JP2003311960A - インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置

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JP2003311960A
JP2003311960A JP2002121154A JP2002121154A JP2003311960A JP 2003311960 A JP2003311960 A JP 2003311960A JP 2002121154 A JP2002121154 A JP 2002121154A JP 2002121154 A JP2002121154 A JP 2002121154A JP 2003311960 A JP2003311960 A JP 2003311960A
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Japan
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ink
flow path
supply port
recording head
ink supply
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JP2002121154A
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Keiji Tomizawa
恵二 富澤
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Canon Inc
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型の電気熱変換素子が設けられたインク流
路で、インク吐出時のバック波によるインク供給口の内
壁面の気泡除去効果が低下することを防ぐ。 【解決手段】 接合されている吐出口プレート5と基板
4の間に複数の列状のインク流路8が設けられ、このイ
ンク流路8は内部に電気熱変換素子1が配置され、吐出
口2と長穴状のインク供給口3に連通している。吐出口
プレート5には、インク供給口3の中間部に対向して流
体抵抗突起7が設けられており、その長手方向壁部14
と、インク供給口3の内壁面12との間隙が、インク供
給口3とインク流路8の間の連通口15になっている。
インク吐出時にインク吐出口3に向かって逆流するイン
ク量の総和が小さいインク流路列に対応する連通口15
aは、インク吐出口3に向かって逆流するインク量の総
和が大きいインク流路列に対応する連通口15bよりも
幅が狭い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気熱変換素子の
発生する熱エネルギーを利用してインクを吐出するイン
クジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】今日広く用いられているインクジェット
記録装置におけるインク吐出方法の1つに、電気熱変換
素子(ヒータ)を利用する方法がある。その原理は、イ
ンク流路内の電気熱変換素子に電気信号を与えて発熱さ
せ、電気熱変換素子付近のインクを瞬時に加熱して沸騰
させ、そのときの相変化により急激に生じる大きな発泡
圧によって、インクを吐出口から外部へ高速吐出させる
ものである。この方式のインクジェット記録ヘッドは、
構造が単純でインク流路の集積化が容易であるなどの利
点を有している。
【0003】しかしながら、電気熱変換素子の発生する
熱により、インク中に溶存している空気が溶出し、イン
クジェット記録ヘッド内に少しずつ気泡が停滞し、最終
的には、大きくなった気泡がインク供給を妨げ、インク
滴吐出特性を劣化させ画像品質に悪影響を与える。詳細
に説明すると、通常はインク中に空気が飽和状態で溶存
しているが、その状態で電気熱変換素子を駆動すると、
熱によりインク中の溶存空気が溶出し、直径が1μm程
度あるいはそれ以下の未溶気泡が出現することがある。
このような気泡は、所定の時間が経過するとインク中に
再溶解し、この再溶解までの時間は、インクの表面張
力、空気の飽和蒸気圧などから決まることが知られてい
る。例えば、直径が1μm以下であれば1μs程度の時
間で再溶解する。しかし、高周波で複数の電気熱変換素
子を連続的に駆動した場合、この気泡は複数個出現し、
再溶解せずに容易に合体して大きく成長し、インク中に
滞留することが知られている。このように大型化した気
泡は再溶解に要する時間が長いため、結果的に、インク
ジェット記録ヘッド内に数十〜数百μmの気泡が複数個
停滞してしまう。こうして停滞した気泡は、インク流路
やインク供給路を塞いでしまい、インクがインク流路に
十分に供給されず、吐出不良を引き起こす。また、イン
クジェット記録ヘッド内に停滞した気泡が外気と連通し
てしまうと、外気がインクジェット記録ヘッド内に入り
込んでメニスカスが破壊され、インクタンクからの負圧
によってインクはインクタンクに吸い上げられ、インク
流路がインク吐出不能になってしまうことがある。この
ような問題は、特に、インク供給口の内壁面に気泡が付
着し易いために、内壁面に次々に気泡が付着してそれら
が合体して大型化することによって引き起こされる場合
が多い。
【0004】このような悪影響を及ぼす気泡の停滞は、
気泡が大きく成長する前にインク吐出口から吸引したり
インクに加圧したりして、インク吐出口からインクとと
もに気泡を外部に排出する方法(吸引回復方法または加
圧回復方法)によって解消される。しかしながら、これ
らの方法を行うと、インクの消費量が格段に増大してし
まううえに、記録動作中にこれらの方法を行うとスルー
プットが下がってしまう。
【0005】そこで、このような気泡の停滞を解消する
有力な案として、特開2000−158657号公報に
記載されている方法がある。これは、インクの流体力学
的作用により、インクジェット記録ヘッドのインク供給
口付近に流れを作り、インク供給口の内壁面に気泡が付
着しにくくし、仮に内壁面に気泡が付着してもそれを剥
がし易くする方法である。この構成について説明する
と、図6に示すように、複数のインク吐出口30が設け
られている吐出口プレート31に基板32が接合され、
吐出口プレート31と基板32の間に、複数のインク吐
出口30にそれぞれ連通する複数のインク流路33が複
数の列状に形成されている。基板32には、インク滴3
4を吐出するためのエネルギーを発生する複数の電気熱
変換素子41が、複数のインク流路33内にそれぞれ位
置するように配置されている。また、基板32には、イ
ンク流路33の配列方向に沿って延びて複数のインク流
路34とそれぞれ連通する長穴状のインク供給口35が
形成されている。そして吐出口プレート31には、イン
ク流路33の配列方向に沿って延びる流体抵抗突起36
が設けられている。この流体抵抗突起36はインク供給
口35の中間部に対向し、インク供給口35の内壁端面
の内側に僅かな間隙をおいて位置しており、この流体抵
抗突起36の長手方向壁部37とインク供給口35の内
壁面38との間隙が、インク供給口35とインク流路3
3の間のインクの流通を許容する連通口39になってい
る。
【0006】インクジェット記録ヘッドでは、インク吐
出と同時に、インク流路33と平行にインク供給口35
に向かって逆流するバック波が生じるが、前記したよう
な構成では、流体抵抗突起36によってバック波が連通
口39に導かれ、インク供給口35の内壁面38近くを
上昇する流れになり、このバック波によりインクジェッ
ト記録ヘッド内部に停滞する気泡40がインク供給口3
5の内壁面38に付着しにくくなり、仮に付着したとし
てもすぐに剥がれ易くなる。従って、インクジェット記
録ヘッド内に気泡40が出現しても、インク供給口35
の内壁面38に付着して移動しなくなることはなく、イ
ンク供給口35の上部へ向かって浮上していくため、複
数個合体して大型化することはあまりなく、吐出不良に
は至らない。このように、前記した構成によると、イン
ク吐出に与える悪影響を緩和させ、安定したインク滴の
吐出と信頼性の向上が可能になり、また、回復動作の回
数を少なくすることにより、スループットが良好になり
インク消費量が少なくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】インクを吐出して記録
媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録装置で
は、高精細な記録を実現するために微細な吐出口を有し
ており、その寸法は、たとえば十数μm程度である。こ
のような微細な吐出口からインク吐出を適切に行うため
には、吐出口の微細化に伴い、電気熱変換素子を小型化
する必要がある。電気熱変換素子が小型化されると、発
泡パワーが小さくなるため、インク吐出時にインク流路
からインク供給口に逆流するバック波は小さくなり、イ
ンク流路からインク供給口へ流れるインクの流量および
流速が低下する。このことは、インク供給口の内壁面へ
の気泡の付着を防止したり、付着してしまった気泡を剥
がしたりする力が弱くなることを意味する。特に、小型
の電気熱変換素子を備えたインク流路が列状に並んでい
る場合、そのインク流路列では、インク吐出時にインク
供給口へ向かって逆流するインク量の総和が小さく、イ
ンク供給口の内壁面における気泡除去効果が著しく低下
する。
【0008】そこで本発明の目的は、電気熱変換素子の
小型化を含む様々な要因で、インクジェット記録ヘッド
の複数のインク流路においてインク吐出時のバック波が
小さくなる部分が存在する場合にも、インク供給口の内
壁面への気泡の付着を防止したり内壁面に付着してしま
った気泡を剥がす効果が低下しない、インクジェット記
録ヘッドおよびインクジェット記録装置を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、複数の
インク吐出口が設けられている吐出口プレートと、吐出
口プレートに接合される基板と、吐出口プレートと基板
の間に形成されて複数の列状に並んでいる、複数のイン
ク吐出口にそれぞれ連通する複数のインク流路と、基板
上に配置されて複数のインク流路内にそれぞれ位置す
る、インク滴を吐出するためのエネルギーを発生する複
数の電気熱変換素子と、基板に設けられ、インク流路の
配列方向に沿って延びて複数のインク流路とそれぞれ連
通する長穴状のインク供給口とを有するインクジェット
記録ヘッドにおいて、吐出口プレートの、インク供給口
に対向する位置に、インク流路の配列方向に沿って延び
る流体抵抗突起が設けられており、流体抵抗突起の長手
方向壁部とインク供給口の内壁面との間隙が、インク供
給口とインク流路の間のインクの流通を許容する連通口
になっており、インク吐出時にインク吐出口に向かって
逆流するインク量の総和が小さいインク流路列に対応す
る連通口は、インク吐出口に向かって逆流するインク量
の総和が大きいインク流路列に対応する連通口よりも幅
が狭いところにある。なお、インク吐出口に向かって逆
流するインク量の総和が小さいインク流路列は、インク
吐出量が小さいインク流路の列であり、インク吐出口に
向かって逆流するインク量の総和が大きいインク流路列
は、インク吐出量が大きいインク流路の列である。ま
た、インク吐出口に向かって逆流するインク量の総和が
小さいインク流路列では、インク流路内を連通口へ向か
うインクの流速が、インク吐出口に向かって逆流するイ
ンク量の総和が大きいインク流路列よりも遅い。
【0010】この構成によると、連通口の幅が狭い部分
では、流体力学的圧力が増加してバック波の流速が速く
なる。従って、インク吐出時にインク吐出口に向かって
逆流するインク量の総和が小さいインク流路列において
も、十分速いバック波の流速が得られるため、インク供
給口の内壁面に気泡が付着する可能性が小さくなり、仮
に内壁面に気泡が付着したとしても、それが容易に剥が
れ易くなる。従って、このインク流路列でも、気泡除去
効果を維持できる。
【0011】流体抵抗突起の長手方向壁部が、平面形状
がくし歯状になるように形成されており、インク流路と
対向する位置にくし歯状の長手方向壁部の凸部が配置さ
れてインク供給口の内壁面との間隙が狭くなっており、
インク流路と対向しない位置にくし歯状の長手方向壁部
の凹部が配置されてインク供給口の内壁面との間隙が広
くなっていてもよい。この構成によると、凸部により連
通口の幅が狭くなることによって気泡除去効果を保ちつ
つ、凹部によってインク供給口からインク流路へのイン
クのリフィルの効率を保つことができる。
【0012】さらに、流路抵抗突起の長手方向壁部のく
し歯状の凹凸形状が、滑らかな曲線により形成されてい
てもよい。この構成によると、流体力学的な抵抗が小さ
くなり、リフィル効率の向上にさらに寄与する。
【0013】インク供給口の外側に、基板を板厚方向に
対して垂直に貫通してインク流路に連通する複数の補助
穴が設けられていてもよい。この構成によると、補助穴
を通って、インク供給口から各インク流路へのインクの
リフィルが行われるため、バック波の影響をあまり受け
ずに良好なリフィル効率が得られる。しかも、バック波
の速度にかかわらず気泡の付着が抑制される。
【0014】流路抵抗突起の長手方向壁部の側面形状
が、インク供給口の内壁面と平行であってもよい。その
場合、基板はシリコンからなり、インク供給口は異方性
エッチングにより吐出口プレート側に向かって先細に形
成されていてもよい。この構成では、バック波が、気泡
が付着するおそれのあるインク供給口の内壁面に沿って
進行し易くなるので、インク供給口の内壁面の気泡除去
効果がさらに向上する。
【0015】本発明のインクジェット記録装置は、前記
したいずれかの構成のインクジェット記録ヘッドを有す
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参考して説明する。
【0017】[第1の実施形態]図1に本発明のインク
ジェット記録ヘッドの第1の実施形態が示されており、
図1(a)は、吐出口2が下向きになるように描かれた
要部断面図(図1(b)のA−A線断面図)であり、図
1(b)は、基板4および支持部材9を除去した状態の
平面図であり、便宜上、基板4の一部は破線で図示され
ている。
【0018】まず、このインクジェット記録ヘッドの基
本構成を説明すると、基板4に、インク流路壁となる被
覆樹脂層6が設けられており、この被覆樹脂6に、吐出
口2を有する吐出口プレート5が接合されている。基板
4には長穴状のインク供給口3が板厚方向に貫通するよ
うに形成されている。そして、このインク供給口3の長
手方向の両側に、被覆樹脂層6によって、複数のインク
流路8と、各インク流路8内に立つ円柱状のノズルフィ
ルタ13とが形成されている。さらに、基板4には、各
インク流路8内にそれぞれ位置するように、吐出エネル
ギー発生装置である電気熱変換素子1が設けられてい
る。基板4は支持部材9に固定されて支持されている。
【0019】吐出口プレート5には、電気熱変換素子1
と対向する位置にそれぞれ吐出口2が設けられている。
また、1対のインク流路列の間に、長い流体抵抗突起7
が形成されている。この流体抵抗突起7は、インク流路
8および電気熱変換素子1の配列方向に沿って、インク
供給口3の内壁端面の内側に僅かな間隔をおいて位置す
る形状である。従って、流体抵抗突起7の長手方向壁部
14と、インク供給口の内壁面12との間隙が、インク
供給口3とインク流路8の間のインクの流通を許容する
連通口15になっている。
【0020】次に、本実施形態のインクジェット記録ヘ
ッドの特徴的な部分について、さらに詳細に説明する。
本実施形態のインクジェット記録ヘッドでは、高精細の
記録を行うために吐出インク滴10の大きさの異なるイ
ンク流路8が設けられている。すなわち、図1の左側に
並んでいる列のインク流路8aからは大きなインク滴
(例えば5pl)10aを吐出し、図1の右側に並んで
いる列のインク流路8bからは小さなインク滴(例えば
2pl)10bを吐出する構成である。左側の列のイン
ク流路8aに連通する吐出口2aは大径(通常サイズ)
であり、このインク流路8a内に設けられている電気熱
変換素子1aは大型(通常サイズ)である。これに比較
して、右側の列のインク流路8bに連通する吐出口2b
は小径(通常サイズよりも小さい)であり、このインク
流路8b内に設けられている電気熱変換素子1bは小型
(通常サイズよりも小さい)である。そして、左側の列
のインク流路8aとインク供給口3との間の連通口15
a、すなわち流体抵抗突起7の長手方向壁部14とイン
ク供給口3の内壁面12との間隙は広い幅La(通常サ
イズ)であり、右側の列の連通口15b、すなわち流体
抵抗突起7の長手方向壁部14とインク供給口3の内壁
面12との間隙は狭い幅Lb(通常サイズよりも狭い)
である。このような構成により、気泡11が連通口15
付近に停滞してインク供給口3の内壁面12に付着する
ことを防止でき、気泡11が合体して大型化し、記録に
様々な悪影響を及ぼすことを防ぐことができる。その原
理については後述する。
【0021】このような構成の本実施形態のインクジェ
ット記録ヘッドの作動について、以下に説明する。
【0022】本実施形態のインクジェット記録ヘッドに
おいて、電気熱変換素子1に電気信号が印加されると、
電気熱変換素子1が発熱し、インク流路8内のインクが
加熱されて発泡する。このときの発泡圧により、吐出口
2からインク滴10が吐出される。図1の左側に並んで
いる列のインク流路8aの大型の電気熱変換素子1aに
電気信号が印加された場合には、その電気熱変換素子1
aのパワーが大きいため、吐出口2aから大量(例えば
5pl)のインク滴10aが吐出され、図1の右側に並
んでいる列のインク流路8bの小型の電気熱変換素子1
bに電気信号が印加された場合には、その電気熱変換素
子1bのパワーが小さいため、吐出口2bから小量(例
えば2pl)のインク滴10bが吐出される。
【0023】電気熱変換素子1が駆動されてインクが加
熱されて発泡すると、その発泡パワーが吐出口2側に向
かってインク滴10を吐出させると同時に、発泡パワー
がインク供給口3側に向かいインクを逆流させるバック
波も生じる。インク流路8からインク供給口3へ向かう
バック波は、流路抵抗突起7の長手方向壁部14にあた
って、進行方向が図1(a)上向きに変えられ、連通口
15(流体抵抗突起7の長手方向壁部14とインク供給
口3の内壁面12との間隙)を通ってインク供給口3の
内部に向かう。
【0024】このバック波の作用について説明する。イ
ンクジェット記録ヘッド内のインク中には、高速バック
波によるキャビテーションによって発生した残留気泡
や、インク吐出時に吐出口2から取り込まれた気泡など
の微小な気泡が含まれている。そしてこの微小な気泡
は、インク供給口3内で合体し成長して大きな気泡11
ができる場合もある。前記したバック波が連通口15を
通過してインク供給口3の内壁面12に沿うように上方
へ向かうため、気泡11はバック波に押されてインク供
給口3の内壁面12には付着しない。また、仮にインク
供給口3の内壁面12に付着した気泡11が存在して
も、バック波により押されて内壁面12から剥がれる。
このように、インク供給口3の内壁面12に沿うバック
波に押されて、気泡11はインク供給口3の内壁面12
から離れたところに滞留する。仮に内壁面12から離れ
た位置の気泡11が大きく成長したとしても、インク供
給口3からインク流路8へのインクの流れにはほとんど
影響を及ぼさないので、インク供給不足などによるイン
ク吐出および記録の不良は生じない。
【0025】しかし、図1の右側に並んでいる列のイン
ク流路8bに設けられているような小型の電気熱変換素
子1bはパワーが小さいため、小径の吐出口2bから少
量のインク滴10bを吐出させることは可能であるが、
インク供給口3側へ逆流するバック波の流量および流速
が小さくなる場合がある。特に、本実施形態のように小
型の電気熱変換素子1bが設けられたインク流路8bが
並んだインク流路列(図1(b)に1点差線にて図示)
では、バック波の流量の総和が、インク流路8aが並ん
だインク流路列に比べて著しく小さくなる。このことは
記録自体には直接関係しないが、連通口15b付近の気
泡11の除去効果が乏しくなるおそれがある。すなわ
ち、インク流路8b内やインク供給口3内に出現した気
泡を押し上げるにはバック波の勢いが足りず、気泡11
が連通口15b付近に停滞してインク供給口3の内壁面
12に付着することを防止できずそれを剥がすこともで
きないため、気泡11は内壁面12において合体して大
型化し易く、記録に様々な悪影響を及ぼすおそれがあ
る。従って、図1に示すように、大小2種類の吐出口2
a,2bおよび電気熱変換素子1a,1bが流体抵抗突
起7を挟んで向かい合うように配列されており、共通の
インク供給口3を有する場合には、仮に、連通口15の
幅、すなわち流体抵抗突起7の長手方向壁部14とイン
ク供給口3の内壁面12との間隙の幅が同一(通常サイ
ズ)であると、小型の電気熱変換素子1bが配設されて
いる小インク滴吐出側(図1右側)において、気泡11
が内壁面12に付着し合体して大型化し、連通口15を
塞いでインク供給を妨げるなどインク吐出不良の要因と
なる可能性がある。
【0026】そこで、本実施形態では、小径の吐出口2
bから少量のインク滴10bを吐出させるために小型の
電気熱変換素子1bが設けられている、図1の右側のイ
ンク流路列のインク流路8bでは、そのインク流路8b
に連通する連通口15bの幅、すなわち流体抵抗突起7
の長手方向壁部14とインク供給口3の内壁面12との
間隙の幅が、通常の幅(図1の右側のインク流路列の連
通口15aの幅)Laよりも狭い幅Lbになっている。こ
れによって、インク流路8b内部ではバック波の流速は
遅くても、幅の狭い連通口15bが絞り部として作用す
ることによって、この連通口15bを通過する際にバッ
ク波の流速が速くなり、インク供給口3の内壁面12付
近の気泡11を押し上げるのに十分な勢いが得られ、気
泡11がインク供給口3の内壁面12に付着することを
防止でき、仮に付着したとしてもそれを剥がすことが可
能になる。
【0027】具体的な例を挙げると、通常は、流速=流
量/連通口15の面積であり、流量と発泡圧が比例し、
発泡圧と電気熱変換素子1のサイズが比例するので、必
要な流速を得るためには、電気熱変換素子1のサイズの
小型化に伴って連通口15の面積、すなわち流体抵抗突
起7の長手方向壁部14とインク供給口3の内壁面12
との間隙を小さくしなければならない。例えば、大型の
正方形の電気熱変換素子1aの一辺が26μmで連通口
15aの幅La=25μmで、インク供給口3の内壁面
12の十分な気泡除去効果が得られる場合、小型の正方
形の電気熱変換素子1bの一辺が22μmであるとする
と、連通口15bの幅Lbは、25×{(22×22)
/(26×26)}=18μmにしなければならない。
【0028】[第2の実施形態]次に本発明のインクジ
ェット記録ヘッドの第2の実施形態について、図2を参
照して説明する。第1の実施形態と同一の部分には同一
の符号を付与し、説明を省略する。
【0029】本実施形態では、流路抵抗突起17の長手
方向壁部18が、平面形状がくし歯状になるように形成
されている。具体的には、図2(b)に示すように、く
し歯状の長手方向壁部18の凸部18aがインク流路8
に対向する位置にあり、第1の実施形態と同様に連通口
15の幅が調整され、小型の電気熱変換素子1bが配置
されているインク流路8bにおいてこの連通口15bを
狭くすることによって、バック波の流速を高めインク供
給口3の内壁面12の気泡除去効果を得ている。そし
て、隣り合うインク流路8間の隔壁16に対向する位置
には、くし歯状の長手方向壁部17の凹部18bが位置
しており、この位置においては、流体抵抗突起7の長手
方向壁部18とインク供給口3の内壁面12との間隙が
比較的大きくなっている。それ以外の構成は第1の実施
形態と同じである。
【0030】この構成によると、連通口15の幅が狭く
なることによってインク供給口3からインク流路8への
インクのリフィルの効率が悪くなることを防ぎ、凹部1
8bの位置において十分な量のインクがインク供給口3
からインク流路8へ流れるようになっている。なお、隣
り合うインク流路8間の隔壁16の部分には気泡11が
付着しにくいため、流体抵抗突起17の長手方向壁部1
8とインク供給口3の内壁面12との間隙が比較的大き
くても問題にならない。従って、本実施形態では、凸部
18aにおいて第1の実施形態と同様な気泡除去効果を
保ちつつ、凹部18bにおいてリフィル効率向上を達成
することができる。
【0031】[第3の実施形態]次に本発明のインクジ
ェット記録ヘッドの第3の実施形態について、図3を参
照して説明する。第1,2の実施形態と同一の部分には
同一の符号を付与し、説明を省略する。
【0032】本実施形態では、第2の実施形態と同様
に、流路抵抗突起19の長手方向壁部20が、平面形状
がくし歯状になるように形成され、さらにこのくし歯状
の凸部20aおよび凹部20bの角部の形状が、滑らか
な曲線によって形成されている。そして、第2の実施形
態と同様に、くし歯状の長手方向壁部20の凸部20a
がインク流路8に対向する位置にあり、凹部20bが、
隣り合うインク流路8間の隔壁16に対向する位置にあ
る。従って、凸部20aにおいて気泡除去効果を保ちつ
つ、凹部20bにおいてリフィル効率向上を達成するこ
とができる。その上、本実施形態では、凸部20aおよ
び凹部20bの角部の形状が滑らかな曲線になっている
ので、流体力学的な抵抗が小さくなり、リフィル効率の
向上に寄与する。なお、その他の構成は第2の実施形態
と同じである。
【0033】[第4の実施形態]次に本発明のインクジ
ェット記録ヘッドの第4の実施形態について、図4を参
照して説明する。第1〜3の実施形態と同一の部分には
同一の符号を付与し、説明を省略する。
【0034】本実施形態では、基板4のインク供給口3
の外側に、板厚方向に垂直に貫通してインク流路8に連
通する小径の複数の補助穴21が設けられている。この
補助穴21は、気泡11は通過しにくくインクは自由に
通過できる大きさであり、主にインク供給口3から各イ
ンク流路8へのインクのリフィルに利用され、バック波
の影響をあまり受けずに良好なリフィル効率が得られ
る。この構成では、バック波が補助穴21を通ってイン
ク供給口3内に若干逆流してしまうが、インク流路8と
補助穴21とは垂直であるため、大部分のバック波は補
助穴21に流入することなく、流路抵抗突起7の長手方
向壁部14にぶつかってそこで進路変更して図4(a)
上方(インク供給口3方向)に向かい、インク供給口3
の内壁面12の気泡除去効果に寄与する。さらに、この
構成では、インク供給口3の内壁面12に複数の補助穴
21があいているので、気泡11が付着可能な面積が小
さいため、バック波の速度にかかわらず気泡11の付着
が抑制されるという利点もある。なお、その他の構成は
第1の実施形態と同じである。
【0035】[第5の実施形態]次に本発明のインクジ
ェット記録ヘッドの第5の実施形態について、図5を参
照して説明する。第1〜4の実施形態と同一の部分には
同一の符号を付与し、説明を省略する。
【0036】本実施形態では、流路抵抗突起22の長手
方向壁部23の側面形状が、インク供給口3の内壁面1
2と平行になっている。基板4はシリコンからなり、イ
ンク供給口3は異方性エッチングにより吐出口プレート
5側に向かって先細に形成されており、インク供給口3
の内壁面12は斜面状になっている。そして流路抵抗突
起22の長手方向壁部23もインク供給口3の内壁面1
2に平行な斜面になっている。この構成では、バック波
が、気泡11が付着するおそれのあるインク供給口3の
内壁面12に沿って進行し易くなるので、インク供給口
3の内壁面12の気泡除去効果がさらに向上する。な
お、その他の構成は第1の実施形態と同じである。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電気熱変換素子の小型化などの要因によりバック波が弱
くなったインクジェット記録ヘッドにおいても、内部に
残った気泡がインク滴吐出に与える悪影響を緩和させ、
安定したインク滴の吐出が可能になり、信頼性が向上す
る。また、ヘッドの回復処置を頻繁に行う必要がなくな
るため、スループットの向上やインク消費量の低減とい
った効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のインクジェット記録ヘッドの
第1の実施形態の要部を示すA−A線断面図、(b)は
その一部を省略した平面図である。
【図2】(a)は本発明のインクジェット記録ヘッドの
第2の実施形態の要部を示すB−B線断面図、(b)は
その一部を省略した平面図である。
【図3】(a)は本発明のインクジェット記録ヘッドの
第3の実施形態の要部を示すC−C線断面図、(b)は
その一部を省略した平面図である。
【図4】(a)は本発明のインクジェット記録ヘッドの
第4の実施形態の要部を示すD−D線断面図、(b)は
その一部を省略した平面図である。
【図5】(a)は本発明のインクジェット記録ヘッドの
第5の実施形態の要部を示すE−E線断面図、(b)は
その一部を省略した平面図である。
【図6】(a)は従来のインクジェット記録ヘッドの一
例の要部を示すF−F線断面図、(b)はその一部を省
略した平面図である。
【符号の説明】
1 電気熱変換素子 1a 大型の電気熱変換素子 1b 小型の電気熱変換素子 2 吐出口 2a 大径の吐出口 2b 小径の吐出口 3 インク供給口 4 基板 5 吐出口プレート 6 被覆樹脂層 7,17,19,22 流体抵抗突起 8 インク流路 8a インク吐出量が大きいインク流路 8b インク吐出量が小さいインク流路 9 支持部材 10 インク滴 10a 大きなインク滴 10b 小さなインク滴 11 気泡 12 内壁面 13 ノズルフィルタ 14,18,20,23 長手方向壁部 15 連通口 15a 幅の広い連通口 15b 幅の狭い連通口 16 隔壁 18a,20a 凸部 18b,20b 凹部 21 補助穴

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のインク吐出口が設けられている吐
    出口プレートと、前記吐出口プレートに接合される基板
    と、前記吐出口プレートと前記基板の間に形成されて複
    数の列状に並んでいる、前記複数のインク吐出口にそれ
    ぞれ連通する複数のインク流路と、前記基板上に配置さ
    れて前記複数のインク流路内にそれぞれ位置する、イン
    ク滴を吐出するためのエネルギーを発生する複数の電気
    熱変換素子と、前記基板に設けられ、前記インク流路の
    配列方向に沿って延びて前記複数のインク流路とそれぞ
    れ連通する長穴状のインク供給口とを有するインクジェ
    ット記録ヘッドにおいて、 前記吐出口プレートの、前記インク供給口に対向する位
    置に、前記インク流路の配列方向に沿って延びる流体抵
    抗突起が設けられており、前記流体抵抗突起の長手方向
    壁部と前記インク供給口の内壁面との間隙が、前記イン
    ク供給口と前記インク流路の間のインクの流通を許容す
    る連通口になっており、 インク吐出時に前記インク吐出口に向かって逆流するイ
    ンク量の総和が小さいインク流路列に対応する前記連通
    口は、前記インク吐出口に向かって逆流するインク量の
    総和が大きいインク流路列に対応する前記連通口よりも
    幅が狭いことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記インク吐出口に向かって逆流するイ
    ンク量の総和が小さい前記インク流路列は、インク吐出
    量が小さい前記インク流路の列であり、前記インク吐出
    口に向かって逆流するインク量の総和が大きい前記イン
    ク流路列は、インク吐出量が大きい前記インク流路の列
    である、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記インク吐出口に向かって逆流するイ
    ンク量の総和が小さい前記インク流路列では、前記イン
    ク流路内を前記連通口へ向かうインクの流速が、前記イ
    ンク吐出口に向かって逆流するインク量の総和が大きい
    前記インク流路列よりも遅い、請求項1または2に記載
    のインクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記流体抵抗突起の前記長手方向壁部
    が、平面形状がくし歯状になるように形成されており、
    前記インク流路と対向する位置に前記くし歯状の長手方
    向壁部の凸部が配置されて前記インク供給口の前記内壁
    面との間隙が狭くなっており、前記インク流路と対向し
    ない位置に前記くし歯状の長手方向壁部の凹部が配置さ
    れて前記インク供給口の前記内壁面との間隙が広くなっ
    ている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記長手方向壁部のくし歯状の前記凸部
    および前記凹部の角部の形状が、滑らかな曲線になって
    いる、請求項4に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記インク供給口の外側に、前記基板を
    板厚方向に対して垂直に貫通して前記インク流路に連通
    する複数の補助穴が設けられている、請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記流路抵抗突起の前記長手方向壁部の
    側面形状が、前記インク供給口の前記内壁面と平行であ
    る、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェッ
    ト記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記基板はシリコンからなり、前記イン
    ク供給口は異方性エッチングにより前記吐出口プレート
    側に向かって先細に形成されている、請求項7に記載の
    インクジェット記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載のイ
    ンクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006315395A (ja) * 2005-04-13 2006-11-24 Canon Inc 液体吐出記録ヘッド、及び該記録ヘッドを搭載する液体吐出記録ヘッドカートリッジ

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