JP2003332812A - 共振器、フィルタ、デュプレクサ、複合フィルタ装置、送受信装置、および通信装置 - Google Patents

共振器、フィルタ、デュプレクサ、複合フィルタ装置、送受信装置、および通信装置

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JP2003332812A
JP2003332812A JP2002141923A JP2002141923A JP2003332812A JP 2003332812 A JP2003332812 A JP 2003332812A JP 2002141923 A JP2002141923 A JP 2002141923A JP 2002141923 A JP2002141923 A JP 2002141923A JP 2003332812 A JP2003332812 A JP 2003332812A
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electrode
resonator
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Noribumi Matsui
則文 松井
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 共振器の温度が変動しても、共振器の共振周
波数を略一定に保てるようにした共振器およびその利用
装置を構成する。 【解決手段】 たとえば誘電体基板1の下面に接地電極
3を形成し、上面に共振電極2を形成してマイクロスト
リップ共振器を構成する場合、共振電極2の端部付近
を、その端部へ向かうほど膜厚が薄くなるテーパ形状と
する。これにより、表面リアクタンスの変化による共振
周波数の変化を、電極の実効寸法の変化による共振周波
数の変化で相殺し、温度変化に関わらず共振周波数を略
一定とする。これにより、温度変化に対する共振周波数
の安定性を増す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、通信機器の高周
波回路等に用いられる共振器、フィルタ、デュプレク
サ、複合フィルタ装置、送受信装置およびこれらを用い
た通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波帯で使用される共振器とし
て、誘電体に電極を形成してなる誘電体共振器が用いら
れている。たとえばマイクロストリップ共振器や誘電体
同軸共振器等である。通信装置の高性能化に伴い、これ
らの共振器においては低損失化が重要な課題となってい
る。導体損失の少ない誘電体共振器としては、電極に超
伝導体を用いたものがある。このような共振器では、低
損失特性を維持するために、電極を超伝導体の臨界温度
より常に低く保つ必要がある。そのため、共振器および
それを備えた通信装置等を断熱ケース内に収納するとと
もに、冷却機で常に冷却し続けることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように電
極に超伝導体を用いた共振器においては、超伝導体の臨
界温度以下の温度であっても、共振器の電気的特性に温
度依存性があった。すなわち超伝導体の電極は、その高
周波表面リアクタンスが、温度の低下に伴い減少する特
性を持っている。したがって、そのような超伝導体によ
る電極を形成した共振器は、温度低下に伴って電極のリ
アクタンス成分が減少して共振周波数が高くなる。も
し、上記冷却機の冷却能力が変動したり、外気温が変動
すると、共振器の共振周波数が変化してしまう。
【0004】そのため、安定した電気的特性を得るため
には、共振器の温度を一定に保つための手だてが必要と
なる。例えば、断熱効果の高い大型の断熱ケースを用い
たり、断熱ケース内の温度を測定してフィードバック制
御により冷却機を高精度に制御したりする必要が生じ
る。いずれにしても全体に非常に大掛かりなものとなら
ざるを得なかった。
【0005】そこで、この発明は、共振器の温度が多少
変動しても、共振器の共振周波数を略一定に保てるよう
にした共振器およびその利用装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の共振器は、誘
電体と該誘電体に形成した電極とからなり、電極の寸法
によって共振周波数が定まる共振器において、電極の端
部付近を、該電極の膜厚が該電極の端部へ向かう程薄く
なるテーパ形状にしたことを特徴としている。
【0007】また、そのテーパ形状は、電極への電磁界
侵入長により定まる電極の実効寸法の変化による共振周
波数の変化が、電極の表面リアクタンスの変化による共
振周波数の変化を相殺するようにして、温度変化に関わ
らず共振周波数が略一定となるようにしたことを特徴と
している。
【0008】電極の電磁界侵入長(ロンドン長)は温度
依存性を持ち、高温になるほど電磁界侵入長が長く(深
く)なる。電極は、その端部付近が端部へ向かうほど薄
くなるテーパ形状であるため、電極の実効寸法が高温に
なるほど短くなる。一方、超伝導体による電極は、その
表面リアクタンスが温度上昇に伴って増大する。この関
係を利用して、表面リアクタンスの変化による共振周波
数の変化を、電極の実効寸法の変化による共振周波数の
変化で相殺し、温度変化に関わらず共振周波数を略一定
とする。
【0009】また、この発明の共振器は、前記電磁界侵
入長により定まる、使用温度範囲での電極の最小実効寸
法と最大実効寸法との比が、電極をテーパ形状にしない
ときの使用温度範囲での共振器の最高共振周波数と最低
共振周波数との比に略等しくなるように、前記テーパ形
状を定めたことを特徴としている。この電極の形状によ
って、使用温度範囲に亘って共振器の共振周波数を略一
定に保つ。
【0010】また、この発明の共振器は、前記電極を超
伝導体膜と金属膜とを積層した複合電極とし、超伝導体
膜と金属膜の両方またはいずれか一方を前記テーパ形状
にしたことを特徴としている。このように超伝導体膜と
金属膜とを積層した複合電極によって、超伝導体膜の臨
界温度以上での共振器としての動作を可能とする。
【0011】また、この発明の共振器は、前記複合電極
の超伝導体膜が主たる導体部として作用する、臨界温度
より低い低温動作時での共振周波数と、複合電極の金属
膜が主たる導体部として作用する、臨界温度以上の高温
動作時での共振周波数とが略等しくなるように、金属膜
と超伝導体膜のそれぞれの寸法を定めたことを特徴とし
ている。これにより臨界温度を挟む温度変化での共振周
波数変化を小さく抑える。
【0012】この発明のフィルタおよびデュプレクサ
は、上記構成の共振器を複数組備えるとともに、所定の
共振器に結合する複数の入出力手段を設けたことを特徴
としている。
【0013】また、この発明の複合フィルタ装置は、前
記フィルタまたはデュプレクサを複数組備えて構成した
ことを特徴としている。
【0014】この発明の送受信装置は、前記フィルタ、
デュプレクサまたは複合フィルタ装置と、それらの入力
部または出力部に接続した増幅器と、それらを臨界温度
より低く冷却する冷却機とを備えたことを特徴としてい
る。ここで、「送受信装置」とは、送受両方の機能を備
えたものに限らず、送信だけを行う送信装置や、受信だ
けを行う受信装置をも含む。
【0015】この発明の通信装置は、前記フィルタ、デ
ュプレクサ、複合フィルタ装置または送受信装置を備え
て構成したことを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】第1の実施形態に係るマイクロス
トリップ共振器の構成を、図1〜図4を参照して説明す
る。
【0017】図1の(A)はマイクロストリップ共振器
の上面図、(B)はその共振電極の長辺方向の断面図、
(C)はその共振電極の短辺方向の断面図である。図1
において、1は誘電体基板、2は共振電極、3は接地電
極である。(D)は共振電極2の長辺方向の断面図であ
る。但し、この共振電極2の端部の形状を明確に示すた
めに、長辺方向よりも厚み方向を拡大して(誇張して)
表している。
【0018】誘電体基板1は所定誘電率の誘電体セラミ
ックからなる。共振電極2および接地電極3は共に超伝
導体膜からなる。共振電極2の両端は開放しているの
で、この共振電極2の長辺方向の長さが半波長またはそ
の整数倍波長で共振するマイクロストリップ共振器とし
て作用する。
【0019】誘電体基板1としては、MgO,Al2
3 ,LaAlO3 ,Ba(Mg,Ta)O3 ,Ba(S
n,Mg,Ta)O3 ,Ba(Mg,Nb)O3 ,Ba
(Zn,Nb)O3 などの誘電体セラミック材料を板状
に成形し焼成したものを用いる。
【0020】共振電極2および接地電極3の超伝導体膜
は、Y1 Ba2 Cu3 x ,(Bi,Pb)2 Sr2
2 Cu3 x ,Bi2 Sr2 Ca1 Cu2 x などの
Cuを含む酸化物超伝導体を成膜したものである。この
ようなCuを含む酸化物超伝導体は、その臨界温度が約
100Kであり、超伝導体材料の中では比較的臨界温度
が高い。そのため、たとえばスターリング冷凍機、GM
冷凍機、パルス管冷凍機、ペルチエ素子等の所定の性能
を有する冷却機を用いて、比較的容易に超伝導状態にす
ることができる。
【0021】共振電極2は、その長辺方向の両端部付近
が端部へ向かうほど膜厚が薄くなるテーパ形状にしてい
る。図1の(D)において、Da,Dbは電磁界侵入長
(ロンドン長)、La,Lbは、電磁界侵入長Da,D
bのときの共振電極2の実効寸法を表している。電磁界
侵入長D(Da〜Db)は、共振器の温度(共振電極2
の温度)に応じて定まり、この電磁界侵入長Dと共振電
極2のテーパ部分の形状とによって共振電極2の実効寸
法L(La〜Lb)が定まる。すなわち、電磁界侵入長
がDaの時、共振電極2の厚みがDaより薄い部分は電
極として作用しないため、共振電極2の実効寸法はLa
となる。同様に電磁界侵入長がDbの時の実効寸法はL
bとなる。一方、共振器の温度(共振電極2の温度)に
応じて共振電極2の表面リアクタンスが変化する。
【0022】ここで、共振器の最低使用温度をTa、最
高使用温度をTbとし、共振電極2の端部にテーパをつ
けない場合の温度Taにおける共振器の共振周波数をf
a、温度Tbにおける共振周波数をfbとする。この共
振周波数変化は、共振電極2の表面リアクタンスの変化
だけに起因する変化である。また、温度Taでの共振電
極2の電磁界侵入長と実効寸法をDa,La、温度Tb
での共振電極2の電磁界侵入長と実効寸法をDb,Lb
とする。このとき、 La/Lb=fa/fb …(1) の関係となるように、共振電極2の両端部のテーパ形状
を定める。
【0023】このように、(1)式を満たすLa,Lb
の値を定め、図1の(D)に示す断面における共振電極
2のテーパ部分を、Da,Laで定まる点と、Db,L
bで定まる点とを直線で結ぶ断面形状とする。
【0024】このことにより、温度変化にともなう共振
電極2の実効寸法の変化による共振周波数の変化が、温
度変化にともなう表面リアクタンスの変化による共振周
波数の変化を相殺することになり、結局、使用温度範囲
内で温度変化があっても共振器の共振周波数は略一定と
なる。
【0025】なお、上述の例では、最低使用温度と最高
使用温度の2点だけから、上記テーパ部分の形状を共振
電極2の端部に近づくほど、膜厚の断面形状が直線的に
薄くなるように設計したが、複数の異なった温度につい
て、電磁界侵入長と表面リアクタンスとにより定まる共
振周波数が略一定になるように、テーパ部分の断面形状
を曲線状に設計してもよい。また、温度と共振周波数と
の関係を実測し、温度変化に関わらずに共振周波数が略
一定となるように、共振電極2の端部付近のテーパ形状
を実験的に求めてもよい。
【0026】図2はこの共振器の共振周波数温度特性を
示している。ここでAは図1に示した共振器の特性、B
は図1に示した共振器において共振電極2の端部をテー
パ形状にしない場合の特性である。
【0027】このように、共振電極2の端部を所定のテ
ーパ形状にしたことにより、約92K以下で共振周波数
は略一定となる。したがって、この範囲で温度変化が生
じても安定した共振周波数特性の下で共振器を用いるこ
とができる。
【0028】図3および図4は上記共振電極2の形成方
法を示す図である。図3に示す例では、誘電体基板1の
表面から所定距離だけ離れた位置に共振電極2のパター
ンとは逆の(ネガパターンの)開口を設けたマスク10
を配置し、その状態でスパッタリング法または真空蒸着
法によって超伝導体材料を誘電体基板1の表面に成膜す
る。この時、マスク10の影部分に超伝導体材料の分子
(原子)が回り込むため、共振電極2の端部がテーパ形
状となる。このテーパ形状は、成膜条件と誘電体基板1
とマスク10との間隔によって定めればよい。
【0029】図4に示す例では、まず誘電体基板1の上
面全面に超伝導体膜2′を成膜し、その表面にレジスト
9を被膜形成する。このレジスト9は超伝導体膜2′と
同程度のミリングレートを持つ材料からなり、その端部
をテーパ形状にしておく。その状態でイオンミリングす
る。このことによって超伝導体膜2′およびレジスト9
をミリングし、超伝導体膜2′の厚み分だけミリングし
た状態で、(B)に示すように、端部がテーパ形状を有
する共振電極2を形成する。すなわちレジスト9のパタ
ーンを転写したような超伝導体膜による共振電極2を形
成する。
【0030】次に、第2の実施形態に係るマイクロスト
リップ共振器の斜視図を図5に示す。図1に示した例で
は、共振電極2の端部を、その膜厚が直線的に次第に薄
くなるテーパ形状としたが、これを図5のように段階的
に膜厚が薄くなるようにして、全体としてテーパ形状に
なるようにしてもよい。この構造によれば、温度変化に
応じて共振周波数は段階的に変化するが、その変化幅は
小さくできるので、臨界温度以下での広い温度範囲につ
いてみれば、共振器の共振周波数の変動を所定の周波数
幅に収めることができる。
【0031】次に、第3の実施形態に係るマイクロスト
リップ共振器の構成を図6に示す。ここで(A)はマイ
クロストリップ共振器の上面図、(B)はその共振電極
の長辺方向の断面図、(C)はその共振電極の短辺方向
の断面図である。共振電極2は、超伝導体膜21を下地
とし、その上に金属膜22を積層した複合電極としてい
る。同様に接地電極3も、超伝導体膜31を下地とし、
その上に金属膜32を積層した複合電極としている。金
属膜22,32としては、Ag,Au,Cu,Ptなど
を用いる。超伝導体膜21,31としては第1・第2の
実施形態で示したものと同様の材料を用いる。このよう
に電極を超伝導体膜と金属膜による複合電極としたこと
により、臨界温度より低い低温動作時には超伝導体膜2
1,31が主たる導体部として作用し、臨界温度以上の
高温動作時には金属膜22,32が主たる導体部として
作用する。すなわち臨界温度以上では、電極部分での導
体損失が増大するものの、共振器として作用する。
【0032】また、共振電極2の金属膜22の長辺方向
寸法は、超伝導体膜21の長辺方向寸法より短い所定寸
法にしている。このことにより、超伝導体膜21が超伝
導状態から非超伝導状態(常伝導状態)へ遷移した際
に、超伝導体膜21の表面リアクタンスの変化により共
振周波数が低下する温度範囲で、金属膜22を主たる導
体部として作用させることにより、共振周波数の低下を
補償する。すなわち臨界温度の前後での共振周波数の変
化を抑える。しかも、金属膜22についても、その端部
付近の膜厚を、端部へ向かうほど薄くなるテーパ形状と
している。このことにより、温度変化による共振電極2
の実効寸法を、金属膜22に対する電磁界侵入長の温度
依存性により変化させて、共振周波数の安定性を高めて
いる。
【0033】図6に示した例では、超伝導体膜21と金
属膜22の両方について、端部付近の膜厚をテーパ形状
としたが、超伝導体膜21のみについて、または金属膜
22のみについて、端部付近の膜厚をテーパ形状として
もよい。
【0034】なお、第1〜第3の実施形態では、共振電
極2の両端部をテーパ形状にしたが、温度変化にともな
う共振電極2の表面リアクタンスの変化による共振周波
数の変化を、温度変化にともなう内導体の実効寸法の変
化による共振周波数の変化で相殺するようにテーパ形状
を定めれば、共振電極2の一方の端部のみをテーパ形状
にしてもよい。
【0035】次に、第4の実施形態に係る誘電体同軸共
振器の構成を図7に示す。図7の(A)は誘電体同軸共
振器の貫通孔の軸方向に垂直な平面で切った断面図、
(B)は(A)におけるA−A部分の断面図である。図
7において11は誘電体ブロック、12は貫通孔の内面
に形成した内導体、13は誘電体ブロック11の四側面
に形成した外導体である。内導体12の両端部付近は、
(B)に現れているように、その膜厚が端部へ向かうほ
ど薄くなるテーパ形状としている。これにより、第1〜
第3の実施形態で示したマイクロストリップ共振器の場
合と同様に、温度に応じて電磁界侵入長が変化し、電磁
界侵入長により内導体12の実効寸法は変化する。その
変化が温度変化による内導体12の表面リアクタンスの
変化が共振周波数に与える影響を打ち消すことになり、
結果的に温度変化に対する共振周波数の安定性が増す。
【0036】図7に示した例では、内導体12の両端部
をテーパ形状にしたが、温度変化にともなう内導体12
の表面リアクタンスの変化による共振周波数の変化を、
温度変化にともなう内導体の実効寸法の変化による共振
周波数の変化を相殺するようにテーパ形状を定めれば、
内導体12の一方の端部のみをテーパ形状にしてもよ
い。
【0037】なお、図7に示した例では両端を開放し
て、半波長またはその整数倍の波長で共振するようにし
たが、誘電体ブロック11の一方の端面に内導体12の
端部が導通する外導体を設けることによって、1/4波
長またはその奇数倍の波長で共振するようにしてもよ
い。
【0038】次に、第5の実施形態に係るマイクロスト
リップフィルタの平面図を図8に示す。図8において1
は誘電体基板であり、その上面に4つの共振電極2a〜
2dおよび2つの入出力電極4a,4dを形成してい
る。誘電体基板1の下面には略全面に接地電極を形成し
ている。各共振電極2a〜2dの端部付近は、図1に示
した共振電極2と同様に、それらの膜厚が端部へ向かう
ほど薄くなるテーパ形状としている。このことにより、
各共振電極の温度変化に対する共振周波数の安定性が増
し、通過帯域の中心周波数が安定化する。
【0039】なお、各共振電極2a〜2dのそれぞれの
端部付近を、図5に示したように階段状にしてもよい。
また、図6に示したように超伝導体膜と金属膜とを積層
した複合電極としてもよい。
【0040】また、本実施形態では、二つの入出力電極
を備えたフィルタを示したが、二つの入出力電極と一つ
の共用電極を備えたマイクロストリップデュプレクサを
構成することもできる。
【0041】次に、第6の実施形態に係る誘電体ブロッ
クを用いたフィルタの構成を図9に示す。図9におい
て、11は全体に略直方体形状の誘電体ブロック、15
a〜15hは誘電体ブロック11に設けた内導体形成
孔、16は隣接する内導体形成孔の間に設けた所定深さ
の結合用孔である。誘電体ブロック11の四側面には外
導体13を形成している。内導体形成孔15a〜15h
の内面には内導体を形成している。また、誘電体ブロッ
ク11の外面には入出力電極14a,14hを形成して
いる。入出力電極14a,14hは内導体形成孔15
a,15hによる2つの共振器にそれぞれ容量性結合す
る。なお、図における上面が実装基板に対する実装面で
ある。このようにして、8つの共振器を順次結合させて
なる帯域通過特性を有するフィルタを構成している。
【0042】このような構造のフィルタにおいて、内導
体形成孔の内面に、図7に示した内導体12と同様に、
その端部付近を、端部へ向かうほど膜厚が薄くなるテー
パ形状としている。これにより、各段の共振器の温度変
化に対する共振周波数の安定性を高め、フィルタの帯域
通過特性を安定化している。
【0043】なお、本実施形態では、各共振器部分が1
/2波長共振器を構成するようにしたが、内導体形成孔
の一端が短絡端である1/4波長共振器を構成してもよ
い。また、1/4波長共振器を構成するとともに、内導
体形成孔の開放端となる面に、隣接共振器間を結合させ
るための電極を形成してもよい。
【0044】また、複数の入出力電極と共用電極とを誘
電体ブロックの外面に形成した、デュプレクサや、トリ
プレクサ等の複合フィルタ装置についても、同様の電極
構成を適用することができ、同様の効果を得ることがで
きる。
【0045】次に、第7の実施形態に係る低温受信装置
について、図10を参照して説明する。図10は低温受
信装置の概要図である。図10において、90はフィル
タ、91はLNA(低雑音増幅器)、92は断熱高周波
ケーブル、93は冷却装置、94は冷却ステージ、95
は真空断熱ケース、96a,96bはハーメチックコネ
クタである。
【0046】フィルタ90とLNA91とを、互いに断
熱高周波ケーブル92により接続した状態で、冷却ステ
ージ94上に設置している。冷却装置93は冷却ステー
ジ94に接続し、冷却ステージ94を所定の温度に冷却
する。これら、フィルタ90、LNA91、冷却ステー
ジ94を、真空断熱ケース95内に設置し、フィルタ9
0、LNA91を常時、一定の低温に制御している。
【0047】また、フィルタ90はハーメチックコネク
タ96aに、LNA91はハーメチックコネクタ96b
に、それぞれ断熱高周波ケーブル92で接続し、これら
ハーメチックコネクタ96a,96bを介して、外部回
路に接続している。
【0048】ハーメチックコネクタ96aを介して外部
回路から受信した信号は、断熱高周波ケーブル92を介
し、フィルタ90に伝送される。フィルタ90では、必
要な周波数帯の信号のみを通過し、その信号を断熱高周
波ケーブル92を介し、LNA91に伝送する。LAN
91では、伝送された信号を増幅し、断熱高周波ケーブ
ル92とハーメチックコネクタ96bを介して、次段の
外部回路に出力する。
【0049】冷却装置93により、フィルタ90を超伝
導体の臨界温度より低くすることにより、フィルタ90
の電極が超伝導体膜になるため、導体損失を低減するこ
とができ、優れた通信特性を備える受信装置を構成する
ことができる。
【0050】図10に示したフィルタ90には、前述の
実施形態に示したフィルタを用いることができる。外気
温が変動したり、冷却装置93の冷却能力が変動したり
して、真空断熱ケース95内の温度が変動すると、フィ
ルタ90の温度も変動する。しかし、このような温度変
化が生じても、前述した作用によって、フィルタの周波
数特性が略一定に保たれる。
【0051】なお、低温送信装置についても、フィルタ
と増幅器の組合せで構成されているので、前述の低温受
信装置と同様の構造で構成することができる。送信機能
と受信機能の両方を含む送受信装置についても同様であ
る。
【0052】なお、本実施形態では、フィルタの出力部
に増幅器を接続したものを示したが、逆に、フィルタの
入力部に増幅器を接続したものにも同様に適用できる。
【0053】次に、第8の実施形態に係る通信装置につ
いて、図11を参照して説明する。図11は通信装置の
ブロック図である。図11において、ANTは送受信ア
ンテナ、DPXはデュプレクサ、BPFa、BPFbは
それぞれ帯域通過フィルタ、AMPa、AMPbはそれ
ぞれ増幅回路、MIXa、MIXbはそれぞれミキサ、
OSCはオシレータ、SYNはシンセサイザ、IFは中
間周波信号である。MIXaはSYNから出力される周
波数信号をIF信号で変調し、BPFaで送信周波数の
帯域のみを通過させ、AMPaはこれを電力増幅し、D
PXを介しANTより送信する。AMPbはDPXから
出力される信号を電力増幅し、BPFbで受信周波数帯
域のみを通過させる。MIXbはSYNより出力される
周波数信号とBPFbから出力される受信信号とをミキ
シングして中間周波信号IFを出力する。
【0054】図11に示したデュプレクサDPXには、
前述の実施形態に示した構造のデュプレクサ、およびフ
ィルタを用いることができる。また、フィルタBPF
a,BPFbにも、前述の実施形態に示した構造のフィ
ルタを用いることができる。また、BPFa+AMP
a、およびAMPb+BPFbの組合せには、前述の実
施形態に示した構造の低温送信装置および低温受信装置
を用いることができる。このようにして、優れた通信特
性を有する通信装置を構成することができる。
【0055】
【発明の効果】この発明によれば、温度変化にともなう
実効寸法の変化による共振周波数の変化が、温度変化に
ともなう表面リアクタンスの変化による共振周波数の変
化を相殺することになり、共振器自体の特性として温度
変化に対する共振器の共振周波数を安定化することがで
きる。そのため、断熱効果の高い大型の断熱ケースを用
いたり、断熱ケース内の温度を測定してフィードバック
制御により冷却機を高精度に制御したりする必要が無
く、全体に小型化・低コスト化を図ることができる。
【0056】また、この発明によれば、電極の電磁界侵
入長により定まる、使用温度範囲での電極の最小実効寸
法と最大実効寸法との比が、電極をテーパ形状にしない
ときの使用温度範囲での共振器の最高共振周波数と最低
共振周波数との比に略等しくなるように、電極端部のテ
ーパ形状を定めたことにより、単純な構造の電極を形成
するだけで、使用温度範囲に亘って共振器の共振周波数
を略一定に保つことができる。
【0057】また、この発明によれば、電極を超伝導体
膜と金属膜とを積層した複合電極とし、超伝導体膜と金
属膜の両方またはいずれか一方をテーパ形状にしたこと
により、超伝導体膜の臨界温度以上での共振器としての
動作が可能となる。
【0058】また、この発明によれば、複合電極の超伝
導体膜が主たる導体部として作用する、臨界温度より低
い低温動作時での共振周波数と、複合電極の金属膜が主
たる導体部として作用する、臨界温度以上の高温動作時
での共振周波数とが略等しくなるように、金属膜と超伝
導体膜のそれぞれの寸法を定めたことにより、臨界温度
を挟む温度変化での共振周波数変化が小さく抑えられ
る。
【0059】また、この発明によれば、前記共振器を複
数組配置するとともに、所定の共振器に結合する入出力
手段を設けてフィルタ、デュプレクサまたは複合フィル
タ装置を構成することにより、広い温度範囲でフィルタ
特性を一定にすることができる。
【0060】また、この発明によれば、前記フィルタ、
デュプレクサ、または複合フィルタ装置と、前記フィル
タ、デュプレクサ、複合フィルタ装置の入力部または出
力部に接続する増幅器とを冷凍機に備えることで、安定
した伝送特性を有する送受信装置を構成することができ
る。
【0061】また、この発明によれば、前記フィルタ、
デュプレクサ、複合フィルタ装置、または送受信装置を
備えることで、安定した通信特性を有する通信装置を構
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るマイクロストリップ共振
器の上面図および断面図
【図2】同共振器の共振周波数温度特性を示す図
【図3】同共振器の共振電極形成方法の例を示す図
【図4】同共振器の共振電極形成方法の他の例を示す図
【図5】第2の実施形態に係るマイクロストリップ共振
器の上面図および断面図
【図6】第3の実施形態に係るマイクロストリップ共振
器の上面図および断面図
【図7】第4の実施形態に係る誘電体同軸共振器の断面
【図8】第5の実施形態に係るマイクロストリップフィ
ルタの上面図
【図9】第6の実施形態に係る誘電体フィルタの斜視図
【図10】第7の実施形態に係る低温受信装置の概要図
【図11】第8の実施形態に係る通信装置のブロック図
【符号の説明】
1−誘電体基板 2−共振電極 3−接地電極 4−入出力電極 9−レジスト 10−マスク 11−誘電体ブロック 12−内導体 13−外導体 14−入出力電極 15−内導体形成孔 16−結合用孔 21,31−超伝導体膜 22,32−金属膜 90−フィルタ 91−LNA 92−断熱高周波ケーブル 93−冷却装置 94−冷却ステージ 95−真空断熱ケース 96−ハーメチックコネクタ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体と該誘電体に形成した電極とから
    なり、該電極の寸法によって共振周波数が定まる共振器
    において、 前記電極の端部付近を、該電極の膜厚が該電極の端部へ
    向かう程薄くなるテーパ形状にしたことを特徴とする共
    振器。
  2. 【請求項2】 前記テーパ形状は、前記電極への電磁界
    侵入長により定まる電極の実効寸法の変化による共振周
    波数の変化が、前記電極の表面リアクタンスの変化によ
    る共振周波数の変化を相殺するようにして、温度変化に
    関わらず共振周波数が略一定となるように形成された請
    求項1に記載の共振器。
  3. 【請求項3】 前記電磁界侵入長により定まる、使用温
    度範囲での前記電極の最小実効寸法と最大実効寸法との
    比が、前記電極を前記テーパ形状にしないときの前記使
    用温度範囲での前記共振器の最高共振周波数と最低共振
    周波数との比に略等しくなるように、前記テーパ形状を
    定めたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    の共振器。
  4. 【請求項4】 前記電極を超伝導体膜と金属膜とを積層
    した複合電極とし、前記超伝導体膜と前記金属膜の両方
    を、またはいずれか一方を前記テーパ形状にしたことを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の共振器。
  5. 【請求項5】 前記複合電極の超伝導体膜が主たる導体
    部として作用する、臨界温度より低い低温動作時での共
    振周波数と、前記複合電極の金属膜が主たる導体部とし
    て作用する、臨界温度以上の高温動作時での共振周波数
    とが略等しくなるように、前記金属膜と前記超伝導体膜
    のそれぞれの寸法を定めたことを特徴とする請求項4に
    記載の共振器。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の共振器
    を複数組備えるとともに、所定の共振器に結合する複数
    の入出力手段を設けてなるフィルタ。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の共振器
    を複数組備えるとともに、所定の共振器に結合する複数
    の入出力手段を設けてなるデュプレクサ。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載のフィルタ、または請求
    項7に記載のデュプレクサを複数組備えた複合フィルタ
    装置。
  9. 【請求項9】 請求項6に記載のフィルタ、請求項7に
    記載のデュプレクサ、または請求項8に記載の複合フィ
    ルタ装置と、該フィルタ、デュプレクサ、または複合フ
    ィルタ装置の入力部または出力部に接続した増幅器と、
    これらを前記臨界温度より低く冷却する冷却機とを備え
    た送受信装置。
  10. 【請求項10】 請求項6に記載のフィルタ、請求項7
    に記載のデュプレクサ、請求項8に記載の複合フィルタ
    装置、または請求項9に記載の送受信装置を備えた通信
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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