JP2003310750A5 - - Google Patents
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Description
【発明の名称】血液殺菌方法並びに装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】HIV、HBV、HCV等のレトロウィルスやその他の雑菌に感染している患者より血液を体外へ導出し、これに外部よりYAGレーザービームを反射ミラーを介して照射した後で再び患者に還流させる工程を含ましめ、これを複数回繰り返すことを特徴とする、血液殺菌方法。
【請求項2】請求項1の治療を行う際に、患者の体温を半眠状態になる温度にまで降下させることを特徴とする、請求項1に記載の血液殺菌方法。
【請求項3】内部に収容した患者の体温を降下させる手段を備えた低温ルームと、患者の全血液を体外に導出させてまた体内に戻すことによって循環させる血液循環システムと、この血液循環システムの中に組み込まれた患者の全血液にレーザービームを外部より照射させるレーザービーム照射手段とを含むことを特徴とする、血液殺菌装置。
【請求項4】レーザービームを患者の全血液に照射するに当り、前記レーザービームを扇型に拡散させた後、反射ミラーを用いて反射させ、この反射ビームを光透過性材質のパイプ内を流れる血液に照射させることを特徴とする、請求項3に記載の血液殺菌装置。
【請求項5】レーザービームとしてYAGレーザービームを用いることを特徴とする、請求項3又は4に記載の血液殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、患者の体内を流れている血液中に含まれているHIV(エイズウィルス)、HAV(A型肝炎ウィルス)、HBV(B型肝炎ウィルス)、HCV(C型肝炎ウィルス)等のレトロウィルス、及びその他の雑菌をレーザービームを用いて殺菌処理する血液殺菌方法並びに装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、HIV、HAV、HBV、HCV等のレトロウィルスに感染している患者に対しては薬物を投与したり、血液を該血液成分を破壊しない温度に加熱したりして治療に当っている。しかしながら、極めて有効とされる薬物はない上に、薬物は副作用の問題がついて回るという問題点があり、さらに、血液の組織を壊さない程度の温度に加熱するだけではレトロウィルスは死滅しないことから、これらのレトロウィルスを殺菌する有効かつ副作用のない殺菌方法乃至装置は今だ見つかってない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、この発明者は種々の実験を重ねるうちに、血液中にフリーな状態、或は白血球の表面上に非共有結合状態で存在する、HIV、HAV、HBV、及びHCV等のレトロウィルスにYAGレーザービームを照射すると、レトロウィルス等が死滅するという知見を得、この発明を完成するに至った。
【0004】
この発明の目的は、HIV、HBV、HCV等のレトロウィルスやその他の雑菌に感染している血液に対し、薬物による副作用の生じさせる心配のない有効な殺菌方法及び装置を提供せんとするにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するためにこの発明は、HIV、HBV、HCV等のレトロウィルスやその他の雑菌に感染している患者より血液を体外へ導出し、これに外部よりYAGレーザービームを反射ミラーを介して照射した後で再び患者の体内に還流させる工程を含ましめ、これを複数回繰り返すことによって、血液中に含まれているレトロウィルスや雑菌を死滅させるものである。
【0006】
その際にこの発明は、患者の体温を患者が半眠状態になる温度に下げることによって、血液の流れを遅くすることによって、レーザービームの照射効果を増大させるものである。
【0007】
この発明はまた、内部に収容した患者の体温を降下させる手段を備えた低温ルームと、患者の全血液を体外に導出させてまた体内に戻すことによって循環させる血液循環システムと、この血液循環システムの中に組み込まれた患者の全血液にレーザービームを外部より照射させるレーザービーム照射手段とを含んで装置を構成するものである。
【0008】
上記いずれの場合にもこの発明は、レーザービームを患者の全血液に照射するに当り、前記レーザービームを扇型に拡散させた後、反射ミラーを用いて反射させ、この反射ビームを光透過性材質のパイプ内を流れる血液に照射させることによって、パイプ内を流れる全血液に均一にレーザービームが照射されるものであり、さらにレーザービームとしてYAGレーザービームを用いるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面はこの発明の一実施の形態を示し、図1乃至図3において、指示記号1で示されたものは、本体ケース部1aと、この本体ケース部1aの上部にヒンジ装置2を介して開閉可能に取り付けられたフード部1bとから成る気密構造の低温ルームであり、仕切板3aを介して内部にベッド3を収装してある。尚、指示記号4で示されたものは取手である。本体ケース部1aの上縁とフード部1bの下縁のいずれか一方或は双方には、図示してないパッキングが取り付けられており、フード部1bを閉じた際の自重によって、両者の当接部はシールされる。尚、シールが充分でない場合には、クランプ等の締め付け手段を用いることができる。低温ルーム1の素材に限定はないが、強化プラスチック等の合成樹脂製のものが望ましいであろう。
【0010】
本体ケース部1a内には、図1に示したように、左側から例えばバキュームポンプ5、低温ポンプ6、血戻し用ポンプ7、血液殺菌ボックス8、フィルター9、100V電源10、200V電源11、レーザービーム発振器12、及びこのレーザービーム発振器の冷却装置13、及びコントロール盤14が設けられている。尚、各機器の配列及び配置位置については限定はなく、あくまで一例である。これ以外にも、図示してないが、患者の体温、心拍数、血圧、脳波等の身体情報を収集して管理する身体情報端末及びこれらを統括するCPUが設置されている。尚、100V電源10は、バキュームポンプ5、血戻し用ポンプ7等の電源であり、200V電源11はレーザービーム発振器12用の電源である。消費電力を考慮し、電源を2系統に分けてある。
【0011】
図4は、患者の人体を介して血液を体外循環させる血液循環システムAを示し、図面によれば、患者15の片方の腕(左腕)15aの図示してない血管に血抜き用チューブ16を取り付け、この血抜き用チューブ16を伸ばしてもう片方の腕(右腕)15bの血管には血戻し用チューブ18を取り付けるものであり、血抜き用チューブ16にはバルブ17が取り付けられ、血戻し用チューブ18の側には血液の血戻し用ポンプ7が取り付けられている。そして、患者の全血液は血抜き用チューブ16を介して体外へ導出され、循環チューブ19を介して血戻し用チューブ18より体内へと戻される。循環チューブ19の途中には、血液殺菌ボックス21内に設置した光透過性の殺菌用パイプ20が接続され、この殺菌用パイプ20の外部よりレーザービームが照射されるようになっている。
【0012】
レーザービーム照射手段21は、図3に示したように、200V電源11、レーザービーム発振器12、冷却装置13、殺菌用パイプ20、ロッドレンズ22、反射ミラー23 から構成され、図5に示したように、ロッドレンズ22より扇型に拡散させた例えばYAGレーザービームを反射ミラー23で反射させ、血液が流れる光透過性材質の殺菌用パイプ20の外側より内部を流れる血液に照射するように構成されている。レーザービームを照射した後の血液は、フィルター9を介して血戻し用ポンプ7に至り患者15の体内へ戻される。尚、この血戻し用ポンプ7は、フィルター9の前に設けることもできよう。
【0013】
以下にこの発明に係る血液循菌装置を用いて実際にHIV、HCV等のレトロウィルスに感染している患者を治療する場合について説明する。図面に示したように、HCVに感染している患者15を必要に応じて全身麻酔をかけた後、低温ルーム1内のベッド3上に仰向かせて寝かし、血抜き用チューブ16と血戻し用チューブ18を用いて例えば患者15の腕の動脈と静脈に接続させる。こうしておいて、フード部1bをかぶせて内部を密閉した後、バキュームポンプ5により低温ルーム1内のエアーを抜いていき、約10分かけて患者15の体温を25℃にまで下げる。そうすると、患者15は半眠状態となり、血流速度が平常時の約半分となるので、バルブ17を開いて血液を血抜き用チューブ16を介して体外へ抜き始め、血戻し用ポンプ7を用いて血戻し用チューブ18を介してまた体内に戻して循環させるようにしてから、循環チューブ19内を流れている血液に外部よりYAGレーザービームを照射するものである。
【0014】
このYAGレーザービームの照射は循環チューブ19に接続した血液殺菌ボックス8内のクリスタルガラス製の殺菌用パイプ20の中を流れる血液に対し、外部よりYAGレーザービームを照射させるが、ロッドレンズ22より放射されるレーザービームをそのまま殺菌用パイプ20に当てると血液の温度が上昇して赤血球、白血球、或は血小板といった血液の組織を破壊させてしまったり、分裂を起こしてしまうので、これを扇状に拡散させ、さらに反射ミラー23を用いて間接的に照射させるものである。
【0015】
このようにすると当然に殺菌効果は落ちるので、3〜4回程度全血液を循環させて照射を行う必要がある。人間の血液量はだいたい15リットル程度であり、体温の低下により血流速度は半減しているので、全血液が循環するのに約1時間を要することから、これを3回〜4回繰り返すと所要時間が約3時間〜4時間を要することになる。
【0016】
尚、治療に当っては、とくに血圧の低い人(100以下を目安とする)や高い人(150以上を目安とする)や心疾患の患者、さらには生理中の女性については、これを除外することが望ましく、治療中には患者の体温、心拍数に充分の注意を払うことが必要である。
【0017】
レーザービームは必ずしもYAGレーザービームに限定されるものではない。YAGレーザービームについては、Yb:YAGを用いたレーザービームが望ましいが、Nd:YAGを用いたものでも良い。
【0018】
そして、この発明に係る殺菌方法及び装置を用いてHIV、HAV、及びHBV等のレトロウィルス、その他の血液中にひそむ雑菌の駆除も同時に行うことができるものである。
【0019】
【発明の効果】
この発明は以上のように構成したので、次のような効果を奏し得る。
【0020】
請求項1のように構成すると、血液の組織を破壊したり分裂させたりすることなく、HIVやHCV等のレトロウィルスを不活性(死滅)化させることによって、これらのレトロウィルスに感染した患者の治療を行うことができるものである。
【0021】
請求項2のように構成すると、血液の流速を遅くすることができるので、より確実にレトロウィルスの不活性化を図ることができるものである。
【0022】
請求項3と4のように構成すると、患者の全血液を体外に導出させてレーザービームが透過しやすい環境の下で、全血液にレーザービームを照射することによりレトロウィルスを不活性化させることができるものである。
【0023】
請求項5のように構成すると、血液を構成する赤血球、白血球、或は血小板等を破壊したり、分裂を生じさせたりすることなく、安全にかつ副作用を生じさせることなく血液を殺菌することができるという効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る血液殺菌装置の正面から見た説明図である。
【図2】同じくこの発明に係る血液殺菌装置を側面から見た説明図である。
【図3】この発明に係る血液殺菌装置のブロックダイヤグラムである。
【図4】この発明に係る血液殺菌装置における血液循環システムの説明図である。
【図5】レーザー照射手段の説明図である。
【符号の説明】
A 血液循環システム
1 低温ルーム
1b フード部
3 ベッド
12 レーザービーム発振器
15 患者
16 血抜き用チューブ
18 血戻し用チューブ
19 循環チューブ
20 殺菌用パイプ
22 ロッドレンズ
23 反射ミラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】HIV、HBV、HCV等のレトロウィルスやその他の雑菌に感染している患者より血液を体外へ導出し、これに外部よりYAGレーザービームを反射ミラーを介して照射した後で再び患者に還流させる工程を含ましめ、これを複数回繰り返すことを特徴とする、血液殺菌方法。
【請求項2】請求項1の治療を行う際に、患者の体温を半眠状態になる温度にまで降下させることを特徴とする、請求項1に記載の血液殺菌方法。
【請求項3】内部に収容した患者の体温を降下させる手段を備えた低温ルームと、患者の全血液を体外に導出させてまた体内に戻すことによって循環させる血液循環システムと、この血液循環システムの中に組み込まれた患者の全血液にレーザービームを外部より照射させるレーザービーム照射手段とを含むことを特徴とする、血液殺菌装置。
【請求項4】レーザービームを患者の全血液に照射するに当り、前記レーザービームを扇型に拡散させた後、反射ミラーを用いて反射させ、この反射ビームを光透過性材質のパイプ内を流れる血液に照射させることを特徴とする、請求項3に記載の血液殺菌装置。
【請求項5】レーザービームとしてYAGレーザービームを用いることを特徴とする、請求項3又は4に記載の血液殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、患者の体内を流れている血液中に含まれているHIV(エイズウィルス)、HAV(A型肝炎ウィルス)、HBV(B型肝炎ウィルス)、HCV(C型肝炎ウィルス)等のレトロウィルス、及びその他の雑菌をレーザービームを用いて殺菌処理する血液殺菌方法並びに装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、HIV、HAV、HBV、HCV等のレトロウィルスに感染している患者に対しては薬物を投与したり、血液を該血液成分を破壊しない温度に加熱したりして治療に当っている。しかしながら、極めて有効とされる薬物はない上に、薬物は副作用の問題がついて回るという問題点があり、さらに、血液の組織を壊さない程度の温度に加熱するだけではレトロウィルスは死滅しないことから、これらのレトロウィルスを殺菌する有効かつ副作用のない殺菌方法乃至装置は今だ見つかってない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、この発明者は種々の実験を重ねるうちに、血液中にフリーな状態、或は白血球の表面上に非共有結合状態で存在する、HIV、HAV、HBV、及びHCV等のレトロウィルスにYAGレーザービームを照射すると、レトロウィルス等が死滅するという知見を得、この発明を完成するに至った。
【0004】
この発明の目的は、HIV、HBV、HCV等のレトロウィルスやその他の雑菌に感染している血液に対し、薬物による副作用の生じさせる心配のない有効な殺菌方法及び装置を提供せんとするにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するためにこの発明は、HIV、HBV、HCV等のレトロウィルスやその他の雑菌に感染している患者より血液を体外へ導出し、これに外部よりYAGレーザービームを反射ミラーを介して照射した後で再び患者の体内に還流させる工程を含ましめ、これを複数回繰り返すことによって、血液中に含まれているレトロウィルスや雑菌を死滅させるものである。
【0006】
その際にこの発明は、患者の体温を患者が半眠状態になる温度に下げることによって、血液の流れを遅くすることによって、レーザービームの照射効果を増大させるものである。
【0007】
この発明はまた、内部に収容した患者の体温を降下させる手段を備えた低温ルームと、患者の全血液を体外に導出させてまた体内に戻すことによって循環させる血液循環システムと、この血液循環システムの中に組み込まれた患者の全血液にレーザービームを外部より照射させるレーザービーム照射手段とを含んで装置を構成するものである。
【0008】
上記いずれの場合にもこの発明は、レーザービームを患者の全血液に照射するに当り、前記レーザービームを扇型に拡散させた後、反射ミラーを用いて反射させ、この反射ビームを光透過性材質のパイプ内を流れる血液に照射させることによって、パイプ内を流れる全血液に均一にレーザービームが照射されるものであり、さらにレーザービームとしてYAGレーザービームを用いるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面はこの発明の一実施の形態を示し、図1乃至図3において、指示記号1で示されたものは、本体ケース部1aと、この本体ケース部1aの上部にヒンジ装置2を介して開閉可能に取り付けられたフード部1bとから成る気密構造の低温ルームであり、仕切板3aを介して内部にベッド3を収装してある。尚、指示記号4で示されたものは取手である。本体ケース部1aの上縁とフード部1bの下縁のいずれか一方或は双方には、図示してないパッキングが取り付けられており、フード部1bを閉じた際の自重によって、両者の当接部はシールされる。尚、シールが充分でない場合には、クランプ等の締め付け手段を用いることができる。低温ルーム1の素材に限定はないが、強化プラスチック等の合成樹脂製のものが望ましいであろう。
【0010】
本体ケース部1a内には、図1に示したように、左側から例えばバキュームポンプ5、低温ポンプ6、血戻し用ポンプ7、血液殺菌ボックス8、フィルター9、100V電源10、200V電源11、レーザービーム発振器12、及びこのレーザービーム発振器の冷却装置13、及びコントロール盤14が設けられている。尚、各機器の配列及び配置位置については限定はなく、あくまで一例である。これ以外にも、図示してないが、患者の体温、心拍数、血圧、脳波等の身体情報を収集して管理する身体情報端末及びこれらを統括するCPUが設置されている。尚、100V電源10は、バキュームポンプ5、血戻し用ポンプ7等の電源であり、200V電源11はレーザービーム発振器12用の電源である。消費電力を考慮し、電源を2系統に分けてある。
【0011】
図4は、患者の人体を介して血液を体外循環させる血液循環システムAを示し、図面によれば、患者15の片方の腕(左腕)15aの図示してない血管に血抜き用チューブ16を取り付け、この血抜き用チューブ16を伸ばしてもう片方の腕(右腕)15bの血管には血戻し用チューブ18を取り付けるものであり、血抜き用チューブ16にはバルブ17が取り付けられ、血戻し用チューブ18の側には血液の血戻し用ポンプ7が取り付けられている。そして、患者の全血液は血抜き用チューブ16を介して体外へ導出され、循環チューブ19を介して血戻し用チューブ18より体内へと戻される。循環チューブ19の途中には、血液殺菌ボックス21内に設置した光透過性の殺菌用パイプ20が接続され、この殺菌用パイプ20の外部よりレーザービームが照射されるようになっている。
【0012】
レーザービーム照射手段21は、図3に示したように、200V電源11、レーザービーム発振器12、冷却装置13、殺菌用パイプ20、ロッドレンズ22、反射ミラー23 から構成され、図5に示したように、ロッドレンズ22より扇型に拡散させた例えばYAGレーザービームを反射ミラー23で反射させ、血液が流れる光透過性材質の殺菌用パイプ20の外側より内部を流れる血液に照射するように構成されている。レーザービームを照射した後の血液は、フィルター9を介して血戻し用ポンプ7に至り患者15の体内へ戻される。尚、この血戻し用ポンプ7は、フィルター9の前に設けることもできよう。
【0013】
以下にこの発明に係る血液循菌装置を用いて実際にHIV、HCV等のレトロウィルスに感染している患者を治療する場合について説明する。図面に示したように、HCVに感染している患者15を必要に応じて全身麻酔をかけた後、低温ルーム1内のベッド3上に仰向かせて寝かし、血抜き用チューブ16と血戻し用チューブ18を用いて例えば患者15の腕の動脈と静脈に接続させる。こうしておいて、フード部1bをかぶせて内部を密閉した後、バキュームポンプ5により低温ルーム1内のエアーを抜いていき、約10分かけて患者15の体温を25℃にまで下げる。そうすると、患者15は半眠状態となり、血流速度が平常時の約半分となるので、バルブ17を開いて血液を血抜き用チューブ16を介して体外へ抜き始め、血戻し用ポンプ7を用いて血戻し用チューブ18を介してまた体内に戻して循環させるようにしてから、循環チューブ19内を流れている血液に外部よりYAGレーザービームを照射するものである。
【0014】
このYAGレーザービームの照射は循環チューブ19に接続した血液殺菌ボックス8内のクリスタルガラス製の殺菌用パイプ20の中を流れる血液に対し、外部よりYAGレーザービームを照射させるが、ロッドレンズ22より放射されるレーザービームをそのまま殺菌用パイプ20に当てると血液の温度が上昇して赤血球、白血球、或は血小板といった血液の組織を破壊させてしまったり、分裂を起こしてしまうので、これを扇状に拡散させ、さらに反射ミラー23を用いて間接的に照射させるものである。
【0015】
このようにすると当然に殺菌効果は落ちるので、3〜4回程度全血液を循環させて照射を行う必要がある。人間の血液量はだいたい15リットル程度であり、体温の低下により血流速度は半減しているので、全血液が循環するのに約1時間を要することから、これを3回〜4回繰り返すと所要時間が約3時間〜4時間を要することになる。
【0016】
尚、治療に当っては、とくに血圧の低い人(100以下を目安とする)や高い人(150以上を目安とする)や心疾患の患者、さらには生理中の女性については、これを除外することが望ましく、治療中には患者の体温、心拍数に充分の注意を払うことが必要である。
【0017】
レーザービームは必ずしもYAGレーザービームに限定されるものではない。YAGレーザービームについては、Yb:YAGを用いたレーザービームが望ましいが、Nd:YAGを用いたものでも良い。
【0018】
そして、この発明に係る殺菌方法及び装置を用いてHIV、HAV、及びHBV等のレトロウィルス、その他の血液中にひそむ雑菌の駆除も同時に行うことができるものである。
【0019】
【発明の効果】
この発明は以上のように構成したので、次のような効果を奏し得る。
【0020】
請求項1のように構成すると、血液の組織を破壊したり分裂させたりすることなく、HIVやHCV等のレトロウィルスを不活性(死滅)化させることによって、これらのレトロウィルスに感染した患者の治療を行うことができるものである。
【0021】
請求項2のように構成すると、血液の流速を遅くすることができるので、より確実にレトロウィルスの不活性化を図ることができるものである。
【0022】
請求項3と4のように構成すると、患者の全血液を体外に導出させてレーザービームが透過しやすい環境の下で、全血液にレーザービームを照射することによりレトロウィルスを不活性化させることができるものである。
【0023】
請求項5のように構成すると、血液を構成する赤血球、白血球、或は血小板等を破壊したり、分裂を生じさせたりすることなく、安全にかつ副作用を生じさせることなく血液を殺菌することができるという効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る血液殺菌装置の正面から見た説明図である。
【図2】同じくこの発明に係る血液殺菌装置を側面から見た説明図である。
【図3】この発明に係る血液殺菌装置のブロックダイヤグラムである。
【図4】この発明に係る血液殺菌装置における血液循環システムの説明図である。
【図5】レーザー照射手段の説明図である。
【符号の説明】
A 血液循環システム
1 低温ルーム
1b フード部
3 ベッド
12 レーザービーム発振器
15 患者
16 血抜き用チューブ
18 血戻し用チューブ
19 循環チューブ
20 殺菌用パイプ
22 ロッドレンズ
23 反射ミラー
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JP2002122289A JP2003310750A (ja) | 2002-04-24 | 2002-04-24 | 血液殺菌方法並びに装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002122289A JP2003310750A (ja) | 2002-04-24 | 2002-04-24 | 血液殺菌方法並びに装置 |
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JP2003310750A5 true JP2003310750A5 (ja) | 2004-11-25 |
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JP2002122289A Pending JP2003310750A (ja) | 2002-04-24 | 2002-04-24 | 血液殺菌方法並びに装置 |
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JP5008828B2 (ja) * | 2005-01-12 | 2012-08-22 | 東京医研株式会社 | 微生物不活化方法と微生物処理装置。 |
US20100036110A1 (en) * | 2008-08-08 | 2010-02-11 | Xiaoliang Sunney Xie | Methods and compositions for continuous single-molecule nucleic acid sequencing by synthesis with fluorogenic nucleotides |
US20100227327A1 (en) * | 2008-08-08 | 2010-09-09 | Xiaoliang Sunney Xie | Methods and compositions for continuous single-molecule nucleic acid sequencing by synthesis with fluorogenic nucleotides |
CN103931588A (zh) * | 2013-01-17 | 2014-07-23 | 何颖霖 | 一种激光杀菌灭虫方法及装置 |
Family Cites Families (2)
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US5628727A (en) * | 1995-08-15 | 1997-05-13 | Hakky; Said I. | Extracorporeal virioncidal apparatus |
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2002
- 2002-04-24 JP JP2002122289A patent/JP2003310750A/ja active Pending
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2003
- 2003-04-17 US US10/417,649 patent/US20040015119A1/en not_active Abandoned
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