JP2003319923A - 立位練習器 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 脳卒中や糖尿病を患った人や膝関節の手術後
の患者など、歩行障害を有する患者がリハビリを行うと
きの立位練習中における各種データを記録して、練習状
況を定量的に把握することができる立位練習器を提供す
ること。 【解決手段】 立位でつかまる支持棒3a、3bを支柱
4により支持せしめた立位練習器2において、支柱4に
加えられた力を検知する支柱力検知装置4a、4bと、
床に加えられた力を検知する床反力検知装置5a、5b
と、支柱力検知装置4a、4b及び床反力検知装置5
a、5bの出力をそれぞれ演算する演算装置10とを備
え、演算装置10に、力の基準値を入力する手段を設
け、この力の基準値と比較しながら前記出力結果を統計
処理する統計処理装置11と、各演算結果を同期するよ
うに演算処理する同期演算処理装置12と、同期演算処
理装置の同期演算結果を表示する表示装置13と、同期
演算結果を記憶するデータ記憶装置14とを備える。
の患者など、歩行障害を有する患者がリハビリを行うと
きの立位練習中における各種データを記録して、練習状
況を定量的に把握することができる立位練習器を提供す
ること。 【解決手段】 立位でつかまる支持棒3a、3bを支柱
4により支持せしめた立位練習器2において、支柱4に
加えられた力を検知する支柱力検知装置4a、4bと、
床に加えられた力を検知する床反力検知装置5a、5b
と、支柱力検知装置4a、4b及び床反力検知装置5
a、5bの出力をそれぞれ演算する演算装置10とを備
え、演算装置10に、力の基準値を入力する手段を設
け、この力の基準値と比較しながら前記出力結果を統計
処理する統計処理装置11と、各演算結果を同期するよ
うに演算処理する同期演算処理装置12と、同期演算処
理装置の同期演算結果を表示する表示装置13と、同期
演算結果を記憶するデータ記憶装置14とを備える。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高齢者や足腰の不
自由な人等のリハビリに適した立位練習器に関し、特
に、ベッドや車椅子などからの立ち上がり時や、立ち上
がった後の各種データを記録して、練習状況を定量的に
把握することができる立位練習器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】立位練習は、高齢者や足腰の不自由な
人、脳卒中や糖尿病などを患った人、膝関節の手術後の
患者等に対して、日常動作をする上において、また社会
復帰を果たすために大変重要である。この立位練習のリ
ハビリ過程において、立位練習器でベッドや車椅子など
からの立ち上がり練習を行い、次に他の歩行練習器で歩
行練習を行い、やがて杖歩行に移行する過程を経る。 【0003】従来の立位(歩行)練習器は、一対の支持
棒を支柱により手摺り状に略水平に配設したものからな
り、支持棒につかまって立位又は歩行のための足踏みな
どを行うことにより、足腰の訓練を行うようになってい
る。このような立位練習器としては、例えば、特開20
01−079114号公報では、上肢による力の信号を
記録し、表示することができる平行棒歩行練習器が開示
されており、また、特開平7−241281号公報で
は、下肢に関する力を記録し、表示することができる床
反力計が開示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の立位練習器には、立ち上がり練習や立位練習を実施
しても、どのように力を入れて立ち上がっているか、ま
た、下肢の回復度や左右の体のバランス、あるいは手摺
りである支持棒にどれだけ依存しているか、さらに、立
位の姿勢中にどれだけの荷重が下肢にかかっているか、
健足から患足への体重の移動など、上肢、下肢を同時に
解析する手段がなく、医者や理学療法士において、練習
状況の総合的かつ定量的な把握ができない点で問題があ
った。 【0005】本発明は、上記従来の立位練習器が有する
問題点に鑑み、脳卒中や糖尿病を患った人や膝関節の手
術後の患者など、歩行障害を有する患者がリハビリを行
うときの立位練習中における各種データを記録して、練
習状況を定量的に把握することができる立位練習器を提
供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の立位練習器は、立位でつかまる支持棒を支
柱により支持せしめた立位練習器において、支柱に加え
られた力を検知する支柱力検知装置と、床に加えられた
力を検知する床反力検知装置と、支柱力検知装置及び床
反力検知装置の出力をそれぞれ演算する演算装置とを備
えるとともに、演算装置に、力の基準値の入力手段から
入力した力の基準値と比較しながら前記出力結果を統計
処理する統計処理装置と、演算装置の各演算結果を同期
するように演算処理する同期演算処理装置と、該同期演
算処理装置の同期演算結果を表示する表示装置と、該同
期演算結果を記憶するデータ記憶装置とを備えたことを
特徴とする。 【0007】この立位練習器は、立位でつかまる支持棒
を支柱により支持せしめ、支柱に加えられた力を検知す
る支柱力検知装置と、床に加えられた力を検知する床反
力検知装置と、支柱力検知装置及び床反力検知装置の出
力をそれぞれ演算する演算装置とを備え、演算装置に、
力の基準値の入力手段から入力した力の基準値と比較し
ながら前記出力結果を統計処理する統計処理装置と、演
算装置の各演算結果を同期するように演算処理する同期
演算処理装置と、該同期演算処理装置の同期演算結果を
表示する表示装置と、該同期演算結果を記憶するデータ
記憶装置とを備えたことから、立位練習中に上肢により
支持棒にかけた力と下肢により床に加えられた力とを、
同期させた状態で、力の基準値と比較しながら表示装置
に表示し、かつ記録することができ、これにより、力の
基準値や過去のデータとの比較等により立位練習の進捗
状況や回復度などを定量的に把握するとともに、これら
のデータを活用することにより、医者や理学療法士は患
者の立位練習を有効に進めて短期間の立位練習を実現す
ることができる。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の立位練習器の実施
の形態を図面に基づいて説明する。 【0009】図1〜図2に、本発明の立位練習器の一実
施例を示す。図において、1は立位練習者、2は立位練
習器を示し、立位練習器2は、立位でつかまる一対の支
持棒3a、3bと、この支持棒3a、3bを略水平に支
持する2本の支柱4とを備えている。 【0010】この立位練習器2は、支柱4に加えられた
力を検知する支柱力検知装置4a、4bと、支持棒3
a、3b間で床に加えられた力を検知する床反力検知装
置5a、5bと、立位練習者の姿勢や挙動を撮影するテ
レビカメラ9と、支柱力検知装置4a、4b、床反力検
知装置5a、5b及びテレビカメラ9の出力をそれぞれ
演算する演算装置10とを備えている。そして、この立
位練習器2は、演算装置10に、力の基準値を入力する
手段を設け、この力の基準値と比較しながら前記出力結
果を統計処理する統計処理装置11と、各演算結果を同
期するように演算処理する同期演算処理装置12と、該
同期演算処理装置12の同期演算結果を表示する表示装
置13と、該同期演算結果を記憶するデータ記憶装置1
4と、同期演算結果を音で出力する音出力装置15とを
備えている。 【0011】支柱4は、その上部に支持棒3a、3bを
略平行に固定し、また、支持棒3の地上からの高さを立
位練習者1の体格に合わせて調節できるように構成され
ている。 【0012】支柱力検知装置4a、4bは、2本の支柱
4の一部にそれぞれ配設されたロードセル等からなり、
各支柱4にかかった力を電気信号に変換し、その信号を
演算装置10に送出する。 【0013】床反力検知装置5a、5bは、床部6の一
部に配設された左右一対の床反力計からなり、この床反
力計には、その上面にかかった力を電気信号に変換する
ロードセル等がそれぞれ配設されるとともに、ロードセ
ルの信号は演算装置10に導かれている。床反力検知装
置5a、5bと床部6とは、通常時は略同一平面を形成
しており、これにより、立位練習者1は、違和感なく支
持棒3a、3bに頼りながら左右の足7、8を床反力検
知装置5a、5bの上に立位することができる。なお、
7は立位練習者の左足、8は右足を示している。 【0014】演算装置10は、支柱力検知装置4a、4
bや床反力検知装置5a、5bの各出力信号を演算する
ものであり、本実施例では、力の基準値を入力する手段
を設け、この力の基準値と比較しながら前記出力結果を
統計処理する統計処理装置11と、各検知装置4、5の
演算結果を同期するように演算処理する同期演算処理装
置12と、表示装置13及びデータ記憶装置14等とを
備えた、例えば、パソコン等により構成されている。 【0015】統計処理装置11は、支柱力検知装置4
a、4bや床反力検知装置5a、5bにより検知される
力の基準値(閾値。この値は、立位練習者1の体格や歩
行障害の程度等に合わせて任意の値に設定することがで
きる。)を入力する手段を備え、支柱力検知装置4a、
4bや床反力検知装置5a、5bにより検知される力
と、予め入力した基準値と比較しながら統計処理するも
のである。そして、統計処理する内容としては、特に限
定されるものではないが、例えば、 検知された力が、その基準値をオーバーした回数 検知された力が、その基準値をオーバーした面積(後
述の波形グラフモードを表示する図4において縦線を施
したA部の合計面積) 検知された力のピーク値の平均値(後述の波形グラフ
モードを表示する図4における計測範囲(計測範囲は、
任意に設定することができる。)におけるピーク値の平
均値) 検知された力の全体の平均値(後述の波形グラフモー
ドを表示する図4における計測範囲における全体の平均
値) 検知された力の時間に対する変動の大きさ(後述の波
形グラフモードを表示する図4における計測範囲におけ
る最大値と最小値の差) について統計処理を行う。 【0016】同期演算処理装置12は、支柱にかかる上
肢荷重、床反力検知装置5a、5bによる下肢荷重など
のアナログ信号を取り込むことができる。これらの取り
込んだ信号は、A/D又はD/A変換ボードを介して演
算/記録装置に送られ、力の信号などに変換処理が行わ
れる。また、この同期演算処理装置12は、各信号、又
は信号間のデータの演算により、力の統計処理や、力の
かかっている向きと大きさのベクトル演算なども実施す
ることができる。 【0017】表示装置13には、同期演算処理装置12
による演算結果が送られ、必要な情報がオペレータの操
作によって選択的に表示される。この表示装置13で
は、演算結果の時間的な変動値の表示及び力の基準値と
の比較表示のほか、フレキシブルディスク等の記録媒体
から読み出した過去の練習データとの比較表示なども行
うことができる。また、表示装置13が内蔵するスピー
カ等からなる音出力装置15により、必要に応じて警告
音や音声を発生することができる。 【0018】データ記憶装置14は、パソコン等を用い
て得られた練習データを、フレキシブルディスク等の記
録媒体に記録することができる。また、このデータ記憶
装置14は、過去の練習結果との比較や再生などを行う
ことも可能であり、その結果は表示装置13に送られ表
示される。立位練習者1は、この表示装置13を見なが
ら、自らの立位バランスや現在の回復度合い等を確認
し、その結果を自らの立位姿勢にフィードバックするこ
とにより、より高い練習の効果を得ることができる。 【0019】音出力装置15からは、支柱力検知装置4
a、4bや床反力検知装置5a、5bに加えられた力の
大きさや、左右の上肢にかかっている力のバランス具合
等を音声出力することが可能であり、これにより、練習
者は、自分の欠点や練習状況を目で確認する以外に、耳
で聞きながら練習に励むことができる。 【0020】次に、この立位練習器の使用方法を説明す
る。立位練習者1は、車椅子18に座った状態で立位練
習器2の入り口に位置した後、左上肢1aで支持棒3a
を、右上肢1bで支持棒3bをつかんで立ち上がり動作
を行う。このとき、左足7は床反力検知装置5aの上
に、右足8は床反力検知装置5bの上に位置するように
し、体重の一部を支持棒3a、3bに預けながら立位動
作を行う。 【0021】この場合、左右の上肢でつかんだ支持棒3
a、3bの位置における力を、演算装置10により演算
する。また、立位練習者1の左下肢7が床反力検知装置
5a上に、右下肢8が床反力検知装置5b上に位置する
ように立位したときに、下肢にかかった力や位置などを
演算装置10により演算する。 【0022】このとき、同期演算処理装置12により、
上肢にかかる力やその各方向毎の分力からそのベクトル
方向を演算するとともに、下肢にかかる力やその各方向
毎の分力からそのベクトル方向を演算することができ
る。また、この同期演算処理装置12により、左下肢7
や右下肢8の位置及びその時間変化から、立位時の力の
バランスや、重心の移動状況などを演算することができ
る。これらの演算結果は、表示装置13に表示され、ま
た、音出力装置15などにより音声出力することも可能
である。 【0023】図3に、演算装置10の表示装置13にお
ける表示結果の一例を示す。ここで、ボタン20をクリ
ックすれば、表示は棒グラフモードとなる。図におい
て、21は支持棒3からの前後方向の上肢荷重を示す棒
グラフで、21aは左上肢、21bは右上肢に関するデ
ータを示している。また、22は支持棒3からの上下方
向の上肢荷重を示す棒グラフで、22aは左上肢、22
bは右上肢に関するデータを示している。さらに、23
は床反力検知装置5a、5bの荷重を示す棒グラフで、
23aは左下肢、23bは右下肢に関するデータを示し
ている。 【0024】この場合、縦軸は25に黒マークが付され
ているので体重比%を示しており、最大値はボタン26
をクリックすることにより変更することができる。ボタ
ン27をクリックすれば荷重の大きさをキログラム単位
で示すことも可能であり、その場合の最大値はボタン2
8をクリックすることにより変更することができる。 【0025】図4は、ボタン30をクリックして、表示
を波形グラフモードとした場合であり、車椅子18から
の立ち上がり動作時の例を示している。このように、図
示しないスタートキーをクリックすることにより、測定
データの時間変化を波形で表示することができる。図に
おいて、31aは左上肢、31bは右上肢による支持棒
3からの前後方向の上肢荷重に関するデータを示してい
る。また、32aは左上肢、32bは右上肢による支持
棒3からの上下方向の上肢荷重に関するデータを示して
いる。さらに、33aは左下肢、33bは右下肢による
床反力検知装置5a、5bの荷重に関するデータを示し
ている。 【0026】時間の経過に伴い、上肢荷重31、32、
床反力33は、それぞれ右方向に波形が進行し、規定の
時間経過によりデータの採取が完了すると、この波形な
どは自動停止する。なお、測定の途中で停止する場合
は、図示しない停止キーをクリックする。 【0027】また、波形グラフモードを表示する図4に
は、演算装置10の入力手段から入力した、支柱力検知
装置4a、4bや床反力検知装置5a、5bの各出力信
号に対応する力の基準値を出力できるようにする(図4
には、一例として、左下肢7による床反力検知装置5a
の荷重に関するデータ33aに対応する力の基準値(こ
の場合は、一例として、体重の60%)を太線で出力し
ている。)。 【0028】そして、例えば、手術直後で体重の100
%を手術後の下肢にかけられない場合、立位の練習をサ
ポートする理学療法士の指示により、仮に10%、30
%・・・と徐々に体重をかけながら立位練習を行うか、
又は、仮に20%などの規定値以上体重をかけないよう
な立位練習を行う。この場合、表示装置13を見ること
によりその瞬時瞬時の下肢荷重の値をモニターすること
ができる。手術側の下肢の体重感覚が麻痺しているよう
な場合で、立位練習者の自覚が不十分な場合でも、この
表示画面13を見ながら立位すれば、体重のかけ方が目
で見て確認でき、また、理学療法士においても常時モニ
ターできる効果がある。 【0029】また、目の不自由な立位練習者のために、
下肢荷重があらかじめ10%、30%などの設定値を越
えた場合、スピーカ15よりピーと警告音を発したり、
下肢荷重が設定値を越えた旨の音声を出力することがで
きる。あるいは、20%などの規定値を越えない場合に
警告音を発し、規定値以上の十分な体重をかけるように
指導を行ったり、体重のかけ方が不足している旨の音声
を出力することができる。これにより、目の不自由な立
位練習者であっても、耳で音声などを聞きながら、正し
い立位練習に取り組むことが可能となる。 【0030】また、車椅子などからの立ち上がり動作の
場合の波形や棒グラフから、立ち上がり時の力のかけ方
を定量的に把握することができる。正しい立ち上がり動
作は、できるだけ支持棒3を引かないように、なおかつ
できるだけ支持棒3に頼らないで立つ動作が要求され
る。すなわち、できるだけ棒グラフ21、22や、波形
31、32が小さくなることが望まれる。 【0031】次に、車椅子からの立ち上がり動作で支持
棒3a、3b間での立位がとれるようになると、左右の
足のバランス、足踏み等の練習を行うが、この場合、患
足に体重をかけることは恐怖心のために時間がかかり、
また、麻痺患者の場合は、知覚することが困難である。 【0032】また、図示しない入力装置により、得られ
た出力波形のうちで、統計処理を行う範囲を指示するこ
とができる。ちなみに、図4の場合は、2〜8秒を計測
範囲としている。 【0033】統計処理装置11では、入力した基準値
(この場合は、一例として、体重の60%)と比較し
て、 検知された力が、その基準値をオーバーした回数 検知された力が、その基準値をオーバーした面積(波
形グラフモードを表示する図4において縦線を施したA
部の合計面積) 検知された力のピーク値の平均値(波形グラフモード
を表示する図4における計測範囲(計測範囲は、任意に
設定することができる。)におけるピーク値の平均値) 検知された力の全体の平均値(波形グラフモードを表
示する図4における計測範囲における全体の平均値) 検知された力の時間に対する変動の大きさ(波形グラ
フモードを表示する図4における計測範囲における最大
値と最小値の差) などの計算処理を行い、表示装置13に結果を表示し、
データ記憶装置14に記憶する。この結果、患者の回復
の度合い、波形の種類、変化の特徴、パターン又は時間
的なばらつき度合い、安定性や不安定性、動揺率などが
定量化できる。 【0034】一方、図5は、ボタン40のベクトルをク
リックした場合の表示例を示している。横方向からのテ
レビカメラ9で全体画像データを各力の信号と同時に取
り込み、この挙動画面に合わせて上肢及び下肢にかかる
力のベクトル表示を示したものである。 【0035】先ず、上肢1により支持棒3にかかってい
る力をベクトル的に演算し、ベクトル41にて表示して
いる。ベクトル41aは左上肢、41bは右上肢に関す
るデータを示している。また、各床反力検知装置5a、
5bにかかっている力に関してもベクトル的に演算し、
左下肢7によりかかっている力はベクトル42aとし
て、右下肢8によりかかっている力はベクトル42bと
して、それぞれ表示されている。 【0036】なお、この図によると、ベクトル41aか
ら、左上肢は支持棒を若干押しながら立位しているこ
と、ベクトル41bから、右上肢は支持棒を若干引きな
がら立位していること、ベクトル42a、42bの違い
から右下肢に十分体重がかけられていないこと等が、目
で見て感覚的に理解される。 【0037】したがって、このような場合には、できる
だけ引かないような立ち上がりの練習を繰り返し指導す
る。また、左右の下肢に均等に荷重がかけられるように
繰り返し指導する。すなわち、麻痺していたり、手術し
た下肢に十分体重をかける練習(場合によってはかけ過
ぎないような練習)を行う。さらには、歩行のための足
踏みの練習や、麻痺側の下肢の前への振出しの練習など
も行うことができる。 【0038】このように、本実施例の立位練習器では、
立位練習者の立位挙動の解析結果にベクトル表示を重ね
ることにより、立位挙動状況を総合的かつ定量的で、さ
らに感覚的に理解しやすいように表示し記録することが
可能である。これにより、立位練習者に対しても、また
立位練習を指導する理学療法士に対しても、この記録デ
ータは立位回復度を知るには大変重要となり、しかも、
力を目で見て直接理解できることとなり、さらに、臨床
現場において、理学療法士による立位練習者への正しい
立位の説明や理解に大きな効果を有することとなる。 【0039】この各実施例の立位練習器では、立位練習
者の支持棒に対して及ぼす上肢の力、床反力検知装置5
a、5bに及ぼす下肢の力を演算するとともに、棒グラ
フ表示、波形表示、ベクトル表示することができる。そ
して、これらを記憶するとともに、過去のデータとの比
較により、練習の進捗状況や回復度などを定量的に把握
することができる。また、左右の下肢荷重バランスの違
いなども同様に、演算、表示、記憶することができ、こ
れらのデータを有効に活用することにより、医者や理学
療法士が患者の立位練習を有効に進めることができ、そ
の結果、短期間に練習を実施することが可能となる。 【0040】さらに、同期演算処理装置の同期演算結果
を音にて出力する音出力装置を設けることにより、練習
結果を視認するだけでなく、耳で聞きながら練習を行え
るため、例えば、目の不自由な人でも、練習の結果を確
認しながら練習に励むことが可能となる。また、各実施
例の立位練習器は、その平面面積が大変小さいので、ベ
ッド回りに移動しての立ち上がり練習にも適し、さら
に、面積の少ないリハビリテーション施設などでも適用
することが可能である。 【0041】以上、本発明の立位練習器について、その
実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記
載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱
しない範囲において適宜その構成を変更することができ
るものである。 【0042】 【発明の効果】本発明の立位練習器によれば、立位でつ
かまる支持棒を支柱により支持せしめ、支柱に加えられ
た力を検知する支柱力検知装置と、床に加えられた力を
検知する床反力検知装置と、支柱力検知装置及び床反力
検知装置の出力をそれぞれ演算する演算装置とを備え、
演算装置に、力の基準値の入力手段から入力した力の基
準値と比較しながら前記出力結果を統計処理する統計処
理装置と、演算装置の各演算結果を同期するように演算
処理する同期演算処理装置と、該同期演算処理装置の同
期演算結果を表示する表示装置と、該同期演算結果を記
憶するデータ記憶装置とを備えたことから、立位練習中
に上肢により支持棒にかけた力と下肢により床に加えら
れた力とを、同期させた状態で、力の基準値と比較しな
がら表示装置に表示し、かつ記録することができ、これ
により、力の基準値や過去のデータとの比較等により立
位練習の進捗状況や回復度などを定量的に把握するとと
もに、これらのデータを活用することにより、医者や理
学療法士は患者の立位練習を有効に進めて短期間の立位
練習を実現することができる。そして、特に、力の基準
値の入力手段から入力した力の基準値と比較しながら前
記出力結果を統計処理する統計処理装置を設けることに
よって、検出値(検出波形)の定量化が容易となり、検
出値の特徴やパターン(時間的なばらつき、安定度、動
揺率等)を正確かつ簡易に把握することができ、患者に
対して、無理のない適度の負荷をかけることによって、
安全かつ効率的な立位練習を実現することができる。
自由な人等のリハビリに適した立位練習器に関し、特
に、ベッドや車椅子などからの立ち上がり時や、立ち上
がった後の各種データを記録して、練習状況を定量的に
把握することができる立位練習器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】立位練習は、高齢者や足腰の不自由な
人、脳卒中や糖尿病などを患った人、膝関節の手術後の
患者等に対して、日常動作をする上において、また社会
復帰を果たすために大変重要である。この立位練習のリ
ハビリ過程において、立位練習器でベッドや車椅子など
からの立ち上がり練習を行い、次に他の歩行練習器で歩
行練習を行い、やがて杖歩行に移行する過程を経る。 【0003】従来の立位(歩行)練習器は、一対の支持
棒を支柱により手摺り状に略水平に配設したものからな
り、支持棒につかまって立位又は歩行のための足踏みな
どを行うことにより、足腰の訓練を行うようになってい
る。このような立位練習器としては、例えば、特開20
01−079114号公報では、上肢による力の信号を
記録し、表示することができる平行棒歩行練習器が開示
されており、また、特開平7−241281号公報で
は、下肢に関する力を記録し、表示することができる床
反力計が開示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の立位練習器には、立ち上がり練習や立位練習を実施
しても、どのように力を入れて立ち上がっているか、ま
た、下肢の回復度や左右の体のバランス、あるいは手摺
りである支持棒にどれだけ依存しているか、さらに、立
位の姿勢中にどれだけの荷重が下肢にかかっているか、
健足から患足への体重の移動など、上肢、下肢を同時に
解析する手段がなく、医者や理学療法士において、練習
状況の総合的かつ定量的な把握ができない点で問題があ
った。 【0005】本発明は、上記従来の立位練習器が有する
問題点に鑑み、脳卒中や糖尿病を患った人や膝関節の手
術後の患者など、歩行障害を有する患者がリハビリを行
うときの立位練習中における各種データを記録して、練
習状況を定量的に把握することができる立位練習器を提
供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の立位練習器は、立位でつかまる支持棒を支
柱により支持せしめた立位練習器において、支柱に加え
られた力を検知する支柱力検知装置と、床に加えられた
力を検知する床反力検知装置と、支柱力検知装置及び床
反力検知装置の出力をそれぞれ演算する演算装置とを備
えるとともに、演算装置に、力の基準値の入力手段から
入力した力の基準値と比較しながら前記出力結果を統計
処理する統計処理装置と、演算装置の各演算結果を同期
するように演算処理する同期演算処理装置と、該同期演
算処理装置の同期演算結果を表示する表示装置と、該同
期演算結果を記憶するデータ記憶装置とを備えたことを
特徴とする。 【0007】この立位練習器は、立位でつかまる支持棒
を支柱により支持せしめ、支柱に加えられた力を検知す
る支柱力検知装置と、床に加えられた力を検知する床反
力検知装置と、支柱力検知装置及び床反力検知装置の出
力をそれぞれ演算する演算装置とを備え、演算装置に、
力の基準値の入力手段から入力した力の基準値と比較し
ながら前記出力結果を統計処理する統計処理装置と、演
算装置の各演算結果を同期するように演算処理する同期
演算処理装置と、該同期演算処理装置の同期演算結果を
表示する表示装置と、該同期演算結果を記憶するデータ
記憶装置とを備えたことから、立位練習中に上肢により
支持棒にかけた力と下肢により床に加えられた力とを、
同期させた状態で、力の基準値と比較しながら表示装置
に表示し、かつ記録することができ、これにより、力の
基準値や過去のデータとの比較等により立位練習の進捗
状況や回復度などを定量的に把握するとともに、これら
のデータを活用することにより、医者や理学療法士は患
者の立位練習を有効に進めて短期間の立位練習を実現す
ることができる。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の立位練習器の実施
の形態を図面に基づいて説明する。 【0009】図1〜図2に、本発明の立位練習器の一実
施例を示す。図において、1は立位練習者、2は立位練
習器を示し、立位練習器2は、立位でつかまる一対の支
持棒3a、3bと、この支持棒3a、3bを略水平に支
持する2本の支柱4とを備えている。 【0010】この立位練習器2は、支柱4に加えられた
力を検知する支柱力検知装置4a、4bと、支持棒3
a、3b間で床に加えられた力を検知する床反力検知装
置5a、5bと、立位練習者の姿勢や挙動を撮影するテ
レビカメラ9と、支柱力検知装置4a、4b、床反力検
知装置5a、5b及びテレビカメラ9の出力をそれぞれ
演算する演算装置10とを備えている。そして、この立
位練習器2は、演算装置10に、力の基準値を入力する
手段を設け、この力の基準値と比較しながら前記出力結
果を統計処理する統計処理装置11と、各演算結果を同
期するように演算処理する同期演算処理装置12と、該
同期演算処理装置12の同期演算結果を表示する表示装
置13と、該同期演算結果を記憶するデータ記憶装置1
4と、同期演算結果を音で出力する音出力装置15とを
備えている。 【0011】支柱4は、その上部に支持棒3a、3bを
略平行に固定し、また、支持棒3の地上からの高さを立
位練習者1の体格に合わせて調節できるように構成され
ている。 【0012】支柱力検知装置4a、4bは、2本の支柱
4の一部にそれぞれ配設されたロードセル等からなり、
各支柱4にかかった力を電気信号に変換し、その信号を
演算装置10に送出する。 【0013】床反力検知装置5a、5bは、床部6の一
部に配設された左右一対の床反力計からなり、この床反
力計には、その上面にかかった力を電気信号に変換する
ロードセル等がそれぞれ配設されるとともに、ロードセ
ルの信号は演算装置10に導かれている。床反力検知装
置5a、5bと床部6とは、通常時は略同一平面を形成
しており、これにより、立位練習者1は、違和感なく支
持棒3a、3bに頼りながら左右の足7、8を床反力検
知装置5a、5bの上に立位することができる。なお、
7は立位練習者の左足、8は右足を示している。 【0014】演算装置10は、支柱力検知装置4a、4
bや床反力検知装置5a、5bの各出力信号を演算する
ものであり、本実施例では、力の基準値を入力する手段
を設け、この力の基準値と比較しながら前記出力結果を
統計処理する統計処理装置11と、各検知装置4、5の
演算結果を同期するように演算処理する同期演算処理装
置12と、表示装置13及びデータ記憶装置14等とを
備えた、例えば、パソコン等により構成されている。 【0015】統計処理装置11は、支柱力検知装置4
a、4bや床反力検知装置5a、5bにより検知される
力の基準値(閾値。この値は、立位練習者1の体格や歩
行障害の程度等に合わせて任意の値に設定することがで
きる。)を入力する手段を備え、支柱力検知装置4a、
4bや床反力検知装置5a、5bにより検知される力
と、予め入力した基準値と比較しながら統計処理するも
のである。そして、統計処理する内容としては、特に限
定されるものではないが、例えば、 検知された力が、その基準値をオーバーした回数 検知された力が、その基準値をオーバーした面積(後
述の波形グラフモードを表示する図4において縦線を施
したA部の合計面積) 検知された力のピーク値の平均値(後述の波形グラフ
モードを表示する図4における計測範囲(計測範囲は、
任意に設定することができる。)におけるピーク値の平
均値) 検知された力の全体の平均値(後述の波形グラフモー
ドを表示する図4における計測範囲における全体の平均
値) 検知された力の時間に対する変動の大きさ(後述の波
形グラフモードを表示する図4における計測範囲におけ
る最大値と最小値の差) について統計処理を行う。 【0016】同期演算処理装置12は、支柱にかかる上
肢荷重、床反力検知装置5a、5bによる下肢荷重など
のアナログ信号を取り込むことができる。これらの取り
込んだ信号は、A/D又はD/A変換ボードを介して演
算/記録装置に送られ、力の信号などに変換処理が行わ
れる。また、この同期演算処理装置12は、各信号、又
は信号間のデータの演算により、力の統計処理や、力の
かかっている向きと大きさのベクトル演算なども実施す
ることができる。 【0017】表示装置13には、同期演算処理装置12
による演算結果が送られ、必要な情報がオペレータの操
作によって選択的に表示される。この表示装置13で
は、演算結果の時間的な変動値の表示及び力の基準値と
の比較表示のほか、フレキシブルディスク等の記録媒体
から読み出した過去の練習データとの比較表示なども行
うことができる。また、表示装置13が内蔵するスピー
カ等からなる音出力装置15により、必要に応じて警告
音や音声を発生することができる。 【0018】データ記憶装置14は、パソコン等を用い
て得られた練習データを、フレキシブルディスク等の記
録媒体に記録することができる。また、このデータ記憶
装置14は、過去の練習結果との比較や再生などを行う
ことも可能であり、その結果は表示装置13に送られ表
示される。立位練習者1は、この表示装置13を見なが
ら、自らの立位バランスや現在の回復度合い等を確認
し、その結果を自らの立位姿勢にフィードバックするこ
とにより、より高い練習の効果を得ることができる。 【0019】音出力装置15からは、支柱力検知装置4
a、4bや床反力検知装置5a、5bに加えられた力の
大きさや、左右の上肢にかかっている力のバランス具合
等を音声出力することが可能であり、これにより、練習
者は、自分の欠点や練習状況を目で確認する以外に、耳
で聞きながら練習に励むことができる。 【0020】次に、この立位練習器の使用方法を説明す
る。立位練習者1は、車椅子18に座った状態で立位練
習器2の入り口に位置した後、左上肢1aで支持棒3a
を、右上肢1bで支持棒3bをつかんで立ち上がり動作
を行う。このとき、左足7は床反力検知装置5aの上
に、右足8は床反力検知装置5bの上に位置するように
し、体重の一部を支持棒3a、3bに預けながら立位動
作を行う。 【0021】この場合、左右の上肢でつかんだ支持棒3
a、3bの位置における力を、演算装置10により演算
する。また、立位練習者1の左下肢7が床反力検知装置
5a上に、右下肢8が床反力検知装置5b上に位置する
ように立位したときに、下肢にかかった力や位置などを
演算装置10により演算する。 【0022】このとき、同期演算処理装置12により、
上肢にかかる力やその各方向毎の分力からそのベクトル
方向を演算するとともに、下肢にかかる力やその各方向
毎の分力からそのベクトル方向を演算することができ
る。また、この同期演算処理装置12により、左下肢7
や右下肢8の位置及びその時間変化から、立位時の力の
バランスや、重心の移動状況などを演算することができ
る。これらの演算結果は、表示装置13に表示され、ま
た、音出力装置15などにより音声出力することも可能
である。 【0023】図3に、演算装置10の表示装置13にお
ける表示結果の一例を示す。ここで、ボタン20をクリ
ックすれば、表示は棒グラフモードとなる。図におい
て、21は支持棒3からの前後方向の上肢荷重を示す棒
グラフで、21aは左上肢、21bは右上肢に関するデ
ータを示している。また、22は支持棒3からの上下方
向の上肢荷重を示す棒グラフで、22aは左上肢、22
bは右上肢に関するデータを示している。さらに、23
は床反力検知装置5a、5bの荷重を示す棒グラフで、
23aは左下肢、23bは右下肢に関するデータを示し
ている。 【0024】この場合、縦軸は25に黒マークが付され
ているので体重比%を示しており、最大値はボタン26
をクリックすることにより変更することができる。ボタ
ン27をクリックすれば荷重の大きさをキログラム単位
で示すことも可能であり、その場合の最大値はボタン2
8をクリックすることにより変更することができる。 【0025】図4は、ボタン30をクリックして、表示
を波形グラフモードとした場合であり、車椅子18から
の立ち上がり動作時の例を示している。このように、図
示しないスタートキーをクリックすることにより、測定
データの時間変化を波形で表示することができる。図に
おいて、31aは左上肢、31bは右上肢による支持棒
3からの前後方向の上肢荷重に関するデータを示してい
る。また、32aは左上肢、32bは右上肢による支持
棒3からの上下方向の上肢荷重に関するデータを示して
いる。さらに、33aは左下肢、33bは右下肢による
床反力検知装置5a、5bの荷重に関するデータを示し
ている。 【0026】時間の経過に伴い、上肢荷重31、32、
床反力33は、それぞれ右方向に波形が進行し、規定の
時間経過によりデータの採取が完了すると、この波形な
どは自動停止する。なお、測定の途中で停止する場合
は、図示しない停止キーをクリックする。 【0027】また、波形グラフモードを表示する図4に
は、演算装置10の入力手段から入力した、支柱力検知
装置4a、4bや床反力検知装置5a、5bの各出力信
号に対応する力の基準値を出力できるようにする(図4
には、一例として、左下肢7による床反力検知装置5a
の荷重に関するデータ33aに対応する力の基準値(こ
の場合は、一例として、体重の60%)を太線で出力し
ている。)。 【0028】そして、例えば、手術直後で体重の100
%を手術後の下肢にかけられない場合、立位の練習をサ
ポートする理学療法士の指示により、仮に10%、30
%・・・と徐々に体重をかけながら立位練習を行うか、
又は、仮に20%などの規定値以上体重をかけないよう
な立位練習を行う。この場合、表示装置13を見ること
によりその瞬時瞬時の下肢荷重の値をモニターすること
ができる。手術側の下肢の体重感覚が麻痺しているよう
な場合で、立位練習者の自覚が不十分な場合でも、この
表示画面13を見ながら立位すれば、体重のかけ方が目
で見て確認でき、また、理学療法士においても常時モニ
ターできる効果がある。 【0029】また、目の不自由な立位練習者のために、
下肢荷重があらかじめ10%、30%などの設定値を越
えた場合、スピーカ15よりピーと警告音を発したり、
下肢荷重が設定値を越えた旨の音声を出力することがで
きる。あるいは、20%などの規定値を越えない場合に
警告音を発し、規定値以上の十分な体重をかけるように
指導を行ったり、体重のかけ方が不足している旨の音声
を出力することができる。これにより、目の不自由な立
位練習者であっても、耳で音声などを聞きながら、正し
い立位練習に取り組むことが可能となる。 【0030】また、車椅子などからの立ち上がり動作の
場合の波形や棒グラフから、立ち上がり時の力のかけ方
を定量的に把握することができる。正しい立ち上がり動
作は、できるだけ支持棒3を引かないように、なおかつ
できるだけ支持棒3に頼らないで立つ動作が要求され
る。すなわち、できるだけ棒グラフ21、22や、波形
31、32が小さくなることが望まれる。 【0031】次に、車椅子からの立ち上がり動作で支持
棒3a、3b間での立位がとれるようになると、左右の
足のバランス、足踏み等の練習を行うが、この場合、患
足に体重をかけることは恐怖心のために時間がかかり、
また、麻痺患者の場合は、知覚することが困難である。 【0032】また、図示しない入力装置により、得られ
た出力波形のうちで、統計処理を行う範囲を指示するこ
とができる。ちなみに、図4の場合は、2〜8秒を計測
範囲としている。 【0033】統計処理装置11では、入力した基準値
(この場合は、一例として、体重の60%)と比較し
て、 検知された力が、その基準値をオーバーした回数 検知された力が、その基準値をオーバーした面積(波
形グラフモードを表示する図4において縦線を施したA
部の合計面積) 検知された力のピーク値の平均値(波形グラフモード
を表示する図4における計測範囲(計測範囲は、任意に
設定することができる。)におけるピーク値の平均値) 検知された力の全体の平均値(波形グラフモードを表
示する図4における計測範囲における全体の平均値) 検知された力の時間に対する変動の大きさ(波形グラ
フモードを表示する図4における計測範囲における最大
値と最小値の差) などの計算処理を行い、表示装置13に結果を表示し、
データ記憶装置14に記憶する。この結果、患者の回復
の度合い、波形の種類、変化の特徴、パターン又は時間
的なばらつき度合い、安定性や不安定性、動揺率などが
定量化できる。 【0034】一方、図5は、ボタン40のベクトルをク
リックした場合の表示例を示している。横方向からのテ
レビカメラ9で全体画像データを各力の信号と同時に取
り込み、この挙動画面に合わせて上肢及び下肢にかかる
力のベクトル表示を示したものである。 【0035】先ず、上肢1により支持棒3にかかってい
る力をベクトル的に演算し、ベクトル41にて表示して
いる。ベクトル41aは左上肢、41bは右上肢に関す
るデータを示している。また、各床反力検知装置5a、
5bにかかっている力に関してもベクトル的に演算し、
左下肢7によりかかっている力はベクトル42aとし
て、右下肢8によりかかっている力はベクトル42bと
して、それぞれ表示されている。 【0036】なお、この図によると、ベクトル41aか
ら、左上肢は支持棒を若干押しながら立位しているこ
と、ベクトル41bから、右上肢は支持棒を若干引きな
がら立位していること、ベクトル42a、42bの違い
から右下肢に十分体重がかけられていないこと等が、目
で見て感覚的に理解される。 【0037】したがって、このような場合には、できる
だけ引かないような立ち上がりの練習を繰り返し指導す
る。また、左右の下肢に均等に荷重がかけられるように
繰り返し指導する。すなわち、麻痺していたり、手術し
た下肢に十分体重をかける練習(場合によってはかけ過
ぎないような練習)を行う。さらには、歩行のための足
踏みの練習や、麻痺側の下肢の前への振出しの練習など
も行うことができる。 【0038】このように、本実施例の立位練習器では、
立位練習者の立位挙動の解析結果にベクトル表示を重ね
ることにより、立位挙動状況を総合的かつ定量的で、さ
らに感覚的に理解しやすいように表示し記録することが
可能である。これにより、立位練習者に対しても、また
立位練習を指導する理学療法士に対しても、この記録デ
ータは立位回復度を知るには大変重要となり、しかも、
力を目で見て直接理解できることとなり、さらに、臨床
現場において、理学療法士による立位練習者への正しい
立位の説明や理解に大きな効果を有することとなる。 【0039】この各実施例の立位練習器では、立位練習
者の支持棒に対して及ぼす上肢の力、床反力検知装置5
a、5bに及ぼす下肢の力を演算するとともに、棒グラ
フ表示、波形表示、ベクトル表示することができる。そ
して、これらを記憶するとともに、過去のデータとの比
較により、練習の進捗状況や回復度などを定量的に把握
することができる。また、左右の下肢荷重バランスの違
いなども同様に、演算、表示、記憶することができ、こ
れらのデータを有効に活用することにより、医者や理学
療法士が患者の立位練習を有効に進めることができ、そ
の結果、短期間に練習を実施することが可能となる。 【0040】さらに、同期演算処理装置の同期演算結果
を音にて出力する音出力装置を設けることにより、練習
結果を視認するだけでなく、耳で聞きながら練習を行え
るため、例えば、目の不自由な人でも、練習の結果を確
認しながら練習に励むことが可能となる。また、各実施
例の立位練習器は、その平面面積が大変小さいので、ベ
ッド回りに移動しての立ち上がり練習にも適し、さら
に、面積の少ないリハビリテーション施設などでも適用
することが可能である。 【0041】以上、本発明の立位練習器について、その
実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記
載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱
しない範囲において適宜その構成を変更することができ
るものである。 【0042】 【発明の効果】本発明の立位練習器によれば、立位でつ
かまる支持棒を支柱により支持せしめ、支柱に加えられ
た力を検知する支柱力検知装置と、床に加えられた力を
検知する床反力検知装置と、支柱力検知装置及び床反力
検知装置の出力をそれぞれ演算する演算装置とを備え、
演算装置に、力の基準値の入力手段から入力した力の基
準値と比較しながら前記出力結果を統計処理する統計処
理装置と、演算装置の各演算結果を同期するように演算
処理する同期演算処理装置と、該同期演算処理装置の同
期演算結果を表示する表示装置と、該同期演算結果を記
憶するデータ記憶装置とを備えたことから、立位練習中
に上肢により支持棒にかけた力と下肢により床に加えら
れた力とを、同期させた状態で、力の基準値と比較しな
がら表示装置に表示し、かつ記録することができ、これ
により、力の基準値や過去のデータとの比較等により立
位練習の進捗状況や回復度などを定量的に把握するとと
もに、これらのデータを活用することにより、医者や理
学療法士は患者の立位練習を有効に進めて短期間の立位
練習を実現することができる。そして、特に、力の基準
値の入力手段から入力した力の基準値と比較しながら前
記出力結果を統計処理する統計処理装置を設けることに
よって、検出値(検出波形)の定量化が容易となり、検
出値の特徴やパターン(時間的なばらつき、安定度、動
揺率等)を正確かつ簡易に把握することができ、患者に
対して、無理のない適度の負荷をかけることによって、
安全かつ効率的な立位練習を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の立位練習器の一実施例を示す斜視図で
ある。 【図2】同実施例の各センサやテレビカメラの接続と演
算装置の構成を示す図である。 【図3】同実施例の表示装置の表示例を示す図である。 【図4】表示装置の他の表示例を示す図である。 【図5】表示装置のさらに他の表示例を示す図である。 【符号の説明】 1 立位練習者 1a、1b 上肢 2 立位練習器 3a、3b 支持棒 4 支柱 4a、4b 支柱力検知装置 5a、5b 床反力検知装置 6 床部 7 左下肢 8 右下肢 9 テレビカメラ 10 演算装置 11 統計処理装置 12 同期演算処理装置 13 表示装置 14 データ記憶装置 15 音出力装置
ある。 【図2】同実施例の各センサやテレビカメラの接続と演
算装置の構成を示す図である。 【図3】同実施例の表示装置の表示例を示す図である。 【図4】表示装置の他の表示例を示す図である。 【図5】表示装置のさらに他の表示例を示す図である。 【符号の説明】 1 立位練習者 1a、1b 上肢 2 立位練習器 3a、3b 支持棒 4 支柱 4a、4b 支柱力検知装置 5a、5b 床反力検知装置 6 床部 7 左下肢 8 右下肢 9 テレビカメラ 10 演算装置 11 統計処理装置 12 同期演算処理装置 13 表示装置 14 データ記憶装置 15 音出力装置
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 立位でつかまる支持棒を支柱により支持
せしめた立位練習器において、支柱に加えられた力を検
知する支柱力検知装置と、床に加えられた力を検知する
床反力検知装置と、支柱力検知装置及び床反力検知装置
の出力をそれぞれ演算する演算装置とを備えるととも
に、演算装置に、力の基準値の入力手段から入力した力
の基準値と比較しながら前記出力結果を統計処理する統
計処理装置と、演算装置の各演算結果を同期するように
演算処理する同期演算処理装置と、該同期演算処理装置
の同期演算結果を表示する表示装置と、該同期演算結果
を記憶するデータ記憶装置とを備えたことを特徴とする
立位練習器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002130815A JP2003319923A (ja) | 2002-05-02 | 2002-05-02 | 立位練習器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002130815A JP2003319923A (ja) | 2002-05-02 | 2002-05-02 | 立位練習器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003319923A true JP2003319923A (ja) | 2003-11-11 |
Family
ID=29543733
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002130815A Pending JP2003319923A (ja) | 2002-05-02 | 2002-05-02 | 立位練習器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003319923A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012035014A (ja) * | 2010-08-12 | 2012-02-23 | Hideo Nakajima | 足腰の筋力が測定できるリハビリ機。 |
CN107647997A (zh) * | 2017-10-31 | 2018-02-02 | 广东美的安川服务机器人有限公司 | 床边康复装置 |
JP2019118706A (ja) * | 2018-01-10 | 2019-07-22 | トヨタ自動車株式会社 | 歩行訓練システム |
JP2022019929A (ja) * | 2018-01-10 | 2022-01-27 | トヨタ自動車株式会社 | 歩行訓練システム |
-
2002
- 2002-05-02 JP JP2002130815A patent/JP2003319923A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019118706A (ja) * | 2018-01-10 | 2019-07-22 | トヨタ自動車株式会社 | 歩行訓練システム |
JP2022019929A (ja) * | 2018-01-10 | 2022-01-27 | トヨタ自動車株式会社 | 歩行訓練システム |
JP7020122B2 (ja) | 2018-01-10 | 2022-02-16 | トヨタ自動車株式会社 | 歩行訓練システム |
JP7115622B2 (ja) | 2018-01-10 | 2022-08-09 | トヨタ自動車株式会社 | 歩行訓練システム |
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