JP2003516717A - 全長cDNAクローンおよびそれをコードするタンパク質 - Google Patents

全長cDNAクローンおよびそれをコードするタンパク質

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JP2003516717A
JP2003516717A JP2001512876A JP2001512876A JP2003516717A JP 2003516717 A JP2003516717 A JP 2003516717A JP 2001512876 A JP2001512876 A JP 2001512876A JP 2001512876 A JP2001512876 A JP 2001512876A JP 2003516717 A JP2003516717 A JP 2003516717A
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紀夫 太田
隆夫 磯貝
哲夫 西川
弓利 河合
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バイオテクノロジー開発技術研究組合
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Abstract

(57)【要約】 新規なヒト・タンパク質と、そのタンパク質をコードするcDNAが提供される。4種のヒト・タンパク質とそれらのタンパク質をコードする全長cDNAを単離した。本発明による全長cDNAは前駆細胞に由来するcDNAから単離され、これらのタンパク質を生産するために利用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の属する技術分野 本発明は、ヒトに由来するタンパク質をコードする全長cDNA、このcDNAによっ
てコードされるタンパク質、並びにそれらの製造法および用途に関する。
【0002】発明の背景 現在、世界的なレベルで様々な生物のゲノムDNAの解明とその解析が進められ
ている。既に10種類を越える原核微生物、下等真核生物の酵母、多細胞性真核生
物である線虫(C.elegans)で、その全ゲノム配列が決定された。3,000,000,000塩
基対といわれるヒトのゲノムについては、現在、世界的な協力体制のもとでその
解析が進められており、2002〜2003年頃までには、その全構造が明らかにされよ
うとしている。ゲノム配列を明らかにする目的は、複雑な生命現象をその設計図
であるゲノム情報を解読し、全ての遺伝子の機能や制御、あるいは遺伝子間、タ
ンパク質間、細胞間さらには個体間における相互作用のネットワークとして生物
を理解するところにある。種々の生物種のゲノム情報から生命現象を解明してい
くことは、単に学術分野における研究課題として重要であるのみならず、いかに
産業上の応用へと発展させていくかという点で、その社会的な意義も大きい。
【0003】 ところが単にゲノム配列を決定しただけでは、全ての遺伝子の機能を明らかに
できるわけではない。例えば酵母では、ゲノム配列から推定された約6,000の遺
伝子の約半数しか、その機能を推定できなかった。一方、ヒトには約100,000種
類の遺伝子が存在するといわれる。そこで、ゲノム配列から明らかにされてくる
膨大な量の遺伝子の機能を、迅速かつ効率的に解明していくための「ハイスルー
プット遺伝子機能解析システム」の確立が、強く望まれている。
【0004】 真核生物のゲノム配列では、多くの場合、遺伝子がイントロンによって複数の
エキソンに分断されている。そのため、ゲノム配列情報だけからそこにコードさ
れるタンパク質の構造を正確に予測するには、多くの問題がある。一方、イント
ロンが除かれたmRNAから作製されるcDNAは、一つの連続したアミノ酸配列として
タンパク質をコードしており、容易にそのタンパク質の一次構造を明らかにする
ことが可能である。ヒトのcDNAの研究では、これまでに1,000,000を越えるEST(
Expression Sequence Tags)データが公的に入手可能であり、それらはヒトの全
遺伝子の80%以上をカバーしているものと推定されている。
【0005】 これらの情報は、ヒトゲノム構造の解明やゲノム配列におけるエキソン領域の
予測、あるいはその発現プロファイルの推定のために利用されている。ところが
、これらのヒトEST情報の多くはcDNAの3'末端側近傍に集中しているため、特にm
RNAの5'末端近傍の情報が極端に不足している状況にある。また、これらのヒトc
DNAの中でコードされているタンパク質に対応するmRNAの予測されている数は約7
,000種類であり、更にそのうち全長cDNAクローンの数はわずか5,500種類に過ぎ
ないのが現状である。ESTとして登録されているcDNAを含めても、これまでに取
得されているヒトcDNAは、ヒト全遺伝子の10%〜15%程度であると推定されている
【0006】 全長cDNAでは、その5'末端配列からゲノム配列上でのmRNA転写開始点が特定で
きる上、そのcDNAの中に含まれるmRNAの安定性や翻訳段階での発現制御に関わる
因子の解析が可能である。また、全長cDNAは翻訳開始点であるATGを5'側に含む
ことから、正しいフレームでタンパク質への翻訳を行うことができる。したがっ
て、適当な発現系を適用することで、そのcDNAがコードするタンパク質を大量に
生産したり、タンパク質を発現させてその生物学的活性を解析することも可能に
なる。このように、全長cDNAの解析からはゲノム配列解析からの情報を相補する
重要な情報が得られる。また、発現可能な全長cDNAクローンは、その遺伝子の機
能の実証的な解析や産業分野での応用への展開において、その重要性はきわめて
高い。
【0007】 全長cDNAを合成する方法は公知である。たとえばオリゴキャップ法 [K. Maruy
ama & S. Sugano, Gene, 138: 171-174 (1994); Y. Suzukiら、Gene, 200: 149-
156 (1997)]によれば、原理的には全長cDNAに富むライブラリーを合成すること
ができるとされている。合成したcDNAをクローニングし、その塩基配列を決定す
れば、ATGpr [A. A. Salamov、T. Nishikawa & M. B. Swindells、Bioinformati
cs, 14: 384-390 (1998); http://www.hri.co.jp/atgpr/]等の手法を用いて、そ
れが全長cDNAクローンであるかどうかを評価することができる。しかし、これら
公知の手法の組み合わせでは、確かにある程度の割合で全長cDNAを得ることがで
きるものの、その効率においては改善の余地を残していた。そのため、発現頻度
の低いmRNAについては、その全長cDNAをクローニングすることは依然として困難
なことと考えられている。
【0008】発明の概要 本発明は、ヒト由来の新規なタンパク質と、そのタンパク質をコードするDNA
、並びにそれらの用途の提供を課題としている。
【0009】 我々は、オリゴキャップ法で作成した全長率の高いcDNAライブラリーから、AT
Gpr等で全長cDNAクローンであると予測される、ヒト全長cDNAを効率よくクロー
ニングする方法を開発した。次いで、この方法で取得した全長率の高いcDNAクロ
ーンの塩基配列を5'側と3'側の両側から決定した。こうして得られた塩基配列を
利用し、PSORT [K. Nakai & M. Kanehisa, Genomics, 14: 897-911 (1992)]でシ
グナル配列を持つと予測されるクローンを特異的に選別し、分泌タンパク質、ま
たは膜タンパク質をコードするcDNAを有していないクローンを取得した。
【0010】 本発明における全長cDNAクローンは、[1]オリゴキャップ法により合成された
全長率の高いcDNAライブラリーの作成、および[2]5'末端側の塩基配列からの全
長性の評価システムとの組み合わせによって取得することができた、より全長で
ある確率の高いクローンである。
【0011】 更に、この方法で取得したクローンの全長cDNAの塩基配列を解析し、その塩基
配列がコードするアミノ酸配列を推定した。そして推定アミノ酸配列に基づいて
、GenBank (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Web/Genbank/index.html)やSwissPro
t (http://www.ebi.ac.uk/ebi_docs/swissprot_db/ swisshome.html)におけるBL
AST検索[S. F. Altschul, W. Gish, W. Miller, E. W. Myers & D. J. Lipman,
J. Mol. Biol., 215: 403-410 (1990); W. Gish & D. J. States, Nature Genet
., 3: 266-272 (1993); http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/]を行い本発明を
完成した。
【0012】 本発明は、以下のポリヌクレオチド、このポリヌクレオチドによってコードさ
れるタンパク質、並びにそれらの用途に関する。
【0013】 まず本発明は、(1)以下の(a)〜(f)からなる群より選択される、単離ポリヌ
クレオチドに関する: (a)表1の配列番号のいずれか1つに記載の塩基配列のコード領域を含むポリヌ
クレオチド; (b)表1の配列番号のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコ
ードする塩基配列を含むポリヌクレオチド; (c)表1の配列番号に記載のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む
タンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチドであって、1つもしく
は複数のアミノ酸が、置換、欠失、挿入、および/または付加されて、該タンパ
ク質が表1の配列番号に記載のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む
タンパク質と機能的に同等であるポリヌクレオチド; (d)表1の配列番号に記載の塩基配列から選択される塩基配列を含むポリヌク
レオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、表1の配列番号に記
載の塩基配列から選択される塩基配列によってコードされるタンパク質と機能的
に同等なタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド; (e)(a)〜(d)に記載のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質の部
分アミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド; (f)表1の配列番号のいずれか1つに記載の塩基配列と少なくとも70%の同一性
を有する塩基配列を含むポリヌクレオチド。
【0014】 表1に、本発明の全長cDNAを含む下記の実施例において単離されたcDNAクロー
ンの名称、そのcDNAクローンの塩基配列に対応する配列番号、およびそのcDNAク
ローンの塩基配列から推定されるアミノ酸配列に対応する配列番号を示す。
【表1】
【0015】 さらに、本発明は、上記のポリヌクレオチド、そのポリヌクレオチドをコード
するタンパク質、および下記のようなそれらの用途に関する。 (2)(1)記載のポリヌクレオチドによってコードされる、実質的に純粋なタン
パク質。 (3)(2)記載のタンパク質の部分ペプチド。 (4)(2)記載のタンパク質または(3)記載のペプチドに対する抗体。 (5)(1)記載のポリヌクレオチドを含むベクター。 (6)(1)記載のポリヌクレオチドまたは(5)記載のベクターを有する形質転換体
。 (7)(1)記載のポリヌクレオチドまたは(5)記載のベクターを発現可能に有して
いる形質転換体。 (8)(2)記載のタンパク質または(3)記載のペプチドを産生する方法であって、
(7)記載の形質転換体を培養する段階、および発現産物を回収する段階を含む方
法。 (9)表1の配列番号のいずれか1つに記載の塩基配列またはその相補鎖と相補
的な塩基配列を含むオリゴヌクレオチドであって、15またはそれ以上のヌクレオ
チドを含むオリゴヌクレオチド。 (10)ポリヌクレオチドを合成するためのプライマーとしての、(9)記載のオ
リゴヌクレオチドの使用。 (11)遺伝子を検出するためのプライマーとしての、(9)記載のオリゴヌクレ
オチドの使用。 (12)(1)記載のポリヌクレオチドまたはその一部に対するアンチセンスポリ
ヌクレオチド。 (13)以下の段階を含む、ポリヌクレオチドを合成する方法: a)鋳型としてcDNAライブラリーを使用した相補鎖を合成して、(10)記載のプラ
イマーを使用する段階;および b)合成産物を回収する段階。 (14)cDNAライブラリーをオリゴキャップ法により得ることができる、(13)記
載の方法。 (15)相補鎖をPCRによって得ることができる、(13)記載の方法。 (16)以下の段階を含む、(1)記載のポリヌクレオチドを検出する方法: a)ハイブリダイゼーションが行われる条件下で、対象となるポリヌクレオチド
と(9)記載のオリゴヌクレオチドとをインキュベートする段階; b)対象となるポリヌクレオチドと(9)記載のオリゴヌクレオチドとのハイブリ
ダイゼーションを検出する段階。
【0016】 本明細書に引用されたいずれの特許、特許出願、および刊行物も、参照として
本明細書に組み入れられる。
【0017】発明の詳細な説明 本発明において、「ポリヌクレオチド」とはヌクレオチドが多数重合した分子
を意味する。重合するヌクレオチドの数は特に制限されないが、重合体が比較的
重合度の低いヌクレオチドの場合には特にオリゴヌクレオチドとも表現する。本
発明のポリヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドは、天然のものであること
もできるし、化学的に合成されたものであることもできる。あるいはまた、鋳型
となるポリヌクレオチドをもとにPCRのような酵素的な反応によって合成された
ものであっても良い。
【0018】 本発明によって提供されるcDNAはいずれも全長cDNAである。本発明における「
全長cDNA」とは、そのcDNAの翻訳開始点となるATGコドンと終止コドンを備えたc
DNAを意味する。したがって、天然のmRNAがタンパク質コード領域の上流や下流
に本来備えている非翻訳領域の有無は問わない。
【0019】 「単離されたポリヌクレオチド」とは、天然に生じる核酸、または遺伝子を3
つ以上にわたって分離した天然に生じるゲノム核酸の断片と同一ではないポリヌ
クレオチドである。従って、例えば以下のものが含まれる: (a)天然に生じるゲノムDNA分子の部分配列を有してはいるが、生物において天然
に生じるゲノムの分子の一部に隣接している両側のコード配列には隣接されてい
ないDNA; (b)ベクター、または真核生物もしくは原核生物のゲノムDNA中に組み入れられた
核酸であって、そのようにして得られた分子が任意の天然に生じるベクターまた
はゲノムDNAと同一ではない核酸; (c)cDNA、ゲノム断片、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって産生された断片、ま
たは制限酵素断片などの分離された分子;ならびに (d)ハイブリッド遺伝子、即ち、融合タンパク質をコードする遺伝子の一部であ
る、組換え塩基配列。 特に、この定義により特に除外されるものとしては、例えば、cDNAライブラリー
またはゲノムDNAライブラリーなどのDNAライブラリーに存在しているような、異
なる(i)DNA分子、(ii)トランスフェクションされた細胞、または(iii)細胞クロ
ーンの混合物中に存在する核酸である。
【0020】 実質的に純粋な本発明のヒト由来のタンパク質は、表1に示すように配列番号
:2、配列番号:4、配列番号:6、および配列番号:8に記載のアミノ酸配列
のいずれか1つを含む。表2に、これらのタンパク質およびこれらのタンパク質
をコードする全長cDNAクローンをまとめた。これらのクローンのうち、PSEC0058
は、5'-末端配列がGenBankのdbEST配列よりも長い。
【0021】 所与のポリペプチドに対して参照されるように、本明細書において「実質的に
純粋な」という用語は、タンパク質またはポリペプチドが他の生物学的高分子を
実質的に含んでいないことを意味する。実質的に純粋なタンパク質またはポリペ
プチドは、乾燥重量にして少なくとも75%(例えば、少なくとも80、85、95、ま
たは99%)純粋である。純度は、適当な常法、例えば、カラムクロマトグラフィ
ー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC解析などに従って測定するこ
とができる。
【0022】
【表2】
【0023】 本発明のタンパク質は、そのアミノ酸配列が明らかとなっていることから、適
当な発現系を適用して組換えタンパク質として発現させることにより、あるいは
、そのタンパクを特異的に認識する抗体を用いることで、その生物学的機能を解
析することが可能である。
【0024】 例えば、本発明のタンパク質を発現し、そのタンパク質を細胞内(各種培養細
胞や初代培養細胞)にインジェクションし、細胞の変化をCa2+等のシグナルの変
動、細胞の生育状態の変化、あるいは、機能既知のタンパク質やmRNA等の発現変
動等を指標に解析することにより、クローン化した遺伝子の機能を解析すること
ができる。また、本発明のタンパク質を特異的に認識する抗体を細胞内(各種培
養細胞や初代培養細胞)にインジェクションし、細胞の変化をCa2+等のシグナル
の変動、細胞の生育状態の変化、あるいは、機能既知のタンパク質やmRNA等の発
現変動等を指標に解析することによりクローン化した遺伝子の機能を解析するこ
とも考えられる。さらに、本発明のタンパク質を特異的に認識する抗体を用いる
ことにより、ポリペプチドの細胞内での局在や詳細な組織での局在を解析するこ
とによる機能予測が考えられる。たとえば、胎児のホールボディ(ヒト胎児の入
手が難しい場合には、一般的にマウス等の対応する遺伝子ではアミノ酸レベルで
ヒト遺伝子と相同性が高いので、マウス等の胎児でも解析可能である。特にサル
遺伝子はヒト遺伝子と相同性が高い)、各分化レベルでの細胞、または培養細胞
での組織化学的解析により、クローン化した遺伝子の機能予測をすることが可能
である。
【0025】 本発明のcDNAクローンがコードしているタンパク質は、いずれも全長アミノ酸
配列を備えることから、適当な発現系を適用して組換えタンパク質として発現さ
せることにより、あるいは、そのタンパクを特異的に認識する抗体を用いること
で、その生物学的活性を解析することが可能である。疾患と関連があるタンパク
質であった場合には、発現したタンパク質を使用して得られた特異認識抗体を用
いて、タンパク質の発現量や活性と、特定の疾患との相関を知ることができる。
あるいは、ヒトの遺伝子と疾患のデータベースであるOnline Mendelian Inherit
ance in Man (OMIM) (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Omim/)を利用して、タンパ
ク質と疾患との相関を解析することが可能である。疾患関連タンパク質は、診断
マーカー、発現・活性レベルを制御する薬剤、あるいは遺伝子治療のターゲット
として使用可能なため医薬品の開発に有用である。そのうちでも、そのタンパク
質が転写関連タンパク質やシグナル伝達関連タンパク質の場合には、疾患とその
タンパク質との関連が、藤井・田村・諸橋・影山・佐竹編の実験医学増刊「転写
因子研究1999」Vol.17, No.3, (1999)や、「遺伝子医学」Vol.3,No.2(1999)で報
告されていることより、医療産業上有用である。
【0026】 上記タンパク質を用いた機能の解析に基づいて、例えば以下のようにして医薬
品開発を行うことができる。細胞の増殖・分化などの細胞状態を制御する因子で
ある場合には、ある種の細胞に、本発明によって提供されるタンパク質や抗体を
細胞内にマイクロインジェクションすることによって、細胞の増殖・分化などの
細胞状態変化や、細胞内の特定の遺伝子の活性化または抑制を指標に低分子化合
物等をスクリーニングすることができる。
【0027】 このスクリーニングは、例えば、以下のように行うことができる。まず、本発
明のタンパク質を発現させ組換えタンパク質を精製する。次いで、その精製タン
パク質を、各種細胞株または初代培養細胞の細胞内にマイクロインジェクション
して、増殖・分化などの細胞の変化を調べる。または、ある特定の細胞状態変化
に作用することが知られている遺伝子の誘導をmRNA量、およびタンパク質量で検
出する。あるいは、ある特定の細胞状態変化に作用することが知られている遺伝
子産物(タンパク質)の働きにより変化した細胞内分子(低分子化合物など)量
で検出する。そのときに培養液等に活性をスクリーニングしたい物質(低分子化
合物でも高分子化合物でも可能)を添加しておくことにより、細胞状態の変化が
変わることを指標にスクリーニングできる。細胞に遺伝子産物をマイクロインジ
ェクションしなくとも本発明で取得した遺伝子産物の変化を指標としてスクリー
ニングできることもある。このようなスクリーニングにより、本発明によるタン
パク質が細胞状態、機能を制御するのを活性化または抑制する物質が開発されれ
ば、医薬品への応用が考えられる。
【0028】 さらに、具体的には次のような方法も可能である。まず、本発明のタンパク質
を発現した形質転換細胞株を取得する。次いで、その形質転換細胞株と、もとの
未形質転換細胞株とにおいて、ある特定の遺伝子発現の変化をmRNA量、またはタ
ンパク質量を検出することにより比較する。あるいは、ある特定の遺伝子産物(
タンパク質)の働きにより変化した細胞内の物質(低分子化合物など)量を検出
に用いる。さらには、ある特定の遺伝子の発現調節領域とマーカー遺伝子(ルシ
フェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ等)の融合遺伝子を導入した細胞に、本発明
によって提供されるタンパク質を発現させることによって、特定の遺伝子の発現
の変化を、マーカー遺伝子産物(タンパク質)由来の活性で判定する。このよう
なスクリーニングにより、影響を受けたタンパク質や遺伝子が疾患に関連してい
た場合、本発明によるタンパク質を利用し、直接的に、または、間接的に、その
発現や活性調節を行う化合物、または遺伝子のスクリーニングが可能となる。
【0029】 まず、本発明のタンパク質を発現させ組換え体を精製する。次に影響を受けた
タンパク質または遺伝子を精製し、本発明のタンパク質と、影響を受けたタンパ
ク質または遺伝子との結合を調べる。または、予め阻害剤の候補となる化合物を
反応液中に加えておいた後、それら結合の変化を調べる。あるいは本発明のタン
パク質をコードする遺伝子の5'上流転写調節領域を取得し、それをマーカー遺伝
子と融合した遺伝子を導入した細胞に、試験化合物を添加して、スクリーニング
を行う。このようなスクリーニングによって得られた化合物は、本発明によるタ
ンパク質が関連した疾患に対する医薬品として使用することができる。同様に得
られた制御因子がタンパク質であっても、そのタンパク質の発現・活性に影響を
与える化合物があれば、その疾患に対する医薬品として使用することができる。
【0030】 本発明によるタンパク質が酵素としての活性を有するとなれば、本発明によっ
て提供されるタンパク質に化合物を添加し、この化合物の変化を指標にスクリー
ニングすれば酵素活性の推測が可能である。また、この活性を指標に本発明によ
るタンパク質の活性を阻害する化合物のスクリーニングも可能である。このスク
リーニングは、例えば、以下のように行うことが可能である。まず、本発明のタ
ンパク質を発現させ組換え体を精製する。次いで、その精製タンパク質に、化合
物を添加して、化合物量および反応生成物量を調べる。または、予め阻害剤の候
補となる化合物を加えておいた後、精製タンパク質と反応する化合物(基質)を
加えて、その基質量および反応生成物量を調べる。このようなスクリーニングに
より、得られた化合物は、本発明のタンパク質が関連した疾患に対する、医薬品
として使用することができる。
【0031】 本発明によるタンパク質を認識する特異認識抗体を用いて、タンパク質の発現
量や活性と特定の疾患との相関を知ることができる。あるいは、「分子生物学の
方法(Method in Molecular Biology)」(Humana Press社)シリーズの「遺伝疾
患の分子診断(Molecular Diagnosis of Genetic Diseases)」(Rob Elles編、
1996)を参考にこの相関を解析することが可能である。疾患関連タンパク質は、
前述のようなスクリーニングの対象となり、その発現・活性を制御する薬剤の開
発に有用である。また、関連した疾患の診断マーカー、あるいは遺伝子治療のタ
ーゲットになるなど医療産業上、有用である。
【0032】 以上により単離された化合物は、化合物自体を患者に投与する以外に、公知の
方法により薬学的組成物中に製剤化して投与を行うことも可能である。例えば、
薬理学上許容される担体もしくは媒体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物
油、乳化剤、または懸濁剤などと化合物とを適宜組み合わせても良い。患者への
薬学的組成物の投与は、例えば、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射など当業者
に公知の方法により行いうる。投与量は、患者の体重や年齢、投与方法などによ
り変動するが、当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。
また、該化合物がDNAによりコードされうるものであれば、該DNAを遺伝子治療用
ベクターに組込み、遺伝子治療を行うことも考えられる。DNAの投与量、および
その投与方法は、患者の体重や年齢、症状などにより変動するが、当業者であれ
ば適宜選択することが可能である。
【0033】 本発明のタンパク質は、組換えタンパク質として、また天然のタンパク質とし
て調製することが可能である。組換えタンパク質は、例えば、後述するように本
発明のタンパク質をコードするDNAを挿入したベクターを適当な宿主細胞に導入
し、形質転換宿主細胞内で発現したタンパク質を精製することにより調製するこ
とが可能である。一方、天然のタンパク質は、例えば、後述する本発明のタンパ
ク質に対する抗体を結合したアフィニティーカラムを利用して調製することがで
きる (「分子生物学の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Bio
logy)」Ausubelら編、(1987) Jhon Wily & Sons、セクション16.1-16.19)。ア
フィニティー精製に用いる抗体は、ポリクローナル抗体であってもモノクローナ
ル抗体であってもよい。また、インビトロトランスレーション(例えば、「ヌク
レアーゼ処理されたウサギ網状赤血球溶解システムにおけるmRNA翻訳の適合度(
On the fidelity of mRNA translation in the nuclease-treated rabbit retic
ulocyte lysate system)」Dasso,M.C.、Jackson,R.J.(1989) Nucleic Acid Res
. 17:3129-3144」参照)などにより本発明のタンパク質を調製することも可能で
ある。
【0034】 本発明のタンパク質と機能的に同等なタンパク質は、当業者であれば、例えば
、タンパク質のアミノ酸配列中に変異を導入する方法(例えば、部位特異的変異
誘発法(「分子生物学の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular B
iology)」Ausubelら編、1987: John Wily & Sons、セクション8.1-8.5)」を利
用して調製することができる。また、このようなタンパク質は、自然変異によっ
て生じることもある。タンパク質が、本実施例中で同定されたタンパク質のいく
つかのものと機能的に同等である限り、本発明には、特に配列番号:2、4、6
、および8に記載の本発明のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複
数のアミノ酸の置換、欠失、挿入および/または付加を有するタンパク質が含ま
れる。
【0035】 アミノ酸の変異数や変異部位は、その機能が保持される限り制限はない。変異
数は、典型的には、全アミノ酸の10%以内であり、好ましくは全アミノ酸の5%
以内であり、さらに好ましくは全アミノ酸の1%以内である。タンパク質の機能
を保持する見地から、置換されたアミノ酸は元のアミノ酸と同様の特性を有する
ことが好ましい。例えば、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、およびTrpは、
非極性アミノ酸のグループに分類されることから、互いに同様の特性を有するこ
とが予想される。同様に、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、およびGlnなどの非
荷電アミノ酸の間、AspおよびGluなどの酸性アミノ酸の間、ならびにLys、Arg、
およびHisなどの塩基性アミノ酸の間で置換を行うことができる。
【0036】 また、本発明のタンパク質と機能的に同等なタンパク質は、当業者に周知のハ
イブリダイゼーション技術、または遺伝子増幅技術を利用して単離することも可
能である。即ち、当業者であれば、ハイブリダイゼーション技術 (「分子生物学
の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」Ausubelら
編、1987: John Wily & Sons、セクション6.3-6.4)を用いて、同定された塩基配
列(配列番号:1、3、5、および7)またはそれらの一部を基に以下の実施例
に記載のように、単離されたタンパク質をコードするDNAと高い相同性を有するD
NAを単離して、単離したDNAと機能的に同等なタンパク質を得ることは、通常行
いうることである。タンパク質が、本実施例で同定されたタンパク質と機能的に
同等である限り、本発明には、本実施例で同定されたタンパク質をコードするDN
AとハイブリダイズするDNAにコードされるタンパク質が含まれる。機能的に同等
なタンパク質を単離する生物としては、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、
およびウシ等の脊椎動物が挙げられるが、これらの動物に制限されない。
【0037】 機能的に同等なタンパク質をコードするDNAを単離するためのハイブリダイゼ
ーションの洗浄条件は、通常「1xSSC、0.1% SDS、37℃」であり;よりストリン
ジェントな条件としては「0.5xSSC、0.1% SDS、42℃」であり;さらにストリン
ジェントな条件としては「0.1xSSC、0.1% SDS、65℃」である。または、本発明
のハイブリダイゼーション条件として、以下の条件を与える。即ち、「6xSSC、4
0%ホルムアミド、25℃」でハイブリダイゼーションを行い、「1xSSC、55℃」で
洗浄する条件である。更に好ましくは、「6xSSC、40%ホルムアミド、37℃」で
ハイブリダイゼーションを行い、「0.2xSSC、55℃」で洗浄する条件である。さ
らにより好ましくは、「6xSSC、50%ホルムアミド、37℃」でハイブリダイゼー
ションを行い、「0.1xSSC、62℃」で洗浄する条件である。さらにストリンジェ
ントなハイブリダイゼーション条件では、プローブ配列とより高い相同性を有す
るDNAがより高頻度で単離される。従って、ストリンジェントな条件下でハイブ
リダイゼーションを行うことが好ましい。本発明におけるストリンジェントな条
件の例としては、「0.5xSSC、0.1% SDS、42℃」で洗浄し、または代替的には「6
xSSC、40%ホルムアミド、37℃」のハイブリダイゼーション条件および「0.2xSS
C、55℃」で洗浄する。但し、上記のSSC、SDS、および温度の条件の組み合わせ
は例示であり、当業者であれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー
を決定する上記若しくは他の要素(例えば、プローブ濃度、プローブの長さ、ハ
イブリダイゼーション反応時間など)を適宜組み合わせることにより、上記と同
様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
【0038】 このようなハイブリダイゼーション技術を利用して単離されるタンパク質のア
ミノ酸配列は、通常、本発明のタンパク質のアミノ酸配列と高い相同性を有する
。本発明には、請求項1(a)に記載の塩基配列と高い同一性を有する塩基配列を含
むポリヌクレオチドが含まれる。さらに、本発明には、請求項1(b)に記載のポリ
ヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列と高い同一性を有するアミノ酸
配列を含むペプチドまたはタンパク質が含まれる。「高い同一性」という用語は
、少なくとも40%またはそれ以上;好ましくは60%またはそれ以上;より好まし
くは70%またはそれ以上の配列の同一性を指す。または、90%もしくはそれ以上
、または93%もしくはそれ以上、または95%もしくはそれ以上、さらには、97%
もしくはそれ以上、または99%もしくはそれ以上の同一性を有することがより好
ましい。同一性は、BLAST検索アルゴリズムを用いて決定することができる。
【0039】 遺伝子増幅技術(PCR)(「分子生物学の最新プロトコール(Current protocols
in Molecular Biology)」Ausubelら編、1987:John Wiley & Sons、セクション6
.3-6.4)を用いて、本実施例で同定された塩基配列(配列番号:1、3、5、お
よび7)またはその一部をもとにプライマーを設計し、塩基配列またはその一部
と高い相同性を有するDNA断片を単離して、この単離したDNA断片をもとに本実施
例で単離された特定のタンパク質と機能的に同等なタンパク質を得ることも可能
である。
【0040】 二つのアミノ酸配列における、または二つの核酸における「同一性%」とは、
KarlinおよびAltschulのアルゴリズム(Karlin & Altschul (Proc. Natl. Acad.
Sei. USA 87:2264-2268, 1990)、KarlinおよびAltschulのアルゴリズムを改変し
たもの(Proc. Natl. Acad. Sei. USA 90:5873-5877, 1993)を用いて決定するこ
とができる。これらのアルゴリズムは、Altschulら(J. Mol. Biol.215:403-410,
1990)の、BLASTNプログラムおよびBLASTXプログラムに組み入れられている。BL
ASTヌクレオチド検索は、BLASTNプログラムを使用して行われた;スコア(score)
=100、ワード長(wordlength)=12。BLASTタンパク質検索は、BLASTXプログラム
を使用して行われた;スコア=50、ワード長=3。二つの配列間にギャップが存
在する場合、ギャップBLAST(Gapped BLAST)をAltschulらの記載のように使用
した(Nucleic Acids Res.25:3389-3402,1997)。BLASTプログラムおよびギャップ
BLASTプログラムを使用する場合には、それぞれのプログラムのデフォルトパラ
メータを使用した(例えば、BLASTXおよびBLASTN)。http://www.ncbi.nlm.nih.go
v.を参照のこと。
【0041】 本発明は、また、本発明のタンパク質の部分ペプチドを含む。さらに、本発明
には抗体調製のための抗原ペプチドが含まれる。部分ペプチドが本発明のタンパ
ク質に特異的であるためには、少なくとも7アミノ酸、好ましくは8アミノ酸また
はそれ以上、より好ましくは9アミノ酸またはそれ以上のアミノ酸配列を有する
。該部分ペプチドは、本発明のタンパク質に対する抗体や本発明のタンパク質の
競合阻害剤の調製以外に、本発明のタンパク質に結合する受容体のスクリーニン
グなどに利用し得る。本発明の部分ペプチドは、例えば、遺伝子工学的手法、公
知のペプチド合成法、または本発明のタンパク質を適当なペプチダーゼで切断す
ることによって製造することができる。
【0042】 更に、本発明は、本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドに関する
。本発明のポリヌクレオチドは、本発明のタンパク質をコードしうるものであれ
ばその形態に特に制限はなく、cDNA、ゲノムDNA、および化学合成DNAなどが含ま
れる。また、本発明のタンパク質をコードしうる限り、遺伝暗号の縮重に基づく
任意の塩基配列を有するDNAが含まれる。本発明のポリヌクレオチドは、配列番
号:1、配列番号:3、配列番号:5、および配列番号:7に記載の塩基配列ま
たはその一部を含むポリヌクレオチドをプローブとして使用したハイブリダイゼ
ーション法、または塩基配列をもとに合成したプライマーを使用したPCR法等の
常法によって単離することができる。
【0043】 例えば、下記の実施例で単離された、本発明により提供される4クローンは新
規であり、且つ全長のcDNAである。本発明により提供された全てのcDNAは以下の
ように特徴付けられた。
【0044】 即ち、本発明の全てのcDNAクローンは、オリゴキャップ法、および5'末端で全
長率の高いことが推測されるATGpr (またはATGpr1として記載)の値によって、5'
末端配列の特徴をもとに選択された全長cDNAを含む。さらに、本発明のcDNAクロ
ーンは、シグナル配列の存在を予測するPSORTでは5'-末端にはシグナルが見出さ
れず、タンパク質コード領域内に膜貫通領域を含んでいない。さらに、選択され
たクローンは、5'末端配列の相同性検索により、いかなるヒトmRNAとも同一では
ない(従って、新規である)ことが判明した。
【0045】 また、本発明は、本発明のDNAが挿入されたベクターに関する。本発明のベク
ターとしては、挿入したDNAを安定に保持するものであれば特に制限されず、例
えば、宿主に大腸菌を用いるのであれば、クローニング用ベクターとしてはpBlu
escriptベクター(Stratagene社製)などが好ましい。本発明のタンパク質を生産
する目的においては、特に発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、
試験管内、大腸菌内、培養細胞内、または生物個体内でタンパク質を発現するこ
とが可能なベクターであれば特に制限されないが、例えば、試験管内発現であれ
ばpBESTベクター(プロメガ社製)、大腸菌であればpETベクター(Invitrogen社
製)、培養細胞であればpME18S-FL3ベクター(GenBankアクセッション番号AB009
864)、生物個体であればpME18Sベクター(Mol Cell Biol. 8:466〜472(1988))
などが好ましい。本発明のDNAの挿入は常法により制限酵素サイトを用いたリガ
ーゼ反応により行うことができる(「分子生物学の最新プロトコール(Current
protocols in Molecular Biology)」Ausubelら編、(1987)、John Wiley & Sons
、セクション11.4〜11.11)。
【0046】 また、本発明は、本発明のベクターを保持する形質転換体に関する。本発明の
ベクターが導入される宿主細胞としては特に制限はなく、目的に応じて種々の宿
主細胞が用いられる。タンパク質を高発現させるための真核細胞としては、例え
ば、COS細胞またはCHO細胞などを例示することができる。
【0047】 宿主細胞へのベクター導入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス
穿孔法(「分子生物学の最新プロトコール(Current protocols in Molecular B
iology)Ausubelら編、(1987)、John Wiley & Sons、セクション9.1-9.9)、リ
ポフェクタミン法(GIBCO-BRL社製)、マイクロインジェクション法などの方法
で行うことが可能である。
【0048】 また本発明は、本発明のタンパク質をコードする配列番号:1、配列番号:3
、配列番号:5、および配列番号:7に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
、またはその相補鎖と特異的にハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの
鎖長を有するポリヌクレオチドに関する。ここで「特異的にハイブリダイズする
」とは、通常のハイブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントな
条件下で、本発明のタンパク質をコードする配列番号:1、配列番号:3、配列
番号:5、または配列番号:7に記載のポリヌクレオチド、またはその相補鎖と
ハイブリダイズし、他のタンパク質をコードするポリヌクレオチドとはハイブリ
ダイズしないことを意味する。このようなポリヌクレオチドは、本発明のポリヌ
クレオチドを単離および検出するためのプローブとして、また、本発明のポリヌ
クレオチドを増幅するためのプライマーとして利用することが可能である。プラ
イマーとして用いる場合には、ポリヌクレオチドは通常、15bp〜100bp、好まし
くは15bp〜35bpの鎖長を有する。また、プローブとして用いる場合には、ポリヌ
クレオチドは本発明のポリヌクレオチドの少なくとも一部若しくは全部の配列を
有し、少なくとも15bpの鎖長を有する。
【0049】 本発明のポリヌクレオチドは、本発明のタンパク質の異常を検査・診断するた
めに利用できる。例えば、本発明のポリヌクレオチドをノーザンハイブリダイゼ
ーションのプローブやRT-PCRのプライマーとして用いることにより、タンパク質
をコードする遺伝子の発現異常を検査、またはゲノムDNA-PCRやRT-PCRなどの本
発明のポリヌクレオチドをプライマーとして用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
により本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドやその発現制御領域を
増幅し、RFLP解析、SSCP、シークエンシング等の方法により、配列の異常を検査
・診断することができる。
【0050】 また、「配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、または配列番号:7に
記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、またはその相補鎖と特異的にハイブリ
ダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するポリヌクレオチド」には、
本発明のタンパク質の発現を抑制するためのアンチセンスポリヌクレオチドが含
まれる。アンチセンスポリヌクレオチドは、アンチセンス効果を引き起こすため
に、少なくとも15bpまたはそれ以上、好ましくは100bp、さらに好ましくは500bp
またはそれ以上の鎖長を有し、通常、3000bpまたはそれ以内、好ましくは2000bp
またはそれ以内の鎖長を有する。このようなアンチセンスポリヌクレオチドを、
本発明のタンパク質の異常(機能異常または発現異常)などに起因した疾患の遺
伝子治療に使用することができる。該アンチセンスポリヌクレオチドは、例えば
、本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号:1、
配列番号:3、配列番号:5、または配列番号:7に記載のポリヌクレオチド)
の配列情報を基にホスホロチオネート法(Stein, 1988「ホスホロチオネートオ
リゴデオキシヌクレオチドの物理化学的性質(Physicochemical properties of
phosphorothioate oligodeoxynucleotides)」Nucleic Acids Res 16, 3209-21
(1988))などにより調製することが可能である。
【0051】 本発明のポリヌクレオチドまたはアンチセンスポリヌクレオチドは、遺伝子治
療に用いる場合には、例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクタ
ー、アデノ随伴ウイルスベクターなどのウイルスベクターやリポソームなどの非
ウイルスベクターなどを利用して、インビボ法やインビトロ法などにより患者へ
投与を行う。
【0052】 また、本発明は、本発明のタンパク質に結合する抗体にも関する。本発明の抗
体の形態には特に制限はなく、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、また
は本発明のタンパク質に結合することができるそれらの一部も含まれる。また、
全てのクラスの抗体が含まれる。さらに、ヒト化抗体などの特殊抗体も含まれる
【0053】 本発明の抗体は、ポリクローナル抗体の場合には、常法に従いアミノ酸配列に
相当するオリゴペプチドを合成してウサギに該ペプチドを免疫することにより得
ることが可能であり(「分子生物学の最新プロトコール(Current protocols in
Molecular Biology)」Ausubelら編、(1987)John Wiley & Sons、セクション11
.12〜11.13)、一方、本発明のモノクローナル抗体の場合には、常法に従い大腸
菌で発現し精製したタンパク質を用いてマウスを免疫し、脾臓細胞と骨髄腫細胞
を細胞融合させたハイブリドーマ細胞の中から得ることができる(「分子生物学
の最新プロトコール(Current protocols in Molecular Biology)」Ausubelら
編、(1987)、John Wiley & Sons、セクション11.4〜11.11)。
【0054】 本発明のタンパク質に結合する抗体は、本発明のタンパク質の精製に加え、例
えば、本発明のタンパク質の発現異常や構造異常の検査および/または診断に利
用することも考えられる。具体的には、例えば組織、血液、または細胞などから
タンパク質を抽出し、ウェスタンブロッティング、免疫沈降、またはELISA等の
方法による本発明のタンパク質の検出を通して、上記の目的を達成することがで
きる。
【0055】 また、本発明のタンパク質に結合する抗体を、本発明のタンパク質に関連した
疾患の治療の目的に利用することも考えられる。抗体を患者の治療目的で用いる
場合には、ヒト抗体またはヒト化抗体が免疫原性の少ない点で好ましい。ヒト抗
体は、免疫系をヒトのものと入れ換えたマウス(「メガベースのヒト免疫グロブ
リン遺伝子座の機能的移植はマウスにおいてヒト抗体応答を再現する(Function
al transplant of megabase human immunoglobulin loci recapitulates human
antibody response in mice)」Mendez, M.J.ら、(1997) Nat.Genet.15:146-156
」)に免疫することにより調製することができる。また、ヒト化抗体は、モノク
ローナル抗体の超可変領域を用いた遺伝子組換えによって調製することができる
(Methods in Enzymology 203, 99-121(1991))。
【0056】 次に、本発明を下記実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はそれに
限定されるものではない。
【0057】 本発明により、4種の新規なタンパク質と、それをコードする全長cDNAクロー
ンが提供された。全長cDNAの単離が進んでいないヒトにおいて、ヒトにおける新
規な全長cDNAを提供した意義は大きい。本発明の全長cDNAクローンはヒト由来で
あるので、ヒトの疾患に関連している可能性がある。疾患に関連した遺伝子やタ
ンパク質は、診断マーカーとして有用である。また発現や活性を制御する化合物
の探索のためのプローブとして、あるいは遺伝子治療の標的として、医薬品開発
に有用である。
【0058】実施例1 オリゴキャップ法によるcDNAライブラリーの作製 ヒト胎児精巣由来のテラトカルシノーマ細胞系でレチノイン酸処理により神経
細胞に分化可能なNT-2神経前駆細胞(Stratagene社)を用いた。製造者のマニュ
アルに従って、次の条件でNT-2細胞を培養した。 (1) NT-2細胞をレチノイン酸で誘導しないで培養した(NT2RM1)。 (2) NT-2細胞を培養後、レチノイン酸を添加して誘導後、48時間培養した(N
T2RP1)。 (3) NT-2細胞を培養後、レチノイン酸を添加して誘導後、2週間培養した(NT
2RP2)。
【0059】 これらの培養細胞をそれぞれ集めて、文献(J. Sambrook, E. F. Fritsch & T
. Maniatis、「分子クローニング第2版(Molecular Cloning Second edition)
」Cold Spring harbor Laboratory Press 1989)記載の方法によりmRNAを抽出し
た。さらに、オリゴdTセルロースでmRNAからpoly(A)+RNAを精製した。
【0060】 同様に、ヒト胎児由来の脳を多く含む組織(HEMBA1)より、文献(J. Sambroo
k, E. F. Fritsch & T. Maniatis、「分子クローニング第2版(Molecular Cloni
ng Second edition)」、Cold Spring harbor Laboratory Press, 1989)記載の
方法によりmRNAを抽出した。さらに、オリゴdTセルロースでmRNAからpoly(A)+RN
Aを精製した。
【0061】 それぞれのpoly(A)+RNAよりオリゴキャップ法 [M. Maruyama & S. Sugano, Ge
ne, 138: 171-174 (1994)]によりcDNAライブラリーを作成した。オリゴ-キャッ
プリンカー(Oligo-cap linker)(配列番号:9)およびオリゴdTプライマー(
配列番号:10)を用いて文献 [鈴木・菅野, 蛋白質 核酸 酵素, 41: 197-201
(1996)、 Y. Suzukiら、Gene, 200: 149-156 (1997)]の記載にしたがって細菌ア
ルカリフォスファターゼ(Bacterial Alkaline Phosphatase:BAP)処理、タバ
コ酸性フォスファターゼ(Tobacco Acid Phosphatase:TAP)処理、RNAライゲー
ション、第一鎖cDNAの合成とRNAの除去を行った。次いで、5'(配列番号:11
)と3'(配列番号:12)のPCRプライマーを用いPCRにより2本鎖cDNAに変換し
、SfiI切断した。次いで、DraIIIで切断したベクターpUC19FL3(図1)(NT2RM1
とNT2RP1)またはDraIIIで切断したpME18SFL3(図1)(GenBank AB009864、発
現ベクター)(NT2RP2、HEMBA1)にcDNAの方向性を決めてクローニングし、cDNA
ライブラリーを作成した。cDNAライブラリーから、挿入cDNAサイズが1 kb以下の
クローンを除いた後、cDNAの5'端と3'端の塩基配列をDNAシーケンシング試薬(D
ye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit, dRhodamine Termina
tor Cycle Sequencing FS Ready Reaction KitまたはBigDye Terminator Cycle
Sequencing FS Ready Reaction Kit, PE Biosystems社製)を用い、マニュアル
に従ってシーケンシング反応後、DNAシーケンサー(ABI PRISM 377, PE Biosyst
ems社製)でを解析した。
【0062】 NT2RP2とHEMBA1の高全長率cDNAライブラリーは、真核細胞発現ベクターpME18S
FL3を用いて作製した。pME18SFL3ベクターにはクローニング部位の上流にSRαプ
ロモーターとSV40スモールtイントロンが組み込まれており、またその下流にはS
V40ポリA付加シグナル配列部位が挿入されている。pME18SFL3のクローン化部位
は非対称性のDraIIIサイトとなっており、cDNA断片の末端にはこれと相補的なSf
iI部位が含まれるので、クローン化したcDNA断片はSRαプロモーターの下流に一
方向性に挿入される。したがって、全長cDNAを含むクローンでは、得られたプラ
スミドをそのままCOS細胞に導入することにより、一過的に遺伝子を発現させる
ことが可能である。すなわち、非常に容易に、クローンにおける遺伝子産物であ
るタンパク質として、あるいはそれらのタンパク質の生物学的活性として実験的
に解析することが可能となっている。
【0063】 オリゴキャップ法で作製したライブラリーのcDNAクローンの5'-末端の全長率
を次の方法で、求めた。公共データベース中のヒト既知mRNAと5'-末端配列が一
致する全クローンについて、公共データベース中の既知mRNA配列より長く5'-末
端配列が伸びている場合と5'-末端配列は短いが翻訳開始コドンは有している場
合を「全長」と判断し、翻訳開始コドンを含んでいないクローンの場合を「非全
長」と判断した。各ライブラリーでのcDNAクローンの5'-末端の全長率 [全長ク
ローン数/(全長クローン数+非全長クローン数)] をヒト既知mRNAと比較する
ことにより求めた(NT2RM1:69%;NT2RP1:75%;NT2RP2:62%;HEMBA1:53%)。
この結果より、5'-端配列の全長率が非常に高いことが分かった。
【0064】 cDNAライブラリーとクローンとの関係は次のとおりである。 NT2RM1:PSEC0006 NT2RP1:PSEC0043 NT2RP2:PSEC0058 HEMBA1:PSEC0211
【0065】実施例2 ATGprとESTiMateFLでのcDNAの5'-末端の全長率の評価 ATGpr は、ATGコドンの周辺の配列の特徴から翻訳開始コドンであるかどうか
を予測するためにヘリックス研究所のA. A. Salamov、T. Nishikawa、およびM.
B. Swindellsにより開発したプログラムである。結果は、そのATGが真の開始コ
ドンである期待値(以下、ATGpr1と記載することもある)で表す(0.05-0.94)
。このプログラムを全長率65%のオリゴキャップ法で作製したcDNAライブラリー
からのcDNAクローンの5'-末端配列に適用してATGpr1値を0.6またはそれ以上でク
ローンを選択した場合、全長クローン(ORFのN-末端まで持つクローン)評価の
感度と特異性はともに82〜83%まで上昇した。さらに、このプログラムをオリゴ
キャップ法で作製したヒトcDNAライブラリーからのクローンの5'-末端配列が既
知ヒトmRNAと一致する17,365クローンについて評価した結果を示した。簡単にの
べると、クローンの最大ATGpr1値を決定して、次いで、各クローンの5'-末端配
列を既知ヒトmRNAと比較し、該クローンが全長か非全長かを決めた。その結果を
まとめたものを表3に示した。ATGprとオリゴキャップ法で作製したヒトcDNAラ
イブラリーからのクローンの組み合わせによる選択方法が、非常に有効なことを
示している。
【0066】
【表3】 * *全長クローンの数:ORFのN-末端までもつクローンの数;非全長クローンの
数:ORFのN-末端まで持っていないクローンの数;全長率:(全長クローンの数
)/(全長クローンの数+非全長クローンの数)により得られる数。
【0067】 ESTiMateFLは、公共データベース中のESTの5'-末端配列や3'-末端配列との比
較による全長率の高いcDNAクローンを選択するための、ヘリックス研究所の西川
・太田らにより開発された方法である。
【0068】 この方法は、あるcDNAクローンの5'-末端や3'-末端配列よりも、長く伸びたES
Tが存在する場合には、そのクローンは全長ではない可能性が高いと判断する方
法で、大量処理可能なようにシステム化したものである。公共データベース中の
EST配列より長く5'-末端が伸びている場合、および5'-末端が短いクローンでも
両者の差が50塩基以内である場合を便宜的に全長とし、そうではない場合には非
全長とする。ESTとcDNAクローンとの比較による予測精度は、比較対照とするEST
の数が多ければ高まるが、ESTが少ない場合には信頼性が低くなる。この方法は
、5'-末端配列での全長率が約60%のオリゴキャップ法により合成されたcDNAクロ
ーンから全長ではない可能性の高いクローンを排除するのに有効である。また、
ESTiMateFLは、公共データベースへのEST登録が適当数あるヒト未知mRNAのcDNA
の3'-末端配列の全長性を評価するには、特に有効な方法である。
【0069】 その結果をまとめたものを表4、および表5に示した。ATGprとESTiMateFLを
組み合わせて、オリゴキャップ法で作製したヒトcDNAライブラリーからのクロー
ンの5'-末端配列の全長性を評価すれば、ATGprの値の低いクローンでも全長率が
高くなることが確認された。この結果を全長cDNA配列を決めたクローンの5'-末
端配列の全長率の評価に応用した。なお表中、全長クローンの数とはORFのN-末
端までもつクローンの数、非全長クローンの数とはORFのN-末端までもっていな
いクローンの数、そして全長率とは(全長クローンの数)/(全長クローンの数
+非全長クローンの数)から得られた数を意味する。
【0070】
【表4】 既知ヒトmRNAのORFと比較し、全長であると判定したオリゴキャップ
法で取得したcDNAクローンの5'-末端配列のESTに対する全長率
【0071】
【表5】 既知ヒトmRNAのORFと比較し、非全長であると判定したオリゴキャッ
プ法で取得したcDNAクローンの5'-末端配列のESTに対する全長率
【0072】実施例3 全長率の高いクローンの選択と全長DNA配列解析 本発明によるクローンのうち、PSEC0006-PSEC0058については、5'-端配列デー
タでのORF(アミノ酸翻訳領域)が存在するものを選別したクローンであり、5'-
端配列データ(one pass sequencing)のATGpr値に基づく選別はしていなかった
。また、PSEC0211は、5'-端配列データからATGpr1の最大値が0.7以上で、5'-端
配列データでのORFが存在するものとして選別された。
【0073】 選択した4クローンについて、全長cDNAの塩基配列、並びに推定アミノ酸配列
を決定した。塩基配列は、次に示す3種の方法を組み合わせ、決定した部分塩基
配列を完全にオーバーラップさせ、最終的な確定塩基配列を決定した。決定され
たcDNA配列から、推定アミノ酸配列を明らかにした。それらの結果を配列表に示
した。 (1)Licor DNAシーケンサーを用いたcDNA挿入断片両末端からのロングリード
シーケンス(Licorシーケンサー(アロカ社販売)のマニュアルに従ってシーケ
ンシング反応後、LicorシーケンサーでDNA配列を解析した)、 (2)AT2トランスポゾン試験管内転移を用いたPrimer Island法によるネステッ
ドシーケンス[S. E. Devine & J. D. Boeke, Nucleic Acids Res., 22: 3765-37
72, (1994)](PE Biosystems社製のキットとマニュアルにしたがってクローンを
取得後、PE Biosystems社製のDNAシーケンシング試薬でマニュアルに従ってシー
ケンシング反応し、ABI PRISM 377シーケンサーでDNA配列を解析した) (3)カスタム合成DNAプライマーを用いたダイデオキシターミネーター法によ
るプライマーウォーキング(カスタム合成DNAプライマーをもちいPE Biosystems
社製のDNAシーケンシング試薬で製造者のマニュアルに従ってシーケンシング反
応し、ABI PRISM 377シーケンサーでDNA配列を解析した)
【0074】 それらの配列について、ATGprによる解析およびGenBankやSwissProtに対するB
LAST検索を行った。本発明の4クローンと高い相同性を示す公知のアミノ酸配列
は確認できなかった。また、特徴的なモチーフを見出すこともできなかった。
【0075】 以上の結果から、これら4クローン(PSEC0006、PSEC0043、PSEC0058、および
PSEC0211)は、「全長率の高いオリゴキャップ法で作成したヒトcDNAライブラリ
ーから、ATGpr等で全長cDNAクローンであると予測されるクローン」と定義され
る。ただし本発明によるクローンの中でATGpr1の値が低いPSEC0058(ATGpr1 0.1
7)は、cDNA5'-末端配列データ(one pass sequencing)の5'-末端配列データに
基づくORFが長いものとして選別してきたクローンについて全長配列解析したも
のである。つまりPSEC0058は、ATGprに基づいて選別したものではない。PSEC005
8についてESTとの比較をした結果、PSEC0058はESTよりも長いクローンであると
判定された。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 pME18SFL3とpUC19FL3のベクターの制限酵素マップを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12P 21/02 C 4H045 5/10 C12Q 1/68 A C12P 21/02 G01N 33/15 Z C12Q 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 M 33/50 33/566 33/53 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR ,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU, ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA40 DA12 DA13 DA36 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 BA80 CA01 CA04 GA11 HA12 4B063 QA18 QQ42 QQ52 QR32 QR55 QS34 QX01 4B064 AG01 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 BA10 CA40 EA20 EA50 FA74

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)〜(f)からなる群より選択される、単離ポリヌクレ
    オチド: (a)配列番号:1、3、5、および7のいずれか1つに記載の塩基配列のコード
    領域を含むポリヌクレオチド; (b)配列番号:2、4、6、および8のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含
    むタンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド; (c)(b)に記載のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質を
    コードする塩基配列を含むポリヌクレオチドであって、1つもしくは複数のアミ
    ノ酸が、置換、欠失、挿入、および/または付加されて、該タンパク質が(b)に
    記載のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同
    等であるポリヌクレオチド; (d)(a)に記載の塩基配列から選択される塩基配列を含むポリヌクレオチドとハ
    イブリダイズするポリヌクレオチドであって、(a)に記載の塩基配列から選択さ
    れる塩基配列によってコードされるタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコ
    ードする塩基配列を含むポリヌクレオチド; (e)(a)〜(d)に記載のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質の部
    分アミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド; (f)(a)に記載の塩基配列と少なくとも70%の同一性を有する塩基配列を含むポ
    リヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリヌクレオチドによってコードされる、実
    質的に純粋なタンパク質。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のタンパク質の部分ペプチド。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のタンパク質または請求項3記載のペプチドに
    対する抗体。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のポリヌクレオチドまたは請求項5記載のベク
    ターを有する形質転換体。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のポリヌクレオチドまたは請求項5記載のベク
    ターを発現可能に有している形質転換体。
  8. 【請求項8】 請求項2記載のタンパク質または請求項3記載のペプチドを
    産生する方法であって、請求項7記載の形質転換体を培養する段階、および発現
    産物を回収する段階を含む方法。
  9. 【請求項9】 請求項1(a)に記載の塩基配列またはその相補鎖と相補的な
    塩基配列を含むオリゴヌクレオチドであって、15またはそれ以上のヌクレオチド
    を含むオリゴヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 ポリヌクレオチドを合成するためのプライマーとしての、
    請求項9記載のオリゴヌクレオチドの使用。
  11. 【請求項11】 遺伝子を検出するためのプライマーとしての、請求項9記
    載のオリゴヌクレオチドの使用。
  12. 【請求項12】 請求項1記載のポリヌクレオチドまたはその一部に対する
    アンチセンスポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 以下の段階を含む、ポリヌクレオチドを合成する方法: a)鋳型としてcDNAライブラリーを使用した相補鎖を合成して、請求項10記載
    のプライマーを使用する段階;および b)合成産物を回収する段階。
  14. 【請求項14】 cDNAライブラリーをオリゴキャップ法により得ることがで
    きる、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 相補鎖をPCRによって得ることができる、請求項13記載
    の方法。
  16. 【請求項16】 以下の段階を含む、請求項1記載のポリヌクレオチドを検
    出する方法: a)ハイブリダイゼーションが行われる条件下で、対象となるポリヌクレオチド
    と請求項9記載のオリゴヌクレオチドとをインキュベートする段階; b)対象となるポリヌクレオチドと請求項9記載のオリゴヌクレオチドとのハイ
    ブリダイゼーションを検出する段階。
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