JP2003519630A - 抗血管新生タンパク質およびその断片ならびに使用方法 - Google Patents

抗血管新生タンパク質およびその断片ならびに使用方法

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JP2003519630A JP2001551107A JP2001551107A JP2003519630A JP 2003519630 A JP2003519630 A JP 2003519630A JP 2001551107 A JP2001551107 A JP 2001551107A JP 2001551107 A JP2001551107 A JP 2001551107A JP 2003519630 A JP2003519630 A JP 2003519630A
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canstatin
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カルリ,ラグラム
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ベス イスラエル ディーコネス メディカル センター
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Abstract

(57)【要約】 抗血管新生性を有するタンパク質およびその断片ならびにそれらのタンパク質および断片を使って血管新生を阻害または促進する方法を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 関連出願 本願は、2000年7月21日出願の米国特許出願第09/625,191号
、2000年4月4日出願の米国特許出願第09/543,371号および20
00年1月7日出願の米国特許出願第09/479,118号の一部継続出願で
ある。また、米国特許出願第09/625,191号は米国特許出願第09/5
43,371号の一部継続出願であり、前記米国特許出願第09/543,37
1号は米国特許出願第09/479,118号と共に1999年6月17日出願
の米国特許出願第09/335,224号の一部継続出願である。さらに、前記
米国特許出願第09/335,224号は1998年6月17日出願の米国仮特
許出願第60/089,689号および1999年3月25日出願の米国仮特許
出願第60/126,175号の利益を主張する。上記全特許出願の開示はその
まま参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】 政府の支援 本発明の全部または一部は国立衛生研究所の助成金DK−51711、DK−
55001による支援を受けてなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】 発明の背景 基底膜は、上皮および内皮細胞が成長する土台となる支持構造をなし、筋肉ま
たは脂肪を取り囲んでいる、特殊化した細胞外マトリックスの薄い層である(P
aulsson,M.,1992,Crit. Rev. Biochem.
Mol. Biol. 27:93−127)。基底膜は常に細胞と結合してお
り、基底膜が物理的な支持を提供するだけでなく、分化および増殖などの細胞の
挙動にも影響を及ぼすことが、十分に考証されている。血管基底膜はコラーゲン
、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、フィブロネクチンおよびエンタク
チンなどの高分子で構成されている(Timpl,R.,1996,Curr.
Opin. Cell. Biol. 8:618−24)。機能的にはコラ
ーゲンは細胞接着、遊走、分化および成長を促進し(Paulsson,M.,
1992,Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol.
27:93−127)、これらの機能により、既存の血管から新しい血管が形成
される過程である血管新生(angiogenesis)に際して、内皮細胞の増殖と挙動に
決定的な役割を果たすと考えられている(Madri,J.A.ら,1986,
J. Histochem. Cytochem. 34:85−91;Fol
kman,J.,1972,Ann. Surg. 175:409−16)。
血管新生は複雑な過程であり、内皮細胞の出芽と遊走、それらの細胞の増殖なら
びにそれらの管状構造への分化および発達中の血管を取り囲む基底膜マトリック
スの産生を必要とする。また血管新生は、創傷治癒および子宮内膜リモデリング
などの正常な生理学的事象に不可欠な過程である(Folkman,J.ら,1
995,J. Biol. Chem. 267:10931−34)。血管新
生が転移と、数mmを越えるサイズを持つ固形腫瘍の成長に必要であることは
、現在では十分に考証されている(Folkman,J.,1972,Ann.
Surg. 175:409−16、Folkman,J.,1995,Na
t. Med. 1:27−31)。腫瘍塊の拡大はその腫瘍を血液が灌流する
ことによって起こるだけでなく、新しい毛細管内皮が産生するいくつかの成長因
子およびマトリックスタンパク質による腫瘍細胞のパラクリン刺激によっても起
こる(Folkman,J.,1995,Nat. Med. 1:27−31
)。最近、いくつかの血管新生阻害剤が同定された。すなわちアンジオスタチン
(O’Reilly,M.S.ら,1994,Cell 79:315−28)
、エンドスタチン(O’Reilly,M.S.ら,1997,Cell 88
:277−85)、レスチン(restin)(Ramchandran,R.
ら,1999,Biochem. Biophys. Res. Commun
. 255:735−9)および色素上皮由来因子(PEDF)(Dawson
,D.W.ら,1999,Science 285:245−8)である。
【0004】 IV型コラーゲンは6種類のα鎖、すなわちα1〜α6として発現され(Pr
ockop,D.J.ら,1995,Annu. Rev. Biochem.
64:403−34)、三重らせんに組み立てられる。これはさらにネットワ
ークを形成して、基底膜中の他の高分子に足場を提供する。これらのα鎖は3つ
のドメイン、すなわちN末端の7Sドメイン、中間の三重らせんドメインおよび
C末端の球状非コラーゲン(non−collagenous)(NC1)ドメ
インから構成されている(Timpl,R.ら,1981,Eur. J. B
iochem. 120:203−211)。コラーゲン代謝の阻害剤が抗血管
新生性を持つことはいくつかの研究によって示されており、基底膜コラーゲンの
合成と沈着が血管の形成と生存にとって極めて重要であるという認識を裏付けて
いる(Maragoudakis,M.E.ら,1994,Kidney In
t. 43:147−50、Haralabopoulos,G.C.ら,19
94,Lab. Invest. 71:575−82)。しかし、基底膜の組
織化および血管新生におけるコラーゲンの明確な役割はまだよくわかっていない
【0005】 インテグリンは、多くの化合物に対して接着分子として機能する重要な細胞表
面接着受容体のファミリーである。インテグリンは細胞−細胞または細胞−細胞
外マトリックス相互作用に関与し、細胞の細胞外マトリックスとの相互作用を媒
介し、細胞を細胞外マトリックスと結合させる。インテグリンは、非共有結合し
た2つの膜貫通糖タンパク質サブユニット、αサブユニットおよびβサブユニッ
トからなるαβヘテロ二量体である。全てのαサブユニットは互いに相同性を示
し、同様に全てのβサブユニットも互いに相同性を示す。現在、16種類のαサ
ブユニット(α〜α、α、α、α、α、α、αIIbおよびα ELb )と8種類のβサブユニット(β〜β)が同定されており、これらの
サブユニットによって形成されることがわかっている組合わせは22種類(β とα〜α;βとα;βとα、α、αおよびα;βとα
よびα;βとα;βとα;βとα;βとαおよびαIELb ;βとα)である。利用可能なインテグリンサブユニットのプールは、一部
のインテグリンサブユニットのmRNAの選択的スプラインシングによって、さ
らに増加しうる。
【0006】 インテグリンは一般に、細胞表面上の特定の点におけるインテグリンの濃度が
一定の最小域値を越えてフォーカルコンタクトまたはヘミデスモソームを形成し
た時に、そのリガンドを結合する。この低い結合親和性と限局性接触物の形成と
の組合わせにより、インテグリンは、インテグリン分子の濃度に依存して、弱く
結合することも強く結合することもできる。
【0007】 発明の概要 本発明は抗血管新生タンパク質およびその生物活性断片に関する。本明細書に
記載する断片は、抗血管新生タンパク質を独立した活性(例えば抗血管新生活性
および抗腫瘍細胞活性)を持つ領域に細分できること、およびそれらの独立した
活性が大きなタンパク質分子を細分化しなければ明らかにならないことを示して
いる。IV型コラーゲンのα3(IV)NC1ドメインの場合、これらの活性は
グッドパスチャー(Goodpasture)エピトープ領域外にもある。
【0008】 特に本発明は、次に挙げる特徴の1または複数を有する抗血管新生性の単離さ
れたα3(IV)NC1ドメイン非グッドパスチャー断片に関する:(a)α βインテグリンを結合することができること、(b)内皮細胞の増殖を阻害す
ることができること、および(c)内皮細胞のアポトーシスを引き起すことがで
きること。この単離された非グッドパスチャー断片は、本明細書で説明するよう
に、RGD非依存的な機序によって、αβインテグリンに結合する。本明細
書にはこのようなIV型コラーゲンのα3(IV)NC1ドメインの単離された
断片を記載し、これを「タムスタチン(Tumstatin)」と呼ぶ。本明細書で使用
する用語としての「タムスタチン」は配列番号:10または配列番号:19を含
んでなる。また、本明細書で「Tum−1」または「タムスタチンN53」(配
列番号:22)と呼ぶもう1つの単離された非グッドパスチャー断片は、全長タ
ムスタチン(配列番号:10)のアミノ酸残基54〜アミノ酸244のアミノ酸
配列からなる。本明細書に開示する他の単離された断片には「Tum−2」(配
列番号:23)、「Tum−3」(配列番号:24)、「Tum−4」(配列番
号:25)および「Tum−5」(配列番号:26)があり、これらの断片はそ
れぞれ全長タムスタチン(配列番号:10)の残基1〜132(Tum−2)、
残基133〜244(Tum−3)、残基181〜244(Tum−4)および
残基54〜132(Tum−5)のアミノ酸配列からなる。また本明細書にはペ
プチド断片も開示する。これらのペプチド断片には「T1」(配列番号:27)
、「T2」(配列番号:28)、「T3」(配列番号:29)、「T4」(配列
番号:30)、「T5」(配列番号:31)および「T6」(配列番号:32)
が含まれ、これらのペプチド断片はそれぞれ全長タムスタチン(配列番号:10
)のアミノ酸残基1〜20(T1)、54〜73(T2)、69〜88(T3)
、84〜103(T4)、99〜117(T5)および114〜132(T6)
からなる。全長タムスタチンのさらにもう1つのペプチド断片を本明細書では「
タムスタチン45−132」(配列番号:33)と呼び、このペプチド断片は全
長タムスタチン(配列番号:10)のアミノ酸残基45〜132からなる。全長
タムスタチンのもう1つの断片を本明細書では「Tum−5−126−C−A」
(配列番号:34)と呼び、この断片は(全長タムスタチンの)126位のシス
テインが部位特異的変異誘発によってアラニンに変異されているタムスタチン4
5−132からなる。還元(例えばアルカリ還元)されたタムスタチンの断片が
抗血管新生性を有することも本明細書に記載する。他に、全長タムスタチン(配
列番号:10)の残基2〜125(タムスタチン333)および残基2〜245
からなる「タムスタチン333」(配列番号:20)および「タムスタチン33
4」(配列番号:21)の2断片も記載する。
【0009】 また本発明は、次に挙げる特徴の1または複数を有する抗腫瘍細胞性の単離さ
れたα3(IV)NC1ドメインの非グッドパスチャー断片を特徴とする:(a
)αβインテグリンを結合することができること、(b)内皮細胞を結合す
ることができること、(c)腫瘍細胞の増殖を阻害することができること、およ
び(d)内皮細胞の増殖を阻害することができないこと。この単離された非グッ
ドパスチャー断片は、本明細書で説明するように、RGD非依存的な機序によっ
てαβインテグリンを結合することができる。単離された非グッドパスチャ
ー断片の一つは全長タムスタチン(配列番号:10)のアミノ酸残基185〜ア
ミノ酸203のアミノ酸配列を含んでなる。全長タムスタチンのもう1つのペプ
チド断片を本明細書では「T3」と呼び、このペプチド断片は全長タムスタチン
(配列番号:10)のアミノ酸残基69〜88からなる。全長タムスタチンのさ
らにもう1つのペプチド断片を本明細書では「タムスタチン45−132」と呼
び、このペプチド断片は全長タムスタチン(配列番号:10)のアミノ酸残基4
5〜132からなる。全長タムスタチンのもう1つの断片を本明細書では「Tu
m−5−126−C−A」(配列番号:34)と呼び、この断片は(全長タムス
タチンの)126位のシステインが部位特異的変異誘発によってアラニンに突然
変異されているタムスタチン45−132(配列番号:33)からなる。還元(
例えばアルカリ還元)されたタムスタチンの断片が抗血管新生性を有することも
本明細書に記載する。
【0010】 また本発明は、例えば抗血管新生性のタンパク質およびペプチドと相互作用(
例えばそれらに結合)する受容体、結合タンパク質に関し、それによって抗血管
新生性のタンパク質、ペプチドおよび化合物を評価するためのターゲットを提供
する。これらの受容体およびそれらのサブユニットは、血管新生、腫瘍の成長お
よび転移、ならびに内皮細胞の増殖および遊走、ならびに内皮細胞管形成を媒介
する。これらの受容体は細胞アポトーシスをも媒介する。
【0011】 特に本発明は、IV型コラーゲンのNC1ドメインのα1鎖であるアレステン
(Arresten)に結合することがわかっているインテグリンサブユニット
α、α、α、α、βおよびβ、IV型コラーゲンのNC1ドメイン
のα2鎖であるカンスタチン(Canstatin)に結合することがわかって
いるインテグリンサブユニットα、αおよびβ、ならびにIV型コラーゲ
ンのNC1ドメインのα3鎖、タムスタチンに結合することがわかっているイン
テグリンサブユニットα、α、α、βおよびβに関する。インテグリ
ン結合によって媒介される血管新生および内皮細胞の増殖は、アレステン、カン
スタチンもしくはタムスタチンを投与するか、またはアレステン、カンスタチン
およびタムスタチンの受容体として働く上記インテグリンサブユニットに結合す
る他のタンパク質、ペプチドもしくは化合物を投与することによって阻害するこ
とができる。インテグリン結合によって媒介される内皮細胞のアポトーシスも、
アレステン、カンスタチンもしくはタムスタチンを投与するか、またはアレステ
ン、カンスタチンおよびタムスタチンの受容体として働く上記インテグリンサブ
ユニットに結合する他のタンパク質、ペプチドもしくは化合物を投与することに
よって阻害することができる。そのような化合物には、アレステン、カンスタチ
ンもしくはタムスタチンの抗体、断片もしくは一部、または上記インテグリンサ
ブユニットに結合するアレステン、カンスタチンもしくはタムスタチンの領域を
含むタンパク質もしくはペプチドが含まれうる。
【0012】 また本発明は、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンの受容体として
働くインテグリンサブユニットを模倣するタンパク質、ペプチドまたは化合物を
投与することによって、血管新生および細胞増殖を増強、促進または誘導する方
法に関する。そのようなタンパク質、ペプチドまたは化合物には、利用可能なア
レステン、カンスタチンまたはタムスタチンと相互作用(例えばそれらに結合)
するように働く選択されたサブユニットから構成されるインテグリンタンパク質
、ならびにその生物活性(例えば抗血管新生性)断片、突然変異体、アナログ、
ホモログおよび誘導体、ならびにその多量体(例えば二量体)および融合タンパ
ク質(本明細書ではキメラタンパク質ともいう)が含まれる。また上述のタンパ
ク質、ペプチドまたは化合物には、8.5×10−11MのKd値および3×
10部位/細胞のBmaxでアレステンに結合するヘパラン硫酸プロテオグ
リカンも含まれる。ここで使用する「利用可能な」という用語は、インテグリン
またはそのサブユニットもしくは断片と接触または相互作用(例えばそれらに結
合)することができる可溶性タンパク質または循環タンパク質を意味しうる。血
管新生および細胞増殖は、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンに対す
る抗体、またはその生物活性(例えば抗血管新生性)断片、変異体、アナログ、
ホモログおよび誘導体、ならびにその多量体(例えば二量体)および融合タンパ
ク質(本明細書ではキメラタンパク質ともいう)を投与することによって増強す
ることもできる。そのような抗体はこれらの分子に結合し、それによってそれら
がそれぞれのインテグリン受容体と相互作用しないようにして、血管新生活性を
阻害する。
【0013】 また本発明は、アレステン、カンスタチンおよびタムスタチンならびにその抗
血管新生性変異体および断片に似た方法で血管新生を阻害する抗血管新生性のタ
ンパク質、ペプチドおよび化合物を同定するためのキットを包含する。このよう
なキットは、適当なインテグリンサブユニット(例えばα、α、βサブユ
ニットなど)および下記実施例に記載するアッセイの1つを実施するのに必要な
他の同様の成分を含む。このようなキットを使って行われる例外的なアッセイに
は下記実施例12および28に記載の細胞接着アッセイならびに下記実施例26
に記載の競合増殖アッセイが含まれる。
【0014】 本発明は、組織(例えば哺乳動物組織またはヒト組織)における血管新生、腫
瘍成長または腫瘍転移を阻害する方法に関し、ここで前記組織はIV型コラーゲ
ンのNC1ドメインの1または複数のα鎖(例えばα〜α)と接触され、か
つ前記血管新生、腫瘍成長または腫瘍転移は1または複数のインテグリンもしく
はインテグリンサブユニットによって媒介される。
【0015】 より具体的に述べると、本発明は、組織における血管新生を阻害する方法に関
し、ここで前記血管新生は1もしくはそれ以上の内皮細胞インテグリン(例えば
αβ、αβ、αβ、αβ)または1もしくはそれ以上の内皮細
胞インテグリンサブユニット(例えばα、α、α、α、β、β)に
よって媒介される。この方法は、内皮細胞をアレステンまたはその断片、突然変
異体、ホモログ、アナログもしくは対立遺伝子変異体と接触させることを含む。
上記血管新生は内皮細胞増殖、内皮細胞遊走または内皮細胞管形成の1または複
数を阻害することによって阻害することができる。
【0016】 また本発明は、組織における腫瘍の成長または転移を阻害する方法に関し、こ
こで前記腫瘍の成長または転移は1もしくはそれ以上の内皮細胞インテグリン(
例えばαβ、αβ、αβ、αβ)または1もしくはそれ以上の
内皮細胞インテグリンサブユニット(例えばα、α、α、α、β、β )によって媒介される。この方法は、内皮細胞をアレステンまたはその断片、
変異体、ホモログ、アナログもしくは対立遺伝子変異体と接触させることを含む
。上記腫瘍成長は内皮細胞増殖、内皮細胞遊走または内皮細胞管形成の1または
複数を阻害することによって阻害することができる。
【0017】 さらに本発明は、組織における内皮細胞アポトーシスを促進または誘導する方
法に関し、ここで前記内皮細胞アポトーシスは1もしくはそれ以上の内皮細胞イ
ンテグリン(例えばαβ、αβ、αβ、αβ)または1もしく
はそれ以上の内皮細胞インテグリンサブユニット(例えばα、α、α、α 、β、β)によって媒介される。この方法は、内皮細胞をアレステンまた
はその断片、変異体、ホモログ、アナログもしくは対立遺伝子変異体と接触させ
ることを含む。上記アポトーシスは内皮細胞増殖、内皮細胞遊走または内皮細胞
管形成の1または複数を阻害することによって促進または誘導することができる
【0018】 本発明は組織における血管新生を阻害する方法に関し、ここで前記血管新生は
1もしくはそれ以上の内皮細胞インテグリン(例えばαβ、αβ)また
は1もしくはそれ以上の内皮細胞インテグリンサブユニット(例えばα、α 、β)によって媒介される。この方法は、内皮細胞をカンスタチンまたはその
断片、突然変異体、ホモログ、アナログもしくは対立遺伝子変異体と接触させる
ことを含む。上記血管新生は内皮細胞増殖、内皮細胞遊走または内皮細胞管形成
の1または複数を阻害することによって阻害することができる。
【0019】 また本発明は、組織における腫瘍の成長または転移を阻害する方法に関し、こ
こで前記腫瘍の成長または転移は1もしくはそれ以上の内皮細胞インテグリン(
例えばαβ、αβ)または1もしくはそれ以上の内皮細胞インテグリン
サブユニット(例えばα、α、β)によって媒介される。この方法は、内
皮細胞をカンスタチンまたはその断片、変異体、ホモログ、アナログもしくは対
立遺伝子変異体と接触させることを含む。上記腫瘍成長は内皮細胞増殖、内皮細
胞遊走または内皮細胞管形成の1または複数を阻害することによって阻害するこ
とができる。
【0020】 さらに本発明は、組織における内皮細胞アポトーシスを促進または誘導する方
法に関し、ここで前記内皮細胞アポトーシスは1もしくはそれ以上の内皮細胞イ
ンテグリン(例えばαβ、αβ)または1もしくはそれ以上の内皮細胞
インテグリンサブユニット(例えばα、α、β)によって媒介される。こ
の方法は、内皮細胞をカンスタチンまたはその断片、変異体、ホモログ、アナロ
グもしくは対立遺伝子変異体と接触させることを含む。上記アポトーシスは内皮
細胞増殖、内皮細胞遊走または内皮細胞管形成の1または複数を阻害することに
よって促進または誘導することができる。
【0021】 本発明は組織における血管新生を阻害する方法に関し、ここで前記血管新生は
1もしくはそれ以上の内皮細胞インテグリン(例えばαβ、αβ、α β)または1もしくはそれ以上の内皮細胞インテグリンサブユニット(例えば
α、α、α、β、β)によって媒介される。この方法は、内皮細胞を
タムスタチンまたはその断片、変異体、ホモログ、アナログもしくは対立遺伝子
変異体と接触させることを含む。上記血管新生は内皮細胞増殖、内皮細胞遊走ま
たは内皮細胞管形成の1または複数を阻害することによって阻害することができ
る。
【0022】 また本発明は、組織における腫瘍の成長または転移を阻害する方法に関し、こ
こで前記腫瘍の成長または転移は1もしくはそれ以上の内皮細胞インテグリン(
例えばαβ、αβ、αβ)または1もしくはそれ以上の内皮細胞イ
ンテグリンサブユニット(例えばα、α、α、β、β)によって媒介
される。この方法は、内皮細胞をタムスタチンまたはその断片、変異体、ホモロ
グ、アナログもしくは対立遺伝子変異体と接触させることを含む。上記腫瘍の成
長は内皮細胞増殖、内皮細胞遊走または内皮細胞管形成の1または複数を阻害す
ることによって阻害することができる。
【0023】 さらに本発明は、組織における内皮細胞アポトーシスを促進または誘導する方
法に関し、ここで前記内皮細胞アポトーシスは1もしくはそれ以上の内皮細胞イ
ンテグリン(例えばαβ、αβ、αβ)または1もしくはそれ以上
の内皮細胞インテグリンサブユニット(例えばα、α、α、β、β
によって媒介される。この方法は、内皮細胞をタムスタチンまたはその断片、変
異体、ホモログ、アナログもしくは対立遺伝子変異体と接触させることを含む。
上記アポトーシスは内皮細胞増殖、内皮細胞遊走または内皮細胞管形成の1また
は複数を阻害することによって促進または誘導することができる。
【0024】 さらに本発明は、組織を以下の物質の1またはそれ以上と接触させることを含
む、組織における血管新生または細胞増殖を阻害する方法に関する:インテグリ
ンのαサブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプチド、インテグリン
のαサブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプチド、インテグリンの
αサブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプチド、インテグリンのα サブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプチド、インテグリンのα サブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプチド、インテグリンのα
ブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプチド、インテグリンのβサブ
ユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプチド、またはインテグリンのβ サブユニットに特異的に結合する抗体またはペプチド。この方法は、血管新生ま
たは細胞増殖を特徴とする状態の処置に使用することができる。
【0025】 また本発明は、組織を以下の物質の1またはそれ以上と接触させることを含む
、組織における血管新生または細胞増殖を促進または誘導する方法に関する:イ
ンテグリンのαサブユニット、インテグリンのαサブユニット、インテグリ
ンのαサブユニット、インテグリンのαサブユニット、インテグリンのα サブユニット、インテグリンのαサブユニット、インテグリンのβサブユニ
ット、またはインテグリンのβサブユニット。上記1または複数のインテグリ
ンサブユニットは可溶型であり得、それらはまた、単量体、二量体、三量体、四
量体または多量体でありうる。
【0026】 また本発明は、脊椎動物における増殖性疾患を抑制する方法に関し、ここで前
記疾患はアレステンに対する受容体(例えばαβインテグリン、αβ
ンテグリン、αβインテグリン、αβインテグリン)によって媒介され
る。この方法は、アレステン受容体媒介性血管新生を阻害し、それによって前記
増殖性疾患を抑制することを含む。アレステン受容体媒介性血管新生の阻害は、
腫瘍の成長もしくは転移の阻害または確立(establish)した癌の退縮をもたら
すことができる。アレステン受容体媒介性血管新生の阻害は、アレステン受容体
媒介性血管新生を阻害する分子、例えばアレステン受容体に特異的に結合する抗
体(例:ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体)、抗体断片またはペ
プチドと増殖細胞を接触させることによって達成することができる。
【0027】 さらに本発明は、アレステンに結合する1または複数の可溶性受容体を含む組
成物と組織を接触させることを含む、組織における血管新生を促進する方法に関
する。
【0028】 別の側面において、本発明は、脊椎動物における増殖性疾患を抑制する方法に
関し、ここで前記疾患はカンスタチンに対する受容体(例えばαβインテグ
リン、αβインテグリン)によって媒介される血管新生を特徴とする。この
方法は、カンスタチン受容体媒介性血管新生を阻害することを含み、それによっ
て前記増殖性疾患を抑制する。カンスタチン受容体媒介性血管新生の阻害は、腫
瘍の成長もしくは転移の阻害または確立した癌の退縮をもたらすことができる。
カンスタチン受容体媒介性血管新生の阻害は、カンスタチン受容体媒介性血管新
生を阻害する分子、例えばカンスタチン受容体に特異的に結合する抗体(例:ポ
リクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体)、抗体断片またはペプチドと増
殖細胞を接触させることによって達成することができる。
【0029】 さらに本発明は、組織を、カンスタチンに結合する1または複数の可溶性受容
体を含む組成物と接触させることを含む、組織における血管新生を促進する方法
に関する。
【0030】 別の側面において、本発明は、脊椎動物における増殖性疾患を抑制する方法に
関し、ここで前記疾患がタムスタチンに対する受容体(例えばαβインテグ
リン、αβインテグリン、αβインテグリン)によって媒介される血管
新生を特徴とする。この方法は、タムスタチン受容体媒介性血管新生を阻害する
ことを含み、それによって前記増殖性疾患を抑制する。タムスタチン受容体媒介
性血管新生の阻害は、腫瘍の成長もしくは転移の阻害または確立した癌の退縮を
もたらすことができる。タムスタチン受容体媒介性血管新生の阻害は、タムスタ
チン受容体媒介性血管新生を阻害する分子、例えばタムスタチン受容体に特異的
に結合する抗体(例:ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体)、抗体
断片またはペプチドと増殖細胞を接触させることによって達成することができる
【0031】 さらに本発明は、タムスタチンを結合する1または複数の可溶性受容体を含む
組成物と組織を接触させることを含む、組織における血管新生を促進する方法に
関する。
【0032】 別の側面において、本発明は、組織におけるFLIPレベルを低下させる分子
と組織を接触させることを含む、組織における血管新生を阻害する方法に関する
【0033】 また本発明は、1または複数のアレステン受容体もしくはアレステン受容体サ
ブユニット(例えばαβインテグリン、αβインテグリン、αβ
ンテグリン、αβインテグリン、αインテグリンサブユニット、αイン
テグリンサブユニット、αインテグリンサブユニット、αインテグリンサブ
ユニット、βインテグリンサブユニット、βインテグリンサブユニット)に
特異的に結合する1または複数の分子(例えば抗体、抗体断片、ペプチド)を生
物活性成分として含む組成物に関する。本組成物は任意に医薬的に許容されうる
担体を含んでもよい。本組成物は、血管新生活性を特徴とする疾患を抑制するた
めに、前記疾患を持つ患者に本組成物を投与することを含む方法で使用すること
ができる。前記疾患は血管新生活性によって特徴づけることができ、本組成物は
放射線療法、化学療法または免疫療法と組み合わせて患者に投与することができ
る。
【0034】 別の側面において、本発明は、1または複数のアレステン受容体もしくはアレ
ステン受容体サブユニット(例えばαβインテグリン、αβインテグリ
ン、αβインテグリン、αβインテグリン、αインテグリンサブユニ
ット、αインテグリンサブユニット、αインテグリンサブユニット、α
ンテグリンサブユニット、βインテグリンサブユニット、βインテグリンサ
ブユニット)を生物活性成分として含む組成物に関する。本組成物は任意に医薬
的に許容されうる担体を含んでもよい。本組成物は、血管新生を促進または誘導
するために、疾患を持つ患者に本組成物を投与することを含む方法で使用するこ
とができる。前記疾患は血管新生活性によって特徴づけることができ、本組成物
は放射線療法、化学療法または免疫療法と組み合わせて患者に投与することがで
きる。
【0035】 また本発明は、1または複数のカンスタチン受容体もしくはカンスタチン受容
体サブユニット(例えばαβインテグリン、αβインテグリン、α
ンテグリンサブユニット、αインテグリンサブユニット、βインテグリンサ
ブユニット)に特異的に結合する1または複数の分子(例えば抗体、抗体断片、
ペプチド)を生物活性成分として含む組成物に関する。本組成物は任意に医薬的
に許容されうる担体を含んでもよい。本組成物は、血管新生活性を特徴とする疾
患を阻害するために、前記疾患を持つ患者に本組成物を投与することを含む方法
で使用することができる。前記疾患は血管新生活性によって特徴づけることがで
き、本組成物は放射線療法、化学療法または免疫療法と組み合わせて患者に投与
することができる。
【0036】 別の側面において、本発明は、1または複数のカンスタチン受容体もしくはカ
ンスタチン受容体サブユニット(例えばαβインテグリン、αβインテ
グリン、αインテグリンサブユニット、αインテグリンサブユニット、β インテグリンサブユニット)を生物活性成分として含む組成物に関する。本組成
物は任意に医薬的に許容されうる担体を含んでもよい。本組成物は、血管新生を
促進または誘導するために、疾患を持つ患者に本組成物を投与することを含む方
法で使用することができる。前記疾患は血管新生活性によって特徴づけることが
でき、本組成物は放射線療法、化学療法または免疫療法と組み合わせて患者に投
与することができる。
【0037】 また本発明は、1または複数のタムスタチン受容体もしくはタムスタチン受容
体サブユニット(例えばαβインテグリン、αβインテグリン、αβ インテグリン、αインテグリンサブユニット、αインテグリンサブユニッ
ト、αインテグリンサブユニット、βインテグリンサブユニット、βイン
テグリンサブユニット)に特異的に結合する1または複数の分子(例えば抗体、
抗体断片、ペプチド)を生物活性成分として含む組成物に関する。本組成物は任
意に医薬的に許容できる担体を含んでもよい。本組成物は、血管新生活性を特徴
とする疾患を抑制するために、前記疾患を持つ患者に本組成物を投与することか
らなる方法で使用することができる。前記疾患は血管新生活性によって特徴づけ
ることができ、本組成物は放射線療法、化学療法または免疫療法と組み合わせて
患者に投与することができる。
【0038】 別の側面において、本発明は、1または複数のタムスタチン受容体もしくはタ
ムスタチン受容体サブユニット(例えばαβインテグリン、αβインテ
グリン、αβインテグリン、αインテグリンサブユニット、αインテグ
リンサブユニット、αインテグリンサブユニット、βインテグリンサブユニ
ット、βインテグリンサブユニット)を生物活性成分として含む組成物に関す
る。本組成物は任意に医薬的に許容されうる担体を含んでもよい。本組成物は、
血管新生を促進または誘導するために、疾患を持つ患者に本組成物を投与するこ
とを含む方法で使用することができる。前記疾患は血管新生活性によって特徴づ
けることができ、本組成物は放射線療法、化学療法または免疫療法と組み合わせ
て患者に投与することができる。
【0039】 さらなる側面において、本発明は、(a)前記細胞を含有する(例えば哺乳動
物から採取した)試料を提供する工程、(b)前記試料を、1または複数の抗体
(例えばαβインテグリンに対する抗体、αβインテグリンに対する抗
体、αβインテグリンに対する抗体、αβインテグリンに対する抗体、
αインテグリンサブユニットに対する抗体、αインテグリンサブユニットに
対する抗体、αインテグリンサブユニットに対する抗体、αインテグリンサ
ブユニットに対する抗体、βインテグリンサブユニットに対する抗体、β
ンテグリンサブユニットに対する抗体)と、前記1または複数の抗体が前記細胞
に結合するのに適した条件で充分な時間にわたって反応させる工程、ここで前記
細胞がアレステンの作用に対して感受性であるならば、この工程で細胞−抗体複
合体が形成される、そして次に(c)前記細胞−抗体複合体の存在を検出する工
程を含み、その結果、前記試料中に前記細胞−抗体複合体の存在が、アレステン
の作用に対する細胞の感受性を示す、細胞(例えば癌細胞)がアレステンの作用
に対して感受性であるかどうかを決定する方法に関する。前記哺乳動物は、望ま
しくない血管新生を少なくとも一つの特徴とする状態を持ちうる。
【0040】 さらなる側面において、本発明は、(a)前記細胞を含有する(例えば哺乳動
物から採取した)試料を用意する工程、(b)前記試料を、1または複数の抗体
(例えばαβインテグリンに対する抗体、αβインテグリンに対する抗
体、αインテグリンサブユニットに対する抗体、αインテグリンサブユニッ
トに対する抗体、βインテグリンサブユニットに対する抗体)と、前記1また
は複数の抗体が前記細胞に結合するのに適した条件で充分な時間にわたって反応
させる工程、ここで前記細胞がカンスタチンの作用に対して感受性であるならば
、この工程で細胞−抗体複合体が形成される、そして次に(c)前記細胞−抗体
複合体の存在を検出する工程を含んでなり、それによって前記試料中の前記細胞
−抗体複合体の存在が、前記細胞がカンスタチンの作用に対して感受性であるこ
とを示す、細胞(例えば癌細胞)がカンスタチンの作用に対して感受性であるか
どうかを決定する方法に関する。前記哺乳動物は、望ましくない血管新生を少な
くとも一つの特徴とする状態を持ちうる。
【0041】 さらなる側面において、本発明は、(a)前記細胞を含有する(例えば哺乳動
物から採取した)試料を提供する工程、(b)前記試料を、1または複数の抗体
(例えばαβインテグリンに対する抗体、αβインテグリンに対する抗
体、αβインテグリンに対する抗体、αインテグリンサブユニットに対す
る抗体、αインテグリンサブユニットに対する抗体、αインテグリンサブユ
ニットに対する抗体、αインテグリンサブユニットに対する抗体、βインテ
グリンサブユニットに対する抗体、βインテグリンサブユニットに対する抗体
)と、前記1またはそれ以上の抗体が前記細胞に結合するのに適した条件で充分
な時間にわたって反応させる工程(前記細胞がタムスタチンの作用に対して感受
性であるならば、この工程で細胞−抗体複合体が形成される)、そして次に(c
)前記細胞−抗体複合体の存在を検出する工程を含み、その結果、前記試料中の
前記細胞−抗体複合体の存在が、タムスタチンの作用に対する前記細胞の感受性
を示す、細胞(例えば癌細胞)がタムスタチンの作用に対して感受性であるかど
うかを決定する方法に関する。前記哺乳動物は、望ましくない血管新生を少なく
とも一つの特徴とする状態を持ちうる。
【0042】 また本発明は、抗血管新生性を有するIV型コラーゲンのα鎖のNC1ドメイ
ンを含むタンパク質に関する。特に本発明は新規タンパク質アレステン、カンス
タチンおよびタムスタチン、ならびにその生物活性(例えば抗血管新生性)断片
、突然変異体、アナログ、ホモログおよび誘導体、ならびにその多量体(例えば
二量体)および融合タンパク質(本明細書ではキメラタンパク質ともいう)に関
する。これらのタンパク質は全て、IV型コラーゲンのNC1(非コラーゲン1
)ドメインのC末端断片を含む。より具体的に述べると、アレステン、カンスタ
チンおよびタムスタチンは、それぞれIV型コラーゲンのα1鎖、α2鎖および
α3鎖のNC1ドメインのC末端断片である。特にアレステン、カンスタチンお
よびタムスタチンは単量体タンパク質である。これら3つのタンパク質はいずれ
も生体内で腫瘍成長を停止し、また、内皮管アッセイを含むいくつかのインビト
ロモデルで、毛細管の形成を阻害する。
【0043】 本発明は、内皮細胞におけるアレステンの受容体として、これらの細胞におけ
る抗血管新生活性(内皮細胞アポトーシスを含む)を媒介する、インテグリンま
たはインテグリンサブユニット(例えばαβ、αβおよびαβイン
テグリン)を包含する。またアレステンは、マトリックスメタロプロテイナーゼ
2、3および9に特異的に結合し、その基底膜分解活性を阻害する。このような
分解活性は血管新生には不可欠な要素である。
【0044】 また本発明は、抗血管新生活性を有するIV型コラーゲンのα1鎖のNC1ド
メインを含む単離された組換え産生アレステン、前記単離されたアレステンの抗
血管新生断片、ならびに前記単離されたアレステンおよび抗血管新生断片の多量
体、ならびにそれらの抗血管新生タンパク質をコードするポリヌクレオチドも包
含する。さらに、単離されたアレステンもしくはその抗血管新生断片またはその
両方を生物活性成分として含む組成物も、本発明に包含される。別の態様におい
て、本発明は、哺乳動物における癌などの増殖性疾患を治療する方法に関し、こ
こで前記疾患が血管新生活性を特徴とする疾患であり、抗血管新生アレステンま
たはその断片を含む組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
上記抗血管新生アレステンおよびその断片は、細胞移動または内皮細胞増殖を防
止するためにも使用することができる。また、単離された抗血管新生アレステン
およびその断片に対する抗体についても記載する。
【0045】 また本発明は、内皮細胞におけるカンスタチンの細胞接着受容体として、これ
らの細胞における抗血管新生活性(内皮細胞アポトーシスを含む)を媒介する、
インテグリンまたはインテグリンサブユニット(例えばαβおよびαβ インテグリン)も包含する。
【0046】 また本発明は、抗血管新生活性を有するIV型コラーゲンのα2鎖のNC1ド
メインを含む単離された組換え生産カンスタチン、前記単離されたカンスタチン
の抗血管新生断片、ならびに前記単離されたカンスタチンおよび抗血管新生断片
の多量体、ならびにそれらの抗血管新生タンパク質をコードするポリヌクレオチ
ドも包含する。さらに、単離されたカンスタチンもしくはその抗血管新生断片ま
たはその両方を生物活性成分として含む組成物も、本発明に包含される。別の態
様において、本発明は、哺乳動物における癌などの増殖性疾患を処置する方法に
関し、前記疾患が血管新生活性を特徴とする疾患であり、該方法は、抗血管新生
カンスタチンまたはその断片を含む組成物を前記哺乳動物に投与することを含む
。上記抗血管新生カンスタチンおよびその断片は、細胞移動および内皮細胞増殖
を防止するためにも使用することができる。また、単離された抗血管新生カンス
タチンおよびその断片に対する抗体についても記載する。
【0047】 また本発明は、内皮細胞におけるタムスタチンの受容体として、これらの細胞
における抗血管新生活性(内皮細胞アポトーシスを含む)を媒介する、インテグ
リンまたはインテグリンサブユニット(例えばαβ、αβおよびαβ インテグリン)も包含する。
【0048】 また本発明は、抗血管新生活性を有するIV型コラーゲンのα3鎖のNC1ド
メインを含む単離された組換え産生タムスタチン、前記単離されたタムスタチン
の抗血管新生断片、ならびに前記単離されたタムスタチンおよび抗血管新生断片
の多量体、ならびにそれらの抗血管新生タンパク質をコードするポリヌクレオチ
ドも包含する。さらに、単離されたタムスタチンもしくはその抗血管新生断片ま
たはその両方を生物活性成分として含む組成物も、本発明に包含される。別の態
様において、本発明は、哺乳動物における癌などの増殖性疾患を処置する方法に
関し、ここで前記疾患が血管新生活性を特徴とする疾患であり、該方法は、抗血
管新生タムスタチンまたはその断片を含む組成物を前記哺乳動物に投与すること
を含む。上記抗血管新生タムスタチンおよびその断片は、細胞移動および内皮細
胞増殖を防止するためにも使用することができる。また、単離された抗血管新生
タムスタチンおよびその断片に対する抗体に関する。
【0049】 発明の詳細な説明 非常に様々な疾患は望ましくない血管新生の結果である。別の言い方をすれば
、多くの疾患および望ましくない状態は、毛細血管の成長および拡大を、特定の
条件下で、または特定の時期に、または特定の組織において停止することができ
れば防止または改善することができる。基底膜の組織化は、IV型コラーゲンの
C末端の球状非コラーゲン(NC1)ドメインを介して生じていると推測される
IV型コラーゲンネットワークの組み立てに依存している(Timpl,R.、
1996、Curr.Opin.Cell.Biol.8:618〜24;Ti
mpl,R.他、1981、Eur.J.Biochem.120:203〜2
11)。IV型コラーゲンは6つの異なる遺伝子産物(すなわち、α〜α
から構成される(Prockop,D.J.他、1995、Annu.Rev.
Biochem.64:403〜34)。αおよびαのイソ型はヒト基底膜
の至るところに存在している(Paulsson,M.、1992、Crit.
Rev.Biochem.Mol.Biol.27:93〜127)が、それ以
外の4つのイソ型は限定的な分布を示す(Kalluri,R.他、1997、
J.Clin.Invest.99:2470〜8)。
【0050】 既に存在する血管からの新しい毛細管の形成(毛管新生)は腫瘍の成長および
転移のプロセスには必須である(Folkman,J.他、1992、J.Bi
ol.Chem.267:10931〜4;Folkman,J.、1995、
Nat.Med.1:27〜31;Hanahan,D.他、1996、Cel
l、86:353〜64)。しかし、ヒトおよび動物の腫瘍は初期には新生血管
を形成しないが、腫瘍が数mmよりも大きく成長するためには、腫瘍は新生血
管を形成させなければならない(Folkman,J.、1995、Nat.M
ed.1:27〜31;Hanahan,D.他、1996、Cell、86:
353〜64)。血管新生表現型への切換えには、血管新生刺激因子のアップレ
ギュレーションおよび血管新生阻害因子のダウンレギュレーションの両方が必要
である(Folkman,J.、1995、Nat.Med.1:27〜31)
。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)および塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFG
F)が、腫瘍において最も一般的に発現している血管新生因子である。新生血管
を形成した腫瘍は、腫瘍の成長を相乗的に促進し得るこれらの血管新生因子の1
つ以上を過剰に発現し得る。受容体アンタゴニストを用いてVEGFなどの1つ
の血管新生因子を阻害することは、腫瘍の成長を停止させるためには十分ではな
い。多数の血管新生阻害因子が近年において同定されているが、IFN−α、血
小板因子−4(Maione,T.E.他、1990、Science、247
:77〜9)およびPEX(Brooks,P.C.他、1998、Cell、
92:391〜400)などのいくつかの因子は腫瘍細胞と内因的に関連してお
らず、これに対してアンギオスタチン(O’Reilly,M.S.他、199
4、Cell、79:315〜28)およびエンドスタチン(O’Reilly
,M.S.他、1997、Cell、88:277〜85)は、腫瘍組織自身に
よって産生される腫瘍関連の血管新生阻害因子である。腫瘍の成長および転移を
これらの内因性血管新生阻害因子で処置することは非常に効果的であり、かつ注
目される考えではあるが、抗血管新生治療に関連するいくつかの潜在的な問題を
検討しなければならない。長期間にわたる抗血管新生的な治療によって誘導され
る遅れた毒性、ならびに処置期間中に生じる損なわれた創傷治癒および再現され
る(reproductive)血管新生の可能性は、真剣に検討しなければならない。
【0051】 インテグリンは、一般に、受容体を細胞の細胞骨格に連結する短いC末端の細
胞質ドメインと、リガンドと結合するための長いN末端の細胞外ドメインとを有
する。αサブユニットおよびβサブユニットはともにリガンド結合に関与し、そ
して様々な潜在的なリガンドが存在する。いくつかの一般的なリガンドには、フ
ィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニンおよび様々なタイプのコラーゲンが
含まれる。これらの一部(例えば、フィブロネクチンおよびラミニン)には多数
のインテグリンが結合する。I型コラーゲンには、インテグリンαβ、α βおよびαβが結合することが知られており、IV型コラーゲンには、イ
ンテグリンαβおよびαβが結合する。上皮細胞には、インテグリンα β、αβ、αβおよびαβが結合する。サイトカインにより活
性化された内皮細胞には、αβおよびαβが結合し、血管内皮細胞には
αβインテグリンが結合する。
【0052】 本発明において、抗血管新生性のタンパク質およびペプチドと相互作用する(
例えば、特異的に結合する)細胞表面受容体が開示される。詳細には、抗血管新
生性タンパク質のアレステン、カンスタチンおよびタムスタチンと結合するイン
テグリンおよびインテグリンサブユニットが開示される。これらのインテグリン
は、新しい抗血管新生性のタンパク質、ペプチドおよび化合物、または現在知ら
れている抗血管新生性のタンパク質、ペプチドおよび化合物のより強力な変異体
および断片(特に、アレステン、カンスタチンおよびタムスタチンのより強力な
変異体および断片)を評価するための標的を提供する。詳細には、本発明は、I
V型コラーゲンのNC1ドメインのα1鎖であるアレステンに結合することが見
出されているインテグリンサブユニットのα、α、α、α、βおよび
βに関する。本発明はまた、IV型コラーゲンのNC1ドメインのα2鎖であ
るカンスタチンに結合することが見出されているインテグリンサブユニットのα 、αおよびβに関する。さらに、本発明は、IV型コラーゲンのNC1ド
メインのα3鎖であるタムスタチンに結合することが見出されているインテグリ
ンサブユニットのα、α、α、βおよびβに関する。他のインテグリ
ンまたはインテグリンサブユニットもまた、アレステン、カンスタチンまたはタ
ムスタチンに結合することができ、そしてこれらは、本明細書中に記載される方
法を使用して同定することができる(例えば、下記の実施例12、実施例26お
よび実施例28を参照のこと)。
【0053】 アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンを投与するか、あるいはアレス
テン、カンスタチンおよびタムスタチンに対する受容体として働く上記に示され
たインテグリンサブユニットに結合する別のタンパク質、ペプチドまたは化合物
を投与するかのいずれかによって、内皮細胞の血管新生および増殖を阻害するこ
とができ、あるいは内皮細胞のアポトーシスを促進または誘導することができる
。そのようなタンパク質、ペプチドおよび化合物には、抗体、アレステン、カン
スタチンまたはタムスタチンの抗体断片または一部、あるいは上記に示されたイ
ンテグリンサブユニットに特異的に結合する、アレステン、カンスタチンまたは
タムスタチンのそのような領域を含むタンパク質またはペプチドが挙げられる。
「特異的に結合する」により、特異的な結合性タンパク質(例えば、抗体または
受容体)に対するリガンド(例えば、抗原)の大きな結合力および/または大き
な結合親和性を有することが意味される。例えば、このような特異的な抗原にお
けるそのエピトープに対する抗体の結合は、任意の他のエピトープ(特に、目的
とする特異的な抗原に関連する分子に存在し得るか、または目的とする特異的な
抗原と同じサンプル中の分子に存在し得るエピトープ)に対する同じ抗体の結合
よりも強い。目的とする分子に特異的に結合する抗体は、弱いが、それでも検出
可能なレベル(例えば、目的とする分子に対して示される結合の10%以下)で
他の分子に結合できると考えられる。そのような弱い結合またはバックグラウン
ドの結合を、例えば、適切な対照の使用によって、目的とする分子に対する特異
的な抗体結合から容易に区別することができる。
【0054】 特定のペプチドに対する抗体は広く作製されており、所与のタンパク質に対す
る抗体を製造する方法は当業者には十分に知られている(例えば、Ausube
l,F.M.他(Current Protocols in Molecul
ar Biology(John Wiley and Sons,Inc.、
1987年)および1999年までの増補版)の第11章、特に11.4.2頁
〜11.11.5頁(「モノクローナル抗体の調製」)、11.12.1頁〜1
1.13.4頁(「ポリクローナル抗血清の調製」)および最も特に11.14
.1頁〜11.15.4頁(「抗ペプチド抗体の調製」)を参照のこと)。特別
仕様の抗体もまた、多数の供給者から、例えば、Berkeley Antib
ody Co.(Richmond、California、米国)から市販品
を購入することができる。インテグリンおよびインテグリンサブユニットに対す
る抗体を作製する方法もまた十分に知られており、そのような抗体を作製する方
法は、Gallatin,W.M.他(米国特許第5,817,515号)およ
びKim,K.J.他(米国特許第5,652,110号;同第5,652,1
09号;同第5,578,704号)に記載されている(これらはすべて、その
すべての内容が参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0055】 本明細書中に記載されるインテグリンおよびインテグリンサブユニットは可溶
性形態で組換えにより作製することができる。インテグリンおよびインテグリン
受容体を可溶性形態で作製する方法は、Briesewitz,R.他(199
3、J.Biol.Chem.268:2989〜2996)、Kern,A.
他(1994、J.Biol.Chem.269:22811〜22816)に
記載され、そしてまたGallatin,W.M.他(米国特許第5,728,
533号および同第5,831,029号)およびDuong,L.T.他(米
国特許第5,895,754号)に記載されている(これらはすべて、そのすべ
ての内容が参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0056】 本発明はまた、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンに対する受容体
として役立つインテグリンサブユニットを模倣するタンパク質、ペプチドまたは
化合物を投与することによって、血管新生および細胞増殖を強化するか、または
細胞のアポトーシスを阻害する方法に関する。そのようなタンパク質、ペプチド
および化合物には、利用可能なアレステン、カンスタチンまたはタムスタチンと
結合するのに役立つ、選択されたサブユニットから構成されるインテグリンタン
パク質、ならびにそれらの生物学的に活性な(例えば、抗血管新生性の)断片、
変異体、アナログ、ホモログおよび誘導体、ならびにそれらの多量体(例えば、
二量体)および融合タンパク質(これは本明細書中ではキメラタンパク質と呼ば
れる)が含まれる。それらにより、それらがそのそれぞれのインテグリン受容体
と相互作用することが妨げられ、そして血管新生活性が阻害される。アレステン
、カンスタチンまたはタムスタチンあるいはそれらの変異体および断片に結合す
るタンパク質、ペプチドまたは化合物にはまた、アレステン、カンスタチンおよ
びタムスタチンに対する抗体、あるいはそれらの変化体または断片に対する抗体
を挙げることができる。そのような抗体はこれらの分子と結合し、それにより、
それらがそのそれぞれのインテグリン受容体と相互作用することを妨げ、そして
血管新生活性が阻害される。
【0057】 本発明において、アレステン、カンスタチンおよび/またはタムスタチン、あ
るいはそれらの断片または変異体は、組織における血管新生、内皮細胞の増殖、
内皮細胞の移動または内皮細胞の管形成を阻害するために、あるいは組織におけ
るアポトーシスを誘導または促進するために単独または組合せで使用することが
できる。アレステン、カンスタチンおよび/またはタムスタチンの組合せは、他
のコラーゲンドメインまたはNC1鎖と、あるいは他の治療形態(例えば、放射
線療法、化学療法、免疫療法)とさらに組み合わせることができる。これらの分
子は抗アポトーシス性のタンパク質FLIP(FLICE阻害タンパク質、すな
わち、FADD様インターロイキン1β変換酵素阻害タンパク質)のレベルを低
下させる。従って、血管新生は、FLIPのレベルを低下させる分子によって阻
害され、それによりカスパーゼの活性化が引き起こされ、そして末端のアポトー
シスシグナルが送達される。
【0058】 本明細書中に記載されるアレステン、カンスタチンおよびタムスタチンに対す
る受容体(例えば、αβ、αβ、αβ、αβ、αβおよび
αβのインテグリン)および/またはそれらのサブユニット(例えば、α 、α、α、α、α、α、β、β)は、血管新生を促進または誘導
するために組み合わせて使用することができる。アレステン、カンスタチンおよ
び/またはタムスタチンに対する抗体もまた、アレステン、カンスタチンおよび
タムスタチンに対する受容体ならびにそれらの受容体サブユニットが組み合わせ
ることができように、組み合わせて1つの治療法にすることができる。
【0059】 本発明はまた、アレステン、カンスタチンおよびタムスタチンと類似する様式
で血管新生を阻害する抗血管新生性のタンパク質、ペプチドおよび化合物ならび
にそれらの抗血管新生性の変異体および断片を同定するためのキットを含む。そ
のようなキットは、インテグリンの適切なサブユニット(例えば、α、α
βなど)、および下記の実施例に記載されるアッセイの1つを実施するために
必要なそのような他の成分を含む。そのようなキットを用いて行われる非常に優
れたアッセイには、下記の実施例12および実施例28に記載される細胞接着ア
ッセイ、ならびに下記の実施例26に記載される競合的増殖アッセイが含まれる
。例えば、タムスタチンと類似する様式で挙動するタンパク質、ペプチドまたは
化合物を同定するためのキットは、実施例28の細胞接着アッセイを行うために
必要なそのような成分および試薬(インテグリンの様々なサブユニット(α
β、α、β)およびIgG(これは対照として役立つ)に対する抗体など
)を含む。キットは、試験化合物および対照(IV型コラーゲンまたはラミニン
−1など)でコーティングされる96ウェルプレートを任意に含むことができる
(あるいは、プレートは任意にプレコーティングすることができる)。キットは
また、細胞の増殖、トリプシン処理、再懸濁および染色に必要な試薬だけでなく
、BSAまたは他のブロッキング剤、および接着用の細胞(例えば、HUVEC
細胞)を任意に含むことができる。
【0060】 潜在的な抗血管新生性化合物が一旦同定されると、別のキットを使用して、最
初にその化合物を同定するために使用された同じインテグリンサブユニットを用
いた競合による抗血管新生活性の喪失を明らかにすることができる。そのような
キットは、下記の実施例26に記載される競合的増殖アッセイをもとにして組み
立てることができる。このキットは、(下記の実施例に記載される)増殖アッセ
イにおいて有用な細胞、およびタンパク質形態の適切なインテグリンサブユニッ
トを含みうる。キットはまた、試験化合物の抗増殖活性を妨害するときのインテ
グリンサブユニットタンパク質の作用を明らかにする際に必要または有用な染色
剤および他の試薬を必要に応じて含むことができる。
【0061】 本発明において、抗血管新生性を有するタンパク質ならびにその断片、アナロ
グ、誘導体、ホモログおよび変異体が、血管新生により媒介される増殖性疾患を
阻害するために、これらのタンパク質、アナログ、誘導体、ホモログおよび変異
体を使用する方法とともに記載される。そのようなタンパク質は、IV型コラー
ゲンのα鎖のNC1ドメインまたはそのようなドメインの一部、具体的には、I
V型コラーゲンのα1鎖、α2鎖およびα3鎖のNC1ドメインのモノマーを含
む。これらのタンパク質は、特にモノマー形態であるときには、ガンのインビボ
モデルにおける腫瘍の成長を停止させ、そしてまた、内皮細胞管アッセイを含む
いくつかのインビトロモデルにおける毛細管の形成を阻害する。
【0062】 これらのタンパク質はまた、NC1ドメインの接合領域を含みうる。α4鎖、
α5鎖およびα6鎖は、低下した抗血管新生活性または検出できないほどの抗血
管新生活性を有することが証拠により示唆されるので、α1鎖、α2鎖またはα
3鎖が好ましい。六量体形態もまた活性がほとんどないか、または低下している
ことが証拠により示唆されるので、一般には、これらのタンパク質のモノマー形
態が好ましい。
【0063】 より詳細には、本発明は、「アレステン」と名付けられたタンパク質を記載す
る。これは、長さが約230アミノ酸のタンパク質であり、ヒトIV型コラーゲ
ンのNC1ドメインのα1鎖のN末端のアミノ酸に対応する(Hostikka
,S.L.他、1988、J.Biol.Chem.263:19488〜93
)。
【0064】 本明細書中に開示されているように、ヒトアレステンは、ペリプラズムへの輸
送を可能し、従って可溶性タンパク質を生じさせることができる細菌発現プラス
ミド(pET22bなど)を使用して大腸菌において製造することができる。こ
のタンパク質は、C末端における6ヒスチジンタグを伴う29kDaの融合タン
パク質として発現される。(26kDaを越えた)さらなる3kDaはポリリン
カー配列およびヒスチジンタグ配列から生じている。アレステンはまた、pcD
NA3.1真核生物ベクターを使用して293腎臓細胞において分泌型の可溶性
タンパク質として製造された。293により製造されたこのタンパク質は精製用
または検出用の標識を有しない。
【0065】 アレステンは、処置後の2時間程の早い時期に内皮細胞のアポトーシスを生じ
させる。この作用は内皮細胞に対して特異的であり、高用量のアレステンで処置
された腫瘍細胞では顕著な細胞死は認められなかった。代表的なCD−31染色
パターンは、対照マウスに対して処置されたマウスの血管系の減少を示していた
。腫瘍切片をPCNA(増殖細胞核抗原)、フィブロネクチンおよびIV型コラ
ーゲンについて染色したが、腫瘍細胞の増殖、あるいは腫瘍細胞を取り囲むIV
型コラーゲンおよびフィブロネクチンの含有量または構造における差は見られな
かった。
【0066】 大腸菌で産生されたアレステンは、bFGFで刺激された内皮細胞の増殖を用
量依存的な様式で阻害し、0.25μg/mlのED50を有した。腎臓ガン細
胞(786−O)、前立腺ガン細胞(PC−3)またはヒト前立腺上皮細胞(H
PEC)の増殖については顕著な作用は認められなかった。エンドスタチンは、
アレステンよりも3倍大きい0.75μg/mlのED50でC−PAE細胞の
増殖を阻害したが、A−498ガン細胞は阻害しなかった。
【0067】 内皮細胞の増殖および移動の特異的な阻害は、本明細書中に記載されるように
、アレステンが細胞表面のタンパク質または受容体を介して機能することを示し
ている。マトリックスメタロプロテイナーゼ(すなわち、MMP)の阻害は、バ
チマスタット(BB−94)およびマリマスタット(BB−2516)と類似す
る、腫瘍の成長および転移におけるアレステンの直接的な役割を示唆している。
【0068】 最近の研究により、αβおよびαβおよびαβのインテグリンが
、EHS肉腫腫瘍から単離されたIV型コラーゲンに結合することが推測されて
いる(Senger,D.R.他、1997、Proc.Natl.Acad.
Sci.USA、94:13612〜13617)。アレステンはIV型コラー
ゲンのα1鎖の断片であるので、αβ/αβインテグリンを介する内皮
細胞の結合を媒介するその能力について評価された。インテグリンのαサブユ
ニットおよびβサブユニットに対する抗体を機能的に阻止し、そしてアレステ
ンがコーティングされた培養ウェルに対するHUVEC細胞の結合を著しく低下
させることが示された(図10A)。アレステンがコーティングされた培養ウェ
ルに対する内皮細胞の付着は、α抗体の場合には60%が阻害され、βイン
テグリン抗体の場合には70%が阻害された。これらの結果は、125Iで標識
されたアレステンを使用する結合アッセイの結果と一致している。アレステンは
、Kd値が8.5x10−11である大きな親和性で、そしてKd値が4.
6x10−8である低い親和性で内皮細胞と結合する。プレートがIV型コラー
ゲンでコーティングされたときには、あまり大きくない阻害、αに対する中和
抗体の場合には30%の阻害、β抗体の場合には40%の阻害、そしてαβ 抗体の場合には15%の阻害が認められた(図10B)。アレステンがコーテ
ィングされたプレートとIV型コラーゲンがコーティングされたプレートとの間
における細胞接着の差は、IVコラーゲン分子全体における潜在的なさらなるイ
ンテグリン結合部位のためであると考えられ、これに対してアレステンは、α βインテグリンに単一の特異的な結合部位を提供している(図10Aおよび図
10Bを参照のこと)。
【0069】 アレステンの腫瘍抑制活性は、インテグリンによって、特にαβによって
媒介され得る。αβに対するアレステンの結合は、他の研究者(Bloch
,W.他、1997、J.Cell.Biol.139:265〜278)によ
って以前に示されたαβインテグリンに対するVEGFの依存性によって示
唆されるように、VEGF誘導による内皮細胞の増殖および移動をダウンレギュ
レーションし得る。まとめると、これらの結果は、アレステンがその作用を血管
新生カスケードの種々の段階で発揮し得ることを示している。α1およびα2の
インテグリンサブユニットに対する抗体がインビボで血管新生を抑制し得ること
が示されていた(Senger,D.R.、国際特許出願公開WO99/164
65)。アレステンは、VEGFおよび/またはbFGFのいずれかの活性を直
接的に抑制することによって機能し得る。ラットにおける36時間のアレステン
の半減期は、臨床的使用に必要とされる用量が、エンドスタチンおよびアンギオ
スタチンなどの他のタンパク質阻害剤の場合よりもはるかに小さくなり得ること
を示唆している(O’Reilly,M.S.他、1994、Cell、79:
315〜328;O’Reilly,M.S.他、1997、Cell、88:
277〜285)。
【0070】 本発明において、カンスタチン、すなわち、IV型コラーゲンのα2鎖のNC
1ドメインが、血管新生を阻害するために使用された。これは、内皮細胞の増殖
および移動の阻害によって、そして内皮細胞管形成の阻害によってアッセイされ
た。カンスタチンは内皮細胞の増殖を阻害し、そしてこれらの細胞のアポトーシ
スを誘導したが、非内皮細胞の増殖またはアポトーシスを阻害しなかった。カン
スタチンにより誘導されるアポトーシスは抗アポトーシスタンパク質FLIPの
ダウンレギュレーションによって媒介される。CD−31の組織化学的染色によ
り、対照マウスに対する処置マウスの血管系の減少が示された。カンスタチンに
よる内皮細胞の増殖および移動の特異的な阻害はまた、そのような抗血管新生活
性を明らかにし、そしてカンスタチンが細胞表面タンパク質/受容体を介して機
能し得ることを明らかにしている。インテグリン類は、それらの細胞外マトリッ
クス結合能力、ならびに遊走および増殖などの細胞挙動を調節できることに基づ
く潜在的な候補分子である。特に、αβインテグリンは、血管新生時に誘導
されるために、そしてその無差別的な結合能力のために、カンスタチン受容体と
しての可能性を有する。
【0071】 本発明において、タムスタチン、すなわち、IV型コラーゲンのα3鎖のNC
1ドメイン(Timpl,R.他、1981、Eur.J.Biochem.1
20:203〜11;Turner,N.他、1992、J.Clin.Inv
est.89:592〜601)が、血管新生および腫瘍成長のインビトロおよ
びインビボでのモデルを使用して血管内皮細胞の増殖および血管新生を調節する
ために使用された。タムスタチンは腫瘍の血管新生過程の種々の段階でその作用
を発揮する。タムスタチンによる内皮細胞の特異的な阻害は、タムスタチンが細
胞表面のタンパク質または受容体を介して機能することを強く示唆している。最
近、タムスタチンのC末端部分に対応する長さが19アミノ酸の合成ペプチドが
αβインテグリンに結合することが報告された(Shahan,T.A.他
、1999、Cancer Res.59:4584〜4590)。下記の実施
例に記載される細胞接着アッセイの結果は、タムスタチンが内皮細胞上のαβ インテグリンおよびαβインテグリンに結合することを示している。内皮
細胞にその後で結合するαβインテグリンに対するその結合を阻害するため
に、タムスタチンをαβインテグリンタンパク質とプレインキュベーション
した場合、タムスタチンの抗増殖作用は著しく低下する(図22)。このことは
、タムスタチンの抗増殖作用が増殖中の内皮細胞の表面に存在するαβイン
テグリンに結合することによって少なくとも部分的に媒介されることを示唆して
いる。血管新生はαβインテグリンにより媒介される特異的な内皮細胞の接
着事象に依存する(Brooks,P.S.他、1994、Cell、79:1
157〜1164;Brooks,P.S.他、1994、Science、2
64:569〜571)ので、タムスタチンは、ビトロネクチンおよびフィブロ
ネクチンなどのマトリックス成分と増殖中の内皮細胞との相互作用を乱すことに
よって抗血管新生を行い得る。増殖中の内皮細胞とビトロネクチンおよびフィブ
ロネクチンとの正常な相互作用は重要な抗アポトーシスシグナルと考えられる(
Isik,F.F.他、1998、J.Cell.Physiol.175:1
49〜155)。タムスタチンは、成長が刺激された内皮細胞におけるアポトー
シスを誘導し、そしてこの作用は、タムスタチンがサブコンフルエンスの単層物
に添加されたとき、すなわち、細胞が指数関数的に成長しているときに最も顕著
である。タムスタチンは、内皮細胞が活性化されている腫瘍の血管系に対して選
択的であると考えられる。
【0072】 「α3(IV)NC1ドメイン」により、哺乳動物IV型コラーゲンのα3鎖
のNC1ドメインのアミノ酸配列の断片または一部分が意味される。そのような
断片の一例として、配列番号:10のアミノ酸配列の断片が挙げられる。
【0073】 α3(IV)鎖(タムスタチン)の分布は、GBM、蝸牛のいくつかの基底膜
、眼の基底膜(前水晶体包、デスメ膜など)、卵巣および精巣の基底膜などのあ
る種の基底膜(Frojdman,K.他、1998、Differentia
tion、83:125〜30)、ならびに肺胞毛細管基底膜(Kashtan
,C.E.、1998、J.Am.Soc.Nephrol.9:1736〜5
0)に限定されている。しかし、この鎖は、腎臓の糸球体間質、皮膚の血管基底
膜および上皮基底膜、ならびに肝臓の血管基底膜には存在していない(Kash
tan,C.E.、上記)。傷が治癒する過程では、α3鎖およびα4鎖とは異
なるIV型コラーゲンのα鎖が集まり、新しい毛細管が形成される。これは、そ
のような2つの鎖が「既存」(すなわち、真皮)の血管系の基底膜の成分ではな
いからである。α3(IV)鎖は正常なヒトの皮膚の元々の成分ではないので、
傷が治癒している損傷部におけるコラーゲン集合および血管新生のプロセスは、
タムスタチンを使用する処置によって変化しないと考えられる。
【0074】 α3(IV)鎖は、GBMと同様に、ヒト腎臓血管基底膜において発現してい
る(Kalluri,R.他、1997、J.Clin.Invest.99:
2470〜8)。これらの「既存」の血管は、腎細胞ガンなどの原発性腎腫瘍の
進行に関与していることが推測される。タムスタチンは、α3(IV)鎖がそれ
以外のα鎖とともに呼び寄せられることにより媒介される血管新生を乱すことに
よって原発性腎腫瘍の処置において効果的であり得る。腎細胞ガンについて診断
される患者の数は1996年には合衆国では約3万人であり(Mulders,
P.他、1997、Cancer Res.57:5189〜95)、そして転
移した症例の予後はあまり好ましくない。放射線療法および化学療法の進歩にも
かかわらず、処置された患者の長期間の生存は未だ顕著には改善されていない(
Mulders,P.他、上記)。腎細胞ガンに対する有意な処置の選択肢がな
いことにより、新しい治療法を開発することの重要性が強調される。この事実を
考慮して、固形腫瘍の血管新生を標的化することにより、最近、いくつかの動物
モデルで有望な結果が明らかにされている(Baillie,C.T.他、19
95、Br.J.Cancer、72:257〜67;Burrows,F.J
.他、1994、Pharmacol.Ther.64:155〜74;Tho
rpe,P.E.他、1995、Breast Cancer Res.Tre
at.36:237〜51)。腎細胞ガンの成長をインビボで阻害することにお
けるタムスタチンの作用は、この分子がこの腫瘍タイプに対する効果的な抗血管
新生治療としての可能性があることを示している。
【0075】 本発明において、タムスタチンは、子ウシ肺動脈細胞の血清刺激された増殖を
インビトロで用量依存的な様式で特異的に阻害したが、インビトロにおける腫瘍
細胞株のPC−3および786−Oの増殖に対しては効果がなかった。タムスタ
チンは、内皮細胞の移動を阻害しなかったが、インビトロにおけるマウスの大動
脈内皮細胞の管形成を顕著に抑制し、そしてまた内皮細胞のアポトーシスを誘導
した。タムスタチンは、インビボでの血管新生をマトリゲル(Matrigel
)プラグアッセイにおいて67%阻害し、そして6mg/kgでは、ヒトの腎細
胞ガン(786−O)細胞および前立腺ガン(PC−3)細胞の腫瘍成長をマウ
スの異種移植片モデルにおいて抑制した。まとめると、これらの結果は、タムス
タチンが、血管新生過程の様々な段階を阻害することによって新しい血管の形成
を抑制することを示している。
【0076】 インビボ研究において、タムスタチンは、血管新生をマトリゲルプラグアッセ
イにおいて阻害し、そしてPC−3腫瘍および786−O腫瘍の成長をマウスの
異種移植片モデルにおいて抑制した。タムスタチンによって大きな腫瘍の成長が
阻害されたという事実は、特に臨床的状況における腫瘍の処置を考慮すれば、勇
気づけられるものである。
【0077】 タムスタチンは、肺出血および迅速な進行性糸球体腎炎を特徴とする自己免疫
疾患であるグッドパスチャー症候群に対する病原性エピトープを有する(But
kowski,R.J.他、1987、J.Biol.Chem.262:78
74〜77;Saus,J.他、1988、J.Biol.Chem.263:
13374〜80;Kalluri,R.他、1991、J.Biol.Che
m.266:24018〜24)ので、タムスタチンの急性投与または長期間の
投与はこの自己免疫疾患を誘導し得る可能性がある。いくつかの研究者グループ
は、α3(IV)NC1におけるグッドパスチャー自己エピトープの位置をマッ
ピングまたは予測することを試み、そしてN末端部分、中央部分およびC末端部
分がこのエピトープを有することが報告された(Kalluri,R.他、19
95、J.Am.Soc.Nephrol.6:1178〜85;Kallur
i,R.他、1996、J.Biol.Chem.271:9062〜8;Le
vy,J.B.他、1997、J.Am.Soc.Nephrol.8:169
8〜1705;Quinones,S.他、1992、J.Biol.Chem
.267:19780〜4;Kefalides,N.A.他、1993、Ki
dney Int.43:94〜100;Netzer,K.O.他、1999
、J.Biol.Chem.274:11267〜74)。最近、自己抗体の反
応性がα3(IV)NC1のN末端部のみに存在し、そして腎臓生存率と相関す
ることが報告された。これは、組換えキメラ構築物を使用して行われた(Hel
lmark,T.他、1999、Kidney Int.55:936〜44)
。疾患に関連するエピトープはまた、N末端部分の最初の40アミノ酸に対して
同定された。従って、グッドパスチャー症候群に対するエピトープを除くために
、N末端の53アミノ酸残基を有しない短縮型タムスタチンが合成された。この
分子は、マウスの異種移植片モデルにおいて786−O腫瘍の成長に対して阻害
作用を示す。また、この分子は、グッドパスチャー症候群の数人の患者に由来す
る自己抗体と結合しなかった。タムスタチンN−53(これはまた本明細書中で
は「Tum−1」として示される)はまた内皮細胞の生存性を強力に低下させた
。驚くべきことに、この作用は、全長型分子よりもタムスタチンN−53(Tu
m−1)において大きかった。これらの結果は、N末端の53アミノ酸が除かれ
た場合でさえ、タムスタチンの抗血管新生性領域が保存されていることを示して
いる。
【0078】 Tum−1のほかに、Tum−2、Tum−3およびTum−4を含む他のタ
ムスタチン欠失変異体もまた作製された。これらはまた下記の実施例35に記載
される。Tum−1は、上記に述べられているように、C末端の191アミノ酸
を含み、N末端の53アミノ酸を有していない。「タムスタチン333」はタム
スタチンのN末端側のアミノ酸2〜125を含む。Tum−3はC末端の112
アミノ酸を含む。Tum−4は、アミノ酸185〜203を含むC末端の64ア
ミノ酸を含む(Han他、1997、J.Biol.Chem.272:203
95〜401)。全長型タムスタチンのアミノ酸54〜132の領域はTum−
5と呼ばれた。Tum−5の伸長型(これは本明細素中では「タムスタチン−4
5−132」と呼ばれる)が、Tum−5の発現および溶解性を増大させるため
に作製された。タムスタチン−45−132は、さらなる9個のアミノ酸のN末
端における伸長部を有するTum−5からなる。さらにタムスタチン−45−1
32の変異体が作製された(これは「Tum−5−126−C−A」と本明細書
中では呼ばれる)。この変異体は、(全長型タムスタチンの)126位における
システインが部位特異的変異誘発によってアラニンに変異しているタムスタチン
−45−132の配列からなる。様々な欠失変異体がTum−5からさらに作製
され、これらはT1と1組の部分的に重なるペプチド(T2、T3、T4、T5
およびT6)とを含んだ。
【0079】 これらの変異体を下記の表1に示す。
【表1】
【0080】 Tum−4は、本明細書中に示されるようにメラノーマ細胞(WM−164細
胞)の増殖を阻害し、αβ受容体と結合するが、この領域は、タムスタチン
の抗血管新生活性を担っていないと考えられる。これに対して、タムスタチンの
欠失変異体Tum−2(これはタムスタチンのN端側半分を含む)は、抗腫瘍細
胞活性ではなく、抗血管新生性を示した。従って、ある実験条件のもとでは、こ
れらの2つの活性は分離できると考えられる。
【0081】 図34Aおよび図35Aに示されるように、全長型タムスタチンおよび欠失変
異体Tum−1がともに同等の抗血管新生活性を示すという事実により、残基1
〜53の領域はこの活性に必要ないことが示される。全長型タムスタチンを上回
るTum−1の増大した抗血管新生活性は、より大きな全長型分子とは対照的に
、変異体タンパク質に対する1μgあたりの活性な分子の数が増大したことによ
って合理的に説明することができる。
【0082】 全長型タムスタチンならびに欠失変異体のTum−1およびTum−2はすべ
て抗血管新生活性を示し(すなわち、内皮細胞の増殖を阻害し、そのアポトーシ
スを誘導し)、その一方でTum−3およびTum−4が抗血管新生活性を示さ
ないという事実は、タムスタチンの抗血管新生性が主として残基54〜132に
存在することを示唆している。この活性はまた、残基132を越えた数残基にま
で及ぶが、Tum−3が、抗血管新生性を示すために十分な抗血管陰性性領域を
含まないことは明かである。
【0083】 しかし、Tum−4は(図33Bに示されるように)WM−164メラノーマ
細胞の成長を阻害したが、Tum−1およびTum−2は阻害しなかった。この
ことは、タムスタチンの抗腫瘍細胞活性が残基181〜244に存在し得ること
を示している。Shahan他(1999、Cancer Res.59:45
84〜4590)の結果を考慮すると、抗腫瘍細胞活性は残基185〜203に
存在する可能性が一層高い。抗血管新生の分野におけるほとんどの研究が、その
血液供給を制限することによって腫瘍を阻害することに関しているので、タムス
タチンの抗血管新生活性および抗腫瘍細胞活性が分離されることは驚くべきこと
である。
【0084】 興味深いことに、欠失変異体のTum−1およびTum−2の抗血管新生活性
がタムスタチンの抗血管新生活性と同等であるので、残基54〜132の領域の
抗血管新生活性はまた、その領域が全長型の折り畳まれたタムスタチン分子に含
まれる場合にも効果的であることは明かである。対照的に、Tum−4は抗腫瘍
細胞活性を有し、これに対して、Tum−3(これは、Tum−4と同様に残基
185〜203を含む)は抗腫瘍細胞活性を有しなかった。従って、185〜2
03の領域の抗腫瘍細胞活性は、この領域が全長型の折り畳まれたタムスタチン
分子の一部として存在するか、またはより大きなタムスタチン断片(例えば、T
um−3)の内部にさえ存在する場合には得られなかった。この活性は、(下記
の実施例の場合のように)分子を短縮化することによるか、またはHan他(1
997、J.Biol.Chem.272:20395〜20401)によって
行われたような代表的なペプチドの合成によるかのいずれかによってこの領域が
露出したときにだけ実現される。
【0085】 全長型タムスタチンの他の断片および変異体もまた抗血管新生活性を有する。
タムスタチン−45−132は、非内皮細胞に対する著しい作用を伴うことなく
、内皮細胞の増殖および生じるアポトーシスを特異的に阻害する。タムスタチン
−45−132は、もとのタンパク質からの64%の短縮であったとしても、2
44アミノ酸の全長型分子と同じくらい活性である。タムスタチン−45−13
2の抗血管新生作用は、マトリゲルプラグアッセイを使用してインビボでさらに
確認された。1μg/mlのタムスタチン−45−132は、PC−3腫瘍を阻
害し、そしてマウス異種移植片における血管新生および微小血管密度を低下させ
ることが見出された。内皮細胞表面に対するビオチン化タムスタチン−45−1
32の結合が免疫細胞化学によって確認された。免疫沈殿実験により、タムスタ
チン−45−132が、競合的増殖アッセイによって明らかにされるように、内
皮細胞の表面に存在するαβインテグリンおよびβインテグリンに結合す
ることが解明された。
【0086】 また、アルカリ還元されたタムスタチン−45−132が非還元型のタムスタ
チン−45−132と同じくらい効果的であることが見出された。アルカリ還元
により、折り畳まれた分子の立体配座構造を維持することにおいて役割を果たし
ているシステイン残基間のジスルフィド結合が破壊される。非還元の分子と比べ
て、アルカリ還元されたタムスタチン−45−132の活性が低下しないことは
、システイン結合により媒介されるタムスタチン−45−132の立体配座的性
質はその抗血管新生活性に必須でないことを示している。従って、用語「変異体
」はまた、還元されているタムスタチン分子、あるいは1つ以上のシステイン残
基が別のアミノ酸に変異しているか、または完全に欠失しているタムスタチン分
子のすべてまたは一部分を意味し得る。
【0087】 タムスタチン−45−132の変異体(Tum−5−126−C−A)が作製
された。これは、(全長型分子内の)残基番号126におけるシステインがアラ
ニンに変異している。この変異は高まったタンパク質発現を示し、そしてこの分
子は、変異体がタムスタチン−45−132よりも強く腫瘍の成長を実際に阻害
したマウスでの異種移植片研究における腫瘍成長の阻害を除いて、タムスタチン
−45−132と同等の抗血管新生性を有する。
【0088】 抗血管新生活性および抗腫瘍細胞活性はともにグッドパスチャーエピトープ領
域の外側に存在する。α3(IV)NC1ドメインの「非グッドパスチャー断片
」により、グッドパスチャー自己エピトープを含まない、哺乳動物IV型コラー
ゲンのα3鎖のNC1ドメインのアミノ酸配列の(例えば、タンパク質、ペプチ
ドまたはポリペプチドの)断片または一部が意味される。自己抗体がα3(IV
)NC1のN末端と単独で反応することが最近報告された。
【0089】 抗血管新生性領域または抗腫瘍細胞性領域はいずれも典型的な「RGD」(A
rg−Gly−Asp)結合部位を含まず、従って、両方の領域は、RGDに依
存しない機構によってそれらのリガンドに結合する。インテグリンまたはインテ
グリンサブユニットと結合する(例えば、タンパク質、ペプチドまたはポリペプ
チドの)断片の能力が「RGDに依存しない」ということにより、たとえ断片が
「RGD」(Arg−Gly−Asp)のペプチド配列を含まなくても、断片が
インテグリンまたはインテグリンサブユニットと結合できることが意味される。
どちらにもRGD配列が含まれなくても、抗血管新生性領域および抗腫瘍細胞性
領域はともに依然としてαβインテグリンに結合し、そして両領域は内皮細
胞に結合する。(例えば、タンパク質、ペプチドまたはポリペプチドの)断片が
「αβインテグリンに結合する能力」を有するということにより、断片がこ
のインテグリンまたはそのサブユニット(すなわち、αおよび/またはβ
と結合し得ること、あるいはこのインテグリンまたはそのサブユニットに対する
抗体による前処理により、(下記の実施例12または実施例28に示される方法
によって明らかにされるように)このインテグリンおよび/またはそのサブユニ
ットに対する断片の結合が阻害されることが意味される。
【0090】 これらの類似性に照らして、(1)抗血管新生性領域は内皮細胞の増殖を阻害
し、一方、抗腫瘍細胞性領域は内皮細胞の増殖を阻害しないこと、および(2)
抗血管新生性領域は腫瘍細胞を阻害せず、一方、抗腫瘍細胞性領域がそのような
細胞を阻害することは驚くべきことである。
【0091】 (例えば、タンパク質、ペプチドまたはポリペプチドの)断片が「腫瘍細胞の
増殖を阻害することができない」、または「腫瘍細胞の増殖を阻害する能力を有
しない」ということにより、断片が腫瘍細胞(例えば、培養されたメラノーマ細
胞、例えばWM−164細胞)の増殖を妨げないことが意味される。試験方法は
、下記の実施例に、例えば、実施例36、37および38に示される。同様に、
(例えば、タンパク質、ペプチドまたはポリペプチドの)断片が「腫瘍細胞の増
殖を阻害する能力」を有するということにより、断片が腫瘍細胞(例えば、培養
されたメラノーマ細胞、例えばWM−164細胞)の増殖を妨げることが意味さ
れる。そのような能力に対する試験方法もまた、下記の実施例に、例えば、実施
例36、37および38に示される。
【0092】 (例えば、タンパク質、ペプチドまたはポリペプチドの)断片が「内皮細胞の
増殖を阻害することができない」、または「内皮細胞の増殖を阻害する能力を有
しない」ということにより、断片が内皮細胞(例えば、培養されたC−PAE細
胞)の増殖を妨げないことが意味される。そのような能力がないことに対する試
験方法は、下記の実施例に、例えば、実施例5、6、7、26、34、36、3
8などに示される。
【0093】 (例えば、タンパク質、ペプチドまたはポリペプチドの)断片が「内皮細胞に
結合する能力」を有するということにより、断片が内皮細胞(例えば、C−PA
E細胞)に結合することが意味される。そのような能力に対する試験方法もまた
、下記の実施例に、例えば、実施例26、28、37に示される。
【0094】 抗血管新生活性または抗腫瘍細胞活性のいずれかに必要とされる正確な最小の
長さをさらに示すために、下記の実施例に記載される方法を使用して、さらなる
欠失変異体を作製することは困難なことではなく、また厄介なことでもない。そ
のような試みは非常に好都合である。なぜならば、所望する活性を依然として示
す可能な最小分子は、所望する活性には不必要なアミノ酸を含む、より大きな分
子よりも単位重量基準で強力であるからである。
【0095】 タムスタチンによって内皮細胞の増殖が特異的に阻害されることにより、タム
スタチンが細胞表面のタンパク質/受容体を介して機能し得ることが強く示唆さ
れる。血管新生はまた、インテグリンαβにより媒介される特異的な内皮細
胞の接着事象に依存する(Brooks,P.C.他、1994、Cell、7
9:1157〜64)。細胞付着アッセイにより、タムスタチンがαβイン
テグリンおよびαβインテグリンを介して内皮細胞に結合することが解明さ
れた。タムスタチンの抗増殖作用が可溶性のαβインテグリンタンパク質に
よって部分的に回復した。タムスタチンは、マトリックス成分に対する増殖中の
内皮細胞の相互作用を乱すと考えられ、従って、内皮細胞にアポトーシスを受け
させる(Re,F.他、1994、J.Cell.Biol.127:537〜
46)。様々なマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)が、腫瘍における
新しい血管の形成を調節する重要な酵素として関与している(Ray,J.M.
他、1994、Eur.Respir.J.7:2062〜72)。最近、MM
P−2(PEX)の阻害剤が、血管新生を阻害することによって腫瘍の成長を抑
制できることが明らかにされた(Brooks,P.C.他、Cell、92:
391〜400)。タムスタチンは、MMPの活性を阻害することによって機能
し得る。
【0096】 Petitclerc他(2000、J.Biol.Chem.275:80
51〜61)は、α3(IV)NC1がαβインテグリンを介して内皮細胞
に結合することを示したが、その結合は、α3(IV)NC1ドメインのN末端
に存在するRGD配列を介していると推測した。しかし、このRGD配列は、N
C1ドメインの一部ではなく、三重らせん領域に由来しており、そしてNeil
son他(1993、J.Biol.Chem.268:8402〜5)により
記載される元のクローンに含まれる。Petitclerc他はこのクローンを
使用して、α3(IV)NC1を293胚腎臓細胞において組換え発現させた。
この配列が、部位特異的変異誘発を使用して除かれた場合に、αβ結合部位
が保持されている。このことは、RGDに依存しない結合機構を示している。
【0097】 Shahan他(1999、Cancer Res.59:4584〜459
0)は、αβインテグリンに対するリガンドとして残基185〜203を同
定し、そしてこの相互作用が関連の抗腫瘍細胞の性質には重要であると推測した
。下記の実施例37および実施例38は、RGDに依存しないさらに別のαβ (αβまたはβではない)インテグリン結合部位がタムスタチンの54
〜132の残基領域内に存在することを示している。この第2の部位は、腫瘍細
胞の増殖を阻害するためには必ずしも必要ないが、抗血管新生活性には必要であ
る。Tum−2は、内皮細胞およびメラノーマ細胞の両方と結合するが、内皮細
胞の増殖を阻害するだけであり、腫瘍細胞の増殖に対する作用を有しない。Tu
m−4は、残基185〜203を含み、内皮細胞およびメラノーマ細胞の両方と
結合するが、メラノーマ細胞の増殖を阻害するだけである。両方のインテグリン
結合部位について、可溶性のαβタンパク質を用いた競合アッセイは、抗増
殖活性をリバースするためには十分である。このことは、RGDに依存しない2
つの異なる、タムスタチン上のαβ結合部位が、おそらくは異なるαβ インテグリン媒介機構を介して2つの異なる抗腫瘍活性を媒介することを示唆し
ている。本明細書中に記載される結果は、αβインテグリンおよびαβ インテグリンがタムスタチンと結合すること、そしてαβの結合はRGDに
依存しないことを示している。
【0098】 欠失変異体が、インテグリン結合部位を検出するために細胞接着アッセイにお
いて使用された。タムスタチンのN末端部には、三重らせんの非コラーゲン性部
分に由来するRGD配列(アミノ酸残基7〜9)が存在する。RGDはαβ 受容体の結合部位である。しかし、この配列を有しないTum−1は、依然とし
てαβインテグリンに結合する。従って、この結合部位は、185〜203
の領域について示されたようにRGDに依存しない。この領域に対する抗体(例
えば、抗Tum−4抗体)は、αβ結合部位に部分的に結合することが示さ
れているが、Tum−1がαβ受容体に結合することを妨げず、そしてTu
m−1の抗増殖作用もまた影響されなかった。さらに、Tum−2(残基1〜1
32)は、C末端のαβ結合部位(残基185〜203)を含まないが、細
胞接着アッセイにおいてαβに結合し、そして内皮細胞の増殖を阻害するこ
とが実施例38において示される。タムスタチンまたはTum−2をαβ
ンパク質とインキュベーションして、内皮細胞の細胞膜に存在するαβ受容
体を飽和させた場合、タムスタチンの抗増殖作用は著しく低下した(43%〜7
4%)。タムスタチンに対する可溶性αβ受容体の親和性が、膜結合型のα βに対して、はるかに弱く、効率的でないと考えられることを考慮すれば、
このことは驚くべきことである。本明細書中に記載される結果は、αβ結合
部位がアミノ酸54〜132の中に存在し得ることを示している。
【0099】 タムスタチンの抗血管新生活性がαβにより媒介されることは、VEGF
により内皮細胞におけるαβの発現がアップレギュレーションされるという
理解と一致している(Senger他、1996、Am.J.Pathol.1
49:293〜305;Suzume他、1998、Invest.Ophth
almol.Vis.Sci.39:1028〜1035)。血管新生は、α βインテグリンにより媒介される特異的な内皮細胞の接着事象に依存する(B
rooks他、1994、Science、264:569〜571;Broo
ks他、1994、Cell、79:1157〜1183)ので、タムスタチン
の抗血管新生作用は、ビトロネクチンおよびフィブロネクチンなどのマトリック
ス成分に対する増殖中の内皮細胞の相互作用を乱すことによって媒介されると考
えられる。これは、重要な抗アポトーシスシグナル(36)であると見なされる
【0100】 第2のRGD非依存部位は、185〜203の部位に対してアミノ酸レベルで
著しい相同性を示していないが、両方とも、内皮細胞およびメラノーマ細胞にお
けるαβインテグリンと結合する。αβインテグリンは残基185〜2
03に結合するが、内皮細胞の増殖阻害は認められなかった。
【0101】 タムスタチンはインビトロおよびインビボで血管新生を阻害し、これにより腫
瘍の進行の抑制がもたらされる。この方法を患者に適用するために、全身投与に
よるその潜在的な毒性または副作用もまた検討しなければならない。タムスタチ
ンの分布が限定されており、そして表皮基底膜にはほとんど存在しないという事
実は、タムスタチン処置による副作用の可能性が小さいことを示唆している。ま
た、腎臓などの限られた器官の血管基底膜にタムスタチンが存在することは、限
られた器官に生じる腫瘍を標的化することにおけるその潜在的な他にない利点を
示唆している。究極的には、遺伝子移入法(Kashihara,N.他、19
97、Exp.Nephrol.5:126〜31;Maeshima,Y.他
、1996、J.Am.Soc.Nephrol.7:2219〜29;Mae
shima,T.他、1998、J.Clin.Invest.101:258
9〜97)を用いてタムスタチン遺伝子を腫瘍の血管系においてインビボで発現
させる代替的な方法を開発することが望ましい。
【0102】 α3(IV)鎖の分布は、選択された器官の基底膜に限定されており、従って
、α鎖の組み立てを阻害することによるこの分子の可能な機能を考慮すれば、タ
ムスタチンはほとんど害を及ぼさないと考えられる。さらに、α3(IV)鎖は
腎臓の血管基底膜に認められており(Kalluri,R.他、1997、J.
Clin.Invest.99:2470〜8)、これらの血管は、腎細胞ガン
などの原発性腎腫瘍の進行に関与していると考えられている。従って、タムスタ
チンは、α3(IV)鎖とそれ以外のα鎖との組み立てを乱すことによってその
ような腫瘍の処置において効果的であると考えられる。
【0103】 本明細書中で使用される用語「血管新生」は、新しい血管が組織内または器官
内に生じることを意味し、内皮細胞の増殖を伴う。正常な生理学的条件のもとで
は、ヒトまたは動物は、非常に特定の限られた状況でのみ血管新生を受ける。例
えば、血管新生は、通常、創傷治癒、胎児および胚の発達、ならびに黄体、子宮
内膜および胎盤の形成において認められる。用語「内皮」は、漿膜腔、リンパ管
および血管の内側を覆う平らな上皮細胞の薄い層を意味する。従って、「抗血管
新生活性」は、血管の成長を阻害する組成物の能力をいう。血管の成長は、複雑
な一連の事象であり、個々の内皮細胞の下に位置する基底膜の限局的な破壊、そ
れらの細胞の増殖、将来の血管位置への細胞の移動、新しい血管膜を形成するた
めの細胞の再組織化、内皮細胞増殖の停止、ならびに新しい血管壁を支える周皮
細胞および他の細胞の取り込みを含む。従って、本明細書中で使用される「抗血
管新生活性」には、新しい血管の形成が阻害されるという最終的な結果を伴う、
これらの段階のいずれかまたはすべてを妨げることが含まれる。
【0104】 抗血管新生活性は内皮細胞阻害活性を含むことがある。これは、一般には血管
新生を阻害する組成物の能力、例えば、繊維芽細胞増殖因子、血管新生関連因子
または他の知られている増殖因子の存在下での培養においてウシ毛細管内皮細胞
の成長または移動を阻害する組成物の能力をいう。「増殖因子」は、細胞の成長
、再生産または合成活性を刺激する組成物である。「血管新生関連因子」は、血
管新生の阻害または促進のいずれかを行う因子である。血管新生関連因子の一例
として、血管新生の促進因子である塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)など
の血管新生性の増殖因子が挙げられる。血管新生関連因子の別の例として、例え
ば、アンギオスタチン(例えば、米国特許第5,801,012号、米国特許第
5,837,682号、米国特許第5,733,876号、米国特許第5,77
6,704号、米国特許第5,639,725号、米国特許第5,792,84
5号、国際公開WO96/35774号パンフレット、同WO95/29242
号パンフレット、同WO96/41194号パンフレット、同WO97/235
00号パンフレットを参照のこと)またはエンドスタチン(例えば、国際公開W
O97/15666号パンフレットを参照のこと)などの血管新生阻害因子が挙
げられる。
【0105】 「実質的に同じ生物学的活性」または「実質的に同じか、または優れた生物学
的活性」により、組成物が抗血管新生活性を有し、そして標準的なアッセイで測
定されたとき、アレステン、カンスタチンおよびタムスタチンが挙動するのと同
様に挙動することが意味される。「標準的なアッセイ」には、抗血管新生活性、
細胞周期停止およびアポトーシスを評価するために分子生物学の分野で使用され
ている様々なそのようなプロトコルが含まれるが、これらに限定されない。その
ようなアッセイには、例えば、アポトーシス細胞形態学またはアネキシンV−F
ITCアッセイ、漿尿膜(CAM)アッセイ、およびヌードマウスにおける腎臓
ガン腫瘍成長の阻害によって、内皮細胞の増殖、内皮細胞の移動、細胞周期分析
、および内皮細胞の管形成をアッセイすること、アポトーシスの検出が含まれる
が、これらに限定されない。そのようなアッセイは下記の実施例に示される。
【0106】 「アレステン」(これはまた本明細書中では「アレスチン」と示される)は、
アレステン配列のアミノ酸配列の断片、変異体、ホモログ、アナログおよび対立
遺伝子変化体、ならびに他の哺乳動物に由来するアレステン、およびそのような
アレステンのアミノ酸配列の断片、変異体、ホモログ、アナログおよび対立遺伝
子変化体を含むものとする。
【0107】 本明細書中で使用される「カンスタチン」は、カンスタチン配列のアミノ酸配
列の断片、変異体、ホモログ、アナログおよび対立遺伝子変化体、ならびに他の
哺乳動物に由来するカンスタチン、およびそのようなカンスタチンのアミノ酸配
列の断片、変異体、ホモログ、アナログおよび対立遺伝子変化体を含むものとす
る。
【0108】 本明細書中で使用される「タムスタチン」は、タムスタチン配列のアミノ酸配
列の断片、変異体、ホモログ、アナログおよび対立遺伝子変化体、ならびに他の
哺乳動物に由来するタムスタチン、およびそのようなタムスタチンのアミノ酸配
列の断片、変異体、ホモログ、アナログおよび対立遺伝子変化体を含むものとす
る。
【0109】 本発明は、内皮細胞阻害活性(例えば、一般には血管新生を阻害する組成物の
能力、例えば、繊維芽細胞増殖因子、血管新生関連因子または他の知られている
増殖因子の存在下での培養においてウシ毛細管内皮細胞の成長または移動を阻害
する組成物の能力)を有する、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンの
任意の誘導体を含むことが考えられることを理解しなければならない。本発明に
は、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンの完全なタンパク質、これら
のタンパク質の誘導体、およびこれらのタンパク質の生物学的に活性な断片が含
まれる。これらには、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンの活性を有
し、そしてアミノ酸の置換を有するか、あるいは糖または他の分子がアミノ酸官
能基に結合しているタンパク質が含まれる。
【0110】 本発明はまた、アレステン、カンスタチンおよびタムスタチンの断片、変異体
、ホモログおよびアナログを記載する。アレステン、カンスタチンまたはタムス
タチンの「断片」は、アレステン分子、カンスタチン分子またはタムスタチン分
子よりも短い任意のアミノ酸配列であり、アレステン、カンスタチンまたはタム
スタチンのポリペプチドの少なくとも25個の連続したアミノ酸を含む。そのよ
うな分子はまた、クローニングの過程に由来するさらなるアミノ酸(例えば、完
全または部分的なリンカー配列に対応するアミノ酸残基またはアミノ酸配列)を
含んでもよく、または含まなくてもよい。本発明により包含されるためには、そ
のような変異体は、そのようなさらなるアミノ酸残基が存在または非存在であっ
ても、参照ポリペプチドの天然型または全長型と実質的に同じ生物学活性を有し
なければならない。
【0111】 「タムスタチンN−53」と名付けられた1つのそのような断片が、標準的な
アッセイによって測定された場合に全長型タムスタチンの抗血管新生活性と同等
の抗血管新生活性を有することが見出された。タムスタチンN−53は、N末端
の53アミノ酸が欠失しているタムスタチン分子を含む。本明細書中に記載され
る他の変異体断片が、本明細書中に記載されるアッセイによって示されるように
、非常に大きなレベルの抗血管新生活性を有することが見出されている。これら
の断片、すなわち、「タムスタチン333」、「タムスタチン334」、「12
kDaのアレステン断片」、「8kDaのアレステン断片」および「10kDa
のカンスタチン断片」は、ED50値がそれぞれ、75ng/ml、20ng/
ml、50ng/ml、50ng/mlおよび80ng/mlである。対照的に
、全長型のアレステン、カンスタチンおよびタムスタチンは、それぞれ、400
ng/ml、400ng/mlおよび550ng/mlのED50値を有するこ
とが見出されていた。タムスタチン333は配列番号10のアミノ酸2〜125
を含み、タムスタチン334は配列番号10のアミノ酸126〜245を含む。
【0112】 アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンの「変異体」により、アレステ
ン、カンスタチンまたはタムスタチンの等価な参照ポリペプチドのアミノ酸配列
に対するアミノ酸配列における任意の変化を含むポリペプチドが意味される。そ
のような変化は自然に生じ得るか、あるいはヒトによる操作によって、化学エネ
ルギー(例えば、X線)によって、または他の形態の化学的変異誘発によって、
または遺伝子操作によって、または交配もしくは遺伝情報の他の形態の交換の結
果として生じ得る。変異には、例えば、塩基の変化、欠失、挿入、逆位、転座ま
たは重複が含まれる。変異体形態のアレステン、カンスタチンまたはタムスタチ
ンは、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンの等価な参照ポリヌクレオ
チドに対して増大した抗血管新生活性または低下した抗血管新生活性のいずれか
を示すことがあり、そのような変異体はまた、クローニングの過程に由来するさ
らなるアミノ酸(例えば、完全または部分的なリンカー配列に対応するアミノ酸
残基またはアミノ酸配列)を含んでもよく、または含まなくてもよい。
【0113】 本発明の抗血管新生性タンパク質の変異体/断片はPCRクローニングによっ
て作製することができる。「タムスタチン333」および「タムスタチン334
」と名付けられた断片はこの方法で作製され、そして下記の実施例23に記載さ
れるように、また図30および図31に示されるように全長型タムスタチンの抗
血管新生活性よりも優れた抗血管新生活性を有する。そのような断片を作製する
ために、PCRプライマーが、それぞれのプライマー組により既知の部分配列が
全長タンパク質から増幅されるような方法で既知の配列から設計される。その後
、これらの部分配列は、pET22bベクターなどの適切な発現ベクターにクロ
ーン化され、そして発現したタンパク質が、下記のアッセイにおいて記載される
ようにその抗血管新生活性について調べられる。
【0114】 本発明の抗血管新生性タンパク質の変異体/断片はまた、Mariyama,
M.他(1992、J.Biol.Chem.267:1253〜8)によって
記載され、また下記の実施例33に記載されるように、シュードモナス属細菌の
エラスターゼ消化によって作製することができる。この方法を使用して、12k
Daおよび8kDaのアレステン変異体ならびに10kDaのカンスタチン変異
体が製造された。これらの3つはすべて、元の全長型タンパク質よりも高レベル
の抗血管新生活性を有する。
【0115】 アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンの「アナログ」により、アレス
テン、カンスタチンまたはタムスタチンの完全な分子あるいはそれらの断片また
は対立遺伝子変化体のいずれかと実質的に類似し、かつ実質的に同じか、または
優れた生物学的活性を有する非天然型の分子が意味される。そのようなアナログ
には、生物学に活性なアレステン、カンスタチンまたはタムスタチンの誘導体(
例えば、上記に規定されるような化学的誘導体)、ならびにその断片、変異体、
ホモログおよび対立遺伝子変化体が含まれるものとする。そのような誘導体は、
非修飾のアレステンポリペプチド、カンスタチンポリペプチドまたはタムスタチ
ンポリペプチド、断片、変異体、ホモログまたは対立遺伝子変化体の作用と定性
的に類似するアゴニスト作用またはアンタゴニスト作用を示す。
【0116】 アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンの「対立遺伝子」により、アレ
ステン、カンスタチンまたはタムスタチンの参照ポリペプチドのポリペプチド配
列に対して天然に存在する配列変化を含むポリペプチド配列が意味される。アレ
ステン、カンスタチンまたはタムスタチンのポリペプチドをコードするポリヌク
レオチドの「対立遺伝子」により、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチ
ンの参照ポリペプチドをコードする参照ポリヌクレオチド配列に対する配列変化
を含むポリヌクレオチドが意味される。この場合、アレステン、カンスタチンま
たはタムスタチンのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの対立遺伝子は
、対立遺伝子形態のアレステンポリペプチド、カンスタチンポリペプチドまたは
タムスタチンポリペプチドをコードする。
【0117】 所与のポリペプチドが、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンの断片
、変異体、アナログまたは対立遺伝子変化体のいずれかであり得ること、あるい
は所与のポリペプチドがこれらの2つ以上であり得ること、例えば、ポリペプチ
ドが、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンのポリペプチドのアナログ
および変異体の両方であり得ることが可能である。例えば、短小化体のアレステ
ン分子、カンスタチン分子またはタムスタチン分子(例えば、アレステン、カン
スタチンまたはタムスタチンの断片)を実験室において作製することができる。
その断片が、その後、この分野で知られている手段によって変異処理される場合
、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンの断片および変異体の両方であ
る分子が作製される。別の例では、いくつかの哺乳類の個体において対立遺伝子
形態のアレステン、カンスタチンまたはタムスタチンとして存在することがその
後に発見される変異体を作製することができる。従って、そのような変異体のア
レステン分子、カンスタチン分子またはタムスタチン分子は変異体および対立遺
伝子変化体の両方である。断片、変異体、対立遺伝子変化体およびアナログのそ
のような組合せは本発明に包含されるものとする。
【0118】 例えば、下記の実施例23に記載される大腸菌発現クローニング法によって作
製されるタムスタチンは単量体である。このタムスタチンはまた、大腸菌発現ク
ローニング法により、天然タンパク質に存在しないポリリンカー配列およびヒス
チジン標識が発現タンパク質に付加されているので融合またはキメラなタンパク
質である。タムスタチン断片の「タムスタチンN−53」(これはまた実施例2
3に記載される)は、全長型タムスタチンタンパク質の断片であり、かつ欠失変
異体であり、そして同じ大腸菌発現クローニング法によって作製された場合、こ
れもまた、さらなる配列が付加されており、従って全長型タムスタチンタンパク
質の融合またはキメラな変異体断片である。このタムスタチンN−53のサブユ
ニットは、例えば、二量体、三量体などに組み合わせられた場合、タムスタチン
タンパク質の多量体の融合またはキメラな変異体断片をもたらす。
【0119】 本発明には、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンと実質的に同じア
ミノ酸配列を有するタンパク質、あるいはアレステン、カンスタチンまたはタム
スタチンをコードするポリヌクレオチドと実質的に同じ核酸配列を有するポリヌ
クレオチドが包含される。「実質的に同じ配列」は、参照配列(例えば、別の核
酸またはポリペプチド)と少なくとも約70%の配列同一性、典型的には参照配
列と少なくとも約80%の配列同一性、好ましくは参照配列と少なくとも約90
%の配列同一性、より好ましくは参照配列と少なくとも約95%の配列同一性、
最も好ましくは参照配列と少なくとも約97%の配列同一性を示す核酸またはポ
リペプチドを意味する。配列について比較される長さは、一般には少なくとも7
5個のヌクレオチド塩基または25個のアミノ酸であり、より好ましくは少なく
とも150個のヌクレオチド塩基または50個のアミノ酸であり、最も好ましく
は243個〜264個のヌクレオチド塩基または81個〜88個のアミノ酸であ
る。本明細書中で使用される「ポリペプチド」はアミノ酸の分子鎖を示し、特定
の長さの生成物を示さない。従って、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク
質はポリペプチドの定義に含まれる。この用語はまた、例えば、グリコシル化、
アセチル化、リン酸化およびその他などの発現後の修飾を受けているポリペプチ
ドを含むものとする。
【0120】 本明細書中で使用される「配列同一性」は、2つのポリマー分子(例えば、2
つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド)の間におけるサブユニット配
列の類似性をいう。2つの分子の両方におけるサブユニット位置が同じ単量体サ
ブユニットによって占められているとき、例えば、2つのペプチドのそれぞれに
おける1つの位置がセリンによって占められている場合、これらはその位置で同
一である。2つの配列の間における同一性は、一致した位置または同一位置の数
の直接的な関数である。例えば、2つのペプチドまたは化合物の配列における位
置の半分(例えば、長さが10個のサブユニットであるポリマーにおいて5つの
位置)が同一である場合、2つの配列は50%の同一性を有する;位置の90%
(例えば、10個のうちの9個)が一致する場合、2つの配列は90%の配列同
一性を有する。例として、R10およびR のアミノ酸配列は6つのうちの3つの位置が共通しているので、50
%の配列同一性を有するが、R10およびR10の配列は5つのうちの3つの位置が共通しているので、60%の配列同
一性を有する。2つの配列間の同一性は、一致した位置または同一位置の数の直
接的な関数である。従って、参照配列のある位置が特定のペプチドにおいて欠失
している場合、その欠失部分は、配列同一性を計算するためには計算されない。
例えば、R10およびR10の配列は6
つのうちの5つの位置が共通しているので、83.3%の配列同一性を有する。
【0121】 同一性は、多くの場合、配列分析ソフトウエアを使用して、例えば、BLAS
TNまたはBLASTP(http://www.ncbi.nlm.nih.
gov/BLASTから入手可能である)を使用して測定される。(ヌクレオチ
ド配列について)BLASTNによる2つの配列の比較(2つの配列の相互の「
Blast比較」、http://www.ncbi.nlm.nih.gov
/gorf/b12.html)を行うための設定省略時のパラメーターは、一
致=1、不一致ペナルティー=−2、オープンギャップ=5、伸長ギャップ=2
に対するものである。BLASTPをタンパク質配列について使用する場合、設
定省略時のパラメーターは、一致=0、不一致ペナルティー=0、オープンギャ
ップ=11、伸長ギャップ=1に対するものである。
【0122】 2つの配列が「配列相同性」を有する場合、2つの配列は、保存的置換によっ
てのみ互いに異なることが意味される。ポリペプチド配列の場合、そのような保
存的置換は、配列内の所与位置における1つのアミノ酸が同じクラスの別のアミ
ノ酸(例えば、疎水性、電荷、pKまたは他の立体配座的もしくは化学的な性質
を有するアミノ酸、例えば、ロイシンの代わりにバリン、リシンの代わりにアル
ギニン)に置換されていることからなるか、あるいはポリペプチドの生物学的活
性が破壊される程度にまでポリペプチドの立体配座または折り畳みを変化させな
い配列の位置に存在する1つまたは複数の非保存的なアミノ酸の置換、欠失また
は挿入によるものである。「保存的置換」の例には、ポリペプチドが必要な生物
学的活性を示すならば、イソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンなど
の1つの非極性(疎水性)残基を別のものに置換すること;アルギニンとリシン
との間、グルタミンとアスパラギンとの間、トレオニンとセリンとの間における
一方の極性(親水性)残基を別のものに置換すること;リシン、アルギニンまた
はヒスチジンなどの1つの塩基性残基を別のものに置換すること;あるいはアス
パラギン酸またはグルタミン酸などの1つの酸性残基を別のものに置換すること
;あるいは非誘導体化残基の代わりに化学的な誘導体化残基の使用が含まれる。
配列相同性を有する2つの配列は「配列ホモログ」と呼ばれることがある。
【0123】 本発明には、本明細書中に開示されるタンパク質およびペプチドの変異体が包
含される。この場合、1つ以上の変異はタンパク質またはペプチドの活性を実質
的に変化させず、すなわち、変異は実際には「サイレント」な変異である。1つ
のそのような変異体であるTum−5−126−C−Aが本明細書中に示される
。この変異体は、(全長型タムスタチン分子の)126番目の残基のシステイン
がシステインからアラニンに変異している。この変異は、ジスルフィド結合がそ
の残基で形成されることを妨げているが、Tum−5−126−C−Aはその親
分子タムスタチン−45−132の完全な活性を保持している。
【0124】 相同性は、ポリペプチドについては、典型的には、配列分析ソフトウエア(例
えば、Genetics Computer Groupの配列分析ソフトウエ
アパッケージ、ウイスコンシン大学生物工学センター、1710 Univer
sity Avenue、Madison、WI53705)を使用して測定さ
れる。タンパク質分析ソフトウエアは、様々な置換体、欠失体および他の修飾体
に対して相同性の程度を定めることによって類似する配列を照合する。保存的置
換として、典型的には下記のグループ内における置換が挙げられる:グリシン、
アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、
アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リシン、アルギニン;および
フェニルアラニン、チロシン。
【0125】 アレステン、カンスタチンおよびタムスタチンの化学的誘導体もまた本発明に
よって包含される。「化学的誘導体」は、1つまたは複数の残基が側鎖官能基の
反応によって化学的に誘導体化された当該ポリペプチドをいう。そのような誘導
体化された残基には、例えば、アミン塩酸塩を形成させるために未修飾アミノ基
が誘導体化されているそのような分子、p−トルエンスルホニル基、カルボベン
ゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基またはホルミル基
が含まれる。未修飾のカルボキシル基は、塩、メチルエステルおよびエチルエス
テルまたは他のタイプのエステル、あるいはヒドラジドを形成させるために誘導
体化することができる。未修飾のヒドロキシル基は、O−アシル誘導体またはO
−アルキル誘導体を形成させるために誘導体化することができる。ヒスチジンの
イミダゾール窒素は、N−インベンジルヒスチジン(imbenzylhist
idine)を形成させるために誘導体化することができる。20個の標準的な
アミノ酸の1つまたは複数の天然に存在するアミノ酸誘導体を含むそのようなペ
プチドもまた化学的誘導体として含まれる。例えば、4−ヒドロキシプロリンを
プロリンの代わりに使用することができ、5−ヒドロキシリシンをリシンの代わ
りに使用することができ、3−メチルヒスチジンをヒスチジンの代わりに使用す
ることができ、ホモセリンをセリンの代わりに使用することができ、そしてオル
ニチンをリシンの代わりに使用することができる。
【0126】 本発明はまた、抗血管新生性のタンパク質、その断片、変異体、ホモログ、ア
ナログおよび対立遺伝子変化体(例えば、タムスタチンおよびカンスタチン、ま
たはT1およびT4など)を含む融合タンパク質およびキメラタンパク質を含む
。融合タンパク質またはキメラタンパク質は、組換え発現およびクローニングプ
ロセスの結果として製造することができる。例えば、全長または部分的なリンカ
ー配列に対応するさらなるアミノ酸またはアミノ酸配列を含むタンパク質を製造
することができ、例えば、本発明のアレステンは、大腸菌において産生させた場
合(下記の実施例2を参照のこと)、ヒスチジンタグを含む、タンパク質に付加
されたさらなるベクター配列を含む。本明細書中で使用される「融合またはキメ
ラなタンパク質」は、元のタンパク質配列に対するこのタイプの変化を包含する
ものとする。類似する変化がカンスタチンタンパク質およびタムスタチンタンパ
ク質に対して行われた(それぞれ、実施例14および実施例23)。融合または
キメラなタンパク質は、単一タンパク質の多量体から、例えば、抗血管新生タン
パク質の反復から構成され得るか、または融合タンパク質およびキメラタンパク
質は、数個のタンパク質から、例えば、数個の抗血管新生タンパク質から構成さ
れ得る。融合またはキメラなタンパク質は、2つ以上の既知の抗血管新生タンパ
ク質(例えば、アンギオスタチンおよびエンドスタチン、またはアンギオスタチ
ンおよびエンドスタチンの生物学的に活性な断片)の組み合せを含むことができ
、あるいは1つの抗血管新生タンパク質を標的化剤と組み合わせて(例えば、エ
ンドスタチンを上皮細胞増殖因子(EGF)ペプチドまたはRGDペプチドとと
もに)、または1つの抗血管新生タンパク質を免疫グロブリン分子と組み合わせ
て(例えば、エンドスタチンと、特にFc部分が除かれたIgGとを)含むこと
ができる。融合タンパク質およびキメラタンパク質はまた、抗血管新生タンパク
質、その断片、変異体、ホモログ、アナログおよび対立遺伝子変化体、ならびに
他の抗血管新生タンパク質(例えば、エンドスタチンまたはアンギオスタチン)
を含むことができる。他の抗血管新生タンパク質として、レスチンおよびアポミ
グレン(国際公開WO99/29856号パンフレット、その教示は参考として
本明細書中に組み込まれる)、ならびにエンドスタチンの断片(国際公開WO9
9/29855号パンフレット、その教示は参考として本明細書中に組み込まれ
る)を挙げることができる。本明細書中で使用される用語「融合タンパク質」ま
たは用語「キメラタンパク質」はまた、例えば、化学療法剤を送達するためのさ
らなる成分を含むことができる。この場合、化学療法剤をコードするポリヌクレ
オチドは、抗血管新生タンパク質をコードするポリヌクレオチドに連結される。
融合またはキメラなタンパク質はまた抗血管新生タンパク質の多量体(例えば、
二量体または三量体)を含むことができる。そのような融合タンパク質またはキ
メラタンパク質は、翻訳後修飾によって一緒に連結することができ(例えば、化
学的に連結することができ)、または融合タンパク質全体を組換え的に作製する
ことができる。
【0127】 アレステン、カンスタチン、タムスタチン、それらの断片、変異体、ホモログ
、アナログおよび対立遺伝子変化体を含む多量体タンパク質もまた本発明によっ
て包含されるものとする。「多量体」により、2コピー以上のサブユニットタン
パク質を含むタンパク質が意味される。サブユニットタンパク質は、本発明のタ
ンパク質のいずれかであり得る。例えば、アレステンを2回以上反復させること
ができ、あるいは断片、変異体、ホモログ、アナログまたは対立遺伝子変化体、
例えば、タムスタチンの変異体または断片(例えば、タムスタチン333)を2
回以上反復させることができる。そのような多量体もまた融合またはキメラなタ
ンパク質であり得る。例えば、タムスタチンの反復変異体を、ポリリンカー配列
、および/または1コピーで存在し得るか、もしくはタンデム状にも反復し得る
1つもしくは複数の抗血管新生性ペプチドと組み合わせることができる。例えば
、タンパク質は、2つ以上の多量体を全長のタンパク質に含むことができる。
【0128】 本発明はまた、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンをコードする1
つまたは複数の単離されたポリヌクレオチドを含む組成物、ならびにそのような
ポリヌクレオチドを含有するベクターおよび宿主細胞を包含し、そしてアレステ
ン、カンスタチンおよびタムスタチン、ならびにそれらの断片、変異体、ホモロ
グ、アナログおよび対立遺伝子変化体の製造方法を包含する。本明細書中で使用
される用語「ベクター」は、核酸片が挿入またはクローン化され得るキャリアを
意味し、そのようなキャリアは、その核酸片を宿主細胞内に移すように機能する
。そのようなベクターはまた、移された核酸片の複製および/または発現を生じ
させることができる。ベクターの例には、例えば、プラスミド、バクテリオファ
ージまたは哺乳動物ウイルス、植物ウイルスもしくは昆虫ウイルスに由来する核
酸分子、あるいはリガンド−核酸結合体、リポソームまたは脂質−核酸複合体な
どの非ウイルスベクターが含まれる。移される核酸は、移された核酸の発現を可
能にする発現ベクターを得るために発現制御配列に機能的に連結されることが望
ましい場合がある。核酸のそのような移動は、一般には「形質転換」と呼ばれ、
そして挿入のために使用される方法にかかわりなく、宿主細胞内に外因性ポリヌ
クレオチドを挿入することをいう。例えば、直接的な取り込み、形質導入または
f交配が含まれる。外因性ポリヌクレオチドは非組込み型ベクター(例えば、プ
ラスミド)として維持され得るか、あるいはかわりに宿主ゲノムに組み込まれ得
る。「機能的に連結される(た)」は、記載された成分が、その意図された様式
でその成分が機能し得る関係にある状況をいう。例えば、コード配列に「機能的
に連結された」制御配列は、制御配列と適合可能な条件のもとでコード配列の発
現が達成されるような様式で連結されている。「コード配列」は、(例えば、適
切な調節配列に機能的に連結されて)適切な調節配列の制御下に置かれたときに
、mRNAに転写され、かつポリペプチドに翻訳されるポリヌクレオチド配列で
ある。コード配列の境界は、5’末端における翻訳開始コドンおよび3’末端に
おける翻訳停止コドンによって決定される。そのような境界は自然に存在し得る
か、あるいはこの分野で知られている方法によってポリヌクレオチド配列に導入
または付加することができる。コード配列は、mRNA配列、cDNA配列およ
び組換えポリヌクレオチド配列を包含し得るが、これらに限定されない。
【0129】 クローン化されたポリヌクレオチドがクローン化されるベクターは、ベクター
が真核生物で機能するために選ぶことができ、あるいはかわりにベクターが原核
生物で機能するために選ばれる。アレステンタンパク質、カンスタチンタンパク
質およびタムスタチンタンパク質をコードするポリヌクレオチドのクローニング
と、そのポリヌクレオチドからのそのようなタンパク質の発現との両方を可能に
するベクターの2つの例として、pET22bベクターおよびpET28(a)
ベクター(Novagen、Madison、Wisconsin、米国)と、
改変されたpPICZαAベクター(InVitrogen、San Dieg
o、California、米国)とが挙げられる。これらは、それぞれ、細菌
および酵母におけるタンパク質の発現を可能にする。例えば、国際公開WO99
/29878号パンフレットを参照のこと(その全教示はそれにより参考として
組み込まれる)。
【0130】 ポリヌクレオチドが好適なベクターに一旦クローン化されると、ベクターは適
切な宿主細胞に形質転換することができる。「宿主細胞」により、ベクターによ
って移された核酸の受容物として使用されているか、または核酸の受容物として
使用できる細胞が意味される。宿主細胞は、原核生物または真核生物(哺乳動物
、植物または昆虫)であり得るし、そして単細胞として、または集団として、例
えば、培養物として、あるいは組織培養物で、または組織もしくは生物に存在し
得る。宿主細胞はまた、多細胞生物(例えば、哺乳動物)に由来する正常な組織
または疾患組織に由来し得る。本明細書中で使用される宿主細胞は、核酸で形質
転換された元の細胞だけでなく、核酸を依然として含有するそのような細胞の子
孫をも含むものとする。
【0131】 1つの実施形態において、抗血管新生タンパク質をコードする単離されたポリ
ヌクレオチドは、ペプチドをコードするポリヌクレオチドリンカーをさらに含む
。そのようなリンカーは当業者には知られており、例えば、リンカーは、少なく
とも1つのさらなるアミノ酸をコードする少なくとも1つのさらなるコドンを含
むことができる。典型的には、リンカーは1個〜約20個または30個のアミノ
酸を含む。ポリヌクレオチドリンカーは、抗血管新生タンパク質をコードするポ
リヌクレオチドが翻訳されるように翻訳され、これにより、少なくとも1つのさ
らなるアミノ酸残基を抗血管新生タンパク質のアミノ末端またはカルボキシル末
端に有する抗血管新生タンパク質の発現がもたらされる。重要なことには、この
さらなる1つまたは複数のアミノ酸は抗血管新生タンパク質の活性を損なわない
【0132】 選択されたポリヌクレオチドがベクターに挿入された後、ベクターは適切な原
核生物株に形質転換され、そしてその原核生物株は、生物学的に活性な抗血管新
生タンパク質を産生させるために好適な培養条件のもとで培養(例えば、維持)
され、それにより生物学的に活性な抗血管新生タンパク質あるいはその変異体、
誘導体、断片または融合タンパク質が製造される。1つの実施形態において、本
発明は、抗血管新生タンパク質をコードするポリヌクレオチドをベクターpET
22b、pET17bまたはpET28aにクローン化し、その後、このベクタ
ーを細菌に形質転換することを含む。次いで,細菌の宿主株は、抗血管新生タン
パク質を発現する。典型的には、抗血管新生タンパク質は、培養液1リットルあ
たり約10〜20ミリグラムまたはそれ以上の量で製造される。
【0133】 本発明の別の実施形態において、真核生物ベクターには、改変された酵母ベク
ターが含まれる。1つの方法は、プラスミドがマルチプルクローニング部位を含
むpPICzαプラスミドを使用することである。マルチプルクローニング部位
はHis.Tagモチーフのマルチプルクローニング部位に挿入されている。ま
た、ベクターは、NdeI部位または他の好適な制限部位を加えるために改変す
ることができる。そのような部位は当業者には十分に知られている。この実施形
態によって製造される抗血管新生タンパク質は、1つまたは複数のヒスチジン(
典型的には約5個〜20個のヒスチジン)を含むヒスチジンタグモチーフ(Hi
sタグ)を含む。このタグはタンパク質の抗血管新生性を妨害しないだろう。
【0134】 アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンを製造する1つ方法は、例えば
、配列番号1、配列番号5または配列番号9のポリヌクレオチドをそれぞれ増幅
して、そのポリヌクレオチドを発現ベクター(例えば、pET22b、pET2
8(a)、pPICZαA、またはいくつかの他の発現ベクター)にクローン化
し、そしてそのポリヌクレオチドを含有するベクターを、そのポリヌクレオチド
によってコードされるポリペプチドを発現させることができる宿主細胞に形質転
換し、そして形質転換された宿主細胞を、タンパク質を発現させるために好適な
培養条件のもとで培養し、その後、タンパク質を培養物から抽出および精製する
ことである。一般的には抗血管新生タンパク質、具体的にはアレステン、カンス
タチンおよびタムスタチンを製造する例示的な方法が下記の実施例において示さ
れる。アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンのタンパク質はまた、トラ
ンスジェニック動物の産物として、例えば、遺伝子導入されたウシ、ヤギ、ヒツ
ジまたはブタの乳汁の成分として発現させることができ、あるいはトランスジェ
ニック植物の産物として、例えば、トウモロコシにおいてデンプン分子と結合ま
たは連結させて発現させることができる。これらの方法はまた、配列番号2、配
列番号6または配列番号10のタンパク質の一部分を製造するために、配列番号
1、配列番号5または配列番号9の部分配列を用いて使用することができる。こ
れらの方法は、タムスタチン−333、タムスタチン−334、タムスタチン−
N53、Tum−2、Tum−3、Tum−4、タムスタチン−45−132の
各断片、ならびにT1、T2、T3、T4、T5およびT6の各ペプチドを製造
するために使用された。
【0135】 アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンはまた、化学合成の従来的な知
られている方法によって製造することができる。本発明のタンパク質を合成的手
段によって構築する方法は当業者には知られている。合成的に構築されたアレス
テン、カンスタチンまたはタムスタチンのタンパク質配列は、一次構造、二次構
造もしくは三次構造および/または立体配座特性を、例えば、組換え製造された
アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンと共有することにより、生物学的
活性を含む生物学的性質をそれらと同様に有することができる。従って、合成的
に構築されたアレステン、カンスタチンまたはタムスタチンのタンパク質配列は
、治療化合物のスクリーニングおよび抗体を生じさせるための免疫学的プロセス
において、例えば、組換え製造および精製されたアレステンタンパク質、カンス
タチンタンパク質またはタムスタチンタンパク質の代わりになる生物学的に活性
な代用物または免疫学的代用物として用いることができる。
【0136】 アレステンタンパク質、カンスタチンタンパク質およびタムスタチンタンパク
質は、標準的なアッセイにおいて明らかにされるように、そして下記の実施例に
示されるように血管新生を阻害することにおいて有用である。アレステン、カン
スタチンまたはタムスタチンは、他の細胞型(例えば、非内皮細胞)の成長を阻
害しない。
【0137】 アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンをコードするポリヌクレオチド
は、単離されたDNAまたはcDNAライブラリーからクローン化することがで
きる。核酸およびポリペプチドは、本明細書中で「単離された」として示される
場合、(例えば、核酸の混合物で存在するか、または細胞中に存在するように)
それらが得られた生物学的供給源の物質を実質的に含まない(すなわち、そのよ
うな物質から分離された)核酸またはポリペプチドであり、これらはさらなる処
理を受けていてもよい。「単離された」核酸またはポリペプチドには、本明細書
中に記載される方法、類似する方法、または他の好適な方法によって得られる核
酸またはポリペプチドが含まれ、そして本質的に純粋な核酸またはポリペプチド
、化学合成により、化学的方法または生物学的方法の組合せにより製造された核
酸またはポリペプチド、ならびに単離されている組換え製造された核酸またはポ
リペプチドが含まれる。従って、単離されたポリペプチドは、通常の場合には伴
う他のタンパク質、炭水化物、脂質および他の細胞成分を比較的含まないポリペ
プチドを意味する。単離された核酸は、核酸が由来する生物の天然に存在するゲ
ノムにおいて核酸がじかに隣接している核酸の両方とじかに隣接していない(す
なわち、共有結合していない)。従って、この用語には、例えば、ベクター(例
えば、自律的に複製するウイルスまたはプラスミド)に取り込まれている核酸、
あるいは化学的手段または制限エンドヌクレアーゼ処理によって作製される核酸
断片などの他の核酸とは独立した別個の分子として存在する核酸が含まれる。
【0138】 本発明のポリヌクレオチドおよびタンパク質はまた、他の抗血管新生タンパク
質を単離するためのプローブを設計するために使用することができる。非常に優
れた方法が、Jacobs他による米国特許第5,837,490号に示されて
いる(その全教示はその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。オリゴ
ヌクレオチドプローブの設計は好ましくは下記のパラメーターに従わなければな
らない:(a)オリゴヌクレオチドプローブは、不確かな塩基(「N」)が存在
する場合には、それらが最も少ない配列の部分領域に対して設計しなければなら
なず;そして(b)オリゴヌクレオチドプローブは、(それぞれのAまたはTに
対して2℃、そしてそれぞれのGまたはCに対して4℃を仮定して)約80℃の
を有するように設計しなければならない。
【0139】 オリゴヌクレオチドは、好ましくは、オリゴヌクレオチドを標識するために一
般に用いられている技術を使用して、g−32P−ATP(6000Ci/mm
olの比活性)およびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて標識されるだろう
。他の標識技術もまた使用することができる。取り込まれなかった標識は、好ま
しくは、ゲルろ過クロマトグラフィーまたは他の確立された方法によって除かれ
るだろう。プローブに取り込まれた放射能の量は、シンチレーションカウンター
で測定することによって定量化されるだろう。好ましくは、得られたプローブの
比活性は約4´10dpm/pmolになるだろう。全長型クローンのプール
を含む細菌培養物は好ましくは解凍され、そして保存物の100μlが、アンピ
シリンを100μg/mlで含有する25mlの殺菌されたL−ブロスを含む殺
菌された培養フラスコに接種するのに使用されるだろう。培養物は、好ましくは
、37℃で飽和するまで生育させられ、そして飽和に達した培養物は、好ましく
は、新しいL−ブロスで希釈されるだろう。これらの希釈物のアリコートが、好
ましくは、37℃で一晩生育させたときに、150mmのペトリ皿において、1
00μg/mlのアンピシリンおよび1.5%の寒天を含有するL−ブロスを含
む固体の微生物学培地に約5000個の認識可能な十分に分離されたコロニーを
生じさせる希釈および容量を決定するために平板培養されるだろう。認識可能な
十分に分離されたコロニーを得る他の知られている方法もまた用いることができ
る。
【0140】 その後、標準的なコロニーハイブリダイゼーション法が、コロニーをニトロセ
ルロースフィルターに移し、そしてコロニーを溶解し、変性し、ベイキンング処
理するために使用されるだろう。高ストリンジェントな条件は、少なくとも、例
えば、65℃における1×SSCまたは42℃における1×SSCおよび50%
ホルムアミドと同じくらいのストリンジェントな条件である。適度なストリンジ
ェンシーの条件は、少なくとも、65℃における4×SSCまたは42℃におけ
る4×SSCおよび50%ホルムアミドと同じくらいストリンジェントな条件で
ある。低下したストリンジェンシー条件は、少なくとも、50℃における4×S
SCまたは40℃における6×SSCおよび50%ホルムアミドと同じくらいの
ストリンジェンシーである条件である。
【0141】 その後、フィルターは、好ましくは、0.5%SDS、100μg/ml酵母
RNAおよび10mMのEDTAを含有する6×SSC(20×ストック液は、
175.3g/lのNaCl、88.2g/lのクエン酸Naであり、NaOH
でpH7.0に調節される)中で穏やかに攪拌しながら65℃で1時間インキュ
ベーションされる(150mmのフィルター1枚あたり約10mL)。好ましく
は、プローブは、その後、1´10dmp/mL以上の濃度でハイブリダイゼ
ーション混合物に添加される。その後、フィルターは、好ましくは、穏やかな攪
拌とともに65℃で一晩インキュベーションされる。その後、フィルターは、好
ましくは、攪拌することなく室温において500mLの2´SSC/0.5%S
DSで洗浄され、その後、好ましくは、穏やかに振動させながら室温において5
00mLの2´SSC/0.1%SDSで15分間洗浄される。さらにもう1回
の洗浄が必要に応じて0.1×SSC/0.5%SDSを用いて65℃で30分
間〜1時間行われる。その後、フィルターは、好ましくは、乾燥され、X線フィ
ルムにおける陽性物を可視化するために十分な時間にわたってオートラジオグラ
フィーに供される。他の知られているハイブリダイゼーション方法もまた用いる
ことができる。その後、陽性のクローンを選び、培養で生育させて、プラスミド
DNAが、標準的な手順を使用して単離される。その後、陽性クローンは、制限
分析、ハイブリダイゼーション分析またはDNA配列決定によって確認すること
ができる。
【0142】 ハイブリダイゼーションに対するストリンジェンシー条件は、第1の核酸配列
が第2の核酸配列にハイブリダイゼーションすることができる温度および緩衝液
組成の条件を示し、その条件により、互いにハイブリダイゼーションするそれら
の配列間における同一性の程度が決定される。従って、「高ストリンジェンシー
条件」は、互いに非常に類似する核酸配列のみがハイブリダイゼーションするそ
のような条件である。配列が適度なストリンジェンシー条件のもとでハイブリダ
イゼーションする場合、それらの配列は互いにあまり類似していないと考えられ
る。2つの配列が低ストリンジェンシー条件のもとでハイブリダイゼーションす
るためには、さらに低い類似性が必要である。ハイブリダイゼーションが生じな
いストリンジェンシーレベルから、ハイブリダイゼーションが最初に認められる
レベルにまでハイブリダイゼーション条件を変化させることにより、所与の配列
が、それに最も類似するそのような配列にハイブリダイゼーションする条件を決
定することができる。特定のハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決
定する正確な条件には、イオン強度、温度、およびホルムアミドなど脱安定化剤
の濃度だけでなく、核酸配列の長さ、それらの塩基組成、2つの配列の間におけ
るミスマッチ塩基対の割合、および他の同一でない配列内における配列の部分集
団の出現頻度(すなわち、反復の小さい領域)もまた含まれる。洗浄は、互いに
ハイブリダイゼーションする配列間の類似性の最小レベルが決定されるように条
件を設定する工程である。一般に、任意の選ばれたSSC濃度について、2つの
配列間における1%のミスマッチは、相同的なハイブリダイゼーションのみが生
じる最低温度から、融解温度(T)の1℃の低下をもたらす。一般に、SSC
の濃度を2倍にすると、約17℃のTの上昇がもたらされる。これらの指針を
使用して、洗浄温度を、求めるミスマッチの程度に応じて経験的に決定すること
ができる。ハイブリダイゼーション条件および洗浄条件は、Current P
rotocols in Molecular Biology(Ausube
l,F.M.他編、John Wiley&Sons,Inc.(1995年)
、および増補更新版)の2.10.1頁〜2.10.16頁および6.3.1頁
〜6.3.6頁に説明されている。
【0143】 高ストリンジェンシー条件では、(1)65℃における1×SSC(10×S
SC=3MのNaCl、0.3Mのクエン酸Na・2HO(88g/l)、
1MのHClでpHを7.0にする)、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)
、0.1mg/ml〜2mg/mlの変性サケ精子DNA、(2)42℃におけ
る1×SSC、50%ホルムアミド、1%SDS、0.1mg/ml〜2mg/
mlの変性サケ精子DNA、(3)65℃における1%ウシ血清アルブミン(第
V画分)、1mMのNa・EDTA、0.5MのNaHPO(pH7.2)
(1M NaHPO=1リットルについて、134gのNaHPO・7H O、4mlの85%HPO)、7%SDS、0.1mg/ml〜2mg/
mlの変性サケ精子DNA、(4)42℃における50%ホルムアミド、5×S
SC、0.02MのTris−HCl(pH7.6)、1×デンハルト液(10
0×=10gのフィコール400、10gのポリビニルピロリドン、10gのウ
シ血清アルブミン(第V画分)、水で500mlにする)、10%デキストラン
硫酸、1%SDS、0.1mg/ml〜2mg/mlの変性サケ精子DNA、(
5)65℃における5×SSC、5×デンハルト液、1%SDS、100μg/
mlの変性サケ精子DNA、または(6)42℃における5×SSC、5×デン
ハルト液、50%ホルムアミド、1%SDS、100μg/mlの変性サケ精子
DNAのいずれかでのハイブリダイゼーションを、(1)65℃における0.3
×SSC〜0.1×SSC、0.1%SDS、または(2)65℃における1m
MのNaEDTA、40mMのNaHPO(pH7.2)、1%SDSのい
ずれかでの高ストリンジェンシーの洗浄とともに用いることができる。上記の条
件は50塩基対以上のDNA−DNAハイブリッドについて使用されることを目
的としている。ハイブリッドが18塩基対未満の長さであると考えられる場合に
は、ハイブリダイゼーション温度および洗浄温度は、ハイブリッドの計算された
の温度よりも5℃〜10℃低くしなければならない。この場合、T(℃の
単位で)=(2×[A塩基およびT塩基の数])+(4×[G塩基およびC塩基
の数])。長さが約18塩基対〜約49塩基対であると考えられるハイブリッド
の場合には、T(℃の単位で)=(81.5℃+16.6(log10M)+
0.41(%G+C)−0.61(%ホルムアミド)−500/L)であり、「
M」は1価カチオン(例えば、Na)のモル濃度であり、「L」は塩基対単位
のハイブリッドの長さである。
【0144】 中程度のストリンジェンシー条件では、(1)65℃における4×SSC(1
0×SSC=3MのNaCl、0.3Mのクエン酸Na・2HO(88g/
l)、1MのHClでpHを7.0にする)、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリ
ウム)、0.1mg/ml〜2mg/mlの変性サケ精子DNA、(2)42℃
における4×SSC、50%ホルムアミド、1%SDS、0.1mg/ml〜2
mg/mlの変性サケ精子DNA、(3)65℃における1%ウシ血清アルブミ
ン(第V画分)、1mMのNa・EDTA、0.5MのNaHPO(pH7
.2)(1M NaHPO=1リットルについて、134gのNaHPO ・7HO、4mlの85%HPO)、7%SDS、0.1mg/ml〜2
mg/mlの変性サケ精子DNA、(4)42℃における50%ホルムアミド、
5×SSC、0.02MのTris−HCl(pH7.6)、1×デンハルト液
(100×=10gのフィコール400、10gのポリビニルピロリドン、10
gのウシ血清アルブミン(第V画分)、水で500mlにする)、10%デキス
トラン硫酸、1%SDS、0.1mg/ml〜2mg/mlの変性サケ精子DN
A、(5)65℃における5×SSC、5×デンハルト液、1%SDS、100
μg/mlの変性サケ精子DNA、または(6)42℃における5×SSC、5
×デンハルト液、50%ホルムアミド、1%SDS、100μg/mlの変性サ
ケ精子DNAのいずれかでのハイブリダイゼーションを、65℃における1×S
SC、0.1%SDSの中程度のストリンジェンシーの洗浄とともに用いること
ができる。上記の条件は50塩基対以上のDNA−DNAハイブリッドについて
使用されることを目的としている。ハイブリッドが18塩基対未満の長さである
と考えられる場合には、ハイブリダイゼーション温度および洗浄温度は、ハイブ
リッドの計算されたTの温度よりも5℃〜10℃低くしなければならない。こ
の場合、T(℃の単位で)=(2×[A塩基およびT塩基の数])+(4×[
G塩基およびC塩基の数])。長さが約18塩基対〜約49塩基対であると考え
られるハイブリッドの場合には、T(℃の単位で)=(81.5℃+16.6
(log10M)+0.41(%G+C)−0.61(%ホルムアミド)−50
0/L)であり、「M」は1価カチオン(例えば、Na)のモル濃度であり、
「L」は塩基対単位のハイブリッドの長さである。
【0145】 低ストリンジェンシー条件では、(1)50℃における4×SSC(10×S
SC=3MのNaCl、0.3Mのクエン酸Na・2HO(88g/l)、
1MのHClでpHを7.0にする)、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)
、0.1mg/ml〜2mg/mlの変性サケ精子DNA、(2)40℃におけ
る6×SSC、50%ホルムアミド、1%SDS、0.1mg/ml〜2mg/
mlの変性サケ精子DNA、(3)50℃における1%ウシ血清アルブミン(第
V画分)、1mMのNa・EDTA、0.5MのNaHPO(pH7.2)
(1M NaHPO=1リットルについて、134gのNaHPO・7H O、4mlの85%HPO)、7%SDS、0.1mg/ml〜2mg/
mlの変性サケ精子DNA、(4)40℃における50%ホルムアミド、5×S
SC、0.02MのTris−HCl(pH7.6)、1×デンハルト液(10
0×=10gのフィコール400、10gのポリビニルピロリドン、10gのウ
シ血清アルブミン(第V画分)、水で500mlにする)、10%デキストラン
硫酸、1%SDS、0.1mg/ml〜2mg/mlの変性サケ精子DNA、(
5)50℃における5×SSC、5×デンハルト液、1%SDS、100μg/
mlの変性サケ精子DNA、または(6)40℃における5×SSC、5×デン
ハルト液、50%ホルムアミド、1%SDS、100μg/mlの変性サケ精子
DNAのいずれかでのハイブリダイゼーションを、50℃における2×SSC、
0.1%SDS、または(2)0.5%ウシ血清アルブミン(第V画分)、1m
MのNaEDTA、40mMのNaHPO(pH7.2)、5%SDSのい
ずれかの低ストリンジェンシーの洗浄とともに用いることができる。上記の条件
は50塩基対以上のDNA−DNAハイブリッドについて使用されることを目的
としている。ハイブリッドが18塩基対未満の長さであると考えられる場合には
、ハイブリダイゼーション温度および洗浄温度は、ハイブリッドの計算されたT の温度よりも5℃〜10℃低くしなければならない。この場合、T(℃の単
位で)=(2×[A塩基およびT塩基の数])+(4×[G塩基およびC塩基の
数])。長さが約18塩基対〜約49塩基対であると考えられるハイブリッドの
場合には、T(℃の単位で)=(81.5℃+16.6(log10M)+0
.41(%G+C)−0.61(%ホルムアミド)−500/L)であり、「M
」は1価カチオン(例えば、Na)のモル濃度であり、「L」は塩基対単位の
ハイブリッドの長さである。
【0146】 本発明は、アレステン、カンスタチン、タムスタチン、あるいはそれらの生物
学的に活性な断片、アナログ、ホモログ、誘導体または変異体を使用して哺乳動
物の組織における血管新生を阻害する方法を含む。詳細には、本発明は、1つま
たは複数の抗血管新生タンパク質、あるいは1つまたは複数のその生物学的に活
性な断片、抗血管新生活性を有する断片の組合せ、あるいはアゴニストおよびア
ンタゴニストの有効量を用いて、血管新生により媒介される疾患を処置する方法
を含む。抗血管新生タンパク質の有効量は、疾患または症状を生じさせる血管新
生を阻害するために十分な量であり、従って、疾患または症状を完全または部分
的に緩和する。血管新生により媒介される疾患の緩和は、疾患の症候の緩和(例
えば、腫瘍サイズの低下または腫瘍成長の停止)を観測することによって決定す
ることができる。本明細書中で使用される用語「有効量」はまた、意味のある患
者利益(すなわち、関連する医学的状態の処置、治癒、防止または改善、あるい
はそのような状態の処置、治癒、防止または改善の速度の増大)を示すために十
分である組成物または方法の各有効成分の総量を意味する。組合せに適用される
場合、この用語は、組合せで、または連続的に、または同時に投与されるとして
も、治療効果をもたらす有効成分の組み合わせた量をいう。血管新生により媒介
される疾患には、ガン、固形腫瘍、血管由来腫瘍(例えば、白血病)、腫瘍転移
、良性腫瘍(例えば、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、器官線維症、トラコーマ
および化膿性肉芽腫)、慢性関節リウマチ、乾癬、眼の血管新生性疾患(例えば
、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障
、後水晶体線維増殖症、ルベオーシス)、オスラー・ウェバー症候群、心筋血管
新生、斑血管新生、毛細管拡張症、血友病関節、血管線維腫および創傷肉芽化が
含まれるが、これらに限定されない。抗血管新生タンパク質は、内皮細胞が過度
または異常に刺激される疾患の処置において有用である。このような疾患には、
腸癒着、クローン病、アテローム性動脈硬化症、強皮症および過形成性瘢痕(す
なわち、ケロイド)が含まれるが、これらに限定されない。抗血管新生タンパク
質は、胚着床に必要な血管新生を妨げることによって受胎調節剤として使用する
ことができる。抗血管新生タンパク質は、ネコ引っ掻き病(Rochele m
inalia quintosa)および潰瘍(Heliobacter py
lori)などの病理学的結果としての血管新生を有する疾患の処置において有
用である。抗血管新生タンパク質はまた、透析グラフト血管アクセス狭窄症を、
そして例えば、脂肪細胞における毛細管形成を阻害し、それによりその拡大を防
止することによって膨張を防止するために使用することができる。抗血管新生タ
ンパク質はまた、限局した(例えば、転移していない)疾患を処置するために使
用することができる。「ガン」は、新生物成長、過形成性もしくは増殖性の成長
または異常な細胞発達の病理学的状態を意味し、固形腫瘍、非固形腫瘍、および
白血病において見られる増殖などの任意の異常な細胞増殖を含む。本明細書中で
使用される「ガン」はまた、血管新生に依存するガンおよび腫瘍、すなわち、そ
の成長(容量および/または塊の拡大)のために、血液を腫瘍に供給する血管の
数および密度の増大を要求する腫瘍を意味する。「退行」は、当業者によく知ら
れている方法を使用して測定されるような腫瘍塊および腫瘍サイズの減少をいう
【0147】 あるいは、血管新生の増大が、例えば、傷の治癒または梗塞後の心臓組織にお
いて所望される場合には、抗血管新生タンパク質に対する抗体または抗血清を使
用して、局在化した本来の抗血管新生タンパク質および抗血管新生プロセスを阻
止し、それにより新しい血管の形成を増大させ、その結果、組織の萎縮を阻害す
ることができる。
【0148】 抗血管新生タンパク質は、疾患を処置するための他の組成物および手順と組み
合わせて使用することができる。例えば、腫瘍を、抗血管新生タンパク質と組み
合わせて、手術、放射線、化学療法または免疫療法によって従来的に処置するこ
とができ、その後、抗血管新生タンパク質を、微小転移の不活動状態を延ばすた
めに、そして何らかの残った原発性腫瘍の成長を安定化させ、かつ阻害するため
に患者に引き続き投与することができる。抗血管新生タンパク質、あるいはその
断片、抗血清、受容体アゴニストまたは受容体アンタゴニスト、あるいはそれら
の組合せもまた、他の抗血管形成性の化合物、あるいは他の抗血管新生タンパク
質(例えば、アンギオスタチン、エンドスタチン)のタンパク質、断片、抗血清
、受容体アゴニスト、受容体アンタゴニストと組み合わせることができる。また
、抗血管新生タンパク質、あるいはその断片、抗血清、受容体アゴニスト、受容
体アンタゴニスト、あるいはそれらの組合せは、治療用組成物を作製するために
、薬学的に受容可能な賦形剤および必要に応じて持続放出マトリックス(生分解
性ポリマーなど)と組み合わせられる。本発明の組成物はまた、他の抗血管新生
のタンパク質または化学化合物(エンドスタチンまたはアンギオスタチン、なら
びにそれらの変異体、断片およびアナログなど)を含むことができる。本発明の
組成物は、タンパク質の活性を増強するか、あるいは処置におけるその活性また
は使用を補う他の薬剤(化学療法剤または放射活性剤など)をさらに含むことが
できる。そのようなさらなる因子および/または薬剤は、本発明のタンパク質と
の相乗効果を生じさせるか、または副作用を最小限にするために組成物に含める
ことができる。また、本発明の組成物の投与は、他の治療と同時に施すことがで
き、例えば、化学療法または放射線療法の治療法と一緒に施すことができる。
【0149】 本発明は、本発明のタンパク質を含む組成物と組織とを接触させることによっ
て哺乳動物(例えば、ヒト)の組織における血管新生を阻害する方法を含む。「
接触」により、局所的な適用だけでなく、組成物を組織または組織の細胞に導入
するそのような送達様式もまた意味される。
【0150】 徐放性または持続放出性の送達システムの使用もまた本発明に含まれる。その
ようなシステムは、手術が困難であるか、または不可能である状況では非常に望
ましい。例えば、年齢または疾患経過そのものにより衰弱している患者、あるい
は危険性−受益性分析により、治療を越える抑制が指示される場合である。
【0151】 本明細書中で使用される持続放出マトリックスは、酵素的加水分解または酸/
塩基加水分解によって、あるいは溶解によって分解し得る様々な物質(通常的に
はポリマー)から製造されるマトリックスである。体内に挿入されると、マトリ
ックスは酵素および体液によって作用を受ける。持続放出マトリックスは、望ま
しくは、リポソーム、ポリラクチド(ポリ乳酸)、ポリグリコリド(グリコール
酸のポリマー)、ポリラクチド−コ−グリコリド(乳酸およびグリコール酸のコ
ポリマー)ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリタンパク質、ヒアルロン
酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、脂肪酸、リン脂質、多糖、
核酸、ポリアミノ酸、アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、イソロイシンな
ど)、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドンおよび
シリコーンなどの生体適合性物質から選ばれる。好ましい生分解性マトリックス
は、ポリラクチド、ポリグリコリドまたはポリラクチド−コ−グリコリド(乳酸
およびグリコール酸のコポリマー)のいずれかのマトリックスである。
【0152】 本発明の血管新生調節組成物は、固体、液体またはエアロゾルであってもよく
、任意の知られている投与経路によって投与することができる。固体の組成物の
例には、ピル、クリームおよび移植可能な投薬ユニットが含まれる。ピルは経口
投与することができ、治療用クリームは局所投与することができる。移植可能な
投薬ユニットは、例えば腫瘍部位に局所投与することができ、または血管新生調
節組成物を全身的に放出させるために、例えば、皮下に埋め込むことができる。
液体の組成物の例には、皮下注射、静脈内注射、動脈内注射に適合した配合物、
ならびに局所的および眼内に投与される配合物が含まれる。エアロゾル配合物の
例には、肺に投与するための吸入器用配合物が含まれる。
【0153】 上記に記載される抗血管新生活性を有するタンパク質およびタンパク質断片は
、当業者に知られている配合方法を使用して、薬学的に受容可能な配合物におい
て、単離され、かつ実質的に精製されたタンパク質およびタンパク質断片として
提供され得る。このような配合物は標準的な経路によって投与することができる
。一般に、配合物は、局所的、経皮的、腹腔内、頭蓋内、脳室内、大脳内、膣内
、子宮内、経口、直腸的または非経口的(例えば、静脈内、髄腔内、皮下または
筋肉内)の経路によって投与することができる。また、抗血管新生タンパク質は
、化合物の持続的な放出を可能にする生分解性ポリマーに混入することができる
。この場合、ポリマーは、薬物の送達が所望される部位の近傍に、例えば、腫瘍
の部位に埋め込まれるか、または抗血管新生タンパク質がゆっくり全身的に放出
されるように埋め込まれる。浸透圧ミニポンプもまた、高濃度の抗血管新生タン
パク質の制御された送達を、カニューレを介して、目的とする部位内に、例えば
、転移成長物内またはその腫瘍への血管供給物内に直接行うために使用すること
ができる。生分解性ポリマーおよびその使用は、例えば、Brem他(1991
、J.Neurosurg.74:441〜446)に詳しく記載されている(
これはその全体が参考として本明細書に組み込まれる)。
【0154】 本発明のポリペプチドを含有する組成物は、例えば単位用量の注射によって、
静脈内投与することができる。本発明の治療用組成物に関連して使用する場合の
用語「単位用量」は、被験者のための単位用量として適切な物理的に別個の単位
を意味しており、各単位は必要な希釈液;すなわち担体または賦形剤に関連して
望ましい治療効果を作り出すために計算された規定量の有効物質を含有する。
【0155】 本発明の組成物の投与様式は、静脈内、筋内、腹腔内、胸骨内、皮下および関
節内注射および注入を含む。非経口注射用の医薬組成物は、薬学的に許容できる
無菌水性もしくは非水性溶液、分散剤、懸濁液もしくは乳濁液並びに使用直前に
無菌注射溶液または分散剤へ復元するための無菌粉末を備える。適切な水性およ
び非水性担体、希釈液、溶剤または賦形剤の例には、水、エタノール、ポリオー
ル類(例、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールその
他)、カルボキシメチルセルロースおよび適切なその他の混合液、植物油(例、
オリーブ油)および例えばオレイン酸エチルのような注射用有機エステル類が含
まれる。適切な流動性は、例えばレシチンのようなコーティング剤の使用によっ
て、分散剤の場合には必要な粒径の保持によって、および界面活性剤の使用によ
って維持することができる。これらの組成物は、さらに例えば防腐剤、湿潤剤、
乳化剤および分散剤のような補助剤も含有することができる。微生物の作用の予
防は、例えばパラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノールその他のよう
な様々な抗菌剤および抗真菌剤を包含することによって保証できる。さらにまた
、例えば糖、塩化ナトリウム等のような等張性物質を含めることが望ましいこと
もある。注射用製剤形態の長時間吸収は、例えばモノステアリン酸アルミニウム
およびゼラチンのような吸収を遅延させる剤を含めることによって引き起こすこ
とができる。注射用デポー剤(depot form)は、ポリラクチド−ポリグリコリド
、ポリ(オルトエステル)およびポリ(アンヒドリド)のような生物分解性ポリ
マー中に薬剤のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製する
。薬物対ポリマーの比率および使用する特定ポリマーの性質に依存して、薬物放
出速度を制御することができる。デポー注射用調製物は、さらに身体組織と適合
するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を取り込むことによって調
製される。注射用調製物は、例えば細菌捕集フィルターを通しての濾過または使
用直前に無菌水または他の無菌注射用溶剤中へ溶解または分散させることのでき
る無菌固形組成物の形態で殺菌剤を組み込むことによって殺菌することができる
【0156】 本発明の治療用組成物は、例えば無機酸または有機酸に由来してもよい組成物
の薬学的に許容できる塩をその中に含むことができる。“薬学的に許容できる塩
”とは、信頼できる薬学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応
その他を有していないヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するために適
合し、さらに合理的なベネフィット/リスク比と釣り合いが取れる塩類を意味す
る。薬学的に許容できる塩は、当分野においてよく知られている。例えば、S.
M.Bergeらは、参照して本明細書に組み込まれるJ.Pharmaceu
tical Sciences(1977)66:1(以下参照)に薬学的に許
容できる塩を詳細に記述している。薬学的に許容できる塩には、例えば塩化水素
酸もしくはリン酸のような無機酸、または例えば酢酸、酒石酸、マンデル酸その
他のような有機酸を用いて形成される酸付加塩(ポリペプチドの遊離アミノ基を
用いて形成される)が含まれる。遊離カルボキシル基を用いて形成される塩は、
例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムもしくは水酸化第二鉄
のような無機塩基および例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エ
チルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインその他のような有機塩基に由来
し得る。これらの塩は、本発明の化合物の最終単離および精製中にin sit
u(本来の場所)で、または遊離塩基性官能基を適切な有機酸と反応させること
によって個別に調製することができる。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピ
ン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼン
スルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、ジグルコン酸
塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩
、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシメタンスルホン酸塩
(イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸
塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過
硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオ
ン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、
重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩が含まれるが、それ
らに限定されない。さらに、塩基性窒素含有基は、例えばメチル、エチル、プロ
ピルおよびブチル塩化物、臭化物およびヨウ化物のような低級アルキルハロゲン
化物;ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル硫酸塩のようなジアルキル
硫酸塩;例えばデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル塩化物、臭化物
およびヨウ化物のような長鎖ハロゲン化物;ベンジルおよびフェネチル臭化物お
よびその他のようなアリルアルキルハロゲン化物のような剤を用いて四元化(qua
ternize)することもできる。水溶性もしくは油溶性または分散性生成物がこれに
より入手される。薬学的に許容できる酸付加塩を形成するために使用できる酸の
例には、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸のような無機酸並びにシュ
ウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸のような有機酸が含まれる。
【0157】 ここで使用する用語「薬学的に許容できる」、「生理的に容認できる」、およ
びそれらの文法的変形は、それらが組成物、担体、希釈液および試薬に関する限
り、置き換え可能に使用され、さらに例えば悪心、眩暈、異常亢進その他の望ま
しくない生理的作用を最小限に抑えてそれらの物質を哺乳動物へ投与できること
を意味する。その中に溶解または分散された有効成分を含有する医薬組成物の調
製は、当該分野ではよく理解されており、処方書に基づいて限定する必要はない
。典型的には、そのような組成物は、溶液または懸濁液のいずれかとしての注射
可能物質として調製できるが、液状で使用する前に溶液または懸濁液のために適
切な固体形もまた調製できる。この調製物は乳化することもできる。
【0158】 有効成分は、薬学的に許容でき、その有効成分と適合する賦形剤と、本明細書
に記載した治療方法で使用するために適切な量で混合できる。適切な賦形剤には
、例えば水、食塩液、ブドウ糖、グリセロール、エタノールその他およびそれら
の組み合わせが含まれる。さらに、必要であれば、その組成物は有効成分の有効
性を強化する例えば湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝液その他のようなわずかな
量の補助物質を含有できる。
【0159】 本発明の抗血管新生タンパク質は、プロドラッグを備える組成物中に含めるこ
ともできる。ここで使用する用語「プロドラッグ」とは、例えば血液中の酵素加
水分解によって親化合物を産生させるためにインビボで急速に転換される化合物
を意味する。完全な考察は、どちらも参照してここに組み込まれるT.Higu
chi and V. Stella, Prodrugs as Novel
Delivery Systems(新規薬物送達システムとしてのプロドラ
ッグ), Vol.14 of the ACS Symposium Ser
iesおよびEdward B. Roche編, Bioreversibl
e Carriers in Drug Design(ドラッグデザインにお
ける生体内可逆性担体), American Pharmaceutical
Association and Permagon Press, 198
7の中に提供されている。本明細書で使用する用語「薬学的に許容できるプロド
ラッグ」とは、(1)信頼できる薬学的判断の範囲内で過度の毒性、刺激、アレ
ルギー反応等を有していないヒトおよび動物の組織と接触させて使用するために
適合し、合理的なベネフィット/リスク比と釣り合いが取れており、さらにそれ
らの使用目的のために有効である、および(2)可能な場合には親化合物の両性
イオン形である本発明の化合物のプロドラッグ類を意味する。
【0160】 本発明の抗血管新生タンパク質の用量は、治療される疾患状態または状況およ
び例えばヒトもしくは動物の体重および状態のような他の臨床的要素および化合
物の投与経路に左右されるであろう。ヒトまたは動物を治療するためには、約1
0mg/kg(体重)から約20mg/kg(体重)のタンパク質を投与するこ
とができる。例えば本発明のタンパク質と放射線療法、化学療法または免疫療法
と組み合わせた併用療法では、用量を約0.1mg/kg(体重)〜約0.2m
g/kg(体重)へ低減することが可能である。特定の動物またはヒトにおいて
は、抗血管新生タンパク質の半減期に依存して、抗血管新生タンパク質は1日あ
たり数回から週1回の間で投与することができる。本発明は、ヒトおよび獣医学
的使用のための用途を有すると理解されなければならない。本発明の方法は、同
時または長期間に渡ってのどちらかで投与される単回並びに複数回の投与を予期
している。さらに、抗血管新生タンパク質は、例えば化学療法、放射線療法また
は免疫療法のような他の形態の療法と併せて投与することができる。
【0161】 抗血管新生タンパク質調製物には、経口、直腸内、眼科用(硝子体内または眼
房内を含む)、鼻内、局所(口腔内および舌下を含む)、子宮内、膣内または非
経口(皮下、腹腔内、筋内、静脈内、皮内、頭蓋内、気管内および硬膜外を含む
)投与のために適合する調製物が含まれる。抗血管新生タンパク質調製物は、好
都合にも単位剤形で表わすことができ、従来型の製薬学的方法によって調製でき
る。そのような方法は、有効成分と1つ以上の薬学的担体類または1つ以上の賦
形剤類とを組み合せるステップを含む。一般に、調製物は有効成分を液状担体類
または微細に分割された固形担体類あるいはその両方と一様かつ緊密に組み合せ
ることによって、およびその後、必要であればその生成物を成形することによっ
て調製される。
【0162】 非経口投与のために適合する調製物には、その調製物を所定の受容者の血液と
等張性にする抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含むことができる水性およ
び非水性無菌注射用溶液;および懸濁剤および増粘剤を含むことができる水性お
よび非水性無菌懸濁液が含まれる。調製物は、例えば密封アンプルおよびバイア
ルのような単回投与または複数回投与容器で提供することができ、使用の直前に
例えば注射用水のような無菌液状担体の添加だけを必要とするフリーズドライ(
凍結乾燥)条件で保管することができる。即時注射溶液および懸濁液は、上記で
説明したような種類の無菌粉末、顆粒および錠剤から調製できる。
【0163】 本発明の有効量のタンパク質を経口投与する場合には、本発明の抗血管新生タ
ンパク質は錠剤、カプセル剤、粉末、溶液またはエリキシル剤の形状であろう。
錠剤形態で投与する場合は、本発明の医薬組成物はさらに例えばゼラチンまたは
補助剤のような固形担体を含有することができる。錠剤、カプセル剤および粉末
は、約5〜95%の本発明のタンパク質、および好ましくは約25〜90%の本
発明のタンパク質を含有する。液状形態で投与する場合は、例えば水、石油、動
物油または例えばピーナッツ油、鉱油、大豆油、ゴマ油のような植物起源の油も
しくは合成油のような液状担体を添加することができる。液状形態の医薬組成物
は、さらに生理的食塩溶液、ブドウ糖もしくはその他の糖類溶液、またはエチレ
ングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールのような
グリコール類を含むことができる。液状形態で投与する場合は、医薬組成物は約
0.5〜90重量%の本発明のタンパク質、および好ましくは約1〜50重量%
の本発明のタンパク質を含有する。
【0164】 有効量の本発明のタンパク質を静脈内、皮内または皮下注射によって投与する
場合は、本発明のタンパク質は発熱物質を含まない、非経口的に許容できる水溶
液の形状であろう。pH、等張性、安定性その他を十分に顧慮して、そのような
非経口的に許容できるタンパク質溶液の調製物は、当分野の技術の範囲内に含ま
れる。静脈内、皮内、または皮下注射のための好ましい医薬組成物は、本発明の
タンパク質に加えて、例えば塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、ブドウ糖
注射液、ブドウ糖および塩化ナトリウム注射液、乳酸化リンガー注射液のような
等張性賦形剤、または当該分野において知られている他の賦形剤を含むことがで
きる。本発明の医薬組成物はさらに、安定剤、防腐剤、緩衝剤、抗酸化剤または
当業者に知られている他の添加物も含むことができる。
【0165】 本発明の医薬組成物中の本発明のタンパク質の量は、治療を受ける状態の性質
および重症度、さらにその患者が受けてきた以前の治療法の性質に左右されるで
あろう。最終的には、主治医がそれを用いて個々の各患者を治療するための本発
明のタンパク質の量を決定するであろう。最初は、主治医は低用量の本発明のタ
ンパク質を投与し、患者の反応を観察するであろう。その患者にとっての最適治
療効果が入手されるまでより高用量の本発明のタンパク質を投与することができ
、その時点以降は用量はそれ以上増加させられない。
【0166】 本発明の医薬組成物を使用する静脈内療法の治療期間は、治療される疾患の重
症度および個々の各患者個人の状態および潜在的特異体質的反応に左右されるで
あろう。本発明のタンパク質の各投与の期間は12〜24時間の持続的静脈内投
与の範囲内であることが予期されている。最終的には、主治医が本発明の医薬組
成物を使用する静脈内療法の適切な期間を決定するであろう。
【0167】 好ましい単位用量調製物は、投与される成分の1日量もしくは1日単位、1日
細分用量、またはそれらの適切なフラクションを含有する調製物である。特に上
記で言及した成分に加えて、本発明の調製物は問題のタイプの調製物を考慮して
当分野において慣習的な他の物質を含むことができると理解しなければならない
。任意で、患者へ二重療法を提供するために、細胞毒性物質を抗血管新生タンパ
ク質、またはそれらの生物学的に機能的なタンパク質断片を組み込む、またはさ
もなければそれらと結合することができる。
【0168】 本治療用組成物は、さらに現在では獣医学的適用も可能である。ヒトに加えて
、特に家畜およびサラブレッド系統の馬は本発明のタンパク質を用いたそのよう
な治療にとって望ましい患者である。
【0169】 リシンのような細胞毒性物質は、抗血管新生タンパク質およびそれらの断片と
結合することができ、それによって抗血管新生タンパク質に結合する細胞を破壊
するためのツールを提供する。これらの細胞は、微小癌組織の転移および原発性
腫瘍を含むがそれらに限定されない多数の場所で発見される可能性がある。細胞
毒性物質へ結合されたタンパク質は望ましい場所への送達を最大限にするために
デザインされた方法で融合させられる。例えば、リシン結合高親和性断片はカニ
ューレを通して標的部位へ供している血管または標的内へ直接に送達される。そ
のような物質は、さらにまた注入用カニューレへ接続された浸透圧ポンプを通し
て制御された方法で送達される。抗血管新生タンパク質とのアンタゴニストの組
み合わせは組織の血管新生(vascularization)を増加させるために血管新生(angi
ogenesis)の刺激物質と一緒に併用投与することができる。この治療法は転移性
癌を破壊する有効な手段を提供する。
【0170】 追加の治療方法には、細胞毒性物質へ結合させた抗血管新生タンパク質、断片
、アナログ、抗血清、またはレセプターアゴニストおよびそれらのアンタゴニス
トの投与が含まれる。抗血管新生タンパク質はヒト起源または動物起源であって
よいと理解しなければならない。抗血管新生タンパク質は、さらにまた化学反応
または発現系と結び付けた組換え法によって合成により作製することもできる。
抗血管新生タンパク質は、抗血管新生活性を有するタンパク質を生成するために
単離されたIV型コラーゲンを酵素的に開裂させることによって作製することも
できる。抗血管新生タンパク質は、さらにまたIV型コラーゲンを抗血管新生タ
ンパク質へ開裂する内因性酵素の作用を模倣する化合物によって作製することも
できる。抗血管新生タンパク質の産生は、開裂酵素の活性に影響を及ぼす化合物
によって調節することもできる。
【0171】 本発明は、さらにまた遺伝子療法を包含し、それによって抗血管新生タンパク
質、インテグリン、インテグリンサブユニット、またはそれらの突然変異体、断
片もしくは融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドが患者に導入かつ調節
される。あるいはまた遺伝子療法と呼ばれる、遺伝子産物タンパク質を発現させ
るためにDNAを細胞へ導入または送達する様々な方法は、これにより参照して
本明細書に組み込まれるGene Transfer into Mammal
ian Somatic Cells in vivo(インビボでの哺乳動物
体細胞内への遺伝子導入), N. Yang(1992) Crit. Re
v. Biotechn. 12(4):335−356に開示されている。遺
伝子療法は、エキソビボまたはインビボ療法のいずれかで使用するための体細胞
内または生殖系細胞内へのDNA配列の導入を含有している。遺伝子療法は遺伝
子を置換する、正常または異常遺伝子機能を強化する、および感染性疾患および
その他の病状と戦うために機能する。
【0172】 これらの医学的問題を遺伝子療法を用いて治療するための方法には、例えば欠
陥遺伝子を同定してその後欠陥遺伝子の機能を置換するためまたは極めて機能性
の低い遺伝子を増強するために機能的遺伝子を添加するような治療方法;または
その状態を治療するまたは組織もしくは器官を治療法に対してより感受性にする
遺伝子産物タンパク質に対して遺伝子を添加することのような予防方法が含まれ
る。予防方法の例としては、1種以上の抗血管新生タンパク質をコードする遺伝
子を患者の体内に挿入し、従って血管新生の発生を予防することができる;また
は腫瘍細胞を放射線に対してより感受性にさせる遺伝子を挿入することができる
ので、従って腫瘍への放射線は腫瘍細胞の死滅の増加を誘発するであろう。
【0173】 抗血管新生タンパク質のDNAまたは調節配列を導入するための多数のプロト
コールは本発明において予見されている。特に抗血管新生タンパク質と関連して
通常発見されるもの以外のプロモーター配列のトランスフェクション、または抗
血管新生タンパク質の産生を増加させるであろう他の配列のトランスフェクショ
ンもまた、遺伝子療法の方法として予見されている。この技術の1つの例は、細
胞中のエリスロポエチン遺伝子を刺激する「遺伝子スイッチ」を挿入するために
相同的組み換えを使用するマサチューセッツ州ケンブリッジのTranskar
yotic Therapies, Inc.において所見される。1994年
4月15日付けのGenetic Engineering Newsを参照。
そのような「遺伝子スイッチ」は、通常はそれらのタンパク質(またはレセプタ
ー)を発現しない細胞中で抗血管新生タンパク質(またはそれらのレセプター)
を活性化するために使用できるであろう。
【0174】 遺伝子療法のための遺伝子導入法は、3つの広範囲のカテゴリーに分類される
:物理的(例、エレクトロポレーション、直接遺伝子導入および粒子衝撃)、化
学的(例、脂質を主成分とする担体類、または他の非ウイルスベクター類)およ
び生物学的(例、ウイルス由来ベクターおよびレセプター取込み)。例えば、D
NAを用いてコーティングされたリポソームを含む非ウイルスベクターを使用す
ることができる。そのようなリポソーム/DNA複合体は患者の静脈内へ直接注
射することができる。リポソーム/DNA複合体は、それらがDNAをマクロフ
ァージおよびクッパー細胞へ送達する肝臓で濃縮される。これらの細胞は寿命が
長いので、送達されたDNAの長期間の発現を提供する。さらに、遺伝子のベク
ター類または“裸の”DNAは治療用DNAの目標とする送達のために望ましい
器官、組織もしくは腫瘍内へ直接に注射することができる。
【0175】 遺伝子療法の方法は、さらにまた送達部位によって説明することもできる。遺
伝子を送達する基本的な方法には、エキソビボ遺伝子導入、インビボ遺伝子導入
、およびインビトロ遺伝子導入が含まれる。エキソビボ遺伝子導入では、細胞が
患者から採取され、細胞培養中で増殖させられる。DNAは細胞内にトランスフ
ェクトされ、トランスフェクトされた細胞は数が増えた後、患者に再移植される
。インビトロ遺伝子導入では、形質転換された細胞は例えば組織培養細胞のよう
な培養中で増殖する細胞であり、特定の患者からの特定の細胞ではない。これら
の“実験用細胞”はトランスフェクトされ、トランスフェクトされた細胞が選択
され、患者への移植するためまたは他の使用のために増大される。
【0176】 インビボ遺伝子導入は、細胞が患者の体内にある場合にDNAを患者の細胞内
へ導入する工程を含む。この方法は、患者に遺伝子を送達するために非感染性ウ
イルスを使用して、または裸のDNAを患者の体内の部位に注射することでウイ
ルス媒介性遺伝子導入を使用する工程を含んでおり、DNAは、遺伝子産物タン
パク質が発現される細胞の割合まで取り込まれる。さらに、例えば“遺伝子銃”
の使用のような本明細書で記載する他の方法もDNA、または抗血管新生タンパ
ク質の産生を調節する調節配列のインビトロ挿入のために使用することができる
【0177】 遺伝子療法の化学的方法は、細胞膜を越えてDNAを輸送するために、必ずし
もリポソームではない脂質系化合物を含むことができる。負荷電DNAに結合す
る脂質系陽イオンであるリポフェクチンまたはサイトフェクチンは、細胞膜を越
えることのできる複合体を作製し、DNAをその細胞の内部へ提供する。別の化
学的方法は、レセプターに基づくエンドサイトーシスを使用するが、これは細胞
表面レセプターへ特異的リガンドを結合させる工程とそれを包んで細胞膜を越え
て輸送する工程とを含んでいる。リガンドはDNAへ結合し、複合体全体が細胞
内へ輸送される。リガンド遺伝子複合体は血流内へ注射され、その後レセプター
を有する標的細胞は特異的にそのリガンドに結合してリガンド−DNA複合体を
細胞内へ輸送するであろう。
【0178】 数多くの遺伝子療法の方法論は、遺伝子を細胞内へ挿入するためにウイルスベ
クターを使用する。例えば、エキソビボ方法では遺伝子を末梢および腫瘍浸潤リ
ンパ球、肝細胞、表皮細胞、ミオサイト、またはその他の体細胞内へ導入するた
めに改変レトロウイルスベクターが使用されてきた。これらの改変細胞はその後
挿入されたDNAからの遺伝子産物を提供するために患者の体内へ導入される。
【0179】 ウイルスベクターは、さらにまたインビボプロトコールを使用して細胞内へ遺
伝子を挿入するためにも使用されてきた。異種遺伝子(foreign gene)の組織特異
的発現を指示するためには、組織特異的であることが知られているシス作用性調
節要素またはプロモーターを使用することができる。あるいはまた、これはイン
ビボでの特異的解剖学的部位へのDNAまたはウイルスベクターのin sit
u送達を使用して達成できる。例えばインビボでの血管への遺伝子導入は、動脈
壁上の選択された部位にインビトロで形質導入された内皮細胞を移植することに
よって達成された。ウイルスは周囲細胞に感染し、これらも遺伝子産物を発現し
た。ウイルスベクターは、例えばカテーテルによってインビボ部位へ直接に送達
できるので、従ってある領域だけをウイルスに感染させることができ、さらに長
期間の部位特異的遺伝子発現を提供する。レトロウイルスベクターを使用したイ
ンビボ遺伝子導入は、器官につながる血管内への変化したウイルスの注射によっ
て哺乳動物組織および肝組織においても証明されている。
【0180】 遺伝子療法プロトコールのために使用されてきたウイルスベクターには、レト
ロウイルス、例えばポリオウイルスもしくはシンドビスウイルスのような他のR
NAウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、SV
40、ワクシニアおよびその他のDNAウイルスが含まれるが、それらに限定さ
れない。複製欠陥マウスレトロウイルスベクターは、最も広範囲に利用される遺
伝子導入ベクターである。マウス白血病レトロウイルスは、タンパク質コア(g
ag)によって包まれて宿主域を決定する糖タンパク質エンベロープ(env)
によって取り囲まれている、核コアタンパク質およびポリメラーゼ(pol)酵
素と複合体化された一本鎖RNAから構成される。レトロウイルスのゲノム構造
は、5’および3’長末端反復(LTR)によって封入されたgag、polお
よびenv遺伝子を含んでいる。レトロウイルスベクター系は、ウイルス構造タ
ンパク質がパッケージング細胞系内でのトランスにおいて供給されることを条件
に、5’および3’LTR並びにパッケージングシグナルを含有する最小ベクタ
ーがベクターのパッケージング、感染および標的細胞内への組込みを許容するの
に十分であるという事実を活用している。遺伝子導入にとってのレトロウイルス
ベクターの基本的長所には、ほとんどの細胞型における効率的な感染および遺伝
子発現、標的細胞染色体DNA内への正確な単一コピーベクターの組込み、およ
びレトロウイルスゲノムの取り扱いの容易さが含まれる。
【0181】 アデノウイルスは、コアタンパク質と複合体化され、カプシドタンパク質に取
り囲まれた直鎖状二本鎖DNAから構成される。分子ウイルス学における進歩に
よって、これらの微生物の生物学を活用してインビボで標的細胞内へ新規遺伝子
配列を形質導入することのできるベクターを作製する能力が導かれてきた。アデ
ノウイルス系ベクターは高レベルで遺伝子産物タンパク質を発現するであろう。
アデノウイルスベクターは、低力価のウイルスを用いた場合でさえ、高効率の感
染性を有する。さらに、このウイルスは無細胞ビリオンとして十分に感染性であ
るので、プロデューサー細胞系の注射を必要としない。アデノウイルスベクター
にとってのもう1つの潜在的長所は、インビボでの異種遺伝子の長期発現を達成
する能力である。
【0182】 DNA送達の機械的方法には、リポソームやその他の膜融合のための小胞のよ
うな融合誘導性脂質小胞、リポフェクチンのようなカチオン性脂質を取り込んで
いるDNAの脂質粒子、DNAのポリリシン媒介性導入、胚細胞もしくは体細胞
内へのDNAのマイクロインジェクション法のようなDNAの直接注射、“遺伝
子銃”で使用される金粒子のような空気式で送達されるDNAコーティング粒子
およびリン酸カルシウムトランスフェクションのような無機化学的アプローチが
含まれる。粒子媒介性遺伝子導入法は植物組織を形質転換させる際に最初に使用
された。粒子衝撃装置、もしくは“遺伝子銃”を用いると、DNAコーティング
高密度粒子(例、金またはタングステン)を標的器官、組織または細胞へ浸透で
きる高速度にまで加速するための推進力が生じる。粒子衝撃法は、インビトロシ
ステムにおいて、またはエキソビボもしくはインビボ法と一緒にDNAを細胞、
組織または器官内へ導入するために使用できる。また別の方法であるリガンド媒
介性遺伝子療法には、DNAを特異的リガンドと複合させてリガンド−DNA抱
合体を形成させてDNAを特定の細胞または組織へ指向することが含まれる。
【0183】 プラスミドDNAを筋細胞内へ注入するとトランスフェクトされてマーカー遺
伝子の持続的発現を有する細胞が高いパーセンテージで産生することが発見され
ている。プラスミドのDNAは細胞のゲノム内に組み込まれる場合も組み込まれ
ない場合もある。トランスフェクトされたDNAの非組込みは、細胞またはミト
コンドリアゲノムにおける突然変異による挿入、欠失または変化が発生する恐れ
を伴わずに長期間に渡って最終分化した非増殖性組織中の遺伝子産物タンパク質
のトランスフェクションおよび発現を可能にするであろう。長期間の、しかし必
ずしも永久的ではない特定細胞内への治療的遺伝子の導入は遺伝性疾患または予
防的使用のための治療を提供しうる。DNAは、受容細胞のゲノム内で突然変異
を発生させることなく遺伝子産物レベルを維持するために定期的に再注入するこ
とができるだろう。外因性DNAの非組込みは、様々な遺伝子産物を発現するす
べての構成物を含む1個の細胞内に数種の外因性DNA構成物の存在を許容する
ことができる。
【0184】 遺伝子導入のためのエレクトロポレーションは、細胞または組織がエレクトロ
ポレーション媒介性遺伝子導入に対して感受性にするために電流を使用する。所
定の電界強さを備えた短い電気インパルスを使用して、DNA分子が細胞内に浸
透できるような方法で膜の透過性を上昇する。この方法は、DNAを細胞、組織
または器官内へ導入するためにインビトロシステムで、またはエキソビボ法もし
くはインビボ法と一緒に使用することができる。
【0185】 異種DNAを細胞内へトランスフェクトするためには、インビボでの担体媒介
性遺伝子導入を使用できる。担体−DNA複合体は体液または血流内へ好都合に
導入して、その後部位特異的に身体内の標的器官または組織へ差し向けることが
できる。例えばポリリシン、リポフェクチンまたはサイトフェクチンのようなリ
ポソームおよびポリカチオンはどちらも使用できる。細胞特異的または器官特異
的であるリポソームを発生させることができるので、従ってリポソームによって
運ばれる異種DNAは標的細胞によって取り込まれるであろう。ある細胞上の特
異的レセプターを標的とするイムノリポソーム類の注射は、そのレセプターを有
する細胞内へDNAを挿入する便宜的な方法として使用できる。これまでに使用
されてきたもう1つの担体系は、インビボ遺伝子導入のためにDNAを肝細胞へ
輸送するためのアシアロ糖タンパク質/ポリリシン抱合体系である。
【0186】 トランスフェクトされたDNAは、さらにまたそのDNAが受容細胞へ輸送さ
れ、その後細胞質または核質内に残るように他の種類の担体と複合させることも
できる。DNAは、特別に人工的に作り出された小胞複合体内の担体核タンパク
質へ結合させ、その核内へ直接に輸送することができる。
【0187】 抗血管新生タンパク質の遺伝子調節は、転写もしくは翻訳の速度を修飾するた
めに抗血管新生タンパク質、またはその遺伝子と関連する調節領域、または対応
するRNA転写体の1つをコードする遺伝子へ結合する化合物を投与することに
よって遂行することができる。さらに、抗血管新生タンパク質をコードするDN
A配列を用いてトランスフェクトされた細胞は、それらのタンパク質のインビボ
源を提供するために患者へ投与することができる。例えば、細胞は抗血管新生タ
ンパク質をコードする核酸配列を含有するベクターを用いてトランスフェクトす
ることができる。トランスフェクトされる細胞は、患者の正常組織、患者の疾患
組織に由来する細胞であっても、非患者細胞であってもよい。
【0188】 例えば、患者から取り出された腫瘍細胞は、本発明のタンパク質を発現するこ
とのできるベクターを用いてトランスフェクトし、その患者の体内へ再導入する
ことができる。トランスフェクトされた腫瘍細胞は、その患者の体内で腫瘍の増
殖を阻害するレベルのタンパク質を産生する。患者はヒトであってもヒトではな
い動物であってもよい。細胞はさらにまた、非ベクターによって、または例えば
エレクトロポレーション、イオノポレーション(ionoporation)のような当分野に
おいて知られている物理的もしくは化学的方法によって、または“遺伝子銃”に
よってトランスフェクトすることもできる。さらに、DNAは担体を利用せずに
患者の体内に直接注射することもできる。特に、DNAは皮膚、筋肉または血液
内へ注射することができる。
【0189】 抗血管新生タンパク質を患者の体内へトランスフェクトするための遺伝子療法
プロトコールは、細胞のゲノム内、微小染色体内への抗血管新生タンパク質DN
Aの取込みを通しても、または細胞の細胞質または核質内の個別複製もしくは非
複製DNA構成物としてのどちらであってもよい。抗血管新生タンパク質の発現
は、細胞、組織もしくはまたは器官内の望ましい1つ以上のタンパク質レベルま
たは特定の血中レベルを維持するために長期間に渡って持続しても、または定期
的に再注射されてもよい。
【0190】 さらに、本発明は、新規の抗血管新生タンパク質を試験するために使用でき、
さらに血管新生活性もしくはそれの欠如を特徴とする、またはそれに関連する疾
患および病状の診断、予後診断または治療においても使用できる抗体および抗血
清を含んでいる。そのような抗体および抗血清は、さらにまた例えば心筋梗塞後
心臓組織におけるような望ましい場合に血管新生をアップレギュレーションする
ために使用でき、本発明のタンパク質に対する抗体または抗血清は局所的天然抗
血管新生タンパク質およびプロセスをブロックし、新規の血管形成を増加させ、
さらに心臓組織の萎縮を阻害するために使用できる。
【0191】 そのような抗体および抗血清は、薬学的に許容できる組成物および担体と結合
させて診断用、予後診断用または治療用組成物を形成することができる。用語「
抗体」または「抗体分子」は、免疫グロブリン分子群および/または免疫グロブ
リン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗体結合部位またはパラトープを含
有する分子を意味する。
【0192】 抗血管新生タンパク質へ特異的に結合する抗体を使用する受動的抗体療法は、
例えば生殖、発達および創傷治癒や組織修復のような血管新生依存性プロセスを
調節するために使用できる。さらに、抗血管新生タンパク質の抗体のFab領域
に指向される抗血清は、そのタンパク質へ結合するタンパク質に対する内因性抗
血清の能力をブロックするために投与できる。
【0193】 本発明の抗血管新生タンパク質は、さらにまた1種以上の阻害剤および1種以
上のレセプターに対して特異的である抗体を生成するためにも使用できる。この
抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体でありうる。これらの抗
血管新生タンパク質またはそれらのレセプターへ特異的に結合する抗体は、体液
または組織中の抗血管新生タンパク質またはそれらのレセプターを検出または定
量するために当業者にはよく知られている診断的方法およびキットに使用できる
。これらのテストの結果を使用すると、癌およびその他の血管新生媒介性疾患の
発生または再発を診断または予測することができる。
【0194】 本発明は、さらに血管新生活性を特徴とする疾患の診断または予後診断におけ
る抗血管新生タンパク質、それらのタンパク質に対する抗体、およびそれらのタ
ンパク質および/またはそれらの抗体を備える組成物の使用を含んでいる。ここ
で使用する用語「予後診断的方法」とは、疾患、特に血管新生依存性疾患を有す
ると診断されたヒトまたは動物の疾患の進行に関する予測を可能にする方法を意
味する。ここで使用する用語「診断的方法」とは、ヒトまたは動物における血管
新生依存性疾患の存在または型の決定を可能にする方法を意味する。
【0195】 抗血管新生タンパク質は、それらのタンパク質に結合することのできる抗体を
検出および定量するための診断的方法およびキットにおいて使用できる。これら
のキットは、in situで原発性腫瘍によって分泌された抗血管新生タンパ
ク質の存在下での微小癌転移の広がりを示す抗血管新生タンパク質に対する循環
中抗体の検出を可能にするであろう。そのような循環中抗タンパク質抗体を有す
る患者は多発性腫瘍および癌を発生する可能性が高いと思われ、さらに治療後ま
たは寛解期(remission)後に癌の再発を有する可能性が高いと思われる。これら
の抗タンパク質抗体のFab断片は、抗タンパク質抗体を中性化するために使用
できる抗タンパク質Fab断片抗血清を生成するための抗原として使用できる。
そのような方法は、抗タンパク質抗体による循環中タンパク質の除去を減少させ
、それによって効果的に抗血管新生タンパク質の循環中レベルを上昇させるであ
ろう。
【0196】 本発明は、さらにまた抗血管新生タンパク質に対して特異的なレセプターの単
離を含んでいる。組織への高親和性結合を有するタンパク質断片を使用するとア
フィニティーカラム上で抗血管新生タンパク質のレセプターを単離することがで
きる。1種以上のレセプターの単離および精製は、抗血管新生タンパク質の作用
機序の解明に向かう基本的ステップである。レセプターの単離並びにアゴニスト
およびアンタゴニストの同定は、生物学的活性への最終経路であるレセプターの
活性を調節する薬物の開発を促進するであろう。レセプターの単離は、in s
ituおよび溶液ハイブリダイゼーション法を使用して、レセプターの所在部位
および合成をモニターするためのヌクレオチドプローブの構築を可能にする。さ
らに、細胞型、組織または腫瘍が抗血管新生タンパク質に結合して局所的血管新
生を阻害する能力を増加させるために、そのレセプターの遺伝子を単離し、発現
ベクター内に組み込み、例えば患者腫瘍細胞のような細胞内にトランスフェクト
することができる。
【0197】 抗血管新生タンパク質は、培養された腫瘍細胞から抗血管新生タンパク質に対
する1種以上のレセプターを単離するためのアフィニティーカラムを開発するた
めに使用される。そのレセプターの単離および精製後にはアミノ酸シークエンシ
ングが行われる。この情報を用いるとそのレセプターをコードする1個以上の遺
伝子を同定かつ単離することができる。次に、そのレセプターを発現することの
できるベクター内に挿入するためにクローン化された核酸配列が発生される。こ
れらの方法は当業者にはよく知られている。そのレセプターをコードする1つ以
上の核酸配列の腫瘍細胞内へのトランスフェクション、およびトランスフェクト
された腫瘍細胞によるそのレセプターの発現は、これらの細胞の内因性または外
因性抗血管新生タンパク質への反応性を増強させ、それによって転移性増殖の速
度を低下させる。
【0198】 本発明の血管新生阻害タンパク質は、標準的な微量化学施設で合成することが
でき、純度はHPLCおよび質量分光測光法を用いてチェックすることができる
。タンパク質合成、HPLC精製および質量分光測光の方法は当分野の当業者に
は一般に知られている。抗血管新生タンパク質およびそれらのレセプタータンパ
ク質は、さらにまた組換え大腸菌または酵母発現系においても産生され、カラム
クロマトグラフィーを用いて精製される。
【0199】 下記を含むがそれらに限定されない数種の適用において使用するために無傷抗
血管新生タンパク質の様々なタンパク質断片を合成することができる:特異抗血
清を開発するための抗原として、抗血管新生タンパク質の結合部位で活性なアゴ
ニストおよびアンタゴニストとして、または抗血管新生タンパク質に結合する細
胞を死滅させることを標的とする細胞毒性物質に連結して、またはそれらと組み
合わせて使用されるタンパク質として。
【0200】 抗血管新生タンパク質の合成タンパク質断片には様々な使用法がある。高い特
異性および親和力を備える抗血管新生タンパク質の1種以上のレセプターに結合
するタンパク質は、オートラジオグラフィー法および膜結合法を使用して結合部
位の可視化および定量のために放射標識して使用されている。この適用は重要な
診断用および研究用ツールを提供する。1種以上のレセプターの結合特性に関す
る知識により、1種以上のレセプターに連結した形質導入機序の研究が促進され
る。
【0201】 抗血管新生タンパク質およびそれらに由来するタンパク質は、標準的方法を使
用して他の分子へカップリングさせることができる。抗血管新生タンパク質のア
ミノ末端およびカルボキシル末端はどちらもチロシンおよびリシン残基を含有し
ており、例えば従来の方法を使用した放射能標識のような数多くの方法を用いて
同位体標識または非同位体標識される(チロシン残基−クロラミンT、ヨードゲ
ン、ラクトペルオキシダーゼ;リシン残基−ボルトン−ハンター[Bolton
−Hunter]試薬)。これらのカップリング法は当業者にはよく知られてい
る。あるいはまた、チロシンまたはリシンはタンパク質上での反応性アミノ基お
よび水酸基の標識付けを容易にするためにこれらの残基を有していない断片に付
加される。カップリング法は、アミノ酸で利用できるアミノ基、メルカプト基、
カルボキシル基、アミド基、フェノール基およびイミダゾール基を含むがそれら
に限定されない官能基に基づいて選択される。これらのカップリングを実行する
ために使用される様々な試薬には、特にグルタールアルデヒド、ジアゾ化ベンジ
ジン、カルボジイミド、およびp−ベンゾキノンが含まれる。
【0202】 抗血管新生タンパク質は、様々な用途のために化学的にアイソトープ、酵素、
担体タンパク質、細胞毒性物質、蛍光分子、化学発光、生物発光およびその他の
化合物へカップリングされる。カップリング反応の効率は、特定反応に対して適
切な様々な方法を使用して測定される。例えば、本発明のタンパク質の125
を用いた放射能標識は、高比活性を有するクロラミンTおよびNa125Iを使
用して遂行される。反応はメタ重亜硫酸ナトリウムを用いて停止され、結果とし
て生じる混合物は使い捨てカラム上で脱塩される。標識化タンパク質がカラムか
ら溶離され、フラクションが収集される。各フラクションからアリコートが除去
され、ガンマ計数器で放射能が測定される。この方法で、未反応Na125Iは
標識化タンパク質から分離される。最高の放射能比活性を有するタンパク質フラ
クションを、抗血管新生タンパク質の抗血清へ結合する能力の分析のようなその
後の使用のために保管する。
【0203】 さらに、短命同位体を用いての抗血管新生タンパク質の標識化は、タンパク質
の結合部位を用いて腫瘍を局在化するためのポジトロン放出断層撮影法またはそ
の他の現代的なX線写真を使用するインビボでのレセプター結合部位の視覚化を
可能にする。
【0204】 これらの合成タンパク質内のアミノ酸の順序立てた置換は1種以上のレセプタ
ーへの結合を増強または減少する抗血管新生タンパク質の1種以上のレセプター
に対する高親和性タンパク質アゴニストおよびアンタゴニストを産生する。その
ようなアゴニストは微小癌転移の増殖を抑制し、それによって癌の広がりを制限
するために使用される。抗血管新生タンパク質に対するアンタゴニストは、抗血
管新生タンパク質の阻害作用をブロックして血管新生を促進するために、不適切
な血管新生の状況に適用される。例えば、この治療法は糖尿病患者における創傷
治癒を促進する治療作用を有する可能性がある。
【0205】 本発明を下記の実施例によってさらに詳細に説明するが、実施例はそれらの範
囲を制限するような方法で解釈されることは意図されていない。それとは反対に
、当業者が本明細書中の説明を読んだ後に本発明の意図および/または添付のク
レームの範囲から逸脱することなく、心に浮かぶ可能性がある様々な他の実施形
態、変形およびそれらの同等物をたよりにすることも可能であることは明確に理
解されるべきであろう。
【0206】 実施例 実施例1:天然アレステンの単離 アレステンは、ヒト胎盤および羊膜組織からミリグラム量で生成できる。アレ
ステンや類似タンパク質を単離するためのプロトコールは他の研究者によって記
載されている(例、Langeveld、J.P.ら,1988, J. Bi
ol. Chem. 263:10481−10488;Saus, J.ら,
1988, J. Biol. Chem. 263:13374−1338
0;Gunwar, S.ら, 1990, J. Biol. Chem.
265:5466−5469;Gunwar, S.ら, 1991, J.
Biol. Chem. 266:15318−15324;Kahsai,
T. Z.ら, 1997, J. Biol. Chem. 272:170
23−17032)。アレステンの組換え形の産生は、Neilsonら(19
93, J. Biol. Chem. 268:8402−8406)に記載
されている。このタンパク質は、さらにまた293腎細胞中で発現させることも
できる(例、Hohenester,E.ら,1998, EMBO J. 1
7:1656−1664に記載されている方法によって)。アレステンはさらに
また、Pihlajaniemi, T.ら(1985, J. Biol.
Chem. 260:7681−7687)の方法に従って単離することもでき
る。
【0207】 IV型コラーゲンのNC1ドメインのα1鎖のヌクレオチド配列(配列番号1
)およびアミノ酸配列(配列番号2)は図1に示されており、GenBankア
クセッション番号第M11315(Brinker, J. M.ら, 199
4)に相当する。アレステンは、一般にIV型コラーゲンのα1鎖のNC1ドメ
イン、およびもしかするとさらにNC1ドメインの直前の12アミノ酸である接
合領域を備える。
【0208】 天然アレステンは、細菌コラゲナーゼ、アニオン交換クロマトグラフィー、ゲル
濾過クロマトグラフィー、HPLCおよびアフィニティークロマトグラフィー(
Gunwar, S.ら, 1991, J. Biol. Chem. 26
6:15318−24;Weber, S.ら, 1984, Eur. J.
Biochem. 139:401−10)を使用してヒト胎盤から単離した
。ヒト胎盤から単離したIV型コラーゲン単量体はC−18疎水性カラム(ファ
ルマシア[Pharmacia]製、ピスカタウェイ、ニュージャージー州、米
国)を使用してHPLC精製した。構成タンパク質はアセトニトリル勾配(32
%−39%)を用いて溶解させた。主要ピークおよび小さな二重ピークを見るこ
とができた。SDS−PAGE解析により第1ピーク内に2つのバンドが判明し
たが、第2ピークではタンパク質を検出できなかった。免疫ブロット法によって
も、第2ピークにおける免疫検出可能なタンパク質は発見されなかったので、主
要ピークをアレステンであると同定した。
【0209】 実施例2: 大腸菌におけるアレステンの組換え産生 アレステンをコードする配列を、フォワードプライマー5’−CGG GAT
CCT TCT GTT GAT CAC GGC TTC−3’(配列番号
3)およびリバースプライマー5’−CCC AAG CTT TGT TCT
TCT CAT ACA GAC−3’(配列番号4)を使用してα1NC1
(IV)/pDSベクター(Neilson, E.G.ら, 1993, J
. Bio. Chem. 268:8402−5)からPCRによって増幅さ
せた。結果として生じたcDNA断片をBamHIおよびHindIIIを用い
て消化し、前消化pET22b(+)(ノヴァゲン[Novagen]製、マデ
ィソン、ウィスコンシン州、米国)内へライゲーションした。この構成物は図2
に示されている。これは、アレステンをペリプラスム局在および溶解性タンパク
質の発現を許容するように、pelBリーダー配列の下流およびフレーム内に配
置した。追加のベクター配列がアミノ酸MDIGINSD(配列番号13)をコ
ードするタンパク質へ付加された。この配列の3’末端はポリヒスチジンタグ配
列と一緒のフレームでライゲーションされた。cDNAの3’末端とhis−タ
グとの間の追加のベクター配列はアミノ酸KLAAALE(配列番号14)をコ
ードしていた。両方の鎖上で陽性クローンをシークエンシングした。
【0210】 アレステンをコードするプラスミド構築物を最初は大腸菌HMS174(ノヴ
ァゲン[Novagen]製、マディソン、ウィスコンシン州、米国)内へ形質
転換させ、その後に発現させるためにBL21(ノヴァゲン[Novagen]
製、マディソン、ウィスコンシン州、米国)内へ形質転換させた。オーバーナイ
トの細菌培養を使用してLB培地の500mL培養物を接種した。この培養物を
細胞が0.6のOD600に到達するまで約4時間増殖させた。その後、最終濃
度が1−2mMとなるまでIPTGを添加することによりタンパク質発現を誘導
した。2時間の誘導後、5000×gで遠心分離することにより細胞を回収し、
6Mグアニジン、0.1M NaHPO、0.01M Tris−HCl(
pH8.0)中への再懸濁により溶解させた。再懸濁させた細胞を短時間超音波
処理にかけ、さらに12,000×gで30分間遠心分離した。上清フラクショ
ンを2ml/minの速度で5mLのNi-NTAアガロースカラム(キアゲン
[Qiagen]、ヒルデン、ドイツ)を4−6回通過させた。非特異的に結合
したタンパク質は、8M尿素、0.1M NaHPO、0.01M Tri
s−HCl(pH8.0)中10mMおよび25mM両方のイミダゾール液を用
いて洗浄することによって除去した。アレステンタンパク質は8M尿素、0.1
M NaHPO、0.01M Tris−HCl(pH8.0)中のイミダ
ゾールの濃度を上昇させながら(50mM、125mMおよび250mM)カラ
ムから溶出させた。溶出したタンパク質は4℃でPBSに対して2回透析した。
透析中に全タンパク質のわずかな部分が沈殿した。透析したタンパク質を収集し
、約3,500×gで遠心分離し、ペレットと上清フラクションとに分離させた
。各フラクション中のタンパク質濃度をBCAアッセイ(ピアース・ケミカル[
Pierce Chemical Co.]、ロックフォード、イリノイ州、米
国)および定量的SDS−PAGE解析により測定した。ペレット中の全タンパ
ク質のフラクションは約22%であり、残りの78%は可溶性タンパク質として
回収された。タンパク質の総収量は約10mg/Lであった。
【0211】 大腸菌発現タンパク質は主として可溶性タンパク質として単離され、SDS−
PAGEにより29kDaでの単量体バンドが判明した。追加の3kDaはポリ
リンカーおよびヒスチジンタグ配列から発生し、これはアレステン抗体および6
−ヒスチジンタグ抗体の両方によって免疫検出された。
【0212】 実施例3:293胎児腎細胞中のアレステンの発現 α1(IV)NC1を含有するpDSプラスミドを使用して、それがpcDNA
3.1真核細胞発現ベクター(インヴィトロジェン[InVitrogen]製
、サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)内へインフレームでリーダーシグナ
ル配列ヘ付加するような方法でアレステンを増幅させた。全長α1(IV)鎖の
5’末端由来のリーダー配列は培地内へのタンパク質分泌を可能にするようにN
C1ドメインの5’末端へクローン化した。アレステン含有組換えベクターはフ
ランキングプライマーを使用してシークエンシングした。エラーフリーcDNA
クローンをその後精製し、タンパク質発現を確認するためのインビトロ翻訳試験
のために使用した。アレステン含有プラスミドおよび対照プラスミドを用い、塩
化カルシウム法を使用して293個の細胞をトランスフェクトした。トランスフ
ェクトされたクローンをジェネチシン(geneticine)抗生物質処理(ライフテクノ
ロジーズ/ギブコ[Life Technologies/Gibco]BRL
、ゲーサーズバーグ、メリーランド州、米国)によって選択した。細胞は細胞死
が明白にならなくなるまで抗生物質の存在下で3週間経過させた。その後クロー
ンをT−225フラスコ内へ展開させ、コンフルエントな状態になるまで増殖さ
せた。その後上清を収集し、アミコン濃縮器(アミコン[Amicon, In
c.]製、べバリー、マサチューセッツ州、米国)を使用して濃縮した。濃縮さ
せた上清をSDS−PAGE、免疫ブロット法およびELISAによってアレス
テン発現について解析した。ELISAによって上清内の強力な結合が検出され
た。SDS−PAGE解析では、約30kDaで単一の主要バンドが判明した。
アレステン含有上清はアレステン特異的抗体(Gunwar, S.ら, 19
91, J. Biol. Chem. 266:15318−24)を使用す
るアフィニティークロマトグラフィーに供した。アレステン抗体と免疫反応性で
あった約30kDaの単量体を含有する大きなピークが同定された。培養液1L
当たり約1−2mgの組換えアレステンが生成された。
【0213】 実施例4:アレステンは内皮細胞増殖を阻害する 10%ウシ胎児血清(FCS)を含有するDMEM中でコンフルエントな状態に
なるまでC−PAE細胞を増殖させ、48時間に渡って接触の阻害を維持した。
対照細胞は、768−O(腎臓癌)細胞、PC−3細胞、HPEC細胞、および
A−498(腎臓癌)細胞であった。細胞は37℃で5分間に渡ってトリプシン
化(ライフテクノロジーズ/ギブコ[Life Technologies/G
ibco]BRL、ゲーサーズバーグ、メリーランド州、米国)を用いて回収し
た。1% FCSを含有するDMEM中の12,500細胞の懸濁液を、10μ
g/mLのフィブロネクチンがコーティングされた24ウェルプレートの各ウェ
ルに添加した。細胞を5%COおよび95%湿度の37℃で24時間インキュ
ベートした。培地を除去し、0.5%FCSおよび3ng/mL bFGF(R
&Dシステムズ(Systems)製、ミネアポリス、ミネソタ州、米国)を含
有するDMEMと取り替えた。非刺激対照にはbFGFを添加しなかった。細胞
を0.01〜50μg/mLの範囲内の濃度のアレステンまたはエンドスタチン
を用いて処理した。全ウェルへ処理時に1μキュリーのH−チミジンを添加し
た。24時間後、培地を除去し、ウェルをPBSを用いて洗浄した。1N Na
OHを用いて細胞を抽出し、4mLのシンチバース(Scinti Verse
)II(フィッシャー・サイエンティフィック[Fisher Scienti
fic]、ピッツバーグ、ペンシルバニア州、米国)液を含有するシンチレーシ
ョンバイアルへ添加した。シンチレーションカウンターを用いてチミジン取込み
を測定した。結果は、様々な量のアレステン(図3A)またはエンドスタチン(
図3B)を用いて処理されたC−PAE細胞内へのH−チミジンの取込みを示
している1対のグラフである図3Aおよび3Bに示されている。アレステンは、
エンドスタチンと同様にC−PAE内へのチミジン取込みを阻害するように思わ
れた。アレステンおよびエンドスタチンを用いて処理された対照細胞の挙動もま
た図4A、4B、4Cおよび4Dに示されているが、アレステンは786−O細
胞(図4A)、PC−3細胞(図4B)またはHPEC細胞(図4C)への作用
をほとんど有していなかった。エンドスタチンはA−498細胞(図4D)への
作用をほとんど有していなかった。図3および4に含まれている全群は3つずつ
のサンプルを表している。
【0214】 実施例5:アレステンは内皮細胞中でアポトーシスを誘導する。 10%FBSが補給されたDMEMが入れられている6ウェル組織培養プレー
トの各ウェルへ12時間に渡って50,000個のC−PAE細胞を添加した。
2、4および6時間後の時点で新しい培地と一緒に5μg/mLのアレステンま
たは40ng/mLのTNFα(陽性対照)のどちらかを添加した。対照ウェル
には等量のPBSを添加した。分離細胞および付着細胞を一緒にプールし、1,
500rpmで遠心分離した。結合緩衝液(クローンテック[Clontech
]製、パロアルト、カリフォルニア州、米国)を用いて細胞を洗浄し、製造業者
の説明書に従ってFITC標識化アネクシン(annexin)V(クローンテ
ック[Clontech]製、パロアルト、カリフォルニア州、米国)を用いて
標識化することによって、さらにアポトーシスの指標であるホスファチジル−セ
リン(PS)外面化を測定した。アネクシン−FITC標識細胞は、ファクスタ
ープラス[FACStar Plus]フローサイトメーター(ベクトン・ディ
ッキンソン[Becton−Dickinson]製、ウォルサム、マサチュー
セッツ州、米国)を使用して計数した。各処理について、10,000個の細胞
を係数し、保管した。このデータはその後、標準型セルクエスト(Cell Q
uest)ソフトウエア(ベクトン・ディッキンソン[Becton−Dick
inson]製、ウォルサム、マサチューセッツ州、米国)を使用して解析した
。対照に対して、陽性対照のTNFαについてはアネクスチン−V染色(アポト
ーシス性)細胞のパーセンテージは2時間後には約27%まで増加し、4および
6時間後には20%近くであった。アレステン処理細胞に対して、アポトーシス
細胞は2時間後には約18%で、4および6時間後には約23%であった。内皮
細胞の形態的変化は実験中にも観察され、対照細胞は重大な変化を示さなかった
が、他方アレステン処理および非付着性細胞はアポトーシスを示す細胞形態にお
ける変化を示した。
【0215】 実施例6:アレステンは内皮細胞移動を阻害する ボイデン(Boyden)チャンバーアッセイ(ニューロプローブ[Neur
o−Probe, Inc.]製、キャビンジョン、メリーランド州、米国)を
使用して、FBS誘導性化学走化性へのアレステンおよびエンドスタチンの阻害
作用をヒト臍帯内皮細胞(ECV−304細胞、ATCC 1998−CRL、
ATCC(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、10801ブルー
バード大学、マナッサス、バージニア州、20110−2209、米国)につい
て試験した。ECV−304細胞は10% FBSおよび5ng/mLのDil
C18(3)リビング蛍光染色(モレキュラー・プローブ[Molecular
Probes, Inc.]製、ユージン、オレゴン州、米国)を含有するM
199培地中で一晩増殖させた。0.5% FBSを含有するM199中で細胞
をトリプシン化、洗浄および希釈した後、アレステンまたはエンドスタチン(2
〜40μg/mL)を添加して、または添加せずに60,000個の細胞を上方
チャンバーウェル上に播種した。2% FBSを含有するM199培地は、化学
走化性物質として下方チャンバー内に配置した。細胞を含有するコンパートメン
トは孔径が8μmのポリカーボネート製フィルター(ポレティクス[Poret
ics Corp.]製、リバーモア、カリフォルニア州、米国)を用いて化学
走化性物質から分離した。このチャンバーを5% COおよび95%湿度の3
7℃で4.5時間インキュベートした。移動しなかった細胞を廃棄してPBSを
用いて上方ウェルを洗浄した後、プラスチック製刃物を用いてフィルターを擦り
取り、PBS中の4%ホルムアルデヒド内で固定し、スライドガラス上に置いた
。蛍光高出力領域を使用して、画像処理ソフトウェアPMIS(ローパーサイエ
ンティフィック/ホトメトリックス[Roper Scientific/Ph
otometrics]製、トゥーソン、アリゾナ州、米国)を用いて操作する
デジタルセンシス[SenSys]TM/span>カメラによって数枚の独立した均質
の画像を記録した。代表的な画像は図5A、5Bおよび5Cに示されており、こ
れらは20μg/mLでのエンドスタチンと同等に有効な2μg/mLでのアレ
ステンを示している。細胞は、オプティマス(OPTIMAS)6.0ソフトウ
ェア(メディア・サイバーネティクス[Media Cybernetics]
製、ロチェスター、ニューヨーク州)を使用して計数し、その結果は顕微鏡写真
で所見された結果をグラフの形で示している図6に示されている。
【0216】 実施例7:アレステンは内皮管形成を阻害する 内皮管形成の阻害を測定するために、320μLのマトリゲル(Matrig
el)(コラボレーティブ・バイオメディカル・プロダクツ[Collabor
ative Biomedical Products]製、ベッドフォード、
マサチューセッツ州、米国)を24ウェルプレートの各ウェルに添加し、重合化
させた(Grant, D. S.ら, 1994, Pathol. Res
. Pract. 190:854−63)。抗生物質を添加していないEGM
−2培地(クローンティクス・コーポレーション[Clonetics Cor
poration]製、サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)中の25,0
00マウス大動脈内皮細胞(MAE)の懸濁液をマトリゲルを用いてコーティン
グした各ウェル内に通過させた。アレステン、BSA、無菌PBSまたは7Sド
メインのいずれかを濃度を上昇させながら細胞を処理した。全アッセイは3回ず
つ実施した。細胞は37℃で24〜48時間インキュベートし、CK2オリンパ
ス顕微鏡(接眼レンズ3.3、対物レンズ10×)を使用して視認した。その後
細胞は400DKコーティングTMAXフィルム(コダック[Kodak]製)
を使用して写真撮影した。細胞は、ディフ−クイック(diff−quik)固
定液(シグマ・ケミカル[Sigma Chemical Company]製
、セントルイス、ミズーリ州、米国)を用いて染色し、再度写真撮影した。10
の領域を視認し、管を計数して平均した。結果は、アレステン(くろしかく)が
対照(無菌PBS、くろひしがた;BSA、しろさんかく;7sドメイン、−X
−)に比較して管形成を阻害することを示している図7に示されている。代表的
な明確に形成された管は、7Sドメインを用いて処理された細胞を示している図
8Aにおいて観察できる(倍率100×)。他方、図8Bは、0.8μg/mL
のアレステンを用いて処理されたMAE細胞における管形成が不良またはないこ
とを示している。
【0217】 マトリゲルアッセイをさらにC57/BL6マウスのインビボでも実施した。
マトリゲルは4℃で一晩かけて解凍した。これをその後20U/mLのヘパリン
(ピアース・ケミカル[Pierce Chemical Co.]、ロックフ
ォード、イリノイ州、米国)、150ng/mLのbFGF(R&Dシステムズ
(Systems)製、ミネアポリス、ミネソタ州、米国)、および1μg/m
Lのアレステンまたは10μg/mLのエンドスタチンのどちらかと一緒に混合
した。マトリゲル混合液は21g注射針を用いて皮下に注射した。対照群には、
血管新生阻害剤を含まない同一混合液を摂取させた。14日後、マウスを屠殺し
、マトリゲルプラグを除去した。マトリゲルプラグは室温で4時間に渡ってPB
S中4%パラホルムアルデヒド液中で、その後24時間はPBSへ切り換えて固
定させた。プラグをパラフィンに包埋し、切片作製し、H&E染色した。切片は
光線顕微鏡で試験し、10の高出力領域からの血管の数を計数し、平均した。
【0218】 アレステンの濃度を上昇させながら、または上昇させずにマトリゲルをbFG
Fの存在下で入れた場合に、血管数の50%減少が1μg/mLのアレステンお
よび10μg/mLのエンドスタチンで観察された。これらの結果は、アレステ
ンが血管新生プロセスにおける様々なステップを阻害することによって新たな血
管の形成に影響を及ぼすことを証明している。これらの結果はさらにまた、1μ
g/mLのアレステンがインビボでの新規血管形成を阻害することにおいて10
μg/mLのエンドスタチンと同等に有効であることも示している。
【0219】 実施例8:アレステンはインビボでの腫瘍転移を阻害する C57/BL6マウスに百万個のMC38/MUC1を静脈内注射した(Go
ng, J.ら, 1997, Nat. Med. 3:558−61)。2
6日間に渡って1日置きに5匹の対照マウスに10mMの無菌PBSを注射し、
他方6匹の試験マウスには4mg/mLのアレステンを注射した。26日間の処
理後、各マウスについて肺腫瘍結節を計数し、2群について平均した。各群2匹
ずつの死亡が記録された。アレステンは、原発性結節の平均数を対照群マウスに
おける300から200へ有意に減少させた。
【0220】 実施例9:アレステンはインビボでの腫瘍増殖を阻害する 2百万個の786−O細胞を7〜9週齢の雄性胸腺欠損ヌードマウスへ皮下注
射した。マウス6匹からなる第1群では、腫瘍は約700mmへ増殖させた。
マウス6匹からなる第2群では、腫瘍は100mmへ増殖させた。無菌PBS
中のアレステンを700mmの腫瘍を有するマウスには20mg/kgの濃度
で、そして100mmの腫瘍を有するマウスには10mg/kgの濃度で10
日間に渡って毎日腹腔内注射した。対照マウスにはBSAまたはPBS賦形剤を
投与した。結果は図9Aおよび9Bに示されている。図9Aは10mg/kgの
アレステン処理(しろしかく)、BSA処理(+)および対照マウス(くろまる
)についての700mmからの腫瘍容積の増加を示しているプロット図である
。アレステン処理マウスにおける腫瘍は700から500mmへ縮小したが、
BSA処理および対照マウスにおける腫瘍は10日間で約1,200mmへ増
大した。図9Bは、100mmの腫瘍を有するマウスにおいて、アレステン(
しろしかく)が約80mmへの腫瘍縮小を生じさせたが、他方BSA処理腫瘍
(+)は10日間でサイズがほぼ500mmへ増大したことを示している。
【0221】 約5百万個のPC−3細胞(ヒト前立腺癌細胞)を採取し、7〜9週齢の雄性
胸腺欠損ヌードマウスへ皮下注射した。腫瘍を10日間増殖させ、その後ベルニ
エ・カリパスを用いて測定した。腫瘍容積は標準公式(幅×長さ×0.52)
を使用して計算した(O’Reilly, M. S.ら, 1997, Ce
ll 88:277−85;O’Reilly, M. S.ら, 1994,
Cell 79:315−28)。動物は各群5〜6匹に分けた。試験群には
アレステン(10mg/kg/日)またはエンドスタチン(10mg/kg/日
)を毎日腹腔内投与した。対照群には毎日PBSを投与した。結果は、アレステ
ン(しろしかく)がエンドスタチン(くろさんかく)または対照(くろまる)と
同様に、またはわずかに良好に腫瘍の増殖を阻害することを示した図9Cに示さ
れている。4mg/kg/日のアレステン用量を用いてこの実験を繰返した。結
果は図9Dに示されている(アレステン、しろしかく;対照、くろまる)。8日
後(矢印)に処理を中止したが、追加のアレステン処理を行わなくてもさらに1
2日間は有意な阻害が持続した。処理を実施しない12日間後、腫瘍はアレステ
ンの阻害作用から離脱し始めた。
【0222】 実施例10:アレステンの免疫組織化学 腫瘍試験に使用したマウスを処理の10から20日後に屠殺した。腫瘍を切除
し、4%パラホルムアルデヒド中で固定した。組織をパラフィン包埋し、3μm
の切片を切り分け、スライドガラス上に載せた。切片からパラフィンを除去し、
再水和させ、300mg/mlのプロテアーゼXXIV(シグマケミカル[SI
GMA Chemical Co.]製、St.Louis,Missouri
,USA)を用いて37℃で5分間処理した。100%エタノールを用いて消化
を停止させ、切片を風乾させ、10%ウサギ血清を用いてブロックした。その後
スライドをラット抗マウスCD−31モノクローナル抗体(ファーミンゲン「P
harMingen」製、San Diego,California,USA
)の1:50希釈液と一緒に4℃で一晩インキュベートし、その後ウサギ抗ラッ
ト免疫グロブリン(DAKO製)およびラットAPAAP(DAKO製)の1:
50希釈液中において37℃で2回の連続する30分間ずつのインキュベートを
実施した。ニューフクシンを用いて呈色反応を実施し、ヘマトキシリンを用いて
切片を対比染色した。CD−31染色パターンは対対照マウスに比較して処理マ
ウスの血管構造の減少を示した。
【0223】 PCNA染色のために、組織切片は抗PCNA抗体(シグネット・ラボラトリ
ーズ[Signet Laboratories]製、Dedham,Mass
achusetts,USA)の1:200希釈液と一緒に室温で60分間イン
キュベートした。検出は、製造業者の勧告に従ってUSAホースラディッシュ・
ペルオキシダーゼ系(シグネット・ラボラトリーズ[Signet Labor
atories]製、Dedham,Massachusetts,USA)を
使用して実施した。スライドはヘマトキシリンを用いて対比染色した。フィブロ
ネクチンおよびIV型コラーゲンについての染色は、1:500の希釈率のポリ
クローナル抗フィブロネクチン(シグマケミカル[SIGMA Chemica
l Co.]製、St.Louis,Missouri,USA)および1:1
00の希釈率のIV型コラーゲン(ICNファーマシューティカルズ[ICN
Pharmaceuticals]製、Costa Mesa,Califor
nia,USA)を使用して実施した。検出には製造業者の勧告に従ってベクタ
ステインエリート(Vectastain Elite)ABCキット(ベクタ
ー・ラボラトリーズ[Vector Laboratories. Inc.]
製、Burlingame,California,USA)を使用した。細胞
外マトリックスのPCNA、フィブロネクチンおよびIV型コラーゲン染色は、
腫瘍細胞増殖または腫瘍細胞を取り囲んでいるIV型コラーゲンおよびフィブロ
ネクチンの含量もしくは構造における相違を示さなかった。
【0224】 実施例11:アレステンの循環中半減期 ヒト胎盤から単離した天然アレステンを体重200gのラット(rate)に静脈内
注射した。各ラットは5mgのヒトアレステンを投与した。抗アレステン抗体を
使用することによって循環アレステンの存在について様々な時点に直接ELIS
Aによって血清を分析した。対照として、分析のために同一量の血清を使用する
ことを保証するために、各時点に血清アルブミンについても評価した。アレステ
ンは、約36時間の半減期で血清中を循環することが発見された。
【0225】 また別の群のラットに200μgのヒトアレステンを腹腔内および/または皮
下注射し、肺、腎臓、肝臓、膵臓、脾臓、脳、精巣、卵巣等における疾患病原の
徴候について評価した。直接ELISAを実施したところこれらのラットの血清
中でアレステン抗体を検出し、さらに以前に観察されたように腎糸球体基底膜上
でいくらかの内因性IgG沈着が認められた(Kalluri, R.ら, 1
994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:6
201−5)。腎臓内の抗体沈着に炎症の徴候または腎機能の低下は付随しなか
った。これらの実験は、アレステンが非病原性であることを示唆している。
【0226】 実施例12:アレステンが細胞付着に及ぼす影響 96ウェルプレートにヒトアレステンまたはヒトIV型コラーゲン(コラボレ
ーティブ・バイオメディカル・プロダクツ[Collaborative Bi
omedical Products]製、Bedford,Massachu
setts,USA)のいずれかを10μg/mlの濃度で一晩37℃でコーテ
ィングした。残留しているタンパク質結合部位はPBS中の10%BSA(シグ
マケミカル[SIGMA Chemical Co.]製、St.Louis,
Missouri,USA)を用いて37℃で2時間ブロックした。HUVEC
細胞はEGM−2 MV培地(クローンティクス・コーポレーション[Clon
etics Corporation]製、San Diego,Califo
rnia,USA)中でサブコンフルエント(70〜80%)な状態になるまで
増殖させた。細胞を静かにトリプシン処理し、無血清培地(5×10細胞/m
l)中に再懸濁させた。その後細胞は10μg/mlの抗体と混合し、室温で静
かに攪拌しながら15分間インキュベートした。その後100μlの細胞懸濁液
を各ウェルに添加し、プレートを5%CO下で37℃で45分間インキュベー
トした。無血清培地を用いて洗浄することによって付着していない細胞を除去し
、付着した細胞を計数した。ヒトβインテグリンサブユニット(クローンP4
C10)に対する対照マウスIgGおよびマウスモノクローナル抗体はライフ・
テクノロジーズ/ギブコ[Life Technologies/Gibco]
BRL社(Gaithersburg,Maryland,USA)から購入し
た。モノクローナル抗体αインテグリンサブユニットおよびαβ(各々、
クローンCD49aおよびLM609)はケミコン・インターナショナル(CH
EMICON International)社(Temecula,Cali
fornia,USA)から購入した。
【0227】 結果は、コーティングされたプレート上の付着性HUVEC細胞(y軸)のパ
ーセンテージを示している2枚のヒストグラムである図10Aおよび10Bに示
されているが、このとき細胞はマウスIgG(c、対照)、またはαもしくは
βインテグリンサブユニットに対する抗体、またはαβインテグリンに対
する抗体と混合された。図10Aおよび10Bは、アレステンコーティングおよ
びIV型コラーゲンコーティングプレート上の付着性細胞のパーセンテージを各
々示している。アレステンコーティングプレートについてはαサブユニットに
ついての細胞付着においては60%の阻害、βサブユニットについての細胞付
着においては70%の阻害が観察されたが(図10A)、IV型コラーゲンコー
ティングプレート(図10b)はαについては30%、βについては40%
およびαβ中和抗体については15%のより控え目な阻害を示した。
【0228】 実施例13:アレステンによるマトリックス金属プロテイナーゼの結合および阻
害 MMP−2、MMP−9およびこれらの酵素に対する抗体はオンコジーン(O
ncogene, Inc.)社から購入した。以前に記載されたようにして(
Kalluri, R.ら, 1994, Proc. Natl. Acad
. Sci. USA 91:6201−5)、ヒト胎盤から単離した天然アレ
ステンを使用して直接ELISAを実施した。MMP−2およびMMP−9はど
ちらもアレステンに特異的に結合した。これらは7Sドメインには結合しなかっ
た。この結合は各々TIMP−2およびTIMP−1結合からは独立している。
【0229】 アレステンが基底膜を分解させる能力を評価するために、マトリゲルをMMP
−2およびMMP−9と一緒に静かに振とうしながら37℃で6時間に渡ってイ
ンキュベートした。上清をSDS−PAGEおよびIV型コラーゲンのα2鎖に
対する抗体を用いる免疫ブロット法によって分析した。変性アッセイの開始時に
、濃度を上昇させながらアレステンを添加し、MMP−2活性の阻害を観察した
。NC1ドメインは26kDaの単量体および56kDaの二量体としてSDS
−PAGEゲル内で分離し、IV型コラーゲン抗体を使用したウェスタンブロッ
ト法によって視認することができた。濃度を上昇させながらのアレステンはMM
P−2による基底膜の分解を阻害したが、これはアレステンがMMP−2に結合
して基底膜コラーゲンを分解させることを防止できることを示す。MMP−9に
ついても同様の結果が得られた。
【0230】 実施例14:E. coli内でのカンスタチンの組換え産生 細菌発現プラスミドであるpET22bを使用して、ヒトカンスタチン(Ca
nstatin)をC−末端6−ヒスチジンタグを有する融合タンパク質として
E. coli内で産生させた。
【0231】 IV型コラーゲンのα2NC1ドメインに対するヌクレオチド配列(配列番号
:5)およびアミノ酸配列(配列番号:6)は、各々図11Aおよび11Bに示
されている。フォワードプライマー5’−CGG GAT CCT GTC A
GC ATC GGC TAC CTC−3’(配列番号:7)およびリバース
プライマー5’−CCC AAG CTT CAG GTT CTT CAT
GCA CAC−3’(配列番号:8)を使用して、カンスタチンをコードする
配列をPCRによってα2NCI(IV)/pDSベクター(Neilson,
E. G.ら, 1993, J. Biol. Chem. 268:84
02−5; GenBankアクセッション番号No.M24766(Kill
en, P. D.ら, 1994))から増幅させた。結果として生じたcD
NA断片はBamHIおよびHindIIIを用いて消化させ、予め消化したp
ET22b(+)(ノヴァゲン[Novagen]製、Madison,Wis
consin,USA)内へライゲーションした。構成物は図12に示されてい
る。このライゲーションは、カンスタチンをpelBリーダー配列の下流かつイ
ンフレームに配置し、可溶性タンパク質のぺリプラスム局在および発現を可能に
した。アミノ酸MDIGINSD(配列番号:13)をコードする追加のベクタ
ー配列がタンパク質に付加された。この配列の3’末端はポリ−ヒスチジン−タ
グ配列とインフレームにライゲーションされた。cDNAの3’末端とヒス−タ
グの間の追加のベクター配列はアミノ酸KLAAALE(配列番号:14)をコ
ードした。陽性クローンを両方の鎖についてシークエンシングした。
【0232】 カンスタチンをコードするプラスミド構成物を最初はE. coli HMS
174(ノヴァゲン[Novagen]製、Madison,Wisconsi
n,USA)内へ形質転換させ、その後発現させるためにBL21(ノヴァゲン
[Novagen]製、Madison,Wisconsin,USA)内へ形
質転換させた。LB培地中の500ml培地を接種するために一晩細菌培養物を
使用した。この培養物を細胞が0.6のOD600に達するまで約4時間増殖さ
せた。その後0.5mMの最終濃度までIPTGを添加することによりタンパク
質発現を誘導した。2時間の誘導後、5,000×gで遠心することにより細胞
を回収し、6Mグアニジン、0.1M NaHPO、0.01M Tris
−HCl(pH8.0)中への再懸濁により溶解させた。再懸濁させた細胞を短
時間超音波処理にかけ、12,000×gで30分間遠心した。上清フラクショ
ンを2ml/minの速度で5mlのNi−NTAアガロースカラム(キアゲン
[Qiagen]、Hilden,Germany)に4〜6回通過させた。非
特異的に結合したタンパク質は、8M尿素、0.1M NaHPO、0.0
1M Tris−HCl(pH8.0)中に溶解させた各10mM、25mMお
よび50mMのイミダゾール液を用いて洗浄することによって除去した。カンス
タチンタンパク質は8M尿素、0.1M NaHPO、0.01M Tri
s−HCl(pH8.0)中の2種のイミダゾール濃度(125mMおよび25
0mM)を用いてカラムから溶離させた。溶離したタンパク質は4℃でPBSに
対して2回透析した。透析中に全タンパク質の一部が沈降した。透析したタンパ
ク質を収集し、約3,500×gで遠心し、ペレットと上清フラクションとに分
離させた。各フラクション中のタンパク質濃度をBCAアッセイ(ピアース・ケ
ミカル[Pierce Chemical Co.]、Rockford,Il
linois,USA)および定量的SDS−PAGE解析により測定した。S
DS−PAGE解析によって、約26−32kDa、おそらく27kDaの単量
体バンドが判明し、それらの内3kDaはポリリンカーおよびヒスチジンタグ配
列から生じたのであろう。カンスタチンを含有する溶出液を合わせ、引き続いて
のアッセイで使用するためにPBSに対して透析した。SDS−PAGEおよび
ウェスタンブロット法によって分析したカンスタチンタンパク質はポリ−ヒスチ
ジンタグ抗体によって検出した。カンスタチン抗体はまた、細菌性発現組換えコ
ンスタチンタンパク質も検出した。
【0233】 E. coli発現タンパク質は主として可溶性タンパク質として単離された
。ペレット中の総タンパク質のフラクションは約40%で、残り60%は可溶性
タンパク質として回収された。タンパク質の総収率は約15mg/リットルであ
った。
【0234】 実施例15:293胎児腎細胞におけるカンスタチンの発現 ヒトカンスタチンも、pcDNA3.1真核生物ベクターを使用して、293
胎児腎細胞において分泌可溶性タンパク質として作製し、アフィニティクロマト
グラフィを使用して、(精製も検出タグも用いることなく)単離した。
【0235】 α2(IV)NC1を含有するpDSプラスミド(Neilson,E.G.
ら,1993,J.Biol.Chem.268:8402−5)を使用して、
リーダーシグナル配列がpcDNA3.1真核生物発現ベクター(InVitr
ogen,San Diego,California,USA)にインフレー
ムで付加されるよう、カンスタチンをPCR増幅した。全長α2(IV)鎖の5
’末端に由来するリーダー配列をNC1ドメインの5’にクローニングし、培養
培地中へのタンパク質分泌を可能にした。カンスタチン含有組換えベクターを、
両側プライマーを使用して配列決定した。エラーを含まないcDNAクローンを
さらに精製し、タンパク質発現を確認するためのインビトロ翻訳実験に使用した
。塩化カルシウム法(Curent Protocols in Molecu
lar Biology,Ausubel,F.M.ら編,Wiley and
Sons,Inc.,New York,New York,USAの9.1
.4〜9.1.7頁のKingston,R.E.,1996,”Calciu
m Phosphate Transfection”)を使用して、293細
胞にトランスフェクトするため、カンスタチン含有プラスミド及び対照プラスミ
ドを使用した。トランスフェクトされたクローンをジェネテシン(Life T
echnologies/Gibco BRL,Gaithersberg,M
aryland,USA)抗生物質処理により選択した。細胞死が認められなく
なるまで、抗生物質の存在下で、細胞を3週間維持した。クローンをT−225
フラスコへと拡大(expand)し、コンフルエントになるまで増殖させた。次いで、
上清を収集し、アミコン濃縮器(Amicon,Inc.,Beverly,M
assachusetts,USA)を使用して濃縮した。濃縮された上清を、
SDS−PAGE、イムノブロッティング、及びELISAにより、カンスタチ
ン発現に関して分析した。ELISAにより、強い結合が上清において検出され
た。カンスタチン含有上清を、カンスタチン特異的抗体(Gunwar,S.ら
,1991,J.Biol.Chem.266:15318−24)を使用した
アフィニティクロマトグラフィに供した。カンスタチン抗体(抗α2NC1抗体
、1:200希釈)と免疫反応性の純粋な約24kDaのモノマーを含有する主
要なピークが同定された。
【0236】 実施例16:カンスタチンは内皮細胞増殖を阻害する 仔ウシ大動脈内皮(C−PAE)細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含
むDMEM中でコンフルエントまで増殖させ、接触阻害状態を48時間維持した
。37℃で5分間のトリプシン処理(Life Technologies/G
ibco BRL,Gaithersberg,Maryland,USA)に
より、細胞を採集した。12,500個の細胞を含む、0.5%FCSを含むD
MEMの懸濁液を、10μg/mlフィブロネクチンでコーティングされた24
穴プレートの各ウェルに添加した。5%CO、95%湿度で、37℃で、24
時間、細胞をインキュベートした。培地を除去し、0.5%FCS(未刺激)又
は10%FCS(刺激され処理された細胞)を含有するDMEMと交換した。7
86−O細胞、PC−3細胞、及びHEK293細胞を対照とし、これらも、同
様に、コンフルエントまで増殖させ、トリプシン処理し、そして播いた。0.0
25〜40mg/mlの範囲の濃度のカンスタチン又はエンドスタチンで、三連
で細胞を処理した。チミジン取り込み実験においては、処理の時点で、全てのウ
ェルに1mキュリーのH−チミジンを与えた。24時間後、培地を除去し、ウ
ェルをPBSで3回洗浄した。放射能を1N NaOHで抽出し、Scinti
Verse II(Fisher Scientific,Pittsburg
h,Pennsylvania,USA)溶液4mlを含有するシンチレーショ
ンバイアルへ添加した。チミジン取り込みを、シンチレーションカウンターを使
用して測定した。
【0237】 結果を、図13A及び13Bに示す。図13Aは、C−PAE細胞の増殖に対
する、様々な量のカンスタチンの効果を示すヒストグラムである。チミジン取り
込み(カウント毎分)がy軸上に示されている。x軸上の「0.5%」とは、0
.5%FCS(未刺激)対照であり、「10%」とは、10%FCS(刺激)対
照である。増加する濃度のカンスタチンによる処理は、チミジン取り込みを着実
に減少させた。図13Bは、非内皮細胞786−O(斑点付きのバー)、PC−
3(斜線付きのバー)、及びHEK293(白バー)におけるチミジン取り込み
に対する、増加する量のカンスタチンの効果を示すヒストグラムである。チミジ
ン取り込み(カウント毎分)がy軸に示されており、x軸は、3つの各細胞株に
ついての、0.5%FCS(未刺激)及び10%FCS(刺激)対照、続いて増
加する濃度のカンスタチンを示している。全ての群が三連の試料を表し、バーは
、平均カウント毎分±平均の標準誤差を表している。
【0238】 メチレンブルー染色試験も実施した。前記と同様に、3,100個の細胞を各
ウェルに添加し、処理し、次いで、Oliverら(Oliver,M.H.ら
,1989,J.Cell.Science 92:513−8)の方法を使用
して細胞を計数した。全てのウェルを1×PBS100mlで1回洗浄し、室温
で30分間、10%ホルマリンを含む中性緩衝生理食塩水(Sigma Che
mical Co.,St.Louis,Missouri,USA)100m
lを添加することにより、細胞を固定した。ホルマリンを除去した後、細胞を1
%メチレンブルー(Sigma Chemical Co.,St.Louis
,Missouri,USA)を含む0.01Mホウ酸緩衝液(pH8.5)の
溶液で、室温で30分間、染色した。染色溶液を除去した後、ウェルを0.01
Mホウ酸緩衝液(pH8.5)100mlで5回洗浄した。室温で1時間、0.
1N HCl/エタノール(1:1混合物)100mlを用いて細胞からメチレ
ンブルーを抽出した。メチレンブルー染色の量を、655nm波長の吸光度を使
用して、マイクロプレートリーダー(BioRad,Hercules,Cal
ifornia,USA)上で測定した。
【0239】 結果を、図13C及び13Dに示す。図13Cは、C−PAE細胞による色素
取り込みに対する、増加する量のカンスタチンの効果を示すヒストグラムである
。OD655における吸光度が、y軸上に示されている。「0.1%」とは、0
.1%FCSで処理された(未刺激)対照を表し、「10%」とは、10%FC
Sで処理された(刺激)対照である。残りのバーは、増加する濃度のカンスタチ
ンによる処理を表している。C−PAE細胞においては、約0.625〜1.2
5μg/mlのカンスタチン処理レベルで、色素取り込みが、未刺激細胞におい
て見られるレベルにまで低下した。図13Dは、非内皮細胞HEK293(白バ
ー)及びPC−3(斜線付きのバー)に対する、様々な濃度のカンスタチンの効
果を示すヒストグラムである。OD655における吸光度が、y軸上に示されて
いる。「0.1%」とは、0.1%FCSで処理された(未刺激)対照を表し、
「10%」とは、10%FCSで処理された(刺激)対照である。バーは、1つ
の処理濃度当たり8ウェルについての、655nmにおける相対吸光単位の平均
±標準誤差を表している。
【0240】 10%血清で刺激された内皮細胞の用量依存的な阻害は、およそ0.5μg/
mlのED50値で検出された(図13A及び13C)。40mg/mlまでの
カンスタチン用量において、腎臓癌細胞(786−O)、前立腺癌細胞(PC−
3)、又はヒト胎児腎細胞(HEK293)の増殖に対しては、有意な効果が観
察されなかった(図13B及び13D)。この内皮細胞特異性は、カンスタチン
が特に効果的な抗血管新生剤である可能性が高いことを示している。
【0241】 実施例17:カンスタチンは内皮細胞の遊走を阻害する 血管新生の過程において、内皮細胞は、増殖のみならず、遊走も行う。従って
、内皮細胞の遊走に対するカンスタチンの効果を評価した。FBSにより誘導さ
れる走化性に対するカンスタチン及びエンドスタチンの阻害効果を、ボイデン(
Boyden)チャンバーアッセイ(Neuro−Probe,Inc.,Ca
bin John,Maryland,USA)を使用して、ヒト臍内皮細胞(
HUVEC)において試験した。HUVEC細胞を、10%FBS及び5ng/
ml DiIC18(3)生体蛍光染料(Molecular Probes,
Inc.,Eugene,Oregon,USA)を含有するM199(Lif
e Technologies/Gibco BRL,Gaithersber
g,Maryland,USA)中で一夜増殖させた。細胞をトリプシン処理し
、洗浄し、0.5%FBSを含有するM199で希釈した後、カンスタチン(0
.01又は1.00mg/ml)と共に、又はカンスタチンなしで、60,00
0個の細胞を上方チャンバーのウェルに播種した。2%FBSを含有するM19
9を走化性因子として下方チャンバーに置いた。8μmの孔サイズのポリカーボ
ネートフィルター(Poretics Corp.,Livermore,Ca
lifornia,USA)により、細胞含有画分を、走化性因子から隔離した
。5%CO、95%湿度で、37℃で、4.5時間チャンバーをインキュベー
トした。遊走しなかった細胞を廃棄し、上方ウェルをPBSで洗浄した後、プラ
スチックブレードでフィルターを掻き、4%ホルムアルデヒドを含むPBSで固
定し、グラススライド上に置いた。蛍光高倍率視野を使用して、いくつかの独立
の同種の画像を、Image Processing Software PM
IS(Roper Scientific/Photometrics,Tuc
son,Arizona,USA)で作動するディジタルSenSys(登録商
標)カメラにより記録した。OPTIMIZE6.0ソフトウェア−プログラム
(Media Cybernetics,Rochester,NY)(Kle
mke,R.L.ら,1994,J.Cell.Biol.127:859−6
6)を利用することにより、細胞を計数した。
【0242】 結果を、図14に示す。図14は、無VEGF処理(VEGFも血清も含まな
い)、VEGF処理(1%FCS及び10ng/ml VEGF)細胞、0.0
1カンスタチン処理(1%FCS及び10ng/ml VEGF及び0.01μ
g/mlカンスタチン)、及び1.0μg/mlカンスタチン処理(1%FCS
及び10ng/ml VEGF及び1μg/mlカンスタチン)についての、視
野1個当たりの遊走した内皮細胞の数(y軸)を示す棒グラフである。
【0243】 カンスタチンは、HUVECの遊走を阻害し、10ng/mlで有意な効果が
観察された。内皮細胞の増殖及び遊走の両方を阻害するカンスタチンの能力は、
カンスタチンが血管新生の過程の中の複数の段階で作用することを示唆する。又
は、カンスタチンは、増殖及び遊走の両方に影響を与えることができるであろう
、刺激された内皮細胞に対するアポトーシスシグナルとして機能するのかもしれ
ない。アポトーシスの誘導は、もう一つの抗血管新生分子アンジオスタチンにつ
いて報告されている(O’Reilly,M.S.ら,1994,Cell 7
9:315−28;Lucas,R.ら,1998,Blood 92:473
0−41)。
【0244】 実施例18:カンスタチンは内皮管形成を阻害する カンスタチンの抗血管新生能の最初の試験として、肉腫由来のマウス基底膜タ
ンパク質の固体ゲルであるマトリゲル(Matrigel)における内皮細胞に
よる管形成を抑止する能力に関して、それを評価した。マウス大動脈内皮細胞を
、マトリゲル上で培養した場合、それらは、急速に整列し、中空管様構造を形成
する(Grant,D.S.ら,1994,Pathol.Res.Pract
.190:854−63)。
【0245】 マトリゲル(Collaborative Biomedical Prod
ucts,Bedford,Massachusetts,USA)を、24穴
プレートの各ウェルに添加し(320ml)、重合させた(Grant,D.S
.ら、前記)。25,000個のマウス大動脈内皮細胞(MAE)を含む、抗生
物質を含まないEGM−2(Clonetics Corporation,S
an Diego,California,USA)培地の懸濁液を、マトリゲ
ルでコーティングされた各ウェルへ移した。細胞を、増加する濃度のカンスタチ
ン、BSA、滅菌PBS、又はα5−NC1ドメインのいずれかで処理した。全
てのアッセイを三連で実施した。細胞を37℃で24〜48時間インキュベート
し、CK2 Olympus顕微鏡(3.3接眼レンズ、10×対物レンズ)を
使用して観察した。次いで、細胞を、400DKでコーティングされたTMAX
フィルム(Kodak)を使用して写真撮影した。細胞をdiff−quik固
定液(Sigma Chemical Co.,St.Louis,Misso
uri,USA)を用いて染色し、再度写真撮影した(Grant,D.S.ら
,1994,Pathol.Res.Pract.190:854−63)。1
0個の視野を観察し、管を計数し、平均化した。
【0246】 結果を図15に示す。図15は、BSA(白四角)、カンスタチン(黒四角)
、及びα5NC1(白丸)の様々な処理の下での、対照(PBS処理ウェル)の
管形成に対する比率(%)としての管形成の量(y軸)を示すグラフである。垂
直のバーは、平均の標準誤差を表す。結果は、カンスタチンが対照と比較して内
皮管形成を大きく減少させることを示している。
【0247】 293細胞において産生されたカンスタチンは、用量依存的に内皮管形成を選
択的に阻害し、カンスタチンタンパク質1mgの添加により管形成のほぼ完全な
阻害が見られた(図15)。対照タンパク質である、ウシ血清アルブミン(BS
A)及びIV型コラーゲンα5鎖のNC1ドメインは、いずれも、内皮管形成に
対する効果を有しておらず、このことは、このアッセイにおけるカンスタチンの
阻害効果が、カンスタチンに特異的であり、添加されたタンパク質含有量による
のではないことを証明している。これらの結果は、カンスタチンが抗血管新生剤
であることを示した。
【0248】 実施例19:ERK活性化に対するカンスタチンの効果 カンスタチンの抗増殖活性及び抗遊走活性に関与する分子メカニズムをさらに理
解するため、20%ウシ胎仔血清及び内皮マイトジェンにより誘導されるERK
(細胞外シグナル制御型キナーゼ(Extracellular signal
−Regulated Kinase))に対するカンスタチンの効果を評価し
た。HUVEC細胞を、20%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、
100μg/mlヘパリン、及び50μg/ml内皮マイトジェン(Biome
dical Technologies,Inc.,Cambridge,Ma
ssachusetts,USA)が補足されたマッコイ(MaCoy’s)培
地中で一夜培養した。翌日、細胞を洗浄し、低血清培地(1%ペニシリン/スト
レプトマイシン、100μg/mlヘパリン、及び5%FBSが補足されたマッ
コイ培地)中で4時間増殖させた。4時間後、培地を、20μg/mlカンスタ
チンを含む、又は含まない新鮮な低血清培地と交換した。1時間後、血清濃度を
20%に調整し、内皮マイトジェンを最終濃度50μg/mlまで添加した。0
、5、10、25、及び40分後に、細胞をPBSで洗浄し、受動溶解混合物(
passive lysis mix)(Promega,Madison,W
isconsin,USA)+ロイペプチン、PMSF、NaF、NaVO 、β−グリセロリン酸(glycerophosphate)、及びピロリン酸ナトリウムで溶解さ
せた。溶解物をタンパク質濃度に関して定量し、12%SDS−PAGEゲル上
で分離した。抗ホスホ−ERK抗体(New England Biolabs
,Beverly,Massachusetts,USA)を使用して、血清処
理HUVEC及び血清+カンスタチン処理HUVECについて、ホスホ−ERK
のウェスタンブロットを作製した。HUVECにおけるERKリン酸化は、増殖
因子による刺激後5分以内に認められた。20μg/mlのカンスタチンによる
処理は、ERKの初期の活性化を改変させなかった。ERKリン酸化の減少は、
比較的遅い時点で観察され、そのプロフィールは、いくつかのマイトジェンで観
察された応答(Gupta,K.ら,1999,Exp.Cell.Res.2
47:495−504;Pedram,A.ら,1998,J.Biol.Ch
em.273.26722−26728)と一致していた。これらの観察は、カ
ンスタチンが、VEGF受容体又はbFGF受容体により活性化される近位の(p
roximal)事象を阻害することにより主に作用するのではないことを示している。
【0249】 実施例20:カンスタチンは内皮細胞のアポトーシスを誘導する アネキシンV−FITC標識。カンスタチンの可能性のある作用様式としての
アポトーシスを確立するため、アネキシンV−FITCを使用して、外側へ転移
(externalize)したホスファチジルセリン(PS)を標識し、アポトーシス細胞
を評価した。0.5×10個のC−PAE細胞、PC−3細胞、786−O細
胞、及びHEK293細胞を、10%FBSが補足されたDMEM(BioWh
ittaker,Walkersville,Maryland,USA)中で
、一夜、6穴組織培養プレートの各ウェルに添加した。翌日、40ng/mlの
TNF−α(陽性対照)又は15μg/mlのカンスタチンと共に、新鮮な培地
を全てのウェルに添加した。対照細胞には、等容積のPBSを与えた。24時間
の処理後、脱離した細胞を含有する培地を収集し、付着した細胞をトリプシン処
理し、脱離した細胞と合わせ、3,000×gで遠心分離した。次いで、細胞を
洗浄し、ホスファチジルセリンの外側への転移(初期のアポトーシスの指標)を
、製造業者の指示に従いFITCで標識されたアネキシンV(Clontech
,Palo Alto,California,USA)で標識することにより
測定した。アネキシンV−FITCで標識された細胞を、FACStar Pl
usフローサイトメーター(Becton−Dickenson,Waltha
m,Massachusetts,USA)を使用して計数した。各処理につい
て、15,000個の細胞を計数し、リストモード(listmode)に保存
した。次いで、このデータを標準的なCell Questソフトウェア(Be
cton−Dickenson,Waltham,Massachusetts
,USA)を使用して分析した。
【0250】 カンスタチンは、内皮細胞のアポトーシスを特異的に誘導することが見出され
、PC−3細胞株、786−O細胞株、又はHEK293細胞株に対しては有意
な効果が観察されなかった。 FLIPタンパク質レベル。HUVEC細胞を前記のERKアッセイと同様に処
理し、0、1、3、6、及び24時間後に採集した。血清処理HUVEC細胞及
び血清+カンスタチン処理HUVEC細胞におけるFLIPタンパク質レベルを
、抗FLIP抗体(Sata,M.ら,1998,J.Biol.Chem.2
73:33103−33106)を使用して定量し、ビンキュリンレベルを使用
したタンパク質負荷量に対して規準化し、0時間点に対する比率(%)としてプ
ロットした。
【0251】 結果を図16に示す。図16は、時間(x軸)に対する、t=0において存在
していたタンパク質に対する比率としての、ビンキュリンレベルの関数としての
FLIPタンパク質レベル(y軸)のグラフである。カンスタチン処理の1時間
後、FLIPタンパク質レベルの減少が存在し、それは血清刺激の24時間後ま
で持続し、このことから、カンスタチンのアポトーシス作用が、Fasにより活
性化されるアポトーシス阻害剤FLIPにより媒介される可能性が高いことが示
された。内皮細胞はFas及びFasLの両方を構成性発現しているため(Sa
ta,M.ら、前記)、このFLIPの減少が、カスパーゼ活性化を誘発し、最
終的なアポトーシスシグナルをもたらす可能性は高い。
【0252】 実施例21:カンスタチンはインビボで腫瘍増殖を阻害する ヒト前立腺癌細胞(PC−3細胞)を培養物から採集し、200万個の細胞を
含む滅菌PBSを、7〜9週齢の雄SCIDマウスへ皮下注射した。腫瘍をおよ
そ4週間増殖させ、その後、動物を4匹毎の群に分割した。実験群には、10m
g/kgの用量でカンスタチンを、全容積0.1mlのPBSを用いて、毎日腹
腔内注射した。対照群には、等容積のPBSを毎日与えた。処理開始時(0日目
)、腫瘍の容積は対照マウスについては88mm〜135mm、カンスタチ
ン処理マウスについては108mm〜149mmであった。各群は5匹のマ
ウスを含有していた。特定の日に計算された腫瘍容積を、処理0日目の容積で割
り、腫瘍容積比(V/V)を得た。結果を、図17Aに示す。図17Aは、処
理日数(x軸)に対してプロットされた、腫瘍容積比(y軸)±標準誤差を図示
するグラフである。カンスタチン処理された腫瘍(黒四角)のサイズは、対照(
白四角)と比較して、わずかにしか増加しなかった。
【0253】 第二のPC−3実験においては、PC−3細胞を培養物から採集し、300万
個の細胞を、6〜7週齢の無胸腺ヌードマウスへ注射し、腫瘍をおよそ2週間皮
下で増殖させた後、動物を4匹毎の群に分割した。実験群(4匹)には、3mg
/kgの用量でカンスタチンを、全容積0.2mlのPBSを用いて、又は8m
g/kgで用量のエンドスタチンを、同容積のPBSを用いて、毎日腹腔内注射
した。対照群(4匹)には、等容積のPBSを毎日与えた。腫瘍の長さ及び幅を
Vernierカリパスを使用して測定し、長さ×幅×0.52という標準式
を使用して、腫瘍容積を計算した。腫瘍の容積は26mm〜73mmの範囲
であり、前記と同様に、特定の日に計算された腫瘍容積を、処理0日目の容積で
割り、腫瘍容積比(V/V)を得た。結果を、図17Bに示す。図17Bは、
処理日数(x軸)に対してプロットされた、腫瘍容積比(y軸)±標準誤差を図
示するグラフである。対照(白四角)と比較して、カンスタチン処理された腫瘍
(黒四角)のサイズは、わずかにしか増加せず、結果は、エンドスタチン(白丸
)で達成された結果と比べて勝るとも劣らなかった。
【0254】 腎細胞癌細胞モデルについては、200万個の786−O細胞を、7〜9週齢
の雄無胸腺ヌードマウスへ皮下注射した。腫瘍を、約100mm又は約700
mmのいずれかにまで増殖させた。各群は6匹のマウスを含有していた。カン
スタチンを含む滅菌PBSを、10mg/kgの濃度で、10日間、毎日、腹腔
内注射した。対照群には、同容積のPBSを与えた。結果を、図17C(100
mmの腫瘍)及び15D(700mmの腫瘍)に示す。いずれの群において
も、カンスタチン処理された腫瘍(黒四角)は、対照(白四角)と比較して、実
際、萎縮した。
【0255】 大腸菌において産生されたカンスタチンは、腎細胞癌(786−O)の小さい
腫瘍(100mm、図17C)及び大きい腫瘍(700mm、図17D)の
増殖を、プラセボ処理マウスと比較して、それぞれ4倍及び3倍、阻害した。重
症複合免疫不全(SCID)マウスにおける確立されたヒト前立腺(PC−3)
腫瘍については、カンスタチンは、10mg/kgで、賦形剤のみを注射された
マウスの55%へと(1.8倍少なく)腫瘍容積比を維持した。無胸腺(nu/
nu)マウスにおいて、処理された腫瘍は、プラセボ処理マウスよりも2.4倍
小さかった。腫瘍サイズの減少は、CD−31陽性脈管構造の減少(下記実施例
29参照)と一致していた。無胸腺マウスにおいて、カンスタチン及びエンドス
タチンの両方を比較的低い用量で使用した場合、3mg/kgのカンスタチンは
8mg/kgのエンドスタチンと同一の抑制効果を有し、5mg/kgの用量の
エンドスタチンは腫瘍増殖を抑制することができなかった。全てのインビボ研究
において、マウスは見かけ上健康であり、消耗の徴候はなく、いずれのマウスも
処理中死亡しなかった。
【0256】 実施例22:カンスタチン処理マウスにおけるCD31免疫組織化学 インビボの腫瘍サイズの減少は、これらの腫瘍内の血管形成に対する抑制効果
を示唆している。異種移植腫瘍研究の最後に、マウスを屠殺し、腫瘍を切除した
。腫瘍血管を検出するため、パラフィン包埋された腫瘍切片に対して、抗CD3
1抗体アルカリホスファターゼ結合免疫細胞化学を実施した。除去された腫瘍を
、メスで、およそ3〜4mm厚さのいくつかの切片へと解体し、次いで4%パラ
ホルムアルデヒドで24時間固定した。次いで、組織をPBSへ24時間移した
後、脱水及びパラフィン包埋を行った。パラフィン包埋後、3mmの組織切片を
切り分け、取り付けた。切片を脱パラフィンし、再水和させ、300mg/ml
プロテアーゼXXIV(Sigma Chemical Co.,St.Lou
is,Missouri,USA)で37℃で5分間前処理した。100%エタ
ノール中で消化を中止させた。切片を空気乾燥させ、再水和させ、10%ウサギ
血清でブロッキングした。次いで、スライドを、ラット抗マウスCD31モノク
ローナル抗体(PharMingen,San Diego,Californ
ia,USA)の1:50希釈物と共に4℃で一夜インキュベートした後、ウサ
ギ抗ラット免疫グロブリン(DAKO)及びラットAPAAP(DAKO)の1
:50希釈物と共に、37℃で、それぞれ30分間、連続的にインキュベートし
た。ニューフクシン(new fuchsin)を用いて発色反応を実施した。
切片をヘマトキシリンで対比染色した。
【0257】 カンスタチン処理腫瘍における腫瘍サイズの減少は、CD31陽性脈管構造の
減少と一致していることが見出された。
【0258】 実施例23:大腸菌におけるタムスタチン及びタムスタチン変異体の組換え作製 IV型コラーゲンのNC1ドメインのα3鎖のヌクレオチド配列(配列番号:
9)及びアミノ酸配列(配列番号:10)が、それぞれ図18A及び18Bに示
されている。フォワードプライマー5’−CGG GAT CCA GGT T
TG AAA GGA AAA CGT−3’(配列番号:11)及びリバース
プライマー5’−CCC AAG CTT TCA GTG TCT TTT
CTT CAT−3’(配列番号:12)を使用して、α3NC1(IV)/p
DSベクター(Neilson,E.G.ら,1993,J.Biol.Che
m.268:8402−5;GenBankアクセッション番号M92993(
Quinones,S.ら,1994)、M81379(Turner,N.ら
,1994)、及びX80031(Leionin,A.K.およびMariy
ama,M.ら,1998))から、タムスタチンをコードする配列をPCRに
より増幅した。得られたcDNA断片をBamHI及びHindIIIで消化し
、予め消化されたpET22b(+)(Novagen,Madison,Wi
sconsin,USA)へとライゲートさせた。構築物を図19に示す。ライ
ゲーションは、pelBリーダー配列の下流にインフレームでタムスタチンを配
置し、可溶性タンパク質のペリプラズムへの局在化及び発現を可能にした。アミ
ノ酸MDIGINSD(配列番号:13)をコードするさらなるベクター配列を
タンパク質に付加した。その配列の3’末端を、ポリヒスチジンタグ配列とイン
フレームでライゲートさせた。cDNAの3’末端とhisタグとの間の付加的
なベクター配列は、アミノ酸KLAAALE(配列番号:14)をコードしてい
た。陽性クローンを両鎖について配列決定した。タムスタチンをコードするプラ
スミド構築物を、まず、大腸菌HMS174(Novagen,Madison
,Wisconsin,USA)へ形質転換し、次いで、発現のためBL21(
Novagen,Madison,Wisconsin,USA)へと形質転換
した。一夜細菌培養物を使用して、LB培地(Fisher Scientif
ic,Pittsburgh,Pennsylvania,USA)中の培養物
500mlを接種した。この培養物を、細胞が0.6というOD600に達する
まで、およそ4時間増殖させた。次いで、最終濃度1mMまでのIPTGの添加
によりタンパク質発現を誘導した。2時間の誘導後、5,000×gでの遠心分
離により細胞を採集し、6Mグアニジン、0.1M NaHPO、0.01
M トリス−HCl(pH8.0)への再懸濁により溶解させた。再懸濁した細
胞を短時間超音波処理し、12,000×gで30分間遠心分離した。上清画分
を、5mlのNi−NTAアガロースカラム(Qiagen,Hilden,G
ermany)に毎分2mlのスピードで4〜6回通した。非特異的に結合した
タンパク質を、10mMイミダゾールを含む8M尿素、0.1M NaHPO 、0.01M トリス−HCl(pH8.0)及び25mMイミダゾールを含
む8M尿素、0.1M NaHPO、0.01M トリス−HCl(pH8
.0)の両方で洗浄した。増加する濃度のイミダゾール(50mM、125mM
、及び250mM)を含む8M尿素、0.1M NaHPO、0.01M
トリス−HCl(pH8.0)で、カラムからタムスタチンタンパク質を溶出さ
せた。溶出したタンパク質を4℃でPBSに対して2回透析した。全タンパク質
の一部が、透析中、沈殿した。透析されたタンパク質を収集し、およそ3,50
0×gで遠心分離し、不溶性画分(ペレット)と可溶性画分(上清)へと分離し
た。
【0259】 大腸菌発現タムスタチンは、主に可溶性タンパク質として単離され、SDS−
PAGE解析により31kDaにモノマーのバンドが出現した。付加的な3kD
aが、ポリリンカー配列及びヒスチジンタグ配列より生じた。このバンドを含有
する溶出画分を、以下の実験において使用した。各画分中のタンパク質濃度をB
CAアッセイ(Pierce Chemical Co.,Rockford,
Illinois,USA)、及び走査型濃度計を使用した定量的SDS−PA
GE分析により決定した。非還元条件下で60kDa付近に観察されたタムスタ
チンの二量体を表すバンドは、還元条件下で、31kDaの単一バンドとして分
離された。全タンパク質収量は、1リットル当たりおよそ5mgであった。
【0260】 53個のN末端アミノ酸を欠いている組換え短縮型タムスタチン(タムスタチ
ン−N53)を、他の変異体に関して以前に記載されたようにして(Kallu
ri,R.ら,1996,J.Biol.Chem.271:9062−8)、
大腸菌において作製し、精製した。この変異体は、図20に図示されている。図
20は、α3(IV)NC1モノマー内の短縮されたアミノ酸の位置を示す合成
図である。黒丸は、「タムスタチン−N53」(Kalluri,R.ら,19
96,J.Biol.Chem.271:9062−8)を生成させるため、タ
ムスタチンから欠失させたN末端の53アミノ酸残基に相当する。短いバーによ
り示されたジスルフィド結合は、α1(IV)NC1及びα2(IV)NC1(
Siebold,B.ら,1988,Eur.J.Biochem.176:6
17−24)に存在する場合と同様に配置されている。明確のため、2つの可能
性のあるジスルフィドコンフィギュレーションのうちの一方のみが示されている
【0261】 ヒトα3(IV)NC1に対するウサギ抗体を、以前に記載されたようにして
調製した(Kalluri,R.ら,1997,J.Clin.Invest.
99:2470−8)。モノクローナルラット抗マウスCD31(血小板内皮細
胞接着分子、PECAM−1)抗体は、(PharMingen,San Di
ego,California,USA)より購入した。FITC結合ヤギ抗ラ
ットIgG抗体、FITC結合ヤギ抗ウサギIgG抗体、及び西洋ワサビペルオ
キシダーゼと結合したヤギ抗ウサギIgG抗体は、Sigma Chemica
l Co.(St.Louis,Missouri,USA)より購入した。
【0262】 前記のようにして得られた濃縮された上清を、以前に記載されたようにして(
Kalluri,R.ら,1996,J.Biol.Chem.271:906
2−8)、SDS−PAGE及びイムノブロッティングにより、タムスタチン発
現に関して分析した。一次元SDS−PAGEは、12%分離ゲル及び不連続緩
衝液系を用いて実施した。分離したタンパク質をニトロセルロース膜へ移し、室
温で30分間、2%BSAでブロッキングした。残りの結合部位をブロッキング
した後、膜を洗浄緩衝液で充分に洗浄し、1%BSAを含有するPBSで1:1
000に希釈された一次抗体と共にインキュベートした。インキュベーションは
、振とう器上で一夜室温で実施した。次いで、ブロットを洗浄緩衝液で充分に洗
浄し、振とう器上で、室温で、西洋ワサビペルオキシダーゼと結合した二次抗体
と共に3時間インキュベートした。再び、ブロットを充分に洗浄し、基質(0.
01%塩化コバルト及びニッケルアンモニウムを含有する0.05Mリン酸緩衝
液に含まれたジアミノベンジジン)を添加し、室温で10分間インキュベートし
た。次いで、基質溶液を流し捨て、過酸化水素を含有する基質緩衝液を添加した
。バンドの現像の後、蒸留水で反応を中止させ、ブロットを乾燥させた。31k
Daの単一バンドが見られた。
【0263】 実施例24:293胎児腎細胞におけるタムスタチンの発現 ヒトタムスタチンも、pcDNA3.1真核生物ベクターを使用して、293
胎児腎細胞において分泌可溶性タンパク質として作製した。この組換えタンパク
質を、アフィニティクロマトグラフィを使用して、(精製も検出タグも用いるこ
となく)単離し、SDS−PAGE解析及びイムノブロット分析により主要ピー
ク中に純粋なモノマー型を検出した。
【0264】 α3(IV)NC1を含有するpDSプラスミド(Neilson,E.G.
ら,1993,J.Biol.Chem.268:8402−5)を使用して、
リーダーシグナル配列がpcDNA3.1真核生物発現ベクター(InVitr
ogen,San Diego,California,USA)にインフレー
ムで付加されるよう、タムスタチンをPCR増幅した。全長α3(IV)鎖の5
’末端に由来するリーダー配列をNC1ドメインの5’にクローニングし、培養
培地中へのタンパク質分泌を可能にした。タムスタチン含有組換えベクターを、
両側プライマーを使用して両鎖について配列決定した。エラーを含まないcDN
Aクローンをさらに精製し、タンパク質発現を確認するためのインビトロ翻訳実
験に使用した。タムスタチン含有プラスミド及び対照プラスミドを使用して、塩
化カルシウム法(Sambrook,J.ら,1989,Molecular
Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spr
ing Harbor Laboratory, Cold Spring H
arbor,New York,USA,16.32〜16.40頁)を使用し
て293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトされたクローンをジェ
ネテシン(Life Technologies/Gibco BRL,Gai
thersburg,Maryland,USA)抗生物質処理により選択した
。細胞死が認められなくなるまで、抗生物質の存在下で、クローンを3週間維持
した。クローンをT−225フラスコへと拡大し、コンフルエントになるまで増
殖させた。次いで、上清を収集し、アミコン濃縮器(Amicon,Inc.,
Beverly,Massachusetts,USA)を使用して濃縮した。
濃縮された上清を、SDS−PAGE、イムノブロッティング、及びELISA
により、タムスタチン発現に関して分析した。ELISAにより、強い結合が上
清において検出された。
【0265】 タムスタチン含有上清を、アフィニティクロマトグラフィに供し、抗タムスタ
チン抗体及び抗6−ヒスチジンタグ抗体(Gunwar,S.ら,1991,J
.Biol.Chem.266:15318−24)の両方を用いて免疫検出し
た。タムスタチン抗体と免疫反応性の約31kDaのモノマーを含有する主要な
ピークが同定された。
【0266】 実施例25:タムスタチンは内皮細胞増殖を阻害する 大腸菌により産生された可溶性タンパク質を使用したH−チミジン取り込み
アッセイにより、C−PAE細胞に対するタムスタチンの抗増殖効果を調べた。
細胞株及び培養物。786−O(腎臓明細胞癌系)、PC−3(ヒト前立腺癌細
胞株)、C−PAE(ウシ肺動脈内皮細胞株)、HPE(ヒト一次前立腺内皮細
胞)、HUVEC(ヒト臍静脈内皮細胞)、MAE(マウス大動脈内皮細胞株)
は、全て、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Ty
pe Culture Collection)より入手した。786−O細胞
株及びC−PAE細胞株は、10%ウシ胎仔血清(FCS)が補足された、10
%ウシ胎仔血清(FCS)、100単位/mlのペニシリン、及び100mg/
mlのストレプトマイシンが補足されたDMEM(Life Technolo
gies/Gibco BRL,Gaithersburg,Maryland
,USA)中で維持し、HPE細胞は、ウシ下垂体抽出物及び組換えヒトEGF
(Life Technologies/Gibco BRL,Gaither
sburg,Maryland,USA)が補足されたケラチノサイト−SFM
中で維持し、HUVEC細胞及びMAE細胞はEGM−2(Clonetics
Corporation,San Diego,California,US
A)中で維持した。 増殖アッセイ。C−PAE細胞を、10%FCSを含むDMEM中でコンフルエ
ントまで増殖させ、接触阻害状態を48時間維持した。C−PAE細胞は、2〜
4代目で使用した。786−O細胞及びPC−3細胞は、この実験において、非
内皮対照として使用した。37℃で5分間のトリプシン処理(Life Tec
hnologies/Gibco BRL,Gaithersberg,Mar
yland,USA)により、細胞を採集した。12,500個の細胞を含む、
0.1%FCSを含むDMEMの懸濁液を、10μg/mlフィブロネクチンで
コーティングされた24穴プレートの各ウェルに添加した。細胞を5%CO
95%湿度で、37℃で、24時間インキュベートした。培地を除去し、20%
FCSを含有するDMEMと交換した。未刺激対照細胞は、0.1%FCSと共
にインキュベートした。細胞を、0.01〜10mg/mlの範囲の様々な濃度
のタムスタチンで処理した。処理開始の12時間後に、全てのウェルに、1mキ
ュリーのH−チミジンを与えた。24時間後、培地を除去し、ウェルをPBS
で3回洗浄した。細胞を1N NaOHで抽出し、ScintiVerse I
I(Fisher Scientific,Pittsburgh,Penns
ylvania,USA)溶液4mlを含有するシンチレーションバイアルへ添
加した。チミジン取り込みを、シンチレーションカウンターを使用して測定した
【0267】 メチレンブルー染色法においては、7000個の細胞を96ウェルプレートの
各ウェルに播き、前記と同様に処理した。次いで、Oliverら(Olive
r,M.H.ら,1989,J.Cell.Sci.92:513−8)の方法
を使用して、細胞を計数した。48時間の処理の後、全てのウェルをPBS10
0μlで洗浄し、10%ホルマリンを含む中性緩衝生理食塩水(Sigma C
hemical Co.,St.Louis,Missouri,USA)で細
胞を固定した。次いで、細胞を、1%メチレンブルー(Sigma)を含む0.
01Mホウ酸緩衝液(pH8.5)で染色した。0.01Mホウ酸緩衝液でウェ
ルを洗浄し、0.1N HCl/エタノールを用いて細胞からメチレンブルーを
抽出し、655nmでマイクロプレートリーダー(Bio−Rad,Hercu
les,California,USA)で吸光度を測定した。内毒素を不活化
するため、ポリミキシンB(Sigma)を最終濃度5μg/mlで使用した(
Liu,S.ら,1997,Clin.Biochem.30:455−63)
【0268】 結果を、図21A、21B、及び21Cに示す。これらの図は、様々な濃度の
タムスタチン(x軸)で処理した場合の、C−PAE細胞(図21A)、PC−
3細胞(図21B)、及び786−O細胞(図21C)のH−チミジン取り込
み(y軸)を示すヒストグラムである。全ての群が三連の試料を表す。タムスタ
チンは、20%FCSにより刺激されるH−チミジン取り込みを用量依存的に
阻害し、ED50はおよそ0.01mg/mlであった(図21A)。また、前
立腺癌細胞(PC−3)又は腎臓癌細胞(786−O)では、20mg/mlま
でのタムスタチン用量ですら、有意な抗増殖効果が観察されなかった(図21B
及び21C)。タムスタチン処理(0.1〜10mg/ml)と対照とにおける H−チミジン取り込みの平均値の差は、有意(P<0.05)であった。PC
−3細胞又は786−O細胞をタムスタチンで処理した場合には、阻害効果が観
察されなかった(図21B、21C)。各ヒストグラム(column)は、三連ウェル
の平均±SEを表す。この実験は3回繰り返された。アスタリスク付きのバーは
、有意である(片側スチューデントt検定によりP<0.05)。
【0269】 実施例26:競合増殖アッセイ 前記の内皮細胞増殖アッセイの場合で記載のようにして、C−PAE細胞を、
96ウェルプレートに播いた。最終濃度0.1μg/mlのタムスタチンを、様
々な濃度(0、0.008、0.08、0.8、1.6、及び2.4μg/ml
)のヒトαβタンパク質(CHEMICON International
,Temecula,California,USA)と共に、室温で30分間
インキュベートした。次いで、この混合物をウェルに添加し、48時間インキュ
ベートした。次いで、前記の内皮細胞増殖アッセイの場合で記載のようにして、
メチレンブルー染色法を使用して、増殖アッセイを実施した。
【0270】 結果を図22に示す。図22は、増加する量のαβと組み合わせられた0
.1μg/mlタムスタチンの、C−PAE細胞による色素取り込みに対する効
果を示すヒストグラムである。OD655における吸光度がy軸上に示されてい
る。「0.1%FCS」とは、0.1%FCSで処理された(未刺激)対照を表
し、「20%FCS」とは、20%FCSで処理された(刺激)対照である。残
りのバーは、αβのみの対照、及びタムスタチン+増加する濃度のαβ による処理を表す。各バーは、三連ウェルについての平均±平均の標準誤差を表
す。実験は3回繰り返された。アスタリスクは、片側スチューデントt検定によ
るP<0.05を示している。
【0271】 前記のように、通常、タムスタチンは、用量依存的に細胞増殖を阻害する。し
かしながら、αβインテグリンタンパク質を添加した場合、タムスタチンの
抗増殖効果は、増加する濃度のαβタンパク質により用量依存的に逆転(rev
erse)された。このことは、αβインテグリンタンパク質が、内皮細胞増殖
を阻害するために利用可能なタムスタチンを効率的に「飽和」させたことを示し
ている。αβは、2.4μg/ml(3倍モル過剰)で、タムスタチンによ
り誘導される抗増殖効果を、43.1%、有意に逆転させた。αβのみによ
る処理は、内皮細胞増殖を阻害することができなかった。
【0272】 実施例27:タムスタチンは内皮細胞のアポトーシスを誘導する アネキシンV−FITCアッセイ。アポトーシスの初期の段階においては、原
形質膜の内側表面から外側への膜リン脂質PSの輸送が観察される(van E
ngeland,M.ら,1998,Cytometry 31:1−9;Zh
ang,G.ら,1997,Biotechniques 23:525−53
1;Koopman,G.ら 1994,Blood 84;1415−142
0)。外側へ転移したPSは、天然にPSとの高い結合親和性を有しているアネ
キシンVのFITC結合物による染色により、検出されうる(van Enge
land、前記)。従って、タムスタチンで処理した際の、内皮細胞のアポトー
シスを、アネキシンV−FITC標識を使用して評価した。
【0273】 C−PAE細胞(0.5×10個/ウェル)を含む、10%FCSが補足さ
れたDMEMを、6穴プレートに播いた。翌日、80ng/mlのTNF−α(
陽性対照)又は0.02〜20μg/mlの範囲のタムスタチンのいずれかと共
に、10%FCSを含有する新鮮な培地を添加した。対照細胞には、等容積のP
BSを与えた。18時間の処理後、浮遊細胞を含有する培地を収集し、付着した
細胞をトリプシン処理し、浮遊細胞と共に3,000×gで遠心分離した。次い
で、細胞をPBSで洗浄し、結合緩衝液(10mM HEPES/NaOH(p
H7.4)、140mM NaCl、2.5mM CaCl)へ再懸濁させた
。アネキシンV−FITC(Clontech,Palo Alto,Cali
fornia,USA)を最終濃度150ng/mlまで添加し、細胞を暗所で
10分間インキュベートした。細胞を再びPBSで洗浄し、結合緩衝液へ再懸濁
させた。アネキシンV−FITCで標識された細胞を、FACStar Plu
sフローサイトメーター(Becton−Dickinson,Waltham
,Massachusetts,USA)を使用して計数した。各処理について
、15,000個の細胞を計数し、リストモードに保存した。次いで、このデー
タをCell Questソフトウェア(Becton−Dickinson,
Waltham,Massachusetts,USA)を使用して分析した。
【0274】 タムスタチンは、20μg/mlで、18時間後にアネキシン蛍光ピークの明
確なシフトを示した。蛍光強度のシフトは、20μg/mlのタムスタチンと陽
性対照TNF−α(80ng/ml)とで類似していた。タムスタチンは、2μ
g/mlでも、アネキシン蛍光強度の穏和なシフトを示したが、0.2μg/m
l未満の濃度は、アネキシンV陽性を示さなかった。このピーク強度のシフトは
、非内皮細胞(PC−3)を使用した場合には観察されなかった。
【0275】 タムスタチンは、位相差顕微鏡によりモニタリングされるようにC−PAE細
胞の細胞形態学も改変させた。フィブロネクチンでコーティングされたプレート
上で、10%FCSの存在下で、20μg/mlのタムスタチンで細胞を24時
間処理した後、アポトーシス細胞の典型的な形態学的特徴、膜の小疱形成、細胞
質の萎縮、及び染色質の凝縮が観察できた。対照ウェルにおいては、細胞は無傷
の形態学を示した。 カスパーゼ−3アッセイ。カスパーゼ−3(CPP32)は、アポトーシスの初
期段階で活性化される細胞内プロテアーゼであり、構造タンパク質及びDNA修
復タンパク質を分解することにより細胞の破壊を開始させる(Casciola
−Rosen,L.ら,1996,J.Exp.Med.183:1957−1
964;Salvesen,G.S.ら,1997,Cell 91:443−
446)。標識された基質(DEVD−pNA)から切断される発色団(p−ニ
トロアニリド)の検出により、カスパーゼ−3のプロテアーゼ活性を、分光測光
的に測定した。
【0276】 C−PAE細胞又はPC−3細胞(0.5×10個/ウェル)を含む、10
%FCSが補足されたDMEMを、フィブロネクチン(10μg/ml)で予め
コーティングされた6穴プレートに播き、一夜インキュベートした。翌日、培地
を2%FCSを含有するDMEMと交換し、次いで37℃で一夜インキュベート
した。次いで、細胞を、2%FCSが補足され、TNF−α(80ng/ml、
陽性対照)又はタムスタチン(10μg/ml)のいずれかをも含有するDME
Mに含まれたbFGF(3ng/ml)で刺激し、24時間インキュベートした
。対照にはPBS緩衝液を与えた。24時間後、上清細胞を収集し、付着してい
る細胞をトリプシン処理し、上清細胞と合わせた。細胞を計測し、4×10
/mlの濃度で、細胞溶解緩衝液(Clontech,Palo Alto,C
alifornia,USA)に再懸濁させた。プロトコルの残りは、製造業者
の指示に従った(Clontech,Palo Alto,Californi
a,USA)。カスパーゼ−3の特異的阻害剤、DEVD−fmk(Asp−G
lu−Val−Asp−フルオロメチルケトン)を使用して、アッセイの特異性
を確認した。吸光度は405nmでマイクロプレートリーダー(Bio−Rad
,Hercules,California,USA)で測定した。アッセイは
、各細胞株について3回繰り返された。
【0277】 結果を、図23A及び23Bに示す。これらの図は、様々な処理(x軸)の下
での、C−PAE細胞(図23A)及びPC−3細胞(図23B)についての、
OD405における吸光度の関数としてのカスパーゼ−3活性の量(y軸)を示
す一対のヒストグラムである。各ヒストグラムは、三連ウェルの平均±平均の標
準誤差を表す。
【0278】 対照と比較して、20μg/mlタムスタチンで処理されたC−PAE細胞は
、カスパーゼ−3活性の1.6倍の増加を示し、陽性対照TNF−αはほぼ同等
(1.7倍)の増加を与えた。カスパーゼ−3の特異的阻害剤、DEVD−fm
kは、プロテアーゼ活性をベースラインまで減少させた。このことは、測定され
た活性の増加が、カスパーゼ−3に特異的であったことを示している。非内皮P
C−3細胞においては、対照とタムスタチン処理細胞との間にカスパーゼ−3活
性の差が存在しなかった。
【0279】 実施例28:細胞接着アッセイ インテグリンサブユニットα〜α、β、及びαβインテグリン阻止
抗体の存在下での、タムスタチンでコーティングされたプレートへのHUVEC
の付着を調べた。このアッセイは、Sengerら(Senger,D.R.ら
,1997,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:1361
2−13617)の方法をわずかに修正したものに従い実施した。96ウェルプ
レートを、10μg/mlの濃度のヒトタムスタチン、マウスラミニン−1、又
はヒトIV型コラーゲン(Collaborative Biomedical
Products,Bedford,Massachusetts,USA)
のいずれかで、37℃で、一夜コーティングした。次いで、0.5μg/mlの
濃度のビトロネクチン(Collaborative Biomedical
Products,Bedford,Massachusetts,USA)を
使用してプレートをコーティングした。残留タンパク質結合部位を、100mg
/mlのBSA(Sigma Chemical Co.,St.Louis,
Missouri,USA)を含むPBSで2時間ブロッキングした。HUVE
C細胞をサブコンフルエント(70〜80%)までEGM−2培地中で増殖させ
、穏和にトリプシン処理し、無血清培地に再懸濁させた(1.5×10個/m
l)。細胞をマウスIgG(対照)(Life Technologies/
Gibco BRL,Gaithersberg,Maryland,USA)
又は抗体(ヒトβインテグリンに対するマウスモノクローナル抗体(クローン
P4C10)(Life Technologies/Gibco BRL,G
aithersberg,Maryland,USA);ヒトインテグリンα 〜α(CHEMICON International,Temecula,
California,USA);αβインテグリン(クローンLM609
)(CHEMICON International)に対するモノクローナル
抗体のいずれか10μg/mlと混合し、穏和に撹拌しながら室温で15分間イ
ンキュベートした。次いで、細胞懸濁液100マイクロリットルを各ウェルに添
加し、37℃で45分間インキュベートした。付着していない細胞を洗浄により
除去し、付着した細胞の数を、メチレンブルー染色の後、計数した。前記手順に
従い、C−PAE細胞を、別の実験で使用した。
【0280】 結果を、図24A〜24D、及び図25に示す。図24A、24B、24C、
及び24Dは、インテグリンサブユニットα〜α、β、及びαβイン
テグリン阻止抗体の存在下での、タムスタチン(図24A)、又はIV型コラー
ゲン(図24B)、ビトロネクチン(図24C)、もしくはラミニン−1(図2
4D)の対照でコーティングされたプレートへのHUVEC細胞の結合を示す一
組の4つのヒストグラムである。図25は、タムスタチンでコーティングされた
プレートへのC−PAE細胞の結合を示すヒストグラムである。プレートコーテ
ィングは各グラフの上に示されており、インキュベーションに使用された抗体が
各グラフのx軸上に示されている。BSAでコーティングされたプレートを陰性
対照として使用した。
【0281】 タムスタチンでコーティングされたプレートへのHUVEC細胞の付着は、I
gGでコーティングされた対照プレートと比較して、抗α抗体、抗β抗体、
又は抗αβ抗体により有意に阻止された。細胞付着は、抗β抗体と抗α β抗体とを共に使用した場合、さらに阻害された。対照IgG処理と比較して
、αβ抗体は、細胞付着を80%阻害し、α抗体又はβ抗体は54%阻
止した。α抗体はわずかな阻害(20%)を示したが、サブユニットα〜α に対する抗体は細胞付着を阻止しなかった。αβ抗体とβ抗体とを共に
使用した場合、細胞結合は91%阻止された。
【0282】 タムスタチンでコーティングされたプレートにおいて、HUVEC細胞の代わ
りにC−PAE細胞を使用した場合にも、ほぼ同等の阻害が観察された。IV型
コラーゲン、ビトロネクチン、及びラミニン−1でコーティングされたプレート
も対照とした。αβ及びαβインテグリンはコラーゲンと結合する(E
lices,M.J.ら,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.
USA 86:9906−9910;Ignatius,M.J.ら,1990
,J.Cell.Biol.111:709−720)。IV型コラーゲンでコ
ーティングされたプレートへの細胞結合は、対照IgGと共にインキュベートさ
れた細胞と比較して、α(20%)、α(27%)、及びβ(53%)に
対する抗体により部分的に阻害された。αβインテグリンは、ビトロネクチ
ンの受容体である(Hynes,R.O.ら,1992,Cell 69:11
−25)。ビトロネクチンでコーティングされたプレートへの細胞結合は、α β抗体により61%阻害された。αβ及びαβインテグリンは、ラミ
ニンと結合する(Wayner,E.A.ら,1988,J.Cell.Bio
l.107:1881−1891;Sonnenberg,A.ら,1988,
Nature 336:487−489)。抗α抗体又は抗α抗体は、ラミ
ニン−1でコーティングされたプレートへの内皮細胞の結合を、それぞれ50%
及び89%、阻止した。タムスタチンでコーティングされたプレートへの細胞付
着(図25)は、IgGで処理された対照と比較して、抗β抗体又は抗αβ 抗体により有意に阻害された。抗β抗体と抗αβ抗体とを共に使用した
場合、細胞付着はさらに阻害された。
【0283】 実施例29:タムスタチンは内皮管形成を阻害する マトリゲル(Collaborative Biomedical Prod
ucts,Bedford,Massachusetts,USA)を、24穴
プレートの各ウェルに添加し(320ml)、重合させた(Grant,D.S
.ら,1994,Pathol.Res.Pract.190:854−63)
。25,000個のMAE細胞を含む、抗生物質を含まないEGM−2培地(C
lonetics Corporation,San Diego,Calif
ornia,USA)の懸濁液を、マトリゲルでコーティングされた各ウェルへ
移した(Grant,D.S.ら,1994,Pathol.Res.Prac
t.190:854−63)。細胞を、増加する濃度のタムスタチン、BSA、
又は7Sドメインのいずれかで処理した。対照細胞は、滅菌PBSと共にインキ
ュベートした。全てのアッセイを三連で実施した。細胞を37℃で24〜48時
間インキュベートし、CK2 Olympus顕微鏡(3.3×接眼レンズ、1
0×対物レンズの倍率)を使用して観察した。次いで、細胞を、400DKでコ
ーティングされたTMAXフィルム(Kodak)を使用して写真撮影した。細
胞をdiff−quik固定液(Sigma Chemical Co.,St
.Louis,Missouri,USA)を用いて染色し、再度写真撮影した
(Grant,D.S.ら,1994,Pathol.Res.Pract.1
90:854−63)。実験プロトコルを承知していない2人の研究者により1
0個の視野が観察され、管の数が計数され、そして平均をとった。
【0284】 結果を図26に示す。マウス大動脈内皮細胞を、マウス基底膜タンパク質の固
体ゲルであるマトリゲル上で培養した場合、それらは、急速に整列し、中空管様
構造を形成する(Haralabopoulos,G.C.ら,1994,La
b.Invest.71:575−82)。293細胞において産生されたタム
スタチンは、BSA対照と比較して、MAE細胞における内皮管形成を用量依存
的に有意に阻害した(図26)。1mg/mlのタンパク質による処理後の管形
成の比率(%)は、BSAで98.0±4.0、タムスタチンで14.0±4.
0であった。大腸菌で産生されたタムスタチンを使用しても、類似の結果が得ら
れた。IV型コラーゲンの7Sドメイン(N末端非コラーゲン性ドメイン)は、
内皮管形成に対する効果を有していなかった。タムスタチンによる最大阻害は、
800〜1000ng/mlの間で達成された。タムスタチン処理(黒丸、0.
1〜10mg/ml)と対照(BSA(白四角)、7Sドメイン(白丸))との
平均比率の値の差は、有意であった(P<0.05)。各点は、三連ウェルの平
均±SEを表す。この実験は、3回繰り返された。アスタリスク付きのデータ点
は、有意(片側スチューデントt検定によりP<0.05)であった。良好に形
成された管が、7Sドメイン処理において観察された。0.8mg/mlタムス
タチンにより処理されたMAE細胞は、減少した管形成を示した。
【0285】 新毛細管形成に対するタムスタチンのインビボ効果を評価するため、マトリゲ
ルプラグアッセイを実施した(Passaniti,A.ら,1992,Lab
.Invest.67:519−29)。5〜6週齢の雄C57/BL6マウス
(Jackson Laboratories,Bar Harbor,Mai
ne,USA)を入手した。マトリゲル(Collaborative Bio
medical Products,Bedford,Massachuset
ts,USA)を4℃で一夜解凍させた。C57/BL6マウスへ注射する前に
、20U/mlのヘパリン(Pierce Chemical Co.,Roc
kford,Illinois,USA)、150ng/mlのbFGF(R&
D Systems,Minneapolis,Minnesota,USA)
、及び1mg/mlのタムスタチンと混合した。対照群には、血管新生阻害剤を
与えなかった。マトリゲル混合物を、21ゲージの針を使用して皮下注射した。
14日後、マウスを屠殺し、マトリゲルプラグを除去した。マトリゲルプラグを
4%パラホルムアルデヒド(PBS中)で室温で4時間固定した後、24時間P
BSへと移した。プラグをパラフィン包埋し、切片化し、H&E染色した。切片
を光学顕微鏡により検査し、10個の高倍率視野で血管の数を計数し、平均した
。全ての切片が、暗号化され、実験プロトコルを承知していない病理学者によっ
て観察された。
【0286】 マトリゲルを、大腸菌で産生されたタムスタチンと共に、又は該タムスタチン
なしで、bFGF及びヘパリンの存在下においた場合、1mg/mlタムスタチ
ンの処理により、血管の数の67%の減少が観察された。高倍率視野1個当たり
の血管数は、タムスタチンで2.25±1.32、対照で7.50±2.17で
あった。各ヒストグラムは、1群当たり5〜6匹のマウスの平均±SEを表して
いる。タムスタチン(1mg/ml)は、PBSで処理された対照と比較してイ
ンビボ新血管形成を有意に阻害した。タムスタチン処理動物と対照動物との平均
比率の値の差は、有意であった(P<0.05)。タムスタチン処理は、有意(
片側スチューデントt検定によりP<0.05)であった。
【0287】 実施例30:タムスタチン及びタムスタチン変異体はインビボで腫瘍増殖を阻害
する 500万個のPC−3細胞を採集し、7〜9週齢雄無胸腺ヌードマウスの背部
に皮下注射した。Vernierカリパスを使用して腫瘍を測定し、幅×長さ
×0.52という標準式を使用して、容積を計算した。腫瘍を約100mm
で増殖させ、次いで動物を5又は6匹毎の群に分けた。タムスタチン又はマウス
エンドスタチンを含む滅菌PBSを、各実験群に、10日間毎日腹腔内注射した
(20mg/kg)。対照群には、賦形剤注射(BSA又はPBSのいずれか)
を行った。2又は3日毎に10日間、腫瘍容積を計算した。結果を、図27Aに
示す。図27Aは、PBS対照(白四角)、20mg/kgタムスタチン(黒丸
)、及び20mg/kgエンドスタチン(白丸)についての、処理日数(x軸)
に対する腫瘍容積(mm)(y軸)を示すグラフである。大腸菌において産生
されたタムスタチンは、PC−3ヒト前立腺腫瘍の増殖を有意に阻害した(図2
7A)。20mg/Kgのタムスタチンによる腫瘍増殖の阻害は、20mg/k
gのエンドスタチンによる阻害と類似してした(図27A)。腫瘍増殖に対する
有意な阻害効果が10日目に観察された(対照で202.8±50.0mm
タムスタチンで82.9±−25.2mm、エンドスタチンで68.9±16
.7mm)。タムスタチン又はエンドスタチンの毎日の腹腔内注射は、対照と
比較して、ヒト前立腺癌細胞(PC−3)腫瘍の増殖を阻害した。この実験は、
腫瘍容積が100mm未満であったとき、開始された。
【0288】 マウスにおける他の確立された原発腫瘍に対するタムスタチンの効果も研究し
た。200万個の786−O腎細胞癌細胞を、7〜9週齢雄無胸腺ヌードマウス
の背部に皮下注射した。腫瘍を約600〜約700mmまで増殖させ、次いで
動物を6匹毎の群に分けた。タムスタチンを含む滅菌PBSを、10日間、毎日
腹腔内注射した(6mg/kg)。対照群には、BSA注射を与えた。結果を、
図27Bに示す。図27Bは、PBS対照(白四角)及び6mg/kgタムスタ
チン(黒丸)についての、処理日数(x軸)に対する腫瘍容積(mm)(y軸
)を示すグラフである。大腸菌により産生されたタムスタチンは、6mg/kg
で、BSA対照と比較して、786−Oヒト腎細胞癌の腫瘍増殖を阻害した(図
27B)。腫瘍増殖に対する有意な阻害効果が10日目に観察された(対照で1
096±179.7mm、タムスタチンで619±120.7mm)。タム
スタチンの毎日の腹腔内注射は、対照と比較して、ヒト腎細胞癌(786−O)
の腫瘍増殖を阻害した。この実験は、腫瘍容積が600〜700mmであった
とき、開始された。各点は、1群当たり5〜6匹のマウスの平均±SEを表す。
アスタリスク付きのデータ点は、有意(片側スチューデントt検定によりP<0
.05)であった。
【0289】 IV型コラーゲンのα3鎖のNC1ドメイン(α3(IV)NC1)の一部は
、グッドパスチャー症候群の病原性エピトープである(Butkowski,R
.J.ら,1987,J.Biol.Chem.262:7874−7;Sau
s,J.ら,1988,J.Biol.Chem.263:13374−80;
Kalluri,R.ら,1991,J.Biol.Chem.266:240
18−24)。グッドパスチャー症候群は、肺出血及び/又は急速に進行する糸
球体腎炎を特徴とする自己免役疾患である(Wilson,C.& F.Dix
on,1986,The Kidney,W.B.Sanders Co.,P
hiladelphia,Pennsylvania,USA,800〜89頁
;Hudson,B.G.ら,1993,J.Biol.Chem.268:1
6033−6)。この症候群は、α3(IV)NC1に対する自己抗体の結合に
よる、糸球体及び肺胞の基底膜の破壊により引き起こされる(Wilson,1
986、前記;Hudson,1993、前記)。いくつかのグループが、α3
(IV)上のグッドパスチャー自己抗原の位置をマッピング又は予測することを
試み(Kalluri,R.ら,1995,J.Am.Soc.Nephrol
.6:1178−85;Kalluri,R.ら,1996,J.Biol.C
hem.271:9062−8;Levy,J.B.ら,1997,J.Am.
Soc.Nephrol.8:1698−1705;Kefalides,N.
A.ら,1993,Kidney Int.43:94−100;Quinon
es,S.ら,1992,J.Biol.Chem.267:19780−4(
J.Biol.Chem.269:17358に正誤表(erratum));Netz
er,K.O.ら,1999,J.Biol.Chem.274:11267−
74)、N末端、C末端、及び中央部分の残基がエピトープ位置であることが報
告された。最近、最も可能性の高い疾患関連病原性エピトープがN末端部分の最
初の40アミノ酸の中に同定され(Hellmark,T.ら,1999,Ki
dney Int.55:936−44)、N末端の40個のアミノ酸であるこ
とがさらに確定された。病原性グッドパスチャー自己エピトープに対応するN末
端の53個のアミノ酸を欠く短縮型タムスタチン(タムスタチン−N53)を、
設計した。この変異型タンパク質を以下の実験において使用した。
【0290】 200万個の786−O腎細胞癌細胞を、7〜9週齢雄無胸腺ヌードマウスの
背部に皮下注射した。腫瘍を約100〜150mmのサイズまで増殖させた。
次いで、マウスを5匹毎の群に分け、大腸菌で発現された、53個のN末端アミ
ノ酸を欠く短縮型タムスタチン(Kalluri,R.ら,1996,J.Bi
ol.Chem.271:9062−8)20mg/kgを、10日間、毎日腹
腔内注射した。対照群には、PBS注射を与えた。結果を図28に示す。図28
は、対照マウス(白四角)及びタムスタチン変異体N53で処理されたマウス(
黒丸)についての、処理日数(x軸)に対する腫瘍容積の増加(y軸)を示すグ
ラフである。大腸菌により産生されたタムスタチン−N53は、6mg/kgで
、対照と比較して、4〜10日目に、786−Oヒト腎腫瘍の増殖を有意に阻害
した(10日目:タムスタチン−N53で110.0±29.0mm3、対照で
345.0±24.0mm3)(図28)。各点は、1群当たり5〜6匹のマウ
スの平均±SEを表す。アスタリスク付きのデータ点は、有意(片側スチューデ
ントt検定によりP<0.05)であった。
【0291】 実施例31:α3(IV)NC1及びCD31に関する免疫組織化学的染色 7週齢雄C57/BL6マウス由来の腎臓及び皮膚組織を免疫蛍光顕微鏡検査
による評価のため処理した。組織試料を液体窒素中で凍結させ、4mm厚さの切
片を使用した。組織を、以前に記載されたような間接的免疫蛍光技術(Kall
uri,R.ら,1996,J.Biol.Chem.271:9062−8)
により処理した。凍結切片を、一次抗体、ポリクローナル抗CD31抗体(1:
100希釈)又はポリクローナル抗α3(IV)NC1抗体(1:50希釈)で
染色した後、二次抗体、FITC結合抗ラットIgG抗体又はFITC結合抗ヒ
トIgG抗体により染色した。Olympus蛍光顕微鏡(Tokyo,Jap
an)下で免疫蛍光を調べた。陰性対照は、一次抗体を無関係な免疫前血清と置
換することにより実施した。
【0292】 マウス腎臓において、GBM及び血管基底膜にα3(IV)NC1の発現が観
察された。CD31、PECAM−1の発現は、糸球体内皮及び血管内皮に観察
された。マウス皮膚においては、上皮基底膜及び血管基底膜にはα3(IV)N
C1が存在しなかった。CD31の発現は、皮膚の血管内皮に観察された。CD
31発現は、マウス腎臓において糸球体及び小血管の内皮に観察され、α3(I
V)NC1発現は糸球体基底膜及び糸球体外血管基底膜に観察された。CD31
の発現は、マウス皮膚において真皮(dermal)小血管の内皮に観察された。α3(
IV)NC1発現は、上皮基底膜には存在せず、真皮小血管の基底膜にはほとん
ど観察されなかった。これらの結果は、制限されたタムスタチンの分布の一例を
示している。
【0293】 実施例32:タムスタチンN−53は内皮細胞のアポトーシスを引き起こす タムスタチンN−53のアポトーシス誘発(pro-apoptotic)活性を、C−PA
E細胞において調べた。MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル
)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイ(Sugiyama
,H.ら,1998,Kidney Int.54:1188−1196)によ
り細胞生存度を評価した。このアッセイは、生存細胞の、活性ミトコンドリアに
おいてテトラゾリウム環を開裂する能力に基づく、細胞生存に関する定量的比色
分析である。C−PAE細胞(1ウェル当たり7,000細胞)を含む10%F
CS含有DMEMを、96ウェルプレートに播いた。翌日、TNF−α(陽性対
照、80ng/ml)、又は様々な濃度のタムスタチンもしくはタムスタチンN
−53のいずれかをウェルに添加し、24時間インキュベートした。次いで、M
TT溶液(5mg/ml;CHEMICON International,T
emecula,California,USA)を10μl/ウェルの割合で
ウェルに添加し、37℃で4時間インキュベートした。酸性イソプロパノール(
acid−isopropanol)を添加し、充分に混合した。マイクロプレ
ートリーダー(Bio−Rad,Hercules,California,U
SA)で590nmで吸光度を測定した。
【0294】 結果を図29に示す。図29は、タムスタチン及びタムスタチンN−53の増
加する濃度(x軸)における、細胞生存度(OD590の関数として、y軸)を
示すグラフである。各点は、三連ウェルについての平均±平均の標準誤差を表す
。アスタリスクは、片側スチューデントt検定によるP<0.05を示す。
【0295】 タムスタチンN−53は、用量依存的に細胞生存度を減少させた。5μg/m
lにおいて、タムスタチンN−53は、細胞生存度を対照と比較して49.4%
減少させ、この効果は、陽性対照として使用された80ng/ml TNF−α
とほぼ同等であった。5μg/mlのタムスタチンN−53の49.4%と比較
して、他の実験において、全長タムスタチンは、5μg/mlでわずか22.5
%、10μg/mlで60%、細胞生存度を減少させた。驚くべきことに、タム
スタチンN−53は、5μg/ml又は1μg/mlで、全長タムスタチンより
も(then)大きく、内皮細胞のアポトーシスを誘導する。
【0296】 実施例33:抗血管新生タンパク質の変異体及び断片 アレステン及びカンスタチンの断片及び変異体も、Mariyamaら(19
92,J.Biol.Chem.267:1253−8)のシュードモナス(P
seudomonas)エラスターゼ消化に従い作製した。消化物をゲル濾過H
PLCにより分離し、得られた断片をSDS−PAGEにより分析し、前記の内
皮管アッセイにおいて評価した。これらの断片は、アレスチンの12kDaの断
片、アレステンの8kDaの断片、およびカンスタチンの10kDaの断片を含
んでいた。さらに、タムスタチンの2つの断片(「333」及び「334」)を
、PCRクローニングにより生成させた。
【0297】 図30に示されるように、前記と同様に実施された内皮管アッセイにおいて、
2つのアレステン断片(12kDa(黒四角)及び8kDa(白四角))並びに
カンスタチン断片(19kDa(黒三角))は、アレステン(黒丸)又はカンス
タチン(白丸)よりもはるかに大きい程度に内皮管の形成を阻害した。図31は
、タムスタチン断片、「333」(黒丸)及び「334」(白丸)が、同様に、
タムスタチン(黒三角)より性能が優れていることを示している。ここでは、B
SA(黒四角)及びα6鎖(白四角)を対照とした。
【0298】 実施例34:内皮細胞及びWM−164細胞の増殖に対するタムスタチンの効果 内皮細胞増殖を、前記の実施例25に記載のようにして、H−チミジン取り
込み又はメチレンブルー染色により実施した。C−PAE細胞(2〜4代目)を
コンフルエントまで増殖させ、接触阻害状態を48時間維持した。786−O細
胞、PC−3細胞、及びWM−164細胞を非内皮対照として使用し、前記の実
施例25に記載のようにして培養した。HPE(ヒト一次前立腺上皮細胞)を、
ウシ下垂体及び組換えヒトEGF(Life Technologies/Gi
bco BRL,Gaithersburg,Maryland,USA)が補
足されたケラチノサイト−SFM中で培養した。黒色腫細胞株WM−164は、
Wistar Institute(Philadelphia,Pennsy
lvania,USA)のMeenhard Herlyn博士より得られ、H
erlynら(1990,Adv.Cancer Res.54:213−23
4)により記載されたような、78%MCDB−153培地、10%L−15培
地、10%トリプトース(tryptose)リン酸ブロス、2%FBS、及び50単位/
mlインスリン中で培養した。
【0299】 C−PAE細胞、PC−3細胞、及び786−O細胞におけるH−チミジン
取り込みの結果は、図21A〜Cに示され、前記実施例25に記載されている。
HPE細胞、C−PAE細胞、及びWM−164細胞のメチレンブルー染色は、
図32A、32B、及び32Cに示されている。これらの図は、増加する濃度の
タムスタチン(x軸)の、HPE細胞(図32A)、C−PAE細胞(図32B
)、及びWM−164細胞(図32C)の増殖(y軸)に対する効果を示す一組
の3つのヒストグラムである。結果は、タムスタチンが、FCSにより刺激され
るC−PAE細胞の増殖を用量依存的に阻害することを示している(図21A)
。タムスタチン処理細胞(0.1〜10μg/ml)と対照細胞とのH−チミ
ジン取り込みの平均値の差は、有意(P<0.05)であった。PC−3細胞(
図21B)、786−O細胞(図21C)、HPE細胞(図32A)、及びWM
−164細胞(図32C)は、タムスタチンによる阻害効果を示さなかった。内
毒素を活性化するためにポリミキシンB(5μg/ml)を添加した場合、タム
スタチンの阻害効果は変化しなかった(図32B)。
【0300】 興味深いことに、他者(Hanら,1997,J.Biol.Chem.27
2:20395−20401)がα3(IV)NC1ドメインのアミノ酸185
〜203によるWM−164細胞の阻害を報告しているにもかかわらず、全長タ
ムスタチンは、WM−164細胞の増殖に対する効果を有していなかった。これ
は、領域185〜203の抗腫瘍細胞活性が、全長の折り畳まれたタムスタチン
の一部として存在する場合には、利用可能でないことを示唆している。
【0301】 実施例35:タムスタチン変異体Tum−1、Tum−2、Tum−3、及びT
um−4の組換え作製 α3(IV)NC1ドメインは、インビトロで、黒色腫、及びその他の上皮腫
瘍細胞株と結合し、それらの増殖を阻害することが示されている(Hanら,1
997,J.Biol.Chem.272:20395−20401)。Han
らは、黒色腫細胞との結合部位がα3(IV)NC1ドメインのアミノ酸185
〜203であることを示した。この部位に対するモノクローナル及びポリクロー
ナルの抗体は、黒色腫細胞との接着及び増殖阻害を阻止することができた(Ha
nら、前記)。Hanらは、アミノ酸189〜191内に位置する特異的配列「
SNS」が、黒色腫細胞の接着及び増殖阻害の両方に必要であることも見出した
(Hanら、前記)。これらの研究において、185−203α3(IV)NC
1合成ペプチドは、内皮細胞を含む他の細胞株においては試験されなかった。さ
らに、Hanらは、単離されたヒトα3(IV)NC1ドメインを使用しなかっ
た。
【0302】 4種の組換え欠失変異体を、前記の実施例23及び(Kalluri,R.ら
,1996,J.Biol.Chem.271:9062−8)に記載のように
して、作製し、精製した。Tum−1は、タムスタチンN−53としても知られ
、配列番号:10のC末端の191アミノ酸からなり、N末端の53アミノ酸を
欠いている。Tum−1は、前記実施例23にも記載されている。タムスタチン
333は、タムスタチン(配列番号:10)のN末端のアミノ酸2〜125から
なる。Tum−3は、C末端の112アミノ酸からなる。Tum−4は、アミノ
酸185〜203(Hanら、前記)を含むC末端の64アミノ酸である。これ
らの欠失変異体を、前記の実施例23に記載されたようなpET22b又はpE
T28a(+)発現系(Novagen,Madison,Wisconsin
,USA)を使用して、大腸菌において発現させた。これらの変異体は前記の表
1に例示されている。
【0303】 実施例36:内皮細胞及びWM−164細胞の増殖及びアポトーシスに対するタ
ムスタチン変異体の効果 内皮細胞(C−PAE細胞)及びWM−164黒色腫細胞の増殖を、前記の実
施例25及び34と同様のメチレンブルー染色によりアッセイした。結果を、図
33A及び33Bに示す。これらの図は、増加する濃度(x軸)のタムスタチン
、Tum−1、Tum−2、Tum−3、及びTum−4の、C−PAE細胞(
図33A)及びWM−164細胞(図33B)の相対数(y軸)に対する効果を
示す一対のグラフである。図33Aは、タムスタチン、Tum−1、及びTum
−2が、C−PAE細胞増殖を用量依存的に阻害したことを示している。図33
Bは、WM−164黒色腫細胞株が、Tum−1によってもTum−2によって
も影響されなかったことを示している。しかしながら、Tum−4は、この細胞
株における抗増殖活性を有していた。下記表2に示されるように、タムスタチン
は、15μg/mlでC−PAE細胞増殖を78.5%阻害した。Tum−1及
びTum−2は、C−PAE細胞を、それぞれ65.6%及び73.3%、阻害
した。対照的に、Tum−3及びTum−4は、C−PAE細胞を阻害しなかっ
た。Tum−4のみがWM−164黒色腫細胞を阻害した。50μg/mlのT
um−4は、これらの細胞を46.1%阻害したが、C−PAE細胞は阻害する
ことができなかった。
【0304】
【表2】
【0305】 MTTアッセイを使用して、タムスタチン、Tum−1、Tum−2、Tum
−3、及びTum−4による処理後の、C−PAE内皮細胞及びWM−164黒
色腫細胞の細胞生存度を評価した。結果を、図34A及び34Bに示す。これら
の図は、増加する濃度(x軸)のタムスタチン、Tum−1、Tum−2、Tu
m−3、及びTum−4の、C−PAE細胞(図34A)及びWM−164細胞
(図34B)の細胞生存度(y軸)に対する効果を示す一対のグラフである。各
点は、三連ウェルの平均+/−平均の標準誤差を表す。図34Aは、Tum−1
が細胞生存度を用量依存的に減少させることを示している。1及び5μg/ml
の用量で、Tum−1の、細胞生存度を減少させる効果は、タムスタチンよりも
有意に高かった。Tum−4は、WM−164黒色腫細胞の生存率を減少させた
唯一の欠失変異体であった(図34B)。
【0306】 前記の実施例27に記載されたようにして、カスパーゼ−3活性を測定するこ
とにより、アポトーシスも評価した。結果を、図35に示す。図35は、5μg
/mlのTum−1、Tum−2、Tum−3、もしくはTum−4、又は80
ng/mlのTNF−α、又はPBS緩衝液(対照)で処理されたC−PAE細
胞(x軸)の、OD405における吸光度の測定値としてのカスパーゼ−3活性
(y軸)を示すヒストグラムである。Tum−1及びTum−2は、C−PAE
細胞におけるカスパーゼ−3活性を増加させたが、Tum−3及びTum−4は
増加させなかった。
【0307】 実施例37:内皮細胞上のαβインテグリンへのタムスタチン変異体の結合 タムスタチン欠失変異体でコーティングされたプレートへのC−PAE細胞の
付着を決定するため、細胞接着アッセイを前記と同様に実施した(例えば、実施
例28参照)。Tum−4に対するウサギ抗体は、以前に記載されたようにして
調製した(Kalluriら,1997,J.Clin.Invest.99:
2470−2478)。西洋ワサビペルオキシダーゼと結合したヤギ抗ウサギI
gG抗体は、Sigma Chemical Company(St.Loui
s,Missouri,USA)より購入した。結果を、図36A、36B、及
び36Cに示す。これらの図は、対照IgG、αβ、αβ、及びBSA
の存在下での、Tum−1(図36A)、Tum−2(図36B)、及びTum
−4(図36C)でコーティングされたプレートへのC−PAE細胞の結合率(
y軸)を示す一組の3つのヒストグラムである。Tum−1でコーティングされ
たプレート(図36A)は、αβ結合部位のみならず、以前に報告された(
Shahanら,1999,Cancer Res.59:4584−4590
)αβ結合部位も阻止するため、抗Tum−4抗体(1:200希釈)でも
処理した。
【0308】 αβ抗体は、C−PAE細胞のTum−1、Tum−2、又はTum−4
への付着を、それぞれ55.9%、69.8%、及び62.6%、阻害した。T
um−1、Tum−2、又はTum−4でコーティングされたプレートへのC−
PAE細胞の結合は、αβ抗体によっては阻害されなかった。(アミノ酸2
09〜244と結合する)抗Tum−4抗体を添加した場合ですら、αβ
体は、C−PAE細胞のTum−1への付着を阻害した(図36A)。
【0309】 タムスタチン、Tum−1、Tum−2、及びTum−4は、図37に示され
るように、WM−164細胞とも結合する。図37は、PBS、タムスタチン、
Tum−1、Tum−2、Tum−4、又はBSA(x軸)でコーティングされ
たプレートと付着したWM−164細胞についての、OD655における吸光度
(y軸)によるメチレンブルー染色のレベルを示すヒストグラムである。タムス
タチン及び3つの欠失変異体全てが、WM−164黒色腫細胞のプレートへの付
着を増強させた。
【0310】 実施例38:タムスタチン欠失変異体の活性の逆転 Tum−1による内皮細胞増殖の阻害が、抗Tum−4抗体により取り消され
うるか否かを決定するため、前記の実施例26に記載のようにして、競合増殖ア
ッセイを実施した。αβインテグリン結合部位を少なくとも部分的に阻止す
ることを目的として、Tum−1を抗Tum−4抗体と共にプレインキュベート
した。次いで、それを内皮細胞増殖アッセイにおいて使用した。
【0311】 結果を、図38A及び38Bに示す。これらの図は、抗Tum−4抗体(1:
100、1:200、1:500希釈)(x軸)と共にプレインキュベートされ
た1.5μg/mlのTum−1(図38A)又はTum−2(図38B)で処
理されたC−PAE細胞の増殖(y軸)を示すヒストグラムである。各ヒストグ
ラムは、三連ウェルについての平均±平均の標準誤差を表す。実験は、3回繰り
返された。アスタリスクは、片側スチューデントt検定によるP<0.05を示
す。
【0312】 Tum−1の抗増殖効果は、抗Tum−4抗体又は対照ウサギIgGと共にプ
レインキュベートされた場合でも改変されなかった(図38A)。同様に、Tu
m−2の抗増殖効果も、抗Tum−4抗体又は対照ウサギIgGのプレインキュ
ベーションにより影響されなかった(図38B)。
【0313】 次いで、インテグリンαβを、タムスタチンおよびTum−2の抗増殖効
果を逆転させる能力について検討した。タムスタチンおよびTum−2を、α βタンパク質と共に30分間インキュベートし、96ウェルプレートへと播か
れたC−PAE細胞へと添加し、増殖培地と共に一夜インキュベートした。48
時間のインキュベーションの後、メチレンブルー染色により細胞数を決定した。
図22に示され、実施例26に記載されたように、タムスタチンの抗増殖効果は
、増加する用量のαβ可溶性タンパク質により用量依存的に逆転され、2.
4μg/ml(タムスタチンに対し3倍モル過剰)で、αβはタムスタチン
の抗増殖効果を有意に回復させた(43.1%)。αβタンパク質のみによ
る処理は、内皮細胞増殖を阻害しなかった。図38Cに示されるように、Tum
−2の抗増殖効果は、増加する用量のαβ可溶性タンパク質により用量依存
的に逆転され、2μg/mlのαβタンパク質により、Tum−2の抗増殖
効果は、74.1%と有意に回復した。
【0314】 次いで、黒色腫細胞に対するTum−4の抗増殖効果を打ち消す能力に関して
、αβを試験した。タムスタチンおよびTum−4を、αβインテグリ
ンタンパク質と共に室温で30分間プレインキュベートし、次いで96ウェルプ
レートで増殖させたWM−164細胞へと添加した。48時間のインキュベーシ
ョンの後、メチレンブルー染色により細胞数の増加を決定した。結果を、図38
D及び38Eに示す。タムスタチンはWM−164細胞に対する効果を有してい
なかった。Tum−4の抗増殖効果は、増加する用量のαβ可溶性タンパク
質により用量依存的に逆転された。αβタンパク質は、2μg/mlで、T
um−4により誘導される抗増殖効果を76.7%有意に回復させた。αβ タンパク質のみによる処理は、黒色腫細胞増殖を阻害しなかった。
【0315】 タムスタチンの増殖効果を、エンドスタチン及び抗αβ抗体の効果と比較
した。等モル量のタムスタチン及び抗αβインテグリン抗体を、C−PAE
細胞に添加した。結果を、図39に示す。図39は、y軸上の相対細胞数に対し
、タムスタチン、エンドスタチン、抗αβ抗体、及びIgG(対照)の濃度
をx軸上に示しているグラフである。各点は、三連ウェルの平均±平均の標準誤
差を表す。実験は、3回繰り返された。アスタリスクは、片側スチューデントt
検定によるP<0.05を示す。増加する量の抗αβ抗体は、内皮細胞増殖
を阻害せず、タムスタチン及びエンドスタチンは、内皮細胞増殖の用量依存的阻
害を示した。
【0316】 実施例39:カンスタチンの欠失変異体 カンスタチン欠失変異体を、前記の実施例23及び35と同様にして、構築し
た。Can−1は、全長カンスタチン(配列番号:6)のN末端の114アミノ
酸からなり、Can−2は、C末端の113アミノ酸からなる。これら2つの変
異体を、それぞれpET22b及びpET28aにクローニングし、タンパク質
発現のためBL21細胞(Novagen,Madison,Wisconsi
n,USA)へとシャトル(shuttled)した。タンパク質を発現クローンから容
易に作製し、ベクターへ取り込まれたポリヒスチジンタグを使用して、Ni−T
Aカラムで精製した。増加する濃度のイミダゾールを用いてタンパク質をカラム
から溶出させ、次いでPBSに対して透析した。透析中に溶液から沈降したタン
パク質を不溶性と呼び、溶液中に留まったものを可溶性画分と呼んだ。可溶性画
分を濃縮し、滅菌濾過し、−20℃で保存した。不溶性タンパク質は、PBSに
再懸濁させ、−20℃で保存した。
【0317】 増殖アッセイのため、カンスタチン、Can−1、及びCan−2可溶性タン
パク質(0.1〜20.0μg/ml)を増殖C−PAE細胞の増殖培地中へ添
加し、5ng/ml bFGF及び3ng/ml VEGFに加え、10%FB
Sを含むDMEMでも刺激した。結果を、図40に示す。図40は、増加する濃
度のカンスタチン(黒ひし形)、Can−1(黒四角)、及びCan−2(黒三
角)(x軸)の、C−PAE細胞の相対細胞数(y軸)に対する効果を示すグラ
フである。各濃度の各タンパク質を四つ組で試験した。ウシ血清アルブミン(B
SA)を対照処理として使用した。内毒素の干渉を抑えるため、ポリミキシンB
を使用したが、培地へポリミキシンBを添加したアッセイと、添加しなかったア
ッセイとで、差は見出されなかった。細胞を48時間増殖させ、次いで固定し、
染色し、Bio−Radプレートリーダー(Bio−Rad,Hercules
,California,USA)で密度を読み取った。カンスタチン及びCa
n−1は、いずれも細胞数(%)の用量依存的な減少を引き起こし、いずれも5
μg/ml以上の濃度で80%細胞数を減少させた。Can−2は、10μg/
mlを超える濃度で細胞数(%)のわずかな減少を示し、最高濃度(20μg/
ml)で、Can−2は33%増殖を阻害した。
【0318】 ApoAlertキット(CLONTECH,Palo Alto,Cali
fornia,USA)を使用したアネキシンV−FITCアッセイにより、ア
ポトーシスを測定した。ヨウ化プロピジウムを使用して、アポトーシス以外の手
段で死滅した細胞の核を染色した。カンスタチン、Can−1、及びCan−2
は、全て、1μg/mlを超える濃度で、内皮細胞のアポトーシスを誘導した。
1μg/ml未満の濃度では、Can−1によるアポトーシス誘導が最も強力で
あった。
【0319】 2μg/ml又は20μg/mlいずれかの不溶性タンパク質、50ng/m
l VEGF、及び20U/mlヘパリンを含有するマトリゲル0.5mlをC
57/BL6マウスの両側腹へ同時に注射する、インビボマトリゲルプラグアッ
セイにより、抗血管新生活性を測定した。プラグを14日間マウス体内に放置し
た後、マウスを屠殺し、プラグを切除し、固定した。プラグを包埋し、切片化し
、H&E染色した。試料を盲検化し、血管を定量した。2つのタンパク質濃度間
に、血管数の差は見出されなかったため、6つ全ての計数値を平均化しプロット
した。
【0320】 結果を、図41に示す。図41は、PBS(対照)、カンスタチン、Can−
1、及びCan−2による処理についての、プラグ1個当たりの平均血管数(y
軸)を示すヒストグラムである。カンスタチン又はCan−1で処理されたプラ
グは、PBS又はCan−2で処理されたプラグと比較して、有意に少ない血管
を示した。
【0321】 実施例40:タムスタチンの合成断片の活性 タムスタチンのペプチド断片:タムスタチンのアミノ酸54〜132の領域を
Tum−5と名付けた。ペプチドT1、T2、T3、T4、T5、及びT6を合
成した。T2、T3、T4、T5、及びT6は部分的に重複しており、Tum−
5内に位置している。タムスタチン内のこれらのペプチドの位置を、図42及び
下記表3に示す。
【0322】
【表3】
【0323】 抗増殖活性:内皮細胞(C−PAE細胞)に対するペプチドT2、T3、T4、
T5、及びT6の抗増殖活性を調査した。結果を、図43Aに示す。図43Aは
、10μg/mlのT2、T3、T4、T5、及びT6(x軸)による内皮細胞
増殖の阻害(y軸)を示すヒストグラムである。対照は、未刺激の細胞、及び2
0%FCSで刺激された細胞である。ペプチドT3が、内皮細胞の増殖を有意に
(p<0.05)阻害することが見出され、その阻害は、図43Bに示されるよ
うに用量依存的であった。図43Bは、0.1、1.0、及び10.0μg/m
lのペプチドT3(x軸)で処理した場合の、C−PAE細胞増殖の阻害(y軸
)を示すヒストグラムである。
【0324】 ペプチドT3の抗増殖効果を逆転させる能力に関して、インテグリンαβ を検討した。T3ペプチドを0、0.001、0.01、0.1、0.5、又は
1.0μg/mlのαβインテグリンタンパク質(CHEMICON In
ternational,Temecula,California,USA)
と共に、室温で、30分間インキュベートし、次いで、20μg/mlの最終濃
度で、増殖培地中で96ウェルプレート内で増殖させたC−PAE細胞に添加し
た。48時間のさらなるインキュベーションの後、メチレンブルーアッセイによ
り細胞数を決定した。結果を、図43Cに示す。図43Cは、様々な濃度(x軸
)のαβインテグリンと共にプレインキュベートされたT3ペプチドで処理
した場合の、C−PAE細胞の増殖(y軸)を示すヒストグラムである。ペプチ
ドT3の抗増殖効果は、αβインテグリンタンパク質とのプレインキュベー
ションにより有意に減少した。αβインテグリン自体は、増殖を阻害しなか
った(対照)。 アポトーシス活性:前記の実施例32及び36に記載されたようなMTTアッセ
イを使用して、ペプチドT2、T3、T4、T5、及びT6(10μg/ml濃
度)を、C−PAE細胞の生存率に対する効果に関して試験した。結果を、図4
3Dに示す。図43Dは、OD595で測定された細胞生存度(y軸)及び合成
ペプチドによる処理(x軸)を示すヒストグラムである。ペプチドT3は、Tu
m−5由来の他のペプチドと比較して、細胞生存度を有意に減少させることが見
出された。TNF−α(100ng/ml)を、内皮細胞アポトーシス誘導にお
ける陽性対照として使用した。 細胞接着活性。内皮細胞を使用した細胞付着を、前記と同様に実施した。HUV
EC細胞又はC−PAE細胞をモノクローナル抗ヒトインテグリン抗体、対照マ
ウスIgG(10μg/ml)、又は合成ペプチドと共にインキュベートし、予
めコーティングされた96ウェルプレートに播き、OD655におけるメチレン
ブルー染色の測定を使用して、プレートに付着している細胞の数を決定した。図
44Aは、BSA(対照)、抗体なし(対照)、マウスIgG(対照)、及びα βインテグリン抗体の存在下での、Tum−5ペプチド(10μg/ml)
でコーティングされたプレートへのHUVEC細胞の結合を示している。細胞付
着は、抗αβインテグリン抗体により有意に阻害された。対照マウスIgG
は、細胞付着の阻害を示さなかった。図44Bは、10μg/mlの組換えTu
m−5ペプチドでコーティングされた96ウェルプレートへのC−PAE細胞の
付着を示すヒストグラムである。これらのプレートへのC−PAE細胞の付着は
、RGDペプチドとのインキュベーションにより阻害されず、これらの内皮細胞
のTum−5との結合がRGD非依存性であることが示された。CNGRCペプ
チドを対照として使用した。
【0325】 次いで、Tum−5でコーティングされたプレートへのC−PAE細胞の付着
に対する、合成ペプチドT2、T3、T4、T5、及びT6の効果を試験した。
結果を、図44Cに示す。図44Cは、Tum−5でコーティングされ、2.5
μg/mlのT2、T3、T4、T5、又はT6ペプチドで処理された96ウェ
ルプレート、又はTum−4でコーティングされ、T3で処理されたプレート(
x軸)へのC−PAE細胞の結合(y軸)を示すヒストグラムである。PBS処
理を対照とした。Tum−5でコーティングされたプレートへの細胞付着は、T
3ペプチドにより有意に阻害され、T3が内皮細胞とTum−5との相互作用を
担っていることが示された。その他の合成ペプチドは、この効果を示さず、T3
はTum−4ペプチドでコーティングされたプレートへの内皮細胞の付着は阻害
することができなかった。図44Dのヒストグラムは、様々な濃度のT3ペプチ
ド(x軸)の、Tum−5でコーティングされたプレートへのC−PAE細胞の
結合(y軸)に対する効果を示している。PBS処理を対照とした。T3ペプチ
ドは、Tum−5でコーティングされたプレートへの内皮細胞の付着を、用量依
存的に阻害することが見出された。
【0326】 ペプチドでコーティングされたプレートへの内皮細胞の付着は、図44Eに示
されるように、T3ペプチドについてはαβインテグリンによってのみ阻害
され、内皮細胞とペプチドT3との相互作用がαβインテグリンにより媒介
されることが示された。図44Fは、T3ペプチドでコーティングされたプレー
トへのC−PAE細胞の付着が、抗β3インテグリン抗体とのプレインキュベー
ションにより阻害されたことを示している。しかしながら、抗αインテグリン
抗体又は抗βインテグリン抗体は、T3でコーティングされたプレートへの細
胞付着を阻害しなかった。図44Gは、2.5μg/mlビトロネクチンでコー
ティングされたプレートへのC−PAE細胞の結合が、T3ペプチドとのインキ
ュベーションにより阻害されなかったことを示しており、これにより、T3が、
ビトロネクチン結合には使用されないαβインテグリン上の別のドメインと
結合することが示された。細胞とT6ペプチドとのインキュベーションも、付着
を阻害しなかった。
【0327】 実施例41:タムスタチンの欠失変異体の活性 タムスタチンの欠失断片を細菌発現ベクターへとクローニングし、発現させ、
ニッケルクロマトグラフィを使用して精製し、次いで、インビトロの抗血管新生
活性及び関連する活性に関して分析した。タンパク質調製物からの夾雑内毒素の
除去を確実にするため、特に努力した。全長タムスタチン、タムスタチン−N5
3、及び2つのさらなる欠失変異体(Tum−2C及びTum−KE)を作製し
、試験した。欠失変異体を、内皮細胞増殖、細胞周期進行、アポトーシス、及び
内皮管形成に関して試験した。分子の内皮細胞特異性を証明するため、活性タム
スタチン断片の非内皮細胞に対する効果も分析した。これらの活性は、下記表4
に要約されている。
【0328】
【表4】
【0329】 タムスタチン−N53は、これらのアッセイにおいて最も活性が高いことが見
出された。インビトロにおいて、タムスタチン−N53は、10%ウシ胎仔血清
(FBS)の存在下で、内皮細胞アポトーシスを誘導し、内皮細胞における細胞
周期進行を阻害した。IC50は、両活性に関して約5μg/mlであり、エン
ドスタチンは、20μg/mlを越える濃度で、これらの同一アッセイにおいて
活性を示さなかった。
【0330】 タムスタチン−N53を細胞付着アッセイにおいても使用した。タムスタチン
−N53(10μg/ml)は、96ウェルプレートへコーティングされた場合
、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)付着を支持した。図45に示されるように
、αβインテグリン及びβインテグリンに対する抗体は、HUVECと共
にプレインキュベートされた場合、この付着を阻害したが、αに対する抗体は
阻害しなかった。従って、タムスタチン−N53は、αβインテグリン及び
βインテグリンを介して、その抗血管新生効果を発揮するのかもしれない。こ
れは、前記実施例28に記載されたような全長タムスタチンで見られた結果と一
致している。
【0331】 タムスタチン−N53は、新血管形成に関するマトリゲルプラグアッセイにお
いても血管新生を阻害する。タムスタチン−N53は、PC3前立腺異種移植モ
デル及びMDA−MB435乳癌正所性モデルの両方における実質的な抗腫瘍活
性も示す。タムスタチン−N53(1キログラム当たり5mg又は20mg)を
1日2回投与した。これらの最後の2つのアッセイの結果を、図46及び47に
示す。図46は、賦形剤(対照、白丸)、1日当たり1kg当たり5mgのタム
スタチン−N53(白四角)、又は1日当たり1kg当たり20mgのタムスタ
チン−N53(白ひし形)で処理された腫瘍についての、15日間(x軸)のP
C3前立腺腫瘍の平均腫瘍容積(mm)(y軸)を示すグラフである。図47
は、賦形剤(対照、白丸)、1日当たり1kg当たり20mgのタムスタチン−
N53(白四角)、又は1日当たり1kg当たり5mgのタムスタチン−N53
(白ひし形)で処理された腫瘍についての、22日間(x軸)のMDA−MB4
35乳癌腫瘍の平均腫瘍容積(mm)(y軸)を示すグラフである。1日当た
り1kg当たり5mgの用量と20mgの用量は、ほぼ同等の抗腫瘍活性を示し
たため、より低い用量を使用しても、有意な抗腫瘍活性を達成することが可能で
ある。
【0332】 第二のグッドパスチャーエピトープGPBが、タムスタチン−N53内のある
領域(全長タムスタチンのアミノ酸140〜153)に最近マッピングされた。
従って、この領域を除去し、さらなる欠失変異体を作製した。変異体タムスタチ
ン−45−132(全長タムスタチンのアミノ酸45〜132)は、高レベルの
発現を示し、タムスタチン−N53よりも低い用量で、細胞周期進行を阻害する
。これは、図48に示されている。図48は、PBS(対照)、緩衝液(対照)
、20μg/mlタムスタチン−N53、10μg/mlタムスタチン−45−
132、及び5μg/mlタムスタチン−45−132(x軸)で処理した場合
の、S期のC−PAE細胞の比率(%)(y軸)を示すヒストグラムである。タ
ムスタチン−45−132は、HUVEC細胞付着も支持し、αβインテグ
リン及びβインテグリンに対する抗体により阻害される。これは、図49に示
されている。図49は、PBS(対照)、αβインテグリン抗体、βイン
テグリン抗体、αインテグリン抗体、及びBSA(対照)の存在下での、タム
スタチン−45−132でコーティングされた(20μg/ml)プレートへの
HUVEC細胞の付着(OD595、y軸)(y軸)を示すヒストグラムである
。従って、タムスタチンの抗血管新生活性は、アミノ酸45〜132の領域内に
存在する可能性が高い。これらの断片のさらなる欠失変異体、例えば(全長タム
スタチンの)6番目のシステイン残基を欠失させたタムスタチン−45−132
の断片も、これらの方法に従い作製されうる。
【0333】 実施例42 タムスタチン−45−132及びTum−5−126−C−Aの発
現及び精製 全長タムスタチンのアミノ酸45〜132からなるタムスタチン−45−13
2を、C末端6ヒスチジンタグとの融合タンパク質として、発現プラスミドpE
T28aを使用して大腸菌において発現させた。大腸菌で発現されたタンパク質
は、再折り畳み及びSDS−PAGE分析の後、主に12kDaの可溶性タンパ
ク質として単離された。タムスタチン−45−132は、抗ポリヒスチジンタグ
抗体により免疫検出可能であった。付加的な9アミノ酸(全長タムスタチンの残
基45〜54)は、タンパク質発現効率及び可溶性を増強するために、Tum−
5に付加された。低い(50EU/mg未満)内毒素レベルを有する可溶性タン
パク質のみを、さらなる実験に使用した。
【0334】 組換えタムスタチン−45−132を、前記と同様に、酵母ピキア・パストリ
ス(Pichia pastoris)においても発現させた。タンパク質がC
末端6ヒスチジンタグと融合するよう、ベクターpPICZαAを使用してタム
スタチン−45−132をサブクローニングした。
【0335】 Tum−5−125−C−A(配列番号:34)は、タムスタチン−45−1
32の分泌を増強するため、(全長タムスタチンの)残基126のシステインか
らアラニンへの部位特異的突然変異誘発により作製した。それを大腸菌において
発現させたところ、抗ポリヒスチジンタグ抗体を使用したウェスタンブロッティ
ングにより同一分子量サイズで検出された。
【0336】 グッドパスチャー症候群は、α3(IV)NC1に対する自己抗体活性と関連
した免疫傷害による、糸球体及び肺胞の基底膜の破壊により引き起こされる、肺
出血及び/又は急速に進行する糸球体腎炎を特徴とする自己免疫疾患である。最
近、最も確率の高い疾患関連病原性エピトープがN末端部分に同定され(Kal
luri,R.ら,1996,J.Biol.Chem.271:9062−8
;Hellmark,T.ら,1999,Kidney Int.55:938
−44)、次いでN末端の40アミノ酸内にさらに確定された(Hellmar
k,T.ら,1999,J.Biol.Chem.274:25862−8;N
etzer,K.O.ら,1999,J.Biol.Chem.274:112
67−74)。N末端タムスタチン−45−132は、グッドパスチャー自己エ
ピトープの外にあるタムスタチンの残基45〜132からなる。タムスタチン−
45−132がグッドパスチャー自己抗体により検出されないであろうことをさ
らに確認するため、グッドパスチャー患者由来の抗血清をウェスタンブロッティ
ングのため使用した。この抗血清は、293細胞で発現された全長タムスタチン
を高感度に検出したが、大腸菌で発現されたタムスタチン−45−132及びピ
キアで発現されたTum−5−126−C−Aは検出することができなかった。
このことは、タムスタチン−45−132及びTum−5−126−C−Aが、
グッドパスチャー自己エピトープを含有していないことを示しており、これらの
組換えタンパク質が、ヒトへの投与時にこの自己免役疾患を誘導する可能性は排
除される。
【0337】 実施例43 タムスタチン−45−132及びTum−5−126−C−Aの活
性 タムスタチン−45−132を、内皮細胞増殖、細胞周期(G/S)停止、
及び細胞生存度に対する効果に関して調査した。
【0338】 タムスタチン−45−132のC−PAE細胞に対する抗増殖効果は、Brd
U取り込みアッセイにより調査した。このアッセイは、チミジンアナログとして
H]チミジンの代わりにブロモデオキシウリジン(BrdU)を使用する。
BrdUは、活発に増殖中の細胞において新たに合成されるDNA鎖に取り込ま
れる。次いで、細胞へと取り込まれたBrdUは、免疫化学的に検出されうる。
アッセイは、製造業者の指示をいくつか修飾したものに従い、BrdU増殖アッ
セイキット(CalbioChem,SanDiego,California
,USA)を使用して実施した。C−PAE細胞を含む、10%FCSを含有す
るDMEMを、96ウェルプレートに播いた。翌日、培地を、大腸菌で発現され
たタムスタチン−45−132又は293細胞で発現された全長タムスタチンを
含む、又は含まない、2%FCSを含有するDMEMと交換した。次いで、プレ
ートを46時間インキュベートし、次いで細胞を10nM BrdUで2時間パ
ルス処理した。次いで、細胞及びDNAをウェルに固定化し、抗BrdU一次抗
体及び二次抗体と反応させ、次いでキットと共に供給された比色反応により現像
した。次いで、プレートリーダー(Molecular Dynamics,S
unnyvale,California,USA)上でOD450でプレート
を読み取った。
【0339】 細胞周期に対するタムスタチン−45−132及びTum−5−126−C−
Aの効果は、前記実施例4と同様にアッセイした。簡単に説明すると、接触阻害
により、48時間、C−PAE細胞の増殖を停止させた。次いで、1ウェル当た
り10個の細胞を採集し、フィブロネクチンを含む5%FCS、及び組換えタ
ムスタチン−45−132又はTum−5−126−C−Aのいずれかでコーテ
ィングされた12穴プレートに播いた。21時間後、細胞を採集し、70%氷冷
エタノールで固定した。固定された細胞を、2%FCS及び0.1%Tween
−20を含有するPBS中で室温で30分間再水和させ、遠心分離し、同緩衝液
0.5mlに再懸濁させた。RNase(5μg/ml)消化を37℃で1時間
行った後、ヨウ化プロピジウム(5μg/ml)で染色した。次いで、EPIC
S XL−MCLフローサイトメーター(Beckman−Coulter I
nstruments,Fullerton,California,USA)
を使用して、細胞を計数した。
【0340】 細胞生存度は、前記と同様のMTTアッセイにより測定した。
【0341】 図50〜52に示されるように、タムスタチン−45−132は、内皮細胞の
増殖を特異的に阻害し(図50A及び50B)、細胞周期停止を誘導し(図51
)、細胞生存度を減少させる(図52A、52B、52Cおよび52D)。
【0342】 図50Aは、0、0.125、0.25、0.5、1.0、又は2.0μMの
濃度(x軸)の、大腸菌発現タムスタチン−45−132(黒バー)又は293
細胞発現全長タムスタチン(白バー)で処理されたC−PAE細胞を用いたBr
dUアッセイによりOD450で測定された細胞増殖(y軸)を示すヒストグラ
ムである。タムスタチン−45−132及び全長タムスタチンの両方が、C−P
AE細胞におけるBrdUの取り込みを用量依存的に減少させた。図50Bは、
0、0.1、1.0、5.0、及び10.0μg/mlの濃度(x軸)のピキア
発現タムスタチン−45−132で処理されたC−PAE細胞を用いた、メチレ
ンブルー染色によりOD655で測定された細胞増殖(y軸)を示すヒストグラ
ムである。未刺激C−PAE細胞を対照とした。タムスタチン−45−132は
、20%FCSで刺激されたC−PAE細胞を用量依存的に阻害し、ED50
5μg/mlであった。対照処理(0μg/ml)とタムスタチン−45−13
2処理(5及び10μg/ml)との間の差は、有意(片側スチューデントt検
定によりP<0.05)であった。対照ヒト黒色腫細胞(MW−164細胞)を
使用した場合、タムスタチン−45−132の抗増殖効果は観察されなかった。
【0343】 図51は、増殖期内皮細胞のG停止を示すヒストグラムである。増殖停止さ
れた接触阻害された細胞において、細胞の5.8%が0時点でS期にあった。細
胞を5%FCSで21時間刺激した場合、S期の細胞の比率(%)が21.5%
へと3.7倍増加した。タムスタチン−45−132による処理は、S期の細胞
の比率(%)を6.0%へと減少させた。この効果は用量依存的であり、S期の
細胞の比率(%)は、1μg/mlタムスタチン−45−132で19.3%、
10μg/mlタムスタチン−45−132で11.3%であった。もう一つの
実験において、G/G期の細胞の比率(%)は、5%FCSで処理された対
照群において最も低く、タムスタチン−45−132による処理により上昇した
。これらの結果は、タムスタチン−45−132による処理が、増殖期内皮細胞
における細胞周期停止を引き起こすことを示している。Tum−5−126−C
−Aによる処理は、タムスタチン−45−132による処理と等価な結果を示し
た。
【0344】 図52A、52B、52C、及び52Dは、タムスタチン−45−132及び
Tum−5−126−C−Aの細胞生存度に対する効果を示す一組の4つのヒス
トグラムである。図52Aは、0、3、6、12、25、及び50μg/ml(
x軸)のタムスタチン−45−132(黒バー)及びアルキル化され還元された
タムスタチン−45−132(白バー)で処理されたC−PAE細胞に関する、
MTTアッセイにおいてOD562において測定された細胞生存度(y軸)を示
している。タムスタチン−45−132は、細胞生存度を用量依存的に有意に減
少させ、ED50は12μg/mlであった。還元型アルキル化タムスタチン−
45−132の、C−PAE細胞の細胞生存度を減少させる効果は、未処理タム
スタチン−45−132の効果と類似していた。従って、タムスタチン−45−
132の抗血管新生効果は、システイン残基間のジスルフィド結合に由来するコ
ンフォメーションには依存していない。
【0345】 Tum−5−126−C−Aは、図52Bに示されるように、タムスタチン−
45−132の効果と類似の細胞生存度に対する効果を示した。図52Bは、0
、3、6、12、25、及び50μg/ml(x軸)のTum−5−126−C
−Aで処理されたC−PAE細胞についての、MTTアッセイにおいてOD56 で測定された細胞生存度(y軸)を示している。
【0346】 タムスタチン−45−132及びTum−5−126−C−AのC−PAE細
胞の細胞生存度に対する効果は、図52C及び52Dに示されるように、対照の
PC−3細胞及びDU−145細胞には見られなかった。図52Cは、0、3、
6、12、25、及び50μg/ml(x軸)のタムスタチン−45−132で
処理されたPC−3細胞についての、MTTアッセイにおいてOD562で測定
された細胞生存度(y軸)を示している。図52Dは、0、3、6、12、25
、及び50μg/ml(x軸)のタムスタチン−45−132で処理されたDU
−145細胞についての、MTTアッセイにおいてOD562で測定された細胞
生存度(y軸)を示している。従って、タムスタチン−45−132の活性は、
内皮細胞に特異的である。
【0347】 実施例44 内皮細胞に対するタムスタチン−45−132の効果 以下のアッセイにより示されるように、タムスタチン−45−132は、内皮
細胞アポトーシスを誘導し、内皮管形成を阻害することが見出された。
【0348】 タムスタチン−45−132は、アネキシンV−FITCアッセイにより示さ
れるように、内皮細胞アポトーシスを誘導することが見出された。アッセイは、
C−PAE細胞をタムスタチン−45−132で18時間処理することにより、
前記と同様に実施した。対照細胞にはPBSを与えた。タムスタチン−45−1
32は、5μg/mlで、対照TNF−αと比較して蛍光強度ピークの明確なシ
フトを誘導した。
【0349】 カスパーゼ−3活性も、前記と同様にアッセイした。特異的カスパーゼ−3阻
害剤であるDEVD−fmkを、タムスタチン−45−132の特異性を示すた
めの内部対照として使用した。TNF−α(80ng/ml)を陽性対照として
使用した。実験は3回繰り返された。
【0350】 結果を、図53に示す。図53は、対照、対照+DEVD−fmk、TNF−
α、TNF−α+DEVD−fmk、タムスタチン−45−132(1μg/m
l及び10μg/ml)、及びタムスタチン−45−132(10μg/ml)
+DEVD−fmk(x軸)のカスパーゼ−3活性(OD405において測定、
y軸)を示すヒストグラムである。10μg/mlの大腸菌で発現されたタムス
タチン−45−132でC−PAE細胞を処理することにより、カスパーゼ−3
活性の4.5倍の増加が観察された。陽性対照TNF−αも、4.5倍の増加を
与えた。特異的カスパーゼ−3阻害剤であるDEVD−fmkは、基線レベルの
プロテアーゼ活性を減少させ、このことから、測定された活性の増加がカスパー
ゼ−3に特異的であることが示された。この増加した活性は、タムスタチン−4
5−132によりPC−3細胞を処理することによっては観察されなかった。
【0351】 タムスタチン−45−132は、マトリゲルアッセイにより示されるように内
皮管形成を阻害することも見出された。マトリゲルアッセイは、前記実施例に記
載のようにして実施した。簡単に説明すると、5μg/mlの大腸菌発現タムス
タチン−45−132と共に又は無しでインキュベートされたマトリゲルでコー
ティングされたプレート上で、HUVECに管を形成させた。BSAで処理され
た細胞及び酵母発現ヒトエンドスタチン(5及び20μg/ml)を対照として
使用した。タムスタチン−45−132は、内皮管形成を、用量依存的に、対照
と比較して有意に阻害した。処理後の平均管分岐形成率(%)は、BSA処理で
22.7±3.1、タムスタチン−45−132処理で2.1±2.0であり、
エンドスタチンは、5μg/ml及び20μg/mlで、それぞれ19.4±3
.0及び7.5±6.0という平均を与えた。タムスタチン−45−132は、
5μg/mlで、対照と比較して有意に内皮管形成を減少させた。ヒトエンドス
タチンは、20μg/mlですら、5μg/mlのタムスタチン−45−132
よりも低い阻害効果を示した。
【0352】 実施例45 タムスタチン−45−132の結合活性 細胞付着アッセイを実施したところ、タムスタチン−45−132が内皮細胞
上のαβインテグリン及びβインテグリンと結合すること、並びにその結
合が「RGD」ペプチド配列に依存していないことが示された。
【0353】 前記と同様に、細胞付着アッセイを実施した。簡単に説明すると、96ウェル
プレートを、10μg/mlのタムスタチン−45−132又は0.5〜2.5
μg/mlのビトロネクチン(Collaborative Biomedic
al Products,Bedford,Massachusetts,US
A)のいずれかで一夜コーティングした。プレートをBSAでブロッキングし、
HUVEC細胞又はC−PAE細胞を、10μg/mlの抗体又は合成ペプチド
(合成ペプチドCDCRGDCFC(配列番号:35)又は合成対照ペプチドC
NGRC(配列番号:36))のいずれかと共に15分間インキュベートした。
細胞をプレートに添加し、37℃で45分間インキュベートした。次いで、プレ
ートを洗浄し、付着した細胞の数をメチレンブルー染色により決定した。
【0354】 大腸菌で発現されたタムスタチン−45−132でコーティングされたプレー
トへのHUVEC細胞の付着は、αβインテグリン及びβインテグリンに
対する抗体により有意に阻害された。αβインテグリン抗体、βインテグ
リン抗体は、対照として使用されたマウスIgGと比較して、それぞれ47.1
%及び47.5%、細胞付着を阻害した。C−PAE細胞はほぼ同等の阻害を示
した。
【0355】 合成ペプチドCDCRGDCFCは、5μg/mlで、ビトロネクチンでコー
ティングされたプレートへの内皮細胞の付着を阻害した。対照ペプチドCNGR
Cは、そのような阻害を示さなかった。しかしながら、細胞を1.0又は10.
0μg/mlのCDCRGDCFCペプチドと共にインキュベートした場合、大
腸菌発現タムスタチン−45−132でコーティングされたプレートへのC−P
AE細胞の付着は阻害されず、タムスタチン−45−132が、内皮細胞上のα βインテグリン受容体上の、以前に記載されたRGD結合部位(Arap,
W.ら,1998,Science 279:377−80)とは異なる別の部
位と結合することが示唆された。CNGRC対照ペプチドは、タムスタチン−4
5−132でコーティングされたプレートへの細胞の付着も阻害しなかった。
【0356】 可溶性αβインテグリンタンパク質は、タムスタチン−45−132の抗
増殖効果を逆転させた。これは、前記の実施例26と同様の競合増殖アッセイに
より示された。ビトロネクチンでコーティングされたプレートをαβ可溶性
タンパク質と共にインキュベートし、次いで細胞付着アッセイを実施した。可溶
性αβタンパク質は、1μg/ml及び2μg/mlで、コーティングされ
たプレートへのC−PAE細胞の付着を有意に阻害した。次いで、大腸菌発現タ
ムスタチン−45−132を、αβインテグリンタンパク質と共に30分間
インキュベートし、次いで20%FCSと共にC−PAE細胞へと添加した。4
8時間後、メチレンブルー染色により細胞増殖を決定した。タムスタチン−45
−132の抗増殖効果は、増加する濃度のαβ可溶性タンパク質により用量
依存的に逆転された。1μg/mlで、αβタンパク質は、タムスタチン−
45−132により誘導される抗増殖効果を65.9%有意に逆転させた。タム
スタチン−45−132なしのαβタンパク質自体による処理は、内皮細胞
増殖を阻害せず、タムスタチン−45−132の抗血管新生活性が、内皮細胞表
面上のαβインテグリンとの結合により媒介されることがさらに示された。
【0357】 タムスタチン−45−132の内皮細胞表面との結合をさらに証明するため、
ビオチン化されたタムスタチン−45−132を細胞表面標識に使用した。組換
え大腸菌発現タムスタチン−45−132を、スルホ−NHS−LC−ビオチン
(Pierce Chemical Co.,Rockford,Illono
is,USA)を使用してビオチン化した。タムスタチン−45−132を含む
、10%DMSO及び5%D−マンニトールを含有する緩衝液を、12M過剰の
スルホ−NHS−LC−ビオチンと共に4℃で一夜インキュベートした。このイ
ンキュベーション中、ビオチン化タムスタチン−45−132が、溶液から沈殿
した。沈殿物を蒸留水で2回洗浄し、DMSOに再懸濁させ、次いで蒸留水と1
:1で混合し、およそ4mg/mlの最終濃度を得た。ビオチン化タムスタチン
−45−132を、4℃で保存した。
【0358】 細胞表面標識のため、サブコンフルエントのHUVEC細胞を、軽いトリプシ
ン処理によりEDTAを使用してフラスコから除去し、次いで2%BSAを含有
するDMEMで2回洗浄した。次いで、細胞をDMEM/BSAに再懸濁させ、
ビオチン標識されたタムスタチン−45−132、又はタムスタチン−45−1
32なしの偽ビオチン反応の産物のいずれかと共に4℃で1時間インキュベート
した。次いで、DMEM/BSAで細胞を2回洗浄し、次いでストレプトアビジ
ン−FITC(「Neutravidin−FITC」,Pierce Che
mical Co.,Rockford,Illinois,USA)と共に4
℃で30分間インキュベートした。次いで、Nikon Eclipse E6
00蛍光顕微鏡で試料を観察し、フローサイトメトリーにより分析した。
【0359】 タムスタチン−45−132と間接的に結合したFITCが、懸濁液中のHU
VEC細胞の表面上に検出され、蛍光は付着後の細胞表面上に比較的小さい斑点
状パターンで広範に分布していた。細胞を、ビオチン化タムスタチン−45−1
32の代わりに遊離ビオチンと共にインキュベートした場合、細胞表面上には有
意な蛍光が検出されなかった。FITC陽性細胞、即ちタムスタチン−45−1
32と結合した細胞の数は、ビオチン化タムスタチン−45−132の濃度が増
加するにつれ用量依存的に増加し、タムスタチン−45−132が内皮細胞の表
面と結合することが示された。
【0360】 実施例46 血管新生及び腫瘍増殖に対するタムスタチン−45−132の効果 新毛細管形成に対するタムスタチン−45−132のインビボ効果を評価する
ため、マトリゲルプラグアッセイを実施した。6日間の処理後、形成された新血
管の数は、5μg/mlの大腸菌発現タムスタチン−45−132による処理に
より、PBS処理対照と比較して91%減少した。全長タムスタチンのN末端の
53アミノ酸を欠くTum−1も試験したところ、それは、新血管形成を95%
減少させた。(3〜4個のマトリゲルプラグの)平均血管数は、Tum−1処理
プラグで0.47±0.16、タムスタチン−45−132処理プラグで0.8
0±0.16、PBS処理対照で8.81±0.35であった。
【0361】 タムスタチン−45−132を、腫瘍増殖を抑制する能力に関しても試験した
。5〜6週齢、約25gの雄無胸腺ヌードNCRNUマウスに、およそ2×10 個のPC−3(前立腺癌)細胞を背側皮下へと移植した。Vernierカリ
パスを使用して腫瘍を測定し、標準式(幅×長さ×0.52)を使用して腫瘍
の容積を計算した。腫瘍を約50mmにまで増殖させ、次いで6匹の群へと動
物のペアマッチングを行った。タンパク質又は賦形剤(PBS、対照)の初回用
量を、ペアマッチングの日(1日目)に与えた。タムスタチン−45−132、
Tum−5−126−C−A、又はヒトエンドスタチンを含む滅菌PBSを、1
〜20mg/kgの範囲の用量で、20日間、毎日1日2回腹腔内注射した。対
照動物にはPBS賦形剤の注射を与えた。1つの処理においては、外科的に埋め
込まれたAlzetミニポンプを使用して、タムスタチン−45−132の連続
的な皮下輸送を行った。1日目から開始して、マウスを週2回計量し、腫瘍測定
を行った。推定された平均腫瘍容積を計算し、21日目に、マウスを計量し、屠
殺し、それらの腫瘍を切除し、光学顕微鏡及びCD31免疫染色により調査した
。対照腫瘍の平均重量で割った、処理された腫瘍の平均重量を、1から差し引き
、百分率で表し、各群についての腫瘍増殖阻害を得た。
【0362】 結果を、図54に示す。図54は、賦形剤(対照、白四角)、1mg/kgタ
ムスタチン−45−132(黒ひし形)、1mg/kg Tum−5−126−
C−A(黒丸)、20mg/kgエンドスタチン(白丸)、及びミニポンプ投与
タムスタチン−45−132(1mg/kg、白三角)による処理の、0、5、
10、15、及び20日目(x軸)における、V/V(平均腫瘍容積/初期腫
瘍容積)としての腫瘍容積比(y軸)を示す線グラフである。重量変化により判
断されるように、タンパク質処理による毒性は見られなかった。タムスタチン−
45−132及びTum−5−126−C−Aの両方が、PC−3細胞の増殖を
有意に阻害した。賦形剤注射対照群と比較して、ヒトタムスタチン−45−13
2は、1mg/kgで、74.1%(p=0.02)の腫瘍増殖阻害を有し、T
um−5−126−C−Aは92.0%(p=0.001)の腫瘍増殖阻害を有
していた。Alzetミニポンプを介したタムスタチン−45−132の連続輸
送(24時間で1mg/kg)も、70.1%の有意な腫瘍増殖阻害を示した(
p=0.03)。20mg/kgの用量(1日2回、ボーラス注射)で輸送され
たエンドスタチンは、賦形剤処理対照群と比較して、有意な腫瘍増殖阻害を示さ
なかった。
【0363】 CD31免疫染色を使用して、標準的なストレプトアビジン−ビオチン−ペル
オキシダーゼ検出系(Vectastain ABC Elite Kit,V
ector Labs,Burlingame,California,USA
)と共にラット抗マウスVD31モノクローナル抗体(PharMingen,
San Diego,California,USA)を使用して、PC−3腫
瘍異種移植片の凍結組織学的切片における腫瘍内微小血管密度(MVD)を決定
した。内因性ペルオキシダーゼ活性を1%H2O2/メタノールを使用して30
分間ブロッキングし、次いでスライドをプロテイナーゼKと共に室温で30分間
インキュベートすることにより抗原修復に供した。切片を5%正常ヤギ血清/P
BS+0.1%TWEEN−20でブロッキングした後、抗マウスCD31抗体
を0.1%TWEEN−20を含有するPBSで1:20に希釈し、2時間イン
キュベートした。正常ラットIgGを陰性対照として使用した。イムノペルオキ
シダーゼ染色を、Vectastain ABC Elite試薬キットを使用
して実施した。切片をメチルグリーン(methyl green)で対比染色
した。低倍率で腫瘍をスキャンし、次いで最大数の明確な微小血管を含有してい
る腫瘍周縁部の3つの範囲を同定し、次いで個々の微小血管を40×視野で計数
することにより、MVDを評価した。平均微小血管密度を、処理群間で比較し、
スチューデントt検定を使用して分析した。
【0364】 タムスタチン−45−132腹腔内注射は、賦形剤注射対照群と比較して、P
C−3異種移植片における微小血管密度を有意に阻害した。低倍率(40×)視
野1個当たりのCD31陽性血管の数は、タムスタチン−45−132処理の6
.33±0.54に対し、対照では9.44±1.05であった(p=0.04
7)。Tum−5−126−C−A又はミニポンプ投与タムスタチン−45−1
32で処理された群は、平均血管密度の類似の減少を示した。
【0365】 全ての参照、特許、及び特許出願が、参照により完全に本明細書に組み込まれ
る。好ましい実施態様を参照しつつ本発明を具体的に示し説明したが、添付の特
許請求の範囲において定義されるような本発明の精神及び範囲から逸脱すること
なく、形式及び詳細を様々に変化させうることが、当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aおよび図1Bは、ヒトIV型コラーゲンのα1鎖のヌクレオチド配列(
図1A、配列番号:1)およびアミノ酸配列(図1B、配列番号:2)を示す図
である。pET22b(+)のフォワードプライマー(配列番号:3)およびリ
バースプライマー(配列番号:4)の位置が二重下線によって示され、そしてp
PICZαAのフォワードプライマー(配列番号:15)およびリバースプライ
マー(配列番号:16)の位置が一本下線によって示される。
【図2】 図2は、アレステンのクローニングベクターpET22b(+)を表す概略図
である。フォワードプライマー(配列番号:3)およびリバースプライマー(配
列番号:4)ならびにアレステンのクローン化部位が示されている。
【図3】 図3Aおよび図3Bは、内皮細胞(C−PAE)の増殖を指標とするH−チ
ミジン取り込み(y軸)に対するアレステン(図3A、0μg/ml〜10μg
/ml:x軸)およびエンドスタチン(図3B、0μg/ml〜10μg/ml
:x軸)の作用を示す1組の線グラフである。
【図4】 図4A、図4B、図4Cおよび図4Dは、内皮細胞の増殖を指標とするH−
チミジン取り込み(y軸)に対するアレステンおよびエンドスタチンの作用を示
す4つの棒グラフの1組である。図4A、図4Bおよび図4Cは、それぞれ、7
86−O細胞、PC−3細胞、HPEC細胞に対するアレステン(0μg/ml
〜50μg/ml(図4Aおよび図4B)および0μg/ml〜10μg/ml
(図4C))の作用を示す。図4Dは、A−498細胞に対する0.1〜10μ
g/mlのエンドスタチンの作用を示す。
【図5】 図5A、図5Bおよび図5Cは、ヒト臍帯内皮(ECV−304)細胞におけ
るFBS誘導による走化性を介する内皮細胞の遊走に対するアレステン(2μg
/ml、図5B)およびエンドスタチン(20μg/ml、図5C)の作用を示
す4枚の顕微鏡写真の1組である。図5Aは未処置の対照細胞を示す。
【図6】 図6は、図5の結果をグラフ化して示す棒グラフである。図6は、ECV−3
04内皮細胞の遊走に対するアレステン(2μg/mlまたは20μg/ml)
およびエンドスタチン(2.5μg/mlまたは20μg/ml)のいずれかの
作用を示す。
【図7】 図7は、内皮細胞管形成に対するアレステンの作用を示す線グラフである。管
形成の割合がy軸に示され、阻害剤の濃度がx軸に示される。処置は下記の通り
であった:無処置(対照、黒ひし形)、BSA(対照、白三角)、7Sドメイン
(対照、X)およびアレステン(黒四角)。
【図8】 図8Aおよび図8Bは、対照(図8A)に対する、内皮細胞管形成におけるア
レステン(0.8μg/ml、図8B)の作用を示す1組の顕微鏡写真である。
【図9】 図9A、図9B、図9Cおよび図9Dは、インビボでの腫瘍成長に対するアレ
ステンおよびエンドスタチンの作用を示す4つの線グラフの1組である。図9A
は、10mg/kgのアレステンで処置されたマウス(白四角)、BSAで処置
されたマウス(+)および対照マウス(黒丸)について700mmからの腫瘍
容積の増大を示すグラフである。図9Bは、10mg/kgのアレステンで処置
された腫瘍(白四角)およびBSAで処置された腫瘍(+)について100mm からの腫瘍容積の増大を示す。図9Cは、10mg/kgのアレステンで処置
されたマウス(白四角)、エンドスタチンで処置されたマウス(黒三角)および
対照マウス(黒丸)について約100mmからの腫瘍容積の増大を示す。図9
Dは、対照(黒四角)に対する、アレステン(白四角)で処置されたときの20
0mmの腫瘍に対する増大を示す。
【図10】 図10Aおよび図10Bは、C−PAE細胞(図10A)およびPC−3細胞
(図10B)について様々な処置(x軸)におけるOD405での吸光度を関数
とするカスパーゼ−3活性の量(y軸)を示す1組のヒストグラムである。それ
ぞれの棒は、三連ウェルの平均+/−平均の標準誤差を表す。
【図11】 図11Aおよび図11Bは、ヒトIV型コラーゲンのα2鎖のヌクレオチド配
列(図11A、配列番号:5)およびアミノ酸配列(図11B、配列番号:6)
を示す図である。pET22b(+)のフォワードプライマー(配列番号:7)
およびリバースプライマー(配列番号:8)の位置が二重下線によって示され、
そしてpPICZαAのフォワードプライマー(配列番号:17)およびリバー
スプライマー(配列番号:18)の位置が一本下線によって示される。
【図12】 図12は、カンスタチンのクローニングベクターpET22b(+)を表す概
略図である。フォワードプライマー(配列番号:7)およびリバースプライマー
(配列番号:8)ならびにカンスタチンのクローン化部位が示されている。
【図13】 図13A、図13B、図13Cおよび図13Dは、内皮(C−PAE)細胞(
図13Aおよび図13C)および非内皮(786−O、PC−3およびHEK2
93)細胞(図13Bおよび図13D)の増殖に対する、カンスタチンの濃度(
x軸)を変化させたときの作用を示すヒストグラムである。増殖は、H−チミ
ジン取り込み(図13Aおよび図13B)およびメチレンブルー染色(図13C
および図13D)の関数として測定された。
【図14】 図14は、無VEGF(無VEGFまたは血清)細胞およびVEGF(1%F
CSおよび10ng/ml VEGF)細胞の処置、ならびに0.01カンスタ
チン(1%FCSおよび10ng/ml VEGFおよび0.01μg/mlカ
ンスタチン)および1.0μg/mlカンスタチン(1%FCSおよび10ng
/ml VEGFおよび1μg/mlカンスタチン)の処置について視野あたり
の遊走した内皮細胞の数(y軸)を示す棒グラフである。
【図15】 図15は、BSA(白四角)、カンスタチン(黒四角)およびα5NC1(白
丸)の様々な処置における内皮細胞管形成の量を対照(PBS処置ウェル)の管
形成の百分率(y軸)として示す線グラフである。垂直な棒は平均の標準誤差を
表す。
【図16】 図16は、時間(x軸)に対する、t=0において存在するタンパク質の割合
としてビンキュリンのレベルを関数とするFLIP(FLICE阻害タンパク質
、すなわち、FADD様インターロイキン−1β変換酵素阻害タンパク質)レベ
ル(y軸)のグラフである。
【図17】 図17A、図17B、図17Cおよび図17Dは、処置日数(x軸)に対して
プロットされた腫瘍容積比(y軸、図17Aおよび図17B)またはmm単位
の腫瘍容積(y軸、図17Cおよび図17D)について、カンスタチン(黒四角
)、エンドスタチン(白丸)および対照(白四角)のPC−3細胞(図17Aお
よび図17B)および786−O細胞(図17Cおよび図17D)に対する作用
を示す線グラフである。
【図18】 図18Aおよび図18Bは、ヒトIV型コラーゲンのα3鎖のヌクレオチド配
列(図18A、配列番号:9)およびアミノ酸配列(図18B、配列番号:10
)を示す図である。pET22b(+)のフォワードプライマー(配列番号:1
1)およびリバースプライマー(配列番号:12)の位置が二重下線によって示
される。「タムスタチン333」(配列番号:20)および「タムスタチン33
4」(配列番号:21)の断片の開始部および終了部もまた示されている(「 」=タムスタチン333;「+」=タムスタチン334)。
【図19】 図19は、タムスタチンのクローニングベクターpET22b(+)を表す概
略図である。フォワードプライマー(配列番号:11)およびリバースプライマ
ー(配列番号:12)ならびにタムスタチンのクローン化部位が示されている。
【図20】 図20は、タムスタチン変異体のタムスタチンN−53(Tum−1)におい
てα3(IV)NC1モノマー内の除かれたアミノ酸の位置を示す概略図である
。黒丸は、この変異体を作製するためにタムスタチンから欠失させたN末端の5
3アミノ酸残基に対応する。短い棒により示されるジスルフィド結合は、ジスル
フィド結合がα1(IV)NC1およびα2(IV)NC1に存在するように配
置される。
【図21】 図21A、図21Bおよび図21Cは、様々な濃度のタムスタチン(x軸)で
処置したときの、C−PAE細胞(図21A)、PC−3細胞(図21B)およ
び786−O細胞(図21C)に対するH−チミジン取り込み(y軸)を示す
3つのヒストグラムの1組である。すべての群は三連のサンプルを表す。
【図22】 図22は、αβの量を増大させることと組み合わせたときの、C−PAE
細胞による色素の取り込みに対する0.1μg/mlタムスタチンの作用をx軸
に示すヒストグラムである。OD655での吸光度がy軸に示される。「0.1
%FCS」は0.1%FCS処置(未刺激)の対照を表し、「20%FCS」は
20%FCS処置(刺激)の対照である。残りの棒は、αβ単独の対照、お
よびタムスタチン+増大濃度のαβによる処置を表す。それぞれの棒は、三
連ウェルに対する平均+/−平均の標準誤差を表す。実験は3回繰り返された。
星印は、片側スチューデントt検定によってP<0.05であることを示す。
【図23】 図23Aおよび図23Bは、様々な処置(x軸)におけるC−PAE細胞(図
23A)およびPC−3細胞(図23B)についてOD405での吸光度を関数
とするカスパーゼ−3活性の量(y軸)を示す1組のヒストグラムである。それ
ぞれの棒は、三連ウェルの平均+/−平均の標準誤差を表す。
【図24】 図24A、図24B、図24Cおよび図24Dは、様々なインテグリンサブユ
ニット(α〜α、β)またはαβインテグリンの阻止抗体の存在下に
おける、タムスタチン(図24A)あるいは対照のIV型コラーゲン(図24B
)またはビトロネクチン(図24C)またはラミニン−1(図24A)がコーテ
ィングされたプレートに対するHUVEC細胞の結合を示す4つのヒストグラム
の1組である。プレートのコーティングは各グラフの上部に示され、インキュベ
ーションのために使用された抗体は各グラフのx軸に示される。BSAがコーテ
ィングされたプレートを陰性対照として使用した。
【図25】 図25は、タムスタチンがコーティングされたプレートに対するC−PAE細
胞の結合を示すヒストグラムである。BSAがコーティングされたプレートを陰
性対照として使用した。
【図26】 図26は、タムスタチン(黒丸)、BSA(対照、白四角)および7Sドメイ
ン(対照、白丸)の量(x軸)を変化させたときの内皮細胞の管形成(y軸)に
対する作用を示す線グラフである。
【図27】 図27Aおよび図27Bは、対照(白四角)に対する、タムスタチン(黒丸)
およびエンドスタチン(白丸)の処置日数(x軸)に対する腫瘍容積(mm
y軸)における作用を示す1組の線グラフである。星印で示されるデータ点は、
片側スチューデントt検定によってP<0.05で有意である。
【図28】 図28は、対照マウス(白四角)およびタムスタチン変異体N−53処置マウ
ス(黒丸)について処置日数(x軸)に対する腫瘍容積(y軸)の増大を示すグ
ラフである。星印により示されるデータ点は、片側スチューデントt検定によっ
てP<0.05で有意である。
【図29】 図29は、タムスタチンおよびタムスタチンN−53の濃度(x軸)を増大さ
せたときの細胞生存度(OD590の関数として、y軸)を示すグラフである。
各点は、三連ウェルについて平均+/−平均の標準誤差を表す。星印は、片側ス
チューデントt検定によってP<0.05であることを示す。
【図30】 図30は、アレステン(黒丸)、カンスタチン(白丸)、12kDaのアレス
テン断片(黒四角)、8kDaのアレステン断片(白四角)および10kDaの
カンスタチン断片(黒三角)の濃度(x軸)を変更させたことによる内皮細胞の
管形成の阻害(y軸)を示す線グラフである。
【図31】 図31は、タムスタチン断片333(黒丸)、タムスタチン断片334(白丸
)、BSA(対照、黒四角)、α6(対照、白四角)およびタムスタチン(黒三
角)の濃度(x軸)を増大させたことによる内皮細胞管の形成の阻害(y軸)を
示す線グラフである。
【図32】 図32A、図32Bおよび図32Cは、HPE細胞(図32A)、C−PAE
細胞(図32B)およびWM−164細胞(図32C)の増殖(y軸)に対する
タムスタチンの濃度(x軸)を変更させたときの作用を示す3つのヒストグラム
の1組である。
【図33】 図33Aおよび図33Bは、C−PAE細胞(図33A)およびWM−164
細胞(図33B)の相対的な数(y軸)に対する、タムスタチン(黒ひし形)、
Tum−1(白四角)、Tum−2(黒丸)、Tum−3(白ひし形)およびT
um−4(黒三角)の濃度(x軸)を変更させたときの作用を示す1組のグラフ
である。
【図34】 図34Aおよび図34Bは、C−PAE細胞(図34A)およびWM−164
細胞(図34B)の細胞生存度(y軸)に対する、タムスタチン(黒ひし形)、
Tum−1(白四角)、Tum−2(黒丸)、Tum−3(白ひし形)およびT
um−4(黒三角)の濃度(x軸)を増大させたときの作用を示す1組のグラフ
である。
【図35】 図35は、5μg/mlのTum−1、Tum−2、Tum−3またはTum
−4あるいは80ng/mlのTNF−αあるいはPBS緩衝液(対照)で処置
されたC−PAE細胞(x軸)のカスパーゼ−3活性をOD405での吸光度(
y軸)の大きさとして示すヒストグラムである。
【図36】 図36A、図36Bおよび図36Cは3つのヒストグラムの1組である。図3
6A、図36Bおよび図36Cは、対照IgG、αβ、αβおよびBS
Aの存在下における、Tum−1(図36A)、Tum−2(図36B)および
Tum−4(図36C)がコーティングされた各プレートに対するC−PAE細
胞の結合割合(y軸)を示す。
【図37】 図37は、PBS、タムスタチン、Tum−1、Tum−2、Tum−4また
はBSA(x軸)がコーティングされたプレートに結合したWM−164細胞に
ついてOD655での吸光度によるメチレンブルー染色のレベル(y軸)を示す
ヒストグラムである。
【図38】 図38A、図38B、図38C、図38Dおよび図38Eは、1.5μg/m
lのTum−1(図38A)またはTum−2(図38B)で処置された、抗T
um−4抗体(1:100希釈、1:200希釈、1:500希釈)(x軸)ま
たはαβタンパク質(図38C)でプレインキュベーションされていたC−
PAE細胞(y軸)、あるいはタムスタチン(図38D)またはTum−4(図
38E)で処置されたWM−164細胞の増殖を示す5つのヒストグラムの1組
である。
【図39】 図39は、y軸の相対的細胞数に対して、タムスタチン(黒丸)、エンドスタ
チン(白三角)、抗αβ抗体(白四角)およびIgG(黒ひし形)(対照)
の濃度をx軸に示すグラフである。各点は、三連ウェルについて平均±平均の標
準誤差を表す。実験は3回繰り返された。星印は、片側スチューデントt検定に
よってP<0.05であることを示す。
【図40】 図40は、C−PAE細胞の相対的細胞数(y軸)に対する、カンスタチン(
黒ひし形)、Can−1(黒四角)およびCan−2(黒三角)の濃度(x軸)
を増大させたときの作用を示すグラフである。各タンパク質のそれぞれの濃度は
四連で試験された。
【図41】 図41は、PBS(対照)、カンスタチン、Can−1およびCan−2によ
る処置についてプラグあたりの平均血管数(y軸)を示すヒストグラムである。
【図42】 図42は、T1、T2、T3、T4、T5およびT6のペプチドの位置が示さ
れるタムスタチンタンパク質配列の図である。GP−A=第1のグッドパスチャ
ーエピトープ。GP−B=第2のグッドパスチャーエピトープ。
【図43】 図43A、図43B、図43Cおよび図43Dは、T3ペプチドによる内皮細
胞の増殖の阻害(図43A、図43Bおよび図43C)および内皮細胞のアポト
ーシスの誘導(図43D)を示す4つのヒストグラムである。図43Aは、T2
、T3、T4、T5またはT6の10μg/mlのペプチド(x軸)で処置され
たC−PAE細胞の増殖(y軸)を示す。図43Bは、0.1μg/ml、1.
0μg/mlまたは10μg/mlのT3ペプチドで処置されたC−PAE細胞
の増殖(y軸)を示す。図43Cは、αβインテグリンの濃度(x軸)を変
化させながらプレインキュベーションし、かつT3ペプチドで処置したときのC
−PAE細胞の細胞成長(y軸)を示す。図4Dは、T2、T3、T4、T5ま
たはT6の10μg/mlのペプチドで細胞を処置した後におけるMTTアッセ
イによって測定されるC−PAE細胞の細胞生存度(y軸)を示す。すべての棒
は、三連ウェルの平均+/−SEMを表す。
【図44】 図44A、図44B、図44C、図44D、図44E、図44Fおよび図44
Gは、抗ヒトインテグリン抗体、マウスIgG(対照)あるいはペプチドT2、
T3、T4、T5またはT6で処置したときのC−PAE細胞の接着を示す7つ
のヒストグラムの1組である。図44Aは、BSA(対照)、無抗体(対照)、
マウスIgG(対照)およびαβインテグリン抗体の存在下(x軸)におけ
る、Tum−5ペプチド(10μg/ml)がコーティングされたプレートに対
するHUVEC細胞の結合(y軸)を示す。図44Bは、10μg/mlの組換
えTum−5ペプチドがコーティングされた96ウェルプレート(x軸)に対す
るC−PAE細胞の結合(y軸)を示すヒストグラムである。図44Cは、Tu
m−5がコーティングされ、かつ2.5μg/mlのペプチドT2、T3、T4
、T5またはT6で処置された96ウェルプレート(x軸)、あるいはT3で処
置されたTum−4コーティングプレートに対するC−PAE細胞の結合(y軸
)を示すヒストグラムである。PBS処置は対照として使用された。図44Dは
、様々な濃度のT3ペプチド(x軸)のTum−5コーティングプレートに対す
るC−PAE細胞の結合(y軸)における作用を示す。PBS処置は対照として
使用された。図44Eは、PBS(対照)、IgG(対照)またはαβイン
テグリン抗体の存在下における、T2、T3、T4、T5またはT6がコーティ
ングされたプレート(x軸)に対するC−PAE細胞の結合(y軸)を示す。図
44Fは、PBS(対照)、IgG(対照)またはαインテグリン抗体、β インテグリン抗体、βインテグリン抗体、αβインテグリン抗体またはB
SA(対照)(x軸)とともにインキュベーションしたときの、T3がコーティ
ングされたプレートに対するC−PAE細胞の結合(y軸)を示す。図44Gは
、PBS(対照)、BSA(対照)、または様々な濃度(0.1μg/ml、1
.0μg/ml、10.0μg/ml)のT3ペプチド、または様々な濃度(0
.1μg/ml、1.0μg/ml、10.0μg/ml)のT6ペプチド(x
軸)とともにインキュベーションしたときの、ビトロネクチン(2.5μg/m
l)がコーティングされたプレートに対するC−PAE細胞の結合(y軸)を示
す。各棒は、三連のウェルの平均+/−SEMを表す。実験は3回繰り返された
片側スチューデントt検定によりP<0.05。
【図45】 図45は、PBS(対照)、αβインテグリン抗体、βインテグリン抗
体、αインテグリン抗体またはBSA(対照)の存在下における、タムスタチ
ンN−53(20μg/ml)がコーティングされたプレートに対するHUVE
C細胞の接着を示すヒストグラムである。
【図46】 図46は、賦形剤(対照、白丸)、5mg/kg/日のタムスタチン−N53
(白四角)または20mg/kg/日のタムスタチン−N53(白ひし形)で処
置された腫瘍について15日間(x軸)にわたるPC3前立腺腫瘍(PC3前立
腺異種移植片モデル)に対する平均腫瘍容積(y軸)をmm単位で示すグラフ
である。
【図47】 図47は、賦形剤(対照、白丸)、20mg/kg/日のタムスタチン−N5
3(白四角)または5mg/kg/日のタムスタチン−N53(白ひし形)で処
置された腫瘍について22日間(x軸)にわたるMDA−MBA435乳癌腫瘍
に対する平均腫瘍容積(y軸)をmm単位で示すグラフである。
【図48】 図48は、PBS(対照)、緩衝液(対照)、20μg/mlのタムスタチン
−N53、10μg/mlのタムスタチン−45−132、および5μg/ml
のタムスタチン−45−132(x軸)で処置したときの、S期のC−PAE細
胞の割合(y軸)を示すヒストグラムである。細胞周期アッセイは10%FBS
の存在下で行われた。
【図49】 図49は、PBS(対照)、αβインテグリン抗体、βインテグリン抗
体、αインテグリン抗体またはBSA(対照)の存在下における、タムスタチ
ン−45−132(20μg/ml)がコーティングされたプレートに対するH
UVEC細胞の接着(OD595、y軸)(y軸)を示すヒストグラムである。
【図50】 図50Aおよび図50Bは、細胞増殖に対するタムスタチン−45−132の
作用を示す2つのヒストグラムの1組である。図50Aは、0μM、0.125
μM、0.250μM、0.500μM、1.0μMまたは2.0μMの濃度(
x軸)の大腸菌発現タムスタチン−45−132(黒バー)または293細胞発
現の全長型タムスタチン(白バー)で処置されたC−PAE細胞を用いてBrd
Uアッセイにより測定された細胞増殖(OD450で、y軸)を示す。図50B
は、0μg/ml、0.1μg/ml、1.0μg/ml、5.0μg/mlお
よび10.0μg/mlの濃度(x軸)のピキア発現タムスタチン−45−13
2で処置されたC−PAE細胞を用いてメチレンブルー染色により(OD655 で)測定された細胞増殖を示す。未刺激のC−PAE細胞を対照として使用した
【図51】 図51は、細胞周期の進行に対する大腸菌発現のタムスタチン−45−132
およびTum−5−126−C−Aの作用を示すヒストグラムである。S期にお
けるC−PAE細胞の割合(y軸)が0時間(対照)で示され、そしてその後、
0μg/ml、1μg/ml、10μg/mlおよび20μg/ml(x軸)の
タムスタチン−45−132(黒バー)またはTum−5−126−C−A(白
バー)によって処置された。実験は3回繰り返された。
【図52】 図52A、図52B、図52Cおよび図52Dは、細胞生存度に対するタムス
タチン−45−132またはTum−5−126−C−Aの作用を示す4つのヒ
ストグラムの1組である。図52Aは、0μg/ml、3μg/ml、6μg/
ml、12μg/ml、25μg/mlおよび50μg/ml(x軸)のタムス
タチン−45−132(黒バー)ならびにアルキル化された還元型タムスタチン
−45−132(白バー)で処置されたC−PAE細胞についてMTTアッセイ
におけるOD562で測定された細胞生存度(y軸)を示す。図52Bは、0μ
g/ml、3μg/ml、6μg/ml、12μg/ml、25μg/mlおよ
び50μg/ml(x軸)のTum−5−126−C−Aで処置されたC−PA
E細胞についてMTTアッセイにおけるOD562で測定された細胞生存度(y
軸)を示す。図52Cは、0μg/ml、3μg/ml、6μg/ml、12μ
g/ml、25μg/mlおよび50μg/ml(x軸)のタムスタチン−45
−132で処置されたPC−3細胞についてMTTアッセイにおけるOD562 で測定された細胞生存度(y軸)を示す。図52Dは、0μg/ml、3μg/
ml、6μg/ml、12μg/ml、25μg/mlおよび50μg/ml(
x軸)のタムスタチン−45−132で処置されたDU−145細胞についてM
TTアッセイにおけるOD562で測定された細胞生存度(y軸)を示す。
【図53】 図53は、(x軸)対照;対照+DEVD−fmk、TNF−α、TNF−α
+DEVD−fmk、タムスタチン−45−132(1μg/mlおよび10μ
g/ml)、およびタムスタチン−45−132(10μg/ml)+DEVD
−fmkのカスパーゼ−3活性(CD405で測定、y軸)を示すヒストグラム
である。
【図54】 図54は、賦形剤(対照、白四角)、1mg/kgのタムスタチン−45−1
32(黒ひし形)、1mg/kgのTum−5−126−C−A(黒丸)、20
mg/kgのエンドスタチン(白丸)およびミニポンプ投与されたタムスタチン
−45−132(1mg/kg、白三角)による処置の0日目、5日目、10日
目、15日目および20日目(x軸)におけるV/V(平均腫瘍容積/初期腫
瘍容積)に関する腫瘍容積比(y軸)を示す線グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/00 A61P 35/00 35/00 43/00 105 43/00 105 111 111 C07K 16/18 C12N 15/09 C12N 15/00 A // C07K 16/18 A61K 37/02 (31)優先権主張番号 09/625,191 (32)優先日 平成12年7月21日(2000.7.21) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 CA02 CA05 HA17 4C084 AA02 AA07 AA17 BA01 BA08 BA18 BA20 BA21 BA22 BA23 DA45 MA01 NA14 ZA362 ZB212 ZB262 ZC412 4C085 AA13 AA14 CC32 EE01 GG01 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA40 DA75 EA28

Claims (41)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つもしくはそれ以上の内皮細胞インテグリンまたは1つも
    しくはそれ以上の内皮細胞インテグリンサブユニットにより媒介される血管新生
    を組織において阻害することを含む障害の治療のための薬剤の調製における、ア
    レステン、カンスタチンもしくはタムスタチン、またはその断片、変異体、ホモ
    ログ、アナログもしくは対立遺伝子変異体の使用。
  2. 【請求項2】 障害が腫瘍成長である、請求項1記載の使用。
  3. 【請求項3】 1つもしくはそれ以上の内皮細胞インテグリンまたは1つも
    しくはそれ以上の内皮細胞インテグリンサブユニットにより媒介される内皮細胞
    アポトーシスを組織において促進または誘導することにより障害を治療するため
    の薬剤の調製における、アレステン、カンスタチンもしくはタムスタチン、また
    はその断片、変異体、ホモログ、アナログもしくは対立遺伝子変異体の使用。
  4. 【請求項4】 血管新生が、内皮細胞増殖、内皮細胞移動、または内皮細胞
    管形成の1つまたはそれ以上を阻害することにより阻害される、請求項1または
    2記載の使用。
  5. 【請求項5】 1つまたはそれ以上のインテグリンが、α1β1、α2β1
    、α3β1およびαVβ3からなる群より選択され、1つまたはそれ以上のイン
    テグリンサブユニットが、α1、α2、α3、αV、β1およびβ3からなる群
    より選択される、請求項1〜4いずれか記載の使用。
  6. 【請求項6】 組織において血管新生または細胞増殖を阻害するための薬剤
    の調製における、 (a) インテグリンのα1サブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプ
    チド; (b) インテグリンのα2サブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプ
    チド; (c) インテグリンのα3サブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプ
    チド; (d) インテグリンのα5サブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプ
    チド; (e) インテグリンのα6サブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプ
    チド; (f) インテグリンのαVサブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプ
    チド; (g) インテグリンのβ1サブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプ
    チド;または (h) インテグリンのβ3サブユニットに特異的に結合する抗体もしくはペプ
    チド の使用。
  7. 【請求項7】 該薬剤が、血管新生または細胞増殖を特徴とする状態を治療
    するためのものである、請求項6記載の使用。
  8. 【請求項8】 組織において血管新生または細胞増殖を促進または誘導する
    ための薬剤の調製における、 (a) インテグリンのα1サブユニット; (b) インテグリンのα2サブユニット; (c) インテグリンのα3サブユニット; (d) インテグリンのα5サブユニット; (e) インテグリンのα6サブユニット; (f) インテグリンのαVサブユニット; (g) インテグリンのβ1サブユニット;または (h) インテグリンのβ3サブユニット の使用。
  9. 【請求項9】 1つまたはそれ以上のインテグリンサブユニットが可溶性形
    態である、請求項8記載の使用。
  10. 【請求項10】 1つまたはそれ以上のインテグリンサブユニットが、単量
    体、二量体、三量体、四量体、多量体である、請求項8または9記載の使用。
  11. 【請求項11】 脊椎動物の増殖性疾患を治療するための薬剤の調製におけ
    る受容体媒介性血管新生のインヒビターの使用であって、該疾患がアレステン、
    カンスタチンまたはタムスタチンに対する受容体により媒介される血管新生を特
    徴とし、かつ阻害される該レセプターがアレステン受容体、カンスタチン受容体
    またはタムスタチン受容体である、受容体媒介性血管新生のインヒビターの使用
  12. 【請求項12】 アレステン受容体が、α1β1、α2β1、α3β1およ
    びαvβ3インテグリンからなる群より選択される、請求項11記載の使用。
  13. 【請求項13】 カンスタチン受容体が、α1β1またはα2β1からなる
    群より選択される、請求項11記載の使用。
  14. 【請求項14】 タムスタチン受容体が、α5β1、α6β1およびαVβ
    3インテグリンからなる群より選択される、請求項11記載の使用。
  15. 【請求項15】 該薬物が、腫瘍成長の阻害のためのものである、請求項1
    1記載の使用。
  16. 【請求項16】 該薬剤が、確立した腫瘍の退行のためのものである、請求
    項11記載の使用。
  17. 【請求項17】 アレステン受容体媒介性血管新生、カンスタチン受容体媒
    介性血管新生またはタムスタチン受容体媒介性血管新生を阻害する分子が、該薬
    物を調製するために使用される、請求項11〜16いずれか記載の使用。
  18. 【請求項18】 アレステン受容体、カンスタチン受容体またはタムスタチ
    ン受容体に特異的に結合する抗体、抗体断片またはペプチドが、該薬剤を調製す
    るために使用される、請求項17記載の使用。
  19. 【請求項19】 該抗体が、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体
    である、請求項18記載の使用。
  20. 【請求項20】 組織内での血管新生を促進するための薬剤の存在下におけ
    る、アレステン、カンスタチンまたはタムスタチンに結合する1つまたはそれ以
    上の可溶性受容体の使用。
  21. 【請求項21】 組織におけるFLIPレベルを減少させる分子と組織を接
    触させることを含む、請求項20記載の使用。
  22. 【請求項22】 (a) αVβ3インテグリンに結合する能力; (b) 内皮細胞の増殖を阻害する能力;および (c) 内皮細胞のアポトーシスを引き起こす能力 からなる群より選択される1つまたは両方の特徴を有する、α3(IV)NC1
    ドメインの非グッドパスチャー断片。
  23. 【請求項23】 (a) αVβ3インテグリンに結合する能力; (b) 内皮細胞に結合する能力; (c) 腫瘍細胞の増殖を阻害する能力;および (d) 内皮細胞の増殖を阻害する能力の欠陥 からなる群より選択される1つまたはそれ以上の特徴を有する、α3(IV)N
    C1ドメインの非グッドパスチャー断片。
  24. 【請求項24】 αVβ3インテグリンに結合する能力がRGD非依存性で
    ある、請求項22または23記載の断片。
  25. 【請求項25】 腫瘍細胞の増殖を阻害する能力の欠陥をさらに含む、請求
    項24記載の断片。
  26. 【請求項26】 血管新生が関与する障害を治療するための薬剤の調製にお
    ける請求項22〜25いずれか記載の断片の使用。
  27. 【請求項27】 腫瘍成長が関与する障害を治療するための薬剤の調製にお
    ける請求項22〜25いずれか記載の断片の使用。
  28. 【請求項28】 請求項22〜25いずれか記載の断片を含有してなる医薬
    組成物。
  29. 【請求項29】 配列番号:10のアミノ酸残基54〜アミノ酸124のア
    ミノ酸配列を有してなる、請求項22または23記載の断片。
  30. 【請求項30】 配列番号:10のアミノ酸残基185〜アミノ酸203の
    アミノ酸配列を有してなる、請求項24記載の断片。
  31. 【請求項31】 アミノ酸配列 を含んでなる、請求項22または23記載の断片。
  32. 【請求項32】 アミノ酸配列 を含んでなる、請求項22または23記載の断片。
  33. 【請求項33】 アミノ酸配列 LQRFTTMPFLFCNVNDVCNF(配列番号:29) を含んでなる、請求項22または23記載の断片。
  34. 【請求項34】 医薬に使用するための請求項29〜33いずれか記載の断
    片。
  35. 【請求項35】 血管新生が関与する障害を治療するための薬剤の調製にお
    ける請求項29〜33いずれか記載の断片の使用。
  36. 【請求項36】 腫瘍成長が関与する障害を治療するための薬剤の調製にお
    ける請求項29〜33いずれか記載の断片の使用。
  37. 【請求項37】 請求項29〜33いずれか記載の断片を含有してなる医薬
    組成物。
  38. 【請求項38】 1つまたはそれ以上のシステイン残基がアルカリ還元され
    てなる、請求項29〜33いずれか記載の断片。
  39. 【請求項39】 1つまたはそれ以上のシステイン残基が、別のアミノ酸に
    変異されてなる、請求項29〜33いずれか記載の断片。
  40. 【請求項40】 1つまたはそれ以上のシステイン残基がアラニンに変異さ
    れてなる、請求項39記載の断片。
  41. 【請求項41】 アミノ酸配列 を含んでなる、請求項22または23または40いずれか記載の断片。
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