JP2003501639A - 横断電気泳動および等電点電気泳動法のための微小流体デバイス - Google Patents

横断電気泳動および等電点電気泳動法のための微小流体デバイス

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JP2003501639A JP2001501373A JP2001501373A JP2003501639A JP 2003501639 A JP2003501639 A JP 2003501639A JP 2001501373 A JP2001501373 A JP 2001501373A JP 2001501373 A JP2001501373 A JP 2001501373A JP 2003501639 A JP2003501639 A JP 2003501639A
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キャサリン アール. キャブレラ,
アンドリュー イー. カムホルズ,
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Abstract

(57)【要約】 第一の選択された電気泳動移動度または等電点を有する粒子を、少なくとも1つの他の選択された電気泳動移動度または等電点を有する粒子を含む流体から分離するための、デバイスおよび方法が提供される。このデバイスは、流体を微小チャネルへと導入するための入口を備える、微小チャネル;微小チャネルのいずれかの側に、選択された電圧を印加して微小チャネルの長さに対して垂直に微小チャネルを横切って電場を発生させるための、電極;および濃縮された濃度の各型の粒子を含む流体の出口部分を受容するよう配置された、微小チャネルの出口を備える。このデバイスは、粒子の検出、定量、分離、混合、希釈、および濃縮のために、使用され得る。電気泳動タグを使用して、変化した電気泳動移動度および/または等電点を有する粒子を提供し得る。細胞または生物の内部粒子が、これらのデバイスおよび方法によって、放出、分離、および検出され得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (背景) 分析計装の微小作製および小型化(Fintschenko,Y.およびVa
n den Berg,A.J.Chromatogr.,A 1998、81
9、3〜12.;Qin,D.;Xia、ら、Microsystem Tec
hnology In Chemistry And Life Scienc
e 1998、194、1〜20)は、ここ10年間の間、広範囲に研究されて
きた。このような微小加工されたシステムは、従来の分析システムと比較して、
サンプル消費量の少なさ、デバイスの低コスト性ならびに生成される廃棄物の少
なさおよび分析時間の短さのように、多くの利点を有する(Qin,D.;Xi
aら、Microsystem Technology In Chemist
ry And Life Science 1998、194、1〜20;Br
ody,Jら、Biophysical Journal 1996、71、3
430〜41;Brody,J.およびYager,P.、Sensors a
nd Actuators A(Physical)1997、A58、13〜
8;Hofmann,O.ら、Anal.Chem.1999、71、678〜
686;Rossier,J.S,ら、Electrophoresis 19
99、20、727〜731)。これらのデバイスは、生化学研究、臨床化学研
究、農芸化学研究などの分野のプロセスに有用である。微小流体技術の有用性を
向上させるためには、これらのデバイスを、「現実の」サンプルで機能するよう
に設計しなければならない。微小流体のデバイスを血液または空気サンプラから
の出力等のサンプルとともに用いる場合、大型の粒子または凝集体によって微小
チャネルが妨害されることが有意な問題となる。適切な設計のシステムを事前調
整しておくと、デバイスが妨害されるのを回避し、他の無関係な化合物からの干
渉も他の無関係な粒子からの干渉も受けることなく対象分析物を確実に検出し、
かつ、分析物濃縮を向上させることが可能となる。
【0002】 サンプル事前調整微小流体システムは、超小型電子機械システム(MEMS)
技術を用いて、シリコンで作製されつつある。PCR等の風媒細菌因子検出デバ
イスの特定の構成要素は小型化されているものの、化学的測定を行う前に現実の
状態からサンプルストリームを連続的に精製および濃縮するために必要な巨視的
サンプル調製方法は未だ小型化されていない。
【0003】 微小流体のデバイスおよび方法についての開示が、1999年8月3日に発行
された米国特許第5,932,100号と、1999年9月7日に発行された米
国特許第5,948,684号と、1998年3月10日に発行された米国特許
第5,726,404号と、1999年7月13日に発行された米国特許第5,
922,210号と、1998年2月10日に発行された米国特許第5,716
,852号と、1999年10月26日に発行された米国特許5,972,71
0号と、1998年5月5日に発行された米国特許第5,747,349号と、
1998年5月5日に発行された米国特許第5,748,827号と、1998
年3月10日に発行された米国特許第5,726,751号と、1999年11
月2日に発行された米国特許第5,974,867号と、1999年10月26
日に発行された米国特許第5,971,158号と、1998年12月28日に
発行された米国特許第6,007,775号と、1999年9月22日に出願さ
れた出願番号第09/404,454号と、2000年2月14日に出願された
出願番号第09/503,563号と、1997年9月26日に出願された出願
番号第08/938,584号と、1998年10月9日に出願された出願番号
第09/169,533号と、1999年11月25日に公開されたPCT公開
番号第W099/60397と、1999年4月8日に公開されたPCT公開番
号第W099/17119と、1998年10月1日に公開されたPCT公開番
号第W098/43066号とに記載されている。これらの文献全ての全体を、
参考のため本明細書と矛盾しない範囲まで援用する。生物学的用途に用いられる
他の微小流体のデバイスについて、以下の文献に開示がある:Corstjen
s,Hら、Electrophoresis 1996、17、137〜43;
Kopp,M.ら、Science 1998、280、1046〜8;Wei
gl,B.ら、Mikrochim Acta 1999、131、75〜83
;およびWeigl,B.;Yager,P.Science 1999、28
3、346〜7。
【0004】 微小規模デバイスにおける電気泳動の実行への研究の大半は、キャピラリー電
気泳動に集中していた(Kane,M.ら、Anal.Chim.Acta 1
999、383、157〜168;Effenhauser,C.S.ら、An
al.Chem.1997、69、3451〜3457;Li,P.C.H.お
よびHarrison,D.,J.Anal.Chem.1997、69、15
64〜1568)。キャピラリー電気泳動では、液体の流れる方向に平行に電場
を印加し、サンプルをバッチモードで処理する。それとは対称的に、本明細書中
に提示する方法およびデバイスでは、流れ方向に対して垂直方向に電場を印加し
、これにより、連続流れモードでの動作を可能にする工程を包含する。
【0005】 等電点電気泳動法(IEF)は通常は、生物学的サンプルの高解像度分析、特
に2−DゲルおよびキャピラリーIEFを用いたペプチドおよびタンパク質の分
析のために用いられることが多い(Righetti,P.;Bossi,A.
Anal Chim Acta 1998、372、1〜19;Rodrigu
ez−Diazら、Electrophoresis 1997、18、213
〜444)。IEFを調製用途に用いることは、あまり通常ではない。なぜなら
ば、この技術は他の多くの選択肢と比較して高コストであり、大量の電力と高コ
ストなキャリア両性電解質溶液とを必要とすることが多いからである(Evan
s,L.;Burns,M. Bio/Technology 1995、13
、46〜62)。生物学的用途に用いられるIEFデバイスのほとんど大半は、
キャリア両性電解質の不均一な混合物の電場中の移動または大型リザーバの酸性
緩衝剤およびアルカリ性緩衝剤の相互拡散を通じて、pH勾配を生成する(Ri
ghetti,P.;Bossi、A.Anal.Chin.Acta 199
8、372、1〜19)。両性電解質の複雑な混合物ではなく「天然の」緩衝剤
系を用いるという考え方が、多くの研究者によって研究されてきた(Nguye
n,N.ら、Anal.Biochem.1977、78、287〜94;Pr
estidge,R.およびHearn,M.,Anal.Biochem.1
979、97、95〜102;Slais,K.,J.Micro.Sep.1
993、5、Svensson,H.、Acta Chem Scand 19
61、15、325〜41)。しかし、公開されている方法のうち、pH勾配を
生成する際に加水分解の生成物のみに依存する方法は無いようである。流動IE
Fを実行する2つの一般的方法として、リサイクルIEF(Baygents,
J.ら、J.Chromatogr.A 1997、779、165〜83)と
、キャピラリーIEF(Harrison,D.ら、Science 1993
、261、895〜7;Jacobson,S.およびRamsey,M.、E
lectrophoresis 1995、16、481〜6)とがある。これ
らの方法はどちらとも、バッチモードで動作されなければならない。
【0006】 Giddingsらが最初に、微小流体サンプルの分画目的のために、流体流
れを横断する方向に電場を印加する考えを提案した(Caldwell,K.ら
、J.Science 1972、176、296〜8)。しかし、その電場の
想定用途は、電場流れの分画における選択力(EFFF)であり、放物線状の流
れプロファイル中の粒子の異なる位置に最終的に依存して分離を達成するバッチ
技術としてであった(Schure,M.ら、J.Anal Chem 198
3、58、1509〜16)。それ以来、他のいくつかのグループがこのアプロ
ーチについて研究し、タンパク質サンプルの混合物の分離(Chmelik,J
.およびThormann,W.,J.Chromatogr.1992、60
0。306〜311)、チトクロムCのフォーカシング(Chmelik,J.
およびThormann,W.、J.Chromatogr.1992、600
、297〜304)およびアルブミンの濃縮(Thormann,W.ら、J.
Chromatogr:1989、461、95〜101)を成功裏に実証した
。複数のタンパク質分離およびチトクロムCの研究の結果を、流体流れを無視す
る従来のIEFモデルと比較(Bier,M.ら、Science 1983、
219、1281〜7)したところ、定性的な一致が見られた。Chmelik
らは、代表的両性電解質としてフェノールレッドを用いたEFFFデバイス中に
おけるpH勾配形成に関する最初の研究結果を公開した(Chmelik,J.
J Chromatogr 1991、539、111〜21;Chmelik
,J.J Chromatogr 1991、545、349〜58)。関連す
る研究によって、EFFF用の微小流体電気化学的フローセルの開発が行なわれ
るようになり、このフローセルでは、本明細書中に提示するデバイスと同様に、
電極そのものがチャネル壁を形成した(Liu,G.およびGiddings,
J.、Anal Chem 1991、63、296〜9)。SPLITTセル
の場合と同様に、pH勾配は故意に形成されなかった。
【0007】 Giddingsらはその後、スプリットフローの肉薄のセル(SPLITT
セル)を用いた連続流動電気泳動バイナリ分離デバイスの考えを提示した。この
デバイスでは、電場は、流れを横断する方向にかけられた(Levin,S.ら
、J.Sep.Sci.Tech. 1989、24、1245〜59;Lev
in,S.、Isr J Chem 1990、30、257〜62;Fuh,
C.およびGiddings,J.、Sep Sci Tech 1997、3
2、2945〜67)。このデバイスは等電点に基づいて粒子を分離したが、こ
の分離は実際は電気泳動分離であり、緩衝度の高い系内においてその粒子は逆に
荷電される電極に移動し、出口の流れは2つに分割された。pH勾配は故意に形
成されなかった。上述したIEFデバイスの場合と同様に、この電気泳動SPL
ITTセルは、循環する電解質およびガス抜き構成要素のインサイチュ冷却を必
要とする。
【0008】 関連する研究により、電場の分画(EFFF)のための微小流体電気化学的フ
ローセルが開発されるようになった。このフローセルでは、本明細書中に提示す
る好適なデバイスと同様に、電極そのものがチャネル壁を形成する(Liu,G
.およびGiddings、J.、Anal.Chem.[1991]63:2
96〜9)。SPLITTセルの場合と同様に、pH勾配は故意に形成されなか
った。最近の刊行物では、このようなデバイスをEFFFと共に用いて、ポリス
チレンビーズの不均一な混合物を分画した結果を提示するものがある(Tri,
N.ら、Anal.Chem.2000[印刷中])。
【0009】 IEF技術は最近は、微小作製されたデバイス中で行なわれている(Hofm
ann,O.ら、Anal.Chem.1999、71、678〜686;Ma
o,Q.L.;Pawliszyn,J,、Analyst 1999、124
、637〜64)。ガラスウェーハ中に微小チャネルがフォトリソグラフィーお
よび化学エッチングを用いて作製された。3kVの電圧が、微小チャネルの両端
に配置された電極に印加された。このような高電圧印加の場合と同様に、電気分
解を用いてO2およびH2を生成するためには、電極に穴が開いていることが必要
であった。
【0010】 本発明のプロセスを行うための関連する電気化学的現象を全て含む数学的モデ
ルは無い。典型的には、公開されたモデルのうち動的なpH勾配を可能にするモ
デルは、電極における電気分解を無視する(Saville,D.およびPal
usinski,O.、AIChE J.1986、32、207〜14)か、
または、溶液中に存在する弱い酸/塩基の緩衝効果を無視する。Bierおよび
同僚のモデル(Bier,M.ら、Science 1983、219、128
1〜7;Palusinksi,O.ら、AIChE J 1986、32、2
15〜23)は、関連する現象を含むが、本発明のシステムには適用されていな
い。最近の研究では、このようなモデルをIEFシステムのリサイクル問題に適
用し、流体流れがIEFシステムに与える効果をより詳細に考えた(Bayge
nts,J.ら、J.Chromatogr.A 1997、779、165〜
83)が、公開されたモデルで放物線の流れプロファイルがpH勾配の動的形成
に与える効果についての記載があるものは無い。
【0011】 本明細書中で参照した文献を全て、参考のため、本明細書と矛盾しない範囲ま
で援用する。
【0012】 (発明の要旨) 既知の生物学的粒子はほとんど全て、荷電表面基を有する。これらの粒子の大
部分は両性であり、すなわち、実効電荷は、局部的緩衝剤条件に応じて正または
負のいずれかであり得、特定の条件下において、粒子は中性に荷電される。本発
明は、粒子の不均一な混合物を迅速かつ連続的に分画し、次いで、その粒子の表
面電荷に基づいて標的粒子を濃縮することが可能な微小流体デバイスを提供する
。本発明のデバイスは、例えば、空気サンプラから送出されるサンプルストリー
ムの事前調整を通じて、風媒の生物兵器および化学兵器の因子の検出を向上させ
ることができる。等電点電気泳動を単独でまたは他の技術(例えば、沈降および
電気泳動)と共に用いて、対象粒子を干渉粒子(例えば、ほこりおよび花粉)か
ら単離させて濃縮し、これにより下流の分析の効率を向上させることが可能であ
る。また、本発明のデバイスを用いて、サンプル中の他の対象としない粒子から
の干渉を受けることなく対象粒子を定量することも可能である。本発明のデバイ
スおよび方法は具体的には、生物学的因子の検出および生物学的因子の分離なら
びに分離された因子の検出および同定に適用可能である。本明細書中に記載のデ
バイスおよび方法論は一般的には、流体ストリーム中の粒子の分離および/また
は同定が所望されるいかなる分野にも適用可能である。
【0013】 電気泳動技術および等電点電気泳動技術は、正体および/または濃度が既知ま
たは未知の生物学的粒子を迅速に単離および検出するに充分に好適である。これ
らのプロセスは、例えば、地球外からのサンプルの中の未知の生物製剤について
、初回通過の非特異的スクリーニングの基礎を提供し得る。これらのスクリーニ
ングの結果に基づいて、電圧および流速を容易に改変して、表面電荷選択の範囲
および特異性を変更することが可能である。
【0014】 微小流体デバイスは、電気泳動を用いた用途に特に適している。微小流体デバ
イスのチャネル寸法は小さいため、25V/cmオーダーの電場を微小流体チャ
ネル中に生成し、かつ、印加電圧を低く保つことが可能である。典型的電気泳動
移動度が約1μm/s/V/cmである場合、その結果得られる終端速度は25
μm/sであり、これにより、粒子は、500μmのチャネルをわずか20秒で
移動することが可能である。このような低い電圧を流れる流体と共に用いること
により、エネルギー消費量が低減し、電極における気泡の生成量が最低限になる
かまたは無くなり、そのため、ガス抜き膜または他のガス抜き構成要素が不要と
なる。微小流体技術を用いることのほかの利点として、必要な試薬およびサンプ
ルサイズが低減する点があげられる。本発明のデバイスおよび方法は、様々な公
知の微小流体デバイス(例えば、T−sensor(米国特許第5,716,8
52号および米国特許第5,972,710号)ならびにH−filter(米
国特許第5,932,100号))として実行可能である。
【0015】 本発明は、流体の流れる方向に対して垂直に電場を印加するゾーン電気泳動(
ZE)および等電点電気泳動法(IEF)の実行に関する。これらの方法は連続
的なサンプル処理を可能にし、これらの方法を行うためには、新規なデバイスが
必要となる。
【0016】 ZEが利用しているのは、種類の異なる荷電粒子は電気泳動移動度が異なり、
そのため、電場にさらされたとき、流体ストリームなどの媒体中の終端速度も異
なってくるという点である。次いで、電気泳動移動度が異なる粒子は、それぞれ
特有の流出ストリームに分割され得、これにより、図1に示すような、即時の光
学的検出またはその後の化学的分析が行なわれる。
【0017】 IEFが利用しているのは、細菌等の多くの生物学的粒子のpH勾配および電
場の同時局所化による両性的性質である。pH勾配がある粒子の等電点をひとま
とめとして扱う場合、その粒子は、電気泳動を通じて自身の等電点に移動し、そ
の粒子はこの点において、図2に示すように中性電荷を受ける。
【0018】 チャネルへの印加電圧は、選択された粒子を気泡生成を生じることなく制御す
ることが可能な場所に移動させる充分な電場を提供できるよう、適切に提供する
べきである。約0.1V〜約5Vの印加電圧が一般的には有用であり、より好適
には2.5V以下が好ましい。
【0019】 電極を密に隣接させて(例えば、約10μmから約2.5〜5mm離して)配
置すると、より低い電圧を用いることが可能となる。当業者であれば、過度の実
験を行うことなく、電極間間隔(チャネル幅)および電圧を、チャネル上の粒子
の動きに対して最適化することが可能である。
【0020】 微小流体デバイス中を流れる層流条件は、近接する流体ストリーム間の対流の
質量輸送を最低限にとどめ、これにより、主に荷電電場中における拡散および移
動を介して質量輸送が達成される。これらの条件下において電場を印加すると、
連続流動動電学的技術(例えば、自由流動(free−flow)電気泳動およ
び等電点電気泳動法(IEF))を他の微小流体構成要素と一体化することが可
能となる。本明細書中、新規な微小流体電気化学的フローセルが提供される。静
的条件および流動条件双方においてタンパク質粒子等の粒子を分離および濃縮す
るというこれらのフローセルの有用性が実証される。本明細書中に記載の微小流
体IEFデバイスは、「天然の」緩衝剤系中に密な間隔で配置された2つの電極
間にpH勾配を生成する。この「天然の」緩衝剤系は、消費電力が低く、合成両
性電解質を必要としない。電極間の距離が短いため、IEFを導電させるのに充
分な強さの電場を生成することができ、かつ、流動条件下における気泡生成を回
避するのに十分な低い電圧を保つことが可能である。本明細書中に記載のこれら
のデバイスには、ガス抜き膜も特殊な気泡排出手段も不要であり、しかも、電極
における条件を維持し、電気分解生成物を除去するための大型の緩衝剤リザーバ
も不要である。表面/容積比が高いため熱輸送が容易化され、これにより、冷却
の必要が低減または不要となる。層流および最小の熱生成の双方により分離チャ
ンバ中の対流外乱が最低限に抑えられ、これにより、望ましくない混合が無くな
る。 この提案された微小チャネルの1つの特徴として、電解質リザーバが無い
点と、電極を分離チャネルの壁と一体化させた点とがある。電極を分離チャネル
と密に接触させることにより、水の電気分解による生成物をH+およびOH-の供
給源として用いることが可能である。水が電気分解した結果、pH勾配が迅速に
形成される。アノード表面において水の酸化が生じ、H+およびO2ガスが形成さ
れる。カソードにおいて水が減少すると、H2ガスおよびOH-が形成される。
【0021】 アノード:H2O−2H++1/2O2+2e カソード:2H2O+2e−2OH-+H2 最大可能印加電圧は、微小チャネル中の均一な流れを妨害する気泡生成を回避
する必要により限定される。
【0022】 本発明はまた、分析および調製を行う動電学的用途のための流動システム中に
pH勾配を生成する新規な方法も提供する。本システム中で発生する現象(電極
における加水分解、弱酸および弱塩基の緩衝効果ならびに不均一な流れの特徴の
効果を含む)を示すモデルを提供する。このモデルの予測を実験データと比較し
たところ、定性面において良好な一致が見られた。
【0023】 (詳細な説明) 図3Aは、本発明の重合体積層電気化学的フローセルの分解図を示す。このデ
バイスは上面110を含む。上面110は流体バイア112を備え、流体バイア
112は上側キャップ114を覆う。上側キャップ114には上側チャネルカッ
トアウト115が切り込まれている。上側チャネルカットアウト115の下側に
は、電極基板118が間隔を挟んで配置されている。この間隔は、上側チャネル
カットアウト115と、下側キャップ122中に形成された下側チャネルカット
アウト123とに対応する。下側キャップ122は、電極基板118の下に配置
される。電極基板118は、(電極中に折り込まれた)堆積金層120でコーテ
ィングされている。フローセル終端キャップ116は、電極基板118に隣接し
て提供される。底部にある観察窓124により、チャネルカットアウト115お
よび123ならびに電極基板118間の間隔によって形成されるチャネル内の流
体を見ることが可能となる。図3Bは、図3Aのデバイスを組み立てた様子を示
す。この図において、上面110の流体バイア112が、第1のチャネル入口1
30、第2のチャネル入口132、第1のチャネル出口134および第2のチャ
ネル出口136に開いて入り込む仕組みが理解される。点線で示すボックスは画
像生成領域(ROI)126であり、ここで、カットアウト115および123
ならびに電極基板118によって形成されるチャネル内の粒子挙動が問い合わさ
れる(interrogate)。
【0024】 動作時には、流体は、上面110中の流体バイア112を経由してフローセル
に入り、第1のチャネル入口130と、必要に応じて第2のチャネル入口132
とに入る。電場が、堆積金層120によって形成された電極を介してチャネル1
28に印加される。対象となる粒子が、自身の移動点および/または等電点電気
泳動点に従ってチャネル128をy次元に移動し、観察窓124を通じて画像生
成領域126において問い合わされる。流体は、出口チャネル134および13
6を通じてチャネル128から流出し、これらの出口チャネルに接続された流体
バイア112を介してデバイスから出て行く。3つの入口および3つの出口を有
するデバイスも作製した。
【0025】 図4は、マイラー(Mylar)で構成された本発明のフローセルの実施形態
の側面図である。マイラーシート140(0.004インチ)が、セルの上面お
よび下面を形成する。金層152で被覆された電極152が、マイラーシート1
40間に配置されている。マイラーシート140間は、マイラースペーサ144
を挟んで間隔が空いている。電極152には、電極152に張り付けられたワイ
ヤ156(好適には銀エポキシ154)によって電流が供給される。フローセル
150は、組み立てられた構成要素内に形成される。組み立てられた構成要素は
好適には、各マイラー層間にある接着剤により結合される。電極間の間隔は好適
には約1mmであり、そしてセルの肉厚は好適には約200μmである。図4中
に示す「金めっき積層」設計の代わりに、固体金属(具体的にはパラジウム)も
用いた。
【0026】 図5は、本発明の電気化学的フローセルを、粒子を分離および濃縮するシステ
ムに一体化した様子を示す。大型および小型の粒子215を含む空気サンプラ2
10が、沈降デバイス212との流体連絡して配置される。沈降デバイス212
は、オーバーサイズ粒子214を沈降して出し、そして格納させるか、またはオ
ーバーサイズ粒子214をオーバーサイズ粒子収集領域217を介して流出させ
ることを可能にする。残りの粒子はサンプル入口226に入り、サンプル入口2
26において、流れはサンプル入口ポンプ216によって容易化され得る。サン
プル入口226から、粒子は、チューナブルな電気泳動デバイスまたは等電点電
気泳動によるデバイス220に入る。このデバイス220は、負電極221およ
び正電極223を有し、ここで、小型の干渉粒子232は、分離され、小型の廃
棄物出口230から出て行き、小型の廃棄物出口ポンプ228によって容易化さ
れる。流体または緩衝剤用の入口222は、電気泳動または等電点電気泳動によ
るデバイス220にさらなる流体が入ることを可能にする。大型の干渉粒子23
4は、大型の廃棄物出口ポンプ238によって容易化される大型の廃棄物出口2
36を介してデバイス220から出て行く。標的粒子242は、ポート239を
介して電気泳動または等電点電気泳動によるデバイス220から出て行き、電気
泳動の負電極241および電気泳動の正電極243を備えるポートポンプ237
によって容易化される電気泳動濃縮装置240に入る。粒子の濃縮ストリームは
、分析器入口ポンプ246によって容易化される分析器入口チャネル248を介
して電気泳動濃縮装置240から出て行く。余剰流体は、廃棄物流体出口244
を介して電気泳動濃縮装置240から出て行く。
【0027】 本発明の電気泳動および等電点電気泳動によるデバイスの1つの実施形態は、
Si部分(例えば、図3)を有さない。腐食を無くすために、本発明のデバイス
用の電極を作製する新規なプロセスを開発した。このプロセスは、マイラー基板
上に金を直接堆積する工程と、フローセル製造からAuを除く全ての金属を除去
する工程とを含む。この方法は、先ずマイラーをマスキングし、O2プラズマで
処理し、最後に金でスパッタコーティングすることを必要とする。
【0028】 スパッタリングプロセスの間、2400Åの金を堆積して、ハンドヘルド型の
デジタルマルチメータを用いて、無視できる程度の電気抵抗を有する導電性面を
設けた。テープ剥離実験を用いて、電極接着力について実験を行った。この実験
の結果、マイラー基板からの金剥離は発生し得なかった。1個の電極をアセトン
中に浸漬して、溶媒浸漬実験を1週間行った。電極強さに変化は無かった。
【0029】 以下の順序で電極を組み立てた(図5を参照):(1)中央電極の接着剤−キ
ャリア−接着剤(ACA)層を折り畳んだ電極間で挟み、組立てジグおよび電極
中の電極レジストリフィーチャを用いて、組立てジグ上に固定し;(2)電極背
面を固定し;(3)電極面全体上で結合を完成し;そして(4)磨き金属圧盤間
でアセンブリを押圧し、電極端部に折り目を付けた。
【0030】 電極を組み立てた後、電極を重合体終端キャップと共に用いて、フローセルを
組み立てた。電極は、デバイスの微小チャネルの長さ全体に沿って、または、チ
ャネルの一部のみに沿って配置され得る。
【0031】 本発明の別の実施形態において、シースフロー(seath flow)を用
いて、タンパク質または他の生物学的材料が電極と直接接触する事態を回避する
。電極壁を有するチャネルに3つの入口を設ける。外側の2つのストリームは電
極と接触し、そこに生物学的材料は存在しない。フォーカシング対象となる生物
学的材料は中央ストリームに注入される。
【0032】 粒子は、自身の表面上に特徴的化学基を有する。これらの化学基は、特徴的p
aを有し、これらの特徴的pKaは、水中で化学基がプロトン化形態から脱プロ
トン形態に転換するpHを規定する。その結果、溶液のpHが酸性から塩基性に
変化するにつれ、粒子上の電荷もより負になる。pH7において、ほとんどの生
物学的粒子は負の電荷を有し、これらの負の電荷は、粒子の種類の特徴を表す。
粒子電荷は、pHだけにではなく、媒体のイオン強度および溶液中の特定の対イ
オンの存在にも依存する。しかし、このような粒子のいずれにも、その粒子が持
つpH(等電pH)化学的特徴(すなわち、その粒子が実効電荷(等電点)を持
たなくなる)がある。
【0033】 荷電された両性粒子が電場中に配置されるとき、粒子は、その電場に応答して
移動する。溶液のpHを電場の方向に沿って変化するように作製することができ
ると、粒子速度は、その粒子の表面電荷の関数として変化する。このようなpH
勾配において、低いpHが正荷電された電極(アノード)の近傍にあり、かつ、
その粒子の等電pHがこれらの2つの電極間に存在する場合、両性粒子は、自身
の等電点に向かって移動する。これらの荷電粒子は、等電pH領域に近付くにつ
れ減速し、等電pHに到達すると実際に停止する。このプロセスは、小さな電圧
をH−フィルタ中の流れに対して垂直方向に印加することにより、等電pHに従
って異なる種類の粒子を分離することを可能にする。この等電点電気泳動法によ
る粒子(特にタンパク質)の分離プロセスは一般的には、巨視的デバイスにおい
て実施されてきた。本明細書中のデバイスでは、微小デバイス(例えば、微小流
体H−フィルタ)において、等電点電気泳動法を実証する。
【0034】 等電点電気泳動法技術を微小デバイスに適用することによる利点はいくつかあ
る。1つの利点として、電極間の距離(すなわち、微小チャネル幅)が短いため
、電極間の低い電位において高い電場を生成することが可能な点がある。この高
い電場により、チャネル幅の大部分にわたって敏速な移動が行なわれる。レイノ
ルズ数が低い場合、隣接するストリーム流れ中の粒子をチャネルに経路設定し、
別個のアウトフローストリームに経路設定し、これにより、粒子をその等電点別
に分離することが可能となる。チャネル幅にわたるpH勾配は、いくつかの手段
のうち任意のものを用いて確立可能である。例えば、微小チャネルのエントラン
スポート中に複数の流体ストリームを様々なpH値で(緩衝を伴うかまたは緩衝
無しで)導入することが可能である。粒子分離が達成されるまでpH値がチャネ
ルにわたって均一ではない範囲において、このアプローチは受容可能である。
【0035】 しかし、微小チャネルにおいて電気泳動を行うユニークな特徴があり、これは
、本明細書中のデバイスおよび方法の実行にとって重要である。水中の電極は電
気分解を生じ、水が分解してH2およびO2のガスになり、それに伴い、比較的低
い電位で、アノードにおいてH+が、カソードにおいてOH-が生成される。微小
チャネル中に気泡が形成されると、デバイスは実質的に使用不可能となる。本発
明者らの観察によれば、微小チャネル中の2つの金電極間において電圧が約5V
未満、好適には約2.5V未満そしてより好適には約1.2〜1.3V未満にな
ると、pHの有効変化が観察されたが、静的システムまたは流動システムのいず
れにおいても気泡の発達は見られなかった。「気泡を発生しない」電極材料(例
えば、パラジウムまたは白金)を用いると、より高い電圧を用いることが可能と
なる。アノードにおいて酸が、カソードにおいて塩基が発生すると、静的システ
ムまたは流動システムのいずれにおいても、チャネルにわたってpH勾配が生成
される。勾配の傾斜およびその中央pH値は、電極における化学的性質と、緩衝
容量と、電極間の溶液の化学的組成と、電極にかかる電位とによって決定される
。このチャネル壁上の電極によるpH勾配の生成は、必要な機器を大幅に簡略化
し、等電点電気泳動用デバイスを極めて簡単にすることを可能にする。
【0036】 キャリアストリームの電圧または性質を変更することにより、特定の範囲の等
電点に対する感度を最大にするようにデバイスを調整し、これにより、所与の分
離プロセスの解像度を向上させることが可能である。
【0037】 等電点電気泳動効率もまた、フォーカシングされる粒子の拡散係数の関数であ
る。極めて小さな粒子が大きな拡散係数を持つ場合、粒子は、粒子のチャネル中
のフォーカシング位置から拡散する傾向となり、これにより、その粒子のフォー
カシング帯は、拡散係数が低い粒子よりも広くなる。この技術は、粒子が無視で
きる程度の拡散係数を持つくらいの大きさ(例えば、約0.1μmを超える大き
さ)である場合、最良に機能する。
【0038】 チャネル中の溶液が大きく緩衝される場合、感知できるほどのpH勾配は発達
せず、粒子は、印加静電場において急速に終端速度に到達し、デバイスは、単純
な電気泳動に戻る。同じデバイスを「等電点電気泳動モード」で動作させるのは
、溶液がわずかに緩衝されるか、または、複数の入力ストリームを利用すること
により溶液に既存の勾配が課されたときにチャネル中に生成されるpH勾配であ
る。
【0039】 電気泳動による分離を行うためには、粒子を、チャネルに沿った特定の位置に
おいて1つの壁または他の壁に「衝突(hit)」させる必要がある。これは、
「衝撃分離技術」の一形態である。流速が変化すると、粒子は、自身の標的とな
る出口ポートを見失い、これにより、分離または分類においてエラーが発生する
。等電点電気泳動の場合、粒子は、チャネル中の等電面へと移動し、チャネル内
の電極に関連するこれらの等電面に留まる。流速が大きく変化してもその効果は
小さい。粒子の拡散係数が比較的小さい場合、粒子は、電極がチャネルの全長に
わたって延びていなくても、電場に関連するこれらの位置に留まり、その後、p
H勾配は変化する。
【0040】 チャネルにわたる所与の電場における等電点電気泳動速度は、そのチャネルの
幅に逆に比例するため、小さな電極間間隔で動作を行うと極めて有用である。等
電点電気泳動を用いて、等電点においてのみ異なる様々な種類の粒子を、少ない
サンプル量で連続的に分離することが可能である。これは、化学兵器および生物
兵器の因子を検出する際にサンプルの事前調整を行うような分離タスクに適用可
能である。等電点電気泳動を用いて、分離活動から独立して、粒子を、微小作製
されたチャネル中の特定の流体流れに配置することが可能である。例えば、米国
特許第5,726,751号に記載されているように、等電点電気泳動を用いて
、粒子ストリームを、V溝等のチャネル内の特定の位置にフォーカシングさせる
ことが可能である。粒子速度が揚力が成立するくらいのレベルである場合、等電
点電気泳動または電気泳動のいずれかを用いて、特定のサイズおよび界面化学を
有する粒子全てを流体チャネル中の1本の狭い線内に通すことが可能である。こ
れは、V溝において沈降力と揚力との均衡をとることに類似する;しかし、電気
泳動または等電点電気泳動では、重力に対する方向付けは不要である。従って、
本発明は、フローサイトメトリー用途および類似する粒子の計数および特徴付け
を行う用途に有用である。
【0041】 複数の構成要素(例えば、ポンプ、MEFユニット、検出ユニット等)を、図
3中に示す微小チャネルを含む1つのデバイスに一体化させることが可能である
【0042】 約2〜約10(典型的には約3〜約8)のpH勾配が確立される。本明細書中
に記載の技術を用いると、pH勾配の形状は変化し得る。例えば、微弱な緩衝剤
の場合、pH勾配は中央部分で急勾配となり、電極近辺において平坦となり得、
また、強力な緩衝剤の場合、pH勾配は、電極近辺において急勾配となり、中央
部分においてプラトー状態となり得る。pH勾配は、等電点が異なる粒子を鋭敏
に分離するようにチューニング可能であり、これにより、特定の範囲内の等電点
内の粒子がグループ分けされる。
【0043】 1つの実施形態において、本発明のデバイスは、電気泳動および等電点電気泳
動に基づいて細菌細胞を検出および分離する微小作製されたデバイスである。例
えば、任意の出口の近辺における光の散乱により、粒子の存在を検出することが
可能である。複雑なサンプル(例えば、血液)(細菌スクリーニング)または空
気サンプラからの出力流体(環境モニタリングまたは細菌兵器の因子)において
、特定の細菌株を敏速に検出することが可能である。
【0044】 本発明のデバイスおよび方法を用いて、等電点が異なる浮遊粒子を分離し、こ
れらの対象粒子を検出および/または計数することが可能である。等電点電気泳
動用のデバイスの場合、pH勾配は、チャネルにおいて本明細書中に記載のとお
り設定される。1つの実施形態において、粒子の混合物が、1つの流動経路に沿
ってデバイス中に入り、選択された粒子は、pHがそれらの粒子のpIと等しく
なるチャネル内の位置に向かって加速される。
【0045】 当該分野において公知の電解質が、流体中に存在し得る。塩化物イオンは、水
のアノード電気分解に対して競争反応を生じ、水が電気分解する電位に近い電位
において、塩素に酸化される。そのため、塩化物イオンは、流体中に存在させる
べきではなく、特に、水の電気分解を利用してpH勾配を生成する実施形態にお
いては望ましくない。非反応性電解質(例えば、硫酸ナトリウム)を用いるのが
好ましい。
【0046】 本発明は、流体中の荷電粒子を検出するデバイスを提供する。このデバイスは
、上記流体を上記微小チャネル中に導入する入口を含む微小チャネルと;一対の
電極であって、好適には上記微小チャネルの壁の上に直接形成され、電圧を印加
して、上記微小チャネルの長さに対して直角方向に上記微小チャネルに亘って電
場を生成する電極と;好適には、上記電圧の印加後に上記微小チャネル内の上記
荷電粒子の位置を検出する手段と、を含む。
【0047】 電場において、粒子は、自身の電気泳動移動度に従って微小チャネル内を移動
し、その移動度によって決定される位置において検出可能となる。これらの粒子
はまた、その位置に濃縮し、これにより、検出が容易化される。検出手段は好適
には光学的検出手段である。
【0048】 荷電粒子の正体が未知である場合、電圧を印加した後のチャネル中の特定の位
置におけるその荷電粒子の外観を見れば、その電気泳動移動度が分かり、この情
報から、その粒子の正体を当該分野において公知の手段を用いて判定することが
できる。流体中の粒子の初期濃度も、受信シグナルの強度ならびにその形状およ
び位置に基づいて計算により決定することが可能であり、そのような計算方法は
全て当該分野において公知であり、本明細書中、そのような計算方法について後
述する。
【0049】 pH勾配は、本明細書中に後述するようにチャネルにわたって形成され得、荷
電粒子は、自身の等電点電気泳動点に対応する位置において検出される。
【0050】 濃度勾配もまた、印加電圧によって微小チャネルにわたって形成されるか、ま
たは、複数の間隔付けられた一対の電極を用いて微小チャネルの長さに沿って形
成され得る。
【0051】 印加電圧は、粒子を検出位置まで移動させ、かつ、電極において気泡を生じな
い程度である必要がある。電圧は、粒子を検出位置に適切に配置するように選択
され得る。好適には、印加電圧は約0.1V〜約5Vである。より好適には、印
加電圧は約2.5Vである。デバイスはまた、電場の極性を反転させる当該分野
において公知の手段も含む。これは、いくつかの場合において、電場を反転させ
る(例えば、+2.5Vから−2.5Vに)ことにより、より厳密なフォーカシ
ングが達成されるからである。本発明のデバイスはまた、複数の対の電極も含み
得、各一対の電極は、異なる印加電圧か、または、自身の直接上流側にある一対
の電極の極性と異なる極性を有する。
【0052】 好適な実施形態において、本デバイスは、粒子含有流体周囲にシースを形成す
るよう構成され、これにより、粒子含有流体が電極と直接接触する事態を回避す
る。このようなシースは、粒子含有流体の両側にシース流体を提供するように配
置されるかまたは粒子含有流体を完全に包囲するシースを提供するように配置さ
れる入口によって形成され得る。シースフローを提供する微小チャネルの構成に
ついては、例えば、2000年5月23日に発行された米国特許第6,067,
157号および1999年11月25日に公開されたPCT公開第WO99/6
0397号に記載がある。本明細書中、これらの文献の双方を本明細書と矛盾し
ない範囲まで参考として援用する。
【0053】 本発明のデバイスを用いて、異なる電気泳動移動度または等電点を有する粒子
を検出することが可能である。異なる電気泳動移動度または等電点を有する複数
の粒子が流体中に存在し得、電圧の印加後、これらの粒子は、チャネル中の異な
る位置へ移動する。検出手段(好適には光学的検出手段)は、当該分野において
公知のように、これらの粒子の存在および濃度を検出し、このような粒子流体中
での初期濃度を計算するように配置することが可能である。
【0054】 本発明はまた、流体中の荷電粒子を検出する方法も提供する。上記方法は、荷
電粒子を含む流体を入口を通じて微小チャネル中に導入する工程と;電圧を印加
して上記微小チャネルにわたって上記微小チャネルの長さに対して直角方向に電
場を生成し、上記荷電粒子を上記微小チャネル中の位置まで移動させる工程と、
;上記電圧の印加後に上記微小チャネル内における上記荷電粒子の位置を検出す
る工程と、を含む。上述したように、電圧の極性は1回以上反転され得、または
、一連の電極対が、チャネルおよび各対に印加される異なる電圧または極性に沿
って間隔付けられ得る。
【0055】 本発明はまた、流体から選択された粒子を濃縮するデバイスも提供する。上記
デバイスは、上記選択された粒子よりも大きな粒子を堆積させる手段と;電気泳
動手段または等電点電気泳動手段であって、流体において上記堆積手段と連絡し
、上記選択された粒子よりも大きい粒子と、上記選択された粒子よりも小さい粒
子と、上記選択された粒子よりも大きくかつ小さい粒子とからなる群から選択さ
れた干渉粒子から粒子を分離させる手段と;上記分離された選択された粒子を分
析する手段であって、流体において上記電気泳動手段または等電点電気泳動法手
段と連絡する手段とを含む。
【0056】 本発明はまた、第1の選択された電気泳動移動度の粒子を、少なくとも1つの
他の選択された電気泳動移動度の粒子を含む流体から分離するデバイスも提供す
る。上記デバイスは、上記流体を上記微小チャネル中に導入する入口を含む微小
チャネルと;選択された電圧を印加して、上記微小チャネルを横切って上記微小
チャネルの長さに対して直角方向に電場を生成する一対の電極と;上記微小チャ
ネル中の第1の出口であって、上記電場の印加後に上記第1の選択された電気泳
動移動度の増加した濃度の上記粒子を含む上記流体の第1の出口部分を受け取る
ように配置され、これにより、少なくとも上記第1の選択された電気泳動移動度
の上記粒子が、上記電極の1つに向かって移動する第1の出口と;上記微小チャ
ネル中の少なくとも1つの第2の出口であって、第2の選択された電気泳動移動
度の増加した濃度の粒子を含む流体の第2の出口部分を受け取るように配置され
た第2の出口と、を含む。粒子の電気泳動移動度は、後述するような電気泳動タ
グで粒子を複合体にすることにより、調節可能である。
【0057】 本発明はまた、他の等電点の粒子を含む流体ストリームから選択された等電点
の粒子を分離するデバイスも提供する。上記デバイスは、上記流体ストリームを
含む微小チャネルであって、上記流体ストリームを上記微小チャネルに導入する
入口を含む微小チャネルと;上記流体ストリームにわたってpH勾配を生成し、
かつ、上記選択された等電点の粒子の少なくとも一部を上記ストリーム内のバン
ドに濃縮させるのに充分な電場を、上記微小チャネルの長さに対して直角方向に
上記微小チャネルを横切って印加するための電極と;上記微小チャネル中の出口
であって、上記電場の印加後に上記バンドの少なくとも一部を含む出口流体スト
リームを受け取るように配置された出口(および好適には上記流体の残りを受け
取る第2の出口)と、を含む。
【0058】 本発明はまた、上記デバイスを用いて、第1の選択された電気泳動移動度の粒
子を、少なくとも1つの他の電気泳動移動度の粒子を含む流体から分離させる方
法も提供する。上記方法は、上記流体を微小チャネル中に流れさせる工程と;上
記微小チャネルを横切る上記微小チャネルの長さに対して垂直に電場を印加して
、これにより、少なくとも上記第1の電気泳動移動度の上記粒子を、上記微小チ
ャネルの1つの電極壁に向かって移動させる工程と; 上記流体の第1の出口部分を受け取るように配置された第1の出口を通じて、上
記微小チャネルから、上記第1の選択された電気泳動移動度の増加した濃度の上
記粒子を含む上記流体の第1の出口部分を流動させる工程と;上記第2の出口部
分を受け取るように配置された第2の出口を通じて、上記微小チャネルから、選
択された第2の電気泳動移動度の増加した濃度の粒子を含む上記流体の第2の出
口部分を流動させる工程と、を含む。
【0059】 本発明はまた、選択された等電点の粒子を上記粒子を含む流体ストリームから
分離する方法も提供する。上記方法は、上記流体ストリームを微小チャネルに流
入させる工程と;上記粒子の少なくとも一部が等電的に上記ストリームにフォー
カシングするくらい充分に、上記微小チャネルの長さに対して垂直に上記微小チ
ャネルを横切って電場を印加する工程と;上記微小チャネルから、上記出口部分
を受け取るよう配置された出口を通じて、上記選択された等電点の増加した濃度
の上記粒子を含む上記流体ストリームの出口部分を流す工程と、を含む。
【0060】 本発明の方法は、バッチモードまたは連続モードで(すなわち、静的条件また
は流動条件のいずれの条件下においても)実行可能である。
【0061】 本発明はまた、第1の流体に含まれる粒子を第2の流体に混合させるデバイス
も提供する。上記デバイスは、上記粒子を含む上記第1の流体を上記微小チャネ
ルに導入するよう配置された第1の入口を含む微小チャネルと;上記微小チャネ
ル中の第2の入口であって、上記第2の流体ストリームを上記第1の流体と共に
層流状に上記微小チャネルに導入するよう配置された第2の入口と;上記微小チ
ャネルを横切って上記微小チャネルの長さに対して直角方向に電場を印加する一
対の電極であって、上記電場は、上記粒子の少なくとも一部分を上記第2の流体
中に移動させるかまたは上記第2の流体中に等電的にフォーカシングさせるのに
充分である、電極と;上記粒子の少なくとも一部分を含む上記第2の流体を受け
取るように配置された出口と、を含む。このようなデバイスは、バッチモードま
たは連続モードで動作され得る。上記第2の流体は、指示薬粒子または他の粒子
(例えば、選択された粒子に特異的な抗体)を含み得、選択された粒子はこれら
の粒子と反応し得る。上記第2の流体が(例えば、水、緩衝剤または他の代表的
な溶媒もしくはキャリアで構成される)希釈ストリームである場合、上記混合結
果は、上記粒子含有流体の希釈物である。
【0062】 本発明はまた、電気泳動タグを用いた電気泳動方法または等電分離方法も提供
する。上記粒子を含む流体から選択された粒子を分離させるこれらの方法は、上
記流体を、少なくとも2つの電極壁を有する微小チャネルに流入させる工程と;
上記流体を上記選択された粒子に結合可能な電気泳動移動度調整粒子と混合して
、選択された電気泳動移動度を有する複合粒子を形成する工程と;上記複合粒子
を上記微小チャネルの電極壁に向かって移動させるのに充分な電場を、上記微小
チャネルの長さに対して垂直方向に上記微小チャネルを横切って印加する工程と
;上記微小チャネルから上記流体部分を受け取るよう配置された出口(および好
適には上記流体の残りを受け取る第2の出口を)を通じて、増加した濃度の上記
複合粒子を含む流体部分を除去する工程と、を含む。あるいは、増加した濃度の
複合粒子を上記微小チャネルから除去する代わりに、希釈ストリームを上記微小
チャネル中の入口に流入させて、上記複合粒子を上記希釈ストリーム中に移動さ
せ、複合粒子の希釈ストリームを適切に配置された出口を通じて上記微小チャネ
ルから流出させてもよい。希釈ストリームの代わりに、さらなる粒子(例えば、
指示薬粒子)を含むストリームを上記微小チャネルに流入させて、上記複合粒子
をこのストリーム中に移動させて上記粒子を混合および反応させてもよい。
【0063】 本発明はまた、細胞または生物中に含まれる選択された粒子を抽出する方法も
提供する。上記方法は、上記細胞または生物を含む流体を、少なくとも2つの電
極壁を有する微小チャネルに流入させる工程と;上記微小チャネル内の上記細胞
または生物の細胞壁または外膜を損傷させる工程と;上記選択された粒子を上記
電極壁の1つに向かって移動させるのに充分な電場を、上記微小チャネルの長さ
に対して垂直方向に上記微小チャネルを横切って印加する工程と;上記選択され
た粒子の少なくとも一部分を含む上記流体の出口部分を、上記出口部分を受け取
るように配置された出口を通じて上記微小チャネルから除去し、好適には、上記
流体の残りを第2の出口を通じて除去する工程と、を含む。上記細胞または生物
の上記細胞壁または外膜には、その正体物が漏れるくらい充分に損傷を与えなけ
ればならない。この工程は、細胞壁または膜を溶解または貫通する当該分野にお
いて公知の任意の手段(例えば、フレンチプレスセル(French Pres
sure cell)、超音波処理、洗剤、リゾチーム、凍結融解、pH変更お
よびエレクトロポレーションの使用)を用いて行なわれ得る。機械的手段(例え
ば、微小チャネル壁中に作製された針)も用いてもよい。好適な実施形態におい
て、生物は、微小チャネルにおいて損傷を受けるが、所望ならば、細胞または生
物の完全性を破壊(breach)してその正体物を解放し、その後、生物を微
小チャネルに流入させてもよい。好適な実施形態において、pH変更薬剤、洗剤
または他の損傷を与える薬剤を提供する入口を用いて、このような因子を微小チ
ャネルに流入させ、上述したような生物と反応させ得る。やはり、電気泳動移動
度調整薬剤(例えば、電気泳動タグ)を用いて、生物から解放された粒子の電気
泳動移動度を改変し得る。
【0064】 本明細書中、上記微小チャネルの長さにわたってまたは上記微小チャネルの長
さに下流方向に沿って濃度勾配を生成し、必要に応じて異なる濃度の流体部分を
受け取る出口を配置することにより、粒子含有流体を複数の流体部分に分離して
、各流体部分に異なる濃度の粒子を含ませるようにするデバイスおよび方法も提
供される。このようなデバイスは、微小チャネル内の生物または物質の挙動を異
なる粒子濃度に対応する微小チャネル中の異なる位置において観察する毒物学研
究用途に用いられ得る。このようなデバイスはまた、上述したような本明細書の
濃度および/または希釈局面を用いて粒子含有流体を一連の既知の希釈物に迅速
に分離させる際にも用いられ得る。逆に、本デバイスを用いて、異なる濃度の流
体ストリームを組み合わせて単一の濃度を持つ同質の流体にすることも可能であ
る。
【0065】 「微小流体」、「微小チャネル」および「微細加工」という用語は全て、内部
において流体流れがほぼ例外無く層状に存在し、粘性力が慣性力に勝るようなチ
ャネル、導管およびデバイスに関連する。「微細加工された」デバイス中の導管
およびチャネルは、少なくとも1つの1mm未満の寸法(典型的には、チャネル
の幅および/または深さ)を有する。これらの低いレイノルズ数条件において、
質量輸送の対流は、拡散および印加電場中の動き(例えば、電気的、磁気的また
は重力による動き)によって媒介される。
【0066】 レイノルズ数は、粘性に対する慣性の比である。レイノルズ数が低い場合、そ
れは、慣性が実質的に無視できる程度であり、乱流が実質的に無視できる程度で
あり、かつ、2つの隣接するストリームの流れが層状であること(すなわち、そ
のストリームは、上述したような粒子の拡散および電場中の移動が発生しない限
り混合しないこと)を意味する。微小流体プロセスは、微小チャネルにおいて行
なわれるプロセスである。微小チャネルの幅および深さならびに入口チャネルお
よび出口チャネルは、粒子が通過できるくらいの大きさでなければならず、好適
には、ストリーム中に存在するあらゆる粒子の直径の約3〜5倍の大きさであり
、かつ、5mm以下のものが好ましい。微小チャネルは、電気泳動移動度または
等電点による分離を可能にするのに十分なサイズでなければならない。好適には
、微小チャネルは、(電極間の)幅が約100〜約1、000μmである。微小
チャネルの深さは、([電極間の]幅および長さ[流れ寸法]に対して直角方向
の寸法で)所望の深さでよく、好適には約0.5mm未満のものがよい。微小チ
ャネルの長さは、流動ストリームと用いる際、電気泳動プロセスの場合において
選択された粒子が全て電極壁に移動することまたは等電点電気泳動法プロセスの
場合において自身の等電点に到達することを可能にする十分な時間が得られる長
さでなければならない(例えば、約5mm)。
【0067】 「粒子」という用語は、任意の粒状材料を指し、例えば、小分子および大分子
、合成粒子および自然粒子、複合粒子(例えば、タンパク質、炭水化物、ポリス
チレンラテックス微粒子、シリカ粒子、ウイルス、細胞、花粉粒、細菌、ウイル
ス)ならびに干渉物(例えば、ほこり)を含み、また、懸濁粒子および溶存粒子
、イオンおよび原子を含む(ただし、キャリア流体の原子および分子は除く)。
本発明の好適な粒子として、細菌、ウイルス、タンパク質および他の生物学的粒
子がある。
【0068】 「流体」という用語は、ガスまたは液体を指す。
【0069】 「複数」という用語は2以上を意味する。
【0070】 流体ストリームの所与の出口部分中の「増加した濃度」の粒子は、流体ストリ
ームの主要部分中の粒子よりも濃度が高いストリームの出口部分の粒子を意味す
る。本発明は、粒子の電気泳動移動度または等電点に基づいた粒子の完全分離お
よび部分分離に関連する。流体ストリームの出口部分は、選択的に配置された出
口を通過する流体ストリームの部分である。好適には、流体ストリームの出口部
分は、流体ストリームからの分離が所望される粒子の少なくとも約50%以上を
含み、より好適には、上記粒子を実質的に全て含む。
【0071】 選択された電圧は、その粒子の電気泳動移動度に基づいて気泡生成を招くこと
なく所望の粒子と所望されない粒子とを分離させる電圧でなければならない。約
5ボルト以下(例えば、約0.1〜約0.5V)の有効電圧が好適である。電気
泳動分離プロセスの場合、電圧は、選択された粒子を微小チャネル内の電極壁に
濃縮させるくらいに充分高くあるべきである。システムが電気泳動移動度が異な
る複数の種類の粒子を分離させるように設計されている場合、電圧は、これらの
粒子を全て微小チャネル内の電極壁に濃縮させるくらい十分であるべきである。
出口は、各種類の粒子が濃縮する点から下流の部分または各種類の粒子が濃縮す
る点に配置される。電圧は、所望の粒子の熱拡散を生じることなく所望の鋭敏度
の分離を提供するよう最適化され得る。電極は、任意の導電性材料で作製され得
る。好適な材料として、金、パラジウムおよび白金がある。
【0072】 微小チャネル内において極性の切換えを一回以上行うと、等電点電気泳動法の
鋭敏性を達成する際の支援となる。極性切換えは、電極対の極性を変更すること
により行なわれ得、または、1つ以上のさらなる電極組が微小チャネル内に配置
された場合、隣接する組は反対の極性を有し得る。加えて、異なる電圧を異なる
電極組に印加することにより、微小チャネルの長さの下向き方向に電場を調節す
ることも可能である。
【0073】 本発明の実施形態は全て、粒子含有流体を備えたシース流体を層流中に含み得
、かつ、微小チャネルからシース流体を導入および除去するための適切な入口お
よび出口も含み得る。電極を電場生成と干渉し得る粒子含有流体中のタンパク質
または他の材料から絶縁することに加え、シース流れも、所望の形状のpH勾配
を生成できるよう、当業者が過度な実験を行うことなく決定することができるよ
うな様式で、組成およびサイズについて選択され得る。
【0074】 本発明のデバイスは、任意の鋳造可能な材料、機械加工可能な材料またはエッ
チング可能な材料(例えば、ガラス、プラスチックまたはシリコンウェーハ)か
ら作製され得る。基板材料に所与の波長範囲において光学的に透明な材料を用い
ると、その波長範囲において透過による光学的検出(例えば、吸光度測定または
蛍光測定)を行うことが可能となる。あるいは、基板材料に反射性材料を用いる
と、反射による光学的検出が可能となる。同様に適切な当該分野において公知の
検出方法は他にも有るため、基板材料は光学的検出が可能なものでなくてもよい
。非光学的検出方法としては、電気化学的検出および導電率検出がある。
【0075】 本明細書中用いられる「機械加工」という用語は、プリンティング、スタンピ
ング、切削およびレーザ除去を含む。デバイスは、1枚のシート、相互貼合され
た1対のシートまたは相互積層された複数のシート状に形成され得る。「シート
」という用語は、任意の固体の基板、屈曲性の基板または他の特性を持つ基板を
指す。チャネルは、シリコン基板内でエッチングされ、被覆シートで被覆され得
る。被覆シートは透明な被覆シートであり得る。積層を用いた実施形態において
、チャネル壁は、第1のシートから材料を除去することにより規定され、チャネ
ル上部およびチャネル底部は、第2のシートおよび第3のシートを第1のシート
の両側に積層させることによって規定される。これらの層のいずれの層も、流体
チャネルを含み得る。いくつかの場合において、チャネルは、流体を次の流体積
層層に経路設定するための単なる穴(または流体バイア)である。任意の2つの
隣接する積層層を互いに永久結合させて、より複合化された1つの部分を形成す
ることが可能である。2つの別個の層として図示してきた流体素子の多くは、単
一層としても形成され得る。
【0076】 積層アセンブリの各層は、異なる材料で形成され得る。これらの層は好適には
、実質的に剛性の材料から作製される。実質的に剛性の材料は非弾性であり、好
適には弾性率が1,000,000psi未満、より好適には弾性率が600,
000psi未満のものが好ましい。実質的に剛性の材料はそれでも、薄膜状に
作製されると劇的な可撓性を呈し得る。実質的に剛性のプラスチックの例として
、酢酸セルロース、ポリカーボネート、メタクリル酸メチルおよびポリエステル
がある。金属および合金も実質的に剛性である。このような金属の例として、鋼
、アルミニウム、銅等がある。ガラス、シリコンおよびセラミックも実質的に剛
性である。
【0077】 シート中に流体素子を作製する際、材料を除去して所望の構造を規定してもよ
い。レーザを用いてシートを機械加工して、材料をチャネルから切除する。材料
除去は、従来のダイ切削方法を用いて行ってよい。特定の材料については、化学
エッチングが使用可能である。あるいは、所望の構造のネガ(negative
)を鋳型として作製して、その構造を、注入鋳造技術、真空熱成形技術、加圧支
援による熱成形技術または圧印加工技術を用いて作製してもよい。
【0078】 個々の層、層アセンブリまたは鋳造による相当物を、接着剤または溶接を用い
て相互結合させることが可能である。あるいは、これらの層は、自己密封方式ま
たは機械的方式で加圧され得る。加圧は、隣接層を密封する際に用いることが可
能な留め具(例えば、ネジ、リベットおよびパチンとはまる形式の(snap−
together)アセンブリ)の利用を通じて行なわれる。層の組立ては、接
着剤を用いて以下の様式で行われ得る。リジッド接触接着剤(例えば、3M11
51)を用いて、隣接層を接合してもよい。溶媒リリース接着剤を用いて、2つ
の隣接層を化学的に接着してもよい。紫外線硬化接着剤(例えば、Loctit
e 3107)を用いて、少なくとも1つの層が紫外線において透明である場合
に隣接層を接合してもよい。精密適用(precision applied)
エポキシ、熱硬化接着剤、および熱可塑性接着剤を用いてもよい。溶媒、熱また
は機械による加圧を用いて活性化されて結合するドライコーティングを片面また
は両面に塗布してもよい。層を互いに溶接してもよい。溶接の際、層は好適には
、類似のガラス転移温度と、相互ぬれ特性および溶解性とを有する。層は、高周
波誘電加熱、超音波加熱または局所熱加熱を用いて溶接され得る。
【0079】 好適な実施形態は、本明細書中で記載したようなマイラーから作製される。好
適な実施形態において、電極は、微小チャネルの壁上にコーティングされる。
【0080】 出口は下流にまたは下流側に配置され、ここから、所望の粒子を取得し、所望
されない粒子をチャネル内に残すように、所望の粒子を微小チャネルの電極壁と
接触させる。電極壁は、電極によって形成された壁または電極を含む壁(すなわ
ち、システムのアノードおよびカソード)である。1つ以上の出口が、異なる分
離対象粒子種類の数に応じて、チャネルの両端にまたは両側壁内にのいずれかに
提供され得る。出口の配置は、異なるサンプルについて経験的に決定され得るか
、または、当該分野において公知の方法および/または本明細書中に記載された
方法を用いて計算され得る。デバイスは、複数の電気泳動移動度および/または
等電点が異なる粒子(例えば、少なくとも5または6種類位の異なる粒子)を分
離することが可能である。
【0081】 デバイスは、微小チャネル中の粒子または微小チャネルから出てきたまたは出
て来ている粒子を検出する当該分野において公知の検出手段を含み得る。本明細
書中で用いられる「検出」という用語は、特定の物質の存在を判定することを意
味する。典型的には、特定の物質の濃度も判定される。本発明の方法および装置
を用いて、流体中の物質の濃度(例えば、入力流体中の物質の初期濃度)を判定
することが可能である。
【0082】 本発明のデバイスは、外部検出手段または内部検出手段を含み得る。検出およ
び分析は、当該分野において公知の任意の手段(例えば、光学的手段(例えば、
光学分光法)および他の手段(例えば、吸収分光法または蛍光)を用いて、分析
物に露出されると色または他の特性を変化させる化学的指示薬を用いて、免疫学
的手段、電気的手段(例えば、デバイスに挿入された電極)、電気化学的手段、
放射性手段、または実質的に任意の当該分野において公知の微量分析技術(例え
ば、磁気共鳴技術)、または、分析物粒子(例えば、イオン、分子、ポリマー、
ウイルス、DNA配列、抗原、微小生物または他の因子)の存在を検出する当該
分野において公知の他の手段を用いて行なわれる。
【0083】 電気泳動移動度調整粒子(例えば、電気泳動タグ)を用いて非荷電分子上に電
荷を生成し、電気泳動移動または等電点電気泳動を提供することが可能である。
図6は、高荷電ポリマーに取り付けられた所望の粒子に特異的な抗体からなるこ
のような電気泳動タグを示す。この分子複合体は、高荷電ポリマーの任意のサイ
ズの標的抗原上のエピトープへの結合を促進する。抗原をタグ付けすると、抗原
の電場中における移動性が高まり、抗原の等電点が変化する。タグの一例には、
IgGまたはビチオン化されたそのフラグメント1と、ストレプトアビジン分子
4と、一端でビチオン化され、もう一方の一端で高く蛍光標識された(3)1〜
3個の電荷を有するポリマー鎖2(図示のDNAと同様)とがある。電気泳動移
動度調整粒子は、実験対象流体と混合され得る。実験対象流体との混合は、例え
ば、チャネルに電場を提供して、実験対象流体を結合させる相手となる選択粒子
を含む流体ストリーム中にこれらの電気泳動タグを移動させることにより、実験
対象流体を微小チャネルに流入させる前または実験対象流体を微小チャネルへの
第2の入口に流入させる前に、行なわれ得る。
【0084】 (実施例) (実施例1 電気泳動による分離) 微細加工された電気泳動デバイスを準備した。図7Aは、シリコン基板にエッ
チングされたパターンを示す。大きい方の四角部分は、シリコンに貫通エッチン
グされた3つの入口および出口を示す。両側部の入口は緩衝剤用であり、中央入
口はサンプル用である。主要チャネルは幅800μmであり、長さ1.5cmで
あった。このパターンを、シリコン中に約40μumの深さまでエッチングした
。シリコンをエッチングした後、全酸化物をエッチング除去して、200nmの
酸化物層をパッシベーション層として成長させた。
【0085】 図7Bは、フォトリソグラフィー、金属蒸着およびリフトオフを用いてパイレ
ックス(登録商標)カバーガラス上に堆積された薄膜電極パターンを示す。金属
堆積を行う工程の前に、緩衝された酸化物中でガラスを4分間エッチングする工
程を設けて電極にさら穴を設け、これにより、パイレックス(登録商標)表面の
不均一性を低減した。金属蒸着を用いて、接着プロモータとして10nmのクロ
ムからなる金属電極と、100nmの金とを、同じ真空のチャンバ中で堆積させ
た。電極間の間隔は600μmであり、電極長さは1cmであった。
【0086】 カバーガラスを個々のデバイス上に配置して、電極がシリコンの境界を越えて
延び、600μmの間隔が800μmのチャネルのほぼ中心部分に設けられ、か
つ、出口に極めて近接するようにした。このアラインメントは視覚的に行なわれ
たが、+/−50μumの範囲内で反復可能であった。導電性エポキシを用いて
ワイヤを電極に取り付け、デバイスの3つの入口および出口において、ガラスチ
ューブをエポキシ樹脂でシリコン中の貫通孔に接着した。
【0087】 様々な電圧における電気分解による効果を調査するために、薄膜金属を酸化シ
リコンウェーハ上に堆積させた。パッドは1cm×1.5cmであり、パッド間
の間隔は1mmであった。ガスケットを用いて、リン酸カリウム緩衝剤の一滴を
この間隔上に閉じ込め、かつ、パッドへのアクセスが可能な状態にした。1ボル
トにおいて、気泡生成の様子は見られず、電圧を5分間印加した後でも、薄膜接
着に影響は無かった。1.5ボルトを超えると、気泡が明らかに視覚で確認され
、3ボルトになると、膜の接着性が失われ、膜は基板から除去可能な状態となっ
た。全酸化物は、シリコンウェーハおよび平坦な(plain)パイレックス(
登録商標)カバーガラスからエッチングされた。これらのパイレックス(登録商
標)カバーガラスは、ウェーハに結合され、別個の個々のデバイスとしてダイシ
ングされた。酸化物の肉厚が400nmを超えると、シリコンとパイレックス(
登録商標)との結合は完全に見えたものの、いくつかの領域がウェーハダイシン
グ処理に耐えられなくなった。薄膜電極がパイレックス(登録商標)カバーガラ
ス上に存在する場合、酸化物の肉厚を200〜300nmに低減することが必要
であった。酸化物の肉厚をこのように低減しても、いくつかのデバイスは、金属
膜近隣の結合部分に間隔を持つように見えた。間隔は50〜100μmであった
。上述したデバイスに類似するデバイス(ただし、図7A中に示す2つの側部入
口を有するデバイスを除く)にも実験を行った。これらの実験およびその後の実
験において、使用した緩衝剤は、0.001M、pH7.94のナトリウムバル
ビタールであった。1つの入口は純粋な緩衝剤を有し、他方の入口は2種類にサ
イジングされたポリスチレンラテックスビーズを有する緩衝剤を有していた。電
圧を電極に印加すると、ビーズは正電極に引き寄せられた。明らかな検出が観察
されたのは電圧が3ボルトになったときであった。実験を2時間行った後、チャ
ネル中の金属がパイレックス(登録商標)への接着性を失ったのは明らかであっ
たが、これは、デバイスの故障には繋がらなかった(すなわち、電気接触はその
ときも存在し、機能していた)。
【0088】 別の実験において、2つの側部の入口が純粋な緩衝剤を送達し、中央部の入口
が、ナトリウムバルビタール緩衝剤に懸濁された1μmと6μmの蛍光ビーズの
混合物を送達した。入口チューブにおける液体レベルは約2.5cmであり、出
口チューブとの差圧を用いて、液体をデバイスにポンピングした。サンプルスト
リームの幅は約75μmであったが、液体レベルの相対的高さに応じていくぶん
変化した。3ボルトを印加すると、大型のビーズは、小型のビーズよりも大きく
変形したようであった。しかし、ビーズがフローストリーム中のどこに有るかに
よって、ビーズの挙動に差があった。電圧印加中、ゆっくりと移動してパイレッ
クス(登録商標)上に沈降したビーズの方が変形が小さかったようであった。
【0089】 別の実行は、電極をSi微小作製チャネル上に配置する工程を含む。この工程
は、電極材料にあるV溝の両側のみをコーティングする角度でデバイスを保護(
shadowing)することにより、達成される。
【0090】 (実施例2 pH勾配) 微小チャネル内部における電気分解によって形成されるpH勾配を特徴付ける
方法を開発した。微小流体チャネル中において多数分にわたって安定な自然勾配
を生成することができることと、pHプロファイルは初期条件によって異なるこ
ととを示した。
【0091】 レーザ切削による微小機械加工方法を用いて、電気泳動フローセルをポリエス
テル(マイラー)で作製した。図3Aは、フローセルの分解図である。やはりレ
ーザによる微小機械加工を用いて、金電極をパターニングするためのリフトオフ
マスクを作製した。RFスパッタリングを用いて、金(純度99.99%、Ma
terial Research Corporationによる)を、接着層
層を介在させることなく肉厚が0.1μmになるまでマイラー上に堆積させた。
金堆積を行う前にマイラー表面をO2プラズマで活性化させると、丈夫な金属膜
が生成された。個々のフローセル構成要素を、ディスクドライブの製造に一般的
に用いられるアクリレートベースの感圧性接着剤(3M−1151)を用いて組
み立てた。マイラー層を接着剤層−マイラー層−接着剤層と交互に設けた。
【0092】 電気化学的フローセルチャネルのジオメトリと、重要な電極パラメータと、光
学的画像生成領域(ROI)とを図1B中に示す。ROIは、チャネル中央部に
配置され、これにより、電極縁効果を最低限にとどめる。2つのマイラー観察壁
(z−座標)間において、H−フィルタコンフィギュレーションフローセルを0
.41mmの主要フローセル断面と共に用い、2つの電極(y−座標)間におい
て、H−フィルタコンフィギュレーションフローセルを2.54mmの主要フロ
ーセル断面と共に用いた。チャネル長さは40mm(x−座標)であった。これ
らの2つの電極は(z−座標に沿った)肉厚が0.2mmであり、上面観察窓と
下面観察窓との間の中間地点に設けられた。x−座標において、電極は長さが3
8.5mmであり、x−座標において入口ポートと出口ポートとの中間地点に設
けられた。全ての実験において、カソードはy座標原点に配置された。アノード
およびカソードへの電気接続は、銀エポキシまたはクランピングによって維持さ
れる直接的な機械的接触を用いて達成された。
【0093】 微小流体チャネルの可視化は、倒立光学顕微鏡(IM35、Zeiss、Ge
rmany)を用いて行った。全実験において、低倍率の対物レンズ(2.5/
0.008)を用いた。チャネルの画像撮影は、3−チップ冷却型CCDカメラ
(ChromoCam 300、Oncor、Gaithersburg、MD
)を映像データ取得カード(CG−7 RGBフレームグラッバー、Scion
、Frederick、MD)および付随するPCソフトウェア(Scion
Image)と組み合わせて撮影した。標準的フルオレセインフィルタセット(
例えば、450〜490nm、510nmで2色性、発光520nmロングパス
)を用いて、蛍光測定を行った。
【0094】 これらの入口の1つを通じて、溶液をチャネルに注入した。入口を2つ用いる
場合、コンピュータによる制御の下で、チャネルへの注入を2つのシリンジポン
プ(Kloehn Ltd.,Las Vegas、NV)を用いて行った。全
ての実験において、x−軸に沿った流れは無視できる程度のものであった。
【0095】 微小流体IEFの場合、DC電源(モデル612C、Hewlett Pac
kard、USA)を用いて、0.5%の精度で金電極間に一定の電位を与えた
。電流値も同じ機器を用いて測定した。実験中の電流測定値と、電流予測値とを
比較した結果、IEFデバイス中のどこか(おそらくは、これらの2つの電極の
ごく近辺)において電位が大きく低下したことが分かった。従って、チャネルの
主要部分にかかる電位を実験において測定された電流値および導電率値に基づい
て計算すると、全印加電圧の10%よりも低かった。
【0096】 スルホフタレイン(sulphopthalein)から化学的に導出された
酸−塩基指示薬を用いて、pH勾配の形成をモニタリングした。ブロモクレゾー
ルパープル(pKa=6.3)およびフェノールレッド(pKa=7.9)を、購
入時(Aldrich Chem.Co.,Milwaukee、WI)と同じ
状態で用いた。指示薬の水溶液中の濃度は通常0.2mMであった。支持電解質
として、Na2SO4(Aldrich)を用いた。ヒスチジン(Researc
h Chemicals Ltd.,Avocado、Lanc.)と、2−(
4−モルホリノ)−エタンスルホン酸(MES;Fisher Biotech
、FairLawn、N.J.)とを両性緩衝剤として用いた。初期pH値をp
Hメータ(Orion、Model 290A)で測定した。
【0097】 チャネル中のROIの光学的画像からデータを取得した。全実験において、R
OIは、x−軸に沿って約4mmまでのチャネルを示した。電位を与えた後、フ
ェノールレッド溶液で満たされたチャネルにおいて、3種類の色(暗赤色、中程
度の赤色、および黄色)を同定できた。実験結果のより簡単な説明および理解の
ため、特定の用語を定義する。本明細書中、2色の指示薬色素間の境界部分を色
前面と呼ぶ。中程度の赤色と暗赤色との間の境界部分は「アルカリ性前面」を示
す(これは、カソードにより近い);黄色と中程度の赤色との間の境界は「酸性
前面」を示す(これは、アノードにより近い)。色前面の位置は、緑色のピクセ
ル強度とチャネル中の相対的y−位置とのプロットから決定され、この位置を用
いて、特定のpHの位置を規定した。電場の方向に沿って色プロファイルを測定
し、「前面」を、(酸または塩基の)pH極値とpH開始値との間の中間点とみ
なした。フェノールレッドの初期pHが7.6(36%の脱プロトン)である場
合、これらの中間点は、18%および68%の脱プロトンに対応する。ブロモク
レゾールパープルが同じ初期pH(100%の脱プロトン)である場合、50%
の脱プロトンに対応する可視状態の色前面は1つだけであった。これらの脱プロ
トン値から、ヘンダーソン−ハッセルバッハ式を用いて特定のpHを計算した。
【0098】 これらの実験において用いるカメラは、実験によって光学密度(OD)に対し
て対数線形応答を示すものを決定した。すなわち、ピクセル値の対数は、ODに
対して線形に変化する。(それぞれが異なる吸光係数を持つ)2つの形態の指示
薬色素からの寄与率の合計としてODの総計をモデル化することにより、ODは
、pH指示薬色素の除タンパクレベルに対して線形であることが分かる。ピクセ
ル値の対数も、プロトン化レベルに対して線形である。
【0099】 他に明記無き限り、全ての化学物質は以下の濃度で用いた:5mMのNa2
4、0.2mMのフェノールレッド、0.2mMのブロモクレゾールパープル
、1mMのヒスチジン、1mMのMES。溶液の初期pHを、0.1MのNaO
Hまたは40%(v/v)H2SO4のいずれかを用いて調節した。実験において
Na2SO4が支持電解質として用いられた場合、2.00±0.01Vの一定の
電圧を印加した。電流が300μAから4μAまで低下する初期遷移期間(典型
的には約20秒間)の後、電流は一定のままであった。印加電圧は、電場を最大
にし、かつ気泡生成を回避するように選択した。Na2SO4を含まない溶液の場
合、印加電圧は高くなり得た。ヘモグロビンのIEFについて2.5V(5μA
)の電位を用い、BSA結合体がフォーカシングしたとき、2.3V(5RA)
の電位を印加した。
【0100】 微小チャネル中におけるpHの分布を示すために、2つの別個の実験を、同じ
初期pH(7.65)で、異なる指示薬(フェノールレッドおよびブロモクレゾ
ールパープル)を用いて行った。このpHにおいて、フェノールレッドは約50
%脱プロトンし、初期に中程度の薄い赤色になった。2Vの電位を印加すると、
カソードにおいてOH-が生成され、この電極の近隣の色は暗赤色に濃くなった
。アノードにおいてH+が生成され、チャネルのその側部において、薄い赤色が
変化して黄色になった。電気泳動および拡散の組み合わせにより、「アルカリ性
前面」および「酸性前面」は、互いに移動して定常状態位置に到達した。ブロモ
クレゾールパープルは、pH7.64において99%脱プロトンするべきであり
、その塩基性の紫色形態となるべきである。2.0Vの電位が印加されると、H + の生成により、アノードにおいて紫色から黄色への変化が観察された。酸性前
面は経時的にカソードに向かって移動し、定常状態位置に到達した。
【0101】 フェノールレッドおよびブロモクレゾールパープルの特定のpH位置を、各時
間増分について図8中に示す。特定のpHの数値を、ヘンダーソン−ハッセルバ
ッハ式から計算して、図8の右側に示している。これらのpH値は、定常状態に
なった後のチャネル中のpHプロファイルを示す。色前面位置は5分経過後に定
常状態となり、その後5分間において定常状態のままであった。
【0102】 酸−塩基指示薬は、電気化学的に活性の化合物である。チャネル中において水
の電気分解ではなく電気化学的反応が発生する場合、pH勾配の形成をモニタリ
ングするための酸−塩基指示薬の使用を妥協することが可能である。従って、指
示薬色素の電気化学的還元が、カソードにおいて起こり得る競争反応として研究
された(指示薬色素の酸化についてはその文献においては記載されていない)。
水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を用いた電気化学的還元または化学的還
元で得られた生成物の構造はいずれも同じであることが知られている。従って、
フェノールレッドおよびブロモクレゾールパープルの両方をNaBH4を用いて
行った化学的還元を、電気化学的還元のモデルとして検討した。ヒスチジン緩衝
剤NaBH4(2mg)を色素の水溶液(0.2mM、pH=3.8)に加えて
、20分間インキュベートした。20分後、溶液の特徴的色が消え、化学的生成
物は無色であることが示された。本発明者らの実験のいずれにおいても、カソー
ドにおいて比較に値する脱色は観察されなかったため、検討条件下における微小
流体チャネル中の色素の電気化学的還元は無視してもかまわない。
【0103】 異なるpH値のヒスチジン緩衝剤中のフェノールレッド溶液のセットを、支持
電解質を付加してまたは支持電解質を付加せずに用いた。先ず、緩衝無しの電解
質溶液におけるpH勾配の形成について調査した。pH勾配は約2Vの電位にお
いて2分間以内に確立されたが、その安定度(特に低い方の初期pH値)は良く
なかった。緩衝剤の存在下におけるpH勾配の発達を観察した場合、良好な安定
度が観察された。pH勾配は、緩衝剤を含む電解質溶液において、発達して5分
以内に安定状態となった。第1の実験では、pKa値が6.00および9.17
のヒスチジンを緩衝剤として用いた。
【0104】 色前面の定常状態位置(従って、チャネル中のpH分布)は、初期pHに対し
敏感であることが分かった。色前面の定常状態位置は、初期pHが増加するにつ
れて、アノードに近付いた位置で確立された(図9)。図9は、緩衝剤を含まな
い電解質溶液およびヒスチジン緩衝剤を含む電解質溶液について、5分経過後そ
れぞれの溶液が到達した定常状態位置の差を示す。緩衝剤を含まない溶液(0.
5mM Na2SO4)の場合、初期pHが増加するにつれて定常状態の位置はア
ノードに向かって少しずつ移動するだけなのに対し、緩衝剤を含む溶液(0.5
mMのNa2SO4中に0.1mMのヒスチジン)の場合、プラトー状態が見られ
た。このプラトー状態は、初期pH範囲が6.8〜8.0であるときに見られた
。この範囲において、緩衝剤キャパシティは微弱な(なぜならば、この範囲は、
ヒスチジンのいずれのpKa値から1pHユニットよりも大きいからである)。
このpH範囲において、大部分の緩衝剤分子は中性形態であり、従って、最小の
電気泳動移動度を有する(ヒスチジンのpIは7.4である)。
【0105】 指示薬(緩衝剤を含む溶液)を用いた実験を(2Vの印加電位で)20分より
も長く継続すると、予想とは違って酸性前面およびアルカリ性前面がカソードに
向かってゆっくりと移動するのが観察された。
【0106】 (実施例3 等電点電気泳動) 静的実験において、スズ/銅製のワイヤをガラススライドの間に挿入してエポ
キシ接着しただけの簡単な静的デバイスを作製した。DiIC16で蛍光標識した
アミノ基で官能化した(amino−functionalized)3μmの
ポリスチレン微粒子を水中に浮遊させ、次いで、200μmの電極間の間隔にわ
たる3Vの電場に露出させた。荷電ビーズは、チャネルの中央部分に向かって急
速に移動し、「フィラメント」を形成した。これらの微粒子の挙動は、デバイス
が等電点電気泳動を生成したことを示す。この実験における電圧は、水の電気分
解を行うのに充分に高かった。
【0107】 その後、ビーズの流動溶液に関する実験を以下のように行った:チャネルは高
さが0.381mmであり、幅が1.27mm(これは、電極間の距離に対応す
る)であり、長さは40mmであった。これらの電極は、金めっきされた銅で作
製した。水の加水分解を示す気泡形成が約2Vの印加まで発生しなかったのが観
察されたため、この金めっきは成功したように見えた。この約2Vの印加は、金
の場合の予測値に近く、銅の場合の観察値(1〜1.2V)よりも高い。上面壁
および下面壁はそれぞれガラススライドおよびガラスカバープレートであり、イ
ソプロピルアルコールで洗浄した。ガラススライドで手でドリルで孔を開けられ
た4つの孔によって流体によるアクセスを提供し、この流体によるアクセスを、
流体相互接続多岐管システムを用いたID=0.762mmのUpchurch
HPLCチュ−ビングに結合させた。
【0108】 上部のストリームは、9mMまたは0.09mMのいずれかの理論イオン強度
を有するクエン酸塩緩衝液中にフルオレスブライト(Fluoresbrite
)ポリスチレンラテックスのビードを含んでいた。ポリスチレンラテックスは、
生来の負電荷を有している。底部のストリームは、マッチング緩衝液(matc
hing buffer)のみであった。体積流量は、各ストリームについて0
.10μL/sであった。2つのストリームを、シリンジポンプを使用して同じ
ポンピング速度に維持した。チャネル内の速度(プラグ流れを仮定する)は、0
.43mm/sであったので、最小の保持時間は93秒であった。
【0109】 Brij洗浄剤の希釈液、次いで、イソプロピルアルコールおよび脱イオン(
DI)H2Oを、デバイスを通して流した。この洗浄剤による洗浄は、表面を中
性化し得、これにより、電気浸透性の流れを本質的になくした。なぜなら、その
ような流れは観察されなかったからである。約16V/cmの電場をより高いイ
オン強度の溶液に印加した場合、何の効果も観察されなかった。同様の電場をよ
り低いイオン強度の溶液に印加した場合、負電荷を有するビードが、アノードに
向かって移動した。ビードは、特定の位置に並んだ。
【0110】 上部をアノードとした実験を続けた際に、本発明者らはビードの凝集に気づい
た。これは、pH勾配における等電点への移動を示している。等電点において、
凝集を予測することができる。なぜなら、粒子は本質的に中性であり、それゆえ
、最小の静電気的な反発を受け、粒子の局所的濃度が増加したからである。両方
の極性で、ビードはアノードから平衡点に向けて移動するように見えた。これは
また、等電点電気泳動を誘導するpH勾配の存在を示す。電気的に中性の粒子の
凝集は周知であり、一般に、立体的安定化ポリマー(steric stabi
lizing polymer)および界面活性剤を使用することによって克服
される。
【0111】 タンパク質の等電点電気泳動ための微小チャネルの利用が示された。ウシヘモ
グロビンおよび蛍光標識されたBSAが、数分間の間に、単一のタイトなバンド
に集束した。集束したタンパク質バンドの位置は、溶液の初期のpHによって影
響を受けた。
【0112】 ウシヘモグロビン(Sigma Chem.Co.、St.Louis、MO
、pI=7.1)、および、蛍光性ウシ血清アルブミン(BSA)−Bodip
y FL結合体(Molecular Probes Inc.、Eugene
、OR)を、等電点電気泳動のテスト分析物として使用した。タンパク質の等電
点(pI)を、BioRad Laboratories,Inc.(Herc
ules、CA)によって仕様が定められた手順を使用し、ポリアクリルアミド
のゲル等電点電気泳動によって、実験的に決定した。2つのグラファイト電極を
備えた、BioRadから購入した小型IEFセル(モデル111)を、この目
的のために採用した。集束を、一定電圧の条件下で行った(Power Pac
1000、BioRad)。
【0113】 タンパク質の等電点を、標準の位置との比較により決定した。ウシヘモグロビ
ンは、標準のヒトヘモグロビンA(pI=7.1)に接近した位置の複数のバン
ドを示した。蛍光BSA結合体のバンドの位置は、フィコシアニン(pI=4.
65)の第2のバンドの位置に一致した。BSA結合体の蛍光の安定性を、LS
−50B Perkin Elmerの蛍光分光計(Norwalk、CT)を
用いて、pH値の広い範囲にわたって測定した。
【0114】 タンパク質のIEFについて、Na2SO4を含まない溶液を使用した。他の著
者によって、電解質の存在がpH勾配をかなり圧縮することが見出された(Ma
o、Q.L.およびPawliszyn,J.、Journal Of Chr
omatography B.1999、729、355−359)。このpH
勾配の圧縮は、タンパク質の分離のための効率的な方法としての微小流体IEF
の能力に影響を与え得る。しかしながら、フェノールレッドの色前面の位置にお
ける有意な差異は、6.1〜7.5の初期pH値について、0.5mMのNa2
SO4を含む溶液と含まない溶液との間で観察されなかった。Na2SO4により
供給される追加の電解質がないと、導電性が低下した。この導電性の低下に起因
して、pH勾配の形成に必要な時間が5分から8または10分に増加した。展開
時間を短縮するために、印加電位を2.0Vから2.3Vに増加させた。
【0115】 予備的な結果は、緩衝溶液の初期pH値がタンパク質のpIに接近している場
合に、タンパク質のIEFが最良に働くことを示した。BSAのpI値に接近し
た初期pH値を達成するために、MES緩衝液(pKa=6.09)もまた検査
した。色前面の位置の、初期pHに対する依存性を、電解液を含まない1mMの
MESについて、調査した。予測されたように、色前面の位置は、初期pHがよ
り高い場合に、アノードにより接近していた。曲線にプラトーは観察されなかっ
た(図9B)。安定なpH勾配の展開のために必要な時間は、2Vの電位(I=
4μA)について約8分からの範囲であり、2.3Vの電位(I=7μA)につ
いて4分からの範囲であった。
【0116】 ウシヘモグロビン(Hb)を、550nmにおけるその強い吸収のために、テ
ストケースとして選択した(追加の色素を必要とせずに容易に観測できる)。H
bのpIは、微小チャネルにおけるIEFに使用されたのと同じ濃度において実
行したポリアクリルアミドゲル等電点電気泳動法で検証された通り、7.1であ
る。微小チャネルにおけるHbのIEFを、7.1の初期pHの0.1mMヒス
チジン緩衝溶液において実行した(上述したように、タンパク質のIEFの最良
の結果は、緩衝液の初期pHがタンパク質のpI値に接近している場合に得られ
た)。2.5Vの電圧(結果として5μAの電流を発生させる)を、6分間印加
した。より高い光学濃度を有する、電極に接近した2つのゾーンが、15秒以内
に形成された。その2つのゾーンは、互いに向かって移動し、5分後には合わさ
って1つの暗いゾーンを形成した。Hb濃度が比較的高い(1.55×10-1
)場合でさえ、そのより暗い2つのゾーンおよびその移動は、カラー画像におい
て裸眼で見えた。正規化された緑のピクセル値対位置のプロットにより、Hb移
動のモニタリングが可能になった。微小チャネルにおけるHbの最終的な集束ゾ
ーンの位置は、同様の条件下での酸塩基指示薬を用いた以前の結果(図8)に基
づいて、7.1±0.3のpHに一致した。IEFによって決定された微小チャ
ネルにおけるpI値は、実験誤差の範囲内で、文献にあるpI値および本発明者
らのゲルIEF実験によって決定されたpI値と同一であった。
【0117】 第3の吸収ゾーンが、カソードの近くに形成された。その吸収ゾーンは移動し
なかったが、時間とともに強度が増加した。このピークは、電気化学的なHbの
還元またはHbの金表面における吸着により引き起こされたものであろう。2次
のピークの存在は、実際のIEFにとって、タンパク質の電極表面との直接の接
触が望ましくないことを示唆する。
【0118】 強い蛍光性および光退色に対する耐性に起因して、市販のウシ血清アルブミン
(BSA)の蛍光色素Bodipy FLとの結合体は、Hbの場合に可能であ
った濃度よりも低いタンパク質濃度でのIEFのモニタリングを可能にする。こ
のような共有結合で修飾されたタンパク質を使用することの起こり得る欠点は、
複数の標識の結合体化の程度のばらつきに起因する不均一な集団の生成である。
各型の結合体のpIは、表面のアミンが他の荷電した、または中性の、種へ改変
されるので、生来のタンパク質のpIとは異なり得る。他の色素、例えば、フル
オレセインイソチオシアネートまたはローダミン−B−イソチオシアネート等と
のBSAの結合体化反応は、BSAのpI(4.6)に必ずしも有意な影響を及
ぼさないことが示されてきた。この結論は、本発明者らのポリアクリルアミドゲ
ル等電点電気泳動法によるBSA結合体のpIの測定によって、確認された。す
なわち、pIは、4.6±0.1であることが見出された。
【0119】 BSA−Bodipy FL結合体の蛍光は、pHが4と8との間ではpHの
影響を受けないと報告されている。微小チャネルの中では、特に電極の近くでは
、これらのpH値を越えることがあり得るので、BSA結合体の蛍光シグナルの
安定性を、特にIEFの期間中に見出されたより高いpH値において、研究した
。1.52μMのBSAの溶液を、2.5から10.0の異なるpHについて調
製した。495.0±2.5nmの励起波長についての500〜550nmの蛍
光スペクトルを、その溶液のそれぞれについてその調製の直後に記録し、次いで
、30分毎に4.5時間の間記録した。蛍光は、これらの測定の間にどのpH値
についても有意に変化せず、微小チャネルの中に観察された蛍光の変化は、極端
に低いまたは高いpH値による消光によるものではないことが確認された。
【0120】 2.9μMのBSA結合体のIEFを、1mMのMES緩衝液中で、4.46
の初期pH(OH-が追加されない場合)で実行した。これらの実験では、支持
電解質を使用しなかった。チャネルを、2つの入口を通して満たした。緩衝液の
溶液をアノードの側から供給する一方で、同じ緩衝液中のBSA結合体の溶液を
同じ速度でカソードの側から供給した。電場の印加の直前に流れを停止させた。
2.3Vの電位(結果として5μAの電流を生成する)を印加した後、検査され
た全ての初期pH値について、最終的に、BSA結合体が1つのタイトなバンド
に集束された。集束バンドの位置は、集束に必要な時間と同じく、異なる初期p
H値について変化した。本発明者らのpH勾配の展開の以前の研究によって予言
された通り、BSAは初期pHがより高い場合に、アノードにより接近して集束
された。集束されたバンドの位置を、BSA結合体のpI(pI=4.65)に
一致するものと見なし、同様の条件下(図9B)で測定されたフェノールレッド
の色変化の前面の位置と関連付けた。結果は、よく一致し、pH勾配の形状がタ
ンパク質の存在によって影響されないことを示した。
【0121】 BSA結合体のIEFに必要な時間もまた、初期pHに伴って変化した。BS
A結合体のIEFは、pH値がより低い場合により速かった。初期pHが3.5
4の場合に1つのタイトなストリームの中へのBSAのIEFが3分以内に起こ
る一方、初期pHが6.22の場合には1つのタイトなバンドへBSA結合体を
集束させるために10分間でも十分ではなかった。この時間の差異の1つの説明
は、より高い初期pH値では、BSA結合体がより遠くに移動しなければならな
いことであろう。BSA結合体のpIに対応するpHは、より高い初期pH値で
は、カソードから遠ざかる。これは、BSA結合体の初期位置から遠ざかること
を意味する。
【0122】 (実施例4 数学モデル) 酸およびアルカリの「前面」の位置は、数学的に予測することができ、実験結
果とよく一致する。モデルは、初期値として、各種についての初期の濃度プロフ
ァイルと拡散係数と絶対移動度、チャネルの幅、電流密度、境界条件(電極での
反応)を使用する。移送ステージでは、モデルは、ノードに隣接したフラックス
に基づいて、リンクしたODEのシステムによって、電気永動および拡散により
駆動される際の各ノードにおけるdc/dtを計算する。平衡ステージでは、緩
衝効果を可能にする質量保存を維持しつつ、各ノードにおける弱い電解質種のそ
れぞれについて、平衡定数を適用する。次いで、平衡した値を移送ステージに入
力するための新たな初期値として使用する。
【0123】 加水分解の生成物のみに依存する本発明の新規なデバイスの動作中に、pH勾
配を生成するために、軽度に緩衝した溶液中の圧力によって駆動される流体をチ
ャネルに入れ、流れの方向(z軸沿い、図10参照)に垂直に電場を印加する。
側壁(yz平面に平行に、チャネルの長さだけ延びている)を形成する電極にお
いて、アノードにおいてH+が、また、カソードにおいてOH-が付随して生成す
る、加水分解が起こる。これらの種の移動および拡散は、溶液中の弱酸の平衡反
応と組み合わされて、動的なpH勾配を形成し、このpH勾配は最終的には定常
状態の配置に達する。この勾配の展開は、実験における0.01と0.43との
間のレイノルズ数において圧力により駆動される流れによって引き起こされるチ
ャネル中の不均一な速度プロファイル(図10参照)のために複雑である。チャ
ネルの壁に隣接する流れは、チャネルの中央における流れよりもずっと遅く、そ
の結果、チャネルの壁において、実際上、チャネルの中央線沿いよりも長い保持
時間が存在する。
【0124】 微小流体の電気化学的なフローセル中のpH勾配の形成における一次元電気永
動拡散モデル。微小流体の電気化学的なフローセル中で起こるプロセスの数学的
な定式化は、連続方程式(式1)に基づいている。この連続方程式において、c
(x,y,z,t)は、所与の種の濃度であり、v(x,y,z,t)は、速度
であり、J(x,y,z)は質量フラックスである。
【0125】 式1−一般的な連続方程式
【0126】
【数1】 定常状態(例えば、チャネル中の所与の点における種の濃度および速度がいず
れも時間とともに変化しない)を仮定することによって、式の右辺の第1項は無
視され得る。式1を簡略化するために、さらなる近似を行った。x方向およびy
方向の流速を、0と見なし(図10参照)、その結果、対流による移送はz軸沿
いにのみ有意である。電場は、x軸に平行に印加されるので、y軸およびz軸沿
いの電気移動は、無視され得る。y方向の寸法は他の方向の寸法に比較して小さ
い(図10参照)ので、拡散はy軸に沿って急速に起こり、y軸に沿う濃度勾配
は存在しないと仮定される。流速をy軸に沿って平均し、次いで、モデルは全て
の値がy軸沿いに均一であると解釈する。
【0127】 これらの近似により、式1は以下のように簡略化される。
【0128】
【数2】 式2−定常状態における連続方程式、一次元層流 チャネルの中の任意の点における濃度を求めるために、このPDEは、定差法を
適用することによって、x方向におけるODEに変換される(式3)(Finl
ayson,B.、「Numerical Methods for Prob
lems with Moving Fronts」、Ravenna Par
k Publishing、Seattle、1992)。
【0129】
【数3】 式3 フラックスは、電気永動、拡散および化学反応に起因する損失および/または生
成を含み、
【0130】
【数4】 であり、ここで、Fはファラデー定数であり、νは種の絶対移動度であり、zは
種の荷電数であり、Φは電場であり、Dは種の拡散係数であり、Rcは種の反応
項である。このモデルにおいて、化学反応項は0である。微分係数を正に計算す
るためにフラックス項を展開せずに、式を発散の形式のままにすることにより、
計算の回数が最小化される。電荷は、電極のすぐ近くに隣接する薄い(1〜10
nmの)境界層を除いて、チャンネルの中のいたるところで保存されると仮定す
ることができる。境界層では、電荷はそうではなくポアソン分布を示す(Jam
es,Aら、Int.J.Num.Meth.Flu[1995]20:116
3−78)。この仮定は、電流密度が一定であり、局所的な濃度および濃度勾配
が与えられるとチャネルの中の任意の点での電場の強さを計算することができる
ことを意味する。従って、Lindgrenらの研究(Lindgren,E.
ら、Emerging Technologies in Hazardous
Waste Management V、Tedder,D.およびPohl
and,F.、Eds.、ACS 1995)によって示されたように、各ノー
ドにおけるフラックスの計算が容易になる。境界条件は、壁におけるフラックス
によって定義され、アノードにおいてH+およびO2以外の全ての種について0で
あり、カソードにおいてOH-およびH2以外の全ての種について0である。水の
電気分解によるこれらの生成物について、ファラデーの式に示されるように、生
成の速度は電流密度に比例する。
【0131】 (酸/塩基平衡の考慮):この系は、化学的プロセスと移送プロセスとの間の
時間スケールにおける大きな差異、例えば、酸/塩基平衡対電気永動および拡散
、に起因して、準定常状態の挙動を示す。プロセスのシミュレーションモデルで
通常行われるように、酸/塩基化学作用は移送現象に比較して非常に急速なので
、局所的に平衡であると仮定される。この仮定に基づいて、結果として得られる
系の数学的な記述は、代数PDEになる。これは、プロセスの遷移的な性質を記
述し、弱い酸/塩基平衡を取り入れたpH勾配の定式化の最初のモデルを発表し
たBierらによって示された通りである(Bier,M.ら、Science
[1983] 219:1281−7;Mosher,R.ら、Anal.C
hem.[1989] 61:362−6)。
【0132】 移送の微分方程式を同時に解きながら代数的な拘束条件を系に組み込むために
、2ステージ定差モデルが開発された。チャネルの全長が、均一な長さのステッ
プに分割される(ΔL、図11参照)。式(3)は、方程式のセット(n=1、
・・・、4についての)を表し、この方程式のセットは、4次のルンゲ−クッタ
法を使用して、各ΔLの増分でz方向に積分される。これらの新たな濃度は、次
いで、非線形方程式の系を解くことによって平衡化される。その非線形方程式の
系は、質量を保存しつつ、全ての弱い酸/塩基(水を含む)の平衡条件を適用す
る。結果として得られた平衡化された濃度は、次のΔLにおける新たな濃度を求
めるための初期値として使用される。ΔLを十分に小さくすることにより、この
2ステージのアプローチは、実験条件をモデル化するためにうまく最適化され得
る。
【0133】 (不均一な流れプロファイルのモデルへの追加):式2において、定義される
べき残りの1つの項は、速度項ν(x)である。ν(x)を求める最も簡略化さ
れたアプローチは、x次元に沿って均一な鈍い(blunt)流れプロファイル
を仮定することであり、これにより、チャネルに沿った長さは、電極の間の全て
の位置で、チャネル内での時間に均一に比例する。この仮定により、式2の速度
項は一定になり、モデルの導出は、Bierらの定式化(Bierら、1983
、前出)に帰着される。しかしながら、この仮定は、流れが壁沿いではより遅く
、チャネルの中央ではより速いという事実を無視している。壁に隣接するエリア
は、本願に示される実験デバイスにとって非常に重要であるので、この速度差は
考慮されなければならない。
【0134】 速度プロファイルを求めるにはいくつかの方法がある。最も単純であるが最も
不正確な方法は、流れがy次元(電極の高さ)に沿って均一であり、x次元に沿
って放物線状であると仮定することである。しかしながら、デバイスのアスペク
ト比は3:1であり、電極の隔たりの寸法の方が広いので、y次元に沿って鈍い
プロファイルを仮定することは全く不正確である。実際、y次元は、x次元より
も誇張された放物線状のプロファイルを示すべきである(図10参照)。計算さ
れた速度の精度を改善するために、完全な二次元の流れプロファイルを求めなけ
ればならない(図10参照)。
【0135】 これは、以下に示される運動量保存の式に定差法を適用することによってなさ
れ得る。
【0136】
【数5】 式4a−運動量の保存
【0137】
【数6】 式4b−運動量の保存、他の表記 二次元グリッド(図12参照)における所与の点(i,j)において、速度の
勾配は、定差法を用いて以下のように表現され得る。
【0138】
【数7】 式5−式4bの定差による実現 式5を書き換えると、以下のようになる。
【0139】
【数8】 式6 式6の左辺は、全てのグリッド点について一定であり、それゆえ、無次元化さ
れ得る。上述した方程式は、全ての内部の、非境界のグリッド点について当ては
まる。境界では、すべりなし(no−slip)条件(すなわち、壁面における
速度は全ての境界点について0)が適用される。従って、Matlab(The
Mathworks,Inc)によって簡単に解くことのできる一次方程式の
系が生成され得る。
【0140】 一旦、無次元化された速度が求まると、それらの速度を、全体の体積流量が実
験の値と等しくなるようにスケーリングしなければならない。このスケーリング
を行うために、その速度をxy平面にわたって積分することによって、理論的な
体積流量を最初に計算する。実際には、この積分は、グリッド内の各ボックスの
隅を形成する4つのグリッド点における速度を平均し、その平均値をボックスの
面積(Δx×Δy)で乗算することによって実現する。既知の流量の計算された
流量に対する比を、速度を調節するためのスケーリング因子として使用する。
【0141】 この時点で、pH勾配モデルで使用される一次元の流れプロファイルを決定す
るために利用可能ないくつかの可能性のある方法が存在する。単にチャネルの中
央の点(y軸沿い)における流れプロファイルをとってもよいし、または、より
正確には、チャネルの高さ沿いの各ノードについての全ての速度を平均してもよ
い。図13は、同じ体積流量での同一のチャネルについて、これらの2つの方法
の結果を、均一なy軸流れプロファイルの仮定を用いて得た結果と比較する。予
測されるように、一次元解法は、放物線状の流れプロファイルを生成し、一方、
二次元解法は、両方とも、チャネルのアスペクト比と整合するより鈍いプロファ
イルを示す。本明細書に示されるモデルは、速度プロファイルの計算に、平均化
された二次元解法を使用している。完全な二次元問題を解く場合に、y次元を特
徴付けるために選ばれるノードの数が、計算された速度プロファイルの精度に大
きく影響を与えることに留意することが重要である。30個以上のノードで、解
は安定して一定の結果になる。
【0142】 (時間ステップおよび長さステップに対するモデルの安定性):上述したよう
に、ΔLのサイズは、ノード間隔Δxと同様に、安定なモデルを達成するために
非常に重要である。モデルを繰り返し実行し、長さステップまたはノード間隔の
みを変化させることにより、これらのパラメータに対するモデルの感受性を、あ
る範囲の値にわたって決定した。これらの結果に基づいて、モデルがこれらの値
に影響されないように、長さステップおよびノード間隔を選択した。
【0143】 モデルと実験結果との比較:試薬:有色pH指示薬色素の緩衝溶液を使用して
、微小流体デバイスにおけるpH勾配の生成をモニタリングした。すべての試薬
を、さらに精製することなく使用した。酸の状態のpH指示薬色素ブロモクレゾ
ールパープルを使用した(Aldrich Chemical、Milwauk
ee、WI)。使用した緩衝液は、L−ヒスチジン(Avocado Rese
arch Chemicals、Karlsruhe、Germany)および
リン酸ナトリウム(Baker Chemicals、Phillipsbur
g、NJ)であった。これらの化学薬品のpKa値を、以下のようにまとめる。
【0144】 表1.実験に使用された化学薬品のpKa値
【0145】
【表1】 装置:実験は、本明細書中に記載されるように、CO2レーザにより切断し、
予め塗布された感圧性接着剤を使用して組み合わせたマイラー(Mylar)(
Lockwood Industries,Inc、San Carlos、C
Aの1部門であるFraylockから入手した材料)の層から作製した微小流
体電気化学フローセルの中で実行した。電極壁を形成するために、99.99%
純度の金を、プラズマにより活性化したマイラーに、直接、スパッタリングした
。そのマイラーを、次いで、感圧性接着剤をコーティングしたマイラーのコア材
に巻き付け、電極を形成した。寸法は、厚さ0.4mm×幅1.25mm(電極
間)×長さ40mm(チャネルの入口から出口までの長さであり、電極は38.
5mm)であった。流れを、シリンジポンプ(Kloehn Co.,Ltd.
、Las Vegas、NV)を用いて圧力により駆動した。ポンプおよびデバ
イスを、Upchurch(Oak Harbor、WA)の管材料、金具およ
び他の付属品ならびにあつらえて作製された流体継手を用いて一緒に配管した。
【0146】 プロトコル:実験を、1mMの緩衝液、0.1mMのNa2SO4および0.2
mMの指示薬色素の中で行った。流量は、特に断らない限り、0.08μL/s
であった。実験を開始した後、画像を撮影するまでに、系の安定化を可能にする
ために、最小で3倍のデバイス容積をチャネルに通過させた。HP 6612C
電源(Hewlett Packard、Palo Alto、CA)を使用し
て、2.4Vの一定電圧を印加した。系を流れる電流(実験条件に依存して、約
6−9μA)と、溶液の既知の導電率(ヒスチジン/フェノールレッドの場合、
3.8e−3S/m)とに基づいて、1.27mmのチャネルにわたる電圧降下
は、1.8Vにより接近している。導電率を、0.274cm-1のセル定数を有
する抵抗測定器からのデータを用いて計算した。この、印加された電圧と計算さ
れた電圧との差は、電極表面の直近にかなりの電圧降下があることを示唆してい
る。モデルは、一定の電流密度を仮定し、各ノードにおける局所的な電場を計算
するので、この未知の電圧降下は、モデルが、チャネルのバルクを正確にモデル
化することを妨げない。
【0147】 デバイスのジオメトリは、電極がチャネル壁の50%だけを覆うようになって
いる。モデルの目的から、チャネル壁は均質であると仮定され、電流密度はチャ
ネル壁の全面積(以下に議論する実験の場合、0.38A/m2)を使用して計
算される。チャネル中の化学種は、チャネルの下流への対流による移送に比較し
て急速に拡散し、それゆえ、化学種がy軸に沿って平衡を保つことを可能にする
ので、この簡略化は適切である。
【0148】 画像キャプチャ:pH勾配の形成および位置を追跡するために、チャネルのカ
ラー画像を、照明光源として透過白熱光を使用して撮影した。チャネルを、顕微
鏡(Carl Zeiss,Inc.、Thornwood、NY)に搭載され
たカラーの3チップCCDカメラ(Oncor,Inc.、Gaithersb
urg、MD)を用いて画像化し、画像を、フレームグラッバ(Scion C
o.、Frederick、MDによって製造されたScion CG−7)を
使用してキャプチャした。画像を、10倍の対物レンズを使用して撮影し、最終
的な視野は1.46×1.1mmであった。画像を、z=0mmからz=22m
mまで続けてチャネル沿いの固定位置で撮影した。顕微鏡のステージを、顕微鏡
のステージに組み込まれたマイクロメーターで測定された値の1mmまたは2m
mの増分で、顕微鏡の対物レンズを越えて手動で進めた。
【0149】 画像処理:全ての画像処理を、Matlabを使用して実行した。pH勾配の
展開の範囲を、各画像から、z方向に0.5mmの距離だけ隔たった2つの固定
された場所で抽出し、これにより、各画像は、z=Zおよびz=Z+0.5mm
での2つのピクセル強度プロファイルを生成した。各強度プロファイルについて
、電極によって形成されたチャネル壁の場所を決定し、次いで、ピクセル強度値
を壁の間の領域について抽出した。各強度プロファイルを、一定した数のピクセ
ルに再サンプリングし、ローパスフィルタを用いて平滑化し、照明のばらつきを
補正した。これらのピクセルレベルの対数を、モデル予測との比較として使用し
た。
【0150】 画像セグメント化:代表的な画像は、両側を細く黒い垂直のストライプ(不透
明な電極で形成された壁)に挟まれた明るく広い垂直のストライプを含んでいた
。従って、画像処理の最初のステップは、壁から有色の部分を分離することであ
った。BCPの場合、RGB画像中の赤のチャネルは、全てのpH値で飽和して
おり(すなわち、0−255スケールで255の強度の白)、壁においてはより
著しく暗かった。これは、画像のセグメント化に有用であることが分かった。チ
ャネル壁を、赤のピクセル強度において急峻な傾斜を示すピクセルのウィンドウ
によって位置決定した。この急峻な傾斜は、チャネルの中心の両側へのピクセル
強度における急激な変化を示す。デバイスの上部および下部の細い影により生成
された傾斜よりも大きい傾斜の最小値を特定した後、このセグメント化のアプロ
ーチは、全ての画像でチャネル壁をうまく位置決定した。
【0151】 強度のばらつきの定量化:カラー画像を、プロトン化された色素、およびプロ
トン化されない色素のチャネルにわたる分布をマッピングする目的のために、グ
レースケールに変換した。各画像中の各場所について、ピクセル値を、壁によっ
て境界が定められた11ピクセルの長さ(z方向沿い)の領域から分離し、z方
向に沿って平均した。壁の間のピクセルの数は、デバイス構成のわずかな不完全
さ、および、焦点面のばらつきとデジタル化の誤差に起因して、各データ点につ
いてわずかにばらついた。従って、各強度プロファイルを、アンチエイリアシン
グローパスフィルタを使用して、ピクセルの均一な数に再サンプリングした。各
強度プロファイルを、次いで、17ピクセルのボックスカーフィルタを用いて平
滑化した。
【0152】 照明のばらつきの補正:2種類の照明のばらつきが、実験データに観察された
。すなわち、チャネル中の異なる点で撮影された画像間の照明におけるばらつき
と、所与の画像についてのチャネルにわたる照明におけるばらつき(画像内)と
である。画像と画像との照明のばらつきは、実験装置のアーチファクトであり、
このアーチファクトは、入口に近接した照明の強度を低減させ、デバイスの入口
の近くで撮影されたこれらの画像をチャネルの中心で撮影された画像よりも暗く
見せた。このばらつきを補正するために、pH指示薬色素で満たしたチャネルの
画像を無電圧および流れなしの条件下で撮影し、ピクセル強度プロファイルを上
述したように求めた。z=0における初期強度プロファイルからのずれを、初期
画像と目的のプロファイルの画像との比をピクセルごとのベースで求め、正規化
値の行列Mn(画像番号,ピクセル番号)を生成することによって、引き続く各
プロファイルについて計算した。
【0153】 画像内のばらつきは、マイラー観察ウインドウにおける高さのわずかな差によ
って引き起こされたものであると思われた。このばらつきを補正するために、こ
こでも、ピクセルごとのベースで、一連のバックグラウンド画像の初期強度プロ
ファイルをその最大ピクセル値(チャネルのほぼ中心で発生する)で除算し、正
規化値のベクトルVn(ピクセル番号)を生成することによって、正規化値の第
2のセットが生成した。
【0154】 引き続く実験データは、まず、各強度プロファイルに、チャネル沿いの適切な
位置に対応する正規化値Mnを乗算することによって、画像と画像との照明のば
らつきを補正した。実験データは、次いで、各強度プロファイルを正規化値の第
2のセットVnで除算することによって、チャネルにわたる照明のばらつきを補
正した。
【0155】 実験データとモデル予測との比較:これらの実験で使用したカメラは、強度に
ついてリニアであり、光学濃度、従って、濃度について対数リニアである。既に
議論したように、pH指示薬色素ブロモクレゾールパープル(BCP)を、チャ
ネル中のpH勾配の展開をモニタリングするために使用した。BCPは、プロト
ン化された状態において明るい黄色であり、プロトン化されない状態において暗
い紫色である。実験条件下で、プロトン化された状態の色素は、色素溶液の光の
吸収に有意に寄与しないことが見出された。従って、ピクセル強度プロファイル
は、プロトン化されない状態の色素単独での濃度プロファイルに比例する。それ
ゆえ、プロトン化されない色素の濃度のモデル予測を、実験データから生成した
ピクセル強度プロファイルの対数と比較した。モデルと実験値との両方を、両方
のデータセットについて値が0〜1の範囲をとるように、別々に内部で正規化し
た。
【0156】 一次元モデル予測は、定性的に、実験結果に類似していた。全ての実験につい
て、プロトン化されない色素の予測された初期濃度は、チャネルの入口における
正規化されたピクセル強度の対数に類似していた。この一致は、モデルを実験デ
ータと比較するために使用した分析的方法の有効性を支持している。モデル予測
と、2つの緩衝液系、すなわち、フォスフェートおよびヒスチジンについての実
験データとの比較の詳細な検査は、フォスフェート緩衝液モデル予測が、質的な
点で、実験値をよく表していることを示す。2つの緩衝液系において、異なる緩
衝液系の使用により、イオン強度を、従って、溶液の導電率を、大きく変えたで
あろう強い酸または塩基の、初期pHを調節するための使用を必要とせずに、異
なる初期pH値で実験を行うことが可能になった。予測されたように、チャネル
の中央に向かうpH勾配の進行は、流量が増加し、従って、チャネル中での保持
時間が減少すると、より遅くなった。この効果は、アノード側でより容易に観察
された。アノード側は、電場の印加の直後に、ピクセル強度/プロトン化されな
い色素濃度におけるより大きい絶対的変化を示した。この特質的な反応はまた、
より高いシグナル対ノイズ比を生み出し、それにより、モデルの実験データとの
よりよい比較を可能にした。
【0157】 3つの流量のすべてにおいて、モデルは、入口により接近したz方向の場所で
の最大のpH変化の領域の位置をよく予測した。また、一旦、pH勾配が定常状
態の位置に到達すると、この領域の位置の予測が行き過ぎる。この最終的な行き
過ぎは、印加電圧が一定であることと、流体がチャネル沿いに流れるにつれて溶
液の導電率が増加することとが組み合わさって引き起こされた、チャネル沿いの
不均一な電流に起因したものであり得る。モデルは、チャネルの20mm下流で
は、溶液の初期の導電率が10%まで増加することを予測した。これは、チャネ
ルの入口に比較して、下流の位置では電流も10%まで高くなり得ることを示唆
した。プラトーを示す導電率曲線の変曲点は、pH値がプラトーになり始めたチ
ャネル沿いの同じ位置において発生した。全チャネルの実効抵抗を反映する実効
電流のみが、実験中に測定された。
【0158】 ヒスチジン緩衝液の実験からの結果は、最初は驚きであった。カソードに近接
する領域は、最初は、暗くなった。カソード領域は、だんだん塩基性になるべき
なので、予測した通り、これはプロトン化されないBCPの濃度の増加を示した
。しかしながら、このように初期に暗くなった後、この領域はだんだん明るくな
り、プロトン化されないBCPの濃度の減少か、またはプロトン化されないBC
Pの光学的特性の変化を示した。以前の研究は、プロトン化されないBCPの濃
度のこの減少についての可能な説明として、カソードにおる色素の減少はあり得
ないとしていた。この明らかに矛盾する挙動はまた、数学モデルの結果において
も見られた。そして、これはプロトン化されない状態の色素の「集束」によって
説明される。プロトン化されない状態の色素は、負に荷電しており、電気永動し
てカソードから遠ざかる。しかし、カソードから遠くに移動するに従い、pHが
減少し、その結果、プロトン化されないBCPがプロトン化され、もはや溶液の
不透明性に有意に寄与しなくなった。これらの2つの対抗する力の平衡位置は、
アノードから、全電極間距離の約60%の位置であった。
【0159】 不均一な速度プロファイルを考慮する効果:電極に最も近い領域は、不均一な
流れプロファイルがモデルに追加された場合に、最も有意な変化を示した。この
結果は、予測されていた。なぜなら、これらの領域は、不均一な速度プロファイ
ルの追加によって、その保持時間が最も有意に変化する領域だからである。不均
一予測は、均一速度プロファイル予測よりも、実験値に近かった。これもまた予
測されたように、均一速度プロファイル予測は、これらの領域における変化の程
度を過小評価した。これは、鈍い流れの仮定は、これらの領域が、実際の流速よ
りも有意に速いレートで流れていたことと、それゆえ、チャネル中での保持時間
がより短かかったこととを意味するからである。
【0160】 対流の効果と拡散の効果との比は、代表的には、ペクレ数(
【0161】
【数9】 ここで、νzはチャネルに沿う速度であり、Lは流体力学的半径[0.61mm
]であり、Dは目的の種についての拡散係数である)によって見積もられる。0
.08μL/sの動作流量では、Peは、最も拡散が遅い種(D=5.3μm2
/sの指示薬色素)について665〜21640の間であるが、最も拡散が速い
種(D=93μm2/sのプロトン)については、著しく低く、66〜1311
の間である。代表的には、100よりも大きいペクレ数は、調査目的の反応物に
ついて、軸方向の拡散が無視し得ることを示す(Hill,C.、An Int
roduction to Chemical Engineering Ki
netics and Reactor Design、John Wiley
& Sons,Inc.、1977)。従って、0.08μL/sよりも高い
流量について、モデルにおける軸方向の拡散を無視することは、筋が通っている
【0162】 モデルおよび実験結果の両方は、pHにおける最も急速な変化が、チャネルの
始めで発生し、それゆえ、この領域は流体速度に関して最も精度が必要であるこ
とを示す。入口効果は、チャネルの入口における長さ依存の速度を計算し、モデ
ルに含めることによって、モデルにおいて考慮される。
【0163】 実験を、一定電圧の条件下で行った。しかしながら、モデルは、一定電流の条
件を仮定している。これらの条件が異なる程度は、溶液の導電率におけるチャネ
ルに沿った全体の変化に依存する。モデル予測は、溶液の全体の導電率が、流体
がデバイスを通って流れるに従い、初期値の10%まで増加することを示す。従
って、オームの法則に示されるとおり、また、実験の一定電圧条件下で、入口の
下流の電流は、入口におけるよりも高い。電源によって測定された電流は、全体
のデバイスの実効抵抗を反映する。
【0164】 この一次元モデルに含まれるx次元がy次元よりもずっと小さい放物線状のプ
ロファイルを示すと仮定すると、xおよびy次元の両方を含む完全な二次元グリ
ッドを備えたモデルのバージョンは、不均一流れプロファイルを含めることの影
響に、より敏感である。
【0165】 上述した好適な実施形態は、本発明の技術思想を例示するためであると意図さ
れる。多くの変形例および用途が、当業者に容易に明らかになる。本発明の範囲
は、上述した特許請求の範囲に規定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、強力な緩衝剤を用いて粒子の電気泳動移動度に基づいて粒子を分割し
、チャネル中に均一なpHを生成するゾーン電気泳動のメカニズムを示す模式図
である。
【図2】 図2は、微弱緩衝剤を用いてチャネルにわたって生成されたpH勾配中におい
て、荷電粒子の等電点に基づいて荷電粒子を別々に分割する等電点電気泳動法の
メカニズムを示す模式図である。
【図3A】 図3Aは、本発明の重合体積層による電気化学的フローセルの分解図を示す。
【図3B】 図3Bは、図3Aを組み立てたときの平面図を示し、対象領域を示す。
【図4】 図4は、本発明の電気化学的フローセルの側面図を示す。
【図5】 図5は、本発明の電気化学的フローセルを粒子を分離および濃縮するシステム
と一体化した様子を示す。
【図6】 図6は、電気泳動タグを示す。
【図7A】 図7Aは、本発明の電気泳動分離プロセス用のシリコン中に作製されるチャネ
ルのためのマスクを示す。
【図7B】 図7Bは、上記プロセスにおいて用いられるガラス上の金電極パターンを示す。
【図8】 図8は、画像から決定されたフェノールレッドおよびブロモクレゾールパープ
ルの特定のpH値を示す。黒四角は、フェノールレッドのアルカリ性前面の特定
のpH位置を示し、黒三角は、フェノールレッドの酸性前面の特定のpH位置を
示し、白三角は、ブロモクレゾールパープルの酸性前面の特定のpH位置を示す
【図9】 図9は、初期pHがpH勾配形成に与える効果を示す。 図9Aは、電解質溶液(5mM Na2SO4)を示す。図9A中、フェノール
レッドの定常状態の色変化前面の位置変化について、黒三角(緩衝剤が無い場合
)と、黒菱形(1mMのヒスチジン緩衝剤を加えた場合)とを示す。 図9Bは、1mMのMES(電解質無し)について、×(フェノールレッドの
定常状態の色変化前面の初期pHに対する依存度)を示す。記載の記号は、異な
る初期pHについて、異なる位置のフォーカシングバンドのBSA結合体の、黒
三角(5分後)、黒四角(6分後)および黒菱形(10分後)の結果を示す。
【図10】 図10は、本発明の微小流体電気化学的フローセル(縮尺と異なる)中の流体
速度を示す。電極はyz−面に対して平行である。放物線の高さは、チャネル中
のその位置における相対的流体速度に対応する。圧力駆動型の層流において、チ
ャネル中央における流体速度は、チャネル壁付近の速度よりも高速である。
【図11】 図11は、定差の実行の模式図を示す。図中の丸は、濃度が決定される位置を
示す。m=0の位置は、チャネルの入口を指し、初期濃度に対応する。これらの
初期値を用いて、入口からの距離ΔLのm=1における濃度を計算する。この計
算の際、先ず、拡散および電気泳動によるx方向に沿った対流および輸送によっ
てチャネルを流れる質量輸送をモデル化し、次いで、これらの値を平衡化して、
溶液中の微弱な酸の関連するpK値を満足させる。次いで、これらの濃度を初期
値として用いて、m=2における濃度、m=1からの距離ΔLにおける濃度とい
った具合にを計算を行う。ノードは互いに距離Δxだけ間隔を空けて配置され、
電極からΔx/2だけオフセットする。
【図12】 図12は、速度プロファイルを決定する際に用いられる定差グリッドを示す。
【図13】 図13は、体積流量が0.16μL/sのときに、2−D溶液(−−x−−x
−−x−−)の面内をとって、または、y次元(−−o−−o−−o−−)に沿
った二次元の解を平均化することにより、チャネル面内に沿った速度プロファイ
ルを1−Dアプローチ(_)を用いて計算した結果の比較を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/26 331K 315G 331A (72)発明者 ベル, ダレル ジェイ. アメリカ合衆国 ワシントン 98686, バン クーバー, エヌイー 146ティー エイチ ストリート 5102 (72)発明者 ブロディー, ジェイムズ アメリカ合衆国 カリフォルニア 91101, パサデナ, イースト デルマール ブ ールバード 280, アパートメント 104 (72)発明者 キャブレラ, キャサリン アール. アメリカ合衆国 ワシントン 98112, シアトル, イー. マックグロウ 1816 (72)発明者 カムホルズ, アンドリュー イー. アメリカ合衆国 ワシントン 908115, シアトル, 35ティーエイチ アベニュー エヌイー 6030 (72)発明者 マコウノバ, カテリナ アメリカ合衆国 ワシントン 98102, シアトル, 12ティーエイチ アベニュー エヌイー 716 (72)発明者 クィン, ドン アメリカ合衆国 ワシントン 98011, ボゼル, エヌイー 164ティーエイチ ストリート 7012 Fターム(参考) 2G045 BB16 CB01 CB21 FB05 4B029 AA27 BB01 CC01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体中の荷電粒子を検出するためのデバイスであって、以下
    : a) 約5mm以下の幅および深さを有する微小チャネルであって、該流体を
    該微小チャネル内に導入するための入口を備える、微小チャネル; b) 一対の電極であって、電圧を印加して、該微小チャネルの長さに対して
    垂直に、該微小チャネルにわたって電場を発生させるための、電極;ならびに c) 該電圧の印加の後に、該微小チャネル内の該荷電粒子の位置を検出する
    ための手段、 を備える、デバイス。
  2. 【請求項2】 前記荷電粒子の検出された位置を、既知の同一性の荷電粒子
    の位置と相関付けることによって、該荷電粒子を同定するための手段をさらに備
    える、請求項1に記載のデバイス。
  3. 【請求項3】 前記流体中の前記粒子の初期濃度を決定するための手段をさ
    らに備える、請求項1または2に記載のデバイス。
  4. 【請求項4】 前記微小チャネルが流体を含み、そしてpHおよび/または
    濃度の勾配が、該流体にわたって形成される、請求項1〜3のいずれかに記載の
    デバイス。
  5. 【請求項5】 前記電極が、約0.1V〜約5V以下の電圧を印加し得る、
    請求項1〜4のいずれかに記載のデバイス。
  6. 【請求項6】 前記電場の極性を変化させるための手段をさらに備える、請
    求項1〜5のいずれかに記載のデバイス。
  7. 【請求項7】 前記デバイスが、前記一対の電極の下流に位置する1以上の
    さらなるセットの電極を備える、請求項1〜6のいずれかに記載のデバイス。
  8. 【請求項8】 流体中の荷電粒子を検出するための方法であって、以下: a) 荷電粒子を含む流体を、約5mm以下の幅および深さを有する微小チャ
    ネル内に、入口を通して導入する工程; b) 電圧を印加して、該微小チャネルにわたって、該微小チャネルの長さに
    対して垂直に電場を発生させ、これによって、該荷電粒子を、該微小チャネル内
    のある位置に移動させる、工程;ならびに c) 該電圧の印加の後に、該微小チャネル内での該荷電粒子の位置を検出す
    る工程、 を包含する、方法。
  9. 【請求項9】 第一の選択された電気泳動移動度を有する粒子を、少なくと
    も1つの他の選択された電気泳動移動度を有する粒子を含む流体から分離するた
    めの方法であって、以下: a) 該流体を、5mm以下の幅および深さを有する微小チャネルに流入させ
    る工程; b) 該微小チャネルの長さに対して垂直に、該微小チャネルを横切って、電
    場を印加する工程であって、これによって、少なくとも、該第一の選択された電
    気泳動移動度を有する該粒子が、該微小チャネルの1つの電極壁の方へと移動さ
    れる、工程; c) 濃縮された濃度の該第一の選択された電気泳動移動度を有する該粒子を
    含む該流体の、第一出口部分を、該微小チャネルから、該第一出口部分を受容す
    るよう配置された第一出口を通して流す工程;ならびに d) 濃縮された濃度の第二の選択された電気泳動移動度を有する粒子を含む
    該流体の、第二出口部分を、該微小チャネルから、該第二出口部分を受容するよ
    う配置された第二出口を通して流す工程、 を包含する、方法。
  10. 【請求項10】 細胞または生物内に含まれる選択された粒子を抽出するた
    めの方法であって、以下: a) 該細胞または生物を含む流体を、5mm以下の幅および深さ、ならびに
    少なくとも2つの電極壁を有する微小チャネル内に流す工程; b) 該細胞または生物の細胞壁または外膜を損傷する工程; c) 該微小チャネルの長さに対して垂直に、該微小チャネルを横切って、電
    場を印加する工程であって、該電場が、該選択した粒子を、該電極壁の1つの方
    へと移動させるに十分である、工程;ならびに d) 該選択された粒子の少なくとも一部を含む流体の出口部分を、該微小チ
    ャネルから、該第一出口部分を受容するよう配置された出口を通して取り出す工
    程、 を包含する、方法。
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