JP2003510559A - 梅毒トレポネーマを検出するための組成物および方法 - Google Patents
梅毒トレポネーマを検出するための組成物および方法Info
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Abstract
Description
evention)でなされた。このため、米国政府は本発明において一定の権利を有す
る。
毒トレポネーマ(Treponema pallidum)に起因する疾患を診断するための組成物
および方法に関する。特に、本発明は、梅毒トレポネーマに固有な特異的抗原蛋
白質およびペプチドの検出に関する。
病である梅毒の原因となる微好気性スピロヘータである。その他の密接な関連の
あるトレポネーマは、ピンタ(ピンタトレポネーマ(Treponema carateum))、
イチゴ腫(梅毒トレポネーマペルテニュ亜種(Treponema pallidum subspecies
pertenue))、およびベジェル(梅毒トレポネーマエンデミカム亜種(Treponem
a pallidum subspecies endemicum))の原因となる。
理予防センターにおいて報告されている。初期感染では感染部位に潰瘍が生じる
;しかし、この細菌は全身中を移動し、時間の経過に伴って多くの臓器に障害を
及ぼす。初期にはペニシリンによる治療が奏功することもあるが、梅毒の初期症
状は極めて軽症の場合があり、多くの患者は最初に感染した際には治療のために
受診しようとしない。晩期梅毒における臓器障害は回復不能であるため、この受
診の遅れは有害である。また、梅毒によって生じた開放性潰瘍を介して、AIDSの
原因となるヒト免疫不全症ウイルス(HIV)の伝染および獲得が起こるリスクに
対する懸念も増している。
のステージに分けて記載している。治療を受けていない感染者は、通常1〜2年続
く最初の2つのステージの期間中に他人を感染させるおそれがある。この細菌は
感染者の一次潰瘍から、性パートナーの陰部の皮膚もしくは粘膜、口部、または
肛門に伝播する。この細菌は身体の他の部分にある皮膚損傷部を通過する可能性
もある。未治療の梅毒は晩期になると、伝染性ではないものの、重篤な心臓異常
、精神障害、失明、他の神経障害、さらには死亡を引き起こすおそれがある。
〜3カ月以内に出現する可能性があるが、一般には2〜6週以内に出現する。下疳
は通常、陰茎、陰門または膣などの、パートナーの潰瘍に曝露された身体の部分
に認められる。下疳が頸部、舌、口唇または身体の他の部分に生じることもある
。下疳は疼痛を伴わないこともあり、身体の内部で生じることもあるため、気づ
かれないことがある。下疳は患者が治療されるか否かにかかわらず数週間以内に
消失するが、感染症が初期の間に治療されなければ、感染者の約3分の1は慢性期
の梅毒へと進行する。
る皮疹が認められる。皮疹は下疳が出現して3〜6週後にあらゆる場所から出現す
る。皮疹が全身を覆うこともあるが、最も多く発現する部位は手掌および足底で
ある。これらのびらんには活動性の細菌が存在するため、性的であるか否かにか
かわらず、感染者の皮膚損傷部と何らかの物理的接触を生じることによってこの
時期には感染が伝播する可能性がある。皮疹は通常、数週間または数カ月以内に
治癒する。軽度の発熱、疲労、頭痛、咽頭炎、斑状脱毛、および全身のリンパ節
腫大といった他の症状が生じることもある。これらの症状は極めて軽度のことが
あり、第1期梅毒の下疳と同じように治療を行わずに消失すると考えられる。
。未治療の場合、梅毒は潜伏期に入ることがあり、この期間中は疾患は伝染性で
はなく、症状も存在しない。治療を受けていない多くの個体では疾患による結果
がさらに生じることはないが、第2期梅毒の患者の約3分の1は晩期または第3期の
梅毒を発症する。
のほとんどすべての部分に障害をもたらす。このステージは最後の数年間、また
は数十年にわたる可能性がある。晩期梅毒は精神病、失明、他の神経障害、心疾
患、さらには死も引き起こすおそれがある。
ない者の約3〜7%は神経梅毒を発症する。しかし、神経梅毒の発症には最長20年
間かかることがあり、神経梅毒の患者の一部は全く症状を起こさない。症状を呈
する患者は、頭痛、頸部硬直、および発熱を来すことがあるが、これらは脳の被
膜の炎症に起因する。神経梅毒の患者では発作および知覚麻痺、脱力または視覚
障害などの脳卒中の症状が起こることもある。神経梅毒は治療可能であるが、治
療は比較的難しいことがあり、HIVに感染した患者ではその経過は異なると考え
られる。
ある。活動性梅毒に罹患した未治療の妊娠女性では、感染症が胎児に伝播する可
能性が高い。これらの妊娠の約25%では、死産または新生児の死亡が結果として
起こると考えられる。また、このような妊娠の40〜70%では梅毒に感染した乳児
が生まれると考えられる。先天性梅毒の乳児の一部には出生時から症状がみられ
ることがあるが、ほとんどは産後2〜3週の間に症状が起こる。これらの症状には
、皮膚びらん、皮疹、発熱、肝臓および脾臓の腫大、黄疸、貧血、ならびに種々
の奇形が含まれうる。湿性びらんは感染性であるため、先天性梅毒の乳児の取り
扱いには注意を払う必要がある。稀には、梅毒の症状が乳児で発見されないこと
がある。感染した乳児が年長の小児およびティーンエージャーになるに伴い、彼
らは骨、歯、眼、耳および脳の障害を含む、晩期梅毒の症状を呈するようになる
。
スクもあるため、感染の特異的かつ早期の診断が不可欠である。しかし、梅毒は
初期症状が多くの他の疾患のものと類似しているため、時に「卓越した模倣者(
the great imitator)」と呼ばれる。このため、医師は通常、梅毒の徴候および
症状が認められるかどうかには頼らず、梅毒病原体の顕微鏡的同定および血液検
査の両方を行う。
表面から擦過標本を採取し、微生物を検出するために特別な「暗視野」顕微鏡下
でそれを観察することもある。しかし、暗視野顕微鏡にはかなりの技能が要求さ
れる他、解釈の誤りも起こりやすい。これらの理由から、梅毒の大部分の症例は
血清学的に診断されている。梅毒の証拠を検出するために用いられることが最も
多い血液検査は、VDRL(性病研究所(Venereal Disease Research Laboratory)
)試験およびRPR(急速血漿レアギン試薬(rapid plasma reagent))試験であ
る。これらの非トレポネーマ試験では、活動性梅毒感染時の非特異的抗原に対す
る抗体を検出するために、天然脂質であるカルジオリピンおよびレシチンを用い
る。
て特異性に欠けることである。非トレポネーマ試験を用いた場合には偽陽性およ
び偽陰性の結果が伴うため、通常は複数の血液検査が必要になる。自己免疫疾患
、ある種のウイルス感染症、およびかなりの組織破壊または肝病変を伴う疾患の
患者では、偽陽性の頻度および多数の血液検査の必要性が高くなる。蛍光トレポ
ネーマ抗体吸収試験(FTA-ABS)および梅毒トレポネーマ血球凝集アッセイ法(T
PHA)などのトレポネーマに基づく検査を陽性の検査結果の確認のために用いて
もよいが、トレポネーマに基づく検査は非トレポネーマ試験よりも費用がかかり
、用いるのが難しい。また、トレポネーマ試験は感染が駆除された後も結果が陽
性であり続けるため、これを治療後の治癒に関する検査として用いることはでき
ない。
膜に係留された蛋白質の検出に依拠している。梅毒トレポネーマ膜の構造は一般
的でなく、これらの蛋白質を「遮蔽」して検出されにくくする傾向のある脂質か
ら主として構成されるため、このような蛋白質の検出は特に困難である。この遮
蔽効果はしばしば宿主の免疫応答を遅らせ、偽陰性の血清学的結果を高い頻度で
生じさせる。
対する抗体の検出に依存している。外膜が主として脂質からなり、蛋白質が乏し
いことによる表面露出の不足のため、これらの蛋白質に対する反応は遅れること
が一般的である。検査ではしばしば解釈に迷う不正確な結果が得られることがあ
るが、これはこれらのリポ蛋白質の抗原性が高く、トレポネーマ試験における長
期的な反応の原因となる可能性があるためである。この後者の性質のため、トレ
ポネーマ試験では現在の感染を過去の感染と鑑別することができない。
リンに対するアレルギーのある患者を治療するためには他の抗生物質が用いられ
る。患者は一般に治療開始から24時間以内に梅毒の伝染能力を失う。しかし、一
部の感染個体は通常量のペニシリンには反応しない。このため、梅毒の治療を受
けている患者に対しては、感染性病原体が完全に破壊されたことを確認するため
の定期的な血液検査によるモニタリングが重要である。神経梅毒の患者には治療
後最長2年にわたって再検査を行う必要があると思われる。
があるが、身体臓器にすでに生じた障害は回復しない。進行期の梅毒疾患を予防
するためにとりうる少数の選択肢のうち一つは、感染個体のスクリーニングおよ
び治療、または二次予防である。妊娠初期における検査および治療は、乳児の梅
毒を予防するための最善の方法であり、出生前管理のルーチンの要素とする必要
がある。梅毒の適切な治療および予防において極めて重要な要素は、梅毒トレポ
ネーマの感染を早期かつ正確に発見することである。
になっており、高温乾燥地域の熱帯アメリカ(特にメキシコ、中央アメリカおよ
びコロンビア)に限局している。本疾患は第1期および第2期の病変形態を呈する
。第1期病変は四肢、顔面、頸部、胸部または腹部に生じる融合性の掻痒性丘疹
であり、数年間続くことがある。第2期病変は播種性の小さな鱗屑性丘疹であり
、ピンタ疹と呼ばれる。これらは色素異常(すなわち、皮膚の正常な色調からの
変化)となることもある。晩期病変は色素欠乏性(色素がなくなる)である。
ではなく小児に起こる梅毒の一病型として、現地語でさまざまな名称で知られて
いる。伝染は直接的な接触によることもあり、飲み物容器および食器を共有して
いる場合のように(他のすべてのトレポネーマ性疾患とは対照的に)媒介物を介
することもある。おそらくは口腔粘膜内にあると思われる第1期病変がほとんど
観察されないという事実を除き、本疾患はゴム種、コンジロームおよび骨膜炎を
伴う梅毒と事実上同一である。
)が原因で起こるイチゴ腫は、高温多湿の熱帯地域で発生する。イチゴ腫も主と
して病変の形態で現れる。第1期病変は自然に治癒する乳頭腫性皮膚病変である
が、結局はその後に、皮膚表面に広く分布する大きな乳頭腫性小結節である第2
期病変が生じる。本疾患の晩期はさまざまな骨および鼻咽腔のゴム腫のほか、皮
膚、リンパ節および骨の破壊性病変を特徴とする。ゴム腫の上部にある皮膚は潰
瘍性のことがある。本疾患は南米、中央アフリカおよび東南アジアの未開の熱帯
地域にみられ、感染皮膚との直接的な接触によって伝播する。
防除は人から人への伝播をなくすことによって行われる。したがって、トレポネ
ーマ感染症の早期発見は、関連疾患の広範囲にわたる流行を抑えるために極めて
重要である。
のための改良された方法および組成物;ならびに梅毒トレポネーマ療法のモニタ
リングのための方法である。
供する。特に、梅毒トレポネーマ(T. pallidum)の検出のための方法および組
成物を提供する。本方法によれば、酸性リピート蛋白質(acidic repeat protei
n)(arp)遺伝子などの特定の遺伝子の蛋白質産物の存在に関して試料を分析す
る。詳細には、感染個体における特定のペプチド、および/または酸性リピート
蛋白質遺伝子の分泌産物、ならびにこれらの蛋白質/ペプチドに対する抗体の検
出に基づいて梅毒トレポネーマを検出するための方法を提供する。
どの梅毒トレポネーマ抗原に対して特異的な抗体と混合する方法も提供する。よ
り詳細には、試料をarp遺伝子の蛋白質またはペプチドと混合する方法を提供す
る。抗体の検出により、患者における梅毒トレポネーマの存在が示される。
の方法を含むアッセイ法が提供される。
に関して特異的な方法が提供される。
び組成物が提供される。特に、梅毒トレポネーマパリダム亜種、梅毒トレポネー
マペルテニュ亜種、および梅毒トレポネーマエンデミカム亜種の特異的同定を可
能とする方法が提供される。
アッセイ法を提供することである。
質を検出しうるアッセイ法を提供することである。
ることである。
の方法および組成物を提供することである。
提供することである。
めの自動化使用時点(point-of-use)分析のためのキットを提供することである
。
白質に依存しない、梅毒トレポネーマの早期検出のための方法を提供することで
ある。
して産生された抗体の使用を含む、梅毒トレポネーマ感染症を治療するための方
法を提供することである。
のためのイムノアッセイ法を提供することである。
することである。
プチド誘導体を用いる、梅毒、イチゴ腫またはベジェルの発見のためのイムノア
ッセイ法を提供することである。
ー型(rapid-flow cytometry-type)診断に用いうる固相粒子を提供することで
ある。
の凝集型アッセイ法に用いうる固相粒子を提供することである。
ーマを検出するための方法を提供することである。
発明のもう1つの目的である。
出することを目的とする自動化使用時点(point-of-use)分析のためのキットを
提供することである。
ムノアッセイ法を提供することである。
方法を提供することである。
た人々における酸性リピート蛋白質に対する抗体を、それに由来する酸性リピー
ト蛋白質および/またはペプチドを用いて検出するためのイムノアッセイ法を提
供することである。
マ感染症のラピッドフローサイトメトリー型の診断に用いうる固相粒子を提供す
ることである。
ネーマ抗体を検出するための方法を提供することである。
様および添付する特許請求の範囲の詳細な説明を吟味することによって明らかに
なると考えられる。
ることによってより容易に理解されると思われる。本発明をその特定の態様の具
体的な詳細を参照しながら説明しているが、このような詳細は本発明の範囲を制
限するものとみなされるべきではない。本明細書に言及する参考文献の原文はす
べてその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
その文脈で不適切でない限り、「1つまたは複数の」を意味し、且つ複数形も含
むものと定義される。
化学的または組織学的な方法などの生体分子の検出のための既知の技法を用いる
ことを意味し、調べている生体分子の存在または濃度を定性的または定量的に決
定することを意味する。
の少なくともいくつかを含まないことを意味する。
に溶解することを意味する。
梅毒を診断するための検出アッセイ法に利用される、これまで同定されていない
抗原蛋白質の使用を含む。梅毒トレポネーマによる蛋白質産物はこれまで数多く
梅毒の診断に用いられているが、梅毒の正確な早期診断、または梅毒、イチゴ腫
およびベジェルの鑑別診断のために有用な特異的蛋白質はこれまで同定されてい
ない。
、17kDリポ蛋白質、および15kDリポ蛋白質が含まれ、そのほとんどは通常は蛋白
質の脂質修飾によって生じたアミノ末端脂質部分を介して係留されることにより
、細胞膜中に係留されるように思われる。これらの蛋白質はいずれも梅毒トレポ
ネーマに大量に存在する上に抗原性が高いが、それらの診断のための使用には、
それらがトレポネーマ全体で反応性の主要な蛋白質を構成しており、このためト
レポネーマ細胞全体を用いた場合よりも迅速な陽性診断が得られるわけではない
という重大な欠点がある。
ネーマの通常ではない外膜構造は梅毒感染に対する宿主反応の大きな遅れの原因
となり、このために第1期梅毒の早期例はしばしばトレポネーマに対して血清学
的に陰性を示すと考えられている。梅毒トレポネーマの外膜または外被は主とし
て、極めて少数の蛋白質しか伴わない脂質から構成されているように思われる。
さらに、細胞膜中に係留された蛋白質は宿主免疫系から遮蔽され、このために免
疫応答の遅延または低下が生じると考えられている。この結果、膜アンカー型蛋
白質に基づく検出アッセイ法にはしばしば血清学的反応性の遅延が認められ、一
部の第1期梅毒患者では偽陰性の検査が得られる。
、本発明の蛋白質およびペプチドは、梅毒トレポネーマ感染症を早期に正確に診
断することを可能とする。本発明者らは以下の理論に拘束されることを望むもの
ではないが、本発明の方法による分泌蛋白質の検出は、梅毒トレポネーマ外膜構
造に伴う従来の問題を克服するものであり、このため、クローニングされた膜遮
蔽型抗原に依拠する以前のアッセイ法よりも特に有利である。さらに、分泌され
た抗原蛋白質は膜遮蔽型抗原と比べて検出可能な免疫応答を生じ、その結果、対
応する抗体の認識による診断が容易になる可能性が高い。加えて、この蛋白質の
反復性のためにその抗原性は非常に高くなり、このため梅毒の早期発見に適した
ものとなる。
び第3期の形態の梅毒へとその後に悪化することを予防しうるため、治療上極め
て重要である。したがって、本発明の方法は、梅毒の血清学においてこれまで重
大な問題となっていた分野である第1期梅毒の早期発見を取り扱う。
lidum)の基準株である。本発明者らによる本明細書に記載の通り、この菌株は
、長さが各60塩基対の特有の反復配列を含んでおり、その結果、蛋白質の内部に
それぞれ20アミノ酸から構成される14個の反復部を含む蛋白質が生じている(図
6参照)。酸性リピート蛋白質(またはarp)という名称は、この反復領域がグル
タミン酸に関する6個のコドンを含み、蛋白質産物のpIが約4.3と推定されること
にちなんでいる。20アミノ酸からなる反復配列には若干の違いはあるが、ニコル
ス株では最後の2つの反復まで反復配列が少なくとも90%保存されている(稀に
みられる置換は一般に保存的である)。酸性リピート蛋白質のヌクレオチド配列
は配列表に配列番号:1として提示されており(図5も参照)、アミノ酸配列は配
列番号:2に提示されている(図6も参照)。
産物である酸性リピート蛋白質は、膜アンカー型または分泌型として存在する蛋
白質を構成すると考えられている。酸性リピート蛋白質の構造上の特徴を図2に
示すが、これには蛋白質の疎水性プロフィールのほか、梅毒トレポネーマのニコ
ルス株由来の反復配列の1つが示されている。この蛋白質には、弱い塩基性のア
ミノ末端に続いて、膜アンカー型のための膜貫通ドメインを構成すると思われる
疎水性のアミノ酸鎖がある。膜貫通ドメインの可能性があるものの末端の少し後
には4つのアラニンが並んでおり、これはシグナルペプチダーゼI切断部位の可能
性がある。梅毒トレポネーマのニコルス株では、蛋白質の残りの部分の大半は反
復配列によって占められており、それがこの菌株における全リーディングフレー
ムの約3分の2を構成している。
切断型ペプチドを単離または合成し、続いて当業者に知られた技法および方法を
用いてペプチドを免疫原性活性に関して検討することによって同定可能である。
本発明は特に、酸性リピート蛋白質の免疫原性ドメインの活性部分を対象として
いる。
蛋白質のほぼ128〜407位のアミノ酸、より好ましくは同じく配列番号:1に示さ
れた168〜187位のアミノ酸、最も好ましくは配列番号:15に示されたアミノ酸配
列を有するペプチドを含む。
白質またはペプチドは、配列番号:1に示されたヌクレオチド配列によってコー
ドされる酸性リピート蛋白質またはその免疫原性断片を含む。
い蛋白質またはペプチドは、配列番号:15に示されたアミノ酸配列を有する、酸
性リピート蛋白質の免疫原性断片を含む。
ましい蛋白質またはペプチドは、配列番号:9に示されたアミノ酸配列を有する
酸性リピート蛋白質arp 3ペプチドの免疫原性断片を含む。
いペプチドは、配列番号:13に示されたアミノ酸配列を有する酸性リピート蛋白
質の活性断片を含む。
好ましいペプチドは、配列番号:7〜18のいずれかに示されたアミノ酸配列を有
する酸性リピート蛋白質の活性断片を含む。
酸(典型的には5%未満、より典型的には1%未満)が変化、付加または欠失する
個々の置換物、欠失物、または付加物も、その変更によって化学的に類似したア
ミノ酸の置換が生じる場合には、保存的に改変された変形物であることを理解す
ると考えられる。
試料を、反復遺伝子配列の蛋白質またはペプチド産物に対して特異的な蛋白質と
混合する。抗原捕捉法を用いて複合体が検出されることにより、患者における梅
毒トレポネーマの存在が示される。または、プローブとして抗原を用いた抗原-
抗体複合体の検出により、過去または現時点で梅毒トレポネーマが存在している
ことが示される。反復遺伝子配列の蛋白質産物は、酸性リピート蛋白質またはそ
の抗原性ペプチド断片であることが好ましい。
体から単離するか、または細胞培養、組換え遺伝子発現およびペプチド合成など
の化学的方法もしくは生物的方法によって合成される。組換え法には、ポリメラ
ーゼ連鎖反応(PCR)を用いたDNA源からの遺伝子増幅、および逆転写酵素/PCR
を用いたRNA源からの遺伝子増幅が含まれる。酸性リピート蛋白質のアミノ酸配
列は配列番号:2に示されている。酸性リピート蛋白質のペプチドおよび蛋白質
断片は、配列番号:2に示されたアミノ酸配列中のアミノ酸配列を有することが
好ましい。
よび方法を用いて免疫原性または抗原活性に関して検討することができる。例え
ば、バキュロウイルス遺伝子発現系を用いて、または完全arp遺伝子を含む発現
ベクタープラスミドによる形質転換がなされた大腸菌を用いて、完全長組換え酸
性リピート蛋白質を産生させることもできる。完全長蛋白質を個別のドメインに
切断すること、またはエンジョージ(Enjyoji)ら(Biochemistry 34:5725〜57
35(1995))によって記載された方法などの種々の方法を用いて消化することが
できる。エンジョージ(Enjyoji)らの方法によれば、組換え酸性リピート蛋白
質をヒト好中球エラスターゼなどの消化酵素で処理し、断片を得るためにヘパリ
ンカラムを用いて消化物を精製し、続いて免疫原性に関して検討することができ
る。
活性を呈するその長い断片を消化することによって断片を調製する。続いて、連
続的に短くなった各断片を免疫原性活性に関して検討する。同様に、さまざまな
長さの断片を合成し、免疫原性活性に関して検討することもできる。断片の長さ
を延長または短縮することにより、当業者は、当業者に既知のルーチン的な消化
、合成、およびスクリーニング法を用いて、免疫原性活性のために必要な蛋白質
内部のアミノ酸の正確な数、同一性、および配列を決定しうると思われる。
は、互換的であり、ペプチド結合によって連結した2つまたはそれ以上のアミノ
酸配列から構成される生体分子を意味する。
つのアミノ酸のα炭素のアミノ基との間の縮重反応によって形成されたペプチド
結合によってα炭素が連結したアミノ酸(典型的にはL-アミノ酸)の鎖のことを
意味する。鎖の一方の端(すなわち、アミノ末端)にある末端アミノ酸は遊離ア
ミノ基を有し、鎖の他方の端(すなわち、カルボキシル末端)にある末端アミノ
酸は遊離カルボキシル基を有する。このため、「アミノ末端」(N末端と略記)
という用語は、ペプチドのアミノ末端にあるアミノ酸上の遊離α-アミノ基、ま
たはペプチド内部の他のいずれかの位置にあるアミノ酸のα-アミノ基(ペプチ
ド結合に関与している場合はイミノ基)のことを指す。同様に、「カルボキシル
末端」(C末端)という用語は、ペプチドのカルボキシル末端にあるアミノ酸上
の遊離カルボキシル基、またはペプチド内部のいずれかの位置にあるアミノ酸の
カルボキシル基のことを指す。
チドのカルボキシル末端の向きに増えていく順序で番号が付けられる。したがっ
て、1つのアミノ酸がもう1つの「後に続く」という場合、そのアミノ酸は、先行
するアミノ酸よりもペプチドのカルボキシル末端に近い側に位置する。
組み入れられたアミノ酸を指すために用いられる。このため、アミノ酸は天然の
アミノ酸でもよく、別に限定されない限り、天然のアミノ酸に類似した様式で機
能する天然型アミノ酸の既知の類似体(すなわち、アミノ酸模倣物)も含まれう
る。さらに、アミド結合模倣物には、当業者に周知のペプチド骨格修飾物が含ま
れる。
細書において、この語句が言及しているペプチドの本質的な性質を実質的に変化
させると思われるいかなる要素も除外する目的で用いられる。したがって、「本
質的に〜からなる」ペプチドという表現は、そのペプチドの生物活性を実質的に
変化させると思われるアミノ酸置換、付加、または欠失の可能性を除外するもの
である。
ずかな比率のアミノ酸(典型的には5%未満、より典型的には1%未満)が変化、
付加または欠失した個々の置換物、欠失物、または付加物も、その変更によって
化学的に類似したアミノ酸の置換が生じる場合には、保存的に改変された変形物
であることを理解すると考えられる。機能的に類似したアミノ酸が得られる保存
的置換の表は当技術分野で周知である。以下の6つの群はそれぞれ、互いに保存
的な置換物であるアミノ酸を含んでいる: 1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T); 2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E); 3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q); 4)アルギニン(R)、リジン(K); 5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);お
よび 6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
れに付随する成分を実質的または本質的に含まない物質のことを指す。したがっ
て、本明細書に記載のペプチドは、その生体内環境で通常付随する物質を含まな
い。典型的には、本明細書に記載の単離された免疫原性ペプチドの純度は、銀染
色ゲル上でのバンド強度による評価で少なくとも約80%、通常は少なくとも約90
%であり、好ましくは少なくとも約95%である。
に続いて、染色して可視化するといった当技術分野で周知の数多くの方法によっ
て示すことができる。ある種の目的のためには高い分解能が必要と考えられ、HP
LCまたは精製のための類似の手段が用いられる。
)、それらはしばしば、標準的な化学ペプチド合成法を用いて合成される。
ノ酸の逐次付加を行う固相合成法は、本明細書に記載の免疫原性ペプチドの化学
合成のための好ましい方法である。固相合成のための技法は当技術分野において
既知である。
される。これには一般に、ペプチドをコードする核酸配列を作製する段階、特定
のプロモーターの制御下にある発現カセット中に核酸を配置する段階、宿主内で
ペプチドを発現させる段階、発現されたペプチドまたはポリペプチドを単離する
段階、および必要に応じて、ペプチドを再生させる段階が含まれる。当業者にこ
のような手順を指導するための技法は文献中に記載されている。
ムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む、標準的な手順に従って組換え
ペプチドを精製する。治療薬として用いるためには、均一性が約50〜95%の実質
的に純粋な組成物が好ましく、均一性が80〜95%またはそれ以上であるものが最
も好ましい。
分ペプチドの天然のコンフォメーションとは実質的に異なるコンフォメーション
を有する可能性があることを理解すると考えられる。この場合には、免疫原性ペ
プチドの変性および還元を行い、続いてペプチドを生物的および生化学的に活性
のあるコンフォメーションにリフォールディングさせることがしばしば必要とな
る。蛋白質の還元および変性ならびにリフォールディング誘導の方法は当業者に
周知である。
は梅毒トレポネーマ免疫血清との反応を示すことによって確認しうる。
ノアッセイ法による酸性リピート蛋白質の認識によって、梅毒の診断における本
蛋白質の有用性、患者の免疫状態の決定、および疾患の進行の評価が得られるた
め、本発明は特に望ましい。
の蛋白質を大量に生産可能なことにある。上記の通り、続いてこの蛋白質を抗体
認識、抗原捕捉による梅毒検出の診断アッセイ法に、または梅毒の治療用のワク
チンの開発のために用いることができる。
という用語には、モノクローナル抗体、ポリクローン性、キメラ性、一本鎖、二
重特異性、サル化およびヒト化抗体、ならびにFab免疫グロブリン発現ライブラ
リーの産物を含むFab断片が含まれる。
の断片のことを指す。この用語には、抗原性または抗原決定基の原因となる免疫
原および領域が含まれる。
を含む梅毒トレポネーマ抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体ま
たはポリクローナル抗体である。好ましい遺伝子標的には、arp遺伝子またはarp
遺伝子ファミリーのメンバーが含まれる。好ましい抗体はモノクローナル抗体で
あり、これは抗原に対するその特異性が高いことによる。本抗体はarp蛋白質に
対して特異的であり、他の梅毒トレポネーマ蛋白質またはペプチドとの交差反応
性は極めて少ないか皆無である。好ましくは、本抗体は、arp遺伝子によってコ
ードされる分泌蛋白質、酸性リピート蛋白質、またはその抗原性ペプチド断片に
対して特異的である。
して、酸性リピート蛋白質またはそのペプチドなどの遺伝子産物蛋白質の全体に
よる免疫処置を行うことによって調製される。免疫処置を行った動物から脾細胞
を回収し、感作された脾細胞をマウスSP2/O骨髄腫細胞(ATCC、Manassas、VA)
などの骨髄腫細胞株と融合させることによってハイブリドーマを作製する。細胞
の融合はポリエチレングリコールの添加によって誘導する。ハイブリドーマは、
ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT)を含む選択培地中に
ある状態で細胞の平板培養を行うことによって化学的に選択する。
ローナル抗体を産生する能力に関してスクリーニングする。スクリーニングの目
的に用いる免疫原性蛋白質は、分析した標本から入手する。または、このような
蛋白質には、当業者に既知の方法に従って作製した組換えペプチドも含まれうる
。免疫原性蛋白質標本と結合する抗体を産生するハイブリドーマのクローニング
を行い、増殖させて、将来の産生のために凍結保存する。好ましいハイブリドー
マは、IgGアイソタイプを有するモノクローナル抗体を産生するものである。
記の免疫原性蛋白質またはペプチドによる免疫処置を行うことによって調製され
る。その後、動物から採血し、血清中の抗体を免疫原性蛋白質、好ましくは上記
のモノクローナル抗体と反応する抗原に対する結合反応性に関してスクリーニン
グする。
ローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、またはその両方を検出可能な標識で
直接的に標識してもよい。イムノアッセイ法に用いるための標識は当業者に一般
に知られており、これには酵素、放射性同位体、ならびにコロイド金およびラテ
ックスビーズなどの着色粒子を含む蛍光性、発光性および発色性物質が含まれる
。イムノアッセイ法における非反応成分からの抗体-抗原複合体の分離を容易に
するために、抗体を固相に結合させてもよい。固相物質の例には、マイクロタイ
タープレート、試験管、磁性、プラスチック製またはガラス製のビーズおよびス
ライドが非制限的に含まれる。抗体を固相に結合させるための方法は当業者に周
知である。
る親和性のある標識物質との反応によって抗体を間接的に標識してもよい。抗体
を第2の物質と結合させ、抗体と結合した第2の物質に対する親和性のある標識し
た第3の物質を用いて検出してもよい。例えば、抗体をビオチンと結合させ、標
識したアビジンまたはストレプトアビジンを用いて抗体-ビオチン結合物を検出
することができる。同様に、抗体をハプテンと結合させ、標識した抗ハプテン抗
体を用いて抗体-ハプテン結合物を検出することもできる。抗体およびアッセイ
結合物を標識する上記およびその他の方法は当業者に周知である。
により、抗体を間接的に標識する。二次抗体は、好ましくは、モノクローナル抗
体の由来となった動物の抗体と結合するものである。言い換えると、モノクロー
ナル抗体がマウス抗体である場合には、標識した二次抗体は抗マウス抗体である
。以下に記載のイムノアッセイ法にモノクローナル抗体を用いる場合、この標識
は好ましくは抗体でコーティングされたビーズ、特に磁性ビーズである。本明細
書に記載のイムノアッセイ法にポリクローナル抗体を用いる場合、標識は好まし
くは、放射性、蛍光性、または電気化学発光性の物質などの検出可能な分子であ
る。
は単離された蛋白質またはペプチドを用いる、高感度の梅毒トレポネーマ用イム
ノアッセイ法を提供する。本イムノアッセイ法は、さまざまな試料、特にヒトま
たは動物の体液などの生物試料における梅毒トレポネーマ感染の存在を検出する
ために有用である。試料は梅毒トレポネーマの菌体が存在する可能性のある任意
の供給源から入手しうる。
蛋白質またはペプチドを用いるイムノアッセイ法をデザインする。これは、蛋白
質またはペプチドで固相をコーティングすることによって実現される。その後、
生物試料を、コーティングされた表面とともにインキュベートし、抗体を蛋白質
/ペプチドと結合させる。一例となる手順は、室温を上回る温度、好ましくは約
20℃〜45℃の温度で約10〜150分間、生物試料およびコーティングされた表面を
インキュベートすることである。より好ましくは、生物試料およびコーティング
された表面を、約37℃の温度で約60分間にわたり暗所下でインキュベートする。
このイムノアッセイ法の結果から、梅毒トレポネーマ感染に関する直接的な指標
が得られる。
(競合性)イムノアッセイ法に、上記の抗原(arpペプチドまたは蛋白質)の1つ
または複数を用いうることを理解すると考えられる。上記の通り、本明細書で提
供するイムノアッセイ法に用いるために、ペプチドを固相にコーティングするが
、固相にはこのような用途に適した任意の物品が含まれる。適した物品は当業者
に周知であり、これにはラテックス粒子、濾紙、およびガラスビーズが含まれる
がこれらに限定されることはない。好ましい固相は、ダイネックステクノロジー
ズ(Dynex Technologies)社(Chantilly、Virginia)が販売しているImmunlon
2HB(商標)プレートなどの市販のELISAマイクロタイタープレートである。
抗体と抗原との結合が促される条件下で十分な期間にわたって反応させる。イム
ノアッセイ試薬およびおよび試料をさまざまな組み合わせおよび順序で反応させ
うることを当業者は理解すると考えられる。
、コーティングされたチューブまたはウェルからの反応溶液のデカンテーション
、磁気分離、毛管作用、および当業者に既知の他の手段などの物理的手段を用い
る。固相の分離洗浄を本方法に含めてもよいことは理解されると考えられる。
方法を用いて検出される。複合体を、検出マーカーで標識した抗ヒト免疫グロブ
リン抗体に曝露させる。このようなマーカーには、西洋ワサビペルオキシダーゼ
などの化学発光性標識;FITCなどの電気化学発光性標識;ならびにアルカリホス
ファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、および西洋ワサビペルオキシダーゼなどの
酵素性標識が含まれる。好ましくは、検出抗体をペルオキシダーゼ標識の添加に
よって修飾する。
を用いて検出する。好ましくは、ペルオキシダーゼの検出用にセレス(Ceres)9
00 HDL(BioTek Instrument, Inc.、Winooski、Vermont)などのELISA読み取り
機を用いて複合体を分析する。または、FITC標識の検出のためにベクトン-ディ
ッキンソン(Becton-Dickinson)社のFACSソーター(Franidin Lakes、New Jers
ey)を用いてもよい。また、アッセイ法で分析する試料のバックグラウンド値を
決定するために、同じアッセイ形式において、可溶性の抗原または抗体を非特異
的抗体でコーティングした磁性ビーズとインキュベートすることもできる。
および/または蛋白質の存在を検出するために抗arpモノクローナル抗体(また
はポリクローナル抗体)を用いるイムノアッセイ法をデザインする。これは、蛋
白質またはペプチドを抗体と結合させるために生物試料をインキュベートするこ
とによって実現される。一例となる手順は、室温を上回る温度、好ましくは約20
℃〜45℃の温度で約10〜150分間、より好ましくは約37℃で60分間、暗所下でイ
ンキュベートすることである。このイムノアッセイの結果から、梅毒トレポネー
マ感染の存在に関する直接的な指標が得られる。
ムノアッセイ法に上記の抗体の1つまたは複数を用いうることを当業者は理解す
ると考えられる。上記の通り、本明細書で提供するイムノアッセイ法に用いるた
めには、抗体を検出可能な標識で標識する、または固相に結合させる。モノクロ
ーナル抗体およびポリクローナル抗体の両方をアッセイ法に用い、モノクローナ
ル抗体を固相に結合させ、ポリクローナル抗体を検出可能な標識で標識すること
が好ましい。固相には、ラテックス粒子、濾紙、およびガラスビーズを含むがこ
れらに限定されることはない、このような用途に適した当業者に周知の任意の粒
子が含まれうる。好ましい固相は、ダイネックステクノロジーズ(Dynex Techno
logies)社(Chantilly、Virginia)が販売しているImmunolon 2HB(商標)プレ
ートなどの市販のELISAマイクロタイタープレートである。
中の免疫原性蛋白質との結合が促される条件下で十分な期間にわたって反応させ
る。免疫原性蛋白質には、好ましくは酸性リピート蛋白質が含まれる。イムノア
ッセイ試薬およびおよび試料をさまざまな組み合わせおよび順序で反応させうる
ことを当業者は理解すると考えられる。固相に結合した試薬を結合していない試
薬から分離するためには、粒子の濾過、コーティングされたチューブまたはウェ
ルからの反応溶液のデカンテーション、磁気分離、毛管作用、および当業者に知
られた他の手段などの物理的手段を用いる。固相の分離洗浄を本方法に含めても
よいことは理解されると考えられる。
ノアッセイ法および競合イムノアッセイ法を含む、当業者に知られた方法を用い
て検出される。抗体-抗原複合体を、抗原の捕捉のために用いたものと類似して
いる抗体であって、ここでは検出可能な標識で標識した抗体に曝露させる。適し
た標識には、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの化学発光性標識;ルテニウムお
よびエクオリンなどの電気化学発光性標識;ルシフェラーゼなどの生物発光性標
識;FITCなどの蛍光性標識;ならびにアルカリホスファターゼ、β-ガラクトシ
ダーゼおよび西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素性標識が含まれる。好まし
くは、標識を電気化学発光によって検出する。最も好ましくは、検出抗体をペル
オキシダーゼ標識の添加によって修飾する。
を用いて検出する。好ましくは、ペルオキシダーゼの検出用にセレス(Ceres)9
00 HDL(BioTek Instrument, Inc.、Winooski、Vermont)などのELISA読み取り
機を用いて複合体を分析する。または、FITC標識の検出のためにベクトン-ディ
ッキンソン(Becton-Dickinson)社のFACSソーター(Franidin Lakes、New Jers
ey)を用いてもよい。また、アッセイ法で分析する試料のバックグラウンド値を
決定するために、同じアッセイ形式において、可溶性の抗原または抗体を非特異
的抗体または特異的抗体でコーティングした磁性ビーズとインキュベートするこ
ともできる。
出することが可能となり、それによって疾患の症状発現に関して感染の転帰を現
実的に示すことが可能になる。
原性もしくは抗原性蛋白質、またはそのような蛋白質に対する抗体の検出に基づ
いているために有効である。先行技術の方法とは異なり、本発明の検出アッセイ
法は、梅毒トレポネーマに一般に付随する膜結合型抗原蛋白質には関係しておら
ず、すなわち検出には分泌蛋白質の認識を用いることから、その結果は細胞膜に
係留または遮蔽された蛋白質によって妨げられない。分泌蛋白質に基づく検出は
、膜アンカー型蛋白質と比べて早期の免疫応答を誘発する可能性が高いことから
好ましい。
疫学的な理由からも有用である。例えば、酸性リピート蛋白質が高レベルである
ことは、進行期の疾患と相関すると思われる。疾患の早期での診断は有効な治療
の早期開始につながり、その後、より重篤な状態に悪化するのを防ぐことができ
るため、これは特に重要である。本明細書に記載のアッセイ法とは異なり、梅毒
トレポネーマに対して現在用いうるアッセイ法は、多大な処理時間を要し、典型
的には膜結合型蛋白質である抗原性マーカーの検出に依拠しているため、一般に
不正確であり、有効でないと考えられる。
法では、分泌された抗原蛋白質またはそのような蛋白質に対する抗体の認識によ
って梅毒トレポネーマを検出する。この種の認識の利点は、アッセイ法が、粒子
状形態にある寄生体を認識することにも、通常は宿主免疫系から遮蔽されている
膜結合型蛋白質の存在を検出することにも依存しないことにある。分泌蛋白質抗
原の存在に基づく検出により、方法の感度が高まるとともに正確な診断のための
期間も短縮され、これによって第1期梅毒の発見が可能となる。
(それぞれ配列番号:1および2)を提供することに加えて、本発明は、梅毒トレ
ポネーマペルテニュ亜種(それぞれ配列番号:3および4、ならびに図6)、およ
び梅毒トレポネーマエンデミカム亜種(それぞれ配列番号:5および6、および図
7)に対応する、これまで同定されていなかったヌクレオチドおよびアミノ酸配
列も提供する。したがって、当業者は、本発明によって開示される梅毒トレポネ
ーマ感染症の鑑別診断のための技法を用い、それによって疾患の原因病原体が梅
毒トレポネーマパリダム亜種、梅毒トレポネーマペルテニュ亜種、または梅毒ト
レポネーマエンデミカム亜種であると同定しうる。この発見は、それによって疾
患のそれ以上の拡がりを抑制することが容易となるため、感染症の早期発見およ
び同定のために特に有意義である。加えて、トレポネーマの亜種のそれぞれを特
異的に同定することにより、治療的処置に用いうる特異的抗体の開発も可能とな
る。個々の亜種を特異的に同定するもう1つの利点は、梅毒、イチゴ腫またはベ
ジェルといった特定の疾患の発現を予測し、種々の症状を予防する、または少な
くとも軽減するための適切な方策をとることが可能になると思われることである
。
に対する抗体価は菌体が消失すれば低下すると考えられている。このことは、抗
トレポネーマ抗体の免疫的検出のためにarpペプチド/蛋白質を用いるアッセイ
法を、現在の感染と以前の感染との鑑別に用いうる可能性を示唆する。
の範囲を制限するものとみなされるべきではない。その反対に、本明細書の説明
を読むことにより、当業者には本発明の精神を逸脱することなく、このような手
段に対してさまざまな他の態様、改変、および同等物を想定しうることが明らか
に理解されるべきである。
ート蛋白質をコードする遺伝子をクローニングした。ヌクレオチド配列は、配列
番号:1、3および5に示されている(Genebankアクセッション番号AF015824)。
ゼI切断部位、および14個のほぼ同一な反復配列を特徴とする(図2参照)。図2
の上部は、その一次配列による蛋白質の疎水性プロットを表している。蛋白質の
大部分は親水性であり、このことから、本発明者らは以下の理論に拘束されるこ
とを望むものではないが、この特性は蛋白質の抗原性指数に対応すると考えられ
ている(図2の下部)。N末端には疎水性アミノ酸の連鎖(aa27〜aa43)があり、
疎水性プロットにおける陥凹部を構成している。この領域は膜貫通ドメインと考
えられる。膜貫通ドメインのすぐ後にはシグナルペプチダーゼI切断部位と考え
られるものがある。arp蛋白質の最大の特徴は、それぞれ長さ20アミノ酸のほと
んど同一な14個の反復配列である。この反復配列にはグルタミン酸が非常に多く
、予想されるpIが4.3と低い原因になっている。この反復配列はそれらの類似性
に従って4つの種類に分類される。II型反復配列は反復配列全体の42%(14個中6
個)を占める主要なタイプである。梅毒トレポネーマ種のほとんどはこの種の反
復配列を有すると予想されている。本発明者らは、この反復領域から生じるペプ
チドが血清診断に最も有用であることを見いだした。このことを以下に示す。
らに明らかにする目的で行った。新たに同定された免疫原性ペプチドは、改善さ
れた優れた感度を有する免疫的診断キットを作製するための標的として役立つ。
性指数を見いだした後、本発明者らは、arp蛋白質における特定の領域に免疫原
性があると仮定した。蛋白質の反復配列からペプチド断片を調製し、ウサギへの
免疫処置に用いた。ペプチド免疫処置を行ったウサギから得た血清は、arp遺伝
子を含むプラスミドから発現された組換え蛋白質を認識することが明らかになっ
た。さらに、トレポネーマに感染したウサギからの血清もこの組換え蛋白質を認
識した(図1にウエスタンブロット分析の結果を示している:レーン1=抗梅毒ト
レポネーマ血清によって認識された、梅毒トレポネーマ全蛋白質;レーン2=梅
毒トレポネーマ全蛋白質抽出物中のarpを同定できなかった、抗ペプチド[1,2,3
]血清;レーン3=抗arpペプチド血清によって同定された、組換えarp蛋白質;
レーン4=抗梅毒トレポネーマ血清によって同定された、arp蛋白質;レーン5=
抗原処置前採血(pre-bled)(抗原注射直前に採血した)対照)。
照)。これらのペプチド断片に対する反応性を決定するために、梅毒性ヒト血清
をELISAアッセイ法にて用いた。梅毒性血清は、市販のRPR検査キットによれば、
急速血漿レアギン(RPR)陽性または陰性(RPR+またはRPR-)のいずれかであっ
た。RPR+血清のほとんどはarpペプチド3、7および9と強く反応するが、RPR-血清
はいずれもどのペプチドとも反応しないことが見いだされた。反応性は1:100の
希釈度で検出された(市販のほとんどのELISAキットは検出用に1:20の希釈度を
用いている)。
質のN末端もしくはC末端、またはI型、III型、もしくはIV型反復配列のいずれか
に由来するものであった。本発明者らは以下の記載に拘束されることを望むもの
ではないが、これらの梅毒性血清とペプチドとの反応性に基づく分析は、免疫原
性領域の1つがアミノ酸DVPKに限局していることを示している。
レポネーマエンデミカム亜種のそれぞれからのCDC-2株およびボスニア株という2
つの菌株のarp遺伝子をクローニングして検討した。遺伝子配列からは梅毒トレ
ポネーマパリダム亜種のニコルス株との著明な相同性が認められた。3つの亜種
の遺伝子の5'末端および3'末端は完全に同一であったが、反復領域には若干の違
いが認められた。興味深い観察所見は、2つの亜種の翻訳されたarp蛋白質で、単
一の種類の反復配列、すなわちニコルス株において主要なタイプであるII型の反
復配列が認められたことであった。この所見は、主要なタイプの反復配列(II型
)を有する領域で合成されたペプチドに免疫原性があることを裏づける(図4に
示す通り)。他の反復配列(I型、III型およびIV型)も免疫原性である。
考えられる。このような改変および変形は添付する特許請求の範囲の範囲に含ま
れるものとする。
ジに分類された この実験にはペプチドarp#9(配列番号:15)を用いた(図8)。梅毒に現在感
染している患者から採取した血清をELISAアッセイ法にて検討した。この試験の
患者はすべて潰瘍標本におけるPCR反応が陽性であった。患者を早期感染(IgM陽
性)、間欠的感染(IgMおよびIgGがいずれも陽性)および晩期感染(IgGのみ陽
性)に分類しうることが明らかになった。
nex(商標)社は、多数の疾患および疾患マーカーの診断を同時に容易に行える
システムを開発している。現在すでに開発済みの検査または開発中の検査には、
ヒトサイトカイン(IL-2、3、4、6など)ならびにウイルス性および細菌性感染
(HIV、肝炎など)に関するものが含まれる。arp#9ペプチドをビオチン分子と結
合させた。このビオチン化ペプチドをさらに、Luminex(商標)社が販売してい
るストレプトアビジンと結合させた。このシステムで2種類の血清を検討した。R
PR+血清は本アッセイ法にて強く反応するが、RPR-の正常血清は蛍光反応のバッ
クグラウンドレベルが非常に低いことが明らかであった(図9)。この結果から
、ルミネックス社のシステムを用いて、本発明者らのarpペプチドビーズを他の
臨床検査と組み合わせられる可能性が示された。
ウエスタンブロットゲルの図面である。
と考えられるもの、シグナルペプチダーゼI切断部位と考えられる位置、蛋白質
の親水性プロット、および蛋白質の抗原性指数と考えられるものを示している。
黒四角は配列番号:9を表し、白丸は配列番号:10、黒丸は配列番号:13を表し
、白三角は配列番号:14を表す)と梅毒ヒト血清との反応を示したグラフを提示
している。
したグラフである。
s pallidum)の完全アミノ酸配列表(配列番号:2)を提示しており、配列中に
認められるさまざまな種類の反復配列も示している。
rtenue)(CDC-2株)のヌクレオチド配列を提示している。
(配列番号:4)を提示しており、配列中に認められるさまざまな種類の反復配
列も示している。
endemicum)(ボスニア株)のヌクレオチド配列を提示している。
酸配列表(配列番号:6)を提示しており、配列中に認められるさまざまな種類
の反復配列も示している。
反応に基づいて3つのステージに分けられることを示した2つのグラフである。
析の結果を示した代表的なグラフである。
Claims (24)
- 【請求項1】 以下の段階を含む、生物試料における梅毒トレポネーマ(Tr
eponema pallidum)、抗トレポネーマ抗体、またはその両方の存在を検出するた
めの方法: (a)酸性リピート蛋白質(acidic repeat protein)、または酸性リピート蛋
白質の1つもしくは複数の単離された免疫原性梅毒トレポネーマペプチドと、抗
体を含む生物試料とを接触する段階;および (b)免疫原性蛋白質またはペプチドと抗体との間の複合体を形成する検出で
あって、該複合体の存在によって梅毒トレポネーマの存在が示される段階。 - 【請求項2】 免疫原性ペプチドが、配列番号:2、4、6〜18からなる群よ
り選択されるアミノ酸配列、およびその保存的変形物を含む、請求項1記載の方
法。 - 【請求項3】 免疫原性ペプチドが、配列番号:1、3および5からなる群よ
り選択されるヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1記載の方法。 - 【請求項4】 免疫原性ペプチドが、配列番号:15の配列を有するアミノ酸
配列を含む、請求項1記載の方法。 - 【請求項5】 梅毒トレポネーマが(Treponema pallidum)、梅毒トレポネ
ーマパリダム亜種(Treponema pallidum subspecies pallidum)、梅毒トレポネ
ーマペルテニュ亜種(Treponema pallidum subspecies pertenue)、および梅毒
トレポネーマエンデミカム亜種(Treponema pallidum subspecies endemicum)
からなる群より選択される、請求項1記載の方法。 - 【請求項6】 複合体の存在が検出されることによって、梅毒、イチゴ腫お
よびベジェルからなる群より選択される疾患の存在が示される、請求項1記載の
方法。 - 【請求項7】 免疫原性ペプチドが、配列番号:2の配列を有するアミノ酸
配列を含む、請求項1記載の方法。 - 【請求項8】 免疫原性ペプチドが配列番号:4を含むアミノ酸を含み、複
合体の存在によってイチゴ腫の存在が示される、請求項1記載の方法。 - 【請求項9】 免疫原性ペプチドが配列番号:6を含むアミノ酸配列を含み
、複合体の存在によってベジェルの存在が示される、請求項1記載の方法。 - 【請求項10】 ペプチドが固相に結合している、請求項1記載の方法。
- 【請求項11】 ペプチドが標識されている、請求項1記載の方法。
- 【請求項12】 標識が、電気化学発光性標識、化学発光性標識、酵素性標
識、生物発光性標識および蛍光性標識からなる群より選択される、請求項11記載
の方法。 - 【請求項13】 ペプチド-抗体複合体をペプチドに対して特異的な二次抗
体とインキュベートする段階をさらに含み、二次抗体が検出可能な標識で標識さ
れ、ペプチド-抗体複合体と結合する、請求項1記載の方法。 - 【請求項14】 生物試料が、創傷、血液、組織、唾液、精液、膣分泌物、
涙液、尿、骨、筋肉、軟骨、CSF、皮膚、または任意のヒト組織もしくは体液を
含む、請求項1記載の方法。 - 【請求項15】 配列番号:2、4、6〜18からなる群より選択されるアミノ
酸配列、およびその保存的変形物を含む免疫原性ペプチドである、単離された免
疫原性梅毒トレポネーマペプチド。 - 【請求項16】 梅毒トレポネーマが、梅毒トレポネーマパリダム亜種、梅
毒トレポネーマペルテニュ亜種、および梅毒トレポネーマエンデミカム亜種から
なる群より選択される、請求項15記載の免疫原性ペプチド。 - 【請求項17】 梅毒トレポネーマ酸性リピート蛋白質、または酸性リピー
ト蛋白質の免疫原性ペプチドと結合しうる抗体。 - 【請求項18】 免疫原性ペプチドが、配列番号:2、4、6〜18からなる群
より選択アミノ酸配列、およびその保存的変形物を含む、請求項17記載の単離さ
れた抗体。 - 【請求項19】 免疫原性ペプチドが、配列番号:1、3および5からなる群
より選択されるヌクレオチド配列によってコードされる、請求項17記載の単離さ
れた抗体。 - 【請求項20】 抗体がモノクローナル抗体である、請求項17記載の単離さ
れた抗体。 - 【請求項21】 薬学的に許容される担体、および哺乳動物において梅毒ト
レポネーマに対する防御的免疫応答を誘発させるのに十分な量の単離された免疫
原性梅毒トレポネーマペプチドを含む免疫原性組成物であって、該免疫原性ペプ
チドが配列番号:2、4、6〜18からなる群より選択されるアミノ酸配列およびそ
の保存的変形物を含む組成物。 - 【請求項22】 梅毒トレポネーマが、梅毒トレポネーマパリダム亜種、梅
毒トレポネーマペルテニュ亜種、および梅毒トレポネーマエンデミカム亜種から
なる群より選択される、請求項21記載の組成物。 - 【請求項23】 哺乳動物における梅毒トレポネーマの存在によって梅毒、
イチゴ腫、またはベジェルを含む疾患が引き起こされる、請求項21記載の組成物
。 - 【請求項24】 免疫原性ペプチドが担体蛋白質と結合している、請求項21
記載の組成物。
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