JP2003313634A - 溶接継手部の軟化が小さい高張力焼戻し省略厚鋼板 - Google Patents
溶接継手部の軟化が小さい高張力焼戻し省略厚鋼板Info
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Abstract
手部の軟化抵抗が小さくし、小入熱溶接時の割れをも防
止する。 【解決手段】 C:0.01〜0.1%(質量%の意
味。以下同じ)、Si:1%以下(0%を含まない)、
Mn:1.1〜2.5%、P:0.02%以下(0%を
含まない)、S:0.01%以下(0%を含まない)、
Al:0.1%以下(0%を含まない)、Ti:0.0
3〜0.06%、N:0.0025〜0.01%を含有
する非調質の高張力厚鋼板において、固溶Ti量を0.
005〜0.030%に制御する。
Description
度に優れ、主として建築・橋梁などの構造物に有用な厚
鋼板に関するものである。
物を建設する際に不可欠であり、ビル用鉄骨の組み立て
時や橋梁の建設現場において、高張力厚鋼板は大入熱溶
接されている。大入熱溶接を行う場合、溶接熱影響部
(HAZ部)の靭性の劣化を防止したり、HAZ部の軟
化を防止したり、溶接割れを防止したりする必要があ
り、種々の方法が提案されている。
が溶接時に溶接HAZ部に析出し、HAZ部の軟化を抑
えることができると記載されている。
0+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/
15+V/10で規定される溶接割れ感受性組成
(PCM)を0.18%以下として溶接低温割れやHAZ
部の硬化を防止すると共に、Nbを0.05〜0.2%
添加してHAZ部の軟化を防止することにより、溶接性
を改善する技術が開示されている。
[Si]/22+[Mn]/6+[P]/10−[C
u]/20−[Ni]/24+[Cr]/2で規定され
る炭素当量(Ceq)を0.41%以下とすることによ
り、板厚が厚くても良好な溶接性を確保できることが開
示されており、前記溶接性は高温割れ、引張強さ、及び
靭性で評価している。
%程度添加してHAZ靭性を損なうことなく母材強度を
向上させると共に、粗大なTiC等を積極的に析出させ
ることにより母材靭性を向上させることが記載されてい
る。
接性を高めることができると思料されるものの、HAZ
部の軟化防止の観点からはさらなる改良が求められる。
すなわちビルや橋梁では大地震時の倒壊を防止するため
に、設計者は各部位の強度を厳密にコントロールして構
造設計しているものの、軟化が著しいと設計者の想定し
ている部位以外で破断し、計画した安全性を確保するの
が困難となる事態が想定される。しかも近年、構造物の
コスト−安全性バランスの追求が進み、溶接時の軟化防
止技術がクローズアップされ始めている。特に大入熱溶
接では、溶接時の冷却速度が極めて遅いため、軟化防止
が極めて重要である。
の添加量を増加することが基本的な対応策として挙げら
れる。しかし合金元素を増量すると、小入熱溶接する場
合には冷却速度が早いため、溶接部の硬化が進み割れが
発生することが懸念される。
時のHAZ部の軟化防止がさらに改善され、しかも小入
熱溶接時の割れをも防止できる有効な技術は知られてい
ない。
上程度、降伏強度(YS)が430MPa以上程度の高
張力鋼板のうち、建築用では、降伏比(YR=YS/T
S)を下げることが要求される。すなわちビルの高層
化、大スパン化の進展にともない、建築用厚鋼板は、従
来のTS490MPa級に比べてさらに高強度化、厚肉
化してきており、具体的にはTS590MPa級以上の
高張力鋼板が広く使われるようになってきている。そし
て建築用鋼板では、大地震時の倒壊を防止するため、地
震のエネルギーを鋼材の塑性変形によって吸収すること
を目的として、降伏比(YR)を80%以下にすること
が要求されている。しかし、一般には、TSが大きくな
るにつれて、YSはさらに大きくなるため、高TSと低
YRとを両立するのは困難である。
MPa以上の高強度鋼板において、80%以下の低いY
Rを確保するために、Q’と称される特殊な熱処理を施
すのが主流となっている(特許文献5参照)。すなわち
TS590MPa級鋼板は、元々、熱間圧延後にQ処理
(焼入処理;Ac3点以上の温度からの水冷)とT処理
(焼戻処理;Ac1点未満に加熱した後の空冷)とから
なる通常の2回熱処理を施すことによって製造されてい
たが、このようにして得られるTS590MPa級鋼板
のYRは85%程度以上と高くなっていた。そこで、前
記Q処理とT処理との間に、Q’処理と称される熱処理
を施すことによって、すなわちQ−Q’−Tの3回に亘
る熱処理を施すことによって低YRを達成している。し
かし熱処理回数が増大するため、製造コストが上昇し、
製造工期が長くなる。
の間の二相域温度に加熱した後で水冷する処理であり、
軟質フェライトを生成させることによって低YR化を達
成するものである。そのためQ’処理を施す場合には、
全体の強度低下を防止するため、フェライト以外のミク
ロ組織を硬くしておく必要があり、Cや合金元素を増量
する必要がある。従って溶接性が低下し、例えば、y型
溶接割れ試験で評価した場合、ある程度の予熱を行わな
ければ割れを防止するのが困難である。
性とを両立できる有効な技術も知られていない。
1、段落0016)
求項1、段落0016、段落0032)
求項1〜2、段落0036、実施例)
落0008〜0009、0013)
欄)
情に着目してなされたものであって、その目的は、高張
力鋼板において、大入熱溶接時の溶接継手部(HAZ部
など)の軟化を小さくできると共に、小入熱溶接時の割
れをも防止できる技術を確立することにある。
も前記の優れた溶接特性と低YRを両立できる技術を確
立することにある。
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、鋼板中の固溶
Ti量が大入熱溶接時の溶接継手部(HAZ部など)の
軟化に極めて大きな影響を与えていることを発見した。
特にC:0.01〜0.1%、Si:1%以下(0%を
含まない)、Mn:1.1〜2.5%、P:0.02%
以下(0%を含まない)、S:0.01%以下(0%を
含まない)、Al:0.1%以下(0%を含まない)、
Ti:0.03〜0.06%、N:0.0025〜0.
01%を含有する鋼においては、固溶Ti量≒0.00
5%を境にして、HAZ部の軟化特性が著しく変化する
ことを発見した。そして前記特定の鋼において固溶Ti
量を前記境界量(略0.005%)以上とすれば、大入
熱溶接時のHAZ部の軟化を防止できることを見出し、
これと固溶Ti量の上限を規定すれば母材靭性を確保で
きるという知見、及びC量の上限を規定して小入熱溶接
時の硬化を防止すれば溶接部の割れを確実に防止できる
という知見とを組み合わせることにより、強度と溶接性
とを両立できることを見出し、本発明を完成した。
接性の優れた高張力厚鋼板とは、C:0.01〜0.1
%(質量%の意味。以下同じ)、Si:1%以下(0%
を含まない)、Mn:1.1〜2.5%、P:0.02
%以下(0%を含まない)、S:0.01%以下(0%
を含まない)、Al:0.1%以下(0%を含まな
い)、Ti:0.03〜0.06%、N:0.0025
〜0.01%を含有しており、固溶Ti量が0.005
〜0.030%である点に要旨を有するものである。な
お前記高張力厚鋼板は、焼戻し省略鋼である。なお焼入
れ(特に直接焼入れ)は、行ってもよく、行わなくても
よい。本発明の鋼板は、上記範囲で合金元素が適正化さ
れており焼入性が高められているため、焼入れを行わな
い場合でもベイナイト組織とすることができ、高い強度
を達成できる。例えば、引張強度590MPa以上程
度、降伏強度430MPa以上程度にできる。そして焼
戻し省略鋼であるため、焼入れ・焼戻し処理(調質処
理)による降伏比の上昇を防止でき、高強度でありなが
ら低降伏比(例えば、80%以下、特に75%以下)を
達成することができる。
含まない)、Cu:1.5%以下(0%を含まない)、
Cr:2%以下(0%を含まない)、Mo:1%以下
(0%を含まない)、V:0.1%以下(0%を含まな
い)、Nb:0.03%以下(0%を含まない)、B:
0.0005〜0.005%、Ca:0.0005〜
0.005%などを含有していてもよい。なおこれら追
加の元素を含有する場合及び有しない場合のいずれの場
合でも、残部はFe及び不可避的不純物であってもよ
い。
鋼とは成分組成が異なっており、しかもHAZ部の軟化
の点で固溶Ti量に臨界性があるか否かは当該文献から
は全く不明である。また前記特許文献2では請求項1に
おいてTi:0.005〜0.030%と規定している
ものの、実施例の欄で具体的に開示している鋼では全て
Ti量が0.018%以下と少なくなっているため、当
然のこととして固溶Ti量も極めて少なくなってしまっ
ている。前記特許文献3に開示の技術は、Ti添加鋼に
おいて加工性を高める(降伏比を低くする)ことを最大
の目的としている。そして鋼板製造工程における熱間圧
延に際して、圧延後の冷却過程で変態が生じる前にTi
Cを積極的に析出させることによって、変態後の析出に
よる硬化を防止して前記課題を解決している。すなわち
TiCは既に析出してしまっているのであるから、この
公報に開示の鋼板でも固溶Ti量は極めて少なくなって
しまっている。また前記特許文献4では、上述したよう
に粗大なTiC等を積極的に析出させることにより母材
靭性を向上させている。そのためこの公報に開示の鋼板
でも固溶Ti量は極めて少なくなってしまっている。
1%(質量%の意味。以下同じ)、Si:1%以下(0
%を含まない)、Mn:1.1〜2.5%、P:0.0
2%以下(0%を含まない)、S:0.01%以下(0
%を含まない)、Al:0.1%以下(0%を含まな
い)、Ti:0.03〜0.06%、N:0.0025
〜0.01%を含有する鋼を対象としている。以下、各
成分量を上記範囲に設定した理由について述べる。
発揮させるべく、その下限を0.01%に設定した。好
ましくは0.02%以上、特に0.03%以上である。
しかし、C添加量が過剰となると小入熱溶接後にHAZ
部が硬化して割れが発生する虞があるため、その上限を
0.1%に設定した。好ましくは0.09%以下、特に
0.08%以下である。
1%に設定した。好ましくは0.6%以下、特に0.4
%以下である。一方、Siは強度向上に有効な元素であ
るため、溶接性を阻害しない範囲で添加するのが望まし
い。好ましいSi量の下限は0.1%、特に0.2%で
ある。
において所定の強度を確保するのに有用である。このよ
うな作用を有効に発揮させる為にその下限を1.1%に
設定した。好ましくは1.2%以上、特に1.25%以
上である。但し、Mn添加量が過剰になると溶接性が劣
化する為、その上限を2.5%に設定した。好ましくは
2.0%以下、特に1.75%以下である。
い) Pが過剰になると溶接性及び靭性が阻害される為、その
上限を0.02%に設定した。好ましくは0.015%
以下、特に0.013%以下である。
い) Sが過剰になると硫化物系介在物(FeS、MnSな
ど)が多量に生成し、靭性が劣化するため、その上限を
0.01%に設定した。好ましくは0.007%以下、
特に0.005%以下である。
い) Alが過剰になると溶接性が阻害されるため、その上限
を0.1%に設定した。好ましくは0.08%以下、特
に0.06%以下である。一方、Alは固溶酸素を捕捉
し、鋼の靭性向上に寄与するため、溶接性を阻害しない
範囲で添加してもよい。好ましいAl量の下限は0.0
1%、特に0.02%である。
き、通常、0.03%以上(例えば、0.035%以
上、特に0.038%以上)、0.06%以下(例え
ば、0.05%以下、特に0.045%以下)である。
量を少なくしてしまう虞があるため、その上限を0.0
1%に設定した。好ましくは0.008%以下、特に
0.006%以下である。しかしNの含有量を0%とす
るのは困難であるため、その下限を0.0025%に設
定した。好ましくは0.003%以上である。
e及び不可避的不純物であってもよく、必要に応じて種
々の元素を含有していてもよい。例えば、上記成分に加
えて、Ni:3%以下(0%を含まない)、Cu:1.
5%以下(0%を含まない)、Cr:2%以下(0%を
含まない)、Mo:1%以下(0%を含まない)、V:
0.1%以下(0%を含まない)、Nb:0.03%以
下(0%を含まない)、B:0.0005〜0.005
%などを含有していてもよい。これら任意の元素は、単
独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
元素である。好ましい添加量は、Ni:0.1%以上
(特に0.2%以上)、Cu:0.1%以上(特に0.
2%以上)、Cr:0.1%以上(特に0.3%以
上)、Mo:0.05%以上(特に0.1%以上)、
V:0.001%以上(特に0.002%以上)、N
b:0.005%以上(特に0.01%以上)である。
但し、NiやCuを過剰に添加しても効果が飽和してし
まい経済的に無駄であり、Crを過剰に添加すると溶接
性やHAZ靭性が低下する。またMoを過剰に添加する
と溶接性が低下し、NbやVを過剰に添加するとHAZ
靭性が低下する。従って、これら元素の上限量を上記範
囲に設定した。好ましい添加量は、Ni:2%以下(特
に1%以下)、Cu:1%以下(特に0.5%以下)、
Cr:1.5%以下(特に1%以下)である。なおこれ
らNi、Cu、Cr、Mo、V、及びNbは、単独で又
は2種以上組み合わせて使用できる。
き、このような作用を有効に発揮させる為にその下限を
0.0005%に設定した。好ましくは0.0006%
以上、さらに好ましくは0.001%以上、特に0.0
012%以上である。但し、過剰に添加するとBN等の
B化合物を形成して靭性が劣化する為、その上限を0.
005%に設定した。好ましくは0.004%以下、さ
らに好ましくは0.003%以下である。
していてもよい。CaはHAZ靭性の向上に有効な元素
であり、かかる作用を有効に発揮させる為にその下限を
0.0005%に設定した。好ましくは0.001%以
上、さらに好ましくは0.0013%以上である。一
方、Caを過剰に添加すると粗大な鋼中介在物を形成し
て鋼の性質が悪化する為、その上限を0.005%に設
定した。好ましくは0.004%以下、さらに好ましく
は0.003%以下である。
いる。Tiを固溶させると、大入熱溶接後、固溶Tiが
HAZ部に析出して強化作用を発揮するため、HAZ部
の軟化を防止できる。さらに本発明では、単に固溶Ti
量を多くしているのではなく、上述したような特定の成
分組成の鋼においては、固溶Ti量≒0.005%を境
にして、HAZ部の軟化特性が著しく変化するという知
見を元に、固溶Ti量を0.005%以上、好ましくは
0.006%以上、さらに好ましくは0.007%以上
に設定している。加えて固溶Ti量を前記下限値以上の
範囲で使用すると、鋼の引張強度及び降伏強度を十分に
高めることもできる。一方、固溶Tiは、HAZ部の軟
化を防止できる限り、また所望の引張強度及び降伏強度
を達成できる限り、少ないほど好ましい。また固溶Ti
を過剰にしないことによって、母材靭性の低下を防止で
きる。母材靭性の低下を防止できれば、本発明では溶接
時の硬化をも防止しているため、溶接後においても継手
靭性を損なうことがなく、溶接後の割れをも防止でき
る。固溶Tiの上限は、例えば、0.030%程度、好
ましくは0.025%程度、さらに好ましくは0.01
5%程度(特に0.014%程度)である。また固溶T
iを過剰にしないことによって、低降伏比を達成するこ
ともできる。
は、圧延時のスラブ加熱温度、圧延仕上温度、圧延後の
冷却速度などを総合的に設定すればよい。これらの条件
は互いに関連し、しかも鋼材の組成(添加Ti量、C
量、N量など)によっても固溶Ti量は変化し得るた
め、各条件を一義的に設定するのは困難であるものの、
下記の傾向を参考にすれば固溶Ti量を上記範囲に制御
することができる。
も多くなる。
(C,Nなど)が多い程、固溶Ti量は少なくなる。
Ti量は多くなる。加熱温度は、他の要件に応じて適宜
設定されるが、通常、950〜1250℃程度の範囲か
ら選択する。
i量は多くなる。圧延仕上温度は、他の要件に応じて適
宜設定されるが、通常、900〜700℃程度の範囲か
ら選択する。
溶Ti量は多くなる。冷却速度は、他の要件に応じて適
宜設定されるが、通常、900℃〜室温の温度域を0.
1〜100℃/秒程度の範囲から選択される速度で冷却
する。
る。
は、C、Mn等によってある程度強化されており、しか
も固溶Tiによっても強化されているため、所定の強度
(490MPa級以上。例えば、490〜780MPa
程度)を有している。加えて本発明の鋼板は、固溶Ti
量が所定量以下に抑制されているために母材靭性に優れ
ており、C量が所定の範囲に抑制されているために小入
熱(例えば、5kJ/mm未満。特に1kJ/mm以上
5kJ/mm未満)溶接時の硬化をも抑制されているた
め、小入熱溶接しても高い靭性が損なわれることがな
く、小入熱溶接時の割れを抑制することができる。さら
に本発明の鋼板は、固溶Ti量が所定量以上に制御され
ているために大入熱(例えば、5kJ/mm以上。通
常、5〜30kJ/mm)溶接による軟化の虞がない。
すなわち本発明の鋼は、小入熱溶接から大入熱溶接に至
るまで、幅広い範囲で溶接特性に優れている。
処理を行わない焼戻し省略鋼であり、焼入れ(特に直接
焼入れ)は行ってもよく、行わなくてもよい[なお、焼
入れを行う場合には、工程省略の利点を考慮して、オフ
ラインでの焼入れではなく直接焼入れするのが望まし
い]。本発明によれば、焼入れの有無に拘わらず高い強
度を達成することができる。高強度鋼が得られる理由と
しては、固溶Tiによって強化されていること、成分組
成が適切な範囲に調整されているため、焼入れを行わな
い場合でもベイナイト主体(例えば、面積比でベイナイ
トが50%以上)の組織にできることなどが挙げられ
る。しかも焼戻し省略鋼とすれば、高い強度を維持しな
がら低降伏比(例えば、80%以下程度。通常、78%
以下程度、特に70〜75%程度)を達成することがで
きる。なお、この低降伏比鋼板は、従来、熱処理等によ
らなければ低降伏比鋼板を製造するのが困難であった高
張力鋼板、例えば、引張強度が590MPa以上(例え
ば、590〜780MPa程度)、降伏強度が430M
Pa以上(例えば、440〜700MPa程度)の分野
で極めて有用である。
材(例えば、建築用部材、橋梁用部材)として極めて有
用である。なお構造部材としての使用を考慮すると、本
発明の鋼板の板厚は、少なくとも10mm以上であるの
が望ましい。
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であ
り、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含され
る。
%、P:0.009%、S:0.002%、Al:0.
038%、Ti:0.035%、N:0.0051%を
含有し、残部はFe及び不可避的不純物である鋼材を溶
製し、下記表1に示す条件で圧延することにより、固溶
Ti量が異なる種々の焼戻し省略鋼板(板厚30mm)
を製造した。
度(YS)とを測定し、降伏比(YR=YS/TS)を
算出すると共に、以下のようにして母材靭性と溶接性
(耐軟化性)を評価した。
ッチ試験片を切り出し、この試験片を用いて破面遷移温
度(vTrS)を求めた。
面のビッカース硬さを測定した(HV1)。次に、得ら
れた鋼板を突き合わせ、大入熱(7kJ/mm)のサブ
マージアーク溶接を行い、溶接熱影響部(HAZ部)の
ビッカース硬さを測定した(HV2)。下記式に基づい
て、溶接前後の硬さの変化(Δ硬さ)を算出し、溶接に
よる軟化の程度を求めた。
0.005%未満になると急激にHAZ部が軟化するの
に対し、固溶Ti量が0.005%以上であれば軟化を
抑制できる。
ない程、母材の靭性がよくなる。
量が所定の範囲内であれば、直接焼入れの有無に拘わら
ず高TS及び高YSを維持することができ、しかも焼戻
しを省略しているため低YRを達成することができる。
及び不可避的不純物である)、下記表3に示す条件で圧
延することによって種々の鋼板を製造した。この鋼板
は、入熱量を15kJ/mmとする以外は前記実験例1
と同様にして溶接性(耐軟化性)を評価した。また実験
例1と同様にして母材靭性、TS、YS、YRも評価し
た。さらに下記のようにして溶接性(耐割れ性)を評価
した。
き合わせ、小入熱(1.5kJ/mm)のy型溶接割れ
試験を行い、ルート割れが生じているか否かを目視で確
認した。
頻度(%)に基づいて溶接性(耐割れ性)を評価した。
8〜2−12では固溶Ti量が少ないため、HAZ部が
軟化してしまうのに対して、実験例2−1〜2−7では
固溶Ti量が所定量以上に制御されているため、HAZ
部の軟化を防止できる。しかもこの実験例2−1〜2−
7で使用した鋼A〜Gは、C量が抑制されているため、
小入熱溶接時の割れをも防止できる。
Ti量が少ないために降伏強度(YS)が低くなり、実
験例2−13〜2−15では固溶Ti量が多すぎるため
母材靭性が低下するのに対して、実験例2−1〜2−7
では固溶Ti量が適切であるため、高い母材強度(T
S,YS)と優れた母材靭性及び低降伏比とを維持でき
る。そして実験例2−1〜2−7の鋼は、焼戻し省略鋼
であるため、低YRを達成できている。
において固溶Ti量が0.005%以上に制御されてい
るため、大入熱溶接時のHAZ部の軟化を防止できる。
さらには固溶Ti量が0.030%以下に抑制されてい
るため、母材の靭性に優れておりかつ低降伏比を達成で
きる。しかもC量が抑制されているため、小入熱溶接時
の割れをも防止できる。
め、溶接性等の優れた前記特性を維持したまま、高張力
鋼板の降伏比を下げることができる。
の硬さの変化(Δ硬さ)との関係を示すグラフである。
との関係を示すグラフである。
(TS)との関係を示すグラフである。
(YS)との関係を示すグラフである。
(YR)との関係を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 C:0.01〜0.1%(質量%の意
味。以下同じ)、Si:1%以下(0%を含まない)、
Mn:1.1〜2.5%、P:0.02%以下(0%を
含まない)、S:0.01%以下(0%を含まない)、
Al:0.1%以下(0%を含まない)、Ti:0.0
3〜0.06%、N:0.0025〜0.01%を含有
する焼戻し省略鋼であり、かつ固溶Ti量が0.005
〜0.030%であることを特徴とする溶接継手部の軟
化が小さい高張力厚鋼板。 - 【請求項2】 さらに、Ni:3%以下(0%を含まな
い)、Cu:1.5%以下(0%を含まない)、Cr:
2%以下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を
含まない)、V:0.1%以下(0%を含まない)、N
b:0.03%以下(0%を含まない)、及びB:0.
0005〜0.005%から選択された少なくとも1種
を含有する請求項1記載の高張力焼戻し省略厚鋼板。 - 【請求項3】 さらにCa:0.0005〜0.005
%を含有する請求項1又は2に記載の高張力焼戻し省略
厚鋼板。
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JP2002-48626 | 2002-02-25 | ||
JP2002048626 | 2002-02-25 | ||
JP2003043124A JP2003313634A (ja) | 2002-02-25 | 2003-02-20 | 溶接継手部の軟化が小さい高張力焼戻し省略厚鋼板 |
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JP2003043124A Pending JP2003313634A (ja) | 2002-02-25 | 2003-02-20 | 溶接継手部の軟化が小さい高張力焼戻し省略厚鋼板 |
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JP (1) | JP2003313634A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008280552A (ja) * | 2007-05-08 | 2008-11-20 | Nippon Steel Corp | 高強度鋼板および溶接構造物 |
JP2009050866A (ja) * | 2007-08-23 | 2009-03-12 | Nippon Steel Corp | サブマージアーク溶接方法 |
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2003
- 2003-02-20 JP JP2003043124A patent/JP2003313634A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008280552A (ja) * | 2007-05-08 | 2008-11-20 | Nippon Steel Corp | 高強度鋼板および溶接構造物 |
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