JP2003505117A - 生体組織を分離するためのウォータジェト装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 公知のウォータジェト装置おけるウォータジェトは直線的で、収束されておりかつその全横断面で分離すべき生体組織に当たる。これは分離切断をしばしば不正確にしかつまた高められた流動圧を必要とする。従って、新規の分離ノズル（１４）を有するウォータジェト装置を提案する。この分離ノズル１４はノズル通路（１５）を有し、該ノズル通路は周囲に単数又は複数の螺旋溝（１６）を備えかつ螺旋溝（１６）の数とノズル通路（１５）の直径及び長さとが相互に、加圧下にある分離ジェットが回転せしめられるような関係にある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、請求項１の上位概念に記載のウォータジェト装置に関する。

【０００２】 ウォータジェト装置及びその医療における使用は、多くのバリエーションで公
知である。その機械的外科用装置及び方法に対する利点は、第一に生体組織（bi
ological structure）との温和な触れ合いにある。

【０００３】 一般に、このような装置は、分離液体を無菌で保つことができない及び流出す
る分離媒体の圧力が比較的大きな変動を受けるという欠点を有する。

【０００４】 ＤＥ４２００９７６には、今や、前記欠点を排除しかつ主として圧力負荷され
るフラスコシリンダ装置からなり、そのシリンダ室内に分離媒体のための受容容
器が嵌合されているウォータジェト装置が記載されている。この場合には、分離
媒体のための受容容器は、カートリッジでありかつ導管を介して分離ノズルと接
続されている。圧力媒体と分離媒体の分離により及び安定なカートリッジにより
、分離媒体は無菌に保たれかつ分離媒体の圧力関係は一定に保たれかつ再現可能
である。

【０００５】 これは層状範囲内でのウォータジェト、ひいてはウォータジェトの有利な鋭利
性を保証する。

【０００６】 ＵＳ５,０３７,４３１から、類似したウォータジェト装置が公知であり、これ
は同様に分離ノズルを備えており、その際分離ノズルは供給導管の遠位の端部に
配置されかつシリンダー状の横断面を有する。

【０００７】 しかし、従来公知の全てのウォータジェト装置は、ウォータジェトが収束され
かつその全横断面で生体組織に当たるという欠点を有する。例えば軟質の組織は
、この圧力に容易に耐えられないので、比較的幅広いかつまたしばしば不潔な分
離切断部が生じる。それにより、生体組織は過度に負荷を受ける。ノズル直径を
さらに縮小することによるウォータジェトのさらなる微細化は、技術的に制限さ
れる。このようなウォータジェトはまた液体下で使用困難である。それというの
も、これは既にノズルからの噴出直後に分解現象を呈しかつその切断鋭利性を失
うからである。それに加えてウォータジェトの分離力は専ら手術者によって自由
に選択可能な流動圧力により決定されるので、流動圧力の必要な上昇に伴い特殊
な場合には生体組織の高められた破壊と結び付いている。

【０００８】 本発明は、冒頭に記載した形式のウォータジェト装置における切断鋭利性を改
良しかつ切断媒体の流動圧にはできる限り左右されないように保つことである。

【０００９】 前記課題は、請求項１の特徴部に記載の特徴により解決される。本発明の有効
な実施態様は、請求項２〜５の特徴から明らかである。

【００１０】 本発明は、従来の技術の前記欠点を排除する。

【００１１】 ウォータジェトの分離精度は、特別の利点を有する。層状及び直線的に方向付
けられたウォータジェトに比して、分離精度は新規のかつ回転せしめられるウォ
ータジェトにより高められる。このことは、水粒子がウォータジェトの回転によ
りウォータジェトの外側の周辺領域に移動せしめられ、そこで該水粒子は中心部
に残る水粒子に比して高められた周速を得かつそうして周囲領域内で回転する切
断エッジを形成する。この回転する切断エッジは、錐又は孔挽き鋸の回転する切
断部に匹敵しかつ分離エッジの小さい作用面のために直線的ウォータジェトの全
作用範囲よりも精確に分離する。改良された分離作用により液体圧を小さくする
ことができ、このことは全ウォータジェト装置のためにエネルギー的に有利に作
用する。このように構成されたウォータジェトは、多種多様な異なる生体組織内
だけでなく、また液体内にも極めて良好に穿孔する。それに伴い、新規のウォー
タジェトはそのコヒーレント維持性のために液体下での手術のためにも傑出して
適当である。

【００１２】 流動圧の小さい軸方向力成分がまた小さい、反跳として感知可能な反力を発生
することも有利である。このことは手術を簡単にする。それというのも、手術者
は組織からの分離ノズルの距離にもはや注意する必要がないからである。それに
対して、手術者には不利な作用なく瞬間的分離力のための鋭敏な感覚が維持され
る。それというのも、手術者には瞬間的流動力がハンドグリップに作用する半径
方向の力成分の反力が感知可能になるからである。このことの全ては手術者の集
中能力を高める。新たな回転ウォータジェトは、ノズル通路の直径と長さの釣合
により極めて鋭利に形成される。ウォータジェトの鋭利性のためにはまた、その
ためにノズル通路の直径よりも大きい螺旋溝のピッチを選択すれば、極めて有利
である。鋭利なエッジのウォータジェトの形成のためにはまた、螺旋溝の丸味を
帯びた横断面形を選択すれば有利である。

【００１３】 供給キャピラリを、過度に組織の鋭利な調製（preparation）を省き、それに
伴い強度の出血を避ける、ウォータジェトを支援する鋭利でない分離工具として
として使用するのが有利であることが立証された。これは。新規供給キャピラル
は、別の機械的分離工具とも組合せ可能である。これはウォータジェト装置の使
用範囲を拡大する。供給キャピラルが導電性材料あらなりかつ高周波数の単極又
は双極電流供給装置と接続可能であれば特に有利である。それにより、例えば異
なる組織構造間の膨張空間において、ウォータジェトから免れるような細い組織
糸を熱より破断することができる。

【００１４】 以下に、実施例により本発明を詳細に説明する。

【００１５】 図１によれば、ウォータジェト装置は主として圧力流発生器１、制御及び調節
ユニット２、及びハンドグリップを有する供給キャピラル３からなる。圧力流発
生器１から制御及び調節ユニット２に通じる圧力管４内に、投入可能なパルス発
生器５が中間接続され、該パルス発生器には別の付属装置、例えばレーザ装置６
、加熱装置７及び／又は製氷装置８が並列接続されている。制御及び調節ユニッ
ト２は、供給キャピラル３を備えかつ図示されていない操作装置を有し、該操作
装置により手術者はウォータジェトに影響する全てのパラメータを予め選択する
か又は無段で調節することができる。制御及び調節ユニット２は、供給導管９を
介して供給キャピラル３と接続されている。供給キャピラル３に対して並列して
、排出キャピラル１０が設けられていてもよく、該排出キャピラルは供給キャピ
ラル３に対して構造ユニットで又は分離された実施態様で構成されていてもよく
かつ排出導管１１を介して制御及び調節ユニット２と接続されている。調節可能
な排出ポンプ１２は、必要な負圧に調整される。排出ポンプ１２に対して並列に
、単数又は複数の制御及び調節付属ユニット１３が存在する。

【００１６】 図２及び３に示されているように、供給キャピラル３はその遠位の端部に本発
明による分離ノズル１４を備えている。この分離ノズル１４はノズル通路１５を
有し、該ノズル通路は特殊な形式で単数又は複数の平行かつ周面を延びる螺旋溝
１６を備えている。該螺旋溝１６は任意の横断面形を有することができ、この場
合円形の横断面形が有利である。流動技術的観点から、螺旋溝６のピッチのノズ
ル通路１５の直径に対する比は１よりも大きく選択されている。供給キャピラル
３は、分離ノズル１４と結合して、供給キャピラル３の遠位の端部が付加的に機
械的に作用する切断手段として使用可能であるように構成されている。

【００１７】 ウォータジェト装置の作動方式を、水力切開法（Hydrodissektionsmethode）
により説明する。この場合には、まず第一にウォータジェトが適当に予備プログ
ラミングした圧力、量及び温度で何時でも提供されるように、ウォータジェト装
置の運転準備を行う。その後、供給キャピラル３を組織に穿刺しかつ異なる組織
の境界層領域に案内する。引き続き、供給キャピラル３を介して液体をこの領域
に注入し、それにより異なる組織の間に、組織を押し離す膨張空間を形成する。
その際、軟質の組織成分は既に最低の圧力で切開され、硬質又は弾性の組織は緊
張しかつまずは傷付けられずに残る。極めて強度に相接している構造の場合には
、このプロセスはウォータジェトのパルス化により支援される。

【００１８】 この場合、該ウォータジェトは特別の作用を有する。分離ノズル１４のノズル
通路１５内に存在する螺旋溝１６により、ウォータジェトの層状流れは変向せし
められかつ周方向への回転運動が開始せしめられる。それにより、分離ノズル１
４内に導入されたウォータジェトの流動力は軸方向を維持する力成分と、半径方
向に加えられる力成分に分割される。回転せしめられるウォータジェトが形成さ
れ、その際層状流れは維持される。それというのも、個々の水粒子の運動軌道は
さらに互いに平行に延びるからである。半径方向に作用する力成分は、ウォータ
ジェトに作用しかつ水粒子を強度に外周近くの領域に堆積し、そこでそれらは高
められた周速で運動する。それにより。ウォータジェトのこの領域に、錐に匹敵
する構造の閉じた包囲する切断エッジが形成される。この切断エッジは、もちろ
ん直線的ウォータジェトに比して高められた分離力を有する。必要であれば、供
給キャピラル３を介して導入される水量は排出キャピラル１０を介して組織領域
から再び取り出される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 簡単かつ象徴的に示されたウォータジェト装置を示す図である。

【図２】 精密ノズルの部分断面図である。

【図３】 精密ノズルの正面図である。

【符号の説明】

１ 圧力流発生器、 ２制御及び調節ユニット、 ３ 供給キャピラル、 ４
圧力管、 ５ パルス発生器、 ６ レーザ装置、 ７ 加熱装置、 ８ 製
氷装置、 ９ 供給導管、 １０ 排出キャピラル、 １１ 排出導管、 １２
付属ユニット、 １４ 分離ノズル、 １５ ノズル通路、 １６ 螺旋溝

【手続補正書】特許協力条約第３４条補正の翻訳文提出書

【提出日】平成１３年５月３１日（２００１．５．３１）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正の内容】

【特許請求の範囲】

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 主として圧力流発生器（１）、操作可能な制御及び調節ユニ
   ット（２）、及び分離ジェットが流出する分離ノズル（１４）を有する供給キャ
   ピラル（３）を有し、その際分離ノズル（１４）が円筒状横断面を有しかつ供給
   キャピラル（３）の遠位の端部に存在する、生体組織を分離するためのウォータ
   ジェト装置において、分離ノズル（１４）がノズル通路（１５）を有し、該ノズ
   ル通路が周面に少なくとも１つの螺旋溝（１６）を備えておりかつ螺旋溝（１６
   ）の数と、ノズル通路（１５）の直径及び長さとが相互に、加圧下にある分離ジ
   ェトが回転せしめられるような関係にあることを特徴とする、生体組織を分離す
   るためのウォータジェト装置。
2. 【請求項２】 螺旋溝（１６）のピッチがノズル通路（１５）の直径よりも
   大きく設計されていることを特徴とする請求項１記載のウォータジェト装置。
3. 【請求項３】 螺旋溝（１６）が丸みを帯びた横断面形を有することを特徴
   とする請求項２記載のウォータジェト装置。
4. 【請求項４】 供給キャピラル（３）がその分離ノズル（１４）の部分に生
   体組織の機械的処理のための単数又は複数の分離工具を備えていることを特徴と
   する請求項１記載のウォータジェト装置。
5. 【請求項５】 供給キャピラル（３）が導電性材料からなりかつ高周波電流
   供給装置と接続可能であることを特徴とする請求項１記載のウォータジェト装置
   。