JP2003335780A - スピロキラリティーを有する四級アンモニウム塩及びその利用 - Google Patents

スピロキラリティーを有する四級アンモニウム塩及びその利用

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JP2003335780A
JP2003335780A JP2002141144A JP2002141144A JP2003335780A JP 2003335780 A JP2003335780 A JP 2003335780A JP 2002141144 A JP2002141144 A JP 2002141144A JP 2002141144 A JP2002141144 A JP 2002141144A JP 2003335780 A JP2003335780 A JP 2003335780A
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acyl
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JP2002141144A
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Hiroaki Sasai
宏明 笹井
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スピロ中心炭素がキラル中心となる新規な四
級アンモニウム塩を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1) (式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、
水素原子、置換されていても良いアルキル基、置換され
ていても良いアルケニル基又はアシル基を示し(ここ
で、R1とR2及び/又はR3とR4はそれそれが結合して
いる窒素原子と一体となって環状構造を形成していても
よい)、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、
水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換さ
れていても良いアルキル基、置換されていても良いアル
ケニル基、アシル基、置換されていても良いアリール基
又は置換されていても良いヘテロ環基を示し、X1及び
2はハロゲン原子、置換されていても良いアルキルス
ルホニル基、置換されていても良いアリールスルホニル
基、BF4基又はPF6基を示す。)で表される化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピロ中心炭素が
キラル中心となる新規な四級アンモニウム塩に関するも
のである。当該化合物は、光学活性化合物を合成するに
あたっての新しい不斉源として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】光学活性な四級アンモニウム塩は、光学
活性な相間移動触媒等として用いることができ、有機合
成上重要な化合物であることが知られている。例えば、
相間移動触媒としてその有用性が発揮されている四級ア
ンモニウム塩としては、シンコニン(Cinchonine)やキニ
ジン(Quinidine)のようなシンコナアルカロイド(Cincho
na alkaloids)に対して、ベンジルクロリド等のアルキ
ルハロゲン化合物を反応させたものや光学活性ビナフト
ールを原料として、スピロ中心が四級アンモニウム窒素
である光学活性な四級アンモニウム塩が知られている
が、スピロ中心炭素がキラル中心となる四級アンモニウ
ム塩については、今まで知られていなかった。
【0003】加えて、上述のような従来の光学活性な四
級アンモニウム塩は、天然物由来の光学活性アミンを四
級化して製造するものの場合、高価な天然物アミンを用
いなければならないという欠点を有する。また、スピロ
中心が四級アンモニウム窒素である光学活性な四級アン
モニウム塩の場合は、比較的高価な原料を用い、多段階
の反応を経て合成しなければならないという欠点を有す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】スピロ中心炭素がキラ
ル中心となる四級アンモニウム塩は、従来のカテゴリー
とは異なる新しいタイプの光学活性な四級アンモニウム
塩であると考える。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、スピロ中心炭素がキラル中心となる
四級アンモニウム塩につき鋭意検討した結果、同一分子
内に四級アンモニウム窒素を2個含有する新規な化合物
を見い出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発
明の要旨は、下記一般式(1)
【0006】
【化4】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、
水素原子、置換されていても良いアルキル基、置換され
ていても良いアルケニル基又はアシル基を示し(ここ
で、R1とR2及び/又はR3とR4はそれそれが結合して
いる窒素原子と一体となって環状構造を形成していても
よい)、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、
水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換さ
れていても良いアルキル基、置換されていても良いアル
ケニル基、アシル基、置換されていても良いアリール基
又は置換されていてもよいヘテロ環基を示し、X1及び
2はハロゲン原子、置換されていても良いアルキルス
ルホニル基、置換されていても良いアリールスルホニル
基、BF4基又はPF6基を示す。)で表される化合物及
びそれを用いた光学活性な置換α−アミノ酸誘導体の製
造方法に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (一般式(1)で表される化合物)上記一般式(1)中
のR1、R2、R3及びR4は、4級アンモニウム塩を形成
しうる基であれば特に限定されないが、具体的には、水
素原子、置換されていても良いアルキル基、置換されて
いても良いアルケニル基又はアシル基が挙げられる。
【0008】上記アルキル基の置換基としては、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲ
ン原子;ニトロ基;シアノ基;アルコキシカルボニル
基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;アミノ
基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;水酸
基;フェニル基等のアリール基;フリル基、ピロリル基
等のヘテロ環基等が例示される。
【0009】上記置換されていても良いアルキル基の好
ましい具体例としては、メチル基、エチル基、ブチル
基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ドデシル
基等の炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10
の直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基;ベンジル
基、α−フェネチル基、β−フェネチル基、p-メトキシ
ベンジル基、o-メチルベンジル基、p-シアノベンジル
基、m-クロロベンジル基、3-(p-ニトロフェニル)プロピ
ル基等の上述で例示されたような置換基で置換されてい
てもよい炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜1
2のアラルキル基;2−フルフリル基等のヘテロ環で置
換された炭素数3〜20、より好ましくは炭素数5〜1
0のアルキル基等が挙げられる。
【0010】置換されていても良いアルケニル基の好ま
しい具体例としては、3−メチル−2−ブテニル基、シ
ンナミル基等、上述のアルキル基の説明の項で例示され
たような置換基、好ましくはアルキル基又はアリール基
で置換されていても良い炭素数2〜20、より好ましく
は炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。アシル
基として好ましい具体例としては、クロロアセチル基、
フェナシル基、p−メトキシベンゾイル基等、炭素数2
〜20、より好ましくは炭素数2〜10のアシル基が挙
げられる。
【0011】また、上記R1とR2及び/又はR3とR
4は、それぞれが結合している窒素原子と一体となって
環状構造を形成していてもよく、該2つの置換基が一体
となって環状構造を形成する例としては、1,4−ブチ
レン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、o−キシリ
レン基等の上述で例示されたような置換基で置換されて
いても良い炭素環が例示される。
【0012】上記R1〜R4として好ましくは、置換され
ていても良いアルキル基であり、このうち特には、メチ
ル基、エチル基、ブチル基、シクロヘキシル基等の炭素
数1〜6のアルキル基又はベンジル基、p−メトキシベ
ンジル基等の炭素数7〜12のアラルキル基が好まし
い。また、R1〜R4は全て同じ基であるか、R1とR2
の組み合わせがR3とR4との組み合わせと同じである方
が製造のしやすさの観点から好ましい。
【0013】R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立し
て、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨ
ウ素原子のようなハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;
置換されていても良いアルキル基;置換されていても良
いアルケニル基;アシル基;置換されていても良いアリ
ール基又は置換されていても良いヘテロ環基を示す。
【0014】上記置換されていても良いアルキル基、置
換されていても良いアルケニル基及びアシル基としては
上述のR1〜R4の説明のところで記載したのと同様の基
が挙げられる。上記置換されていても良いアリール基と
しては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−シ
アノフェニル基、m−クロロフェニル基、α−ナフチル
基、β−ナフチル基、アンスラニル基、o−イソプロピ
ルフェニル基、3,5−ビストリフルオロメチルフェニ
ル基、p−フルオロフェニル基等の上述と同様の置換基
で置換されていても良いフェニル基又はナフチル基が例
示される。
【0015】上記置換されていても良いヘテロ環基とし
ては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル
基、2−フリル基、3−フリル基、3−(N−メチル)
ピロリル基等の上述と同様の置換基で置換されていても
良いヘテロ環基、好ましくは5又は6員のヘテロ環基が
例示される。上記R5、R6、R7及びR8として好ましく
は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アシル基、
アリール基、ヘテロ環基が挙げられる。
【0016】また、R5〜R8は全て同じ基であるか、R
5とR6との組み合わせがR7とR8との組み合わせと同じ
である方が製造のしやすさの観点から好ましい。X1
びX2は四級アンモニウム塩の対アニオンであり、これ
らは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれるハ
ロゲン原子;CF3SO3基等の置換されていても良いア
ルキルスルホニル基;CH364SO3基等の置換され
ていても良いアリールスルホニル基;BF4基又はPF6
基であり、同一でも異なってもよいが、このうちX1
びX2が同一である方が好ましい。
【0017】(本願化合物の製造方法)一般式(1)で
表される化合物は、例えば、J. Org. Chem., vol.46,
p.2757-2764(1981)に記載されているような方法または
その方法に準じて本願化合物の中間体となる2,7−ジ
ベンジル−2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−1,
3,6,8−テトラオン誘導体を製造した後、直接アル
キルハロゲン化物を反応させることにより四級アンモニ
ウム塩化するか、窒素原子の保護基を一度脱保護した
後、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、アシ
ルハライド等のハロゲン化物を反応させることにより四
級アンモニウム塩化することにより得ることができる。
【0018】具体的には、ジシアノメタンとブロモ酢酸
エチル、あるいは、下記一般式(4)及び/または
(5)
【0019】
【化5】 (式中、R5、R6、R7及びR8は前述の通りである)と
を反応させた後、酸性条件下で2分子縮合させてから、
必要に応じてベンジル化等のアミンの保護を行い、2,
7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−1,3,6,8−テ
トラオン誘導体を製造することができる。
【0020】得られた2,7−ジアザスピロ[4.4]ノ
ナン−1,3,6,8−テトラオン誘導体は、光学活性
カラムを用いたクロマトグラフィー等の通常の光学分割
の手法を用いれば、光学活性な2,7−ジアザスピロ
[4.4]ノナン−1,3,6,8−テトラオン誘導体を
それぞれ得ることができる。上記光学活性2,7−ジア
ザスピロ[4.4]ノナン−1,3,6,8−テトラオン
誘導体は、さらにLiAlH4やBH3のような水素化試薬によ
りカルボニル基を還元し、2,7−ジアザスピロ[4.
4]ノナン誘導体へと変換することができる。
【0021】還元反応の溶媒としては、THF、ジエチ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテルのようなエーテル
溶媒又はトルエン、ヘプタンのような炭化水素溶媒が用
いられる。これらのうち、エーテル溶媒が好ましい。反
応温度は、−78℃から溶媒還流温度の範囲を適宜選択
できるが、−50℃から60℃の範囲が好ましく、特に
−20℃から55℃の温度が好ましい。
【0022】水素化試薬の使用量は、理論量以上であれ
ばよいが、経済性の点を考慮すると、理論量から理論量
の10倍モルまでの範囲が好ましい。上述の2,7−ジ
アザスピロ[4.4]ノナン誘導体を、さらにR1−X1
2−X2等の一般式で表されるハロゲン化アルキル、ハ
ロゲン化アルケニル、アシルハライドといったハロゲン
化物等の化合物と反応させることにより、アミン部分の
修飾や四級アンモニウム塩化をし本発明の化合物を製造
することができる。また、窒素原子の保護基を一度はず
した後に、上述の化合物と反応させ、所望の構造のスピ
ロキラリティーを有する四級アンモニウム塩を製造する
こともできる。
【0023】上記製造方法において好ましい窒素原子の
保護基として用いられているベンジル基を脱保護する方
法としては、通常、活性炭担持Pd触媒(Pd/C)等
の公知の水添触媒の存在下、水素ガスにより容易に行う
ことができる。反応溶媒としては、アルコール類が好ま
しく、エタノールが好んで用いられる。水素圧は、通常
常圧で充分であるが、必要に応じて加圧することもでき
る。
【0024】2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン誘導
体の四級アンモニウム塩化反応は、塩基存在下で行われ
る。塩基としては、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、
水酸化カルシウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウムのよ
うな無機塩基を用いることができる。反応溶媒は、TH
F、ジオキサンのようなエーテル系溶媒;トルエン、キ
シレンのような芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド
のような非プロトン性極性溶媒;塩化メチレン、クロロ
ホルム、クロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素系
溶媒等を用いることができる。このうち、反応基質の溶
解度の点から、非プロトン性極性溶媒又はハロゲン化炭
化水素系溶媒が好んで用いられる。
【0025】反応温度は、通常、反応性に応じて−20
℃から溶媒加熱還流温度の範囲を適宜選択することがで
きるが、好ましくは20℃から溶媒加熱還流温度範囲で
ある。ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ア
シルハライドといったハロゲン化物等の化合物の使用量
は、2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン誘導体に対し
て理論量以上用いればよく特に制限はないが、経済性を
考慮すると、通常理論量の5倍モルまでの範囲を適宜選
択することができる。
【0026】上記反応終了後、必要に応じて、中和等の
操作を行った後、目的物となる四級アンモニウム塩を有
機溶媒で抽出・濃縮し、カラムクロマトグラフィーや晶
析等の通常の精製操作を行うことで本発明の化合物を単
離することができる。本発明のスピロキラリティーを有
する四級アンモニウム塩は、光学活性な相間移動触媒と
して、好適に用いることができる。例えば、イミノ基で
保護されたグリシンエステル等の下記一般式(2)
【0027】
【化6】 で表されるα−アミノ酸誘導体のα位の不斉アルキル
化、アルケニル化、アリール化反応に代表される不斉炭
素−炭素結合生成反応に有効に働き、下記一般式(3)
【0028】
【化7】 で表される各種置換α−アミノ酸誘導体へと変換するこ
とができる。上記式中、R9は、水素原子、置換されて
いても良いアルキル基、置換されていても良いアルケニ
ル基、置換されていても良いアリール基、置換されてい
ても良いヘテロ環基又はアシル基が挙げられる。
【0029】上記アルキル基、アルケニル基、アリール
基及びヘテロ環基の置換基としては、反応に不活性な基
であれば特に限定されないが、具体的には、ハロゲン原
子;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−
ブトキシ基のようなアルコキシ基;メトキシカルボニル
基、エトキシカルボニル基のようなアルコキシカルボニ
ル基;メチルチオ基、エチルチオ基のようなアルキルチ
オ基;ニトロ基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基の
ようなアリール基等が例示される。
【0030】上記置換されていても良いアルキル基の好
ましい具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロ
ピル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、メトキシ
エチル基、8−ヨードオクチル基等の炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜10の直鎖、分岐若しくは環
状のアルキル基が挙げられる。上記置換されていても良
いアルケニル基の好ましい具体例としては、アリル基、
メタリル基、3−メチル−2−ブテニル基、シンナミル
基等の炭素数2〜20、より好ましくは炭素数1〜10
のアルケニル基が挙げられる。
【0031】上記置換されていても良いアリール基の好
ましい具体例としては、フェニル基、o−トリル基、p
−ニトロフェニル基、α−ナフチル基、3,5−ビスト
リフルオロメチルフェニル基等の炭素数6〜20、より
好ましくは炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
上記置換されていても良いヘテロ環基の好ましい具体例
としては、ピリジル基、フリル基、ピロリル基、ピロリ
ジニル基等の5又は6員のヘテロ環基が挙げられる。
【0032】上記アシル基の好ましい具体例としては、
アセチル基、ベンゾイル基、p−メチルベンゾイル基等
の炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10のア
シル基が挙げられる。R10、R11及びR12は、それぞれ
独立して、上記R9の説明のところで例示したのと同様
の置換されていても良いアルキル基及び置換されていて
も良いアリール基が挙げられる。
【0033】このうちR10として好ましくは炭素数1〜
6のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基であり、R
11及びR12として好ましくは、ベンゾフェノンのような
イミンの保護基として一般的なケトンから派生する基で
あり、具体的にはR1 1及びR 12が共にフェニル基である
場合が挙げられる。また、Yは、置換されていても良い
アルキル基、置換されていても良いアルケニル基、置換
されていても良いアリール基又はアシル基であり、これ
らは上記R 9の説明のところで例示したのと同様の、置
換されていても良いアルキル基、置換されていても良い
アルケニル基、置換されていても良いアリール基及びア
シル基が挙げられる。
【0034】通常、本発明の四級アンモニウム塩を用い
る不斉炭素−炭素結合生成反応は、アルカリ性水溶液と
トルエン、ベンゼン、キシレン、塩化メチレン、クロロ
ホルム、ヘプタンのような水とは混じり合わない有機溶
媒との2相系溶媒中で行われる。アルカリ性水溶液とし
ては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液
のようなアルカリ金属水酸化物の水溶液、炭酸カリウム
のような炭酸塩の水溶液、ナトリウムメトキシドのよう
なアルカリ金属アルコキシド水溶液等が例示される。こ
のうち、アルカリ金属水酸化物又は炭酸塩の水溶液が好
ましい。
【0035】有機溶媒としては、トルエン、ヘプタンの
ような炭化水素系溶媒、塩化メチレンのようなハロゲン
化炭化水素系溶媒が好ましい。反応温度は、0℃から1
00℃の範囲が選択され、その中でも5℃から95℃が
好ましい。アルキル化に用いられる化合物としては、ア
ルキルハロゲン化物又はスルホン酸アルキルエステルが
例示される。具体的には、ベンジルブロミド、ヨウ化エ
チルのようなアルキルハロゲン化物;又は、p−トルエ
ンスルホン酸ブチル、メタンスルホン酸ベンジルのよう
なスルホン酸アルキルが例示される。
【0036】アルケニル化に用いられる化合物として
は、酢酸アリル、酢酸ブテニルのような酢酸エステル;
又は、3−ブテニルブロミドのようなハロゲン化アルケ
ニル等が用いられる。アリール化に用いられる化合物と
しては、ブロモベンゼン、ヨウ化ナフタレンのようなハ
ロゲン化アリール化合物、p−トルエンスルホン酸フェ
ニル、トリフルオロメタンスルホン酸p−メトキシフェ
ニルのようなスルホン酸アリールが例示される。
【0037】アルケニル化反応やアリール化反応におい
ては、PdやNiから選ばれる錯体触媒の存在下に行う
と、より効率的に反応が進行する。さらに、トリフェニ
ルホスフィン、トリエチルホスフィンのようなホスフィ
ン化合物、トリフェニルホスファイトのようなホスファ
イト化合物をPdやNi錯体の配位子として添加しても
良い。
【0038】反応終了後、目的とする不斉炭素−炭素結
合生成反応生成物は有機溶媒による抽出・濃縮、カラム
クロマトグラフィーや晶析等といった一般的な単離精製
操作により得ることができる。また、この様な反応によ
り得られる不斉炭素−炭素結合生成反応生成物は、容易
に新規なα−アミノ酸に変換できる点で好ましい。これ
らのうち、非天然型のα−アミノ酸を製造できる点が特
に好ましい。以下、実施例により本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0039】
【実施例】実施例1 2,7−ビス(イソインドリン−
2’−スピロ)−2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナ
ン ジブロミドの製造
【0040】
【化8】 (1)光学活性2,7−ジベンジル−2,7−ジアザス
ピロ[4.4]ノナン−1,3,6,8−テトラオンの
製造 J. Org. Chem., vol.46, p.2757-2764(1981)に記載の方
法に従って2,7−ジベンジル−2,7−ジアザスピロ
[4.4]ノナン−1,3,6,8−テトラオンを製造
した。
【0041】更に該化合物ををChiralpak AD Column(0.
46 cmφx25cm) (ダイセル化学工業(株)社製)により
光学分割を行った。溶離液は、イソプロパノール/ヘキ
サン=1/1(v/v)を用い、流速は0.5ml/minとした。
尚、検出器はUV、波長は254nmを設定した。この分割
条件における一方の光学活性体の保持時間は18.5分
であり、他方の光学活性体の保持時間は32.2分であ
った。
【0042】(2)2,7−ジベンジル−2,7−ジア
ザスピロ[4.4]ノナンの製造 上記(1)で得た光学分割した220 mgの2,7−ジベン
ジル−2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−1,
3,6,8−テトラオンを3 mlのTHFに溶解し、ゆっ
くり115 mgのリチウムアルミニウム4ヒドリド(LA
H)を加え、50°Cで4時間加熱・撹拌した。
【0043】反応終了後、水を加え酢酸エチルにより抽
出し、減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(メタノール:酢酸エチル=1:1)により2,7−
ジベンジル−2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナンを
170 mg(収率92%)得た. (3)2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナンの製造 上記(2)で得られた2,7−ジベンジル−2,7−ジ
アザスピロ[4.4]ノナン74mgを1 mlのエタノールに
溶解し、25 mgのパラジウムカーボン(Aldrich
社製)を加えた。続いて水素雰囲気下、60°Cで2時間加
熱・撹拌した。反応終了後、セライトにより固形物をろ
別した後エタノールで洗浄した。減圧濃縮により定量的
に2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナンを得ることが
できた。
【0044】(4)四級アンモニウム塩の製造 上記(3)で得られた2,7−ジアザスピロ[4.4]
ノナン13mgにクロロホルム10 mlを加えて溶解させ、炭
酸カリウム35 mgを加えた後、クロロホルム10 mlに溶解
させたα,α'-ジブロモ-o-キシレン53 mgを加えた。
【0045】24時間加熱還流後、ろ過により沈殿物を取
り除いた液相からエバポレーターにより溶媒を除去し、
アセトンで残査を洗浄した。残渣を減圧乾燥した結果、
白色結晶として2,7−ビス(イソインドリン−2’−
スピロ)−2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン ジ
ブロミドを29 mg(収率58%)得た。1 H -NMR (CD3OD) :δ 2.70-2.83 (4H, m), 3.97 (4H,
t, J = 7.28Hz), 4.32 (4H, s), 5.06 (2H, d, J = 14.
0Hz), 5.13 (2H, d, J = 14.0Hz), 5.15 (4H, s),7.44-
7.50 (8H, m)13 C -NMR (CD3OD) :δ 38.4, 44.0, 64.9, 70.1, 73.6,
124.4, 130.3, 134.4IR(neat) : 3381, 2922, 1647, 1
456, 760 FAB-MS m/z : 331 mp. : 238-240 ℃ (decomp.) 実施例2 2,2,7,7−テトラエチル−2,7−ジ
アザスピロ[4.4]ノナン ジブロミドの製造
【0046】
【化9】
【0047】上記実施例1−(3)で得られた2,7−
ジアザスピロ[4.4]ノナン63mgにクロロホルム2ml
を加えて溶解させ、炭酸カリウム173 mgを加えた後、臭
化エチル 0.3 mlを加えた。24時間加熱還流後、ろ過に
より沈殿物を取り除いた液相からエバポレーターにより
溶媒を除去し、さらにアセトンで残査を洗浄した。残査
をメタノールで溶解させてからエバポレーターにより濃
縮・真空乾燥の後、高粘性の褐色液体として目的物を42
mg(収率21%)得た。1 H -NMR (CD3OD) :δ 1.37 (6H, t, J = 7.14Hz), 1.37
(6H, dd, J1 = 5.39Hz,J2 = 7.01Hz), 2.49-2.57 (4H,
m), 3.45-3.51 (8H, m), 3.74-3.86 (4H, m),3.93 (4
H, s)13 C -NMR (CD3OD) :δ 9.11, 9.25, 36.8, 49.8, 57.0,
57.5, 63.0, 72.0 IR(neat) : 3383, 2926, 1647, 1448, 1396, 1117, 101
1, 972 実施例3 2,2,7,7−テトラベンジル−2,7−
ジアザスピロ[4.4]ノナン ジブロミドの製造
【0048】
【化10】
【0049】上記実施例1−(2)で得られた2,7−
ジベンジル−2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン63
mgにアセトニトリル5mlを加えて溶解させ、炭酸カリ
ウム69 mgを加えた後、臭化ベンジル61μlを加えた。室
温で24時間撹拌後、ろ過により沈殿物を取り除いた液相
からエバポレーターにより溶媒を除去し、アセトンで残
査を洗浄した。残渣を減圧乾燥した結果、白色結晶とし
て2,2,7,7−テトラベンジル−2,7−ジアザス
ピロ[4.4]ノナン ジブロミドを定量的に得た.1 H -NMR (CD3OD) :δ 1.23-1.25 (4H, m), 3.62-3.92
(8H, m), 4.82 (4H, d, J= 6.20Hz), 4.85 (4H, s), 7.
53-7.68 (20H, m)13 C -NMR (CD3OD) :δ 36.2, 49.6, 59.7, 67.9, 68.1,
69.5, 129.0, 129.3, 130.5, 130.6, 131.9, 132.2, 1
34.2, 134.5 IR(neat) : 3414, 2953, 1638, 1456, 1310, 1213, 108
2, 1020, 754, 735 実施例4 2,7−ビス(イソインドリン−2’−スピ
ロ)−2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン ジブロ
ミドを用いたグリシン誘導体の不斉アルキル化
【0050】
【化11】 (式中*は光学活性炭素を表す)
【0051】実施例1で得られた光学活性な2,7−ビ
ス(イソインドリン−2’−スピロ)−2,7−ジアザ
スピロ[4.4]ノナン ジブロミド10mgにジクロロメ
タン0.8 ml及び上記式で表されるグリシン誘導体29 mg
を加え、50%水酸化カリウム水溶液を0.2 ml加えた
後、氷浴で撹拌し、臭化ベンジル14μlを滴下した後、
そのまま20時間撹拌した。
【0052】蒸留水を加えて反応を止めた後、酢酸エチ
ルで抽出し、硫酸ナトリウムで脱水後、エバポレーター
で濃縮した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により、生成
物を収率95%以上、95% eeで得た。上記光学純度はHPLC
(Chiralcel OD column(ダイセル化学工業(株)社
製)、ヘキサン:イソプロパノール=49:1)により
測定した。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、不斉アルキル化反応等
に用いられる相間移動触媒として有用なスピロキラリテ
ィーを有する新規四級アンモニウム塩が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C07M 7:00 C07M 7:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、
    水素原子、置換されていても良いアルキル基、置換され
    ていても良いアルケニル基又はアシル基を示し(ここ
    で、R1とR2及び/又はR3とR4はそれそれが結合して
    いる窒素原子と一体となって環状構造を形成していても
    よい)、 R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原
    子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されてい
    ても良いアルキル基、置換されていても良いアルケニル
    基、アシル基、置換されていても良いアリール基又は置
    換されていてもよいヘテロ環基を示し、 X1及びX2はハロゲン原子、置換されていても良いアル
    キルスルホニル基、置換されていても良いアリールスル
    ホニル基、BF4基又はPF6基を示す。)で表される化
    合物。
  2. 【請求項2】 下記一般式(2) 【化2】 (式中、R9は、水素原子、置換されていても良いアル
    キル基、置換されていても良いアルケニル基、置換され
    ていても良いアリール基、置換されていても良いヘテロ
    環基又はアシル基を示し、 R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、置換されて
    いても良いアルキル基又は置換されていても良いアリー
    ル基を示す)で表されるα−アミノ酸誘導体のα位に立
    体選択的に炭素−炭素結合を生成させ、下記一般式
    (3) 【化3】 (式中、R9〜R12は前記と同義であり、Yは置換され
    ていても良いアルキル基、置換されていても良いアルケ
    ニル基、置換されていても良いアリール基又はアシル基
    を示す)で表される光学活性なα−アミノ酸誘導体を製
    造するに当たり、請求項1に記載の化合物を用いること
    を特徴とする置換α−アミノ酸誘導体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006076911A (ja) * 2004-09-09 2006-03-23 Daiso Co Ltd スピロキラリティを有する第4級アンモニウム塩およびその製造法、並びに該アンモニウム塩を用いた不斉触媒反応
CN111662208A (zh) * 2019-03-06 2020-09-15 中国科学院化学研究所 一种由动态亚胺键构筑的三聚季铵盐表面活性剂、其制备方法和用途

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JP2006076911A (ja) * 2004-09-09 2006-03-23 Daiso Co Ltd スピロキラリティを有する第4級アンモニウム塩およびその製造法、並びに該アンモニウム塩を用いた不斉触媒反応
CN111662208A (zh) * 2019-03-06 2020-09-15 中国科学院化学研究所 一种由动态亚胺键构筑的三聚季铵盐表面活性剂、其制备方法和用途
CN111662208B (zh) * 2019-03-06 2021-09-17 中国科学院化学研究所 一种由动态亚胺键构筑的三聚季铵盐表面活性剂、其制备方法和用途

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