JP2003344186A - 磁歪式トルクセンサの製造方法 - Google Patents

磁歪式トルクセンサの製造方法

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JP2003344186A
JP2003344186A JP2002151227A JP2002151227A JP2003344186A JP 2003344186 A JP2003344186 A JP 2003344186A JP 2002151227 A JP2002151227 A JP 2002151227A JP 2002151227 A JP2002151227 A JP 2002151227A JP 2003344186 A JP2003344186 A JP 2003344186A
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magnetostrictive
magnetostrictive material
torque sensor
torque
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Hiroo Ozeki
宏夫 大関
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高性能の磁歪式トルクセンサの製造を容易に
する。 【解決手段】 磁歪式トルクセンサ1を、シャフト2
と、この表面に設けられる磁歪材層3と、磁歪材層3の
透磁率を検出する検出装置Sとによって構成する。磁歪
材層3を構成する磁歪材料として、Moを2.5〜1
2.0wt%、Bを2.0〜5.5wt%含有し、残り
の成分が、Niと、該Niに対して重量比で0.18〜
2.3倍のFeと、不可避不純物とからなる材料を用い
る。シャフト2として、前記磁歪材料よりも融点の高い
時効硬化性材料を用いる。シャフト2と磁歪材料とを1
085±2°Cまで加熱して、これらの溶融拡散接合を
行う。磁歪材料を拡散接合したシャフト2に時効硬化処
理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、逆磁歪効果を利用
して、動力伝達軸としてのシャフトに伝わるトルクを非
接触で測定する磁歪式トルクセンサの製造方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術】一般に、原動機、工作機械等に用いられ
る動力伝達軸(シャフト)においては、出力制御または
動力変動制御のため、シャフトに加わるトルクが計測さ
れている場合がある。このトルクの測定には、例えば磁
歪式トルクセンサが用いられている。磁歪式トルクセン
サは、シャフトの外周面に磁歪材料の膜を形成し、この
磁歪材料の膜の透磁率を測定することで、シャフトに加
わるトルクの検出を行うものである。強磁性体は、磁化
されるとその寸法が微小変形し、逆に外力を加え弾性変
形を与えるとその透磁率が変化する性質を有する。前者
を磁歪効果、後者を逆磁歪効果という。これらの効果の
大きさの目安としては、飽和磁歪係数λSが用いられ
る。磁歪式トルクセンサは、上記逆磁歪効果を利用し
て、回転軸に加えられたトルクを磁気的に検出するもの
である。 【0003】このような磁歪式トルクセンサには、より
一層の性能向上のため、感度、線形性、ヒステリシス特
性、磁歪材料とシャフトとの密着性等の主要な特性の向
上及び特性のばらつきの低減を図ることが望まれてい
る。特開平10−260093号公報には、このような
磁歪材層をプラズマ溶射法などの溶射法によりシャフト
の表面に形成したのち、還元雰囲気中にて800〜13
00℃で還元熱処理を行なって、特性の向上及び特性の
ばらつきの低減を図る磁歪式トルクセンサの磁歪膜の製
造方法が開示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
10−260093号公報に示すような磁歪式トルクセ
ンサの磁歪膜の製造方法では、還元熱処理に有毒なCO
ガス(一酸化炭素ガス)を使用するために危険であるこ
と、また還元熱処理において高温に保持する時間が1〜
5時間と長いためにエネルギーロスが多く、製造コスト
が高くなってしまうという問題があった。 【0005】本発明は、このような実状に鑑みてなさ
れ、高性能の磁歪式トルクセンサを容易に製造すること
ができる磁歪式トルクセンサの製造方法を提供すること
を目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、以下の構成を採用した。すなわち、本発
明にかかる磁歪式トルクセンサの製造方法は、シャフト
の表面に設けられた磁歪材料の逆磁歪効果を利用して前
記シャフトに加わるトルクを磁気的に検出する磁歪式ト
ルクセンサの製造方法であって、磁歪材料として、Mo
(モリブデン)を2.5〜12.0wt%、B(ボロ
ン)を2.0〜5.5wt%含有し、残りの成分が、N
i(ニッケル)と、該Niに対して重量比で0.18〜
2.3倍のFe(鉄)と、不可避不純物とからなる材料
を用い、前記シャフトを構成するシャフトとして、前記
磁歪材料よりも融点の高い時効硬化性材料からなるシャ
フトを用い、前記シャフトの外周面に、前記磁歪材料を
仮付けする仮付け工程と、前記シャフトを前記磁歪材料
とともに1085±2°Cに加熱してこれらを溶融接合
する拡散接合工程と、前記シャフトを時効硬化させる時
効硬化処理工程とを有していることを特徴としている。 【0007】このような磁歪式トルクセンサの製造方法
では、まず、前記組成の磁歪材料を、この磁歪材料より
も融点の高い時効硬化性材料からなるシャフトの外周面
に仮付けする。磁歪材料の仮付けは、任意の方法で行う
ことができる。次に、このように磁歪材料を仮付けした
シャフトを磁歪材料とともに1085±2°Cに加熱し
て溶融拡散接合する。これによって磁歪材料がシャフト
の表面に強固に固定される。そして、このシャフトを時
効硬化させることで、シャフトの硬度が高められ、さら
にシャフトと磁歪材料との密着性及び付着強度が向上す
る。このようにシャフトと磁歪材料との密着性及び付着
強度が向上することで、磁歪材料の逆磁歪特性や強度等
の特性が向上する。これは、磁歪材料の熱膨張率が軸材
の熱膨張率よりも小さいため、軸材が冷却によって収縮
することで、磁歪材料が引っ張り応力を受けることとな
り、軸材と磁歪材料とがより密着するためと思われる。 【0008】この磁歪式トルクセンサの製造方法では、
還元熱処理を行わないので、熱処理の際に危険なCOガ
スを使用しなくて済む。また、溶融拡散接合は、前記の
還元熱処理に比べて低温かつ短時間の熱処理で済む。そ
して、時効硬化処理も、還元熱処理に比べて低温で行わ
れる。 【0009】ここで、拡散接合処理の温度が1083°
Cよりも低いと、磁歪材料の特性が低下してしまう。こ
れは、拡散接合処理の温度が低すぎて磁歪材料の溶融拡
散が十分に進行せず、シャフトに対する磁歪材料の接合
強度が低くなってしまうためと思われる。一方、拡散接
合処理の温度が1087°Cを超えると、磁歪材料の特
性が低下してしまう。これは、磁歪材料の液相が過度に
生じて反応しやすくなり、溶融拡散が進行し過ぎて磁歪
材料へのシャフト材成分の拡散が生じてしまうためと思
われる。このため、拡散接合処理の温度は、1085±
2°Cとされる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て、図面を用いて説明する。図1は本実施形態にかかる
磁歪式トルクセンサの製造方法によって製造される磁歪
式トルクセンサの全体構成図、図2は本実施形態にかか
る磁歪式トルクセンサの製造方法を示す図、図3は本実
施形態にかかる磁歪式トルクセンサの製造工程のうち、
拡散接合工程における加熱条件を示すグラフ、図4は本
実施形態にかかる磁歪式トルクセンサの製造工程のう
ち、時効硬化処理工程における加熱条件を示すグラフで
ある。 【0011】図1に示すように、本実施形態にかかる磁
歪式トルクセンサ1は、原動機、工作機械等の動力伝達
軸として用いられるシャフト2と、この表面に設けられ
る磁歪材層3と、磁歪材層3の透磁率を検出する検出装
置Sとを有している。シャフト2の外周面には凹部2a
が形成されており、磁歪材層3は、この凹部2a内に形
成されている。本実施の形態では、例えば図1に示すよ
うに、帯状の同一形状の磁歪材層3を、シャフト2の周
方向に等間隔をあけて列状に配置しており、この磁歪材
層3の列は、その列を構成する各磁歪材層3をシャフト
2の軸心に対して約45度傾斜させた列と、約−45度
傾斜させた列との二列設けている。このような磁歪材層
3の形成パターンは、シェブロンパターンと呼ばれるも
のである。 【0012】磁歪材層3を構成する磁歪材料としては、
Moを2.5〜12.0wt%、Bを2.0〜5.5w
t%含有し、残りの成分が、Niと、該Niに対して重
量比で0.18〜2.3倍のFeと、不可避不純物とか
らなる材料が用いられる。この磁歪材料の融点は約10
65°Cであり、磁歪定数λは12×10-6である。 【0013】シャフト2としては、前記磁歪材料よりも
融点の高い時効硬化性材料が用いられる。シャフト2の
材料としては、融点が1150°C以上のものが好まし
い。また、シャフト2としては、磁歪材層3の透磁率の
測定に影響を与えないように、非磁性材料、もしくは磁
性材料であっても1×10-6程度の比較的磁歪定数の小
さいものが用いられる。このような材料としては、例え
ば、C(炭素)を0.6wt%、Si(シリコン)を
1.0wt%、Mn(マンガン)を13.0wt%、N
iを2.2wt%、Cr(クロム)を10.0wt%、
V(バナジウム)を2.0wt%含有し、残りの成分が
Feと不可避不純物からなるものを用いることができ
る。以下、この材料を材料Aとする。 【0014】ここで、本実施の形態で用いた磁歪材料及
びシャフト2の化学組成を、次の表1に示す。 【0015】 【表1】 【0016】また、シャフト2の材料としては、析出硬
化系ステンレス鋼であるSUS630やSUS631
(いずれもJIS規格品)を用いてもよい。SUS63
0は、Cを0〜0.07wt%、Siを0〜0.10w
t%、Mnを0〜1.00wt%、P(リン)を0〜
0.04wt%、S(硫黄)を0〜0.03wt%、N
iを3.00〜5.00wt%、Crを15.50〜1
7.50wt%、Cu(銅)を3.00〜5.00wt
%、Nb(ニオブ)+Ta(タンタル)を0.15〜
0.45wt%、Al(アルミ)を0.75〜1.50
%含有し、残りの成分がFeと不可避不純物からなる。
SUS631は、Cを0〜0.09wt%、Siを0〜
0.10wt%、Mnを0〜1.00wt%、P(リ
ン)を0〜0.04wt%、Sを0〜0.03wt%、
Niを6.50〜7.75wt%、Crを16.00〜
18.00wt%、Nb+Taを0.15〜0.45w
t%、Alを0.75〜1.50%含有し、残りの成分
がFeと不可避不純物からなる。 【0017】磁歪材層3が形成されたシャフト2の周囲
には、シャフト2に形成される磁歪材層3の各列に対応
させて、検出コイル5、5がシャフト2に近接させて配
置されている。これら検出コイル5、5には、それぞれ
抵抗素子6が直列に接続されており、これら検出コイル
5、5及び抵抗素子6、6とは、ブリッジを構成してい
る。このブリッジを構成する素子のうち、検出コイル
5、5の接続点と、抵抗素子6、6の接続点との間に
は、発振器7が接続されており、これによってブリッジ
に所定の電圧及び周波数の交流電圧が印加されるように
なっている。ブリッジの他の二つの接続点からはそれぞ
れ出力が取り出されて差動増幅器8に入力され、AC−
DC変換器9を経て測定出力が得られるようになってい
る。これら検出コイル5、5、抵抗素子6、6、発振器
7、差動増幅器8、及びAC−DC変換器9は、前記検
出装置Sを構成している。 【0018】このように構成される磁歪式トルクセンサ
1では、磁歪材層3の列のうちの一方の列を構成する磁
歪材層3をシャフト2の軸心に対して傾斜させ、他方の
列を構成する磁歪材層3を前記一方の列を構成する磁歪
材層3とは逆方向に向けて傾斜させているので、シャフ
ト2を一方向に捻った場合に、一方の列の磁歪材層3に
は圧縮応力が作用し、他方の列の磁歪材層3には引っ張
り応力が作用する。これにより、これら磁歪材層3の透
磁率が変化する。このようにこれら磁歪材層3の透磁率
が変化すると、この変化に比例してこれら磁歪材層3の
それぞれに対向させて設けた検出コイル5、5のインピ
ーダンスが変化する。この磁歪式トルクセンサ1では、
これら二つの検出コイル5、5のインピーダンス差から
トルクTを測定することができる。 【0019】次に、本発明の一実施形態にかかる磁歪式
トルクセンサの製造方法について説明する。まず、シャ
フト2となる軸材11を用意する。この軸材11は、シ
ャフト2の外径Dよりもわずかに大径とする。また、こ
こでは、軸材11として前記材料Aを用いた場合につい
て示す。この軸材11の外周に、図2(a)に示すよう
に、磁歪材層3を形成するための凹部2aを、磁歪材層
3の形成パターンと同じパターンで形成する。この凹部
2aは、軸材11においてシャフト2の外径Dよりも径
方向内側まで達する深さとされる。 【0020】〔仮付け工程〕次に、図2(b)に示すよ
うに、軸材11の凹部2a内に、磁歪材料12を仮付け
する。磁歪材料12を凹部2a内に仮付けする方法は任
意であって、例えば、予め磁歪材料12の原料を溶解し
て所定の合金組成を有する磁歪材料のインゴットを形成
し、これを粉砕して得られた磁歪材料粉末を用いてプラ
ズマ溶射等の溶射を行なうか、あるいは予め原料を溶解
し急冷延伸して所定の合金組成を有する磁歪材料の薄帯
(リボン)を形成しておき、これを軸材11の凹部2a
の内面に対してスポット溶接などで仮止めすること等に
より行なわれるが、前者の方法が最終的に磁歪材層をシ
ャフトにより強固かつ均一に接合できるために望まし
い。また、磁歪材料12をペースト状に加工して軸材1
1に付着させてもよい。 【0021】なお、このように予め所定の合金組成を有
する磁歪材料のインゴットあるいはリボンを作成してお
くことで、磁歪材料12の組成の均一化が図られ、特に
溶射法によった場合においても、各成分の溶融温度の相
違による合金組織のバラツキ、欠陥の発生といった問題
を回避できる。 【0022】プラズマ溶射法は、一般にはAr(アルゴ
ン)、He(ヘリウム)、N2(窒素)、H2(水素)等
のガスでプラズマを発生させ、そのプラズマ中に被膜形
成用の粉末を投入し溶融させて基材の表面に吹き付けて
被膜を形成するものであり、所望の層厚、例えば、50
0〜600μmとなるまで、必要に応じて溶射操作を繰
り返す。 【0023】〔拡散接合工程〕次に、このように磁歪材
料12を仮留めした状態の軸材11を、例えば真空熱処
理炉などの加熱装置を用いて、減圧条件下(5×10-3
Torr以下)で、軸材11の融点よりも低い温度で加
熱し、磁歪材料12と軸材11とを溶融拡散接合する。
このとき、雰囲気熱処理炉などの加熱装置を用いて、A
r、He、H2等のガス中で溶融拡散接合を行ってもよ
い。 【0024】このような加熱装置によって軸材11及び
磁歪材料12を1085±2°Cまで加熱して、これら
の溶融拡散接合を行う。この熱処理温度は、軸材11に
仮留めされた磁歪材料12を軸材11の外周に溶融拡散
接合させるために十分な温度であり、しかも得られる磁
歪材層3の逆磁歪特性を劣化させない温度である。 【0025】この拡散接合工程における加熱条件の詳細
を図3に示す。この拡散接合工程では、まず、室温から
50°C/min以下の速度で、1020°Cまで昇温
させ、1020°Cに達したのちはこの温度を30分間
維持して、軸材11及び磁歪材料12に均熱処理を施
す。次に、20°C/minの速度で再び昇温させ、1
085°Cとなった時点から例えば5分間均熱処理を施
す。そして、この均熱処理を終えた後に、軸材11及び
磁歪材料12の加熱をやめて、自然放熱によってこれら
を室温まで冷却する。 【0026】このような熱処理により、磁歪材料12と
軸材11とが強固かつ均一に溶融拡散接合される。この
熱処理の際には、軸材11から磁歪材料12への軸材成
分の拡散が生じるが、熱処理温度が1085±2°Cと
されているので、拡散は接合界面のみにおいて生じ、磁
歪材料12の最表面近くまで拡散してくることはないの
で、磁歪材料12の逆磁歪特性を劣化させることはな
い。ここで、この熱処理の時間は、処理される軸材11
の大きさや同時に処理する軸材11の本数に応じて、前
記熱処理時間から±1〜15分の範囲内で調整されるも
のである。上記の熱処理時間は、直径が41mm、長さ
が190mmとされ、軸線方向の中央部に軸線方向に沿
って28mmの範囲にわたって磁歪材料12を設けた軸
材11を、10本同時に熱処理した場合のものである。 【0027】〔時効硬化処理工程〕そして、このように
して磁歪材料12を溶融拡散接合した軸材11に、さら
に時効硬化処理を施す。この処理は、軸材11を、軸材
11に仮留めされた磁歪材料12の融点よりも低い所定
の温度に加熱し、軸材11の温度を所定時間保持したの
ちに冷却することによって行われる。この処理は、例え
ば真空熱処理炉を用いて行われる。この時効硬化処理工
程における加熱条件の一例を図4に示す。ここで、図4
に示す例では、軸材11として前記材料Aを用いてい
る。まず、室温から任意の昇温速度で軸材11及び磁歪
材料12を、650〜750°C(図4に示す例では7
00°C)に加熱した状態で、5時間程度保持する。そ
の後、任意の冷却速度で室温まで冷却することで、軸材
11に時効硬化を生じさせる。 【0028】ここで、この時効硬化処理の熱処理条件
は、軸材11の材質に応じて変更されるものである。例
えば、軸材11としてSUS630を用いた場合には、
上記の熱処理では、軸材11を470から630°Cに
加熱した状態で4時間程度保持した後に室温まで冷却す
る。また、軸材11としてSUS631を用いた場合に
は、上記の熱処理では、軸材11を760±15°Cに
て90分保持し、その後1時間以内に15°Cまで冷却
して30分保持し、その後565±10°Cに加熱して
90分保持した後に、室温まで空冷させる。もしくは、
軸材11を955±10°Cにて10分保持してから空
冷によって室温まで冷却し、その後24時間以内に−7
3±6°Cまで冷却して8時間保持し、その後510±
10°Cに加熱して60分保持した後、空冷によって室
温まで冷却する。 【0029】このような熱処理の結果、軸材11に時効
硬化が生じてその硬度が高められ、さらに軸材11と磁
歪材料12との密着性及び付着強度が向上する。これ
は、磁歪材料12の熱膨張率が軸材11の熱膨張率より
も小さいため、軸材11が冷却によって収縮すること
で、磁歪材料12が引っ張り応力を受けることとなり、
軸材11と磁歪材料12とがより密着するためと思われ
る。そして、このように軸材11と磁歪材料12との密
着性及び付着強度が向上することで、磁歪材料12の逆
磁歪特性(例えばヒステリシス特性)や強度等の特性が
向上する。 【0030】〔整形工程〕このようにして拡散接合処理
及び時効硬化処理を経た軸材11に機械加工を施して、
図2(c)に示すように、所望の外径Dのシャフト2を
得る。ここで、凹部2aは、シャフト2の外径よりも径
方向内側まで達しているので、シャフト2の外周面には
凹部2aが残される。また、この機械加工の際には、凹
部2a内の磁歪材料12も同時に機械加工されて、シャ
フト2の外周面に残った凹部2a内にある磁歪材料12
のみが残されて、この磁歪材料12によって磁歪材層3
が形成される。この磁歪材層13の厚みは、50〜60
0μmとされる。 【0031】このようにして形成された磁歪材層3は、
非常に強固に軸材11に接合しており、また、耐熱性も
十分なものであるために、特に自動車のエンジンのよう
な高トルク・高温などの過酷な使用環境においても応力
−磁気特性変換の感度及び直線性は優れている。 【0032】このような磁歪式トルクセンサの製造方法
によれば、シャフト2と磁歪材層3との密着性を向上さ
せることができる。さらに、磁歪材層3の逆磁歪特性
(例えばヒステリシス特性)や強度等の特性を向上させ
ることができる。そして、この磁歪式トルクセンサの製
造方法では、還元熱処理を行わないので、熱処理の際に
危険なCOガスを使用しなくて済み、磁歪式トルクセン
サ1を安全に製造することができる。 【0033】また、拡散接合処理において軸材11及び
磁歪材料12を高温に維持する時間が短時間であり、ま
た時効硬化処理も前記還元熱処理に比べて低温で行うの
で、磁歪式トルクセンサ1の製造に消費するエネルギー
が少なく、また比較的短時間で磁歪式トルクセンサ1を
製造することが可能となり、製造コストを低減させるこ
とができる。 【0034】ここで、上記実施の形態では、軸材11の
凹部2a内に磁歪材料12を設け、前記の各熱処理を終
えた後に軸材11を機械加工してシャフト2を製造する
例を示したが、これに限られることなく、外周面に凹部
2aが形成されたシャフト2の凹部2a内に磁歪材料1
2を設けて、このシャフト2に前記の各熱処理を施し
て、シャフト2の外周に磁歪材層3を形成してもよい。
また、シャフト2の外周面に凹部2aを設けずに、外周
面に直接磁歪材層3を形成してもよい。 【0035】また、従来、高速回転時、または微小トル
クの検出に用いられるトルク検出装置としては、特開平
04−70530号広報に示されるように、回転軸に、
トルクの大きさに追従して半径方向に変形する弾性体を
設け、非接触式センサによってこの弾性体の変形量を検
知し、この弾性体の変形量から回転軸に加わるトルクを
検出するものがある。しかし、このような構成のトルク
検出装置では、弾性体は、回転軸にトルクが加わること
で変形するだけでなく、回転軸を回転させることによっ
て生じた遠心力を受けて半径方向に変形してしまうた
め、トルク検出装置には、遠心力による影響を補正する
機構が必要であった。また、トルクの検出は、回転軸の
一回転当たり一回しか行うことができなかった。 【0036】これに対し、本発明にかかる磁歪式トルク
センサ1では、磁歪材層3は溶融拡散接合によってシャ
フト2に対して強固に接合されており、シャフト2を高
速で回転させて遠心力を受けても磁歪材層3が変形しな
いので、遠心力による影響を補正する機構が不要とな
る。また、この磁歪式トルクセンサ1は高感度、高応答
性であり、その検出信号のS/N比もよいので、1回転
中におけるトルクの挙動を詳細に検出することができ
る。 【0037】ここで、この磁歪式トルクセンサ1を用い
て切削工具の切削トルクの測定試験を行った。この試験
では、図5に示すように、工作機械の工具主軸21に対
して、工具本体22aの外周面に磁歪材層3を形成した
切削工具22(この例ではエンドミル)を装着し、この
切削工具22によって被削材の切削を行った際に切削工
具21に加わった切削トルクを測定した。この測定は、
切削工具22の回転数を1000rpm、2000rp
m、3000rpm、4000rpmとした場合のそれ
ぞれについて行った。ここでは、工具本体22aを前記
シャフト2とし、工作機械には、切削工具22の回転を
許容させて、工具本体22aにおいて磁歪材層3が形成
される部分に対向させて検出コイル5、5を設けた。 【0038】また、この試験では、磁歪式トルクセンサ
1の測定精度を検証するために、同時にダイナモメータ
によってもこの切削工具22に加わる切削トルクの測定
を行った。図6に、磁歪式トルクセンサ1による切削ト
ルクの測定値と、ダイナモメータによる切削トルクの測
定値との関係を示す。図6において、横軸はダイナモメ
ータによる切削トルクの測定値、縦軸は磁歪式トルクセ
ンサ1による切削トルクの測定値である。また、図6に
おいて、ダイナモメータによる測定値に比例する線を破
線で示す。図6に示すように、いずれの回転数において
も、磁歪式トルクセンサ1による切削トルクの測定値の
ダイナモメーターによる切削トルクの測定値に対する誤
差は±2%以下であり、磁歪式トルクセンサ1では切削
トルクの検出が高精度に行われていることがわかる。 【0039】次に、工具本体に本発明にかかる磁歪式ト
ルクセンサ1を設けた切削工具(工具径10mm、刃数
1枚、工具本体の材質がUTi20Tのエンドミル)に
よって被削材の切削を行い、このときの切削トルクの挙
動を測定した。この結果を図7に示す。ここで、被削材
は炭素鋼(JIS S45C)とし、切削条件は、切削
速度94m/min(工具主軸の回転数:3000rp
m)、送り0.10mm、切り込み量2mm、切削幅2
mmの乾式切削である。図7(a)に、下向き削りにお
ける切削トルクの挙動を示し、図7(b)に上向き削り
における切削トルクの挙動を示す。図7(a)、(b)
に示すように、本発明にかかる磁歪式トルクセンサ1に
よれば、切削工具の一回転中における切削トルクの挙動
を詳細に検出することができることがわかる。 【0040】 【実施例】以下に、本発明にかかる製造方法を用いて製
造した磁歪式トルクセンサと、本発明にかかる製造方法
とは拡散接合処理における熱処理条件を変えて製造した
磁歪式トルクセンサとのそれぞれについて、シャフトに
加わる実際のトルクの大きさとその出力信号の出力との
関係におけるヒステリシスの大きさ及び非直線性につい
て測定した。ここで、ヒステリシスの大きさとは、磁歪
式トルクセンサの出力信号の最大幅に対するヒステリシ
ス幅の最大値の割合である。また、非直線性とは、出力
信号の実際の出力曲線とベストフィット直線との非直線
性最大誤差をフルスケール値に対する%で表したもので
ある。 【0041】この試験においては、磁歪式トルクセンサ
として、軸材と磁歪材料との拡散接合処理における熱処
理温度を1080°Cとしたもの(比較例1)と、10
85°Cとしたもの(本願発明)、1090°Cとした
もの(比較例2)と、比較例1、2において軸材に時効
硬化処理を施さなかったもの(それぞれ比較例3、4と
する)と、本願発明と拡散接合処理温度は同一とし、軸
材に時効硬化処理を施さなかったもの(比較例5)とを
用意した。ここで、これら比較例1〜5の磁歪材層の化
学組成は、本願発明の磁歪材層の化学組成と同一として
いる。この試験によるヒステリシスの大きさの比較結果
を図8に、また直線性の比較結果を図9に示す。 【0042】図8及び図9に示すように、比較例1で
は、ヒステリシスの大きさ及び非直線性のいずれも−1
0%程度であり、比較例2では、ヒステリシスの大きさ
及び非直線性のいずれも25%程度であるので、実トル
クと測定値との間の誤差が大きい。これに対し、本願発
明では、ヒステリシスの大きさ及び非直線性のいずれも
−数%以内であり、比較例1、2に比べて実トルクと測
定値との間の誤差が明らかに少ないことがわかる。この
ことから、軸材と磁歪材料との溶融拡散接合の際の熱処
理温度を1085°C近傍とすることで、磁歪式トルク
センサのトルクの測定精度が向上することがわかる。ま
た、軸材に時効硬化処理を施していない比較例3、4、
5では、ヒステリシスの大きさ及び非直線性は、いずれ
も時効硬化処理を施している比較例1、2、本願発明に
対して、数%から最大約20%程度も増加しており、時
効硬化処理を施した場合に比べて実トルクと測定値との
間の誤差が拡大していることがわかる。このことから、
軸材に時効硬化処理を施すことによって、磁歪式トルク
センサのトルクの測定精度が向上していることがわか
る。 【0043】 【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、前記組成の磁歪材料をシャフトに対して溶融拡散接
合し、さらにシャフトに時効硬化処理を施すことで、磁
歪材料をシャフト表面に強固に接合させることができ、
このシャフトを用いた磁歪式トルクセンサのトルクに対
する出力の直線性、ヒステリシス特性が良好なものとな
る。そして、磁歪材料がシャフトに強固に接合されるの
で、長期間使用してもセンサ特性の劣化が少なく、耐久
性が向上する。また、拡散接合処理及び時効硬化処理に
は危険なCOガスを使用しなくて済むので、磁歪式トル
クセンサを安全に製造することができる。また、拡散接
合処理においてシャフト及び磁歪材料を高温に維持する
時間が短時間であり、また時効硬化処理も前記還元熱処
理に比べて低温で行うので、磁歪式トルクセンサの製造
に消費するエネルギーが少なく、また比較的短時間で磁
歪式トルクセンサを製造することが可能となり、製造コ
ストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一実施形態にかかる磁歪式トルクセ
ンサの製造方法によって製造される磁歪式トルクセンサ
の全体構成図である。 【図2】 本実施形態にかかる磁歪式トルクセンサの製
造方法を示す図である。 【図3】 本実施形態にかかる磁歪式トルクセンサの製
造工程のうち、拡散接合工程における加熱条件を示すグ
ラフである。 【図4】 本実施形態にかかる磁歪式トルクセンサの製
造工程のうち、時効硬化処理工程における加熱条件の一
例を示すグラフである。 【図5】 本発明にかかる歪式トルクセンサによる切削
工具の切削トルク測定試験の様子を示す図である。 【図6】 本発明にかかる磁歪式トルクセンサによる切
削トルクの測定値と、ダイナモメータによる切削トルク
の測定値との関係を示すグラフである。 【図7】 本発明にかかる歪式トルクセンサによる切削
工具の切削トルク測定結果を示す図である。 【図8】 本発明にかかる製造方法を用いて製造した磁
歪式トルクセンサと、熱処理条件を変えて製造した磁歪
式トルクセンサとのそれぞれについてその出力信号のヒ
ステリシスの大きさを比較したグラフである。 【図9】 本発明にかかる製造方法を用いて製造した磁
歪式トルクセンサと、熱処理条件を変えて製造した磁歪
式トルクセンサとのそれぞれについてその出力信号の非
直線性を比較したグラフである。 【符号の説明】 1 磁歪式トルクセンサ 2 シャフト 3 磁歪材料

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 シャフトの表面に設けられた磁歪材料の
    逆磁歪効果を利用して前記シャフトに加わるトルクを磁
    気的に検出する磁歪式トルクセンサの製造方法であっ
    て、 前記磁歪材料として、Moを2.5〜12.0wt%、
    Bを2.0〜5.5wt%含有し、残りの成分が、Ni
    と、該Niに対して重量比で0.18〜2.3倍のFe
    と、不可避不純物とからなる材料を用い、 前記シャフトとして、前記磁歪材料よりも融点の高い時
    効硬化性材料からなるシャフトを用い、 前記シャフトの外周面に前記磁歪材料を仮付けする仮付
    け工程と、 前記シャフトを前記磁歪材料とともに1085±2°C
    に加熱してこれらを溶融拡散接合する拡散接合工程と、 前記シャフトを時効硬化させる時効硬化処理工程とを有
    していることを特徴とする磁歪式トルクセンサの製造方
    法。
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JP2018048937A (ja) * 2016-09-23 2018-03-29 本田技研工業株式会社 磁歪式トルクセンサ、及び磁歪式トルクセンサの製造方法

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