JP2003309723A - 画像改質処理方法およびその装置、プログラム、並びにデータ記録媒体 - Google Patents

画像改質処理方法およびその装置、プログラム、並びにデータ記録媒体

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JP2003309723A JP2003031734A JP2003031734A JP2003309723A JP 2003309723 A JP2003309723 A JP 2003309723A JP 2003031734 A JP2003031734 A JP 2003031734A JP 2003031734 A JP2003031734 A JP 2003031734A JP 2003309723 A JP2003309723 A JP 2003309723A
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努 藤田
Katsuhiko Mishima
克彦 三島
Atsushi Sugano
淳 菅野
Masami Kanegae
正巳 鐘ヶ江
Chikatake Uchiumi
京丈 内海
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二焦点レンズで撮像された画像の質を短時間
の処理で改善することができ、ピント合わせ機構を用い
ることなく、標準的な距離にある通常の被写体およびこ
れよりも近距離にある近接被写体のいずれもについても
鮮明な画像を得ることができる画像改質処理方法および
その装置を提供すること。 【解決手段】 畳み込み演算行列Qの各要素Q(x,
y)のうち少なくとも非零要素を含む行列部分の値を畳
み込み演算行列記憶手段32に記憶しておき、二焦点レ
ンズ21で被写体を撮像した際に、再生演算手段33に
より、画像素子24の出力信号Z(h,k)と演算行列
記憶手段32に記憶したQ(x,y)とを用いて畳み込
み演算処理を行い、ピントの合った画像を求めるように
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二焦点レンズを構
成する一方のレンズ部により形成されるピントの合った
画像と、他方のレンズ部により形成されるピントのぼけ
た画像とが重なった画像から、ピントの合った画像を求
める画像改質処理方法およびその装置、プログラム、並
びにデータ記録媒体に係り、例えば、携帯情報端末(P
DA:Personal Digital Assistants)、携帯電話機
(PHS:Personal Handy phone Systemを含む。)、
テレビジョンやビデオ等の家電機器の操作用のリモート
・コントロール装置、カメラ付パーソナル・コンピュー
タ、および監視カメラ装置等の二焦点レンズによる画像
入力機能を持つ情報端末装置などに利用できる。
【0002】
【背景技術】従来より、焦点距離の異なる二つのレンズ
部を有する二焦点レンズが遠近両用コンタクトレンズと
して使用されている。このような二焦点レンズにより構
成されるコンタクトレンズを人間が装着した場合には、
二つの各レンズ部により形成されるピントの合った画像
とピントの合わない画像(いわゆるピンぼけ画像)とを
人間が無意識のうちに選択し、ピントの合った画像のみ
を見るようにしていると考えられる。
【0003】ところで、このような二焦点レンズを、例
えば携帯電話機や携帯情報端末等の情報端末装置に設け
れば、焦点深度下限(例えば、0.3m)から無限遠ま
での標準的な距離にある通常の被写体(例えば、人物や
風景等)を、長い焦点距離を有する長焦点レンズ部によ
り撮像し、一方、それよりも近い距離に配置された近接
被写体(例えば、2次元バーコードや虹彩や文字等)
を、短い焦点距離を有する短焦点レンズ部により撮像す
ることにより、それぞれ高い解像度の画像を得ることが
できる。そして、このような二焦点レンズを備えた情報
端末装置は、本願出願人により既に提案されている(特
願2000−348800号等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た二焦点レンズを備えた情報端末装置では、例えば液晶
シャッター等の光学シャッターを二焦点レンズと撮像素
子との間に設けることにより長焦点レンズ部と短焦点レ
ンズ部とを切替可能な構成とした場合等には、コントラ
ストの高い画像を得ることができるものの、そのような
レンズ部の切替を行わない場合には、二つの各レンズ部
により形成されるピントの合った画像とピントの合わな
い画像とが重なってしまうため、鮮明な画像を得ること
が困難であるという問題がある。
【0005】この際、前述したように二焦点レンズを使
用した遠近両用コンタクトレンズを人間が装着した場合
には、ピントの合った画像とピントの合わない画像とを
人間が無意識のうちに選択し、ピントの合った画像のみ
を見るようにしていると考えられるが、このような人間
の脳内における画像の選択処理と類似の処理を、通常の
携帯電話機や携帯情報端末等の携帯型の情報端末装置に
搭載されている程度の性能を有する中央演算処理装置
(CPU)により短時間で実行できれば、情報端末装置
の使い勝手や性能の向上を図ることができ、しかも低コ
ストで実現できるので便利である。
【0006】また、このような処理を行うことができれ
ば、携帯電話機や携帯情報端末等の携帯型の情報端末装
置に二焦点レンズを設けた場合に限らず、広く一般的に
二焦点レンズによる撮像を行う場合、例えば、パーソナ
ル・コンピュータに二焦点レンズを有するカメラを接続
した場合や、監視カメラとして二焦点レンズを用いる場
合等においても、画像の質の改善が図られるため好都合
である。
【0007】本発明の目的は、二焦点レンズで撮像され
た画像の質を短時間の処理で改善することができ、ピン
ト合わせ機構を用いることなく、標準的な距離にある通
常の被写体およびこれよりも近距離にある近接被写体の
いずれもについても鮮明な画像を得ることができる画像
改質処理方法およびその装置、プログラム、並びにデー
タ記録媒体を提供するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、二焦点レンズ
を構成する一方のレンズ部により形成されるピントの合
った画像と、他方のレンズ部により形成されるピントの
ぼけた画像とが重なった画像から、ピントの合った画像
を求める画像改質処理方法であって、撮像素子の大きさ
をM画素×N画素とし、被写体の発する光の明るさを示
すM行N列の行列をAとし、被写体を二焦点レンズによ
り撮像して得られた画像の出力信号を示すM行N列の行
列をZとしたとき、畳み込み演算処理を行うための(2
M−1)行(2N−1)列の畳み込み演算行列Qの各要
素Q(x,y)の値のうち少なくとも非零要素を含む行
列部分の値を下式(1)に基づき予め算出して畳み込み
演算行列記憶手段に記憶しておき、被写体を二焦点レン
ズにより撮像した際に、再生演算手段により、畳み込み
演算行列記憶手段に記憶された各要素Q(x,y)のう
ちの少なくとも一部の値と画像の出力信号の行列Zの各
要素Z(h,k)の値とを用いて下式(2)に基づき被
写体の行列Aの各要素A(s,t)の値を算出すること
を特徴とするものである。
【0009】 Q(x,y)=1/c−(W(0,0)−c)/cpower (x=0,y=0の場合) =−W(x,y)/cpower (x=0,y=0以外の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
【0010】 A(s,t)=ΣhΣkQ(s−h,t−k)Z(h,k) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
【0011】ここで、xおよびyは整数で、(1−M)
≦x≦(M−1)、(1−N)≦y≦(N−1)であ
り、sおよびtは自然数で、1≦s≦M、1≦t≦Nで
あり、hおよびkは自然数で、1≦h≦M、1≦k≦N
であり、W(x,y)は、(2M−1)行(2N−1)
列の行列Wの各要素の値であり、この行列Wは、端部を
除く座標(m,n)で示される1点のみに輝点のある被
写体を二焦点レンズで撮像したときに一方および他方の
レンズ部により形成される画像の出力信号を示すM行N
列の行列Zmnを、x=h−m、y=k−nを満たす座標
(h,k)から座標(x,y)への座標変換で、W
(0,0)=Zmn(m,n)となるように平行移動する
ことにより、Zmn(h,k)のうちの非零要素を含む行
列部分を行列Wの中央部に配置するとともに、中央部に
配置された非零要素を含む行列部分の外側部分を零要素
で埋めることにより構成され、cは、比例係数で、二焦
点レンズの全体面積に対する一方のレンズ部の面積の比
の値であり、powerは、cのべき乗数となる実数
で、1≦power≦2であり、Σhは、h=1〜Mの
和であり、Σkは、k=1〜Nの和である。
【0012】また、「二焦点レンズ」とは、標準的な距
離(焦点深度下限(例えば、0.3m)から無限遠まで
の距離)にある通常の被写体(例えば、人物や風景等)
を撮像するための長い焦点距離を有する長焦点レンズ部
と、標準的な距離にある被写体よりも近距離にある近接
被写体(例えば、2次元バーコードや虹彩や文字等)を
撮像するための短い焦点距離を有する短焦点レンズ部と
が、同一の面に一体化されて形成された撮像レンズであ
る。以下の発明においても同様である。なお、長焦点レ
ンズ部と短焦点レンズ部とを別部材により別々に形成し
てから一体化してもよく、あるいは、一つの部材を用い
て長焦点レンズ部および短焦点レンズ部を加工して形成
してもよい。また、同一の面は、撮像レンズの光軸に直
交する面であることが最も好ましい。
【0013】そして、「一方のレンズ部」とは、ピント
の合った画像を形成するレンズ部であり、標準的な距離
にある通常の被写体を撮像する際には、長焦点レンズ部
が該当し、通常の被写体よりも近距離にある近接被写体
を撮像する際には、短焦点レンズ部が該当する。これに
対し、「他方のレンズ部」とは、ピントのぼけた画像を
形成するレンズ部であり、標準的な距離にある通常の被
写体を撮像する際には、短焦点レンズ部が該当し、通常
の被写体よりも近距離にある近接被写体を撮像する際に
は、長焦点レンズ部が該当する。
【0014】さらに、「二焦点レンズ」を構成する長焦
点レンズ部の正面形状(レンズの光軸に沿う方向から見
た形状)は、円形、楕円形、または多角形のいずれかで
あり、短焦点レンズ部の正面形状は、環状であり、短焦
点レンズ部は、長焦点レンズ部の外側に配置され、か
つ、長焦点レンズ部と同心に配置(各レンズ部の光軸同
士が一致する状態で配置)されていることが、構造の簡
易化、製造の容易化、質の高い画像の取得の容易化、解
読精度の向上等の観点から望ましく、特に、長焦点レン
ズ部の正面形状を円形とし、短焦点レンズ部の正面形状
を円環状とした同心円型構造とすると、極めて好ましい
結果が得られる。なお、長焦点レンズ部と短焦点レンズ
部との配置関係を逆にし(従って、正面形状を逆に
し)、短焦点レンズ部を内側に長焦点レンズ部を外側に
配置するようにしてもよい。
【0015】また、「撮像素子」としては、具体的に
は、例えば、相補性金属酸化膜半導体(CMOS:Comp
lementary Metal-oxide Semiconductor)や電荷結合素
子(CCD:Charge Coupled Device)等を採用するこ
とができる。
【0016】さらに、powerの値は、cの値に応じ
て決定すればよい。この際、cの値が、0.5近傍
(0.5を含む。以下、同様)のときには、power
の値を2以外の値とする必要がある。より具体的には、
cの値が、0.5近傍のときには、powerの値を1
以上2未満とし、より好ましくは1とする。一方、cの
値が、0.5近傍以外のときには、1以上2以下とす
る。以下の発明においても、同様である。
【0017】このような本発明においては、被写体を二
焦点レンズにより撮像した際に、再生演算手段により、
畳み込み演算行列記憶手段に記憶された畳み込み演算行
列Qの各要素Q(x,y)のうちの少なくとも一部の値
と、撮像して得られた画像の出力信号の行列Zの各要素
Z(h,k)の値とを用い、前記式(2)に基づき被写
体の行列Aの各要素A(s,t)の値を算出する。
【0018】この際、再生演算手段による演算処理は、
前記式(1)に基づき予め算出されて畳み込み演算行列
記憶手段に記憶された畳み込み演算行列Qの各要素Q
(x,y)の値を用いて行われるので、後述する式(1
−22)で示されるM×N行M×N列の巨大逆行列Tを
用いて演算処理を行う場合に比べ、非常に少ない計算量
で、被写体の行列Aの各要素A(s,t)の値を算出す
ることが可能となる。
【0019】このため、短時間の処理で、ピントの合っ
た画像を求めて被写体を再生することができるので、二
焦点レンズで撮像された画像の質を短時間の処理で改善
することができ、ピント合わせ機構を用いることなく、
標準的な距離にある通常の被写体およびこれよりも近距
離にある近接被写体のいずれもについても鮮明な画像を
得ることができるようになる。
【0020】また、再生演算手段による演算処理が非常
に少ない計算量であることから、例えば携帯電話機や携
帯情報端末等の携帯型の情報端末装置に搭載されている
程度のCPUの能力でも短時間の処理で実行することが
可能である。従って、二焦点レンズを備えた携帯型の情
報端末装置に本発明を適用すれば、情報端末装置の使い
勝手や性能の向上を図ることができるようになり、これ
らにより前記目的が達成される。
【0021】さらに、前述した画像改質処理方法におい
て、二焦点レンズへの光の入射角の不均一により画像周
辺部の受光量が減少するシェージングの影響を補正する
ためのM行N列のシェージング補正行列Φの各要素Φ
(s,t)の値をシェージング補正行列記憶手段に記憶
しておき、再生演算手段による処理を行った後に、シェ
ージング補正手段により、シェージング補正行列記憶手
段に記憶された各要素Φ(s,t)の値と被写体の行列
Aの各要素A(s,t)の値とを用いて下式(3)に基
づきシェージング補正を行った被写体の行列Ashの各要
素Ash(s,t)を算出することが望ましい。
【0022】 Ash(s,t)=A(s,t)×Φ(s,t) ・・・・・・・・(3)
【0023】ここで、sおよびtは自然数で、1≦s≦
M、1≦t≦Nである。
【0024】このようにシェージング補正を行った場合
には、シェージングの影響が排除されるため、画像の質
を、より一層改善することが可能となる。
【0025】また、前述した画像改質処理方法におい
て、二焦点レンズへの光の入射角の不均一により画像周
辺部の受光量が減少するシェージングの影響を補正する
ためのM行N列のシェージング補正行列Φの各要素Φ
(h,k)の値をシェージング補正行列記憶手段に記憶
しておき、再生演算手段による処理を行う前に、シェー
ジング補正手段により、シェージング補正行列記憶手段
に記憶された各要素Φ(h,k)の値と画像の出力信号
の行列Zの各要素Z(h,k)の値とを用いて下式
(4)に基づきシェージング補正を行った画像の出力信
号の行列Zshの各要素Z sh(h,k)を算出し、得られ
たZsh(h,k)の値を新たなZ(h,k)として式
(2)に基づく再生演算手段による処理に使用すること
が望ましい。
【0026】 Zsh(h,k)=Z(h,k)×Φ(h,k) ・・・・・・・・(4)
【0027】ここで、hおよびkは自然数で、1≦h≦
M、1≦k≦Nである。
【0028】このようにシェージング補正を行った場合
には、シェージングの影響が排除されるため、画像の質
を、より一層改善することが可能となる。
【0029】また、以上に述べた画像改質処理方法にお
いて、式(2)に基づく再生演算手段による処理は、デ
ジタルフィルタ回路により行われ、このデジタルフィル
タ回路には、画像の出力信号の行列Zの各要素Z(h,
k)の値に畳み込み演算行列Qの各要素Q(x,y)の
値を乗ずる複数の乗算回路と、これらの乗算回路からの
出力信号を加算する複数の加算回路と、順次入力される
各要素Z(h,k)の信号の流れの速度調整を行うため
の複数のディレイ回路とが含まれていることが望まし
い。
【0030】このように再生演算手段による処理をデジ
タルフィルタ回路により行うようにした場合には、畳み
込み演算行列Qを用いた畳み込み演算処理を、ハードウ
ェアにより実現することができるので、画像改質に要す
る処理時間を、より一層短くすることが可能となる。
【0031】また、以上に述べた本発明の画像改質処理
方法を実現するための装置として、以下のような本発明
の画像改質処理装置を挙げることができる。
【0032】すなわち、本発明は、二焦点レンズを構成
する一方のレンズ部により形成されるピントの合った画
像と、他方のレンズ部により形成されるピントのぼけた
画像とが重なった画像から、ピントの合った画像を求め
る画像改質処理装置であって、撮像素子の大きさをM画
素×N画素とし、被写体の発する光の明るさを示すM行
N列の行列をAとし、被写体を前記二焦点レンズにより
撮像して得られた画像の出力信号を示すM行N列の行列
をZとしたとき、下式(5)に基づき算出された畳み込
み演算処理を行うための(2M−1)行(2N−1)列
の畳み込み演算行列Qの各要素Q(x,y)の値のうち
少なくとも非零要素を含む行列部分の値を記憶する畳み
込み演算行列記憶手段と、この畳み込み演算行列記憶手
段に記憶された各要素Q(x,y)のうちの少なくとも
一部の値と画像の出力信号の行列Zの各要素Z(h,
k)の値とを用いて下式(6)に基づき被写体の行列A
の各要素A(s,t)の値を算出する再生演算手段とを
備えたことを特徴とするものである。
【0033】 Q(x,y)=1/c−(W(0,0)−c)/cpower (x=0,y=0の場合) =−W(x,y)/cpower (x=0,y=0以外の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
【0034】 A(s,t)=ΣhΣkQ(s−h,t−k)Z(h,k) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
【0035】ここで、xおよびyは整数で、(1−M)
≦x≦(M−1)、(1−N)≦y≦(N−1)であ
り、sおよびtは自然数で、1≦s≦M、1≦t≦Nで
あり、hおよびkは自然数で、1≦h≦M、1≦k≦N
であり、W(x,y)は、(2M−1)行(2N−1)
列の行列Wの各要素の値であり、この行列Wは、端部を
除く座標(m,n)で示される1点のみに輝点のある被
写体を二焦点レンズで撮像したときに一方および他方の
レンズ部により形成される画像の出力信号を示すM行N
列の行列Zmnを、x=h−m、y=k−nを満たす座標
(h,k)から座標(x,y)への座標変換で、W
(0,0)=Zmn(m,n)となるように平行移動する
ことにより、Zmn(h,k)のうちの非零要素を含む行
列部分を行列Wの中央部に配置するとともに、中央部に
配置された非零要素を含む行列部分の外側部分を零要素
で埋めることにより構成され、cは、比例係数で、二焦
点レンズの全体面積に対する一方のレンズ部の面積の比
の値であり、powerは、cのべき乗数となる実数
で、1≦power≦2であり、Σhは、h=1〜Mの
和であり、Σkは、k=1〜Nの和である。
【0036】このような本発明の画像改質処理装置にお
いては、前述した本発明の画像改質処理方法で得られる
作用・効果をそのまま得ることができる。
【0037】また、前述した画像改質処理装置におい
て、二焦点レンズへの光の入射角の不均一により画像周
辺部の受光量が減少するシェージングの影響を補正する
ためのM行N列のシェージング補正行列Φの各要素Φ
(s,t)の値を記憶するシェージング補正行列記憶手
段と、このシェージング補正行列記憶手段に記憶された
各要素Φ(s,t)の値と再生演算手段による処理を行
って得られた被写体の行列Aの各要素A(s,t)の値
とを用いて下式(7)に基づきシェージング補正を行っ
た被写体の行列Ashの各要素Ash(s,t)を算出する
シェージング補正手段とを備えた構成とすることが望ま
しい。
【0038】 Ash(s,t)=A(s,t)×Φ(s,t) ・・・・・・・・(7)
【0039】ここで、sおよびtは自然数で、1≦s≦
M、1≦t≦Nである。
【0040】このようにシェージング補正行列記憶手段
およびシェージング補正手段を設けた構成とした場合に
は、シェージングの影響が排除されるため、画像の質
を、より一層改善することが可能となる。
【0041】さらに、前述した画像改質処理装置におい
て、二焦点レンズへの光の入射角の不均一により画像周
辺部の受光量が減少するシェージングの影響を補正する
ためのM行N列のシェージング補正行列Φの各要素Φ
(h,k)の値を記憶するシェージング補正行列記憶手
段と、このシェージング補正行列記憶手段に記憶された
各要素Φ(h,k)の値と画像の出力信号の行列Zの各
要素Z(h,k)の値とを用いて下式(8)に基づきシ
ェージング補正を行った画像の出力信号の行列Z shの各
要素Zsh(h,k)を算出し、得られたZsh(h,k)
の値を新たなZ(h,k)として式(6)に基づく再生
演算手段による処理に使用されるようにするシェージン
グ補正手段とを備えた構成とすることが望ましい。
【0042】 Zsh(h,k)=Z(h,k)×Φ(h,k) ・・・・・・・・(8)
【0043】ここで、hおよびkは自然数で、1≦h≦
M、1≦k≦Nである。
【0044】このような構成とした場合にも、シェージ
ングの影響が排除されるため、画像の質を、より一層改
善することが可能となる。
【0045】そして、以上に述べた画像改質処理装置に
おいて、再生演算手段は、式(6)に基づく演算処理を
行うデジタルフィルタ回路により構成され、このデジタ
ルフィルタ回路には、画像の出力信号の行列Zの各要素
Z(h,k)の値に畳み込み演算行列Qの各要素Q
(x,y)の値を乗ずる複数の乗算回路と、これらの乗
算回路からの出力信号を加算する複数の加算回路と、順
次入力される各要素Z(h,k)の信号の流れの速度調
整を行うための複数のディレイ回路とが含まれているこ
とが望ましい。
【0046】このように再生演算手段をデジタルフィル
タ回路により構成した場合には、畳み込み演算行列Qを
用いた畳み込み演算処理を、ハードウェアにより実現す
ることができるので、画像改質に要する処理時間を、よ
り一層短くすることが可能となる。
【0047】また、本発明は、二焦点レンズを構成する
一方のレンズ部により形成されるピントの合った画像
と、他方のレンズ部により形成されるピントのぼけた画
像とが重なった画像から、ピントの合った画像を求める
画像改質処理装置として、コンピュータを機能させるた
めのプログラムであって、撮像素子の大きさをM画素×
N画素とし、被写体の発する光の明るさを示すM行N列
の行列をAとし、被写体を前記二焦点レンズにより撮像
して得られた画像の出力信号を示すM行N列の行列をZ
としたとき、下式(9)に基づき算出された畳み込み演
算処理を行うための(2M−1)行(2N−1)列の畳
み込み演算行列Qの各要素Q(x,y)の値のうち少な
くとも非零要素を含む行列部分の値を記憶する畳み込み
演算行列記憶手段と、この畳み込み演算行列記憶手段に
記憶された各要素Q(x,y)のうちの少なくとも一部
の値と画像の出力信号の行列Zの各要素Z(h,k)の
値とを用いて下式(10)に基づき被写体の行列Aの各
要素A(s,t)の値を算出する再生演算手段とを備え
たことを特徴とする画像改質処理装置として、コンピュ
ータを機能させるためのものである。
【0048】 Q(x,y)=1/c−(W(0,0)−c)/cpower (x=0,y=0の場合) =−W(x,y)/cpower (x=0,y=0以外の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(9)
【0049】 A(s,t)=ΣhΣkQ(s−h,t−k)Z(h,k) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(10)
【0050】ここで、xおよびyは整数で、(1−M)
≦x≦(M−1)、(1−N)≦y≦(N−1)であ
り、sおよびtは自然数で、1≦s≦M、1≦t≦Nで
あり、hおよびkは自然数で、1≦h≦M、1≦k≦N
であり、W(x,y)は、(2M−1)行(2N−1)
列の行列Wの各要素の値であり、この行列Wは、端部を
除く座標(m,n)で示される1点のみに輝点のある被
写体を二焦点レンズで撮像したときに一方および他方の
レンズ部により形成される画像の出力信号を示すM行N
列の行列Zmnを、x=h−m、y=k−nを満たす座標
(h,k)から座標(x,y)への座標変換で、W
(0,0)=Zmn(m,n)となるように平行移動する
ことにより、Zmn(h,k)のうちの非零要素を含む行
列部分を行列Wの中央部に配置するとともに、中央部に
配置された非零要素を含む行列部分の外側部分を零要素
で埋めることにより構成され、cは、比例係数で、二焦
点レンズの全体面積に対する一方のレンズ部の面積の比
の値であり、powerは、cのべき乗数となる実数
で、1≦power≦2であり、Σhは、h=1〜Mの
和であり、Σkは、k=1〜Nの和である。
【0051】さらに、本発明は、二焦点レンズを構成す
る一方のレンズ部により形成されるピントの合った画像
と、他方のレンズ部により形成されるピントのぼけた画
像とが重なった画像から、ピントの合った画像を求める
画像改質処理で使用されるデータを記録したコンピュー
タ読取り可能なデータ記録媒体であって、撮像素子の大
きさをM画素×N画素とし、被写体の発する光の明るさ
を示すM行N列の行列をAとし、被写体を前記二焦点レ
ンズにより撮像して得られた画像の出力信号を示すM行
N列の行列をZとしたとき、行列Zから行列Aを算出す
るために用いる行列として下式(11)に基づき算出さ
れた畳み込み演算処理を行うための(2M−1)行(2
N−1)列の畳み込み演算行列Qの各要素Q(x,y)
の値のうち少なくとも非零要素を含む行列部分の値を記
録したものである。
【0052】 Q(x,y)=1/c−(W(0,0)−c)/cpower (x=0,y=0の場合) =−W(x,y)/cpower (x=0,y=0以外の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(11)
【0053】ここで、xおよびyは整数で、(1−M)
≦x≦(M−1)、(1−N)≦y≦(N−1)であ
り、W(x,y)は、(2M−1)行(2N−1)列の
行列Wの各要素の値であり、この行列Wは、端部を除く
座標(m,n)で示される1点のみに輝点のある被写体
を二焦点レンズで撮像したときに一方および他方のレン
ズ部により形成される画像の出力信号を示すM行N列の
行列Zmnを、x=h−m、y=k−nを満たす座標
(h,k)から座標(x,y)への座標変換で、W
(0,0)=Zmn(m,n)となるように平行移動する
ことにより、Zmn(h,k)のうちの非零要素を含む行
列部分を前記行列Wの中央部に配置するとともに、中央
部に配置された非零要素を含む行列部分の外側部分を零
要素で埋めることにより構成され、cは、比例係数で、
二焦点レンズの全体面積に対する一方のレンズ部の面積
の比の値であり、powerは、cのべき乗数となる実
数で、1≦power≦2であり、hおよびkは自然数
で、1≦h≦M、1≦k≦Nであり、mおよびnは自然
数で、1≦m≦M、1≦n≦Nであるが、被写体端部の
m=1、m=M、n=1、およびn=Nの近傍の点は除
かれる。
【0054】そして、本発明は、二焦点レンズを構成す
る一方のレンズ部により形成されるピントの合った画像
と、他方のレンズ部により形成されるピントのぼけた画
像とが重なった画像から、ピントの合った画像を求める
画像改質処理方法であって、被写体を二焦点レンズによ
り撮像して得られた画像の出力信号を撮像素子から引き
出して出力信号記憶手段に記憶した後、この出力信号記
憶手段に記憶した撮像素子の各画素の出力信号をQ画素
×Q画素の単位画面分だけ取り出してから、ディスクリ
ート・コサイン変換処理手段により、これらの取り出し
た信号レベルS xyについて下式(12)に基づきディス
クリート・コサイン変換処理を行うことにより各空間周
波数に対応した信号レベルSF uvを求め、続いて、ピン
ぼけ画像消去処理手段により、ディスクリート・コサイ
ン変換処理を行って得られたSF u vのうちゼロの成分SF
00の値に、二焦点レンズの全体面積に対するピントの合
った画像を形成する一方のレンズ部の面積の割合を乗
じ、この乗算により得られた値を新たなSF 00の値と
し、その後、量子化処理手段により、ピンぼけ画像消去
処理手段による処理後の信号レベルSF uvについて量子
化処理を行い、さらに、符号化処理手段により、量子化
処理手段による処理で得られた量子化データを符号化
し、ディスクリート・コサイン変換処理手段、ピンぼけ
画像消去処理手段、量子化処理手段、および符号化処理
手段による各処理を、区画された全ての画面について繰
り返すことを特徴とするものである。
【0055】 SF uv=(1/4)×CuvΣxΣyxy ×cos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16]・・(12)
【0056】ここで、uおよびvは整数で、0≦u≦
(Q−1)、0≦v≦(Q−1)、但し、Qは2以上の
整数であり、Cu,Cv=1/(21/2)(u,v=0の
とき)、Cu,Cv=1(u,v=0以外のとき)であ
り、Σxはx=0〜(Q−1)の和、Σyはy=0〜(Q
−1)の和である。
【0057】このような本発明においては、被写体を二
焦点レンズにより撮像して得られた画像の出力信号を撮
像素子から単位画面分だけ取り出し、取り出した信号に
ついてディスクリート・コサイン変換処理、ピンぼけ画
像消去処理、量子化処理、および符号化処理を行う。そ
して、これらの各処理を、区画された全ての画面につい
て繰り返す。
【0058】この際、ピンぼけ画像消去処理は、ディス
クリート・コサイン変換処理を行って得られたSF uv
うちゼロの成分SF 00の値に、二焦点レンズの全体面積
に対するピントの合った画像を形成する一方のレンズ部
の面積の割合を乗じ、この乗算により得られた値を新た
なSF 00の値とするという簡単な処理を行うだけであ
り、残りの処理は、通常のJPEG(Joint Photograph
ic Experts Group)による画像の圧縮処理と略同様であ
る。従って、少ない計算量で一連の処理を実行すること
が可能となる。
【0059】このため、短時間の処理で、ピントのぼけ
た画像を消去してピントの合った画像を求め、画像の質
の改善を図ることが可能となるうえ、計算量が少ないこ
とから、例えば携帯電話機や携帯情報端末等の携帯型の
情報端末装置に搭載されている程度のCPUの能力でも
短時間の処理で実行することが可能である。従って、二
焦点レンズを備えた携帯型の情報端末装置に本発明を適
用すれば、情報端末装置の使い勝手や性能の向上を図る
ことができるようになり、これらにより前記目的が達成
される。
【0060】また、以上に述べた本発明の画像改質処理
方法を実現するための装置として、以下のような本発明
の画像改質処理装置を挙げることができる。
【0061】すなわち、本発明は、二焦点レンズを構成
する一方のレンズ部により形成されるピントの合った画
像と、他方のレンズ部により形成されるピントのぼけた
画像とが重なった画像から、ピントの合った画像を求め
る画像改質処理装置であって、被写体を二焦点レンズに
より撮像して得られた画像の出力信号を撮像素子から引
き出して記憶する出力信号記憶手段と、この出力信号記
憶手段に記憶した撮像素子の各画素の出力信号をQ画素
×Q画素の単位画面分だけ取り出してこれらの取り出し
た信号レベルSxyについて下式(13)に基づきディス
クリート・コサイン変換処理を行うことにより各空間周
波数に対応した信号レベルSF uvを求めるディスクリー
ト・コサイン変換処理手段と、このディスクリート・コ
サイン変換処理手段による処理で得られたSF uvのうち
ゼロの成分SF 00の値に、二焦点レンズの全体面積に対
するピントの合った画像を形成する一方のレンズ部の面
積の割合を乗じ、この乗算により得られた値を新たなS
F 00の値とするピンぼけ画像消去処理手段と、このピン
ぼけ画像消去処理手段による処理後の信号レベルSF u v
について量子化処理を行う量子化処理手段と、この量子
化処理手段による処理で得られた量子化データを符号化
する符号化処理手段とを備えたことを特徴とするもので
ある。
【0062】 SF uv=(1/4)×CuvΣxΣyxy ×cos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16]・・(13)
【0063】ここで、uおよびvは整数で、0≦u≦
(Q−1)、0≦v≦(Q−1)、但し、Qは2以上の
整数であり、Cu,Cv=1/(21/2)(u,v=0の
とき)、Cu,Cv=1(u,v=0以外のとき)であ
り、Σxはx=0〜(Q−1)の和、Σyはy=0〜(Q
−1)の和である。
【0064】このような本発明の画像改質処理装置にお
いては、前述した本発明の画像改質処理方法で得られる
作用・効果をそのまま得ることができる。
【0065】さらに、本発明は、二焦点レンズを構成す
る一方のレンズ部により形成されるピントの合った画像
と、他方のレンズ部により形成されるピントのぼけた画
像とが重なった画像から、ピントの合った画像を求める
画像改質処理装置として、コンピュータを機能させるた
めのプログラムであって、被写体を二焦点レンズにより
撮像して得られた画像の出力信号を撮像素子から引き出
して記憶する出力信号記憶手段と、この出力信号記憶手
段に記憶した撮像素子の各画素の出力信号をQ画素×Q
画素の単位画面分だけ取り出してこれらの取り出した信
号レベルSxyについて下式(14)に基づきディスクリ
ート・コサイン変換処理を行うことにより各空間周波数
に対応した信号レベルSF uvを求めるディスクリート・
コサイン変換処理手段と、このディスクリート・コサイ
ン変換処理手段による処理で得られたSF uvのうちゼロ
の成分SF 00の値に、二焦点レンズの全体面積に対する
ピントの合った画像を形成する一方のレンズ部の面積の
割合を乗じ、この乗算により得られた値を新たなSF 00
の値とするピンぼけ画像消去処理手段と、このピンぼけ
画像消去処理手段による処理後の信号レベルSF uvにつ
いて量子化処理を行う量子化処理手段と、この量子化処
理手段による処理で得られた量子化データを符号化する
符号化処理手段とを備えたことを特徴とする画像改質処
理装置として、コンピュータを機能させるためのもので
ある。
【0066】 SF uv=(1/4)×CuvΣxΣyxy ×cos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16]・・(14)
【0067】ここで、uおよびvは整数で、0≦u≦
(Q−1)、0≦v≦(Q−1)、但し、Qは2以上の
整数であり、Cu,Cv=1/(21/2)(u,v=0の
とき)、Cu,Cv=1(u,v=0以外のとき)であ
り、Σxはx=0〜(Q−1)の和、Σyはy=0〜(Q
−1)の和である。
【0068】また、本発明は、二焦点レンズを構成する
一方のレンズ部により形成されるピントの合った画像
と、他方のレンズ部により形成されるピントのぼけた画
像とが重なった画像から、ピントの合った画像を求める
画像改質処理方法であって、撮像素子の大きさをM画素
×N画素とし、被写体を二焦点レンズにより撮像して得
られた画像の座標(h,k)の出力信号値をZ(h,
k)としたとき、下式(15)に基づき座標(h,k)
を中心とするQ画素×Q画素の単位画面内での各出力信
号値Z(h,k)の移動平均値Zmean(h,k)を算出
するとともに、算出した移動平均値Zmean(h,k)を
用いて下式(16)に基づきZ(h,k)を画像改質処
理して得られる信号値Znew(h,k)を算出すること
を特徴とするものである。
【0069】 Zmean(h,k)={ΣxΣyZ(h+x,k+y)}/Q2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(15)
【0070】Znew(h,k) =k×{Z(h,k)−Zmean(h,k)×(1−c)}/c ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(16)
【0071】ここで、Qは、3以上の奇数の自然数であ
り、hおよびkは、自然数で、1≦h≦M、1≦k≦N
であり、xおよびyは、整数で、(1−Q)/2≦x≦
(Q−1)/2、(1−Q)/2≦y≦(Q−1)/2
であり、Σxは、x=(1−Q)/2〜(Q−1)/2
の和、Σyは、y=(1−Q)/2〜(Q−1)/2の
和であり、cは、比例係数で、二焦点レンズの全体面積
に対する一方のレンズ部の面積の比の値であり、kは、
正規化係数であり、Znew(h,k)の最大値を1にす
るための値である。
【0072】このように移動平均をとって画像補正を行
うようにした場合には、ピンぼけ分の画像を除去するこ
とができるため、画像の質を改善することが可能とな
る。
【0073】また、移動平均をとって減ずるだけの簡単
な演算処理であるため、計算量が少なく、短時間で処理
することが可能であることから、携帯型の情報端末装置
等にも好適に用いることができるようになり、これらに
より前記目的が達成される。
【0074】そして、以上に述べた本発明の画像改質処
理方法を実現するための装置として、以下のような本発
明の画像改質処理装置を挙げることができる。
【0075】すなわち、本発明は、二焦点レンズを構成
する一方のレンズ部により形成されるピントの合った画
像と、他方のレンズ部により形成されるピントのぼけた
画像とが重なった画像から、ピントの合った画像を求め
る画像改質処理装置であって、撮像素子の大きさをM画
素×N画素とし、被写体を二焦点レンズにより撮像して
得られた画像の座標(h,k)の出力信号値をZ(h,
k)としたとき、下式(17)に基づき座標(h,k)
を中心とするQ画素×Q画素の単位画面内での各出力信
号値Z(h,k)の移動平均値Zmean(h,k)を算出
する移動平均算出手段と、この移動平均算出手段により
算出した移動平均値Zmean(h,k)を用いて下式(1
8)に基づきZ(h,k)を画像改質処理して得られる
信号値Znew(h,k)を算出する画像補正手段とを備
えたことを特徴とするものである。
【0076】 Zmean(h,k)={ΣxΣyZ(h+x,k+y)}/Q2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(17)
【0077】 Znew(h,k) =k×{Z(h,k)−Zmean(h,k)×(1−c)}/c ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(18)
【0078】ここで、Qは、3以上の奇数の自然数であ
り、hおよびkは、自然数で、1≦h≦M、1≦k≦N
であり、xおよびyは、整数で、(1−Q)/2≦x≦
(Q−1)/2、(1−Q)/2≦y≦(Q−1)/2
であり、Σxは、x=(1−Q)/2〜(Q−1)/2
の和、Σyは、y=(1−Q)/2〜(Q−1)/2の
和であり、cは、比例係数で、二焦点レンズの全体面積
に対する一方のレンズ部の面積の比の値であり、kは、
正規化係数であり、Znew(h,k)の最大値を1にす
るための値である。
【0079】このような本発明の画像改質処理装置にお
いては、前述した本発明の画像改質処理方法で得られる
作用・効果をそのまま得ることができる。
【0080】また、前述した画像改質処理装置におい
て、移動平均算出手段および画像補正手段は、デジタル
フィルタ回路を含んで構成されていることが望ましい。
このようにした場合には、移動平均算出手段および画像
補正手段による各処理をハードウェアで実現することが
できるので、計算処理時間を短くすることが可能とな
る。
【0081】さらに、本発明は、二焦点レンズを構成す
る一方のレンズ部により形成されるピントの合った画像
と、他方のレンズ部により形成されるピントのぼけた画
像とが重なった画像から、ピントの合った画像を求める
画像改質処理装置として、コンピュータを機能させるた
めのプログラムであって、撮像素子の大きさをM画素×
N画素とし、被写体を二焦点レンズにより撮像して得ら
れた画像の座標(h,k)の出力信号値をZ(h,k)
としたとき、下式(19)に基づき座標(h,k)を中
心とするQ画素×Q画素の単位画面内での各出力信号値
Z(h,k)の移動平均値Zmean(h,k)を算出する
移動平均算出手段と、この移動平均算出手段により算出
した移動平均値Zmean(h,k)を用いて下式(20)
に基づきZ(h,k)を画像改質処理して得られる信号
値Znew(h,k)を算出する画像補正手段とを備えた
ことを特徴とする画像改質処理装置として、コンピュー
タを機能させるためのものである。
【0082】 Zmean(h,k)={ΣxΣyZ(h+x,k+y)}/Q2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(19)
【0083】 Znew(h,k) =k×{Z(h,k)−Zmean(h,k)×(1−c)}/c ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(20)
【0084】ここで、Qは、3以上の奇数の自然数であ
り、hおよびkは、自然数で、1≦h≦M、1≦k≦N
であり、xおよびyは、整数で、(1−Q)/2≦x≦
(Q−1)/2、(1−Q)/2≦y≦(Q−1)/2
であり、Σxは、x=(1−Q)/2〜(Q−1)/2
の和、Σyは、y=(1−Q)/2〜(Q−1)/2の
和であり、cは、比例係数で、二焦点レンズの全体面積
に対する一方のレンズ部の面積の比の値であり、kは、
正規化係数であり、Znew(h,k)の最大値を1にす
るための値である。
【0085】なお、以上に述べたプログラムまたはその
一部は、例えば、光磁気ディスク(MO)、コンパクト
ディスク(CD)を利用した読出し専用メモリ(CD−
ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライ
タブル(CD−RW)、デジタル・バーサタイル・ディ
スク(DVD)を利用した読出し専用メモリ(DVD−
ROM)、DVDを利用したランダム・アクセス・メモ
リ(DVD−RAM)、フレキシブルディスク(F
D)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ
(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メ
モリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム
・アクセス・メモリ(RAM)等の記録媒体に記録して
保存や流通等させることが可能であるとともに、例え
ば、LAN、MAN、WAN、インターネット、イント
ラネット、エクストラネット等の有線ネットワーク、あ
るいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ
等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、ま
た、搬送波に載せて搬送することも可能である。さら
に、以上に述べたプログラムは、他のプログラムの一部
分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記
録媒体に記録されていてもよい。
【0086】また、以上に述べた本発明のデータ記録媒
体としては、例えば、MO、CD−ROM、CD−R、
CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、FD、
磁気テープ、ハードディスク、ROM、EEPROM、
フラッシュ・メモリ、RAM、あるいはこれらの組合せ
等を採用することができる。
【0087】さらに、以上に述べた本発明の各々の記載
(各請求項の記載)において、「cは、比例係数で、二
焦点レンズの全体面積に対する一方のレンズ部の面積の
比の値であり、」と定義されているが、この定義は厳密
な意味での定義ではなく、光の分割が面積に比例しない
場合もあるので、この定義の意味には、以下のようにし
てcの値を求める場合も含まれている。すなわち、光の
量の分割比がレンズの面積比と一致しない場合には、c
の値は、一方のレンズ部を通過して実際にセンサ(撮像
素子)に到達する光の量またはセンサの信号量と、レン
ズ全体(一方のレンズ部および他方のレンズ部を合わせ
た全体)を通過して実際にセンサに到達する光の量また
はセンサの信号量との比の値として求めてもよい。
【0088】そして、以上に述べた本発明の各々の記載
(各請求項の記載)において定義されている各要素W
(x,y)の値には、次のような処理を行って定められ
る値も含まれる。すなわち、一方のレンズ部は、ピント
の合った画像を形成するものとされているが、実際に
は、この一方のレンズ部により形成される画像にも、収
差等によるボケが生じることがあるので、一方のレンズ
部により形成される画像は、W(0,0)の周囲に拡が
り、W(0,0)の周囲の要素も非零要素となり得る
(他方のレンズ部により形成されるピントのぼけた画像
を考慮しなくても、W(0,0)の周囲に、非零要素が
生じ得るということ)。従って、このような場合には、
W(0,0)の値およびW(0,0)の周囲に生じた非
零要素の値(但し、他方のレンズ部により形成される画
像がピンぼけして拡がる範囲は考慮せずに、一方のレン
ズ部により形成される画像がピンぼけして拡がる範囲内
の非零要素の値のみを考える。)を合計し、その合計値
をcの値としてW(0,0)に入れ直すとともに、W
(0,0)の周囲に生じた非零要素の値(上記かっこ書
で述べた範囲内の非零要素の値のみ)をゼロにするとい
う修正作業を行い、これらの修正作業を経て作成された
各要素W(x,y)の値を用いて、畳み込み演算行列Q
の各要素Q(x,y)の値を算出すればよい。
【0089】
【発明の実施の形態】以下に本発明の各実施形態を図面
に基づいて説明する。
【0090】[第1実施形態]図1には、第1実施形態
の画像改質処理装置30を含む撮像システム10の全体
構成が示されている。また、図2には、画像改質処理装
置30による処理対象となる画像を形成する二焦点レン
ズ21の詳細構成が示されている。撮像システム10
は、例えば、携帯電話機や携帯情報端末等の携帯型の情
報端末装置に設けられた撮像システム、あるいはパーソ
ナル・コンピュータおよびそれに接続されたカメラによ
り構成される撮像システム等である。
【0091】図1において、撮像システム10は、被写
体を撮像する撮像機構20と、この撮像機構20により
撮像された画像の質を改善する画像改質処理装置30
と、この画像改質処理装置30により質の改善を行った
画像を表示する表示手段40とを備えている。
【0092】撮像機構20は、被写体を撮像する二焦点
レンズ21と、この二焦点レンズ21により形成された
画像を取り込む撮像素子24とを含んで構成されてい
る。
【0093】図2において、二焦点レンズ21は、例え
ばガラス製の長焦点レンズ部22と、例えばガラス製の
短焦点レンズ部23とにより構成され、これらの長焦点
レンズ部22および短焦点レンズ部23は、同一の面に
配置されて一体化されている。長焦点レンズ部22は、
例えば円形の正面形状を有し、中心に配置され、一方、
短焦点レンズ部23は、例えば円環状(ドーナツ型)の
正面形状を有し、長焦点レンズ部22の外側に長焦点レ
ンズ部22の外縁部に接する状態で配置されている。そ
して、これらの長焦点レンズ部22および短焦点レンズ
部23は、両者の光軸が一致するように、すなわち同心
に配置されて一体化され、これにより二焦点レンズ21
は、同心円型の二焦点レンズとなっている。また、これ
らの各レンズ部22,23が配置された面は、二焦点レ
ンズ21の光軸に直交している。
【0094】撮像素子24としては、例えば、相補性金
属酸化膜半導体(CMOS:Complementary Metal-oxid
e Semiconductor)や電荷結合素子(CCD:Charge Co
upled Device)等を採用することができる。撮像素子2
4の大きさは、縦方向M画素×横方向N画素であるもの
とする。
【0095】画像改質処理装置30は、撮像素子24の
出力信号を引き出して記憶する出力信号記憶手段31
と、後述する式(1−33)または(1−34)あるい
は(1−37)に基づき予め算出された畳み込み演算行
列Q(図7参照)の各要素Q(x,y)の値のうちの少
なくとも一部を記憶する畳み込み演算行列記憶手段32
と、被写体を再生する演算処理を行う再生演算手段33
とを備えている。
【0096】畳み込み演算行列記憶手段32は、図7に
示された畳み込み演算行列Qの各要素Q(x,y)の値
のうちの少なくとも一部を、x,yの並び順に従って表
の如く整列させて記憶するものである。少なくとも一部
であるから、全部を記憶しておいてもよいが、計算容量
およびメモリ容量を小さくするため、非零要素を含む行
列部分(図7の行列部分H)のみを記憶しておくことが
好ましい。従って、ここでは、非零要素を含む行列部分
Hのみを記憶するものとして説明を行う。
【0097】再生演算手段33は、畳み込み演算行列記
憶手段32に記憶された畳み込み演算行列Qの各要素Q
(x,y)の値(行列部分Hの各値)と、出力信号記憶
手段31に記憶された画像の出力信号を示す行列Zの各
要素Z(h,k)の値とを用い、後述する式(1−3
6)に基づき、被写体の行列Aの各要素A(s,t)の
値を算出する処理を行うものである。なお、畳み込み演
算行列Qの各要素Q(x,y)のうちの非零要素を含む
行列部分(図7の行列部分H)以外の部分、すなわち、
畳み込み演算行列記憶手段32に記憶されない部分につ
いては、零要素であるので、計算は行われない。
【0098】出力信号記憶手段31および畳み込み演算
行列記憶手段32としては、例えば、ハードディスク、
ROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、RAM、
MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−
ROM、DVD−RAM、FD、磁気テープ、あるいは
これらの組合せ等を採用することができる。
【0099】再生演算手段33は、撮像システム10を
構成する各種の情報端末装置(例えば、携帯電話機や携
帯情報端末等の携帯型の情報端末装置、あるいはカメラ
を接続したパーソナル・コンピュータ、監視カメラ装置
等)の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、
およびこのCPUの動作手順を規定する一つまたは複数
のプログラムにより実現される。
【0100】表示手段40としては、例えば、液晶ディ
スプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクタおよびス
クリーン、あるいはこれらの組合せ等を採用することが
できる。
【0101】以下には、畳み込み演算行列記憶手段32
に記憶される畳み込み演算行列Qの各要素Q(x,y)
の算出方法およびその根拠、並びに再生演算手段33に
より行われる演算処理の根拠を説明する。
【0102】前提条件として、ここでは、標準的な距離
にある通常の被写体(例えば、人物や風景等)を二焦点
レンズ21により撮像する場合、従って、内側の長焦点
レンズ部22によりピントの合った画像が形成され、外
側の環状の短焦点レンズ部23によりピントのぼけた画
像が形成される場合の説明を行うものとする。但し、本
発明の適用は、このような場合に限定されるものではな
い。
【0103】先ず、被写体と画像に関する基本的な事項
について説明を行う。図3は、被写体と、この被写体を
二焦点レンズ21により撮像して得られる画像との関係
の説明図である。なお、レンズによって形成される像
は、一般には倒立像であるため、図3では、物体と像と
で座標軸の向きを逆にとることにより、互いに対応する
物体の位置と像の位置とが同じ座標になるようにしてい
る。
【0104】<単一輝点の像による二焦点レンズ21の
特性の表現>図3に示すように、1点(座標(m,
n))のみに輝点のある被写体αmnを二焦点レンズ21
で撮像すると、像Zmnが形成される。ここで、mおよび
nは自然数で、1≦m≦M、1≦n≦N、但し、Mおよ
びNは撮像素子24の縦横の画素数である。また、座標
(m,n)とは、撮像素子24上の座標(表示した画素
番号)(m,n)に投影される被写体上の対応する点を
意味する。さらに、αmnやZmnは、M×N(M行N列)
の行列を表し、その要素は、M画素×N画素の撮像素子
24上の対応する座標の輝度(明るさ)あるいは出力信
号の大きさを示す。
【0105】この像Zmnを、内側の長焦点レンズ部22
により形成されるピントの合った像Bmnと、外側の環状
の短焦点レンズ部23により形成される環状のボケ画像
Dmnとに分割すると、次の式(1−1)のように表すこ
とができる。
【0106】 Zmn=Bmn+Dmn ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−1)
【0107】ここで、Zmn、Bmn、Dmnは、撮像素子2
4上の像を表現するM行N列の行列であるが、撮像素子
24上の座標(h,k)(hおよびkは自然数、1≦h
≦M、1≦k≦N)に対応した画素の明るさは、Zmn
(h,k)、Bmn(h,k)、Dmn(h,k)のように
表現される。また、αmnは被写体を表すM行N列の行列
であるが、その座標(s,t)(sおよびtは自然数、
1≦s≦M、1≦t≦N)における被写体の明るさは、
αmn(s,t)のように表現され、これらの各要素αmn
(s,t)の値は、次の式(1−2)のように表すこと
ができる。
【0108】 αmn(s,t)=δs-m,t-n ・・・・・・・・・・・・・・(1−2)
【0109】ここで、δはクロネッカー(Kronecker)
のデルタで、δs-m,t-n=1(s=m,t=nの場
合)、δs-m,t-n=0(s=m,t=n以外の場合)で
ある。
【0110】前記式(1−1)で示されるように、座標
(m,n)のみに輝点のある被写体αmnの二焦点レンズ
21による像Zmnは、内側の長焦点レンズ部22による
ピントの合った像Bmnと、外側の短焦点レンズ部23に
よるリング状のボケ画像Dmnとの重なったものである
が、その様子が、図3の撮像素子24上に示されてい
る。但し、図3は斜視図であるため、リング状のボケ画
像Dmnは、実際には楕円環状ではなく円環状である。
【0111】図3の撮像素子24上において、Bmnは、
座標(m,n)にゼロでない要素(信号)があり、他の
要素はすべてゼロとなる行列であり、Dmnは、座標
(m,n)を中心としたドーナツ状あるいはリング状の
ピントのボケた画像、いわゆるピンぼけ画像を示す行列
になる。そして、このDmnのドーナツの外径と内径は、
二焦点レンズ21を構成する外側の短焦点レンズ部23
の外径と内径に比例した大きさになる。なお、この検討
では、二焦点レンズ21を構成する外側の短焦点レンズ
部23により形成されるボケが広範囲に拡がり、Dmnの
要素の値は、Bmnに比べて十分小さいものとしている。
【0112】<被写体全体の画像>被写体の各点(s,
t)がそれぞれA(s,t)の明るさを持つとすると、
被写体の発する光の全体は、s行t列にA(s,t)の
値の要素を持つ行列Aで表現される。これを被写体Aと
いうように表現する。そうすると、被写体Aは、αmn
(点(m,n)に輝点のある被写体)を用いて、次の式
(1−3)のように表すことができる。
【0113】 A=ΣmΣn[A(m,n)αmn] ・・・・・・・・・・・・(1−3)
【0114】ここで、Σmは、m=1〜Mの和、Σnは、
n=1〜Nの和を表す。以下においても同様である。
【0115】また、物体Aと像Zとの変換関係と、αmn
と像Zmnとの変換関係とは、同じ一次元の写像と考えら
れるので、次の式(1−4)のように表すことができ
る。
【0116】 Z=ΣmΣn[A(m,n)Zmn] ・・・・・・・・・・・・(1−4)
【0117】さらに、ピントの合った画像Bとピンぼけ
画像Dとを別個に表現すれば、次の式(1−5)および
(1−6)のように表現することができる。
【0118】 B=ΣmΣn[A(m,n)Bmn] ・・・・・・・・・・・・(1−5)
【0119】 D=ΣmΣn[A(m,n)Dmn] ・・・・・・・・・・・・(1−6)
【0120】そして、被写体Aの画像Zは、ピントの合
った画像Bとピンぼけ画像Dとの和になるので、次の式
(1−7)のようになる。
【0121】 Z=ΣmΣn[A(m,n)Zmn]=ΣmΣn[A(m,n)(Bmn+Dmn)] =ΣmΣn[A(m,n)Bmn]+ΣmΣn[A(m,n)Dmn] =B+D ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−7)
【0122】<巨大ベクトルによる物体や像の表現方法
>以上の説明では、画像を撮像素子24の画面の形(M
画素×N画素)に同形のM行N列の行列で表現するとと
もに、被写体もまた撮像素子24の画面の相似形として
表現されるとして同じくM行N列の行列で表現してい
る。ところで、被写体Aから画像Zを導く計算式は、後
述する式(1−35)に示す形式で表現することがで
き、これは一般に畳み込み演算というものである。従っ
て、この計算式を逆に解くことができれば、二焦点レン
ズ21で撮像された画像Zからピントの合った画像を計
算できるが、この計算式からでは直接に導くことができ
ないので、被写体および画像をM行N列の行列表現から
M×N個の要素を持つベクトル表現に変換する。この場
合の変換方法として、画像行列の各行(第1行〜第M
行)を一番上の行から順番に横一列に並べ、それを行列
演算しやすいように縦ベクトルにする。その具体例を例
えば画像Zについて以下に挙げる。このようにして形成
されたM×N個の要素を持つ画像表現ベクトルを巨大ベ
クトルと称することとする。
【0123】
【数1】
【0124】上記の行列:Zに対し、巨大ベクトル:Z
は、次の式(1−8)のようになる。なお、式(1−
8)において、上付きのtは縦横の転置、つまり横ベク
トルから縦ベクトルへの変換を示す。
【0125】 巨大ベクトル:Z= t[Z(1),Z(2),…,Z(N),Z(N+1),…,Z(2×N),…,Z((h-1)×N+1),…,Z(h×N), …,Z((M-1)×N+1),…,Z(M×N-1),Z(M×N)]・・・・・・・・・・(1−8)
【0126】以上の巨大ベクトル表現については、これ
まで出てきた被写体のAやαmn、画像のB、DやZmn、
Bmn、Dmnについても同様に適用することができる。
【0127】<巨大行列による被写体からの画像形成の
表現>以上の画像を表す巨大ベクトルを用いて、被写体
から画像を形成するための「被写体から画像への一次変
換(写影)」を表現する行列について検討する。被写
体、画像を表現する巨大ベクトルについては、例えば、
Z、Zmnのように、行列表現の場合と同じ記号を用いる
ものとする。
【0128】理想的な二焦点レンズ21を考える。座標
(m,n)における単一輝点被写体αmnのピントの合っ
た画像Bmnは、Uを(M×N)×(M×N)個の要素を
持つ単位行列とすると、次の式(1−9)のように表す
ことができる。
【0129】 Bmn=cUαmn ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−9)
【0130】ここで、cは比例係数で、二焦点レンズ2
1のピントの合った画像を形成する部分である長焦点レ
ンズ部22の面積に比例する。この場合は、二焦点レン
ズ21が理想レンズなのでこのように表現できる。な
お、光の量の分割比がレンズの面積比と一致しない場合
には、cの値は、面積比で定めるのではなく、二焦点レ
ンズ21のピントの合った画像を形成する部分である長
焦点レンズ部22を通過して実際に撮像素子24に到達
する光の量または撮像素子24の信号量と、二焦点レン
ズ21の全体を通過して実際に撮像素子24に到達する
光の量または撮像素子24の信号量との比の値として求
めてもよい。
【0131】一方、ピントの合わない画像を形成する変
換処理の行列をΔ((M×N)×(M×N)個の要素を
持つ行列)とすると、次の式(1−10)のように表現
できる。
【0132】 Dmn=Δαmn ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−10)
【0133】従って、2つの画像が重なった画像Zmn
は、次の式(1−11)のように表現できる。
【0134】 Zmn=Bmn+Dmn=(cU+Δ)αmn ・・・・・・・・・(1−11)
【0135】上記の式(1−9)〜(1−11)におけ
る行列U、Δは、(M×N)×(M×N)個の要素を持
ち、画像を表現するM行N列の行列に比べてM×N倍の
大きさ(要素数)を持つので、巨大行列と称して区別す
ることにする。前記式(1−4)に、式(1−11)を
代入すると、次の式(1−12)のようになり、被写体
と二焦点レンズ21による画像との関係は、簡単な変換
式で表現される。
【0136】 Z=ΣmΣn[A(m,n)Zmn] =ΣmΣn[A(m,n)(cU+Δ)αmn] =(cU+Δ)ΣmΣn[A(m,n)αmn] =(cU+Δ)A ・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−12)
【0137】<巨大行列の内容>ここで、巨大行列の形
・内容を具体的に見てみる。先ず、巨大行列cUは、対
角項がすべてcとなるM×N行M×N列の行列である。
また、Δは部分的にcに比べて十分小さな値の要素を持
つM×N行M×N列の行列である。その内容は、前記式
(1−10)における巨大ベクトル(縦ベクトル)Dmn
を用いると、次の式(1−13)のようになる。
【0138】 Δ={D1112 … D1N2122 … D2N … DM1M2 … DMN} ・・・・・・・・・(1−13)
【0139】ここで、上記式(1−13)における巨大
ベクトル(縦ベクトル)Dmnに、前記式(1−8)の表
現を用いると、Δを次の式(1−14)のように表すこ
とができる。
【0140】
【数2】
【0141】そして、上記式(1−14)ように表され
たΔにcUを加えると、cUが対角項のみにcという値
の入った巨大行列であることを考慮すれば、(cU+
Δ)は、次の式(1−15)のように、Δの対角項にc
が加わった値を要素に持つ巨大行列になる。
【0142】
【数3】
【0143】この巨大行列(cU+Δ)は、前記式(1
−11)を考慮すると、次の式(1−16)のようにも
表現できる。
【0144】
【数4】
【0145】つまり、式(1−15)と式(1−16)
との巨大行列(cU+Δ)の要素を比較すると、次の式
(1−17)が得られる。
【0146】 Zmn(j)=c+Dmn(j) (j=(m−1)×N+nの場合) =Dmn(j) (j=(m−1)×N+n以外の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−17)
【0147】ここで、jは自然数で、1≦j≦M×Nで
ある。上記式(1−17)により、画像形成の一次変換
の巨大行列(cU+Δ)の要素は、Δの要素Dmn(j)
を求めることにより確定する。Δを構成する各列の縦ベ
クトルDmnは、式(1−14)から明らかなように任意
の位置にある単一輝点被写体によるドーナツ状のピンぼ
け画像を表す巨大ベクトルと等価であるから、ドーナツ
状のピンぼけ画像を求めることによりΔの各要素の値を
確定することができる。
【0148】次に、二焦点レンズ21により形成される
ピントの合った画像とピンぼけ画像との重なった画像か
ら、被写体にピントの合った画像を求める方法について
説明する。
【0149】<基本的な考え方>画像改善の基本は、前
記式(1−12)において、巨大行列(cU+Δ)と、
撮影した画像Zとを既知として、被写体に相当する画像
Aを求めることである。つまり、次の式(1−18)に
示される逆行列(cU+Δ)-1を求めることに尽きる。
【0150】 A=(cU+Δ)-1Z ・・・・・・・・・・・・・・・(1−18)
【0151】巨大行列の大きさは、例えば、M=640
画素、N=480画素(30万画素相当)として、M×
N=307,200となり、その大きさ(要素数)は、
(M×N)2≒900万となる。従って、この逆行列を
求めることは相当の計算時間を要するため現実的ではな
い。
【0152】そこで、Δの各要素の値が、cに比べて十
分小さいという仮定をおく。この仮定は、ボケの大きさ
が直径10画素以上であれば十分であり、二焦点レンズ
21の口径比、レンズ口径、各レンズ部22,23の焦
点距離を設計上調整すればよい。このような前提条件を
おいて、式(1−18)の逆行列を近似法で簡易に求め
る方法を説明する。先ず、一般論として、次の式(1−
19)が成立する。
【0153】 (cU+Δ)-1=(U+Δ/c)-1/c =Σp(−Δ/c)p-1/c (p=1〜∞) ・・・・・・・・・・・・・・・(1−19)
【0154】但し、行列のゼロ乗は単位行列Uになると
する。上記式(1−19)において、Δ/cが十分小さ
いと仮定して、最初の3項までとり、以下の項を棄却す
ると、次の式(1−20)のようになる。なお、詳細は
後述するが、これよりも高次の展開を必要とする場合も
ある。
【0155】 (cU+Δ)-1≒(U−Δ/c+Δ2/c2)/c ≒(U−Δ/c)/c (Δ/cがさらに小さいとき) ・・・・・・・・・・・・・・・(1−20)
【0156】そして、上記の式(1−20)を前記式
(1−18)に代入すると、次の式(1−21)が得ら
れる。
【0157】 A=(cU+Δ)-1Z ≒(1/c)(U−Δ/c)Z (=TZ) ・・・・・(1−21)
【0158】<被写体から画像への変換巨大行列の逆行
列>逆行列の近似計算の結果として得られる巨大行列の
各要素の値を求める。逆行列を次のようにTとおく。T
は、M×N行M×N列の巨大逆行列である。
【0159】 (cU+Δ)-1=(1/c)(U−Δ/c)≡T
【0160】上記の巨大逆行列Tの各要素T(i,j)
の値を、前記式(1−14)を用いて表示すると、次の
式(1−22)のようになる。但し、iおよびjは自然
数で、1≦i≦M×N、1≦j≦M×Nである。
【0161】
【数5】
【0162】ここで、Dmn(j)(巨大ベクトル表現)
は、Dmn(h,k)(行列表現)が求まれば、機械的に
求めることができる。そして、Dmn(h,k)(行列表
現)は、以下に示すように二焦点レンズ21の特性から
一義的に求めることができる。
【0163】<Dmn(h,k)の値>単一輝点の被写体
αmnにより形成されるピンぼけ画像Dmnの(h,k)要
素Dmn(h,k)(行列表現)は、以下のようにして求
めることができる。
【0164】二焦点レンズ21の内側および外側の円の
撮像素子24上での半径をそれぞれriおよびroとす
る。riは、長焦点レンズ部22の外径(半径)、すな
わち短焦点レンズ部23の内径(半径)に対応し、ro
は、短焦点レンズ部23の外径(半径)に対応する。ま
た、撮像素子24の一つの画素の大きさをp×pとする。
【0165】ピンぼけ画像を形成するレンズ部が外側の
短焦点レンズ部23であるとすると、αmnによるピンぼ
け画像Dmnは、(m,n)を中心とする半径ri/pから
o/pまでのドーナツ状になる(図3参照)。画像Zmn
の全体の明るさの総量を1とすれば、ピントの合った画
像Bmnの明るさはcとなり、ピンぼけ画像Dmnの明るさ
の総量は(1−c)となり、次の式(1−23)が成立
する。
【0166】 c=πri 2/πro 2=ri 2/ro 2 ・・・・・・・・・・(1−23)
【0167】また、ピンぼけ画像Dmn中の画素当たりの
平均的な明るさεは、ピンぼけ画像Dmnの全体の明るさ
が(1−c)なので、次の式(1−24)のように表す
ことができる。
【0168】 ε=(1−c)×p2/(πro 2−πri 2) ・・・・・・(1−24)
【0169】上記の式(1−24)を用いると、Dmn
(h,k)の値は、次の式(1−25)で表すことがで
きる。
【0170】 Dmn(h,k) =ε((ri/p)2≦(h−m)2+(k−n)2≦(ro/p)2の場合) =0(上記の範囲外) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−25)
【0171】ここで、撮像素子24上での半径riおよ
びroは、実験により求めることが好ましいが、二焦点
レンズ21を構成する各レンズ部22,23の内外径、
各レンズ部22,23の焦点距離、および二焦点レンズ
21と撮像素子24との間の距離を用いて計算により求
めてもよい。
【0172】以上により、単一輝点の被写体αmnに対す
るピンぼけ画像Dmnの行列表現の各要素Dmn(h,k)
の値をすべて求めることができる。従って、この行列表
現の場合の各要素Dmn(h,k)の値から、巨大ベクト
ル表現をした場合のDmnの各要素Dmn(j)の値を容易
に求めることができるので、前記式(1−22)に基づ
き巨大逆行列Tの各要素T(i,j)の値をすべて求め
ることができる。
【0173】<畳み込み演算行列Wの導入>ところで、
巨大逆行列Tの各要素T(i,j)は、以下のような別
の考え方をしても求めることができる。すなわち、先
ず、図4に示すように、(1,1)要素のみに輝点のあ
る被写体α11により形成される画像Z11と、(1,N)
要素のみに輝点のある被写体α1Nにより形成される画像
1Nと、(M,1)要素のみに輝点のある被写体αM1
より形成される画像ZM1と、(M,N)要素のみに輝点
のある被写体αMNにより形成される画像ZMNとの4つの
画像行列を用いて構成される(2M−1)行(2N−
1)列の行列Wを考える。
【0174】図4において、行列Wは、右下部分に画像
行列Z11を配置し、左下部分に画像行列Z1Nを配置し、
右上部分に画像行列ZM1を配置し、左上部分に画像行列
MNを配置して構成されている。但し、各画像行列
11,Z1N,ZM1,ZMNは、1行分または1列分だけ重
なって配置されている。ここで、W(x,y)は、行列
Wの各要素であり、次の式(1−26)のように規定さ
れ、xおよびyは、正負のいずれの値もとる整数で、
(1−M)≦x≦(M−1)、(1−N)≦y≦(N−
1)である。なお、W(x,y)の各値は、これらの各
要素の値の総和が1になるように正規化されている。
【0175】 W(x,y)=Z11(x+1,y+1) (x≧0,y≧0) =Z1N(x+1,y+N) (x≧0,y≦0) =ZM1(x+M,y+1) (x≦0,y≧0) =ZMN(x+M,y+N) (x≦0,y≦0) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−26)
【0176】また、行列Wは、別の表現をすれば、次の
ようになる。すなわち、行列Wは、単一輝点被写体αmn
によるM行N列の画像行列Zmnを、x=h−m、y=k
−nを満たす座標(h,k)から座標(x,y)への座
標変換で、W(0,0)=Zmn(m,n)となるように
平行移動することにより、Zmn(h,k)のうちの非零
要素(図4中のcやε)を含む行列部分Eを行列Wの中
央部に配置するとともに、中央部に配置された非零要素
を含む行列部分Eの外側部分を零要素で埋めることによ
り構成されている。
【0177】そして、非零要素を含む行列部分Eは、例
えば、31画素×31画素分に収まる程度の大きさ等で
ある。非零要素を含む行列部分Eに含まれるcの値は、
例えば、c=0.8等であり、εの値は、例えば、ε=
0.0013等である。但し、これらの数値に限定され
るものではない。また、図4では、εは、1行または1
列分の幅で線状に記載されているが、実際には、複数行
または複数列の幅で帯状に配置される。例えば、W
(0,0)=cを中心として、7行または7列分の幅で
零要素(W(x,y)=0)が円環状に配置され、その
外側に8行または8列分の幅でε(W(x,y)=ε)
が円環状に配置される等である。
【0178】次に、行列Wにおいて、M行N列の切出行
列Kを図4中の実線位置から点線位置のように1行また
は1列ずつ位置をずらしながら移動させることにより、
行列Wの各要素W(x,y)の中からM×N個の要素を
切り出せば、その切り出した要素により構成される各行
列K11,K12…KMNは、画像行列Zmn(1≦m≦M,1
≦n≦N)と同じになる。例えば、Z11と同じになる切
出行列K11は、次の式(1−27)のようになる。
【0179】
【数6】
【0180】上記の式(1−27)におけるK11は、行
列表現であるが、これを巨大ベクトル表現にすると、次
の式(1−28)のような縦ベクトルになる。
【0181】 巨大ベクトル:K11t{W(0,0),W(0,1),W(0,2),…,W(0,N-1),W(1,0),W(1,1),W(1,2),…,W(1,N-1), …,W(M-1,0),W(M-1,1),W(M-1,2),…,W(M-1,N-1)}・・・・・(1−28)
【0182】同様にして、図4において、切出行列Kを
1列分だけ左方向に移動して切り出しを行うと、Z12
同じになる切出行列K12が、次の式(1−29)のよう
に得られ、また、その巨大ベクトル表現が、次の式(1
−30)のように得られる。
【0183】
【数7】
【0184】 巨大ベクトル:K12t{W(0,-1),W(0,0),W(0,1),…,W(0,N-2),W(1,-1),W(1,0),W(1,1), …,W(1,N-2),…,W(M-1,-1),W(M-1,0),W(M-1,1),…,W(M-1,N-2)} ・・・・・・・・・・・・・・(1−30)
【0185】このようにして切出行列Kを順次移動させ
てK11,K12…KMNが得られれば、変換巨大行列(cU
+Δ)は、これらの縦ベクトルK11,K12…KMNを用い
て、次の式(1−31)のように表すことができる。
【0186】 (cU+Δ)={K11 12…K1N 21 22…K2N…KM1 M2…KMN} ・・・・・・・・・・・・・(1−31)
【0187】ここで、上記式(1−31)における巨大
ベクトル(縦ベクトル)K11,K12…KMNに、前記式
(1−28)および(1−30)の表現を用いると、
(cU+Δ)を次の式(1−32)のように表すことが
できる。
【0188】
【数8】
【0189】上記式(1−32)において変換巨大行列
(cU+Δ)の対角項は、全てW(0,0)となること
がわかる。これを具体的に表現してみると、図5のよう
になる。図5において、対角項は、W(0,0)=cで
一定であり、対角項以外の部分には、cに比べて微小な
数値であるεが対角項と平行に現れている。これは、図
4と図5とを見比べることにより、理解することができ
る。
【0190】従って、前記式(1−20)により、変換
巨大行列(cU+Δ)の逆行列である巨大逆行列Tは、
具体的に表現すると、図6のようになる。図6におい
て、対角項は、1/cで一定であり、対角項以外の部分
には、cに比べて微小な数値である−ε/c2が対角項
と平行に現れている。
【0191】<畳み込み演算行列Qの導入>ここで、図
4に示した(2M−1)行(2N−1)列の行列Wの各
要素W(x,y)を切出行列Kで切り出すことにより、
図5に示すような変換巨大行列(cU+Δ)が得られる
ことを考えれば、図6に示すような巨大逆行列Tを構成
することができる(2M−1)行(2N−1)列の行列
Qを考えることができる。
【0192】このような行列Wに対応する行列Qは、図
7のようになる。これは、図6と図7とを見比べること
により、理解することができる。図7において、行列Q
の中央部は、Q(0,0)=1/cを中心として、円環
状に−ε/c2が配置された構成となっている。その他
の部分は、零要素である。つまり、Q(x,y)は、次
の式(1−33)のようになる。
【0193】 Q(x,y)=1/c (x=0,y=0の場合) =−ε/c2 ((ri/p)2≦x2+y2≦(ro/p)2の場合) =0 (上記以外の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−33)
【0194】ここで、xおよびyは整数で、(1−M)
≦x≦(M−1)、(1−N)≦y≦(N−1)であ
る。なお、図7の行列Qにおけるcやεの値は、図4の
行列Wにおけるcやεの値と同じである。
【0195】なお、本第1実施形態で説明を行っている
状況設定の場合(ピンぼけ画像Dmnが円環状になる場
合)に限らず、例えば、ピンぼけ画像Dmnが円形状や楕
円形状や多角形状になる場合等も含め、上記式(1−3
3)を一般化すると、次の式(1−34)のようにな
る。なお、前述した式(1−20)よりも高次の展開を
考慮した場合には、より一般的な形の式になるが、これ
についての詳細は後述する。
【0196】 Q(x,y)=1/c−(W(0,0)−c)/c2 (x=0,y=0の場合) =−W(x,y)/c2 (x=0,y=0以外の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−34)
【0197】一方、画像行列Zの各要素Z(h,k)の
値は、上述した行列Wを用いて、次の式(1−35)に
基づき畳み込み演算を行うことにより、被写体の行列A
の各要素A(m,n)の値から算出することができる。
従って、行列Wは、畳み込み演算処理を行うための畳み
込み演算行列である。
【0198】 Z(h,k)=ΣmΣnW(h−m,k−n)A(m,n) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−35)
【0199】ここで、hおよびkは自然数で、1≦h≦
M、1≦k≦Nであり、mおよびnは自然数で、1≦m
≦M、1≦n≦Nであり、Σmは、m=1〜Mの和であ
り、Σnは、n=1〜Nの和である。
【0200】これと同様に考えれば、被写体の行列Aの
各要素A(s,t)の値は、上述した行列Qを用いて、
次の式(1−36)に基づき畳み込み演算を行うことに
より、画像行列Zの各要素Z(h,k)の値から算出す
ることができる。従って、行列Qも、畳み込み演算処理
を行うための畳み込み演算行列である。
【0201】 A(s,t)=ΣhΣkQ(s−h,t−k)Z(h,k) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−36)
【0202】ここで、sおよびtは自然数で、1≦s≦
M、1≦t≦Nであり、hおよびkは自然数で、1≦h
≦M、1≦k≦Nであり、Σhは、h=1〜Mの和であ
り、Σkは、k=1〜Nの和である。
【0203】以上により、畳み込み演算行列Qを用いて
畳み込み演算を行えば、被写体の行列Aの各要素A
(s,t)の値を再生する再生演算処理を行うことがで
きることがわかる。
【0204】ところで、以上の説明では、Cの値が、
0.5近傍(0.5も含む。以下、同様)以外の値のと
きについて成立し得る処理やその根拠について述べてき
た。一方、Cの値が、0.5に近づくと、式(1−2
0)に示された展開では不十分であり、より高次の展開
を必要とする。従って、式(1−34)についても、よ
り高次の展開に対応した形にする必要がある。
【0205】しかし、式(1−20)に比べ、より高次
の展開を行うことは計算式が複雑になり、処理の複雑化
や遅延化を招くことになるので好ましくない。そこで、
Cの値が、0.5近傍の値のときにも対応し得る形で、
式(1−34)を簡易的に次の式(1−37)のように
置き換える。なお、このような置き換えにより高次の展
開と同等な効果を得られることは、多くの演算を繰り返
した結果、本願出願人により見出された。
【0206】 Q(x,y)=1/c−(W(0,0)−c)/cpower (x=0,y=0の場合) =−W(x,y)/cpower (x=0,y=0以外の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1−37)
【0207】ここで、powerの値は、cの値に応じ
て決定すればよい。この際、cの値が、0.5近傍のと
きには、powerの値を2以外の値とする必要があ
る。より具体的には、cの値が、0.5近傍のときに
は、powerの値を1以上2未満とし、より好ましく
は1とする。一方、cの値が、0.5近傍以外のときに
は、1以上2以下とする。
【0208】また、以上の説明では、二焦点レンズ21
のピントの合った画像を形成する部分である長焦点レン
ズ部22は、ボケの無い画像を形成するという前提で、
説明が行われている。従って、長焦点レンズ部22によ
り形成される画像には、W(0,0)にのみ非零要素が
あり、その値はcであるという仮定を置いている。
【0209】しかし、実際には、長焦点レンズ部22に
より形成される画像には、収差等によるボケが生じるこ
とがあるので、長焦点レンズ部22により形成される画
像は、W(0,0)の周囲に拡がり、W(0,0)の周
囲の要素も非零要素となり得る。例えば、W(x,y)
の中心では、W(0,0)=0.41となり、その周囲
の要素については、W(0,1)=W(0,−1)=W
(1,0)=W(−1,0)=0.08、W(1,1)
=W(1,−1)=W(−1,1)=W(−1,−1)
=0.02となり、それ以外の要素については、W
(x,y)=0となる等である。
【0210】そこで、長焦点レンズ部22により形成さ
れる画像に、収差等によるボケが生じ、W(0,0)以
外の要素も非零要素となる場合には、W(0,0)の値
およびW(0,0)の周囲に生じた非零要素の値を合計
し、その合計値をcの値としてW(0,0)に入れ直す
とともに、W(0,0)の周囲に生じた非零要素の値を
ゼロにするという修正作業を行い、これらの修正作業を
経て作成された各要素W(x,y)の値を用いて、畳み
込み演算行列Qの各要素Q(x,y)の値を算出すれば
よい。例えば、前述した具体的数値例の場合には、中心
の要素の値0.41と、周囲の4要素の値0.08×4
と、周囲の別の4要素の値0.02×4とを合計する
と、0.81になるので、W(0,0)=c=0.81
とするとともに、W(0,1)=W(0,−1)=W
(1,0)=W(−1,0)=W(1,1)=W(1,
−1)=W(−1,1)=W(−1,−1)=0とす
る。
【0211】このような第1実施形態においては、以下
のようにして画像改質処理装置30により、二焦点レン
ズ21を用いて被写体を撮像して得られた画像の質の改
善が図られる。
【0212】先ず、被写体の撮像を行う前に、式(1−
33)または(1−34)、あるいは(1−37)に基
づき、畳み込み演算行列Qの各要素Q(x,y)の値を
予め算出し、画像改質処理装置30の畳み込み演算行列
記憶手段32に記憶しておく。なお、記憶するのは、非
零要素を含む行列部分Hの各値のみでよい(図7参
照)。
【0213】次に、撮像機構20により被写体を撮像す
る。この際、被写体から発せられた光は、二焦点レンズ
21の各レンズ部22,23を通過して撮像素子24に
至る。そして、被写体からの光を受けた撮像素子24の
出力信号を引き出して画像改質処理装置30に取り込
み、出力信号記憶手段31に記憶する。
【0214】続いて、再生演算手段33により、畳み込
み演算行列記憶手段32に記憶された各要素Q(x,
y)の値(図7の行列部分Hの各値)と、出力信号記憶
手段31に記憶された画像の出力信号を示す行列Zの各
要素Z(h,k)の値とを用い、式(1−36)に基づ
き被写体の行列Aの各要素A(s,t)の値を算出す
る。
【0215】その後、求めた被写体の行列Aの各要素A
(s,t)の値を用い、撮像対象となった被写体を表示
手段40の画面上に表示する。また、必要に応じ、図示
されないプリンター等の出力手段により、被写体の印刷
を行ってもよい。
【0216】このような第1実施形態によれば、次のよ
うな効果がある。すなわち、再生演算手段33による演
算処理は、式(1−33)または(1−34)、あるい
は(1−37)に基づき予め算出されて畳み込み演算行
列記憶手段32に記憶された(2M−1)行(2N−
1)列の畳み込み演算行列Qの各要素Q(x,y)の値
(本第1実施形態では、さらにその一部である非零要素
を含む行列部分Hの各値)を用いて行われるので、式
(1−22)で示されるM×N行M×N列の巨大逆行列
Tを用いて演算処理を行う場合に比べ、非常に少ない計
算量で、被写体の行列Aの各要素A(s,t)の値を算
出することができる。
【0217】例えば、M=300画素、N=400画素
とすれば、巨大逆行列Tを用いる場合の計算量(M×
N)×(M×N)=1.44×1010回に対し、畳み込
み演算行列Qを用いる場合の計算量は、(2M−1)×
(2N−1)=約48万回となり、さらに、畳み込み演
算行列Qの中の非零要素を含む行列部分Hのみを用いる
場合の計算量は、例えば31×31=約1000回程度
となる。
【0218】このため、短時間の処理で、ピントの合っ
た画像を求めて被写体を再生することができるので、二
焦点レンズ21で撮像された画像の質を短時間の処理で
改善することができ、ピント合わせ機構を用いることな
く、標準的な距離にある通常の被写体およびこれよりも
近距離にある近接被写体のいずれもについても鮮明な画
像を得ることができる。
【0219】また、再生演算手段33による演算処理が
非常に少ない計算量であることから、例えば携帯電話機
や携帯情報端末等の携帯型の情報端末装置に搭載されて
いる程度のCPUの能力でも短時間の処理で実行するこ
とができる。従って、二焦点レンズ21を備えた携帯型
の情報端末装置に本発明を適用すれば、情報端末装置の
使い勝手や性能の向上を図ることができる。
【0220】[第2実施形態]図8には、本発明の第2
実施形態の画像改質処理装置230を含む撮像システム
200の全体構成が示されている。撮像システム200
は、前記第1実施形態の撮像システム10と画像改質処
理装置230の構成が異なるのみであるので、同一部分
には同一符号を付して詳しい説明は省略し、以下には異
なる部分のみを説明する。
【0221】図8において、画像改質処理装置230
は、出力信号記憶手段231と、畳み込み演算行列記憶
手段232と、再生演算手段233と、シェージング補
正行列記憶手段234と、シェージング補正手段235
とを備えている。これらのうち、出力信号記憶手段23
1、畳み込み演算行列記憶手段232、および再生演算
手段233は、前記第1実施形態の出力信号記憶手段3
1、畳み込み演算行列記憶手段32、および再生演算手
段33と同じである。
【0222】シェージング補正行列記憶手段234は、
二焦点レンズ21への光の入射角の不均一により画像周
辺部の受光量が減少するシェージングの影響を補正する
ためのM行N列のシェージング補正行列Φの各要素Φ
(s,t)の値を記憶するものである。
【0223】ここで、シェージング補正行列Φの各要素
Φ(s,t)の値は、次のように求められる。先ず、均
一白色の被写体(フラットな被写体)を撮像して形成さ
れる画像の各要素の出力信号値をΨ(s,t)とする。
このΨ(s,t)の値は、実験により求めることが好ま
しいが、計算により求めてもよい。計算の場合には、二
焦点レンズ21の中央部の法線から測った被写体上の点
の方位角θによる余弦値cosθを用いて求めることが
できる。このとき、シェージング補正行列Φの各要素Φ
(s,t)の値は、次の式(2−1)のようになる。
【0224】 Φ(s,t)=1/Ψ(s,t) ・・・・・・・・・・・・(2−1)
【0225】ここで、sおよびtは自然数で、1≦s≦
M、1≦t≦Nである。なお、Ψ(s,t)の値は、最
大の明るさ(輝度)となる要素の出力信号値が1になる
ように正規化されている。
【0226】シェージング補正手段235は、シェージ
ング補正行列記憶手段234に記憶された各要素Φ
(s,t)の値と、再生演算手段233による処理を行
って得られた被写体の行列Aの各要素A(s,t)の値
とを用いて、次の式(2−2)に基づき、シェージング
補正を行った被写体の行列Ashの各要素Ash(s,t)
を算出する処理を行うものである。
【0227】 Ash(s,t)=A(s,t)×Φ(s,t) ・・・・・・(2−2)
【0228】シェージング補正行列記憶手段234は、
畳み込み演算行列記憶手段232と同様に、例えば、ハ
ードディスクやROM等により実現される。
【0229】シェージング補正手段235は、再生演算
手段233と同様に、中央演算処理装置(CPU)、お
よびこのCPUの動作手順を規定する一つまたは複数の
プログラムにより実現される。
【0230】このような第2実施形態においては、以下
のようにして画像改質処理装置230により、二焦点レ
ンズ21を用いて被写体を撮像して得られた画像の質の
改善が図られる。
【0231】先ず、シェージング補正行列Φの各要素Φ
(s,t)の値をシェージング補正行列記憶手段234
に記憶しておく。
【0232】次に、前記第1実施形態と同様な処理を行
い、再生演算手段233による処理を行った後に、シェ
ージング補正手段235により、各要素Φ(s,t)の
値と、再生演算手段233による処理で得られた被写体
の行列Aの各要素A(s,t)の値とを用いて、式(2
−2)に基づき、シェージング補正を行った被写体の行
列Ashの各要素Ash(s,t)の値を算出する。
【0233】このような第2実施形態によれば、前記第
1実施形態で得られる効果に加え、シェージング補正手
段235による処理を行うので、シェージングの影響が
排除されるため、画像の質を、より一層改善することが
できるという効果がある。
【0234】[第3実施形態]図9には、本発明の第3
実施形態の画像改質処理装置330を含む撮像システム
300の全体構成が示されている。撮像システム300
は、前記第1実施形態の撮像システム10と画像改質処
理装置330の構成が異なるのみであるので、同一部分
には同一符号を付して詳しい説明は省略し、以下には異
なる部分のみを説明する。
【0235】図9において、画像改質処理装置330
は、出力信号記憶手段331と、畳み込み演算行列記憶
手段332と、再生演算手段333と、シェージング補
正行列記憶手段334と、シェージング補正手段335
とを備えている。これらのうち、出力信号記憶手段33
1、畳み込み演算行列記憶手段332、および再生演算
手段333は、前記第1実施形態の出力信号記憶手段3
1、畳み込み演算行列記憶手段32、および再生演算手
段33と同じである。
【0236】シェージング補正行列記憶手段334は、
二焦点レンズ21への光の入射角の不均一により画像周
辺部の受光量が減少するシェージングの影響を補正する
ためのM行N列のシェージング補正行列Φの各要素Φ
(h,k)の値を記憶するものである。
【0237】ここで、シェージング補正行列Φの各要素
Φ(h,k)の値は、前記第2実施形態と同様にして、
Ψ(h,k)を用いて求められる。
【0238】シェージング補正手段335は、シェージ
ング補正行列記憶手段334に記憶された各要素Φ
(h,k)の値と、画像の出力信号の行列Zの各要素Z
(h,k)の値とを用いて、次の式(3−1)に基づ
き、シェージング補正を行った画像の出力信号の行列Z
shの各要素Zsh(h,k)を算出し、得られたZ
sh(h,k)の値を新たなZ(h,k)として再生演算
手段333による処理に使用されるようにする処理を行
うものである。
【0239】 Zsh(h,k)=Z(h,k)×Φ(h,k) ・・・・・・(3−1)
【0240】ここで、hおよびkは自然数で、1≦h≦
M、1≦k≦Nである。
【0241】シェージング補正行列記憶手段334は、
畳み込み演算行列記憶手段332と同様に、例えば、ハ
ードディスクやROM等により実現される。
【0242】シェージング補正手段335は、再生演算
手段333と同様に、中央演算処理装置(CPU)、お
よびこのCPUの動作手順を規定する一つまたは複数の
プログラムにより実現される。
【0243】このような第3実施形態においては、以下
のようにして画像改質処理装置330により、二焦点レ
ンズ21を用いて被写体を撮像して得られた画像の質の
改善が図られる。
【0244】先ず、シェージング補正行列Φの各要素Φ
(h,k)の値をシェージング補正行列記憶手段334
に記憶しておく。
【0245】次に、再生演算手段333による処理を行
う前に、シェージング補正手段335により、各要素Φ
(h,k)の値と、画像の出力信号の行列Zの各要素Z
(h,k)の値とを用いて、式(3−1)に基づき、シ
ェージング補正を行った画像の出力信号の行列Zshの各
要素Zsh(h,k)の値を算出した後、得られたZ
sh(h,k)の値を新たなZ(h,k)とする。
【0246】続いて、シェージング補正手段335によ
る処理を経たZ(h,k)の値を用いて、前記第1実施
形態と同様に、再生演算手段333による処理およびそ
の後の処理を行う。
【0247】このような第3実施形態によれば、前記第
1実施形態で得られる効果に加え、シェージング補正手
段335による処理を行うので、シェージングの影響が
排除されるため、画像の質を、より一層改善することが
できるという効果がある。
【0248】[第4実施形態]図10には、本発明の第
4実施形態の画像改質処理装置430の一部を構成する
デジタルフィルタ回路433の詳細構成が示されてい
る。前記第1、第2、第3実施形態では、各再生演算手
段33,233,333は、中央演算処理装置(CP
U)およびこのCPUの動作手順を規定する一つまたは
複数のプログラムにより実現されていたが、本第4実施
形態では、再生演算手段は、図10に示すようなデジタ
ルフィルタ回路433により実現されている。その他の
構成は、前記第1、第2、第3実施形態と同様である。
【0249】デジタルフィルタ回路433は、再生演算
手段による処理、すなわち前記第1実施形態の式(1−
36)に基づく畳み込み演算行列Qを用いた畳み込み演
算処理を、ハードウェアにより実現するものである。
【0250】なお、図10では、説明を簡略化するため
に、前記第1実施形態の式(1−33)または(1−3
4)、あるいは(1−37)で規定される畳み込み演算
行列Qの各要素Q(x,y)の値を3画素×3画素分だ
け用いる場合の回路が図示されている。しかし、実際に
は、図7の非零要素を含む行列部分Hの画素分(例えば
31画素×31画素分)だけQ(x,y)の値が用いら
れるので、デジタルフィルタ回路433の大きさは、も
っと大きくなるが、各構成回路の配置方法は、図10と
同様である。
【0251】図10において、デジタルフィルタ回路4
33は、順次入力されてくる画像の出力信号の行列Zの
各要素Z(h,k)の値に畳み込み演算行列Qの各要素
Q(x,y)の値を乗ずるための複数(図10では、9
個)の乗算回路401〜409と、これらの乗算回路4
01〜409からの出力信号を加算する複数(図10で
は、8個)の加算回路411〜418と、順次入力され
る各要素Z(h,k)の信号の流れの速度調整を行うた
めの複数(図10では、8個)のディレイ回路421〜
428とを備えている。
【0252】乗算回路401,402,403,40
4,405,406,407,408,409は、それ
ぞれQ(−1,−1),Q(−1,0),Q(−1,
1),Q(0,−1),Q(0,0),Q(0,1),
Q(1,−1),Q(1,0),Q(1,1)の各値を
乗ずるための回路である。
【0253】ディレイ回路421〜426は、画素から
画素に移る時間だけ信号を遅らせる1クロックディレイ
を行うための回路であり、ディレイ回路427,428
は、行から行に移る時間だけ信号を遅らせる1Hディレ
イを行うための回路である。
【0254】このような第4実施形態によれば、前記第
1〜第3実施形態で得られる効果に加え、畳み込み演算
行列Qを用いた畳み込み演算処理を、ハードウェアによ
り実現することができるので、画像改質に要する処理時
間を、より一層短くすることができるという効果があ
る。
【0255】[第5実施形態]図11には、本発明の第
5実施形態の画像改質処理装置530を含む撮像システ
ム500の全体構成が示されている。撮像システム50
0は、前記第1実施形態の撮像システム10と画像改質
処理装置530の構成が異なるのみであるので、同一部
分には同一符号を付して詳しい説明は省略し、以下には
異なる部分のみを説明する。
【0256】図11において、撮像システム500は、
被写体を撮像する撮像機構20と、この撮像機構20に
より撮像された画像の質を改善する画像改質処理装置5
30と、この画像改質処理装置530により質の改善を
行った画像を表示する表示手段40とを備えている。こ
れらのうち撮像機構20および表示手段40の構成は、
前記第1実施形態の場合と同様である。
【0257】画像改質処理装置530は、出力信号記憶
手段531と、ディスクリート・コサイン変換処理手段
532と、ピンぼけ画像消去処理手段533と、量子化
処理手段534と、符号化処理手段535と、余弦値記
憶手段536とを含んで構成されている。
【0258】出力信号記憶手段531は、被写体を二焦
点レンズ21により撮像して得られた画像の出力信号を
撮像素子24から引き出して記憶するものである。
【0259】ディスクリート・コサイン変換処理手段
(DCT処理手段)532は、出力信号記憶手段531
に記憶した撮像素子24の各画素の出力信号をQ画素×
Q画素(ここでは、8画素×8画素として説明を行うも
のとする。)の単位画面分だけ取り出し、取り出した信
号レベルSxyについて後述する式(5−1)に基づきデ
ィスクリート・コサイン変換処理(DCT処理)を行う
ことにより各空間周波数に対応した信号レベルSF uv
求める処理を行うものである。このDCT処理は、通常
のJPEGによる画像の圧縮処理で行うものと同様の処
理である。
【0260】ピンぼけ画像消去処理手段533は、ディ
スクリート・コサイン変換処理手段532による処理で
得られたSF uvのうちゼロの成分SF 00の値に、二焦点レ
ンズ21の全体面積に対するピントの合った画像を形成
するレンズ部(長焦点レンズ部22または短焦点レンズ
部23)の面積の割合を乗じ、この乗算により得られた
値を新たなSF 00の値とする処理を行うものである。
【0261】量子化処理手段534は、ピンぼけ画像消
去処理手段533による処理後の信号レベルSF uvにつ
いて量子化処理を行うものである。この量子化処理は、
通常のJPEGによる画像の圧縮処理で行うものと同様
の処理である。
【0262】符号化処理手段535は、量子化処理手段
534による処理で得られた量子化データを符号化する
処理を行うものである。この符号化処理は、通常のJP
EGによる画像の圧縮処理で行うものと同様の処理であ
る。
【0263】余弦値記憶手段536は、DCT処理手段
532による演算処理で用いる後述する式(5−1)中
のcos(余弦)の値を、xとu、および、yとvの各組み合
わせについて格納して記憶するテーブルである。
【0264】出力信号記憶手段531および余弦値記憶
手段536としては、例えば、ハードディスク、RO
M、EEPROM、フラッシュ・メモリ、RAM、M
O、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−R
OM、DVD−RAM、FD、磁気テープ、あるいはこ
れらの組合せ等を採用することができる。
【0265】DCT処理手段532、ピンぼけ画像消去
処理手段533、量子化処理手段534、および符号化
処理手段535は、撮像システム500を構成する各種
の情報端末装置(例えば、携帯電話機や携帯情報端末等
の携帯型の情報端末装置、あるいはカメラを接続したパ
ーソナル・コンピュータ、監視カメラ装置等)の内部に
設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのC
PUの動作手順を規定する一つまたは複数のプログラム
により実現される。
【0266】以下には、画像改質処理装置530により
行われる各種演算処理の根拠を説明する。
【0267】前記第1実施形態の説明で述べたように、
光軸を共有する二焦点レンズ21による撮像素子24上
の画像は、内側に配置された長焦点レンズ部22と、外
側に配置された短焦点レンズ部23とのうちの、一方の
レンズ部によるピントの合った画像と、他方のレンズ部
によるピントの合わない画像(いわゆるピンぼけ画像)
との重ね合せになっている。
【0268】この際、ピントの合わない画像は、レンズ
部の口径および倍率を適切に選ぶことにより、被写体の
情報をほとんど失った、画面内の受光量の変動の少ない
画像になる。
【0269】以上のことを考慮すると、ピンぼけ画像を
適切な方法で消去できれば、ピントの合った画像の再生
を実現することができる。そして、画像改善処理時間
(計算量/処理能力)をできるだけ少なくすることがで
きる簡易な消去方法とすれば、携帯情報端末のCPUの
能力の範囲内でも短時間に処理することができるように
なる。そこで、以下では、処理時間を極力短くする消去
方法について説明する。
【0270】先ず、ピンぼけ画像消去処理の基本的な考
え方を説明する。
【0271】<画像改善処理の対象となる画像と消去処
理の基本的な方法>二焦点レンズ21により形成された
ピントの合った画像とピンぼけ画像との重なった画像
を、画像改善処理の対象とする。ピンぼけ画像は、画面
内でほぼ完全に被写体の情報を失っており、画面の各位
置の、すなわち撮像素子24の画素毎の出力信号レベル
の変動も少ないものとする。この場合、二焦点レンズ2
1の画像から、ピンぼけ画像(の信号値)を差し引くこ
とでピントの合った画像を形成することができる。な
お、ピンぼけ画像の信号値を求める際には、被写体上に
おける任意の点の広がり範囲での平均値は、両方のレン
ズ部22,23の面積に比例すると考えてよい。
【0272】<消去処理時間の短縮のための方法>先
ず、撮像素子24の出力信号データ(=ビットマップデ
ータ)を適当な方法で圧縮する。ここでは、JPEGデ
ータに変換することとする。JPEGでは、各画素を8
×8画素の単位で分割して処理する。従って、ピンぼけ
画像消去もこの分割を利用して実行する。すなわち、J
PEGで各分割単位毎のディスクリート・コサイン変換
(DCT)を実行し、その周波数成分を用いて、信号レ
ベルの平均値をとる。この平均値を、ピントの合ったデ
ータとピンぼけデータとの平均光量比により按分し、ピ
ンぼけ画像の信号の平均値相当分を元のデータから差し
引くことで、ピントの合った画像のみを残す。そして、
分割された8×8画素の単位画面で行う一連の処理を、
撮像素子24の面上の全ての単位画面について繰り返し
て行う。
【0273】次に、実際のデータ処理について説明す
る。ここでは、JPEGの圧縮処理の実行過程に、ピン
ぼけ画像消去処理も入れることとして、その実際的なア
ルゴリズムについて説明する。
【0274】<DCT処理>前述したように8×8画素
を一単位として分割された単位画面内の各画素の信号レ
ベルをSxy(x,yは8×8画素の単位画面内の位置座
標を示し、それぞれ0〜7の値をとる。)とし、Sxy
DCT処理した各空間周波数成分の信号レベルをSF uv
(u,vは空間周波数を示し、それぞれ0〜7の値をと
る。)とすると、次の式(5−1)が成立する。
【0275】 SF uv=(1/4)×CuvΣxΣyxy ×cos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16]・・・(5−1)
【0276】ここで、Σxはx=0〜7の和を示し、Σy
はy=0〜7の和を示す。また、C u,Cvは、次の式
(5−2)で示される値をとる。
【0277】 Cu,Cv=1/(21/2)(u,v=0のとき) =1 (u,v=0以外のとき) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5−2)
【0278】一方、DCT逆変換は、次の式(5−3)
のようになる。
【0279】 Sxy=(1/4)×ΣuΣvuvF uv ×cos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16]・・・・(5−3)
【0280】ここで、Σuはu=0〜7の和を示し、Σv
はv=0〜7の和を示す。しかし、実際には、量子化処
理によりゼロでないSF uvの数は64個より遥かに少な
く、ほぼ10個程度と考えられる。
【0281】<ピンぼけ画像の消去処理>ここで、前記
式(5−3)を用いて8×8画素に分割された単位画面
内の信号レベルSxyの総和Ssumを求めると、次の式
(5−4)のようになる。
【0282】 Ssum =ΣxΣyxy =(1/4)×ΣuΣvuvF uv ×ΣxΣycos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16] =16ΣuΣvuvF uv ×Πmcos(2m-1uπ/16)Πncos(2n-1vπ/16) =8SF 00 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5−4)
【0283】ここで、Πmはm=1〜4の積を示し、Πn
はn=1〜4の積を示すが、u=0,v=0以外ではΣ
記号(あるいはΠ記号)の中はゼロになるので、最終的
には、Ssumは上記の式(5−4)の右辺の最後尾に示
すように8SF 00になる。従って、各画素の信号レベル
xyの平均値Smeanは、次のように表すことができる。
【0284】 Smean=Ssum/64=SF 00/8
【0285】ピンぼけ画像の消去処理後の信号をSpxy
とし、また、ピンぼけ画像を生成する側のレンズ部を通
過する光量の割合は、両レンズ部22,23の開口面積
の按分比によって決まるので、その全光量に対する割合
をρとすると、次の式(5−5)が成立する。
【0286】 Spxy=Sxy−ρ×Smean ・・・・・・・・・・・・・・・(5−5)
【0287】上記の式(5−5)を前記式(5−1)に
代入すると、次の式(5−6)のようになる。
【0288】 SF uv=(1/4)×CuvΣxΣy(Spxy+ρ×Smean) ×cos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16] =(1/4)×CuvΣxΣySpxy ×cos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16] +(1/4)×ρ×Smean×Cuv ×ΣxΣycos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16] ・・・・・・・・・・・・・・(5−6)
【0289】ここで、次の式(5−7)のようにおく
と、式(5−8)および式(5−9)が得られる。
【0290】 SpF uv=SF uv−Cuv ・・・・・・・・・・・・・・・・(5−7)
【0291】 SpF uv=(1/4)×CuvΣxΣySpxy ×cos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16]・・(5−8)
【0292】 Cuv=(1/4)×ρ×Smean×Cuv ×ΣxΣycos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16] =16×ρ×Smean×Cuv ×Πmcos(2m-1uπ/16)Πncos(2n-1vπ/16)・・・(5−9)
【0293】上記の式(5−9)において、Πmはm=
1〜4の積を示し、Πnはn=1〜4の積を示すが、u
=0,v=0以外ではΣ記号(あるいはΠ記号)の中は
ゼロになるので、結果として、次の式(5−10)のよ
うになる。
【0294】 Cuv=8×ρ×Smean=ρ×SF 00 (u=v=0のとき) =0 (u=v=0以外のとき)・・(5−10)
【0295】従って、消去処理後の信号SpF uvと、処理
前の信号SF uvとの関係は、式(5−7)および式(5
−10)より、次のようになる。
【0296】 SpF 00=SF 00−C00=SF 00−ρ×SF 00=(1−ρ)×SF 00 (u=v=0のとき) SpF uv=SF uv−Cuv=SF uv−0=SF uv (u=v=0以外のとき)
【0297】以上のように、ピンぼけ画像の消去処理で
は、DCTにおける空間周波数ゼロの成分のみその値を
(1−ρ)倍にすれば、消去処理は完了する。また、以
上の一連の処理は、8×8画素の単位画面内での処理で
あるが、この処理を撮像素子24上に分割形成された単
位画面の数だけ実行すればよい。
【0298】このような第5実施形態においては、以下
のようにして画像改質処理装置530により、二焦点レ
ンズ21を用いて被写体を撮像して得られた画像の質の
改善が図られる。
【0299】先ず、撮像機構20により被写体を撮像す
る。この際、被写体から発せられた光は、二焦点レンズ
21の各レンズ部22,23を通過して撮像素子24に
至る。そして、被写体からの光を受けた撮像素子24か
ら、画素数分の出力信号データを引き出して画像改質処
理装置530に取り込み、出力信号記憶手段531に記
憶する。
【0300】続いて、DCT処理手段532により、出
力信号記憶手段531記憶した画像データから8×8画
素の単位画面分のデータを読み込み、前記式(5−1)
に基づきDCTの処理計算を行い、各空間周波数に対応
した信号レベルSF uvを求める。この際、式(5−1)
中のcos(余弦)の値は、余弦値記憶手段536に記憶
された値を読み込んで使用するため、その都度の計算は
行われない。
【0301】次に、ピンぼけ画像消去処理手段533に
より、SF 00(u=0,v=0)の値に、二焦点レンズ2
1の全体面積に対するピントの合った画像を形成するレ
ンズ部の面積の割合(1−ρ)をかけて得られる値を、
新しいSF 00とする処理を行う。つまり、前記式(5−
10)により、消去処理後の信号SpF uvと、処理前の信
号SF uvとが異なるのは、u=v=0のときだけである
から、SF 00にだけ(1−ρ)を乗じれば、ピンぼけ画
像の消去処理が完了する。
【0302】その後、DCT処理手段532およびピン
ぼけ画像消去処理手段533による各処理を経たSF uv
について、量子化処理手段534による処理を行うな
ど、JPEGの通常の処理を行うと、SF uvは高次のu、
vに対してほとんどゼロになるので、データ量は大幅に
圧縮される。
【0303】さらに、このようにして求められたSF uv
を、符号化処理手段535により、u+vの小さい順に
それまでのゼロ要素の数とセットにしてメモリに収容す
る(JPEGの処理)。
【0304】そして、以上のDCT処理手段532、ピ
ンぼけ画像消去処理手段533、量子化処理手段53
4、および符号化処理手段535による一連の処理を、
撮像素子24上の全ての単位画面に対して繰り返す(J
PEGの処理)。これらの処理により、ピンぼけ画像を
消去した画像のJPEG形式でのファイルを得ることが
できる。
【0305】このような第5実施形態によれば、次のよ
うな効果がある。すなわち、ピンぼけ画像消去処理手段
533による処理は、DCT処理を行って得られたSF
uvのうちゼロの成分SF 00の値のみに(1−ρ)を乗
じ、この乗算により得られた値を新たなSF 00の値とす
るという簡単な処理を行うだけであり、残りの処理は、
通常のJPEGによる画像の圧縮処理と同様であるた
め、少ない計算量で一連の処理を実行することができ
る。
【0306】つまり、DCTを主体とするJPEGの圧
縮法を用いることにより、その処理途中にピンぼけ画像
の消去処理を簡単に盛込むことができるので、JPEG
処理とほとんど同程度の処理時間でピンぼけ画像の消去
処理を行うことができる。
【0307】このため、短時間の処理で、ピントのぼけ
た画像を消去してピントの合った画像を求め、画像の質
の改善を図ることができるうえ、計算量が少ないことか
ら、例えば携帯電話機や携帯情報端末等の携帯型の情報
端末装置に搭載されている程度のCPUの能力でも短時
間の処理で実行することができる。従って、二焦点レン
ズ21を備えた携帯型の情報端末装置に本発明を適用す
れば、情報端末装置の使い勝手や性能の向上を図ること
ができる。
【0308】[第6実施形態]図12には、本発明の第
6実施形態の画像改質処理装置630を含む撮像システ
ム600の全体構成が示されている。撮像システム60
0は、前記第1実施形態の撮像システム10と画像改質
処理装置630の構成が異なるのみであるので、同一部
分には同一符号を付して詳しい説明は省略し、以下には
異なる部分のみを説明する。
【0309】図12において、撮像システム600は、
被写体を撮像する撮像機構20と、この撮像機構20に
より撮像された画像の質を改善する画像改質処理装置6
30と、この画像改質処理装置630により質の改善を
行った画像を表示する表示手段40とを備えている。こ
れらのうち撮像機構20および表示手段40の構成は、
前記第1実施形態の場合と同様である。
【0310】画像改質処理装置630は、出力信号記憶
手段631と、移動平均算出手段632と、画像補正手
段633とを含んで構成されている。
【0311】出力信号記憶手段631は、被写体を二焦
点レンズ21により撮像して得られた画像の各要素の出
力信号値Z(h,k)を撮像素子24から引き出して記
憶するものである。
【0312】移動平均算出手段632は、次の式(6−
1)に基づき、図13に示すような座標(h,k)を中
心とするQ画素×Q画素の単位画面F内での各出力信号
値Z(h,k)の平均値Zmean(h,k)を算出する処
理を行うものである。そして、Q画素×Q画素の単位画
面Fは、処理の対象となる出力信号値Z(h,k)の移
動とともに移動するため、Zmean(h,k)は移動平均
値となる。
【0313】 Zmean(h,k)={ΣxΣyZ(h+x,k+y)}/Q2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6−1)
【0314】ここで、Qは、3以上の奇数の自然数であ
り、hおよびkは、自然数で、1≦h≦M、1≦k≦N
であり、xおよびyは、整数で、(1−Q)/2≦x≦
(Q−1)/2、(1−Q)/2≦y≦(Q−1)/2
であり、Σxは、x=(1−Q)/2〜(Q−1)/2
の和、Σyは、y=(1−Q)/2〜(Q−1)/2の
和である。
【0315】画像補正手段633は、移動平均算出手段
632により算出した移動平均値Zmean(h,k)を用
いて、次の式(6−2)に基づき、Z(h,k)を画像
改質処理して得られる信号値Znew(h,k)を算出す
る処理を行うものである。この処理は、ピンぼけ分の信
号を減算してから、減算後の信号を元の信号レベルに戻
していることに相当する。
【0316】 Znew(h,k) =k×{Z(h,k)−Zmean(h,k)×(1−c)}/c ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6−2)
【0317】ここで、cは、比例係数で、二焦点レンズ
21の全体面積に対するピントの合った画像を形成する
レンズ部の面積の比の値であり、kは、正規化係数であ
り、Znew(h,k)の最大値を1にするための値であ
る。なお、光の量の分割比がレンズの面積比と一致しな
い場合には、cの値は、面積比で定めるのではなく、二
焦点レンズ21のピントの合ったレンズ部を通過して実
際に撮像素子24に到達する光の量または撮像素子24
の信号量と、二焦点レンズ21の全体を通過して実際に
撮像素子24に到達する光の量または撮像素子24の信
号量との比の値として求めてもよい。
【0318】出力信号記憶手段631は、RAMやハー
ドディスク等により実現される。
【0319】移動平均算出手段632および画像補正手
段633は、中央演算処理装置(CPU)およびこのC
PUの動作手順を規定する一つまたは複数のプログラム
により実現してもよく、あるいはデジタルフィルタ回路
により実現してもよい。デジタルフィルタ回路とした場
合には、ハードウェアによる処理となるため、計算処理
時間を、より一層短くすることができる。この際、デジ
タルフィルタ回路は、乗算回路や加算回路等により構成
され、乗算回路で乗ずる値は、{−(1−c)/(c×
2)}および{(1/c)−(1−c)/(c×
2)}である。
【0320】このような第6実施形態においては、以下
のようにして画像改質処理装置630により、二焦点レ
ンズ21を用いて被写体を撮像して得られた画像の質の
改善が図られる。
【0321】先ず、被写体を撮像して得られた画像の各
要素の出力信号値Z(h,k)を出力信号記憶手段63
1に記憶する。
【0322】次に、移動平均算出手段632により、処
理対象となるZ(h,k)について、式(6−1)に基
づき、座標(h,k)を中心とするQ画素×Q画素の単
位画面F内での各出力信号値Z(h,k)の平均値Zme
an(h,k)を算出する。
【0323】続いて、画像補正手段633により、移動
平均算出手段632により算出した移動平均値Zmean
(h,k)を用いて、式(6−2)に基づき、Z(h,
k)を画像改質処理して得られる信号値Znew(h,
k)を算出する。なお、式(6−1)に基づく移動平均
算出手段632による処理と、式(6−2)に基づく画
像補正手段633による処理とは、1つの式で一体的に
行ってもよい。
【0324】そして、以上のような処理を各出力信号値
Z(h,k)について繰り返す。この際、Z(h,k)
の移動に伴って、平均をとる対象であるQ画素×Q画素
の単位画面Fも移動するので、Zmean(h,k)は移動
平均値をとっていることになる。
【0325】その後、求めたZnew(h,k)の値を用
い、撮像対象となった被写体を表示手段40の画面上に
表示する。また、必要に応じ、図示されないプリンター
等の出力手段により、被写体の印刷を行ってもよい。
【0326】このような第6実施形態によれば、次のよ
うな効果がある。すなわち、画像補正手段633による
処理が行われるので、ピンぼけ分の画像を除去すること
ができるため、画像の質を改善することができる。
【0327】また、移動平均をとって減ずるだけの簡単
な演算処理であるため、計算量が少なく、短時間で処理
することができる。このため、携帯型の情報端末装置等
にも好適に用いることができる。
【0328】[変形の形態]なお、本発明は前記各実施
形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成で
きる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0329】すなわち、前記各実施形態では、撮像機構
20を構成する二焦点レンズ21は、内側に長焦点レン
ズ部22が配置され、外側に短焦点レンズ部23が配置
されていたが、本発明の画像改質処理の対象は、このよ
うな配置の二焦点レンズにより撮像された画像に限定さ
れるものではなく、例えば、逆の配置、すなわち内側に
短焦点レンズ部が配置され、外側に長焦点レンズ部が配
置された二焦点レンズによる画像であってもよい。
【0330】また、前記各実施形態では、二焦点レンズ
21を構成する長焦点レンズ部22と短焦点レンズ部2
3とは、同心に配置されているが、これに限定されるも
のではなく、本発明におけるピントの合った画像を形成
する一方のレンズ部と、ピントのぼけた画像を形成する
他方のレンズ部とは、同心に配置されていてもよく、同
心に配置されていなくてもよい。
【0331】また、前記第1実施形態では、外側に配置
されたレンズ部によりピンぼけ画像が形成される場合に
ついて説明されていたが、本発明は、内側に配置された
レンズ部によりピンぼけ画像が形成される場合について
も適用することができる。なお、この場合には、ピンぼ
け画像は、リング状ではなく、内側に配置されたレンズ
部の正面形状に従った円形、楕円形、多角形等の形状と
なる。
【0332】さらに、前記第1実施形態では、短焦点レ
ンズ部によりピンぼけ画像が形成される場合について説
明されていたが、本発明は、長焦点レンズ部によりピン
ぼけ画像が形成される場合についても適用することがで
きる。なお、この場合には、被写体は、例えば、2次元
バーコードや虹彩や文字等の近接被写体である。
【0333】そして、前記第5実施形態の説明では、ピ
ンぼけ画像の画面内では略完全に被写体の情報が失われ
ており、画面の受光量、すなわち撮像素子24の画素毎
の出力信号レベルの変動も無視できるほど少ないものと
していたが、この条件は必ずしも必要ではなく、少なく
ともJPEG処理をする際の単位画面の範囲で画素毎の
出力信号レベルの変動がなければ、本発明を好適に適用
することができる。
【0334】
【発明の効果】以上に述べたように本発明によれば、畳
み込み演算行列Qを用いて畳み込み演算を行い、あるい
は、JPEG処理またはこれに類似する処理を利用して
ピンぼけ画像の消去処理を行い、あるいは、移動平均を
とってピンぼけ分の信号を減ずる処理を行うので、二焦
点レンズで撮像された画像の質を短時間の処理で改善す
ることができ、ピント合わせ機構を用いることなく、標
準的な距離にある通常の被写体およびこれよりも近距離
にある近接被写体のいずれもについても鮮明な画像を得
ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の画像改質処理装置を含
む撮像システムの全体構成図。
【図2】第1実施形態の画像改質処理装置による処理対
象となる画像を形成する二焦点レンズの詳細構成図。
【図3】第1実施形態における被写体とこの被写体を二
焦点レンズにより撮像して得られる画像との関係の説明
図。
【図4】第1実施形態の畳み込み演算行列Wの説明図。
【図5】第1実施形態の変換巨大行列(cU+Δ)の説
明図。
【図6】第1実施形態の巨大逆行列Tの説明図。
【図7】第1実施形態の畳み込み演算行列Qの説明図。
【図8】本発明の第2実施形態の画像改質処理装置を含
む撮像システムの全体構成図。
【図9】本発明の第3実施形態の画像改質処理装置を含
む撮像システムの全体構成図。
【図10】本発明の第4実施形態の画像改質処理装置の
一部を構成するデジタルフィルタ回路の詳細構成図。
【図11】本発明の第5実施形態の画像改質処理装置を
含む撮像システムの全体構成図。
【図12】本発明の第6実施形態の画像改質処理装置を
含む撮像システムの全体構成図。
【図13】第6実施形態における移動平均をとる処理の
説明図。
【符号の説明】
21 二焦点レンズ 22 一方または他方のレンズ部に該当する長焦点レン
ズ部 23 一方または他方のレンズ部に該当する短焦点レン
ズ部 24 撮像素子 30,230,330,430,530,630 画像
改質処理装置 32,232,332 畳み込み演算行列記憶手段 33,233,333 再生演算手段 234,334 シェージング補正行列記憶手段 235,335 シェージング補正手段 401〜409 乗算回路 411〜418 加算回路 421〜428 ディレイ回路 433 再生演算手段であるデジタルフィルタ回路 531 出力信号記憶手段 532 ディスクリート・コサイン変換処理手段(DC
T処理手段) 533 ピンぼけ画像消去処理手段 534 量子化処理手段 535 符号化処理手段 632 移動平均算出手段 633 画像補正手段 E,H 非零要素を含む行列部分 M 撮像素子の縦方向の画素数 N 撮像素子の横方向の画素数 Q 畳み込み演算行列 Φ シェージング補正行列
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鐘ヶ江 正巳 東京都八王子市七国6丁目7番13号 (72)発明者 内海 京丈 東京都練馬区東大泉7丁目7番10号 Fターム(参考) 5B047 BC05 CB21 DC07 5C022 AA13 AC54 5C077 LL19 MM02 MP01 PP01 PP06 PP19 PP21 PP43 PP68 PQ12 PQ18 PQ25 RR21 SS03

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二焦点レンズを構成する一方のレンズ部
    により形成されるピントの合った画像と、他方のレンズ
    部により形成されるピントのぼけた画像とが重なった画
    像から、ピントの合った画像を求める画像改質処理方法
    であって、 撮像素子の大きさをM画素×N画素とし、被写体の発す
    る光の明るさを示すM行N列の行列をAとし、前記被写
    体を前記二焦点レンズにより撮像して得られた画像の出
    力信号を示すM行N列の行列をZとしたとき、 畳み込み演算処理を行うための(2M−1)行(2N−
    1)列の畳み込み演算行列Qの各要素Q(x,y)の値
    のうち少なくとも非零要素を含む行列部分の値を下式
    (1)に基づき予め算出して畳み込み演算行列記憶手段
    に記憶しておき、 前記被写体を前記二焦点レンズにより撮像した際に、再
    生演算手段により、前記畳み込み演算行列記憶手段に記
    憶された各要素Q(x,y)のうちの少なくとも一部の
    値と前記画像の出力信号の行列Zの各要素Z(h,k)
    の値とを用いて下式(2)に基づき前記被写体の行列A
    の各要素A(s,t)の値を算出することを特徴とする
    画像改質処理方法。 Q(x,y)=1/c−(W(0,0)−c)/cpower (x=0,y=0の場合) =−W(x,y)/cpower (x=0,y=0以外の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) A(s,t)=ΣhΣkQ(s−h,t−k)Z(h,k) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2) ここで、 xおよびyは整数で、(1−M)≦x≦(M−1)、
    (1−N)≦y≦(N−1)であり、 sおよびtは自然数で、1≦s≦M、1≦t≦Nであ
    り、 hおよびkは自然数で、1≦h≦M、1≦k≦Nであ
    り、 W(x,y)は、(2M−1)行(2N−1)列の行列
    Wの各要素の値であり、この行列Wは、端部を除く座標
    (m,n)で示される1点のみに輝点のある被写体を前
    記二焦点レンズで撮像したときに前記一方および前記他
    方のレンズ部により形成される画像の出力信号を示すM
    行N列の行列Zmnを、x=h−m、y=k−nを満たす
    座標(h,k)から座標(x,y)への座標変換で、W
    (0,0)=Zmn(m,n)となるように平行移動する
    ことにより、Zmn(h,k)のうちの非零要素を含む行
    列部分を前記行列Wの中央部に配置するとともに、前記
    中央部に配置された前記非零要素を含む行列部分の外側
    部分を零要素で埋めることにより構成され、 cは、比例係数で、前記二焦点レンズの全体面積に対す
    る前記一方のレンズ部の面積の比の値であり、 powerは、cのべき乗数となる実数で、1≦pow
    er≦2であり、 Σhは、h=1〜Mの和であり、Σkは、k=1〜Nの和
    である。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の画像改質処理方法にお
    いて、 前記二焦点レンズへの光の入射角の不均一により画像周
    辺部の受光量が減少するシェージングの影響を補正する
    ためのM行N列のシェージング補正行列Φの各要素Φ
    (s,t)の値をシェージング補正行列記憶手段に記憶
    しておき、 前記再生演算手段による処理を行った後に、シェージン
    グ補正手段により、前記シェージング補正行列記憶手段
    に記憶された各要素Φ(s,t)の値と前記被写体の行
    列Aの各要素A(s,t)の値とを用いて下式(3)に
    基づきシェージング補正を行った前記被写体の行列Ash
    の各要素Ash(s,t)を算出することを特徴とする画
    像改質処理方法。 Ash(s,t)=A(s,t)×Φ(s,t) ・・・・・・・・(3) ここで、sおよびtは自然数で、1≦s≦M、1≦t≦
    Nである。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の画像改質処理方法にお
    いて、 前記二焦点レンズへの光の入射角の不均一により画像周
    辺部の受光量が減少するシェージングの影響を補正する
    ためのM行N列のシェージング補正行列Φの各要素Φ
    (h,k)の値をシェージング補正行列記憶手段に記憶
    しておき、 前記再生演算手段による処理を行う前に、シェージング
    補正手段により、前記シェージング補正行列記憶手段に
    記憶された各要素Φ(h,k)の値と前記画像の出力信
    号の行列Zの各要素Z(h,k)の値とを用いて下式
    (4)に基づきシェージング補正を行った前記画像の出
    力信号の行列Zshの各要素Zsh(h,k)を算出し、得
    られたZsh(h,k)の値を新たなZ(h,k)として
    前記式(2)に基づく前記再生演算手段による処理に使
    用することを特徴とする画像改質処理方法。 Zsh(h,k)=Z(h,k)×Φ(h,k) ・・・・・・・・(4) ここで、hおよびkは自然数で、1≦h≦M、1≦k≦
    Nである。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の画像改
    質処理方法において、 前記式(2)に基づく前記再生演算手段による処理は、
    デジタルフィルタ回路により行われ、 このデジタルフィルタ回路には、前記画像の出力信号の
    行列Zの各要素Z(h,k)の値に前記畳み込み演算行
    列Qの各要素Q(x,y)の値を乗ずる複数の乗算回路
    と、これらの乗算回路からの出力信号を加算する複数の
    加算回路と、順次入力される各要素Z(h,k)の信号
    の流れの速度調整を行うための複数のディレイ回路とが
    含まれていることを特徴とする画像改質処理方法。
  5. 【請求項5】 二焦点レンズを構成する一方のレンズ部
    により形成されるピントの合った画像と、他方のレンズ
    部により形成されるピントのぼけた画像とが重なった画
    像から、ピントの合った画像を求める画像改質処理装置
    であって、 撮像素子の大きさをM画素×N画素とし、被写体の発す
    る光の明るさを示すM行N列の行列をAとし、前記被写
    体を前記二焦点レンズにより撮像して得られた画像の出
    力信号を示すM行N列の行列をZとしたとき、 下式(5)に基づき算出された畳み込み演算処理を行う
    ための(2M−1)行(2N−1)列の畳み込み演算行
    列Qの各要素Q(x,y)の値のうち少なくとも非零要
    素を含む行列部分の値を記憶する畳み込み演算行列記憶
    手段と、 この畳み込み演算行列記憶手段に記憶された各要素Q
    (x,y)のうちの少なくとも一部の値と前記画像の出
    力信号の行列Zの各要素Z(h,k)の値とを用いて下
    式(6)に基づき前記被写体の行列Aの各要素A(s,
    t)の値を算出する再生演算手段とを備えたことを特徴
    とする画像改質処理装置。 Q(x,y)=1/c−(W(0,0)−c)/cpower (x=0,y=0の場合) =−W(x,y)/cpower (x=0,y=0以外の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5) A(s,t)=ΣhΣkQ(s−h,t−k)Z(h,k) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6) ここで、xおよびyは整数で、(1−M)≦x≦(M−
    1)、(1−N)≦y≦(N−1)であり、 sおよびtは自然数で、1≦s≦M、1≦t≦Nであ
    り、 hおよびkは自然数で、1≦h≦M、1≦k≦Nであ
    り、 W(x,y)は、(2M−1)行(2N−1)列の行列
    Wの各要素の値であり、この行列Wは、端部を除く座標
    (m,n)で示される1点のみに輝点のある被写体を前
    記二焦点レンズで撮像したときに前記一方および前記他
    方のレンズ部により形成される画像の出力信号を示すM
    行N列の行列Zmnを、x=h−m、y=k−nを満たす
    座標(h,k)から座標(x,y)への座標変換で、W
    (0,0)=Zmn(m,n)となるように平行移動する
    ことにより、Zmn(h,k)のうちの非零要素を含む行
    列部分を前記行列Wの中央部に配置するとともに、前記
    中央部に配置された前記非零要素を含む行列部分の外側
    部分を零要素で埋めることにより構成され、 cは、比例係数で、前記二焦点レンズの全体面積に対す
    る前記一方のレンズ部の面積の比の値であり、 powerは、cのべき乗数となる実数で、1≦pow
    er≦2であり、 Σhは、h=1〜Mの和であり、Σkは、k=1〜Nの和
    である。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の画像改質処理装置にお
    いて、 前記二焦点レンズへの光の入射角の不均一により画像周
    辺部の受光量が減少するシェージングの影響を補正する
    ためのM行N列のシェージング補正行列Φの各要素Φ
    (s,t)の値を記憶するシェージング補正行列記憶手
    段と、 このシェージング補正行列記憶手段に記憶された各要素
    Φ(s,t)の値と前記再生演算手段による処理を行っ
    て得られた前記被写体の行列Aの各要素A(s,t)の
    値とを用いて下式(7)に基づきシェージング補正を行
    った前記被写体の行列Ashの各要素Ash(s,t)を算
    出するシェージング補正手段とを備えたことを特徴とす
    る画像改質処理装置。 Ash(s,t)=A(s,t)×Φ(s,t) ・・・・・・・・(7) ここで、sおよびtは自然数で、1≦s≦M、1≦t≦
    Nである。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の画像改質処理装置にお
    いて、 前記二焦点レンズへの光の入射角の不均一により画像周
    辺部の受光量が減少するシェージングの影響を補正する
    ためのM行N列のシェージング補正行列Φの各要素Φ
    (h,k)の値を記憶するシェージング補正行列記憶手
    段と、 このシェージング補正行列記憶手段に記憶された各要素
    Φ(h,k)の値と前記画像の出力信号の行列Zの各要
    素Z(h,k)の値とを用いて下式(8)に基づきシェ
    ージング補正を行った前記画像の出力信号の行列Zsh
    各要素Zsh(h,k)を算出し、得られたZsh(h,
    k)の値を新たなZ(h,k)として前記式(6)に基
    づく前記再生演算手段による処理に使用されるようにす
    るシェージング補正手段とを備えたことを特徴とする画
    像改質処理装置。 Zsh(h,k)=Z(h,k)×Φ(h,k) ・・・・・・・・(8) ここで、hおよびkは自然数で、1≦h≦M、1≦k≦
    Nである。
  8. 【請求項8】 請求項5〜7のいずれかに記載の画像改
    質処理装置において、 前記再生演算手段は、前記式(6)に基づく演算処理を
    行うデジタルフィルタ回路により構成され、 このデジタルフィルタ回路には、前記画像の出力信号の
    行列Zの各要素Z(h,k)の値に前記畳み込み演算行
    列Qの各要素Q(x,y)の値を乗ずる複数の乗算回路
    と、これらの乗算回路からの出力信号を加算する複数の
    加算回路と、順次入力される各要素Z(h,k)の信号
    の流れの速度調整を行うための複数のディレイ回路とが
    含まれていることを特徴とする画像改質処理装置。
  9. 【請求項9】 二焦点レンズを構成する一方のレンズ部
    により形成されるピントの合った画像と、他方のレンズ
    部により形成されるピントのぼけた画像とが重なった画
    像から、ピントの合った画像を求める画像改質処理装置
    として、コンピュータを機能させるためのプログラムで
    あって、 撮像素子の大きさをM画素×N画素とし、被写体の発す
    る光の明るさを示すM行N列の行列をAとし、前記被写
    体を前記二焦点レンズにより撮像して得られた画像の出
    力信号を示すM行N列の行列をZとしたとき、 下式(9)に基づき算出された畳み込み演算処理を行う
    ための(2M−1)行(2N−1)列の畳み込み演算行
    列Qの各要素Q(x,y)の値のうち少なくとも非零要
    素を含む行列部分の値を記憶する畳み込み演算行列記憶
    手段と、 この畳み込み演算行列記憶手段に記憶された各要素Q
    (x,y)のうちの少なくとも一部の値と前記画像の出
    力信号の行列Zの各要素Z(h,k)の値とを用いて下
    式(10)に基づき前記被写体の行列Aの各要素A
    (s,t)の値を算出する再生演算手段とを備えたこと
    を特徴とする画像改質処理装置として、コンピュータを
    機能させるためのプログラム。 Q(x,y)=1/c−(W(0,0)−c)/cpower (x=0,y=0の場合) =−W(x,y)/cpower (x=0,y=0以外の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(9) A(s,t)=ΣhΣkQ(s−h,t−k)Z(h,k) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(10) ここで、 xおよびyは整数で、(1−M)≦x≦(M−1)、
    (1−N)≦y≦(N−1)であり、 sおよびtは自然数で、1≦s≦M、1≦t≦Nであ
    り、 hおよびkは自然数で、1≦h≦M、1≦k≦Nであ
    り、 W(x,y)は、(2M−1)行(2N−1)列の行列
    Wの各要素の値であり、この行列Wは、端部を除く座標
    (m,n)で示される1点のみに輝点のある被写体を前
    記二焦点レンズで撮像したときに前記一方および前記他
    方のレンズ部により形成される画像の出力信号を示すM
    行N列の行列Zmnを、x=h−m、y=k−nを満たす
    座標(h,k)から座標(x,y)への座標変換で、W
    (0,0)=Zmn(m,n)となるように平行移動する
    ことにより、Zmn(h,k)のうちの非零要素を含む行
    列部分を前記行列Wの中央部に配置するとともに、前記
    中央部に配置された前記非零要素を含む行列部分の外側
    部分を零要素で埋めることにより構成され、 cは、比例係数で、前記二焦点レンズの全体面積に対す
    る前記一方のレンズ部の面積の比の値であり、 powerは、cのべき乗数となる実数で、1≦pow
    er≦2であり、 Σhは、h=1〜Mの和であり、Σkは、k=1〜Nの和
    である。
  10. 【請求項10】 二焦点レンズを構成する一方のレンズ
    部により形成されるピントの合った画像と、他方のレン
    ズ部により形成されるピントのぼけた画像とが重なった
    画像から、ピントの合った画像を求める画像改質処理で
    使用されるデータを記録したコンピュータ読取り可能な
    データ記録媒体であって、 撮像素子の大きさをM画素×N画素とし、被写体の発す
    る光の明るさを示すM行N列の行列をAとし、前記被写
    体を前記二焦点レンズにより撮像して得られた画像の出
    力信号を示すM行N列の行列をZとしたとき、 行列Zから行列Aを算出するために用いる行列として下
    式(11)に基づき算出された畳み込み演算処理を行う
    ための(2M−1)行(2N−1)列の畳み込み演算行
    列Qの各要素Q(x,y)の値のうち少なくとも非零要
    素を含む行列部分の値を記録したコンピュータ読取り可
    能なデータ記録媒体。 Q(x,y)=1/c−(W(0,0)−c)/cpower (x=0,y=0の場合) =−W(x,y)/cpower (x=0,y=0以外の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(11) ここで、 xおよびyは整数で、(1−M)≦x≦(M−1)、
    (1−N)≦y≦(N−1)であり、 W(x,y)は、(2M−1)行(2N−1)列の行列
    Wの各要素の値であり、この行列Wは、端部を除く座標
    (m,n)で示される1点のみに輝点のある被写体を前
    記二焦点レンズで撮像したときに前記一方および前記他
    方のレンズ部により形成される画像の出力信号を示すM
    行N列の行列Zmnを、x=h−m、y=k−nを満たす
    座標(h,k)から座標(x,y)への座標変換で、W
    (0,0)=Zmn(m,n)となるように平行移動する
    ことにより、Zmn(h,k)のうちの非零要素を含む行
    列部分を前記行列Wの中央部に配置するとともに、前記
    中央部に配置された前記非零要素を含む行列部分の外側
    部分を零要素で埋めることにより構成され、 cは、比例係数で、前記二焦点レンズの全体面積に対す
    る前記一方のレンズ部の面積の比の値であり、 powerは、cのべき乗数となる実数で、1≦pow
    er≦2であり、 hおよびkは自然数で、1≦h≦M、1≦k≦Nであ
    り、 mおよびnは自然数で、1≦m≦M、1≦n≦Nである
    が、被写体端部のm=1、m=M、n=1、およびn=
    Nの近傍の点は除かれる。
  11. 【請求項11】 二焦点レンズを構成する一方のレンズ
    部により形成されるピントの合った画像と、他方のレン
    ズ部により形成されるピントのぼけた画像とが重なった
    画像から、ピントの合った画像を求める画像改質処理方
    法であって、 被写体を前記二焦点レンズにより撮像して得られた画像
    の出力信号を撮像素子から引き出して出力信号記憶手段
    に記憶した後、 この出力信号記憶手段に記憶した前記撮像素子の各画素
    の出力信号をQ画素×Q画素の単位画面分だけ取り出し
    てから、ディスクリート・コサイン変換処理手段によ
    り、これらの取り出した信号レベルSxyについて下式
    (12)に基づきディスクリート・コサイン変換処理を
    行うことにより各空間周波数に対応した信号レベルSF
    uvを求め、 続いて、ピンぼけ画像消去処理手段により、前記ディス
    クリート・コサイン変換処理を行って得られたSF uv
    うちゼロの成分SF 00の値に、前記二焦点レンズの全体
    面積に対するピントの合った画像を形成する前記一方の
    レンズ部の面積の割合を乗じ、この乗算により得られた
    値を新たなSF 00の値とし、 その後、量子化処理手段により、前記ピンぼけ画像消去
    処理手段による処理後の信号レベルSF uvについて量子
    化処理を行い、 さらに、符号化処理手段により、前記量子化処理手段に
    よる処理で得られた量子化データを符号化し、 前記ディスクリート・コサイン変換処理手段、前記ピン
    ぼけ画像消去処理手段、前記量子化処理手段、および前
    記符号化処理手段による各処理を、区画された全ての画
    面について繰り返すことを特徴とする画像改質処理方
    法。 SF uv=(1/4)×CuvΣxΣyxy ×cos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16]・・(12) ここで、uおよびvは整数で、0≦u≦(Q−1)、0
    ≦v≦(Q−1)、但し、Qは2以上の整数、 Σxはx=0〜(Q−1)の和、Σyはy=0〜(Q−
    1)の和である。
  12. 【請求項12】 二焦点レンズを構成する一方のレンズ
    部により形成されるピントの合った画像と、他方のレン
    ズ部により形成されるピントのぼけた画像とが重なった
    画像から、ピントの合った画像を求める画像改質処理装
    置であって、 被写体を前記二焦点レンズにより撮像して得られた画像
    の出力信号を撮像素子から引き出して記憶する出力信号
    記憶手段と、 この出力信号記憶手段に記憶した前記撮像素子の各画素
    の出力信号をQ画素×Q画素の単位画面分だけ取り出し
    てこれらの取り出した信号レベルSxyについて下式(1
    3)に基づきディスクリート・コサイン変換処理を行う
    ことにより各空間周波数に対応した信号レベルSF uv
    求めるディスクリート・コサイン変換処理手段と、 このディスクリート・コサイン変換処理手段による処理
    で得られたSF uvのうちゼロの成分SF 00の値に、前記二
    焦点レンズの全体面積に対するピントの合った画像を形
    成する前記一方のレンズ部の面積の割合を乗じ、この乗
    算により得られた値を新たなSF 00の値とするピンぼけ
    画像消去処理手段と、 このピンぼけ画像消去処理手段による処理後の信号レベ
    ルSF uvについて量子化処理を行う量子化処理手段と、 この量子化処理手段による処理で得られた量子化データ
    を符号化する符号化処理手段とを備えたことを特徴とす
    る画像改質処理装置。 SF uv=(1/4)×CuvΣxΣyxy ×cos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16]・・(13) ここで、 uおよびvは整数で、0≦u≦(Q−1)、0≦v≦
    (Q−1)、但し、Qは2以上の整数、 Σxはx=0〜(Q−1)の和、Σyはy=0〜(Q−
    1)の和である。
  13. 【請求項13】 二焦点レンズを構成する一方のレンズ
    部により形成されるピントの合った画像と、他方のレン
    ズ部により形成されるピントのぼけた画像とが重なった
    画像から、ピントの合った画像を求める画像改質処理装
    置として、コンピュータを機能させるためのプログラム
    であって、 被写体を前記二焦点レンズにより撮像して得られた画像
    の出力信号を撮像素子から引き出して記憶する出力信号
    記憶手段と、 この出力信号記憶手段に記憶した前記撮像素子の各画素
    の出力信号をQ画素×Q画素の単位画面分だけ取り出し
    てこれらの取り出した信号レベルSxyについて下式(1
    4)に基づきディスクリート・コサイン変換処理を行う
    ことにより各空間周波数に対応した信号レベルSF uv
    求めるディスクリート・コサイン変換処理手段と、 このディスクリート・コサイン変換処理手段による処理
    で得られたSF uvのうちゼロの成分SF 00の値に、前記二
    焦点レンズの全体面積に対するピントの合った画像を形
    成する前記一方のレンズ部の面積の割合を乗じ、この乗
    算により得られた値を新たなSF 00の値とするピンぼけ
    画像消去処理手段と、 このピンぼけ画像消去処理手段による処理後の信号レベ
    ルSF uvについて量子化処理を行う量子化処理手段と、 この量子化処理手段による処理で得られた量子化データ
    を符号化する符号化処理手段とを備えたことを特徴とす
    る画像改質処理装置として、コンピュータを機能させる
    ためのプログラム。 SF uv=(1/4)×CuvΣxΣyxy ×cos[(2x+1)uπ/16]cos[(2y+1)vπ/16]・・(14) ここで、uおよびvは整数で、0≦u≦(Q−1)、0
    ≦v≦(Q−1)、但し、Qは2以上の整数、 Σxはx=0〜(Q−1)の和、Σyはy=0〜(Q−
    1)の和である。
  14. 【請求項14】 二焦点レンズを構成する一方のレンズ
    部により形成されるピントの合った画像と、他方のレン
    ズ部により形成されるピントのぼけた画像とが重なった
    画像から、ピントの合った画像を求める画像改質処理方
    法であって、 撮像素子の大きさをM画素×N画素とし、被写体を前記
    二焦点レンズにより撮像して得られた画像の座標(h,
    k)の出力信号値をZ(h,k)としたとき、 下式(15)に基づき座標(h,k)を中心とするQ画
    素×Q画素の単位画面内での各出力信号値Z(h,k)
    の移動平均値Zmean(h,k)を算出するとともに、 算出した前記移動平均値Zmean(h,k)を用いて下式
    (16)に基づきZ(h,k)を画像改質処理して得ら
    れる信号値Znew(h,k)を算出することを特徴とす
    る画像改質処理方法。 Zmean(h,k)={ΣxΣyZ(h+x,k+y)}/Q2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(15) Znew(h,k) =k×{Z(h,k)−Zmean(h,k)×(1−c)}/c ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(16) ここで、 Qは、3以上の奇数の自然数であり、 hおよびkは、自然数で、1≦h≦M、1≦k≦Nであ
    り、 xおよびyは、整数で、(1−Q)/2≦x≦(Q−
    1)/2、(1−Q)/2≦y≦(Q−1)/2であ
    り、 Σxは、x=(1−Q)/2〜(Q−1)/2の和、Σy
    は、y=(1−Q)/2〜(Q−1)/2の和であり、 cは、比例係数で、前記二焦点レンズの全体面積に対す
    る前記一方のレンズ部の面積の比の値であり、 kは、正規化係数であり、Znew(h,k)の最大値を
    1にするための値である。
  15. 【請求項15】 二焦点レンズを構成する一方のレンズ
    部により形成されるピントの合った画像と、他方のレン
    ズ部により形成されるピントのぼけた画像とが重なった
    画像から、ピントの合った画像を求める画像改質処理装
    置であって、 撮像素子の大きさをM画素×N画素とし、被写体を前記
    二焦点レンズにより撮像して得られた画像の座標(h,
    k)の出力信号値をZ(h,k)としたとき、下式(1
    7)に基づき座標(h,k)を中心とするQ画素×Q画
    素の単位画面内での各出力信号値Z(h,k)の移動平
    均値Zmean(h,k)を算出する移動平均算出手段と、 この移動平均算出手段により算出した前記移動平均値Z
    mean(h,k)を用いて下式(18)に基づきZ(h,
    k)を画像改質処理して得られる信号値Znew(h,
    k)を算出する画像補正手段とを備えたことを特徴とす
    る画像改質処理装置。 Zmean(h,k)={ΣxΣyZ(h+x,k+y)}/Q2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(17) Znew(h,k) =k×{Z(h,k)−Zmean(h,k)×(1−c)}/c ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(18) ここで、 Qは、3以上の奇数の自然数であり、 hおよびkは、自然数で、1≦h≦M、1≦k≦Nであ
    り、 xおよびyは、整数で、(1−Q)/2≦x≦(Q−
    1)/2、(1−Q)/2≦y≦(Q−1)/2であ
    り、 Σxは、x=(1−Q)/2〜(Q−1)/2の和、Σy
    は、y=(1−Q)/2〜(Q−1)/2の和であり、 cは、比例係数で、前記二焦点レンズの全体面積に対す
    る前記一方のレンズ部の面積の比の値であり、 kは、正規化係数であり、Znew(h,k)の最大値を
    1にするための値である。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の画像改質処理装置
    において、 前記移動平均算出手段および前記画像補正手段は、デジ
    タルフィルタ回路を含んで構成されていることを特徴と
    する画像改質処理装置。
  17. 【請求項17】 二焦点レンズを構成する一方のレンズ
    部により形成されるピントの合った画像と、他方のレン
    ズ部により形成されるピントのぼけた画像とが重なった
    画像から、ピントの合った画像を求める画像改質処理装
    置として、コンピュータを機能させるためのプログラム
    であって、 撮像素子の大きさをM画素×N画素とし、被写体を前記
    二焦点レンズにより撮像して得られた画像の座標(h,
    k)の出力信号値をZ(h,k)としたとき、 下式(19)に基づき座標(h,k)を中心とするQ画
    素×Q画素の単位画面内での各出力信号値Z(h,k)
    の移動平均値Zmean(h,k)を算出する移動平均算出
    手段と、 この移動平均算出手段により算出した前記移動平均値Z
    mean(h,k)を用いて下式(20)に基づきZ(h,
    k)を画像改質処理して得られる信号値Znew(h,
    k)を算出する画像補正手段とを備えたことを特徴とす
    る画像改質処理装置として、コンピュータを機能させる
    ためのプログラム。 Zmean(h,k)={ΣxΣyZ(h+x,k+y)}/Q2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(19) Znew(h,k) =k×{Z(h,k)−Zmean(h,k)×(1−c)}/c ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(20) ここで、 Qは、3以上の奇数の自然数であり、 hおよびkは、自然数で、1≦h≦M、1≦k≦Nであ
    り、 xおよびyは、整数で、(1−Q)/2≦x≦(Q−
    1)/2、(1−Q)/2≦y≦(Q−1)/2であ
    り、 Σxは、x=(1−Q)/2〜(Q−1)/2の和、Σy
    は、y=(1−Q)/2〜(Q−1)/2の和であり、 cは、比例係数で、前記二焦点レンズの全体面積に対す
    る前記一方のレンズ部の面積の比の値であり、 kは、正規化係数であり、Znew(h,k)の最大値を
    1にするための値である。
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