JP2003304868A - ポリペプチド含有基材 - Google Patents

ポリペプチド含有基材

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JP2003304868A
JP2003304868A JP2002114241A JP2002114241A JP2003304868A JP 2003304868 A JP2003304868 A JP 2003304868A JP 2002114241 A JP2002114241 A JP 2002114241A JP 2002114241 A JP2002114241 A JP 2002114241A JP 2003304868 A JP2003304868 A JP 2003304868A
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Tatsuya Osumi
辰也 大隅
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Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 細胞の接着性及び増殖性が高く、特に無血清
培地でも効率的に培養できる基材を提供すること。 【解決手段】 細胞接着シグナルを現す最小アミノ酸配
列を1分子中に少なくとも1個有するポリペプチド
(P)を含んでなり、かつ2級アミノ基(A1)、3級
アミノ基(A2)、アンモニオ基(A3)、ホスファチ
ジル基(A4)及びリゾホスファチジル基(A5)から
なる群より選ばれる少なくとも1つの官能基(A)、並
びに/又は糖(B1)及びステロイド環(B2)から選
ばれる少なくとも1つの構造(B)を有してなることを
特徴とするポリペプチド含有基材を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリペプチド含有
基材に関する。さらに詳しくは、細胞の接着・増殖性が
高く、特に、無血清培地を用いても、血清含有培地と同
等以上の接着・増殖性を与える動物細胞培養用のポリペ
プチド含有基材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Arg Gly Asp配列を有する遺伝子組換え
ペプチドであるプロネクチンF(以下、PnFと略す
る。)やポリ−L−リジンをコートした樹脂微粒子に対
する細胞接着性を、0.5%の血清を含有した培地を使
用して研究発表されている{バラニ(J.Varani),イン
マン(D.R.Inman),フリギール(S.E.G.Fligiel),ヒ
リガス(W.J.Hillegas)、サイトテクノロジー(Cytote
chnology)13,1993年、89-98頁)}。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この研究発表におい
て、PnFを0.005μg/cm2あるいは0.025
μg/cm2コートした場合、コートしない場合のそれ
ぞれ3倍又は5倍の細胞接着性を示すが、接着・増殖性
がさらに高いものが強く要望されている。一方、同研究
発表で、ポリ−L−リジンを0.5μg/cm2コートし
た場合に、コートしない場合の約41倍の細胞接着性を
示すが、この場合、細胞の伸展が遅いという問題があ
る。すなわち、本発明の目的は、動物細胞の接着性及び
増殖性が高く、特に無血清培地でも動物細胞の接着性及
び増殖性が高く、細胞を効率的に培養できる動物細胞培
養用基材を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を
重ね、特定のポリペプチドと特定の官能基及び/又は特
定の構造をその表面に配した基材を用いることにより、
初期の細胞付着性が高まり、かつ、増殖性が高くなるこ
とを見いだし本発明に到達した。すなわち、本発明のポ
リペプチド含有基材の特徴は、細胞接着シグナルを現す
最小アミノ酸配列を1分子中に少なくとも1個有するポ
リペプチド(P)を含んでなり、かつ2級アミノ基(A
1)、3級アミノ基(A2)、アンモニオ基(A3)、
ホスファチジル基(A4)及びリゾホスファチジル基
(A5)からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能
基(A)、並びに/又は糖(B1)及びステロイド環
(B2)から選ばれる少なくとも1つの構造(B)を有
してなる点を要旨とする。
【0005】
【発明の実施の形態】細胞接着シグナルを現わす最小ア
ミノ酸配列としては、接着シグナルとして働くものであ
ればいずれも使用でき、例えば、株式会社永井出版発行
「病態生理」Vol.9、No.7(1990)527
頁に記載されているもの等が使用できる。
【0006】これらのうち、接着する細胞の種類が多い
という点で、Arg Gly Asp配列、LeuAsp Val配列、Arg G
lu Asp Val配列(1)、Tyr Ile Gly Ser Arg配列
(2)、Pro Asp Ser Gly Arg配列(3)、Arg Tyr Val
Val Leu Pro Arg配列(4)、Leu Gly Thr Ile Pro Gl
y配列(5)、Arg Asn Ile Ala Glu Ile Ile Lys Asp I
le配列(6)、Ile Lys Val Ala Val配列(7)、Leu A
rg Glu配列、Asp Gly GluAla配列(8)及びHis Ala Va
l配列が好ましく、さらに好ましくはArg Gly Asp配列、
Ile Lys Val Ala Val配列(7)及びHis Ala Val配列で
ある。これらの配列は1種又は2種以上を組み合わせて
使用することができる。なお、アミノ酸配列はアミノ酸
3文字表記で現わし、( )内にアミノ酸配列表に対応
する配列番号を付記した。
【0007】ポリペプチド(P)中には前記最小アミノ
酸配列が1分子中に少なくとも1個含有される必要があ
る。前記最小アミノ酸配列を含有すると、細胞接着活性
が高まり、本来の機能を維持した状態で動物細胞の増殖
をさらに促進することが可能となる。一方、前記最小ア
ミノ酸配列が含有されない場合、細胞接着性が低下す
る。この結果、特に無血清培地を用いる場合に細胞の増
殖が不十分になる。
【0008】この最小アミノ酸配列の(P)1分子中の
含有量は、細胞接着・増殖性の観点から、1分子中3〜
50個が好ましく、さらに好ましくは5〜40個、特に
好ましくは10〜30個である。含有量がこの範囲であ
ると、細胞接着活性がさらに高まり、本来の機能を維持
した状態で動物細胞の増殖を促進することが容易となり
やすい傾向にある。
【0009】ポリペプチド(P)の数平均分子量(以
下、Mnと略する)は、細胞に対する毒性が低く、接着
性能が高いという点で、5,000以上が好ましく、さ
らに好ましくは10,000以上、特に好ましくは5
0,000以上である。また5,000,000以下が
好ましく、さらに好ましくは1,000,000以下、
特に好ましくは500,000以下である。なお、ポリ
ペプチド(P)の(Mn)は、SDS−PAGE法(N
aドデシルスルフェイト−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動法)で、(P)を水中で展開し、泳動距離を標準物
質と比較することによって求められる。
【0010】ポリペプチド(P)は、細胞接着シグナル
を現わす最小アミノ酸配列以外に、(P)の熱安定性が
高まるアミノ酸配列、例えばシルクフィブロイン由来の
GlyAla Gly Ala Gly Ser配列(9)を少なくとも2個、
分子中に有することが好ましく、このアミノ酸配列を5
個以上有することがさらに好ましく、3〜30個有する
ことが特に好ましい。
【0011】ポリペプチド(P)としては、例えば、
(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(10)とArg Gly
Asp配列とを有するポリペプチド、(Gly Ala Gly Ala G
ly Ser)9配列(10)とTyr Ile Gly Ser Arg配列
(2)とを有するポリペプチド、(Gly Ala Pro (Gly P
ro Pro)42配列(11)とArg Gly Asp配列とを有する
ポリペプチド、(Gly Ala Pro (Gly Pro Pro)42配列
(11)とTyr Ile Gly Ser Arg配列(2)とを有する
ポリペプチド、及び(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列
(10)とIle Lys Val Ala Val配列(7)とを有する
ポリペプチド(特表平3−502935号公報)等が挙
げられる。
【0012】ポリペプチド(P)として市場から入手で
きるものとしては、例えば、三洋化成工業(株)製プロ
ネクチンF(遺伝子組替大腸菌により製造され、1分子
中にArg Gly Asp配列と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9
配列(10)とを各々約13個有する(Mn)約11万
のポリペプチド)、同プロネクチンFプラス(プロネク
チンFをジメルアミノエチルクロライドと反応させて水
溶性にしたもの)、同プロネクチンL(遺伝子組替大腸
菌により製造され、1分子中にIle Lys Val Ala Val配
列(7)と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(10)
とを各々約7個有する(Mn)約9万のポリペプチド)
等が挙げられる。
【0013】また、宝酒造(株)製RetroNect
in(リコンビナントヒトフィブロネクチンCH−29
6){ヒトフィブロネクチン細胞接着シグナルであるC
S1シグナルと細胞接着ドメインTypeIII及びヘ
パリン結合ドメインIIを1つずつ有する(Mn)約6
万のポリペプチド}、同RGDS−ProteinA
{Arg Gly Asp配列をProtein A(IgG結合ド
メイン)に挿入した(Mn)約3万のポリペプチド}も
ポリペプチド(P)として使用可能である。
【0014】ポリペプチド(P)の製造方法は特に制限
されず、ペプチドを合成する従来既知の方法と同様にし
て製造することができ、例えば、有機合成法(固相合成
法、液相合成法等)及び生化学的合成法[遺伝子組換微
生物(酵母、細菌、大腸菌等)]等によって合成するこ
とができる。
【0015】有機合成法に関しては、例えば、日本生化
学学会編「続生化学実験講座2、タンパク質の化学
(下)」第641〜694頁(昭和62年5月20日;
株式会社東京化学同人発行)に記載されている方法等が
用いられる。
【0016】生化学的合成法に関しては、例えば、特表
平3−502935号公報に記載されている方法等が用
いられる。高分子量のポリペプチド(P)を容易に合成
できる点で、遺伝子組換微生物による生化学的合成法が
好ましく、特に好ましくは遺伝子組換大腸菌を用いて合
成する方法である。
【0017】ポリペプチド(P)は、その全て又は一部
が基材表面に存在していることが好ましく、さらに好ま
しくは(P)の全てが基材表面に存在していることであ
る。なお、基材表面とは、基材が容器状の場合、容器内
に培養液を入れた場合に培養液が接し得る面を意味し、
基材が粒子状の場合、基材を培養液中に入れた場合に培
養液が接触し得る面を意味する。
【0018】基材表面のポリペプチド(P)の量(μg
/cm2)としては、細胞の接着・増殖性の観点から、
基材の表面積1cm2当り0.1以上が好ましく、さらに
好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.3以上であ
る。また経済性の観点から、100以下が好ましく、さ
らに好ましくは50以下、特に好ましくは10以下であ
る。なお、基材表面のポリペプチド(P)の量は、通常
のタンパク量測定試薬(例えば、ピアスケミカル社製B
CA蛋白試薬等)で測定することができる。また、基材
の表面積は、基材が容器状の場合は、この基材表面の形
状から算出でき、基材が球状粒子の場合は、その平均粒
子径及び密度から計算でき[粒子径;2r(μm)、密
度;d(g/cm3)のとき、表面積(cm2/g)は、
4πr2/(4/3πr3・d)=3/(rd)]、多孔質の粒
子状の場合、BET値比表面積計(例えば、商品名:Q
UANTASORB、ユアサアイオニクス社製、測定ガ
ス:He/Kr=99.9/0.1体積%、検量ガス:
窒素)で定量できる。
【0019】2級アミノ基(A1)としては、脂肪族ア
ミノ基、芳香族アミノ基、−NHCH2−で表される基
及び−C(=NH)−で表される基等が使用できる。こ
れらの炭素数は1〜16が好ましく、さらに好ましくは
1〜12、特に好ましくは1〜6である。
【0020】脂肪族アミノ基としては、メチルアミノ
基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ
基、シクロヘキシルアミノ基、2−エチルヘキシルアミ
ノ基、ドデシルアミノ基、ヘキサデシルアミノ基、ベン
ジルアミノ基及び2−フェニルエチルアミノ基等が挙げ
られる。
【0021】芳香族アミノ基としては、フェニルアミノ
基(アニリノ基)、4−メチルフェニルアミノ基(4−
メチルアニリノ基)及びナフチルアミノ基等が挙げられ
る。これらのうち、脂肪族アミノ基、−NHCH2−で
表される基及び−C(=NH)−で表される基が好まし
く、さらに好ましくはメチルアミノ基、エチルアミノ
基、プロピルアミノ基、−NHCH2−で表される基及
び−C(=NH)−で表される基、特に好ましくは−N
HCH2−で表される基及び−C(=NH)−で表され
る基である。
【0022】3級アミノ基(A2)としては、脂肪族ア
ミノ基、芳香族アミノ基、−N(CH2−OH)CH2
又は−N(CH3)CH2−で表される基等が使用でき
る。これらの炭素数は2〜32が好ましく、さらに好ま
しくは2〜24、特に好ましくは2〜12である。
【0023】脂肪族アミノ基としては、ジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ジイ
ソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキ
シルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジヘキサデシルア
ミノ基及びジベンジルアミノ基等が挙げられる。
【0024】芳香族アミノ基としては、ジフェニルアミ
ノ基及びジナフチルアミノ基等が挙げられる。 これら
のうち、脂肪族アミノ基、−N(CH2−OH)CH2
又は−N(CH3)CH2−で表される基が好ましく、さ
らに好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ
基、ジプロピルアミノ基及び−N(CH2−OH)CH2
−又は−N(CH3)CH2−で表される基、特に好まし
くはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及び−N(C
2−OH)CH2−又は−N(CH3)CH2−で表され
る基である。
【0025】アンモニオ基(A3)としては、脂肪族ア
ンモニオ基、芳香族アンモニオ基、>C=N+=C<で
表される基及び−CH2N(CH32CH2−で表される
基等が使用できる。これらの炭素数は1〜48が好まし
く、さらに好ましくは2〜36、特に好ましくは2〜1
8である。
【0026】脂肪族アンモニオ基としては、メチルアン
モニオ基、エチルアンモニオ基、プロピルアンモニオ
基、ブチルアンモニオ基、シクロヘキシルアンモニオ
基、2−エチルヘキシルアンモニオ基、ドデシルアンモ
ニオ基、ヘキサデシルアンモニオ基、ベンジルアンモニ
オ基、2−フェニルエチルアンモニオ基、ジメチルアン
モニオ基、ジエチルアンモニオ基、メチルプロピルアン
モニオ基、ジイソプロピルアンモニオ基、ジブチルアン
モニオ基、ジシクロヘキシルアンモニオ基、ジドデシル
アンモニオ基、ジヘキサデシルアンモニオ基、ジベンジ
ルアンモニオ基、トリメチルアンモニオ基、トリエチル
アンモニオ基、メチルジエチルアンモニオ基、メチルジ
イソプロピルアンモニオ基、メチルジブチルアンモニオ
基、メチルジシクロヘキシルアンモニオ基、メチルジド
デシルアンモニオ基、トリヘキサデシルアンモニオ基及
びトリベンジルアンモニオ基等が挙げられる。
【0027】芳香族アンモニオ基としては、ベンジルア
ンモニオ基、メチルフェニルアンモニオ基、メチルナフ
チルアンモニオ基、メチルジフェニルアミノ基、メチル
ジナフチルアミノ基及びトリベンジルアンモニオ基等が
挙げられる。
【0028】これらのうち、脂肪族アンモニオ基、>C
=N+=C<で表される基及び−CH2N(CH32CH
2−で表される基が好ましく、さらに好ましくは、メチ
ルアンモニオ基、エチルアンモニオ基、プロピルアンモ
ニオ基、ブチルアンモニオ基、トリメチルアンモニオ
基、トリエチルアンモニオ基、メチルジエチルアンモニ
オ基、メチルジイソプロピルアンモニオ基、メチルジブ
チルアンモニオ基、>C=N+=C<で表される基及び
−CH2N(CH32CH2−で表される基、特に好まし
くは、メチルアンモニオ基、エチルアンモニオ基、トリ
メチルアンモニオ基、トリエチルアンモニオ基、メチル
ジエチルアンモニオ基、>C=N+=C<で表される基
及び−CH2N(CH32CH2−で表される基である。
【0029】ホスファチジル基(A4)としては、HO
CH2CH(OH)CH2OP(=O)(O-)−で表さ
れる基(無置換ホスファチジル基)又はR1OCH2CH
(OR2)CH2OP(=O)(O-)−で表される基
(置換ホスファチジル基、R1及びR2は、同じ又は異な
る飽和又は不飽和のアシル基、アルキル基又はアルケニ
ル基である)等が使用できる。アシル基、アルキル基又
はアルケニル基の炭素数は1〜22が好ましく、さらに
好ましくは2〜18、特に好ましくは12〜18であ
る。
【0030】アシル基としては、飽和アシル基(アセチ
ル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、デカノイル基、
ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステ
アロイル基及びアラキドノイル基等)、及び不飽和アシ
ル基(リノレオイル基、オクタデシエノイル基及びオレ
オイル基等)等が挙げられる。
【0031】アルキル基としては、メチル基、ヘキサデ
シル基、ブチル基、ヘキキル基、デシル基、ラウリル
基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基及びア
ラキドイル基等が挙げられる。
【0032】アルケニル基としては、リノレイル基、オ
クタデシルジエニル基及びオレオイル基等が挙げられ
る。これらのうち、無置換ホスファチジル基及び置換ホ
スファチジル基(R1及びR2はアシル基である)が好ま
しく、さらに好ましくは無置換ホスファチジル基及び置
換ホスファチジル基(R1及びR2は不飽和アシル基であ
る)、特に好ましくは置換ホスファチジル基(R1及び
2は同じ不飽和アシル基である)ホスファチジル基で
ある。
【0033】リゾホスファチジル基(A5)としては、
3OCH2CH(OH)CH2OP(=O)(O-)−で
表される基(R3は、飽和又は不飽和のアシル基)等が
使用できる。アシル基の炭素数は1〜22が好ましく、
さらに好ましくは2〜18、特に好ましくは12〜18
である。
【0034】アシル基としては、ホスファチジル基(A
4)の場合と同じものが使用できる。これらのうち、R
3が不飽和アシル基である置換リゾホスファチジル基が
好ましい。
【0035】糖(B1)としては、次の化学式(化1)
で表される基を1個以上有する構造等が使用でき、例え
ば、天然又は合成の糖が含有する構造等が用いられる。
【0036】
【化1】
【0037】(R4は、−H、−COO-、−CH2
H、−CH2OCOCH3、−CH2OSO 3 -又は−CH3
のいずれかを表し、R5は、−H、−COCH3、−CH
3又は−CH(CH3)COO-のいずれかを表し、R
6は、−OH、−OCOCH3、−NH 2、−NHCOC
3、−NHCOCH2OH又は−Fのいずれかを表
す。)
【0038】天然又は合成の糖としては、単糖類(ガラ
クトース、グルコース、マンノース、フコース、グルコ
サミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミ
ン、N−メチルグルコサミン、N−アセチルニューラミ
ン酸、アラビノース、デオキシグルコース、デオキシフ
ルオログルコース、リボース、デオキシリボース、エリ
スロース、フルクトース、イノシトール、リクソース、
マドゥロース、ムラミン酸、デオキシマンオース、ソル
ボース、キシロース及びトリアセチルグルカール等)、
多糖類(セロビオース、ジフルクトース、コジビオー
ス、ラクトース、ラクツロース、マルチトール、マルト
ース、トレハロース、ガラクトシラクトース、グルコシ
ルスクロース、イソマルトオリゴサッカライド、マルト
オリゴサッカライド、テハロサミン、パノース、キシロ
オリゴサッカロースフフルクトオリゴサッカライド、ニ
ストース、スタキロース、キトオリゴ糖、キトサンオリ
ゴ糖、ムコ多糖、アルギニン酸、カードラン、デキスト
ラン、レバン、パラミオール、ポリデキストロース、プ
ルラン、スターチ及びシクロデキストリン等)等が挙げ
られる。
【0039】これらのうち、ガラクトース、グルコー
ス、マンノース、フコース、グルコサミン、ガラクトサ
ミン、N−メチルグルコサミン、N−アセチルガラクト
サミン及びN−アセチルニューラミン酸が好ましく、さ
らに好ましくはガラクトース、グルコース、マンノー
ス、フコース、N−アセチルガラクトサミン及びN−ア
セチルニューラミン酸である。
【0040】ステロイド環(B2)としては、次の化学
式(化2)で表される環構造等が使用でき、例えば、天
然又は合成の胆汁酸又はステロールに含まれるステロイ
ド環等が用いられる。
【0041】
【化2】
【0042】天然又は合成の胆汁酸としては、ケノジオ
ール、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、
グリコリトコール酸、リソコール酸、スクアレン及びタ
ウロコール酸等が挙げられる。
【0043】天然又は合成のステロールとしては、ブラ
シカステロール、カンペステロール、コレステロール、
エルゴステロール、フコステロール、ラノステロール、
シトステロール及びスチグマステロール等が挙げられ
る。これらのうち、胆汁酸に含まれるステロイド環が好
ましく、さらに好ましくはコール酸、デオキシコール
酸、グリココール酸、グリコリトコール酸又はリソコー
ル酸に含まれるステロイド環である。
【0044】官能基(A)及び構造(B)は、その全て
又は一部が基材表面に存在していることが好ましく、全
てが基材表面に存在していることがさらに好ましい。基
材表面の官能基(A)及び構造(B)の含有量(個/c
2)は、細胞の初期付着性向上効果又は増殖性向上効
果の観点から、基材の表面積1cm2当り、1×1013
〜1×1020が好ましく、さらに好ましくは1×1015
〜1×1019、特に好ましくは1×1015〜1×1017
である。
【0045】基材表面の官能基(A)及び構造(B)の
含有量は、官能基(A)及び構造(B)の種類によって
以下の方法により定量される。2級アミノ基(A1)、
3級アミノ基(A2)及びアンモニオ基(A3)の場
合、通常のアミン価測定試薬(例えば、塩酸水溶液又は
硝酸銀水溶液等)を用いて、電位差滴定によりアミン価
を測定することにより求めることができる。
【0046】ホスファチジル基(A4)、リゾホスファ
チジル基(A5)、糖(B1)及びステロイド環(B
2)の場合、酵素定量法により求めることができる。す
なわち、ホスファチジル基(A4)及びリゾホスファチ
ジル基(A5)の場合、例えば、カイノス社製リン脂質
測定キット「アクアオート カイノス PL試薬」等を
用いることにより求めることができる。また、糖(B
1)の場合、ロッシュダイアグノスティックス社製「F
−キット 糖質用」を用いることにより求めることがで
きる。また、ステロイド環(B2)の場合、例えば、ロ
ッシュダイアグノスティックス社製「F−キット ステ
ロイド用」等を用いることにより求めることができる。
【0047】本発明のポリペプチド含有基材の製造に用
いられる基材としては、細胞培養用基材として通常使用
されるもの等が使用でき、例えば、シャーレ、プレー
ト、フラスコ、ローラーボトル、マイクロキャリアビー
ズ及びホローファイバー等が挙げられる。これらの基材
の素材としては、無機物(ガラス、セラミックス及びヒ
ドロキシアパタイト等)、及び有機物{合成高分子[ビ
ニル樹脂(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、
ポリビニルホルマール、ポリメチルメンテン、ポリビニ
ルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレン及び
ポリプロピレ等)、ポリエステル、ポリカーボネート、
ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂]及び天然高分子(ポリ
デキスラン、セルロース、コラーゲン及びゼラチン
等)}等が挙げられる。
【0048】シャーレとしては、基材の表面積(培養面
積)が5〜500cm2/個のものが挙げられる。プレ
ートとしては、2〜384穴/プレートのものが挙げら
れる。フラスコとしいては、基材の表面積(培養面積)
が10〜500cm2/個のT−フラスコ及びスピナー
フラスコ等が挙げられる。ローラーボトルとしては、容
量が0.1〜10L/個のもの等が挙げられる。マイク
ロキャリアビーズとしては、粒子径;20〜500μ
m、密度;1.0〜1.1g/cm3、基材の表面積
(培養面積);100〜100,000cm2/gのも
のが挙げられる。ホローファイバーとしては、内径が1
0〜500μmのもの等が挙げられる。
【0049】これらの基材のうち、効率的に高密度の細
胞が得られるという点で、マイクロキャリアビーズが好
ましい。粒子径(μm)としては、単位重量当りの表面
積が大きく、また、細胞が接着し易いという点で、30
以上が好ましく、さらに好ましくは40以上、特に好ま
しくは50以上である。また300以下が好ましく、さ
らに好ましくは200以下、特に好ましくは100以下
である。また、密度(g/cm3)としては、緩やかな
撹拌で浮遊し、また、撹拌を停止すると速やかに沈降し
やすいという点で、1.0以上が好ましく、さらに好ま
しくは1.01以上、特に好ましくは1.02以上であ
る。また1.1以下が好ましく、さらに好ましくは1.
05以下、特に好ましくは1.04以下である。
【0050】また、細胞との親和性が高く、耐熱性に優
れるという点で、スチレン及び多官能性モノマー[ジビ
ニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリビニルベンゼン及びトリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート等]を必須構成単量体として
なる合成高分子を含有するものが好ましい。この場合の
多官能モノマーの含有量(重量%)は、基材の重量に基
づいて、0.1以上が好ましく、さらに好ましくは0.
5以上、特に好ましくは1以上である。また40以下が
好ましく、さらに好ましくは20以下、特に好ましくは
10以下である。
【0051】本発明のポリペプチド含有基材は、官能基
(A)及び/又は構造(B)を有する基材にポリペプチ
ド(P)を配することにより(例えばコーティングによ
り)、基材に(P)を配した後官能基(A)及び/又は
構造(B)を有する化合物を配することにより(例えば
コーティングにより)、又は、基材に官能基(A)及び
/又は構造(B)を有する化合物と(P)を同時に配す
ることにより製造することができる。
【0052】ポリペプチド(P)を基材(の表面)に配
する方法としては、例えば、ポリペプチド(P)を溶媒
に溶かした溶液又は分散させた分散液を予め作製し、こ
れと基材を接触させた後、乾燥する方法等が適用でき
る。
【0053】ポリペプチド(P)の溶液又は分散液を作
製するために用いられる溶媒としては特に制限はない
が、無機塩、有機酸塩、アミノ酸、ビタミン、アルコー
ル、脂質・糖、酸及び/又は塩基を含有する水溶液及び
水等が使用できる。
【0054】無機塩としては、ハロゲン化金属塩、硫酸
金属塩、リン酸金属塩、硝酸金属塩、炭酸金属塩及び過
ハロゲン酸金属等が使用でき、例えば、塩化ナトリウ
ム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭
化ナトリウム、臭化リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸マ
グネシウム、硫酸銅、硫酸鉄、リン酸ナトリウム、リン
酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウ
ム、硝酸鉄、炭酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム及び
過塩素酸リチウム等が挙げられる。有機酸塩としては、
炭素数1〜4の有機酸金属塩等が使用でき、例えば、蟻
酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム及び酒石
酸ナトリウム等が挙げられる。
【0055】アミノ酸としては、天然アミノ酸等が使用
でき、例えば、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシ
ン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオ
ニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アラニン、
アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリ
ン、セリン及びグリシン等が挙げられる。ビタミンとし
ては、例えば、コリン、イノシトール、ニコチンアミ
ド、グルタミン、ビタミンA及びビタミンB12等が挙げ
られる。アルコールとしては、炭素数1〜4のアルコー
ル等が使用でき、例えば、メタノール、エタノール、イ
ソプロピルアルコール及びブタノール等が挙げられる。
【0056】脂質・糖としては、天然糖等が使用でき、
例えば、脂質、単糖、2糖、オリゴ糖、アミノ糖及び酸
性糖等が挙げられる。酸としては、無機酸及び炭素数1
〜6の有機酸等が使用でき、例えば、塩酸、硝酸、硫
酸、燐酸、酢酸、蟻酸、酒石酸、リンゴ酸、メタンスル
ホン酸、フェノール及びカテコール等が挙げられる。塩
基としては、無機塩基及び炭素数2〜6の有機塩基等が
使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、モノエタノール
アミン、トリエタノールアミン及びトリエチルアミン等
が挙げられる。
【0057】水としては、蒸留水、イオン交換水、水道
水及びイオン交換蒸留水等が挙げられる。これらの溶媒
の中で、無機塩、酸及び/又は塩基を含有する水溶液並
びに水が好ましく、さらに好ましくは無機塩を含有する
水溶液及び水、特に好ましくは無機塩を含有する水溶液
である。なお、これらの含有量(重量%)としては、水
溶液又は分散液の重量に基づいて、0.1以上が好まし
く、さらに好ましくは1以上である。また50以下が好
ましく、さらに好ましくは30以下である。
【0058】ポリペプチド(P)の溶液又は分散液中の
(P)の濃度は、溶媒1ml当り、0.01μg以上が
好ましく、さらに好ましくは0.1μg以上、特に好ま
しくは1μg以上である。また100mg以下が好まし
く、さらに好ましくは10mg以下、特に好ましくは1
mg以下である。ペプチド(P)の溶液又は分散液と基
材との接触は、溶液又は分散液を基材に振りかける方
法、溶液又は分散液に基材を浸漬する方法等のいずれで
もよい。
【0059】接触時間としては、用いる基材によっても
異なるが、30秒以上が好ましく、さらに好ましくは1
分以上、特に好ましくは3分以上である。また48時間
以下が好ましく、さらに好ましくは24時間以下、特に
好ましくは12時間以下である。必要に応じて行われる
乾燥の条件についても特に制限はなく、通常の方法が適
用でき、例えば、必要に応じて順風乾燥機や減圧乾燥機
などを用いて、0〜200℃、0.001Pa〜大気圧
の圧力下で、1〜100時間乾燥することで行える。
【0060】また、必要に応じて行われる乾燥の前又は
後で、無機塩を含有する水溶液又は水で通常の方法で洗
浄することもできる。また、接触の後で、必要に応じて
滅菌処理を施してもよい。滅菌方法は特に制限は無く、
例えば、放射線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、オ
ートクレーブ滅菌及び乾熱滅菌等が挙げられる。
【0061】官能基(A)及び/又は構造(B)を基材
に配する方法としては、ビニル樹脂を主成分とする基
材の場合、(A)及び/又は(B)を有するモノマー
を、ビニル樹脂を主成分とする基材を作成する時に共重
合する方法、(A)及び/又は(B)を有する反応性
化合物を基材に共有結合させる方法、(A)及び/又
は(B)を有する化合物を基材の表面に接触させる方
法、(A)及び/又は(B)を有する化合物を基材を
作製する時に基材を構成する材料に混合する方法等が挙
げられる。
【0062】なお、(A)及び/又は(B)は、基材表
面又はポリペプチド(P)等に化学結合していても、
(A)及び/又は(B)を有する化合物として基材表面
又は(P)等に物理吸着しててもよい。糖が化学結合す
る場合、糖の1,3,4位のいずれかで化学結合させるこ
と、ステロイドが化学結合する場合、ステロイドの3,
7,14位のいずれかで結合させることができる。
【0063】の方法において、官能基(A)及び/又
は構造(B)を有するモノマーとしては、2級アミノ基
(A1)を有するモノマー(ma1)、3級アミノ基
(A2)を有するモノマー(ma2)、アンモニオ基
(A3)を有するモノマー(ma3)、ホスファチジル
基(A4)を有するモノマー(ma4)、リゾホスファ
チジル基(A5)を有するモノマー(ma5)、糖(B
1)を有するモノマー(mb1)、ステロイド環(B
2)を有するモノマー(mb2)及びこれらの2種以上
の混合物等が使用できる。
【0064】2級アミノ基(A1)を有するモノマー
(ma1)としては、2級アミノ基含有(メタ)アクリ
レート[N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、
N−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−
ベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート及びピペリ
ジノエチル(メタ)アクリレート等]、2級アミノ基含
有(メタ)アクリルアミド[N−メチルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノプロピル
(メタ)アクリルアミド、N−プロピルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド及びN−ベンジルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド等]、2級アミノ基含有芳香族
ビニル炭化水素(N−メチルアミノスチレン、N−プロ
ピルアミノスチレン及びN−ベンジルアミノスチレン
等)及び2級アミノ基含有アリルエーテル(N−メチル
アミノエチルアリルエーテル及びN−エチルアミノエチ
ルアリルエーテル等)等が挙げられる。
【0065】3級アミノ基(A2)を有するモノマー
(ma2)としては、3級アミノ基含有(メタ)アクリ
レート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アク
リレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N−ベンジル−N−メチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アク
リレート及びN−メチルピペチジノエチル(メタ)アク
リレート等]、3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミ
ド[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルア
ミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)ア
クリルアミド、N−ベンジル−N−メチルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド、モルホリノエチル(メタ)ア
クリルアミド及びN−メチルピペチジノエチル(メタ)
アクリルアミド等]、3級アミノ基含有芳香族ビニル炭
化水素(N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジ
プロピルアミノスチレン及びN−ベンジル−N−メチル
アミノスチレン等)及び3級アミノ基含有アリルエーテ
ル(N,N−ジメチルアミノエチルアリルエーテル及び
N,N−ジエチルアミノエチルアリルエーテル等)等が
挙げられる。
【0066】アンモニオ基(A3)を有するモノマー
(ma3)としては、アンモニオ基含有(メタ)アクリ
レート[(メタ)アクリロイルオキシエチルアンモニウ
ム・クロリド、メチル (メタ)アクリロイルオキシエ
チルアンモニウム・クロリド、ジメチル (メタ)アク
リロイルオキシエチルアンモニウム・クロリド、トリメ
チル (メタ)アクリロイルオキシエチルアンモニウム
・クロリド及びジエチルメチル (メタ)アクリロイル
オキシエチルアンモニウム・クロリド等]、アンモニオ
基含有(メタ)アクリルアミド[(メタ)アクリロイル
アミノエチルアンモニウム・クロリド、メチル (メ
タ)アクリロイルアミノエチルアンモニウム・クロリ
ド、ジメチル (メタ)アクリロイルアミノエチルアン
モニウム・クロリド、トリメチル (メタ)アクリロイ
ルアミノエチルアンモニウム・クロリド及びジエチル
メチル (メタ)アクリロイルアミノエチルアンモニウ
ム・クロリド等]、アンモニオ基含有芳香族ビニル炭化
水素(トリメチル ビニルフェニルアンモニウム・クロ
リド等)及びアンモニオ基含有アリルエーテル(トリエ
チル アリルオキシエチルアンモニウム・クロリド等)
等が挙げられる。
【0067】ホスファチジル基(A4)を有するモノマ
ー(ma4)としては、ホスファチジル基含有(メタ)
アクリレート[ホスファチジルエチル(メタ)アクリレ
ート、ジパルミトイルホスファチジルエチル(メタ)ア
クリレート及びジアラキドノイルホスファチジルプロピ
ル(メタ)アクリレート等]、ホスファチジル基含有
(メタ)アクリルアミド[ホスファチジルエチル(メ
タ)アクリレート、ジパルミトイルホスファチジルエチ
ル(メタ)アクリレート及びジアラキドノイルホスファ
チジルプロピル(メタ)アクリレート等]、ホスファチ
ジル基含有芳香族ビニル炭化水素(ジパルミトイルホス
ファチジルスチレン等)及びホスファチジル基含有アリ
ルエーテル(ジパルミトイルホスファチジルエチルアリ
ルエーテル等)等が挙げられる。
【0068】リゾホスファチジル基(A5)を有するモ
ノマー(ma4)としては、リゾフォスファチジル基含
有(メタ)アクリレート[パルミトイルジゾホスファチ
ジルエチル(メタ)アクリレート及びアラキドノイルリ
ゾホスファチジルプロピル(メタ)アクリレート等]、
リゾフォスファチジル基含有(メタ)アクリルアミド
[パルミトイルリゾホスファチジルエチル(メタ)アク
リレート及びアラキドノイルリゾホスファチジルプロピ
ル(メタ)アクリレート等]、リゾフォスファチジル基
含有芳香族ビニル炭化水素(パルミトイルリゾホスファ
チジルスチレン等)及びリゾフォスファチジル基含有ア
リルエーテル(パルミトイルリゾホスファチジルエチル
アリルエーテル等)等が挙げられる。糖(B1)を有す
るモノマー(mb1)としては、糖含有芳香族ビニル炭
化水素(N−p−ビニルベンジルラクトノアミド等)及
び糖含有(メタ)アクリレート[グルコース−6−(メ
タ)アクリレート等]等が挙げられる。
【0069】ステロイド環(B2)を有するモノマー
(mb2)としては、ステロイド環含有(メタ)アクリ
レート[コレステロール(メタ)アクリレート及びエル
ゴステロール(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
これらのモノマーを用いて共重合する方法としては、ビ
ニル樹脂を構成するモノマーにこれらを配合して、通常
の方法(バルク重合、懸濁重合等)で共重合させる方法
等が挙げられる。共重合させるときのこれらモノマーの
含有量(重量%)は、構成モノマーの全重量に基づい
て、0.001以上が好ましく、さらに好ましくは0.
1以上である。また、30以下が好ましく、さらに好ま
しくは20以下である。
【0070】の方法において、官能基(A)及び/又
は構造(B)を有する反応性化合物としては、2級アミ
ノ基(A1)を有する反応性化合物、3級アミノ基(A
2)を有する反応性化合物、アンモニオ基(A3)を有
する反応性化合物、ホスファチジル基(A4)を有する
反応性化合物、リゾホスファチジル基(A5)を有する
反応性化合物、糖(B1)を有する反応性化合物、ステ
ロイド環(B2)を有する反応性化合物及びこれらの2
種以上の混合物等が使用できる。2級アミノ基(A1)
を有する反応性化合物としては、上記の(A1)を有す
るモノマーのほか、炭素数3〜5の2級アミノ基含有ハ
ロゲン炭化水素(メチルアミノエチルクロリド及びメチ
ルアミノプロピルクロリド等)、炭素数4〜8の2級ア
ミノ基含有エポキシド(メチルアミノプロピルエポキシ
ド、メチルアミノブチルエポキシド及びメチルアミノエ
チルグリシジルエーテル等)等が挙げられる。
【0071】3級アミノ基(A2)を有する反応性化合
物としては、上記の(A2)を有するモノマーのほか、
炭素数4〜6の3級アミノ基含有ハロゲン炭化水素(ジ
メチルアミノエチルクロリド及びジエチルアミノエチル
クロリド等)、炭素数5〜8の3級アミノ基含有エポキ
シド(ジメチルアミノプロピルエポキシド、ジメチルア
ミノエチルグリシジルエーテル等)等が挙げられる。
【0072】アンモニオ基(A3)を有する反応性化合
物としては、上記の(A3)を有するモノマーのほか、
炭素数5〜8のアンモニオ基含有ハロゲン炭化水素(ト
リメチルクロロエチルアンモニウムクロリド等)、炭素
数6〜10のアンモニオ基含有エポキシド(トリメチル
グリシジルエチルアンモニウムクロリド等)等が挙げら
れる。
【0073】ホスファチジル基(A4)を有する反応性
化合物としては、上記の(A4)を有するモノマーのほ
か、炭素数2〜6のホスファチジル基含有ハロゲン炭化
水素(ホスファチジルエチルクロリド及びジミリストイ
ルホスファチジルエチルクロリド等)、炭素数3〜8の
ホスファチジル基含有エポキシド(ホスファチジルエチ
ルグリシジルエーテル及びジミリストイルホスファチジ
ルエチルグリシジルエーテル等)等が挙げられる。
【0074】リゾホスファチジル基(A5)を有する反
応性化合物としては、上記の(A5)を有するモノマー
のほか、炭素数2〜6のリゾフォスファチジル基含有ハ
ロゲン炭化水素(ミリストイルリゾホスファチジルエチ
ルクロリド等)、炭素数3〜8のリゾホスファチジル基
含有エポキシド(ミリストイルリゾホスファチジルエチ
ルグリシジルエーテル等)等が挙げられる。
【0075】糖(B1)を有する反応性化合物として
は、上記の(B1)を有するモノマーのほか、炭素数6
〜18の糖含有ハロゲン炭化水素(グルコース−6−エ
チルクロリド等)、炭素数6〜18の糖含有エポキシド
(グルコース−6−グリシジルエーテル等)等が挙げら
れる。
【0076】ステロイド環(B2)を有する反応性化合
物としては、上記の(B2)を有するモノマーのほか、
炭素数17〜32のステロイド環含有ハロゲン化物(ク
ロロエチルコレステロール等)、炭素数17〜32のス
テロイド環含有エポキシド(グリシジルコレステロール
等)等が挙げられる。
【0077】基材とこれらの反応性化合物を共有結合さ
せるとき、上記のモノマーを用いる場合は、パーオキシ
ド(過塩素酸ナトリウム、ジブチルパーオキシド、ジク
ミルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等)と
ともに、基材とこれらの反応性化合物(水懸濁液として
もよい)を窒素雰囲気下、50〜120℃で1〜48時
間反応させる方法を適用してもよい。
【0078】また、ハロゲン炭化水素又はエポキシドを
用いる場合、塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,
4,0]ウンデセン−7(登録商標:DBU)等)とと
もに、基材とこれらのハロゲン炭化水素又はエポキシド
(水懸濁液としてもよい)を、20〜90℃で1〜48
時間反応させる方法等を適用してもよい。反応性化合物
の使用量(g/cm2)は、基材の表面積1cm2当り、
1×10 -8以上が好ましく、さらに好ましくは1×10
-6以上2である。また1以下が好ましく、さらに好ましく
は1×10-2以下である。
【0079】の方法において、官能基(A)及び/又
は構造(B)を有する化合物としては、2級アミノ基
(A1)を有する化合物、3級アミノ基(A2)を有す
る化合物、アンモニオ基(A3)を有する化合物、ホス
ファチジル基(A4)を有する化合物、リゾホスファチ
ジル基(A5)を有する化合物、糖(B1)を有する化
合物、ステロイド環(B2)を有する化合物及びこれら
の2種以上の混合物等が使用できる。
【0080】2級アミノ基(A1)を有する化合物とし
ては、上記の(A1)を有するモノマーからなる(共)
重合体のほか、重量平均分子量(以下Mwと略する)5
00〜1,000,000の2級アミノ基含有ポリマー
(例えば、ポリエチレンイミン、ジシアンジアミド・ホ
ルマリン縮合物、ジシアンジアミド・ジエチレントリア
ミン重縮合物、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミ
ン・尿素重縮合物及びジアリルアミン塩・二酸化硫黄共
重合物等)等が挙げられる。なお、Mwは、ポリエチレ
ングリコールを基準物質としてゲルパーミエーションク
ロマトグラフィーにより測定されるものである。
【0081】3級アミノ基(A2)を有する化合物とし
ては、上記の(A2)を有するモノマーからなる(共)
重合体のほか、Mw500〜1,000,000の3級
アミノ基含有ポリマー(ジシアンジアミド・ジエチレン
トリアミン重縮合物、ジシアンジアミド・ジエチレント
リアミン・尿素重縮合物、ポリヒスチジン及びポリ(N
−メチルエチレンイミン)等)等が挙げられる。
【0082】アンモニオ基(A3)を有する化合物とし
ては、上記の(A3)を有するモノマーからなる(共)
重合体のほか、Mw500〜1,000,000のアン
モニオ基含有ポリマー(ポリエチレンイミンのメチルク
ロリド4級化物、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合
物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン付加重合物、
ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・二酸化硫黄共
重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合物
等)等が挙げられる。
【0083】ホスファチジル基(A4)を有する化合物
としては、上記の(A4)を有するモノマーからなる
(共)重合体のほか、ホスファチジル基含有化合物{ホ
スファチジン酸(鶏卵黄身由来のホスファチジン酸ナト
リウム、β−アラキドノイル−γ−ステアロイルホスフ
ァチジン酸ナトリウム、ホスファチジン酸、ジラウロイ
ルホスファチジン酸、ジオレイルホスファチジン酸、ジ
ラウロイルホスファチジン酸ナトリウム及びジオレオイ
ルホスファチジン酸ナトリウム等)、ホスファチジルコ
リン(鶏卵黄身由来ホスファチジルコリンの水素添加
物、β−アセチル−γ−ヘキサデシルホスファチジルコ
リン、ジアラキドイルホスファチジルコリン、ジイリノ
レオイルホスファチジルコリン、ジ−トランス−2,ト
ランス−4−オクタデカジエノイルホスファチジルコリ
ン、ジステアロイルホスファチジルコリン、β−メチル
−γ−ヘキサデシルホスファチジルコリン及びβ−オレ
オイル−γ−パルミトイルホスファチジルコリン等)、
ホスファチジルエタノールアミン(ウシ脳由来のI型ホ
スファチジルエタノールアミン、大腸菌由来のV型ホス
ファチジルエタノールアミン、鶏卵黄身由来のホスファ
チジルエタノールアミン、大豆由来のホスファチジルエ
タノールアミン及びジミリストイルホスファチジルエタ
ノールアミン等)、ホスファチジルグリセロール(ホス
ファチジルグリセロールナトリウム、ホスファチジルグ
リセロール、ジミリストイルホスファチジルエタノール
アミンナトリウム及びウシ心臓由来のカルジオリピン2
ナトリウム等)、ホスファチジルセリン(ジパルミトイ
ルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジ
ルセリンナトリウム及びウシ脳由来のホスファチジルセ
リンナトリウム等)、ホスファチジルイノシトール(小
麦由来のホスファチジルイノシトールナトリウム等)及
びスフィンゴミエリン}等が挙げられる。
【0084】リゾフォスファチジル基(A5)を有する
化合物としては、上記の(A5)を有するモノマーから
なる(共)重合体のほか、リゾフォスファチジル基含有
化合物{リゾホスファチジン酸(オレイルリゾホスファ
チジン酸ナトリウム及びステアリルリゾホスファチジン
酸等)、リゾホスファチジルコリン(鶏卵黄身由来のリ
ゾホスファチジルコリン、デカノイルリゾホスファチジ
ルコリン及びステアロイルリゾホスファチジルコリン
等)、リゾホスファチジルセリン(ウシ脳由来のリゾホ
スファチジルセリン2ナトリウム等)及びリゾホスファ
チジルイノシトール(大豆由来のリゾホスファチジルイ
ノシトールナトリウム等)等}等が挙げられる。
【0085】糖(B1)を有する化合物としては、上記
の(B1)を有するモノマーからなる(共)重合体のほ
か、糖含有化合物{糖脂質(アシアロガングリオシド、
ガングリオシド、シアリルルイス、シアリルラクトテト
ラオシルセラミド、シアリルネオラクトテトラオシルセ
ラミド、ガラクロシルセラミド、グロボテトラシルセラ
ミド、グルコセレブロシド、グルコシルセラミ及びラク
ロシルセラミド等)、単糖類(ガラクトース、グルコー
ス、マンノース、フコース、グルコサミン、ガラクトサ
ミン、N-アセチルガラクトサミン、N-メチルグルコサ
ミン、N-アセチルニューラミン酸、アラビノース、デ
オキシグルコース、デオキシフルオログルコース、リボ
ース、デオキシリボース、エリスロース、フルクトー
ス、イノシトール、リクソース、マドゥロース、ムラミ
ン酸、デオキシマンオース、ソルボース、キシロース及
びトリアセチルグルカール等)、多糖類(セロビオー
ス、ジフルクトース、コジビオース、ラクトース、ラク
ツロース、マルチトール、マルトース、トレハロース、
ガラクトシラクトース、グルコシルスクロース、イソマ
ルトオリゴサッカライド、マルトオリゴサッカライド、
テハロサミン、パノース、キシロオリゴサッカロースフ
フルクトオリゴサッカライド、ニストース、スタキロー
ス、キトオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、ムコ多糖、アル
ギニン酸、カードラン、デキストラン、レバン、パラミ
オール、ポリデキストロース、プルラン、スターチ及び
シクロデキストリン等)}等が挙げられる。
【0086】ステロイド環(B2)を有する化合物とし
ては、上記の(B2)を有するモノマーからなる(共)
重合体のほか、ステロイド環含有化合物{天然又は合成
の胆汁酸(ケノジオール、コール酸、デオキシコール
酸、グリココール酸、グリコリトコール酸、リソコール
酸、スクアレン及びタウロコール酸等)及び天然又は合
成のステロール(ブラシカステロール、カンペステロー
ル、コレステロール、エルゴステロール、フコステロー
ル、ラノステロール、シトステロール及びスチグマステ
ロール等)等}等が挙げられる。
【0087】基材にこれらの化合物を接触させる方法と
しては、前記、ポリペプチド(P)を基材に接触させる
方法と同様の方法が適用できる。これらの化合物の使用
量(g/cm2)は、基材の表面積1cm2当り、1×1
-8以上が好ましく、さらに好ましくは1×10-6以上
である。また1以下が好ましく、さらに好ましくは1×
10-2以下である。
【0088】の方法において、官能基(A)及び/又
は構造(B)を有する化合物としては、の方法で用い
ることができる化合物と同じものが使用できる。官能基
(A)及び/又は構造(B)を有する化合物を基材中に
混合する方法としては、基材を構成する素材と(A)及
び/又は(B)を有する化合物とを混合した後に成型す
る方法や、基材がビニル樹脂の場合、(A)及び/又は
(B)を有する化合物の存在下にビニル樹脂を構成する
モノマーを公知の方法で重合させる方法等が挙げられ
る。これら化合物の使用量(g/cm2)は、基材の表
面積1cm2当り、1×10 -8以上が好ましく、さらに
好ましくは1×10-6以上である。また1以下が好まし
く、さらに好ましくは1×10-2以下である。
【0089】本発明のポリペプチド含有基材は、細胞培
養用に好適に使用されるほか、火傷などの治療に用いら
れる創傷被覆剤や、体内埋め込み型の組織再生用材料と
して使用できるものである。本発明のポリペプチド含有
基材を用いて、培養される動物細胞の種類としては特に
制限がなく、ヒト、サル、マウス、ハムスター、ラッ
ト、イヌ及び昆虫等の初代培養細胞や株化細胞、並びに
細胞培養実験、医薬品又はワクチン生産等に用いられる
公知の細胞等が使用できる。
【0090】具体的には例えば、Vero(アフリカミ
ドリザル腎)細胞、CHO(チャイニーズハムスター卵
巣)細胞、MDCK(イヌ腎)細胞、WI38(ヒト胎
児肺)細胞、ヒト由来の幹細胞、内皮細胞、上皮細胞、
実質細胞、線維芽細胞及び角質細胞等の正常細胞等が挙
げられる。これら細胞の中では、無血清培養のニーズが
高く、本発明のポリペプチド含有基材の特徴が最大限活
用される医薬品やワクチン生産用に用いられる細胞(V
ero細胞、MDCK細胞、CHO細胞及び正常細胞
等)に最適である。
【0091】本発明の基材を用いて動物細胞を培養する
方法としては特に制限はなく、通常の方法、例えば、朝
倉書店発行日本組織培養学会編「組織培養の技術」に記
載されている方法等が適用できる。例えば、基材として
T−フラスコ(培養面積;10〜500cm2等)、プ
レート(2〜384穴等)又はディッシュ(培養面積;
5〜500cm2等)を用いる場合、未成熟肥満細胞を
50〜500万個/mLの濃度で分散した培地を、深さ
が1〜20mmになる量だけディッシュ又はシャーレに
加え、CO2濃度5体積%、37℃の炭酸ガスインキュ
ベーター中で静置培養する方法等が挙げられる。この
際、1〜5日毎に、1/3量〜全量の培地を交換するこ
とが好ましい。
【0092】基材としてローラーボトル(容量;0.1
〜10L等)を用いる場合、未成熟肥満細胞を50〜5
00万個/mLの濃度で分散した培地を、0.5/10
0〜30/100の容量になる量だけローラーボトルに
加え、CO2濃度5体積%、37℃の炭酸ガスインキュ
ベーター中で、0.1〜10rpmの回転速度で回転さ
せながら培養する方法等が挙げられる。この際、12〜
5日毎に、1/3量〜全量の培地を交換することが好ま
しい。
【0093】基材としてマイクロキャリアビーズ(粒子
径;20〜500μm、密度;1.0〜1.1g/cm
3、表面積;100〜100,000cm2/g等)を用
いる場合、スピナーフラスコ(容量;10〜500mL
等)中に、未成熟肥満細胞を50〜500万個/mLの
濃度で分散した培地を、1/10〜7/10の容量にな
る量だけ加え、マイクロキャリアビーズを、培地1L当
り0.1〜50gの割合で加え、CO2濃度5体積%、
37℃の炭酸ガスインキュベーター中で、1〜100r
pmの回転速度で撹拌しながら培養する方法等が挙げら
れる。この際、12〜5日毎に、1/3量〜全量の培地
を交換することが好ましい。さらにスピナーフラスコの
代わりに流動層型バイオリアクターや充填型バイオリア
クター(容量;10mL〜10kL等)を用いて、マイ
クロキャリアビーズをバイオリアクター内にセットし未
成熟肥満細胞を50〜500万個/mLの濃度で分散し
た1〜5倍容量の培地を循環させた後、CO2濃度5体
積%、37℃の炭酸ガスインキュベーター中で調整した
培地を1〜100cm/分の線速度で循環しながら連続
培養する方法等が挙げられる。
【0094】基材としてホローファイバー(内径10〜
500μm等)を用いる場合、カートリッジ(容量;1
0〜1000mL等)中に、未成熟肥満細胞を50〜5
00万個/mLの濃度で分散した培地をカートリッジに
加えたあと、ホローファイバー内に、CO2濃度5体積
%、37℃の炭酸ガスインキュベーター中で調整した培
地を1〜100cm/分の線速度で循環し連続培養する
方法等が挙げられる。
【0095】培養後は、EDTA等のキレート剤若しく
はトリプシン等の蛋白質分解酵素で処理するか又はスク
レーパーで掻きとることによって、成熟肥満細胞が回収
される。これらのうち、EDTAで処理する方法が好ま
しい。
【0096】培地としては、用いる動物細胞の種類に応
じて、MEM培地、BME培地、DME培地、αMEM
培地、IMEM培地、ES培地、DM−160培地、F
isher培地、F12培地、WE培地及びRPMI培
地等、朝倉書店発行「日本組織培養学会編 組織培養の
技術第三版」581頁に記載の基礎培地、これらの培地
に血清成分(ウシ胎児血清等)等を添加したもの、並び
に市販の無血清培地[味の素(株)製無血清培地ASF
103,同ASF104,同ASF301、ギブコ社製
無血清培地CHO−SFM,同VP−SFM等]等が用
いられる。
【0097】血清培地を使用した場合、血清中に成分未
知の蛋白質等が含まれ再現性が得られにくいこと、細胞
を用いる医薬品生産の場合には精製工程が複雑となりコ
ストがかかること、さらにウィルス感染の危険性がある
こと等の理由から、血清を含まないいわゆる無血清培地
が好ましく、特に、本発明の基材は、無血清培地でも細
胞の接着・増殖性に優れているため、本発明の基材とと
もに用いる培地としては無血清培地が特に好ましい。
【0098】さらに必要に応じて、細胞増殖因子(S)
を培地中に含有させることにより、動物細胞の増殖速度
をさらに高めたり、細胞活性を高めたり、細胞が本来有
する機能を発現させたりすることができる。細胞増殖因
子(S)は細胞を増殖させる活性のある物質であり、例
えば、FGF、VEGF、HGF、EGF、PDGF、
IGF及びBMP等が挙げられ、この他に、例えば財団
法人名古屋大学出版会発行「上田実編ティッシュエンジ
ニアリング(1999年)」43〜51頁及び同文献に
付記されている参考文献に記載されているもの等も用い
られる。
【0099】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。 <実施例1>スチレン99重量部、ジビニルベンゼン1
重量部を懸濁重合して得られたポリスチレンビーズを金
属製網篩(JIS Z8801−2000)で篩い分け
して、75〜106μmの間の粒子径を有するビーズを
得た。レーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場
製作所製)で測定した体積平均粒径は、96μmであっ
た。このビーズの平均表面積は、595cm2/gと計
算された。
【0100】特表平3−502935号公報中の実施例
記載の方法に準じて、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9
列(10)とArg Gly Asp配列との繰り返し単位からな
るポリペプチドを、遺伝子組み替え大腸菌を増殖させ、
破砕し、抽出することにより作成し、(Mn)の違いに
よって精製し、以下のポリペプチドを単離した。
【0101】ポリペプチド(F1);(Mn)80,0
00、1分子あたりのRGD配列の数10個、(GAG
AGS)9配列の数10個。 ポリペプチド(F2);(Mn)240,000、1分
子あたりのRGD配列の数30個、(GAGAGS)9
配列の数30個。 ポリペプチド(F3);(Mn)50,000、1分子
あたりのRGD配列の数6個、(GAGAGS)9配列
の数6個。 ポリペプチド(F4);(Mn)500,000、1分
子あたりのRGD配列の数60個、(GAGAGS)9
配列の数60個。
【0102】次いで、ポリペプチド(F1)の4.5規
定の過塩素酸リチウム溶液(ポリペプチドの濃度;1m
g/ml)をリン酸バッファー液(PBS)でポリペプ
チド(F1)の濃度が100μg/mlとなるように希
釈し、ポリペプチド(F1)溶液(1)を作製した。
【0103】10ml試験管にジメチルアミノエチルメ
タクリレート2g、アゾビスイソヴァレロニトリル0.
04gおよびジオキサン2gを加え、窒素置換後、密閉
下、70℃湯浴中で4時間振盪した。得られた溶液をヘ
キサン100mL中に滴下し、析出したポリマー分を回
収し乾燥することによりジメチルアミノエチルメタクリ
レート重合体(PDAM)を得た。次いで、PDAMを
イオン交換水に溶解し、PDAMの濃度が100μg/
mlのPDAM溶液を作製した。
【0104】ポリペプチド溶液(1)37ml及びPD
AM溶液37mlの混合物に上記で得られたビーズ5g
を加え、ポリフッ化エチレン製撹拌子で12時間、20
〜30℃の温度下で撹拌した。得られたビーズスラリー
を振盪器上にセットしたステンレス製バットに移し、1
00℃の熱風を吹きつけながら、24時間振盪乾燥し
た。得られた乾燥ビーズをPBS50mlで2回洗浄
し、PBS中で121℃で20分間オートクレーブ滅菌
後、UV照射下に乾燥することにより、本発明のポリペ
プチド含有基材1を得た。
【0105】ポリペプチド含有基材1を4.5規定の過
塩素酸リチウム溶液中で24時間、37℃で撹拌後、過
塩素酸リチウム溶液上清中に溶出したポリペプチド(F
1)の含有量をピアスケミカル社製BCA蛋白試薬で測
定することによって、ポリペプチド含有基材1のポリペ
プチド(F1)含有量を求めた結果、1.1μg/cm
2であった。
【0106】ポリペプチド含有基材11gをイオン交換
水50mlに分散し、を1/100規定硝酸銀水溶液で
電位差滴定することによって、ポリペプチド含有基材1
の表面に存在するジメチルアミノ基の量を求めた結果、
5×1015個/cm2であった。
【0107】<実施例2>PDAM溶液の代わりに、ジ
シアンジアミド・ジエチレントリアミン・尿素重縮合物
(商品名:サンフィックス414、三洋化成工業株式会
社製)を用い、固形分を100μg/ml・溶液とする
以外は実施例1と同様にして、本発明のポリペプチド含
有基材2を得た。実施例1と同様にして求めたポリペプ
チド含有基材2のポリペプチド(F1)含有量は1.1
μg/cm2であり、また1/100規定塩酸溶液で電
位差滴定して得られた2級及び3級アミンの量は1×1
16個/cm2であった。
【0108】<実施例3>PDAM溶液の代わりに、ジ
パルミトイルホスファチジルグリセロールの100μg
/ml水溶液を用いる以外は実施例1と同様にして、本
発明のポリペプチド含有基材3を得た。実施例1と同様
にして求めたポリペプチド含有基材3のポリペプチド
(F1)含有量は1.1μg/cm2であり、また、カ
イノス社製リン脂質測定キット「アクアオート カイノ
ス PL試薬」を用いて測定したホスファチジル基の量
は、1×1016個/cm2であった。
【0109】<実施例4>PDAM溶液の代わりに、コ
ール酸の100μg/ml水溶液を用いる以外は実施例
1と同様にして、本発明のポリペプチド含有基材4を得
た。実施例1と同様にして求めたポリペプチド含有基材
4のポリペプチド(F1)含有量は1.1μg/cm2
であり、また、ロッシュダイアグノスティックス社製F
−キット(ステロイド用)を用いて測定したステロイド
環の量は、4×1016個/cm2であった。
【0110】<実施例5>ポリペプチド(F1)の代わ
りに、ポリペプチド(F2)を用いる以外は実施例1と
同様にして本発明のポリペプチド含有基材5を得た。実
施例1と同様にして求めたポリペプチド含有基材5のポ
リペプチド(F2)含有量は1.0μg/cm2であ
り、また、1/100規定硝酸銀水溶液で電位差滴定す
ることによって、測定されたジメチルアミノ基の量は、
2×1015個/cm2であった。
【0111】<実施例6>ポリペプチド(F1)の代わ
りに、ポリペプチド(F3)を用いる以外は実施例1と
同様にして本発明のポリペプチド含有基材6を得た。実
施例1と同様にして求めたポリペプチド含有基材6のポ
リペプチド(F3)含有量は0.9μg/cm2であ
り、また、1/100規定硝酸銀水溶液で電位差滴定す
ることによって、測定されたジメチルアミノ基の量は、
2×1015個/cm2であった。
【0112】<実施例7>ポリペプチド(F1)の代わ
りに、ポリペプチド(F4)を用いる以外は実施例1と
同様にして本発明のポリペプチド含有基材7を得た。実
施例1と同様にして求めたポリペプチド含有基材7のポ
リペプチド(F4)含有量は1.2μg/cm2であ
り、また、1/100規定硝酸銀水溶液で電位差滴定す
ることによって、測定されたジメチルアミノ基の量は、
4×1015個/cm2であった。
【0113】<実施例8>特表平3−502935号公
報中の実施例記載の方法に準じて、(Gly AlaGly Ala G
ly Ser)9配列(10)とIle Lys Val Ala Val配列
(7)とを7個含む(Mn)約9万の遺伝子組換え大腸
菌の産生蛋白質ポリペプチドLを作成した。ポリペプチ
ド(F1)の代わりに、このポリペプチドLを用いる以
外は実施例1と同様にして本発明のポリペプチド含有基
材8を得た。実施例1と同様にして求めたポリペプチド
含有基材8のポリペプチドLの含有量は1.1μg/c
2であり、また、1/100規定硝酸銀水溶液で電位
差滴定することによって、測定されたジメチルアミノ基
の量は、3×1015個/cm2であった。
【0114】<実施例9>PDAMの代わりに、和光純
薬(株)製ポリエチレンイミン(分子量=70,00
0)を用いる以外は実施例1と同様にして、本発明のポ
リペプチド含有基材9を得た。実施例1と同様にして求
めたポリペプチド含有基材9のポリペプチド(F1)含
有量は1.1μg/cm2であり、また1/100規定
塩酸溶液で電位差滴定して得られた2級アミンの量は4
×1016個/cm2であった。
【0115】<実施例10>PDAM溶液の代わりに、
PDAM溶液100mLにメチルクロリド5gを加え、
80℃で8時間反応させて得られた溶液を用いる以外は
実施例1と同様にして、本発明のポリペプチド含有基材
10を得た。実施例1と同様にして求めたポリペプチド
含有基材10のポリペプチド(F1)含有量は1.1μ
g/cm2であり、また1/100規定塩酸溶液で電位
差滴定して得られた4級アンモニウム塩の量は2×10
16個/cm2であった。
【0116】<実施例11>PDAMの代わりに、和光
純薬工業(株)製ガングリオシドG ボビンブレインを
用いる以外は実施例1と同様にして、本発明のポリペプ
チド含有基材11を得た。実施例1と同様にして求めた
ポリペプチド含有基材11のポリペプチド(F1)含有
量は1.1μg/cm2であり、また、ロッシュダイア
グノスティックス社製「F−キット 糖質用」を用いて
得られた糖の量は1×1016個/cm 2であった。
【0117】<実施例12>ポリペプチド溶液(1)の
代わりに、ポリペプチド(F1)の濃度が45μg/m
lのポリペプチド溶液(2)を用いる以外は実施例1と
同様にして、本発明のポリペプチド含有基材12を得
た。実施例1と同様にして求めたポリペプチド含有基材
12のポリペプチド(F1)含有量は0.3μg/cm
2であり、また、1/100規定硝酸銀水溶液で電位差
滴定することによって、測定されたジメチルアミノ基の
量は、2×1015個/cm2であった。
【0118】<実施例13>ポリペプチド溶液(1)の
代わりに、ポリペプチド(F1)の濃度が1000μg
/mlのポリペプチド溶液(3)を用いる以外は実施例
1と同様にして、本発明のポリペプチド含有基材13を
得た。実施例1と同様にして求めたポリペプチド含有基
材13のポリペプチド(F1)含有量は10.0μg/
cm2であり、また、N/100硝酸銀水溶液で電位差
滴定することによって、測定されたジメチルアミノ基の
量は、3×1015個/cm2であった。
【0119】<実施例14>スチレン98重量部、ジビ
ニルベンゼン1重量部、ジメチルアミノエチルメタクリ
レート1重量部を懸濁重合して得られたポリスチレンビ
ーズを金属製網篩(JIS Z8801−2000)で
篩い分けして、75〜106μmの間の粒子径を有する
ビーズを得た。レーザー式粒度分布測定装置LA−92
0(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は、93μ
mであった。このビーズの平均表面積は、626cm2
/gと計算された。
【0120】ポリペプチド溶液(1)37mlに上記で
得られたビーズ5gを加え、ポリフッ化エチレン製撹拌
子で12時間、20〜30℃の温度下で撹拌した。得ら
れたビーズスラリーを振盪器上にセットしたステンレス
製バットに移し、100℃の熱風を吹きつけながら、2
4時間振盪乾燥した。得られた乾燥ビーズをPBS50
mlで2回洗浄し、PBS中で121℃で20分間オー
トクレーブ滅菌後、UV照射下に乾燥することにより、
本発明のポリペプチド含有基材14を得た。
【0121】実施例1と同様にして求めたポリペプチド
含有基材14のポリペプチド(F1)含有量は0.9μ
g/cm2であり、また、1/100規定硝酸銀水溶液
で電位差滴定することによって測定されたジメチルアミ
ノ基の量は、1×1017個/cm2であった。
【0122】<比較例1>ポリペプチド溶液(1)の代
わりに、PBSを用いる以外は実施例1と同様にして、
比較用基材15を得た。実施例1と同様にして求めた比
較用基材15のジメチルアミノ基の量は4×1015個/
cm2であった。
【0123】<比較例2>PDAM溶液の代わりに、P
BSを用いる以外は実施例1と同様にして、比較用基材
16を得た。実施例1と同様にして求めた比較用基材1
6のSLPF含有量は1.0μg/cm2であった。
【0124】<比較例3>PDAMの代わりに、和光純
薬工業(株)製ポリ−L−リジンを用いる以外は実施例
1と同様にして、比較用基材17を得た。実施例1と同
様にして求めた比較用基材17のSLPF含有量は1.
1μg/cm2であり、また1級アミノ基の量は1×1
14個/cm2であった。
【0125】<比較例4>ポリペプチド溶液(1)の代
わりに、PBSを用いる以外は実施例2と同様にして、
比較用基材18を得た。実施例2と同様にして求めた比
較用基材18の2級及び3級アミンの量は1×1016
/cm2であった。
【0126】<比較例5>ポリペプチド溶液(1)の代
わりに、PBSを用いる以外は実施例3と同様にして、
比較用基材19を得た。実施例3と同様にして求めた比
較用基材19のホスファチジル基の量は、1×1016
/cm2であった。
【0127】<比較例6>ポリペプチド溶液(1)の代
わりに、PBSを用いる以外は実施例4と同様にして、
比較用基材20を得た。実施例4と同様にして求めた比
較用基材20のステロイド環の量は、4×1016個/c
2であった。
【0128】<細胞培養>得られた基材1〜20を用い
て無血清細胞培養実験を行った。20個の1Lスピナー
フラスコに基材1〜20を6gづつそれぞれ加え、24
5mlのインビトロジェン社製無血清培地ギブコOpt
iPro-SFMを加え、37℃で20分間撹拌下温調
後、MDCK細胞[大日本製薬(株)から購入]を細胞
濃度:5.0×106個/mLに分散したもの5mlを
加え(細胞密度=10万個/ml)、25rpmで撹拌
しながら、二酸化炭素と空気の混合物(二酸化炭素/空
気=5/95体積比)中、37℃で培養を行なった。基
材への初期接着性を評価するため30分後に、また、増
殖性を評価するため1日後及び3日後に、撹拌下に基材
の懸濁液1mlをそれぞれサンプリングし、PBSで基
材を洗浄して基材に接着していない細胞を除去した後、
細胞核数をウィーゼル(Wezel)によるクリスタルバイ
オレットを用いた細胞核計数法(nuclei-counting meth
od)で計数することで、細胞密度(単位:万個/ml)
を測定した。結果を表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】なお、比較例1の基材15を用い、インビ
トロジェン社製無血清培地ギブコOptiPro-SF
Mの代わりに、血清培地(FBS10%含有MEME)
を用いた場合の細胞密度(万個/ml)は、30分後;
5、1日後;16、3日後;70であった。
【0131】<実施例15>旭テクノグラス製60mm
φ細胞培養ディッシュ(培養面積;28cm2/個)
に、実施例1で得られたポリペプチド溶液(1)とPD
AM溶液の当重量混合物をPBSで10倍に希釈したも
のを1.5ml加え、20〜25℃のクリーンベンチ内
でで1週間放置することによって、自然乾燥させた。さ
らにPBS5mlで2回洗浄して、本発明のポリペプチ
ド含有基材(ディッシュ1)を得た。
【0132】ディッシュ1に4.5規定の過塩素酸リチ
ウム溶液3mlを加え、37℃で48時間振盪後、過塩
素酸リチウム溶液上清中に溶出したポリペプチド(F
1)の含有量をピアスケミカル社製BCA蛋白試薬で測
定することによって、ディッシュ1のポリペプチド(F
1)含有量を求めた結果、2.0μg/cm2であっ
た。ディッシュ1にイオン交換水1.5ml加え、1/
100規定硝酸銀水溶液で電位差滴定することによっ
て、ディッシュ1の表面に存在するジメチルアミノ基の
量を求めた結果、1×1017個/cm2であった。
【0133】<実施例16>ポリペプチド(F1)の代
わりにポリペプチドLを用いる以外は実施例15と同様
にして、本発明のポリペプチド含有基材(ディッシュ
2)を得た。実施例15と同様にして求めたディッシュ
2のポリペプチドL含有量は2.1μg/cm 2であ
り、また、1/100規定硝酸銀水溶液で電位差滴定す
ることによって、測定されたジメチルアミノ基の量は、
1×1017個/cm2であった。
【0134】<比較例7>ポリペプチド溶液(1)の代
わりに、PBSを用いる以外は実施例15と同様にし
て、比較用のディッシュ3を得た。実施例15と同様に
して求めたディッシュ3のジメチルアミノ基の量は4×
1016個/cm2であった。
【0135】<細胞培養>得られたディッシュ1〜3を
用いて無血清細胞培養実験を行った。各ディッシュに、
インビトロジェン社製無血清培地ギブコOptiPro
−SFMに、MDCK細胞[大日本製薬(株)から購
入]を細胞濃度:2万個/mLに分散したもの5mlを
加え(総細胞数;10万個)、二酸化炭素と空気の混合
物(二酸化炭素/空気=5/95体積比)中、37℃で
3日間培養を行なった。ディッシュをトリプシンで処理
し細胞を浮遊させ、血球計数盤を用いて顕微鏡で細胞数
(万個)を測定した。その結果を表2に示す。
【0136】
【表2】
【0137】なお、比較例7のディッシュ3を用いて、
インビトロジェン社製無血清培地ギブコOptiPro
-SFMの代わりに、血清培地(FBS10%含有ME
ME)を用いた場合の細胞数は、65万個であった。
【0138】以上の実施例及び比較例から、本発明のポ
リペプチド含有基材を用いた場合、無血清培養において
も血清培地を使用した場合と同様以上かつ、ポリペプチ
ド(F1)等単独をコーティングしたものよりも優れた
細胞接着性及び細胞増殖性が得られ、細胞を効率的に培
養できることが判る。
【0139】
【発明の効果】本発明の基材を用いると、無血清でも細
胞を効率的に培養が可能であり、動物細胞を用いる医薬
品やワクチンの生産の完全無血清化が実現できるもので
ある。
【0140】
【配列表】 <110>三洋化成工業株式会社;SANYO CHEMICAL INDUSTRIES,LTD. <120>ポリペプチド含有基材 <160>11 <210>1 <211>4 <212>PRT <213>Homo sapiens <400>1 Arg Glu Asp Val 1 <210>2 <211>5 <213>PRT <213>Homo sapiens <400>2 Tyr Ile Gly Ser Arg 1 5 <210>3 <211>5 <213>PRT <213>Homo sapiens <400>3 Pro Asp Ser Gly Arg 1 5 <210>4 <211>7 <213>PRT <213>Homo sapiens <400>4 Arg Tyr Val Val Leu Pro Arg 1 5 <210>5 <211>6 <213>PRT <213>Homo sapiens <400>5 Leu Gly Thr Ile Pro Gly 1 5 <210>6 <211>10 <213>PRT <213>Homo sapiens <400>6 Arg Asn Ile Ala Glu Ile Ile Lys Asp Ile 1 5 10 <210>7 <211>5 <213>PRT <213>Homo sapiens <400>7 Ile Lys Val Ala Val 1 5 <210>8 <211>4 <213>PRT <213>Homo sapiens <400>8 Asp Gly Glu Ala 1 <210>9 <211>6 <213>PRT <213>Bombyx mori <400>9 Gly Ala Gly Ala Gly Ser 1 5 <210>10 <211>54 <213>PRT <213>Bombyx mori <400>10 Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala 1 5 10 15 Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala 20 25 30 Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser Gly Ala Gly Ala Gly Ser 35 40 45 Gly Ala Gly Ala Gly Ser 50 <210>11 <211>30 <213>PRT <213>Homo sapiens <400>11 Gly Ala Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly 1 5 10 15 Ala Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro Gly Pro Pro 20 25 30

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞接着シグナルを現す最小アミノ酸配
    列を1分子中に少なくとも1個有するポリペプチド
    (P)を含んでなり、かつ2級アミノ基(A1)、3級
    アミノ基(A2)、アンモニオ基(A3)、ホスファチ
    ジル基(A4)及びリゾホスファチジル基(A5)から
    なる群より選ばれる少なくとも1つの官能基(A)、並
    びに/又は糖(B1)及びステロイド環(B2)から選
    ばれる少なくとも1つの構造(B)を有してなることを
    特徴とするポリペプチド含有基材。
  2. 【請求項2】 ポリペプチド(P)と官能基(A)及び
    /又は構造(B)との全て又は一部が基材表面に存在し
    てなる請求項1記載のポリペプチド含有基材。
  3. 【請求項3】 ポリペプチド(P)の含有量(μg/c
    2)が基材の表面積1cm2当り0.1以上100以下
    である請求項1又は2に記載のポリペプチド含有基材。
  4. 【請求項4】 ポリペプチド(P)の細胞接着シグナル
    を現す最小アミノ酸配列の数が、(P)1分子中に3〜
    50個である請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプ
    チド含有基材。
  5. 【請求項5】 ポリペプチド(P)の細胞接着シグナル
    を現す最小アミノ酸配列が、Arg Gly Asp配列、Leu Asp
    Val配列、Arg Glu Asp Val配列(1)、TyrIle Gly Se
    r Arg配列(2)、Pro Asp Ser Gly Arg配列(3)、Ar
    g Tyr Val Val Leu Pro Arg配列(4)、Leu Gly Thr I
    le Pro Gly配列(5)、Arg Asn IleAla Glu Ile Ile L
    ys Asp Ile配列(6)、Ile Lys Val Ala Val配列
    (7)、Leu Arg Glu配列、Asp Gly Glu Ala配列(8)
    及びHis Ala Val配列からなる群より選ばれる少なくと
    も1種の配列である請求項1〜4のいずれかに記載のポ
    リペプチド含有基材。
  6. 【請求項6】 官能基(A)及び/又は構造(B)の含
    有量が基材の表面積1cm2当り1×1013〜1×1020
    個である請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチド
    含有基材。
  7. 【請求項7】 官能基(A)が、ジメチルアミノ基、ト
    リメチルアンモニオ基、ジエチルアミノ基、ジエチルメ
    チルアンモニオ基及び/若しくはグアニジノ基、並びに
    /又はジシアンジアミドとホルマリンとの重縮合物、ジ
    シアンジアミドとジエチレントリアミンとの重縮合物、
    エピクロルヒドリンとジメチルアミンとの付加重合物、
    ジメチルジアリルアミンモニウムクロリド重合物及びジ
    アリルアミン塩酸塩と二酸化硫黄との共重合物からなる
    群より選ばれる少なくとも1つの重合体に含まれる2級
    アミノ基、3級アミノ基、アンモニオ基、イミノ基、ア
    ミジノ基及び/若しくはグアジノ基である請求項1〜6
    のいずれかに記載のポリペプチド含有基材。
  8. 【請求項8】 基材が、体積平均粒子径(μm)が50
    以上100以下、かつ密度(g/cm3)が1.02以
    上1.04以下の微粒子である請求項1〜7のいずれか
    に記載のポリペプチド含有基材。
  9. 【請求項9】 スチレン及び多官能性モノマーを必須構
    成単量体としてなる合成高分子を含んでなる請求項1〜
    9のいずれか記載のポリペプチド含有基材。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載のポリ
    ペプチド含有基材を用い、無血清培地にて動物細胞を培
    養することを特徴とする動物細胞の生産方法。
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