JP2003502341A - 白血病阻害因子に由来するレトロ−インベルソなペプチド - Google Patents
白血病阻害因子に由来するレトロ−インベルソなペプチドInfo
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Abstract
Description
ro−inverso)なペプチドに関する。当該ペプチドは、天然の親タンパ
ク質と類似した活性、及びまた神経栄養活性を有する。
免疫及び炎症応答を仲介及び制御するために働くタンパク質である。サイトカイ
ンは、その他のポリペプチドホルモンと同様に、標的細胞の表面上の特異的受容
体との結合により、その作用を開始する。最も良く知られているサイトカインフ
ァミリーの1つは自然免疫を仲介するインターロイキンである。インターロイキ
ンの構造及び機能の詳細に関して、Abbas et al. Cellular and Molecular Immu
nology, W.B. Saunders Company, Philadelphia, pp. 225-243, 1991を参照され
たい。
命名された白血病阻害因子(LIF)は、IL−6、オンコスタチンM、毛様体
神経栄養因子(CNTF)及びカルジオトロフィン−1を含むリガンドファミリ
ーの一員である(Gearing, Adv. Immunol. 53 : 31-58, 1993; Pennica et al.,
J. Biol. Chem. 270 : 10915-10922, 1995; Patterson, Proc. Natl. Acad. Sc
i. U.S.A. 91 : 7833-7835, 1994)。これらのサイトカインは、非常に限られた
配列相同性しか有さないが、種々の組織に対して非常に類似した効果を発揮する
。例えば、LIFを含むいくつかの前記タンパク質は、肝臓において同一セット
の急性相応答タンパク質を誘導し、培養した胚幹細胞の自律再生を支援し、脂質
生合成を阻害し、そして培養した運動神経細胞の生存を促進することができる。
LIFは、種々の細胞群、例えばマクロファージ、滑膜細胞及び軟骨細胞により
生産される。インビボで末梢神経に適用した場合、LIFは、逆方向性に輸送さ
れ、そして損傷した感覚神経細胞を助ける(Hendry et al., J. Neurosci. 12 :
3427-3434, 1992; Cheema et al., J. Neurosci. Res. 37 : 213-218, 1994)。
LIFはまた骨芽細胞及び内皮細胞の増殖及び分化を制御する。排卵期あたりで
小胞内液のLIFレベルが増加することは、LIFが、排卵、初期胚発生及び着
床において役割を果しうることを示す(Senturk et al., Am. J. Reprod. Immun
ol. 39 : 144-151, 1998; Stewart, Annals N.Y. Acad. Sci. 157-165)。
続及び/又は機能に影響することができるタンパク質又はペプチドである(Bard
e, Neuron, 2 : 1525-1534, 1989)。インビボ及びインビトロの両方でのニュー
ロトロフィンの効果は十分に報告されている。例えば、毛様体神経栄養因子(C
NTF)は、インビトロでニワトリ胚の毛様体神経節の生存を促進し、そして培
養した交感神経細胞、感覚神経細胞及び脊髄運動神経細胞の生存を支援する(Ip
et al., J. Physiol. Paris, 85 : 123-130, 1991)。
質分解を受けやすいことである。レトロ−インベルソなペプチドとは、その配列
方向が反対であり(レトロ)、かつ各アミノ酸のキラリティー、D又はLが逆で
ある(インベルソ)線状ペプチドの異性体のことである。いくつかのペプチド結
合だけが反対方向であり、かつその反対方向部分のアミノ酸残基のキラリティー
が逆であるという、部分的に改変された線状ペプチドの異性体もまた存在する。
この様なペプチドの主な利点は、タンパク質分解に対する耐性の増加により、イ
ンビボでの活性が強化されることである(論説として、Chorev et al., Trends
Biotech., 13 : 438-445, 1995)。この様なレトロ−インベルソなアナログは、
代謝安定性の増加を示すが、その生物活性はしばしば大きく低下する(Guichard
et al., Proc. Natl. Acad, Sci. U.S.A., 91 : 9765-9769, 1994)。
−Phe4 のアミド結合が改変された線状及び環状ロイ−エンケファリンアナロ
グは、天然ロイ−エンケファリンの6〜14%の活性を有することを決定した。
Chorevら(前出)は、ビトロネクチンとその受容体との結合を阻害するペプチド
のレトロ−インベルソ化により、親異性体よりも50000倍低い活性を示す1
つのペプチド、及び親の環状ペプチドよりも4000倍高い活性を有するもう1
つのペプチドが得られたことを示した。Guichardら(TIBTECH 14, 1996)は、レ
トロ−インベルソ(全てD−レトロ)体の抗原擬態は、ランダムコイル、ループ
又は環状構造のペプチドにおいてのみ起こりうることを述べている。「らせん形
の」ペプチドの場合、抗原擬態を評価するために用いた溶媒条件下で、そのらせ
ん性が事実上無くなる場合にのみ、適切で機能的な擬態が期待されるであろう。 LIF由来であり、かつ神経栄養活性を有するペプチドであって、代謝安定性
が増加しているが、生物学的な活性が保持されている前記ペプチドが求められて
いる。本発明は、この要求を解決する。
に示す配列を含んでいる、単離されたレトロ−インベルソなペプチドである。一
つの好ましい態様では、当該配列内の少くとも1つの塩基性荷電アミノ酸を、異
なる塩基性荷電アミノ酸により置換する。別の好ましい態様では、前記配列内の
少くとも1つの酸性荷電アミノ酸を、異なる酸性荷電アミノ酸により置換する。
有利には、前記配列内の少くとも1つの非極性アミノ酸を、異なる非極性アミノ
酸により置換する。好ましくは、当該配列内の少くとも1つの非荷電アミノ酸を
異なる非荷電アミノ酸により置換する。別の好ましい態様では、前記配列内の少
くとも1つの芳香族アミノ酸を、異なる芳香族アミノ酸により置換する。有利に
は、当該ペプチドを、そのアミノ末端、カルボキシ末端、又はそれらの両末端で
、CH3 CO,CH3 (CH2 )n CO,C6 H5 CH2 CO及びH2 N(CH 2 )n CO、ただしn=1〜10、から成る群から独立に選択される部分により
修飾する。好ましくは、当該ペプチドをグリコシル化する。別の好ましい態様で
は、当該ペプチドの1又は複数のアミド結合を還元する。好ましくは、前記ペプ
チドの1又は複数の窒素をメチル化する。更に別の好ましい態様では、当該ペプ
チドの1又は複数のカルボン酸基をエステル化する。好ましくは、当該ペプチド
は、配列番号1のアミノ酸配列を有する。
配列を含んでいるレトロ−インベルソなペプチド、及び医薬上容認される担体を
含んでなる組成物である。 本発明はまた、その必要のある哺乳動物において神経突起の成長又はミエリン
形成を促進するための方法を提供する。この方法は、18〜約40個のアミノ酸
を有し、かつ配列番号1の配列を含んでいるペプチドを含んでなる組成物を、有
効量、すなわち神経突起の成長又はミエリン形成を促進する量で、その哺乳動物
に投与する過程を含んでなる。好ましくは、当該ペプチドは配列番号1のアミノ
酸配列を有する。有利には、当該哺乳動物は人間である。1つの好ましい態様で
は、当該投与過程は、直接的な局所注射、全身性、頭蓋内、脳脊髄内、局所的又
は経口投与である。
エリン形成を促進する際に用いるための、18〜約40個のアミノ酸を有し、か
つ配列番号1の配列を含んでいるレトロ−インベルソなペプチドである。好まし
くは、当該ペプチドは配列番号1のアミノ酸配列を有する。有利には、当該哺乳
動物は人間である。 本発明はまた、その必要のある哺乳動物において神経突起の成長又はミエリン
形成を促進するための薬剤を調製するための、18〜約40個のアミノ酸を有し
、かつ配列番号1の配列を含んでいるレトロ−インベルソなペプチドの使用を提
供する。配列番号1のアミノ酸配列を有する請求項21のペプチドが有益である
。好ましくは、当該哺乳動物は人間である。
なペプチドであって、天然のLIFに類似する効果、例えば骨芽細胞及び内皮細
胞の増殖及び分化の制御、を仲介する前記ペプチドを提供する。前記の用語「由
来する」とは、当該ペプチドが、インターロイキン6の活性領域又は下記に定義
する通りのそのアナログを含んでいることを意味する。これらのRIなLIF由
来ペプチドは、肝臓による急性相応答タンパク質の生産を誘導し、培養した胚幹
細胞の自己再生を支援し、脂質生合成を阻害し、培養した運動神経細胞の生存を
促進し、そして骨芽細胞及び内皮細胞の増殖及び分化を制御する。ある特定のL
IF由来レトロ−インベルソなペプチドにおける、その親ペプチドに類似する効
果を仲介する能力は、標準的なLIF検査、例えば実施例10に記載した検査に
より、当業者により決定することができる。
による、損傷による、虚血による、変性による傷害、及び遺伝性の傷害の後の機
能回復を促進することにおいて治療的に適用される。これらのペプチドはまた、
ミエリン形成の増加を促進するために、及び脱髄性疾患の効果を打ち消すために
有用である。任意のこの様なペプチドにおける、神経突起の成長及びミエリン形
成を刺激する能力、及び神経細胞死を抑制する能力は、実施例1〜9に記載の方
法により、当業者により容易に決定することができる。これらのペプチドの使用
は、それらが、天然又は組換えのサイトカインのいずれよりも安定であり、かつ
合成しやすいので、種々の疾患の治療を促進するであろう。
ク質を表1に示す。その対応する天然の(レトロ−インベルソでない)ペプチド
は米国特許5,700,909に開示されている。 表1 ──────────────────────────────── タンパク質名 配列 配列番号 ヒトLIF YTAQGEPFPNNVEKLCAP 1 ────────────────────────────────
と同じ活性を有し、かつまた神経栄養的及びミエリン栄養的な活性を有する。本
発明の一つの態様は、分化した、又は未分化の神経細胞の神経突起の成長を促進
する方法であり、この方法は、12〜約40個のアミノ酸を有し、かつ配列番号
1に示すRIなLIF由来ペプチドを含んでいるRIなペプチド、又は同様の活
性を有するそのアナログを、有効量、すなわち神経突起の成長を促進する量で、
その細胞に投与することによる。前記のアナログには、例えば、当該ペプチド内
で、1又は複数のリシン及び/又はアルギニン残基を、アラニン又は別のアミノ
酸で置換したもの;1又は複数のリシン及び/又はアルギニン残基を欠失したも
の;1又は複数のチロシン及び/又はフェニルアラニン残基を置換したもの、1
又は複数のフェニルアラニン残基を欠失したもの、及び、1又は複数のアミノ酸
を保存的置換したものが含まれる。リシン/アルギニン及びチロシン/フェニル
アラニン残基の置換又は欠失は、各々、トリプシン及びキモトリプシンによるペ
プチド分解の感受性を低下させるだろう。
欠失も考えられる。保存的アミノ酸置換が考えられる。この様な置換は、例えば
、側鎖の化学的性質において関連のあるアミノ酸群の中で行なわれる置換である
。アミノ酸群には、塩基性荷電アミノ酸(リシン、アルギニン、ヒスチジン);
酸性荷電アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸);非極性アミノ酸(アラニ
ン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニ
ン、トリプトファン);非荷電極性アミノ酸(グリシン、アスパラギン、グルタ
ミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン);及び、芳香族アミノ酸(
フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン)が含まれる。特には、イソロイ
シン又はバリンによるロイシンの、グルタミン酸によるアスパラギン酸の、又は
セリンによるスレオニンの単独置換からなる保存的アミノ酸置換、あるいは構造
的に関連するアミノ酸によるあるアミノ酸の同様な保存的置換は、当該ペプチド
の特性に重大な影響を与えないであろうことが一般的に容認されている。配列番
号1の配列、あるいは挿入、欠失又は置換を有するその配列を含んでなる任意の
RIなペプチドにおける、神経突起の成長、ミエリン形成を促進し、脱髄を抑制
回復し、そして神経細胞死を抑制する能力を、下記実施例に示す検査により決定
することができる。
門を通過する能力を改善するであろう。その様な修飾の一つは、アミド結合を作
るための、脂肪族又は芳香族の酸の誘導体による脂肪族アミノ末端修飾である。
前記誘導体には、例えば、CH3 CO,CH3 (CH2 )n CO(n=1〜10
),C6 H5 CH2 CO,H2 N−(CH2 )n CO(n=1〜10)が含まれ
る。別の修飾は、アミド/エステル結合を介して当該ペプチドに連結される脂肪
族又は芳香族のアミン/アルコールの誘導体によるカルボキシ末端の修飾である
。この様な誘導体には前記に列挙したものが含まれる。当該ペプチドはまた、ア
ミノ末端及びカルボキシ末端の両修飾を有してもよく、その場合、当該誘導体は
、前記に列挙したものの中から独立に選択される。当該ペプチドはグリコシル化
されてもよく、ここでは、アルファアミノ基又はD−Asnのいずれか、あるい
は両方がグルコース又はガラクトースにより修飾される。別の考えられる修飾で
は、選択した骨格のアミド結合を還元する(−NH−CH2 )。その他の修飾に
は、アミド結合内の選択された窒素のN−メチル化、及び当該ペプチド内の酸の
基の少くとも一つを芳香族又は脂肪族エステルとして修飾するというエステル化
が含まれる。前記修飾の任意の組み合せもまた考えられる。
のRIなペプチドの典型的な最小量は、通常、少くとも約5ng/mlである。イン
ビトロでの使用のためには、この量又はそれ以上の量の本発明のRIなペプチド
が考えられる。典型的には、0.1g/ml〜約10g/mlの濃度の当該ペプチド
が用いられるだろう。ある特定の組織における有効量を、実施例1に従って決定
することができる。
ロ又はエキソビボで処理することができる。これを、例えば、その特定の細胞タ
イプに適する増殖培地中で細胞を培養し、次に当該ペプチドをその培地に添加す
ることにより行うことができる。処置する細胞がインビボであり、典型的には脊
椎動物、好ましくは哺乳動物内である場合、当該組成物を、いくつかの方法によ
り投与することができる。最も好ましくは、当該組成物を、希望する局所ペプチ
ド濃度を得るために十分な量で血液中に直接注射する。これらのRIなペプチド
は、そのDペプチド結合のために、インビボでより長く存在する。リシン及びア
ルギニン残査を欠失したペプチドでは、そのタンパク質分解が低下する。より小
さなペプチド(すなわち50アミノ酸以下)は、中枢神経系疾患の治療のために
、最も良く脳血液関門を通過し、そして中枢神経系に進入するであろう(Banks
et al., Peptides, 13 : 1289-1294, 1992)。
に十分な量で、頭蓋内への、又は脳脊髄液への直接的な注射を行ってもよい。両
方の場合で、医薬上容認される注射可能な担体が用いられる。この様な担体には
、例えば、リン酸緩衝食塩水及びリンガー溶液が含まれる。あるいは、当該組成
物を、直接的な局所注射により、又は全身性の投与により、末梢神経組織に投与
することができる。種々の伝統的な投与方法、例えば静脈内、肺内、筋肉内、皮
内、皮下、頭蓋内、硬膜上、硬膜下腔内、局所的、及び経口投与、が考えられる
。
投与剤として、患者に一日に投与される用量に相当する投与量で、あるいは調節
的に放出される組成物として投与することができる。PBS溶液又は凍結乾燥品
のいずれかの形で、当該活性成分の一日の投与量を含んでいる無菌的に密封され
たバイアルは、単位投与剤の一つの例である。好ましい態様では、LIFにより
誘導される行程の促進、神経変性疾患又は脱髄疾患の治療のために必要な、脊椎
動物の体重に基づく、本発明のRIなペプチドの一日の全身投与量は、約0.0
1〜約10000g/kgの範囲である。より好ましくは、一日全身投与量は約0
.1〜1000g/kgである。最も好ましくは、一日全身投与量は約10〜10
0g/kgである。局所投与剤の一日投与量はほぼ一ケタ少ないであろう。胃腸系
におけるタンパク質分解に対する当該ペプチドの耐性のために、経口投与は特に
好ましい。
神経細胞に局所的に投与する。例えば、ポリ乳酸、ポリガラクチック(polygala
ctic)酸、再生コラーゲン、多薄層性リポソーム及びその他の多くの慣習的な滞
留性製剤は、生物学的に活性な神経栄養ペプチド組成物と共に調合することので
きる生物侵食性又は生物分解性物質を含んでなる。これらの物質は、移植される
と、徐々に分解され、そして活性物質が周囲の組織に放出される。本発明では、
生物侵食性、生物分解性及びその他の滞留性製剤が明かに考えられる。注入ポン
プ、マトリックス捕捉系、及び経皮的供給装置との組み合せもまた考えられる。
当該ペプチドを、移植の前に、米国特許5,529,914に記載の通りに、ポ
リエチレングリコールによる構造皮膜内に封入することもできる。
もできる。リポソーム封入技術は周知である。リポソームを、特定の組織に、例
えば神経組織に、その標的組織に結合できる受容体、リガンド又は抗体の使用を
介して、標的指向的に供給することができる。これらの組成物の調製は当分野に
周知である(Radin et al., Meth. Enzymol., 98 : 613-618, 1983)。
な医薬は存在しない。これは、中枢神経系において特に当てはまる。当該神経栄
養因子の使用を介した末梢神経の再生は、本発明の範囲に含まれる。更に、脳内
の神経群又は特定の領域の変性に関係する神経変性疾患の治療において、神経栄
養因子を治療的に用いることができる。パーキンソン病の主原因は、黒質のドー
パミン性神経細胞の変性である。抗プロサポシン(prosaposin)抗体
は、人間の脳切片において黒質のドーパミン性神経細胞を免疫組織化学的に染色
することができるので、パーキンソン病の治療において、本発明のRIなペプチ
ドは治療上有用であろう。高齢者において視覚喪失を招く眼の神経変性疾患であ
る網膜神経障害もまた、本発明のRIなペプチドにより治療されうる。
到達するために、それを大脳内に投与するべきであろうと信じられていた。米国
特許5,571,787は、サポシン(saposin)Cに由来する神経栄養
性の18量体断片のヨード化物が脳血液関門を通過することを開示している。従
って、約22個以下のアミノ酸を有するRIなペプチドもまたこの関門を通過す
るであろう。従ってそれを静脈内に投与することができる。その他の神経細胞群
、例えば運動神経細胞を、静脈内注射によっても処置することができる。ただし
、代りの経路として、脳脊髄液への直接的な注射も考えられる。
するために、又は脱髄を抑制するために細胞を処置することができる。神経線維
の脱髄に至る疾患、例えば、MS、急性流行性白質脳炎、脳及び/又は脊髄への
外傷、進行性多病巣性白質脳炎、異染性白質萎縮症、副腎性白質萎縮症、及び未
成熟乳児における白質発達障害(脳室周囲の白質軟化症)を、当該疾患にかかっ
た細胞に、本発明の神経栄養性ペプチドを投与することにより、遅延又は停止す
ることができる。
己再生を支援するために、培養した運動神経細胞の生存を促進するために、そし
て神経栄養因子及びミエリン促進性物質の効果を決定するために用いることもで
きる。しかし、より実際的には、それらは、インビトロで増殖を促進するために
、そして神経細胞及び幹細胞を維持するために、研究試薬及び細胞増殖用培地の
成分として即座に有用である。 本発明のペプチドを、当分野に周知の自動固相方法により合成する。全てのペ
プチドを、使用する前に、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により、
約95%超の程度にまで精製する。
中で培養する。トリプシンにより細胞を取り出し、そして30mmペトリ皿内のカ
バーガラス上にまく。20〜24時間後、その培地を、0.5%FCSと、0,
0.5,1,2,4又は8ng/mlの、18〜約40個のアミノ酸を有し、かつ配
列番号1の配列を含んでいるRIなペプチドとを含有する2mlのDMEMにより
置換する。細胞を更に24時間培養し、PBSで洗浄し、そしてBouin溶液
(飽和水性ピクリン酸/ホルマリン/酢酸15:5:1)により30分間固定し
た。固定液をPBSにより取り除き、そして位相差顕微鏡下で神経突起の成長を
評価した。細胞の直径に等しいか、又はそれより長い明確に特定される神経突起
を1又は複数個有する細胞を陽性と評価した。神経突起を有する細胞の割合を決
定するために、各皿の異なる部分で、少くとも200個の細胞を評価した。検査
を2回ずつ行った。
40個のアミノ酸を有し、かつ配列番号1の配列を含んでいるRIなペプチドの
存在下又は非存在下で、0.5%ウシ胎児血清中で2日間、カバーグラス上で培
養する。培地を取り除き、そして各ウエルに、0.2%トリパンブルー/PBS
を加える。倒立顕微鏡上で、各ウエル上の4つの領域において400個の細胞を
計数することにより、青色に染色されている死亡した細胞を、総数に対する割合
として評価する。2回測定の平均誤差は5%であった。
25 : 1267-1282, 1994 の記載通りに、感覚神経細胞を調製した。神経細胞を、
0.5ng/mlの、18〜約40個のアミノ酸を有し、かつ配列番号1の配列を含
んでいるRIなペプチドにより処理する。処理の3日後に、ミクロメーター格子
上で、最長の神経突起の長さを測定する。RIなペプチドにより処理した神経細
胞における最長の神経突起は、コントロール(非RI)ペプチドにより処理した
細胞又は未処理のコントロール細胞に比べて約3倍長い。処理の48時間後には
、多数の枝分れが認められるという点で、全ての細胞は、神経成長因子(NGF
)に対するのと同様に応答する。これらの結果は、当該LIF由来ペプチドが感
覚神経細胞の分化を促進することを意味する。
ラットモデルである。ラットでは、外来タンパク質(モルモット脊髄)の注射に
よりEAEが誘発され、その結果、11日後に、白質の炎症と脱髄が生じる。こ
の脱髄症は、活発に脱髄が起きる人間のMS損傷に見られるものに似ている(Li
u et al., Multiple Sclerosis 1 : 2-9, 1995)。 Lewis系ラットにおいて、モルモットの脊髄及び完全フロイントアジュバ
ント(CFA)の乳濁液を注射することにより、EAEを誘導する。14日目に
、衰弱が明白になってから、18〜約40個のアミノ酸を有し、かつ配列番号1
の配列を含んでいるRIなペプチドによる処置を開始し(筋肉内に200g/kg
)、そして8日間毎日この処置を続ける。6匹のラットには担体のみを注射する
。筋肉の衰弱の測定として、歩幅の長さを14日目及び22日目に評価する。更
に、22日目に、脊髄において1mm2 あたりの脱髄損傷(斑)の数と大きさを評
価する。最後に、22日目に、ミエリン分解のマーカーとして、脳内のコレステ
ロールエステルの量を評価する。
来ペプチドにより処置した動物は正常に回復し、一方担体により処置した動物は
回復しない。ペプチド処置群の脳において、コレステロールエステル含量の有意
な低下が認められる。更に、LIF由来ペプチドによる10日間の処置後には、
脊髄の損傷数は有意に低下する。最後に、損傷の平均サイズは有意に低下する。
コントロール動物と実験動物との間で、体重の喪失の差はない。これらの結果は
、LIF由来ペプチドによる全身的処置の後における、臨床上、生化学上、及び
形態学上有意なEAEの回復を示す。この作用は、ミエリン修復に対して直接的
に作用しない現在のMS薬剤の抗炎症性効果とは異なる。
って調製する。その培養において22日間、神経突起の成長及びミエリン形成を
観察する。その間には、その新生マウスの小脳は正常に神経細胞分化及びミエリ
ン形成を開始する。18〜約40個のアミノ酸を有し、かつ配列番号1の配列を
含んでいるRIなペプチドを、その外植試料を調製した後2日目に加え(3つの
コントロール及び3つの処置外植試料)、そしてビデオカメラ付きの明視野顕微
鏡下で、神経突起の成長及びミエリン形成を評価する。約1〜10g/mlの濃度
のサポシンCを、ポジティブコントロールとして用いる。LIF由来ペプチドに
より、サポシンCの場合と同程度にミエリン形成が刺激される。 あるいは、下記の通りに、ミエリンに限局するスルホ脂質への35Sの取り込み
により、ミエリン形成を検査してもよい。
FBS)を含有する低硫酸培地(DMEM)中でインキュベーションし、次に、 35 Sメチオニン、及び18〜約40個のアミノ酸を有し、かつ配列番号1の配列
を含んでいるRIなペプチドを48時間添加する。サポシンCをポジティブコン
トロールとして用いる。細胞をPBSによりリンスし、採取し、そして100l
の蒸留水中で超音波処理する。タンパク質分析のため、一定量の細胞溶解液を取
り出し、そして残りを、5mlのクロロホルム/メタノール(2:1、v/v)に
より抽出する。Hiraiwa et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94 : 4778-47
81の記載通りに、脂質抽出物をクロマトグラフィーにかけ、そして抗スルファチ
ドモノクローナル抗体により免疫染色する。ペプチド及びサポシンCの処置後に
、同様な量のスルファチドが認められる。
40個のアミノ酸を有し、かつ配列番号1の配列を含んでいるRIなペプチドを
、無菌塩水溶液の形で全身性の注射により、又は滞留形で与える。感覚神経又は
運動神経の機能の増加(すなわち四肢の運動性の向上)により、改善の程度を評
価する。更なる改善が認められなくなるまで、治療を続ける。
、かつ配列番号1の配列を含んでいるRIなペプチドを、実施例8の記載と同一
の投与量を用いて、全身性の注射により与える。投与を毎日又は毎週繰り返し、
そして筋肉の強さ、筋骨格の協調及びミエリン形成(MRIにより決定する)の
向上を観察する。慢性的に再発するMSを有する患者を、次の再発が起きる時に
、同様な方法で治療する。
ペプチドにおけるLIF活性を、培養したTF−1細胞(ATCC)とのインキ
ュベーションにより、そしてTF−1細胞の増殖の測定により検査する。TF−
1細胞はヒトのT細胞であり、コロニー刺激因子(CSF)の存在下でのその増
殖がLIFに応答して阻害される。供給(feeding)の2〜3日後にTF
−1細胞を洗浄し、そして5%FCSを含有するRPMI1640中に1×10 6 細胞/mlの最終濃度に再懸濁する。LIFによる基準の滴定を容量100l中
で3回ずつ行う。その基準の滴定を1ng/mlから開始し、そして0.1pg/mlま
で連続的に2倍ずつ希釈する。RIなLIF由来ペプチドの適当な希釈を、容量
100l中で3回ずつ行う。培地単独を、ネガティブコントロールとして用いる
。
CO2 インキュベーター内で37℃で約44時間インキュベーションする。トリ
チウム化したチミジン(0.5Ci)を各ウエルに加え、そしてそのプレートを
約4時間インキュベーションする。各ウエルの内容物をフィルターマット上に採
取し、そして液体シンチレーション計数により放射性標識の量を決定する。吸光
度対基準濃度の標準曲線をプロットする。その標準曲線との比較により、RIな
LIF由来ペプチドのLIF活性を推定する。
発明の意図を保持するいずれの態様も、本発明の範囲に含まれる。しかし、本発
明は特許請求の範囲によってのみ限定される。
Claims (23)
- 【請求項1】 18〜約40個のアミノ酸を有する単離されたレトロ−イン
ベルソなペプチドであって、配列番号1に示す配列を含んでいる前記ペプチド。 - 【請求項2】 前記配列内の少くとも1つの塩基性荷電アミノ酸が、異なる
塩基性荷電アミノ酸により置換されている、請求項1のペプチド。 - 【請求項3】 前記配列内の少くとも1つの酸性荷電アミノ酸が、異なる酸
性荷電アミノ酸により置換されている、請求項1又は2のペプチド。 - 【請求項4】 前記配列内の少くとも1つの非極性アミノ酸が、異なる非極
性アミノ酸により置換されている、請求項1〜3のいずれかのペプチド。 - 【請求項5】 前記配列内の少くとも1つの非荷電アミノ酸が、異なる非荷
電アミノ酸により置換されている、請求項1〜4のいずれかのペプチド。 - 【請求項6】 前記配列内の少くとも1つの芳香族アミノ酸が、異なる芳香
族アミノ酸により置換されている、請求項1〜5のいずれかのペプチド。 - 【請求項7】 前記ペプチドが、そのアミノ末端で、カルボキシ末端で、又
はアミノ末端及びカルボキシ末端の両方で、CH3 CO,CH3 (CH2 )n C
O,C6 H5 CH2 CO及びH2 N(CH2 )n CO、ただしn=1〜10、か
ら成る群から独立に選択された部分により修飾されている、請求項1〜6のいず
れかのペプチド。 - 【請求項8】 前記ペプチドがグリコシル化されている、請求項1〜7のい
ずれかのペプチド。 - 【請求項9】 前記ペプチド内の1又は複数のアミド結合が還元されている
、請求項1〜8のいずれかのペプチド。 - 【請求項10】 前記ペプチド内の1又は複数の窒素がメチル化されている
、請求項1〜9のいずれかのペプチド。 - 【請求項11】 前記ペプチド内の1又は複数のカルボン酸基がエステル化
されている、請求項1〜10のいずれかのペプチド。 - 【請求項12】 前記ペプチドが、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する
、請求項1〜11のいずれかのペプチド。 - 【請求項13】 18〜約40個のアミノ酸を有し、かつ配列番号1に示す
配列を含んでいるレトロ−インベルソなペプチド、及び医薬上容認される担体を
含んでなる組成物。 - 【請求項14】 その必要のある哺乳動物において神経突起の成長又はミエ
リン形成を促進するための方法であって、神経突起の成長又はミエリン形成を促
進するために有効な量の、18〜約40個のアミノ酸を有し、かつ配列番号1に
示す配列を含んでいるレトロ−インベルソなペプチドを含んでなる組成物を前記
哺乳動物に投与する過程を含んでなる、前記方法。 - 【請求項15】 前記ペプチドが、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する
、請求項14の方法。 - 【請求項16】 前記哺乳動物が人間である、請求項14又は15の方法。
- 【請求項17】 前記の投与過程が、直接的な局所注射、全身性、頭蓋内、
脳脊髄内、局所及び経口投与からなる群から選択される、請求項14〜16のい
ずれかの方法。 - 【請求項18】 その必要のある哺乳動物において神経突起の成長又はミエ
リン形成を促進する際に用いるための、18〜約40個のアミノ酸を有し、かつ
配列番号1に示す配列を含んでいるレトロ−インベルソなペプチド。 - 【請求項19】 前記ペプチドが、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する
、請求項18のペプチド。 - 【請求項20】 前記哺乳動物が人間である、請求項18又は19のペプチ
ド。 - 【請求項21】 その必要のある哺乳動物において神経突起の成長又はミエ
リン形成を促進するための薬物を調製することにおける、18〜約40個のアミ
ノ酸を有し、かつ配列番号1に示す配列を含んでいるレトロ−インベルソなペプ
チドの使用。 - 【請求項22】 前記ペプチドが、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する
、請求項21のペプチド。 - 【請求項23】 前記哺乳動物が人間である、請求項21又は22のペプチ
ド。
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