用す
る。EpiMerは、所与のタンパク質抗原の一次配列内における個々のMHC
結合モチーフとの合致点を位置決定する。これらのモチーフ合致点の相対密度が
該抗原の長さに沿って決定され、モチーフ−密度ヒストグラムが作製される。最
終的に、このアルゴリズムは、アルゴリズムで定義された遮断密度値よりも高い
モチーフ合致密度を、このヒストグラムのタンパク質領域と同定し、これらのク
ラスター領域又はモチーフに富んだ領域を示す部分配列の表を作成する。Epi
Merにより選択されるこの領域は、それらのMHC結合モチーフ合致濃度によ
って、同一抗原から無作為に選択されたペプチドとしてより多決定基結合性ペプ
チドとして作用することがより確実であるらしい。MHC結合モチーフが密な領
域の選択により、この予測されたペプチドが「有効な」モチーフを含む蓋然性、
並びに更に同一モチーフの反復がペプチド結合に寄与しうる蓋然性が増大する。
【0041】 MHC結合モチーフに基づく更なるアルゴリズムは、パーカーら(1994)及び
アルツヴィアら(1995)により記載されている。これらのアルゴリズムでは、所
与のMHC分子への結合は、経験的に定められたパラメータに基づいて、各位置
にある残基の直鎖状の機能により予測され、アルツヴィアら(1995)のアルゴリ
ズムの場合には、既知の結晶構造も考慮に入れられうる。
【0042】 組換え法は、診断試薬及びエピトープに特異的なワクチン製剤を生産するため
によく特性決定された高純度のエピトープを得る機会を提供する(モハパトラら
、1995)。直鎖状エピトープのアミノ酸配列及びそれをコードする対応するヌク
レオチド配列の同定に基づいて、cDNAから該エピトープをコードする領域を
増幅するためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が実施されうる。適切なベクタ
ー/宿主系でのクローニング及び発現の後、大量の高純度エピトープを抽出でき
る。従って、本発明は、明らかに、単離された非組換えポリペプチド及び不純形
若しくは単離形の組換えポリペプチドの両方に及ぶ。
【0043】 本明細書で用いられる「ポリペプチド」という用語は、共有結合により結合し
たアミノ酸から成る任意のポリマーを指すと解釈されるべきであり、その範囲内
には、全長のタンパク質並びにそれらの一部又は断片、例えばオリゴペプチド、
及び少なくとも約5アミノ酸残基、好ましくは少なくとも約10アミノ酸残基、
より好ましくは少なくとも約12アミノ酸残基、更により好ましくは少なくとも
約15アミノ酸残基から成る短いペプチド配列等が含まれる。
【0044】 また、「ポリペプチド」の定義の範囲内には、例えば、その免疫原性、診断試
薬としての用途、又は中でもローソニア・スピーシーズに対するペプチドワクチ
ンとしての有効性など、該ポリペプチドの少なくとも一つの本質的な特性を改変
することのない、一つ以上の好ましくはアミノ酸の同類置換、欠失、又は挿入を
含むアミノ酸配列の変異体も含まれる。従って、ポリペプチドは天然の起源から
単離してもよく、化学的に合成してもよい。さらに、ポリペプチドは、中でも、
CNBr、トリプシン、又はキモトリプシンなどの試薬を用いて化学的又は酵素
的な切断により全長タンパク質から誘導することもできる。
【0045】 アミノ酸同類置換は当分野でよく知られている。例えば、本発明の天然のOm
pHのアミノ酸残基の一つ以上を、同類の電荷、サイズ又は極性のアミノ酸残基
で保存的に置換でき、得られるポリペプチドは本明細書に記載されるワクチン又
は診断試薬として機能する能力を保持している。このような置換を行う通則には
デイホッフ(1978)により記載されたものが含まれる。より具体的には、アミノ
酸同類置換は一般的にそれらの側鎖に関連するアミノ酸のファミリー内で起こる
置換である。遺伝的にコードされたアミノ酸は、通常四つのグループ、即ち(1
)酸性=アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、(2)塩基性=リシン、アルギニ
ン、及びヒスチジン、(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシ
ン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、及びトリプトファン、並びに(
4)非荷電の極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン
、トレオニン、及びチロシンに分類される。フェニルアラニン、チロシン及びト
リプトファンはともに芳香族アミノ酸としても分類される。例えば、イソロイシ
ン若しくはバリンをロイシンで置換、又はグルタミン酸塩をアスパラギン酸塩で
又はセリンをトレオニンで、又は任意の他のアミノ酸残基を構造的に関連するア
ミノ酸残基で置換など、任意の特定のグループ内での一つ以上の置換は、一般に
、得られるポリペプチドの機能にそれほど影響を及ぼさない。
【0046】 本発明は、この免疫原の起源により制限されるものではなく、天然又は非天然
で生じる起源に由来する単離されたポリペプチド及び組換えられたポリペプチド
にも明らかに及ぶ。
【0047】 本明細書で用いられる「組換えポリペプチド」という用語は、ポリペプチドを
コードする、適切なプロモーターの制御下にある遺伝子配列の発現であって、該
発現を達成するために遺伝子操作が実施されたものによりインビトロ又は宿主細
胞で生産されるポリペプチドを指すと解釈されるべきである。従って、「組換え
ポリペプチド」という用語は、明らかに、原核細胞又は真核細胞、組織又は器官
内に導入されたウイルスベクター、プラスミド又はコスミドに含まれる遺伝子配
列の発現により生産されるポリペプチドを包含する。この文脈で用いられうる遺
伝子操作は当業者に知られており、核酸の単離、制限エンドヌクレアーゼ消化、
エキソヌクレアーゼ消化、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片若しくは
T4DNAポリメラーゼ酵素を用いる末端充填、T4DNAポリメラーゼ若しく
はエキソIII 酵素を用いるDNA分子の平滑末端化、部位特異的突然変異誘発、
連結、及び増幅反応が含まれるが、これらに限定されるわけではない。当業者に
知られるように、所望の組換えポリペプチドをコードする核酸分子及び該核酸分
子を含む遺伝子構築物の同一性を確認する際に、核酸のハイブリダイゼーション
及びヌクレオチド配列分析などの更なる技術も組換えポリペプチドの調製で利用
されうる。
【0048】 本発明のポリペプチドが組換えポリペプチドである場合、これは組換えウイル
スベクター又は宿主細胞発現系内で生産され、必要ならば、それらから単離され
うる。関連分野の熟練者に知られているように、組換えポリペプチドを生産する
ための細胞は、考慮中の該ポリペプチドを発現するために使用される遺伝子構築
物、並びに該ポリペプチドの安定性及び活性を含む幾つかのパラメータに基づい
て選択される。組換えポリペプチドの安定性又は活性は、例えば中でもグリコシ
ル化、アシル化又はアルキル化の反応などの該ポリペプチドへの翻訳後修飾によ
り少なくとも部分的に決定されうる。該修飾は該組換えポリペプチドを生産する
ために使用される細胞系統間で変わりうる。
【0049】 従って、より具体的に好ましい実施態様において、本発明は、ウイルス粒子内
に存在する、又は原核若しくは真核の宿主細胞、又はそれらのウイルス培養若し
くは細胞培養で生産される、組換えポリペプチド又はその誘導体、同族体若しく
は類似体に及ぶ。
【0050】 本発明は、ローソニア属に属する細菌細胞、特にL.イントラセルラリスの細
胞、又はその培養物中で生産される前述の実施態様のいずれかの組換えポリペプ
チドにも及ぶ。
【0051】 「単離されたポリペプチド」という用語は、その天然起源から、又は非天然で
生じるポリペプチドの場合、それがその中で生産された培養液又は細胞環境から
、ある程度まで、好ましくはタンパク質の少なくとも約20重量%まで、好まし
くはタンパク質の少なくとも約50重量%まで、より好ましくはタンパク質の少
なくとも約60重量%まで、更により好ましくはタンパク質の少なくとも約70
重量%まで、更により好ましくはタンパク質の少なくとも約80重量%又はそれ
以上まで精製された本発明のポリペプチドを指す。このような単離は、本発明の
ポリペプチドの免疫原性を改良するため、又は該ポリペプチドに対する免疫応答
の特異性を改良するため、又は毒性の夾雑物若しくは望ましくない夾雑物をそれ
らから除去するために実施されうる。単離されたポリペプチドの純度の必要な又
は要求される程度は該ポリペプチドが意図される目的に応じて変化し、多くの適
応では、宿主動物、特にPPEに対して免疫化されるブタ若しくは鳥動物に投与
される場合、該ポリペプチドの免疫原性を低減しうる、又はPPE若しくはその
原因物質を診断するための免疫検定法において免疫特異的結合を阻害しうる、夾
雑物を該ポリペプチド調製物が含まない程度で十分なものである。
【0052】 本発明の単離されたポリペプチドの純度は、SDS/ポリアクリルアミドゲル
電気泳動、二次元電気泳動、又はアミノ酸の組成分析若しくは配列分析により評
価されるタンパク質調製物の均質性の度合いを含む、当業者に知られる任意の手
段により決定されうる。
【0053】 本発明のポリペプチドは、SDS/ポリアクリルアミドゲル電気泳動、二次元
電気泳動、又はアミノ酸の組成分析若しくは配列分析により評価されるとき、実
質的に均質である又は実質的に非特異的タンパク質を含まないことが好ましい。
【0054】 本発明のポリペプチドは、当業者に知られる任意の方法又はそれらの組合わせ
、例えば中でも逆相クロマトグラフィー、HPLC、イオン交換クロマトグラフ
ィー、及びアフィニティークロマトグラフィーにより、ワクチン組成物の一成分
として使用するために精製できる。
【0055】 好ましい実施態様において、本発明の単離され又は組換えられたポリペプチド
は、本明細書に例示されたL.イントラセルラリスOmpHポリペプチドと免疫
学的に交差反応する。
【0056】 さらに好ましい実施態様において、本発明の単離され又は組換えられたポリペ
プチドは、ローソニア・スピーシーズから誘導され、そして該ポリペプチドはロ
ーソニア・イントラセルラリスから誘導されることがより好ましい。
【0057】 ポリペプチドのB細胞エピトープ又はT細胞エピトープ又はその誘導体、同族
体若しくは類似体は、下記のものの任意の組合わせを含みうる。 (i) 連続的な非高次構造性エピトープとして当分野で知られる、該領域の一次
アミノ酸配列、 (ii)連続的な高次構造性エピトープとして当分野で知られる、該領域が採る二
次構造、 (iii) 非連続的高次構造性エピトープとして当分野で知られる、同一のポリペ
プチド分子の別の領域と接触して該領域が採る三次構造、又は (iv)非連続的高次構造性エピトープとして当分野で知られる、別のポリペプチ
ド分子の領域と接触して該領域が採る四次構造。
【0058】 従って、同一の又は実質的に同一の一次アミノ酸配列を含む免疫原性ポリペプ
チド又はその誘導体、同族体若しくは類似体は、「B細胞エピトープ又はT細胞
エピトープを含む免疫原」又は同様な用語で以下に定義される。
【0059】 異なる一次アミノ酸配列を含む免疫原性ポリペプチド又はその誘導体、同族体
若しくは類似体は、宿主種の免疫系により同一であると認識される高次構造性B
細胞エピトープ又はT細胞エピトープを保有するので、免疫学的に同一な免疫原
を含みうる。このような免疫原性ポリペプチド又はその誘導体、同族体若しくは
類似体は、「B細胞エピトープ又はT細胞エピトープを模倣し又はこれらと交差
反応する免疫原」又は同様な用語で以下に定義される。
【0060】 従って、本発明は、前記実施態様のいずれか一つによる単離され若しくは組換
えられたポリペプチドのB細胞エピトープ若しくはT細胞エピトープを含み、こ
れらを模倣し若しくはこれらと交差反応する免疫原、又はその誘導体、同族体若
しくは類似体に及ぶ。特に好ましい実施態様において、本発明は、L.イントラ
セルラリス(これに限定されない)などのローソニアの種から天然の形で得られ
る単離され若しくは組換えられたポリペプチドのB細胞エピトープ若しくはT細
胞エピトープを含み、これらを模倣し若しくはこれらと交差反応する免疫原を提
供する。このポリペプチドはOmpH活性を有することが好ましい。
【0061】 このような免疫原性ポリペプチドは、動物、特にブタ又は鳥動物の消化管又は
他の器官に通常住みついている他の非病原性微生物とL.イントラセルラリスと
の間で高度に保存されている一次アミノ酸配列を含まないことが好ましい。実施
(例えばワクチン適用や診断への適用)には特異性が必要不可欠な本発明の該実
施態様にとって、この排除の重要性は当業者には明らかである。
【0062】 本発明の当該ポリペプチドの免疫原性を改良するため、本来のタンパク質配列
に対応しない一つ以上のアミノ酸を該ポリペプチドのアミノ末端又はカルボキシ
ル末端に付加できる。このような余分のアミノ酸は、該ポリペプチドを別のペプ
チド若しくはポリペプチド、より大きな担体タンパク質若しくは固体支持体に結
合するために有用である。これらの目的に有用なアミノ酸は、チロシン、リシン
、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン及びそれらの誘導体を含むがこれ
らに限定されるわけではない。該ポリペプチドを別のポリペプチド、タンパク質
、若しくはペプチド分子、又は固体支持体に結合するための更なる手段を提供す
るために、例えばNH2 アセチル化又はCOOH末端のアミド化などの更なるタ
ンパク質の修飾技術が使用できる。ポリペプチドを相互に結合させる手法、又は
ポリペプチドを担体タンパク質若しくは固体支持体に結合する手法が当分野でよ
く知られている。従って、カルボキシ末端若しくはアミノ末端のいずれかに上述
した余分のアミノ酸残基を含み且つ担体若しくは固体支持体に結合した若しくは
結合していないポリペプチドは、本発明の範囲内にある。
【0063】 さらに、該ポリペプチドはポリマー担体又は支持物質に固定できる。
【0064】 代替の実施態様において、本発明のポリペプチドの免疫原性は、高い免疫原性
タンパク質などの担体分子と融合させた本発明の一つ以上のポリペプチドを含む
融合タンパク質を生産するための分子生物学的技術を用いて改良されうる。
【0065】 該ポリペプチドに対する免疫応答を増加させるために、例えば、高い免疫原性
のコレラ毒素Bサブユニットに融合させた本発明のポリペプチドを含む融合タン
パク質を使用できる。本発明は、本発明の当該ポリペプチドに融合させたインタ
ーロイキンなどのサイトカインを含む融合タンパク質、並びにそれをコードする
遺伝子も意図する。
【0066】 本発明のポリペプチド、又はその誘導体、同族体若しくは類似体は、哺乳動物
に投与された場合、該哺乳動物に免疫応答を誘発することが好ましい。本発明の
ポリペプチドは、哺乳動物、とりわけブタ動物(例えばコブタ)に投与された場
合、ローソニア・スピーシーズ、好ましくはL.イントラセルラリスに対する防
御的免疫応答を誘発することがより好ましい。本明細書で用いられるとき、「防
御的免疫応答の誘発」などの句は、投与された本発明のポリペプチドがローソニ
ア感染に関連した症状の発症、発達、若しくは進行を妨げる能力又は検出できる
ほどに遅くさせる能力、並びに好ましくはブタにおけるPPEに関連した症状の
発症、発達若しくは進行を妨げる能力又は検出できるほどに遅くさせる能力を指
す。
【0067】 本発明の免疫原性ポリペプチドは、配列番号:1に記載のアミノ酸配列と実質
的に同一の又は配列番号:1に全体として少なくとも約60%同一の又は配列番
号:1の少なくとも八つの連続したアミノ酸に少なくとも約75%同一のアミノ
酸配列を含むことが好ましい。好ましい実施態様において、本発明の免疫原性ポ
リペプチドは、配列番号:1のアミノ酸配列又はpALK13(ATCC207
196)中に存在するOmpHをコードするヌクレオチド配列によりコードされ
るアミノ酸配列から本質的に成るものである。
【0068】 用語説明のため、配列番号:1に記載のアミノ酸配列は、ローソニア・イント
ラセルラリスのompH遺伝子によりコードされるOmpHポリペプチドのアミ
ノ酸配列を表す。このL.イントラセルラリスompH遺伝子のヌクレオチド配
列は配列番号:2に記載される。
【0069】 配列番号:1に対するアミノ酸配列同一性百分率は、少なくとも約70%、よ
り好ましくは少なくとも約80%、更により好ましくは少なくとも約90%、そ
して更により好ましくは少なくとも約95%であることが好ましい。
【0070】 二つのアミノ酸配列がこれらの百分率の範囲内に収まるか否かを決定する際に
配列の並列比較又は多重整列を行うことが必要であることを当業者は認知してい
る。このような比較又は整列において、該整列を実施するために用いられるアル
ゴリズムに応じて、同一でない残基の位置決定に差異が生じる。本文脈において
、二つ以上のアミノ酸配列間での配列同一性百分率又は配列類似性百分率につい
ての言及は、それぞれ、当業者に知られるいずれかの標準的なアルゴリズムを用
いて決定される該配列間で同一な残基の数及び類似する残基の数を指すと解釈さ
れるべきである。例えば、アミノ酸配列の同一性又は類似性はコンピュータ・ジ
ェネティックス・グループ社、ユニバーシティー・リサーチ・パーク、マディソ
ン、ウィスコンシン州、アメリカ合衆国のGAPプログラム(デベリュックスら
、1984)を用いて算出されうる。このGAPプログラムは、同一残基/類似残基
の数を最大にし且つ該整列の配列空所の数及び/又は長さを最小にするために、
ニードルマンとヴァンシュ(1970)のアルゴリズムを利用する。代わりに又はそ
の上、三つ以上のアミノ酸配列が比較される場合、トンプソンら(1994)のクラ
スタールWプログラムが使用できる。
【0071】 代わりの実施態様において、本発明は、ローソニア・スピーシーズに由来する
OmpHポリペプチドのB細胞エピトープ若しくはT細胞エピトープを含み、こ
れらを模倣し若しくはこれらと交差反応する、単離され若しくは組換えられた免
疫原性ポリペプチドを提供する。ここで、この単離され若しくは組換えられた免
疫原性ポリペプチドは、配列番号:1の少なくとも五つの連続したアミノ酸残基
を含むアミノ酸配列又はその同族体、類似体若しくは誘導体を含む。
【0072】 本発明の単離され若しくは組換えられた免疫原性ポリペプチドは、配列番号:
1に由来する少なくとも約10個の連続したアミノ酸、より好ましくは配列番号
:1に由来する少なくとも約20個の連続したアミノ酸残基、更により好ましく
は配列番号:1に由来する少なくとも約30個の連続したアミノ酸残基、そして
更により好ましくは配列番号:1に由来する少なくとも約40個の連続したアミ
ノ酸残基を含むことが好ましい。
【0073】 本発明は、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドの同族体、
類似体及び誘導体をさらに包含する。
【0074】 ポリペプチドの「同族体」は、その免疫原性、生物活性又は触媒活性などの一
つ以上のその特性を変化させることなく該ポリペプチドに対するアミノ酸の置換
、欠失及び/又は付加を含むポリペプチドである。このような分子において、ア
ミノ酸は、例えば疎水性、親水性、疎水モーメント、抗原性、アルファらせん構
造又はβシート構造等を形成又は破壊する性向などの類似の性質を有する他のア
ミノ酸により置換できる。
【0075】 置換変異体は、該配列の少なくとも一つの残基が取除かれその代わりに異なる
残基が挿入されたものである。アミノ酸置換は通常一残基の置換であるが、該ポ
リペプチドに与える機能的拘束に応じて分類されうる。挿入は通常約1〜10ア
ミノ酸残基のオーダーのものであり、欠失は約1〜20残基の範囲である。アミ
ノ酸置換は、前述したようなアミノ酸同類置換を含むことが好ましい。
【0076】 挿入によるアミノ酸配列変異体は、一つ以上のアミノ酸残基が該タンパク質の
予め決められた部位に導入されたものである。挿入は一つ若しくは複数のアミノ
酸の配列内挿入だけでなくアミノ末端及び/若しくはカルボキシ末端の融合をも
含み得る。一般に、該アミノ酸配列内の挿入は、アミノ末端又はカルボキシ末端
の融合より小さく、約1から4残基のオーダーである。
【0077】 欠失変異体は、該配列から一つ以上のアミノ酸が除去されることを特徴とする
【0078】 本発明のポリペプチドのアミノ酸変異体は、固相ペプチド合成法等の当分野で
周知のペプチド合成技術を用いて、又は組換えDNA操作により容易に作製され
うる。置換、挿入又は欠失の変異体として現れる変異体タンパク質を生産するた
めのDNA配列の操作は、当分野でよく知られている。例えば、既知の配列を有
するDNAの予め決められた部位に置換突然変異を行う技術は、M13突然変異
誘発法又は他の部位特異的突然変異誘発法などにより、当業者にはよく知られて
いる。
【0079】 「類似体」は、本発明のペプチドと機能的に等価であるが当業者に知られる非
天然型の又は修飾されたアミノ酸残基を含むペプチド、オリゴペプチド及びポリ
ペプチドとして定義される。従って、本明細書で定義される「類似体」は、本発
明のポリペプチドの二次構造、三次構造、若しくは四次構造を示すコンピュータ
予測又は実験データから誘導される、例えば、ペプチド、オリゴペプチド及びポ
リペプチドなどの本明細書に記載のアミノ酸配列に類似のアミノ酸配列を含む必
要はない。従ってそれは、該ポリペプチドと同一な一次アミノ酸配列を含まず、
それにもかかわらず、ローソニア・スピーシーズのB細胞エピトープ若しくはT
細胞エピトープを模倣し又はこれらと交差反応し、好ましくはローソニア・イン
トラセルラリスのB細胞エピトープ若しくはT細胞エピトープを模倣し又はこれ
らと交差反応する。
【0080】 例えば、ミモトープ(本発明のローソニアポリペプチドのB細胞エピトープ又
はT細胞エピトープと交差反応するが該エピトープと異なるアミノ酸配列を含む
ポリペプチド類似体)は、所望のT細胞エピトープ又はB細胞エピトープに結合
する抗体を用いてペプチドライブラリー中の無作為アミノ酸配列をスクリーニン
グすることにより同定されうる。前述したB細胞エピトープ又はT細胞エピトー
プの同定のための技術と同様に、このようなミモトープを同定するために用いら
れる抗体は、粗製の又は精製した、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体
又は組換え抗体でありうる。次に、T細胞エピトープのミモトープを、イン・ビ
トロでT細胞細胞障害性応答又は増殖応答を誘発する能力についてさらに検定す
る。高次構造性エピトープは一般にポリペプチドの非連続領域から形成されるの
で、ミモトープは本発明のポリペプチドの非直鎖状(即ち高次構造性の)エピト
ープの類似体として特に有用であり、該ミモトープは単一のペプチド分子の形態
でその免疫原性等価物を提供する。
【0081】 さらに、ポリペプチド類似体の使用により、免疫原活性及び/又は抗原活性が
増大し、且つ酵素分解に影響され難く、より選択性の高いポリペプチドを得るこ
とができる。適当なプロリン類似体は、天然ポリペプチドの免疫原活性を20倍
以上増大することが示された2−アミノシクロペンタンカルボン酸(βAC5
)である(ミエルケら,1990、ポルトゲーゼら,1990、グードマンら,1987)。
【0082】 本明細書に記載されるポリペプチドの「誘導体」は、配列番号:1に記載のア
ミノ酸配列の少なくとも約五つの連続したアミノ酸残基を含むペプチド、オリゴ
ペプチド及びポリペプチドである。「誘導体」は、配列番号:1に記載のアミノ
酸配列と比較して、更なる天然型の、改変されグリコシル化され、アシル化され
た、又は非天然型のアミノ酸残基をさらに含みうる。代わりに又はその上、誘導
体は、該アミノ酸配列に共有結合若しくは非共有結合した例えばレポーター分子
若しくは他のリガンドなど一つ以上の非アミノ酸置換基、例えば検出を容易にす
るためそれらに結合させたレポーター分子などを含みうる。
【0083】 本発明のペプチド免疫原の組換え突然変異体若しくは合成突然変異体及び誘導
体の他の例には、炭水化物、脂質及び/又はタンパク質又はポリペプチド等に一
つの又は複数の置換基、欠失及び/又は付加を組入れたものが含まれる。当該ペ
プチドの天然型又は改変されグリコシル化された形態又はアシル化された形態は
本発明により特に意図される。さらに、配列番号:1にリストされた当該ペプチ
ドの一つ以上のコピーを含むホモポリマー若しくはへテロポリマー、又はそれら
の一つ以上の誘導体、同族体若しくは類似体は本発明の範囲内にある。
【0084】 本発明のポリペプチドの同族体、類似体及び誘導体は、該ポリペプチド、又は
その誘導体、同族体若しくは類似体が免疫化に応答して該宿主にB細胞応答及び
/又はT細胞応答を誘発する能力として以下定義される「免疫原性」であること
が好ましい。
【0085】 配列番号:1に記載のアミノ酸配列の好ましい同族体、類似体及び誘導体には
、免疫応答を媒介できる該アミノ酸配列のB細胞エピトープ又はT細胞エピトー
プとして機能するそれらのアミノ酸変異体が含まれ、例えばFmoc化学等の合
成手段により生産された本明細書に記載の免疫原性ポリペプチドのミモトープが
含まれる。このような分子の唯一の必要条件は、これらが配列番号:1に記載の
アミノ酸配列又は配列番号:1の少なくとも長さ五つの連続したアミノ酸を含む
その誘導体を含むポリペプチドと免疫学的に交差反応することである。
【0086】 当業者に明らかなように、本発明分子のポリペプチドのこのような同族体、類
似体及び誘導体は、該ポリペプチドに対する抗体と交差反応する抗体を調製する
ために及び/又は該ポリペプチドにより誘発されるものに対して類似の特異性の
防御免疫応答を誘発するために有用である。このような分子は、診断適用及び本
来免疫学的な他の適応、例えば一つ以上の免疫検定形方式を利用する診断(例え
ばELISA、RIA等)にも有用である。
【0087】 従って、本発明の免疫原、又はその誘導体、同族体若しくは類似体は、L.イ
ントラセルラリスによる感染に対して個体を防御するワクチン組成物に有用であ
り、及び/又はポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗体の生産を誘発す
る抗原として有用であり、及び/又は感染した動物、特にブタ及び鳥類動物のL
.イントラセルラリスに対する抗体の検出に有用である。
【0088】 本発明者らは、配列番号:1のN末端領域及び配列番号:1のC末端の15〜
50アミノ酸残基が、他の動物病原体のOmpHポリペプチドのアミノ酸配列を
含む他の免疫原性アミノ酸配列と比べて(図3)、とりわけ独特であることをも
明らかにした。従って、配列番号:1のこのような独特のエピトープ領域を含む
ぺプチド、オリゴぺプチド及びポリペプチドは、ローソニア・スピーシーズOm
pH分子の他の領域に比べ特異性が改善されている。このようなぺプチドの特別
な利点は、目的の病原体に対する特異性が重要な考慮事項であるワクチン組成物
の生産における熟練者には直ちに明らかとなる。
【0089】 本発明者らは、配列番号:1に記載のL.イントラセルラリスOmpHポリペ
プチドが、特に配列番号:1のC末端の15アミノ酸残基が、イェルシニア・ス
ピーシーズやヘモフィルス・インフルエンゼー由来のOmpHポリペプチドの対
応する領域に比べて保存性が高くないことを明らかにした。従って、このL.イ
ントラセルラリスOmpHポリペプチド及び/又はそのC末端15アミノ酸残基
は、ローソニア特異的ワクチンの調製のためのそして生体試料中のローソニア・
スピーシーズの特異的検出のための診断にとって有望な抗原性ぺプチドである。
【0090】 本発明の第二の側面は、L.イントラセルラリス又は同類の微生物又は他の類
縁の微生物による哺乳動物又は鳥類の感染の予防又は治療のためのワクチン組成
物を提供する。該ワクチン組成物は、 (i) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列に全体として少なくとも約60%
のアミノ酸配列同一性及び/又は配列番号:1に由来する少なくとも五つの連続
したアミノ酸を含む単離され又は組換えられたポリペプチド、又はローソニア・
イントラセルラリスと免疫学的に交差反応するそれらの免疫原性の同族体、類似
体若しくは誘導体を含む免疫原性成分、及び (ii) 獣医学的又は医学的使用に適する一つ以上の担体、希釈剤及び/又は
アジュバント を含む。
【0091】 本明細書で用いられるとき、「免疫原性成分」という用語は、L.イントラセ
ルラリス又は動物、特にブタ若しくは鳥類動物における防御的免疫応答を誘発で
きるその類縁の微生物から得られるか又はそれらに由来するDNAによりコード
されるペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質を指し、該ペプチド、ポリペプ
チド又はタンパク質は単離された形であるか又は組換え型であるかを問わない。
従って、該ワクチン組成物は、L.イントラセルラリス又は該ペプチド、ポリペ
プチド、若しくはタンパク質を含む若しくは発現するそれに類縁の微生物の弱毒
化された、殺菌された又は非病原性の単離体又は形態を含むそれらのワクチン組
成物を明らかに包含する。
【0092】 「防御的免疫応答」とは、該免疫原性成分が、対照の感染動物と比較して、該
ワクチン組成物が投与された動物において、ローソニア・イントラセルラリス若
しくはそれに類縁の微生物による動物宿主の感染を防止するのに十分な、及び/
又はローソニア・イントラセルラリス若しくはそれに類縁の微生物による動物宿
主の感染と関連する一つ以上の症状若しくは状態を検出できる程度に低減させる
のに十分な、若しくは該一つ以上の症状若しくは状態の発症を検出できる程度に
遅くさせるのに十分な体液レベル及び/又は細胞レベルで免疫応答を誘発するこ
とを意味する。該ワクチン組成物に存在する免疫原性成分の「有効な量」という
用語は、全用量の1回投与をした後又は数回の分割用量が投与された後に防御的
免疫応答を誘発できる該免疫原性成分の量を指す。
【0093】 当該ワクチン組成物のポリペプチド成分は、PPEの原因菌であるローソニア
・イントラセルラリスとのその免疫交差反応性により免疫原性で且つ特異的なア
ミノ酸配列を含むことが好ましい。この点で、このようなポリペプチド成分が配
列番号:1に由来するアミノ酸配列、又は例えば該配列のミモトープ等の配列番
号:1に記載のアミノ酸配列の同族体、類似体若しくは誘導体を含みうることは
先の記載から明白であろう。
【0094】 免疫原性ポリペプチド又は免疫原性の同族体、類似体若しくは誘導体は、前述
の又は本明細書で例示される実施態様のいずれかに記載の、単離型又は組換え型
の天然型ペプチド、オリゴペプチド又はポリペプチドでありうる。該免疫原性ポ
リペプチド又は免疫原性の同族体、類似体若しくは誘導体はローソニア・スピー
シーズ、特にL.イントラセルラリス、又はそれらに類縁の微生物に由来するこ
とが好ましい。
【0095】 該免疫原性成分は、L.イントラセルラリス若しくはそれに類縁の微生物を含
む細胞培養物から、又はL.イントラセルラリス細胞若しくは類縁の微生物の溶
解調製物から、又は該免疫原性成分が組換え的に発現される他の培養物から、少
なくとも一回の精製工程又は少なくとも部分的な濃縮を経ていることが好ましい
。不可欠な免疫原性質を有するこのような成分の純度は、個々の調製物のタンパ
ク質の少なくとも約20重量%であることが好ましく、より好ましくは少なくと
も約50%、更により好ましくは少なくとも約60%、更により好ましくは少な
くとも約70%、そして更により一層好ましくは少なくとも約80%以上である
【0096】 本発明のワクチンの免疫原性成分は、単一の該ペプチド、ポリペプチド若しく
はタンパク質、又は異なる若しくは同類のエピトープを網羅する、異なるペプチ
ド、ポリペプチド若しくはタンパク質のある範囲若しくは組合わせを含み得る。
その上又は代わりに、単一のポリペプチドが多重エピトープを提供することもで
きる。後者の型のワクチンは多価ワクチンと呼ばれる。多重エピトープは一つの
ペプチド分子又はポリペプチド分子内に位置した二つ以上のエピトープを含む。
【0097】 ワクチンの製剤化は一般的に当分野で知られており、便宜的にはレミングトン
の薬科学、第17版、マック・パブリッシング社、イーストン、ペンシルバニア
州、米国を参照できる。
【0098】 該ワクチンの特に有用な形態は、例えばワクシニアウイルスベクターでトラン
スフェクトされた細胞又は免疫原性成分を発現できる細菌細胞などの(これらに
限定されないが)ワクチンベクターの形で生産される組換えワクチンである。
【0099】 本発明は、明らかに、該免疫原性成分が少なくとも例えば加熱、ホルマリン若
しくは他の化学処理、電気ショック又は高圧力若しくは低圧力により調製された
死滅ワクチンベクター内に含まれる組換えワクチン組成物に及ぶ。この実施態様
に従って、該ワクチンの免疫原性成分は、一般的に、生きたワクチンベクターで
合成させ、動物への投与前に死滅させる。
【0100】 さらに、該免疫原性成分を発現するワクチンベクターは非病原性であっても又
は弱毒化されてもよい。該ワクチンの免疫原性成分をコードする非病原性ウイル
ス若しくは弱毒化されたウイルスでトランスフェクトされた細胞並びに該免疫原
性成分を直接発現する非病原性細胞若しくは弱毒化された細胞は、この実施態様
の範囲内にある。
【0101】 弱毒化された宿主細胞又は非病原性宿主細胞には、当該ワクチンを投与する動
物にとって有害でない細胞が含まれる。当業者に知られるように、「生ワクチン
」は、免疫原性成分をコードする弱毒化されたウイルスベクター又は該ベクター
を含む宿主細胞を含み、該ベクターは投与する動物内で複製でき、そして有害な
副作用を生じずに宿主細胞機構を利用して該免疫原性成分を発現できる。このよ
うなワクチンベクターはワクチン接種された動物の腸又は他の器官にコロニー形
成しうる。このような生ワクチンベクターは、該免疫原性成分の免疫原性等価物
を発現する病原体に対する防御的免疫を付与するのに十分な時間及びレベルで、
該宿主動物で該免疫原性成分を継続的に発現できるので有効である。本発明は、
明らかに、このような弱毒化されたベクター又は非病原性ベクター及び生ワクチ
ン調製物の使用を含む。
【0102】 該ワクチンベクターは、ウイルス、細菌細胞、又は鳥類、ブタ若しくは他の哺
乳動物の細胞若しくは酵母細胞などの真核細胞、又はCOS、VERO、HeL
a、マウスC127、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、WI−38、ベ
ビーハムスター腎臓(BHK)若しくはMDCK細胞系統などの細胞系統であり
うる。適切な原核細胞には、中でもマイコバクテリウム・スピーシーズ、コリネ
バクテリウム・スピーシーズ、サルモネラ・スピーシーズ、大腸菌、バチルス・
スピーシーズ、及びシュードモナス・スピーシーズが含まれる。本目的に適切な
細菌細胞は当分野で周知である(オーズベルら、1987、サムブルックら、1989)
【0103】 このような細胞及び細胞系統は、該動物に防御的免疫応答を誘導するのに有効
な様式でL.イントラセルラリスから本発明のOmpHのペプチド、ポリペプチ
ド又はタンパク質をコードする遺伝子配列を発現できる。例えば、L.イントラ
セルラリス由来のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードできる組換え
配列を含む非病原性細菌が調製できる。該組換え配列は、構成性プロモーター又
は誘導性プロモーターの制御下で発現ベクターの形となる。次いで、該細菌はブ
タの腸内の適切な位置にコロニー形成させられ、増殖させられ、そしてL.イン
トラセルラリスに対する防御的免疫応答を誘導するのに十分な量の組換えペプチ
ド、ポリペプチド又はタンパク質を生産させられる。
【0104】 さらなる代替的実施態様において、該ワクチンは、本発明のペプチド、ポリペ
プチド又はタンパク質をコードするDNA又はRNAの一過的発現により防御的
免疫応答を誘導するのに有効な量のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を生
産させるのに十分な条件下で、ブタの筋組織又は他の適切な組織内に注射される
該DNA分子又は該RNA分子を含むDNAワクチン又はRNAワクチンであり
得る。好ましい実施態様において、該DNAワクチンは、免疫化された動物細胞
内で該免疫原をコードするヌクレオチド配列を発現できるプロモーター領域と該
DNAが機能的に接続されるプラスミドの形態をとる。
【0105】 本明細書に記載のDNAワクチンを除いた組換えワクチンの生産では、従って
、適切なベクター系で該免疫原性成分を発現することが必要である。本目的のた
め、該免疫原性成分は、 (i) 単離された核酸分子を発現可能な形態に配置する工程であって、該核酸分
子が配列番号:2に記載のヌクレオチド配列のコード領域、又は (a)配列番号:2に対して少なくとも約60%の配列同一性を有するヌ クレオチド配列、 (b)少なくとも低度の厳格性ハイブリダイゼーション下で、好ましくは 少なくとも中度の厳格性条件下で、及びさらにより好ましくは高度の厳 格性条件下で配列番号:2の相補体とハイブリダイズするヌクレオチド 配列、及び (c)配列番号:1に記載のアミノ酸配列、又は、例えば配列番号:1に 記載のアミノ酸のミモトープを含む、その同族体、類似体若しくは誘導 体をコードするヌクレオチド配列、 から成る群より選択される配列番号:2の、タンパク質をコードする同族体、類
似体若しくは誘導体を含むものである工程、 (ii)発現可能な形態にある工程(i)の単離された核酸分子を適切なワクチンベ
クター中に導入する工程、並びに (iii) 該核酸分子によりコードされる免疫原性成分の発現が起こるのに十分な
時間及び条件の下で該ワクチンベクターをインキュベートし又は増殖させる工程
、 により発現できる。
【0106】 厳格性のレベルを定義するため、低度の厳格性は、本明細書中、28℃で6x
SSC緩衝液、0.1%(w/v)SDS中で実施されるハイブリダイゼーション
及び/又は洗浄として定義される。中度の厳格性は、本明細書中、45℃から6
5℃の範囲の温度で2xSSC緩衝液、0.1%(w/v)SDS中で実施される
ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄として定義される。高度の厳格性は、本
明細書中、少なくとも65℃の温度で0.1xSSC緩衝液、0.1%(w/v)
SDS中で実施されるハイブリダイゼーション及び/又は洗浄として定義される
【0107】 一般的に、該厳格性は、SSC緩衝液の濃度を低減すること、及び/又はSD
Sの濃度を増大させること及び/又はハイブリダイゼーション及び/又は洗浄の
温度を上げることにより増大する。当業者は、ハイブリダイゼーション及び/又
は洗浄の条件がハイブリダイゼーション膜の性質又は用いるハイブリダイゼーシ
ョンプローブの型に応じて変化しうることを認知している。ハイブリダイゼーシ
ョン及び洗浄の条件は当業者によりよく理解されている。核酸分子間のハイブリ
ダイゼーションに影響を及ぼすパラメータを明確にするため、参照により本明細
書にインコーポレートされるオーズベルら(1987)の2.10.8頁から2.10.16頁を
参照できる。
【0108】 本明細書で用いるとき、「発現可能な形態にある核酸分子」とは、該ワクチン
ベクター系で発現を調節できるプロモーター又は他の調節配列と機能しうるよう
に連結して配置された核酸分子のタンパク質コード領域である。
【0109】 本明細書中の「プロモーター」についての言及は、その最も広い文脈で解釈さ
れるべきであり、CCAATボックス配列並びに発生上の及び/又は外部の刺激
に応答して又は組織特異的な様式で遺伝子発現を変更する更なる調節要素(即ち
、上流の活性化配列、エンハンサー及びサイレンサー)の存在下及び非存在下で
、正確な転写開始に必要なTATAボックスを含む古典的なゲノム遺伝子の転写
調節配列を含む。本文脈において、「プロモーター」という用語は、機能しうる
ように連結され且つ該免疫原性ポリペプチドをコードする核酸分子の発現を付与
し、活性化し又は強化する組換え分子、合成分子又は融合分子、又は誘導体を記
載するためにも用いる。好ましいプロモーターは、さらに発現を強化するため及
び/又は該核酸分子の空間的発現及び/又は経時的発現を変更するために一つ以
上の特異的な調節要素の更なるコピーを含み得る。
【0110】 調節的制御の下に、即ちプロモーター配列と「機能しうるように連結して」核
酸分子を配置することは、発現が該プロモーター配列により制御されるように該
分子の位置を定めることを意味する。プロモーターは一般的にそれらが制御する
遺伝子に対し5′(上流)に配置されるが、必ずしもそうでない。異型のプロモ
ーター/構造遺伝子の組み合わせの構築において、該プロモーターがその本来の
環境で制御する遺伝子、即ち該プロモーターがそれから得られた遺伝子とプロモ
ーターとの間の距離とほぼ同じ遺伝子転写開始部位からの距離に該プロモーター
を配置することが一般的に好ましい。さらに、プロモーターを含む調節要素は、
通常、該遺伝子の転写開始部位の2kb内に配置される。当分野で知られるよう
に、この距離の幾らかの変動はプロモーターの機能を損なうことなく許容される
。同様に、その制御下に配置された異型遺伝子に関する調節配列要素の好ましい
配置は、その本来の環境での該要素の位置決定、即ちそれから得られた遺伝子の
位置決定により定められる。ここでも、当分野で知られるように、この距離での
幾らかの変動が起こり得る。
【0111】 大腸菌などの細菌で完全なポリペプチドを生産するための必須条件は、効果的
なリボソーム結合部位を備えた強力なプロモーターの使用である。大腸菌などの
細菌細胞における発現に適した典型的なプロモーターには、laczプロモータ
ー、温度感受性のλL プロモーター若しくはλR プロモーター、T7プロモータ
ー又はIPTG誘導性tacプロモーターが含まれるが、これらに限定されない
。大腸菌で本発明の核酸分子を発現するための幾つかの他のベクター系が当分野
でよく知られており、例えばオーズベルら(1987)又はサムブルックら(1989)
に記載されている。細菌での発現に適したプロモーター配列及び効果的なリボソ
ーム結合部位を備えた多数のプラスミド、例えばpKC30(λL :シマタケと
ローゼンバーグ,1981)、pKK173−3(tac:アマンとブロシウス、19
85)、pET−3(T7:ステュディールとモファット,1986)、発現ベクター
のpFLEX系列(ファイザー社、コネチカット州、米国)又は中でも発現ベク
ターのpQE系列(キアーゲン社、カリフォルニア州)などが記載されている。
真核細胞のウイルス及び真核細胞での発現に適する典型的なプロモーターには、
中でも、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター及びサイトメガ
ロウイルス(CMV)プロモーター、CMVIE(サイトメガロウイルス直前初
期)プロモーターが含まれる。
【0112】 該ワクチン組成物の免疫原性成分を発現するために単離された核酸分子又は該
分子を含む遺伝構築物を細胞に導入する手段は当業者によく知られている。所与
の生物に用いる技法は既知の成功した技法に依存する。組換えDNAを動物細胞
に導入する手段には、中でも、マイクロインジェクション、DEAE−デキスト
ランにより媒介されるトランスフェクション、リポフェクタミン(ギブコ社、メ
リーランド、米国)及び/又はセルフェクチン(ギブコ社、メリーランド、米国
)の使用などリポソームにより媒介されるトランスフェクション、PEGに媒介
されるDNAの取り込み、電気穿孔法、及びDNAで被覆されたタングステン粒
子若しくは金粒子(アグラセツス社、ウィスコンシン州、米国)の使用など微粒
子銃撃法が含まれる。
【0113】 本明細書で意図されるように、ワクチン組成物の免疫原性成分は、個々の場合
に応じた量を投与すると、例えばPPEの治療及び/又は予防において優れた治
療活性を示す。例えば、組換えペプチド分子について、約1mlから約5mlの
容量中、約0.5μgから約20mg、好ましくは約1μgから約10mg、よ
り好ましくは約10μgから約5mg、そして最も好ましくは約50μgから約
1mgの該免疫原性成分の等価物を投与しうる。DNAワクチンについて、好ま
しい量は、約1mlから約5mlの容量中、約1μgから約10mgである。該
DNAは「裸の」形態で存在でき又は細胞の取込みを促進する試薬とともに(例
えばリポソーム又は陽イオン脂質で)投与できる。重要な特徴は、防御的免疫応
答を誘導するのに十分な免疫原を投与することである。体重1キログラム当たり
で述べられ又は算出された上記の量を投与できる。投与計画は最適な治療応答を
売られるように調整できる。例えば、数回に分割した容量を投与でき、又は該用
量は治療状況の緊急事態による指示に応じて低減できる。ブースター投与も必要
となる場合がある。
【0114】 本発明のワクチンは、該免疫原性成分に対する免疫応答を増強できる一つ以上
の補足的な免疫調節成分、例えば中でもアジュバント又はサイトカイン分子など
をさらに含み得る。本発明のワクチンに使用できるアジュバントの非限定的な例
には、RIBIアジュバント系(Ribi社、ハミルトン、モンタナ州、米国)
、カリ明礬、水酸化アルミニウムゲルなどの鉱物ゲル、水中油の乳液、油中水の
乳液、例えばブロック・コポリマー(サイトラックス社、アトランタ、ジョージ
ア州、米国)、QS−21(ケンブリッジ・バイオテク社、ケンブリッジ、メリ
ーランド州、米国)、SAF−M(カイロン社、エメリービレ、カリフォルニア
州、米国)、AMPHIGEN(登録商標)アジュバント、フロイントの完全ア
ジュバント、フロイントの不完全アジュバント、及びサポニン、QuilA若し
くは他のサポニン画分、モノホスホリル脂質A、並びにアブリディン脂質−アミ
ンアジュバントが含まれる。ワクチンに含まれ得る他の免疫調節試薬には、例え
ば、インターフェロン及び/又はインターロイキンなどの一つ以上のサイトカイ
ン、又は他の既知のサイトカインが含まれる。例えばポリオキシエチレンオレイ
ルエーテル及びn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルなどの非イオン性界面活
性剤も本発明のワクチンに含めうる。
【0115】 該ワクチン組成物は、経口、静脈内(水溶性の場合)、筋内、皮下、鼻内、皮
内、若しくは座薬の経路又は移植(例えば、除放技術を用いて)による等の便利
な様式で投与され得る。投与経路に応じて、該免疫原性成分は、酵素作用、酸、
及び消化管などの該成分を不活性化しうる他の自然状況から防御するための物質
で被覆することが必要となりうる。
【0116】 該ワクチン組成物は非経口的に又は腹腔内に投与してもよい。分散液はグリセ
ロール、液体ポリエチレングリコール、若しくはそれらの混合液又は油の中でも
調製できる。保存及び使用の通常の条件下で、これらの調製物は微生物の増殖を
妨げるための保存剤を含み得る。または、該ワクチン組成物は凍結乾燥された形
態で保存し使用前に適切なビヒクル又は担体で水溶液に戻せる。
【0117】 注射用途に適した医薬剤形には、滅菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液及び
滅菌された注射液又は分散液の即席調製用滅菌粉末が含まれる。除放技術を用い
る際など該医薬剤形が固体又は半固体でない限り、あらゆる場合において、該剤
形は容易に注射できる程度まで流体でなければならない。どの場合においても、
製造及び保存の条件下で安定でなければならず、そして微生物の混入作用から防
御されなければならない。
【0118】 該担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロ
ピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)、その適切な混合物及び
植物油を含む溶媒又は分散媒体でありうる。例えば、レシチンなどの被覆剤の使
用により、分散液の場合必要とされる粒子サイズの保持により、並びに界面活性
剤の使用により、適切な流動性が保持され得る。微生物の作用の予防は、例えば
パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロザール等の種々
の抗細菌剤及び抗真菌剤により実施できる。多くの場合、例えば糖類又は塩化ナ
トリウムなどの等張剤を含むことが好ましい。該注射組成物の長期吸収は、例え
ばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延させる試薬を組
成物に用いることにより実施できる。
【0119】 滅菌注射液は、適切な溶媒中に必要量の活性化合物を上に列挙した種々の他成
分とともに混合した後、必要ならばろ過滅菌することにより調製する。一般的に
、分散液は、上に列挙したものから選択される基本分散媒体及び必要な他の成分
を含有する滅菌ビヒクルに滅菌された該活性成分を混合することにより調製する
。滅菌注射溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾
燥技術及び凍結乾燥技術であり、活性成分と任意の補足的な所望成分の粉末が先
に滅菌ろ過された溶液から得られる。
【0120】 本発明は、ローソニア・イントラセルラリスと同様な血液型亜型又は血清グル
ープに属するものを含むL.イントラセルラリスの一つ以上の単離体又はサブタ
イプによる感染に対する防御を付与するワクチン組成物に及ぶ。該ワクチン組成
物は、ヌクレオチドレベル、生化学レベル、構造レベル、生理学レベル及び/又
は免疫相互反応のレベルで決定されると、ローソニア属の他の種又はそれに類縁
の他の微生物による感染に対する防御をも付与することが好ましい。これらの他
の種又は他の微生物が本明細書に記載される本発明のポリペプチドと免疫学的に
交差反応するポリペプチドを発現することが唯一の必須条件である。例えば、こ
のような類縁の微生物は、標準的なゲノムDNAハイブリダイゼーション及び分
析技術を用いて決定すると、ローソニア・イントラセルラリスのゲノムDNAに
対して全体として少なくとも約70%同一であるゲノムDNAを含みうる。
【0121】 「血清グループ基」及び「血液型亜型」という用語は、血清学の型決定データ
、特に顕微鏡凝集試験(MAT)などの凝集検定を用いて得られるデータに基づ
く微生物の分類に関する。当業者は、血液型亜型及び血清グループの抗原が細胞
表面上でモザイク状であり、その結果、一つの血液型亜型及び/又は血清グルー
プに属する細菌の間に厳密な線引きはないことを知っている。さらに、異なる種
に属する生物が、抗原決定により識別できるので、同じ血液型亜型又は血清基に
分類されうる。本明細書で用いられるとき、「血液型亜型」という用語は、一つ
以上の遺伝子座により生じる抗原決定基群に関しての、抗原性としての同一の一
つ以上のローソニア株を意味する。定量的に、血液型亜型は交差凝集吸収技術に
より互いに識別されうる。本明細書で用いられるとき、「血清グループ」という
用語は、そのグループ内のメンバーは共有するグループ抗原と交差凝集するが他
のグループのメンバーとは交差凝集しないので、一つの血清グループのメンバー
は単純な交差凝集により相互に多かれ少なかれ密接な抗原関係を有するローソニ
ア・スピーシーズの一群を指す。
【0122】 従って、本発明は、明らかに、ローソニア・イントラセルラリスと同じ血液型
亜型又は血清グループに属する任意の細菌に対する動物の治療及び/又は予防の
ためのワクチン組成物、特にブタ及び/又は鳥類種の治療及び/又は予防のため
のワクチン組成物に及ぶ。このような生物は、配列番号:1に関して全体として
少なくとも約60%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドを発現すること
が好ましい。
【0123】 本発明は、さらに、ローソニア・イントラセルラリスの「遺伝的変異体」に対
する防御を付与できるワクチン組成物に及び、唯一の必須条件は、該変異体が配
列番号:1に対して全体として少なくとも約60%のアミノ酸配列同一性を有す
るポリペプチド及び/又は配列番号:1由来の少なくとも約5個の連続したアミ
ノ酸残基又はそれらと免疫学的に交差反応するその同族体、類似体若しくは誘導
体を発現することである。L.イントラセルラリスの遺伝子変異体は、L.イン
トラセルラリスの突然変異、組換え、接合若しくは形質転換により開発でき又は
天然で生じうる。このような誘導体を作成する方法は当業者に知られている。
【0124】 特に好ましい実施態様において、本発明のワクチン組成物は、L.イントラセ
ルラリスによる感染に対する、ブタ若しくは鳥類動物の感染の予防及び/又は治
療、そしてより好ましくはブタ動物の予防及び/又は治療を意図しており又はそ
れらに適している。
【0125】 従って、本発明は、明らかに、動物、特にブタ又は鳥類動物のPPEの治療及
び/又は予防のための医薬品の調製における前記実施態様のいずれか一つに記載
の又は本明細書で例示される発明の免疫原性ポリペプチドの使用に及ぶ。
【0126】 本発明は、さらに、鳥類又はブタ動物などの動物におけるPPEの治療方法及
び/又は予防方法に及ぶ。該方法は免疫応答が該動物に起こるのに十分な時間及
び条件の下で本明細書に記載され又は例示される本発明のワクチン組成物又は免
疫原性ポリペプチドを該動物に投与する工程を含む。ワクチン組成物の投与の場
合、該免疫原に対する免疫応答は防御的免疫応答であることが好ましい。
【0127】 当業者は、ブタ及び鳥類動物以外の動物へのL.イントラセルラリス及び/又
は類縁の微生物に対するワクチン接種における本発明の一般的適応を認知するで
あろう。本発明のワクチンの一般的適用において、唯一の必須条件は、防御を付
与される動物がL.イントラセルラリス及び/又はそれに類縁の微生物に感染で
き、且つL.イントラセルラリスに類縁の微生物の場合、この類縁の微生物が本
明細書に記載されるワクチン組成物のポリペプチド成分を模倣し又はこれらと交
差反応するB細胞エピトープ又はT細胞エピトープを発現することである。本発
明のワクチンにより防御されうる動物には、ヒト、霊長類、愛玩動物(例えばネ
コ、イヌ)、家畜動物(例えばブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ロバ、ヤギ)、研究
室実験動物(例えばマウス、ラット、モルモット、ウサギ)、及び捕獲された野
生動物(例えばカンガルー、キツネ、シカ)が含まれるが、これらに限定されな
い。本発明は家禽鳥類、狩猟鳥及びかごの鳥などの鳥類のワクチン接種にも及ぶ
【0128】 本発明は、さらに、ローソニア・スピーシーズ、又はブタ動物若しくは鳥に感
染し病気を惹き起こす他の病原体のいずれかから、該動物を防御できる一つ以上
の他の抗原を含む第二免疫原性成分の有効量と組み合わせた本発明のポリペプチ
ドを含む第一免疫原性成分の有効量を含む組み合わせワクチンに及ぶ。好ましい
実施態様において、該第二免疫原性成分は、L.イントラセルラリスのオートリ
シン、ヘモリシン、FlgE、及びSodCのポリペプチド、並びにそれらの同
族体、類似体又は誘導体、特にその免疫原性の変異体若しくは誘導体、並びにそ
れらをコードする核酸分子から成る群より選択されるものである。
【0129】 本発明の単離され若しくは組換えられたOmpHポリペプチド又は免疫学的に
等価なその同族体、類似体若しくは誘導体は、ローソニア・スピーシーズ、特に
L.イントラセルラリス又はそれに類縁の生物による動物の感染の診断に有用な
免疫学的に相互作用する分子の調製にも役立つ。
【0130】 本明細書で用いられるとき、「免疫学的に相互作用する分子」という用語には
、抗体及び抗体の誘導体及びFab、又はSCAB(一本鎖抗体)などの機能的
等価物が含まれ、それらはいずれも、とりわけ、酵素、放射性標識、若しくは蛍
光標識に随意結合することができる。このような免疫学的に相互作用する分子の
唯一の必須条件は、それらが上述したように本発明の免疫原性ポリペプチドに特
異的に結合できることである。
【0131】 従って、本発明の更なる側面は、下記のもの、即ち (i) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列に全体として少なくとも約60%
の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド、オリゴペプチド若しくはポ
リペプチド、 (ii) 配列番号:1由来の少なくとも五つの連続したアミノ酸残基を含むペ
プチド、又は (iii) そのB細胞エピトープ若しくはT細胞エピトープを模倣する(i)又は
(ii)の同族体、類似体若しくは誘導体、 のいずれか一つ以上に結合でき免疫学的に相互作用する分子に及ぶ。
【0132】 好ましい実施態様において、免疫学的に相互作用する分子は、配列番号:1の
アミノ酸からなるポリペプチドに特異的に結合する抗体である。
【0133】 免疫学的に相互作用する分子を調製するため、従来の方法が使用できる。例え
ば、本発明のポリペプチドを用いることにより、ポリクローナル抗血清又はモノ
クローナル抗体が標準的な方法で作製できる。例えば、哺乳動物(例えば、マウ
ス、ハムスター、又はウサギ)は、該哺乳動物での抗体応答を誘発する本発明の
ポリペプチドの免疫原性製剤で免疫化できる。ポリペプチドに免疫原性を付与す
る技術には、担体への結合、又は当分野で周知の他の技術が含まれる。例えば、
該ポリペプチドを、アジュバントの存在下で投与でき、又は当分野で知られるよ
うに、該ポリペプチドの免疫原性を増強する担体分子と結合できる。免疫化の進
行は血漿又は血清中の抗体力価の検出により監視できる。標準的なELISA法
又は他の免疫検定は、抗体のレベルを評価するための抗原としての免疫原ととも
に使用できる。免疫化の後、抗血清を得ることができ、例えばポリクローナル抗
体に対応するIgG分子群が該抗血清から単離できる。
【0134】 モノクローナル抗体を作製するため、抗体を生産する細胞(リンパ球)は本発
明のペプチドで免疫化された動物から回収し、標準的な体細胞融合手法により骨
髄腫細胞と融合できる。こうして、これらの細胞を不死化し、ハイブリドーマ細
胞を得ることができる。このような技術は当分野で周知であり、例えば最初コー
ラーとミルスタイン(1975)により開発されたハイブリドーマ技法、並びにヒト
B細胞ハイブリドーマ技法(コズボールら、1983)、ヒトのモノクローナル抗体
を生産するためのEBVハイブリドーマ技法(コールら、1985)及び組み合わせ
抗体ライブラリーのスクリーニング(ヒュゼら、1989)などの他の技法を含む。
ハイブリドーマ細胞を、単離し、そして該ポリペプチド及び該細胞から単離され
たモノクローナル抗体と特異的に反応する抗体の生産について免疫化学的にスク
リーニングすることができる。
【0135】 抗体を誘発するためのあらゆる免疫原性組成物と同様に、本発明のペプチドの
免疫学的に有効な量は実験的に決定されなければならない。天然ペプチドがアジ
ュバント若しくは担体タンパク質若しくは他の担体と複合体を形成し又はそれら
と共有結合するか否かに関わらず、考慮すべき因子には該ペプチドの免疫原性、
該組成物の投与経路、即ち静脈内、筋肉内、皮下など、並びに投与されるべき免
疫用量の回数が含まれる。このような因子はワクチン分野で知られており、過度
に実験することなくこのような決定を行うことは十分免疫学者の技量内にある。
【0136】 本明細書で用いられるとき、「抗体」という用語は、配列番号:1に記載され
るローソニア・イントラセルラリスのOmpHポリペプチドのB細胞エピトープ
又はT細胞エピトープを模倣する又はこれらと交差反応するペプチドにも特異的
に反応するそれらの断片を含むことを意図する。抗体は従来技術を用いて断片化
でき、該断片は全長の抗体について上に記載したのと同様な様式で有用性につい
てスクリーニングできる。例えば、F(ab′)2 断片は抗体をペプシンで処理
することにより作製できる。得られるF(ab′)2 断片は処理してジスルフィ
ド架橋を減らしFab′断片を作製できる。
【0137】 上で論じた最初に述べた抗体に対する抗イディオタイプ抗体を含む任意の二次
抗体(モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体又は抗体の断片)を含むこと
はこの発明の範囲内である。この一次抗体及び二次抗体の両方が検出検定で使用
でき、又は一次抗体は市販の抗免疫グロブリン抗体とともに使用できる。本明細
書で意図される抗体には、上述したように配列番号:1に記載のローソニア・イ
ントラセルラリスOmpHポリペプチドのB細胞エピトープ又はT細胞エピトー
プを模倣し又はこれらと交差反応するペプチドの任意の領域に特異的なあらゆる
抗体が含まれる。
【0138】 本明細書に記載される抗体は、例えば合成ペプチドが該アミノ酸配列と免疫学
的に交差反応する能力又は該アミノ酸配列と交差反応する抗体の生産を誘発する
能力を試験すること等により、配列番号:1に記載のアミノ酸配列のB細胞エピ
トープ又はT細胞エピトープを決定するために有用である。本明細書に記載の方
法を用いて、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体又はキメラのモノクロー
ナル抗体もまた、配列番号:1に記載のローソニア・イントラセルラリスのOm
pHポリペプチドのB細胞エピトープ又はT細胞エピトープを模倣し又はこれら
と交差反応するペプチドに対して形成させることができる。
【0139】 より具体的には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体又はキメラのモノ
クローナル抗体は、本発明のペプチド及び/又はその同族体、類似体若しくは誘
導体を種々の生体材料中で検出するために使用できる。例えば、これらはELI
SA法、放射免疫検定、又は組織化学試験で使用できる。即ち、該抗体は、生体
試料中のローソニア・イントラセルラリスの存在を診断するために、本発明のポ
リペプチド又はその同族体、類似体若しくは誘導体への結合について試験するた
めに使用できる。
【0140】 従って、本発明の更なる側面は、ローソニア・イントラセルラリス若しくはそ
れに類縁の微生物による動物の感染を診断する方法を提供する。この方法は、該
動物から得られる生体試料を、抗原−抗体複合体が形成するのに十分な時間及び
条件の下で、配列番号:1に記載のアミノ酸配列又はその同族体、類似体若しく
は誘導体を含むペプチド、オリゴペプチド又はポリペプチドに結合できる免疫学
的に相互作用する分子と接触させる工程、及び該複合体の形成を検出する工程を
含む。本発明のこの実施態様によれば、免疫学的に相互作用する分子は、配列番
号:1に記載のローソニア・イントラセルラリスOmpHポリペプチド又はその
類似体若しくは誘導体に対して調製された抗体分子であることが好ましい。
【0141】 該生体試料は、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、又
はその同族体、類似体若しくは誘導体を含む可能性のあるものであり、具体的に
は、生体試料は、病原体のローソニア・イントラセルラリス又はそれに類縁の微
生物のブタ又は鳥類の宿主に由来し、該動物から得られる任意の適切な組織試料
又は体液試料を含み得る。好ましい生体試料は、試験されるブタ又は鳥類の宿主
動物の回腸、盲腸、小腸、大腸、全血清又はリンパ節から得られる。その代わり
又はその上に、該生体試験試料は該動物に由来する糞便又は直腸スワブを含みう
る。
【0142】 動物の腸又は他の器官に棲む他の微生物とL.イントラセルラリスを識別する
ために、該抗体は、動物の腸又は他の器官中に存在する診断が求められている微
生物、例えば大腸菌とL.イントラセルラリスとの間で保存されている少なくと
も長さが五つのアミノ酸のこれらの領域などのOmpHの高度に保存されている
エピトープに対して調製すべきではない。
【0143】 従来の免疫検定は、本発明のこの実施態様を実施するために用いることができ
る。米国特許第4,016,043号、第4,424,279号及び第4,018,653号を参照すること
により分かるように、広範囲の免疫検定技術が利用できる。もちろん、これらに
は非競合型の一部位検定及び二部位検定の両方又は「サンドイッチ」検定、並び
に古典的な競合結合検定が含まれる。これらの検定には標的に対する標識抗体の
直接結合も含まれる。本発明のこの実施態様を実施するために該検定を改変する
又は最適化する方法は当業者には容易に明らかであり、このようなあらゆる改変
及び最適化が本発明に包含される。
【0144】 一つの代替的実施態様において、本発明は、動物が、ローソニア・イントラセ
ルラリス若しくはそれに類縁の微生物により過去に感染したか又は現在感染して
いるか否かを決定する方法を意図する。この方法は、該動物由来の血液若しくは
血清を、抗原−抗体複合体が形成するのに十分な時間及び条件の下で本発明の免
疫原性ポリペプチドと接触させる工程、及び該複合体形成を検出する工程を含む
。この実施態様は、この病原体による過去又は現在の感染結果として存在する、
動物の血液又は血清中のローソニア・イントラセルラリス又は類縁の生物に対す
る循環抗体の検出にかかっている点で、前述の実施態様と異なっている。しかし
ながら、該検定形式の原理が同じであることは当業者に明白である。前記で言及
した本発明の他の実施態様と同様に、従来の免疫検定が使用できる。当業者は、
本実施態様を実施するために既知の免疫検定形式を容易に変更できる。本発明の
この実施態様は、例えば中でも部分精製されたIgG画分若しくはIgM画分及
び軟膜試料などの免疫学的に相互作用する分子を含む誘導体又は血液及び血清も
利用できる。このような画分の調製は当業者にも知られている。
【0145】 本発明のさらなる側面は、下記のもの、即ち (i) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列に全体として少なくとも約60%
の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド、オリゴペプチド若しくはポリペ
プチド、 (ii) 配列番号:1に由来する少なくとも五つの連続したアミノ酸を含むペ
プチド、又は (iii) ローソニア・スピーシーズのB細胞エピトープ若しくはT細胞エピト
ープを模倣する(i)又は(ii)の同族体、類似体若しくは誘導体、 から選択されるペプチド、オリゴペプチド又はポリペプチドをコードするヌクレ
オチド配列又はそれらをコードする核酸分子に相補的なヌクレオチド配列を含む
単離された核酸分子を提供する。
【0146】 好ましい実施態様において、本発明は、配列番号:1に記載のローソニア・イ
ントラセルラリスのOmpHポリペプチドのB細胞エピトープ又はT細胞エピト
ープを含み、これらを模倣し又はこれらと交差反応するポリペプチド免疫原をコ
ードするヌクレオチド配列、又は該免疫原をコードする核酸分子に相補的なヌク
レオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。
【0147】 特に好ましい実施態様において、本発明は、配列番号:1に記載のアミノ酸配
列を有するL.イントラセルラリスのOmpHポリペプチドをコードするヌクレ
オチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。
【0148】 配列番号:1に記載のアミノ酸配列、又はその同族体、類似体若しくは誘導体
の凝集体などの、本明細書に記載の免疫原性ポリペプチドのポリマー形態、また
は、配列番号:1に記載のアミノ酸配列又はその同族体、類似体若しくは誘導体
の反復を含むポリペプチドを包含することは本発明の範囲内である。本発明はさ
らに、このようなポリマー型をコードする核酸分子にまで及ぶ。
【0149】 代わりに又はその上、本発明の単離された核酸分子は、配列番号:2に記載の
ヌクレオチド配列に全体として少なくとも約60%の配列同一性を有するヌクレ
オチド配列又はその相補的ヌクレオチド配列をさらに含む。より好ましくは、配
列番号:2又はそれに相補的なヌクレオチド配列に対する配列同一性百分率は少
なくとも約80%である。更により好ましくは、配列同一性百分率は少なくとも
約90%である。更により好ましくは、配列同一性百分率は少なくとも約95%
である。
【0150】 好ましい実施態様において、該核酸分子は配列番号:2に記載のヌクレオチド
配列、又はpALK13(ATCC207196)に存在する、OmpHをコー
ドするヌクレオチド配列、又はその縮重変異体、及びその相補体を含む。
【0151】 二つのヌクレオチド配列がこれらの百分率の範囲内に収まるか否かを決定する
際に、配列の並列比較又は多重整列を行うことが必要であることを当業者は認知
している。このような比較又は整列において、該整列を実施するために用いられ
るアルゴリズムに応じて、同一でない残基の位置決定に差異が生じる。本文脈に
おいて、二つ以上のヌクレオチド配列間での同一性百分率についての言及は、当
業者に知られる任意の標準的なアルゴリズムを用いて決定されるとき、該配列間
で同一な残基の数を指すと解釈されるべきである。例えば、ヌクレオチド配列を
整列し、それらの同一性をBESTFITプログラム又はコンピュータ・ジェネ
ティックス・グループ社、ユニバーシティー・リサーチ・パーク、マディソン、
ウィスコンシン州、アメリカ合衆国の他の適切なプログラム(デベリュックスら
、1984)を用いて算出しうる。
【0152】 代わりに又はその上、本発明の単離された核酸分子は、少なくとも低度の厳格
性条件下で、配列番号:2に記載のヌクレオチド配列と若しくはそれと相補的な
ヌクレオチド配列と又は配列番号:2に記載の配列に由来する少なくとも長さ約
20の連続したヌクレオチドを含む核酸断片と又はそれに相補的なヌクレオチド
配列とさらにハイブリダイズできる。
【0153】 該核酸分子は、少なくとも中度の厳格性条件下でハイブリダイズすることが好
ましく、高度の厳格性条件下でハイブリダイズできることが更により好ましい。
【0154】 本発明は、明らかに、組換えの一価又は多価の組換えワクチンの使用などのた
めの、本発明の組換え免疫原性ポリペプチドの調製に適した発現可能な形式で当
該核酸分子を含む遺伝子構築物を包含する。
【0155】 このような場合、該核酸分子はプロモーター配列と機能しうるように連結して
おり、それにより前述したように原核細胞又は真核細胞における該核酸分子の発
現を調節できる。
【0156】 該遺伝子構築物は更に任意として例えばターミネーター配列を含む。「ターミ
ネーター」という用語は、転写の終結を知らせる、転写単位の末端にあるDNA
配列を指す。「ターミネーター」はヌクレオチド配列であり、一般的に遺伝子若
しくはmRNAの3′−非翻訳領域内に位置し、mRNA一次転写産物の3′末
端にポリアデニル化配列の転写後付加を促すポリアデニル化シグナルを含む。タ
ーミネーター配列は、細菌、真菌、ウイルス、動物及び/又は植物の遺伝配列か
ら単離されうる。動物細胞で活性なターミネーターが知られており文献に記載さ
れている。
【0157】 好ましい実施態様において、該遺伝子構築物は、当分野で知られるように、本
発明の核酸分子を含むプラスミド、コスミド、又はファージなどのクローニング
ベクター又は発現ベクターであり、宿主細胞はそれらで形質転換又はトランスフ
ェクションされ得る。非制限的実施態様において、該ベクターはpALK13(
ATCC受託番号207196)プラスミドである。
【0158】 本発明の遺伝子構築物は、本明細書に記載されるワクチン組成物のタンパク質
性免疫原成分を生産するために又はDNAワクチンに用いるために特に有用であ
る。
【0159】 ローソニア・イントラセルラリス又は類縁の微生物による動物の感染を検出す
るためのある範囲の遺伝子診断検定は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR
)及び核酸ハイブリダイゼーションに基づく検定などは、本明細書に記載の核酸
分子を用いて利用できる。このような検定は全て本発明で意図される。
【0160】 従って、本発明の更なる側面は、動物被験体に由来する生体試料においてロー
ソニア・イントラセルラリス若しくは類縁の微生物を検出する診断方法を提供す
る。この方法は、配列番号:2に記載のヌクレオチド配列又はそれに相補的なヌ
クレオチド配列又はそれらの同族体、類似体若しくは誘導体に由来する一つ以上
のプローブ又はプライマーを、該試料中に存在するDNA分子又はRNA分子に
ハイブリダイズする工程、次いで検出手段を用いて該ハイブリダイゼーションを
検出する工程を含む。
【0161】 本明細書で用いられるとき、「プローブ」という用語は、配列番号:2に記載
のヌクレオチド配列に由来し且つ該ヌクレオチド配列の検出に使用できる核酸分
子を指す。プローブは、DNA(一本鎖若しくは二本鎖)又はRNA(即ちリボ
プローブ)又はそれらの類似体を含みうる。
【0162】 「プライマー」という用語は、先に定義されたように、ローソニア・イントラ
セルラリス又はそれに類縁の微生物から得られるヌクレオチド配列をPCRで増
幅するためにさらに使用できるプローブを指す。
【0163】 好ましいプローブ及びプライマーは、配列番号:2に記載のヌクレオチド配列
の断片、並びに配列番号:2に記載の配列に由来する少なくとも長さ約15ヌク
レオチドの合成一本鎖DNA分子若しくはRNA分子、又はそれと相補的なヌク
レオチド配列を含む。
【0164】 好ましくは、この実施態様に従うプローブ及びプライマーは、配列番号:2に
由来する少なくとも約20の連続ヌクレオチド、又はそれに相補的な配列を含み
、更により好ましくは配列番号:2に記載の配列若しくはその相補体に由来する
少なくとも約25の連続したヌクレオチド、更により好ましくは少なくとも約5
0の連続したヌクレオチド、及び更により好ましくは少なくとも約100ヌクレ
オチドから約500ヌクレオチド、又はその相補体を含む。配列番号:2の全長
又はそれに相補的なヌクレオチド配列を含むプローブ及びプライマーも本発明に
包含される。
【0165】 本目的のため、ヌクレオチド配列の「同族体」は、該配列内の一つ以上のヌク
レオチドの置換、挿入、欠失又は再配列の出現にも関わらず、本発明の核酸分子
によりコードされるポリペプチド又は配列番号:1の同族体、類似体若しくは誘
導体であるポリペプチドと機能的に等価なポリペプチドをコードする単離された
核酸分子を指すと解釈されるべきである。
【0166】 本明細書に記載されるヌクレオチド配列の「類似体」は、例えば、中でも炭水
化物、放射性ヌクレオチドを含む放射性化学物質、ビオチン、DIG、アルカリ
性ホスファターゼ、又はホースラディッシュペルオキシダーゼ、これらに限定さ
れないが、などのレポーター分子などの、単離された該核酸分子に通常存在しな
い非ヌクレオチド成分の出現にも関わらず、本発明の核酸分子によりコードされ
るポリペプチド、又は配列番号:1のアミノ酸配列を有するポリペプチドの同族
体、類似体若しくは誘導体と機能的に等価なポリペプチドをコードする単離され
た核酸分子を指すと解釈されるべきである。
【0167】 本明細書に記載されるヌクレオチド配列の「誘導体」は、配列番号:2に記載
のヌクレオチド配列又はそれに相補的なヌクレオチド配列に存在する15以上の
連続ヌクレオチドに対して少なくとも約50%のヌクレオチド配列同一性をもつ
単離された任意の核酸分子を指すと解釈されるべきである。一般的に、本発明の
ヌクレオチド配列は、突然変異誘発にかけて、一つ又は複数のヌクレオチドの置
換、欠失及び/又は挿入を引き起こさせることができる。本発明のヌクレオチド
配列のヌクレオチド挿入性誘導体は、一つ若しくは複数のヌクレオチド若しくは
ヌクレオチド類似体の配列内挿入だけでなく5′末端融合及び3′末端融合をも
含む。挿入性ヌクレオチド配列変異体は、一つ以上のヌクレオチド又はヌクレオ
チド類似体が該配列のヌクレオチド配列中の予め決まった部位内に導入されたも
のであるが、得られる産物について適切なスクリーニングを行えば無作為挿入も
可能である。欠失性ヌクレオチド配列変異体は該ヌクレオチド配列から一つ以上
のヌクレオチドを除去することにより特徴づけられる。置換性ヌクレオチド配列
変異体は、該配列の少なくとも一つのヌクレオチドを除去し異なるヌクレオチド
若しくはヌクレオチド類似体をその部位に挿入したものである。好ましい実施態
様において、このような置換は、当分野で知られるように、遺伝コードの縮重に
基づいて選択され、配列番号:1のアミノ酸配列をコードする置換性変異体が得
られる。
【0168】 プローブ又はプライマーは、得られるプローブ又はプライマーが少なくとも低
度の厳格性条件下で配列番号:2若しくはその相補的ヌクレオチド配列にハイブ
リダイズでき、又は配列番号:2若しくはその相補的ヌクレオチド配列に少なく
とも約60%同一であるならば、該ポリヌクレオチド分子内に取り込むことので
きるイノシン、アデニン、グアニン、チミジン、シチジン、若しくはウラシルの
残基又はその機能的な類似体若しくは誘導体を含み得る。
【0169】 本発明のこの側面の生体試料には、ローソニア・イントラセルラリスを含む若
しくは含みそうな任意の器官、組織、細胞若しくは浸出物又はそれらから得られ
る核酸が含まれる。生体試料は、例えば抽出緩衝液又は懸濁緩衝液などの適切な
溶液中で調製できる。本発明は、このように調製された生体溶液の試験に及び、
唯一の必須条件は該溶液が少なくとも本明細書に記載の生体試料を含むことであ
る。
【0170】 本発明の診断検定は、ローソニア・イントラセルラリス又は本発明のOmpH
ポリペプチド若しくはOmpH様ポリペプチドを発現するそれに類縁の微生物の
検出に有用である。
【0171】 本発明は、明らかに、属特異的検出及び種特異的検出の両方ができる診断検定
を意図する。従って、一つの実施態様において、該プローブ若しくはプライマー
、又はその同族体、類似体若しくは誘導体は、複数のローソニア・スピーシーズ
を検出するために使用できるDNAを含む。代替的実施態様において、該プロー
ブ若しくはプライマー、又はその同族体、類似体若しくは誘導体は、ローソニア
・イントラセルラリスを類縁の微生物から識別するために使用できるDNAを含
む。
【0172】 配列番号:2内の保存性の高くない領域は、L.イントラセルラリス及び極め
て近縁の種を検出するための種特異的なプローブ及び/又はプライマーとして特
に有用である。
【0173】 さらに、本明細書に記載の診断検定は、該ハイブリダイゼーション工程の厳格
性を変化させることにより属に特異的な検定又は種に特異的な検定に適応できる
。従って、低度の厳格性のハイブリダイゼーションは、検定される一つ以上の生
体試料で幾つかの異なるローソニアの種を検出するために使用でき、一方、高度
の厳格性のハイブリダイゼーションはこのような他の種からローソニア・イント
ラセルラリスを識別するために使用できる。
【0174】 本発明のこの側面の検出手段には、例えば核酸ハイブリダイゼーション技術又
はペーパークロマトグラフィーハイブリダイゼーション検定(PACHA)、又
はPCRなどの増幅反応、又は核酸配列に基づく増幅(NASBA)系などの任
意の核酸に基づく検出手段でありうる。本発明はさらに、中でも制限断片長多型
(RFLP)、増幅断片長多型(AFLP)、一本鎖高次構造多型(SSCP)
、増幅及びミスマッチの検出(AMD)、点在反復配列ポリメラーゼ連鎖反応(
IRS−PCR)、逆ポリメラーゼ連鎖反応(iPCR)、インサイチュポリメ
ラーゼ連鎖反応及び逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を含む該核酸
に基づく検出手段の異なる検定形式の使用を包含する。
【0175】 検出手段が核酸ハイブリダイゼーション技術である場合、該プローブは同定可
能なシグナル(例えば、32P若しくは35Sなどの放射性同位元素、又はビオチン
化分子)を生じることのできるレポーター分子で標識できる。この実施態様に従
って、当業者は、該レポーター分子の検出が該プローブの同定を可能にすること
、且つハイブリダイゼーションの後、生体試料中の対応するヌクレオチド配列の
検出が容易になることを知っている。単一のプローブを用いて得られる検定結果
を確認するために更なるプローブが使用できる。
【0176】 本発明により意図される核酸ハイブリダイゼーション技術の変形は、レインハ
ルツら(1993)により記載されたペーパークロマトグラフィーハイブリダイゼー
ション検定(PACHA)及びその等価法である。ここで、標的核酸分子はビオ
チンなどのレポーター分子で標識し、ニトロセルロース膜濾紙片若しくはナイロ
ン膜濾紙片の一端に塗布し、そして該標的核酸分子が該膜の長い方に沿ってDN
Aプローブが固定されている領域、例えば中間領域などへ移動させるのに十分な
時間及び条件の下、毛管作用若しくは他の力(例えば電界)の下でクロマトグラ
フィーにかける。この検出形式に従って、該プローブに相補的なローソニア・ス
ピーシーズのヌクレオチド配列を含む標識された標的核酸はそれにハイブリダイ
ズし、該プローブが結合した膜の領域に固定化されるようになる。該プローブに
非相補的な配列は、該プローブが結合する部位を通り過ぎて拡散する。標的核酸
は、DNA若しくはRNAの粗抽出液若しくは部分的に精製した抽出液、又は増
幅された若しくは精製されたDNAを含みうる。本明細書に記載のヌクレオチド
配列を利用するこの検出手段の更なる変形は、明らかに本発明に包含される。
【0177】 該検出手段がRFLPの場合、生体試料に由来する核酸、特にDNAは一つ以
上の制限エンドヌクレアーゼ酵素で消化し、この消化されたDNAを電気泳動に
かけ、例えばナイロン膜若しくはニトロセルロース膜などの固体支持体に移し、
そして上に定義したレポーター分子で随意標識されたプローブとハイブリダイズ
させる。この実施態様に従って、DNA断片の特異的な模様が該支持体上に現れ
、該模様は個々のローソニア・スピーシーズに特異的であり、使用者は該細菌の
異なる種を識別させうることが好ましい。
【0178】 該検出手段は、例えばポリメラーゼ連鎖反応又は核酸配列に基づく増幅(NA
SBA)系又はその変形などの増幅反応である場合、配列番号:2に由来する少
なくとも長さ15の連続したヌクレオチド又はその相補的ヌクレオチド配列、又
はその同族体、類似体若しくは誘導体の一つ以上の核酸プライマー分子が生体試
料から得られる核酸にハイブリダイズし、そして該試料中のOmpHをコードす
る遺伝子配列の核酸コピー、又はその一部若しくは断片が酵素で増幅される。
【0179】 当業者は、該プライマーがハイブリダイズする生体試料鋳型分子の配列(即ち
「鋳型分子」)と該プライマーとの間に十分に高いヌクレオチド配列同一性百分
率がなければならないことを知っている。前述したように、厳格性の条件はハイ
ブリダイゼーションを促進するために変更できる。
【0180】 各プライマーは配列番号:2の領域又は該プライマーがハイブリダイズする鋳
型分子のその相補的ヌクレオチド配列に対して少なくとも約95%同一であるこ
とが好ましい。当業者は、一つの様式において、PCRが該鋳型分子の異なる鎖
に対する非相補的プライマーのハイブリダイゼーションを許し、このハイブリダ
イズしたプライマーが熱安定性DNAポリメラーゼ酵素の制御下で介在領域の核
酸の5′−3′合成を容易にするように配置されることを知っている。その結果
、このハイブリダイズしたプライマー間の領域のヌクレオチド配列が未知のもの
でいかなる既知のヌクレオチド配列にも無関係である限り、PCRは他の検出手
段を凌ぐ利点を提供する。
【0181】 代替実施態様において、該検出手段がAFLPである場合、該プライマーは、
該生体試料から得られる核酸、特にDNAが増幅される際に、異なる長さの増幅
産物が異なるローソニア・スピーシーズから生産されるように選択される。該増
幅産物を、電気泳動にかけ、例えばナイロン膜若しくはニトロセルロース膜など
の固体支持体に移し、そして上述したレポーター分子で随意標識したプローブに
ハイブリダイズさせる。この実施態様に従って、増幅されたDNA断片の特異的
な模様が該支持体上に現れ、該模様は随意に個々のローソニア・スピーシーズに
特異的であり、使用者はRFLP分析とほとんど同様な方法で該細菌の異なる種
を識別できる。
【0182】 AMD技術は生体試料中のローソニア・スピーシーズDNAの検出ばかりでな
く該検定様式で用いるプライマー及びプローブと異なるヌクレオチド配列変異体
の決定も容易にする。検出手段がAMDである場合、該プローブを適切なレポー
ター分子で末端標識し、増幅された過剰の鋳型分子と混合する。続いて、該混合
物を変性し再生して核酸の「プローブ:鋳型ハイブリッド分子」即ち「ハイブリ
ッド」を形成させる。この場合、該プローブとそれがハイブリダイズする鋳型分
子との間のいかなるヌクレオチド配列変化があっても該ハイブリッドの塩基対形
成は破壊される。これらのミスマッチ領域はヒドロキシルアミン(ミスマッチの
シトシン残基)又は四酸化オスミウム(ミスマッチのチミジン残基)を用いた特
異的な化学修飾を受け易く、続いてピペリジンを用いて該修飾部位を切断できる
。この切断された核酸は、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、上述したよ
うに標準的な核酸ハイブリダイゼーションを用いて分析しローソニア由来のヌク
レオチド配列を検出しうる。当業者は、この実施態様に記載した本発明の実施に
したがい遺伝子プローブを末端標識する手段を知っている。
【0183】 この実施態様にしたがって、片方の末端標識したプローブの使用により該配列
変異体を明確に位置決定できる。配列の変異点と該末端標識との距離は該切断産
物のサイズにより表される。
【0184】 AMDの代替的実施態様においては、該プローブはレポーター分子で両端が標
識され、両DNA鎖の同時分析が容易になる。
【0185】 該検出手段がRT−PCRである場合、該核酸試料はローソニア由来のDNA
、又はその同族体、類似体若しくは誘導体の転写産物であるRNA分子を含む。
その結果、この検定様式は一つ以上のローソニア遺伝子の発現を決定することが
望まれる場合に特に有用である。この実施態様にしたがって、該RNA試料は逆
転写され、続いて標準的な手法を用いて増幅された相補的な一本鎖DNAを生産
する。
【0186】 本明細書に記載の実施態様の変形はマックフェルソンら(1991)により詳細に
記載されている。
【0187】 本発明は、明らかに、動物におけるローソニア・スピーシーズ、特にローソニ
ア・イントラセルラリスの感染を診断する目的で上に言及したいずれかの及びす
べての検出手段の使用に及ぶ。
【0188】 上述した増幅反応検出手段は、該増幅DNAを該増幅反応で用いたプライマー
のいずれとも異なるプローブとハイブリダイズすることなどにより、さらに古典
的なハイブリダイゼーション反応検出手段と共役させて本発明方法の感度及び特
異性をさらに増強できる。同様に、上述したハイブリダイゼーション反応検出手
段は第一ハイブリダイゼーション反応で用いたプローブと異なるプローブを用い
てさらに第二ハイブリダイゼーション工程と共役できる。
【0189】 本発明のさらなる側面は配列番号:2に由来する単離されたプローブ若しくは
プライマー又はそれに相補的なヌクレオチド配列を提供する。
【0190】 本発明を下記の非限定的な実施例でさらに説明する。
【0191】 実施例1 ブタ組織の起源 感染したブタの腸 自然に又は実験的にPPEで感染させたブタから、ひどく厚くなった回腸の切
片を採取した。その回腸におけるL.イントラセルラリス細菌の存在は、特異的
なモノクローナル抗体(マックオリストら、1987)での免疫蛍光染色により確認
した。適当な抗体の一例はエディンバラ大学、英国から入手できるIG4モノク
ローナル抗体である。
【0192】 実施例2 感染したブタの回腸からのローソニア・イントラセルラリス細菌の単離 ローソニア・イントラセルラリス細菌は、以下の通り、濾過によりブタのPP
E病巣から直接抽出し、そしてパーコール(ファルマシア社、ウプサラ、スウェ
ーデン)勾配で更に精製した。感染した回腸をブタから回収し、L.イントラセ
ルラリスの存在は−80℃で保存する前に組織学的に確認した。回腸の切片を解
凍し、該腸壁から約8gの感染した粘膜をこすり落とした。この粘膜をサーバル
万能ミキサーを用いて半開スピードで10秒間、40mlの滅菌リン酸緩衝食塩
水(PBS)でホモジナイズした。この懸濁液を2000×gで4分間遠心分離
した。その上清を捨て、細胞ペレットを40mlのPBSに再懸濁し、再遠心分
離した。この洗浄工程を2回繰り返した。次いで、この細胞ペレットを20ml
のPBSに再懸濁し、全開スピードで一分間ホモジナイズしてL.イントラセル
ラリス細菌を放出させた。
【0193】 このホモジネートは1000×gで4分間遠心分離し、ホモジナイズされた上
皮細胞及び腸内細菌の粗混合物を含むペレットを得た。この上清を孔径3μm、
1.2μm及び0.8μmのフィルター(ミリポア社、マサチューセッツ州、米
国)で濾過した。この濾過液を8000×gで30分間遠心分離してL.イント
ラセルラリス細菌の小さなペレットを得た。このL.イントラセルラリス細菌は
下記の通りに45%自己形成パーコール勾配を用いてさらに精製した。即ち、2
mlの細菌調製物を30mlの45%自己形成パーコール(ファルマシアLKB
社、ウプサラ、スウェーデン)勾配(45%v/vのパーコール、150mMのNa
Cl)中で反転させることにより混合した。この勾配は、SS34ローターを用
いて、4℃、20,000rpmで30分間、サーバル遠心分離機で遠心分離した。
通常、幾つかのバンドが該勾配内で形成する。L.イントラセルラリス細菌を含
むバンド(通常チューブの底から約10〜20mmに位置する)を回収し、容量
をPBSで16mlにした。次に、この溶液を8000rpmで15分間遠心分
離した。得られたペレットはPBSで洗浄した後、約1mlの最終容量で再懸濁
した。
【0194】 実施例3 ローソニア・イントラセルラリスのゲノムDNAの精製 ゲノムDNAは、アンダーソンら(1984)及びサムブルックら(1989)記載の
方法により、感染したブタの回腸の削片(実施例2)から回収しパーコール勾配
で精製したローソニア・イントラセルラリス細菌から抽出した。
【0195】 簡潔に述べれば、このL.イントラセルラリス細胞を14,000×g、4℃で15
分間遠心分離することによりペレット化した。この細胞は10mlのTE緩衝液
(1mMのトリス塩酸、0.1mMのEDTA、pH8.0)に再懸濁し、上記
のように遠心分離した。次いで、このペレットを4mg/mlのリゾチーム(シ
グマケミカル社)を含む4mlのTE緩衝液に再懸濁し、37℃で20分間イン
キュベートした。SDS及びプロテイナーゼK(プロメガ社、ウィスコンシン州
、米国)を最終濃度が1%(w/v)及び200μg/mlになるようそれぞれ添加
し、45℃で4時間インキュベーションを続けた。次いで、この溶菌液を等容量
のフェノール、フェノール:クロロホルム(1:1)及びクロロホルムでそれぞ
れ抽出し、エタノール沈殿により上清から核酸を回収した。このペレットを緩や
かにTEに溶解し、37℃で30分間リボヌクレアーゼA(プロメガ社、ウィス
コンシン州、米国)で処理した後、0.5%(w/v)のSDSの存在下、50℃で1
時間プロテイナーゼKで消化した。もう一巡、フェノール:クロロホルム(1:1
)及びエタノール沈殿を行った後、この精製DNAをTEに溶解した。次いで、
このDNAを4℃で保存した。
【0196】 実施例4 ワクチン接種されたブタから得られた実験用血清を用いた L.イントラセルラリスライブラリーの免疫スクリーニング 実施例3から得られたゲノムDNAを制限エンドヌクレアーゼSau3A(プ
ロメガ社)で部分消化し、ラムダZAPエキスプレス(ストラタジーン社、カリ
フォルニア州、米国)内に連結した。このラムダライブラリーを、150mmの
L−ブロス寒天プレートにつき1,000ファージ形成単位(pfu)の密度で大腸
菌XLIブルー細胞の菌叢上を覆った。該ライブラリーをプロトブロットテクニ
カルマニュアル(プロメガ社、ウィスコンシン州、米国)に記載の方法を用いて
スクリーニングした。該フィルターを、ブロッキング緩衝液(10mMのトリス
塩酸、pH8.0、150mMのNaCl、0.05%のツウィーン20及び5%の
ブロット)中でブロッキングした後、Y12ブタ及び/又は395ブタから得ら
れる血清を用いてスクリーニングした。このY12ブタ及び395ブタは、国際
特許出願第PCT/AU96/00767号に記載されたように、ホルマリンで
殺したL.イントラセルラリス及び熱で殺したL.イントラセルラリスでそれぞ
れ予め免疫化されたものであった。一次スクリーニングで同定された陽性プラー
クを選び、より低密度で再プレートし、個々の陽性プラークが同定されるまで、
いずれかの血清又は両方の血清で再スクリーニングした。この陽性ラムダファー
ジクローンから得られたプラスミドDNAを製造業者(ストラタジーン社、カリ
フォルニア州、米国)により推奨される通りにインビボ切除により単離した。
【0197】 実施例5 ファージクローンを発現するL.イントラセルラリスの分析 陽性のλZAPエキスプレスファージクローンから得られたファージミドDN
Aは、製造業者(ストラタジーン社)により推奨される条件でインビボ切除によ
り単離した。
【0198】 制限分析用のプラスミドDNAは、サムブルックら(1989)が記載するように
、製造業者(ベーリンガー・マンハイム社、マンハイム、ドイツ)により推奨さ
れる通りにハイ・ピュア・プラスミド・キットを用いて自動配列決定のためにア
ルカリ溶解により抽出した。単離されたクローン挿入物のDNA配列決定は自動
配列決定の色素−ターミネーター法(ABIバイオシステムズ、CA,USA)
により行った。OmpH遺伝子の完全コード領域のヌクレオチド配列は配列番号
:2に記載する。
【0199】 実施例6 L.イントラセルラリスのOmpHタンパク質を 発現する大腸菌クローンのウェスタン分析 一晩培養物を適当な抗生物質選択を含む10mLのLBブロス中に1/10希
釈した。軌道振盪機上で37℃で30分間インキュベートした後、最終濃度1m
MのIPTGを添加し、さらに1〜2時間インキュベートした。細胞(1.5m
l)を遠心分離で収穫し、50μlの試料緩衝液(62.4mMのHCl、2%
w/vのSDS、10%グリセロール、5%v/vメルカプトエタノール、0.
002%のブロモフェノールブルー、pH6.8)中に再懸濁し、95℃で5分
間加熱した後、可溶化したタンパク質を12%タンパク質ゲル上200Vで2時
間電気泳動して分離した。
【0200】 タンパク質を、製造業者(バイオラッド、CA)の推奨のように、標準的手順
でニトロセルロース膜に移した。この膜を実施例4に記述したように、Y12血
清でブロックし、スクリーンした。化学発光の増加(ECL、アマシャム、IL
)を免疫反応性のL.イントラセルラリスタンパク質を検出するために用いた。
データを図1に示す。
【0201】 実施例7 L.イントラセルラリスrecOmpHタンパク質に対する抗血清 精製したL.イントラセルラリス組換えOmpHタンパク質に対する抗血清を
ウサギで形成させた。精製した組換えOmpHタンパク質の調製物をウサギの二
つの離れた部位に筋肉内注射をした。精製OmpHの総量400μgをフロイン
トの不完全アジュバントと共に総容量1mlとなるように調剤し、その500μ
lを各部位に注射した。同様に、28日後の第二回目のワクチン接種のために別
の二つの用量を調製し、皮下に注射した。2週間後に、このウサギを安楽死させ
、血液試料を採取した。
【0202】 実施例8 パラフィン切片及び糞塗布物のウサギ抗OmpHを用いる蛍光抗体染色 ホルマリン固定パラフィン切片をポリ−L−リジン被覆スライドガラスの上に
置き、60℃で乾燥し、次いで再水和した。次いで、これを0.1%トリプシン
中で37℃で各5分間の2回消化した。糞塗布物は綿棒を用いて採取し、次いで
スライドガラスの上に塗布した。このスライドガラスを風乾した後10分間アセ
トン中で固定した。
【0203】 スライドガラスをPBST中7分間で2回洗浄した。カバースリップを載せた
後、このスライドガラスをウサギ抗OmpH抗血清(先の実施例を参照)中でイ
ンキュベートし、PBSで1:50に希釈し、室温に1時間置いた。カバースリ
ップを除き、スライドガラスを洗浄(PBSTで7分×3回)した後、FITC
結合抗ウサギ抗血清(シグマ、MO)の1/75希釈液を30μl添加し、カバ
ースリップをした。このスライドガラスを室温でさらに1時間インキュベートし
た。カバースリップを取り除き、スライドガラスを前と同様にPBSTで洗浄し
、最後にPBSで濯ぎを追加した。このスライドガラスを、次に、9部グリセロ
ール:1部PBS溶液を用いて搭載し、ガラスカバースリップを載せた。蛍光性
細菌は、ラーツ・ラボリウクスS顕微鏡を用い、340nmでハイパワー下(×
1200)で可視化した。データは図2A及び図2Bに示す。
【0204】 実施例9 L.イントラセルラリス成分の同定 実施例4及び5から同定された推定ワクチン候補をコードするDNA分子の配
列類似性は、クルスタルWアルゴリズム(トンプソンら,1994)を用いて同
定した。推定されたL.イントラセルラリスOmpH(配列番号:1)、イェル
シニア・エンテロリティカOmpH及びイェルシニア・シュードツバーキュロシ
スOmpHのポリペプチドの整列されたアミノ酸配列は、全体としてほぼ20%
のアミノ酸配列同一性を共有し、そして全体としてほぼ35%のアミノ酸類似性
を共有する。さらに、推定されたL.イントラセルラリスOmpH(配列番号:
1)、イェルシニア・エンテロリティカOmpH、イェルシニア・シュードツバ
ーキュロシスOmpH、及びヘモフィルス・インフルエンゼーOmpHのポリペ
プチドの整列されたアミノ酸配列は、全体としてほぼ12%のアミノ酸配列同一
性及びほぼ25%のアミノ酸類似性を共有するに過ぎない(図3)。ローソニア
・イントラセルラリスOmpHポリペプチドの独特の領域は、他の微生物由来の
ものとこのポリペプチドのアミノ酸配列との比較から明らかである。(図3)。
【0205】 実施例10 寄託のための生物材料の調製−ompHの増幅 ompHのための鋳型DNAはpCLO1であった。プラスミドpCLO1は
ラムダZAPII(ストラタジーン・クローニング・システムズ、ラホーヤ、カリ
ホルニア)から切り出され、pBluescriptSK誘導体である。これは
、α−L.イントラセルラリス抗血清でL.イントラセルラリス・ゲノム・ラム
ダ・ライブラリーをスクリーニングすることにより同定された。
【0206】 PCR増幅は、50μl容量中、0.1ngのプラスミド鋳型、それぞれ1μ
Mの前向きプライマー(RA176:5'TTTATTCATTCAGAAGGA
GCTTC3'、配列番号:3)及び逆向きプライマー(RA177:5'AAGT
TTAGCAATTTCTGAAAG3'、配列番号:4)、7.5ユニットのク
レンタックIポリメラーゼ(ABぺプタイズ社、セントルイス、ミズーリー)、
0.075ユニットのPfuポリメラーゼ(ストラタジーン・クローニング・シ
ステム、ラホーヤ、カリホルニア)、1×PC2(クレンタックI)緩衝液及び
0.2mMdNTPsから構成された。PCRは4段階で行った。即ち、(i)9
5℃で5分間(5’)、(ii) 94℃で1分間、58℃で30秒間、72℃で1
.5分間、×33回、(iii)72℃で10分間、(iv) 4℃に保持、である。
【0207】 L.イントラセルラリスのompH遺伝子をコードするPCR断片はpCR2
.1−TOPO(インビトロゲン社、カールスバード、CA)中にサブクローニ
ングし、pALK13と名付けた。
【0208】 微生物の寄託 このプラスミドpALK13は、1999年4月8日に米国、バージニア州201
10、マナサス、ユニバーシティー・ブールバード10801にあるアメリカン
・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託し、ATCC受託番号
207196を受けた。
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【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、クローンp97LI17からの組換えL.イントラセルラリスOmp
Hポリペプチドの発現を示す図式的表示のコピーである。大腸菌BL21(pL
ysS)株及び大腸菌BL21(DE3)株由来のタンパク質の誘導部分と非誘
導部分を、SDS/PAGEを用いて二層ゲル上で分離した。ゲルをクーマシー
ブルー(上、ゲル1)で染色するか、又はニトロセルロースに移しY12血清(
ゲル2)を用いて探査した。発現した免疫原性OmpHポリペプチドは矢印で示
す。レーンA〜Cは、2時間誘導(レーンA)又は1時間誘導(レーンB)又は
誘導なし(レーンC)の後にBL21(pLysS)中で増殖させたp97LI
17であり、レーンD〜Fは2時間誘導(レーンD)又は1時間誘導(レーンE
)又は誘導なし(レーンF)の後BL21(DE3)中で増殖させたp97LI
17である。レーンMは分子量標準を含み、ゲル1の右側にKDaで示してある
【図2A】 図2Aは、ローソニア・イントラセルラリスで感染させたブタ回腸組織の横断
切片の位相差顕微鏡写真のコピーである。中央の卵型の特徴は不成熟細胞により
取り囲まれたルーメンを示す。
【図2B】 図2Bは、ローソニア・イントラセルラリスで感染させたブタ回腸組織の横断
切片の蛍光顕微鏡写真のコピーであり、抗OmpH血清によるOmpHの位置決
定及び紫外線照射後のFITCによる検出を示す。蛍光は粘膜細胞の頂端細胞質
内のL.イントラセルラリスに局在しており、該切片内の他の物質への一次抗体
の検出可能な結合は存在しない。
【図3】 図3は、種々の細菌の外膜Hタンパク質のアミノ酸配列の整列の図式的表示で
ある。ローソニア・イントラセルラリス(L.int)、イェルシニア・シュー
ドツバーキュロシス(Yersinia pseudotuberculosis)(Y.pseud)、イェ
ルシニア・エンテロコリティカ(Y.enter)、ヘモフィルス・インフルエ
ンゼー(H.influ)、アクイフェックス・アエオリクス(Aquifex aeolic
us) ( A.aeoli)、大腸菌(E.coli)、サルモネラ・チフィムリウ
ム(S.typhi)、クラミディア・トラコマティス(C.trach)、ス
トレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyoge)及び国際特許出願公開番号W
O97/01638(9701638)からの配列1からのアミノ酸配列が相互
に整列して示してあり、空所は整列を最適化するために導入された。L.イント
ラセルラリスのOmpH配列(配列番号:1)と比べて同一のアミノ酸を含む位
置は陰影を付してある。10個の配列全てで同一であった残基は太字で記す。
【図3(i)】 図3(i) は、図3の一部を構成する図である。
【図3(ii)】 図3(ii)は、図3の一部を構成する図である。
【図3(iii)】 図3(iii) は、図3の一部を構成する図である。
【図3(iv)】 図3(iv)は、図3の一部を構成する図である。
【図3(v)】 図3(v) は、図3の一部を構成する図である。
【図3(vi)】 図3(vi)は、図3の一部を構成する図である。
【図3(vii)】 図3(vii) は、図3の一部を構成する図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/205 C07K 16/12 4H045 16/12 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 G01N 33/53 D G01N 33/53 M 33/566 33/566 33/569 F 33/569 33/577 B 33/577 C12P 21/08 // C12P 21/08 C12R 1:01 (C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:01) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 パナッキオ,マイケル オーストラリア国、ビクトリア州 3104、 ノース ボールウィン、ヒル ロード 112番地 (72)発明者 シニスタジ,メリー オーストラリア国、ビクトリア州 3183、 イースト セントキルダ、ゴーレー スト リート 3/60番地 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA13 BA31 BA50 BA58 CA04 CA09 HA08 HA20 4B063 QA01 QA19 QQ02 QQ03 QQ08 QQ42 QQ79 QQ96 QR32 QR42 QR50 QR55 QR58 QR62 QR72 QR77 QX02 4B064 AG27 AG31 CA02 CA19 CC24 DA01 DA03 DA15 4C084 AA13 CA53 NA14 ZA66 4C085 AA03 AA14 BA20 CC07 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA09 BA54 CA11 DA75 DA86 EA29 EA31 EA52

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ローソニア・スピーシーズ(Lawsonia spp.)のOmpHポリ
    ペプチドのB細胞エピトープ若しくはT細胞エピトープを含み、これらを模倣し
    若しくはこれらと交差反応する、単離され若しくは組換えられた免疫原性ポリペ
    プチド。
  2. 【請求項2】 鳥若しくはブタ動物に投与するとローソニア・スピーシーズ
    に対する抗体の産生を誘発できる、請求項1記載の単離され若しくは組換えられ
    た免疫原性ポリペプチド。
  3. 【請求項3】 鳥若しくはブタ動物に投与するとローソニア・スピーシーズ
    に対する防御的免疫応答を付与できる、請求項1記載の単離され若しくは組換え
    られた免疫原性ポリペプチド。
  4. 【請求項4】 該ローソニア・スピーシーズがL.イントラセルラリス(L. intracellularis) である、請求項2記載の単離され若しくは組換えられた免疫
    原性ポリペプチド。
  5. 【請求項5】 該ローソニア・スピーシーズがL.イントラセルラリスであ
    る、請求項3記載の単離され若しくは組換えられた免疫原性ポリペプチド。
  6. 【請求項6】 下記のもの、即ち (i) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列に全体として少なくとも約70%の
    配列同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド、オリゴペプチド若しくはポリ
    ペプチド、 (ii) ローソニア・スピーシーズOmpHポリペプチドのB細胞エピトープ若
    しくはT細胞エピトープを模倣する(i)の同族体、類似体若しくは誘導体、 から選択される単離され、若しくは組換えられた免疫原性ポリペプチド。
  7. 【請求項7】 ブタ若しくは鳥動物においてローソニア・スピーシーズに対
    する抗体の産生を誘発できる、請求項6記載の単離され若しくは組換えられた免
    疫原性ポリペプチド。
  8. 【請求項8】 ブタ若しくは鳥動物においてローソニア・スピーシーズに対
    する防御的免疫応答を付与できる、請求項7記載の単離され若しくは組換えられ
    た免疫原性ポリペプチド。
  9. 【請求項9】 ブタ若しくは鳥動物においてローソニア・スピーシーズに対
    する体液性免疫を誘発できる、請求項8記載の単離され若しくは組換えられた免
    疫原性ポリペプチド。
  10. 【請求項10】 ブタ動物においてローソニア・スピーシーズに対する体液
    性免疫を誘発できる、請求項9記載の単離され若しくは組換えられた免疫原性ポ
    リペプチド。
  11. 【請求項11】 ローソニア・スピーシーズがL.イントラセルラリスであ
    る、請求項8記載の単離され若しくは組換えられた免疫原性ポリペプチド。
  12. 【請求項12】 該ローソニア・スピーシーズがL.イントラセルラリスで
    ある、請求項10記載の単離され若しくは組換えられた免疫原性ポリペプチド。
  13. 【請求項13】 配列番号:1に記載のアミノ酸配列、又はpALK13(
    ATCC207196)のOmpHをコードするヌクレオチド配列によりコード
    されるアミノ酸配列を含み、且つ鳥若しくはブタ動物に投与するとローソニア・
    イントラセルラリスに対する抗体の産生を誘発できる、請求項6記載の単離され
    若しくは組換えられた免疫原性ポリペプチド。
  14. 【請求項14】 配列番号:1のアミノ酸配列又はpALK13(ATCC
    207196)のOmpHをコードするヌクレオチド配列によりコードされるア
    ミノ酸配列から本質的に成る、請求項13記載の単離され若しくは組換えられた
    免疫原性ポリペプチド。
  15. 【請求項15】 ブタ若しくは鳥動物においてローソニア・イントラセルラ
    リスに対する防御的免疫応答を誘発できる請求項13又は請求項14記載の単離
    され若しくは組換えられた免疫原性ポリペプチド。
  16. 【請求項16】 ブタ動物においてローソニア・イントラセルラリスに対す
    る防御的免疫応答を誘発できる、請求項15記載の単離され若しくは組換えられ
    た免疫原性ポリペプチド。
  17. 【請求項17】 ローソニア・スピーシーズによる動物感染の予防又は治療
    のためのワクチン組成物であって、配列番号:1に記載のアミノ酸配列に全体と
    して少なくとも約70%の配列同一性を有する免疫原性成分、又はローソニア・
    イントラセルラリスと免疫学的に交差反応するそれらの免疫原性の同族体、類似
    体、若しくは誘導体、及び獣医学的若しくは医学的使用に適する一つ以上の担体
    、希釈剤若しくはアジュバントを含むワクチン組成物。
  18. 【請求項18】 ローソニア・スピーシーズがL.イントラセルラリスであ
    る、請求項17記載のワクチン組成物。
  19. 【請求項19】 該免疫原性成分が、配列番号:1に記載のアミノ酸配列又
    はpALK13(ATCC207196)のOmpHをコードするヌクレオチド
    配列によりコードされるアミノ酸配列を含む単離され若しくは組換えられたポリ
    ペプチドを含むものである、請求項18記載のワクチン組成物。
  20. 【請求項20】 該免疫原性成分が、本質的に配列番号:1のアミノ酸配列
    から成るものである、請求項19記載のワクチン組成物。
  21. 【請求項21】 ローソニア・スピーシーズによる動物感染の予防又は治療
    のための組合せワクチン組成物であって、 (i) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列に全体として少なくとも約70%の
    配列同一性を有する単離され若しくは組換えられたポリペプチド又はローソニア
    ・イントラセルラリスと免疫学的に交差反応するその免疫原性の同族体、類似体
    若しくは誘導体を含む第一の免疫原性成分、 (ii) L.イントラセルラリスの抗原性ぺプチド、ポリペプチド若しくはタン
    パク質を含む第二の免疫原性成分、及び (iii)獣医学的又は医学的使用に適する一つ以上の担体、希釈剤若しくはアジ
    ュバント、 を含むワクチン組成物。
  22. 【請求項22】 ブタ若しくは鳥類動物に投与されると、免疫原性ポリペプ
    チドがローソニア・スピーシーズに対する免疫性を付与するのに十分なレベルで
    発現されうるように、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含む単離され若しく
    は組換えられた該免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する
    単離された核酸分子を、発現可能な形で、含むワクチンベクター。
  23. 【請求項23】 該免疫原性ポリペプチドが下記の工程、即ち (i) 配列番号:2に記載のヌクレオチド配列、又はその縮重変異体、それに
    少なくとも約70%の配列同一性を有するその同族体、類似体若しくは誘導体を
    含む単離された核酸分子を、プロモーター配列と機能しうる結合状態に置く工程
    、 (ii) 工程(a)の単離された核酸分子及びプロモーター配列をワクチンベク
    ター中に導入する工程、及び (iii)該核酸分子によりコードされる免疫原性ポリペプチドの発現が起こるの
    に十分な時間及び条件の下で該ワクチンベクターをインキュベートし、生育させ
    、又は増殖させる工程、 により発現されるものである、請求項22記載のワクチンベクター。
  24. 【請求項24】 ローソニア・スピーシーズがL.イントラセルラリスであ
    る、請求項23記載のワクチンベクター。
  25. 【請求項25】 ローソニア・スピーシーズから誘導され、且つ配列番号:
    1に記載のアミノ酸配列に全体として少なくとも約70%の配列同一性を有する
    OmpHポリペプチド又はOmpHポリペプチドの誘導体に特異的に結合できる
    ポリクローナル抗体分子若しくはモノクローナル抗体分子。
  26. 【請求項26】 該OmpHポリペプチド若しくはその誘導体が配列番号:
    1に記載のアミノ酸配列を含むものである、請求項25記載の抗体分子。
  27. 【請求項27】 ローソニア・イントラセルラリス若しくはそれに免疫学的
    に交差反応する微生物による、ブタ若しくは鳥動物の感染を診断する方法であっ
    て、該動物から得られる生体試料を、抗原−抗体複合体が形成するのに十分な時
    間及び条件の下で請求項25記載の抗体分子と接触させる工程、及び次いで該複
    合体の形成を検出する工程を含む方法。
  28. 【請求項28】 該生体試料がブタ動物由来の全血清、リンパ節、回腸、盲
    腸、小腸、大腸、糞又は直腸標本を含むものである、請求項27記載の方法。
  29. 【請求項29】 ブタ若しくは鳥動物が、ローソニア・イントラセルラリス
    若しくはそれに免疫学的交差反応を示す微生物に過去に感染し、又は現在感染し
    ているか否かを同定する方法であって、該動物由来の血液若しくは血清を、抗原
    −抗体複合体が形成するのに十分な時間及び条件の下で請求項1の免疫原性ポリ
    ペプチドと接触させる工程、及び次いで該複合体形成を検出する工程を含む方法
  30. 【請求項30】 下記のもの、即ち (i) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列に全体として少なくとも約70%の
    配列同一性を有するアミノ酸配列を含むぺプチド、オリゴぺプチド若しくはポリ
    ペプチド、 (ii) ローソニア・スピーシーズのB細胞エピトープ若しくはT細胞エピトー
    プを模倣する(i)の同族体、類似体若しくは誘導体、 から成る群より選択されるぺプチド、オリゴぺプチド若しくはポリペプチドをコ
    ードするヌクレオチド配列又はコードする核酸分子に相補的な配列を含む単離さ
    れた核酸分子。
  31. 【請求項31】 該ぺプチド、オリゴぺプチド若しくはポリペプチドが配列
    番号:1に記載のアミノ酸配列又はpALK13(ATCC207196)のO
    mpHをコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列、又はそ
    のB細胞エピトープ若しくはT細胞エピトープを含むものである、請求項30記
    載の単離された核酸分子。
  32. 【請求項32】 配列番号:2に記載されたヌクレオチド配列又はそれに相
    補的なヌクレオチド配列、又はその縮重変異体を含む、請求項31記載の単離さ
    れた核酸分子。
  33. 【請求項33】 本質的に配列番号:2のヌクレオチド配列又はその縮重変
    異体から成る、請求項32記載の単離された核酸分子。
  34. 【請求項34】 ブタ若しくは鳥動物被験体から得た生体試料中のローソニ
    ア・イントラセルラリス又は類縁微生物を検出する方法であって、配列番号:2
    に記載のヌクレオチド配列又はそれに相補的なヌクレオチド配列から誘導される
    一つ以上のプローブ又はプライマーを該試料とハイブリダイズさせる工程、及び
    次いで検出手段を用いて該ハイブリダイゼーションを検出する工程を含む方法。
  35. 【請求項35】 該生体試料がブタ動物から得た全血清、リンパ節、回腸、
    盲腸、小腸、大腸、糞又は直腸標本を含むものである、請求項34記載の方法。
  36. 【請求項36】 該検出手段が任意の核酸に基づくハイブリダイゼーション
    反応又は増幅反応を含むものである、請求項34記載の方法。
  37. 【請求項37】 配列番号:2又はそれに相補的なヌクレオチド配列から得
    られる長さが少なくとも約15の連続したヌクレオチドを有するプローブ又はプ
    ライマー。
  38. 【請求項38】 pALK13と命名されたプラスミド(ATCC受託番号
    207196)。
  39. 【請求項39】 該第二免疫原性成分が、SodC、FlgE、ヘモリシン
    及びオートリシンから成る群より選択されるL.イントラセルラリスの抗原性ぺ
    プチド、ポリペプチド又はタンパク質を含むものである、請求項21記載の組合
    せワクチン。
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