JP2003321405A - ジヒドロピラン化合物およびアルコール化合物の製造方法 - Google Patents

ジヒドロピラン化合物およびアルコール化合物の製造方法

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JP2003321405A JP2002123859A JP2002123859A JP2003321405A JP 2003321405 A JP2003321405 A JP 2003321405A JP 2002123859 A JP2002123859 A JP 2002123859A JP 2002123859 A JP2002123859 A JP 2002123859A JP 2003321405 A JP2003321405 A JP 2003321405A
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Kiyoshi Watanabe
澄 渡辺
Naoto Ogoshi
直人 小越
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Nippon Zeon Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アルデヒドと共役ジエン化合物とを環化付加さ
せるジヒドロピラン化合物の製造方法、及びこのジヒド
ロピラン化合物を水素化するアルコール化合物の製造方
法を提供する。 【解決手段】常温溶融塩中、ルイス酸の存在下に、式
(2)で表されるアルデヒドと式(3)で表される共役
ジエン化合物とを環化付加させる式(1)で表されるジ
ヒドロピラン化合物の製造方法、及び該ジヒドロピラン
化合物を水素化する式(4)で表されるアルコール化合
物の製造方法。 【化1】 (式中、Rは水素原子、炭素数1〜12のアルキル
基、炭素数1〜12のアルケニル基又は置換基を有して
いてもよいアリール基等を表し、R〜Rは、水素原
子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数2〜12の
アルケニル基等を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルデヒドと共役
ジエン化合物とのヘテロディールスアルダー反応(以
下、単に「環化付加反応」ともいう。)により、5,6
−ジヒドロ−2H−ピラン環を有する化合物(以下、
「ジヒドロピラン化合物」という。)を製造する方法、
およびこの方法で得られたジヒドロピラン化合物を水素
化するアルコール化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ジヒドロピラン化合物は、香料の製造原
料などとして有用である。また、いくつかのジヒドロピ
ラン化合物は、それ自体、貴重な香料でもある。従来、
ジヒドロピラン化合物の製造方法としては、ベンズアル
デヒドとイソプレンとのヘテロディールスアルダー反応
によるものが知られている。
【0003】しかしながら、一般にこの種のヘテロディ
ールスアルダー反応は、グリオキシル酸エステルやトリ
クロロアセトアルデヒドのような反応性の高いアルデヒ
ドを使用する場合にしか、実用的な収率で生成物を得る
ことができなかった。例えば、ベンズアルデヒドとイソ
プレンとを、シクロヘキサンやトルエンなどの炭化水素
系溶媒中で、無水塩化アルミニウムなどのルイス酸触媒
の存在下に環化付加反応しても、目的とする4−メチル
−6−フェニル−5,6−ジヒドロピランの収率は50
%以下である(Comprehensive Orga
nic Synthesis.,Vol.5,p43
1,Pergamon Press,1991年、特開
平11−29564号公報)。
【0004】その改良方法として、例えば、(a)ベン
ズアルデヒドとイソプレンとを二価のパラジウム錯体触
媒の存在下で環化付加反応する方法(Tetrahed
ron Lett.,37巻,6351−6354頁,
1996年)、(b)トリフルオロメタンスルホン酸の
80%水溶液を触媒として環化付加反応する方法(Te
trahedron Lett.,38巻,2569−
2572頁,1997年)などが提案されている。しか
しながら、上記(a)の方法では、高価な二価のパラジ
ウム触媒を使用しなければならず、また、(b)の方法
では、毒性が強く、取り扱いが面倒であるトリフルオロ
メタンスルホン酸を使用しなければならないという問題
があった。
【0005】また、2価パラジウム触媒やトリフルオロ
メタンスルホン酸を用いることなく、ヘテロディールス
アルダー反応の反応収率を高める試みもなされている。
例えば、特公平6−99419号公報には、アルデヒド
と共役ジエン化合物とを、無機ルイス酸触媒および助触
媒としての脂肪族または芳香族ニトロ化合物の存在下で
環化付加反応する方法が開示されている。また、特開平
11−29564号公報においては、アルデヒドと共役
ジエン化合物とを、ルイス酸触媒の存在下で環化付加反
応させるに際し、助触媒として、用いるアルデヒドより
もルイス酸への配位力が弱く、ルイス酸に配位してルイ
ス酸を溶媒へ溶解させる働きを有する化合物と塩基とを
用いる方法が提案されている。しかしながら、これらの
方法では、アルデヒドの反応性を高めるために、反応系
にルイス酸触媒に加えて助触媒をさらに添加する必要が
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる実情
の下でなされたものであって、アルデヒドと共役ジエン
化合物とを簡易な方法で環化付加させるジヒドロピラン
化合物の製造方法、および得られたジヒドロピラン化合
物を水素化するアルコール化合物の製造方法を提供する
ことを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ルイス酸
の存在下にアルデヒドと共役ジエンとの環化付加反応を
行なうにあたって、溶媒として常温溶融塩を用いたとこ
ろ、驚くべきことに、(i)助触媒を用いなくとも、目的
とするジヒドロピラン化合物を高い収率で得ることがで
きること、(ii)常温溶融塩と非極性有機溶媒の2相系で
反応を行なうことにより、ジヒドロピラン化合物を容易
に単離することができ、かつ、常温溶融塩を繰り返し溶
媒として使用することができることを見出し、本発明を
完成するに到った。
【0008】かくして本発明の第1によれば、溶媒中、
式(2)
【0009】
【化5】
【0010】(式中、Rは水素原子、置換基を有して
いてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有し
ていてもよい炭素数1〜12のアルケニル基または置換
基を有していてもよいアリール基を表す。)で表される
アルデヒドと、式(3)
【0011】
【化6】
【0012】(式中、R〜Rはそれぞれ独立して、
水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の
アルキル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜
12のアルケニル基を表す。また、RとRとが結合
してジエン炭素を含む炭素環を形成していてもよい。)
で表される共役ジエンとを環化付加反応して、式(1)
【0013】
【化7】
【0014】(式中、R〜Rは前記と同じ意味を表
す。)で表されるジヒドロピラン化合物を製造する方法
において、前記溶媒として、常温溶融塩を用いることを
特徴とするジヒドロピラン化合物の製造方法が提供され
る。
【0015】本発明の製造方法においては、前記常温溶
融塩として、イミダゾリウム塩を用いるのが好ましく、
前記環化付加反応を、常温溶融塩と非極性有機溶媒との
2相系溶媒中で行なうのがより好ましく、前記非極性有
機溶媒として、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素を
用いるのがさらに好ましい。また、本発明の製造方法に
おいては、前記環化付加反応をルイス酸触媒の存在下に
行なうのが好ましい。
【0016】本発明の第2によれば、本発明の製造方法
により得られた前記式(1)で表されるジヒドロピラン
化合物を単離せずに水素化することを特徴とする、式
(4)
【0017】
【化8】
【0018】(式中、R〜Rは前記と同じ意味を表
す。)で表されるアルコール化合物の製造方法が提供さ
れる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 1)常温溶融塩 本発明の製造方法は、反応溶媒として常温溶融塩を用い
ることを特徴とする。常温溶融塩(「イオン性液体」と
も称される。)は有機のカチオンを有する室温で液体の
化合物である。この常温溶融塩は、(i)化学的および熱
安定性に優れること、(ii)蒸気圧が小さいこと、(iii)
腐食性がないこと、および(iv)広い温度範囲において安
定な液体であることなどの特徴を有する。
【0020】本発明に用いる常温溶融塩としては、上記
した特徴を有するものであれば特に制限されない。例え
ば、含窒素ヘテロ環化合物の環を構成する窒素原子が4
級化(アルキル化)された第4級アンモニウム化合物の
塩が挙げられる。
【0021】含窒素ヘテロ環化合物としては、例えば、
1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1
−n−プロピルイミダゾール、1−イソプロピルイミダ
ゾール、1−n−ブチルイミダゾールなどの1−アルキ
ルイミダゾール類;2−メチルピリジン、3−メチルピ
リジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、3
−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−n−プロ
ピルピリジン、3−n−プロピルピリジン、4−n−プ
ロピルピリジン、2−イソプロピルピリジン、3−イソ
プロピルピリジン、4−イソプロピルピリジン、2−n
−ブチルピリジン、3−n−ブチルピリジン、4−n−
ブチルピリジン、3−メトキシピリジン、4−メトキシ
ピリジン、3−トリフルオロメチルピリジン、4−トリ
フルオロメチルピリジンなどの置換ピリジン類;1,8
−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン;1,
5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5ノネン;などが挙
げられる。
【0022】第4級アンモニウム化合物の塩の好ましい
具体例としては、下記式:(a)で表されるイミダゾリ
ウム塩および式:(b)で表されるピリジニウム塩が挙
げられる。
【0023】
【化9】
【0024】(式中、R,Rは、互いに独立して炭
素数1〜10のアルキル基を表す。)
【0025】
【化10】
【0026】(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキ
ル基を表す。)
【0027】前記R〜Rの炭素数1〜10のアルキ
ル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチ
ル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチ
ル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル
基、n−ノニル基、n−デシル基などが挙げられる。こ
れらの中でも、R〜Rとしては、入手容易性などの
観点から炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
【0028】(X)としては、例えば、テトラフルオ
ロボレートイオン(BF )、ヘキサフルオロフォス
フェートイオン(PF )、トリフルオロメタンスル
ホネートイオン(CFSO )、塩化物イオン(C
)、臭化物イオン(Br )、硝酸イオン(NO
)、パークロレイトイオン(ClO )、ビス(ト
リフルオロメチルスルホニル)イミドイオン〔(CF
SO〕などが挙げられる。これらの中でも、
より安定な常温溶融塩を形成するBF 、PF
CFSO 、または(CFSOが好ま
しい。
【0029】式(a)で表されるイミダゾリウム塩の具
体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムテトラ
フルオロボレート、1,3−ジメチルイミダゾリウムヘ
キサフルオロフォスフェート、1,3−ジメチルイミダ
ゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1,3−ジ
メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホ
ニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム
テトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミ
ダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−エチル
−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホ
ネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス
(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3−ジ
エチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3
−ジエチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェー
ト、1,3−ジエチルイミダゾリウムトリフルオロメタ
ンスルホネート、1,3−ジエチルイミダゾリウムビス
(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、
【0030】1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウ
ムテトラフルオロボレート、1−n−ブチル−3−メチ
ルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−
n−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメ
タンスルホネート、1−n−ブチル−3−メチルイミダ
ゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミ
ド、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロラ
イド、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロ
マイド、1−n−ペンチル−3−メチルイミダゾリウム
クロライド、1−n−ペンチル−3−メチルイミダゾリ
ウムブロマイド、1−n−ヘキシル−3−メチルイミダ
ゾリウムテトラフルオロボレート、1−n−ヘキシル−
3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェー
ト、1−n−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリ
フルオロメタンスルホネート、1−n−ヘキシル−3−
メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホ
ニル)イミド、1−n−ヘキシル−3−メチルイミダゾ
リウムクロライド、1−n−ヘキシル−3−メチルイミ
ダゾリウムブロマイドなどが挙げられる。
【0031】式(b)で表されるピリジニウム塩として
は、例えば、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボ
レート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロフォス
フェート、1−ブチルピリジニウムトリフルオロメタン
スルホネート、1−ブチルピリジニウムビス(トリフル
オロメチルスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウ
ムナイトレート、1−ブチル−3−メチルピリジニウム
テトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルピリ
ジニウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ブチル−
3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネー
ト、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフ
ルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メ
チルピリジニウムクロライド、1−ブチル−3−メチル
ピリジニウムナイトレート、1−ブチル−4−メチルピ
リジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−4−
メチルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェート、1
−ブチル−4−メチルピリジニウムトリフルオロメタン
スルホネート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムビ
ス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチ
ル−4−メチルピリジニウムナイトレートなどが挙げら
れる。
【0032】これらの中でも、入手容易性および目的物
を効率よく得ることができる観点から、式(a)で表さ
れるイミダゾリウム塩が好ましい。
【0033】前記式(a)で表されるイミダゾリウム塩
は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0034】
【化11】
【0035】(式中、R、Rは前記と同じ意味を表
し、Xaはハロゲン原子を表し、Mはアルカリ金属な
どを表し、XbはPF、BF、ClO、(CF
SONなどを表す。) すなわち、式(c)で表される1−アルキルイミダゾー
ルに、式:R−Xaで表されるハロゲン化アルキルを
反応させて、式(a−1)で表されるイミダゾリウム塩
を得ることができる。
【0036】さらに、式(a−1)で表されるイミダゾ
リウム塩に、NaPF、NaBF 、KClO
(CFSONLiなどを反応させて対イオンを
交換して、式(a−2)で表されるイミダゾリウム塩を
得ることができる。
【0037】また、式(a)で表されるイミダゾリウム
塩のうち、(X)がトリフルオロメタンスルホネート
である化合物(a−3)は、以下に示すように、式
(c)で表される1−アルキルイミダゾールに、式:C
SOで表されるトリフルオロメタンスルホン
酸エステル化合物を反応させて製造することができる
(Inorg.Chem.,36,1168(199
6)参照。)
【0038】
【化12】
【0039】(式中、R、Rは前記と同じ意味を表
す。) 式(b)で表されるピリジニウム塩は、例えば、次のよ
うにして製造することができる。
【0040】
【化13】
【0041】(式中、Rは前記と同じ意味を表し、X
cはハロゲン原子を表し、Mはアルカリ金属などを表
し、Xdは、PF、BF、ClO、(CFSO
Nなどを表す。) すなわち、式(d)で表されるピリジンに、式:R
Xcで表されるハロゲン化アルキルを反応させて、式
(b−1)で表されるピリジニウム塩を得ることができ
る。また、式(b−1)で表されるピリジニウム塩に、
式:MXdで表される塩を反応させて対イオンを交換
して、式(b−2)で表されるピリジニウム塩を得るこ
とができる。
【0042】環化付加反応における常温溶融塩の使用量
は特に制限されないが、後述する式(2)で表されるア
ルデヒドに対して、通常20重量%以上、好ましくは3
0重量%以上、より好ましくは100重量%以上、さら
に好ましくは150重量%以上である。常温溶融塩の使
用量の上限は特に制限されないが、単離効率、経済性な
どを考慮して、適宜定めることができる。
【0043】2)式(2)で表されるアルデヒド 本発明では、式(2)で表されるアルデヒドを用いる。
前記式(2)中、Rは水素原子、置換基を有していて
もよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有してい
てもよい炭素数2〜12のアルケニル基、置換基を有し
ていてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基または置
換基を有していてもよいアリール基を表す。
【0044】前記Rの炭素数1〜12のアルキル基と
しては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル
基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル
基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、
n−ドデシル基などが挙げられる。炭素数2〜12のア
ルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニ
ル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オ
クテニル基などが挙げられる。炭素数3〜8のシクロア
ルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル
基、シクロヘキシル基などが挙げられる。また、アリー
ル基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フリ
ル基、チエニル基、ピリジル基などが挙げられる。
【0045】前記炭素数1〜12のアルキル基、炭素数
2〜12のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロアルキ
ル基およびアリール基の置換基としては、本発明の環化
付加反応を阻害しないものであれば特に制約されない。
例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などの炭
素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、
n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ
基、tert−ブトキシ基などの炭素数1〜10のアル
コキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロ
ゲン原子;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピル
チオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、te
rt−ブチルチオ基などの炭素数1〜10のアルキルチ
オ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−
プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n
−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基
などの炭素数1〜10のアルキルスルホニル基;などが
挙げられる。また、前記炭素数1〜12のアルキル基、
炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロ
アルキル基およびアリール基は、同一または相異なる複
数の置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素
数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコ
キシ基が好ましい。
【0046】前記式(2)で表されるアルデヒドの具体
例としては、アセトアルデヒド、プロピオルアルデヒ
ド、ブチルアルデヒド、ピバルアルデヒド、バレルアル
デヒド、カプロンアルデヒド、ヘプトアルデヒド、カプ
リルアルデヒド、カプロンアルデヒド、ラウリンアルデ
ヒドなどのRが炭素数1〜10のアルキル基であるア
ルデヒド;シクロプロピルアルデヒド、シクロペンチル
アルデヒド、シクロヘキシルアルデヒドなどのRが炭
素数3〜8のシクロアルキル基であるアルデヒド;ベン
ズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチ
ルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、4
−メトキシベンズアルデヒド、3,5−ジメトキシベン
ズアルデヒド、2−クロロベンズアルデヒド、2−クロ
ロ−4−メチルベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒ
ド、フルフラール、ピリジンアルデヒドなどのRが置
換基を有していてもよいアリール基である芳香族アルデ
ヒド;などが挙げられる。
【0047】これらの中でも、収率よく目的物が得られ
る観点から、芳香族アルデヒドが好ましく、ベンズアル
デヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベン
ズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒドがより好ま
しく、ベンズアルデヒドが特に好ましい。
【0048】3)式(3)で表される共役ジエン化合物 本発明は、式(3)で表される共役ジエン化合物を用い
る。前記式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立して、
水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のア
ルキル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜6
のアルケニル基を表す。
【0049】置換基を有していてもよい炭素数1〜6の
アルキル基のアルキル基としては、例えば、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペ
ンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。また、置
換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基と
しては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プ
ロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニ
ル基、ヘキセニル基などが挙げられる。
【0050】前記RおよびRの置換基を有していて
もよい炭素数1〜6のアルキル基または置換基を有して
いてもよい炭素数2〜6のアルケニル基の置換基は、環
化付加反応を阻害しない基であれば特に制約されない。
かかる置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、
n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、te
rt−ブチル基などの炭素数1〜10のアルキル基;メ
トキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポ
キシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などの
炭素数1〜10のアルコキシ基;などが挙げられる。
【0051】これらの中でも、RおよびRは、水素
原子または炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、水
素原子または炭素数1〜3のアルキル基がより好まし
く、水素原子またはメチル基であるのが特に好ましい。
【0052】また、前記式(3)で表される共役ジエン
化合物は、RとRとが結合してジエン炭素を含む炭
素環を形成していてもよい。かかる炭素環としては、例
えば、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘ
プテン環、シクロオクテン環が挙げられる。
【0053】前記式(3)で表される共役ジエン化合物
の具体例としては、ブタジエン、1,3−ペンタジエ
ン、イソプレン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、
2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘ
キサジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、2,
4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタ
ジエン、2−メチル−1,3−ヘプタジエン、2−メチ
ル−1,3−オクタジエンなどの直鎖状共役ジエン化合
物;シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエ
ン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオク
タジエンなどの環状共役ジエン化合物;などが挙げられ
る。
【0054】これらの中でも、イソプレン、2−メチル
−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ヘキサ
ジエン、シクロペンタジエンが好ましく、イソプレンま
たは2−メチル−1,3−ペンタジエンがより好まし
く、イソプレンが特に好ましい。
【0055】また、式(3)で表される共役ジエン化合
物においては、置換基R〜Rの少なくとも一つが水
素原子でない場合には、二重結合に基づく立体異性体
(シス異性体およびトランス異性体)が存在し得る。共
役ジエン化合物が共役ジエン化合物の立体異性体の混合
物でも、ある特定の立体異性体のみであっても、本発明
の環化付加反応に用いることができる。
【0056】式(3)で表される共役ジエン化合物の使
用量は、式(2)で表されるアルデヒド1モルに対し
て、通常0.1〜10モル、好ましくは0.5〜3モ
ル、より好ましくは、0.7〜1.5モルの範囲であ
る。
【0057】4)ルイス酸 本発明においては、ルイス酸の存在下に環化付加反応を
行なうのが好ましい。用いるルイス酸は特に限定されな
いが、例えば、塩化アルミニウム、四塩化スズ、三塩化
鉄、三塩化チタン、三フッ化ホウ素などが挙げられる。
これらの中でも、四塩化スズまたは塩化アルミニウムの
使用が好ましく、塩化アルミニウムの使用が特に好まし
い。ルイス酸の使用量は、式(2)で表されるアルデヒ
ド1モルに対して、通常、0.001〜1モル、好まし
くは0.005〜0.8モルの範囲である。
【0058】5)環化付加反応 環化付加反応は、常温溶融塩に所定量の式(2)で表さ
れるアルデヒドと式(3)で表される共役ジエン化合物
とを添加し、内容物を撹拌することにより行なわれる。
環化付加反応の反応温度および反応時間は、用いる式
(2)で表されるアルデヒドや式(3)で表される共役
ジエン化合物の反応性、使用するルイス酸の種類、使用
量および常温溶融塩の種類などに依存する。反応温度
は、通常、−50℃〜+100℃、好ましくは−30℃
〜+80℃、より好ましくは−20℃〜+70℃であ
る。反応時間は、通常数十分から数十時間である。ま
た、この環化付加反応は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘ
リウムガスなどの不活性ガス雰囲気下で行なうのが好ま
しい。
【0059】式(2)で表されるアルデヒドおよび式
(3)で表される共役ジエン化合物を添加する方法とし
ては、これらを予め所定割合で混合した混合物を常温溶
融塩に添加する方法、または式(2)で表されるアルデ
ヒドと式(3)で表される共役ジエン化合物とを別々に
添加する方法が挙げられる。後者の場合において、添加
する順序は、式(2)で表されるアルデヒドが先であっ
ても、式(3)で表される共役ジエン化合物が先であっ
てもよい。
【0060】本発明においては、常温溶融塩と非極性溶
媒との2相系溶媒中で環化付加反応を行なうのが好まし
い。この場合には、常温溶融塩に非極性溶媒を添加し、
次いで式(2)で表されるアルデヒドおよび式(3)で
表される共役ジエン化合物を添加して環化付加反応を行
なっても、式(2)で表されるアルデヒドおよび式
(3)で表される共役ジエン化合物の非極性溶媒溶液を
常温溶融塩に添加して環化付加反応を行なってもよい。
非極性溶媒は常温溶融塩と混ざり合わないので、非極性
溶媒を使用する場合には2相系で環化付加反応が進行す
る。2相系溶媒中で反応を行なうことにより、反応終了
後の後処理操作が容易になり、目的物を容易に取り出す
ことができ、また、常温溶融塩をそのまま反応溶媒とし
て再使用することができる。
【0061】用いる非極性溶媒としては、反応に不活性
な非極性溶媒であれば特に制約されず、例えば、脂肪族
炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素などを使用
することができる。
【0062】脂肪族炭化水素としては、例えば、n−ペ
ンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、
n−ノナン、n−デカンなどが挙げられる。芳香族炭化
水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、クロロベンゼンなどが挙げられる。脂環式炭化水素
としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、
メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタ
ンなどが挙げられる。これらの中でも、効率よく目的物
を単離することができることなどの理由から、脂肪族炭
化水素または芳香族炭化水素の使用が好ましく、脂肪族
炭化水素の使用が特に好ましい。
【0063】6)後処理操作 環化付加反応終了後は、常温溶融塩中で反応を行なった
場合には、反応液に有機溶媒を加えて常温溶融塩の層と
有機溶媒の層とを分離し、蒸留法、カラムクロマトグラ
フィー法、再結晶法などの公知の精製手段により、有機
溶媒の層から目的とする式(1)で表されるジヒドロピ
ラン化合物を単離することができる。また、常温溶融塩
は回収して反応溶媒として再使用することができる。
【0064】環化付加反応を常温溶融塩と非極性有機溶
媒との2相系で行なう場合には、反応液を静置すると、
常温溶融塩の層と非極性溶媒の層(以下、「有機層」と
いう。)に分離する。分離した有機層から目的とするジ
ヒドロピラン化合物を単離することができる。常温溶融
塩の層は反応容器にそのまま残るが、このものは再度反
応溶媒として繰り返して使用することができる。
【0065】7)式(1)で表されるジヒドロピラン化
合物 以上のようにして得られる式(1)で表されるジヒドロ
ピラン化合物には、二重結合に基づくシス異性体および
トランス異性体や光学異性体が存在し得る。本発明によ
り得られるジヒドロピラン化合物はこれらの異性体混合
物であっても、いずれか一つの異性体であってもよい。
また、ジヒドロピラン化合物のシス異性体とトランス異
性体は、例えば、カラムクロマトグラフィーにより分離
することができる。
【0066】ジヒドロピラン化合物は、それ自体で香料
組成物の香気成分として有用である(米国特許第368
1263号公報、Arm.Khm.Zh.,29巻
(3),276−277頁,1976年)。また、この
ものは、農薬、医薬などの製造中間体や後述するアルコ
ールの製造原料としても有用である。
【0067】8)アルコールの製造方法 本発明の第2は、上記のようにして得られた式(1)で
表されるジヒドロピラン化合物を水素化して、式(4)
で表されるアルコールを製造する方法である。水素化す
る方法としては、水素化触媒の存在下に、水素による接
触水素還元法が好ましい。
【0068】用いる水素化触媒としては特に制約され
ず、公知の水素化触媒を使用することができる。水素化
触媒としては,例えば、ニッケル、コバルト、鉄、チタ
ン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウ
ムなどから選ばれる少なくとも1種の金属を含む水素化
触媒が挙げられる。これらの水素化触媒は、それぞれ単
独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用して
もよい。
【0069】水素化触媒の使用量は、ジヒドロピラン化
合物100重量部に対して、通常0.01〜50重量
部、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは
0.1〜10重量部である。水素化反応温度は、通常1
0℃〜250℃、好ましくは50℃〜200℃、より好
ましくは80℃〜180℃である。また水素の圧力は、
通常0.01MPa〜30MPa、好ましくは0.1M
Pa〜20MPa、より好ましくは0.1MPa〜10
MPaである。水素化反応時間は、通常0.5〜50時
間である。
【0070】水素化反応終了後は、水素化触媒を除去し
た後、得られる反応混合物を蒸留法、カラムクロマトグ
ラフィーなどの公知の分離・精製手段により精製して、
目的とする式(4)で表されるアルコール化合物を効率
よく得ることができる。
【0071】以上のようにして得られる式(4)で表さ
れるアルコール化合物は、香料組成物の香気成分、医薬
・農薬の製造中間体などとして有用である。
【0072】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。なお、以下の実施例及び比較例にお
いて用いる部は、特に断りのない限り重量基準である。
【0073】反応生成物の純度及び収率の分析はガスク
ロマトグラフィーによる分析(以下、「GC分析」とい
う。)で行なった。GC分析の条件を下記に記す。 GC機器:GC6850(アジレント・テクノロジー・
インク社製) カラム:HP5(30mキャピラリーカラム、内径0.
25mm、膜圧0.25μm) インジェクション温度:200℃ カラム昇温条件:40℃で10分保持→10℃/1分で
250℃まで昇温→250℃で5分保持 検出器:FID 検出器温度:300℃ キャリアーガス:ヘリウム 内部標準物質:n−デカン
【0074】実施例1 4−メチル−6−フェニル−
5,6−ジヒドロ−2H−ピランの合成 攪拌装置および温度計を取り付けた三つ口フラスコに、
無水塩化アルミニウム3.20部および常温溶融塩(1
−ブチル−3−メチル−イミダゾリウム テトラフルオ
ロボレート)16.27部を窒素気流下に仕込んだ。こ
の混合物を氷水浴で冷却し、イソプレン3.27部、ベ
ンズアルデヒド5.09部およびn−ヘプタン34.2
部の混合液を、反応容器の温度を5℃以下に保ちながら
1時間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を0℃
で5時間攪拌した。反応終了後、攪拌を止めて有機層と
常温溶融塩層とが完全に分離するのを待ち、有機層を分
取した。得られた有機層をn−デカンを内部標準物質と
してGC分析したところ、目的とする4−メチル−6−
フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピランが収率78
%で得られたことが分かった。
【0075】また、得られた有機層を半分に分け、半分
に分割した有機層から溶媒(n−ヘプタン)を減圧留去
して残留物を蒸留することにより、所望の4−メチル−
6−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピランを3.
1部得た(単離収率:74%)。得られた有機層の残り
半分は、溶媒であるn−ヘプタンを減圧留去して実施例
5の水素化反応に供した。
【0076】実施例2 常温溶融塩を繰り返し使用する
4−メチル−6−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−
ピランの合成 実施例1の反応後のフラスコ内に残存する常温溶融塩層
を氷水浴で冷却し、イソプレン3.27部、ベンズアル
デヒド5.09部およびn−ヘプタン34.2部の混合
液を、反応容器の温度を5℃以下に保ちながら1時間か
けて滴下し、実施例1と同様に環化付加反応を行なっ
て、反応液から有機層を分取した。得られた有機層をG
C分析した結果、目的とする4−メチル−6−フェニル
−5,6−ジヒドロ−2H−ピランが収率77%で得ら
れたことが分かった。
【0077】実施例3 常温溶融塩を繰り返し使用する
4−メチル−6−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−
ピランの合成 実施例2の反応後のフラスコ内に残った常温溶融塩層
を、実施例2と同様にして環化付加反応を行ない、有機
層を分取した。得られた有機層をGC分析したところ、
目的とする4−メチル−6−フェニル−5,6−ジヒド
ロ−2H−ピランが収率77%で得られたことが分かっ
た。
【0078】実施例1〜3から、常温溶融塩(1−ブチ
ル−3−メチル−イミダゾリウムテトラフルオロボレー
ト)を反応溶媒として用いて、ベンズアルデヒドとイソ
プレンとの環化付加反応により、目的とする4−メチル
−6−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピランを収
率よく得ることができること、および常温溶融塩を反応
溶媒として繰り返し使用することが可能であることわか
った。
【0079】比較例1 4−メチル−6−フェニル−
5,6−ジヒドロ−2H−ピランの合成 ベンズアルデヒド12.7部を、60℃に加熱したシク
ロヘキサン95部中の塩化アルミニウム1.4部の混合
物に添加した。次いでイソプレン16.3部をそれに3
0分で添加し、さらに無水塩化アルミニウム1.4部を
添加し、得られた混合物を65℃でさらに30分間攪拌
した。反応混合物を室温まで放冷した後、全容を氷水に
注いだ。分離した有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、
次いで飽和食塩水で洗浄した。溶媒を減圧留去し、残留
物を減圧蒸留したところ、所望のジヒドロピランは収率
23%でしか得られなかった。
【0080】比較例2 4−メチル−6−フェニル−
5,6−ジヒドロ−2H−ピランの合成 比較例1において、溶媒をシクロヘキサン95部に代え
てトルエン85部を用い、無水塩化アルミニウムの使用
量を6.4部、反応温度を5〜15℃とした以外は比較
例1と同様に反応を行ない、同様に後処理を行なった。
所望のジヒドロピランは収率48%でしか得られなかっ
た。
【0081】実施例4 5−フェニル−3−メチル−1
−ペンタノールの製造 オートクレーブに実施例1で得られた4−メチル−6−
フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン3部を入
れ、そこへ、メタノール50部と水素化触媒として5%
Pd−炭素1部を添加して、内部を窒素ガスで十分に置
換した後、密閉した。次いで、オートクレーブ内に水素
を供給し、100℃、水素圧力0.70MPaで5時間
撹拌して水素化反応を行った。オートクレーブを開け
て、反応液から水素化触媒を除去した濾液を濃縮して、
残留物を蒸留して、目的とする5−フェニル−3−メチ
ル−1−ペンタノールを2.9部得た(収率:97
%)。このものの構造は、H−NMRスペクトルによ
り確認した。
【0082】実施例5 5−フェニル−3−メチル−1
−ペンタノールの製造 オートクレーブに実施例1で得られた4−メチル−6−
フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピランを含む反応
液を入れ、水素化触媒として5%Pd−炭素1部を添加
して、内部を窒素ガスで十分に置換した後、密閉した。
次いで、オートクレーブ内に水素を供給し、100℃、
水素圧力0.70MPaで5時間撹拌して水素化反応を
行った。オートクレーブを開けて、反応液から水素化触
媒を除去した濾液を濃縮して、残留物を蒸留して、目的
とする5−フェニル−3−メチル−1−ペンタノールを
3部得た。(ベンズアルデヒドからの収率:74%)。
このものの構造は、H−NMRスペクトルにより確認
した。
【0083】実施例5の結果から、ベンズアルデヒドと
イソプレンから、4−メチル−6−フェニル−5,6−
ジヒドロ−2H−ピランを単離することなく、連続的に
2段階で5−フェニル−3−メチル−1−ペンタノール
を製造することができることがわかった。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、常温溶融塩を反応溶媒
として用いることにより、助触媒なしでも、ルイス酸の
存在下にアルデヒドと共役ジエン化合物との環化付加反
応により、目的とするジヒドロピラン化合物を高い収率
で得ることができる。また、常温溶融塩と非極性有機溶
媒の2相系で反応を行なうことにより、ジヒドロピラン
化合物を容易に単離することができる。さらに、アルデ
ヒドと共役ジエン化合物との環化付加反応を行なった
後、ジヒドロピラン化合物を単離することなく連続的に
水素化反応を行なうことにより、香料成分などとして有
用なアルコール化合物を効率よく製造することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C062 BB24 4H006 AA02 AC41 BA25 BA55 BB11 BB14 BE20 FC52 FE11 4H039 CA42 CA60 CB10 CB20 CF90 CH40 CH50

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶媒中、式(2) 【化1】 (式中、Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭
    素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよい
    炭素数1〜12のアルケニル基、置換基を有していても
    よいシクロアルキル基または置換基を有していてもよい
    アリール基を表す。)で表されるアルデヒドと、式
    (3) 【化2】 (式中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、置
    換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基ま
    たは置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルケ
    ニル基を表す。また、RとRとが結合してジエン炭
    素を含む炭素環を形成していてもよい。)で表される共
    役ジエンとを環化付加させて、式(1) 【化3】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を表す。)で表さ
    れるジヒドロピラン化合物を製造する方法において、前
    記溶媒として、常温溶融塩を用いることを特徴とするジ
    ヒドロピラン化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】前記常温溶融塩として、イミダゾリウム塩
    を用いる請求項1に記載のジヒドロピラン化合物の製造
    方法。
  3. 【請求項3】前記環化付加反応を、常温溶融塩と非極性
    有機溶媒との2相系溶媒中で行なうことを特徴とする請
    求項1〜2のいずれかに記載のジヒドロピラン化合物の
    製造方法。
  4. 【請求項4】前記非極性有機溶媒として、脂肪族炭化水
    素または芳香族炭化水素を用いる請求項3に記載のジヒ
    ドロピラン化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】前記環化付加反応を、ルイス酸触媒の存在
    下に行なう請求項1〜4のいずれかに記載のジヒドロピ
    ラン化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法
    により得られた前記式(1)で表されるジヒドロピラン
    化合物を単離せずに水素化することを特徴とする、式
    (4) 【化4】 (式中、R〜Rは前記と同じ意味を表す。)で表さ
    れるアルコール化合物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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