JP2003301298A - 電着塗装方法 - Google Patents

電着塗装方法

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JP2003301298A
JP2003301298A JP2002107803A JP2002107803A JP2003301298A JP 2003301298 A JP2003301298 A JP 2003301298A JP 2002107803 A JP2002107803 A JP 2002107803A JP 2002107803 A JP2002107803 A JP 2002107803A JP 2003301298 A JP2003301298 A JP 2003301298A
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Japan
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water
cooling
electrodeposition coating
treatment
coated
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JP2002107803A
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Masao Mikami
雅男 三上
Kazunaga Habara
千長 羽原
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼付け乾燥後の冷却にかかる時間を短縮し、
装置面積を縮小し、かつ、冷却に用い加温された水を有
効利用することで、省資源化および低コスト化を可能と
し、作業効率、作業環境に優れる電着塗装方法を提供す
る。 【解決手段】 被塗物に化成皮膜を形成する前処理工程
と、該前処理工程によって化成皮膜が形成された被塗物
に電着塗装を施す電着塗装工程と、該電着塗装工程によ
って電着塗装が施された被塗物に焼付け乾燥を施す焼付
工程と、を含む電着塗装方法において、さらに、前記焼
付工程によって焼付け乾燥が施された被塗物をイオン交
換水で冷却する冷却工程を含み、かつ、前記被塗物の冷
却に用いた前記イオン交換水を前記前処理工程における
処理に用いることを特徴とする電着塗装方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被塗物に化成皮膜
および電着塗膜を形成する電着塗装方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般に電着塗装は、塗装工程の自動化が
容易であり、塗料の被塗物への付き回り性がよく、均一
な塗厚の塗膜が得られ、さらには水系塗料であるために
環境に対する負荷が少なく、安全性が高い等の利点を有
するので、従来から工業用塗装ライン等で広く用いられ
ている。電着塗装は、一般に、湯洗、脱脂、水洗(以
下、脱脂処理後の水洗を「脱脂後水洗」という場合があ
る。)、表面調整、化成、水洗(以下、化成処理後の水
洗を「化成後水洗」という場合がある。)、純水水洗(以
下、化成処理後の純水水洗を「化成後純水水洗」という
場合がある。)など、塗料を塗装する前に被塗物に化成
皮膜を形成するための処理を施す前処理工程と、電着塗
料を電着して被塗物に電着塗膜を形成する電着塗装工程
と、焼付け乾燥炉において被塗物を焼付け乾燥して未硬
化の電着塗膜を硬化させる焼付工程と、から構成され
る。
【0003】焼付工程を経て電着塗装が施された被塗物
は、中塗りや上塗りを施したり出荷等のため脱荷され次
の工程に搬送される。上記焼付工程において被塗物は、
焼付け乾燥炉内で一般に160〜180℃程度にまで加
熱されているため、次の工程に搬送する場合には次処理
や作業安全面のために該被塗物を冷却する必要がある。
電着塗装において被塗物の冷却には、通常、冷風が用い
られている。これは、電着塗装における焼付け乾燥温度
は中塗りや上塗りの処理温度に比べて高いことから、水
を用いた急冷による塗膜劣化の懸念、さらに冷却後の排
水処理の煩雑さなどを考慮したためである。
【0004】しかし、被塗物の冷却に冷風を用いると、
空冷のため熱交換効率が悪く長いラインが必要である。
また、上塗りなど次の工程における処理を施すことが可
能な温度や作業者等が取り扱い可能な温度にまで被塗物
の温度を下げるのに長時間を要するため、冷却コストが
高く、また、作業効率も低下してしまう。さらに、高温
の被塗物が作業部屋内に長時間滞留するため作業室内温
度が上昇し、作業環境が悪化するといった問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
焼付け乾燥後の冷却にかかる時間を短縮し、装置面積を
縮小し、かつ、冷却に用いた水を有効利用することで、
省資源化および低コスト化を可能とし、作業効率、作業
環境に優れる電着塗装方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】電着塗装における焼付け
乾燥温度が高いため、次工程の温度条件に合わせるため
急冷すると、急激な温度変化にともなって塗膜と下地と
の密着性の低下や塗膜表面のクラックの発生が懸念され
ることから、被塗物の冷却は冷風によって空冷するのが
従来から通例であった。本発明者等は上述の課題に鑑み
鋭意研究した結果、上記冷却にイオン交換水を用いると
水分中の雑イオンの固着がなくなり、ブリスターの発生
原因が存在しなくなるため、塗膜に異常が発生しないこ
とを見出し、本発明に想到した。
【0007】すなわち、本発明は、被塗物に化成皮膜を
形成する前処理工程と、該前処理工程によって化成皮膜
が形成された被塗物に電着塗装を施す電着塗装工程と、
該電着塗装工程によって電着塗装が施された被塗物に焼
付け乾燥を施す焼付工程と、を含む電着塗装方法におい
て、さらに、前記焼付工程によって焼付け乾燥が施され
た被塗物をイオン交換水で冷却する冷却工程を含み、か
つ、前記被塗物の冷却に用いた前記イオン交換水を前記
前処理工程における処理に用いることを特徴とする電着
塗装方法である。
【0008】上記本発明の電着塗装方法によれば、焼付
け乾燥された被塗物の冷却にイオン交換水を用いている
ため、容易にかつ短時間で被塗物を冷却することができ
る。また、上記冷却に用いられたイオン交換水を上記前
処理工程における各処理に用いているため、イオン交換
水を有効に再利用することができ、省資源化および低コ
スト化を図ることができる。さらに冷却水としてイオン
交換水を用いるため、水道水や工業用水を使用した場合
と違って塩素イオン、カルシウムイオン、マグネシウム
イオン、珪酸イオン等の雑イオンが被塗物上に残留する
ことがない。そのため電着塗膜外観の悪化や上塗り層の
ブリスター(塗膜フクレ)を発生させることがない。
【0009】上記冷却に用いられたイオン交換水は、上
記前処理工程における化成後純水処理、並びに化成後純
水処理に純水を供給するための純水製造手段に直接用い
ることができる。また、上記冷却に用いられ加温された
イオン交換水は上記前処理工程における湯洗処理に使用
でき、さらに脱脂処理の補給水として用いてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】《電着塗装方法》以下、本発明の
電着塗装方法について詳細に説明する。本発明の電着塗
装方法は、化成皮膜を被塗物に形成する前処理工程と、
該前処理工程によって化成皮膜が形成された被塗物に電
着塗装を施す電着塗装工程と、該電着塗装工程によって
電着塗装が施された被塗物に焼付け乾燥を施す焼付工程
と、該焼付工程によって焼付け乾燥が施された被塗物を
冷却する冷却工程とを含み、該冷却工程においてイオン
交換水を用いて被塗物を冷却し、該冷却に用いたイオン
交換水を上記前処理工程の各処理に用いることを特徴と
する。
【0011】本発明の電着塗装方法によれば、上記冷却
工程において焼付乾燥工程を経た被塗物を、イオン交換
水を用いて冷却することで、冷風を用いた場合に比して
大幅に冷却時間を短縮することができる。特に熱容量の
大きい被塗物の場合には、冷風を用いると長い冷却時間
を要するが、冷却にイオン交換水を用いると熱容量の大
きい被塗物であっても冷却時間を短く抑えることができ
る。これに伴い、冷却に要するエネルギーおよびコスト
を削減することができ、作業効率をも向上させることが
できる。しかも、塗膜と下地との密着性が低下すること
がなく、さらに、塗膜にクラックが発生することもな
い。また、本発明の電着塗装方法は空冷ではなく水冷で
あるため、長いラインを確保する必要がなく、さらに、
冷風設備は通常水冷設備よりも大型であることから、該
冷却工程に水冷設備を用いることで設備の小型化を図る
ことができる。
【0012】また、冷却工程で被塗物の冷却に用いたイ
オン交換水を前処理工程の各工程に用いることで、湯
洗、脱脂等の各処理に新たに用いるイオン交換水の供給
量を削減することができ、電着塗装全体におけるイオン
交換水の使用効率を向上させることができる。特に、湯
洗処理においては所望の温度にまで水を加温する必要が
あるため、加温された上記イオン交換水を湯洗処理に再
利用することで、湯洗処理に用いる水を加温するのに必
要なエネルギーおよびコストを削減することができる。
【0013】代表的な電着塗装ラインについて図1を用
いて説明する。図1は、電着塗装ラインを説明するため
の概略的説明図である。尚、各処理には、末尾の「処
理」が省略されている。図1に示す電着塗装ラインにお
いて上記前処理工程は、被塗物を湯洗する湯洗1と、被
塗物表面に付着した油分を取り除く脱脂2と、被塗物に
付着した脱脂液を洗浄する水洗3〜4と、被塗物表面の
化成性を向上させるためにその表面を調整する表面調整
5と、被塗物に化成皮膜を形成する化成6と、被塗物に
付着した化成処理液を洗浄する水洗7〜8と、さらに純
水によって被塗物を洗浄する純水(化成後純水処理)9
と、から構成される。尚、前処理工程において、純水9
による洗浄後、被塗物に水切り乾燥処理を施してもよ
い。
【0014】前処理工程を経て所定のセッティングの
後、被塗物は電着塗装工程へと移行される。図1に示す
電着塗装ラインにおいて上記電着塗装工程は、電着槽に
おいて被塗物に電着塗膜を形成する電着10と、被塗物
の未乾燥塗膜上に付着した槽内塗料(未電着の塗料成
分)をUF処理したろ液により洗浄するUF水洗11〜
12と、さらに被塗物を洗浄する最終水洗13と、から
構成される。
【0015】電着塗装工程を経て所定のセッティングの
後、被塗物は焼付工程へ移行される。図1において焼付
工程は、焼付乾燥炉において被塗物を、通常、被塗物温
度160〜180℃程度で焼付け乾燥させ、未乾燥塗膜
を硬化させる焼付乾燥14からなる。焼付工程を経て電
着塗装が完成された被塗物は冷却工程へ移行される。該
冷却工程は冷却槽においてイオン交換水で被塗物を冷却
する冷却15からなる。冷却15で冷却された被塗物は
電着塗装ラインから脱荷され上塗り等次の工程に移行さ
れる。
【0016】図1において、冷却15で被塗物の冷却に
用いられたイオン交換水は、ポンプ16により、湯洗1
の湯洗水または脱脂2の補給水、純水9の水洗水、ある
いは、純水9に純水を供給する純水製造手段17の原水
として供給される。以下、本発明の電着塗装方法の各工
程について説明するが、本発明の電着塗装方法は、前処
理工程、電着塗装工程、焼付工程および冷却工程に限定
されるものではなく、必要に応じて、他の工程を含んで
いてもよい。
【0017】〈前処理工程〉本発明において前処理工程
は、被塗物表面の油、ゴミ等を洗い流し、電着塗膜との
密着性向上、および、耐食性向上を企図する化成皮膜を
被塗物に形成するための処理を施す工程である。図1に
示すように前処理工程には、湯洗、脱脂、脱脂後水洗、
表面調整、化成、化成後水洗、化成後純水水洗等の処理
が含まれる。上記湯洗処理は、脱脂により被塗物表面に
付着した油分を取り除く前に、該油分を加温して取り除
きやすくするため、および、被塗物に付着したゴミを一
時的に洗い流すために行われる処理である。該湯洗処理
に用いられる湯洗水の温度は、通常35〜65℃の範囲
に保たれるように制御されている。湯洗処理に使われた
湯洗水は、該被塗物により脱脂処理槽に持ち出しされる
他、蒸発やオーバーフローにより消費される。このた
め、湯洗槽において湯洗水の量を一定に保つためには水
を供給する必要がある。従来、水は一般に冷たい工業用
水が用いられていたため、湯洗槽内の水は常時加温する
必要があった。本発明においては、冷却工程に用いられ
加温されたイオン交換水を上記湯洗水として再利用する
ことができるため、供給水を新たに補給する必要がな
く、或いは、補給量を低減することができる。また、湯
洗槽に供給する上記イオン交換水が予め加温されている
ので、湯洗水を加温するためのエネルギーコストを削減
することができる。
【0018】上記脱脂処理は、化成皮膜の形成を阻害す
る被塗物表面の油分およびゴミを取り除くために行われ
る処理である。上記脱脂処理における脱脂液としては、
通常アルカリビルダーと界面活性剤とを溶解した水溶液
が用いられる。槽内の脱脂液の温度は通常40〜60℃
程度に調整されている。脱脂処理において脱脂液量の変
動は少ないが、蒸発等によって減少するため脱脂液の液
面調整が必要であり、冷却工程で用いられ加温されたイ
オン交換水をかかる液面調整用の補給液として再利用し
てもよい。この場合も、補給液が予め加温されているた
め、脱脂液の加温に要するエネルギーコストを削減する
ことができる。
【0019】また、図1に示すように、脱脂後水洗処理
は2段以上の工程を含んでいる場合が多い。
【0020】上記表面調整処理は、被塗物表面の化成性
を向上させるために行われる処理である。表面調整液と
しては、種々の組成のものが挙げられるが、化成処理槽
に収容される化成処理液がリン酸亜鉛系の処理液である
場合、一般には、チタンの微粒子を分散させた弱アルカ
リ性の分散液であり、従来公知のものが問題なく使用さ
れる。尚、上記表面調整処理は必須の処理ではなく、リ
ン酸亜鉛系処理液の場合に特に望まれるものである。他
の処理方式の場合には、一般的に脱脂後水洗処理後に化
成処理が行われることとなる。
【0021】上記化成処理は、化成処理槽に収容された
化成処理液を被塗物に接液させて、被塗物に化成皮膜を
形成するために行われる処理である。上記化成処理液と
しては、リン酸亜鉛系のほか、リン酸鉄系化成処理液、
クロメート処理液、有機酸系処理液等、塗装下地処理薬
剤として従来公知の表面処理剤が挙げられる。この中
で、リン酸亜鉛系処理液は、リン酸および亜鉛を主成分
とし、その他ニッケル、マンガン等の重金属やフッ素、
NO3等を副成分とし、さらにNO2等の酸化剤を含有す
る表面処理剤であり、形成される皮膜の耐食性や、塗膜
との密着性が良好であることから、自動車のボディライ
ン、建材ライン、電気部品ライン等において多用されて
いる。
【0022】上記化成後水洗処理は、スプレー槽等から
なる水洗槽において化成処理後の被塗物の表面に付着す
る化成処理液を洗浄するために行われる処理である。図
1に示すように化成後水洗処理は、通常複数工程からな
り、最終的に化成後純水処理によって純水(脱イオン
水)で洗浄する。上記冷却工程で用いられたイオン交換
水を上記化成後純水処理の循環純水槽等に供給すると、
処理槽へのイオン交換水供給量が増え、その結果純水の
純度を維持しやすくなる。さらに、上記冷却工程で用い
られたイオン交換水を上記化成後処理純水処理に純水を
供給する純水製造手段に用いてもよい。上記イオン交換
水を純水製造手段の原水として用いると、原水として通
常の水(水道水等)を用いた場合と比較して上記イオン
交換水には雑イオンが含まれる割合が非常に少ないた
め、イオン交換樹脂の負担を軽減して長持ちさせること
ができる。
【0023】〈電着塗装工程〉電着塗装工程は、電着に
よって被塗物に塗膜成分を電気的に付着させ、電着塗膜
を形成する工程である。図1に示すように電着塗装工程
には、電着処理、および、UF水洗と最終水洗とを含む
水洗処理等が含まれる。上記電着処理は、搬送装置によ
って電着層に収容された電着塗料に被塗物を浸漬し、電
着塗装を施すために行われる処理である。上記電着塗装
としては、アニオン電着塗料を用いて導電材料からなる
被塗物を陽極として電着を行う陽極電着塗装と、カチオ
ン電着塗料を用いて導電材料からなる被塗物を陰極とし
て電着を行う陰極電着塗装とが一般的である。カチオン
電着塗料を用いた場合を例に電着塗装について説明す
る。電着処理において、まず、被塗物を電着槽に収容さ
れたカチオン電着塗料中に浸漬する。次いで浸漬された
被塗物が一方の電極(陰極)となり、かつ、浸漬されて
いる被塗物と離間して配置された電極部材が他方の電極
(陽極)となるように、被塗物および電極部材間に直流
電圧を印加して、カチオン電着塗料を被塗物の表面に電
着させる。本発明において、電着処理の各種手法や用い
る電着装置としては、特に限定されるものではなく、従
来公知の知見全て適用可能である。例えば、電着装置と
しては、長さを有する電着槽の長手方向の一端から入槽
させ、電着槽の長手方向の他端から出槽させ、これを連
続的に順次行ういわゆる連続式の電着装置であってもよ
いし、適当な保持手段によって保持された被塗物を昇降
装置によって電着槽に浸漬し引き上げる構成の、いわゆ
るバッチ式の電着装置であってもよい。
【0024】また、本発明において、電着処理における
各種条件(通電電圧、通電時間、通電電力量、電着塗料
の固形分濃度、液温、酸濃度等)は、電着塗料の種類、
被塗物の種類、要求スペック(膜厚等)、周りの環境等
によって、適宜調整してやればよい。
【0025】上記水洗処理は、電着されずに被塗物の表
面に付着している電着塗料を回収し、かつ、洗浄するた
めに行われる処理である。上記水洗処理は、一般的に、
電着槽液または塗料を比較的多量に含む洗浄廃液をろ過
し、塗料成分を含む回収液を電着槽へ、またろ液を洗浄
水として戻してそれぞれ循環再利用する閉回路のUF水
洗処理工程と、さらにその後の工程として別系で設けら
れる最終水洗処理工程の二つの工程に分けることができ
る。前者は、電着槽内の塗料をUF処理したろ液によっ
て被塗物を洗浄することで、被塗物に付着した塗料成分
を回収水洗することができる。後者は、洗浄を高度に行
うためには極めて重要な工程であり、純水、工水、水道
水等の水を用いて、仕上げの水洗を行い、前者で洗いき
れない希薄な塗料成分やカウンターイオン等を洗浄す
る。
【0026】〈焼付工程〉焼付工程は、焼付乾燥炉等に
おいて被塗物に形成された未硬化の電着塗膜を焼付・乾
燥を行い最終的に所望の硬度を有する電着塗膜を完成さ
せる工程である。該焼付け乾燥を行う焼付乾燥炉として
は、通常の焼付乾燥炉であればよく、その条件(焼付け
温度、焼付け時間等)は、電着塗料の種類、被塗物の種
類等によって適宜調整してやればよい。一般に電着塗装
の焼付けは、被塗物温度160〜180℃、10分〜1
時間の条件で行われ、中上塗り工程の焼付け(高くても
140℃程度、通常は120℃×20分程度で行われ
る)に比べて高い温度で行われることが多い。
【0027】〈冷却工程〉冷却工程は、次の工程におけ
る諸処理を施すことが可能な温度、或いは、作業者等が
取り扱うことが可能な温度にまで被塗物を冷却する工程
である。本発明の電着塗装方法は、上記冷却にイオン交
換水を用いる。上記冷却にイオン交換水以外の水、即
ち、水道水、工業用水等を用いると、含有される雑イオ
ン(塩素イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオ
ン、珪酸イオン)が被塗物上に残留し、電着塗膜の外観
上の問題や、上塗りをおこなった場合に上塗り層のブリ
スター(塗膜ふくれ)を起こす原因となる。上記冷却
は、焼付乾燥炉から搬送されてきた被塗物に水をスプレ
ーで噴射等して行う。上記冷却に用いるイオン交換水の
温度は特に限定されるものではない。冷却工程に用いら
れる冷却槽のうち、代表的なスプレー方式の冷却槽を用
いた場合を例に冷却工程について説明する。
【0028】図2は、スプレー方式の冷却槽を示す概略
的断面図である。図2においてスプレー冷却槽20は、
ハンガー22に保持された被塗物21に複数のノズル2
3からイオン交換水27を噴射して冷却する構造を有す
る。上記ノズル23は、給水管24と連結したライザー
管25に備えられている。ライザー管25に備えられる
ノズル23の数は装置や被塗物の大きさにより適宜選択
すればよい。ノズル23としては公知のものを適宜使用
することができ、例えば、8〜15リットル/分、0.
5〜1atmでイオン交換水27を噴射するW型ジェッ
トタイプのものを好適に用いることができる。スプレー
方式の冷却槽を用いた場合に好ましい冷却条件として
は、スプレー冷却槽20に2基のライザー管25が備え
られている場合、1基のノズル23当たり10リットル
/分で、被塗物の形状、肉厚等によってスプレー時間を
調整することで被塗物21の全容積の約3倍以上の水量
のイオン交換水27を噴射し50℃程度まで冷却するの
が好ましい。その後、被塗物21に付着した水滴をエア
ーブローで吹き飛ばすなどの処理を施してもよい。
【0029】図2において、被塗物21の冷却に用いら
れたイオン交換水28は、排水管26を経てポンプ16
によって前処理工程における化成後水洗(純水水洗)槽
や湯洗槽等へ送液される。また、被塗物21の冷却に用
いられたイオン交換水28を全て湯洗槽等に送液する必
要はなく、湯洗槽等の水量などに応じて適宜、湯洗槽等
に送液しない分を、例えば、スプレー冷却槽20内にま
たは別途タンクを設けて該タンク内に溜めて再度被塗物
21の冷却に用いる循環構造としてもよい。
【0030】図2に示すように、本発明において、冷却
に用いられたイオン交換水は、ポンプ等の送液装置よっ
て前処理工程に送られる。前処理工程に送液された水
は、湯洗処理、脱脂処理の補給水および、化成後純水処
理、または純水製造手段に用いられる。また、電着塗装
工程における最終水洗処理に用いてもよい。このなかで
も、上記冷却に用いられ加温された水は、電着塗装ライ
ン全体のエネルギー効率およびコストを考慮すると、あ
る程度の温度と水量とを必要とする湯洗処理に用いるの
が特に好ましく、また、イオン交換水の供給量が増え、
その結果純水の純度を維持しやすくなることから、化成
後純水処理の水洗水として用いるのも好ましい。さら
に、冷却に用いられ加温されたイオン交換水は、通常の
水と比較して雑イオンを含む割合が非常に少ないため、
化成後純水処理等に用いる純水製造手段の原水として用
いることも好ましい。尚、各工程における水洗処理の段
数は上述のものに限定されるものではない。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。本実施例では、実際の電着塗装ラインに対して
適宜改造したり条件を変更することで実験を行った。具
体的には、図1に示す電着塗装ラインにおいて図2に示
す構成のスプレー方式の冷却槽を用い、イオン交換水で
被塗物の冷却を行った。尚、冷却に用い加温されたイオ
ン交換水は湯洗槽に送液する構造とした。
【0032】[実施例1]前処理工程、電着塗装工程を
経て、未硬化の電着塗膜が形成された300g(50m
m×70mm×13mm)の被塗物に対して、170℃
×20分の条件でキープしながら焼付け乾燥処理を施し
た。次いで、スプレー冷却槽にて、18℃のイオン交換
水を10リットル/分で、10秒間、20秒間または3
0秒間噴射した被塗物の1分後の表面温度をそれぞれ表
面温度計を用いて測定した。結果を表1に示す。その後
被塗物表面に付着した水滴をエアーブローで吹き飛ばし
た。また、該冷却に用いられ湯洗槽に送液され、湯洗槽
に投入される前の水の温度を測定した。結果を表1に示
す。
【0033】[実施例2]実施例1において、ノズルか
ら18℃のイオン交換水を15リットル/分で噴射した
以外は実施例1と同様に被塗物の表面温度を測定し、湯
洗槽に送液され、湯洗槽に投入される前の水の温度を測
定した。結果を表1に示す。
【0034】[実施例3]実施例1において、ノズルか
ら18℃のイオン交換水を8リットル/分で噴射した以
外は実施例1と同様に被塗物の表面温度を測定し、湯洗
槽に送液され、湯洗槽に投入される前の水の温度を測定
した。結果を表1に示す。
【0035】[比較例1]実施例1において、スプレー
冷却槽を20℃の冷風を噴出する空冷装置に変更して被
塗物を冷却し、10分後と30分後との被塗物の表面温
度を測定した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1から、冷却にイオン交換水を用いる
と、冷風を用いて空冷した場合に比して飛躍的に冷却時
間が短縮されていることがわかる。また、各実施例にお
いて30秒間冷却した後の被塗物の塗膜表面を目視によ
って観察したところ、クラックの発生はなく、また、雑
イオンを原因とする汚れも確認されなかった。さらに、
湯洗槽に槽液されたイオン交換水は加温されているため
有効に利用された。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、焼付け乾燥後の冷却に
かかる時間を短縮し、装置面積を縮小し、かつ、冷却に
用いイオン交換水を有効利用することで、省資源化およ
び低コスト化を可能とし、作業効率、作業環境に優れる
電着塗装方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電着塗装ラインを説明するための概略的説明
図である。
【図2】 スプレー方式の冷却槽を示す概略的断面図で
ある。
【符号の説明】
1 湯洗処理 2 脱脂処理 3,4 水洗処理(脱脂後水洗) 5 表面調整処理 6 化成処理 7,8 水洗処理(化成後水洗) 9 化成後純水処理 10 電着処理 11,12 UF水洗処理 13 最終水洗処理 14 焼付乾燥処理 15 冷却処理 16 ポンプ 17 純水製造手段 20 スプレー冷却槽 21 被塗物 22 ハンガー 23 ノズル 24 給水管 25 ライザー管 26 排水管 27,28 イオン交換水

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被塗物に化成皮膜を形成する前処理工程
    と、該前処理工程によって化成皮膜が形成された被塗物
    に電着塗装を施す電着塗装工程と、該電着塗装工程によ
    って電着塗装が施された被塗物に焼付け乾燥を施す焼付
    工程と、を含む電着塗装方法において、さらに、前記焼
    付工程によって焼付け乾燥が施された被塗物をイオン交
    換水で冷却する冷却工程を含み、かつ、前記被塗物の冷
    却に用いた前記イオン交換水を前記前処理工程における
    処理に用いることを特徴とする電着塗装方法。
  2. 【請求項2】 前記前処理工程が化成処理及び化成後純
    水処理を含み、前記被塗物の冷却に用いた前記イオン交
    換水を前記化成後純水処理に用いることを特徴とする請
    求項1に記載の電着塗装方法。
  3. 【請求項3】 前記化成後純水処理に純水を供給する純
    水製造手段に前記被塗物の冷却に用いた前記イオン交換
    水を用いることを特徴とする請求項2に記載の電着塗装
    方法。
  4. 【請求項4】 前記前処理工程が湯洗処理を含み、加温
    された前記被塗物の冷却に用いた前記イオン交換水を前
    記湯洗処理に用いることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の電着塗装方法。
  5. 【請求項5】 前記前処理工程が脱脂処理を含み、加温
    された前記被塗物の冷却に用いた前記イオン交換水を前
    記脱脂処理の補給水として用いることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の電着塗装方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010125407A (ja) * 2008-11-28 2010-06-10 Akebono Brake Ind Co Ltd 塗装物の冷却方法、及びブレーキ用部品の製造方法

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