JP2003311338A - 成形シミュレーション法および同法に適用する見かけの摩擦係数決定方法 - Google Patents

成形シミュレーション法および同法に適用する見かけの摩擦係数決定方法

Info

Publication number
JP2003311338A
JP2003311338A JP2002118769A JP2002118769A JP2003311338A JP 2003311338 A JP2003311338 A JP 2003311338A JP 2002118769 A JP2002118769 A JP 2002118769A JP 2002118769 A JP2002118769 A JP 2002118769A JP 2003311338 A JP2003311338 A JP 2003311338A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plate
friction coefficient
bead
pressing
apparent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002118769A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3939582B2 (ja
Inventor
Yasuomi Morikawa
恭臣 森川
Atsushi Kato
淳 加藤
Tsugumoto Ikeda
貢基 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2002118769A priority Critical patent/JP3939582B2/ja
Publication of JP2003311338A publication Critical patent/JP2003311338A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3939582B2 publication Critical patent/JP3939582B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 被加工材が成形金型の板押さえ部のビード部
を通過するのに要する引抜力の計算精度を向上させる見
かけの摩擦係数の決定方法およびこの方法により決定さ
れた見かけの摩擦係数を適用する成形シミュレーション
法を提供する。 【解決手段】 被加工板における接触面圧と摩擦係数と
の関係を予め実測により求め、成形金型のビード部の横
断面形状と同様の断面形状を有するビード部6が形成さ
れたビード金型5を想定し、このビード金型5に付加さ
れた押付力Pに対してそのビード部6を通過する被加工
板Wの各部に生じる接触面圧を算出し、算出された各部
の接触面圧に対して実測により求められた摩擦係数を適
用して前記ビード金型5のビード部6を通過するのに要
する被加工板Wの引抜力Fを算出し、前記引抜力Fを前
記押付力Pで除して見かけの摩擦係数を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、自動車車体パネル
等のプレス成形において、被加工板の成形状態を予測計
算する成形シミュレーション法および同法に適用する見
かけの摩擦係数の決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車車体パネルなどのプレス成
形部品の成形過程において、破断やしわの発生などの不
良現象の発生の有無を予測計算するとともに、成形不良
が生じないように前記予測計算結果を成形金型の製作に
反映させるため、主として有限要素法による3次元成形
シミュレーションが行われるようになってきた。
【0003】一方、一般的に、材料流入量やダイキャビ
ティ内における被加工板に働く張力を制御するため、成
形金型の板押さえ部に、被加工板を波形状に変形させな
がら通過させるビード部が設けられる。プレス成形加工
の実プロセスにおいて、前記ビード部における被加工板
の流入制御は極めて重要であり、流入量を制限し過ぎる
と破断の原因に、また流入量が過剰になるとしわの原因
となる。また、成形品の形状によっても流入量を微妙に
制御することが要求される場合がある。これらの制御を
精度良く行うためには、成形シミュレーションにおい
て、ビード部における被加工板に作用する押付力に対す
る引抜力を正確に算出することが重要である。
【0004】従来の成形シミュレーションでは、ビード
部通過時の板変形をそのまま計算すると計算時間が膨大
になるため、被加工板がビード部を通過する際の摩擦係
数を大きめの値(この大きめの値に設定した摩擦係数を
「見かけの摩擦係数」と呼ぶ。)を用いることとし、ビ
ード部を通過するのに要する引抜力を被加工板の押付力
に見かけの摩擦係数を掛けることによって簡易的に算出
している。すなわち、被加工板がビード部を通過するの
に要する引抜力は、ビード部と被加工板の接触に伴う摩
擦力と、ビード部の形状に沿って変形(曲げ曲げ戻し変
形)するのに要する力とによって構成されるが、後者の
変形力の計算には多大な時間を要するため、変形に要す
る力を見かけの摩擦係数に含めて計算することとしてい
る。この見かけの摩擦係数は、物性値の異なる被加工板
ごとに推定されたり、簡便な試験によって実測されたり
するが、通常、成形シミュレーションの際には2乃至3
水準の少数の定数が使用される。
【0005】一方、特開平10−146697号公報に
は、シミュレーションに先立って加工実験を行い、この
加工実験から製品の板厚分布を測定しておき、金型と材
料との摩擦係数を0.3より小さい範囲で金型の部位ご
とに連続的に変化させて第1回目のシミュレーションを
行い、実験による板厚の測定値とシミュレーションによ
る板厚の測定値との差が最小となる摩擦係数を求め、次
のシミュレーションにはこの摩擦係数を適用する成形シ
ミュレーション法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来の手
法では、ビード部を通過する際の抵抗は、非常に曖昧な
ものとして扱われており、成形シミュレーションの予測
精度を劣化させる原因となっている。すなわち、成形シ
ミュレーションで使用される見かけの摩擦係数には、摩
擦係数に影響を与える接触面圧、被加工板の材質が考慮
されていないため、成形シミュレーションの結果と実プ
レス加工における不良発生状況とが大きく異なるように
なる。このため、シミュレーション結果を基にして行う
金型設計、金型の製作から実プレス試験の結果による型
調整などの工程・手間が増え、結果として成形金型の製
作コスト高を招来し、さらに得られた成形金型の成形精
度についてもばらつきが生じる。
【0007】また、前記公報に記載の成形シミュレーシ
ョン法では、摩擦係数が接触面圧や降伏応力などの材料
(素板)の物性に依存して変化することが考慮されてお
らず、シミュレーションの前に予め行われる加工実験の
結果とシミュレーションの計算結果との誤差が最小とな
るように計算で用いる材料定数の合わせ込みを行ってい
るだけである。このため、この成形シミュレーション法
では、材料物性や成形金型の形状が異なる度に実際に製
作した成形金型を用いて加工実験を行わなければなら
ず、結局、成形金型の製作に成形シミュレーション結果
を反映させることができない。
【0008】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、成形シミュレーションにおいて被加工材がビード部
を通過するのに要する引抜力を押付力から正確に計算す
ることができる、見かけの摩擦係数の決定方法を提供す
ることを目的とする。また、他の目的として、前記決定
方法によって決定された見かけの摩擦係数を用いること
によって、実際に成形金型を製作することなく、精度の
高い成形状態を予測することができる成形シミュレーシ
ョン法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の見かけの摩擦係
数決定方法は、被加工板のダイキャビティ内への流入を
制御するビード部が板押さえ部に形成された成形金型を
用いて前記板押さえ部に押付力が付加された状態で被加
工板をプレス成形する際の、前記被加工板の弾塑性変形
量を前記ビード部を通過する被加工板の引抜力に基づい
て計算する成形シミュレーション法における、前記引抜
力を前記押付力から算出する際に用いられる見かけの摩
擦係数の決定方法であって、前記被加工板における接触
面圧と摩擦係数との関係を予め実測により求め、前記成
形金型のビード部の、被加工板の成形時の流れ方向とプ
レス方向とを含む横断平面における断面形状と同様の断
面形状を有するビード部が形成されたビード金型を想定
し、このビード金型に付加された押付力に対してそのビ
ード部を通過する被加工板の各部に生じる接触面圧を算
出し、算出された各部の接触面圧に対して実測により求
められた摩擦係数を適用して前記ビード金型のビード部
を通過するのに要する被加工板の引抜力を算出し、前記
引抜力を前記押付力で除して見かけの摩擦係数を決定す
る。この見かけの摩擦係数決定方法において、実測によ
り求められた接触面圧と摩擦係数との関係から両者の関
係式を求め、ビード金型のビード部を通過する被加工板
の引抜力を算出する際に、被加工板の各部に生じる接触
面圧に対して前記関係式から算出された摩擦係数を適用
することができる。
【0010】また、本発明の成形シミュレーション法
は、被加工板のダイキャビティ内への流入を制御するビ
ード部が板押さえ部に形成された成形金型を用いて前記
板押さえ部に押付力が付加された状態で被加工板をプレ
ス成形する際の、前記被加工板の弾塑性変形量を前記ビ
ード部を通過する被加工板の引抜力に基づいて計算する
成形シミュレーション法であって、前記引抜力は前記押
付力に見かけの摩擦係数を掛けて算出され、前記見かけ
の摩擦係数として前記見かけの摩擦係数決定方法によっ
て決定された見かけの摩擦係数を適用する。この成形シ
ミュレーション法において、成形金型にビード部の断面
形状あるいは押付力が異なる複数の板押さえ部を備える
場合、各板押さえ部ごとにビード部に対する見かけの摩
擦係数として前記見かけの摩擦係数決定方法によって決
定した見かけの摩擦係数を適用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】図7に示したU形部材51のプレ
ス成形に即して本発明を説明する。前記U形部材51は
端部にフランジ52,52が形成されたU字形状の横断
面を有しており、図4に示す成形金型15によってプレ
ス成形される。この成形金型15は、ダイ13と、パン
チ11と、ダイ13の板押さえ面に付勢するように設け
られた押さえ板17とを有し、前記ダイ13の板押さえ
面にはビード部16の一方を構成する凹部14が、押さ
え板17の板押さえ面にはビード部16の他方を構成す
る凸部12が形成されている。前記凹部14と凸部12
とによってビード部16が構成される。なお、ダイ13
の板押さえ面、押さえ板17の板押さえ面およびビード
部によって板押さえ部が構成される。
【0012】図6は本発明の成形シミュレーション法を
実施するための手順を示す主フローチャートであり、摩
擦係数の接触面圧に対する依存性を実測により求める事
前測定と、見かけの摩擦係数を決定する見かけの摩擦係
数決定計算と、その計算結果を用いて成形シミュレーシ
ョン法を実行する成形シミュレーション計算とに大別さ
れる。なお、事前測定データおよび各計算を実行するプ
ログラムはコンピュータの記憶装置に記憶され、これを
実行することによって本発明は実施される。
【0013】本発明を実施するには、先ず、事前測定
(S1)として摩擦係数の接触面圧に対する依存性を実
測により求める。すなわち、被加工板に付加される押付
力によって生じる接触面圧と摩擦係数との関係を予め実
験的に求める。ここで前記依存性を求めるに至った経緯
を説明する。
【0014】本発明者は成形金型のビード部を通過する
被加工板の各部の面圧は一定でなく、さらに摩擦係数も
接触面圧によって変化することに着目した。接触面圧に
よって摩擦係数が変化する理由は以下のように説明され
る。被加工板や成形金型の表面には微小な凹凸が形成さ
れており、その凹部には潤滑油が溜まる。この潤滑油が
溜まった凹部は「ミクロプール」と呼ばれる。ミクロプ
ールでは、高面圧で被加工板と金型とが接触した際に、
潤滑油に静水圧効果が生じ、摩擦係数を低減させる。被
加工板の降伏強度が低い場合、表面の凹凸が塑性変形を
起こし易く、ミクロプールに静水圧効果が生じ易い。こ
のため、特に被加工板の降伏強度は、接触面圧による摩
擦係数の変化を左右する重要な要因となる。従って、プ
レス成形に用いられる被加工板に対して、その板材の面
圧と摩擦係数との関係を正確に把握しておくことが、成
形シミュレーションにおけるビード部での予測計算に使
用される見かけの摩擦係数を正確に決定する際の基礎デ
ータとなる。
【0015】図1は、降伏強度(YP)の異なる鋼板を
用いて高面圧摺動試験により実測された接触面圧と摩擦
係数との関係を示す図である。同図から明らかなよう
に、降伏強度、接触面圧によって摩擦係数は大きく相違
し、低降伏強度材では150MPa当たりで急激に摩擦
係数が低下する。これは、先に述べたように、鋼板の表
面に塑性変形が生じてミクロプールが静水圧効果を奏す
るようになるからである。さらに面圧が増加するとミク
ロプールが圧壊され、静水圧効果が消失するようになる
ため、摩擦係数も上昇する。
【0016】次に、実測により求められた接触面圧と摩
擦係数との関係に基づいて、材質(降伏強度)毎に接触
面圧をパラメータとする摩擦係数の近似式を導出する
(S2)。例えば、図1に示す降伏強度の各鋼板に対し
て、各々摩擦係数μを接触面圧pの関数として表すこと
ができるが、ここでは、下記式(1) に示すようにμをp
(MPa)および降伏強度YP(MPa)の関数(近似
式)μ=f(p,YP)として表した。実測したデータ
をかかる関係式に整理しておくことで、後述するビード
金型のビード部を通過する際の引抜力を容易に計算する
ことができる。図1は降伏強度の異なる2種の鋼板につ
いて示すものであるが、より多くの降伏強度の異なる板
材についてμ=f(p,YP)の近似式を求めることが
できる。なお、下記式(1) 中のAは実測値に適合させる
ための定数であり、通常、0.8〜1.2の値の数値が
選定される。A=1として計算した結果を図2に示す。 μ=0.15*A-15/YP*exp{-(p-(0.3*YP+100))2/300} *[1-0.25*exp{-(p-(0.3*YP+180))2/10000} ……(1)
【0017】次ぎに、設計、計画する成形金型15のビ
ード部16と、被加工板Wの流れ方向(ダイキャビティ
への流入方向)と加圧方向とを含む平面(「横断平面」
と呼ぶ。)における断面(「横断面」と呼ぶ。)形状が
同一のビード部が形成されたビード金型を想定する(S
3)。すなわち、図3に示すように、被加工板Wの流れ
方向と垂直な方向に沿って凸部2が板押さえ面に直線状
に形成された下型1と、前記凸部2に対応してこの凸部
2を噛み合わせ状に装入することができる凹部4が板押
さえ面に直線状に形成された上型3とからなるビード金
型5を想定する。前記凸部2と凹部4とによってビード
部6が構成され、凸部2と凹部4との間に被加工板Wが
部分的に接触した状態で挟持される。この場合、成形金
型15における被加工板Wのダイキャビティへの流入方
向は、図3のビード金型5における被加工板Wの引抜方
向に対応し、被加工板のビード部における接触条件は成
形金型とビード金型とで同じになる。
【0018】次ぎに、計画中の成形金型15の金型条件
(ビード長さ)、被加工板の形状・材質条件(板厚、応
力・歪線図)、プレス条件(板押さえ部の押付力P)等
のデータに基づき、ビード金型5のビード部6に挟持さ
れた被加工板Wを押付力Pで加圧した状態で、被加工板
Wをビード部6から引き出すのに要する引抜力Fを算出
し、見かけの摩擦係数=F/Pを求める(S4)。この
引抜力Fの算出は、有限要素法によって簡単に行うこと
ができる。概念的には、有限要素法によりビード金型5
のビード部6に当接する被加工板Wの各部に生じる接触
面圧を算出し、この算出された面圧に対応して前記関係
式から摩擦係数を算出し、各部における接触面圧と対応
する摩擦係数との積、すなわち被加工板Wを単位長さの
ビード部6を通過させる際に生じる単位摩擦力を算出す
るとともにビード部6を通過する際の単位長さ当たりの
曲げ曲げ戻し変形に要する単位変形力を求め、この単位
摩擦力および単位変形力のビード長さにおける総和を求
めることによって引抜力Fが算出される。なお、上記説
明では、接触面圧に対応する摩擦係数を関係式から求め
るようにしたが、実測された接触面圧と摩擦係数との対
応関係から、所期の面圧に対応する摩擦係数を選択し
て、あるいは実測値を補間して求めるようにしてもよ
い。
【0019】図5は、ビード金型5に付加された押付力
に対して算出された被加工板(降伏強度:143MP
a)の引抜力(●)と、想定したビード金型を実際に製
作し、これを用いて押付力に対して実測された引抜力
(■)との関係をを示す図であり、両者は良好な一致を
示している。なお、図5には一定値の摩擦係数を用いて
算出した引抜力(▲)も併記した。
【0020】上記の説明は、成形品が比較的簡単な形状
をしており、成形金型のビード部も1種類の単純な直線
形状をしているが、複雑形状の成形品では成形形状を制
御するために、ビード部の横断面形状あるいは押付力が
異なる複数の板押さえ部が計画される場合がある。この
ような場合には、成形金型の各々の板押さえ部に対し
て、同部に設けられたビード部と同形状のビード部を有
するビード金型を想定し、各押さえ部のビード部ごとに
付加される押付力に基づいて見かけの摩擦係数を求めれ
ばよい(S5)。
【0021】次に、上記見かけの摩擦係数計算によって
算出された見かけの摩擦係数を三次元プレス成形加工に
おける成形シミュレーション計算に適用する(S6)。
すなわち、有限要素法を用いた成形シミュレーションに
おいて、板押さえ面をビード部の無い平坦面と仮定し、
この面における摩擦係数として前記見かけの摩擦係数を
適用し、被加工材がビード部を通過する際の引抜力を、
見かけの摩擦係数を有する前記平坦板押さえ面を通過す
る際の引抜力として求める。もちろん、成形シミュレー
ション計算を行うには、計算機に摩擦係数(本発明では
この摩擦係数として前記見かけの摩擦係数が適用され
る。)のほか、金型条件(成形部の形状、ビード部長
さ)、被加工板の形状・材質条件(サイズ、板厚、応力
・歪線図)、プレス条件(板押さえ部の押付力、成形速
度)等のデータを入力し、これらのデータに基づいて、
プレス成形の開始から完了まで単位時間毎の引抜力を求
め、逐次算出される引抜力に基づいて被加工板の成形状
態、すなわち被加工板の形状、歪分布、応力分布などの
被加工板各部の物理的特性が逐次算出される。なお、板
押さえ部に横断面形状が異なるビード部がある場合、あ
るいはビード部の横断面形状が同じでも押付力が異なる
板押さえ部がある場合、先に述べたように各板押さえ部
ごとに見かけの摩擦係数を求め、各板押さえ部にその値
を適用する。
【0022】上記のようにビード金型5のビード部6を
通過する被加工板の各部に生じる接触面圧に基づいて引
抜力Fを算出し、この引抜力Fを押付力Pで除すことに
よって算出された見かけの摩擦係数(F/P)は、実測
によって得た見かけの摩擦係数と非常に近似した値を取
る。従って、前記算出された見かけの摩擦係数を成形シ
ミュレーションに適用することにより、成形シミュレー
ションの予測精度を向上させることができ、成形シミュ
レーションの予測精度を向上させることができる。
【0023】この成形シミュレーション法による計算結
果は、プレス成形に供される成形金型の設計並びに被加
工板や成形条件の選定、設定に利用される。成形金型の
設計に利用する場合、成形金型を設計、計画した後、金
型を実際に製作する前に、成形シミュレーションを実行
し、その計算結果から成形状態に問題のある部位が認め
られたとき、計画された成形金型の形状を修正し、再
度、成形シミュレーションを実行する。かかる修正作業
を成形状態に不具合が無くなるまで繰り返して行い、成
形不具合が生じない成形金型を設計する。このようにし
て設計、製作された成形金型は、ほとんど修正なしで、
あるいは軽微な修正を金型に施す程度で製品の成形に使
用することができる。このため、従来のように、設計し
た成形金型を製作し、これを用いて成形実験を行い、そ
の結果によって金型を大幅に修正する、場合によっては
再加工するというような、製作調整期間の長期化や製作
コスト高を防止することができる。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって決
定された見かけの摩擦係数を、成形シミュレーション法
における、被加工板が成形金型のビード部を通過するの
に要する引抜力の計算に適用することによって、引抜力
を高精度に予測計算することができ、このため成形金型
による成形実験を行うことなく、成形シミュレーション
の予測精度を向上させることができる。また、かかる成
形シミュレーション結果を利用することによってプレス
成形に供する成形金型の調整期間の短縮、製作コストの
低減、成形精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実測による摩擦係数と接触面圧との関係を示す
グラフである。
【図2】実測データに基づいて得られた関係式により算
出した摩擦係数と接触面圧との関係を示すグラフであ
る。
【図3】ビード金型の斜視図である。
【図4】U形部材の成形金型の一例を示す要部断面模式
図である。
【図5】ビード金型に付加した押付力と、被加工材がビ
ード部を通過するのに要する引抜力との関係を示すグラ
フである。
【図6】本発明にかかる見かけの摩擦係数決定方法を含
む成形シミュレーション法の実行手順を示す主フローチ
ャートである。
【図7】実施形態における成形対象のU形部材を示す斜
視図である。
【符号の説明】
5 ビード金型 6 ビード部 P 押付力 F 引抜力 W 被加工板
フロントページの続き (72)発明者 池田 貢基 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工板のダイキャビティ内への流入を
    制御するビード部が板押さえ部に形成された成形金型を
    用いて前記板押さえ部に押付力が付加された状態で被加
    工板をプレス成形する際の、前記被加工板の弾塑性変形
    量を前記ビード部を通過する被加工板の引抜力に基づい
    て計算する成形シミュレーション法における、前記引抜
    力を前記押付力から算出する際に用いられる見かけの摩
    擦係数の決定方法であって、 前記被加工板における接触面圧と摩擦係数との関係を予
    め実測により求め、 前記成形金型のビード部の、被加工板の成形時の流れ方
    向とプレス方向とを含む横断平面における断面形状と同
    様の断面形状を有するビード部が形成されたビード金型
    を想定し、このビード金型に付加された押付力に対して
    そのビード部を通過する被加工板の各部に生じる接触面
    圧を算出し、 算出された各部の接触面圧に対して実測により求められ
    た摩擦係数を適用して前記ビード金型のビード部を通過
    するのに要する被加工板の引抜力を算出し、 前記引抜力を前記押付力で除して見かけの摩擦係数を決
    定する、成形シミュレーション法に適用する見かけの摩
    擦係数決定方法。
  2. 【請求項2】 実測により求められた接触面圧と摩擦
    係数との関係から両者の関係式を求め、ビード金型のビ
    ード部を通過する被加工板の引抜力を算出する際に、被
    加工板の各部に生じる接触面圧に対して前記関係式から
    算出された摩擦係数を適用する、請求項1に記載した見
    かけの摩擦係数決定方法。
  3. 【請求項3】 被加工板のダイキャビティ内への流入を
    制御するビード部が板押さえ部に形成された成形金型を
    用いて前記板押さえ部に押付力が付加された状態で被加
    工板をプレス成形する際の、前記被加工板の弾塑性変形
    量を前記ビード部を通過する被加工板の引抜力に基づい
    て計算する成形シミュレーション法において、前記引抜
    力は前記押付力に見かけの摩擦係数を掛けて算出され、
    前記見かけの摩擦係数として請求項1または2に記載し
    た見かけの摩擦係数決定方法によって決定された見かけ
    の摩擦係数を適用する、成形シミュレーション法。
  4. 【請求項4】 成形金型はビード部の断面形状あるいは
    押付力が異なる複数の板押さえ部を備え、各板押さえ部
    ごとにビード部に対する見かけの摩擦係数として請求項
    1または2に記載した見かけの摩擦係数決定方法によっ
    て決定した見かけの摩擦係数を適用する、請求項3に記
    載した成形シミュレーション法。
JP2002118769A 2002-04-22 2002-04-22 成形シミュレーション法および同法に適用する見かけの摩擦係数決定方法 Expired - Fee Related JP3939582B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002118769A JP3939582B2 (ja) 2002-04-22 2002-04-22 成形シミュレーション法および同法に適用する見かけの摩擦係数決定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002118769A JP3939582B2 (ja) 2002-04-22 2002-04-22 成形シミュレーション法および同法に適用する見かけの摩擦係数決定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003311338A true JP2003311338A (ja) 2003-11-05
JP3939582B2 JP3939582B2 (ja) 2007-07-04

Family

ID=29535518

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002118769A Expired - Fee Related JP3939582B2 (ja) 2002-04-22 2002-04-22 成形シミュレーション法および同法に適用する見かけの摩擦係数決定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3939582B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006167766A (ja) * 2004-12-17 2006-06-29 Hiroshima Industrial Promotion Organization プレス成形システム
JP2007083294A (ja) * 2005-09-26 2007-04-05 Fusahito Yoshida プレス成形方法およびプレス成形システム
JP2009002926A (ja) * 2007-05-22 2009-01-08 Jfe Steel Kk プレス成形状態推定方法及び成形シミュレーション用の摩擦係数取得方法
JP2009274138A (ja) * 2009-08-26 2009-11-26 Nippon Steel Corp プレス成形加工システム、プレス成形加工方法、及びコンピュータプログラム
US8091395B2 (en) 2004-09-10 2012-01-10 Nippon Steel Corporation System, method, software arrangement and computer-accessible medium for press-forming of materials
JP2012006038A (ja) * 2010-06-24 2012-01-12 Nippon Steel Corp 絞りビード試験方法及びその試験方法で求めた物性値を用いたプレス成形解析方法
JP2012166224A (ja) * 2011-02-14 2012-09-06 Toyota Central R&D Labs Inc 成形解析方法、成形解析装置、プログラム、及び記憶媒体
JP2013193119A (ja) * 2012-03-22 2013-09-30 Toyota Central R&D Labs Inc プレス成形解析システムおよびそのプログラム
CN114433703A (zh) * 2021-12-15 2022-05-06 福建工程学院 一种可变压力装置及应用

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8091395B2 (en) 2004-09-10 2012-01-10 Nippon Steel Corporation System, method, software arrangement and computer-accessible medium for press-forming of materials
JP2006167766A (ja) * 2004-12-17 2006-06-29 Hiroshima Industrial Promotion Organization プレス成形システム
JP4660637B2 (ja) * 2004-12-17 2011-03-30 公益財団法人ひろしま産業振興機構 プレス成形システム
JP2007083294A (ja) * 2005-09-26 2007-04-05 Fusahito Yoshida プレス成形方法およびプレス成形システム
JP4660638B2 (ja) * 2005-09-26 2011-03-30 総仁 吉田 プレス成形方法およびプレス成形システム
JP2009002926A (ja) * 2007-05-22 2009-01-08 Jfe Steel Kk プレス成形状態推定方法及び成形シミュレーション用の摩擦係数取得方法
JP2009274138A (ja) * 2009-08-26 2009-11-26 Nippon Steel Corp プレス成形加工システム、プレス成形加工方法、及びコンピュータプログラム
JP2012006038A (ja) * 2010-06-24 2012-01-12 Nippon Steel Corp 絞りビード試験方法及びその試験方法で求めた物性値を用いたプレス成形解析方法
JP2012166224A (ja) * 2011-02-14 2012-09-06 Toyota Central R&D Labs Inc 成形解析方法、成形解析装置、プログラム、及び記憶媒体
JP2013193119A (ja) * 2012-03-22 2013-09-30 Toyota Central R&D Labs Inc プレス成形解析システムおよびそのプログラム
CN114433703A (zh) * 2021-12-15 2022-05-06 福建工程学院 一种可变压力装置及应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP3939582B2 (ja) 2007-07-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2395360C2 (ru) Способ штамповки (варианты) и устройство для штамповки (варианты)
US7870792B2 (en) Forming limit strain analysis
US7194388B2 (en) Method for determining a die profile for forming a metal part having a desired shape and associated methods
Eggertsen et al. Experiences from experimental and numerical springback studies of a semi-industrial forming tool
Burchitz Improvement of springback prediction in sheet metal forming
JP2009002926A (ja) プレス成形状態推定方法及び成形シミュレーション用の摩擦係数取得方法
Peters et al. A strain rate dependent anisotropic hardening model and its validation through deep drawing experiments
JP4879860B2 (ja) 金属板の摩擦係数算出方法及び成形シミュレーション方法
JP2003311338A (ja) 成形シミュレーション法および同法に適用する見かけの摩擦係数決定方法
Rentsch et al. Numerical modelling, validation and analysis of multi-pass sheet metal spinning processes
Cha et al. Adaptive wear model for shear-cutting simulation with open cutting line
Samuel Numerical and experimental investigations of forming limit diagrams in metal sheets
JP3978377B2 (ja) 成形シミュレーション解析方法
Simões et al. Numerical study of springback using the split-ring test: influence of the clearance between the die and the punch
Gattmah et al. Numerical simulation of bending process for steel plate using finite element analysis
Meinders et al. A sensitivity analysis on the springback behavior of the unconstrained bending problem
Meith et al. Analytical & Experimental Study of Fracture in Bend Specimens Subjected to Local Compression
Firat et al. A FE technique to improve the accuracy of drawbead models and verification with channel drawing experiments of a high-strength steel
JP5655394B2 (ja) 絞りビード試験方法及びその試験方法で求めた物性値を用いたプレス成形解析方法
Firat et al. Improving the accuracy of stamping analyses including springback deformations
JP4231426B2 (ja) 金属材料の成形シミュレーション方法
Sanchez A new cyclic anisotropic model for plane strain sheet metal forming
Wang et al. Process simulation and springback control in plane strain sheet bending
Huang et al. Measurement of r-values of high strength steels using digital image correlation
Lee et al. A numerical method for rapid estimation of drawbead restraining force based on non-linear, anisotropic constitutive equations

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041022

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070315

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070327

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070328

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100406

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110406

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120406

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees