JP2003329081A - 制振装置 - Google Patents

制振装置

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JP2003329081A
JP2003329081A JP2002138900A JP2002138900A JP2003329081A JP 2003329081 A JP2003329081 A JP 2003329081A JP 2002138900 A JP2002138900 A JP 2002138900A JP 2002138900 A JP2002138900 A JP 2002138900A JP 2003329081 A JP2003329081 A JP 2003329081A
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damping device
vibration damping
hard
cylindrical elastic
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JP2002138900A
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English (en)
Inventor
Tatsuji Matsumoto
達治 松本
Katsuyuki Tanaka
克往 田中
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】振動吸収機能と復元機能が確実な制振装置であ
って、長期間の耐久性能を保持できるものの提供 【解決手段】制振装置1は、ゴム製の筒状弾性体2と、
筒状弾性体2の内周面に内接した状態で筒状弾性体2の
内部に収容した硬球体3と、前記筒状弾性体2の上下端
面にそれぞれ取り付けた上下の硬質板4,5からなる。
この制振装置1は、硬球体3が筒状弾性体2の内周面に
内接した状態で配設されているので、設置時に硬球体3
の位置決めを行うことが不要であり、硬球体3は、常時
は筒状弾性体2の中央位置に確実に収まるようになって
いる。これにより、設置時に硬球体3が確実に筒状弾性
体2の中央で荷重を受けることができるようになってい
る。また、長期間性能を確保するため、筒状弾性体2
は、周波数2.0Hz、せん断歪み25%で、100℃、
15日間の促進老化試験を行った場合に、せん断弾性率
G及び/又は損失係数tanδの変化率が30%以内にする
のがよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物の上部構造
と下部構造との間に装着される制振装置に関し、特に、
住宅の基礎部の通気用の基礎パッキン材およびアンカー
部材を兼ね、嵩張らず、高性能の振動吸収機能を有する
ものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】住宅の基礎部の通気用の基礎パッキン材
100は、図9に示すように、弾性材料からなる略矩形
の部材であり、基礎コンクリート101に植設したアン
カーボルト102に嵌め込んだものであって、基礎コン
クリート101と住宅の土台103との間に所定の間隔
を開けて複数配設したものが一般に知られている。基礎
コンクリート101の内部には、基礎パッキン材100
により設けた隙間で換気が行え、基礎コンクリート10
1内の空気の流れが良くなる。また基礎コンクリート1
01と住宅の土台103との縁を切ることにより、基礎
コンクリート101が吸った水分を土台に伝えないとい
う作用がある。
【0003】上記の基礎パッキン材と、地震やダンプカ
ーなどの大型の自動車による振動や鉄道車両の通行に伴
う振動を吸収する制振装置(免震装置)の機能を備えた
ものとして、特開2000−73616号公報、特開2
000−110403号公報に記載されたものがある。
【0004】特開2000−73616号公報には、土
台用金具と基礎用金具の間に硬球体が転動可能な空間を
有する筒状弾性体を固着し、この筒状弾性体に硬球体を
内設した制振装置が記載されている。特開2000−1
10403号公報には、さらに、硬球体が上部基板と下
部基板のそれぞれに内設するように、筒状弾性体の高さ
を硬球体の直径と同寸法にした制振装置が記載されてい
る。
【0005】これらはともに、構造物の荷重を硬球体で
受け基礎に伝えるものであり、地震のゆれに対しては、
硬球体が転動して基礎のゆれの数分の1しか土台に伝え
ず(転がり免震)、地震が収まるにつれて筒状弾性体の
復元力により、地震発生前の元の位置に復元するように
なっている。
【0006】このような制振装置は、構造物の基礎部に
所定の間隔を空けて複数個設置することにより、制振装
置間に通気用の隙間を形成することができ、床下空間の
通気性を確保するための基礎パッキン材としての機能も
兼ねている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開2000−736
16号公報、特開2000−110403号公報に記載
された制振装置は、筒状弾性体の内部に硬球体が転動可
能な転動空間を有している。換言すれば、筒状弾性体の
内径が硬球体の直径よりも大きくなっている。このよう
な空間を設けたのは、硬球体の転がりを許容し、建物の
揺れを長周期化させ、免震作用を機能させることを目的
としている。
【0008】しかし、硬球体が転動可能な空間を設ける
と、硬球体は自在に可動し得るので、設置工事時におい
て特別な構造を付加しない限りは、施工前の鉛直荷重が
掛からない状態において、運搬時や組み立て後に、硬球
体が、筒状弾性体の内部空間の中央位置からずれて、筒
状弾性体の内周面に接した状態で設置されてしまう。こ
のような状態では、地震時の変形により、硬球体が筒状
弾性体の内周面に乗り上げ、さらには支持能力を失う可
能性がある。このようになると十分な転がり免震機能を
得ることができないばかりか、地震が収まったあとも硬
球体が筒状弾性体の内周面に乗り上げたまま、筒状弾性
体の内周面と上部基板の間に挟まれてしまい、筒状弾性
体が元の状態に復元し得ない可能性がある。
【0009】さらに、制振装置を実用化するためには、
制振性能を予測することができなければならないが、制
振性能を予測するためには、装置のせん断方向への変形
量とせん断方向の反力の関係が明らかでなければならな
い。特開2000−73616号公報、特開2000−
110403号公報に記載された制振装置は、筒状弾性
体内での硬球体の位置が不定であるため、可動範囲が小
さく又は不定であり、その効果も不定である。このた
め、制振性能を正確に予測することができないものであ
った。
【0010】また、上記のような制振装置は、住宅など
の基礎部分に取り付けられるので、交換が容易ではな
い。そのため、長期間の耐久性能を備えているものであ
ることが必要である。
【0011】そこで、本発明は、上記の問題点を解決
し、振動吸収機能と復元機能が確実な制振装置であっ
て、長期間の耐久性能を保持できるものを提供すること
を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の制振装
置は、筒状弾性体と、前記筒状弾性体の内周面に内接し
た状態で筒状弾性体に収容した硬球体と、前記筒状弾性
体の上下端面にそれぞれ取り付けた上下の硬質板とを備
え、構造物の上部構造と下部構造との間に挟んで装着す
ることを特徴としている。
【0013】この制振装置は、筒状弾性体の内周面に内
接した状態で筒状弾性体に硬球体を収容したので、位置
決めのための特別な部材を必要とせず、筒状弾性体の弾
性復元力により、常時は硬球体が筒状弾性体の内部の中
央位置に収まるようになっている。このように筒状弾性
体内での硬球体の位置が決まっているので、可動範囲及
び制振性能を正確に予測することができる。また、硬球
体を筒状弾性体の内周面に内接させることにより、筒状
弾性体の軸方向の剛性が高くなり、荷重支持能力が向上
し、また、制振装置のコンパクト化を図ることができ
る。
【0014】請求項2に記載の制振装置は、筒状弾性体
に用いられる弾性材料のせん断弾性率が、筒状弾性体の
高さに対して25%以下の片振幅において80N/cm2
上、かつ、損失係数tanδが0.3以上であることを特
徴としている。
【0015】さらに好ましくは、請求項3に記載するよ
うに、制振装置は、筒状弾性体に用いられる弾性材料の
せん断弾性率が、筒状弾性体の高さに対して25%以下
の片振幅において100N/cm2以上(さらに望ましくは
200N/cm2以上)で、かつ、損失係数tanδが0.5
以上にするとよい。
【0016】これにより、低歪み時には高い反力を示
し、そのため風や微妙な振動入力の際には応答変位が小
さく、大地震のような大きなエネルギの入力に対しては
大きく変形し、柔らかなばね定数を返す仕組みになって
おり、高性能な振動吸収機能を備えた制振装置を提供す
ることができる。また、特開2000−73616号公
報、特開2000−110403号公報に記載された制
振装置は、硬球体の転がりを許容し、建物の揺れを長周
期化させ、免震作用を機能させることを目的としてい
る。これに対し、本発明は、建物の長周期化させること
よりも、損失係数tanδを大きくすることにより、振動
を吸収するものである。このため、本発明によれば、地
震が収まった後、振動が早期に収まる。
【0017】請求項4に記載の制振装置は、硬球体を収
容した状態で測定した筒状弾性体のせん断弾性率G及び
損失係数tanδが、硬球体を収容しない状態でのせん断
弾性率G及び損失係数tanδに対して、0〜100%増加
することを特徴としている。このように、硬球体を収容
した状態で測定した状態での筒状弾性体のせん断弾性率
G及び損失係数tanδが向上するので、高性能な振動吸収
性能を発揮することができる。硬球体の挿入により、硬
球体と硬質板の接点において、弾性/塑性変形のいずれ
か一方、又は、弾性/塑性変形の両者が発生し、それに
よりエネルギ損失が発生し、損失係数tanδが増加す
る。また、装置の変形に伴い、硬球体が筒状弾性体にめ
り込み、エネルギ損失が発生するとともに反力が増加す
る。特に、大変形領域で硬球体が筒状弾性体に乗り上げ
る領域では、筒状弾性体への硬球体のめり込みが大きく
なり、反力が著しく増加する。これにより大地震時に大
きな振幅が発生するのを抑制することができる。
【0018】請求項5に記載の制振装置は、筒状弾性体
が、周波数2.0Hz、せん断歪み25%で、100℃、
15日間の促進老化試験を行った場合に、せん断弾性率
及び/又は損失係数tanδの変化率が30%以内であるこ
とを特徴としている。上記の促進老化試験は、常温65
年経過に相当する。これにより、制振装置に必要な耐久
性能を長期間確保することができる。
【0019】請求項6に記載の制振装置は、上下の硬質
板が構造物の上部構造と下部構造にそれぞれボルトで締
結されるものであることを特徴としている。すなわち、
構造物の上部構造と下部構造を貫通するアンカーボルト
を必要とせず、構造物の上部構造と下部構造との間に、
本発明の制振装置を介在させて、構造物の上部構造と下
部構造を締結したものである。この場合、制振装置は、
高性能な振動吸収性能を有する制振装置として機能する
だけでなく、従来の貫通式のアンカーボルトを用いた締
結方法と同等以上の締結強度を有するアンカー部材とし
て機能し、かつ、通気用の基礎パッキン材として機能す
る。
【0020】請求項7に記載の制振装置は、上側の硬質
板と構造物の上部構造の取付面、及び、下側の硬質板と
構造物の下部構造の取付面にそれぞれ係合部を設けたこ
とを特徴としている。これによれば、係合部を係合させ
るだけで制振装置を設置することができるので、設置コ
ストが低減し、また設置作業の手間が省ける。
【0021】請求項8に記載の制振装置は、硬球体の外
周面及び/又は筒状弾性体の内周面に潤滑材を塗布した
こと、又は、前記硬球体を収容した筒状弾性体の内部に
潤滑材を充填したことを特徴としている。これにより、
地震時に硬球体を滑らかに転動させることができ、高性
能な振動吸収機能を発揮することができる。また、硬球
体を含む制振装置内部の防錆を図ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係る
制振装置を図面に基づいて説明する。
【0023】制振装置1は、図1(a)に示すように、ゴ
ム製の筒状弾性体2と、筒状弾性体2の内周面に内接し
た状態で筒状弾性体2の内部に収容した硬球体3と、前
記筒状弾性体2の上下端面にそれぞれ取り付けた上下の
硬質板4,5からなる。
【0024】筒状弾性体2は、硬球体3の直径φdと同
じ内径を有する円筒形状の部材である。筒状弾性体2に
用いられる弾性材料のせん断弾性率(せん断ばね定数)
は、高さに対して25%以下の片振幅において80N/cm
2以上、望ましくは100N/cm2以上、さらには200
N/cm2以上である。また、筒状弾性体2に用いられる弾
性材料の損失係数tanδは、0.3以上、好ましくは
0.5以上、さらに好ましくは0.7以上である。
【0025】ここで、ゴム材料の動的特性を複素弾性率
で表現した場合、実数部分を貯蔵弾性率G1、虚数部分を
損失弾性率G2といい、貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2の比
を損失係数tanδという。損失係数tanδ=貯蔵弾性率G1
/損失弾性率G2
【0026】損失係数tanδは、制振材料の制振特性の
評価指標の一つである。すなわち、制振材料は、振動応
答系に減衰があると、その応力・歪み線図(あるいは荷
重・変位線図)は履歴曲線を描くのであるが、損失係数
tanδは、1サイクルで消費されるエネルギと貯蔵され
る最大エネルギの比に比例する量で、等価減衰定数の約
2倍の値に対応する。損失係数tanδは大きいほど減衰
性の高い材料となる。なお、筒状弾性体2のせん断弾性
率(せん断ばね定数)は、硬球体3を収容した状態で
は、硬球体3を収容しない状態に比べて0〜40%向上
する。
【0027】硬球体3は、所要の剛性を備えた球状体で
あり、例えば、鋼鉄製の鋼球を採用することができる。
硬球体3の直径φdは、載荷による筒状弾性体2の撓み
(高さが低くなること)を考慮して、荷重を付加しない
状態での筒状弾性体2の高さをHとしたときに、例え
ば、0.95H≦φd≦1.0Hとなるように、筒状弾性
体2の高さHと等しいか又はより少し低くすることが好
ましい。これにより、地震などの振動入力時に、硬球体
3は滑らかに転がり動作が行えるようになる。
【0028】また、硬球体3の滑らかな転動を確保する
ため、硬球体3と硬質板4,5は載荷時にそれぞれが変
形が生じ難いように同程度の硬度を有する材料(例え
ば、ロックウェル硬度で±5以内、望ましくは同一材
料)で形成することが望ましい。なお、同程度の硬度で
あれば、一方を金属とし、他方をプラスチックとしても
よい。ただし、硬質板側に大きな凹状変形が生じると、
水平せん断変位−水平反力の履歴曲線に負勾配を生じ、
不安定な応答性能を示すため、硬質板の硬度は硬球体の
硬度よりも高いことが望ましい。また、両者の材質をS
45Cに焼入れ・焼鈍しの熱処理を加えてロックウェル
硬度を30以上とすることにより、載荷時においてほと
んど変形を生じないものとなる。
【0029】筒状弾性体2の材質について、筒状弾性体
2はNR高減衰配合ゴムで、耐候性材料で被覆すること
が好ましい。耐候性材料には、ブチルゴム(IIR)、
エチレンプロピレンゴム(EPDM)などがある。硬球体3
を収容する筒状弾性体2の内周面は、地震時に硬球体3
を滑らかに転動させるために潤滑材を塗布し、又は、硬
球体3を収容した筒状弾性体2の内部に潤滑材を充填
し、筒状弾性体2の内周面を耐油性材料で被覆するとよ
い。
【0030】表1に、筒状弾性体2のゴム材料の好適な
配合例を示す。また、筒状弾性体2は、耐候性を向上さ
せるため、耐候性材料、例えばブチルゴムを主成分とす
るゴム組成物で(例えば、厚さ1mm程度)被覆すると
よい。なお、表1中、phrは、配合剤の質量をゴム10
0部に対する部数で示すときにもちいる記号をいう。
【0031】
【表1】
【0032】制振装置1の製造方法は、具体的には、図
2(a)に示すように、中央に硬球体3を入れるための孔
6,7を開けた、上下の硬質板4,5となる2枚の鋼板を
用意する。まず、下側の硬質板5の孔7の周りに加硫接
着剤となるケムロックを塗布し、円筒形の成形空間を有
する2分割金型8,9に設置する。次に、図2(b)に示す
ように、筒状弾性体2の高さ分の幅を有するゴム製シー
ト10を中央部に適当な厚さ巻き付けた芯棒11を金型
8,9内に入れて、下側の硬質板4,5の孔6,7に取り
付ける。図2(a)に示すように、上側の硬質板4の孔6
を芯棒11に挿し込みつつ、上側の硬質板4を2分割金
型8,9に設置する。上記のようにセットした金型8,9
で、筒状弾性体2となるゴム製シート10をプレス加硫
する。これにより、筒状弾性体2の上下両端部に硬質板
4,5が加硫接着した状態になる。加硫後、図2(c)に示
すように、芯棒11を抜いて、硬球体3を筒状弾性体2
の内部に入れ、硬質板4,5の孔6,7に穴埋め用の蓋1
2,13を取り付ける。
【0033】制振装置1の他の製造方法は、図3に示す
ように、円筒状の成形空間を有する第1金型14と、中
央に硬球体を内包用空所に対応する凸部15を備えた第
2金型16を用い、第2金型16の底に下側の硬質板5
となる孔なしの鋼板を設置し、第1金型14と第2金型
16で形成された成形空間に、筒状弾性体2となるゴム
材料17を入れ、筒状弾性体2となるゴム17と孔なし
の下側の硬質板5を加硫接着する。そして、加硫後にゴ
ム17の内部に硬球体3を収容して、上側の硬質板5と
なる孔なしの鋼板をゴム17の上端に接着したものであ
る。
【0034】この制振装置1は、硬球体3が筒状弾性体
2の内周面に内接した状態で配設されているので、設置
時に硬球体3の位置決めを行うことが不要であり、硬球
体3は、常時は筒状弾性体2の中央位置に確実に収まる
ようになっている。これにより、硬球体3が確実に筒状
弾性体2の中央で荷重を受けることができるようになっ
ている。地震時は、図1(b)に示すように、筒状弾性体
2が弾性的に変形して、硬球体3に所要の転動範囲を確
保することができる。制振装置1(硬質板4)の片振幅
は、図1(a)(b)に示すように、硬球体3の中心点Oの移
動距離の2倍になる。
【0035】球の中心点Oがrまで動いたとき、制振装
置1(硬質板4)の片振幅sは2rとなるので、基本的
には、制振装置1(硬質板4)の片振幅が硬球体3の直
径2r以内となるように設計する。大地震などで片振幅
sが2rを越えると、硬質板4,5と硬球体3が接する
荷重支持点zは、筒状弾性体2の上に乗り上げる。図4
に示すように、硬球体3が筒状弾性体2に乗り上げる
と、大きな反力を得ることができるので、筒状弾性体2
に乗り上げたのちせん断ばね定数は徐々に増加する。こ
れは大変形時に制振装置1(硬質板4)の変位を抑制す
るストッパ機能として作用する。
【0036】また、筒状弾性体2は、大きな変形にも対
応できる弾性材料で作成されているので、硬球体3が筒
状弾性体2に乗り上げたあとも制振装置1は破損するこ
とがなく、安全に荷重を支持することができ、z点が下
側の硬質板5の端点に至るまで機能は損なわない。すな
わち、筒状弾性体2は、粘性の強いゴムであるため、硬
球体3に押しつぶされても塑性変形により材料破壊を回
避することができるようになっている。
【0037】また、図5に示すように、地震時における
制振装置1の位置ずれを防止するため、制振装置1の上
側の硬質板4,5と構造物の上部構造18の取付面、及
び、下側の硬質板4,5と構造物の下部構造19の取付
面にそれぞれ係合部20を設けるとよい。この場合、ボ
ルトで締結するのに代えて、係合部20のみで、制振装
置を設置するようにしてもよい。これにより、設置構造
が簡略化し、締め付け作業など設置作業の手間を省くこ
とができる。図5では、係合部20は、制振装置1の上
下の硬質板4,5にそれぞれ凸部21,22を設け、構
造物の上部構造18と下部構造19の取付面にそれぞれ
凹部23,24を設けた凹凸係合部としている。但し、
係合部20の構造は、これに限定されるものではない。
【0038】また、制振装置1は、制振装置1の上側の
硬質板4,5と構造物の上部構造18の取付面、及び、
下側の硬質板4,5と構造物の下部構造19の取付面を
それぞれボルト締結(図示省略)で締結するようにする
とよい。
【0039】次に、長期間性能を確保するため、図6に
示すように、筒状弾性体2は、周波数2.0Hz、せん断
歪み25%で、100℃、15日間の促進老化試験を行
った場合に、せん断弾性率G及び/又は損失係数tanδの
変化率が30%以内にするのがよい。上記の促進老化試
験は、常温65年経過に相当する。これにより、制振装
置1に必要な性能を長期間確保することができる。
【0040】本発明に係る制振装置の一例を示す。この
制振装置は、筒状弾性体2が外径80mm、内径40m
m、高さ40mmの円筒状の部材で、硬球体3は直径4
0mmの鋼球体である。上下の硬質板はそれぞれ一辺が
100mmの正方形の板状体である。筒状弾性体2のゴ
ム材料の好適な配合例は、表1に示すものである。
【0041】この制振装置について、鉛直荷重を735
kNとし、試験速度を0.1Hzとして圧縮せん断試験を
行った。この場合、水平方向の変位を100mmとした
ときの履歴曲線は、図7に示すようになり、水平変位−
せん断弾性率は、図8に示すようになる。この制振装置
では、高いせん断弾性率を示すため、風や小さな地震動
に対してはトリガーの役割を果たし、中から高歪み領域
では、柔らかな応答を示し、建物に作用する加速度を低
減させる作用をする。また、制振装置の限界変形領域で
は再び高いせん断弾性率を示すので、ストッパーの役割
を果たす。
【0042】以上、本発明に係る制振装置を説明した
が、本発明は上記に限定されるものではない。
【0043】
【発明の効果】請求項1に記載の制振装置は、筒状弾性
体の内周面に内接した状態で筒状弾性体に硬球体を収容
したので、筒状弾性体の弾性復元力により、常時は硬球
体が筒状弾性体の内部の中央位置に収まるようになって
いる。この構成では、硬球体を筒状弾性体の内部の中央
位置に収めるために、特別な部材を必要としていない。
本発明によれば、硬球体の位置が決まっているので、装
置の変形量と反力との関係が予測可能であり、設計に基
づく実用化が容易である。また、硬球体を筒状弾性体の
内周面に内接させることにより、筒状弾性体の軸方向の
剛性が高くなり、荷重支持能力が向上し、また、制振装
置のコンパクト化を図ることができる。また、筒状弾性
体のせん断弾性係数を向上するので、高性能の振動吸収
機能を発揮することができる。
【0044】請求項2に記載の制振装置は、筒状弾性体
に用いられる弾性材料のせん断弾性率が、筒状弾性体の
高さに対して25%以下の片振幅において80N/cm2
上で、かつ、損失係数tanδが0.3以上であることを
特徴とし、請求項3に記載の制振装置は、筒状弾性体に
用いられる弾性材料のせん断弾性率が、筒状弾性体の高
さに対して25%以下の片振幅において100N/cm2
上で、かつ、損失係数tanδが0.5以上であることを
特徴としている。これにより、高性能な振動吸収機能を
備えた制振装置を提供することができる。
【0045】請求項4に記載の制振装置は、硬球体を収
容した状態で測定した状態での筒状弾性体のせん断弾性
率および損失係数tanδが、硬球体を収容しない状態で
のせん断弾性率および損失係数tanδに対して、0〜1
00%増加するようにしたので、硬球体を収容した状態
で測定した状態での筒状弾性体のせん断弾性率が向上
し、高性能な振動吸収性能を発揮することができる。
【0046】請求項5に記載の制振装置は、筒状弾性体
が、周波数2.0Hz、せん断歪み25%で、100℃、
15日間の促進老化試験を行った場合に、せん断弾性率
及び/又は損失係数tanδの変化率が30%以内であるの
で、制振装置に必要な性能を長期間確保することができ
る。
【0047】本発明の制振装置は、軸方向の剛性が高
く、十分な荷重支持能力をもっているので、請求項6に
記載するように、構造物の上部構造と下部構造を貫通す
るアンカーボルトを必要とせず、構造物の上部構造と下
部構造との間に、本発明の制振装置を介在させて、構造
物の上部構造と下部構造を締結することができる。この
場合、制振装置は、高性能な振動吸収性能を有する制振
装置として機能するだけでなく、従来の貫通式のアンカ
ーボルトを用いた締結方法と同等以上の締結強度を有す
るアンカー部材として機能し、かつ、通気用の基礎パッ
キン材として機能する。
【0048】請求項7に記載の制振装置は、上側の硬質
板と構造物の上部構造の取付面、及び、下側の硬質板と
構造物の下部構造の取付面にそれぞれ係合部を設けたの
で、設置構造が簡単であり、締め付け作業など設置作業
の手間を省くことができる。
【0049】請求項8に記載の制振装置は、硬球体の外
周面及び/又は筒状弾性体の内周面に潤滑材を塗布した
こと、又は、前記硬球体を収容した筒状弾性体の内部に
潤滑材を充填したので、地震時に硬球体を滑らかに転動
させることができ、高性能な振動吸収機能を発揮するこ
とができ、硬球体を含む制振装置内部の防錆を図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、本発明の一実施形態に係る制振装
置を示す縦断面図であり、(b)はその地震時の状態を
示す。
【図2】 (a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る
制振装置の製造方法を示す図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係る制振装置の他の製
造方法を示す図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係る制振装置の変位と
反力を示す図である。
【図5】 本発明の一実施形態に係る制振装置と構造物
の係合状態を示す縦断面図である。
【図6】 促進老化試験における、筒状弾性体に用いら
れるゴム材料のせん断弾性率及び/又はtanδの変化の
一例を示す図である。
【図7】 本発明の制振装置の圧縮せん断試験における
履歴曲線。
【図8】 本発明の制振装置の圧縮せん断試験における
水平変位−せん断弾性率を示す図。
【図9】 従来の基礎パッキン材を示す図。
【符号の説明】
1 制振装置 2 筒状弾性体 3 硬球体 4,5 硬質板 6,7 孔 8,9 2分割金型 10 ゴム製シート 11 芯棒 12,13 蓋 14 第1金型 15 凸部 16 第2金型 17 ゴム材料 18 上部構造 19 下部構造 20 係合部 21,22 凸部 23,24 凹部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】筒状弾性体と、前記筒状弾性体の内周面に
    内接した状態で筒状弾性体に収容した硬球体と、前記筒
    状弾性体の上下端面にそれぞれ取り付けた上下の硬質板
    とを備え、構造物の上部構造と下部構造との間に挟んで
    装着することを特徴とする制振装置。
  2. 【請求項2】前記筒状弾性体に用いられる弾性材料のせ
    ん断弾性率が、筒状弾性体の高さに対して25%以下の
    片振幅において80N/cm2以上で、かつ、損失係数tan
    δが0.3以上であることを特徴とする請求項1に記載
    の制振装置。
  3. 【請求項3】前記筒状弾性体に用いられる弾性材料のせ
    ん断弾性率が、筒状弾性体の高さに対して25%以下の
    片振幅において100N/cm2以上で、かつ、損失係数ta
    nδが0.5以上であることを特徴とする請求項1に記
    載の制振装置。
  4. 【請求項4】前記硬球体を収容した状態で測定した筒状
    弾性体のせん断弾性率及び損失係数tanδが、硬球体を
    収容しない状態でのせん断弾性率及び損失係数tanδに
    対して、0〜100%増加することを特徴とする請求項
    1から3の何れかに記載の制振装置。
  5. 【請求項5】前記筒状弾性体は、周波数2.0Hz、せん
    断歪み25%で、100℃、15日間の促進老化試験を
    行った場合に、せん断弾性率G及び/又は損失係数tanδ
    の変化率が30%以内であることを特徴とする請求項1
    から4の何れかに記載の制振装置。
  6. 【請求項6】前記上下の硬質板が構造物の上部構造と下
    部構造にそれぞれボルトで締結されるものであることを
    特徴とする請求項1から5の何れかに記載の制振装置。
  7. 【請求項7】前記上側の硬質板と構造物の上部構造の取
    付面、及び、下側の硬質板と構造物の下部構造の取付面
    にそれぞれ係合部を設けたことを特徴とする請求項1か
    ら6の何れかに記載の制振装置。
  8. 【請求項8】前記硬球体の外周面及び/又は筒状弾性体
    の内周面に潤滑材を塗布したこと、又は、前記硬球体を
    収容した筒状弾性体の内部に潤滑材を充填したことを特
    徴とする請求項1から7の何れかに記載の制振装置。
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