JP2003514031A - Tr3特異的結合剤およびその使用のための方法 - Google Patents

Tr3特異的結合剤およびその使用のための方法

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トーマス ブイ. ティットル,
ケイス ダブリュー. ウェグマン,
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トーマス ブイ. ティットル,
ケイス ダブリュー. ウェグマン,
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Abstract

(57)【要約】 本出願において、生物学的に活性なTR3特異的結合剤、およびその生物学的に活性なTR3特異的結合剤を使用するための方法が、開示される。本発明の生物学的に活性なTR3特異的結合剤は、TR3を発現する細胞の増殖を阻害するために有用であることが、示される。これらの生物学的に活性な薬剤は、対宿主性移植片病、器官拒絶、腫瘍増殖、自己免疫、および炎症のような、T細胞媒介性疾患を処置するために有用であることが、示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願に対する相互参照) 本願は、米国特許法第119条(e)のもとで、1999年11月19日付け
で出願された米国仮特許出願番号60/166,583に対する優先権を主張す
る。この米国仮特許出願の内容は、本明細書中で参考として援用される。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、一般的に、生物学的な細胞表面抗原およびこのような抗原に結合す
る薬剤に関する。より詳細には、本発明は、生物学的に活性なTR3特異的結合
剤、およびこのようなTR3特異的結合剤を使用する方法に関する。
【0003】 (発明の背景) (TR3の構造的特徴) TR3(Apo−3,DR3,LARD,Tramp,およびWSL−1とし
ても公知)は、細胞表面抗原の腫瘍壊死因子レセプター(TNFR)スーパーフ
ァミリーのメンバーである。このスーパーファミリーのいくつかのメンバー(例
えば、NGFR(神経発育因子レセプター)およびCD95(Fas/APO−
1))は、広範な組織分布を有するが、このスーパーファミリーの他のメンバー
(例えば、CD27,CD30,CD40,CD134,4−1BB,およびT
R3)は、リンパ系/造血系の細胞に限定される。TR3を除いて、この後者の
群のレセプターは、細胞増殖のアップレギュレーションと関連付けられている。
TR3は、TNFRおよびCD95に対して相同な細胞質死ドメイン(deat
h domain)を有し、プログラム細胞死(アポトーシス)に関与すると考
えられている。
【0004】 これらのレセプターの各々は、細胞表面リガンドと相互作用する。このスーパ
ーファミリーのリンパ系メンバーの場合、リガンドは通常、相補性の細胞型にお
いて発現される。すなわち、レセプターがT細胞上である場合、そのリガンドは
、抗原提示細胞(APC、例えば、B細胞、マクロファージ、または樹状細胞)
において見出され、そして逆もまた同様である。これらのレセプター/リガンド
対の間の相互作用は、レセプター保有細胞に活性化または死についてのシグナル
を送達すると考えられる。現在まで、TR3に対するリガンドは発見されていな
い。
【0005】 (疾患における活性化T細胞の役割) Tリンパ球は、対宿主性移植片(GVHD)の主要な原因である。GVHDの
予防は、1つ以上の汎(pan)T細胞免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、
コルチコステロイド、またはメトトレキサート)を投与することによって達成さ
れる。これらの免疫抑制剤は、「汎」免疫抑制剤と呼ばれる。なぜなら、これら
は、B細胞、T細胞、および前駆体Tリンパ球を抑制するからである。被験体で
1%未満の正常レベルの循環T細胞を維持しつつも、このような免疫抑制剤を受
容している被験体が、3ヶ月以上免疫無防備状態であることは珍しいことではな
い。従って、このような薬剤は、結果として生じる機能的免疫系の不在から生じ
る二次感染に起因して、被験体の有意な罹病率および死亡率と関連付けられる。
従って、活性化T細胞の増殖を選択的に制限し得る治療剤の開発が所望される。
【0006】 このような治療剤はまた、T細胞増殖に関連した他の疾患(例えば、急性およ
び慢性の移植拒絶疾患(対宿主性移植片および器官拒絶)、自己免疫疾患(重症
筋無力症、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、糖尿病、多発性硬化症
、サルコイドーシス、心筋炎、甲状腺炎、および他の器官特異的自己免疫疾患)
、炎症性疾患(トキシックショック症候群、炎症性腸疾患、および遅延型過敏症
)、および癌(白血病およびリンパ腫))の進行を停止させるか、または少なく
とも緩徐化させるにおいて顕著な価値を有する。
【0007】 (Fasに対する抗体の潜在的用途) T細胞免疫応答をダウンレギュレーションするために提案された1つの治療剤
は、Fas(Apo−1およびCD95としてもまた公知)、TNFR細胞表面
タンパク質に対して指向された抗体の使用である。Fasは、活性化された正常
なヒトリンパ系細胞およびリンパ腫瘍細胞(B細胞およびT細胞を含む)、なら
びに他の正常細胞において発現される。Fasへの抗Fas抗体の結合によって
、Fasを発現する細胞の増殖阻害および/またはアポトーシスが引き起こされ
る。従って、Fasに対するモノクローナル抗体は、自己免疫疾患を制御するた
めに、ならびにFasを発現する腫瘍を制御するために、潜在的に治療的に有用
であると考えられた(米国特許第5,891,434号、Krammerら,1
995年3月23日付け出願)。
【0008】 不幸なことに、Krammerらの特許出願の出願後、Fasが広範な組織分
布を有し、このことが、FasをT細胞免疫応答の選択的制御のための見込みの
薄い候補にすることが見出された。野生型マウスへの抗Fas抗体の注射は、マ
ウスの急速な死を引き起こした。剖検によって、アポトーシスによる肝臓への重
篤な損傷が明らかにされた。Ogasawaraら,Nature,364:8
06−809、1993。
【0009】 (発明の開示) 本発明は、TR3が、活性化T細胞およびいくつかの腫瘍細胞において選択的
に発現されるという発見に由来する。この発見は、特に、選択的免疫抑制剤とし
ての、TR3に対するモノクローナル抗体(McAb)および他の生物学的に活
性なTR3特異的結合剤の使用のために重要である。McAbを産生する伝統的
方法は、動物における活性化T細胞の存在を必要とする。しかし、TR3特異的
McAbは、活性化T細胞に結合し、そしてその増殖を阻害するので、活性化T
細胞は、McAbの産生に必要なB細胞に補助を提供するために利用可能ではな
い。従って、TR3が活性化T細胞において発現されるという発見は、生物学的
に活性なTR3特異的結合剤(例えば、McAb)を作製する代替的方法の開発
を必要とした。
【0010】 さらに、TR3が、活性化T細胞において選択的に発現されるという発見、お
よび生物学的に活性なTR3特異的McAbの作製は、上記の抗Fas抗体のよ
うな抗体を使用する実行可能な代替案を提供する。これらの生物学的に活性なT
R3特異的McAbは、活性化T細胞ならびにリンパ組織由来の腫瘍細胞に選択
的に結合し、そしてTR3を発現する細胞の増殖を阻害する。これにより、活性
化T細胞およびT細胞腫瘍の選択的排除が可能となる。これは、残りの免疫系を
無害なままにし、それによって、固有様式の処置を提供する。
【0011】 従って、本発明の1つの局面は、TR3に選択的に結合し、そしてTR3を発
現する細胞の増殖を阻害する、生物学的に活性なTR3特異的結合剤を提供する
。このような生物学的に活性な特異的結合剤の例としては、以下が挙げられるが
、これらに限定されない:TR3に対するMcAb(このようなMcAbの種々
のアイソタイプを含む)、TR3に対するポリクローナル抗体、これらの抗体の
模倣物、TR3特異的結合剤の天然のリガンド、ならびにTR3特異的結合剤の
種々のフラグメントおよび誘導体。
【0012】 本発明の別の局面は、生物学的に活性なTR3特異的結合剤を作製する方法を
提供する。これらの方法は、免疫B細胞ドナー以外の供給源由来のT細胞補助を
利用する工程を包含する。T細胞補助は、直接的な接触によるか、またはT細胞
によるサイトカインの分泌を通した、T細胞との相互作用をいう;このような相
互作用は、抗体を分泌するようにB細胞を刺激する。例示的な方法は、TR3で
初回免疫したドナー由来のB細胞にT細胞補助を供給するために、TR3特異的
T細胞株を使用する工程、次いで、生じた活性化B細胞を、リンパ系細胞と融合
して、生物学的に活性なTR3特異的McAbを産生するハイブリドーマを作製
する工程を包含する。
【0013】 本発明のさらに別の局面は、生物学的に活性なTR3特異的結合剤を検出する
方法を提供する。この方法は、少なくとも1つのTR3特異的結合剤を、少なく
とも1つの活性化T細胞またはT細胞腫瘍と接触させる工程、および結果として
生じるT細胞増殖レベルを決定する工程を包含する。T細胞増殖の減少は、TR
3特異的結合剤が生物学的に活性であることを示す。この方法は、インビボおよ
びインビトロで実施され得る。従って、本発明の別の局面は、この方法によって
同定される生物学的に活性なTR3特異的結合剤の産生である。
【0014】 本発明の別の局面は、TR3を発現する細胞の好ましくない増殖と関連した疾
患(例えば、T細胞媒介性疾患)を有することが疑われる被験体を処置する方法
を提供する。例示的な方法は、少なくとも1つの生物学的に活性なTR3特異的
結合剤を被験体に投与する工程を包含する。この方法は、特に、同種異系骨髄移
植を受けようとしているかまたは同種異系骨髄移植を受けた直後であり、かつG
VHDに罹患する可能性のある被験体を処置するために有用である。この方法は
また、腫瘍、器官移植拒絶、自己免疫疾患、アレルギー、トキシックショック症
候群、および炎症性疾患を処置するために有用である。
【0015】 (配列表) 配列番号1は、ヒトTR3遺伝子の核酸配列である。
【0016】 配列番号2は、ヒトTR3のアミノ酸配列である。
【0017】 配列番号3は、ヒトTR3(1−13)ペプチドのアミノ酸配列である。
【0018】 配列番号4は、ヒトTR3(1−32)ペプチドのアミノ酸配列である。
【0019】 配列番号5は、LewisラットMHCクラスII結合間隙によって認識され
たアミノ酸配列である。
【0020】 配列番号6は、マウスPLPペプチドのアミノ酸配列である。
【0021】 配列番号7は、TR3(14−32)ペプチドのアミノ酸配列である。
【0022】 (本発明を実施するための方法) 本発明は、TR3に結合しそしてTR3を発現する細胞の増殖を阻害する生物
学的に活性なTR3特異的結合剤を含む組成物を提供する。1つの局面において
、特異的結合剤は、モノクローナル抗体またはTR3特異的モノクローナルの模
倣物である。本発明はまた、モノクローナル抗体TR3μk−1を産生するハイ
ブリドーマ細胞株(例えば、ATCC番号 のもと寄託されたハイブリドーマ
細胞株)を提供する。モノクローナル抗体は、以下からなる群から選択される:
少なくとも1つのIgG、少なくとも1つのIgM、少なくとも1つのIgA1
、少なくとも1つのIgA2、少なくとも1つのIgE、少なくとも1つのIg
D、少なくとも1つのIgG1、少なくとも1つのIgG2、少なくとも1つのI
gG3、および少なくとも1つのIgG4
【0023】 本発明はさらに、TR3に結合しそしてTR3を発現する細胞の増殖を阻害す
る生物学的に活性なTR3特異的結合剤を含む組成物を提供し、ここで、生物学
的に活性なTR3特異的結合剤は、TR3を発現する細胞の増殖を少なくとも3
0%阻害する。
【0024】 本発明はまた、以下の工程によって、生物学的に活性なTR3特異的結合剤を
作製するための方法を提供する:少なくとも1つのTR3に特異的なエピトープ
を注射された動物由来のリンパ系細胞を提供する工程;リンパ系細胞とTR3特
異的T細胞株とを接触させる工程;少なくとも1つの骨髄腫細胞と少なくとも1
つのリンパ系細胞とを融合し、TR3モノクローナル抗体を産生するハイブリド
ーマを産生する工程;得られたモノクローナル抗体を、関連TR3ペプチドに結
合する能力についてスクリーニングする工程;およびモノクローナル抗体をアッ
セイして、TR3を発現する細胞の阻害を評価する工程。
【0025】 本発明はさらに、生物学的に活性なTR3特異的結合剤を検出するための方法
を提供する。この方法は、以下の工程を必要とする;少なくとも1つのTR3特
異的結合剤と少なくとも1つの活性化されたT細胞またはT細胞腫瘍とを接触さ
せる工程;および活性化されたT細胞または腫瘍の増殖のレベルを決定する工程
(ここで、増殖の減少はTR3特異的結合剤が生物学的に活性であることを示す
)。1つの局面において、TR3特異的結合剤と活性化T細胞またはT細胞腫瘍
とを接触させる工程は、インビボで起こる。別の局面において、TR3特異的結
合剤と活性化されたT細胞またはT細胞腫瘍とを接触させる工程は、インビトロ
で起こる。
【0026】 上記の方法により同定される結合剤はまた、本明細書中で提供される。
【0027】 本発明はまた、TR3を発現する細胞の増殖に関連する疾患を有する疑いのあ
る被験体を処置するための方法を提供する。少なくとも1つの生物学的に活性な
TR3特異的結合剤が、被験体に送達されるかまたは投与される。1つの実施形
態において、被験体は、以下からなる群から選択される(しかし、これらに限定
されない)T細胞媒介疾患を有する疑いがある:自己免疫疾患(例えば、重症筋
無力症、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、糖尿病、多発性硬化症、
サルコイドーシス、心筋炎、甲状腺炎、および腫瘍。別の局面において、被験体
は、移植された器官(例えば、心臓、肝臓、肺、腎臓、膵臓、腸、皮膚または付
属器)の拒絶の疑いがある。代替の実施形態において、TR3を発現する細胞は
、T細胞白血病またはリンパ腫である。
【0028】 (I.定義および略語) ADCC:抗体依存性細胞媒介性細胞傷害。
【0029】 AP:アルカリホスファターゼ。比色ELISA検出系および蛍光ELISA
検出系において用いられる酵素。
【0030】 APC:抗原提示細胞。これらは、クラスII分子を発現する、B細胞、マク
ロファージ、樹状細胞、およびいくらかのT細胞であり、そして抗原をプロセシ
ングし得、そしてこれらのプロセシングしたフラグメントを提示して、T細胞を
活性化し得る。
【0031】 アポトーシス:細胞核の凝縮および引き続く断片化により特徴付けられる正常
または病的細胞の細胞死の任意の形態。細胞核の凝縮および引き続く断片化の間
は、形質膜はインタクトなままである。
【0032】 生物学的に活性なTR3特異的結合剤:「生物学的に活性なTR3特異的結合
剤」は、前出に記載の特異的結合剤のサブセットである。生物学的に活性なTR
3特異的結合剤は、それらがTR3に特異的に結合する能力およびTR3を発現
する細胞の増殖を阻害する能力によりさらに特徴付けられる。さらに、阻害のレ
ベルは、種々の異なる生物学的に活性なTR3特異的結合剤の間で変動し得る。
一般に、生物学的に活性なTR3特異的結合剤は、ネガティブコントロール(T
R3特異的結合剤なしの同様のサンプル)と比較した場合、TR3を発現する細
胞の増殖を阻害する。当然のことながら、いくつかの、生物学的に活性なTR3
特異的結合剤は、用量依存様式においてより大きな阻害、例えば、少なくとも3
0%、40%、50%、60%、または70%の阻害を示し得る。
【0033】 BMT:骨髄移植。
【0034】 CADD:コンピューター補助薬物設計。
【0035】 CD28:CD28は、T細胞サブセット上で発現される細胞表面抗原である
。CD28は、未処理(naive)T細胞の活性化を担う。
【0036】 CD3:CD3は、T細胞上で発現される細胞表面抗原である。CD3は、T
細胞抗原レセプターに会合しており、そしてシグナル伝達を促進する。
【0037】 CD4+:CD4+は、ヘルパーT細胞上で発現される細胞表面抗原であり、そ
してより少ない程度には、マクロファージおよび単球において発現される。CD
+は、MHCクラスII分子に対する補助レセプター(co−recepto
r)として働く。
【0038】 CD8+:CD8+は、細胞傷害性T細胞上で見出される細胞表面抗原である。
CD8+は、MHCクラスI分子に対する補助レセプターとして働く。
【0039】 CFA:完全フロイントアジュバント。免疫応答を増強するために用いられる
【0040】 ConA:コンカナバリンA。T細胞の活性化および増殖を誘導するT細胞マ
イトジェン。
【0041】 CPM:個数/分。
【0042】 EAE:実験的アレルギー性脳脊髄炎。多発性硬化症および他のT細胞媒介性
自己免疫疾患のモデル。
【0043】 EBV:エプスタイン−バーウイルス。長期間細胞株のためにB細胞を形質転
換するために用いられる。
【0044】 ELISA:酵素結合イムノソルベントアッセイ。特定の抗原に結合する抗体
を検出するために用いられる比色アッセイまたは蛍光アッセイ。
【0045】 FACS(登録商標):蛍光活性化細胞選別器(Becton Dicken
son,Franklin Lakes,New Jersey)。
【0046】 FACScanTM:FACS細胞分析器(Becton Dickenson
)。
【0047】 FCS:ウシ胎仔血清。リンパ球をインビトロ培養するための補充物。
【0048】 FITC:フルオレセインイソチオシアネート。FACS装置を用いてフロー
サイトメトリーによりT細胞表面抗原を検出するために抗体にしばしば結合体化
される蛍光色素。
【0049】 GPBP:モルモットのミエリン塩基性タンパク質 GVHD:対宿主性移植片病。致死的T細胞媒介性疾患であり、この疾患では
、提供されたT細胞がレシピエント組織を攻撃する。
【0050】 HAT:ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(ハイブリドーマ生成に
おいて融合していない骨髄腫細胞を排除するために用いられる培地)。
【0051】 LPS:リポポリサッカリド。B細胞マイトジェン。
【0052】 MBP:ミエリン塩基性タンパク質。ミエリンの成分。
【0053】 McAb:モノクローナル抗体。単一のクローンまたは供給源に由来する抗体
【0054】 MHCクラスII:細胞内小胞において分解するために細胞外マトリクスから
インターナライズされ、続いてT細胞に提示するために表面で再発現される、抗
原提示を担う主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質。
【0055】 模倣物:タンパク質(例えば、TR3を発現する細胞の増殖を阻害し得るモノ
クローナル抗体)の活性を模倣する分子(例えば、有機化合物)。ペプチド模倣
物および有機性模倣物の実施形態は、この用語の範囲内であり、それによりこの
ようなペプチド模倣物および有機性模倣物の化学的構成要素の三次元配置が、ペ
プチド骨格および成分であるペプチド中のアミノ酸側鎖の三次元配置を模倣する
。結果として、実質的に特異的な阻害活性を有するペプチドのこのようなペプチ
ド模倣物および有機性模倣物を生じる。コンピューターモデリング適用に関して
は、「ファルマコフォア」(生物学的活性についての構造的要件の三次元的定義
)が理想化される。ペプチド模倣物および有機性模倣物が設計されて、各ファル
マコフォアが現在のコンピューターモデリングソフトウェアにあてはめられ得る
(コンピューター補助薬物設計(CADD)を用いる)。コンピューター補助薬
物設計において使用される技術の説明に関しては、Walters、Klege
rman&Groves編、Pharmaceutical Biotechn
ology,Interpharm Press:Buffalo Grove
,IL,1993、165−174頁;およびMunson、Munson編、
Principles of Pharmacology,1995、第102
章を参照のこと。
【0056】 MLR:混合リンパ球反応。GVHDのインビトロ相関。
【0057】 MOG:ミエリン稀突起膠細胞糖タンパク質。
【0058】 MS:多発性硬化症。ヒト自己免疫疾患。
【0059】 MUP:メチルウンベリフェリルリン酸。ELISAにおいて、リン酸をホス
ファターゼ酵素により除去した後に蛍光原(fluorogen)を残す。
【0060】 マウスPLP(139−151):SJLマウス系統におけるプロテオリピド
タンパク質の主要T細胞エピトープ(アミノ酸配列HCLGKWLGHPDKF
(配列番号6):PLPに会合しているシグナル配列は存在しない)。
【0061】 NPP:ニトロフェニルリン酸。ELISAにおいて用いられるホスファター
ゼの色素原性基質。
【0062】 オルソログ:「オルソログ」は、異なる種に由来する遺伝子に類似の機能を示
すタンパク質をコードする遺伝子である。
【0063】 PAGE:ポリアクリルアミドゲル電気泳動。分子量サイズに基づいて分子を
分離する方法。
【0064】 PBL:末梢血リンパ球。血液中を循環するリンパ球。
【0065】 PBSAE:アジ化ナトリウムおよびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)含
有リン酸緩衝化生理食塩水。
【0066】 PE:フィコエリトリン。FITCのような蛍光色素。
【0067】 PLP:プロテオリピドタンパク質。中枢神経系のミエリン鞘の主要成分。
【0068】 RA:慢性関節リウマチ。T細胞媒介性自己免疫疾患。
【0069】 RPMI 1640:Roswell Park Memorial Ins
titute medium #1640。
【0070】 RT:室温。
【0071】 RTIB1:LewisラットMHCクラスII分子の名称。
【0072】 SFM:無血清培地。
【0073】 特異的結合剤:「特異的結合剤」は、TR3に特異的に結合し得る薬剤である
。このような薬剤としては、天然のTR3リガンド、およびT3特異的免疫グロ
ブリンが挙げられる。後者の群(TR3特異的免疫グロブリン)としては、ポリ
クローナル抗体、モノクローナル抗体(ヒト化モノクローナル抗体を含む)、モ
ノクローナル抗体のフラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2、およびF
vフラグメント)、TR3特異的抗体の模倣物、ならびにTR3もしくはそのフ
ラグメントに特異的に結合し得る任意の他の薬剤が挙げられるが、これらに限定
されない。
【0074】 被験体:用語「被験体」とは、生存している多細胞脊椎生物をいう。ヒトおよ
び非ヒト哺乳動物の両方を含む分類。
【0075】 TNFR:腫瘍壊死因子レセプター。TNRスーパーファミリーのレセプター
/リガンド対の基本型レセプター。
【0076】 TR3(1−13):ヒトTR3のアミノ酸gln1−gly13のペプチド
(アミノ酸配列QGGTRSPRCDCAG(配列番号3))。アミノ酸は、T
R3のプロセシングされた形態(すなわち、24アミノ酸リーダー配列が除去さ
れた後)に従って番号付けされる。
【0077】 TR3(1−32):ヒトTR3のアミノ酸gln1−tyr32のペプチド
(アミノ酸配列QGGTRSPRCDCAGDFHKKIGLFCCRGCPA
GHY(配列番号7))。アミノ酸は、TR3のプロセシングされた形態(すな
わち、24アミノ酸リーダー配列が除去された後)に従って番号付けされる。
【0078】 TR3(14−32):ヒトTR3のアミノ酸asp14−tyr32のペプ
チド(アミノ酸配列DFHKKIGLFCCRGCPAGHY)。アミノ酸は、
TR3のプロセシングされた形態(すなわち、24アミノ酸リーダー配列が除去
された後)に従って番号付けされる。
【0079】 (II.実験モデルの概観) 以下の節は、以下に示される実験の背景にある理論を説明するために提供され
る。理論の理解と共に、示される結果の重要性は、より容易に明らかである。
【0080】 (A.Lewisラット主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスII結合
間隙に適応する抗原の使用) ペプチド特異的免疫応答を誘発する不可欠な部分は、免疫原性であるために、
ペプチドは最初にMHCクラスII分子に結合し得なければならないことである
。MHCクラスII分子は、マクロファージ、B細胞、樹状細胞、およびいくつ
かのT細胞を含む抗原提示細胞(APC)の表面上に発現される。MHCクラス
II分子は、細胞内小胞にプロセスされたタンパク質に由来するペプチドの提示
を主に担うと考えられている。外因性ペプチドはまた、T細胞を活性化するため
に表面MHCクラスII分子によって提示され得る。B細胞は、そのレセプター
を介して、外来タンパク質抗原を認識し、そしてこのタンパク質をインターナラ
イズする。B細胞上のこの抗原結合および複数の抗原レセプターの架橋は、最初
の活性化シグナルを送達する。次いで、インターナライズされたタンパク質は、
ペプチドに分解され、そしてMHCクラスII分子と結合する細胞の表面に移動
される。一旦プロセスされると、MHCクラスII分子を結合し得るペプチドの
みが、CD4+ヘルパーT細胞に対する提示のために細胞表面に導かれ得ること
に留意することが重要である。ペプチドの特異的T細胞への提示の際、T細胞は
、活性化されるようになる。次いで、活性化T細胞は、次に抗体産生のためにB
細胞を活性化するサイトカインを産生し得る。B細胞活性化は、2つのシグナル
プロセスである。第1のシグナルは、上記のように特定の抗原を結合する際に送
達される。第2のシグナルは、T細胞がMHCクラスII分子と結合するペプチ
ドを認識する場合に送達される。第2の活性化シグナルの送達後、B細胞は、特
異的抗体を産生する。
【0081】 抗体を産生するために使用される従来方法は、動物を全長タンパク質で免疫す
ることである。大きなタンパク質は、おそらくB細胞エピトープおよびT細胞エ
ピトープの両方を含む。しかし、ペプチド(タンパク質のより小さな部分)を用
いた免疫は、抗体産生をあまり生成しそうにない。この原因は、2つの部分を有
する。最初に、ほとんどのペプチドは、MHCクラスII分子に結合する能力を
有さず、従って、T細胞に提示され得ない。第2に、ほとんどの合成ペプチドは
、モノマーであり、最初の活性化シグナルをB細胞に送達し得ない。ペプチドは
抗体産生を誘導するために使用されているが、この方法を取り巻く通則は、詳述
されておらず、そしてペプチドは、最も頻繁に、B細胞に対するマルチマーの提
示のためにより大きなタンパク質と結合体化される。MHCクラスII分子によ
って提示され得るペプチドを選択することは、T細胞補助が、B細胞に対して提
供されることを確実にする。本明細書中に記載された研究において、この選択は
、Lewisラットの使用によって容易にされる。
【0082】 LewisラットRTIB1クラスII分子によるペプチドの効率的な提示の
ために必要なものは、研究され、特徴付けられている(Wegmannら、J.
Immunol.153:892−900、1994)。これらの研究は、MH
CクラスII分子(RTIB1)に対するペプチド結合を推定する配列モチーフ
の同定を導く。RTIB1クラスII分子は、配列S/TxxxxxE/D(配
列番号5)を有するペプチドを示す。これらの配列要件の同定は、T細胞抗原と
しての使用が推定される特定のペプチドの選択を可能にする。B細胞は、活性化
されるようになるために多価の抗原提示を必要とするので、公知のクラスII結
合モチーフを用いてペプチドの長さを伸長することが、抗体応答を誘導するため
の最適な条件を提供するということは、理にかなっている。Lewisラットへ
の注射のためのこれらの長いペプチドの使用は、所望の抗原(これは、本発明の
場合、TR3である)に特異的な抗体を開発する可能性を増加させる。この推定
およびその結果の詳細は、以下の第IIIA節に記載される。
【0083】 LewisラットのMHCクラスII結合間隙(RTIB1)へ特異的に適応
するTR3ペプチドフラグメントの使用は、TR3抗原に対する抗体の効率的な
産生を可能にする。一旦産生されると、これらの抗体は、TR3が活性化T細胞
およびいくつかの腫瘍細胞上で選択的に発現され、それによって治療的な効果を
提供するという発見を導く。この発見はまた、TR3アミノ酸配列内の他の領域
を標的化するTR3特異的結合剤を作製する代替方法の使用を導く。
【0084】 (B.TR3特異的モノクローナル抗体の作製) いくつかの場合、モノクローナル抗体を作製する従来方法は、通常、免疫応答
に不可欠な役割を果たす分子を標的化する抗体の作製を可能にするために、改変
されなければならない。これは、TR3レセプターに対する抗体を惹起すること
を試みる場合である。
【0085】 通常、ハイブリドーマは、B細胞(これは、所望の抗体を活発に産生している
)および骨髄腫細胞の融合を通じて形成される。B細胞は、通常、実際的な観点
から、免疫されたマウスまたはラットの脾臓に由来する。動物は、一次免疫応答
を生じるために抗原を用いて注射される。脾臓を回収する3日前に、動物は、抗
原を用いて再注射される。この第2の追加免疫は、抗原特異的B細胞およびT細
胞を活性化させる。活性化B細胞は、より簡単に誘導されて、骨髄腫と融合され
る。
【0086】 正常な既往性応答または記憶応答において、抗原を経験したB細胞は、抗原を
経験したT細胞と相互作用する。両集団は、一次応答の間に数が増加され、二次
チャレンジ後の有益な相互作用の可能性が増加されている。T細胞活性化と関連
するタンパク質(特に、死ドメインと関連するタンパク質)に対する抗体の産生
は、特有な事例である。
【0087】 本発明の場合、抗原は、活性化T細胞表面上で見出されたTR3レセプターの
一部である。従って、一次刺激の間にB細胞が活性化されるようになり、TR3
に対する抗体を産生し始めた場合、このB細胞に隣接する活性化T細胞は、破壊
の標的になる。一次応答の間の循環しているペプチド特異的記憶T細胞に生じる
減少は、二次応答に必要な記憶T細胞のアベイラビリティを減少する。これは、
次には、引続くチャレンジにおける利用可能な記憶B細胞プールを活性化する可
能性を減少する。従って、骨髄腫細胞と融合する前に記憶B細胞のプールを活性
化する従来方法は、この場合には機能しない。この記憶応答の欠損は、以下に示
される。
【0088】 この問題が確認された後、いくつかの代替手段が、TR3に対するモノクロー
ナル抗体を産生するために考慮された。例えば、免疫動物由来の脾臓は、一次免
疫後、10、14、または21日目に取り出され得、次いで、脾細胞は、骨髄腫
細胞と融合され得る。あるいは、動物は、一次免疫後、4〜6週間放置され得、
次いで、脾臓が取り出され、そしてインビトロでさらに刺激され得る。このよう
な刺激は、脾細胞に対してリポポリサッカリド(LPS)および/またはTR3
特異的T細胞株(以下に記載されるような)を添加することによって達成され得
る。この様式で使用されることによって、LPSまたはTR3特異的T細胞株は
、B細胞に対する刺激の所望の過剰の追加免疫を提供し、抗体分泌ハイブリドー
マを得る可能性を増加し得る。
【0089】 (C.完全フロイントアジュバント(CFA)を用いた免疫) 代表的に、特定の抗原に対して指向される抗血清は、アジュバントと組合わせ
た、抗原の適切な動物被験体への注射によって惹起される。アジュバントは、抗
原に対する動物中の免疫応答を増強する任意の物質である。完全フロイントアジ
ュバント(CFA)は、熱で殺傷されたミコバクテリアを有する水中油エマルジ
ョンを含む組成物である。CFAおよび抗原の注射に続いて、注射視域周辺の組
織は、炎症を起こすようになる。炎症は、一部分、T細胞の活性化に帰する。従
って、T細胞応答を検出する1つの方法は、注射部位における腫脹のレベルを評
価することである。
【0090】 (D.実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)) 実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は、特定の感受性系統のマウスおよび
ラットにおいて、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパ
ク質(PLP)、またはミエリン稀突起神経膠細胞糖タンパク質(MOG)の投
与によって誘導され得る実験的自己免疫疾患状態である。げっ歯類において、E
AEは、MBP、MOG、またはPLPに特異的なTH1細胞の活性化によって
引き起こされる。通常、CFA中に乳化された抗原の注射の約1〜3週間後に、
この動物は、脳脊髄炎(麻痺によって特徴付けられる)を発症する。この徴候は
、軽度かつ自己限定性であり得るか、または慢性かつ再発性であり得る。
【0091】 MBP、PLP、またはMOGをT細胞に導入することによってインビトロで
抗原特異的T細胞を活性化することもまた、可能である。次いで、これらのイン
ビトロ活性化されたT細胞は、レシピエント動物に対してEAEを「養子移入す
る」ためにラットまたはマウスに注射され得る。
【0092】 EAEモデルは、活性化T細胞の活性を阻害すると考えられる組成物を試験す
るために使用される。この方法で使用されることによって、試験組成物は、動物
に送達され得る。この動物における引続く疾患徴候の顕在化(evident)
の欠如は、この組成物が動物においてT細胞免疫応答を阻害することの指標であ
る。
【0093】 (E.対宿主性移植片病(GVHD)) GVHDは、公知の同種異系の骨髄移植の合併症である。提供された骨髄由来
の成熟T細胞は、レシピエントの組織を外来と認識し、そしてそれを拒絶する。
この疾患は、1つの器官を拒絶する代わりに、レシピエントの全身(皮膚、肝臓
、腸管、肺などを含む)が攻撃される点を除いて、器官移植拒絶において観察さ
れるものと類似している。GVHDは、親の骨髄をF1レシピエントに注射する
ことによってげっ歯類において誘発され得る。この場合、1体の親の提供された
T細胞は、他の親のMHCを認識し、そしてGVHDを引き起こす。ヒトにおけ
る場合、この疾患は、介入の非存在下では致死的である。以下に記載されるモデ
ルにおいて、全ての未処置レシピエントは、移植後28日までに死亡する。モデ
ルで使用される動物に発現した疾患は、活性化T細胞によって引き起こされ、そ
してこのモデルは、TR3特異的結合剤の組成物についての別の有用な試験を提
示する。このモデルの使用によって、TR3特異的結合剤で処置された動物は、
寿命の延長(4週間を超える)およびドナー由来の免疫系によるレシピエントの
免疫系の再構築を示すことが証明された。
【0094】 (III.初期の結果) 下記のデータは、TR3特異的ポリクローナル抗血清を使用する実験からの結
果、およびTR3特異的モノクローナル抗体(McAb)を使用する実験からの
結果に関する。ポリクローナル抗血清の生成および使用に関するデータは、その
抗血清が、インビトロおよびインビボで、T細胞増殖を阻害し得ることを示す。
TR3特異的モノクローナル抗体の使用に関するデータは、TR3に対するモノ
クローナル抗体を開発することが可能であること、およびそのモノクローナル抗
体が、活性化T細胞の増殖をインビトロおよびインビボで阻害し得ることを示す
。これらの結論についての基礎は、下記に詳細に記載される。
【0095】 (A.モノクローナル抗体生成およびポリクローナル抗体生成の両方における
使用のための、ヒトTR3からのペプチドフラグメントの選択) ヒトTR3遺伝子のアミノ酸配列(GenBank登録番号U72763)を
、セリンもしくはスレオニンとアスパラギンもしくはグルタミン酸とが5つの介
在アミノ酸により隔てられたLewis RTIB1クラスII結合モチーフ(
S/TxxxxxE/D)について目で精査した。このような4つのモチーフを
見出した。これらのうち、2つが推定細胞外ドメイン中に存在した。第1のモチ
ーフは、「プロセシングされた」TR3(すなわち、リーダーアミノ酸1〜24
が切断されているTR3)のアミノ末端から4アミノ酸に位置した。第2のモチ
ーフは、膜貫通領域付近にあった。
【0096】 抗原としての使用について選択した第1のモチーフは、TR3のアミノ末端付
近に位置した。なぜなら、ネイティブの分子上のこの領域は、容易に接近可能で
あり、そしてシグナルを伝達する可能性があるからである。さらに、合成ペプチ
ドをこの抗原として使用した。合成ペプチド合成はそのペプチドのカルボキシ末
端からアミノ末端へ生じるから、全長合成ペプチドのみが、MHCクラスII複
合体によって認識され、それにより全長合成ペプチドがB細胞分泌に関与するこ
とが可能であり、それにより最大のT細胞補助を生じる。
【0097】 13マーペプチドおよび32マーペプチドを合成した(gln1〜gly13
およびgln1〜tyr32(アミノ酸を、TR3のプロセシングされた形態(
すなわち、24アミノ酸リーダー配列が除去された後)に従って番号付けする)
。LewisラットRTIB1クラスII結合間隙(cleft)に結合した場
合、この1−13ペプチドは、このペプチド結合間隙内に含まれると推定され、
この1−32ペプチドがこのペプチド結合間隙の外側に4〜5αへリックスター
ンを含むペプチドを示すことが推定される。
【0098】 Bodmerら、Immunity 6:79〜88、1997は、TR3(
1−23)ペプチド(すなわち、TR3(1−32)ペプチドの最初の23アミ
ノ酸)のオリゴマーという、不十分にしか規定されていない「多重抗原ペプチド
」でウサギを免疫することによって作製された、ポリクローナル抗TR3抗体を
記載する。この抗体をウェスタンブロットにおいて使用して、種々の細胞集団の
膜抽出物におけるTR3タンパク質の存在を示した。この研究は、ポリクローナ
ル抗体のペプチド特異性という問題には言及せず、そしてこの研究は、T細胞機
能の阻害に対する防止としてのTR3結合の問題には取り組まなかった。
【0099】 MHCクラスII結合モチーフを含むTR3(1−13)ペプチド(gln1
〜gly13)の免疫原性をTR3(1−32)ペプチド(gln1〜tyr3
2)の免疫原性と比較するための実験を設計した。Lewisラット(n=3)
から採血し、そしてCFA中の短いペプチド(TR3(1−13))400μg
を用いて足蹠において免疫することによって「初回刺激(prime)」した。
次いで、動物を試験した。一旦動物(ラット4)を、TR3(1−32)ペプチ
ドをコントロールとして用いて免疫した。初回刺激の6週間後、血液を各動物の
尾静脈から得、そしてTR3(1−13)ペプチドまたはTR3(1−32)ペ
プチドのいずれかでコートしたImmulonプレート(Dynatech L
abs、Chantilly、VA)を使用する蛍光ELISAによる分析のた
めに、血清を調製した。
【0100】 これらの結果を図1に示す。TR3(1−13)ペプチドで免疫した動物(ラ
ット1〜3)のいずれも、TR3(1−13)ペプチドまたはTR3(1−32
)ペプチドのいずれかに対する明らかな抗体を全く生成しなかった。TR3(1
−32)ペプチドで免疫したコントロール動物(ラット4)は、TR3(1−3
2)ペプチドを認識しそしてTR3(1−13)ペプチドをより弱い程度に認識
する、高力価の抗体を示した。
【0101】 体液性応答の欠如とは対照的に、TR3(1−13)ペプチドで免疫した3匹
のラットは、非常に良好なT細胞応答を示した(図2)。リンパ節T細胞をこれ
らのラットから収集し、そして標準的T細胞増殖アッセイ中のTR3(1−13
)ペプチドを用いてインビトロで刺激した。3H−チミジンを2日目に添加し、
そしてこの細胞を3日目に収集して増殖を決定した。TR3(1−13)ペプチ
ドで初回刺激した3匹のラット由来のT細胞は、13マーに対する用量依存性増
殖応答を示した。これは予測された。なぜなら、TR3(1−13)ペプチドは
、LewisラットのRTIB MHCクラスII分子についての既知の結合モ
チーフを含むからである。これらの同じT細胞は、50μg/mL TR3(1
4−32)(ヒトTR3のプロセシングされた形態のアミノ酸14〜32を含む
ペプチド)に対して、何の応答も示さなかった。このデータは、13マーペプチ
ドおよび32マーペプチドの両方がT細胞について免疫原性であるが、32マー
ペプチドのみが、B細胞エピトープを提示する際に有効であることを、示唆した
【0102】 第2のヒトTR3ペプチド(アミノ酸159〜165)の周囲の領域は免疫原
性について分析されていないが、このペプチドはRTIB1クラスII結合モチ
ーフを含むので、この領域は免疫原性であると予期される。このモチーフは、L
ewisラットRTIB1クラスII分子により効率的に提示され得るペプチド
を推測するために使用された。このペプチドがT細胞について免疫原性である場
合、適切な長さのペプチドが生成されるならば、B細胞を誘導する可能性がある
。さらに、TR3分子の他の配列または他のタンパク質の配列をRTIB1結合
モチーフの隣に並べること、およびこの結合モチーフに隣接する領域に対して特
異的抗体を惹起することが、可能であり得る。
【0103】 (B.生物学的に活性なTR3ポリクローナル抗血清の首尾よい生成) (1.免疫) Lewisラット(n=6)を採血し、400μgのTR3(1−32)ペプ
チドを含有するCFAで足蹠に免疫し、そして1ヶ月放置した。1ヶ月で、血液
を各動物の尾静脈から得た。TR3(1−32)ペプチドコート化プレートを用
いた蛍光ELISAによる分析のために血清を調製した(この手順の詳細につい
ては以下を参照のこと)。各動物由来の免疫前の血清をコントロールとして用い
た。この最初のスクリーニングの結果を図3に示す。免疫前の血清の全てが、バ
ックグランドレベルの抗体を示した(すなわち、50〜55ミリユニットの蛍光
)。プライミング後、2匹の動物(ラット1および2)は、TR3に対する抗体
の緩やかな増大(<3倍)を示したが、一方4匹の動物(ラット3〜6)は、T
R3に結合した抗体の6倍〜15倍の増大を示した。これらのデータは、TR3
(1−32)ペプチドが、免疫原性であり、そして少なくとも1つのB細胞エピ
トープを効率的に示すことを示唆する。
【0104】 (2.TR3特異的ポリクローナル抗血清を用いるT細胞増殖の阻害) TR3(1−32)ペプチドで免疫した6匹のラット由来の血清を、血清中の
抗体がTR3(1−32)ペプチドに結合する能力についてELISAアッセイ
において試験した。このような抗血清が、ラットミエリン塩基性タンパク質(M
BP)特異的CD4+T細胞株の増殖反応を阻害する能力を、インビトロで引き
続き試験した。20,000のMBP特異的T細胞を、APCの供給源として、
照射(6000Rad)された、そして5μg/mLのMBPペプチドで刺激さ
れた、5倍過剰のLewis脾臓細胞とともに培養した。開始時、この培養物に
、TR3免疫ラットまたは正常Lewis血清のいずれか由来の、20%または
10%のいずれかの血清を補充した。全ての血清を、使用前に熱不活化して補体
を破壊した。2日後、この培養物に1μCiの3Hチミジンを供給し、そしてさ
らに18〜24時間培養した。次いで、この培養物を収集し、そしてシンチレー
ションカウントによって3H取り込みを確認した。
【0105】 上記のように、APCの存在下でのMBPの誘導により、T細胞は、その細胞
表面膜上でTR3を発現し始めるように活性化されることが予期された。細胞表
面上でのTR3に対するTR3抗血清の特異的結合は、T細胞の増殖速度を実質
的に減少することが予期された。(増殖速度の低下は、コントロールと比較した
場合の、3Hチミジンの取り込みの低下によって印される)。
【0106】 この結果を、コントロール(このコントロールは正常な血清培養に適切である
)の反応の相対パーセントとして、図4に示す。6つの血清全て(ラット2〜7
)が、T細胞株の増殖に阻害性効果を示した。4つの血清(ラット2、3、5、
および7)は、緩やかな阻害(50〜60%)を示したが、他の2匹(ラット4
および6)では、実質的な阻害が注目された。図4におけるラット4(図3のラ
ット4と同じ)由来の抗血清は、10%血清で>95%阻害を示した。従って、
引き続く実験における使用のために、このラットを選択した。
【0107】 ラット4由来の血清を階段希釈(1:5、1:10、1:20、および1:4
0)して、培養の0日目、1日目、2日目、および3日目にT細胞培養物に添加
した。ここでも上記のMBP特異的ラットT細胞増殖アッセイを用いた。3Hチ
ミジンを0日目、1日目および2日目について、72時間で添加したが、3日目
については、3Hチミジン添加は、血清添加後、24時間遅れた。正常なLew
isラット血清をコントロールとして再度用いた。
【0108】 本実験の結果を、コントロール対希釈逆数のパーセント(すなわち、1:10
=10%、1:40=2.5%など)として図5に示す。0日目の血清の添加で
は、1:5、1:10および1:20の血清希釈で増殖を完全にブロックした。
上記の結果から予想されるように、1日目の血清の添加は、1:10および1:
20の希釈で90%阻害を示し、そして1:40希釈は、>60%阻害を示した
。一般に、この培養物に対する血清の添加が遅れるほど、この培養物によって示
される阻害は小さくなる。
【0109】 これらのデータは、TR3のmRNA(メッセンジャーリボ核酸)が、CD4 + 細胞で誘導されるという観察、およびこのようなmRNAが、T細胞刺激のす
ぐ後に誘導され、その後にmRNAの生成が減少するという観察と一致している
。これらのデータはさらに、観察された、T細胞増殖の阻害が、生物学的に重要
であり、そして非特異的毒性に起因しないことを意味する。さらに、補体は、事
前の加熱によって破壊されるので、抗TR3抗体は、抗原反応性T細胞上に阻害
性シグナルを直接伝達するようである。さらに、阻害性効果の機構にかかわらず
、TR3抗体は、T細胞の望ましくない活性化および増殖に関連する状態を処置
するために有用であり得るようである。
【0110】 (3.ポリクローナル抗血清を用いるマウスCD8+T細胞の染色) これらのラット免疫血清を用いてラットT細胞を染色する予備的な試行により
、細胞染色を行ったが、これは非常に高いバックグランドを伴った。このような
バックグラウンドを減じるため、マウス脾臓細胞を染色に用いた。マウス由来の
脾臓をコンカナバリンA(Concanavalin A)(ConA)の存在
下で48時間培養した。この細胞を、収集し、洗浄し、そして免疫動物またはコ
ントロール動物由来の10%血清とともにインキュベートした。次いで、この細
胞を洗浄し、そしてフルオレセインイソチオシアネート(FITC)(Sigm
a−Aldrich、St.Louis、MO)と結合体化した抗ラットIg抗
体を用いて染色した。次いで、この細胞をフィコエリトリン(Phycoery
thrin)(PE;PharMingen,San Diego,CA)と結
合体化した抗マウスCD8+T細胞抗体で対比染色した。次いで、この細胞を洗
浄し、そして蛍光発色細胞選別器(FACSan)を用いて分析した。
【0111】 上記の阻害データは、CD4+T細胞を用いて得たので、抗血清の特異性は、
CD8:PE(CD8+細胞に特異的な染料)を用いて試験した。従って、抗血
清がCD8+細胞を染色した場合、阻害アッセイおよび染色アッセイの両方から
の結果は、総合して、抗TR3抗血清が、CD8+およびCD4+の両方のT細胞
サブセットに結合したことを示す。3つの染色実験のうちの1つの結果を図6に
示す。図6は、ラット4の免疫血清で観察された結果と比較した、コントロール
の非免疫ラット血清を用いた染色の不足を示す。図6は、染色の指標である集団
変移を示す。ここでは、CD8+T細胞(右ヒストグラム)の41%が、コント
ロール染色(左ヒストグラム)を示す領域の外側に位置している。CD8+T細
胞集団の全体が変移しているのは驚くことではない、なぜなら、この集団は、C
D25(活性の指標である、IL−2レセプター)に対して>99%が陽性であ
るからである。このように、ほとんどの細胞が活性化され、そしてTR3を発現
する。従って、ヒトTR3ペプチドに対する抗血清では、高い比率のマウスCD
+T細胞が染色されるが、正常ラット血清では染色されない。
【0112】 (4.T細胞のインビトロ阻害) 抗TR3抗体は、T細胞機能の抑制において、インビボで活性であるようであ
る。例えば、免疫した動物の第1群の採血の時点で、TR3(1−32)ペプチ
ド含有CFAで免疫した6匹の動物のうち4匹が、足蹠でのCFA免疫に代表的
に関連する、足蹠膨張または遅延型過敏(DTH)を示さなかった。この膨張の
欠如は、炎症組織に通常存在する活性化T細胞の非存在と関連している。またE
LISA実験によって、足蹠膨張を示さなかった4匹の動物は、最高のTR3抗
体力価を有したことが実証された。これらの結果さらに、抗TR3抗体がインビ
ボで活性化T細胞を排除することを示唆する。
【0113】 上記を考慮して、8匹の未処理のラットが前足蹠に免疫された。4匹の動物は
CFAのみを受け、そして残りの4匹は、CFA中のTR3(1−32)ペプチ
ドを受けた。2週間で、両群は、同様の足蹠の膨潤を示した。1ヶ月後、CFA
のみを受けた動物はすべて依然として膨潤した足蹠を有した。対照的に、CFA
中のTR3(1−32)ペプチドを受けた動物はいずれも、膨潤した足蹠を有さ
なかった。さらに、CFAのみを受けた3匹の動物は、少なくとも一方の後足蹠
にアジュバンド誘導関節炎を有した。一方、TR−3免疫動物は、いずれも明ら
かな関節炎を示さなかった。足蹠の膨潤の加速した減少は、抗−TR3抗体力価
を発生した8匹の動物のうち8匹で観察された。これらの結果は、T細胞媒介炎
症性疾患を処置において、TR3特異的結合剤が示すようである有利な効果を説
明する。
【0114】 本発明者らはまた、TR3(1−32)ペプチドで初回免疫刺激した動物にお
いて既往性応答または記憶体液性応答の明らかな欠如を観察した。代表的には、
抗原で免疫され、続いて同一の抗原で追加免疫された動物は、抗体力価の急速な
増加および増加したまたは増強された追加免疫後の応答によって特徴付けられる
既往性応答を有する。これは、TR3(1−32)ペプチドで免疫された動物に
おける事例ではない。高いTR3力価を有する4匹の動物が採血され、次いでフ
ロイント不完全アジュバンドにおけるTR3(1−32)ペプチドで追加免疫さ
れ、そして10日後に既往性の体液性免疫応答について試験された。これらの動
物からの追加免疫前力価と追加免疫後力価との比較が、図7に示される。3匹の
動物(ラット3〜5)は、TR3に対して力価の増加を示さなかったが、1匹(
ラット6)は、中程度(2倍未満)の増加を示した。これらのデータは、循環す
る抗TR3抗体が、TR3に対するB細胞既往性応答のための補助を提供するこ
とを可能にし、そしてこれらの補助を提供するために必要なTR3ペプチド特異
的T細胞を除外したことを示唆する。
【0115】 上記された結果は、4つの理由のために重要である。第1に、これらはTR3
特異的結合剤の複数回の注射が、被験体による薬剤への免疫応答の発生に関連す
る合併症なしで被験体に必要に応じて投与され得ることを示唆する。このことは
、TR3特異的結合剤に対して応答し得る任意のT細胞が、循環するTR3特異
的結合剤により機能的に除去されることによる。
【0116】 2番目に重要な意味は、本質的により技術的で、TR3モノクローナル抗体の
産生に関する。上記のように、TR3に対するモノクローナル抗体の伝統的な作
製方法は、ハイブリドーマの使用によるものである。しかし、ハイブリドーマの
産生は、TR3に特異的なヘルパーT細胞活性化B細胞の存在を必要とする。し
かし、この場合、TR3特異的T細胞補助は、インビボでの抗体発現B細胞の集
団を通常活性化する二次免疫応答について存在しない。従って、ハイブリドーマ
の調製は、非伝統的方法を使用して行わなければならない。
【0117】 第3に、ヒトTR3ペプチド配列での免疫は、マウスT細胞とラットT細胞と
の交差反応する抗体を誘導することが示されている。このことは、TR3に対す
る抗体が、現れない理由を説明する。これは、種特異的抗体が得られる他の死ド
メインレセプターについての事例ではなかった。以下に示されるように、TR3
に対する一次モノクローナル抗体は、3つの種全てを認識する。
【0118】 第4に、被験体動物が、インビトロおよびインビボの両方で阻害性である自己
TR3に対する高い抗体力価を産生したことは、同等に重要である。それにもか
かわらず、この動物は、上記背景の節に記載される致死的な抗Fas抗体処理と
ともに観察された有害な副作用を示さなかった。
【0119】 (IV.生物学的に活性なTR3モノクローナル抗体の首尾の良い産生) (A.モノクローナル抗体の産生) 上記に言及されたように、ハイブリドーマを産生するためには、脾臓において
抗体を産生するB細胞集団が、B細胞と骨髄腫細胞との融合前に増加するように
被験体動物に抗原の第2の追加免疫を投与する必要がある。しかし、2回目のT
R3(1−32)ペプチドを注射された動物は、適切な追加免疫を示すことに失
敗する。
【0120】 従って、モノクローナル抗体を産生する2つの非伝統的方法が使用された。第
1の方法は、LPS(リポポリサッカリド)を利用して、融合前にTR3特異的
B細胞をインビトロで有糸分裂促進的に刺激した。GillisおよびHenn
ey、J.Immunology 126:1978〜1984、1981。第
2のアプローチは、TR3(1−13)ペプチド特異的T細胞株を使用してTR
3免疫B細胞をインビトロで刺激することであった。最終的に、この後者の方法
が、TR3特異的モノクローナル抗体の首尾の良い産生を達成した。
【0121】 動物をTR3(1−32)ペプチドで初回免疫刺激した10日後であるが、こ
の動物においてTR3(1−32)ペプチドに対する抗体が検出可能である前に
TR3特異的T細胞をTR3(1−32)ペプチドに対する免疫動物のリンパ節
から得た。次に、T細胞は、TR3(1−32)ペプチド刺激の回数を変化する
ことによりインビトロで拡大させ(分裂させ)、次いでIL−2(インターロイ
キン−2、20ユニット/mL)およびConA刺激(48時間)ラット脾臓細
胞からの上清10%を含む組織培養培地で増殖させた。3週間前にTR3(1−
32)ペプチドで免疫した動物から脾臓を取り出し、これらから単一細胞の懸濁
液を調製した。TR3(1−32)ペプチド免疫脾臓細胞(1×108細胞)お
よびTR3特異的T細胞(3×107細胞)の混合物をTR3(1−32)ペプ
チド(5μg/mL)の存在下で共存培養した。2日後、この細胞を洗浄し、マ
ウス骨髄腫パートナー、FO細胞(ATCC CRL−1646)を細胞の数的
比率1:1で融合した。融合細胞は、HAT(ヒポキサンチン−アミノプテリン
−チミジン)培地で選択した。培養物上清を蛍光ELISAを使用してTR3(
1−32)ペプチドでコートしたプレート上でアッセイした。23の陽性ウェル
が最初のスクリーニングの間に見出された。懸滴培養で繰り返されたクローニン
グ(6回)は、1つの安定なハイブリドーマを産生し、ELISAによりIgM
抗体を産生することが決定された。本明細書中以降では、この抗体をTR3μk
−1と言及する。
【0122】 モノクローナル株を無血清培地(HL−1、Biowhitaker(Wal
kersville,MD)およびHyQ PFMab、Hyclone(Lo
gan,UT)は同じくらい十分に作用した)に適用し、そしてTR3μk−1
抗体を300,000ダルトン排除限外フィルターを備えたAmicon Mo
del 402 Unit(Berverly,MA)そ使用した濃縮、続くリ
ン酸緩衝化生理食塩水に対する透析により精製した。抗体の産生を、1.4を減
衰係数として使用して吸光光度的にアッセイし、そしてクマシーブルーで染色す
ることにより10%ポリアクリルアミドゲル上で分析した。重鎖のバンドが約8
0kDで観察され、これはIgM重鎖の大きさと一致する。全体として過量のI
gM(5および10μg)でさえ、微量の混入物しか観察されなかった。簡単な
この方法は、治療等級の抗TR3 IgM McAbを精製するために使用され
得る。
【0123】 モノクローナル抗体(TR3を特異的に認識し、TR3と結合する)を産生す
る1つのハイブリドーマ細胞株は、 に、ブダペスト条約の条項下で、
American Type Culture Collectionに寄託さ
れた。このハイブリドーマ細胞株は、TR3μk−1と命名された。
【0124】 (B.アイソタイプスイッチ) 抗体の種々のアイソタイプがいくつかの理由のために有用である。IgMは、
インビトロで比較的短い半減期(5〜7日間)を有し、これは、IgMによりも
たらされる免疫抑制の持続時間を制限する。にもかかわらず、IgM抗体は、補
体とともに骨髄移植前にエキソビボで骨髄を処置するために有効に使用されてお
り、これは良好な結果を併っている。例えば、CAMPATH−1は、ラットI
gM抗体であり、この融合に使用されてきた(Waldmannら、Lance
t、2:483〜486、1984)。CAMPATH−1は、B細胞、T細胞
、およびナチュラルキラー(NK)細胞で見出される共通の抗原(CD52)を
標的とするため、汎免疫抑制剤である。対照的に、IgM抗TR3抗体は、無傷
の免疫系の他の構成成分を残して、活性化されたT細胞のみを標的とする。免疫
抑制の短い期間の後(抗体の半減期に基く)、残っている成熟T細胞は、エフェ
クター細胞になり利用可能である。これは、被験体の日課的な免疫抑制薬物治療
から開放後に、免疫系が自身を再構成する長い期間の免疫抑制が続く従来の実践
とは対照的である。
【0125】 Jo2抗マウスFas抗体(Ogasawaraら、Nature、364:
806〜809(1993))は、「アメリカンハムスター」と名づけられたハ
ムスター系統から得られたIgG抗体であり、抗ヒトFas抗体(PharMi
ngen(Cifoneら、J.Exp.Med.、177:1547〜52)
、1993)は、マウスIgG1である。これらの両抗体は、死シグナルを変換
することにおいて非常に有効である。それゆえ、TR3に対するIgG McA
bは、おそらく活性化T細胞を阻害し得る。
【0126】 抗体のIgGサブクラスは、IgMより長い半減期(23日間)を有する。従
って、TgGの使用は、より長期の免疫抑制を可能にする。IgGアイソタイプ
での処置がIgMの使用に対して好ましい状況がある。IgGは、IgMよりも
良好に組織を浸透し、そしてより良好な組織浸透性は、皮膚、肺、肝臓および腸
が標的器官であるGVHDにおいて有用であり得る。IgMからIgGへのスイ
ッチはまた、体細胞性変異(抗体の特異性を上昇させるDNA再編成プロセス)
、親和性成熟(抗原と高い親和性で結合する抗体を発現するB細胞の優先的な選
択のプロセス)に関する。高親和性抗体(例えば、IgG)は、通常処置のため
により少ない用量を必要とし、より低い親和性抗体(例えば、IgM)よりFA
CScan分析における使用のための良好な染色剤であり得る。IgG2b抗体
(例えば、CAMPATH−1G)は、これらがFcレセプターと結合し、抗体
依存性の細胞媒介細胞傷害性(ADCC)を容易にするので、インビボで非常に
有効な免疫抑制剤である(しかし、最近の研究は、CAMPATHもまた、依然
として未知の機構によりアポトーシスを誘導し得ることを示唆する)。インビボ
CAMPATH−1Gは、十分に耐性であり、そして強力な免疫抑制剤である。
【0127】 TR3(1−32)ペプチドで免疫したLewisラットがアイソタイプスイ
ッチを起こすか否かを決定するために、TR3(1−32)ペプチド免疫動物由
来の血清を、この動物の初回免疫の12週間後に蛍光ELISAを使用してアイ
ソタイプ特異的抗体について試験した。代表的なアッセイ結果を図8に示す。連
続的に希釈した血清を、TR3(1−32)ペプチドでコートしたプレートへ結
合させた。プレートを洗浄後、アルカリホスファターゼ(AP)で標識化した、
ラットIgG1、IgG2a、IgG2b、またはIgに対する抗体を添加した
。50ミリ蛍光単位未満の免疫前血清値を各アイソタイプについて得た(示さな
い)。IgG1(菱形)およびIgG2a(丸)抗体がバックグラウンドを超え
て明確に検出された。このことは、両TH1型T細胞およびTH2型T細胞が、ア
イソタイプスイッチ応答に関連することを示唆する。IgG2b(三角)はまた
、1:1000希釈で少量存在し、このことは、TR3(1−32)ペプチドで
の初回免疫によりアイソタイプスイッチがインビボで起こることを示唆する。こ
れらの結果は、MHCクラスII関連ペプチド認識から予測される高レベルのT
細胞補助と一致する。おそらく、アイソタイプスイッチは、TR3(1−32)
ペプチド特異的ヘルパーT細胞が除去される前に起こる。あるいは、アイソタイ
プスイッチは、環境抗原に対して応答する内因性T細胞がTR3を発現した後に
生じ得、そして抗TR3記憶B細胞刺激物として役に立ち得る。機構に関係なく
、これらの定性的データは、アイソタイプスイッチが生じず、そしてモノクロー
ナルIgG抗体およびこれらのアイソタイプのモノクローナル抗体(例えば、I
gA1、IgA2、IgE、IgD、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4 )を産生し得ることを示す。これらのアイソタイプのMcAbは、TR3に対す
る体液性応答をより正確に定量化する標準として役立ち得る。
【0128】 (C.モノクローナル抗体を用いたT細胞の特異的染色) モノクローナル抗体であるTR3μk−1は、3つの種(マウス、ラットおよ
びヒト)由来の3つの異なるT細胞株を特異的に染色した。精製したTR3μk
−1 McAbは、直接染色試薬として使用するためにフルオレセインイソチオ
シアネート(FITC)と結合体化された。以下に記載の染色アッセイについて
、Lewisラット抗マウスIL−2R:FITC(PharMingenクロ
ーン7D4)またはFischerラット抗マウスVβ14:FITC(Pha
rMingen クローン 14−2)を、ラットIgMアイソタイプコントロ
ール抗体として用いた。いくつかの実験において、抗TR3:FITCで染色さ
れた刺激されていないT細胞は、コントロールとして働き、本質的に同じ結果を
有した。
【0129】 最初のT細胞株は、エプスタイン−バーウイルス(EBV)−1−形質転換B
細胞株(EBV−1)での反復サイクルの刺激により、続いて10%FCS(ウ
シ胎仔血清)、3日目ヒトMLR(Gibco BRL、Gaithersbu
rg,MD)上清由来の10%上清、および20ユニット/mlのヒトIL−2
を含有する増殖培地での増殖によって、末梢血リンパ球(PBL)から産生され
たヒトアロ反応性T細胞株(Allo−1)であった。Allo−1細胞株は、
CD4およびCD8アロ反応性T細胞の両方をほぼ同じパーセンテージで含み、
そして100%の細胞がCD134発現(CD134は、活性化T細胞で発現さ
れる細胞表面抗原である)で決定した場合、EBV−1での刺激後に活性化され
た。Allo−1細胞株は、使用前に補体を破壊するために熱不活化された、2
%のヒト血清を含有する、RPMI 1640(Life Technolog
ies(GIBCO BRL),Gaithersburg,MD)中でEBV
−1と1:1の比に慣用的に刺激された。
【0130】 第2のT細胞株は、マウスPLP(139〜151)−特異的T細胞株(Wh
ithamら、J.Neurosci.Res.45:104〜16,1996
)であった。この株は、主にCD4+T細胞からなる。この株の刺激は、2μg
/ml PLP(139−151)を含有する、RPMI(1%熱不活化正常マ
ウス血清を補充した)の存在下で、同系の胸腺細胞(PLPに対して曝露されて
いない遺伝子的に同一の胸腺細胞)と10:1の数の比率で、この細胞を培養す
ることにより達成された。
【0131】 第3のT細胞株は、主にCD4+であるMBP特異的ラットT細胞株であった
。この株の刺激は、2μg/mLウシMBPを含有するRPMI(1%熱不活化
正常ラット血清を補充した)の存在下で、同系胸腺と10:1の数の比率で、こ
の細胞を培養することにより達成された。
【0132】 TR3発現の動態を、マウスおよびラットCD4+T細胞株を用いて分析した
。ラットウシMBP−特異的T細胞株を、5×106胸腺細胞プラス1μg/m
lMBPの存在下で、5×105細胞/mLで培養した。マウスPLP特異的T
細胞株を同様に、ただし2μg/mL PLP(139〜151)ペプチドを用
いて刺激した。この細胞を所定の時点で回収し、洗浄し、そしてTR3を発現し
たCD4+T細胞について染色した。これらの結果は、ラットおよびマウスの細
胞株について、それぞれ、図9(A)および9(B)に示される。各細胞株を用
いて、刺激後24時間、48時間および72時間で、T細胞のほぼ等価の染色が
観察された。これは、時間増加のFL1軸上で右側への進行性集団変移として観
察された。
【0133】 TR3の発現レベルは、72時間にわたって一定に維持された。これは、TR
3免疫ポリクローナル抗血清を用いるT細胞阻害データの観点から驚くべきこと
である。従って、TR3媒介阻害に対する感受性の低下は、TR3発現のレベル
の低下に起因せず、むしろ、TR3レセプターを通じた阻害性シグナルが、下流
の事象によって調節され得るようである。
【0134】 次の染色実験において、106のヒトAllo−1細胞を単独か、または同数
のEBV−1刺激細胞とともにのいずれかで培養した。この細胞を回収し、そし
て染色して、TR3を発現するCD4+細胞またはCD8+細胞を明らかにした。
刺激していないAllo−1細胞は、ネガティブコントロールとして働いた(図
10(A)および10(B))。刺激後12時間で得たデータ(「活性化(Ac
tivated)」)を、CD4+およびCD8+T細胞について、それぞれ図1
0(A)および10(B)に示す。マウスおよびラットのT細胞の両方について
観察されたように、アロ反応性のヒトCD4+およびCD8+T細胞の100%が
、72時間後に、この細胞による表面TR3発現を示した抗体で染色された。2
4時間および48時間、細胞を培養した後、同様の結果が得られた。コントロー
ル細胞は、TR3について陽性に染色しなかった。これは、再度、活性化がTR
3アップレギュレーション(上方制御)に必要であることを実証する。
【0135】 ラットCD8+T細胞の染色は、48時間、抗CD3(10μg/mL)およ
び抗CD28(10μg/mL)で刺激した(「活性化」)ラットリンパ節T細
胞の培養において表された。これらの結果は、CD4+およびCD8+T細胞につ
いて、それぞれ図11(A)および11(B)に示される。ヒトAllo−1株
で観察されるように、T細胞のほとんどが抗TR3試薬で染色されるが、ただし
刺激後のみである。抗CD3抗体刺激も抗CD28抗体刺激も単独では、これら
の細胞においてTR3発現を誘導し得なかった。
【0136】 全体として、これらのデータは、TR3が、少なくとも72時間、ヒト、ラッ
トおよびマウス由来のCD4+T細胞上での染色により検出可能であることを示
す。さらに、ヒトおよびラットのCD8+T細胞はまた、72時間および48時
間の時点で、それぞれ、TR3発現について陽性である(マウスは試験していな
いが、上記図6を参照のこと)。従って、インビボの条件では、TR3特異的結
合剤は、細胞が刺激された後少なくとも72時間、標的T細胞に結合し得る。さ
らに、TR3特異的結合剤が、補体(すなわち、IgMまたはIgG)を結合し
得る場合、これは、標的T細胞に結合し、そして補体カスケードを開始し得る。
補体カスケードが開始した後、標的T細胞は溶解されそして殺傷される可能性が
最も高い。
【0137】 養子移入されたEAEを与えられたマウスおよびラットの脳由来の、または活
性に誘導したEAEを有するマウスおよびラットの脳由来のCD4+T細胞の染
色を、図12(A)〜12(D)に示す。マウスおよびラットは、活性なEAE
(プロットAおよびC)を誘導するように免疫されるか、または養子性疾患の誘
導について5×106(プロットB)もしくは2×106(プロットD)の脳炎誘
発性のT細胞を与えられるかのいずれかである。このデータは、各事例での疾患
の発現の1日目からのものである。白抜きの棒グラフは、細胞のアイソタイプコ
ントロール(ラット抗マウスVβ14)染色を示す。マウス細胞の染色について
、コントロール抗体は、このマウスVβ遺伝子の用法と一致して、T細胞の2〜
3%を強力に染色した;これらのデータは、選択的に除かれ、従って棒グラフに
は示されていない。ラットおよびマウスの両方の細胞は、TR3発現の染色特徴
を示す。CD134で同時染色されたT細胞はまた活性化細胞の指標である。こ
れらのデータは、EAEを有するげっ歯類の脳由来のT細胞のほとんどでのCD
134の発現を示す上記のデータと一致する(Weinbergら,J.Imm
unol.162:1818〜1826,1999)。
【0138】 (D.GVHDモデルにおける活性化T細胞の検出) 本発明者らは、TR3を発現するT細胞が、同種異系の(非自己ドナー由来の
)骨髄移植物を受容した後に、動物の末梢循環において検出され得るか否かを決
定した。これらの結果は、CD134 T細胞活性化マーカーについて実証され
たように、TR3が、疾患発現の前に検出可能であることを示唆する。これらの
データは、GVHDモデルにおける抗TR3処理の開始に関連する時点を正確に
示すために有用である。
【0139】 これらの実験において、20×106骨髄および50×106リンパ節細胞を、
Buffaloラットから各々4つ(Lewis×Buffalo)F1レシピ
エント(致死量以下に照射(600R)された)に移植した。末梢血リンパ球を
、移植後7日、10日および14日目に回収し、TR3+CD4+T細胞について
染色した。正常F1動物由来の末梢血リンパ球は、コントロールとして役立った
【0140】 コントロールラットからおよび1匹の移植されたラットから、GVHDの兆候
の7日前に得た、二重に陽性のT細胞(TR3およびCD4の両方について陽性
に染色された)のパーセンテージを図13(A)および13(B)にそれぞれ示
す。この記載(サイトグラムと呼ぶ)において、各点(ドット)が、単一の細胞
を示す。縦軸は、CD4:PEで染色した細胞の蛍光強度を意味し、この染色は
、CD4+を発現する全ての細胞を同定するはずである。横軸は、TR3μk−
1で染色した細胞の蛍光強度を意味し、この染色は、TR3を発現する細胞を同
定する。正常なコントロールラットにおいて、<3%のCD4+T細胞がTR3
を発現した。これは、本質的にバックグラウンドであり、そしてCD134(活
性化T細胞のマーカー)が、正常な動物の末梢T細胞でまれに見出されるという
観察と一致している。対照的に、7日前に同種異系の骨髄移植物を与えられたラ
ットは、12% TR3+細胞を有し、これはバックグラウンドを4〜5倍上回
る。図13(C)は、移植後7日、10日および14日目で、3つの正常コント
ロールラット、ならびに4匹の移植されたラット全ての類似のサイトグラムから
得たデータからの平均および標準偏差(バー)を示す。正常なコントロールラッ
ト(n=3)は、2.4±0.5二重陽性T細胞の平均バックグラウンドレベル
を示した。これは、CD134活性化マーカーを発現する循環中のT細胞の低い
パーセンテージと一致している。同種異系骨髄移植を有するラットは、7日目程
度の速さで、二重陽性細胞のパーセンテージの増大(16.6±4.5)を示し
た。このパーセンテージは、10日目に27.1±6.0まで増大し;14日目
にこのパーセンテージは、44.0±5.3に上昇した。このTR3+T細胞の
迅速な増殖は、CD134について報告されたのと同様である。
【0141】 前述の実験はまた、TR3+T細胞がこのドナーから誘導されないことを示す
ために用いられ得る。GVHDモデルの以前の使用は、移植後に回収されたCD
134+T細胞がアロ反応性であることを示していた(Tittleら、Blo
od 89:4652〜8、1997)。従って、上記の実験由来のTR3+細
胞の集団がまた、CD134を発現する場合、TR3+細胞がドナー起源である
ことが結論付けられ得る。これらのデータは、GVHDが、インビボでTR3効
果の分析に適切なモデルであることを実証する。さらに、残りのT細胞の>90
%を未接触のままにするのに十分速く、TR3+T細胞を排除することが可能で
あるようである。
【0142】 (E.TR3特異的モノクローナル抗体を用いるインビトロにおけるT細胞増
殖の阻害) TR3μk−1による活性化T細胞特異的殺傷のインビトロ分析を、20,0
00 T細胞/ウェルのヒトAllo−1細胞、または20,000 T細胞/
ウェルのマウスPLP(139〜151)ペプチド特異的T細胞を用いて、実施
した。1条件あたり、6つの複製ウェルを調製した。TR3μk−1の異なる用
量を各ウェルに最初に添加した。2日後、各ウェルに1μCiの3Hチミジンを
供給し、そしてさらに18〜24時間培養した。次いでこの培養物を回収し、そ
して3Hチミジンの取り込みをシンチレーションカウントによって決定した。代
表的な実験の結果を、TR3μk−1抗体の濃度の関数である1分あたりの平均
カウント(CPM)として、図14に示す。未処理培養物は、29,000 C
PM(マウス)および38,000CPM(ヒト)を表した。TR3μk−1の
添加は、用量依存性の様式(各種について<2.0μg/mLの50%阻害(I 50 )値を有する)で増殖を阻害した。増殖反応の完全な阻害は5.0μg/mL
で達成された。(観察された阻害は、トリパンブルー染色によって決定した場合
、T細胞の殺傷に起因していた。殺傷は、アポトーシスから生じた可能性がある
)。いずれにせよ、これらのデータは、TR3μk−1が活性化されたマウスお
よびヒトのT細胞を認識し、そして阻害シグナルを変換したことを実証した。類
似の阻害がまた、ラットT細胞を用いて抗原特異的T細胞応答において観察され
た。
【0143】 TR3μk−1に対するラットMBP特異的T細胞株の一時的感受性を、上記
のように評価した。MBP特異的T細胞(20,000細胞/ウェル)を、1μ
g MBP/mLおよび10倍過剰の照射された同系の胸腺細胞(APCとして
)を用いて再刺激した。TR3μk−1の異なる用量を培養の最初に、1日目ま
たは2日目に添加した。3Hチミジン添加は、72時間で添加し、そしてこの細
胞をさらに18〜24時間培養した。結果を図15に示す。免疫血清を用いて実
証されるように、抗TR3が培養の最初に添加された場合(四角)、最大の細胞
殺傷が観察された。抗TR3抗体の添加の前に24時間遅れで、より少ない細胞
殺傷が観察された(ひし形)。抗体の添加前、48時間刺激した細胞を殺傷する
のはなおさらに難しかった(丸)。これらの3つの処理についてのI50(50%
阻害)は、それぞれ、およそ、3μg/mL、10μg/mL、および20μg
/mLであった。これらのデータは、ポリクローナル抗血清(図5)を用いた実
験から得たデータと一致する。このデータは、抗原刺激後(刺激後24時間、4
8時間、72時間)に添加された抗血清は、抗原と同時に添加した抗血清よりも
T細胞増殖の阻害において効果が乏しかったことを示した。しかし、本結果は、
本結果が、この細胞は、殺傷に対して抵抗性(refractory)になるが
、精製したTR3μk−1の十分な量が添加される限り、感受性のままであるこ
とを実証するという点で、ポリクローナル抗血清とは異なる。
【0144】 MBP(ミエリン塩基性タンパク質)での再刺激の効果を、また1セットのT
細胞培養物上で試験した。このセットの培養は、インビボの状況を模倣するよう
に働いた。この状況では抗原刺激は、GVHDまたは自己免疫疾患で生じ得るよ
うに、慢性である。図15(三角)に示すように、MBP再刺激は、TR3抗体
の効果に対して細胞を明らかに感作し、これにより殺傷曲線は左に偏向し、この
ことはより大きい感受性を示す。MBP(黒三角)で再刺激した培養物のI50
は、約7.5μg/mLであった。
【0145】 これらのデータは、観察される細胞殺傷が細胞に対する非特異的毒性効果に起
因しないことを実証する。むしろ、この効果は生物学的であり、そして活性化さ
れたT細胞上のTR3レセプターを通じて媒介される。このデータはまた、十分
な抗体が送達された場合、細胞が感受性のままであるが、この細胞は不応性(r
efractory)になることを示す。予想されなかったことに、この抵抗性
の期間は、T細胞の表面上のTR3発現の損失に起因しない。これは、重要であ
るかもしれない。なぜなら、このインビトロの状況と異なり、細胞はまた、イン
ビボでの補体の存在下での抗体による殺傷に感受性であり得るからである。不応
性期間(refractory period)の理由は不明だが、これは、最
近発見された死ドメイン(SODD)のサイレンサー(TR3細胞内ドメインに
関連することが示されている)から生じ得る(Jiangら、Science
253:543〜546,1999)。
【0146】 このデータはまた、慢性の刺激の場合、活性化T細胞は、非補体結合抗体が用
いられる場合でさえ、TR3媒介殺傷に感受性のままであることを示唆する。従
って、処置は、予防にのみ限定されないようである。
【0147】 全体として、この節で示されるデータは、TR3μk−1抗体が、補体の非存
在下で、活性化したヒト、マウスおよびラットのT細胞を認識し、そして殺傷す
る(3つの種全てについてほぼ同じI50値で)ことを実証する。
【0148】 (V.TR3 McAbは、EAEモデルにおいて、臨床的症状および準臨床
的症状を減弱する) モノクローナル抗体である抗TR3抗体がT細胞媒介疾患を変更する能力を、
養子移入EAEモデル系で試験した。モルモットMBPに特異的なLewisラ
ットT細胞株を、MBPおよび抗原提示細胞の供給源として照射した胸腺細胞を
用いてインビトロで刺激した(10:1の比のAPC:T)。72時間後、この
細胞を洗浄し、そして4匹のLewisラットに、1×106のMBP特異的な
同系T細胞(コントロール)、または1×106のMBP特異的な同系T細胞お
よび300μg TR3μk−1抗体のいずれかを注射した。この用量は、15
0gの平均体重に基づいてインビトロで観察された3μg/mLのおおよそのI 50 値(2mg/kg)である。
【0149】 注射後、この動物を準臨床的(subclinical)体重減少について評
価し、そして毎日、麻痺の臨床兆候についてスコア付けした。準臨床的疾患に対
する抗TR3抗体の効果を図16(A)に示す。ここのデータは、T細胞の移入
後の日数に対する体重の低下のパーセントとして示している。抗TR3μk−1
を投与されなかった2匹の動物は、それぞれ4日目および5日目に有意な体重減
少の開始を示した(丸)。それらは、それぞれ実験終了の9日目までに、総体重
の17%および20%を失った。対照的に、TR3μk−1抗体を投与された2
匹の動物のうち1匹(四角)は、9日目までにその体重の4%を緩徐に減少した
が、他の動物ではこの時期の間に体重の減少はなかった。
【0150】 臨床上の疾患に対するTR3μk−1の効果を図16(B)に示す。TR3μ
k−1を投与されなかった動物の両方は、6日目に明らかに罹患し(四角)、7
日目には悪化し、そして8日目に回復した。TR3μk−1を投与された動物(
丸)のいずれも、臨床的には疾患の兆候をなんら示さず、これは準臨床的体重減
少のないことと、一致していた。抗TR3処理の単一用量を用いる、臨床的およ
び準臨床的EAEの両方に影響する能力により、TR3抗体が有用な処置様式で
あり得ることが示される。
【0151】 (VI.TR3特異的結合剤は、インビボGVHDモデルにおいて、自然回復
を生じる) 上記(図13)の、先行試験は、TR3が急性のGVHDの間に発現されたこ
とを示した。このような試験はまた、GVHDが生物学的に活性なTR3特異的
結合剤(例えば、上記のMcAb)で処置され得ることを示した。この仮説を試
験するため、4匹の(Lewis×Buffalo)F1ラットのレシピエント
を致死量以下に照射して、他の組織は保持しながら、リンパ系細胞を排除した。
レシピエントのリンパ系細胞をこのように排除すると同時に、ドナーラット由来
の20×106のBuffalo骨髄細胞および50×106のBuffaloリ
ンパ節細胞を、各レシピエントに移植してGVHDを誘導した。
【0152】 2匹の動物の各々はまた、活性化T細胞が末梢循環中で見出された(CD13
+T細胞およびTR3陽性T細胞の存在により決定される)後、移植後7日目
、10日目、および12日目にTR3μk−1の3回の注射をうけた。体重1K
gあたり総量4mgのTR3μk−1を、各ラットに注射した。体重減少、体毛
減少および他の皮膚兆候によって決定されるように、4匹の動物全てがGVHD
の兆候を示した。両方のコントロール動物(TR3μk−1抗体を投与されてい
ない動物)は、移植後、重篤な急性GVHDを発症し、そして4週間で安楽死さ
せられた。TR3μk−1で処理した2匹の動物は、体重の増加および皮膚異常
の改善によって示されるように、約20日で自然な回復を開始した。TR3μk
−1処置動物は、移植後16週間で成長を続けた。それ故、TR3μk−1での
ラットの処置は、急性のGVHD死亡率に顕著に有益な効果を有する。
【0153】 移植後10週間で、2匹の明らかに健常な動物(TR3μk−1を投与された
)由来の血液の表現型を、試験して、活性化T細胞が循環しているか否か、およ
び循環しているT細胞がドナーに由来するかまたはレシピエントに由来するかを
確認した。この分析を、活性化T細胞のマーカーであるCD134、およびTR
3μk−1を用いて循環T細胞を二重染色することによって、続いてFACSc
anによって行った。活性化マーカーCD134を発現するT細胞もTR3も検
出できなかった。これは、正常とみなされる(図15c、コントロールを参照の
こと)。この動物を、RT7.1(レシピエントT細胞上で発現されるが、Bu
ffaloドナーT細胞では発現されない、白血球共通抗原の多様型アロタイプ
マーカー)について陽性に染色するT細胞の存在または非存在を決定することに
より、キメリズム(ドナーおよび/またはレシピエントのT細胞の存在)につい
て評価した。
【0154】 実験結果を図17に示す。BMTを投与されていないコントロール動物F1を
、点線で示す;この動物は、レシピエントのLewis親由来の細胞について予
想される曲線を生じた。すなわち、この細胞は陽性である。Buffaloラッ
ト由来細胞は、陰性であり、そしてドナー細胞がレシピエントを再構成した場合
、F1細胞の左側になるはずである。2匹の試験動物からの結果を、それぞれ、
実線および破線で示す。この結果は、これらの2匹のTR3μk−1処理動物の
免疫系が、RT7.1マーカーを欠くT細胞で再構成された(すなわち、これら
の動物におけるT細胞はドナー由来であった)ことを示す。従って、抗TR3抗
体での同種異系のBMTレシピエントの処置は、動物に、ドナー由来の正常な静
止期T細胞を生じ、このT細胞は、いかなるGVHD症状をも排除する。
【0155】 (VII.生物学的に活性なTR3特異的結合剤は、TR3を発現するヒト腫
瘍を殺傷する) 5つのT細胞腫瘍(3つはマウスTリンパ腫:EMG2、EFK1、およびS
LI、そして2つはヒトTリンパ腫:HuT78およびJurkat)を、TR
3 TR3μk−1:FITCで染色した。試験した5つの腫瘍株のうち4つが
TR3を発現した(Jurkat T細胞株はTR3発現については陰性であっ
た)。染色から得た結果の例を図18(A)に提供する。EFK1は、アイソタ
イプコントロール(ラットIgM:抗マウス−Vβ14)(白棒グラフ)に対し
て、TR3発現について陽性に染色した(黒棒グラフ)。
【0156】 次いで、4つの細胞株を、抗TR3媒介殺傷についての感受性について試験し
た。TR3陽性腫瘍の全てが、図18(B)に示されるマウスEFK1 T−細
胞腫瘍についての代表的用量依存性阻害によって実証されるように、TR3誘導
細胞死について感受性であった。これらのデータは、TR3を発現するヒトT細
胞癌が、生物学的に活性なTR3特異的結合剤の注射によって処置可能であるこ
とを示唆する。
【0157】 (VIII.抗TR3抗体は、アポトーシスの誘導によってT細胞増殖を阻害
する) ラットリンパ節細胞(1×106/ml)をConA(2μg/ml)の存在
下または非存在下で培養して、活性化を誘導した。1セットの活性化細胞をまた
、抗TR3抗体(10μg/ml)で処理した。24時間後、細胞を回収して、
臭化エチジウムの存在下でのアガロースゲルでの分析用にDNAを抽出した。同
じ量のDNAを各レーンに添加した。ConAの非存在下で培養した細胞由来の
DNA、またはConAの存在下で、ただし抗TR3抗体はなしで培養した細胞
由来のDNAは、高分子量の均一なDNAサイズを示す。対照的に、抗TR3抗
体の存在下で増殖したConA活性化細胞由来のDNAは、DNAラダーリング
効果(典型的なアポトーシス)を示す。これらの結果は、抗TR3抗体が、アポ
トーシス機構によって、活性化T細胞を殺傷することを初めて実証するものであ
る。
【0158】 (IX.材料および方法) (ペプチド合成)TR3(1−13)、TR3(14−32)、およびTR(
1−32)のペプチド、PLP(139−151)ペプチド、およびGPBP(
70−88)ペプチドを、製造業者の指示に従って、432Aモデルのペプチド
シンセサイザー(Perkin Elmer Applied Biosyst
ems,Foster City,CA)上で、標準的F−moc化学(Wei
nbergら、J.Immunol.162:1818〜1826,1999)
を用いて、合成した。ペプチド抽出後、このペプチドを凍結乾燥し、−20℃に
保管した。ペプチドの純度を、C18逆相高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)で評価した。
【0159】 (蛍光ELISA)。ELISAのプロトコールは、基質(メチルウンベリフ
ェリルリン酸(methylumbelliferyl phosphate)
、MUP,Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)が、NPP
(ニトロフェニルリン酸(Sigma−Aldrich,St.Louis,M
O))と同様に、比色定量的でなく、蛍光定量的に読み取られることを除いて、
以前に(題名、Molecular Immunol.26:343〜350,
1989)に記載されている。Immulon4TMプレート(Dynatech
Labs,Chantilly,VA)を、1mLのリン酸緩衝化生理食塩水
(PBS)あたり1〜2μgの指定されたTR3ペプチドでコート(被覆)した
。このプレートを水で洗浄し、次に、非特異的結合を防止するため、200μL
の1%ゼラチン含有PBS(1mMアジ化ナトリウム含有)、および1mMエチ
レンジアミン四酢酸(PBSAE)でブロックした。次いでこのプレートをPB
SAEで3回洗浄し、そして50μL容量の血清またはハイブリドーマ培養上清
のアッセイに用いた。2時間のインキュベーション後、このプレートを再度PB
SAE(抗ラットIgおよびアルカリホスファターゼの適切な結合体を、1:1
0,000希釈で含有する)で洗浄した。抗ラットIgを含有するウェルを、0
.2mM濃度のMUPを含有する炭酸塩緩衝液(pH8.5)を用いて検出した
。1時間後、このプレートをCytofluor II装置(PerSepti
ve Biosystems,Framingham,MA)を用いて読み取っ
た。
【0160】 (T細胞増殖の阻害) これらのアッセイのために使用したラットT細胞は、
Lewis MBP特異的T細胞株、Buffaloアロ反応性(allore
active)T細胞株、ヒトアロ−1(allo−1)T細胞株、マウスPL
P(139−151)ペプチド特異的T細胞、または正常なリンパ節細胞であっ
た。20,000のT細胞を96ウェルプレートのウェルに添加し、そしてこれ
らの細胞株を、抗原、ならびに照射した(6000Rad)刺激細胞、アロ刺激
剤、または抗CD3および抗CD8で刺激した。48時間後、3H−チミジンを
添加し、そしてこれらのプレートをさらに18〜24時間インキュベートした。
次いで、これらのプレートを採取し、そして1205Betaプレートカウンタ
ー(Wallac,Gaithersburg,MD)を使用して、3H−チミ
ジン取り込みについて評価した。ヒト末梢血液リンパ球(PBL)を、正常なド
ナーから静脈穿刺によって、またはアメリカ赤十字から得、そしてフィコール上
で処理した。PBL細胞を、1つのウェルあたり50,000〜100,000
の細胞で、96ウェルプレート中で培養し、1〜5μg/mLの植物性赤血球凝
集素でインビトロで刺激し、そして抗TR3 McAbによる3H−チミジン取
り込みの阻害について、上記のように評価した。
【0161】 (T細胞リンパ腫、またはT細胞白血病の増殖阻害) ヒトT細胞腫瘍株(H
uT78およびJurkat)ならびにマウスT細胞腫瘍株(EFK1、EMG
2、およびSL1)を、TR3レセプターを介する殺傷に対する感受性について
、スクリーニングした。腫瘍細胞(2,000〜4,000細胞/ウェル)を、
96ウェルプレートのウェルに、TR3μk−1 McAbの段階希釈物の存在
下で添加した。24時間後、3H−チミジンを添加し、そしてこれらのプレート
をさらに18〜24時間インキュベートした。次いで、これらのプレートを採取
し、そして3H−チミジン取り込みについて評価した。
【0162】 (FACScan分析) TR3(1−32)ペプチドに対するMcAbを、
ラット、マウス、またはヒト供給源由来の活性化T細胞を染色する能力について
評価した。T細胞を、増殖実験のために、上記のように活性化した。いくつかの
実験に対しては、げっ歯類リンパ節細胞を、5μgのConAで刺激して、24
〜48時間後に活性化T細胞を得た。FACScan分析を、以前に記載された
ように実施した(Tittleら、Blood 89:4652−4658、1
997)。結合体化していないMcAbを、ヤギ抗ラットIg FITC(KP
L,Gaithersburg,MD)を使用して、ラットリンパ球の細胞表面
において検出した。他の全ての抗体を、PharMingen(La Joll
a,CA)から購入した。簡単に言えば、1×106の細胞を、100μLの総
容量での最適な量(予め滴定した)の抗体(通常0.1〜1μg)で30分間染
色した。次いで、これらの細胞を培地中で3回洗浄し、そしてFACScanで
の分析のために、300〜400μLの培地中に希釈した。大部分の実験に関し
て、活性化T細胞を含むように、選択を、高い前方向散乱の領域を含むリンパ球
領域にわたって設定した。
【0163】 (細胞融合物) 融合プロトコルは、以前に記載された(Tittle,Mo
lecular Immunol.26:343−350,1989)、Faz
eka de St.GrothおよびScheidegger(J.Immu
nological Methods 35:1−21、1980)のプロトコ
ルに基づいた。第一のプロトコルにおいて、TR3で免疫した、高力価の抗TR
3抗体を有する動物由来の脾臓およびリンパ節を、一次応答の10日目、14日
目、および17日目に除去した。単一細胞の懸濁液を作製し、そしてこれらの細
胞を直接、急速に増殖する骨髄腫細胞と融合させた。第二のプロトコルにおいて
、免疫動物の脾臓およびリンパ節を、TR3(1−13)ペプチド特異的T細胞
株とともにインビトロで培養し、そして5μg/mLのTR3(1−32)ペプ
チドで2日間刺激し、その後、T細胞を骨髄腫細胞と融合させた。全ての融合物
を、10個の96ウェルプレートに、HAT培地中でプレートした。4日目の後
に、これらのウェルに3日ごとに新鮮なHAT培地を供給した。2回の供給の後
に、上清を維持し、そしてELISAによって、抗TR3反応性について分析し
た。ポジティブなウェルを同定した。次いで、ハイブリドーマを、以前に記載さ
れたように(Tittle,Molecular Immunol.26:34
3−350,1989)、懸滴培養によって2回クローニングした。
【0164】 (抗体精製) IgM抗体を、無血清培地(SFM)から、Amicon濃縮
器および300kD排除限界セルロースフィルターを使用する濃縮によって、精
製した。保持された抗体を、リン酸生理食塩水に対して透析し、0.2ミクロン
のフィルターを使用して滅菌し、そして4℃で貯蔵した。TR3 μk−1抗体
は、約5μg/mLのSFMで産生される。IgG抗体は、プロテインG(Hy
Trap,Tharmacia)がより急速でない限り、類似のプロトコルを使
用して精製され得る。抗体(1mg)を、標準的な方法によって、2%重炭酸塩
中のフルオレセインイソチオシアネート異性体IIを使用して、フルオレセイン
でタグ化した。室温(RT)で一晩暗所でインキュベートした後に、次いで、結
合体化していないFITCを透析によって除去した。
【0165】 (T細胞株) MBPまたはTR3に対して特異的なT細胞を、10日目に、
CFAにおける対応する抗原で免疫したラットの排液リンパ節から得た。これら
のリンパ節細胞を、インビトロで1:5の比での抗原および刺激細胞とともに培
養し、そして3日間培養した。次いで、これらの細胞を採取し、そして10%
FCS(ウシ胎仔血清)および10% ConA上清を含む培地中で再培養した
。4日後、これらの細胞の凍結または再刺激のいずれかを行った。マウスPLP
(139−151)ペプチド特異的T細胞を、類似の様式で得た。ヒト細胞株を
、1:1の比で、EBVで形質転換したB細胞刺激物質株のパネルに対して生成
した。3日後、T細胞を洗浄し、そしてヒトMLRの48時間の培養から誘導し
た、20単位のIL−2および10%の上清を含む培地中で、再培養した。
【0166】 (EAEの養子移入) モルモットミエリン塩基性タンパク質(MBP)ペプ
チド(アミノ酸72〜84)に特異的であり、かつEAEを移入し得るLewi
sラットT細胞株を、樹立し、そして将来の使用のために液体窒素中で凍結させ
た。EAEを移入するために、T細胞を解凍し、洗浄し、そして1:5の比で、
照射した正常な同種の胸腺細胞(抗原提示細胞の供給源として)と混合した。次
いで、これらの細胞を刺激培地(RPMI 1640、2%正常ラット血清、2
mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、5×10-5M 2−メル
カプトエタノール)に入れ、そして1μg/mLのMBP(72−84)で刺激
した。72時間後、これらの細胞を洗浄し、計数し、そして正常なLewisレ
シピエントに注射した。Lewisラットに1〜5×106のMBP特異的T細
胞芽を注射した。次いで、これらの動物を、移入後の毎日、EAEについてモニ
タリングし、そしてこれらのラットに対する臨床スコアを、以下のように割り当
てた:1、跛行尾(limp tail);2、運動失調;3、片側麻痺;4、
四肢麻痺/瀕死。各実験において、臨床的EAEスコアを、群における個体のス
コアの平均として報告した。
【0167】 (EAEの誘導) 活性EAEを、Lewisラットにおいて、100μgの
モルモットMBPペプチド(アミノ酸72−84)(CFA中に乳化し、各前肢
パッドに等しく分割した)の注射によって誘導する。疾患の最初の臨床的兆候は
、代表的に、注射の10〜12日後に起こり、その後、これらの動物は完全に回
復する。活性な再発性EAEを誘導するために、雌性SJL/Jマウス(Jac
kson Laboratories,Bar Harbor,ME)に、フラ
スコ内で4つの部位で合計0.2mLの生理食塩水のエマルジョン(150μg
のPLP(139−151)を含む)および等量のCFA(200μgのM.t
uberculosis H37RAを含む)を、皮下接種した。マウスは、神
経学的欠損の発生に関して、治験担当医(処置に関してブラインド)によって毎
日試験された。後肢の弱さおよび前肢の弱さの程度を、記載されたように評価す
る(Weinbergら、J.Immunoloby 162:1818−18
26、1999)。
【0168】 (X.GVHD) GVHDを、Buffaloドナーラット由来の20×106の骨髄細胞およ
び50×106のリンパ節細胞のラットへの注射によって、致死量以下の照射(
600Rad)の後に、(Lewis×Buffalo)F1ラットにおいて誘
導した。動物を、移植(100μg/静脈内注射)の後7日目、10日目および
12日目に、抗TR3抗体で処置した。全ての動物が、体重の損失、毛の損失お
よび他の皮膚症状発症によって決定した場合に、GVHDの兆候を示す。このよ
うな移植を与えられた全ての未処置ラットは、移植の4週間以内に、急性GVH
Dによって死ぬ。
【0169】 (XI.TR3特異的結合剤の生成および使用) TR3に対する抗体は、活性化T細胞の所望でない増殖に関連する疾患の処置
において、重要な役割を果たし得る。このようなものの例としては、多発性硬化
症、糖尿病、慢性関節リウマチ、重症筋無力症、心筋炎、ギヤン−バレー症候群
、全身性エリテマトーデス、自己免疫甲状腺炎、皮膚炎、乾癬、シェーグレン症
候群、円形脱毛症、クローン病、アフタ性潰瘍、虹彩炎、結膜炎、円錐核膜炎、
潰瘍性大腸炎、アレルギー、皮膚エリテマトーデス、強皮症、膣炎、直腸炎、薬
疹、らい病逆行反応(leprosy reversal reaction)
、らい性結節性紅斑、自己免疫ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、急性壊死性
出血性脳障害、特発性両側性進行性感音聴覚障害、再生不良性貧血、赤芽球ろう
、特発性血小板減少、多発性軟骨炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、慢性活性肝炎、ス
ティーヴンズ−ジョンソン症候群、突発性スプルー、扁平苔癬、グレーブス眼症
、サルコイドーシス、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎後、および間隙性肺線維
症が挙げられるが、これらに限定されない。TR3を標的するために開発された
抗体は、インビボでレセプターに結合し得、そしてT細胞増殖を阻害し得る。T
R3に対する抗体はまた、レセプター発現を定量するため、およびT細胞応答の
相対強度の決定を補助するために、使用され得る。このスクリーニングは、投薬
量および治療方法を決定する際に、有用であり得る。
【0170】 (A.TR3に対する抗体の産生) TR3、TR3の部分、またはその改変体に対する、モノクローナル抗体また
はポリクローナル抗体が、産生され得る。最適には、これらの抗原のエピトープ
に対して惹起された抗体は、タンパク質を特異的に検出する。このような特異的
検出は、TR3、TR3の部分、またはその改変体に対して惹起された抗体が、
TR3を認識および結合し、そして他のタンパク質を実質的に認識も結合もしな
いことを必要とする。抗体が抗原を特異的に検出するという決定は、種々の標準
的な免疫アッセイ方法のいずれか1つによってなされる;例えば、ウェスタンブ
ロッティング技術(Sambrookら、Molecular Cloning
:A Laboratory Manual、Cold Spring Har
bor,New York,1989)。
【0171】 所定の抗体調製物(例えば、ヒトTR3に対してラットにおいて産生されたも
の)がウェスタンブロッティングによってTR3を特異的に検出することを決定
するために、細胞タンパク質全体が、ヒト細胞(例えば、骨髄間質線維芽細胞)
から抽出され、そしてドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲルで電気
泳動される。次いで、これらのタンパク質は、ウェスタンブロッティングによっ
て膜(例えば、ニトロセルロース)に移され、そして抗体調製物をこの膜ととも
にインキュベートする。この膜を洗浄して、非特異的に結合した抗体を除去した
後に、特異的に結合した抗体の存在を、アルカリホスファターゼのような酵素と
結合体化した抗ラット抗体を用いて検出する。基質5−ブロモ−4−クロロ−3
−インドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウムの適用は、免疫学的に
局在決定されたアルカリホスファターゼによって、深青色化合物を生成する。
【0172】 TR3を特異的に検出する抗体は、この技術によって、実質的にTR3バンド
(これは、TR3の分子量によって決定される、ゲル上の所定の位置に局在化す
る)のみを結合することが示される。他のタンパク質に対するこの抗体の非特異
的結合が起こり得、そしてウェスタンブロットにおいて、より弱いシグナルとし
て、検出され得る(これは、自動化X線撮影によって定量され得る)。この結合
の非特異的性質は、特異的抗TR3結合から生じる強い主要なシグナルに対して
弱いシグナルが、ウェスタンブロットにおいて得られることによって、当業者に
よって認識される。
【0173】 TR3に特異的に結合する抗体は、本明細書中において「特異的結合剤」と称
される分子のクラスに属する。TR3に特異的に結合し得る特異的結合剤として
は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(ヒト化モノクローナル抗体を含
む)、ならびにFab、F(ab’)2、およびFvフラグメントのような、モ
ノクローナル抗体のフラグメント、ならびにタンパク質上のエピトープに特異的
に結合し得る他の任意の薬剤(例えば、推定TR3リガンドの可溶性構築物)が
挙げられる。
【0174】 免疫原として使用するために適した、実質的に純粋なTR3は、適切な細胞培
養物から単離され得るか、または上記のように合成され得る。最終調製物におけ
るTR3タンパク質の濃度は、例えば、Amiconフィルターデバイスを使用
して、1ミリリットルあたり数マイクログラムまで濃縮することによって、調整
される。あるいは、TR3のペプチドフラグメントは、免疫原として利用され得
る。このようなフラグメントは、標準的なペプチド合成方法を使用して化学的に
合成され得るか、またはTR3分子全体を切断し、続いて所望のペプチドフラグ
メントを精製することによって、得られ得る。長さが3アミノ酸または4アミノ
酸程度に短いペプチドは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子(例えば、
MHCクラスIまたはMHCクラスII)の状況において免疫系に提示される場
合に、免疫原性である。従って、開示されるTR3アミノ酸配列の少なくとも3
つ(好ましくは、少なくとも4つ、5つ、6つ、またはそれより多く)の連続し
たアミノ酸を含むペプチドが、抗体を惹起するための免疫原として使用され得る
【0175】 タンパク質上の天然に存在するエピトープは、ペプチド配列が直鎖状分子とし
て見られる場合にそのペプチドにおいて隣接せずに配置されるアミノ酸残基から
頻繁に構成されるので、抗体を惹起するために、TR3アミノ酸配列由来のより
長いペプチドフラグメントを利用することが、有利であり得る。従って、例えば
、アミノ酸配列の少なくとも10、15、20、25、または30の連続するア
ミノ酸残基を含むペプチドが、使用され得る。インタクトなTR3、またはその
ペプチドフラグメントに対する、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体
は、以下に記載されるように調製され得る。
【0176】 (B.ハイブリドーマ融合によるモノクローナル抗体の産生) TR3のエピトープに対するモノクローナル抗体(これは、上記のように同定
および単離される)を、マウスハイブリドーマから、KohlerおよびMil
stein,Nature 256:495、1975の古典的な方法、または
その誘導物もしくは改変物によって、調製し得る。上記のように、利用可能なT
細胞の補助の欠乏に適合するよう調節しない、古典的方法の使用は、ハイブリド
ーマの形成を効率的には可能にしない。しかし、KohlerおよびMilst
einの方法を使用する試みを繰り返した後に、TR3モノクローナル抗体を分
泌するハイブリドーマが作製され得ることは、可能である。簡単にいえば、マウ
スに、数マイクログラムの分泌タンパク質を、数週間の期間にわたって反復的に
接種する。次いで、これらのマウスを屠殺し、そして脾臓の抗体産生細胞を単離
する。次いで、これらの脾細胞を、ポリエチレングリコールによって、マウス骨
髄腫細胞と融合し、そして融合していない過剰の細胞を、アミノプテリンを含む
選択培地(HAT培地)上でのこの系の増殖によって、破壊する。首尾よく融合
した細胞を希釈し、そしてこの希釈物のアリコートを、マイクロタイタープレー
トのウェルに入れ、ここで、この培養物の増殖を続ける。抗体産生クローンを、
Engvall(Enzymol 70:419、1980)によって最初に記
載されたように、そしてその誘導的方法のように、免疫アッセイ手順(例えば、
ELISA)によって、ウェルの上清流体中の抗体の検出によって同定する。選
択されたポジティブクローンを培養し得、そしてこれらのモノクローナル抗体産
物を使用のために採取し得る。モノクローナル抗体産生のための詳細な手順は、
HarlowおよびLane,Antibodies,A Laborator
y Manual、Cold Spring Harbor Laborato
ry、New York,1988に記載されている。さらに、(治療用途のた
めの)モノクローナル抗体のヒト化形態、およびモノクローナル抗体のフラグメ
ントを産生するためのプロトコルは、当該分野において公知である。
【0177】 (C.TR3 cDNAの注射によって惹起される抗体) 抗体は、TR3またはそのフラグメントに対して、TR3またはそのフラグメ
ントを発現するDNAベクターを実験室動物(例えば、マウス)に皮下注射する
ことによって、惹起され得る。動物への組換えベクターの送達は、携帯型のBi
olisticシステムを使用して、達成され得る(Tangら、Nature
(London)356:153−154,1992に記載されるように、Sa
nfordら、Particulate Sci.Techol.5:27−3
7,1987)。この目的に適した発現ベクターとしては、ヒトβ−アクチンプ
ロモーターまたはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのいずれかの転
写制御下で、TR3またはそのフラグメントを発現するベクターが挙げられ得る
。動物の体内でDNAの発現を引き起こす様式で、裸のDNAを動物に投与する
方法は、周知であり、そして例えば、米国特許第5,620,896号(「DN
A vaccines against rotavirus infecti
ons」)、同第5,643,578号(「Immunization by
inoculation of DNA transcription uni
t」)、および同第5,593,972号(「Genetic immuniz
ation」)、ならびにそれらに引用される参考文献に記載されている。
【0178】 (D.抗体フラグメント) 抗体フラグメントは、抗体全体の代わりに使用され得、そして原核生物宿主細
胞において、容易に発現され得る。モノクローナル抗体の免疫学的に有効な部分
(抗体フラグメントともまた呼ばれる)を作製および使用する方法は、周知であ
り、そしてBetterおよびHorowitz,Methos Enzymo
l 178:476−496,1989;Betterら、Streilein
ら編、Advances in Gene Technology:The M
olecular Biology of Immune Disease &
the Immune response(ICSU Short Repo
rts),10:105、1990;Glockshuberら、Bioche
mistry 29:1362−1367,1990;ならびに米国特許第5,
648,237号(「Expression of Functional A
ntibody Fragments」)、同第4,946,778号(「Si
ngle Polypeptide Chain Binding Molem
ules」)、および同第5,455,030号(「Immunotherap
y Using Single Chain Polypeptide Bin
ding Molecules」)、ならびにそれらに引用される参考文献に記
載されるものを含む。
【0179】 (E.ヒト化抗体) ヒト化モノクローナル抗体は、臨床適用において好ましくあり得る。ヒト化モ
ノクローナル抗体の作製方法は周知であり、この方法としては、米国特許5,5
85,089号(「Humanized Immunoglobulins」)
、同第5,565,332号(「Production of Chimeri
c Antibodies−A Combinatorial Approac
h」)、同第5,225,539号(「Recombinant Altere
d Antibodies And Methods Of Making A
ltered Antibodies」)、同第5,693,761号(「Po
lynucleotides Encoding Improved Huma
nized Immunoglobulins」)、同第5,693,762(
「Humanized Immunoglobulins」)、同第5,585
,089号(「Humanized Immunoglobulins」)、お
よび同第5,530,101号(「Humanized Immunoglob
ulins」)、ならびにこれらにおいて列挙される参考文献において記載され
る方法が挙げられる。
【0180】 (F.ヒト抗体) 最近、ヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座の大部分が、遺伝子組換え的に、
ノックアウトされたマウスIg遺伝子座を有するマウスに配置された(Mend
ezら、Nature Genetics 15:146−156、1997)
。これらの動物のH−2b背景について公知のクラスII結合モチーフを使用す
ることによって、ヒト抗TR3抗体を惹起することが可能であり得る。これらの
動物を精製されたヒトTR3ペプチドまたはそのフラグメントで免疫することに
よって、ヒト抗TR3抗体を産生することもまた可能であり得る。このような抗
体は、ヒトの臨床使用のために好ましい試薬である。
【0181】 (XII.生物学的に活性なTR3特異的抗体因子の送達) 動物への投与のために、精製された生物学的に活性なTR3特異的結合剤を、
一般に、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせる。薬学的調製物は、唯一の
生物学的に活性なTR3特異的結合剤、またはいくつかの生物学的に活性なTR
3特異的結合剤の混合物を含み得る。この薬学的調製物はまた、TR3特異的結
合剤のフラグメント、またはTR3特異的結合剤の複数の異なるフラグメントを
含み得る。一般に、このキャリアの性質は、使用される投与の特定の型に依存す
る。例えば、非経口処方物は、通常、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性ブド
ウ糖、グリセロール、ヒトアルブミンなどのような薬学的かつ生理学的に受容可
能な流体をビヒクルとして含む、注入可能な流体を含む。固体組成物(例えば、
散剤、丸剤、錠剤またはカプセル形態)について、従来の非毒性固体キャリアと
しては、例えば、薬学グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、または
ステアリン酸マグネシウムが挙げられ得る。生物学的に天然なキャリアに加えて
、投与される薬学的組成物は、湿潤剤または乳化剤、防腐剤、およびpH緩衝剤
などのような少量の非毒性補助物質(例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタン
モノラウレート)を含み得る。
【0182】 当該分野で公知のように、特定のタンパク質ベースの製薬は、経口摂取によっ
て非能率的に送達される。しかし、その代わりに、薬学的タンパク質の丸剤ベー
スの形態は、特に徐放性組成物に処方される場合、皮下投与され得る。徐放性処
方物は、標的タンパク質を、コレステロールのような生体適合性マトリックスと
組み合わせることによって作製され得る。タンパク質製薬の別の可能な投与方法
は、微小浸透圧ポンプの使用を介する。生体適合性キャリアはまた、この送達方
法と共に使用され得る。
【0183】 核酸形態で細胞へと送達され、続いて宿主細胞によって翻訳される生物学的に
活性なTR3特異的結合剤およびそのフラグメントもまた、意図される。これは
、例えば、ウイルスベクターまたはリポソームの使用によってなされ得る。リポ
ソームはまた、このタンパク質自体の送達のためにも使用され得る。
【0184】 本発明の薬学的組成物は、その意図される目的を達成する任意の手段によって
投与され得る。生物学的に活性なTR3特異的結合剤の投与のための量およびレ
ジメンは、不必要なT細胞の活性化に関連する疾患を処置する臨床分野の当業者
によって容易に決定され得る。これらの状態の処置における使用について、この
記載される生物学的に活性なTR3特異的結合剤は、T細胞増殖を阻害するのに
有効な量で投与される。この抗体および/またはそのフラグメントは、例えば、
静脈内投与または腹腔内投与のような全身投与を通して、インビボで宿主に投与
され得る。また、この抗体および/またはそのフラグメントは、病巣内投与され
得る(すなわち、この抗体は、罹患した領域(例えば、器官移植の場合は移植片
部位)へと直接注入され得る)。
【0185】 生物学的に活性なTR3特異的結合剤の有効用量は、処置される状態の性質お
よび重症度、被験体の年齢および状態、ならびに他の臨床的要因に依存して変化
する。従って、適切な処置レジメンの最終的な決定は、担当臨床医によってなさ
れ得る。代表的に、用量範囲は、約0.1μg/kg体重〜約100mg/kg
体重である。他の適切な範囲としては、約1μg/kg〜10mg/kg体重の
用量が挙げられる。用量計画は、このタンパク質に対する被験体の感度のような
多くの臨床的要因に依存して、週に1回〜毎日まで変化し得る。用量計画の例は
、週に2回、週に3回、または毎日の3μg/kgの投与;週に2回、週に3回
または毎日の7μg/kgの用量;週に2回、週に3回または毎日の10μg/
kgの用量;あるいは週に2回、週に3回または毎日の30μg/kgの用量で
ある。より攻撃的な疾患の場合において、静脈内経路またはくも膜下腔内経路を
含む交代性経路によって、上記のような用量を投与することが好ましくあり得る
。連続的な注入もまた、適切であり得る。
【0186】 上記のように、本発明に従う抗TR3抗体および他の結合剤は、不必要なT細
胞の活性化に関連する疾患の処置のために有用である。このような疾患の例は、
多発性硬化症、慢性関節リウマチ、サルコイドーシス、心筋炎、急性および慢性
の拒絶疾患(GVHD、器官移植拒絶)、重症筋無力症、糖尿病、遅延型過敏症
、アレルギー、トキシックショック症候群および癌(リンパ腫または白血病)で
ある。
【0187】 本発明の原理を、複数の実施形態および実施例において例示および記載したが
、本発明は、このような原理から逸脱することなく、構成および詳細において改
変され得ることが当業者に明らかであるはずである。本発明者らは、上記の特許
請求の範囲の精神および範囲内で起こる全ての改変を特許請求する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ヒトTR3のプロセスされた形態からの最初の13個のN末端アミノ
酸であるTR3(1−13)ペプチドが、貧弱なB細胞エピトープであることを
示す。Lewisラット1〜3を、TR3(1−13)ペプチドで免疫した。L
ewisラット4を、ヒトTR3のプロセスされた形態からの最初の32個のN
末端アミノ酸であるTR3(1−32)ペプチドで免疫した。血清を、6週間後
にこのラットから回収し、そして蛍光ELISA(酵素結合イムノソルベント検
定法)を使用して、TR3(1−13)ペプチドまたはTR3(1−32)ペプ
チドでコーティングしたプレートへの結合について1:5000希釈でアッセイ
した。ラット1〜3は、TR3(1−13)ペプチドに対する検出可能な抗体を
ほとんど示さず、そしてTR3(1−32)ペプチドに対する検出可能な抗体を
まったく示さなかった。ラット4は、TR3(1−13)ペプチドに対していく
らかの反応性を示したが、TR3(1−32)ペプチドに対してはより強力な応
答を示した。TR3(1−32)ペプチドのB細胞エピトープは、TR3(14
−32)に関連したペプチドの部分であるが、MHC(主要組織適合遺伝子複合
体)クラスII結合部位を除く部分であると考えられる。
【図2】 図2は、TR3(1−13)ペプチドが、T細胞に対して免疫原性であること
を示す。TR3(1−13)ペプチドで免疫されたLewisラット由来のリン
パ節T細胞を、インビトロにおいて、示されるTR3ペプチドの個々の量でチャ
レンジした。3Hチミジンの取り込みによって測定される、TR3(1−13)
ペプチドに対する用量依存性応答を示す。しかし、T細胞は、ヒトTR3のプロ
セスされた形態のN末端アミノ酸14〜32を含むペプチドであるTR3(14
−32)ペプチドの引き続く高用量に応答しなかった。従って、TR3(1−1
3)ペプチドは、B細胞に対してではなくT細胞に対して免疫原性である。
【図3】 図3は、TR3(1−32)ペプチドでラットを「初回免疫すること」(すな
わち、ラットに、最初の免疫原性チャレンジを投与すること)によって、ラット
において、TR3に対する免疫応答が誘導されることを示す。ラットに、TR3
(1−32)ペプチドを用いて免疫し、そして4週間放置した。ラット由来の免
疫血清を、TR3(1−32)ペプチドコーティングプレートを用いる蛍光EL
ISAによって、TR3(1−32)特異的抗体についてアッセイし、そして同
じ動物由来の血清中の免疫前力価と比較した。
【図4】 図4は、完全フロイントアジュバントおよびTR3(1−32)ペプチドを用
いてラットを免疫することによって得られた免疫血清が、インビトロにおいて、
ラットミエリン塩基性タンパク質(MBP)特異的CD4+T細胞株の増殖応答
を阻害したことを示す。6匹のラット由来の血清を試験した。この血清を熱不活
化し(補体活性の可能性を排除するため)、そして抗原提示細胞および抗原の存
在下で20,000個の(MBP)特異的T細胞(すなわち、ミエリン塩基性タ
ンパク質に特異的なT細胞)を含むマイクロタイタープレートのウェルに添加し
た。増殖応答を、免疫していないLewisラット由来の血清コントロールの増
殖応答と比較した。
【図5】 図5は、TR3特異的免疫血清が、用量依存性の様式でT細胞増殖を阻害する
ことを示す。抗原特異的T細胞増殖は、TR3免疫血清によって最大限に阻害さ
れた(0日目に添加された場合)。以後のTR3免疫血清の添加は、血清の阻害
性効力を減少させる。
【図6】 図6は、FACScan(Becton Dickenson,Frankl
in Lakes,NJ)を使用するフローサイトメトリー分析を示す。この分
析は、抗体に結合体化された蛍光色素の使用を通して、細胞表面への特異的抗体
の結合を測定する。レーザーを使用して、色素中のこれらの蛍光色素を励起する
。図6に示されるヒストグラムは、抗TR3免疫血清が、活性化マウスCD8+
T細胞を染色することを示す。マウスT細胞を、コンカナバリンA(ConA)
の存在下で48時間培養してそれらを活性化させ、洗浄し、そしてコントロール
またはラット4由来の免疫血清(図4)と共にインキュベートした。次いで、こ
れらの細胞を、抗ラットIg:FITC(FL1)で染色した。これにより、抗
TR3免疫血清においてラット由来の抗体によって結合されたマウス細胞の染色
を生じさせた。次いで、マウス細胞を、CD8:PEを用いて対比染色した。こ
れにより、CD8+を発現したすべてのマウス細胞の染色を生じさせた。次いで
、CD8+について陽性に染色された細胞(このうちのいくつかは、CD8+およ
び抗ラットIg(すなわち、抗TR3免疫血清)について二重染色された)のみ
を計数するように細胞選別器を設定した。左側のヒストグラム(正常ラット血清
で染色されたコントロールマウス細胞を表す)は、99%の細胞がマーカー−1
(M1)領域内に存在することを示す。右側のヒストグラムは、抗TR3で染色
されたマウス細胞の集団から得られ、そしてこれらの細胞の41%がマーカー−
2(M2)領域へとシフトした。このことは、M2領域内の細胞が、抗ラットI
g(すなわち、抗TR3免疫血清)およびCD8:PEで二重染色されたことを
示す。
【図7】 図7は、TR3初回免疫ラットが、TR3(1−32)ペプチドに対する既往
性応答を産生できないことを示す。ラットを、TR3(1−32)ペプチドで初
回免疫し、そして6週間後に再度、TR3(1−32)ペプチドで追加免疫した
。二次免疫血清を、チャレンジ後10日目にラットから回収した。追加免疫の日
に回収された一次(1゜)血清は、追加免疫直前の力価を示す。 ラットは、TR3ペプチドに対して良好な一次応答を示したが、これらは、二
次チャレンジに対して応答できなかった。このことは、免疫されたラットによっ
て産生された抗体が、TR3ペプチドについてのT細胞補助を排除したことを示
唆する。
【図8】 図8は、抗TR3免疫応答を示すラットが、アイソタイプスイッチを示し得る
ことを示す。ラットを、TR3(1−32)ペプチドで免疫し、そして放置した
。12週間後、血清をこれらのラットから回収し、そして指示された希釈率で、
種々の免疫グロブリンアイソタイプについて分析した。IgG1およびIgG2
a、ならびにより少ない程度でIgG2bがすべて存在した。このことは、アイ
ソタイプスイッチが生じたことを示す。
【図9】 図9は、TR3発現が、抗原刺激後に、ラットおよびマウスのCD4+T細胞
の表面上で誘導されることを示す。ラット(A)およびマウス(B)に対して、
それぞれ、1μg/mLのウシMBP、または2μg/mLのマウスPLP(プ
ロテオリピドタンパク質)アミノ酸139〜151を用いて、インビトロにおい
て、T細胞株を刺激した。TR3の発現を、非染色CD4+T細胞と比較して、
刺激後24時間で検出し、等価な染色を48時間および72時間で検出した。
【図10】 図10は、TR3が、エプスタイン−バーウイルス−1(EBV−1)刺激細
胞でのアロ刺激(allostimulation)後72時間目に、ヒトCD
+T細胞およびヒトCD8+T細胞において発現されることを示す。ヒトAll
o−1細胞株を、単独(「コントロール」)でか、または刺激物としてEBV−
1細胞と共に(「活性化」)培養した。72時間後、細胞を収集し、そして抗C
D4:PE(プロットA)または抗CD8:PE(プロットB)で染色し、そし
て抗TR3:FITCで対比染色した。いくつかのCD4+染色細胞を、抗TR
3で二重染色する(プロットA)か、またはいくつかのCD8+染色細胞を、抗
TR3で二重染色した(プロットB)。ヒストグラムを、CD4+(プロットA
)T細胞またはCD8+(プロットB)T細胞のいずれかを選択することによっ
て作成した。
【図11】 図11は、TR3が、抗CD3抗体(CD3は、T細胞において発現され、T
細胞抗原レセプターと関連し、そしてシグナル伝達を促進する)および抗CD2
8抗体(CD28は、T細胞において発現され、そして未処理T細胞の同時刺激
を担う)で活性化された、CD4+ラットリンパ節T細胞およびCD8+ラットリ
ンパ節T細胞において発現されることを示す。ラットリンパ節T細胞を、単独(
「コントロール」)でか、または抗CD3抗体および抗CD28抗体の存在下で
(「活性化」)培養した。48時間後、細胞を収集し、そして抗CD4:PE(
プロットA)または抗CD8:PE(プロットB)で染色し、そして抗TR3:
FITCで対比染色した。ヒストグラムを、CD4+T細胞(プロットA)また
はCD8+T細胞(プロットB)のいずれかを選択することによって作成した。
【図12】 図12は、TR3が、能動および養子EAE(実験的アレルギー性脳脊髄炎)
を有するラットおよびマウスの脳由来のCD4+T細胞において発現されること
を示す。マウスおよびラットに、能動EAEを誘導するために免疫する(プロッ
トAおよびC)か、または養子EAEの誘導のために、5×106個(プロット
B)もしくは2×106個(プロットD)の脳炎誘発性T細胞を与えるかのいず
れかをした。疾患発症の日に、T細胞を脳から単離し、そしてラット抗マウスV
β14(白抜きのプロット、アイソタイプコントロール)または抗TR3(塗り
つぶしプロット)で染色した。
【図13】 図13は、TR3が、同種異系骨髄移植を受けたラットにおけるCD4+T細
胞において発現されることを示す。同種異系骨髄移植の7日後、正常コントロー
ル(Lewis×Buffalo)F1ラット(プロットA)または同種異系B
uffaloラット骨髄のレシピエント(プロットB)由来の末梢血リンパ球を
回収し、そして抗TR3:FITC(FL1)および抗CD4:PE(FL2)
で染色した。代表的な染色を、プロット(A)および(B)に示す。時間に対す
るTR3発現CD4+T細胞の百分率を、プロット(C)に示す。TR3発現の
速度論を、3匹のコントロールラットおよび同種異系BMT(骨髄移植)を伴う
4匹のラットの平均±sdとして表す。同種異系BMTを有するすべてのラット
が、急性GVHDを発症した。
【図14】 図14は、ヒトおよびマウスのT細胞増殖応答が、抗TR3 McAbによっ
て阻害されることを示す。ヒトAllo−1またはマウスPLP(139−15
1)細胞株由来の20,000個のT細胞を、種々の量の抗TR3 McAbの
存在下または不在下において、その個々の抗原と共に培養した。3日後、取り込
まれた3Hチミジンの量を決定した。両方のT細胞株が、McAbの作用に対し
て感受性であった。データは、6つの培養物の平均±sdを表す。
【図15】 図15は、ラットの活性化T細胞が、時間と伴に抗TR3 McAbの阻害性
作用に対する感受性を損失するが、72時間目での抗原による再活性化に際して
、感受性を回復することを示す。20,000個のMBP特異的ラットT細胞(
ミエリン塩基性タンパク質を認識するT細胞)を、抗原で刺激し、そして培養し
た。抗TR3 McAbを、示される時間に添加し、そして72時間目に3Hチ
ミジンの取り込みについて評価した。1つの群の培養物を、抗原で再刺激し、そ
して抗TR3もまた添加した。この後者の群を、120時間目に、3Hチミジン
の取り込みについて評価した。データは、三連の培養物の平均を表す。抗体の添
加を、刺激後24時間および48時間遅らせた場合、活性化T細胞は、抗TR3
抗体に対する感受性を損失した。しかし、これらの細胞は、72時間目での再刺
激に際して、感受性を回復した。
【図16】 図16は、抗TR3抗体が、ラットにおけるEAEの準臨床的および臨床的な
養子移入を妨げることを示す。4匹のLewisラットに、2×106個のMB
P特異的T細胞を注射して、EAEを養子移入した。これらのラットのうちの2
匹を、移入と同じ日に、300μgの抗TR3抗体で処理した。これらの動物を
、準臨床的な体重減少について毎日評価した(プロットA)。未処理ラットは、
9日目までに、総体重の17〜20%を損失した。抗TR3で処理したラットの
うちの1匹のみが、体重を損失した(4%体重減少)。これらの動物をまた、臨
床的EAEについて観察した(プロットB)。未処理の両方の動物は、6日目に
跛行尾(limp tail)、そして7日目に後肢麻痺を発生した(EAEの
指標)。抗TR3免疫療法を与えられたラットはいずれも、いかなるEAEの臨
床的徴候も発生しなかった。これらのデータは、抗TR3が、インビボにおいて
、さもなくばEAEを誘導するT細胞を排除するように作用していることを示唆
する。
【図17】 図17は、抗RT7.1で染色されたCD4+T細胞を選択するように設定さ
れたフローサイトメトリー分析から得られたヒストグラムプロットを示す。この
データは、抗TR3処理(Lewis×Buffalo)F1動物が、首尾良く
、RT7.1-であるドナー由来Buffalo CD4+T細胞で再構築された
ことを示す。破線および実線は、TR3処理によるGVHDの治療を受けた2匹
のBuffalo骨髄移植動物からの個々のヒストグラムである。一方の動物は
、ドナーRT7.1-細胞で完全に再構築されたが、他方は、86%のドナーT
細胞および14%のレシピエントT細胞を有した。
【図18】 図18(A)および18(B)は、TR3が、いくつかの腫瘍細胞において発
現されること、およびTR3に対するMcAbが、腫瘍増殖を阻害し得ることを
示す。5つのT細胞腫瘍株を、抗TR3抗体で染色した。3つのマウスTリンパ
腫(EMG2,EFK1,およびSLI)を、W.R.Green氏(Dept
.of Microbiology,Dartmouth Medical S
chool,Lebanon NH)から得た。2つのヒトTリンパ腫(HuT
78およびJurkat)を、American Type Tissue
Culture(それぞれ、ATCC番号HTB−176およびTIB−152
)から得た。試験された5つの腫瘍株のうちの4つが、TR3を発現した。この
染色の例を、図18(A)に示す。次いで、これらの4つの腫瘍株を、抗TR3
媒介性殺傷に対する感受性について試験した。図18(B)に示される、代表的
な用量依存性阻害曲線によって実証されたように、すべてTR3誘導性細胞死に
対して感受性であった。これらのデータは、TR3を発現するT細胞腫瘍が、抗
TR3抗体の注射によって処置可能であることを示唆する。
【図19】 図19は、抗TR3特異的モノクローナル抗体による阻害機構が、活性化細胞
においてアポトーシスを誘導することによることを示す。ラットリンパ節細胞を
、1×106細胞/mlで培養し、そして抗TR3モノクローナル抗体(20μ
g/ml)の存在下または非存在下において、コンカナバリンAで刺激した。2
4時間後に細胞を収集し、そして標準的方法に従って、DNAを抽出した。次い
で、コントロール細胞および処理細胞由来のDNAを、エチジウムブロミドの存
在下で1%アガロースゲルにおいて泳動し、DNAサイズを可視化した。抗TR
3抗体処理培養物において観察された特徴的なDNAラダーは、抗TR3抗体で
の正常T細胞におけるアポトーシスの最初の証明である。
【手続補正書】
【提出日】平成14年5月29日(2002.5.29)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】 (本発明を実施するための方法) 本発明は、TR3に結合しそしてTR3を発現する細胞の増殖を阻害する生物
学的に活性なTR3特異的結合剤を含む組成物を提供する。1つの局面において
、特異的結合剤は、モノクローナル抗体またはTR3特異的モノクローナルの模
倣物である。本発明はまた、モノクローナル抗体TR3μk−1を産生するハイ
ブリドーマ細胞株(例えば、ATCC番号PTA−2659のもと寄託されたハ
イブリドーマ細胞株)を提供する。モノクローナル抗体は、以下からなる群から
選択される:少なくとも1つのIgG、少なくとも1つのIgM、少なくとも1
つのIgA1、少なくとも1つのIgA2、少なくとも1つのIgE、少なくとも
1つのIgD、少なくとも1つのIgG1、少なくとも1つのIgG2、少なくと
も1つのIgG3、および少なくとも1つのIgG4
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図9】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図10】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図11】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図13】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 21/04 A61P 21/04 29/00 101 29/00 101 35/00 35/00 37/02 37/02 C12N 5/10 C12P 21/08 15/02 G01N 33/53 D C12P 21/08 N G01N 33/53 Y C12N 5/00 B 15/00 C (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ウェグマン, ケイス ダブリュー. アメリカ合衆国 ワシントン 98682, バンクーバー, エヌ.イー. 40ティー エイチ ストリート 15916 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA53 GA03 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA01 4B065 AA92X AB05 AC14 BA08 CA25 CA44 4C084 AA17 DA53 MA52 MA55 MA66 NA14 ZA941 ZA961 ZB071 ZB111 ZB151 ZB261 ZC351 ZC781 4C085 AA14 BB33 BB35 BB36 BB37 CC05 DD22 DD23 EE01

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物学的に活性なTR3特異的結合剤を含む組成物であって
    、該特異的結合剤は、TR3に結合しかつTR3を発現する細胞の増殖を阻害す
    る、組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の組成物であって、前記特異的結合剤がモノ
    クローナル抗体である、組成物。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のモノクローナル抗体を産生する、ハイブリ
    ドーマ細胞株。
  4. 【請求項4】 前記細胞株がATCC番号PTA−2659である、請求項
    3に記載のハイブリドーマ細胞株。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の組成物であって、前記特異的結合剤が、T
    R3特異的モノクローナル抗体の模倣物である、組成物。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載の組成物であって、前記モノクローナル抗体
    が、少なくとも1つのIgG、少なくとも1つのIgM、少なくとも1つのIg
    1、少なくとも1つのIgA2、少なくとも1つのIgE、少なくとも1つのI
    gD、少なくとも1つのIgG1、少なくとも1つのIgG2、少なくとも1つの
    IgG3、および少なくとも1つのIgG4からなる群より選択される、組成物。
  7. 【請求項7】 生物学的に活性なTR3特異的結合剤を生成および同定する
    ための方法であって、以下: 少なくとも1つのTR3特異的エピトープを注射された動物から、リンパ系細
    胞を提供する工程; 該リンパ系細胞をTR3特異的T細胞株と接触させる工程; 少なくとも1つの該リンパ系細胞を少なくとも1つの骨髄腫細胞と融合して、
    TR3モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを生成する工程; 得られたモノクローナル抗体を、関連するTR3ペプチドに結合する能力につ
    いてスクリーニングする工程;ならびに 該モノクローナル抗体をアッセイして、TR3を発現する細胞の阻害を評価す
    る工程、 を包含する、方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の方法によって生成および同定される、生物
    学的に活性なTR3特異的結合剤。
  9. 【請求項9】 生物学的に活性なTR3特異的結合剤を検出および同定する
    ための方法であって、以下: (a)少なくとも1つのTR3特異的結合剤を少なくとも1つの活性化T細胞
    またはT細胞腫瘍と接触させる工程;ならびに (b)活性化T細胞または腫瘍の増殖のレベルを決定する工程であって、増殖
    の欠如は、該TR3特異的結合剤が生物学的に活性であることを示す、工程、 を包含する、方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の方法によって同定される、生物学的に活
    性なTR3特異的結合剤。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載の方法であって、前記TR3特異的結合剤
    を前記活性化T細胞またはT細胞腫瘍と接触させる工程がインビボで生じる、方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項9に記載の方法であって、前記TR3特異的結合剤
    を前記活性化T細胞またはT細胞腫瘍と接触させる工程がインビトロで生じる、
    方法。
  13. 【請求項13】 TR3を発現する細胞の増殖に関連する疾患を有すると疑
    われる被験体を処置するための方法であって、少なくとも1つの生物学的に活性
    なTR3特異的結合剤を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の方法であって、前記被験体が、以下の
    ような自己免疫疾患: 重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、糖尿病、多発性硬
    化症、サルコイドーシス、心筋炎、甲状腺炎、および腫瘍、 からなるがこれらに限定されない群より選択されるT細胞媒介性疾患を有すると
    疑われる、方法。
  15. 【請求項15】 請求項13に記載の方法であって、前記TR3を発現する
    細胞が、T細胞白血病またはリンパ腫である、方法。
  16. 【請求項16】 請求項13に記載の方法であって、前記被験体が、対宿主
    性移植片病を有すると疑われる、方法。
  17. 【請求項17】 請求項13の記載の方法であって、前記被験体が、心臓、
    肝臓、肺、腎臓、膵臓、腸、皮膚、または付属器のような、移植器官に対する拒
    絶を有すると疑われる、方法。
  18. 【請求項18】 請求項13に記載の方法であって、前記被験体が、炎症性
    疾患、アレルギーおよび接触皮膚炎を有すると疑われる、方法。
  19. 【請求項19】 生物学的に活性なTR3特異的結合剤を含む組成物であっ
    て、該特異的結合剤は、TR3に結合しかつTR3を発現する細胞の増殖を阻害
    し、該生物学的に活性なTR3特異的結合剤は、TR3を発現する細胞の増殖を
    少なくとも30%阻害する、組成物。
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