JP2003306754A - めっき鋼板ならびにその製造方法 - Google Patents

めっき鋼板ならびにその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的安価なプロセスで、従来技術では実現
できない優れたプレス成形性と塗装後鮮映性を兼ね備え
た亜鉛めっき鋼板を提供する。 【解決手段】 めっき鋼板の表面に平均粒径1μm以上の
金属酸化物粒子または金属粒子が埋め込まれてなること
を特徴とするめっき鋼板。前記鋼板は表面の算術平均う
ねりWaが0.6μm以下である。前記鋼板は、めっき鋼板の
表面に平均粒径1μm以上の金属酸化物粒子または金属粒
子を投射してその表面に前記金属酸化物粒子または金属
粒子を固定し、または押し込み、しかる後に圧延ロール
で圧延して、前記金属酸化物粒子または金属粒子を前記
めっき鋼板の表面に埋め込むことで製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用途等に用
いられるプレス成形性と塗装後鮮映性に優れた亜鉛めっ
き鋼板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車部品分野では、防錆性能の向上と
材料の世界調達性などの観点から、合金化処理を伴わず
めっきの厚め付けが可能な溶融亜鉛めっき鋼板(以下、
GIと呼ぶ)の需要の増加が予想されている。この分野で
プレス成形に使用される鋼板では、プレス成形時に割れ
や型かじりを起こさない摺動特性と塗装後の鮮映性に優
れた製品設計が大変重要視されている。そのため、自動
車用GIでもプレス成形性と塗装後鮮映性の確保が重要な
課題になっている。
【0003】プレス成形における型かじりは、摺動によ
って生じる鋼板表面の新生面が、金型と局所的に凝着す
ることに起因して発生する。めっき皮膜が主としてη相
から構成されるGIの場合、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
(以下、GAと呼ぶ)に較べてめっき皮膜が柔らかく、か
つ、その融点も低いために凝着が発生しやすい。そのた
め、自動車用GIでは安定したプレス成型を行うための対
策が特に重要になっている。
【0004】鋼板のプレス割れや型かじりを防止する対
策としては、鋼板表面に潤滑油の保持性の高い凹凸形態
(以下、表面テクスチャーと呼ぶ)を形成する方法が知
られている。例えば、特開2001−247950号公報には、放
電ダル加工したロールを用いた調質圧延などによって、
めっき表面の算術平均粗さRaを1.0μm以上にし、更に、
1インチ当たりの突起の数PPIを80〜250にすることによ
ってGIのプレス成形性を改善する技術が開示されてい
る。
【0005】表層に鉄系めっきや酸化物、Ni化合物、P
化合物等の境界潤滑作用を有する皮膜を形成する方法も
プレス成形性の改善に効果的であることが知られてい
る。
【0006】例えば、特開昭53-60332号公報や特開平2-
190483号公報には、亜鉛系めっき鋼板の表面に電界処
理、浸漬処理、塗布酸化処理、または加熱処理を施すこ
とにより、亜鉛酸化物を主体とする酸化膜を形成させて
溶接性や加工性を向上させる技術が開示されている。
【0007】特開平4-88196号公報には、亜鉛系めっき
鋼板の表面に、浸漬処理、電解処理、または塗布処理を
施すことにより、P酸化物を主体とする酸化膜を形成し
てプレス成形性及び化成処理性を向上させる技術が開示
されている。
【0008】特開平3-191093号公報には、亜鉛系めっき
鋼板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布処理、塗布酸化
処理、または加熱処理によって、Ni酸化物を生成させる
ことにより、プレス成形性および化成処理性を向上させ
る技術が開示されている。
【0009】この他、特開2000-73183号公報、特開2000
-160358号公報、特開2000-328220号公報、特開平9-1114
73号公報などにもこれらと同様の技術が開示されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】めっき皮膜が柔らかい
GIの場合、プレスによって表面テクスチャーが潰されや
すく、めっき皮膜の変形抵抗も周辺温度によって変化し
やすい。そのため、圧延法などの一般的な技術で表面テ
クスチャーを付与しても、安定したプレス成形は実現し
がたい。また、圧延法で一定値以上の算術平均粗さRaを
付与してプレス成形性を確保しようとすると、塗装後の
鮮映性を劣化させる表面のうねり成分を抑制するのが困
難になる。
【0011】めっき鋼板の表層に境界潤滑作用を有する
皮膜を形成する方法では、プレス割れや型かじりの抑制
効果が潤滑皮膜の膜厚に依存する。一般に、膜厚が大き
くなると摺動抵抗の低減効果も大きくなるが、これに伴
ってプレス成形の後工程、例えば、化成処理や電着塗装
などの工程に、潤滑皮膜の存在に起因する処理ムラなど
が発生する危険性も増大する。そのため、潤滑皮膜の膜
厚は、高々数100nm以下に設定するのが一般的である
が、このような薄い潤滑皮膜はプレス成形時に破壊を免
れないため、加工が厳しい部分でのプレス割れの抑制効
果をさほど大きく出来ない点に課題がある。また、この
技術では、塗装後鮮映性について全く考慮されていな
い。
【0012】以上述べたように、安定したプレス成形性
と優れた塗装後鮮映性をGIに付与する技術は未だ開発途
上であり、革新的な技術は知られていないのが現状であ
る。
【0013】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、比較的安価なプロセスで、従来技術では実現
できない優れたプレス成形性と塗装後鮮映性を兼ね備え
た亜鉛めっき鋼板を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、GIに安定
したプレス成形性と優れた塗装後鮮映性を付与できて、
プレス成形の後工程への弊害も生じない皮膜設計につい
て鋭意研究を重ねた。その結果、(i)境界潤滑作用を有
する物質を、皮膜としてではなく、粒子としてプレス金
型と接触するめっき表面の極近傍に埋め込むことで優れ
たプレス成形性を確保できること、(ii)この際、境界潤
滑作用を有する粒子の成分を、めっき皮膜中に元来含ま
れるものやプレス成形の後工程に悪影響を及ぼさないも
のにすることでプレス成形の後工程への弊害も抑制でき
ること、(iii)ロール面で上記粒子を埋め込む方法を採
用すれば鋼板表面のうねり成分も抑制できるため、優れ
た塗装後鮮映性も確保できること、を見出した。
【0015】本発明は、この知見に基づいてなされたも
のであり、その要旨は以下の通りである。
【0016】(1)めっき鋼板の表面に平均粒径1μm以上
の金属酸化物粒子または金属粒子が埋め込まれてなるこ
とを特徴とするめっき鋼板。
【0017】(2)表面の算術平均うねりWaが0.6μm以下
であることを特徴とする前記(1)記載のめっき鋼板。
【0018】(3)めっき鋼板の表面に平均粒径1μm以上
の金属酸化物粒子または金属粒子を投射してその表面に
前記金属酸化物粒子または金属粒子を固定し、または押
し込み、しかる後に圧延ロールで圧延して、前記金属酸
化物粒子または金属粒子を前記めっき鋼板の表面に埋め
込むことを特徴とするめっき鋼板の製造方法。
【0019】(4)前記(3)において、圧延ロールで圧延し
て、めっき鋼板表面の算術平均うねりWaを0.6μm以下に
調整することを特徴とするめっき鋼板の製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】既に説明した通り、境界潤滑作用
を有する皮膜をめっき表面に形成する方法では、化成処
理や電着塗装などのプレス成形の後工程への悪影響を抑
制するため、潤滑皮膜の膜厚を高々数100nm以下に設定
する必要がある。しかし、潤滑皮膜の膜厚を数100nm以
下のレベルまで下げるとプレス割れを抑制できないとい
うケースが現実には多々存在する。
【0021】本発明者らの研究によると、プレス成形性
を改善するには、めっき皮膜と金型が接触する面積を減
少し、且つ摺動距離を短く分断することが有効であり、
係る観点から、境界潤滑作用を有する粒子をプレス金型
と接触するめっき表面の極近傍に適量埋め込むとプレス
成形性を大きく改善することができる。この点に注目し
て境界潤滑作用を有する物質を皮膜から微粒子に変え、
粒径数100nm以上の微粒子をめっき面に均一に埋め込む
ことで、めっき皮膜が金型と接触する面積を減少かつ分
散させて凝着を抑制できないか検討した。表面から見た
前記微粒子の占める面積率が50%程度になるまで境界潤
滑作用を有する微粒子をほぼ均一に埋め込んでプレス成
形性を調査した結果、微粒子の平均粒径を1μm以上にす
れば、潤滑皮膜を形成する方法と同程度の潤滑性が得ら
れ、加工が厳しい部分でのプレス割れに関しては潤滑皮
膜を凌ぐ改善効果が得られることがわかった。
【0022】このような境界潤滑作用を有する微粒子
は、化成処理や電着塗装などのプレス成形の後工程で処
理液の汚染源になるようなものであってはならない。こ
うした観点から、Fe系、Zn系、Al系の酸化物やFeを主成
分とする金属粒子が望ましいが、プレス成形の後工程に
悪影響をもたらすものでなければ、他の金属成分や金属
系酸化物を含む微粒子であっても構わない。尚、前記微
粒子の種類と埋め込み量を調整すれば、この方法によっ
て連続溶接性などの特性も改善できる。
【0023】自動車用途のめっき鋼板では、プレス成形
性と共に塗装後鮮映性が大変重要視されている。塗装後
鮮映性は主にめっき鋼板表面のうねり成分に依存する。
特公平6-75728号公報によれば、塗装膜自体が鋼板表面
の微視的凹凸に対するローパス・フィルターとして作用
するため、短周期の凹凸は塗膜によって埋められ、塗装
後の鮮映性に影響を与えないものの、波長数100μm以上
の長周期成分は塗装によっても隠蔽されずに、鮮映性を
悪化させるとされている。このような長周期成分は、JI
S-B0601(2001)等に規定された算術平均うねりWaで表す
ことができる。
【0024】本発明者らの研究によると、粗さ成分とう
ねり成分を識別するための高域カットオフ値を0.8mmと
した時のめっき鋼板表面の算術平均うねりWaを0.8μm以
下に調整すると塗装後も比較的良好な鮮映性を確保する
ことができ、算術平均うねりWaを0.6μm以下に調整する
と極めて良好な塗装後鮮映性を確保することができる。
【0025】尚、以上では、プレス成形性ならびに塗装
後鮮映性に優れたGIを得るための構造上の要件に関して
説明を行ったが、このような構造上の要件を満たせば電
気亜鉛めっき鋼板でも同様の効果が得られる。
【0026】次に、本発明に係わる亜鉛めっき鋼板の製
造方法について説明する。前記で規定した亜鉛めっき鋼
板を製造する方法としては、ショットブラスト装置を利
用して、めっき表面にほぼ均一に微粒子を投射・固定し
た後、表面が平滑なロールで圧延して、これを亜鉛めっ
き鋼板表面に埋め込み、同時に、その表面の算術平均う
ねりWaを0.6μm以下に調整する方法が最適である。
【0027】本発明のベースとなる亜鉛めっき鋼板とし
ては、めっき皮膜が主としてη相からなる亜鉛めっき鋼
板が好適である。溶融亜鉛めっき鋼板(GI)あるいは電
気亜鉛めっき鋼板が一般的であるが、機械的に亜鉛皮膜
を付与した、例えば、投射めっきした鋼板でも構わな
い。また、機械的性質を調整するために調質圧延を施し
たものでも、未調圧のものでも良い。更に、クロメート
処理などの後処理を施したものを使用しても構わない。
【0028】以上のような亜鉛めっき鋼板の表面に投射
する微粒子は、平均粒径が1μm〜めっき厚さ程度のもの
が好適である。投射装置としては、圧縮空気によって固
体粒子を加速させる空気式のショットブラスト装置、あ
るいは、遠心力によって固体粒子を加速させる機械式の
加速装置を用いてもよい。このような微粒子を、毎秒30
〜300mの投射速度で亜鉛めっき鋼板に一定時間投射する
ことで、亜鉛めっき鋼板の表面に微粒子を押し付け、も
しくは、食い込ませることができる。
【0029】微粒子の投射密度は0.1〜10kg/m2程度が適
当である。ここで投射密度とは、鋼板表面の単位面積当
たりに投射される粒子の重量をさす。投射密度を2kg/m2
以上とすることで、粒子を亜鉛めっき表面にほぼ隙間な
く打ち込むことができるが、粒子の多くは、めっき面に
固定されずに跳ね返るため、めっき表面に固定される微
粒子の密度は投射密度よりも一般に低くなる。この際、
投射後のめっき面には、微粒子が固定されずに跳ね返っ
た結果生じる窪みも共存し、表面が平滑な圧延ロールで
圧延してもその一部は平坦化されずに残る。このような
窪みは害にはならず、寧ろ、プレス成形時の潤滑油のポ
ケットとして機能するため、プレス成形性の改善に寄与
する。尚、亜鉛めっき鋼板の表面に固定されずに飛散し
た粒子を循環回収して再投射するシステムにすると効率
が良い。
【0030】微粒子の形状は、投射時の空力抵抗による
減速を抑制する点からは球形が望ましいが、めっき面へ
の食い込みを促進する点からは鋭角的形状、所謂、グリ
ット形状でも構わない。
【0031】微粒子としては、既に述べたFe系、Zn系、
Al系の酸化物やFeを主成分とする金属粒子のように、プ
レス成形の後工程に処理液の汚染等の悪影響を来たさな
いものであれば良く、この条件を満たすものであれば、
他の金属成分や金属系酸化物を含むものであっても構わ
ない。
【0032】投射後の微粒子を亜鉛めっき鋼板の表面に
押し込み、加えて、同表面の算術平均うねりWaを0.6μm
以下にするには、ロール表面が平滑なブライトロールで
圧延するのが最適である。但し、製造された亜鉛めっき
鋼板の表面テクスチャーの特徴が本発明を満足する限
り、その製造方法はこれに限定されるものではない。
【0033】
【実施例】<実施例1>板厚0.8mmの冷延鋼板に片面あた
りのめっき付着量が70g/m2の溶融亜鉛めっきを施してベ
ースとなる亜鉛めっき鋼板(以下、ベースめっき鋼板)
を作成した。この表面に空気式投射装置を用いて微粒子
を投射した後、圧縮空気を吹き付けながら固定されない
粒子を集塵機で回収した後に、材質調整のために行う調
質圧延を利用して、微粒子の埋め込みと表面の平滑化を
行って発明品を作成した。この際、調質圧延の伸長率は
0.8%とし、調質圧延用のロールにはロール表面の算術
平均粗さRaが0.28μmのブライトロールを用いた。微粒
子の表面被覆率は表面積の約40%とした。
【0034】微粒子の投射条件は以下の通りである。投
射には、平均粒径1μmの酸化亜鉛粒子、平均粒径4μmの
アルミナ粒子、平均粒径4μmφのSUS304粒子の3種類の
微粒子を用いた。いずれの粒子の場合も投射密度は4kg/
m2、投射速度は180m/sとし、投射ノズルからベースめっ
き鋼板までの距離は100mmとした。尚、調質圧延後のWa
はいずれの条件でも0.4μm前後であった。
【0035】作成した発明品のプレス成形性を調査する
ため、ベースめっき鋼板に放電ダルロールを用て伸長率
0.8%の調質圧延を行って算術平均粗さRa:1.44μmを付
与した亜鉛めっき鋼板1水準(以下、比較例1)、これ
に、第一リン酸アンモニウム水溶液(太平化学製、固形
分20%)とクエン酸鉄(関東化学製)をリン酸と鉄のモ
ル比が1:1になるように混合し、固形分が5%になるま
で希釈した水溶液をロールコータで塗布し、到達板温80
℃で乾燥させて形成したP系酸化物を51mg/m2塗布・乾燥
したもの1水準(以下、比較例2)を加えて、球頭張出し
成形における板厚減少率、円筒深絞り成形時の最大荷
重、平板摺動における摩擦係数を測定した。
【0036】球頭張出し成形試験では、100mm角に試験
片を加工し、50mmφの球頭パンチによって前記で得た各
亜鉛めっき鋼板を張出し成形した。この際、パンチ面に
は予め洗浄油(プレトン社製R352L)を塗布した。成形
性の評価は、パンチ面において亜鉛めっき鋼板に割れが
発生するまで成形を行い、割れが発生したパンチ面の近
傍の板厚減少率を測定することによって行った。この板
厚減少率が大きいほど張出し量を大きく取れる点でプレ
ス成形性に優れると判断した。
【0037】円筒深絞り成形試験では、直径100mmφに
試験片を加工し、パンチ寸法50mmφ、ダイス寸法53mmm
φの工具を用いて深絞り成形した。この際、しわ押さえ
力2tonfとし、予め亜鉛めっき鋼板には、上記の洗浄油
を塗布した。成形性の評価は、成形時の最大荷重を指標
とし、これが大きいほど優れたプレス成形性を示すと判
断した。
【0038】平板摺動試験では、スライドテーブル上に
固定した亜鉛めっき鋼板の表面に、押し付け荷重400kgf
でビード工具を押し付けながらスライドテーブルを20cm
/minで移動させて、亜鉛めっき鋼板とビードとの間にす
べりを与えて試験した。この時のビードの押し付け荷重
Nとスライドテーブルを移動させる力Fを、それぞれロー
ドセルを用いて測定し、その比(F/N)から摺動時の摩
擦係数を求めた。尚、鋼板のビード接触面には予め上記
の洗浄油を塗布した。ビードの鋼板接触面は幅10mm、摺
動方向長さ60mmの平面とした。このようにして求めた摩
擦係数は、主に、プレス成形時のパンチ面の摺動特性を
反映するため、この値が小さいほど同部分での摺動抵抗
が小さく、プレス成形時の破断等が生じにくいと判断し
た。
【0039】微粒子に、酸化亜鉛粒子、アルミナ粒子、
SUS304粒子を用いたものをそれぞれ発明例1、2、3と標
記して、比較例1、2と共に、球頭張出し成形における板
厚減少率、円筒深絞り成形時の最大荷重、平板摺動にお
ける摩擦係数を測定した結果を図1〜3に示した。
【0040】図1〜3に示したいずれの特性においても、
発明例は、比較例よりも格段に優れていることが明らか
である。
【0041】このように、発明品を用いれば、従来の亜
鉛めっき鋼板と比較して優れた摺動特性を備えた亜鉛め
っき鋼板を提供することができる。
【0042】<実施例2>実施例1に示した発明例1〜3と
比較例1、2に、実施例1のベースめっき鋼板に種々の調
質圧延を行った比較例を加えて、算術平均うねりWaと塗
装後鮮映性の関係を調査した。
【0043】まず、塗装後鮮映性の評価法について説明
する。日本パーカーライジング製のPB-L3080を使用し
て、試験片に化成処理を施し、次いで関西ペイント製の
El-2000、TP-37グレー、TM-13(RC)を使用して、それぞ
れED塗装、中塗り塗装、上塗り塗装からなる3コート塗
装を施した。このようにして塗装された試験片のNSIC値
を、スガ試験機製の写像鮮明度測定装置NSIC型を使用し
て測定した。なお、NSIC値は黒板研磨ガラスを100と
し、その値が100に近いほど良好な鮮映性となる。
【0044】発明例と比較例に対して得られた算術平均
うねりWaと塗装後鮮映性の関係を図4に示す。図から算
術平均うねりWaが小さくなるほど塗装後鮮映性が向上し
ており、この値が0.6μm以下であれば、極めて良好な塗
装後鮮映性を示し、発明例はいずれもこの範囲にあるこ
とが明らかである。
【0045】このように、本発明によれば、プレス成形
性に加え、塗装後鮮映性においても、従来よりも優れた
亜鉛めっき鋼板を提供することができる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、従来の亜鉛めっき鋼板
に較べて格段に優れたプレス成形性と塗装後の鮮映性を
備えた亜鉛めっき鋼板を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】球頭張出し成形における発明例と比較例の板厚
減少率を示す図である。
【図2】円筒深絞り成形における発明例と比較例の最大
荷重を示す図である。
【図3】平板摺動における発明例と比較例の摩擦係数を
示す図である。
【図4】発明例と比較例の算術平均うねりWaと塗装後の
鮮映性の関係を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 馨 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 木村 幸雄 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 植野 雅康 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 曽谷 保博 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 杉本 芳春 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 安藤 聡 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山崎 雄司 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K027 AA05 AA22 AB02 AB05 AB14 AB42 AC86 AC87 AD28 AE25

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき鋼板の表面に平均粒径1μm以上の
    金属酸化物粒子または金属粒子が埋め込まれてなること
    を特徴とするめっき鋼板。
  2. 【請求項2】 表面の算術平均うねりWaが0.6μm以下で
    あることを特徴とする請求項1記載のめっき鋼板。
  3. 【請求項3】 めっき鋼板の表面に平均粒径1μm以上の
    金属酸化物粒子または金属粒子を投射してその表面に前
    記金属酸化物粒子または金属粒子を固定し、または押し
    込み、しかる後に圧延ロールで圧延して、前記金属酸化
    物粒子または金属粒子を前記めっき鋼板の表面に埋め込
    むことを特徴とするめっき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、圧延ロールで圧延し
    て、めっき鋼板表面の算術平均うねりWaを0.6μm以下に
    調整することを特徴とするめっき鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006061952A (ja) * 2004-08-27 2006-03-09 Sumitomo Metal Ind Ltd 亜鉛めっき鋼板とその製造方法
JP2006077852A (ja) * 2004-09-08 2006-03-23 Jtekt Corp 転がり摺動部品

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