JP2003518656A - ディスプレイスウィンドウを含むディスプレイ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 イメージの特定の領域からの光を、選択的に透過し遮蔽する手段（１５）を具えるディスプレイ装置（１）であって、この透過し遮蔽する手段は、１つの或いは複数のＬＣＤセルを具え、当該セルは、配向性ポリマーネットワーク、負のΔεを有する液晶物質、および、多色性色素を含む装置である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 （発明の属する技術分野） 本発明は、ディスプレイウィンドウと、ディスプレイウィンドウ領域において
光を生成する手段と、時間順に前記領域を選択的に活性化する手段とを含むディ
スプレイ装置であって、ディスプレイウィンドウの前に配置される、或いは、デ
ィスプレイウィンドウの一部として形成される、活性化された領域からの光を選
択的に透過し、活性化されていない領域からの光を少なくとも部分的に遮る手段
を具えた装置に関するものである。

【０００２】 （従来の技術） ディスプレイ装置としては多くの種類のものが知られている。例えば、ＣＲＴ
（陰極線管）、ＰＤＰ（プラズマディスプレイ装置）、ＬＣＤ（液晶装置）、お
よびその他のタイプのものなどである。

【０００３】 一般的なディスプレイ装置は、ディスプレイウィンドウを具える。イメージ即
ち映像は、ディスプレイウィンドウ上に表示される。ディスプレイウィンドウは
、ディスプレイウィンドウの領域で光を選択的に生成する手段を含むものである
。例えば、ＣＲＴではイメージはラインバイライン方式で即ち１行ずつの方式で
作成される。

【０００４】 （発明が解決しようとする課題） ディスプレイ装置の主要な問題は、ディスプレイウィンドウ上における、或い
は、蛍光元素（例えば、ＣＲＴやＰＤＰ内の）などのディスプレイ装置の構成要
素上における、周辺光の反射によってもたらされる。この装置によって生成され
たイメージから離れている観察者は、ディスプレイウィンドウ上における、ラン
プや日光などのその他の光源の反射も観察することとなる。このような外部（即
ち、ディスプレイ装置の外側の）光源は、表示されるイメージのコントラストを
減少即ち悪くし、さらに、ディスプレイウィンドウ上に眩しい太陽光が射し込む
場合には特に、それを不可視の状態にさせることが有り得る。活性化された領域
からの光を透過即ち伝達し、活性化されていない領域からの光を少なくとも部分
的に遮る手段を使用する欧州特許出願第００００４２２号が知られている。活性
化されていない領域が黒であるが故に、活性化された領域（即ち発光）が見える
。このような手段は、顕著にコントラストを増加させる。この手段は、活性化さ
れていない領域からの光を完全に遮り、活性化された領域からの光を透過させる
。イメージ自体の強度即ち輝度の減少量は、まったく無いか或いは僅かであるが
、一方、反射光の輝度を大きく減少させることができる。

【０００５】 このようなアイデアは、かなり長い間知られていて、この問題に対する簡易か
つ的確な解決策であると考えられてきたが、いまだにこの解決策は実用化されて
いない。

【０００６】 このようなコントラストの向上は、実際にはコスト的に十分見合うものではな
い。本発明の目的は、性能を向上させた冒頭で述べたタイプのディスプレイ装置
を提供することである。

【０００７】 （課題を解決する手段） 上述した目的を達成するために、活性化された領域からの光を透過し、活性化
されていない領域からの光を少なくとも部分的に遮蔽する手段が、配向性ポリマ
ーネットワーク、負のΔεを有し、かつ、受動的即ち消極的な緩和時間（passiv
e relaxation time）が２ミリ秒未満であるＬＣ（液晶）物質、および、この配
向性物質に分散された多色性色素を含む、１つのＬＣＤセル（即ち液晶層）、或
いは複数のＬＣＤセルを含むものを提供する。

【０００８】 本発明は、ＬＣセルが素早く「開放し、閉じる」必要があるということ、望ま
しくは２ミリ秒以内に正確に効果が出る必要があるということの見識に基づくも
のである。ＬＣＤセルは、積極的に電圧を印加することによって、或いは、消極
的にセルに印加された電圧を切ることによって、ある状態（透過状態、或いは、
非透過状態）から他の２つの異なった種類の状態（非透過状態、或いは、透過状
態）に切替えられる。配向性ポリマーマトリックス、および、負のΔεを有する
液晶物質を使用することによって、電圧を２ミリ秒未満で切った場合において、
受動的な緩和時間（オープン配向とクローズ配向との間の中間点で測定したもの
）を速くすることが、可能となる。

【０００９】 当該セルは、多色性色素も含むものである。配向性ポリマーネットワークおよ
び負のΔεを有する液晶物質を含むＬＣＤセルは、非透過状態において、外部光
源の反射を、減少させるのではなく増加させ、コントラストの増加を導くような
、高い、或いは、非常に高い散乱係数を有する。しかしながら、この多色性色素
は、ＬＣＤセル内部の光を吸収し、散乱光の強度を減少させる。

【００１０】 多色性色素の存在は、実質的な受動的緩和時間を減少させる。 当該セルの厚さは、６〜２５マイクロメーターとするのが好適である。 配向性ポリマーマトリックスの含有量は、５〜１５％とするのが好適である。 ＬＣＤセルに含まれる配向性ポリマーを多くすればするほど、受動的緩和時間
が速くなるが、しかし、透過状態における散乱が多くなる。５％未満では、高速
の受動的緩和時間を得るのは困難であり、１５％を越えると散乱が問題となる。
当該装置は、多数の電極が設けられた多数のＬＣＤセル、或いは、単一のＬＣＤ
セルを含むことができる。

【００１１】 （発明の実施の形態） 本発明のこれらの実施態様および後述する実施態様について、添付する諸図面
を参照しつつ、より詳細に説明するが、これらの例示に過ぎないものである。 なお、諸図面は実寸表示ではなく、同様の符号の番号がふられた部材は、通常
は同様の部材を示すものである。

【００１２】 カラーディスプレイ装置１（図１）は、真空にしたエンベロープ２を含むもの
であり、このエンベロープ２には、ディスプレイウィンドウ３、円錐部４、ネッ
ク部５を設ける。前記のネック部５には電子銃６を設け、この電子銃は、電子ビ
ーム７，８，９を生成する。ディスプレイ画面１０は、ディスプレイウィンドウ
３の内側に配置される。前記ディスプレイ画面１０は、赤、緑、青に光る蛍光体
の蛍光パターンを含むものである。前記ディスプレイ画面１０に至る途中で、電
子ビーム７，８，９は、偏向ユニット１１によって、ディスプレイ画面１０全体
に亘るように偏向され、ディスプレイウィンドウ３の手前に配置され、および、
アパーチャー１３を具えた薄板を含むシャドウマスク１２を通過する。シャドウ
マスク１２は、ディスプレイウィンドウ３内で懸架手段１４によって支持される
。３つの電子ビームを収束させ、お互いに僅かな角度をなしてシャドウマスク１
２のアパーチャー１３を通過し、最終的には、各電子ビームは、１色のみの蛍光
体に衝突する。図１では、エンベロープ２のｚ軸が示されている。ディスプレイ
ウィンドウ３の前には、選択的に光を通過させ、遮る手段１５を設ける。

【００１３】 図２Ａは、手段１５をより詳細に示したものである。本手段は、多数のＬＣＤ
セル２０と、前記ＬＣＤセル２０の透過特性を制御する手段２１とを含むもので
ある。各セルは、開放される、即ち、ＬＣＤセル２０の後ろ側の領域が活性化さ
れたとき即ち発光したときに、ディスプレイウィンドウから発せられる光に対し
て透過性がある。図２Ａの例では多数のセルを含んでいると記述したが、非常に
多数の対抗する電極（例えば、複数の対向する一対の電極）を有する単一のセル
を使用することも可能であり、これでも確かにメリットがある。適切な電圧を印
加してやると、一対の電極の間の領域が、透過状態と遮蔽状態との間で切り替わ
る。単一のセルを設けることは、作製がより容易となり、かつ、ディスプレイ装
置の透過および遮蔽の特性が相違する恐れを軽減する。

【００１４】 図２Ｂは、本発明で使用するＬＣＤセルを線図的に示したものである。ＬＣＤ
セルは、配向性ポリマーネットワーク、負のΔεを有する液晶物質、多色性色素
を含む液晶（ＬＣＤ）物質２３と、透明電極２６（例えばＩＴＯで作られたもの
）と、障壁層２５と、ポリイミド層２４と、ガラス基板２７とを含み、さらに、
オプションとしてアンチ反射層２８を含むものである。

【００１５】 図２Ｂは、セルの半分を示したものであり、図２Ｃは、セル全体を示したもの
である。 図３Ａは、電極に印加された電圧（横軸上にＶをＶｏｌｔで示したもの）の関
数として、相対輝度（縦軸にパーセンテージでＬを示したもの）を示したもので
ある。当該セルが透過状態（Ｌ＝１００％）のとき、約８０ボルトりも高い電圧
を印加すると、当該セルは閉じる。この実施例の場合のセルは、厚さ１８マイク
ロメーターで、配向性ポリマーネットワークを７重量％含むものである。十分高
い大きさの電圧を印加することによって、ＬＣＤセルを閉じる、即ち遮蔽するこ
とができる。セルを「閉じる」のに必要な時間を、本明細書では、「動的な切替
え時間：Δｔ_２」と呼ぶこととする。しかしながら、セルを適切に機能させるた
めには、セルをいつか開放してやる必要がある。このことは、電極に対する電圧
を切ることによって達成される。その後、液晶物質は、受動的に、「透過状態」
に戻る、即ち、域外の電圧では駆動されない、即ち配向されない。配向性ポリマ
ーネットワークは、液晶物質に対して液晶物質を「透過状態」に駆動する内力を
加える、というような手法で配向される。セルを開放するのに要する時間を、本
明細書では、受動的な切替え時間、即ち受動的な緩和時間Δｔ_１と呼ぶこととす
る。

【００１６】 図３Ｂは、セルを閉じる時間の関数（下降している曲線）、セルを開く時間の
関数（上昇している曲線）を示したものである。これらの曲線は、多くの異なる
電圧、例えば、６０ボルト（曲線Ａ）、８０ボルト（曲線Ｂ）、１００ボルト（
曲線Ｃ）、１６０ボルト（曲線Ｄ）を示すものである。セルを開くのに、および
閉じるのにかかる切替え時間（即ち、２つの状態の中間地点に到達するのに要す
る時間）のΔｔ_１とΔｔ_２とを、図において指し示している。１００ボルト（曲
線Ｃ）よりも高い電圧では、開く時間と閉じる時間の両方とも１ミリ秒未満であ
る。

【００１７】 図４は、ＬＣＤセルを切替えるのに要する時間Δｔ_１およびΔｔ_２と、セルが
「閉じた」状態のときの透過率Ｔ_０と時間との関数としての放射された光の強度
（実線）と、ＬＣＤセルに対応する透過率（破線）とを示したものである。

【００１８】 フレームタイムｔ_０を線図的に示す。ＬＣＤセルの効率のために重要なパラメ
ーターは、フレームタイムとΔｔ_１（ＬＣＤセルを「開く」ための）とΔｔ_２（
ＬＣＤセルを「閉じる」ための）の間の比率、「閉じた」状態における透過率Ｔ _０ 、ＬＣＤセル自体の反射率（図３には示さない）がある。Δｔ_１およびΔｔ_２ は、実質的にフレームタイムｔ_０よりも小さくなければならない。また、Ｔ_０も
小さくすべきであり、ＬＣＤセルはあまり光を反射しないようにすべきである。
フレームタイムは、典型的には、２０（５０Ｈｚ）〜１０（１００Ｈｚ）ミリ秒
である。特に短いフレームタイム（１００Ｈｚ）の場合、上述した装置ではＬＣ
Ｄの使用はありえないものと考えられる。多数の異なる種類のＬＣＤセルが知ら
れている。干渉フィルターおよび偏向にねじれをおこさせるＬＣＤ物質とともに
機能するタイプのものがある。しかしながら、ディスプレイ装置から来る光は、
偏向されていないものである。従って、偏向フィルターを使用すれば、ＬＣＤセ
ル自体が光を吸収し、そのうえ強度を減少させることを考慮することなく、強度
が半分に減少される。ゲスト−ホストシステム上で機能するＬＣＤセルがある。
しかしながら、このようなＬＣＤセルは、典型的には、数ミリ秒のオーダーのΔ
ｔ_１およびΔｔ_２の値を有するものであるが、このようなＬＣＤセルは効率良く
十分に速く開きそして閉じられることができない。「クリアー」な透過状態、お
よび、光を非常によく散乱する「閉じた」状態を有するＬＣＤセルがある。最も
適切でないと考えられることは、非常によく光を散乱する「閉じた」状態である
。このことは、入射光が、非常に効率良く散乱され、コントラストを増加するの
ではなく減少させるということを意味する。

【００１９】 従って、既知のＬＣＤシステムでこの要件を満たすことのできるものは１つも
ない。 しかしながら、本発明者は、配向性ポリマーマトリックス、負のΔεを有する
液晶物質、多色性色素を含むＬＣＤセルであって、Δｔ_１（ＬＣＤセルを「開く
」ための）およびΔｔ_２（ＬＣＤセルを「閉じる」ための）が２ミリ秒未満、好
適には１ミリ秒未満の値を得ることが可能であるＬＣＤセルを使用することに、
気付いた。特に、１ミリ秒未満のものは、５０Ｈｚを上回って動作させる装置に
適している。

【００２０】 配向性ポリマーマトリックスおよび負のΔεを有する液晶物質を含むＬＣＤセ
ルを使用することによって、得られるべき切替え時間を速くすることでできるよ
うになる。しかしながら、このようなシステムの「閉じた」状態は、光を非常に
効率よく散乱させる。従って、このようなシステムは、適切ではないと考えられ
る。多色性色素が使用され、「ゲスト−ホスト」システムに基づくＬＣＤセルは
、遅すぎる。しかしながら、意外にも、これら２者を組合せたものは、速い切替
え時間（配向性ポリマーネットワークおよび負のΔεを有する液晶物質を使用す
るのと同じくらい速い、或いはそれよりも速い）と、高い透過率および低い反射
率、を得ることができる。図５Ａは、配向性ポリマーネットワークの重量％の関
数を示すものであって、線５１（％で表示）は相対輝度（即ち、閉じた状態にお
いて透過する光のパーセンテージ）、線５３は受動的な切替え時間（０．１ミリ
秒単位で）、線５２は必要とする切替え電圧即ちスイッチング電圧（１０ボルト
単位で）を示すものである。配向性ポリマーのパーセンテージが増加するに従い
、多くのパラメータに影響が及ぶことは明らかである。スイッチング電圧が上昇
すると、受動的な切替え時間が減少し、相対輝度が上昇する。従って、例えば、
ポリマーが１０重量％の場合、スイッチング電圧は１４０ボルト、受動的切替え
時間は０．２５ミリ秒、そして、相対輝度は４％である。受動的な切替え時間の
減少は、プラスの効果であるが、相対輝度の上昇はそうではない。従って、配向
性ポリマーマトリックスの含有量を５〜１５％の範囲とすることが好適である。
含有量のパーセンテージが低すぎる場合は、比較的に長い切替え時間がかかって
しまい、一方、パーセンテージが高すぎる場合は、閉じた状態においてさえ比較
的に高い輝度となってしまう。図５Ａは、厚さ１８マイクロメーターのＬＣＤセ
ルのデータを示したものである。

【００２１】 図５Ｂは、同じデータを厚さ６マイクロメーターのＬＣＤセルで取ったものを
示すものである。同様に一般的な傾向が、相対輝度（線５４）、スイッチング電
圧（線５５）、切替え時間（線５６）については観察され、相対輝度は、図５Ａ
で得られる値の概略で２倍高く、切替え電圧は概略で２分の１である。切替え時
間は同等である。

【００２２】 配向性ポリマーネットワークは、例えば、ＵＶ光線の影響下における図６に線
図的に示したような物質の連鎖−付加反応で形成される。このような液晶分子は
、硬い中央コア部Ａ、柔軟性があるスペーサー部Ｂ、重合可能な末端基Ｃを含む
ものである。硬い中央コア部Ａ、および、柔軟性があるスペーサー部Ｂの例を、
図６で指し示す。多くの変形、例えば、アルキル基を１つ或いは複数の中央コア
部の環に付加すること、中央コア部を追加の環で延長すること、或いは、もっと
長い柔軟性スペーサー部（即ち、例えば、ｘが１２よりも長い、或いは、−（Ｃ
Ｈ_２）−基、−Ｏ−（ＣＨ_２）−基を混ぜ合わせたもの）を用いること、による
変形、が可能であることは明らかである。また、柔軟性スペーサーとして用いら
れる基は、直鎖である必要はなく、側鎖を持つものであってもよい。この柔軟性
基は、中央コア部のどちらの側でも、異なったものを使用することができるが、
同じものを用いるのが好適である。重合可能な末端基は、例えば、メタアクリレ
ート（meth(acrylates)）、ビニルエーテル（vinyl ether）、エポキシド（epox
ides）、チオール−イーエヌ（thiol-enes）などから選択することができる。

【００２３】 図７は、重合可能な液晶の特定の実施例を示したものである。この物質は、図
５Ａおよび５Ｂのグラフで示した値を測定するために使用されたものである。 図６や図７などで示した液晶を重合させるためには、例えば図８に示すような
光開始剤を使用することができる。 図９に多色性色素の例を幾つか示す。 セル中の液晶物質は、例えば、下記の特性を持つことができる。

【式１】

【００２４】 Δεは負である。このような液晶物質は、幾つかの液晶成分を混合することに
よって得ることができ、或いは、液晶製造業者から購入することもできる。

【００２５】 光を選択的に透過／遮蔽する手段は、例えば、従来の手法による図２Ｂや２Ｃ
に示すような層が付属するガラス基板などの基板と、図２Ａに示すようなパター
ンで形成された電極とを提供することによって作製される。当該セル（即ち、２
つの基板の間の隙間）に、例えば図６や７に示すような重合可能な液晶物質、好
適には光開始剤（例えば図８に示したものなど）、液晶物質、および、多色性色
素（例えば、図９に示したものなど）を充填する。充填した後、電圧を電極に印
加して重合可能な液晶物質を配向させる。その後、ＵＶ光線、即ち紫外線を当該
セルに照射し、重合可能な液晶を重合させ、配向性ポリマーネットワークを形成
させる。配向性ポリマーネットワークの中では、液晶物質および多色性色素は分
散される。

【００２６】 本発明の枠組み（フレームワーク）の範囲内において幾多の変形が可能である
ことが明らかとなるであろう。 例えば、図１０は、基板上の電極の形態を示したものである。例えば、これら
の電極は、ストレート型即ち直線型（電極１０１）とすることができるが、、電
極の形やサイズが非常に小さい場合は、特別に、ジグザグ形式で形成し、その結
果、モアレ効果を減少させることができる。ビート周波数（beat frequency）が
イメージの中に映し出されたラインと、開きそして閉じられる一連のセルとの間
で発生するときに、モアレ効果が引き起こされる。好適には、当該セルは、多数
のセル（或いは、対向する電極によって規定される単一セルの中の切替え可能な
領域）を含み、多数のセルは、順次に開いた状態そして閉じた状態に切替えられ
る。即ち、最初は、一番上のセルが、それから、上から１つ下のセルが、という
ふうに次々と、一番下のものが開きそして閉じるまで、順次に切替えられる。も
ちろん、開く処理と閉じる処理とは、映し出されるイメージのラインに調和して
処理されなければならない。蛍光体を使用する装置の場合は、対応するイメージ
のラインが活性化された後、各セルはしばらくの間、開いたままにしておくこと
が、好適である。蛍光体は、かなりの量のいわゆるアフターグローの光が発せら
れるが、これは、蛍光体が実際に活性化された後に起こる。セル或いはセルの領
域をしばらくの間、開いた状態に保持しておくことによって、この光も、透過さ
れる。１つを上回る、即ち複数のセル、或いはセルの領域を、任意のときに、開
くことができる。このことは、イメージ中において観察される運動（motion）ア
ーチファクトの変化を減少させる。当該セル或いは各セルは、対向する一対の電
極を有することができ、或いは、好適には、当該セルは、ある表面上にはコモン
電極を含み、また、対向する表面上には離れた単独で駆動される電極を含み、こ
の離れた電極は、当該セルの切替え可能な部位を規定する。好適な実施例では、
光を透過／遮蔽する手段は、提供されるＬＣＤ物質の中間に対向する表面を含み
、この表面の１つはコモン電極を含み、これに対向する表面は１組の離れた電極
、即ちセパレート型電極を含み、当該装置はコモン電極へコモン電極電圧を印加
すし、スイッチング電圧を１組の離れた電極へ印加する手段を含むものである。

【００２７】 図１１は、電圧（横軸）対透過率（縦軸）の曲線を示したものである。閾値Ｖ _ｔｈ より下では、セルは光を透過し、最高値Ｖ_ｍａｘよりも上では、セルは光を
遮る。駆動電圧範囲ΔＶを図に指し示す。駆動電圧は、必ずしもＶ_ｍａｘやＶ_{ｔ ｈ} を越えて拡張される必要はない。コモン電極を使用することによって、当該手
段の複雑さや当該手段を駆動することの複雑さが軽減され、製造のコストやリス
クが軽減される。種々の駆動方式を使用することができる。コモン電極は、Ｖ_{ｍ ａｘ} とＶ_ｔｈとの間の電圧に設定され、最大レベル（Ｖ_ｍａｘ−Ｖ_ｔｈ）の駆動
信号を提供してセルを切替える。コモン電極の極性を形成する電荷を抑制するた
めに、電圧を時々切替えることができる。コモン電極を−Ｖ_ｔｈに設定し、信号
レベル０Ｖから（Ｖ_ｍａｘ−Ｖ_ｔｈ）の間で駆動することを選択することができ
る。或いは、コモン電極を−（Ｖ_ｍａｘ＋Ｖ_ｔｈ）／２に設定し、信号レベル＋
（Ｖ_ｍａｘ−Ｖ_ｔｈ）／２から−（Ｖ_ｍａｘ−Ｖ_ｔｈ）の間で駆動することを選
択することもできる。

【００２８】 １８ミクロンメーターのＬＣセル（図５Ａを参照されたい）で、典型的な電圧
は、Ｖ_ｔｈ＝３０ボルト、Ｖ_ｍａｘ＝６０〜８０ボルトの場合は、コモン電極を
、−３０から−８０ボルトの間に設定し、電圧の振れは３０〜５０ボルトとする
ことができる。

【００２９】 １つよりも多くのセルを、即ち複数のセル（領域）を、同時に駆動させること
が好適である。このことは、イメージの知覚を改善し（映像がぎくしゃくするの
を少なくする）、カラー性能を最適化、特に遅い蛍光体が使用された場合におい
て、最適化することを可能にする。

【００３０】 即ち、本発明は、 イメージの特定の領域からの光を、選択的に透過し遮蔽する手段（１５）を具
えるディスプレイ装置（１）であって、この透過し遮蔽する手段は、１つの或い
は複数のＬＣＤセルを具え、当該セルは、配向性ポリマーネットワーク、負のΔ
εを有する液晶物質、および、多色性色素を含むものである、 というように記述することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明によるディスプレイ装置を線図的に示す図である。

【図２Ａ】 活性化された領域からの光を透過し、活性化されていない領域から
の光を少なくとも部分的に遮る手段を線図的に示す図である。

【図２Ｂ】 図２Ａに示した手段を利用するＬＣＤセルを線図的に示した図であ
る。

【図２Ｃ】 図２Ａに示した手段を利用するＬＣＤセルを線図的に示した図であ
る。

【図３Ａ】 セルに印加された電圧の関数として、ＬＣＤセルの後ろ側のイメー
ジの相対輝度を示す図である。

【図３Ｂ】 受動的切替え時間（遅延時間）と動的な切替え時間とを示す図であ
る。

【図４】 切替え時間とフレームタイムとの間の関連性を線図的に示す図である
。

【図５Ａ】 配向性ポリマーマトリックスの重量％の関数として、スイッチング
電圧、輝度、および切替え時間のグラフ形式のデータを示す図である。

【図５Ｂ】 配向性ポリマーマトリックスの重量％の関数として、スイッチング
電圧、輝度、および切替え時間のグラフ形式のデータを示す図である。

【図６】 液晶に利用できる重合可能な液晶のある例を示す図である。

【図７】 重合可能な液晶の特定の例を示す図である。

【図８】 光開始剤の一例を示す図である。

【図９】 多色性色素の一例を示す図である。

【図１０】 電極の形態を幾つか示す図である。

【図１１】 電圧対透過率を示す図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヘンドリク デ コーニング オランダ国 5656 アーアー アインドー フェン プロフ ホルストラーン ６ (72)発明者 ホッセ セー デ フリース オランダ国 5656 アーアー アインドー フェン プロフ ホルストラーン ６ (72)発明者 マルク テー ジョンソン オランダ国 5656 アーアー アインドー フェン プロフ ホルストラーン ６ Ｆターム(参考） 2H088 EA02 GA02 GA03 GA10 GA13 HA03 JA06 KA02 KA09 KA27 MA02 MA10 2H089 HA04 JA04 JA05 KA08 QA16 RA06 SA01 SA16

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ディスプレイウィンドウ、このディスプレイウィンドウの領域に
   おいて光を透過する手段、および、時間順にかつ選択的に前記領域を活性化する
   手段を含むディスプレイ装置であって、 前記ディスプレイウィンドウの前に配置される、或いは、前記ディスプレイウ
   ィンドウの一部として形成される、活性化された領域からの光を透過し、活性化
   されていない領域からの光を少なくとも部分的に遮る手段を含み、 前記の活性化された領域からの光を透過し、活性化されていない領域からの光
   を少なくとも部分的に遮る手段は、 配向性ポリマーネットワーク、負のΔεを有し受動的な緩和時間が２ミリ秒未
   満である液晶物質、および、多色性色素を含む、１つのＬＣＤセル、或いは複数
   のＬＣＤセルと、 電極と、を含む、 ことを特徴とする装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のディスプレイ装置において、 前記配向性ポリマーネットワーク即ち配向性ポリマーマトリックスの含有量は
   、 ５〜１５％である、 ことを特徴とする装置。
3. 【請求項３】 請求項１に記載のディスプレイ装置において、 前記ＬＣＤセルの物質の厚さは、 ５〜２５マイクロメーターである、 ことを特徴とする装置。
4. 【請求項４】 請求項１に記載のディスプレイ装置において、 前記電極が、非ストレート型である、 ことを特徴とする装置。
5. 【請求項５】 請求項１に記載のディスプレイ装置において、 前記手段は、 対向する表面を含むＬＣＤセルを含み、 前記手段における、前記表面のうちの１つはコモン電極を含み、この表面の１
   つに対向する他の表面は１組の離れた電極を含み、 前記装置は、 コモン電極電圧を前記コモン電極へ印加し、スイッチング電圧を前記１組の離れ
   た電極へ選択的に印加する手段を含む、 ことを特徴とする装置。