JP2003313318A - ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステルフィルム

Info

Publication number
JP2003313318A
JP2003313318A JP2002120499A JP2002120499A JP2003313318A JP 2003313318 A JP2003313318 A JP 2003313318A JP 2002120499 A JP2002120499 A JP 2002120499A JP 2002120499 A JP2002120499 A JP 2002120499A JP 2003313318 A JP2003313318 A JP 2003313318A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
polyester
acid
polyester film
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002120499A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Asada
毅 浅田
Tetsuo Ichihashi
哲夫 市橋
Tetsuo Yoshida
哲男 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Film Solutions Ltd
Original Assignee
Teijin DuPont Films Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin DuPont Films Japan Ltd filed Critical Teijin DuPont Films Japan Ltd
Priority to JP2002120499A priority Critical patent/JP2003313318A/ja
Publication of JP2003313318A publication Critical patent/JP2003313318A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性、寸法安定性、耐溶剤性、機械強度を
損なうことなく、耐衝撃性、の優れた熱収縮包装材料に
有用なポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 エチレンテレフタレートを主たる繰返し
単位とし酸成分としてナフタレンジカルボン酸を5〜2
0モル共重合させたポリエステル(A)と、ポリブチレ
ンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル
(B)とを重量比でA/B=97/3〜70/30の割
合で混合して製膜することにより得られるポリエステル
フィルムであって、該ポリエステルフィルムが示差走査
熱分析により210℃以上に少なくとも一つの結晶融解
ピークを有することを特徴とするポリエステルフィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステルフィル
ムに関し、更に詳しくは、従来品において達成の困難で
あった耐衝撃性を有し、且つ優れた耐久性、寸法安定
性、機械強度、耐油性、耐溶剤性を持つような収縮包装
材料として有用な、適度の熱収縮性を有するポリエステ
ルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ボトルのラベルをはじめとする収
縮包装用途にはポリエステル系フィルムまたはポリスチ
レン、ポリ塩化ビニル等の非ポリエステルフィルムが使
用されている。そして、ポリエステルフィルムの特徴と
して、耐溶剤性、耐久性、寸法安定性、機械強度など
が、非ポリエステル系のフィルムよりも優れることが挙
げられる。
【0003】このような熱収縮性ポリエステルフィルム
は通常、大きな収縮率及び溶剤接着性を持たせるため
に、原料としてコポリエステルが用いられる。例えば特
公平6−18903号公報ではテレフタル酸及びエチレ
ングリコールを主たる成分としたナフタレンジカルボン
酸の共重合体ポリマーを用いた熱収縮フィルムが開示さ
れている。また、ナフタレンジカルボン酸を含むポリマ
ーには、その優れたUV吸収能により、特に紫外線によ
る変性を受けやすい飲料、物品の包装に適した特性があ
る。
【0004】しかしながら、上記の如きポリエステル共
重合体のフィルムを用いた包装材料は、共重合化により
ホモポリエステルのもつ本来の強度が低下している。そ
して、これら従来のポリエステル共重合体のフィルムを
用いた包装材料は、物品の流通の際に不慮の事故により
中身が破損するといったトラブルが避けられないのが実
情であり、更に耐衝撃性が向上した、予期せぬトラブル
の発生時にも商品に与えるダメージは少ないフィルムが
要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
ような問題を解消でき、ポリエステルフィルムの優れた
透明性、耐久性、寸法安定性、耐油性、耐溶剤性、機械
強度を損なうことなく、耐衝撃性を向上させた熱収縮包
装材料に有用なポリエステルフィルムについて鋭意研究
の結果、エンジニアリングプラスチックとして広く用い
られ、優れた耐衝撃性をもつポリブチレンテレフタレー
トを特定の割合でナフタレンジカルボン酸共重合ポリエ
ステルと混合させて製膜したフィルムであれば、課題を
解決できることを見出し本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の目的
は、本発明によれば、エチレンテレフタレートを主たる
繰返し単位とし酸成分としてナフタレンジカルボン酸を
5〜20モル共重合させたポリエステル(A)と、ポリ
ブチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステ
ル(B)とを重量比でA/B=97/3〜70/30の
割合で混合して製膜することにより得られるポリエステ
ルフィルムであって、該ポリエステルフィルムが示差走
査熱分析により210℃以上に少なくとも一つの結晶融
解ピークを有することを特徴とするポリエステルフィル
ムにより達成できる。
【0007】また、本発明の好ましい実施形態として、
(2)結晶融解ピークの結晶融解エンタルピー(△H
m)が30〜60cal/gである請求項1に記載のポ
リエステルフィルム、(3)少なくとも一軸方向に延伸
された請求項1に記載のポリエステルフィルムを挙げる
ことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】[ポリエステル]本発明のポリエステルフ
ィルムを構成するポリエステルは、エチレンテレフタレ
ートを主たる主たる繰返し単位とし、酸成分としてナフ
タレンジカルボン酸を共重合したポリエステル(A)及
びポリブチレンテレフタレートを主たる成分とするポリ
エステル(B)のブレンド体からなる。かかるポリエス
テル(A)は酸成分がテレフタル酸及びナフタレンジカ
ルボン酸、グリコール成分がエチレングリコールからな
るポリエステルであり公知の製法、すなわちテレフタル
酸ジメチル及びナフタレンジカルボン酸ジメチルとエチ
レングリコールからのエステル交換反応法、あるいはテ
レフタル酸及びナフタレンジカルボン酸とエチレングリ
コールとの直接エステル化によりオリゴマーを得た後、
溶融重合して得られるものであるが、本発明の効果を損
ねない範囲で他の成分を共重合する事もできる。
【0010】また、共重合成分のナフタレンジカルボン
酸は、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフ
タレンジカルボン酸及び/又は1,5−ナフタレンジカ
ルボン酸であるが、これらのうち2,6−ナフタレンジ
カルボン酸が最も好ましい。
【0011】本発明におけるポリエステル(A)の他の
共重合成分として、酸成分としてはアジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジ
カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ジフェノキシエ
タンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニ
ルエーテルジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸等
の芳香族ジカルボン酸などの1種あるいは2種以上を挙
げる事ができる。
【0012】またアルコール成分としてはジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオ
ール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテト
ラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールを
好ましく挙げる事ができる。これらは単独あるいは2種
以上を使用することができる。
【0013】ポリエステル(A)中のナフタレンジカル
ボン酸の共重合割合は、5〜20mol%であることが
必要であるが、7〜18mol%であることが好まし
く、特に10〜15mol%であることが好ましい。ナ
フタレンジカルボン酸の共重合割合が5mol%未満で
は、フィルムにしたときの結晶性が高くなり、収縮包装
用に必要な、溶剤シール性が不足する。また、20mo
l%を超えると、融点が低下し、結晶性が低くなり過ぎ
るため乾燥、製膜時の取り扱いが難しく実用に適さな
い。
【0014】また、本発明におけるポリエステル(B)
は、酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、グリコー
ル成分としてテトラメチレングリコールを主成分とする
ものであり、公知の製法、すなわちテレフタル酸ジメチ
ル及びテトラメチレングリコールからのエステル交換反
応法、あるいはテレフタル酸及びテトラメチレングリコ
ールとの直接エステル化によりオリゴマーを得た後、溶
融重合して得られるものである。ポリエステル(B)
は、本発明の効果を損ねない範囲であれば他の成分を共
重合する事もできる。
【0015】本発明におけるポリエステル(B)の他の
共重合成分として、酸成分としてはアジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジ
カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、
1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタン
ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテルジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸などを好ましく挙げる事ができる。こ
れらは単独あるいは2種以上を使用することができる。
【0016】またアルコール成分としてはジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族
ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアル
キレングリコールを好ましく挙げる事ができる。これら
は単独あるいは2種以上を使用することができる。
【0017】本発明において用いるポリエステル(B)
は、ポリブチレンテレフタレート或いはその共重合体で
あるが、かかるポリエステルは室温に近いガラス転移温
度(Tg)をもち、同時に高い結晶性をもつポリマーで
あり、かかるポリエステルを配合することにより、やわ
らかい非晶部のクッション性、結晶部の剛性により耐衝
撃性の向上に効果がある。
【0018】[ポリエステルフィルム]本発明のポリエ
ステルフィルムは、ポリエステル(A)とポリエステル
(B)のブレンド体であり、AとBの比率は重量比にし
てA/B=97/3〜70/30の割合である。Bの比
率が3wt%未満では、目立った耐衝撃性の向上が見ら
れない。また耐衝撃性の向上という点ではBの量は多い
方が好ましいが、Bが30wt%を超えて添加すると、
押出機中の溶融混練の際、A、Bの相溶性悪化の原因と
なる。その結果、フィルム品質の斑が発生し好ましくな
い。また、Bの比率が高いと、混合ポリマーの結晶性が
高くなり過ぎ、溶剤接着性の低下を引き起こすため好ま
しくない。
【0019】本発明のポリエステルフィルムは、示差走
査熱分析により210℃以上に少なくとも一つの結晶融
解ピークを有することを必要とする。一般に、本発明の
如きポリエステルブレンド体は溶融温度以上の条件で混
練りした際にエステル交換反応を起こすため、ポリブチ
レンテレフタレートを主成分としたポリエステル(B)
の優れた耐衝撃性は、エステル交換反応の進行とともに
ポリエステル(A)、ポリエステル(B)がランダム共
重合化することによって徐々に失われていく。
【0020】一般にはエステル交換反応による共重合の
進行と共にポリマーの融点は低温側へシフトしていき、
平行に達すると融点が一定値となり、それ以上の低下が
見られなくなる。ポリマーの共重合化の進行は、ポリエ
ステル(A)、ポリエステル(B)の各々の特性を徐々
に失わせていくため、共重合の進行度合いは、フィルム
の融点にして210℃以上、好ましくは215℃以上、
さらに好ましくは220℃以上である程度が好ましい。
一般に、上記の如く共重合化の進み具合の小さなブレン
ド系ポリエステルフィルムは結晶融解ピークを2つ持つ
が、A、Bの融点差が小さい場合、もしくはAまたはB
が非晶ポリエステルである場合などは一つのピークのみ
が観察され得る場合もある。
【0021】本発明におけるポリエステルは、ピークが
1つの場合、もしくは2つの場合であっても、観察され
る少なくとも1つのピークが210℃以上であることが
必要である。210℃以上の結晶融解ピークが存在しな
いものは共重合化が進み過ぎているため、ポリエステル
(A)、ポリエステル(B)の特性が失われている。或
いは結晶融解ピークを1つも示さないものは共重合化が
進みすぎて、非晶フィルムとなっているためであり、機
械強度、耐衝撃性等が著しく悪化している。
【0022】上記エステル交換反応による共重合化進行
及びそれに伴う機械物性の低下の抑制は、例えば、溶融
混合時の温度を低めに設定することや、ブレンドポリマ
ーの溶融粘度差を大きくするといった手法によって達成
することができるが、リン系熱安定剤を大量に添加する
こと、ポリマーの重合触媒量を減らすこと、もしくは、
触媒組成としてMn−Sb系のような触媒活性の強すぎ
るものは使用せず、例えばTi−Ge系触媒のようにエ
ステル交換反応を適度に抑制できるものを使用するこ
と、これらの手法のうちいずれか、またはいくつかを組
み合わせて実施すればさらに効果は大きい。
【0023】本発明のポリエステルフィルムは、結晶融
解エンタルピー(熱量:△Hm)の△Hmが30〜60
J/gの範囲であることが好ましく、更に33〜57J
/gの範囲、特に35〜55J/gの範囲であることが
好ましい。この△Hmの大きさはフィルム中の結晶(製
膜時の配向結晶及び、昇温中の冷結晶化)の存在量の目
安となる。△Hmが30J/g未満ではフィルムが非晶
に近いことを意味し、耐衝撃性が悪くなることがある。
一方、60J/gを超えると、結晶化度が高くなりす
ぎ、溶剤シール性を悪化させ、かつ引裂き強度のような
包装材料に不可欠な物性も低下してしまうことがある。
【0024】△Hmを上記範囲とするためには、上記の
ポリエステルを用いて製膜する際、例えば未延伸フィル
ムを縦方向に延伸する際の予熱温度をTg〜Tg+50
℃の範囲とし、更に横方向に延伸する工程や、熱固定す
る工程での温度をTg〜Tg+10℃の範囲のように通
常のポリエステル製膜の際の温度よりも低温にすること
により達成することができる。尚、Tgは本発明のポリ
エステルフィルムのガラス転移温度を示差走査熱分析で
測定した際に得られる高温度側のガラス転移温度であ
る。
【0025】本発明のポリエステルフィルムは波長36
0nmの紫外光の透過率を高々30%、好ましくは25
%、さらに好ましくは20%以下にするのが良い。紫外
線の吸収はナフタレンジカルボン酸系ポリマーの優れた
特性の一つであり、従来は塗料や、容器の着色等に頼っ
てきた紫外線による飲料、物品の変性を防ぐための有用
な手段として、本発明のポリエステルフィルムを用いる
ことが可能となる。紫外線の透過量はポリエステル
(A)のブレンド量が主として影響するが、耐衝撃性と
のバランスを考慮し、必要に応じて既知の紫外線吸収剤
を添加して調節しても良い。
【0026】本発明のポリエステルフィルムは平均粒径
が2.5μm以下の滑剤を含有する事が望ましい。この
滑剤は無機、有機系の如何を問わないが、無機系が好ま
しい。無機系滑剤としてはシリカ、アルミナ、2酸化チ
タン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が例示でき、有
機系滑剤としてはシリコーン粒子等が例示できる。いず
れも平均粒径が2.5μm以下であることが好ましい。
平均粒径が2.5μmを越えるとフィルムの透明性を損
なうため、包装材料としては好ましくない。フィルムの
ヘーズ(くもり度)値としては包装用材料として透明度
を求められるため厚み40μmで15%以下、好ましく
は10%以下が良い。上記滑剤の添加量としてはその粒
径にも依存するが、フィルムの巻き取り性および透明性
に悪影響を及ぼさない範囲で選択すると良い。
【0027】本発明のポリエステルフィルムには必要に
応じ、その片面または両面に易接着層、帯電防止層等の
コーティングが施されていても良い。また本発明のポリ
エステルフィルムの特性を損ねない範囲において帯電防
止剤、着色剤等の第3成分を含んでも良い。
【0028】本発明のポリエステルフィルムは、未延伸
フィルムであってもよく、一軸延伸フィルムや二軸延伸
フィルムのように少なくとも一軸方向に延伸されたフィ
ルムであっても良いが、延伸されたフィルムであること
が好ましく、特に一軸延伸フィルムであることが好まし
い。
【0029】本発明のポリエステルフィルムは、例えば
上述したポリエステル(A)、ポリエステル(B)のペ
レットをオートブレンダにより混合した後、乾燥、溶融
し、ダイよりフィルム状に吐出し、冷却ロールなどで冷
却して未延伸フィルムとして得ることができる。この未
延伸フィルムは引き続き、Tg〜Tg+50℃の温度範
囲(Tgは本発明のポリエステルフィルムのガラス転移
温度を示差走査熱分析で測定した際に得られる高温度側
のガラス転移温度)で縦方向または横方向に延伸して一
軸延伸フィルムとし、次いで、Tg〜Tg+10℃の温
度範囲で横方向または縦方向に延伸して二軸延伸フィル
ムとすることができる。一軸延伸フィルムや二軸延伸フ
ィルムは必要に応じてTg〜Tg+10℃の温度範囲の
ようなTg付近で熱固定することが好ましい。この熱固
定温度が高すぎると製品フィルムの熱収縮率が小さくな
り、熱収縮包装用としての本来の機能を失う。
【0030】熱収縮率値としては、温水中70℃におい
て10秒間保持した場合の収縮率(S70)が、S70
=30〜60%の範囲であることが好ましく、及び/又
は温水中80℃において10秒間保持した場合の収縮率
(S80)が、S80=40〜70%であることが好ま
しい。特に、S70<S80の関係を満たすことが好ま
しい。また、収縮は長手、巾方向のどちらか一方のみで
上記収縮率の熱収縮が起こるのが理想的であるが実際に
は主収縮方向(長手又は巾方向)に直角の方向にも数%
の熱収縮が見られる。このような一軸収縮性を持たせる
には、主収縮方向への一軸延伸が最も適しているが、一
軸延フィルムはポリマーの配向特性上、引裂き性が低下
してしまうため、用途によっては僅かでも主収縮方向と
直角方向にも延伸するのが好ましい場合もある。この場
合主収縮方向と直角方向への延伸倍率は高々2倍程度が
好ましいが、用途、要求特性により1.0〜2.0倍ま
での範囲で適宜選択するのが良い。
【0031】本発明のポリエステルフィルムの厚みは2
0〜70μm、好ましく30〜60μmである。さらに
好ましくは35〜55μmである。厚みが薄いとコスト
面では好ましいがフィルムの腰が弱くなって、ラベル装
着時に折れ曲がったりして不良品を発する可能性があ
る。また逆に過度に厚みが大きいものは腰が強すぎて、
加工時の取り扱いが難しくなり好まれない。
【0032】
【実施例】以下に、実施例を掲げて本発明をさらに説明
する。なお、各特性の測定は下記の方法に従った。
【0033】(1)フィルム厚み 打点式フィルム厚み計を用い、フィルム幅方向の任意の
場所50箇所、フィルム幅の中心付近の長手方向で任意
の場所50箇所について厚みを測定し、全100箇所の
数平均値をフィルム厚みとする。ただし測定するフィル
ムの幅方向、長手方向の厚み斑は平均厚みの+20〜−
20%厚み内にあることを前提とする。
【0034】(2)フィルムの結晶融解ピーク位置 示差走査熱分析計(SEIKO DSC SSC/52
00)を用いて測定した。昇温速度は20℃/min
試料の量は20mgとした。ポリエステルフィルム20
mgのサンプルをアルミニウム製のパンに封入し、昇温
速度20℃毎分にて280℃まで昇温を行い観察される
結晶融ピークの頂点の位置を読み取った。測定は合計5
回行い、その平均値をとった。
【0035】(3)ポリエステルのガラス転移温度 示差走査熱分析計(SEIKO DSC SSC/52
00)を用いて測定した。昇温速度は20℃/min
試料の量は20mgとした。ポリエステルペレット或い
はポリエステルフィルム20mgのサンプルをアルミニ
ウム製のパンに封入し、昇温速度20℃毎分にて280
℃まで昇温を行い観察されるガラス転移温度の変位点の
位置を読み取った。測定は合計5回行い、その平均値を
とった。
【0036】(4)耐衝撃性試験 ポリエステルフィルムを用いて、30cm×20cmの
サイズの袋を作成した。作成した袋に水1000mlを
満たして封をし、2mの高さからコンクリートの床に落
下させる。試験は各サンプルについて50回実施し、そ
のうち袋の破断率が20%以下のものを○、21〜40
%を△、41%以上を×とした。試験は25℃、湿度5
0%の雰囲気中で実施した。
【0037】(5)溶剤接着性試験 サンプルとして、フィルム片2枚を準備する。ジオキソ
ランを染み込ませた綿棒を準備した内の一枚のフィルム
上を走らせることでフィルムにジオキソランを塗布す
る。ジオキソラン塗布後のフィルムは直ちに、もう一枚
のフィルムと貼り合わせ、ローラーを用いて圧着する。
フィルムの接着状態を下記の基準で3段階評価した。 ○:2枚のフィルムがしっかり接着される △:接着するが強度不十分 ×:全く接着しない
【0038】(6)ヘーズ JIS K7105の測定法Aに準じた。
【0039】(7)熱収縮率 30cmの短冊状のフィルム上を長手方向、幅方向に切
り出し、25cmの間隔をあけて標点をつける。その後
70℃、80℃の温水中に10秒間さらした後に取り出
し、標点間の距離を測定する。収縮率Sは下記の式で計
算する。尚、測定は長手方向、巾方向に関して5回行
い、その平均値をとった。
【0040】
【数1】 S=100×(25−収縮後の評点間距離)/25 (%)
【0041】(8)紫外線透過率 分光光度計を用いて365nm波長での光線透過率を測
定した。
【0042】[実施例1〜9]ジメチルテレフタル酸、
2,6−ジメチルナフタレンジカルボン酸、エチレング
リコールを原料として、テトラブチルチタネートをエス
テル交換触媒、2酸化ゲルマニウムを重合触媒、亜リン
酸を安定剤として用い、常法により共重合ポリエチレン
テレフタレート(ポリエステル(A))を製造した。次
にジメチルテレフタル酸、テトラメチレングリコールを
原料とし、同じくテトラブチルチタネートをエステル交
換触媒、2酸化ゲルマニウムを重合触媒、亜リン酸を安
定剤として用い、常法によりポリブチレンテレフタレー
ト(ポリエステル(B))を製造した。得られたポリエ
ステル(A)、ポリエステル(B)を表1に示した割合
でブレンドし、150℃で6時間乾燥した後、押出機ホ
ッパーに供給して溶融温度280〜300℃で溶融し、
単層ダイを用いて表面温度20℃の冷却ドラム上に押出
して急冷し厚さ160〜240μmの未延伸フィルムを
得た。このようにして得られた未延伸フィルムを表1に
示した条件で余熱、延伸、熱固定を行い、表1に示す延
伸ポリエステルフィルムを得た。なお、フィルム厚みは
押出機の回転数を変え、未延伸フィルムの厚みを変える
事で調節した。これらのフィルムの物性を表2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】表1でTAはテレフタル酸、NDCは2,
6−ナレフタレンジカルボン酸、EGはエチレングリコ
ール、TMGはテトラメチレングリコールであることを
示す。
【0045】
【表2】
【0046】表2に示した結果から明らかなように、実
施例の1〜5のフィルムは、何れも耐衝撃性が良好で、
熱収縮性包装材料として有用なものであった。
【0047】[比較例1及び比較例2]表1に示したポ
リエステル(A)、ポリエステル(B)を表1に示した
割合でブレンドし、表1に示した延伸倍率、延伸温度及
び熱固定温度とした以外は実施例1と同様に製膜して延
伸ポリエステルフィルムを得た。これらのフィルムの物
性を表2に示す。表2に示した結果から明らかなよう
に、比較例の1、2のフィルムは、何れもポリエステル
(B)の混合量が少ないため耐衝撃性が劣る。
【0048】[比較例3及び比較例4]表1に示したポ
リエステル(A)、ポリエステル(B)を表1に示した
割合でブレンドし、表1に示した延伸倍率、延伸温度及
び熱固定温度とした以外は実施例1と同様に製膜して延
伸ポリエステルフィルムを得た。これらのフィルムの物
性を表2に示す。表2に示した結果から明らかなよう
に、比較例の3、4のフィルムは、何れもポリエステル
(A)中のNDC共重合比が大き過ぎ、非晶性の高いフ
ィルムになっているため、耐衝撃性が劣る。
【0049】[比較例5〜7]表1に示したポリエステ
ル(A)、ポリエステル(B)を表1に示した割合でブ
レンドし、表1に示した延伸倍率、延伸温度及び熱固定
温度とした以外は実施例1と同様に製膜して延伸ポリエ
ステルフィルムを得た。これらのフィルムの物性を表2
に示す。表2に示した結果から明らかなように、比較例
の5〜7のフィルムは、何れもポリエステル(B)の混
合量が多すぎるため、結晶性が大きくなり過ぎ、溶剤シ
ール性が低下している。
【0050】[比較例8]表1に示したポリエステル
(A)、ポリエステル(B)を表1に示した割合でブレ
ンドし、表1に示した延伸倍率、延伸温度及び熱固定温
度とした以外は実施例1と同様に製膜して延伸ポリエス
テルフィルムを得た。これらのフィルムの物性を表2に
示す。表2に示した結果から明らかなように、比較例の
8のフィルムは、ポリエステル(A)中のNDC共重合
比が少ないため、結晶性が高過ぎるフィルムになり溶剤
シール性が無い。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、耐衝撃性に優れ、且つ
優れた耐久性、寸法安定性、機械強度、耐油性、耐溶剤
性を有する収縮包装材料等として有用な延伸ポリエステ
ルフィルムを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市橋 哲夫 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人デュポンフィルム株式会社相模原研究セ ンター内 (72)発明者 吉田 哲男 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人デュポンフィルム株式会社相模原研究セ ンター内 Fターム(参考) 4F071 AA45 AA46 AA83 AA87 AH04 BB07 BC01 4J002 CF061 CF072 GG02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレートを主たる繰返し
    単位とし酸成分としてナフタレンジカルボン酸を5〜2
    0モル共重合させたポリエステル(A)と、ポリブチレ
    ンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル
    (B)とを重量比でA/B=97/3〜70/30の割
    合で混合して製膜することにより得られるポリエステル
    フィルムであって、該ポリエステルフィルムが示差走査
    熱分析により210℃以上に少なくとも一つの結晶融解
    ピークを有することを特徴とするポリエステルフィル
    ム。
  2. 【請求項2】 結晶融解ピークの結晶融解エンタルピー
    (△Hm)が30〜60cal/gである請求項1に記
    載のポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 少なくとも一軸方向に延伸された請求項
    1に記載のポリエステルフィルム。
JP2002120499A 2002-04-23 2002-04-23 ポリエステルフィルム Pending JP2003313318A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002120499A JP2003313318A (ja) 2002-04-23 2002-04-23 ポリエステルフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002120499A JP2003313318A (ja) 2002-04-23 2002-04-23 ポリエステルフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003313318A true JP2003313318A (ja) 2003-11-06

Family

ID=29536708

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002120499A Pending JP2003313318A (ja) 2002-04-23 2002-04-23 ポリエステルフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003313318A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006064773A1 (ja) * 2004-12-13 2006-06-22 Mitsubishi Chemical Corporation ポリエステル系樹脂組成物、製造方法及び成形品

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006064773A1 (ja) * 2004-12-13 2006-06-22 Mitsubishi Chemical Corporation ポリエステル系樹脂組成物、製造方法及び成形品
US8143356B2 (en) 2004-12-13 2012-03-27 Mitsubishi Chemical Corporation Polyester resin composition, process for producing the same and molding thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3767511B2 (ja) 熱収縮性ポリエステル系フィルムロール
CN110291130A (zh) 膜用非结晶性的共聚聚酯原料、热收缩性聚酯系膜、热收缩性标签和包装物
JPH0733063B2 (ja) 収縮フイルム
JP6519331B2 (ja) 熱収縮性ポリエステル系フィルムおよび包装体
WO2017022742A1 (ja) ポリエステルフィルム
JPH0753756A (ja) 空洞含有熱収縮性ポリエステル系フィルム
JP3585056B2 (ja) ポリエステル系収縮フィルム
JP3939470B2 (ja) 熱収縮性ポリエステル系フイルム
JP7363788B2 (ja) 非晶性のフィルム用共重合ポリエステル原料、熱収縮性ポリエステル系フィルム、熱収縮性ラベル、及び包装体
JPH0732478A (ja) つや消し調熱収縮性ポリエステル系フィルム
JP2019123252A (ja) 熱収縮性ポリエステル系フィルムロール
JP2003313318A (ja) ポリエステルフィルム
JPH09272150A (ja) 熱収縮性ポリエステル系フィルム
JP2004352847A (ja) ポリエステルフィルムおよびボトル用ラベル
JP2004051888A (ja) 熱収縮性ポリエステル系フィルム
JP2019111824A (ja) 熱収縮性ポリエステル系フィルムおよび包装体
JP2004181653A (ja) ひねり性の優れた延伸ポリエステルフィルム
JPS6327535A (ja) ポリエステル系収縮フイルム
JP2005335312A (ja) 易折曲げ性2軸延伸ポリエステル系フィルム
JPH08323859A (ja) 熱収縮性ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP4623265B2 (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルム
JP2003313319A (ja) ニ軸延伸ポリエステルフィルム
JP3892870B2 (ja) 包装用熱収縮多層ポリエステルフィルム
KR100585186B1 (ko) 융착방지성이 우수한 열수축성 폴리에스테르 필름 및 그의제조방법
JP2002254508A (ja) 延伸ポリエステルフィルム