JP2003299508A - 柔軟性に優れたフック面ファスナー - Google Patents

柔軟性に優れたフック面ファスナー

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JP2003299508A JP2002107956A JP2002107956A JP2003299508A JP 2003299508 A JP2003299508 A JP 2003299508A JP 2002107956 A JP2002107956 A JP 2002107956A JP 2002107956 A JP2002107956 A JP 2002107956A JP 2003299508 A JP2003299508 A JP 2003299508A
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loop
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hooks
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Shitoshi Higashinaka
志年 東中
Yutaka Ito
裕 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟でかつループの損傷の少ないフック面フ
ァスナーを得ること。 【解決手段】 繊度110〜220dtexのフックを
形成するループ糸と該ループ糸の両側に隣接する2本の
地経糸が、地緯糸に対して逆位相の関係で配置されてお
り、100〜200個/cmのフック密度を有するフ
ック面ファスナーであって、かつ裏面に100%モジュ
ラスが3.9MPa以下であるエラストマー樹脂を含有
する接着剤層を有することを特徴とするフック面ファス
ナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フック状係合素子
からなるフック面ファスナーとループ状係合素子からな
るループ面ファスナーから構成される面ファスナーに関
し、さらに詳しくは特定のフックを立設し、かつ特定の
接着剤層を設けた柔軟性に優れたフック面ファスナーに
関する。
【0002】
【従来の技術】フック状係合素子(以下フックと略称す
ることがある)とループ状係合素子(以下ループと略称
することがある)を互いに係合して使用する面ファスナ
ーは、各種用途に広く使用されている。そしてその使用
態様は、ホックや紐綴じなどの他の係止手段に替わるも
のであり、強力な係合機能を有する面ファスナーが開発
され使用されている。
【0003】しかし近年、面ファスナーの用途が広がる
につれて、高い係合力以外に柔軟性に富み、フックが係
合する相手であるループ状係合素子の損傷の少ないフッ
ク面ファスナーの要求が高まっている。これは、面ファ
スナーが各種衣料の部材に使用され、特に薄地の衣料や
肌に近い部位で使用される衣料への使用では、ループ面
ファスナーが薄く、柔軟なものとなるためそれに使用さ
れるフック面ファスナーも柔軟でかつループを損傷しな
いことが求められている。また、係合能力を有する不織
布がループ面ファスナーに代替して使用される態様も増
えており、該不織布の表面を損傷しないことも求められ
ている。かかる観点から実開平6−52521号公報に
は、柔軟でループの損傷の少ないフック面ファスナーが
提案されている。しかしながら該技術で得られるフック
面ファスナーは、依然として柔軟性が十分でなくループ
をかなり損傷しており、さらなる柔軟性とループの損傷
防止の改善が必要であることを認めた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ルー
プ損傷が少なく柔軟性に優れたフック面ファスナーおよ
び該フック面ファスナーとループ状係合素子からなるル
ープ面ファスナーから構成される面ファスナーを提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、繊度
110〜220dtexのフックを形成するループ糸と
該ループ糸の両側に隣接する2本の地経糸が、地緯糸に
対して逆位相の関係で配置されており、100〜200
個/cmのフック密度を有するフック面ファスナーで
あって、かつ裏面に100%モジュラスが3.9MPa
以下であるエラストマー樹脂を含有する接着剤層を有す
ることを特徴とするフック面ファスナーである。
【0006】好ましくは、上記フック面ファスナーに関
し、長さ方向に配列されたフック状係合素子において、
向かい合う関係にある一対のフック頂点間距離aと、そ
れに隣接する背中合わせの関係にあるフックとの頂点間
距離bの比であるa:bが、1:0.58〜1:1.7
5の範囲にフック状係合素子が配列されているフック面
ファスナーである。
【0007】また本発明は、上記フック面ファスナー
と、単繊維繊度2.2〜22dtexのマルチフィラメ
ントからなるループが密度50〜500個/cmで立
設する編織製のループ面ファスナーから構成される面フ
ァスナーである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明者らは、薄手または柔軟な
ループ面ファスナーとフック面ファスナーの係合につい
て検討した結果、ループの損傷を減ずるためには単位フ
ックを低繊度の繊維で構成することで単位フックの係合
力を低下させ、その低下した係合力を補うためフック素
子の数を増加して、面ファスナー全体の係合力を維持す
ることが第1に必要であることを認めた。しかし、上記
の観点から構成したフック面ファスナーは、ある程度ル
ープの損傷を低減するが、それ以上の改善は得られなか
った。本発明者らは、さらに検討を重ねた結果、フック
素子の配置の均一性が重要であり、フックの密度が高い
面ファスナーにおいては、その配置が均一でないと複数
のフックが一本のループと係合することで強力な係合を
形成し、ループを切断する確率が増すことを見出した。
従って、フックの繊度と密度だけでは本発明の目的を達
することはできず、密度と共にフックの均一配置度が重
要であることを認識した。
【0009】本発明のフック面ファスナーは、繊度11
0〜220dtexのフック用モノフィラメントを、地
経糸および地緯糸とともに織成して形成される。該モノ
フィラメントで形成されるフック用ループは、100〜
200個/cmのフック密度を有する。本発明のフッ
クは、通常のフックに比して非常に細繊度のモノフィラ
メントから形成されているため、単位フックの係合力は
小さく、それを補うために、上記のフック密度が必要で
ある。100個/cm未満の低密度では係合力が低
く、また200個/cmを超える高密度では、係合の
相手であるループ状係合素子がフックに入りにくくな
り、係合力が低下する。係合力とループの損傷のしにく
さのバランスを考慮すると、110〜190個/cm
が好ましい。
【0010】また本発明者らは、高密度のフック用ルー
プを配置する要因を解析した結果、その織成構造が重要
であると認識し、以下の検討を行なった。上記の先行技
術を含めた従来のフック面ファスナーの織成は、フック
用モノフィラメント(経糸)を平織組織の地経糸間に挿
入する織成方式であり、この構造はフック用モノフィラ
メントが複数の地経糸によって締め付けられ、地基布に
対して強固に固定されると考えられていた。しかしなが
ら、面ファスナーを織成した後、樹脂でバックコートす
るまでに繊維が移動すると、形成されたフック用ループ
の位置が移動し、その配置の均一性が損なわれることが
判明した。従来の織成構造では、地組織の単位区域内に
フック用モノフィラメントと共に配置される地経糸が移
動することがあり、フック用モノフィラメント自体の移
動がなくても、共に配置される地経糸の移動によってフ
ックの変位が生じて、その均一配置度が損なわれる。か
かる均一配置度は特にフックの長さ方向における配置の
均一性であり、フックの横方向の配置度は、地織組織に
よって規制され、その均一性に問題はなかった。フック
の配置度で変動するのは、その長さ方向の配列であり、
その均一性に関する詳細な検討は従来なされていなかっ
た。
【0011】フック用経糸が隣接する片方の地経糸と同
位相、すなわち引き揃え状態になるため、粗硬なフック
用モノフィラメントは引き揃え状態にある地経糸側にず
れ易く、また交接する地緯糸をずらし易くするため、フ
ック用経糸のループ位置の均一配置を困難にさせている
ことが判明した。本発明のフックは、フックを形成する
モノフィラメントと該モノフィラメントの両側に隣接す
る2本の地経糸が、地緯糸に対してループ糸と逆位相の
関係で配置される織成構造を有する。かかる構造によっ
て、地組織の単位区域内にはフック用モノフィラメント
のみが配置され、共に配置される地経糸がないために、
フック用モノフィラメントの地組織に対する固定が向上
して、バックコート処理までにフックが変位することが
大幅に減少した。上記の織成構造で形成されたフック
は、従来の高密度のフック面ファスナーに比して均一配
置度が大きく改善される。
【0012】以下、図面を用いて本発明をより詳細に説
明する。図1は、本発明のフック面ファスナーの織構造
の一例を示す斜視平面図である。面ファスナーを構成す
る地経糸1と地緯糸2と共にフックを形成するモノフィ
ラメント3が一体的に織成されている。ループを構成し
ているモノフィラメント3の、ループ頂点とループ根元
の間の適当な箇所を各ループにつき1箇所切断すること
によりフックが形成される。地経糸と地緯糸の本数は任
意に設定できるが、地経糸と地緯糸で構成される単位区
域U(斜線を付した地経糸と地緯糸で区画された区域)
には、フック用のモノフィラメント3が1本だけ存して
おり、さらに該モノフィラメントの両側に隣接する2本
の地経糸1、1’が地緯糸2に対してループモノフィラ
メント3と逆位相の関係で配置されている。すなわち、
モノフィラメントと地経糸は、地緯糸に対する配置位置
が上下逆に配置されている。
【0013】図2は従来の高密度フック面ファスナーの
織構造を示す斜視平面図であり、図1の単位区域に相当
する区域をU’で示している。U’においては、フック
用モノフィラメントに近接または離れた位置にモノフィ
ラメントと共に少なくとも1本の地経糸1が存在してい
る。従って、この単位区域U’ではモノフィラメントま
たは地経糸1の少なくとも一方が移動するとフック用モ
ノフィラメントの位置が変わり、モノフィラメントが形
成するループの配置が変位する。
【0014】図3は、本発明のフック用ループの長さ方
向の配列を示す拡大模式図であり、図1の矢印Xからの
断面図である。モノフィラメント3が地緯糸2(断面で
示される)と織成され、ループを形成している。1つの
ループから実線で示される1つのフックが形成される。
向き合った1対のフックの頂点間距離をaとし、それに
隣接する背中合わせのフックとの頂点間距離をbとす
る。なお、本発明において向き合った1対のループ、背
中合わせの1対のループとは、完全に向かい合っている
または完全に背中合わせの状態にある場合の他に、図1
のようにある程度の角度をもって向かい合っているまた
はは背中合わせの状態にある場合のループ対を含んでい
る。
【0015】図4は、従来の高密度フック面ファスナー
のフック用ループの長さ方向の配列を示す拡大模式図で
あり、図2の矢印Xからの断面図である。図3と同様
に、向き合った1対のフックの頂点間距離をaとし、そ
れに隣接する背中合わせのフックとの頂点間距離をbと
する。
【0016】上述したように本発明のフック面ファスナ
ーは、フックの均一配置度が重要な要件となるが、この
均一配置度は以下の方法で測定される。フック面ファス
ナーを幅方向(長さ方向に対して直角)の断面を、倍率
50倍で写真に撮り、フックの頂点間距離について任意
の10個を選び、向かい合う関係にある一対のフック頂
点間距離a、およびそれに隣接する背中合わせの関係に
あるフックとの頂点間距離bを測定し、各10個につい
てa:bを求める。本発明においてa:bの比が1:
0.58〜1:1.75とは、上記の10個のa:bの
値の平均値がこの範囲内にあり、かつ上記10個のうち
の8個以上がこの範囲内にあることを意味する。
【0017】本発明のフック面ファスナーを構成するフ
ックは、a:bが1:0.58〜1:1.75の範囲に
配列される場合が好ましく、より好ましくは1:0.6
0〜1:1.70であり、さらに好ましくは1:0.6
5〜1:1.60である。a:bが0.58未満または
1.75を超える場合には、特に高密度のフック面ファ
スナーにおいて、隣接するフックと近接し見かけ上一体
化して、太繊度からなるフックと同様に作用するフック
が多く、ループの損傷を招く場合がある。
【0018】また、本発明においてフック形成用ループ
は、図1に示したように1本または複数本(図1では1
本)の緯糸の下をくぐり(沈み)、次の1本または複数
本(図1では1本)の緯糸の上を浮き、その浮いている
状態でループを形成し、そして次の緯糸の下をくぐるよ
うにして形成されるのが好ましい。地経糸を3/1織組
織(隣り合う3本の経糸が3本単位で緯糸の下をくぐ
り、次の緯糸の上に浮き、そして次の緯糸の下にくぐ
り、そして該3本の経糸に隣り合う経糸が1本で該3本
の経糸と反対のくぐり・浮き構造(浮き・沈み構造)を
有している織組織)とし、フック形成用ループ糸は、3
本経糸を構成する経糸間に3本経糸の浮き沈み関係とは
逆位相の関係で織り込まれ、ループの一方の根元は3本
経糸の間に存在し、もう一方の根元は、該3本経糸の隣
に存在する1本経糸の向こうに存在している3本経糸の
間に存在している。このようにフックを形成するループ
は、一方の根元ともう一方の根元が、異なる経糸と異な
る緯糸の間に存在していることが好ましい。
【0019】地経糸組織としては、上記したように3/
1織組織がもっとも好ましいが、2/1織組織、4/1
織組織等であっても、さらには2/2織組織や3/2織
組織等であってもよい。しかしながら、1/1の平織組
織の場合には、フックを形成しているループ糸と該ルー
プ糸に隣接する地経糸が、地緯糸に対して逆位相の関係
で配置することができない。なお地緯糸に関しては、1
本単位で地経糸に対して浮き沈み構造を構成していて
も、また複数本単位で構成していてもよい。
【0020】本発明のフック面ファスナーは、上記のフ
ック状係合素子の構造とともに、より優れた柔軟性を得
るために裏面に塗布する接着剤層が重要な要素である。
すなわち、従来のフック面ファスナーは高係合力を目的
とするために、基布および係合素子繊維を強固に接着す
る思想であり、そのために接着剤層も強度の高いものが
使用され、硬質な樹脂を含有するものであった。本発明
においては、フック素子の構造を改善するだけでは、目
的とする柔軟性に優れたフック面ファスナーを得ること
ができず、接着剤層として特定のエラストマーを選択し
て目的を達成することができた。
【0021】本発明に用いられる接着剤層は、エラスト
マー樹脂を含有するものであり、熱可塑性エラストマー
が好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、ウレタン
系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエス
テル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマーな
どが挙げられる。より好ましくは、塗布後架橋硬化反応
する後硬化タイプのものである。後硬化タイプのエラス
トマーとしては、ソフトセグメントにポリエステル、ポ
リエーテル、またはポリアミドを有し、ハードセグメン
トにウレタン構造を有するものが好ましい。後硬化タイ
プのエラストマーは、裏面に塗布後、室温または加熱下
に硬化反応させればよい。
【0022】本発明においては、上記エラストマー樹脂
の100%モジュラスが3.9MPa以下であることが
柔軟性を与えるために必要であり、より好ましくは0.
98〜2.9MPaである。該エラストマー樹脂の具体
例としては、以下のようなものが挙げられる。 (1)ウレタン系熱可塑性エラストマー:大日精化工業
社製商品名「レザミンP」、日本ミラクトラン社製商品
名「ミラクトラン」、大日本インキ化学工業社製商品名
「パンデックス」、日本ポリウレタン工業社製商品名
「パラプレン」、ダウケミカルジャパン社製商品名「ペ
レセン」、武田バーディシュウレタン工業社製商品名
「タケラック」、「エラストラン」、バイエル社製商品
名「Desmopan」、「Texin」、協和発酵工
業社製商品名「エステン」、「エスタロック」等。 (2)ポリアミド系熱可塑性エラストマー:東レ社製商
品名「Pebax」、ダイセルヒュルス社製商品名「ダ
イアミド・PAE」、大日本インキ化学工業社製商品名
「グリラックスA」、三菱エンジニアリングプラスチッ
ク社製商品名「ノバミットPAE」、宇部興産社製商品
名「UBE・PAE」等。 (3)ポリエステル系熱可塑性エラストマー:東レ・デ
ュポン社製商品名「Hytrel」、東洋紡社製商品名
「ペルプレンP.S」、大日本インキ化学工業社製商品
名「グリラックスE」等。 (4)ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー:三井化
学社製商品名「ミラストマー」、「グドマー」、住友化
学工業社製商品名「住友TPE」、三菱化学社製商品名
「サーモラン」、「SPX」、住友ベークライト社製商
品名「スミフレックス」等。 他の例としては、ポリエーテルウレタン系の大日精化工
業社製商品名「レザミンUD」等も使用できる。
【0023】上記エラストマー樹脂の塗布量は20〜7
0g/mが好ましく、より好ましくは30〜50g/
である。塗布量が20g/m未満または70g/
を超えると、本発明の目的とする柔軟性が奏されな
い場合がある。
【0024】なお、フック面ファスナーの裏面には、上
記した接着剤層が塗布され、後硬化によって、強固に接
合されている。得られたフック面ファスナーの柔軟性は
従来のフック面ファスナーに比して、感触に優れてい
る。なお、柔軟性の指標としては、JIS−L1096
D法(ハートループ法)による剛軟度を用いることが
できる。本発明のフック面ファスナーの剛軟度は40m
m以上が好ましく、40〜60mmがより好ましい。剛
軟度が40mm未満では従来例のように硬い基布とな
る。一方、60mmを超えると柔らかすぎて変形しやす
くなる場合がある。
【0025】本発明のフック面ファスナーは、ループ面
ファスナーまたは表面にループ状の繊維構造を有する不
織布、特に薄手で柔軟なループ素材と共に使用される。
本発明のフック面ファスナーは、通常のループ面ファス
ナーとしても使用できる。その特徴をより発揮するの
は、ループが細繊度のマルチフィラメントで構成され、
その密度が50〜500個/cmの高密度のループ面
ファスナーである。また、単繊維繊度が1〜22dte
xの短繊維または長繊維からなる不織布で、その表面に
多数のループが立設する不織布も好適に使用できる。該
不織布のループは、狭義のループ形状の他に、フックと
係合する長い繊維端を有するものでもよい。
【0026】本発明によるフック面ファスナーをループ
面ファスナーと係合して、その性能をJIS−L341
6に従って測定すると、接着強さ及び接着強さの保持率
は従来の高密度フック面ファスナーと比較して同等以上
で、繰り返し剥離2000回後における相手ループ面フ
ァスナー生地の損傷度合は、従来品と比べ極めて少なか
った。
【0027】また、面ファスナーが取り付けられている
本体生地への損傷の可能性をJIS−L1096、E法
(マーチンデール法)に準拠して評価した。フック面フ
ァスナーを試料ホルダに取り付け、標準摩擦布側に本体
生地を取り付け、50回摩擦後の本体生地の損傷度合を
JIS−L1076の判定基準に基づいて外観判定した
結果、従来の高密度フック面ファスナーと比較して本発
明のフックファスナーが本体生地を損傷させる度合は極
めて少なかった。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定される
ものではない。
【0029】実施例1 地経糸(1)としてナイロン66(140dtex/1
4f)、地緯糸(2)として、ナイロン66(110d
tex/24f)、およびフック形成用ループ糸(3)
としてナイロン66(120dtex/1f)を用い
て、図1に示す織構成の未カットループ織テープを作製
し面ファスナー基布を得た。次に、主剤として100%
モジュラスが2.5MPaであるポリウレタン系エラス
トマー樹脂(大日精化工業社製商品名「レザミンU
D」)100質量部、架橋剤(日本ポリウレタン工業社
製商品名「コロネートL」)10質量部、酢酸エチル1
50質量部を混合してコーティング液とし、このコーテ
ィング液を得られた基布の裏面にドクターブレードを用
いて常法によりコーティングし、乾燥した。乾燥後の樹
脂付着量は40g/mであった。次いで、ループの一
片をカットしてフックを形成させた後、本発明のフック
面ファスナーを得た。得られたフック面ファスナーのフ
ック密度は143個/cm、フック長さ方向の配置度
は、1:1.35であり、剛軟度は43mmであった。
【0030】比較例1 100%モジュラスが4.9MPaであるポリウレタン
系樹脂(大日本インキ化学工業社製「タイフォース」)
を主剤として用い、上記で得られた面ファスナーの基布
裏面に塗布したこと以外は実施例1と同様にして面ファ
スナーを得た。得られたフック面ファスナーの剛軟度は
38mmであり、風合いの硬いものであった。
【0031】これらのフック面ファスナーを単繊維繊度
6.7dtexのナイロン6フィラメント(110dt
ex/18f)を用いてなるループ植設密度250本/
cm 2の起毛トリコットをループ面ファスナーとして接
着強さ、繰り返し剥離後のループ面ファスナーの損傷程
度、及び本体生地(加工糸ニット生地)への損傷度を評
価した。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】表1より、本発明のフック面ファスナー
は、初期及び繰り返し剥離後の接着力は良好で、かつル
ープ面ファスナー及び本体生地(加工糸ニット生地)と
もに損傷が少なく、さらに柔軟性に優れていることがわ
かる。
【0034】実施例2、比較例2 フック形成用ループ糸をナイロン66(110dtex
/1f)にしたこと以外は実施例1と同様にして、本発
明のフック面ファスナーを得た(実施例2)。また、フ
ック形成用ループ糸としてナイロン66(110dte
x/1f)を用い、図2に示す織構成としたこと以外は
実施例1と同様にして同様にして、従来タイプの高密度
フック面ファスナーを作製した(比較例2)。得られた
面ファスナーのフック密度及びフック長さ方向の配置は
各々187個/cm、1:0.80(実施例2)、及
び187個/cm、1:0.40(比較例2)であっ
た。これらフック面ファスナーを単繊維繊度3.3dt
exのポリエステルニードルパンチ不織布をループ面フ
ァスナーとして、それぞれ接着強さ、接着強さ保持率及
び繰り返し剥離後のループ面ファスナーの損傷度、剛軟
度を評価した。結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2より、本発明のフック面ファスナーは
従来品に比べ、接着力及び保持率は良好でかつ、ループ
面ファスナーの損傷が極めて少なく、さらに柔軟性に優
れていることがわかる。
【0037】
【発明の効果】本発明により、高密度で柔軟でかつルー
プ状係合素子の損傷の少ないフック面ファスナーが得ら
れる。本発明のフック面ファスナーは、通常のループ面
ファスナーの他、ループ密度の高いループ面ファスナー
や起毛状態の不織布と使用でき、それらのループの損傷
を大幅に改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフック面ファスナーの織構造の一例
を示す斜視平面図。
【図2】 従来の高密度フック面ファスナーの織構造を
示す斜視平面図
【図3】 本発明のフック用ループの長さ方向の配列を
示す拡大模式図。
【図4】 従来の高密度フック面ファスナーのフック用
ループの長さ方向の配列を示す拡大模式図。
【符号の説明】
1、1’:地経糸 2:地緯糸 3:フック用モノフィラメント U、U’:地糸により形成される単位区域 a:向かい合う関係にある一対のフック頂点間距離 b:背中合わせの関係にあるフックの頂点間距離

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊度110〜220dtexのフックを
    形成するループ糸と該ループ糸の両側に隣接する2本の
    地経糸が、地緯糸に対して逆位相の関係で配置されてお
    り、100〜200個/cmのフック密度を有するフ
    ック面ファスナーであって、かつ裏面に100%モジュ
    ラスが3.9MPa以下であるエラストマー樹脂を含有
    する接着剤層を有することを特徴とするフック面ファス
    ナー。
  2. 【請求項2】 長さ方向に配列されたフック状係合素子
    において、向かい合う関係にある一対のフック頂点間距
    離aと、それに隣接する背中合わせの関係にあるフック
    との頂点間距離bの比であるa:bが、1:0.58〜
    1:1.75の範囲にフック状係合素子が配列されてい
    る請求項1に記載のフック面ファスナー。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のフック面ファ
    スナーと、単繊維繊度2.2〜22dtexのマルチフ
    ィラメントからなるループが密度50〜500個/cm
    で立設する編織製のループ面ファスナーから構成され
    る面ファスナー。
JP2002107956A 2002-04-10 2002-04-10 柔軟性に優れたフック面ファスナー Pending JP2003299508A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009202241A (ja) * 2008-02-26 2009-09-10 Kovax Corp 研磨用パッド

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