JP2003515341A - ストレプトコッカス・ニューモニエ抗原 - Google Patents

ストレプトコッカス・ニューモニエ抗原

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JP2003515341A JP2001542537A JP2001542537A JP2003515341A JP 2003515341 A JP2003515341 A JP 2003515341A JP 2001542537 A JP2001542537 A JP 2001542537A JP 2001542537 A JP2001542537 A JP 2001542537A JP 2003515341 A JP2003515341 A JP 2003515341A
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pneumoniae
nucleic acid
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クリップス、アラン・ウィリアム
キッド、ジェンネル・マリー
ジョマー、マハ
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コーテクス (オーエム) ピーティーワイ リミテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ストレプトコッカス・ニューモニエ(S.pneu moniae)に由来する抗原タンパク質に関する。このタンパク質は抗原性があり、ワクチンの製造並びにS.pneumoniae感染の診断に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae
に由来するタンパク質、特に細胞壁タンパク質に関する。本発明はまた、このタ
ンパク質の医療分野、特にS.pneumoniae感染の予防と診断における使用にも関す
る。
【0002】 呼吸系疾患は、依然として世界中の発病及び死亡要因の主要部を占めている。 S.pneumoniae は、気道における主な感染性病原体である。この病原体によって生
じる感染症には、中耳炎、下気道感染、菌血症及び髄膜炎などがある。
【0003】 これらの病原体によって発症する疾患による苦しみは極めて重大であり、しか
も国家の保健関連予算に多大な負担を課している。S.pneumoniaeに適用可能なワ
クチンは現存しているが、このワクチンは2歳未満の幼児に対してはあまり効果
が期待できない。従って現在の治療法では、感染した場合には専ら抗生物質を投
与する方法に依存している。開発途上国では、S.pneumoniaeによって発症する感
染症によって多くの患者が苦しんでおり、そのうちの幾つかの地域社会では殆ど
が充分な治療を受けられないという状況にある。つまり、抗生物質による治療が
利用できない場合があるのである。一方、抗生物質を入手できる開発途上国にお
いても、この種のバクテリアにおける抗生物質耐性の問題が大きく浮かび上がっ
てきている。
【0004】 従って、S.pneumoniaeに対する効果的なワクチンの開発が要望されており、特
に幼児に適用することのできるワクチンの開発が望まれている。
【0005】 S.pneumoniaeに対して有効なワクチンを開発するには、高度に保存された保護
抗原の特定と、免疫反応についての理解が必要である。
【0006】 本発明者らは、S.pneumoniaeの細胞壁からタンパク質を分離し、精製した。こ
のタンパク質はワクチンとして有用であり、S.pneumoniae感染症の診断にも役立
つものである。
【0007】 即ち、本発明の第1の態様においてはS.pneumoniaeに由来するタンパク質又は
その相同体もしくは該タンパク質及びその相同体の抗原フラグメントを提供する
ものであり、該タンパク質は、還元条件下でSDSゲル電気泳動法によって測定
される約34kDAの分子量を有すると共に、下記のアミノ末端配列、 VXXVGINTXSXXQS (Val XX Val Gly Ile Asn Thr X Ser XX Gln Ser)(配列番号:1) (但し、Xは未知アミノ酸残基を表す。) を有することを特徴とするものである。
【0008】 本発明のタンパク質はS.pneumoniaeから分離可能であり、実質的に純粋な形態
で提供することができる。例えば、本発明のタンパク質は実質的に他のタンパク
質を含まない形態で提供可能である。
【0009】 本明細書で述べているように、本発明のタンパク質は抗原物質として有用であ
る。このような抗生物質は「抗原性」及び/又は「免疫性」であると言える。こ
こで「抗原性」という用語は、該タンパク質が抗体の培養に使用できること、実
際には被験者において抗体反応を誘発できることを意味するために用いている。
また「免疫性」という用語は、該タンパク質が被験者において感染防御免疫反応
を誘発できることを意味するために用いている。このように、後者の場合は該タ
ンパク質は抗体反応だけでなく、抗体によらない免疫反応をも誘発させることが
できる。
【0010】 本発明のタンパク質又はトリペプチドの相同体や誘導体には、本発明で言う用
途、即ち、抗原物質又は免疫物質としての用途も見出すことができることは当業
者に自明なことである。従って、例えば1つ以上の結合の付加、欠失、置換など
を含むタンパク質やポリペプチドも本発明の範疇である。更に、特定のアミノ酸
を類似タイプの別のアミノ酸によって置換することも可能であり、例えば或る疎
水性アミノ酸を別のアミノ酸と置換してもよい。また、アミノ酸配列の比較には
CLUSTLプログラムなどのプログラムを使用することができる。このプログ
ラムはアミノ酸配列を比較し、必要に応じていずれかの配列にスペースを挿入す
ることにより最適な整合を検出する。最適な配列に対するアミノ酸の同一性又は
類似性(アミノ酸のタイプの保存)を計算することも可能である。BLASTx
などのプログラムでは複数の類似配列の最も長い鎖の整合をとり、適合度に値を
与える。このように、類似性のある幾つかの領域を特定し、それぞれに異なるス
コアを付して比較を行うことが可能である。本発明においては、これらいずれの
形式の分析法も考慮されている。
【0011】 相同体の場合、本願で述べているタンパク質との同一性の度合いは、相同体が S.pneumoniae に対する抗原性及び/又は免疫性を保有していなければならないと
いう点に比べれば、さほど重要ではない。但し、本発明の目的のためには、上述
の比較アルゴリズムの1つを使用したときに有意な数の構成アミノ酸が相同性を
示した場合、そのタンパク質配列は比較相手のタンパク質配列と実質的な相同体
であるとみなしてもよい。比率の少ない順からあげると、アミノ酸の少なくとも
40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、或いは99%でさ
え、相同性又は同一性があると考えることができる。
【0012】 エピトープ部位、即ちタンパク質又はポリペプチドの抗原性又は免疫性を担う
部位を特定するために、抗原性又は免疫性のあるタンパク質もしくはポリペプチ
ドをスクリーニングすることが可能であることは周知である。抗原性の有無につ
いて、フラグメント及び/又は相同体及び/又は誘導体を検査するには、当業者
に周知の方法を用いることができる。このように、本発明のフラグメントは、1
つ以上の上記のようなエピトープ部位を含むか、或いはそれらの抗原特性又は免
疫特性を保有するに充分な程度に係る部位に類似していることは当然である。従
って、本発明によるフラグメントに関しては同一性の度合いは重要ではなく、そ
れは、本明細書で述べているように本発明によるフラグメントがタンパク質又は
ポリペプチドやその相同体又は誘導体の特定の部位に100%一致していると思
われるからである。ここで繰り返すが、主眼点は、フラグメントがその由来する
タンパク質の抗原特性又は免疫特性を保持しているという点にある。本発明は、
上述のような抗原フラグメントを含むタンパク質を提供する。
【0013】 本明細書において、タンパク質の分子量は還元条件下でSDS−PAGEによ
って測定されたものである。当業者に自明なように、この測定法で取得される分
子量の値は約±20%程度の精度であるに過ぎず、測定に用いる特定のゲルや分
子量マーカによって異なる。
【0014】 本発明の更に別の態様においては分離精製タンパク質の調製方法が提供され、
この方法は、以下の工程、即ち、 (a) S.pneumoniaeの培養液を準備し、適正条件下にて該菌株を増殖して収
穫し、更に遠心分離で洗浄して細胞パレットを取得する工程と、 (b) 洗浄後の前記細胞を適正な緩衝液へ再懸濁した後、該細胞を破砕する
工程と、 (c) 前記細胞の残骸を遠心分離して除去し、可溶性細胞タンパク質を含有
する上清液を取得する工程と、 (d) 取得した上清液を塩化ナトリウム勾配溶離による陰イオン交換クロマ
トグラフィーにかけて個々のピークに対応する画分をプールする工程と、 (e) 0.5MのトリスHCl(pH6.8)、10%(v/v)グリセロ
ール、10%(w/v)SDS、0.05%(w/v)ブロモフェノール・ブル
ー及び0.05%(v/v)βメルカプトエタノールからなる緩衝液内へ前記タ
ンパク質画分を懸濁し、得られた混合物を煮沸した後、4%(w/v)アクリル
アミド/BISスタッキングゲルを有する12%(w/v)アクリルアミド/B
IS分離用ゲルを用いて前記スタッキングゲル内電流16mA及び分析ゲル内電
流24mAにてSDSゲル電気泳動により精製する工程と、 (f) 分子量34kDaのタンパク質を含有する画分を選別し、選別された
画分から前記タンパク質を分離する工程、 とを備えたことを特徴としている。
【0015】 これに代えて、適切な核酸を発現させることにより前記タンパク質を調製する
こともできる。
【0016】 従って本発明の更に別の態様においては、本発明の第1態様のタンパク質又は
その抗原フラグメント或いはそれらの相補核酸をコードする分離又は組換核酸が
提供される。
【0017】 発現のためには、前記核酸(これはDNAでよい)をベクターに組み込めばよ
く、このベクターは、プラスミド、コスミド又はファージでよい。組み込み後の
ベクターは宿主生物のゲノムに取り込むことができ、宿主生物としては原核生物
又は真核生物のいずれでもよい。
【0018】 前記核酸又は前記ベクターーは、処置対象生物において本発明のタンパク質の
発現に適していると考えられ、例えば所謂DNAワクチンの形態をとることがで
きる。DNAワクチンの調製に適した方法及び医薬品は当業者に周知のところで
ある。
【0019】 このタンパク質又はそのフラグメントはS.pneumoniae感染症の予防法に有用で
あり、係る予防法は、このような治療が必要なときに前記タンパク質又はそのフ
ラグメントの有効量を患者に投与することを含んでいる。本発明はS.pneumoniae に対する ワクチンを対象に接種する方法も提供し、この方法は前述のように有効
量のタンパク質又は抗原フラグメントを対象に投与する工程を備えている。
【0020】 本発明のタンパク質は、S.pneumoniae感染症の診断にも有用である。
【0021】 従って本発明の更に別の態様においては、医薬、特にS.pneumoniaeによる感染
の予防又は診断に使用するためのS.pneumoniae由来のタンパク質又はその相同体
或いは該タンパク質又はその相同体の抗原フラグメントが提供され、この場合、
該タンパク質は還元条件下でSDS−PAGEによって測定される約34kDa
の分子量を有すると共に、下記のアミノ酸末端配列、 VXXVGINTXSXXQS (Val XX Val Gly Ile Asn Thr X Ser XX Gln Ser)(配列番号:1) (但し、Xは未知アミノ酸残基を表す。) を有することを特徴とするものである。
【0022】 本発明のタンパク質は、S.pneumoniaeによる感染の予防の他に、係る感染の診
断にも有用である。従って、更に別の態様においては、S.pneumoniaeの検出及び
/又は同定方法が提供され、この方法は、 (a) 試験すべき標本に前述のタンパク質又はその相同体或いは該タンパク
質又は相同体の抗原フラグメントを接触させる工程と、 (b) S.pneumoniaeに対する抗体の存在を検出する工程、 とを備えている。
【0023】 本発明の更に別の態様においては、S.pneumoniae感染症の予防又は診断用の医
薬品の調製におけるS.pneumoniae由来タンパク質又はその相同体或いは該タンパ
ク質又は相同体の抗原フラグメントもしくはそれらの核酸コードの使用が提供さ
れ、この場合、該タンパク質は還元条件下でSDS−PAGEによって測定され
る約34kDaの分子量を有すると共に、下記のアミノ末端配列、 VXXVGINTXSXXQS (Val XX Val Gly Ile Asn Thr X Ser XX Gln Ser)(配列番号:1) (但し、Xは未知アミノ酸残基を表す。) を有することを特徴とするものである。
【0024】 先に述べたように、本発明者らによって分離されたタンパク質は抗原性である
ことが確認されており、従って該タンパク質はS.pneumoniae感染の予防又は診断
用のワクチン又は医薬として用いることができる。
【0025】 従って本発明は、本発明のタンパク質を薬理学的に許容される賦形剤と共に含
有する医薬品組成物又はワクチン組成物も提供する。
【0026】 この医薬品組成物又はワクチン組成物はアジュバントを含有していてもよい。
当技術分野で周知のアジュバントの例としては、水酸化アルミニウムなどの無機
ゲルや、不完全フロイントアジュバントなどの油中水エマルジョンを挙げること
ができる。この他の有効なアジュバントも当業者に周知である。
【0027】 本発明のタンパク質は、例えば経口、点鼻、舌下、肛門などの腸経由の投与、
或いは経皮、皮下、筋肉、腹腔内などの非経口投与など、様々な経路を通じて投
与することができる。
【0028】 組成及び含有する賦形剤によってとられる形態は、当然のことながら選択する
投与経路によって異なる。例えば、経口処方では、シロップ、エリキジール剤、
錠剤又はカプセルの形態をとることができ、これらには、前記タンパク質が胃内
で分解されるのを防止するために、腸内で初めて溶解されるコーティングを施し
てもよい。点鼻又は経皮処方は、それぞれスプレーや貼付剤の形態をとるのが通
常である。注射用の処方は、蒸留水やその他の薬理学的に許容される溶媒又は懸
濁液媒中の溶液又は懸濁液としてもよい。
【0029】 患者に対して投与すべき本発明のタンパク質の好適な投与量は医師によって判
断されるべきものである。但し、指針として、ワクチン接種用の適切な投与量は
非経口投与の場合で5〜100μgの範囲内とすることができる。尚、この投与
量は、処方、アジュバント、投与方式、患者のプロフィルなどに応じて、点鼻投
与及び経口投与の場合では10〜100倍にしてもよい。
【0030】 前述のように、本発明者らによって分離されたタンパク質は抗原性を保有して
いることから、本発明はまた前記タンパク質に特異的に結合する抗体も提供する
ものである。この抗体は、モノクロナル抗体又はポリクロナル抗体であってもよ
い。モノクロナル抗体とポリクロナル抗体を調製するための技術は当業者に周知
である。
【0031】 これらいずれの抗体に加えて、本明細書で述べているタンパク質などに結合す
ることができるその誘導体も本発明に包含されるものである。従って本発明は抗
体フラグメント及び合成物も包含し、また本明細書で使用している「抗体」なる
用語はこれらを含むことを意図しているものである。抗体フラグメント及び合成
物の例は、ドーガル(Dougall)らによるティブテック(Tibtech)第12巻第372
〜379頁(1994年9月)に記載されている。
【0032】 抗体フラグメントとしては、例えばFab、F(ab')及びFvの各フラグメン
トを挙げることができる。Fabフラグメント(これらについてはロイト(Roitt)
ら[前掲]に記載されている)。Fvフラグメントは、単鎖Fv(scFv)分子
として知られている合成物を産生するように修飾可能である。これには、分子の
安定性に寄与するVh及びVl部位に共有結合するペプチドリンカーも含まれる。
この他の使用可能な合成物としてはCDRペプチドを挙げることができる。これ
らのペプチドは、抗原結合決定基を有する合成ペプチドである。擬ペプチドも使
用可能である。これらの分子は、通常はCDRループの構造を模擬すると共に抗
原相互作用側鎖を含む高次構造的に制限された有機環である。
【0033】 合成物にはキメラ分子が含まれる。従って、例えばヒト化(又は霊長類化)抗
体又はその誘導体は本発明の技術的範疇にある。ヒト化抗体の例は、ヒトの枠組
み構造領域を有し、但し齧歯類超可変領域を有していない抗体である。キメラ抗
体の産生方法については、例えばモリソン(Morrison)らによるPNAS第81号
第6851〜6855頁(1984年)およびタケダ(Takeda)らによるNature誌
第314号第452〜454頁(1985年)に記載されている。
【0034】 合成物には、抗体結合性に加えて幾つかの好ましい特性をもつ分子を提供する
付加的要素(moiety)を備えた分子も含まれる。例えば、この付加的要素はラベル
(例えば蛍光ラベルや放射線ラベル或いはラテックスや赤血球などの等価固体物
理ラベル)であってもよく、或いは薬理学的な活性物質であってもよい。
【0035】 抗体又はそれらの誘導体は、S.pneumoniaeの検出や同定に使用可能である。従
って本発明の更に別の態様においては、本発明の1種以上のタンパク質又はそれ
らのフラグメントに結合可能な抗体を試験すべき標本と接触させる工程を備えた S.pneumoniae の検出又は同定手法が提供される。
【0036】 また、所謂「アフィボディー(Affibody)」を利用することもできる。これは、
αヘリックスバクテリアレセプタドメインの組合せライブラリから選択された結
合タンパク質である(Nordら)。このように、異なるターゲットタンパク質に特
異的に結合可能な小タンパク質ドメインは組合せ技法を用いて選択可能である。
【0037】 本発明の各態様の好ましい特徴には各態様相互間で必要な変更を加ることがで
きる。また、以上に掲げた先行技術文献の記述は、法によって許容される範囲で
本明細書に導入されるものである。
【0038】 本発明を下記の実施例及び図面を参照して以下に詳述する。
【0039】実施例1−抗原の分離と精製
【0040】 ・バクテリア この研究で調査を行い、且つ動物実験で相同バクテリアの感染に用いる抗原を
取得する目的で血清群3のS.pneumoniae(ATCC 49619)を使用した。このバクテ
リア菌株を、37℃、5%COの条件下に血液寒天培地で一晩培養したものと
、37℃のシェーカーインキュベータ内にてトリプトン大豆培養液(英国ハンプ
シャー州ベイシンストークのオキシド・リミテッド社製)で一晩培養したものと
を用意した。
【0041】 タンパク質の精製
【0042】 ・細胞壁タンパク質の抽出 無菌条件下でS.pneumoniaeの全ループを10mLの滅菌トリプトン大豆培養液
中に接種し、37℃のシェーカーインキュベータ内で一晩培養した。5mLずつ
2つの部分標本をそれぞれ容積500mLずつの2つの滅菌トリプトン大豆培養
液中に植継ぎし、37℃のシェーカーインキュベータ内で一晩培養した。無菌条
件下でバクテリア懸濁液ループを各培養液から分取して血液寒天培地に筋状に接
種し、成長及び汚染チェックのためにCO中で37℃にて一晩培養した。
【0043】 このバクテリア培養液をBeckman J-2TM遠心分離機により4℃にて20分間
、18000gで遠心分離した。得られた固形分ペレットを遠心分離によりリン
酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、その後、10mLのBPSと200
μLの10%(w/v)デオキシコール酸ナトリウム中に懸濁し、室温で1時間
撹拌した。懸濁液を4℃で15分間、27000gの遠心分離にかけ、上清液を
回収して70%(w/v)の最終濃度になるまで漸次硫酸アンモニアを添加しな
がら撹拌した。懸濁液を4℃で15分間、27000gの遠心分離にかけて固形
分ペレットを10mLの10mMリン酸ナトリウム(pH7.0)に再溶解した
。再懸濁したペレットを各1Lずつの10mMリン酸ナトリウム(pH7.0)
で4℃にて3回透析し、各回の透析の間隔は最低2時間とした。透析後のタンパ
ク質懸濁液を4℃にて15000rpmで20分間遠心分離し、上清液を保存し
てタンパク質の検定に供した。このタンパク質懸濁液は凍結乾燥によって濃縮し
、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAG
E)による分析に供した。
【0044】 ・SDS−PAGE タンパク質を分子量の違いにより分離するためにProtean II xiTMセル(Bio
-Rad社製)を用いた。12%(w/v)アクリルアミド/BIS分離用ゲルと4
%(w/v)アクリルアミド/BISスタッキングゲル(上部)とからなる不連
続ゲルは、トリス緩衝液中でアクリルアミド/BIS(N、N‘−メチレンビス
アクリルアミド)の30%(w/v)保存水溶液から作製した。このポリアクリ
ルアミドゲルはリン酸アンモニウムとTEMEDを用いて重合させた。凍結乾燥
タンパク質抽出物は、試料用緩衝液(0.5Mトリス−HCI,pH6.8、1
0%(v/v)グリセロール、10%(w/v)SDS、0.05%(w/v)
ブロムフェノール・ブルー、0.05%(v/v)βメルカプトエタノール)に
1対1(v/v)の割合で懸濁し、5分間煮沸してから約1mLをゲル上面に注
いだ。電気泳動は、上記ブルー色素先端がスタッカーを通過するまでは16mA
/ゲルの一定電流値で行い、次いで24mAに増加して分析ゲル全体での電気泳
動を行った。平均分析時間は4〜5時間の範囲内であった。分離されたタンパク
質は、BIORADTMフラットベッド電気溶離装置を用い、200V、最大0.2m
Aにて1時間に亘り電気溶離することによって30本の試験管に回収した。回収
された画分のタンパク質組成は、分析用SDS−PAGE及びタンパク質のクマ
シー又はシルバーいずれかの染色法によって評価した。分析用SDS−PAGE
は、Miniprotean IITMセル(Bio-Rad社製)を用い、200V一定電圧にて約
45分み亘り行った。タンパク質の濃度は、タンパク質分析キットPierce Micro
BCATMを用い、アルブミン標準との比較によって判定した。
【0045】 ・精製タンパク質からのSDSの除去 SDSを含有する標本は、標本1mL当たり容量200μLの100mMリン
酸カルシウムで処理し、60分間に亘って氷の上に放置した。標本をミクロ遠心
分離器内で4℃にて20分間、10000gの遠心分離にかけ、上清液を回収し
てナノ純水への一晩の透析により脱塩した。
【0046】 液体クロマトグラフィ分離
【0047】 ・陰イオン交換液体クロマトグラフィ 抽出したタンパク質を陰イオン交換クロマトグラフィによって更に精製し、そ
れらの分子電荷相互作用に従って分離した。カラム(Q5カラム、Bio-Rad社製
)は、低塩緩衝液(20mMトリス−HCI、pH8.45)を用い、1mL/
分の流速で10分間に亘り均衡化した。凍結細胞壁抽出物は5mg/mLの濃度
になるまで同じ緩衝液内に懸濁し、カラム上に付着させた。タンパク質の溶離は
、カラムを流れる20mMトリス−HCLと500mM塩化ナトリウム(pH8
.6)の比率を徐々に増加させることによる増加塩分勾配を用いて行った。画分
を回収して凍結乾燥し、分析用SDS−PAGEによって評価した。同様の操作
で得た多くの画分をプールし、前述と同様に作製用SDS−PAGEと電気溶離
によってタンパク質を更に精製した。
【0048】 ・結果 上述の方法により、分子量の異なる10種類のタンパク質を精製することがで
きたが、これらのタンパク質は、後述の実施例3で述べるように動物の免疫処置
の研究において評価可能なものであった。最も活性の高い精製タンパク質の分子
量は、12〜14kDa、16kDa、34kDa及び57kDaであった。全
体で23種類のタンパク質を細胞壁抽出物の合計タンパク質濃度25〜30mg
の6Lの培養液で20〜500μgの範囲に亘る収率で分離することができた。
図2は、細胞壁抽出物と、タンパク質抽出原液から電気溶離によって分離した各
タンパク質の溶離プロフィルを示している。全てタンパク質が単一のタンパク質
バンドとしてゲルから溶離されているわけではなく、幾つかの画分は2種または
3種類のタンパク質から成っている。
【0049】 ・陰イオン交換クロマトグラフィを用いた細胞壁タンパク質の溶離プロフィル 陰イオン交換クロマトグラフィで得られた溶離プロフィルは図3に示す通りで
ある。最初の小さなピークは非結合タンパク質の溶離を表している。後続の2つ
の主要ピークには、増加塩分濃度勾配で溶離されたタンパク質の殆どが含まれて
いる。これら主要ピークに含まれるタンパク質をSDS−PAGEによって更に
精製した。
【0050】実施例2−N末端配列の分析
【0051】 タンパク質のN末端配列を分析用SDS−PAGEからの切り離しバンドから
判定した。分析は、オーストラリア国オーストラリアン・キャピタル・テリトリ
ーに所在のザ・ジョン・カーティン・スクール・オブ・メディカル・サイエンス
(The John Curtin School of Medical Science)のバイオモレキュラーリソー
スユニット(Biomolecular Resource Unit)によって実施した。
【0052】
【表1】
【0053】 タンパク質の特徴付けを手助けするために、部分アミノ酸配列から取得した情
報をGenBankデータベースで検索し、既知タンパク質配列に対する相同性を判定
した。その結果、12〜14kDaタンパク質は、S.pneumoniaeからの12kD
aタンパク質と100%の配列相同性を有することが判明した。また16kDa
タンパク質は12〜14kDaタンパク質の異性体であることが判明した。
【0054】 コーベルク(Koberg)らの研究(Microbiology, 143(3),55-61, 1997年1月)に
よれば、S.pneumoniaeに対する2種類のモノクロナール抗体はユーバクテリアL
7/L12リボソームタンパク質上の高度に保存されたエピトープと反応する。
高いアミノ酸配列の相同性が27種を数える66のユーバクテリア間で認められ
ている。約12〜14kDaのタンパク質は、この研究(Kobergら)で得られた
12kDaタンパク質と100%の配列合致度を有している。
【0055】 34kDaタンパク質は、広く利用可能なデータベースのBLAST検索で有
意の類似性をもつタンパク質が存在しないことが明らかとなったので、新規タン
パク質であると思われる。
【0056】実施例3−マウスの肺クリアランスモデル
【0057】 ・動物 6〜10週齢のBalb/cマウスをケージに入れ、滅菌飼料と水を自由摂取
できる無菌環境下に管理した。
【0058】 ・生菌の調製 バクテリアは、37℃、5%COの条件下で血液寒天培地プレート上で一晩
生育した。バクテリアを収穫し、室温にて10000gの遠心分離により滅菌B
PSで2回洗浄した。バクテリア濃度は405nmにおける吸光度で判定し、回
帰曲線から計算した。生存バクテリアの計数値に対する濃度の精度は、滴定と一
晩の培養によって確認した。
【0059】 ・免疫化の方法 マウスには第0日にパイエル板の注射によって最初の免疫化を施し、14日後
に気管内投与によって免疫化を増強した。21日目に、これらのマウスを生菌の S.pneumoniae と接触させた。
【0060】 ・パイエル板免疫化 マウスは、5mg/mlのケタミン塩酸塩及び2mg/mlのキシラジン塩酸
塩の用量で0.25mLのケタミン/キシラジンを皮下注入することによって鎮
静化させた。腹部中線切開によって小腸を露出させ、前記タンパク質を各パイエ
ル板に漿膜下注射した。免疫タンパク質は、2.5μg/μLの前記タンパク質
を不完全フロイントアジュバント(シグマ・イムノケミカルス社製、米国ミズー
リ州セントルイス)に1:1の割合で乳化することで準備し、各マウスには全体
濃度10μgのタンパク質を投与した。
【0061】 ・マウスの気管内への接種 14日目にマウスに気管内免疫増進処置を施した。体重1kgにつき20mg
のサファンを静脈注射することによってマウスを鎮静化させた。PBSに10μ
gのタンパク質を加えて総量20μLとし、これを22.1/2Gカテーテルに
より気管経由で肺に送り込んだ。
【0062】 ・肺への感染 21日目にマウスを生菌と接触させた。まずマウスを前述と同様にサフィンに
よって鎮静化させ、20μLのS.pneumoniae生菌に1×10CFUの接種材料
を加えたものを気管経由で肺に導入し、気管内免疫増進処置とした。接触から5
時間後に0.2mLのペントバルビタールナトリウムを気管内注射することによ
ってマウスを安楽死させた。
【0063】 心穿孔によって血液を採集し、分析するまでの間、分離した血清を−20℃以
下で保存した。気管を露出させ、0.5mLの滅菌PBSの注入・排出により肺
を洗浄した。収集した液体(BAL)は、CFU判定のために血液寒天培地上で
10倍の連続希釈液に平板希釈することによりバクテリア回収率を評価した。サ
イトプシン・スライド・プレパラートの作成、染色及び画分細胞数のカウントの
ためアリコット部分を摘出した。次いでBALを4℃にて10分間、1000r
pmで遠心分離にかけ、上清液を必要になるまで−20℃以下で保存した。ペレ
ットをPBSとメチレンブルーに再懸濁させ、BAL内の白血球の総数をカウン
トした。肺を摘出して洗浄し、2mLの滅菌PBS中に漬けて均質化した。肺の
ホモジネートはCFU判定のために血液寒天培地で10倍の連続希釈液に平板希
釈して評価した。結果は、この肺からの有意な肺クリアランス値を示すタンパク
質だけに限定して示した。
【0064】 ・結果 免疫化とバクテリア感染テストで評価した3種類のタンパク質がこの肺からの
有意な肺クリアランス値を示した。これらは、16、34及び57kDaの各分
子量を有するタンパク質であり、表1に示した通りである。バクテリアの除菌、
及び同時に菌に感染させた非免疫マウスにおける回収物のとの比較の結果は表2
に示す通りであり、また図5〜7に図示してある。4番目の有意タンパク質は1
2〜14kDaタンパク質であった。このタンパク質は、多くのバクテリアに存
在しているようなモノクロナール抗体検定(上記を参照)で既に特定されている
ものである。但し、ワクチン抗原として試験したという証拠は当該文献中には見
当たらない。
【0065】
【表2】
【0066】実施例4−血清抗体
【0067】 34kDa又は12〜14kDaタンパク質のどちらかで免疫化したマウスか
ら得た血清について、免疫用タンパク質に対する抗体の有無をELISAにより
評価した。
【0068】 ・方法 ポリソーブ・マイクロタイター・ウエルを、4℃で一晩、1ウエル当たり50
μLでインキュベートすることにより、コーティング緩衝液(15mMのNa CO、35mMのNaHCO、pH9.6)に34kDaタンパク質又は1
2〜14kDaタンパク質のいずれかを10μg/mlで溶解した精製タンパク
質でコーティングした。プレートは洗浄用緩衝液(0.05%のTween-20を含有
するPBS)中で5回洗浄した。各ウエルは、室温で60分間、PBS/Tween-
20緩衝液に溶解した5%スキムミルク100μLでブロックした。上記のように
各プレートを5回洗浄し、1/5から始まる50μLずつの血清希釈液を各ウエ
ルに添加し、室温にて90分間に亘りインキュベートした。洗浄後、ウエルを9
0分間に亘って抗マウスIgGホースラディシュ・ペルオキシダーゼ共役抗血清
でインキュベートした。ウエルを洗浄し、過酸化水素を含有するpH5のリン酸
クエン酸塩緩衝液に添加したTMB(ジメチルスルフォキシドにテトラメチルベ
ンジディンを溶解)により現像した。0.5MのHSOで反応を停止させ、
ウエルの吸光度を450nmで読み取った。供試ウエル内の免疫グロブリンの濃
度は、同じマイクロタイタープレート上での標準指標に従って評価したIgGの
既知濃度から計算により判定した。
【0069】 ・結果
【表3】
【0070】実施例5−配列決定のための34kDaタンパク質の調製
【0071】 プロテアンIEFセルを第1方向の等電点フォーカスと第2方向の電気泳動タ
ンパク質分析に使用した。
【0072】 ・方法
【0073】 第1方向の電気泳動は、一晩に亘って活性再水和した7cmのIPGストリッ
プを用い、50Vで17時間行った。60uL(1ug/uL)の細胞壁抽出液
と総容量140uLの再水和溶液(8.3M尿素、2%CHAPS、50mMジ
チオスレイトール、0.1%Bio-Lyte及び0.001%ブロモクレソール・ブル
ー)を標本ウエルに注入した。第2方向の電気泳動は、複数のゲルストリップを
12%SDS−PAGEゲルと4%スタッキングゲル(前述の通り)の上に重ね
て5mAで1時間実行し、更にゲルストリップ当たり15mAで1.5時間実施
した。ゲルの1つを図8に示したようにクマシー染色し、そのほかのゲルを泳動
法に定められている様式に従ってウエスターンブロット分析用のメンブレンに移
した。ウエスターンブロット分析の結果は図9に示す通りである。
【0074】 ・結果 二次元電気泳動法を用いて34kDaタンパク質の分子量を計算した結果、3
4.1kDaであった。
【0075】 図8:図2に示されている34.1kDaタンパク質のバンドに類似している
特定バンドをゲルから切り離した。図9:マウス(前述の免疫化マウス)から得
た特異的抗血清を用いた34kDaタンパク質が相同細胞壁抽出液(レーン1)
に検出され、レーン3内の標準分子量と比較すると、同じバンドがレーン2の二
次元ストリップスロットにも観察される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いられるタンパク質精製手順の模式概略フローを示す図である。
【図2】 SDS−PAGEで分析したS.pneumoniae細胞壁抽出物からの電気溶離プロフ
ィルを示す泳動図であり、レーン1はSDS−PAGEによって分離された抽出
原液のクマシー染色、レーン3は分子量標準、レーン2と4〜11は電気溶離に
よって収集されたタンパク質を示す。
【図3】 陰イオン交換クロマトグラフィ分析で得たプロフィル図である。
【図4】 分子量14、16、34及び57kDaの精製S.pneumoniaeタンパク質を示す
泳動図である。
【図5】 16kDaのS.pneumoniaeタンパク質による免疫化に伴う肺クリアランスを示
す線図である。
【図6】 34kDaのS.pneumoniaeタンパク質による免疫化に伴う肺クリアランスを示
す線図である。
【図7】 57kDaのS.pneumoniaeタンパク質による免疫化に伴う肺クリアランスを示
す線図である。
【図8】 34kDaのS.pneumoniaeタンパク質の二次元ゲル分析の結果を示すゲル写真
である。
【図9】 34kDaのS.pneumoniaeタンパク質のウエスターンブロット分析の結果を示
すゲル写真であり、レーン1は相同細胞壁抽出液、レーン2は立体ストリップス
ロット、レーン3はレーン中の分子量標準である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/04 C07K 14/315 ZNA 4H045 C07K 14/315 ZNA 16/12 16/12 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 A 5/10 C C12P 21/02 C12N 15/00 A 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 キッド、ジェンネル・マリー オーストラリア国、2617 オーストラリア ン・キャピタル・テリトリー、マクケラ ー、バギー・クレセント 6 (72)発明者 ジョマー、マハ オーストラリア国、2905 オーストラリア ン・キャピタル・テリトリー、セオドー ル、バーデット・クレセント 21 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA31 CA02 HA01 HA17 4B064 AG31 BA14 CA02 CA19 CC24 CE11 CE14 DA01 DA15 4B065 AB01 BA02 CA45 CA46 4C084 AA13 ZA342 ZA592 ZB092 ZB352 4C085 AA03 BA14 CC07 DD34 DD43 DD62 DD86 EE01 EE06 FF02 FF03 GG03 GG04 GG06 GG08 GG10 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 CA11 DA75 DA86 EA31 EA52 FA73 FA74 GA23 GA30

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還元条件下でSDSゲル電気泳動法によって測定される約3
    4kDaの分子量を有すると共に、下記アミノ酸配列、 VXXVGINTXSXXQS (Val XX Val Gly Ile Asn Thr X Ser XX Gln Ser)(配列番号:1) (但し、Xは未知アミノ酸残基を表す。) を有することを特徴とする、ストレプトコッカス・ニューモニエに由来するタン
    パク質又はその相同体或いは該タンパク質又は相同体の抗原フラグメント。
  2. 【請求項2】 (a) ストレプトコッカス・ニューモニエの培養液を準備
    し、適正条件下にて該菌株を増殖して収穫し、更に遠心分離で洗浄して細胞パレ
    ットを取得する工程と、 (b) 洗浄後の前記細胞を適正な緩衝液へ再懸濁した後、該細胞を破砕する
    工程と、 (c) 前記細胞の残骸を遠心分離して除去し、可溶性細胞タンパク質を含有
    する上清液を取得する工程と、 (d) 取得した上清液を塩化ナトリウム勾配溶離による陰イオン交換クロマ
    トグラフィーにかけて個々のピークに対応する画分をプールする工程と、 (e) 0.5MのトリスHCl(pH6.8)、10%(v/v)グリセロ
    ール、10%(w/v)SDS、0.05%(w/v)ブロモフェノール・ブル
    ー及び0.05%(v/v)βメルカプトエタノールからなる緩衝液内へ前記タ
    ンパク質画分を懸濁し、得られた混合物を煮沸した後、4%(w/v)アクリル
    アミド/BISスタッキングゲルを有する12%(w/v)アクリルアミド/B
    IS分離用ゲルを用いて前記スタッキングゲル内電流16mA及び分析ゲル内電
    流24mAにてSDSゲル電気泳動により精製する工程と、 (f) 分子量34kDaのタンパク質を含有する画分を選別し、選別された
    画分から前記タンパク質を分離する工程、 とを備えたことを特徴とする分離精製タンパク質の調製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のタンパク質又はその抗原フラグメントをコ
    ードする核酸又はその相補核酸。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の核酸を含有するベクター。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の核酸によって変換された微生物。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の核酸を発現させる工程を含むことを特徴と
    する請求項1に記載のタンパク質の調製方法。
  7. 【請求項7】 還元条件下でSDSゲル電気泳動法によって測定される約3
    4kDaの分子量を有すると共に、下記アミノ酸末端配列、 VXXVGINTXSXXQS (Val XX Val Gly Ile Asn Thr X Ser XX Gln Ser)(配列番号:1) (但し、Xは未知アミノ酸残基を表す。) を有することを特徴とする、医薬、特にストレプトコッカス・ニューモニエによ
    る感染の予防又は診断に用いるための、ストレプトコッカス・ニューモニエに由
    来するタンパク質又はその相同体或いは該タンパク質又は相同体の抗原フラグメ
    ントもしくはそれらをコードする核酸。
  8. 【請求項8】 (a) 試験すべき標本に請求項1に記載のタンパク質又は
    抗原フラグメントを接触させる工程と、 (b) ストレプトコッカス・ニューモニエに対する抗体の存在を検出する工
    程、 とを備えたことを特徴とする、ストレプトコッカス・ニューモニエの検出及び/
    又は同定方法。
  9. 【請求項9】 還元条件下でSDSゲル電気泳動法によって測定される約3
    4kDaの分子量を有すると共に、下記アミノ酸末端配列、 VXXVGINTXSXXQS (Val XX Val Gly Ile Asn Thr X Ser XX Gln Ser)(配列番号:1) (但し、Xは未知アミノ酸残基を表す。) を有するストレプトコッカス・ニューモニエに由来するタンパク質又はその相同
    体或いは該タンパク質又は相同体の抗原フラグメントもしくはそれらをコードす
    る核酸の、ストレプトコッカス・ニューモニエによる感染の予防又は診断用医薬
    品の調製における使用。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載のタンパク質又は抗原フラグメント並びに
    医薬品として許容可能な賦形剤を含有することを特徴とする医薬品又はワクチン
    組成物。
  11. 【請求項11】 更にアジュバントを含有することを特徴とする請求項10
    に記載の医薬品又はワクチン組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1に記載のタンパク質又は抗原フラグメントに特異
    的に結合する抗体。
  13. 【請求項13】 請求項1に記載のタンパク質又は抗原フラグメントの有効
    量を被験動物に投与する工程を備えたことを特徴とする、被験動物へのストレプ
    トコッカス・ニューモニエ用ワクチン接種法。
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