JP2003331764A - エネルギーフィルタ - Google Patents

エネルギーフィルタ

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JP2003331764A
JP2003331764A JP2002142485A JP2002142485A JP2003331764A JP 2003331764 A JP2003331764 A JP 2003331764A JP 2002142485 A JP2002142485 A JP 2002142485A JP 2002142485 A JP2002142485 A JP 2002142485A JP 2003331764 A JP2003331764 A JP 2003331764A
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slit
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Masaki Mukai
向井雅貴
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Jeol Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電子ビームを制限するスリット開口部の幅を容
易に選択できるようにしつつ、不所望のエネルギーを持
った電子がスリット開口部を透過するのを防止できるエ
ネルギーフィルタを提供する。 【解決手段】スリット6は、X軸方向に並設された5個
のスリット開口部6aを有する櫛状に形成されている。
これらのスリット開口部6aの各幅はそれぞれ長手方向
(Y軸方向)に一定の幅とされ、第1フィルタのエネル
ギー分解能をD(μm/eV)、試料に照射するエネル
ギー幅をそれぞれE1(eV)、E2(eV)、E3(e
V)、E4(eV)、E5(eV)とすると、E1・D
(μm)、E2・D(μm)、E3・D(μm)、E4
D(μm)、E5・D(μm)に設定されている。電子
ビームがX軸方向に偏向されることで、所望のエネルギ
ーの電子が選択されて対応するエネルギーのスリット開
口部6aを透過する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電子顕微鏡
等の電子ビームを利用した装置に設けられて、エネルギ
ー分散された電子ビームのうち、特定のエネルギースペ
クトルの電子ビームを選択して試料に照射させること
で、エネルギー分解能の向上を図るためなどに用いられ
るエネルギーフィルタの技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】透過型電子顕微鏡においては、試料に電
子ビームを照射し、試料を透過した電子ビームを蛍光板
に拡大投影することにより、蛍光板上に試料の拡大像を
得ている。この透過型電子顕微鏡において、得られる電
子顕微鏡像のエネルギー選択性(エネルギー分解能)を高
めるには、試料に照射する電子ビームのエネルギー幅を
できるだけ狭くすることが求められる。このため、この
種の電子顕微鏡では、現状で最も狭いエネルギー幅が得
られるコールドタイプの電界放射型電子銃(FEG)が採
用されている。
【0003】しかしながら、このタイプのFEGを用い
ても、得られるエネルギー幅は例えば高い加速電圧20
0kVにおいて0.4eV程度であり、さらにエネルギ
ー幅を狭めるのは現状では困難である。これにもかかわ
らず、より高エネルギー分解能を目指す上で、試料に照
射される電子ビームのエネルギー幅を0.1〜0.2eV
程度あるいはそれ以下に抑えることが望まれている。
【0004】そこで、最近、電子銃と試料との間におけ
る試料への照射側の光学系で、電子銃から電子が放出さ
れた直後、つまり電子銃のエミッタ直下に電子分光器で
あるエネルギーフィルタを設け、電子銃の作るエネルギ
ーの拡がりの中から狭いエネルギー範囲をエネルギーフ
ィルタのスリットにより選択的に取り出し、エネルギー
幅の小さな電子ビームを得て試料に照射することが試み
られている。
【0005】ところが、エネルギーフィルタのエネルギ
ー分解能は電子ビームのエネルギーに依存することか
ら、高分解能電子顕微鏡で必要とされる加速電圧200
kV(電子のエネルギーは200keV)以上の高エネル
ギーにおいて0.1〜0.2eV程度のエネルギーを選択
できるだけの分解能を得るためには、電子ビームがエネ
ルギーフィルタに入射する直前で電子ビームのエネルギ
ーを数keVから数eV程度に低く設定する必要があ
る。しかし、200keV以上の電子ビームのエネルギ
ーを数keVから数eV程度まで低く設定するために
は、収差の大きい減速電界レンズを使う必要がある。収
差は電子ビームのぼけを引き起こし、実用的なエネルギ
ーフィルタとは言えない。そこで、電子源から放出され
た直後の電子ビームが低エネルギーの状態にある位置に
エネルギーフィルタを配置してエネルギー選択を行い、
その後加速して高エネルギーを与える方式が検討されて
いる。
【0006】しかし、電子ビームを低エネルギーの状態
に設定した場合、この低エネルギーの電子ビームがエネ
ルギーフィルタを通過する際、ベルシェ(Boersch)効
果による影響を配慮しなければならない。このベルシェ
効果とは、近接して飛行する電子(一般には荷電粒子)ど
うしのクーロン相互作用によって、各電子の速度にした
がってエネルギーが相互に影響を受ける現象をいう。こ
のベルシェ効果は電流密度が高い程、また電子の速度が
遅い程大きくなる。したがって、低エネルギーの電子ビ
ームがエネルギーフィルタを通過する際は、特にフィル
タ内の収束点で電子が近接して飛行する時に相互に影響
を与え合い、エネルギーが変化して拡がりを持ってしま
い、エネルギー幅の狭い電子ビームを得ることが困難に
なるという問題がある。
【0007】このようなことから、互いに直交した電界
と磁場とを有するウィーンフィルタからなる第1および
第2フィルタ(第1フィルタのフィルタ長>第2フィル
タのフィルタ長)を電子ビームの中心軌道に沿って順次
配列するとともに、これらの第1および第2フィルタの
間の自由空間内の電子ビーム通路上にエネルギー選択ス
リットを配置することにより、ベルシェ効果による影響
を低減できるようにしたエネルギーフィルタが特開20
01−23558号公報において提案されている。
【0008】図6はこの公開公報に開示されている透過
型電子顕微鏡を示し、(a)はこの透過型電子顕微鏡に
おける電子銃からの試料への照射側の光学系を模式的に
示す図、(b)は(a)におけるエネルギーフィルタ部
を模式的に示す図である。
【0009】図6(a)に示すように、この透過型電子
顕微鏡1における、試料への照射側の光学系は、電子銃
(例えば、FEG;本発明の電子源に相当)2と、入射
アパーチャ3、電子を減速する減速部4、エネルギー選
択用のスリット開口部を有するスリット6を備えて電子
分光器部を構成するエネルギーフィルタ部5、電子を加
速する加速部7および出射アパーチャ8からなり減速型
電子分光器部を構成する減速型エネルギーフィルタ9
と、加速器10と、コンデンサレンズ群および対物レン
ズからなる照射レンズ系11とから構成されている。
【0010】図6(b)に示すように、エネルギーフィ
ルタ部5は、電子ビームの中心軌道(光軸)Oに沿って
順次配列される第1フィルタ13と第2フィルタ14か
ら構成されている。第1フィルタ13のフィルタ長L1
は、第2フィルタ14のフィルタ長L2よりも大きく選
定されている。2つのフィルタ13,14の間の自由空
間内における電子ビーム通路上には、エネルギー選択用
のスリット6が配置されている。なお、15,16は、
それぞれ、エネルギーフィルタ部5の入口部分および出
口部分に設けられた、第1フィルタ13およびび第2フ
ィルタ14から発生する電磁界と周囲の電子光学要素の
発生する電磁界との干渉を防止するためのシャント部材
である。
【0011】第1フィルタ13および第2フィルタ14
は、直交した電界と磁界を有するウィーンフィルタであ
り、図6(b)において、Z軸は電子ビームの光軸Oを
示し、この光軸Oを挟むように磁極NおよびSが対向配
置される。更に、これらの磁極N,Sの間隙には、±の
一対の電極が磁極N,Sの配置と同様に光軸を挟むよう
に対向配置されている(図には+電極のみが記載されて
おり、−電極はこの+電極に重なって設けられてい
る)。
【0012】これらの磁極N,Sおよび±電極の配置に
より、光軸Oおよびその周囲には、Y軸方向{Z軸に直
交しかつ図6(b)において左右方向}に磁界、X軸方
向(Z軸に直交しかつ図6(b)において図面に対して
垂直方向)に電界が重畳した場が形成される。これによ
り、光軸に沿って入射した電子は、直交した電界と磁界
により受ける力と個々の電子の持つエネルギーとにより
決まる軌道を進むようになる。
【0013】図7はこのエネルギーフィルタ部5内にお
ける電子の軌道を示し、(a)はZX面内の軌道を示す
図、(b)はZY面内の軌道を示す図である。図7
(a),(b)においては、円形断面の電子ビームが収
束性を持って第1フィルタ13に入射するものとし、エ
ネルギーフィルタ9の通過帯域の中心エネルギー値を持
つ電子の軌道が太い線で、中心エネルギー値から若干ず
れたエネルギー値を持つ電子の軌道が細い線でそれぞれ
描かれている。
【0014】図7(a)に示すように、第1フィルタ1
3の入射時に円形断面であった電子ビームは第1フィル
タ13によりX軸方向にエネルギー分散されて、ZX面
軌道においては、第1フィルタ13の中央部(L1/2)
付近とスリット6の位置の2つの位置で収束し、一方、
図7(b)に示すようにZY面軌道においては、第1フ
ィルタ13の出口付近で一度だけ収束し、第2フィルタ
14から再び円形断面の状態で出射することが分かる。
このように、X軸方向とY軸方向で異なった位置に収束
するようにすることは、ウィーンフィルタを構成する電
界と磁界の強度を適切に選定することにより実現するこ
とができる。
【0015】図8は、スリット6の面上での電子ビーム
形状を示す図である。図8に示すように第1フィルタ1
3への入射時に円形断面であった電子ビームは、スリッ
ト6の位置においては、X軸方向の幅が小さくY軸方向
の幅が大きい楕円形あるいは線状の断面となっており、
エネルギー値に応じてX軸方向の異なる位置を通る。し
たがって、Y軸方向に長くX軸方向に適当な幅を持つス
リット開口部により、所望のエネルギーを持つ電子のみ
を選択的に通過させることができる。
【0016】このようなエネルギーフィルタ部5におい
ては、ZX面内で2回、ZY面内で1回電子ビームが収
束するが、その場合、ZX面内の収束位置とZY面内の
収束位置とが異なっているので、エネルギーフィルタ部
5内で電子ビームが点状に収束することはない。すなわ
ち、各収束位置における電子ビームの断面形状は線状で
あるため、点状に収束するような場合に比べ、電子の密
度は格段に小さい。したがって、ベルシェ効果による影
響を、最小限に抑えることができる。
【0017】そして、電子源2から発生した数keV程
度の比較的低いエネルギーの電子ビームが入射アパーチ
ャ3から減速型エネルギーフィルタ9内に入射し、入射
した電子ビームはこの減速型エネルギーフィルタ9の減
速部4で数100eV程度のエネルギーに減速される。
【0018】次に、減速された電子ビームは、エネルギ
ーフィルタ部5において所定のエネルギーを持つ電子の
みがスリット6のスリット開口部により選択される。選
択された所定のエネルギーの電子ビームは加速部7によ
って再び元のエネルギー(数keV)を持つように加速
され、出射アパーチャ8から出射する。そして、出射ア
パーチャ8から出射した電子ビームは、加速器10によ
って所望の高エネルギー(例えば、200keV程度)
まで加速され、この高エネルギーの電子ビームは照射レ
ンズ系11を介して試料12に照射される。
【0019】ところで、電子分光器であるエネルギーフ
ィルタ9は、試料12に照射する電子ビームの幅を所望
の幅に選択できるようにするため、スリット6のスリッ
ト開口部の幅をユーザーの操作に応じて任意に変化可能
にすることが望ましい。その場合、前述のようにエミッ
タ直下にエネルギーフィルタ9を設置する場合は、スリ
ット6の電位が加速電圧に重畳し、かつエネルギーフィ
ルタ9周辺はエミッタ周辺と同程度の超高真空が要求さ
れる。エネルギー分散させる光学素子である第1フィル
タ13のエネルギー分散能(20μm以下)から考慮す
ると、スリット6の動作精度はサブミクロンオーダーが
不可欠である。以上のような高電圧かつ超高真空の過酷
な条件下では、モータ駆動によるスリット6のスリット
開口部の幅の制御は非常に困難になるという問題があ
る。
【0020】この問題を解決するために、従来、図9に
示すような楔形に開いたスリット開口部6aを有するス
リット6が用いられることが多い。このスリット6は完
全に固定された状態で使用され、偏向素子を用いて電子
ビームを偏向させることで楔形のスリット開口部6a上
での透過位置を移動させ、電子ビームを制限するスリッ
ト開口部6aの幅を選択できるようにしている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】前述のようにベルシェ
効果の影響を低減するために、電子ビームのエネルギー
分散方向(X軸方向)とそれに対する垂直方向(Y軸方
向)とは必ず同時にフォーカスさせないようにしている
が、エネルギー選択を行うスリット開口部6a上ではX
軸方向に電子が収束していなければならないため、Y軸
方向には発散させておく必要がある。
【0022】しかしながら、Y軸方向へ発散する電子ビ
ームの伸びが、X軸方向への電子ビームの伸びに対して
極端に伸びた場合、前述の楔形に開いたスリット開口部
6aでは楔形のスリット開口部6aの開き角の角度が問
題になり、図9に示すようにエネルギー選択された運動
エネルギーEを持った電子に加えて、エネルギー選択さ
れていない運動エネルギーE−δE,E+δEを持った
電子、つまり不所望のエネルギーを持った電子までがス
リット開口部6aを透過する可能性がある。
【0023】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、電子ビームを制限するスリ
ット開口部の幅を容易に選択できるようにしつつ、不所
望のエネルギーを持った電子がスリット開口部を透過す
るのを防止できるエネルギーフィルタを提供することで
ある。
【0024】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明のエネルギーフィルタは、電場と
磁場とを組み合わせて、電子ビームを電子の進行方向と
直交する方向に分散させかつこの分散方向に複数回収束
させるとともに、前記分散方向と直交する方向について
前記分散方向の収束位置と異なる位置で収束させるフィ
ルタと、前記分散方向における2回目以降の収束位置に
配置されて選択されたエネルギーを持った電子を透過さ
せるスリット開口部を有するエネルギー選択用のスリッ
トとを少なくとも備え、前記電子ビームを利用した装置
に設けられるエネルギーフィルタにおいて、前記スリッ
ト開口部が、長手方向に沿って一定の幅を有しかつ異な
る選択されたエネルギーを持った電子をそれぞれ透過さ
せるように異なる所定数の幅のスリット開口部からなる
ことを特徴としている。
【0025】また、請求項2の発明は、前記スリット
が、前記異なる所定数の幅のスリット開口部が各幅毎に
並列されて櫛状に形成されていることを特徴としてい
る。
【0026】更に、請求項3の発明は、前記所定数の幅
のスリット開口部の少なくとも1つは、長手方向に幅が
階段状に変化する異なる複数の幅に形成されていること
を特徴としている。
【0027】更に、請求項4の発明は、隣り合うスリッ
ト開口部の内側の縁どうしの距離(スリットの間隔)
が、前記電子ビームを利用した装置の電子源のエミッタ
が持つ電子ビームのエネルギーの広がりをH(eV)、
前記フィルタの分解能をD(μm/eV)としたとき、
H・D(μm)より大きく設定されていることを特徴と
している。
【0028】更に、請求項5の発明は、前記スリット開
口部の異なる所定数の幅が、階段状に変化する幅に形成
されていることを特徴としている。
【0029】更に、請求項6の発明は、前記スリット開
口部の幅が、選択されたエネルギー幅をE(eV)、前
記フィルタの分解能をD(μm/eV)としたとき、E
・D(μm)に設定されていることを特徴としている。
【0030】
【作用】このように構成された請求項1ないし6の発明
においては、スリットが長手方向に沿って一定の幅を有
しかつ異なる選択されたエネルギーを持った電子をそれ
ぞれ透過させるように異なる所定数の幅のスリット開口
部を有しているので、電子ビームを偏向させて、選択さ
れたエネルギーを持つ電子のみがこのエネルギーに対応
する幅のスリット開口部を透過するようになる。このと
き、スリット開口部は長手方向に一定の幅とされている
ので、選択されていないエネルギーを持った電子、つま
り不所望のエネルギーを持った電子がこのスリット開口
部を透過することが防止される。そして、スリット開口
部の異なる幅の数だけ電子ビームのエネルギーが選択可
能となる。
【0031】また、本発明のエネルギーフィルタにおい
ては、電子ビームを選択するエネルギーに応じて偏向さ
せることにより、そのエネルギーに対応するスリット開
口部が設定されるようになる。したがって、従来の機械
駆動によるスリットを使用する場合に比べて、電子ビー
ムを制限するスリット開口部の幅が容易に選択可能とと
なるとともに、電子ビームを利用した装置の電子源にお
けるエミッタの直下に、本発明のエネルギーフィルタが
比較的容易に設置可能となる。
【0032】しかも、あらかじめサブミクロンオーダー
の精度を持つスリットを固定した状態で使用すること
で、従来の機械駆動による場合に比べてエネルギー選択
がより精緻に行うことが可能となり、エネルギー選択が
より正確に行われるようになる。
【0033】これにより、超高真空もしくは高電圧とい
う条件等の、機械駆動によるスリット幅制御が困難な条
件下においても、最適なエネルギースペクトルが選択可
能となる。
【0034】特に、請求項2の発明においては、スリッ
トが、異なる所定数の幅のスリット開口部が各幅毎に並
列されて櫛状に形成されているので、スリット開口部の
長手方向と直交する方向、つまりスリット開口部の並設
方向に電子ビームを偏向させることにより、選択する所
定数のエネルギーの中から、所望のエネルギーの電子が
このエネルギーに対応するスリット開口部をより簡単に
透過させることが可能となる。
【0035】また、請求項3の発明においては、並設さ
れた所定数のスリット開口部の少なくとも1つは、長手
方向に幅が階段状に変化する異なる複数の幅に形成され
ているので、スリット開口部の長手方向および/または
この長手方向と直交方向、つまりスリット開口部の並設
方向と直交する方向および/またはこの並設方向に電子
ビームを偏向させることにより、選択する所定数のエネ
ルギーの中から、所望のエネルギーの電子がこのエネル
ギーに対応するスリット開口部をより簡単に透過させる
ことが可能となる。
【0036】更に、請求項4の発明においては、隣り合
うスリット開口部の内側の縁どうしの距離(スリットの
間隔)が、電子ビームを利用した装置の電子源のエミッ
タが持つ電子ビームのエネルギーの広がりをH(e
V)、フィルタの分解能をD(μm/eV)としたと
き、H・D(μm)より大きく設定されることから、フ
ィルタでエネルギー分散された電子ビームの広がりで、
選択したエネルギーを持つ電子がこのエネルギーに対応
したスリット開口部の隣のスリット開口部を透過するこ
とが防止される。
【0037】更に、請求項5の発明においては、スリッ
ト開口部の異なる所定数の幅が階段状に変化しているの
で、スリット開口部の長手方向、つまりスリット開口部
の並設方向と直交する方向に電子ビームを偏向させるこ
とにより、選択する所定数のエネルギーの中から、所望
のエネルギーの電子がこのエネルギーに対応するスリッ
ト開口部をより簡単に透過させることが可能となる。
【0038】更に、請求項6の発明においては、スリッ
ト開口部の幅が、選択されたエネルギー幅をE(e
V)、フィルタの分解能をD(μm/eV)としたと
き、E・D(μm)に設定されているので、選択された
所望のエネルギーを持つ電子が、このエネルギーに対応
するスリット開口部をより確実に透過可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態について説明する。
【0040】図1は本発明に係るエネルギーフィルタの
実施の形態の一例に用いられるスリットを光軸(Z軸)
方向に見て模式的に示す図である。なお、以下の説明に
おいて、その例より前に記載された例のエネルギーフィ
ルタ9の構成要素に対応する構成要素には同じ符号を付
すことで、その詳細な説明は省略する。
【0041】図示しないが、この例のエネルギーフィル
タ9のエネルギーフィルタ部5も、図6(b)に示すエ
ネルギーフィルタ部5と同じように、第1フィルタ13
と、この第1フィルタ13のフィルタ長L1よりフィル
タ長L2が短く設定された第2フィルタ14とを備えて
おり、これらの第1および第2フィルタ13,14は互
いに直交した電界と磁界とを有するウィーンフィルタか
ら構成されている。
【0042】そして、エネルギーフィルタ部5を通過す
る電子ビームは、図6(b)に示すエネルギーフィルタ
部5と同様に第1および第2フィルタ13,14による
電界および磁界の作用を受け、図7(a)に示すと同様
にZX面において2回収束し、かつ図7(b)に示すと
同様にZY面において1回収束するが、スリット6は、
第1および第2フィルタ13,14の間の自由空間内で
ZX面において2回目に収束する位置に設置されてい
る。
【0043】また、エネルギーフィルタ部5内の電子ビ
ームは、電界および磁界による偏向作用を受けず、光軸
(Z軸)に沿って平行にフィルタ内を進行するようにな
っている。
【0044】図1に示すようにこの例のスリット6は、
X軸方向に並設された5つのスリット開口部6aを有す
る櫛状に形成されている。これらのスリット開口部6a
の各幅はそれぞれ長手方向(Y軸方向)に一定の幅に設
定されているが、各スリット開口部6a毎にエネルギー
を分散させる第1フィルタ13のエネルギー分解能およ
び試料12に照射するエネルギー幅に応じて異なる幅に
設定されている。すなわち、第1フィルタ13のエネル
ギー分解能をD(μm/eV)、試料12に照射するエ
ネルギー幅をそれぞれE1(eV)、E2(eV)、E3
(eV)、E4(eV)、E5(eV)とすると、各スリ
ット開口部6aの幅は、それぞれ同図に示すようにE1
・D(μm)、E2・D(μm)、E3・D(μm)、E
4・D(μm)、E5・D(μm)に設定されている。
【0045】また、エネルギー分散による電子ビームの
広がりで隣のスリット開口部6aによる電子ビームの透
過を防ぐために、電子銃2のエミッタが持つ電子ビーム
のエネルギーの広がりをH(eV)とすると、隣りどう
しのスリット開口部6a,6aの互いに最も近い位置に
ある内側の縁6a1a,6a2a間の間隔(以下、単にスリ
ット間隔という)がH・D(μm)より大きく、つまり
同図に示すようにスリット間隔>H・Dに設定されてい
る。
【0046】この例のエネルギー選択用のスリット6を
使用する場合、図2(a)に示すようにスリット6はZ
X面においてエネルギーフィルタ部5に同図の左側から
入射した電子ビームの2回目の収束位置に、そのスリッ
ト開口部6aの長手方向がY軸方向となるようにして設
置される。そして、エネルギーフィルタ9におけるエネ
ルギーフィルタ部5の動作が次のように行われる。すな
わち、第1フィルタ13により磁界または電界のいずれ
かが増減されることにより、電子ビームが分散される方
向(つまり、X軸方向)に偏向される。この電子ビーム
の偏向方向は、スリット6のスリット開口部6aの長手
方向に対して直交方向(つまり、X軸方向;並設方向)
となっている。このとき、図2(b)に示すようにZY
面においては、同様にエネルギーフィルタ部5に入射し
た電子ビームは偏向作用を受けず、直進するようにされ
ている。
【0047】この電子ビームのX軸方向の偏向を制御す
ることにより、制限された特定のエネルギー幅Eを持っ
た電子がそのエネルギー幅に対応するスリット開口部6
a(例えば、エネルギー幅E1を持った電子の場合はそ
のエネルギー幅E1に対応するスリット開口部)を透過
させることができるようになる。そして、スリット開口
部6aを透過した、選択されたエネルギー幅Eを持った
電子が試料12に照射されるようになる。
【0048】このとき、スリット間隔>H・Dに設定さ
れているので、エネルギー分散による電子ビームの広が
りで隣のスリット開口部6aによる電子ビームの透過
(例えば、隣のエネルギー幅E2に対応するスリット開
口部による、エネルギー幅E1を持った電子の透過)が
防止される。
【0049】この例のエネルギーフィルタ9によれば、
一定の幅を有しかつ選択する特定のエネルギー幅Eに応
じて幅が異なる所定数のスリット開口部6aをX軸方向
に並設してスリット6を櫛状に形成し、第1フィルタ1
3により電子ビームを選択するエネルギー幅Eに応じて
偏向させて、選択したエネルギー幅Eに対応するスリッ
ト開口部6aを透過させるようにしているので、従来の
機械駆動によるスリットを使用する場合に比べて、電子
ビームを制限するスリット開口部の幅を容易に選択でき
るようになるとともに、電子銃(FEG)2におけるエ
ミッタの直下に、エネルギー選択用スリット6を備える
エネルギーフィルタ9を比較的容易に設置可能となる。
【0050】しかも、あらかじめサブミクロンオーダー
の精度を持つスリットを固定した状態で使用すること
で、従来の機械駆動による場合に比べてエネルギー選択
がより精緻に行うことができるようになるので、エネル
ギー選択をより正確に行うことができる。
【0051】これにより、超高真空もしくは高電圧とい
う条件等の、機械駆動によるスリット幅制御が困難な条
件下においても、最適なエネルギースペクトルが選択可
能となる。
【0052】また、幅が長手方向に沿って一定の幅にさ
れたスリット開口部6aを用いているので、幅が長手方
向に沿って変化して選択されていないエネルギーを持っ
た電子が透過するおそれのある従来の楔形のスリット開
口部6aに比し、選択されたエネルギーを持った電子の
みを確実に透過させることができ、選択されない不所望
のエネルギーを持った電子の透過を防止することができ
る。
【0053】更に、このような長手方向に一定幅であ
り、かつ互いに異なる幅の所定数のスリット開口部6a
を並設しているので、これらのスリット開口部6aの所
定数だけ電子ビームのエネルギー幅を選択することがで
きる。
【0054】なお、スリット開口部6aの数は5つに限
定されることなく、任意の数だけ設けることもできる。
【0055】この例のエネルギーフィルタ9の他の構成
および他の作用効果は、実質的に図6(b)に示す従来
例と同じである。
【0056】図3は、本発明に係るエネルギーフィルタ
の実施の形態の他の例に用いられるスリットをZ軸方向
に見て模式的に示す、図1と同様の図である。
【0057】前述の図1に示す例のスリット6では、一
定の幅でかつ幅の異なる5つのスリット開口部6a1,6
2,6a3,6a4,6a5をX軸方向に並設しているが、
図3に示すようにこの例のスリット6では、1つのスリ
ット開口部6aが設けられている。このスリット開口部
6aは、幅が長手方向(Y軸方向)に階段状に変化する
幅に形成された3段(3つ)のスリット開口部6a6,6
7,6a8とされている。各段のスリット開口部6a6,
6a7,6a8の幅は、いずれも長手方向に一定の幅に設
定されている。
【0058】そして、各スリット開口部6a6,6a7,6
8の幅は、それぞれ前述の図1に示す例と同様に、第
1フィルタ13のエネルギー分解能D(μm/eV)お
よび試料12に照射するエネルギー幅E6(eV),E7
(eV),E8(eV)に応じて、同図に示すようにE6
・D(μm)、E7・D(μm)、E8・D(μm)に設
定されている。
【0059】この例のエネルギー選択用のスリット6を
使用する場合、図4(a)に示すようにスリット6はZ
X面においてエネルギーフィルタ部5に同図の左側から
入射した電子ビームの2回目の収束位置に、そのスリッ
ト開口部6aの長手方向がY軸方向となるようにして設
置される。そして、エネルギーフィルタ9におけるエネ
ルギーフィルタ部5の動作が次のように行われる。すな
わち、第1フィルタ13により磁界または電界のいずれ
かが増減されることにより、ZY面において電子ビーム
が分散される方向と直交する方向(つまり、Y軸方向)
に偏向される。この電子ビームの偏向方向は、スリット
6のスリット開口部6aの長手方向(つまり、Y軸方
向)となっている。このとき、図4(b)に示すように
ZX面においては、同様にエネルギーフィルタ部5に入
射した電子ビームは偏向作用を受けず、直進するように
されている。
【0060】この電子ビームのY軸方向の偏向を制御す
ることにより、制限された特定のエネルギー幅Eを持っ
た電子がそのエネルギー幅に対応するスリット開口部6
a(例えば、エネルギー幅E6を持った電子の場合はそ
のエネルギー幅E6に対応するスリット開口部6a6)を
透過させることができるようになる。
【0061】なお、スリット開口部6aの階段状の幅は
3段に限定されることなく、任意の段数の階段状の幅に
設定することができる。
【0062】この例のエネルギーフィルタ9の他の構成
および他の作用効果は、実質的に図1に示す例と同じで
ある。
【0063】図5は、本発明に係るエネルギーフィルタ
の実施の形態の更に他の例に用いられるスリットをZ軸
方向に見て模式的に示す、図1と同様の図である。
【0064】図5に示すように、この例のエネルギーフ
ィルタ9に用いられるスリット6は、図1に示す例のよ
うなX方向に並設された所定数のスリット開口部6aか
らなるスリット6と、図3に示す例のようなY方向に階
段状に形成されたスリット開口部6aからなるスリット
6とが組み合わされたスリットである。
【0065】すなわち、この例のスリット6では、幅が
Y軸方向に階段状に2段(2つ)に形成された一定の幅
のスリット開口部6a9,6a10と一定の幅のスリット開
口部6a11,6a12とがX軸方向に2列に並設されてい
る。
【0066】そして、各スリット開口部6a9,6a10,
6a11,6a12の幅は、それぞれ前述の図1および図3
に示す例と同様に、第1フィルタ13のエネルギー分解
能D(μm/eV)および試料12に照射するエネルギ
ー幅E9(eV),E10(eV),E11(eV),E12(e
V)に応じて、同図に示すようにE9・D(μm)、E1
0・D(μm)、E11・D(μm)、E12・D(μm)
に設定されている。
【0067】また、図5に示すようにスリット開口部6
10,6a12のスリット間隔がH・D(μm)より広
く、つまり同図に示すようにスリット間隔>H・Dに設
定されている。
【0068】この例のエネルギー選択用のスリット6を
使用する場合、使用するスリット開口部6aがX軸方向
に移行する、つまりスリット開口部6a9とスリット開
口部6a11との間およびスリット開口部6a10とスリッ
ト開口部6a12との間で移行するときは、前述の図2
(a)に示すようにZX面において第1フィルタ13に
より磁界または電界のいずれかが増減されることによ
り、電子ビームが分散される方向(つまり、X軸方向)
に偏向される。このときは、前述の図2(b)に示すよ
うにZY面においては電子ビームは偏向されない。
【0069】また、使用するスリット開口部6aがY軸
方向に移行する、つまりスリット開口部6a9とスリッ
ト開口部6a10との間およびスリット開口部6a11とス
リット開口部6a12との間で移行するときは、前述の図
4(b)に示すようにZY面において第1フィルタ13
により磁界または電界のいずれかが増減されることによ
り、電子ビームが分散される方向と直交する方向(つま
り、Y軸方向)に偏向される。このときは、前述の図4
(a)に示すようにZX面においては電子ビームは偏向
されない。
【0070】更に、使用するスリット開口部6aが斜め
方向にに移行する、つまりスリット開口部6a9とスリ
ット開口部6a12との間およびスリット開口部6a10
スリット開口部6a11との間で移行するときは、前述の
図2(a)に示すようにZX面において第1フィルタ1
3により磁界または電界のいずれかが増減されることに
より、電子ビームが分散される方向(つまり、X軸方
向)に偏向されるか、あるいは前述の図4(b)に示す
ようにZY面において第1フィルタ13により磁界また
は電界のいずれかが増減されることにより、電子ビーム
が分散される方向と直交する方向(つまり、Y軸方向)
に偏向された状態で、更に、前述の図4(b)に示すよ
うにZY面において第1フィルタ13により磁界または
電界のいずれかが増減されることにより、電子ビームが
分散される方向と直交する方向(つまり、Y軸方向)に
偏向されるか、あるいは前述の図2(b)に示すように
ZX面において第1フィルタ13により磁界または電界
のいずれかが増減されることにより、電子ビームが分散
される方向(つまり、X軸方向)に偏向される。
【0071】この電子ビームのX軸方向およびY軸方向
の偏向をそれぞれ制御することにより、特定のエネルギ
ー幅Eを持った電子がそのエネルギー幅に対応するスリ
ット開口部6a(例えば、エネルギー幅E9を持った電
子の場合はそのエネルギー幅E9に対応するスリット開
口部6a9)を通過させることができるようになる。こ
のとき、スリット間隔>H・Dに設定されているので、
エネルギー分散による電子ビームの広がりで、1つのス
リット開口部6aによるエネルギー幅Eを持った電子ビ
ームの透過時に、その隣のスリット開口部6aによるこ
のエネルギー幅Eの電子ビームの透過(例えば、隣のエ
ネルギー幅E12に対応するスリット開口部6a12によ
る、エネルギー幅E11を持った電子の透過)が防止され
る。
【0072】この例のスリット開口部6aの並設数は2
列に限定されることなく、任意の列数だけ並設すること
もでき、また、スリット開口部6aの階段状の幅は2段
に限定されることなく、任意の段数の階段状の幅に設定
することができる。その場合、並設された各スリット開
口部6aの階段状の幅は必ずしもすべて同じ段数に設定
する必要はなく、並設されたスリット開口部6a毎に、
階段状の幅の段数を互いに異なるように設定することも
できる。更に、この例のスリット開口部6aでは、並設
された各スリット開口部6aの幅はすべて階段状の幅に
する必要はなく、並設された所定数のスリット開口部6
aのうち、少なくとも1つのスリット開口部6aの幅が
階段状の幅に設定しさえすればよい。
【0073】この例のエネルギーフィルタ9の他の構成
および他の作用効果は、実質的に図1に示す例と同じで
ある。
【0074】なお、前述の各例では、いずれも電子ビー
ムがエネルギーフィルタ部5に図において左側から入射
するものとしているが、電子ビームはエネルギーフィル
タ部5に逆側つまり図において右側から入射するように
することもできる。
【0075】また、第1および第2フィルタ13,14
のフィルター長L1,L2をL1>L2としているが、これ
らの第1および第2フィルタ13,14のフィルター長
1,L2を同じにし、かつZX面内での電子ビームの収
束を1回とし、ZY面内では収束しない電界および磁界
に設定し、本発明のスリット6をZX面内で1回収束す
る位置に設置することもできる。
【0076】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のエネルギーフィルタによれば、スリットが長手方向に
沿って一定の幅を有しかつ異なる選択されたエネルギー
を持った電子をそれぞれ透過させるように異なる所定数
の幅のスリット開口部を有しているので、選択されたエ
ネルギーを持つ電子のみを、このエネルギーに対応する
幅のスリット開口部から確実に透過させることができ
る。しかも、スリット開口部を長手方向に一定の幅とし
ているので、選択されていないエネルギーを持った電
子、つまり不所望のエネルギーを持った電子がこのスリ
ット開口部を透過することを防止できる。そして、スリ
ット開口部の異なる幅の数だけ電子ビームのエネルギー
を選択することができる。
【0077】また、本発明のエネルギーフィルタによれ
ば、電子ビームを選択するエネルギーに応じて偏向させ
ることにより、そのエネルギーに対応するスリット開口
部を設定することができる。したがって、従来の機械駆
動によるスリットを使用する場合に比べて、電子ビーム
を制限するスリット開口部の幅を容易に選択できるとと
もに、電子ビームを利用した装置の電子源におけるエミ
ッタの直下に、本発明のエネルギーフィルタを比較的容
易に設置できるようになる。
【0078】しかも、あらかじめサブミクロンオーダー
の精度を持つスリットを固定した状態で使用すること
で、従来の機械駆動による場合に比べてエネルギー選択
をより精緻に行うことができるので、エネルギー選択を
より正確に行うことができる。
【0079】これにより、超高真空もしくは高電圧とい
う条件等の、機械駆動によるスリット幅制御が困難な条
件下においても、最適なエネルギースペクトルを選択す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るエネルギーフィルタの実施の形
態の一例に用いられるスリットを光軸方向に見て模式的
に示す図である。
【図2】 エネルギーフィルタ内の電子ビームの進行状
態を示し、(a)はZX面において電子ビームが偏向さ
れて進む状態を示す図、(b)はZY面において電子ビ
ームが偏向されずに直進する状態を示す図である。
【図3】 本発明の実施の形態の他の例に用いられるス
リットを光軸方向に見て模式的に示す図である。
【図4】 エネルギーフィルタ内の電子ビームの進行状
態を示し、(a)はZX面において電子ビームが偏向さ
れずに直進する状態を示す図、(b)はZY面において
電子ビームが偏向されて進む状態を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態の更に他の例に用いられ
るスリットを光軸方向に見て模式的に示す図である。
【図6】 従来の透過型電子顕微鏡の一例を示し、
(a)はこの透過型電子顕微鏡における電子銃からの試
料への照射側の光学系を模式的に示す図、(b)は
(a)におけるエネルギーフィルタ部を模式的に示す図
である。
【図7】 図6に示すエネルギーフィルタ部内における
電子の軌道を示し、(a)はZX面内の軌道を示す図、
(b)はZY面内の軌道を示す図である。
【図8】 図6に示すスリットの面上での電子ビーム形
状を示す図である。
【図9】 楔形に開いたスリット開口部を有する従来の
スリットを光軸方向に見て模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…透過型電子顕微鏡、2…電子銃(例えば、FE
G)、3…入射アパーチャ、4…減速部、5…エネルギ
ーフィルタ部、6…スリット、6a…スリット開口部、
7…加速部、8…出射アパーチャ、9…減速型エネルギ
ーフィルタ、10…加速器、11…照射レンズ系、12
…試料、13…第1フィルタ、14…第2フィルタ、1
5,16…シャント部材、L1,L2…フィルタ長、E…エ
ネルギー幅(eV)、D…第1フィルタ13のエネルギ
ー分解能(μm/eV)、H…電子銃2のエミッタが持
つ電子ビームのエネルギーの広がり(eV)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電場と磁場とを組み合わせて、電子ビー
    ムを電子の進行方向と直交する方向に分散させかつこの
    分散方向に複数回収束させるとともに、前記分散方向と
    直交する方向について前記分散方向の収束位置と異なる
    位置で収束させるフィルタと、前記分散方向における2
    回目以降の収束位置に配置されて選択されたエネルギー
    を持った電子を透過させるスリット開口部を有するエネ
    ルギー選択用のスリットとを少なくとも備え、前記電子
    ビームを利用した装置に設けられるエネルギーフィルタ
    において、 前記スリット開口部は、長手方向に沿って一定の幅を有
    しかつ異なる選択されたエネルギーを持った電子をそれ
    ぞれ透過させるように異なる所定数の幅のスリット開口
    部からなることを特徴とするエネルギーフィルタ。
  2. 【請求項2】 前記スリットは、前記異なる所定数の幅
    のスリット開口部が各幅毎に並列されて櫛状に形成され
    ていることを特徴とする請求項1記載のエネルギーフィ
    ルタ。
  3. 【請求項3】 前記所定数の幅のスリット開口部の少な
    くとも1つは、長手方向に幅が階段状に変化する異なる
    複数の幅に形成されていることを特徴とする請求項2記
    載のエネルギーフィルタ。
  4. 【請求項4】 隣り合うスリット開口部の内側の縁どう
    しの距離(スリットの間隔)が、前記電子ビームを利用
    した装置の電子源のエミッタが持つ電子ビームのエネル
    ギーの広がりをH(eV)、前記フィルタの分解能をD
    (μm/eV)としたとき、H・D(μm)より大きく
    設定されていることを特徴とする請求項2または3記載
    のエネルギーフィルタ。
  5. 【請求項5】 前記スリット開口部の異なる所定数の幅
    は、階段状に変化する幅に形成されていることを特徴と
    する請求項1記載のエネルギーフィルタ。
  6. 【請求項6】 前記スリット開口部の幅は、選択された
    エネルギー幅をE(eV)、前記フィルタの分解能をD
    (μm/eV)としたとき、E・D(μm)に設定され
    ていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1
    記載のエネルギーフィルタ。
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