JP2003507770A - レンズ配列で使用するための複合レンズ - Google Patents

レンズ配列で使用するための複合レンズ

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JP2003507770A JP2001519130A JP2001519130A JP2003507770A JP 2003507770 A JP2003507770 A JP 2003507770A JP 2001519130 A JP2001519130 A JP 2001519130A JP 2001519130 A JP2001519130 A JP 2001519130A JP 2003507770 A JP2003507770 A JP 2003507770A
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Abstract

(57)【要約】 複合レンズ構成体は、複合レンズ構成体の中でも最大径のレンズ面である前レンズ面を有している前レンズ素子を含む少なくとも2つのレンズ素子から構成されたレンズ構成体の配列で使用するのに適し、複合レンズの射出ひとみが前レンズ面の端縁により境界を画定されるとともに、該射出ひとみが該端縁の平面に存在している。これにより配列中の複合レンズ構成体が互いに当接することが可能となる。本発明は、投影装置で使用するための複合レンズ構成体に特に関連しているが、これら投影装置はオートステレオ投影システムにおける配列で使用され、互いに隣接する投影装置が互いに当接し合うことを許容している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズの配列で使用するための複合レンズに関するものであり、特に
、レンズの配列で使用するか、或いは、多点透視オートステレオ投影システムで
配列状に構成される投影装置で使用するための複合レンズに関連する。
【0002】
【従来の技術】
従来公知の多点透視オートステレオ投影システムでは、或る1つの物体の互い
に異なる透視図を示す、複数の投影装置からの画像は、視野レンズのような方向
選択性の投影スクリーンに投射される。このようなスクリーンは「観察者空間」
において投影装置レンズの射出ひとみの画像の配列を再形成するという特徴を有
しており、これにより、スクリーンの各観察者がステレオ画像の対を目視し、従
って、3次元画像を目視することになる。このように、観察者が互いに隣接して
いる画像の間を水平方向に横断した場合には、この3次元画像が断続的に変化す
る、すなわち、「フリップ」が生じる。この種の表示装置についての問題点は、
観察者が観察する複数画像が、投影レンズと投影レンズの間の空隙に付随する暗
い領域によって互いに分離されることである。
【0003】 バターワース・ハインマン・リミティッド(Butterworth-Heinemann Ltd.)に
より1993年11月1日に「表示装置」第14号に掲載されたボーナー(R. Borner)著
の「前後投影によるフラットパネル型表示装置におけるオートステレオスコープ
3次元画像処理(Autostereoscopic 3D-imaging by Front and Rear Projection
and on Flat Panel Displays)」という題の論文中では、この問題点は、投影
装置レンズから構成され、互いに水平方向にオフセットされた少なくとも2つの
垂直方向に間隔を設けた層を利用することにより投影装置レンズの射出ひとみを
重ね合わせることにより解決されている。この方法で、第1層中の投影装置レン
ズの射出ひとみの軸線は、第2層中で2つの互いに隣接する投影装置レンズの射
出ひとみの軸線と軸線の間に位置する水平面に存在することになる。投影装置レ
ンズの射出ひとみの、それぞれ異なる層に由来する画像は、「観察者空間」にお
ける画像間の暗い領域を根絶するためにレンチキュラースクリーンを利用して、
「観察者空間」で互いに重ね合わせられる。「ユーロディスプレイ'96」に掲載
されたベイダー(G. Bader)、ルーダー(E. Lueder)、フューマン(J. Fuhman
n)共著の「オートステレオスコープ実時間3次元表示システム(An Autostereo
scopic Real-time 3D Display System)」と題する論文中では、これに類似する
アプローチが利用されている。結果として得られる表示装置は、上述のような多
層構造を採用しており、過度に複雑となりがちであるとともに、射出ひとみ画像
を引き伸ばすためにレンズ配列を使用したことで、投影された画像の品質に悪影
響を及ぼす可能性がある。
【0004】 リトル(Gordon R. Little)、グスタフソン(Steven C. Gustafson)、ニコ
ロー(Vasiliki E. Nikolaou)共著の、SPIE第2219号のコックピット表示装置(
1994年刊)に掲載されている「多点透視オートステレオスコープ表示装置(Mult
iperspective Autostereoscopic Display)」と題する論文中では、「観察者空
間」における互いに隣接する画像と画像の間の空隙の問題は、フレネルレンズと
レンズ配列を備えているひとみ形成スクリーンを利用して、互いに隣接する画像
間の空隙を全て除去するまで、「観察者空間」で各画像を引き伸ばすことにより
解決されている。これもまた、表示装置の分解能を低下させることで、投影され
た画像品質に影響を及ぼすという欠点を有している。
【0005】 WO98/43441号では、多重投影装置を利用して、本質的に継ぎ目の無い、被写界
を伸張させた画像を形成するオートステレオ投影システムが提示されている。各
投影装置はCRT表示装置と整合されており、各投影装置のシャッター素子はCRT表
示装置ごとに多重ひとみを設けている。各CRT表示装置はシャッターひとみごと
に異なる画像に関して駆動される。共通のレンチキュラー観察レンズの部品とし
て調節可能な光分散装置を使用することにより、継ぎ目の程度も更に改善される
。WO98/43441号では、複数投影装置の互いに隣接する複合レンズは当接するが
、複合レンズの射出ひとみは互いに当接せず、この結果として、観察者空間の互
いに隣接する画像間に暗部が発生するが、これは、光分散装置を使用することに
より低減される。
【0006】 本発明の目的は、上述の問題点の少なくとも幾ばくかを解決することであり、
そのために、過度に複雑な表示装置構造を必要とせず、また、観察者が目視する
画像の分解能を低減すること無しに、「観察者空間」における画像間の暗部の問
題を実質的に排除する、レンズの配列で使用するための複合レンズを提供するこ
とである。
【0007】 本発明の第1の局面によれば、複合レンズ中で最大径のレンズ面である前レン
ズ面を有している前レンズ素子など、少なくとも2つのレンズ素子を備えた上述
のようなレンズの配列で使用するための複合レンズが提供されるが、この場合、
複合レンズの射出ひとみは、前レンズ面の端縁部の平面により境界を画定され、
また、この端縁部の平面内に存在する。かかる複合レンズでは、複合レンズの最
大径レンズ面の位置で複合レンズの前に射出ひとみが存在し、これは、かかる複
合レンズの配列では、互いに隣接し当接するレンズが互いに隣接し当接する射出
ひとみを有することになることを意味している。従って、互いに隣接する複合レ
ンズの射出ひとみと射出ひとみの間には空隙が存在しなくなり、そのため、本発
明は、オートステレオ投影システムにおいて、「観察者空間」における画像間の
暗部の問題を排除するために利用することができる。本発明に従った複合レンズ
は、射出ひとみが互いに当接したレンズの配列を利用することを必要とする応用
例に用途がある。
【0008】 開口絞りは複合レンズの前レンズ素子の内部に配置されている。レンズの開口
絞りは、前レンズ素子以外の複合レンズのレンズ素子の前に存在しているのが好
ましいが、というのも、これは開口絞りを中心としたレンズ構成体の対称性を向
上させ、複合レンズのコマ収差、歪曲収差、横色収差の低減に役立つからである
。複合レンズの開口絞りは、前レンズ素子の後レンズ面の位置で複合レンズの光
軸と交差する平面に存在していることもある。 前レンズ素子は、それ自体が複合レンズであってもよいし、そうでなければ、
1個のレンズから構成されていることもある。前レンズ素子の後レンズ面が凹状
であること、更に、前レンズ素子の前レンズ面が凸状であることが好ましい。 好ましい構成では、前レンズ素子は複合レンズ中で最大径のレンズ素子である
【0009】
【発明の構成】
本発明の第1の局面は、射出ひとみが最後の面(すなわち、前面)に位置して
いると同時に、射出ひとみの端縁が射出ひとみが存在している平面と最後の面と
の交差リングであるような複合レンズに関連している。射出ひとみの直径は複合
レンズの最大径を規定しており、射出ひとみの半径は、口径食を生じずに複合レ
ンズの各々を通して透写される全ての光線の高さよりも高く、あるいは、全ての
光線の高さに等しい。従って、複数のこのような複合レンズはそれぞれの射出ひ
とみが互いに当接するように配列状に配置され、この複合レンズ配列が多数投影
装置式のオートステレオスコープ表示装置における投影レンズとして使用される
時には、それぞれの射出ひとみには暗い領域が存在しなくなる。
【0010】 本発明の第2の局面によれば、本発明の第1の局面に従った複合レンズを備え
た投影装置配列で使用するための投影装置が提供される。上述のように、かかる
投影装置は、システムの「観察空間」における画像と画像の間の空隙を除去する
ために、オートステレオ投影システムにおいて、このような投影装置の互いに当
接する配列で使用することができる。 本発明の第3の局面によれば、本発明の第2の局面に従った投影装置の配列を
備えたオートステレオ投影システムが提供される。
【0011】 本発明の第4の局面によれば、このようなレンズの配列で使用するための複合
レンズを設計する方法が提供されるが、該方法は、 複合レンズの前レンズ素子の材料、前レンズ素子の前レンズ面の直径、および
、前レンズ素子の前レンズ面と後レンズ面との曲率半径を限定し、かつ、前レン
ズ面の端縁により、また、該端縁の平面内に境界を画定されるように、複合レン
ズ配列の射出ひとみの位置を限定する工程と、 上述の限定パラメータに基づいて、光線追跡手段を利用して前レンズ素子を通
過する周辺光線を追跡することにより、複合レンズの開口絞りの位置および倍率
を追跡する工程と、 前レンズ素子を通る周辺光線の高さが射出ひとみの位置で最高となるまで上述
の各工程を反復し、次いで、上述の限定パラメータを修正する工程と、 前レンズ素子の前レンズ面の直径よりも小さくなるように、複合レンズの残り
のレンズ面の直径を限定し、複合レンズの機能性を限定する工程と、 光線追跡手段を使用して、射出ひとみと、先に限定された前レンズ素子を通る
周辺光線の高さとの間の関係を残りのレンズ面が変えないような方法で、複合レ
ンズの残りのものを設計する工程とを含んでいる。 この方法の第1の工程において限定されるパラメータは、開口絞りの直径が射
出ひとみの直径よりも小さい時のみに修正されるにすぎないのが好ましい。 この方法は、本発明の第1の局面に従って複合レンズを設計するために使用さ
れ、本発明の第1の局面に付随する利点を有している。
【0012】 周辺光線という語は一般に、レンズ系の開口絞りの端縁、或いは、入射ひとみ
または射出ひとみの端縁を通過する光線を説明するために使用される。周辺光線
とは、物体点からレンズ系を通して透写される光線の中でも最も最高位にある(
すなわち、光軸から最遠位を移動する)光線をいう。本発明に従った複合レンズ
では、射出ひとみは実体があるので、周辺光線は射出ひとみの端縁を通過する。 前レンズ素子の前レンズ面の直径を限定する工程は、前レンズ素子の直径を限
定する工程を含んでいるのが好ましい。 複合レンズの機能性を限定する工程は、特定の物体距離と画像距離を備えた有
限共役レンズとして複合レンズを限定する工程を含んでおり、というのも、かか
る複合レンズがオートステレオ投影システムの投影装置における使用に好適とな
るからである。代替例として、複合レンズは有限−無限の共役レンズ素子として
限定され得る。 本発明の目的達成のため、開口絞りは射出ひとみの画像と定義されるべきであ
る。
【0013】 添付の図面を参照しながら具体例としてのみ、ここに本発明を説明してゆく。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1aおよび図1bは、3つの投影装置(2、4、6)の各々が物体または光
景の異なる透視法に基づいて取った画像を投影する、多点透視オートステレオ表
示装置システムを例示している。各々の投影装置(2、4、6)は本発明に従っ
たそれぞれの複合レンズ(12、14、16)構成を備えており、各レンズの射
出ひとみがレンズの前面と一致するように、また、レンズの前素子が最大径を有
しているように、以下に説明するような設計にされる。これは、複合レンズ(1
2、14、16)の射出ひとみが互いに隣接する位置に設定されて、それぞれが
互いに接触し、従って、互いに隣接する投影装置のレンズ(12、14、16)
の射出ひとみと射出ひとみの間の空隙を全て除去することができることを意味す
る。
【0015】 図1aにおける方向選択投影スクリーン(8a)、または、図1bにおける視
野レンズ(8b)は、観察者空間における投影装置レンズの射出ひとみの画像を
再形成して画像(22、24、26)を形成し、図1aおよび図1bから分かる
ように、これら画像の互いに隣接するものが互いに接触して、「観察者空間」の
互いに隣接する画像と画像の間の空隙も除去する。第1の観察位置についた観察
者(10)は、投影装置(2)からの画像(22)を一方の眼で目視しながら、
異なる透視法に基づく同一物体または同一光景を示す、投影装置(4)からの画
像を、他方の眼で目視し、結果として、観察者は第1の透視法に基づく3次元画
像を目視することとなる。観察者が自分の頭を図1aについては左方向に移動さ
せ、図1bについては上方向に移動させて第2の観察位置につけて、自分で投影
装置(4)からの画像(24)を一方の眼で目視しながら、投影装置(8)から
の画像(26)を他方の眼で目視した場合は、観察者は第2の透視法に基づくそ
の物体または光景の3次元画像を見ることになる。第1の観察位置から第2の観
察位置に移動する際には、観察される3次元画像は第1の透視法と第2の透視法
の間でフリップすることになるが、互いに隣接する画像(22)と画像(24)
、または、互いに隣接する画像(24)と画像(26)の間には空隙が存在して
いないので、観察者(10)によって観察される異なる画像の間には暗部が存在
しなくなる。
【0016】 従って、本発明に従った複合レンズ構成体は投影装置(2、4、6)が互いに
当接することを可能にし、その結果、観察区域(22、24、26)の間に照度
の減衰が存在しなくなる。これにより、「観察者空間」において画像(22、2
4、26)の分解能を損なわずに、簡単な1層式の投影装置構成を提供している
【0017】 複合レンズを配列状に設置することができるようにして、複合レンズのそれぞ
れの端縁を互いに接触させるためには、互いに当接するのはレンズの開口絞りで
はなく、レンズの射出ひとみでなければならない。一般に、射出ひとみは、レン
ズの画像側から見えるような(すなわち、画像空間内に在る)開口絞りの画像と
定義される。従来のレンズ設計では、射出ひとみはレンズ内の深部に形成される
視覚画像であって、開口絞りに十分に近接していて、両者の間にほとんど差がな
い程である。しかしながら、開口絞りと射出ひとみの間の複合レンズのレンズ素
子が適切に選択されている場合には、射出ひとみの端縁が複合レンズの前面の端
縁と一致することがあり得る。複合レンズの前面が複合レンズの最大径部に該当
する場合には、たとえ開口絞りの位置が依然としてレンズの本体内に在っても、
互いに隣接するレンズの射出ひとみは互いに当接するようにされる。この複合レ
ンズ構成体を利用すれば、開口絞りの両側にレンズ素子が存在するようになり、
そのため、開口絞りの一方側に存在するレンズ素子は、複合レンズ内の開口絞り
の他方側で収差を補償することが可能となることに留意するべきである。ここで
は、互いに隣接するレンズ構成体の射出ひとみが互いに当接することを物理的に
許容するために、射出ひとみの背後にあるレンズは全て、射出ひとみよりも小さ
い直径を有していることが確保されていることに変わりはない。
【0018】 図2は、本発明に従って設計された複合レンズ(30)の第1の実施形態を例
示している。このレンズは、郵便番号91107、米国カリフォルニア州パサデ
ィナ市イーストフットヒルブルヴァ−ド3−80に居所を置くオプティカル・リ
サーチ・アソシエーツ(Optical Research Associates)から購入可能なレンズ
デザインソフトウエアのコードV(Code V)を利用して設計されている。 図2の複合レンズ(30)は、4つのレンズ素子(32、34、36、38)
を備え、有効焦点距離が25mm、F番号が2.5、視野角度が20度である。開口絞
りは点線で図示された平面(40)に位置する(すなわち、主要光線(44)が
軸線(42)を横断する点においてレンズ(30)の光軸(42)に直交する平
面に位置する)。レンズ(30)が開口絞りを中心として対称的に当接するわけ
ではないこと、従って、レンズ(30)が視野角度10度で0.05mmの収差を得る
のに十分な高次数のコマ収差を有していることが分かる。これにもかかわらず、
レンズ(30)は概ね色収差が補正されており、1mmあたり30サイクルにおけ
るレンズの変調伝達関数は、どの視野点についても少なくとも0.5である(図3
を参照のこと)。
【0019】 図2では、8個のレンズ面(aないしh)を備えた4つのレンズ素子(32、
34、36、38)が存在している。レンズ素子(32)は前レンズ素子であり
、図1aおよび図1bのそれぞれの構成において、スクリーン(8a)の方向に
面しているか、或いは、視野レンズ(8b)の方向に面している。前レンズ素子
(32)はF5 SCHOTTガラスから製作されており、曲率半径が10.00mmの前面(a
)と曲率半径が36.89mmの後面(b)と光軸(42)に沿って2.00mmの厚さを
備えている。前レンズ素子(32)の後面(b)に当接しているのが第2のレン
ズ素子(34)である。第2のレンズ素子(34)はPSK53A SCHOTTガラスから
製作されており、曲率半径が10.14mmの前面(c)と曲率半径が−22.06mmの後面
(d)と光軸(42)に沿って5.10mmの厚さを備えている。主要光線(44)は
、前レンズ素子(32)の後面(b)と第2のレンズ素子(34)の前面(c)
との間の界面において複合レンズ(30)の光軸(42)を横断し、そのため、
複合レンズ(30)の開口絞りは光軸(42)に直交する平面(40)に存在し
、上述の界面の位置で光軸(42)と交差している。第3のレンズ素子(36)
は、レンズ素子の光軸(42)に沿って0.10mmの距離をおいて、第2のレンズ素
子(34)の後面(d)の背後の位置に置かれている。第3のレンズ素子はSF4
SCHOTTガラスから製作されており、曲率半径が−18.36mmの前面(e)と曲率半
径が5.79mmの後面(f)と光軸(42)に沿った0.55mmの厚さを有している。SF
4 SCHOTTガラスから製作された後レンズ素子(38)は、レンズ素子の光軸(4
2)に沿った6.05mmの距離をおいて、第3のレンズ素子(36)の後面(f)の
背後の位置に置かれている。後レンズ素子(38)は、曲率半径が14.63mmの前
面(g)と曲率半径が62.17mmの後面(h)と光軸(42)に沿った6.00mmの厚
さを有している。
【0020】 複合レンズ(30)の射出ひとみは、図2に点線で示された平面(46)に位
置し、前レンズ素子(32)の前面(a)の周辺部によって境界を画定されてい
る。これは図4で一層明瞭に分かるが、同図は開口絞りを備えた前レンズ素子(
32)の上部を例示しており、開口絞りは平面(40)に存在している射出ひと
みの視覚画像である。前レンズ素子(32)が存在していない場合には、3つの
視野点(45、48、50)全てからの周辺光線が、点線の光線構造によって図
示されているように、点(52)の位置で交差することになる。点(52)は、
図2の複合レンズ(30)の開口絞りの上方端縁を画定している。前レンズ素子
(32)を追加すると、後面(b)の位置で周辺光線を屈折させ、その結果、周
辺光線は、複合レンズ(46)の射出ひとみの上方端縁である点(54)の位置
で交差する。射出ひとみは開口絞りの画像側の位置にある開口絞りの画像であり
、よって、光軸(42)に直交する平面(46)に存在しているとともに、交点
(54)を境界としている。前レンズ素子(32)は、交点(54)が前レンズ
素子(32)の前面(a)の周辺部の位置に存在するように設計されている。複
合レンズ(30)は、前レンズ素子(32)の前面(a)の周辺部が複合レンズ
で使用されているレンズ素子の他のどの周辺部よりも大きくなるように設計され
ている。このようにして、互いに隣接する複合レンズ(30)は、それぞれの射
出ひとみが互いに当接した状態で、一緒に配列状に設置することができる。
【0021】 開口絞りは射出ひとみの仮想画像である。開口絞りの高さは、点(52)から
光軸(42)までの距離であり、射出ひとみにおける周辺光線の高さは、点(5
4)から光軸(42)までの距離である。前レンズ素子(32)をずっと貫いて
いる間の周辺光線の高さは射出ひとみの位置の周辺光線の高さよりも低いことが
分かる。 前レンズ素子(32)は、1個以上のレンズ素子を備えた複合レンズ素子であ
ってもよいことに留意するべきである。
【0022】 複合レンズ(30)は、コードV(Code V)ソフトウエアパッケージを利用し
て、先に示したように設計される。複合レンズは以下の方法に従って設計される
が、同方法の工程が図7に例示されている。 工程1:前レンズ(32)の材料を限定するが、図2の具体例では、F5
SCHOTT光学ガラスである(図7の枠80を参照のこと)、 工程2:前レンズ素子(32)の直径を限定する(枠82)、 工程3:前レンズ素子(32)の前面(a)および後面(b)の曲率半径
を限定する(枠84)、 工程4:前レンズ(32)の前面(a)の端縁と交差する複合レンズの光
軸に直交する平面に存在するように、射出ひとみの位置を限定し、かつ、前レン
ズ(32)の前面(a)の周辺部により境界を設けられるように、射出ひとみを
限定する(枠86)、 工程5:光線追跡用のコードV(Code V)ソフトウエアを使用して、前レ
ンズ素子(32)を通る周辺光線(射出ひとみの端縁を通過する)を追跡するこ
とにより、開口絞り(40)の直径と位置を見つける(枠88)、 工程6:開口絞りが射出ひとみよりも小さい径を有するようになるまで、
また、周辺光線が、前レンズ素子を通して追跡された時に、射出ひとみの位置よ
りも低くなるまで、上述の工程1から工程5を反復して行う(枠80から枠90
までと、途中、枠92が介在)。その次に、上述の限定パラメータを修正する(
枠96と、途中、枠94が介在)、 工程7:前レンズ素子(32)の直径よりも小さくなるように、複合レン
ズの残りのレンズ素子の直径を限定する(枠98)、 工程8:複合レンズの機能を限定する。例えば、図2の具体例では、複合
レンズ(30)は特定物体と特定画像距離とを備えた有限共益レンズと定義され
(枠100)、コードV(Code V)ソフトウエアを使用して、複合レンズの残余
の部分を設計し(枠102)、この時、射出ひとみと前レンズ素子を通る周辺光
線の高さとの間の関係を変えないでおく。
【0023】 本発明に従い、また、上述の方法に従って設計された2つの別な複合レンズの
具体例が図5および図6に例示されている。 図5に例示された複合レンズ(60)は、8つのレンズ面(aからh)を備え
た4つのレンズ素子(62、64、66、68)を有している。レンズ素子(6
2)は前レンズ素子であり、図1aおよび図1bのそれぞれの構成において、ス
クリーン(8a)または視野レンズ(8b)の方向に面している。前レンズ素子
(62)はSF57 SCHOTTガラスから製作されており、曲率半径が10.00mmの前面(
a)と曲率半径が13.78mmの後面(b)と光軸(42)に沿った1.45mmの厚
さを有している。主要光線(44)は前レンズ素子(62)の後面(b)の位置
で複合レンズ(60)の光軸(42)を横断し、よって、複合レンズ(60)の
開口絞りは光軸(42)に直交する平面(40)に存在するが、開口絞りは後面
(b)の位置で光軸(42)と交差する。第2のレンズ素子(64)は、レンズ
素子の光軸(42)に沿って0.30mmの距離をおいて、前レンズ素子(62)の
後面(b)の背後の位置に置かれる。第2のレンズ素子(64)はSSK2 SCHOTT
ガラスから製作されており、曲率半径が10.16mmの前面(c)と曲率半径が−30.
65mmの後面(d)と光軸(42)に沿った3.11mmの厚さを有している。第3のレ
ンズ素子(66)は、レンズ素子の光軸(42)に沿って0.34mmの距離をおいて
、第2のレンズ素子(64)の後面(d)の背後の位置に置かれる。第3のレン
ズ素子(66)はSF59 SCHOTTガラスから製作されており、曲率半径が−24.66mm
の前面(a)と曲率半径が7.21mmの後面(f)と光軸(42)に沿った4.07mmの
厚さを有している。SF59 SCHOTTガラスから製作されている後レンズ素子(68
)は、レンズ素子の光軸(42)に沿って1.46mmの距離をおいて、第3のレンズ
素子(66)の後面(f)の背後の位置に置かれる。後レンズ素子(68)は曲
率半径が16.10mmの前面(g)と曲率半径が−51.68mmの後面(h)と光軸(42
)に沿って1.14mmの厚さを有している。 複合レンズ(60)の射出ひとみは図5に点線で示された平面(46)に位置
し、前レンズ素子(62)の前面(a)の周辺部により境界を画定されている。
【0024】 図6に例示された複合レンズ(70)は、8つのレンズ面(aからh)を備え
ている4つのレンズ素子(72、74、76、78)から構成されている。レン
ズ素子(72)は前レンズ素子であり、図1aおよび図1bのそれぞれの構成に
おいて、スクリーン(8a)または視野レンズ(8b)の方向に面している。前
レンズ素子(72)はSF57 SCHOTTガラスから製作されており、曲率半径が10.00
mmの前面(a)と曲率半径が13.78mmの後面(b)と光軸(42)に沿った1.45m
mの厚さを有している。主要光線(44)は前レンズ素子(72)の後面(b)
の位置で複合レンズ(70)の光軸(42)を横断し、よって、複合レンズ(7
0)の開口絞りは光軸(42)に直交する平面(40)に存在するが、開口絞り
は後面(b)の位置で光軸(42)と交差する。第2のレンズ素子(74)は前
レンズ素子(62)の後面(b)に当接している。第2のレンズ素子(74)は
SSK2 SCHOTTガラスから製作されており、曲率半径が9.56mmの前面(c)と曲率
半径が−37.45mmの後面(d)と光軸(42)に沿った1.72mmの厚さを有してい
る。第3のレンズ素子(76)は、レンズ素子の光軸(42)に沿って0.93mmの
距離をおいて、第2のレンズ素子(74)の後面(d)の背後の位置に置かれる
。第3のレンズ素子(73)はSF58 SCHOTTガラスから製作されており、曲率半
径が−22.30mmの前面(e)と曲率半径が7.44mmの後面(f)と光軸(42)に
沿った4.23mmの厚さを有している。SF58 SCHOTTガラスから製作されている後レ
ンズ素子(78)は、レンズ素子の光軸(42)に沿って0.50mmの距離をおいて
、第3のレンズ素子(76)の後面(f)の背後の位置に置かれている。後レン
ズ素子(78)は、曲率半径が22.46mmの前面(g)と曲率半径が−28.64mmの後
面(h)と光軸(42)に沿った4.60mmの厚さを有している。
【0025】 複合レンズ(70)の射出ひとみは図6において点線で示された平面(46)
内に位置し、前レンズ素子(62)の前面(a)の周辺部により境界を画定され
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1aは、多点透視オートステレオ表示装置システムが方向選択投影スクリー
ンと投影装置の配列とを利用しており、投影装置の各々が、本発明に従って複合
レンズを備えているのを例示しており、図1bは、多点透視オートステレオ表示
装置システムが視野レンズと投影装置の配列を利用しており、投影装置の各々が
本発明に従った複合レンズを備えているのを例示している。
【図2】 本発明に従った複合レンズの第1の実施形態を例示する図である。
【図3】 図2の複合レンズの変調伝達関数のプロットを例示する図である。
【図4】 図2の複合レンズの前レンズ素子の上方部を例示する図である。
【図5】 本発明に従った複合レンズ構成体の第2の実施形態を例示する図である。
【図6】 本発明に従った複合レンズ構成体の第3の実施形態を例示する図である。
【図7】 本発明に従った複合レンズ構成体を設計する際に関与する方法工程を例示する
フロー図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複合レンズ(30、60、70)は、複合レンズの中でも最
    大径のレンズ面である前レンズ面(32a、62a、72a)を有している前レ
    ンズ素子(32、62、72)を含む少なくとも2つのレンズ素子から構成され
    たレンズの配列(12、14、16)で使用するのに適し、複合レンズの射出ひ
    とみが前レンズ面の端縁により境界を画定されるとともに、該射出ひとみが該端
    縁の平面(46)に存在していることを特徴とする、複合レンズ。
  2. 【請求項2】 前記レンズの開口絞りは、前記前レンズ素子(32、62、
    72)以外の複合レンズのレンズ素子の前に存在している、請求項1に記載の複
    合レンズ。
  3. 【請求項3】 前記前レンズ素子(32、62、72)は後レンズ面(32
    b、62b、72b)を有しており、複合レンズの前記開口絞りは、前記後レン
    ズ面の位置で複合レンズの光軸(42)と交差する平面(40)に存在している
    、請求項1に記載の複合レンズ。
  4. 【請求項4】 前記前レンズ素子は複合レンズである、請求項1から請求項
    3のいずれかに記載の複合レンズ。
  5. 【請求項5】 前記前レンズ素子は単体レンズである(32、62、72)
    、請求項1から請求項3のいずれかに記載の複合レンズ。
  6. 【請求項6】 前記前レンズ素子(32、62、72)は複合レンズの中で
    も最大径のレンズ素子である、請求項1から請求項5のいずれかに記載の複合レ
    ンズ。
  7. 【請求項7】 前記前レンズ素子(32、62、72)の後レンズ面(32
    b、62b、72b)は凹状である、請求項1から請求項6のいずれかに記載の
    複合レンズ。
  8. 【請求項8】 前記前レンズ素子(32、62、72)の前記前レンズ面(
    32a、62a、72a)は凸状である、請求項1から請求項7のいずれかに記
    載の複合レンズ。
  9. 【請求項9】 投影装置(2、4、6)は、請求項1から請求項8のいずれ
    かに記載の複合レンズ(12、14、16)を備えた投影装置の配列で使用する
    のに適している、投影装置。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の投影装置(2、4、6)の配列を備えて
    いるオートステレオ投影システム。
  11. 【請求項11】 配列にして使用するのに適している複合レンズ(30、6
    0、70)を設計する方法であって、 複合レンズの前レンズ素子(32、62、72)の材料、前レンズ素子の前
    レンズ面(32a、62a、72a)の直径、および、前レンズ素子の前レンズ
    面と後レンズ面(32b、62b、72b)との曲率半径を限定し、かつ、前レ
    ンズ面の端縁により、また、該端縁の平面(46)内に境界を画定されるように
    、複合レンズの射出ひとみの位置を限定する工程と、 上述の限定パラメータに基づいて、光線追跡手段を利用して前レンズ素子を通
    過する周辺光線の高さを追跡することにより、複合レンズの開口絞りの位置およ
    び倍率を追跡する工程と、 前レンズ素子を通る周辺光線の高さが射出ひとみの位置で最高となるまで上述
    の各工程を反復し、次いで、上述の限定パラメータを修正する工程と、 前レンズ素子の前レンズ面(32a、62a、72a)の直径よりも小さくな
    るように、複合レンズの残りのレンズ面(c、d、e、f、g、h)の直径を限
    定し、複合レンズの機能性を限定する工程と、 光線追跡手段を使用して、射出ひとみと、先に限定された前レンズ素子を通る
    周辺光線の高さとの間の関係を残りのレンズ面が変えないような方法で、複合レ
    ンズの残りのものを設計する工程とを含んでいる、方法。
  12. 【請求項12】 前記方法の前記第1の工程において限定されるパラメータ
    は、開口絞りの直径が射出ひとみの直径よりも小さい時のみに修正されるだけで
    ある、請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前レンズ素子(32、62、72)の前レンズ面(32a
    、62a、72a)の直径を限定する前記工程は、前記前レンズ素子の直径を限
    定する工程を含んでいる、請求項11または請求項12のいずれかに記載の方法
  14. 【請求項14】 複合レンズの機能性を限定する前記工程は、特定の物体お
    よび特定の画像距離を備えた有限共役レンズとして複合レンズを限定する工程を
    含んでいる、請求項11から請求項13のいずれかに記載の方法。
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