JP2003509469A - 経口用組換え乳酸桿菌ワクチン - Google Patents

経口用組換え乳酸桿菌ワクチン

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リーア,ロバート,ジャン
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ネーデルランドセ・オルガニザテイエ・フール・テゲパスト−ナトウールベテンシヤツペリーク・オンデルツエク・テイエヌオー
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Abstract

(57)【要約】 ワクチンとして用いるための組換えもしくは改変ラクトバチルスについて述べている。該細菌は異種抗原を細胞内もしくは細菌の表面上のいずれかに発現し、免疫応答を引き出す。該ワクチンは経口投与に適している。好ましい細菌はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)の種、特にL.プランタルム(L. plantarum) 256である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の要約 本発明はワクチン開発の分野のものである。特に本発明は経口ワクチンに関す
る。本発明は、経口投与後に免疫応答を引き出すことのできる抗原の担体として
の組換え非病原性細菌の使用に関する。より特定して述べれば、本発明はラクト
バチルス属の種であるラクトバチルスの使用を包含している。該ラクトバチルス
はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)に分類されるも
のである。該抗原は該ラクトバチルスの細胞内で、および/もしくはその細胞表
面に露出した形で発現されている。該ワクチンは生菌ワクチンで、生きた微生物
を該抗原の担体として用いているものである。本発明はまた、新規の組換えラク
トバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)およびその作製に用い
るための発現ベクターをも包含している。
【0002】本発明の背景 当業者は、かねてから現在市販されているサルモネラ・ティフィリウム(Salmo
nella typhimurium)およびマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis
)などの病原性微生物を弱毒化したものを用いるよりも非病原性の担体をベース
とした経口ワクチンを開発しようとの考え方を持ってきた。そのような弱毒化株
の開発は単調で長期間かかる。そのためには、病原性の排除によって環境もしく
は個体に危険性のない組換え株の開発が必要である。しかしそれらの株は防護的
免疫応答を生じさせるためには免疫原性が維持されていなければならない。また
、遺伝子的に安定な組換え株の開発にも問題がある。もともと病原性である微生
物の使用には、その担体自体に対する免疫応答がブースターワクチンの有効性を
低減させるというという危険性を伴うが、それはそのワクチン接種を受ける個体
が既に担体細菌によってチャレンジを受けていた場合に既に存在している抗体の
存在によって有効性が低減されるのと同様である。最後に、部分的に毒性を有す
る担体株を用いることはその他の担体系を用いるよりも、大きな個体群が危険に
さらされることとなろう。そのような個体群としては幼児、老人、および免疫低
下状態の個体が含まれる。要するに、安全で有効なワクチンが長い間必要とされ
てきた。
【0003】 粘膜ワクチン、すなわち粘膜を介する送達経路を用いるワクチンは、全身性の
接種を行うものに対していくつかの利点があるものと考えられる。粘膜ワクチン
はIgAをベースとした免疫応答を防御の第1線として生起させるために用いること
ができる。粘膜感染に対する防護的免疫応答は分泌性IgA分子の産生に強く依存
している。そのような分子は局所的に産生され、粘膜分泌産物へと運ばれる。
【0004】 有用と思われる粘膜ワクチンの別のカテゴリーは、ワクチンの非経口適用より
も粘膜適用を介して全身性の免疫応答の誘導を狙うものである。理想的には十分
に有効なものとなるためには粘膜ワクチンでの免疫応答は非経口ワクチンの免疫
応答と同等でなければならない。
【0005】 しかし、抗原の全身適用は粘膜免疫システムの刺激にはうまく働かないか、も
しくは信頼しうるほどは働かない可能性がある。不運にも、特定の抗原の経口投
与が常に十分な免疫応答がもたらされる訳ではなく、いかなる応答をももたらさ
ないこともある。このことは、吸収性が悪いこと、消化管(G.I.)内での抗原の急
速な分解、および宿主側での耐性の誘導によって起こる。そのため、過去におい
ては代替法が提案された。
【0006】 試みられたオプションとしてはISCOM(immunostimulating complex)、マイクロ
スフェア、およびリポソームのような防護的担体システムの作成、およびin viv
oでの所望の抗原の局所での産生(すなわち生体内のin situで)のための無害な生
きた微生物の使用が含まれる。
【0007】 抗原の担体として用いる無害な微生物の群を探す際には、乳酸菌の群が検討を
始めるものとして適当なものと考えられた。乳酸菌は食品生産においては大規模
に用いられている。乳酸菌はヒトが摂取するために適した食品グレード(すなわ
ち、通常はGRAS-statusを有するものとして)のグラム陰性微生物の群を形成して
いる。乳酸菌は食品に安全に用いられてきた長期にわたる記録がある。乳酸菌が
好ましいものであることの別の興味深い観点としてはもちろんLPS(これは担体と
して現在用いられているいくつかの病原性微生物には出現する)を持っていない
ことが挙げられる。従って、エンドトキシンショックの危険性に関して問題がな
いので、乳酸菌は粘膜経路を介する適用において明らかに安全である。
【0008】 さらに、乳酸菌は、口、泌尿生殖もしくは消化管などの腔所に住み着くこと、
すなわち定住および/もしくは生育をすることができることによってプロバイオ
ティックス(probiotics)として産生され、そのような場所で乳酸菌は平衡化され
た正常な微生物叢を維持する役割を担っている。しかし、現在までのところ、非
病原性細菌を用いた経口ワクチンで市販されたものはない。
【0009】 粘膜ワクチンの分野では経鼻(および経膣)ワクチンと経口ワクチンとを区別し
なければならない。経口的に投与された抗原が直面する環境は鼻腔の環境よりも
著しく適さないものであることは明らかである。さらに経鼻投与で免疫応答を引
き出すことのできるワクチンは経口投与では成功しなかったことが示されている
。非病原性担体を用いる経鼻ワクチンを経口用に用いることが示唆されてきたが
、特性もしくは効力が予測しがたいために経鼻ワクチンは経口ワクチン開発で問
題に直面した際の助けとはならない。例えば、組換えラクトバチルス・カセイ(
Lactobacillus casei)およびラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus p
lantarum)株の経鼻ワクチンとして、もしくは経鼻ワクチン中の成分としての使
用については既に報告されており、双方ともこの投与経路に同等に適している。
驚くべきことに、本発明ではラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus pl
antarum)株が経口ワクチンとしてもしくは経口ワクチン中の成分として用いる
ために適したものであることが見出された。これに対して、下記にさらに述べる
とおり、当業界では、経鼻ワクチンとしての使用が示唆されているL・カセイ(L
. casei)などの他のラクトバチルスでは同様な結果は得られていない(Pouwels
ら, J. Biotech. 1996, 44:183-192; Pouwelsら, Int. J. Food Microbiol. 199
8, 41:155-167)。
【0010】 先行技術によって適するものとなる可能性があると示唆されている乳酸菌ベー
スのワクチンには3つのカテゴリーがある。それらのカテゴリーのうちの2つは経
口ワクチンとなりうる可能性があるものと考えられる。第1のものはLactobacill
us lactisをベースとするワクチンで、第2のものはStreptococcus gordoniiをベ
ースとしたワクチンである。この2つのカテゴリーは双方とも種々の有利な点と
不利な点があるが、それらについては詳しく報告されている(Mercercenier A. P
robiotics: A critical review, Horizon Scientific Press, Wymondham, 英国
1999, pp113-127; Pouwelsら, Int. J. Food Microbiol. 1998, 41:155-167)。
【0011】 第3のカテゴリーはラクトバチルスをベースとしたワクチンで、免疫応答を誘
導することのできる経鼻的に投与される組換えラクトバチルスが含まれる。しか
し、現在までのところ、実際に免疫応答を誘導する経口的に投与しうる組換えラ
クトバチルスはない。そのかわりに、経口投与で有意な免疫応答を作り出すため
に異種抗原をin vivoで発現する組換え非病原性細菌についての不確実な開示は
複数ある。
【0012】 ある研究では異種抗原を細胞内で発現する組換えラクトバチルスのマウスへの
経口投与に関する不成功に終わった実験が開示されている(Wellsら, Antonie va
n Leeuwenhoek 1996, 70:317-330)。大腸菌(E.coli)のβ-ガラクトシダーゼを細
胞内で発現するラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum) 80
が経口的にマウスに0、1、および2日目に投与された。その後、経口でのブース
ター投与は4週間の間隔を空けて行われた。この実験ではβ-ガラクトシダーゼ(
異種抗原)、これは免疫原性の性質については何も知られていないタンパク質で
あるが、これに対する有意な抗体応答は認められなかった。この結果は、同じ細
菌株、同じ抗原、および同じ発現系を用いて、腹腔内投与によって免疫応答が得
られた結果とは反対のものであった。この失敗について多くの説明がなされたが
、これまでのところそれらのいずれも、経口ワクチン接種で良い結果が得られな
いことを解明することはできていない。
【0013】 他の先行技術は組換えLactobacillus plantarumの使用の可能性に関するもの
である。WO99/11284は乳酸菌を用いて経口ワクチンを作成しうることを示唆して
いる。示唆された実施形態は、可溶性タンパク質が組換え微生物から分泌される
形態のものと考えられる。細胞表面への露出もしくは細胞内での産生については
言及されておらず、非常に多数の乳酸菌が有用であると提案されている。その示
唆された細菌はラクトバチルス・デルブルエキ(Lactobacillus delbruekii)、
ラクトバチルス・カセイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・フェルメ
ンツム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactoba
cillus plantarum)、ラクトバチルス・パラプランタルム(Lactobacillus para
plantarum)、ラクトバチルス・ペントスス(Lactobacillus pentosus)、ラク
トバチルス・コリニフォルミス(Lactobacillus coryniformis)、ラクトバチル
ス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・リエチマンニ(Lact
obacillus liechmannii)、およびラクトバチルス・ラムノスス(Lactobacillus rhamnosus) 901などの腸内細菌叢から単離されたラクトバチルスの株である。
後者は酸及び胆汁の双方に対して抵抗性を有するので特に好ましいと述べられて
いる。実施例に述べられている乳酸菌はラクトバチルス・プランタルム(Lactob
acillus plantarum)8826である(3 x 10個/mL, 1日1回で18日間)。
【0014】 WO99/11284の乳酸菌はウレアーゼを異種抗原として産生するはずである。それ
以外の抗原については示唆されておらず、in vivoで免疫応答の誘導が成功した
ことが説明されている。その実施例はこのことが単に推測的なものであることを
示したものと想像され、実際の結果は何も提示されていない。抗原(ウレアーゼ)
がその細菌からその周囲へ「遊離」の可溶性タンパク質として分泌されることも
その実施例は示唆している(すなわち、細菌宿主の表面上に露出されている、も
しくは表面とその他の形で関わっている、ということがない)。
【0015】 事実、その特許に示された方法が免疫応答を示すことにおいて成功するかどう
かには重大な疑いがある。可溶性タンパク質の分泌が免疫応答を誘導するとは考
えられないと指摘する多数の論文が公表されている:従って、その特許の方法が
、経口ワクチンとして有用なものを提供するために適した技法にはなりそうもな
い。このことを実験データが全くないことと併せると、ラクトバチルスを宿主と
して用いる経口ワクチンの可能性の欠如を説明しているものと思われる。せいぜ
いそれは、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter Pylori)関連疾患を治療し
ようとの考えで可溶性タンパク質であるウレアーゼを異種抗原として分泌するラ
クトバチルスの使用の推測的な開示である。例えば、経口/消化器という攻撃的
環境で生存していけるか予測できないことなどの特殊な問題点があるものと予測
されるその他の抗原に関する開示はない。
【0016】 総説論文(Mercenier, 1999)ではラクトバチルス・プランタルム(Lactobacill
us plantarum)NCIMB 8826(ヒト唾液からの単離菌)中に導入された異種抗原(例
えばTIFC)を発現している多数の構築物について述べている。そこで述べられて
いる組換えラクトバチルス構築物の全てについて、マウスへの経鼻投与は免疫応
答をもたらした。さらにその総説では経口での試験も比較のために行ったことが
示されているが経口実験の結果は示されておらず、抗原が細胞のどこで発現され
たかについても述べられていない。それらの構築物のうちのいずれか、それらの
いくつか、もしくはその全てについて何らかの有意な免疫応答があったのか否か
についても述べられていない。このようにデータがないことと経鼻ワクチンから
経口ワクチンに関するデータの外挿に関する一般的な知識を組み合わせ、以前の
失敗例を考慮すると、経口ワクチンとしてのラクトバチルスの使用は成功しない
ことを示唆しているのではないかと考えられた。確かに、一般的な解釈は成功す
るとの合理的な期待はできないものであった。
【0017】 Mercenierらのグループ(Institut Pasteur, Lille: Grangetteら, Immunology letters, 69(1): No.1, page 176:45.13)の要約でも状況は類似しており、免疫
がなされたことを支持するデータは示されていない。
【0018】 この結論はPouwelsら, 1998によって支持されており、彼らはラクトバチルス
・カセイ(Lactobacillus casei)中の発現ベクターが異種の抗原の良好な発現
をどのようになしえたかが報告されているが、経口投与後ではかなり低レベルの
抗体が得られたのみであった。このことはL. caseiの生存性が低いことによるも
のであろうが、このパラメーターはそれ以上は調べられておらず、組換えラクト
バチルス・カセイ(Lactobacillus casei)が防護的免疫応答を示し得なかった
ことには多数のその他の理由がある。例えば、in vivoでの発現量は免疫応答を
実際に引き出すには低すぎるか、もしくはその抗原が免疫応答を誘導することが
可能な様式では提示されなかったのかもしれない。
【0019】 本発明に至った複数の実験において組換えラクトバチルス・カセイ(Lactobac
illus casei)を本発明のL.プランタルム(L. plantarum)との比較として含め
た。これはラクトバチルス・カセイ(Lactobacillus casei)をベースとした発
現系が異種抗原のin vivo担体としての効力を有さないことを確認するものであ
った。この知見は、WO99/11284の開示ではラクトバチルス・カセイ(Lactobacil
lus casei)が有用な宿主の例となりうることが示唆されていたのでその開示に
疑問を呈するものである。
【0020】 この分野で種の間のデータの外挿が常に信頼しうるものとは限らない、という
ことをさらに示すために、以前の実験では組換えL.プランタルム(L. plantarum
)と組換えL・カセイ(L. casei)とを、アジュヴァント活性を引き出すかどう
かについて比較した。L・カセイ(L. casei)はin vivoでのアジュヴァント活性
を引き出す最もよい微生物であることを示した。従ってL・カセイ(L. casei)
がL.プランタルム(L. plantarum)もしくは乳酸菌のその他のいかなる株であっ
ても、それらよりもワクチンの候補として好ましいものと推測するであろう。
【0021】本発明の説明 本発明の第1の態様は異種抗原を発現する(in vivoで発現していることが適し
ているが)組換え乳酸菌を含んでいるワクチン(例えば経口の)である。該抗原は
細胞内でおよび/もしくは乳酸菌の表面で(露出されて)発現するものとすること
ができる。従ってこのものは該異種抗原に対する免疫原性を引き出すための特異
的免疫原性を引き出す構成成分となりうるか、または免疫応答を引き出すことが
できる。該組換え乳酸菌とは好ましくはL. plantarumなどのラクトバチルスであ
って、任意で経口的な送達のための製剤中に用いるために適した製薬上許容され
る担体が少なくとも1つ共存させうる。
【0022】 本説明では下記の用語と語句は特に断らない限りは下記の意味を有する。
【0023】 「細菌宿主」とは、所望の抗原を発現する(例えば組換え技法を介して)ために
用いられる細菌もしくは細菌株を意味する。この細菌宿主はヒトもしくは動物(
哺乳動物)にワクチンの中に含ませて、もしくはワクチンの一部として、該抗原
に対する免疫応答を引き出す目的で投与される。この用語は該抗原を発現するよ
うに形質転換された天然の株、該抗原を発現している組換え株(これは別に「組
換え宿主株」とも呼ぶ)、もしくはその両者を示すために用いられる。
【0024】 ワクチンの「粘膜送達(経路)」とは、皮膚を貫通させたり刺したりする(例え
ば、静脈内、筋肉内、皮下、もしくは腹腔内投与にともなって起こる)ことを必
要としない、ヒトもしくは動物の体への投与経路のいかなるものをも意味する。
通常はこのことはワクチンが生体の腔所のうちの1つを介して生体に投与される
ことを意味し、それによってワクチンは粘膜と接触することとなる。従って、粘
膜投与は特に経鼻、経口および/もしくは経膣投与を意味する。
【0025】 「粘膜ワクチン」とは、粘膜送達に適した、適合させた、意図した、および/
またはそのために製剤化されたいかなるワクチンをも意味する。
【0026】 「経口送達(経路)」(ワクチンの)とは、消化管もしくはその部分で、それによ
ってワクチンが提示されうる、ヒトもしくは動物の体内への送達経路のいかなる
ものをも意味する。通常は経口送達経路には口中への、もしくは口を介しての消
化管への投与が含まれる。「経口投与」もまた消化管もしくはその部分への直接
的な投与が含まれ、そのようなものとしては胃の中への、例えばチューブもしく
はカテーテルを用いての投与が含まれる。
【0027】 「経口ワクチン」とは、上記で定義した経口送達のために適した、適合させた
、意図した、および/またはそのために製剤化されたいかなるワクチンをも意味
する。
【0028】 応答(例えば抗体応答もしくは免疫応答)はそれがヒトもしくは動物に検出可能
な変化もしくは応答をもたらす場合、特に抗体、サイトカイン、リンホカイン、
その他などの検出可能な免疫学的変化もしくは応答をもたらす場合には、「有意
」であると見なされる。ある応答が「有意」であるかどうかを決定するための試
験は当業界では既知であり、そのようなものとしては、限定はされないが、ELIS
A法、ELISPOT法およびin vitroリンパ球刺激アッセイを用いる生物学的サンプル
中の抗体レベルの滴定が含まれる。そのような技法は通常は、ヒトもしくは動物
から得られた生物学的液体または細胞サンプルなどの生物学的サンプルについて
行われる。
【0029】 「有意」な応答とは、必ずしもそうでなくともよいが、下記に定義する「防護
的」応答ともなりうるものである。ある応答(例えばある病原体もしくは抗原に
対する免疫学的応答)はそれが病原体に対しての、および/または抗原に関連する
病原体に対しての応答を示すヒトもしくは動物を防護することができるとき、「
防護的」であると見なされる。
【0030】 抗原は、それが細菌宿主の表面(例えば細菌の細胞壁もしくはエンベロープ)の
上に存在している、その一部を形成している、付着している、および/もしくは
伴っている、または検出(例えばFACSもしくは免疫蛍光顕微鏡などの適切な免疫
学的検出技法を用いて)が可能である場合に、細菌宿主上に「露出」されている
ものと(また、抗原の「(表面)露出」ともいう)見なされる。
【0031】 好ましくは、「露出」されているとは、細菌が、免疫応答をメディエートする
ことのできるヒトもしくは動物の細胞(例えば下記の消化管の細胞など)に十分な
時間、十分な量、提示された場合に、該抗原に対して「十分な」免疫応答を細菌
が引き出すことができることを意味する。
【0032】細菌株 ラクトバチルス・プランタルムの株は既知のパラメーターを用いて容易に決定
することができる(例えば、Bergeys Manual of determinative bacteriologyお
よびVescoveら, Ann. Microbiol. Enzymol. 43, 261-284(1993))。従って、当業
者であれば、ある乳酸菌がラクトバチルス・プランタルムであるかどうかを容易
に決めることができる。様々な研究所に多数のラクトバチルス・プランタルムの
株が寄託されており、容易に利用することができる。
【0033】 細菌宿主として選択された天然の菌株は好ましくはGRAS(generally regarded
as safe:一般的に安全と見なされる)とされるものであるべきで、より好ましく
は食品グレードのものである。
【0034】 また、用いる細菌宿主はある抗原をコードしている適切な構築物を用いて形質
転換すると所望の抗原を細胞内でおよび/もしくは表面上に露出して発現するこ
とのできるものでなければならない。
【0035】 好ましくは該抗原の発現レベル、例えばSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動
もしくはFACSによって測定される細胞内の、および/もしくは細胞表面上に露出
されている抗原の発現レベルは、細胞の総タンパク質の少なくとも1〜5%、ある
いはまた同一条件下で同一の発現ベクターを用いてL.プランタルム(L.プランタ
ルム(L.plantarum))256株によって提供される発現レベルの80%以上、好ましく
は100%以上であるべきである。
【0036】 また、細菌宿主は、口、咽頭、喉頭、腸、小腸、大腸、回腸、および/もしく
は結腸、またはそれらの組み合わせなどの消化管の少なくとも一部分に定住およ
び/もしくはコロニー形成できることが好ましい。細菌宿主は種としてそれが腸
内、に定住することが好ましく、小腸もしくは盲腸内であることがより好ましい
【0037】 該(組換え)ラクトバチルス・プランタルム株は、免疫されることとなる個体の
体内で少なくとも5日間、好ましくは少なくとも9日間、および15もしくは20日以
上が適切であるが、そのような期間の持続性を(経口投与で、糞便中のその株の
存在で測定するとき)示すことが好ましい。投与方法が下記のとおり1回以上の追
加免疫の使用を含む場合には、より長い持続性は必要ではない。
【0038】 好ましい実施形態においては、等価の条件下でL.プランタルム(L.プランタル
ム(L.plantarum)) 80の持続性より長い持続性および、好ましくはL.プランタル
ム(L.プランタルム(L.plantarum)) NCIMB 8826より長い持続性が示される。こ
のことは、選択肢はあるが好ましくは同じ年令で等価の治療条件下でのマウスの
消化管で客観的に評価することができる。
【0039】 該L.プランタルム(L.plantarum)株は、LMG 9211(上述のMercinierによって報
告されているNCIMB 8826)、DSM 4229 L. casei 393、および/もしくはL.プラン
タルム(L.plantarum) 80ではないことが好ましい。細菌宿主は下記のL.プラン
タルム(L.plantarum)株のうちの1つであることが好ましい:256、LMG 1284、LM
G 6907、LMG 8155、LMG 9205、LMG 9206、LMG 9208、LMG 9209、LMG 9210、LMG
9212、LMG 11405、LMG 11460、LMG 8095、LMG 8027、LMG 12167、LMG 13556、LM
G 17552、LMG 18021、LMG 18023、LMG 18024、LMG 18027、LMG 18095;386、299
、105、または275(Molinら, 1993, J. Appl. Bacteriol. 74:314を参照せよ)、2
99v(WO 96/29083を参照せよ);So5、36、95、120、もしくは44(Johannsonら,
1995, Int. J. Syst. Bacteriol. Vol 45(4):670-675を参照せよ)、79、107、98
、53、97、101、または125(Johanssonら, 1995, Int. J. Food. Micro. 25:159
を参照せよ)、CH、ATCC 8041、ATCC 10012、ATCC 10776、WCFS、DF66 IIIa、DF6
6spez.-IVa、および/もしくはJapanese Collection of Micro-organismsから寄
託番号8341、8342、8343、8344、8345、8346、8347、および/もしくは8348で入
手可能なL.プランタルム(L.plantarum)株。
【0040】 好ましくは、用いるラクトバチルス菌は、それが投与されることとなる、例え
ばワクチン接種されることとなる個体(ヒトもしくは動物)にとって外来のもので
ある。本発明の細菌は改変されたものもしくは組換え体であり、野生型もしくは
天然の細菌、つまり非組換えもしくは未改変のラクトバチルス菌も外来のものと
して適している。このように、外来性のものであるということは、その個体(も
しくはヒト)が以前に遭遇したことのないラクトバチルス菌株であるということ
を意図している。言いかえれば、非ヒト、例えばヒトの体内に認められない、も
しくは存在しないラクトバチルス菌株を使用することが好ましい。その株はヒト
もしくは動物の体内に認められないもの、例えば腸(消化管)中に存在しない株が
好ましい。そのような株はより強いもしくは範囲の広い免疫応答を引き起こすこ
ととなろう。従って、これまで何人かの先行技術者らはヒト由来のL.プランタル
ム(L.plantarum)株(例えば、ヒト唾液からの単離菌であるNCIMB 8826)を用いた
が、本発明者らは直観に反するアプローチを取り、ヒトの体内には存在しない株
を探した。
【0041】 例えば、先行技術者らは、NCIMB 8826として寄託されたL.プランタルム(L.pl
antarum)株を用いた。この株はヒトの体内に見出され、例えば消化管内には既に
存在している。このことは、ヒトにとって外来のものである(もしくは体内に存
在しない)ラクトバチルス菌株のように良好な免疫応答がこれによって引き起こ
されるもしくは引き出せるとは考えられないことを意味する。
【0042】 従って、本発明は、好ましくは個体の粘膜に見出されない(非粘膜性)もしくは
消化管に見出されない、例えば(ワクチン接種されることとなるヒトもしくは動
物種に対して)内在性でないラクトバチルス菌株を用いる。実際、最も好ましい
株(例えばL.プランタルム(L.plantarum) 256)は貯蔵された牧草中に見出された
。このような株はヒトに対して明らかに外来のもので、そのため、より大きな免
疫応答が提供される。それでも該株は腸の粘膜に付着しうることが好ましい。
【0043】 また株は非食料品、例えば、(ヒトの)食品中には見出されないものを起源とす
ることもできる。このことによっていくつかのL.caseiの株、例えば393などを排
除することができる。393株はチーズ中に見出され、そのため乳製品もしくは発
酵産物中に見出される株を排除することが好ましい。このことは、該個体はその
株と接触(例えば、摂取)したことがなく(もしくは接触したことがないかもしれ
ず)、そのため、食品中に見出されない株を用いることは免疫応答をより引き起
こさせるものと考えられる。このことはある種のラクトバチルス菌で認められた
長い持続時間を説明しうる。それらの細菌の体内からの除去はそれらが免疫系に
は認識されないのでより緩徐に行われうる。従って株は動物起源、例えば動物の
食糧(例えば、貯蔵牧草)からのものとすることが適当である。一般的により適し
た株は食糧(例えば酪農製品)よりは共生(腸内)のものである。
【0044】 好ましくは該ラクトバチルス菌株は生存可能で(もしくは生存している)天然の
ままのものである。それらの株は少なくとも7日間、個体中で(粘膜で)生存し続
けることができるものが適している。このことは当業界で既知の方法(例えば、
糞便中のその生物体の存在を調べること)を用いて容易に調べることができる。
【0045】 このように本発明はさらに非ヒトおよび/もしくは非ヒト用食品のラクトバチ
ルス菌、例えばL.プランタルム(L.plantarum)などに関し、それは異種抗原を発
現(細胞内でおよび/もしくは細胞表面上で)するように改変されたものである。
この細菌は好ましくは、その細菌が投与されることとなる個体中に免疫応答を引
き起こすことのできるものである。このように、天然のもしくは非改変L.プラン
タルム(L.plantarum)は好ましくはその個体に対して外来性のもの、例えばそれ
が投与されることとなるヒトもしくは動物に対して内在性でないものである。好
ましくは選択されたL.プランタルム(L.plantarum)株はヒトもしくは動物種の消
化管もしくは粘膜に存在しないものである。
【0046】 本発明はまた、異種抗原を細胞内および/もしくは細胞表面上で発現するよう
に改変されたL.プランタルム(L.plantarum)にも関し、その細菌は個体に免疫応
答を引き出し、それはその個体の消化管内で少なくとも7日間は生き続けること
のできるものである。
【0047】 当業者であれば、その他の適する株を下記の性質もしくは因子の1つ以上を基
に選択することができる: − 該抗原をコードする構築物の、選択された細菌宿主中での安定性:選択され
た細菌宿主中での抗原の発現レベル:選択された細菌宿主中での抗原の発現の調
節:選択された細菌宿主中での抗原の発現部位;および/もしくは産生された抗
原の安定性。
【0048】 − 用いる株の生化学的特性、例えばその糖発酵プロフィール(API)、細胞壁組
成、LTAの構造、ペプチドグリカンの構造、16S RNAの配列、酸抵抗性、胆汁酸抵
抗性、凝集の特性、アジュヴァント活性、免疫調節特性、in vitro 接着性、マ
ンノース特異的接着、タンパク質性の接着因子の存在、mapA様接着因子および/
もしくは繰り返しアミノ酸配列を有する大きなタンパク質性接着因子の存在、な
らびに/または、 − 細菌宿主と、その宿主が投与されることとなる(すなわち本発明のワクチン
の一部として)個体の細胞との相互作用、例えば、これらに限定はされないが、
持続性、生存性、in vivo での抗原の発現および/もしくは組織特異的な持続性
が含まれる。
【0049】 これらの性質特性のうちの少なくともいくつか、好ましくは大部分、より好ま
しくは実質的に全てにおいて、例えば当業界でそれ自体が既知であるこれらの性
質を調べるための試験/アッセイをもとに調べたときに、用いる株は実質的に(少
なくとも)上述の株と等価であるか、より好ましくはL.プランタルム(L.plantar
um)256と等価であるべきである。適切な宿主を選択した後、その宿主を本明細書
記載の遺伝子構築物を用いて形質転換し、その後、その宿主の経口ワクチンとし
ての適切性を試験し、すなわち後記の実施例中で述べている試験とプロトコール
を用いて試験することができる。本明細書の説明に基づいて、および任意で確認
のために本明細書記載の試験を行えば、当業者であれば本発明のワクチンとして
、もしくはワクチン中に用いるために適切なL.プランタルム(L.plantarum)の他
の株を同定することができるであろうということは想像できる。
【0050】 好ましくは、L.プランタルム(L.plantarum)は第1グループ(もしくはクラスタ
ー)のものであり(そのような株としては101、97、53、256、ATCC 14917、36
95、98、299、299v、107、105、79、275、386、So5、およびATCC 8014が含まれ
る)、サブグループ(もしくはサブクラスター)1bが適している(そのような株とし
ては256、ATCC 14917、36、95、および98が含まれる)。特に好ましいのはL.プ
ランタルム(L.plantarum)の256株である。
【0051】 上述の株の1種以上の組み合わせも用いることができる。
【0052】組換えの態様 本発明の好ましい態様は、組換えラクトバチルス・プランタルム(Lactobacil
lus plantarum)が異種抗原を細胞内に、及び/又は消化管内に存在する条件下
で異種抗原が細胞表面上に露出されるように発現させることが可能である発現ベ
クターを含むワクチンである。
【0053】 異種抗原が病原性微生物に対する免疫原性の誘発に特異的であるワクチンの形
態の組換えラクトバチルス・プランタルムのあらゆる実施形態が本発明の範囲に
包含される。その宿主は、粘膜コロニー形成病原体又は粘膜、特には口腔経路を
介して体内に侵入する病原体に特異的な異種抗原を発現し得る。この異種抗原は
消化管コロニー形成病原体に特異的なものであってもよい。破傷風(Clostridiu
m tetanus)に特異的な異種抗原、例えば、TTFCが特に適切な候補である。
【0054】 組換え細菌宿主(例えば、ラクトバチルス・プランタルム)は、異種抗原を細
胞内に、及び/又は異種抗原が保護免疫原性を誘発するのに十分な程度に細胞表
面上に露出されるように発現させることが可能な発現ベクターを含む。
【0055】 好ましくは、これらのワクチンは一回投与が十分なものであるように処方され
る。しかしながら、例えばG.I.管における細菌宿主の持続性を考慮して、特定の
期間にわたって複数回適用される実施形態も想定される。本発明によるワクチン
製剤では追加免疫ワクチン接種の提供も想定されている。
【0056】 好ましい投与方法は、第1〜第4日のいずれかでの1回以上の「初期」投薬もし
くは投与、それに続く第14〜第21日のいずれかでの1回以上の追加免疫投与、及
び、任意に、第28〜第25日のいずれかでの1回以上のさらなる追加免疫投与を含
む。一般には、この期間内での1回の初期投与とそれに続く1回の追加免疫投与で
十分である。
【0057】 驚いたことに、幾つかの場合、例えば細菌宿主を6〜12日の持続期間で用いる
とき、有意な免疫応答が実質的には第1追加免疫投与の後にのみ得られたことが
見出されている。これは、第1追加免疫の時期に−すなわち、第14〜第21日に−
細菌宿主(すなわち、初期投与からの)が個体の糞中にもはや検出できなかった
という事実にもかからずであった。後述の例は、等しく初回刺激したマウスは、
初回刺激の後2、3又は4週のいずれかに経口ワクチンを再投与したときに全て追
加免疫されたことを示す。したがって、一態様において、本発明はそのような投
与及び追加免疫方法に適する方法及び製剤に関する。
【0058】 また、本発明は、異種抗原を細胞内に、及び/又はラクトバチルス・プランタ
ルム80β−ガラクトシダーゼの発現について開示されたベクター又はガラクトシ
ダーゼを発現するラクトバチルス・プランタルム80のいずれをも超える程度まで
細胞表面上に露出させるように発現させることが可能な(発現ベクターを適切に
含有する)組換えラクトバチルス・プランタルムを含むワクチンにも関する。
【0059】 ワクチン接種しようとする細胞又は宿主の生存可能性に障害を与えることなし
に可能な限り高程度の発現が想定されている。発現をより高めることで、免疫化
の目的に必要とされ得る投薬の頻度及び用量はより小さくなる。もちろん、投薬
方法は抗原の量だけに依存するのではなく、抗原の型及びワクチン中の他の免疫
原性刺激因子の有無にも依存する。
【0060】 高程度の発現は、ワクチン中の組換えラクトバチルス・プランタルムに存在す
る発現ベクターの相同発現及び/又はそれに対する分泌シグナルを用いることに
よって達成することができる。実施例における構築物に存在するような適切に発
現を調節するシグナルが有用である。その他の発現シグナルも明らかである。発
現ベクターは、それが組み込まれるラクトバチルス株に依存して発現を最適化す
ることができる。
【0061】 驚いたことに、ラクトバチルス・カセイ(Lactobacillus casei)において合
理的なレベルの(しかしながら、その組換えラクトバチルス・カセイを経口ワク
チンとして意図するには十分な程度にではない)発現をもたらす発現ベクターが
、ラクトバチルス・プランタルムに対し、経口投与で免疫原性をもたらすのに十
分な発現をもたらすことが見出された。したがって、ラクトバチルス・カセイに
おいて発現可能な発現ベクターを含むラクトバチルス・プランタルムが包含され
る。これは、第1にはラクトバチルス・カセイにおけるワクチン用途に十分な発
現の欠如のために、及び第2には様々な乳酸菌の間での発現レベルの予測不能性
のために、予測できるものではなかった。
【0062】 好ましいラクトバチルス・プランタルムはラクトバチルス・プランタルム256
であり、これは、この株が同じ条件下でラクトバチルス・カセイよりも良好な結
果をもたらすためである。
【0063】抗原 抗原は免疫応答を誘発又は刺激することができ、したがって、それに対して免
疫応答、より具体的には上に定義される「顕著な」免疫応答及び/又は「保護」
免疫応答が動物(好ましくは、ヒトのような哺乳動物)において誘発され得るあ
らゆる抗原であり得る。抗原は、通常、ワクチンを投与しようとするヒト又は動
物の病原体、疾患状態及び/又は障害に関連する。好ましくは、抗原は、例えば
リンパ球上又はそれらから放出される抗体内に存在する、1種類以上の(例えば
、特異的)受容体と相互作用することが可能である。このように、抗原は免疫原
であり得る。抗原は一般に免疫応答を誘発し得るものであるため、通常、酵素(
例えば、ウレアーゼ、β−ガラクトシダーゼ)、例えば、個体体内に既に存在す
るタンパク質は排除される。したがって、抗原は好ましくはその個体にとって外
来性である。
【0064】 微生物宿主において発現可能であるあらゆる抗原、抗原成分又はそれ自体公知
のエピトープを用いることができる。通常、これはペプチド、タンパク質、又は
それらの抗原性の部分もしくは断片、例えば、エピトープである。そのようなも
のとして、それは未変性抗原性ペプチドもしくはタンパク質(又は、それらの部
分、断片もしくはエピトープ)又は、例えば合成により、もしくは組換えDNA技
術を用いて得られる、それらの抗原性類似体もしくは突然変異体のいずれかであ
り得る。
【0065】 様々な抗原に対する有意の免疫応答、好ましくは、保護免疫応答を誘発する(
illicit)のに用いることができる組換え細菌及び/又は細菌株を、それらに基
づくワクチンの他に、提供することができる。適切な抗原には以下のものが含ま
れる: −アレルゲン; −HIVウイルスに由来するもの(例えば、そのgp160エンベロープタンパク質)
、(リーシュマニア属(Leishmania)寄生虫の)表面糖タンパク質、シガ(Shig
a)様毒素、赤痢菌(Shigella)リポ多糖抗原、大腸菌(Escherichia coli)海
馬采抗原、(腸内毒素原性大腸菌株の)CFA抗原、炭疽毒素、百日咳毒素、破傷
風毒素を含むウイルス及び/又は細菌抗原; −ヘルペスウイルス、風疹ウイルス、インフルエンザウイルス、ムンプスウイ
ルス、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、RSウイルス、カンピロバ
クター(Campylobacter)種、クラミジア類、クリプトスポリジウム属の種、サ
イトメガロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、アクチノミセス(Actinomyces)
種、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、アレナウイルス、アルボウイル
ス、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、カンジダ(Candida)属の種、コ
レラ菌(Vibrio cholera)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcu
s neoformans)、大腸菌O157:H7、O26:H11、O111:H8及びO104:H21のEHEC株、大
腸菌のETEC株、腸管組織侵入性(EIEC)を有することが示される大腸菌株、大腸
菌のEPEC株、大腸菌のEAggEC株、大腸菌のDAEC株、フィロウイルス、パルボウイ
ルス、フィラリオ上科(Filarioidea)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aure
us)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)属の種、ヘリコバクター・ピ
ロリ(Helicobacter pylori)、カリチウイルス、ジアルディア・ランブリア(G
iacardia lamblia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ハンタウイルス、A、B
、C、D、E型肝炎ウイルス、レジオネラ株、らい菌(Mycobacterium leprae)、
リステリア菌(Listeria monocytogenes)、クロストリジウム・ペルフリンゲン
ス属の種、ライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)、偽鼻疽菌(Pseudomona
s pseudomallei)、EBウイルス、回旋糸状菌、疱瘡ウイルス、百日咳菌(Bordet
ella pertussis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、Q熱コクシエラ(Coxiella b
urnetti)、狂犬病ウイルス、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidium)、結核
菌(Mycobacterium tuberculosis)、チフス菌(Salmonella typhi)、マラリア
、カリニ肺炎の原因となる(真核生物寄生虫)もしくは、トキソプラズマ症の原
因となる病原体に由来する抗原。
【0066】 好ましくは、アレルゲン(allerben)はヒトアレルゲンであるか、又は組成物
を投与しようとする個体の型もしくは種においてアレルギー反応を引き起こすア
レルゲンである。これはハウス又は昆虫アレルゲン、例えば、ダストマイト(du
st mite)に由来するもの、例えば、Der p 1であり得る。
【0067】 未変性抗原及び抗原性成分(それらの抗原性部分、断片又はエピトープを含む
)以外に、−合成又は組換えDNA技術によって得られる−それらの抗原性突然変
異体又は類似体を用いることができる。また、本発明のワクチンにおいて、2種
類以上のそのような抗原の組合せが存在していたり発現していたりしていてもよ
い。これらの抗原は単一の(型もしくは株の)細菌宿主が発現しても、数種類の
異なる(型もしくは株の)細菌宿主が発現してもよい。
【0068】 上述のうち、ロタウイルス、RSウイルス、結核菌、ヒト免疫不全ウイルス、大
腸菌、コレラ菌、連鎖球菌及びクラミジアに対する、及び/又はそれらに特異的
な抗原が本発明のワクチンにおいて抗原として用いるのに特に好ましい。
【0069】 抗原は、好ましくは、発現時に、−未変性株と比較して低下する可能性はある
が、少なくともある程度は−投与により依然として組換え細菌宿主を消化管内に
定住させ、及び/又は(その一部に)コロニーを形成させ、そこに存続させるよ
うなものである。これは、その抗原及び/又はそれに関連する病原体に対する有
意の免疫応答をもたらすのに十分な期間であればよい。
【0070】 抗原は、細菌株において、その抗原を組換え細菌宿主内でその宿主をワクチン
における使用に適するものにするような方法で発現するそれ自体公知のあらゆる
発現系を用いて発現させることができる。これは、少なくとも抗原が細胞内に、
及び/又は細菌宿主の表面上に露出されるように、適切なレベル、例えば、全細
胞タンパク質の少なくとも1〜5%(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及び
標準タンパク質染色による測定で)発現するべきであることを意味する。
【0071】発現系 通常、発現系は、所望の抗原(すなわち、成分)をコードする少なくとも1つ
のヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を含有し、好ましくは、このヌクレオチ
ド配列は細菌宿主におけるその配列の発現を指令することが可能なプロモーター
に機能可能に連結する。適切には、発現させようとする抗原はその細菌宿主の優
先コドン使用に適合する核酸配列によってコードすることができる。この構築物
は、選択された細菌宿主において作動可能な、エンハンサー、転写開始配列、シ
グナル配列、レポーター遺伝子、転写終結配列等を含む(全ての)他の適切なエ
レメントをさらに含むことができる。
【0072】 この構築物は、好ましくは、細菌宿主の形質転換に適する形態及び/又は細菌
宿主において安定に維持され得る形態、例えば、ベクター又はプラスミドである
。より好ましくは、食品グレードの構築物を用いる。
【0073】 本発明による特に好ましい構築物は、抗原をコードするヌクレオチド配列が組
み込まれている、PCT/NL95/00135(WO−A−96/32487)に記載されるマルチコ
ピー発現ベクターを含む。このような構築物は、乳酸菌、特にはラクトバチルス
において高レベルの発現で所望のタンパク質又はポリペプチドを発現させるのに
特に適しており、細菌細胞の表面に発現した産生物を向かわせるのにも有利に用
いることができる。これらの構築物(例えば、PCT/NL95/00135の)は、抗原を
コードする核酸配列に、リボゾーム認識及びRNA安定化に必要な少なくとも最少
配列を含む5’非翻訳核酸配列が先行することを特徴とする。これに翻訳開始コ
ドンが続き、この翻訳開始コドンには乳酸菌の遺伝子の翻訳された核酸配列の5
’末端部分の少なくとも5コドンの断片又はその断片の構造的もしくは機能的等
価物が(直後に)続いていてもよい。また、この断片もプロモーターによって制
御される。ここに開示されるものとは異なる実施形態を含むPCT/NL95/00135の
内容、及び本明細書において言及される全ての他の文書は、参照することにより
本明細書に組み込まれる。
【0074】 好ましくは、用いられる構築物は、少なくとも同じ細菌宿主において同じ条件
下でPCT/NL95/00135のベクターによってもたらされるレベルに匹敵する−例え
ば、細胞内での、及び/又は表面に露出される−発現のレベルを提供する。
【0075】 本発明のワクチンは好ましくは経口ワクチンであり、換言すると、これらは経
口投与に適合する。このような経口ワクチン組成物は、通常胃内の酸を中和する
ためにアルカリが必要であり、かつ細菌(少なくともそれらの大部分)を活動状
態で胃を介して腸まで通過させるため、通常アルカリ性である。投与された細菌
の大部分が胃を生き抜いて腸まで通過することが好ましい。免疫応答の増加は細
菌が死んでいるのではなく生きているときに、換言すると、生存可能であるとき
に達成することができる。これは、それらがin vivoで異種抗原を発現し続ける
ことができるためである。全ての医薬組成物がアルカリ性であるわけではなく、
したがって、アルカリ性ではないもの(例えば、経鼻製剤)は経口投与には適さ
ない。
【0076】 抗原をコードする配列は、あらゆる天然源から得ることができ、及び/又は公
知DNA合成技術を用いて合成によって調製することができる。次に、抗原をコー
ドする配列を(例えば)適切な発現ベクターに組み込んで本発明の遺伝子構築物
を得ることができ、次いでそれを目的とする細菌宿主株(例えば、PCT/NL95/0
0135に記載されるようなもの)の形質転換に用いることができる。
【0077】 このようにして得られた組換え細菌宿主を次に培養することができ、それによ
り、任意にさらなる精製及び/又は処理工程、例えば、粉末を形成する凍結乾燥
の後に、回収した細胞をワクチンの処方に用いることができる。
【0078】 抗原をコードする配列を含む遺伝子構築物の作成に必要とされる技術、及び細
菌宿主の形質転換、培養及び回収のための技術は当該技術分野において公知であ
る。例えば、それらはPCT/NL95/00135の他に、Sambrook et al, "Molecular C
loning: A Laboratory Manual" (2nd ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harbor La
boratory (1989) 及び F. Ausubel et al, eds., "Current protocols in molec
ular biology", Green Publishing and Wiley Interscience, New York (1987)
を含む教科書に記載される。
【0079】 細菌宿主を含むワクチンは、例えば、ワクチンを処方するための、及び/又は
動物もしくはヒトへの経口投与用の生菌製剤を処方するための公知の方法で処方
することができる。例えば消化管障害を治療するための、プロバイオティクス投
与用の製剤を参照することができる。
【0080】 本発明によるワクチンは経口投与に適する形態にあることが可能であり、これ
は固体、半固体又は液体形態であり得、これには、限定されるものではないが、
細菌の溶液及び/又は懸濁液が含まれ、通常はこれが好ましい。
【0081】 ワクチン製剤は粉末、例えば、使用前に、例えば適切な液体を用いて、再構成
することができる凍結乾燥粉末の形態であってもよい。投与前に固体、半固体又
は液体食品と混合されている(される)固体もしくは液体製剤の形態であっても
よい。また、発酵製品の形態であってもよい。
【0082】 細菌に加えて、ワクチンは1種類以上の薬学的に許容し得る担体又は賦形剤、
例えば、水を含むことができる。また、ワクチンは経口投与に適する1種類以上
のアジュバントを含んでいてもよく、これには免疫アジュバントが含まれる。こ
れらは細菌宿主に適合するものであり、かつ適切には、その所望の免疫原性を(
大幅に)妨害しないものである。一実施形態によると、これらのアジュバントは
乳酸菌、例えば、細菌宿主株それ自体、上述の他のL.プランタルム株のうちの1
つ、別のラクトバチルス種、又はヒトもしくは動物への経口投与に適するラクト
コッカス(Lactococcus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)もしくは
プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)種であってもよい。
【0083】 また、ワクチンは1種類以上のさらなる治療用物質及び/又は細菌によるG.I.
管の(一部の)コロニー形成及び/又はG.I.管内での細菌の成長を促進及び/又
は強化し得る1種類以上の物質を含むことができる。この製剤は、例えばチュー
ブ又はカテーテルを介する、胃又は腸への(直接)投与に適する形態であっても
よい。好ましくは、経口投与により、細菌宿主は消化管、又は少なくともそれら
の一部、例えば、口、腸、小腸(例えば、十二指腸、空腸もしくは回腸)、大腸
(もしくはそれらの一部、例えば、盲腸)もしくは結腸、好ましくは小腸もしく
は盲腸のいずれかの内に住み着き、その上コロニーを形成することができる。
【0084】免疫原性 このように、細菌宿主が発現する抗原は粘膜層、G.I.管の裏層及び/又は壁(
以下、集合的に「G.I.管壁」と呼ぶ)、より具体的にはこの壁内の細胞と接触す
ることができる。これは、そのようにして提示される抗原、例えば、抗原提示細
胞(例えば、マクロファージ、樹状細胞及び/又はBリンパ球)に対する免疫応
答を介在することができる。このG.I.管壁内の細胞による免疫学的応答は、それ
自体で既に上に定義される有意の免疫応答を構成することができ、及び/又はワ
クチンを投与したヒトもしくは動物の体内でさらなる免疫的学的反応/応答を誘
発することができ、これもまた有意の応答であり得、及び/又は本明細書に定義
される保護応答であり得る。しかしながら、本発明は、組換え細菌宿主が免疫応
答を誘発するいずれかの特定の機構に限定されるものではない。例えば、細菌宿
主が発現する抗原によって誘発される免疫応答は、(フリーの)可溶性タンパク
質のような抗原によって誘発される応答と比較してより強力かつ増強された免疫
応答をもたらし得る。
【0085】 本発明において、抗原がG.I.管壁及び/又はその内部の特定の細胞−例えば、
免疫応答を介在し、及び/又はそれに関与する細胞−に提示され、及び/又は送
達される様式は、フリーの可溶性タンパク質としての抗原の投与、発現及び/又
は使用と比較したとき、改善又は増強されている可能性がある。例えば、細菌宿
主はG.I.管壁に付着することができ、かつin situで(より)長期間存続可能で
あるため、抗原がG.I.管壁に局部的に(より)多量に、(より)高レベルもしく
は濃度で、より安定もしくは耐久性のある方法で、及び/又は(より)長期間提
示されうる。これらのいずれも(増強された)免疫応答をもたらし得る。
【0086】 細菌宿主−又はそれらのあらゆる部分もしくは断片及び/又はそれが産生する
あらゆるさらなる成分−はG.I.管壁及び/又はその内部の特定の細胞、例えば、
免疫応答を介在し、及び/又はそれに関与する細胞と相互作用することができる
。これは、その細菌宿主に関連する抗原に対する免疫応答を、例えばフリーの可
溶性タンパク質としての抗原の投与、発現及び/又は使用と比較して、可能にし
、促進し、又は増強し得る。
【0087】 抗原は、好ましくは、細菌宿主によってその抗原が細胞表面上に露出されるよ
うに発現されるが、−免疫応答を誘発するために−例えば、細菌細胞壁を透過性
にし、及び/又は細胞もしくは細菌細胞壁を破壊する機構により、細菌宿主の細
胞内容物がin situで(すなわち、G.I.管壁で局所的に)放出され、及び/又は
細菌細胞から遊離することを排除するものではない。したがって、(G.I.管壁で
in situで)免疫原性応答は、無傷の細菌宿主ではなく、それらの部分、断片、
画分又は化合物、例えば、そのようなものとしての抗原及び/又は抗原を含む細
胞断片もしくは細胞画分によって(まさに)生じ/誘発され得る。したがって、
ワクチンは無傷の生存可能な菌及び/又は生菌を含むことが好ましくはあるが、
組換え細菌宿主の、又はそれから誘導される、断片、画分、溶解物等を(例えば
、それらをも)含むワクチンが排除されるものではない。
【0088】用量 投与される細菌の量は重要ではないが、適切には、細菌がG.I.管内(の望まし
い部分)に住み着き、及び/又はコロニー形成し、及び/又は十分な免疫応答を
生じるのに十分なものである。適切な量は、用量当たり少なくとも108cfu、好ま
しくは108−1010cfuである。これは、所望により、十分な量の細菌を腸内まで通
過させる。108cfu未満の用量の経口投与では望ましい免疫原性が(少なくとも信
頼できる様式では)常にもたらされるとは限らない可能性があり、一方、5×101 0 cfuを超える量は、経口投与するのに扱いにくい場合、あまり好ましくない。上
述の細菌の量(投与量)は、例えば、ヒト又は動物の体重1kg当たり106〜108cf
uに相当し得る。ワクチン(又は他の製剤)中の細菌の濃度は、少なくとも5×10 9 /ml、例えば、少なくとも1010/mlであり得る。この製剤は最大2、3又は4日間
のみ投与することができる。細菌は、最初もしくは最後の投与の後少なくとも5
日、7日又は9日、その個体において依然として検出可能であり得る。
【0089】ワクチン 好ましくは、ワクチン接種しようとする個体はヒトまたは動物である。ヒトは
乳児、免疫無防備状態の人、高齢者または正常健康乳児、小児もしくは成人であ
り得る。
【0090】 細菌宿主を用いることの利点の1つは、それらが腸にコロニーを形成するのに
十分な量で腸内に生存/通過することが可能であるということである。それにも
かかわらず、細菌をコーティングした製剤もしくはカプセル封入した製剤中に含
めて、またはそれらの製剤として、例えば遅延放出組成物または腸溶コート組成
物の形態で、投与することができる。適切なカプセル封入化合物には、限定され
るものではないが、キトサン、マルトデキストリン、脂質ならびにオリゴ糖およ
び多糖が含まれる。カプセル封入はワクチンの保存性も改善し得る。ワクチンは
アジュバントを含まなくてもよいが、好ましくは、1種類以上のアジュバントを
含む。
【0091】 本発明を主としてL.プランタルム株を参照して説明したが、おそらくは、例え
ば本発明のワクチンにおいて、細菌宿主としての使用に適することが同様に立証
され得る他のラクトバチルス属種の株が存在し得る。これらとしては、L.ペン
トスス(L. pentosus)、L.レウトリ(L. reuteri)、L.アニマリス(L. anim
alis)(=L.ムリヌス(L. murinus))、L.フェルメンツム(L. fermentum)
、L.アシドフィルス(L. acidophilus)、L.クリスパツス(L. crispatus)、
L.ガッセリ(L. gasseri)、L.ジョンソニイ(L. johnsonii)、L.サリバリ
ウス(L. salivarius)、L.ブレビス(L. brevis)、L.ラムノシス(L. rhamn
osis)および/またはL.パラカセイ(L. paracasei)に由来する株が含まれ得
る。
【0092】 本発明において有用な株は、好ましくは、GRAS状態を有し、より好ましくは食
品品質である。また、これらは、上記PCT/NL95/00135の発現ベクター、または
この好ましい発現ベクターに匹敵する(例えば、細胞内で、および/または細菌
宿主の表面上に露出される)発現のレベルをもたらす他のベクターと組合せて、
最も好ましく用いられる。
【0093】 さらに、ラクトバチルス属に属する株の使用が好ましくはあるが、適切な株が
おそらくはビフィドバクテリアおよびプロピオバクテリア、例えば、ビフィドバ
クテリウム属および/またはプロピオバクテリウム属由来のものからも選択でき
ることが考えられる。適切な株は、L.プランタルムと同じ方法で当業者が選択す
ることができ、および/またはラクトバチルスを選択することができる。
【0094】 例えば、選択された株が本発明に係る細菌宿主として適切であるかどうかを決
定/確認するのに適する試験では、その宿主をTTFC担持ベクターpLP401(TTFC抗
原の表面固定化/表面露出発現用)および/またはTTFC担持ベクターpLP503(TT
FC抗原の細胞内発現用)で形質転換した後、そのようにして得られた組換え宿主
を、動物、好ましくは哺乳動物(例えば、BALB/cおよび/またはC57bl/6マウ
スのようなマウス)に、好ましくは実施例において言及されるような単回投与初
回免疫および追加免疫スケジュールに従って、経口投与し、次いでELISAにより
破傷風トキソイドを用いて各個体の血清中のIgGの終点力価を測定する。そのよ
うなアッセイにおいて、選択された組換え宿主は、好ましくは、同じベクターで
形質転換して同じ条件下で投与したとき、L.プランタルムNICMB 8826および/ま
たはL.プランタルム80よりも高い(すなわち、少なくとも1%高い)力価;より
好ましくは少なくとも10%高く、さらにより好ましくは少なくとも20%高い力価
をもたらす。
【0095】 好ましくは、選択された組換え宿主は、同じベクターで形質転換されて同じ条
件下で投与されたL.プランタルム256によってもたらされる力価の少なくとも70
%、より好ましくは少なくとも90%である力価をもたらし、さらにより好ましく
は、同じベクターで形質転換されて同じ条件下で投与されたL.プランタルム256
によってもたらされる力価と少なくとも等しい力価をもたらす。
【0096】 本発明は、さらに、従来記載されている細菌を本発明のワクチンにおいて用い
ることに関する。本発明は、さらに、異種抗原の細胞内発現または細胞表面上で
の露出に適する発現ベクターに関する。この発現は、細菌、例えば、従来記載さ
れているラクトバチルス・プランタルムにおけるものである。
【0097】 本発明は、さらに、異種抗原を(例えば、細胞内に、および/または細胞表面
上に)発現するように改変されているラクトバチルス(例えば、L.プランタルム
)細菌の、非改変L.プランタルムが異物となる個体に対するワクチンの製造への
使用に関する。非改変L.プランタルムは好ましくはヒト(またはヒトの食品)に
は見出されず、または、例えば、哺乳動物のG.I.管もしくは粘膜中に存在しない
。本明細書に記載される細菌はワクチンの製造に用いることができる。このワク
チンは経口投与に適合し得る。好ましくは、この細菌は投与することで何らかの
免疫応答を誘発する。本発明のワクチンは、特には、破傷風の予防に用いること
ができる。
【0098】 法律が許容する場合、本発明は個体、例えば、ヒトまたは動物(例えば、哺乳
動物)への細菌またはワクチンの投与にも関し、ここで、その個体(または、適
切な場合、被験体)は細菌またはワクチンを必要とするものである。この個体は
、上述のように、特定の疾患の治療を必要とするものであっても予防を必要とす
るものであってよい。
【0099】 本発明の一太陽である好ましい特徴および特性は、必要に応じて変更を加えて
他の態様に同様に適用することができる。
【0100】 本発明を、図面を参照する以下の実施例によって説明するが、これらは単に説
明のために提供されるものであり、本発明は以下の実施例に限定されるものと解
釈されるべきではない。
【0101】実施例 一般的な問題 小児科および免疫無防備状態の集団における、安全な非侵襲性ベクター、例え
ば、共生ラクトバチルスによる粘膜関連リンパ系組織への抗原の送達は、ワクチ
ン投与の選択肢の普及を決定的に向上させる。破傷風毒素の50kDaフラグメントC
(TTFC)が細胞内タンパク質もしくは表面露出タンパク質として発現するような
、ラクトバチルスにおける異種遺伝子発現のために構築されたワクチンを用いる
マウスの経口および経鼻免疫化が記載されている。そのデータは、ラクトバチル
ス・プランタルム株がラクトバチルス・カセイよりも有効であることを示す。組
換え生ラクトバチルスでのマウスの免疫化は、ワクチン株の経鼻もしくは経口送
達の後に、有意なレベルの循環TTFC特異的IgGを誘導した。加えて、経鼻送達後
の排出領域リンパ節における抗原特異的抗体分泌細胞および抗原特異的T細胞活
性化の他に、気管支肺胞洗浄液中にsIgAが誘導されることから、小児用ワクチン
の安全な粘膜送達についての使用可能性が実証される。
【0102】 粘膜免疫化の標的部位で生存可能である微生物生ワクチン−ベクターは、粘膜
および全身部位での免疫応答を同時に促進する効率的な送達システムの代表であ
る。現在までの観察は、粘膜免疫応答の誘導について非複製性抗原を上回る弱毒
化病原性ウイルスおよび細菌の優位性を強調している。したがって、ペプチドま
たは精製組換えタンパク質に基づく経口サブユニットワクチン・アプローチは、
本発明の重要な必要条件の1つ、G.I.管それ自体における防護的免疫の誘導にお
いて不十分である可能性がある。経口ワクチン投与は、単回用量免疫の潜在力を
維持し、したがってワクチン投与プログラムにおけるコンプライアンス率の改善
に貢献しながら、安全かつ安価なままである。現在、破傷風に対するワクチン投
与は破傷風毒素(TT)製剤を必要とし、全ての針送達用ワクチンに伴う狭い適用
範囲および混入の問題がそのまま存在する。破傷風毒素フラグメントC(TTFC)
は破傷風ハロトキシンの50kDa非毒性パパイン開裂生成物であり、代替的防護的
免疫原であり、かつ現在開発中の幾つかの生菌−ベクター系で利用されている。
適切な生微生物ベクターによる粘膜表面へのワクチンサブユニットの送達は、非
経口ワクチンが遭遇する障害に対する合理的な応答である。しかしながら、安全
可能性および環境面への考慮、特に開発途上国におけるワクチン受容者の免疫状
態は、大部分の粘膜送達ベクター候補、例えば、大腸菌、サルモネラ菌およびワ
クシニアウイルスの使用を依然として否定する。したがって、非病原性の食品品
質または共生菌ベクターが、それらのワクチンとしての可能性のため、注目を集
め始めている。
【0103】 共生菌は宿主との洗練された非侵襲性生態系を維持しており、免疫系によって
サーベイされるものの、必ずしもそれらの生態学的ニッチからの免疫クリアラン
スを受けやすいとは限らない。気管〜消化管の様々な領域におけるラクトバチル
スの優位性は経口生ワクチンとしてのそれらの特別の潜在能力を示す。それらの
「一般的に安全と認められる(generally recognised as safe)」(GRAS)状態
は食品業界における妥当性から明らかであり、それらの免疫応答を増強する能力
は同時投与された経口用DxRRVアカゲザル−ヒト再編成(reassortent)ロタウイ
ルスワクチンおよびTNP結合抗原で示されており、これは、おそらくは、グラム
陽性ペプチドグリカンおよびリポテイコ酸分画の、マクロファージ活性化特性お
よびIFN-γ誘導特性によるものである。ラクトバチルスが関与する粘膜での免疫
ホメオスタシスは、T細胞サブセットによる物理的排除、IgA分泌および能動的な
調節の組合せである。(可溶性食物性抗原とは対照的な)微粒子形態のTTFCをワ
クチン投与することによる経口送達後の抗原特異的末梢寛容(経口寛容)を回避
し、腸内細菌の免疫調節に通常寄与する機構による加工処理および提示を許容す
る可能性を調べた。このデータは、ラクトバチルス・プランタルム256がラクト
バチルス・カセイ393と比較してより有効であり、細胞内抗原として発現するTTF
Cの送達が、幾つかの状況においては、(試験した条件および使用した検出技術
の下で)細胞表面発現よりも僅かに有用であったことを示す。
【0104】組換えDNA技術 大腸菌DH5αを従来記載されているpLP401シャトルベクターまたはpLP503シャ
トルベクター(Maassenら, Vaccine 17:2117, 1999)を操作するための宿主株と
して用いた。TTFCをコードする1329bp DNA(A. Mercenier、Lille、フランス)
を、そのXhoIおよびNcoI制限部位を有する3’末端で、PCR技術を用いて伸長し、
pLP401およびpLP503シャトルベクターへのクローン化を容易にした。
【0105】 エレクトロポレーションによってプラスミドをラクトバチルスに導入する前に
、シャトルベクター中に存在するTldhターミネーター配列をNotI消化によって除
去し、下記表1に示されるpLP401またはpLP503プラスミドを得た。
【0106】
【表1】 略語一覧:p-ldh=L.カセイのldh遺伝子のプロモーター配列、pα-amy=L.ア
ミロボルス(L. amylovorus)のα−アミラーゼ遺伝子のプロモーター配列、Ery r =エリスロマイシン耐性遺伝子、Ampr=アンピシリン耐性遺伝子、ssAmy=L.
カセイのα−アミラーゼ遺伝子の分泌シグナル(36aa)をコードする配列、Anch
or=L.カセイのアンカーペプチド(117aa)コード配列、TTFC=破傷風毒素のフ
ラグメントCをコードする1329bp DNA。
【0107】 これらのベクターを再ライゲーションすることで、TTFCタンパク質コーディン
グ配列が、pLP401およびpLP503にそれぞれ存在する調節性アミラーゼ遺伝子(α
−アミラーゼ)の下流に存在する翻訳開始領域または構成性乳酸脱水素酵素(Ld
h)遺伝子プロモーター配列と、コドンの読み枠が合うように並置させた。コン
ピテントラクトバチルスのエレクトロポレーションに続いて、エリスロマイシン
(5μg/ml)寒天プレート上で形質転換体を選択した。一般的な分子クローン化
技術およびラクトバチルスの形質転換を、公知の技術を用いて行った(Maassen
ら、前出)。
【0108】ラクトバチルス株の選択 形質転換の宿主株として適切なラクトバチルス種を、109個の細胞の広範なパ
ネルのリファンピシン耐性野生型ラクトバチルスを1回胃内投与することでマウ
スに接種した後に得られた糞サンプルを定量培養することによって同定した。12
日間までG.I.管内に生存したL.プランタルム256(P. Conway、シドニー、オース
トラリアまたはAdlerberthら, Appl & Env. Microbiology, Vol.62(7): 2244-22
51, 1996)および72時間以内に検出不能となったL.カセイ(ATCC393)をプロト
タイプ宿主株として選択した。
【0109】ゲル電気泳動およびウェスタンブロット法 上記表1に詳述されるプラスミドを含む組換えL.カセイおよびL.プランタルム
を、グリセロール・ストックから、5μg/mlエリスロマイシンを含有するMRS培
地の1:50希釈液による半嫌気性一晩(o/n)培養によって通常どおりに調製し
た。
【0110】 構成性ldhプロモーターを含むプラスミドによる形質転換体は、2%(w/v)グ
ルコースを含有する抗生物質選択性LCM培地において37℃で最適に培養した。調
節可能なα−amyプロモーターを含むプラスミドによる形質転換体は、細胞のo/
n培養物をマンニトール(2%w/v)含有LCM培地で1:50に希釈して培養した。こ
れらの細菌から、細胞をW870 BransonTM超音波処理器を用いて30秒オン/30秒オ
フのサイクルで4回超音波処理し、細胞質または細胞膜結合タンパク質の両者を
放出させることによって全細胞抽出物を得た。
【0111】 30μgの全細胞抽出物または画分中のタンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動(PAGE)、(10%アクリルアミド、400mMトリス[pH8.9])によって
、25mMトリス、192mMグリシンバッファ(pH8.3)中、200Vで45分間かけて分離し
た。タンパク質を、BioradTM電気泳動ユニットを用いてニトロセルロースに電気
泳動で移した。最適に希釈したウサギTTFC特異的抗血清およびヤギ抗ウサギIgG
特異的ホスファターゼ結合体(Nordic、Tilburg、オランダ)を用いて免疫ブロ
ットを行った。
【0112】TTFCの細胞表面発現のフローサイトメトリー分析 所定の時点で、FACScanによる分析用に細菌を調製した。細胞を2回洗浄し、PB
S/1%ウシ血清アルブミン(BSA)に再懸濁した。50μlの最適に希釈したウサギ
TTFC特異的抗血清をこれらの細胞に1時間添加した。細胞を再度2回洗浄し、1:1
000の希釈でフルオレセインイソチオシアネート結合(FITC)抗ウサギと30分イ
ンキュベートすることによって結合した抗体を検出した。次に、細胞を2回洗浄
した後、Becton-Dickinsonフローサイトメトリーで光散乱および蛍光を分析した
。ゲートは前方および側方散乱のサイトグラムによって決定される適切な結果サ
イズ程度に設定した。対照は、野生型L.カセイまたはL.プランタルム256を染色
し、非免疫ウサギ血清を用いるかまたはウサギTTFC特異的抗血清を除外して組換
え体を染色することによって調製した。全ての手順は氷上で1%BSAを用いて行っ
た。各々のサンプルについて、10,000〜20,000ゲート化イベントのデータを集め
た。細菌細胞懸濁液から得られる蛍光を蛍光ヒストグラムで表し、平均チャンネ
ル強度を算出した。
【0113】免疫化 6〜8週齢のBALB/cまたはC57BL/6マウスを、TTFCを発現する組換えL.カセイ
またはL.プランタルムの調製物で胃内(o)または鼻腔内(i.n.)で免疫した。o
/n培養物から得られた細菌を、1%グルコースを含有するMRSまたはLCM培地で1
:50に希釈し、OD695nmが0.6−0.8(対数期中期)に到達するまで37℃で6時間増
殖させた。4℃で遠心することにより細胞をペレット化し、PBSで1回洗浄して無
菌PBS中に適切な濃度の細菌を調製した。
【0114】 経口免疫化については、2〜5×109細胞を容量250μlの0.2M NaHCO3に含めて、
連続三日間、胃内に投与した。鼻腔内免疫化については、2〜5×109細胞を容量2
0μlのPBSに含めて非麻酔マウスの鼻腔に投与した。対照マウスには同一用量の
野生型ラクトバチルスを投与した。全ての種菌サンプルについてプレートカウン
トを行い、マウスに投与されたCFU量を確認した。
【0115】サンプル回収およびELISA 免疫前マウスから得た、および続いて免疫後21日に開始して7日間隔で尾の静
脈から得た血液サンプルから、血清を調製した。
【0116】 気管支肺胞洗浄液を得るため、指定された時点でマウスを屠殺し、肺にカニュ
ーレを挿入して0.7mlのPBS/0.1%BSAで繰り返し膨張させた後、集めた洗浄液を
1000gで遠心して上清を−80℃で保存した。
【0117】 抗原特異的免疫グロブリンG(IgG)濃度を、TT(RIVM、Bilthoven、オランダ
)の0.16μg/ml溶液50μlでo/nコートしたマイクロタイタープレートを用いて
評価した。個々の血清サンプルを連続log2希釈によって力価測定し、二回アッセ
イした。50μlの最適に希釈したヤギ抗マウスIgG−ホスファターゼ結合体(Nord
ic、Tilburg、オランダ)を添加することにより結合した抗体を検出した。PNPP
(0.1M DEA/MgCl2中に1mg/ml)色原体基質を添加した後、反応の開始後30〜90
分に得られるプレートA450nm値を測定することにより、抗体濃度を定量した。免
疫前マウスから得られる血清の1:10希釈物の平均吸光度(OD 0.2)から決定さ
れるカットオフを用いて終点力価を算出した。気管支肺胞洗浄液中の抗原特異的
免疫グロブリンA(IgA)濃度については、最適に希釈されたヤギ抗マウスIgAホ
スファターゼ結合体(Nordic)を用いて同じ手順を行った。
【0118】抗原特異的Tリンパ球増殖アッセイおよびELISPOT 最終免疫化の12および21日後、マウスの脾臓および頸部リンパ節(CLN)を無
菌的に取り出した。細胞濾過器(70μMナイロン;B&D)を通過させることによっ
て単一細胞懸濁液を調製し、1500rmpで10分間遠心した。Trypanブルー色素排除
によって生存可能な非分画細胞数を決定した。
【0119】 抗原特異的Tリンパ球の増殖を試験するため、細胞を再懸濁させ、最終容量200
μlの培養培地(RPMI−1640;10%熱不活化ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、
20U/mlペニシリンおよび20μg/mlストレプトマイシン(全てGibco、Pairsley
、UK)、ならびに50μM 2−メルカプトエタノール{Sigma、MO}を補充)中に3
×105細胞/脾臓または5×105細胞/LNの濃度で、無菌平底96ウェル培養プレー
ト(Nunc、デンマーク)にプレーティングした。対照ウェルには培地のみを入れ
、所定の用量範囲の3つ分の培養物に抗原を添加した。全ての細胞は加湿5%CO2 雰囲気中に37℃で4日間維持した。これらの細胞を、最後の16〜18時間に培養ウ
ェルあたり容量30μl中、0.6μCi[3H]チミジン(3H−TdR、5Ci/mMol、TRA 12
0、Amersham、UK)でパルス標識した後、回収した。ILACON細胞ハーベスターを
用いて細胞を集め、ガラス繊維フィルター・ディスク(Whatman)上にのせた。
ガス・シンチレーション分光測定(β−プレート・カウンター、Canberra Packa
rd、Meriden、CT)によってチミジンの取り込みを評価し、3つ分の培養物から結
果を平均c.p.m(±SD)として算出して刺激指数(SI)として表した。
【0120】 脾臓およびCLN内のTT特異的抗体分泌細胞(ASC)数の定量をCzerkinskyら, J.
Immunol. Methods 65: 109 (1983)に従って行った。マイクロタイタープレート
(Maxisorpプレート、Nunc、デンマーク)をTT(RIVM、Bilthoven、オランダ)
の0.16μg/ml溶液50μlまたは対照としてのPBS 50μlでo/nコートした。徹底
的に洗浄し、PBS/0.1%BSAでプレートをブロックした後、細胞を1×106および2
×105細胞/脾臓または5×105および1×105細胞/LNの濃度で最終容量50μlの培
養培地に添加し、加湿5%CO2雰囲気中、37℃で4時間インキュベートした。これ
らのプレートをすすぎ、10mM EDTAを含む氷冷PBSと共に20分間インキュベートし
て細胞を除去し、PBS/0.05%Tween-20およびPBS/0.5%BSAで再度洗浄した。最
適に希釈したウサギ抗マウスIgホスファターゼ結合体(DAKO、デンマーク)50μ
lをo/n、4℃で添加することによって結合した抗体を検出した。プレートを徹底
的に洗浄し、1%低融点アガロースを含有するAMPバッファ中の1mg/ml BCIPと共
にインキュベートした。これらのプレートを光源上に伏せて、肉眼で青色ドット
を評点した。
【0121】ラクトバチルスにおける組換えTTFCの発現 対数期中期にある細胞を回収した後、超音波処理して細菌を破壊することによ
り、L.プランタルムおよびL. カセイ形質転換体による細胞質または細胞壁結合T
TFCの発現が示された。SDS-PAGEおよびTTFC特異的ウサギ抗血清を用いて行った
免疫ブロットによりタンパク質を分離した。
【0122】 具体的には、pLP401-TTFC形質転換体(表面結合性発現)をLCM(+2%マンニトー
ル)中で、pLP503-TTFC形質転換体(細胞内発現)をMRS(Difco)中で、37℃でOD 0
.6まで増殖させて(どちらの培地にも5μg/mlのエリスロマイシンを補充する)
、ペレットにして超音波処理により破壊した。30μgの全タンパク質を10% SDS/
ポリアクリルアミドゲルで分析し、分離されたタンパク質を電気泳動によりニト
ロセルロースに移した。TTFCをウサギ抗TTFC(1:500)およびホスファターゼ/PNPP
色原体の組み合わせにより可視化した。線は分子量マーカーの移動度を示す。
【0123】 表面結合産物としてTTFCを発現する組換えL.プランタルム pLP401-TTFCおよび
L. カセイ pLP401-TTFCについて免疫蛍光分析をおこなった。ラクトバチルスを
前方および側方散乱に基づいてゲート化し、1:500に希釈したウサギTTFC特異的
抗血清(Calbiochem, Ca)で染色した。結合した抗体を最適に希釈したFITC結合
抗ウサギIgG(Jackson, PA)により検出した。OD 0.6の時点で回収された細胞の蛍
光レベルをFACScan(Becton Dickinson)により分析し、非組換えラクトバチルス
により得られた蛍光レベルとの関係により示されるヒストグラムの形で示した。
それぞれの実験において10,000細胞を分析した。
【0124】 タンパク質発現の写真およびMackintoshで生成したFACスキャンから、pLP503-
TTFCを含むラクトバチルスは細胞内50kDa TTFCポリペプチドのみを発現すること
が示された。ベクターpLP401-TTFCを含むL.プランタルムは、25kDaのアンカー配
列に融合した50kDa TTFCに相当する表面結合性75kDaポリペプチドを、L. カセイ
pLP401-TTFCよりも高いレベルで発現する。アンカー配列への融合によるL.プラ
ンタルムおよびL. カセイの細胞壁へのTTFCの露出は、FACスキャンにより確認さ
れた。
【0125】組換えラクトバチルスの鼻腔内免疫化後のTTFC特異的抗体応答 マウスから、免疫前および第7日から始めて7日ごとに血清を採集した。個々
のまたは集められた血清におけるTTFC特異的血清IgGを、PBS中の0.16μg/mlの破
傷風毒素により4℃でo/nコートしたマイクロタイタープレートを用いたELISAに
より測定した。結合した抗体は、抗マウスAPコンジュゲートおよびPNPP基質を加
えることにより検出した。90分後にそれぞれのウェルのOD405nm値を測定した。
終点力価を、1:10に希釈した免疫前血清の平均OD+2SD(約0.2)として計算された
カットオフ値を用いて決定した。表2に下記の3つのプロトコールの結果を示す
【0126】 A. 3匹のBALB/cマウスを、3用量の5×109のL.プランタルム pLP503-TTFCま
たは3用量の5×109の L. カセイ pLP503-TTFCの20μl PBS溶液により第1〜3日に
鼻腔内免疫化した。第28〜30日に同様の追加免疫を投与した。
【0127】 B. 16匹のC57BL/6マウスを、3用量の5×109のL.プランタルム pLP503-TTFC
の20μl PBS溶液により鼻腔内で、または200μl NaHCO3溶液により経口で第1〜3
日に免疫化した。第28〜30日に同様の追加免疫を投与した。
【0128】 C. 3匹のC57BL/6マウスを、第1日および第28日に5×109のL.プランタルム
pLP503-TTFCの20μl PBS溶液により鼻腔内で免疫化した。または、第1〜3日に3
用量のL.プランタルム pLP401-TTFCを20μl PBS溶液により鼻腔内で免疫化した
後、第28〜30日に5×109のL.プランタルム pLP503-TTFC、または第28〜30日およ
び第49〜51日にL.プランタルム pLP401-TTFCのいずれかの20μl PBS溶液により
鼻腔内で追加免疫をおこなった。
【0129】 細胞内TTFCを発現する L.プランタルムまたはL. カセイの3回の鼻腔内投与を
第1〜3日に受けたBALB/cおよびC57BL/6マウスは、第28〜30日の追加免疫として
の鼻腔内投与の後にTTFCに対する二次応答に対して強く感作した。組換えL.プラ
ンタルムによる免疫化後のBALB/cマウスにおけるTTFC特異的応答の力価は、組換
えL. カセイよりも高く(表2A)、第28日という速さでIgGを検出することができ
、第49日にはそれぞれの力価がそれぞれ103.5および102.9に上昇した。
【0130】
【表2】 C57BL/6マウスは、BALB/cマウスよりも高い平均終点力価を(有意ではないが
)を示したので(表2B)、細胞内でTTFCを発現するL.プランタルム形質転換体に
よる単回投与初回免疫および追加免疫スケジュールを用いる鼻腔内免疫化による
さらなる分析にこのマウスを選択した(表2C)。
【0131】 BALB/cマウスにより得られた表2Aの結果と比較すると、血清IgGのより高い平
均タイター(104.2)が、第49日までにC57BL/6に誘導された。しかしながら、3回
または1回投与量感作および追加免疫のいずれの免疫化スケジュールを用いたか
に関わらず、C57BL/6マウスは、大きくは異ならない血清IgG終点タイターの追加
免疫を示した。
【0132】 対照的に、細胞表面にTTFCを発現するL. プランタルムによって鼻腔内免疫化
されたC57BL/6マウスにおいてTTFC特異的血清IgGを誘導するために、マウスを第
1〜3日に感作した後、抗原特異的応答が測定可能になる前に少なくとも2回(第
28〜30日および第49〜51日)追加免疫をおこなう必要がある(表2C)。しかしな
がら、興味深いことに、L. プランタルム pLP401-TTFCにより上記のように感作
されたマウスは、それに代えてL. プランタルム pLP503-TTFC形質転換体を用い
て第28〜30日に追加免疫をおこなうと、確かにTTFC特異的血清IgG(未経験のマ
ウスから得られた応答よりも速い反応速度を有する)を誘導した(表2C)。この
観察は、非常に興味深いことに、免疫応答の成熟または測定可能性は多くの理由
で起こることを妨げられているが、pLP401-TTFCを形質転換されたL. プランタル
ムの投与後にマウスの抗原特異的感作が実際に起こっていることを意味する。し
かしながら、対照的に、細胞表面にTTFCを発現するL. カセイは、BALB/cまたはC
57BL/6のいずれの株においても、L. プランタルム形質転換体それ自体を第1、28
および56日に1回投与量で投与した場合に見られるような感作効果を示さなかっ
た。
【0133】 L. プランタルム-pLP503-TTFCによるマウスの鼻腔内免疫化後の気管支肺胞洗
浄液を用いて、破傷風毒素特異的IgA抗体の誘導を研究した。C57BL/6マウスを、
第1〜3日に鼻腔内(AおよびB)または経口(CまたはD)のいずれかで、5×106 L
. プランタルム pLP503-TTFCにより免疫化した後、第28〜30日に同一の追加免疫
をおこなった。最後の追加免疫の12日後(AおよびC)および21日後(BおよびD)
に、群あたり4匹の動物を殺して、0.7mlのPBS/0.1%BSAをカニューレを通して肺
に流すことにより気管支肺胞洗浄液を得た。これらのサンプル中のTT特異的IgA
を、PBS中の0.16μg/mlの破傷風毒素により4℃でo/nコートしたマイクロタイタ
ープレートを用いたELISAにより測定した。結合した抗体は、抗マウスAPコンジ
ュゲートおよびPNPP基質を加えることにより検出した。それぞれのウェルのOD40 5nm 値を、4℃のo/nの後に測定した。
【0134】 表3Aおよび3Bに示すように、第1〜3日にTTFCを発現するL. プランタルムを3
用量投与されているC57BL/6マウスは、第28~30日に追加免疫を鼻腔内投与された
後、12日目および21日目に測定された気管支肺胞洗浄液中において、TT特異的Ig
A応答に対して粘膜を感作された。野生型のL. プランタルム 256により鼻腔内免
疫化されたマウスから得た気管支肺胞洗浄液は、それぞれ12日目または21日目の
いずれにも、マイクロタイタープレート上にコートしたTTに対する反応性を示さ
なかった。
【0135】
【表3】 組換えラクトバチルスによる経口免疫化後のTTFC特異的抗体応答 鼻腔内免疫化と経口免疫化の比較研究において、C57BL/6マウスに、第1〜3日
に、細胞内TTFCを発現するL. プランタルムを3用量投与した後、第28〜30日に
追加免疫投与をおこなった。経口免疫化の後、試験した16匹のマウスのうち9匹
にTTFC特異的血清IgG応答が誘導された(表2B)。鼻腔内免疫化の後、16匹のマ
ウス全てが、追加免疫後7日以内に、104.3の平均タイターを有する高いTTFC特
異的終点タイターで応答し、3週間高いレベルを維持した。経口投与に応答した
マウスの平均終点タイターは7日後で101.6であり、追加免疫の14日後に最大値
の102.4に達した。鼻腔内群とは対照的に、経口免疫化されたマウスでは、それ
ぞれ12日後または21日後のいずれにおいても、気管支肺胞洗浄液中でTT特異的Ig
A応答が測定されなかった(表3CおよびD)。
【0136】 付加的な研究において、第1、2および3日にマウスに経口感作し、2、3ま
たは4週間後のいずれかに追加免疫をおこなった。追加免疫の時期に関わらず、
TTFC特異的IgG応答は追加接種後7日以内に観察された。
【0137】 対照的に、L. カセイ形質転換体(細胞内または表面結合のいずれかのTTFCを
発現する)または細胞表面にTTFCを発現するL. プランタルムにより経口免疫化
されたBALB/cまたはC57BL/6マウスは、試験した全ての等しい時点で検出可能なT
TFC特異的血清IgG応答を誘導しなかった。野生型のラクトバチルスまたは不適切
なベクターを与えたマウスは全ての時点でTTFC特異的血清IgG応答を示さなかっ
た(データは示していない)。
【0138】TT特異的抗体分泌細胞、および脾臓およびCLNにおけるT細胞応答 C57BL/6マウスを、第1〜3日に、 5×109 L. プランタルム pLP503-TTFC形質転
換体または対照として野生型のL. プランタルム 256のいずれかにより経口また
は鼻腔内のいずれかで免疫化した。この後、第28〜30日に同一の追加免疫をおこ
なった。最後の追加免疫の12日後または21日後にマウスを殺して脾臓およびCLN
細胞懸濁液を調製した。
【0139】
【表4】 注:*群あたり16匹のC57BL/6マウスを、第1〜3日に5×109 L. プランタルム
(L. プランタルム 256またはL. プランタルム pLP503-TTFC形質転換体のいずれ
か)により鼻腔内(i.n.)または経口免疫化した後、第28〜30日に同一の追加免疫
をおこなった。最後の追加免疫の12日後または21日後に、群あたり8匹の動物を
殺して脾臓および頚リンパ節(CLN;2匹ずつ集める)の細胞懸濁液を調製した
。TT特異的Ig生産細胞の数をELISPOTにより決定した。
【0140】 #このデータは、106細胞あたりの抗体分泌細胞(ASC)として表され、3倍のウ
ェル内で測定された8個の脾臓サンプルまたは4個のCLNサンプルの平均(範囲
)を表す。
【0141】 表4には、ELISPOTにより測定された、脾臓またはCLNに存在するTT特異的抗体
分泌細胞(ASC)の数を示す。L. プランタルム形質転換体による鼻腔内免疫化の後
、最後の追加免疫の12日後に多数のTT特異的ASCが鼻腔内免疫化したマウスの脾
臓およびCLNに見いだされ、これらの数は第21日までに減少した。これらのデー
タは、マウスの抗原特異的感作がCLNレベルで局所的に、および脾臓において全
身的に起こったことを示唆している。経口免疫化された群においては、試験した
8個の脾臓細胞懸濁液のうち2つがTT特異的ASCを含んでいたのに対して、CLNに
おいてはASCは見いだされなかった。
【0142】 マウスの鼻腔内免疫化による抗原特異的T-細胞の誘導について、L. プランタ
ルム-pLP503-TTFCを用いて研究した。C57BL/6マウスを、第1〜3日に5×109 L.
プランタルム(L. プランタルム 256またはL. プランタルム pLP503-TTFC形質転
換体のいずれか)により鼻腔内(i.n.)または経口免疫化した後、第28〜30日に同
一の追加免疫をおこなった。最後の追加免疫の12日後(AおよびC)または21日後(B
およびD)に、群あたり8匹の動物を殺して脾臓(AおよびB)およびCLN(2匹ずつ
集める)(CおよびD)の細胞懸濁液を調製した。ウェルあたり3×105の脾臓細胞ま
たは5×105のCLN細胞を、TTFC、TT、TTペプチドP30または培地のみを加えてin v
itroで72時間インキュベーションした後に、[3H]チミジンの取り込みについて細
胞を試験した。[3H]チミジンを最後の18時間に培養液に加えた。結果を、細胞の
3回の試験培養物の平均cpmを、緩衝液のみを与えた培養物の平均cpmで割って計
算したSIとして表す。緩衝液のみを与えた培養物のバックグラウンド値は、A220
〜760cpm、B150〜240cpm、C1000〜4000cpmおよびD150〜560cpmの範囲で変化した
【0143】 図1に脾臓またはCLNの抗原特異的T-細胞の応答を示す。L. プランタルム pLP
503-TTFC形質転換体により鼻腔内免疫化されたマウスにおいて、TTFC、TTまたは
TTペプチドP30のいずれかによる再刺激後に増殖が測定可能となり、これは、鼻
腔内免疫化はまず局所的リンパ節の活性化により特異的免疫を誘導したことを示
唆している。脾臓およびCLNの抗原特異的T細胞の応答はまたBALB/cマウスにおい
ても獲得された。野生型のL. プランタルムにより経口または同一の経路で免疫
化されたマウスから得られた細胞中には抗原特異的増殖は観察されなかった(図
1)。
【0144】 pLP401-/503-プラスミドは、ラクトバチルスにおいて以前には得られなかった
レベルおよび効率での、TTFCの指向性(表面または細胞内)の発現および調節可
能な発現を可能にした。さらに、細胞内にTTFCを発現するL. プランタルム pLP5
03-TTFCは、第1〜3日に感作し、第28〜30日に追加免疫をおこなう鼻腔内送達後
に非常に強い免疫原性を示した。免疫原性は、高いTT特異的IgG血清タイターに
より全身レベルで、また、BAL液にTT特異的IgAを示して粘膜レベルで示された。
TT特異的ASCおよび抗原特異的T-細胞の増殖は脾臓において全身レベルで、また
頚リンパ節において局所的に示された。L. プランタルム-pLP503-TTFCの経口送
達の後に、TT特異的血清IgGの中程度のタイターが測定された。L. カセイおよび
L. プランタルム株が、鼻道に見出されるM-様細胞により効率的に試験され、血
清中に十分なレベルの免疫グロブリンを誘導した。両方のTTFC発現のレベル、非
分解性TTFCの持続可能レベル、G.I.管における持続性における組換え株間の変化
は、組換えワクチンの可能性に極めて重要な影響を与え、しばしば観察されるL. プランタルムとL. カセイ株の間の驚くべき相違の原因となり得る。
【0145】考察 表面に曝されたTTFCを比較的低レベルに発現するL. プランタルム pLP401-TTF
C組換え株は、鼻腔内投与の後、免疫原性を示したが、抗原特異的応答が測定可
能となる前に、マウスの感作(第1〜3日)およびそれに続く2回の追加免疫(第
28〜30日、および第49〜51日)の両方が必要であった。TTFCの表面への発現はB
細胞の表面に存在するIgによる直接の結合を可能にし、免疫原性を増大させる可
能性を与えるが、この表面の抗原発現は、粘膜免疫化の後にワクチンベクターが
遭遇する低いpH、胆汁酸またはタンパク質分解性の環境により特に影響を受けや
すい。しかしながら、興味深いことに、L. プランタルム pLP401-TTFCにより上
記のように感作されたラットは、第28~30日の早い時期にそれに代えてL. plntar
um pLP503-TTFC形質転換体を用いて追加免疫をおこなうと、TTFC特異的血清IgG
(未経験のマウスから得られる応答よりもより速い反応速度を有する)を確かに
誘導する。この観察は、免疫応答の増強、成熟または測定可能性は多くの理由に
より起こることを妨げられているが、マウスの抗原特異的感作は、pLP401-TTFC
を形質転換されたL. プランタルムの投与後に実際に起こっていることを意味す
る。これは、高いレベルの「安定な」表面発現は、抗原の分解を最小化し、且つ
、免疫誘導部位に十分な抗原が利用可能に残っていることを確実にするために、
蓄積された細胞内抗原レベルほど決定的ではないことを示唆している。
【0146】 本研究は、鼻腔内免疫化後の免疫原性に対する観察の範囲を広げて、5×109
TTFCを細胞内に発現するL. プランタルムによるC57BL/6マウスに対する経口免疫
化がTTFC特異的血清IgG応答を誘導することを最初に示したことにより、ラクト
バチルスに基づいたワクチンに対する重要な保証を与える。対照的に、BALB/cま
たはC57BL/6マウスは、L. カセイ形質転換体(細胞内または表面結合のいずれか
のTTFCを発現する)により経口免疫化された。
【0147】 L. カセイおよびL. プランタルムは、それらのG.I.管内での時速時間が異なる
ことから研究用に選択された。持続性の違いは免疫原性に見いだされた差違を説
明できる。
【0148】 L. プランタルムの(細胞表面への発現の)結果を説明するいくつかの要素が
あると考えられる。第1に、抗原は細胞表面には細胞内よりも少ない量で発現さ
れるので(ほぼ1オーダーの違い)、用量効果があり得る。さらに、内腔にはタ
ンパク質を分解する酵素が存在しているので、細胞表面タンパク質はタンパク質
分解をより受けやすい。さらに、タンパク質は細胞表面上で細胞内の同等のタン
パク質と少し異なる立体配座を有していた可能性があり、さらに、細胞表面上の
このような抗原は、細胞表面において、例えば接着に関して活性を変える可能性
がある。
【0149】 記載された抗原送達媒体は、宿主-ベクターの組み合わせを明確にし、細胞生
存度への影響、細胞の数、粘膜への接着および組換えラクトバチルスの免疫原性
に基づく免疫系を誘発するメカニズムを評価する必要を強調する。このように、
経口経路による組換えラクトバチルスの送達後のTTFCの免疫原性を最初に立証し
たことは、たとえば、最近の記録である年に400.000人に及ぶ破傷風による死と
戦うための、ラクトバチルスに基づく安全な経口新生児用ワクチンを保証するも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A及びBは、脾臓細胞の刺激指数を示す図である。 図1C及びDは、CLN細胞の刺激指数を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/12 A61P 31/12 33/02 33/02 37/08 37/08 C12N 1/21 C12N 1/21 15/09 C12R 1:25 //(C12N 1/21 C12N 15/00 A C12R 1:25) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 リーア,ロバート,ジャン オランダ国 エヌエル−3904 ピーエヌ フィーネンダール コンパス 7 (72)発明者 ポーウェルス,ペーター オランダ国 エヌエル−2289 エイジェイ リースウィーク デルフトウェグ 14 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA31 BA32 BA38 CA02 DA05 EA04 FA15 GA11 HA15 4B065 AA23Y AA30X AB01 AC14 BA02 CA45 4C084 AA02 AA03 AA13 AA17 BA44 CA53 MA17 MA22 MA23 MA27 MA34 MA35 MA36 MA37 MA41 MA44 MA52 NA04 NA12 NA14 ZB132 ZB322 ZB332 ZB352 ZB382 4C085 AA03 BA02 BA08 BA09 BA12 BA13 BA16 BA17 BA18 BA19 BA20 BA21 BA24 BA45 BA49 BA53 BA55 BA57 BA58 BA63 BA64 BA69 BA74 BA75 BA78 BA80 BA83 BA85 BA88 BA89 BA92 BB03 CC07 DD62 EE01 FF24 GG08 4C087 AA01 AA02 BC56 CA09 CA12 MA17 MA22 MA23 MA27 MA34 MA35 MA37 MA44 MA52 NA04 NA12 NA14 ZB13 ZB32 ZB33 ZB35 ZB38

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異種抗原を細胞内でおよび/もしくは細菌表面で発現するこ
    とのできる組換え乳酸菌を含んでいる経口ワクチンであって、該細菌がラクトバ
    チルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)であり、該異種抗原に対す
    る免疫応答および/もしくは免疫原性を引き出すことのできる、前記ワクチン。
  2. 【請求項2】 組換えラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plan
    tarum)が発現ベクターを含んでおり、該発現ベクターは異種抗原の細胞内での
    および/もしくは細胞表面上への露出という形での発現を、任意で消化管内に存
    在する条件下で、起こさせることのできる、請求項1記載のワクチン。
  3. 【請求項3】 該異種抗原が病原性微生物に対する免疫原性を誘導すること
    ができ、任意で粘膜に定住している病原体もしくは経口経路などの粘膜を介して
    体内に侵入する病原体に対して特異的な異種抗原を用いる、請求項1または2記
    載のワクチン。
  4. 【請求項4】 該異種抗原が消化管中に住み着いている病原性微生物に対す
    る免疫原性を誘導する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワクチン。
  5. 【請求項5】 該病原性微生物がヘルペスウイルス(herpes virus)、風疹ウ
    イルス(rubella virus)、インフルエンザウイルス(influenza virus)、ムンプス
    ウイルス(mumps virus)、麻疹ウイルス(measles virus)、ポリオウイルス(polio
    myelitis virus)、ロタウイルス(rota virus)、RSウイルス(respiratory syncyt
    ial virus)、カンピロバクター(Campylobacter)種、クラミジア(Chlamydia)類、
    クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)属の種、サイトメガロウイルス(cytome
    galovirus)、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus)、アクチノ
    ミセス(Actinomyces)種、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、アレナウイル
    ス(arenavirus)、アルボウイルス(arbovirus)、ボツリヌス菌(Clostridium botu
    linum)、カンジダ(Candida)属の種、コレラ菌(Vibrio cholera)、クリプトコッ
    カス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、大腸菌(E.coli)O157:H7,
    O26:H11, O111:H8, およびO104:H21のEHEC株、大腸菌のETEC株、腸管組織侵入性
    (EIEC)を有することが示されている大腸菌株、大腸菌のEPEC株、大腸菌のEAggEC
    株、大腸菌のDAEC株、フィロウイルス(filoviridae)、パルボウイルス(parvovir
    us)、フィラリオ上科(Filarioidea)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus
    )、ウエルシュ菌(Clostridium perfringens)属の種、ヘリコバクター・ピロリ(H
    elicobacter pylori)、カリシウイルス(Calicivirus)、ジアルジア・ランブリア
    (Giardia lamblia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ハンタウイルス(hantaviru
    s)、A, B, C, D, E型肝炎ウイルス(hepatitis virus)、レジオネラ(Legionellae
    )の株、らい菌(Mycobacterium leprae)、リステリア菌(Listeria monocytogenes
    )、ライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)、偽鼻疽菌(Pseudomonas pseudoma
    llei)、EBウイルス(Epstein Barr virus)、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、
    疱瘡ウイルス(Poxvirus)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ペスト菌(Yersini
    a pestis)、Q熱コクシエラ(Coxiella burnetti)、狂犬病ウイルス(rabies virus
    )、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidium)、結核菌(Mycobacterium tuberculo
    sis)、チフス菌(Salmonella typhi)、マラリア、カリニ肺炎の原因となる(真核
    生物の寄生体)、もしくはトキソプラズマ症の原因となる病原体、またはそれら
    の任意の組み合わせである、上記の請求項のいずれかに記載のワクチン。
  6. 【請求項6】 ロタウイルス(rotavirus)、RSウイルス(respiratory syncyt
    ial virus)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ヒト免疫不全ウイルス(hum
    an immunodeficiency virus)、大腸菌(E.coli)、コレラ菌(Vibrio cholera)、連
    鎖状球菌(streptococci)、および/もしくはクラミジア(chlamydia)に対する防護
    的応答を引き出す、上記の請求項いずれかに記載のワクチン。
  7. 【請求項7】 該異種抗原がウイルス性および/または細菌性の抗原であっ
    て、任意でHIVウイルスの(gp160)エンベロープタンパク質、リーシュマニア(Le
    ishmania)寄生体の表面の糖タンパク質、シガ(Shiga)様毒素、赤痢菌属(Shi
    gella)のリポ多糖抗原、大腸菌線毛(fimbrial)抗原、腸管毒産生性の大腸菌
    株のCFA抗原、炭疸菌毒素、百日咳(pertussis)毒素、破傷風毒素である、上記
    の請求項いずれかに記載のワクチン。
  8. 【請求項8】 該異種抗原がヒトアレルゲンであるか、もしくは該異種抗原
    が破傷風に特異的なものである、請求項1から4のいずれかに記載のワクチン。
  9. 【請求項9】 防護的免疫原性を誘導することができる、請求項1〜8のい
    ずれか1項に記載のワクチン。
  10. 【請求項10】 単回投与用ワクチンとして製剤化された、請求項1〜9の
    いずれか1項に記載のワクチン。
  11. 【請求項11】 組換えラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus pl
    antarum)が異種抗原を細胞内および/もしくは細胞表面で、ラクトバチルス・プ
    ランタルム(Lactobacillus plantarum)80がβ-ガラクトシダーゼを発現してい
    る程度を越える程度に発現する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のワクチ
    ン。
  12. 【請求項12】 組換えラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus pl
    antarum)が、任意でラクトバチルスのための、好ましくはラクトバチルス・プ
    ランタルム(Lactobacillus plantarum)のための発現ベクター中に、相同な発
    現および/または分泌シグナルを含んでいる、請求項1〜11のいずれか1項に
    記載のワクチン。
  13. 【請求項13】 組換えラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus pl
    antarum)株が、5日間を越える、好ましくは9日間を越える、より適するものと
    しては15もしくはさらに20日間の持続性(ワクチン接種された個体中で)を示す、
    請求項1〜12のいずれか1項に記載のワクチン。
  14. 【請求項14】 組換えラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus pl
    antarum)が、L.プランタルム(L. plantarum) 80より長い、好ましくはL.プラ
    ンタルム(L. plantarum) NCIMB 8826より長い持続性を、等価の条件下で示す
    、請求項1〜13のいずれか1項に記載のワクチン。
  15. 【請求項15】 幼児、免疫力の低下している者、老人、もしくは正常な健
    康な幼児、児童、もしくは成人などのヒトに対しての投与のために製剤化される
    、請求項1〜15のいずれか1項に記載のワクチン。
  16. 【請求項16】 組換えラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus pl
    antarum)が組み換えラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum
    )256である、請求項1〜15のいずれか1項に記載のワクチン。
  17. 【請求項17】 ワクチンが少なくとも1種のアジュバントもしくは製薬上
    許容される担体を含んでいる、請求項1〜16のいずれか1項に記載のワクチン
  18. 【請求項18】 請求項1〜17のワクチンに関する請求項のいずれか1項
    で定義されている、組換えラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plan
    tarum)であって任意でラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantar
    um)256の組換え株である、組換えラクトバチルス・プランタルム(Lactobacill
    us plantarum)。
  19. 【請求項19】 非ヒト起源の請求項18記載の細菌。
  20. 【請求項20】 異種抗原を発現し個体の体内に免疫応答を引き出すように
    改変された、非ヒト、および/もしくは非ヒト食糧のラクトバチルス菌。
  21. 【請求項21】 請求項20記載の細菌であって: (a) 天然のもしくは未改変のL.プランタルム(L. plantarum)が該個体にと
    って外来のものであるか、もしくはヒトの消化管もしくは粘膜に存在しないもの
    であり; (b) 該抗原が細胞内および/もしくは細胞表面上で発現されており; ならびに/または (c) 該抗原が免疫原である、 細菌。
  22. 【請求項22】 異種抗原を細胞内でおよび/または細胞表面上で発現して
    個体に免疫応答を引き出し、その免疫応答がその個体の消化管中で少なくとも7
    日間持続するように改変されたラクトバチルス菌。
  23. 【請求項23】 L.プランタルム(L. plantarum)であるか、またはワクチ
    ン中に用いるためのものである、請求項18〜26のいずれか1項に記載のラクトバ
    チルス生物体。
  24. 【請求項24】 異種抗原の細胞内発現もしくは露出(細胞表面上での)に適
    した発現ベクターであって、消化管内に存在する条件下で異種抗原のラクトバチ
    ルス・プランタルム(Lactobacillus plantaru)中での発現を提供することので
    きる発現ベクター。
  25. 【請求項25】 ヒトもしくは動物の体の予防もしくは治療方法に使用する
    ための、請求項19から24のいずれか1項に記載の細菌。
  26. 【請求項26】 異種抗原を細胞内でおよび/もしくは細胞表面上で発現す
    るように改変されたラクトバチルス菌の個体用のワクチンの製造のための使用で
    あって、該未改変のL.プランタルム(L. plantarum)が前記個体にとって外来の
    ものである製造のための使用。
  27. 【請求項27】 未改変のラクトバチルス菌がL.プランタルム(L. plantar
    um)であり、ヒトの体内(該株が内在性のものである)では見出されないかまたは
    、哺乳動物の消化管もしくは粘膜には存在しないものである請求項26記載の使
    用。
  28. 【請求項28】 ワクチンの製造における、請求項19から24のいずれか
    1項に記載の細菌の使用。
  29. 【請求項29】 該ワクチンが経口投与に適合させたものでありおよび/も
    しくは投与すると免疫応答を引き出すものである、請求項28記載の使用。
  30. 【請求項30】 破傷風の治療もしくは予防のための請求項26から29の
    いずれか1項に記載の使用。
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