JP2003505350A5 - - Google Patents

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JP2003505350A5
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【書類名】 明細書
【発明の名称】 免疫関連疾患の治療のための組成物と方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】 PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチド、アゴニスト又はそれらの断片及び担体又は賦形剤を含んでなり、抗原に応答して
(a)それを必要とする哺乳動物の組織への炎症性細胞の浸潤を増大させ、
(b)それを必要とする哺乳動物における免疫反応を刺激又は促進し、又は
(c)それを必要とする哺乳動物におけるTリンパ球の増殖を増大させるのに有用な組成物。
【請求項2】 PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチド、アンタゴニスト又はそれらの断片及び担体又は賦形剤を含んでなり、抗原に応答して
(a)それを必要とする哺乳動物の組織への炎症性細胞の浸潤を減少させ、
(b)それを必要とする哺乳動物における免疫反応を阻害又は低下させ、又は
(c)それを必要とする哺乳動物におけるTリンパ球の増殖を減少させるのに有用な組成物。
【請求項3】 PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチド、そのアゴニスト抗体、それに対するアンタゴニスト抗体、又はそれらの断片の有効量を含有する、T細胞媒介疾患等の免疫関連疾患を、その治療を必要とする哺乳動物において治療するための組成物
【請求項4】 疾患が、全身性紅斑性狼瘡、リウマチ様関節炎、変形性関節症、若年性慢性関節炎、脊椎関節症、全身性硬化症(強皮症)、特発性炎症ミオパシー(皮膚筋炎、多発性筋炎)、シェーグレン症候群、全身性血管炎症症(systemic vaculitis)、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血(免疫再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿)、自己免疫性血小板減少(特発性血小板減少性紫斑病、免疫仲介血小板減少)、甲状腺炎(グレーブス疾患、ハシモト甲状腺炎、若年性リンパ球性甲状腺炎、萎縮性甲状腺炎)、真性糖尿病、免疫仲介腎疾患(糸球体腎炎、尿細管間質性腎炎)、例えば多発性硬化症、特発性脱髄性多発神経障害、又はギラン-バレー症候群、及び慢性炎症脱髄性多発神経障害のような中枢及び末梢神経系の脱髄疾患、伝染性肝炎(A型、B型、C型、D型、E型肝炎及び他の非肝炎性(nonhepatotropic)ウィルス)、自己免疫性慢性活性肝炎、原発性胆汁性肝硬変症、肉芽腫性肝炎、及び硬化性胆管炎のような肝疾患、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎:クローン病)、グルテン過敏性腸疾患、ウィップル病、水疱性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触性皮膚炎を含む自己免疫又は免疫媒介皮膚疾患、乾癬、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物過敏症及び蕁麻疹等のアレルギー性疾患、好球性肺炎、特発性肺線維症及び過敏性肺炎のような肺の免疫疾患、拒絶反応及び移植片対宿主疾患を含む移植関連疾患から選択される、請求項に記載の組成物
【請求項5】 アゴニスト又はアンタゴニストがモノクローナル抗体である、求項1ないしの何れかに記載の組成物
【請求項6】 アゴニスト又はアンタゴニストが抗体断片又は一本鎖抗体である、求項1ないしの何れかに記載の組成物
【請求項7】 抗体が、非ヒト相補性決定領域(CDR)残基及びヒトフレームワーク領域(FR)残基を持つ、請求項又はに記載の組成物
【請求項8】 PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドの存在を測定する方法であって、該ポリペプチドを含有すると推測される細胞を、抗-PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375抗体に暴露し、抗体の細胞への結合を測定することを含方法。
【請求項9】 哺乳動物における免疫関連疾患を診断する方法であって、
(a)乳動物から得た組織細胞の試験試料中、及び(b)同じ細胞タイプ既知の正常組織細胞のコントロール試料中におけるPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドをコードする遺伝子の発現レベルを検出することを含み、
試験試料中でのコントロール試料に比較して高い発現レベルが、験組織細胞を得た哺乳動物における免疫関連疾患の存在を示す方法。
【請求項10】 哺乳動物における免疫関連疾患を診断する方法であって、
(a)抗-PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375抗体を当該哺乳動物から得た組織細胞の試験試料と接触させ、そして(b)試験試料中での抗体とポリペプチドとの間の複合体形成を検出することを含み、
複合体の形成が哺乳動物における免疫疾患の存在を示す、方法。
【請求項11】 抗-PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375抗体又はその断片及び担体を適当な包装中に具備る免疫関連疾患の診断キット。
【請求項12】 抗体をPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドの検出に使用するための説明書をさらに具備する、請求項11に記載のキット。
【請求項13】 容器;
当該容器上のラベル;及び
当該容器内に収容された活性剤を含有する組成物具備し、当該組成物が哺乳動物における免疫反応を阻害又は減少するのに有効であり、容器上のラベルが当該組成物は免疫関連疾患の治療に使用できることを表示し、組成物中の活性剤がPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドの発現及び/又は活性を阻害する薬剤である製造品。
【請求項14】 前記活性剤が抗-PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375抗体である請求項13に記載の製造品。
【請求項15】 PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドの発現又は活性を阻害することのできる化合物を同定する方法であって、候補化合物を該ポリペプチドと、これら2成分を相互作用させる条件下及び十分な時間で接触させることを含方法。
【請求項16】 候補化合物あるいはPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドが固体支持体上に固定化される請求項15に記載の方法。
【請求項17】 非固定化成分が検出可能な標識を担持する請求項16に記載の方法。
【請求項18】 図2(配列番号:2)、図4(配列番号:4)、図6(配列番号:6)、図8(配列番号:8)、図10(配列番号:10)図16(配列番号:16)、図18(配列番号:18)、図20(配列番号:20)、図22(配列番号:22)、図24(配列番号:24)及び図26(配列番号:26)に示したアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して少なくとも80%の核酸配列同一性を有する単離された核酸。
【請求項19】 図1(配列番号:1)、図3(配列番号:3)、図5(配列番号:5)、図7(配列番号:7)、図9(配列番号:9)図15(配列番号:15)、図17(配列番号:17)、図19(配列番号:19)、図21(配列番号:21)、図23(配列番号:23)及び図25(配列番号:25)に示したヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも80%の核酸配列同一性を有する単離された核酸。
【請求項20】 図1(配列番号:1)、図3(配列番号:3)、図5(配列番号:5)、図7(配列番号:7)、図9(配列番号:9)図15(配列番号:15)、図17(配列番号:17)、図19(配列番号:19)、図21(配列番号:21)、図23(配列番号:23)及び図25(配列番号:25)に示したヌクレオチド配列の全長コード配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも80%の核酸配列同一性を有する単離された核酸。
【請求項21】 下表に示されたATCC受託番号の何れかで寄託されたDNAの全長コード配列と少なくとも80%の核酸配列同一性を有する単離された核酸。
材料 UNQ PRO ATCC寄託番号 寄託日
DNA16451-1388 153 179 209776 1998年4月14日
DNA19355-1150 149 175 209466 1997年11月18日
DNA27865-1091 156 182 209296 1997年9月23日
DNA33085-1110 321 366 209087 1997年5月30日
DNA34387-1138 214 240 209260 1997年9月16日
DNA47365-1206 319 364 209436 1997年11月7日
DNA47470-1130 313 356 209422 1997年10月28日
DNA57694-1341 467 826 203017 1998年6月23日
DNA59214-1449 525 1068 203046 1998年7月1日
DNA66675-1587 698 1343 203282 1998年9月22日
DNA67004-1614 712 1375 203115 1998年8月11日
【請求項22】 請求項18ないし21の何れか1項に記載の核酸を含ベクター。
【請求項23】 ベクターで形質転換され宿主細胞に認識されるコントロール配列に作用可能に結合した請求項22に記載のベクター。
【請求項24】 請求項22に記載のベクターを含宿主細胞。
【請求項25】 前記細胞がCHO細胞である請求項24に記載の宿主細胞。
【請求項26】 前記細胞が大腸菌である請求項24に記載の宿主細胞。
【請求項27】 前記細胞が酵母細胞である請求項24に記載の宿主細胞。
【請求項28】 請求項24に記載の宿主細胞を、PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培養物から前記PROポリペプチドを回収することを含む、PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドの製造方法。
【請求項29】 図2(配列番号:2)、図4(配列番号:4)、図6(配列番号:6)、図8(配列番号:8)、図10(配列番号:10)図16(配列番号:16)、図18(配列番号:18)、図20(配列番号:20)、図22(配列番号:22)、図24(配列番号:24)及び図26(配列番号:26)に示したアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する単離されたポリペプチド。
【請求項30】 図2(配列番号:2)、図4(配列番号:4)、図6(配列番号:6)、図8(配列番号:8)、図10(配列番号:10)図16(配列番号:16)、図18(配列番号:18)、図20(配列番号:20)、図22(配列番号:22)、図24(配列番号:24)及び図26(配列番号:26)に示したアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較したとき少なくとも80%のポジティブのスコアを示す単離されたポリペプチド。
【請求項31】 下表に示されたATCC受託番号の何れかで寄託されたDNAの全長コード配列によってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する単離されたポリペプチド。
材料 UNQ PRO ATCC寄託番号 寄託日
DNA16451-1388 153 179 209776 1998年4月14日
DNA19355-1150 149 175 209466 1997年11月18日
DNA27865-1091 156 182 209296 1997年9月23日
DNA33085-1110 321 366 209087 1997年5月30日
DNA34387-1138 214 240 209260 1997年9月16日
DNA47365-1206 319 364 209436 1997年11月7日
DNA47470-1130 313 356 209422 1997年10月28日
DNA57694-1341 467 826 203017 1998年6月23日
DNA59214-1449 525 1068 203046 1998年7月1日
DNA66675-1587 698 1343 203282 1998年9月22日
DNA67004-1614 712 1375 203115 1998年8月11日
【請求項32】 異種アミノ酸配列に融合した請求項29ないし31の何れか1項に記載のポリペプチドを含キメラ分子。
【請求項33】 前記異種アミノ酸配列がエピトープタグ配列である請求項32に記載のキメラ分子。
【請求項34】 前記異種アミノ酸配列が免疫グロブリンのFc領域である請求項32に記載のキメラ分子。
【請求項35】 請求項29ないし31の何れか1項に記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項36】 前記抗体がモノクローナル抗体、ヒト化抗体又は一本鎖抗体である請求項35に記載の抗体。
【請求項37】 (a)図2(配列番号:2)、図4(配列番号:4)、図6(配列番号:6)、図8(配列番号:8)、図10(配列番号:10)図16(配列番号:16)、図18(配列番号:18)、図20(配列番号:20)、図22(配列番号:22)、図24(配列番号:24)又は図26(配列番号:26)に示したポリペプチドをコードし、その関連シグナルペプチドを欠くヌクレオチド配列;
(b)図2(配列番号:2)、図4(配列番号:4)、図6(配列番号:6)、図8(配列番号:8)、図10(配列番号:10)図16(配列番号:16)、図18(配列番号:18)、図20(配列番号:20)、図22(配列番号:22)、図24(配列番号:24)又は図26(配列番号:26)に示したポリペプチドの細胞外ドメインをコードし、その関連シグナルペプチドを伴うヌクレオチド配列;又は
(c)図2(配列番号:2)、図4(配列番号:4)、図6(配列番号:6)、図8(配列番号:8)、図10(配列番号:10)図16(配列番号:16)、図18(配列番号:18)、図20(配列番号:20)、図22(配列番号:22)、図24(配列番号:24)及び図26(配列番号:26)に示したポリペプチドの細胞外ドメインをコードし、その関連シグナルペプチドを欠くヌクレオチド配列;
と少なくとも80%の核酸配列同一性を有する単離された核酸。
【請求項38】 (a)図2(配列番号:2)、図4(配列番号:4)、図6(配列番号:6)、図8(配列番号:8)、図10(配列番号:10)図16(配列番号:16)、図18(配列番号:18)、図20(配列番号:20)、図22(配列番号:22)、図24(配列番号:24)又は図26(配列番号:26)に示され、その関連シグナルペプチドを欠くポリペプチド;
(b)図2(配列番号:2)、図4(配列番号:4)、図6(配列番号:6)、図8(配列番号:8)、図10(配列番号:10)図16(配列番号:16)、図18(配列番号:18)、図20(配列番号:20)、図22(配列番号:22)、図24(配列番号:24)又は図26(配列番号:26)に示され、その関連シグナルペプチドを伴うポリペプチドの細胞外ドメイン;又は
(c)図2(配列番号:2)、図4(配列番号:4)、図6(配列番号:6)、図8(配列番号:8)、図10(配列番号:10)図16(配列番号:16)、図18(配列番号:18)、図20(配列番号:20)、図22(配列番号:22)、図24(配列番号:24)又は図26(配列番号:26)に示され、その関連シグナルペプチドを欠くポリペプチドの細胞外ドメイン;
と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する単離されたポリペプチド。
【請求項39】 Tリンパ球の増殖促進剤であって、リンパ球の増殖の促進に十分な量PRO364、PRO826、PRO1068、PRO1343、又はPRO1375ポリペプチドを含有する促進剤
【請求項40】 前記PRO364ポリペプチドが、図16(配列番号:16)に示されるアミノ酸配列と少なくとも約8%アミノ酸配列同一性を有する請求項39に記載の促進剤
【請求項41】 前記PRO826ポリペプチドが図20(配列番号:20)に示されるアミノ酸配列と少なくとも約8%アミノ酸配列同一性を有する請求項39に記載の促進剤
【請求項42】 前記PRO1068ポリペプチドが、図22(配列番号:22)に示されるアミノ酸配列と少なくとも約8%アミノ酸配列同一性を有する請求項39に記載の促進剤
【請求項43】 前記PRO1343ポリペプチドが、図24(配列番号:24)に示されるアミノ酸配列と少なくとも約8%アミノ酸配列同一性を有する請求項39に記載の促進剤
【請求項44】 前記PRO1375ポリペプチドが、図26(配列番号:26)に示されるアミノ酸配列と少なくとも約8%アミノ酸配列同一性を有する請求項39に記載の促進剤
【請求項45】 哺乳動物の免疫反応の刺激剤であって、疫反応を促進するのに十分な量PRO175、PRO179、PRO240、PRO366又はPRO1375ポリペプチドを含有する刺激剤
【請求項46】 前記PRO175ポリペプチドが、図4(配列番号:4)に示されるアミノ酸配列と少なくとも約8%アミノ酸配列同一性を有する請求項45に記載の刺激剤
【請求項47】 前記PRO179ポリペプチドが、図2(配列番号:2)に示されるアミノ酸配列と少なくとも約8%アミノ酸配列同一性を有する請求項45に記載の刺激剤
【請求項48】 前記PRO240ポリペプチドが、図10(配列番号:10)に示されるアミノ酸配列と少なくとも約8%アミノ酸配列同一性を有する請求項45に記載の刺激剤
【請求項49】 前記PRO366ポリペプチドが、図8(配列番号:8)に示されるアミノ酸配列と少なくとも約8%アミノ酸配列同一性を有する請求項45に記載の刺激剤
【請求項50】 前記PRO1375ポリペプチドが、図26(配列番号:26)に示されるアミノ酸配列と少なくとも約8%アミノ酸配列同一性を有する請求項45に記載の刺激剤
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は免疫関連疾患の診断と治療のための組成物と方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
免疫関連及び炎症疾患は、正常な生理機能では、発作又は傷害に反応して、発作又は傷害から修復を開始し、外来生物体に対する生得及び後天的防御を開始するのに重要な、かなり複合化した、多くの場合は多重に相互に関連した生物学的経路の現れ又は結果である。疾患又は病理は、これらの正常な生理学的経路が、反応の強さに直接関連してか、異常な調節又は過度な刺激の結果として、自己に対する反応として、又はこれらの組合せとして、さらなる発作又は傷害を引き起こすときに生じる。
これらの疾患の発生は、多くの場合、多段階経路、及び多くの生物学的システム/経路、に関与しており、一又は複数のこれらの経路の重要点における介在により改善又は治療効果を有し得る。治療的介在は有害なプロセス/経路、又は有益なプロセス/経路の刺激のいずれかにより生じる。
多くの免疫関連疾患が知られており、広範囲にわたって研究されている。このような疾患には、免疫媒介炎症疾患、非免疫媒介炎症疾患、感染疾患、免疫欠損症、異常増殖等が含まれる。
Tリンパ球(T細胞)は哺乳動物の免疫反応の重要な成分である。T細胞は主要組織適合性複合体(MHC)内の遺伝子によりコードされる自己分子と結合する抗原を認識する。抗原は抗原提示細胞、ウイルス感染細胞、癌細胞、移植片等の表面上のMHC分子と共に示され得る。T細胞系は宿主哺乳動物の健康を脅かすこれらの改変細胞を除去するものである。T細胞はヘルパーT細胞及び細胞障害性T細胞を含む。ヘルパーT細胞は、抗原提示細胞上の抗原-MHC複合体の認識に続いて広範囲に増殖する。またヘルパーT細胞は種々のサイトカイン、例えばリンホカインを分泌し、これはB細胞、細胞障害性T細胞、及び免疫反応に寄与している種々の他の細胞の活性化において中心的な役割を担っている。
【0003】
体液及び細胞媒介性の免疫反応の双方における中心的事象は、ヘルパーT細胞の活性化及びクローン増殖である。ヘルパーT細胞の活性化は、抗原提示細胞の表面におけるT細胞レセプター(TCR)-CD3複合体と抗原-MHCとの相互作用により開始される。この相互作用は休止ヘルパーT細胞が細胞サイクル(G0からG1転移)に入るのを誘発する生化学的事象のカスケードを媒介し、結果として、IL-2と、時々はIL-4とに対する高親和性レセプターが発現する。活性化されたT細胞は増殖及び記憶細胞とエフェクター細胞への分化のサイクルを通って進行する。
TCRを通して媒介されたシグナルに加えて、T細胞の活性化は、抗原提示細胞により放出されるサイトカイン、又は抗原提示細胞とT細胞上の膜結合性分子との相互作用により誘発される付加的な同時刺激に関与している。サイトカインIL-1及びIL-6は同時刺激シグナルを提供することが示されている。また、抗原提示細胞の表面で発現したB7分子とT細胞表面で発現したCD28及びCTLA-4分子との相互作用により細胞の活性化がなされる。活性化されたT細胞は増加した数の細胞付着分子、例えばICAM-1、インテグリン、VLA-4、LFA-1、CD56等を発現する。
混合リンパ球培養又は混合リンパ球反応(MLR)におけるT細胞増殖は、化合物が免疫系を刺激する能力の確立された指標である。多くの免疫反応において、炎症細胞は傷害又は感染部位に浸潤する。移動細胞は、影響を受けた組織の組織学的検査により決定可能な好中球、好酸球、単球又はリンパ球でありうる。Current Protocols in Immunology, 編集 John. E. Coligan, 1994, John Wiley & Sons, Inc.参照。
免疫関連疾患は免疫反応を抑制することにより治療することができる。免疫刺激活性を有する分子を阻害する中和抗体を使用することは、免疫媒介及び炎症疾患の治療に有用である。免疫反応を阻害する分子は免疫反応の阻害に有用であり(タンパク質を直接、又は抗体アゴニストの使用を介して)、よって免疫関連疾患を改善する。
【0004】
(発明の概要)
1.実施態様
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における免疫関連疾患の診断と治療ための組成物と方法に関する。本発明は、哺乳動物における免疫反応を刺激又は阻害するタンパク質(アゴニスト及びアンタゴニスト抗体を含む)の同定に基づく。免疫関連疾患は免疫反応を阻害又は増強することで治療することができる。免疫反応を促進する分子は、抗原に対する免疫反応を促進又は増強する。免疫反応増強が有益である場合には、免疫反応を刺激する分子は治療に使用可能である。また、免疫反応の抑制が重要である場合には、このような刺激分子は阻害されうる。中和抗体は、免疫刺激活性を有する分子を阻害する分子の例であり、免疫関連及び炎症疾患の治療に役立つ。また、免疫反応を阻害する分子は免疫反応の阻害に(タンパク質を直接又は抗体アゴニストの使用を経て)利用されうるし、こうして免疫関連疾患は改善する。
従って、PROポリペプチド及び抗-PRO抗体及びそれらの断片は、免疫関連疾患の診断及び/又は治療(予防を含む)に役立つ。刺激タンパク質に結合する抗体は免疫システム及び免疫反応の阻害に利用可能である。阻害タンパク質に結合する抗体は免疫システム及び免疫反応の刺激に有用である。また、PROポリペプチド及び抗-PRO抗体は免疫関連及び炎症疾患の治療のための薬や薬剤の調製に有用である。
【0005】
一実施態様では、本発明は、PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドに結合する単離された抗体に関する。一態様では、抗体は、PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチド活性に類似する(アゴニスト抗体)、又は逆に抗体はPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドの活性を阻害又は中和する(アンタゴニスト抗体)。他の態様では、抗体はモノクローナル抗体であり、それは好ましくは非ヒト相補性決定領域(CDR)残基及びヒトフレームワーク領域(FR)残基を有する。抗体は標識されていてもよく、固体支持体に固定化されていてもよい。さらなる態様では、抗体は抗体断片、一本鎖抗体、又は抗-イディオタイプ抗体である。
他の実施態様では、本発明は、PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチド、又は当該ポリペプチドに結合するアゴニスト又はアンタゴニスト抗体を、担体又は賦形剤と混合して含有する組成物に関する。一態様では、組成物は治療的有効量のペプチド又は抗体を含有する。他の態様では、組成物が免疫刺激性分子を含有する場合、当該組成物は、抗原に応答して(a)それを必要とする哺乳動物の組織への炎症性細胞の浸潤を増大させ、(b)それを必要とする哺乳動物における免疫反応を刺激又は促進し、又は(c)それを必要とする哺乳動物におけるTリンパ球の増殖を増大させるのに有用である。さらなる態様では、組成物が免疫阻害性分子を含有する場合、当該組成物は、抗原に応答して(a)それを必要とする哺乳動物の組織への炎症性細胞の浸潤を減少させ、(b)それを必要とする哺乳動物における免疫反応を阻害又は低下させ、又は(c)それを必要とする哺乳動物におけるTリンパ球の増殖を減少させるのに有用である。他の態様では、組成物は更なる活性成分を含有し、それは、例えば更なる抗体又は細胞障害性又は化学治療薬であってよい。好ましくは、組成物は無菌である。
一実施態様では、本発明は本発明のポリペプチド及び抗体の、上記の用途を有する組成物又は医薬の調製のための使用に関する。
さらなる実施態様では、本発明は抗-PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375抗体をコードする核酸、及びそのような核酸を含むベクター及び宿主細胞に関する。またさらなる態様では、本発明は、抗体をコードする核酸で形質転換した宿主細胞を、抗体が発現される条件下で培養し、細胞培地から抗体を回収することによるそれらの抗体の製造方法に関する。
【0006】
さらに本発明は、PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドの一又は複数の機能又は活性を阻害する、PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドのアンタゴニスト及びアゴニストに関する。
さらなる実施態様では、本発明は、PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドをコードする核酸分子の補体にハイブリッド形成する単離された核酸分子に関する。核酸は好ましくはDNAであり、ハイブリッド形成は好ましくは緊縮性条件下で起こる。このような核酸分子は、ここに同定される増幅されたアンチセンス分子として作用し、それは次に、対応する増幅された遺伝子のモジュレーションにおいて、又は増幅反応におけるアンチセンスプライマーとしての用途が見出される。さらに、これらの配列は、リボザイム(ribozyme)及び/又は三重螺旋配列の一部として使用でき、それはって増幅された遺伝子の調節で使用してもよい。
他の実施態様では、本発明は、PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドの存在を測定する方法であって、該ポリペプチドを含有すると推測される細胞を、抗-PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375抗体に暴露し、抗体の細胞への結合を測定することを含んでなる方法に関する。
さらに他の実施態様では、本発明は哺乳動物における免疫関連疾患を診断する方法に関し、それは(a)当該哺乳動物から得た組織細胞の試験試料中、及び(b)同じ細胞型の知られた正常細胞のコントロール試料中におけるPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドをコードする遺伝子の発現レベルを検出することを含んでなり、試験試料中での高い発現レベルが、当該試験組織細胞を得た哺乳動物における免疫関連疾患の存在を示す。
他の実施態様では、本発明は哺乳動物における免疫関連疾患を診断する方法に関し、それは(a)抗-PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375抗体を当該哺乳動物から得た組織細胞の試料と接触させ、そして(b)試験試料中での抗体とポリペプチドとの間の複合体形成を検出することを含んでなる。検出は、定性的でも定量的でも良く、同じ細胞型の知られた正常組織細胞のコントロール試料における複合体形成の監視との比較において実施される。試験試料中で形成された複合体量が多いことは、試験組織細胞を得た哺乳動物における腫瘍の存在を示す。抗体は、好ましくは検出可能な標識を担持している。複合体形成は、例えば、光学顕微鏡、フローサイトメトリー、蛍光定量法、又はこの分野で知られた他の技術によって監視される。試験試料は、通常は免疫系の不全又は異常を有すると推定される個体から得る。
【0007】
他の実施態様では、本発明は、抗-PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375抗体及び担体(例えば、バッファー)を適当な包装中に具備してなる診断キットに関する。このキットは、好ましくは抗体をPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドの検出に使用するための説明書を備える。
さらなる実施態様では、本発明は、
容器;
当該容器上のラベル;及び
当該容器内に収容された活性剤を含有する組成物とを具備し、当該組成物が哺乳動物における免疫反応を促進又は阻害するのに有効であり、容器上のラベルが当該組成物は免疫関連疾患の治療に使用できることを表示し、組成物中の活性剤がPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドの発現及び/又は活性を刺激又は阻害する薬剤である製造品に関する。好ましい態様では、活性剤はPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチド又は抗-PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375抗体である。
さらなる実施態様では、候補化合物をPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドと、これら2成分を相互作用させる条件下及び十分な時間で接触させることを含んでなるPRO245ポリペプチドの発現及び/又は活性を阻害することのできる化合物の同定方法に関する。特別な態様では、候補化合物あるいはPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドのいずれかが固体支持体上に固定化される。他の態様では、非固定化成分が検出可能な標識を担持する。
他の実施態様では、本発明は、Tリンパ球の増殖を促進する方法であって、Tリンパ球の増殖を促進するのに十分な量でPRO256、PRO306、PRO364、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドとTリンパ球を接触させることを含む方法に関する。
さらに他の実施態様は、哺乳動物の免疫反応を促進する方法であって、免疫反応を促進するのに十分な量でPRO175、PRO179、PRO240、PRO366又はPRO1375ポリペプチドを哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
【0008】
2.更なる実施態様
本発明のさらなる実施態様では、本発明は、ここに記載するポリペプチドの任意のものをコードするDNAを含むベクターを提供する。そのようなベクターの任意のものを含む宿主細胞も提供される。例として、宿主細胞はCHO細胞、大腸菌、又は酵母であってよい。ここに記載する任意のポリペプチドの製造方法がさらに提供され、それは、宿主細胞を所望のポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培地から所望のポリペプチドを回収することを含む。
他の実施態様では、本発明は、異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合した、ここに記載する任意のポリペプチドを含んでなるキメラ分子を提供する。そのようなキメラ分子の例は、エピトープタグ配列又は免疫グロブリンのFc領域に融合したここに記載の任意のポリペプチドを含む。
他の実施態様では、本発明は、上記又は下記のポリペプチドの任意のものに特異的に結合する抗体を提供する。場合によっては、抗体はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗体断片又は一本鎖抗体である。
さらに他の実施態様では、本発明は、ゲノム及びcDNAヌクレオチド配列又はアンチセンスプローブの単離に有用なオリゴヌクレオチドプローブを提供し、それらのプローブは上記又は下記のヌクレオチド配列の任意のものから誘導されうる。
一実施態様において、本発明はPROポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。
一態様において、単離された核酸分子は、(a)ここに開示された全長アミノ酸配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠くアミノ酸配列、シグナルペプチドを伴うか伴わないここに開示された膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、又はここに開示された全長アミノ酸配列の任意の他の特に定められた断片を有するPROポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の補体に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、又は少なくとも約81%の核酸配列同一性、又は少なくとも約82%の核酸配列同一性、又は少なくとも約83%の核酸配列同一性、又は少なくとも約84%の核酸配列同一性、又は少なくとも約85%の核酸配列同一性、又は少なくとも約86%の核酸配列同一性、又は少なくとも約87%の核酸配列同一性、又は少なくとも約88%の核酸配列同一性、又は少なくとも約89%の核酸配列同一性、又は少なくとも約90%の核酸配列同一性、又は少なくとも約91%の核酸配列同一性、又は少なくとも約92%の核酸配列同一性、又は少なくとも約93%の核酸配列同一性、又は少なくとも約94%の核酸配列同一性、又は少なくとも約95%の核酸配列同一性、又は少なくとも約96%の核酸配列同一性、又は少なくとも約97%の核酸配列同一性、又は少なくとも約98%の核酸配列同一性、そして、又は少なくとも約99%の核酸配列同一性を有しているヌクレオチド配列を含んでなる。
【0009】
他の態様において、単離された核酸分子は、(a)ここに開示されたPROポリペプチドcDNAのコード配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠くPROポリペプチドのコード配列、シグナルペプチドを伴うか伴わないここに開示した膜貫通PROポリペプチドの細胞外ドメインのコード配列、又はここに開示された全長アミノ酸配列の任意の他の特に定められた断片のコード配列を含むDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の補体に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、又は少なくとも約81%の核酸配列同一性、又は少なくとも約82%の核酸配列同一性、又は少なくとも約83%の核酸配列同一性、又は少なくとも約84%の核酸配列同一性、又は少なくとも約85%の核酸配列同一性、又は少なくとも約86%の核酸配列同一性、又は少なくとも約87%の核酸配列同一性、又は少なくとも約88%の核酸配列同一性、又は少なくとも約89%の核酸配列同一性、又は少なくとも約90%の核酸配列同一性、又は少なくとも約91%の核酸配列同一性、又は少なくとも約92%の核酸配列同一性、又は少なくとも約93%の核酸配列同一性、又は少なくとも約94%の核酸配列同一性、又は少なくとも約95%の核酸配列同一性、又は少なくとも約96%の核酸配列同一性、又は少なくとも約97%の核酸配列同一性、又は少なくとも約98%の核酸配列同一性、そして、又は少なくとも約99%の核酸配列同一性を有しているヌクレオチド配列を含んでなる。
さらなる態様では、本発明は、(a)ここに開示されたATTCに寄託されたヒトタンパク質cDNAの任意のものによりコードされる同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子、又は(b)(a)のDNA分子の補体に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、又は少なくとも約81%の核酸配列同一性、又は少なくとも約82%の核酸配列同一性、又は少なくとも約83%の核酸配列同一性、又は少なくとも約84%の核酸配列同一性、又は少なくとも約85%の核酸配列同一性、又は少なくとも約86%の核酸配列同一性、又は少なくとも約87%の核酸配列同一性、又は少なくとも約88%の核酸配列同一性、又は少なくとも約89%の核酸配列同一性、又は少なくとも約90%の核酸配列同一性、又は少なくとも約91%の核酸配列同一性、又は少なくとも約92%の核酸配列同一性、又は少なくとも約93%の核酸配列同一性、又は少なくとも約94%の核酸配列同一性、又は少なくとも約95%の核酸配列同一性、又は少なくとも約96%の核酸配列同一性、又は少なくとも約97%の核酸配列同一性、又は少なくとも約98%の核酸配列同一性、そして、又は少なくとも約99%の核酸配列同一性を有しているヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸分子に関する。
【0010】
本発明の他の態様は、膜貫通ドメインが欠失されているか膜貫通ドメインが不活性化されているPROポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、またはそのようなコード化ヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸分子を提供しここでそのようなポリペプチドの膜貫通ドメインがここに開示される。従って、ここに記載されたPROポリペプチドの可溶性細胞外ドメインが考慮される。
他の実施態様は、PROポリペプチドコード配列の断片、又はその補体に向けられ、それらは、例えば、場合によっては抗-PRO抗体に対する結合部位を含むポリペプチドをコードするPROポリペプチドの断片をコードする、ハイブリッド形成プローブとして、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドプローブとしての用途が見いだされる。そのような核酸断片は通常少なくとも約20のヌクレオチド長、又は少なくとも約30のヌクレオチド長、又は少なくとも約40のヌクレオチド長、又は少なくとも約50のヌクレオチド長、又は少なくとも約60のヌクレオチド長、又は少なくとも約70のヌクレオチド長、又は少なくとも約80のヌクレオチド長、又は少なくとも約90のヌクレオチド長、又は少なくとも約100のヌクレオチド長、又は少なくとも約110のヌクレオチド長、又は少なくとも約120のヌクレオチド長、又は少なくとも約130のヌクレオチド長、又は少なくとも約140のヌクレオチド長、又は少なくとも約150のヌクレオチド長、又は少なくとも約160のヌクレオチド長、又は少なくとも約170のヌクレオチド長、又は少なくとも約180のヌクレオチド長、又は少なくとも約190のヌクレオチド長、又は少なくとも約200のヌクレオチド長、又は少なくとも約250のヌクレオチド長、又は少なくとも約300のヌクレオチド長、又は少なくとも約350のヌクレオチド長、又は少なくとも約400のヌクレオチド長、又は少なくとも約450のヌクレオチド長、又は少なくとも約500のヌクレオチド長、又は少なくとも約600のヌクレオチド長、又は少なくとも約700のヌクレオチド長、又は少なくとも約800のヌクレオチド長、又は少なくとも約900のヌクレオチド長、又は少なくとも約1000のヌクレオチド長であり、ここで、「約」という用語は、その参照長のプラス又はマイナス10%の参照ヌクレオチド配列長を意味する。それぞれのPROポリペプチドコード化ヌクレオチド配列の新規な断片は、多くのよく知られた配列アラインメントプログラムの任意のものを使用して、それぞれのPROポリペプチドコードヌクレオチド配列を他の既知のヌクレオチド配列にアラインメントさせ、どのヌクレオチド配列断片(類)が新規であるかを決定することにより常套的方法により決定することができることに留意される。そのようなそれぞれのPROポリペプチドコード化ヌクレオチド配列の全てがここで考慮される。また考慮されるものは、これらのヌクレオチド分子によりコードされるPROポリペプチド断片、好ましくは抗-PROポリペプチド抗体に対する結合部位を含んでなるそれらのポリペプチド断片である。
【0011】
他の実施態様では、本発明は、上記で同定された単離された核酸配列の任意のものにコードされる単離されたPROポリペプチドを提供する。
或る態様では、本発明は、ここに開示された全長アミノ酸配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠くアミノ酸配列、ここに開示されたシグナルペプチドを伴うか伴わない膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、又はここに開示された全長アミノ酸配列の任意の他の特に定められた断片を有するPROポリペプチドに対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約84%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約86%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約87%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約91%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約93%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約96%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有しているアミノ酸配列を含んでなる単離されたPROポリペプチドに関する。
さらなる態様では、本発明は、ここに開示されたATTCに寄託されたヒトタンパク質cDNAの任意のものによりコードされるアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約84%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約86%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約87%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約91%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約93%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約96%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有しているアミノ酸配列を含んでなる単離されたPROポリペプチドに関する。
【0012】
さらなる態様では、本発明は、ここに開示された全長アミノ酸配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠く全長アミノ酸配列、シグナルペプチドを伴うか伴わないここに開示した膜貫通タンパク質の細胞外ドメインのコード配列、又はここに開示された全長アミノ酸配列の任意の他の特に定められた断片を有するPROポリペプチドのアミノ酸配列と比較したとき、少なくとも約80%のポジティブ、又は少なくとも約81%のポジティブ、又は少なくとも約82%のポジティブ、又は少なくとも約83%のポジティブ、又は少なくとも約84%のポジティブ、又は少なくとも約85%のポジティブ、又は少なくとも約86%のポジティブ、又は少なくとも約87%のポジティブ、又は少なくとも約88%のポジティブ、又は少なくとも約89%のポジティブ、又は少なくとも約90%のポジティブ、又は少なくとも約91%のポジティブ、又は少なくとも約92%のポジティブ、又は少なくとも約93%のポジティブ、又は少なくとも約94%のポジティブ、又は少なくとも約95%のポジティブ、又は少なくとも約96%のポジティブ、又は少なくとも約97%のポジティブ、又は少なくとも約98%のポジティブ、又は少なくとも約99%のポジティブのスコアを示すアミノ酸配列を含んでなる単離されたPROポリペプチドに関する。
特定の態様では、本発明は、N末端シグナル配列及び/又は開始メチオニンを持たない単離されたPROポリペプチドを提供し、それは上述したそのようなアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によりコードされる。これを生産する方法もまたここに記載され、ここで、これらの方法はPROポリペプチドの発現に適した条件下で適当なコード化核酸分子を含むベクターを含んでなる宿主細胞を培養し、細胞培地からPROポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0013】
本発明の他の態様は、膜貫通ドメインの欠失した又は膜貫通ドメインが不活性化された、単離されたPROポリペプチドを提供する。それらを製造する方法もここに記載され、それらの方法は、適当なコード化核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞をPROポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培養培地からPROポリペプチドを回収することを含む。
さらに他の実施態様では、本発明は、ここで特定される天然PROポリペプチドのアゴニスト及びアンタゴニストに関する。特別な実施態様では、アゴニスト又はアンタゴニストは抗-PRO抗体又は小分子である。
さらなる実施態様では、本発明は、PROポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストを同定する方法に関し、それは、PROポリペプチドを候補分子と接触させ、前記PROポリペプチドによって媒介される生物学的活性を監視することを含む。好ましくは、PROポリペプチドは天然PROポリペプチドである。
またさらなる実施態様では、本発明は、PROポリペプチド、又はここに記載するPROポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニスト、又は抗-PRO抗体を、担体と組み合わせて含有する物質の組成物に関する。場合によっては、担体は製薬的に許容される担体である。
本発明の他の実施態様は、PROポリペプチド、又は上記したようなそのアゴニスト又はアンタゴニスト、又は抗-PRO抗体の、PROポリペプチド、そのアゴニスト又はアンタゴニスト又は抗-PRO抗体に起因する状態の治療において有用な医薬の調製のための使用に向けられる。
【0014】
好ましい実施態様の詳細な説明
I.定義
「免疫関連疾患」という用語は、哺乳動物の免疫システムの成分が、哺乳動物の病的状態を引き起こし、媒介し又は寄与等するものである疾患を意味する。また、免疫反応の刺激又は介在により疾患の進行に改善された効果が付与される疾患も含まれる。この用語に含まれるものは、免疫媒介炎症疾患、非免疫媒介炎症疾患、感染症、免疫不全症、異常増殖等が含まれる。
「T細胞媒介疾患」という用語は、T細胞が直接的又は間接的に哺乳動物の病的状態を媒介するか寄与等する疾患を意味する。T細胞媒介疾患は細胞媒介効果、リンホカイン媒介効果等を伴い、例えばT細胞により分泌されるリンホカインによりB細胞が刺激されている場合はB細胞に関連した効果を伴う。
本発明で治療可能で、そのいくつかは免疫又はT細胞媒介性である免疫関連及び炎症疾患の例には、全身性紅斑性狼瘡、リウマチ様関節炎、若年性慢性関節炎、脊椎関節症、全身性硬化症(強皮症)、特発性炎症ミオパシー(皮膚筋炎、多発性筋炎)、シェーグレン症候群、全身性血管炎症症(systemic vaculitis)、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血(免疫再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿)、自己免疫性血小板減少(特発性血小板減少性紫斑病、免疫仲介血小板減少)、甲状腺炎(グレーブス疾患、ハシモト甲状腺炎、若年性リンパ球性甲状腺炎、萎縮性甲状腺炎)、真性糖尿病、免疫仲介腎疾患(糸球体腎炎、尿細管間質性腎炎)、例えば多発性硬化症、特発性脱髄性多発神経障害、又はギラン-バレー症候群、及び慢性炎症脱髄性多発神経障害のような中枢及び末梢神経系の脱髄疾患、伝染性肝炎(A型、B型、C型、D型、E型肝炎及び他の非肝炎性(nonhepatotropic)ウィルス)、自己免疫性慢性活性肝炎、原発性胆汁性肝硬変症、肉芽腫性肝炎、及び硬化性胆管炎のような肝疾患、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎:クローン病)、グルテン過敏性腸疾患、ウィップル病、水疱性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触性皮膚炎を含む自己免疫又は免疫媒介皮膚疾患、乾癬、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物過敏症及び蕁麻疹等のアレルギー性疾患、好球性肺炎、特発性肺線維症及び過敏性肺炎のような肺の免疫疾患、拒絶反応及び移植片対宿主疾患を含む移植関連疾患が含まれる。ウイルス性疾患、例えばAIDS(例えばHIV感染)、A型、B型、C型、D型及びE型肝炎、ヘルペス等、細菌感染、真菌感染、原生動物感染及び寄生虫感染等の感染症も含まれる。
【0015】
「治療」とは、疾患の病理の進行又は改変の防止を意図して行われる処置である。従って、「治療」とは、治癒的処置、予防的処置及び防止的処置の両方を称する。治療が必要なものとは、既に疾患に罹っているもの、並びに疾患に罹りやすいもの又は疾患が防止されているものを含む。免疫関連疾患の治療において、治療薬は直接的に免疫反応の成分度合いを減少又は増加させてもよいし、又は他の治療薬、例えば抗生物質、抗真菌剤、抗炎症剤、化学療法剤等による治療に対してより敏感にしてもよい。
「慢性」投与とは、急性様式とは異なり連続的な様式で薬剤を投与し、初期の治療効果(活性)を長時間に渡って維持することを称する。「間欠」投与とは、中断無く連続的になされるのではなく、むしろ本質的に周期的になされる処理である。
免疫関連疾患の「病理」は、患者の良好な生存を危うくさせる全ての現象を含む。これは、限定されるものではないが、異常又は制御不能な細胞成長、抗体生産、自己抗体生産、補体生産及び活性化、隣接細胞の正常機能の阻害、サイトカイン又は他の分泌生成物の異常レベルでの放出、炎症又は免疫反応の抑制又は悪化、組織空間への炎症細胞(好中球、エシオン好性球、単球、リンパ球)の侵入等を含む。
治療の目的のための「哺乳動物」は、ヒト、家庭及び農業用動物、及び動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ等を含む哺乳類に分類される任意の動物を称する。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
一又は複数のさらなる治療薬と「組み合わせた」投与とは、同時(同時期)及び任意の順序での連続した投与を含む。
ここで用いられる「担体」は、製薬的に許容されうる担体、賦形剤、又は安定化剤を含み、用いられる用量及び濃度でそれらに暴露される細胞又は哺乳動物に対して非毒性である。生理学的に許容されうる担体は、水性pH緩衝溶液であることが多い。生理学的に許容されうる担体の例は、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸のバッファー;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリシン;グルコース、マンノース又はデキストランを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商品名)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商品名)を含む。
【0016】
ここで用いられる「細胞障害薬」なる用語は、細胞の機能を阻害又は抑制する及び/又は細胞破壊を生ずる物質を称する。この用語は、放射性同位体(例えば、I131、I125、Y90及びRe186)、化学療法剤、及び細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素的活性毒素といった毒素、又はその断片を含むとされる。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学化合物である。化学療法剤の例は、アドリアマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara−C」)、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、サイトキシン、タキソイド類、例えばパクリタキセル(Taxol, Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)及びドキセタキセル(Taxotere, Rhone-Poulenc Rorer, Antony, Rnace)、トキソテール、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イフォスファミド、マイトマイシンC、マイトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラマイシン(米国特許第4,675,187号を参照のこと)、メルファラン、及び他の関連するナイトロジェンマスタードを含む。また、この定義に含まれるのは、タモキシフェン及びオナプリストン等の腫瘍へのホルモン作用を調節又は阻害するように作用するホルモン様薬剤である。
ここで用いられる際の「成長阻害剤」は、細胞、特にここで同定される任意の遺伝子を過剰発現する癌細胞の成長を、インビトロ又はインビボで阻害する化合物又は組成物を称する。即ち、成長阻害剤は、S相でそのような遺伝子を過剰発現する細胞の割合を有意に減少させるものである。成長阻害剤の例は、細胞周期の進行を(S相以外の位置で)ブロックする薬剤、例えばG1停止又はM相停止を誘発する薬剤を含む。古典的なM相ブロッカーは、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキソール、及びトポIIインヒビター、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンを含む。G1停止させるこれらの薬剤は、S相停止にも溢流し、例えば、DNAアルキル化剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-Cである。さらなる情報は、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael, 編, Chapter 1, 表題「Cell cycle regulation, oncogene, and antineoplastic drugs」, Murakami等, (WB Saunders: Philadelphia, 1995)、特にp13に見出すことができる。
「サイトカイン」なる用語は、1つの細胞集団から放出され、他の細胞に細胞間メディエータとして作用するタンパク質の一般用語である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインに含まれるのは、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インシュリン;プロインシュリン;レラキシン;プロレラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば濾胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体化ホルモン(LH);肝臓成長因子;線維芽成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-α及び-β;ミューラー阻害因子;マウス生殖腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-β等の神経成長因子;血小板成長因子;TGF-α及びTGF-β等のトランスフォーミング成長因子(TGF);インシュリン様成長因子-I及びII;エリスロポエチン(EPO);骨誘発因子;インターフェロン-α、-β、及び-γ等のインターフェロン;コロニー刺激因子(CSFs)、例えばマクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);及び顆粒球-CSF(G-CSF);インターロイキン(ILs)、例えばIL-1、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12;腫瘍壊死因子、例えばTNF-α及びTNF-β;及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子である。ここで用いられる際、用語サイトカインは、天然供給源から、又は組換え細胞培養からのタンパク質、及び天然配列サイトカインの生物学的な活性等価物を含む
【0017】
ここで使用される際の「PROポリペプチド」及び「PRO」という用語は、直後に数値符号がある場合に種々のポリペプチドを指し、完全な符号(例えば、PRO/数字)は、ここに記載する特定のポリペプチド配列を称する。ここで使用される「PRO/数字ポリペプチド」及び「PRO/数字」であって、「数字」がここで使用される実際の数値符号として与えられる用語は、天然配列ポリペプチド及びポリペプチド変異体(ここで更に詳細に定義する)を含む。ここに記載されるPROポリペプチドは、ヒト組織型又は他の供給源といった種々の供給源から単離してもよく、組換え又は合成方法によって調製してもよい。「PROポリペプチド」なる用語は、ここで記載する個々のPRO/数字ポリペプチドを意味する。「PROポリペプチド」に言及するこの明細書中の全ての開示は、ポリペプチドのそれぞれを個々に又は併せて意味する。例えば、調製、精製、誘導、抗体生成、投与、それを含有する組成物、それによる病気の治療などが、本発明の各ポリペプチドにそれぞれ関与している。また「PROポリペプチド」なる用語には、ここに開示されるPRO/数字ポリペプチドの変異体も含まれる。
「天然配列PROポリペプチド」は、天然由来の対応するPROポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでいる。このような天然配列PROポリペプチドは、自然から単離することもできるし、組換え又は合成手段により生産することもできる。「天然配列PROポリペプチド」という用語には、特に、特定のPROポリペプチドの自然に生じる切断又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列)、自然に生じる変異形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及びそのポリペプチドの自然に生じる対立遺伝子変異体が含まれる。本発明の種々の実施態様において、天然配列PROポリペプチドは、添付の図面に示される全長アミノ酸配列を含む成熟又は全長天然配列ポリペプチドである。開始及び停止コドンは、図において太字及び下線で示した。しかし、添付の図面に開示したPROポリペプチドは、図面におけるアミノ酸1としてここに命名されるメチオニン残基で始まるように示されているが、図面におけるアミノ酸位置1の上流又は下流に位置する他のメチオニン残基をPROポリペプチドの開始アミノ酸残基として用いることも考えられるし可能でもある。
PROポリペプチド「細胞外ドメイン」又は「ECD」は、膜貫通及び細胞質ドメインを実質的に有しないPROポリペプチドの形態を称する。通常、PROポリペプチドECDは、それらの膜貫通及び/又は細胞質ドメインを1%未満、好ましくはそのようなドメインを0.5%未満しか持たない。本発明のPROポリペプチドについて同定された任意の膜貫通ドメインは、疎水性ドメインのその型を同定するために当該分野において日常的に使用される基準に従い同定されることが理解されるであろう。膜貫通ドメインの厳密な境界は変わり得るが、最初に同定されたドメインのいずれかの末端から約5アミノ酸を越えない可能性が高い。従って、PROポリペプチドの細胞外ドメインは、場合によっては、実施例又は明細書で同定されるように膜貫通ドメイン及び/又は細胞外ドメインの境界のいずれかの側から約5を越えないアミノ酸を含んでもよく、シグナルペプチドを伴う又は伴わない、それらのポリペプチド及びそれらをコードする核酸が、本発明で考慮される。
【0018】
ここに開示する種々のPROポリペプチドの「シグナルペプチド」の適切な位置は、本明細書及び/又は添付図面に示す。しかし、注記するように、シグナルペプチドのC-末端境界は変化しうるが、ここで最初に定義したようにシグナルペプチドC-末端境界のいずれかの側で約5アミノ酸未満である可能性が最も高く、シグナルペプチドのC-末端境界は、そのような型のアミノ酸配列成分を同定するのに日常的に使用される基準に従って同定しうる(例えば、Nielsen等, Prot. Eng. 10: 1-6 (1997)及びvon Heinje等, Nucl. Acids. Res. 14: 4683-4690 (1986))。さらに、幾つかの場合には、分泌ポリペプチドからのシグナルペプチドの切断は完全に均一ではなく、結果として一以上の分泌種をもたらすことも認められる。シグナルペプチドがここで同定されるシグナルペプチドのC-末端境界の何れかの側の約5アミノ酸未満内で切断されるこれらの成熟ポリペプチド、及びそれらをコードするポリヌクレオチドが、本発明で考慮される。
「PROポリペプチド変異体」とは、上記又は下記に定義されるように、ここに開示される全長天然配列PROポリペプチド配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠く全長天然配列PROポリペプチド配列、シグナルペプチドを伴うか伴わないここに開示されたPROの細胞外ドメイン、又はここに開示された全長PROポリペプチドの任意の他の断片と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する活性PROポリペプチドを意味する。このようなPROポリペプチド変異体には、例えば、全長天然アミノ酸配列のN-又はC-末端において一又は複数のアミノ酸残基が付加、もしくは欠失されたPROポリペプチドが含まれる。通常、PROポリペプチド変異体は、ここに開示される全長天然配列ポリペプチド配列、ここに開示されたシグナルペプチドを欠くPROポリペプチド配列、シグナルペプチドを伴うか伴わないここに開示されたPROポリペプチドの細胞外ドメイン、又はここに開示された全長PROポリペプチド配列の他の任意の特に定められた断片と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約84%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約86%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約87%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約91%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約93%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約96%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、又は少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、そして又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有している。通常は、PRO変異体ポリペプチドは、少なくとも約10アミノ酸長、又は少なくとも約20アミノ酸長、又は少なくとも約30アミノ酸長、又は少なくとも約40アミノ酸長、又は少なくとも約50アミノ酸長、又は少なくとも約60アミノ酸長、又は少なくとも約70アミノ酸長、又は少なくとも約80アミノ酸長、又は少なくとも約90アミノ酸長、又は少なくとも約100アミノ酸長、又は少なくとも約150アミノ酸長、又は少なくとも約200アミノ酸長、又は少なくとも約300アミノ酸長、又はそれ以上である。
【0019】
ここに同定されるPROポリペプチド配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした、特定のPROポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2プログラム用の完全なソースコードが下の表1に与えられている配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテク社によって作成され、表1に示したソースコードは米国著作権庁, Washington D.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN-2プログラムはジェネンテク社、South San Francisco, Californiaを通して公的に入手可能であり、また表1に与えたソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX(登録商標) V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。
【0020】
アミノ酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2のA及びBのプログラムアラインメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なると認識されるであろう。%アミノ酸配列同一性の計算の例として、表2及び3は、「比較タンパク質」と称されるアミノ酸配列の「PRO」と称されるアミノ酸配列に対する%アミノ酸配列同一性の計算方法を示し、ここで「PRO」は関心ある仮定PROポリペプチドのアミノ酸配列を表し、「比較タンパク質」は関心ある「PRO」ポリペプチドと比較され、これに対するポリペプチドのアミノ酸配列を表し、「X」、「Y」及び「Z」は、それぞれ異なる仮定アミノ酸残基を表す。
特に断らない限りは、ここで使用されるの全ての%アミノ酸配列同一性値は上記のようにALIGN-2コンピュータプログラムを用いて得られる。しかしながら、%アミノ酸配列同一性は、WU-BLAST-2コンピュータプログラム(Altschul等, Methods in Enzymology 266: 460-480 (1996))を用い、以下に記載するようにしても得られる。殆どのWU-BLAST-2検索パラメータはデフォルト値に設定される。デフォルト値に設定されない、即ち調節可能なパラメータは以下の値に設定する:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=11、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62。WU-BLAST-2を使用する場合、%アミノ酸配列同一性値は、(a)天然PROポリペプチドから誘導された配列を有する関心あるPROポリペプチドのアミノ酸配列と、関心ある比較アミノ酸配列(即ち、関心あるPROポリペプチドが比較されるPROポリペプチド変異体であってもよい配列)との間の、WU-BLAST-2によって決定した一致する同一アミノ酸残基の数を、(b)関心あるPROポリペプチドの残基の総数で除した商によって決定される。例えば、「アミノ酸配列Bに対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を持つ又は持っているアミノ酸配列Aを含んでなるポリペプチド」という表現では、アミノ酸配列Aが関心ある比較アミノ酸配列であり、アミノ酸配列Bが関心あるPROポリペプチドのアミノ酸配列である。
【0021】
また、パーセントアミノ酸配列同一性は配列比較プログラムNCBI-BLAST2(Altschul等, Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402 (1997))を用いて決定してもよい。NCBI-BLAST2配列比較プログラムは、http://ww.ncbi.nlm.nih.govからダウンロードするか、又は国立衛生研究所, Bethesda, MD.から得ることができる。NCBI-BLAST2は幾つかの検索パラメータを使用し、それら検索パラメータの全てはデフォルト値に設定され、例えば、unmask=可、鎖=全て、予測される発生=10、最小低複合長=15/5、マルチパスe-値=0.01、マルチパスの定数=25、最終ギャップアラインメントのドロップオフ=25、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62を含む。
アミノ酸配列比較にNCBI-BLAST2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムNCBI-BLAST2のA及びBのプログラムアラインメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なると評価されるであろう。
【0022】
「PRO変異体ポリヌクレオチド」又は「PRO変異体核酸配列」は、以下に定義するような活性なPROポリペプチドをコードする核酸分子を意味し、ここに開示する全長天然配列PROポリペプチド配列、ここに開示するシグナルペプチドを欠く全長天然配列PROポリペプチド配列、ここに開示するシグナルペプチド有又は無のPROポリペプチド細胞外ドメイン、又はここに開示する全長PROポリペプチド配列の任意の他の断片をコードする核酸配列に対して少なくとも約80%の核酸配列同一性を有する。通常は、PRO変異体ポリヌクレオチドは、ここに開示する全長天然配列PROポリペプチド配列、ここに開示するシグナルペプチドを欠く全長天然配列PROポリペプチド配列、ここに開示するシグナルペプチド有又は無のPROポリペプチド細胞外ドメイン、又はここに開示する全長PROポリペプチド配列の任意の他の断片をコードする核酸配列と少なくとも約80%の核酸配列同一性、又は少なくとも約81%の核酸配列同一性、又は少なくとも約82%の核酸配列同一性、又は少なくとも約83%の核酸配列同一性、又は少なくとも約84%の核酸配列同一性、又は少なくとも約85%の核酸配列同一性、又は少なくとも約86%の核酸配列同一性、又は少なくとも約87%の核酸配列同一性、又は少なくとも約88%の核酸配列同一性、又は少なくとも約89%の核酸配列同一性、又は少なくとも約90%の核酸配列同一性、又は少なくとも約91%の核酸配列同一性、又は少なくとも約92%の核酸配列同一性、又は少なくとも約93%の核酸配列同一性、又は少なくとも約94%の核酸配列同一性、又は少なくとも約95%の核酸配列同一性、又は少なくとも約96%の核酸配列同一性、又は少なくとも約97%の核酸配列同一性、又は少なくとも約98%の核酸配列同一性、そして又は少なくとも約99%の核酸配列同一性を有している。変異体は、天然のヌクレオチド配列を含まない。
通常は、PRO変異体ポリヌクレオチドは、少なくとも約30ヌクレオチド長、又は少なくとも約60ヌクレオチド長、又は少なくとも約90ヌクレオチド長、又は少なくとも約120ヌクレオチド長、又は少なくとも約150ヌクレオチド長、又は少なくとも約180ヌクレオチド長、又は少なくとも約210ヌクレオチド長、又は少なくとも約240ヌクレオチド長、又は少なくとも約270ヌクレオチド長、又は少なくとも約300ヌクレオチド長、又は少なくとも約450ヌクレオチド長、又は少なくとも約600ヌクレオチド長、又は少なくとも約900ヌクレオチド長、又はそれ以上である。
【0023】
ここに同定されるPROポリペプチドコード化核酸配列に対するる「パーセント(%)核酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、関心あるPRO核酸配列のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドのパーセントとして定義される。パーセント核酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。しかし、ここでの目的のためには、%核酸配列同一性値は、以下に記載するように、ALIGN-2プログラム用の完全なソースコードが表1に与えられている配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテク社によって作成され、表1に示したソースコードは米国著作権庁, Washington D.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN-2プログラムはジェネンテク社、South San Francisco, Californiaを通して公的に入手可能であり、また表1に与えたソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX(登録商標) V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。
【0024】
核酸配列比較にALIGN-2が用いれれる状況では、与えられた核酸配列Cの、与えられた核酸配列Dとの、又はそれに対する%核酸配列同一性(あるいは、与えられた核酸配列Dと、又はそれに対して或る程度の%核酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Cと言うこともできる)は次のように計算される:
分率W/Zの100倍
ここで、Wは配列アラインメントプログラムALIGN-2のC及びDのプログラムアラインメントによって同一であると一致したスコアのヌクレオチドの数であり、ZはDの全ヌクレオチド数である。核酸配列Cの長さが核酸配列Dの長さと異なる場合、CのDに対する%核酸配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なると評価されるであろう。%核酸配列同一性の計算の例として、表4及び5は、「比較DNA」と称される核酸配列の「PRO-DNA」と称される核酸配列に対する%核酸配列同一性の計算方法を示しており、ここで「PRO-DNA」は関心ある仮定PROコード化核酸配列を表し、「比較DNA」は関心ある「PRO-DNA」核酸分子と比較され、これに対する核酸分子のヌクレオチド配列を表し、「N」、「L」及び「V」は、それぞれ異なる仮定ヌクレオチドを表す。
特に断らない限りは、ここでの全ての%核酸配列同一性値は上記のようにALIGN-2配列比較コンピュータプログラムを用いて得られる。しかしながら、%核酸配列同一性は、WU-BLAST-2コンピュータプログラム(Altschul等, Methods in Enzymology 266: 460-480 (1996))を用い、以下に記載するようにしても得られる。殆どのWU-BLAST-2検索パラメータはデフォルト値に設定される。デフォルト値に設定されない、即ち調節可能なパラメータは以下の値に設定する:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=11、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62。WU-BLAST-2を使用する場合、%核酸配列同一性値は、(a)天然配列PROポリペプチドコード化核酸から誘導された配列を有する関心あるPROポリペプチドコード化核酸分子の核酸配列と、関心ある比較核酸配列(即ち、関心あるPROポリペプチドコード化核酸配列が比較される変異体PROポリペプチドであってもよい配列)との間の、WU-BLAST-2によって決定した一致する同一ヌクレオチドの数を、(b)関心あるPROポリペプチドコード化核酸分子のヌクレオチドの総数で除した商によって決定される。例えば、「核酸配列Bに対して少なくとも80%の核酸配列同一性を持つ又は持っている核酸配列Aを含んでなる単離された核酸分子」という表現では、核酸配列Aが関心ある比較核酸配列であり、核酸配列Bが関心あるPROポリペプチドコード化核酸分子の核酸配列である。
【0025】
また、パーセント核酸配列同一性を配列比較プログラムNCBI-BLAST2(Altschul等, Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402 (1997))を用いて決定してもよい。NCBI-BLAST2配列比較プログラムは、http://ww.ncbi.nlm.nih.govからダウンロードするか、又は国立衛生研究所, Bethesda, MD.から得ることができる。NCBI-BLAST2は幾つかの検索パラメータを使用し、それら検索パラメータの全てはデフォルト値に設定され、例えば、unmask=可、鎖=全て、予測される発生=10、最小低複合長=15/5、マルチパスe-値=0.01、マルチパスの定数=25、最終ギャップアラインメントのドロップオフ=25、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62を含む。
配列比較にNCBI-BLAST2が用いれれる状況では、与えられた核酸配列Cの、与えられた核酸配列Dとの、又はそれに対する%核酸配列同一性(与えられた核酸配列Dと、又はそれに対して或る程度の%核酸配列同一性を持つ又は含む与えられた核酸配列Cと言うこともできる)は次のように計算される:
分率W/Zの100倍
ここで、Wは配列アラインメントプログラムNCBI-BLAST2のC及びDのプログラムアラインメントによって同一であると一致したスコアのヌクレオチドの数であり、ZはDの全ヌクレオチド数である。核酸配列Cの長さが核酸配列Dの長さと異なる場合、CのDに対する%核酸配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なると評価されるであろう。
他の実施態様では、PRO変異体ポリペプチドヌクレオチドは、活性PROポリペプチドをコードし、好ましくは緊縮性ハイブリッド形成及び洗浄条件下で、ここに開示する全長PROポリペプチドをコードするヌクレオチド配列にハイブリッド形成する核酸分子である。PRO変異体ポリペプチドは、PRO変異体ポリヌクレオチドにコードされるものであってもよい。
【0026】
「陽性(ポジティブ)」という用語は、上記のように実施された配列比較の中で、比較された配列において同一ではないが類似の特性を有している残基(例えば、保存的置換の結果として、下記の表6参照)を含む。ここでの目的のために、陽性の%値は、(a)天然PROポリペプチドから誘導された配列を有する関心あるPROポリペプチドアミノ酸配列と、関心ある比較アミノ酸配列(即ち、PROポリペプチド配列が比較されるアミノ酸配列)との間の、WU-BLAST-2のBLOSUM62マトリクス内でポジティブな値が付けられたアミノ酸残基の数を、(b)関心あるPROポリペプチドのアミノ酸残基の総数で除した商によって決定される。
特に断らない限り、陽性の%値は、直上のパラグラフに記載したようにして計算される。しかしながら、ALIGN-2及びNCBI-BLAST2について上記したように実施されるアミノ酸配列同一性には、配列比較において同一のみならず類似した特性をもつ配列におけるアミノ酸残基を含む。関心あるアミノ酸残基に対して陽性とされたアミノ酸残基は、関心あるアミノ酸残基と同一であるか、又は関心あるアミノ酸残基の好ましい置換(下記の表6に定義)であるものである。
ALIGN-2又はNCBI-BLAST2を用いたアミノ酸配列比較では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する陽性の%値(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2又はNCBI-BLAST2のA及びBのアラインメントによって陽性であるとされたスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対する%陽性は、BのAに対する%陽性とは異なると評価されるであろう。
【0027】
「単離された」とは、ここで開示された種々のポリペプチドを記述するために使用するときは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたポリペプチドを意味する。その自然環境の汚染成分とは、そのポリペプチドの診断又は治療への使用を典型的には妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、ポリペプチドは、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに充分なほど、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性まで精製される。単離されたポリペプチドには、PROポリペプチドの自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツのポリペプチドが含まれる。しかしながら、通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも一つの精製工程により調製される。
「単離された」PROポリペプチドコード化核酸又は他のポリペプチドコード化核酸は、同定され、PROポリペプチドコード化核酸の天然源に通常付随している少なくとも一つの汚染核酸分子から分離された核酸分子である。単離されたPROポリペプチドコード化核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。ゆえに、単離されたPROポリペプチドコード化核酸分子は、天然の細胞中に存在する特定のPROポリペプチドコード化核酸分子とは区別される。しかし、単離されたPROポリペプチドコード化核酸分子は、例えば、核酸分子が天然細胞のものとは異なった染色体位置にあるポリペプチドを通常発現する細胞に含まれるポリペプチドコード核酸分子を含む。
「コントロール配列」なる用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に参画するプレタンパク質として発現されているなら、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合している」とは、結合したDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要はない。結合は簡便な制限部位での連結により達成される。そのような部位が存在しない場合は、従来の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
【0028】
「抗体」という用語は最も広い意味において使用され、例えば、単一の抗-PROモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、及び中和抗体を含む)、多エピトープ特異性を持つ抗-PRO抗体組成物、一本鎖抗-PRO抗体、及び抗-PRO抗体の断片(下記参照)を包含している。ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、少量存在しうる自然に生じる可能性のある突然変異を除いて同一である集団から得られる抗体を称する。
ハイブリッド形成反応の「緊縮性」は、当業者によって容易に決定され、一般的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算である。一般に、プローブが長くなると適切なアニーリングのための温度が高くなり、プローブが短くなると温度は低くなる。ハイブリッド形成は、一般的に、相補的鎖がその融点に近いがそれより低い環境に存在する場合における変性DNAの再アニールする能力に依存する。プローブとハイブリッド形成可能な配列との間の所望の相同性の程度が高くなると、使用できる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は、反応条件をより緊縮性にするが、低い温度は緊縮性を低下させる。ハイブリッド形成反応の緊縮性の更なる詳細及び説明は、Ausubel等, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, (1995)を参照のこと。
ここで定義される「緊縮性条件」又は「高度の緊縮性条件」は、(1)洗浄のために低イオン強度及び高温度、例えば、50℃において0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを用いるもの;(2)ハイブリッド形成中にホルムアミド等の変性剤、例えば、42℃において50%(v/v)ホルムアミドと0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのpH6.5のリン酸ナトリウムバッファー、及び750mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを用いるもの;又は(3)42℃における50%ホルムアミド、5xSSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5xデンハート液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%のデキストラン硫酸と、42℃における0.2xSSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中の洗浄及び55℃での50%ホルムアミド、次いで55℃におけるEDTAを含む0.1xSSCからなる高緊縮性洗浄を用いるものによって特定される。
「中程度の緊縮性条件」は、Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989に記載されているように特定され、上記の緊縮性より低い洗浄溶液及びハイブリッド形成条件(例えば、温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中程度の緊縮性条件の例は、20%ホルムアミド、5xSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハート液、10%デキストラン硫酸、及び20mg/mLの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中の37℃での終夜インキュベーション、次いで1xSSC中37−50℃でのフィルターの洗浄といった条件である。当業者であれば、プローブ長などの因子に適合させる必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調節するかを認識するであろう。
【0029】
「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチド」に融合したPROポリペプチドを含んでなるキメラポリペプチドを指す。タグポリペプチドは、その抗体が産生され得るエピトープを提供するに十分な残基を有しているが、その長さはそれが融合するポリペプチドの活性を阻害しないよう充分に短い。また、タグポリペプチドは、好ましくは、抗体が他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8〜約50のアミノ酸残基(好ましくは約10〜約20のアミノ酸残基)を有する。
ここで用いられる「イムノアドヘシン」なる用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能とを結合した抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは、所望の結合特異性を持ち、抗体の抗原認識及び結合部位以外である(即ち「異種の」)アミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物を含む。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分は、典型的には少なくともレセプター又はリガンドの結合部位を含む隣接アミノ酸配列である。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3又はIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgMなどの任意の免疫グロブリンから得ることができる。
ここで目的としている「活性な」及び「活性」とは、天然又は天然に生じるPROの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持するPROポリペプチドの形態を称し、「生物学的」活性とは、天然又は天然に生じるPROによって生ずる(阻害性又は刺激性の)生物学的機能であって、天然又は天然に生じるPROが有する抗原性エピトープに対して抗体を生成する能力を除くものを意味し、「免疫学的」活性とは、天然又は天然に生じるPROが有する抗原性エピトープに対して抗体を生成する能力を称する。
「アンタゴニスト」なる用語は最も広い意味で用いられ、ここに開示した天然PROポリペプチドの生物学的活性を部分的もしくは完全に阻止、阻害、又は中和する任意の分子を含む。同様に「アゴニスト」なる用語も最も広い意味で用いられ、ここに開示した天然PROポリペプチドの生物学的活性を模倣する任意の分子を含む。好適なアゴニスト又はアンタゴニスト分子は特に、アゴニスト又はアンタゴニスト抗体又は抗体断片、天然PROポリペプチドの断片又はアミノ酸配列変異体、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、有機小分子等を含む。PROポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストの同定方法は、PROポリペプチドを候補アンタゴニスト又はアゴニストと接触させ、PROポリペプチドに通常付随する一又は複数の生物学的活性の検出可能な変化を測定することを含みうる。
【0030】
「抗体断片」は、無傷の抗体の一部、好ましくは無傷の抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab')、及びFv断片;ダイアボディ(diabodies);直鎖状抗体(Zapata等, Protein Eng. 8(10): 1057-1062 [1995]);一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。ペプシン処理はF(ab')断片を生じ、それは2つの抗原結合部位を持ち、抗原を交差結合することができる。
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、密接に非共有結合した1本の重鎖と1本の軽鎖の可変ドメインの二量体からなる。この配置において各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してV−V二量体の表面に抗原結合部位を決定する。集合的には、6つのCDRsは抗体に対して抗原結合特異性をもたらす。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を持つ。
またFab断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含む。Fab断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に幾つかの残基が付加されていることによりFab断片と相違する。ここで、Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を持つFab’を表す。F(ab')抗体断片は、最初はFab’断片の対として生成され、それらの間にヒンジシステインを有する。抗体断片の他の化学的結合も知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる二つの明らかに異なる型の一方に分類される。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは異なるクラスに分類できる。免疫グロブリンには五つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、それらの幾つかは更にサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3,IgG4、IgA及びIgA2に分類される。
本発明の抗体及びその断片には、抗体を一又は複数のCDR領域及び/又はフレームワーク領域のアミノ酸配列を変化させて、それが結合する抗原に対する抗体又はその断片の親和性を改変させた「親和成熟(affinity matured)」抗体も含まれる。親和成熟により、出発抗体と比較して抗原に対する成熟抗体の親和性が増加又は低減する結果となる。典型的には、出発抗体はヒト化、ヒト、キメラもしくはマウス抗体であり、親和成熟した抗体は出発抗体よりも高い親和性を有する。成熟プロセス中、CDR又はフレームワーク領域における一又は複数のアミノ酸残基は、任意の標準的な方法を使用して異なる残基に変えられる。適切な方法には、よく知られているカセット突然変異法(Well等, 1985. Gene 34:315)又はオリゴヌクレオチド媒介突然変異法(Zoller等, 1987, Nucl. Acids Res., 10: 6487-6504)を使用する点突然変異が含まれる。また親和成熟は、多くの変異体を産出し、所望の親和性を有する変異体を抗原又はリガンドに対する改善された親和性に基づき、変異体のライブラリ又はプールから選択する、既知の選択法を使用して実施することもできる。既知のファージライブラリ技術をこのアプローチ法で簡便に使用することができる。例えば米国特許第5,750,373号、米国特許第5,223,409号等を参照のこと。
ヒト抗体は本発明の抗体の範囲に入る。ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリ[Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]を含むこの分野で知られた種々の方法を用いて作成することもできる。また、Cole等及びBoerner等の技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用することができる[Cole等, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss. p.77(1985);Boerner等, J. Immunol., 147(1):86-95(1991);米国特許第5,750,373号]。同様に、ヒト抗体はヒト免疫グロブリン座位をトランスジェニック動物、例えば内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的又は完全に不活性化されたマウスに導入することにより産生することができる。投与の際に、遺伝子再配列、組立、及び抗体レパートリーを含むあらゆる観点においてヒトに見られるものに非常に類似しているヒト抗体の生産が観察される。このアプローチは、例えば米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016号、及び次の科学文献:Marks等, Bio/Technology 10, 779-783 (1992); Lonberg等, Nature 368 856-859 (1994); Morrison, Nature 368, 812-13 (1994); Fishwild等, Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826 (1996); Lonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995)に記載されている。
【0031】
「一本鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は、抗体のV及びVドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。好ましくは、FvポリペプチドはV及びVドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはsFが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。sFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)のPluckthunを参照のこと。
用語「ダイアボディ(diabodies)」は、二つの抗原結合部位を持つ小型の抗体断片を指し、その断片は同じポリペプチド鎖(V−V)内で軽鎖可変ドメイン(V)に結合した重鎖可変ドメイン(V)を含む。同じ鎖の二つのドメイン間に対形成するには短すぎるリンカーを用いることにより、ドメインは強制的に他の鎖の相補的ドメインと対形成して二つの抗原結合部位を生成する。ダイアボディは、例えば、EP 404,097; WO 93/11161; 及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)に十分に記載されている。
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定され分離及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、その抗体の診断又は治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、抗体は、(1)ローリ法(Lowry method)で測定した場合95重量%を越える抗体、最も好ましくは99重量%を越えるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに充分なほど、あるいは、(3)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一になるまで精製される。単離された抗体には、抗体の自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一つの精製工程により調製される。
「標識」なる語は、ここで用いられる場合、抗体に直接又は間接的に抱合して「標識」抗体を生成する検出可能な化合物又は組成物を称する。標識は、それ自身検出可能でもよく(例えば、放射性標識又は蛍光標識)、又は酵素標識の場合、検出可能な基質化合物又は組成物の化学変化を触媒してもよい。
「固相」とは、本発明の抗体がそれに付着することのできる非水性マトリクスを意味する。ここに包含する固相の例は、部分的又は全体的に、ガラス(例えば、孔調整ガラス)、多糖類(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンから形成されたものを含む。或る種の実施態様では、内容に応じて、固相はアッセイプレートのウェルを構成することができ;その他では精製カラム(例えばアフィニティクロマトグラフィーカラム)とすることもできる。また、この用語は、米国特許第4,275,149号に記載されたような、別個の粒子の不連続な固相も包含する。
「リポソーム」は、種々の型の脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤からなる小型の小胞であり、哺乳動物への薬物(PROポリペプチド又はその抗体など)の送達に有用である。リポソームの成分は、通常は生体膜の脂質配置に類似する二層構造に配置される。
「小分子」とは、ここでは約500ダルトン未満の分子量を持つと定義される。
【0032】
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【0033】
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【0034】
II. 本発明の組成物と方法
1.本発明のPROポリペプチドの調製
本発明は、本出願でPROポリペプチドと命名されるポリペプチドをコードする新規に同定され単離されたヌクレオチド配列を提供する。特に下記の実施例でさらに詳細に説明するように、種々のPROポリペプチドをコードするcDNAが同定され単離された。別々の発現ラウンドで生成されたタンパク質には異なるPRO番号が与えられるが、UNQ番号は全ての与えられたDNA及びコード化タンパク質に独特であり、変わることはないことを記しておく。しかしながら、単純化のために、本明細書において、ここに開示した全長天然核酸分子にコードされるタンパク質並びに上記のPROの定義に含まれるさらなる天然相同体及び変異体は、それらの起源又は調製形式に関わらず、「PRO」又は「PRO/番号」で呼称する。
下記の実施例に開示するように、種々のcDNAクローンがATCCに寄託されている。これらのクローンの正確なヌクレオチド配列は、この分野で日常的な方法を用いて寄託されたクローンを配列決定することにより容易に決定することができる。予測されるアミノ酸配列は、ヌクレオチド配列から常套的技量を用いて決定できる。ここに記載したPROポリペプチド及びコード化核酸について、本出願人は、現時点で入手可能な配列情報と最も良く一致するリーディングフレームであると考えられるものを同定した。
【0035】
1.PROポリペプチド
以下の説明は、主として、本発明のPROポリペプチドをコードする核酸を含むベクターで形質転換又は形質移入された細胞を培養することにより、本発明のPROポリペプチドを生産する方法に関する。もちろん、当該分野においてよく知られている他の方法を用いてPROポリペプチドを調製することができると考えられる。例えば、ポリペプチド配列、又はその一部は、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって生産してもよい[例えば、Stewart等, Solid-Phase Peptide Synthesis, W.H. Freeman Co., San Francisco, CA (1969);Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2154 (1963)参照]。手動技術又は自動によるインビトロタンパク質合成を行ってもよい。自動合成は、例えば、アプライド・バイオシステムズ・ペプチド合成機(Foster City, CA)を用いて、製造者の指示により実施してもよい。本発明のPROポリペプチドの種々の部分は、別々に化学的に合成され、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて全長ポリペプチドを生産してもよい。
【0036】
B.PROポリペプチド変異体
ここに記載した全長天然配列PROポリペプチドに加えて、PRO変異体も調製できると考えられる。PRO変異体は、PRO DNAに適当なヌクレオチド変化を導入することにより、あるいは所望のPROポリペプチドを合成することにより調製できる。当業者であれば、グリコシル化部位の数又は位置の変化あるいは膜固着特性の変化などのアミノ酸変化がPROの翻訳後プロセスを変えうることを理解するであろう。
天然全長配列PRO又はここに記載したPROの種々のドメインにおける変異は、例えば、米国特許第5,364,934号に記載されている保存的及び非保存的変異についての任意の技術及び指針を用いてなすことができる。変異は、天然配列PROと比較してPROのアミノ酸配列が変化することになるPROをコードする一又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってよい。場合によっては、変異は少なくとも一つのアミノ酸のPROの一又は複数のドメインの任意の他のアミノ酸による置換である。どのアミノ酸残基が所望の活性に悪影響を与えることなく挿入、置換又は欠失されるかの指針は、PROの配列を、相同性な既知のタンパク質分子のものと比較し、相同性の高い領域になされるアミノ酸配列変化の数を最小にすることによって見出される。アミノ酸置換は、一のアミノ酸の類似した構造及び/又は化学特性を持つ他のアミノ酸での置換、例えばロイシンのセリンでの置換、即ち保存的アミノ酸置換の結果とすることができる。挿入及び欠失は、場合によっては約1から5のアミノ酸の範囲内とすることができる。許容される変異は、配列においてアミノ酸の挿入、欠失又は置換を系統的に作成し、得られた変異体について全長又は成熟天然配列が示す活性を試験することにより決定される。
【0037】
PROポリペプチド断片がここに提供される。このような断片は、例えば、全長天然タンパク質と比較した際に、N末端又はC末端で切断されてもよく、又は内部残基を欠いていてもよい。或る種の断片は、PROポリペプチドの所望の生物学的活性に必須ではないアミノ酸残基を欠いている。
PRO断片は、多くの一般的な技術の任意のものによって調製されうる。所望のペプチド断片は化学合成されてもよい。代替方法は、酵素的消化、例えば特定のアミノ酸残基によって定められる部位のタンパク質を切断することが知られた酵素でタンパク質を処理することにより、あるいは適当な制限酵素でDNAを消化して所望の断片を単離することによるPRO断片の生成を含む。さらに他の好適な技術は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、所望のポリペプチド断片をコードするDNA断片を単離し増幅することを含む。DNA断片の所望の末端を定めるオリゴヌクレオチドは、PCRの5’及び3’プライマーで用いられる。好ましくは、PROポリペプチド断片は、ここに開示した天然PROポリペプチドと少なくとも一つの生物学的及び/又は免疫学的活性を共有する。
特別の実施態様では、関心ある保存的置換を、好ましい置換との表題で表6に示す。このような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表6に置換例と命名され、又は以下にアミノ酸分類に関してさらに記載されるような、より実質的な変化が導入され、生成物がスクリーニングされる。
【0038】
表6
元の残基 例示的置換 好ましい置換
Ala(A) val; leu; ile val
Arg(R) lys; gln; asn lys
Asn(N) gln; his; lys; arg gln
Asp(D) glu glu
Cys(C) ser ser
Gln(Q) asn asn
Glu(E) asp asp
Gly(G) pro; ala ala
His(H) asn; gln; lys; arg arg
Ile(I) leu; val; met; ala; phe;
ノルロイシン leu
Leu(L) ノルロイシン; ile; val;
met; ala; phe ile
Lys(K) arg; gln; asn arg
Met(M) leu; phe; ile leu
Phe(F) leu; val; ile; ala; tyr leu
Pro(P) ala ala
Ser(S) thr thr
Thr(T) ser ser
Trp(W) tyr; phe tyr
Tyr(Y) trp; phe; thr; ser phe
Val(V) ile; leu; met; phe;
ala; ノルロイシン leu
【0039】
PROポリペプチドの機能又は免疫学的同一性の実質的修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又は螺旋配置、(b)標的部位の分子の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持しながら、それらの効果において実質的に異なる置換基を選択することにより達成される。天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいてグループ分けすることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン, met, ala, val, leu, ile;
(2)中性の親水性:cys, ser, thr;
(3)酸性:asp, glu;
(4)塩基性:asn, gln, his, lys, arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly, pro; 及び
(6)芳香族:trp, tyr, phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。また、そのように置換された残基は、保存的置換部位、好ましくは残された(非保存)部位に導入されうる。
変異は、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキャンニング、及びPCR突然変異誘発等の当該分野において公知の技術を使用して作成することができる。部位特異的突然変異誘発[Carter等, Nucl. Acids Res., 13: 4331 (1986); Zoller等, Nucl. Acids Res., 10: 6487 (1987)]、カセット突然変異誘発[Wells等, Gene, 34: 315 (1985)]、制限選択突然変異誘発[Wells等, Philos. Trans. R. Soc. London SerA, 317: 415 (1986)]又は他の周知の技術が、PRO変異体DNAを製造するために、クローン化されたDNAに実施できる。
また、隣接配列に沿って一又は複数のアミノ酸を同定するのにスキャンニングアミノ酸分析を用いることができる。好ましいスキャンニングアミノ酸は比較的小さく、中性のアミノ酸である。そのようなアミノ酸は、アラニン、グリシン、セリン、及びシステインを含む。アラニンは、ベータ炭素を越える側鎖を排除し変異体の主鎖構造を変化させにくいので、この群の中で典型的に好ましいスキャンニングアミノ酸である[Cuningham及びWells, Science, 244: 1081-1085 (1989)]。また、アラニンは最もありふれたアミノ酸であるため典型的には好ましい。さらに、それは埋もれた及び露出した位置の両方に見られることが多い[Creighton, The Proteins, (W.H. Freeman & Co., N.Y.); Chothia, J. Mol. Biol., 150: 1 (1976)]。アラニン置換が十分な量の変異体を生じない場合は、アイソテリック(isoteric)アミノ酸を用いることができる。
【0040】
C.PROの修飾
PROの共有結合的修飾は本発明の範囲内に含まれる。共有結合的修飾の一型は、PROポリペプチドの標的とするアミノ酸残基を、PROの選択された側鎖又はN又はC末端残基と反応できる有機誘導体化試薬と反応させることを含む。二官能性試薬での誘導体化が、例えばPROを水不溶性支持体マトリクスあるいは抗-PRO抗体の精製方法又はその逆で用いるための表面に架橋させるのに有用である。通常用いられる架橋剤は、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4-アジドサリチル酸、3,3’-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)等のジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタン等の二官能性マレイミド、及びメチル-3-[(p-アジドフェニル)-ジチオ]プロピオイミダート等の試薬を含む。
他の修飾は、グルタミニル及びアスパラギニル残基の各々対応するグルタミル及びアスパルチル残基への脱アミノ化、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化[T.E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp.79-86 (1983)]、N末端アミンのアセチル化、及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
本発明の範囲内に含まれるPROポリペプチドの共有結合的修飾の他の型は、ポリペプチドの天然グリコシル化パターンの変更を含む。「天然グリコシル化パターンの変更」とは、この目的で意図されるのは、天然配列PROに見られる一又は複数の炭水化物部分の欠失(存在するグリコシル化部位の除去又は化学的及び/又は酵素的手段によるグリコシル化の削除のいずれかによる)、及び/又は天然配列PROに存在しない一又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。さらに、この文節は、存在する種々の炭水化物部分の性質及び特性の変化を含む、天然タンパク質のグリコシル化における定性的変化を含む。
PROポリペプチドへのグリコシル化部位の付加はアミノ酸配列の変更を伴ってもよい。この変更は、例えば、一又は複数のセリン又はトレオニン残基の天然配列PRO(O-結合グリコシル化部位)への付加、又は置換によってなされてもよい。PROアミノ酸配列は、場合によっては、DNAレベルでの変化、特に、PROポリペプチドをコードするDNAを予め選択された塩基において変異させ、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンを生成させることを通して変更されてもよい。
【0041】
PROポリペプチド上に炭水化物部分の数を増加させる他の手段は、グリコシドのポリペプチドへの化学的又は酵素的結合による。このような方法は、この技術分野において、例えば、1987年9月11日に公開されたWO 87/05330、及びAplin及びWriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306 (1981)に記載されている。
PROポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に、あるいはグルコシル化の標的として提示されたアミノ酸残基をコードするコドンの変異的置換によってなすことができる。化学的脱グリコシル化技術は、この分野で知られており、例えば、Hakimuddin等, Arch. Biochem. Biophys., 259:52 (1987)により、及びEdge等, Anal. Biochem., 118: 131 (1981)により記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura等, Meth. Enzymol. 138:350 (1987)に記載されているように、種々のエンド及びエキソグリコシダーゼを用いることにより達成される。
PROの共有結合的修飾の他の型は、PROポリぺプチドの、種々の非タンパク質様ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンの一つへの、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号又は第4,179,337号に記載された方法での結合を含む。
また、本発明のPROは、他の異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したPROを含むキメラ分子を形成する方法で修飾してもよい。
一実施態様では、このようなキメラ分子は、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペプチドとPROとの融合を含む。エピトープタグは、一般的にはPROのアミノ又はカルボキシル末端に位置する。このようなPROのエピトープタグ形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。また、エピトープタグの提供は、抗-タグ抗体又はエピトープタグに結合する他の型の親和性マトリクスを用いたアフィニティ精製によってPROを容易に精製できるようにする。種々のタグポリペプチド及びそれら各々の抗体はこの分野で良く知られている。例としては、ポリ-ヒスチジン(poly-his)又はポリ-ヒスチジン-グリシン(poly-his-gly)タグ;flu HAタグポリペプチド及びその抗体12CA5[Field等, Mol. Cell. Biol., 8:2159-2165 (1988)];c-mycタグ及びそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体[Evan等, Molecular and Cellular Biology, 5:3610-3616 (1985)];及び単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグ及びその抗体[Paborsky等, Protein Engineering, 3(6):547-553 (1990)]を含む。他のタグポリペプチドは、フラッグペプチド[Hopp等, BioTechnology, 6:1204-1210 (1988)];KT3エピトープペプチド[Martin等, Science, 255:192-194 (1992)];α-チューブリンエピトープペプチド[Skinner等, J. Biol. Chem., 266:15163-15166 (1991)];及びT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz-Freyermuth等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6393-6397 (1990)]を含む。
それに換わる実施態様では、キメラ分子はPROの免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定領域との融合体を含んでもよい。キメラ分子の二価形態(「イムノアドヘシン」とも呼ばれる)については、そのような融合体はIgG分子のFc領域であり得る。Ig融合体は、好ましくはIg分子内の少なくとも一つの可変領域に換えてPROポリペプチドの可溶化(膜貫通ドメイン欠失又は不活性化)形態を含む。特に好ましい実施態様では、免疫グロブリン融合体は、IgG1分子のヒンジ、CH2及びCH3、又はヒンジ、CH1、CH2及びCH3領域を含む。免疫グロブリン融合体の製造については、1995年6月27日発行の米国特許第5,428,130号を参照のこと。
【0042】
D.PROの調製
以下の説明は、主として、PRO核酸を含むベクターで形質転換又は形質移入された細胞を培養することによりPROを生産する方法に関する。もちろん、当該分野においてよく知られている他の方法を用いてPROを調製することができると考えられる。例えば、PRO配列、又はその一部は、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって生産してもよい[例えば、Stewart等, Solid-Phase Peptide Synthesis, W.H. Freeman Co., San Francisco, CA (1969);Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2154 (1963)参照]。手動技術又は自動によるインビトロタンパク質合成を行ってもよい。自動合成は、例えば、アプライド・バイオシステムズ・ペプチド合成機(Foster City, CA)を用いて、製造者の指示により実施してもよい。PROの種々の部分は、別々に化学的に合成され、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて全長PROを生産してもよい。
【0043】
1.PROをコードするDNAの単離
PROをコードするDNAは、PROmRNAを保有していてそれを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製されたcDNAライブラリーから得ることができる。従って、ヒトPRO DNAは、実施例に記載されるように、ヒトの組織から調製されたcDNAライブラリーから簡便に得ることができる。またPRO-コード化遺伝子は、ゲノムライブラリーから又は公知の合成方法(例えば、自動化核酸合成)により得ることもできる。
ライブラリーは、関心ある遺伝子あるいはその遺伝子によりコードされるタンパク質を同定するために設計されたプローブ(PROに対する抗体又は少なくとも約20−80塩基のオリゴヌクレオチド等)によってスクリーニングできる。選択されたプローブによるcDNA又はゲノムライブラリーのスクリーニングは、例えばSambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されている標準的な手順を使用して実施することができる。PROポリペプチドをコードする遺伝子を単離する他の方法はPCR法を使用するものである[Sambrook等,上掲;Dieffenbach等, PCR Primer:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995)]。
【0044】
下記の実施例には、cDNAライブラリーのスクリーニング技術を記載している。プローブとして選択されたオリゴヌクレオチド配列は、充分な長さで、疑陽性が最小化されるよう充分に明瞭でなければならない。オリゴヌクレオチドは、スクリーニングされるライブラリー内のDNAとのハイブリッド形成時に検出可能であるように標識されていることが好ましい。標識化の方法は当該分野において良く知られており、32P標識されたATPのような放射線標識、ビオチン化あるいは酵素標識の使用が含まれる。中程度の厳密性及び高度の厳密性を含むハイブリッド形成条件は、上掲のSambrook等に与えられている。
このようなライブラリースクリーニング法において同定された配列は、GenBank等の公共データベース又は他の個人の配列データベースに寄託され用可能とされている他の周知の配列と比較及びアラインメントすることができる。分子の決定された領域内又は全長配列に渡っての(アミノ酸又はヌクレオチドレベルのいずれかでの)配列同一性は、この分野で知られた、そしてここに記載した方法を用いて決定することができる。
タンパク質コード配列を有する核酸は、初めてここで開示された推定アミノ酸配列を使用し、また必要ならば、cDNAに逆転写されなかったmRNAの生成中間体及び先駆物質を検出する上掲のSambrook等に記述されているような従来のプライマー伸展法を使用し、選択されたcDNA又はゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより得られる。
【0045】
2.宿主細胞の選択及び形質転換
宿主細胞を、ここに記載したPRO生産のための発現又はクローニングベクターで形質移入又は形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された常套的栄養培地で培養する。培養条件、例えば培地、温度、pH等々は、過度の実験をすることなく当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)及びSambrook等, 上掲に見出すことができる。
原核生物細胞形質移入及び真核生物細胞形質転換の方法、例えば、CaCl2、CaPO4、リポソーム媒介及びエレクトロポレーションは当業者に知られている。用いられる宿主細胞に応じて、その細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrook等に記載された塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションが、一般的に原核生物に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shaw等, Gene, 23:315 (1983)及び1989年6月29日公開のWO 89/05859に記載されているように、或る種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52:456-457 (1978)のリン酸カルシウム沈降法を使用することができる。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な態様は米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母菌中への形質転換は、典型的には、Van Solingen等, J. Bact., 130:946 (1977)及びHsiao等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法に従って実施される。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いることもできる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown等, Methods in Enzymology, 185:527-537 (1990)及び Mansour等, Nature, 336:348-352 (1988)を参照のこと。
【0046】
ここに記載のベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な宿主細胞は、原核生物、酵母菌、又は高等真核生物細胞である。適切な原核生物は、限定するものではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、例えば大腸菌のような腸内細菌科を含む。種々の大腸菌株が公衆に利用可能であり、例えば、大腸菌K12株MM294(ATCC31,446);大腸菌X1776(ATCC31,537);大腸菌株W3110(ATCC27,325)及びK5772(ATCC53,635)である。他の好ましい原核動物宿主細胞は、大腸菌、例えば、E. coli、エンテロバクター、エルビニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ、例えば、ネズミチフス菌、セラチア、例えば、セラチアマルセサンス(Serratia marcescans) 、及び赤痢菌、並びに桿菌、例えばバシリスブチリス(B. subtilis)及びバシリリチェニフォルミス(B. licheniformis)(例えば、1989年4月12日発行のDD 266,710に記載されたバシリリチェニフォルミス41P)、シュードモナス、例えば緑膿筋及びストレプトマイセスなどの腸内細菌科を含む。これらの例は限定ではなく例示である。株W3110は、組換えDNA生産発行のための共通の宿主株であるので一つの特に好ましい宿主又は親宿主である。好ましくは、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。例えば、株W3110は、細胞に外来のタンパク質をコードする遺伝子における遺伝子変異をするように修飾してもよく、そのような宿主の例としては、完全な遺伝子型tonAを有する大腸菌W3110株1A2;完全な遺伝子型tonA ptr3を有する大腸菌W3110株9E4;完全な遺伝子型tonA prt3 phoA E15 (argF-lac)169 degP ompT kanrを有する大腸菌W3110株27C7(ATCC 55,244);完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15 (algF-lac)169 degP ompT rbs7ilvGkanrを有する大腸菌W3110株37D6;非カナマイシン耐性degP欠失変異を持つ37D6株である大腸菌W3110株40B4;及び1990年8月7日発行の米国特許第4,946,783号に開示された変異周辺質プロテアーゼを有する大腸菌株を含む。あるいは、クローニングのインビトロ法、例えばPCR又は他の核酸ポリメラーゼ反応が好ましい。
【0047】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、PROポリペプチドコード化ベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッカロミセス・セレヴィシアは、通常用いられる下等真核生物宿主微生物である。他に、シゾサッカロミセスプロンブ(Schizosaccharomyces prombe)(Beach及びNurse, Nature, 290: 140 [1981]; 1985年5月2日公開のEP 139,383);クルベロミセスホスツ(Kluveromyces hosts)(米国特許第4,943,529号; Fleer等, Bio/Technology, 9: 968-975 (1991))、例えばケー・ラクチス(K. lactis)(MW98-8C, CBS683, CBS4574; Louvencourt等, J. Bacteriol. 154(2): 737-742 [1983])、ケー・フラギリス(K. fragilis)(ATCC 12,424)、ケー・ブルガリクス(K. bulgaricus)(ATCC 16,045)、ケー・ウィケラミイ(K. wickeramii)(ATCC 24,178)、ケー・ワルチイ(K. waltii)(ATCC 56,500)、ケー・ドロソフィラルム(K. drosophilarum)(ATCC 36,906; Van den Berg等, Bio/Technology, 8: 135 (1990))、ケー・テモトレランス(K. themotolerans)及びケー・マルキシアナス(K. marxianus);ヤロウィア(yarrowia)(EP 402,226);ピッチャパストリス(Pichia pastoris)(EP 183,070; Sheekrishna等, J. Basic Microbiol, 28: 265-278 [1988]);カンジダ;トリコデルマレーシア(reesia)(EP 244,234);アカパンカビ(Case等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76: 5259-5263 [1979]);シュワニオマイセス(schwanniomyces)、例えばシュワニオマイセスオクシデンタリス(occidentalis)(1990年10月31日公開のEP 394,538);及び糸状真菌、例えば、ニューロスポラ、ペニシリウム、トリポクラジウム(Tolypocladium)(1991年1月10日公開のWO 91/00357);及びコウジ菌、例えば偽巣性コウジ菌(Ballance等, Biochem. Biophys. Res. Commun., 112: 284-289 [1983]; Tilburn等, Gene, 26: 205-221 [1983]; Yelton等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 1470-1474 [1984])及びクロカビ(Kelly及びHynes, EMBO J., 4: 475-479 [1985])が含まれる。ここで好ましいメチロトロピック(methylotropic)酵母は、これらに限られないが、ハンセヌラ(Hansenula)、カンジダ、クロエケラ(Kloeckera)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス、トルロプシス(Torulopsis)、及びロドトルラ(Rhodotorula)からなる属から選択されるメタノールで成長可能な酵母を含む。この酵母の分類の例示である特定の種のリストは、C. Anthony, The Biochemistry of Methylotrophs, 269 (1982)に記載されている。
【0048】
グリコシル化PROの発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。無脊椎動物細胞の例としては、ショウジョウバエS2及びスポドスペラSf9等の昆虫細胞並びに植物細胞が含まれる。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びCOS細胞を含む。多くの特異的な例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Graham等, J. Gen Virol., 36:59 (1977));チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub及びChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980))ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL 75); ヒト肝細胞 (Hep G2, HB 8065); 及びマウス乳房腫瘍細胞 (MMT 060562, ATTC CCL51)を含む。適切な宿主細胞の選択は、この分野の技術常識内にある。
【0049】
3.複製可能なベクターの選択及び使用
PROをコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、クローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター内に挿入される。様々なベクターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、又はファージの形態とすることができる。適切な核酸配列が、種々の手法によってベクターに挿入される。一般に、DNAはこの分野で周知の技術を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、一又は複数のシグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列を含む。これらの成分の一又は複数を含む適当なベクターの作成には、当業者に知られた標準的なライゲーション技術を用いる。
PROは直接的に組換え手法によって生産されるだけではなく、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN-末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチドとしても生産される。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、ベクターに挿入されるPRO-コード化DNAの一部である。シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列であってよい。酵母の分泌に関しては、シグナル配列は、酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー(酵母菌属(Saccharomyces)及びクルイベロマイシス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含み、後者は米国特許第5,010,182号に記載されている)、又は酸ホスフォターゼリーダー、白体(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日公開のEP362179)、又は1990年11月15日に公開されたWO 90/13646に記載されているシグナルであり得る。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物シグナル配列は、同一あるいは関連ある種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダーのようなタンパク質の直接分泌に使用してもよい。
【0050】
発現及びクローニングベクターは共に一又は複数の選択された宿主細胞においてベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。そのような配列は多くの細菌、酵母及びウイルスに対してよく知られている。プラスミドpBR322に由来する複製開始点は大部分のグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド開始点は酵母に適しており、様々なウイルス開始点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV又はBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。
発現及びクローニングベクターは、典型的には、選択性マーカーとも称される選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)例えばバシリに対する遺伝子コードD-アラニンラセマーゼのような、複合培地から得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。
哺乳動物細胞に適切な選べるマーカーの例は、DHFRあるいはチミジンキナーゼのように、PRO-コード化核酸を取り込むことのできる細胞成分を同定することのできるものである。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、Urlaub 等により, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980)に記載されているようにして調製され増殖されたDHFR活性に欠陥のあるCHO株化細胞である。酵母菌中での使用に好適な選択遺伝子は酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である[Stinchcomb等, Nature, 282:39(1979);Kingman等, Gene, 7:141(1979);Tschemper等, Gene, 10:157(1980)]。trp1遺伝子は、例えば、ATCC番号44076あるいはPEP4-1のようなトリプトファン内で成長する能力を欠く酵母菌の突然変異株に対する選択マーカーを提供する[Jones, Genetics, 85:12 (1977)]。
【0051】
発現及びクローニングベクターは、通常、PRO-コード化核酸配列に作用可能に結合し、mRNA合成を制御するプロモーターを含む。種々の可能な宿主細胞により認識されるプロモーターが知られている。原核生物宿主での使用に好適なプロモーターはβ-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系[Cahng等, Nature, 275:615 (1978);Goeddel等, Nature, 281:544 (1979)]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel, Nucleic Acids Res., 8:4057 (1980); EP 36,776]、及びハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーター[deBoer 等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:21-25 (1983)]を含む。細菌系で使用するプロモータもまたPROをコードするDNAと作用可能に結合したシャイン・ダルガーノ(S.D.)配列を有する。
酵母宿主と共に用いて好適なプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼ[Hitzeman 等, J. Biol. Chem., 255:2073 (1980)]又は他の糖分解酵素[Hess 等, J. Adv. Enzyme Reg., 7:149 (1968);Holland, Biochemistry, 17:4900(1978)]、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。
他の酵母プロモーターとしては、成長条件によって転写が制御される付加的効果を有する誘発的プロモーターであり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースの利用を支配する酵素のプロモーター領域がある。酵母菌での発現に好適に用いられるベクターとプロモータはEP 73,657に更に記載されている。
哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからのPRO転写は、例えば、ポリオーマウィルス、伝染性上皮腫ウィルス(1989年7月5日公開のUK 2,211,504)、アデノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシ乳頭腫ウィルス、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス及びサルウィルス40(SV40)のようなウィルスのゲノムから得られるプロモーター、異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター、及び熱衝撃プロモーターから得られるプロモーターによって、このようなプロモーターが宿主細胞系に適合し得る限り制御される。
【0052】
より高等の真核生物による所望のPROをコードするDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増強され得る。エンハンサーは、通常は約10から300塩基対で、プロモーターに作用してその転写を増強するDNAのシス作動要素である。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100-270塩基対)、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウィルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは、PROコード配列の5’又は3’位でベクター中にスプライシングされ得るが、好ましくはプロモーターから5’位に位置している。
また真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDNA又はcDNAの通常は5’、時には3’の非翻訳領域から取得できる。これらの領域は、PROをコードするmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。
組換え脊椎動物細胞培養でのPROの合成に適応化するのに適切な他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gething等, Nature, 293:620-625 (1981); Mantei等, Nature, 281:40-46 (1979); EP 117,060; 及びEP 117,058に記載されている。
【0053】
4.遺伝子発現の検出
遺伝子発現は、ここで提供された配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、例えば、従来よりのサザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法[Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,77:5201-5205 (1980)]、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイツハイブリッド形成法によって、直接的に試料中で測定することができる。あるいは、DNA二本鎖、RNA二本鎖及びDNA-RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いることもできる。次いで、抗体を標識し、アッセイを実施することができ、ここで二本鎖は表面に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法、例えば細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のアッセイによって、測定することもできる。試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳動物で調製することができる。簡便には、抗体は、天然配列PROポリペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチドに対して、又はPRO DNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して調製され得る。
【0054】
5.ポリペプチドの精製
PROの形態は、培地又は宿主細胞の溶菌液から回収することができる。膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)又は酵素的切断を用いて膜から引き離すことができる。PROの発現に用いられる細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解剤などの種々の化学的又は物理的手段によって破壊することができる。
PROを、組換え細胞タンパク又はポリペプチドから精製することが望ましい。適切な精製手順の例である次の手順により精製される:すなわち、イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばDEAEによるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;IgGのような汚染物を除くプロテインAセファロースカラム;及びPROのエピトープタグ形態を結合させる金属キレート化カラムである。この分野で知られ、例えば、Deutcher, Methodes in Enzymology, 182 (1990);Scopes, Protein Purification: Principles and Practice, Springer-Verlag, New York (1982)に記載された多くのタンパク質精製方法を用いることができる。選ばれる精製過程は、例えば、用いられる生産方法及び特に生産される特定のPROの性質に依存する。
【0055】
E.組織分布
PROを発現する組織の位置は、種々のヒト組織でのmRNAの発現を測定することにより同定可能である。このような遺伝子の位置により、PROポリペプチドの活性の刺激又は阻害の影響を最も受けていると思われる組織の情報が提供される。また、特異的組織における遺伝子の位置により、以下で論議される活性阻止アッセイについての試料組織も提供される。
上記したように、種々の組織における遺伝子発現は、従来の、mRNAの転写の定量化のためのノーザンブロット(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 5201-5205 [1980])、サザンブロット、ドットブロット(DNA分析)、又はインサイツハイブリッド形成により、ここに提供する配列にもとづいて適切な標識プローブを用いて測定できる。あるいは、DNA二重鎖、RNA二重鎖、及びDNA-RNAハイブリッド二重鎖又はDNA-タンパク質二重鎖を含む特定の二重鎖を認識可能な抗体を用いてもよい。
あるいは、種々の組織における遺伝子発現は、遺伝子産物を直接定量化するための、組織断片の免疫組織学的染色、及び細胞培地又は体液のアッセイ等の免疫学的方法によっても測定できる。免疫組織学的染色及び/又は試料液のアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳動物から調製される。便利には、抗体は天然配列PROポリペプチドに対して、又はPROポリペプチドをコードするDNA配列に基づく合成ペプチドに対して、又は特異的抗体エピトープをコードし、PROポリペプチドをコードするDNAに融合した外因性配列に対して調製され得る。抗体を生成する一般的技術、及びノーザンブロット及びインサイツハイブリッド形成の特定のプロトコールは以下に提供する。
【0056】
F.抗体結合性の研究
遺伝子増幅実験の結果は、それぞれ、組織細胞上でのPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチドの効果を阻害する、抗-PRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375抗体の能力が試験される抗体結合性の研究によって更に証明できる。例示的な抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性、及びへテロ抱合体抗体を含み、その調製は以下に記載する。
抗体結合性の研究は、競合的結合アッセイ、直接及び間接サンドウィッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイなどの既知のアッセイ法で実施してよい。Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp.147-158 (CRC Press, Inc., 1987)。
競合的結合アッセイは、標識標準物の、限られた量の抗体との結合について試験分析物と競合する能力による。試験試料中の標的タンパク質の量は、抗体に結合する標準物の量に逆比例する。結合する標準物の量の測定を促進するために、抗体は好ましくは競合の前又は後に不溶化し、抗体に結合した標準品及び分析物が未結合で残っている標準物及び分析物から容易に分離できるようにする。
サンドウィッチアッセイは2つの抗体の使用を含み、各々、検出されるタンパク質の異なる免疫原部分、又はエピトープに結合できる。サンドウィッチアッセイにおいて試験試料分析物は固体支持体上に固定化された第1の抗体に結合し、その後第2の抗体が分析物に結合し、よって不溶性の3成分複合体が形成される。例えば米国特許第4,376,110号参照。第2の抗体は検出可能部分で標識され(直接サンドウィッチアッセイ)、あるいは検出可能部分で標識された抗-免疫グロブリン抗体を用いて測定してもよい(間接サンドウィッチアッセイ)。例えば、サンドウィッチアッセイの一形態はELISAアッセイであり、この場合の検出可能部分は酵素である。
免疫組織学のために、組織試料は新鮮でも凍結したものでもよく、パラフィンに包埋して、例えばホルマリン等の保存剤で固定してもよい。
【0057】
G.細胞ベースアッセイ
細胞ベースアッセイ及び免疫関連疾患の動物モデルは、ここで同定されたポリペプチドと遺伝子との関係、及び免疫関連疾患の進行及び病理との関係をさらに理解するために使用するすることができる。
異なる方法では、特定の免疫関連疾患に含まれることが知られた細胞型の細胞をここに記載のcDNAで形質移入し、これらのcDNAの免疫機能を刺激又は阻害する能力を分析する。適当な細胞を所望の遺伝子で形質移入し、免疫機能活性を監視できる。このような形質移入株化細胞は、次いで、例えばT細胞増殖又は炎症細胞の侵入を調節するといった、免疫機能を刺激又は阻害するポリ-又はモノクローナル抗体又は抗体組成物の能力を試験するのに使用できる。ここに同定した遺伝子のコード化配列で形質移入した細胞は、さらに、免疫関連疾患治療用の候補薬の同定に使用できる。
さらに、(下記のような)トランスジェニック動物から誘導された一次培地は、ここでの細胞ベースアッセイに使用できるが、安定な株化細胞が好ましい。トランスジェニック動物から連続株化細胞を誘導する技術はこの分野で良く知られている(Small等, Mol. Cell. Biol. 5, 642-648 [1985]参照)。
【0058】
一つの適切な細胞ベースアッセイは混合リンパ球反応(MLR)である。Current Protocols in Immunology, unit3.12;J.E. Coligan, A.M.Kruisbeek, D.H.Marglies, E. M.Shevach, W.Strober編, 国立衛生研究所, John Wiley & Sons, Incから出版。このアッセイでは、試験化合物が活性化したT細胞の増殖を刺激又は阻害する能力をアッセイする。レスポンダーT細胞の懸濁液を同種刺激細胞で培養し、トリチウム化チミジンの取込によりT細胞の増殖度合いを測定する。このアッセイはT細胞反応性の一般的な測定法である。多くのT細胞が応答し、IL-2の活性化をもたらすため、このアッセイにおける応答性の差異は、応答細胞によるIL-2生産の差異に部分的に反映する。MLRの結果を、標準的なリンホカイン(IL-2)検出アッセイにより証明することができる。上掲のCurrent Protocols in Immunology, 3.15.6.3.。
MLRアッセイにおける増殖性T細胞応答は、アッセイされる分子の直接的な有糸分裂促進特性又は外的な抗原誘発活性化による可能性がある。PROポリペプチドのT細胞刺激活性のさらなる証明は、同時刺激アッセイにより得ることができる。T細胞活性化にはT細胞レセプター(TCR)を通して媒介される抗原に特異的なシグナル、及び第2のリガンド結合相互作用、例えばB7(CD80、CD86)/CD28結合相互作用を通して媒介される同時刺激シグナルが必要である。CD28の架橋により、活性化T細胞によるリンホカインの分泌が増加する。T細胞活性化はネガティブ又はポジティブ効果を有するリガンドの結合を通してネガティブ及びポジティブコントロールの双方を有する。CD28及びCTLA-4はB7に結合するIgスーパーファミリーの糖タンパク質に関連している。B7に結合するCD28は、ポジティブなT細胞活性化同時刺激効果を有し;逆にB7に結合するCTLA-4はネガティブなT細胞非活性化効果を有する。Chambers. C.A. and Allison. J.P., Curr. Opin. Immunol. (1997)9:396。Schwartz, R.H., Cell(1992)71:1065;Linsey, P.S. and Ledbetter. J.A. Annu. Rev. Immunol.(1993)11:191;June, C.H.等 Immunol. Today(1994)15:321;Jenkins. M.K., Immunity(1994)1:405。同時刺激アッセイにおいて、PROポリペプチドはT細胞同時刺激又は阻害活性をアッセイするものである。
【0059】
本発明のPROポリペプチド、並びにT細胞の増殖の刺激剤(同時刺激剤)である本発明の他の化合物及びアゴニスト、例えばアゴニスト抗体で、例えばMLR及び同時刺激アッセイで決定されるようなものは、免疫機能の貧弱さ、最適下限又は不適切さに特徴付けられる免疫関連疾患の治療に有用である。これらの疾患はT細胞(及びT細胞媒介免疫性)の増殖及び活性化を刺激し、刺激化合物、例えば刺激性PROポリペプチドの投与により哺乳動物における免疫反応を増強することにより治療される。刺激性ポリペプチドは、例えばPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375ポリペプチド又はそのアゴニスト抗体であり得る。
本発明の刺激化合物の直接的用途は、プライムT細胞上で発現するリガンド(4-IBBL)に結合し、T細胞活性化及び成長の信号を発する腫瘍壊死因子レセプターファミリーのメンバーである4-IBB糖タンパク質を用いる実験において確認されている。Alderson, M.E.等,J.Immunol.(1994)24:2219。
また、アゴニスト刺激化合物の用途は実験的に確認されている。アゴニスト抗-4-IBB抗体を用いた治療による4-IBBの活性化は腫瘍の根絶化を増強する。Hellstrom. I.及びHellstrom, K.E., Crit. Rev. Immunol.(1998)18:1。以下により詳細に記載する腫瘍治療のための免疫アジュバント治療は、本発明の刺激化合物の用途の他の例である。
さらに、免疫刺激又は増強効果はMLRアッセイにおいて阻害することが見出されたPROの活性に拮抗又はこれをブロックすることにより達成することができる。化合物の阻害活性を無効にすることで、ネットの刺激効果が生じる。適切なアンタゴニスト/ブロック化合物は阻害タンパク質を認識し、これに結合する抗体及びその断片であり、それにより該タンパク質とそのレセプターとの効果的な相互作用がブロックされ、レセプターを通したシグナル化が阻害される。この効果は、おそらくCTLA-4結合による阻害シグナルの除去することにより、T細胞増殖を増強する抗-CTLA-4抗体を使用する実験で確認されている。Walunas, T.L.等, Immunity(1994)1:405。
【0060】
別に、免疫刺激又は増強効果は、血管透過性増強特性を有するPROの投与により達成することもできる。増強した血管透過性は炎症及び免疫細胞(例えば単球、好酸球、PMN)の局部的浸潤により緩和可能な疾患に有益である。
他方、T細胞増殖/活性化、リンホカイン分泌、及び/又は血管透過性の直接阻害剤であるPROポリペプチド並びに本発明の他の化合物は、免疫反応の抑制に直接使用することができる。これらの化合物は、過剰活性、最適上限(superoptimal)又は自己免疫反応により特徴付けられる免疫関連疾患の治療、及び免疫反応の程度を低減するのに有用である。本発明の化合物のこの用途は、レセプターB7に結合するCTLA-4がT細胞を非活性化するという上述の実験により確認されている。本発明の直接阻害化合物は類似した方法で機能する。血管透過性を抑制する化合物の用途は炎症を低減することが期待される。このような用途は過度の炎症に関連した病状の治療に有益である。
別に、刺激PROポリペプチドに結合し、これらの分子の刺激効果をブロックする化合物、例えば抗体により、ネットの阻害効果が生じ、T細胞の増殖/活性化及び/又はリホカイン分泌を阻害することにより、T細胞媒介免疫反応を抑制するために使用することができる。ポリペプチドの刺激効果をブロックすると、哺乳動物の免疫反応が抑制される。この用途は抗-IL2抗体を使用する実験において確認されている。これらの実験において、抗体はIL2に結合し、そのレセプターへのIL2の結合が阻害され、よってT細胞阻害効果が達成される。
【0061】
H.動物モデル
さらに、インビトロにおける細胞ベースアッセイの結果は、インビボ動物モデルを使用し、T細胞機能アッセイにより証明することができる。免疫関連疾患の進行及び病因におけるここに同定される遺伝子の役割を更に理解するために、そして抗体、及び小分子アゴニストを含む天然ポリペプチドの他のアゴニストを含む候補治療薬の有効性を試験するために、種々の良く知られた動物モデルが使用できる。これらのモデルのインビボ性質により、特にヒト患者における反応を予測できる。免疫関連疾患の動物モデルは、非組換え及び組換え(トランスジェニック)動物の両方を含む。非組換え動物モデルは、例えば、齧歯類、例えばマウスモデルを含む。このようなモデルは、標準的な技術、例えば、皮下注射、尾部静脈注射、脾臓移植、腹膜内移植、腎被膜下移植等により、細胞を同系マウスに導入することにより作成される。(1997年9月18日に発行されたPCT公報WO 97/33551参照。)
移植片対宿主疾患は、免疫適格細胞が免疫抑制された、又は耐性のある患者に移植された場合に生じる。ドナー細胞は認識し、宿主抗原に反応する。反応は生命に危険性のある重度の炎症から、下痢や体重の減少等の軽度のケースまで多様である。移植片対宿主疾患モデルはMHC抗原及び少量の移植抗原に対するT細胞反応性を評価する手段を提供する。適切な手順は上掲のCurrent Protocols in Immunology unit4.3.に詳細に記載されている。
皮膚同種移植片拒絶のための動物モデルは、T細胞がインビボ組織の破壊を媒介する能力を試験し、及び移植拒絶におけるそれらの役割を測定する手段である。最も一般的で容認されているモデルではマウスの尾の皮膚の移植片が使用される。繰り返し実験により、皮膚同種移植片拒絶がT細胞、ヘルパーT細胞及びキラー-エフェクターT細胞により媒介されるが、抗体では媒介されないことが示された。Auchincloss, H. Jr.及びSachs, D.H., Fundamental Immunology, 2nd ed., W.E.Paul ed., Raven Press, NY, 1989, 889-992。適切な手順は上掲のCurrent Protocols in Immunology unit4.4.に詳細に記載されている。本発明の化合物の試験に使用可能な他の移植拒絶は、Tanabe, M.等, Transplantation(1994)58:23及びTinubu, S.A.等, J. Immunol.(1994)4330-4338により記載されている同種心臓移植片モデルである。
遅延型過敏用の動物モデルは、細胞媒介免疫機能のアッセイを提供する。遅延型過敏反応は、抗原投与による攻撃後の経過した時間まで、ピークに達しない炎症により特徴付けられるT細胞媒介インビボ免疫反応である。またこれらの反応は組織特異的自己免疫疾患、例えば多発性硬化症(MS)及び実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE、MS用のモデル)で生じる。適切な手順は上掲のCurrent Protocols in Immunology unit4.5.に詳細に記載されている。
【0062】
EAEは、T細胞及び単核細胞の炎症、続いて中枢神経系における軸索の脱髄により特徴付けられるT細胞媒介自己免疫疾患である。EAEは、一般的にヒトにおけるMS用の関連動物モデルであると考えられている。Bolton. C., Multiple Sclerosis(1995)1:143。急性及び再発性弛緩モデルの双方が開発されている。本発明の化合物は上掲のCurrent Protocols in Immunology unit15.1及び15.2.に記載されているプロトコールを使用して、免疫媒介脱髄疾患に対するT細胞刺激又は阻害活性を試験することができる。また、Duncan. I.D.等, Molec. Med. Today(1997)554-561に記載されているようにして、オリゴデンドロサイト又はシュワン細胞が中枢神経系に移植されたミエリン疾患用のモデルも参照のこと。
接触性過敏は、細胞媒介免疫機能の単純遅延型過敏インビボアッセイである。この手順において、遅延型過敏反応が生じている外因性ハプテンに皮膚を暴露し、測定して定量する。接触性過敏は最初に敏感相、続いて顕現相を含む。顕現相はTリンパ球が以前接触したことのある抗原に遭遇したときに生じる。腫脹及び炎症が生じ、ヒトアレルギー性接触皮膚炎の優れたモデルが作成される。適切な手順は、Current Protocols in Immunology,;J.E. Coligan, A.M.Kruisbeek, D.H.Marglies, E. M.Shevach, 及びW.Strober編, John Wiley & Sons, Inc, unit4.2に詳細に記載されている。また、Grabbe, S.及びSchwarz, T. Immun. Today 19(1):37-44(1998)を参照のこと。
関節炎用の動物モデルは、コラーゲン-誘発関節炎である。このモデルはヒト自己免疫慢性関節リウマチの臨床的、組織的及び免疫学的特徴を共有し、ヒト自己免疫関節炎用の許容可能なモデルである。マウス及びラットモデルは滑膜炎、軟骨の腐食及びsubchondral骨により特徴付けられる。本発明の化合物は上掲のCurrent Protocols in Immunology unit15.5.に記載されているプロトコルを使用し、自己免疫関節炎に対する活性度を試験することができる。また、Issekutz, A.C.等, Immunology(1996)88:569に記載されているCD18及びVLA-4インテグリンに対するモノクローナル抗体を使用するモデルも参照のこと。
喘息モデルでは、抗原誘発気道反応性亢進、肺好球菌増加症及び炎症が卵白アルブミンで動物を感作させることで誘発され、ついで、エアゾールにより送達された同様のタンパク質で動物を攻撃する、と記載されている。いくつかの動物モデル(モルモット、ラット、非ヒト霊長類)では、エアゾール抗原で攻撃されたヒトにおけるアトピー性喘息に類似した徴候が示された。本発明の化合物の、喘息治療における活性及び有効性を試験するのに適した手順は、Wolyniec, W.W.等, Am. J. Respir. Cell Mol. Biol.(1998)18:777とそこに引用された文献に記載されている。
【0063】
さらに、本発明の化合物は乾癬用疾患用の動物モデルにおいて試験することができる。T細胞が乾癬の病原である証拠も示唆されている。本発明の化合物はSchon. M.P.等, Nat. Med.(1997)3:183により記載されているscid/scidマウスモデルにおいて試験することができ、マウスは組織病理学的傷害に類似した乾癬を示す。他の適切なモデルはNickoloff. B.J.等, Am. J. Path.(1995)146:580に記載されているようにして調製されたヒト皮膚/scidマウスキメラである。
組換え(トランスジェニック)動物モデルは、ここで同定された遺伝子のコード部分を、トランスジェニック動物作成のための標準的技術を用いて、関心ある動物のゲノムに導入することにより加工できる。トランスジェニック操作の標的として提供できる動物は、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒツジ、ヤギ、ブタ、及び非-ヒト霊長類、例えばヒヒ、チンパンジー及びサルを含む。これらの動物に導入遺伝子を導入するのにこの分野で知られた技術は、前核マイクロインジェクション(Hoppe及びWanger, 米国特許第4,873,191号);胚系列へのレトロウイルス媒介遺伝子転移(例えば、Van der Putten等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 6148-615 [1985]);胚性肝細胞での遺伝子標的化(Thompson等, Cell 56, 313-321 [1989]);胚のエレクトロポレーション(Lo, Mol. Cel. Biol. 3, 1803-1814 [1983]);精子媒介遺伝子転移(Lavitrano等, Cell 57, 717-73 [1989])を含む。概説のためには、例えば、米国特許第4,736,866号を参照のこと。
本発明の目的のために、トランスジェニック動物は、それらの細胞の一部にのみ導入遺伝子を有するもの(「モザイク動物」)を含む。導入遺伝子は、単一の導入遺伝子として、又はコンカテマー、例えば頭部と頭部又は頭部と尾部の直列型として組み込まれる。特定の細胞型への導入遺伝子の選択的導入も、例えば、Lasko等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 6232-636 (1992)の技術に従って可能である。
トランスジェニック動物における導入遺伝子の発現は、標準的技術によって監視できる。例えば、導入遺伝子の組み込みの確認にサザンブロット分析又はPCR増幅が用いられる。次いで、mRNA発現のレベルは、インサイツハイブリッド形成、ノーザンブロット分析、PCR、又は免疫組織化学等の技術を用いて分析できる。
【0064】
さらに、特定組織中への免疫細胞の湿潤を測定するために、動物を、例えば組織学的検査により免疫疾患の病原の徴候について検査してもよい。またブロック実験も実施することができ、ここでトランスジェニック動物は本発明の化合物で処理され、化合物のT細胞増殖刺激又は阻害の度合いが測定される。これらの実験において、上述のようにして調製したPROポリペプチドに結合するブロック抗体は動物に投与され、免疫機能における効果が測定される。
あるいは、動物の胚性細胞に導入されたポリペプチドをコードする変更ゲノムDNAと、その同じポリペプチドをコードする内在性遺伝子との間の相同的組換えの結果、ここに同定するポリペプチドをコードする欠陥又は変更遺伝子を有する「ノックアウト」動物を作成することができる。例えば、特定のポリペプチドをコードするcDNAは、確立された技術に従って当該ポリペプチドをコードするゲノムDNAのクローニングに使用できる。特定のポリペプチドをコードするゲノムDNAの一部を欠失したり、組み込みを監視するために使用する選択可能なマーカーをコードする遺伝子等の他の遺伝子で置換することができる。典型的には、ベクターは無変化のフランキングDNA(5'と3'末端の両方)を数キロベース含む[例えば、相同的組換えベクターの記述についてはThomas and Capecchi, Cell, 51: 503 (1987)を参照のこと]。ベクターは胚性幹細胞に(例えばエレクトロポレーションによって)導入され、導入されたDNAが内在性DNAと相同的に組換えられた細胞を選択する[例えば、Li等, Cell,69:915 (1992)参照]。選択された細胞は次に動物(例えばマウス又はラット)の胚盤胞内に注入され、集合キメラを形成する[例えば、Bradley, Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, E. J. Robertson, ed. (IRL, Oxford, 1987), pp. 113-152参照]。その後、キメラ性胚を適切な偽妊娠の雌性乳母に移植し、「ノックアウト」動物を作ると言われる。胚細胞に相同的に組換えられたDNAを有する子孫は標準的な技術により同定され、それらを利用して動物の全細胞が相同的に組換えられたDNAを含む動物を繁殖させることができる。ノックアウト動物は、ポリペプチドが存在しないことによるある種の病理的状態及び病理的状態の進行に対して防御する能力によって特徴付けられる。
【0065】
I.免疫アジュバント治療
一実施態様において、本発明の免疫刺激化合物は腫瘍(癌)治療における免疫アジュバント治療に使用することができる。T細胞がヒト腫瘍特異的抗原を認識することは十分に確立されている。遺伝子のMAGE、BAGE及びGAGEファミリーによりコードされる腫瘍抗原の一グループは全ての成人の正常組織で無症状であるが、腫瘍、例えばメラノーマ、肺腫瘍、頭部及び頸部の腫瘍、膀胱癌においてはかなりの量が発現している。DeSmet. C.等, (1996)Proc. Natl. Acad. Sci.93:7149。T細胞の同時刺激により、インビトロ及びインビボの双方において、腫瘍の退行及び抗腫瘍反応が誘発されることが示されている。Melero. I.等, Nature Medicine(1997)3:682;Kwon. E.D.等, Proc. Natl. Acad. Sci.USA(1997)94:8099;Lynch. D.H.等, Nature Medicine(1997)3:625;Finn. O.J.及びLotze. M.T., J. Immunol.(1998)21:114。本発明の刺激化合物はアジュバントとして単独で又は成長調節剤、細胞障害薬又は化学療法剤と共に投与することができ、T細胞増殖/活性化及び腫瘍抗原に対する抗腫瘍反応を刺激する。成長調節剤、細胞障害薬又は化学療法剤は既知の投与方法で使用されている従来からの量で投与することができる。本発明の化合物による免疫刺激活性により、成長調節剤、細胞障害薬又は化学療法剤の量を減らすことができ、よって、潜在的に患者に対する毒性を低下させることができる。
【0066】
J.候補薬についてのスクリーニングアッセイ
候補薬のスクリーニングアッセイは、ここで同定される遺伝子にコードされるポリペプチド、又はその生物学的に活性な断片と結合又は抱合する化合物、あるいはコード化ポリペプチドと他の細胞性タンパク質との相互作用を阻害する化合物を同定するために設計される。このようなスクリーニングアッセイは、特に小分子候補薬の同定に適したものにする、化学的ライブラリの高スループットスクリーニングに従うアッセイを含む。考慮される小分子とは、合成有機又は無機化合物を含み、それらは、ペプチド、好ましくは可溶性ペプチド、(ポリ)ペプチド-免疫グロブリン融合体、特に、限定されないが、ポリ-及びモノクローナル抗体及び抗体断片、単鎖抗体、抗-イディオタイプ抗体、及びそれらの抗体又は断片のキメラ又はヒト化形、並びにヒト抗体及び抗体断片を含む抗体を含んでいる。アッセイは、種々の形式で実施でき、この分野で良く特徴付けられたタンパク質-タンパク質結合アッセイ、生化学的スクリーニングアッセイ、イムノアッセイ及び細胞ベースのアッセイを含む。
全てのアッセイは、それらが候補薬をここで同定された核酸にコードされるポリペプチドと、これら2つの成分が相互作用するのに十分な条件下及び時間で接触させることを必要とすることにおいて共通する。
結合アッセイにおいて、相互作用は結合であり、形成された複合体は単離されるか、又は反応混合物中で検出される。特別な実施態様では、ここに同定された遺伝子にコードされるポリペプチド、即ち候補薬が、共有又は非共有結合により固相、例えばマイクロタイタープレートに固定化される。非共有結合は、一般的に固体表面をポリペプチドの溶液で被覆し乾燥させることにより達成される。あるいは、固定化すべきペプチドに特異的な固定化抗体、例えばモノクローナル抗体を、そのペプチドを固体表面に固着させるために用いることができる。アッセイは、固定化成分、例えば固着成分を含む被覆表面に、検出可能な標識で標識されていてもよい非固定化成分を添加することにより実施される。反応が完了したとき、未反応成分を例えば洗浄により除去し、固体表面に固着した複合体を検出する。最初の非固定化成分が検出可能な標識を有している場合、表面に固定化された標識の検出は複合体形成が起こったことを示す。最初の非固定化成分が標識を持たない場合は、複合体形成は、例えば、固定化された複合体に特異的に結合する標識抗体によって検出できる。
【0067】
候補化合物がここで同定される遺伝子にコードされる特定のタンパク質と相互作用するが結合しない場合、そのタンパク質との相互作用は、タンパク質-タンパク質相互作用を検出するために良く知られた方法によってアッセイすることができる。そのようなアッセイは、架橋、同時免疫沈降、及び勾配又はクロマトグラフィカラムを通す同時精製などの伝統的な手法を含む。さらに、タンパク質-タンパク質相互作用は、Chevray及びNathans[Proc.Natl. Acad. Sci. USA 89, 5789-5793 (1991)]に開示されているようにして、Fields及び共同研究者等[Fiels及びSong, Nature(London) 340, 245-246 (1989); Chien等, Proc.Natl. Acad. Sci. USA 88, 9578-9582 (1991)]に記載された酵母菌ベースの遺伝子系を用いることにより監視することができる。酵母菌GAL4などの多くの転写活性化剤は、2つの物理的に別個のモジュラードメインからなり、一方はDNA結合ドメインとして作用し、他方は転写活性化ドメインとして機能する。以前の文献に記載された酵母菌発現系(一般に「2-ハイブリッド系」と呼ばれる)は、この特性の長所を利用して、2つのハイブリッドタンパク質を用い、一方では標的タンパク質がGAL4のDNA結合ドメインに融合し、他方では、候補となる活性化タンパク質が活性化ドメインに融合している。GAL1-lacZリポーター遺伝子のGAL4活性化プロモーターの制御下での発現は、タンパク質-タンパク質相互作用を介したGAL4活性の再構成に依存する。相互作用するポリペプチドを含むコロニーは、β-ガラクトシダーゼに対する色素生産性物質で検出される。2-ハイブリッド技術を用いた2つの特定なタンパク質間のタンパク質-タンパク質相互作用を同定するための完全なキット(MATCHMAKER(商品名))は、Clontechから商業的に入手可能である。この系は、特定のタンパク質相互作用に含まれるタンパク質ドメインのマッピング、並びにこの相互作用にとって重要なアミノ酸残基の特定にも拡張することができる。
ここで同定される遺伝子と他の細胞内又は細胞外成分との相互作用を阻害する化合物は、次のように試験することができる:通常は、遺伝子の生成物及び細胞内又は外成分を含む反応混合物を、条件下で2つの生成物が相互作用及び結合する時間に渡って調製する。試験化合物が結合を阻害する能力を試験するために、反応は試験化合物有り又は無しで実施する。さらに、第3の反応混合物にプラシーボを添加してポジティブ対照としてもよい。混合物中に存在する試験化合物と細胞内又は外成分との結合(複合体形成)は上記のように監視する。対照反応において複合体が形成され、試験化合物を含む反応混合物ではしないことは、試験化合物が試験化合物とその反応パートナーとの相互作用を妨害することを示す。
【0068】
K. 免疫関連疾患の治療のための組成物及び方法
免疫関連疾患の治療に有用な組成物は、限定するものではないが、例えば、T細胞の増殖/活性化、リンホカインの放出、又は免疫細胞の浸潤等の免疫機能を阻害又は刺激するタンパク質、抗体、有機小分子、ペプチド、リンペプチド、アンチセンス及びリボザイム分子、三重螺旋分子を含む。
例えば、アンチセンスRNA及びRNA分子は、標的mRNAにハイブリッド形成してタンパク質翻訳を妨害することによりmRNAの翻訳を直接阻止するように作用する。アンチセンスDNAが用いられる場合、翻訳開始部位、例えば標的遺伝子ヌクレオチド配列の−10から+10位置の間から誘導されるオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。
リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒できる酵素的RNA分子である。リボザイムは、相補的標的RNAへの配列特異的ハイブリッド形成、次いでヌクレオチド鎖切断的切断により作用する。潜在的RNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、既知の技術で同定できる。更なる詳細は、例えば、Rossi, Current Biology 4: 469-471 (1994)及びPCT公報、番号WO 97/33551(1997年9月18日公開)を参照のこと。
転写阻害に用いられる三重螺旋形成における核酸分子は単鎖でデオキシヌクレオチドからなる。これらのオリゴヌクレオチドの基本組成は、フーグスチン塩基対則を介する三重螺旋形成を促進するように設計され、それは一般に二重鎖の一方の鎖上のプリン又はピリミジンのサイズ変更可能な伸展を必要とする。さらなる詳細は、例えば、PCT公報、番号WO 97/33551, 上掲を参照のこと。
これらの小分子は、上記で議論したスクリーニングアッセイの任意のもの又は任意の組合せにより、及び/又は当業者に良く知られた他の任意のスクリーニング技術により同定できる。
【0069】
L.PRO抗体
本発明は、さらにT細胞の増殖、エオシン好性白血球の浸潤、血管透過性等を阻害(アンタゴニスト)又は刺激(アゴニスト)する抗-PRO抗体及びその断片を提供するものである。このような抗-PRO抗体又はその断片の例としては、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性及びヘテロ抱合体抗体が含まれる。
【0070】
1.ポリクローナル抗体
抗-PRO抗体はポリクローナル抗体を含む。ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に知られている。哺乳動物においてポリクローナル抗体は、例えば免疫化剤、及び所望するのであればアジュバントを、一又は複数回注射することで発生させることができる。典型的には、免疫化剤及び/又はアジュバントを複数回皮下又は腹腔内注射により、哺乳動物に注射する。免疫化剤は、PROポリペプチド又はその融合タンパク質を含みうる。免疫化剤を免疫化された哺乳動物において免疫原性が知られているタンパク質に抱合させるのが有用である。このような免疫原タンパク質の例は、これらに限られないが、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン及び大豆トリプシンインヒビターが含まれる。使用され得るアジュバントの例には、フロイント完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコラート)が含まれる。免疫化プロトコールは、過度の実験なく当業者により選択されるであろう。
【0071】
2.モノクローナル抗体
あるいは、抗-PRO抗体はモノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein, Nature, 256:495 (1975)に記載されているようなハイブリドーマ法を使用することで調製することができる。ハイブリドーマ法では、マウス、ハムスター又は他の適切な宿主動物を典型的には免疫化剤により免疫化することで、免疫化剤に特異的に結合する抗体を生成するかあるいは生成可能なリンパ球を誘発する。また、リンパ球をインビトロで免疫化することもできる。
免疫化剤は、典型的にはPROポリペプチド又はその融合タンパク質を含む。一般にヒト由来の細胞が望まれる場合には末梢血リンパ球(「PBL」)が使用され、あるいは非ヒト哺乳動物源が望まれている場合は、脾臓細胞又はリンパ節細胞が使用される。次いで、ポリエチレングリコール等の適当な融合剤を用いてリンパ球を不死化株化細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する[Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103]。不死化株化細胞は、通常は、形質転換した哺乳動物細胞、特に齧歯動物、ウシ、及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラット又はマウスの骨髄腫株化細胞が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不死化細胞の生存又は成長を阻害する一又は複数の物質を含有する適切な培養培地で培養される。例えば、親細胞が、酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いていると、ハイブリドーマの培養培地は、典型的には、ヒポキサチン、アミノプチリン及びチミジンを含み(「HAT培地」)、この物質がHGPRT欠乏性細胞の増殖を阻止する。
好ましい不死化株化細胞は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による安定した高レベルの抗体発現を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性である。より好ましい不死化株化細胞はマウス骨髄腫株であり、これは例えばカリフォルニア州サンディエゴのSalk Institute Cell Distribution Centerやバージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手可能である。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫株化細胞も記載されている[Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984);Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63]。
【0072】
次いでハイブリドーマ細胞が培養される培養培地を、PROに対するモノクローナル抗体の存在についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は免疫沈降又はラジオイムノアッセイ(RIA)や酵素結合免疫測定法(ELISA)等のインビトロ結合検定法によって測定する。このような技術及びアッセイは、当該分野において既知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson及びPollard, Anal. Biochem., 107:220 (1980)によるスキャッチャード分析法によって測定することができる。
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを制限希釈工程によりサブクローニングし、標準的な方法で成長させることができる[Goding, 上掲]。この目的のための適当な培地には、例えば、ダルベッコの改変イーグル培地及びRPMI-1640倍地が含まれる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は哺乳動物においてインビボで腹水として成長させることもできる。
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セファロース法、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー法、ゲル電気泳動法、透析法又はアフィニティークロマトグラフィー等の従来の免疫グロブリン精製方法によって培養培地又は腹水液から単離又は精製される。
また、モノクローナル抗体は、組換えDNA法、例えば米国特許第4,816,567号に記載された方法により作成することができる。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、常套的な方法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用して)、容易に単離し配列決定することができる。本発明のハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび単離されたら、DNAは発現ベクター内に配することができ、これが宿主細胞、例えばサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、あるいは免疫グロブリンタンパク質を生成等しない骨髄腫細胞内に形質移入され、組換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成をすることができる。また、DNAは、例えば相同マウス配列に換えてヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することにより[米国特許第4,816,567号;Morrison等, 上掲]、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の一部又は全部を共有結合することにより修飾することができる。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインに置換でき、あるいは本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインに置換でき、キメラ性二価抗体を生成する。
抗体は一価抗体であってもよい。一価抗体の調製方法は当該分野においてよく知られてる。例えば、一つの方法は免疫グロブリン軽鎖と修飾重鎖の組換え発現を含む。重鎖は一般的に、重鎖の架橋を防止するようにFc領域の任意の点で切断される。あるいは、関連するシステイン残基を他のアミノ酸残基で置換するか欠失させて架橋を防止する。
一価抗体の調製にはインビトロ法がまた適している。抗体の消化による、その断片、特にFab断片の生成は、当該分野において知られている慣用的技術を使用して達成できる。
【0073】
3.ヒト及びヒト化抗体
本発明の抗-PRO抗体は、さらにヒト化抗体又はヒト抗体を含む。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化形とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖あるいはその断片(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')あるいは抗体の他の抗原結合サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むものである。ヒト化抗体はレシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。幾つかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいはほとんど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいはほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含んでなる[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann等, Nature, 332:323-329 (1988); 及びPresta, Curr. Op Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
【0074】
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体には非ヒト由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入される。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は基本的に齧歯動物のCDR又はCDR配列でヒト抗体の該当する配列を置換することによりウィンター(Winter)及び共同研究者[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法に従って実施される。よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかのCDR残基及び場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
また、ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリ[Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]を含むこの分野で知られた種々の方法を用いて作成することもできる。また、Cole等及びBoerner等の技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用することができる[Cole等, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss. p.77(1985);Boerner等, J. Immunol., 147(1):86-95(1991);米国特許第5,750,373号 ]。同様に、ヒト抗体はヒト免疫グロブリン座位をトランスジェニック動物、例えば内在性免疫グロブリン遺伝子は部分的又は完全に不活性化してマウスに導入することにより産生することができる。投与の際に、遺伝子再配列、組立、及び抗体レパートリーを含むあらゆる観点においてヒトに見られるものに非常に類似しているヒト抗体の生産が観察される。このアプローチは、例えば米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016号、及び次の科学文献:Marks等, Bio/Technology 10, 779-783 (1992); Lonberg等, Nature 368 856-859 (1994); Morrison, Nature 368, 812-13 (1994); Fishwild等, Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826 (1996); Lonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995)に記載されている。
また、抗体は上述した既知の選択及び/又は突然変異誘発を使用し、親和成熟させてもよい。好ましい親和成熟抗体は、成熟抗体が調製される(一般的にマウス、ヒト化又はヒトの)出発抗体のものよりも、5倍、より好ましくは10倍、さらに好ましくは20又は30倍の親和性を有する。
【0075】
4.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトもしくはヒト化抗体である。本ケースにおいて、結合特異性の一方はPROに対してであり、他方は任意の他の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質又はレセプター又はレセプターサブユニットに対してである。
二重特異性抗体を作成する方法は当該技術分野において周知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え生産は、二つの重鎖が異なる特異性を持つ二つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく(Milstein及びCuello, Nature, 305:537-539[1983])。免疫グロブリンの重鎖と軽鎖を無作為に取り揃えるため、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成し、その内一種のみが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、アフィニティークロマトグラフィー工程によって通常達成される。同様の手順が1993年5月13日公開のWO 93/08829、及びTraunecker等, EMBO J.,10:3655-3659 (1991)に開示されている。
所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合できる。融合は、好ましくは少なくともヒンジ部、CH2及びCH3領域の一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものである。少なくとも一つの融合には軽鎖結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)が存在することが望ましい。免疫グロブリン重鎖融合をコードするDNA、及び望むのであれば免疫グロブリン軽鎖を、別々の発現ベクターに挿入し、適当な宿主生物に同時形質移入する。二重特異性抗体を作成するための更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121:210(1986)を参照されたい。
【0076】
WO 96/27011に記載された他のアプローチによれば、一対の抗体分子間の界面を操作して組換え細胞培養から回収される異種二量体の割合を最大にすることができる。好適な界面は抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの一又は複数の小さいアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖と同じ又は類似のサイズの相補的「キャビティ」は、大きなアミノ酸側鎖が小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置き換えられた第2の抗体分子の界面に作り出される。これにより、ホモダイマーのような不要の他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大させるメカニズムが提供される。
二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体断片(例えば、F(ab')二重特異性抗体)として調製できる。抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等, Science, 229:81 (1985) は無傷の抗体をタンパク分解性に切断してF(ab')断片を産生する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。産生されたFab'断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換される。Fab'-TNB誘導体の一つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab'-チオールに再転換し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作られた二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
【0077】
大腸菌からFab'断片を直接回収でき、これは化学的に結合して二重特異性抗体を形成することができる。Shalaby等, J. Exp. Med., 175:217-225 (1992)は完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab')2分子の製造を記述している。各Fab'断片は大腸菌から別個に分泌され、インビトロで定方向化学共役を受けて二重特異性抗体を形成する。このようにして形成された二重特異性抗体は、正常なヒトT細胞及びErbB2レセプターを過剰発現する細胞に結合可能で、ヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の細胞溶解活性の誘因となる。
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し分離する様々な技術もまた記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して生産されている。Kostelnyら, J.Immunol. 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab'部分に結合させる。抗体ホモダイマーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、ついで再酸化して抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法はまた抗体ホモダイマーの生産に対して使用することができる。Hollingerら, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作成する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには十分に短いリンカーにより軽鎖可変ドメイン(V)に重鎖可変ドメイン(V)を結合してなる。従って、一つの断片のV及びVドメインは他の断片の相補的V及びVドメインと強制的に対形成させられ、2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーの使用により二重特異性抗体断片を製造する他の方策もまた報告されている。Gruberら, J.Immunol. 152:5368 (1994)を参照されたい。
【0078】
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tuttら J.Immunol. 147:60(1991)。
例示的な二重特異性抗体は、ここに与えられたPROポリペプチドの2つの異なるエピトープに結合しうる。あるいは、抗-PROアームは、特定のPROポリペプチド発現細胞に細胞防御メカニズムを集中させるように、T細胞レセプター分子(例えばCD2、CD3、CD28、又はB7)等の白血球上のトリガー分子又はFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)等のIgG(FcγR)に対するFcレセプターに結合するアームと結合しうる。また、二重特異性抗体は特定のPROポリペプチドを発現する細胞に細胞障害薬を局在化させるためにも使用されうる。これらの抗体はPROポリペプチド結合アーム及び細胞障害薬又は放射性キレート化剤、例えばEOTUBE、DPTA、DOTA、又はTETAと結合するアームを有する。関心ある他の二重特異性抗体はPROポリペプチドに結合し、そしてさらに組織因子(TF)に結合する。
【0079】
5.ヘテロ抱合体抗体
ヘテロ抱合抗体は2つの共有結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせるため[米国特許第4,676,980号]及びHIV感染の治療のために[WO 91/00360; WO 92/200373; EP 03089]提案されている。この抗体は、架橋剤に関連したものを含む合成タンパク化学における既知の方法を使用して、インビトロで調製することができると考えられる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することにより、免疫毒素を作成することができる。この目的に対して好適な試薬の例には、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチリミデート、及び例えば米国特許第4,676,980号に開示されているものが含まれる。
【0080】
6.エフェクター機能の加工
本発明の抗体をエフェクター機能について改変し、例えば免疫関連疾患の治療における抗体の有効性を向上させるのが望ましい。例えば、システイン残基をFc領域に導入し、それにより、この領域に鎖間ジスルフィド結合を形成させるようにしてもよい。そのようにして生成された同種二量体抗体は、向上した内部移行能力及び/又は増加した補体媒介細胞殺傷及び抗体-依存性細胞性細胞毒性(ADCC)を有しうる。Caron等, J. Exp. Med. 176: 1191-1195 (1992)及びShopes, B. J. Immunol. 148: 2918-2922 (1992)参照。向上した抗腫瘍活性を持つ同種二量体抗体はまた、Wolff等, Cancer Research 53: 2560-2565 (1993)に記載されたような異種二官能性架橋を用いても調製しうる。あるいは、抗体は、2つのFc領域を有するように加工して、それにより補体溶解及びADCC能力を向上させることもできる。Stevenson等, Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230 (1989)参照。
【0081】
7.免疫複合体
本発明はまた、化学療法剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素、又はその断片)などの細胞障害薬、あるいは放射性同位体(即ち、放射性抱合)に抱合された抗体を含む免疫複合体にも関する。
このような免疫抱合体の生成に有用な化学療法剤は上記した。用いることのできる酵素活性毒素及びその断片は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria oficinalis)インヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)を含む。様々な放射性ヌクレオチドが放射性抱合抗体の生成に利用可能である。例として、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reを含む。
抗体及び細胞障害薬の抱合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCL等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレート等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トリエン2,6-ジイソシアネート等)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン等)を用いて作成できる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238: 1098 (1987)に記載されたように調製することができる。カーボン-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への抱合のためのキレート剤の例である。WO 94/11026参照。
他の実施態様では、組織の予備標的化で使用するために、抗体は「レセプター」(ストレプトアビジン等)に抱合されてもよく、抗体-レセプター抱合体は患者に投与され、次いで清澄化剤を用いて未結合抱合体を循環から除去し、次に細胞毒性薬(放射性ヌクレオチド等)に抱合された「リガンド」(アビジン等)を投与する。
【0082】
8.免疫リポソーム
また、ここに開示するタンパク質、抗体は、免疫リポソームとして調製してもよい。抗体を含むリポソームは、Epstein等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985); Hwang等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); 及び米国特許第4,485,045号及び同第4,544,545号に記載されたような、この分野で知られた方法で調製される。向上した循環時間を持つリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG-誘導ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物での逆相蒸発法によって生成される。リポソームは、定められた孔サイズのフィルターを通して押し出され、所望の径を有するリポソームが生成される。本発明の抗体のFab’断片は、Martin等, J. Biol. Chem. 257: 286-288 (1982)に記載されているように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームに抱合され得る。化学治療剤(ドキソルビシン等)は、場合によってはリポソーム内に包含される。Gabizon等, J. National Cancer Inst. 81(19) 1484 (1989)参照。
【0083】
M.抗体の製薬組成物
本発明の活性PRO分子(例えばPROポリペプチド、抗-PRO抗体、及び/又はその変異体)、並びに上述のスクリーニングアッセイで同定された他の分子は、免疫関連疾患の治療のために、製薬組成物の形態で投与することができる。
本発明の活性PRO分子、好ましくはポリペプチド又は抗体の治療用製剤は、所望される程度の純度を持つ活性分子を、親油性製剤又は水性溶液の形態で、任意の製薬上許容される担体、賦形剤又は安定化剤と混合することにより調製され保存される(Remington's Pharmaceutical Science 16th edition, Osol, A. Ed. [1980])。許容される担体、賦形剤、又は安定化剤は、用いられる用量及び濃度で受容者に非毒性であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロイド;ヘキサメトニウムクロイド;ベンズアルコニウムクロイド;ベンズエトニウムクロイド;フェノール;ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又はトゥイーン(TWEEN)(商品名)、プルロニクス(PLURONICS)(商品名)、及びポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
ここで開示されたスクリーニングアッセイで同定された化合物は、同様の方式でこの分野で知られた標準技術を用いて製剤することができる。
リポフェクション又はリポソームもPRO分子を細胞に導入するのに使用できる。抗体断片が用いられる場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小阻害断片が好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列に結合する能力を保持したペプチド分子が設計できる。このようなペプチドは、化学的に合成でき、又は組換えDNA技術によって生成できる。(例えば、Marasco等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 7889-7893 [1993]を参照のこと)。
【0084】
ここでの製剤は、治療すべき特定の徴候に必要な場合に1以上の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものも含んでよい。あるいは、又はそれに加えて、組成物は、細胞障害薬、サイトカイン又は成長阻害剤を含んでもよい。これらの分子は、適切には、意図する目的に有効な量の組み合わせで存在する。
また、活性PRO分子は、例えばコアセルベーション技術により又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、各々ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)中、又はマイクロエマルション中に包括されていてもよい。これらの技術は、Remington's Pharmaceutical Science 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
インビボ投与に使用される製剤は無菌でなけらばならない。これは、滅菌濾過膜を通した濾過により容易に達成される。
徐放性製剤又はPRO分子を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、このマトリクスは成形された物品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形状である。除放性マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とgethyl-L-グルタマートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商品名)(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロリドからなる注射可能なマイクロスフェア)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、ポリ-(D)-(-)-3-ヒドロキシブチル酸を含む。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは分子を100日に渡って放出することができるが、ある種のヒドロゲルはより短時間でタンパク質を放出してしまう。カプセル化された抗体が身体内に長時間残ると、それらは37℃の水分に露出されることにより変性又は凝集し、その結果、生物学的活性の低下及び起こりうる免疫原性の変化をもたらす。合理的な方法は、含まれる機構に依存する安定化について工夫することができる。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換を通した分子間S-S結合形成であると発見された場合、安定化はスルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含有量の制御、適切な添加剤の付加、及び特異的ポリマーマトリクス組成物の開発によって達成されうる。
【0085】
N.治療方法
本発明のPROポリペプチド、抗体及び他の活性物質は、組織への炎症細胞の浸潤、T細胞の増殖の刺激、T細胞の増殖の阻害、血管透過性の増加又は低減又はそれらの阻害によって特徴付けられるものを含む、T細胞媒介疾患等の種々の免疫関連疾患及び病状を治療するために使用できると考えられる。
本発明のPROポリペプチド、抗体及び他の化合物で治療される病状又は疾患の例には、限定するものではないが、全身性紅斑性狼瘡、リウマチ様関節炎、若年性慢性関節炎、骨関節症、脊椎関節症、全身性硬化症(強皮症)、特発性炎症ミオパシー(皮膚筋炎、多発性筋炎)、シェーグレン症候群、全身性血管炎症症(systemic vasculitis)、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血(免疫再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿)、自己免疫性血小板減少(特発性血小板減少性紫斑病、免疫仲介血小板減少)、甲状腺炎(グレーブス疾患、ハシモト甲状腺炎、若年性リンパ球性甲状腺炎、萎縮性甲状腺炎)、真性糖尿病、免疫仲介腎疾患(糸球体腎炎、尿細管間質性腎炎)、例えば多発性硬化症のような中枢及び末梢神経系の脱髄疾患、特発性脱髄性多発神経障害、又はギラン-バレー症候群、及び慢性炎症脱髄性多発神経障害、肝疾患、例えば伝染性肝炎(A型、B型、C型、D型、E型肝炎及び他の非肝炎性(nonhepatotropic)ウィルス)、自己免疫性慢性活性肝炎、原発性胆汁性肝硬変症、肉芽腫性肝炎、及び硬化性胆管炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎;クローン病)、グルテン過敏性腸疾患、ウィップル病、水疱性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触性皮膚炎を含む自己免疫又は免疫媒介皮膚疾患、乾癬、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物過敏症及び蕁麻疹等のアレルギー性疾患、好球性肺炎、特発性肺線維症及び過敏性肺炎のような肺の免疫疾患、拒絶反応及び移植片対宿主疾患を含む移植関連疾患が含まれる。
全身性紅斑性狼瘡において、疾患の中心媒介物は自己タンパク質/組織に対する自己反応性抗体の産出であり、続いて、免疫媒介炎症が生じ、抗体は直接的又は間接的に組織傷害を媒介する。しかし、Tリンパ球は組織ダメージに直接関与しないことが示されており、Tリンパ球は自己反応性抗体の発育に必要である。よって、疾患の発生はTリンパ球に依存している。腎臓、肺、筋骨格、皮膚粘膜、眼、中枢神経系、心臓血管系、胃腸管、骨髄及び血液を含む複数の器官及び系が臨床的な影響を受ける。
【0086】
リウマチ様関節炎(RA)は、主に複数の関節の滑膜に係る慢性全身性自己免疫疾患であり、結果として関節軟骨に傷害が生じる。病原はTリンパ球依存であり、リウマチ因子、自己IgGに指向する自己抗体の生成を付随し、結果として関節体液及び血液において高レベルに達する免疫複合体が形成される。関節におけるこれらの複合体は、滑膜へのリンパ球及び単球の顕著な浸潤と、続いての顕著な滑膜変化を誘発しうる;多数の好中球の添加により同様の細胞で浸潤されるならば関節空間/体液でもである。影響を受けている組織は、多くの場合対照的なパターンで主に関節である。しかしながら、2つの主な形態の関節外疾患も生じる。一方の形態は進行中の進行性関節疾患及び肺線維症の局部的障害、血管炎、及び皮膚潰瘍を伴う関節外障害の発達である。関節外疾患の第2の形態はいわゆるフェルティー症候群であり、RA疾患経路の末期、時々は関節疾患が鎮静した後に生じ、好中球減少、血小板減少及び脾肥大の存在に関与する。これは、梗塞、皮膚潰瘍及び壊疽の形成を伴う多数の器官及び血管炎に付随する。多くの場合、患者では、発病している関節上にある皮下組織にリウマチ様小結節が発達し;小結節は、混合炎症細胞浸潤に包囲された壊死性中心を有する。RAで生じる可能性のある他の徴候には:心外膜炎、胸膜炎、冠動脈炎、肺線維症を伴う間質性肺炎、乾性角結膜炎、及びリウマチ様小結節が含まれる。
若年性慢性関節炎は、多く場合16才以下で発症する慢性特発性炎症疾患である。その表現型はRAといくつかの類似点があり;リウマチ因子がポジティブである患者の中には若年性リウマチ様関節炎に分類されるものもいる。この疾患は主な3つのカテゴリー:小関節(pauciarticular)、多関節(polyarticular)及び全身性ものに亜分類される。関節炎は重度で局所的な破壊が生じ、関節強直症及び遅延成長に至るおそれもある。他の徴候には慢性前ブドウ膜炎及び全身性アミロイド症が含まれる。
【0087】
脊椎関節症は、一般的にHLA-B27遺伝子生成物の発現に関連した、いくつかの共通した臨床的特徴を有する疾患のグループである。疾患には:強直症、脊椎炎(sponylitis)、ライター症候群(反応性関節炎)、炎症性大腸疾患に関連した関節炎、乾癬に関連した脊椎炎、若年発生脊椎関節症及び未分化脊椎関節症が含まれる。区別する特徴には、脊椎炎を伴うか伴わない仙腸関節炎;HLA-B27(血清学的には、クラスI MHCのHLA-B座位にある定義された対立遺伝子)を伴う炎症非対称性関節炎;眼の炎症、及び他のリウマチ疾患に関連した自己抗体の不在が含まれる。疾患の誘導における鍵として関わるほとんどの細胞はCD8Tリンパ球であり、クラスI MHC分子により付与される抗原を標的としている細胞である。CD8T細胞は、MHCクラスI分子により発現した外来ペプチドであるかのように、クラスI MHC対立遺伝子HLA-B27と反応する。HLA-B27のエピトープが細菌性又は他の微生物の抗原エピトープを模倣し、よってCD8T細胞の反応が誘発されると仮定されている。
全身性硬化症(強皮症)は病因がよく知られていない。疾患の特徴は皮膚の硬化であり;これは活性化炎症プロセスにより誘発される。強皮症は局部的又は全身的であり:血管障害が一般的で、微小血管系における内皮細胞傷害は全身性硬化症の発達における初期の重要な事象であり;血管傷害は免疫媒介されうる。免疫学的基準では、皮膚障害における単核細胞浸潤の存在、多くの患者において抗細胞核抗体の存在を意味する。多くの場合、ICAM-1は皮膚障害における線維芽細胞の細胞表面をアップレギュレーションし、これらの細胞と相互作用するT細胞が疾患の病因における役割を担っていることが示唆される。関連する他の器官には:胃腸管:萎縮症及び線維症があり、結果として異常なぜん動/運動性となっている平滑筋:腎臓:小弓形及び小葉間動脈に影響を及ぼし、結果として腎皮質の血流が低下し、タンパク尿、高窒素血尿及び高血圧になる同心性内皮下内膜増殖:骨格筋:萎縮、間質性線維症:炎症:肺:間質性肺炎及び間質性線維症:及び心臓:収縮バンド壊死、瘢痕/線維症が含まれる。
【0088】
皮膚筋炎、多発性筋炎及び他のものを含む特発性炎症ミオパシーは病因がよく知られていない慢性筋肉炎症疾患であり、筋肉の弱化に至る。筋肉損傷/炎症は多くの場合対称的で進行性である。自己抗体は多くの形態と関連している。これらの筋炎特異的自己抗体は、タンパク質合成に係る成分、タンパク質及びRNAに対して産生されてその機能を阻害する。
シェーグレン症候群は、免疫媒介炎症、続く涙腺及び唾液腺の機能破壊によるものである。この疾患は炎症結合組織疾患を伴うか又は伴わない。この疾患は、双方ともが小RNA-タンパク質複合体であるRo及びLa抗原に対する抗体産出に関連している。障害により、結果として乾性角結膜炎、bilary硬変を含む他の徴候又は会合を伴う口内乾燥、末梢又は感覚ニューロパシー、及び明白な紫斑病に至る。
全身性血管炎症症は主な障害が炎症で、続いて血管にダメージを受け、結果として影響を受けた脈管により供給される組織に虚血/壊死/変性が生じ、最終的な末端器官ではいくつかのケースで機能障害になるといった疾患である。また、第2の障害として血管炎(vasculitides)、又は他の免疫炎症媒介疾患、例えばリウマチ様関節炎、全身性硬化症等、特に免疫複合体の形成に関連した疾患等の続発症が生じるおそれがある。主な全身性血管炎症症グループの疾患には:全身壊死性血管炎:多動脈炎結節(polyarteritis nodosa)、アレルギー性脈管炎、及び肉芽腫症、多脈管炎:ヴェゲナー肉芽腫症;リンパ腫様肉芽腫症:及び巨細胞動脈炎が含まれる。種々の血管炎には:粘膜皮膚リンパ節症候群(MLNS又は川崎病)、単離したCNS血管炎、ベヘット(Behet's)病、閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)及び皮膚壊死性細静脈炎(venulitis)が含まれる。列挙した血管炎のほとんどの種類の病原メカニズムは、主に脈管壁に免疫グロブリン複合体が付着し、続いてADCC、補体活性又は双方を介して炎症反応が誘発されることによると考えられている。
サルコイドーシスは、体内のほとんど任意の組織中に類上皮細胞肉芽腫が存在し、肺ではほとんど一般的に包含されることにより特徴付けられる、病因がよく知られていない病状である。病原には疾患部位に活性マクロファージ及びリンパ球が残留していることに関連しており、続いてこれらの細胞種より放出される局部的又は全身的活性物質の放出の結果として慢性続発症が生じる。
自己免疫性溶血性貧血、免疫再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿を含む自己免疫性溶血性貧血は、赤血球細胞(いくつかのケースにおいは、血小板を含む他の血液細胞)表面で発現する抗原と反応する抗体が産出される結果によるものであり、補体媒介溶解及び/又はADCC/Fc-レセプター-媒介メカニズムを介して、その抗体被覆細胞の除去に反映される。
【0089】
他の臨床的セッティング(setting)における血小板減少性紫斑病及び免疫仲介血小板減少を含む自己免疫性血小板減少では、抗体又は補体が血小板に接合し、続いて補体溶解、ADCC又はFc-レセプター-媒介メカニズムによる除去の結果として生じる。
グレーブス疾患、ハシモト甲状腺炎、若年性リンパ球性甲状腺炎、萎縮性甲状腺炎を含む甲状腺炎は、甲状腺内に多くの場合特異的に存在するタンパク質と反応する抗体の産出を伴う、甲状腺抗原に対する自己免疫反応の結果によるものである。実験用モデルには:内在的モデルラット(BUF及びBBラット)及びチキン(肥満チキン種);誘導性モデル:チログロブリン、甲状腺ミクロソーム抗原(甲状腺ペルオキシダーゼ)を用いた動物の免疫化が含まれる。
I型真性糖尿病又はインシュリン依存性糖尿病は膵臓小島β細胞の自己免疫破壊であり;この破壊は自己抗体及び自己反応性T細胞により媒介される。また、インシュリン又はインシュリン様レセプターに対する抗体は、インシュリン-非-反応性の表現型を産出することができる。
糸球体腎炎及び尿細管間質性腎炎を含む免疫仲介腎疾患は、腎抗原に対する自己反応性抗体又はT細胞が産出される結果により直接的に、又は他の非腎抗原に対して反応する、腎臓における抗体及び/又は免疫複合体の沈着の結果により間接的に、腎組織に抗体又はT細胞媒介傷害が生じることによるものである。よって、免疫複合体の形成の結果生じる他の免疫媒介疾患により、間接的続発症等の免疫媒介腎疾患が誘発される。直接的及び間接的免疫メカニズムの双方により、結果として腎組織における障害発達が産出/誘発されるといった炎症反応が生じ、器官機能が損なわれ、いくつかのケースでは腎臓機能不全が進行する。体液及び細胞免疫メカニズムに双方が障害の病原に関与している。
多発性硬化症のような中枢及び末梢神経系の脱髄疾患、特発性脱髄性多発神経障害、又はギラン-バレー症候群;及び慢性炎症脱髄性多発神経障害は、自己免疫基準であり、神経脱髄が生じて、オリゴデンドロサイト又はミエリンに直接的に起因するダメージの結果によるものと考えられている。MSにおいて、疾患の誘発及び進行はTリンパ球に依存すると示唆される証拠がある。多発性硬化症は、Tリンパ球依存性であり、再発性弛緩経路又は慢性進行経路のいずれかを有する脱髄疾患である。病因はよく知られていないが、ウイルス感染、遺伝的素因、環境及び自己免疫性の全てが寄与している。障害はT細胞媒介小膠細胞の優先的湿潤、及びマイクロファージの浸潤を含み;CD4Tリンパ球は障害において優先的な細胞型であった。オリゴデンドロサイトの細胞死及び続く脱髄のメカニズムはよく知られていないが、Tリンパ球の駆動によると思われる。
好球性肺炎;特発性肺線維症及び過敏性肺炎を含む炎症及び線維症の肺疾患には、調節されない免疫炎症反応が関連している。反応を阻害することは治療的に有益なことである。
水疱性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触性皮膚炎を含む自己免疫又は免疫媒介皮膚疾患は自己抗体により媒介され、Tリンパ球に依存して発生する。
乾癬はTリンパ球媒介炎症疾患である。障害はTリンパ球、マクロファージ及び抗原プロセシング細胞及びある種の好中球の浸潤が含まれる。
【0090】
喘息;アレルギー性鼻炎;アトピー性皮膚炎;食物過敏症及び蕁麻疹等を含むアレルギー性疾患はT細胞依存性である。この疾患は炎症により誘発されるTリンパ球、及びIgE媒介炎症、又は双方の組合せにより主に媒介される。
拒絶反応及び移植片対宿主疾患(GVHD)を含む移植関連疾患はTリンパ球依存性であり;Tリンパ球の機能を阻害することで改善される。免疫及び/又は炎症反応への介在が有益である他の疾患には、限定するものではないがウイルス感染(限定するものではないがAIDS、A型、B型、C型、D型及びE型肝炎、ヘルペス)、細菌感染、真菌感染、原生動物感染及び寄生虫感染(MLRを刺激する分子(又は誘導体/アゴニスト)を治療に利用し、感染要因に対する免疫反応性を増強することができる)、MLRを刺激する(分子/誘導体/アゴニスト)を治療に利用し、受け継ぎ、獲得し、感染誘発された(例えばHIV感染)又は医原性(例えば化学療法)免疫欠損疾患の病状に対する免疫反応増強することができる免疫欠損疾患、及び異常増殖が含まれる。
ヒト癌患者の中には、異常増殖細胞上の抗原に反応する抗体及び/又はTリンパ球が発育しているものもいることが示されている。また、異常増殖のある動物モデルにおいても、免疫反応を増強することで、特定の異常増殖が拒絶又は退行する結果になることが示されている。MLRにおけるTリンパ球反応を増強する分子は、異常増殖に対する免疫反応を増強するインビボにて利用される。MLRにおけるTリンパ球増殖反応を増強する分子(又は拮抗方式で同様のレセプターに影響を及ぼす小分子アゴニスト又は抗体)は、癌の治療に治療的に使用することができる。また、MLRにおいてリンパ球反応を阻害する分子は、異常増殖中に、新生物に対する免疫反応抑制するように、インビボで機能し;このような分子は新生物細胞自体により発現するか、又はそれらの発現は他の細胞中の新生物により誘発され得る。このような阻害分子(抗体、小分子アンタゴニスト又は他の手段)の拮抗作用により免疫媒介腫瘍拒絶が増強される。
【0091】
加えて、炎症誘発性を有する分子を阻害することは、再灌流傷害;脳卒中;心筋梗塞;アテローム性動脈硬化;急性肺傷害;出血性ショック;火傷;敗血症/敗血症ショック;急性尿細管壊死;子宮内膜症;変性関節疾患及び膵炎(pancreatis)の治療に有益である。
本発明の化合物、例えばポリペプチド又は抗体は、哺乳動物、好ましくはヒトに、周知の方法、例えば、ボーラスとして又は所定時間に渡る連続注入による静脈内投与、筋肉内、腹膜内、脳脊髄内、皮下、関節間、滑膜内、鞘内、経口、局所、又は吸入(鼻孔内、肺内)経路などにより投与される。抗体の静脈内又は吸入投与が好ましい。
免疫アジュバント治療、他の治療的養生法において、抗癌剤を、本発明のタンパク質、抗体又は化合物の投与と組み合わせて投与してもよい。例えば、本発明の免疫アジュバントで治療される患者は、抗癌剤(化学療法剤)又は放射線治療を受けてもよい。このような化学療法剤の調製法及び用量スケジュールは、製造者の指示に従って使用されるか、熟練した実務者により経験的に決定される。そのような化学療法に対する調製法及び用量スケジュールはまたChemotherapy Service M.C. Perry編, Williams & Wilkins, Baltimore, MD (1992)にも記載されている。化学療法剤は、免疫アジュバントの投与に先立って、又は続いて投与してもよく、あるいはそれらと同時に投与してもよい。加えて、タモキシフェン等の抗エストロゲン化合物又はオナプリストンなどの抗プロゲステロン(EP 616812参照)を、それらの分子について知られた用量で付与してもよい。
また、他の免疫疾患に関連した、又は腫瘍に関連した抗原に対する抗体、例えばCD20、CD11a、CD18、ErbB2、EGFR、ErbB3、ErbB4、又は血管内皮因子(VEGF)に結合する抗体を投与することも好ましい。別に、あるいは加えて、同一のもの又はここに開示した二又はそれ以上の異なる抗原に結合する二又はそれ以上の抗体を患者に同時投与してもよい。ときどきは、患者に一又は複数のサイトカインを投与することも有利である。一実施態様では、PROポリペプチドは、成長阻害剤と同時投与される。例えば、まず成長阻害剤を投与し、続いてPROポリペプチドを投与する。しかしながら、同時投与、又は最初に投与することも考えられる。成長阻害剤についての適切な用量は現在用いられている量であるが、成長阻害剤とPROポリペプチドとの組み合わせ(相乗)効果により減少させ得る。
重篤な免疫関連疾患の治療又は低減のための、本発明の化合物の適切な用量は、上記で定義したような治療される疾患の型、疾患の重篤さ及び経過、防止又は治療目的で薬剤が投与されるか否か、従前の治療、患者の臨床履歴及び化合物に対する反応、及び主治医の裁量に依存する。化合物は、適切には患者に一回又は一連の治療に渡って適切に投与される。
例えば、疾患の型及び重篤さに応じて、約1μg/kgから15mg/kg(例えば、0.1-20mg/kg)のポリペプチド又は抗体が、例えば、一又はそれ以上の別々の投与あるいは連続注入のいずれにしても、患者に投与するための最初の候補用量である。典型的な1日の用量は、上記の要因に応じて、約1μg/kgから100mg/kgの範囲又はそれ以上であろう。数日以上に渡る繰り返し投与のためには、状態に応じて、疾患の徴候に所望の抑制が現れるまで治療が続けられる。しかしながら、他の用量計画が有用であることもある。この治療の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易に監視される。
【0092】
O.製造品
本発明の他の実施態様では、上記の疾患の診断又は治療に有用な物質を含む製造品が提供される。この製造品は容器と使用説明書とを含んでなる。好適な容器は、例えば、ビン、バイアル、シリンジ、及び試験管を含む。容器は、ガラス又はプラスチックなどの種々の材料から形成されてよい。容器は、状態を診断し治療するのに有効な組成物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針で貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の活性剤は通常、本発明のポリペプチド又は抗体である。容器上又は添付される使用説明書又はラベルは、組成物が選択した状態の診断又は治療のために使用されることを示す。製造品はさらに、リン酸緩衝塩水、リンガー液及びデキストロース溶液などの製薬的に許容されるバッファーを含む第2の容器を具備してもよい。さらに、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用上の指示を付けたパッケージ挿入物を含む商業的及び使用者の見地から望ましい他の材料を含んでもよい。
【0093】
P.免疫関連疾患の診断及び予知
或る種の免疫関連疾患で過剰発現されるタンパク質等の細胞表面タンパク質は候補薬剤又は疾患治療の優れた標的である。同じタンパク質は免疫関連疾患で増幅された遺伝子にコードされる分泌タンパク質とともに、これらの疾患の診断及び予知における用途が見出される。例えば、多発性硬化症、リウマチ様関節炎、又は他の免疫関連疾患で増幅された遺伝子のタンパク質産物に対する抗体は診断又は予知として使用できる。
例えば、抗体断片を含む抗体は、増幅又は過剰発現された遺伝子にコードされるタンパク質(「マーカー遺伝子産物」)の発現の定性的又は定量的検出に用いることができる。抗体は、好ましくは検出可能な、例えば蛍光標識を備え、結合は光学顕微鏡、フローサイトメトリー、フルオロメトリー、又はこの分野で知られた他の技術によって監視できる。これらの技術は、過剰発現した遺伝子が細胞表面タンパク質をコードする場合に特に適切である。このような結合アッセイは、本質的に上述したように実施される。
マーカー遺伝子産物に結合する抗体のインサイツ検出は、例えば、免疫蛍光又は免疫電子顕微鏡によって実施できる。この目的のために、組織学的試料を患者から取り出し、好ましくは生物学的試料に抗体を被せることにより、標識抗体をそれに適用する。この手法はまた、試験される組織におけるマーカー遺伝子産物の分布も決定できるようにする。当業者には、インサイツ検出のために広範な組織学的方法が容易に利用できることは明らかであろう。
以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。本明細書で引用した全ての特許及び参考文献の全体を、参照としてここに取り込む。
実施例で言及されている市販試薬は、特に示さない限りは製造者の使用説明に従い使用した。ATCC受託番号により以下の実施例及び明細書全体を通して同定されている細胞の供給源はバージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションである。特記しない限り、本発明は上記及び以下の教科書に記載されたもののような組換えDNA技術の標準的な手法を用いる:Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press N.Y., 1989; Ausubel等, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y., 1989; Innis等, PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press, Inc., N.Y.., 1990; Harlow等, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, 1988; Gait, M.J., Oligonucleotide synthesis, IRL Press, Oxford, 1984; R.I. Freshney, Animal Cell Culture, 1987; Coligan等, Current Protocols in Immunology, 1991。
【0094】
(実施例)
実施例で言及されている全ての市販試薬は、特に示さない限りは製造者の使用説明に従い使用した。ATCC登録番号により以下の実施例及び明細書全体を通して同定されている細胞の供給源はバージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションである。
実施例1:ヒトPRO179、PRO175、PRO182、PRO366、PRO240、PRO256、PRO306、PRO364、PRO356、PRO826、PRO1068、PRO1343又はPRO1375(UNQ153、UNQ149、UNQ156、UNQ321、UNQ214、UNQ223、UNQ269、UNQ319、UNQ313、UNQ467、UNQ525、UNQ698又はUNQ712)をコードするcDNAクローンの単離
1.ヒトPRO179(UNQ153)をコードするcDNAクローンの単離
1.オリゴdTプライムcDNAライブラリーの調製
mRNAを関心あるヒト組織からInvitrogen, San Diego, CAからの試薬及びプロトコールを用いて単離した(Fast Track 2)。このRNAを、Life Technologies, Gaithersburg, MD (Super Script Plasmid System)からの試薬及びプロトコールを用いるベクターpRK5DにおけるオリゴdTプライムしたcDNAの生成に使用した。この方法において、二本鎖cDNAは1000bpを越えるサイズ分類し、SalI/NotI結合cDNAをXhoI/NotI切断ベクターにクローニングした。pRK5Dを、sp6転写開始部位、それに続くSfiI制限酵素部位、さらにXhoI/NotIcDNAクローニング部位を持つベクターにクローニングした。
【0095】
2.ランダムプライムcDNAライブラリーの調製
一次cDNAクローンの5’末端を好ましく表現するために二次cDNAライブラリーを作成した。sp6RNAを(上記の)一次ライブラリーから生成し、このRNAを、ベクターpSST-AMY.0におけるLife Technologies (上で参照したSuper Script Plasmid System)からの試薬及びプロトコールを用いたランダムプライムしたcDNAライブラリーの生成に使用した。この方法において、二本鎖cDNAを500-1000bpにサイズ分類し、平滑末端でNotIアダプターに結合させ、SfiI部位で切断し、そしてSfiI/NotI切断ベクターにクローニングした。pSST-AMY.0は、cDNAクローニング部位の前に酵母アルコールデヒドロゲナーゼプロモータ、及びクローニング部位の後にマウスアミラーゼ配列(分泌シグナルを持たない成熟配列)に次いで酵母アルコールデヒドロゲナーゼ転写終結区を有するクローニングベクターである。よって、アミラーゼ配列でフレームに融合するこのベクターにクローニングされたcDNAは、適当に形質移入された酵母コロニーからのアミラーゼの分泌を導く。
【0096】
3.形質転換及び検出
上記の段落2に記載したライブラリーからのDNAを氷上で冷却し、それにエレクトロコンピテントDH10B細菌(Life Technoligies、20ml)を添加した。細菌及びベクターの混合物は、次いで製造者に推奨されているように電気穿孔した。次いで、SOC培地(Life Technologies、1ml)を添加し、この混合物を37℃で30分間インキュベートした。形質転換体は、次いでアンピシリンを含む20標準150mmLBプレートに蒔き、16時間インキュベートした(37℃)。ポジティブコロニーをプレートから廃棄し、細菌ペレットから標準的な方法、例えばCsCl-勾配を用いてDNAを単離した。精製DNAは、次いで以下の酵母プロトコールにのせた。
酵母方法は3つの範疇に分けられる:(1)酵母のプラスミド/cDNA結合ベクターでの形質転換;(2)アミラーゼを分泌する酵母クローンの検出及び単離;及び(3)酵母コロニーから直接的な挿入物のPCR増幅及び配列決定及びさらなる分析のためのDNAの精製。
用いた酵母菌株はHD56-5A(ATCC-90785)であった。この株は以下の遺伝子型:MATα、ura3-52、leu2-3、leu2-112、his3-11、his3-15、MAL、SUC、GALを有する。好ましくは、不完全な翻訳後経路を持つ酵母変異体を用いることができる。このような変異体は、sec71、sec72、sec62に転位不全対立遺伝子を持つが、切断されたsec71が最も好ましい。あるいは、これらの遺伝子の正常な操作を阻害するアンタゴニスト(アンチセンスヌクレオチド及び/又はリガンドを含む)、この翻訳後経路に含まれる他のタンパク質(例えば、SEC61p、SEC72p、SEC62p、SEC63p、TDJ1p又はSSA1p-4p)又はこれらのタンパク質の複合体形成も、アミラーゼ発現酵母と組み合わせて好ましく用いられる。
形質転換は、Gietz等, Nucl. Acid. Res., 20: 1425 (1992)に概略が記されたプロトコールに基づいて実施された。形質転換細胞は、次いで寒天からYEPD複合培地ブロス(100ml)に播種し、30℃で終夜成長させた。YEPDブロスは、Kaiser等, Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY, p. 207 (1994)に記載されているように調製した。終夜培地は、次いで新鮮なYEPDブロス(500ml)中におよそ2x10細胞/ml(約OD600=0.1)に希釈し、1x10細胞/ml(約OD600=0.4−0.5)まで再成長させた。
【0097】
次いで細胞を収穫し、5,000rpmで5分間のSorval GS3 ローターのGS3ローターボトルに移し、上清を捨て、次いで無菌水に再懸濁することにより形質転換のために調製し、そして50mlのファルコン管内で、Beckman GS-6KR遠心機において3,500rpmで再度遠心分離した。上清を捨て、細胞をLiAc/TE(10ml, 10mMのトリス-HCl, 1mMのEDTA pH7.5, 100mMのLiOOCCH)で続けて洗浄し、LiAc/TE(2.5ml)中に再懸濁させた。
形質転換は、マイクロチューブ内で、調製した細胞(100μl)を新鮮な変性一本鎖サケ精子DNA(Lofstrand Labs, Gaitherburg, MD)及び形質転換DNA(1μg vol.<10μl)と混合することにより起こした。混合物はボルテックスにより簡単に混合し、次いで40%PEG/TE(600μl, 40%のポリエチレングリコール-4000, 10mMのトリス-HCl, 1mMのEDTA, 100mMのLiOOCCH, pH 7.5)を添加した。この混合物を緩く撹拌し、30分間撹拌しながら30℃でインキュベートした。次いで細胞に42℃で15分間熱衝撃を与え、反応容器をミクロチューブ内で12,000rpmで5-10秒間遠心分離し、デカント及びTE(500μl, 10mMのトリス-HCl, 1mMのEDTA pH 7.5)への再懸濁に次いで遠心分離した。次いで、細胞をTE(1ml)中に希釈し、アリコート(200μl)を150mm成長プレート(VWR)に予め調製した選択培地に拡げた。
あるいは、複数の少量反応の代わりに、形質転換を1回の大規模反応で実施したが、試薬の量はしかるべくスケールアップした。
用いた選択培地は、Kaiser等, Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY, p. 208-210 (1994)に記載されているように調製したウラシルを欠く合成完全デキストロース寒天(SCD-Ura)であった。形質転換体は30℃で2-3日成長させた。
アミラーゼを分泌するコロニーの検出は、選択成長培地における赤色デンプンの包含により実施した。Biely等, Anal. Biochem., 172: 176-179 (1988)に記載された方法に従って、デンプンを赤色染料(反応性 Red-120, Sigma)に結合させた。結合したデンプンをSCD-Ura寒天プレートに最終濃度0.15%(w/v)で導入し、リン酸カリウムでpH7.0に緩衝した(最終濃度50-100mM)。
ポジティブコロニーを拾って新鮮な選択培地(150mmプレート)に画線し、良好に単離され同定可能な単一コロニーを得た。アミラーゼ分泌についてポジティブな良好に単離された単一コロニーは、緩衝SCD-Ura寒天への赤色デンプンの直接導入により検出した。ポジティブコロニーは、デンプンを分解して、ポジティブコロニーの周囲に直接目視できる暈を形成する能力により決定した。
【0098】
4.PCR増幅によるDNAの単離
ポジティブコロニーが単離された場合、その一部を楊枝で拾い、96ウェルプレートにおいて無菌水(30μl)に希釈した。この時点で、ポジティブコロニーは凍結して次の分析のために保存するか、即座に増幅するかのいずれかである。細胞のアリコート(5μl)を、0.5μlのKlentaq(Clontech, Palo Alto, CA); 4.0μlの10mM dNTP(Perkin Elmer-Cetus); 2.5μlのKentaqバッファー(Clontech); 0.25μlの正方向オリゴ1;0.25μlの逆方向オリゴ2;12.5μlの蒸留水を含有する25μl容量におけるPCR反応のテンプレートとして使用した。正方向オリゴヌクレオチド1の配列は:
5'- TGTAAAACGACGGCCAGTTAAATAGACCTGCAATTATTAATCT-3' (配列番号:27)であった。
逆方向オリゴヌクレオチド2の配列は:
5'- CAGGAAACAGCTATGACCACCTGCACACCTGCAAATCCATT-3'(配列番号:28)
であった。
次いで、PCRは以下の通り実施した:
a. 変性 92℃、5分間
b.3サイクル: 変性 92℃、30秒間
アニール 59℃、30秒間
伸長 72℃、60秒間
c.3サイクル: 変性 92℃、30秒間
アニール 57℃、30秒間
伸長 72℃、60秒間
d.25サイクル: 変性 92℃、30秒間
アニール 55℃、30秒間
伸長 72℃、60秒間
e. 保持 4℃
オリゴヌクレオチドの下線を施した領域は、各々ADHプロモーター領域及びアミラーゼ領域にアニーリングされ、挿入物が存在しない場合はベクターpSST-AMY.0からの307bp領域を増幅する。典型的には、これらのオリゴヌクレオチドの5’末端の最初の18ヌクレオチドは、配列プライマーのアニーリング部位を含んでいた。即ち、空のベクターからのPCR反応の全生成物は343bpであった。しかしながら、シグナル配列融合cDNAは、かなり長いヌクレオチド配列をもたらした。
PCRに続いて、反応のアリコート(5μl)を、上掲のSambrook等に記載されたように1%アガロースゲル中でトリス-ボレート-EDTA(TBE)緩衝系を用いたアガロースゲル電気泳動により試験した。400bpより大きな単一で強いPCR産物をもたらすクローンを、96 Qiaquick PCR 清浄化カラム(Qiagen Inc., Chatsworth, CA)での精製の後にDNA配列によりさらに分析した。
【0099】
上記スクリーニングにおいて単離されたcDNA配列は、BLAST及びFastA配列アラインメントにより、様々なアンジオポエチン(angiopoietin)タンパク質をコードするヌクレオチド配列と配列相同性を有することがわかった。このcDNA配列を、ここでDNA10028及び/又はDNA25250と命名する。配列相同性に基づいて、DNA10028分子の配列からプローブを調製し、上記のパラグラフ1に記載したように調製したヒト胎児肝臓ライブラリ(LIB6)のスクリーニングに使用した。クローニングベクターはpRK5Bであり(pRK5BはSfiI部位を含まないpRK5Dの前駆体である;Holmes等, Science, 253: 1278-1280 (1991)参照)、cDNAサイズカットは2800bp未満であった。
全長クローンが同定され、ヌクレオチド位置37−39に見かけの翻訳開始位置を有する単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置1417−1419に見られる終止コドンで終端する(図1;配列番号:1)。予測されるポリペプチド前駆体は460アミノ酸長であり、およそ53,637ダルトンの計算された分子量、及びおよそ6.61の推定pIを有する。図2(配列番号2)に示される全長PRO179配列の分析により、以下の存在が明らかになった:約アミノ酸1から約アミノ酸16のシグナルペプチド;約アミノ酸120から約アミノ酸141及び約アミノ酸127から約アミノ酸148のロイシンジッパーパターン;約アミノ酸23から約アミノ酸26、約アミノ酸115から約アミノ酸118、約アミノ酸296から約アミノ酸299、及び約アミノ酸357から約アミノ酸360のN-グリコシル化部位;及び約アミノ酸271から約アミノ酸309、約アミノ酸312から約アミノ酸321、約アミノ酸331から約アミノ酸368、及び約アミノ酸393から約アミノ酸423のフィブリノーゲンβ及びγ鎖C末端ドメインである。クローンDNA16451-1388は1998年4月14日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号209776が付与された。
全長PRO179配列のアミノ酸配列の分析は、それがアンジオポエチンファミリーのタンパク質と有意な類似性を有し、よってPRO179が新規なアンジオポエチンファミリーのメンバーであることを示唆している。より詳細には、Dayhoffデータベース(バージョン35.45 Swiss Prot 35)の分析により、PRO179アミノ酸配列と以下のDayhoff配列との有意な相同性が明らかになった:AF004326_1, P_R94605, HSU83508_1, P_R94603, P_R94317, AF025818_1, HSY16132_1, P_R65760, I37391及びHUMRSC192_1。
【0100】
2.PRO175(UNQ149)をコードするヒトcDNAの単離
DNA19355-1150分子を得るために酵母スクリーニングが実施された。単離されたcDNAクローンの全体を配列決定した。DNA19355-1150の分子配列は図3(配列番号:3)に示される。クローンDNA19355-1150は、単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置21−23に見かけの翻訳開始部位を有する(図3)。予測されるポリペプチド前駆体は177アミノ酸長さであり、約20,308ダルトンの計算された分子量を持つ。ヒドロパシー分析により、推定細胞質領域(アミノ酸1−25);膜貫通領域(アミノ酸26−51);及び細胞外領域(アミノ酸52−177)を持つII型膜貫通タンパク質の類型が示唆された。2つの潜在的なN-結合グリコシル化部位は、図4(配列番号:4)に示す配列の位置129(Asn)及び位置161(Asn)に特定された。クローンDNA19355−1150は、ATCCに寄託され、ATCC寄託番号209466が付与されている。DNA19355ポリペプチドは、寄託されたATCC寄託番号209466ベクターのcDNA挿入物にコードされる分子を発現させることにより得られ又は得られうる。ベクターのXbaI及びNotI制限酵素での消化は、1411bp断片及び668bp断片を生ずるであろう。
細胞外配列の(ALIGNコンピュータプログラムを用いた)BLAST及びFastA配列アラインメント分析に基づくと、DNA19355-1150は、TNFサイトカインファミリーの幾つかのメンバーとアミノ酸配列同一性、特にヒトApo-2L(19.8%)、Fas/Apo1-リガンド(19.0%)、TNF-アルファ(20.6%)及びリンホトキシン-α(17.5%)を示す。
【0101】
1.ヒトPRO182(UNQ156;DNA27865-1091)をコードするcDNAクローンの単離
cDNAライブラリは、Clontech Laboratories, Inc. Palo Alto, CA, カタログ番号6537-1から得たヒト子宮mRNAから構築した。
次のプロトコルは「Instruction Manual: SUPERSCRIPT(商品名)Lamda System for cDNA Synthysis and l cloning」cat. No. 19643-014, Life Technologies, Gaithersburg, MD, USAに記載され、ここで出展明示により取り込む。他に記載がなければ、全ての試薬もLife Tecnologiesから得られた。全体の方法は次の工程:(1)第1のストランド合成;(2)第2のストランド合成;(3)アダプター添加;(4)酵素消化;(5)cDNAのゲル単離;(6)ベクターへの連結;及び(7)形質転換に要約される。
【0102】
第1のストランド合成:
NotIプライマー-アダプター(Life Tech., 2μl, 0.5g/μl)をポリAmRNA(7 l, 5μg)を添加した無菌の1.5mlのμ遠心分離チューブに加えた。反応チューブを5分間又はmRNAの2次構造を変性させるのに十分な時間、70℃まで温めた。次いで反応物を氷上で冷却し、5X第1のストランドバッファー(Life Tech., 4μl)、0.1M DDT(2μl)及び10mM dNTP Mix(Life Tech., 1μl)を添加し、次いで恒温にするように37℃で2分間温めた。SUPERSCRIPT II(商品名)逆転写酵素(Life tech., 5μl)を添加し、反応チューブを良く混合して37℃で1時間インキュベートし、氷上において終了する。反応物の最終濃度は次の通りである;50mMのTris-HCl(pH8.3);75mMのKCl;3mM MgCl;10mMのDDT;dATP、dCTP、dGTP、及びdTTPをそれぞれ500mM;50mg/mlのNotIプライマー-アダプター;5mg(250mg/ml)のmRNA;50,000U/mlのSUPERSCRIPT II(商品名)逆転写酵素。
【0103】
第2のストランド合成:
氷上で、第1のストランド合成の反応チューブに次の試薬が追加され、反応物は良く混合し、16℃で2時間させ、16℃を越えないように温度に注意する:蒸留水(93ml);5X第2ストランドバッファー(30ml);dNTP混合物(3ml);10U/mlの大腸菌DNAリガーゼ(1ml);10U/ml大腸菌DNAポリメラーゼ(4ml);2U/ml大腸菌RNaseH(1ml)。10UのT4 DNAポリメラーゼ(2ml)を添加し、反応物はさらに5分間16℃でインキュベートし続けた。反応物の最終濃度は次の通りであった:25mMのTris-Hcl(pH7.5);100mMのKCl;5mMのMgCl;10mMの(NH)SO;0.15mMのβ-NAD+;dATP、dCTP、dGTP、及びdTTPをそれぞれ250mM;1.2mMのDTT;65U/mlのDNAポリメラーゼI;13U/mlのRNaseH。反応は氷上において、0.5MのEDTA(10ml)を添加することにより停止され、次いで、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1、150ml)を通して抽出された。水相が取り出されて回収され、5MのNaCl(15ml)及び無水エタノール(-20℃、400ml)で希釈し、14,000xgで2分間、遠心分離した。最終産物DNAペレットから上清を注意深く取り出し、ペレットを70%エタノール(0.5ml)に再懸濁し、14,000xgで2分間、再び遠心分離した。上清を再び取り出し、ペレットをSPEEDVAC(商品名)乾燥機で乾燥した。
【0104】
アダプター添加:
次の試薬を、上記の第2のストランド合成のcDNAペレットに加え、反応物を穏やかにかき混ぜ、16℃で16時間インキュベートした:蒸留水(25ml);5X 4T DNAリガーゼバッファー(10ml);SalIアダプター(10ml);T4 DNAリガーゼ(5ml)。反応物の最終濃度は、次の通りであった:50mMのTris-HCl(pH7.6);10mMのMgCl;1mMのATP;5%(w/v)PEG8000;1mMのDDT;200mg/mlのSalIアダプター;100U/mlのT4 DNAリガーゼ。反応物はフェノール:クロロフォルム:イソアミルアルコール(25:24:1、50ml)、水相を取り出し、5MのNaCl(8ml)及び無水エタノール(-20℃、250ml)を通して抽出される。これを次いで14,000xgで20分間、遠心分離し、上清を取り出して、ペレットを70%エタノール(0.5ml)に再懸濁し、14,000xgで2分間、再び遠心分離した。続いて上清を再び取り出し、最終産物のペレットをSPEEDVAC(商品名)乾燥機で乾燥して、次のプロトコルを実施した。
【0105】
酵素消化:
前の段落のSalIアダプターで調製したcDNAに次の試薬を混合し、混合物を37℃で2時間インキュベートした:DEPC処理水(41ml);NotI制限バッファー(REACT、Life Tech.、5ml)、NotI(40ml)。この反応物の最終濃度は次の通りであった:50mMのTris-HCl(pH8.0);10mMのMgCl;100mMのNaCl;1,200U/mlのNotI。
【0106】
cDNAのゲル単離:
cDNAを5%アクリルアミドゲルのアクリルアミドゲル電気泳動により、サイズ分離し、分子量マーカーと比較して決定されるような、1kbよりも大きい任意の断片を、ゲルから除去した。次いでcDNAは、ゲルから0.1xTBEバッファー(200ml)に電気溶出し、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1、200ml)で抽出した。水相を取り出して回収し14,000xgで20分間遠心分離した。上清を70%エタノール(0.5ml)に懸濁したDNAペレットから取り出し、再び14,000xgで2分間遠心分離した。上清を再び除去し、ペレットをスピードバックで乾燥し蒸留水(15m)に再懸濁した。
【0107】
pRK5BベクターへのcDNAの連結
次の試薬をともに加え、16℃で16時間インキュベートした:5X T4リガーゼバッファー(3ml);pRK5B、XhoI、NotI消化ベクター、0.5mg、1ml);前の段落で調製されたcDNA(5ml)及び蒸留水(6ml)。続いて、更なる蒸留水(70ml)及び10mg/mlのtRNA(0.1ml)を添加し、全ての試薬をフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)を通して抽出した。水相を取り出して回収し、5MのNaCl(10ml)及び無水エタノール(-20℃、250ml)中に希釈した。次いでこれを14,000xgで20分間、遠心分離し、ペレットを70%エタノール(0.5ml)に再懸濁し、14,000xgで2分間、再び遠心分離した。次いでDNAペレットをスピードバックで乾燥して、次の方法に使用するために蒸留水(3ml)に溶出した。
【0108】
バクテリアへのライブラリ連結の形質転換
前記したように調製された、連結したcDNA/pRK5BベクターDNAは、氷上で冷却され、それには電気コンピテントDH10Bバクテリア(Life Tech.、20ml)を添加してある。次いでバクテリアベクター混合物を、メーカーの勧めに従って電気穿孔した。続いてSOC培地(1ml)を添加し、混合物を37℃で30分インキュベートした。次いで形質転換体をアンピシリンを含む20の標準150mmLBプレートに蒔き、コロニーが成育するまで16時間(37℃)インキュベートした。次いでポジティブコロニーをこすり取り、DNAを標準CsCl-勾配プロトコルを用いてバクテリアペレットから単離した(例えば、上掲のAusubelら, 2.3.1.)。
【0109】
全長ilpの単離
ilpの全長核酸配列は、Incyte, IncからのEST配列(Incyte EST INC2328985及びIncyte EST INC778319)に基づいて作成されたオリゴヌクレオチドを用いたコロニーハイブリダイゼーションによる(上記したような子宮mRNAから調製された)プラスミドcDNAライブラリをスクリーニングすることにより得られた。プライマーオリゴヌクレオチド配列は以下の通り:5'-CACATTCAGTCCTCAGCAAAATGAA-3'(配列番号:29);5'-GAGAATAAAAACAGAGTGAAAATGGAGCCCTTCATTTTGC-3'(配列番号:30);5'-CTCAGCTTGCTGAGCTTGAGGGA-3'(配列番号:31)。この方法で得られたcDNAの配列は、通常の技術により決定された。cDNAの核酸配列は図5に示され、PRO182のアミノ酸配列は図6に示される。
【0110】
2.PRO366(UNQ321;ヒトApo-2DcR)をコードするcDNAクローンの単離
上記実施例1、パートAに記載した酵母スクリーニングを用いて、DNA33085−1110分子をヒト乳癌ライブラリから単離した。特に、全長クローンが同定され(DNA33085−1110)(pRK5-hApo-2DcR)(また以下に示すようにATCC209087として寄託されたApo-DcRとも呼ばれる)、オープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置193−195に見かけの翻訳開始部位を有し、ヌクレオチド位置970−972に見られる停止コドンで終端する(図7;配列番号:7)。予定ポリペプチド前駆体は259アミノ酸長であり、およそ27.4kDaの計算された分子量を有する。配列分析は、N末端シグナルペプチド、2つのシステインリッチドメイン、4つのほぼ同一の15アミノ酸タンデム反復を含む配列、及び疎水性C末端領域を示した(図8のアミノ酸領域41−299)。C末端の疎水性配列は、小アミノ酸の対(Ala223及びAla224)に先導され;この構造及び見かけの細胞質ドメインの欠失は、PRO366(Apo-2DcR)がグリコシルフォスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型タンパク質でありうる[Moran, J. Biol. Chem., 266:1250-1257(1991)参照]こと示唆する。Apo-2DcRは5つの潜在的なN結合グリコシル化部位を含む。
TNFレセプターファミリータンパク質は、典型的には、その細胞外領域における複数(通常は4つ)のシステインリッチドメインの存在によって特徴付けられ、各システインリッチドメインは約45アミノ酸長であり、約6つの規則的に離間したシステイン残基を含む。1型TNFレセプターの結晶構造に基づいて、各ドメインのシステインは3つのジスルフィド結合を形成するが、通常は、システイン1と2、3と5、及び4と6とが結合する。DR4及びApo-2(さらに以下に記載)と同様に、Apo-2DcRは2つの細胞外のシステインリッチシュードリピート(pseudorepeat)を含むが、他の同定された哺乳動物TNFRファミリーのメンバーは、そのようなドメインを3つ又はそれ以上含んでいる[Smithら, Cell, 76:959 (1994)]。
図7(配列番号:7)に示す全長配列のアライメント分析に基づくと、Apo-2DcRは、他のアポトーシス関連レセプター、例えばApo-3、TNFR1、又はFas/Apo-1よりも、DR4及びApo-2に対して高い配列同一性を示した。
本出願は、見かけの翻訳開始部位があるいはヌクレオチド部位93−95(図8のアミノ酸配残基1)にありうることを示している。図8に示されるApo-2DcRはアミノ酸残基1から299を含む。
【0111】
3.ヒトPRO240(UNQ214)をコードするcDNAクローンの単離
Swiss-Prot公的データベースからの約950の既知の分泌タンパク質からの細胞外ドメイン(ECD)配列(あれば、分泌シグナル配列を含む)を、発現配列タグ(EST)データベースの検索に使用した。ESTデータベースは、公的データベース(例えば、GenBank)及び企業のデータベース(例えば、LIFESEQTM、Incyte Pharmaceuticals、Palo Alto, CA)を含む。検索は、コンピュータプログラムBLAST又はBLAST-2(Altschul等, Methods in Enzymology 266: 460-480 (1996))を用いて、ECDタンパク質配列のEST配列の6フレーム翻訳との比較として実施した。既知のタンパク質をコードせず、BLASTスコア70(90の場合もある)又はそれ以上を持つ比較物は、プログラム「phrap」(Phil Green, University of Washington, Seattle, Washington)で集団化してコンセンサスDNA配列に構築した。
オリゴヌクレオチドは、PRO240の全長コード配列のクローンを単離するプローブとして用いるために、対象とする配列を含むcDNAライブラリをPCRで同定して合成した。
PCRプライマー(正方向及び逆方向)の対を合成した:
正方向PCRプライマー:5'-TCAGCTCCAGACTCTGATACTGCC-3'(配列番号:32)
逆方向PCRプライマー:5'-TGCCTTTCTAGGAGGCAGAGCTCC-3'(配列番号:33)
さらに、合成オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブは、次のヌクレオチド配列を有するものを構築した:
5'-GGACCCAGAAATGTGTCCTGAGAATGGATCTTGTGTACCTGATGGTCCAG-3'(配列番号:34)
全長クローンの供給源のいくつかのライブラリをスクリーニングするために、ライブラリ由来のDNAを上で同定したPCRプライマー対でのPCR増幅でスクリーニングした。次いでポジティブライブラリは、プローブオリゴヌクレオチド及びPCRプライマーの1つを用いてPRO240をコードするクローンを単離するのに使用した。
【0112】
cDNAライブラリの構築のためのRNAはヒト胎児肝臓組織から単離した。cDNAクローンの単離に用いたcDNAライブラリは、Invitrogen, San Diego, CAからのもの等の市販試薬を用いて標準的な方法によって作成した。cDNAは、NotI部位を含むオリゴdTでプライムし、平滑末端でSalIヘミキナーゼアダプターに結合させ、NotIで切断し、ゲル電気泳動でおよそのサイズ分類し、そして適切なクローニングベクター(pRKB又はpRKD等;pRK5BはSfiI部位を含まないpRK5Dの前駆体である;Holmesら, Science, 253: 1278-1280 (1991)参照)に、独特のXhoI及びNotI部位において、所定の方向でクローニングした。
上記の様にして単離されたクローンのDNA配列は、PRO240の全長DNA配列[ここでDNA34387-1138と称する]、及びPRO240の誘導されたタンパク質配列を提供する。
DNA34387−1138の全ヌクレオチド配列を図9(配列番号:9)に示す。太字の下線で示したように、DNA34387−1138は、単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置12-14に見かけの翻訳開始部位を有し、ヌクレオチド位置699-701の停止コドンで終端する。予測されるポリペプチド前駆体は229アミノ酸長である(図10)。クローンDNA34387−1138は1997年9月16日にATCCに寄託されATCC寄託番号209260が付与されている。
全長PRO240のアミノ酸配列の分析は、キイロショウジョウバエ由来の鋸状前駆タンパク質及びセキショクヤケイ(Gallus属gallus)のC-serrate-1タンパク質との30%及び35%のアミノ酸同一性を有することを示唆する。
【0113】
4.ヒトPRO256(UNQ223)をコードするcDNAクローンの単離
上記実施例1パートEに記載したように、phrapを用いて他のEST配列に対してコンセンサスDNA配列を構築した。この構築されたコンセンサス配列を、ここでDNA28725と命名する。DNA28725コンセンサス配列に基づいて、1)PCRにより対象とする配列を含むcDNAライブラリを同定するため、及び2)PRO256の全長コード化配列のクローンを単離するプローブとして使用するために、オリゴヌクレオチドを合成した。正方向及び逆方向PCRプライマーは一般的に20から30ヌクレオチドの範囲であり、しばしば約100-1000bp長のPCR産物を与えるように設計される。プローブ配列は典型的には40-55bp長である。幾つかの場合には、コンセンサス配列が約1-1.5kbpより大きな場合に更なるオリゴヌクレオチドを合成する。全長クローンについて幾つかのライブラリーをスクリーニングするために、ライブラリーからのDNAを上掲のAusubel等, Current Protocols in Molecular Biologyに従って、PCRプライマー対でのPCR増幅によりスクリーニングした。次いでポジティブライブラリーを、プローブオリゴヌクレオチド及びプライマー対の一方を用いた興味ある遺伝子をコードするクローンの単離に使用した。
PCRプライマー(正方向及び逆方向)の対を合成した:
正方向PCRプライマー:5'-TGTCCACCAAGCAGACAGAAG-3'(配列番号:35)
逆方向PCRプライマー:5'-ACTGGATGGCGCCTTTCCATG-3'(配列番号:36)
さらに、DNA28725コンセンサス配列から合成オリゴヌクレオチドハイブリッド形成プローブを作成し、それは以下のヌクレオチド配列を有していた:
ハイブリッド形成プローブ:
5'-CTGACAGTGACTAGCTCAGACCACCCAGAGGACACGGCCAACGTCACAGT-3'(配列番号:37)
5'-GGGCTCTTTCCCACGCTGGTACTATGACCCCACGGAGCAGATCTG-3'(配列番号:38)
【0114】
全長クローンの供給源について幾つかのライブラリをスクリーニングするために、ライブラリからのDNAを上で同定したPCRプライマー対でPCR増幅した。次いで、ポジティブライブラリを、プローブオリゴヌクレオチド及びPCRプライマー対の一方を用いてPRO256遺伝子をコードするクローンを単離するのに使用した。
cDNAライブラリの構築のためのRNAはヒト胎盤組織から単離した。cDNAクローンの単離に用いたcDNAライブラリは、Invitrogen, San Diego, CAからのもの等の市販試薬を用いて標準的な方法によって作成した。cDNAは、NotI部位を含むオリゴdTでプライムし、平滑末端でSalIヘミキナーゼアダプターに結合させ、NotIで切断し、ゲル電気泳動でおよそのサイズ分類し、そして適切なクローニングベクター(pRKB又はpRKD等;pRK5BはSfiI部位を含まないpRK5Dの前駆体である;Holmes等, Science, 253: 1278-1280 (1991)参照)に、独特のXhoI及びNotI部位において、所定の方向でクローニングした。
上記のように単離したクローンのDNA配列決定により、PRO256[ここでDNA35880−1160と称される](配列番号:11)の全長DNA配列及びPRO256の誘導タンパク質配列が得られた。
【0115】
DNA35880−1160の全コード化配列が図11(配列番号:11)に示される。クローンDNA35880−1160は単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置188−190に見かけの翻訳開始部位、そしてヌクレオチド位置1775−1777に見かけの停止コドンを持つ。予測されるポリペプチド前駆体は529アミノ酸長である(図12)。クローンDNA35880−1160は1997年10月16日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号209379が付与された。
PRO256の全長配列の分析により、その一部がヒトビクニン(bikunin)タンパク質と有意な相同性を持つことが示唆され、それよりPRO256が新規なプロテイナーゼインヒビターであることが示された。
【0116】
5.ヒトPRO306(UNQ269)をコードするcDNAクローンの単離
コンセンサスDNA配列を、上記の実施例1パートEに記載したように、phrapを用いて他のEST配列に対して作成した。次いでこのコンセンサス配列を、ここでDNA36458と命名する。コンセンサスDNA配列をBLAST及びphrapの繰り返しサイクルを用いて伸長させて、上述したEST配列の供給源を用いてコンセンサス配列をできるだけ伸長させた。
DNA36458コンセンサス配列に基づいて、1)PCRにより関心ある配列を含むcDNAライブラリーを同定するため、及び2)PRO306の全長コード化配列のクローンを単離するプローブとして使用するために、オリゴヌクレオチドを合成した。正方向及び逆方向PCRプライマーは一般的に20から30ヌクレオチドの範囲であり、しばしば約100-1000bp長のPCR産物を与えるように設計される。プローブ配列は典型的には40-55bp長である。幾つかの場合には、コンセンサス配列が約1-1.5kbpより大きな場合に更なるオリゴヌクレオチドを合成する。全長クローンについて幾つかのライブラリーをスクリーニングするために、ライブラリーからのDNAを上掲のAusubel等, Current Protocols in Molecular Biologyに従って、PCRプライマー対でのPCR増幅によりスクリーニングした。次いでポジティブライブラリーを、プローブオリゴヌクレオチド及びプライマー対の一方を用いた興味ある遺伝子をコードするクローンの単離に使用した。
次のPCRプライマー対(正方向及び逆方向)を合成した:
正方向PCRプライマー:5'-CAGGTCGAACCCAGACCACGATGC-3'(配列番号:39)
正方向PCRプライマー:5'-GCCACATGGCCCAGCTTG-3'(配列番号:40)
正方向PCRプライマー:5'-GAGACGGAGGAAGCAGGC-3'(配列番号:41)
正方向PCRプライマー:5'-GGCCACACTTACAGCTCTG-3'(配列番号:42)
逆方向PCRプライマー:5'-AGCCGGCTTCTGAGGGCGTCTACC-3'(配列番号:43)
さらに、コンセンサスDNA36458配列から合成オリゴヌクレオチドハイブリッド形成プローブを作成し、それは以下のヌクレオチド配列を有していた:
ハイブリッド形成プローブ:
5'-TGGTGCTGCCGCTGCTGCTCCTGGCCGCGGCAGCCCTGGCCGAAG-3'(配列番号:44)
全長クローンの供給源について幾つかのライブラリーをスクリーニングするために、ライブラリーからのDNAを上で同定したPCRプライマー対でPCR増幅してスクリーニングした。次いで、ポジティブライブラリーを、プローブオリゴヌクレオチド及びPCRプライマー対の一方を用いてPRO306遺伝子をコードするクローンを単離するのに使用した。
【0117】
cDNAライブラリーの構築のためのRNAはヒト胎児腎臓組織から単離した。cDNAクローンを単離するために用いたcDNAライブラリーは、Invitrogen, San Diego, CA からのもの等の市販試薬を用いた標準的方法によって形成した。cDNAは、NotI部位を含むオリゴdTでプライムし、SalIヘミキナーゼアダプターの平滑末端で結合させ、NotIで切断し、ゲル電気泳動で適当にサイズ分割をし、定まった方向で適当なクローニングベクター(pRKB又はpRKD等;pRK5Bは、SfiI部位を持たないpRK5Dの前駆体である;Holmes等, Science, 253:1278-1280 (1991)を参照されたい)に独特のXhol及びNotI部位においてクローン化した。
上記のように単離したクローンのDNA配列決定により、PRO306[DNA39984−1221](配列番号:13)の全長DNA配列;及びPRO306の誘導タンパク質配列が得られた。
DNA39984−1221の全コード化配列を図13(配列番号:13)に示す。クローンDNA39984−1221は単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置199−201に見かけの翻訳開始部位、そしてヌクレオチド位置1471−1473に見かけの停止コドンを持つ。予測されるポリペプチド前駆体は424アミノ酸長である(図14)。クローンDNA39984−1221はATCCに寄託され、ATCC寄託番号209435を付与されている。
全長PRO306ポリペプチドのアミノ酸配列の分析により、その部分がテスティカンタンパク質、及びIGF結合タンパク質に対する十分な相同性を有することが示唆され、よってPRO306が新規なテスティカン又はIGF結合タンパク質であり得ることを示す。
【0118】
6.ヒトPRO364(UNQ319)をコードするcDNAクローンの単離
発現配列タグ(EST)DNAデータベース(LIFESEQ(登録商標)、Incyte Pharmaceuticals、Palo Alto, CA)を検索し、ポリペプチドの腫瘍壊死因子レセプター(TNFR)ファミリーのメンバーと相同性を示すEST(Incyte EST番号3003460)を同定した。
次に、BLAST(Altschul等, Methods in Enzymology 266: 460-480 (1996))及び「phrap」(Phil Green, University of Washington, Seattle, http://bozeman.mbt.washington.edu/phrap.docs/phrap.html)の繰り返しサイクルを用いてIncyte 3003460 EST及び他のEST配列に対してコンセンサスDNA配列を構築した。このコンセンサス配列を、ここでDNA44825と命名した。
DNA44825コンセンサス配列に基づいて、1)PCRにより関心ある配列を含むcDNAライブラリーを同定するため、及び2)PRO364の全長コード化配列のクローンを単離するプローブとして使用するために、オリゴヌクレオチドを合成した。正方向及び逆方向PCRプライマーは一般的に20から30ヌクレオチドの範囲であり、しばしば約100−1000bp長のPCR産物を与えるように設計される。プローブ配列は典型的には40−55bp長である。ある場合には、コンセンサス配列が約1−1.5kbpよりも大きいときに更なるオリゴヌクレオチドが合成される。全長クローンについて幾つかのライブラリーをスクリーニングするために、ライブラリーからのDNAをAusubel等, Current Protocols in Molecular Biologyに従って、PCRプライマー対でのPCR増幅によりスクリーニングした。次いでポジティブライブラリーを、プローブオリゴヌクレオチド及びプライマー対の一方を用いた対象とする遺伝子をコードするクローンの単離に使用した。
【0119】
PCRプライマー対(正方向及び逆方向)を合成した:
正方向PCRプライマー:5'-CACAGCACGGGGCGATGGG-3'(配列番号:45)
正方向PCRプライマー:5'-GCTCTGCGTTCTGCTCTG-3'(配列番号:46)
正方向PCRプライマー:5'-GGCACAGCACGGGGCGATGGGCGCGTTT-3'(配列番号:47)
逆方向PCRプライマー:5'-CTGGTCACTGCCACCTTCCTGCAC-3'(配列番号:48)
逆方向PCRプライマー:5'-CGCTGACCCAGGCTGAG-3'(配列番号:49)
逆方向PCRプライマー:5'-GAAGGTCCCCGAGGCACAGTCGATACA-3'(配列番号:50)
さらに、コンセンサスDNA44825配列から合成オリゴヌクレオチドハイブリッド形成プローブを作成し、それは以下のヌクレオチド配列を有していた:
ハイブリッド形成プローブ:
5'-GAGGAGTGCTGTTCCGAGTGGGACTGCATGTGTGTCCAGC-3'(配列番号:51)
ハイブリッド形成プローブ:
5'-AGCCTGGGTCAGCGCCCCACCGGGGGTCCCGGGTGCGGCC-3'(配列番号:52)
全長クローンの供給源について幾つかのライブラリーをスクリーニングするために、ライブラリーからのDNAを上で同定したPCRプライマー対でPCR増幅した。次いで、ポジティブライブラリーを、プローブオリゴヌクレオチド及びPCRプライマーの一方を用いてPRO364遺伝子をコードするクローンを単離するのに使用した。
【0120】
cDNAライブラリーの構築のためのRNAはヒト小腸組織(LIB231)から単離した。cDNAクローンを単離するために用いたcDNAライブラリーは、Invitrogen, San Diego, CA からのもの等の市販試薬を用いて標準的方法によって形成した。cDNAは、NotI部位を含むオリゴdTでプライムし、ブラントでSalIヘミキナーゼ化したアダプターに結合し、NotIで分割し、ゲル電気泳動で適当にサイズ分割をし、定まった方向で適当なクローニングベクター(pRKB又はpRKD等;pRK5Bは、SfiI部位を持たないpRK5Dの前駆体である;Holmes等, Science, 253:1278-1280 (1991)を参照されたい)に独特のXhoI及びNotI部位においてクローン化した。
前記のような単離されたクローンのDNA配列は、PRO364の全長DNA配列[ここでDNA47365-1206と称される](配列番号:15)及びPRO364の誘導されたタンパク質配列を提供する。
DNA47365-1206の全ヌクレオチド配列は、図15(配列番号:15)に示される。クローンDNA47365-1206はヌクレオチド位置121−123に見かけの転写開始部位をもつ単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置844−846の終止コドンで終端する。予定ポリペプチド前駆体は、241アミノ酸長である(図16)。全長PRO364タンパク質は、見積もり分子量約26,000ダルトン及びpI約6.34を有する。潜在的なN-グリコシル化部位は図16に示されるアミノ酸配列のアミノ酸146−149の間にある。推定のシグナル配列はアミノ酸1から25にあり、潜在的な膜貫通ドメインは、配列のアミノ酸162から180の間にある。クローンDNA47365-1206はATCCに寄託され、ATCC寄託番号209436が付与された。
全長PRO364ポリペプチドのアミノ酸配列の分析は、その一部が腫瘍壊死因子レセプターファミリーのメンバーと相同性を有することを示唆し、よってPRO364が腫瘍壊死因子レセプターファミリーの新規なメンバーであることを示している。
全長天然PRO364ポリペプチドの推定アミノ酸配列及びそれをコードするヌクレオチド配列の詳細な検討により、Nocentini等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 6216-6221 (1997)に報告されたマウスGITR(mGITR)タンパク質との配列相同性が明らかとなる。従って、PRO364はNocentini等によって報告されたマウスGITRタンパク質のヒト対応物又は相同分子種を表していることが可能である。
【0121】
1.ヒトNL4(PRO356;UNQ313)をコードするcDNAクローンの単離
発現配列タグ(EST)DNAデータベース(LIFESEQ(登録商標)、Incyte Pharmaceuticals、Palo Alto, CA)を検索し、ヒトTIE-2 L1とTIE-2 L2との間に相同性を示すEST(#2939340)を同定した。
ESTに基づき、一対のPCRプライマー(正方向及び逆方向)とプローブを合成した:
NL4,5-1:5'-TTCAGCACCAAGGACAAGGACAATGACAACT-3' (配列番号:53)
NL4,3-1:5'-TGTGCACACTTGTCCAAGCAGTTGTCATTGTC-3'(配列番号:54)
NL4,3-3:5'-GTAGTACACTCCATTGAGGTTGG-3' (配列番号:55)
Life Technologies, Gaithersburg, MD (Super Script Plasmid System)からの試薬とプロトコールを用いて、ベクターpRK5DにおいてClontech, Inc.から購入した子宮mRNA(Palo Alto, CA, USA, カタログ番号6537-1)よりオリゴdTプライムしたcDNAのライブラリーを作製した。pRK5Dは、sp6転写開始部位に続いてSfiI制限酵素部位を、さらにXhoI/NotIcDNAクローニング部位を持つクローニングベクターである。cDNAをNotI部位を含むオリゴdTでプライムし、平滑末端でSalIヘミキナーゼアダプターに結合させ、NotIで切断し、ゲル電気泳動で約1000bpを越えるように適切にサイズ分類し、XhoI/NotI切断pRK5Dにおいて所定の方向でクローニングした。
全長クローンの供給源について幾つかのライブラリをスクリーニングするために、ライブラリからのDNAを上述で同定したPCRプライマー対でPCR増幅してスクリーニングを行った。次いで、ポジティブライブラリを、プローブオリゴヌクレオチド及びPCRプライマー対の一方を用いてPRO356遺伝子をコードするクローンを単離するのに使用した。
上述のように単離したクローンのDNA配列決定により、NL4の全長DNA配列及び誘導タンパク質配列が得られた。
PRO356の全ヌクレオチド配列を図17(配列番号:17)に示す。太字の下線で示したように、クローンDNA47470−1130は、単一のオープンリーディングフレームリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置215-217に見かけの翻訳開始部位を有する。図17において、ヌクレオチド位置1039-1041にTAA停止コドンを有する。予測されるポリペプチドは346アミノ酸長である(図18)。DNA47470−1130は1997年10月28日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号209422が付与されている。
全長配列のBLAST及びFastA配列に基づき、PRO356はTIE2L1(32%)及びTIE2L2(34%)とアミノ酸配列同一性を示す。
【0122】
10.ヒトPRO826(UNQ467)をコードするcDNAクローンの単離
DNA57694−1341は、ジェネンテク,インク(South San Francisco, CA)によって開発された独自の配列発見アルゴリズムを、公的(例えば、GenBank)及び/又は私的(LifeseqR Incyte Pharmaceuticals, Inc., Palo Alto, CA)データベースからのESTs並びに集団化及び構築されたEST断片に適用することにより同定した。シグナル配列アルゴリズムは、考慮している配列又は配列断片の5'-末端の第1の、場合によっては第2のメチオニンコドン(ATG)を取り囲むDNAヌクレオチドの性質に基づく分泌シグナルスコアを計算する。第1のATGに続くヌクレオチドは、停止コドンを持たない少なくとも35の不明瞭でないアミノ酸をコードしなければならない。第1のATGが必要なアミノ酸を有する場合、第2のものは試験しない。何れも要件を満たさない場合、候補配列にスコアをつけなかった。EST配列が真正のシグナル配列を含むか否かを決定するために、ATGコドンを取り囲むDNA及び対応するアミノ酸配列を、分泌シグナルに関連することが知られた7つのセンサー(評価パラメータ)の組を用いてスコアをつけた。このアルゴリズムの使用により、多くのポリペプチド-コード化核酸配列の同定がなされた。
上に記載したシグナル配列アルゴリズムの使用により、Incyteデータベースからの、47283と命名されるESTクラスター配列の同定が可能となった。次いでこのESTクラスター配列を、公的データベース(例えば、GenBank)及び独自に開発したESTDNAデータベース(LIFESEQ(商品名)、Incyte Pharmaceuticals、Palo Alto, CA)を含む種々の発現配列タグ(EST)データベースと比較して、存在する相同性を同定した。相同体検索は、コンピュータプログラムBLAST又はBLAST2(Altschul等, Methods in Enzymology 266: 460-480 (1996))を用いて実施した。公知のタンパク質をコードせず、BLASTスコア70(90の場合もある)又はそれ以上を持つ比較物は、プログラム「phrap」(Phil Green, University of Washington, Seattle, Washington)で集団化してコンセンサスDNA配列を構築した。そこから得られたコンセンサス配列を、ここでDNA56000と命名する。
DNA56000コンセンサス配列とMerckのESTクローン番号W69233に含まれるEST配列との間の観察された配列相同性に鑑みて、MerckESTクローン番号W69233を購入し、cDNA挿入物を得て配列決定した。この挿入物は全長タンパク質をコードすることがわかった。このcDNA挿入物の配列を図19に示し、ここでDNA57694−1341と命名する。
クローンDNA57694−1341は単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置13−15に見かけの翻訳開始部位を持ち、そしてヌクレオチド位置310−312の停止コドンで終端する。予測されるポリペプチド前駆体は99アミノ酸長である(図20)。全長PRO826タンパク質は、約11,050の見積もられた分子量及び約7.47のpIを有する。図20(配列番号:20)に示した全長PRO826配列の分析は、以下のものの存在を明らかにした:約アミノ酸1から約アミノ酸22のシグナルペプチド、約アミノ酸22から約アミノ酸27及び約アミノ酸90から約アミノ酸95の潜在的N-ミリストイル化部位、約アミノ酸16から約アミノ酸48のペルオキシダーゼに相同性を有するアミノ酸ブロック。クローンDNA57694−1341は1998年6月22日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号203017が付与されている。
図20に示した全長配列のWU-BLAST-2配列アラインメント分析を用いたDayhoffデータベース(バージョン35.45 SwissProt 35)の分析により、PRO826アミノ酸配列と以下のDayhoff配列:CCU12315_1, SCU96108_6, CELF39F10_4及びHELT_HELHOとの間の有意な相同性が明らかになった。
【0123】
11.ヒトPRO1068(UNQ525)をコードするcDNAクローンの単離
上記の実施例1に記載したシグナル配列アルゴリズムの使用により、ここでIncyteクラスター番号14736と命名されるESTクラスター配列のLIFESEQ(商品名)データベースからの同定が可能となった。次いでこのESTクラスター配列を、公的データベース(例えば、GenBank)及び独自に開発したESTDNAデータベース(LIFESEQ(商品名)、Incyte Pharmaceuticals、Palo Alto, CA)を含む種々の発現配列タグ(EST)データベースと比較して、存在する相同性を同定した。相同体検索は、コンピュータプログラムBLAST又はBLAST2(Altschul等, Methods in Enzymology 266: 460-480 (1996))を用いて実施した。公知のタンパク質をコードせず、BLASTスコア70(90の場合もある)又はそれ以上を持つ比較物は、プログラム「phrap」(Phil Green, University of Washington, Seattle, Washington)で集団化してコンセンサスDNA配列を構築した。そこから得られたコンセンサス配列を、ここでDNA56094と命名する。
DNA56094コンセンサス配列とIncyteのESTクローン番号004974に含まれるEST配列との間の観察された配列相同性に鑑みて、IncyteESTクローン004974を購入し、cDNA挿入物を得て配列決定した。この挿入物は全長タンパク質をコードすることがわかった。このcDNA挿入物の配列を図21に示し、ここでDNA59214−1449(配列番号:21)と命名する。
図21に示した全長クローンは単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置42−44に見かけの翻訳開始部位を持ち、そしてヌクレオチド位置14−16の停止コドンで終端する。予測されるポリペプチド前駆体(図22;配列番号:22)は124アミノ酸長である。PRO1068は、約14,284ダルトンの計算された分子量及び約8.14の見積もられたpIを有する。図22に示すように、PRO1068ポリペプチドは以下のさらなる特徴を持つ:約アミノ酸1−20のシグナル配列、約アミノ酸118−123のウロテシンIIシグネーチャー配列、約アミノ酸64−66の細胞接着配列、約アミノ酸112−115の潜在的cAMP-及びcGMP-依存性タンパク質キナーゼリン酸化部位。
図22に示した全長配列のWU-BLAST-2配列アラインメント分析を用いたDayhoffデータベース(バージョン35.45 SwissProt 35)の分析により、PRO1068アミノ酸配列と以下のDayhoff配列:HALBOP_1, MTV043_36, I50498,及びP_R78445との間の相同性が明らかになった。
クローンDNA59214−1449は1998年7月1日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号203046付与されている。
【0124】
12.ヒトPRO1343(UNQ698)をコードするcDNAクローンの単離
上記の実施例1パートAに記載したアミラーゼスクリーニングで単離したcDNA配列は、WU-BLAST2配列アラインメントコンピュータプログラムにより、如何なる既知のヒトコード核酸に対しても有意な配列同一性を有していないことが分かった。このcDNA配列をここでDNA48921と命名する。DNA48921分子の配列からプローブを産生し、上記の実施例1パラグラフ1、パートAに記載したようにして調製されたヒト平滑筋細胞組織ライブラリをスクリーニングするために使用した。クローニングベクターはpRK5Bであり(pRK5BはSfiI部位を含まないpRK5Dの前駆体である;Holmes等, Science, 253: 1278-1280 (1991))、切断されたcDNAサイズは2800bp未満であった。
用いたオリゴヌクレオチドプローブは次の通りであった:
正方向PCRプライマー:5'-CAATATGCATCTTGCACGTCTGG-3'(配列番号:56)
逆方向PCRプライマー:5'-AAGCTTCTCTGCTTCCTTTCCTGC-3'(配列番号:57)
ハイブリッド形成プローブ:
5'-TGACCCCATTGAGAAGGTCATTGAAGGGATCAACCGAGGGCTG-3'(配列番号:58)
全長クローンが同定され、それは単一のオープンリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置71−73に見かけの翻訳開始部位を持ち、ヌクレオチド位置812−814に停止シグナルを有する(図23;配列番号:23)。予測されるポリペプチド前駆体は247アミノ酸長であり、約25,335ダルトンの算定分子量及び約7.0の推定pIを有する。図24(配列番号:24)に示された全長PRO1343の分析により次のものの存在が証明される:約アミノ酸1から約アミノ酸25のシグナルペプチド及び約アミノ酸35から約アミノ酸225のサーカムスポロゾイト(circumsporozoite)反復。クローンDNA66675−1587は1998年9月22日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号203115が付与された。
図24に示した全長配列のWU-BLAST-2配列アラインメント分析を用いたDayhoffデータベース(バージョン35.45 SwissProt 35)の分析により、PRO1343アミノ酸配列と以下のDayhoff配列:CSP_PLACC, CEF25H8_2, U88974_40, BNAMRNAA_1, B0B0PC3_1, S58135, AF061832_1, BHU52040_1, HUMPROFILE_1及びMTV023_14との間の有意な相同性が証明された。
また、DNA48921配列と相同性を有するIncyteESTクローン(IncyteESTクローン番号4701148)を得て、挿入断片を配列決定し、それによって図23に示されたDNA66675−1587配列を生じた。
【0125】
13.ヒトPRO1375(UNQ712)をコードするcDNAクローンの単離
Merck/Wash.U.データベースをサーチしてMerk ESTを同定した。ついで、この配列をSwiss-Prot公的データベース、公のESTデータベース(例えばGenBank、Merck/Wash. U.)と企業のESTデータベース(LIFESEQ(商品名), Incyte Pharmaceuticals, Palo Alto, CA)からの他の配列とそれを整列化させるプログラムに入力した。サーチは、EST配列の6フレーム翻訳との細胞外ドメイン(ECD)タンパク質配列の比較としてコンピュータプログラムBLAST又はBLAST2[Altshul等, Methods in Enzymology 266:460-480 (1996)]を使用して行った。既知のタンパク質をコードしなかった70(又はある場合には90)以上のBLASTスコアになったその比較物を集合化し、「phrap」プログラム(Phil Green, University of Washington, Seattle, Washington)でコンセンサスDNA配列を構築した。
phrapを使用して他のEST配列に対してコンセンサスDNA配列が構築された。このコンセンサス配列はここで「DNA67003」と命名する。DNA67003コンセンサス配列に基づいて、ヒト膵臓ライブラリにおいて核酸(配列番号:417)を同定した。クローンのDNA配列決定により、PRO1375に対する全長DNA配列とPRO1375に対する誘導タンパク質配列が得られた。
PRO1375の全コード配列は図25(配列番号:25)に示される。クローンDNA67004−1614は、単一のオープンリーディングフレームを持ち、ヌクレオチド位置104−106に見かけの翻訳開始部位、ヌクレオチド位置698−700に見かけの停止コドンを有する。予測されたポリペプチド前駆体は198アミノ酸長であり、図26(配列番号:26)に示した。膜貫通ドメインはアミノ酸約11−28(II型)及び103−125にある。クローンDNA67004−1614は、ATCCに寄託され、ATCC寄託番号203115が付されている。図26に示した全長PRO1375タンパク質は約22,531ダルトンの見積もり分子量と約8.47のpIを有する。
図26に示した全長配列のWU-BLAST2配列アラインメント分析法を使用してのDayhoffデータベース(バージョン35.45 SwissProt35)の解析により、PRO1375アミノ酸配列と次のDayhoff配列:AF026198_5, CELR12C12_5, S73465, Y011_MYCPN, S64538_1, P_P8150, MUVSHPO10_1, VSH_MUMPL及びCVU59751_5の間の配列同一性が明らかにされた。
【0126】
実施例2:混合リンパ球反応(MLR)における刺激活性アッセイ(アッセイ24)
この実施例は、本発明のあるポリペプチドが刺激されたTリンパ球の増殖刺激剤として活性であることを示す。リンパ球の増殖を刺激する化合物は、免疫反応の向上が好ましい治療において有用である。治療剤は本発明のポリペプチドのアンタゴニストの形態、例えばポリペプチドのマウス-ヒトキメラ、ヒト化又はヒト抗体であり得る。
このアッセイの基本的プロトコールは、Current Protocol in Immunology, unit3.12;J E Coligan, A M Kruisbeek, D H Marglies, E M Shevach, W Strober編, 国立衛生研究所, John Wiley & Sons, Incから出版に記載されている。
特に、このアッセイの一変形例では、末梢血液単核細胞(PBMC)を個々の哺乳動物、例えばヒトのボランティアからロイコフェレーシスにより単離する(一人のドナーには刺激物PBMCを供給し、他のドナーにはレスポンダーPBMCを供給する)。所望するならば、単離後に、細胞をウシ胎児血清及びDMSO中で凍結する。凍結細胞をアッセイ用培地(37℃、5%CO)で一晩解凍し、ついで洗浄し、アッセイ用培地(RPMI;10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%グルタミン、1%HEPES、1%非必須アミノ酸、1%ピルビン酸)に3X10細胞/mlに再懸濁させる。刺激物PBMCは細胞を光にさらす(約3000ラド)ことにより調製される。
このアッセイは混合物:
100:1の1%又は0.1%に希釈された試験料試料、
50:1の光にさらされた刺激物細胞、及び
50:1のレスポンダーPBMC細胞、
を三重ウェルに蒔くことにより調製される。100マイクロタイターの細胞培養培地又は100マイクロタイターのCD4-IgGを対照体として使用する。ついで、ウェルを37℃、5%COで4日間インキュベートする。5日目、各ウェルにトリチウム化チミジン(1.0mC/ウェル;Amersham)を適用する。6時間後、細胞を3回洗浄し、ついで標識の取込を評価する。
このアッセイの他の変形例では、PBMCをBalb/cマウス及びC57B6マウスの脾臓から単離する。細胞を、アッセイ用培地(RPMI;10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%グルタミン、1%HEPES、1%非必須アミノ酸、1%ピルビン酸)において新たに回収された脾臓から顕微鏡検査用に細かく切断し、リンホライト(Lympholyte)M(Organon Teknika)上にこれらの細胞をオーバーレイすることによりPMBCを単離し、2000rpmで20分間遠心分離し、集め、アッセイ用培地における単核細胞層を洗浄し、アッセイ用培地に1X10細胞/mlになるように細胞を再懸濁させる。ついで、このアッセイは上記のように行われる。
ポジティブとは対照体よりも増加することであり、増加することはポジティブであると考えられ、180%以上の増加が好ましい。しかしながら、任意の値がコントロール以上であるなら、試験用タンパク質について刺激効果を示す。結果は以下の表7に示す。
【0127】
Figure 2003505350
【0128】
実施例3:皮膚血管透過性アッセイ(アッセイ64)
このアッセイは本発明のあるポリペプチドが動物の注入部位での単核細胞、好酸球及びPMN浸潤を誘発することにより免疫反応を促進及び炎症反応を誘発することを示す。免疫反応を刺激する化合物は免疫反応の刺激が有用な治療に利用可能である。この皮膚血管透過性アッセイは次のように実施される。体重が350グラム又はそれ以上の毛の無いモルモットをケタミン(75−80mg/Kg)及び5mg/Kgキシラジンの筋肉注射(IM)をして麻酔をかけた。精製された本発明のポリペプチドの試料又は条件培地試験試料が、注入部位あたり100μlを試験動物の背中に皮内注入される。動物あたり約10−30、好ましくは約16−24箇所の部位に注入が可能である。エバンスブルー色素(1%に生理的食塩水で緩衝)の1μlが心臓内に注入される。ついで注入部位における斑点が注入後1時間と6時間で測定(直径mm)される。動物は注入後6時間で屠殺される。それぞれの皮膚注入部位は生体組織検査され、ホルマリンで固定される。ついで皮膚は組織病理学検査用に調製される。それぞれ部位は皮膚への炎症細胞浸潤を検査される。可視的な炎症細胞の炎症を有する部位はポジティブとして記録される。炎症細胞は好中球、好酸球、単球、リンパ球であり得る。少なくとも注入部位での最小血管周囲の浸潤はポジティブとして記録され、注入部位で浸潤のなかった場合にはネガティブとして記録される。次のポリペプチドがこのアッセイにおいてポジティブであると検定された:PRO175、PRO179、PRO182、PRO240、PRO366及びPRO1375。
【0129】
実施例4:ヒト同時刺激アッセイ
T細胞レセプターに媒介されるシグナルの活性化に加えて、T細胞活性化は同時刺激シグナルを必要とする。一つの同時刺激シグナルはB7(CD3)とCD28との相互作用によって生成される。このアッセイにおいては、96ウェルプレートをCD28有又は無のCD3で被覆し、次いでヒト末梢血リンパ球、次いで試験タンパク質を添加する。リンパ球の増殖は、トリチウム化チミジン取り込みにより決定する。ポジティブなアッセイは、試験タンパク質がリンパ球増殖に刺激性シグナルを提供したことを示す。
材料:
1)カルシウム、マグネシウムを含まないハイクローン(Hyclone)D-PBS
2)Nunc96ウェル認定プレート#4-39454
3)ヒトCD3Amac 0178 200μg/mlストック
4)ヒトCD28Biodesgn P42235M
5)媒体:GibcoRPMI1640+Intergen#1020-90FBS、1%Glu、1%P/S、50μg/mlゲンタマイシン、10mMHepes。各アッセイ毎に新鮮。
6)トリチウム化チミジン
7)ロイコフェレーシス法を介して収集された凍結ヒト末梢血リンパ球(PBL)。
プレートは、96ウェル平底プレートを、カルシウム及びマグネシウムを含まないハイクローンD-PBS中の抗-CD3抗体(Amac)又は抗-CD28抗体(Biodesign)又は両方で被覆することにより調製する。抗CD-3抗体は10ng/ウェル(200ng/mlの50:l)、抗-CD28抗体は25ng/ウェル(0.5μg/mlの50:l)で100:lの全容量で使用した。
PBLは、ヒトドナーから標準的なロイコフェレーシス法を用いて単離した。細胞調製物は、アッセイを実施するまで50%のウシ胎児血清及び50%のDMSO中で凍結させた。細胞は、媒体中で解凍してPBLで洗浄し、PBLを25mlの媒体中に再懸濁して37℃、5%COで終夜インキュベートした。
アッセイ法において、被覆プレートをPBSで2回洗浄し、PBLを洗浄して100μl/ウェルを用いて1x10細胞/mlに再懸濁した。試験タンパク質又は対照媒体の100μlをプレートに添加してウェル当たりの全容量を200μlとした。プレートを72時間インキュベートした。次いでプレートをトリチウム化チミジン(1mC/ウェル;Amersham)で6時間パルスし、プレートからPBLを回収してトリチウム化チミジンの取り込みを見積もった。
本発明の化合物のこのアッセイの結果は、以下の表8に示す。コントロールを越えるポジティブな増加は、好ましいとされる180%以上の増加を有するポジティブであるとみなされる。しかしながら、コントロールよりも大きい任意の値は、試験タンパク質の促進効果を示す。PBMCは末血単核球を意味する。
【0130】
Figure 2003505350
Figure 2003505350
【0131】
実施例5:混合リンパ球反応(MLR)における阻害活性アッセイ(アッセイ67)
この実施例は、本発明の一又は複数のポリペプチドが刺激されたTリンパ球の増殖阻害剤として活性であることを示す。リンパ球の増殖を阻害する化合物は、免疫反応の抑制が好ましい治療において有用である。
このアッセイの基本的プロトコールは、Immunology, unit3.12;J E Coligan, A M Kruisbeek, D H Marglies, E M Shevach, W Strober編, 国立衛生研究所, John Wiley & Sons, Incから出版のCurrent Protocolsに記載されている。
さらに、このアッセイの一変形例では、末梢血液単核細胞(PBMC)を個々の哺乳類、例えばヒトのボランティアからロイコフェレーシスにより単離する(一人のドナーには刺激物PBMCを供給し、他のドナーにはレスポンダーPBMCを供給する)。所望するならば、単離後に、細胞をウシ胎児血清及びDMSO中で凍結する。凍結細胞をアッセイ用培地(37℃、5%CO)で一晩解凍し、ついで洗浄し、アッセイ用培地(RPMI;10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%グルタミン、1%HEPES、1%非必須アミノ酸、1%ピルビン酸塩)に3x10細胞/mlに再懸濁させる。刺激物PBMCは細胞を光にさらす(約3000ラド)ことにより調製される。
このアッセイは混合物:
100:1の1%又は0.1%に希釈された試験料試料、
50:1の光にさらされた刺激物細胞、及び
50:1のレスポンダーPBMC細胞、
を三重ウェルに蒔くことにより調製される。100マイクロタイターの細胞培養培地又は100マイクロタイターのCD4-IgGを対照体として使用する。ついで、ウェルを37℃、5%COで4日間インキュベートする。5日目、各ウェルにトリチウム化チミジン(1.0mC/ウェル;Amersham)を適用する。6時間後、細胞を3回洗浄し、ついで標識の取込を評価する。
このアッセイの他の変形例では、PBMCをBalb/cマウス及びC57B6マウスの脾臓から単離する。細胞を、アッセイ用培地(RPMI;10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%グルタミン、1%HEPES、1%非必須アミノ酸、1%ピルビン酸塩)において新たに回収された脾臓から顕微鏡検査用に細かく切断し、リンパライトM(Lympholyte M)(Organon Teknika)上にこれらの細胞をオーバーレイすることによりPMBCを単離し、2000rpmで20分間遠心分離し、集め、アッセイ用培地における単核細胞層を洗浄し、アッセイ用培地に1x10細胞/mlになるように細胞を再懸濁させる。ついで、このアッセイは上記のように行われる。
任意に以下の対照体が減少することは、阻害用化合物についてのポジティブな結果であると考えられ、80%未満の減少が好ましい。しかしながら、任意の値が対照体未満であるなら、試験用タンパク質について阻害効果を示す。
以下の試験ポリペプチドがこのアッセイでポジティブであった:PRO182。
【0132】
実施例6:インサイツハイブリッド形成
インサイツハイブリッド形成は、細胞又は組織調製物内での核酸配列の検出及び局在化のための強力で多用途の技術である。それは、例えば、遺伝子発現部位の同定、転写物の組織分布の分析、ウイルス感染の同定及び局在化、特定mRNA合成及び染色体マッピングにおける追跡に有用である。
インサイツハイブリッド形成は、Lu及びGillett, Cell Vision 1: 169-176 (1994)のプロトコールの最適な変形に従って、PCR生成33P-標識リボプローブを用いて実施される。簡単には、ホルマリン固定、パラフィン包埋ヒト組織を切片化し、脱パラフィンし、プロテイナーゼK(20g/ml)で15分間37℃で脱タンパクし、さらに上掲のLu及びGillettに記載されたようにインサイツハイブリッド形成する。[33-P]UTP-標識アンチセンスリボプローブをPCR産物から生成し、55℃で終夜ハイブリッド形成する。スライドをKodak NTB2(商品名)核トラックエマルションに浸漬して4週間露出する。
【0133】
33P-リボプローブ合成
6.0μl(125mCi)の33P-UTP(Amersham BF 1002, SA<2000 Ci/mmol)をスピード真空乾燥させた。乾燥33P-UTPを含む管に以下の成分を添加した:
2.0μlの5x転写バッファー
1.0μlのDTT(100mM)
2.0μlのNTP混合物(2.5mM: 10μl; 10mMのGTP, CTP及びATP+10μlのH2O)
1.0μlのUTP(50μM)
1.0μlのRNAsin
1.0μlのDNAテンプレート(1μg)
1.0μlのH
1.0μlのRNAポメラーゼ(PCR産物についてT3=AS, T7=S,通常)
管を37℃で1時間インキュベートし、1.0μlのRQ1 DNaseを添加し、次いで37℃で15分間インキュベートした。90μlのTE(10mMトリスpH7.6/1mMのEDTApH8.0)を添加し、混合物をDE81紙にピペットした。残りの溶液をMicrocon-50限外濾過ユニットに負荷し、プログラム10を用いてスピンさせた(6分間)。濾過ユニットを第2の管に変換し、プログラム2を用いてスピンさせた(3分間)。最終回収スピンの後、100μlのTEを添加した。1μlの最終生成物をDE81紙にピペットし6mlのBiofluor IIで数えた。
プローブをTBE/尿素ゲル上で走らせた。1-3μlのプローブ又は5μlのRNA MrkIIIを3μlの負荷バッファーに添加した。加熱ブロック上で95℃に3分間加熱した後、ゲルを即座に氷上に置いた。ゲルのウェルをフラッシングし、試料を負荷し、180-250ボルトで45分間走らせた。ゲルをサランラップでラップし、−70℃冷凍機内で補強スクリーンを持つXARフィルムに1時間から終夜露出した。
【0134】
33P-ハイブリッド形成
A.凍結切片の前処理
スライドを冷凍機から取り出し、アルミニウムトレイに配置して室温で5分間解凍した。トレイを55℃のインキュベータに5分間配置して凝結を減らした。スライドを蒸気フード内において4%パラホルムアルデヒド中で5分間固定し、0.5xSSCで5分間室温で洗浄した(25ml 20xSSC + 975ml SQ H2O)。0.5μg/mlのプロテイナーゼ中、37℃で10分間の脱タンパクの後(250mlの予備加熱RNase無しRNaseバッファー中の10mg/mlストック12.5μl)、切片を0.5xSSCで10分間室温で洗浄した。切片を、70%、95%、100%エタノール中、各2分間脱水した。
B.パラフィン包埋切片の前処理
スライドを脱パラフィンし、SQ HO中に配置し、2xSSCで室温において各々5分間2回リンスした。切片を20μg/mlのプロテイナーゼK(250mlのRNase無しRNaseバッファー中10mg/mlを500μl;37℃、15分間)−ヒト胚又は8xプロテイナーゼK(250mlのRNaseバッファー中100μl、37℃、30分間)−ホルマリン組織で脱タンパクした。続く0.5xSSCでのリンス及び脱水は上記のように実施した。
C.プレハイブリッド化
スライドをBoxバッファー(4xSSC、50%ホルムアミド)−飽和濾紙で列を作ったプラスチックボックスに並べた。組織を50μlのハイブリッド形成バッファー(3.75gデキストラン硫酸+6mlSQ H2O)で被覆し、ボルテックスし、キャップを外して2分間マイクロ波で加熱した。氷上で冷却した後、18.75mlのホルムアミド、3.75mlの20xSSC及び9mlのSQ H2Oを添加し、組織を良くボルテックスし、42℃で1-4時間インキュベートした。
D.ハイブリッド形成
スライド当たり1.0x10cpmのプローブ及び1.0μlのtRNA(50mg/mlストック)を95℃で3分間加熱した。スライドを氷上で冷却し、スライド当たり48μlのハイブリッド形成バッファーを添加した。ボルテックスの後、50μlの33P混合物をスライド上のプレハイブリッド50μlに添加した。スライドを55℃で終夜インキュベートした。
E.洗浄
洗浄は、2x10分間、2xSSC、EDTAで室温で実施し(400mlの20xSSC+16mlの0.25M EDTA、V=4L)、次いでRNaseA処理を37℃で30分間行った(250mlRNaseバッファー中10mg/mlを500μl=20μg/ml)。スライドを2x10分間、EDTAで室温において洗浄した。緊縮性洗浄条件は次の通り:55℃で2時間、0.1xSSC、EDTA(20mlの20xSSC+16mlのEDTA、V=4L)。
【0135】
6.結果
DNA19355−1150
ヒト胎児組織での発現。副腎−胎児副腎の内皮細胞の密度を超える特定のポジティブシグナル。
使用したオリゴヌクレオチド:
5'-TCTAATACGACTCACTATAGCTCAGGGGAAGAGCCAAAGA-3'(配列番号:59)
5'-TGAATTAACCCTCACTAAAGCAGTGCAATGCAGGGGACTA-3'(配列番号:60)

DNA47365−1206
ヒト及び胎児組織での発現。胎児において、椎骨体の前面をはしる筋膜で発現がある。胎児網膜を越える発現及び胎児ニューロンを越える低レベルの発現がある。
使用したオリゴヌクレオチド:
5'-GGATTCTAATACGACTCACTATAGGGCAACCCGAGCATGGCACAGCAC-3' (配列番号:61)
5'-CTATGAAATTAACCCTCACTAAAGGGATCTCCCAGCCGCCCCTTCTC-3' (配列番号:62)

DNA34387−1138
ヒト成人及び胎児組織での発現。一般化した低いレベルの発現。高いシグナルが次の部分で観察された:胎児−甲状腺上皮、小腸上皮、生殖腺、膵臓上皮、肝臓の肝細胞及び腎尿細管。また、発現は発達中の長骨の脈管組織でも見られた。成人−胎盤細胞栄養芽層、腎尿細管上皮、膀胱上皮、副甲状腺及び上皮性腫瘍。
使用したオリゴヌクレオチド:
5'-GGATTCTAATACGACTCACTATAGGGCCCGAGATATGCACCCAATGTC-3' (配列番号:63)
5'-CTATGAAATTAACCCTCACTAAAGGGATCCCAGAATCCCGAAGAACA-3' (配列番号:64)
【0136】
実施例7:細胞及び疾患組織でのインサイツハイブリッド形成
実施例6のインサイツハイブリッド形成方法を、遺伝子発現の決定、転写物の組織分布、及び特定疾患に罹患したヒト個体から単離した疾患組織における本発明の遺伝子/DNA及びタンパク質の合成のための特定のmRNAにおける変化の追跡に用いた。これらの結果は、疾患組織の何処において本発明の遺伝子がより特異的に発現されるか、及び疾患における本発明の阻害性又は刺激性化合物(及びそのアゴニスト又はアンタゴニスト)の治療効果の特定位置をより予測的に示す。ハイブリッド形成は、以下の組織及び細胞試料の一又は複数を使用して実施例6の方法に従って実施した。
(a)リンパ球及び抗原提示細胞(樹状細胞、ランゲルハンス細胞、マクロファージ及び単球、NK細胞);
(b)リンパ組織:正常及び反応性リンパ節、胸腺、気管支関連リンパ組織(BALT)、粘膜関連リンパ組織(MALT);
(c)ヒト疾患組織:関節炎及び変性関節疾患を持つ患者の滑膜及び関節、潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む炎症性腸疾患を持つ患者からの大腸、乾癬及び他の型の皮膚炎からの皮膚病変部、慢性及び急性気管支炎、肺炎、肺、胸膜炎からのBALTを含む肺組織及び組織リンパ節、喘息からのBALTを含む肺組織及び組織リンパ節、鼻炎又は副鼻腔炎を持つ患者からの鼻及び副鼻腔組織、多発性硬化症、アルツハイマー病及び発作からの脳及び脊髄、腎炎、糸球体腎炎及び全身性エリテマトーデスからの腎臓、感染性及び非感染性肝炎からの肝臓、腫瘍/癌からの組織。
発現は一又は複数の細胞又は組織試料で観察され、これらの細胞又は組織試料に関連する疾患における本発明の化合物(及びそのアゴニスト又はアンタゴニスト)の治療的効果の位置を示している。
DNA34387−1138
発現は肺癌で観察された。遺伝子は肺腫瘍パネルのTaqman分析で増幅した。発現は8つの扁平上皮癌及び6/8の腺癌で観察された。発現はインサイツ及び浸潤成分において見られた。発現レベルは腺癌において低から中程度であった。一般的に、発現は扁平上皮癌の方が高く、2の発現が強かった。リンパ節において低レベルの発現がある場合もあった。
使用したオリゴヌクレオチド:
5'-GGATTCTAATACGACTCACTATAGGGCCCGAGATATGCACCCAATGTC-3' (配列番号:65)
5'-CTATGAAATTAACCCTCACTAAAGGGATCCCAGAATCCCGAAGAACA-3' (配列番号:66)
【0137】
実施例8:ハイブリダイゼーションプローブとしてのPROの利用
以下の方法は、PROをコードする核酸配列のハイブリダイゼーションプローブとしての使用を記載する。
ここに開示した全長又は成熟PROのコード化配列を含んでなるDNA及び/又はその断片は、ヒト組織cDNAライブラリー又はヒト組織ゲノムライブラリーにおける相同的なDNA(例えば、PROの自然発生変異体をコードするもの)のスクリーニングのためのプローブとして用いられる。
いずれかのライブラリーDNAを含むフィルターのハイブリダイゼーション及び洗浄は、以下の高い緊縮条件で実施した。放射標識PRO誘導プローブのフィルターへのハイブリダイゼーションは、50%ホルムアルデヒド、5xSSC、0.1%SDS、0.1%ピロリン酸ナトリウム、50mMリン酸ナトリウム、pH6.8、2xデンハード溶液、及び10%デキストラン硫酸の溶液中で、42℃において20時間行った。フィルターの洗浄は、0.1xSSC及び0.1%SDSの水溶液中、42℃で行った。
次いで、全長天然配列PROをコードするDNAと所望の配列同一性を有するDNAは、この分野で知られた標準的な方法を用いて同定できる。
【0138】
実施例9:大腸菌におけるのPRO発現
この実施例は、大腸菌における組み換え発現による所望のPROの非グリコシル化形態の調製を例示する。
PROポリペプチドをコードするDNA配列は、選択されたPCRプライマーを用いて最初に増幅した。プライマーは、選択された発現ベクターの制限酵素部位に対応する制限酵素部位を持たなければならない。種々の発現ベクターが用いられる。好適なベクターの例は、pBR322(大腸菌由来のもの;Bolivarら, Gene, 2:95 (1977)参照)であり、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性についての遺伝子を含む。ベクターは、制限酵素で消化され、脱リン酸される。PCR増幅した配列は、次いで、ベクターに結合させる。ベクターは、好ましくは抗生物質耐性遺伝子、trpプロモーター、ポリ-Hisリーダー(最初の6つのSTIIコドン、ポリ-His配列、及びエンテロキナーゼ切断部位を含む)、PROコードする領域、ラムダ転写ターミネーター、及びargU遺伝子を含む。
ライゲーション混合物は、次いで、Sambrookら, 上掲に記載された方法を用いた選択した大腸菌の形質転換に使用される。形質転換体は、それらのLBプレートで成長する能力により同定され、次いで抗生物質耐性クローンが選択される。プラスミドDNAが単離され、制限分析及びDNA配列分析で確認される。
選択されたクローンは、抗生物質を添加したLBブロスなどの液体培地で終夜成長させることができる。終夜培地は、続いて大規模培地の播種に用いられる。次に細胞を最適光学密度まで成長させ、その間に発現プロモーターが作動する。
数時間の培養の後、遠心分離による集菌が可能である。遠心分離で得られた細胞ペレットは、この分野で知られた種々の試薬を用いて可溶化することができ、次いで可溶化PROタンパク質を、タンパク質が堅く結合する条件下で金属キレート化カラムを用いて精製することができる
【0139】
以下の手法を用いて、ポリ-His(ポリ-ヒス)タグ形態でPROを大腸菌で発現させてもよい。PROをコードするDNAを選択したPCRプライマーを用いて最初に増幅する。プライマーは、選択された発現ベクターの制限酵素部位に対応する制限酵素部位、及び効率的で信頼性のある翻訳開始、金属キレートカラムでの迅速な精製、及びエンテロキナーゼでのタンパク質分解的除去を与える他の有用な配列を含む。次いでPCR増幅された、ポリ-Hisタグ配列を発現ベクターに結合させ、それを株52(W3110 fuhA(tonA) lon galE rpoHts(htpRts) clpP(lacIq))に基づく大腸菌宿主の形質転換に使用する。形質転換体は、最初に50mg/mlのカルベニシリンを含有するLB中、30℃で振盪しながら3−5のO.D.600に達するまで成長させ。ついで培地をCRAP培地(3.57gの(NHSO、0.71gのクエン酸ナトリウム・2HO、1.07gのKCl、5.36gのDifco酵母抽出物、500mL水中の5.36gのShefield hycase SF、並びに110mMのMPOS、pH7.3、0.55%(w/v)のグルコース及び7mMのMgSOの混合で調製)中に50−100倍希釈し、30℃で振盪させながら約20−30時間成長させ。試料を取り出してSDS-PAGEにより発現を確認し、バルク培地を遠心分離して細胞のペレットとする。細胞ペレットを精製及び再折りたたみまで凍結させ
0.5から1Lの発酵(6−10gペレット)からの大腸菌ペーストを、7Mのグアニジン、20mMのトリス、pH8バッファー中で10容量(w/v)で再懸濁させ。固体硫酸ナトリウム及びテトラチオン酸ナトリウムを添加して最終濃度を各々0.1M及び0.02Mとし、溶液を4℃で終夜撹拌する。この工程により、すべてのシステイン残基が亜硫酸によりブロックされた変性タンパク質となる。溶液をBeckman Ultracentrifuge中で40,000rpmで30分間濃縮する。上清を−5容量金属キレートカラムバッファー(6Mのグアニジン、20mMのトリス、pH7.4)で希釈し、0.22ミクロンフィルターを通して濾過し浄化する化抽出物を、金属キレートカラムバッファーで平衡化させた5mlのQiagen Ni+2-NTA金属キレートカラムに負荷する。カラムを50mMのイミダゾール(Calbiochem, Utrol grade)を含む添加バッファー、pH7.4で洗浄する。タンパク質を250mMのイミダゾールを含有するバッファーで溶離する。所望のタンパク質を含有する画分をプールし、4℃で保存した。タンパク質濃度は、そのアミノ酸配列に基づいて計算した吸光係数を用いて280nmにおけるその吸収により見積もられる
【0140】
試料を、20mMのトリス、pH8.6、0.3MのNaCl、2.5Mの尿素、5mMのシステイン、20mMのグリシン及び1mMのEDTAからなる新たに調製した再生バッファー中に徐々に希釈することによりタンパク質をリフォールディングする。リフォールディング容量は、最終的なタンパク質濃度が50〜100マイクログラム/mlとなるように選択される。リフォールディング溶液を4℃で12−36時間ゆっくり撹拌する。リフォールディング反応はTFAを採取濃度0.4%(約3のpH)で添加することにより停止させ。タンパク質をさらに精製する前に、溶液を0.2ンフィルターを通して濾過し、アセトニトリルを最終濃度2−10%で添加する。再生したタンパク質を、Poros R1/H逆相カラムで、0.1%TFAの移動バッファーと10〜80%のアセトニトリル勾配での溶離を用いてクロマトグラフにかけ。A280吸収を持つ画分のアリコートをSDSポリアクリルアミドゲルで分析し、相同な再生タンパク質を含有する画分をプールする。一般的に、殆どの正しく再生したタンパク質種は、これらの種が最もコンパクトであり、その疎水性内面が逆相樹脂との相互作用から遮蔽されているので、アセトニトリルの最低濃度で溶離される。凝集した種は通常、より高いアセトニトリル濃度で溶離される。誤って再生したタンパク質を所望の形態から除くのに加えて、逆相工程は試料からエンドトキシンも除去する。
所望の折り畳まれたPROポリペプチドを含有する画分をプールし、溶液に向けた窒素の弱い気流を用いてアセトニトリルを除去する。タンパク質を、透析又は調製バッファーで平衡化したG25Superfine(Pharmacia)樹脂でのゲル濾過及び滅菌濾過により、0.14Mの塩化ナトリウム及び4%のマンニトールを含む20mMのHepes、pH6.8に調製する
ここで記載されるPROポリペプチドの多くが、上記されるようにうまく発現された。
【0141】
実施例10:哺乳動物細胞におけるPROの発現
この実施例は、哺乳動物細胞における組み換え発現によるPROのグリコシル化形態の調製を例示する。
発現ベクターとしてpRK5(1989年3月15日発行のEP307,247参照のこと)を用いた。場合によっては、PRODNAを選択した制限酵素を持つpRK5に結合させ、Sambrookら, 上掲に記載されたようなライゲーション方法を用いてPRODNAを挿入させる。得られたベクターは、各々pRK5−PROと呼ばれる。
一実施態様では、選択された宿主細胞は293細胞とすることができる。ヒト293細胞(ATCC CCL 1573)は、ウシ胎児血清及び場合によっては滋養成分及び/又は抗生物質を添加したDMEMなどの媒質中で組織培養プレートにおいて成長させて集密化させる。約10μgのpRK5−PRO DNAを、VA RNA遺伝子をコードする約1μgのDNAと混合し[Thimmappayaら, Cell, 31:543(1982)]、約1μgのVA RNA遺伝子コード化DNA[Thimmappayaら, Cell, 31:543 (1982))]と混合し、500μlの1mMトリス−HCl、0.1mMEDTA、0.227MCaClに溶解させ。この混合物に、滴状の、500μlの50mM HEPES(pH7.35)、280mMのNaCl、1.5mMのNaPOを添加し、25℃で10分間析出物を形成させ。析出物を懸濁し、293細胞に加えて37℃で約4時間定着させ。培養培地を吸引し、2mlのPBS中20%グリセロールを30秒間添加する。293細胞は、次いで無血清培地で洗浄し、新鮮な培地を添加し、細胞を約5日間インキュベートする
形質移入の約24時間後、培養培地を除去し、培養培地(のみ)又は200μCi/ml35S−システイン及び200μCi/ml35S−メチオニンを含む培養培地で置換する。12時間のインキュベーションの後、条件培地を回収し、スピンフィルターで濃縮し、15%SDSゲルに添加する。処理したゲルを乾燥させ、PROポリペプチドの存在をすとして選択された時間にわたってフィルムにさら。形質転換した細胞を含む培地は、更なるインキュベーションを施し(無血清培地で)、培地を選択されたバイオアッセイで試験する
【0142】
これに換わる技術において、PRO DNAは、Somparyacら, Proc. Natl. Acad. Sci., 12:7575 (1981)に記載されたデキストラン硫酸法を用いて293細胞に一過的に導入される。293細胞は、スピナーフラスコ内で最大密度まで成長させ、700μgのpRK5−PRO DNAを添加する。細胞は、まずスピナーフラスコから遠心分離によって濃縮し、PBSで洗浄する。DNA−デキストラン沈殿物を細胞ペレット上で4時間インキュベートする。細胞を20%グリセロールで90秒間処理し、組織培養培地で洗浄し、組織培養培地、5μg/mlウシインシュリン及び0.1μg/mlウシトランスフェリンを含むスピナーフラスコに再度導入する。約4日後に、条件培地を遠心分離して濾過し、細胞及び細胞片を除去した。次いで発現されたPROを含む試料を濃縮し透析及び/又はカラムクロマトグラフィー等の選択した方法によって精製することができる
他の実施態様では、PROをCHO細胞で発現させることができる。pRK5−PROベクターは、CaPO又はDEAE−デキストランなどの公知の試薬を用いてCHO細胞に形質移入することができる。上記したように、細胞培地をインキュベートし、培地を培養培地(のみ)又は35S-メチオニン等の放射性標識を含む培地に置換することができる。PROポリペプチドの存在を同定した後、培養培地を無血清培地に置換してもよい。好ましくは、培地を約6日間インキュベートし、次いで条件培地を収集する。次いで、発現されたPROを含む培地を濃縮して、選択した方法にとって精製することができる。
【0143】
また、エピトープタグPROは、宿主CHO細胞において発現させてもよい。PROは、pRK5ベクターからサブクローニングした。サブクローン挿入物は、次いで、PCRを施してバキュロウイルス発現ベクター中のポリ-Hisタグ等の選択されたエピトープタグを持つ枠に融合できる。ポリ-HisタグPRO挿入物は、次いで、安定なクローンの選択のためのDHFR等の選択マーカーを含むSV40誘導ベクターにサブクローニングできる。最後に、CHO細胞をSV40誘導ベクターで(上記のように)形質移入してもよい。発現を確認するために、上記のように標識化を行ってもよい。発現されたポリ-HisタグPROを含む培養培地は、次いで濃縮し、Ni2+−キレートアフィニティクロマトグラフィー等の選択された方法により精製できる。
また,一過性発現法によって、CHO及び/又はCOS細胞の発現を完遂させてもよい。
CHO細胞における安定な発現は,以下の方法を用いて実施することが可能である。タンパク質を、各タンパク質の可溶形態のコード化配列(例えば、細胞外ドメイン)がIgG1のヒンジ、CH2及びCH2ドメインを含む定常領域配列に融合したIgG作成物(イムノアドヘシン)及び/又はポリ-Hisタグ形態として発現する。
PCR増幅に続いて、対応するDNAを、Ausubelら, Current Protocols of Molecular Biology, Unit 3.16, John Wiley and Sons (1997)に記載されたような標準的技術を用いてCHO発現ベクターにサブクローニングする。CHO発現ベクターは、対象とするDNAの5’及び3’に適合する制限部位を有し、cDNAの便利なシャトル化ができるように作成される。ベクターは、Lucasら, Nucl. Acids res. 24: 9, 1774-1779 (1996)に記載されたようにCHO細胞での発現を用い、対象とするcDNA及びジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)の発現の制御にSV40初期プロモーター/エンハンサーを用いる。DHFR発現は、形質移入に続くプラスミドの安定な維持のための選択を可能にする。
所望のプラスミドDNAの12マイクログラムを、市販の形質移入試薬Superfect(登録商標)(Quiagen), Dosper(登録商標)及びFugene(登録商標)(Boehringer Mannheim)約一千万のCHO細胞に導入する。細胞は、上掲のLucasらに記載されているように成長させ。約3x10−7細胞を、下記のような更なる成長及び生産のためにアンプル中で凍結させ
【0144】
プラスミドDNAを含むアンプルを水槽に配して解凍し、ボルテックスにより混合する。内容物を10mLの媒質を含む遠心管にピペットして、1000rpmで5分間遠心分離する。上清を吸引して細胞を10mLの選択培地(0.2μm濾過PS20、5%の0.2μm透析濾過ウシ胎児血清を添加)中に懸濁させ。次いで細胞を90mLの選択培地を含む100mlスピナーに分けた1−2日後、細胞を150mLの選択培地を満たした250mLスピナーに移し、37℃でインキュベートする。さらに2−3日後、250mL、500mL及び2000mLのスピナーを3x10細胞/mLで播種する。細胞培地を遠心分離及び生産培地に再懸濁させ新鮮培地に交換する。任意の適切なCHO培地を用いてもよいが、実際には1992年6月16日に発行された米国特許第5,122,469号に記載された生産培地を使用してもよい。3Lの生産スピナーを1.2x10細胞/mLで播種する。0日目に、細胞数とpHを測定する。1日目に、スピナーをサンプルし、濾過空気での散布を実施する。2日目に、スピナーをサンプルし、温度を33℃に変え、500g/Lのグルコース及び0.6mLの10%消泡剤(例えば35%ポリジメチルシロキサンエマルション、Dow Corning 365 Medical Grade Emulsion)の30mLとする。生産を通して、pHは7.2近傍にするように調節する。10日後、又は生存率が70%を下回るまで、細胞培地を遠心分離で回収して0.22μmフィルターを通して濾過する。濾過物は、4℃で貯蔵するか、即座に精製用カラムに負荷する
ポリ-Hisタグ作成物について、タンパク質Ni+2-NTAカラム(Qiagen)を用いて精製する。精製の前に、イミダゾールを条件培地に5mMの濃度まで添加する。条件培地を、0.3MのNaCl及び5mMイミダゾールを含む20mMのHepes、pH7.4バッファーで平衡化した6mlのNi−NTAカラムに4−5ml/分の流速で4℃においてポンプ供給する。負荷後、カラムをさらに平衡バッファーで洗浄し、タンパク質を0.25Mイミダゾールを含む平衡バッファーで溶離する。高度に精製されたタンパク質は、続いて10mMのHepes、0.14MのNaCl及び4%のマンニトールを含む貯蔵バッファー中で25mlのG25Superfine(Pharmacia)を用いて脱塩し、−80℃で貯蔵する
イムノアドヘシン(Fc含有)作成物を以下のようにして条件培地から精製する。条件培地を、20mMのリン酸ナトリウムバッファー, pH6.8で平衡化した5mlのプロテインAカラム(Pharmacia)に負荷する。負荷後、カラムを平衡バッファーで強く洗浄した後、100mMのクエン酸, pH3.5で溶離する。溶離したタンパク質は、1mlの画分を275μlの1Mトリスバッファー, pH9を含む管に回収することにより即座に中性化する。高度に精製されたタンパク質は、続いてポリ-Hisタグタンパク質について上記した貯蔵バッファー中で脱塩する相同性は、SDSポリアクリルアミドゲルで、さらにエドマン(Edman)分解によりN−末端アミノ酸配列決定で評価する
ここに開示される多くのPROポリペプチドは、上記されるようにうまく発現された。
【0145】
実施例11:酵母菌でのPROの発現
以下の方法は、酵母菌中でのPROの組換え発現を記載する。
第1に、ADH2/GAPDHプロモーターからの PROの細胞内生産又は分泌のための酵母菌発現ベクターを作成する。 PROをコードするDNA及びプロモーターを選択したプラスミドの適当な制限酵素部位に挿入して PROの細胞内発現を指示する。分泌のために、 PROをコードするDNAを選択したプラスミドに、ADH2/GAPDHプロモーターをコードするDNA、天然PROシグナルペプチド又は他の哺乳動物シグナルペプチド、又は、例えば酵母菌アルファ因子分泌シグナル/リーダー配列、及び(必要ならば) PROの発現のためのリンカー配列とともにクローニングすることができる。
酵母菌株AB110等の酵母菌は、次いで上記の発現プラスミドで形質転換し、選択された発酵培地中で培養できる。形質転換した酵母菌上清は、10%トリクロロ酢酸での沈降及びSDS−PAGEによる分離で分析し、次いでクマシーブルー染色でゲルの染色をすることができる。
続いて組換えPROは、発酵培地から遠心分離により酵母菌細胞を除去し、次いで選択されたカートリッジフィルターを用いて培地を濃縮することによって単離及び精製できる。PROを含む濃縮物は、選択されたカラムクロマトグラフィー樹脂を用いてさらに精製してもよい。
ここに開示される多くのPROポリペプチドは、上記されるようにうまく発現された。
【0146】
実施例12:バキュロウイルス感染昆虫細胞でのPROの発現
以下の方法は、バキュロウイルス感染昆虫細胞中におけるPROの組換え発現を示す。 PROコードする配列を、バキュロウイルス発現ベクターに含まれるエピトープタグの上流に融合させた。このようなエピトープタグは、ポリ-Hisタグ及び免疫グロブリンタグ(IgGのFc領域など)を含む。pVL1393(Navogen)などの市販されているプラスミドから誘導されるプラスミドを含む種々のプラスミドを用いることができる。簡単には、PROコード化配列,又はPROのコード化配列の所望する部分[例えば膜貫通タンパク質の細胞外ドメインをコードする配列又はタンパク質が細胞外である場合の成熟タンパク質をコードする配列]が、5’及び3’領域に相補的なプライマーでのPCRにより増幅される。5’プライマーは、隣接する(選択された)制限酵素部位を包含していてもよい。生産物は、次いで、選択された制限酵素で消化され、発現ベクターにサブクローニングされる。
組換えバキュロウイルスは、上記のプラスミド及びBaculoGold(商品名)ウイルスDNA(Pharmingen)を、Spodoptera frugiperda(「Sf9」)細胞(ATCC CRL 1711)中にリポフェクチン(GIBCO-BRLから市販)を用いて同時形質移入することにより作成される。28℃で4−5日インキュベートした後、放出されたウイルスを回収し、更なる増幅に用いた。ウイルス感染及びタンパク質発現は、O'Reilleyら, Baculovirus expression vectors: A laboratory Manual, Oxford: Oxford University Press (1994)に記載されているように実施した。
【0147】
次に、発現されたポリ-HisタグPROは、例えばNi2+−キレートアフィニティクロマトグラフィーにより次のように精製される。抽出は、Rupertら, Nature, 362:175-179 (1993)に記載されているように、ウイルス感染した組み換えSf9細胞から調製した。簡単には、Sf9細胞を洗浄し、超音波処理用バッファー(25mMのHepes、pH7.9;12.5mMのMgCl;0.1mM EDTA;10%グリセロール;0.1%のNP-40;0.4MのKCl)中に再懸濁し、氷上で2回20秒間超音波処理した。超音波処理物を遠心分離で透明化し、上清を負荷バッファー(50mMリン酸塩、300mMのNaCl、10%グリセロール、pH7.8)で50倍希釈し、0.45μmフィルターで濾過した。Ni2+−NTAアガロースカラム(Qiagenから市販)を5mLの総容積で調製し、25mLの水で洗浄し、25mLの負荷バッファーで平衡させた。濾過した細胞抽出物は、毎分0.5mLでカラムに負荷した。カラムを、分画回収が始まる点であるA280のベースラインまで負荷バッファーで洗浄した。次に、カラムを、結合タンパク質を非特異的に溶離する二次洗浄バッファー(50mMリン酸塩;300mMのNaCl、10%グリセロール、pH6.0)で洗浄した。A280のベースラインに再度到達した後、カラムを二次洗浄バッファー中で0から500mMイミダゾール勾配で展開した。1mLの分画を回収し、SDS−PAGE及び銀染色又はアルカリホスファターゼ(Qiagen)に複合したNi2+−NTAでのウェスタンブロットで分析した。溶離したHis10−タグPROを含む画分をプールして負荷バッファーで透析した。
あるいは、IgGタグ(又はFcタグ)PROの精製は、例えば、プロテインA又はプロテインGカラムクロマトグラフィーを含む公知のクロマトグラフィー技術を用いて実施できる。
ここに開示される多くのPROポリペプチドは、上記されるようにうまく発現された。
【0148】
実施例13:PROに結合する抗体の調製
この実施例は、PROに特異的に結合できるモノクローナル抗体の調製を例示する。
モノクローナル抗体の生産のための技術は、この分野で知られており、例えば、上掲のGodingに記載されている。用いられ得る免疫原は、精製PROを含むPRO融合タンパク質、細胞表面に組換えPROを発現する細胞を含む。免疫原の選択は、当業者が過度の実験をすることなくなすことができる。
Balb/c等のマウスを、完全フロイントアジュバントに乳化して皮下又は腹腔内に1−100マイクログラムで注入したPRO免疫原で免疫化する。あるいは、免疫原をMPL−TDMアジュバント(Ribi Immunochemical Researh, Hamilton, MT)に乳化し、動物の後足蹠に注入してもよい。免疫化したマウスは、次いで10から12日後に、選択したアジュバント中に乳化した付加的免疫源で追加免疫する。その後、数週間、マウスをさらなる免疫化注射で追加免疫する。抗PRO抗体の検出のためのELISAアッセイで試験するために、レトロオービタル出血からの血清試料をマウスから周期的に採取してもよい。
適当な抗体力価が検出された後、抗体に「ポジティブ(陽性)」な動物に、PROの静脈内注射の最後の注入をすることができる。3から4日後、マウスを屠殺し、脾臓細胞を取り出した。次いで脾臓細胞を(35%ポリエチレングリコールを用いて)、ATCCから番号CRL1597で入手可能なP3X63AgU.1等の選択されたマウス骨髄腫株化細胞に融合させた。融合によりハイブリドーマ細胞が生成され、次いで、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン)培地を含む96ウェル組織培養プレートに蒔き、非融合細胞、骨髄腫ハイブリッド、及び脾臓細胞ハイブリッドの増殖を阻害した。
ハイブリドーマ細胞は、PROに対する反応性についてのELISAでスクリーニングされる。所望のモノクローナル抗体を分泌する「ポジティブ(陽性)」ハイブリドーマ細胞の決定は、技術常識の範囲内である。
陽性ハイブリドーマ細胞を同系のBalb/cマウスに腹腔内注入し、抗PROモノクローナル抗体を含む腹水を生成させる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を、組織培養フラスコ又はローラーボトルで成長させることもできる。腹水中に生成されたモノクローナル抗体の精製は、硫酸アンモニウム沈降、それに続くゲル排除クロマトグラフィ−を用いて行うことができる。あるいは、抗体のプロテインA又はプロテインGへの親和性に基づくアフィニティクロマトグラフィーを用いることもできる。
【0149】
実施例14:特異的抗体を用いたPROポリペプチドの精製
天然又は組換えPROポリペプチドは、この分野の種々の標準的なタンパク質精製方法によって精製できる。例えば、プロ-PROポリペプチド、成熟ポリペプチド、又はプレ-PROポリペプチドは、関心あるPROポリペプチドに特異的な抗体を用いた免疫親和性クロマトグラフィーによって精製される。一般に、免疫親和性カラムは抗-PROポリペプチド抗体を活性化クロマトグラフィー樹脂に共有結合させて作成される。
ポリクローナル免疫グロブリンは、硫酸アンモニウムでの沈殿又は固定化プロテインA(Pharmacia LKB Biotechnology, Piscataway, N.J.)での精製のいずれかにより免疫血清から調製される。同様に、モノクローナル抗体は、硫酸アンモニウム沈殿又は固定化プロテインAでのクロマトグラフィーによりマウス腹水液から調製される。部分的に精製された免疫グロブリンは、CnBr-活性化セファロースTM(Pharmacia LKB Biotechnology)等のクロマトグラフィー樹脂に共有結合される。抗体が樹脂に結合され、樹脂がブロックされ、誘導体樹脂は製造者の指示に従って洗浄される。
このような免疫親和性カラムは、可溶化形態のPROポリペプチドを含有する細胞からの画分を調製することによるPROポリペプチドの精製において利用される。この調製物は、洗浄剤の添加又はこの分野で公知の方法により微分遠心分離を介して得られる全細胞又は細胞成分画分の可溶化により誘導される。あるいは、シグナル配列を含む可溶化PROポリペプチドは、細胞が成長する培地中に有用な量で分泌される。
可溶化PROポリペプチド含有調製物は、免疫親和性カラムを通され、カラムはPROポリペプチドの好ましい吸着をさせる条件下(例えば、洗浄剤存在下の高イオン強度バッファー)で洗浄される。次いで、カラムは、抗体/PROポリペプチド結合を分解する条件下(例えば、約2-3といった低pH、高濃度の尿素又はチオシアン酸イオン等のカオトロープ)で溶離され、PROポリペプチドが回収される。
【0150】
実施例15:薬物スクリーニング
本発明は、PROポリペプチド又はその結合断片を種々の薬物スクリーニング技術において使用することによる化合物のスクリーニングに特に有用である。そのような試験に用いられるPROポリペプチド又は断片は、溶液中の遊離状態でも、固体支持体に固定されても、細胞表面に担持されていても、細胞内に位置していてもよい。薬剤スクリーニングの一つの方法は、PROポリペプチド又は断片を発現する組換え核酸で安定に形質移入される真核生物又は原核生物宿主細胞を利用する。薬剤は、そのような形質移入細胞に対して、競合的結合アッセイにおいてスクリーニングされる。そのような細胞は、生存可能又は固定化形態のいずれかにおいて、標準的な結合アッセイに使用できる。例えば、PROポリペプチド又は断片と試験される試薬の間での複合体の形成を測定してよい。あるいは、試験する試薬によって生ずるPROポリペプチドとその標的細胞との間の複合体形成における減少を試験することもできる。
しかして、本発明は、PROポリペプチド関連疾患又は障害に影響を与えうる薬剤又は任意の他の試薬のスクリーニング方法を提供する。これらの方法は、その試薬をPROポリペプチド又は断片に接触させ、(i)試薬とPROポリペプチド又は断片との間の複合体の存在について、又は(ii)PROポリペプチド又は断片と細胞との間の複合体の存在について、当該技術でよく知られた方法でアッセイすることを含む。これらの競合結合アッセイでは、PROポリペプチド又は断片が典型的には標識される。適切なインキュベーションの後、自由なPROポリペプチド又は断片を結合形態のものから分離し、自由又は未複合の標識の量が、特定の試薬がPROポリペプチドに結合する又はPROポリペプチド/細胞複合体を阻害する能力の尺度となる。
薬剤スクリーニングのための他の技術は、ポリペプチドに対して適当な結合親和性を持つ化合物についての高スループットスクリーニングを提供し、1984年9月13日に公開されたWO 84/03564に詳細に記載されている。簡単に述べれば、多数の異なる小型ペプチド試験化合物が、プラスチックピン等の固体支持体又は幾つかの他の表面上で合成される。PROポリペプチドに適用すると、ペプチド試験化合物はPROポリペプチドと反応して洗浄される。結合したPROポリペプチドはこの分野で良く知られた方法により検出される。精製したPROポリペプチドは、上記の薬剤スクリーニング技術に使用するためにプレート上に直接被覆することもできる。さらに、非中和抗体は、ペプチドを捕捉し、それを固体支持体上に固定化するのに使用できる。
また、本発明は、PROポリペプチドに結合可能な中和抗体がPROポリペプチド又はその断片について試験化合物と特異的に競合する競合薬剤スクリーニングアッセイも考慮する。この方法において、抗体は、PROポリペプチドで、一又は複数の抗原決定基を持つ任意のペプチドの存在を検出するのに使用できる。
【0151】
実施例16:合理的薬物設計
合理的薬物設計の目的は、関心ある生物学的活性ポリペプチド(例えば、PROポリペプチド)又はそれらが相互作用する小分子、例えばアゴニスト、アンタゴニスト、又はインヒビターの構造的類似物を製造することである。これらの例の任意のものが、PROポリペプチドのより活性で安定な形態又はインビボでPROポリペプチドの機能を向上又は阻害する薬物の創作に使用できる(参考、Hodgson, Bio/Technology, 9: 19-21 (1991))。
一つの方法において、PROポリペプチド、又はPROポリペプチド-インヒビター複合体の三次元構造が、x線結晶学により、コンピュータモデル化により、最も典型的には2つの方法の組み合わせにより決定される。分子の構造を解明し活性部位を決定するためには、PROポリペプチドの形状及び電荷の両方が確認されなければならない。数は少ないが、PROポリペプチドの構造に関する有用な情報が相同タンパク質の構造に基づいたモデル化によって得られることもある。両方の場合において、関連する構造情報は、類似PROポリペプチド様分子の設計又は効果的なインヒビターの同定に使用される。合理的な薬剤設計の有用な例は、Braxton及びWells, Biochemistry, 31: 7796-7801 (1992)に示されているような向上した活性又は安定性を持つ分子、又はAthauda等, J. Biochem., 113: 742-746 (1993)に示されているような天然ペプチドのインヒビター、アゴニスト、又はアンタゴニストとして作用する分子を含む。
また、上記のような機能アッセイによって選択された標的特異的な抗体を単離しその結晶構造を解明することもできる。この方法は、原理的には、それに続く薬剤設計が基礎をおくことのできるファーマコア(pharmacore)を生成する。機能的な薬理学的に活性な抗体に対する抗-イディオタイプ抗体(抗-ids)を生成することにより、タンパク質結晶学をバイパスすることができる。鏡像の鏡像として、抗-idsの結合部位は最初のレセプターの類似物であると予測できる。抗-idは、次いで、化学的又は生物学的に製造したペプチドのバンクからペプチドを同定及び単離するのに使用できる。単離されたペプチドは、ファーマコアとして機能するであろう。
本発明により、十分な量のPROポリペプチドがX線結晶学などの分析実験を実施するために入手可能である。さらに、ここに提供したPROポリペプチドアミノ酸配列の知識は、x線結晶学に換える、又はそれに加えるコンピュータモデル化技術で用いられる指針を提供する。
【0152】
材料の寄託
次の材料をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション, 10801 ユニバーシティ ブルバード,マナッサス,ヴァージニア20110-2209,米国(ATCC)に寄託した:
表9
材料 UNQ PRO ATCC寄託番号 寄託日
DNA16451-1388 153 179 209776 1998年4月14日
DNA19355-1150 149 175 209466 1997年11月18日
DNA27865-1091 156 182 209296 1997年9月23日
DNA33085-1110 321 366 209087 1997年5月30日
DNA34387-1138 214 240 209260 1997年9月16日
DNA35880-1160 223 256 209379 1997年9月16日
DNA39984-1221 269 306 209435 1997年11月7日
DNA47365-1206 319 364 209436 1997年11月7日
DNA47470-1130 313 356 209422 1997年10月28日
DNA57694-1341 467 826 203017 1998年6月23日
DNA59214-1449 525 1068 203046 1998年7月1日
DNA66675-1587 698 1343 203282 1998年9月22日
DNA67004-1614 712 1375 203115 1998年8月11日
【0153】
これらの寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。これは、寄託の日付から30年間、寄託の生存可能な培養が維持されることを保証するものである。寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテク社とATCCとの間の合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、どれが最初であろうとも、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開時に、寄託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米国特許法第122条及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886OG638の37CFR第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許庁長官が決定した者に子孫を入手可能とすることを保証するものである。
本出願の譲受人は、寄託した培養物が、適切な条件下で培養されていた場合に死亡もしくは損失又は破壊されたならば、材料は通知時に同一の他のものと即座に取り替えることに同意する。寄託物質の入手可能性は、特許法に従いあらゆる政府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであるとみなされるものではない。
上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十分であると考えられる。寄託した態様は、本発明のある側面の一つの説明として意図されており、機能的に等価なあらゆる作成物がこの発明の範囲内にあるため、寄託された作成物により、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの物質の寄託は、ここに含まれる文書による説明が、そのベストモードを含む、本発明の任意の側面の実施を可能にするために不十分であることを認めるものではないし、それが表す特定の例証に対して請求の範囲を制限するものと解釈されるものでもない。実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に改変することは、前記の記載から当業者にとっては明らかなものであり、添付の請求の範囲内に入るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 天然配列PRO179(UNQ153)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、ヌクレオチド配列(配列番号:1)は、ここで「DNA16451−1388」と命名されるクローンである。また、太字及び下線で示したのは、各々開始及び停止コドンの部分である。
【図2】 図1のコード化配列から誘導された天然配列PRO179ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:2)を示す図である。また、種々の他の重要なポリペプチドドメインの位置も知られている場合には表示した。
【図3】 天然配列PRO175(UNQ149)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、ヌクレオチド配列(配列番号:3)は、ここで「DNA19355−1150」と命名されるクローンである。また、太字及び下線で示したのは、各々開始及び停止コドンの部分である。
【図4】 図3のコード化配列から誘導された天然配列PRO175ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:4)を示す図である。また、種々の他の重要なポリペプチドドメインの位置も知られている場合には表示した。
【図5】 天然配列PRO182(UNQ156)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、当該ヌクレオチド配列(配列番号:5)はここで「DNA27865−1091」と命名されるクローンである。また、太字及び下線フォントで示したのは、各々開始及び停止コドンである。
【図6】 図5のコード化配列から誘導された天然配列PRO182ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:6)を示す図である。また、種々の他の重要なドメインの位置も知られている場合には表示した。
【図7】 天然配列PRO366(UNQ321)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、当該ヌクレオチド配列(配列番号:7)はここで「DNA33085−1110」と命名されるクローンである。また、太字及び下線フォントで示したのは、各々開始及び停止コドンである。
【図8】 図7のコード化配列から誘導された天然配列PRO366ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:8)を示す図である。また、種々の他の重要なドメインの位置も知られている場合には表示した。
【図9】 天然配列PRO240(UNQ214)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、当該ヌクレオチド配列(配列番号:9)はここで「DNA34387−1138」と命名されるクローンである。また、太字及び下線フォントで示したのは、各々開始及び停止コドンである。
【図10】 図9のコード化配列から誘導された天然配列PRO240ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:10)を示す図である。また、種々の他の重要なドメインの位置も知られている場合には表示した。
【図11】 天然配列PRO256(UNQ223)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、当該ヌクレオチド配列(配列番号:11)はここで「DNA35880−1160」と命名されるクローンである。また、太字及び下線フォントで示したのは、各々開始及び停止コドンである。
【図12】 図11のコード化配列から誘導された天然配列PRO256ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:12)を示す図である。また、種々の他の重要なドメインの位置も知られている場合には表示した。
【図13】 天然配列PRO306(UNQ269)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、当該ヌクレオチド配列(配列番号:13)はここで「DNA39984−1221」と命名されるクローンである。また、太字及び下線フォントで示したのは、各々開始及び停止コドンである。
【図14】 図13のコード化配列から誘導された天然配列PRO306ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:14)を示す図である。また、種々の他の重要なドメインの位置も知られている場合には表示した。
【図15】 天然配列PRO364(UNQ319)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、当該ヌクレオチド配列(配列番号:15)はここで「DNA47365−1206」と命名されるクローンである。また、太字及び下線フォントで示したのは、各々開始及び停止コドンである。
【図16】 図15のコード化配列から誘導された天然配列PRO364ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:16)を示す図である。また、種々の他の重要なドメインの位置も知られている場合には表示した。
【図17】 天然配列PRO356(UNQ313)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、ヌクレオチド配列(配列番号:17)は、ここで「DNA47470−1130」と命名されるクローンである。また、太字及び下線で示したのは、各々開始及び停止コドンの部分である。
【図18】 図17のコード化配列から誘導された天然配列PRO356ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:18)を示す図である。また、種々の他の重要なポリペプチドドメインの位置も知られている場合には表示した。
【図19】 天然配列PRO826(UNQ467)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、ヌクレオチド配列(配列番号:19)は、ここで「DNA57694−1341」と命名されるクローンである。また、太字及び下線で示したのは、各々開始及び停止コドンの部分である。
【図20】 図19のコード化配列から誘導された天然配列PRO826ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:20)を示す図である。また、種々の他の重要なポリペプチドドメインの位置も知られている場合には表示した。
【図21】 天然配列PRO1068(UNQ525)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、当該ヌクレオチド配列(配列番号:21)はここで「DNA59214−1449」と命名されるクローンである。また、太字及び下線フォントで示したのは、各々開始及び停止コドンである。
【図22】 図21のコード化配列から誘導された天然配列PRO1068ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:22)を示す図である。また、種々の他の重要なドメインの位置も知られている場合には表示した。
【図23】 天然配列PRO1343(UNQ698)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、当該ヌクレオチド配列(配列番号:23)はここで「DNA66675−1587」と命名されるクローンである。また、太字及び下線フォントで示したのは、各々開始及び停止コドンである。
【図24】 図23のコード化配列から誘導された天然配列PRO1343ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:24)を示す図である。また、種々の他の重要なドメインの位置も知られている場合には表示した。
【図25】 天然配列PRO1375(UNQ712)をコードするヌクレオチド配列を含むcDNAのヌクレオチド配列を示す図であり、当該ヌクレオチド配列(配列番号:25)はここで「DNA67004−1614」と命名されるクローンである。また、太字及び下線フォントで示したのは、各々開始及び停止コドンである。
【図26】 図25のコード化配列から誘導された天然配列PRO1375ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:26)を示す図である。また、種々の他の重要なドメインの位置も知られている場合には表示した。
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