JP2003310677A - 視覚障害者向け誘導装置及び誘導システム - Google Patents

視覚障害者向け誘導装置及び誘導システム

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JP2003310677A
JP2003310677A JP2002119900A JP2002119900A JP2003310677A JP 2003310677 A JP2003310677 A JP 2003310677A JP 2002119900 A JP2002119900 A JP 2002119900A JP 2002119900 A JP2002119900 A JP 2002119900A JP 2003310677 A JP2003310677 A JP 2003310677A
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visually impaired
impaired person
time
distance
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JP2002119900A
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English (en)
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Yoshitaka Jinno
宜隆 神野
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Nippon Signal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Signal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 視覚障害者各個人の位置情報を正確に報知す
る誘導装置を提供する。 【解決手段】 特定の波長を有する光を発光する発光部
3と、この発光部3から発光された光1の反射光および
/若しくは屈折光2を受光する受光部4と、発光部3か
ら発光した光1を、この受光部4が受光するまでの時間
を計測したり、計測された時間から距離を演算したりす
る制御部5と、演算した距離情報を増幅するアンプ6
と、このアンプ6により増幅された信号を音声、若しく
は音で視覚障害者に伝えるスピーカ8又はイヤホン9
と、距離情報を表示する表示部7と、から構成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、視覚障害者向け誘
導装置及びシステムに関し、さらに詳しくは、再帰反射
体に光を入射させ、その反射光から距離や情報を得る誘
導装置及びシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、視覚に障害をもつ人々の外出を促
進し、安全性、利便性を確保するために、視覚障害者が
外出する際に種々のサポートを行うための補助器具が開
発されている。特に、この補助器具の中で最も大きな役
割を担っているのが、視覚障害者向けの誘導装置であ
る。この種の誘導装置としては、例えば道路に設置され
る信号機からの音声案内や、自動販売機等の点字及び音
声案内等があり、また、駅ホームでの危険防止のために
設けられた点字ブロックがよく知られている。しかし、
これらは視覚障害者にとっては、受動的な誘導手段であ
り、安全性、及び利便性の点で、必ずしも充分であると
はいえない。そこで、視覚障害者自らが操作して誘導を
受けることできる能動的な誘導装置として、例えば、特
許第2673258号公報には、視覚障害者が現在地、
目的地の方向、または道路状況などの各種の情報を認識
し、安全かつ確実に目的地まで到着できるようにするた
めに、光または電波を利用して誘導する視覚障害者用送
信機、視覚障害者用受信機、および視覚障害者誘導装置
について開示されている。この発明の構成は、視覚障害
者の誘導に役立つ音声データを設定する音声データ設定
手段と、その設定した音声データに応じて所定の搬送波
を変化させる変調手段と、その変調手段で変調された被
変調波に応じた光を特定方向に向けて発射する発光手段
と、を備えているものである。しかし、本公報の発明
は、受信機の受信エリアが比較的広範囲であるため、誘
導地点のかなり手前から音声案内が聞こえ出し、具体的
にあとどの位の距離や時間で目的の場所まで到達できる
のかが、判然としないといった問題があった。また、音
声案内が定形のメッセージであるため、全ての人に同じ
情報しか伝わらず、各個人に対して現場の状況に応じて
リアルタイムに現時点での到達に要する距離や時間を伝
えることができなかった。
【0003】また、特開2000−262公報には、車
両が近接するホームや通路を有する駅構内等において、
簡便に使用することができるとともに、十分な情報が提
供され、安全、かつ的確に視覚障害者を誘導案内するこ
とができる視覚障害者用誘導案内システムについて開示
されている。この発明の構成は、音声を認識する音声認
識手段と、この音声認識手段からの情報に基づいて誘導
地点を探索するナビゲーション機能を有する処理装置
と、この処理装置から探索された誘導地点を音声合成し
て報知する報知手段と、タグ情報を受信する受信装置
と、外部装置からの外部案内情報を取得するデータ受信
装置とを有する携帯端末装置と、タグリーダーと送信装
置とを有する視覚障害者用案内杖と、前記誘導地点に至
るまでの所定の位置に配置される位置情報を記憶したタ
グとを備えたものである。しかし、本公報記載の発明は
所定の場所に埋設されたタグから、特定の情報を無線に
より受信して情報を得るものであり、前記特許第267
3258号公報の従来例と比較すると、タグが埋設され
た場所での情報であるため位置情報の正確性は高くなる
が、そのタグの場所を特定することが難しく、また、そ
こからの情報も定形のメッセージであるため、全ての人
に同じ情報しか伝わらず、各個人にリアルタイムに現時
点での到達に要する距離や時間を伝えることができない
といった同様の問題点を含んでいる。また、特開200
0−28723公報には、電力を必要とせず符号化され
た光を反射する情報化光反射体(コーナーキューブ)の
利用法について開示されている。これによると、コーナ
ーキューブは、入射した光を入射方向に反射する反射面
と、この反射面の前面に設けられ、受光した光のうち特
定の偏光方向の光のみを通過させる偏光膜と、を備え、
利用者が携帯するパーソナルナビゲータが、コーナーキ
ューブからの反射光を受け、解読の後、解読結果に応じ
た情報を出力する。このため、従来のように、常時情報
化された光を射出しつづける必要がなく、コーナーキュ
ーブは必要に応じて光を射出すれば良い。したがって、
無駄に電力を消費しない情報提供システムを提供するこ
とができるとしている。しかし、本公報の発明は、パー
ソナルナビゲータを携帯する利用者に対して、コーナー
キューブから受光した光の偏光方向に応じて、そのパー
ソナルナビゲータに記憶した現在位置情報を出力するも
のであり、コーナーキューブまでの距離や時間を演算し
て利用者に報知することはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる課題
に鑑み、光を誘導地点に発光して誘導地点からの反射光
が到達する光伝播時間に基づいて、各個人にリアルタイ
ムに現時点での到達に要する距離や時間を伝えることが
できる誘導装置を提供することを目的とする。また、他
の目的は、前記誘導地点の位置情報を同時に取得し、利
用者の利便性を高めることである。更に他の目的は、前
記誘導地点へ到着した利用者に対して、次の処置を迅
速、且つ、的確に行うシステムを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる課題を解
決するために、請求項1は、視覚障害者が携帯して自己
の位置を確認する視覚障害者向け誘導装置において、特
定の波長を有する光を発光する発光手段と、該発光手段
から発光された光の反射光および/若しくは屈折光を受
光する受光手段と、前記発光手段から発光した光を前記
受光手段が受光するまでの時間を計測する時間計測手段
と、該時間計測手段による計測結果から距離を演算する
演算手段と、該演算手段による演算結果を音声、若しく
は音で前記視覚障害者に伝える報知手段と、を備えたこ
とを特徴とする。従来の視覚障害者向け誘導装置は、そ
の誘導装置を携帯する利用者に対して定型的なメッセー
ジを一方的に流す方式が多いため、現在位置から誘導地
点までの距離等の希望する情報を正確に知ることができ
なかった。即ち、利用者が知りたい情報は、今現在の自
分の位置と誘導地点との距離、所要時間、方向等に関す
るものである。この要望に応えるためには、誘導地点ま
での距離を計測する手段が必要となる。そのような計測
手段として最も確実なものは、光を誘導地点方向に発光
して、その誘導地点に設けた再帰反射体からの反射光か
ら時間を計測する方法である。そして、計測時間と光速
から距離を演算し、その演算結果をスピーカあるいはイ
ヤホンで視覚障害者に報知することが有効である。かか
る発明によれば、誘導地点に設けた再帰反射体に光を発
光し、そこからの反射光を受光して、往復に要した時間
から距離を演算して報知するので、誘導地点までの距離
をリアルタイムに正確に知ることができる。
【0006】請求項2は、視覚障害者が携帯して自己の
位置を確認する視覚障害者向け誘導装置において、特定
の波長を有する光を発光する発光手段と、該発光手段か
ら発光された光の反射光および/若しくは屈折光を受光
する受光手段と、該受光手段が受光した光を前記発光手
段からの光信号と他の光信号とに分離する信号分離手段
と、前記発光手段から発光した光を前記受光手段が受光
するまでの時間を計測する時間計測手段と、該時間計測
手段による計測結果から距離を演算する演算手段と、該
演算手段から得られた音声と前記信号分離手段により分
離された他の音声信号とを合成する音声合成手段と、該
音声合成手段からの音声、若しくは音の情報を前記視覚
障害者に伝える報知手段と、を備えたことを特徴とす
る。ここで、前記請求項1の発明は、発光位置から発光
光が反射される位置までの距離を視覚障害者に報知する
ものであるが、しかし、視覚障害者は距離を示された位
置が、自分が目指す誘導地点であるか否かを知ることが
できない。そこで、反射された位置がどこであるかの位
置情報、例えば、駅名や交差点名等の具体的な情報を同
時に距離情報と共に視覚障害者に知らせることが好まし
い。そして、これを実現するには、誘導位置に設けられ
たメッセージ生成手段から生成された情報を、光情報と
して常時発生しておき、誘導装置から再帰反射体(詳細
は後述する)に光が入射された時に、これらの光情報を
反射光に合成して誘導装置に向けて出射すればよい。誘
導装置ではこの光情報中から、距離を計測するための光
情報と、合成された定形メッセージ情報とを分離してか
ら、正常なアナウンス内容となるように音声合成する。
かかる発明によれば、反射点で定形メッセージを合成し
て反射光に重畳して送り、誘導装置側では、その合成光
から距離計測のための光と定形メッセージを分離し、音
声合成して報知することにより、誘導地点の名称とそこ
までの距離を明確に視覚障害者に報知することができ
る。
【0007】請求項3は、前記演算手段は、所定の距離
を移動した時の平均速度に基づいて前記発光手段から発
光された光の反射および/若しくは屈折する位置までの
所要時間を算出することを特徴とする。視覚障害者が誘
導地点までの距離と共に、そこまでの所要時間を知りた
い場合がある。例えば、誘導地点が駅である場合、自分
が乗車しようとする電車の時刻に間に合うか否かを知る
ために駅までの所要時間を知る必要がある。所要時間を
知るには、誘導装置を利用している人の平均速度を算出
すればよい。従って、所定の距離を移動した時の平均速
度を演算して、その(平均)速度と、得られた距離から
所要時間を算出するものである。また、平均速度を演算
するのではなく、単に平均的な人間の歩行速度から算出
しても構わない。かかる発明によれば、誘導装置を携帯
する利用者の平均速度と、誘導地点までの距離から誘導
地点までの所要時間を得ることができるので、更に利用
者の利便性が高まる。請求項4は、前記発光手段は、所
定の時間間隔で間欠的に発光することを特徴とする。誘
導装置を駆動するには、その駆動原として電源が必要で
ある。当然、携帯するためにはバッテリ電源が使用され
る。また、携帯する装置の条件として、可能な限り装置
の形状を小型、軽量にすることが必須条件となる。特
に、軽量化のために、電源を小型軽量にすることが重要
である。しかし、小型軽量と電源容量とは背反的な関係
にあり、どうしても小型軽量にすると電源容量が小さく
なってしまう。そこで、発光部を所定の時間間隔でパル
ス的に発光するようにしておき、できるだけ電力消費を
少なくすることが好ましい。また、このように間欠的に
発光することにより、光の伝播時間を測定する場合、そ
の発光間隔を基準にして測定することができる。かかる
発明によれば、発光部を間欠的なパルスモードで行うの
で、電源の電力消費を抑えることができると共に、光の
伝播時間の測定が容易となる。
【0008】請求項5は、更に制御手段を備え、この制
御手段は、記発光手段が特定の波長を有する光を当該誘
導装置が特定的に持つコードにより変調して発光し、前
記受光手段が受光した光を復調した結果、前記発光手段
が発光したコードと同一であれば、前記演算手段による
演算結果を有効とすることを特徴とする。つまり、誘導
装置からの光は、それを携帯する利用者の数だけ存在す
る。その結果、もし、利用者全員が同じ波長の光をその
まま使用していた場合、複数の利用者から同時に同じ波
長の光が同じ受光手段に出射されると、その光を反射光
として誤認してしまう可能性がある。そこで、これを防
ぐ一つの方法として、光を特定のコードで変調する方法
が考えられる。そして、このコードを各個人で特有のコ
ードにしておけば、各個人を識別することができる。ま
た、コードではなく、波長そのものを変える方法でも良
い。かかる発明によれば、発光部から発光する光を、そ
の誘導装置が特定的に持つコードで変調するので、他人
の誘導装置からのコードと識別することができ、誤認識
を防ぐことができる。請求項6では、前記時間計測手段
は、前記発光手段から発光した光を前記受光手段が受光
するまでに要した時間から、予め測定された回路伝播遅
延時間を減算して出力することを特徴とする。誘導装置
から誘導地点までの距離は、発光部から発光された光の
伝播時間から演算して求めている。しかし、光の伝播時
間は秒速30万kmであり、比較的短い距離を計測する
場合、光の伝播時間は極端に短くなるため、誘導装置の
回路的な伝播遅延時間を無視することができない。そこ
で、正確に距離を演算するために、予め回路の伝播遅延
時間を正確に測定しておき、実際に計測した光の伝播時
間から回路の伝播遅延時間を減算する処理が必要とな
る。かかる発明によれば、予め誘導装置の回路伝播遅延
時間を正確に測定しておき、実際に計測した光の伝播時
間から回路の伝播遅延時間を減算することにより、正確
な距離を計測することができる。
【0009】請求項7は、前記報知手段は、前記演算手
段による演算結果から光の反射および/若しくは屈折す
る位置までの距離が変化したことを検知して音量を変化
させることを特徴とする。視覚障害者に距離や他の情報
を報知する手段としては、スピーカにより音声で報知す
る方法が一般的である。しかし、音声で報知するために
は、それだけ回路が複雑となり、装置のコストを高くし
てしまう。そこで、音だけで報知するようにして、しか
も、その音が距離が近づくに従って大きくなるようにす
れば、簡単な回路で安価な装置を構成することができ
る。かかる発明によれば、距離により音量を変化させる
構成とすることにより、回路構成が簡単となり、安価な
装置を実現することができる。請求項8は、前記演算手
段による演算結果を表示する表示手段を更に備え、該表
示手段の表示、非表示を任意に選択可能としたことを特
徴とする。視覚障害者自身にとっては、目視により確認
するための表示手段は特に必要ではない。しかし、弱視
障害者や視覚障害者に同行する人のために、表示手段は
備えていた方が好ましい。しかし、表示装置を液晶で構
成したとしても、電力を消費することには変わりない。
そこで、表示、非表示を選択できるスイッチを設けてお
き、それにより、不必要なときは表示を非表示にしてお
くことにより、電力消費量を極力抑えることができる。
かかる発明によれば、情報を表示する表示手段を備え、
その表示手段の表示をON/OFF可能とすることによ
り、弱視障害者や同行者にも同時に情報を確認すること
ができ、しかも、不要な電力消費を抑えることができ
る。
【0010】請求項9は、視覚障害者が携帯して自己の
位置を確認する視覚障害者向け誘導システムにおいて、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の視覚障害者向け誘
導装置と、該誘導装置から発光された光を入射し、該入
射光と平行方向に反射する再帰反射体と、を備えたこと
を特徴とする。つまり、誘導装置は、その発光部から発
光された光が反射されて、同じ装置の受光部に戻ること
が前提である。そのような理想的な結果をえるために
は、誘導地点の路面あるいは所定の場所に、光を発光し
た方向に反射する再帰反射性をもつ、所謂、コーナーキ
ューブを設けることが有効ある。前記誘導装置とこのコ
ーナーキューブが一体となって、初めてシステムとして
機能するものである。従って、いつも行き慣れている場
所に行く視覚障害者の場合、最も利用頻度の高い交差点
の横断歩道の近傍や、駅の改札口近傍に複数のコーナー
キューブを設置しておくことにより、その場所までの距
離を正確に把握することができる。また、コーナーキュ
ーブは全く電力を必要としない点も使用する点で扱い易
い。かかる発明によれば、誘導装置と誘導地点に設置さ
れたコーナーキューブにより、誘導装置が誘導地点まで
の距離を正確に測定して、報知してくれる。請求項10
は、視覚障害者が携帯して自己の位置を確認する視覚障
害者向け誘導システムにおいて、請求項1乃至8の何れ
か一項に記載の視覚障害者向け誘導装置と、該誘導装置
から発光された光を入射し、該入射光と平行方向に反射
する再帰反射体と、該再帰反射体から反射された光に光
音声情報とを合成する光合成手段と、前記光音声情報を
生成する情報生成手段と、を備えたことを特徴とする。
前記で説明した請求項9のシステムは、あくまでも誘導
装置から誘導地点までの距離を計測して、誘導装置内部
の音声合成回路からの情報を報知するものである。従っ
て、誘導地点の場所についての情報を流すことはできな
い。そこで、距離情報のみならず誘導地点の場所の情報
を反射光と合成して流す方法が考えられる。それを実現
するためには、再帰反射体から反射される光に位置情報
としての定形メッセージを合成する方法である。ここ
で、位置情報は定形メッセージであるので、そのメッセ
ージを生成する手段と、このメッセージを反射光に合成
する手段を再帰反射体側に設ける。かかる発明によれ
ば、位置情報としての定形メッセージと、光合成手段を
誘導地点側に設けることにより、誘導装置からの光に位
置情報を重畳することができる。
【0011】請求項11は、視覚障害者が携帯して自己
の位置を確認する視覚障害者向け誘導システムにおい
て、請求項1乃至8の何れか一項に記載の視覚障害者向
け誘導装置と、該誘導装置から発光された光を入射し、
該入射光と平行方向に反射する再帰反射体と、該再帰反
射体から反射された光の一部を分岐する光分岐手段と、
該光分岐手段により分岐された光を検出する光検出手段
と、を備えたことを特徴とする。また、一つの例とし
て、視覚障害者が交差点を横断する際には、信号機が既
に赤である場合は、可能な限り青に切り替わるまでの時
間を短くしたり、また、信号機が青の場合は、横断まで
に時間がかかることを考慮して、青信号の点灯時間を長
くする等の配慮が必要である。このような時、視覚障害
者が交差点の信号に設けた再帰反射体に対して光を入射
することにより、その光の一部を検出して前記操作を開
始するタイミングとすることができる。かかる発明によ
れば、再帰反射体に入射した光を分岐して、検出するこ
とにより、誘導地点に視覚障害者が近づいていることを
確認できるので、視覚障害者に対して最適な対応をとる
ことができる。請求項12は、視覚障害者が携帯して自
己の位置を確認する視覚障害者向け誘導システムにおい
て、請求項1乃至8の何れか一項に記載の視覚障害者向
け誘導装置と、該誘導装置から発光された光を入射し、
該入射光と平行方向に反射する再帰反射体と、該再帰反
射体から反射された光の一部を分岐する光分岐手段と、
該光分岐手段により分岐された光を検出する光検出手段
と、前記再帰反射体から反射された光に光音声情報とを
合成する光合成手段と、前記光音声情報を生成する情報
生成手段と、を備えたことを特徴とする。誘導システム
が備えなければならない要件は、利用者(特に、視覚障
害者)の利便性を高めると共に、利用者自身の安全性を
確保することである。請求項9の場合は、利用者が現在
位置から誘導地点までの距離や時間を把握することがで
きるが、誘導地点に正確に向かっているか否かは判らな
い。この点で利便性が高いとは言えない。また、請求項
10では、誘導地点の位置情報を併せて得ることができ
る点で利便性は高まったが、例えば、その結果、信号機
の操作タイミングが利用者にとって最適なタイミングに
変化するわけでもないので、安全性が確保されたとは確
信できない。また、請求項11では、利用者が距離や時
間を把握することができ、しかも、誘導地点に近づいた
場合、利用者に対して最適な対応をとることができる
が、利用者自身が誘導地点に正確に向かっているか否か
は判らない。そこで、前記全ての利点を併せ持たせるた
めに、再帰反射体と共に、光分岐手段と光合成手段を同
時に備え、再帰反射体に光が入射した場合、光分岐手段
により光の一部を検出し、もし、信号機に設置したもの
であれば、タイミングを変える操作に切り替えると共
に、定形メッセージを光合成手段により合成して利用者
に送る。かかる発明によれば、再帰反射体側に光分岐手
段と光合成手段を同時に備えることにより、誘導装置か
らの光に位置情報を重畳すると共に、視覚障害者に対し
て最適な対応をとることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示した実施形
態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載
される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配
置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそ
れのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎな
い。図1は、本発明の第1の実施形態に係る誘導装置の
概略ブロック図である。この誘導装置は、特定の波長を
有する光1を発光する発光部3と、この発光部3から発
光された光1の反射光および/若しくは屈折光2を受光
する受光部4と、発光部3から発光した光1を、この受
光部4が受光するまでの時間を計測したり、計測された
時間から距離を演算したりする制御部5と、演算した距
離情報を増幅するアンプ6と、このアンプ6により増幅
された信号を音声、若しくは音で視覚障害者に伝えるス
ピーカ8又はイヤホン9と、距離情報を表示する表示部
7と、から構成されている。ここで、発光部3は近赤外
線、あるいはレーザ光を発光する部分であり、比較的指
向性が高くなるように構成される。また、これ以外の発
光光源を使用しても構わない。また、受光部4にはPI
Nフォトダイオードやフォトトランジスタ等の受光素子
が使われる。図示しないが、受光部の光入射部はレンズ
等により集光効率が高くなるように構成されている。制
御部5は一般的にはソフトウェア制御によるマイクロコ
ンピュータが使用され、そのためのROM、RAM等の
メモリ類は省略されている。しかし、マイクロコンピュ
ータに限らず、ASIC(特定用途向けIC)等による
ハードウェアによる論理回路で実現しても構わない。表
示部7は省電力のために一般には液晶が使用されるが、
他の表示手段でも構わない。また、図示しないが、表示
部7の表示を表示、非表示に切り替えるスイッチが設け
られており、電源等は図示が省略されている。
【0013】次に本構成による誘導装置10の概略動作
について図1を参照しながら説明する。従来の視覚障害
者向け誘導装置は、その誘導装置を携帯する利用者に対
して定型的なメッセージを一方的に流す方式が多いた
め、実際の誘導地点までの距離を知ることができなかっ
た。しかし、利用者(以下、視覚障害者を利用者と称す
る)が知りたい情報は、今現在の自分の現在位置と誘導
地点との距離、誘導地点に到達するのに要する所要時
間、進行方向等に関するものである。そこで、利用者は
本誘導装置10を手に持ち、イヤホン9で聞く場合には
イヤホンの端子を装置のジャック口に差し込む。そし
て、路面あるいは進行方向に本装置を向けて進むと、誘
導装置10の発光部3からは、向けられた方向に光1を
発光する。そして、その光1が誘導地点に配置された後
述する図示しない再帰反射体により反射され、その反射
光2が受光部4により受光される。制御部5は発光部3
から発光した時点から、受光部4が反射光を受光するま
での時間を計測し(実際は回路の遅延時間を考慮して計
測される。詳細は後述する。)、その計測時間から再帰
反射体までの距離を演算する。そして、その演算結果を
音声合成により、例えば、「15メートルです」のよう
にアンプ6を介してスピーカ8、あるいはイヤホン9に
音声を出力する。また、同時に表示部7に「15メート
ルです」の内容を表示する。このように、誘導地点まで
の距離を計測する手段として最も確実な方法は、光を誘
導地点方向に発光して、その誘導地点に設けた再帰反射
体からの反射光から時間を計測する方法である。そし
て、計測時間と光速から距離を演算し、その結果をスピ
ーカ8あるいはイヤホン9で視覚障害者に報知する。こ
れにより、利用者は、誘導地点までの距離をリアルタイ
ムに正確に知ることができる。
【0014】図2は、本発明の第1の実施形態に係る誘
導システムの原理を説明するための模式図である。これ
は、利用者20が手に把持した誘導装置21から路面2
5近傍に設置された再帰反射体24に向かって発光部2
2から光23を発光し、再帰反射体24により反射され
て光23と平行な反射光26となり、受光部27により
受光された様子を表している。このとき、誘導装置21
と再帰反射体24との間の距離をL(m)とし、発光部
22から出た光23が再帰反射体24で反射されて、反
射光26が受光部27に到達する時間をt(s)、光速
をc(3×10 m/s)とすると、 L=(t/2)×c・・・・・(1) となる。従って、誘導装置内の制御部5により(1)式
のtを計測すれば、一義的に距離Lを計算することがで
きる。このようにして時間から距離を計算して利用者に
知らせる他に、誘導地点までの所要時間を知りたい場合
がある。例えば、誘導地点が駅である場合、自分が乗車
する電車の(発車)時刻に間に合うか否かを知る必要が
ある。所要時間を知るには、誘導装置を利用している人
の平均速度を算出すればよい。それには、(1)式で求
めた距離Lから、所定時間後(例えば1分後)の距離L
1を求め、(L−L1)から移動量を算出すれば、そこ
までの速度V=(L−L1)/60sで求まり、これを
平均速度にすればよい。従って、所要時間Tは、 T=L1/V=L1/{(L−L1)/60s}・・・(2) で求まる。また、単に平均的な人間の歩行速度(3〜4
km/h)から演算しても構わない。これにより、更に
利用者の利便性が高まる。ここで、本発明に使用される
再帰反射体の一例として、コーナーキューブの構成とそ
の概略動作について図3を参照して説明する。コーナー
キューブは、3つの相互に垂直な面81、82、83を
持っており、面80に入射した光84が順に面81、8
2、83のそれぞれに反射されて、入射光84と平行に
面80から出射光85として出力される。この性質によ
り、異なった角度から入射した光に対して、それぞれの
入射光に対して平行に反射するため、同時に異なる角度
から複数の視覚障害者が誘導装置から光を入射しても、
光が交わることがない。
【0015】図4は、本発明の第2の実施形態に係る誘
導装置の概略ブロック図である。同じ構成要素には同じ
参照番号が付されており、重複する説明は省略する。図
4が図1と異なる点は、信号分離部12と音声合成部1
5が追加された点である。前記図1の実施形態では、発
光した光が反射される位置までの距離を利用者に音や音
声により報知するものであるが、これだけでは距離を示
された地点が、自分が目指す誘導地点であるか否かを知
ることができない。そこで、反射された位置がどこであ
るかの情報、例えば、駅名や交差点名などの具体的なメ
ッセージを距離情報と共に光情報として受光できること
が好ましい。これを実現するには、図示しない誘導位置
に設けられたメッセージ生成手段(詳細は後述する)か
ら生成された情報(定形メッセージ)を、光情報として
常時発生しておき、誘導装置から再帰反射体(詳細は後
述する)に光が入射された時に、これらの光情報を反射
光に合成して誘導装置19に向けて出射する。そして、
誘導装置19では距離を計測する光と、合成された定形
メッセージの光情報を信号分離部12により分離してか
ら、正常なアナウンス内容になるように音声合成部15
により音声合成して、アンプ6により増幅してスピーカ
8に出力する。ここで、信号分離部12は制御部10か
らの制御線11により制御され、距離計測のための信号
13とメッセージ14に分離する。そして、制御部10
は信号13から、図1の第1の実施形態と同様に光伝播
時間に基づいて反射点までの距離を演算し、音声合成部
15により音声合成する。例えば、距離が15メート
ル、誘導地点の場所がX駅であるとすると、「X駅まで
15メートルです」と音声合成される。このように、誘
導地点からの定形メッセージと誘導装置から得られた距
離情報を音声合成により合成して出力するものである。
これにより、誘導地点の名称と、そこまでの距離が明確
に視覚障害者に報知することができる。
【0016】図5は、本発明の第2の実施形態に係る誘
導システムの原理を説明するための模式図である。これ
は、利用者30が把持した誘導装置31に設けた発光部
32から路面35近傍に設置された再帰反射体34に向
って発光した光33が、再帰反射体34により反射さ
れ、この反射光36を受光部37が受光する様子を表し
ている。それと同時に、再帰反射体34の近傍に設置さ
れた光合成装置40により、定形メッセージ生成部39
から生成されたメッセージを反射光36に合成して光3
8として重畳する。誘導装置31はこの合成光を受光部
37で受光してから、図4で説明した音声合成部15に
より音声合成して、誘導地点の名称と、そこまでの距離
を視覚障害者に報知するものである。ここで、定形メッ
セージは任意にその内容を変更することが可能である。
また、光合成装置40の構成についての説明は省略する
が、公知の光合成装置を使用しても良い。図6は、本発
明の第3の実施形態に係る誘導システムの原理を説明す
るための模式図である。これは、利用者90が手にもっ
た誘導装置91の発光部92から、路面近傍に設置され
た再帰反射体94に向かって発光された光93が、再帰
反射体94により光93と平行に反射されて反射光96
となり、受光部97により受光される様子を表してい
る。それと同時に、再帰反射体94の近傍に設置された
光分岐装置98により、反射光96の一部が分岐され、
分岐光99として光検出部100に入射する。光検出部
100は分岐光99を検出すると、例えば、信号機10
1に対して現在の信号が赤であれば、可能な限り早く青
信号に変えるように制御する。また、逆に信号が青の場
合は、可能な限り青の点灯時間を長くするように制御さ
れる。このように、誘導システムが備えなければならな
い機能は、利用者(特に、視覚障害者)の利便性を高め
ると共に、利用者自身の安全性を確保する機能である。
図2の実施形態の場合は、利用者が距離や時間を把握す
ることができるが、誘導地点に正確に向かっているか否
かは判らない。この点で利便性が高いとは言えない。ま
た、図5の実施形態では、誘導地点の位置情報を併せて
得ることができる点で利便性は高まったが、例えば、そ
の結果、信号機の操作タイミングが利用者にとって最適
なタイミングに変化するわけでもないので、安全性が確
保されたとは確信できない。また、図6の実施形態で
は、利用者が距離や時間を把握することができ、しか
も、誘導地点に近づいた場合、利用者に対して最適な対
応をとることができるが、利用者自身が誘導地点に正確
に向かっているか否かは判らない。そこで、本実施形態
では、前記全ての利点を併せ持った構成とするために、
光分岐装置と光合成装置を同時に装備し、再帰反射体に
光が入射した場合、光分岐装置により光の一部を検出
し、もし、信号機に設置したものであれば、点灯タイミ
ングを変える操作に切り替えると共に、定形メッセージ
を光合成装置により合成して利用者に送る。
【0017】図7は、本発明の第4の実施形態に係る誘
導システムの原理を説明するための模式図である。この
実施形態は、図2、図5、図6の実施形態を併せたもの
であり、利用者201が手にもった誘導装置202の発
光部203から路面近傍に設置された再帰反射体205
に向かって発光した光204が、再帰反射体205によ
り光204と平行に反射されて反射光209となり、受
光部211により受光される様子を表している。それと
同時に、再帰反射体205の近傍に設置された光合成/
分岐装置208により、反射光209の一部が分岐さ
れ、分岐光207として光検出部206に入射する。ま
た、定形メッセージ生成部213から生成されたメッセ
ージを光情報として、光214により光合成/分岐装置
208で反射光209と合成して、光210として重畳
する。これ以降の信号機212の制御と誘導装置202
の音声合成動作は、図5、図6で説明した内容と同様で
ある。ここで、光合成/分岐装置208を一体的に構成
しているが、別々に構成しても構わない。以上の説明の
通り、本発明では、誘導装置から反射位置までの距離
を、発光部から発光された光の伝播時間から演算して求
めている。しかし、光の伝播時間は秒速30万kmであ
り、比較的短い距離を計測する場合、光の伝播時間は極
端に短くなるため、誘導装置の回路的な伝播遅延時間を
無視することができない。そこで、正確に距離を演算す
るために、予め回路の伝播遅延時間を正確に測定してお
き、実際に計測した光の伝播時間から回路の伝播遅延時
間を減算する処理が必要となる。図8は、これを更に詳
細に説明するためのタイミングチャートである。図8
(a)は発光部のタイミングチャートであり、誘導装置
の制御部が発光命令aを出し、発光部から実際に光bを
発光するまでの伝播遅延時間をtd1とする。図8
(b)はコーナーキューブに光が到達して反射するまで
の実際の光の伝播時間を表し、光1がコーナーキューブ
まで到達する時間をtc1とし、反射して受光部に到達
するまでの時間をtc2とする。ここでは当然、発光部
と受光部が同じ位置にあるので、tc1=tc2とな
る。図8(c)は受光部のタイミングチャートであり、
光2が受光部に到達した時間軸をdとし、受光部が時間
軸dで受光したと認識するまでの遅延時間をtd2とす
ると、その時間軸に受光信号eが出力される。図8
(d)は演算部のタイミングチャートであり、演算部が
発光部に対して発光命令aを出し、そこから時間を計測
して受光部が受光信号eを出力するまでの計測時間t
は、t=td1+(tc1+tc2)/2+td2とな
る。この式から、実際の光伝播時間は(tc1+tc
2)/2であり、td1、td2は回路の伝播遅延時間
であり、計測値から除外しなければならない。この伝播
遅延時間は、予め、回路設計段階で予測をたて、実測し
て求めておくことが必要である。従って、回路を可能な
限り集積化して、伝播遅延時間を短くし、回路による誤
差を極力少なくすることが肝要である。本発明では、予
め誘導装置の回路伝播遅延時間td1、td2を正確に
測定しておき、実際に計測した光の伝播時間(tc1+
tc2)/2から回路の伝播遅延時間td1、td2を
減算することにより、正確な距離を計測することができ
る。
【0018】図9は、本発明の誘導システムを実際の交
差点や駅周辺に設置した例を表す図である。この図を参
照しながら本発明の誘導装置を携帯する視覚障害者の動
作について説明する。この図は、交差点に道路50、5
7、62、68が交差し、各道路に設けられた横断歩道
A、B、C、Dの対向する位置に再帰反射体が設置され
ている。例えば、横断歩道Aには再帰反射体56、5
8、横断歩道Bには再帰反射体53、66、横断歩道C
には再帰反射体67、69、横断歩道Dには再帰反射体
60、70がそれぞれ設置されている。また、駅63の
近傍にも再帰反射体71が設置されている。このような
場所で視覚障害者51、55、61、65がそれぞれ誘
導装置72、73、74、75を携帯し、矢印のように
光を発光しているとする。まず、視覚障害者51が誘導
装置72により光52を再帰反射体53に向かって発光
すると、その光が反射され、誘導装置72と再帰反射体
53までの距離が5メートルであると判断すると、スピ
ーカから「横断歩道Bまで5メートルです」という情報
が流れる。横断歩道Bがその時、信号が青であれば、同
時に「ただ今、信号は青です」という情報を流しても良
い。あるいは、信号が赤であれば、「ただ今、信号が赤
です注意してください」という情報を流しても良い。こ
れにより、視覚障害者51は自分が横断歩道Bの5メー
トル手前まで来ていることを確認でき、しかも、横断が
可能か否かも判断できる。また、視覚障害者55は視覚
障害者51と同じ再帰反射体53に向けて発光している
が、再帰反射体は入射方向と平行な方向に反射するの
で、両者の光が交わることはない。このとき、視覚障害
者55と再帰反射体53までの距離が視覚障害者51と
同じであれば、同じような情報がスピーカから流れる。
しかし、本発明の特徴は、視覚障害者55と再帰反射体
53までの距離が8メートルと異なっていれば、スピー
カから「横断歩道Bまで8メートルです」という情報が
流れるようにした点にある。このように、各個人特有の
情報が誘導装置で演算されてスピーカから聞くことがで
きる。
【0019】また、他の例として、視覚障害者61の誘
導装置74が視覚障害者55の誘導装置73に向けて発
光し、たまたま、視覚障害者55の受光部に光が入射し
た場合、もし、同じ波長の光で動作する誘導装置であれ
ば、視覚障害者55の誘導装置73は、距離を誤って伝
える可能性がでてくる。そこで、本発明では、各誘導装
置から発光される光を特有のコードで変調することによ
り、これらの誤動作を防止している。例えば、視覚障害
者61から発光された光を視覚障害者55が受光して
も、コードが異なるため、その光を無効にすることがで
きる。また、Y駅に向かう視覚障害者65は、Y駅近傍
の再帰反射体71に向かって誘導装置75から光を発光
すると、再帰反射体71により光が反射され、誘導装置
75が再帰反射体71までの距離を10メートルである
と判断すると、スピーカから「Y駅まで10メートルで
す」という情報が流れる。これにより、視覚障害者65
は自分が確かにY駅に向かっていることを確認でき、し
かも、あと10メートルの位置まで来たことを確認する
ことができる。以上のように、本発明は、視覚障害者が
外部で行動する際に進行方向や各地点までの距離を知ら
せる誘導装置として有効に作用し、しかも、視覚障害者
の安全を確保することができる。本発明では視覚障害者
を主に対象として説明したが、それに限定されず、例え
ば、イベント会場等、広範かつ複雑な移動経路を有した
場所において、入場者(健常者)にこの誘導装置を持た
せ、各会場の要所に設けた再帰反射体により、現在位置
の情報を流したり、進入禁止区域への禁止案内を行うよ
うにしてもよい。
【0020】
【発明の効果】以上記載のごとく請求項1の発明によれ
ば、誘導地点に設けた再帰反射体に向けて光を発光し、
そこからの反射光を受光部が受光して、光の往復時間か
ら距離を演算して報知するものであり、誘導地点までの
距離をリアルタイムに正確に知ることができる。また請
求項2では、反射点で定形メッセージを合成して反射光
に重畳して送り、誘導装置側では、その合成光から距離
計測のための光と定形メッセージを分離し、その2つの
信号を音声合成して報知することにより、誘導地点の名
称とそこまでの距離を明確に視覚障害者に報知すること
ができる。また請求項3では、誘導装置を携帯する利用
者の所定距離の平均速度を演算し、その平均速度と残り
の誘導地点までの距離から、誘導地点までの所要時間を
得るようにするので、更に利用者の利便性を高めること
ができる。また請求項4では、発光部を間欠的なパルス
モードで行うので、電源の電力消費を抑えることができ
ると共に、光の伝播時間の測定をパルス信号を基準に行
うことができ、測定が容易となる。また請求項5では、
発光部から発光する光を、各誘導装置が個別にもつコー
ドで変調することにより、他人の誘導装置からのコード
と識別することができるので、誤認識を防ぐことができ
る。また請求項6では、予め誘導装置の回路伝播遅延時
間を正確に測定しておき、実際に計測した光の伝播時間
から回路の伝播遅延時間を減算することにより、正確な
距離を計測することができる。
【0021】また請求項7では、距離により音量を変化
させる構成とすることにより、回路構成が簡単となり、
安価な装置を実現することができる。また請求項8で
は、情報を表示する表示手段を備え、その表示手段の表
示をON/OFF可能とすることにより、弱視障害者や
同行者にも同時に情報を確認することができ、しかも、
不要な電力消費を抑えることができる。また請求項9で
は、誘導装置と誘導地点に設置されたコーナーキューブ
により、誘導装置が誘導地点までの距離を正確に測定し
て、視覚障害者に報知することができる。また請求項1
0では、位置情報としての定形メッセージと、光合成手
段を誘導地点側に設けることにより、誘導装置からの光
に位置情報を重畳して、誘導地点までの距離と位置の情
報を同時に視覚障害者に報知することができる。また請
求項11では、再帰反射体に入射した光を分岐して、検
出することにより、誘導地点に視覚障害者が近づいてい
ることを確認できるので、視覚障害者に対して最適な対
応をとることができると共に、安全を確保することがで
きる。また請求項12では、再帰反射体側に光分岐手段
と光合成手段を同時に備えることにより、誘導装置から
の光に位置情報を重畳すると共に、視覚障害者に対して
最適な対応をとることができるので、距離と位置情報を
同時に報知すると共に、安全性も確保することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る誘導装置の概略
ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る誘導システムの
原理を説明するための模式図である。
【図3】本発明のコーナーキューブの構成とその動作に
ついて説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る誘導装置の概略
ブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る誘導システムの
原理を説明するための模式図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る誘導システムの
原理を説明するための模式図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る誘導システムの
原理を説明するための模式図である。
【図8】(a)は本発明の発光部のタイミングチャー
ト、(b)は本発明のコーナーキューブに光が到達して
反射するまでのタイミングチャート、(c)は本発明の
受光部のタイミングチャート、(d)は本発明の演算部
のタイミングチャートである。
【図9】本発明の誘導システムを実際の交差点や駅周辺
に設置した例を表す図である。
【符号の説明】
3 発光部、4 受光部、5 制御部、6 アンプ、7
表示部、8 スピーカ、9 イヤホン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G08G 1/0969 G08G 1/0969 Fターム(参考) 2F029 AA07 AB13 AC02 AC08 AC18 2F112 AD01 BA01 CA01 DA10 DA21 DA25 DA40 5H180 AA23 CC02 CC03 FF25 5J084 AA05 AB17 AC08 AD01 BA03 BA36 BA43 BA57 DA01 DA07 EA27

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 視覚障害者が携帯して自己の位置を確認
    する視覚障害者向け誘導装置において、 特定の波長を有する光を発光する発光手段と、該発光手
    段から発光された光の反射光および/若しくは屈折光を
    受光する受光手段と、前記発光手段から発光した光を前
    記受光手段が受光するまでの時間を計測する時間計測手
    段と、該時間計測手段による計測結果から距離を演算す
    る演算手段と、該演算手段による演算結果を音声、若し
    くは音で前記視覚障害者に伝える報知手段と、を備えた
    ことを特徴とする視覚障害者向け誘導装置。
  2. 【請求項2】 視覚障害者が携帯して自己の位置を確認
    する視覚障害者向け誘導装置において、 特定の波長を有する光を発光する発光手段と、該発光手
    段から発光された光の反射光および/若しくは屈折光を
    受光する受光手段と、該受光手段が受光した光を前記発
    光手段からの光信号と他の光信号とに分離する信号分離
    手段と、前記発光手段から発光した光を前記受光手段が
    受光するまでの時間を計測する時間計測手段と、該時間
    計測手段による計測結果から距離を演算する演算手段
    と、該演算手段から得られた音声と前記信号分離手段に
    より分離された他の音声信号とを合成する音声合成手段
    と、該音声合成手段からの音声、若しくは音の情報を前
    記視覚障害者に伝える報知手段と、を備えたことを特徴
    とする視覚障害者向け誘導装置。
  3. 【請求項3】 前記演算手段は、視覚障害者が所定の距
    離を移動した時の平均速度に基づいて前記発光手段から
    発光された光の反射および/若しくは屈折する位置まで
    の所要時間を算出することを特徴とする請求項1又は2
    に記載の視覚障害者向け誘導装置。
  4. 【請求項4】 前記発光手段は、所定の時間間隔で間欠
    的に発光することを特徴とする1乃至3の何れか一項に
    記載の視覚障害者向け誘導装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れか一項に記載の視
    覚障害者向け誘導装置において、更に制御手段を備え、
    この制御手段は、記発光手段が特定の波長を有する光を
    当該誘導装置が特定的に持つコードにより変調して発光
    し、前記受光手段が受光した光を復調した結果、前記発
    光手段が発光したコードと同一であれば、前記演算手段
    による演算結果を有効とすることを特徴とする視覚障害
    者向け誘導装置。
  6. 【請求項6】 前記時間計測手段は、前記発光手段から
    発光した光を前記受光手段が受光するまでに要した時間
    から、予め測定された回路伝播遅延時間を減算して出力
    することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記
    載の視覚障害者向け誘導装置。
  7. 【請求項7】 前記報知手段は、前記演算手段による演
    算結果から光の反射および/若しくは屈折する位置まで
    の距離が変化したことを検知して音量を変化させること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の視覚障害者向け誘
    導装置。
  8. 【請求項8】 前記演算手段による演算結果を表示する
    表示手段を更に備え、該表示手段の表示、非表示を任意
    に選択可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記
    載の視覚障害者向け誘導装置。
  9. 【請求項9】 視覚障害者が携帯して自己の位置を確認
    する視覚障害者向け誘導システムにおいて、 請求項1乃至8の何れか一項に記載の視覚障害者向け誘
    導装置と、該誘導装置から発光された光を入射し、該入
    射光と平行方向に反射する再帰反射体と、を備えたこと
    を特徴とする視覚障害者向け誘導システム。
  10. 【請求項10】 視覚障害者が携帯して自己の位置を確
    認する視覚障害者向け誘導システムにおいて、 請求項1乃至8の何れか一項に記載の視覚障害者向け誘
    導装置と、該誘導装置から発光された光を入射し、該入
    射光と平行方向に反射する再帰反射体と、該再帰反射体
    から反射された光に光音声情報とを合成する光合成手段
    と、前記光音声情報を生成する情報生成手段と、を備え
    たことを特徴とする視覚障害者向け誘導システム。
  11. 【請求項11】 視覚障害者が携帯して自己の位置を確
    認する視覚障害者向け誘導システムにおいて、 請求項1乃至8の何れか一項に記載の視覚障害者向け誘
    導装置と、該誘導装置から発光された光を入射し、該入
    射光と平行方向に反射する再帰反射体と、該再帰反射体
    から反射された光の一部を分岐する光分岐手段と、該光
    分岐手段により分岐された光を検出する光検出手段と、
    を備えたことを特徴とする視覚障害者向け誘導システ
    ム。
  12. 【請求項12】 視覚障害者が携帯して自己の位置を確
    認する視覚障害者向け誘導システムにおいて、 請求項1乃至8の何れか一項に記載の視覚障害者向け誘
    導装置と、該誘導装置から発光された光を入射し、該入
    射光と平行方向に反射する再帰反射体と、該再帰反射体
    から反射された光の一部を分岐する光分岐手段と、該光
    分岐手段により分岐された光を検出する光検出手段と、
    前記再帰反射体から反射された光に光音声情報を合成す
    る光合成手段と、前記光音声情報を生成する情報生成手
    段と、を備えたことを特徴とする視覚障害者向け誘導シ
    ステム。
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