JP2003301137A - 塗料組成物、及び塗装金属板 - Google Patents

塗料組成物、及び塗装金属板

Info

Publication number
JP2003301137A
JP2003301137A JP2002109259A JP2002109259A JP2003301137A JP 2003301137 A JP2003301137 A JP 2003301137A JP 2002109259 A JP2002109259 A JP 2002109259A JP 2002109259 A JP2002109259 A JP 2002109259A JP 2003301137 A JP2003301137 A JP 2003301137A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester resin
dicarboxylic acid
mol
glycol
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002109259A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4097978B2 (ja
Inventor
Tomoyasu Nakada
智康 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Ester Co Ltd filed Critical Nippon Ester Co Ltd
Priority to JP2002109259A priority Critical patent/JP4097978B2/ja
Publication of JP2003301137A publication Critical patent/JP2003301137A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4097978B2 publication Critical patent/JP4097978B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 食料品容器や家電製品、事務用品等に用いら
れる金属鋼板用塗料として適した塗料組成物であり、特
に食品、及び飲料用金属缶等に塗装され、加工性や金属
密着性、耐レトルト性に優れた塗膜となる塗料組成物、
及びこの塗料組成物を塗布した塗装金属板を提供する。 【解決手段】 2種のポリエステル樹脂(A)及び
(B)を含有する塗料組成物であって、(A)はジカル
ボン酸成分がテレフタル酸、イソフタル酸、脂肪族ジカ
ルボン酸からなり、グリコール成分が側鎖を有する脂肪
族グリコール、エチレングリコールからなり、また
(B)はジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸、脂肪
族ジカルボン酸からなり、グリコール成分が側鎖を有す
る脂肪族グリコール、エチレングリコールからなり、
(A)と(B)との混合比率が質量比で(A)/(B)
=90〜50/10〜50である塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食料品容器や家電
製品、事務用品等に用いられる金属鋼板用塗料として適
した塗料組成物であり、特に食品、及び飲料用金属缶等
に塗装され、加工性や金属密着性、耐レトルト性に優れ
た塗膜となる塗料組成物、及びこの塗料組成物を塗布し
た塗装金属板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属鋼板を塗装する場合には、ポ
リエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ビニル
樹脂等が塗料として用いられており、このような樹脂で
塗装された金属鋼板は、家電製品や事務用品、食料品容
器等の様々な用途に用いられている。
【0003】中でも食料や飲料用の金属缶に用いられる
塗料は、内容物の風味やフレーバーを損なわず、かつ多
種多様の食物による缶材質の腐食を防止することを目的
として使用されるものであり、したがって、無毒性であ
ること、さらに加熱殺菌処理に耐えること、接着性、加
工性に優れること等が要求されている。
【0004】従来、この用途に用いられる塗料樹脂とし
ては、ポリ塩化ビニル系樹脂、エポキシ−フェノール系
樹脂等が多く使用されているが、これらは次に述べるよ
うな問題を抱えているのが現状である。
【0005】すなわち、ポリ塩化ビニル系樹脂は、優れ
た耐レトルト性、耐内容物性、加工性を有するが、樹脂
中に残留する塩化ビニルモノマーは、発ガン性等の重大
な衛生上問題のある物質であることが指摘されている。
また、廃棄された缶を焼却処理する際に、ポリ塩化ビニ
ル系樹脂から毒性、腐食性の強い塩素ガス、塩化水素ガ
ス、猛毒のダイオキシンが発生するので、焼却装置の腐
食や環境汚染につながる問題がある。さらにポリ塩化ビ
ニル系樹脂は、缶材質である金属との接着性が不十分で
ありエポキシ樹脂で処理した上にコーティングする必要
がある等コーティング工程が複雑である。
【0006】また、エポキシ−フェノール系樹脂では焼
付け温度が高く、焼付け時に発泡等の外観不良を起こし
易く、さらには加工性に劣る問題があるため主にスプレ
ー塗装されている。
【0007】このような問題を解決するために、特公昭
60−42829号公報、特公昭61−36548号公
報では、塗装や焼付けが容易で、金属密着性に優れ、焼
却時に有毒、腐食ガスを発生しない樹脂として、ポリエ
ステル系樹脂が提案されているが、近年では食料缶や飲
料缶の形態が複雑なものとなり、このような複雑な加工
処理に対しては金属密着性が不足しているために加工性
に劣り、さらには沸水又は蒸気による加熱処理時におけ
る耐レトルト性にも劣るものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる問題点
を解決するために、金属密着性に優れ、加工性と耐レト
ルト性がともに良好な塗料組成物を提供することを目的
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
ポリエステル樹脂の加工性と耐レトルト性の問題を解決
するために、鋭意検討を行った結果、特定の樹脂組成で
酸価の異なる2種のポリエステル樹脂を特定比率で混合
することにより、高い金属密着性を示し、さらには加工
性と耐レトルト性の両特性を合わせ持つ塗料組成物を見
出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、次の構成
を有するものである。 (1)2種のポリエステル樹脂(A)及び(B)を含有
する塗料組成物であって、ポリエステル樹脂(A)はジ
カルボン酸成分がテレフタル酸60〜90mol%、イ
ソフタル酸10〜40mol%、脂肪族ジカルボン酸0
〜10mol%からなり、グリコール成分が側鎖を有す
る脂肪族グリコール35〜75mol%、エチレングリ
コール25〜65mol%からなり、かつ酸価が20m
gKOH/g以下であり、またポリエステル樹脂(B)
はジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸80〜100
mol%、脂肪族ジカルボン酸0〜20mol%からな
り、グリコール成分が側鎖を有する脂肪族グリコール6
0〜100mol%、エチレングリコール0〜40mo
l%からなり、かつ酸価が40〜60mgKOH/gで
あり、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂
(B)との混合比率が質量比で(A)/(B)=90〜
50/10〜50であることを特徴とする塗料組成物。 (2)ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が65
℃以上、ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度が4
0℃以上であることを特徴とする(1)記載の塗料組成
物。 (3)(1)または(2)記載の塗料組成物を金属板の
少なくとも片面に塗布したことを特徴とする塗装金属
板。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の塗料組成物はポリエステル樹脂(A)及びポリ
エステル樹脂(B)を含有するものであり、この内、ポ
リエステル樹脂(A)のジカルボン酸成分はテレフタル
酸60〜90mol%、イソフタル酸10〜40mol
%、脂肪族ジカルボン酸0〜10mol%からなること
が必要である。イソフタル酸が10mol%未満では得
られる樹脂は溶剤溶解性に劣るものとなり、イソフタル
酸が40mol%を超えると樹脂が脆く塗膜とした際に
加工性に劣るものとなるため好ましくない。また、脂肪
族ジカルボン酸が10mol%を超えると得られる樹脂
のガラス転移温度が低いものとなり、この樹脂を含む塗
膜が耐レトルト性に劣るものとなるため好ましくない。
【0011】また、ポリエステル樹脂(A)のグリコー
ル成分は側鎖を有する脂肪族グリコール35〜75mo
l%、エチレングリコール25〜65mol%からなる
ことが必要である。側鎖を有する脂肪族グリコールが3
5mol%未満では金属密着性に劣るものとなりやす
く、さらには得られる樹脂の溶剤溶解性も劣るものとな
るため好ましくなく、側鎖を有する脂肪族グリコールが
75mol%を超えると、耐レトルト性に劣るものとな
るため好ましくない。
【0012】一方、ポリエステル樹脂(B)のジカルボ
ン酸成分は、芳香族ジカルボン酸80〜100mol
%、脂肪族ジカルボン酸0〜20mol%からなること
が必要である。芳香族ジカルボン酸が80mol%未満
では樹脂のガラス転移温度が低いものとなり、耐レトル
ト性に劣るものとなるため好ましくない。また、ポリエ
ステル樹脂(B)のグリコール成分は側鎖を有する脂肪
族グリコール60〜100mol%、エチレングリコー
ル0〜40mol%からなることが必要である。側鎖を
有する脂肪族グリコールが60mol%未満では、得ら
れる樹脂の溶剤溶解性が劣るものとなるため好ましくな
い。
【0013】ポリエステル樹脂(B)を構成する芳香族
ジカルボン酸としては、テレフタル酸やイソフタル酸が
挙げられる。
【0014】また、ポリエステル樹脂(A)及び(B)
を構成する脂肪族ジカルボン酸成分としては、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカンジオン酸、水添ダイマー酸等が挙げられ
る。
【0015】さらに側鎖を有するグリコール成分として
は、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−
プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、2−エチ
ル−2−ブチルプロパンジオール、3−メチル−1,5
−ペンタンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジ
オール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、3
−メチル−1,6−ヘキサンジオール、4−メチル−
1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,8−オク
タンジオール、4−プロピル−1,8−オクタンジオー
ルが挙げられ、中でもガラス転移温度の点から1,2−
プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオ
ールが好ましい。
【0016】また、ポリエステル樹脂(A)の酸価は2
0mgKOH/g以下、ポリエステル樹脂(B)の酸価
は40〜60mgKOH/gであることが必要である。
ポリエステル樹脂(A)の酸価が20mgKOH/gを
超えると、樹脂の分子量が低くなり加工性に劣るものと
なるため好ましくない。一方、ポリエステル樹脂(B)
の酸価が40mgKOH/g未満では硬化剤との反応点
が少なく、架橋密度が不十分なものとなり、耐レトルト
性に劣るものとなる。またポリエステル樹脂(B)の酸
価が60mgKOH/gを超えると、加工性に劣るもの
となるため好ましくない。
【0017】酸価を上記範囲に調整する方法としては、
常法により重縮合反応を行った後に、無水トリメリット
酸やトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノン
テトラカルボン酸等の酸成分を1〜10mol%添加
し、解重合反応を行う方法が挙げられる。
【0018】また、ポリエステル樹脂(A)とポリエス
テル樹脂(B)は質量比で(A)/(B)=90〜50
/10〜50の比率で混合されていることが必要であ
る。ポリエステル樹脂(A)の比率が90質量%を超え
ると、硬化剤との反応点が少なく、架橋密度が不十分な
ものとなり、耐レトルト性に劣るものとなる。また、ポ
リエステル樹脂(A)の比率が50質量%未満では、加
工性に劣るものとなるため好ましくない。
【0019】なお、ポリエステル樹脂(A)のガラス転
移温度は65℃以上であることが好ましく、より好まし
くは75℃以上である。ポリエステル樹脂(A)のガラ
ス転移温度が65℃未満であると耐レトルト性に劣りや
すいものとなるため、好ましくない。また、ポリエステ
ル樹脂(B)のガラス転移温度は40℃以上であること
が好ましく、さらに好ましくは40〜60℃である。ポ
リエステル樹脂(B)のガラス転移温度が40℃未満で
あると生産した樹脂がブロッキングしやすく、取り扱い
性に劣り、さらには耐レトルト性が劣るものとなるため
好ましくない。
【0020】また、ポリエステル樹脂(A)の極限粘度
としては0.30以上であることが好ましく、ポリエス
テル樹脂(B)の極限粘度としては0.15〜0.25
であることが好ましい。ポリエステル樹脂(A)の極限
粘度が0.30未満では加工性に劣るものとなる。また
ポリエステル樹脂(B)の極限粘度が0.15未満では
加工性に劣るものとなり、0.25を超えると末端基量
が本発明の範囲外となり、耐レトルト性に劣るものとな
るため好ましくない。
【0021】本発明の塗料組成物に用いるポリエステル
樹脂を製造する方法は、特に制限されるものではなく、
上記したジカルボン酸成分とグリコール成分とを用い、
直接エステル化やエステル交換法等の溶融重縮合による
従来公知の製造方法によって製造することができる。例
えば、ジカルボン酸成分、グリコール成分及び重縮合触
媒を一括して反応器に仕込み、系内の空気を排出し、窒
素置換する。その後、エステル化温度(200〜260
℃)になるまで昇温し、攪拌しながら3〜5時間反応を
行う。エステル化反応終了後、重縮合温度(220〜2
60℃)まで昇温し、さらに系内を減圧にし高真空下
(5hPa以下)で重縮合反応を行う。反応時間は製造
するポリエステル樹脂の種類によって異なるが、通常4
〜6時間である。重縮合反応終了後、系内に窒素を封入
し減圧を解除した後、得られた樹脂を払い出す方法や、
解重合剤として多価カルボン酸成分を添加する方法が挙
げられる。また、重縮合触媒としては、従来から一般的
に用いられているスズ、チタン、アンチモン、ゲルマニ
ウム、コバルト等の金属化合物が好適である。
【0022】本発明の塗料組成物は、上記したポリエス
テル樹脂(A)及び(B)の他に、硬化剤及び有機溶剤
からなるものである。
【0023】本発明の塗料組成物に用いられる硬化剤と
しては、フェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、メラミ
ン樹脂、多官能イソシアネート化合物、ブロックイソシ
アネート化合物、多官能アジリジン化合物から選ばれる
少なくとも1種のものが用いられる。硬化剤の配合量
は、ポリエステル樹脂100質量部に対して2〜20質
量部の範囲とすることが好ましく、3〜10質量部の範
囲とすることがより好ましい。硬化剤の配合量が2質量
部未満であると、架橋反応が不十分になり、特に缶とし
た場合にレトルト白化の問題が起こり易くなる。一方、
硬化剤の配合量が20質量部を超えると、硬化剤が過剰
になるため、飲料に溶け出しフレーバー性を悪化させる
傾向となる。
【0024】一方、本発明の塗料組成物に使用すること
ができる有機溶剤としては、上述したポリエステル樹脂
と硬化剤をともに溶解すればいかなるものでもよい。使
用可能な有機溶剤を具体的に例示すると、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族系の溶剤、塩化メチレン、
クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、
1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼ
ン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p
−ジクロロベンゼン等の塩素系の溶剤、酢酸エチル、γ
−ブチロラクトン等のエステル系の溶剤、イソホロン、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン系の溶剤、ジエチルエ
ーテル、ブチルセルソルブ、エチルセルソルブ、テトラ
ヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエチル系の溶
剤、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ブタノール等のアルコール系の溶剤、ブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、
オクタン、ノナン、ソルベッソ100、ソルベッソ15
0等の脂肪族炭化水素系の溶剤等が挙げられる。これら
は単独で使用することもできるが、複数種以上混合して
使用することもできる。この中で好適に用いられるもの
として、シクロヘキサノンやシクロヘキサノンとソルベ
ッソ100の混合溶剤、トルエンとメチルエチルケトン
の混合溶剤、酢酸エチル等が挙げられ、溶解性や蒸発速
度を考慮して適宜選択し、使用すればよい。
【0025】また、本発明の塗料組成物には、本発明の
特性を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂と硬化剤と
して用いられる樹脂以外の樹脂、例えばアルキド樹脂、
ウレタン樹脂、ビスフェノール構造を含有しないエポキ
シ樹脂、アクリル樹脂変性オレフィン樹脂、セルロース
誘導体等を併用させることができる。さらに必要に応じ
て、硬化反応を促進させる反応触媒、ハジキ防止剤、レ
ベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、レオロジーコントロ
ール剤、顔料分散剤、滑剤、離型剤等を併用することも
できる。
【0026】塗料組成物中における固形分濃度は、10
質量%以上であることが好ましく、15〜50質量%の
範囲とすることがより好ましい。固形分濃度が10質量
%未満である場合には、分厚い塗膜を形成することが困
難になるばかりでなく、塗料中の有機溶剤の比率が高く
なり、塗膜を形成する際の溶剤留去に時間を要し、生産
性が低下するといった問題が生じる。
【0027】本発明の塗料組成物はディップコート法、
はけ塗り法、ロールコート法、スプレーコート法、グラ
ビアコート法、カーテンフローコート法、各種印刷法等
により、金属板に均一に塗布される。
【0028】次に、本発明の塗装金属板について説明す
る。塗布用基材である金属板としては、シート状又は帯
状の鋼板、アルミニウム板、あるいはそれらの表面に種
々のメッキ処理や化成処理を施したものが挙げられる。
その中でも、クロム水和酸化物皮膜を有したものが好ま
しく、下層が金属クロムで上層がクロム水和酸化物の二
層構造の皮膜をもつティンフリースチール(TFS)が
好ましい。また、鋼板表面に錫、ニッケル、亜鉛、アル
ミニウム等の一種又は二種以上の複層メッキもしくは合
金メッキを施し、その上層に前記の二層構造をもつ皮膜
もしくはクロム水和酸化物皮膜を形成させたもの、アル
ミニウムに電解クロム酸処理もしくは浸漬クロム酸処理
等を施し、表層にクロム水和酸化物皮膜を形成させたも
の等も用いることができる。
【0029】上記金属板に塗料用組成物を塗布後、焼き
付けることで塗装金属板を形成することができる。塗装
金属板を食料・飲料用金属缶に加工する場合、缶内面コ
ート層の塗膜厚みは、0.2〜100μmとすることが
好ましく、1〜10μmとすることがより好ましい。
0.2μm未満の厚みでは、缶成形工程で塗膜が破損
(剥離、亀裂)し、耐食性、フレーバー性の劣った缶し
か得られない。一方、100μmを超える厚みでは、塗
料に用いられる有機溶剤が残留する恐れがあったり、有
機溶剤を完全に除去できたとしても、溶剤留去工程に時
間がかかり生産性が低下する問題が生じる。
【0030】焼き付け工程は、温度180〜250℃で
10〜60分の範囲で行うことが好ましく、温度200
〜240℃で20〜40分の範囲で行うことがより好ま
しい。温度180℃未満で焼き付けた場合には、有機溶
剤の除去が不完全になったり、硬化反応が十分に進行し
ないため、耐食性の劣った缶しか得られない。一方、温
度250℃を超える温度で焼き付けた場合には、硬化剤
との反応は十分に進行するが、ポリエステル樹脂が熱分
解することがある。また、焼き付け時間が10分未満で
ある場合には、有機溶剤の除去が不完全になったり、硬
化反応が十分に進行せず、耐食性の劣った缶しか得られ
ない。一方、焼き付け時間が60分を超える場合には、
生産性が低下する。
【0031】このようにして得られた樹脂被膜が形成さ
れた本発明の塗装金属板を用いることにより、耐熱性に
優れ、レトルト処理のような高温処理が可能で、過酷な
加工処理を施してもピンホールやミクロクラック等の欠
陥が生じることがなく、しかも耐食性や耐衝撃性に優れ
た金属缶体を製造することができる。
【0032】なお、金属缶体としては、飲食料を充填し
て使用に供することができ得る形態にまで加工処理が施
された金属容器及びその一部分、例えば巻き締め加工が
可能な形状に成形された缶蓋も含まれる。
【0033】
【実施例】以下実施例を挙げて、本発明を具体的に説明
する。各測定、評価項目は以下の方法に従った。
【0034】(1)樹脂組成の測定 日本電子工業社製1H−NMRスペクトロメータJNM
−LA400装置で測定した。
【0035】(2)極限粘度([η])の測定 フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒とし
て、温度20℃で測定した。
【0036】(3)ガラス転移温度(Tg)の測定 セイコー電子工業社製示差走査熱量計SSC5200を
用いて10℃/分の昇温速度で測定した。
【0037】(4)溶剤溶解性 得られたポリエステル樹脂をシクロヘキサノンに溶解
し、30質量%溶液とした後、25℃で放置した後の溶
解安定性を溶解性として評価した。 ○:良好 ×:白濁、固化あるいは不溶
【0038】(5)加工性 塗装金属板と同じTFS基材2枚を挟むように塗装金属
板を180度方向に折り曲げた後、屈曲部をルーペで観
察し、塗膜の剥離や亀裂の有無を目視で判定した。 ○:良好 ×:剥離あるいは亀裂あり
【0039】(6)耐レトルト性 塗装金属板を130℃水蒸気下で30分処理した後、塗
膜の白化の状態を目視で判定した。 ○:良好 ×:白化あり
【0040】また、ポリエステル樹脂は下記の方法によ
り製造した。
【0041】樹脂1の製造 テレフタル酸33.2kg、イソフタル酸8.3kg、
1,2−プロピレングリコール19.0kg、エチレン
グリコール9.3kgをエステル化反応器に仕込み、圧
力0.5MPa、温度240℃で4時間エステル化反応
を行った。得られたポリエステルオリゴマーを重合反応
器に移送し、ヒドロキシブチルスズオキサイド41.8
gを投入した後、反応系内を60分かけて0.4hPa
となるまで徐々に減圧し、その後、温度230℃で3時
間の重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、系内に窒
素を封入し減圧を解除した後、解重合剤として無水トリ
メリット酸0.96kgを添加し、温度230℃で2時
間の解重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。得ら
れたポリエステル樹脂の特性値を表1に示す。
【0042】樹脂2〜16の製造 原料の仕込み条件を変更し、ポリエステル樹脂の組成を
表1に示すように変更した以外は、樹脂製造例1と同様
にしてポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル
樹脂の特性値を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】実施例1 ポリエステル樹脂(A)として樹脂1を、ポリエステル
樹脂(B)として樹脂11を用い、質量比(A)/
(B)=80/20となるように混合した後、ポリエス
テル樹脂(A)及び(B)合計100質量部に対し、硬
化剤としてフェノール樹脂(群栄化学社製、レジトップ
PL−4523)を5質量部配合し、シクロヘキサノ
ン/ソルベッソ100の混合溶剤(体積比1/1)に3
0質量%となるように溶解し、塗料組成物を作製した。
【0045】得られた塗料組成物をTFS(ティンフリ
ースチール、70mm×150mm×0.3mm)上に
バーコーター#38にて膜厚が10〜15μmになるよ
うに塗布し、引き続き200℃に調節した熱風循環型の
オーブン内で30分間乾燥と焼き付けを行って、塗装金
属板を作製した。得られた塗装金属板による加工性と耐
レトルト性の評価結果を表2に示した。
【0046】実施例2〜5、比較例1〜8 ポリエステル樹脂(A)及び(B)、さらには混合比率
を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に
して塗料組成物、及び塗装金属板を得た。得られた塗装
金属板による加工性と耐レトルト性の評価結果を表2に
示した。
【0047】
【表2】
【0048】表1及び表2から明らかなように、本発明
の塗料組成物から得られる塗膜は、加工性と耐レトルト
性の両特性をともに満足するものであった。一方、比較
例1ではポリエステル樹脂(A)に側鎖を有するグリコ
ール成分が共重合されていないため、金属密着性に劣
り、塗膜の剥離が生じた。さらにポリエステル樹脂
(A)のガラス転移温度が低いために、耐レトルト性に
も劣るものであった。比較例2ではポリエステル樹脂
(A)のガラス転移温度が低いために、耐レトルト性に
劣るものであった。比較例3ではポリエステル樹脂
(A)に共重合されている側鎖を有するグリコール成分
が多いために、耐レトルト性に劣るものであった。比較
例4ではポリエステル樹脂(A)に共重合されているイ
ソフタル酸が多いために、樹脂が脆く、加工性に劣るも
のであった。比較例5ではポリエステル樹脂(B)のガ
ラス転移温度が低いために、耐レトルト性に劣るもので
あった。比較例6ではポリエステル樹脂(A)のみから
なるものであり、架橋密度が小さく、耐レトルト性に劣
るものであった。比較例7ではポリエステル樹脂(A)
の混合比が小さいために、加工性に劣るものであった。
比較例8ではポリエステル樹脂(A)の酸価が高く、分
子量が小さいために加工性に劣るものであった。比較例
9ではポリエステル樹脂(B)の酸価が低いために、架
橋密度も低く、耐レトルト性に劣るものであった。比較
例10ではポリエステル樹脂(B)の酸価が高く分子量
が小さいために、加工性に劣るものであった。
【0049】
【発明の効果】本発明の塗料組成物は加工性や金属密着
性、耐レトルト性に優れた塗膜を与えるものであり、家
電製品や事務用品、食料品容器等に用いられる金属鋼板
用塗料として好適である。特に食品、及び飲料用金属缶
用塗料に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 CA03 CA13 DA03 DA06 DB02 DB07 DC18 DC38 DC42 EA07 EA19 EB32 EB35 EB38 EB52 EB53 EB55 EB56 4F100 AB01A AK41B AK41K AL05B BA02 GB16 GB23 GB48 JA05B JB07 JJ03 JK06 YY00B 4J038 DD061 DD062 DD071 DD081 GA06 KA03 KA06 MA13 NA04 NA12 NA14 PB04 PC02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種のポリエステル樹脂(A)及び
    (B)を含有する塗料組成物であって、ポリエステル樹
    脂(A)はジカルボン酸成分がテレフタル酸60〜90
    mol%、イソフタル酸10〜40mol%、脂肪族ジ
    カルボン酸0〜10mol%からなり、グリコール成分
    が側鎖を有する脂肪族グリコール35〜75mol%、
    エチレングリコール25〜65mol%からなり、かつ
    酸価が20mgKOH/g以下であり、またポリエステ
    ル樹脂(B)はジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸
    80〜100mol%、脂肪族ジカルボン酸0〜20m
    ol%からなり、グリコール成分が側鎖を有する脂肪族
    グリコール60〜100mol%、エチレングリコール
    0〜40mol%からなり、かつ酸価が40〜60mg
    KOH/gであり、ポリエステル樹脂(A)とポリエス
    テル樹脂(B)との混合比率が質量比で(A)/(B)
    =90〜50/10〜50であることを特徴とする塗料
    組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温
    度が65℃以上、ポリエステル樹脂(B)のガラス転移
    温度が40℃以上であることを特徴とする請求項1記載
    の塗料組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の塗料組成物を金
    属板の少なくとも片面に塗布したことを特徴とする塗装
    金属板。
JP2002109259A 2002-04-11 2002-04-11 塗料組成物、及び塗装金属板 Expired - Fee Related JP4097978B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002109259A JP4097978B2 (ja) 2002-04-11 2002-04-11 塗料組成物、及び塗装金属板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002109259A JP4097978B2 (ja) 2002-04-11 2002-04-11 塗料組成物、及び塗装金属板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003301137A true JP2003301137A (ja) 2003-10-21
JP4097978B2 JP4097978B2 (ja) 2008-06-11

Family

ID=29392772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002109259A Expired - Fee Related JP4097978B2 (ja) 2002-04-11 2002-04-11 塗料組成物、及び塗装金属板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4097978B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013144753A (ja) * 2012-01-16 2013-07-25 Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd 塗料組成物およびそれを用いた缶蓋
EP2627723A2 (en) * 2010-10-15 2013-08-21 Valspar Sourcing, Inc. Polyester-based coating composition for metal substrates
WO2013180067A1 (ja) * 2012-05-31 2013-12-05 東洋製罐グループホールディングス株式会社 塗料組成物及びこの塗料組成物を塗布して成る塗装金属板、金属容器及び金属蓋
JP2015193782A (ja) * 2014-03-27 2015-11-05 関西ペイント株式会社 塗料組成物
JP2017039938A (ja) * 2008-01-31 2017-02-23 オルネクス ベルギー エス エー 粉末組成物

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017039938A (ja) * 2008-01-31 2017-02-23 オルネクス ベルギー エス エー 粉末組成物
EP2627723A2 (en) * 2010-10-15 2013-08-21 Valspar Sourcing, Inc. Polyester-based coating composition for metal substrates
EP2627723A4 (en) * 2010-10-15 2014-09-03 Valspar Sourcing Inc POLYESTER COATING COMPOSITION FOR METALLIC SUBSTRATES
US9187213B2 (en) 2010-10-15 2015-11-17 Valspar Sourcing, Inc. Polyester-based coating composition for metal substrates
US10723514B2 (en) 2010-10-15 2020-07-28 The Sherwin-Williams Company Polyester-based coating composition for metal substrates
US11565849B2 (en) 2010-10-15 2023-01-31 The Sherwin-Williams Company Polyester-based coating composition for metal substrates
JP2013144753A (ja) * 2012-01-16 2013-07-25 Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd 塗料組成物およびそれを用いた缶蓋
WO2013180067A1 (ja) * 2012-05-31 2013-12-05 東洋製罐グループホールディングス株式会社 塗料組成物及びこの塗料組成物を塗布して成る塗装金属板、金属容器及び金属蓋
JP2013249376A (ja) * 2012-05-31 2013-12-12 Toyo Seikan Co Ltd 塗料組成物及びこの塗料組成物を塗布して成る塗装金属板、金属容器及び金属蓋
US10508214B2 (en) 2012-05-31 2019-12-17 Tokyo Seikan Group Holdings, Ltd. Coating composition and coated metal plate, metal container and metal closure coated with the coating composition
JP2015193782A (ja) * 2014-03-27 2015-11-05 関西ペイント株式会社 塗料組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP4097978B2 (ja) 2008-06-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2010233173B2 (en) Polymer having unsaturated cycloaliphatic functionality and coating compositions formed therefrom
EP0538774B1 (en) Polyester coating composition for metal sheet for two-piece can, and metal sheet coated with the composition
EP3684871B1 (en) Coating compositions including a furan-containing polyester, articles, and methods of coating
JP6627771B2 (ja) 塗装金属板及び有機樹脂被覆塗装金属板
AU2012291098B2 (en) Coating material for coating metal cans, and metal can coated with same
JP4547600B2 (ja) 缶用塗料組成物
JP6627770B2 (ja) 有機樹脂被覆塗装金属板及びこれから成る缶体並びに缶蓋
JP2003301137A (ja) 塗料組成物、及び塗装金属板
JP7117709B2 (ja) ポリエステル樹脂および塗料用樹脂組成物
JP2006037014A (ja) 塗料用組成物
JP4596093B2 (ja) 缶用塗料樹脂組成物及びこれを塗布した缶用塗装金属板
JP2006077118A (ja) 塗料用樹脂組成物
JP2001081160A (ja) 金属缶内面用の被膜形成用共重合ポリエステル樹脂、並びにこれを含有する塗料
JP2008081617A (ja) 缶塗料用樹脂組成物
JP2004143215A (ja) 缶蓋塗料用樹脂組成物
JP2005350508A (ja) 缶塗料用樹脂
JP2002338880A (ja) 金属缶内面被膜形成用共重合ポリエステル樹脂
JP2004307669A (ja) 塗料用樹脂組成物、及び塗装金属板
JP2002348362A (ja) ポリエステル樹脂及び塗料組成物
JP2002302643A (ja) 金属缶内面被膜形成用共重合ポリエステル樹脂
JP2001234115A (ja) 缶被覆用樹脂組成物及びその製造方法
JP2004256742A (ja) 金属板塗装用ポリエステル樹脂及び塗装金属板
JP7235180B2 (ja) 絞りしごき缶の製造方法及び絞りしごき缶
JP2001311039A (ja) 缶用塗料樹脂組成物及びこれを塗布した缶用塗装金属板
JP2001106969A (ja) 3ピース缶内面用塗料樹脂組成物及びこれを塗布した缶内面用塗装金属板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050407

A977 Report on retrieval

Effective date: 20080131

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20080219

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20080312

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110321

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110321

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120321

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees