JP2003301846A - 玉軸受 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 低トルクで発熱が少なく、且つ長寿命な玉軸
受を提供する。 【解決手段】 横断面形状が円弧状である軌道溝2a,
3aを有する内輪2及び外輪3と、内輪2と外輪3との
間に転動自在に配設された複数の玉4と、を備える深溝
玉軸受1において、内輪2の溝半径を玉4の直径の5
0.5%以上52%未満とし、外輪3の溝半径を玉4の
直径の52.5%以上55%未満とするとともに、内輪
2,外輪3,及び玉4のうち少なくとも内輪2を、炭素
を0.9質量%以上含有し浸炭窒化処理が施された高炭
素鋼で構成した。
受を提供する。 【解決手段】 横断面形状が円弧状である軌道溝2a,
3aを有する内輪2及び外輪3と、内輪2と外輪3との
間に転動自在に配設された複数の玉4と、を備える深溝
玉軸受1において、内輪2の溝半径を玉4の直径の5
0.5%以上52%未満とし、外輪3の溝半径を玉4の
直径の52.5%以上55%未満とするとともに、内輪
2,外輪3,及び玉4のうち少なくとも内輪2を、炭素
を0.9質量%以上含有し浸炭窒化処理が施された高炭
素鋼で構成した。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気,情報,鉄鋼
等の産業分野において用いられる各種機械、各種工作機
械、各種産業機械、及び自動車などに使用される玉軸受
に係り、特に、ターボチャージャー等のように急加減速
されることが多く且つ高速回転で使用されるという過酷
な条件下でも好適に使用可能な玉軸受に関する。 【0002】 【従来の技術】上記のような玉軸受(例えば、深溝玉軸
受)には、起動トルク,動摩擦トルク等のトルクが低く
且つ長寿命であることが要求される。そして、このよう
な従来の深溝玉軸受の内輪及び外輪に形成された軌道溝
の溝半径は、JIS B1518に規定されているよう
に、一般に玉の直径の52%とされている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】深溝玉軸受の寿命は、
内輪の軌道溝と玉との最大接触面圧(以降は「内輪の最
大接触面圧」と記す)及び外輪の軌道溝と玉との最大接
触面圧(以降は「外輪の最大接触面圧」と記す)のうち
高い方(以降は「軸受の最大接触面圧」と記す)に支配
される。よって、深溝玉軸受を長寿命とするためには、
軸受の最大接触面圧を低くすることが好ましい。 【0004】従来の深溝玉軸受においては、内輪の軌道
接触直径と外輪の軌道接触直径とが異なること、及び、
軌道溝の湾曲方向が異なることによって、内輪の最大接
触面圧が外輪の最大接触面圧よりも高くなっている。こ
のため、内輪の軌道溝の玉との接触面において剥離が生
じやすくなり、深溝玉軸受の寿命が短くなる傾向があ
る。したがって、深溝玉軸受を長寿命とするためには、
特に内輪の最大接触面圧を低くすることが好ましい。 【0005】また、前述の軌道接触直径の差及び軌道溝
の湾曲方向の違いによって、外輪の軌道溝の玉との接触
面積が内輪の軌道溝のそれよりも大きくなっている。こ
のため、外輪は内輪よりもトルクが大きく、発熱も多
い。したがって、深溝玉軸受全体のトルクを低くし且つ
発熱を抑えるためには、軌道溝の玉との接触面積、特に
外輪の軌道溝の玉との接触面積を小さくすることが好ま
しい。 【0006】そこで、本発明は、上記のような従来の玉
軸受が有する問題点を解決し、低トルクで発熱が少な
く、且つ長寿命な玉軸受を提供することを課題とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発
明の玉軸受は、横断面形状が円弧状である軌道溝を有す
る内輪及び外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自
在に配設された複数の玉と、を備える玉軸受において、
前記内輪の溝半径を前記玉の直径の50.5%以上52
%未満とし、前記外輪の溝半径を前記玉の直径の52.
5%以上55%未満とするとともに、前記内輪,前記外
輪,及び前記玉のうち少なくとも前記内輪を、炭素を
0.9質量%以上含有し浸炭窒化処理が施された高炭素
鋼で構成したことを特徴とする。 【0008】軌道溝の溝半径を小さくすると、軌道溝の
玉との接触面積が大きくなり、また、軌道溝と玉との最
大接触面圧が低くなる。よって、従来の玉軸受よりも内
輪の軌道溝の溝半径を小さくすると内輪の最大接触面圧
が低くなるから、軸受の最大接触面圧を低くすることが
できる。しかし、内輪の軌道溝の玉との接触面積が大き
くなるので、トルクが大きくなり発熱が増大するという
問題が生じる。 【0009】そこで、内輪の軌道溝の溝半径を従来の玉
軸受(玉の直径の52%)よりも小さくし、なおかつ、
外輪の軌道溝の溝半径を従来の玉軸受よりも大きくし
た。そうすれば、外輪の軌道溝の玉との接触面積は小さ
くなり、その結果、トルクが小さくなり発熱も少なくな
るので、前述したような内輪の軌道溝におけるトルク及
び発熱の増大が相殺される。 【0010】外輪の軌道溝の溝半径を従来の玉軸受より
も大きくすると、外輪の最大接触面圧は高くなるが、適
切な溝半径を選択することによって、軸受の最大接触面
圧を従来の玉軸受よりも低くすることが可能である。こ
のようなことにより、本発明の玉軸受は長寿命であり、
さらに低トルクで発熱も少ない。軸受の最大接触面圧を
従来の玉軸受よりも低くし、トルク及び発熱も小さくす
るためには、内輪の溝半径を玉の直径の50.5%以上
52%未満とし、外輪の溝半径を玉の直径の52.5%
以上55%未満とする必要がある。 【0011】軸受の最大接触面圧を従来の玉軸受よりも
低くして長寿命とするためには、内輪の軌道溝の溝半径
は従来の玉軸受よりも小さくする必要があるが、玉の直
径の50.5%未満であると、差動すべりの影響が大き
くなって玉軸受の寿命が不十分となる。また、トルク及
び発熱を従来の玉軸受よりも小さくするためには、外輪
の軌道溝の溝半径は従来の玉軸受よりも大きくする必要
があり、玉の直径の52.5%以上とすればトルク及び
発熱が小さくなる。しかし、溝半径が玉の直径の55%
以上であると、外輪の最大接触面圧が従来の玉軸受の内
輪の最大接触面圧を超えてしまう。 【0012】前述のように内輪の軌道溝の溝半径を小さ
くすると内輪の最大接触面圧が低くなるため、従来の玉
軸受と比較して内輪における差動すべりが大きくなる。
そのため、軌道面に存在する介在物が起点となって剥離
が発生しやすくなる。このような表面起点剥離を抑制す
るためには、高清浄度化(炭素による還元作用により製
鋼時の介在物が減少する)のために炭素を0.9質量%
以上含有する高炭素鋼で内輪を構成するとともに、内輪
に浸炭窒化処理を施すことにより表面を強化する必要が
ある。 【0013】また、外輪は従来の玉軸受よりも接触面圧
が高くなるので、内部起点剥離が発生しやすい。したが
って、内輪と同様の上記高炭素鋼で外輪を構成すること
が好ましく、さらに内輪と同様の浸炭窒化処理を施すこ
とがより好ましい。さらに、玉に関しても、内輪と同様
の上記高炭素鋼で構成することが好ましく、さらに内輪
と同様の浸炭窒化処理を施すことがより好ましい。 【0014】なお、内輪,外輪,及び玉に浸炭窒化処理
を施す際には、形成される浸炭窒化層の残留オーステナ
イト量が15体積%以上となるように、浸炭窒化処理を
施すことが好ましい。そうすれば、内輪,外輪,及び玉
の表面層に高い靱性が付与されるから、表面起点剥離や
その進展を抑えることができる。ただし、浸炭窒化処理
を施す高炭素鋼において、素材の炭素濃度,表面の炭素
濃度,表面の窒素濃度の特性を無視することはできない
ので、上記3つの濃度は下記の範囲とすることが好まし
い。 【0015】(素材の炭素濃度について)炭素は玉軸受
に必要とされる硬さと炭化物を得るための元素である。
寿命に必要十分な硬さと、炭化物の面積率と、本発明に
好適な清浄度とを得るためには、炭素は0.9質量%以
上含有する必要がある。ただし、1.3質量%を超える
と高炭素鋼の凝固時に大型の炭化物が生成し、転動疲労
寿命を著しく低下させるため、炭素濃度は0.9〜1.
3質量%とすることが好ましい。 【0016】(浸炭窒化処理後の表面の炭素濃度につい
て)浸炭窒化処理後の表面の炭素濃度は、1.1〜2.
0質量%とすることが好ましい。1.1質量%未満であ
ると、玉軸受に必要な転がり疲れ強さを付与することが
困難となり、また、形成される炭化物の量が不十分とな
る。一方、2.0質量%超過であると、セメンタイト系
炭化物が粗大化するので、これらが起点となって玉軸受
の転がり疲労特性及び割れ強度が劣化する。 【0017】(浸炭窒化処理後の表面の窒素濃度につい
て)浸炭窒化処理後の表面の窒素濃度は、0.2〜0.
7質量%とすることが好ましい。0.2質量%未満であ
ると、窒素の固溶不足により十分な表面硬さと残留オー
ステナイト量が得られないため、寿命が不十分となる。
窒素濃度が高いと窒化物が析出して耐摩耗性が向上する
が、0.7質量%超過であると研削加工が困難となっ
て、生産性の低下を招く。研削加工の効率を最優先する
場合は、硬さ及び残留オーステナイト量を若干犠牲にし
て、表面の窒素濃度を0.1〜0.3質量%とすること
がより好ましい。 【0018】 【発明の実施の形態】本発明に係る玉軸受の実施の形態
を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一
実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図で
ある。この深溝玉軸受1は、外周面に軌道溝2aを有す
る内輪2と、内輪2の軌道溝2aに対向する軌道溝3a
を内周面に有する外輪3と、両軌道溝2a,3a間に転
動自在に配設された複数の玉4と、を備えている。 【0019】両軌道溝2a,3aの横断面形状は円弧状
で、内輪2の軌道溝2aの溝半径は、玉4の直径の5
0.5%以上52%未満とされ、外輪3の軌道溝3aの
溝半径は、玉4の直径の52.5%以上55%未満とさ
れている。なお、この深溝玉軸受1の構成は、内外輪
2,3の溝半径がJIS B1513で規定された値
(玉の直径の52%)とは異なることを除いては、呼び
番号6206の深溝玉軸受と同様である。 【0020】また、内輪2,外輪3,及び玉4は、炭素
を0.9質量%以上含有する高炭素鋼(例えばSUJ−
2が代表例としてあげられる)で構成されており、さら
に浸炭窒化処理が施されている。次に、上記と同様の構
成の深溝玉軸受において、内外輪の溝半径を種々変更し
た場合の軸受の最大接触面圧及び回転トルクを調査し
た。軸受の最大接触面圧は、深溝玉軸受に9800Nの
荷重を負荷した状態で調査し、回転トルクは、深溝玉軸
受に9800Nの荷重を負荷した状態で1500min
-1の回転速度で回転させながら測定した。軸受の最大接
触面圧の結果を表1に示し、回転トルクの結果を図2の
グラフに示す。なお、図2のグラフの回転トルクの数値
は、従来の呼び番号6206の深溝玉軸受(溝半径は内
外輪ともに玉の直径の52%)の回転トルクを1とした
場合の相対値で示してある。 【0021】 【表1】【0022】表1から分かるように、外輪の溝半径が玉
の直径の55%である場合の最大接触面圧は、従来の深
溝玉軸受の内輪の最大接触面圧(本条件においては3.
91GPa)を超えている。このことから、外輪の溝半
径は玉の直径の55%未満とする必要があると言える。
また、内輪の場合は、従来の深溝玉軸受の内輪の最大接
触面圧未満とするためには、内輪の溝半径は玉の直径の
52%未満とする必要がある。 【0023】さらに、図2のグラフから分かるように、
外輪の溝半径が玉の直径の52.5%以上であると、従
来の深溝玉軸受よりも回転トルクが小さくなっている。
このことから、外輪の溝半径は玉の直径の52.5%以
上とする必要がある。また、内輪の場合は、内輪の溝半
径が玉の直径の50.5%未満となると、差動すべりの
影響を大きく受けて短寿命となるので、内輪の溝半径は
玉の直径の50.5%以上とする必要がある。 【0024】次に、上記と同様の構成の深溝玉軸受にお
いて、内輪を構成する鋼の種類を種々変更した上、内輪
の溝半径を種々変更した深溝玉軸受を15種(No.1
〜15)用意し、その寿命を調査した。これらの深溝玉
軸受の構成は、内輪については表2に示す通りであり、
表3に示すA〜Cのいずれかの鋼材で構成し、溝半径は
玉の直径の50〜52%とした。また、外輪及び玉は表
3に示すDの鋼材で構成し、外輪の溝半径は玉の直径の
53%とした。 【0025】 【表2】【0026】 【表3】 【0027】ここで、表3に記載の浸炭窒化処理と焼入
れ・焼戻し処理とについて、その条件を詳細に説明する
浸炭窒化処理は、Rxガス,エンリッチガス(1〜3体
積%),及びアンモニアガス(1〜7体積%)の混合ガ
ス雰囲気下において、820〜900℃で2〜4時間処
理した後、50〜150℃に油冷することにより行う。 【0028】また、焼入れ・焼戻し処理は、830〜8
70℃で0.5〜3時間保持した後、50〜150℃に
油冷して焼入れし、その後に160〜200℃に1〜5
時間保持して焼戻しすることにより行う。寿命試験の試
験条件は以下の通りであり、フレーキングを起こすまで
の時間を寿命とした。 【0029】試験機 :深溝玉軸受(6206タイプ)
寿命試験機 潤滑条件:クリーン潤滑条件 潤滑油 :FKBオイル RO150 ラジアル荷重:9800N 回転速度:1500min-1 定格疲れ寿命L10:87時間 15種の深溝玉軸受の寿命試験の結果を、図3のグラフ
にまとめて示す。 【0030】内輪を肌焼鋼で構成し浸炭窒化処理を施し
たNo.6〜10と、内輪を高炭素鋼で構成し通常の熱
処理を施したNo.11〜15とは、溝半径が従来の軸
受より小さいので最大接触面圧は低くなっているが、差
動すべりの影響が大きいため寿命が短かった。これに対
して、内輪を高炭素鋼で構成し浸炭窒化処理を施し、さ
らに溝半径が玉の直径の50.5〜51.5%であるN
o.2〜4は、長寿命であった。これらと同様に内輪を
高炭素鋼で構成し浸炭窒化処理を施したNo.1は、溝
半径が玉の直径の50%であるため、差動すべりが非常
に大きく短寿命となった。 【0031】これらの結果から、浸炭窒化処理が施され
た高炭素鋼で内輪を構成する必要があることが分かる。
次に、上記と同様の構成の深溝玉軸受において、内外輪
を構成する鋼の種類を種々変更した上、内外輪の溝半径
を種々変更した深溝玉軸受を4種(No.20〜23)
用意し、その寿命を調査した。 【0032】これらの深溝玉軸受の構成は表4に示す通
りであり、表5に示すE〜Lのいずれかの鋼材で構成し
た。なお、No.23は、内外輪の溝半径が玉の直径の
52%である従来の深溝玉軸受である。また、表5に記
載の浸炭窒化処理と焼入れ・焼戻し処理の条件は、前述
のものと同様である。 【0033】 【表4】 【0034】 【表5】 【0035】4種の深溝玉軸受の寿命試験の結果を、図
4のグラフにまとめて示す。なお、寿命試験に用いた試
験機や試験条件は、前述の場合と同様である。No.2
0は、内輪は高炭素鋼で構成され浸炭窒化処理が施され
ており、外輪は高炭素鋼で構成され通常の熱処理が施さ
れている。そして、内輪の溝半径が玉の直径の50.5
%で、外輪の溝半径が玉の直径の52.5%とされてい
る。このような深溝玉軸受は、従来の深溝玉軸受である
No.23と比較して約2.25倍も長寿命であった。 【0036】これに対して、内外輪の溝半径がNo.2
0と同様のNo.21は、外輪と比較して内輪の接触面
圧が低いにもかかわらず、内輪の表面の炭素濃度が高す
ぎるため、早期剥離を起こし短寿命であった。これと同
様にNo.22は、外輪の心部の炭素濃度が高すぎるた
め、早期剥離を起こし短寿命であった。また、本寿命試
験では外輪を固定し内輪回転としているが、深溝玉軸受
においては固定輪の応力繰り返し数が回転輪のそれより
も大きくなる傾向がある。本寿命試験においては、N
o.20は外輪の接触面圧が内輪の接触面圧よりも高く
なっており、その逆であるNo.23との差は緩和され
ていると考えられる。よって、内輪を固定輪とした場合
には内輪の応力繰り返し数が大きくなるため、No.2
3はより一層短寿命となることが予測される。 【0037】なお、本実施形態は本発明の一例を示した
ものであって、本発明は本実施形態に限定されるもので
はない。例えば、本実施形態においては深溝玉軸受を例
示して説明したが、内外輪の溝半径が玉の直径の52%
とされている従来の玉軸受であれば、本発明は様々なラ
ジアル形玉軸受やスラスト形玉軸受に対して適用するこ
とができる。 【0038】 【発明の効果】以上のように、本発明の玉軸受は、低ト
ルクで発熱が少なく、且つ長寿命である。
等の産業分野において用いられる各種機械、各種工作機
械、各種産業機械、及び自動車などに使用される玉軸受
に係り、特に、ターボチャージャー等のように急加減速
されることが多く且つ高速回転で使用されるという過酷
な条件下でも好適に使用可能な玉軸受に関する。 【0002】 【従来の技術】上記のような玉軸受(例えば、深溝玉軸
受)には、起動トルク,動摩擦トルク等のトルクが低く
且つ長寿命であることが要求される。そして、このよう
な従来の深溝玉軸受の内輪及び外輪に形成された軌道溝
の溝半径は、JIS B1518に規定されているよう
に、一般に玉の直径の52%とされている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】深溝玉軸受の寿命は、
内輪の軌道溝と玉との最大接触面圧(以降は「内輪の最
大接触面圧」と記す)及び外輪の軌道溝と玉との最大接
触面圧(以降は「外輪の最大接触面圧」と記す)のうち
高い方(以降は「軸受の最大接触面圧」と記す)に支配
される。よって、深溝玉軸受を長寿命とするためには、
軸受の最大接触面圧を低くすることが好ましい。 【0004】従来の深溝玉軸受においては、内輪の軌道
接触直径と外輪の軌道接触直径とが異なること、及び、
軌道溝の湾曲方向が異なることによって、内輪の最大接
触面圧が外輪の最大接触面圧よりも高くなっている。こ
のため、内輪の軌道溝の玉との接触面において剥離が生
じやすくなり、深溝玉軸受の寿命が短くなる傾向があ
る。したがって、深溝玉軸受を長寿命とするためには、
特に内輪の最大接触面圧を低くすることが好ましい。 【0005】また、前述の軌道接触直径の差及び軌道溝
の湾曲方向の違いによって、外輪の軌道溝の玉との接触
面積が内輪の軌道溝のそれよりも大きくなっている。こ
のため、外輪は内輪よりもトルクが大きく、発熱も多
い。したがって、深溝玉軸受全体のトルクを低くし且つ
発熱を抑えるためには、軌道溝の玉との接触面積、特に
外輪の軌道溝の玉との接触面積を小さくすることが好ま
しい。 【0006】そこで、本発明は、上記のような従来の玉
軸受が有する問題点を解決し、低トルクで発熱が少な
く、且つ長寿命な玉軸受を提供することを課題とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発
明の玉軸受は、横断面形状が円弧状である軌道溝を有す
る内輪及び外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自
在に配設された複数の玉と、を備える玉軸受において、
前記内輪の溝半径を前記玉の直径の50.5%以上52
%未満とし、前記外輪の溝半径を前記玉の直径の52.
5%以上55%未満とするとともに、前記内輪,前記外
輪,及び前記玉のうち少なくとも前記内輪を、炭素を
0.9質量%以上含有し浸炭窒化処理が施された高炭素
鋼で構成したことを特徴とする。 【0008】軌道溝の溝半径を小さくすると、軌道溝の
玉との接触面積が大きくなり、また、軌道溝と玉との最
大接触面圧が低くなる。よって、従来の玉軸受よりも内
輪の軌道溝の溝半径を小さくすると内輪の最大接触面圧
が低くなるから、軸受の最大接触面圧を低くすることが
できる。しかし、内輪の軌道溝の玉との接触面積が大き
くなるので、トルクが大きくなり発熱が増大するという
問題が生じる。 【0009】そこで、内輪の軌道溝の溝半径を従来の玉
軸受(玉の直径の52%)よりも小さくし、なおかつ、
外輪の軌道溝の溝半径を従来の玉軸受よりも大きくし
た。そうすれば、外輪の軌道溝の玉との接触面積は小さ
くなり、その結果、トルクが小さくなり発熱も少なくな
るので、前述したような内輪の軌道溝におけるトルク及
び発熱の増大が相殺される。 【0010】外輪の軌道溝の溝半径を従来の玉軸受より
も大きくすると、外輪の最大接触面圧は高くなるが、適
切な溝半径を選択することによって、軸受の最大接触面
圧を従来の玉軸受よりも低くすることが可能である。こ
のようなことにより、本発明の玉軸受は長寿命であり、
さらに低トルクで発熱も少ない。軸受の最大接触面圧を
従来の玉軸受よりも低くし、トルク及び発熱も小さくす
るためには、内輪の溝半径を玉の直径の50.5%以上
52%未満とし、外輪の溝半径を玉の直径の52.5%
以上55%未満とする必要がある。 【0011】軸受の最大接触面圧を従来の玉軸受よりも
低くして長寿命とするためには、内輪の軌道溝の溝半径
は従来の玉軸受よりも小さくする必要があるが、玉の直
径の50.5%未満であると、差動すべりの影響が大き
くなって玉軸受の寿命が不十分となる。また、トルク及
び発熱を従来の玉軸受よりも小さくするためには、外輪
の軌道溝の溝半径は従来の玉軸受よりも大きくする必要
があり、玉の直径の52.5%以上とすればトルク及び
発熱が小さくなる。しかし、溝半径が玉の直径の55%
以上であると、外輪の最大接触面圧が従来の玉軸受の内
輪の最大接触面圧を超えてしまう。 【0012】前述のように内輪の軌道溝の溝半径を小さ
くすると内輪の最大接触面圧が低くなるため、従来の玉
軸受と比較して内輪における差動すべりが大きくなる。
そのため、軌道面に存在する介在物が起点となって剥離
が発生しやすくなる。このような表面起点剥離を抑制す
るためには、高清浄度化(炭素による還元作用により製
鋼時の介在物が減少する)のために炭素を0.9質量%
以上含有する高炭素鋼で内輪を構成するとともに、内輪
に浸炭窒化処理を施すことにより表面を強化する必要が
ある。 【0013】また、外輪は従来の玉軸受よりも接触面圧
が高くなるので、内部起点剥離が発生しやすい。したが
って、内輪と同様の上記高炭素鋼で外輪を構成すること
が好ましく、さらに内輪と同様の浸炭窒化処理を施すこ
とがより好ましい。さらに、玉に関しても、内輪と同様
の上記高炭素鋼で構成することが好ましく、さらに内輪
と同様の浸炭窒化処理を施すことがより好ましい。 【0014】なお、内輪,外輪,及び玉に浸炭窒化処理
を施す際には、形成される浸炭窒化層の残留オーステナ
イト量が15体積%以上となるように、浸炭窒化処理を
施すことが好ましい。そうすれば、内輪,外輪,及び玉
の表面層に高い靱性が付与されるから、表面起点剥離や
その進展を抑えることができる。ただし、浸炭窒化処理
を施す高炭素鋼において、素材の炭素濃度,表面の炭素
濃度,表面の窒素濃度の特性を無視することはできない
ので、上記3つの濃度は下記の範囲とすることが好まし
い。 【0015】(素材の炭素濃度について)炭素は玉軸受
に必要とされる硬さと炭化物を得るための元素である。
寿命に必要十分な硬さと、炭化物の面積率と、本発明に
好適な清浄度とを得るためには、炭素は0.9質量%以
上含有する必要がある。ただし、1.3質量%を超える
と高炭素鋼の凝固時に大型の炭化物が生成し、転動疲労
寿命を著しく低下させるため、炭素濃度は0.9〜1.
3質量%とすることが好ましい。 【0016】(浸炭窒化処理後の表面の炭素濃度につい
て)浸炭窒化処理後の表面の炭素濃度は、1.1〜2.
0質量%とすることが好ましい。1.1質量%未満であ
ると、玉軸受に必要な転がり疲れ強さを付与することが
困難となり、また、形成される炭化物の量が不十分とな
る。一方、2.0質量%超過であると、セメンタイト系
炭化物が粗大化するので、これらが起点となって玉軸受
の転がり疲労特性及び割れ強度が劣化する。 【0017】(浸炭窒化処理後の表面の窒素濃度につい
て)浸炭窒化処理後の表面の窒素濃度は、0.2〜0.
7質量%とすることが好ましい。0.2質量%未満であ
ると、窒素の固溶不足により十分な表面硬さと残留オー
ステナイト量が得られないため、寿命が不十分となる。
窒素濃度が高いと窒化物が析出して耐摩耗性が向上する
が、0.7質量%超過であると研削加工が困難となっ
て、生産性の低下を招く。研削加工の効率を最優先する
場合は、硬さ及び残留オーステナイト量を若干犠牲にし
て、表面の窒素濃度を0.1〜0.3質量%とすること
がより好ましい。 【0018】 【発明の実施の形態】本発明に係る玉軸受の実施の形態
を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一
実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図で
ある。この深溝玉軸受1は、外周面に軌道溝2aを有す
る内輪2と、内輪2の軌道溝2aに対向する軌道溝3a
を内周面に有する外輪3と、両軌道溝2a,3a間に転
動自在に配設された複数の玉4と、を備えている。 【0019】両軌道溝2a,3aの横断面形状は円弧状
で、内輪2の軌道溝2aの溝半径は、玉4の直径の5
0.5%以上52%未満とされ、外輪3の軌道溝3aの
溝半径は、玉4の直径の52.5%以上55%未満とさ
れている。なお、この深溝玉軸受1の構成は、内外輪
2,3の溝半径がJIS B1513で規定された値
(玉の直径の52%)とは異なることを除いては、呼び
番号6206の深溝玉軸受と同様である。 【0020】また、内輪2,外輪3,及び玉4は、炭素
を0.9質量%以上含有する高炭素鋼(例えばSUJ−
2が代表例としてあげられる)で構成されており、さら
に浸炭窒化処理が施されている。次に、上記と同様の構
成の深溝玉軸受において、内外輪の溝半径を種々変更し
た場合の軸受の最大接触面圧及び回転トルクを調査し
た。軸受の最大接触面圧は、深溝玉軸受に9800Nの
荷重を負荷した状態で調査し、回転トルクは、深溝玉軸
受に9800Nの荷重を負荷した状態で1500min
-1の回転速度で回転させながら測定した。軸受の最大接
触面圧の結果を表1に示し、回転トルクの結果を図2の
グラフに示す。なお、図2のグラフの回転トルクの数値
は、従来の呼び番号6206の深溝玉軸受(溝半径は内
外輪ともに玉の直径の52%)の回転トルクを1とした
場合の相対値で示してある。 【0021】 【表1】【0022】表1から分かるように、外輪の溝半径が玉
の直径の55%である場合の最大接触面圧は、従来の深
溝玉軸受の内輪の最大接触面圧(本条件においては3.
91GPa)を超えている。このことから、外輪の溝半
径は玉の直径の55%未満とする必要があると言える。
また、内輪の場合は、従来の深溝玉軸受の内輪の最大接
触面圧未満とするためには、内輪の溝半径は玉の直径の
52%未満とする必要がある。 【0023】さらに、図2のグラフから分かるように、
外輪の溝半径が玉の直径の52.5%以上であると、従
来の深溝玉軸受よりも回転トルクが小さくなっている。
このことから、外輪の溝半径は玉の直径の52.5%以
上とする必要がある。また、内輪の場合は、内輪の溝半
径が玉の直径の50.5%未満となると、差動すべりの
影響を大きく受けて短寿命となるので、内輪の溝半径は
玉の直径の50.5%以上とする必要がある。 【0024】次に、上記と同様の構成の深溝玉軸受にお
いて、内輪を構成する鋼の種類を種々変更した上、内輪
の溝半径を種々変更した深溝玉軸受を15種(No.1
〜15)用意し、その寿命を調査した。これらの深溝玉
軸受の構成は、内輪については表2に示す通りであり、
表3に示すA〜Cのいずれかの鋼材で構成し、溝半径は
玉の直径の50〜52%とした。また、外輪及び玉は表
3に示すDの鋼材で構成し、外輪の溝半径は玉の直径の
53%とした。 【0025】 【表2】【0026】 【表3】 【0027】ここで、表3に記載の浸炭窒化処理と焼入
れ・焼戻し処理とについて、その条件を詳細に説明する
浸炭窒化処理は、Rxガス,エンリッチガス(1〜3体
積%),及びアンモニアガス(1〜7体積%)の混合ガ
ス雰囲気下において、820〜900℃で2〜4時間処
理した後、50〜150℃に油冷することにより行う。 【0028】また、焼入れ・焼戻し処理は、830〜8
70℃で0.5〜3時間保持した後、50〜150℃に
油冷して焼入れし、その後に160〜200℃に1〜5
時間保持して焼戻しすることにより行う。寿命試験の試
験条件は以下の通りであり、フレーキングを起こすまで
の時間を寿命とした。 【0029】試験機 :深溝玉軸受(6206タイプ)
寿命試験機 潤滑条件:クリーン潤滑条件 潤滑油 :FKBオイル RO150 ラジアル荷重:9800N 回転速度:1500min-1 定格疲れ寿命L10:87時間 15種の深溝玉軸受の寿命試験の結果を、図3のグラフ
にまとめて示す。 【0030】内輪を肌焼鋼で構成し浸炭窒化処理を施し
たNo.6〜10と、内輪を高炭素鋼で構成し通常の熱
処理を施したNo.11〜15とは、溝半径が従来の軸
受より小さいので最大接触面圧は低くなっているが、差
動すべりの影響が大きいため寿命が短かった。これに対
して、内輪を高炭素鋼で構成し浸炭窒化処理を施し、さ
らに溝半径が玉の直径の50.5〜51.5%であるN
o.2〜4は、長寿命であった。これらと同様に内輪を
高炭素鋼で構成し浸炭窒化処理を施したNo.1は、溝
半径が玉の直径の50%であるため、差動すべりが非常
に大きく短寿命となった。 【0031】これらの結果から、浸炭窒化処理が施され
た高炭素鋼で内輪を構成する必要があることが分かる。
次に、上記と同様の構成の深溝玉軸受において、内外輪
を構成する鋼の種類を種々変更した上、内外輪の溝半径
を種々変更した深溝玉軸受を4種(No.20〜23)
用意し、その寿命を調査した。 【0032】これらの深溝玉軸受の構成は表4に示す通
りであり、表5に示すE〜Lのいずれかの鋼材で構成し
た。なお、No.23は、内外輪の溝半径が玉の直径の
52%である従来の深溝玉軸受である。また、表5に記
載の浸炭窒化処理と焼入れ・焼戻し処理の条件は、前述
のものと同様である。 【0033】 【表4】 【0034】 【表5】 【0035】4種の深溝玉軸受の寿命試験の結果を、図
4のグラフにまとめて示す。なお、寿命試験に用いた試
験機や試験条件は、前述の場合と同様である。No.2
0は、内輪は高炭素鋼で構成され浸炭窒化処理が施され
ており、外輪は高炭素鋼で構成され通常の熱処理が施さ
れている。そして、内輪の溝半径が玉の直径の50.5
%で、外輪の溝半径が玉の直径の52.5%とされてい
る。このような深溝玉軸受は、従来の深溝玉軸受である
No.23と比較して約2.25倍も長寿命であった。 【0036】これに対して、内外輪の溝半径がNo.2
0と同様のNo.21は、外輪と比較して内輪の接触面
圧が低いにもかかわらず、内輪の表面の炭素濃度が高す
ぎるため、早期剥離を起こし短寿命であった。これと同
様にNo.22は、外輪の心部の炭素濃度が高すぎるた
め、早期剥離を起こし短寿命であった。また、本寿命試
験では外輪を固定し内輪回転としているが、深溝玉軸受
においては固定輪の応力繰り返し数が回転輪のそれより
も大きくなる傾向がある。本寿命試験においては、N
o.20は外輪の接触面圧が内輪の接触面圧よりも高く
なっており、その逆であるNo.23との差は緩和され
ていると考えられる。よって、内輪を固定輪とした場合
には内輪の応力繰り返し数が大きくなるため、No.2
3はより一層短寿命となることが予測される。 【0037】なお、本実施形態は本発明の一例を示した
ものであって、本発明は本実施形態に限定されるもので
はない。例えば、本実施形態においては深溝玉軸受を例
示して説明したが、内外輪の溝半径が玉の直径の52%
とされている従来の玉軸受であれば、本発明は様々なラ
ジアル形玉軸受やスラスト形玉軸受に対して適用するこ
とができる。 【0038】 【発明の効果】以上のように、本発明の玉軸受は、低ト
ルクで発熱が少なく、且つ長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である玉軸受の構造を示す
部分縦断面図である。 【図2】外輪の溝半径と深溝玉軸受の回転トルクとの相
関を示すグラフである。 【図3】内輪の溝半径と深溝玉軸受の寿命との相関を示
すグラフである。 【図4】深溝玉軸受の寿命と累積破損率との相関を示す
グラフである。 【符号の説明】 1 深溝玉軸受 2 内輪 2a 軌道溝 3 外輪 3a 軌道溝 4 玉
部分縦断面図である。 【図2】外輪の溝半径と深溝玉軸受の回転トルクとの相
関を示すグラフである。 【図3】内輪の溝半径と深溝玉軸受の寿命との相関を示
すグラフである。 【図4】深溝玉軸受の寿命と累積破損率との相関を示す
グラフである。 【符号の説明】 1 深溝玉軸受 2 内輪 2a 軌道溝 3 外輪 3a 軌道溝 4 玉
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フロントページの続き
Fターム(参考) 3J101 AA03 AA42 BA10 BA53 BA54
BA55 BA70 DA02 EA02 FA31
GA01 GA31
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 横断面形状が円弧状である軌道溝を有す
る内輪及び外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自
在に配設された複数の玉と、を備える玉軸受において、 前記内輪の溝半径を前記玉の直径の50.5%以上52
%未満とし、前記外輪の溝半径を前記玉の直径の52.
5%以上55%未満とするとともに、 前記内輪,前記外輪,及び前記玉のうち少なくとも前記
内輪を、炭素を0.9質量%以上含有し浸炭窒化処理が
施された高炭素鋼で構成したことを特徴とする玉軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002103701A JP2003301846A (ja) | 2002-04-05 | 2002-04-05 | 玉軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002103701A JP2003301846A (ja) | 2002-04-05 | 2002-04-05 | 玉軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003301846A true JP2003301846A (ja) | 2003-10-24 |
Family
ID=29389366
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002103701A Pending JP2003301846A (ja) | 2002-04-05 | 2002-04-05 | 玉軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003301846A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9206490B2 (en) | 2011-12-08 | 2015-12-08 | Ntn Corporation | Bearing part, rolling bearing, and methods of manufacturing them |
US10087989B2 (en) | 2013-06-06 | 2018-10-02 | Ntn Corporation | Bearing component and rolling bearing |
US10094422B2 (en) | 2013-06-06 | 2018-10-09 | Ntn Corporation | Bearing component and rolling bearing |
US10107335B2 (en) | 2013-06-06 | 2018-10-23 | Ntn Corporation | Bearing component and rolling bearing |
US10156259B2 (en) | 2013-06-06 | 2018-12-18 | Ntn Corporation | Bearing component and rolling bearing |
-
2002
- 2002-04-05 JP JP2002103701A patent/JP2003301846A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9206490B2 (en) | 2011-12-08 | 2015-12-08 | Ntn Corporation | Bearing part, rolling bearing, and methods of manufacturing them |
US10087989B2 (en) | 2013-06-06 | 2018-10-02 | Ntn Corporation | Bearing component and rolling bearing |
US10094422B2 (en) | 2013-06-06 | 2018-10-09 | Ntn Corporation | Bearing component and rolling bearing |
US10107335B2 (en) | 2013-06-06 | 2018-10-23 | Ntn Corporation | Bearing component and rolling bearing |
US10156259B2 (en) | 2013-06-06 | 2018-12-18 | Ntn Corporation | Bearing component and rolling bearing |
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