JP2003513665A - シトクロムp450オキシゲナーゼおよびそれらの使用 - Google Patents

シトクロムp450オキシゲナーゼおよびそれらの使用

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JP2003513665A JP2001537477A JP2001537477A JP2003513665A JP 2003513665 A JP2003513665 A JP 2003513665A JP 2001537477 A JP2001537477 A JP 2001537477A JP 2001537477 A JP2001537477 A JP 2001537477A JP 2003513665 A JP2003513665 A JP 2003513665A
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シェンドーフ,アンヌ
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ワシントン・ステート・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデーション
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Abstract

(57)【要約】 オキシゲナーゼ酵素、およびパクリタキセル(TaxolTM)、関連タキソイド、更には、Taxol 生合成経路の中間体を製造するためのこのような酵素の使用を開示する。更に開示されるのは、オキシゲナーゼ酵素をコードしている核酸配列である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野: 本発明は、オキシゲナーゼ酵素、およびタキソール(Taxol)(パクリタキセ
ル)および関連タキソイド(taxoids)を製造するためのこのような酵素の使用
方法に関する。
【0002】 政府援助の承認: 本発明は、National Cancer Institute Grant CA−55254号に基づいて政府援
助を得た。当政府は、本発明に当然の権利を有する。
【0003】 序論: シトクロムP450: シトクロムP450タンパク質は、ヘム鉄に連結した独特の硫黄原子を有する且つ
還元された場合に一酸化炭素複合体を形成する酵素である。一酸化炭素に複合し
た場合、それらは、450nm付近に主要な吸収ピーク(ソーレー帯(Soret band)
)を示す。植物および動物両方に由来する酵素を含めた、多数のシトクロムP450
群メンバーが存在する。シトクロムP450群のメンバーは、非特異的一酸素化、カ
ンフル5−一酸素化、ステロイド11β−一酸素化、およびコレステロール一酸素
化のような反応を触媒することができる(Smith et al.(eds.), Oxford Diction
ary of Biochemistry and Molecular Biology, Oxford University Press, New
York, 1977)。
【0004】 パクリタキセル: 複合ジテルペノイド Taxol((登録商標)Bristol-Myers Squibb; 俗名パクリ
タキセル)(Wani et al., J.Am.Chem.Soc. 93:2325-2327,1971)は、卵巣癌お
よび乳癌を含めた広範囲の癌に対して優れた活性を有する強力な抗有糸分裂薬で
ある(Arbuck and Blaylock, Taxol: Science and Applications, CRC Press, B
oca Raton, 397-415,1995; Holmes et al., ACS Symposium Series 583:31-57,1
995)。Taxol は、最初、タイヘイヨウイチイ(Pacific yew)(タクサス・ブレ
ビフォリア(Taxus brevifolia))の樹皮から単離された。何年もの間、Taxol
は、もっぱらイチイ樹皮から得られていたが、収穫物の破壊性に関連した天然源
からの化合物の低収率により、新規な Taxol 製造法が開発された。Taxol は、
現在、様々な Taxus 種の針状葉(再生可能な供給源)中に存在する前進したタ
キサン(taxane)代謝産物からの半合成によって主に製造されている(Holton e
t al., Taxol: Science and Applications, CRC Press, Boca Raton, 97-121,19
95)。しかしながら、癌介入経過中の初期の使用および新規な治療的用途両方の
ためのこの薬物への増加した需要ゆえに(Goldspiel, Pharmacotherapy 17:110S
-125S,1997)、利用可能性および費用は、相変わらず重要な問題である。Taxol
の完全な化学合成は、現在のところ経済的に実行可能ではない。したがって、こ
の薬物およびその直接の前駆体の生物学的生産はなお、予見可能な将来のために
選択される方法であろう。このような生物学的生産は、自然のままの Taxus 植
物か、Taxus 細胞培養物(Ketchum et al., Biotechnol.Bioeng. 62:97-105,199
9)かまたは、潜在的可能性として、微生物系(Stierle et al., J.Nat.Prod. 5
8:1315-1324,1995)に頼ることがありうる。いずれの場合にも、Taxol の生物学
的生産収率を改善することは、生合成経路、反応の順序、特に、律速段階を触媒
する酵素、およびこれらタンパク質をコードしている遺伝子の詳細な理解に依る
。この経路に関与する酵素をコードしている遺伝子の単離は、生産性生物におけ
るこれら遺伝子の過発現が、薬物の収率を顕著に改善すると考えられうることか
ら、特に重要な目的である。
【0005】 Taxol 生合成経路は、12を越える異なった工程を含むと考えられる(Floss an
d Mocek, Taxol: Science and Applications, CRC Press, Boca Raton, 191-208
,1995; および Croteau et al., Curr.Top.Plant Physiol. 15:94-104,1996)。
しかしながら、この複雑な経路の酵素反応および中間体の内で、明らかにされて
いるものは極めて少ない。Taxol 経路の最初に委ねられる酵素は、共通の前駆体
ゲラニルゲラニル二リン酸(Hefner et al., Arch.Biochem.Biophys. 360:62-74
,1998)をタキサジエンへと環化するタキサジエンシンターゼ(Koepp et al., J
.Biol.Chem. 270:8686-8690,1995)である(図1)。環化した中間体は、引き続
き、少なくとも8回の酸素化工程、一定の形式の脱水素、オキセタンへのエポキ
シド転位、および数回のアシル化を行う修飾を受ける(Floss and Mocek, Taxol
: Science and Applications, CRC Press, Boca Raton, 191-208,1995; および
Croteau et al., Curr.Top.Plant Physiol. 15:94-104,1996)。タキサジエンシ
ンターゼは、T.brevifolia から単離され且つ特性決定され(Hezari et al., A
rch.Biochem.Biophys. 322:437-444,1995)、作用機構が決定され(Lin et al.,
Biochemistry 35:2968-2977,1996)、そして該当するcDNAクローンが単離され
且つ発現されている(Wildung and Croteau, J.Biol.Chem. 271:9201-9204,1996
)。
【0006】 Taxol 生合成の第二の具体的な工程は、タキサジエン−5α−ヒドロキシラー
ゼによって触媒される酸素化(ヒドロキシル化)反応である。この酵素は、Taxu
s ミクロソーム標品中で示され(Hefner et al., Methods Enzymol. 272:243-25
0,1996)、タキサ−4(5),11(12)−ジエンのタキサ−4(20),11(12)−
ジエン−5α−オールへの立体特異的ヒドロキシル化を触媒することが示され(
すなわち、二重結合転位を伴う)、そしてシトクロムP450オキシゲナーゼとして
特性決定されている(Hefner et al., Chemistry and Biology 3:479-489,1996
)。
【0007】 Taxol 経路の最初の具体的な酸素化工程は、シトクロムP450オキシゲナーゼに
よって触媒されたので、この経路の次の酸素化(ヒドロキシル化およびエポキシ
化)反応は、同様のシトクロムP450酵素によって行われるであろうと推測するこ
とは論理的であった。ミクロソーム標品(Hefner et al., Methods Enzymol. 27
2:243-250,1996)は、この目的に最適化され、そしてタキサジエンまたはタキサ
ジエン−5α−オールのヒドロキシル化をペンタオールのレベルまで触媒するこ
とが示されて(タキサン代謝産物存在量の評価に基づいた暫定的生合成配列順序
および構造については、図2を参照されたい(Croteau et al., Curr.Topics Pla
nt Physiol. 15:94-104,1996))、この初期の経路部分における少なくとも5種
類の異なったシトクロムP450タキサン(タキソイド)ヒドロキシラーゼの関与に
ついての証拠が与えられた(Hezari et al., Planta Med. 63:291-295,1997)。
【0008】 更に、残り三つの酸素化工程(C1およびC7ヒドロキシル化およびC4〜C20での
エポキシ化;図1および3を参照されたい)は、シトクロムP450酵素によって触媒
されると考えられるが、これら反応は、現行の実験法によってミクロソーム中で
観察するにはこの経路のはるか下方にありすぎる(Croteau et al., Curr.Topic
s Plant Physiol. 15:94-104,1996; および Hezari et al., Planta Med. 63:29
1-295,1997)。Taxus(イチイ)植物および細胞は、6個より少ない酸素原子を有
するタキソイド代謝産物(すなわち、ヘキサオールまたはエポキシペンタオール
)を蓄積するとは考えられないので(Kingston et al., Prog.Chem.Org.Nat.Pro
d. 61:1-206,1993)、このような中間体は、速やかに変換されてこの経路を下る
に違いなく、これら酸素化(ヒドロキシル化)は、比較的遅い経路段階であり、
したがって、遺伝子クローニングに重要な標的であるということが示される。
【0009】 Taxol 生合成のオキシゲナーゼ工程を触媒するオキシゲナーゼをコードしてい
る遺伝子の単離は、遺伝子操作および in vitro 合成によって Taxol およびタ
キソイド収率を増加させる努力において重要な進歩であると考えられる。
【0010】 発明の要旨: 本発明は、21種類のアンプリコン(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて1対
のプライマーによって増幅されるDNAの領域)の発見に由来する。これらアンプ
リコンは、オキシゲナーゼ、例えば、配列番号:43〜55および81〜86に示される
核酸配列によってコードされる配列番号:56〜68および87〜92に示されるオキシ
ゲナーゼを決定するのに用いることができる。これら配列は、Taxus 属から単離
され、それぞれのオキシゲナーゼは、Taxol および関連タキソイド、更には、Ta
xol 生合成経路内の中間体の合成製造に有用である。これら配列は、引き続きの
in vitro 使用のためのオキシゲナーゼを生じるかまたは、トランスジェニック
生物中の Taxol およびタキソイドの生産レベルを変化させるようにオキシゲナ
ーゼを in vivo で生じるトランスジェニック生物の生成に用いることもできる
【0011】 本発明のもう一つの側面は、配列番号:1〜21に示される核酸配列、および配
列番号:22〜42に示されるそれぞれ該当するアミノ酸配列、更には、これら核酸
配列およびアミノ酸配列のフラグメントを提供する。これら配列は、完全長さオ
キシゲナーゼに該当する核酸配列およびアミノ酸配列を単離するのに有用である
。これらアミノ酸配列および核酸配列は、該当するオキシゲナーゼを認識する特
異的結合剤を生じるのにも有用である。
【0012】 したがって、本発明のもう一つの側面は、開示された配列とは異なるアミノ酸
配列および核酸配列を有するオキシゲナーゼおよびオキシゲナーゼフラグメント
の識別を規定する。例えば、本発明は、一つまたはそれ以上の保存的アミノ酸置
換によって異なる、またはオキシゲナーゼ活性を保持しながら、与えられたアミ
ノ酸配列と少なくとも50%配列同一性を有するオキシゲナーゼアミノ酸配列を提
供する。
【0013】 タキソイドオキシゲナーゼおよび/またはCO結合活性を保持するオキシゲナー
ゼおよびオキシゲナーゼフラグメントをコードしている核酸配列は、標準的な分
子生物学技術を用いて、ベクター中にクローン化することができる。次に、これ
らベクターを用いて、宿主細胞を形質転換することができる。したがって、宿主
細胞は、増加したレベルのオキシゲナーゼかまたは低下したレベルのオキシゲナ
ーゼを発現するように変更することができる。
【0014】 本発明のもう一つの側面は、完全長さオキシゲナーゼをコードしている核酸配
列を単離する方法を提供する。これら方法は、配列番号:1〜21、43〜55および8
1〜86に示される核酸配列のいずれかの少なくとも10個連続したヌクレオチドを
、第二核酸配列であって、タキソイドオキシゲナーゼをコードするおよび/また
はCO結合活性を保持する第二核酸配列にハイブリダイゼーションさせることを含
む。この方法は、例えば、ノーザンブロット、サザンブロットおよびポリメラー
ゼ連鎖反応(PCR)の場合に行うことができる。したがって、本発明は、更に、
この方法によって識別されるオキシゲナーゼを提供する。
【0015】 本発明のなおもう一つの側面は、少なくとも一つのタキソイドに少なくとも1
個の酸素原子を加える方法を含む。これら方法は、in vivo または in vitro で
行うことができるし、しかも、Taxol 生合成経路中のいろいろな中間体に酸素原
子を加えるのに、更には、必ずしも Taxol 生合成経路上ではない関連タキソイ
ドに酸素原子を加えるのに用いることができる。これら方法は、例えば、パクリ
タキセル、バッカチンIIIまたは10−デアセチルバッカチンIIIのアシル化変異体
またはグリコシル化変異体に酸素原子を加えることを含む。このような変異体に
は、セファロマンニン、キシロシルパクリタキセル、10−デアクチルパクリタキ
セル、パクリタキセルC、7−キシロシルバッカチンIII、2−デベンゾイルバッカ
チンIII、7−キシロシル10−バッカチンIIIおよび2−デベンゾイル10−バッカチ
ンIIIが含まれる。
【0016】 本発明のなおもう一つの側面は、開示されるオキシゲナーゼのいずれか一つの
還元型を一酸化炭素と接触させる方法および一酸化炭素/オキシゲナーゼ複合体
を検出する方法を含む。
【0017】 詳細な記述: 解説: 宿主細胞:“宿主細胞”は、組換え体核酸配列を用いて形質転換されることが
できる任意の細胞である。例えば、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、
鳥類細胞、哺乳動物細胞および両生類細胞。
【0018】 タキソイド:“タキソイド”は、Kinston et al., Progress in the Chemistr
y of Organic Natural Products, Springer-Verlag, 1993 に記載のタキサン環
構造に基づく化学物質である。
【0019】 単離された:“単離された”生体成分(核酸またはタンパク質または細胞小器
官など)は、その成分が天然に存在する生物の細胞中の他の生体成分、すなわち
、他の染色体および染色体外DNA、RNA、タンパク質および細胞小器官から実質的
に分離されたまたは精製された成分である。“単離された”核酸およびタンパク
質には、標準的な精製法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。
この用語は、宿主細胞中の組換え発現によって製造される核酸およびタンパク質
、更には、化学合成される核酸も含む。
【0020】 オルソログ:“オルソログ(ortholog)”は、異なった種に由来する遺伝子と
同様の機能を示すタンパク質をコードする遺伝子である。 ホモログ:“ホモログ”は、共通の先祖配列を有し、その先祖配列を有する種
が二つの種に分離する場合に分かれた多数のヌクレオチド配列である。
【0021】 精製された:“精製された”という用語は、絶対純度を必要とするのではなく
、むしろ、相対的用語とするものである。したがって、例えば、精製された酵素
または核酸標品は、対象タンパク質またはヌクレオチドがそれぞれ、ある生物中
のその天然の環境にそのタンパク質またはヌクレオチドがあるよりも高濃度であ
るものである。例えば、酵素の標品は、その標品中の酵素含量が、標品中の全タ
ンパク質含量の少なくとも50%である場合に精製されたと見なすことができる。
【0022】 ベクター:“ベクター”は、宿主細胞中に導入され、それによって形質転換さ
れた宿主細胞を生じる核酸分子である。ベクターには、複製起点のような核酸配
列が含まれうるが、これは、宿主細胞中でベクターを複製させる。ベクターには
、1種類またはそれ以上のスクリーニング可能マーカー、選択可能なマーカーま
たはレポーター遺伝子および当該技術分野において知られている他の遺伝要素も
含まれうる。
【0023】 形質転換された:“形質転換された”細胞は、分子生物学技術によって核酸が
導入された細胞である。本明細書中で用いられる“形質転換”という用語は、ウ
イルスベクターを用いたトランスフェクション、プラスミドベクターを用いた形
質転換、およびエレクトロポレーション、リポフェクションおよびパーティクル
ガン加速による裸のDNAの導入を含めた、このような細胞中に核酸分子を導入し
うる全ての技術を包含する。
【0024】 DNA構築物(コンストラクト):“DNA構築物”という用語は、cDNA、ゲノムDN
A、合成DNAまたはRNA起源の核酸分子を全て含む意味である。“構築物”という
用語は、一本鎖または二本鎖であってよく、しかも本発明のオキシゲナーゼ遺伝
子の一つまたはそれ以上をコードしている完全なまたは部分的な天然に存在する
ヌクレオチド配列に基づいていてよい核酸セグメントを示す意味である。このよ
うなヌクレオチド配列が、意図的に操作された、例えば、部位特異的突然変異誘
発を施されたヌクレオチド配列、および遺伝コードの結果として縮重している配
列を含むこということは理解される。縮重ヌクレオチド配列は全て、そのヌクレ
オチド配列によってコードされるオキシゲナーゼが下記のオキシゲナーゼ活性を
保持している限りにおいて、本発明の範囲内に含まれる。
【0025】 組換え体(リコンビナント):“組換え体”核酸は、それが発現される生物中
に天然に存在しない配列を有するものであり、または二つの、それ以外の場合に
は分離したより短い配列の人為的組合せによって作られる配列を有する。この人
為的組合せは、しばしば、化学合成によって、またはより一般的には、単離され
た核酸セグメントの人為的操作によって、例えば、遺伝子操作技術によって行わ
れる。“組換え体”は、人為的に操作されているが、遺伝子が単離された生物中
で見出される同様の制御配列およびコーディング領域を含有する核酸を記載する
のにも用いられる。
【0026】 特異的結合剤:“特異的結合剤”は、本発明のオキシゲナーゼに特異的に結合
することができる物質であり、これには、多クローン性抗体、単クローン性抗体
(ヒト化単クローン性抗体を含めた)、およびFab、F(ab’)2およびFvフラグ
メントのような単クローン性抗体フラグメント、更には、タンパク質上のエピト
ープに特異的に結合することができる任意の他の物質が含まれうる。
【0027】 cDNA(相補的DNA):“cDNA”は、転写を決定する内部の非コーディングセグ
メント(イントロン)および調節配列を欠いた1本のDNAである。cDNAは、細胞か
ら抽出されるメッセンジャーRNAからの逆転写によって実験室で合成される。
【0028】 ORF(読み取り枠):“ORF”は、終止コドンを全く含まないアミノ酸をコード
する一連のヌクレオチドトリプレット(コドン)である。これら配列は、通常は
、それぞれのポリペプチド中に翻訳可能である。
【0029】 機能的に連結した:第一核酸配列は、その第一核酸配列が第二核酸配列と機能
的関係にある場合は常に、第二核酸配列と“機能的に連結”している。例えば、
プロモーターは、そのプロモーターがコーディング配列の転写または発現に影響
を与える場合、そのコーディング配列に機能的に連結している。概して、機能的
に連結したDNA配列は隣接しているし、二つのタンパク質コーディング領域を連
結することが必要な場合は、同じ読み枠中にある。
【0030】 プローブおよびプライマー:核酸のプローブおよびプライマーは、本発明によ
って提供されるアミノ酸配列および核酸配列に基づいて容易に製造することがで
きる。“プローブ”は、検出可能な標識またはレポーター分子に結合した単離さ
れた核酸を含む。典型的な標識には、放射性同位体、リガンド、化学発光物質お
よび酵素が含まれる。プローブは、典型的には、それらが由来する配列(すなわ
ち、cDNAまたは遺伝子配列)よりも長さが短い。例えば、配列番号:1〜21に示
されるアンプリコンおよびそれらのフラグメントは、プローブとして用いること
ができる。当業者は、プローブ特異性がプローブの長さとともに増加するという
ことを理解するであろう。例えば、プローブは、本明細書中に開示されるオキシ
ゲナーゼをコードしている配列のいずれかの800bp、700bp、600bp、500bp、400b
p、300bp、200bp、100bpまたは50bp未満の構成性塩基を含有しうる。標識の方法
および種々の目的に適した標識選択の指針は、例えば、Sambrook et al.(eds.),
Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd ed., vols.1-3, Cold Spring H
arbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989, および Ausubel et
al.(eds.) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and
Wiley-Interscience, New York(定期改訂を含む),1987 に論じられている。
【0031】 “プライマー”は、短い核酸、好ましくは、10ヌクレオチドまたはそれ以上の
長さのDNAオリゴヌクレオチドである。プライマーは、相補的な標的DNA鎖に核酸
ハイブリダイゼーションによってアニーリングして、プライマーと標的DNA鎖と
の間にハイブリッドを形成後、DNAポリメラーゼ酵素によって標的DNA鎖に沿って
伸長することができる。プライマー対は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR
)または当該技術分野において知られている他の核酸増幅法によって核酸配列の
増幅に用いることができる。
【0032】 プローブおよびプライマーを製造し且つ使用する方法は、例えば、Sambrook e
t al.(eds.), Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd ed., vols.1-3, C
old Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989; Ausube
l et al.(eds.) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing
and Wiley-Interscience, New York(定期改訂を含む),1987; および Innis e
t al., PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Pres
s: San Diego, 1990 のような参考文献に記載されている。PCRプライマー対は、
既知の配列から、例えば、Primer(Version 0.5,(著作権)1991, Whitehead
Institute for Biomedical Research, Cambridge, MA)のようなその目的に予定
される計算機プログラムを用いることによって誘導することができる。当業者は
、特定のプローブおよびプライマーの特異性が、そのプローブまたはプライマー
の長さと共に増加するということを理解するであろう。したがって、例えば、20
個連続したヌクレオチドを含むプライマーは、15ヌクレオチド長さしかない対応
するプライマーより高い特異性を有する標的にアニーリングするであろう。した
がって、より高い特異性を得るためには、例えば、10個、20個、25個、30個、35
個、40個、50個またはそれ以上連続したヌクレオチドを含むプローブおよびプラ
イマーを選択することができる。
【0033】 配列同一性:二つの核酸配列間のまたは二つのアミノ酸配列間の類似性は、そ
れら配列間で共有する配列同一性のレベルによって表される。配列同一性は、典
型的には、同一性百分率によって表され、その百分率が高いほど、二つの配列は
一層類似している。
【0034】 比較のために配列を整列する方法は、当該技術分野において周知である。種々
のプログラムおよび整列アルゴリズムは、Smith & Waterman, Adv.Appl.Math. 2
:482,181; Needleman & Wunsch, J.Mol.Biol. 48:443,1970; Pearson & Lipman,
Proc.Natl.Acad.Sci. USA 85:2444,1988; Higgins & Sharp, Gene 73:237-244,
1988; Higgins & Sharp, CABIOS 5:151-153,1989; Corpet et al., Nucleic Aci
ds Research 16:10881-10890,1988; Huang, et al., Computer Applications in
the Biosciences 8:155-165,1992; および Pearson et al., Methods in Molec
ular Biology 24:307-331,1994 に記載されている。Altshul et al., J.Mol.Bio
l. 215:403-410,1990 は、配列整列法および相同性計算の詳細な考察を与える。
【0035】 National Center for Biotechnology Information(NCBI)Basic Local Align
ment Search Tool(BLASTTM,Altschul et al., J.Mol.Biol. 215:403-410,1990
)は、National Center for Biotechnology Information(NCBI,Bethesda, MD
)を含めたいくつかの源からおよびインターネットで、配列分析プログラムblas
tp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxに関連して用いるのに入手可能であ
る。このプログラムを用いて配列同一性を決定する方法の説明は、BLASTTMのヘ
ルプ部分の下で、インターネットで利用可能である。
【0036】 約30アミノ酸より大きいアミノ酸配列の比較には、BLASTTMプログラムの“Bla
st2シークエンス”関数を、暗黙値パラメーターに設定された暗黙値BLOSUM62マ
トリックス(11のギャップ存在コストおよび1の残基当たりギャップコスト)を
用いて用いる。短いペプチド(約30アミノ酸より少ない)を整列する場合、整列
は、Blast2シークエンス関数を用いて、暗黙値パラメーターに設定されたPAM30
マトリックス(オープンギャップ9、伸長ギャップ1のペナルティー)を用いて行
われるはずである。対照標準配列になお一層大きい類似性を有するタンパク質は
、この方法によって評価された場合、少なくとも45%、少なくとも50%、少なく
とも60%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも
95%配列同一性のような増加する同一性パーセンテージを示すであろう。
【0037】 上述のように、‘配列同一性’は、BlastTM(National Center for Biotechno
logy Information[NCBI]で入手可能)のような整列アルゴリズムを用いること
によって決定することができる。第一核酸は、他の核酸(またはその相補鎖)と
最適に整列された場合(NCBIwesiteで与えられる暗黙値パラメーターを用いて)
、例えば、少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%のヌクレオチ
ド塩基にヌクレオチド配列同一性が存在するならば、第二核酸に“実質的に類似
”している。配列類似性は、二つの核酸のヌクレオチド配列を、NCBIから入手可
能なBLASTTM配列分析ソフトウエア(blastn)を用いて比較することによって決
定することができる。このような比較は、暗黙値設定に設定されたソフトウェア
を用いて行うことができる(期待値=10,フィルター=暗黙値,種類=500対,
アラインメント=500,アラインメントビュー=標準,ギャップ存在コスト=11
,残基当たりの存在=1,残基当たりのギャップコスト=0.85)。同様に、第一
ポリペプチドと第二ポリペプチドは、それらが、暗黙値設定を用いたBLASTソフ
トウェア(blastp)を用いて最適に整列され且つ比較された場合に少なくとも約
75%〜90%またはそれ以上の配列同一性を示すならば、実質的に類似している。
【0038】 オキシゲナーゼ活性:オキシゲナーゼ活性を示す酵素は、基質分子中に酸素を
直接的に包含させることができる。オキシゲナーゼは、オキシゲナーゼが基質中
に2個の酸素原子を包含させる場合のジオキシゲナーゼかまたは、1個の酸素原子
だけを一次基質中に包含させて、ヒドロキシル基またはエポキシド基を形成する
場合のモノオキシゲナーゼでありうる。したがって、モノオキシゲナーゼは、時
々、“ヒドロキシラーゼ”と称される。タキソイドオキシゲナーゼは、タキソイ
ドを基質として特異的に利用するオキシゲナーゼのサブセットである。
【0039】 オキシゲナーゼ:オキシゲナーゼは、上記のオキシゲナーゼ活性を示す酵素で
ある。しかしながら、全てのオキシゲナーゼが同じ基質を認識するのではない。
したがって、オキシゲナーゼ酵素−活性検定は、具体的なオキシゲナーゼ酵素の
特異性に依って異なった基質を利用するかもしれない。当業者は、下記の分光光
度分析に基づく検定が、一般的なオキシゲナーゼ活性検定の代表例であるという
こと、および直接検定を用いて、別の基質に対して向けられるオキシゲナーゼ触
媒作用を調べることができるということを理解するであろう。
【0040】 II.オキシゲナーゼの特性決定: A.実験手順の概要: 生化学的研究は、Taxol 経路の少なくとも最初の5回の酸素化工程が、シトク
ロムP450ヒドロキシラーゼによって触媒されるということ(残りの3回の酸素化
も、シトクロムP450酵素によって触媒されると考えられる)、およびこれらが反
応経路の遅速度段階であり、したがって、Taxol 収率を増加させる適当な生産性
生物における過発現の目的のためのcDNA単離に重要な候補であるということを示
している(Croteau et al., Curr.Topics Plant Physiol. 15:94-104,1995; お
よび Hezari et al., Planta Med. 63:291-295,1997)。cDNAクローニングの基
準としての、Taxus ミクロソームからのシトクロムP450酵素のタンパク質精製(
Hefner et al., Methods Enzymol. 272:243-250,1996)は、P450の存在する種の
数およびそれらの既知の物理的性状の類似性(Mihaliak et al., Methods Plant
Biochem. 9:261-279,1993)が、アミノ酸ミクロシークエンス法のために個々の
タンパク質を均一にするのをほぼ確実に妨げていると考えられるので、行われな
かった。
【0041】 したがって、mRNA逆転写−PCRの示差表示(differential display)(DD−RT
−PCR)に基づく戦略を、Taxus 細胞中の転写的に活性なシトクロムp450を単離
するのに用いたが、この以前の生化学的研究は、ジャスモン酸メチルを用いた誘
導から16時間後に Taxol 経路を実質的にアップレギュレーションすることが分
かっている(Hefner et al., Arch.Biochem.Biophys. 360:62-74,1998)。示差
表示実験スキームは、ある種の刺激に応答してアップレギュレーションされるmR
NA種の識別を可能にする。概して、一組の試料はその刺激物質を用いて処理され
ないが、もう一組の試料は、その刺激物質を用いて処理される。次に、両群から
のmRNAを単離し且つ増幅させる。目的のmRNAは、刺激された試料および刺激され
ない試料からのmRNAを比較することによって識別される。刺激された試料中にの
み存在するmRNAは、刺激によって活性化される遺伝子であると考えられる。
【0042】 下記の実験において、未処理細胞培養物からのmRNAを、ジャスモン酸メチルを
用いて16時間誘導された培養物からのmRNAと比較した。優先的に誘導されるシト
クロムP450配列を得るためには、前進プライマーを、植物シトクロムP450遺伝子
中に保存されるプロリン、フェニルアラニン、グリシン(PFG)モチーフに基づ
いて設計した。DD−RT−PCRに基づく戦略と連結した、この(PFG)モチーフに対
して向けられるプライマーの使用は、約100種類の示差的に発現される種を示し
、これらから100種類の配列を得、分析した。これらの内、39種類は、シトクロ
ムP450型配列を含有するPCR産物を示した。これら配列の分析は、21種類の異な
った且つ独特のシトクロムP450遺伝子からのC末端が単離されたことを示した。
オキシゲナーゼをコードしている領域として増幅され(アンプリコン)且つ識別
される21種類の核酸配列は、それぞれ、配列番号:1〜21に示される。
【0043】 12種類のアンプリコンを標識し、ハイブリダイゼーションプローブとして用い
て、ジャスモン酸メチルに誘導されるT.cuspidata cDNAライブラリーをスクリ
ーニングした。T.cuspidata ライブラリーをスクリーニングすることは、9種類
の完全長さクローンの識別を可能にした。4種類の追加のクローンは、5’末端で
切断されていたが、欠けている5’配列を得るために5’−RACE(cDNA末端の迅速
分析)を用いて、完全長さの形で得られた。したがって、上記のアンプリコンの
初期の使用は、13種類の完全長さオキシゲナーゼ(それぞれ、配列番号:43〜55
)の識別を可能にした。次に、いろいろな分子技術を用いて、追加の10種類の完
全長さdDNA(それぞれ、配列番号:81〜86)およびそれらの該当するアミノ酸配
列(それぞれ、配列番号:87〜92)を識別した。
【0044】 次に、アンプリコンに基づくプローブの使用によって識別される完全長さオキ
シゲナーゼクローンを、原核生物に基づくおよび真核生物に基づく発現系中にク
ローン化することができる。いったん発現されたら、得られたオキシゲナーゼの
機能性受容能は、下記の分光光度検定を用いて評価することができる。
【0045】 分光光度検定を用いて活性であることが判明するクローンは、一酸化炭素を検
出するのに最低限有用である。更に、下に与えられる実施例において、完全長さ
オキシゲナーゼをコードしている配列のいくつかは、サッカロミセス・セレビシ
エ(Saccharomyces cerevisiae)およびバキュロウイルス−スポドプテラ(Spod
optera)細胞中で発現された場合、タキソイドに対する in situ オキシゲナー
ゼ活性を有することが示される。
【0046】 クローン化された完全長さオキシゲナーゼをコードしている配列によって生じ
るオキシゲナーゼは、タキソイド基質を in vivo で酸素化する能力について調
べることもできる。これは、クローン化されたオキシゲナーゼをコードしている
配列を発現するトランスジェニック細胞にタキソイド中間体を供給することによ
って行うことができる。
【0047】 B.オキシゲナーゼのクローニング: 上記のように、DD−RT−PCRスキームを、Taxus 細胞中の転写的に活性なシト
クロムP450の単離に用いたが、これは、以前に、ジャスモン酸メチルを用いた誘
導から16時間後に Taxol 経路を実質的にアップレギュレーションすることが分
かっている(Hefner et al., Arch.Biochem.Biophys. 360:62-74,1998)。適当
な酵素活性の増加は、誘導によって生じたので(de novo タンパク質合成を示す
)、非処理細胞培養物からのmRNAを、そのように16時間誘導された培養物からの
mRNAと比較した。優先的に誘導されるシトクロムP450配列を得るためには、前進
プライマーを、植物シトクロムP450遺伝子中の保存モチーフに基づいて設計した
。関連した戦略は、他の植物について用いられている(Schopfer and Ebel, Mol
.Gen.Genet. 258:315-322,1998)。プロリン、フェニルアラニン、グリシン(PF
G)モチーフは、ヘム結合ドメインの充分に保存される領域である(Durst and N
elson,“Diversity and evolution of plant P450 and P450 reductase,”in Du
rst and O'Keefe (eds.), Drug Metabolism and Drug Interactions, Freund, U
K, 1995, pp.189-206)。この領域の該当するコドンは、二つの縮重位置しか含
有しないので、配列可能性全てを包含するには、僅か8個の非縮重プライマーの
セットが必要であった(図4)。このPFGモチーフは、停止コドンの200〜250bp上
流に位置し、3’非翻訳領域の長さは、100〜300bpであるはずである。したがっ
て、予想されるPCRフラグメントの長さは、300〜550bpの範囲内であると考えら
れる。このDD−RT−PCRに基づく戦略は、約100種類の示差的に発現される種を示
し、これらから100種類の配列を得、分析した。これらの内39種類は、シトクロ
ムP450型配列を含有するPCR産物を示した。これら配列の分析は、21種類の異な
った且つ独特のシトクロムP450遺伝子からのC末端が単離されたことを示した。
これらDNAフラグメント(ここまでは12種類)は、ジャスモン酸メチルに誘導さ
れるT.cuspidata 細胞cDNAライブラリーをスクリーニングするための標識され
たハイブリダイゼーションプローブとして用いられている。この手段により、9
種類のクローンが、スクリーニングによって完全長さの形で得られた。4種類の
追加のクローンは、5’末端で切断されていたが、欠けている5’配列を得るため
に5’−RACE(cDNA末端の迅速分析)を用いて、完全長さの形で得られた。
【0048】 C.配列分析: 最初に得られた完全長さオキシゲナーゼ配列(12個の部分配列プローブを用い
て)を、対ごとに比較した。クローンF12、F21、F42、F31、F51、F9、F56、F19
、F14、F55、F34、F72およびF10(それぞれ、配列番号:43〜55)とそれぞれ称
される全部で13種類の独特の配列が存在することが分かった。単離されたクロー
ンの内、クローンF51(配列番号:47)およびF9(配列番号:48)の二つは、DD
−RT−PCRクローニング戦略によって最初に見出された21種類のC末端フラグメン
トのいずれとも一致しなかったので、最初に識別された独特のオキシゲナーゼ遺
伝子および遺伝子フラグメントの全数は23となった。
【0049】 この得られたクローンも、データベース(NCBIウェブサイトで与えられる)中
の既知の植物シトクロムP450オキシゲナーゼ配列全てと対ごとに比較して(図5A
および5B)、これらの関係の系統樹および対ごとの類似性および同一性の比較の
表を与えた。
【0050】 この分析は、Taxus クローンの11種類が一つのシトクロムP450ファミリー中に
分類されることを示した。関連したクローンのこの大きな群は、CYP90、CYP85お
よびCYP88シトクロムP450ファミリーとよく似ていると考えられる。これらファ
ミリーの若干のメンバーは、テルペノイド代謝[例えば、ジベレリン(ジテルペ
ン,C20)およびブラシノステロイド(トリテルペンC30)生合成]に関与するこ
とが知られており、Taxus から得られたシトクロムP450クローンは、ジテルペノ
イド Taxol の生合成に関与しうるということが示唆される。表1に、適当な配列
の受託番号および関連情報を挙げる。範囲外のクローンF10(配列番号:55)お
よびF34(配列番号:53)は、CYPファミリー82(フェニルプロパノイド代謝)お
よびCYPファミリー92(未知の機能)とそれぞれ近縁である。
【0051】 最初の13種類の完全長さクローンを識別した後、更に6種類を単離した。した
がって、識別された完全長さオキシゲナーゼクローン全数は19種類である。識別
されたオキシゲナーゼクローンの全ての関係を示す系統樹を、図5Cに与える。こ
れらクローンの配列同一性および類似性両方を与える表を、図5Dに与える。
【0052】
【表1】
【0053】 D.機能性発現: 機能性シトクロムP450発現は、シロイヌナズナ(Alabidopsis thaliana)から
のシトクロムP450レダクターゼのどれかを同時発現するように遺伝子操作された
酵母(Saccharomyces cerevisiae)中でpYeDPプラスミドを用いることによって
得ることができ、この植物由来レダクターゼは、シトクロムへの有効な電子伝達
に重要である(Pompon et al., Methods Enzymol. 272:51-64,1999)。
【0054】 適当な還元型の機能性P450シトクロムは、一酸化炭素に適格に結合し且つ特徴
的なCO差スペクトルを与えるので(Omura and Sato, J.Biol.Chem. 239:2370-23
78,1964)、形質転換された酵母細胞中の機能性組換え体シトクロムP450の存在
を、in situ(in vivo)測定によって評価するおよび定量的に推定する分光光度
手段が開発された。これまでに得られた Taxus からの19種類の完全長さシトク
ロムP450クローンのCOセンサーの10種類は、検出可能なCO差スペクトルを生じて
いる(表2)。S.cerevisiae 中で信頼できる発現を生じないシトクロムP450ク
ローンは、別の原核生物および真核生物の系を利用して転移されうるし、発現さ
れうるし、CO差スペクトルによって確認されうると考えられる。シトクロムP450
遺伝子のためのこれら別の発現系には、発現ベクターおよび宿主が商業的に入手
可能である酵母ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(Invitrogen, Carlsba
d, CA)、更には、一般的な発現手順が記載されている樹立された大腸菌(E.co
li)細胞系およびバキュロウイルス−昆虫細胞系(Barnes, Methods Ezymol. 27
2:1-14,1996; Gonzalez et al., Methods Enzymol. 206:93-99,1991; Lee et al
., Methods Ezymol. 272:86-98,1996; および Lupien et al., Arch.Biochem.Bi
ophys. 368:181-192,1999)が含まれる。
【0055】 COに結合可能であることが示されるクローンは、種々の試料中で少なくともCO
を検出するのに有用である。組換え発現されるクローンの更に別の試験は、それ
らが、1個またはそれ以上の酸素原子をタキソイド基質に加えるのにも有用であ
るということを示すことができる。
【0056】 E.組換え体オキシゲナーゼを発現する酵母細胞の in vivo 検定: 1.基質[20−3H3]タキサ−4(5),11(12)−ジエンまたは[20−3H2]タ
キサ−4(20),11(12)−ジエン−5α−オールの使用: Taxus からの組換え体シトクロムP450遺伝子を機能性発現する形質転換された
酵母細胞(CO差スペクトルによる)は、それら細胞に外因的に供給されるタキソ
イド基質を酸素化する(ヒドロキシル化するまたはエポキシ化する)それらの能
力について in vivo で調べることができるので、予備 in vitro 検定のための
ミクロソーム単離の必要がなくなる。
【0057】 したがって、入手可能な完全長さクローンの内のいくつかのクローンを、誘導
される酵母宿主細胞中で発現させた。これら細胞に、[20−3H3]タキサ−4(5
),11(12)−ジエンまたは[20−3H2]タキサ−4(20),11(12)−ジエン−
5α−オールを別々のインキュベーションで供給し、同様に供給される形質転換
されていない対照(およびタキソイド基質について不活性であることが分かった
もの)とこれらを比較した。これらインキュベーションによって生じる抽出物を
、ラジオHPLCによって分析したが、生成物を生じたクローンを下の表2に示す。
【0058】 代表的なHPLCトレースを、図6A〜6Cに示す。インキュベーションからの生成物
の代表的なGC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析)分析を、図6Dおよび6E
に示す。図6A〜6Eに示される結果は、タキサジエン−5α−オールから誘導され
る二つの明らかに異なったタキサジエンジオールが形成されたことを確証し、一
つは、予想される親イオンをP+=m/z304で生じ、容易に水を失う場合の分析条
件にあまり安定でないもう一つは、最高の質量イオンをm/z286(P+−H2O)で生
じる。
【0059】 2.基質[20−3H2]タキサ−4(20),11(12)−ジエン−5α−イル酢酸塩の
使用: Taxus からの組換え体シトクロムP450遺伝子を機能性発現する形質転換された
酵母細胞(CO差スペクトルによる)を、外因的に供給されるタキソイド基質を酸
素化する(ヒドロキシル化するまたはエポキシ化する)それらの能力について i
n vivo で調べることにより、このような予備 in vitro 検定のためのミクロソ
ーム単離の必要がなくなった。下の表2に示されるクローンを、[20−3H2]タキ
サ−4(20),11(12)−ジエン−5α−イル酢酸塩を別々のインキュベーション
で供給された酵母宿主細胞中で誘導し、同様に供給される形質転換されていない
対照(およびタキソイド基質について不活性であることが分かったもの)と比較
した。これらインキュベーションによって生じるエーテル抽出物を、ラジオHPLC
によって分析した。いくつかのクローンは、酢酸タキサジエン−5α−イル基質
を一層極性の生成物に変換した。
【0060】
【表2】
【0061】
【0062】 クローンF14(配列番号:64)代謝産物の追加の試験を行った。HPLCによって
単離された代謝産物にGC−MS分析を行って、これは、タキサジエンジオール一酢
酸から得られるデータと一致した保持時間(出発物質と比較される)および質量
スペクトルそれぞれを有することが分かった[親イオン(P+)は、m/z346(酢
酸タキサジエニル(MW=330)+O)で、診断用イオンはm/z328(P+−H2O)、31
3(P+−H2O−CH3)、286(P+−CH3COOH)、271(P+−CH3COOH−CH3)、268(P+
−CH3COOH−H2O)および253(P+−CH3COOH−CH3−H2O)で認められた]。
【0063】 クローンF14(配列番号:51)を有する形質転換された酵母と酢酸タキサジエ
ン−5α−イル基質との分離用規模インキュベーションは、NMR分析について未知
のジオール一酢酸(GCにより>97%純度)約100μgをHPLCに基づいて単離した。
タキサジエン−4(20),11(12)−ジエン−5α−オールの(および酢酸エステ
ルの)1H共鳴は全て、以前に帰属されているので(Hefner et al., Chem.and Bi
ol. 3:479-489,1996)、この未知のジオール一酢酸の構造の解明は、1H検出実験
によって行われた(試料サイズに制限される直接13C測定)。
【0064】 1H−NMRスペクトルを、図7に示し、下の表3には、heteronuclear single quan
tum coherence(HSQC;図8)から直接的に決定されるそれぞれの一炭素相関13C
帰属に沿った完全な1H帰属を挙げる。これら帰属は、他の既知のタキサジエンモ
ノオールおよびジオール誘導体のそれと一致する。例えば、C5(δ75.9,C5;
δ5.47,H5)およびC10(δ67.2,C10;δ4.9,H10)の化学シフトは、オキ
シ−メチンとされる。C20(δ111.6,C20;δ5.07,H20,エキソ;δ4.67,H
20,エンド)のシフトは、他のタキサ−4(20),11(12)−ジエンで認められ
る環外メチレンと一致する。他の特徴的なシフトは、H7α(δ1.84)、H19メチ
ル(δ0.56)、H3(δ2.84)、およびgem−ジメチルH16(δ1.14,エキソ)
およびH17(δ1.59,エンド)について認められる。
【0065】
【表3】
【0066】 2D−TOCSYスペクトル(図9Aおよび10)は、HSQCデータを補足し、追加のレギ
オ化学帰属を可能にした。H15プロトン(δ5.47)(図10Aおよび10E)は、H6(
δ1.66,δ1.55)およびH7(δ1.94,δ0.9)プロトンと強く相関したが、
タキサジエン誘導体について認められる共通の特徴であるH20シグナル(δ5.07
,δ4.67)にもH3(δ2.84)にもほとんどカップリングしなかった。H3(δ2
.84)、H2(δ1.47およびδ1.53)、H1(δ1.59)、H13(δ1.80,δ2.26
)およびH14(δ1.26,δ1.96)によって部分的に規定されるスピン系は、図1
0Cおよび10Eで明らかであった。H18アリルメチル(δ1.71)も、H13との弱い相
関を示した。図10Dで注目される広がったスピン相関とは対照的に、H9(δ1.42
,δ2.21)およびH10(δ4.9)シグナルは、H10ヒドロキシル(δ0.85)を含
んだ孤立したスピン系を形成した(図10Bを参照されたい)。相関は、二つのgem
−ジメチルシグナル(δ1.14およびδ1.59)間にも認められ、これは、他のタ
キサジエン誘導体のスペクトルと一致した。
【0067】 1H−1H ROESY(Rotational nuclear Overhauser Effect Spectroscop Y)は
、間隔が接近しているが、化学結合によって密接に連結されていないプロトンに
よってどのシグナルが生じるか決定するのに有用である。したがって、2D−ROES
Yスペクトル(図9Bおよび11)を用いて、レギオ化学帰属を確認し、相対立体化
学を評価した(これらn.O.e.相関のいくつかを表4に挙げる)。1H−1H TOSC
Y(TOtal Correlated Spectroscop Y)は、特に、多重線がオーバーラップして
いるまたは拡張する二次カップリングが存在する場合、スピン系内のプロトンに
よってどのシグナルが生じるか決定するのに有用である。本明細書中に記載の2D
−TOSCY(全相関スペクトル)は、第二ヘテロ原子をC9−C10フラグメント中に導
入したが、レギオ化学は、この単一測定に基づいて不明瞭であったことを示した
。2D−ROESYは、酸化がC10で起こり、C10ヒドロキシルをβ配向にしたことを確
証した。この帰属も、H10プロトン(δ4.90)(図11B)とアリルメチルH18(δ
1.71)との間に認められるn.O.e.によって支持されたが、これは、H10のα
立体配置と一致する。追加の立体化学帰属は、H9β(δ2.21)と、エンド(δ1
.59)でなければならないH17メチル(図11E)、β配向であるH19メチル(δ0.
56)と、H2β−プロトン(δ1.53)との間の相関に注目することによって行わ
れた。他のH9シグナル(δ1.42)は、H19およびH7β−プロトン(δ0.90)、
更には、H10(δ4.90)と相関した(図11Dおよび11B)。3JHHは、H9β−プロト
ンとH10α−プロトンとの間で、この対のほぼアキシアル配置と一致して大きい
(11.7Hz)ということも注目され、H9αとH10との間のより小さいカップリング
(5.3Hz)は、これら二つのプロトン間のエクアトリアル立体配置と一致した。
【0068】 ROESY分光分析法は、H5における立体化学を確証するのにも用いられた。中程
度に強い相関は、H5(δ5.47)(表4および図11Aを参照されたい)と、両方のC
6シグナル(δ1.66,δ1.55)との間で、H5のエクアトリアル配向と一致して
認められた。3JHHカップリングは、H5と他の全てのスカラーカップリングパート
ナーとの間で極めて小さく(<3Hz)、H5の用いられるエクアトリアル配向につ
いて更に別の根拠を与えた。H5とH20エキソとの間の中程度に強いn.O.e.が注
目されたが、その分子のα面上のH5と他のプロトンとの間には、n.O.e.相関
が認められなかった。これら結果は、H5がβ立体配置であること、および酢酸基
が、基質の場合と同様にα配向であることを確証した。タキサジエン誘導体にお
ける一つの他の有意の構造モチーフは、異常な分子フォールディングのために、
α面上のH3プロトンの密接した閉塞であり、それによって、H3プロトン(δ2.8
4)をこの面に有用なプローブにした。実際上、n.O.e.相関は、H3、H10、H13
αおよびアリルメチルH18の間で認められた(下の表4および図11C)。
【0069】
【数1】
【0070】 構造のこの完全な帰属は、生合成生成物のタキサ−4(5),11(12)−ジエン
−5α−アセトキシ−10β−オールとしての識別を確証し、シトクロムP450タキ
サン10β−ヒドロキシラーゼをコードしているcDNAが単離されたことを示す。こ
の1494bp cDNA(配列番号:51)は、典型的なN末端膜アンカー(Brown et al.,
J.Biol.Chem. 264:4442-4449,1989)を、疎水性挿入セグメント(Nelson et al
., J.Biol.Chem. 263:6038-6050,1988)および停止伝達シグナル(Sakaguchi et
al., EMBO J. 6:2425-2431,1987)と一緒に有する、分子量56,690の497残基推
定タンパク質を翻訳する。このタンパク質は、酸素結合ドメイン(Shimada et a
l., in Bunabiki (ed.) Oxygenases and Model Systems, Kluwer, Boston, MA,
pp195-221,1997)、およびPFG要素(aa435〜437)を含む高度に保存されたヘム
結合モチーフ(Durst et al., Drug Metab. Drug Interact. 12:189-206,1995;
および von Wachenfeldt et al., in Oritz de Montellano (ed.), Cytochrome
P450: Structure,Mechanism,and Biochemistry, Plenum, New York, NY, pp.183
-223,1995)を含めた、シトクロムP450オキシゲナーゼについて考えられる保存
モチーフの全てを有する。
【0071】 F.単離された酵素のタキソイドオキシゲナーゼ活性についての in vitro 検
定: 組換え体シトクロムP450のオキシゲナーゼ活性を評価する標準的な酵素検定は
、次の条件を用いた。1mLの全容量中に25mM HEPES緩衝液、pH7.5、400μM NA
DPH、300μgタンパク質および300μM基質(タキサジエン、タキサジエノールま
たは酢酸タキサジエニル)。試料を32℃で12時間インキュベートし、その後、1m
Lの飽和NaCl溶液を反応混合物に加えた後、2mLのヘキサン/酢酸エチル(4:1,
v/v)を用いて生成物を抽出した。それら抽出物を乾燥させ、放射線HPLC[カラ
ム:Alltech Econosil C18 5μm粒度(250mmX4.6mm):溶媒系A:0.01%(v
/v)H3PO4,2%アセトニトリル,97.99%H2O;溶媒系B:0.01%H3PO4,99.9
9アセトニトリル;勾配:0〜5分,100%A;5〜15分,0〜50%B;15〜55分,50〜
100%B;55〜65分,100%B;65〜70分,0〜100%A;70〜75分,100%A;流量1mL
/分;検出には、放射線クロマトグラフィー検出器(Flow-One(登録商標)-Bet
a Series A−100,Radiomatic)を用いた]による生成物分析のためにアセトニ
トリル中に溶解させた。
【0072】 3種類の試験基質(A、B、C)の内、タキサジエンは、組換え体シトクロムP450
クローンF16(配列番号:93)によって、酸素化生成物へと検出可能に変換され
なかった。5α−オール誘導体の内、タキサ−4(20),11(12)−ジエン−5α
−オールは、GC−MS分析によって決定されるように、最も有効にジオール生成物
に変換された(304のMWを示す親イオン)。タキサジエノールと一緒の分離用イ
ンキュベーションは、約100μgのジオール生成物の生成を可能にし、この生成物
を、1H−および13C−NMR分析(500MHz)による構造決定のための調製において、
上記の逆相HPLCおよび順相TLC(トルエン/アセトン(3:1,v/v)を用いたシ
リカゲル)の組合せによって精製した。基準タキサ−4(20),11(12)−ジエ
ン−5α−オール(Hefner et al., Chem.Biol. 3:479-489,1996)のものとのス
ペクトルの比較は、クローンF16(配列番号:93)シトクロムP450オキシゲナー
ゼ反応生成物がタキサ−4(20),11(12)−ジエン−5α,9α−ジオールであ
るということを示した。これら結果は、クローンF16(配列番号:16)が、おそ
らくは、Taxol 生合成経路の第三のレギオ特異性ヒドロキシル化工程であるシト
クロムP450タキサン9α−ヒドロキシラーゼをコードするということを示した。
【0073】 更に、生化学的研究を行って、どのジオールが、Taxol 経路上にあるか(すな
わち、C10ヒドロキシル化に関与していると考えられる次の経路段階をコードし
ている遺伝子)を決定することができるし、どの活性(および遺伝子)が、経路
の更に下にある(トリオール、テトラオール、ペンタオール等の形成を触媒する
)が、外来基質としてのタキサジエン−5α−オールのヒドロキシル化を触媒す
ることができるシトクロムP450オキシゲナーゼを生じるかを決定することができ
る。他の発現系も調べて、残りのクローンの機能性発現を得ることができ、全て
の機能性クローンが、他のタキゾイト基質を用いて調べられる。
【0074】 タキソイド中間体を変換することができるクローンのいくつかは、同様の近縁
のファミリーによるということは注目に値する(図5(A)の系統樹のクローンF9
、F12、F14およびF51(配列番号:61、56、64および60)の配置を参照されたい
)。範囲外のクローン34は、信頼できるCO差スペクトルを生じたが(機能性シト
クロムP450およびそのCO検出のための有用性を確証する)、タキソイド基質を酸
素化生成物に変換しない。しかしながら、このクローンは、別の発現系で発現さ
れた場合、他のタキソイド基質に対して活性であると証明されるかもしれない。
【0075】 III.Taxol 経路の他のオキシゲナーゼ: 上記のプロトコールは、21種類の関連するアンプリコンを生じた。cDNAライブ
ラリーをスクリーニングするためのプローブとしての12種類のアンプリコンの最
初の使用は、オキシゲナーゼをコードしている13種類のDNA配列の単離および特
性決定を可能にした。次に、追加の完全長さ酵素を単離した。これら完全長さ配
列のいくつかを、組換え発現させ、現場で調べ、そして10種類は、COを結合する
ことができ、したがって、COを検出するのに有用であることが分かった(表2)
。更に、9種類のクローンは、タキソイド基質を in vivo でヒドロキシル化する
ことができることが分かった(表2)。
【0076】 Taxol 生合成経路には少なくとも5種類の異なったオキシゲナーゼが存在し(H
ezari et al., Planta Med. 63:291-295,1997)、21種類のアンプリコンの核酸
配列間の密接な関係は、残りの核酸配列が、Taxol 生合成経路中の他のオキシゲ
ナーゼの部分核酸配列であるということを示している。したがって、上記のプロ
トコールは、与えられる21種類のアンプリコン配列の完全長さ型に該当するオキ
シゲナーゼの識別および組換え製造を可能にする。したがって、Taxol オキシゲ
ナーゼに関する次の考察は、それぞれの配列表に示される完全長さオキシゲナー
ゼ、更には、アンプリコン配列の使用によって識別可能である Taxol 生合成経
路の残りのオキシゲナーゼを論及する。更に、当業者は、残りのオキシゲナーゼ
の酵素活性について、下記の分光光度検定のような“機能性検定”、および適当
なタキソイド基質を用いた触媒作用についての直接検定を用いて容易に調べるこ
とができるということを理解するであろう。
【0077】 IV.Taxol 生合成経路のオキシゲナーゼの単離: A.細胞培養物: Taxus 種細胞培養の開始、増殖および誘導は、以前に記載されている(Hefner
et al., Arch.Biochem.Biophys. 360:62-75,1998)。酵素および試薬は、Unite
d States Biochemical Corp.(Cleveland, OH)、Gibco BRL(Gland Island, NY
)、Promega(Madison, WI)および New England BioLabs,Inc.(Beverly, MS)
から入手され、製造者の取扱説明書にしたがって用いられた。化学薬品は、Sigm
a Chemical Co.(St.Louis, MO)から購入した。
【0078】 B.ベクターおよびDNA操作: 特に断らない限り、常套のDNA操作およびクローニングは全て、標準法によっ
て行った(Sambrook et al.(eds.), Molecular Cloning: A Laboratory Manual
2nd ed., vols.1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harb
or, NY,1989)。PCR増幅は、確立された手順によって行った(Innis et al., P
CR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press, New Y
ork, 1990)。DNAは、Applied Biosystems Inc. PrismTM373DNAシークエンサー
(Perkin-Elmer, Norwalk, CT)において AmplitaqTMDNAポリメラーゼ(Roche,
Somerville, New Jersey)および蛍光サイクルシークエンス法を用いて配列決定
した。Saccharomyces cerevisiae 発現ベクターpYeDP60は、前に記載の通りであ
った(Pompon et al., Methods Enzymol. 272:51-64,1999)。
【0079】 C.E.coli および酵母菌株: E.coli 菌株XL1−Blue MRF’(Stratagene, La Jolla, California)およびT
OP10F’(Invitrogen, Carlsbad, CA)を、常套のクローニングおよびクローニ
ングPCR産物にそれぞれ用いた。発現に用いられた酵母菌株はそれぞれ、2種類の
異なった Alabidopsis thaliana シトクロムP450レダクターゼの一方を発現し、
それぞれ、WAT11およびWAT21と称された(Pompon et al., Methods Enzymol. 27
2:51-64,1999)。
【0080】 D.cDNAライブラリー構築: cDNAライブラリーは、ジャスモン酸メチルを用いて最大 Taxol 生産まで16時
間誘導されたT.cuspidata 懸濁細胞培養物から単離されるmRNAから製造した。1
.5gのT.cuspidata 細胞からの全RNAの単離は、4Mグアニジンチオシアナート、
25mM EDTA、14mM 2−メルカプトエタノールおよび100mMトリス−HCl、pH7.5
を含有する緩衝液を用いて経験的に開発された。細胞を、ポリトロン(polytron
)(VWR Scientific, Salt Lake City, UT)(設定7で4X15秒バースト)を用い
て氷上で均一化した。そのホモジネートを、2%(v/v)トリトンX−100に調整
し、氷上で15分間放置した後、等量の3M酢酸ナトリウム、pH6.0を加えた。混合
後、その溶液を氷上で更に15分間インキュベート後、4℃において15,000gで30
分間遠心分離した。上澄みを、0.8容量のイソプロパノールと混合し、氷上で5
分間放置した。4℃において15,000gで30分間遠心分離後、得られたペレットを
、1mM EDTAを含有する20mMトリスHCl、pH8.0の8mL中に再溶解させた後、pH7.
0の250mM MOPS緩衝液中2M NaClの2mLの添加によってpH7.0に調整した。この
溶液を核酸単離用カラム(Quiagen, Valencia, California)に製造者の取扱説
明書にしたがって通過させることによって、全RNAを回収した。ポリ(A)+RNAは
、OligotexTMmRNAキットを製造者の取扱説明書(Quiagen, Valencia, Californi
a)にしたがって用いることによって精製した。このように製造されるメッセン
ジャーRNAを用い、λZAPIITM−cDNA合成キットおよびZAP−cDNA gigapackTMIII
金パッケージングキット(Stratagene, La Jolla, California)を製造者の取扱
説明書にしたがって用いて、ライブラリーを構築した。単離されたmRNAを更に用
い、Marathon cDNA増幅キット(Clontech, Palo Alto, CA)を用いて、RACE(Ra
pid Amplification of cDNA Ends)ライブラリーを構築した。
【0081】 E.mRNAの示差表示: mRNAの示差表示は、Delta Differntial Diplay Kit(Clontech, Palo Alto, C
A)を用いて、注記された以外は製造者の取扱説明書にしたがって行った。全RNA
を、上記のように、二つの異なった Taxus cuspidata 懸濁細胞培養物から単離
し、一つは、RNA単離の前にジャスモン酸メチルを用いて16時間誘導されたが、
もう一つは処理されなかった(すなわち、誘導されなかった)。シトクロムP450
特異的前進プライマー(図4)を、ランダムプライマーの代わりに、キット中で
与えられる復帰アンカー−(dT)9N−1N−1プライマー(但し、N−1=A、Gまた
はC)と組み合わせて用いた。Clontech によって設計されたアンカーを、それぞ
れのP450特異的プライマーに加えて、4回目の低ストリンジェンシーPCRサイクル
後のアニーリング温度を増加させたが、これは、バックグラウンドシグナルの有
意の減少をもたらした。それぞれのシトクロムP450特異的プライマーは、それぞ
れのヌクレオチドによって終結する3種類のアンカーオリゴ(dT)プライマーと
一緒に用いた。PCR反応は、RoboCyclerTM96 Temperature Cycler(Stratagene,
La Jolla, CA)を用いて、94℃5分間、40℃5分間、68℃5分間で1サイクル、次に
、94℃30秒間、40℃30秒間、68℃5分間で3サイクル、そして94℃20秒間、60℃30
秒間および68℃2分間で32サイクルを用いて行った。得られたアンプリコンを、6
%変性ポリアクリルアミドゲル(HR−100,Genomyx Corporation, Foster City,
CA)上においてLR DNA Sequencer Electrophoresis System(Genomyx Corpora
tion)を用いて分離した。
【0082】 目的の示差表示バンドを、乾燥したゲルから切り取り、1mM EDTAを含有する1
0mMトリス−HCl緩衝液、pH8.0の100mLを用いて、4℃で一晩インキュベーション
によって溶離した。抽出物の5mLアリコートを用い、最初の増幅と同様のプライ
マーを用いたPCRによってcDNAフラグメントを再増幅させた。反応を、最初に94
℃まで2分間加熱後、94℃1分間、60℃1分間および68℃2分間で30サイクル行った
。最後に、PCR産物のクローニングを容易にするために、それら反応を68℃で7分
間加熱した。アンプリコンを、前と同様のアガロースゲル電気泳動によって分析
した。バンドをゲルから切り取り、DNAをアガロースから抽出した。次に、この
ゲル精製されたcDNAを、T/AクローニングベクターpCR2.1−TOPO(Invitrogen,
Carlsbad, CA)中に移した。
【0083】 DD−RT−PCRに基づくスクリーニングは、約100の明らかに示差的に発現された
バンドを示し、これらを全て配列決定し且つ分析した。これらの内、39は、シト
クロムP450様配列を含有するPCR産物であった。これら39種類のアンプリコンの
ヌクレオチド配列および推定のペプチド配列は、GCGフラグメント組立プログラ
ムおよび配列整列プログラム“Pileup”(Genetics Computer Group, Program M
anual for the Wisconsin Package, Version 9, Genetics Computer Group, 575
Science Drive, Madison, WI,1994)を用いて編集された。クローン化された
配列のこの比較は、21種類の異なったシトクロムP450遺伝子からのC末端フラグ
メントが単離されたことを示した。これらシトクロムP450配列を用いて、cDNAラ
イブラリーをスクリーニングすることによって該当する完全長さクローンを単離
するためのハイブリダイゼーションプローブを製造した。
【0084】 F.cDNAライブラリースクリーニング: 最初に、12種類のプローブ(それぞれ、配列番号:11、10、1、5、4、19、8、
17、13、14、21および6)を、Ready-To-GoTMキット(Amersham Pharmacia Biote
ch, Piscataway, NJ)を製造者の取扱説明書にしたがって用いてランダムに標識
した。T.cuspidata ファージライブラリーのプラークリフトをナイロン膜上で
作成し、二つの放射性標識プローブの混合物を用いてスクリーニングした。ファ
ージDNAを、120℃で3分間の迅速サイクルでオートクレーブ処理することによっ
てナイロン膜に架橋させた。冷却後、それら膜を、2XSSC(クエン酸ナトリウム
緩衝液)中で5分間洗浄した。プレハイブリダイゼーションは、0.5%SDSおよび
5Xデンハート試薬を含有する6XSSC中において65℃で1〜2時間行った。ハイブリ
ダイゼーションは、同様の緩衝液中において65℃で20時間行った。ナイロン膜を
、0.1%SDSを含む2XSSC中において室温でそれぞれ5分間2回、および0.1%SDS
を含む1XSSC中において65℃でそれぞれ1時間2回洗浄した。洗浄後、それら膜を
、Kodak(Rochester, NY)XARTMフィルムに−70℃で17時間暴露した。陽性プラ
ークを、1回の追加のハイブリダイゼーションによって精製した。精製されたλZ
APIIクローンを、pBluescriptIISK(+)ファージミドとして in vivo で切り取
り(Stratagene, La Jolla, CA)、E.coli SOLR細胞中に形質転換させた。それ
ぞれのcDNAインサートのサイズは、T3およびT7プロモータープライマーを用いた
PCRによって決定した。インサート(>1.6kb;50〜60kDaの典型的なシトクロム
P450をコードするのに必要なサイズの)を配列決定し、GCGフラグメント組立プ
ログラム(Genetics Computer Group, Program Manual for the Wisconsin Pack
age, Version 9, Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, WI
,1994)を用いて配列類似性/同一性に基づくグループに分類した。それぞれの
独特の配列を、BLASTかまたはFASTAプログラム(Genetics Computer Group, Pro
gram Manual for the Wisconsin Package, Version 9, Genetics Computer Grou
p, 575 Science Drive, Madison, WI,1994)を用いたデータベース探索におけ
る質問として用いて、植物シトクロムP450配列と有意の相同性を有する配列を決
定した。これらクローンも、“Pileup”および“Gap”プログラム(Genetics Co
mputer Group, Program Manual for the Wisconsin Package, Version 9, Genet
ics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, WI,1994)を用いて核酸お
よびアミノ酸両方のレベルで対ごとに比較した。
【0085】 G.5’−RACEによる完全長さクローンの作成: 最初に調べられた13種類のクローンの内、9種類の完全長さ配列は、該当する
プローブ(それぞれ、クローンF12、F21、F31、F42、F51、F72、F9、F56およびF
10(それぞれ、配列番号:43、44、46、45、47、54、48、49および55))を用い
たT.cuspidata λファージライブラリーのスクリーニングによって得られた。
他の4種類の切断されたクローンF14、F19、F34およびF55(それぞれ、配列番号
:51、50、53および52)の5’配列部分を得るために、5’−RACEを、Marathon c
DNA増幅キット(Clontech, Palo Alto, CA)を製造者の取扱説明書にしたがって
用いて行った。用いられた復帰プライマーは、F14には、5’−TCGGTGATTGTAACGG
AAGAGC−3’(配列番号:69);F19には、5’−CTGGCTTTTCCAACGGAGCAT−GAG−3
’(配列番号:70);F34には、5’−ATTGTTTCTCAGCCCGCGCAGTATG−3’(配列番
号:71);F55には、5’−TCGGTTTCTATGACGGAAGAGATG−3’(配列番号:72)を
用いた。このようにして得られた規定の5’配列および前に得られた3’配列情報
を用いて、これら末端領域に該当するプライマーを設計し、そして各クローンの
完全長さ変形を、ライブラリーcDNAを標的として用いたPfuポリメラーゼ(Strat
agene, La Jolla, CA)を用いる増幅によって得た。これらプライマーも、酵母
発現ベクター中へのクローニングを容易にするのに用いられた制限部位をコード
しているヌクレオチド配列を含有するように設計された。
【0086】 H.酵母におけるシトクロムP450酵素のcDNA発現: 適当な制限部位を、標準的なPCR法(Innis et al., PCR Protocols: A Guide
to Methods and Applications, Academic Press, San Diego, CA,1990)によっ
て、全ての完全長さシトクロムP450クローンのATG出発コドンの直ぐ上流および
停止コドンの下流に導入した。これら修飾されたアンプリコンを、ゲル精製し、
該当する制限酵素を用いて消化した後、発現ベクターpYeDP60中に連結した。ベ
クター/インサート結合を配列決定して、PCR構築によって過誤が導入されてい
ないことを確実にした。証明されたクローンを、酢酸リチウム法(Ito et al.,
J.Bacteriol. 153:163-168,1983)を用いて酵母中に形質転換した。単離された
形質転換細胞を、SGI培地(Pompon et al., Methods Enzymol. 272:51-64,1996
)中で定常期まで増殖させ、そしてYPL培地(Pompon et al., Methods Enzymol.
272:51-64,1996)中で培養される大規模発現培養のための接種材料として用い
た。ガラクトース(10%最終濃度まで)を用いたシトクロムP450発現の誘導から
約24時間後、酵母細胞培養物の一部分を遠心分離によって採取した。培養物の2
分の1を、一酸化炭素を用いて処理し、シトクロムP450CO差スペクトルを、分光
光度分析(Omura and Sato, J.Biol.Chem. 239:2370-2378,1964)によって直接
的に記録した(未反応細胞を対照として用いて)。
【0087】 機能性組換え体シトクロムP450の存在を実証するための、およびコンピテント
酵素の量を推定するためのこの直接的 in situ 法は、E.coli、Pichia pastori
s、昆虫細胞(下記のような)および Spodoptera fugiperda 細胞を含めた他の
発現系にも用いることができる。これまでに得られた13種類の完全長さクローン
の内、8種類は、組換え体シトクロムP450遺伝子産物がこの酵母系で発現され且
つこの in situ 法によって検定される場合、検出可能なCO差スペクトルを示す
【0088】 I.昆虫細胞におけるシトクロムP450酵素のcDNA発現: 上述のように、下記のバキュロウイルス−Spodoptera 系のような昆虫細胞発
現系を用いて、本明細書に記載のオキシゲナーゼを発現することができる。
【0089】 例えば、Taxus cuspidata シトクロムP450クローンF16の機能性識別は、バキ
ュロウイルス−Spodoptera 発現系を用いて行われた。(シトクロムP450遺伝子
の異種発現のためのこの系の使用は、以前に記載されている(Asseffa et al.,
Arch.Biochem.Biophys. 274:481-490,1989; Gonzalez et al., Methods Enzymol
. 206:93-99,1991; および Kraus et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:2071-20
75,1995))。Autographa californica バキュロウイルス発現系を用いた Spodo
ptera fugiperda Sf9細胞中のクローンF16の異種発現には、F16シトクロムP450
読み取り枠(orf)を、F16−pYEDP60構築物を鋳型として用いたPCRによって増幅
させた。PCRには、F16orfをFastBac−1ベクター(Life Technologies)中にサブ
クローン化する目的でBamHIおよびNotI制限部位を含有する二つの遺伝子特異的
プライマーを設計した(前進プライマー5’−gggatccATGGCCCTTAAGCAATTGGAAGTT
TC−3’(配列番号:93);復帰プライマー5’−ggcggccgcTTAAGATCTGGAATAGAGT
TTAATGG−3’(配列番号:94))。そのようにして得られたゲル精製されたPCR
産物を、pCR−Bluntベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)中にサブクローン化
した。誘導される組換え体pCR−Bluntベクターから、サブクローン化されたシト
クロムP450orfを、加えられた制限部位を用いて切除し、得られたDNAフラグメン
トを、BamHI/NotIで消化されたpFastBac1ベクター(Life Technologies, Grand
Island, NY)中に連結した。その配列およびpFastBac1ベクター中へのクローン
F16の正しい挿入は、インサートの配列決定によって確認された。次に、pFastBa
c/F16orf構築物を、Escherichia coli 菌株DH10Bac(Life Technologies)の形
質転換によって組換え体 Bacmid DNAの製造に用いた。組換え体 Bacmid DNAの構
築および Spodoptera frugiperda Sf9細胞のトランスフェクションは、製造者の
プロトコルにしたがって行われた。
【0090】 Spodoptera frugiperda Sf9細胞培養物は、10%FCS(Life Technologies)を
補足した Grace 昆虫細胞培地(Life Technologies)中の付着単層培養物として
かまたは、10%FCSおよび0.1% Pluronic F−68(Sigma, St.Louis, MO)を含
有する Grace 培地中の懸濁培養物として増殖させた。付着細胞培養物は、室中
において28℃で維持した。懸濁培養物は、振とう器中において28℃、140rpmでイ
ンキュベートした。付着細胞培養物は、T25組織培養フラスコ(Nalgene Nuc, Ro
chester, NY)中において、2〜3日ごとに培養物の3分の1〜2分の1を継代しなが
ら増殖させた。異種タンパク質生産には、それら培養物を懸濁液として増殖させ
た。二つの組織培養フラスコからの細胞(80〜90%密集)を、100mlコニカルフ
ラスコ中の50mlの標準懸濁昆虫培地に加え、上のように、約2X106個細胞/mLの
細胞密度に達するまでインキュベートした。それら細胞を、室温において140gで
10分間の遠心分離によって集めた。得られた細胞ペレットを、新鮮な培地を用い
て最初の容量の1/10に再懸濁させた。
【0091】 クローンF16の機能性特性決定には、シトクロムP450クローンF16ORFを有する
組換え体バキュロウイルスを、Taxus NADPH:シトクロムP450レダクターゼ遺伝
子を有する組換え体バキュロウイルスと同時発現させた。昆虫細胞懸濁液に、こ
れら二つの組換え体バキュロウイルスを1〜5の感染多重度で加えた。ウイルス力
価は、End-Point Dilution 法(O'Reilly et al., Baculovirus Expression Vec
tors, A Laboratory Manual, New York, NY,Freeman and Company, 1992)にし
たがって決定した。感染については、細胞を28℃および80rpmで1時間インキュベ
ートした。細胞培養物容量を、標準的な細胞培地を用いて50mLとし、ヘミン(Si
gma)を2μg/mLの最終濃度まで加えた。感染した細胞を、ジャイレートリーシ
ェーカー中において28℃および140rpmで24時間インキュベートした。感染した昆
虫細胞を、上記のような遠心分離によって細胞培地から採取し、PBS(50mM KH2 PO4,pH7.5,0.9%NaCl)を用いて2回洗浄した。そのようにして得られた細胞
ペレットを、5mLのHEPES/DTT Buffer(25mM HEPES,pH7.5,1mM DTT)中に
再懸濁させた。細胞を、穏やかな音波処理(VirSonic, Virtis Company, Gardin
er, NY)によって溶解させ、細胞破片を、4℃において5,000gで10分間の遠心分
離によって除去し、得られた上澄みを酵素検定で用いるために集めた。
【0092】 J.タキソイド基質に対する組換え体シトクロムP450活性の検定: CO差スペクトルによって機能性酵素を発現することが示された完全長さシトク
ロムP450クローン(10種類のクローン)それぞれの単離された形質転換細胞を、
2mL SGI培地中において30℃で定常期まで増殖させ、10mL発現培養物(YPL培地
中)を接種するのに用いた。誘導から約8時間後、細胞を遠心分離(1500rpmで10
分間)によって採取し、そのペレットを2mLの新鮮なYPL培地中に再懸濁させた。
【0093】 in vitro 検定のためのミクロソーム単離に関連した更に別の複雑さおよび不
確定さを無くすために、106dpmの[20−3H3]タキサ−4(5),11(12)−ジエ
ン(16Ci/mol)または[20−3H2]タキサ−4(20),11(12)−ジエン−5α−
オール(4.0Ci/mol)、または他のタキソイド基質を、細胞懸濁液に直接的に
加えて、in vivo 変換を検定した。30℃で撹拌しながら(250rpm)12時間のイン
キュベーション後、混合物を、音波処理浴中で15分間処理し、2mLジエチルエー
テルを用いて3回抽出して、生合成生成物の単離を確実にした。残留基質および1
種類または複数の誘導生成物を含有するこれらエーテル抽出物を、濃縮乾固させ
、200μLのCH3CN中に再懸濁させ、濾過した。これら試料を、ラジオHPLC(Hefne
r et al., Chemistry and Biology 3:479-489,1996)により、Econosil C18,5
μの4.6mm内径X250mmカラム(Alltech, Deerfield, IL)を用い、H2O中0%〜85
%のCH3CN(1mL/分で10分間)、次に100%CH3CNまで40分間にわたる勾配を用い
て分析した。
【0094】 前述の方法は、極性がタキサジエンからタキサジエンヘキサオールのほぼそれ
までのタキソイドを分離することができる。生成物種類の確認には、生成物の揮
発性に依って、ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)または液体クロマ
トグラフィー−質量分析(LC−MS)を用いる。
【0095】 本実施例において、CO差スペクトルによって機能性であると確認された8種類
のクローンの内、4種類は、タキサジエン−5α−オールと一緒にインキュベート
された場合、ヒドロキシル化生成物を現場で示した。
【0096】 K.基質製造 [20−3H3]タキサ−4(5),11(12)−ジエン(16Ci/mol)および[20−3H 2 ]タキサ−4(20),11(12)−ジエン−5α−オール(4.0Ci/mol)の合成は
、他にも記載されている(それぞれ、Hefner et al., Chemistry and Biology 3
:479-489,1996; および Rubenstein et al., J.Org.Chem. 60:7215-7223,1995)
。更に前進したシトクロムP450に媒介される生体変換を監視するのに必要とされ
る他のタキサン基質(タキサジエンのジオール、トリオールおよびテトラオール
)は、放射性標識されたタキサ−4(20),11(12)−ジエン−5α−オールを、
単離されたT.canadensis ミクロソームまたは適当な組換え体シトクロムP450酵
素と一緒にインキュベートし、その生成物を分離用(ラジオ)HPLCによって分離
することによって生じる。タクスシン(Taxusin)(5α,9α,10β,13α−テ
トラアセトキシタキサ−4(20),11(12)−ジエン)は、Taxus 心材から単離
され、標準的なクロマトグラフィー手順(De Case De Marcano et al., Chem.Co
mmun. 1282-1294,1969)によって精製される。脱アセチルおよび[14C]無水酢
酸を用いた再アセチル化後、この標識された基質を用いて、C4〜C20におけるC1
、C2およびC7エポキシ化での酵素によるヒドロキシル化を監視する。同様の源(
De Case De Marcano et al., Chem.Commun. 1282-1294,1969)から単離される2
α−イソブチリルオキシ−5α,7α,10β−トリアセトキシタキサ−4(20),1
1(12)−ジエンは、同様に修飾されて、C9およびC13におけるヒドロキシル化を
監視するための基質を与えることができる。タキサ−4(20),11(12)−ジエ
ン−5α−オールが、初期工程としてC10でヒドロキシル化されるならば、タキサ
ン環の適当な位置全てにおける酵素による酸素化を調べるための代理基質を得る
ことができる。
【0097】 L.NMR分光測定 NMRスペクトルは全て、極めて感受性の5mmパルス磁場勾配1H間接検出プローブ
を用いて18℃で操作する Varian Inova-500NMR分光計で記録した。タキサジエン
ジオール一酢酸を、C6D6中に約300μMの最終濃度まで溶解させた。2D−TOCSYス
ペクトルは、z−フィルターDIPSI混合配列、60msec混合時間、10kHzスピンロッ
ク磁場、16回反復、256(t1)x2048(t2)複合点、および各次元の6500Hzスイー
プ(sweep)を用いて得られた。2D−ROESYスペクトルは、z−フィルター混合配
列を用い、409msec混合時間、4kHzスピンロック磁場、128回反復、256(t1)x20
48(t2)複合点、および各次元の6500Hzスイープを用いて得られた。2D−HSQCス
ペクトルは、256回反復、128(t1)x1024(t2)複合点、およびF2に6500Hzおよ
びF1に15000Hzを用いて得られた。反復の間の時間は、これら実験について1.5
秒間であった。データは、Varian,Inc. VNMRソフトウェア、バージョン6.1Cを
用いて処理した。(t1)の線形予測および両次元のゼロフィリング(zero-filli
ng)後の最終データサイズは、全ての実験について1024(F1)x2048(F2)複合
点であった。
【0098】
【実施例】
1.オキシゲナーゼタンパク質及び核酸配列: 上述のように、本発明はオキシゲナーゼ及びオキシゲナーゼ特異的核酸配列を
提供する。本明細書中のこれらオキシゲナーゼ配列の条件により、オキシゲナー
ゼをコードする核酸配列の同定及び作製のため、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
を、好ましい方法として利用し得る。例えば、オキシゲナーゼ配列のPCR増幅は
、植物cDNAライブラリーからの直接PCR、又は植物細胞から抽出されたRNAを鋳型
として使用する逆転写PCR(RT−PCR)のいずれかにより達成し得る。オキシゲナ
ーゼ配列は、植物ゲノムライブラリー又は植物ゲノムDNAから増幅し得る。直接P
CR及びRT−PCR両方の方法及び条件は当業者には知られており、Innisら「PCRプ
ロトコール:方法及びアプリケーションへの手引き」(PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications、Academic Press: San Diego,1990)に記載され
ている。
【0099】 PCRプライマーは、増幅されるべきcDNA(又は遺伝子)の部分によって選択さ
れる。プライマーは、cDNAの小さなセグメント、オープンリーディングフレーム
、cDNA分子全体、又は遺伝子配列全体を増幅するために選択され得る。異なる長
さのプライマーを適応させるためには、増幅条件の変化が必要となるかもしれな
い;そのような考慮は当業者には周知であり、Innisら「PCRプロトコール:方法
及びアプリケーションへの手引き」(PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications 、Academic Press: San Diego,1990);Sambrookら(編集)「分子
クローニング:実験室マニュアル 第2版 1〜3巻」(Molecular Cloning: A La boratory Manual 2nd ed., vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press,
Cold Spring Harbor, NY, 1989);及びAusubelら(編集)「分子生物学におけ
る最新プロトコール」(Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub
lishing and Wiley-Interscience, New York(定期更新あり), 1987)に論じら
れている。例えば、追加のオキシゲナーゼに対応するcDNA分子は、配列番号:43
の配列中に示されるプライマーのように、完全長クローンの5’及び3’末端の間
の相同領域に向けられたプライマーを使用して増幅し得る。そのような反応のた
めのプライマーの例は: プライマー1:5'-CCI CCI GGI AAI ITI-3' (配列番号81) プライマー2:5'-ICC I(G/C)C ICC (G/A)AA IGG-3' (配列番号82) これらのプライマーは例にすぎない;当業者は、提供される核酸配列から多く
の異なるプライマーを獲得し得ることを評価するであろう。増幅された配列の確
認を容易にするため、そしてオキシゲナーゼ配列間の自然変異に関する情報を提
供するために、これらの増幅手順により得られたPCR生成物の再シークエンスが
推奨される。オキシゲナーゼ配列由来のオリゴヌクレオチドを、そのようなシー
クエンス方法において使用し得る。
【0100】 オキシゲナーゼ配列由来のオリゴヌクレオチドは、本発明の範囲に含まれる。
好ましくは、そのようなオリゴヌクレオチドプライマーは、オキシゲナーゼ配列
の少なくとも10〜20個の連続的ヌクレオチド配列を含む。増幅の特異性を高める
ために、これらの配列の少なくとも15、20、25、30、35、40、45又は50個の連続
的ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドプライマーもまた使用し得る。
【0101】 A.他の植物種中のオキシゲナーゼ: オキシゲナーゼ遺伝子のオルソログは、Taxus属の他の構成員の多くに存在す
る。本明細書中のオキシゲナーゼ核酸配列の条件により、標準的な方法によるオ
キシゲナーゼオルソログをコードするcDNA及び遺伝子のクローニングが今や可能
となる。上述のように、開示されるオキシゲナーゼ遺伝子のオルソログはオキシ
ゲナーゼ生物学的活性を有し、そして通常、NCBI Blast2.0(デフォルトパラ
メータに設定したギャップ有りblastp)を使用し、開示されるオキシゲナーゼ配
列のアミノ酸配列との完全長アラインメントにおいて計算された、少なくとも50
%の配列同一性を保有することで特徴づけられる。参照配列に対してさらに高い
配列同一性を有するタンパク質は、この方法により評価した場合、より高い同一
性パーセンテージ、例えば、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%
、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配
列同一性を示すであろう。
【0102】 従来のハイブリダイゼーション及びPCR増幅手順の両方とも、オキシゲナーゼ
オルソログをコードする配列のクローニングに利用し得る。これら両方の技術の
共通点は、オキシゲナーゼ核酸配列由来のプローブ又はプライマーのハイブリダ
イゼーションである。その上、ハイブリダイゼーションはノーザンブロッティン
グ、サザンブロッティング、又はPCRの関係においても起こり得る。
【0103】 直接PCR増幅は問題の植物種から調製されたcDNA若しくはゲノムライブラリー
を用いて行うことができ、又は、RT−PCRは標準的な方法を使用して植物細胞か
ら抽出されたmRNAを使用して行うことができる。PCRプライマーは、オキシゲナ
ーゼ配列の少なくとも10個の連続的ヌクレオチドを含むであろう。当業者は、オ
キシゲナーゼ核酸配列と増幅されるべき標的核酸の間の配列の違いにより、増幅
効率が低くなり得ることを認識するであろう。これを補うために、増幅サイクル
の間、より長いPCRプライマー又はより低いアニーリング温度を使用し得る。低
いアニーリング温度を使用するときはいつでも、特異性を高めるため、ネスティ
ド(nested)プライマー対を使用する増幅の連続的ラウンドが必要であろう。
【0104】 従来のハイブリダイゼーション技術では、ハイブリダイゼーションプローブは
、例えば放射性標識物のように検出可能な標識物と結合していることが好ましく
、そしてプローブは少なくとも10ヌクレオチドの長さであることが好ましい。当
業者には周知のように、ハイブリダイゼーションプローブの伸長は特異性を高め
る傾向がある。オキシゲナーゼ核酸配列由来の標識されたプローブを植物cDNA又
はゲノムライブラリーとハイブリダイゼーションさせ、そしてハイブリダイゼー
ションシグナルを当業者には知られた方法を使用して検出し得る。ハイブリダイ
ゼーションコロニー又はプラーク(使用されたライブラリーの型に依存する)を
精製し、そしてそのコロニー又はプラークに含有されるクローン化配列を単離し
、そして特徴づける。
【0105】 あるいは、オキシゲナーゼのオルソログは、発現ライブラリーの免疫スクリー
ニングにより獲得し得る。本明細書で開示されるオキシゲナーゼ核酸配列の条件
により、異種発現系(例えば大腸菌)において酵素を発現及び精製し、そしてオ
キシゲナーゼに特異的な抗体(モノクローナル又はポリクローナル)作製に使用
し得る。抗体は、本明細書に提示されるオキシゲナーゼアミノ酸配列由来の合成
ペプチドに対して作製させることもできる。抗体作製方法は当業者には周知であ
り、一般的には、HarlowとLane「抗体、実験室マニュアル」(Antibodies, A La boratory Manual, Cold Springs Harbor, 1988)に記載されている。そのような
抗体は、植物から作製される発現cDNAライブラリーのスクリーニングに使用し得
る。このスクリーニングはオキシゲナーゼオルソログを同定するであろう。選択
されたcDNAは、シークエンス及び酵素活性検定により確認し得る。
【0106】 B.タキソールオキシゲナーゼ変異体: オキシゲナーゼアミノ酸配列(配列番号:56〜68)及び対応するcDNA(配列番
号:43〜55及び81〜86)の条件により、今やこれらの配列の変異体を作製し得る
【0107】 変異体オキシゲナーゼには、開示されるオキシゲナーゼ配列とはアミノ酸配列
が異なるが、オキシゲナーゼの生物学的活性を保持するタンパク質が含まれる。
そのようなタンパク質は、標準的な手順、例えば部位特異的突然変異誘発又はポ
リメラーゼ連鎖反応を使用してオキシゲナーゼをコードする核酸配列を操作する
ことにより作製し得る。最も単純な改変は、1個又はそれ以上のアミノ酸の、類
似した生化学的特性を有するアミノ酸への置換を含む。これらのいわゆる「保存
的置換(conservative substitutions)」は、結果として得られるタンパク質の
活性には最小の影響しか及ぼさないことが多い。表4は、タンパク質中の元のア
ミノ酸を置換し得るアミノ酸であって、保存的置換と見なされる物を示している
【0108】
【表4】 元の残基 同類置換 ala Ser arg Lys asn Gly; his asp Glu cys Ser gln Asn glu Asp gly Pro his Asn; gln ile Leu; val leu ile ; val lys Arg; gln; glu met Leu; ile phe Met; leu; tyr ser Thr thr Ser trp Tyr tyr Trp; pheval ile; leu 酵素の機能又は他の特徴におけるもっと実質的な変化は、表4に示されるより
も保存的でない置換を選択することによって、即ち、(a)置換領域におけるポ
リペプチド骨格の構造、例えばシート若しくはらせんコンホメーション;(b)
標的部位における分子の電荷若しくは疎水性;又は、(c)側鎖の大きさ、の維
持に対する効果において、より重要な違いを示す残基を選択することによって獲
得し得る。一般的に、タンパク質の特性において最も大きな変化をもたらすと期
待される置換は、以下の置換であろう:(a)親水性残基、例えばセリル若しく
はトレオニルを、疎水性残基、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニ
ル、バリ若しくはアラニルで置換する、又はその逆;(b)システイン若しく
はプロリンを他の残基で置換する、又はその逆;(c)正に帯電する側鎖を有す
る残基、例えばリジル、アルギニル若しくはヒスチジルを、負電荷を有する残基
、例えばグルタミン酸若しくはアスパラギン酸で置換する、又はその逆;あるい
は、(d)大きな側鎖を有する残基、例えばフェニルアラニンを、側鎖を持たな
い残基、例えばグリシンで置換する、又はその逆。これらのアミノ酸置換又は欠
失又は付加の効果は、その誘導体タンパク質が一つのタキソール前駆体から他の
タキソール前駆体への変換を触媒する能力を分析することにより、オキシゲナー
ゼ誘導体として評価し得る。
【0109】 変異体オキシゲナーゼのcDNA又は遺伝子は、標準的なDNA突然変異誘発技術、
例えばM13プライマー突然変異誘発により作製し得る。これらの技術の詳細は、S
ambrookら(編集)「分子クローニング:実験室マニュアル 第2版 1〜3巻」( Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd ed., vols. 1-3, Cold Spring H
arbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989, Ch. 15)に提供され
ている。そのような技術の使用により、オキシゲナーゼcDNA又は遺伝子配列とは
若干異なるがオキシゲナーゼの生物学的活性を依然として有するタンパク質をコ
ードするような変異体を作製し得る。DNA分子及びヌクレオチド配列であって、
本明細書に詳細に開示されるDNA分子及びヌクレオチド配列の誘導体であり、そ
して開示されるDNA分子及びヌクレオチド配列とはヌクレオチドの欠失、付加、
又は置換によって異なるが、オキシゲナーゼの生物学的活性を依然として有する
タンパク質をコードしているものは、本発明に含まれる。これらの最も単純な型
においては、そのような変異体は、分子が導入されるべき特定の生物のコドン使
用法の偏りに適合するようにコーディング領域を改変させることにより、開示さ
れる配列とは異なる。
【0110】 あるいは、コーディング領域は、遺伝暗号の縮重を利用して、ヌクレオチド配
列は実質的に改変されているにもかかわらず開示されるオキシゲナーゼアミノ酸
配列と同一又は実質的に同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするよう
にコーディング配列を改変するために、改変し得る。例えば、オキシゲナーゼ(
クローンF12、配列番号:43)の19番目のアミノ酸残基はアラニンである。これ
はオープンリーディングフレーム(ORF)においてヌクレオチド三文字コドンGCT
でコードされる。遺伝暗号の縮重のため、3つの他の三文字コドン−−GCA、GCC
及びGCG−−もまたアラニンをコードする。したがって、ORFのヌクレオチド配列
は、コードされるタンパク質のアミノ酸組成又はそのタンパク質の特徴に影響を
及ぼすことなく、この部位において、これら3つのコドンのいずれにも変更し得
る。遺伝暗号の縮重に基づき、上述のような標準のDNA突然変異誘発技術の使用
又はDNA配列の合成により、本明細書中に開示されるcDNA及び遺伝子配列から変
異体DNA分子を獲得し得る。したがって、本発明は、遺伝暗号の縮重のおかげで
、オキシゲナーゼタンパク質をコードするが開示される核酸配列とは異なる核酸
配列も含む。
【0111】 オキシゲナーゼ変異体は、オキシゲナーゼアミノ酸配列(配列番号:56〜68及
び87〜92)及び核酸配列(配列番号:43〜55及び81〜86)との配列同一性の点か
ら定義することもできる。上述のように、オキシゲナーゼはオキシゲナーゼの生
物学的活性を有し、そして開示されるオキシゲナーゼ配列と少なくとも60%の配
列同一性を共有する。そのようなタンパク質をコードする核酸配列は、遺伝暗号
をオキシゲナーゼのアミノ酸配列へと単純にあてはめることによって容易に決定
することができ、そしてそのような核酸分子は、配列の一部に対応するオリゴヌ
クレオチドを集合させることにより、容易に作製し得る。
【0112】 既に言及したように、オキシゲナーゼ変異体を同定するもう一つの方法は、核
酸ハイブリダイゼーションである。オキシゲナーゼcDNA及び遺伝子配列由来の核
酸分子は、開示されるタキソールオキシゲナーゼ核酸分子又はそのフラグメント
と様々な条件下でハイブリッドを形成する分子を含む。
【0113】 核酸二重らせん又はハイブリッドの安定性は、プローブが標的DNAから解離す
る温度である融解温度で表現される。この融解温度は必要とされる厳密性(stri
ngency)条件の定義に使用される。もしも、ある配列が、同一であるというより
はプローブと関連しており実質的に同一であると同定される場合、最初は、特定
の塩濃度(例えばSSC又はSSPE)で相同なハイブリダイゼーションのみが起こる
最低温度に設定するのが有用である。次に、1%のミスマッチが1℃のTm減少をも
たらすと仮定し、それに応じてハイブリダイゼーション反応における最終洗浄の
温度を低下させる(例えば、プローブと95%以上の同一性を有する配列を探す場
合、最終洗浄の温度を5℃下げる)。実務的には、Tmの変化は、1%のミスマッチ
当たり0.5℃から1.5℃の間であり得る。
【0114】 一般的には、ハイブリダイゼーション条件は、例えば非常に厳密性が高い、厳
密性が高い、及び厳密性が低い、というカテゴリーに分類される。3つの対応す
るカテゴリーにおける約600塩基対又はそれ以上の長さのプローブについての条
件が、以下に提供される。
【0115】 非常に高いストリンジェンシー(90%以上の配列同一性を共有する配列を検 出): ハイブリダイゼーション 5x SSC 65℃ 16時間; 洗浄2回 2x SSC 室温 各15分; 洗浄2回 2x SSC 55℃ 各20分。
【0116】 高いストリンジェンシー(約80%の配列同一性を共有する配列を検出): ハイブリダイゼーション 5x SSC 42℃ 16時間; 洗浄2回 2x SSC 室温 各20分; 洗浄1回 2x SSC 42℃ 各30分。
【0117】 低いストリンジェンシー(70%以上の配列同一性を共有する配列を検出): ハイブリダイゼーション 6x SSC 室温 16時間; 洗浄2回 2x SSC 室温 各20分。
【0118】 ハイブリダイゼーションによって同定されたオキシゲナーゼをコードする配列
は、それぞれのオキシゲナーゼを生産するために、形質転換ベクターに組み込み
、そして宿主細胞に導入し得る。
【0119】 2.オキシゲナーゼの植物への導入: 特定の植物の特徴の決定に関与するタンパク質をコードするcDNA(又は遺伝子
)が単離された後は、標準的な技術を使用して、特定の植物の特徴を改変するた
めトランスジェニック植物中にcDNAを発現し得る。基本的なアプローチは、cDNA
が、植物細胞中でcDNAの発現を指示する制御配列(例えばプロモーター)に機能
可能に連結されるような、cDNAの形質転換ベクターへのクローン化である。形質
転換ベクターを様々な技術(例えば電気穿孔法)のいずれかによって植物細胞中
に導入し、そして導入されたcDNAを含有する子孫植物を選択する。好ましくは、
形質転換ベクターの全て又は一部が植物細胞のゲノム中に安定的に組み込まれる
。植物細胞中に組み込まれ、そして導入されたcDNA及び連結した発現制御のため
の配列(導入された「トランスジーン(transgene)」)を含有する形質転換ベ
クターの部分は、組換え発現カセットと呼ぶことができる。
【0120】 導入されたトランスジーンを含有する子孫植物の選択は、改変された表現型の
検出に基づいて行われる。そのような表現型は、形質転換ベクター中にクローン
化されたcDNAに直接由来するか、又は、形質転換ベクターに組み込まれた優性選
別マーカー遺伝子包含の結果として、化学薬剤(例えば抗生物質)に対する耐性
が高められることで顕在化し得る。
【0121】 クローン化cDNA配列を用いた形質転換による植物の特徴の改変の成功例は、技
術的及び科学的文献に充分に記載されている。この分野の科学技術の知識を説明
するのに役立つ選択された例は、以下の物を含む: 米国特許番号5,571,706号(「植物ウイルス耐性遺伝子及び方法」) 米国特許番号5,677,175号(「植物病原体導入タンパク質」) 米国特許番号5,510,471号(植物の形質転換のためのキメラ遺伝子」) 米国特許番号5,750,386号(「病原体耐性トランスジェニック植物」) 米国特許番号5,597,945号(「遺伝学的に疾病耐性を高めた植物」) 米国特許番号5,589,615号(「改変された2S貯蔵アルブミンの発現により栄養
価の増大されたトランスジェニック植物作製の方法」) 米国特許番号5,750,871号(「アブラナ属における形質転換及び外来遺伝子発
現」) 米国特許番号5,268,526号(「トランスジェニック植物におけるフィトクロム
の過剰発現」) 米国特許番号5,262,316号(「遺伝学的に形質転換したコショウ植物及びその
作製方法」) 米国特許番号5,569,831号(「改変されたポリガラクツロナーゼアイソフォー
ムを持つトランスジェニックトマト植物」) これらの例は、形質転換ベクターの選択、形質転換技術、及び導入されたcDNA
を過剰発現するためにデザインされた構築物の構築についての記載を含む。前述
の参考文献並びに本明細書中におけるオキシゲナーゼアミノ酸配列及び核酸配列
の条件を参照すれば、当業者が、高められたオキシゲナーゼ活性を有する植物を
作製するため、cDNA又はこれら分子の相同型若しくは誘導体型を植物に導入可能
であろうことは明らかである。その上、植物における1種類又はそれ以上のオキ
シゲナーゼの発現は、タキソール及び関連化合物の生産が増大した植物を生じる
可能性がある。
【0122】 A.ベクターの構築、プロモーターの選択: 植物細胞の安定したトランスフェクション又はトランスジェニック植物の確立
に適した多くの組換えベクターが記載されており、それらには以下が含まれる:
WeissbachとWeissbach「植物分子生物学の方法」(Methods for Plant Molecula r Biology, Acdemic Presss, 1989);及びGelvinら「植物及び分子生物学マニ
ュアル」(Plant and Molecular Biology Manual, Kluwer Academic Publishers
, 1990)。通常、植物形質転換ベクターは、5’−及び3’−調節配列の転写制御
下の1個又はそれ以上のクローン化植物遺伝子(又はcDNA)、及び優性選択可能
なマーカーを含む。そのような植物形質転換ベクターは、通常、プロモーター調
節領域(例えば誘導的若しくは構成的、環境的若しくは発生的な調節、又は細胞
若しくは組織特異的発現を制御する調節部位)、転写開始部位、リボソーム結合
部位、RNAプロセシングシグナル、転写終結部位、及び/又はポリアデニル化シ
グナルも含有する。
【0123】 cDNAの発現に有用な構成的植物プロモーターの例は、以下を含む:多くの植物
組織中で構成的な高レベル発現を与えるカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)
35Sプロモーター(例えば、Odelら、Nature 313:810, 1985;Dekeyserら、Plant Cell 2:591, 1990; TeradaとShimamoto、Mol. Gen. Genet. 220:389, 1990; 及
びBenfeyとChua, Science 250:959-966, 1990を見よ);ノパリン(nopaline)
合成酵素プロモーター(Anら、Plant Physiol. 88:547, 1988);及びオクトピ
ン(octopine)合成酵素プロモーター(Frommら、Plant Cell 1:977, 1989)。A grobacterium を介したTaxus属の種の形質転換が行われ、結果として得られるカ
ルス培養物がタキソールを生産することが示されている(Hanら、Plant Science
95:187-196, 1994)。そのため、強力なプロモーター(例えばCaMVプロモータ
ー)の影響下での1種類又はそれ以上の記載されるオキシゲナーゼの組み込みは
、そのような形質転換された細胞におけるタキソール及び関連タキソイドの生産
量を増大させる可能性がある。
【0124】 環境的、ホルモン、化学的、及び/又は発生的シグナルに応答して制御される
様々な植物遺伝子プロモーターを植物細胞中のcDNA発現のために使用することが
でき、それらには以下の諸条件に制御されるプロモーターが含まれる:(a)熱
(Callisら、Plant Physiol. 88:965, 1988; Ainleyら、Plant Mol. Biol. 22:
13-23, 1993; 及びGilmartinら、The Plant Cell 4:839-949, 1992);(b)光
(例えばエンドウrbcS−3Aプロモーター、Kuhlemeierら、 Plant Cell 1:471,19
89, 及びトウモロコシrbcSプロモーター、SchaffnerとSheen、Plant Cell 3:997
, 1991);(c)ホルモン、例えばアブシジン酸(Marcotteら、Plant Cell 1:96
9, 1989);(d)傷(例えばwunI、Siebertzら、Plant Cell 1:961, 1989);及
び(e)化学物質、例えばジャスモン酸メチル(methyl jasmonate)又はサリチ
ル酸(Gatzら、Ann. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biiol. 48:9-108, 1997
も見よ)。
【0125】 あるいは、組織特異的(例えば、根、葉、花、及び種)プロモーター(Carpen
terら、The Plant Cell 4:557-571, 1992; Denisら、Plant Physiol. 101:1295-
1304, 1993; Oppermanら、Science 263:221-223, 1993; Stockhauseら、The Pla nt Cell 9:479-489, 1997; Roshalら、Embo. J. 6:1155, 1987; Schernthanerら
Embo J. 7:1249, 1988; 及びBustosら、Plant Cell 1:839, 1989)を、それぞ
れの器官における特定の発現を獲得するためにコーディング配列に融合し得る。
【0126】 あるいは、天然のオキシゲナーゼ遺伝子プロモーターを利用し得る。本明細書
中のオキシゲナーゼ核酸配列の条件において、当業者は、対応するプロモーター
配列を決定するため、標準的な分子生物学的技術を使用し得ることを評価するで
あろう。当業者はまた、効果的なプロモーター活性を獲得するために、全プロモ
ーター配列よりも短い配列を使用し得ることを評価するであろう。この配列の特
定の領域が効果的なプロモーター活性を与えるかどうかの決定は、選択される配
列領域をオキシゲナーゼcDNAに機能可能に連結し(以下で論じるように、適当な
3’調節領域、例えばNOS3’調節領域に連結する)、オキシゲナーゼが発現され
るかどうか決定することにより、容易に確認し得る。
【0127】 植物形質転換ベクターはまた、RNAプロセシングシグナル、例えば、トランス
ジーン中のORF配列の上流又は下流に位置し得るイントロンも含み得る。その上
、発現ベクターは、mRNA、例えばポテトのPI−II終結領域又はオクトピン若しく
はノパリン合成酵素(NOS)の3’−終結領域のmRNA安定性を高めるために、植物
遺伝子の3’−非翻訳領域、例えば、3’−終結領域から追加の調節配列を含み得
る。天然のオキシゲナーゼ遺伝子3’−調節配列もまた使用し得る。
【0128】 最後に、以上で言及したように、植物形質転換ベクターは、形質転換体の選択
を容易にするために、優性選択可能なマーカー遺伝子も含み得る。そのような遺
伝子には、抗生物質耐性遺伝子(例えば、ハイグロマイシン、カナマイシン、ブ
レオマイシン、G418,ストレプトマイシン、又はスペクチノマイシン)及び除草
剤耐性遺伝子(例えば、ホスフィノトリシン(phosphinothricin)アセチルオキ
シゲナーゼ)をコードする遺伝子が含まれる。
【0129】 B.ベクター中のタキソールオキシゲナーゼ配列のアラインメント: 形質転換ベクター中のオキシゲナーゼ配列の特定の配置は、所望される配列の
発現型に従って選択される。
【0130】 多くの場合、オキシゲナーゼ活性の亢進が所望され、オキシゲナーゼORFは構
成的高レベルプロモーター、例えばCaMV35Sプロモーターに機能可能に連結され
る。上記に言及されるように、オキシゲナーゼ活性の亢進はまた、変異体型のオ
キシゲナーゼcDNA又は遺伝子、例えば、オキシゲナーゼORFの正確なヌクレオチ
ド配列とは異なるがオキシゲナーゼの生物学的活性を保持しているタンパク質を
コードする型を含有する形質転換ベクターを植物中に導入することによっても達
成され得る。
【0131】 C.形質転換及び再生技術: 単子葉植物及び双子葉植物両方の植物細胞の形質転換及び再生は、現在ではル
ーチン化されており、従業者は適当な形質転換技術を決定し得る。方法の選択は
形質転換されるべき植物の型によって様々である;当業者は与えられた植物型に
対する特定の方法の適合性を認識するであろう。適当な方法には以下の方法を含
むことができるが、これらに限定されない:植物原形質体の電気穿孔法;リポソ
ーム媒介形質転換;ポリエチレングリコール(PEG)媒介形質転換;ウイルスを
しようする形質転換;植物細胞の顕微注射(micro-injection);植物細胞の顕
微投射物砲撃(micro-projectile bombardment);真空浸透(vacuum infiltrat
ion);及びAgrobacterium tumefaciens(AT)媒介形質転換。植物の形質転換及
び再生の代表的な手順は、このセクションの冒頭に列挙された特許文書中に記載
されている。
【0132】 D.形質転換された植物の選択: 形質転換ベクターを用いた植物の形質転換及び再生の後、形質転換ベクターに
組み込まれた優性選択可能なマーカーを使用して形質転換された植物を選択し得
る。通常、そのようなマーカーは形質転換された植物の苗に抗生物質耐性を与え
、そして形質転換体の選択は苗を適当な濃度の抗生物質にさらすことにより達成
し得る。
【0133】 形質転換された植物が選択され、そして完全に成長した後、それらは、本明細
書中に記載される方法を使用して、タキソール及び関連化合物の生産レベルを評
価するため検定される。
【0134】 3.異種発現系における組換えタキソールオキシゲナーゼの生産: 様々な酵母株及び酵母由来のベクターが異種タンパク質の発現に一般的に使用
されている。例えば、インビトロジェン(Invitrogen, Carlsbad, California)
から入手されたPichia pastoris発現系を、本発明を実施するために使用し得る
。そのような系は、適当なPichia pastoris株、ベクター、試薬、形質転換体、
シークエンスプライマー、及び培地を含む。入手可能な株は、KM71H(原栄養株
)、SMD1168H(原栄養株)、及びSMD1168(pep4変異株)(インビトロジェン製
品カタログ、1998、インビトロジェン、Carlsbad, CA)を含む。
【0135】 酵母以外の真核生物ベクターを、同等の容易さで、本発明に従って改変された
ヌクレオチドによりコードされるタンパク質の発現に使用し得る。転写、翻訳、
及び翻訳後修飾を実行可能な遺伝子及び細胞の制御要素を含有する哺乳類のベク
ター/宿主細胞系は、当業者には周知である。そのような系の例は、よく知られ
たバキュロウイルス系、遺伝子発現を制御させるためにDrosophila melanogaste r 由来の調節要素を使用するエクジソン誘導性発現系、及び様々な哺乳類細胞系
において高レベル発現をさせるシンドビスウイルス発現系であり、これらはすべ
てインビトロジェン(Carlsbad, California)から入手可能である。
【0136】 1種類又はそれ以上のオキシゲナーゼをコードするクローン化された発現ベク
ターは、クローン化されたヌクレオチド発現のため、様々な細胞型のいずれの中
へも形質転換し得る。改変された核酸分子の発現のため、多くの異なる型の細胞
を使用し得る。例には、形質転換された細胞及び形質転換されていない細胞を含
む酵母、菌、昆虫、哺乳類及び植物の細胞が含まれる。例えば、使用され得る一
般的な哺乳類細胞には、HeLa細胞、SW−527細胞(ATCC寄託#7940)、WISH細胞
(ATCC寄託#CCL−25)、Daudi細胞(ATCC寄託#CCL−213)、Mandin−Darbyウ
シ腎臓細胞(ATCC寄託#CCL−22)及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞
(ATCC寄託#CRL−2092)が含まれる。一般的な酵母細胞には、Pichia pastoris (ATCC寄託#201178)及びSaccharomyces cerevisiae(ATCC寄託#46024)が含
まれる。昆虫細胞には、Drosophila melanogaser(ATCC寄託#CRL−10191)、ワ
タタバコガ(cotton bollworm)(ATCC寄託#CRL−9281)、及びTrichoplusia n i 卵細胞ホモ鞭毛(homoflagellates)由来の細胞が含まれる。使用し得る魚類細
胞には、ニジマス(ATCC寄託#CLL−55)、サケ(ATCC寄託#CRL−1681)、及び
ゼブラダニオ(ATCC寄託#CRL−2147)由来の細胞が含まれる。使用し得る両生
類細胞には、ウシガエル、Rana catesbelana(ATCC寄託#CLL−41)の細胞が含
まれる。使用し得る爬虫類細胞には、ラッセルクサリヘビ(ATCC寄託#CCL−140
)由来の細胞が含まれる。使用し得る植物細胞には、Chlamydomonas細胞(ATCC
寄託#30485)、Arabidopsis細胞(ATCC寄託#54069)、及びトマト植物細胞(A
TCC寄託#54003)が含まれる。これらの細胞型の多くは一般的に使用されており
、ATCC並びに商業的供給業者、例えばファルマシア(Pharmacia, Uppsala, Swed
en)及びインビトロジェンから入手可能である。
【0137】 発現されたタンパク質は、細胞内に蓄積されるか、又は細胞から分泌され得る
。そのように発現されたタンパク質を、次に回収し精製する。このタンパク質は
活性及び安定性について特徴づけられ、そして本発明に従う様々な方法のいずれ
を実施するのにも使用し得る。
【0138】 4.オキシゲナーゼ特異的結合剤の作製: 本発明のオキシゲナーゼ酵素に対する抗体及びそのフラグメントは、この酵素
の精製に有用である。オキシゲナーゼ配列の条件により、これらの酵素に対する
、特異的な抗体を材料とする結合剤の作製が可能となる。
【0139】 オキシゲナーゼ、オキシゲナーゼの部分、又はそれらの変異体に対するモノク
ローナル又はポリクローナル抗体を作製し得る。これらの抗原上のエピトープに
対して作製された抗体が、酵素を特異的に検出することが最善である。即ち、あ
るオキシゲナーゼに対して作製された抗体は、このオキシゲナーゼを認識して結
合するが、他のタンパク質を認識又は結合することは実質的にない。ある抗体が
ある抗原に特異的に結合することの決定は、多くの標準的な免疫検定法のいずれ
か1つ;例えば、ウエスタンブロッティング(Sambrookら(編集)「分子クロー
ニング:実験室マニュアル 第2版 1〜3巻」(Molecular Cloning: A Laborato ry Manual 2nd ed., vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold
Spring Harbor, NY, 1989))によって行われる。
【0140】 ある与えられた抗体調製物(例えば、配列番号:56に対してマウス中で作製さ
れた調製物)がオキシゲナーゼを特異的に検出するかどうかウエスタンブロッテ
ィングで決定するためには、全細胞タンパク質を細胞から抽出し、そしてSDS−
ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動する。タンパク質をウエスタンブロッティ
ングによりメンブレン(例えばニトロセルロース)へと転移し、そして抗体調製
物をメンブレンと共にインキュベートする。このメンブレンを洗浄して非特異的
に結合した抗体を除去した後、特異的に結合した抗体の存在を、酵素、例えばア
ルカリホスファターゼと結合させた抗マウス抗体を使用して検出する;5−ブロ
モ−4−クロロ−3−インドリルリン酸/ニトロブルーテトラゾリウムの適用の結
果、免疫局在化したアルカリホスファターゼにより濃厚な青色化合物が生成され
る。
【0141】 あるオキシゲナーゼを特異的に検出する抗体は、この技術により、実質的にこ
のオキシゲナーゼのバンド(ゲル上に、オキシゲナーゼの分子量によって決定さ
れる位置に位置する)のみに結合することが示されるであろう。他のタンパク質
に対して抗体の非特異的結合が起こり、ウエスタンブロット上で弱いシグナルと
して検出される(自動化ラジオグラフィーにより定量できる)こともあり得る。
この結合の非特異的性質は、ウエスタンブロット上で得られる、特異的な抗オキ
シゲナーゼ抗体から生ずる強力な主たるシグナルと比較して弱いシグナルにより
、当業者に認識されるであろう。
【0142】 本発明に従うオキシゲナーゼに特異的に結合する抗体は、本明細書中で「特異
的結合剤」と呼ばれる分子の一種に属する。本発明のオキシゲナーゼに特異的に
結合し得る特異的結合剤には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及び
モノクローナル抗体のフラグメント、例えばFab、F(ab’)2及びFvフラグメン
ト、並びにこのタンパク質上の1個又はそれ以上のエピトープに特異的に結合し
得る他の全ての物が含まれる。
【0143】 免疫原としての使用に適する実質的に純粋なオキシゲナーゼは、トランスフェ
クトされた細胞、形質転換された細胞、又は野生型細胞から単離し得る。最終調
製物中のタンパク質濃度は、例えば、アミコン濾過装置(Amicon filter device
)で濃縮することにより、1ミリリットル当たり数マイクログラムのレベルに調
節する。あるいは、オキシゲナーゼのペプチドフラグメントを免疫原として利用
し得る。そのようなフラグメントは、標準的な方法を使用して化学的に合成する
か、又は丸ごとのオキシゲナーゼ酵素を切断した後所望のペプチドフラグメント
を精製することにより得られる。アミノ酸3個又は4個の長さの短いペプチドは、
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、例えばMHCクラスI又はMHCクラスIIと関
係して免疫系に提示されると、免疫原性である。したがって、開示されるオキシ
ゲナーゼアミノ酸配列の、少なくとも3個、そして好ましくは少なくとも4、5、6
個又はそれ以上の連続的なアミノ酸を含むペプチドを、抗体作製のための免疫原
として使用し得る。
【0144】 天然で生じるタンパク質上のエピトープは、ペプチド配列を直線状分子として
見たときにペプチド中で隣接して配置していないアミノ酸残基を含むことが多い
ため、抗体作製のためには、オキシゲナーゼアミノ酸配列由来のより長いペプチ
ドフラグメントを利用するのが有利となり得る。したがって、例えば、アミノ酸
配列の、少なくとも10、15、20、25、又は30個の連続的なアミノ酸残基を含むペ
プチドを使用し得る。完全なオキシゲナーゼ又はそのペプチドフラグメントに対
するモノクローナル又はポリクローナル抗体は、以下に記載されるように製造し
得る。
【0145】 A.ハイブリドーマ融合によるモノクローナル抗体の作製 本明細書中に記載されるように同定され単離されたオキシゲナーゼ酵素の様々
なエピトープのいずれかに対するモノクローナル抗体は、マウスのハイブリドー
マから、KoshlerとMilstein(Nature 256:495, 1975)の古典的な方法又はその
派生的方法に従って製造し得る。簡単に説明すると、数週間の期間にわたって、
選択されたタンパク質の数マイクログラムを、繰り返しマウスに接種する。この
マウスを屠殺し、そして脾臓の抗体産生細胞を単離する。この脾臓細胞を、ポリ
エチレングリコールを使ってマウス骨髄腫細胞と融合し、そして過剰の融合して
いない細胞を、アミノプテリンを含む選択培地(HAT培地)上の系での増殖によ
って死滅させる。成功裡に融合された細胞を希釈し、そして希釈物の分割量をマ
イクロタイタープレートのウェルの中に配置し、そこで培養物の増殖を続ける。
抗体を産生するクローンは、免疫検定手順、例えばEngvall(Enzymol. 70: 419,
1980)によって最初に記載されたELISA(酵素結合イムノソルベント検定法)、
又はその派生的方法によるウェルの上清液中の抗体の検出によって同定する。選
択された抗体産生クローンを拡張培養し、そしてそれらのモノクローナル抗体生
産物を採取して使用し得る。モノクローナル抗体作製のための詳細な手順は、Ha
rlowとLane「抗体、実験室マニュアル」(Antibodies, A Laboratory Manual, C
old Spring Harbor Laboratory, New York, 1988)に記載されている。
【0146】 B.免疫感作によるポリクローナル抗体の作製: 1つのタンパク質の不均一なエピトープに対する抗体を含有するポリクローナ
ル抗血清は、発現されたタンパク質(免疫原性を高めるために非改変又は改変が
可能)を適当な動物を免疫することにより製造し得る。効果的なポリクローナル
抗体の作製は、抗原及び宿主の種の両方に関係した多くの要素により影響を受け
る。例えば、小さな分子は他の分子よりも免疫原性が低い傾向にあり、担体及び
アジュバントの使用を必要とし得る。また、宿主動物は、接種部位及び投与量に
よって応答が異なり、抗原投与量が不充分又は過剰のどちらの場合も力価の低い
抗血清を生じる。少ない投与量(ngレベル)の抗原を、複数の皮内部位に投与す
ることが最も確実なようである。ウサギへの効果的な免疫感作プロトコールは、
Vaitukaitisら、J. Clin. Endocrinol. Metab. 33:988-991, 1971中に見出すこ
とができる。
【0147】 ブースター注射を定期的な間隔で行い、半定量的に、例えば寒天培地中での濃
度既知の抗原に対する二重免疫拡散法で決定された、抗血清中の抗体の力価が低
下し始めたら抗血清を採取し得る。例えば、Ouchterlonyら、in Wier(編)「実
験的免疫学ハンドブック 第19章」(Handbook of Experimental Immunology, C
hapter 19, Blackwell, 1973)を見よ。プラトーに達した抗体の濃度は通常0.1
〜0.2mg/ml抗血清(約12μM)の範囲にある。抗原に対する抗血清の親和性は
、従来の方法を使用する競合結合曲線を作成することにより決定される。
【0148】 C.cDNAの注射により作製された抗体: 酵素を発現するDNAベクターの皮下注射により、実験動物、例えばマウス中で
、本発明のオキシゲナーゼに対して抗体を作製し得る。動物中への組換えベクタ
ーの送達は、「ビオリスティック(Biolistic)」系(Sanfordら、Particulate Sci. Technol. 5:27-37, 1987、Tangら、Nature (London) 356:153-154, 1992に
よる記載)のハンドヘルド(hand-held)型を使用して達成し得る。この目的に
適した発現ベクターは、ヒトβ−アクチンプロモーター又はサイトメガロウイル
ス(CMV)プロモーターのいずれかの転写制御下で、酵素のcDNAを発現するベク
ターを含む。動物の体内でのDNA発現を生じる、ある種の裸のDNAを動物に投与す
る方法は周知であり、例えば、米国特許番号5,620,896号(「ロタウイルス感染
に対するDNAワクチン」);5,643,578号(「DNA転写ユニットの接種による免疫
感作」);及び5,593,972号(「遺伝学による免疫感作」)、並びにそれらの中
で引用された参考文献中に記載されている。
【0149】 D.抗体フラグメント: 抗体フラグメントは、丸ごとの抗体の代わりに使用することができ、そして原
生生物宿主細胞中で容易に発現し得る。モノクローナル抗体の免疫学的に効果的
な部分、「抗体フラグメント」とも呼ばれる部分の作製及び使用方法は周知であ
り、BetterとHorowitz、Methods Enzymol. 178:476-496, 1989;Glockshuberら
Biochemistry 29:1362-1367, 1990;及び米国特許番号5,648,237号(「機能的
な抗体フラグメントの発現」);4,946,778号(「一本鎖ポリペプチドに結合す
る分子」); 5,455,030号(「一本鎖ポリペプチドに結合する分子を使用する免
疫療法」)、並びにそれらの中で引用された参考文献中に記載される物を含む。
【0150】 5.in vivoでのタキソール生産: 組換えベクター及びベクターを発現するトランスジェニック生物の作製は、オ
キシゲナーゼの生産を制御するのに重要である。これらのベクターは、オキシゲ
ナーゼの生産を減少させるため、又は、オキシゲナーゼの生産を増大させるため
に使用し得る。オキシゲナーゼ生産の減少は、オキシゲナーゼをコードする核酸
配列を標的とするアンチセンス配列又は触媒作用を持つ核酸配列の包含により生
じ得るであろう。反対に、オキシゲナーゼの生産の増大は、ベクター中に少なく
とも1個の追加のオキシゲナーゼをコードする配列を含むことにより達成し得る
。これらのベクターを宿主細胞に導入することにより、オキシゲナーゼの生産を
改変し得る。生産が増大された場合、結果として得られるオキシゲナーゼは、タ
キソール、他のタキソイド、タキソール生合成経路の中間体、及び他の生成物の
生産増大のために、in vitro系及びin vivoで使用し得る。
【0151】 タキソール及び関連タキソイドのin vivoでの生産の増大は、宿主細胞、例え
Taxus属由来の宿主細胞を、1種類又はそれ以上のオキシゲナーゼをコードする
1個又はそれ以上の核酸配列を含有するベクターを用いて形質転換することによ
って達成し得る。その上、異種又は同種のオキシゲナーゼ配列を、構成的プロモ
ーター又は誘導的プロモーターの制御下に置くことができる。これにより、オキ
シゲナーゼの発現及び/又は活性レベルにより惹き起こされるタキソール生産に
対する律速効果が排除されるため、オキシゲナーゼ生産の増大がもたらされる。
【0152】 6.in vitroでのタキソール生産: 現在、タキソールはHezariとCroteau、Planta Medica 63:291-295, 1997中に
記載される半合成方法により生産される。この方法は、タキソール生合成経路の
中間体である10−デアセチル−バッカチンIII又はバッカチンIIIの抽出、そして
次のin vitro技術の使用によるタキソール生産の完了を含む。タキソール生合成
経路においてより多くの酵素が同定されるにつれ、タキソールを完全にin vitro
で合成すること、又は、少なくともin vitroで行えるステップの数を増やすこと
が可能になるかもしれない。そのため、本発明のオキシゲナーゼは、合成又は半
合成方法においてタキソール及び関連タキソイドの生産を容易にするために使用
し得る。したがって、本発明は、タキソールを増大したレベルで生産するトラン
スジェニック生物のみならず、重要な中間体、例えば10−デアセチル−バッカチ
ンIII及びバッカチンIIIを増大したレベルで生産するトランスジェニック生物の
作製を可能にする。
【0153】 7.タキソイドオキシゲナーゼ活性の評価において使用する代替基質: タキサン(タキサジエン)核からタキソールへの過程の酸素添加反応の順番は
正確には知られていない。しかしながら、数百の天然に生じるタキサン類の構造
の比較に基づき(Kingstonら、「タキサンジテルペノイド」(The Taxane Diter penoids )、in Herzら(編)、「有機天然物化学の進歩」(Progress in the Ch emistry of Organic Natural Products, Springer-Verlag, New York, Vol. 61,
p. 206, 1993);及びBalogluら、J. Nat. Prod. 62:1448-72, 1999)、各位置
における酸素置換を伴うタキソイドの相対的な多量さから(Flossら、「タキソ
ールの生合成」(Biosynthesis of Taxol)、in Suffness(編)、「タキソール
:科学と応用」(Taxol: Science and Applications, CRC Press, Boca Raton,
FL, pp. 191-208, 1995))、C5(炭素番号は図に示される)及びC10の酸素が最
初に導入され、次にC2及びC9(どちらの順番もあり得る)、次にC13の酸素が導
入される、と演繹し得る。タキサン核のC7及びC1における酸素付加は非常に遅い
導入であり、オキセタン環形成後に起こるかもしれないと考えられる;しかしな
がら、(C4/20における)エポキシ化及びオキセタン形成は、C9水酸基からカル
ボニル基への酸化に先立つに違いないようである(Flossら、「タキソールの生
合成」(Biosynthesis of Taxol)、in Suffness(編)、「タキソール:科学と
応用」(Taxol: Science and Applications, CRC Press, Boca Raton, FL, pp.
191-208, 1995))。Taxusミクロソームを用いた無細胞酵素研究(Hezariら、Pl anta Medica 63:291-295, 1997)、及びTaxus細胞を用いたin vivoの栄養補給研
究(Eisenreichら、J. Am. Chem. Soc. 120:9694-9695, 1998)から得られた証
拠は、タキサン核の酸素付加反応はチトクロームP450オキシゲナーゼにより行わ
れることを示唆していた。したがって、例えば、チトクロームP450により媒介さ
れるタキサジエンからタキサジエン−5α−オールへの水酸化(二重結合原子移
動を伴う)が、Taxusミクロソームで示された(Hefnerら、Chem. Biol. 3:479-4
89, 1996)。ごく最近、タキサジエン−5α−オール(及び酢酸エステル)は、
ミクロソームP450により触媒される酸素付加を受け、ペンタノール(即ち、タキ
サジエン−2α、5α、9α、10β、13α−ペンタノール)のレベルまで酸素付加
されることが示された(Hezariら、Planta Medica 63:291-295, 1997)。
【0154】 下流のステップがまだ定義されていないため、表2に要約される上記に参照し
た研究は、代理基質の使用による反応の追跡(タイミング及び後続のタキソイド
水酸化の位置化学(位置))を含むものであった。したがって、標識された(+
)−タキスシン(タキサジエン−5,9,10,13−テトラオールの四酢酸エステル
)は、タキソールのオキセタンD−環形成過程のC1、C2及びC7における水酸化、
並びにC4/C20におけるエポキシ化を評価するために利用された。
【0155】 チトクロームP450により媒介される反応に最適化されたTaxus cuspidata由来
のミクロソーム調製物は、タキスシンをエポキシトリオール(即ち、C1、C2及び
C7における水酸化並びにタキサジエン−5、9、10、13−テトラオール四酢酸エス
テルのC4/C20二重結合のエポキシ化)のレベルまで変換する。そのため、様々
な位置について正確な順番はまだ確固として確立されていないにもかかわらず、
タキソールへの過程にあるタキサン核構造上のすべての関連する位置について、
ミクロソームP450の反応が試験的に行われてきた。
【0156】 酵母中で機能的に発現された(CO差スペクトルにより確認)クローンのスクリ
ーニング(タキサジエノール及び酢酸タキサジエニルを試験基質として使用)に
より、クローンF14がチトクロームP450タキサン−10β−水酸化酵素をコードす
ることが示された。バキュロウイルスSpodopteraを使用し機能的に発現されたク
ローン(特に酵母中ではよく発現しないクローンについて)の同様のスクリーニ
ングにより、クローンF16がチトクロームP450タキサン−9α−水酸化酵素をコー
ドすることも明らかになった。
【0157】 タキソールへの過程のタキサン核を機能化する残りの位置特異的(位置的に特
異的な)オキシゲナーゼは、必要であれば適当なハイブリダイゼーションプロー
ブ又はRACE方法を用いたライブラリースクリーニングによって、追加の完全長ク
ローンを同定することにより獲得し得る。各クローンは必要であれば酵母又はSp odoptera 中で機能的に発現(即ち、適当なフォールディング及びヘム取り込みを
示すCO差スペクトルを示す)し得る。発現されたチトクロームP450の各クローン
は、以下に記載される様々なタキソイド基質を用い、生成物を同定するためGC−
MS及びNMR方法を使用するin vivo(in situ)及びin vitro(単離されたミクロ
ソーム)検定により触媒能力について試験し、そして、それによりタキサン核の
水酸化の位置化学を確立し得る。追加の検定において使用に適当な基質は、以下
の表5に提供される。
【0158】
【表5】
【0159】
【0160】 これらの天然及び代理基質を、確立された発現方法及び生物分析的プロトコー
ルと共に使用することにより、タキソール経路のすべての位置特異的チトクロー
ムP450タキソイドオキシゲナーゼが、関連するチトクロームP450の現存のセット
から獲得されることが期待される。
【0161】 複数の実施態様及び実施例において本発明の本質を説明し記載してきたが、本
発明は、そのような原理から逸脱することなく取合わせ及び詳細を改変し得るこ
とは、当業者には明らかであろう。我々は、以下の請求項の精神及びその範囲内
で生じるすべての改変を特許請求する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、タキサジエンシンターゼによるゲラニルゲラニル二リン
酸のタキサジエンへの環化(A)、タキサジエン5α−ヒドロキシラーゼによる親
オレフィンのタキサジエン−5α−オールへのヒドロキシル化および転位(B)、
タキサジエノール−O−アセチルトランスフェラーゼによるアセチル化(C)、お
よびタキサン−10β−ヒドロキシラーゼによるタキサジエン−5α−アセトキシ
−10β−オールへのヒドロキシル化(D)を説明する Taxol 生合成経路の初期工
程の概略を示す。破線矢印は、まだ不明のいくつかの工程を示す。
【図2】 図2は、天然に存在するタキソイドの相対存在量に基づくペンタ
オールのレベルまでのタキサ−4(5),11(12)−ジエンのヒドロキシル化につ
いて考えられる配列順序を示す。これら反応は、シトクロムP450オキシゲナーゼ
によって触媒される。
【図3】 図3は、4(20)−エン−5α−アセトキシ官能基分類による Taxo
l のオキセタン環の構築に可能な機構を示す。シトクロムP450に触媒される4(2
0)−二重結合のエポキシ化、次の分子内酢酸移動およびオキシラン開環は、オ
キセタン部分を与えうると考えられる。
【図4】 図4は、mRNA逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応の示差表示(DD−RT
−PCR)に用いられたp450特異的前進プライマーを示す。プロリン、フェニルア
ラニン、グリシン(PFG)モチーフをコードする可能なヌクレオチド配列全てを
包含するのに、8種類の非縮重プライマーが必要であった。アンカーは、Clontec
h により、キットの成分として設計された。
【図5】 図5A〜5Dは、単離されるオキシゲナーゼの完全長さアミノ酸配列
間の関係を示す。図5Aは、若干の公表された関連植物シトクロムP450と、T.cus
pidata からクローン化されたものとの間のペプチド配列関係を示す系統樹であ
る。公表された配列について、それぞれの名称の最初の4文字が属および種の略
語であり、CYPはシトクロムP450の略語であり、次の二つの数字はP450のファミ
リーを示し、そして追加の文字および数字はいずれも、サブファミリーを意味す
る。T.cuspidata からクローン化された配列は、“f”の後の数字によって示さ
れる。属および種の略語は、次の通りである。Lius−Linum usitatissimum;Paa
r−Parthenium argentatum;Caro−Catharanthus roseus;Some−Solanum melon
gena;Arth−Arabidopsis thaliana;Hetu−Helianthus tuberosus;Ziel−Zinn
ia elegans;Poki−Populus kitamkensis;Glma−Glycine max;Phau−Phaseolu
s aureus;Glec−Glycyrrhiza echinata;Mesa−Medicago sativa;Pisa−Pisum
sativum;Pecr−Petroselinum crispum;Zema−Zea mays;Nita−Nicotiana ta
bacum;Eugr−Eustoma grandiflorum;Getr−Gentiana triflora;Peam−Persea
americana;Mepi−Mentha piperita;Thar−Thlaspi arvense;Best−Berberis
stolonifera;Soly−Solanum lycopersicum;Sobi−Sorghum bicolor;Potr−P
opulus tremuloides;Soch−Solanum chacoense;Nera−Nepeta racemosa;Came
−Campanula medium;Pehy−Petunia hybrida。図5Bは、若干の Taxus シトクロ
ムP450クローンの対ごとの比較を示す。図5Cは、開示されたタンパク質の完全長
さペプチド間の関係を示す系統樹である。この系統樹は、Clustral Method を用
いて作られた。系統樹の基準として用いられた配列同一性データは、DNAStarTM
製のレーザージーン(Version 99)パッケージの Sequence Distance function
of the Megalign プログラムを用いて作られた。図5Dは、類似性/同一性の表で
ある。この配列同一性データは、図5Cに示される系統樹を作るのに用いられたも
のと同様のプログラムを用いて得られ、類似性データは、GCGTMの Olddistance
function(GCG10バージョン)を用いて得られた。
【図6】 図6A〜6Eは、Taxus cuspidata P450遺伝子を発現する酵母形質転
換細胞による[20−3H2]タキサ−4(20),11(12)−ジエン−5α−オールの
一層極性の生成物への変換を示す逆相HPLCラジオトレースおよび質量スペクトル
結果を示す。図6Aは、基準物質[20−3H2]タキサ−4(20),11(12)−ジエン
−5α−オールのHPLCラジオトレースを示す。図6Bおよび6Cは、クローンF12(配
列番号:43)およびF9(配列番号:48)それぞれを用いて形質転換された酵母と
一緒のインキュベーション後に得られる基準物質[20−3H2]タキサ−4(20),
11(12)−ジエン−5α−オール(26.3分)および一層極性の生成物(約15分の
保持時間)のHPLCラジオトレースを示す。図6Dおよび6Eは、クローンF12およびF
9それぞれを発現する酵母形質転換細胞と一緒のタキサジエン−5α−オールのイ
ンキュベーション中に形成される生成物(それぞれ、15.76分および15.32分)
の質量スペクトルを示す。シトクロムP450クローンF14(配列番号:51)およびF
51(配列番号:47)は、ジオール生成物を生じる場合、同様に挙動した。
【図7】 図7は、ベンゼン−d6中のタキサジエンジオール一酢酸の500MHz
プロトンNMRスペクトルを示す。
【図8】 図8は、未知のタキサジエンジオール一酢酸の二次元1H detected
heteronuclear single quantum coherence(HSQC)NMRスペクトルを示す。
【図9】 図9Aおよび9Bは、ジオール一酢酸の二次元1H−1H homonuclear r
otating frame NMRを示す。図9Aは、全相関スペクトル(TOSCY)であり、図9Bは
、rotating frame n.O.e.(ROESY)である。
【図10】 図10A〜10Eは、直接的に検出されるF2軸に沿って得られるTOSC
Yスペクトルの一部分を示す。
【図11】 図11A〜11Eは、直接的に検出されるF2軸に沿って得られるROES
Yスペクトルの一部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/19 4H045 1/19 1/21 1/21 9/02 5/10 C12P 17/02 9/02 19/44 C12P 17/02 C12R 1:91 19/44 C12N 15/00 ZNAA //(C12N 9/02 5/00 A C12R 1:91) (C12P 17/02 C12R 1:91) (C12P 19/44 C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ジェネウェイン,ステファン アメリカ合衆国ワシントン州99163,プル マン,ノース・イースト・ヴァリー・ロー ド 1835 Fターム(参考) 2B030 CA15 CA17 CA19 4B024 AA01 BA08 CA04 DA02 DA05 DA06 DA12 EA04 FA02 GA11 HA03 HA20 4B050 CC03 CC04 DD09 LL05 4B064 AE44 AF41 CA19 CA21 CB12 CC24 CD08 DA05 4B065 AA01X AA57X AA72X AA88Y AA90X AB01 BA02 CA28 CA44 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA30 DA75 DA89 EA28 FA72 FA74

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:22〜42、56〜86および87〜92から成る群より選択
    されるアミノ酸配列を含む、精製タンパク質。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のタンパク質を結合する特異的結合剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のタンパク質をコードしている単離された核
    酸分子。
  4. 【請求項4】 配列番号:1〜21、81〜86および43〜55から成る群より選択
    される配列を更に含む、請求項3に記載の単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の核酸配列に機能的に連結したプロモーター
    配列を含む、組換え体核酸分子。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の組換え体核酸分子を用いて形質転換された
    細胞。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の組換え体核酸分子を含み、植物、細菌、昆
    虫、真菌および哺乳動物から成る群より選択される、トランスジェニック生物。
  8. 【請求項8】 (a)配列番号:1〜21、43〜55および81〜86から成る群より
    選択される配列およびそれらのフラグメントを含むプローブと、低ストリンジェ
    ンシー条件下においてハイブリダイズし;かつ (b)オキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする、 単離された核酸分子。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の核酸分子によってコードされるオキシゲナ
    ーゼ。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の核酸配列に機能的に連結したプロモータ
    ー配列を含む組換え体核酸分子。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の組換え体核酸分子を用いて形質転換され
    た細胞。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載の組換え体核酸分子を含み、植物、細菌、
    昆虫、真菌および哺乳動物から成る群より選択される、トランスジェニック生物
  13. 【請求項13】 請求項8に記載のオキシゲナーゼに結合する特異的結合剤
  14. 【請求項14】 (a)配列番号:1〜21、56〜68および81〜86から成る群よ
    り選択される核酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有し;かつ (b)オキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする、 単離された核酸分子。
  15. 【請求項15】 以下を含む、核酸配列を単離する方法: (a)配列番号:1〜21、56〜68および81〜86から成る群より選択される配列の
    少なくとも10個連続したヌクレオチドに該核酸配列をハイブリダイズさせ;そし
    て (b)オキシゲナーゼをコードするものとして該核酸配列を識別する。
  16. 【請求項16】 核酸配列をハイブリダイズさせることを、低ストリンジェ
    ンシー条件下で行う請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 請求項15に記載の方法によって識別された核酸配列。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載の核酸配列によってコードされる精製オキ
    シゲナーゼ。
  19. 【請求項19】 請求項18に記載のオキシゲナーゼを結合する特異的結合剤
  20. 【請求項20】 工程(a)がPCR反応中に達せられる、請求項15に記載の方
    法。
  21. 【請求項21】 工程(a)がライブラリースクリーニング中に達せられる
    、請求項15に記載の方法。
  22. 【請求項22】 単離された核酸配列がタクサス(Taxus)属から単離され
    た、請求項15に記載の方法。
  23. 【請求項23】 以下から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む、オキ
    シゲナーゼ活性を有する精製タンパク質: (a)配列番号:56〜68および87〜92から成る群より選択されるアミノ酸配列
    ; (b)1個またはそれ以上の保存的アミノ酸置換により、(a)に規定されるア
    ミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列;および (c)(a)または(b)に規定される配列と少なくとも70%配列同一性を有す
    るアミノ酸配列。
  24. 【請求項24】 請求項23に記載のタンパク質をコードしている単離された
    核酸分子。
  25. 【請求項25】 配列番号:43〜55および81〜86から成る群より選択される
    配列を更に含む、請求項24に記載の単離された核酸分子。
  26. 【請求項26】 請求項24に記載の核酸配列に機能的に連結したプロモータ
    ー配列を含む組換え体核酸分子。
  27. 【請求項27】 請求項26に記載の組換え体核酸分子を用いて形質転換され
    た細胞。
  28. 【請求項28】 以下を含む、タキソール(Taxol)生合成経路における第
    二中間体を合成する方法: (a)請求項18に記載の少なくとも一つのオキシゲナーゼと第一中間体を接触
    させ;そして (b)該オキシゲナーゼが少なくとも1個の酸素原子基を該第一中間体に転移さ
    せるが、このとき、該少なくとも1個の酸素原子基の転移が、Taxol 生合成経路
    における第二中間体を生じるものである。
  29. 【請求項29】 オキシゲナーゼが、導入されたオキシゲナーゼ遺伝子によ
    ってトランスジェニック生物中で産生され、工程(b)が in vivo で達せられる
    、請求項28に記載の方法。
  30. 【請求項30】 以下を含む、酸素原子をタキソイドに転移させる方法: (a)請求項18に記載の少なくとも一つのオキシゲナーゼとタキソイドを接触
    させ;そして (b)オキシゲナーゼが酸素原子をタキソイドに転移させる。
  31. 【請求項31】 オキシゲナーゼが、導入されたオキシゲナーゼ遺伝子によ
    ってトランスジェニック生物中で産生され、タキソイドの合成が in vivo で達
    せられる請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 少なくとも1個のパクリタキセル分子を生じる、請求項30
    に記載の方法。
  33. 【請求項33】 タキソイドが、パクリタキセルのアシル化変異体またはグ
    リコシル化変異体である、請求項30に記載の方法。
  34. 【請求項34】 パクリタキセルの変異体が、セファロマンニン、キシロシ
    ルパクリタキセル、10−デアクチルパクリタキセルまたはパクリタキセルCから
    成る群より選択される、請求項33に記載の方法。
  35. 【請求項35】 タキソイドがバッカチンIIIである、請求項30に記載の方
    法。
  36. 【請求項36】 タキソイドが、バッカチンIIIのアシル化変異体またはグ
    リコシル化変異体である、請求項30に記載の方法。
  37. 【請求項37】 バッカチンIIIの変異体が、7−キシロシルバッカチンIII
    または2−デベンゾイルバッカチンIIIから成る群より選択される、請求項36に記
    載の方法。
  38. 【請求項38】 タキソイドが10−デアセチルバッカチンIIIである、請求
    項30に記載の方法。
  39. 【請求項39】 タキソイドが、10−デアセチルバッカチンIIIのアシル化
    変異体またはグリコシル化変異体である、請求項30に記載の方法。
  40. 【請求項40】 バッカチンIIIの変異体が、7−キシロシル10−バッカチン
    IIIまたは2−デベンゾイル10−バッカチンIIIから成る群より選択される、請求
    項39に記載の方法。
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