JP2003336057A - プラズマディスプレイ装置 - Google Patents

プラズマディスプレイ装置

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JP2003336057A
JP2003336057A JP2002142666A JP2002142666A JP2003336057A JP 2003336057 A JP2003336057 A JP 2003336057A JP 2002142666 A JP2002142666 A JP 2002142666A JP 2002142666 A JP2002142666 A JP 2002142666A JP 2003336057 A JP2003336057 A JP 2003336057A
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phosphor
divalent
concentration
blue
plasma display
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JP2002142666A
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English (en)
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Kazuhiko Sugimoto
和彦 杉本
Hiroshi Setoguchi
広志 瀬戸口
Hiroyuki Kawamura
浩幸 河村
Masaki Aoki
正樹 青木
Junichi Hibino
純一 日比野
Mitsuhiro Otani
光弘 大谷
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)
  • Luminescent Compositions (AREA)
  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 プラズマディスプレイ装置において、実使用
時に輝度劣化や色度変化の発生を抑制した青色蛍光体を
提供する。 【解決手段】 プラズマディスプレイ装置において、前
記蛍光体層は青色蛍光体層を有し、当該青色蛍光体は、
Ba、Sr、Mg、Alの複合酸化物からなる母体結晶
にEuを付活した2価のEuを発光中心とする青色蛍光
体であって、当該蛍光体を構成するEu原子の内、2価
のEu濃度を20%から50%とし、3価のEu濃度を
50%から80%としたことにより、実使用時に輝度劣
化や色度変化の発生を抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はテレビなどの画像表
示に用いられ、かつ紫外線により励起されて発光する蛍
光体層を有するプラズマディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータやテレビなどの画像
表示に用いられているカラー表示デバイスにおいて、プ
ラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)を用
いたプラズマディスプレイ装置は、大型で薄型軽量を実
現することのできるカラー表示デバイスとして注目され
ている。
【0003】プラズマディスプレイ装置は、いわゆる3
原色(赤、緑、青)を加法混色することにより、フルカ
ラー表示を行っている。このフルカラー表示を行うため
に、プラズマディスプレイ装置には3原色である赤
(R)、緑(G)、青(B)の各色を発光する蛍光体層
が備えられ、この蛍光体層を構成する蛍光体粒子はPD
Pの放電セル内で発生する紫外線により励起され、各色
の可視光を生成している。
【0004】上記各色の蛍光体に用いられる化合物とし
ては、例えば、赤色を発光する(YGd)BO3:Eu
3+、Y23:Eu3+、緑色を発光するZn2SiO4:M
2+、青色を発光するBaMgAl1017:Eu2+が知
られている。これらの各蛍光体は、所定の原材料を混ぜ
合わせた後、1000℃以上の高温で焼成することによ
り固相反応されて作製される(例えば、蛍光体ハンドブ
ック P219、225 オーム社参照)。この焼成に
より得られた蛍光体粒子は、粉砕してふるい分け(赤、
緑の平均粒径:2μm〜5μm、青の平均粒径:3μm
〜10μm)を行ってから使用している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、プラズマデ
ィスプレイ装置を構成する蛍光体層に用いられるアルミ
ン酸塩青色蛍光体には、一般的に組成式(Ba1-m-x
m)MgAl1017:Euxの結晶構造(0≦m≦0.
25、0.01≦x≦0.20)から構成される青色蛍
光体が用いられている。この青色蛍光体は、プラズマデ
ィスプレイ装置の実使用時に輝度劣化や色度変化(色度
変化による色ずれや画面の焼き付け)が発生するという
課題がある。
【0006】本発明は、実使用時に輝度劣化や色度変化
の発生を抑制した青色蛍光体を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明は、Ba、Sr、Mg、Alの複合酸化物から
なる母体結晶にEuを付活した2価のEuを発光中心と
する青色蛍光体であって、当該蛍光体を構成するEu原
子の内、2価のEu濃度を20%から50%とし、3価
のEu濃度を50%から80%としたものである。
【0008】また、組成式(Ba1-m-xSrmiMgA
jn:Euxiの結晶構造(0≦m≦0.25、0.0
1≦x≦0.20、9.0≦j≦10.2、15.45
≦n≦17.35、0.95≦i≦1.05)から構成
される青色蛍光体であって、当該蛍光体を構成するEu
原子の内、2価のEu濃度を20%から50%とし、3
価のEu濃度を50%から80%としたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】プラズマディスプレイ装置を代表
とする画像表示装置や照明に一般的に用いられるアルミ
ン酸塩青色蛍光体(Ba1-m-xSrm)MgAl1017
Eux(0≦m≦0.25、0.01≦x≦0.20)
は、所定の原材料を混合した後、還元雰囲気中で120
0℃以上の高温で焼成することにより作製される。還元
雰囲気中で焼成しなければならない理由は、Euを2価
の状態で付活する必要があるためである。
【0010】しかしながら、このアルミン酸塩青色蛍光
体は酸化物蛍光体であるため、還元雰囲気中の焼成によ
り蛍光体中の欠陥(酸素欠陥)が増大する。特に(Ba
1-m- xSrm)MgAl1017:Eux(0≦m≦0.2
5、0.01≦x≦0.20)の青色蛍光体の場合は、
その結晶構造が層状構造を有しており(例えば、ディス
プレイアンドイメージング 1999.Vol.7、p
p225〜234)、その層の中でBa原子を含有する
層(Ba−O層)近傍の酸素に欠損が多数存在する。そ
して、蛍光体中の欠陥が増大するためにプラズマディス
プレイ装置の実使用時に輝度劣化や色度変化(色度変化
による色ずれや画面の焼き付け)を生じやすくなると考
えられる。
【0011】本発明は、上記課題に鑑み青色蛍光体の欠
陥をなくすことで、青色蛍光体の輝度劣化や色度変化の
改善を行うものである。ここで欠陥を低減させるため
に、Ba、Sr、Mg、Alの複合酸化物からなる母体
結晶にEuを付活した2価のEuを発光中心とする青色
蛍光体中の2価のEuの一部を3価のEuで置換するこ
とで欠陥を低減させたものである。特に、(Ba1-m-x
Srm)MgAl1017:Euxの結晶構造(0≦m≦
0.25、0.01≦x≦0.20)から構成される青
色蛍光体中の2価のEuの一部を3価のEuで置換する
ことで大幅に欠陥を低減させたものである。
【0012】また、このEuの置換には、青色蛍光体を
酸化雰囲気で焼成することにより行った。この酸化雰囲
気には、酸素、酸素−窒素、オゾン−窒素、水蒸気−窒
素、水蒸気−水素−窒素を用い、焼成温度が350℃か
ら1100℃が望ましい。
【0013】青色蛍光体である(Ba1-m-xSrm)Mg
Al1017:Eux中のEu(ユーロピウム)はBaの
格子に入り2価のプラスイオンとして存在している。そ
の2価のEuの内の一部を3価のEuで置換すると、プ
ラスの電荷が結晶中に増大する。この+電荷を中和する
ために(電荷を補償するために)Ba元素の近傍の酸素
欠陥を−電荷を持つ酸素が埋めるため、結果としてBa
−O層近傍の酸素欠陥が低減できるものと考えられる。
【0014】また、酸素欠陥が少なければ少ないほど、
プラズマディスプレイ装置の製造における各工程での劣
化の度合いや、プラズマディスプレイ装置における実駆
動時の劣化が少なくなる。ただし、3価のEuが多くな
りすぎると輝度が低下してしまうので好ましくない。E
uの3価の量の特に好ましい量はEu全体の50%から
80%である。
【0015】さらに、本発明者らは、酸化雰囲気での焼
成時の青色蛍光体の輝度が組成比と密接な関係があるこ
とを見出した。組成式(Ba1-m-xSrmiMgAlj
n:Euxiの結晶構造(0≦m≦0.25、0.01≦
x≦0.20)から構成されている青色蛍光体におい
て、酸化雰囲気での焼成後の輝度を高くするにはAlの
組成比を示すパラメータjが9.0≦j≦10.2、ま
たBaサイトの組成比を示すパラメータiが0.95≦
i≦1.05が好ましい。組成比がこの範囲を外れると
所望の輝度を得ることができない。
【0016】以下、本発明のアルミン酸塩青色蛍光体の
製造方法について説明する。
【0017】ここで、蛍光体本体の製造方法としては、
従来の酸化物や炭酸化物あるいは硝酸化物原料とフラッ
クス(AlF3、MgF2、BaF2等)を混合した後に
焼成する固相焼結法や、有機金属塩や硝酸塩を用い、こ
れらを水溶液中で加水分解したり、アルカリ等を加えて
沈殿させる共沈法を用いて蛍光体の前駆体を作製し、次
にこれを熱処理する液相法、あるいは蛍光体原料が入っ
た水溶液を加熱された炉中に噴霧して作製する液体噴霧
法等の蛍光体の製造方法が考えられるが、いずれの方法
で作製した蛍光体を用いても、組成式(Ba1-m-x
miMgAlj n:Euxiの結晶構造(0≦m≦0.
25、0.01≦x≦0.20、9.0≦j≦10.
2、15.45≦n≦17.35、0.95≦i≦1.
05)から構成されている青色蛍光体中のEuの2価を
3価のEuでその一部を置換することの効果があること
が判明した。
【0018】ここで蛍光体作製方法の一例として、組成
式(Ba1-m-xSrmiMgAlj n:Euxiの結晶構
造(0≦m≦0.25、0.01≦x≦0.20、9.
0≦j≦10.2、15.45≦n≦17.35、0.
95≦i≦1.05)から構成されている青色蛍光体の
固相反応法による製法について述べる。原料として、B
aCO3、MgCO3、Al23、Eu23等の炭酸化物
や酸化物と、焼結促進剤としてのフラックスAlF3
少量加えて、1500℃で2時間空気中で焼成した後
(この時点ではEuは3価が主)、これを粉砕及びふる
い分けを行い、次に1400℃で2時間還元性雰囲気
(窒素−水素(水素5%)中)で焼成し(Eu2価を主
にする)、再び粉砕とふるい分けを行い蛍光体とする。
【0019】次に、酸素−窒素中の酸化雰囲気で350
℃〜1100℃で焼成して、Eu2価の一部を3価にす
る。ただし、酸化雰囲気での焼成は、1400℃での還
元工程後、同じ炉で降温時の1100℃〜350℃の間
に酸化させても良い。
【0020】水溶液から蛍光体を作製する場合(液相
法)は蛍光体を構成する元素を含有する有機金属塩(例
えばアルコキシドやアセチルアセトン)あるいは硝酸塩
を水に溶解した後、加水分解して共沈物(水和物)を作
製し、それを水熱合成(オートクレーブ中で結晶化)
や、空気中で焼成、あるいは高温炉中に噴霧して得られ
た粉体を1400℃で2時間、還元性雰囲気(窒素−水
素(水素5%)中)で焼成し粉砕とふるい分けする。
【0021】次にこれを酸素−窒素中の酸化雰囲気で3
50℃から1100℃で焼成して、Eu2価の一部を3
価にして蛍光体とする。なお、Eu2価に対するEu3
価の量は、50%から80%が好ましい。置換量が50
%以下ではプラズマディスプレイ装置の実使用時の輝度
劣化を防止する効果が少なく、80%以上になると蛍光
体の初期輝度の低下が見られるため好ましくない。ま
た、前記の2価のEuの一部が3価になったことについ
ては、EXAFS(X−ray absorption
nearedge structure)の測定によ
り同定した。
【0022】このように従来の青色蛍光体粉作製工程を
用いて、Ba、Sr、Mg、Alの複合酸化物からなる
母体結晶にEuを付活した2価のEuを発光中心とする
青色蛍光体、さらには、組成式(Ba1-m-xSrmi
gAljn:Euxiの結晶構造(0≦m≦0.25、
0.01≦x≦0.20、9.0≦j≦10.2、1
5.45≦n≦17.35、0.95≦i≦1.05)
を有する青色蛍光体において、結晶中のEuの2価をE
uの3価で一部置換することで、青色蛍光体の輝度を低
下させることなく、実使用時に輝度劣化や色度変化の発
生を抑制した青色蛍光体が得られる。
【0023】すなわち、本発明に係るプラズマディスプ
レイ装置は、1色または複数色の放電セルが複数配列さ
れるとともに、各放電セルに対応する色の蛍光体層が配
設され、その蛍光体層が紫外線により励起されて発光す
るプラズマディスプレイパネルを備えたプラズマディス
プレイ装置であって、前記蛍光体層は青色蛍光体層を有
し、その青色蛍光体層は、Ba、Sr、Mg、Alの複
合酸化物からなる母体結晶にEuを付活した2価のEu
を発光中心とする青色蛍光体、さらには、組成式(Ba
1-m-xSrmiMgAljn:Euxiの結晶構造(0≦
m≦0.25、0.01≦x≦0.20、9.0≦j≦
10.2、15.45≦n≦17.35、0.95≦i
≦1.05)から構成される青色蛍光体であって、その
結晶中の2価のEu濃度を20%から50%とし、3価
のEu濃度を50%から80%としたことを特徴とす
る。
【0024】ここで、蛍光体粒子の平均粒径は、0.1
μm〜2.0μmの範囲がさらに好ましい。また、粒度
分布は最大粒径が平均値の4倍以下で最小値が平均値の
1/4以上がさらに好ましい。蛍光体粒子において紫外
線が到達する領域は、粒子表面から数百nm程度と浅
く、ほとんど表面しか発光しない状態であり、こうした
蛍光体粒子の粒径が2.0μm以下になれば、発光に寄
与する粒子の表面積が増加して蛍光体層の発光効率は高
い状態に保たれる。また3.0μm以上であると、蛍光
体の厚みが20μm以上必要となり放電空間が十分確保
できない。0.1μm以下であると欠陥が生じやすく輝
度が向上しない。
【0025】また、蛍光体層の厚みを蛍光体粒子の平均
粒径の8〜25倍の範囲内にすれば、蛍光体層の発光効
率が高い状態を保ちつつ、放電空間を十分に確保するこ
とができるので、プラズマディスプレイ装置における輝
度を高くすることができる。特に蛍光体の平均粒径が3
μm以下であるとその効果は大きい(映像情報メディア
学会 IDY2000−317.PP32)。
【0026】ここで、プラズマディスプレイ装置におけ
る赤色蛍光体層に使用する具体的な蛍光体粒子として
は、Y2-x3:EuX、もしくは(Y、Gd)1-X
3:EuXで表される化合物を用いることができる。こ
こで、赤色蛍光体の化合物におけるxの値は、0.05
≦x≦0.20であれば、輝度及び輝度劣化に優れ好ま
しい。
【0027】また、プラズマディスプレイ装置における
緑色蛍光体層に使用する具体的な蛍光体粒子としては、
Ba1-XAl1219:MnX、もしくはZn2-XSiO4
Mn Xで表される化合物を用いることができる。ここ
で、上記緑色蛍光体の化合物におけるxの値は、0.0
1≦x≦0.10であることが、輝度、及び輝度劣化に
優れるため好ましい。
【0028】また、本発明にかかる蛍光灯は、紫外線に
より励起されて可視光を発光する蛍光体層を有する蛍光
灯であって、前記蛍光体層には、Ba、Sr、Mg、A
lの複合酸化物からなる母体結晶にEuを付活した2価
のEuを発光中心とする青色蛍光体、さらには、組成式
(Ba1-m-xSrmiMgAljn:Euxiの結晶構造
(0≦m≦0.25、0.01≦x≦0.20、9.0
≦j≦10.2、15.45≦n≦17.35、0.9
5≦i≦1.05)から構成される青色蛍光体であっ
て、その結晶中の2価のEu濃度を20%から50%と
し、3価のEu濃度を50%から80%としたことを特
徴とする。このように構成することにより、発光特性に
優れ、輝度及び輝度劣化に優れた蛍光灯とすることがで
きる。以下、本発明の一実施の形態によるプラズマディ
スプレイ装置について、図面を参照しながら説明する。
【0029】図1はPDPにおける前面ガラス基板を取
り除いた概略平面図であり、図2は、PDPの画像表示
領域について一部を断面で示す斜視図である。なお、図
1においては表示電極群、表示スキャン電極群、アドレ
ス電極群の本数などについては分かり易くするため一部
省略して図示している。
【0030】図1に示すように、PDP100は、前面
ガラス基板101(図示せず)と、背面ガラス基板10
2と、N本の表示電極103と、N本の表示スキャン電
極104(N本目を示す場合はその数字を付す)と、M
本のアドレス電極107群(M本目を示す場合はその数
字を付す)と、斜線で示す気密シール層121とからな
り、各電極103、104、107による3電極構造の
電極マトリックスを有しており、表示電極103及び表
示スキャン電極104とアドレス電極107との交点に
セルが形成されている。123は画像表示領域である。
【0031】このPDP100は、図2に示すように、
前面ガラス基板101の1主面上に表示電極103、表
示スキャン電極104、誘電体ガラス層105、MgO
保護層106が配設された前面パネルと、背面ガラス基
板102の1主面上にアドレス電極107、誘電体ガラ
ス層108、隔壁109、及び蛍光体層110R、11
0G、及び2価のEuを3価のEuで置換した蛍光体層
110Bが配設された背面パネルとが張り合わされ、前
面パネルと背面パネルとの間に形成される放電空間12
2内に放電ガスが封入された構成となっており、図3に
示すPDP駆動装置に接続することによりプラズマディ
スプレイ装置が構成されている。
【0032】プラズマディスプレイ装置は、図3に示す
ように、PDP100に表示ドライバ回路153、表示
スキャンドライバ回路154、アドレスドライバ回路1
55を有しており、コントローラ152の制御に従い点
灯させようとするセルにおいて表示スキャン電極104
とアドレス電極107に電圧を印加することによりその
間でアドレス放電を行い、その後表示電極103、表示
スキャン電極104間にパルス電圧を印加して維持放電
を行う。この維持放電により、当該セルにおいて紫外線
が発生し、この紫外線により励起された蛍光体層が発光
することでセルが点灯するもので、各色セルの点灯、非
点灯の組み合わせによって画像が表示される。
【0033】次に、上述したPDPについて、その製造
方法を図4及び図5を参照しながら説明する。
【0034】前面パネルは、前面ガラス基板101上
に、まず各N本の表示電極103及び表示スキャン電極
104(図2においては各2本のみ表示している)を交
互かつ平行にストライプ状に形成した後、その上から誘
電体ガラス層105で被覆し、さらに誘電体ガラス層の
表面にMgO保護層106を形成することによって作製
される。
【0035】表示電極103及び表示スキャン電極10
4は、ITOからなる透明電極と銀からなるバス電極と
から構成される電極であって、バス電極用の銀ペースト
はスクリーン印刷により塗布した後、焼成することによ
って形成される。
【0036】誘電体ガラス層105は、鉛系のガラス材
料を含むペーストをスクリーン印刷で塗布した後、所定
温度、所定時間(例えば560℃で20分)焼成するこ
とによって、所定の層の厚み(約20μm)となるよう
に形成する。上記鉛系のガラス材料を含むペーストとし
ては、例えば、PbO(70wt%)、B23(15w
t%)、SiO2(10wt%)、及びAl23(5w
t%)と有機バインダ(α−ターピネオールに10%の
エチルセルローズを溶解したもの)との混合物が使用さ
れる。ここで、有機バインダとは樹脂を有機溶媒に溶解
したものであり、エチルセルローズ以外に樹脂としてア
クリル樹脂、有機溶媒としてブチルカービトールなども
使用することができる。さらに、こうした有機バインダ
に分散剤(例えば、グリセルトリオレエート)を混入さ
せてもよい。
【0037】MgO保護層106は、酸化マグネシウム
(MgO)からなるものであり、例えばスパッタリング
法やCVD法(化学蒸着法)によって層が所定の厚み
(約0.5μm)となるように形成される。
【0038】一方、背面パネルは、まず背面ガラス基板
102上に、電極用の銀ペーストをスクリーン印刷法や
フォトグラフィー法で形成し、その後焼成することによ
ってM本のアドレス電極107が列設された状態に形成
される。その上に鉛系のガラス材料を含むペーストがス
クリーン印刷法で塗布されて誘電体ガラス層108が形
成され、同じく鉛系のガラス材料を含むペーストをスク
リーン印刷法により所定のピッチで繰り返し塗布した後
焼成することによって隔壁109が形成される。この隔
壁109により、放電空間122はライン方向に一つの
セル(単位発光領域)毎に区画される。
【0039】図4はPDP100の一部断面図である。
図4に示すように、隔壁109の間隙寸法Wが一定値3
2インチ〜50インチのHD−TVに合わせて130μ
m〜240μm程度に規定される。そして、隔壁109
間の溝に、赤色(R)、緑色(G)、及び組成式(Ba
1-m-xSrmiMgAljn:Euxiの結晶構造(0≦
m≦0.25、0.01≦x≦0.20、9.0≦j≦
10.2、15.45≦n≦17.35、0.95≦i
≦1.05)から構成され、そのEuイオンの内50%
から80%が3価のEuで置換された青色(B)の各蛍
光体粒子と有機バインダとからなるペースト状の蛍光体
インキを塗布し、これを400〜590℃の温度で焼成
して有機バインダを焼失させることによって、各蛍光体
粒子が結着してなる蛍光体層110R、110G、11
0Bが形成される。この蛍光体層110R、110G、
110Bのアドレス電極107上における積層方向の厚
みLは、各色蛍光体粒子の平均粒径のおよそ8〜25倍
程度に形成することが望ましい。すなわち、蛍光体層に
一定の紫外線を照射したときの輝度(発光効率)を確保
するために、蛍光体層は、放電空間において発生した紫
外線を透過させることなく吸収するために、蛍光体粒子
が最低でも8層、好ましくは20層程度、積層された厚
みを保持することが望ましく、それ以上の厚みとなれば
蛍光体層の発光効率はほとんどサチュレートしてしまう
とともに、20層程度積層された厚みを超えると、放電
空間122の大きさを十分に確保できなくなる。この蛍
光体層110R、110G、110Bの合成方法、及び
青色蛍光体層に用いる、青色蛍光体中のEuの内50%
から80%が3価のEuに置換された青色蛍光体粒子の
製造法については後述する。
【0040】このようにして作製された前面パネルと背
面パネルは、前面パネルの各電極と背面パネルのアドレ
ス電極とが直交するように重ね合わせられるとともに、
パネル周縁部に封着用ガラスを配置し、これを例えば4
50℃程度で10〜20分間焼成して気密シール層12
1(図1)を形成させることにより封着される。そし
て、一旦放電空間122内を高真空(例えば、1.1×
10-4Pa)に排気した後、放電ガス(例えば、He−
Xe系、Ne−Xe系の不活性ガス)を所定の圧力で封
入することによってPDP100が作製される。
【0041】図5は、蛍光体層を形成する際に用いるイ
ンキ塗布装置の概略構成図である。図5に示すように、
インキ塗布装置200は、サーバ210、加圧ポンプ2
20、ヘッダ230などを備え、蛍光体インキを蓄える
サーバ210から供給される蛍光体インキは、加圧ポン
プ220によりヘッダ230に加圧されて供給される。
ヘッダ230にはインキ室230a及びノズル240
(内径が30μm〜120μm)が設けられており、加
圧されてインキ室230aに供給された蛍光体インキ
は、ノズル240から連続的に吐出されるようになって
いる。このノズル240の口径Dは、ノズルの目詰まり
防止のため30μm以上で、かつ塗布の際の隔壁からの
はみ出し防止のために隔壁109間の間隔W(約130
μm〜200μm)以下にすることが望ましく、通常3
0μm〜130μmに設定される。
【0042】ヘッダ230は、図示しないヘッダ走査機
構によって直線的に駆動されるように構成されており、
ヘッダ230を走査させるとともにノズル240から蛍
光体インキ250を連続的に吐出することにより、背面
ガラス基板102上の隔壁109間の溝に蛍光体インキ
が均一に塗布される。ここで、使用される蛍光体インキ
の粘度は25℃において、1500〜30000CP
(センチポイズ)の範囲に保たれている。
【0043】なお、上記サーバ210には図示しない攪
拌装置が備えられており、その攪拌により蛍光体インキ
中の粒子の沈殿が防止される。またヘッダ230は、イ
ンキ室230aやノズル240の部分も含めて一体成形
されたものであり、金属材料を機器加工ならびに放電加
工することによって作製されたものである。
【0044】また、蛍光体層を形成する方法としては、
上記方法に限定されるものではなく、例えば、フォトリ
ソ法、スクリーン印刷法、及び蛍光体粒子を混合させた
フィルムを配設する方法など、種々の方法を利用するこ
とができる。
【0045】蛍光体インキは、各色蛍光体粒子、バイン
ダ、溶媒とが混合され、1500〜30000センチポ
アズ(CP)となるように調合されたものであり、必要
に応じて、界面活性剤、シリカ、分散剤(0.1〜5w
t%)等を添加してもよい。
【0046】この蛍光体インキに調合される赤色蛍光体
としては、(Y、Gd)1-XBO3:EuX、またはY2-X
3:EuXで表される化合物が用いられる。これらは、
その母体材料を構成するY元素の一部がEuに置換され
た化合物である。ここで、Y元素に対するEu元素の置
換量Xは、0.05≦X≦0.20の範囲となることが
好ましい。これ以上の置換量とすると、輝度は高くなる
ものの輝度劣化が著しくなることから実用上使用できに
くくなると考えられる。一方、この置換量以下である場
合には、発光中心であるEuの組成比率が低下し、輝度
が低下して蛍光体として使用できなくなるためである。
【0047】緑色蛍光体としては、Ba1-XAl
1219:MnX、またはZn2-XSiO4:MnXで表され
る化合物が用いられる。Ba1-XAl1219:MnXは、
その母体材料を構成するBa元素の一部がMnに置換さ
れた化合物であり、Zn2-XSiO4:MnXは、その母
体材料を構成するZn元素の一部がMnに置換された化
合物である。ここで、Ba元素及びZn元素に対するM
n元素の置換量Xは、上記赤色蛍光体のところで説明し
た理由と同様の理由により、0.01≦X≦0.10の
範囲となることが好ましい。
【0048】青色蛍光体としては、(Ba1-m-xSrm
iMgAljn:Euxiで表される化合物が用いられ
る。(Ba1-m-xSrmiMgAljn:Euxiは、そ
の母体材料を構成する2価のBa元素の一部が2価のE
uあるいは2価のSrに置換された化合物である。ここ
で、Ba元素に対するEu元素の置換量xは、上記と同
様の理由により、前者の青色蛍光体は0.01≦x≦
0.20の範囲となることが好ましい。また、前記2価
のEuイオンと置換させる3価のEuイオンの置換量は
(Ba1-m-xSrm)MgAljn:Euax 2+Eu(1-a)x
3+とすると0.20≦a≦0.50の範囲となることが
好ましい。すなわちEuに対して20%から50%がE
u2価で50%から80%がEu3価であるのが輝度劣
化や色度変化に対して特に好ましい。また、Alの組成
比を示すパラメータjは9.0≦j≦10.2が好まし
い。また、Baサイトの組成比を示すパラメータiは
0.95≦i≦1.05が好ましい。また、酸素原子に
関するnの値は、このアルミン酸塩を構成するAlの組
成比から一義的に決まるものであり、具体的には、式
[n=1+i+1.5×j]によって算出される。
【0049】これらの蛍光体の合成方法については後述
する。
【0050】蛍光体インキに調合されるバインダとして
は、エチルセルローズやアクリル樹脂を用い(インキの
0.1〜10wt%を混合)、溶媒としては、α−ター
ピネオール、ブチルカービトールを用いることができ
る。なお、バインダとして、PMAやPVAなどの高分
子を、溶媒として、ジエチレングリコール、メチルエー
テルなどの有機溶媒を用いることもできる。
【0051】本実施の形態においては、蛍光体粒子に
は、固相焼成法、水溶液法、噴霧焼成法、水熱合成法に
より製造されたものを用いた。
【0052】青色蛍光体 ((Ba1-m-xSrmiMgAljn:Euxiについ
て)原料として、炭酸バリウムBaCO3、炭酸ストロ
ンチウムSrCO3、炭酸マグネシウムMgCO3、酸化
アルミニウムAl23、酸化ユーロピウムEu23及び
フラックスとしてAlF3をモル比が((1−m−x)
×i):(m×i):1:(j/2):(x×i/
2):(0.1)(ただし、組成比を示すパラメータは
0≦m≦0.25、0.01≦x≦0.20、9.0≦
j≦10.2、0.95≦i≦1.05)となるように
秤量し、これらを混合した後に、空気中1200℃から
1600℃で焼成する。焼成後の粉体を、軽く解砕し、
さらに水洗によるフラックスの除去、乾燥を行った後に
還元雰囲気下(例えば水素を5%、窒素を95%の雰囲
気)で1200℃から1600℃で2時間焼成する。
【0053】この焼成時の降温中の1100℃以下35
0℃以上で酸素、酸素−窒素、オゾン−窒素、水蒸気−
窒素、水蒸気−水素−窒素のいずれかのガスを焼成炉に
導入して、Euの2価の一部を3価で置換したアルミン
酸塩青色蛍光体を得る。ただし、最終的な蛍光体の組成
比は、原料混合時の組成比とは異なることがある。これ
は、フラックスの導入によるもので、フラックスとその
他の原材料から形成される中間生成物のうち、蒸気圧の
低いものがガスとなるためと考えられる。この場合に重
要なのは、最終的に作製された蛍光体の組成比であるた
め、この場合は、原料混合時の原材料を微調整する必要
がある。また、フラックスの量により焼成後の結晶粒径
がかわるため、所望の粒径の蛍光体を得るべく微調整す
れば良く、本実施の形態に限られるものではない。
【0054】また、前記還元雰囲気下(例えば水素を5
%、窒素を95%の雰囲気)で1200℃から1600
℃で2時間焼成した後にこの粉体を分級し、これを酸
素、酸素−窒素、オゾン−窒素、水蒸気−窒素、水蒸気
−水素−窒素のいずれかのガス中で350℃から110
0℃で焼成することにより、還元雰囲気下で作製した青
色蛍光体中の2価のEu〈還元雰囲気下で作製した青色
蛍光体のEuのほとんどは2価〉の内50%から80%
を3価のEuで置換した所望の青色蛍光体(Ba 1-m-x
SrmiMgAljn:Euxi(0≦m≦0.25、
0.01≦x≦0.20、9.0≦j≦10.2、1
5.45≦n≦17.35、0.95≦i≦1.05)
を得ることも可能である。2価から3価への置換量のコ
ントロールは、酸素濃度、酸化時間、酸化温度を調整し
た。
【0055】本発明の蛍光体を製造するポイントは、原
料の配合比と焼成工程に有り、焼成の当初には酸化雰囲
気下及び還元雰囲気下での1回またはそれ以上の焼成を
行っても良いが、最終的には、還元ガス雰囲気下で12
00℃以上の温度で焼成した後に酸化雰囲気下で350
℃から1100℃の温度で焼成を行う必要がある。ま
た、酸化雰囲気下での2価から3価へのコントロールに
は酸素濃度、酸化時間、酸化温度が重要であり、蛍光体
組成により適切に選択する必要がある。
【0056】緑色蛍光体 (Zn2-XSiO4:MnXについて)原料である、酸化
亜鉛ZnO、酸化珪素SiO2、炭酸マンガンMnCO3
をモル比で(2−x):1:x(0.01≦x≦0.1
0)となるように秤量、混合し、空気中で1000℃か
ら1500℃に焼成して緑色蛍光体を合成する。 (Ba1-XAl1219:MnXについて)原料である、炭
酸バリウムBaCO3、酸化アルミニウムAl23、炭
酸マンガンMnCO3がモル比で(1−x):12:x
(0.01≦x≦0.10)となるように秤量、混合
し、空気中で1000℃から1500℃に焼成して緑色
蛍光体を合成する。
【0057】赤色蛍光体 ((Y、Gd)1-XBO3:EuXについて)原料であ
る、酸化イットリウムY23と酸化ガドリニウムGd2
3とホウ酸H 3BO3と酸化ユーロピウムEu23を混
合し、モル比が(0.325×(1−x)):(0.3
5×(1−x)/2):1:(x/2)(ただし、0.
05≦x≦0.20、YとGdの比は65対35)とな
るように秤量、混合し、次にこれを空気中で1200℃
〜1350℃で2時間熱処理した後、分級して赤色蛍光
体を合成する。 (Y2-X3:EuXについて)混合液作製工程におい
て、酸化イットリウムY22と酸化ユーロピウムEu2
3を混合し、モル比が(0.5×(2−x)):(x
/2)(ただし、0.05≦x≦0.30)となるよう
に秤量、混合し、次にこれを空気中で1200℃〜13
50℃で2時間熱処理後、分級して赤色蛍光体を合成す
る。
【0058】なお、上述したPDP100の蛍光体層1
10R、110Gについては、従来用いられてきた蛍光
体で、蛍光体層110Bについては、蛍光体を構成する
Eu2価の一部をEuの3価で置換した蛍光体粒子を使
用した。特に、従来の青色蛍光体は、本発明の青色蛍光
体と比べて、PDPの製造工程中や実使用時の劣化が大
きいため3色同時に発光した場合の白色の色温度は低下
する傾向があった。そのため、プラズマディスプレイ装
置においては、回路的に青色以外の蛍光体(赤、緑)の
セルの輝度を下げることにより白表示の色温度を改善し
ていたが、本発明にかかる製造方法により製造された青
色蛍光体を使用すれば、青色セルの輝度が高まり、また
パネル作製工程中における劣化も少ないため、他の色の
セルの輝度を意図的に下げることが不要となる。したが
って、全ての色のセルの輝度を意図的に下げることが不
要となる。したがって、全ての色のセルの輝度をフルに
使用することができるので、白表示の色温度が高い状態
を保ちつつ、プラズマディスプレイ装置の輝度を上げる
ことができる。
【0059】また、本発明に係る青色蛍光体は、同じ紫
外線により励起、発光する蛍光灯にも応用することがで
きる。その場合には、蛍光管内壁に塗布されている従来
の青色蛍光体粒子を構成する2価のEuを3価のEuで
置換した青色蛍光体からなる蛍光体層に置換すればよ
い。このように本発明を蛍光灯に適用すれば、従来の蛍
光灯より輝度及び輝度劣化に優れたものが得られる。
【0060】本実施の形態においては、蛍光体粒子には
固相焼成法を用いたが、水溶液法、噴霧焼成法、水熱合
成法により製造しても同様の効果が得られるためこれに
限定されるものではない。
【0061】以下、本発明のプラズマディスプレイ装置
の性能を評価するために、上記実施の形態に基づくサン
プルを作製し、そのサンプルについて性能評価実験を行
った。その実験結果を検討する。
【0062】作製した各プラズマディスプレイ装置は、
42インチの大きさを持ち(リブピッチ150μmのH
D−TV仕様)、誘電体ガラス層の厚みは20μm、M
gO保護層の厚みは0.5μm、表示電極と表示スキャ
ン電極の間の距離は0.08mmとなるように作製し
た。また、放電空間に封入される放電ガスは、ネオンを
主体にキセノンガスを5%混合したガスであり、所定の
放電ガス圧で封入されている。 (プラズマディスプレイ装置での評価)Eu2+を発光中
心とする青色蛍光体粒子であり、2価のEuの一部を3
価のEuで置換した組成式(Ba1-m-xSrmiMgA
jn:Euxiの結晶構造(0≦m≦0.25、0.0
1≦x≦0.20、9.0≦j≦10.2、15.45
≦n≦17.35、0.95≦i≦1.05)から構成
されている蛍光体を用いたプラズマディスプレイ装置
と、比較のために一般的な2価のEuのみから構成され
る蛍光体を用いたプラズマディスプレイ装置をそれぞれ
作製した。作製した青色蛍光体の一覧を表1に示す。緑
色蛍光体粒子及び赤色蛍光体粒子は一般的に用いられて
いるZn2-XSiO4:MnX(x=0.1)、(Y、G
d)1-XBO3:EuX(x=0.1)を共通して用い
た。
【0063】また、蛍光体層の形成に使用した蛍光体イ
ンキは、各蛍光体粒子を使用して蛍光体、樹脂、溶剤、
分散剤を混合して作製した。
【0064】
【表1】
【0065】そのときの蛍光体インキの粘度(25℃)
について測定した結果、いずれも粘度が1500〜30
000CPの範囲に保たれている。形成された蛍光体層
を観察したところ、いずれも隔壁壁面に均一に蛍光体イ
ンキが塗布され、しかも目詰まり無く塗布できた。ま
た、各色における蛍光体層に使用される蛍光体粒子につ
いては、平均粒径0.1〜3.0μm、最大粒径8μm
以下の粒径のものが各サンプルに使用されている。
【0066】なおEuの価数状態は、XANES法(X
−ray absorptionnear edge
structure)で測定し、2価のEuを主とする
青色蛍光体と2価のEuの一部を3価のEuで置換した
青色蛍光体を作製できていることを確認した。
【0067】作製されたプラズマディスプレイ装置完成
後のパネル検査において、青色セルを点灯させた時の輝
度を測定した。
【0068】また、プラズマディスプレイ装置の寿命劣
化を評価するために、プラズマディスプレイ装置に電圧
200V、周波数100kHzの放電維持パルスを10
0時間連続して印加した後に、再度パネル検査を行い、
青色セルを点灯させた時の輝度を測定した。そこから輝
度劣化維持率(((印加前の輝度−印加後の輝度)/印
加前の輝度)×100)を求めた。この結果を図6に示
す。これらの青色の初期輝度及び輝度劣化変化率につい
ての結果を述べる。
【0069】青色蛍光体において2価のEuを3価のE
uで置換していないサンプルでは、置換したサンプルと
比較してプラズマディスプレイ装置の実使用における輝
度劣化維持率が低いことを確認した。また、Eu3価へ
の置換量が少なすぎると輝度劣化維持率が改善されない
こと、Eu3価への置換量が多すぎると輝度劣化維持率
は改善されるが初期輝度が著しく低くなることを確認し
た。
【0070】また、青色蛍光体において2価のEuを3
価のEuで置換したサンプルは置換していないサンプル
と比較して全て輝度劣化維持率が向上することを確認し
た。これは、青色蛍光体を構成する2価のEuの一部を
3価のEuで置換することにより、青色蛍光体中の酸素
欠陥が大幅に減少し、結晶性が改善されたためと考えら
れる。
【0071】さらには、青色蛍光体において2価のEu
を3価のEuで置換したサンプルの中でも初期輝度を向
上させるためには母体結晶中のAlの組成比を適切に選
択する必要があることを確認した。 (蛍光灯での評価)前記においては、本発明に係る青色
蛍光体をプラズマディスプレイ装置に用いていたが、同
じく紫外線により励起されることにより発光する蛍光灯
に本発明に係る蛍光体製造方法を適用した、青色蛍光体
の2価のEuの一部を3価のEuで置換した蛍光体を用
いた蛍光灯サンプルを作製した。
【0072】ガラス管内壁に形成される蛍光体層に、E
2+を発光中心とする青色蛍光体粒子であり、2価のE
uの一部を3価のEuで置換した蛍光体を用いた蛍光灯
と、比較のために一般的な2価のEuのみから構成され
る蛍光体を用いた蛍光灯をそれぞれ作製した。この青色
蛍光体には、同一組成のBa1-xMgAl1017:Eux
(x=0.1)を用いた。緑色蛍光体粒子及び赤色蛍光
体粒子は一般的に用いられているZn2-XSiO4:Mn
X(x=0.1)、(Y、Gd)1-XBO3:EuX(x=
0.1)を共通して用い、この条件下で作製した各色の
蛍光体を混合したものを塗布することによって得られる
蛍光体層を形成した蛍光灯サンプルをそれぞれ作製し
た。
【0073】青色蛍光体において2価のEuを3価のE
uで置換していないサンプルでは、置換したサンプルと
比較して、100時間連続点灯における輝度劣化維持率
が大きいことを確認した。
【0074】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、青色蛍光
体の結晶中の2価のEuイオンの内50%〜80%を3
価Euイオンで置換した蛍光体粒子で蛍光体層を構成す
ることによって、蛍光体層の実駆動での輝度劣化の劣化
を防止することができ、PDPや蛍光灯の輝度及び寿命
を改善することができるとともに、信頼性を向上させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプラズマディスプ
レイパネルの前面ガラス基板を除いた平面図
【図2】同パネルの画像表示領域の構造を一部を断面で
示す斜視図
【図3】同パネルを用いたプラズマディスプレイ装置の
ブロック図
【図4】同パネルの画像表示領域の構造を示す断面図
【図5】同パネルの蛍光体層を形成する際に用いるイン
キ塗布装置の概略構成図
【図6】本発明及び比較例における青色蛍光体を用いた
プラズマディスプレイ装置における青色初期輝度と、実
使用時の劣化維持率を示す特性図
【符号の説明】
100 PDP 101 前面ガラス基板 103 表示電極 104 表示スキャン電極 105 誘電体ガラス層 106 MgO保護層 107 アドレス電極 108 誘電体ガラス層 109 隔壁 110R 蛍光体層(赤) 110G 蛍光体層(緑) 110B 蛍光体層(青) 122 放電空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河村 浩幸 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 青木 正樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 日比野 純一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 大谷 光弘 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4H001 CA04 CF02 XA08 XA12 XA13 XA38 XA56 YA63 5C028 FF11 FF12 5C040 FA01 FA04 GB03 GB14 GG08 JA13 KB03 KB28 KB29 MA10 MA30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1色または複数色の放電セルが複数配列
    されるとともに、各放電セルに対応する色の蛍光体層が
    配設され、当該蛍光体層が紫外線により励起されて発光
    するプラズマディスプレイパネルを備えたプラズマディ
    スプレイ装置であって、前記蛍光体層は青色蛍光体層を
    有し、当該青色蛍光体は、Ba、Sr、Mg、Alの複
    合酸化物からなる母体結晶にEuを付活した2価のEu
    を発光中心とする青色蛍光体であって、当該蛍光体を構
    成するEu原子の内、2価のEu濃度を20%から50
    %とし、3価のEu濃度を50%から80%としたこと
    を特徴とするプラズマディスプレイ装置。
  2. 【請求項2】 1色または複数色の放電セルが複数配列
    されるとともに、各放電セルに対応する色の蛍光体層が
    配設され、当該蛍光体層が紫外線により励起されて発光
    するプラズマディスプレイパネルを備えたプラズマディ
    スプレイ装置であって、前記蛍光体層は青色蛍光体層を
    有し、当該青色蛍光体は、組成式(Ba 1-m-xSrmi
    MgAljn:Euxiの結晶構造(0≦m≦0.25、
    0.01≦x≦0.20、9.0≦j≦10.2、1
    5.45≦n≦17.35、0.95≦i≦1.05)
    から構成される青色蛍光体であって、当該蛍光体を構成
    するEu原子の内、2価のEu濃度を20%から50%
    とし、3価のEu濃度を50%から80%としたことを
    特徴とするプラズマディスプレイ装置。
  3. 【請求項3】 Ba、Sr、Mg、Alの複合酸化物か
    らなる母体結晶にEuを付活した2価のEuを発光中心
    とする青色蛍光体であって、当該蛍光体を構成するEu
    原子の内、2価のEu濃度を20%から50%とし、3
    価のEu濃度を50%から80%としたことを特徴とす
    る蛍光体。
  4. 【請求項4】 組成式(Ba1-m-xSrmiMgAlj
    n:Euxiの結晶構造(0≦m≦0.25、0.01≦
    x≦0.20、9.0≦j≦10.2、15.45≦n
    ≦17.35、0.95≦i≦1.05)から構成され
    る青色蛍光体であって、当該蛍光体を構成するEu原子
    の内、2価のEu濃度を20%から50%とし、3価の
    Eu濃度を50%から80%としたことを特徴とする蛍
    光体。
  5. 【請求項5】 Ba、Sr、Mg、Alの複合酸化物か
    らなる母体結晶にEuを付活した2価のEuを発光中心
    とする青色蛍光体であって、その青色蛍光体のEu原子
    の内、2価のEu濃度が50%を超える青色蛍光体を酸
    化雰囲気で焼成して、2価のEu濃度を20%から50
    %とし、3価のEu濃度を50%から80%にすること
    を特徴とする蛍光体の製造方法。
  6. 【請求項6】 組成式(Ba1-m-xSrmiMgAlj
    n:Euxiの結晶構造(0≦m≦0.25、0.01≦
    x≦0.20、9.0≦j≦10.2、15.45≦n
    ≦17.35、0.95≦i≦1.05)から構成され
    る青色蛍光体であって、かつそのEu原子の内、2価の
    Eu濃度が50%を超える青色蛍光体を酸化雰囲気で焼
    成して、2価のEu濃度を20%から50%とし、3価
    のEu濃度を50%から80%とすることを特徴とする
    蛍光体の製造方法。
  7. 【請求項7】 酸化雰囲気で焼成する工程において、酸
    化雰囲気が酸素、酸素−窒素、オゾン−窒素、水蒸気−
    窒素、または水蒸気−水素−窒素であり、焼成温度が3
    50℃から1100℃であることを特徴とする請求項5
    または6に記載の蛍光体の製造方法。
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