JP2003503065A - 高い特異性を持つホモシステイナーゼ - Google Patents

高い特異性を持つホモシステイナーゼ

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ユイン タン,
チンホン ハン,
リー タン,
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Abstract

(57)【要約】 ホモシステイン量を超えるかなりの量のシステインが存在する場合でも、生物学的流体中のホモシステイン測定に硫化水素を使用し得るような、システインと比べて、ホモシステインに対して十分な特異性を持つホモシステイナーゼ酵素を開示する。天然に存在するホモシステイナーゼの変異およびスクリーニングにより、またはキメラ体を構築することにより、所望する特異性を持つ酵素を容易に調製し得る。ホモシステインおよびシステインに対して、所望する特異性を持つホモシステイナーゼの同定方法と同時に、硫化水素から生成する色素団を蛍光定量的に読み取り、硫化水素アッセイを行う改良法もまた開示する。また、本発明範囲には、同一試料内でのシステインおよびホモシステイン値測定方法が含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、システインと対照的にホモシステインに対して高レベルの特異性を
有するホモシステイナーゼ(homocysteinase)酵素に関する。本
発明はまた、1つ以上のホモシステイナーゼ酵素を含む酵素調製物およびこれら
の酵素を備えた診断キットに関する。このホモシステイナーゼの高い特異性によ
り、生物学的流体中に存在するホモシステイン量の測定として、硫化水素発生を
利用し得るアッセイが可能である。本発明は、また、これらのアッセイの感度を
上昇させるために蛍光性読み取り(fluorescence readout
)を用いることに関する。さらに、本発明は、システインおよびホモシステイン
の両方に関して信頼度を向上させ、生物学的試料中のシステインおよびホモシス
テイン濃度の両方を測定する方法に関する。
【0002】 (背景技術) 1999年2月4日に公開された、PCT公開 WO99/05311(参考
として本明細書中で援用される)で開示されたように、血漿中ホモシステイン濃
度の上昇と動脈硬化疾患との相関関係に起因して、血漿中ホモシステインレベル
の測定に対して正当な臨床的関心が持たれている。このような関心および心血管
系の状態および予後のインディケーターとしてのホモシステインレベルの診断的
な面における価値が理由で、この評価を行うための改良法が所望される。さらに
また、このようなアッセイを単純化することが強く求められる特徴である。本発
明は、それらの有用性に寄与するこれらのアッセイの種々の局面に関する。1つ
の局面は、システインと比較して、ホモシステイン対して改良された特異性を有
するホモシステイナーゼの使用にある。別の局面は、ホモシステイナーゼの作用
による硫化水素産生の測定手段として蛍光を使用することに関する。別の局面は
、システインおよびホモシステインの両方を同じアッセイにおいて評価し得ると
言う改良点に関する。
【0003】 「ホモシステイナーゼ」は、硫化水素、アンモニアおよびα−ケトブチレート
を産生するようにホモシステインを分解する脱硫酵素をいう。ホモシステイナー
ゼは通常、完全にホモシステインに特異的という訳ではなく、そしてまた、シス
テインも分解して、硫化水素、アンモニアおよびα−ケトプロピオネートが得ら
れる。さらに、血漿中のシステインの正常レベルは、ホモシステインの正常レベ
ルよりもかなり高い。システインレベルの正常な範囲は約30〜120μMであ
り、そしてホモシステインの正常な範囲はわずか約5〜15μMである。従って
、ホモシステイナーゼで血漿を処理すること、および一般的産物である硫化水素
(または、アンモニア)を測定することによってホモシステインの含有量を測定
する場合、システインレベルからの妨害を受けずに正確な測定値を得るために、
ホモシステイナーゼは、システインと対照的にホモシステインに対して十分に特
異的でなければならない。本発明により、このようなホモシステイナーゼ酵素が
提供される。
【0004】 Thong,K.W.ら、Experimental Parasitolo
gy(1987)63:143−151;Thong,K−Wら、IRCS M
edical Science(1985)13:493−496で記述されて
いるような、ホモシステイナーゼの使用および硫化水素の検出に関する先行技術
のアッセイでは、システインの存在による妨害が観察された。本発明の一局面の
ホモシステイナーゼの場合、システインと相対的にホモシステインに対して十分
な特異性が達成され、ここで血漿中のホモシステインの正確な測定値は、検出産
物として硫化水素を用いる単一の酵素アッセイによって直接得られ得る。
【0005】 (発明の開示) 本発明により、生物学的流体(例えば、患者由来の尿、組織液、血液、血清ま
たは血漿の試料)中のホモシステイン濃度を測定するための方法が提供される。
これらの方法は、心血管系疾患の危険性を評価するために有用である。本方法に
より、関連するが妨害する物質(とりわけ特に、システインおよびメチオニン)
の検出を回避しつつ、生物学的流体中のホモシステイン濃度を測定する。本発明
は、十分に特異的なホモシステイナーゼ酵素を提供することによって、これを達
成する。
【0006】 1つの局面において、本発明は、通常の量のシステイン存在下であっても生物
学的流体中のホモシステインを正確に測定するために、システイン分解能力と比
較してホモシステインに対して十分に特異的なホモシステイナーゼに関する。好
適には、生物学的流体中のホモシステイン濃度およびシステイン濃度が、それぞ
れ約5〜15μMおよび約100〜300μMである場合、本発明のホモシステ
イナーゼは、生物学的流体と接触して本発明のホモシステイナーゼの作用により
産生された硫化水素の少なくとも約90%が、ホモシステインによって与えられ
るような性質を有する。好ましくは、これらの条件下で、上記ホモシステイナー
ゼにより産生された硫化水素の少なくとも約99%が、ホモシステインによって
与えられる。本発明はまた、本発明によって必要とされる特異性を有するホモシ
ステイナーゼを調製するための組換え材料および方法を包含する。
【0007】 従って、例えば、ホモシステインおよびシステインを含む生物学的試料中に存
在するホモシステイン量を測定する方法が提供され、この方法は、上記試料を、
ホモシステインから硫化水素を産生させる酵素調製物と接触させる工程、および
ホモシステインから産生される硫化水素量を測定することにより、この試料中の
ホモシステイン量を測定する工程を包含する。酵素調製物は、システインと比較
して、システインから産生される硫化水素が無視され得る程に、ホモシステイン
に対する反応性が十分である1つ以上の酵素のみから構成される。あるいは、ホ
モシステインレベルに対する相関物として、α−ケトブチレートが測定され得る
【0008】 この酵素調製物は、ホモシステイナーゼとして言及され、そして下記のような
他の名称によっても言及され得る酵素を含む。さらに、「酵素調製物」なる用語
はまた、他に示されない限り、単回および複数回のアリコートの両方、すなわち
、アッセイ手順の過程の間に、単回量または複数回量のいずれかの1つ以上の酵
素が添加され得ることを包含することが理解されるべきである。そして、この語
の使用は、アッセイの間に全ての必要な酵素を添加するために、どのように、ま
たは、どれだけのアリコートまたは工程が使用されるかということに制限を伴な
わない。
【0009】 本発明の好適な局面によると、生物学的試料(例えば、体液)中に存在するホ
モシステインの全体の濃度には、遊離形態では存在しないが、代わりに他の分子
と共有結合しているホモシステイン分子が含まれることが理解される。本発明の
方法は、ホモシステイン由来の硫化水素を測定する前に、このホモシステインを
放出するためのさらなる工程を提供する。
【0010】 しかし、本発明の方法により、関連物質(例えばシステイン)からの妨害を受
けずに遊離ホモシステインレベルの正確な測定が提供されるので、遊離ホモシス
テインのみが検出されるとしても、臨床医に対して価値ある情報が提供されると
いうことに留意すべきである。多くの用途の中で、このような情報が、例えば、
全新生児を試験するにおいて、迅速な初期診断ツールとして非常に有用であるこ
とが予想される。
【0011】 1つの好適な実施態様において、ホモシステイナーゼは、天然に産生されるホ
モシステイナーゼであり、これは、その特異性を向上させるために必要に応じて
変異されている。そのような変異をランダムに生成し得、そして必要とされる特
異性を有するホモシステイナーゼ生じる変異について選択するために容易にスク
リーニングし得る技術を、下記に記載する。
【0012】 従って、別の局面において、本発明は、適切な特異性を有するホモシステイナ
ーゼを同定する方法に関する。この方法は、発現系の形態中において候補ホモシ
ステイナーゼコード配列を含むコロニーの培養物を、ホモシステインまたはシス
テインと接触させる工程、そして産生された硫化水素の比較量(compara
tive amount)を測定する工程を包含する。
【0013】 別の好適な実施態様において、ホモシステイナーゼをコードするヌクレオチド
配列は、ホモシステイナーゼをコードする、1より多くの遺伝子または他のポリ
ヌクレオチドに由来する。ここで、そのような配列の発現は、キメラホモシステ
イナーゼの産生へと導く。好適な例としては、Trichomonas vag
inalisおよびPseudomonas putidaのホモシステイナー
ゼの両方に由来するアミノ酸配列を含む、キメラ酵素が挙げられる。
【0014】 従って、本発明の一局面のホモシステイナーゼ酵素は、例えば、被験体の組織
液、尿、血液、血清または血漿の試料中に存在するホモシステイン濃度が、単一
工程のアッセイで測定され得るほどに十分にシステインまたはメチオニンに対し
て非反応的であり、ここでは、上記試料中のホモシステインに対する上記ホモシ
ステイナーゼの反応から生じる1つ以上の産物量が測定され、そしてここで、上
記測定は、その中のシステインまたはメチオニンの濃度によって、実質的に影響
を受けない。
【0015】 特に好適な実施態様において、ホモシステイナーゼは、配列番号10の置換改
変体、付加改変体、欠失改変体または誘導体であり、ここでこの改変体または誘
導体は以下の性質の1つまたは両方を有する: (a)適切なアッセイにおいて、ホモシステインに対して、少なくとも約11
0%の配列番号10の活性を有する;および/または (b)適切なアッセイにおいて、システイン(またはメチオニン)に対して、
約90%以下の配列番号10の活性を有する。
【0016】 本発明の臨床的実施のために、生物学的試料中のホモシステイン量を測定する
において使用するための診断キットが提供される。ここでは、このキットに備え
られるホモシステイナーゼは以下の通りである。好適な実施態様において、診断
キットは、以下を備える:(a)必要とされる特異性を有するホモシステイナー
ゼ(例えば、Trichomonas vaginalisまたはPseudo
monas(例えば、ovalis種またはputida種)由来)、および(
b)ホモシステイナーゼ反応で形成される硫化水素量を測定するために使用され
得る少なくとも1つの試薬。
【0017】 一般的に硫化水素測定に基づいたアッセイにおいて、このようなキットを使用
することによって、感度の上昇が得られ得る。ここで、硫化水素は、酸化型のN
,N−ジアルキルフェノレンジアミン複合体のような、発色試薬を用いて測定さ
れる。複合体の濃度は、分光光度的に測定され得;本発明の改良法によれば、複
合体の蛍光が測定される。
【0018】 本発明の一局面を形成する別の改善点では、システインおよびホモシステイン
の両方が、同一試料中で測定される。このアッセイを実施するために、本発明の
酵素よりもホモシステインに対する特異性が低いホモシステイナーゼ(例えば、
改変されていない形態のP.putida由来の酵素)が使用される。このアッ
セイは、アッセイされる試料を2つの部分に分配する工程、両方をホモシステイ
ナーゼによって等しく処理する工程、そして等しく測定する工程であるが、ここ
で1つの試料を、S−アデノシルホモシステインヒドロラーゼ(SAHH)およ
びアデノシンで処理する、工程によって実施される。SAHHは、試料中の実質
的に全てのホモシステインのSAHへの変換を触媒するために十分な量で存在し
、従って、それをホモシステイナーゼの作用から防御する。SAHH処理を欠く
部分は、ホモシステインおよびシステインの両方から硫化水素を産生する;SA
HHを含有する試料は、システイン由来のみの硫化水素を産生する。システイン
レベルを、この第2の試料から直接評価し;減算することによってホモシステイ
ンレベルを得る。典型的な生理学的試料ではシステインが優勢であること(pr
evalence)から、大半の機器において、より信頼できる範囲にまで、検
出レベルを上昇させる。
【0019】 (本発明の実施様式) 血漿ホモシステインレベルの上昇は、血管性疾患の危険因子として認識されて
いる。集合的にホモシスチン尿症として言及される遺伝的疾患を有する稀な群と
関連して、ホモシステインのアテローム発生性質が最初に着目された。この疾患
状態は、典型的に正常血液中濃度の10倍(またはそれ以上)である循環ホモシ
ステインレベルにより特徴付けられる。これらの環境下において、ホモシステイ
ンはまた、尿中でも検出される。早発性の血管性疾患は、この状態と強く相関す
る。
【0020】 本発明の1つの局面に従って、本明細書中で後に「ホモシステイナーゼ」とし
て言及される酵素を用いて、生物学的試料中のホモシステイン濃度を酵素的に測
定する。この「ホモシステイナーゼ」は、ホモシステインから硫化水素を生成す
る反応を触媒し得る酵素として定義付けられる。代表的な場合において、アンモ
ニアおよびα−ケトブチレートも生成される。本明細書中で説明されるように、
アンモニアおよび/またはα−ケトブチレートまたは他の産物もまた検出され得
るが、硫化水素産物を検出することが好ましい。本明細書中で定義するように、
ホモシステイナーゼは、他のスルフヒドリル化合物を含む他の反応を触媒し得、
そして参考文献中で名付けられた複数の名称を有し得る。しかし、それらがホモ
システインからの硫化水素産生を触媒する性質を保持する場合、それらは、本発
明の実施において概して有用である。
【0021】 システインに対するこのホモシステイナーゼの反応により産生されるいかなる
硫化水素も、心血管性疾患に対する危険性を評価するために、この酵素を含むキ
ットの使用を実質的に妨害することはないという、十分にシステインに対して非
反応性であるホモシステイナーゼが提供される。
【0022】 本発明の方法により同定されたホモシステイナーゼは、例えば、上記流体中の
ホモシステイン濃度およびシステイン濃度が、それぞれ、約5〜15μMおよび
約100〜300μMである場合、好適には、ホモシステイン濃度が5μM、そ
してシステイン濃度が300μMである場合に、ホモシステインについてのアッ
セイにおいて生物学的試料の接触に際して、このホモシステイナーゼの作用によ
り産生される硫化水素の少なくとも約90%が、このホモシステインによって与
えられるという性質を有する。好適には、含まれるホモシステイナーゼが、上記
のいずれかの状態の下で、生物学的試料の接触に際して、このホモシステイナー
ゼの作用により産生される硫化水素の少なくとも約99%が上記ホモシステイン
によって与えられるという性質を有する。
【0023】 この酵素を備える診断キットが、例えば、約1〜500μM(または、必要に
応じてより高濃度)の範囲である、生物学的流体中のホモシステイン濃度を正確
に決定するために使用され得、ここで、この流体はまた、典型的な例では、0〜
約1000μMのシステインを含む。
【0024】 本発明に従うアッセイについてのアッセイ手順に関して、他の分子とジスルフ
ィド結合している、生物学的試料中のホモシステイン(またはシステイン)分子
もまた検出し得るように、一般的に、ジチオスレイトール(「DTT」)のよう
なジスルフィド還元剤の使用を包含することが好ましい。
【0025】 以前に単離されたホモシステイナーゼは、細菌供給源Pseudomonas
putida由来のL−メチオニン−α−デアミノ−γ−メルカプトメタンリ
アーゼ(メチオニンリア−ゼ)である。この酵素は、Ito,S.ら、Jour
nal of Biochemistry(1976)79:1263−127
2によって精製されており、そして約170kDaの分子量を有することが決定
されている。Itoにより研究された内容において、その酵素は、メチオニンの
α−ケトブチレート、メタンチオールおよびアンモニアへのα−γ排除を行うが
、この酵素はまた、ホモシステインをα−ケトブチレート、硫化水素およびアン
モニアにも変換する。Pseudomonas ovalisから、その相同な
酵素が単離された(H.Tanakaら、Biochemistry(1977
)16:100−106)。このPseudomonas酵素の組換え産生方法
もまた、開発されている(Tan,Y.ら、Protein Expressi
on and Purification(1997)9:233−245を参
照のこと)。
【0026】 P.putida酵素の基質特異性もまた決定されている。例えば、Esak
i,N.ら、Methods in Enzymology(1987)143
:459−465は、メチオニンに対する活性を100とした時の相対的活性ス
ケールで、システインが10、そしてホモシステインが180であることを報告
している。システインよりもホモシステインに対して、この酵素が見かけ上10
倍優先的であるということは、生物学的試料中のシステイン濃度が、通常ホモシ
ステイン濃度よりもかなり高いということを考慮に入れていない。本発明の技術
を使用することにより、システインと比較して、ホモシステインに対する酵素の
特異性を容易に改善し得る。従って、P.putidaから単離された酵素は、
ホモシステインに対する特異性を増強した改変体形態を誘導するために有用な出
発物質である。変異形態を得るための出発物質として使用するために適切な触媒
活性を有するホモシステイナーゼ酵素は、当該分野において認められている慣用
的なスクリーニング手順およびアッセイを使用して、他のPseudomona
s種から、または他の細菌から誘導され得る。
【0027】 ホモシステイナーゼの供給源である生物のさらなる群は、Tricomona
d寄生生物および関連の原生生物の種である。Tricomonadは、泌尿生
殖器管の重要な寄生生物であり、そして耐気性(それでもなお、嫌気性である)
鞭毛虫原生生物である。Trichomonas vaginalis由来のホ
モシステイナーゼの使用は、好適な実施態様である。
【0028】 Trichomonas種は、宿主組織における酸素毒性に対抗するために、
チオール代謝に関するその能力を使用すると考えられる。K−W Thongら
、Experimental Parasitology(1987)63:1
43−151、およびこの中で引用されている文献を参照のこと。Tricho
monas種の間で、ホモシステイナーゼ活性(その中で、ホモシステインデス
ルフラーゼ活性と称される)における、かなりのバリエーションが見出されたが
、酵素活性の許容し得るレベルに関して、利用可能な種のスクリーニングを行う
ことは慣用的である。概して、異なる酵素活性を有する、より多量またはより少
量の酵素または酵素調製物を使用するアッセイにおいてバリエーションを設計す
ることは、関連分野に精通した当業者に周知であるが、ホモシステイナーゼが、
少なくとも約1ユニット/mgの精製タンパク質の比活性を有することが好適で
ある。高度に精製された活性化P.putida酵素が約20ユニット/mg(
酵素活性のユニットは、標準的状態で、1分あたり1μmolの基質が転換され
るとして説明され得る)の比活性を有するということに留意のこと(Y.Tan
ら、上記参照)。
【0029】 上記のK−W.Thongら(1987)によって報告された「ホモシステイ
ンデスルフラーゼ活性(homocysteine desulfurase
activity)」は、B.C.LockwoodおよびG.H.Coomb
s(Biochemical Journal(1991)279:675−6
82、ここではまた、この酵素の精製についても記載されている)によって後に
メチオニン−γ−リアーゼと称された、Trichomonasにおけるメチオ
ニン異化活性を担い得る同一の酵素から生じるようである。
【0030】 酵素の組換えバージョンの使用は好適である。1つの潜在的なクローニングス
トラテジーは、T.vaginalis遺伝子が数個のイントロン有し得るとい
う観察に従う。従って、ゲノムライブラリーを構築し、そして、いくつかの部分
的に保存された配列を反映すると予想される、Pseudomonas put
ida酵素に対応するDNAフラグメントでスクリーニングする。
【0031】 Lookwoodらはまた、Pseudomonas、Clostridiu
mおよびAeromonas種を含む、メチオニン−γ−リアーゼ活性を有する
細菌に関する他の報告を挙げている。
【0032】 このような種が、本発明の実施に際して有用なホモシステイナーゼ活性の供給
源であることが予想される。有用なホモシステイナーゼ酵素を供給することが予
想されるさらなる生物は、特定の海藻(例として、D.A.Gageら、Nat
ure(1997)387:891−897参照、広範囲のメチオニン関連代謝
を有する種を記述);硫黄細菌;および、極限環境条件下で生存する土壌微生物
(geomicrobes)または他の微生物(例として、R.A.Kerr,
Science,(1997)276:703−704および、E.Penni
st,Science,(1997)276:705−706参照)である。ホ
モシステイナーゼ型酵素の有用な供給源となり得るさらなる微生物の例には、シ
ステインから揮発性の硫黄化合物を形成し得るような、歯周病に関係する細菌が
含まれる。この点において、S.Perssonら、Oral Microbi
ology and Immunology,(1990)5(4):195−
201を参照。
【0033】 最後に、体液中のホモシステインの測定に有用な「ホモシステイナーゼ」の定
義に関して、硫化水素が必ずこのような酵素の産物であるという制限ではないと
みなされるべきある。まとめると、本発明により、高い試料処理能力を有する診
断ツールが提供され、これにより、妨害物質の検出を防ぐ一方で、コストを抑え
た非常に多数のホモシステイン含有試料のアッセイが可能になる。
【0034】 従って、ホモシステインと類似の物質(システインのような)の妨害を防ぎ得
る条件下で、このような代謝物の検出方法が存在する場合、本発明の実施におい
てホモシステインを代謝する他の酵素が有用であることが予想される。以下の実
施例により、妨害物質の検出を防ぐ一方でホモシステインを測定する技術の重要
な範囲について説明する。従って、下記に開示する技術が、ホモシステインに対
して作用する多くの他の酵素を用いた方法を見つけるために当業者により適応さ
れ得るということが理解される。
【0035】 下記で説明するように、有望な特異性比率を有する天然に存在するホモシステ
イナーゼは(または、あまり良くない比率を有するものでさえも)、変異または
それらの「変異形態」を産生するための有用な出発物質として作用し得る。ホモ
システイナーゼの「変異形態」は、天然に生じるホモシステイナーゼと、少なく
とも約70%、より好ましくは80%、最も好ましくは90%の相同性であり、
特定の生物で同定されているホモシステイナーゼを意味する。もちろん、変異は
、通常、遺伝子を変異させることにより達成されるが、上記の相同性の必要性は
、還元アミノ酸配列に関するものである。
【0036】 従って、適切なホモシステイナーゼを得ること、または、上記で示したような
あるいはこのような酵素を保有し、酵素を組み換えを利用して産生するさらなる
生物のような宿主生物から、これらのタンパク質をコードする遺伝子を検索する
こと、またはそれらの酵素の特異性アッセイと組み合わせて、単純にこれらの生
物からホモシステイナーゼを精製することに加えて、適切な特異性を有する変異
遺伝子を検索するために、これらの酵素をコードする遺伝子の変異形態を迅速に
スクリーニングするのための技術が利用可能である。ホモシステインおよびシス
テイン両方の溶解により硫化水素が産生されるので、比較的に同様にアッセイさ
れた培養物(これらのアミノ酸の各々を与えた)を、特異性を決定するために使
用され得る。与えられるシステインまたはホモシステイン濃度を調整することに
よって、特異性の程度を任意に調整し得る。
【0037】 例として、例えば、P.putida由来または相当する生物由来の、ホモシ
ステイナーゼをコードする遺伝子を、適切な発現ベクターに連結し得、そしてコ
ロニーは、培養されたホモシステイナーゼタンパク質を産生し得る。発現系には
、天然に生成された本明細書も使用ステイナー前記をコードするヌクレオチド配
列が含まれ得るか、またはその変異形態が含まれ得る。ヌクレオチド配列にラン
ダム変異をもたらすための標準的方法は、当該分野で周知である。コロニーを同
じ培養物に分け、ホモシステインまたはシステインと接触させる。ホモシステイ
ンまたはシステインのどちらかを、所望する濃度で、そのような生物の2つの同
じ培養物のそれぞれに添加する。一方にシステインを添加し、もう一方にホモシ
ステインを添加する。例えば、適切な時間で、培養を検出可能な産物を生じさせ
るために、硫化水素と反応する酢酸鉛または他の物質と接触させる。ホモシステ
インを添加したときには高い反応性を示すが、システインを添加した時には本質
的に検出不可能な活性または非常に低い検出性を示すコロニーは、適切な特異性
を有する。
【0038】 システインおよびホモシステイン濃度の適切な選択によって特異性レベルを調
整し得ることは明白である。非常に低濃度、例えば、約1μMホモシステインを
供給し、非常に高濃度、例えば,約100μMのシステインを供給することによ
って、ホモシステインに対する非常に高い特異性を保証し得る。このレベルのホ
モシステインの存在下で、検出可能な硫化水素を産生するが、システインについ
て高いレベルで検出可能なレベルの硫化水素を産生しないコロニーは適切な特異
性を有すると言える。
【0039】 この生物からホモシステイナーゼを単離し、別々に行うインビトロアッセイま
たは系統的に組み合わせたアッセイを用いてホモシステインおよびシステインに
対する活性を比較することによって、産生コロニーの適切な選択が確認され得る
。この方法で、明確な割合の反応度が得られ得る。さらに、血漿中ホモシステイ
ンアッセイにおいて、単離酵素または培養培地が使用され得、必要に応じてシス
テインをスパイクし、適切な特異性を調べる。従って、ホモシステインおよびシ
ステイン濃度がそれぞれ、約5−15μMおよび約100−300μMである時
に体液との接触で起こったホモシステイナーゼの反応により生成した硫化水素の
うち約90%の硫化水素がホモシステイン由来であるという、上記で選択した基
準が確認され得る。
【0040】 変異はまた、規定された様式で遺伝子を操作することによって天然の配列に系
統的に導入され得る。すなわち、遺伝学的操作は、特定の同定された変化を得ら
れるタンパク質になすようであり得る。上記と同じような様式または任意の他の
通常的なプロトコールで、これらの場合、スクリーニングを行い得る。
【0041】 従って、任意の特定の特異性を有する天然に生じるホモシステイナーゼ(例え
ば、ホモシステインについての活性が、システインについての10倍以上である
改変体)を用いて開始することによって、以下のような変異が選択され得る:変
異が、ホモシステインに関する始めのネイティブなホモシステイナーゼの活性の
、少なくとも約110%、好ましくは少なくとも125%、より好ましくは少な
くとも150%、である変異、および/または同じアッセイにおいて、システイ
ンまたはメチオニンに関する始めのホモシステイナーゼの活性の、90%以下、
このましくは80%以下、そしてよりこのましくは60%以下である変異。
【0042】 配列番号10で示された新規のTrichomonas vaginalis
ホモシステイナーゼの活性は特に注目すべきものである。非変異形態においてで
さえも、システインと比較してホモシステインに対する酵素の相対的活性は、生
体内試験試料中に存在する任意のシステインに関して補正を行う必要なく容易に
ホモシステイン測定を可能にする。
【0043】 本発明の他の実施例において、新規酵素は、Pseudomonas,Clo
stridium,AeromonasまたはTrichomonasを含む様
々な微生物で発見されたホモシステイナーゼを模倣し、特に好ましいホモシステ
イナーゼは、T.vaginalis由来であり、それらとしては、そのmgl
1遺伝子(配列番号11)またはmgl2から発現された形態が挙げられる。
図1(パネルAおよびB)は、2つのTrichomonas vaginal
isホモシステイナーゼのアミノ酸配列を示し、1つは、配列番号10を含む本
発明新規クローン(pAC2−1)由来であり、そしてもう一方は、既知のmg
l1遺伝子由来酵素である。(アミノ酸配列を比較にのために配列番号10およ
び12を参照;またコードDNAを比較のために配列番号9および11を参照)
。pAC2−1にコードされるホモシステイナーゼは、mg11と比べて、3つ
の差異(変異)の存在によって特徴付けられる: アミノ酸配列位置47における、PheからLeu, アミノ酸配列位置172における、AspからGlu、および アミノ酸配列位置308における、SerからTyr。
【0044】 1つ以上のこれらの差異(変異)を含むアミノ酸置換を組み入れることにより
作られた改変ホモシステイナーゼアミノ酸配列は、本発明の実施において特に有
用である。従って、本発明の好ましい例は、以下からなる群から選択された配列
番号10の1つ以上のペプチド(部分)配列を含むホモシステイナーゼの提供に
関する: (a)Gly−Gly−Asn−Arg−Leu−Ala−Gly−Gln−G
lu(配列番号10の残基43−51を参照); (b)Leuを含む(a)のサブセット; (c)Arg−Val−Cys−Lys−Glu−Ala−His−Ser−G
ln(配列番号10の残基168−176を参照); (d)Gluを含む(c)のサブセット; (e)Gln−Met−Arg−Met−Tyr−Gly−Ser−Met−I
le(配列番号10の残基304−312を参照);および (f)Tyrを含む(e)のサブセット。
【0045】 Trichomonas vaginalisゲノムDNAから遺伝子として
単離された、本発明の好ましいホモシステイナーゼである配列番号10が、DN
A配列(pAC2−1、配列番号9参照)から発現されるということもまた注目
すべきことである。対照的に、報告されたmgl1およびmgl2の単離は、c
DNA手順に関連しているようである。したがって、pAC2−1は、新規ホモ
システイナーゼTrichomonas遺伝子を示し得る。
【0046】 典型的な例において、ホモシステイナーゼは、Pseudomonas,Cl
ostridium,AeromonasまたはTrichomonas由来の
酵素を模倣する。その本来のポリペプチド配列の1つ以上のペプチド(部分)配
列が、以下からなる群から選択された配列番号10の1つ以上の対応するペプチ
ド配列に対応して置換される: (a)Gly−Gly−Asn−Arg−Leu−Ala−Gly−Gln−G
lu(配列番号10の残基43−51を参照); (b)Leuを含む(a)のサブセット; (c)Arg−Val−Cys−Lys−Glu−Ala−His−Ser−G
ln(配列番号10の残基168−176を参照); (d)Gluを含む(c)のサブセット; (e)Gln−Met−Arg−Met−Tyr−Gly−Ser−Met−I
le(配列番号10の残基304−312を参照);および (f)Tyrを含む(e)の部分集合。
【0047】 この点において、用語「対応する」の使用は、相同性が正確であるとことを示
唆することを意図しておらず、むしろ、一般的に認識されているモデルを用いる
このような配列の比較によって、このような配列が、たとえ現時点で有意に異な
っていたとしても、共通の祖先遺伝子またはそのサブセットから進化し得たこと
を示唆する。同様に、本明細書中で使用される用語「変異」は、天然または実験
的など、どのような手段によっても、生じる改変を含むことが広く理解されるべ
きである。
【0048】 従って、一般的に好ましい例には、キメラホモシステイナーゼが含まれ、それ
は最初のTrichomonas ホモシステイナーゼにならい、ここでその1
以上のアミノ酸(2番目のTrichomonas ホモシステイナーゼ(配列
番号10で示されるpAC2−1由来)のLeu47、Glu172およびTyr308 残基に対応する)は、前記Leu47、Glu172およびTyr308の1つ以上に、
対応して置換される。
【0049】 満足すべき改変体には、配列番号10の置換改変体、付加改変体、欠失改変体
または他の誘導体であるホモシステイナーゼが含まれる。ここで、前記改変体ま
たは誘導体は、以下に示す性質の1つまたは両方を有する: (a)適切なアッセイにおいて、ホモシステインに対して、配列番号10の少な
くとも約110%、好ましくは125%、より好ましくは150%の活性;およ
び/または (b)適切なアッセイにおいて、システインまたはメチオニンに対して、配列番
号10の約90%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下ノ活
性。
【0050】 配列番号10によって示される配列に関して、少し低い特異性を有する配列も
また、満足すべき改変体に含まれる。従って、適切なアッセイにおいてホモシス
テイナーゼの変異形態の活性が、配列番号10の活性の50%まで減少し、そし
てシステインに対する活性が、システインについて2倍に上昇したとしても、適
切な特異性は維持され得る。
【0051】 このような範囲の特性は、一般的に、1工程の方法論がまだ実施される、ホモ
システインに関して(システインまたはメチオニンに比較すると)酵素の十分に
増強された活性を維持すると考えされるが、ホモシステイナーゼの相対的感度に
ついての正確な要求性を、それぞれの臨床適用において容易に調べ得るというこ
とが理解される。例えば、システインは、尿試料において、少なくとも非疾患患
者では、低濃度であると一般的に予想される。例えば適切な組換え法によって産
生された、他の生物由来の変異ホモシステイナーゼの供給について、上記の相対
的ガイドラインは、有用であると証明されると予想される。配列番号10によっ
て示された酵素は、ホモシステインに対するこのホモシステイナーゼの明白な活
性が、システインおよびメチオニンについて少なくとも約100倍より大きいこ
とを示す、特に有用な例である。
【0052】 単一工程アッセイ方法論についての有用性を向上させるために、ホモシステイ
ナーゼを改変する代表的な例において、野生型T.vaginalisアミノ酸
配列(mgl1由来、配列番号11および12を参照)が、以下のように改変さ
れる(一般的に、もちろん適切なコードDNAの改変による): 1つ以上のPhe47、Asp172およびSer308を欠失させるか、または次に式
に従う。 (1)Phe47を、Leu,Ile,Val,Ala,Gly,MetおよびT
rpと置換; (2)Asp172を、Glu,GlnまたはAsnと置換; (3)Ser308に対して、Tyr,Phe,Met,Trp,Gln,Thr
またはAsnと置換、 ここでは当該分野で認識されている比較的保存的な少ないアミノ酸置換を示唆
し、そして、この点におけるその効果を、通常的実験で測定し得る。
【0053】 あるいは、キメラホモシステイナーゼ酵素をコードする1つ以上の遺伝子(ま
たは、cDNAまたは他のイントロンのない配列のような他のポリヌクレオチド
)由来の、キメラヌクレオチド配列(DNAまたはRNAのいずれか)を構築し
得る。好ましい例は、Trichomonas vaginalisおよびPs
eudomonas putidaホモシステイナーゼ両方に対応するアミノ酸
配列から構成されるキメラ酵素をコードする。
【0054】 様々な状態においてP.putidaホモシステイナーゼは、T.vagin
alis酵素より安定であると考えられている。1つの可能な結果(B.Loc
kwoodら、Biochemical Journal,(1991)279
:675−682参照)のように、精製時のT.vaginalis酵素の回収
率は非常に低かった(p.679、表2参照、「mehtionine γ l
yase」を参照)。従って、このより増強された安定性を利用するために、キ
メラ酵素においてP.putida配列を含むことが好ましい。一方、T.va
ginalis酵素は、基質としてのシステインまたはメチオニンに対してより
高い反応性を示し得るP.putida酵素よりも、基質としてのホモシステイ
ンに対してより高い反応性を有する。この点において、Lockwoodら、1
991(その表4)によって報告されている結果は注意すべきであり、T.va
ginalis酵素についての相対活性データにより、基質としてのホモシステ
インに対する非常に明白な「優先度(preference)」の証拠となるこ
とを示している(この678頁で報告されているKmデータも参照)。これは、
P.putida酵素に関して上記でN.Esakiら、によって報告されたデ
ータと対照的である。
【0055】 以前開示されたT.vaginalisホモシステイナーゼは、2つの遺伝子
に由来する2つのタンパク質種(J.C.Mottran,Gene Bank
への配列直接の提出、1997年7月17日に提出、T.vaginalis
mgl1遺伝子、登録番号AJ000486、NID g2330884、およ
びT.vaginalis mgl2遺伝子、登録番号AJ000487,NI
D g2330886)を示す。それらの完全な配列は、直接示すかのように、
本明細書中で参考として完全に引用する。また、1998年2月26日に刊行さ
れた、国際特許出願 WO 98/07872および、A.McKieら、Jo
urnal of Biological Chemistry,(1998)
278:5549−5556も参照のこと。
【0056】 従って本発明は、ホモシステイナーゼ活性を有する機能的タンパク質を発現し
得る、Pseudomonas puidaホモシステイナーゼのアミノ酸配列
、およびTrichomonas vaginalisホモシステイナーゼ(の
アミノ酸配列をコードするキメラ核酸配列pAC2−1にコードされる酵素から
のmgl1またはmgl2のいずれか、またはその組み合わせ由来)を含む精製
および単離DNA分子を提供する。好ましい局面において、核酸構築物(または
対応するアミノ酸構築物)は、主としてP.putidaのそれと一致し、従っ
てPseudomonas puidaホモシステイナーゼのコード核酸配列を
含むDNA分子を提供する。ここで、前記酵素の1つ以上のアミノ酸をコードす
る1つ以上のその部分配列が、それに相当するものとして、Trichomon
as vaginalisホモシステイナーゼの対応するアミノ酸をコードする
1つ以上の核酸配列と置換される。mg11遺伝子によりコードされるT.va
ginalis酵素は本明細書中で、この後、T1タンパク質として呼び、mg
12遺伝子によりコードされるものは、T2タンパク質として、pAC2−1に
よりコードされるものはT3タンパク質と呼ぶ(pAC2−1によってコードさ
れるものをT3タンパク質とするように)。
【0057】 T1、T2およびT3配列が実質的に異なる、限定された数の部分領域が存在
し、同時に公開されたP.putida配列と実質的な相同性を示す。実際に、
公開されたP.putida配列は、T1配列との実質的な相同性を示す。
【0058】 従って、本発明のさらに好ましい局面において、T2配列および対応するT1
配列がお互いに非常に異なり、さらにT1配列が実質的にP.putidaの配
列と類似であるT.vaginalis酵素のコード配列の領域が同定される。
理論に関して制限されずに、T2またはT3、のこれらのコード部分領域は、P
.putidaコードポリヌクレオチドに、ホモシステインに対するキメラ種の
増強された反応性を提供するアミノ酸配列ドメインを挿入するための、独特の機
会を提示し、それによって本発明の診断手順を容易にすると考えられる。
【0059】 従って、本発明により、Pseudomonas puidaホモシステイナ
ーゼのコード配列を含むDNA分子が提供され、ここで、Trichomona
s vaginalisホモシステイナーゼの1以上の対応するアミノ酸をコー
ドする各々に比べて、上記の酵素の1以上のアミノ酸を各々がコードするその1
以上の部分配列が、1以上のヌクレオチド配列部分配列によって、対応するもの
として置換され、ここで、上記の得られたアミノ酸置換は、以下からなる群より
選択される: (a)Pseudomonas puida由来の、Val−Gly−Ser−
Gln−Ala−Leu−Val−Asp−Arg−Ile−Arg−Leu(
配列番号2)、または任意そのサブセットに対する、Trichomonas
vaginalis(T2)由来のCys−Ser−Arg−Ala−Asp−
Ile−Ile−Ala−Lys−Val−Lys−Ser(配列番号1)、ま
たはそのあるサブセット; (b)Pseudomonas puida由来のGlu−Leu−Lys(配
列番号4)または任意のそのサブセットに対する、Trichomonas v
aginalis(T2)由来の、Asp−Val−Asp(配列番号3)また
は任意のそのサブセット; (c)Pseudomonas puida由来のAla−Leu−Gln−L
eu(配列番号6)、または任意のそののサブセットに対する、Trichom
onas vaginalis(T2)由来のCys−His−Val−Val
(配列番号5)、または任意のそのサブセット; (d)Pseudomonas puida由来のGly−Leu−Glu−A
sp−Ile−Asp−Asp−Leu−Leu−Ala(配列番号8)または
任意のそのサブセットに対する、Trichomonas vaginalis
(T2)由来のCys−Glu−Asn−Val−Gln−Asp―Ile−I
le−Asp−Asp(配列番号7)、または任意のそのサブセット; (e)上記の群(a)、(b)、(c)および(d)によって提供される1、2
、3、または4つの置換を含む任意の組み合わせ。
【0060】 上記で挙げたTrichomonas vaginalis mgl2(「T
2」)アミノ酸配列に関して注目すべきことは、それらが、以下のアミノ酸配列
位置におよそ一致することである: Cys−Ser−Arg−Ala−Asp−Ile−Ile−Ala−Lys−
Val−Lys−Ser(配列番号1)、約226−237; Asp−Val−Asp(配列番号3)、約318−320; Cys−His−Val−Val(配列番号5)、約331−335;および Cys−Glu−Asn−Val−Gln−Asp−Ile−Ile−Asp−
Asp(配列番号7)、約381−390。
【0061】 本発明のこの局面の実施との関連において、上記で挙げたT.vaginal
is部分配列はさらに、保存的なアミノ酸置換を受け入れて改変され得る。さら
に、標的とされるP.putida配列が所定の位置において全体または一部分
残っている一方で、例えば、T.vaginalis部分配列が近くに挿入され
得るように(すなわち、そこから約10アミノ酸位置まで離れている)、T.v
aginalis部分配列は、対応するものとして上記に挙げたP.putid
a配列と置換される必要がない。さらに、ホモシステインに対して反応性が向上
する利点は、減少した酵素安定性のために妥協しない限り、T.vaginal
is挿入フラグメントが、上記で示したその配列のN−末端側またはC−末端側
で見られるさらなるアミノ酸の転移を含み得る。
【0062】 上記改変ホモシステイナーゼ、天然ホモシステイナーゼおよび天然ホモシステ
イナーゼの変異形態の全てにおいて、コードする遺伝子を例えば、当該分野で周
知であるように、N−末端ヒスチジン残基またはクロマトグラフィー手順で用い
られ得るリガンドに対してアフィニティーを示す他の融合配列を与えることによ
って、より好都合な精製を達成するように操作し得る。
【0063】 例えば、適切なホモシステイナーゼコードDNA配列でトランスフェクトされ
たE.coliまたは他の宿主細胞からのホモシステイナーゼ精製を容易にする
ために、ニッケル−NTAアフィニティー精製手順(Qiagen Compa
ny,Germanyより入手可能)を使用し得る。これらの手順は、NTA樹
脂マトリックスに固定化されたニッケルの作用に対するタンパク質イミダゾール
基の選択的な結合の利点を利用するものである。本発明のこの局面の好適な例に
おいて、適切なコードDNAの改変により、例えば、6個連続するヒスチジン残
基を含むアミノ末端タグをホモシステイナーゼに挿入し、これにより、宿主細胞
物質からのその精製を容易にする。
【0064】 ホモシステイナーゼ配列番号10(上記図1ABもまた参照のこと)は、この
タンパク質、システインまたはメチオニンに対して十分に非反応的であるこの改
変酵素のN末端の上流に位置する1つ以上のヒスチジン残基を含む改変ホモシス
テイン酵素の代表的なものである(被験体の組織液、尿、血液、血清、または血
漿の試料中に存在するホモシステイン濃度は、単一工程アッセイにおいてこのよ
うな酵素の使用によって決定され得る)。そのようなアッセイにおいて、ホモシ
ステインに対する前記改変ホモシステイナーゼの反応から生じる1つ以上の産物
の量が測定され、そしてこのような測定は、試料中のシステインまたはメチオニ
ン濃度によって実質的に影響を受けない。本開示のこの局面に従って、本発明の
実施に有用なホモシステイナーゼは、天然ホモシステイナーゼのN末端側に位置
する1つ以上、好適には2−15個、そして最も好適には5−8個連続するヒス
チジン残基を含む。
【0065】 適切なコードポリヌクレオチドの構築は、当業者にとって容易に理解され、そ
して部位特異的変異誘発またはループアウト変異誘発の技術、またはPCR技術
の使用を含む。このようなコードポリヌクレオチドの発現に適切な宿主細胞につ
いては、例えば、Y.Tanら、Protein Expression an
d Purification,(1997)9:233−245にて記述され
ている。一旦、適切な遺伝子を構築すれば、適切な発現ベクターまたはプラスミ
ドを提供する、あるいは、コード配列および、必要であれば、調節配列または制
御配列の、宿主生物の染色体への挿入を達成することは十分に当該分野の範囲内
である。細菌、酵母、哺乳類細胞および植物を含む、広範種々の宿主において組
換え発現に必要とされるパラメーターは、現在、当該分野において周知である。
従って、一旦、所望のコードヌクレオチド配列が利用可能になれば、本発明ホモ
システイナーゼを産生するために標準的組換え技術が使用され得る。 (ホモシステインのためのアッセイ系) 上記したように、本発明ホモシステイナーゼは、キットまたは、他に、体液中
、特に血漿、尿などにおけるホモシステインのために、単一酵素アッセイにおい
てまたは、単一工程アッセイにおいて、このような酵素を用いる場合の成分とし
て有用である。特異的な例示的なアッセイおよびキットは、本明細書中で参考と
して援用される、上記WO99/05311に示されている。一般的なこととし
て、代表的に、ホモシステインレベルのアッセイ方法において、最終濃度が0.
01〜1000μg/mlに達するのに必要な量で、試料に対してホモシステイ
ナーゼが添加され;そして試薬は、最終濃度が緩衝液中に1〜100mM、より
好適には5〜50mMに達するのに必要な量で添加され;還元試薬の場合は、0
.01〜100mM、さらにより好適には、0.1〜10mMに達するのに必要
な量で添加される。残存している試薬の性質は、アッセイのために選択された検
出システムに依存する。
【0066】 1つの特に好適な検出方法において、産生した硫化水素の濃度または量を測定
することによってホモシステイナーゼ産物のレベルが測定される。蛍光性の性質
を有する色素団形成は特に好適である。N,N−ジアルキルフェニレンジアミン
、好適には、N,N−ジプロピルフェニレンジアミン(DPPDA)またはN,
N−ジブチルフェニレンジアミン(DBPDA)との反応によって、光を吸収し
、そして蛍光を発し得る複合体が得られ得る。次に、この複合体を、例えばフェ
リシアニドの形での第二鉄イオンのような適切な酸化剤で酸化する。発色試薬の
レベルが、本発明に従って代表的に約670〜680nmでの吸収によって測定
され得る一方で、約665nmまたは640nmの範囲の励起波長およびより高
波長における対応する発光を使用してこの複合体の蛍光が測定される。吸収に対
して、蛍光検出の使用は、アッセイの感度を向上させることが以下で説明され、
そして示される。従って、本発明のさらなる局面は、硫化水素レベルを明らかに
するための蛍光検出の使用である。
【0067】 (ホモシステイン/システインのためのアッセイ系) 生物学的試料において、システインおよびホモシステインの両方を決定するこ
とがしばしば所望される。上記で述べたように、一般的に、ホモシステイナーゼ
酵素は、システインおよびホモシステインの両方、ならびにメチオニンを溶解し
得る。ホモシステイナーゼが、システインまたはホモシステインのいずれかに十
分に特異的でない場合、またはいくつかの追加的な工程が含まれない場合、硫化
水素検出法を用いて、これらのアミノ酸の両方のレベルを同時に測定することに
なり、個々の値に組み合わせることはできない。
【0068】 生物学的試料中のホモシステインおよびシステイン両方が測定可能である1つ
の改善したアッセイにおいて、試料を2つに分ける。1つを、S−アデノシルホ
モシステインヒドラ−ゼ(SAHH)で処理し、アデノシン存在下でホモシステ
インをS−アデノシルホモシステイン(SAH)に変換する。SAHは、ホモシ
ステイナーゼによって分解されにくい。従って、生物学的試料のうち一方では、
SAHHおよびアデノシンを添加することによって、効果的な基質としてホモシ
ステインが除去される。代表的に、アデノシンは、50−200mM、好適には
、約100mMの範囲で添加され、そして組換えSAHHを0.5−4mg/m
lで添加する。これらの量は概算であり、そして使用するSAHH酵素の特異的
性質および他の反応条件に依存する。ホモシステインをSAHHに完全に変換す
ることを確実にするためのSAHHレベルおよびアデノシンレベルの最適化は、
当該分野の範囲内に十分入る。ホモシスチンをホモシステインに(シスチンから
システインに)変換するために、ホモシステインおよび/またはシステインが酸
化型となっている状態下で試料に還元剤を添加することが望ましい。)典型的な
反応時間は、例えば、37℃にて、15分から1時間である。
【0069】 生物学的試料の他方を同じように、アデノシンまたはSAHHのいずれか、ま
たはこの両方を除去して、ジチオスレイトール(DTT)のような還元剤の存在
下で処理する。
【0070】 次に、この2つの試料を、ホモシステイナーゼ酵素、好適には、この場合、ホ
モシステインに対する特異性が高くないホモシステイナーゼを使用して同じよう
にアッセイする。このアッセイにおいて使用する好ましい酵素は、P.puti
da由来のホモシステイナーゼである。次に、上記のように、好適には発色複合
体の形成および、生成した硫化水素を反映する吸収または蛍光のいずれかの測定
によって、アッセイを行う。
【0071】 SAHHおよびアデノシンで処理しない試料を次の段階において生成した硫化
水素レベルは、試料中のホモシステインおよびシステインを組み合わせた測定値
である。1つ目の試料における硫化水素レベルはシステイン量のみの測定値であ
る。従って、2つ目の試料の値から1つ目の試料の値を差し引くことによって、
ホモシステインレベルが得られ得る。
【0072】 ほとんどの生物学的流体中のホモシステインレベルによる差異が、必然的に、
多数の相対的に小さい差異であるが、代表的に、この試料の1つ目および2つ目
で得られる値は、光学密度または蛍光単位の信頼できる範囲内にあり、その結果
その差異の精度および正確性が非常に高い。
【0073】 以下の実施例は本発明を例示することを意図するものであって、本発明を制限
するものではない。
【0074】 (実施例1) (E.coli BL21(DE3)pAC2−1クローンの産生) Trichomonas vaginalisのpAC2−1ホモシステイナ
ーゼ遺伝子のクローニングを、下記のように行った。一般的に、他の微生物にお
いて適切であるとして認識される組換え方法論は、Trichomonas D
NA、特に前記の、イントロンを欠失した多くのTrichomonas遺伝子
の操作に関して有用である。従って、Y.Tanら、Protein Expr
ession and Purification(1997)9:233−2
45、および1996年12月19日に公開された、Y.Tanらの国際特許公
開番号WO96/40284は、有用な参考であり得る。
【0075】 標準的な方法によりTrichomonas vaginalis由来のゲノ
ムDNAを単離し(Wizard Minipreps,Promega,Ma
dison,WI)、そしてテンプレートとして、PCR試薬キット(Roch
e,Branchburg,NJ)とともに提供された方法に従って行うPCR
反応に使用した。mgl1遺伝子のヌクレオチド配列を基にしてオリゴヌクレオ
チドプライマーを作製した(J.C.Mottramら、Gene Bank、
登録番号AJ000486、NID g2330884、1997年7月17日
提出)。
【0076】 使用した特異的プライマーを以下に示す: (センス)5’−GGATTACATATGCATCATCATCATCATC
ACATGAGTGGCCACGCTATCGAC−3’(配列番号13)(N
deI部位であるCATATGを含む);および、(アンチセンス)5’−GG
ATTAGGATCCTTAGAGGACTAAGTCGAGAGCC−3’(
配列番号14)(BamHI部位であるGGATCCを含む)。他に使用する試
薬には、制限エンドヌクレア−ゼ、T4DNAリガーゼおよびBL21(DE3
)コンピテント細胞が含まれていた。これらは全てStratagene(Sa
n Diego,CA)より購入した。GeneAmp PCR試薬キットを、
Roche(Branchburg,NJ)より購入し、そしてDNA pur
ification kit(DNA精製キット)は、Promega(Mad
ison,WI)より購入した。PCR増幅用のオリゴヌクレオチドプローブは
、IDT Inc.(Coralville,IA)により合成された。全ての
他の試薬は、Sigma(St.Louis,MO)より購入した。野生型Tr
ichomonas vaginalisは、American Type C
uluture Collection(Rockville,MD)より購入
した。
【0077】 PCR反応条件は、以下の通りである。変性:94oCにて1分間、アニ−リ
ング:50oCにて2分間、そして伸長:72oCにて2分間、これを1サイクル
として、35サイクル行った。この後、最後の伸長反応を、72oCで10分間
行った。(Kb−ラダーマーカーにより、1.2Kbpの1つのバンドとして同
定される)PCR−増幅産物を回収し、NdeIおよびBamHI制限酵素で消
化し、次に、標準的なプロトコルでpT7−7ベクターのNdlIおよびBam
HIクローニング部位に連結した(pT7−7ベクターは、Dr.Stan T
abor、Harvard Medical School、Boston、M
Aより譲渡された。Current Protocols in Molecu
lar Biology,F.A.Ausubelら、編、1990,16.2
.1頁−16.2.11頁,Greene Publishing and W
iley−Interscience,New York中の、Tabor,S
.「Expression using the T7 RNA polyme
rase/promoter system」を参照のこと)。次に、得られた
プラスミドをE.coli BL21(DE3)細胞に、エレクトロトランスフ
ォーメーションにより、形質転換した。
【0078】 37℃にて一晩インキュベーションした後、アンピシリン含有プレートからア
ンピシリン−耐性クローンを選択した。選択したコロニー由来の細胞を、5ml
LB培地(Fisher)において、37℃にて一晩増殖させた。α−ケトブ
チレートアッセイ(K.Sodaら、Methods in Enzymolo
gy、143、459−465、1981(メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒ
ドラゾンの反応を基にしている)の方法の改変方法を使用した)、および/また
はH2Sを生成し、そして定量する脱メチル化アッセイ(A.E.Brauns
teinら、Biochimica et Biophysica Acta,
(1971)242:247−260を参照のこと)によって、未精製培養抽出
物の酵素活性を基にして適切なクローンを選択した。これら2つのアッセイ方法
は、直ぐ下で述べる。
【0079】 E.coli BL21(DE3)pAC2−1クローンの改変体もまた構築
した。この改変体は、含まれているプラスミド(発現ベクターpAC2−11、
またpT−7−7を基にしている)が、一列に並んで存在する2コピーのホモシ
ステイナーゼ−コード配列を含んでいるという点でのみ異なる。E.coli
BL21(DE3)pAC2−11と呼ばれるこの特定のクローンは、本発明の
診断手順において使用する組換えホモシステイナーゼの高発現を提供する。簡潔
に言うと、pT7−7のNdeI部位とBsp106I部位との間に2コピーの
コード配列を置いた。第1のコピーを、NdeIとBamHIに結合させ、第2
のコピーをBamHIとBsp106Iに結合させた。pAC2−1またはpA
C2−11のどちらかのクローンから、同じ手順で、組換えホモシステイナーゼ
を精製し得る。
【0080】 (α−ケトブチレート/ピルビン酸アッセイ) このアッセイの第1の工程で、約1〜100ユニットのホモシステイナーゼ(
「HCYase」)酵素を得るために十分な未精製細胞抽出物試料(細胞を超音
波処理し、そして上清を遠心分離後に回収した)(代表的に50μl)とともに
1ml容量の、10μM ピリドキサルリン酸および、異なる濃度(25μM−
25mM)のDL−ホモシステインまたはL−メチオニン、またはL−システイ
ンをそれぞれ含む100mMリン酸緩衝液、pH8.0を、37℃にて、10分
間インキュベーションした。0.1mlの50% TCAを添加して反応を停止
した。次に、Eppendorf遠心機を用いて、13k rpmで、2分間、
懸濁液を遠心分離した。次に、上清の0.5ml試料を、0.8mlの1M酢酸
ナトリウム、pH5.2中0.5mlの0.05% 3−メチル−2−ベンゾチ
アゾリノンヒドラゾン(「MBTH」)に添加し、50oCにて30分間インキ
ュベーションした。分光光度計を用いて、OD320を測定することにより、それ
ぞれの試料の反応産物量を決定した。Bio−Rad 500−0006キット
(Bio−Rad,Richmond,CA)を用いて、牛血清アルブミンを標
準試料として、タンパク質量を決定した。ユニット/mgタンパク質として、酵
素比活性を算出した。酵素の1ユニットを、1分間あたりの、ホモシステインか
らの1μmolのα−ケトブチレート形成を触媒する量として定義した。もちろ
ん、例えば、1アッセイ試験あたりに1−100ユニットの酵素を含む精製ホモ
システイナーゼ試料を用いてこのアッセイ手順をまた使用し得る。
【0081】 (脱チオメチル化スクリーニングアッセイ) 前記のように、使用するアッセイは、A.E.Braunsteinら(上記
)の改変方法である。標準的反応混合液は、リン酸カリウム緩衝液(pH7.5
、100mM)、酢酸鉛(0.33mM)および1−100ユニットのホモシス
テイナーゼを提供する、十分な未精製細胞抽出物で構成され、そこに、異なる濃
度(5μM−100μM)の基質DL−ホモシステイン、またはL−システイン
、またはL−メチオニン混合物を、添加した。全反応容量は、1.5mlであっ
た。37℃にて、10分間インキュベーションした後、分光光度計で、OD360
にて、硫化鉛量を測定した。このアッセイ手順をまた、例えばアッセイ試験あた
り1−100ユニットを含む精製ホモシステイナーゼ試料を用いて使用し得る。
【0082】 (産物ホモシステイナーゼの精製) 上記初期アッセイスクリーニングの使用によって、DEAE−セファロース
Fast Flow クロマトグラフィー(pAC2−1クローンから得られた
酵素活性プロフィールに対して(図3を参照のこと))、またはニッケル−NT
Aアフィニティークロマトグラフィー(pAC2−1クローンから得られた酵素
活性プロフィールに対して(図4を参照のこと))を含むプロトコールを用いて
見込みのあるクローンからホモシステイナーゼ(「HCYase」)を精製した
【0083】 (細胞増殖条件) 特定のクローンに対応する10μlの凍結E.coliストックを、10μg
/mlアンピシリンをまた含む5ml LB培地(Fisher)に播種し、そ
して穏やかに振盪(300rpm)しながら30oCにて、一晩培養した。次に
、この培養液を500mlのフラスコにおいて2つの、新鮮な100ml容量の
LB培地を添加したフラスコに分割し、さらに30oCにて、300rpmでま
た、6時間培養した。次に、全培養液を、800mlのLB培地を含む18本の
フラスコ(それぞれ6リットルの容積)に分注した。37℃にて、300rpm
で一晩増殖を続け、OD600が約10に達した。菌体を4000gでスピンダウ
ンし、新鮮なLBを用いる増殖培地に交換し、さらに6時間、37℃にて、30
0rpmでインキュベーションを続けた。OD600が20に達したら、4oCにて
10分間、4000gの遠心によって菌体を回収した。上記手順に対する広範種
々な変更もまた効果的であることが認識される。
【0084】 (クロマトグラフィー前の前処理) 細菌ペレットを初めに、抽出溶液(20mM リン酸カリウム、10μMピリ
ドキサルリン酸および0.01% β−メルカプトエタノール、pH9.0)に
懸濁し、そしてキャビテーター型(cavitator−type)ホモジナイ
ザー(モデルHC8000、Microfluidics Corporati
on,Newton,MA)で、細胞を破砕した。冷却遠心機(Sorvall
,superspeed RC2−B)を用いて、8000g、4oCにて30
分間、懸濁液を遠心分離した。次に、上清を回収し、50oCにて1分間、熱し
、次いで分離用スケール装置(モデルTFF PLHK 100k、Milli
pore,Bedford,MA)(10mMリン酸カリウム緩衝液、pH8.
3を含む2.5ft2圧力カートリッジを用いる)を用いて限外ろ過に供した。
限外ろ過中、pHを7.2に調整した。
【0085】 (クロマトグラフィー条件−第1のカラム) 上記由来濃縮液(pH7.2)を、40mM KCl−PPM緩衝液(40m
M塩化カリウム、10mMリン酸カリウム、10μMピリドキサルリン酸、0.
01% β−メルカプトエタノール、pH7.2)中に2400mlパック容量
のDEAE Sepharose(登録商標)FF(Pharmacia,Up
psala,Sweden)を含む第1カラム(100mm直径×30cm)に
アプライした。タンパク質試料をロードした後、カラムを、OD280値が0.1
以下になるまで、約10倍容量の40mM KCl−PPM緩衝液で予め洗浄し
た。次に、PPM緩衝液中のKCl濃度が40mMから300mMの直線的勾配
を用いてタンパク質を溶出し、そして500mlの画分を回収した。その画分が
黄色を呈することおよび、活性アッセイによって、ホモシステイナーゼを含む画
分を同定した。
【0086】 (クロマトグラフィー条件−第2のカラム) 80mM KCl、10mM リン酸カリウム、pH8.3の溶液に対する透析
を24時間行った後、回収した溶出液(5〜10グラムの全タンパク質の回収を
示す、約2〜5mg/ml)を第2のカラムにアプライした。ロード後、OD28 0 が0.1以下になるまで、4倍容量の80mM KCl、10mM リン酸カ
リウム、pH8.3(流速は約6〜8ml/分)で、第2のカラム(DEAE
Sepharose(登録商標)FFを満たしてあるPharmacia XK
50/30、500ml容量、50mm直径×25cm)を予め洗浄した。次
に、10mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.3)中の塩化カリウム濃度を80
mMから300mMの直線的濃度勾配を用いて、ホモシステイナーゼを溶出した
。溶出液を300mlのフラスコに回収し、活性画分は、黄色を呈すること、お
よびホモシステイナーゼ酵素活性から同定可能であった。(ホモシステイン、シ
ステインおよびメチオニンに対する)この様式で精製されたホモシステイナーゼ
の酵素活性について、以下の実施例8にて考察する(図3もまた参照のこと)。
【0087】 あるいは、さらなる2段階ストラテジーを使用し得る。第1段階において、分
離物質は、DEAE Sepharose(登録商標)FFであり、20mM
リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2を用いてロードおよび予め洗浄を行った。
タンパク質の溶出は、20mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2(溶液A
)から20mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2、500mM NaCl(
溶液B)までの直線的勾配(8ml/分)を用いて達成した。第2段階において
、分離物質は、phenyl Sepharose(登録商標) 6−FFであ
り、そしてロードおよび前洗浄は、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
2)中0.6M NH4SO4を用いて行った。タンパク質の溶出は、0.6M
NH4SO4、20mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2(溶液A)から2
0mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2(溶液B)までの直線的勾配(5m
l/分)を用いて達成した。この改変手順により次の精製結果を得た。上記細胞
溶解物は、5.2(ユニット/mg)の比活性で、8,400ユニットのホモシ
ステイナーゼを含んだ。前−カラム手順の完了後、64の比活性で6,300ユ
ニットが回収された(約75%の回収率)。DEAE Sepharose(登
録商標)−FF工程(第1のカラム)の終了後、172の比活性で、5,040
ユニットが回収された(回収率60%)が、phenyl Sepharose
(登録商標) 6−FF工程(第2のカラム)の終了後、300の比活性で、4
,200ユニットが回収された(回収率50%)。
【0088】 (得られたホモシステイナーゼの分析) HPLC分析に対して、Supelco ProgelTM TSK カラム(
G3000SWXL,30cm×7.8mm,Supelco,Bellefon
te,PA)とともに、L−6200A Intelligent ポンプ(H
itachi,Ltd.,Tokyo,Japan)を用いた。代表的に、20
μlサイズの試料(約0.1〜0.5mg/mlタンパク質を含む)をロードし
、そして0.12M NaCl、10mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.
2の溶液で、流速約1ml/分で溶出した。分光光度計(Hitachi U2
000)を用いて、280nmの波長で、タンパク質を含む画分を同定した。M
W標準物として、牛血清アルブミン(MW66,000)およびサツマイモ由来
β−アミラーゼ(MW200,000)(Sigma,St.Louis,MO
)を用いた。得られた保持時間は、BSAの場合、8.88分、β−アミラーゼ
の場合、7.82分で、産物ホモシステイナーゼでは、8.28分であった。
【0089】 (非還元性の)7.5%または10%ポリアクリルアミド−前形成化プレート
で、0.2M Tris−グリシン緩衝液、pH8.3中で、0.1%SDSを
含む、または含まない状態で、得られたタンパク質の電気泳動を行った。使用し
た分子量標準物は、Kaleidoscope Prestained Sta
ndards(Bio−Rad,Richmond,CA)であった。0.1%
SDS存在下で約43kDの単一バンドとして、0.1%SDS非存在下で約1
72kDの単一バンドとして産物ホモシステイナーゼを観察した。
【0090】 次に、T7 DNAポリメラーゼおよびジデオキシヌクレオチド終結反応を用
いてACGT Inc.(Northbrook,IL)により適切なクローン
のDNAの配列決定を実施した。プライマーウォーキング法を用いて、そしてD
NAアナライザーによりこの配列を分析した。
【0091】 (Ni−NTA法を用いた6×ヒスチジン−タグ化タンパク質としての、ホモ
システイナーゼの精製) E.coli由来の組換えホモシステイナーゼを精製する他の方法には、ニッ
ケルーNTAアフィニティークロマトグラフィーの使用が挙げられる。この技術
は、タンパク質ヒスチジンイミダゾールの、NTA樹脂マトリックスに固定化さ
れたニッケル陽イオンに対する親和性を利用するものである。この技術(Qia
gen Company,Germany)を完全に利用するために、ホモシス
テイナーゼのN末端のタンパク質上流(配列番号9および10を参照のこと)に
6個の付加的なヒスチジン残基の配列を(好適には、次いで、発現されるコード
DNAの改変によって)付加する。
【0092】 この精製手順に従って(さらなる情報については、「The QIAexpr
essionist,A handbook for high level
expression and purification of 6×His
−tagged proteins」、1997年3月、第3版(Qiagen
より入手可能)もまた参照のこと)100mlの、E.coli BL21(D
E3)、クローンpAC2−1の高密度増殖培養液を遠心分離により回収し、そ
して4mlの溶解緩衝液(300mM NaCl、10mM イミダゾール、5
0mM NaH2PO4、pH8.0)にて、得たペレットを再懸濁した。次に、
氷上で1分間、得られた細胞懸濁液を超音波処理した。
【0093】 最高速度に設定し、20分間、卓上遠心機を用いて、細胞破片を除去した。次
に、1mlのNi−NTAスラリー(Qiagen)と透明な上清を混合し、そ
して吸着するように氷上で60分間穏やかに振った。次に、混合物を、使い捨て
のポリプロピレンカラムに移し、素通り画分を捨てた。次にNi−NTA樹脂ビ
ーズを、8mlの洗浄緩衝液(300mM NaCl、20mM イミダゾール
、50mM NaH2PO4、pH8.0)で洗浄し、その後、組換えタンパク質
を、2mlの溶出緩衝液(300mM NaCl、250mM イミダゾール、
50mM NaH2PO4、pH8.0)を用いて溶出することによって最終的に
回収した。次に、精製タンパク質を上記のように特徴付けた。(ホモシステイン
、システインおよびメチオニンに対する)この様式で精製されたホモシステイナ
ーゼの酵素活性の結果を、以下の実施例2に記述する(図4もまた参照のこと)
【0094】 (実施例2) (本発明ホモシステイナーゼの代表的な触媒性質) 図2から4で、単一工程アッセイにおいて、本発明ホモシステイナーゼが持つ
有意に増強された有用性について示す。図2で示される結果は、pAC2−1ク
ローンを含む宿主E.coli細胞の、未精製溶解物を使用した場合について示
しており、ホモシステイン、システイン、およびメチオニンをそれぞれ25mM
で別々にアッセイした場合の、3つの基質に対する特異的な活性(u/mg)を
示す。図3および4で示す結果(pAC2−1クローンを含む宿主E.coli
)は、ホモシステイン、システイン、およびメチオニンに対する精製した酵素調
製物の相対的活性について表している。上記のように、図3で示されるアッセイ
では、DEAE−Sepharose Fast Flow 法を用いて酵素を
精製した。図4に示されるアッセイでは、ニッケル−NTAアガロースアフィニ
ティー試薬を用いた精製法を行った(方法論について、上記の表題「α−ケトブ
チレートアッセイ/ピルビン酸アッセイ」を参照)。
【0095】 宿主E.coli細胞から組換えホモシステイナーゼを精製するために多数の
方法が利用できることがよく認識されるであろう。例示するように、本発明新規
ホモシステイナーゼは、(本発明アッセイを用いて)システイン、またはメチオ
ニンに対して示される活性よりも、典型的にその100倍で、さらに約1000
倍までのホモシステインに対する活性を表す。
【0096】 (実施例3) (単一工程/単一酵素臨床アッセイ) ホモシステイナーゼの新規酵素種の基質特異性を利用するために、生物学的流
体中のホモシステインの多数の工程/多数の酵素アッセイ手順が、簡易化した単
一工程/単一酵素アッセイでの使用に適用されることが即座に認識される(用語
「単一工程アッセイ」および「単一酵素アッセイ」は、システインおよび(また
は)メチオニンの存在下でホモシステインを正確に測定するために、生物学的試
料がただ1つの酵素と接触することのみ必要であるということを示すために本明
細書中で交換可能に使用される)。このような手順に適切なホモシステイナーゼ
の濃度は、容易に決定される。
【0097】 本発明単一酵素診断法に従って、システインおよび(または)メチオニンの濃
度が混入することにより妨害することなく、医師に対して価値ある診断情報を与
えるために十分正確に、例えば、全血、血漿、血清、尿または組織液などの生物
学的試料中のホモシステイン濃度を測定し得る。このような診断アッセイは迅速
、正確で、少数の試薬から構成されるため、臨床実験室での大スケールのスクリ
ーニング操作、および公衆衛生的な測定として、適用可能である。
【0098】 代表的な実施例において、正常血漿中のシステイン濃度は、約30−120μ
Mであり得、そして正常血漿中のホモシステイン濃度は、わずか約5−15μM
である。当該分野で認識されているように、被験者の心血管系疾患に対するリス
クは、血漿中ホモシステイン濃度が15μMレベルへ上昇すると、有意に増加し
得る。数百μMレベルまでのホモシステインレベルを持つ場合、心血管系疾患高
リスク患者として同定する。同様に、システイン代謝障害を持つ患者では、50
0またはさらに1000μMまでのシステインレベルを有し得る。本発明診断キ
ットは、1−500μMの範囲の生物学的流体中ホモシステイン濃度測定に有用
である。例えば、前記体液はまた、0μM(典型的には10μMから)から約1
000μMまたはそれ以上のシステインを含む。
【0099】 本発明の好適な実施に従って、ホモシステイアーゼのホモシステイン対システ
インに対する相対的活性は、産物である硫化水素を検出することによって、患者
試料中で測定されたホモシステインの見かけの濃度(システインの濃度も反映す
る)が、その実際の値の約150%以下、好適には、約110%以下、最も好適
には約102%以下であるような、ホモシステイナーゼを提供する。本発明のさ
らに好適な実施例において、例えば、pAC2−1から発現される新規Tric
homonasホモシステイナーゼを使用して、単一酵素アッセイにおいて測定
された見かけのホモシステイン濃度には、システインからの約1%以下の寄与し
か示さない。
【0100】 本発明の実施に従って、このような単一酵素アッセイ方法(例えば、ホモシス
テイナーゼとして配列番号10を用いたもの)を、様々な範囲の天然の濃度の、
ホモシステインおよびシステイン(およびまた、適切な場合にメチオニン)の両
方の生体内濃度(および濃度比率)に対して適用可能であり、従って、正確に、
健康な被験者および疾患状態の危険性を持つ被験者の両方、特に、心血管系疾患
を持つ被験者に関して体内液の化学的性質を反映させ得る。
【0101】 被験者の生物学的流体中ホモシステイン濃度に対する単一酵素アッセイでの使
用を目的とした診断キットには、ホモシステイナーゼ酵素、および、ホモシステ
インに対するホモシステイナーゼ反応により形成される硫化水素産生量測定を行
なうために使用される少なくとも1つの試薬が含まれる。前記ホモシステイナー
ゼは、システインに対して非常に非反応的であり、システインに対する前記ホモ
システイナーゼ反応によって産生される硫化水素が、心血管系疾患のリスクを調
べるために必要な前記キットの使用に際して実質的に妨害しない。
【0102】 本発明診断キットは、幅広い範囲のホモシステインおよびシステイン濃度なら
びに相対濃度に対して有用であるので、本発明の満足すべき多様な実施例が存在
することが予想されるはずである。典型的な実施例も、以下に示す。
【0103】 (1)ほぼ一般的に、ホモシステインのかわりにシステインからのものだとさ
れる測定された硫化水素分画は、十分に小さいはずであり、有資格の治療者によ
って、有用な結果判断を阻害しない。一般的に、ホモシステインからのものだと
される産生された硫化水素量がおよそ全体の半分である場合、有用な診断情報が
得られ得る。患者試料中において、ホモシステインに比べて一般的に高濃度のシ
ステインが含まれるため、このような酵素の特異性がさらに明らかである。しか
しながら、好適に、本アッセイにおいて検出される全体のホモシステインに起因
する全ての硫化水素分画は少なくとも90%、好適には95%、より好適には9
8%、最も好適には、99%以上である。例えば、本発明の実施に従って、配列
番号:10で示されるホモシステイナーゼを使用する場合99%のレベルを容易
に得る。
【0104】 (2)ホモシステイン濃度が約20μM以上に達する、心血管性疾患に対する
リスクを示す患者試料のアッセイにおいて、300μMあるいはそれ以上のシス
テイン濃度が全体の硫化水素量に寄与するのは、1%以下である。明らかに、よ
り高濃度のシステインを含む生物学的試料に関しても、このような酵素は非常に
有用である。
【0105】 (3)ホモシステイン濃度に対するシステイン濃度の比が、例えば約15:1
になるような、心血管系疾患に対するリスクを示す患者試料のアッセイにおいて
、検出される全体の硫化水素量に対するシステインの寄与は約1%未満である。
【0106】 次の事柄によりさらに、既知のホモシステイナーゼおよび本発明新規酵素の性
質の相違が明らかにされる。
【0107】 Trichomonas vaginalisから単離したホモシステイナー
ゼ(1つ以上の遺伝子からの発現を反映しうる。)がホモシステインに対して、
約0.5mMのKmを持つことが報告された(Lockwoodら、1991、
上記)。pAC2−1クローンから発現された新規酵素に関して測定されたKm
値は、(全て37℃、pH8.0)ホモシステインに対して4.8mM、システ
インに対して3.45mM、メチオニンに対して3.1mMである。
【0108】 異なる濃度(10μMから1.6mM)のDL−ホモシステイン、L−メチオ
ニンまたはL−システインに対して、1mlの、10μMピリドキサルリン酸を
含有する100mM リン酸緩衝液、pH8.0中で、37℃にて10分間、5
0μlの酵素(300ユニット/ml)を用いて行われたアッセイから、Km
計算を行った。0.1mlの50%TCAを添加して反応を停止した。次に、E
ppendorf centrifuge(遠心機)で、13k rpm、2分
間、得られた懸濁液を遠心した。次に、0.5mlの上清試料を0.5ml体積
の、0.8mlの1M酢酸ナトリウム、pH5.2中に溶解した0.05% 3
−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾンに添加し、50oCにて30分間
インキュベーションを行った。その後、分光光度計を用いて、OD320で、反応
生成物量を測定した。図5で報告されているKcat(代謝回転数)値は、標準的
な速度論式およびプロットを用いたVmax値の計算から算出した。
【0109】 pAC2−1クローンより発現された酵素の速度論が、先行酵素と非常に異な
ることは明白である。本発明のさらなる局面には、速度論的な性質を向上させる
ために、T.vaginalis酵素のアミノ酸配列においてある一定の変化が
説明されているとはいえ、これを遂行することを目的とした他の可能性ある機構
が当業者により認識されるだろうとの認識が含まれる。その例は、活性部位また
はそれ以外の部位での、酵素のコバレント修飾である。ホモシステイナーゼを改
変するこれらの他の方法は、それらにより、本明細書で最初に示したような速度
論性を持つ酵素産物得ることができる場合、本発明の実施範囲内である。
【0110】 (実施例4) (硫化水素検出方法の改善) 硫化水素の強化した検出方法を開発した。本発明のこの局面に従った診断キッ
トを次のように用意した。 次に示す試薬/保存溶液を用意する: (a)緩衝溶液−50mM ホウ酸緩衝保存溶液、pH7.5は、309mgの
3BO3、f.w.61.83を、90mlのdd水に添加し、NaOHでpH
を7.5に調整した後、dd水で体積を全部で100mlに調製する。本実施例
で用いたホウ酸緩衝液の代わりに、リン酸ナトリウム緩衝液およびトリス緩衝液
のような、任意の許容可能な緩衝液をも使用し得る。 (b)還元剤−15.4mgのDL−ジチオスレイトール(「DTT」)、Si
gma,St.Louis,MO、を1mlのホウ酸緩衝液(a)に溶解し、1
00mM溶液を調製する。本実施例で用いたDTTのかわりに、TCEP(トリ
ス(2−カルボエチル)ホスフィンおよびβ−メルカプトエタノールなどのよう
な、任意の許容可能な還元剤をも使用し得る。 (c)発色試薬I−33.25mgのフェリシアン化カリウム、K3Fe(CN
6,Sigma、を、10mlの1N HCl、1%(w/v) Trito
nX−100、Sigmaの溶液で溶解し、第二鉄イオンの10mM 保存溶液
を調製する。この溶液は、使用前によく混合しなければならない。Triton
X−100界面活性剤以外の、他の許容可能な界面活性剤をも使用し得る。 (d)発色試薬II−52.5mgのN,N−ジプロピル−フェニレンジアミン
(「DPPDA」)、Wako Pure Chemical Industr
ies,Ltd.,Japan、を、dd水で、最終濃度が100mMになるよ
うに溶解する。 (e)組換えホモシステイナーゼ−産物であるHYaseTMとして、Anti
Cancer,Inc,San Diego,CAより、配列番号10(E.c
oli クローン pAC2−1,ATCC 98549)で示される酵素を購
入しうる。この酵素の分子量は、172,000および比活性は、40ユニット
/mgである。4ユニット/mlになるよう、前記で使用したホウ酸緩衝液で酵
素を希釈し、アッセイの間、0−4oCに保存し、それぞれの使用ごとに新鮮な
酵素溶液を調製するべきである。 (f)DL−ホモシステイン−2.7mgのDL−ホモシステイン、Sigma
、を、2mlホウ酸緩衝液に添加し(最終濃度4mM)、検定標準液として毎日
新鮮なものを調製する。使用中は、0−4oCで保存する(注意:一般的には、
ホモシステイナーゼはホモシステインの天然のL−光学異性体とのみ反応するが
、D/L体混合物から経済的にL−異性体を得ることができる。もちろん、効果
的なL−濃度を得るために、50%の補正要素を考慮する必要がある)。
【0111】 代表的なアッセイプロトコールは次に示すようなものである。0.1ml 血
漿を、0.9mlホウ酸緩衝液に添加する。次に、10μlの100mM DT
T溶液を添加し、よく混合した後、37℃にて30分間インキュベーションを行
う。30μlのHYaseTM組換えホモシステイナーゼ(ホウ酸緩衝液で予め4
ユニット/mlに希釈したもの)を添加して混合した後、さらに37℃にて1分
間インキュベーションを行う。次に200μlの発色試薬Iおよび10μlの発
色試薬IIを同時に添加し、試料を37℃にて20分間インキュベーションを行
う。次いで、分光光度計を用いて677nmでのODを測定することにより、産
物であるメチレンブルー型色素団を検出する。次に、ホモシステインおよび(ま
たは)そのジスルフィド結合2量体(ホモスチン)を標準物として使用し得る、
構築した検量線から、L−ホモシステイン血漿中濃度を算出する。ここで挙げた
代表例において、アッセイ試薬または試薬濃度を選択する場合にかなりの変化が
可能であり、技術の熟練の範囲内としてそのような改変がすぐに認識されるであ
ろうことはもちろん明白である。
【0112】 (実施例5) (蛍光発色に基づいたホモシステイン診断アッセイ) ホモシステインアッセイで得られた色素団濃度測定に蛍光を使用することによ
って、吸光度を用いた感度と比較して約1000倍に感度を増強しうる。従って
、より感度の高い蛍光発色に基づいた測定法を用いて、上記の吸光度に基づいた
測定法よりも、約10分の1から100分の1程度の少量の試料をアッセイし得
る。例えば、指に針を刺し採取した血液試料は、ホモシステインアッセイにおい
て強い蛍光シグナルを達成するのに十分な量である。
【0113】 吸光度に基づいたアッセイと比較して蛍光発色に基づいたアッセイにおいて感
度が増強されていることを、図6で示す。この図において、X軸は、アッセイに
おける硫化水素濃度を表す。様々な濃度に対して行った同一のアッセイにおける
吸光シグナルよりも蛍光シグナルに対するカーブは鋭く、蛍光シグナルが吸光シ
グナルよりもかなり感度が高いことを示す。
【0114】 蛍光による測定時、適当なシグナルを提供するどのような適した試薬も適切で
ある。図6で示した蛍光発色に基づいたアッセイにおいて、例えば、発色試薬と
して、上記で考察した吸光度測定に使用されたN,N−ジブチル−フェニレン−
ジアミン(DBPDA)を使用した。一般的に、このアッセイが蛍光で計測され
ることを除いて、吸光度に基づいたアッセイに使用する同一の条件を、蛍光発色
に基づいたアッセイで使用し得る。
【0115】 励起波長および発光波長の適切な組み合わせを用いて蛍光による非常に強いシ
グナルが得られ得る。これらの波長は、当業者により決定され得る。例えば、6
55nmの励起波長および690nmの発光波長、または640nmの励起波長
および675nmの発光波長を、一定の条件下で使用し得る。
【0116】 蛍光測定によるホモシステインに対する図7標準曲線および、固定した量のシ
ステインも含むホモシステイン試料に対する図8曲線の比較により、システイン
によるホモシステイン測定に対する妨害が最小限に抑えられていることが示され
る。これらの結果は、吸光度に基づいたアッセイと一致する。図9において、様
々な濃度のシステイン試料により及ぼされる妨害について示す。
【0117】 指を針で刺すことにより採血した少量の血液試料を用いて、そこに含まれるホ
モシステイン濃度測定を行った。図7の標準曲線において、正確な濃度が既知で
ある試料の蛍光読み取り結果と対応させることにより、図7の図表における結果
を示す濃度が得られた。
【0118】 (実施例6) (システインおよびホモシステインの測定) アッセイする試料を2つに分注する。ホモシステインを除去するために片方を
処理し、もう一方には処理を行わない。
【0119】 ホモシステインを除去した部分については、10−20μlの試料および、試
料に対してそれに対応するものとして980−990μlの変換緩衝液、合わせ
て1mlを、37℃にて30分間インキュベーションを行う。変換緩衝液は、2
0mM リン酸カリウム、pH8.3、150mM NaCl、30μg/ml
SAHH(組換えを利用して産生)、0.2% TritonX−100、1
mM DTT および100mM アデノシンである。
【0120】 コントロールとして第二部分において、10μlの試料を、SAHHもしくは
アデノシンのいずれかまたは両方が除外されることを除いて、1mlの同様の緩
衝液に提供する。この試料はまた、30分間37℃でインキュベートする。
【0121】 次に、両方の試料を、10μlの組換えホモシステイナーゼ(0.275mg
)で処理する。ホモシステイナーゼは、組換え技術を利用して産生され、そして
P.putidaより単離した上記ホモシステイナーゼである。両試料に対して
37℃にて10分間インキュベーションを行う。
【0122】 次に、50μlの発色試薬(40mM N,N−ジブチルフェニルレン−ジア
ミン塩酸(6M HCl中))を添加して反応を停止した後、50μlの酸化剤
(40mM フェリシアン化カリウム(20mM リン酸カリウム中)pH8.
3)を添加する。次に、この部分を37℃にて10分間インキュベーションを行
い、665nmの励起波長、および、690nmの発光波長で蛍光を、または6
75nmで吸光度を読み取る。
【0123】 ある特定のアッセイにおいて、10μlの血漿試料を、0,5,10,20ま
たは40μMのホモシステインを含む10μlの溶液と混合した。675nmで
の吸光度を読み取った結果を以下の表1に示す。
【0124】
【表1】 表1で示すように、SAHH処理し、従ってシステインのみを推定して測定し
た部分(1)において、ホモシステインを添加した範囲を通して、吸光度は相対
的に一定している。しかしながら、SAHH非処理部分(2)において、添加し
たホモシステイン量の増加に伴い、吸光度は明らかに増加している。表のカラム
4(ΔOD)で示されるように、血漿試料そのものは、SAHH非処理試料が、
SAHH処理試料より大きい吸光度を示すように、このアッセイによると測定可
能な量のホモシステインが存在する。もちろん、この相違は、添加量増加レベル
に対応して増加している。表のカラム5(ΔOD)により、ホモシステイン(H
C)添加に起因するOD変化が示される。これらのデータを、グラフとして図1
0で示す。上のグラフは、部分(1)および(2)の結果を、下のグラフはカラ
ム5におけるデータを示す。
【0125】 本開示のさらなる補足において、1997年9月26日に、確証された生存率
を持つ生物物質の寄託を、Budapest Treaty下の、Americ
an Type Culture Collection,Rockville
,MD,USAに対して行った。その物質は、E.coli BL21(DE3
)、クローンpAC2−1として同定されるもので、ATCC番号98549を
割り当てられている。本明細書中の特許の付与において、公衆に対するこの物質
の利用可能性上の全ての制限は、決定的に除かれるであろう。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(パネルAおよびB)は、mgl1遺伝子によりコードされるTrich
omonas vaginalisホモシステイナーゼのアミノ酸配列と、Tr
ichomonas vaginalis pAC2−1クローンによりコード
されるアミノ酸配列との比較を提供する。
【図2】 図2は、システイン、メチオニンおよびホモシステインに対するpAC2−1
クローンのホモシステイナーゼに対応する比活性比較(ユニット/mgの粗E.
coli抽出物)を示す。
【図3】 図3は、システイン、メチオニンおよびホモシステインに対する、ホモシステ
イナーゼ(DEAE−Fast Flow手順を使用して精製された、pAC2
−1クローン)の比活性比較を示す。
【図4】 図4は、システイン、メチオニン、ホモシステインに対する、ホモシステイナ
ーゼ(ニッケルカチオンアフィニティー試薬を使用して精製された、pAC2−
1クローン)の比活性比較を示す。
【図5】 図5は、システイン、メチオニンおよびホモシステインに対するホモシステイ
ナーゼ(pAC2−1クローン)の測定されたKcat値を示す。
【図6】 図6は、種々の硫化水素濃度における蛍光および紫外線吸収の比較を提供する
【図7】 図7は、L−ホモシステインの検量線を示す。
【図8】 図8は、蛍光によって測定される酵素的ホモシステインアッセイでのシステイ
ンによる妨害の相対的欠如を示すホモシステインの曲線、および指に針を刺して
得られた血液試料の結果を示す。
【図9】 図9は、種々のシステイン濃度での、蛍光によって測定されるシステインによ
る妨害を示す。
【図10】 図10は、減算によってホモシステインレベルを算出した、血漿中のホモシス
テインおよびシステインの両方に対するアッセイ結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/88 C12Q 1/48 Z 4B065 C12Q 1/02 G01N 31/00 P 1/48 31/10 G01N 31/00 33/483 C 31/10 33/68 // G01N 33/483 C12N 15/00 ZNAA 33/68 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),AU,CA,J P (72)発明者 タン, ユイン アメリカ合衆国 カリフォルニア 92111, サン ディエゴ, リンダ ビスタ ロ ード 7575, アパートメント 80 (72)発明者 ハン, チンホン アメリカ合衆国 カリフォルニア 92122, サン ディエゴ, デコロ ストリート 4158, アパートメント 40 (72)発明者 タン, リー アメリカ合衆国 カリフォルニア 92111, サン ディエゴ, スタルマー ストリ ート 7850, アパートメント ディー29 Fターム(参考) 2G042 AA01 BD19 CA10 CB03 DA03 FA04 FA07 FA11 FB02 GA01 GA04 GA05 HA07 2G045 AA13 CA26 FA11 FB12 4B024 AA11 BA07 CA04 DA06 EA04 GA11 HA01 4B050 CC03 DD01 DD02 LL03 4B063 QA01 QQ80 QR18 QS31 4B065 AA09Y AA23Y AA26X AA41Y AA86Y AB01 AC14 CA27 【要約の続き】

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 精製および単離されたホモシステイナーゼであって、ここで
    、該ホモシステイナーゼは、生物学的流体中のホモステイン濃度が5〜15マイ
    クロモル濃度であり、そしてシステインの濃度が100〜300マイクロモル濃
    度である場合、該生物学的流体と接触する際に、該ホモシステイナーゼの作用に
    より産生される硫化水素の少なくとも90%が、ホモシステイン由来のものであ
    る特性を有する、ホモシステイナーゼ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のホモシステイナーゼであって、ここで、生
    物学的流体中のホモステイン濃度が5〜15マイクロモル濃度であり、そしてシ
    ステインの濃度が100〜300マイクロモル濃度である場合、該生物学的流体
    と接触する際に、該ホモシステイナーゼの作用により産生される硫化水素の少な
    くとも99%が、ホモシステイン由来のものである、ホモシステイナーゼ。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のホモシステイナーゼであって、ここで、生
    物学的流体が5マイクロモル濃度のホモステインおよび1000マイクロモル濃
    度のシステインを含有する場合、該生物学的流体と接触する際に、該ホモシステ
    イナーゼの作用により産生される硫化水素の少なくとも90%が、ホモシステイ
    ン由来のものである、ホモシステイナーゼ。
  4. 【請求項4】 Pseudomonas、Clostridium、Aer
    omonasまたはTrichomonasあるいはこれらの変異形態由来の脱
    硫酵素のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のホモシステイナーゼ。
  5. 【請求項5】 N末端に少なくとも1個のヒスチジン残基をさらに含む、請
    求項1に記載のホモシステイナーゼ。
  6. 【請求項6】 精製および単離されたホモシステイナーゼであって、該ホモ
    システイナーゼは、適切なアッセイにおいて、ホモシステインに対する配列番号
    8のホモシステイナーゼの活性の少なくとも110%を有し、そしてシステイン
    またはメチオニンに対する配列番号8のホモシステイナーゼの活性の90%以下
    を有する、ホモシステイナーゼ。
  7. 【請求項7】 Pseudomonas、Clostridium、Aer
    omonasまたはTrichomonasあるいはこれらの変異形態由来の脱
    硫酵素のアミノ酸配列を有する、請求項6に記載のホモシステイナーゼ。
  8. 【請求項8】 N末端に少なくとも1個のヒスチジン残基をさらに含む、請
    求項6に記載のホモシステイナーゼ。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載のホモシステイナーゼを
    コードする、精製および単離されたヌクレオチド配列。
  10. 【請求項10】 発現系を含有するDNAまたはRNA分子であって、該発
    現系は、本質的に、請求項9に記載のヌクレオチド配列の発現のための制御配列
    に作動可能に連結された、請求項9に記載のヌクレオチド配列からなる、DNA
    またはRNA分子。
  11. 【請求項11】 請求項10のDNAまたはRNA分子を含有するように改
    変された組換え宿主細胞。
  12. 【請求項12】 システインと比較してホモシステインに対して高度な特異
    性を有するホモシステイナーゼを調製する方法であって、該方法は、該ホモシス
    テイナーゼが産生される条件下で、請求項11に記載の細胞を培養する工程を包
    含する、方法。
  13. 【請求項13】 試料中の硫化水素のレベルを決定するための改良方法であ
    って、該方法は、該試料中の任意の硫化水素とN,N−ジアルキルフェニレンジ
    アミンおよび酸化剤とを反応させ、発色錯体を得る工程を包含し、ここで改良点
    として、該錯体によって放射される蛍光を測定する工程を包含する、方法。
  14. 【請求項14】 前記硫化水素を、システインおよび/またはホモシステイ
    ンの分解によって産生される、請求項13に記載の改良方法。
  15. 【請求項15】 前記N,N−ジアルキルフェニレンジアミンが、N,N−
    ジ−n−ジブチルフェニレンジアミンである、請求項13に記載の改良方法。
  16. 【請求項16】 第1部分および第2部分に分割された、試料中のホモシス
    テインおよび/またはシステインを測定する方法であって、該方法は、以下: ある量のS−アデノシルホモシステインヒドロラーゼ(SAHH)およびある
    量のアデノシンを用いて、該第1部分を処理して、該第1部分中の任意のホモシ
    ステインをS−アデノシルホモシステイン(SAH)に変換する工程; 該第1部分および第2部分中の任意のシステインおよび任意のホモシステイン
    を硫化水素を含む産物に変換するのに有効なホモシステイナーゼ酵素を用いて、
    該試料の該第1部分および第2部分を処理する工程;ならびに 該第1部分および第2部分中で産生される硫化水素を測定する工程、を包含し
    、 ここで、該第1部分中の硫化水素のレベルは、システインによって産生される
    硫化水素を表し、そしてここで、該第2部分中で産生される硫化水素のレベルは
    、ホモシステインおよびシステインの両方によって産生される硫化水素を表す、
    方法。
  17. 【請求項17】 システインと比較してホモシステインに対して所望の程度
    の特異性を有するホモシステイナーゼをコードするヌクレオチド配列を同定する
    ための方法であって、該方法は、以下: 候補ホモシステイナーゼのための発現系を含むように改変された細胞のコロニ
    ーの、一致する第1培養物および第2培養物を培養する工程; 該第1培養物を所定の濃度のホモシステインと接触させる工程; 該第2培養物を所定の濃度のシステインと接触させる工程; 所定の時間、該培養物をインキュベートする工程;および 各々の該培養物中の硫化水素のレベルを測定する工程、を包含し、 ここで、各々の該培養物中で産生される硫化水素のレベルは、該培養による、
    ホモシステインまたはシステインの硫化水素への変換レベルを示す、 方法。
  18. 【請求項18】 ヌクレオチド配列をコードする前記候補ホモシステイナー
    ゼが、天然に存在するホモシステイナーゼの変異によって産生される、請求項1
    7に記載の方法。
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