JP2003327725A - 微粒子の連結方法および該方法により連結された微粒子を有する基材並びに回路素子及び光学素子 - Google Patents

微粒子の連結方法および該方法により連結された微粒子を有する基材並びに回路素子及び光学素子

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JP2003327725A
JP2003327725A JP2002140958A JP2002140958A JP2003327725A JP 2003327725 A JP2003327725 A JP 2003327725A JP 2002140958 A JP2002140958 A JP 2002140958A JP 2002140958 A JP2002140958 A JP 2002140958A JP 2003327725 A JP2003327725 A JP 2003327725A
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Masakatsu Urairi
正勝 浦入
Shigeru Katayama
茂 片山
Mika Horiike
美華 堀池
Kazuyuki Hirao
一之 平尾
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材の表面や内部に、容易に且つ優れた作業
性で、微粒子を連結することができる微粒子の連結方法
を提供する。 【解決手段】 微粒子の連結方法微粒子を連結する方法
であって、下記の工程(A)〜(B)を具備することを
特徴とする。工程(A):基材中に、微粒子を非連結状
態で含有させる工程;工程(B):基材の外部からの集
光されたレーザーの照射により、基材の表面及び/又は
内部で微粒子を連結する工程基材としてはプラスチック
系基材が好ましい。微粒子としては無機微粒子が好まし
く、前記無機微粒子が、金、銀、銅、白金およびチタン
から選択された少なくとも1種の金属原子、またはケイ
素原子を含有していてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材の表面や内部
で微粒子を連結する方法、および該方法により連結され
た微粒子を有する基材並びに回路素子及び光学素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】最近の電子工業分野での技術開発は目覚
ましく、新機能を有する製品が続々と発表されている。
これに伴い、電子機器の部品素材においても各種機能を
有するものが開発され、近年、プラスチック構造体(部
品)の表面や内部を高機能化する要求が高まってきてい
る。このような高機能化の要求に対して、プラスチック
構造体自身をプラスチックロイ化又は複合化する材料面
での技術対応と、要求に合わせて機能部位を組み込んだ
り、構造の制御を行ったりする加工面での技術対応との
2つの面での取り組みが行われている。例えば、プラス
チック構造体の表面の高機能化・高性能化では、表面の
化学的、電気的、光学的、物理的等の特性の改良・改質
を目的に、材料、加工両面から色々と技術的な取り組み
がなされている。また、プラスチック構造体の内部(バ
ルク)の高機能化・高性能化では、電気や光の伝導性、
光の透過性又は遮断性、水分やガスの透過性又は遮断
性、熱・光・応力等の外部刺激に対する応答性又は記憶
性などの様々な特性の要求に対応して、材料・加工面の
両面から種々の技術的な取り組みがなされている。
【0003】そこで、例えば、基材の表面に異なる機能
(新たな機能等)を付与するには、この表面側から直接
に化学的、電気的、光学的、物理的等エッチングを行っ
たり、レジストを塗布し、現像し、同様なエッチングを
行ったりするなどの形成方法が用いられている。
【0004】一方、レーザー光源に対する技術進歩は著
しく、特に、パルスレーザーでは、ナノ秒(10-9秒)
のオーダーのパルス幅から、ピコ秒(10-12秒)のオ
ーダーのパルス幅へと超短パルス化が進んでおり、更に
最近では、チタン・サファイア結晶などをレーザー媒質
とするフェムト秒(10-15秒)のオーダーのパルス幅
を有するパルスレーザーなども開発されてきている。パ
ルス幅が10-12秒以下である(例えば、パルス幅がフ
ェムト秒のオーダーである)超短パルスレーザー又はそ
のシステムは、通常のレーザーが持つ、指向性、空間的
・時間的なコヒーレントなどの特徴を有するとともに、
パルス幅が極めて狭いことから、同じ平均出力であって
も、単位時間・単位空間当たりの電場強度が極めて高い
という特徴を有している。そのため、この高い電場強度
を利用して、超短パルスレーザーを物質中に照射して新
たな構造(誘起構造)を形成させる試みが、無機ガラス
材料を主な対象物として行われてきている。
【0005】一方で、高分子材料は、熱伝導性が低いと
いう特徴を有しており、蓄熱し易い傾向がある。すなわ
ち、高分子材料は熱運動が無機ガラス材料に比べて容易
に起こり、運動や反応に必要な熱量が少なくて済むの
で、無機ガラス材料に比べて、比較的低い照射エネルギ
ーでも構造が変化したり、アブレーション(ablat
ion;爆発的飛散現象)が生じる。しかし、パルス幅
が10-12秒以下である(例えば、パルス幅がフェムト
秒のオーダーである)超短パルスレーザーの単位時間・
単位空間当たりの電場強度が極めて高いため、レーザー
の照射による高分子材料の損傷が起こりやすいことによ
り、高分子材料の誘起構造の形成に必要な高分子材料の
設計についての把握が困難であり、その結果として、高
分子材料であるプラスチック構造体に関して、超短パル
スレーザーの照射による誘起構造形成の検討は、現在ま
で、無機ガラス材料ほどには行われていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、基材表面
に異なる機能を付与するには、付与するための表面側か
ら全面的にエッチングを行ったり、部分的に付与するに
はレジストを塗布し、現像し、エッチングを行ったりす
るなどの形成方法が用いられているので、作業性が低か
った。そのため、容易に且つ優れた作業性で基材の表面
や内部に異なる機能を付与する方法が求められている。
【0007】従って、本発明の目的は、基材の表面や内
部に、容易に且つ優れた作業性で、微粒子を連結するこ
とができる微粒子の連結方法および該方法により連結さ
れた微粒子を有する基材を提供することにある。本発明
の他の目的は、優れた機能を有し、且つ容易に且つ優れ
た作業性で作製できる回路素子及び光学素子を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため鋭意検討した結果、微粒子をプラスチ
ック系基材に分散させた後、パルス幅が10-12秒以下
のレーザーをプラスチック系基材外部から照射すると、
プラスチック系基材の表面や内部で微粒子が連結される
ことを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成
されたものである。
【0009】すなわち、本発明は、微粒子を連結する方
法であって、下記の工程(A)〜(B)を具備すること
を特徴とする微粒子の連結方法である。 工程(A):基材中に、微粒子を非連結状態で含有させ
る工程 工程(B):基材の外部からの集光されたレーザーの照
射により、基材の表面及び/又は内部で微粒子を連結す
る工程
【0010】前記基材としては、プラスチック系基材を
好適に用いることができる。微粒子としては、無機微粒
子が好ましく、前記無機微粒子は、金、銀、銅、白金お
よびチタンから選択された少なくとも1種の金属原子、
またはケイ素原子を含有していてもよい。
【0011】前記レーザーとしてはパルス幅が10-12
秒以下のレーザーが好ましい。
【0012】また、本発明は、前記微粒子の連結方法に
より、基材の表面及び/又は内部で微粒子を連結させて
作製されたことを特徴とする連結された微粒子を有する
基材を提供する。さらにまた、本発明は、前記連結され
た微粒子を有する基材が構成要素として用いられている
回路素子や光学素子を提供する。
【0013】
【発明の実施の態様】以下に、本発明を必要に応じて図
面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の部材につ
いては、同一の符号を付している場合がある。 [微粒子の連結方法]本発明の微粒子の連結方法は、基
材中で微粒子を連結させる際に、基材中に微粒子を非連
結状態で含有させて、基材の外部からレーザーを照射す
ることにより、基材の表面及び/又は内部で微粒子を連
結させていることを特徴としている。具体的には、下記
の工程(A)〜(B)を具備している。 工程(A):基材中に、微粒子を非連結状態で含有させ
る工程 工程(B):基材の外部からの集光されたレーザーの照
射により、基材の表面及び/又は内部で微粒子を連結す
る工程
【0014】(工程(A))工程(A)では、基材中に
微粒子を非連結状態で含有させて、基材内に、連結され
ていない微粒子を導入している。微粒子は、基材内で、
少なくとも部分的に含有されていればよく、全体的に含
有されていてもよく、必要部位のみに部分的に含有され
ていてもよい。また、含有している部位では、均一的に
分散されていてもよく、不均一に分散されていてもよ
い。
【0015】(基材)基材としては、有機系基材、無機
系基材のいずれであってもよい。基材としては、各種高
分子材料からなるプラスチック系基材を用いることがで
きる。基材は、単層または積層のいずれの形態を有して
いてもよい。前記プラスチック系基材を構成する高分子
材料には、有機系高分子や無機系高分子などの各種ポリ
マー成分が含まれる。高分子材料は単独で又は2種以上
組み合わせられていてもよい。前記有機系高分子として
は、特に制限されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫
外線硬化性樹脂など種々の有機系の樹脂を用いることが
でき、熱可塑性樹脂が好ましく、なかでも2つ以上のガ
ラス転移温度(ガラス転移点)を有する熱可塑性樹脂材
料が好適である。
【0016】有機系高分子としては、例えば、ポリイソ
プレンやポリブタジエンなどのポリジエン類;ポリイソ
ブチレンなどのポリアルケン類;ポリアクリル酸ブチ
ル、ポリアクリル酸エチルなどのポリアクリル酸エステ
ル類;ポリブトオキシメチレンなどのポリビニルエステ
ル類;ポリウレタン類;ポリシロキサン類;ポリサルフ
ァイド類;ポリフォスファゼン類;ポリトリアジン類;
ポリカーボラン類;ポリカーボネート(PC);ポリメ
チルメタクリレート(PMMA)などのメタクリレート
系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)などの
ポリエステル系樹脂;ポリエーテルスルホン(PES)
(ポリエーテルサルホン);ポリノルボルネン;エポキ
シ系樹脂;ポリアリール;ポリイミド;ポリエーテルイ
ミド(PEI);ポリアミドイミド;ポリエステルイミ
ド;ポリアミド;ポリスチレン、アクリロニトリル−ス
チレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのスチレ
ン系樹脂;ポリフェニレンエーテルなどのポリアリーレ
ンエーテル;ポリアリレート;ポリアセタール;ポリフ
ェニレンスルフィド;ポリスルホン(ポリサルホン);
ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルケトンケト
ンなどのポリエーテルケトン類;ポリビニルアルコー
ル;ポリビニルピロリドン;フッ化ビニリデン系樹脂、
ヘキサフルオロプロピレン系樹脂、ヘキサフルオロアセ
トン系樹脂などのフッ素系樹脂などが挙げられる。
【0017】(微粒子)微粒子としては、微粒子状を有
するものであれば特に制限されず、種々の材料(又は素
材)からなる微粒子を用いることができ、例えば、無機
微粒子、有機微粒子などが挙げられる。微粒子は単独で
又は2種以上組み合わせて使用することができる。微粒
子としては、無機微粒子を好適に用いることができる。
【0018】無機微粒子としては、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の周期表1族元
素;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリ
ウム等の周期表2族元素;スカンジウム、イットリウ
ム、ランタノイド元素(ランタン、セリウムなど)、ア
クチノイド元素(アクチニウムなど)等の周期表3族元
素;チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期表4族
元素;バナジウム、ニオブ、タンタル等の周期表5族元
素;クロム、モリブデン、タングステン等の周期表6族
元素;マンガン、テクネチウム、レニウム等の周期表7
族元素;鉄、ルテニウム、オスミウム等の周期表8族元
素;コバルト、ロジウム、イリジウム等の周期表9族元
素;ニッケル、パラジウム、白金等の周期表10族元
素;銅、銀、金等の周期表11族元素;亜鉛、カドミウ
ム、水銀等の周期表12族元素;ホウ素、アルミニウ
ム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表13族
元素;ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛等の周期表14
族元素;アンチモン、ビスマス等の周期表15族元素な
どの無機系原子(無機系元素)を含む粒子状の無機化合
物が挙げられる。該無機化合物は、1種又は2種以上の
無機系原子を含有していてもよい。
【0019】無機微粒子としては、微粒子状の形態を有
する限り、無機系元素単体からなっていてもよく、無機
系元素の酸化物(複合酸化物を含む)、水酸化物、ハロ
ゲン化物(塩化物など)、オキソ酸塩(硝酸塩、硫酸
塩、リン酸塩、炭酸塩など)などであってもよい。
【0020】無機微粒子としては、金、銀、銅、白金お
よびチタンから選択された少なくとも1種の金属原子、
またはケイ素原子を含有していることが好ましい。すな
わち、無機微粒子としては、各種金属原子を含有する金
属微粒子や、ケイ素原子を含有するケイ素微粒子を好適
に用いることができる。
【0021】金属微粒子の材料(又は素材)としては、
各種金属原子を含有する金属系化合物を用いることがで
きる。金属微粒子に係る金属原子には、チタン、ジルコ
ニウム、白金、銅、銀、金、アルミニウムなどが含まれ
る。金属微粒子としては、金、銀、銅、白金およびチタ
ンから選択された少なくとも1種の金属原子を含有して
いるものが好ましい。特に、金や白金は酸化されにく
く、安定であるので、金属微粒子の金属原子として最適
である。
【0022】また、ケイ素微粒子の材料(又は素材)と
しては、ケイ素原子を含有する各種のケイ素系化合物を
用いることができる。
【0023】なお、有機微粒子の材料(又は素材)とし
ては、前記基材の項で例示の有機系高分子が挙げられ
る。また、有機微粒子として、前記無機系元素の有機酸
塩(酢酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩など)、
錯体などの有機系化合物を用いることもできる。
【0024】微粒子の粒径(平均粒子径)としては、例
えば、300μm以下(好ましくは5nm〜100μ
m、さらに好ましくは10nm〜1,000nm)であ
ることが望ましい。
【0025】微粒子の表面には、各種の表面処理が施さ
れていてもよい。微粒子に表面処理を施すことにより、
例えば、溶媒中におけるコロイド粒子としての安定性を
高めることができる。
【0026】微粒子の含有割合は、特に制限されない。
微粒子の含有割合(濃度)としては、例えば、基材全体
に対して1〜90体積%(好ましくは10〜50体積
%)である。微粒子の含有割合が少ないと微粒子同士が
隣り合う確率が少なくなり、多すぎると光の吸収または
反射により光照射による変化を阻害したり、また、例え
ば、基材がプラスチック系基材である場合、プラスチッ
クをシート状に形成することが困難になる。なお、微粒
子の含有割合が全体的には少なくても、基材中に部分的
に含有させることにより、微粒子同士の間隔を狭めて、
隣り合うようにすることができる。従って、本発明で
は、微粒子の全体的な含有割合や全体的な密度などには
制限がなく、基材内で微粒子同士がレーザー照射により
連結可能な間隔で隣り合うように含有されていることが
重要である。
【0027】微粒子を基材に非連結状態で含有させる方
法としては、特に制限されず、例えば、基材がプラスチ
ック系基材である場合、プラスチック系基材のポリマー
成分の溶液又は分散液に、微粒子又はその分散液(例え
ば、微粒子のコロイド状の液など)を混合する方法、プ
ラスチック系基材のポリマー成分の溶融物に、微粒子を
混練する方法などが挙げられる。
【0028】なお、微粒子は、必要に応じて他の材料や
添加剤などとともに用いられていてもよい。
【0029】(工程(B))工程(B)では、基材の外
部から、基材の表面や内部の所定部位に集光されたレー
ザーを照射して、基材の表面及び/又は内部で微粒子を
連結している。
【0030】(集光されたレーザー)本発明では、集光
されたレーザー(「集光レーザー」と称する場合があ
る)を用いていることが重要である。集光レーザーを、
微粒子を含有している基材(微粒子含有基材)の外部か
ら微粒子含有基材の表面又は内部に照射することによ
り、微粒子含有基材の表面又は内部における集光レーザ
ーが照射された照射部及びその周辺部の構造を変化させ
ることができ、微細な構造変化部(誘起構造部)を形成
することができる。例えば、照射するレーザーの波長を
800nmとすると、集光していないレーザーを照射し
た際には、微粒子含有基材には何の変化も生じないが、
集光レーザーを照射すると、多光子の吸収(例えば、2
光子の吸収、3光子の吸収、4光子の吸収、5光子の吸
収など)が生じて、微粒子含有基材中に誘起構造を形成
することが可能となる。具体的には、集光レーザー照射
後に、微粒子含有基材の誘起構造部を観察したところ、
微粒子含有基材内部で、微粒子が連結されていることが
確認された。なお、このような多光子吸収の起こる確率
は、光の強度に比例して増加し、また、強度が強くなる
程、多光子の吸収が起こりやすくなる。
【0031】特に本発明では、レーザー光の強度やその
集光の程度を適宜調整することにより、基材内部(特
に、プラスチック系基材内部)での微粒子の連結の程度
(量、密度など)を調整することができる。
【0032】このようなレーザーとしては、1×10
-12秒以下(1×10-12秒〜1×10 -15秒)のレーザ
ー(「超短パルスレーザー」と称する場合がある)が特
に好ましい。パルス幅が小さいものほど、容易に高い光
強度が得られる点で好ましい。また、より一層微細な誘
起構造部を形成することも可能となる。このような超短
パルスレーザーは、例えば、チタン・サファイア結晶を
媒質とするレーザーや色素レーザーを再生・増幅して得
ることができる。
【0033】レーザー(特に、超短パルスレーザー)に
おいて、その波長としては、例えば、可視光の波長領域
(例えば、400〜800nm)であることが好まし
い。また、その繰り返しとしては、例えば、1Hz〜8
0MHzの範囲から選択することができ、通常、10H
z〜500kHz程度である。
【0034】なお、レーザー(特に、超短パルスレーザ
ー)の平均出力又は照射エネルギーとしては、特に制限
されず、目的とする構造変化部の大きさや構造の変化の
程度等に応じて適宜選択することができ、例えば、50
0mW以下(例えば、1〜500mW)、好ましくは5
〜300mW、さらに好ましくは10〜100mW程度
の範囲から選択することができる。このように、本発明
では、レーザー(特に、超短パルスレーザー)の照射エ
ネルギーは低くてもよい。
【0035】レーザーを集光させる方法としては、特に
制限されず、例えば、集光レンズを用いる方法を好適に
採用することができる。このような集光レンズとして
は、特に制限されず、基材の材質、微粒子の材質、目的
とする構造変化部(微粒子連結部)の大きさや構造の変
化の程度(微粒子の連結の程度)などに応じて適宜選択
することができる。
【0036】集光レーザーの照射スポット径としては、
特に制限されず、目的とする構造変化部の大きさや構造
の変化の程度、集光レンズの大きさや開口数又は倍率な
どに応じて適宜選択することができ、例えば、1.0〜
50μm(好ましくは10〜30μm)程度の範囲から
選択することができる。
【0037】(照射方法)集光レーザーの照射方法とし
ては、特に制限されず、例えば、任意の部位(又は箇
所)の一点のみに又は一点毎に照射したり、焦点の位置
を移動させながらライン状に照射したりする方法を採用
することができる。集光レーザーの焦点位置を移動させ
ながら、集光レーザーを照射する際のライン状として
は、特に制限されず、任意のライン状であってもよく、
例えば、直線状や曲線状などが挙げられる。また、集光
レーザーの焦点位置は、連続的又は間欠的に移動させる
こともできる。なお、集光レーザーをコンピュータ制御
して照射することにより、どんな複雑なライン状であっ
ても、集光レーザーの焦点位置を移動させながら照射す
ることが可能である。
【0038】図1は本発明の集光レーザーの照射方法の
一例を示す概略鳥瞰図である。図1において、1は微粒
子連結部を有する微粒子含有基材(「微粒子連結微粒子
含有基材」と称する場合がある)、2は微粒子含有基
材、3は微粒子連結部(構造変化部)、4は微粒子非連
結部(構造未変化部)である。また、51はパルス幅が
10-12秒以下である超短パルスレーザー(単に「レー
ザー」と称する場合がある)、52は集光レンズであ
り、5は集光レーザーである。微粒子連結微粒子含有基
材1は、微粒子含有基材2中に、微粒子連結部3を形成
することにより作製されている。微粒子連結部(構造変
化部)3は、集光レーザー5の照射による影響を受けて
構造が変化した部位(構造変化部)であり、また、微粒
子非連結部(構造未変化部)4は、集光レーザー5の照
射による影響を受けておらず、元の膜の状態を保持して
いる部位(構造未変化部)である。
【0039】微粒子含有基材2は、その上面は、平面で
あり、X−Y平面に対して平行、又はZ軸に対して垂直
となっている。
【0040】この微粒子含有基材2の表面又は内部の所
定部位に、集光レーザー5を焦点を合わせて照射してい
る。なお、集光レーザー5は、集光レンズ52によりレ
ーザー51が集光されたレーザーである。
【0041】6aは集光レーザー5の照射をし始めたと
きの焦点を合わせた最初の位置又はその中心位置(「照
射開始位置」と称する場合がある)、6bは集光レーザ
ー5の照射を終えたときの焦点を合わせた最終の位置又
はその中心位置(「照射終了位置」と称する場合があ
る)、6cは集光レーザー5の照射の焦点又はその中心
位置(単に「焦点位置」と称する場合がある)が照射開
始位置6aから照射終了位置6bに移動する移動方向で
ある。6は集光レーザー5の照射の焦点位置又は焦点の
中心位置が移動した軌跡(「焦点位置軌跡」と称する場
合がある)である。すなわち、図1では、集光レーザー
5の焦点位置を、照射開始位置6aから照射終了位置6
bにかけて、焦点位置の移動方向6cの方向で、連続的
に直線的に移動させており、該移動した焦点位置の軌跡
が焦点位置軌跡6である。
【0042】具体的には、微粒子含有基材2に集光レー
ザー5を照射すると、前記集光レーザー5の焦点位置軌
跡6上の各焦点位置及びその周辺部(近辺部)における
構造が変化し(微粒子が連結し)、これにより、微粒子
連結微粒子含有基材1は、ライン状の構造変化部3と、
元の状態の構造未変化部4とを有している。
【0043】また、集光レーザー5の照射に際して、そ
の焦点の位置を連続的に移動させているので、微粒子含
有基材2中で構造が変化している(微粒子が連結されて
いる)部位も焦点位置の移動に応じて連続的に移動し
て、移動方向に延びて変化した部位からなる構造変化部
3が形成されている。図1に示すように、集光レーザー
5の焦点位置を、移動方向6の方向に、照射開始位置6
aから照射終了位置6bに移動させた場合、移動方向6
cの方向に沿って形成された構造変化部3を形成するこ
とができる。従って、構造変化部3の長手方向は、移動
方向6cの方向である。
【0044】集光レーザー5の焦点位置を移動させる速
度(移動速度)は、特に制限されず、基材や微粒子の材
質、集光レーザー5の照射エネルギーの大きさ等に応じ
て適宜選択することができる。なお、前記移動速度をコ
ントロールすることにより、構造変化部3の大きさ等を
コントロールすることも可能である。
【0045】なお、集光レーザー5の焦点位置の移動
は、レーザー51及び集光レンズ52と、微粒子含有基
材2との相対位置を動かせることにより、例えば、レー
ザー51及び集光レンズ52、及び/又は微粒子含有基
材2を移動させることにより、行うことができる。具体
的には、例えば、2次元又は3次元の方向に精密に動か
すことができるステージ上に、微粒子含有基材2(照射
サンプル)を設置し、レーザー発生装置及び集光レンズ
を前記微粒子含有基材2に対して焦点が合うよう(任意
の部位でよい)に固定し、前記ステージを動かせて焦点
位置を移動させることにより、微粒子含有基材2の任意
の部位に構造変化部を作製することができる。
【0046】このように、微粒子連結微粒子含有基材1
は、集光レーザー(特に、パルス幅が10-12秒以下の
超短パルスレーザーが集光されたレーザー)を照射し
て、必要に応じて前記焦点位置を移動させるという簡単
な操作により、微粒子含有基材2の任意の部位に、微粒
子が連結されて構造が変化した部位(構造変化部または
微粒子連結部)を形成して作製することができる。
【0047】なお、図1では、集光レーザー5の焦点位
置を移動させることにより、構造変化部3が移動方向に
連続的に形成されており、焦点位置の移動方向が長手方
向となっている。従って、長手方向における構造変化部
3の長さは、例えば、集光レーザー5の焦点位置を移動
させた移動距離に対応させて、調整することができる。
例えば、集光レーザー5の焦点位置を直線的に移動させ
た場合、構造変化部3の焦点移動方向における長さとし
ては、集光レーザー5の焦点位置を移動させた移動距離
と同等又はほぼ同等にすることができる。
【0048】構造変化部3の大きさとしては、特に制限
されず、それぞれ、直径又は1辺の長さが1mm以下
(好ましくは500μm以下)の極めて小さなものであ
っても、精密に制御して形成することができる。特に、
レーザーとして超短パルスレーザーを用いることによ
り、構造変化部(特に、基材中の微粒子連結部)をより
一層精密に制御することが可能となる。
【0049】本発明では、1つの微粒子連結微粒子含有
基材1において、基材中の構造変化部(微粒子連結部)
の数は、特に制限されず、単数であってもよく、複数で
あってもよい。構造変化部が複数設けられている場合、
適度な間隔を隔てて形成することができる。この構造変
化部間の間隔は、任意に選択することができる。前記構
造変化部間の間隔は、例えば、3μm以上であることが
好ましい。構造変化部間の間隔が3μm未満であると、
構造変化部の作製時に構造変化部同士が融合して、独立
した複数の構造変化部とすることができない場合があ
る。
【0050】なお、構造変化部の大きさ、形状、構造の
変化の程度などは、集光レーザーの照射時間、集光レー
ザーの焦点位置の移動方向やその速度、基材の材質の種
類、微粒子の材質の種類、レーザーのパルス幅の大きさ
や照射エネルギーの大きさ、集光レンズの開口数や倍率
などにより適宜調整することができる。
【0051】基材中の構造変化部は、微粒子を連結して
いればよく、該微粒子の連結以外についても、構造が変
化していてもよい。構造変化部において、微粒子が連結
されている状態は、どのような状態であってもよい。微
粒子の連結状態としては、例えば、隣り合っている微粒
子のうち、少なくとも1部(1部又は全部)が連結して
いる状態であればよい。また、連結している微粒子同士
が、さらに連結していてもよく、この場合、連結してい
る微粒子同士の連結は、互いに全体的な連結であっても
よく、部分的な連結であってもよい。
【0052】このように、本発明の微粒子の連結方法に
よれば、微粒子が連結している基材中の微粒子連結部
は、極めて微細に制御よく形成することができる。ま
た、前記方法であるので、容易に且つ優れた作業性で、
微粒子を基材で連結させることができる。
【0053】[微粒子が担持された基材]本発明の微粒
子が連結されている基材は、前述の微粒子の連結方法に
より、すなわち、基材に微粒子を非連結状態(分散状態
等)で含有させた後、該微粒子含有基材の外部から表面
又は内部にレーザー照射することにより作製することが
できる。
【0054】微粒子を含有している基材に、集光レーザ
ーの照射を行うと、集光レーザーの照射部において、微
粒子の連結が生じて、微粒子が連結された構造変化部
(誘起構造部)が形成されて、図2や3に示されるよう
に、微粒子が連結された微粒子含有基材(微粒子連結微
粒子含有基材)が作製される。図2は、微粒子連結微粒
子含有基材の一例を示す概略断面図である。図3は、微
粒子連結微粒子含有基材の他の例を示す概略断面図であ
る。図2及び3において、1、2、3、4は前記と同様
に、それぞれ、微粒子連結微粒子含有基材、微粒子含有
基材、微粒子連結部(構造変化部)、微粒子非連結部
(構造未変化部)である。微粒子連結微粒子含有基材1
は、微粒子連結部(構造変化部)3と、微粒子非連結部
(構造未変化部)4とにより構成される。
【0055】このような微粒子連結部が表面及び/又は
内部に形成されている基材は、回折格子、偏光素子など
の光学素子として好適に用いることができる。また、微
粒子が金属微粒子の場合、微粒子担持部(例えば、微粒
子が分散された微粒子分散部など)は電気伝導性があ
り、電気回路素子などとして好適に用いることができ
る。
【0056】
【発明の効果】本発明の微粒子の連結方法によれば、基
材の表面や内部に、容易に且つ優れた作業性で、微粒子
を連結することができる。また、優れた機能を有してい
る回路素子や光学素子を容易に且つ効率よく作製するこ
とができる。
【0057】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。 (実施例1)市販のポリビニルアルコール系樹脂(PV
A;和光純薬社製「ポリビニルアルコール」;平均重合
度500)の30重量%水溶液を調製後、該水溶液に、
銀微粒子(一次粒子平均粒径20nm)の1重量%(水/
アルコール)分散液を加え、乾燥後の銀微粒子濃度が2
5重量%となるように(すなわち、固形分全量に対する
銀微粒子の割合が25重量%となるように)調整して混
合し攪拌した。次に、該混合液を、キャストして、銀微
粒子が分散しているPVAフィルム(厚み100μm;
照射サンプルA)を得た。
【0058】この照射サンプルAの上面から、該Ag層
の表面(上面)又はその付近に焦点を合わせて、チタン
・サファイア・フェムト秒パルスレーザー装置及び対物
レンズ(倍率:10倍)を使用して、超短パルスレーザ
ー(照射波長:800nm、パルス幅:150×10
-15秒、繰り返し:200kHz)を、照射エネルギー
(平均出力):20mW、焦点:照射サンプルA表面、
照射スポット径:約20μmの条件で、照射サンプルA
を照射方向に垂直な方向に移動速度:約500μm/秒
でライン状に移動させながら照射した。さらに、そのラ
インに平行に幅20μm、長さ5mmのラインを50μ
mの間隔で3本形成した。その結果、照射サンプルAの
表面に、超短パルスレーザーの照射を開始した焦点位置
(照射開始位置)から、照射を止めた焦点位置(照射終
了位置)にかけて、元の表面とは異なる構造を有する構
造変化部(誘起構造部)が形成されていた。また、光学
顕微鏡で表面を観察したところ、幅20μmのラインが
形成されており、1部金属光沢が見られた。さらにま
た、前記ラインの両末端間の電気抵抗を測定したところ
160kΩで導通を確認でき、回路素子となることが観
察できた。
【0059】このような構造変化部では、銀微粒子が連
結されていた。該銀微粒子の連結は、銀微粒子の集合を
意味しており、構造変化部としての銀微粒子集合部(照
射部)と、微粒子の少ない銀微粒子非集合部(未照射
部)とにより構成される。さらに、この銀微粒子集合部
は、光の反射が強くなっているので、未照射部より光の
透過(強度)が強く、照射部と未照射部で透過光の明暗
のコントラストが発現し、光学素子として利用できる。
【0060】(比較例1)銀微粒子(一次粒子平均粒径
20nm)の95重量%(水/アルコール)分散液を調
製し、該銀微粒子の分散液を用いること以外は、実施例
1と同様にして、銀微粒子が分散しているPVAフィル
ム(厚み100μm)を作製した。該サンプルに、超短
パルスレーザーを照射せずに、電気抵抗を測定したとこ
ろ、電気の導通は生じなかった。
【0061】(実施例2)市販のポリビニルピロリドン
(PVP;和光純薬社製「K−90」)の15重量%メタ
ノール溶液を調製後、シリカ微粒子(日本アエロジル社
製「アエロジル90」、一次粒子平均粒径30nm)を
加え、乾燥後のシリカ微粒子濃度が15重量%となるよ
うに(すなわち、固形分全量に対するシリカ微粒子の割
合が15重量%となるように)調整して混合し攪拌し
た。次に、該混合液を、キャストして、シリカ微粒子が
分散しているPVPフィルム(厚み100μm;照射サ
ンプルB)を得た。
【0062】この照射サンプルBの上面から、実施例1
と同様にして、この照射サンプルBに実施例1と同様の
条件で超短パルスレーザーを照射し、光学顕微鏡で表面
を観察したところ、実施例1と同様に、幅20μmのラ
インが形成されて構造変化部が形成されていた。該構造
変化部では、シリカ微粒子の集合体が確認され、シリカ
微粒子が連結されていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の集光レーザーの照射方法の一例を示す
概略鳥瞰図である。
【図2】微粒子連結微粒子含有基材の一例を示す概略断
面図である。
【図3】微粒子連結微粒子含有基材の他の例を示す概略
断面図である。
【符号の説明】
1 微粒子連結部を有する微粒子含有基材(微粒子連
結微粒子含有基材) 2 微粒子含有基材 3 微粒子連結部(構造変化部) 4 微粒子非連結部(構造未変化部) 5 集光されたレーザー 51 パルス幅が10-12秒以下である超短パルスレー
ザー 52 集光レンズ 6 集光レーザー5の焦点位置軌跡 6a 集光レーザー5の照射開始位置 6b 集光レーザー5の照射終了位置 6c 集光レーザー5の焦点位置の移動方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 5/18 G02B 5/18 H01B 13/00 H01B 13/00 Z 503 503D (72)発明者 堀池 美華 大阪府茨木市下穂積一丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 平尾 一之 京都府京都市左京区田中下柳町8−94 Fターム(参考) 2H049 AA02 AA06 AA31 AA42 AA44 4F073 AA04 AA14 AA32 BA17 BA34 BA49 BA52 BB01 BB08 CA46 HA11 HA12 4J002 AA001 BE021 BJ001 DA076 DA096 DA116 DD026 DE046 DE216 DF036 DG046 DH046 EG016 GP00 GQ00 GQ05 5G323 BA01 BB06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微粒子を連結する方法であって、下記の
    工程(A)〜(B)を具備することを特徴とする微粒子
    の連結方法。 工程(A):基材中に、微粒子を非連結状態で含有させ
    る工程 工程(B):基材の外部からの集光されたレーザーの照
    射により、基材の表面及び/又は内部で微粒子を連結す
    る工程
  2. 【請求項2】 基材が、プラスチック系基材である請求
    項1記載の微粒子の連結方法。
  3. 【請求項3】 微粒子が、無機微粒子である請求項1又
    は2記載の微粒子の連結方法。
  4. 【請求項4】 無機微粒子が、金、銀、銅、白金および
    チタンから選択された少なくとも1種の金属原子、また
    はケイ素原子を含有している請求項3記載の微粒子の連
    結方法。
  5. 【請求項5】 レーザーがパルス幅が10-12秒以下の
    レーザーである請求項1〜4の何れかの項に記載の微粒
    子の連結方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかの項に記載の微粒
    子の連結方法により、基材の表面及び/又は内部で微粒
    子を連結させて作製されたことを特徴とする連結された
    微粒子を有する基材。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の連結された微粒子を有す
    る基材が構成要素として用いられている回路素子。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の連結された微粒子を有す
    る基材が構成要素として用いられている光学素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2014175163A1 (ja) * 2013-04-26 2017-02-23 昭和電工株式会社 導電パターンの製造方法及び導電パターン形成基板
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