JP2003344225A - 車両管理システム - Google Patents

車両管理システム

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JP2003344225A
JP2003344225A JP2002149512A JP2002149512A JP2003344225A JP 2003344225 A JP2003344225 A JP 2003344225A JP 2002149512 A JP2002149512 A JP 2002149512A JP 2002149512 A JP2002149512 A JP 2002149512A JP 2003344225 A JP2003344225 A JP 2003344225A
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diagnostic
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data
diagnosis
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JP2002149512A
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English (en)
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Atsushi Nanba
篤史 難波
Mitsuo Nakamura
光雄 中村
Hiroshi Tanaka
浩 田中
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Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 個々のユーザの車両に搭載される変速機の制
御に係わる機能系の診断情報を一括管理して有効活用
し、故障発生前の点検時期の予告を可能とすると共に、
システム信頼性の向上を図る。 【解決手段】 車両情報を受信した場合、これを識別し
て故障有りの診断結果が有るかを調べ(S100〜S1
02)、故障有りの場合、各種データを入手して故障部
位を推定し、サービス手順を決定する(S103〜S1
05)ことで、対応部品の事前手配、作業計画の円滑運
用を可能とする。また、故障無しの場合、車両の全情報
を入手して部品やシステムの劣化状態を演算して劣化特
性や寿命を推定し、サービス必要時期を演算する(S1
06〜S110)。そして、サービス時期・結果をユー
ザに通知すると共にディーラに各種情報を通知し、デー
タベースに記録する(S111〜S113)ことで、変
速機制御に係わる機能系の故障発生前にユーザへ点検時
期を予告し、修理に要する費用・時間を削減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、個々のユーザの車
両の車両健康状態を管理可能な車両管理システムに関
し、特に、変速機制御に係わる機能系の診断情報を一括
管理して有効に活用する車両管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車等の車両の変速機制御に
おいては、車載の電子制御装置の自己診断機能によるオ
ンボード診断で変速機のロックアップクラッチ系やギヤ
切換系、センサ系等の機能系が正常に機能しているか否
かを監視しており、このオンボード診断の結果、異常を
検出した場合には、警告灯等を点灯して運転者に警告を
発し、ディーラ等のサービス工場への入庫による点検・
修理を促すようにしている。サービス工場では、車載の
電子制御装置に故障診断装置等の外部装置を接続するこ
とで車載電子制御装置から故障部位やトラブルデータ等
の内部データを読出し、読出したデータに基づいて点検
・修理を行う。
【0003】尚、この種の故障診断装置として、本出願
人による特公平7−15427号公報に開示されている
故障診断装置がある。この故障診断装置は、故障診断装
置本体、或いは故障診断装置本体に外部のエキスパート
システム用コンピュータを接続して車載電子制御装置内
のデータ、すなわち車載電子制御装置内に記憶されてい
るセンサ類の検出信号やアクチュエータ類に出力する制
御信号、及びシステム内部の演算データ等を読込むこと
ができ、不具合箇所或いは故障原因を探究し、必要な修
理、又は調整を行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、
車両のオンボード診断は、ユーザの日常の実使用条件下
において、実際に故障が発生したときに警告灯を点灯す
る等といった程度にしか活用されておらず、変速機の機
能系に故障が発生した後、外部の故障診断装置で診断デ
ータを読出して初めて点検・修理が可能となる。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、個々のユーザの車両に搭載される変速機の制御に係
わる機能系の診断情報を一括管理して有効活用し、故障
発生前の点検時期の予告を可能とすると共に、システム
信頼性の向上を図ることのできる車両管理システムを提
供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、個々の車両に搭載される変
速機の制御に係わる機能系の診断情報を外部のデータベ
ースに蓄積し、上記データベースに蓄積された診断情報
に基づいて個々の車両の上記機能系の作動状態を解析
し、その解析結果を該当車両のユーザ及び上記データベ
ースへのアクセス権を有する部署の少なくとも一者に配
信することを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記診断情報に、上記機能系の診断に用い
るパラメータに加え、運転状態を表すパラメータと制御
状態を表すパラメータとの少なくとも一方を含めること
を特徴とする。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の発明において、上記診断情報に、診断結果が正常範
囲内であっても故障レベルに接近したときのデータを含
めることを特徴とする。
【0009】請求項4記載の発明は、請求項1,2,3
の何れか一に記載の発明において、上記診断情報を、診
断実行中或いは診断開始前から診断終了後までの所定期
間におけるデータを含む情報とすることを特徴とする。
【0010】請求項5記載の発明は、請求項1,2,
3,4の何れか一に記載の発明において、個々の車両
に、該車両に搭載される制御装置のデータをリアルタイ
ムで外部に無線通信可能なデータ通信手段を備え、該デ
ータ通信手段から送信された診断情報を受信して上記デ
ータベースに蓄積することを特徴とする。
【0011】すなわち、請求項1記載の発明は、個々の
車両に搭載される変速機の制御に係わる機能系の診断情
報を外部のデータベースに蓄積し、データベースに蓄積
された診断情報に基づいて個々の車両の変速機制御に係
わる機能系の作動状態を解析する。そして、解析結果を
該当車両のユーザ及びデータベースへのアクセス権を有
する部署の少なくとも一者に配信することで、実際に車
両の変速機制御に係わる機能系に異常が生じる前にユー
ザへの告知を可能とすると共に、関連部署へのフィード
バックにより、診断仕様の評価や変速機制御の制御性の
評価を経てシステムの信頼性向上に寄与することができ
る。
【0012】その際、診断情報には、請求項2記載の発
明のように、変速機制御に係わる機能系の診断に用いる
パラメータに加え、運転状態を表すパラメータと制御状
態を表すパラメータとの少なくとも一方を含める、或い
は、請求項3記載の発明のように、診断結果が正常範囲
内であっても故障レベルに接近したときのデータを含め
ることが望ましい。また、請求項4記載の発明のよう
に、診断情報は、診断実行中或いは診断開始前から診断
終了後までの所定期間におけるデータを含む情報とする
ことが望ましい。
【0013】更に、請求項5記載の発明のように、個々
の車両からデータ通信手段を介して診断情報を無線送信
してデータベースに蓄積することが望ましく、これによ
り走行中の車両からもリアルタイムで容易に診断情報を
収集することができ、走行中にしか現れない異常や再現
性の希薄な異常についても対処可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1〜図11は本発明の実施の一
形態に係わり、図1は車両管理システムの全体構成図、
図2は車両のネットワーク系を示す説明図、図3は変速
機制御系の回路構成図、図4はロックアップ系に適用さ
れる診断ルーチンのフローチャート、図5はロックアッ
プクラッチの切換特性を示す説明図、図6は変速系に対
する診断ルーチンのフローチャート、図7は変速パター
ンを示す説明図、図8はセンサ系(1)に適用される診
断ルーチンのフローチャート、図9はセンサ系(2)に
適用される診断ルーチンのフローチャート、図10は車
両側における診断情報処理ルーチンのフローチャート、
図11は中央情報管理センター側における情報処理ルー
チンのフローチャートである。
【0015】図1は、工場の生産ラインにおける車両の
制御情報の初期値を蓄積・管理すると共に、市場におけ
る各ユーザの車両毎の車両健康状態を24時間リアルタ
イムで管理し、ユーザに最新の自己車両情報(健康状
態)を提供するための車両管理システムを示すものであ
る。この車両管理システムにおいては、市場における車
両100毎に、車載制御装置のデータ(車両情報)をリ
アルタイムで外部に無線通信可能なデータ通信手段とし
ての無線通信端末110が備えられ、この無線通信端末
110を介して送信された車両情報が中央情報管理セン
ター151におけるホストコンピュータ151aのデー
タベースDBに蓄積されて管理される。
【0016】車両100と中央情報管理センター151
との間のデータ通信には、図示しない基地局を介した移
動体無線通信システムや図示しない人工衛星を介した衛
星通信システム等を利用することができる。また、車両
100の車両情報を送信する無線通信端末110として
は、車両100の制御装置にハーネスを介して接続され
る通信端末でも良いが、車載の制御装置との間でワイヤ
レス通信を行うことにより車両100と切り離して携帯
可能な小型通信端末を採用することが望ましい。この携
帯可能な通信端末として、本形態では、車載の制御装置
とのワイヤレス通信のための通信回路を内蔵した専用の
携帯型電話機(携帯電話)を採用し、以下、無線通信端
末110を携帯電話110として説明する。尚、既にユ
ーザが携帯電話を所有している場合には、ユーザの携帯
電話に接続してデータを送信させる通信端末でも良い。
【0017】このため、本形態においては、車両100
に搭載される制御装置が単一である場合、その制御装置
にワイヤレス通信を制御するための通信回路が内蔵され
る。また、車両100に複数の制御装置、例えば、図2
に示すように、制御装置#01,#02,#03,#0
4,#05,…が搭載されている場合には、各制御装置
#01,#02,#03,#04,#05,…がネット
ワーク101を介して互いに接続され、制御情報が一元
化されることが望ましく、ネットワーク101中の所定
の制御装置、例えば制御装置#01にワイヤレス通信を
制御するための通信回路#01aが内蔵される。尚、ネ
ットワーク101は、リアルタイム制御に適した車両用
のネットワークであり、また、車載の制御装置との間の
ワイヤレス通信方式としては、例えば、近距離のワイヤ
レス通信を司るブルートゥース(Bluetooth)規格によ
る通信方式やその他の通信方式を採用することができ
る。
【0018】車両100の制御装置に備えられた通信回
路#01aは、ユーザの専用の携帯電話110との間の
ワイヤレス通信を可能とするばかりでなく、以下に説明
するように、工場の生産ラインにおけるラインエンドの
検査ツールやディーラ等のサービス工場におけるサービ
スツールとの間のワイヤレス通信を可能とする。また、
車両100に搭載される各制御装置#01,#02,#
03,#04,#05,…には、制御装置の電源OFF
時にも保存される各種定数項すなわち各種学習値や各種
制御定数等を、ラインエンドの検査ツールからの指令に
より書換え可能なファームウエアが備えられている。
【0019】一方、中央情報管理センター151は、図
1に示すように、専用のネットワーク150を介して、
開発本部152、ソフトウエア開発環境153、営業・
サービス本部154、検査・品質保証本部155等の複
数の部門に接続されると共に、工場の生産ラインにおけ
るラインエンド156のシャーシダイナモメータ156
a上で車両100を検査するための検査ツール156b
に接続されている。検査ツール156bには、車両10
0の制御装置に備えられた通信回路#01aとワイヤレ
ス通信を行うための通信アダプタが備えられている。ま
た、この専用のネットワーク150には、各地のディー
ラ等の専用のネットワーク160,170,…が接続さ
れ、各ネットワーク160,170,…に、それぞれに
接続されるサービスツール161,171,…やセール
スツール162,172,…等を介して中央情報管理セ
ンター151の管理情報に基づく車両100の実際の診
断や修理を可能とする車両管理システムが形成される。
更に、各専用のネットワーク150,160,170,
…は、一般公開用ネットワークとしてのインターネット
180に相互接続されており、携帯電話110を介して
の情報提供に加え、各ユーザのパーソナルコンピュータ
(パソコン)PCを介しての情報提供を可能としてい
る。
【0020】以上の車両管理システムでは、工場の生産
ラインにおけるラインエンド156で、検査ツール15
6bを用いて個々の車両の制御情報の初期値(初期情
報)を蓄積し、蓄積された車両初期情報を解析して求め
られた最適学習値や最適定数等を制御装置にセットして
出荷する。そして、市場への出荷後は、初期情報にユー
ザからのアクセスによる車両情報を加えて蓄積する。こ
の場合、各ユーザは、自己の車両100が稼動状態にあ
れば、停車中か走行中かに拘らず自己の車両情報を中央
情報管理センター151に随時無線送信することが可能
である。
【0021】すなわち、ユーザは、自己の車両100の
状態を知りたい場合には、車両100専用の携帯電話1
10を用いて中央情報管理センター151に車両情報を
送信することにより、自己の車両の整備状態や不具合の
有無等の車両健康状態に係わる情報を受け取ることがで
きる。特に、走行中の車両から無線通信によってリアル
タイムでデータを送信することができるため、走行中に
しか現れない異常や再現性の希薄な異常等、従来では迅
速な原因究明が困難であった故障に対しても、迅速に原
因を究明して対処することが可能となる。
【0022】ユーザが自己の車両100の車両情報を中
央情報管理センター151に送信するには、車両100
専用の携帯電話110を用い、この携帯電話110に予
めセットされている特定の番号を押すのみで良く、自動
的に車両100の制御装置#01とのワイヤレス通信が
スタンバイすると共に中央情報管理センター151を呼
び出す。そして、携帯電話110と中央情報管理センタ
ー151との接続が確立すると、車両100内のネット
ワーク101を介した各制御装置のデータが制御装置#
01の通信用回路#01aから車体番号が付加されて携
帯電話110へ送信され、更にユーザの識別コード等が
付加されて携帯電話110をスルーし、中央情報管理セ
ンター151へ送信される。
【0023】中央情報管理センター151のデータベー
スDBに蓄積された車両の初期情報及び市場における情
報(個々のユーザ毎の車両情報)は、データベースDB
へのアクセス権を与えられた各部署にネットワーク15
0を介して配信され、車両健康状態を管理すると共に各
種サービスを行う。すなわち、ユーザの車両における各
種部品の使用頻度情報の収集、制御アルゴリズムの評
価、リアルタイムな診断や不具合対応、各部品の経時変
化や学習値の変化を把握しての予測診断、再現困難な不
具合の診断等を該当部署にて行い、制御アルゴリズムの
改良や新規開発のための情報収集等を該当部署にて行
う。また、ユーザサービスの一環として、ユーザの車両
100の入庫前の事前診断、個別ユーザに対応した定期
検査等の入庫連絡等を該当部署にて行い、ディーラ等に
情報を配信してサービスツール161(171)による
点検或いは診断を指示する。更に、市場における部品レ
ベルでの絶対的な品質評価、リアルタイムな生の統計デ
ータの採取、部品製造メーカ毎の相対的な品質評価等を
該当部署にて行い、評価結果を各部門にフィードバック
する。
【0024】各ユーザの車両に対するデータ解析結果や
診断結果等の情報は、中央情報管理センター151にお
いて各ユーザ毎の履歴情報として時系列的に蓄積され
る。そして、インターネット180上のホームページを
介して、或いは、直接、携帯電話110を介して個々の
ユーザに提供される。すなわち、各ユーザは、自己のパ
ソコンPCからインターネット180を介して該当する
ホームページにアクセスし、或いは携帯電話110から
中央情報管理センター151に直接アクセスし、予め登
録してある自己の識別番号、氏名、パスワード等を入力
し、自己の車両情報を閲覧することができる。尚、正規
に登録されたユーザからパソコンPCを介して中央情報
管理センター151のホストコンピュータ151aへア
クセスすることも可能であるが、その場合、セキュリテ
ィを考慮してユーザからのアクセスには制限が設けら
れ、自己の車両に関する診断結果等の一般情報の閲覧の
みが許可される。
【0025】次に、以上の車両管理システムによる車両
100の管理内容として、変速機のロックアップクラッ
チ系やギヤ切換系、センサ系等の機能系の診断情報の管
理について説明する。先ず、変速機の電子制御系につい
て説明し、次いで、変速機制御に係わる機能系の診断に
係わる処理、中央情報管理センター151の情報処理に
ついて説明する。
【0026】図3において、符号70は、車両100に
搭載される変速機を制御する制御装置(TCU)であ
り、車両100のネットワーク101を構成する制御装
置#01,#02,#03,#04,#05,…の中の
一つ、例えば、制御装置#02に該当する。本形態にお
いては、エンジン1の出力軸に連設される変速駆動系と
して、インペラとタービンとを係合するためのロックア
ップクラッチ50を備えたトルクコンバータ51に、前
進・後退の切換や変速切り換えを行うための各種油圧ク
ラッチや各種油圧ブレーキ等からなるクラッチ機構部と
プラネタリーギヤ等からなる主変速機構部とを備えた変
速機52が連設されてなる自動変速機を備えている。変
速機52には、各機構部へのライン圧やパイロット圧を
制御するリニアソレノイド弁や切換ソレノイド弁等の各
種コントロール弁を含んで一体的に形成される油圧制御
部53が連設されている。
【0027】TCU70は、マイクロコンピュータを中
心として構成される電子制御装置であり、CPU71、
ROM72、RAM73、バックアップRAM74、車
載ネットワーク用のネットワークコントローラ75、カ
ウンタ・タイマ群76、及びI/Oインターフェイス7
7が内部バス70aを介して互いに接続されると共に、
ネットワークコントローラ75から外部バス101aを
介して車載の他の制御装置と相互接続される。
【0028】尚、ROM72は、製造段階でフォトマス
クによりデータが焼き付けられるマスクROMと、電気
的にデータを書換え可能なEEPROM、例えば、オン
ボードでデータを一括消去して書き換えの容易なフラッ
シュROMとを含むものである。マスクROMには、例
えば、ネットワークコントローラ75を介した通信プロ
グラム、外部装置との通信によりEEPROMにプログ
ラムや定数等を書き込むためのプログラム等が格納され
ている。EEPROMには、製品初期の段階では意味の
あるデータは格納されておらず、車両にTCU70を組
み込んだ段階で、ラインエンド156の検査ツール15
6bを介して変速機制御プログラム、制御定数等の車種
に応じたデータが書き込まれる。
【0029】また、カウンタ・タイマ群76は、フリー
ランカウンタ、各種信号の入力計数用カウンタ等の各種
カウンタ、定期割り込みを発生させるための定期割り込
み用タイマ、システム異常監視用のウオッチドッグタイ
マ等の各種タイマを便宜上総称するものであり、その
他、各種のソフトウエアカウンタ・タイマが用いられ
る。
【0030】また、TCU70には、各部に安定化電源
を供給する定電圧回路78、I/Oインターフェイス7
7に接続される駆動回路79及びA/D変換器80等の
周辺回路が内蔵されている。定電圧回路78は、2回路
のリレー接点を有する電源リレー81の第1のリレー接
点を介してバッテリ82に接続されると共に、直接、バ
ッテリ82に接続されており、イグニッションスイッチ
83がONされて電源リレー81の接点が閉になると、
TCU70内の各部へ電源を供給する一方、イグニッシ
ョンスイッチ83のON,OFFに拘らず、常時、バッ
クアップRAM74にバックアップ用の電源を供給す
る。尚、電源リレー81の第2のリレー接点には、バッ
テリ82から各アクチュエータに電源を供給するための
電源線が接続されている。
【0031】I/Oインターフェイス77の入力ポート
には、イグニッションスイッチ83、変速機出力軸回転
数から車速を検出するための車速センサ84、変速機入
力軸回転数としてのタービン回転数を検出するためのタ
ービン回転センサ85、車両前輪の回転数を検出するた
めの前輪回転センサ86、車両後輪の回転数を検出する
ための後輪回転センサ87、ブレーキ操作によってON
するブレーキスイッチ88、図示しないセレクト機構部
の操作位置に応じてONするインヒビタスイッチ89等
が接続されている。更に、I/Oインターフェイス77
の入力ポートには、A/D変換器80を介して、スロッ
トル開度を検出するためのスロットル開度センサ90、
冷却水温を検出するための冷却水温センサ91、自動変
速機油(ATF)の油温を検出するためのATF油温セ
ンサ92、油圧回路の圧力を検出するための油圧センサ
93等が接続されると共に、バッテリ電圧VBが入力さ
れてモニタされる。一方、I/Oインターフェイス77
の出力ポートには、電源リレー81のリレーコイル、油
圧制御部53のリニアソレノイド弁や切換ソレノイド弁
等のアクチュエータ類が駆動回路79を介して接続され
ている。
【0032】TCU70では、ROM72に記憶されて
いる制御プログラムをCPU71にて実行し、I/Oイ
ンターフェイス77を介して入力されるセンサ類からの
検出信号、及びバッテリ電圧VB等を処理し、RAM7
3に格納される各種データ、及びバックアップRAM7
4に格納されている各種学習値データ、ROM72に記
憶されている固定データ等に基づいて、運転状態に応じ
てロックアップクラッチ50結合状態(係合、スリッ
プ、開放)や変速パターンを決定し、油圧制御部53の
各アクチュエータを駆動して変速機制御を行う。
【0033】同時に、TCU70は、変速機及びその周
辺機器を含む変速系に異常がないか否かを自己診断機能
によって監視し、異常を検出した場合、図示しない警告
灯を点灯或いは点滅すると共に、バックアップRAM7
4へトラブルデータをストアする。この場合、変速機制
御に係わる機能系の診断においては、異常判定時は勿論
のこと、正常範囲であっても故障レベルに近い状態のと
きには、診断に使用したパラメータに加え、運転状態パ
ラメータや制御状態パラメータ、及び他の関連パラメー
タを、診断時や診断前後でバックアップRAM74にス
トアしておき、車両100のネットワーク101から携
帯電話110を介して中央情報管理センター151へ送
信する。
【0034】次に、変速機制御に係わる機能系の診断及
び診断情報の処理について、図4以下に示すフローチャ
ートを用いて説明する。尚、本形態においては、TCU
70で変速機制御に係わる機能系の診断を行う例につい
て説明するが、この診断を、中央情報管理センター15
1、開発本部152、ソフトウエア開発環境153、営
業・サービス本部154、検査・品質保証本部155等
のネットワーク150に接続される該当部門で行うよう
にしても良い。この場合には、個々の車両で診断プログ
ラムが不要となり、TCU70の演算負荷が軽減され
る。また、通信時にも診断対象のデータのみを車両側か
ら中央情報管理センター151に送信するのみで、通信
時の負担も軽減される。
【0035】図4は、ロックアップ系に対する診断ルー
チンであり、先ず、ステップS10で、ロックアップク
ラッチ50の制御指示情報を読込み、現在、ロックアッ
プ(L/U)中か否かを調べる。ロックアップクラッチ
50に対する制御は、例えば、図5に示すように、変速
レンジ位置、走行パターン毎に設定された係合(ロック
アップ)・スリップ・開放の各領域を、スロットル開度
と出力軸回転速度(車速)とに基づいて特定し、油圧制
御部53に設けた図示しない制御弁を介してクラッチ作
動油圧を制御することで行われる。従って、係合(AT
LOCK ON)・スリップ(ATROCK SLI
P)・開放(ATLOCK OFF)の制御指示情報を
読込むことで、ロックアップクラッチ50の制御状態を
知ることができる。
【0036】そして、L/U中でない場合には、診断を
実行せずにルーチンを抜け、L/U中の場合、ステップ
S10からステップS11へ進んで、エンジン回転数N
eとタービン回転数Ntとの差の絶対値│Ne−Nt│
が判定閾値A1以下か否かを調べる。ロックアップクラ
ッチ50を係合してエンジンと変速機とを直結状態にし
た場合には、正常であれば、エンジン回転数とタービン
回転数すなわち変速機入力軸回転数とが所定の許容範囲
をもって一致すべきことから、判定閾値A1は、L/U
中のエンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの差の
絶対値│Ne−Nt│に対する許容値を、エンジン系や
変速系の構成、特性等を考慮して予めシミュレーション
或いは実験等により定めるものである。
【0037】その結果、│Ne−Nt│≦A1の場合に
は、ステップS11からステップS12へ進んでタイマ
(ダウンカウンタ)TM1に診断時間を定める設定値T
SET1をセットし、ステップS13でロックアップ系
は正常であると判定してルーチンを抜ける。
【0038】一方、ステップS11において、│Ne−
Nt│>A1であり、L/U中であるにも拘らず、エン
ジン回転数Neとタービン回転数Ntとが許容幅内で一
致しない場合には、ステップS11からステップS14
へ進み、タイマTM1が0に達してカウント終了状態に
なっているか否かを調べる。その結果、TM1≠0の場
合には、ステップS15でタイマTM1をカウントダウ
ンして(TM1←TM1−1)、ルーチンを抜け、TM
1=0の場合、すなわち、L/U中であるにも拘らずエ
ンジン回転数Neとタービン回転数Ntとが許容幅内で
一致しない状態が設定値TSET1により定まる診断時
間だけ継続する場合には、ステップS16でロックアッ
プ系が異常であると判定し、警告灯を点灯或いは点滅さ
せて運転者に警告を発する等してルーチンを抜ける。
【0039】次に、ギヤ切換系の診断を行う図6のルー
チンについて説明する。このルーチンでは、先ず、ステ
ップS20で、変速機制御の指示情報を読込み、現在、
変速中か否かを調べる。図7に示すように、変速機の変
速パターンは、1速←→2速、2速←→3速、3速←→
4速のアップシフト(図中、実線で示す)及びダウンシ
フト(図中、破線で示す)の変速線が車速とスロットル
開度とをパラメータとして予め設定されているマップを
参照して決定される。そして、決定した変速パターンに
基づく目標ギヤ比Rrが指示され、油圧制御部53のア
クチュエータ類が駆動されて変速動作が行われる。
【0040】そして、変速中の場合には、そのままルー
チンを抜け、変速中でない場合、ステップS21へ進ん
で、実変速比Rgを、タービン回転センサ85で検出し
た変速機入力軸回転数(タービン回転数)Ntと車速セ
ンサ84で検出した出力軸回転数Nとの比Nt/Nを実
変速比Rgとして求め、この実変速比Rgと目標ギヤ比
Rrとの差の絶対値│Rr−Rg│が異常判定の判定閾
値A2以下か否かを調べる。
【0041】そして、│Rr−Rg│≦A2の場合、ス
テップS21からステップS22へ進んでタイマ(ダウ
ンカウンタ)TM2に診断時間を定める設定値TSET
2をセットし(TM2←TSET2)、ステップS23
で変速系は正常であると判定してルーチンを抜ける。ま
た、│Rr−Rg│>A2の場合には、ステップS21
からステップS24へ進み、タイマTM2が0に達して
カウント終了状態になってるか否かを調べる。その結
果、TM2≠0の場合には、ステップS25でタイマT
M2をカウントダウンして(TM2←TM2−1)、ル
ーチンを抜け、TM2=0の場合、すなわち、目標ギヤ
比と実ギヤ比とが判定閾値A2に基づく許容幅内で一致
しない状態が設定値TSET2により定まる診断時間だ
け継続する場合には、ステップS26で変速系が異常で
あると判定し、警告灯を点灯或いは点滅させて運転者に
警告を発する等してルーチンを抜ける。
【0042】次に、変速機制御に係わる機能系の中のセ
ンサ系の診断について、タービン回転センサ85、前輪
回転センサ86、後輪回転センサ87を例に取って説明
する。尚、前輪回転センサ86と後輪回転センサ87と
をセンサ系(1)として図8のフローチャートを用いて
説明し、タービン回転センサ85と前輪回転センサ86
とをセンサ系(2)として図9のフローチャートを用い
て説明する。
【0043】図8は、前輪回転センサ86及び後輪回転
センサ87に対し、互いの出力値の整合性に基づいて診
断を行うルーチンであり、先ず、ステップS30で、前
輪回転センサ86の出力パルスに基づく前輪回転数N1
が判定閾値A3未満か否かを調べる。その結果、N1<
A3の場合、更にステップS31で後輪回転センサ87
の出力パルスに基づく後輪回転数N2が判定閾値A3未
満か否かを調べる。判定閾値A3は、各回転センサ8
6,87からのパルス出力の有無を確認するためのもの
である。
【0044】その結果、N1<A3且つN2<A3の場
合には、ステップS31からステップS32へ進み、前
輪回転センサ86及び後輪回転センサ87からパルス出
力が無く互いの出力が整合しており、両回転センサ8
6,87は正常であると判定する。そして、ステップS
33で、タイマ(ダウンカウンタ)TM3に診断時間を
定める設定値TSET3をセットし、ルーチンを抜け
る。また、ステップS31において、N2≧A3の場合
(N1<A3且つN2≧A3の場合)には、ステップS
31からステップS34へ進み、タイマTM3が0に達
してカウント終了状態か否かを調べる。その結果、TM
3≠0の場合には、ステップS35でタイマTM3をカ
ウントダウンして(TM3←TM3−1)、ルーチンを
抜ける。
【0045】その後、N1<A3且つN2≧A3の状態
が継続し、ステップS34でTM3=0になった場合、
すなわち、後輪回転センサ87からパルスが出力されて
いるにも拘らず、前輪回転センサ86からパルスが出力
されていない状態が設定値TSET3により定まる診断
時間だけ継続する場合には、ステップS34からステッ
プS36へ進んで前輪回転センサ86が異常であると判
定し、警告灯を点灯或いは点滅させて運転者に警告を発
する等してルーチンを抜ける。
【0046】一方、ステップS30においてN1≧A3
である場合には、ステップS30からステップS37へ
進み、後輪回転センサ87の出力パルスに基づく後輪回
転数N2が判定閾値A3未満か否かを調べる。そして、
N2≧A3の場合(N1≧A3且つN2≧A3の場
合)、ステップS37から前述のステップS32へ進
み、前輪回転センサ86及び後輪回転センサ87からパ
ルス出力があって互いの出力が整合しており、両回転セ
ンサ86,87は正常であると判定する。
【0047】また、ステップS37において、N2<A
3の場合(N1≧A3且つN2<A3の場合)には、ス
テップS37からステップS38へ進んでタイマTM3
が0に達してカウント終了状態になっているか否かを調
べる。その結果、TM3≠0の場合には、ステップS3
9でタイマTM3をカウントダウンして(TM3←TM
3−1)、ルーチンを抜け、TM3=0の場合、すなわ
ち、前輪回転センサ86からパルス出力が有るにも拘ら
ず、後輪回転センサ87からパルス出力が無い状態が設
定値TSET3により定まる診断時間だけ継続する場合
には、ステップS40で後輪回転センサ87が異常であ
ると判定し、警告灯を点灯或いは点滅させて運転者に警
告を発する等してルーチンを抜ける。
【0048】次に、タービン回転センサ85及び前輪回
転センサ86に対し、同様に互いの出力値の整合性に基
づいて診断を行う図9のルーチンについて説明する。
【0049】このルーチンでは、先ず、ステップS50
で、前輪回転センサ86の出力パルスに基づく前輪回転
数N1が判定閾値A4未満か否かを調べる。その結果、
N1<A4の場合、更にステップS51でタービン回転
センサ85の出力パルスに基づくタービン回転数Ntが
判定閾値A4未満か否かを調べる。判定閾値A4は、タ
ービン回転センサ85からのパルス出力の有無と前輪回
転センサ86からのパルス出力の有無との整合性を確認
するためのものである。
【0050】その結果、N1<A4且つNt<A4の場
合には、ステップS51からステップS52へ進み、前
輪回転センサ86からパルス出力が無く、且つタービン
回転センサ85からパルス出力が無い状態で互いの出力
状態が整合しており、両回転センサ85,86は正常で
あると判定する。そして、ステップS53で、タイマ
(ダウンカウンタ)TM4に診断時間を定める設定値T
SET4をセットし、ルーチンを抜ける。
【0051】また、ステップS51において、Nt≧A
4の場合(N1<A4且つNt≧A4の場合)には、ス
テップS51からステップS54へ進み、タイマTM4
が0に達してカウント終了状態か否かを調べる。その結
果、TM4≠0の場合には、ステップS55でタイマT
M4をカウントダウンして(TM4←TM4−1)、ル
ーチンを抜ける。
【0052】その後、N1<A4且つNt≧A4の状態
が継続し、ステップS54でTM4=0になった場合、
すなわち、タービン回転センサ85からパルスが出力さ
れているにも拘らず、前輪回転センサ86からパルスが
出力されていない状態が設定値TSET4により定まる
時間だけ継続する場合には、ステップS54からステッ
プS56へ進んで前輪回転センサ86が異常であると判
定し、警告灯を点灯或いは点滅させて運転者に警告を発
する等してルーチンを抜ける。
【0053】一方、ステップS50においてN1≧A4
である場合には、ステップS50からステップS57へ
進み、タービン回転センサ85の出力パルスに基づくタ
ービン回転数Ntが判定閾値A4未満か否かを調べる。
そして、Nt≧A4の場合(N1≧A4且つNt≧A4
の場合)、ステップS57から前述のステップS52へ
進み、前輪回転センサ86及びタービン回転センサ85
からパルス出力があって互いの出力状態が整合してお
り、両回転センサ85,86は正常であると判定する。
【0054】また、ステップS57において、Nt<A
4の場合(N1≧A4且つNt<A4の場合)には、ス
テップS57からステップS58へ進んでタイマTM4
が0に達してカウント終了状態になっているか否かを調
べる。その結果、TM4≠0の場合には、ステップS5
9でタイマTM4をカウントダウンして(TM4←TM
4−1)、ルーチンを抜け、TM4=0の場合、すなわ
ち、前輪回転センサ86からパルスが出力されているに
も拘らず、タービン回転センサ85からパルスが出力さ
れていない状態が設定値TSET4により定まる時間だ
け継続する場合には、ステップS60でタービン回転セ
ンサ85が異常であると判定し、警告灯を点灯或いは点
滅させて運転者に警告を発する等してルーチンを抜け
る。
【0055】以上の機能系の診断情報は、図10の診断
情報処理ルーチンによってTCU70内のバックアップ
RAM74にストアされる。このバックアップRAM7
4内の診断情報は、ユーザが携帯電話110を用いて車
両情報を送信する際、車両100の車両情報の一部とし
て中央情報管理センター151へ送信され、データベー
スDBに蓄積される。
【0056】図10の診断情報処理ルーチンでは、先
ず、ステップS70で、故障判定が成立したか否かを調
べる。そして、故障判定が成立した場合には、ステップ
S70からステップS71へ進み、診断対象に係わる運
転状態パラメータ、例えば、変速機のタービン回転数
(変速機入力軸回転数)、車速(変速機出力軸回転
数)、前輪回転数、後輪回転数、スロットル開度、AT
F油温、冷却水温、油圧回路の圧力、エンジン始動後時
間、その他、外部バス101aを介して車載の他の制御
装置からの送信されるデータ(例えば、エンジン制御装
置からTCU70に送信されるエンジン回転数等)を、
診断実行時や診断実行前後の所定時間分だけバックアッ
プRAM74に記憶・保存する。
【0057】次いで、ステップS72へ進み、診断対象
に係わる制御状態パラメータ、例えば、例えば、ロック
アップクラッチ50の結合状態(係合、スリップ、開
放)、変速比等のパラメータを、診断実行時や診断実行
前後の所定時間分だけバックアップRAM74に記憶・
保存する。そして、ステップS73で、診断において直
接的に使用した診断用パラメータを運転状態や制御状態
による領域に対応させて記憶し、また、ステップS74
で故障発生に対応する故障コードを記憶し、ステップS
78へ進む。尚、運転状態パラメータ、制御状態パラメ
ータは、それぞれ、バックアップRAM74の記憶容量
や対象とする機能系の診断仕様を考慮し、センサの作動
に対して関連の強い代表的なパラメータに限定しても良
い。
【0058】一方、ステップS70において、故障判定
が成立しておらず、明確な故障でない場合には、ステッ
プS70からステップS75へ進み、診断結果が故障レ
ベルに接近し、近い将来に故障発生となる可能性が高い
か否かを調べる。例えば、先に説明したロックアップ系
に対する診断(図4参照)において、エンジン回転数N
eとタービン回転数Ntとの差の絶対値│Ne−Nt│
が判定閾値A1を越える状態の継続時間が予め設定され
た診断時間に達せずに正常と判定されている場合であっ
ても、その継続時間が診断時間に近い状態が頻繁に発生
する場合には、近い将来に故障発生となる可能性が高い
と判断する。
【0059】そして、診断結果が故障判定レベルに近づ
いておらず、近い将来に故障発生となる可能性が低い場
合には、ステップS75からステップS78へジャンプ
し、診断結果が故障判定レベルに近づき、近い将来に故
障発生となる可能性が高い場合、ステップS75からス
テップS76以降へ進む。ステップS76,S77で
は、それぞれ、ステップS72,S73と同様、制御状
態パラメータ、診断において使用した診断用パラメータ
をバックアップRAM74に記憶・保存し、ステップS
78へ進む。
【0060】ステップS78では、ユーザの携帯電話1
10の車両情報の送信操作に伴うデータ送信要求が有る
か否かを調べる。そして、データ送信要求が無い場合に
は、ルーチンを抜け、データ送信要求がある場合、ステ
ップS79へ進んでバックアップRAM74のデータを
車内のネットワーク101を介して送信し、ルーチンを
抜ける。尚、バックアップRAM74内のトラブルデー
タを除く診断情報は、中央情報管理センター151への
データ送信後、次回診断時の記憶領域確保のため、クリ
アされる。
【0061】一方、中央情報管理センター151では、
図11に示す情報処理をホストコンピュータ151aに
て実行する。この処理では、先ず、最初のステップS1
00で、ユーザの携帯電話110からのアクセスによる
車両情報を受信したか否かを調べる。そして、データを
受信していない場合には、ルーチンを抜け、データ受信
の場合、ステップS101へ進み、車体番号、ユーザ識
別コード、走行距離、データ受付日時等に基づいて車両
情報のデータ種別や対応するシステムを識別し、ステッ
プS102で、車両情報の中に故障有りの診断判定結果
が含まれているか否かを調べる。
【0062】その結果、故障有りの判定結果が含まれて
おらず、特に異常が無い場合には、ステップS102か
らステップS106へジャンプする。また、故障有りの
判定結果が有る場合、ステップS102からステップS
103へ進んで、故障発生に対応する運転状態パラメー
タ、制御状態パラメータ、診断用パラメータ等の各種デ
ータを入手する。次に、ステップS104へ進み、入手
したデータを解析してシステムや部品の故障部位を推定
し、ステップS105で修理・点検に関するサービス手
順を決定してステップS106へ進む。
【0063】すなわち、車両側(TCU70)の自己診
断によって変速機制御に係わる機能系の何れかが故障と
判定されている場合、制御指示値、電圧や電流等の実際
の制御量、関連する他のパラメータ、故障判定の判定閾
値、故障コード、及び、診断時や診断前後の運転状態・
制御状態に基づいて、故障の種別、故障の程度を確認
し、修理に必要な部品及びサービス手順を決定する。
【0064】その後、ステップS106では、車両の全
情報を入手し、ステップS107で、車両の初期情報か
ら部品やシステムの経時変化を把握し、その劣化状態を
演算する。そして、ステップS108へ進んで各部品や
システムの劣化特性を推定する。例えば、時系列的に蓄
積された車載制御装置のデータの変化、例えば、学習値
データや、決められた条件下での入出力データ或いは制
御データ(演算データ)の変化からシステムや部品の経
時変化を把握し、ラインエンド検査による車両の初期情
報とユーザから送信されてきた該当データとを比較する
ことにより、センサ類やアクチュエータ類等の部品やシ
ステムの劣化進行状況を演算する。
【0065】次に、ステップS109へ進み、各部品や
システムの劣化状況から各部品の寿命を推定し、ステッ
プS110で、該当する部品に対するサービスが必要な
時期を演算する。そして、ステップS111で、修理・
点検が必要な個所とサービス時期の判断結果をユーザに
通知し、ステップS112で、ディーラ等のサービス工
場に、車両情報、ユーザへの通知情報、サービス手順、
サービス部品(準備部品)等の各種情報を通知する。そ
の後、ステップS113へ進み、これらの内容を車体番
号及びユーザ識別コードによる車両毎の履歴データと共
にデータベースDBに記録し、処理を終了する。
【0066】すなわち、車両側のオンボード診断で変速
機制御に係わる機能系は正常であると判断されている状
態であっても、故障レベルに接近している場合には、機
能系に対する制御指示値、実際の制御量、関連する他の
パラメータ、故障判定の判定閾値等の診断用パラメー
タ、診断時や診断前後の運転状態・制御状態を車両側か
ら受信し、現在の機能系の状態が故障レベルに対して、
どの程度のレベルにあるかを把握することができ、推定
した各部品の劣化状態と合わせて、近い将来に故障が発
生するか否かを判断することが可能となる。そして、車
両別の部品の劣化傾向、故障部品の推定結果、故障到達
までの時間或いは走行距離、排気ガスエミッションへの
影響等を、関連部署へフィードバックすることにより、
機能系の状態を確認し、信頼性及び耐久性の向上を図る
と共に、診断仕様の評価、変速機制御における制御性の
評価を行うことができる。
【0067】これにより、変速機制御に係わる機能系に
故障が発生する前にユーザへ点検時期の予告が可能とな
り、修理に要する費用・時間を削減することができるば
かりでなく、サービス工場においても、配信された診断
情報により、対応部品の事前手配、作業計画の円滑運用
を可能とすることができる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、個
々のユーザの車両に搭載される変速機の制御に係わる機
能系の診断情報を一括管理して有効活用し、故障発生前
の点検時期の予告を可能とすると共に、関連部署へのフ
ィードバックにより、診断仕様の評価や制御性の評価を
経てシステムの信頼性向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両管理システムの全体構成図
【図2】車両のネットワーク系を示す説明図
【図3】変速機制御系の回路構成図
【図4】ロックアップ系に適用される診断ルーチンのフ
ローチャート
【図5】ロックアップクラッチの切換特性を示す説明図
【図6】変速系に対する診断ルーチンのフローチャート
【図7】変速パターンを示す説明図
【図8】センサ系(1)に適用される診断ルーチンのフ
ローチャート
【図9】センサ系(2)に適用される診断ルーチンのフ
ローチャート
【図10】車両側における診断情報処理ルーチンのフロ
ーチャート
【図11】中央情報管理センター側における情報処理ル
ーチンのフローチャート
【符号の説明】
100 車両 #01,#02,#03,#04,#05 制御装置 70 変速機制御装置 110 携帯電話(データ通信手段) DB データベース
フロントページの続き (72)発明者 田中 浩 東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士 重工業株式会社内 Fターム(参考) 3D026 BA26 BA28 BA29

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 個々の車両に搭載される変速機の制御に
    係わる機能系の診断情報を外部のデータベースに蓄積
    し、 上記データベースに蓄積された診断情報に基づいて個々
    の車両の上記機能系の作動状態を解析し、その解析結果
    を該当車両のユーザ及び上記データベースへのアクセス
    権を有する部署の少なくとも一者に配信することを特徴
    とする車両管理システム。
  2. 【請求項2】 上記診断情報に、上記機能系の診断に用
    いるパラメータに加え、運転状態を表すパラメータと制
    御状態を表すパラメータとの少なくとも一方を含めるこ
    とを特徴とする請求項1記載の車両管理システム。
  3. 【請求項3】 上記診断情報に、診断結果が正常範囲内
    であっても故障レベルに接近したときのデータを含める
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の車両管理システ
    ム。
  4. 【請求項4】 上記診断情報を、診断実行中或いは診断
    開始前から診断終了後までの所定期間におけるデータを
    含む情報とすることを特徴とする請求項1,2,3の何
    れか一に記載の車両管理システム。
  5. 【請求項5】 個々の車両に、該車両に搭載される制御
    装置のデータをリアルタイムで外部に無線通信可能なデ
    ータ通信手段を備え、該データ通信手段から送信された
    診断情報を受信して上記データベースに蓄積することを
    特徴とする請求項1,2,3,4の何れか一に記載の車
    両管理システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2005057519A1 (ja) * 2003-12-12 2007-07-05 株式会社日立製作所 車両情報収集管理方法、車両情報収集管理システム、そのシステムに用いられる情報管理基地局装置および車両
JP2012230070A (ja) * 2011-04-27 2012-11-22 Toyota Motor Corp 診断装置、診断方法、プログラム及び媒体
CN114754923A (zh) * 2022-04-20 2022-07-15 浙江省计量科学研究院 一种底盘测功机的无线转速检测和故障诊断装置及方法

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CN114754923A (zh) * 2022-04-20 2022-07-15 浙江省计量科学研究院 一种底盘测功机的无线转速检测和故障诊断装置及方法

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