JP2003512013A - 組換えオレアンドライドポリケチドシンターゼ - Google Patents

組換えオレアンドライドポリケチドシンターゼ

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JP2003512013A
JP2003512013A JP2000579721A JP2000579721A JP2003512013A JP 2003512013 A JP2003512013 A JP 2003512013A JP 2000579721 A JP2000579721 A JP 2000579721A JP 2000579721 A JP2000579721 A JP 2000579721A JP 2003512013 A JP2003512013 A JP 2003512013A
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oleandride
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メアリー シー. ベトラック,
サンジェイ クリシュナカント シャー,
ロバート マクダニエル,
リー タング,
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コーサン バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
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    • C12P19/44Preparation of O-glycosides, e.g. glucosides
    • C12P19/60Preparation of O-glycosides, e.g. glucosides having an oxygen of the saccharide radical directly bound to a non-saccharide heterocyclic ring or a condensed ring system containing a non-saccharide heterocyclic ring, e.g. coumermycin, novobiocin
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 オレアンドライドポリケチドシンターゼのすべてまたは一部をコードする組換えDNA化合物を使用して、オレアンドライド、オレアンドライド誘導体、ならびに抗生物質およびモチライドとして有用なポリケチドの生成のために、宿主細胞において組換えポリケチドシンターゼ遺伝子を発現させる。1つの実施形態では、本発明の単離された組換えDNA化合物は、オレアンドライドポリケチドシンターゼ(PKS)のローディングモジュールまたは拡張モジュール1〜4のいずれか1つのドメインについてのコード配列を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、組換えDNA技術によってポリケチド(polyketide)を
生成するための、組換え方法および材料を提供する。本発明は、農学技術、家畜
学技術、化学技術、医化学技術、医学技術、分子生物学技術、薬理学技術、およ
び獣医学技術の分野に関する。
【0002】 (発明の背景) ポリケチドは、一連の縮合および引き続く改変を通して2−炭素ユニット(2
−carbon unit)から合成される、多様な化合物の大きなファミリー
を表す。ポリケチドは、多くの型の生物(真菌および菌糸体細菌、特に放線菌類
、を含む)において生じる。広範な種々のポリケチド構造が存在し、そしてポリ
ケチドのクラスは多様な活性を有する多数の化合物を包含する。エリスロマイシ
ン、FK506、FK520、ナルボマイシン、オレアンドマイシン、ピクロマ
イシン(picromycin)、ラパマイシン、スピノシン(spinocy
n)、およびタイロシンは、このような化合物の例である。従来の化学的方法論
によってポリケチド化合物を生成する際の困難性、および野生型細胞におけるポ
リケチドの代表的な低生産性を考慮して、ポリケチド化合物を生成するための改
善された手段または代替的手段を見出すことにかなりの関心が寄せられてきた。
PCT公開番号WO93/13663;WO95/08548;WO96/40
968;WO97/02358;およびWO98/27203;米国特許第4,
874,748号;同第5,063,155号;同第5,098,837号;同
第5,149,639号;同第5,672,491号;および同第5,712,
146号;Fuら、1994、Biochemistry 33:9321−9
326;McDanielら、1993、Science 262:1546−
1550;ならびにRohr、1995、Angew.Chem.Int.Ed
.Engl.34(8):881−888(これらの各々は、本明細書中で参考
として援用される)を参照のこと。
【0003】 ポリケチドは、天然では、ポリケチドシンターゼ(PKS)酵素によって合成
される。複数の大きなタンパク質の複合体であるこれらの酵素は、脂肪酸の生合
成において2−炭素ユニットの縮合を触媒するシンターゼと類似する。PKS酵
素の2つの主要な型が公知である;これらは、それらの組成において、および合
成の様式において異なる。これらの2つの主要なPKS酵素の型を、一般に、I
型または「モジュール型」PKS酵素、およびII型「反復(iterativ
e)」PKS酵素という。
【0004】 モジュール型PKSは、エリスロマイシン、メチマイシン、ナルボマイシン、
オレアンドマイシン、ピクロマイシン、およびタイロシンを含む、多数の12、
14、および16員のマクロライド系抗生物質の生成を担う。14員のポリケチ
ドについてのモジュール型PKS酵素は、しばしば3つ以上のオープンリーディ
ングフレーム(ORF)からなるPKS遺伝子によりコードされる。モジュール
型PKSの各ORFは、ケトシンターゼ活性の1、2、またはそれより多い「モ
ジュール」を含み得、その各モジュールは、少なくとも2つ(ローディングモジ
ュールの場合)そしてより代表的には3つ(最も単純な拡張モジュール(ext
ender module)について)またはそれより多い酵素活性、すなわち
「ドメイン」からなる。これらの大きな多機能性酵素(300,000kDaを
超える)は、アシルチオエステル間の脱炭酸縮合、続く種々のβ−炭素プロセシ
ング活性のサイクルを含む、複数の段階の経路を通して、ポリケチドマクロラク
トンの生合成を触媒する(O’Hagan、D.The polyketide
metabolites;E.Horwood:New York、1991
(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
【0005】 過去5年程の間に、モジュール型PKSの機能および特異性の研究は、6−デ
オキシエリスロノライド(deoxyerythronolide)B(6−d
EB)シンターゼ(DEBS)遺伝子を伴って開発された、プラスミドに基づく
Streptomyces coelicolor発現系によって大きく促進さ
れている(Kaoら、1994、Science 265:509−512、M
cDanielら、1993、Science 262:1546−1557、
ならびに米国特許第5,672,491号、および同第5,712,146号(
これらの各々は、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。DEB
Sについてのこのプラスミドに基づく遺伝子系に対する利点は、天然のDEBS
宿主生物(Saccharopolyspora erythraea)を操作
するための飽き飽きして限られた技術を克服し、組換えPKSのより容易な構築
を可能にし、そして「清澄な」宿主バックグラウンドを提供することによって、
PKS分析の複雑性を低減させることである。この系はまた、Streptom
ycesにおいて第1のコンビナトリアルモジュール型ポリケチドライブラリー
の構築を促進した(PCT公開番号WO98/49315(本明細書中で参考と
して援用される)を参照のこと)。
【0006】 PKSの遺伝子操作による、ポリケチド生合成の局面(例えば、単量体選択、
およびβ−炭素プロセシングの程度)を制御する能力は、新規の抗生物質のコン
ビナトリアル操作において大いなる関心を刺激した(Hutchinson、1
998、Curr.Opin.Microbiol.1:319−329;Ca
rrerasおよびSanti、1998、Curr.Opin.Biotec
h.9:403−411;ならびに米国特許第5,712,146号および同第
5,672,491号(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される)
を参照のこと)。この関心は、PKS酵素をコードする遺伝子の組換えDNA技
術によるクローニング、分析、および操作をもたらした。得られた技術は、天然
において生じるか、またはさもなければポリケチドを生成しない宿主において生
じるよりも高いレベルでのPKSによって合成されるポリケチドを生成するいず
れかのために、既知のPKS遺伝子クラスターを操作することを可能にする。こ
の技術はまた、既知のPKS遺伝子クラスターから生成されるポリケチドと構造
的に関連するが異なる分子を生成することを可能にする。
【0007】 オレアンドマイシンは、Streptomyces antibioticu
sにおいてモジュール型PKSにより生成される抗菌性ポリケチドである(米国
特許第2,757,123号(本明細書中で参考として援用される)に記載され
る)。オレアンドマイシンは、以下に示される構造を有する(従来の番号付けス
キームおよび立体化学的表示を伴う)。
【0008】
【化1】 特定の他のマクロライド抗生物質の場合、PKSのマクロライド生成物である8
,8a−デオキシオレアンドライド(deoxyoleandolide)(本
明細書中では、単純に、オレアンドライド(oleandolide)とも言及
する(しかし、他の状況でオレアンドライドは、エポキシ化アグリコンを言及す
る))は、エポキシ化(C−8およびC−8aにて)およびグリコシル化(オレ
アンドロースでC−3にて、およびデソサミンでC−5にて)によりさらに改変
されて、オレアンドマイシンを生成する。
【0009】 「Characterisation of a Streptomyces
antibioticus gene encoding a type I
polyketide synthase which has an un
usual coding sequence」(Mol.Gen.Genet
.242:358−362)と表題付けられたSwanら、1994の参考文献
(本明細書中で参考として援用される)は、オレアンドライドPKSの、モジュ
ール5および6をコードすると仮定されるORFBと命名された遺伝子のコード
領域、ならびにモジュール4のACPドメインを含むと仮定されるORFAと命
名された遺伝子のフラグメントのDNA配列を記載する。「Two glyco
syltransferases and a glycosidase ar
e involved in oleandomycin modificat
ion during its biosynthesis by Strep
romyces antibioticus」(Mol.Microbiol.
28(6):1177−1185)と表題付けられたQuirosら、1998
の参考文献(本明細書中で参考として援用される)は、その生合成の間のオレア
ンドマイシン改変に関与する遺伝子および遺伝子産物を記載する。詳細には、こ
の参考文献は、オレアンドマイシンをプロデューサー細胞に対して非毒性にする
ことに関与するグリコシルトランスフェラーゼ、およびグリコシル化形態が細胞
から排出された後に、オレアンドマイシンを再活性化させるグリコシダーゼを記
載する。Olanoら、1998年8月「Analysis of a Str
eptomyces antibioticus chromosomal r
egion involved in oleandomycin biosy
nthesis,which encodest two glycosylt
ransferase responsible for glycosyla
tion of the macrolactone ring」Mol.Ge
n.Genet.259(3)299−308、およびPCT特許公開番号99
/05283(本明細書中で参考として援用される)もまた参照のこと。多数の
半合成的オレアンドマイシン誘導体が記載されているが(米国特許第4,085
,119号;同第4,090,017号;同第4,125,705号;同第4,
133,950号;同第4,140,848号;同第4,166,901号;同
第4,336,368号;および同第5,268,462号(本明細書中で参考
として援用される)を参照のこと)、このような誘導体の数および多様性は、P
KS遺伝子を操作する不可能性に起因して、制限されている。
【0010】 オレアンドライドPKSの迅速な操作を可能にする遺伝的な系は、薬学的適用
、農学的適用、および獣医学的適用のための新規の化合物を作製するために有益
である。このような化合物の生成は、Streptomyces coelic
olorおよびS.lividansならびに他の宿主細胞におけるオレアンド
ライドPKSの異種発現が可能であった場合に、達成され得る。本発明は、これ
らおよび他の必要性を満たす。
【0011】 (発明の要旨) 本発明は、組換え宿主細胞においてオレアンドライドPKSから全体または一
部が誘導されたPKS酵素を発現させるための組換え方法および材料を提供する
。本発明はまた、このようなPKS酵素によって生成されるポリケチドを提供す
る。本発明は、究極的にはStreptomyces antibioticu
sにおいてオレアンドライドの生成を生じる、完全なPKSを構築するタンパク
質についての遺伝子のすべてを、組換え形態で提供する。オレアンドライドはさ
らに、オレアンドマイシンを形成するためにグリコシル化およびエポキシ化され
る。従って、1つの実施形態において、本発明は、オレアンドライドPKS遺伝
子によってコードされる少なくとも1つのドメイン、モジュール、またはタンパ
ク質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を含む組換え材料に関する。本
発明の1つの好ましい実施形態では、本発明のDNA化合物は、8,8a−デオ
キシオレアンドライドシンターゼのローディングモジュールおよび拡張モジュー
ル1〜4のドメインのうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ以上についてのコ
ード配列を含む。
【0012】 1つの実施形態において、本発明は、1つ以上のオレアンドライドPKS遺伝
子の発現を駆動するように位置付けられた異種プロモーターを含む、組換えベク
ターを提供する。好ましい実施形態において、プロモーターは、別のPKS遺伝
子由来である。関連した実施形態において、本発明は、オレアンドライドを生成
するベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。好ましい実施形態において、宿
主細胞は、Streptomyces lividansまたはS.coeli
colorである。
【0013】 別の実施形態において、本発明は、オレアンドライドPKSのすべてまたは一
部、および第2のPKSの少なくとも一部を含むハイブリッドPKSの発現を駆
動するように位置付けられたプロモーターを含む、組換えベクターを提供する。
関連した実施形態において、本発明は、ハイブリッドPKSおよびその対応する
ポリケチドを生成するベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。好ましい実施
形態において、宿主細胞は、Streptomyces lividansまた
はS.coelicolorである。
【0014】 関連する実施形態において、本発明は、ポリケチドのライブラリーを生成する
ための組換え材料を提供し、ここで、このライブラリーのポリケチドメンバーは
、本発明のハイブリッドPKS酵素によって合成される。生じたポリケチドは、
さらに改変され、それらを代表的にはヒドロキシル化および/またはグリコシル
化を経て、他の有用な化合物(例えば、抗生物質)へ変換し得る。抗生物質の調
製の際の有用な中間体である、本発明により提供される改変されたマクロライド
は、特に有益である。
【0015】 別の関連する実施形態において、本発明は、改変されたPKSをコードする核
酸を調製するための方法を提供し、この方法は、オレアンドライドPKSコード
配列を骨格として使用する工程、および変異誘発、不活性化、欠失、挿入、また
は置換のいずれかによって酵素活性をコードするヌクレオチド配列の部分を改変
する工程を包含する。このように改変されたオレアンドライドPKSコードヌク
レオチド配列は、次いで適切な宿主細胞において発現され得、そしてこの細胞を
使用して、オレアンドライドPKSによって生成されるポリケチドと異なるポリ
ケチドを生成し得る。さらに、オレアンドライドPKSコード配列の部分は、他
のPKSコード配列内に挿入され、その産物を改変し得る。
【0016】 別の関連する実施形態において、本発明は、多重した細胞コロニー、コロニー
のライブラリーを構築することに関し、ここで、ライブラリーの各コロニーは、
オレアンドライドPKSから全体または一部が誘導されたモジュール型PKSの
生成のための発現ベクターを含む。従って、モジュール型PKSの少なくとも一
部は、オレアンドライドを生成するPKSに見出されるモジュール型PKSと同
一であり、そしてそのようにして同定される。この誘導された部分は、合成的に
調製され得るか、またはオレアンドライドを生成する生物体由来のDNAから直
接的に調製され得る。さらに、本発明は、生じたポリケチドおよび抗生物質ライ
ブラリーをスクリーニングする方法を提供する。
【0017】 本発明はまた、新規なポリケチド、モチライド、抗生物質、およびそれらから
誘導される他の有用な化合物を提供する。本発明の化合物はまた、別の化合物の
製造に使用され得る。好ましい実施形態において、本発明の化合物は、動物また
はヒトへの投与のために、混合物または溶液における抗生物質として処方される
【0018】 本発明のこれらおよび他の実施形態は、以下の説明、実施例、および以下に示
される特許請求の範囲においてより詳細に記載される。
【0019】 (発明の詳細な説明) 本発明は、組換え宿主細胞においてポリケチドを生成するために有用な、化合
物および方法を提供する。本明細書中で使用される場合、用語、組換え体とは、
ヒトの介入によって生成された、化合物または組成物をいう。本発明は、オレア
ンドライドPKSの全てまたは一部をコードする、組換えDNA化合物を提供す
る。本発明は、組換え宿主細胞においてオレアンドライドPKSを生成する際、
およびオレアンドライドPKSの一部から構成されるハイブリッドPKSを生成
する際に有用な、組換え発現ベクターを提供する。本発明は、組換えPKSによ
り生成されるポリケチド、ならびに化学的プロセスおよび/またはポリケチド改
変酵素を用いた処理によってポリケチドから誘導されるものを提供する。
【0020】 本発明の多くのそして多様な、利点および適用を理解するために、以下の本発
明の説明は、以下のように構成される。第一節において、本発明によって提供さ
れる組換えオレアンドライドPKSを記載する。第II節において、本発明によ
って提供される、オレアンドライドPKSおよびオレアンドライド改変酵素の異
種発現のための方法を記載する。第III節において、本発明によって提供され
るハイブリッドPKS遺伝子、およびそれによって生成されるポリケチドを記載
する。第VI節において、本発明によって提供されるポリケチド化合物、および
それらの化合物の薬学的組成物を記載する。この詳細な説明に続いて、本発明を
例示する種々の実施例を提供する。
【0021】 オレアンドライドシンターゼ遺伝子は、他のPKS遺伝子と同様に、1つのロ
ーディングモジュール、多くの拡張モジュール、および1つのチオエステラーゼ
ドメインで組織化された、コード配列から構成される。以下により十分に記載さ
れるように、これらのドメインおよびモジュールの各々は、1つ以上の特定の機
能を有するポリペプチドである。一般的に、そのローディングモジュールは、そ
のポリケチドを合成するために使用される第一の基礎単位(building
block)を結合し、そしてそれを第一の拡張モジュールへ転移させることを
担う。複合体ポリケチドを形成するために使用される基礎単位は、代表的にはア
シルチオエステル、最も一般的には、アセチルCoA、プロピオニルCoA、マ
ロニルCoA、2−ヒドロキシマロニルCoA、2−メチルマロニルCoA、お
よび2−エチルマロニルCoAである。他の基礎単位としては、アミノ酸様アシ
ルチオエステルが挙げられる。PKSは、このアシルチオエステル基礎単位間の
、反復される脱炭酸クライゼン縮合を経る、ポリケチドの生合成を触媒する。各
モジュールは、基礎単位を結合し、1つ以上の機能を実施し、そして生じた化合
物を次のモジュールへ転移させることを担う。この次のモジュールは、順番に、
合成が完了するまで、その次の基礎単位を結合し、そして伸長した化合物をその
次のモジュールに転移させることを担う。この完了時点で、酵素的チオエステラ
ーゼ活性は、このPKSからこのポリケチドを切断する。。
【0022】 このようなモジュール型組織化は、複合体ポリケチドを合成するPKS酵素の
クラスの特徴であり、そして当該分野で周知である。6−デオキシエリスロノラ
イドB(6−dEB)として公知のポリケチドは、この型の複合体ポリケチドの
古典的な例である。eryAI、eryAII、およびeryAIIIとして公
知の遺伝子(また本明細書中では、6−dEBシンターゼを含むタンパク質(D
EBS1、DEBS2、およびDEBS3として公知)についてのDEBS遺伝
子とも呼ばれる)は、6−dEBを合成するDEBSとして公知の複数サブユニ
ットタンパク質をコードし、これらは、米国特許第5,824,513号(本明
細書中で参考として援用される)に記載される。モジュール型PKS遺伝子を操
作する組換え方法は、米国特許第5,672,491号;同第5,843,71
8号;同第5,830,750号;および同第5,712,146号;ならびに
PCT公開番号98/49315および同97/02358号(これらの各々は
本明細書中で参考として援用される)に記載される。
【0023】 DEBSのローディングモジュールは、2つのドメイン(アシルトランスフェ
ラーゼ(AT)ドメインおよびアシルキャリアタンパク質(ACP)ドメイン)
からなる。DEBSの各拡張モジュールは、他のモジュール型PKS酵素の拡張
モジュールと同様に、ケトシンターゼ(KS)ドメイン、ATドメイン、および
ACPドメイン、ならびに伸長中のポリケチド鎖のβ炭素を改変する酵素活性に
ついての0個、1個、2個、または3個のドメインを含む。モジュールは、他の
酵素活性(例えば、メチルトランスフェラーゼ活性)についてのドメインもまた
含み得る。最後に、放出ドメインは、チオエステラーゼ、およびしばしばシクラ
ーゼ活性を含む。
【0024】 このローディングモジュールのATドメインは、特定のアシルCoA(DEB
Sについて、これは、通常はプロピオニル、しかし時々ブチリルまたはアセチル
)を認識し、そしてこのアシルCoAをチオールエステルとしてこのローディン
グモジュールのACPに転移させる。同時に、各拡張モジュール上のATは、特
定の拡張CoA(マロニルまたはα−置換型マロニル(すなわち、メチルマロニ
ル、エチルマロニル、および2−ヒドロキシマロニル))を認識し、そしてこの
拡張CoAをそのモジュールのACPに転移させてチオエステルを形成する。一
旦このPKSが、アシルACPおよびマロニルACPによって開始されると、こ
のローディングモジュールのアシル基が転位して、第一の拡張モジュールのKS
にてチオールエステルを形成する(トランスエステル化);この段階で、拡張モ
ジュール1は、アシルKSおよびマロニル(または置換型マロニル)ACPを有
する。次いで、このローディングモジュールから誘導されたアシル基は、このマ
ロニル基のα炭素に共有結合して炭素−炭素結合を形成し、同時に脱炭酸によっ
て駆動され、そしてこのローディングユニットより2炭素長い骨格を有する新し
いアシルACPを生成する(伸長または拡張)。この伸長中のポリケチド鎖は、
このACPから次のモジュールのKSに転移され、そしてこのプロセスが続く。
【0025】 各モジュールで2炭素分伸長する、このポリケチド鎖は、組立てライン様プロ
セスで、共有結合チオールエステルとして、モジュールからモジュールへ連続的
に通過される。このプロセス単独によって生成された炭素鎖は、他の全ての炭素
原子にてケトンを保有して、ポリケトンを生成する。これからポリケチドという
名前が生まれた。しかし、最も一般的には、さらなる酵素活性は、各2つの炭素
単位のβケト基が伸長中のポリケチド鎖に付加された直後であるが次のモジュー
ルに転移される前に、このβケト基を改変する。従って、炭素−炭素結合を形成
するために必要な、KSドメイン、ATドメイン、およびACPドメインを含有
する最小のモジュールに加えて、モジュールは、このケト基をアルコールに還元
するケトレダクターゼ(ketodreductase)(KR)を含有し得る
。モジュールはまた、KR、およびそのアルコールを脱水して二重結合にするデ
ヒドラターゼ(DH)を含み得る。モジュールはまた、KR、DH、およびβ炭
素をメチレン官能基として使用してその二重結合を飽和単結合へと変換する、エ
ノイルレダクターゼ(ER)を含み得る。上記のように、モジュールは、さらな
る酵素活性も同様に含み得る。
【0026】 一旦ポリケチド鎖がPKSの最後の拡張モジュールを横切ると、このポリケチ
ド鎖は、ほとんどのPKSのカルボキシル末端で見出される、放出ドメインまた
はチオエステラーゼに遭遇する。ここで、このポリケチドは、この酵素から切断
され、そして環化される。この生じたポリケチドは、テイラーイング(tail
oring)酵素またはポリケチド改変酵素によってさらに改変され得;これら
の酵素は、糖質基またはメチル基を付加するか、あるいは他の改変(すなわち、
酸化または還元)をこのポリケチドコア分子上で行う。
【0027】 上記の記載は、一般にモジュール型PKS酵素に適用されるが、天然に、多く
の変異が存在する。例えば、いくつかのポリケチド(例えば、エポチロン(ep
othilone))は、アミノ酸から誘導される基礎単位を組込む。このよう
なポリケチドについてのPKS酵素は、アミノ酸リガーゼまたは非リボソームペ
プチドシンテターゼ(NRPS)として機能する活性を含む。変異の別の例は、
DEBSに見出される2ドメインのローディングモジュール構築物よりもしばし
ば実際に見出され、これは、このPKSのローディングモジュールがATおよび
ACPから構成されず、代わりに不活性化KS、AT、およびACPを利用する
場合に生じる。この不活性化KSは、ほとんどの例においてKSQと呼ばれ、こ
こで、この上付き文字は、活性に必要な活性部位システインの代わりに存在する
、アミノ酸(グルタミン)の略語である。例えば、このオレアンドライドPKS
ローディングモジュールは、KSQを含む。変異のなお別の例は、メチルトラン
スフェラーゼ活性を含むモジュールの文脈で上記にて言及され;モジュールはま
た、エピメラーゼ活性を含み得る。PKSの成分が、本発明によって提供される
オレアンドライドPKS、ならびに種々の組換えPKSおよびハイブリッドPK
Sに特に関して、以下にさらに記載される。
【0028】 (第I節:オレアンドライドPKS) オレアンドライドPKSは、以下の手順により単離され、そしてクローン化さ
れた。ゲノムDNAが、Streptomyces antibioticus
のオレアンドマイシン産生株(ATCC 11891)から単離され、制限酵素
を用いて部分消化され、そして市販のコスミドベクター中にクローン化されて、
ゲノムライブラリーが作製された。次いで、このライブラリーがE.coli中
に導入され、そしてオレアンドライドPKSの拡張モジュール5および6をコー
ドするKSドメインの配列に相補的なプライマーを使用して、S.antibi
oticus DNAから作製されたDNAフラグメントを用いて探索された。
このプローブにハイブリダイズしたいくつかのコロニーがプールされ、再プレー
ティングされ、そして再度探索して、コスミドのセットの同定を得た。これらの
後のコスミドを単離し、そして市販のE.coli株中に形質転換された。プラ
スミドDNAが単離され、そしてDNA配列分析および制限酵素消化により分析
された。これにより、所望のDNAが単離されたこと、およびPKS遺伝子クラ
スター全体が、同定されたコスミドのうちの2つにおいて重複したセグメント中
に含まれることが、明らかになった。
【0029】 これらのコスミド、およびこのコスミドから調製されたサブクローンのさらな
る分析により、種々のオレアンドライドPKS遺伝子およびORF、ならびにこ
れらのORFによりコードされるPKSタンパク質中のモジュールおよびドメイ
ンの、位置の同定が容易になった。これらの遺伝子およびモジュールの位置は、
図1および図2に示される。図1は、完全なオレアンドライドPKS遺伝子クラ
スターが、コスミドpKOS055−1(インサートサイズ約43kb)および
pKOS055−5(インサートサイズ約47kb)のインサートDNA中に含
まれることを示す。これらのコスミドの各々は、ブダペスト条約の条項に従って
、アメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託された(コスミドpKOS0
55−1は、受託番号ATCC 203798のもとで利用可能である;コスミ
ドpKOS055−5は、受託番号ATCC 203799のもとで利用可能で
ある)。本発明の種々のさらなる試薬が、これらのコスミドから単離され得る。
DNA配列分析もまた、本明細書中に記載されるように、本発明の種々のサブク
ローンに対して実施された。
【0030】 当業者は、遺伝コードの縮重性質に起因して、ヌクレオチド配列が異なる種々
のDNA化合物が、本発明の所定のアミノ酸配列をコードするように使用され得
ることを、理解する。Streptomyces antibioticusの
オレアンドライドPKSをコードするネイティブのDNA配列は、本発明の好ま
しい実施形態を例示するためにのみ、本明細書中に示され、そして本発明は、本
発明のポリペプチドおよびタンパク質のアミノ酸配列をコードする、いずれの配
列のDNA化合物をも包含する。同様な様式で、ポリペプチドは代表的に、その
アミノ酸配列中に1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、および挿入を、所望の活性
の損失または有意な損失を伴わずに、許容し得る。本発明は、代替的アミノ酸配
列を有するこのようなポリペプチド、および本発明の好ましい実施形態を例示す
るためにのみ本明細書中に示されたDNA配列によりコードされるアミノ酸配列
を、包含する。
【0031】 本発明の組換え核酸、タンパク質、およびペプチドは多く、そして多様である
。本発明、ならびに本発明により提供される多様な化合物および方法の理解を容
易にするために、オレアンドライドPKSの種々の領域の以下の説明、ならびに
対応するコード配列が、提供される。本発明の記載を容易にするために、本明細
書中で、PKS、タンパク質、モジュール、またはドメインという言及はまた、
そのコード配列を含むDNA化合物をいい得、その逆もまた然りである。また、
他に示されない限り、異種PKSという言及は、Streptomyces a
ntibioticus以外の生物由来のそのコード配列を含む、PKSまたは
DNA化合物をいう。さらに、PKSまたはそのコード配列という言及は、その
任意の部分の言及を含む。
【0032】 従って、本発明は、単離された形態(すなわち、純粋ではないが、天然におい
て見出されないアバンダンスおよび/または濃度で調製物中に存在する)および
精製された形態(すなわち、混入物質が実質的にないか、または対応するDNA
と共に天然に見出される物質が実質的にない)のDNA分子を提供する。これら
のDNA分子は、オレアンドライドPKS遺伝子クラスターの1つ以上のORF
の1つ以上のモジュールの1つ以上のドメイン(またはこのようなドメインのフ
ラグメント)をコードする、1つ以上の配列を含む。このようなドメインの例は
、オレアンドマイシンPKS遺伝子の3つのORFによりコードされる、6つの
拡張モジュールおよびローディングモジュールのうちの少なくとも1つの、KS
ドメイン、ATドメイン、DHドメイン、KRドメイン、ERドメイン、ACP
ドメイン、およびTEドメインを含む。
【0033】 1つの実施形態において、このDNA分子は、Swanら(前出)に記載され
るORFB以外のORFを含むか、またはこのORFBに加えてORFを含む;
このORFBは、本明細書中のoleAIII遺伝子ORFに対応する。モジュ
ールは、ORFBの拡張モジュール5および/またはモジュール6以外のモジュ
ールであるか、あるいはORFBの拡張モジュール5および/またはモジュール
6に加えたモジュールである;そしてドメインは、ORFBのモジュール5およ
び/もしくはモジュール6のドメインまたはORFAのモジュール4のACPド
メイン以外のドメインであるか、あるいはこれらのドメインに加えたドメインで
ある。特に好ましい実施形態において、このDNA分子は、組換えDNA発現ベ
クターまたはプラスミドである。このようなベクターは、宿主細胞の細胞質にお
いて複製するか、または宿主細胞の染色体DNAに組み込まれ得るかのいずれか
であり得る。いずれの場合においても、このベクターは、安定なベクターであり
得る(すなわち、このベクターは、選択圧のみを用いた場合でさえも、多くの細
胞分裂にわたって存在し続ける)し、または一過性ベクターであり得る(すなわ
ち、このベクターは、細胞分裂の数の増加に伴い宿主細胞によって徐々に失われ
る)。
【0034】 オレアンドライド(oleandolide)PKS(8,8a−デオキシオ
レアンドライドシンターゼとしても知られる)は、3つのORF(oleAI、
oleAIIおよびoleAIII)によってコードされる。各ORFは、この
PKSの2つの拡張モジュールをコードする;第1のORFはまた、ローディン
グモジュールをコードする。各モジュールは、少なくともKSドメイン、ATド
メインおよびACPドメインから構成される。これらのORFの種々のコード領
域の位置は、図2に示され、そして以下の配列情報に関して記載される。
【0035】 ORF1は、8,8a−デオキシオレアンドライドシンターゼIをコードし、
そして以下の配列において、ヌクレオチド5772で始まり、そしてヌクレオチ
ド18224で終結する。ORF1は、ローディングモジュール(ヌクレオチド
5799〜8873によってコードされる)をコードし、このモジュールは、K
Qドメイン(ヌクレオチド5799〜7055によってコードされる)、マロ
ニル特異的ATドメイン(ヌクレオチド7458〜8563によってコードされ
る)およびACPドメイン(ヌクレオチド8634〜8873によってコードさ
れる)から構成される。ORF1はまた、拡張モジュール1(ヌクレオチド89
55〜13349によってコードされる)(このモジュールは、KSドメイン(
KS1、ヌクレオチド8955〜10205によってコードされる)、ATドメ
イン(AT1、ヌクレオチド10512〜11549によってコードされる)、
KRドメイン(KR1、ヌクレオチド12258〜12818によってコードさ
れる)およびACPドメイン(ACP1、ヌクレオチド13092〜13349
によってコードされる)から構成される)、ならびに拡張モジュール2(ヌクレ
オチド13407〜17966によってコードされる)(このモジュールは、K
Sドメイン(KS2、ヌクレオチド13407〜14690によってコードされ
る)、ATドメイン(AT2、ヌクレオチド14997〜16031によってコ
ードされる)、KRドメイン(KR2、ヌクレオチド16872〜17423に
よってコードされる)およびACPドメイン(ACP2、ヌクレオチド1770
9〜17996によってコードされる)から構成される)をコードする。
【0036】 ORF2は、8,8a−デオキシオレアンドライドシンターゼ2をコードし、
そして以下の配列において、ヌクレオチド18267で始まり、そしてヌクレオ
チド29717で終結する。ORF2は、拡張モジュール3(ヌクレオチド18
357〜22985によってコードされる)(このモジュールは、KSドメイン
(KS3、ヌクレオチド18357〜19643によってコードされる)、AT
ドメイン(AT3、ヌクレオチド19965〜20999によってコードされる
)、不活性KRドメイン(KR3、ヌクレオチド21897〜22449によっ
てコードされる)およびACPドメイン(ACP3、ヌクレオチド22728〜
22985によってコードされる)から構成される)、ならびに拡張モジュール
4(ヌクレオチド23046〜29396によってコードされる)(このモジュ
ールは、KSドメイン(KS4、ヌクレオチド23046〜24329によって
コードされる)、ATドメイン(AT4、ヌクレオチド24645〜25682
によってコードされる)、DHドメイン(DH4、ヌクレオチド25719〜2
6256によってコードされる)、ERドメイン(ER4、ヌクレオチド274
29〜28301によってコードされる)、KRドメイン(KR4、ヌクレオチ
ド28314〜28862によってコードされる)およびACPドメイン(AC
P4、ヌクレオチド29147〜29396によってコードされる)から構成さ
れる)をコードする。
【0037】 ORF3は、8,8a−デオキシオレアンドライドシンターゼ3をコードし、
そして以下の配列において、ヌクレオチド29787で始まり、そしてヌクレオ
チド40346で終結する。この配列は、Swanら(前出)によって以前に報
告されている。ORF3は、拡張モジュール5(ヌクレオチド29886〜34
478によってコードされる)(このモジュールは、KSドメイン(KS5、ヌ
クレオチド29886〜31184によってコードされる)、ATドメイン(A
T5、ヌクレオチド31494〜32531によってコードされる)、KRドメ
イン(KR5、33384〜33935によってコードされる)およびACPド
メイン(ACP5、34221〜34478によってコードされる)から構成さ
れる)、ならびに拡張モジュール6(ヌクレオチド34845〜39440によ
ってコードされる)(このモジュールは、KSドメイン(KS6、ヌクレオチド
34845〜36131によってコードされる)、ATドメイン(AT6、ヌク
レオチド36447〜37484によってコードされる)、KRドメイン(KR
6、ヌクレオチド38352〜38903によってコードされる)およびACP
ドメイン(ACP6、ヌクレオチド39183〜39440によってコードされ
る)から構成される)をコードする。ORF3はまた、ヌクレオチド39657
〜40343でTEドメインをコードする。
【0038】 以下のDNA配列はまた、オレアンドマイシン遺伝子クラスター(oleI(
ヌクレオチド152〜1426)、oleN2(ヌクレオチド1528〜263
7)、oleR(ヌクレオチド2658〜4967)、olePl(ヌクレオチ
ド40625〜41830)、oleGl(ヌクレオチド41878〜4315
8)、oleG2(ヌクレオチド43163〜44443)、oleM1(ヌク
レオチド44433〜45173)、oleY(ヌクレオチド45251〜46
411)、oleP(ヌクレオチド46491〜47714)およびoleB(
ヌクレオチド47808〜49517)を含む)における多くのテイラーリング
(tailoring)酵素遺伝子の配列を含む。
【0039】 上記のオレアンドマイシン遺伝子クラスターの一部の配列は、以下の通りであ
る。
【0040】
【化2】 上記のDNA配列は、以下の8,8a−デオキシオレアンドライドシンターゼ
タンパク質をコードする。
【0041】
【化3】 このオレアンドライドPKSタンパク質またはその一部をコードする本発明の
組換えDNA化合物は、種々の適用において有用である。これらの適用の多くは
、このオレアンドライドPKSの異種発現またはハイブリッドPKSの構築に関
連するが、多くの有用な適用は、天然のオレアンドマイシンプロデューサーSt
reptomyces antibioticusを含む。
【0042】 例えば、Streptomyces antibioticusにおける相同
組換えによってoleAI、oleAIIまたはoleAIII遺伝子を破壊す
るために、本発明の組換えDNA化合物が、使用され得る。得られる宿主細胞は
、オレアンドマイシンと同様の様式において、酸化、ヒドロキシル化およびグリ
コシル化によって改変されたポリケチドを産生するために好ましい宿主細胞であ
る。なぜなら、これらの反応を実行するタンパク質をコードする遺伝子が、この
宿主細胞中に存在するからである。このような宿主細胞はまた、目的のポリケチ
ドの生成または精製を妨げ得るいかなるオレアンドマイシンも、天然には生成し
ない。
【0043】 本発明によって提供される1つの例示的な組換え宿主細胞は、組換えオレアン
ドライドPKSを発現し、このPKSにおいて、そのモジュール1 KSドメイ
ンは、欠失または他の変異によって不活化される。好ましい実施形態において、
この不活化は、KSドメインが基質を結合し得ないようにする、KSドメインに
おける変化によって媒介される(KS1o変異)。特に好ましい実施形態におい
て、この不活化は、そのコドンを別のコドン(例えば、アラニンコドン)に変化
する、活性部位システインについてのコドンにおける変異によって与えられる。
このような構築物は、オレアンドライドの拡張モジュール1および2または別の
PKSの対応するモジュールを有する、翻訳リーディングフレームにおいて配置
される場合に、特に有用である。これらの構築物の有用性は、それによってコー
ドされるタンパク質を含むPKSを発現する宿主細胞、またはこのPKSを含む
無細胞抽出物が、目的のポリケチドを調製するために前駆体分子のN−アシルシ
ステアミンチオエステルを与えられ得るかまたは供給され得ることである。米国
特許出願番号60/117,384(1999年1月27日出願)、およびPC
T特許公開番号US99/03986(これらの両方は、本明細書中で参考とし
て援用される)を参照のこと。本発明のこのようなKS1o構築物は、Stre
ptomyces antibioticus宿主細胞における13−置換型−
オレアンドマイシン化合物の生成において有用である。本発明の好ましい化合物
は、13位での置換基がプロピル、ビニル、プロパルギル、他の低級アルキル、
および置換アルキルである化合物を含む。
【0044】 本発明の化合物はまた、本発明の組換え宿主細胞を構築するために使用され得
、この宿主細胞において、オレアンドライドPKSの1つ以上のドメインまたは
モジュールについてのコード配列は、Streptomyces antibi
oticus染色体DNAとの相同組換えによって欠失されている。当業者は、
染色体DNAの位置の欠失あるいは変更という意図される機能に起因して、この
ような化合物が、染色体DNAとの相同性によって特徴付けられること、および
機能的タンパク質をコードすることによって特徴付けられないことを、理解する
。この適用および種々の他の適用について、本発明の化合物は、機能的タンパク
質をコードするDNA化合物のみならず、オレアンドライドPKS遺伝子の任意
の位置に相補的であるかまたは同一であるDNA化合物を含む。
【0045】 従って、本発明は、種々の改変Streptomyces antibiot
icus宿主細胞を提供し、この宿主細胞において、オレアンドライドPKS遺
伝子クラスター中の1つ以上の遺伝子は、変異されているかまたは破壊されてい
る。これらの細胞は,破壊された機能を組換え発現ベクターによって発現される
遺伝子産物で置換することが所望される場合に、特に有用である。本発明のこの
ような発現ベクターが以下の節でより詳細に記載される一方、当業者は、このベ
クターがS.antibioticusに対しても同様の適用を有することを理
解する。このようなS.antibioticus宿主細胞は、本発明のオレア
ンドライド誘導体を発現するための好ましい宿主細胞であり得る。この型の特に
好ましい宿主細胞としては、ローディングモジュールについてのコード配列が変
異または破壊されているもの、1つ以上の任意のPKS遺伝子ORFが変異また
は破壊されているもの、および/あるいは1つ以上のオレアンドライド改変酵素
(グリコシル化、エポキシ化)についての遺伝子が変異または破壊されているも
のが挙げられる。
【0046】 本発明は、Streptomyces antibioticusに対する適
用を有する多くの有用な化合物、およびStreptomyces antib
ioticus由来の組換え宿主細胞を提供するが、本発明の多くの重要な適用
は、以下の節に記載されるように、S.antibioticus以外の細胞に
おける、オレアンドライド遺伝子の全てまたは一部の異種発現に関する。
【0047】 (第II節:オレアンドライドPKSの異種発現) 1つの重要な実施形態において、本発明は、1つ以上のオレアンドライドPK
S遺伝子の異種発現のための方法、およびその方法において有用な組換えDNA
発現ベクターを提供する。本発明の目的のために、Streptomyces
antibioticus以外のすべての宿主細胞は、異種宿主細胞である。従
って、オレアンドライドPKSのドメイン、モジュール、またはタンパク質をコ
ードする単離された核酸に加えて、本発明の範囲内に含まれるのは、そのような
核酸を含む組換え発現ベクターである。用語、発現ベクターは、宿主細胞または
無細胞転写および翻訳系へ導入され得る核酸をいう。発現ベクターは、細胞中(
その細胞中または任意の細胞区画(例えば、細胞質中の複製ベクター)中の染色
体または他のDNAの一部であろうとそうではなかろうと)で永続的にまたは一
過的に維持され得る。発現ベクターはまた、RNAの発現を駆動するプロモータ
ーを含み、このRNAは、細胞または細胞抽出物中でポリペプチドへと翻訳され
る。RNAのタンパク質への効率的な翻訳のために、この発現ベクターはまた、
代表的に、発現されるべき遺伝子のコード配列の開始コドンの上流に位置するリ
ボソーム結合部位配列を含む。他のエレメント(例えば、エンハンサー、分泌シ
グナル配列、転写終結配列、ならびにこのベクターを含む宿主細胞が同定および
/または選択され得る1つ以上のマーカー遺伝子)もまた、発現ベクター中に存
在し得る。選択マーカー(すなわち、抗生物質耐性または感受性を付与する遺伝
子)が好ましく、そしてこれは、細胞が適切な選択培地中で増殖される場合に、
形質転換された細胞に対して選択可能な表現型を付与する。
【0048】 発現ベクターの種々の成分は、このベクターの意図される用途、特に、このベ
クターが発現を複製するかまたは駆動することが意図される宿主細胞に依存して
、広範に変化し得る。遺伝子の発現ならびにE.coli、酵母、Strept
omyces、および他の一般に使用される細胞におけるベクターの維持に適切
な発現ベクター成分は、広範に知られており、そして市販されている。例えば、
本発明の発現ベクターにおいて含むために適切なプロモーターは、真核生物宿主
細胞または原核生物宿主細胞において機能するプロモーターを含む。プロモータ
ーは、宿主細胞の増殖に対して発現の調節を可能にするか、または化学的刺激も
しくは物理的刺激に応答してオンまたはオフになる遺伝子の発現を生じる、調節
性配列を含み得る。E.coliおよび特定の他の細菌性宿主細胞について、生
合成酵素、抗生物質耐性付与酵素、およびファージタンパク質についての遺伝子
に由来するプロモーターが使用され得、そしてこのようなプロモーターとしては
、例えば、ガラクトースプロモーター、ラクトース(lac)プロモーター、マ
ルトースプロモーター、トリプトファン(trp)プロモーター、β−ラクタマ
ーゼ(bla)プロモーター、バクテリオファージλPLプロモーター、および
T5プロモーターが挙げられる。さらに、合成プロモーター(例えば、tacプ
ロモーター(米国特許第4,551,433号))もまた、使用され得る。
【0049】 従って、組換え発現ベクターは、少なくとも1つの発現系(これは、順に、プ
ロモーターに作動可能に連結された、オレアンドライドPKSコード配列の少な
くとも一部、および、必要に応じて、適合性宿主細胞中のコード配列の発現をも
たらすように作動する末端配列から構成される)を含む。この宿主細胞は、染色
体外エレメントとしてかまたは染色体中に組み込まれてかのいずれかで発現系配
列を含むように、本発明の組換えDNA発現ベクターを用いる形質転換によって
改変される。得られる本発明の宿主細胞は、PKSおよびPKS後(post−
PKS)テイラーリング酵素、ならびにポリケチドおよび抗生物質およびそれら
由来の他の有用な化合物を生成するための方法において有用である。
【0050】 本発明の発現ベクターについてベクター成分を選択する目的のために好ましい
宿主細胞としては、真菌宿主細胞(例えば、酵母)ならびに原核生物宿主細胞(
例えば、E.coliおよびStreptomyces)が挙げられるが、哺乳
動物細胞培養物もまた、使用され得る。宿主(例えば、通常にはモジュール型ポ
リケチド合成酵素を生成しない酵母、植物、または哺乳動物細胞)において、ま
た代表的には組換え手段によって、組換え的に生成されたPKSを機能性へと変
換するために適切なホロACPシンターゼを提供することが必要であり得る。こ
のような酵素の提供は、例えば、PCT公開番号WO 97/13845および
同98/27203(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される)に
記載される。本発明の目的のために特に好ましい宿主細胞は、以下でより詳細に
議論されるような、StreptomycesおよびSaccharopoly
spora宿主細胞である。
【0051】 好ましい実施形態において、本発明の発現ベクターは、本発明の組換えPKS
を発現する異種組換えStreptomyces宿主細胞を構築するために使用
される。Streptomycesは、ポリケチドを発現するための簡便な宿主
である。なぜなら、ポリケチドは、特定のStreptomyces種において
自然に生成され、そしてStreptomyces細胞は、一般に、所望のポリ
ケチドを形成するために必要な前駆体を生成するからである。当業者は、Str
eptomyces宿主細胞が、PKS酵素の任意の部分を生成するかまたはポ
リケチド改変酵素を精製する場合に、組換えベクターが、所望のPKS酵素の残
りまたは他のポリケチド改変酵素を構成する遺伝子のみの発現を駆動する必要が
あることを認識する。従って、このようなベクターは単一のORFのみを含み得
、PKSを構成するポリケチドの所望の残りは、宿主細胞染色体DNA上の遺伝
子によって提供される。Streptomycesまたは他の宿主細胞が、通常
、ポリケチドを生成する場合に、本発明の組換えPKSを発現するためのその使
用の前に内因性ポリケチドの生成を妨げるようにこの宿主を改変することが、望
ましくあり得る。このような改変宿主としては、S.coelicolor C
H999および同様に改変されたS.lividans(米国特許第5,672
,491号ならびにPCT公開番号WO 95/08548および同WO 96
/40968(本明細書中で参考として援用される)に記載される)が、挙げら
れる。このような宿主において、組換え的に生成されたPKSを構成する酵素の
所望の翻訳後改変の全てについて酵素的活性を提供することは、必要ではないか
もしれない。なぜなら、この宿主は、このような酵素を天然に発現するからであ
る。特に、これらの宿主は、一般に、PKSの機能性について必要なパントテニ
ル(pantotheinyl)残基を提供するホロACPシンターゼを含む。
【0052】 本発明は、Streptomycesにおける使用のための広範な種々の発現
ベクターを提供する。本発明の複製発現ベクターとしては、例えば、非限定的に
、低コピー数ベクター(例えば、SCP2*(Hopwoodら、Geneti
c Manipulation of Streptomyces:A Lab
oratory manual(The John Innes Founda
tion,Norwich,U.K.,1985);Lydiateら、198
5,Gene 35:223−235;ならびにKieserおよびMelto
n、1988,Gene 65:83−91を参照のこと(これらの各々は本明
細書中に参考として援用される))、SLP1.2(本明細書中に参考として援
用される、Thompsonら、1982,Gene 20:51−62)、な
らびにpSG5(ts)(Muthら、1989、Mol.Gen.Genet
.219:341−348、およびBiermanら、1992、Gene 1
16:43−49(これらの各々は本明細書中に参考として援用される))また
は高コピー数ベクター(例えば、pIJ101およびpJV1(例えば、Kat
zら、1983、J.Gen.Microbiol.129:2703−271
4;Varaら、1989,J.Bacteriol.171:5782−57
81;およびServin−Gonzalez、1993、Plasmid 3
0:131−140を参照のこと(これらの各々は本明細書中に参考として援用
される))由来の複製起点を含む複製発現ベクターが挙げられる。しかし、高コ
ピー数ベクターは一般的に、大きな遺伝子または同義遺伝子の発現については好
ましくない。非複製ベクターおよび組み込みベクターについては、そして一般的
に任意のベクターについては、例えば、pUC、p1P、P1I、およびpBR
由来のE.coliの複製起点を少なくとも含むことが有用である。ファージに
基づくベクターについては、ファージphiC31およびその誘導体KC515
が利用され得る(Hopwoodら、前出を参照のこと)。また、プラスミドp
SET152、プラスミドpSAM、プラスミドpSE101およびpSE21
1(これらのすべてがS.lividansの染色体DNAに部位特異的に組み
込まれる)が、本発明の目的のために用いられ得る。
【0053】 本発明のStreptomyces組換え発現ベクターは代表的には、erm
E(エリスロマイシンおよびリンコマイシンに対する耐性を付与する)、tsr
(チオストレプトンに対する耐性を付与する)、aadA(スペクチノマイシン
(spectinomycin)およびストレプトマイシンに対する耐性を付与
する)、aacC4(アプラマイシン(apramycin)、カナマイシン、
ゲンタマイシン、ジェネティシン(G418)、およびネオマイシンに対する耐
性を付与する)、hyg(ハイグロマイシンに対する耐性を付与する)、ならび
にvph(バイオマイシンに対する耐性を付与する)耐性付与遺伝子からなる群
より選択される、抗生物質耐性を付与する遺伝子を含む1つ以上の選択マーカー
を含む。あるいは、いくつかのポリケチドが自然に着色しており、そしてこの特
徴は、細胞を同定するための組込み型マーカーを提供し得る。
【0054】 本発明の好ましいStreptomyces宿主細胞/ベクターの組み合わせ
としては、ポリケチドであるアクチノロジンを産生しないように改変されたS.
coelicolor CH999およびS.lividans K4−114
宿主細胞およびK4−155宿主細胞、ならびにpRM1およびpRM5ベクタ
ー由来の発現ベクターが挙げられる(米国特許第5,830,750号、ならび
に1997年3月31日に出願された米国特許出願番号08/828,898、
および1998年10月28日に出願された同09/181,833に記載され
た通り(これらの各々は本明細書中に参考として援用される))。これらのベク
ターは、これらが、多数でかつ多様なStreptomyces spp.と適
合性のプロモーターを含むという点で特に好ましい。Streptomyces
宿主細胞に特に有用なプロモーターとしては、二次代謝産物としてのポリケチド
の生成をもたらすPKS遺伝子クラスター由来のプロモーター(芳香族(II型
)PKS遺伝子クラスター由来のプロモーターを含む)が挙げられる。II型P
KS遺伝子クラスタープロモーターの例は、act遺伝子プロモーターおよびt
cm遺伝子プロモーターであり;I型PKS遺伝子クラスタープロモーターの例
は、スピラマイシンPKSおよびDEBS遺伝子のプロモーターである。本発明
はまた、オレアンドライド(oleandolide)PKS遺伝子プロモータ
ーを組換え形態で提供する。oleA遺伝子についてのプロモーターは、本発明
のコスミドpKOS055−5上のoleAI遺伝子の上流に位置する。このプ
ロモーターは、oleAIコード配列の上流の約1kbのセグメントに含まれ、
そしてオレアンドライドPKSまたは目的の任意の他のコード配列の発現を、こ
のプロモーターが機能する宿主細胞(特にS.antibioticusおよび
一般に任意のStreptomyces種)において駆動するために用いられ得
る。
【0055】 上記のように、特に有用な制御配列は、単独でまたは適切な調節系とともに、
栄養菌糸において増殖期から静止期までの推移の間に発現を活性化する制御配列
である。上記のプラスミドpRM5、すなわちactI/actIIIプロモー
ター対およびactII−ORF4アクチベーター遺伝子に含まれるプロモータ
ーが特に好ましい。他の有用なStreptomycesプロモーターとしては
、構成的に作用する、ermE遺伝子およびmelC1遺伝子、ならびにいずれ
かの増殖段階で誘導され得るtipA遺伝子およびmerA遺伝子に由来するプ
ロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、T7 RNAポリメ
ラーゼ系は、Streptomycesに移入され、そして本発明のべクターお
よび宿主細胞において利用され得る。この系において、T7 RNAポリメラー
ゼについてのコード配列は、染色体のニュートラルな部位に挿入されるか、また
は誘導性merAプロモーターの制御下にあるベクター中に挿入され、そして目
的の遺伝子は、T7プロモーターの制御下に配置される。上記のように、1つ以
上のアクチベーター遺伝子もまた、プロモーター配列における転写開始を活性化
するために用いられ得る。上記のactII−ORF4遺伝子に加えて、アクチ
ベーター遺伝子は、dnrI遺伝子、redD遺伝子、およびptpA遺伝子を
含む(米国特許出願番号09/181,833、前出を参照のこと)。
【0056】 本発明の目的のために好ましい宿主細胞およびベクターを提供するために、オ
レアンドライドPKS遺伝子を、実施例4に記載されるように、非マクロライド
産生宿主Streptomyces lividans K4−114に移入さ
れた組換え発現ベクター上に配置した。S.lividans K4−114(
株K4−155もまた用いられ得る)のこの発現ベクターでの形質転換は、LC
/MSによる抽出物の分析によって決定されるような検出可能な量の8,8a−
デオキシオレアンドライドを産生する株を生じた。
【0057】 さらに、そして上記の節で留意されるように、本発明はまた、コードされるオ
レアンドライドモジュール1 KSドメインが、不活化されるかまたは全く存在
しない組換えDNA化合物を提供する。以下の実施例4は、Streptomy
ces lividansへの、KS1°ドメインを有するオレアンドライドP
KSをコードする本発明の組換え発現ベクターの導入を記載する。得られる宿主
細胞には、オレアンドライド誘導体を調製するために前駆体分子のN−アシルシ
ステアミンチオエステルが提供または供給され得る。本発明のこのような細胞は
、組換え宿主細胞における13−置換−6−デオキシエリトロノライドB化合物
の生成において特に有用である。本発明の好ましい化合物としては、13位での
置換基が、プロピル、ビニル、プロパルギル、他の低級アルキルおよび置換アル
キルである化合物が挙げられる。S.lividans K4−114またはK
4−155において生成される改変されていないポリケチド(マクロライドアグ
リコン(macrolide aglycone)と呼ばれる)は、必要な修飾
酵素を含む、株の発酵物(例えば、S.antibioticusまたはSac
charopolyspora erythraeaなど)に対して付加するこ
とにより、ヒドロキシル化およびグリコシル化され得る。
【0058】 マクロライドアグリコンを改変して、有用な活性を有する化合物または有用な
活性を有するように容易に改変され得る化合物を提供し得る広範な種々の多様な
生物が存在する。例えば、Saccharopolyspora erythr
aeaは、6−dEBおよびオレアンドライドを種々の有用な化合物に変換し得
る。エリトロノライド6−dEBは、eryF遺伝子産物によってエリトロノラ
イドBへと変換され、これは次いで、eryB遺伝子産物によってグリコシル化
されて、3−O−ミカロシレルエリトロノライドB(3−O−mycarosy
lerythronolide B)が得られ、これは、C−3にL−ミカロー
ス(mycarose)を含む。次いで、酵素eryC遺伝子産物は、この化合
物を、C−5でのD−デスオサミン(D−desosamine)を用いたグリ
コシル化によってエリスロマイシンDへと変換する。それゆえ、エリスロマイシ
ンDは、グリコシル化を通して、およびC−6でのヒドロキシル基の付加によっ
て6−dEBとは異なる。エリスロマイシンDは、C−3でのL−ミカロース残
基をメチル化することにより、eryG遺伝子産物によって触媒される反応にお
いてエリスロマイシンBへと変換され得る。エリスロマイシンDは、eryK遺
伝子産物によって触媒される反応においてC−12でのヒドロキシル基の付加に
よってエリスロマイシンCへと変換される。エリスロマイシンAは、eryG遺
伝子産物によって触媒される反応におけるミカロース残基のメチル化によってエ
リスロマイシンCから得られる。
【0059】 本発明によって提供された改変されていないオレアンドライド化合物(例えば
、Streptomyces lividansにおいて生成されるオレアンド
ライドなど)は、Saccharopolyspora erythraeaの
培養物に提供され得、そして以下の実施例6に提供される手順に従ってエリスロ
マイシンA、B、CおよびDの対応する誘導体へと変換され得る。所望の化合物
のみが生成されることを確実にするために、6−dEBを生成することができな
いが所望の変換を依然として実施し得るS.erythraea eryA変異
体を用い得る(Weberら,1985,J.Bacteriol.164(1
):425−433)。また、他の変異株(例えば、eryB変異体、eryC
変異体、eryG変異体および/もしくはeryK変異体)または同義遺伝子に
変異を有する変異株を、好ましい化合物を蓄積するために用い得る。変換はまた
、商業的生成のために大きな発酵槽において実施され得る。
【0060】 さらに、本発明の化合物をヒドロキシル化および/またはグリコシル化するた
めに用いられ得る他の有用な生物が存在する。上記のように、生物は、その生物
において通常生成されるポリケチドを生成し得ない変異体であり得、発酵をプレ
ート上でまたは大量発酵槽において実施し得、そして生成された化合物を発酵後
に化学的に変更し得る。従って、ピクロマイシン(picromycin)を生
成するStreptomyces venezuelaeは、デソサミニル基を
、C−12位のC−5ヒドロキシル基およびヒドロキシル基へと転位し得る酵素
を含む。さらに、S.venezuelaeは、デソサミン糖の2’−ヒドロキ
シル基をグルコシル化するグルコシル化活性を含む。この後者の改変は、抗生物
質活性を低減させるが、グルコシル残基は細胞酵素作用によって除去される。別
の生物S.narbonensisは、C−12ヒドロキシラーゼ以外はS.v
enezuelaeと同じ修飾酵素を含む。従って、本発明は、S.narbo
nensisおよびS.venezuelaeに内在性の酵素の作用によって本
発明のマクロライドアグリコンのヒドロキシル化およびグリコシル化によって生
成される化合物を提供する。
【0061】 本発明の化合物を作製するに適切な他の生物としては、Streptomyc
es antibioticus(先の節において考察される)、Microm
onospora megalomicea、S.fradiaeおよびS.t
hermotoleransが挙げられる。M.megalomiceaは、メ
ガロマイシン(megalomicin)を生成し、そしてC−6位およびC−
12位をヒドロキシル化し、そしてC−3ヒドロキシルをミカロースで、C−5
ヒドロキシルをデソサミンで、そしてC−6ヒドロキシルをメゴサミン(meg
osamine)(ロドサミン(rhodosamine)としても公知)でグ
リコシル化し、そして種々の位置でアシル化する酵素を含む。抗生物質活性に加
えて、M.megalomicea酵素での処理によって生成される本発明の化
合物は、駆虫活性もまた有し得る。S.fradiaeは、C−5ヒドロキシル
をミカミノース(mycaminose)でグリコシル化し、次いでミカミノー
スの4’−ヒドロキシルをミカロースでグリコシル化して二糖を形成する酵素を
含む。S.thermotoleransは、アシル化活性と同じ活性を含む。
従って、本発明は、S.antibioticus、M.megalomice
a、S.fradiaeおよびS.thermotoleransに内在性の酵
素の作用による本発明のマクロライドアグリコンのヒドロキシル化およびグリコ
シル化によって生成される化合物を提供する。
【0062】 本発明はまた、グリコシル化および/またはヒドロキシル化された本発明の化
合物を目的の宿主細胞において直接生成するための方法および遺伝構築物を提供
する。従って、1以上の欠失および/または挿入(異種PKS遺伝子由来の遺伝
子フラグメントによるoleA遺伝子フラグメントの置換を含む(次の節で考察
する通り))を有する組換えoleAI遺伝子、oleAII遺伝子およびol
eAIII遺伝子を含む、本発明の組換え遺伝子は、Saccharopoly
spora erythraea、Streptomyces antibio
ticus、S.venezuelae、S.narbonensis、Mic
romonospora megalomicea、S.fradiaeおよび
S.thermotoleransにおいてコードされた遺伝子産物の発現に適
切な発現ベクター中に含まれ得る。S.erythraeaの多数のエリスロマ
イシン高生成株が開発されており、そして好ましい実施形態では、オレアンドラ
イドPKS遺伝子は、このような株(またはそのエリスロマイシン非生成変異体
)に導入されて、対応する改変されたオレアンドライド化合物を高収量で提供す
る。
【0063】 さらに、さらなる組換え遺伝子産物は、宿主細胞中で発現されて、所望のポリ
ケチドの生成を改善し得る。非限定的な、しかし1つの例として、本発明の特定
の組換えPKSタンパク質は、予想されるポリペプチド以外のポリケチドまたは
予想されるポリケチドに加えて他のポリケチドを生成し得る。なぜなら、ポリケ
チドは、PKSに対する他のドメインによってプロセシングされる前にモジュー
ル6におけるチオエステラーゼ(TE)ドメインによって(特に、モジュール6
における任意のKRドメイン、DHドメインおよび/またはERドメインによっ
て)PKSから切断されるからである。予想されるポリケチドの生成を、TEド
メインコード配列を遺伝子から欠失させ、そして必要に応じてTEドメインを別
個のタンパク質として発現させることにより、このような例において増加させ得
る。本明細書中に参考として援用される、Gokhaleら,1999年2月,
「Mechanism and specificity of the te
rminal thioesterase domain from the
erythromycin polyketide synthase」,Ch
em.& Biol.6:117−125を参照のこと。
【0064】 従って、1つの重要な局面では、本発明は、オレアンドライドならびにオレア
ンドライドのヒドロキシル化およびグリコシル化誘導体の生成を異種宿主細胞に
おいて可能にする、方法、発現ベクターおよび組換え宿主細胞を提供する。本発
明はまた、以下の節に記載されるように、オレアンドライドPKSに一部誘導さ
れる広範な種々のポリケチドの作製方法を提供する。
【0065】 (第III節:ハイブリッドPKS遺伝子) 本発明は、オレアンドライドPKSの各モジュールの各々のドメインをコード
する組換えDNA化合物を提供する。これらの化合物の利用可能性により、異種
PKSのすべてまたは一部と融合しているかまたはこれらと組合せて発現される
、オレアンドライドPKSの所望の部分の生成のための組換え手順におけるこれ
らの化合物の使用が可能である。次いで、得られるハイブリッドPKSは、宿主
細胞において発現されて、所望のポリケチドを生成し得る。
【0066】 従って、本発明の方法に従って、特定の活性をコードするオレアンドライドP
KSコード配列の一部が、単離および操作され得、例えば、異なるモジュール型
PKS中の対応する領域を置換し得る。さらに、PKSの個々のモジュールのコ
ード配列は、適切な発現系に連結され得、そして使用されてコードされたタンパ
ク質部分を生成し得る。得られるタンパク質は単離および精製され得るか、また
はインサイチュで使用されてポリケチド合成をもたらし得る。ドメイン、モジュ
ール、タンパク質またはタンパク質の組合せの組換え生成のための宿主に依存し
て、適切な制御配列(例えば、プロモーター、終結配列、エンハンサーなど)が
、先の節に記載されるように、発現ベクターの構築において、所望のタンパク質
をコードするヌクレオチド配列に連結される。
【0067】 従って、1つの重要な実施形態において、本発明は、ハイブリッドPKS酵素
、およびそれらのハイブリッドPKS酵素をコードする対応する組換えDNA化
合物を提供する。本発明の目的のために、ハイブリッドPKSは組換えPKSで
あり、これは、第1のPKSの1つ以上の拡張モジュール、ローディングモジュ
ール、および/またはチオエステラーゼ/シクラーゼドメインのすべてまたは一
部、ならびに第2のPKSの1つ以上の拡張モジュール、ローディングモジュー
ル、および/またはチオエステラーゼ/シクラーゼドメインのすべてまたは一部
を含む。1つの好ましい実施形態において、第1のPKSはほとんど(しかしす
べてではない)のオレアンドライドPKSであり、そして第2のPKSは非オレ
アンドライドPKSの一部のみまたはすべてである。このようなハイブリッドP
KSの例示的な例は、オレアンドライドPKSのローディングモジュールが別の
PKSのローディングモジュールで置換されているオレアンドライドPKSを含
む。このようなハイブリッドPKSの別の例は、拡張モジュール3のATドメイ
ンが、マロニルCoAのみを結合するATドメインで置換されているオレアンド
ライドPKSである。別の好ましい実施形態において、第1のPKSは、ほとん
ど(しかしすべてではない)の非オレアンドライドPKSであり、そして第2の
PKSはオレアンドライドPKSの一部のみまたはすべてである。このようなハ
イブリッドPKSの例示的な例は、メチルマロニルCoAに特異的なATがメチ
ルマロニルCoAに特異的なオレアンドライドPKS由来のATで置換されてい
るラパマイシンPKSを含む。本発明の他の例示的なハイブリッドPKSは、以
下に記載される。
【0068】 当業者は、本発明のハイブリッドPKS中の第1または第2いずれかのPKS
のすべてまたは一部は、天然に存在する供給源から単離される必要がないことを
認識する。例えば、ATドメインの小さい部分のみがその特異性を決定する。P
CT特許出願番号WO US99/15047およびLauら(下記)(これら
は本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。DNA合成における当該
技術の水準は、当業者が、PKSモジュールまたはドメインの有用な部分を構築
するに十分なサイズの新規DNA化合物を構築するのを可能にする。従って、所
望の誘導体コード配列は、Jayeら、1984、J.Biol.Chem.2
59:6331に記載されるような標準的固相合成法を用いて合成され得、そし
て自動化合成のための装置が、例えば、Applied Biosystems
,Inc.から市販されている。本発明の目的のために、このような合成DNA
化合物は、PKSの一部であると見なされる。
【0069】 本発明のハイブリッドPKSに関する一般的背景に関して、当業者は、オレア
ンドライドPKSを含む個々のドメイン、モジュール、およびタンパク質をコー
ドする本発明のDNA化合物により提供される利益を、より良好に理解し得る。
上記のように、オレアンドライドPKSは、ローディングモジュール、6つの拡
張モジュール(KSドメイン、ATドメイン、ACPドメイン、およびKRドメ
イン、DHドメイン、およびERドメインから構成される)、ならびにチオエス
テラーゼドメインから構成される。これらのドメインを個々にかまたは組合せて
コードする本発明のDNA化合物は、本発明のDNA化合物をコードするハイブ
リッドPKSの構築に有用である。
【0070】 オレアンドライドPKSのローディングモジュールをコードする本発明の組換
えDNA化合物、およびこれによってコードされる対応するポリペプチドは、種
々の適用に有用である。1つの実施形態において、オレアンドライドPKSロー
ディングモジュールをコードする配列を含むDNA化合物が、異種PKSタンパ
ク質またはその部分のコード配列を含むDNA化合物中に挿入される。生じる構
築物(異種PKSのローディングモジュールのコード配列が、オレアンドライド
PKSローディングモジュールのコード配列によって置換されている)は、新規
なPKSを提供する。例としては、6−デオキシエリスロノライドB PKSタ
ンパク質コード配列、ラパマイシンPKSタンパク質コード配列、FK−506
PKSタンパク質コード配列、FK−520 PKSタンパク質コード配列、
FK−520 PKSタンパク質コード配列、リファマイシンPKSタンパク質
コード配列、およびアベルメクチンPKSタンパク質コード配列が挙げられる。
別の実施形態において、オレアンドライドPKSローディングモジュールをコー
ドする配列を含むDNA化合物が、オレアンドライドPKSのコード配列か、ま
たはオレアンドライド誘導体を生成する組換えオレアンドライドPKSのコード
配列を含むDNA化合物中に挿入される。
【0071】 別の実施形態において、ローディングモジュールコード配列の一部が、異種コ
ード配列と組合せて利用される。この実施形態において、本発明は、例えば、マ
ロニルCoA(アセチルCoA)特異的ATを、プロピオニルCoA(メチルマ
ロニル)特異的AT、ブチリルCoA(エチルマロニル)特異的AT、または他
のCoA特異的ATで置換することを提供する。さらに、KSQおよび/または
ACPが、別の不活化KSおよび/または別のACPにより置換され得る。ある
いは、ローディングモジュールのKSQ、およびATは、DEBSのローディン
グモジュールのようなローディングモジュールのATにより置換され得る。生じ
る異種ローディングモジュールコード配列は、オレアンドライド、オレアンドラ
イド誘導体、または別のポリケチドを合成するPKSのコード配列と組合せて利
用され得る。
【0072】 オレアンドライドPKSの第1の拡張モジュールをコードする本発明の組換え
DNA化合物、およびそれによりコードされる対応するポリペプチドは、種々の
適用に有用である。1つの実施形態において、オレアンドライドPKSの第1の
拡張モジュールをコードする配列を含むDNA化合物が、異種PKSのコード配
列を含むDNA化合物中に挿入される。生じる構築物(異種PKSのモジュール
のコード配列が、オレアンドライドPKSの第1の拡張モジュールのコード配列
により置換されるか、またはオレアンドライドPKSの第1の拡張モジュールの
コード配列が異種PKSのモジュールのコード配列に単に付加されるかのいずれ
かである)は、新規なPKSコード配列を提供する。別の実施形態において、オ
レアンドライドPKSの第1の拡張モジュールをコードする配列を含むDNA化
合物が、オレアンドライドPKSのコード配列か、またはオレアンドライド誘導
体を生成する組換えオレアンドライドPKSのコード配列を含むDNA化合物中
に挿入される。
【0073】 別の実施形態において、第1の拡張モジュールコード配列の一部または全てが
、他のPKSコード配列と組合せて利用されて、ハイブリッドモジュールを生成
する。この実施形態において、本発明は、例えば、メチルマロニルCoA特異的
ATを、マロニルCoA特異的AT、エチルマロニルCoA特異的AT、または
2−ヒドロキシマロニルCoA特異的ATにより置換すること;KRを欠失する
こと(不活性化することを含む);DH、またはDHおよびERを挿入すること
;ならびに/あるいはこのKRを別のKR、(DHおよびKR)、または(DH
、KR、およびER)により置換することを提供する。さらに、このKSおよび
/またはACPは、別のKSおよび/またはACPにより置換され得る。これら
の置換または挿入の各々において、異種KS、AT、DH、KR、ER、または
ACPのコード配列は、このオレアンドライドPKSの別のモジュールのコード
配列、オレアンドライド以外のポリケチドを生成するPKSの遺伝子、または化
学合成に由来し得る。生じた異種の第1の拡張モジュールコード配列は、オレア
ンドライド、オレアンドライド誘導体、または別のポリケチドを合成するPKS
の、コード配列と組合せて利用され得る。
【0074】 しかし、当業者は、モジュール1のKRドメインの欠失、またはモジュール1
へのDHドメインの挿入もしくはDHドメインおよびKRドメインの挿入は、こ
のようなハイブリッドモジュールが、ハイブリッドPKS中で第1の拡張モジュ
ールとして使用されるか、さもなければ環化が生じるポリケチドの部分を生成す
ることに関与する場合、KRにより作製されたヒドロキシル基で、ポリケチドの
代表的環化を妨げることを認識する。しかし、このような欠失または挿入は、直
鎖状分子を生成するか、または分子の別の部位で環化を誘導するために有用であ
り得る。
【0075】 上記のように、本発明はまた、組換えPKS、および組換えDNA化合物、お
よび第1の拡張モジュールのKSドメインが不活性化されているPKSタンパク
質をコードする。このような構築物は、オレアンドライドPKSまたはオレアン
ドライド誘導体PKS、ハイブリッドPKS、または異種PKSの残りのモジュ
ールおよびドメインとともに翻訳リーディングフレーム中に配置された場合に、
特に有用である。これらの構築物の有用性は、これらによりコードされるPKS
を発現する宿主細胞、またはこのようなPKSを含む無細胞抽出物に、前駆体モ
ジュールのN−アシルシステアミンチオエステルが与えられるか、または供給さ
れて、オレアンドライド誘導体化合物を調製し得ることである。米国特許出願第
60/117,384号(1999年1月27日出願)、ならびにPCT公開第
WO99/03986号および同WO97/02358号(これらの各々は本明
細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0076】 オレアンドライドPKSの第2の拡張モジュールをコードする本発明の組換え
DNA化合物、およびこれによりコードされる対応するポリペプチドは、種々の
適用に有用である。1つの実施形態において、オレアンドライドPKSの第2の
拡張モジュールをコードする配列を含むDNA化合物が、異種PKSのコード配
列を含むDNA化合物中に挿入される。生じる構築物(異種PKSのモジュール
のコード配列が、このオレアンドライドPKSの第2の拡張モジュールのコード
配列によって置換されているか、または、このオレアンドライドPKSの第2の
拡張モジュールのコード配列が異種PKSのモジュールのコード配列に単に付加
されているかのいずれかである)は、新規なPKSを提供する。別の実施形態に
おいて、このオレアンドライドPKSの第2の拡張モジュールをコードする配列
を含むDNA化合物が、オレアンドライドPKSのコード配列またはオレアンド
ライド誘導体を生成する組換えオレアンドライドPKSのコード配列を含むDN
A化合物中に挿入される。
【0077】 別の実施形態において、第2の拡張モジュールコード配列の一部または全てが
、他のPKSコード配列と組合せて利用されて、ハイブリッドモジュールを生成
する。この実施形態において、本発明は、例えば、メチルマロニルCoA特異的
ATを、マロニルCoA特異的AT、エチルマロニルCoA特異的AT、または
2−ヒドロキシマロニルCoA特異的ATにより置換すること;KRを欠失(ま
たは不活性化)すること;このKRを、KR、KRおよびDH、またはKR、D
HおよびERにより置換すること;ならびに/あるいはDHまたはDHおよびE
Rを挿入することを提供する。さらに、このKSおよび/またはACPは、別の
KSおよび/またはACPにより置換され得る。これらの置換または挿入の各々
において、異種KS、AT、DH、KR、ER、またはACPのコード配列は、
このオレアンドライドPKSの別のモジュールのコード配列、オレアンドライド
以外のポリケチドを生成するPKSのコード配列、または化学合成に由来し得る
。生じた異種の第2の拡張モジュールコード配列は、オレアンドライド、オレア
ンドライド誘導体、または別のポリケチドを合成するPKS由来のコード配列と
組合せて利用され得る。
【0078】 オレアンドライドPKSの第3の拡張モジュールをコードする本発明の組換え
DNA化合物、およびこれによりコードされる対応するポリペプチドは、種々の
適用に有用である。1つの実施形態において、オレアンドライドPKSの第3の
拡張モジュールをコードする配列を含むDNA化合物が、異種PKSのコード配
列を含むDNA化合物中に挿入される。生じる構築物(異種PKSのモジュール
のコード配列が、このオレアンドライドPKSの第3の拡張モジュールのコード
配列によって置換されているか、または、このオレアンドライドPKSの第3の
拡張モジュールのコード配列が異種PKSのモジュールのコード配列に単に付加
されているかのいずれかである)は、新規なPKSを提供する。別の実施形態に
おいて、このオレアンドライドPKSの第3の拡張モジュールをコードする配列
を含むDNA化合物が、オレアンドライドPKSのコード配列またはオレアンド
ライド誘導体を生成する組換えオレアンドライドPKSのコード配列を含むDN
A化合物中に挿入される。
【0079】 別の実施形態において、第3の拡張モジュールコード配列の一部または全てが
、他のPKSコード配列と組合せて利用されて、ハイブリッドモジュールを生成
する。この実施形態において、本発明は、例えば、メチルマロニルCoA特異的
ATを、マロニルCoA特異的AT、エチルマロニルCoA特異的AT、または
2−ヒドロキシマロニルCoA特異的ATにより置換すること;不活性KRを欠
失すること;ならびに/あるいはKRを、活性KR、またはKRおよびDH、ま
たはKR、DH、およびERで置換することを提供する。さらに、このKSおよ
び/またはACPは、別のKSおよび/またはACPにより置換され得る。これ
らの置換または挿入の各々において、異種KS、AT、DH、KR、ER、また
はACPのコード配列は、このオレアンドライドPKSの別のモジュールのコー
ド配列、オレアンドライド以外のポリケチドを生成するPKSの遺伝子、または
化学合成に由来し得る。生じる異種の第3の拡張モジュールコード配列は、オレ
アンドライド、オレアンドライド誘導体、または別のポリケチドを合成する、P
KSのコード配列と組合せて利用され得る。
【0080】 オレアンドライドPKSの第4の拡張モジュールをコードする本発明の組換え
DNA化合物、およびこれによりコードされる対応するポリペプチドは、種々の
適用に有用である。1つの実施形態において、オレアンドライドPKSの第4の
拡張モジュールをコードする配列を含むDNA化合物が、異種PKSのコード配
列を含むDNA化合物中に挿入される。得られた構築物(異種PKSのモジュー
ルのコード配列が、このオレアンドライドPKSの第4の拡張モジュールのコー
ド配列によって置換されているか、または、このオレアンドライドPKSの第4
の拡張モジュールのコード配列が異種PKSのモジュールのコード配列に単に付
加されているかのいずれかである)は、新規なPKSを提供する。別の実施形態
において、このオレアンドライドPKSの第4の拡張モジュールをコードする配
列を含むDNA化合物が、オレアンドライドPKSのコード配列またはオレアン
ドライド誘導体を生成する組換えオレアンドライドPKSのコード配列を含むD
NA化合物中に挿入される。
【0081】 別の実施形態において、第4の拡張モジュールコード配列の一部が、他のPK
Sコード配列と組合せて利用されて、ハイブリッドモジュールを生成する。この
実施形態において、本発明は、例えば、メチルマロニルCoA特異的ATを、マ
ロニルCoA特異的AT、エチルマロニルCoA特異的AT、または2−ヒドロ
キシマロニルCoA特異的ATにより置換すること;ER、DH、およびKRの
うちのいずれか1つ、2つ、または3つ全てを欠失または不活性化すること;な
らびに/あるいはER、DH、およびKRのうちのいずれか1つ、2つ、または
3つ全てを、KR、DHおよびKR、またはKR、DH,およびERのいずれか
により置換することを提供する。さらに、このKSおよび/またはACPは、別
のKSおよび/またはACPにより置換され得る。これらの置換または挿入の各
々において、異種KS、AT、DH、KR、ER、またはACPのコード配列は
、このオレアンドライドPKSの別のモジュールのコード配列(DHドメインお
よびERドメインを除く)、オレアンドライド以外のポリケチドを生成するPK
Sのコード配列、または化学合成に由来し得る。生じる異種の第4の拡張モジュ
ールコード配列は、オレアンドライド、オレアンドライド誘導体、または別のポ
リケチドを合成する、PKSのコード配列と組合せて利用され得る。
【0082】 オレアンドライドPKSの第5の拡張モジュールをコードする本発明の組換え
DNA化合物、およびこれによりコードされる対応するポリペプチドは、種々の
適用に有用である。1つの実施形態において、オレアンドライドPKSの第5の
拡張モジュールをコードする配列を含むDNA化合物は、異種PKSのコード配
列を含むDNA化合物中に挿入される。得られた構築物(異種PKSのモジュー
ルのコード配列が、このオレアンドライドPKSの第5の拡張モジュールのコー
ド配列によって置換されているか、または、このオレアンドライドPKSの第5
の拡張モジュールのコード配列が異種PKSのモジュールのコード配列に単に付
加されているかのいずれかである)は、新規なPKSを提供する。別の実施形態
において、このオレアンドライドPKSの第5の拡張モジュールをコードする配
列を含むDNA化合物は、オレアンドライドPKSのコード配列またはオレアン
ドライド誘導体を生成する組換えオレアンドライドPKSのコード配列を含むD
NA化合物中に挿入される。
【0083】 別の実施形態において、第5の拡張モジュールコード配列の一部または全てが
、他のPKSコード配列と組合せて利用されて、ハイブリッドモジュールを生成
する。この実施形態において、本発明は、例えば、メチルマロニルCoA特異的
ATを、マロニルCoA特異的AT、エチルマロニルCoA特異的AT、または
2−ヒドロキシマロニルCoA特異的ATにより置換すること;KRを欠失する
こと(または不活性化すること);DH、またはDHおよびERを挿入すること
;ならびに/あるいはこのKRを別のKR、(DHおよびKR)、または(DH
、KR、およびER)により置換することを提供する。さらに、このKSおよび
/またはACPは、別のKSおよび/またはACPにより置換され得る。これら
の置換または挿入の各々において、異種KS、AT、DH、KR、ER、または
ACPのコード配列は、このオレアンドライドPKSの別のモジュールのコード
配列、オレアンドライド以外のポリケチドを生成するPKSのコード配列、また
は化学合成に由来し得る。生じた異種の第5の拡張モジュールコード配列は、オ
レアンドライド、オレアンドライド誘導体、または別のポリケチドを合成する、
PKSのコード配列と組合せて利用され得る。
【0084】 オレアンドライドPKSの第6の拡張モジュールをコードする本発明の組換え
DNA化合物、およびこれによりコードされる対応するポリペプチドは、種々の
適用に有用である。1つの実施形態において、オレアンドライドPKSの第6の
拡張モジュールをコードする配列を含むDNA化合物が、異種PKSのコード配
列を含むDNA化合物中に挿入される。生じる構築物(異種PKSのモジュール
のコード配列が、このオレアンドライドPKSの第6の拡張モジュールのコード
配列によって置換されているか、または、このオレアンドライドPKSの第6の
拡張モジュールのコード配列が異種PKSのモジュールのコード配列に単に付加
されているかのいずれかである)は、新規なPKSを提供する。別の実施形態に
おいて、このオレアンドライドPKSの第6の拡張モジュールをコードする配列
を含むDNA化合物が、オレアンドライドPKSのコード配列またはオレアンド
ライド誘導体を生成する組換えオレアンドライドPKSのコード配列を含むDN
A化合物中に挿入される。
【0085】 別の実施形態において、第6の拡張モジュールコード配列の一部または全てを
、他のPKSコード配列と組み合わせて使用して、ハイブリッドモジュールを作
製する。この実施形態において、本発明は、例えば、メチルマロニルCoA特異
的ATをマロニルCoA特異的AT、エチルマロニルCoA特異的ATまたは2
−ヒドロキシグリコリルCoA特異的ATと置換すること;KRを欠失または不
活性化することあるいはKRを別のKR、KRおよびDH、またはKR、DH、
およびERと置換すること、ならびに/あるいはDHまたはDHおよびERを挿
入することを提供する。さらに、このKSおよび/またはACPは、別のKSお
よび/またはACPで置換され得る。これらの置換または挿入の各々において、
異種のKS、AT、DH、KR、ERまたはACPのコード配列は、オレアンド
ライドPKSの別のモジュールのコード配列、オレアンドライド以外のポリケチ
ドを産生するPKSについてのコード配列、または化学合成に由来し得る。得ら
れる異種の第6の拡張モジュールコード配列は、オレアンドライド、オレアンド
ライド誘導体または別のポリケチドを合成するPKSのコード配列と組み合わせ
て利用し得る。
【0086】 オレアンドライドPKSの第6の拡張モジュールは、チオエステラーゼドメイ
ンの前にある。このドメインは、ポリケチドの環化およびそのPKSからのこの
ドメインの切断に重要である。本発明は、ハイブリッドPKS酵素をコードする
組換えDNA化合物を提供する。ここで、オレアンドライドPKSが、異種のチ
オエステラーゼに融合されているか、または異種のPKSが、オレアンドライド
シンターゼチオエステラーゼに融合されている。従って、例えば、別のPKS遺
伝子由来のチオエステラーゼドメインコード配列は、本発明の組換えDNA化合
物中の第6の(または他の最終の)拡張モジュールコード配列の末端に挿入され
得るか、またはオレアンドライドPKSチオエステラーゼが同様に異種PKSに
融合され得る。このチオエステラーゼドメインをコードする組換えDNA化合物
は、オレアンドライドPKS、オレアンドライド誘導体を産生するPKS、およ
びオレアンドライドまたはオレアンドライド誘導体以外のポリケチドを産生する
PKSをコードする、DNA化合物を構築する際に有用である。
【0087】 従って、本発明のハイブリッドモジュールは、PKSに取り込まれて本発明の
ハイブリッドPKSを提供する。本発明のハイブリッドPKSは、 (i)その生成物がPKSに組み込まれるPKS遺伝子中に含まれるハイブリ
ッドモジュールコード配列を産生するための異種ドメイン(ここで異種とは、モ
ジュールが少なくとも2つの異なる天然に存在するモジュール由来であるドメイ
ンを意味する)コード配列の融合、 から生じるのみではなく、 (ii)その生成物がPKSに組み込まれるPKS遺伝子中に含まれるハイブ
リッドコード配列を産生するための、異種モジュール(ここで異種モジュールと
は、天然に存在するPKS酵素中で互いに隣接しない、互いに隣接する2つのモ
ジュールを意味する)コード配列の融合から、 (iii)1つ以上の非オレアンドライドPKS遺伝子(天然に存在する非オ
レアンドライドPKS遺伝子および組換え非オレアンドライドPKS遺伝子の両
方を含む)を伴う1つ以上の非オレアンドライドPKS遺伝子の発現から、なら
びに、 (iv)前述の組み合わせ からもまた、生じる。これらの種々の代替を例証する本発明の種々のハイブリッ
ドPKSは、本明細書中に記載される。
【0088】 融合モジュールを含むハイブリッドPKSの例は、オレアンドライドPKSの
拡張モジュール1および2を伴う、DEBSまたはナルボノライドPKS(本明
細書中で参考として援用されるPCT特許出願番号US99/11814を参照
のこと)のいずれかのローディングモジュールから生じ、ハイブリッドoleA
I遺伝子を産生する。oleAII遺伝子およびoleAIII遺伝子とのこれ
ら2つのハイブリッドoleAI遺伝子のいずれか1つの、適切な宿主細胞(例
えば、Streptomyces lividans)中での同時発現は、組換
え宿主細胞中での6−デオキシエリスロノライドBを産生する、本発明のハイブ
リッドPKSの発現を生じる。eryAII遺伝子およびeryAIII遺伝子
との、これら2つのハイブリッドoleAI遺伝子のいずれか1つの同時発現は
、同様に、6−dEBの産生を生じるが、一方、類似のナルボノライドPKS遺
伝子(picAIIおよびpicAIII)との同時発現は、3−ケト−6−d
EBの産生を生じる。
【0089】 ハイブリッドモジュールを含むハイブリッドPKSの別の例は、oleAI遺
伝子およびoleAII遺伝子を、拡張モジュール5をコードするoleAII
Iハイブリッド遺伝子とともに同時発現させることによって調製され、そしてオ
レアンドライドPKSの拡張モジュール6のKSおよびATは、拡張モジュール
6のACPおよびナルボノライドPKSのTEに融合される。得られる本発明の
ハイブリッドPKSは、3−デオキシ−3−オキソ−8,8a−デオキシオレア
ンドライド(3−ケト−オレアンドライド)を産生する。この化合物は、14−
デスメチルケトライドの生成において有用であり、この化合物は強力な抗細菌活
性を有する。この化合物はまた、本発明の組換えオレアンドライド誘導体PKS
によって調製され得、ここで、オレアンドライドPKSのモジュール6のKRド
メインは欠失されるか、または不活性KRドメインで置換されている。さらに本
発明は、上記の変化がなされているだけではなく、モジュール6のATドメイン
がまた、マロニル特異的ATで置換されているハイブリッドPKSを提供する。
これらのハイブリッドPKSは、2−デスメチル−3−デオキシ−3−オキソ−
8,8a−デオキシオレアンドライド(強力な抗生物質活性を有する化合物であ
る、2,14−ジデスメチルケトライドの調製における有用な中間体)を産生す
る。
【0090】 別の例証的なハイブリッドPKSの例には、つい先ほど記載したハイブリッド
PKSの後者の変化からのみ生じる本発明のハイブリッドPKSが含まれる。従
って、oleA1遺伝子およびoleAII遺伝子の、モジュール6のATドメ
インがマロニル特異的ATによって置換されているハイブリッドoleIII遺
伝子との同時発現は、組換え宿主細胞中で2−デスメチル−8,8a−デオキシ
オレアンドライドを産生するハイブリッドPKSの発現を生じる。この化合物は
、本発明の組換え宿主細胞中で2,14−ジデスメチルエリスロマイシンを製造
するための中間体として有用である。
【0091】 上記のハイブリッドPKSの多くは、主としてオレアンドライドPKSタンパ
ク質から構成されるが、当業者は、本発明が多くの異なるハイブリッドPKS(
オレアンドライドPKSの小さな部分のみからなるものを含む)を提供すること
を理解する。例えば、本発明は、DEBSの拡張モジュール1および2に融合さ
れたオレアンドライドローディングモジュールをコードするハイブリッドole
A1遺伝子が、eryAII遺伝子およびeryAIII遺伝子とともに同時発
現されるハイブリッドPKSを提供する。得られるハイブリッドPKSは、8,
8a−デオキシオレアンドライドを産生する。この構築物が、Saccharo
polyspora erythraea宿主細胞中で発現される(染色体中で
の染色体組み込みを介して、またはハイブリッドPKSをコードするベクターを
介して)場合、得られる本発明の組換え宿主細胞は、14−デスメチルエリスロ
マイシンを産生する。別の例証的な例は、oleA1遺伝子産物、eryAII
遺伝子産物、およびeryAIII遺伝子産物からなる、本発明のハイブリッド
PKSである。この構築物はまた、以下の実施例3に記載されるように、Sac
charopolyspora erythraea宿主細胞中で14−デスメ
チルエリスロマイシンを発現する際に有用である。好ましい実施形態において、
S.erythraea宿主細胞は、6−デオキシエリスロノライドBを産生し
ない、eryAI変異体である。
【0092】 別の例は、picAI遺伝子の産物およびpicAII遺伝子の産物(ナルボ
ノライドPKSの、ローディングモジュールおよび拡張モジュール1〜4(両端
を含む)を含む2つのタンパク質)およびoleAIII遺伝子の産物からなる
本発明のハイブリッドPKSである。得られるハイブリッドPKSは、Stre
ptomyces lividans宿主細胞中でマクロライドアグリコン3−
ヒドロキシ−ナルボノライドを産生し、そしてSaccharopolyspo
ra erythraea宿主細胞中で対応するエリスロマイシンを産生する。
本発明のこのハイブリッドPKSは、以下の実施例5において記載される。
【0093】 前述の本発明のハイブリッドPKS酵素の各々、および本発明のハイブリッド
PKS酵素は一般的に、機能的なoleP遺伝子産物をまた発現する宿主細胞中
で発現され得る。このような発現は、C−8−C−8aエポキシドが存在する本
発明の化合物を提供する。
【0094】 以下の表は、本発明の組換えハイブリッドPKSの構築およびそれらをコード
する対応するDNA化合物に有用であり得る例示的PKS遺伝子および対応する
酵素を記載する参考文献を列挙する。本発明の方法に従って利用し得るテイラー
リング酵素(tailoring enzyme)および対応する遺伝子の調製
を記載する種々の参考文献もまた提示する。
【0095】
【表1】 上記の表に例示したように、本発明のハイブリッドPKSコードDNA化合物
を構築する際に使用のためのDNAおよび配列情報の容易に利用可能な供給源と
して役に立つ、広範な種々のPKS遺伝子が存在する。ハイブリッドPKSコー
ドDNA化合物を構築するための方法は、オレアンドライドPKSに関すること
なく以下に記載される:米国特許第5,672,491号および同第5,712
,146号ならびにPCT公開WO98/49315(これらの各々は、本明細
書中に参考として援用される)。
【0096】 本発明のハイブリッドPKSの構築において、特定の一般的な方法が助けとな
り得る。例えば、ハイブリッドPKSを作製するために変更されるモジュールの
枠組みを保持することは、しばしば利点がある。従って、モジュールにDHおよ
びERの機能性を付加することが所望される場合、DHドメインおよびERドメ
インを単に挿入する代わりに、しばしば、元々のモジュールのKRドメインを、
別のモジュール由来のKRドメイン、DHドメインおよびERドメインを含有す
るセグメントと置換することが好ましい。KSドメインを、異なる立体化学の特
徴をもたせるモジュール由来のKSドメインで置換することによりモジュールの
立体化学特異性を変化し得る。Lauら、1999、「Dissecting
the role of acyltransferase domains
of modular polyketide synthases in t
he choice and stereochemical fate of
extender units」Biochemistry 38(5):1
643−1651(本明細書に参考として援用される)を参照のこと。ATドメ
インの小さなセグメントだけを変えることによりATドメインの特異性を変化し
得る。Lauら、前出を参照のこと。2つの異なるPKS由来のモジュールに連
結して、ハイブリッドPKSを作製するために、PKSタンパク質における公知
のリンカー領域もまたうまく利用し得る。Gokhaleら、1999年4月1
6日、「Dissecting and Exploiting Interm
odular Communication in Polyketide S
ynthases」Science 284:482−485(本明細書に参考
として援用される)を参照のこと。
【0097】 本発明のハイブリッドPKSをコードするDNA化合物は、2つより多くのP
KS遺伝子のハイブリッドであり得、そしてしばしばそのようなハイブリッドで
ある。2つの遺伝子のみが使用された場合でさえ、そのハイブリッド遺伝子には
、しばしば2つ以上のモジュールが存在し、その遺伝子においては、このモジュ
ールの一部もしくは全部は、第2の(または第3の)PKS遺伝子から誘導され
る。従って、1つの例示的な例として、本発明は、天然に存在するローディング
モジュール、およびチオエステラーゼドメインならびにオレアンドライド(ol
eandolide)PKSの拡張モジュール1、拡張モジュール2、拡張モジ
ュール4、および拡張モジュール6を含み、そしてハイブリッドまたは異種の拡
張モジュール3および5をさらに含むハイブリッドPKSを提供する。ハイブリ
ッドまたは異種の拡張モジュール3および5は、マロニルCoAに特異的なAT
ドメインを含有し、そして例えば、ラパマイシンPKS遺伝子由来である。
【0098】 本発明のハイブリッドPKSまたはオレアンドライド誘導体PKSを構築する
ために、PCT公開WO98/27203および米国仮特許出願第60/129
,731号(99年4月16日出願)(本明細書に参考として援用される)に記
載される技術を利用し得る。このPCT公開において、大きなオレアンドライド
PKS遺伝子クラスターは、2つ以上、代表的には、3つのセグメントに分割さ
れ、そして各々のセグメントは、別々の発現ベクター上に配置される。この様式
において、この遺伝子のセグメントの各々は改変され得、そして種々の改変され
たセグメントは、単一の宿主細胞において組み合わされ、本発明の組換えPKS
遺伝子を提供し得る。この技術は、組換えPKS遺伝子の大きなライブラリー、
それらの遺伝子を発現するベクター、およびそれらのベクターを含む宿主細胞の
構築をより有効にする。
【0099】 本発明はまた、PKS遺伝子の、PKSタンパク質の、そして究極的には、ポ
リケチドのライブラリーを提供する。これらは、オレアンドライドPKSにおけ
る改変の生成により構築され、その結果、産生されたこのタンパク質複合体は、
1つ以上の点において改変された活性を有し、従って、PKSのオレアンドライ
ドの天然の産物以外のポリケチドを産生する。新規なポリケチドがこのように調
製され得、すなわちポリケチドは、一般的に、この方法を使用してより容易に調
製される。天然に存在するPKS遺伝子クラスター由来の多数の異なる遺伝子ま
たは遺伝子クラスターを提供することにより(この各々は、天然のクラスターと
異なる方法において改変されている)、ポリケチドの有効なコンビナトリアルラ
イブラリーが、これらの活性における複数の変異の結果として産生され得る。以
下にさらに記載されるように、本発明のこの実施形態の境界および範囲が、ポリ
ケチドレベル、タンパク質レベルおよびコードヌクレオチド配列レベルで記載さ
れ得る。
【0100】 上記のように、オレアンドライドから「誘導される(由来する)」モジュール
型PKSまたは他の天然に存在するPKSは、天然に存在する遺伝子の利用した
部分の足場(scaffolding)を維持するモジュール型PKS(または
その対応するコード遺伝子)を含む。全てのモジュールがこの構築物に含まれる
必要はない;この構築物は、ローディングモジュール、および6、6未満または
6を超える拡張モジュールを含み得る。足場とは対照的に、少なくとも1つの酵
素活性が、変異、欠失、置換、または挿入され、その結果、元々のPKSに比べ
て得られるPKSの活性を変化させる。これらの活性が、欠失されるかまたは活
性の異なるバージョンにより置換される場合、あるいは天然の産物以外のポリケ
チドがこれらの集合的活性から得られるこのような様式において単に変化される
場合に、変異が生じる。これは、ポリケチド産物の対応する位置での、スタータ
ーユニットおよび/もしくは拡張ユニット、立体化学、鎖長または環化、および
/もしくは還元もしくは脱水サイクルの結果生じた変異のために生じる。欠失さ
れた活性が置換される場合、置換の活性の起源は、異なる天然に存在するPKS
における対応する活性に起因し得るかまたはオレアンドライドPKSの異なる領
域に起因し得る。オレアンドライドPKSの任意のまたは全ての遺伝子は、含ま
れ得るこれらの任意の誘導体もしくは一部に含まれ得るが、PKSタンパク質の
足場は、どの誘導体が構築される場合においても保持される。この誘導体は、好
ましくはオレアンドライドまたは別のPKSから誘導されるチオエステラーゼ活
性を含有する。
【0101】 従って、オレアンドライドPKSから誘導されるPKSは、オレアンドライド
PKSの全てまたは一部の骨格を含有するPKSを含む。誘導体PKSはまた、
機能的である少なくとも2つの拡張モジュール、好ましくは、3つの拡張モジュ
ール、そしてより好ましくは4つ以上の拡張モジュール、ならびに最も好ましく
は6つの拡張モジュールを含有する。誘導体PKSはまた、オレアンドライドP
KSの機能的モジュールの一つ以上の活性の変異、欠失、挿入、または置換を含
有し、その結果、得られたポリケチドの性質がタンパク質レベルおよびDNA配
列レベルの両方で変化される。特定の好ましい実施形態は、KSドメイン、AT
ドメイン、またはACPドメインが、異なるPKS、または同じPKS内の別の
位置に由来する活性のバージョンにより、欠失または置換されているものを含む
。少なくとも1つの非縮合環酵素活性(KR、DHまたはER)が、欠失または
添加された誘導体、あるいは、これらの活性のいずれかが変異され、その結果、
PKSにより合成されたポリケチドの構造が変化された誘導体もまた好ましい。
【0102】 逆に、オレアンドライドPKS活性の、少なくとも1つの部分、または2つ以
上の部分が挿入された、機能的な非オレアンドライドPKSモジュールまたはそ
れらのコード遺伝子もまた、オレアンドライドPKSから誘導されるPKSの定
義内に含まれる。マロニルCoAよりむしろメチルマロニルCoA拡張ユニット
を受けるオレアンドライドATを拡張モジュール2として使用して、別のPKS
におけるメチルマロニル特異的ATを置換することが、例である。他の例は、D
NAレベルおよびタンパク質レベルの両方での、異種PKS中への非縮合環酵素
活性の部分またはオレアンドライドシンターゼ活性の他の領域の挿入を含む。
【0103】 従って、産生されるポリケチドに関して、ハイブリッドPKSを構築するため
に少なくとも5つの自由度が存在する。第1に、ポリケチド鎖長は、PKS中の
モジュールの数により決定し、そして本発明は、ローディングモジュール、なら
びに6および6未満または6を超える拡張モジュールを含む、ハイブリッドPK
Sを含む。第2に、PKSの炭素骨格の性質は、各位置の拡張ユニット(例えば
、マロニル、メチルマロニル、エチルマロニルまたは他の置換マロニル)の性質
を決定する、アシルトランスフェラーゼの特異性により決定される。第3に、ロ
ーディングモジュールの特異性もまた、生じるポリケチドの炭素骨格に対して効
果を有する。ローディングモジュールは、異なるスターターユニット(例えば、
プリオピオニル、ブチリルなど)を使用し得る。上記および以下の実施例のよう
に、ローディングモジュールの特異性を変化させる別の方法は、拡張モジュール
1のKS(KS1)の活性の不活化、および拡張モジュール2について代わりの
基質(ジケチドと呼ばれる、拡張モジュール1のジケチド産物の化学合成された
アナログである)を提供することを含む。このアプローチは、PCT公開WO
97/02358およびWO 99/03986(本明細書中に参考として援用
される)に例示された。これらの公開において、KS1活性は、変異により不活
化された。第4に、ポリケチドの種々の位置での酸化状態は、モジュールのデヒ
ドラターゼ部位およびレダクターゼ部位により決定される。これは、ポリケチド
中のケトン部分およびアルコール部分、ならびにC−C二重結合またはC−C単
結合の存在および位置を決定する。最後に、得られたポリケチドの立体化学は、
シンターゼの3つの局面の関数である。第1の局面は、拡張ユニットとしての置
換されたマロニルと関連するAT/KS特異性に関する。これは、還元性の環が
欠失される場合、またはケトレダクターゼのみを含む場合にのみ、デヒドラター
ゼがキラリティーを無効にするために立体化学に影響する。第2にケトレダクタ
ーゼの特異性は、任意のβ−OHのキラリティーを決定し得る。最後に、拡張ユ
ニットとしての置換されたマロニルについてのエノイルレダクターゼの特異性は
、利用可能な完全なKR/DH/ERが存在する場合、立体化学に影響を与え得
る。
【0104】 従って、一般にモジュール型PKS系、特にオレアンドライドPKS系は、広
範なポリケチドが合成されることを可能にする。芳香族PKS系と比較した場合
、モジュール型PKS系は、広範なスターターユニット(脂肪族モノマー(アセ
チル、プロピオニル、ブチリル、イソバレリルなど)、芳香族モノマー(アミノ
ヒドロキシベンゾイル)、脂環式モノマー(シクロヘキサノイル)およびへテロ
環式モノマー(チアゾリル)を含む)を受け入れる。特定のモジュール型PKS
は、それらのスターターユニットに対してゆるやかな特異性を有する(Kaoら
、1994、Science、前出)。モジュール型PKSはまた、各縮合環の
拡張ユニットの選択に関してかなりの多様性を示す。縮合反応後のβ−ケト還元
の程度もまた、遺伝的操作により変えられることが示されている(Donadi
oら、1991、Science、前出;Donadioら、1993、Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 90:7119−7123)。同様
に、ポリケチド産物の大きさは、適切な数のモジュールを有する変異体の設計に
より変えられ得る(Kaoら、1994、J.Am.Chem.Soc.116
:11612−11613)。最後に、モジュール型PKS酵素は、高度に制御
された様式で、それらの産物において不斉中心の印象的な範囲を生成するために
特に周知である。本発明の方法により生成されたポリケチドおよび抗生物質およ
び他の化合物は、代表的に、単一の立体異性形態である。本発明の化合物は、立
体異性体の混合物として生じ得るが、個々の立体異性を生成することは、いくつ
かの例において有利であり得る。従って、任意の天然に存在するモジュール型(
例えば、オレアンドライド、PKS骨格)に基づくモジュール型PKS経路内の
コンビナトリアル能は、実質的に制限されない。
【0105】 ハイブリットPKSは、PKSコード配列の「混在しかつ一致する」部分によ
り、最も良く産生されるが、PKSをコードするDNAにおける変異を使用して
、コードされるポリペプチドの活性を導入、変化または欠失させ得ることを考慮
した場合、さらに増加される。変異を従来の技術を使用してネイティブの配列に
対してなし得る。変異のための基質は、遺伝子のクラスター全体、またはそれら
の1つもしくは2つのみであり得る;変異のための基質はまた、それらの遺伝子
の1つ以上の部分であり得る。変異のための技術には、変異を含む合成オリゴヌ
クレオチド調製すること、および制限エンドヌクレアーゼ消化を用いて、PKS
サブユニットをコードする遺伝子中へ変異された配列を挿入することが挙げられ
る。例えば、Kunkel、1985、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 82:448;Geisselsoderら、1987、BioTe
chniques 5:786を参照のこと。あるいは、変異は、ネイティブの
ヌクレオチド配列にハイブリダイズするミスマッチプライマー(一般的に10〜
20ヌクレオチド長)を用いて、そのミスマッチな二重鎖の融解温度より低い温
度で、もたらされ得る。プライマーは、比較的狭い制限内でプライマー長および
塩基組成を維持することにより、ならびに変異塩基を中心に位置するように維持
することにより特異的に作製され得る。ZollerおよびSmith、198
3、Methods Enzymol.100:468を参照のこと。プライマ
ーの伸長は、DNAポリメラーゼを用いて実施され、産物はクローニングされ、
そしてプライマーの伸長された鎖の分離により誘導された変異DNAを含むクロ
ーンが選択される。同定は、ハイブリダイーゼーションプローブとして変異プラ
イマーを使用することにより達成され得る。この技術はまた、複数の点変異を作
製するためにも適用可能である。例えば、Dalbie−McFarlandら
、1982、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6409
を参照のこと。PCR変異誘発もまた使用して、所望の変異をもたらし得る。
【0106】 酵素活性をコードするヌクレオチド配列の選択された部分のランダムな変異誘
発はまた、当該分野で公知にいくつかの異なる技術により(例えば、プラスミド
へオリゴヌクレオチドリンカーをランダムに挿入することにより、X線または紫
外線照射により、インビトロDNA合成の間に不正確なヌクレオチドを組み込む
ことにより、誤りがちの(error−prone)PCR変異誘発により、合
成変異を調製することにより、あるいはインビトロで化学薬品でプラスミドDN
Aに損傷を与えることにより)達成され得る。化学的変異誘発物質としては、例
えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硝酸、ニトロソグアニジン、ヒドロキシルアミ
ン、塩基を損傷するかもしくは除去することにより、正常な塩基対形成を妨げる
薬剤(例えば、ヒドラジンまたはギ酸)、ヌクレオチド前駆体のアナログ(例え
ば、5−ブロモウラシル、2−アミノプリン)またはアクリジンインターカレー
ト試薬(例えば、プロフラビン、アクリフラビン、キナクリンなど)が挙げられ
る。一般に、プラスミドDNAまたはDNAフラグメントは、化学薬品で処理さ
れ、E.coliに形質転換され、そして変異プラスミドのプールまたはライブ
ラリーとして増殖される。
【0107】 本発明のハイブリッドPKSを構築するにおいて、酵素活性をコードする領域
(すなわち、異なるPKSシンターゼ由来、または同じPKSの異なる位置由来
の対応する活性をコードする領域)は、例えば、適切なプライマーとともにPC
R技術を使用して回収され得る。領域をコードする「対応する」活性によって、
活性の同じ一般的な型をコードするそれらの領域が意味される。例えば、遺伝子
クラスターの1つの位置でコードされるKR活性は、この遺伝子クラスターまた
は異なる遺伝子クラスターの別の位置における活性をコードするKRに「対応す
る」。同様に、完全なレダクターゼサイクルは、対応すると考えられ得る。例え
ば、KR/DH/ERは、KR単独に対応する。
【0108】 宿主PKS中の特定の標的領域の置換が行われる場合、この置換は、適切な制
限酵素を使用してインビトロで行われ得る。この置換はまた、組換え技術を使用
してインビボでもたらされ得、これは、ドナープラスミドおよびレシピエントプ
ラスミドのレセプター領域における置換遺伝子を構成する相同な配列を含む。こ
のような系は、異なる温度感受性のプラスミドを有利に含むことが記載される(
例えば、PCT公開番号WO96/40968、本明細書中に参考として援用さ
れる)。種々の操作を行って、宿主PKS遺伝子の酵素活性を置換するか、また
は宿主PKS遺伝子のこれらの領域における変異を支持するために使用されるベ
クターは、コード配列の発現が適切な宿主においてもたらされ得るような様式で
、得られたコード配列に作動可能に連結された制御配列を含むように選択され得
る。
【0109】 しかし、簡単なクローニングベクターは、同様に使用され得る。クローニング
ベクターを使用して、コードヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現のた
めの制御配列を欠如する誘導PKSをコードするPKS遺伝子を得る場合、この
ヌクレオチド配列は、適切な発現ベクター中に挿入される。このことは、個々に
行われる必要はないが、単離されたコードヌクレオチド配列のプールは発現ベク
ター中に挿入され得、得られたベクターは、宿主細胞に形質転換またはトランス
フェクトされ、そして得られた細胞は、個々のコロニーにプレートされる。本発
明は、オレアンドライドPKSのドメインおよびモジュールに対する種々のコー
ド配列が、天然に存在しない制限酵素認識部位に隣接される、種々の組換えDN
A化合物を提供する。
【0110】 種々のPKSヌクレオチド配列は、別々の制御エレメントとともに、または、
例えば、単一のプロモーターの制御下で個々のカセットとして1つ以上の組換え
ベクター内にクローニングされ得る。領域をコードするPKSサブユニットは、
ハイブリッドPKSが生成され得るように、他のPKSサブユニットコード配列
の容易な欠失および挿入を可能にするために、隣接する制限部位を含み得る。こ
のような独特の制限部位の設計は、当業者に公知であり、そして上記の技術(例
えば、部位特異的変異誘発およびPCR)を使用して達成され得る。
【0111】 次いで、異なるポリケチドを生成するための種々のPKS酵素をコードするヌ
クレオチド配列を含有する発現ベクターは、適切な宿主細胞に形質転換され、ラ
イブラリーを構築する。1つの簡便なアプローチにおいて、このようなベクター
の混合物は選択された宿主細胞に形質転換され、そして得られた細胞は個々のコ
ロニーにプレートされ、そして成功した形質転換体を同定するために選択される
。個々のコロニー各々は、特定のPKSシンターゼを生成し、そして最終的に特
定のポリケチドを生成する能力を有する。代表的には、コロニーのいくつか、大
部分または全てにおいて、複製物(duplication)が存在する;各々
のメンバーのコロニーにおいて、異なるPKSを含む形質転換コロニーのサブセ
ットは、ライブラリーとみなされ得る。あるいは、発現ベクターを個々に使用し
て、宿主を形質転換し得る。次いで、この形質転換された宿主はライブラリーに
アセンブルされる。種々のストラテジーは、ライブラリー中の各々のコロニーが
、異なるPKSおよび最終的に異なるポリケチドを生成するような、天然に存在
する宿主遺伝子クラスターに由来するPKS遺伝子クラスターを各々含む多くの
コロニーを得るために利用可能である。ライブラリーにより生成される異なるポ
リケチドの数は、代表的には、少なくとも4つ、より代表的には、少なくとも1
0、そして好ましくは、少なくとも20、そしてより好ましくは少なくとも50
であり、これは、異なる改変されたPKS遺伝子クラスターおよびPKS遺伝子
産物の同様な数を反映する。ライブラリー中のメンバーの数は、任意に選択され
る;しかし、スターター、拡張ユニット、立体化学、酸化状態、および鎖長の変
化に関する上記で概説した自由度の程度が、非常に大きなライブラリーの生成を
可能にする。
【0112】 適切な宿主へ本発明の組換えベクターを導入する方法は、当業者に公知であり
、そして代表的には、CaCl2または薬剤(例えば、他の二価カチオン)、リ
ポフェクション、DMSO、PEG、プロトプラスト形質転換、感染、トランス
フェクション、およびエレクトロポレーションの使用が挙げられる。ポリケチド
生成コロニーが同定され得、そして公知の技術を使用して単離され得、そして生
成されたポリケチドは、さらに特徴付けられ得る。これらのコロニーにより生成
されたポリケチドは、ライブラリーを表すようにパネルにおいて集合的に使用さ
れ得るか、または活性について個々に評価され得る。
【0113】 従って、本発明のライブラリーは、以下の4つのレベルで考えられ得る:(1
)多重したPKSコード配列を有する多くのコロニー;(2)これらのコード配
列により生成されるタンパク質;(3)機能的PKSにアセンブルされたこれら
のタンパク質から生成されたポリケチド;および(4)これらのポリケチドから
誘導された他の所望な活性を有する抗生物質または化合物。もちろん、組み合わ
せライブラリーもまた、構築され得、ここで、例えば、オレアンドライドPKS
から誘導されたライブラリーのメンバーは、例えば、ラパマイシンPKSまたは
DEBSから誘導されたライブラリーと同じライブラリーの一部としてみなされ
得る。
【0114】 ライブラリーにおけるコロニーは、関連するシンターゼを生成し、従って、関
連するポリケチドを生成して、ポリケチドのライブラリーを得るようから誘導さ
れる。培地中に分泌されるか、または他で単離されたポリケチドは、所望の標的
(例えば、レセプター、シグナル伝達タンパク質など)に対する結合についてス
クリーニングされ得る。上清自体は、スクリーニングのために使用され得るか、
またはポリケチドの部分精製もしくは完全精製が最初にもたらされ得る。代表的
には、このようなスクリーニング方法は、レセプターまたは他の標的リガンドに
対する、ライブラリーの各メンバーの結合を検出することを包む。直接的にか、
または競合アッセイによるかのいずれかで、結合が検出され得る。このようなラ
イブラリーを結合についてスクリーニングする手段は、当該分野で周知である。
あるいは、このライブラリーの個々のポリケチドメンバーは、所望の標的に対し
て試験され得る。この事象において、標的の生物学的応答が測定されるスクリー
ニングは、より容易に含まれ得る。抗生物質活性は、Lehrerら、1991
、J.Immunol.Meth.137:167−173(本明細書中に参考
として援用される)に示されるスクリーニングアッセイ、および以下の実施例7
におけるような代表的なスクリーニングアッセイを使用して確認され得る。
【0115】 本発明は、多数のポリケチドを調製するための方法を提供する。これらのポリ
ケチドは、上記のヒドロキシル化およびグリコシル化反応によって抗生物質活性
または他の活性を有する化合物の形成における、有用な中間体である。一般に、
PKSのポリケチド産物は、抗生物質活性を示すようにさらに改変されるべきで
ある(代表的には、ヒドロキシル化およびグリコシル化による)。ヒドロキシル
化は、C−6(これは、eryF遺伝子によりコードされるヒドロキシラーゼを
用いて達成され得る)および/またはC12(これは、picK遺伝子もしくは
eryK遺伝子によりコードされるヒドロキシラーゼを用いて達成され得る)で
のヒドロキシル基を含む、本発明の新規なポリケチドを生じる。また、本発明は
、組換え形態のoleP遺伝子を提供し、このoleP遺伝子を使用して、任意
の宿主細胞においてoleP遺伝子産物を発現させ得る。従って、oleP遺伝
子を発現するように改変された宿主細胞(例えば、Streptomyces宿
主細胞またはSaccharopolyspora erythraea宿主細
胞)を使用して、オレアンドマイシンに存在するC−8−C−8aエポキシドを
含むポリケチドを生成し得る。従って、本発明は、このような改変型ポリケチド
を提供する。これらの位置でのヒドロキシル基の存在は、ヒドロキシル化されな
いその対応物と比較して、得られた化合物の抗生物質活性を増強し得る。
【0116】 ポリケチドをグリコシル化するための方法は、一般に、当該分野で公知であり
;グリコシル化は、適切なグリコシル化酵素を提供することによって細胞内でも
たらされ得るか、または本明細書中およびPCT公開番号WO98/49315
(本明細書中に参考として援用される)に記載の化学的合成手段を使用してイン
ビトロでもたらされ得る。好ましくは、デソサミンを用いたグリコシル化は、本
発明の方法に従って、本発明により提供された組換え宿主細胞中でもたらされる
。一般に、グリコシル化をもたらすためのアプローチは、ヒドロキシル化に関す
る上記のアプローチを反映する。天然の供給源から単離されたか、または組換え
生成された、精製された酵素は、インビトロで使用され得る。あるいは、そして
上記のように、グリコシル化は、内因的もしくは組換え生成された細胞内グリコ
シルトランスフェラーゼを使用して細胞内でもたらされ得る。さらに、化学合成
方法が利用され得る。
【0117】 抗生物質モジュール型ポリケチドは、任意の多くの異なる糖を含み得るが、D
−デソサミンまたはそれらの密接なアナログが、最も一般的である。エリスロマ
イシン、ピクロマイシン、ナルボマイシンおよびメチマイシンは、デソサミンを
含む。エリスロマイシンはまた、L−クラジノース(3−O−メチルマイカロー
ス(mycarose))を含む。タイロシンは、マイカミノース(mycam
inose)(4−ヒドロキシデソサミン)、マイカロースおよび6−デオキシ
−D−アロースを含む。2−アセチル−1−ブロモデソサミンは、ドナーとして
用いられて、ポリケチドをグリコシル化した(Masamuneら、1975、
J.Am.Chem.Soc.97:3512−3513)。他の明らかにより
安定なドナーとしては、グリコシルフルオライド、チオグリコシド、およびトリ
クロロアセトイミデート(trichloroacetimidate)が挙げ
られる;Woodwardら、1981、J.Am.Chem.Soc.103
:3215;Martinら、1997、J.Am.Chem.Soc.119
:3193;Toshimaら、1995、J.Am.Chem.Soc.11
7:3717;Matsumotoら、1988、Tetrahedron L
ett.29:3575を参照のこと。グリコシル化はまた、先の節に議論され
るように、開始物質としてポリケチドアグリコンを使用して、そして変換を行う
ためにSaccharopolyspora erythraeaまたはStr
eptomyces venezuelaeあるいは他の宿主細胞を使用して、
好ましくは、マクロライドを合成できない変異体を使用して、もたらされ得る。
【0118】 従って、広範な種々のポリケチドが、本発明のハイブリッドPKS酵素によっ
て生成され得る。これらのポリケチドは、以下の節において記載されるように、
抗生物質としておよび他の有用な化合物の合成における中間体として有用であり
得る。
【0119】 (第IV節:化合物) 本発明の方法および組換えDNA化合物は、ポリケチドの生成において有用で
ある。重要な局面において、本発明は、オレアンドマイシンおよびエリスロマイ
シン(両方とも、強力な抗生物質化合物である)に構造的に関連する抗生物質化
合物を作製するための方法を提供する。本発明はまた、細菌の抗生物質耐性株に
対する活性に起因する、重要な目的の強力な抗生物質活性を有するポリケチド化
合物である、新規ケトライド化合物を提供する。Griesgraberら、1
996、J.Antibiot.49:465−477(本明細書中に参考とし
て援用される)を参照のこと。今日までに調製されたケトライドの全てではなく
とも大部分が、中間体としてエリスロマイシンA(6−dEBの誘導体)を使用
して合成されている。本発明は、6−dEBとは構造が異なるポリケチドを生成
するハイブリッドPKSを提供するが、本発明はまた、伝統的な6−dEB由来
およびエリスロマイシン由来のケトライド化合物を調製するにおいて有用な中間
体を作製する方法もまた提供する。
【0120】 6−dEBは、13−メチル基に代わって13−エチル基を含むという点で、
オレアンドライドとは一部異なるので、オレアンドライドPKSに基づく本発明
の新規なハイブリッドPKS遺伝子は、それらが13−エチル基に代わって13
−メチルを有するという点でのみ、公知のケトライドとは異なる多くの新規なケ
トライドを提供する。従って、本発明は、例えば、Griesgraberら、
前出;Agouridasら、1998、J.Med.Chem.41:408
0−4100、米国特許第5,770,579号;同第5,760,233号;
同第5,750,510号;同第5,747,467号;5,747,466号
;同第5,656,607号;同第5,635,485号;同第5,614,6
14号;同第5,556,118号;同第5,543,400号;同第5,52
7,780号;同第5,444,051号;同第5,439,890号;同第5
,439,889号;ならびにPCT公開番号WO98/09978およびWO
98/28316(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)に記
載される、ケトライドの13−メチルアナログならびに中間体化合物および前駆
体化合物を提供する。
【0121】 上記のように、本発明のハイブリッドPKS遺伝子は、デソサミン生合成遺伝
子およびデソサミニルトランスフェラーゼ遺伝子ならびに必要とされるヒドロキ
シラーゼ遺伝子を含む宿主細胞において発現され得、これらの遺伝子は、pic
K(C−12位について)またはeryK(C−12位について)および/また
はeryF(C−6位について)のいずれかであり得る。得られる化合物は、上
記で引用される特許公報において記載されるように、抗生物質活性を有するが、
さらに改変されて、改善された特性または他の所望される特性を有する所望の化
合物を生成し得る。あるいは、アグリコン化合物は、組換え宿主細胞において産
生され得、そして所望のグリコシル化工程およびヒドロキシル化工程は、インビ
トロまたはインビボで行われる(後者の場合、変換する細胞にアグリコンを供給
することによる)。
【0122】 従って、本発明の化合物は、以下の式(1)において示される、必要に応じて
グリコシル化された形態のポリケチドであり、ここで、C−6もしくはC−12
のいずれか、または両方でヒドロキシル化される。式(1)の化合物は、本明細
書中に記載されるようなハイブリッド形態で改変または調製された、モジュール
型PKSのローディングモジュールおよび6つの拡張モジュールを使用して調製
され得る。これらのポリケチドは、以下の式を有し:
【0123】
【化4】 そのグリコシル化および単離された立体異性体形態を含み; ここでR*は、1〜15Cの直鎖、分枝または環状、飽和または不飽和、置換
または非置換のヒドロカルビル(hydrocarbyl)であり; R1〜R6の各々は、独立してHまたはアルキル(1〜4C)であり、ここでR 1 での任意のアルキルは必要に応じて置換され得; X1〜X5の各々は、独立して2つのH、HおよびOH、または=Oであり;あ
るいは X1〜X5の各々は、独立してHであり、そして式(2)の化合物は、2〜3、
4〜5、6〜7、8〜9および/または10〜11で、上記Xの位置に隣接する
環において二重結合を含み; ただし: R1〜R6のうちの少なくとも2つは、アルキル(1〜4C)である。
【0124】 式2を含む好ましい化合物は、R1〜R5のうちの少なくとも3つがアルキル(
1〜4C)、好ましくはメチルまたはエチルであり;より好ましくは、R1〜R5 のうちの少なくとも4つはアルキル(1〜4C)、好ましくはメチルまたはエチ
ルである化合物である。X2が2つのH、=O、もしくはHおよびOHであり、
そして/またはX3がHであり、そして/またはX1がOHであり、そして/また
はX4がOHであり、そして/またはX5がOHである化合物もまた好ましい。R 1 〜R5がメチルであり、X2が=Oであり、そしてX1、X4およびX5がOHであ
る場合に可変のR*を有する化合物もまた好ましい。前述のグリコシル化形態も
また好ましい。上記のグリコシル化形態もまた好ましく;グリコシル残基は、C
−3、C−5、および/またはC−6に結合され得;エポキシド形態もまた、含
まれる(すなわち、C−8−C−8aでのエポキシド)。
【0125】 上記のように、本明細書中に記載されるような化合物を改変して、有用な活性
を有するか、または有用な活性を有するように容易に改変され得る化合物を提供
し得る、広範な種々の異なる生物体が存在する。例えば、Saccharopo
lyspora erythraeaは、オレアンドライドおよび6−dEBを
、種々の有用な化合物に変換し得る。本発明によって提供される化合物は、Sa
ccharopolyspora erythraeaの培養物から提供され得
、そして以下の実施例6に提供される手順に従って、エリスロマイシンA、B、
CおよびDの対応する誘導体に変換され得る。所望の化合物のみが生成されるこ
とを確実にするために、6−dEBを生成し得ないが、所望の変換をなお行い得
るS.erythraea eryA変異体を使用し得る。(Weberら、1
985、J.Bacteriol.164(1):425−433)。また、他
の変異株(例えば、eryB、eryC、eryGおよび/またはeryK変異
体)、または複数の遺伝子において変異を有する変異株を使用して、好適な化合
物を蓄積し得る。この変換はまた、商業生産のための大規模発酵においても行わ
れ得る。エリスロマイシンA、B、CおよびDの各々は、抗生物質活性を有する
が、エリスロマイシンAが、最も高い抗生物質活性を有する。さらに、これらの
化合物の各々は、穏やかな酸での処理下で、モチライド(motilide)活
性を有するC−6〜C−9のヘミケタールを形成し得る。モチライド活性を有す
るヘミケタールの形成のために、エリスロマイシンB、CおよびDが好ましい。
なぜなら、C−12ヒドロキシルの存在が、C−9〜C−12の間で形成された
ヘミケタールを有する不活性な化合物の形成を可能にするからである。
【0126】 従って、本発明は、Saccharpopolyspora erythra
eaおよびS.erythraeaの変異株に内因性の酵素の作用による、本発
明の化合物のヒドロキシル化およびグリコシル化によって生成された化合物を提
供する。このような化合物は、直接的に、または化学修飾後に、抗生物質または
モチライドとして有用である。抗生物質としての使用のために、本発明の化合物
は、さらなる化学修飾を伴わずに直接的に使用され得る。エリスロマイシンA、
B、CおよびDは、全て抗生物質活性を有し、そしてSaccharpopol
yspora erythraeaによって修飾されている化合物から生じる本
発明の対応する化合物もまた、抗生物質活性を有する。しかし、これらの化合物
は、化学修飾され、強力な抗生物質活性を有する他の化合物を提供し得る。例え
ば、エリスロマイシンのC−6ヒドロキシルでのアルキル化を使用して、強力な
抗生物質(クラリスロマイシンはC−6−Oメチルである)を生成し得、そして
他の有用な改変は、例えば、Griesgraberら、1996、J.Ant
ibiot.49:465−477、Agouridasら、1998、J.M
ed.Chem.41:4080−4100、米国特許第5,770,579号
;同第5,760,233号;同第5,750,510号;同第5,747,4
67号;5,747,466号;同第5,656,607号;同第5,635,
485号;同第5,614,614号;同第5,556,118号;同第5,5
43,400号;同第5,527,780号;同第5,444,051号;同第
5,439,890号;および同第5,439,889号;ならびにPCT公開
番号WO98/09978およびWO98/28316(これらの各々は、本明
細書中に参考として援用される)に記載される。
【0127】 モチライドとしての使用のために、本発明の化合物は、さらなる化学修飾を伴
わずに直接的に使用され得る。エリスロマイシンおよび特定のエリスロマイシン
アナログは、モチリンレセプターの強力なアゴニストであり、これは、移動運動
(migrating motor)複合体のフェーズIIIを誘導するため、
GERDを罹患する患者において、食道ぜん動およびLES圧力を増加させるた
め、胃の不全麻痺を罹患する患者において胃排出を加速するため、ならびに胆石
除去後および自律神経性ニューロパシーを伴う糖尿病患者において、胆嚢収縮を
刺激するための運動原性(prokinetic)薬剤として、臨床的に使用さ
れ得る。Peeters、1999、Motilide Web Site,h
ttp://www.med.kuleuven.ac.be/med/gih
/motilid.htm、およびOmuraら、1987、Macrolid
es with gatrointestinal motor stimul
ating activity、J.Med.Chem.30:1941−3を
参照のこと。Saccharpopolyspora erythraeaによ
って修飾されている本発明の化合物から生じる本発明の対応する化合物はまた、
モチライド活性を有し、これは、特に、穏やかな酸での処理によってC−6〜C
−9のヘミケタールへの変換(インビボでも生じ得る)後に、モチライド活性を
有する。C−12ヒドロキシルを欠失するこれらの化合物は、モチリンアゴニス
トとしての使用に特に好ましい。しかし、これらの化合物はまた、さらに化学修
飾されて、強力なモチライド活性を有する本発明の他の化合物を提供し得る。
【0128】 さらに、そしてまた上述のように、本発明の化合物をヒドロキシル化および/
またはグリコシル化するために使用され得る、他の有用な生物体が存在する。上
記のように、生物体は、その生物体において通常産生されるポリケチドを産生し
得ない変異体であり得、発酵は、プレート上または大きな発酵槽において実施さ
れ得、そして産生された化合物は、発酵後に化学的に変更され得る。Sacch
aropolyspora erythraeaに加えて、Streptomy
ces venezuelae、S.narbonesis、S.antibi
oticus、Micromonospora megalomicea、S.
fradiaeおよびS.thermotoleransもまた使用され得る。
抗生物質活性に加えて、M.megalomicea酵素での処理により生成さ
れる本発明の化合物は、同様に駆虫性活性を有し得る。従って、本発明は、S.
erythraea、S.venezuelae、S.narbonesis、
S.antibioticus、M.megalomicea、S.fradi
aeおよびS.thermotoleransに対して内在性の酵素の作用によ
るヒドロキシル化およびグリコシル化によって産生される化合物を提供する。
【0129】 本発明はまた、目的の宿主細胞において直接的に、本発明のグリコシル化およ
び/またはヒドロキシル化化合物を産生するための、方法および遺伝的構築物を
提供する。従って、本発明の組換え遺伝子(これは、1つ以上の欠失および/ま
たは挿入(異種PKS遺伝子由来の遺伝子フラグメントでのoleA遺伝子フラ
グメントの置換を含む)を伴う、組換えoleAI遺伝子、組換えoleAII
遺伝子、および組換えoleAIII遺伝子を含む)は、Saccharopo
lyspora erythraea、Micromonospora meg
alomicea、Streptomyces antibioticus、S
.venezuelae、S.narbonesis、S.fradiaeおよ
びS.thermotoleransにおける、コード遺伝子産物の発現に適切
な発現ベクター上に含まれ得る。
【0130】 本発明の多くの化合物は1つ以上のキラル中心を含み、そしてすべての立体異
性体が、純粋な化合物ならびに立体異性体の混合物として、本発明の範囲内に含
まれる。従って、本発明の化合物は、任意の比率の立体異性体の混合物として供
給され得る。
【0131】 本発明の化合物は、本発明の宿主細胞を、他のポリケチドの生成について当該
分野において公知の条件下で増殖および発酵させることによって生成され得る。
本発明の化合物は、標準的な手順によって、これらの培養された細胞の発酵ブロ
スから単離され得、そして精製され得る。この化合物は、本発明の薬学的組成物
を提供するように容易に処方され得る。本発明の薬学的組成物は、薬学的製剤の
形態(例えば、固体形態、半固体形態、または液体形態)で使用され得る。この
製剤は、活性成分としての本発明の化合物のうちの1つ以上を、外部適用、腸内
適用または非経口適用に適切な有機または無機のキャリアまたは賦形剤との混合
物において含む。この活性成分は、例えば、錠剤、ペレット、カプセル、坐剤、
溶液、エマルジョン、懸濁液、および使用に適切な任意の他の形態のための通常
の非毒性の薬学的に受容可能なキャリアと混合され得る。
【0132】 使用され得るキャリアとしては、固体形態、半固体形態、または液状形態の、
水、グルコース、ラクトース、アカシアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプ
ンペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロ
イド状シリカ、ジャガイモデンプン、尿素、および製剤を製造する際の用途に適
切な他のキャリアが挙げられる。さらに、補助安定化剤、肥厚剤(thicke
ning)、ならびに着色剤および香料が使用され得る。例えば、本発明の化合
物は、本質的に米国特許第4,916,138号(本明細書中において参考とし
て援用される)中に記載されるようなヒドロキシプロピルメチルセルロースとと
もに、または本質的にEPO特許公報第428,169号(本明細書中において
参考として援用される)に記載されるような界面活性剤とともに利用され得る。
【0133】 経口投薬形態は、本質的にHondoら、1987、Transplanta
tion Proceedings XIX、補遺6:17〜22(本明細書中
において参考として援用される)によって記載されるように調製され得る。外部
適用のための投薬形態は、本質的にEPO特許公報第423,714号(本明細
書中において参考として援用される)中に記載されるように調製され得る。活性
化合物は、疾患のプロセスまたは状態に対する所望の効果を生じるに十分な量で
、薬学的組成物中に含まれる。
【0134】 感染によって引き起こされる状態および疾患の処置のために、本発明の化合物
は、従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントおよびビヒクル
を含む投薬量単位処方物において、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入スプ
レーによって、または直腸的に投与され得る。本明細書中で使用される場合、用
語非経口には、皮下注射、ならびに静脈内、筋肉内、および胸骨内への注射また
は注入技術が含まれる。
【0135】 本発明の化合物の投薬量レベルは、1日あたり体重1kgあたり約0.01m
g〜約50mg、好ましくは1日あたり体重1kgあたり約0.1mg〜約10
mgのオーダーである。投薬量レベルは、上記状態の処置において有用である(
1日あたり1患者あたり約0.7mg〜約3.5mg(70kgの患者を想定)
)。さらに、本発明の化合物は、周期(intermittent)に基づいて
、すなわち半週間隔、週間隔、半月間隔または月間隔で投与され得る。
【0136】 単回投薬形態を生じるようにキャリア物質と組み合わせられ得る活性成分の量
は、処置される宿主および特定の投与様式に依存して変化する。例えば、ヒトへ
の経口投与が意図される処方物は、0.5mg〜5gの活性剤を含み得、これは
、キャリア物質の適切かつ都合のよい量(これは、全組成物の約5パーセント〜
約95パーセントで変動し得る)と混合されている。投薬単位形態は、一般には
、約0.5mg〜約500mgの活性成分を含む。外部投与のために、本発明の
化合物は、例えば0.00001重量%〜60重量%、好ましくは0.001重
量%〜10重量%、および最も好ましくは約0.005重量%〜0.8重量%の
範囲内で処方され得る。
【0137】 しかし、任意の特定の患者についての特定の用量レベルは、種々の因子に依存
することが理解される。これらの因子には、以下が挙げられる:使用される特定
の化合物の活性;被験体の年齢、体重、全身の健康状態、性別および常食;投与
の時間および経路ならびに薬物の排出の速度;薬物の組合せがその処置において
使用されるか否か;ならびに治療が求められる特定の疾患または状態の重篤度。
【0138】 本発明の化合物は、単一の治療剤としてか、または他の治療剤と組み合わせて
使用され得る。本発明の化合物と通常組み合わせられ得る薬物としては、1つ以
上の抗生物質またはモチライド薬剤が挙げられる。
【0139】 本発明の詳細な説明が上記に提供された。以下の実施例は、本発明の例示の目
的のために提供される。そして本発明の範囲すなわち特許請求の範囲に対する限
定として解釈されない。
【0140】 (実施例1) (一般的な方法論) (細菌株、プラスミドおよび培養条件) WO95/08548(1995年
3月30日公開)に記載されたStreptomyces coelicolo
r CH999、またはZiermannおよびBetlach,99年1月、
Recombinant Polyketide Synthesis in
Streptomyces:Engineering of Improved
Host Strains,BioTechniques 26:106〜1
10(本明細書中で参考として援用される)に記載されたS.lividans
K4−114またはK4−155を、発現宿主として使用した。DNA操作を
、Escherichia coli XL1−Blue(Stratagen
eから入手可能)において行った。E.coli MC1061もまた、プラス
ミド操作のための宿主としての使用に適切である。プラスミドを、E.coli
ET12567(dam dcm hsdS Cmr)(MacNeil,1
988,J.Bacteriol.170:5607(本明細書中で参考として
援用される))で継代し、S.coelicolorまたはSaccharop
olyspora erythraeaの形質転換前に非メチル化DNAを生成
した。E.coli株を、標準的な条件下で増殖させた。S.coelicol
or株を、R2YEアガープレート上で増殖させた(Hopwoodら、Gen
etic manipulation of Streptomyces.A
laboratory manual.The John Innes Fou
ndation:Norwich,1985(本明細書中で参考として援用され
る))。
【0141】 実施例において例示される本発明の発現ベクターの多くは、WO95/085
48(本明細書中において参考として援用される)に記載されるプラスミドpR
M5に由来する。このプラスミドは、colEIレプリコン、適切に短縮化され
たSCP2*Streptomycesレプリコン、二方向クローニングを可能
にする2つのactプロモーター(actIおよびactIIIプロモーター)
、増殖期から定常期への移行の間にactプロモーターからの転写を誘導するa
ctII−ORF4アクチベーターをコードする遺伝子、および適切なマーカー
遺伝子を含む。このプラスミド中の操作された制限部位は、天然に存在するPK
Sの個々のドメインをコードするカセットから開始する、PKS遺伝子クラスタ
ーのコンビナトリアル構築を容易にする。プラスミドpRM5がPKSの発現の
ために使用される場合、すべての関連する生合成遺伝子がプラスミドで運ばれ得
、従ってE.coliにおける容易な操作および変異誘発を受け入れる。このプ
ラスミドはまた、Streptomyces宿主細胞における使用に適切である
。Streptomycesは、遺伝子学的および生理学的に十分に特徴付けら
れており、そしてほとんどのポリケチドのインビボ産生に必要とされる補助的な
活性を発現する。プラスミドpRM5は、PKS遺伝子発現のためにactプロ
モーターを利用し、その結果、ポリケチドが二次代謝物様の様式で産生され、そ
れによってインビボにおける潜在的な生物活性化合物を合成する毒性効果を軽減
する。
【0142】 (DNAおよび生物の操作)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を、酵素製造業
者によって推奨される条件下で、Pfuポリメラーゼ(Stratagene;
Perkin Elmer CetusからのTaqポリメラーゼもまた使用さ
れ得る)を用いて行った。標準的なインビトロ技術を、DNA操作のために使用
した(Sambrookら、Molecular Cloning:A Lab
oratory Manual(現行版))。E.coliを、標準的な塩化カ
ルシウムに基づく方法を用いて形質転換した;Bio−Radによって提供され
たBio−Rad E.coliパルシング装置およびプロトコルもまた使用さ
れ得た。S.coelicolorを、標準的な手順によって形質転換し(Ho
pwoodら、Genetic manipulation of Strep
tomyces.A laboratory manual.The John
Innes Foundation:Norwich,1985)、そしてい
ずれの選択マーカーを使用したかに依存して、形質転換体を、1mLの1.5m
g/mLチオストレプトンオーバーレイ、1mLの2mg/mLアプラマイシン
オーバーレイ、または両方を使用して選択した。
【0143】 (実施例2) (Streptomyces antibioticusからのオレアンドマ
イシン生合成遺伝子クラスターのクローニング) ゲノムDNA(100μg)を、標準的な手順を使用して、Streptom
yces antibioticus(ATCC 11891)のオレアンドマ
イシン産生株から単離した。ゲノムDNAを、制限酵素Sau3AIで部分的に
消化して、約40kbp長のフラグメントを生成し、これを制限酵素XbaIお
よびBamHIで消化した市販のSupercosTMコスミドベクター中にクロ
ーン化して、ゲノムライブラリーを生成した。SuperCosITM(Stra
tagene)DNAコスミドアームを、製造業者によって指示されるように調
製した。コスミドライブラリーは、2.5μgの消化されたゲノムDNAを1.
5μgのコスミドアームと20μL反応において連結することによって調製され
た。1マイクロリットルの連結混合物を、GigapackIII XLパッケ
ージング抽出キット(Stratagene)を用いて、E.coli XL1
−Blue MR(Stratagene)において増殖させた。
【0144】 次いで、オレアンドライドPKSの拡張モジュール5および6から開始すると
仮定されるKSドメインの公知の配列に対して相補的なプライマーを使用して、
Streptomyces antibioticusのDNAからPCRによ
り生成された放射性標識化プローブを用いて、このライブラリーを探索した。こ
の探索により約30個の異なるコロニーが同定された。これをプールし、再プレ
ートし、そして再度探索して、9個のコスミドの同定を得た。これらの後者のコ
スミドを単離し、そして市販のE.coli株XL−1 Blueに形質転換し
た。プラスミドDNAを単離し、そして制限酵素消化によって分析した。これに
より、PKS遺伝子クラスターの全体が、同定されたコスミドの2つにおける重
複したセグメントに含まれることが明らかとなった。T3プライマーを使用する
DNA配列分析は、所望のDNAが単離されたことを示した。
【0145】 これらのコスミドおよびこのコスミドから調製されたサブクローンのさらなる
分析は、種々のオレアンドライドPKS ORF、これらのORFにおけるモジ
ュール、およびオレアンドマイシン改変酵素のコード配列の位置の同定を容易に
した。これらの遺伝子およびモジュールの位置を、図1に示す。図1は、完全な
オレアンドライドPKS遺伝子クラスターが、コスミドpKOS055−1(約
43kbの挿入物サイズ)およびpKOS055−5(約47kbの挿入物サイ
ズ)の挿入物DNA内に含まれることを示す。これらのコスミドの各々を、ブダ
ペスト条約の規定に従って、アメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託し
た(コスミドpKOS055−1は、受託番号ATCC 203798の下で入
手可能であり;コスミドpKOS055−5は、受託番号ATCC 20379
9の下で入手可能である)。従って、本発明の種々のさらなる試薬は、これらの
コスミドから単離され得る。DNA配列分析をまた、本明細書中に記載のように
、本発明の種々のサブクローンに対して実施した。
【0146】 (実施例3) (Saccharopolyspora erythraeaにおけるオレア
ンドライド/DEBSハイブリッドPKSの発現) 本実施例は、ファージphiC31接着およびこのプラスミドに存在する組込
み機能に起因してSaccharopolyspora erythraeaの
染色体中に組込み得、そしてermE*プロモーターの制御下でoleAI遺伝
子産物の発現を駆動し得る、発現ベクターであるプラスミドpKOS039−1
10の構築を記載する。プラスミドpKOS039−110の制限部位および機
能マップを、添付の図面の図3に示す。天然でeryA遺伝子産物を生成する宿
主細胞におけるoleAI遺伝子産物の発現は、oleAI、eryAII、お
よびeryAIII遺伝子産物からなる本発明の機能的ハイブリッドPKSの形
成、および付随する13−メチルエリスロマイシンの生成を生じる。構築物にお
いて使用される特定のプラスミドおよびベクターを本明細書中に記載するが、当
業者は、本発明の等価な発現ベクターが、公的に利用可能な物質およびATCC
に寄託された本発明のコスミドを含むoleA遺伝子から容易に構築され得るこ
とを認識する。
【0147】 プラスミドpKOS039−98は、PacIについての制限酵素認識部位、
Shine−Dalgarno配列ならびにNdeI、BglIIおよびHin
dIIIについての制限酵素認識部位を含むポリリンカーオリゴヌクレオチドを
、pUC19誘導体(pKOS24−47とよばれる)に挿入することにより構
築された、都合のよい制限部位を含むクローニングベクターである。プラスミド
pKOS039−98(本明細書中に参考として援用される、PCT特許出願W
O US99/11814号を参照のこと)を、制限酵素PacIおよびEco
RIで消化し、そして以下の配列:
【0148】
【化5】 を有するオリゴヌクレオチドN39−51およびN39−52から構成されるポ
リリンカーに連結して(従って、これは、以下に示す順番で以下の制限酵素認識
部位を含む:NdeI−NsiI−XhoI−XbaI−EcoRI)、プラス
ミドpKOS039−105を得た。
【0149】 プラスミドpKOS039−105を、制限酵素NsiIおよびEcoRIで
消化し、そして得られた大きなフラグメントを、oleAI遺伝子を含むコスミ
ドpKOS055−5の15.2 kbのNsiI−EcoRI制限フラグメン
トに連結して、プラスミドpKOS039−116を得た。プラスミドpKOS
039−116を、制限酵素NdeIおよびEcoRIで消化し、そして得られ
たoleAI遺伝子を含む15.2kbのフラグメントを単離し、そしてプラス
ミドpKOS039−134Bの6kb NdeI−EcoRI制限フラグメン
トに連結して、プラスミドpKOS039−110を得た(図3)。
【0150】 プラスミドpKOS039−134Bは、PCT特許出願WO US99/1
1814(前出)に記載されたpKOS039−104の誘導体であり、これは
、後者を制限酵素BglIIで消化し、そして約10.5kbのフラグメントに
連結して、pKOS39−104Bを得ることにより調製した。プラスミドpK
OS39−104Bを、制限酵素PacIで消化し、そして制限酵素XbaIで
部分的に消化した。約7.4kbのフラグメントを、制限酵素PacIおよびA
vrIIで処理したPCR61A+62フラグメントと連結した。PCR61A
+62フラグメントを、以下のPCRプライマー:
【0151】
【化6】 を用いて生成し、そしてテンプレートは、pWHMl104であった(Tang
ら,1996,Molecular Microbiology 22(5):
801−813)。
【0152】 プラスミドpKOS039−110のDNAを、E.coli ET細胞を経
て、非メチル化DNAを得た。次いで、この非メチル化DNAを用いて、Sac
charopolyspora erythraea細胞を形質転換した。この
Saccharopolyspora erythraea細胞は、PKSを非
機能性にするDEBSのモジュール1のKSドメインについてのeryAIコー
ド配列において変異を含む。得られた形質転換体は、検出可能な量の14−デス
メチルエリスロマイシンを生成した。
【0153】 (実施例4:Streptomyces lividansにおけるオレアン
ドライド(oleandolide)PKSの異種発現) この実施例は、発現ベクターであるプラスミドpKOS039−130の構築
を記載する。このプラスミドは、SCP2*複製起点を有し、そのため、Str
eptomyces宿主細胞において複製し得、そしてactIプロモーターお
よびactII−ORF4アクチベーターの制御下でoleAI、oleAII
、およびoleAIIIの遺伝子産物の発現を駆動し得る。プラスミドpKOS
039−130の制限部位および機能マップを、添付した図面の図4に示す。こ
の宿主細胞におけるoleA遺伝子産物の発現は、oleAI、oleAII、
およびoleAIIIの遺伝子産物から構成される機能的オレアンドライドPK
Sの形成ならびに8,8a−デオキシオレアンドライドの付随する生成を生じる
。構築物中で利用した特定のプラスミドおよびベクターは、本明細書中に記載さ
れるが、当業者は、本発明の等価な発現ベクターが、公的に入手可能な材料およ
びATCCに寄託された、本発明のコスミドを含むoleA遺伝子から容易に構
築され得ることを認識する。
【0154】 コスミドpKOS055−5の7.2kbのNsiI−XhoI制限フラグメ
ントをpKOS39−105にクローニングして、プラスミドpKOS039−
106を得た。コスミドpKOS055−5の8.0kb XhoI−PstI
制限フラグメントを市販のプラスミドpLitmus28にクローニングして、
プラスミドpKOS039−107を得た。コスミドpKOS055−1の14
kb EcoRI−EcoRVおよび5.4kb EcoRV−PstIの制限
フラグメントを、EcoRIおよびPstIで消化したpLitmus28に連
結して、プラスミドpKOS039−115を得た。プラスミドpKOS039
−115由来の19.5kb SpeI−XbaI制限フラグメントを、プラス
ミドpRM5の誘導体であるpKOS039−73に挿入して、プラスミドpK
OS039−129を得た。プラスミドpKOS039−110の15.2kb
PacI−EcoRI制限フラグメントを、22kb PacI−EcoRI
制限フラグメントを置換することによりpKOS039−129に挿入して、プ
ラスミドpKOS038−174を得た。次いで、プラスミドpKOS039−
129由来の19kb EcoRI制限フラグメントをpKOS038−174
に挿入して、プラスミドpKOS039−130を得た(図4)。これを用いて
、Streptomyces lividans K4−114を形質転換した
(K4−155もまた用いられ得る)。得られた形質転換体は、8,8a−デオ
キシオレアンドライドを生成した。
【0155】 上記のように、本発明は、モジュール1のKSドメインについてのコード配列
を変異させて、活性部位のシステインを別のアミノ酸に変化させた(KS1°変
異)、組換えoleAI遺伝子を提供する。この遺伝子産物を含む組換えPKS
酵素は、KS2またはKS3ドメインに結合し得るジケチド(またはトリケチド
)化合物(ここで、それらは、次いで、ジケチド(またはトリケチド)を含むポ
リケチドを形成するように処理される)を提供しない限り、ポリケチドを生成し
ない。この組換えoleAI遺伝子をoleAIIおよびoleAII遺伝子と
ともに用いて、組換えオレアンドライドPKSを作製し得るか、またはそれらの
遺伝子の改変形態または他の天然に存在するかもしくは組換えのPKS遺伝子と
ともに使用して、ハイブリッドPKSを作製し得る。
【0156】 oleAIにおいてKS1°変異を作製するために、以下のプライマーを調製
した:
【0157】
【化7】 これらのプライマーを用いて、pKOS039−106から調製したテンプレー
トDNAを増幅した。プライマーN39−47およびN39−48の増幅産物を
、制限酵素EcoRIおよびNheIで消化し、そしてプライマーN39−49
およびN39−50の増幅産物を、制限酵素NheIおよびHindIIIで消
化し、そして得られた制限フラグメントを、EcoRIおよびHindIIIで
消化したプラスミドpLitmus28に連結して、プラスミドpKOS038
−179を得た。プラスミドpKOS038−179の1.5kb BsrGI
−BbvCI制限フラグメントをプラスミドpKOS039−106に挿入して
、pKOS098−2を得た。次いで、プラスミドpKOS098−2の7kb
NsiI−XhoI制限フラグメントおよびプラスミドpKOS039−10
7の8kb XhoI−EcoRI制限フラグメントを用いて、プラスミドpK
OS039−110の15.2kb NsiI−EcoRI制限フラグメントを
置換し、所望の発現ベクターpKOS039−110−KS1°を得た。このベ
クターは、ermE*プロモーターの制御下でoleAI KS 1°遺伝子を
含む。
【0158】 組換えoleAI KS 1°遺伝子産物とともに完全なオレアンドライドP
KSをコードする、本発明の発現ベクターを提供するために、oleAI KS
1°遺伝子を、プラスミドpKOS039−110−KS1°由来のPacI
−EcoRI制限フラグメントとして単離し得、次いで、これを用いて、プラス
ミドpKOS039−130が構築された同じ様式で、発現ベクタープラスミド
pKOS039−130に類似の発現ベクターを構築した。得られた発現ベクタ
ーを、Streptomyces lividans、S.coelicolo
r、および他の適合性の宿主細胞において使用して、本明細書中に参考として援
用される、PCT特許公開WO99/03986に記載のように、ジケチドを供
給することによりポリケチドを作製し得る。
【0159】 (実施例5:オレアンドマイシン/ピクロマイシンハイブリッドPKSの発現
) この実施例は、発現ベクターであるプラスミドpKOS039−133の構築
を記載する。このベクターは、ファージphiC31接着およびこのプラスミド
に存在する組み込み機能に起因して、Streptomycesの染色体に組み
込まれ得、そしてactIプロモーターおよびactII−ORF4アクチベー
ターの制御下でoleAIII遺伝子産物の発現を駆動し得る。プラスミドpK
OS039−133の制限部位および機能マップを、添付した図面の図5に示す
。このプラスミドを、プラスミドpKOS039−83(これは、ナルボノライ
ドPKS遺伝子であるpicAIおよびpicAIIの発現を駆動する)ととも
にS.lividans宿主細胞に導入した(PCT特許出願WO US99/
11814(前出)を参照のこと)。宿主細胞におけるoleAIIIならびに
picAIおよびpicAII遺伝子産物の発現は、oleAIII、picA
I、およびpicAII遺伝子産物から構成される本発明の機能的ハイブリッド
PKSの形成ならびに3−ヒドロキシ−ナルボノライドの付随する生成を生じる
。この構築物において利用された特定のプラスミドおよびベクターは、本明細書
中に記載されるが、当業者は、本発明の等価な発現ベクターが、公的に入手可能
な材料およびATCCに寄託された、本発明のコスミドを含むoleA遺伝子か
ら容易に構築され得ることを認識する。
【0160】 以下の2つのオリゴヌクレオチドを、pSET152誘導プラスミドであるp
KOS039−42に、oleAIII遺伝子を挿入するために調製した:
【0161】
【化8】 プラスミドpKOS039−115を、制限酵素EcoRIおよびAscIで消
化して、約13.8kbの制限フラグメントを得た。これを、リンカーN39−
59/N39−60とともに挿入して、プラスミドpKOS039−132を得
た。プラスミドpKOS039−132を、制限酵素NdeIおよびXbaIで
消化して、約10.8kbの制限フラグメントを得た。これを、プラスミドpK
OS039−42の約9kb NdeI−SpeI制限フラグメントに連結して
、プラスミドpKOS039−133を得た(図5)。プラスミドpKOS03
9−133およびpKOS039−83を、Streptomyces liv
idans K4−114を同時形質転換した(K4−155もまた使用され得
る;ZiermannおよびBetlach、1999、Biotechniq
ues 26、106−110および米国特許出願第09/181,833号(
1998年10月28日出願)(これらの各々は、本明細書中に参考として援用
される)を参照のこと)。プロトプラストを標準的な手順を用いて形質転換し、
そして形質転換体を抗生物質を含む重層を用いて選択した。この株を、増殖/播
種および生成のために液体R5培地(20μg/mL チオストレプトン含有。
Hopwoodら、Genetic Manipulation of Str
eptomyces:A Laboratory Manual;John I
nnes Foundation:Norwich,UK,1985(本明細書
中に参考として援用される)を参照のこと)で増殖させ、30℃で培養した。L
C/MSによる抽出物の分析により、予測された化合物である3−ヒドロキシナ
ルボノライドとして、ポリケチドの同定を確立した。
【0162】 (実施例6:エリスロノライドからエリスロマイシンへの変換) オレアンドライドのサンプル(約50〜100mg)を0.6mlのエタノー
ルに溶解し、そして滅菌水で3mlに希釈した。この溶液を用いて、100mm
R2YE寒天プレート上で30℃で増殖させたSaccharopolysp
ora erythraea WHM34(eryA変異体)の3日間培養物に
重層する。乾燥させた後、このプレートを30℃で4日間インキュベートする。
この寒天を切り刻んで、次いで、酢酸エチル中1%のトリエチルアミンの100
ml部分を用いて3回抽出する。この抽出物を、合わせて、エバポレートする。
粗生成物を分取用HPLC(C−18逆相、1%酢酸を含む水−アセトニトリル
勾配)により精製する。画分を質量分析法により分析し、そして純粋な化合物を
含む画分をプールし、トリエチルアミンで中和し、そしてシロップ状になるまで
エバポレートする。このシロップを水に溶解し、そして等量の酢酸エチルで3回
抽出する。有機抽出物を合わせ、飽和NaHCO3水溶液で1回洗浄し、Na2
4で乾燥させ、濾過し、そしてエバポレートして、約0.15mgの生成物を
得た。この生成物は、エリスロマイシンA、B、C、およびDに対応する、グリ
コシル化され、かつヒドロキシル化されたオレアンドライドであるが、6−dE
Bとは異なっていれば、オレアンドライドとしてそれらとは異なる。
【0163】 (実施例7:抗菌活性の測定) 抗菌活性を、試験生物としてBacillus cereusを用いたディス
ク拡散アッセイによるか、またはStaphylococcus pneumo
niae感受性株および耐性株に対して、液体培養における最小阻止濃度(MI
C)の測定によるかのいずれかを用いて測定した。
【0164】 今や、本発明は、書面による説明および実施例により記載され、当業者は、本
発明が種々の実施形態において実施され得、そして前述の説明および実施例が例
示目的であり、そして上記の特許請求の範囲を限定するものではないことを認識
する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のコスミドpKOS055−1およびpKOS055−5中の
インサートDNAの、制限部位および機能地図を示す。種々の制限部位(Xho
I、ClaI、EcoRI)もまた示される。この図中の斜体の制限部位は、こ
のような部位のうちのすべてが示されているわけではないことを示し、示される
EcoRI部位は、このPKS遺伝子セグメントが挿入されたコスミドDNAに
由来する。オレアンドライドPKSのモジュール1〜6のコード配列の位置が、
括弧により示され、その括弧の下に標識されている(すなわち、mod.2はモ
ジュール2である)。そのインサートの種々の部分のサイズ(キロベース(kb
)対で)もまた、示される。oleAI(oleA1)遺伝子、oleAII(
oleA2)遺伝子およびoleAIII(oleA3)遺伝子についてのオー
プンリーディングフレームが、転写の方向を示す矢印として示される。
【図2】 図2は、オレアンドマイシン遺伝子クラスターの機能マップを示す。この図の
上半分において、その遺伝子の種々のオープンリーディングフレーム(oleI
、oleN2、oleR、oleAIなど)が、転写の方向を示す矢印として示
される。すぐ下に、線が、この遺伝子クラスターのサイズを塩基対(bp)で示
す。このサイズ指示線の下の英数字識別名を備えた棒は、その示した領域のヌク
レオチド配列を提供するGenBank登録番号を参照する。この配列情報は、
本明細書中に参考として援用される。この棒の斜線部分は、配列情報が本明細書
中に提供される遺伝子クラスターの領域を示す。この図の下半分は、オレアンド
ライドPKSタンパク質が矢印として示され、このPKSのモジュールの位置が
下に示され、そしてこの分子の種々のドメインがこの分子の下に示される。
【図3】 図3は、上記実施例3に記載される、プラスミドpKOS039−110の制
限部位および機能地図を示す。このプラスミドは、Streptomycesお
よび他の宿主細胞の染色体に組み込み得る発現ベクターであり(phiC31ベ
ースの結合および組み込み機能)、そしてoleAI遺伝子の発現を駆動するよ
うに配置された、ermE*プロモーターを含む。
【図4】 図4は、上記実施例4に記載される、プラスミドpKOS039−130の制
限部位および機能地図を示す。このプラスミドは、Streptomyces宿
主細胞において複製する発現ベクターであり(SCP2*の複製起点)、そして
oleAI遺伝子、oleAII遺伝子およびoleAIII遺伝子の発現を駆
動するように配置された、actIプロモーターおよびactII−ORF4ア
クチベーターを含む。
【図5】 図5は、上記実施例5に記載される、プラスミドpKOS039−133の制
限部位および機能地図を示す。このプラスミドは、Streptomycesお
よび他の宿主細胞の染色体に組み込み得る発現ベクターであり(phiC31ベ
ースの結合および組み込み機能)、そしてoleAIII遺伝子の発現を駆動す
るように配置された、actIプロモーターおよびactII−ORF4アクチ
ベーターを含む。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:465) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),AU,CA,J P (72)発明者 シャー, サンジェイ クリシュナカント アメリカ合衆国 カリフォルニア 94521, コンコルド, スウィートシュラブ コ ート 4499 (72)発明者 マクダニエル, ロバート アメリカ合衆国 カリフォルニア 94306, パロ アルト, マタデロ アベニュー 698 (72)発明者 タング, リー アメリカ合衆国 カリフォルニア 94404, フォスター シティ, ファスター シ ティ ブールヴァード 1167−3 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA03 BA07 BA67 BA80 CA03 CA09 CA20 DA08 EA04 FA02 GA11 GA25 HA13 HA14 4B064 AF54 CA04 CA19 CC01 CC24 DA02 DA16 4B065 AA50X AA50Y AB01 AC14 BA16 CA18 CA43 CA44

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレアンドライドポリケチドシンターゼ(PKS)のローデ
    ィングモジュールまたは拡張モジュール1〜4のいずれか1つのドメインについ
    てのコード配列を含む、単離された組換えDNA化合物。
  2. 【請求項2】 前記ドメインが、チオエステラーゼドメイン、KSQドメイ
    ン、ATドメイン、KSドメイン、ACPドメイン、KRドメイン、DHドメイ
    ン、およびERドメインからなる群から選択される、請求項1に記載の単離され
    た組換えDNA化合物。
  3. 【請求項3】 前記オレアンドライドPKSのローディングモジュールなら
    びに拡張モジュール1および2についてのコード配列を含む、請求項2に記載の
    単離された組換えDNA化合物。
  4. 【請求項4】 前記ローディングモジュールおよび6つすべての拡張モジュ
    ールについてのコード配列を含む、請求項2に記載の単離された組換えDNA化
    合物。
  5. 【請求項5】 プロモーターに作動可能に連結されたオレアンドライドポリ
    ケチドシンターゼ(PKS)のローディングモジュールまたは拡張モジュール1
    〜6のいずれか1つのドメインについてのコード配列を含む、単離された組換え
    DNA化合物。
  6. 【請求項6】 前記コード配列が、オレアンドライドPKSのローディング
    モジュールまたは拡張モジュール1〜4のいずれか1つをコードする、請求項5
    に記載の単離された組換えDNA化合物。
  7. 【請求項7】 複製起点または染色体組み込みを可能にするDNAのセグメ
    ントをさらに含む組換えDNA発現ベクターである、請求項5に記載の単離され
    た組換えDNA化合物。
  8. 【請求項8】 Streptomyces宿主細胞におけるPKSの発現を
    コードする、請求項7に記載の組換えDNA発現ベクター。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載の組換えDNA発現ベクターを含む、Str
    eptomyces宿主細胞およびSaccharopolyspora宿主細
    胞からなる群から選択される、組換え宿主細胞。
  10. 【請求項10】 オレアンドライドPKS遺伝子の少なくとも一部分、およ
    びオレアンドライド以外のマクロライドアグリコンについての第2のPKS遺伝
    子の少なくとも一部分を含むハイブリッドPKSをコードする、請求項7に記載
    の組換えDNA発現ベクター。
  11. 【請求項11】 前記第2のPKS遺伝子がDEBS遺伝子である、請求項
    10に記載の組換えDNA化合物。
  12. 【請求項12】 前記ハイブリッドPKSが、オレアンドライドPKSのロ
    ーディングモジュールおよび拡張モジュール1〜4のいずれか1つ、ならびにD
    EBSの拡張モジュールを含む、請求項11に記載の組換えDNA化合物。
  13. 【請求項13】 前記ハイブリッドPKSが、オレアンドライドPKSのロ
    ーディングモジュールおよび拡張モジュール1〜4のいずれか1つ、ならびにナ
    ルボノライドPKSの拡張モジュールを含む、請求項10に記載の組換えDNA
    化合物。
  14. 【請求項14】 非形質転換状態においてはオレアンドライドを生成しない
    組換え宿主細胞であって、該細胞は請求項11に記載の組換えDNA発現ベクタ
    ーを含み、そして該細胞は前記ハイブリッドPKSによって合成されるマクロラ
    イドアグリコンを生成する、組換え宿主細胞。
  15. 【請求項15】 Streptomyces lividansである、請
    求項14に記載の組換え宿主細胞。
  16. 【請求項16】 Saccharopolyspora erythrae
    aである、請求項14に記載の組換え宿主細胞。
  17. 【請求項17】 前記オレアンドライドPKSが、拡張モジュール1におい
    て非機能的KSドメインを有する、請求項13に記載の組換え宿主細胞。
  18. 【請求項18】 Streptomyces coelicolorまたは
    Streptomyces lividansである、請求項17に記載の組換
    え宿主細胞。
  19. 【請求項19】 Saccharopolyspora erythrae
    aである、請求項17に記載の組換え宿主細胞。
  20. 【請求項20】 細胞においてポリケチドを生成する方法であって、該方法
    は、oleAI遺伝子、oleAII遺伝子またはoleAIII遺伝子の少な
    くとも一部をコードする組換え発現ベクターで、該細胞を形質転換する工程を包
    含する、方法。
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